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平成12年度全体的な集計結果の説明
V 全体的な集計結果の説明
1 はじめに
本集計結果を参考とする場合は、あらかじめ次の3点に留意する必要がある。
1) 集計を行うに当たって、法人設立後1年未満のもの、損益状況、財政状況の記載内容に不備があるものを除外した結果、客体数は、全国の医療法人
5,387施設のうちの1,529施設(全体の 28.4%)にとどまっていること。
2) 本集計においては、数値を平均値、
20%値、中央値、 80%値などいくつかの統計的データをとっているが、対象施設には開設年次が古いものと新しいものが混在していること。
3) 前年度との比較も試みたが、両者は必ずしも同一客体でないこと等から、医療法人病院の傾向をみることはできるが、これをもって正確な比較や全体の状態とみることはできないこと。
2 集計対象施設数と病床数等(表1参照)
集計対象施設数は
1,529施設となっており、その内訳は一般病院 941施設、療養型(老人)病院 252施設、精神病院
336施設となっている。
1病院当たりの病床数は、一般病院
124.4床、療養型(老人)病院 131.8床、精神病院 264.1床である。
表1:集計対象施設数と病床数等
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一般病院の対象施設数
941施設のうち、赤字の病院数は 168施設で全体の 17.9%となっており、11年度調査(26.2%)と比較すると赤字病院の割合は減少している。
また、病床規模や地域によってバラつきがみられる。 表3:損益状況からみた基礎数値
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区 分
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896 |
661 |
73.8 |
941 |
773 |
82.1 |
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病 床 規 模 |
99床以下 100〜199床 200〜299床 300床以上 |
478 300 75 43 |
342 232 53 34 |
71.5 77.3 70.7 79.1 |
484 334 78 45 |
387 289 60 37 |
80.0 86.5 76.9 82.2 |
都 道 府 県 ブ ロ ッ ク |
北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州 |
40 65 165 159 177 72 85 133 |
33 44 111 128 132 58 55 100 |
82.5 67.7 67.3 80.5 74.6 80.6 64.7 75.2 |
69 68 188 134 182 45 91 164 |
58 57 154 106 147 43 76 132 |
84.1 83.8 81.9 79.1 80.8 95.6 83.5 80.5 |
所在 地の 人口 |
政令指定都市 人口20万人以上 人口5万人以上 その他 |
146 307 240 203 |
112 229 174 146 |
76.7 74.6 72.5 71.9 |
179 333 236 193 |
148 274 198 153 |
82.7 82.3 83.9 79.3 |
病床利用率では、黒字の病院
83.5%、赤字の病院 78.2%と 5.3%の差があり、11年度調査と比べて、全体としては
82.3%から 82.6%と 0.3%増加している。
平均在院日数は、黒字の病院
34.2日、赤字の病院 41.0日と黒字の病院が 6.8日短い。11年度調査と比べると、全体としては
35.7日から 35.1日と 0.6日短くなっており、黒字の病院では 0.6日短く、赤字の病院では1.6日長くなっている。
患者100人当たり従事者数を11年度調査と比べると、黒字の病院ではほとんど変化がないが、赤字の病院で
2.1人増加している。
患者1人1日当たり入院収益を11年度調査と比べると、黒字の病院では
1,161円、赤字の病院では 249円の増加となっている。
表5:損益状況からみた機能性 (平成12年度)
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損益状況からみた収益性を黒字の病院と赤字の病院で比較すると、黒字の病院の方が人件費率
5.1%、経費率 3.7%低くなっており、黒字の病院は、効率的な医療の提供や、経費の合理化・適正化に努めていると考えられる。
なお、人件費率については11年度調査に比べ黒字の病院で
0.6%増加し、赤字の病院で 0.4%減少している。
表6:損益状況からみた収益性
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従事者1人当たりの年間医業収益は、黒字の病院12,331千円、赤字の病院10,481千円で、黒字の病院は赤字の病院の
1.18倍(11年度調査 1.15倍)となっている。
労働生産性は、従事者1人当たり年間どれだけの付加価値を生み出したかを示すものであるが、11年度調査と比べ黒字の病院で
261千円増加し、赤字の病院では69千円減少している。
表7:損益状況からみた生産性
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療養型(老人)病院の対象施設数
252施設のうち、赤字の病院数は34施設で、全体の13.5%となっており、11年度調査(20.3%)と比べ赤字の病院の割合が
6.8%減少している。
ただし、病床規模と地域により相違がみられる。 表8:損益状況からみた基礎数値
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区 分
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202 |
161 |
79.7 |
252 |
218 |
86.5 |
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病 床 規 模 |
99床以下 100〜199床 200〜299床 300床以上 |
104 74 10 14 |
79 60 8 14 |
76.0 81.1 80.0 100.0 |
127 81 27 17 |
111 68 23 16 |
87.4 84.0 85.2 94.1 |
都 道 府 県 ブ ロ ッ ク |
北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州 |
9 13 32 30 21 20 42 35 |
8 10 20 27 15 17 31 33 |
88.9 76.9 62.5 90.0 71.4 85.0 73.8 94.3 |
18 10 31 33 26 20 46 68 |
15 8 26 31 20 17 39 62 |
83.3 80.0 83.9 93.9 76.9 85.0 84.8 91.2 |
所在 地の 人口 |
政令指定都市 人口20万人以上 人口5万人以上 その他 |
31 59 42 70 |
24 47 32 58 |
77.4 79.7 76.2 82.9 |
36 75 50 91 |
30 64 47 77 |
83.3 85.3 94.0 84.6 |
病床利用率では、黒字の病院
95.0%、赤字の病院 85.1%と 9.9%の差があり、11年度調査と比べると、全体としては
94.6%から 93.7%と 0.9%減少している。
平均在院日数を11年度調査と比べると、全体としては
8.5日長くなっており、黒字の病院で 5.5日短く、赤字の病院で48.6日長くなっている。
患者
100人当たり従事者数を11年度調査と比べると、全体としては、68.5人から71.8人と
3.3人増加しており、黒字の病院で 2.8人、赤字の病院では 7.9人いずれも増加している。
患者1人1日当たり入院収益を11年度調査と比べると、全体としては、15,211円から15,333円と
122円増加している。黒字の病院で18円、赤字の病院では 926円いずれも増加している。
表10:損益状況からみた機能性 (平成12年度)
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損益状況からみた収益性を黒字の病院と赤字の病院で比較すると、黒字の病院の方が人件費率
6.8%、材料費率 0.6%、経費率 4.7%低くなっており、黒字の病院は、効率的な医療の提供や、経費の合理化・適正化に努めていると考えられる。
なお、人件費率については11年度調査と比べ黒字の病院で
0.2%減少し、赤字の病院で 0.4%増加している。
表11:損益状況からみた収益性
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従事者1人当たりの年間医業収益は、
11年度調査と比較すると、黒字の病院で 90千円、赤字の病院では 463千円減少している。
労働生産性についても、11年度調査と比べ、黒字の病院で
119千円、赤字の病院では 116千円いずれも減少している。
表12:損益状況からみた生産性
区 分 |
全 体 |
黒 字 |
赤 字 |
従事者1人当たりの年間給与 (千円) 常勤医師1人当たりの年間給与 (千円) 常勤看護師1人当たりの年間給与 (千円) 従事者1人当たりの年間医業収益 (千円) 労働生産性 (千円) 労働分配率 (%) |
4,751 13,803 4,690 8,583 5,361 88.6 |
4,721 13,617 4,702 8,655 5,472 86.3 |
4,963 15,277 4,603 8,094 4,602 107.8 |
精神病院の対象施設数
336施設のうち、赤字の病院数は65施設で全体の19.3%となっており、11年度調査(20.1%)と比べ赤字病院の割合が
0.8%減少している。
ただし、病床規模と地域により相違がみられる 表13:損益状況からみた基礎数値
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区 分
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289 |
231 |
79.9 |
336 |
271 |
80.7 |
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病 床 規 模 |
99床以下 100〜199床 200〜299床 300床以上 |
- 98 106 85 |
- 76 91 64 |
- 77.6 85.8 75.3 |
- 112 120 104 |
- 84 100 87 |
- 75.0 83.3 83.7 |
都 道 府 県 ブ ロ ッ ク |
北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州 |
17 29 45 48 31 32 29 58 |
16 20 34 42 22 21 23 53 |
94.1 69.0 75.6 87.5 71.0 65.6 79.3 91.4 |
28 29 58 51 38 22 21 89 |
22 18 45 43 32 17 14 80 |
78.6 62.1 77.6 84.3 84.2 77.3 66.7 89.9 |
所在 地の 人口 |
政令指定都市 人口20万人以上 人口5万人以上 その他 |
31 94 79 85 |
26 72 64 69 |
83.9 76.6 81.0 81.2 |
44 110 94 88 |
39 90 74 68 |
88.6 81.8 78.7 77.3 |
病床利用率は黒字の病院
94.9%、赤字の病院 92.6%と、ともに高い利用率を示している。11年度調査と比べると、全体としては、94.9%から94.5%と0.4%減少している。
平均在院日数は、11年度調査と比べると、全体としては
2.6日長くなっており、黒字の病院では 5.1日短く、赤字の病院では62.5日長くなっている。
患者
100人当たり従事者数を11年度調査と比べると、全体としては、51.2人から52.6人と1.4人増加しており、黒字の病院で
1.9人増加し、赤字の病院で 0.7人減少している。
患者1人1日当たり入院収益を11年度調査と比べると、全体としては、11,807円から12,218円と
411円増加している。黒字の病院では 482円増加し、赤字の病院では45円減少している。
表15:損益状況からみた機能性 (平成12年度)
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損益状況からみた収益性を黒字の病院と赤字の病院で比較すると、黒字の病院の方が人件費率
6.5%、材料費率 1.0%、経費率 3.0%低くなっており、黒字の病院は、効率的な医療の提供や、経費の合理化・適正化に努めていると考えられる。
なお、人件費率については、11年度調査と比べ、黒字の病院で
0.5%増加し、赤字の病院で 1.3%減少している。
表16:損益状況からみた収益性
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人件費率 (%) 材料費率 (%) 経費率 (%) 委託費率 (%) 減価償却費率 (%) 医業収益対医業利益率 (%) 経常収益対経常利益率 (%) 総収益対総利益率 (%) 経常収益対支払利息率 (%) |
59.9 12.5 14.4 2.8 4.4 5.9 6.9 6.2 1.3 |
58.9 12.4 13.9 2.8 4.3 7.8 8.5 8.0 1.2 |
65.4 13.4 16.9 3.0 5.5 -4.2 -1.8 -3.2 1.6 |
54.0 9.7 11.0 0.5 2.0 |
60.8 12.5 13.8 1.5 4.1 |
66.3 15.6 17.2 3.6 6.3 |
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従事者1人当たりの年間医業収益は、黒字の病院
9,174千円、赤字の病院 8,522千円で、黒字の病院は赤字の病院の1.08倍(11年度調査1.10倍)となっている。
労働生産性は、11年度調査と比べ黒字の病院で
4千円増加しているのに対し、赤字の病院では30千円減少している。
表17:損益状況からみた生産性
区 分 |
全 体 |
黒 字 |
赤 字 |
従事者1人当たりの年間給与 (千円) 常勤医師1人当たりの年間給与 (千円) 常勤看護師1人当たりの年間給与 (千円) 従事者1人当たりの年間医業収益 (千円) 労働生産性 (千円) 労働分配率 (%) |
5,429 14,740 4,851 9,066 5,967 91.0 |
5,400 14,863 4,805 9,174 6,116 88.3 |
5,574 14,082 5,087 8,522 5,214 106.9 |
1)財政状態からみた病院の経営状況―1(表18参照)
1病床当たりの総資産額、固定資産額は、一般病院が高い数値を示している。
1病床当たりの利益剰余金は、診療活動から生み出された内部留保が1病床当たりいくらの利益があるかをみるものであり、療養型(老人)病院が、他の種別の病院と比べて低い。
表18:財政状態からみた病院の経営状況-1
区 分 |
一般病院 |
療養型(老人)病院 |
精神病院 |
1病床当たりの総資産額 (千円) 1病床当たりの固定資産額 (千円) 1病床当たりの利益剰余金額 (千円) |
12,094 7,513 2,617 |
8,910 5,849 2,195 |
6,540 3,999 2,466 |

2)財政状態からみた病院の経営状況―2(表19参照)
自己資本比率は、経営の安定性を示す指標であり、一般病院
30.4%、療養型(老人)病院 32.3%、精神病院 45.7%のいずれの病院でも平均は20%を超えている。11年度調査との比較では療養型(老人)病院、精神病院は若干低下しているが、一般病院は増加している。
精神病院の自己資本比率が相対的に高いのは、精神病院が一般的に他の種別の病院と比較して総資産額が少ないことが影響していることも考えられるので、これをもって、精神病院の優位性を示しているとみることはできない。
固定長期適合率は、自己資本と固定負債を加えた額で固定資産を除してその割合をみるもので、固定資産取得の安全性を測るものである。今回の集計でも、前年に引き続き全体で70%から80%を示している。
自己資本比率がいずれの病院も平均では20%を超えており、全体としては固定資産への過大な設備投資はないものと考えられる。
流動比率は、1年以内の短期支払い能力を測るものであり、通常この比率は少なくとも
100%以上が好ましいとされているが、一般病院 172.9%、療養型(老人)病院246.2%、精神病院
256.3%となっている。
総資本対経常利益率は診療活動から生み出された利益と、その利益を生み出すための資本の割合を示す経営効率の指標であるが、療養型(老人)病院と精神病院が5.3
%と高い。
総資本回転率は、医業収益を総資本で除した値で、この比率が高いほど診療活動は活発で総資本の投下率が高いとされ、一般病院は0.98回転、療養型(老人)病院は0.75回転、精神病院は
0.74回転といずれも1回転を下回っている。
表19:財政状態からみた病院の経営状況―2
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