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2022年2月28日 第17回健康日本21(第二次)推進専門委員会(議事録)

○日時

令和4年2月28日(月) 13:00~15:26

 

○場所

AP東京八重洲13階 A+Bルーム(オンライン開催)
 

○議題

 <審議事項>
 

1.健康日本21(第二次)の最終評価報告書素案について

2.その他

 

○議事

○松村女性の健康推進室長 定刻になりましたので、ただいまから第17回健康日本21(第二次)推進専門委員会を開催いたします。委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただき、御礼を申し上げます。
本日は金野委員から御欠席の連絡を受けております。全22名中21名の委員に御出席いただいておりますので、議事が成立することを御報告いたします。なお、健康課長の佐々木は公務のため、遅れて参加する予定になっております。
資料は議事次第、委員名簿、座席図のほかに、議事次第にお示ししたとおり、資料1から10と参考資料1から9を配付しております。不足等がございましたら事務局まで御連絡ください。
議事に入る前に、オンラインで御参加いただいている委員の皆様にお願いがございます。ビデオカメラはオンにしていただき、御発言時以外はマイクをミュートにしてください。御発言される場合には「挙手」のボタンを押していただくか、画面上で見えるように挙手をしていただき、委員長から指名の後に御発言ください。御発言時にはマイクをオンにし、名前をおっしゃった上で発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、「挙手」ボタンを下ろし、マイクを再度ミュートにしてください。以上、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
以後の進行は、辻委員長にお願いしたいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。
○辻委員長 それでは、早速、議事に入りたいと思います。今日もどうぞよろしくお願いします。
本日の議題は、健康日本21(第二次)最終評価報告書素案についてということであります。
まず、事務局から全体の説明及び資料1、最終評価報告書素案、資料2、計画期間中に行われた特徴的な取組について、御説明をお願いします。
○寺井健康課長補佐 事務局より、初めに資料について御説明いたします。
資料1から10、及び参考資料を送付しておりますが、資料1が最終評価報告書素案になります。この素案の中で本日御議論いただきたい部分を資料2から7として、別資料で用意しております。また、資料8から10は本日御議論いただく予定とはしておりませんが、各領域の様式1、様式2、及び全体の表が一覧の暫定版になります。様式2に関しましては、第14回、15回、16回でいただきました御意見を踏まえ、各領域の御担当の委員の先生方に修正・追記していただいたものを、本日資料9としてお送りしております。今後省内での調整等を経て引き続き修正をいたしていきますので、本日は暫定版ということで送りさせていただいておりますが、今後調整の上、最終評価報告書案としてまとめていきたいと思いますので、御確認いただければと思います。
本日は資料2から7について順に御説明し、御議論いただきたいと思います。
それでは、まず資料1、最終評価報告書素案について御説明いたします。前回、第16回の専門委員会で骨子案まで御議論いただいたところですが、その後2月2日に行われました第44回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会におきまして、当委員会における最終評価の進捗を御報告し、最終評価報告書の骨子案について御了承をいただきましたので、御了承いただきました骨子案の構成で素案を作成しております。
1ページ目、目次を御覧ください。骨子案のとおり、第1章が「はじめに」ということでこれまでの経緯、第2章が「(最終評価の)目的と方法」、第3章が「(最終評価の)結果」です。第3章の前半部分Ⅰ、Ⅱに各領域の評価、後半Ⅲに「諸活動の成果の評価」として、計画期間中の特徴的な取組や自治体等への取組状況調査の結果をまとめております。ここまで第1章から第3章が健康日本21(第二次)の計画期間中の評価になりますが、最後、第4章では「21世紀の健康づくり運動全体としての評価と次期国民健康づくり運動プランに向けての課題」の整理ということで、前半部分に第二次以前も含めましたこれまでの振り返りを、後半部分に次期プランに向けての課題をまとめております。
目次のうち青字の部分に関しましては、本日御議論いただくところも含めまして、現在準備中、調整中の部分になります。
3ページ目以降、簡単に御説明いたします。3ページ目から8ページ目が「第1章はじめに」になりまして、健康日本21(第二次)の策定の趣旨や経過、また平成30年に取りまとめました中間評価の結果をまとめております。
9ページ目から15ページ目が「第2章(最終評価の)目的と方法」で、これまでにも御確認、御議論いただいております最終評価の評価方法についての資料を基にまとめております。
16ページ目からが「第3章(最終評価の)結果」でございます。まず、前回御議論いただきました資料より結果の概要をまとめ、次に各領域の評価についてまとめる予定としております。
21ページ目には最終的に各領域の様式2が入る予定ですが、様式2に関しましては現在調整中ですので、暫定版として資料9としてお送りしております。
第3章の後半部分、22ページ目からが「諸活動の成果の評価」でして、計画期間中の特徴的な取組及び自治体へのアンケート調査の結果をまとめることとしておりますが、この後それぞれ資料2、資料3として御説明いたします。
25ページ目、第3章のまとめに関しましては、本日の議論を踏まえ、委員会終了後に作成させていただきます。
26ページ目以降が第4章になり、前半部分27ページから42ページ目までにこれまでの振り返りをまとめることとしておりまして、ここの部分に関しましては、この後資料4から6で御説明いたします。42ページ目、20年のまとめに関しましても、本日の議論を踏まえ、委員会後に作成させていただければと思います。43ページ目に次期への課題がございますが、こちらもこの後、資料7として御説明いたします。
最後に現在準備中ですが、各領域の目標項目の評価一覧、各領域の様式1や取組状況の評価のための調査結果等を含めた参考資料をつける予定としております。
資料1素案に関しましてざっと概略を御説明いたしましたが、ここからは素案の中身について、御議論いただきたい部分を順に御説明させていただきたいと思います。
それでは、資料2について続けて御説明いたします。資料2は、素案の「第3章最終評価の結果」の章の「諸活動の成果の評価」のセクションの1つ目として、健康日本21(第二次)の計画期間中に行われた特徴的な取組をまとめた資料になります。計画期間中に行われた国、自治体、企業や団体の特徴的な取組について整理することとしており、(1)から(5)の構成で、関連する主な施策、保険者の取組、他分野との連携、その他、そして好事例をまとめました。
まず「(1)健康日本21(第二次)に関連する主な施策」としまして、健康増進法の改正や健康寿命延伸プランのほか、第一次の最後の時期であります、平成23年から始まっておりますスマート・ライフ・プロジェクトについても記載しております。「健康寿命のばそう!」をスローガンに、「健康寿命をのばそう!アワード」など各種取組を行ってまいりました。代表的な取組を幾つか記載しておりますが、最終評価報告書案としては、この10年の活動を振り返りつつ、文章としてまとめていきたいと思います。
1ページ目、下半分には健康日本21(第二次)の各領域における基本法や基本計画、指針等をまとめております。昨年8月には医療費適正化計画や医療計画等と計画期間をそろえるため、健康日本21(第二次)の計画期間を1年延長し、令和5年度末までとしました。お示ししております各種計画等は、既に第14回以降に御覧いただいている資料と同じものではございますが、参考資料3に概要をお示ししておりますので、御覧いただければと思います。
2ページ目、(2)は保険者の取組をまとめました。健康日本21の計画期間中の特徴的な取組として、保険者による健康づくりが進んできたことも挙げられるかと思います。代表的なものを並べておりますが、特定健診・特定保健指導は、健康日本21(第二次)が始まる前の平成20年から始まっており、第二次の計画期間中も2期、3期と続いてきました。また、保険者が作成するデータヘルス計画や保険者インセンティブの強化、日本健康会議は昨年から日本健康会議2021に移行しておりますが、これら特徴的な取組を記載させていただいております。
次に(3)、他部門との連携でございますが、こちらも第二次の計画期間中に進んできたところかと思います。国交省のまちづくりや自転車、健康省エネ住宅等、農水省や文科省の食育、経産省の健康経営、消費者庁の食品表示など、代表的なものを記載しております。
また(4)、その他特徴的な取組としましては、自然に健康になれる持続可能な食環境づくりとして、産学官連携の取組や、パーソナルヘルスレコード、地域・職域連携などについて記載したいと思います。
ここまでそれぞれ代表的な取組を単語として挙げておりますが、最終的には少しずつ説明を加える形でまとめていければと考えております。
最後、「(5)地方公共団体、企業・団体等の特徴的な取組」としまして好事例を紹介しております。1つ目がスマート・ライフ・プロジェクトの好事例ですが、平成24年度から行っております「健康寿命をのばそう!アワード」の優良事例をまとめて総合事例集を作っておりますので、そこからの引用で、運動、食生活、禁煙、健診の各分野の症例を紹介しております。具体的には参考資料9を御覧いただければと思いますが、一昨年度までの取組をまとめておりますので、今後精査の上、昨年の受賞例の追加を検討し、最終的にまとめていきたいと思います。
スマート・ライフ・プロジェクト以外にも、この後御説明します自治体のアンケート調査の結果などから幾つか好事例をまとめたいと考えている他、地域・職域連携の好事例等も記載できればと考えており、現在調整中です。
資料1、資料2に関しまして、事務局からは以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、資料1、資料2の御説明につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。近藤先生、どうぞ。
○近藤委員 資料2に関してです。好事例ということで、全国でいろいろな知恵を絞った取組があって、いろいろあるんだなと思うのですが、それらは本当に効果があったと言えるのか。あるいはどのような場合に効果が大きいのかとか、そこらじゅうでPDCAを回そうと言っているんですけれども、PlanとDoという意味での好事例は数多いと思うのですが、Checkまでして効果があると認められるという、そこまで含めた好事例が果たしてどれぐらいあるかというのが前から気になっているところです。好事例を選定するときにそのチェックまでして、効果評価までしているような事例を中心にぜひ紹介いただきたい。逆に言うと、私がちらちらと見た範囲ですと、そこまでは行っていないという事例がそこそこあるような気がしますので、そういう意味では今後の課題として、いろいろな試みをやるのはすばらしいことですけれども、第三次に向けてそういうものをしっかり評価するような、そこが今後やるべき課題であるというようなことを補っていただくとか、その辺の御配慮が必要ではないかという意見です。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。引き続き、津下先生、お願いします。
○津下副委員長 ありがとうございます。資料2で、この期間に進んだものとしてデータベースの整備が非常に大きいかと思っています。今の近藤先生の御発言にも評価ということがありますけれども、そういう物差しとか指標がなければ健康課題の把握はできないし、それが標準化されていないといけないということがあると思うのです。この期間にナショナルデータベース、またKDBなど保険者のデータベースがあって、データヘルス計画とは書かれているんですけれども、e-Statも含めて省庁横断的に様々なデータを活用して見ることができるようになってきた。今後、データの利活用が大きな柱というか、推進力になっていくと思います。これは第二次の期間に徐々に整備され、自治体でも活用されるようになってきたという大きな変化があった期間かと思いますので、それを記載したらどうかと思いました。
また、スマート・ライフ・プロジェクト、好事例として、近藤先生がおっしゃるように、どこまで効果が出ているかということはあるんですけれども、審査会の中でプロジェクトの目標とか、なぜこれに取り組んだか、そして何をしてどんな結果だったか、できる限りの指標を取りながら評価した経緯もありますので、現時点で一旦、審査員の目が通っている事業として掲載する方向でもいいのではないかと私自身は感じています。もちろん学問的とか、本当に真の効果と言える段階までは行かないものも含まれますけれども、ノーチェックではないものが掲載されているように私自身は思っております。以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。それでは、若尾先生、お願いします。
○若尾委員 ありがとうございます。今のお話に関連してですが、データベースが進んだ背景としまして、2017年の個人情報法の改定であったり、あるいは官民データの活用推進基本計画などその辺も関連して、整備されたからデータの活用が進んだということで触れておいたほうがいいのではないかと思いました。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。ほかにいらっしゃらないですか。
今、近藤先生、津下先生、若尾先生から御意見をいただきましたけれども、事務局、これにつきまして何かございますか。
○寺井健康課長補佐 ありがとうございます。近藤先生からの御指摘につきまして、津下先生にかなり御回答いただいたところではございますけれども、スマート・ライフ・プロジェクトの好事例につきましては、その効果判定も一部含めながら評価いただいているところですので、一定程度そういった面は入っているのかと思っております。今後、スマート・ライフ・プロジェクトの好事例以外の好事例を書き足していく段階でも、どこまでできるか分かりませんけれども、考慮しながら検討できればと思います。
また、津下先生、若尾先生に御指摘いただきましたデータを利用した健康づくりに関して、PHRについては記載しているところでございますが、そこまでしか書けておりませんので追記を検討したいと思います。ありがとうございます。
○辻委員長 ありがとうございます。
ほかに委員の皆様から御質問、御意見はございますか。鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 日本看護協会の鎌田です。御説明ありがとうございました。
どこで発言しようかと迷っているところですが、今後の取組等々も含めて、少し発言させてください。報告の中でもありましたが、地域、領域ごとに限定されない地域・職域連携の取組の推進は今後ますます必要ではないかと思っております。ただ、地域・職域連携による取組について主に生活習慣病における記載がなされていると思いますが、メンタルヘルス、飲酒、喫煙、社会環境等の分野においても大変重要な取組であることは理解しております。なお、飲酒や喫煙について改善傾向にはあるものの、目標達成が非常に難しい状況にあることから、やはり重点的に取り組む必要性を感じております。そうした中で各領域に限定されない、全体を推進する視点での地域・職域連携のところが少し重点的に書かれてもいいのかと思いました。
また続けて、先ほどのエビデンスの話と関係するかどうか分からないところですが、ソーシャルキャピタルを活用した、それぞれ地域での取組や住民のヘルスリテラシーの向上に向けた取組の推進については、コロナ禍でもあり、参考資料等にもいろいろ書いてありますが、行政にも限定せず、これまで以上に地域のリソースを活用した地域の健康づくりの取組について、このソーシャルキャピタルを醸成していくことは非常に重要かと考えております。そこでソーシャルキャピタルの醸成には、住民のヘルスリテラシー向上のため、今後のことにもなりますが、幼少期の早期からの取組や平時からの取組も非常に重要であるかと思っております。
また、健康づくりのところになりますけれども、健康づくりの取組を推進するための仕組みづくりということでは、健康づくりに向けた取組をより推進していく仕組みづくりが必要でありますが、その土壌として、行政だけではなく、外部委託や企業との連携といった地域のリソースを活用していくことも必要ではないかと思っております。参考資料を見てみますと、企業との連携とか、地域づくり、社会環境といった取組は非常にパーセンテージが少なくなっている資料がありましたので、そういったところをしっかりやっていく必要があるのかと思っております。
あともう1点ですが、ここで発言していいかどうか。健康格差縮小のための部局横断的な連携では、経済格差と健康格差については、健康関連部局において経済格差を把握するのが非常に難しい現状があるといったことが参考資料4の図4に示されておりますけれども、健康関連部局以外でいろいろ把握されている部署はあると思います。そのため、行政においても健康格差の縮小の観点で、自治体内での医療健康部局以外の部署との部局横断的な健康づくりの推進が重要ではないかと思いました。
別のところで発言していいのか、ここでいいのかどうか分からないので、続けて発言させてもらいました。以上です。
○辻委員長 鎌田先生、どうも貴重な御意見ありがとうございました。
引き続きまして、羽鳥先生、お願いします。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。資料2の最終評価の結果、諸活動の成果の評価ということで、細かいことになりますけれども、他分野との連携、国交省とまちづくり、健康省エネ住宅などがあると思います。健康省エネ住宅は、各県、特に鳥取県とか幾つか、10のところで検定していたと思いますけれども、かなりいい評価が出ていると思います。要するに冬の住宅環境、一定の温度を保つこと、それから夏の暑熱環境の防御とか、その辺は今回の反省だけではなくて次の10年にもつながることですので、ぜひ強調していただければと思います。
それからもう一つ、スマート・ライフ・プロジェクトの好事例で、運動分野に関しては、スポーツ庁が今、一生懸命この分野を頑張っているところです。日本医師会も一生懸命協力してやっているところでもありますので、その辺も少し拾い上げていただければと思います。全体の流れは非常にいいものになっていると思いますので、賛成です。以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。山縣先生、手が挙がっていますが。
○山縣委員 ありがとうございます。私も細かいことですが、資料2の成育基本法のところで、文言として「成育基本計画」と書いてあるんですけれども、ここは「生育医療等基本方針」というものなので、参考資料3の目次等もそういうふうに変えていただいたほうがいいかと思いました。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。では、村山先生、どうぞ。
○村山委員 ありがとうございます。先ほどの近藤先生、津下先生の御発言との関連ですけれども、今後、自治体の事例、好事例を掲載していただくようなお話もありましたが、そのとき選定の際にデータの活用、そしてPDCAがうまくできている事例ということを考慮に入れて、選定していただければと思います。以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
以上4名の先生方から御意見をいただきましたけれども、これにつきまして事務局、いかがでしょうか。
○寺井健康課長補佐 ありがとうございます。まず、鎌田先生に御指摘いただきました御意見でございますが、地域・職域連携に関しまして、現在まだ単語を1つしか載せられていないところでございますので、いずれの取組も今後もう少し説明を加える形で、さらに深めて書いていければと思っております。
また、ソーシャルキャピタルや企業との連携、外部委託等について、行政だけではなく様々なところでの連携ということや、格差縮小に向けて、自治体内での部局横断的な取組が必要となってくるという御指摘に関して、まさしくそのとおりかと思っております。今後、そのような先生方の御意見も含めまして、まとめていければと思います。
続きまして、羽鳥先生に御教示いただいた取組でございますが、健康省エネ住宅に関しまして、鳥取県などの取組や、スマート・ライフ・プロジェクトの好事例、運動分野でスポーツ庁や医師会等と連携されているということを承りました。勉強させていただきまして、まとめていければと思います。
また、山縣先生の御指摘、大変失礼いたしました。修正させていただきたいと思います。
村山先生の御指摘でございますアンケート調査につきましては、自由記載欄で書いてきていただいているところでございますので、どこまで深く収集できるかということもあるかと思いますけれども、データの活用やPDCAがうまく回せるかなども踏まえて検討したほうがいいということで承りました。ありがとうございます。
○辻委員長 どうもありがとうございました。
それでは、資料1、資料2につきましてはこれくらいにさせていただきまして、次に資料3、自治体等の取組状況の評価のための調査につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○寺井健康課長補佐 自治体等の取組状況の評価のための調査について、御説明いたします。前回、12月の委員会におきまして、本調査の単純集計の結果をお示しし御議論いただきましたが、追加の集計を行いましたので、本日お示しいたします。
かなりボリュームが大きくなっておりますので、要点のみ御説明させていただきたいと思いますが、追加で行ったこととしまして、第一次のときと比較のために一部算出方法を修正したものがございますので、そちらについて初めに御説明させていただきます。その他、市区町村票の都道府県別の集計を行ったこと、市区町村の人口規模別や保健所設置市か保健所設置市以外かに分けた集計を行ったということ。また、幾つかクロス集計を行っておりまして、最後に自由記載欄のまとめを行っております。これらについて資料3にまとめております。
初めに1ページ目でございます。前回お示ししたとおり、本調査は昨年8月から10月に全国の都道府県、市区町村、及び健康日本21推進全国連絡協議会加盟団体に対して悉皆で調査いたしました。回収率は都道府県100%、市区町村78%、団体62%となっております。
健康増進計画の策定状況につきましては2ページ目を御覧ください。都道府県は100%、市区町村では、全1,741市区町村のうち1,289の市区町村で健康増進計画を策定していると御回答いただいており、調査自体に未回答なところについて詳細は把握できておりませんが、少なくとも74%の市区町村で計画を策定しているという状況でございました。12月20日にお示ししました単純集計の結果は、本資料の46ページ目以降に参考として載せておりますので、適宜御覧いただければと思います。
まず初めに、本調査の目的の1つとしまして、健康日本21の第一次のときと、第一次の最終評価のときと状況を比較し、この10年間の進捗状況を把握するというものがございました。前回も単純集計のスライドに、第一次の最終評価の際の結果を参考に記載させていただいて比較しておりましたが、第一次の比較という観点で、一部計算方法の修正がございましたので、改めて提示させていただきたいと思っております。3ページの資料になります。ここには健康日本21(第一次)の最終評価のときと同じ質問をした項目の結果を並べております。
市区町村票の計算結果でございますけれども、今回の調査におきましては、まず初めに健康増進計画を策定しているかどうかという質問をしておりまして、調査に回答いただきました1,369市区町村のうち、「健康増進計画を策定している」と答えた市区町村が1,289市区町村でございました。その後の質問につきましては、「健康増進計画を策定している」と答えた1,289市区町村を分母として、割合を算出しておりました。ですので、48ページ目以降につけております前回お示ししました単純集計に関しましても、健康増進計画を策定している1,289市区町村を分母とした結果になっております。
一方、第一次のときのアンケート調査では、初めに「健康増進計画を策定していますか」という質問をしておりませんでしたので、健康増進計画を策定している、策定していないにかかわらず、調査に回答いただいた全ての市区町村を分母として割合を求めていたという結果になっております。その点におきまして違いがございましたので、比較という点で今回の調査の結果を計算し直しまして、3ページ目にまとめているということになります。
上半分が今回の結果、下半分、オレンジの枠が第一次のときの結果となります。上半分、今回の結果は、単純集計のときとは算出方法が異なりますが、「健康増進計画を未策定」と答えた80市区町村も分母に含む形で計算し直したものになります。結果の方向性としましては、前回お示しした結果と大きく変わらず、「庁内に部局横断的な組織体制がある」という質問では、第一次の25%から今回は61%と大きく上昇しており、また「健康増進計画の評価を行う体制がある」、「実際に中間評価等の評価を行った」という質問においても、第一次からの改善が見られ、この10年で体制整備が進んできたところかと考えられました。以上3ページ目、計算方法の修正について、はじめに御説明させていただきました。
続きまして4ページ目以降、今回、追加で行いました集計について御説明させていただきたいと思います。初めに、市区町村票の都道府県別の集計でございます。都道府県別の集計結果に関しまして、まず都道府県別の回答率をお示ししておりますが、一番回答率の低いところで富山県、福岡県が60%、一方、山梨県や愛媛県では100%と回答率自体にも差が見られますので、これからお示しします一部の結果には、回答率の差も影響している可能性はあるかと思います。
5ページ目が、調査に回答した市区町村のうち健康増進計画の策定の状況です。回答した市区町村の中では策定率100%という都道府県が多いという結果でございましたが、健康増進計画を策定していないところが調査に回答していないことも考えられるかと思います。
続きまして、6ページ目、健康格差を把握している市区町村の割合でございます。最も低いところで28.6%、最も高いところで静岡県の88%と約3倍程度の差が見られました。
7ページ目が有識者との連携の有無です。ここから先は「健康増進計画を策定している」と答えた市区町村にのみ聞いている質問で、策定していると答えた1,289市区町村を分母としております。「大学の公衆衛生学教室等の有識者と連携しているか」という質問で、52ページ目にお示ししますとおり、全体としての結果は26.5%の市区町村が連携していると回答したという結果でございましたが、都道府県別に集計しますと、7ページ目にお戻りいただきまして、6.3%と1桁のところから、60%台のところまで大きな差が見られました。
8ページ目の外部委託の利用に関しましても、全体としましては52ページの結果のとおり、40.4%の市区町村が「利用している」と回答していますが、都道府県別に見ますと、5.9%から80%台と大きな差が見られております。外部委託に関しましてはこれまでにも御意見をいただいておりますとおり、外部委託に丸投げになってしまっているところから適切に利用できているところまで、外部委託の在り方が様々あるかと思いますので、一概によい、悪いとは言えないところではございますが、このように差が見られたという結果になっております。
続きまして、9ページ目、「都道府県または保健所から有用な支援を受けている」と答えた市区町村の割合を都道府県別に集計したものになります。こちらはまず52ページを御覧ください。前回お示しした結果ですが、都道府県に、「市区町村に技術的支援を行ったか」という質問をしますと、83%の都道府県で「支援している」と答えているのに対しまして、市区町村に対しまして、「都道府県や保健所から有用な支援がありましたか」と質問しますと、「有用な支援があった」と答えた市区町村が42%にとどまり、都道府県と市区町村の結果で乖離が見られるという結果でございました。
この質問につきまして、市区町村の結果を都道府県ごとに集計しております。9ページでございますが、まずオレンジのバーが「市区町村に対して技術的支援を行っていない」と答えた都道府県、青のバーが「市区町村に対して技術的支援を行った」と答えた都道府県でございます。
全体のまとめとしましては10ページ目にお示ししますとおり、技術的支援を行った都道府県では、管内の市区町村の42.5%が「有用な支援があった」と回答しているのに対しまして、下の段、そもそも技術的支援を行っていない都道府県では、管内の市区町村の38.4%が「有用な支援があった」と答えております。確かに都道府県で有用な技術的支援を行ったところのほうが、「有用だ」と受け取っている市区町村の割合は多いですが、9ページのグラフの青、オレンジ、どちらの都道府県におきましても大きな差が見られておりまして、都道府県が行っている技術的支援と、市区町村が求めている支援の間に乖離があるのかということが推察されます。
続きまして、11ページ目に移りたいと思います。その他、都道府県ごとに集計を行ったものとしまして、研修の機会の提供の有無や、12ページ目、在勤者への健康増進施策に関しましても、都道府県間で差が認められるという結果となっております。
最後、特定健診(国保分以外)の活用の有無につきましても、都道府県別に集計しております。こちらは、特定健診(国保分以外)の活用に関しましては、市区町村ごとにそれぞれ対応できるようなものではなく、県単位で活用する体制があるようなところで活用できているのではないか、という御意見のもと集計させていただいたものでございます。確かに0%から56.3%と都道府県間で大きな差が見られているところですが、全体的に低いという印象でございました。
続きまして、市区町村の人口規模別の集計を行っております。14ページ目以降になります。人口100万人以上、20万人以上、3万人以上、3万人未満の4つの区分に分けて、結果を集計しております。青の人口100万に以上の都市はn数が10ですので、御参考に御覧いただければと思いますが、他の3つの区分と比べて黄色の人口3万人未満のところでデータが落ちているといった項目が幾つかございました。例えば「大学の公衆衛生学教室等、有識者と連携した」ところや、「民間企業等の外部委託を利用した」ところに関しまして、3万人未満の市区町村では、他と比べて割合が半数程度に落ちているという結果になっております。
15ページ目は計画の策定・評価に用いているデータですが、青の人口100万人以上の都市のみで割合が少し高く、その他の区分では低いという結果がいくつか出ておりますが、いずれの区分におきましても、特定健診(国保分以外)の利用の割合はかなり低いという結果になっております。
続きまして、16ページ目、健康増進計画の評価の状況でございます。100万人以上、20万人以上、3万人以上、3万人未満と人口規模が徐々に小さくなるにつれて少しずつデータが落ちているという結果になっておりました。「健康増進計画の評価を行う体制がある」や「これまでに中間評価等の評価を行った」、また、「PDCAサイクルを回す体制がある」という項目で徐々にデータが落ちている傾向が見られます。
17ページ目、健康増進の取組に対する推進体制に関しましてもほぼ同様の結果で、「庁内に部局横断的な組織体制がある」や「研修の機会を提供した」、また最後の「在勤者に対する健康増進施策を行っている」という項目につきましても、人口規模が小さくなるにつれて概ねデータが落ちていっているという結果でございました。
18ページ目でございます。庁内で連携して施策を行った部門を見ております。御覧いただきますと、黄色の3万人未満の区分でデータが落ちているのですが、青の100万人以上の都市でもデータが落ちているという部門がございました。こちらは、大き過ぎる都市では連携しにくいということ、また一番小さい区分では連携がしやすいのではないかと思われますが、連携を行わなくても取組が行えるという点で、連携する必要性が感じられていないために連携が少ない、ということもあるのかと思われ、青と黄色の区分で割合が落ちているという結果でございました。
ここから先、19ページ目以降でございますが、ここまで人口規模別に集計を行ってまいりましたが、人口規模別だけではなく、保健所設置市かそうでないかで分けた集計をしたほうがいいのではないかという御意見をいただきまして、幾つかその結果を提示しております。
19ページ目、「大学の公衆衛生学教室等、有識者と連携した」や「民間企業等の外部委託を利用した」といった項目で、保健所設置市の方が割合が高いという結果になっております。一方、「都道府県や保健所から有用な支援があった」につきましては、オレンジで示します保健所設置市以外で多いという結果でございました。
続きまして、20ページ目、策定・評価に用いているデータでございます。青のバーの保健所設置市で割合が高い項目と、オレンジのバー、保健所設置市以外が高い項目とそれぞれございますが、保健所設置市、保健所設置市以外、いずれにおきましても、特定健診(国保分以外)のデータ活用についてはかなり少ないという結果になっておりました。
健康増進計画の評価の状況を21ページ目にまとめております。青の保健所設置市において、保健所設置市以外よりもいずれの項目も少しずつ割合が高いという結果になっております。「健康増進計画の評価を行う体制がある」、「中間評価等の評価を行った」、「計画の見直しを行った」、「PDCAサイクルを回す体制がある」、いずれも保健所設置市の方が割合が高いという結果になっておりました。
22ページ目、取組に対する推進体制に関しましても同様でございまして、保健所設置市で少しずつ割合が高いという状況になっております。「部局横断的な組織体制がある」や、「各種検診やイベント、広報活動などを行った」という項目に関してそのような傾向が見られました。また、「在住者ではなく在勤者に対する健康増進施策を行っている」に関しましては、保健所設置市で76.5%、保健所設置市以外で38.4%と大きな差が見られているところです。
最後、庁内で連携して施策を行った部門を聞いております。いずれも、青のバー、保健所設置市でやや連携の割合が多いという部門が多いのですが、特にスポーツ部門でしたり、経済・産業部門で大きな差が見られたという結果になっておりました。
ここまでが保健所設置市、保健所設置市以外に分けた集計でございまして、ここから先は幾つかクロス集計を行っております。クロス集計の結果、何かすごく新しい発見があったということではなかったのですが、差が見られたものについて幾つかデータをお示ししております。
まず24ページ目、公衆衛生学教室等との連携があったか、なかったか、また外部委託を利用したか、利用していないかに分けて、一体的に作成した計画の割合を見ております。一番大きな差が見られたものとしましては、外部委託のありなしで、食育推進計画が一体的に計画されている割合に、63.7%と44.7%という差が見られました。
25ページ目が庁内で連携して施策を行った部門のデータですが、いずれの部門も、公衆衛生学教室等の有識者との連携あり、また外部委託の利用ありにおきまして、有識者との連携なし、外部委託の利用なしと比べ、少しずつ連携の度合が高かったという結果になっております。
26ページ目が、一体的に作成した計画と庁内で連携して施策を行った部門を見ております。列ごとに見ていただきまして、連携を行った割合が高いものを緑、低いものを赤に着色しております。参考になりますが、例えばスポーツ推進計画と一体的に計画しているようなところでは、スポーツ部門との連携も高いですけれども、スポーツ部門だけではなく、教育部門や福祉部門との連携も高いという結果になっておりまして、庁内で連携を行っているようなところに関しましては、どこか1つの部門との連携だけではなく、全体的に連携していただいているところもありそうという印象も受けました。
27ページ、クロス集計の最後でございますが、特定健診データ(国保分以外)の活用の有無による在勤者への施策の差を見ております。特定健診データ(国保分以外)を利用しているところでは、連携がうまくいっており、在勤者への施策も多く行われているのではないかという予測の下で行いましたクロス集計でございます。結果は一番下にお示ししておりますとおり、特定健診データ(国保分以外)を利用しているところで、在勤者に対する健康増進施策を行っているところが45.8%、国保分以外を利用していないところでは40.4%と確かに少し差は見られましたが、劇的な差ではなかったという結果でございました。
最後に、自由記載欄のまとめになります。ここからはボリュームがありますので、代表的なところだけピックアップして御説明させていただければと思いますが、特に力を入れて実施した取組や、この10年間に健康増進計画、健康増進の取組を進めるに当たって見えてきた課題や改善点、また今後、国に求める支援等を質問しております。特に力を入れて実施した取組の中からは今後、好事例を見つけまして、先ほどの資料2の特徴的な取組として紹介できればと思っておりますが、少しご紹介させていただきますと、31ページ目、都道府県、市区町村票からの回答をまとめたものですが、健康日本21(第二次)では扱っていない領域としましては、働き盛り世代への取組が幾つか見られました。こちらは職域への取組等と併せて、引き続き進めていかないといけないところかと思います。その他、庁内での連携や、大学との連携等、連携に関する取組の記載が見られました。
続きまして、見えてきた課題・改善点についてですが、33ページを御覧いただければと思います。国としましても、課題と思っているものと概ね同じような御意見をいただいているかと思いますが、健康格差の縮小に関する課題や、健康無関心層へのアプローチ等は、都道府県でも課題と認識されているようでございました。また、働き盛り世代に対するコメントはこちらの課題のところでも多く見られております。
最後に、今後、国に求める支援についていくつか紹介したいと思います。
37ページ、都道府県が国に求めている支援をまとめたものでございますが、データの提供や仕組みの改善、技術的支援、指標の考え方の共有、財政的支援などが書かれているところでございました。
38ページ目、市区町村に関しましても枠組みとしては同様ですが、計画の予算を確保できない、調査に係る予算が年々厳しくなってきている等財政的支援を求めるもの。また、最新の知見や方向性等についての研修や助言を受ける機会が欲しい、評価指標の設定やデータの入手方法などを知りたいといった技術的支援を求める声、またアンケート調査票のひな形があるといいというお声もいただいております。また、多く見られたのが、データの提供に関してのコメントでございまして、国から市区町村別のデータを提供してほしい、すぐに使えるデータを提供してほしいというようなお声も多くいただいております。
以上簡単ではございますが、代表的なところをピックアップして御説明させていただきました。またお時間がありますときに御覧いただければと思います。
資料3につきましては、以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、資料3の説明につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。吉村先生、どうぞ。
○吉村委員 大変膨大な検査の結果、ありがとうございます。少し私の理解があれなのかもしれないですけれども、質問の目的とか意義について少し分かりにくい部分があります。何回か出てくるのですが、「有識者の連携の有無」という項目、それから「外部委託を利用した」と回答した割合についてということが、割と問診のアウトカムについて何回か出てくるのですが、この調査の目的としては、有識者と連携しているほうがいいという立場、あるいは民間に外部委託したほうがいいという立場で問診票をお作りになったのでしょうか。実際に結果を聞いてみると、寺井先生からも丸投げにしているようではいけないというようなこともあったかと思うんですけれども、そもそもアウトカムのほうにどのような立場で参加しているのかが分かりにくい。この2つについては特に分かりにくいので、少しお教えいただければと思っております。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。今、非常に多くの方から手が挙がっていますので、少しまとめてから事務局にお答えいただくようにしたいと思います。
では、次に澤田先生、その後に福田先生、お願いします。
○澤田委員 ありがとうございます。貴重な資料を提供していただいて、とても参考になります。
計画の策定に用いたデータの御紹介もありましたし、また、データ提供のニーズもあるということですけれども、今後の課題として考えていただければと思いますが、データも計画の策定に非常に有用だと思いますし、データ以外にも計画の策定に用いるためのガイドライン、指針やファクトシートを厚生労働科学研究として作成している研究班があるかと思います。例えば身体活動・運動分野ですと、身体活動指針としてアクティブガイドを作成しています。また中村委員の研究班が作成された喫煙に関するファクトシートを参考に、現在、新たにファクトシートを作成していますが、健康日本21に関係して作成されたガイドラインやファクトシートを利用しているかどうかを調査していただければと思います。
また資料2の中で、今からでは遅いかもしれませんが、どのようなガイドラインや、指針、ファクトシートがつくられたということをリストアップする方法もあると思いました。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。続きまして、福田先生、お願いします。
○福田委員 ありがとうございます。福田でございます。私からは3つほどコメントいたします。
まず分析方法ですが、今回、人口規模別、保健所設置の有無別に分析されております。私も歯科口腔保健事業の取組について同じような分析を行っているのですが、市町村を種類別に分析すると大きな差が見られています。例えば指定都市、中核市・特別区、それから保健所を持っていない市町村での人口規模別で分析すると、一定の傾向が見られております。例えばそういう分類での分析も可能であるということが1つです。
もう一つは、今回、有識者の有無別の分析を実施されていますが、私ども歯科の取組を見ますと、PDCAを回すための取組、例えばここで言うと部局横断的な組織体制があるかないか、あるいは評価を行う体制があるかないかという観点で分析すると、小さい市町村においても、事業実施割合に違いが見えていましたので、PDCAを回すための取り組みという観点から追加分析もやられたらどうかというコメントです。
それから、最後のコメントですが、小さな市町村では有識者との連携がなかなか取りにくいと報告されていました。小さな市町村では、有識者、あるいは大学との連携が非常に難しいと感じております。市町村側の努力もありますが、口腔衛生学会や公衆衛生学会などの関連学会の取組も必要かと思います。関連学会におかれましては、ぜひ市町村を支援するような体制づくりを強調していただければ思っております。以上です。
○辻委員長 羽鳥先生、お願いできますか。
○羽鳥委員 日本医師会、羽鳥です。
9ページ目に都道府県別、市区町村の有用な支援の有無で、島根と鳥取が6%と93%という極端な差で、同じような規模の自治体で、何でこのような差があったのか、もし考察があれば教えていただきたいことが1点。それから、先ほど100万以上の都市はしかないので、統計解析上数が少ないので解析できないというお話がありましたけれども、これは統計解析上問題があると言うなら、例えば政令都市すべてで比較するのはいかがでしょうか。それから最後に、データベースを積極的に御自分で解析したい都道府県、市町村があるということだったので、これをぜひ皆さんでやっていただくのはいいと思うんですけれども、その手法として、もちろん単純なるt-検定ではいけないような場合もあると思いますので、正しい統計手法をきちんと教えられるような仕組みを教育する仕組みをつくるのはいかがでしょうか。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、吉村先生、澤田先生、福田先生、羽鳥先生の4名の先生から御質問、御意見がございましたので、事務局でまとめてお答えいただけますか。
○寺井健康課長補佐 ありがとうございます。まず吉村先生に御指摘いただいた有識者との連携や外部委託の利用について、どういう意図で聞いているのか、またアウトカム、結果として何かあるのかという御質問に関しまして、有識者との連携に関しましては、大学等の公衆衛生学教室等と連携している都市におきまして、健康増進計画がうまくいっているような例もございますので、そういった意味で連携していただけるといいのではないかという思いもあって聞いております。また、外部委託に関しましては、先ほども少し申し上げましたとおり、外部委託に丸投げしているところから、マンパワー不足をうまく補っているところまで様々あろうかと思いますので、国として一概によいとも悪いとも言えないという状況ではございますが、実態としてどのようになっているかを把握するために、今回質問させていただきました。
実際、有識者と連携しているところとしていないところでの比較、外部委託を利用しているところとしていないところの比較等に関しましては、正式に比較した結果としてのアウトカムの比較までは把握できていない状況と思っております。
澤田先生の御質問に対してお答えしたいと思います。ガイドラインや指針など、またファクトシートなどをデータ以外にも利用しているかどうか聞いてはどうかという御指摘でございまして、今回の調査を踏まえていろいろ課題が出てきているところでございます。次期プランを策定した際にも、またその後の調査等を行うことになろうかと思いますので、次期における調査に向けて適切に引き継いでいきたいと思います。また、ガイドラインや指針のリストアップ等についても、今後検討させていただければと思います。
続きまして、福田先生にコメントをいただきましてありがとうございました。市区町村の種類別で、政令指定都市、中核市、特別区、保健所設置市でない市町村といった人口規模別に分けて集計を行うと、大きな差が見られるのではないかという御意見、検討させていただきたいと思います。また、PDCAサイクルを回す体制があるところとないところで結果の違いが見られたということに関しましても、検討させていただければと思います。
また、小さい市町村では有識者との連携が取りにくいということに関しまして、国でも今後、都道府県と市区町村の在り方についてどのようにしていくのかなどを検討していくところかとは思っておりますが、関連学会等の支援も大事だろうという御指摘、それらも踏まえて、今後の体制について検討していければと思います。
最後、羽鳥先生からいただいた御指摘でございます。島根県と鳥取県の違いにつきましては、隣の県で大きな差が見られていることに関しまして現在これ以上の精査ができていないところでございまして、なぜかということをお答えできないところではございます。今後、検討させていただきたいと思います。
また、データベースを御自身で解析したいというような自治体に対しまして、正しい手法を示していくべきではないかという御意見、承りました。今後、次期プランに向けて、どのような形で自治体に対する支援を行っていくかということに関しても検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○辻委員長 それでは、津下先生、お願いします。
○津下副委員長 ありがとうございます。健康増進計画については、国の21、そして自治体がどのように計画を立てて動いていくかということが非常に重要で、この調査の意義は大きいと思います。一方、47都道府県で策定された計画、研究班の中で全て集めてみました。どのような計画を立てているか、体制、指標構造など意外とばらついているということが分かりました。自治体の委員の考え方、知事からの方針、また新しいものを取り入れよう当、様々な事情で多様であるという状況にあります。ということで次期に向けてですけれども、今後、都道府県計画などを一堂に集めてお互いに参照できるとか、または参考となる計画といいますか、先ほどどういうのが理想的な計画かと考えたときに、モデルになるような計画の抽出などもしていけるといいのかと思いました。今回お示しいただいた調査も重要ですけれども、実際にリアルでどのような計画が策定され、どのように動いているかということを収集し、分析するような仕組みも必要かと思いました。市町村になると非常に数が多いですけれども、市町村では実際に取組が難しい領域分野がございます。規模別に、または保健事業にかかっている義務の強さ別に何を優先していくかというのを、小さな自治体で実施可能な優先順位づけも一方では必要かもしれないと思います。この結果から次期に向けたヒントが得られるかと思いました。
それから22ページで、保健所設置市とそうではない市の中で、在勤者に対する健康増進施策に差があったということがありました。保健所設置市は、2次医療圏ごとに地域・職域連携協議会を持つようにというようなガイドラインもあって動いているところが多いのかもしれないですが、一方では市区町村においても、在勤者における健康増進の仕組みが必要と感じているところが多かったと。この結果を見て、地域・職域連携の今後の在り方についてもより議論を深めていくことが必要ではないかと感じたのです。
この調査結果、健康日本21は全体をまとめていますけれども、それぞれの分野にどう情報を発信し、各計画とかプランに反映させていくか、この出口といいますか、どのように反映していくのかということについても御検討いただければと思いました。以上です。
○辻委員長 今3名の方から手が挙がっていますので、そこで打切りにさせていただきます。
では、若尾先生からお願いします。
○若尾委員 ありがとうございます。2点確認させてください。
1点目は、外部委託等の状況を出されているのですが、例えばこの事業に関する予算規模について何かデータは取れているかということと、その中で外部委託に回せるものはどのくらいかということ。あと、恐らく支援が求めるリソースとして、有識者か、外部委託か、都道府県という3つが可能性としてあると思うんですけれども、そこのどこに期待しているかというのは、多分、自治体の規模によって予算規模も違うし、求める先も違ってくるのではないかということで、もしその辺のデータがまとまるようだったら、まとめると面白いかと思いました。
それと本当に素朴な疑問ですが、19ページの保健所設置の有無によるところで、一番下の「都道府県または保健所から有用な支援があった」ということで、これは保健所設置がないほうが有用な支援があったという状況なのですが、この支援が都道府県の支援か、保健所の支援かを分けてデータを取られているか、そこが分かれば教えてください。以上です。
○辻委員長 長津先生、お願いします。
○長津委員 手短にですが、いろいろ様々なデータを見せていただきましたが、その中でばらつきが非常に目立つのが、先ほど羽鳥委員から御質問があった件と、あと13ページかと思うのです。このようにばらつきがあるところのデータですが、限りなく少ないという回答パーセントと、0.0というのはこれ何かが違うのかもしれないと思います。回答が0%というのは何か強い意思があってゼロなのかもしれません。何がゼロである原因なのかを考えていくと、こういう都道府県格差を埋める何かなのか、あるいはその県はそもそも特定健診データを用いる必要がないと強く思っているのかということも少し理解したほうがいいかと思います。財政規模によっての差は多少見て取れるようなところがありますけれども、私自身はこの財政規模による差というのは、この格差は今後何か埋めていくことを強く考えていく必要があるかと思っていますので、その辺を御検討いただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○辻委員長 最後に鎌田先生、どうぞ。
○鎌田委員 ありがとうございます。確認です。資料3の29ページに、特に力を入れて実施した取組の2つ目のところ、「健康を支え、守るための社会環境の整備」に関する取組の中で事業所やまちづくりに力を入れたと書いてあるのですが、一方、参考資料4の11ページに、この計画策定において重要だと考えた項目で、「健康を支え、守るための社会環境の整備」のところでは、地域のつながりの強化が2.1%であったり、健康づくり、まちづくりに関して、国民の割合の増加とか企業登録者数の増加が12.8%、またその下のほうになりますが、住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加が4.3%と非常に少ない状況にありますので、これは今後しっかり取り組むべき課題かと思っております。資料3の今後の取組のところに、そういったところが少し漏れているのかと思いました。好事例を収集されるに当たりましては、例えばそこの保健師等がしっかり地域をつないで、つなぎ先をしっかり熟知しておりといったところで好事例の施設があれば、そういったところを参考、好事例として掲載していただけたらと思いました。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
では、今、津下先生、若尾先生、長津先生、鎌田先生から貴重な御意見をいただきました。事務局からお答えをお願いします。
○寺井健康課長補佐 ありがとうございます。まず、津下先生からいただきました御意見でございまして、47都道府県等でどのような健康増進計画を作っているかをまとめられたところ、様々であったということで、今後、どういったものを自治体が作っているか参照できるような仕組みや、収集・分析する仕組みがあった方がいいのではないかという御意見。また、市区町村において何を優先していくのか、実施可能なものの優先順位づけ等を国でも行っていくべきではないかという御意見に関しまして、今後、次期プラン策定に向けて検討していくところかと思いますので、いただいた御意見も踏まえて検討させていただきたいと思います。
22ページの地域・職域連携につきましても、保健所設置市かどうかによって、2次医療圏ごとに地域・職域連携の協議会を持っているか、持っていないかということもある中で、市町村においてもニーズがありそうだというご指摘に関しまして、また、調査の結果、今後それぞれの分野に何をどう発信して利用していくのがよいのかということに関しても、検討していければと思います。
若尾先生にいただいた御質問でございますが、外部委託に関して、事業に関する予算規模を調査しているかどうかにつきましては、予算規模は調査していないというお答えになり詳細は分からないところでございます。今回の調査からは見えてきませんが、今後予算といった観点も含めながら検討していければと思います。ありがとうございます。
また、19ページの自治体、都道府県または保健所からの支援についてですが、こちらも保健所と都道府県、どちらからの支援だったかということは聞いておりませんので、今回の調査からは分からないと考えております。今後調査を行う際には、どこからの支援かといったことの把握も含めて検討したいと思います。
長津先生からいただきました御意見でございまして、財政規模による差について今回のデータからは見えてこないところもございますけれども、今後、それらも含めて検討させていただきたいと思います。
最後、鎌田先生からの御意見でございますが、社会環境の整備に関する結果に関しましては、参考資料4のとおり、前回お示ししたようなデータになろうかと思いますが、実際に社会環境の整備に関する取組を重要だと考えている自治体がとても少ないというデータがあるところで、取組を行っているところの好事例などを見つけて紹介できるといいのではないかという御意見は御指摘のとおりかと思います。社会環境の整備に関しましては、まだ国の計画の指標としましても、どういった指標が良いか定まっているものではなく、これからどのようにしていくのかということを検討していくところでもあるかと思いますし、どのような取組を行っていくのかに関しても検討していくところかと思っておりますので、先生御指摘のように好事例等も検討しながら、今後について検討していければと思います。ありがとうございます。
○辻委員長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、21世紀の健康づくり運動全体のとしての評価につきまして、事務局から資料4、資料5の御説明をお願いします。
○寺井健康課長補佐 第4章は「21世紀の健康づくり運動全体としての評価と次期国民健康づくり運動プランに向けての課題」という章になりますが、その前半部分、この20年間の振り返りにつきまして、資料4、資料5を用いて御説明させていただきます。資料4がパワーポイント形式の関連資料、資料5が素案の記載を抜き出したワード形式の資料になります。
まず、資料4を御覧ください。現状のところは簡潔にご説明したいと思いますが、健康日本21(第二次)作成時にも、推進に関する参考資料の初めに日本の健康をめぐる現状・背景を、グラフ等を用いてまとめておりました。健康日本21(第二次)開始時から約10年が経過したということで、現在の状況を改めてグラフでお示ししました。最終的には健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料と同様に文章でまとめたいと思っておりますが、本日は更新しましたグラフのみスライド形式でお示ししております。
ざっとご説明したいと思いまが、3ページ目、死因別に見た死亡率の推移や、(4ページ目を画面に投影)平均寿命の推移のグラフで、平均寿命について日本は男女ともに最高水準を保ってきております。また(5ページ目)、OECD加盟国における肥満の割合の推移のグラフで、一番左を見ていただければと思いますが、日本は2015年まで肥満の割合はやや低下しておりましたが、2019年にかけて少しまた増加しているという状況でございます。
続きまして、7ページ目が平均寿命の将来推計ですが、現在まで順調に伸びており、この後も伸びていくという推計となっております。また、それに伴いまして、(8ページ目)人口構造の変化として高齢化、少子化が、健康日本21(第二次)が始まりましたときよりもさらに進んでいるという状況になっております。(9ページ目)高齢化の状況は国際的にも問題となっているところでございますが、日本では他の国よりもさらに高齢化が進んでいるという状況でございます。
その他、(10ページ目)国民医療費の推移や、(11ページ目)生活習慣病の医療費に占める割合、また(12ページ目)介護が必要となった主な要因などについてまとめておりまして、いずれも約10年前と方向性としては大きく変わらないかと思っております。
少し飛ばしまして、15ページ目、16ページ目に非感染性疾患の危険因子と外因による死亡数について示しております。こちらに関してましては、2007年のデータを前回使っておりましたが、最近新しいものがパブリッシュされておりますので、更新した資料も掲載させていただきました。(15ページ目)最近のデータでは高血圧、喫煙、高血糖、高LDLコレステロール等のリスクが上位に来ているところでございます。
また、生活習慣病のリスク因子以外の要因も含めまして、我が国における疾病負荷の推移を2013年、2019年と17ページ目にお示ししております。
その他、(18ページ目)所得と生活習慣病に関する状況や、(19ページ目)都道府県別の肥満及び主な生活習慣の状況につきまして、健康日本21(第二次)開始時にありましたグラフを更新する形で資料を更新いるところでございます。
ここまで簡単に現状を御紹介しましたが、ここからは資料5を使いまして御説明させていただきたいと思います。
今ご紹介しましたような健康をめぐる状況を踏まえまして、国内外の健康づくりに関する動向ですが、資料5の1ページ目、2ページ目に国際的な公衆衛生の流れを簡単にまとめ、3ページ目以降に日本の健康づくり運動の流れをまとめております。
1ページ目、下半分でございます。国際的な公衆衛生の流れにつきまして、1段落目は健康日本21(第二次)作成時にまとめた記載となりますが、その後を少し書き足しております。日本の中だけではなく、国際的にも高齢化や感染性疾患から非感染性疾患への疾病構造の変化、医療費の高騰などが課題となってきているところかと思います。これらの課題を通し、予防・健康づくりの重要性はますます高まってきました。1980年代からは、予防は個人のみで実現できるものではなく、社会環境の整備や資源の開発が必要であることも指摘されるようになってきております。
2ページ目、21世紀の健康戦略として、1986年に出されたオタワ憲章以降、代表的な文章や宣言を幾つかお示ししております。
これらの文章や宣言の中で、記載されてきました健康をめぐる概念としまして、健康の社会決定要因 Social Determinant of Healthや、Implementationへのアプローチ、部局横断的な取組 Health in All Policies、コミュニティーの役割強化などが言われてきているところかと思います。また、2015年に国連で採択されました持続可能な開発目標、SDGsは「誰一人取り残さない」を基本理念としまして、国際社会が2030年までに貧困を撲滅し、持続可能な社会を実現するための指標でございますが、保健分野に関しましても、「全ての人に健康と福祉を」が目標とされているところであります。
以上、キーワードのみ書かせていただきましたが、最終的には文章としてまとめていきたいと思っております。過不足があろうかと思いますので、ぜひ先生方の御意見を賜れればと思います。
国際的な公衆衛生の流れにつきましては、資料4の24ページ目から、委託事業で調査しましたまとめを載せておりますので、御参考に御覧いただければと思います。
続きまして、国内の健康づくり対策につきまして、資料5の3ページ目以降にまとめております。我が国の健康づくり対策は昭和53年から始まっておりますが、第1次、第2次の健康づくり対策を経て2000年、平成12年からは第3次の国民健康づくり対策として、健康寿命の延伸と生活の質の向上を目的とし、1次予防の観点を重視した健康日本21の第一次が展開されてきました。第一次の健康日本21におきましては、健康づくりの支援のための環境整備や具体的な目標設定と評価、多様な実施主体の連携などが盛り込まれました。第一次の計画期間中、平成15年には健康増進法が施行され、平成23年度からはスマート・ライフ・プロジェクトが開始しております。
第1次、第2次、第3次の健康づくり対策に関しましては、健康日本21(第二次)策定時に参考資料の中でまとめたものを引用し、今回は第4次健康づくり対策としての健康日本21(第二次)の部分を書き足しております。
3ページ目、一番下の記載になりますが、健康日本21(第二次)では、21世紀の我が国において少子高齢化や疾病構造の変化が進む中で、生活習慣及び社会環境の改善を通して、子どもから高齢者まで全ての国民が共に支え合いながら希望や生きがいを持ち、ライフステージに応じて健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を実現し、その結果、社会保障制度が持続可能なものとなるよう、国民の健康の総合的な推進を図るための基本的な事項を示し、健康づくりを推進してきました。生活習慣病の予防、社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上等により健康寿命を延伸し、また、あらゆる世代の健やかな暮らしを支える良好な社会環境を構築することにより、健康格差の縮小を実現するということを最終的な目標としております。
4ページ目にございます第1次から第3次の健康づくり対策のまとめに続く形で、5ページ目に健康日本21(第二次)のまとめを作成しております。健康日本21(第二次)では、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を最終的な目標としまして、5つの基本的な方向に沿って、具体的な53項目の目標を設定しております。第一次に引き続き健康寿命の延伸を目標としておりますが、この間に健康寿命は政府の各種計画のKPIとしても取り上げられるようになり、厚生労働省の枠を超えて政府の目標として位置づけられ、各省庁との連携の取組も進んできたところかと思います。
健康日本21(第二次)では、その他、目標の設定や評価、調査や研究の推進、連携や協力体制、また正しい知識の普及などに関しての考え方が記載されておりますが、例えば健康日本21の第一次は局長通知でしたが、第二次においては大臣告示に具体的な目標が明記されるようになり、目標に関してより実効性が高められてきました。また、連携・協力体制としましても、日本健康会議など、健康日本21の第一次からより進化した方向で進んできたかと思われます。保険者における健康づくりや他省庁連携の他、データを活用した健康づくりもこの10年で進んできたところかと思いますので、記載して取りまとめております。こちらの表に関しましても過不足があろうかと思いますので、ぜひ先生方の御意見をいただき、加筆修正していきたいと思います。
資料4の21ページ目を御覧いただければと思います。今お示しした資料5の4ページ目、5ページ目の記載に加えて、法律、計画、指針等も盛り込んで、1次から4次までの健康づくり対策を一枚にまとめておりますので、参考に御覧いただければと思います。
そのまま資料4の34ページ目以降を御説明させていただきたいと思います。3.その他の中の「健康」関連のメディア報道件数の推移について御説明いたします。20年間の健康づくりを振り返る中で、国民の意識の変化についても検討してはどうかということで、簡単ではございますが、事務局でメディア報道件数について調査してもらいましたので、その結果をお示しします。
35ページ目が、NHKで「健康」という言葉が含まれる放送番組の件数です。結果を見ますと、健康日本21が始まった平成12年以降増加傾向にあり、この結果だけを見ますと、国民の健康に関する意識は高まってきたとも言える結果でございました。
しかし一方、次の36ページでは新聞全国4紙の「健康」というキーワードを含む記事件数を検索しておりますが、全体として平成20年頃までは増加傾向にも見えるものの、その後、横ばいから、直近ではやや低下傾向で推移しております。このグラフでは「健康」というキーワードのみで検索した結果をお示ししておりますので、より具体的な健康に関する単語を含めて検索すればまた違った結果になることも考えられます。
37ページは、新聞4紙で「健康寿命」を検索した結果になります。平成25年頃から増加傾向のようですが、特に健康寿命の平成28年値を公表した平成30年でピークという結果でした。
また、38ページ目には、「健康日本21」について新聞4紙で検索した結果をお示ししております。こちらは健康日本21(第一次)が始まった頃に一時的に増加しておりますが、第二次の開始時期には僅かに掲載されたのみという結果でございました。
最後に、近年はSNSでの情報発信も広がってきているところですので、ツイッターでも同様の検索をしていただいております。平成27年以降の結果になりますが、「健康」及び「健康寿命」の件数は増加傾向です。詳細までは調べられておりませんので分かりませんが、「健康」のキーワードの直近の増加にはコロナの影響もある可能性があるかと考えます。
40ページ目以降は参考資料になりますが、スマート・ライフ・プロジェクトの調査におきましても認知度調査をしておりまして、「スマート・ライフ・プロジェクト」の認知度や「健康寿命」の認知度は近年上昇傾向でありました。これまでの調査の結果と併せ、健康に関する意識は高まってきていると考えられる結果でもございました。
一方、国民健康・栄養調査におきまして、食習慣や運動を改善する意思があるのかといった意識調査を行っておりますので結果をお示ししております。いずれも平成元年の国民健康・栄養調査の結果で、41ページ目が食習慣の改善意思に関する結果、42ページ目が運動習慣改善の意思に関する結果でございます。
食習慣におきましては、やせ、普通、肥満に分けた解析や、塩分8グラム未満8グラム以上に分けた解析を行っている中で、改善が必要な層においても、改善する意思がないというような回答や、もしくは改善する必要がないと考えているという回答も多く、健康に関する意識という観点では、無関心層の問題が見えてくる結果であるのかと思われます。
また同様に、42ページが運動習慣改善の意思を見た結果でございますが、こちらも同様な結果でございました。こうした結果も含めまして、国民の健康意識についてまとめていければと思います。
資料4、資料5につきまして、事務局からは以上でございます。
○辻委員長 どうもありがとうございました。
それでは、資料4、資料5の説明につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。若尾先生からどうぞ。
○若尾委員 ありがとうございます。私からは2点ございます。
1つは現状で、資料4の14ページ、3大死因の年齢調整の減少のところで、減少していることはもう当然なのですが、ここで大事なのは、前のほうのページにはあるんですけれども、諸外国との比較をしないと、この現象がほかに比べてしっかりと減少しているのか、減少が足らないのかという評価ができなくて、それをしないと、日本でどこの疾患に対する対策を強化しないといけないということが見えてこないと思います。前のページはいろいろ諸外国の比較を出しているので、それを出していただくのがいいのではないかと思います。
もう1点は、これはなかなか難しいと思うのですが、今の情報の部分で、確かに健康の情報は増えているんですけれども、一方、その中でエビデンスに基づかない情報が特に近年非常に増えていて、インフォデミックの状態になっている中で、単に情報が増えたからいいということではなくて、増えている情報の中でどういう情報が、正しい情報がどのくらいあるか。あるいは検索エンジンをかけたときに、検索で当たるものでちゃんと正しい情報を当たっているかという視点で評価しないと、ウェルク(WELQ)問題等もございまして少しは改善されているんですけれども、もともとの情報自体、特にSNSなどでは間違った情報が多くある中で、ただ国民の健康の関心が増えればいいのではなくて、先ほどもお話がありましたが、ヘルスリテラシーを身につけていただくようなことをしないと、いろいろな誤った情報に振り回されてしまうところがあると思います。なので難しいと思いますが、情報の質まで何か評価するようなことを今後考えていただければと思います。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。では、澤田先生、次お願いします。
○澤田委員 ありがとうございます。
先ほどの若尾先生のお話とも関係するのですが、資料4のその他のメディアの報道件数の部分ですけれども、厚生労働省としてe-ヘルスネットを持っておられて、その充実に取り組まれていると思いますので、例えば資料2の中の特徴的な取組のようなところにe-ヘルスネットの充実、あるいはホームページの改正といったものを入れられてもいいかと思いました。受けるだけではなくて、厚生労働省自らが発信されている部分ですので、もっと前面に出してと思います以上です。
○辻委員長 では、羽鳥先生、お願いします。
○羽鳥委員 日本医師会、羽鳥です。
資料4の15ページ目、2019年版のNCDの死亡のことですけれども、今回新しい統計ができてよかったと思うのですが、ここの4番目に高LDLコレステロール血症が出てきて、実臨床に近くなってとてもありがたいです。その一方で、特定健診の保健指導に相当するのをやるときには、HDLと中性脂肪、腹囲でLDLが入っていません。次回の特定健診の見直し作業でもされてはどうでしょうか。実臨床にかなっている高LDL血症をもう少し重視していただいてもいいのかと思います。
昔はLDLの算定が非常に不安定だからということで、欧米のように計算式で求めたりとかがありましたけれども、最近のLDLは各社見ていましても、日本医師会でやっている精度管理を見ても、非常に精度が上がっていると思うので、ぜひ御検討いただければと思います。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。では、西村先生、お願いできますか。
○西村委員 北海道大学名誉教授の西村と申します。
私、今日はどこで発言しようかと実は迷っていたことですけれども、ちょうど国際的な潮流と日本の動向といったデータが出てきたので、この場で質問というか提言をさせていただきたいと思うんです。ともすれば日本は世界から学ぶことばかりで、そして日本ではどうかこうかということで国内的に非常に緻密な議論をするのですが、今回、この健康日本21(第二次)の委員をやらせていただいて、日本が厚労省を中心にこういった活動をしていることは大変すばらしいと思ったんです。日本は世界に先駆けて高齢化社会を生きているわけで、先ほどのデータでも示されたように、健康寿命で見ても、あるいは余命、寿命で見ても、世界の最先端を行っている国の一つだと思います。
そういった意味では、情報発信することがとても大事で、今回の活動も全部を英訳するのはもちろん大変だろうと思うのですが、この中の大事な部分、日本がどういうことをして、超高齢化社会に向かっているかを情報発信するということは大変重要だと思ったんです。ですから、あくまでも提言として聞いてほしいのですが、今回の活動のまとめの文書のキーになるところ、大事なところを英訳して、世界に発信して、こうやって日本は超高齢化社会に対して向かっているんだということをぜひ発信してほしいと思います。
以上です。これは提言だけです。
○辻委員長 ありがとうございました。
では、今、若尾先生、澤田先生、羽鳥先生、西村先生から貴重な御意見いただきました。事務局からお答えをお願いします。
○寺井健康課長補佐 若尾先生の御質問、御指摘からお答えしたいと思います。まず初めに、資料4の疾病が減ってきているところ、諸外国との比較が必要ではないかという御意見を承りました。どこまで調べられるか分かりませんが、今後まとめていく上で検討させていただければと思います。
また、御指摘いただきました情報がエビデンスに基づくものかどうか、正しい情報であるかどうかという、ヘルスリテラシーについての御意見は御指摘のとおりかと思います。今回の調査ではそういったところまで調べられていないところではございますが、次期プランを策定していただく上で国としてどのように情報発信していくか、どのような在り方があるかについても今後検討していくことになるかと思いますので、次期への課題と受け止めさせていただければと思います。
続きまして、澤田先生の御指摘でございます。e-ヘルスネットの充実や、ホームページの改正等に取り組んだことを資料2に入れてはどうかという御意見、ありがとうございます。ぜひ検討させていただきたいと思います。
羽鳥先生のLDLのリスクが高くなっている、上位に上がってきているということに関しまして、特定健診・特定保健指導におきましてはHDL、トリグリが重視されているが、実臨床に沿ったものになるよう検討してほしいという御意見、今後、特定健診の見直しにつきましては、保健局とも連携しながら進めていくところですので、特定健診の見直しとも適切に連携しながら検討していければと思います。ありがとうございます。
最後に西村先生からの御意見で、日本が世界から学ぶのもいいけれども、日本からの情報発信も大切ではないかという御意見、御指摘のとおりかと思います。平均寿命、健康寿命とも世界最上位クラスで来ておりますし、高齢化も世界に先駆けて進んでいるところでございまして、日本でどういう取組が行われているかということに関して発信していくのも大事かと思います。最終評価の英訳に関しましてはすぐにお答えできませんけれども、今後検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、今4名の先生方から手が挙がっていますので、順次お願いしたいと思います。まず、津下先生から。
○津下副委員長 ありがとうございます。津下です。
「健康寿命」という言葉がもともと健康日本21の中で最上位目標として挙がって、それが政府全体、内閣府の骨太にも取り入れられ、ほかの省庁の目標にもなったという経緯が非常に重要だと思っております。これはほかの国にもアピールできることでもありますし、そこをきちっと伝えていくことが重要かと思いました。
 ソーシャルメディア、投稿数で、「健康寿命」については伸びている、順調に伸びているということがあります。また、恐らく「健康経営」という言葉も伸びていると思います。それに比べると、残念ながら健康日本21は山が見られない状況のまま来ているのかということで、寂しい気がしております。国民の健康づくり運動として健康日本21をどう浸透させるのか、課題感も残ったかと思います。健康経営って経営者が何をするかが明確であったり、健康寿命というと、それぞれの人が関心のある「寿命」という言葉に、健康寿命いいよねというような共感に基づくと思うんですけれども、「健康日本21」という言葉はやや大き過ぎて、何か国民運動としてしっくりくるところまで行かなかったのかと思います。今後、国民健康づくり運動としてどういうスローガンというか、どういう使い方をしていくのかというのが課題かと思いました。感想めいていますけれども、もう少し数が上がってくるような、せめてこの見直しのときに山が増えるように、発信していくことも必要かと思いました。以上です。
○辻委員長 吉村先生、お願いします。
○吉村委員 吉村です。ありがとうございます。
細かいことですけれども、資料4の12ページ、要介護度別に見た介護が必要となった主な原因の下に、「生活習慣病」と「加齢に伴う原因」と分けて書いてくださったのがあるのですが、私の認識では、例えば骨折・転倒などの原因となる骨粗しょう症も生活習慣病ですし、関節疾患も生活習慣病というふうな位置づけがなされております。生活習慣病のほうも当然ながら加齢に基づいて増えてくる病気もありますので、このようにクリアカットに分かれるものではないと自分の中では認識しているのですが、厚労省の御認識としてこういうふうに書いているのでしょうか。もしそうだとすると影響が大きいので、少しお教えいただければと思っております。
それから、先ほどお話に出たNHKで言葉がどんどん増えてきていると、とても喜ばしいことだと思うのですが、私の認識では、高齢者の人の割合が増えてきて、テレビを見ている層が少しずつ高齢に寄ってきているので、恋愛だの何だのよりも健康だという人が増えているのではないかというのがありまして、かなりバイアスがあるのかと。SNSの結果と併せて評価するのがいいのではないかと思っております。これはコメントです。以上です。
○辻委員長 山本先生、お願いします。
○山本委員 日本歯科医師会、山本でございます。資料4とか5、我々としては大変参考になる資料で、ありがとうございます。
その中で資料4の先ほどのNHKの件ですが、ここの「健康」ですけれども、ぜひこれに「歯と口の健康」とかいうようなキーワードのものを加えていただいて、35ページ、36ページ辺りでやっていただけると我々はもっと参考になると思いますので、御要望でございます。よろしくお願いします。
○辻委員長 ありがとうございます。では、長津先生。
○長津委員 薬剤師会の長津でございます。
今の歯科医師会の先生とも至極同意するところで、実はここが「薬」というキーワードだったらどうなのかと思っていたのですが、それはそれとして、35ページのNHKにおける「健康」という言葉が上昇してきたというのは、吉村委員がおっしゃっていたとおりだと私も思います。NHKの顧客の対象が高齢化してきているのが、ここに出ているということであるのか。そして36ページの4大紙ですけれども、これはまさしく新聞社の性格がここに出てきているだけかという気がします。
また37ページで、急落してきている「健康寿命」のキーワードですけれども、これはまさしく新型コロナによって健康寿命どころの騒ぎではないところかなどと思いますし、あらゆる世の中の状況によって報道のキーワードの数は変わってくると思います。その中で、国民が健康に関心を持っているのだということが非常に大切なことだと思う。その指標としてはSNSなのだろうと思います。ただしSNSが是か非かというところ、情報がエビデンスに基づいていないものが氾濫しているというのも事実であります。これはゆゆしき問題である一方、国民が健康に関心を持っているというそのもの自体の指標には、数は比例してくるのかと思いますので、これが正しいというデータは欲しくないですけれども、ただ、SNSの健康に関する記事の数というのは一つの指標になると思いますので、もし可能であればその辺も御検討いただきたいと思います。以上です。
○辻委員長 若尾先生。
○若尾委員 2回目なので手短に。先ほど津下先生のお話を伺って思ったのですが、健康日本21で、第一期、第二期、第三期というのは非常に分かりにくいと思うんです。それに比べて、ヘルシーピープル2000、2010、2030というのはいつの活動なんだと分かるので、その辺のネーミング、あるいはニックネームでもいいので何か考えていただくと、より伝わりやすいかと思いました。以上です。
○辻委員長 では、事務局、お答えをお願いします。
○寺井健康課長補佐 ありがとうございます。初めに吉村先生からいただきました御質問で、生活習慣病と生活習慣病でないものの境目をどのようにしているのかでございますが、今回、生活習慣病とさせていただいておりますのは、健康日本21(第二次)の告示の中の「生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCDの予防)」のところで、生活習慣病として挙げられている「がん、循環器疾患、糖尿病及びCOPD」を生活習慣病としてくくりまして、そのくくりで記載しているところでございます。
また吉村先生、長津先生にも御指摘いただきましたNHKの調査について、高齢化の影響があるのではないかという御指摘はごもっともかと思います。SNSの調査と併せて、適切に評価していければと思います。
続きまして、山本先生の御意見、御要望ですが、「歯と口腔の健康」に関しても検索をということでございました。今回調査いたしましたのは「健康」というキーワード、及び「健康日本21」、「健康寿命」というキーワードだけでの検索でございまして、「健康」に関してはもっと健康に関するその他のワードも含めて検索すると、また違った結果にはなるのかと思いますが、時間の関係上、今はここまでとさせいただいております。今後少し検討させていただきたいと思います。
最後、長津委員に御指摘いただい2点目でございます。SNSの情報発信についてエビデンスのありなしはあるだろうが、健康に関する関心という点では一つの指標になるのかという御指摘、ありがとうございます。先生方にいただきました御意見を踏まえまして、NHKやSNS、また新聞4紙についての調査をまとめていければと思います。
御意見、御指摘ありがとうございました。
○辻委員長 どうもありがとうございました。
では、このセッションについてはこれくらいにしたいと思いますけれども、最後に私から1つだけ。西村先生の御意見で、海外への情報発信というお話がございましたが、実は健康日本21(第二次)で基本的な方針は全て英語訳されて、厚生労働省のホームページに載っているんです。仮訳という形になっていますけれども、あれの経緯としては、第二次ができたときに、我々は健康日本21を支えるような研究班をさせていただいていたのですが、その研究班の仕事として英語訳をしたという経緯があります。それを厚労省の方にベリファイしてもらったという経緯がありますので、今回の最終評価、特に平均寿命の延び以上に健康寿命が延びて、不健康な期間が短縮しているということは、実はこれは非常に国際的なニュースになり得るような話ですので、ぜひ何らかの形で進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
では、次に移りたいと思います。資料6、新型コロナウイルス感染症の影響についてということで、事務局から御説明をお願いします。
○寺井健康課長補佐 最後から2つ目の資料になりますが、新型コロナウイルス感染症の影響について、資料6で御説明させていただきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の影響に対する各領域の課題につきましては、資料6の2ページ目以降に各領域における御評価をコピーする形で参考にまとめておりますけれども、各領域の御評価の中でも、各領域御担当の先生方に、影響及び課題を記載いただいているところでございます。今回はその中から全体に係るものを資料の1ページ目にまとめさせていただきました。
最終評価におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響や課題までをまとめまして、これらの影響や課題を踏まえて、今後どのような健康づくりをしていくべきかに関しましては、夏以降に議論を行います次期プラン作成委員会で御検討いただければと思いますので、本日は影響、課題というところまでをまとめさせていただきます。簡単ではございますが、幾つか記載させていただいております。
新型コロナウイルス感染症の影響としまして、まず1つ目に個人に対する影響があろうかと思います。個人の生活習慣の変化としまして、活動自粛による身体活動の低下、食生活、喫煙・飲酒量の変化、これは増えた人も減った人もいると認識しておりますけれども、こういった生活習慣の変化や生活習慣の悪化の懸念。また労働時間、睡眠状況等の変化、これにはテレワークの増加なども関与しているかと思われます。また、社会参加の減少、インターネットの活用なども、個人に与えた影響として特徴的なところかと思います。その他、マスクの着用、手洗い、手指消毒の広がりなど、新しい習慣が広がったということもあるところかと思います。
個人に対する影響としましては、外出自粛による医療機関受診控え、治療頻度の低下や中断、健診・検診受診控え等につきましても、この一、二年言われるようになってきたところでございますので、書かせていただきました。
また、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクとしまして、健康日本21(第二次)でも扱っております生活習慣病領域のCOPD、糖尿病、高血圧症、心疾患、また、肥満や禁煙等が挙げられているところでございまして、これらの対策が新型コロナウイルス感染症対策にもなってくるということもあろうかと思います。
令和2年の1ポイントでの結果になりますけれども、人口動態統計におきましては、新型コロナウイルス感染症による死亡以外の死亡、肺炎やインフルエンザ等の呼吸器疾患等を含めました死亡の減少が見られたという結果もございました。
新型コロナウイルス感染症の影響の2つ目としまして、新型コロナウイルス感染症の拡大が浮き彫りにした社会の課題という観点が挙げられるかと思います。もともとあった社会の課題が、新型コロナウイルス感染症によってより大きくなってきたのではないかというところでございます。感染症拡大による格差拡大の可能性、自殺者増加の懸念、子供・女性の問題、孤立・孤独の深刻化等が挙げられるかと思います。
新型コロナウイルス感染症の影響の3つ目としまして、行政サービス、特に保健行政の変化、医療機関・介護施設等の変化があろうかと思います。保健事業の縮小や、新型コロナウイルス感染症の診療が通常診療に与える影響等といった変化、またこれらの縮小から、その後にオンラインの利用等の新しい方法によって活動が再開されてきているということもあろうかと思います。オンラインの浸透としては、オンライン通いの場やオンライン保健指導などが挙げられるかと思います。
最後、その他のコメントとしまして、新型コロナウイルス感染症の影響は時期によって異なるため、次期プラン作成においては、今後の状況も考慮して検討が必要ではないかという御意見もいただきました。
以上、とても簡単ではございますが、新型コロナウイルス感染症の影響について簡単にまとめさせていただきました。事務局からは以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、資料6の説明につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。西村先生、お願いします。
○西村委員 西村でございます。
死亡数の減少ということを項目に入れていただいたのは大変よかったと思うので、これはコメントとしていただきたいと思うんですけれども、御存じのように、幾つかの先進国では、コロナによって超過死亡が起こることによって、むしろ平均寿命も短くなったという国が幾つかある中で、日本はコロナで亡くなっている人はもちろん気の毒ですけれども、それ以外の肺炎は1万人以上減ったりとか、COPD、ぜんそく等の増悪も減ったりとか、健康面で、恐らく国民のマスク着用とか手洗いとか、衛生に関しては非常に意識が高まったということ等々を含めて、世界に誇るデータだったと思うんです。
こういったことは国民にも多く知らしめるべきであって、ある意味ネガティブばかりのことを強調するよりも、ポジティブな面、そしてコロナから学ぶこと、つまり我々が健康に関する注意を払うことで、これだけ呼吸器のほかの疾患を減らすことができる。呼吸器だけではなくて、循環器等々も減っています。そういったことが起こるんだということを国民に知らしめることがとても大事なので、国民に自信を与えることにもなりますし、先ほど来述べている海外に知らしめるという意味でも、世界に誇るデータだと思うんです。そういったことをきちっと記載することはとても大事だと思いますので、願わくば、ここに1行入れるだけではなくて文章として、その辺をコメントとして加えていただいたほうがいいのではないかと私は個人的に思っています。以上です。
○辻委員長 では、中村先生、どうぞ。
○中村委員 ありがとうございます。西村先生から非常に前向きな御意見をいただいたと思うのですが、私は1点だけ、報告書全体に共通することですが、新型コロナウイルスをどの程度書き込むかという点についての確認です。今は箇条書程度になっているんですけれども、できれば文章化されると思って期待しているのですが、その際にエビデンスを踏まえて記述するというスタンスが必要かと。この報告書ではできれば国内のエビデンス、数は多くないですがそれらを中心として、海外のエビデンスも必要なものは紹介するというスタンスでまとめていただけるといいのではないかと思いました。以上です。
○辻委員長 続きまして、瀧本先生、お願いできますか。
○瀧本委員 ありがとうございます。コロナの影響は非常に多岐にわたっていると思うんですけれども、私ども国民健康・栄養調査の集計、解析業務を担当しておりますが、保健所への業務負担が非常に大きかったこともございまして、この2年実施ができていないところがございます。今後もこういった感染症の流行というような、日本の社会全体を巻き込むような事態を鑑みますと、最近のテクノロジーを導入して、こういった特殊な状況下での人々の食事の状況、あるいは健康状態の状況を何らか把握を容易にするような枠組みも今後検討すべきではないかと思いましたので、意見を述べさせていただきました。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。では、津下先生、お願いできますか。
○津下副委員長 ありがとうございます。津下です。
浮き彫りにした社会の課題についてですけれども、今回は情報へのアクセス格差が、ワクチンの申込みにしても、いろいろなことが情報へのアクセス能力による格差がかなり出たのかと思いました。どうやって情報を届けるか、アクセスの問題で適切な行動が取れないことがあるような事象について、触れていってはどうかということ。また、このような緊急事態ですと行政が十分に機能しない場合もあり得るということで、地域コミュニティーやそれぞれの支え合いという仕組みの重要性も再び浮き彫りになったのかと思った次第です。ですから情報アクセス、間違った情報が非常に広がったり、あおるような報道が広がったりというときの健康情報の提供の仕方についても、問題が起こったのかと思っています。
今回はコロナウイルスですけれども、例えば健康危機下ということで、災害時にそれぞれ日本ではいろいろな経験をしてきているので、そういう知見も一度整理しておいたほうがいいのかと感じた次第です。以上です。
○辻委員長 では、以上4名の先生方から御質問、御意見をいただきましたので、事務局からお答えをお願いします。
○寺井健康課長補佐 ありがとうございます。まず初めに西村先生からの御指摘ですが、超過死亡が増えている国が多い中で、日本では肺炎やCOPDの重症化などを含め死亡率が減って、超過死亡が減っており日本が世界に誇れるデータではないかということ、そういったポジティブな面も含めて情報を発信していくのがいいのではないかという御意見、承りました。今後どのようにまとめるか検討していきたいと思いますが、文章としてまとめていくことになるかと思いますので、そうした観点も踏まえながらまとめていければと思います。
中村先生からの御指摘の、文章化する際にエビデンスを踏まえて、国内外のエビデンスを紹介する形でまとめてはどうかという御指摘、ありがとうございます。少し調査・勉強等させていただきまして、エビデンスに基づく形で書けるところは記載していけるよう検討したいと思います。
瀧本先生からの御意見でございます。国民健康・栄養調査が2年連続で実施できていない状況で、また今後も感染症の流行等があり得る中で、どのように情報を把握していく仕組みを作っていくのかということに関しましてご指摘いただきました。国民健康・栄養調査中止の現状も踏まえ、今後次期に向けて、どのような形でデータを取っていくかにつきましては、検討していく課題かと思いますので、課題として受け止めて、今年の夏以降、次期プラン作成委員会の中でぜひ御議論いただきたいと思っております。
最後、津下先生からの御指摘としまして、浮き彫りにした課題として情報アクセスへの格差の問題や、また地域コミュニティーの重要性、また災害時の知見についても整理してはという御意見、ありがとうございます。情報アクセスの格差の問題やコミュニティーの支え合いの重要性などは御指摘のとおりあろうかと思いますので、そうしたことも踏まえて検討しまとめていければと思います。また、災害時の知見に関しましては、コロナウイルスの影響と併せまして、今後、次期に向けてどういう健康づくり対策プランを作っていくのかにも関わってくる形になろうかと思いますので、最終評価としてどこまでまとめるかまた検討させていただきたいと思いますけれども、御意見をいただきまして、ありがとうございます。
○辻委員長 続きまして、福田先生、お願いします。
○福田委員 ありがとうございます。コロナ感染症の拡大は、行政サービス、たとえば歯科口腔保健事業におきましても、大きな影響を与えたと認識しております。乳幼児期から高齢期まで、幅広い事業が延期あるいは中止になっておりましたが、現在はだんだんと正常化しつつあります。
その一方で学校保健の現場、例えばフッ化物の洗口などは、なかなか感染拡大前の状況まで正常化していないということも聞いております。形を変えての実施もあろうかと思いますが、感染症対策の充実と併せて、正常化へ向けての取組についても必要だということも強調いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○辻委員長 長津先生、お願いします。
○長津委員 資料6の3ページぐらいに、別表第三の「こころの健康」というところがありますが、以前も申し上げたとおり、心の健康は軽視しがちなところで、ここに書かれているのは良いのですが、一方、その次の別表第三(2)の「次世代の健康」とも絡むのですが、今、新型コロナの影響で子供さんの自律神経失調症が非常に増えているのが実感されます。このことは今まで考えにくかったのですが、まさしく今の世の中が招いた結果ですので、その辺りをどう整理していくかというのも一つ考えなければいけないということ。
それからコロナに関して言えば、厚労省の人が一番理解していると思いますが、とにかく感染者に対してどのように医療を提供するかというのは、今まで考えられなかった方法というか、想定していなかった。局地的な震災は今まで幾つも経験しましたが、日本全国が災害に見舞われたという今、この中で医師会の先生方も、歯科医師会の先生方も、我々、薬剤師会もいかに医療を提供するかというところで、今まであり得ない方法を取ってやってきている。このことの知見が後々何か生きてくるのかもしれないので、ここも少し整理しておく。ただ、これはこの会議の本旨にそぐわないかもしれませんが、極めて重要な日本国内の問題だと思いますので、その辺りを含みおきいただきたいと思います。以上です。
○辻委員長 山縣先生、お願いします。
○山縣委員 ありがとうございます。2点あります。
最初は、先ほどもありました超過死亡に関してでありまして、たしか2020年度は過少死亡であったということですが、新しいデータでは、2021年に入ると4月、5月とむしろ超過死亡で、これがコロナによる死亡だけではなくて、医療逼迫によるものとか、恐らく今後、ステイホームによるボディーブローのような形で、様々な生活習慣病が増えてきたり、がんの早期診断が少なかったという報道なども含めて、これから影響が出てくるような気がしますので、その辺りを何らかの形できちんと見ていく必要があると思いました。
それから2点目ですが、今お話しいただきましたように、子供の心の問題は本当に非常に重要で、今後現場でも、最近、小児科領域ではバイオサイコソーシャルな診療ということで、体のことだけではなくて、心とか社会的状況も含めて、医療面でもフォローしていかなければいけないということがありますので、この辺りもどこがどういうふうにして現状を把握していくのかといったようなことは共有しておいて、もしもないようであれば、何らかの研究班等々が必要になってくるのではないかと思いました。以上です。
○辻委員長 それでは、羽鳥先生、西先生からいただいて次に移りたいと思いますので、よろしくお願いします。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。
今回のコロナは皆さん大変苦労されたし、医師会も苦労しました。今回のコロナ通して、医療の在り方が10年先に進んだということを意識して、否定的な考え方ももちろんあるのは承知ですけれども、よくなかったという面も承知ですが、医療の今後10年先をにらんだ医療提供の在り方、保健所の在り方、医療提供の在り方もそうです。オンライン診療もその辺を含めて、少し何か提言ができるほうがいいのかと思います。感染症は定期的に何か起きる、100年前のスペイン風邪もそうですし、10年前、2009年の新型インフルエンザ、豚インフルエンザもそうだったし、またコロナでない別のものもはやってくるかもしれない。そういう災害医療を含めた、パンデミックなことは常に意識しておかなければいけないので、そういう意味では、公衆衛生の在り方を提言していくことも大事だろうと思います。
それからもう一つ、コロナに関して言うと後遺症、1年前にコロナにかかって延々と引きずっている。もちろん肺線維症になられてしまったような方もおられるし、血栓症の方もそうですけれども、味覚、嗅覚障害の方、メンタルな面や後遺症がかなりあると。コロナは普通の風邪だと言う人がおられますけれども、やはりちょっと違うんだろうという、それはどこかで捉え直してほしいと思います。
それから、中村先生が御指摘の禁煙とコロナの関係で言えば、昨日、静岡で行われました禁煙医師の会で、相模原医師会の鈴木仁一先生が保健所の3,000名ぐらいのしっかりしたデータ、オッズ比とかそういうのを出されているのがありますので、禁煙関係に関してかなりデータが出てきているのではないかと思いますので、それをぜひ取り込んで発表していただければと思います。以上です。
○辻委員長 西先生、どうぞ。
○西委員 心の健康を担当しております西です。
今回、あまりエビデンスがまだ日本ではっきり出ていないということで、心の健康のところに記載しなかったのですが、今、羽鳥先生からも御指摘がありましたように、罹患後症状が非常に重要なところで、特にコロナ罹患後の方に鬱、不安がすごく多いということが海外で指摘されておりまして、日本でのエビデンスはまだ十分に出ておりませんが、重要性という観点からは、そのような記載も追記したほうがよいかと思いました。また機会をいただけましたら、私のほうで追記させていただきたいと思いました。
○辻委員長 では、事務局からお答えをお願いします。
○寺井健康課長補佐 ありがとうございます。初めに福田先生からいただきましたコロナによる調査等の中止・延期などに伴い、正常化についても検討していく必要があるのではないかという御意見、ありがとうございます。そのような観点も踏まえて検討していきたいと思います。
長津先生から子どもの健康や、医療提供体制の重要性などについてご意見いただきました。次世代の健康につきましては、山縣先生とも相談させていただきながら、また母子保健課とも適宜に連携しながらどう整理していくか検討していきたいと思います。また、医療提供体制につきましては、メインは医政局での検討になろうかと思いますけれども、健康づくりも関係する計画と連携を取ってと考えているところでございますので、適切な情報共有等を連携していければと思います。
山縣先生に御指摘いただきました超過死亡のデータにつきまして、今回、令和2年度の人口動態統計のワンポイントのデータとして資料6に書かせていただいております。実際に肺炎やCOPDの重症化などの呼吸器疾患に関しては減っているところもあるかと思いますけれども、先生の御指摘のとおり、今後ステイホームの影響等も出てくるところかと思いますので、そういった影響については少し長い目で見ていかなければいけないのかと思います。御指摘いただきまして、ありがとうございました。また、子どもの調査に関しましては、母子保健課で一部やっているところがあると伺っておりますので、こちらも連携して情報共有いただきながら把握していければと思います。
羽鳥先生にいただきました御意見でございます。医療、保健所、オンライン診療等も含めて、今後の在り方についても提言していく必要があるのではないかということ。今回最終評価におきましては、コロナウイルス感染症の影響や課題についてのみ簡単にまとめておりますが、今後もまた感染症等のパンデミックが起こる可能性も考えまして、今後どのように健康づくりの中に取り入れていくのかという観点は、次期プランに向けて考えていかなければいけない課題の一つかと思います。今後、検討していきたいと思います。
後遺症の問題につきまして、羽鳥先生、西先生から御意見をいただきました。各領域の中で記載いただけるところについてはまた御相談させていただきながら、後遺症についても検討させていただきたいと思います。
また羽鳥先生、静岡県の相模原医師会のデータについて御紹介ありがとうございます。少し調べましてまた御相談させていただくかもしれませんので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○辻委員長 どうもありがとうございました。
それでは、最後になりますが、資料7、次期国民健康づくり運動プランに向けての課題につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○松村女性の健康推進室長 事務局から説明させていただきます。資料7、次期国民健康づくり運動プランに向けての課題について(案)という資料を御確認ください。こちらは推進会議でも以前に御説明させていただきまして、その後に2月2日の栄養部会でも御確認いただきまして、その御意見を踏まえて反映しておりますので、反映させた箇所について説明させていただければと思います。
1ポツ、これまでの健康づくりの中で申しますと、2つ目のポツ、健康日本21では「一次予防の重視」を基本方針としていたこと。また、2013年から開始された第二次では「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を主目標として国民の健康づくりを推進してきたというポイントを書き足させていただいております。
また、1ポツのセクションの中の下から3つ目、「直近では」で始まるパラグラフでございますけれども、「ICT技術の発展やデータヘルス改革の進展」の後に、「スマートフォンやウェアラブル端末の普及」も大きな変化だという御指摘がございましたので、追記させていただいております。
続きまして2つ目のセクション、2ポツの次期プランに向けた課題のセクションでございます。最初の丸、「次期プランとして打ち出すビジョンをどのように考えるか」と。こちらを追記させていただいております。
2ページ目に移りまして、上から3つ目の丸でございますけれども、健康日本21(第二次)においての基本的な方向の中で、53項目の指標が設定されていたと。これはこれまでの記載でございますけれども、その後に、「指標を設定する際に参照するデータソースについてどのように考えるか」と追加させていただいております。
またそれ以降、丸を3つ追加しております。1つ目が「中間評価及び最終評価における指標の評価方法について」、そして「指標の設定にとどまらず、目標を達成するための方策についてどのように考えるか」、3つ目、「他計画との整合性・調和・連携についてどのように考えるか」と書かせていただいております。
その次の丸の最後の行でございますけれども、「自治体において、健康増進部局、国保部局、介護部局など健康づくりに関連する部局が複数にまたがっている」という文章の後に、「加えて、自治体内の各部門との連携を進め、健康づくり施策を効果的に進めるための方策をどのように考えるか」とさせていただいております。
それから3つ下の丸、「PHR」から始まるところですけれども、PHRの後に「自治体間でのデータ連携」の重要性も追記させていただいております。
そして、最後になりますけれども、それまで1ポツのところでは触れておったのですが、2ポツの中になかった「新型コロナウイルスの感染拡大による生活習慣の変化を踏まえた健康づくり施策についてどのように考えるか」と。こちらも重要な論点と思いますので、追記させていただいております。
こちら次期国民健康づくり運動プランの具体的な中身に関しましては、夏以降に設置される検討会で御審議いただくことになりますけれども、最終評価の中で上がってきた課題としまして、次期の検討会で御議論いただくに当たっての論点として、抜けや漏れがないかという観点で改めて御意見をいただければ幸いです。
事務局からの説明は以上になります。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、資料7の説明につきまして、委員の皆様から御質問、御意見、よろしくお願いします。横山先生、お願いします。
○横山委員 健康寿命の延伸の考え方についてですけれども、現在は、平均寿命の延びを上回る健康寿命の延びによって不健康期間を短くしましょうという考え方になっているのですが、これに関しまして、前回の推進専門委員会で西村先生から、健康寿命が短ければよいことが強調されると誤ったメッセージにつながることが懸念されるというような御意見をいただいたと思います。
これについて考えていたんですけれども、現在の考え方は、生活習慣病の予防と社会生活の機能の維持向上によって健康寿命を延ばすとなっていて、病気になってからの視点が抜けているかという気がいたします。ですから、健康寿命というのは日常生活に制限のない期間の平均ですから、病気になっても暮らしやすいまちづくりといいますか、日常生活に制限が生じにくいようなまちづくりによって、病気になった後でも健康寿命を延ばすという考え方ができるのかと思いました。今後、健康寿命を延ばす場合に、もちろん国民健康づくり運動なので予防重視ではあるのですが、その後に病気になっても暮らすことができるまちづくりという視点で、健康寿命の延伸を目指すというような方向にしていったらいいのではないかと思いました。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。続きまして、中村先生、お願いします。
○中村委員 2点あります。1点目は、説明いただいた今後の課題ですけれども、真ん中辺りのところに評価方法をどうするか、また目標達成のための方策についてどう考えるかという点がありました。これについては今日御紹介があった都道府県等の自治体のアンケートにも出ていたんですけれども、具体的にその目標を達成するためにどういう方策をしていくか、また目標をどのようにそれぞれの自治体レベルで設定したらいいかというようなことが、困り事として挙がっていました。この点を踏まえて、目標の設定にとどまらず、それを達成する方策について、国の視点だけではなくて、国が立てた次期の計画も踏まえて、各自治体、関係団体が取り組むという点がありますので、自治体及び関係団体を意識した視点でも検討をお願いしたいと思ったのが1点目です。
2点目ですけれども、報告書としての体裁の問題です。事前のレクでも申し上げたのですが、今説明いただいたのが4章の2番の最後のパートになるんですけれども、第1項のところが内容に結構ボリュームがありまして、第2次の最終評価の報告という体裁から言うと、どうかと思いました。4章は20年間の評価と、それから今説明があった今後に向けた課題ぐらいで終わるのが私にとっては自然なまとめ方だと考えます。ほかの先生方の御意見も聞いていただいて、最終検討をいただければありがたいと思いました。以上です。
○辻委員長 大変たくさんの方から手が挙がっていますので、皆さんからお聞きしたいので、できるだけ手短にお一人ずつお願いします。では、若尾先生から。
○若尾委員 2ページの下から6番目のところで、健康づくりに関わる職員にエビデンスや最新の知見を伝えるための情報発信や人材育成の方法について考えるということが書かれていて、ここも大事ですけれども、先ほどから何回も出てきていますが、その先で住民のヘルスリテラシーの向上を大きな柱としないと、幾ら情報を伝えてもそれをうまく読み解いて次の行動につなげられないところがあるので、横断的な課題としてヘルスリテラシーの向上みたいなのを入れるのがいいと思いました。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。福田先生、お願いします。
○福田委員 ありがとうございます。データソースについてのコメントです。保健事業の実施主体である市町村が自ら計画評価できるようなデータソースの設定を、今後は期待したいと思っております。また市町村がこれらのデータソースを的確に評価できる方法も併せて提供いただけれることも期待したいと思っております。
もう1点、共通のリスクファクターへの介入ということがあろうかと思っています。今は分野ごとに目標をつくっておりますが、分野横断的なアプローチや指標もあり得ると思っております。以上です。
○辻委員長 では、羽鳥先生、お願いします。
○羽鳥委員 先ほど横山先生が御指摘された健康寿命の延伸のところで、不健康寿命が短くなればいいのかということですが、まさに本当におっしゃるとおりで、私たちも特定健診、がん検診とかをいろいろやっても、みんな何か御病気があるけれどもその後とても元気に、意欲的に暮らしている方もあるかと思うので、0次予防、1次予防、2次予防の概念も含めて、しっかりした提言をしていくことが大事だと思います。そういう意味では、「健康寿命の延伸」という言い方ではない表現のほうが、第三、次のあれはいいのかと思います。
それからもう一つ、循環器学会から提唱している、これから20年後における心不全パンデミックのことも含めると、正しい国民のヘルスリテラシーがとても大事なことになってくると思います。その一方で高齢者の独り暮らし、先ほども言いましたけれども、健康省エネ住宅などの話で、孤独な高齢者の増加によって、住まい方というのもこれから正しく検討されていくべきだろうと思います。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。では、山本先生。
○山本委員 日本歯科医師会、山本です。
先ほど福田先生もおっしゃっていましたが、今回の最終評価をやるに当たって、歯科疾患実態調査や国民健康調査がキャンセルになったということで、なかなかデータが取れないことがありますので、今後はそういうことが市町村、あるいは都道府県のデータで置き換えることができるようなことを少し考えていただければありがたいと思いました。以上です。
○辻委員長 津下先生、手短にお願いします。
○津下副委員長 ありがとうございます。次期プランとして大きなビジョン打ち出す、私も先ほどの横山先生の考え方に賛成ですけれども、そのようにするためには個人、または個人を支える社会づくり、その目標を自治体だけでいいのか。今は国、都道府県ですけれども、職域という、健康経営という大きな動きがあって、そういう自治体を介さない取組についても十分もっと把握して、それを促進していく。または日本健康会議のような省庁横断的な若しくは民間主導の取組に対してもっと期待してもいいかもしれない。他計画との整合性もありますけれども、課題や対策の中で厚生労働省的にできること、またできないこともたくさん出てくると思うので、他省庁への発信、いろいろなところに自分事として関わっていただくような仕組みを構築していく必要があると思います。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。西村先生、お願いします。
○西村委員 先ほど横山先生が私のかつての発言を覚えていらっしゃったので大変驚いたんですけれども、御提言に大賛成です。健康寿命を延ばすという目標は今回も続けて持ってよろしいのではないかと思うのですが、寿命との間を短くすることが目標に入ってしまうと誤解を招くので、横山先生がおっしゃったように、健康寿命を延ばすことは大目標として続けたとしても、その後、病気がある人、あるいは認知症のある人に対しても、優しいまちづくりとか、優しい社会のありようですね。ぜひそういった理念を入れることで、あえて寿命と健康寿命の間を短くするという文言に関しては除いたほうがよろしいのではないかと思います。
○辻委員長 松下先生、お願いします。
○松下委員 どうもありがとうございます。今までの話とは違ってしまうのですが、飲酒に関しては、日本の場合は飲酒に非常に寛容な風潮があることに対して、飲酒の問題が起きてくると今度は極端に排除し始めるというか、偏見とか自己責任の問題が出てきて、依存の分野ではそれを大変重要に考えています。疾患に対する正しい理解とか啓発、あるいは偏見に関しても触れていただくことができれば幸いに思います。
以上です。ありがとうございました。
○辻委員長 北原先生、どうぞ。
○北原委員 ありがとうございます。自治体の調査の中でも、地域・職域連携が重要だという言葉が幾つも出てきたわけですので、ぜひこの文言の中にも、いろいろな部局との連携のところに、どうしても労働衛生のところは「介護部局など」の「など」の中に入っていると思うんです。ですので、労働衛生の分野の部局の名前も入れていただくと、労働衛生部局の皆さんがより一緒にやっていくという意識づくりになるような気がいたしますので、その点、御検討いただきたいと思ったのと、もう1点は、ある一定年齢層以上の方たちも働きやすくなるようにというような、職域からの視点での課題もぜひ入れていただけるといいかと思います。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
もう大分時間になっていますので、これくらいにしたいと思いますが、一言私から申し上げたいと思います。先ほど横山先生、西村先生のお話で私も非常に刺激を受けたんですけれども、健康日本21が一番最初にできた頃、20年前と今とで大分変わってきているのは、まず1つ、高齢者の数がすごく増えてきている。それから、がんサバイバーと言われる人たちの数がすごく増えてきている。そしてまた、メンタルヘルスに問題のある方も増えてきているということが、大きな変化だったと思います。かつて健康日本21の始まりの頃は、健康な人がさらに健康になるにはどうすればよいか、健康な人が病気にならないためにどうすればいいかというのが健康づくり運動だったのですが、今は何か病気や障害、老化といったことで困難を抱える人も含めて、みんなが生きがいを持って健康に暮らすにはどうすればいいかというふうに世の中が変わってきていると思うんです。
ですから、これは次期の課題になると思いますけれども、そういった病気や障害、あるいは高齢とともに、生きがいを持って社会参加するにはどうすればいいか。そのための方策として、先ほど津下先生がおっしゃったみたいに職場との連携とか、社会参加とか、いろいろなことを考えなければいけないと思いましたので、もう時間を過ぎていますけれども、一言申し上げました。
これにつきまして事務局のほうで、お聞きするということでよろしいですか。特に何かございますか。
○松村女性の健康推進室長 ありがとうございます。健康寿命そのものの考え方を含めて、次期について重要な御示唆をいただいたと思いますので、ご意見を賜った上で次期に向けた考えを深めていきたいと思います。
ありがとうございます。
○辻委員長 ありがとうございます。
それでは、若干遅れてきていますけれども、以上で議論は終了したいと思います。
では、今後の取りまとめ等につきまして、事務局からお願いいたします。
○寺井健康課長補佐 本日いただきました御意見等を踏まえまして、最終評価報告書案を取りまとめまして、次回委員会で御議論いただく予定としております。領域ごとの評価につきましては本日御議論いただきませんでしたが、暫定版として資料9を送付させていただいております。各領域の様式に関しまして、また全体を通しまして、またその他の部分につきましても、御意見がございましたら、いつでも事務局までお寄せいただければと思います。いただきました御意見を踏まえ、省内でも調整させていただいた上で、次回、最終評価報告書案としてまとめていく予定です。
事務局からは以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
では、全体を通して何か皆さんからございますか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の議論はここまでにしたいと思います。本日御意見がありました事項に関しましては、事務局で御検討をお願いしたいと思います。
最後に今後のスケジュール等につきまして、事務局からお願いします。
○松村女性の健康推進室長 ありがとうございます。事務局でございます。
スケジュールの御説明の前に、冒頭御挨拶ができませんでした健康課長から、一言御挨拶をいただきたいと思います。健康課長の佐々木でございます。
○佐々木健康課長 遅参いたしまして、申し訳ございませんでした。健康課長の佐々木でございます。本日の閉会に当たりまして、一言御挨拶申し上げたいと思います。
まずは先生方におかれましては、本日も大変活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございます。
この健康日本21(第二次)についての最終評価でございますけれども、いよいよ終盤を迎えつつあります。昨年6月から評価が始まりまして、そして今月2日には厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会におきまして、進捗状況を御報告申し上げまして、最終報告書の骨子案について御了承いただき、本日、議論の俎上にのせさせていただいたところでございます。
本年の7月頃の取りまとめに向けて、引き続きまたお願いしたいと思っておりますけれども、今日御議論がございましたように、こうした経緯の中で新型コロナウイルス感染症とのクロスオーバーが大変見られたところでございまして、先ほど来、私も御議論を聞かせていただいたところでございます。
こうした中でつらつら思うに、今回のコロナで保健も医療もそれぞれに逼迫いたしました。また、基礎疾患を持っていることのリスクについても、皆様方にかなり御認識をいただいたかと思っています。そうした中で、一方でITの活用とか外部人材の登用といった新たな視点も見えてきた。それから情報提供とか、リスクコミュニケーションの在り方も問われるようになってきた。この辺りが我々の中で共通認識として培われたのではないかと思っております。
その意味では、今後、次期計画も考えていかなければいけないと思っていますけれども、個人個人、一人一人が健康に対する意識、あるいは価値観が変わってきているかもしれない。そこへどうやって行政なり関係機関がアプローチしていくのかという点に思いを致していかなければいけないと思ったところでございます。
本日はコロナに関しては目出しをさせていただきましたけれども、そういったのが何となく我々の深層心理といいましょうか、意識の中にあって、いろいろな御発言につながっていると思っております。計画自体は連続性のあるもので、今計画から次期に向けてということで、次期を踏まえながらの御議論を今もいただいていると思っていますが、この不連続な部分をどうかまた御認識いただいた上で、引き続き御尽力を賜りますようお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
○松村女性の健康推進室長 事務局から続けさせていただきます。次回、第18回健康日本21第(第二次)推進専門委員会は令和4年5月頃の開催を予定しております。今後日程調整を行いまして、後日改めて御連絡を申し上げます。今回の議論を基に最終評価報告書案を作成し、次回委員会で御議論いただきたいと思っております。各領域を御担当の先生方には、評価シートの修正等につきまして改めて御連絡させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○辻委員長 では、本日はこれにて閉会といたします。委員の皆様方、大変活発な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。
以上で閉会といたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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