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2022年10月17日 第2回次期国民健康づくり運動プラン(令和6年度開始)策定専門委員会(議事録)

○日時

令和4年10月17日(月) 13:30~15:30

 

○場所

AP東京丸の内 A+B+Cルーム(オンライン開催)
 

○議題

 <審議事項>
 

1.関係団体・学会からのヒアリング

2.その他
 

○議事

 

○加藤健康課長補佐 定刻になりましたので、ただ今から「第2回次期国民健康づくり運動プラン(令和6年度開始)策定専門委員会」を開催いたします。本日、議事に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます健康局健康課の加藤と申します。委員の皆さまには、ご多忙の折、ご参加いただき御礼申し上げます。本日は、皆さまにはオンラインにてご参加いただいております。なお、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、報道関係者および一般の方は傍聴を行わず、YouTube配信により行っております。
議事に入る前に、Web参加者への留意点を、申し上げます。ビデオカメラはオフにしていただくこと。発言時以外はマイクはミュートにしていただくこと。発言される場合には挙手をしていただき、委員長からの指名後発言いただくこと。発言時にマイクをオンにしていただくこと。発言時に名前をおっしゃった上で発言してもらうこと。以上となります。
次に資料の確認をさせていただきます。事前にお送りしているファイルに、不足がないか、確認ください。座席表、委員名簿、議事次第がございます。資料としては、資料1~資料2-11および参考資料になります。
本日の出席の状況です。本日の委員の方には、Webで参加いただいております。なお、甲賀委員からは、遅れてご出席と伺っております。また、横山委員におかれましては、他の業務のため、途中退席と伺っております。それでは、以後の進行を辻委員長、お願いいたします。
○辻委員長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。本日は、関係団体・学会からヒアリングを行うということです。ではまず、ヒアリングの趣旨等につきまして、事務局から説明をお願いします。
○山本健康課長補佐 はい、事務局でございます。今回のヒアリングにつきましては、次期国民健康づくり運動プラン策定に当たりまして、関係団体や学会からご意見を聴取するものでございます。具体的には、先日行われました第1回専門委員会の資料も参考にしつつ、次期プランのビジョン、方向性、目標、枠組み、その他について、ご意見を伺うこととさせていただいております。
ヒアリングを行う団体・学会の一覧は、資料1のとおりでございまして、資料1は、今回ヒアリングをさせていただく順番に並べてございます。加えまして、第1回の専門委員会の資料につきましては、参考資料の2および3として添付しておりますので、こちらもご参照いただければと思います。以上になります。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。それでは、関係団体のヒアリングを行いたいと思います。1団体につき、3分程度でご発表をお願いしたいと思います。進行の都合上、時間厳守でお願いいたします。まずは最初に、日本栄養改善学会から日本精神保健看護学会までの四つの学会のヒアリングを行った上で、委員の皆さまから、ご発表いただいた学会に対しましてご質問があれば、質疑応答の時間を設けたいと思います。それでは、日本栄養改善学会より、よろしくお願いいたします。
○日本栄養改善学会赤松理事 ありがとうございます。これ、資料は共有はしなくてもよろしいんでしょうか。
○山本健康課長補佐 事務局でございます。資料はこちらのほうから共有いたします。他の学会の皆さんも同様です。資料について、ページ数等、適宜、ご指示いただければと思います。
○日本栄養改善学会赤松理事 はい、じゃあ資料の共有よろしくお願いいたします。お茶の水女子大学の赤松です。本日は日本栄養改善学会の理事として、意見を述べさせていただきます。
日本栄養改善学会は、栄養学の学術としての発展と活用を通して、日本人の健康の維持増進に寄与することを目的に、1954年より活動を行っております。まず、次期プランのビジョンと方向性については、社会環境整備の充実を深化させることを提案します。少子高齢化の社会への対応や、健康格差の縮小には、誰でも自然に健康になれる社会環境作りが必要です。そのためには、画一的な環境整備を行うだけではなく、健康への関心度や経済状況などでセグメント化し、集団に合わせた環境整備を行うことが必要です。
また、プリシード・プロシードモデルでも示されているように、個人の行動変容を介さずに、環境が健康の増進につながることもあります。また、個人の行動変容が社会環境を変えることもあります。お示しの次期プランのイメージ図では、この点が示されていません。個人の行動変容と社会環境整備の相互関係を次期プランの方向性としてお示しいただきたいと考えております。
次に、目標の枠組みについては、目標の実行性を高めるために、各分野でのロジックモデルを作成することを提案します。すみません、下の図をお示しいただけますか。ありがとうございます。例えば、健康寿命の延伸に向けて、アウトカムの目標を食塩の摂取の減少とした場合、アウトプットとして減塩教育を受けた人の増加や、減塩した食品やお弁当などの増加の目標は考えられます。そして、これらを達成するためのアクションとして、市町村、事業所における健診保健指導や、国の食環境戦略イニシアチブが挙げられます。ありがとうございます。また上に戻していただけると助かります。
また、これらの目標は、国や自治体などの役割分担が分かるようにする必要があります。例えば国として、イニシアチブの参画事業者数の増加、自治体としては各自治体でのヘルシーメニューの登録店舗数の増加といった目標が考えられます。
さらに、目標設定では、原則エビデンスがあるものとなっておりますが、社会環境整備の目標については、健康との関連のエビデンスは少なく、公的データがないものも多くあります。その場合、仮説検証型の目標設定を提案します。仮説として目標を設定し、次期プランの中でデータを収集する仕組みを作って検証することが可能だと考えます。以上、日本栄養改善学会の意見を述べさしていただきました。どうもありがとうございました。
○辻委員長 ありがとうございました。では、続きまして日本健康教育学会からお願いします。
○日本健康教育学会武見理事長 はい。日本健康教育学会の理事長をしております武見ゆかりです。よろしくお願いいたします。資料の画面共有お願いいたします。
日本健康教育学会は、ヘルスプロモーションと健康教育の研究の推進およびその社会での実践を目的に活動している学会です。本学会から3点、意見を申し上げます。
まず、次期プランのビジョン、方向についてです。今の栄養改善学会の意見とも重なりますけれども、社会環境の質の向上、さらなる重視を明確に示すこと,そしてそれが視覚的に伝わる概念図を提示していただきたいということです。ちょっと下のほうの図を見えるようにしていただいていいでしょうか。イメージ図で作成しましたけれども、第1回委員会で出ていたイメージ図は、社会環境は個人の行動範囲を支える、つまり下に位置するという図になっていたと思うんです。下の図をお願いいたします。
このような形でむしろ、生活習慣の改善と社会環境の改善の関係は横並び,並列とし、かつ両者が相互に影響し合って、上位の健康寿命の延伸につながることを示すような、そういうイメージ図をぜひ示していただきたいと思います。実際、受動喫煙対策や食品企業による商品のこっそり減塩などは、個人の生活習慣を変えなくても、直接的に上位の健康状態のリスク低減、健康寿命の延伸につながります。まさに、自然に健康になれる環境づくりと言えます。次のページをお願いいたします。
2点目は、目標の実行可能性を高めるためにも、目標間のつながりを論理的に示す枠組み、ロジックモデルを総論的ではなく具体的に示していただきたいと思います。さっき栄養改善学会から出たものと同様です。
提案にありました目標を実行可能性のあるものに厳選するという考え方自体には、賛成をいたします。その目標を最上位の健康寿命の延伸、健康格差の縮小につながるアウトカムの指標、アウトプットの指標、その達成のために必要な活動、そういう論理的な整理がされたものをやはり具体的に示していただきたいと思います。アウトプット指標には、社会環境に関する指標も入れることが、さっき申し上げた社会環境の重視を示す上でも重要と考えます。
下に、身体活動とタバコの具体例を作ってあります。こちらは身体活動の例です。生活活動による歩数の増加をアウトカム、ピンクの所に位置付けてあります。その下にオレンジで、アウトプットの具体的な指標。その下には活動の例という形で、国や自治体などの例を示しています。次のページ、お願いいたします。
こちらは、タバコ分野の成人喫煙率の減少をアウトカムとした場合の例です。グリーンの所の活動には、国だけではなくて、自治体や医療機関、保険者と関連団体の取り組みも、これまでの実績を踏まえて示しています。
これらのロジックモデルは、これまで健康日本21の推進に関わる専門委員会や研究班メンバーの方を中心に、これまでの議論を踏まえて作成して、今日、提示しております。ぜひ、今後の議論の参考にしていただければと思います。
最後、3点目です。既にロジックモデルの中でも示したことですけれども、今のロジックモデル例のグリーンの所の活動部分は、やはり国レベルの政策だけではなく、自治体や関連団体レベルのものもぜひ、国の計画書、あるいは関連資料の中に示していただきたいと思います。それにより、より実効性のあるプラン、また国が一丸となって進めるプランになっていくのではないかと思います。以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○辻委員長 ありがとうございました。それでは、日本禁煙推進医師歯科医師連盟、お願いします。
○日本禁煙推進医師歯科医師連盟大和副会長 スライド、お願いいたします。副会長の大和浩と申します。スライドを。ありがとうございます。次期プランについて。
○日本禁煙推進医師歯科医師連盟大和副会長 健康日本21の第二次における喫煙対策の目標の一つ、国民の喫煙率は減少しているが数値目標であった12%に達していないことからBとなっています。
国民健康・栄養調査の2003-2019年データを用いたトレンドによる予測値は、2036年に日本の男女合計の成人の喫煙率が5.7%となります。今後も喫煙対策が進めば、成人の喫煙率は5.1%となることが予測されます。ニュージーランドなど世界各国の健康増進計画では「タバコのない社会」が目標となっており、喫煙率5%未満が目標として掲げられています。そのため、日本においてもトレンドからの予測および世界的潮流に則り、「タバコのない社会」、少なくとも5%未満の喫煙率を達成することを目指すべきだと考えます。
2020年に改正健康増進法が施行されて、第一種施設、地方自治体、行政機関は、敷地内禁煙にされておりますが、法律どおりに敷地内が全面禁煙化されたのは35%のみです。残り64%には屋外の喫煙所があります。私たちの研究調査では、風下25mでも受動喫煙が発生します。行政機関は少なくとも法律どおりに敷地内禁煙とすること、第二種施設に分類された議会も、同じく敷地内禁煙にする目標設定が必要だと思います。公務員は国民の2.8%に相当します。タバコを吸いにくい職場環境になり、その半分程度の喫煙者が禁煙すれば、国民全体の喫煙率の低減が期待できます。次、お願いいたします。
兵庫県条例は、二十歳未満の者および妊婦と同室する住宅や自動車その他の場所での喫煙をしないようにということが求められており、また妊婦は喫煙をしてはならないということまで踏み込まれております。次期プランの参考になるのではないかと思います。次、お願いいたします。
令和元年の国民健康・栄養調査ですが、赤の点線で示した所、タバコをやめたいと思う者の割合が減少しているのは、加熱式タバコがまん延しているからではないかというふうに想像しております。改正健康増進法では、飲食が可能な加熱式タバコ専用室が経過措置として認められておりますが、その下の写真のように、実際には二次元で拡がるレーザー光線を当ててみると、呼出されたエアロゾルが、室内の空気を汚染していることが分かります。そのような店舗で働く従業員に、受動喫煙に相当する二次曝露が発生します。
ですから、その下の兵庫県条例のように、紙巻きタバコが禁止されている場所では加熱式タバコも使用禁止であることを次期プランを目標にされてもいいのではないかなと考えております。私からは以上で、このあと、齋藤麗子会長に。
○日本禁煙推進医師歯科医師連盟齋藤会長 禁煙医師連盟会長をしております齋藤でございます。禁煙推進医師歯科医師連盟は1992年にスタートした、医師、歯科医師、医療者が中心となって活動しております。ではスライド、次、お願いします。
私は小児科の立場から、乳幼児のタバコの問題をずっと追っていますが、このように加熱式タバコが2016年から日本でどんどん広がってきました。特に若い方たちは、紙巻きタバコから加熱式に替えている。それも害が少ないというように誤解をして、そういう宣伝もあるため、紙巻きから加熱に変えている場合があります、これは消費者庁の調査でございますが、このように加熱式も紙巻きも、やはり誤飲しそうになった経験は同様ですし、吸い殻をどうしているかというのも、同じような状況であるようです。
加熱式タバコは紙巻きよりもタバコの葉っぱの部分が24mmとか小さいので、子どもの口に入りやすいということが問題です。また、火がついていないため、その辺のゴミ箱にポイと捨て、子どもが口にしてしまうことも多いのです。そのような意味では、特に問題視していただきたいと思います。次、お願いします。
普段、どのように扱っているかということでも、やはり紙巻きタバコと加熱式と比べますと、加熱式のほうがやはり少し、置き場所としてあまり気にしていないということがあります。それから、子どもの前で吸うということも、加熱式のほうがやや多いという消費者庁の調査がございます。煙がないといわれても、ミストがあるわけで、やはり子どもにとっていい環境とは思えません。ですから、受動喫煙防止と誤飲防止にもなるということで、子どもの周囲での喫煙について、特に家庭の中においても、もう少し防止策を強調してもいいかと思います。
○辻委員長 ありがとうございました。次は精神保健看護学会、お願いします。
○日本精神保健看護学会萱間副理事長 はい。では、資料の共有をお願いいたします。日本精神保健看護学会の副理事長の萱間と申します。次の資料お願いします。
私どもは、精神科看護に関わる実践者や研究者、それから多職種、当事者の参加を得て活動を行っています。今般のコロナ禍では、精神疾患の診断を受けた人に限定されず、専門職を含めて、あらゆる人々のメンタルヘルスが危機に瀕しています。次期の国民健康づくりにおける指針のうち、社会生活を営むための機能と健康を支えて、社会的孤立に陥りがちな人々を支援する者として、指標として引きこもりサポーター、心の健康サポーターの増加が必要と考えます。次、お願いします。
こちらは本邦の自殺者数と自殺率ですが、コロナ禍になって、ここ数年で、全体として増加に転じております。このグラフで示すとおり、女性の自殺者の増加が顕著となっています。次、お願いします。
このスライドは、有職者の自殺に関するものです。保健医療に関わる女性、そして医療保健従事者のところの増加率が指摘されていますが、私たちの学会の主たる構成員でもあります。お示ししたのは、昨年度の白書ですが、この数日後、資料提出前に発表された今年度の『自殺対策白書』では、無職女性の自殺率の増加が指摘されております。次、お願いします。
日本精神保健看護学会では、保健医療に関わる女性を含めて、支援者の心理支援に関するガイドラインを作成しまして、相談の支援や人材育成にも取り組んできました。特にリモート支援は、日中になかなか相談できにくい医療職では有効だったと考えています。あらゆるメンタルヘルスのレベルにある社会状況から、弱い立場になりやすい方々への切れ目のない支援が必要と考えます。次、お願いいたします。
もう一点の提案事項は、心の健康に寄与できる訪問看護ステーションの増加を指標に組み込んではいかがかということです。ご覧のとおり、訪問看護ステーションの数には地域偏在がございます。次、お願いします。
先ほども述べましたように、心の健康に関しては、社会的に孤立を起こさないということが非常に必要と考えます。今申しました訪問看護ステーションは、地域包括ケアにおいて、医療および行政機関と連携するアウトリーチの両面での役割を果たし得る有効な社会資源であると思いますので、こちらも数値目標に含んでいただけますように提案いたします。以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございました。四つの学会からご発表いただきましたが、ここでいったん区切りまして、各学会に対しまして、委員の皆さま方から何かご質問などございますでしょうか。はい、澤田先生、お願いします。
○澤田委員 身体活動、運動分野を担当しております早稲田大学の澤田です。貴重なご発表をいただきましてありがとうございました。いずれのご発表も、とても勉強になりました。多くの学会の皆さま方が、社会環境整備の重要性について発表していただいて、私、身体活動・運動分野担当しておりますけれども、社会環境の整備が健康をつくっていく上で大切だと改めて認識いたしました。
日本栄養改善学会の赤松先から、仮説検証型の目標設定という非常に興味深いご提案をいただきましたが、これまでの健康日本21では、10年ぐらいのスパンで目標を評価していくということが続いたわけですけれども、社会環境に関する目標ですと、10年というスパンよりは少し短いスパンで評価し、ひとつひとつ仮説検証しながら、あるいは指導していきながら、検証していくということも考えられると思いますが、目標設定あるいは目標評価のスパンについて、何かお考えがございましたら、お教えいただければ幸いです。
○日本栄養改善学会赤松理事 はい、ありがとうございます、ご質問。何年っていうところは、今ちょっと私がここで述べられないんですけども、確かに仮説検証型ですので、モニタリングをしながら進めていくっていうことが非常に大切だと思っております。例えば、食環境整備に関することですと、今回は減塩に関する事例を挙げさせていただいたんですけども、加工食品中に入っている食塩量と販売量を把握することで、国民への食塩供給量っていうのが把握できると考えております。こちらのほうを定期的に把握しながらやっていくことによって、どのぐらい落ちてるのかっていうのは視覚的に見ることは可能だと考えております。
○澤田委員 ありがとうございます。
○辻委員長 他にどなたか。ご質問が。
○澤田委員 では、私からもう一つよろしいでしょうか。
○辻委員長 はい、どうぞ。
○澤田委員 ありがとうございます。武見先生から、身体活動運動分野に関する具体的な例をお示しいただきましたけども、社会環境整備をしていく、あるいはその目標を達成していく上では、例えば、歩行に関してはどんな指標が考えられるか、もし先生がお考えありましたら、教えていただけませんでしょうか。
○日本健康教育学会武見理事長 今の身体活動のところの、例えばアウトカムであったり、アウトプットの指標としてっていうことでしょうか。
○澤田委員 はい。
○日本健康教育学会武見理事長 それだったら、井上先生、すいません、ちょうど参加していらっしゃるので。このロジックモデルを作ってくださったのは井上先生なので、井上先生のほうから、ご説明していただいてよろしいですか。
○辻委員長 井上先生、お願いします。
○日本行動医学会井上理事長 はい。アウトプットの場所だったかどうかちょっとよく覚えていませんが、環境の目標を立てる場合に、取り組むことについての目標を立てる場合と、その取り組みの結果として、環境そのものがどう変わったかを見る場合では、さきほど澤田先生がおっしゃったスパンが違うんじゃないかなと思っています。
身体活動については、ちょっと注目しているのは、やはり身体活動を促進するような都市計画のような取り組みがあるかとか、あるいは運動をする場所の整備を進めているかどうかということが注目されると思いますが、一方で、どういう指標を使えばそういうものがモニターできるのかという課題もあると認識しています。そんな回答で大丈夫でしょうか。
○澤田委員 ありがとうございます。
○日本行動医学会井上理事長 その発展型としては、例えばアクティブな通勤をしている人の割合とか、行動を単に総歩数と見るのではなくて、身体活動の目的別に見ていく方法も有効だと思うんですけれども、項目数が限られている現状を考えると、そこまでは難しいのかなというふうに思っています。
○澤田委員 ありがとうございます。
○辻委員長 武見先生から何かございますか。
○日本健康教育学会武見理事長 今、身体活動の例だったのですけれども、たぶん具体的に、例えば告示なんかに入れていくものは、かなり厳選する必要があると思います。ただ、そのつながりを示すこういうロジックモデルの中では、そこに関係する指標を、さっきの例えば仮説検証型があるし、現実に今あるデータもあるし、そういうものをきちんと位置付けながら、つながりが見えるようにするという形で示すことが重要と思います。おそらくその国のプランを参考にして、次に、作っていく自治体などには非常に参考になるのではという意味で、今回この具体的なロジックモデルを作成し提示したということです。よろしくお願いいたします。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。では、続きまして津下委員から。
○津下委員 はい、ありがとうございます。ご発表ありがとうございます。ご発表の中で、社会環境の整備を重視すべきとか、それから個人の行動変容との間の相互関係を示すというご指摘がありました。
確かに、社会環境を作るのは人々の総意でありまして、その中に国とか地方自治体という行政もありますけれども、一般の人々がどんな暮らしが望ましいと思うかとか、そういうような国民の意識が変わっていく必要があると思います。例えば健康に良い食事と、そうじゃない食事で、値段の格差があった場合に、どちらを選ぶか。健康な環境が維持できるかということを考えると、選択の際に、健康を上位に置く行動パターンを示す人たちが増えていかないと、その社会環境の維持、健康な環境の維持はできないのではないか、というふうに思います。個人の行動と環境との相互関係をどう示すかが重要かなというふうに思いました。
並列がいいか、土台がいいかっていうことについては、土台だとそこの基盤の上に人の行動が乗っているということで、環境の重要性がより広いというようなイメージもあります。
環境指標をどう測ればいいのかというところが難しいことがあります。例えば、長期にわたる指標についてはどうするとか、短期的に5年間程度は追跡できる政策的な目標としてはどうなのかというような、目標のブレークダウンなどを考えていくことが必要かなと思います。今から10年後の環境を予測して、環境指標を作るということの難しさがあります。人々の行動指標や健康指標は、これまでの経験も踏まえ目指すところを示すことが可能なのですけれども、環境がどう変わっていくのかについて実際には予測不可能な中で、どこまで具体的な目標が出せるのかは、未知数ではないかと思いました。
このロジックモデルの中で、大きなアウトカムの目標をブレークダウンして、国民向けの目標、各団体とか自治体が意識する目標など、目標の層別化をしながら検討する必要があります。目標の枠を考えていかないと、どんどん膨れ上がってしまうかなという危険も感じながらお伺いいたしました。以上です。
○辻委員長 では、近藤尚己委員。
○近藤(尚)委員 京都大学の近藤です。大変勇気づけられる意見をありがとうございます。社会環境整備を重視すべきというご意見、大変共感いたします。この最終的なゴールとして、健康格差の縮小というものを提案していただきました。この健康格差をどう、目標値をどう立てるか、近年すごく悩んでいるところです。もしよろしければ、どのような軸で健康格差を測定すべきか、その介入点としてどこにあるかというのを案があればお伺いしたいなと思います。
例えばそれが、子どもの栄養であれば生活困窮世帯とそれ以外というようなので分ける、あるいは地域格差というふうに、今も健康日本21第二次が採用している、都道府県間の格差を見るという方法もあります。今の現状を踏まえてどの辺ような軸で健康格差を評価したらよいか、ご提案あればいただきたいです。
もう一つは、健康格差の要因となっているものの関連のロジックを突き詰めていくと、最終的には、食に関する、あるいは運動に関する社会環境だけじゃなくて、例えば貧困のような、各課題に共通しているものが出てくるはずです。。貧困自体を解決するための、社会保障の全般的な取り組みや経済対策といった、他省庁のマターも出てくると思います。その辺については、どう保健セクターからアプローチしたり、健康日本21の枠組みに組み込むべきかご意見いただければと思います。
○辻委員長 ありがとうございます。近藤先生、これはどなたにっていうご指名ですか。
○近藤(尚)委員 どうでしょう、武見先生に。
○辻委員長 じゃ、武見先生、お願いします。
○日本健康教育学会武見理事長 すいません、まず最初の健康格差をどの軸で見るか。これは確かにいろいろ考えられると思うのですけど、一つはやっぱり経済的な要因。それは単に世帯収入とかではなく、主観的なゆとり感かもしれない。その背景としては例えば雇用の問題、正規雇用とかそうではないとか。そのようなことによって当然、経済要因生じてきます。地域格差のというのがありましたけれども、やっぱり経済格差は一つの軸になると思います。
それから、経済格差を取り上げた場合に、それはこの厚生労働省としての健康づくりの、この政策の中でできるのかっていう辺りの議論。実はその議論は、二次のまさに現在のプランを作る時に、上位目標に健康格差を入れるのか,それは健康づくり施策で対応できるのかという議論がありました。これは一つ上の部会の時の議論なんですが、あったんです。それは厚生労働省としての健康政策の中でできることではないっていうご意見もありました、実は。けれども、やはり経済格差を十分視野に置き,目標に立てていくことによって、解決につなげる可能性が出てくるということで入れるべきだとの意見が大勢を占めて、実際,今の第二次プランが動いて,その結果関連のエビデンスや取組が充実してきたのだと思います。
ですから、三次についても、直接的に扱えるものではなくて、関連する政策っていうのは整理して示していくべきと思います。健康政策あるいは厚生労働省の主管しているような福祉とか、そういうところの関係の中で扱えるものっていうのをまず、しっかり整理して、位置付けていくっていうことが重要かなというふうには思います。
そういう意味では、先ほど精神保健看護学会から出たようないくつかの提案なども、非常に興味深いなと思って拝聴いたしました。以上です。
○辻委員長 他の三つの学会の方々から何かコメントとかいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○日本栄養改善学会赤松理事 大丈夫です。武見先生のご説明で。
○辻委員長 よろしいですか。では、若尾先生。
○日本精神保健看護学会萱間副理事長 、格差というところで、指標として、先ほどのプレゼンテーションの中でも申しましたが、自殺の問題というのは、どこの省庁が主に所管するかということはあるかもしれませんけれども、一つ、指標となり得ると思っております。以上です。
○辻委員長 はい、ありがとうございました。他にございませんか。栄養改善学会の方とか、禁煙推進医師歯科医師連盟の方がとか。
○日本禁煙推進医師歯科医師連盟大和副会長 医師連の副会長の大和と申しますけれども、成人の喫煙率の数値目標は、ぜひとも12%で堅持していただければというふうに思います。以上です。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。よろしいでしょうか。では、若尾先生、お願いします。
○若尾委員 ありがとうございます。大和先生にご質問させていただきます。先生のご発表の中で、行政機関の敷地内の禁煙化35%という、非常に低い値だったんですけど、やっぱり、ここを改善するために必要なこと、先生のご研究の中で、何かアドバイスいただければと思ってます。
○日本禁煙推進医師歯科医師連盟大和副会長 やはり風下25m、つまり喫煙所を中心に半径25mに何もない空間というのはあり得ないので、そこで望まない受動喫煙が発生する。これは、そのこと自体が改正健康増進法に違反しているんだという意識をぜひとも自治体の担当者、特に施設管理者の方に持っていただければと思います。
そして敷地の外に出ても、その人が周辺道路でタバコを吸えば、その人を中心に半径25mで受動喫煙が発生しますから、結局はおうちに帰るまで吸えない。おうちに帰ったら帰ったでリビングでは吸えない、ベランダでも吸えないってことになれば、もうやめようかっていう人が増えるはずです。
国民2.8%の公務員、日本人は喫煙率が、公務員は今、20%前後なんですけれども、その人たちの半分ぐらいがタバコをやめてくれれば、きっと12%に一歩近づくと思いますんで、まずは手のつけやすいところから、地方自治体、行政機関の敷地内禁煙を徹底するということで、数値目標を掲げていただければと思います。以上です。
○若尾委員 ありがとうございます。
○日本禁煙推進医師歯科医師連盟齋藤会長 よろしいですか。禁煙医師連盟の会長の齋藤です。若い人たち、先生方が健康診断する時、問診される時に感づいていらっしゃると思うんですけれど、「タバコ吸いますか」と聞きますと、「吸いません」と。それで「加熱式に変えました」。そういうことがよく、ご飯論法みたいなことあるんですけれど、やはり健康診断の問診には、加熱式もとか、いろんな新型タバコもぜひ入れていただきたいということ。
それを確認することと、やはり子どもの周囲での喫煙の禁止というところには、加熱式も入れて、新しい考えで、この指標を入れていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。他にどなたかいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次に移りたいと思います。次は、日本行動医学会から日本老年医学会までの4学会にお願いいたします。では、まず最初に日本行動医学会からお願いします。
○日本行動医学会井上理事長 はい、資料の供覧お願いします。日本行動医学会理事長の井上です。行動医学会のコメントを理事会で取りまとめましたので、そこに示してある9項目について説明をさせていただきます。初めに、次期プランのビジョン、方向性についてです。
コメント1。「誰一人取り残さない健康づくり」というビジョンに合致するように、予防できずに発症した方、重症化した方に対するスティグマの軽減に言及していただけないかと思っています。一例ですけれども、具体的な記入場所の提案を資料に記載しておきました。コメント2については、ちょっと時間の関係で省略をします。お送りした資料をご検討いただければというふうに思います。
次に、前回の資料8について。すなわち、目標の枠組みについてです。コメント3。この枠組みの1~4群ですけれども、データソース、他計画との関係などの行政的な視点から分類がされています。しかし、国民の目からは分かりにくいのではないかというふうに思います。分類は、「次期プランの方向性」に示された図に基づく、あるいは対策からアウトカムの改善に至るロジックモデルに基づいて分類するといった方法のほうが理解しやすいのではないかと思います。
コメント4です。基盤となる「社会環境の質の向上」の達成に向けて、環境整備に自治体がどう取り組んでいるのかの状況や、環境そのものの改善の状況というのを把握することが重要というふうに考えます。環境整備という二次計画からの流れを強化するためにも、目標項目に、自治体の取り組み状況、あるいは環境の整備状況を積極的に含めていただきたいというふうに考えています。
コメント5です。公的統計を重視されていますが、公的統計は必ずしも健康日本21の目標項目の指標に活用をするという前提で整備されてきたわけではないと思います。そうすると、あり合わせの指標で、あり合わせの目標群にならないように注意する必要があるというふうに考えます。特にアウトカムの指標に偏り、プロセスの評価に関する目標が含まれないということを懸念します。バランスの取れた効果的な目標群になることを期待しています。
コメント6です。さまざまな領域で、さまざまなエビデンスが蓄積してきています。また、最終的なアウトカムのみならず、プロセスの評価が重要であるというふうな認識も高まってきています。こういったことを考えると、必然的に目標数が増える可能性が考えられます。50項目程度にこだわる必要はないのではないでしょうか。
コメント7は省略させていただきます。
最後に、その他についてです。コメント8。環境の質の向上からアウトカムの改善に至る具体的なロジックモデルが示されると、ステークホルダーが何に取り組むべきなのかということが見えてくるのではないかと思います。
コメント9。具体的な目標項目の案が提示されていない現時点では、計画の全体像がつかみにくいため、目標項目候補が加わった段階で、再度ヒアリングの機会があると非常にありがたいなというふうに思っております。以上です。どうもありがとうございました。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。それでは、整形外科学会。
○日本整形外科学会中島理事長 はい。聞こえていますでしょうか。
○辻委員長 はい、聞こえてます。
○日本整形外科学会中島理事長 では、スライドお願いいたします。日本整形外科学会の中島と竹下でございます。私たちは、「運動器疾患の予防を通じた健康寿命延伸」というタイトルでプレゼンをさしていただきます。次、お願いいたします。
運動器とは、そこにございますように、骨、関節など、身体運動に関わる部位の総称でございまして、高齢者におきましては右側でございますが、関節症や骨粗鬆症などが急増し、健康寿命を脅かしております。次、お願いします。
こちらは要介護、要支援の原因でございますが、運動器疾患、運動器障害が24.8%、全体の4分の1を占めております。次、お願いします。
私どもはこの運動器障害を移動能力の低下と捉えまして、ロコモティブシンドローム、略してロコモの改善を検証いたしました。左側でございますが、運動器疾患により、歩行や自立度が低下して、要介護のリスクが高まる状態です。右側の3種類の評価でグループ分けいたしまして、ロコモ度1は移動能力低下が始まり、2は進行した状態、3は社会参加に支障が出るレベルでございます。左側の下のほうでございますが、ある縦断研究では、ロコモ度3の場合、その後6年間の要介護リスクは3.6倍に高まります。次、お願いします。
ロコモ度認知度。これは、健康日本21の指標でございましたが、この10年間で10%台だったものが44%台まで増えました。特に注意が必要な60歳以降では、認知度は58%、理解度も30%に到達しております。次、お願いします。
そのロコモの該当率、該当数というものは、左下のグラフでございますが、年齢とともに増加いたしまして、70代、80代になりますと、より進行したロコモ度2、3が増えてまいります。試算いたしました推定該当者数は、ロコモ1、2、3が、それぞれ3000万人、900万人、700万人。
また、注目すべきは40代、50代から、ロコモの範ちゅうに入る方は少なくないということでございまして、これは高齢者のみならず、幅広い年齢層に働きかけが必要なことを示しております。また、その下の所でございますが、全国的な1万人調査では、月数回の運動でも、ロコモ予防に効果があるということも明らかになっております。この辺りは目標の枠組みの4群に当たる資料になるんではないかと思います。次、お願いします。
また、移動能力の低下を手軽に把握できるようにということで、スマホで簡易判定できる「ロコモ年齢」をこの5月にリリースをいたしました。右下になりますが、現在7,000人の計測が済んでおりまして、今後、結果に応じた運動、食生活アドバイス、人間ドックでの利用を通じて、継続的かつ積極的な行動変容を目指す方針でございます。次、お願いいたします。
これが最後でございますが、いただいた次期ビジョンの中で、運動器関係は、この赤で囲みました「生活機能の維持と向上」というところに当たるんではないかと思います。右下は、日本医学会から出されましたフレイル・ロコモ宣言でございまして、深刻なロコモ度3や身体的フレイルに至る前に、左側の下になりますが、各ステージに応じた積極的な運動器疾患予防を行うことが、生活習慣病を予防し、ひいては日本の健康寿命延伸に貢献できると考えております。私からは以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございました。続きまして、認知症学会。
○日本認知症学会新美様 日本認知症学会新美と申します。よろしくお願いいたします。今回ちょっと資料をご用意することができませんでしたので、コメントを読み上げさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
これまでのプランにおきましては、非感染性疾患ということで、さまざまな疾病を挙げていただいておりますけど、この超高齢社会でございます日本における実感としてのインパクトございますが、ただ認知症そのものにつきましても生活習慣病等々がその発症リスクになるということに鑑みまして、やはり基本的な対策の疾患の文脈の意味で認知症というのをモデルというものを行っていただきたいというふうに思っております。
ただ、この認知症というものを取り上げた場合に、やはりこれまでは高齢者における枠の文脈で対応してきたところ、やはり認知症につきましては若年性認知症というのも非常に大きな問題となりますし、若年になりますとやはりこれが就労あるいは介護者の問題というか、別の課題もあるということと、やはり認知症というものを広く国民の、若年のとこから両者含めての課題として考える必要があるんではないかということをコメントさせていただきたいというふうに思います。
また、予防という観点につきましては、例えば一次予防というものの偏重を述べますと、これが現在認知症と共にある人についての包括的な視点というものがやや薄まる、もしくはその方々を取り残すということが懸念されますので、やはり二次予防、三次予防といった点についても記載もしくは観点として取り上げていただくことがいいんじゃないかというふうに思います。
また、二次予防としましては、今回のお話とは少しずれるかもしれませんけれども、昨今、やはりいくつか認知症の疾患治療薬と疾患修飾薬といったもの、これはどっちかというと二次予防という文脈で語るべきものかもいたしませんが、こういったものは社会に実装するに当たって、この届ける必要とされる方に届ける場において格差が生じないような、こういった医療体制の構築ということも今後の課題として、結果的に考えられるのではないかということを述べさせていただければと思います。
また、認知症に関しては、各国で認知症を国家戦略という形で重要な方針として考えられておりますけれども、例えば昨今のオランダですとかイギリスにおきましては、健康、予防、研究、テーラーメイド、コミュニティーといった視点、各視点の重要性が高められるといいます。予防につきましては少し繰り返しになりますけども、『Lancet』等でレビューされたように、若年からそれぞれの年代に応じたリスクへの介入ということも提唱されております。これ、個々人の状況に応じて各地域、あるいは職場といった、それぞれのもとに踏み込んでいくようなことが求められるのではないかということが提案させていただけると思います。
また、こういったことをいたしますと、これらのデータ等を長期で把握できるようなデータの取得を可能とするような取り組みということが、常に必要ではないかなというふうに考えます。その場合、ICTに関する、あるいはパーソナルヘルスレコードの活用など、多岐にわたる点での今後のデータの取得から利活用という点での記載等々が求められるというふうに考えられたということでございます。
また、この場合、認知症の状況、さまざまな認知の状態を把握するための評価指標というのは各分野で問題になってございましたが、この点ではデジタルを活用したデジタルバイオマーカーといったものを今後、認知症において、一つ考えるところではないかなというふうに提案させていただきたいというふうに思います。
最後になりますが、COVID-19につきましても少し、認知症学会としては、社会対応委員会の中で分科会を設置いたしまして、その中で長期にわたる、例えばLONG COVIDといわれる中で認知症の発症率がどうか、あるいは認知機能の低下ということもありますので、こういったものを特に把握できて、国民の健康を守れるような何らかの取組というものも考えていただくのはどうかなということを認知症学会として、述べさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。では、老年医学会。
○日本老年医学会荒井副理事 日本老年医学会の副理事を仰せつかっております荒井と申します。よろしくお願いいたします。資料の共有をお願いしたいと思うんです。ちょっと資料が中途半端になっておりますけれども、私たちの老年医学会におきましては、先ほど中島先生のほうから、ご紹介がありました「フレイル・ロコモ宣言」で、整形外科学会と共に、中心的な役割を担わせていただいております。詳細のほうの説明は多くになりますので省略いたします。
健康寿命の延伸という観点からは、われわれはWHOが推奨しておりますICOPEという6つの面ですね。すなわち、locomotor capacity、psychological capacity、cognitive capacity、hearing capacity、visual capacity、そしてvitalityといった、6つの面を中心に、健康寿命の延伸を図れるのではないかというふうに考えております。
お示しした資料は、われわれ、サルコペニア、フレイル、こういった病態を下に、病態として捉えておりまして、もちろん認知症予防といったものも、その次に出てくるわけでありますけれども、今、提示されていますスライドは、いくつかの論文をまとめたものではありますけれども、死亡、要介護、フレイル、筋力低下と。こういったものをアウトカムとした場合に、日々の歩数がどれだけあればいいのかということであります。
やはり、いろんなアウトカムとの関連を見ていきますと、5,000歩辺りを下回る辺りから、リスクが高くなるということが分かっているということであります。問題は、元気な高齢者は「5,000歩、歩け」と言えば、歩いてくれるんですけれども、問題は歩いてほしいといってもなかなか伝わらない、そういうメッセージが伝わらない高齢者に対してどのような形でアプローチをするかということが、きわめて大きな問題だと思っておりまして、その環境整備をどのようにするかということは、きわめて大きな課題ではないかなというふうに思いますし、高齢化の先進国である日本が、そういった観点から、世界に対して、モデルを示さなければいけないんではないかなというふうに考えております。
添付した資料は、その論文になりますので、ご覧いただければと思いますけど、やはり5,000歩というのは一つのカットオフになっているんじゃないかということと、サルコペニアの予防や治療に関しましては、国際的なワーキンググループと一緒に論文を出して、今、ガイドライン出しておりますので、サルコペニアのガイドライン等、いろんなガイドラインに関して国際的なグループと一緒に、老年医学会は取り組んでいるということでありますので、そういったガイドラインの内容をぜひとも、この健康21に盛り込んでいただければというふうに考えております。以上で終わります。ありがとうございました。
○辻委員長 ありがとうございました。ここまで四つの学会からご発表いただきましたけど、ここでいったん切りまして、各学会に対して、委員の方で質問がある方。吉村委員。
○吉村委員 すいません、東京大学の吉村でございます。ご発表をどうもありがとうございました。私、高齢者の健康のところを担当させていただきましたので、整形外科学会の中島先生と、それから老年医学会の荒井先生にそれぞれ、ご質問がございます。
まず、中島先生には、今回、前回、第二次では、ロコモの認知度を上げるということを目標に掲げていたんですが、今、プレゼンを拝見したところ、かなりもうロコモについての研究が進んでいるというように思いました。ですので、次の目標に対して、どういう目標を設定したらいいのかということについて、先生のアドバイスをいただければと思います。
それから荒井先生には、ウォーキングについて非常にご示唆に富んだご意見をいただいたんですが、同様に、私、フレイルについても、「フレイル・ロコモ宣言」について詳しく伺いまして、フレイルという疾患、いわゆるフレイル健診も始まっていることですし、フレイルという病態に対しての、健康日本21保健の目標設定について先生のコメントをいただければと思います。以上です。
○辻委員長 それでは、どうぞお答えをお願いします。
○日本整形外科学会中島理事長 はい、整形外科学会の中島です。どうもご質問いただきありがとうございました。この10年間、先ほど申し上げましたように、認知度、17%が44%まで上がりまして、特に60歳以上になると認知度58%というのが、2021年の数字でありましたので、提示された目標までは至りませんでしたけど、かなり上がったというふうに考えていいんではないかというふうに思います。ですので、認知度は最初の10年間で、ある程度得られたと思っております。
この次に目指すものとしては、一つ、二つアイデアを言わしていただきますと、一つ、今までは認知度、知っているということだったんですけど、もう一つは理解度というのはあると思います。いろんな疾患で認知度は高くても理解度は低いというのはありますので、今、ロコモに関して、理解度、60歳以上で30%でしたので、そこのところを一つ、もっと上げたいというところが一つのアイデアとしてあります。
もう一つは、最初の10年間で認知度はそれなりに上げることができたということで、次はもっと具体的な有病率などを候補に考えています。「有病」と言っていいのか、「該当」と言っていいのか分かりませんが、そこは同じ意味で使っております。実際に日本全国の該当者数、該当率がどのくらいかということを一つの目標とすることも、一つの可能性だろうというふうに思います。私からは以上です。
○辻委員長 では、荒井先生から。
○日本老年医学会荒井副理事 はい、老年医学会の荒井でございます。ありがとうございます、ご質問。具体的に、整形外科学会のように、認知度をどこからどこまで上げるという目標設定はしておりませんけれども、幸い、2020年から、75歳以上の方に対する特定健診の中に、15項目の質問票、一般的にはフレイル健診といわれているかと思いますけども、そのフレイル健診をしっかりと根付かせると、こういうことで、その健診受診率を上げていくと。それは保健事業になりますので、厚生労働省と一緒に取り組んでいただければいいというふうに思っております。
もちろん100%の目標かと思いますけれども、それに近い数値を目指すということと、その中でフレイルという概念を理解していただくというふうに、それが大事だというふうに考えておりますので、健診を受診していただく方から、フレイルという言葉を全て覚えていただくというのを、概念を何となく理解していただいて、予防のために何が必要かということを理解していただくことが必要ではないかなというふうに考えております。私からは確か、もう一個回答を思いつきましたけど、忘れてしまいました。以上です。
○辻委員長 吉村委員、いかがでしょうか。よろしいですか。では、黒瀬委員、お願いいたします。
○黒瀬委員 ありがとうございます。私も実は吉村委員と同じ質問で、目標設定どういうふうにされるのかなということで、先ほどご回答がありましたように、理解度あるいは有病率といったところを次の指標にしてはどうかということは、非常に僕も賛成です。
その中で、小児期から始める運動器疾患の予防で、フレイルとロコモを予防していく、その中でご自身の状況をよく知っていただいて、行動変容を促していくっていうところも大切な視点だと思いますし、その点ではロコモ年齢アプリのリリースっていうのも、非常に興味深く見さしていただきました。
この中で1点、理解度とか、あるいは有病率にも、目標設定にも関係してくると思うんですけども、いわゆる運動の能力自体の低下だけじゃなく、やはりその元にもなりかねない骨粗鬆症の問題、それがどれくらい進行しているかどうか、そういったところの視点も必要なのかなと思いまして、例えば行動変容を起こすにしても、運動や食生活のアドバイスをするにしても、やはり骨粗鬆症の進んでいる方、グレードの高い方と低い方で、かなりやっぱり対応は違ってくると思いますので、その点に関して何か、例えばかかりつけの整形外科医の先生とか、あるいは内科の先生とか、そういったところとどういうふうに連携していくのかっていうことは何かお考えになられてるでしょうか。教えていただければ幸い。
○日本整形外科学会中島理事長 ご質問いただいてありがとうございました。どうやってdetectするかは非常に重要なところで、元々折れないと症状が出ないっていうところはあります。それで一番積極的にするべきは、やはり骨粗鬆症検診のさらなる啓発だと思います。今、骨粗鬆症検診は、非常に低い受診率でしかありません。おそらく20%ですとか、そこら辺ぐらいだと思いますし、年齢が何年おきっていうふうに決まってて、本人が忘れちゃうっていうところもあるんです。ですので、これは自治体から医師会に委託される事業ですけど、そこら辺を事前にしっかり周知していただいて、できるだけ検診に来ていただくということが、まず最初の一歩かなというふうに思っているところです。私から以上です。
○黒瀬委員 ありがとうございます。そこら辺のところも何か、ちょっと目標設定の中に入れていただけるとうれしいなと思いました。ありがとうございます。
○辻委員長 では、津下委員、お願いします。
○津下委員 はい、ありがとうございます。私からは3点あります。一つは、井上先生から、予防できずに発症した人、重症化した人に対するスティグマの軽減というお話がございました。健康増進、健康づくりが、健康寿命の延伸はするけれども、例えば不健康寿命の期間に入った方々を取り残していいのかという課題があります。
誰一人取り残さない健康づくりという中で、病気を持っても、要介護状態でも、前向きな健康づくりというのもあるのではないかというふうに考えた時に、不健康状態になってしまった人を排除するようなイメージにならないような注意が必要だと思います。これに対して具体的な提案はどのようにしていけばいいのかということをお尋ねしたいです。
それから、先ほど社会環境の話がありましたけれども、個人のリスクについてのいろいろな研究は進んでいると思うんですけれども、例えばロコモになりにくい社会環境とか、認知症になりにくい社会環境という、どんな社会環境であれば、そういうロコモ、認知症になりにくいのかというような研究がもしございましたら、教えていただければと思います。
また、ロコモ認知度から理解度ということがありましたけれども、先ほど40歳未満でもロコモが始まっているとのことでした。40、50歳の方はロコモ度テストをしない限り、気付かないと思うんですけれども。ロコモとか認知症というのは、高齢者の問題であって、自分たちまだ関係ないわと思っている若い世代にどう波及させるのかということ、脅しではなくてきちんと事実として認識していただいて、健康づくりを進めるかという点が重要だと思うんですが、気付く場面をどうするかという点で、何かご示唆いただければと思います。この3点です。お願いします。
○辻委員長 はい、井上先生。
○日本行動医学会井上理事長 じゃ、私のほう。スティグマというか、「誰一人取り残さない」なんですけれども、やはり目標項目に入るっていうのは本当は非常に注目度が高くて、それによっていろんな方がいろいろな対策を考えると思いますので、何か関連する目標が入ると一番いいとは思うんですけれども、一つはやはりスティグマの軽減というのを、一つの指標というか目標にするということで、取り残さないということの方向性というのを示せればいいのじゃないかというのが提案です。もしかしたらこれについては西委員のほうで、もう少しご意見をお持ちかもしれません。
それから次に、ロコモ、認知症を予防する環境ということですけれども、ロコモ、認知ということになると、高齢者っていうのが特に大きいポピュレーションだと思います。そうすると、社会参加とか、外出とか、身体活動の機会とかということが重要で、社会参加が要介護を予防するとか、そういうものは多くエビデンスがあると思っています。
また、若い人については、どういう場所・地域環境で、身体活動量が多いかというのは、システマティック・レビューを検索しただけでも、数十のシステマティック・レビューがヒットするような状況ですので、エビデンス、横断研究が多いですけれども、非常に研究は多いというふうに認識しています。
すいません、1番目と2番目の質問の答を考えていて、3番目の質問よく聞けなかったので、私じゃなければいいですけど、2番目の質問については、近藤克則先生もたくさんコメントがあるのではないかなと思ってます。以上です。
○辻委員長 はい。
○日本整形外科学会中島理事長 よろしいですか。
○辻委員長 はい、どうぞ。
○日本整形外科学会中島理事長 整形外科学会の中島です。近藤克則先生から、チャットが全員に配られまして、「ウォーカブルな、歩きたくなるまちでのひざ痛は少ない」ということですので、これも一つの良い環境作りではないかと興味深く見さしていただきました。
ロコモ等々になりにくい環境作りというのは、環境整備、それから制度というのは容易な話ではありませんけど、一つ言えるのは、若いうちからの運動習慣とか、よく歩いているとかがずっと後になって、ご高齢になった時の、例えばロコモに入るとか、骨粗鬆症の率が高いといったような、学会発表のレベルの話ですが、ちらほら言われておりますので、やっぱり小中学生の頃からの運動習慣づけとか、そういう教育現場へのフィードバックというのは、ぜひ有効かもしれません。
特に最近は、スマホでゲームをしながらみんなで遊ぶというようなことも決して少なくありません。若い方への啓発とか、そういうことを実は狙って、スマホで完結できる「ロコモ年齢」というものを開発いたしました。若い方がアクセスしやすく。わざわざどっかに出かけなくても測れるという、継続の仕方がいいということで。
講演中にも申し上げましたが、人間ドック等に組み入れていただければ、ある程度決まった年齢で、それを測っていただけますし、「ロコモ年齢」にはどのくらい継続して運動したかとか、それから「ロコモ年齢」でいう尺度が継続的に積み重ねられていきますので、それを見て、運動が足りないとか、もっとしたほうがいいとか、アドバイスっていうことを、若い年齢にも啓発できればというふうに思っているところです。私からは以上です。竹下先生、何か補足ありますでしょうか。
○日本整形外科学会竹下様 竹下でございます。1点ございます。ありがとうございます。ちょっと医療政策的な観点ではないかもしれないのですが、一つは学童期に関しては、運動器検診が始まりまして、いわゆる家族や本人に対する運動の重要性っていうのはかなり進んでまいりました。そういう意味では、啓発としては運動器検診が非常に効果を発揮していると思います。
若い方とかにおきましては、なかなかやっぱり健康のリスクっていうのは分からない方が多くて、学会でこの5年10年のアプローチとしては、スポーツなど通した運動の喜びというもの、ポジティブなほうのキャンペーンを非常に進めてもらうようにしておりまして、そういうことが若い方に、SNSなども通じながら、啓発を進めていくのが適当でございます。以上です。
○辻委員長 続いて、新美先生と荒井先生、何かございましたら。
○日本認知症学会新美様 ありがとうございます。認知症学会の新美でございます。スティグマという点からご指摘いただきましたが、やはりこれまで認知症という用語を変更するなどとして、さまざまな施策がございましたけれども、認知症につきましてはやはり、既存のコホート研究等でも生涯の間に認知症になるリスク、例えば2分の1と推定するような数字もありますことから、やはり自分の問題として全ての年代の方が関わる、その環境を整備すること、すなわち普及啓発を進めていけば、例えば認知症サポーター等の取り組みを役所の方で進めていただいておりまして、そういうことを通じまして、全ての年代の方々が、認知症を自分のこと、認知症について考えることで、若年の方にも同様に認知症に対する早期の段階からの予防的介入ということをやはり啓発できるんではないかなと思っております。
そういったことを進めること、すなわち社会環境つまり教育の場あるいは職場とかそういった場所でも、そういった認知症に関して啓発を進めていくことによって、より早期の段階での早期診断等々ができるようになっていく、というふうに考えられることができます。
○日本老年医学会荒井副理事 日本老年医学会の荒井でございます。老年医学会ですので、老化のこと非常に多様であるということはご存じのとおりだと思いますので、非常に健常な方からフレイルな方、そして要介護の方、それぞれに応じて、やはりご自分の機能、あるいは生きがいといったものをしっかりと持って、最後まで幸福に生きていただけるような社会というのが理想であるということを目標にしております。これは目標ではありますけれども、そういう社会ができればいいというふうに思っています。
また、先ほどの医学会宣言の中で、「80GO(ハチマルゴー)」という標語を提案しました。これは80歳になっても外出できるということなんですけど、それは歩いて外出ということが、もちろんそれが理想でありますけども、車椅子であったとしても、何らかの障害を持ったとしても、外に出て、社会に出てコミュニケーションを図り、さまざまな社会参加を行っていくということを目標にしている標語でありますので、そういったものが実現できるような社会というものが理想ではないかなと思っております。以上です。
○辻委員長 では、矢部委員お願いします。
○矢部委員 はい。先ほど、議論にありましたスティグマの問題ですね。私もこれ、きわめて重要なことで、ぜひ取り上げていただければというふうに思います。後ほどまた、日本糖尿病学会からのプレゼンテーションでもあろうかと思いますけれども、これ糖尿病学会で、ここ3年ほど、スティグマ対策をやっているんですけれども、やはり糖尿病と診断を受けて、それがご自身の中でスティグマになって治療に前向きになれないので、健康障害をさらに悪くするっていうような状況があるので、盛り込んでいきたいところではあるんですが、一方で、3年間やってきて、なかなかこれスティグマを払拭っていうと、かなり抽象的で、実際10年後にほんとに目標が達成できるのかっていうところで、かなり目標設定っていうか、ストラテジーの設定ってのが、慎重にリサーチしていく必要があるかなっていうふうに思いました。以上、コメントでございます。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。時間も迫ってきましたけれども、澤田委員と古井委員と手を挙げてらっしゃるので、それぞれ手短に。
○澤田委員 身体活動、運動分野では、歩数を国民健康・栄養調査で測定をしていますが、高齢者、特に後期高齢者になると、急激に歩数が落ちていくという状況が続いていまして、それにはロコモのアプローチが非常に重要だと認識しております。
ロコモの認知度が50%を超えて、次に理解度の向上に向けたアプローチに取り組まれるというお話がありましたが、津下先生から、そもそも気付かない方がたくさんおられるというご指摘がありました。吉村先生が実施されているロードスタディーでは、若年の方でも、片足で立ち上がれない方が一定数存在するというデータをだされていて、椅子から立ち上がれるか、立ち上がれないかというのは、非常に大きな気付きを与えるものだというふうに思っています。そこで、例えば、国民健康・栄養調査でこのことを調査する。
○辻委員長 澤田先生、手短にお願いします。
○澤田委員 はい、すいません。そういったアプローチが非常に有効じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか
○辻委員長 ちょっと時間が足りないので、まず古井先生から、何かコメント。
○古井委員 すいません、ありがとうございました。先ほども井上先生から問題提起がありましたけれども、どちらかというと公的なデータがあるものに注力をして目標を立てがちだっていうご指摘、そのとおりかなと思っています。今まで、医療保険者がやっているデータヘルス計画もだいぶ標準化がされ始めていまして、今まではKDBでしか取れなかったデータというのが、例えば診療報酬支払基金改革により、これからは国保だけではなくて、被用者保険の、働き盛り世代の同じようなデータが、自治体単位でデータセットができるということになりますので、今まで取得が可能であったデータだけではなく、5年後、10年後を考えた上での目標値、評価指標の設定は重要な視点かと思いました。以上でございます。○辻委員長 はい、ありがとうございます。このセッション最後にもう一人だけ、近藤克則委員にご発言いただきたいと思います。今、チャットでいろいろ、社会環境の件、先生のために投げていただいたんですけども、傍聴している方々はちょっとご覧になれないことになりますので、簡単にまとめていただいてよろしいでしょうか。
○近藤(克)委員 分かりました。先ほど認知症だとかロコモの少ない社会環境というのはどれぐらい分かっているのかっていう質問がありましたので、私たちがこの間に、論文にまとめて、その内容をプレスリリースにしたもののURLをWeb参加されている方にはチャットでお送りしました。
社会環境と健康という視点で分析しますと、結構いろいろ出てきています。あと認知症リスク等も、市町村間で2倍以上というかなりの差があったことが分かっています。今後も研究をすれば、どのような社会環境が大事かということは、さらに解明できるのではないかなと考えています。以上です。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。それでは、最後のセッションに入りたいと思います。では、日本小児科学会から。
○日本小児科学会水野様 ありがとうございます。日本小児科学会の栄養委員会の担当理事をしております水野と申します。本来でしたら委員長の清水俊明教授が出られるはずだったんですけれども、今日、急遽私が意見を述べさせていただきます。資料ございません。申し訳ございません。
小児は、まず6歳~12歳、小学校の時期というのは、器官、臓器が大人へと成長していく時期であり、非常に栄養が重要な時期でございます。また13歳~15歳、中学生の時期というのは、これは思春期でございますので、女性の痩せなどがありますと、それは月経の問題ですとか、将来的にあたっても低出生体重児の増加、いろんな大きな影響を与えてくると思います。
大きく分けて小児科学会からは、小児の肥満のことに関してまず、お願いしたいと思います。肥満度がやっぱり20%以上、学童ですね。20%以上の場合が肥満と取られるわけですけども、ご存じのようにやはり学童の時期、小学校2年生、4年生頃から肥満になりますと、いろんな健康障害を起こして、そしてひいては大人になってからの、また高血圧ですとか2型糖尿病、心血管疾患ということにもつながっていきますので、まず小学生の時期から肥満度が20%以上の割合の目標設定というのをしていただいて、やっぱりしっかりと必要な栄養は取りながらも、必要以上の栄養を防ぐっていうところは必要かなと思います。
それから2番目は、小児の痩せでございます。摂食障害の発症のピーク、思春期でありまして、特に女性の痩せ願望っていうのは非常に強いものもあります。摂食障害によって死に至るっていうことがあってはならないと思いますので、マイナス20%の痩せを示すような状況というのを早く見つけて、対応していく。また先ほど申しましたように、これが妊娠まで継続していきますと、低出生体重児の増加ということにもつながってまいります。
学校生活における栄養指導の取り組みっていうことが重要になってまいりまして、特に昨今のコロナで学校に行けなくなった時期、非常に貧困のご家庭では学校給食が取れないことで、いろんな影響を及ぼしてきたということもありますので、これは特に目標値というのはないんですけれども、学校給食というのは非常に重要な位置を占めているということも、また認識していただければと思います。
そして最後に、学校では毎年、身長、体重というのをつけております。この成長曲線から、いろんな病気が分かってくるということもあります。思春期早発症で早く見つければ小柄にならなくて済むということもあります。肥満、痩せのことは先ほどお話しいたしました。また、成長ホルモン分泌不全症やクローン病などの疾病を見つけるということにもつながりますので、ぜひ学校健診における成長曲線の重要視ということもお願いできればと思います。以上です。ありがとうございました。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。それでは、循環器学会ですね。
○日本循環器学会塚田様 日本循環器学会予防委員会委員長の塚田と申します。
日本循環器学会からは4点、提言させていただきます。1点目は次期プランのビジョン、方向性です。本学会は今回の「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」というご提案に賛同いたします。特に本学会では、社会経済学的視点も合わせたハイリスクアプローチによる健康推進を新たに行っていきたいと考えているところです。収入や学歴、教育、居住地、性別などを、国民の多様性を背景に配慮した、一人一人に寄り添った、誰一人取り残さない予防施策を実施すべく、既に本学会でもガイドラインの作成を行って、今後の検討を始めているところです。
2点目は、現行の特定保健指導の支援に該当しない、高リスクの対象者への積極的アプローチについてのご提案です。現行の特定保健指導では、心血管死亡率の高く、複数のリスクを持って、なおかつ肥満基準を満たさない方に対しては、保健指導が行っておりません。また、特定保健指導のリスク階層化アルゴリズムは、高LDLコレステロールが含まれておりません。この課題を解決するために、今期は、本計画と特定健診が有機的に連携し、第二次健康日本21において達成できなかった脂質異常症減少目標が実現できればと存じます。
3点目は現在の心疾患、脳血管疾患の粗死亡率の指標に加え、患者調査等を利用した各疾病の患者数、罹患率による評価を提案したいと思います。予防対策の評価としては、死亡率よりも発症率もしくは罹患率の比較で行うほうが、より早期にかつ適切な評価が可能だと考えております。また、このためには、脳卒中・循環器病対策基本法に記載されている登録システムの整備を進め、連携することが望ましいと考えております。
最後は、国民に対する健康づくり運動をより普及させるために、医師、医学部学生に対する生活習慣病予防の啓発教育です。現行の医学部教育モデル・コア・カリキュラムでは、予防医学、生活習慣病、疾病の危険因子の各項目が、おのおの独立した項目となっており、生活習慣病予防に関する系統的な学習体制となっておりません。本計画の目標実現に向け、国民への啓蒙教育のみならず、医師、医学部学生に対し、さまざまな生活習慣病予防の重要性に着目した、シームレスな教育が必要と考えます。以上です。ありがとうございました。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。では、循環器病予防学会。
○日本循環器病予防学会三浦理事 はい、循環器病予防学会の理事をしております滋賀医科大学、三浦でございます。本学会は1966年に「日本循環器管理研究協議会」として始まっておりまして、当時、死因の第1位であった脳卒中と、その最大の危険因子であります高血圧の制圧ということを最大目標にしてやってまいりましたけれども、当初から多職種で構成されておりまして、循環器病の予防に取り組んでおります。
健康日本21の推進のモデル事業ということで、日本循環器病予防セミナーも開催してまいりました。その下、1番から6番まで意見ということで、作成いたしました。
1番目ですけれども、循環器病の最大の危険因子である高血圧ですが、先ほどの循環器学会のご意見もありますけれども、多量の飲酒あるいは食塩の過剰摂取といった原因がかなり大きく、必ずしも肥満に関連するものではないということであります。特定健診開始以降、生活習慣指導もやや肥満に偏重している傾向があるという中で、健康日本21では、こういった点は十分配慮されておりますけれども、特定健診、特定保健指導の場でも、肥満以外の要素の重要性が反映された施策になることが望まれます。健康日本21でもそういった点を考慮いただければと思います。
2番目ですけれども、肥満、非肥満、いずれを伴う場合でも、効果的な保健指導内容となるような手技の開発、またそれを有効活用できる保健医療専門職の育成が急務であると考えています。既存の各種学会の資格制度も活用して、保健医療専門職の資質の向上が必要であると考えていますが、循環器病予防療養指導士は本学会はじめ、いくつかの学会で開始しておりますが、こういった職種の活用を広く広めたいと思います。
3番目ですけれども、これは先ほど循環器学会のほうからもありましたが、循環器病の予防対策の評価です。現在、死亡率で評価しておりますけども、ぜひ発症率、罹患率を把握して評価することが必要だろうと考えます。脳卒中・循環器病対策基本法でも、情報収集に関する記載もあります。都道府県単位での先行事業なども含めて、この疾病登録で、循環器疾患の発症登録というシステムの整備も必要であろうと思いますし、NDBやDPCといったデータを活用した発症率の推移を見るような対策があるいは目標設定が必要であろうことを申し上げます。
4番目ですけれども、これは2023年度から各都道府県で、健康増進計画、それから特定健診、保健指導の含まれます医療費適正化計画も策定されます。また循環器病対策基本法のほうでは循環器病対策推進基本計画もございますので、お互いが連携して、一体的に進める必要があります。そこで各都道府県にその指令塔的な部署。統括部署や、あるいは委員会などの設置が必要ではないかと考えております。国からの働きかけも、ぜひそういったことも含めていただければというふうに思います。
5番目ですけれども、これは健康日本21の第二次では、目標項目として、個人、個人間、施設、地域、政策など、いろんなレベル、社会生態学的レベルの目標が入り交じっていたと考えています。エビデンスは、それぞれのレベルであるわけですが、こういった政策や地域レベルの変化と個人レベルの変化が、それぞれ評価できるような目標設定が必要ではないかということです。
6番目は、計画開始時から終了時まで一貫したデータソースが利用できるような生活習慣および社会環境のモニタリングシステムの構築が必要であるということです。例えば食塩に対する対策のためのモニターをする評価指標ですね。そういったものが、各地域で非常に足りないものが多いということで、例えば特定健診の問診票にも食塩に関する質問は入っておりませんし、尿測定などといった新しい手法もありますので、こういったことも視野に入れた目標設定が必要だろうと思っています。以上になります。
○辻委員長 ありがとうございます。それでは、糖尿病学会。
○日本糖尿病学会山内常務理事 はい、糖尿病学会の常務理事で、東京大学の山内です。よろしくお願いいたします。聞こえておりますでしょうか。
○辻委員長 はい、聞こえております。
○日本糖尿病学会山内常務理事 はい。資料をお願いしたいと思うんですけど。9月26日の第1回専門委員会の資料に対する意見を述べる機会をいただきまして、ありがとうございます。資料から、糖尿病と関係して、津下先生、矢部先生、横山先生らが委員に入っておられることが分かりました。これから作り込んでいかれる段階と思います。
本日、最も申し上げたいことは、国民の皆さまの健康増進を期し、最終的には豊かな人生100年時代の健康長寿を目指される本委員会に、糖尿病学会が貢献できますよう、委員の先生方には、最大限、ご協力させていただき、より良いプランを作成できますよう、努めたいということでございます。1枚飛ばして、3をお願いします。
次期プランのビジョン(案)に賛同いたします。特に、「誰一人取り残さない健康づくりを展開する(Inclusion)」は大切な概念というふうに考えます。この実践のために、これまでも議論に出てきましたけれども、スティグマを解消するアドボカシー活動が重要と考えまして、これから作成される文書の中に盛り込んでいただきたいというふうに考えております。次、お願いします。
次期プランの方向性(案)にも賛同いたします。1点、生活習慣病という用語に関してですけれども、セルフマネジメントができない方が罹る疾患で、自己責任であるといった誤った風潮を及ぼしかねないということで、世界ではあまり使われておりません。健康日本21の概念図におきましても、生活習慣病の初出の所に括弧して、NCDs(非感染性疾患)と記載されていました。次期プランでは、NCDs(非感染性疾患)に置き換えていただき、初出の所に括弧をつけて「生活習慣病」としていただくことを提案させていただきたいと思います。飛ばして7をお願いいたします。
ここに糖尿病有病者数を入れていただいておりますことは、非常に重要なことと思います。追加としましてですけれども、国民健康・栄養調査のサンプルサイズを大きくしていただきたいということを提案させていただきたいのと、NDBを用いて算出するなど、異なった方法も併用することを提案させていただきたいと思います。次、お願いします。
健康日本21の第2次では、糖尿病有病者数推計は国民健康・栄養調査結果を用いて、横山先生が、私が研究代表を務めております厚労科研の「糖尿病の実態把握と環境整備のための研究」の中で算出されたものです。次、お願いします。
赤の点で示されておりますように、標本の誤差が大きく、ばらつきが生じやすいのを回帰曲線で適切に推定いただいております。しかしながら、やはりサンプルサイズを大きくしていただきたいというのが、この班全体、また糖尿病学会の意見となります。次、お願いいたします。
その他に関してとありますけれども、これまでの議論と同様、ロジックモデルを使っていただきたいということと、それぞれの目標に関してです。次、お願いいたします。
ここでは、津下委員の糖尿病分野のロジックモデルを原案として、示させていただいております。重症化予防をアウトカムとしてカウントするのが一番重要と考えますと、まずその前の段階としまして、HbA1c 8.0以上の方を減らす必要があります。そのためには、受診勧奨を受けた方が実際に受診される率を上げる必要がありまして、ここには企業の一人一人に対するインセンティブの導入なども必要と考えます。
また、治療中断を防ぐということも非常に重要でありまして、ここには栄養・食事指導や、眼科受診が重要な因子となることがデータベース研究などで明らかとなっております。また、スティグマを解消するアドボカシー活動も、治療中断の予防に重要と考えます。その前段階としまして、そもそも特定健診、保健指導の実施率を向上させる必要がありまして、これも企業に対するインセンティブやICTやIoTを用いることも重要であることを、このあとのパワーポイントに示していますので、ご覧いただけたらと思います。本日の発表は以上です。ありがとうございました。
○辻委員長 ありがとうございました。では、動脈硬化学会。
○日本動脈硬化学会吉田様 動脈硬化学会の役員を務めています、生活習慣栄養部会の吉田でございます。私どものほうの、まずどのような活動をしているかということと、それに基づいて今回の健康づくりプランについて、委員さんにご意見を述べさせていただけるかと思います。申し訳ありませんが、資料をもらっていませんので、ご容赦いただきたいと思います。
既にご存じかと思いますが、私どもの学会は5年おきに、『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』を発刊・発信しております。すなわち、動脈硬化リスク、高LDLコレステロール血症、LDLコレステロールの高値ですね。これをはじめ、各リスク状態を包括的に管理することで、動脈硬化の病気の予防を目指すということで、ガイドラインが構築され、発信されているわけです。
また、具体的な施策として、翌年に、これまた5年おきとなりますが、脂質異常症を中心とした診療ガイドというのを出さしていただいています。それに基づき、健康日本21の時の第二次の時の第2層のところなんですが、先ほど来、脂質異常症の問題も出ておりましたけれども、脂質異常症の減少、これについて健康日本21の第二次では、「高コレステロール血症患者の割合を減少させる」と書いてあるんですけども、これについては、取りも直さず高LDLコレステロール血症患者さんということで、フィックスしていきたいと、そういうふうに考えております。
合わせて、先ほど循環器の領域の先生方からもありましたとおり、第3層については死亡率ではなくて、発症率、罹患率というのが、目標の中のターゲットになってくるものではないかというふうに考えている次第です。
次に、私どもの取り組みとして一方であるのは、動脈硬化予防に役立つ食事として、日本食パターン、いわばJapan Dietともいえるものなんですが、そういったものを推奨さしていただいております。これらはホームページのほうにご確認いただければ幸いなんですが、どんなリスク状態であったとしても、減塩をした日本食パターンというのが、そういった食材を用いて、主食、主菜、副菜の料理をそろえたのが基本として、そういったコンセプトで皆さま方にお届け、発信さしていただいています。
こういった取り組みが、動脈硬化の予防や治療法に、目標として取り組んでいけるんだということについて確認するために、メタボリックシンドローム、脂質異常症などの患者さんに対して、こういった日本食パターンに生活習慣改善の周知普及を図りたい。そういったことで、今後の予定なんですけども、領域横断的な連携活動、こういったことを進めていきたい。現状、17個の学会がそれに取り組むことを参加表明していただいていますが、実際的にこれが実行できるかは、これからの取り組み次第ということであります。
この中で得られるものとしては、例えばICTの利活用なども今回の中には入ってますけども、そういったナレッジの共有、具体的な指導、そういったものに取り組めるようなツールを開発していく。そういったことが、実際の、最前線にいる患者さんに対して、あるいは国民に対して必要なものを届けることができるのではないか。そういったコンセプトを考えております。
また、わが国は先進諸国の中で非常に特徴で、非常に良い仕組みとして、特定健診を行っていますけども、この特定健診の受診率、さらにもう少し上げていかなければいけないという点。この受診率も一つのデータ目標だと思うんですけども、合わせて一つ懸念しているのは、特定保健指導につながって、どれだけのしっかりとした保健指導ができてるか。栄養指導ができてるか。
それから、受診勧奨となりますけども、受診勧奨というのはどの程度、達成できてるんだろうか。そういったところが、何らかの形のナショナルデータで獲得できれば、そういったことの指標になっていくのかなとは思っております。
以上を踏まえて、今後、5年後、10年後の目標ってことについては、どんな指標を用いるかというのをまたさらに議論を深めて、定めていかないといけないと思いますが、このような方向性を私どもは考えてる次第です。
最終的には、実際、市民の場では、地域包括ケアってのを取り組まれています。その中に、健康推進事業的なプログラムを取り込んでいく。それを全国的に展開するというのが、最終的には私どもも賛同してます「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」。まさしくそれにつながっていくのではないかと思っております。以上であります。
○辻委員長 ありがとうございます。引き続きまして、関係団体として、健康日本21推進全国連絡協議会からご発言をお願いいたします。
○健康日本21推進全国連絡協議会下光会長 健康日本21推進全国連絡協議会会長の下光です。当協議会は、民間の立場から健康日本21の推進を図ることを目的に、平成13年3月に設立され、健康日本21と共に歩んできた組織です。資料にありますように現在、健康に関連する139の団体に参画していただいております。
さて、当協議会では、次期プランの策定に向けて、昨年度から、協議会内に「政策提言ワーキンググループ」と「普及啓発ワーキンググループ」を設けまして、検討を重ねているところです。このうち「普及啓発ワーキンググループ」では、次期プランに対するより効果的なPR方法などを検討しており、「政策提言ワーキンググループ」の方では、次期プラン策定に向け、私どもで考えるより良い計画に向けての提言を検討しています。
本日はそのグループ長であります日本循環器病予防学会の岡山明先生に登場していただき、検討の内容を紹介していただこうと思っております。岡山先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○日本循環器病予防学会岡山様 どうぞよろしくお願いします。それではスライドを次にお願いします。
健康日本21というのが制定された2000年、私もこの制度の立ち上げに少し関わらせていただいたんですが、非常に分かりやすい目標と、数値目標をあげることで、大変画期的な取り組みだったと思います。
ただ、残念ながら、これがさまざまな国民医療の中で、十分に展開されているかというと、そこが、健康日本21の一番大きな課題ではないかなということをずっと考えてきておりました。健康日本21は主に健康増進、しかし、事業運営は国保を通じて行われているというように、健康づくりが2本立てになっているということが、この推進のさまたげになっているのではないかというふうに考えております。
私ども、健康日本21推進全国連絡協議会は、例えば国民健康保険中央会、全国健康保険協会や健康保険組合連合会、さらに実際に運動指導や健診を行う団体などが加入しております。そういった意味で、こういった組織を活用して、また保険者の保健事業を活用して、推進をどうやっていくかということが非常に大事な課題だということで、私どもの協議会から提案させていただきたいと考えています。
資料の下のほうになりますが、健康日本21の推進に役立つとして、各構成、例えば医療保険者、スポーツ団体、こういったところが事業内容と連携した指標というものを作り、これを連携指標と位置付けて、その達成を目指すということをやってはどうかということを提案させていただきたいと思います。
健康日本21に参加する組織それぞれが、連携指標を設定し、その推進を図ることで、目標設定を促すという仕組みです。私ども健康日本21全国連絡協議会は、各参加団体に働きかけて、連携指標の設定と実施を促していきたいというふうに思っております。
また、医療保険者は計画策定の際に、健康日本21の連携目標を設定して、実施することで、計画推進を目指してはどうかというふうに思います。今、医療保険者の保健事業では、さまざまなデータが日々蓄積されてきています。従来、健康日本21で用いた国民健康・栄養調査だけでなく、こういった日々の活動の中から出てくるデータを集積することで、効果評価をするということも可能ではないかというふうに思います。
こういった形での取り組みを、ぜひ、次期の健康日本21ではお願いできないかというふうに考えています。以上です。
○健康日本21推進全国連絡協議会下光会長 当協議会には、日本医師会をはじめとする職能団体や保険者団体、学会などが加盟しております。これらの会員団体の皆さまと共に、引き続き厚生労働省の国民健康づくり運動に寄与したいと考えておりますので、例えば次期プランの推進につきまして、当協議会とスマート・ライフ・プロジェクトとのコラボレーション事業などを検討していただけると幸いです。
また、昨年11月に当協議会から、健康局長にご提案させていただいたとおり、次期プランが国民の健康づくりに、より一層寄与できるよう、より多くの学会にお声掛けいただき、幅広い意見の聴取を行っていただくようお願いいたします。以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございました。では、各学会・団体に対して委員よりご質問ありますでしょうか。山縣先生から。
○山縣委員 はい、山梨大学の山縣です。小児科学会の水野先生、どうもありがとうございます。とてもほんとに重要なご提案で、特に痩せ、肥満の問題っていうのは、ライフコースを考えた時の小児期の取り組みとしては、ほんとに重要だと思いました。
その際に、やはりハイリスクの子を早く見つけて、きちんと例えば治療につなげていくとか、非常に重要な介入していくといったことも必要だと思うんですが、一方で、ポピュレーションとして全体として、どういうふうな取り組みとかいうのが必要であるかについて、先生にもしもご意見あればお聞かせいただければと思います。
○日本小児科学会水野様 ありがとうございます。水野でございます。非常に重要なご質問だと思います。そこまで私が答えるには、ちょっと難しいところもございますので、委員会に持ち帰って、また学会としてのお答を出させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○山縣委員 ありがとうございます。学校医されている先生方、本当に重要な役割を担ってらっしゃると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○辻委員長 ありがとうございます。今、2名の方が手を挙げていますので、手短にそれぞれ。まずは津下委員。
○津下委員 はい。ありがとうございます。まず循環器のほうから、死亡率ではなく発症率のほうが適切ではないかというご指摘がありました。確かにそうだなというふうに思うんですけれども、今まではなかなか発症率を正確に把握するのが難しいので、最終的で死亡率ということで評価してきたんですけれど、もう発症率で扱える段階、次期からそこの段階まで来ているという認識でよろしいのでしょうか。死亡率をやめて、発症率に切り替えるというところまで来ているかどうかということをお知らせいただければと思います。
また、特定健診、保健指導はじめ、生活習慣病の改善につながる政策について、もうちょっと重点化しなければいけないという話については、これからさらに改善する必要があると思うんですけれども、治療中の方、お薬を飲んでくる方は、肥満があって、リスクがあっても、特定保健指導の対象にはならないのです。血圧の薬とか脂質の薬、スタチン1剤飲んでいると、もう特定保健指導に該当しないので、医療管理下でやってくださいということになります。そうしますと、肥満症ということになると思うんですけれども、肥満があって治療中の病気の方の減量指導、これを担うのは医療機関になると思うんですが、その辺りが十分できてるかどうか。先ほど循環器学会の先生もおっしゃられましたように、医師への教育も必要なんではないかという話がありましたが、治療中の方への減量、生活習慣改善指導の徹底に向けて、どうしたらいいのかなというのが、データでつかめることができないかなっていうのが2点目です。
それから3点目、全国連絡協議会で、大きな目標は、健康日本21の全体で作るけれども、各関連学会が自分の所はここの目標にコミットするということで、そこをブレークダウンして、目標をさらに具体化するという動きができますと、かなり機動力が上がるのではないかというふうに期待したいなというふうに思っております。以上3点、よろしくお願いいたします。
○辻委員長 1点目が循環器学会の塚田さん。
○津下委員 はい、そうです。
○辻委員長 2点目は。
○津下委員 2点目も。
○辻委員長 塚田先生、1点目、2点目合わせて。
○日本循環器学会塚田様 はい、ありがとうございます。循環器学会の塚田でございます。1点目としましては、現在あるデータを使うとすれば、患者調査、5年ごとに行っている患者調査が使えるかと思いますけど、やはり正確なデータをあげるためには、全例登録が必要かと思っております。これに向けた準備が、今後は必要と考えております。
それから2点目、治療中の患者さまに対する指導ですけれども、医療機関とのスムーズな連携、シームレスな連携が必要だと思いますので、何らかの形で連絡というか、そういった体制を築くことが重要ではないかなと思っております。以上です。
○辻委員長 3点目は下光先生でよろしいですか。
○健康日本21推進全国連絡協議会下光会長 津下先生、ご意見ありがとうございます。私どもも同じように考えておりまして、この協議会に含まれている139の学会、団体をまとめますと、およそ200万人という健康に関連するマンパワーが含まれておりますので、その力を発揮させることが、健康日本21を推進する重要なキーだと思っています。
そのためには、各団体が、もう少し組織に合わせた目標設定を設定して、それを会員に広めていくというような流れができると、より一層、次期プランが広がっていくというふうに考えております。策定の段階からそのような内容を盛り込んでいただくと、われわれとしても動きやすいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○辻委員長 ありがとうございます。では、横山彰仁委員お願いいたします。
○横山(彰)委員 はい。呼吸器のほうの横山でございます。先ほどの津下先生の一つ目と同じ質問だったんですけれども、いくつかの学会から、すごい強い、発症率、罹患率がいいんじゃないかということでしたが、先ほど塚田先生から、お答えになりましたけども、実際にどういうふうにこれやるとしたら調査をされるのかということと、どのような病気を、疾患を対象とされるかっていうことをちょっと追加でお聞きしたいと思います。
○辻委員長 循環器学会の塚田先生でよろしいですか。
○日本循環器学会塚田様 はい、ありがとうございます。
○辻委員長 塚田先生、お願いします。
○日本循環器学会塚田様 資料にも挙げましたけれども、生活習慣病とされるもので、糖尿病、脂質異常症、肥満、高血圧性疾患など、あと循環器病、虚血性心疾患と心不全、心房細動、脳血管疾患などを考えていますが、具体的な方向性については、今後検討させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○辻委員長 これにつきまして、循環器病予防学会の三浦先生から手が挙がってます。
○日本循環器病予防学会三浦理事 すいません。その件です。
○辻委員長 それではお願いします。
○日本循環器病予防学会三浦理事 循環器病予防学会からもご提案させていただきましたので。循環器疾患の発症率の把握に関しまして、先ほどの患者調査もあり得ると思いますが、NDBなどのデータの活用が進んでいまして、かなり研究においても活用されてきています。活用され始めてから時間もたちましたので、推移もだんだん見えるようになってきました。一定の基準で推移を見られるようになっているのではないかと思っています。
それから、疾患としては重要な脳血管疾患、心疾患、冠動脈疾患ですね。そういった重要な疾患で推移評価していくのが大事だと思いました。もう一つ、高血圧あるいは脂質異常などのリスクファクターの、有病率や医療の件です。先ほど津下先生から、医療受診の話がありましたが、これについてはNDBでも治療率やコントロール率の試算も可能になりますので、医療機関で治療やコントロールされている率も見ていけると考えます。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。時間が迫ってきましたので、手短にお願いします。若尾委員から。
○若尾委員 はい、ありがとうございます。私も津下先生の説明の質問に絡むんですが、今回循環器病対策基本法ができて、それに基づく循環器病登録のほうで、全数把握のようなことはされるのかという、もし厚生労働省のほうから今後のプラン等あれば、教えていただければ参考になるんではないかと思いました。いかがでしょうか。
○辻委員長 厚労省の事務局、これについて何か。
○山本健康課長補佐 ありがとうございます。今おっしゃっていただいた循環器病対策については、主に健康局のがん・疾病対策課が担っているものと承知しております。われわれのほうでは特段、そのような動きを伺ってはないところでございますけれども、というところで、今、回答はこれぐらいしかちょっとお答えできないというのが正直なところでございます。
○辻委員長 若尾委員、よろしいですか。
○若尾委員 すいません。がん・疾病対策課が担当ということですね。はい、分かりました。ありがとうございます。
○辻委員長 近藤尚己委員。
○近藤(尚)委員 はい、循環器学会の塚田さまにご質問です。大変重要なご指摘だと思い、確認なんですけれども、社会経済的支援も合わせてリスクが高い方に対するハイリスクアプローチが重要だということで、これというのは、例えば診療の現場で、今までは、いわゆる循環器病の生物学的なリスク、つまりコレステロールとか血圧のみで評価していたリスクのスクリーニングに、社会的な背景というリスクも入れて、包括的に評価して、そういった方への個別対策をしていく、そういうハイリスクアプローチというような意味合いでよろしいでしょうか。
○日本循環器学会塚田様 大変貴重なご質問をありがとうございます。2点ございます。先ほど先生がおっしゃったとおりに、それは診療の場でのスクリーニングも大変重要だと思っておりますが、加えて、社会背景のリスクの高い、例えば職業に関して、例えば交代勤務者、あるいはギャンブルとかに関わる人たちの中には、複合的なリスクをお持ちの方が多いので、そういったところに働きかけたりすることが大切と考えます。もう一つは、両立支援、仕事に意欲がある疾患を持っている方に対する両立支援っていうことも必要なことだと思います。またそれ以外にも、性別、トランスジェンダーの方、そういったところにも働きかけていきたいと思いますし、ダイバーシティに対する指針も出していきたいと思っております。○近藤(尚)委員 その働きかけが、一人一人への個別指導だけでなく、例えば雇用上不利な方等に対する集団的な。
○日本循環器学会塚田様 集団的にもということですね。
○近藤(尚)委員 ありがとうございます。これは事務局側へのメッセージになるのかなと思うのですけど、今後の予防の在り方についての議論の際、ポピュレーションアプローチやハイリスクアプローチという言葉が、いろいろな定義で使われており、整理しておくことでより議論がしやすくなると思います。今回のご提案についても、今の重要なご指摘の内容については、生物学的なハイリスク者への個別指導ではなく、社会的なリスクも踏まえた人々への、個別指導以外の方法も含めた介入が意図されていたかと思います。そういった定義を明確にしたうえでご提案とし盛り込んでいったらいいのかなと感じます。以上です。ありがとうございます。
○辻委員長 じゃ、尾島委員、お願いします。
○尾島委員 はい。健康日本21推進全国連絡協議会からの連携指標のご提案について、実際の対策を推進するという上で、とてもいいご提案だと思いました。より具体的には、協議会の構成団体として、実働部隊もいるような団体と、ブレーン的な団体と、いろいろあるかと思います。また、国の指標との関係性も重要と思います。一例を挙げてみますと、どんな指標を挙げて、どんなふうに展開するというようなイメージでしょうか。
○日本循環器病予防学会岡山様 私のほうから、少し回答させていただきます。例えば運動づくり、運動施設の協議団体があるんですが、例えばその協議団体は定期的にその組織を利用する人の数を長期目標を立てると。それをどんどん増やしていく取り組みをやっていただきたい。その数字を成果として報告していただいて、そうすると裏返すと定期的な目標を測定していることになる。例えば、ある組織が、自分たちができなくても、傘下の団体に健康日本21をキーワードにしたこんな活動をするっていうことを投げかけて、その活動を、年次計画に入れたい所の数を数えるといったことをすることで、いろんな関わり方が作れるんじゃないかと考えています。
○尾島委員 はい、どうもありがとうございます。
○辻委員長 それでは岡村委員。
○岡村委員 さっきの発症登録のとこなんですけど、脳循基本法のほうに、情報収集は国循でやるってもう条文に書いてありますので、そちらのほうとも連携しながら考えていかなくちゃいけないマターだと思いますので、基本計画等も踏まえて、整合性を取りながら今回、次の計画策定をしていくべきだと思ってますので、そういう認識だっております。以上です。
○辻委員長 はい、ありがとうございます。これは当然、健康づくりになってきますので、死亡率というより本質的には罹患率、発症率が指標になるべきだと思いますが、それでがんについてはがん登録ができてかなり進んできていて、また循環器疾患におかれましてもこれからまた協力して進めていただきたい。では、最後になりましたが、動脈硬化学会の吉田先生。
○日本動脈硬化学会吉田様 はい、今ちょうど岡村先生がお答えになられたので、循環器の、脳循環の対策基本法に基づくものは、国循がおそらくデータをまとめられると思うので、それを参考にしたらいいんではないかと回答するつもりでおりました。全く同じ意見です。以上です。
○辻委員長 はい、ありがとうございました。以上でヒアリングは終了となりますけども、皆さんから何か、まだ5分ほどありますので、お一人か。できればヒアリングにいらっしゃった方に、全体を通して少し一言、二言ございましたら。すいません、委員の人じゃなくて、ヒアリングの方にお願いしたいんですけども。もし時間が余れば、それでお願いしますね。まず武見先生お願いします。
○日本健康教育学会武見理事長 すいません。今日はありがとうございました。今日の会議で、元々問われたのは、全体のビジョン、方向性についてと、目標の枠組みっていうことだったので、そういう形で学会から意見出しをしました。とはいえ当然、個々の具体の話もずいぶん出てきたと思います。確か、行動医学会でしたか。もし可能であれば、議論が詰まっていったところで、全体の構成ができて、具体があがったところで、今回のような形で少し意見を言わせていただくことができればと思います。ぜひそういう方向をご検討いただければいいなと思って、最後にお願いしたいと思って発言いたしました。よろしくお願いいたします。
○辻委員長 ありがとうございます。他に、ヒアリングでいらっしゃった方からございますか。では、近藤尚己委員。
○近藤(尚)委員 はい、三浦先生に伺いたいのですけども、県に指令塔のような機関を置いたほうがいいんじゃないかということで、大変大事だなと思います。例えば今、保健所の機能強化の話が、感染症の有事対応の枠組みでいわれてますけれども、緊急時だけでない、平時においても県あるいは保健所機能の強化をするべきとか、そういったことを具体的にお考えなんですか。
○日本循環器病予防学会三浦理事 そうですね。これ学会の他の理事の方からいただいたご意見なので、私の意見だけじゃないんですけれども、やっぱり各都道府県ごとにこういった、健康日本21を進める、関連する所を統括するような部署を各県のCDCみたいな所ですね。そういったものを作ってはどうかというようなご提案があったというようなことです。
○近藤(尚)委員 大変重要なご指摘だと思います。ありがとうございます。
○辻委員長 ありがとうございます。他にどなたかございますか。もう一人ぐらいなら、いかがでしょうか。
○日本行動医学会井上理事長 じゃ、井上です。行動医学会です。目標項目が、やっぱりないとなかなか全体像がつかめないんですけれども、アウトカム指標に偏るっていうのをちょっと心配しています。どうやって進めるのかっていう視点を示す一番強い方法は、やっぱ目標項目としてあがってくると、皆さんそれを意識するので、プロセス目標を入れることそのものが強力な対策につながるんじゃないかなというふうに思っています。いろいろ事情あると思うんですけれども、可能な範囲でご検討いただきたいなというふうに思っています。どうもありがとうございます。
○辻委員長 ありがとうございます。では、小児科学会、水野先生。
○日本小児科学会水野様 はい、ありがとうございます。人生の一番大事な時期ってthe first thousand daysとかthe first nine monthsとかいわれてますけれども、やはり妊娠中の女性がどのような状態で暮らしているか、それがおなかの中の赤ちゃんが生まれてからの一生を大きく左右していきますので、そういう視点からも、おなかの中にいる時から将来にわたってまで、末永い視点でこういうのを見て、結構断片的にこの取り組みっていうのを見られているような感じがするんですけれど、連続して見ていただけるような取り組みでもあるとありがたいなと思いました。以上です。ありがとうございます。
○辻委員長 ありがとうございました。先生の大変貴重なご意見であったと思います。どうもありがとうございます。時間になりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきます。では最後に今後のスケジュールなどにつきまして、事務局から説明。
○加藤健康課長補佐 はい、今後のスケジュールについてご案内申し上げます。次回の委員会につきましては、今回の議論等を踏まえまして、追って調整させていただきますので、お忙しい中、恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
○辻委員長 それでは、本日の委員会を終了したいと。委員の皆さまには、スムーズな議事進行にご協力いただきまして、どうもありがとうございました。では、これにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
○一同 ありがとうございました。失礼します。退出します。


 ―― 了 ――

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