ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養育専門委員会)> 第26回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録(2019年8月7日)
2019年8月7日 第26回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録
子ども家庭局家庭福祉課
○日時
令和元年8月7日(水)14:00~16:00
○場所
TKP市ヶ谷カンファレンスセンター ホール3D(3階)
○出席者
委員
山縣委員長 | 松本委員長代理 | 相澤委員 | 青木委員 |
安部委員 | 犬塚委員 | 井上委員 | 江口委員 |
熊川委員 | 桑原委員 | 小島委員 | 菅田委員 |
玉岡委員 | 中村委員 | 橋本委員 | 浜田委員 |
平井委員 | 平田委員 | 廣中委員 | 藤林委員 |
宮島委員 | 横川委員 | 吉田委員 | 伊藤代理(北川委員代理) |
事務局
渡辺子ども家庭局長 | 依田内閣官房審議官 | 宮本総務課長 |
成松家庭福祉課長 | 柴田虐待防止対策推進室長 |
○議題
(1)児童虐待防止対策について(報告)
(2)児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律について(報告)
(3)改正法附則第7条第3項に基づく検討について
(4)民法等の一部改正する法律について(報告)
(5)「都道府県社会的養育推進計画」の策定状況について(報告)
(6)その他
○配布資料
資料1 最近の児童虐待防止対策の経緯
資料2 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律の概要
資料3 子ども家庭福祉に関し専門知識・技術を必要とする支援を行う者の 資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループの設置について(案)
資料4 民法等の一部を改正する法律の概要
資料5 「都道府県社会的養育推進計画」の策定状況について
参考資料1-1 児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策のポイント
参考資料1-2 児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策
参考資料2-1 児童虐待防止対策体制総合強化プラン(新プラン)のポイント
参考資料2-2 児童虐待防止対策体制総合強化プラン
参考資料3-1 児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策の更なる徹底・強化について(ポイント)
参考資料3-2 児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策の更なる徹底・強化について
参考資料4-1 児童虐待防止対策の抜本的強化についてポイント
参考資料4-2 児童虐待防止対策の抜本的強化について
参考資料5-1 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律 新旧対照表
参考資料5-2 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律 附帯決議
参考資料6 平成29年度における被措置児童等虐待への各都道府県市の対応状況について
参考資料7 児童養護施設等において子ども間で発生する性的な問題等に関する調査研究結果(概要)
参考資料8 児童虐待防止対策の状況について
資料2 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律の概要
資料3 子ども家庭福祉に関し専門知識・技術を必要とする支援を行う者の 資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループの設置について(案)
資料4 民法等の一部を改正する法律の概要
資料5 「都道府県社会的養育推進計画」の策定状況について
参考資料1-1 児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策のポイント
参考資料1-2 児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策
参考資料2-1 児童虐待防止対策体制総合強化プラン(新プラン)のポイント
参考資料2-2 児童虐待防止対策体制総合強化プラン
参考資料3-1 児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策の更なる徹底・強化について(ポイント)
参考資料3-2 児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策の更なる徹底・強化について
参考資料4-1 児童虐待防止対策の抜本的強化についてポイント
参考資料4-2 児童虐待防止対策の抜本的強化について
参考資料5-1 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律 新旧対照表
参考資料5-2 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律 附帯決議
参考資料6 平成29年度における被措置児童等虐待への各都道府県市の対応状況について
参考資料7 児童養護施設等において子ども間で発生する性的な問題等に関する調査研究結果(概要)
参考資料8 児童虐待防止対策の状況について
○議事
○成松家庭福祉課長
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第26回「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の出欠状況でございますが、奥山委員、林委員、横田委員は御欠席と伺ってございます。
北川委員は御欠席と伺っておりますが、代理といたしまして、伊藤貴啓様にお越しいただいてございます。
さらに、委員の交代がありましたので、御紹介をさせていただきます。
増田委員の後任として就任されました小島委員でございます。
清水委員の後任として委員に就任された廣中委員でございます。
○廣中委員
廣中でございます。よろしくお願いいたします。
○成松家庭福祉課長
森下委員の後任として委員に就任された横川委員でございます。
○横川委員
横川です。よろしくお願いします。
○成松家庭福祉課長
さらに、厚生労働省におきまして、7月9日付で人事異動がありました。少し到着がおくれておりますが、局長には渡辺、審議官には依田、総務課長には宮本が就任しております。
また、虐待防止対策推進室長の柴田でございます。
○柴田虐待防止対策推進室長
柴田です。よろしくお願いいたします。
○成松家庭福祉課長
初めに、お配りしております資料の確認をさせていただければと思います。
配付資料は、右上に番号をつけさせていただいてございますが、資料1から資料5、参考資料は1-1から8というものがついてございます。
資料の欠落等がございましたら、その都度でも結構ですので、事務局までお申しつけいただければと思います。
カメラの撮影は、ここまでとさせていただきたいと思います。
(カメラ退出)
○成松家庭福祉課長
それでは、これより先の議事は山縣委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山縣委員長
皆さんこんにちは。暑いところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
前回が1月16日第25回でしたけれども、そのとき、当時の状況をいろいろ報告を受けたわけですが、その後も、御承知のように、子どもの権利委員会の総括所見があり、児童福祉法の改正があり、残念ながら、お子さんたちが虐待で犠牲になっている状況は続いていると。そんなことがありまして、国でもさまざまな対策をとっておられます。
最初は、そのあたりの最近の状況についての御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○柴田虐待防止対策推進室長
それでは、まず議題1の「児童虐待防止対策について」御説明をさせていただきたいと存じます。お手元の資料1についてご覧いただければと思います。
資料1に、先の通常国会で成立いたしました児童福祉法等の一部改正なども含めまして、主な動きについて時系列で整理をしております。本年1月に開催した本委員会後の主な対策について御説明をしたいと思います。
こちらは、児童虐待防止対策につきましては、この資料にございますように、2016年、2017年の児童福祉法等の改正でございますとか、あるいは、7月の緊急総合対策の策定による対策強化といった類似の取組を講じたところでございます。
他方で、今、座長からもお話がありましたように、本年1月の千葉県野田市の事件など痛ましい事件が繰り返されてしまったということはまことに残念でございますし、事態は大変に深刻に受けとめているところでございます。
本事案を受けまして、ここの中段の下にございます、2019年2月8日に、子どもの安全を最優先に考え、緊急総合対策の更なる徹底強化ということが、児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議で決定されております。詳細は、参考資料3-1と3-2でつけてございますが、主な内容につきましては、例えば、児童相談所で在宅指導をしている全ての虐待ケース等につきまして、1カ月以内に緊急的に安全確認すること等の児童相談所や学校における子どもの緊急安全確認の実施、あるいは、子ども安全を第一に考えて、通告元は一切明かさない。あるいは、資料を一切見せないという新たなルールを設定するなど、要保護児童等の情報の取扱いや、保護者が威圧的な要求等を行う場合には、複数機関で共同対処することなどを、関係機関の連携に関する新ルールの設定。あるいは、その新プランに基づきまして、児童福祉司を2,020人程度増加することとか、あるいは、子ども家庭総合支援拠点を全市町村に設置するなど、児相等の抜本的な体制強化を図ることといった内容になってございます。
さらに、この下から2番目のところでございますけれども、昨今の児童虐待相談件数の急増とか、あるいは、昨年の目黒の事案、先ほど触れました今年の野田市の事案等を踏まえまして、本年3月19日に、児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議におきまして、児童虐待防止対策の抜本的強化をとりまとめた上で、本年6月19日に、児童福祉法等の改正法案を国会に提出しておるということでございます。
児童虐待防止対策の抜本的強化につきましては、参考資料の4-1に添付しておりますので、簡潔に触れたいと思っております。
4-1でございますけれども、児童虐待防止対策の抜本的強化の中でも、特に法律で定めるべき事項につきましては、国会に児童福祉法等の改正法に盛り込んでおります。こちらについては次の議題の2で御説明したいと思います。
法律に定めた事項以外のものとしまして、主な内容を御説明したいと思います。
参考資料4-1の中にございます1ページ目の2のマル1等の乳幼児健診未受診者等に関する定期的な安全確認、あるいは、地域における相談窓口や子育て支援拠点の設置促進等、相談窓口の周知・徹底、学校等における虐待等に関する相談体制の強化などを、児童虐待の発生予防・早期発見。
2ページ目でございますけれども、3の(1)のマル5、新プランに基づく児童福祉司の先ほど触れましたけれども2,000人増等に向けた支援の拡充、あるいは、児童福祉司等への処遇改善などによる児相の体制強化ということ。
そして、3ページ目をお開きいただきまして、(2)のマル3で、一時保護所の環境整備、職員体制の強化なども含めた児童相談所の設置の促進。3の(3)の子ども家庭総合支援拠点や要保護児童対策地域協議会などの市町村の体制強化。そして、(5)の専門スタッフの学校・教育委員会への配置支援や研修等の充実などの学校・教育委員会におけます児童虐待防止対策対応に係る体制強化というところ。
そして、4ページ目でございますけれども、3の(7)のマル2の児相と市町村の情報共有システムの推進などを関係機関間での連携強化。そして、保護支援プログラムに関する支援の拡充や専門人材の養成、児相への警察OBの配置や出向の促進などの警察との連携を強化。そして、4の里親支援拡充などを社会的養育の充実・強化となっているところでございます。
その上で、法律については議題2で説明したいと思いますので、資料1、議題1の説明については以上になります。
○山縣委員長
ありがとうございました。
今の室長のお話の中で、議題2についてはというのがありましたが、ここも関連していますので、あわせて説明をお願いしたいと思います。その後、皆さん方の質問等を受けたいと思います。
○柴田虐待防止対策推進室長
続いて、議題2の「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律について(報告)」で御説明したいと思います。お手元の資料2をお開きいただければと思います。
先ほど議題1でも御説明いたしましたけれども、児童虐待防止対策の抜本的強化の中でも、特に法律で定める事項につきましては、改正法に入れ込んでいるということでございます。こちらの資料で主な項目を御紹介します。
1の「児童の権利擁護」でございまして、体罰禁止及び体罰によらない子育ての推進という観点から、親権者や児童福祉施設の長等による体罰の禁止の法定化。マル2にございますように、都道府県、児相の業務として、児童の安全確保を明文化する。マル3として、児童福祉審議会において児童に意見聴取する場合においては、その児童の状況・環境等に配慮するものとしております。
2の(1)でございますけれども、児相の体制強化等につきましては、マル1の介入担当者と保護者支援の担当者の分離とか、あるいは、マル2の児相におけます弁護士、医師、保健師の配置等を法律に盛り込むということでございます。マル3は、都道府県は児相の行う業務の質の評価を行うことによりまして、その業務の質の向上に努めること。マル4として、児童福祉司の数は、人口あるいは虐待相談対応件数等を総合的に勘案して政令で定める基準を標準として都道府県が定めるものとする。そして、マル5としまして、児童福祉司及びスーパーバイザーの任用要件の見直し、あるいは、児童心理司の配置基準を法定化することによりまして、職員の資質の向上を図る。マル6として、保護者指導の措置を行う場合には、医学的または心理学的知見に基づく指導を行うように努めるもの。マル7としましては、都道府県知事が施設入所等の措置を解除するときの勘案要素としまして、児童の家庭環境を明文化するという規定。
(2)でございますけれども、児相の設置促進の観点でございます。ここに書いてございますように、マル1としましては、児相の管轄区域に関する基準を法定化するということと、具体的には、ここにございますように、児相の管轄区域は、人口その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとする。
マル2としまして、政府は、施行後5年間を目途に、中核市及び特別区が児相を設置できるよう、施設整備あるいは人材確保・育成の支援等の措置を講ずるものとする。その支援を講ずるに当たっては、関係地方公共団体その他の関係団体との連携を図るものとする。
さらに政府は、施行後5年を目途に、支援等の実施状況及び児童虐待をめぐる状況等を勘案して、施設整備、人材確保・育成の支援のあり方について検討を加え、必要な措置を講ずるものとするという規定を盛り込んでいるところでございます。
ページをおめくりいただきまして、(3)の関係機関の連携強化についてです。
こちらは、学校とか教育委員会あるいは児童福祉施設等の職員に対する守秘義務とか、あるいは、DV対策との連携等が規定されているというところでございまして。具体的には、(3)のマル1でございますけれども、要対協から情報提供等の求めがあった場合には、関係機関等はこれに応ずるよう努めなければならないものとする。2として、国及び地方公共団体は、関係地方公共団体相互間と市町村、児相等の間の連携強化のための体制整備に努めなければならない。マル3として、児童虐待を受けた児童が住所等を移転する場合に、その移転前の住所等を管轄する児相長は移転先の児相長に速やかに情報提供を行うことともに、情報提供を受けた児相長は要対協が速やかに情報交換を行うことができるため措置等を講ずるものとするという規定が盛り込まれています。マル4として、学校、教育委員会、児童福祉施設等の職員は、正当な理由なく、その職務上知り得た児童に関する秘密を漏らしてはならないこととするという規定でございます。マル5として、DV対策等との連携でございますけれども、婦人相談所と配偶者暴力相談支援センターの職員については、児童虐待の早期発見に努めること。そして、児童相談所はDV被害者の保護のために、配偶者暴力相談支援センターと連携協力するよう努めるものとするという規定が盛り込まれているところでございます。
3の「検討規定その他所要の規定の整備」についてでございますけれども、マル1につきましては、児童福祉司の数の基準については、児童虐待相談対応件数が過重なものとならないよう、必要な見直しが行われるものとする。
マル2といたしまして、児相職員の処遇改善、あるいは、一時保護所等の量的拡充や一時保護の質的向上に係る方策等に対する国の支援等のあり方について、速やかに検討を加え、必要な措置を講ずるものとするという規定。
マル3としましては、民法上の懲戒権のあり方について、施行後2年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。これは法務省で検討を進めるという予定でございます。
マル4として、一時保護その他の措置に係る手続のあり方について、施行後1年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
マル5としまして、児童の意見表明権を保障する仕組みでございますけれども、児童の意見を聴く機会の確保、あるいは、児童がみずから意見を述べる機会の確保、そして、その機会に児童を支援する仕組みの構築、児童の権利を擁護する仕組みの構築、その他の児童の権利擁護のあり方について、施行後2年を目途に検討を加えて、必要な措置を講ずるものとするということとされています。
マル6でございますけれども、児童福祉の専門知識・技術を必要とする者の資格のあり方その他資質の向上策について、施行後1年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとするということでございます。この規定が、本日の議題3で御説明するワーキンググループに関連するものでございます。
マル7といたしまして、児童虐待の防止等に関する施策のあり方について、施行後5年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
マル8が、通報の対象となるDVの形態や保護命令の申立をすることができるDV被害者の範囲の拡大、あるいは、DV加害者の地域社会における更生のための指導等のあり方について、公布後3年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとするということとされています。
施行期日につきましては、一番下に書いてございますように、令和2年4月1日でございまして、この法律の概要の3のマル2とマル8の部分については公布日、そして、2の(1)のマル2と5の一部については令和4年の4月1日、2の(2)のマル1は令和5年4月1日ということになってございます。
こちらの法律でございますけれども、衆議院で法案が一部修正をいただいた上で、衆議院・参議院とともに、全会一致で可決成立をしております。今後、今回、政府法の着実な施行に努めるとともに、今、御紹介した検討規定等に基づきまして、本委員会等で御議論をいただきながら、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
説明は以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。関連するものとして、1番と2番をあわせて報告をいただきました。
では、皆さんから、質問なり御意見なりを伺おうかと思います。発言のある方は手を挙げて、よろしくお願いします。
平田委員、どうぞ。
○平田委員
施設としてというか、医者を児童相談所に配置する件に関してですけれども、現在でも、非常勤でかなりたくさんの方が配置をされているのですけれども、児童相談所は虐待だけではなくて、半分は障害関係のいろいろな書類だったりとか、MRの判定だったりとかもしているので、この医師の配置というだけでは、多分、今、医者は居ますというふうになっていかないかなというのを若干懸念しているのですが、具体的な医師の職務内容などに関して触れたものは、改めて、出るのでしょうか。
○山縣委員長
幾つか出てからにしましょう。
ほかにございますか。
宮島委員。
○宮島委員
ありがとうございます。
法改正の作業は本当に大変だったと思いますし、これから取り組むべきものが本当にたくさんあるなと感じておりますが、検討規定の中の1つ、細かいところで申しわけないのですけれども、文章を読んだだけだと、ちょっと意味が私としては不確定といいますか、よくわからないところがありますので、聞かせていただきたいと思います。
資料2の3ですね。「検討規定その他所要の規定の整備」のマル4についてですけれども、「一時保護その他の措置」とありますが、一時保護についてはわかる。そして、一時保護は、今とても課題が大きいと認識しておりますけれども、「その他の措置」とは具体的にどういうものが含まれるのかというのが、資料を読んでもなかなか不明確なので、お聞きしたい。
また、「手続のあり方」とあるので、手続というのはどのあたりからどのあたりを含めてのものなのか。この文言だけを読んで、ほかの資料では十分理解がし切れないので、また、課題が大きいと思いますので、可能な範囲で御説明をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○山縣委員長
では、もうお一方、安部委員に聞いて、そこでお答えいただこうかと思います。
○安部委員
安部です。
資料2の1のマル1。しつけとして体罰を加えてはならないと書いてあって、これが「親権者は」と書いてあるのですけれども、親権者以外の保護者については、何か別の規定が適用されるのかどうかというのが1つです。
もう一つは、体罰を用いてはならないということはいいことなのですけれども、体罰を用いないしつけの仕方についてをどこで担保しているかというのは、もし、この法改正の中に入ってないのであれば、いろいろな施策の中でそういうところが入っているかどうかということを教えてください。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
では、以上5点、順次、担当から説明をお願いします。
○成松家庭福祉課長
医師の職務内容についての御説明でございます。法律上は、児童の健康等に関する専門的な知識及び技術を必要とする指導を行うということで、医師というのはそういう位置づけになっていると理解しておりますが、その中でも、特に、今回の法改正で期待しておるのは、それを含めて、例えば医療関係者との連携とか、病院とか診療所とかそういう医療関係者との連携とかというのを期待して、現行、先生がおっしゃったように、たしか9割の児童相談所で配置はされているものの、まだ1割配置されていないという状況もありますので、それをまず必ず配置をしていただくということをお願いするとともに、先ほど申し上げたような医療関係者との連携をしっかりやっていただくことを期待して、法律に入れさせていただいていますので、そういったことをしっかり今後も示していきたいと思ってございます。
○柴田虐待防止対策推進室長
2点目、3点目の一時保護の検討規定の話ですけれども、その他の措置は何かという御質問と、その手続のあり方がどこまでかということでございますけれども、こちらは、司法の関与している措置全般についてちょっと見直すという趣旨でございまして、今、射程が特にここだということで決まっているわけではなくて、全般的なことで我々としては受けとめているということでございます。
○成松家庭福祉課長
ちょっと漏れていたら申しわけないですが、なぜ体罰が親権者に限られているかというところですけれども、今回の法律では、親権の範囲から懲戒権に関して、懲戒権の一環として体罰が置かれているということで、これを禁止ということを明確化するために、そういった趣旨を入れさせていただいていますので、親権者というのは、親権者に対する体罰の禁止だということになってございます。親権者以外は、そういう意味では懲戒権を持っていませんので、有形力の行使等々を行うと、これはそもそも他の法律で今もそういったことは禁止あるいは抑制されているというふうに理解をして、その懲戒権としての体罰を今回禁止する。懲戒権の中に含まれていた体罰を禁止するという趣旨で、このことを書かせていただいているという理解でございます。
○柴田虐待防止対策推進室長
最後は、体罰を用いないしつけの仕方等々についてということでございまして。我々は、体罰禁止のことも含めたガイドラインを作成するということが方向性として決まっておりまして、それを検討する検討会を今立ち上げて、体罰の考え方とか、体罰以外のものについても、今おっしゃったような、望ましくないというか、そういったことも含めて国民に対して啓発をしていこうと考えているところでございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
一番最初の平田委員の質問のところで確認したいのですが、今、医師が配置されてない10%のところの設置というのが趣旨なのか。既に配置されているところについての増員まで含めた、埋めることは当然で、プラス増員のことまでここは含んでいると理解していいのでしょうか。
○成松家庭福祉課長
法律上は、今までは医師または保健師を配置するということになってございましたので、今後は、医師及び保健師という形なので、法律上の効果としては、今、残りの10%に必ず置いていただくというのが、まず直接的な法律の効果ですが、昨今の児童虐待事案を見てみますと、医療機関との連携がなかなかできていないということでもございますので、全体として、置いてないところは置いていただく、既に置いていただいているところは、さらに連携を深めるというような、そういった趣旨で今後進めていきたいと思っております。ですので、法律上は、まず100%にしていただく。その上で、我々としては、その配置の質的な推進とか、あるいは、来ていただく時間を増やすとか、そういうことも財政措置とかで担保していきたいと考えております。
○山縣委員長
質問した方はよろしいでしょうか。
松本委員長代理、その後、井上委員。
○松本委員長代理
今、体罰を親権者と書いているという点で、懲戒権の行使としての体罰を禁止するという趣旨だというふうなお答えだったのですけれども、ちょっと確認したいのですけれども、民法上の懲戒権は、体罰を容認していると、今、法解釈ではなっているということでしょうか。そこが前提になるようなお答えだったと思いますし、そういうふうに現行の懲戒権を理解していいのかどうかということ自体、どういう議論になっているのかというのは確認をしておかないとまずいと思いましたので。
○成松家庭福祉課長
これも国会でも議論になりましたが、従来の懲戒権、これは実は法務省の解釈ですけれども、言ってしまえば、体罰が全て排除されているわけではない、一部懲戒権の中に体罰が入っていると、従来、そういう解釈ではありました。
ただ、今回、体罰を虐待防止法で禁止することによって、虐待防止法上も体罰は禁止されますし、懲戒権として容認される範囲に体罰が含まれないことが明確になったということでございます。
○松本委員長代理
今のその法解釈は、法務省のほうの解釈で、従来、懲戒権の中で体罰が容認されていたという法解釈はどういうふうな。
○成松家庭福祉課長
失礼しました。
容認されているという言い方かどうかはちょっと別として、全て排除されているわけではないと。懲戒権の範囲というのは、社会通念で動いていくというのが、まず法務省の解釈でございまして。その社会通念で判断すれば、体罰全てが懲戒権の範囲外であるという立場では法務省はございませんでしたので、我々として、体罰を禁止するための法改正を行ったということになります。
○松本委員長代理
法解釈については議論があるとは思うのですけれども、その解釈に沿って言うと、従来の懲戒権の解釈を変更した規定だというふうに受けとめて構わないということですね。
○成松家庭福祉課長
今回、法律で禁止することによって、懲戒権の範囲が明確に狭まったと。その部分については狭まったという理解でよろしいかと思われます。
○山縣委員長
並行して、民法で懲戒権の議論がされていますので、そこでもっと明確にしていただくということになろうかと思います。
では、井上委員よろしくお願いします。
○井上委員
井上です。
まず最初に、自分自身、日本子ども虐待防止学会というところの副理事長に拝命されましたので、その立場からの意見としてちょっと言わせていただきたいと思います。
今、医療者との連携のところできちんと話し合いがされているかどうかということですが、その学会でも、CPTのチームといろいろ話をしました。その結果あるのが、医療者あるいは保健師さんから、これは大変問題だという話が出て、それを児童相談所にきちんと上げているわけですが、その児童相談所の段階で、そこに関しての情報をきちんと把握して実行してくださるということをされない場合、医療者はもう黙ってしまうしかないというような事態が起こってしまっていまして。その中で、いろいろなうまくいかないというような状態が起こっています。
ですので、医療者がそういった危険を訴えた場合に、児童相談所に訴えてうまくいかないときは、どこにどういうふうに訴えていくことによって、そこをもう一度検討してもらえるかというような立場のところを少し明確にしていただかないと先に進まないのではないかなと思いましたので、そのことを一言お伝えしたいと思います。
○山縣委員長
ありがとうございます。
では、藤林委員。
○藤林委員
先ほどの宮島委員の質問に関連してですけれども、検討規定の3のマル4の一時保護その他の措置に係る手続のあり方について検討を加えるということですが、この「その他の措置」は、いわゆる29年法改正の司法関与の部分を含むものかなと勝手に想像しているのですけれども、29年法改正は3年を待たずに検討を行うと書かれているわけですが、29年法改正のその文言とここの検討規定のマル4の文言はイコールなのかどうかというところを教えていただきたい。そう考えると、令和2年度には何らかの検討委員会なりを行うのかどうか、そのへんも見通しをお教えいただきたいと思います。
○成松家庭福祉課長
お答え申し上げます。
藤林委員おっしゃるように、29年改正法で施行後3年を目途として、こういう一時保護とか手続のあり方は検討をするという文言が書かれていたことを踏まえ、今回の令和元年度の法案で、時期的に重なると思いますけれども、一時保護その他の手続のあり方を、施行後1年で検討することになりましたので、その流れとしては、基本的には、29年改正とほとんど同じというふうに御理解いただければと思います。改めて書いたということだと理解をしています。
この関係の検討をどうやっていくかというのは、まだ内部で検討中でございますが、29年の改正法で30年施行でございましたので、30年施行からの状況もしっかり踏まえなければならないというような状況ですので、それをしっかり踏まえさせていただいて、関係機関も最高裁とか法務省とかもございますので、そこともいろいろと意見交換をさせていただきながら、あるいは、また、関係者の皆さん、有識者の皆さんの御意見を伺いながら、この検討規定の検討を進めていきたいと思ってございます。
○山縣委員長
お願いします。
○玉岡委員
東京都の玉岡です。
まず東京都として、これは質問というよりは要望ですけれども、児童福祉司については3万人に1人、あるいは、心理司については半数配置をすることになっておりまして、先ほど御説明があったと思いますけれども、今後の人材確保・育成策については財源も必要になってくるところでございますので、ぜひ、そのあたりの確保をお願いしたいということをお願いします。
それから、先ほどから、一時保護所の話があります。先ほどの環境改善ですが、体制強化といったところもお話の中にはありましたが、特に一時保護所は御案内のように、子どもの集団が常に入れかわり不安定になるというようなところでの児童への支援、あるいは、アセスメントというところが必要になりますので、我々としては、一時保護所独自の配置基準などが必要なのかなと考えておりますので、そういったところも、改めて、この場で御要望させていただきます。
あと、これは東京都の取組の紹介にはなりますけれども、東京都では、児童虐待防止に関しては、今年の4月1日から、子どもへの虐待の防止等に関する条例を制定いたしまして、保護者による体罰等の禁止を明記させていただいたところでございます。
そうした流れの中で、ちょうど今月の1日からは、LINEを活用いたしました相談を本格実施をさせていただいたところでございます。昨年の11月の2週間の間で、試行で取組をさせていただいたものでございますが、その2週間やらせていただいたときには576件の御相談を寄せていただきまして、その中で、児相への引継案件も8件あるなど、非常に有効な取組だということがわかりましたので、今月から本格実施しているということもございます。自治体としても、そういった取組を含めて、児童虐待防止、予防的なことも含めて取組を進めていきたいと思いますので、国といたしましても、体罰によらない子育て、今回の取組も含めて、ぜひ、普及については力を入れていただければと思います。
私のほうからは以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。2点の要望ということですね。
では、中村委員。
○中村委員
ありがとうございます。中村です。よろしくお願いします。
資料2の2ページに2つあります。1つは、同じく一時保護所の関連です。この間、メディアでの報道もありますが、もちろん一時保護委託、児童養護施設の専門施設も含めての量的拡充は必要だとは思いますが、それよりも、今の一時保護所の質的向上がとても重要なのではないかと思っています。今後、第三者評価を入れたりとか、ガイドラインを使用したりと変えていこうという動きにはあるとは思いますがそれが全国的にどのような進捗をしているかなどの評価とフィードバックが必要だと思います。一時保護所は、ほかの資料でもありましたが、安全・安心の場である必要があります。子どもたちが保護されたときに、保護されてよかったと思えるような場所でないと、もし、家庭復帰した後にSOSを出したいと思っても子どもが保護所に行きたがらないといった深刻な状況になるのではと懸念しています。
もう一つは、3のマル5の児童の意見表明権を保障する仕組みについてです。明確にはっきりとは言えないのですが、児童の意見を聴く機会の確保とか、自ら意見を述べる機会の確保と記載されていますが、機会の確保というのではなく「必ず聴く」といった表現がよいかと思いました。いい表現が思いつかないのですが、何か良い文言に変えていただけると良いと思いました。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。最後の部分は、今後、2年間で検討する、その中できっちりと適切な表現を検討していただければいいかと思います。
○松本委員長代理
意見表明権の保障ということですよね。保障だと、機会の確保ということは、それを保障するということを明確に入れ込むということかと思います。
○山縣委員長
では、井上委員。
○井上委員
井上です。
意見表明のところはとても大事で、自分もずっと悩んでいて、今の段階で、子どもたち全員に聴くというのはかなり難しいところがあると思うのですね。ですが、今回、亡くなった子どもさんたちの経過もしっかり見させてもらうと、いろいろな会議した最後に、もし、そこに子どもさんがいて、ちゃんと自分でしゃべって、意見を表明したときに、皆さんが出した結果に関して何と言うだろうねという話し合いを、最後の5分間ぐらいでみんなで討論するようにすると、結構視点がぐっと変わるということを経験しています。
今は、2年間というのは、本当にそれぐらいの時間がかかってしていかなければいけないことですが、今いる子どもたちを守っていくためには、今すぐできることとして、今言ったようなことがありますので、ぜひ、そういったことも前向きに検討をしていただきたいかなと思います。よろしくお願いします。
○山縣委員長
取組のあり方として、検討をさせていただくということになろうかと思います。
では、菅田委員お願いします。
○菅田委員
全母協の菅田です。
資料2の2番の(3)のマル5、それから、3番のマル8ですね。この2つはDVのことが書かれているのですけれども、これだけ変えるということは、DV防止法は当然改正するという方向性だと思うのですが、目途も含めてどのようにお考えでしょうか。
○成松家庭福祉課長
まず、資料2の2ページ目の(3)のマル5につきましては、DV防止法もこの一連の法改正の中で改正をしております。実際、改正が行われております。
同じページの3のマル8につきましては、これは検討規定となっておりますので、このDV防止法の関係は内閣府が主担当になっていますので、内閣府が中心となって、あるいは、厚生労働省もそれと連携しながら、このマル8の検討を行った上で、必要があれば法改正を含めて考えると。これから、マル8のほうは検討を行っていくということになろうかと思います。
○山縣委員長
ありがとうございます。
では、浜田委員。
○浜田委員
もう既に出てきているところもありますけれども、検討規定の中に、今後何年を目途にというところが何点かございます。今、他省庁が中心となってというところもお話しいただいたところですが、この後の議題に出てくるもののほかに、今、いつごろから動きそうということがわかっているものがあればお知らせいただきたいというのが一応質問でございます。
ただ、先走りますと、恐らく、今検討中であるとのお答えになるのではないかと思いますので、先に意見を申し上げておきますと、その目途のお尻のところが見えてきてしまうと、どうしても検討する期間が窮屈な中で議論をせねばならないということが出てくるように思います。
そこで、お願い事項としては、十分に審議・議論をする期間を確保できるような日程をぜひとも組んでいただきたいということです。いろいろ課題がある中で、お忙しいことは百も承知ではありますけれども、要望として先に述べておきたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。
何か特にお答えはありますか。
○成松家庭福祉課長
ちょっと繰り返しになりますが、資料2の2ページ目の3の検討規定がいろいろと書かれてございますが、そのうち年限がされているものがマル3以降になると思います。懲戒権は先ほど申し上げたとおり、今、法務省でスタートを切っている。
マル4の一時保護の関係は、先ほど申し上げたように、施行状況を見ながら、あるいは、関係省庁とも連携しながら検討を進めていく。
マル5につきましては、いろいろと実際の取組とかを収集していたり、モデル事業をやったりしようとしていますので、それを踏まえながら検討を進めていきたいと思っています。
マル6につきましては、後ほど出てきますけれども、この社会保障専門委員会の下にワーキングを設けて議論を進めていくということになろうと思いますが、先ほど委員からおっしゃっていただいたように、しっかりとした議論ができるように、時間的なこともしっかり頭に入れて、それぞれ進めていきたいと思ってございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
では、藤林委員お願いします。
○藤林委員
何人かの委員も質問されているのですけれども、検討規定の3のマル5のいわゆるアドボケイトに関連する検討規定です。これは施行後2年を目途に検討を加えて、必要な措置を講ずるものということですから、多分、令和4年ぐらいになるのかなと思っているのですけれども、一方では、30年度の子ども・子育て支援推進調査研究事業で、既存の児童福祉審議会を活用した子ども権利擁護対応ガイドラインを、この研究事業を活用して公表しております。
先日ありました全児童福祉主管課長・児童相談所長会議でも、こんなふうに進めていくのだよというガイドラインが確か配付されていたと思うのですけれども、実際、見てない方はぴんと来ないかもしれませんけれども、このガイドラインの作成の一員として関わった者として思うわけですけれども、あのガイドラインどおりにしようと思うと、権利擁護調査員とか意見表明支援員とか、結構マンパワーが必要になってくる。そうすると、このガイドラインに沿って各都道府県がしようと思っても、それなりのコストがかかってくるわけです。こういうガイドラインを示したということは、早速、令和2年度からでも行えるような、そういう予算的措置を考えられていらっしゃるのか。または、この検討規定の3のマル5にあるような、もう少し1年2年検討を加えた上で、本格実施になっていくのか。いつからこのガイドラインにあるような本格的な権利擁護のシステムが進んでいくのかという、何か見通しについてありましたらお教えいただきたいと思います。
○山縣委員長
お願いします。
○柴田虐待防止対策推進室長
御質問ありがとうございます。
御指摘のとおり、先週の8月1日の全国児童福祉主管課長・児相長会議の中で、児童福祉審議会を活用した子どもの権利擁護についてということで、御紹介をいただきました、その調査研究を踏まえて、ポイントをお示しさせていただいているところでございます。
その上で、先ほどお話がございましたように、検討規定にございますように、この児童の意見表明権を保障する仕組み等々につきまして、施行後2年を目途に検討を加えるということでございますので、まず、自治体にはこういったガイドラインのポイントをお示しするということとともに、この法律の検討規定を受けた検討は、今年度、まず調査研究をして、モデル事業を行って、その上で、そういったあり方を検討して、必要な措置を講じていくものと考えています。
○藤林委員
もう少し先ではなくて。
○柴田虐待防止対策推進室長
少なくともこの検討規定は、我々のほうでも、調査研究等々をしながら、進めていきたいと思っているところでございます。
○山縣委員長
途中とは言え、ガイドラインを自治体には示されたようですから、委員お持ちでない方も結構いらっしゃるような気がするので、何らかの形で共有できるような形にしていただけたら、ありがたいと思います。
○柴田虐待防止対策推進室長
はい。
○山縣委員長
宮島委員を最後にさせてください。
○宮島委員
申しわけありません。
今、例えば、資料に既に書かれていることかもしれませんが、1点、ちょっと要望として申し上げたいと思います。
検討規定のマル5ですけれども、これから検討をすると、その検討のあり方もこれから決めるということだと思いますが、当たり前のことかもしれませんが、この検討には、ぜひとも当事者委員をちゃんと加えていただく必要があるだろうと。しかも、複数ですね。中村委員がいつも鋭い意見を言ってくださいますが、当事者抜きにこの検討がなされることがあってはならないと思いますので、ぜひとも、当事者委員をここに置いてほしいという要望です。
あと、もう一つは、実際に、くまなく日本の隅々でそれが実現されないといけないので、自治体の委員もぜひとも加えていただきたい。そうでないと、理想と現実が一致しないということが生じかねないという面があると思いますので、具体的な検討を、現実的というよりも、実現するためのいろいろな知恵もいただくために、自治体の委員の参加を求めたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
有効な提言をありがとうございます。
特に検討事項について、いろいろな質問あるいは御意見が出ておりましたが、ここに書かれていますように、それぞれ項目によって期間は違いますけれども、一番長いもので施行後5年になっていますけれども、それぞれ動かされるときに、各委員の意見をぜひ前提に考えていただけたらありがたいと思います。
それから、東京都の方のお話にもありましたけれども、量と質、その背後にある財政措置も、引き続き、頑張っていただきたいと思っています。
ありがとうございました。
この検討事項をたくさん見ておりましたら、どうも、委員が継続するかどうかは別にして、我々が幾つかやらなければいけないものがありそうだということだけはお互い覚悟をしていだたきたいと思います。よろしくお願いします。
では、3番目の議題になります。今の検討事項の6番目に関わるところですけれども、説明をお願いしたいと思います。
○柴田虐待防止対策推進室長
それでは、資料3に基づき御説明をさせていただきたいと思います。
こちらは、表題にございますように、「子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質向上策に関するワーキンググループの設置について」ということで、案をお示ししているところでございます。
1の「設置の趣旨」でございます。こちらは、先ほど来説明しております児童福祉法等の一部改正の附則第7条3項におきまして、政府は、この法律の施行後1年を目途として、この法律の施行の状況等を勘案し、児童の福祉に関し専門的な知識及び技術を必要とする支援を行う者についての資格のあり方、その他当該者についての必要な資質の向上を図るための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとされているところでございます。
これを受けまして、子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格のあり方その他資質の向上策についての検討を行うため、「社会的養育専門委員会」のもとにワーキンググループを設置するというものでございます。
2といたしまして、「構成等」でございます。(1)構成員は、社会保障審議会の専門委員から委員長が指名するということでございまして、こちらは、この資料3の裏側の別紙1で構成員の名簿をつけておるというところでございます。(2)ワーキンググループには座長を置く。(3)として、座長代理を置く。座長代理は、座長の指名とする。(4)として、座長が必要があると認めるときは、関係者の参加を求めることができる。庶務は、子ども家庭局家庭福祉課において処理するということでございます。
3として、「主な検討事項」は、子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格のあり方その他資質の向上策。
4「その他」は、会議は、原則公開とする。
というのが案でございます。
別紙1は構成員でございまして。
別紙2が、今、私が申し上げた児童福祉法の改正の法律の附則をつけてございます。
資料3(参考)をご覧いただければと思います。今後の検討スケジュール(イメージ)ということでお示しをさせていただきます。きょうは8月7日第26回社会的養育専門委員会、本日、本委員会でこのワーキングの設置を御決定いただいた後に、令和元年9月に議論を開始し、来年夏を目途に中間的な整理、そして、来年末の12月にワーキンググループの議論の整理、その後、社会的養育専門委員会へ御報告をするというようなイメージとして、資料をつけさせていただいております。
説明は以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
何を議論するかにつきましては、別途、この後、御意見をいただくとして、まず、ワーキングの設置と構成員について、特に御意見がございましたら、伺っていこうと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
もし、それをお認めいただけたら、「構成員等」の(2)には、ワーキンググループには座長を置くことになっておりますので、座長の選任に入っていきたいと思います。
○成松家庭福祉課長
すみませんでした。設置を御承認いただいたということで、次に、ワーキンググループの座長の選任をさせていただきたいと思います。
こちらからは、山縣構成員(委員長)に座長をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(拍手あり)
○成松家庭福祉課長
ありがとうございます。
それでは、山縣構成員に座長をお願いすることといたします。よろしくお願いいたします。
次に、ワーキンググループには座長の指名により座長代理を置くことになっています。山縣座長から座長代理の御指名をよろしくお願いいたします。
○山縣委員長
ということで、座長を引き受けさせていただきます。
座長代理につきましては、松本構成員にお願いできたらと思っております。引き続き、二人で皆さん方の意見をたくさん出していただきながらとりまとめをしていきたいと思います。よろしくお願いします。
では、このワーキンググループが設置されることが認められ、かつ、構成員も承認されましたので、このワーキングで議論すべき中身について、皆さん方からの質問なり御意見を聞いて、これはワーキングに持ち込みたいと思っています。御意見のある方は御自由に、先ほどと同じように手を挙げていただけたらと思います。
では、中村委員。
○中村委員
この検討事項の中身を読ませていただいていまして、里親養育支援とか児童養護施設とか社会的養護または養育に関わる人たちの専門性が取り上げられていますが、資質の向上という部分では、他の経験者からも、よく人材が重要だといった意見が聴かれます。ぜひ、座長が必要だと認めるときは、関係者ではないかもしれませんが、経験者の声をしっかりここのワーキングでも取り入れていただけたらと思っています。
○山縣委員長
ありがとうございます。
構成員は一応認められましたので、何らかの形でそういう声が反映できるようなことを考えていきたいと思います。
では、吉田委員お願いします。
○吉田委員
吉田です。
私もそれに関連してですけれども、里親養育支援を行う者の資質の向上ということを考えますと、里親さんたちの意見、こんな人に私たちを支援してほしいのだというのをしっかり聞いていただきたいので、それをお願いしたいのです。そのときは出てきますので、よろしくお願いします。
○山縣委員長
ありがとうございます。
今のお二方の御意見、それぞれ当事者性の高い人たちということでしたが、ほかの方々も同じような御意見があろうかと思います。構成員には直接参加できなかったけれども、何らかの形で講演をしていただくなり、直接していただくような機会を、また、事務局と一緒に考えていきたいと思います。ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
では、橋本委員。
○橋本委員
ありがとうございます。
このワーキンググループの討議の対象というか範囲については幅広く「子ども家庭福祉に関し支援を行う者の資格や資質」という表現になっていますけれども、そもそもこのような検討が喫緊の課題になっている実質的な理由としては、近年、矢継ぎ早に発生した極めて痛ましい児童虐待死事件があり、さらにそれを契機として露見してきた児童相談所の対応の問題性というか、児相組織そのものの脆弱性があると私は感じています。
しかし、児童相談所の児童福祉司の専門性をいかに担保し、児相の調査アセスメント機能や一時保護機能の質をいかに高めていくかという論点については、資格論議、研修論議より前に、地方自治体における人事政策の問題も大きいと思っています。
公務員、とりわけ専門職の公務員を減らして、相談支援とか対人援助に携わる職員を非正規化してきたというこれまでの人事政策や、一部の児相では土日や深夜の通告電話への対応、一時保護所の宿直などについて、非正規職員が担っているというような現実もあるのですが、これらが脆弱性の原因となっているとも思うのです。
また、家庭相談、DV相談、就労支援、それから消費生活相談など、相談支援業務に就いている職員の大半は女性の非正規職員であるという実態もあります。私は、これらの事実がはらんでいる近年の公務福祉労働の問題性という点にも着目すべきと思っています。
ちなみに、福祉職で採用された都道府県とか市町村の自治体職員の方々から話を聞くと、一生懸命やっているのに、限界点まで来ているのに、世間からはまるでサボっているように責められる。虐待にあっている子どもたちを救い出したいと懸命に動いているけれども、うまくいかないもどかしさ、悔しい気持ちは、専門職であればみんなが抱えているようです。本検討会の発足に際しては、自治体の人事政策についても、現場実態に踏み込んだ調査を行うとか、ヒアリングを行うとか、あるいは、そのような調査活動を支援することを、ぜひ検討していただければと思います。その上で、資格や研修のあり方という議論をしていただければと思います。
一方、民間のファミリーソーシャル機関である児家センの運営費、特に人件費について、詳細は省きますけれども、社会保険料の雇用主負担分とか、退職共済掛金とか、福利厚生費とか、そういうのを差し引くと、ざっと職員一人の年収は300万ちょっとですね。今年度よりフォスタリング機関事業の補助金を増額し、フォスタリング機関をしっかりつくっていこうという議論になっていますけれども、人件費的には、今後、児家センと同様の困難を抱え、人材確保に苦労するのではないかと危惧します。経験豊富で、高い専門性を有する職員を配置するということは、この状況ではちょっと難しいのかなと思っています。
ファミリーソーシャルワーカーの専門性を担保する観点からは、せめて児童養護施設とか乳児院に配置されている家庭支援専門相談員、あるいは里親支援専門相談員が民間給与等改善費や処遇改善加算を受けた上で支給されている額と同等にしていただけたらと思うところです。
せっかくの機会なので、本当にリアルな実践現場の意見や状況をお伝えさせていただきました。ぜひ、このワーキンググループの中で、そういう実態があるというところを踏まえた議論をお願いしたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。論点をいただきました。これもワーキングで検討課題としたいと思います。
ほかはいかがですか。
○藤林委員
今の橋本委員からも意見がありましたが、児童相談所だけでなくて、市町村とか、または、児童家庭支援センターのソーシャルワーカーといった、いわゆるソーシャルワーカーが主な対象というイメージを持ったのですけれども。そこで確認ですけれども、この支援を行う者の範囲は、いわゆるソーシャルワーカー、相談援助技術を行う者だけなのか。施設職員、児童養護施設、乳児院、その他の施設職員、いわゆるケアワーカーも含めるのかというところを、この場で明らかにしておいていただければと思います。
○成松家庭福祉課長
藤林委員の御質問ですけれども、今回の法律では、ケースワークを行う人に限らず、子ども家庭福祉を担う人の資質のあり方を考ええるということですので、一応の射程としては、ケースワーカーだけでなくて、施設のケアワーカーも含まれるということでございます。
ただ、一方で、どこから優先的に議論していくかというところも含めて、我々のほうの整理をさせていただいて、その上で、また、皆さんにも御議論をいただければと思っています。
○藤林委員
もう一歩進んで、里親さん、専門里親の制度もあったりするわけですけれども、そこまでは含まないと考えていいのかどうか。これは、また、里親制度は里親制度で別個に十分な議論が必要かなとは思っているのですけれども、そのへんはいかがでしょうか。
○成松家庭福祉課長
今回の射程としては、参考資料4-2の10ページのちょっと下のほうにも書かせていただいていますが、(4)の2つ目のポツでございます。里親に関しては、「里親養育支援を行う者」というのが例示としてされています。そういった意味で、里親さん自体の資質は一方で大事な課題ではありますけれども、必ずしも、この中の検討規定の射程には入っていません。ただ、委員おっしゃるように、その里親さんの資質の向上あるいは養育力の向上、あるいは、その支援をしっかりやっていくというのは求められている課題だと思っています。
○山縣委員長
ありがとうございました。非常に広い視点で検討をするということだと思いますけれども、委員の中に保育士会の会長さんも入っておられますので、その辺が恐らくケアワークということをある程度意識した構成員構成ということではないかと思います。
一方、ソーシャルワークにつきましては、どこまでをソーシャルワークと考えるか、社会福祉関係者が考えるソーシャルワークと、市町村の現場でソーシャルワーク的とつきますけれども、機能になっておられるような保健師さんたちの取組とか、そのへんまでを入れた検討をするかどうかにつきましては、また、ワーキングのほうで細かいところは、今、この段階で確定してワーキングに持ち込むと越権かと思いますので、そうさせていただこうと思います。
では、相澤委員。
○相澤委員
私は、もちろん「専門的な知識及び技術を必要とする」ということですけれども、きちんとソーシャルワークとかケアワークをやる上ですごく重要な基本的なものは、いかにそのケースと向き合うかというその姿勢とか態度がすごく重要です。意欲のない方が子どもと向き合えば、子どもはすぐそれを見透かしてしまいますので、そういう意味での知識・技術というものに専門的態度も加えて、総合的にこの問題について議論をしていただきたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
宮島委員。
○宮島委員
ありがとうございます。幾つか要望とか意見を申し上げたいと思います。
必ずしもソーシャルワーカーだけではなくて、ケアワーカーも含んで、子ども家庭福祉に携わる人材の力量の向上を検討するのだということは理解したのですが、一方で、子どもの命と人生が失われる、それを何とかしなければいけないということが、もともとの端緒にあったことからすれば、ソーシャルワークについて深く掘り下げることが、広くすることと同時に深くするということは両立が難しいとは思いますけれども、ぜひとも必要で、そこを深掘りしていかなければならないと要望させていただきます。
その上で2つ申し上げたいのですが、私もこの検討に加えていただけるということですが、非常に人数が多いですね。多い中に、当然、自治体の職員が複数の構成員の方が加わってくださるということですが、20人の中での例えば4人ということになると、かなり薄まる可能性がある。児童相談所長を自治体の人材の採用とか育成の事情を述べる立場のどっちに含めるのかというところではちょっと難しいとは思うのですけれども、人材の登用、定着、育成ということが進まなければ、いくら資格をつくったとしても、実際の力量は高まらないし、資格ができても、実際に採用されないと意味がないと思います。ぜひとも、自治体が実際にそういう方を登用できるような仕組み、あるいは、そういう縛り等も検討しなければいけないと思いますので、構成員の中に含まれると言っても、そういった立場にある方から集中的に意見を聴くような機会を設けないと、実際、この検討はなされたけれども、自治体においての採用が進まなかったというようなことになるといけないと思いますので、十分な時間をとって深く検討をしていただけるということですので、そういった立場の方には、加えて、その回については参加していただいて、検討をすることを考えていただければと思います。当事者という、子どもとか家族も当事者ですけれども、この場合の検討では、自治体の仕組みづくりの当事者の参加が必要だと思いますので、ぜひともと要望するところです。
あと、一点、地域で子どもと家族を守るということになれば、学校をプラットホームとして、義務教育で全ての子どもたちに関わる部分がここに加わってこないのかというのがちょっと気になります。スクールソーシャルワーカーの役割はとても重要だと思いますし、福祉と教育の連携なくして全ての子どもたちは守れないと考えます。これは省の所管等のいろいろな問題はあるとは思うのですけれども、スクールソーシャルワークについても射程とすべきで、その点で弱い面がある。そのへんを検討の中でどう補っていくかということについて御検討をいただければと思います。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。
ほかは。
井上委員。
○井上委員
井上です。
今、宮島委員がとても大事なことを言ってくださったのですけれども、学校のほうが、明らかに、去年ぐらいから、児童福祉司との連携をしっかりやりなさい、もし、それをやってなければ違反ですよということを、県の中ではっきり言ってくるぐらいまでになっているのですね。ですから、そのことを考えたら、これを見たときに、こちらのほうから学校関係に言うのがちょっと少ないのではないかなと自分も思いましたので、大変大事な意見だったと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○山縣委員長
伊藤代理お願いします。
○伊藤代理
2点あるのですけれども、まず、ファミリーホームの養育者の資格要件が、里親の経験値とか施設での経験値のみということと養育者補助者については全く基準がないというか、誰でもできてしまうという現状があります。それについても検討をしていただきたいなというのと。
あと、もう一点は、子育て支援員の社会的養護コースを修了した方は児童養護施設、乳児院等で補助的職員として働くことができるというものもあります。現実的に、社会養護コースというと、基本研修と専門研修をあわせて大体20時間ぐらいの研修を受ければ、乳児院、児童養護施設で働けてしまうというような現状もあります。このあたりについても、また、ちょっと検討をしていただくことが必要なのかなということで、お願いしたいと思います。
○山縣委員長
ありがとうございます。採用部分については、一応独立した研修制度を今つくってありますので、今回、そういう人もいるということはきっと視野に入るけれども、そこまで含めた資格制度というのはきっとなかなか難しいかなと。そういう人材が要るということは確認をした上で、検討をする必要があろうかとは思います。ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
たくさん意見が出ましたけれども、事務局でしっかりメモしていただいて、ワーキングの1回目のところで、専門委員会からの意見ということで報告をいただけたらありがたいと思います。
どうぞ、松本委員長代理。
○松本委員長代理
議論の出発点をぜひ整理をして、次のワーキングで確認をすべきだと思います。この間の流れで言うと、児相の強化だけではなくて、1つはケアワークの場面、もう一つは市町村なり地域での人材育成をどうしていくかということが、例えば大きな課題だと思いますので、そのあたりの全体の確認。その中で、例えば、何人かの方からお話が出た自治体の人事政策のようなことも当然そこで関わってくるかと思いますし、例えば具体的には支援拠点みたいなものをつくって、そこでどういう人材を配置するというようなイメージで行くのかとか、そういう地域での支援なり、ソーシャルワーク機能の強化を一つの柱に据えるというのが、今回の全体の流れの確認すべき点かと思いますので、そこと児童相談所が横並びで専門性が発揮できるようにというふうな枠組みと私は理解しておりますので、ここの皆さんもそういう理解でよろしいかどうかということと、そうであれば、そういうことを確認した上で、ワーキングの議論に入っていくことが大事かと考えています。それは意見であります。
○山縣委員長
基本的には、座長としては、そういうふうな方向でと考えていますので、事務局のほうもそれでよろしいですね。当然、今までの繰り返しの議論はしない。どこまでの積み重ねがあるかというのを前提に、特に修正の必要があれば、当然やるけれども、基礎はある程度もうつくられているという形で議論をしていきたいと思います。
ありがとうございました。
何人かの委員の方々はワーキングの構成員にも就任いただきますけれども、御協力をよろしくお願いしたいと思います。
では、続きまして4番目ですね。「民法等の一部改正する法律について」の報告をお願いしたいと思います。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長でございます。資料4に基づきまして、民法等の一部を会計する法律の概要ということで、御報告をしたいと思います。
こちらは、平成28年の児童福祉法改正で、特別養子縁組の利用促進を図るということが検討規定の中で規定されておりました。それを受けまして、厚生労働省あるいは法務省での検討を重ねて、前回の国会で法務省から法案が提出され、成立に至ったという法律になってございます。
資料4に沿って御説明しますと、改正の目的としては、家庭的なよい環境を提供するということを目的として、特別養子縁組の成立要件を緩和すること等によって制度の利用を促進ということでございます。その前提として、今の特別養子縁組の要件が厳格だったり、手続面でなかなか制約があるということでできなかった事例が298件あったことも一つの立法事実としてございます。
今回の見直しのポイントとしては、後ほど申し上げますけれども、2つございます。1つは、対象年齢を拡大する。もう一つが家庭裁判所の手続を合理化する。そのことによって養親候補者の負担の軽減をするというものでございます。
1つ目の養子候補者の上限年齢の引上げでございます。改正前の制度、真ん中に書いてございますが、原則6歳未満が原則でございまして、例外として8歳未満まで可能ということでございますが、児童福祉に携わっている方々からの御指摘として、それより年長のお子さんについて、特別養子縁組という機会が閉ざされているということで、なかなかそれを利用することができないというような御指摘がございました。
改正の内容といたしましては、まず、審判申立時の年齢としては、原則15歳未満。例外の場合は15歳以上でも申立することができるということでございます。
一方で、審判確定時の年齢要件としては18歳。これは成年年齢ということでございます。15歳以上になりますと、養子候補者の同意をとる。15歳未満の者についても、その意思を十分尊重することが決められてございます。
2枚目に移らせていただきまして、今度は手続の合理化でございます。改正前の制度といたしましては、現行、そこに書いてございますとおり、養親希望者が申立をします。その中で、家庭裁判所の審理の対象といたしましては、実親の養育が著しく困難または不適当であること。あるいは、実親の同意の有無。これは審判確定まで撤回可能だということでございます。あとは、養親子のマッチングを審議の対象として、そのマッチングの前提としては、6カ月以上の試験養育を見るということになってございます。
右のほうへ移っていただきまして、これも児童福祉に携わっている方々の指摘でございます。マル1として、実親による養育状況に問題があると認められるかわからないまま試験養育をしなければならない。2つ目が、実親の同意がいつ撤回されるかという不安を抱きながら試験養育にしなければならない。マル3つ目としては、実親の養育状況を、実親と対立して実証しなければならないと、こういう御指摘がございました。
そういった御指摘を踏まえまして、改正の内容といたしましては、二段階手続を導入するということでございます。まず二段階の審判をするということでございます。1つ目が、実親の養育状況と実親の同意の有無等を判断する審判を一段階目の手続とします。もう一つが、いわゆるマッチングを判断する審判を二段階目にします。養親希望者は第一段階の審判における家庭裁判所の判断が確定した後でも試験養育ができるようになるということでございます。2つ目が、実親の同意の撤回制限でございます。実親が第一段階の手続の裁判所の期日等でした同意は、2週間経過後は撤回不可ということになります。3つ目が児童相談所長の関与でございます。児童相談所長が、第一段階目の手続の申立人または参加人として立証することができるということにしてございます。
イメージ図として、下のほうに書いてございます。児相長または養親候補者が申し立てるのですけれども、一段階目は児相長が申し立てることができる。養親希望者が一段階目を申し立てるときは、2つの手続を同時に申し立てなければならないということで、いつまでも決まらないという状況を防止するということを書いてございます。こういったことを通じまして、特別養子縁組、家庭養育を進めていくということでございます。
施行期日といたしましては、公布の日から起算して、公布の日が6月でございましたので、そこから起算をして1年を超えない範囲で政令で定める日となってございますが、法務省のほうで、今、施行日について調整をしておると聞いてございます。
以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。特別養子縁組に関する民法改正ですけれども、御質問等はございますでしょうか。
安部委員。
○安部委員
安部です。
1枚目の上限の年齢の引上げ。2の(1)の15歳未満だということで、15歳以上は、自ら普通養子に縁組ができるから特別養子にしなくていいのだという議論、これは教えてもらえたらうれしいかなと思うのですけれども、公の場で言えなかったらしようがないのですけれども、つまり、特別養子と普通養子は全然違っていて、普通養子の場合は、実親との法的な関係が残っていますよね。それが、15歳以上はみずからの意思で普通養子縁組ができるから、実親との関係を残していい、実親との関係が切れる特別養子縁組に入れないとなった議論の経緯をちょっと教えていただければありがたいなと思いました。
○成松家庭福祉課長
さまざま法制審で議論をしていただいて、こちらの委員の先生方も参加いただいて、さまざまな御意見がある中で、この決着を見たというのが実際のところでございます。できるだけ年齢は低いほうがいいと言う方々もいらっしゃいましたし、あるいは、できるだけチャンスは広げたほうがいいという2つの前提の御議論がある中で、今の民法の体系で、15歳以上の者というのがある一定の自分の考えで普通養子縁組もできるということ、そういった年齢のラインがありますので、そこも考慮をして、そういったラインで15歳というのを原則として、ただ一方で、18歳というのも、やむを得ない場合は道を残すというような御議論の中で、こういったラインが出てきたというふうに理解していますが、すみません、御参加されている先生方で、その他ありましたら、言っていただければと思います。
○浜田委員
この法務省の法制審議会に幹事として参加をいたしましたので、その立場から私が理解をしているところを申し上げます。公式見解というわけではないのですが。
今、委員の御質問は、普通養子ができるから特別養子はできないという関係に立つかというと、そこは論理必然ではないのではないかという御趣旨かと思います。そこは全くもっておっしゃるとおりかと思います。
ただ、今回の法制審議会は、特別養子制度の一部についての変更について諮問されて、そこを検討したと理解をしております。要するに、本来的には、御指摘のとおり、例えば普通養子と特別養子はどう使い分けるのか、普通養子のほうもどこかいじる必要があるのではないか等養子制度全体に係る議論を、多分それは時間がかかるのですけれども、やって、その上で、では特別養子はどうするかという話がなされるというのが本来的には理想的であったのだろうと思われます。
もっとも、諸般の事情といいますか、そこは私もよく承知をしておりませんけれども、とにかく、なるべく早目に改正をしようという動きがあったと認識をしておりまして、その中で行きますと、先ほど申し上げたような、普通養子との棲み分けとか区別というところには、今回は着手をしないままでこの改正がなされた。そういたしますと、養子制度全体での調整がなされないままで行くと、特別養子制度は15歳までということにならざるを得ないであろう。従前の枠組みを維持したままでということになると、おのずと上限としてはここまでに決まるであろうと、このように決まったものと理解をしております。
以上です。
○山縣委員長
よろしいでしょうか。
藤林委員。
○藤林委員
私も法制審議会の委員として参加した者ですけれども、そういった浜田委員の御説明のとおりに進んでいったわけですが、それでも、15歳を超えて普通養子縁組でなくて特別養子縁組、要は、親との法的な関係を終了させるチャンスが必要な子どもも絶対ないとは言えない。少数であってもいらっしゃるということを考えると、このような規定が明記されたというふうなことです。けれども、その場合でも、15歳以前から引き続き養育されていたとか、やむを得ない事情といったことが条件になっているわけです。そういう議論がなされました。
これに関連して、厚労省さんに質問というか意見ですけれども、法制審議会の中で法律家の委員さんからいろいろな意見があった中に、こういう上限年齢の引上げはいいとしても、その成立後の支援はどのようにしていくのか、そこが不十分だと、せっかく特別養子縁組が成立した後も非常に不安定な状態に置かれてしまうのではないかといった懸念する意見もいっぱい出されました。施行まであとしばらくあると思うのですけれども、児童福祉法上も養親・養子に対する支援が明記されているわけですが、改めて、年齢が引き上げられることによって、今まで特別養子縁組に至らなかった子どもたちがこういったチャンスをうまく駆使して成立していった後、今までどおりの養子・養親の支援でいいのか。そこに何かプラスアルファを加えていく必要があるのかどうか、そのへんの御検討が今されているのか、または、今後される予定があるのか、そのへんの見通しについてお教えいただければと思います。
○山縣委員長
お願いします。
○成松家庭福祉課長
お答えいたします。
委員おっしゃるように、高年齢児になれば、その分、また、違った支援というか、違った課題が出てくると。その上で、もしかしたら違った支援をプラスアルファなのか質的なものかというのはやっていく必要があるというのはおっしゃるとおりだと思っています。
委員がおっしゃったように、児童福祉法で養親子への支援は、成立後も児童相談所の役割として規定されていますし、あるいは、これからは民間あっせん機関という役割も出てくると思いますので、我々としても、その実際の事例も含めて、そういった何か困難になっているかとかそういう課題を分析させていただいて、見つかった課題について、児童相談所職員の研修とかにつなげることによって、そういった課題をしっかり対応していきたい。児童相談所の皆さんとか、民間あっせん団体の皆さんと一緒になって考えていきたいと思っています。
○山縣委員長
相澤委員。
○相澤委員
今の課題に関連しまして、年齢が高くなってきますので、子どもの意見表明ではないですけれども、実際に養子縁組を組んだ後、子どもが養子縁組を解除したいという申立も出てくるのではないかなと思いますので、養子に対するアドボケイトシステムとかそういうことについてもきちんと考えていただくことが、子どもの最善の利益に結びつくと思いますので、つけ加えさせていただきました。
以上です。
○山縣委員長
では、吉田委員お願いします。
○吉田委員
私もそれに関連しまして、特別養子縁組をした元里親さん、養親さんたちは、私も含めてですけれども、自助グループをつくって、お互いにケアをして、里親会に残っていただいて、今までずっと里親会活動の中で、養親さんのケアを自助グループとして自分たちでしてきた。これを何とか児童相談所の一つの仕事のモデルケースとしてつけていただいてできないかと思いますし、現実的には、東京だけは入口が別ですので東京都は除きますが、普通、地方の里親さんは半分が養親さんではないかと、これが実態ですので、そこで何らかのケアを、私たちにもケアをしていただきたいし、養親さんになった方、それから、元の里子、いわゆる養子になった子どもたちのケアもそこでするシステムを考えていただけたらありがたいなと思います。本当に、15歳にしていただいて、惜しかった、もうできなかったのよねという元里親さんはいっぱいいらっしゃいますので、今さらここを普通養子縁組でやったけれども、特別養子縁組に変えてもらえないのかと、里親さんの中からそういう声も出ております。それも考えていただきまして、ケアする方法を考えていただけたらありがたいと思います。よろしくお願いします。
○山縣委員長
ありがとうございます。
先に横川委員で、その後、浜田委員お願いします。
○横川委員
全乳協の横川です。
養子と養親の年齢差は幾つといった定めは明確にあるのでしょうか。年齢が高くなった養子をもらうときに、養親との年齢差が幾つであっても大丈夫なのか教えてほしいです。
○成松家庭福祉課長
法律上、年齢差が幾つなければならないかという規定はなかったと記憶しています。全体として、ある程度のそれぞれの御家庭というか、新しくできる御家庭がどういう御家庭であるべきかとか、あるいは、個々のマッチングというか、児童相談所あるいは民間あっせん機関のマッチング、あるいは、家庭裁判所の審判を通じて、親子関係が適切かどうかというのを、年齢で一律というわけではなくて判断をしていくという方向になっていると理解しています。
○浜田委員
これは法制審議会でも出た話ですけれども、対象の子どもの年齢が上がるということは、逆に言いますと、その養親になる方からすると、この子と果たして養子縁組を組むべきかどうかということを長く検討することができるということにもなろうかと思います。
要するに、何が言いたいかというと、お子さんをお預かりして、ただ、この子と本当に縁組に踏み切ろうかどうしようかということを、現行法では6歳まで、例外的にもせいぜい8歳までしか検討できなかったのですが、それが改正法では15歳までそのまま様子見をするということもできなくはないという制度の枠組みになっていると理解をしております。
ただ、それは、そのお子さんに対して、早期に家庭的環境を与えるという制度の趣旨から真っ向から対立することにもなりかねないところです。そういたしますと、委託を受けたお子さんについては、なるべく速やかに縁組をするならするで踏み出していただきたいということが、法制審の議論でも出てきたところです。
このあたりについては、民法には当然入っておらないわけですけれども、厚生労働省のほうで、また、何に入れるのかちょっとわかりませんけれども、これは速やかにやるべきものなんだよと。ずっと様子見をするということは想定されてないのだよということを、ぜひ、厚生労働省が中心となってそういう案内をしていただければなと思いますので、要望として申し上げておきます。
以上です。
○山縣委員長
中村委員。
○中村委員
先ほどの浜田さんの要望に載せてもらう形でお願いしたいのですが、(3)の「15歳未満の者についても、その意思を十分に考慮しなければならない」というところですが、13歳でも14歳、12歳でも、子どもたちは、気持ちや意見をもっており、意思をはっきりとお伝えできると思いますので、十分考慮して頂きたい。子どもの意思をしっかり確認するということを、実戦レベルでして頂きたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
伊藤代理お願いします。
○伊藤代理
教えていただきたいのですが、資料の2枚目の一番下の一番右側に「試験養育がうまくいかない場合には却下」という言葉があります。これを却下されたら、子どもはどういう扱いになるのでしょう。要は、特別養子縁組の試験養育がうまくいかない特別養子縁組は成立しないわけですよね。マッチングができてないということは、生活の場として子どもにとってそこは安心できる場所であるかどうかというのも非常にクエスチョンになってくるかなと思うのですが、社会的養育の受け皿としては、このあたりはどんなふうになるのでしょうか。
○成松家庭福祉課長
もし、ちょっとずれていれば、また、補足いただければと思うのですけれども、試験養育をした上で、裁判所が却下するということもあり得るということです。その却下した場合は、親子関係は成立しませんので、児童相談所なりが、また、異なる養育先を見つけると。例えば、一時的に施設であったり、あるいは、違う養親候補者を見つける、あるいは、里親さんだったりということで、少なくともそのお子さんは、却下された養親候補者のお家で養育されるというのは基本的にはないと思っています。
○伊藤代理
実親さんのところにも帰らないと。
○成松家庭福祉課長
多分、あり得ないとは思うのですが、一段階目の手続が済んでいれば、基本的にはあり得ないとは思いますけれども、その子どもにとって一番いい選択を児童相談所が考えるということになろうかと思います。
○山縣委員長
ありがとうございました。
かなりいろいろな質問等が出ましたけれども、養子縁組につきましては、私も若干意見だけ言わせていただいて締めたいと思います。
今、最後の伊藤代理の質問にもありましたが、試験養育期間でなくて、私が経験したので言うと、養親が、場合によっては、15歳までは逆に言うと翻意できる。ずっと第二段階を決定しなければ、かなり長期に養育したところで翻意することが可能になってしまう。その子どもたちのフォローですね。実親のところには、この手続上、帰せないと思うので、すごく心が傷つく可能性が高い。そのへんのフォローをきっちりする仕組みを考えておいていただきたいということが1つあります。
それから、もう一つは、ここで議論していたら、特別養子縁組を児童相談所がかなり絡んだ前提で議論をしているようにどうしても私の頭はそうなってしまうのですが、今般、民間養子縁組あっせん機関をかなり重視しようということになっています。そちらのほうの手続、特にあっせん後のフォローですね。データは児童相談所に来るとは聞いているのですけれども、児童相談所がそれを受けて、どっちが出てフォローをしていくのか。養子縁組あっせん機関のほうがやるのか児相のやるのか、そのへんの関係ですね。子どもたちに不利益にならないようなところを考えていただきたいというのが2点目です。
それから、3点目は、これは質問をしようと思ったけれども、時間がなくなってしまったので、どこかで、また、丁寧に議論をしていただきたいということで終わろうと思うのですが、第一段階の手続を民間養子縁組あっせん機関が中心でやる場合には、養親候補者が第一段階の手続をしないといけなくなるということですね。児童相談所がやる場合には、児相長が申立をすることができるけれども、民間養子縁組あっせん機関がやると、それはできないのですよね。
○成松家庭福祉課長
関わっているところが民間あっせん機関だけの場合は、一段階目の手続は、養親候補者が中心的にされると。児童相談所も当然案件によっては関与ができることになりますけれども、ただ、関わりがない事案というのもあります。
○山縣委員長
そうすると、負担感は一緒だという、この部分はなってしまうので、検討として、あり得るかどうか。児相にとってはそういうのはやめてという話になろうかと思うのですが、第一段階の手続だけは児相がやって、子どものマッチングは民間がやるということがあり得るのかどうか。そのへんまで方法としてはあり得ると。ただ、子どもにとってそれが適切かどうかとか、養親さんにとって適切かどうかはまだちょっとわからないので、そういうあらゆる可能性を考えて、養子縁組が必要な子どもたちが、適切な養親家庭に行けるようなところを、ぜひ、実務の中で考えていただきたいなというようなことを感想として持ちました。
引き続き、ここは実態が伴ってきますので、いろいろな課題が出てこようかと思います。法務省と厚労省と両方が関係することですので、協力をしながら、フォローをお願いしたいと思います。
○藤林委員
一点だけ御確認があります。
確認ですけれども、第一段階の手続で、特別養子適格の確認の審判は、これはたしか有効期間があって、5年も10年もずっと続くものではなくて、たしか半年か1年ですよね。
○山縣委員長
そうか。それしかないのですね。
○藤林委員
そういうのはあんまり知られてないのではないかと思うのです。
ですから、特別養子適格の確認審判が決まって、早い段階で第二段階目が確定しないと、もう一回元に戻るというふうな、そういう仕組みになっています。
○山縣委員長
それは、親権がとれているということですか。
○藤林委員
もう一回最初から手続をしなければいけないということです。
○山縣委員長
わかりました。
ちょっといろいろなことを言ったものだから、すみません、自分のミスです。
○江口委員
意見としてですけれども、児童相談所長の申立という形で第一段階をどうするかというのは、これは結構きちんと整理しておかないとやばいなというのが現場の感覚でございます。改正前から、府の中でチームをつくりまして、かなり綿密に検討を始めております。今出ておりました民間あっせん団体とどうつき合うのかという問題もかなり大きなところでございますし、第一段階は、親権の一部をある程度コントロールすることになりますので、このへん、申立てに際しては丁寧な検討のうえ申立を行う必要があること、家庭裁判所と十分な事前調整が必要かなと思っています。
そういう意味で言えば、家庭裁判所のほうとも十分な事前協議を自治体としてはやっていかなければならないと認識しております。なので、児童相談所としては、できましたら、このへんのさまざまな課題について、何らかの情報提供を、また、頂戴できればと。大阪家庭裁判所とは、既に、下打合せを始めておりますけれども、最高裁事務局のほうの御協力も得ながら、これはきっちり進めていかないといけないだろうと考えております。
それから、あわせて、これは親権あるいは子どもの人生にとって非常に大事な選択をしていくことに児童相談所長として関与していくことになるわけですから、かなりの責任の重さがあるので、児童福祉審議会等で場合によってはさまざまな有識者の意見を聴くような機会を設けるなど、このへんは丁寧な議論を児相としてしていくべきだというふうに現場は感じておりますので、御配慮をいただけたらと思っております。
以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
○浜田委員
大阪の浜田でございます。
出てきたことの整理だけさせていただきますけれども、これは本当にややこしい手続で申しわけありませんが、先ほど、第一の審判の有効期限という話がございましたが、これは、児童相談所長が申立をした件については有効期限があります。簡単に言うと、そういうことです。
児童相談所長が第一の手続の申立をいたしまして、確かに適格があるよねという確認の審判がなされましたらば、それの有効期限は6カ月です。ですので、実際に養親になる人が、その6カ月の間に第二の手続の申立をしていただく必要があります。
他方で、養親になる人が最初から第一の手続からやるときはどうなるのかというと、これは別の規定で、第一の手続と第二の手続、名前はそう呼ばれていますけれども、同時に申立をしなければなりません。そうすると、有効期間という問題はそこでは事実上出てこなくて、実務上は、恐らくですけれども、第一の審判と第二の審判はほぼ同時に出るのではないかと考えられているところです。
ですので、期限という観点で言うと、児相長が申し立てた場合にのみ6カ月という期限が出てくると整理できようかと思いますので、すみません、追加でお願いします。
○山縣委員長
わかりました。ちょっと認識不足でした。
○宮島委員
宮島ですが、2点だけ。
既に、これは法制審議会でも議論されているかもしれませんが、ここで、改めて、確認というか教えていただきたいのですが、普通養子も子どもの福祉のために活用し得る有効な選択肢の1つだということが忘れられてはならないだろうと思います。実情、成人養子が多いということや、外国籍の子どもとの養子が多いということですけれども、これは実親御さんとの法的関係が継続するというのは全て悪いわけではなくて、むしろ、子どもにとってそれが利益であれば、積極的に活用するということが忘れられてはならないのではないかと思います。
あと、この議題とはちょっと違うかもしれませんけれども、子どもの権利条約の権利委員会からの指摘もあったと思いますが、連れ子養子のハードルが低過ぎることによって、日本では、子の福祉がかなり厳しいことになるというのは、ここで発生した痛ましい事件でも見られることですので、どこかで検討をする必要が今後出てくるのではないかと申し上げたいと思います。
○山縣委員長
ありがとうございました。
では、5番目の議題に行きたいと思います。「都道府県社会的養育推進計画」の策定状況につきまして、報告をお願いします。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長です。資料5に基づきまして、御説明を申し上げます。
現在、御案内のとおり、都道府県の社会的養育推進計画につきましては、各都道府県でその策定作業を行っていただいておりまして、本年度中に策定いただくということでお願いをしております。
この間、我々としても、各都道府県からのヒアリングとかさまざまな情報提供を通じて、その策定を支援させていただいているところでございますが、現在の各都道府県の策定の検討状況について、この資料は、5月現在で一旦回答をまとめたというような資料になってございます。全体としては、ここに書いていますとおり、児童相談所を設置する70都道府県市からの回答を集計をさせていただいているというものでございます。
1枚目は、検討体制ということで、どの審議会を使っているか、あるいは、どの方々に入っていただいているか、いつから開始したか、どのぐらい議論をする見込みなのかということを、それぞれ表にしたものでございます。できるだけ幅広くしっかりと検討をしてくださいということをお願いしているところでございますので、引き続き、お願いをしていきたいと思ってございます。
2枚目に移っていただきまして、その中で、検討過程、特にお願いをしていることでございますが、当事者である子どもの参画をお願いをしてございます。こちらのほうも、自治体にどういう状況かお聞きいたしましたところ、何らかの形で子どもの参画、意見聴取等々を行うということで考えていただいておりますが、※のところでございますけれども、その方法について「すべて未定」とお答えした自治体も実際ございましたので、その自治体さんも含めて、この会議への参画とか、あるいは、アンケート調査、その他の手法で行っている自治体さんの事例とか、この自治体さんでこういうことをやっているという見える化をしたものを、全てに自治体さんにフィードバックさせていただいたところでございますので、特に「すべて未定」の自治体で、まだ取組が途上にあるところについては、そういった各都道府県の事例を参考に、当事者である子どもの参画を進めていただければと思ってございます。
3番目のフォスタリング業務の実施体制でございます。こちらのほうは、今回の社会的養育推進計画の中での一つの肝となる里親包括支援体制の構築というものでございます。それを2020年度までに各自治体さんにはお願いしているところでございますが、(1)をご覧いただきたいと思いますが、「委託予定あり」外部の方々を活用してやるというのは23自治体、「予定なし」ということで、児童相談所でしっかり自前でやっていこうという自治体さんが11自治体でございました。「検討中」と書かれている自治体が32自治体ございましたので、改めて、7月ごろに、どうなっていますかというお話を、この32自治体にお聞きしたところ、まだ具体的な方針が立っていないような自治体は25自治体ございました。こちらの25につきましては、現在、ちょうど我々の厚生労働省の家庭福祉課の職員が個別に各地域に回らせていただいて、関係者、例えば、行政、里親会、あるいは、児家セン、あるいは、養護施設、乳児院の皆さんにもお集まりいただいて、各地でどういう体制をとっていただけるかということを、いわばマッチングをしたり、あるいは、御助言申し上げたり、先進事例を御紹介したりということで、個別に支援をさせていただいているという状況でございます。
4と5は、それぞれ施設の計画の策定がいつごろになるかということとか、あるいは、5のほうで子ども数、代替養育の需要量についての調査はいつごろにやるかということを聞かせていただいている数値でございます。こちらのほうは、そろそろ自治体でもこの数値はある程度できつつあると思っていますので、この夏ぐらいにでも、この数としての調査をさせていただいて、また、とりまとめさせていただいて、公表し、あるいは、もしかしたら取組が進んでいない自治体等々がございましたら、我々としてもしっかり支援をしていくということをさせていただければと思ってございます。
資料5の説明としては、以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。都道府県の社会的養育推進計画の進捗状況等についてです。各委員も恐らくいろいろなところに関わっておられると思いますけれども、特にコメントなり、御意見なり、質問なりございましたら。
平井委員。
○平井委員
すみません、今、各自治体の状況は大体これでわかるのですが、この策定に当たって、施設関係の部分で、ちょっと前に、グループケアの実施要綱の案で、児童養護施設で言えば、6~8が6人ということで出されております。
あと、これは児童養護施設だけが6ということで、乳児院とか児童自立とか児童心理は、現状のままになっているのは、これでいいのかなというのもちょっとあります。
それと、施設の計画策定に当たっては、今後、最低基準、今で言う設備設置基準ですかね。そのあたりは昔の最低基準ですね。そのあたりは直近で変わっていくというか、改定されるということは考えられるのでしょうけれども、そのあたりはどうなのですかということをちょっとお聞きしたいと思います。
○成松家庭福祉課長
施設の小規模化ですかね。6~8を6にしたということでございますが、これは全体としての小規模化を進めていくということでございますが、一方で、これは経過措置を置かせていただいて、8でも加算がとれるようにということをしております。全体として、小規模かつ地域分散化を進めていくという全体の流れの中で、どのような形で進めていくかということになろうかと思います。
もう一つが最低基準をどうしていくのかという話もございました。最低基準は、今のところ、施設を含めてさまざまな小規模かつ地域分散化を進めていく中でも、まだまださまざま施設がございますので、まずは、小規模かつ地域分散化のようなことを進めていくために誘導策をとっていくというのが今の現状でございます。その誘導策をとっていく中で、どこかの段階では最低基準についても検討をすることもあり得ると思いますが、現時点では、まずは誘導策をしっかりとっていくというような状況だと理解しております。
○山縣委員長
ほかは何かありますでしょうか。
橋本委員お願いします。
○橋本委員
ありがとうございます。橋本です。
本年度より、指導委託費が大幅に増額されました。「地域在宅支援を充実しましょう」ということで、この専門委員会でいろいろ議論してきましたけれども、児家センとしても、地域支援、在宅支援の重要性をずっと訴えてきた立場として、この予算獲得については御尽力いただいた方々に感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
ただ問題は、この制度を都道府県や政令市、児相がうまく活用できるかどうかという点です。全国の児家センからいろいろ実情を聞いてみると、金額が値切られたり、非常に少額を上積みして、指導委託は何件受けてくれというようなことを要望されたりと、せっかく国がつくった制度とその制度趣旨が、それぞれの都道府県の考え方に的確に落とし込まれていないのではないかと疑問に思うケースが散見されるのです。今、都道府県の社会的養育推進計画策定作業の真只中ですから、ここで国は再度各都道府県に対して、指導委託費を増額した意図を再説明するとともに積極活用を促していただければと思うところです。
あわせて、この指導委託費を児童心理治療施設とか児童自立支援施設の通所部設置のような制度を参照し、義務的経費化していくということについても、ぜひ、前向きに御検討をいただければと思います。この点についてもよろしくお願いします。
私のほうから以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
井上委員。
○井上委員
井上です。
今言ってくださったのでよかったと思うのですが、多機能と高機能化を進めていきましょうという格好でやっていっているのですけれども、実際、幾つかの自治体に関わっていますと、本年度になって急に手挙げが来て、そこから改革をもう一度見直しになったりとか、そのときに実際に出てくる金額のところが、自分たちの理解していたものとちょっと違っているとか、そういった具体的な問題が結構あちこちで出てきています。
もう一つは、少し大きい市町村でやっていくときに、児童相談所の機能を持っていくところが、今度は支援拠点のところの機能に関しては、児童相談所の中に組み込んでしまうので、そこはかなり大きい自治体ですが、別に設けないで児童相談所だけでやっていこうとしようとしているところとか実際に出てくるのですね。ですので、住民に近いところで見たら、その地区で分けて、それぞれの大きさは違いますけれども、3つとか5つとか、支援拠点を別個に設けていただかないとできませんよというところなどの具体的な指導というか考え方をお伝えしていただけると、やはり全然違ってくるのではないかなと思っておりますので、そのへんのこともどうぞよろしくお願いいたします。
○山縣委員長
ありがとうございました。
安部委員、それから、宮島委員。
○安部委員
安部です。
3ページ目に子どもの数の調査ということですけれども、一番皆さん方が関心あるのがその6番目に上がっていない里親委託率がどの程度各都道府県が見越しているかという数字なのではないかなと、それぞれ都道府県、横を見ながらやっている気がするのですけれども、これは調査されたのでしょうか。調査されたら、大体どんな感じなのかとか、もしくは、国のほうとしては、もうちょっと頑張って委託率を上げましょうよという声かけをするのかどうかみたいなことをちょっと教えていただければと思います。
○成松家庭福祉課長
今回、5月にやった調査は、どういう検討体制で、どういうスケジュールでやりますか、あるいは、調査についてもどういうスケジュールでやっていきますかという、どちらかというとスケジューリングとか体制とかの調査でございます。ですので、子どもの数の調査というのも、いつやりますかということを聞いている状態です。
恐らく、これを見ていると、各自治体はそろそろ進んできているのかなと思いますし、具体的に代替養育の需要量がどれぐらい各都道府県で見込んでいるかとか、あるいは、里親確保の見込みがどれぐらい進んでいるか、あるいは、その裏返しとして、委託率を将来どれぐらい見込んでいるかというところにつきましては、先ほど申し上げたように、夏ごろに調査票を発出して、秋ぐらいにまとまれば、また、把握した上でとりまとめたいと考えています。ですので、どこの県が里親委託率何%にするとか、あるいは、全国でどうなっているという数値自体の把握は、我々は今後するということになってございます。
○宮島委員
都道府県計画が責任ある具体的なもので策定されることを強く望みますが、その上で、要望を申し上げたいと思います。
1月の専門委員会でも、宿直体制あるいは夜勤体制が今のままではまだ回らないと、きょう御欠席の奥山委員もお話しされていましたし、私も申し上げました。実際に、都道府県の計画づくりに私も参加させていただいていますけれども、やはり宿直体制・夜勤体制が今のままではやはり回らないと思います。先ほど、玉岡委員が一時保護所の体制は独自に基準を設けるべきだと要望されましたけれども、次年度の予算要求においては、実際に理想とするところが回るような体制をぜひとも構築していっていただきたいと願います。まだ、概算要求とか、そのあたりのものは公表できない段階だとは思いますけれども、これが成るか成らないかによって、実際、自治体が実現できるかどうかが左右されると思いますので、引き続き、厚労省におかれましては、予算の獲得について努めていただきたいと要望します。
2つ目は、フォスタリング機関に、一体的・包括的・連続的に業務を担っていただく必要があると私個人としては思っておりますけれども、自治体のいろいろな方に聞くと、一遍に全部任せるのはかなり難しいとお話しされます。実績あるNPO法人があったり、今後、施設がそれを担っていくということへの期待を持つし、それはぜひとも進めるべきだけれども、そのためにも3年間ぐらいは時間をかけて担えるような機関を育成するというようなことをしないと実現は難しいという声もお聞きします。技術的にどういうふうになるのか詳細はわからないのですけれども、ぜひとも、包括的・連続的なフォスタリング機関への委託とするために、何年間かかけて、段階的に移行するといった仕組みづくりを御検討いただきたいと要望します。
以上です。
○山縣委員長
要望ということですね。
藤林委員。これで最後にしたいと思います。
○藤林委員
残り時間少ないので手短に質問をしたいと思うのですけれども、課題と将来像のときには、たしかホームページに、平成41年度末の各都道府県推進計画における本体施設入所児童、グループホーム入所児童、里親委託児童の割合が一覧で出ていたわけですけれども、これは、今回のこの社会的養育推進計画の中で同じように各都道府県ごとの先ほど安部委員が言われたような、里親委託率の一覧、グラフというか、できれば、年齢区分ごとのものがあると、全体状況がよくわかっていいのではないかなと思うのですけれども、そういう予定はあるのでしょうか。
○成松家庭福祉課長
先ほど申し上げた、夏に調査をして、秋に把握をして、公表をするというところには、委員おっしゃるような数値も当然見せていかなければならないと思っていますし、それはあくまでも中間値ですので、それを踏まえて、また、各都道府県でも御議論・御検討いただいた上で、完成した計画の数値を、もう一回、恐らく来年の春以降に、また、把握をさせていただいて、公表をするという流れになると考えています。
○藤林委員
ビジョンでは、3歳未満、就学以前、国としての目標を掲げておりますので、それが都道府県ごとにどういうふうになっているのかというのを示していただくと、それぞれ励みになるのではないかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○山縣委員長
ありがとうございました。今の数値目標に限らず、ほかのところも含めて、データ収集できるものは収集いただいて、公表をよろしくお願いしたいと思います。
○松本委員長代理
そのときに、数値目標もそうですけれども、今、山縣座長がおっしゃいましたが、今回の都道府県計画のときに、数値目標だけでなくて、在宅支援のところをどういうふうに強化していくかというのも、社会的養育推進計画に入れましょうということと。
もう一つは、自立支援のところもその中に入れましょうということが、枠組みの大きな変更かと思いますので、そこがどういうふうな形になっているかということも含めて、何かきちんと公表をしていくと。特に、自立支援のところでいくと、厚労省で始められた予算事業の社会的養育推進計画の実施のところがどんな形で具体的にされているかということも含めて、全体の状況を把握していただけると、今後の施策の推進により有効ではないかと考えます。そこの枠組みの変更ということを余り理解されないで、数値目標のところだけで何か議論をされている自治体も案外あるのではないかという気もいたしますので、そこはぜひよろしくお願いいたします。これは確認です。
○山縣委員長
ということで、広くデータを収集いただきたいと思います。
井上委員。
○井上委員
井上です。
子ども子育て会議は、今年10月の分で、市町村はかなりきっちり子どもさんの状態を把握していっています。恐らく御存知だと思いますけれども、そこで出してきている部分の中から、本当に在宅支援のところで必要な方たちの数字の予測がかなり立つと思いますので、それを一緒に使っていただいたらなと思っています。どうぞよろしくお願いします。
○山縣委員長
ありがとうございました。
では、きょうの会議はこれで終わらせていただきたいと思います。
事務局に、今後の予定等をよろしくお願いします。
○成松家庭福祉課長
今後の予定につきましては、先ほど設置いただいたワーキングの議論も踏まえながら、追って、連絡をしたいと思います。
また、ワーキンググループにつきましては、この委員の方々にも多く入っていただいていますけれども、別途、連絡がいっていると思いますけれども、事務的に調整させていただいて、正式に御連絡したいと思います。
以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
では、第26回の委員会を終了します。御協力ありがとうございました。
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第26回「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の出欠状況でございますが、奥山委員、林委員、横田委員は御欠席と伺ってございます。
北川委員は御欠席と伺っておりますが、代理といたしまして、伊藤貴啓様にお越しいただいてございます。
さらに、委員の交代がありましたので、御紹介をさせていただきます。
増田委員の後任として就任されました小島委員でございます。
清水委員の後任として委員に就任された廣中委員でございます。
○廣中委員
廣中でございます。よろしくお願いいたします。
○成松家庭福祉課長
森下委員の後任として委員に就任された横川委員でございます。
○横川委員
横川です。よろしくお願いします。
○成松家庭福祉課長
さらに、厚生労働省におきまして、7月9日付で人事異動がありました。少し到着がおくれておりますが、局長には渡辺、審議官には依田、総務課長には宮本が就任しております。
また、虐待防止対策推進室長の柴田でございます。
○柴田虐待防止対策推進室長
柴田です。よろしくお願いいたします。
○成松家庭福祉課長
初めに、お配りしております資料の確認をさせていただければと思います。
配付資料は、右上に番号をつけさせていただいてございますが、資料1から資料5、参考資料は1-1から8というものがついてございます。
資料の欠落等がございましたら、その都度でも結構ですので、事務局までお申しつけいただければと思います。
カメラの撮影は、ここまでとさせていただきたいと思います。
(カメラ退出)
○成松家庭福祉課長
それでは、これより先の議事は山縣委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山縣委員長
皆さんこんにちは。暑いところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
前回が1月16日第25回でしたけれども、そのとき、当時の状況をいろいろ報告を受けたわけですが、その後も、御承知のように、子どもの権利委員会の総括所見があり、児童福祉法の改正があり、残念ながら、お子さんたちが虐待で犠牲になっている状況は続いていると。そんなことがありまして、国でもさまざまな対策をとっておられます。
最初は、そのあたりの最近の状況についての御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○柴田虐待防止対策推進室長
それでは、まず議題1の「児童虐待防止対策について」御説明をさせていただきたいと存じます。お手元の資料1についてご覧いただければと思います。
資料1に、先の通常国会で成立いたしました児童福祉法等の一部改正なども含めまして、主な動きについて時系列で整理をしております。本年1月に開催した本委員会後の主な対策について御説明をしたいと思います。
こちらは、児童虐待防止対策につきましては、この資料にございますように、2016年、2017年の児童福祉法等の改正でございますとか、あるいは、7月の緊急総合対策の策定による対策強化といった類似の取組を講じたところでございます。
他方で、今、座長からもお話がありましたように、本年1月の千葉県野田市の事件など痛ましい事件が繰り返されてしまったということはまことに残念でございますし、事態は大変に深刻に受けとめているところでございます。
本事案を受けまして、ここの中段の下にございます、2019年2月8日に、子どもの安全を最優先に考え、緊急総合対策の更なる徹底強化ということが、児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議で決定されております。詳細は、参考資料3-1と3-2でつけてございますが、主な内容につきましては、例えば、児童相談所で在宅指導をしている全ての虐待ケース等につきまして、1カ月以内に緊急的に安全確認すること等の児童相談所や学校における子どもの緊急安全確認の実施、あるいは、子ども安全を第一に考えて、通告元は一切明かさない。あるいは、資料を一切見せないという新たなルールを設定するなど、要保護児童等の情報の取扱いや、保護者が威圧的な要求等を行う場合には、複数機関で共同対処することなどを、関係機関の連携に関する新ルールの設定。あるいは、その新プランに基づきまして、児童福祉司を2,020人程度増加することとか、あるいは、子ども家庭総合支援拠点を全市町村に設置するなど、児相等の抜本的な体制強化を図ることといった内容になってございます。
さらに、この下から2番目のところでございますけれども、昨今の児童虐待相談件数の急増とか、あるいは、昨年の目黒の事案、先ほど触れました今年の野田市の事案等を踏まえまして、本年3月19日に、児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議におきまして、児童虐待防止対策の抜本的強化をとりまとめた上で、本年6月19日に、児童福祉法等の改正法案を国会に提出しておるということでございます。
児童虐待防止対策の抜本的強化につきましては、参考資料の4-1に添付しておりますので、簡潔に触れたいと思っております。
4-1でございますけれども、児童虐待防止対策の抜本的強化の中でも、特に法律で定めるべき事項につきましては、国会に児童福祉法等の改正法に盛り込んでおります。こちらについては次の議題の2で御説明したいと思います。
法律に定めた事項以外のものとしまして、主な内容を御説明したいと思います。
参考資料4-1の中にございます1ページ目の2のマル1等の乳幼児健診未受診者等に関する定期的な安全確認、あるいは、地域における相談窓口や子育て支援拠点の設置促進等、相談窓口の周知・徹底、学校等における虐待等に関する相談体制の強化などを、児童虐待の発生予防・早期発見。
2ページ目でございますけれども、3の(1)のマル5、新プランに基づく児童福祉司の先ほど触れましたけれども2,000人増等に向けた支援の拡充、あるいは、児童福祉司等への処遇改善などによる児相の体制強化ということ。
そして、3ページ目をお開きいただきまして、(2)のマル3で、一時保護所の環境整備、職員体制の強化なども含めた児童相談所の設置の促進。3の(3)の子ども家庭総合支援拠点や要保護児童対策地域協議会などの市町村の体制強化。そして、(5)の専門スタッフの学校・教育委員会への配置支援や研修等の充実などの学校・教育委員会におけます児童虐待防止対策対応に係る体制強化というところ。
そして、4ページ目でございますけれども、3の(7)のマル2の児相と市町村の情報共有システムの推進などを関係機関間での連携強化。そして、保護支援プログラムに関する支援の拡充や専門人材の養成、児相への警察OBの配置や出向の促進などの警察との連携を強化。そして、4の里親支援拡充などを社会的養育の充実・強化となっているところでございます。
その上で、法律については議題2で説明したいと思いますので、資料1、議題1の説明については以上になります。
○山縣委員長
ありがとうございました。
今の室長のお話の中で、議題2についてはというのがありましたが、ここも関連していますので、あわせて説明をお願いしたいと思います。その後、皆さん方の質問等を受けたいと思います。
○柴田虐待防止対策推進室長
続いて、議題2の「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律について(報告)」で御説明したいと思います。お手元の資料2をお開きいただければと思います。
先ほど議題1でも御説明いたしましたけれども、児童虐待防止対策の抜本的強化の中でも、特に法律で定める事項につきましては、改正法に入れ込んでいるということでございます。こちらの資料で主な項目を御紹介します。
1の「児童の権利擁護」でございまして、体罰禁止及び体罰によらない子育ての推進という観点から、親権者や児童福祉施設の長等による体罰の禁止の法定化。マル2にございますように、都道府県、児相の業務として、児童の安全確保を明文化する。マル3として、児童福祉審議会において児童に意見聴取する場合においては、その児童の状況・環境等に配慮するものとしております。
2の(1)でございますけれども、児相の体制強化等につきましては、マル1の介入担当者と保護者支援の担当者の分離とか、あるいは、マル2の児相におけます弁護士、医師、保健師の配置等を法律に盛り込むということでございます。マル3は、都道府県は児相の行う業務の質の評価を行うことによりまして、その業務の質の向上に努めること。マル4として、児童福祉司の数は、人口あるいは虐待相談対応件数等を総合的に勘案して政令で定める基準を標準として都道府県が定めるものとする。そして、マル5としまして、児童福祉司及びスーパーバイザーの任用要件の見直し、あるいは、児童心理司の配置基準を法定化することによりまして、職員の資質の向上を図る。マル6として、保護者指導の措置を行う場合には、医学的または心理学的知見に基づく指導を行うように努めるもの。マル7としましては、都道府県知事が施設入所等の措置を解除するときの勘案要素としまして、児童の家庭環境を明文化するという規定。
(2)でございますけれども、児相の設置促進の観点でございます。ここに書いてございますように、マル1としましては、児相の管轄区域に関する基準を法定化するということと、具体的には、ここにございますように、児相の管轄区域は、人口その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとする。
マル2としまして、政府は、施行後5年間を目途に、中核市及び特別区が児相を設置できるよう、施設整備あるいは人材確保・育成の支援等の措置を講ずるものとする。その支援を講ずるに当たっては、関係地方公共団体その他の関係団体との連携を図るものとする。
さらに政府は、施行後5年を目途に、支援等の実施状況及び児童虐待をめぐる状況等を勘案して、施設整備、人材確保・育成の支援のあり方について検討を加え、必要な措置を講ずるものとするという規定を盛り込んでいるところでございます。
ページをおめくりいただきまして、(3)の関係機関の連携強化についてです。
こちらは、学校とか教育委員会あるいは児童福祉施設等の職員に対する守秘義務とか、あるいは、DV対策との連携等が規定されているというところでございまして。具体的には、(3)のマル1でございますけれども、要対協から情報提供等の求めがあった場合には、関係機関等はこれに応ずるよう努めなければならないものとする。2として、国及び地方公共団体は、関係地方公共団体相互間と市町村、児相等の間の連携強化のための体制整備に努めなければならない。マル3として、児童虐待を受けた児童が住所等を移転する場合に、その移転前の住所等を管轄する児相長は移転先の児相長に速やかに情報提供を行うことともに、情報提供を受けた児相長は要対協が速やかに情報交換を行うことができるため措置等を講ずるものとするという規定が盛り込まれています。マル4として、学校、教育委員会、児童福祉施設等の職員は、正当な理由なく、その職務上知り得た児童に関する秘密を漏らしてはならないこととするという規定でございます。マル5として、DV対策等との連携でございますけれども、婦人相談所と配偶者暴力相談支援センターの職員については、児童虐待の早期発見に努めること。そして、児童相談所はDV被害者の保護のために、配偶者暴力相談支援センターと連携協力するよう努めるものとするという規定が盛り込まれているところでございます。
3の「検討規定その他所要の規定の整備」についてでございますけれども、マル1につきましては、児童福祉司の数の基準については、児童虐待相談対応件数が過重なものとならないよう、必要な見直しが行われるものとする。
マル2といたしまして、児相職員の処遇改善、あるいは、一時保護所等の量的拡充や一時保護の質的向上に係る方策等に対する国の支援等のあり方について、速やかに検討を加え、必要な措置を講ずるものとするという規定。
マル3としましては、民法上の懲戒権のあり方について、施行後2年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。これは法務省で検討を進めるという予定でございます。
マル4として、一時保護その他の措置に係る手続のあり方について、施行後1年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
マル5としまして、児童の意見表明権を保障する仕組みでございますけれども、児童の意見を聴く機会の確保、あるいは、児童がみずから意見を述べる機会の確保、そして、その機会に児童を支援する仕組みの構築、児童の権利を擁護する仕組みの構築、その他の児童の権利擁護のあり方について、施行後2年を目途に検討を加えて、必要な措置を講ずるものとするということとされています。
マル6でございますけれども、児童福祉の専門知識・技術を必要とする者の資格のあり方その他資質の向上策について、施行後1年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとするということでございます。この規定が、本日の議題3で御説明するワーキンググループに関連するものでございます。
マル7といたしまして、児童虐待の防止等に関する施策のあり方について、施行後5年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
マル8が、通報の対象となるDVの形態や保護命令の申立をすることができるDV被害者の範囲の拡大、あるいは、DV加害者の地域社会における更生のための指導等のあり方について、公布後3年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとするということとされています。
施行期日につきましては、一番下に書いてございますように、令和2年4月1日でございまして、この法律の概要の3のマル2とマル8の部分については公布日、そして、2の(1)のマル2と5の一部については令和4年の4月1日、2の(2)のマル1は令和5年4月1日ということになってございます。
こちらの法律でございますけれども、衆議院で法案が一部修正をいただいた上で、衆議院・参議院とともに、全会一致で可決成立をしております。今後、今回、政府法の着実な施行に努めるとともに、今、御紹介した検討規定等に基づきまして、本委員会等で御議論をいただきながら、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
説明は以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。関連するものとして、1番と2番をあわせて報告をいただきました。
では、皆さんから、質問なり御意見なりを伺おうかと思います。発言のある方は手を挙げて、よろしくお願いします。
平田委員、どうぞ。
○平田委員
施設としてというか、医者を児童相談所に配置する件に関してですけれども、現在でも、非常勤でかなりたくさんの方が配置をされているのですけれども、児童相談所は虐待だけではなくて、半分は障害関係のいろいろな書類だったりとか、MRの判定だったりとかもしているので、この医師の配置というだけでは、多分、今、医者は居ますというふうになっていかないかなというのを若干懸念しているのですが、具体的な医師の職務内容などに関して触れたものは、改めて、出るのでしょうか。
○山縣委員長
幾つか出てからにしましょう。
ほかにございますか。
宮島委員。
○宮島委員
ありがとうございます。
法改正の作業は本当に大変だったと思いますし、これから取り組むべきものが本当にたくさんあるなと感じておりますが、検討規定の中の1つ、細かいところで申しわけないのですけれども、文章を読んだだけだと、ちょっと意味が私としては不確定といいますか、よくわからないところがありますので、聞かせていただきたいと思います。
資料2の3ですね。「検討規定その他所要の規定の整備」のマル4についてですけれども、「一時保護その他の措置」とありますが、一時保護についてはわかる。そして、一時保護は、今とても課題が大きいと認識しておりますけれども、「その他の措置」とは具体的にどういうものが含まれるのかというのが、資料を読んでもなかなか不明確なので、お聞きしたい。
また、「手続のあり方」とあるので、手続というのはどのあたりからどのあたりを含めてのものなのか。この文言だけを読んで、ほかの資料では十分理解がし切れないので、また、課題が大きいと思いますので、可能な範囲で御説明をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○山縣委員長
では、もうお一方、安部委員に聞いて、そこでお答えいただこうかと思います。
○安部委員
安部です。
資料2の1のマル1。しつけとして体罰を加えてはならないと書いてあって、これが「親権者は」と書いてあるのですけれども、親権者以外の保護者については、何か別の規定が適用されるのかどうかというのが1つです。
もう一つは、体罰を用いてはならないということはいいことなのですけれども、体罰を用いないしつけの仕方についてをどこで担保しているかというのは、もし、この法改正の中に入ってないのであれば、いろいろな施策の中でそういうところが入っているかどうかということを教えてください。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
では、以上5点、順次、担当から説明をお願いします。
○成松家庭福祉課長
医師の職務内容についての御説明でございます。法律上は、児童の健康等に関する専門的な知識及び技術を必要とする指導を行うということで、医師というのはそういう位置づけになっていると理解しておりますが、その中でも、特に、今回の法改正で期待しておるのは、それを含めて、例えば医療関係者との連携とか、病院とか診療所とかそういう医療関係者との連携とかというのを期待して、現行、先生がおっしゃったように、たしか9割の児童相談所で配置はされているものの、まだ1割配置されていないという状況もありますので、それをまず必ず配置をしていただくということをお願いするとともに、先ほど申し上げたような医療関係者との連携をしっかりやっていただくことを期待して、法律に入れさせていただいていますので、そういったことをしっかり今後も示していきたいと思ってございます。
○柴田虐待防止対策推進室長
2点目、3点目の一時保護の検討規定の話ですけれども、その他の措置は何かという御質問と、その手続のあり方がどこまでかということでございますけれども、こちらは、司法の関与している措置全般についてちょっと見直すという趣旨でございまして、今、射程が特にここだということで決まっているわけではなくて、全般的なことで我々としては受けとめているということでございます。
○成松家庭福祉課長
ちょっと漏れていたら申しわけないですが、なぜ体罰が親権者に限られているかというところですけれども、今回の法律では、親権の範囲から懲戒権に関して、懲戒権の一環として体罰が置かれているということで、これを禁止ということを明確化するために、そういった趣旨を入れさせていただいていますので、親権者というのは、親権者に対する体罰の禁止だということになってございます。親権者以外は、そういう意味では懲戒権を持っていませんので、有形力の行使等々を行うと、これはそもそも他の法律で今もそういったことは禁止あるいは抑制されているというふうに理解をして、その懲戒権としての体罰を今回禁止する。懲戒権の中に含まれていた体罰を禁止するという趣旨で、このことを書かせていただいているという理解でございます。
○柴田虐待防止対策推進室長
最後は、体罰を用いないしつけの仕方等々についてということでございまして。我々は、体罰禁止のことも含めたガイドラインを作成するということが方向性として決まっておりまして、それを検討する検討会を今立ち上げて、体罰の考え方とか、体罰以外のものについても、今おっしゃったような、望ましくないというか、そういったことも含めて国民に対して啓発をしていこうと考えているところでございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
一番最初の平田委員の質問のところで確認したいのですが、今、医師が配置されてない10%のところの設置というのが趣旨なのか。既に配置されているところについての増員まで含めた、埋めることは当然で、プラス増員のことまでここは含んでいると理解していいのでしょうか。
○成松家庭福祉課長
法律上は、今までは医師または保健師を配置するということになってございましたので、今後は、医師及び保健師という形なので、法律上の効果としては、今、残りの10%に必ず置いていただくというのが、まず直接的な法律の効果ですが、昨今の児童虐待事案を見てみますと、医療機関との連携がなかなかできていないということでもございますので、全体として、置いてないところは置いていただく、既に置いていただいているところは、さらに連携を深めるというような、そういった趣旨で今後進めていきたいと思っております。ですので、法律上は、まず100%にしていただく。その上で、我々としては、その配置の質的な推進とか、あるいは、来ていただく時間を増やすとか、そういうことも財政措置とかで担保していきたいと考えております。
○山縣委員長
質問した方はよろしいでしょうか。
松本委員長代理、その後、井上委員。
○松本委員長代理
今、体罰を親権者と書いているという点で、懲戒権の行使としての体罰を禁止するという趣旨だというふうなお答えだったのですけれども、ちょっと確認したいのですけれども、民法上の懲戒権は、体罰を容認していると、今、法解釈ではなっているということでしょうか。そこが前提になるようなお答えだったと思いますし、そういうふうに現行の懲戒権を理解していいのかどうかということ自体、どういう議論になっているのかというのは確認をしておかないとまずいと思いましたので。
○成松家庭福祉課長
これも国会でも議論になりましたが、従来の懲戒権、これは実は法務省の解釈ですけれども、言ってしまえば、体罰が全て排除されているわけではない、一部懲戒権の中に体罰が入っていると、従来、そういう解釈ではありました。
ただ、今回、体罰を虐待防止法で禁止することによって、虐待防止法上も体罰は禁止されますし、懲戒権として容認される範囲に体罰が含まれないことが明確になったということでございます。
○松本委員長代理
今のその法解釈は、法務省のほうの解釈で、従来、懲戒権の中で体罰が容認されていたという法解釈はどういうふうな。
○成松家庭福祉課長
失礼しました。
容認されているという言い方かどうかはちょっと別として、全て排除されているわけではないと。懲戒権の範囲というのは、社会通念で動いていくというのが、まず法務省の解釈でございまして。その社会通念で判断すれば、体罰全てが懲戒権の範囲外であるという立場では法務省はございませんでしたので、我々として、体罰を禁止するための法改正を行ったということになります。
○松本委員長代理
法解釈については議論があるとは思うのですけれども、その解釈に沿って言うと、従来の懲戒権の解釈を変更した規定だというふうに受けとめて構わないということですね。
○成松家庭福祉課長
今回、法律で禁止することによって、懲戒権の範囲が明確に狭まったと。その部分については狭まったという理解でよろしいかと思われます。
○山縣委員長
並行して、民法で懲戒権の議論がされていますので、そこでもっと明確にしていただくということになろうかと思います。
では、井上委員よろしくお願いします。
○井上委員
井上です。
まず最初に、自分自身、日本子ども虐待防止学会というところの副理事長に拝命されましたので、その立場からの意見としてちょっと言わせていただきたいと思います。
今、医療者との連携のところできちんと話し合いがされているかどうかということですが、その学会でも、CPTのチームといろいろ話をしました。その結果あるのが、医療者あるいは保健師さんから、これは大変問題だという話が出て、それを児童相談所にきちんと上げているわけですが、その児童相談所の段階で、そこに関しての情報をきちんと把握して実行してくださるということをされない場合、医療者はもう黙ってしまうしかないというような事態が起こってしまっていまして。その中で、いろいろなうまくいかないというような状態が起こっています。
ですので、医療者がそういった危険を訴えた場合に、児童相談所に訴えてうまくいかないときは、どこにどういうふうに訴えていくことによって、そこをもう一度検討してもらえるかというような立場のところを少し明確にしていただかないと先に進まないのではないかなと思いましたので、そのことを一言お伝えしたいと思います。
○山縣委員長
ありがとうございます。
では、藤林委員。
○藤林委員
先ほどの宮島委員の質問に関連してですけれども、検討規定の3のマル4の一時保護その他の措置に係る手続のあり方について検討を加えるということですが、この「その他の措置」は、いわゆる29年法改正の司法関与の部分を含むものかなと勝手に想像しているのですけれども、29年法改正は3年を待たずに検討を行うと書かれているわけですが、29年法改正のその文言とここの検討規定のマル4の文言はイコールなのかどうかというところを教えていただきたい。そう考えると、令和2年度には何らかの検討委員会なりを行うのかどうか、そのへんも見通しをお教えいただきたいと思います。
○成松家庭福祉課長
お答え申し上げます。
藤林委員おっしゃるように、29年改正法で施行後3年を目途として、こういう一時保護とか手続のあり方は検討をするという文言が書かれていたことを踏まえ、今回の令和元年度の法案で、時期的に重なると思いますけれども、一時保護その他の手続のあり方を、施行後1年で検討することになりましたので、その流れとしては、基本的には、29年改正とほとんど同じというふうに御理解いただければと思います。改めて書いたということだと理解をしています。
この関係の検討をどうやっていくかというのは、まだ内部で検討中でございますが、29年の改正法で30年施行でございましたので、30年施行からの状況もしっかり踏まえなければならないというような状況ですので、それをしっかり踏まえさせていただいて、関係機関も最高裁とか法務省とかもございますので、そこともいろいろと意見交換をさせていただきながら、あるいは、また、関係者の皆さん、有識者の皆さんの御意見を伺いながら、この検討規定の検討を進めていきたいと思ってございます。
○山縣委員長
お願いします。
○玉岡委員
東京都の玉岡です。
まず東京都として、これは質問というよりは要望ですけれども、児童福祉司については3万人に1人、あるいは、心理司については半数配置をすることになっておりまして、先ほど御説明があったと思いますけれども、今後の人材確保・育成策については財源も必要になってくるところでございますので、ぜひ、そのあたりの確保をお願いしたいということをお願いします。
それから、先ほどから、一時保護所の話があります。先ほどの環境改善ですが、体制強化といったところもお話の中にはありましたが、特に一時保護所は御案内のように、子どもの集団が常に入れかわり不安定になるというようなところでの児童への支援、あるいは、アセスメントというところが必要になりますので、我々としては、一時保護所独自の配置基準などが必要なのかなと考えておりますので、そういったところも、改めて、この場で御要望させていただきます。
あと、これは東京都の取組の紹介にはなりますけれども、東京都では、児童虐待防止に関しては、今年の4月1日から、子どもへの虐待の防止等に関する条例を制定いたしまして、保護者による体罰等の禁止を明記させていただいたところでございます。
そうした流れの中で、ちょうど今月の1日からは、LINEを活用いたしました相談を本格実施をさせていただいたところでございます。昨年の11月の2週間の間で、試行で取組をさせていただいたものでございますが、その2週間やらせていただいたときには576件の御相談を寄せていただきまして、その中で、児相への引継案件も8件あるなど、非常に有効な取組だということがわかりましたので、今月から本格実施しているということもございます。自治体としても、そういった取組を含めて、児童虐待防止、予防的なことも含めて取組を進めていきたいと思いますので、国といたしましても、体罰によらない子育て、今回の取組も含めて、ぜひ、普及については力を入れていただければと思います。
私のほうからは以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。2点の要望ということですね。
では、中村委員。
○中村委員
ありがとうございます。中村です。よろしくお願いします。
資料2の2ページに2つあります。1つは、同じく一時保護所の関連です。この間、メディアでの報道もありますが、もちろん一時保護委託、児童養護施設の専門施設も含めての量的拡充は必要だとは思いますが、それよりも、今の一時保護所の質的向上がとても重要なのではないかと思っています。今後、第三者評価を入れたりとか、ガイドラインを使用したりと変えていこうという動きにはあるとは思いますがそれが全国的にどのような進捗をしているかなどの評価とフィードバックが必要だと思います。一時保護所は、ほかの資料でもありましたが、安全・安心の場である必要があります。子どもたちが保護されたときに、保護されてよかったと思えるような場所でないと、もし、家庭復帰した後にSOSを出したいと思っても子どもが保護所に行きたがらないといった深刻な状況になるのではと懸念しています。
もう一つは、3のマル5の児童の意見表明権を保障する仕組みについてです。明確にはっきりとは言えないのですが、児童の意見を聴く機会の確保とか、自ら意見を述べる機会の確保と記載されていますが、機会の確保というのではなく「必ず聴く」といった表現がよいかと思いました。いい表現が思いつかないのですが、何か良い文言に変えていただけると良いと思いました。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。最後の部分は、今後、2年間で検討する、その中できっちりと適切な表現を検討していただければいいかと思います。
○松本委員長代理
意見表明権の保障ということですよね。保障だと、機会の確保ということは、それを保障するということを明確に入れ込むということかと思います。
○山縣委員長
では、井上委員。
○井上委員
井上です。
意見表明のところはとても大事で、自分もずっと悩んでいて、今の段階で、子どもたち全員に聴くというのはかなり難しいところがあると思うのですね。ですが、今回、亡くなった子どもさんたちの経過もしっかり見させてもらうと、いろいろな会議した最後に、もし、そこに子どもさんがいて、ちゃんと自分でしゃべって、意見を表明したときに、皆さんが出した結果に関して何と言うだろうねという話し合いを、最後の5分間ぐらいでみんなで討論するようにすると、結構視点がぐっと変わるということを経験しています。
今は、2年間というのは、本当にそれぐらいの時間がかかってしていかなければいけないことですが、今いる子どもたちを守っていくためには、今すぐできることとして、今言ったようなことがありますので、ぜひ、そういったことも前向きに検討をしていただきたいかなと思います。よろしくお願いします。
○山縣委員長
取組のあり方として、検討をさせていただくということになろうかと思います。
では、菅田委員お願いします。
○菅田委員
全母協の菅田です。
資料2の2番の(3)のマル5、それから、3番のマル8ですね。この2つはDVのことが書かれているのですけれども、これだけ変えるということは、DV防止法は当然改正するという方向性だと思うのですが、目途も含めてどのようにお考えでしょうか。
○成松家庭福祉課長
まず、資料2の2ページ目の(3)のマル5につきましては、DV防止法もこの一連の法改正の中で改正をしております。実際、改正が行われております。
同じページの3のマル8につきましては、これは検討規定となっておりますので、このDV防止法の関係は内閣府が主担当になっていますので、内閣府が中心となって、あるいは、厚生労働省もそれと連携しながら、このマル8の検討を行った上で、必要があれば法改正を含めて考えると。これから、マル8のほうは検討を行っていくということになろうかと思います。
○山縣委員長
ありがとうございます。
では、浜田委員。
○浜田委員
もう既に出てきているところもありますけれども、検討規定の中に、今後何年を目途にというところが何点かございます。今、他省庁が中心となってというところもお話しいただいたところですが、この後の議題に出てくるもののほかに、今、いつごろから動きそうということがわかっているものがあればお知らせいただきたいというのが一応質問でございます。
ただ、先走りますと、恐らく、今検討中であるとのお答えになるのではないかと思いますので、先に意見を申し上げておきますと、その目途のお尻のところが見えてきてしまうと、どうしても検討する期間が窮屈な中で議論をせねばならないということが出てくるように思います。
そこで、お願い事項としては、十分に審議・議論をする期間を確保できるような日程をぜひとも組んでいただきたいということです。いろいろ課題がある中で、お忙しいことは百も承知ではありますけれども、要望として先に述べておきたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。
何か特にお答えはありますか。
○成松家庭福祉課長
ちょっと繰り返しになりますが、資料2の2ページ目の3の検討規定がいろいろと書かれてございますが、そのうち年限がされているものがマル3以降になると思います。懲戒権は先ほど申し上げたとおり、今、法務省でスタートを切っている。
マル4の一時保護の関係は、先ほど申し上げたように、施行状況を見ながら、あるいは、関係省庁とも連携しながら検討を進めていく。
マル5につきましては、いろいろと実際の取組とかを収集していたり、モデル事業をやったりしようとしていますので、それを踏まえながら検討を進めていきたいと思っています。
マル6につきましては、後ほど出てきますけれども、この社会保障専門委員会の下にワーキングを設けて議論を進めていくということになろうと思いますが、先ほど委員からおっしゃっていただいたように、しっかりとした議論ができるように、時間的なこともしっかり頭に入れて、それぞれ進めていきたいと思ってございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
では、藤林委員お願いします。
○藤林委員
何人かの委員も質問されているのですけれども、検討規定の3のマル5のいわゆるアドボケイトに関連する検討規定です。これは施行後2年を目途に検討を加えて、必要な措置を講ずるものということですから、多分、令和4年ぐらいになるのかなと思っているのですけれども、一方では、30年度の子ども・子育て支援推進調査研究事業で、既存の児童福祉審議会を活用した子ども権利擁護対応ガイドラインを、この研究事業を活用して公表しております。
先日ありました全児童福祉主管課長・児童相談所長会議でも、こんなふうに進めていくのだよというガイドラインが確か配付されていたと思うのですけれども、実際、見てない方はぴんと来ないかもしれませんけれども、このガイドラインの作成の一員として関わった者として思うわけですけれども、あのガイドラインどおりにしようと思うと、権利擁護調査員とか意見表明支援員とか、結構マンパワーが必要になってくる。そうすると、このガイドラインに沿って各都道府県がしようと思っても、それなりのコストがかかってくるわけです。こういうガイドラインを示したということは、早速、令和2年度からでも行えるような、そういう予算的措置を考えられていらっしゃるのか。または、この検討規定の3のマル5にあるような、もう少し1年2年検討を加えた上で、本格実施になっていくのか。いつからこのガイドラインにあるような本格的な権利擁護のシステムが進んでいくのかという、何か見通しについてありましたらお教えいただきたいと思います。
○山縣委員長
お願いします。
○柴田虐待防止対策推進室長
御質問ありがとうございます。
御指摘のとおり、先週の8月1日の全国児童福祉主管課長・児相長会議の中で、児童福祉審議会を活用した子どもの権利擁護についてということで、御紹介をいただきました、その調査研究を踏まえて、ポイントをお示しさせていただいているところでございます。
その上で、先ほどお話がございましたように、検討規定にございますように、この児童の意見表明権を保障する仕組み等々につきまして、施行後2年を目途に検討を加えるということでございますので、まず、自治体にはこういったガイドラインのポイントをお示しするということとともに、この法律の検討規定を受けた検討は、今年度、まず調査研究をして、モデル事業を行って、その上で、そういったあり方を検討して、必要な措置を講じていくものと考えています。
○藤林委員
もう少し先ではなくて。
○柴田虐待防止対策推進室長
少なくともこの検討規定は、我々のほうでも、調査研究等々をしながら、進めていきたいと思っているところでございます。
○山縣委員長
途中とは言え、ガイドラインを自治体には示されたようですから、委員お持ちでない方も結構いらっしゃるような気がするので、何らかの形で共有できるような形にしていただけたら、ありがたいと思います。
○柴田虐待防止対策推進室長
はい。
○山縣委員長
宮島委員を最後にさせてください。
○宮島委員
申しわけありません。
今、例えば、資料に既に書かれていることかもしれませんが、1点、ちょっと要望として申し上げたいと思います。
検討規定のマル5ですけれども、これから検討をすると、その検討のあり方もこれから決めるということだと思いますが、当たり前のことかもしれませんが、この検討には、ぜひとも当事者委員をちゃんと加えていただく必要があるだろうと。しかも、複数ですね。中村委員がいつも鋭い意見を言ってくださいますが、当事者抜きにこの検討がなされることがあってはならないと思いますので、ぜひとも、当事者委員をここに置いてほしいという要望です。
あと、もう一つは、実際に、くまなく日本の隅々でそれが実現されないといけないので、自治体の委員もぜひとも加えていただきたい。そうでないと、理想と現実が一致しないということが生じかねないという面があると思いますので、具体的な検討を、現実的というよりも、実現するためのいろいろな知恵もいただくために、自治体の委員の参加を求めたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
有効な提言をありがとうございます。
特に検討事項について、いろいろな質問あるいは御意見が出ておりましたが、ここに書かれていますように、それぞれ項目によって期間は違いますけれども、一番長いもので施行後5年になっていますけれども、それぞれ動かされるときに、各委員の意見をぜひ前提に考えていただけたらありがたいと思います。
それから、東京都の方のお話にもありましたけれども、量と質、その背後にある財政措置も、引き続き、頑張っていただきたいと思っています。
ありがとうございました。
この検討事項をたくさん見ておりましたら、どうも、委員が継続するかどうかは別にして、我々が幾つかやらなければいけないものがありそうだということだけはお互い覚悟をしていだたきたいと思います。よろしくお願いします。
では、3番目の議題になります。今の検討事項の6番目に関わるところですけれども、説明をお願いしたいと思います。
○柴田虐待防止対策推進室長
それでは、資料3に基づき御説明をさせていただきたいと思います。
こちらは、表題にございますように、「子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質向上策に関するワーキンググループの設置について」ということで、案をお示ししているところでございます。
1の「設置の趣旨」でございます。こちらは、先ほど来説明しております児童福祉法等の一部改正の附則第7条3項におきまして、政府は、この法律の施行後1年を目途として、この法律の施行の状況等を勘案し、児童の福祉に関し専門的な知識及び技術を必要とする支援を行う者についての資格のあり方、その他当該者についての必要な資質の向上を図るための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとされているところでございます。
これを受けまして、子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格のあり方その他資質の向上策についての検討を行うため、「社会的養育専門委員会」のもとにワーキンググループを設置するというものでございます。
2といたしまして、「構成等」でございます。(1)構成員は、社会保障審議会の専門委員から委員長が指名するということでございまして、こちらは、この資料3の裏側の別紙1で構成員の名簿をつけておるというところでございます。(2)ワーキンググループには座長を置く。(3)として、座長代理を置く。座長代理は、座長の指名とする。(4)として、座長が必要があると認めるときは、関係者の参加を求めることができる。庶務は、子ども家庭局家庭福祉課において処理するということでございます。
3として、「主な検討事項」は、子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格のあり方その他資質の向上策。
4「その他」は、会議は、原則公開とする。
というのが案でございます。
別紙1は構成員でございまして。
別紙2が、今、私が申し上げた児童福祉法の改正の法律の附則をつけてございます。
資料3(参考)をご覧いただければと思います。今後の検討スケジュール(イメージ)ということでお示しをさせていただきます。きょうは8月7日第26回社会的養育専門委員会、本日、本委員会でこのワーキングの設置を御決定いただいた後に、令和元年9月に議論を開始し、来年夏を目途に中間的な整理、そして、来年末の12月にワーキンググループの議論の整理、その後、社会的養育専門委員会へ御報告をするというようなイメージとして、資料をつけさせていただいております。
説明は以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
何を議論するかにつきましては、別途、この後、御意見をいただくとして、まず、ワーキングの設置と構成員について、特に御意見がございましたら、伺っていこうと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
もし、それをお認めいただけたら、「構成員等」の(2)には、ワーキンググループには座長を置くことになっておりますので、座長の選任に入っていきたいと思います。
○成松家庭福祉課長
すみませんでした。設置を御承認いただいたということで、次に、ワーキンググループの座長の選任をさせていただきたいと思います。
こちらからは、山縣構成員(委員長)に座長をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(拍手あり)
○成松家庭福祉課長
ありがとうございます。
それでは、山縣構成員に座長をお願いすることといたします。よろしくお願いいたします。
次に、ワーキンググループには座長の指名により座長代理を置くことになっています。山縣座長から座長代理の御指名をよろしくお願いいたします。
○山縣委員長
ということで、座長を引き受けさせていただきます。
座長代理につきましては、松本構成員にお願いできたらと思っております。引き続き、二人で皆さん方の意見をたくさん出していただきながらとりまとめをしていきたいと思います。よろしくお願いします。
では、このワーキンググループが設置されることが認められ、かつ、構成員も承認されましたので、このワーキングで議論すべき中身について、皆さん方からの質問なり御意見を聞いて、これはワーキングに持ち込みたいと思っています。御意見のある方は御自由に、先ほどと同じように手を挙げていただけたらと思います。
では、中村委員。
○中村委員
この検討事項の中身を読ませていただいていまして、里親養育支援とか児童養護施設とか社会的養護または養育に関わる人たちの専門性が取り上げられていますが、資質の向上という部分では、他の経験者からも、よく人材が重要だといった意見が聴かれます。ぜひ、座長が必要だと認めるときは、関係者ではないかもしれませんが、経験者の声をしっかりここのワーキングでも取り入れていただけたらと思っています。
○山縣委員長
ありがとうございます。
構成員は一応認められましたので、何らかの形でそういう声が反映できるようなことを考えていきたいと思います。
では、吉田委員お願いします。
○吉田委員
吉田です。
私もそれに関連してですけれども、里親養育支援を行う者の資質の向上ということを考えますと、里親さんたちの意見、こんな人に私たちを支援してほしいのだというのをしっかり聞いていただきたいので、それをお願いしたいのです。そのときは出てきますので、よろしくお願いします。
○山縣委員長
ありがとうございます。
今のお二方の御意見、それぞれ当事者性の高い人たちということでしたが、ほかの方々も同じような御意見があろうかと思います。構成員には直接参加できなかったけれども、何らかの形で講演をしていただくなり、直接していただくような機会を、また、事務局と一緒に考えていきたいと思います。ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
では、橋本委員。
○橋本委員
ありがとうございます。
このワーキンググループの討議の対象というか範囲については幅広く「子ども家庭福祉に関し支援を行う者の資格や資質」という表現になっていますけれども、そもそもこのような検討が喫緊の課題になっている実質的な理由としては、近年、矢継ぎ早に発生した極めて痛ましい児童虐待死事件があり、さらにそれを契機として露見してきた児童相談所の対応の問題性というか、児相組織そのものの脆弱性があると私は感じています。
しかし、児童相談所の児童福祉司の専門性をいかに担保し、児相の調査アセスメント機能や一時保護機能の質をいかに高めていくかという論点については、資格論議、研修論議より前に、地方自治体における人事政策の問題も大きいと思っています。
公務員、とりわけ専門職の公務員を減らして、相談支援とか対人援助に携わる職員を非正規化してきたというこれまでの人事政策や、一部の児相では土日や深夜の通告電話への対応、一時保護所の宿直などについて、非正規職員が担っているというような現実もあるのですが、これらが脆弱性の原因となっているとも思うのです。
また、家庭相談、DV相談、就労支援、それから消費生活相談など、相談支援業務に就いている職員の大半は女性の非正規職員であるという実態もあります。私は、これらの事実がはらんでいる近年の公務福祉労働の問題性という点にも着目すべきと思っています。
ちなみに、福祉職で採用された都道府県とか市町村の自治体職員の方々から話を聞くと、一生懸命やっているのに、限界点まで来ているのに、世間からはまるでサボっているように責められる。虐待にあっている子どもたちを救い出したいと懸命に動いているけれども、うまくいかないもどかしさ、悔しい気持ちは、専門職であればみんなが抱えているようです。本検討会の発足に際しては、自治体の人事政策についても、現場実態に踏み込んだ調査を行うとか、ヒアリングを行うとか、あるいは、そのような調査活動を支援することを、ぜひ検討していただければと思います。その上で、資格や研修のあり方という議論をしていただければと思います。
一方、民間のファミリーソーシャル機関である児家センの運営費、特に人件費について、詳細は省きますけれども、社会保険料の雇用主負担分とか、退職共済掛金とか、福利厚生費とか、そういうのを差し引くと、ざっと職員一人の年収は300万ちょっとですね。今年度よりフォスタリング機関事業の補助金を増額し、フォスタリング機関をしっかりつくっていこうという議論になっていますけれども、人件費的には、今後、児家センと同様の困難を抱え、人材確保に苦労するのではないかと危惧します。経験豊富で、高い専門性を有する職員を配置するということは、この状況ではちょっと難しいのかなと思っています。
ファミリーソーシャルワーカーの専門性を担保する観点からは、せめて児童養護施設とか乳児院に配置されている家庭支援専門相談員、あるいは里親支援専門相談員が民間給与等改善費や処遇改善加算を受けた上で支給されている額と同等にしていただけたらと思うところです。
せっかくの機会なので、本当にリアルな実践現場の意見や状況をお伝えさせていただきました。ぜひ、このワーキンググループの中で、そういう実態があるというところを踏まえた議論をお願いしたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。論点をいただきました。これもワーキングで検討課題としたいと思います。
ほかはいかがですか。
○藤林委員
今の橋本委員からも意見がありましたが、児童相談所だけでなくて、市町村とか、または、児童家庭支援センターのソーシャルワーカーといった、いわゆるソーシャルワーカーが主な対象というイメージを持ったのですけれども。そこで確認ですけれども、この支援を行う者の範囲は、いわゆるソーシャルワーカー、相談援助技術を行う者だけなのか。施設職員、児童養護施設、乳児院、その他の施設職員、いわゆるケアワーカーも含めるのかというところを、この場で明らかにしておいていただければと思います。
○成松家庭福祉課長
藤林委員の御質問ですけれども、今回の法律では、ケースワークを行う人に限らず、子ども家庭福祉を担う人の資質のあり方を考ええるということですので、一応の射程としては、ケースワーカーだけでなくて、施設のケアワーカーも含まれるということでございます。
ただ、一方で、どこから優先的に議論していくかというところも含めて、我々のほうの整理をさせていただいて、その上で、また、皆さんにも御議論をいただければと思っています。
○藤林委員
もう一歩進んで、里親さん、専門里親の制度もあったりするわけですけれども、そこまでは含まないと考えていいのかどうか。これは、また、里親制度は里親制度で別個に十分な議論が必要かなとは思っているのですけれども、そのへんはいかがでしょうか。
○成松家庭福祉課長
今回の射程としては、参考資料4-2の10ページのちょっと下のほうにも書かせていただいていますが、(4)の2つ目のポツでございます。里親に関しては、「里親養育支援を行う者」というのが例示としてされています。そういった意味で、里親さん自体の資質は一方で大事な課題ではありますけれども、必ずしも、この中の検討規定の射程には入っていません。ただ、委員おっしゃるように、その里親さんの資質の向上あるいは養育力の向上、あるいは、その支援をしっかりやっていくというのは求められている課題だと思っています。
○山縣委員長
ありがとうございました。非常に広い視点で検討をするということだと思いますけれども、委員の中に保育士会の会長さんも入っておられますので、その辺が恐らくケアワークということをある程度意識した構成員構成ということではないかと思います。
一方、ソーシャルワークにつきましては、どこまでをソーシャルワークと考えるか、社会福祉関係者が考えるソーシャルワークと、市町村の現場でソーシャルワーク的とつきますけれども、機能になっておられるような保健師さんたちの取組とか、そのへんまでを入れた検討をするかどうかにつきましては、また、ワーキングのほうで細かいところは、今、この段階で確定してワーキングに持ち込むと越権かと思いますので、そうさせていただこうと思います。
では、相澤委員。
○相澤委員
私は、もちろん「専門的な知識及び技術を必要とする」ということですけれども、きちんとソーシャルワークとかケアワークをやる上ですごく重要な基本的なものは、いかにそのケースと向き合うかというその姿勢とか態度がすごく重要です。意欲のない方が子どもと向き合えば、子どもはすぐそれを見透かしてしまいますので、そういう意味での知識・技術というものに専門的態度も加えて、総合的にこの問題について議論をしていただきたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
宮島委員。
○宮島委員
ありがとうございます。幾つか要望とか意見を申し上げたいと思います。
必ずしもソーシャルワーカーだけではなくて、ケアワーカーも含んで、子ども家庭福祉に携わる人材の力量の向上を検討するのだということは理解したのですが、一方で、子どもの命と人生が失われる、それを何とかしなければいけないということが、もともとの端緒にあったことからすれば、ソーシャルワークについて深く掘り下げることが、広くすることと同時に深くするということは両立が難しいとは思いますけれども、ぜひとも必要で、そこを深掘りしていかなければならないと要望させていただきます。
その上で2つ申し上げたいのですが、私もこの検討に加えていただけるということですが、非常に人数が多いですね。多い中に、当然、自治体の職員が複数の構成員の方が加わってくださるということですが、20人の中での例えば4人ということになると、かなり薄まる可能性がある。児童相談所長を自治体の人材の採用とか育成の事情を述べる立場のどっちに含めるのかというところではちょっと難しいとは思うのですけれども、人材の登用、定着、育成ということが進まなければ、いくら資格をつくったとしても、実際の力量は高まらないし、資格ができても、実際に採用されないと意味がないと思います。ぜひとも、自治体が実際にそういう方を登用できるような仕組み、あるいは、そういう縛り等も検討しなければいけないと思いますので、構成員の中に含まれると言っても、そういった立場にある方から集中的に意見を聴くような機会を設けないと、実際、この検討はなされたけれども、自治体においての採用が進まなかったというようなことになるといけないと思いますので、十分な時間をとって深く検討をしていただけるということですので、そういった立場の方には、加えて、その回については参加していただいて、検討をすることを考えていただければと思います。当事者という、子どもとか家族も当事者ですけれども、この場合の検討では、自治体の仕組みづくりの当事者の参加が必要だと思いますので、ぜひともと要望するところです。
あと、一点、地域で子どもと家族を守るということになれば、学校をプラットホームとして、義務教育で全ての子どもたちに関わる部分がここに加わってこないのかというのがちょっと気になります。スクールソーシャルワーカーの役割はとても重要だと思いますし、福祉と教育の連携なくして全ての子どもたちは守れないと考えます。これは省の所管等のいろいろな問題はあるとは思うのですけれども、スクールソーシャルワークについても射程とすべきで、その点で弱い面がある。そのへんを検討の中でどう補っていくかということについて御検討をいただければと思います。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。
ほかは。
井上委員。
○井上委員
井上です。
今、宮島委員がとても大事なことを言ってくださったのですけれども、学校のほうが、明らかに、去年ぐらいから、児童福祉司との連携をしっかりやりなさい、もし、それをやってなければ違反ですよということを、県の中ではっきり言ってくるぐらいまでになっているのですね。ですから、そのことを考えたら、これを見たときに、こちらのほうから学校関係に言うのがちょっと少ないのではないかなと自分も思いましたので、大変大事な意見だったと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○山縣委員長
伊藤代理お願いします。
○伊藤代理
2点あるのですけれども、まず、ファミリーホームの養育者の資格要件が、里親の経験値とか施設での経験値のみということと養育者補助者については全く基準がないというか、誰でもできてしまうという現状があります。それについても検討をしていただきたいなというのと。
あと、もう一点は、子育て支援員の社会的養護コースを修了した方は児童養護施設、乳児院等で補助的職員として働くことができるというものもあります。現実的に、社会養護コースというと、基本研修と専門研修をあわせて大体20時間ぐらいの研修を受ければ、乳児院、児童養護施設で働けてしまうというような現状もあります。このあたりについても、また、ちょっと検討をしていただくことが必要なのかなということで、お願いしたいと思います。
○山縣委員長
ありがとうございます。採用部分については、一応独立した研修制度を今つくってありますので、今回、そういう人もいるということはきっと視野に入るけれども、そこまで含めた資格制度というのはきっとなかなか難しいかなと。そういう人材が要るということは確認をした上で、検討をする必要があろうかとは思います。ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
たくさん意見が出ましたけれども、事務局でしっかりメモしていただいて、ワーキングの1回目のところで、専門委員会からの意見ということで報告をいただけたらありがたいと思います。
どうぞ、松本委員長代理。
○松本委員長代理
議論の出発点をぜひ整理をして、次のワーキングで確認をすべきだと思います。この間の流れで言うと、児相の強化だけではなくて、1つはケアワークの場面、もう一つは市町村なり地域での人材育成をどうしていくかということが、例えば大きな課題だと思いますので、そのあたりの全体の確認。その中で、例えば、何人かの方からお話が出た自治体の人事政策のようなことも当然そこで関わってくるかと思いますし、例えば具体的には支援拠点みたいなものをつくって、そこでどういう人材を配置するというようなイメージで行くのかとか、そういう地域での支援なり、ソーシャルワーク機能の強化を一つの柱に据えるというのが、今回の全体の流れの確認すべき点かと思いますので、そこと児童相談所が横並びで専門性が発揮できるようにというふうな枠組みと私は理解しておりますので、ここの皆さんもそういう理解でよろしいかどうかということと、そうであれば、そういうことを確認した上で、ワーキングの議論に入っていくことが大事かと考えています。それは意見であります。
○山縣委員長
基本的には、座長としては、そういうふうな方向でと考えていますので、事務局のほうもそれでよろしいですね。当然、今までの繰り返しの議論はしない。どこまでの積み重ねがあるかというのを前提に、特に修正の必要があれば、当然やるけれども、基礎はある程度もうつくられているという形で議論をしていきたいと思います。
ありがとうございました。
何人かの委員の方々はワーキングの構成員にも就任いただきますけれども、御協力をよろしくお願いしたいと思います。
では、続きまして4番目ですね。「民法等の一部改正する法律について」の報告をお願いしたいと思います。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長でございます。資料4に基づきまして、民法等の一部を会計する法律の概要ということで、御報告をしたいと思います。
こちらは、平成28年の児童福祉法改正で、特別養子縁組の利用促進を図るということが検討規定の中で規定されておりました。それを受けまして、厚生労働省あるいは法務省での検討を重ねて、前回の国会で法務省から法案が提出され、成立に至ったという法律になってございます。
資料4に沿って御説明しますと、改正の目的としては、家庭的なよい環境を提供するということを目的として、特別養子縁組の成立要件を緩和すること等によって制度の利用を促進ということでございます。その前提として、今の特別養子縁組の要件が厳格だったり、手続面でなかなか制約があるということでできなかった事例が298件あったことも一つの立法事実としてございます。
今回の見直しのポイントとしては、後ほど申し上げますけれども、2つございます。1つは、対象年齢を拡大する。もう一つが家庭裁判所の手続を合理化する。そのことによって養親候補者の負担の軽減をするというものでございます。
1つ目の養子候補者の上限年齢の引上げでございます。改正前の制度、真ん中に書いてございますが、原則6歳未満が原則でございまして、例外として8歳未満まで可能ということでございますが、児童福祉に携わっている方々からの御指摘として、それより年長のお子さんについて、特別養子縁組という機会が閉ざされているということで、なかなかそれを利用することができないというような御指摘がございました。
改正の内容といたしましては、まず、審判申立時の年齢としては、原則15歳未満。例外の場合は15歳以上でも申立することができるということでございます。
一方で、審判確定時の年齢要件としては18歳。これは成年年齢ということでございます。15歳以上になりますと、養子候補者の同意をとる。15歳未満の者についても、その意思を十分尊重することが決められてございます。
2枚目に移らせていただきまして、今度は手続の合理化でございます。改正前の制度といたしましては、現行、そこに書いてございますとおり、養親希望者が申立をします。その中で、家庭裁判所の審理の対象といたしましては、実親の養育が著しく困難または不適当であること。あるいは、実親の同意の有無。これは審判確定まで撤回可能だということでございます。あとは、養親子のマッチングを審議の対象として、そのマッチングの前提としては、6カ月以上の試験養育を見るということになってございます。
右のほうへ移っていただきまして、これも児童福祉に携わっている方々の指摘でございます。マル1として、実親による養育状況に問題があると認められるかわからないまま試験養育をしなければならない。2つ目が、実親の同意がいつ撤回されるかという不安を抱きながら試験養育にしなければならない。マル3つ目としては、実親の養育状況を、実親と対立して実証しなければならないと、こういう御指摘がございました。
そういった御指摘を踏まえまして、改正の内容といたしましては、二段階手続を導入するということでございます。まず二段階の審判をするということでございます。1つ目が、実親の養育状況と実親の同意の有無等を判断する審判を一段階目の手続とします。もう一つが、いわゆるマッチングを判断する審判を二段階目にします。養親希望者は第一段階の審判における家庭裁判所の判断が確定した後でも試験養育ができるようになるということでございます。2つ目が、実親の同意の撤回制限でございます。実親が第一段階の手続の裁判所の期日等でした同意は、2週間経過後は撤回不可ということになります。3つ目が児童相談所長の関与でございます。児童相談所長が、第一段階目の手続の申立人または参加人として立証することができるということにしてございます。
イメージ図として、下のほうに書いてございます。児相長または養親候補者が申し立てるのですけれども、一段階目は児相長が申し立てることができる。養親希望者が一段階目を申し立てるときは、2つの手続を同時に申し立てなければならないということで、いつまでも決まらないという状況を防止するということを書いてございます。こういったことを通じまして、特別養子縁組、家庭養育を進めていくということでございます。
施行期日といたしましては、公布の日から起算して、公布の日が6月でございましたので、そこから起算をして1年を超えない範囲で政令で定める日となってございますが、法務省のほうで、今、施行日について調整をしておると聞いてございます。
以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。特別養子縁組に関する民法改正ですけれども、御質問等はございますでしょうか。
安部委員。
○安部委員
安部です。
1枚目の上限の年齢の引上げ。2の(1)の15歳未満だということで、15歳以上は、自ら普通養子に縁組ができるから特別養子にしなくていいのだという議論、これは教えてもらえたらうれしいかなと思うのですけれども、公の場で言えなかったらしようがないのですけれども、つまり、特別養子と普通養子は全然違っていて、普通養子の場合は、実親との法的な関係が残っていますよね。それが、15歳以上はみずからの意思で普通養子縁組ができるから、実親との関係を残していい、実親との関係が切れる特別養子縁組に入れないとなった議論の経緯をちょっと教えていただければありがたいなと思いました。
○成松家庭福祉課長
さまざま法制審で議論をしていただいて、こちらの委員の先生方も参加いただいて、さまざまな御意見がある中で、この決着を見たというのが実際のところでございます。できるだけ年齢は低いほうがいいと言う方々もいらっしゃいましたし、あるいは、できるだけチャンスは広げたほうがいいという2つの前提の御議論がある中で、今の民法の体系で、15歳以上の者というのがある一定の自分の考えで普通養子縁組もできるということ、そういった年齢のラインがありますので、そこも考慮をして、そういったラインで15歳というのを原則として、ただ一方で、18歳というのも、やむを得ない場合は道を残すというような御議論の中で、こういったラインが出てきたというふうに理解していますが、すみません、御参加されている先生方で、その他ありましたら、言っていただければと思います。
○浜田委員
この法務省の法制審議会に幹事として参加をいたしましたので、その立場から私が理解をしているところを申し上げます。公式見解というわけではないのですが。
今、委員の御質問は、普通養子ができるから特別養子はできないという関係に立つかというと、そこは論理必然ではないのではないかという御趣旨かと思います。そこは全くもっておっしゃるとおりかと思います。
ただ、今回の法制審議会は、特別養子制度の一部についての変更について諮問されて、そこを検討したと理解をしております。要するに、本来的には、御指摘のとおり、例えば普通養子と特別養子はどう使い分けるのか、普通養子のほうもどこかいじる必要があるのではないか等養子制度全体に係る議論を、多分それは時間がかかるのですけれども、やって、その上で、では特別養子はどうするかという話がなされるというのが本来的には理想的であったのだろうと思われます。
もっとも、諸般の事情といいますか、そこは私もよく承知をしておりませんけれども、とにかく、なるべく早目に改正をしようという動きがあったと認識をしておりまして、その中で行きますと、先ほど申し上げたような、普通養子との棲み分けとか区別というところには、今回は着手をしないままでこの改正がなされた。そういたしますと、養子制度全体での調整がなされないままで行くと、特別養子制度は15歳までということにならざるを得ないであろう。従前の枠組みを維持したままでということになると、おのずと上限としてはここまでに決まるであろうと、このように決まったものと理解をしております。
以上です。
○山縣委員長
よろしいでしょうか。
藤林委員。
○藤林委員
私も法制審議会の委員として参加した者ですけれども、そういった浜田委員の御説明のとおりに進んでいったわけですが、それでも、15歳を超えて普通養子縁組でなくて特別養子縁組、要は、親との法的な関係を終了させるチャンスが必要な子どもも絶対ないとは言えない。少数であってもいらっしゃるということを考えると、このような規定が明記されたというふうなことです。けれども、その場合でも、15歳以前から引き続き養育されていたとか、やむを得ない事情といったことが条件になっているわけです。そういう議論がなされました。
これに関連して、厚労省さんに質問というか意見ですけれども、法制審議会の中で法律家の委員さんからいろいろな意見があった中に、こういう上限年齢の引上げはいいとしても、その成立後の支援はどのようにしていくのか、そこが不十分だと、せっかく特別養子縁組が成立した後も非常に不安定な状態に置かれてしまうのではないかといった懸念する意見もいっぱい出されました。施行まであとしばらくあると思うのですけれども、児童福祉法上も養親・養子に対する支援が明記されているわけですが、改めて、年齢が引き上げられることによって、今まで特別養子縁組に至らなかった子どもたちがこういったチャンスをうまく駆使して成立していった後、今までどおりの養子・養親の支援でいいのか。そこに何かプラスアルファを加えていく必要があるのかどうか、そのへんの御検討が今されているのか、または、今後される予定があるのか、そのへんの見通しについてお教えいただければと思います。
○山縣委員長
お願いします。
○成松家庭福祉課長
お答えいたします。
委員おっしゃるように、高年齢児になれば、その分、また、違った支援というか、違った課題が出てくると。その上で、もしかしたら違った支援をプラスアルファなのか質的なものかというのはやっていく必要があるというのはおっしゃるとおりだと思っています。
委員がおっしゃったように、児童福祉法で養親子への支援は、成立後も児童相談所の役割として規定されていますし、あるいは、これからは民間あっせん機関という役割も出てくると思いますので、我々としても、その実際の事例も含めて、そういった何か困難になっているかとかそういう課題を分析させていただいて、見つかった課題について、児童相談所職員の研修とかにつなげることによって、そういった課題をしっかり対応していきたい。児童相談所の皆さんとか、民間あっせん団体の皆さんと一緒になって考えていきたいと思っています。
○山縣委員長
相澤委員。
○相澤委員
今の課題に関連しまして、年齢が高くなってきますので、子どもの意見表明ではないですけれども、実際に養子縁組を組んだ後、子どもが養子縁組を解除したいという申立も出てくるのではないかなと思いますので、養子に対するアドボケイトシステムとかそういうことについてもきちんと考えていただくことが、子どもの最善の利益に結びつくと思いますので、つけ加えさせていただきました。
以上です。
○山縣委員長
では、吉田委員お願いします。
○吉田委員
私もそれに関連しまして、特別養子縁組をした元里親さん、養親さんたちは、私も含めてですけれども、自助グループをつくって、お互いにケアをして、里親会に残っていただいて、今までずっと里親会活動の中で、養親さんのケアを自助グループとして自分たちでしてきた。これを何とか児童相談所の一つの仕事のモデルケースとしてつけていただいてできないかと思いますし、現実的には、東京だけは入口が別ですので東京都は除きますが、普通、地方の里親さんは半分が養親さんではないかと、これが実態ですので、そこで何らかのケアを、私たちにもケアをしていただきたいし、養親さんになった方、それから、元の里子、いわゆる養子になった子どもたちのケアもそこでするシステムを考えていただけたらありがたいなと思います。本当に、15歳にしていただいて、惜しかった、もうできなかったのよねという元里親さんはいっぱいいらっしゃいますので、今さらここを普通養子縁組でやったけれども、特別養子縁組に変えてもらえないのかと、里親さんの中からそういう声も出ております。それも考えていただきまして、ケアする方法を考えていただけたらありがたいと思います。よろしくお願いします。
○山縣委員長
ありがとうございます。
先に横川委員で、その後、浜田委員お願いします。
○横川委員
全乳協の横川です。
養子と養親の年齢差は幾つといった定めは明確にあるのでしょうか。年齢が高くなった養子をもらうときに、養親との年齢差が幾つであっても大丈夫なのか教えてほしいです。
○成松家庭福祉課長
法律上、年齢差が幾つなければならないかという規定はなかったと記憶しています。全体として、ある程度のそれぞれの御家庭というか、新しくできる御家庭がどういう御家庭であるべきかとか、あるいは、個々のマッチングというか、児童相談所あるいは民間あっせん機関のマッチング、あるいは、家庭裁判所の審判を通じて、親子関係が適切かどうかというのを、年齢で一律というわけではなくて判断をしていくという方向になっていると理解しています。
○浜田委員
これは法制審議会でも出た話ですけれども、対象の子どもの年齢が上がるということは、逆に言いますと、その養親になる方からすると、この子と果たして養子縁組を組むべきかどうかということを長く検討することができるということにもなろうかと思います。
要するに、何が言いたいかというと、お子さんをお預かりして、ただ、この子と本当に縁組に踏み切ろうかどうしようかということを、現行法では6歳まで、例外的にもせいぜい8歳までしか検討できなかったのですが、それが改正法では15歳までそのまま様子見をするということもできなくはないという制度の枠組みになっていると理解をしております。
ただ、それは、そのお子さんに対して、早期に家庭的環境を与えるという制度の趣旨から真っ向から対立することにもなりかねないところです。そういたしますと、委託を受けたお子さんについては、なるべく速やかに縁組をするならするで踏み出していただきたいということが、法制審の議論でも出てきたところです。
このあたりについては、民法には当然入っておらないわけですけれども、厚生労働省のほうで、また、何に入れるのかちょっとわかりませんけれども、これは速やかにやるべきものなんだよと。ずっと様子見をするということは想定されてないのだよということを、ぜひ、厚生労働省が中心となってそういう案内をしていただければなと思いますので、要望として申し上げておきます。
以上です。
○山縣委員長
中村委員。
○中村委員
先ほどの浜田さんの要望に載せてもらう形でお願いしたいのですが、(3)の「15歳未満の者についても、その意思を十分に考慮しなければならない」というところですが、13歳でも14歳、12歳でも、子どもたちは、気持ちや意見をもっており、意思をはっきりとお伝えできると思いますので、十分考慮して頂きたい。子どもの意思をしっかり確認するということを、実戦レベルでして頂きたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
伊藤代理お願いします。
○伊藤代理
教えていただきたいのですが、資料の2枚目の一番下の一番右側に「試験養育がうまくいかない場合には却下」という言葉があります。これを却下されたら、子どもはどういう扱いになるのでしょう。要は、特別養子縁組の試験養育がうまくいかない特別養子縁組は成立しないわけですよね。マッチングができてないということは、生活の場として子どもにとってそこは安心できる場所であるかどうかというのも非常にクエスチョンになってくるかなと思うのですが、社会的養育の受け皿としては、このあたりはどんなふうになるのでしょうか。
○成松家庭福祉課長
もし、ちょっとずれていれば、また、補足いただければと思うのですけれども、試験養育をした上で、裁判所が却下するということもあり得るということです。その却下した場合は、親子関係は成立しませんので、児童相談所なりが、また、異なる養育先を見つけると。例えば、一時的に施設であったり、あるいは、違う養親候補者を見つける、あるいは、里親さんだったりということで、少なくともそのお子さんは、却下された養親候補者のお家で養育されるというのは基本的にはないと思っています。
○伊藤代理
実親さんのところにも帰らないと。
○成松家庭福祉課長
多分、あり得ないとは思うのですが、一段階目の手続が済んでいれば、基本的にはあり得ないとは思いますけれども、その子どもにとって一番いい選択を児童相談所が考えるということになろうかと思います。
○山縣委員長
ありがとうございました。
かなりいろいろな質問等が出ましたけれども、養子縁組につきましては、私も若干意見だけ言わせていただいて締めたいと思います。
今、最後の伊藤代理の質問にもありましたが、試験養育期間でなくて、私が経験したので言うと、養親が、場合によっては、15歳までは逆に言うと翻意できる。ずっと第二段階を決定しなければ、かなり長期に養育したところで翻意することが可能になってしまう。その子どもたちのフォローですね。実親のところには、この手続上、帰せないと思うので、すごく心が傷つく可能性が高い。そのへんのフォローをきっちりする仕組みを考えておいていただきたいということが1つあります。
それから、もう一つは、ここで議論していたら、特別養子縁組を児童相談所がかなり絡んだ前提で議論をしているようにどうしても私の頭はそうなってしまうのですが、今般、民間養子縁組あっせん機関をかなり重視しようということになっています。そちらのほうの手続、特にあっせん後のフォローですね。データは児童相談所に来るとは聞いているのですけれども、児童相談所がそれを受けて、どっちが出てフォローをしていくのか。養子縁組あっせん機関のほうがやるのか児相のやるのか、そのへんの関係ですね。子どもたちに不利益にならないようなところを考えていただきたいというのが2点目です。
それから、3点目は、これは質問をしようと思ったけれども、時間がなくなってしまったので、どこかで、また、丁寧に議論をしていただきたいということで終わろうと思うのですが、第一段階の手続を民間養子縁組あっせん機関が中心でやる場合には、養親候補者が第一段階の手続をしないといけなくなるということですね。児童相談所がやる場合には、児相長が申立をすることができるけれども、民間養子縁組あっせん機関がやると、それはできないのですよね。
○成松家庭福祉課長
関わっているところが民間あっせん機関だけの場合は、一段階目の手続は、養親候補者が中心的にされると。児童相談所も当然案件によっては関与ができることになりますけれども、ただ、関わりがない事案というのもあります。
○山縣委員長
そうすると、負担感は一緒だという、この部分はなってしまうので、検討として、あり得るかどうか。児相にとってはそういうのはやめてという話になろうかと思うのですが、第一段階の手続だけは児相がやって、子どものマッチングは民間がやるということがあり得るのかどうか。そのへんまで方法としてはあり得ると。ただ、子どもにとってそれが適切かどうかとか、養親さんにとって適切かどうかはまだちょっとわからないので、そういうあらゆる可能性を考えて、養子縁組が必要な子どもたちが、適切な養親家庭に行けるようなところを、ぜひ、実務の中で考えていただきたいなというようなことを感想として持ちました。
引き続き、ここは実態が伴ってきますので、いろいろな課題が出てこようかと思います。法務省と厚労省と両方が関係することですので、協力をしながら、フォローをお願いしたいと思います。
○藤林委員
一点だけ御確認があります。
確認ですけれども、第一段階の手続で、特別養子適格の確認の審判は、これはたしか有効期間があって、5年も10年もずっと続くものではなくて、たしか半年か1年ですよね。
○山縣委員長
そうか。それしかないのですね。
○藤林委員
そういうのはあんまり知られてないのではないかと思うのです。
ですから、特別養子適格の確認審判が決まって、早い段階で第二段階目が確定しないと、もう一回元に戻るというふうな、そういう仕組みになっています。
○山縣委員長
それは、親権がとれているということですか。
○藤林委員
もう一回最初から手続をしなければいけないということです。
○山縣委員長
わかりました。
ちょっといろいろなことを言ったものだから、すみません、自分のミスです。
○江口委員
意見としてですけれども、児童相談所長の申立という形で第一段階をどうするかというのは、これは結構きちんと整理しておかないとやばいなというのが現場の感覚でございます。改正前から、府の中でチームをつくりまして、かなり綿密に検討を始めております。今出ておりました民間あっせん団体とどうつき合うのかという問題もかなり大きなところでございますし、第一段階は、親権の一部をある程度コントロールすることになりますので、このへん、申立てに際しては丁寧な検討のうえ申立を行う必要があること、家庭裁判所と十分な事前調整が必要かなと思っています。
そういう意味で言えば、家庭裁判所のほうとも十分な事前協議を自治体としてはやっていかなければならないと認識しております。なので、児童相談所としては、できましたら、このへんのさまざまな課題について、何らかの情報提供を、また、頂戴できればと。大阪家庭裁判所とは、既に、下打合せを始めておりますけれども、最高裁事務局のほうの御協力も得ながら、これはきっちり進めていかないといけないだろうと考えております。
それから、あわせて、これは親権あるいは子どもの人生にとって非常に大事な選択をしていくことに児童相談所長として関与していくことになるわけですから、かなりの責任の重さがあるので、児童福祉審議会等で場合によってはさまざまな有識者の意見を聴くような機会を設けるなど、このへんは丁寧な議論を児相としてしていくべきだというふうに現場は感じておりますので、御配慮をいただけたらと思っております。
以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
○浜田委員
大阪の浜田でございます。
出てきたことの整理だけさせていただきますけれども、これは本当にややこしい手続で申しわけありませんが、先ほど、第一の審判の有効期限という話がございましたが、これは、児童相談所長が申立をした件については有効期限があります。簡単に言うと、そういうことです。
児童相談所長が第一の手続の申立をいたしまして、確かに適格があるよねという確認の審判がなされましたらば、それの有効期限は6カ月です。ですので、実際に養親になる人が、その6カ月の間に第二の手続の申立をしていただく必要があります。
他方で、養親になる人が最初から第一の手続からやるときはどうなるのかというと、これは別の規定で、第一の手続と第二の手続、名前はそう呼ばれていますけれども、同時に申立をしなければなりません。そうすると、有効期間という問題はそこでは事実上出てこなくて、実務上は、恐らくですけれども、第一の審判と第二の審判はほぼ同時に出るのではないかと考えられているところです。
ですので、期限という観点で言うと、児相長が申し立てた場合にのみ6カ月という期限が出てくると整理できようかと思いますので、すみません、追加でお願いします。
○山縣委員長
わかりました。ちょっと認識不足でした。
○宮島委員
宮島ですが、2点だけ。
既に、これは法制審議会でも議論されているかもしれませんが、ここで、改めて、確認というか教えていただきたいのですが、普通養子も子どもの福祉のために活用し得る有効な選択肢の1つだということが忘れられてはならないだろうと思います。実情、成人養子が多いということや、外国籍の子どもとの養子が多いということですけれども、これは実親御さんとの法的関係が継続するというのは全て悪いわけではなくて、むしろ、子どもにとってそれが利益であれば、積極的に活用するということが忘れられてはならないのではないかと思います。
あと、この議題とはちょっと違うかもしれませんけれども、子どもの権利条約の権利委員会からの指摘もあったと思いますが、連れ子養子のハードルが低過ぎることによって、日本では、子の福祉がかなり厳しいことになるというのは、ここで発生した痛ましい事件でも見られることですので、どこかで検討をする必要が今後出てくるのではないかと申し上げたいと思います。
○山縣委員長
ありがとうございました。
では、5番目の議題に行きたいと思います。「都道府県社会的養育推進計画」の策定状況につきまして、報告をお願いします。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長です。資料5に基づきまして、御説明を申し上げます。
現在、御案内のとおり、都道府県の社会的養育推進計画につきましては、各都道府県でその策定作業を行っていただいておりまして、本年度中に策定いただくということでお願いをしております。
この間、我々としても、各都道府県からのヒアリングとかさまざまな情報提供を通じて、その策定を支援させていただいているところでございますが、現在の各都道府県の策定の検討状況について、この資料は、5月現在で一旦回答をまとめたというような資料になってございます。全体としては、ここに書いていますとおり、児童相談所を設置する70都道府県市からの回答を集計をさせていただいているというものでございます。
1枚目は、検討体制ということで、どの審議会を使っているか、あるいは、どの方々に入っていただいているか、いつから開始したか、どのぐらい議論をする見込みなのかということを、それぞれ表にしたものでございます。できるだけ幅広くしっかりと検討をしてくださいということをお願いしているところでございますので、引き続き、お願いをしていきたいと思ってございます。
2枚目に移っていただきまして、その中で、検討過程、特にお願いをしていることでございますが、当事者である子どもの参画をお願いをしてございます。こちらのほうも、自治体にどういう状況かお聞きいたしましたところ、何らかの形で子どもの参画、意見聴取等々を行うということで考えていただいておりますが、※のところでございますけれども、その方法について「すべて未定」とお答えした自治体も実際ございましたので、その自治体さんも含めて、この会議への参画とか、あるいは、アンケート調査、その他の手法で行っている自治体さんの事例とか、この自治体さんでこういうことをやっているという見える化をしたものを、全てに自治体さんにフィードバックさせていただいたところでございますので、特に「すべて未定」の自治体で、まだ取組が途上にあるところについては、そういった各都道府県の事例を参考に、当事者である子どもの参画を進めていただければと思ってございます。
3番目のフォスタリング業務の実施体制でございます。こちらのほうは、今回の社会的養育推進計画の中での一つの肝となる里親包括支援体制の構築というものでございます。それを2020年度までに各自治体さんにはお願いしているところでございますが、(1)をご覧いただきたいと思いますが、「委託予定あり」外部の方々を活用してやるというのは23自治体、「予定なし」ということで、児童相談所でしっかり自前でやっていこうという自治体さんが11自治体でございました。「検討中」と書かれている自治体が32自治体ございましたので、改めて、7月ごろに、どうなっていますかというお話を、この32自治体にお聞きしたところ、まだ具体的な方針が立っていないような自治体は25自治体ございました。こちらの25につきましては、現在、ちょうど我々の厚生労働省の家庭福祉課の職員が個別に各地域に回らせていただいて、関係者、例えば、行政、里親会、あるいは、児家セン、あるいは、養護施設、乳児院の皆さんにもお集まりいただいて、各地でどういう体制をとっていただけるかということを、いわばマッチングをしたり、あるいは、御助言申し上げたり、先進事例を御紹介したりということで、個別に支援をさせていただいているという状況でございます。
4と5は、それぞれ施設の計画の策定がいつごろになるかということとか、あるいは、5のほうで子ども数、代替養育の需要量についての調査はいつごろにやるかということを聞かせていただいている数値でございます。こちらのほうは、そろそろ自治体でもこの数値はある程度できつつあると思っていますので、この夏ぐらいにでも、この数としての調査をさせていただいて、また、とりまとめさせていただいて、公表し、あるいは、もしかしたら取組が進んでいない自治体等々がございましたら、我々としてもしっかり支援をしていくということをさせていただければと思ってございます。
資料5の説明としては、以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。都道府県の社会的養育推進計画の進捗状況等についてです。各委員も恐らくいろいろなところに関わっておられると思いますけれども、特にコメントなり、御意見なり、質問なりございましたら。
平井委員。
○平井委員
すみません、今、各自治体の状況は大体これでわかるのですが、この策定に当たって、施設関係の部分で、ちょっと前に、グループケアの実施要綱の案で、児童養護施設で言えば、6~8が6人ということで出されております。
あと、これは児童養護施設だけが6ということで、乳児院とか児童自立とか児童心理は、現状のままになっているのは、これでいいのかなというのもちょっとあります。
それと、施設の計画策定に当たっては、今後、最低基準、今で言う設備設置基準ですかね。そのあたりは昔の最低基準ですね。そのあたりは直近で変わっていくというか、改定されるということは考えられるのでしょうけれども、そのあたりはどうなのですかということをちょっとお聞きしたいと思います。
○成松家庭福祉課長
施設の小規模化ですかね。6~8を6にしたということでございますが、これは全体としての小規模化を進めていくということでございますが、一方で、これは経過措置を置かせていただいて、8でも加算がとれるようにということをしております。全体として、小規模かつ地域分散化を進めていくという全体の流れの中で、どのような形で進めていくかということになろうかと思います。
もう一つが最低基準をどうしていくのかという話もございました。最低基準は、今のところ、施設を含めてさまざまな小規模かつ地域分散化を進めていく中でも、まだまださまざま施設がございますので、まずは、小規模かつ地域分散化のようなことを進めていくために誘導策をとっていくというのが今の現状でございます。その誘導策をとっていく中で、どこかの段階では最低基準についても検討をすることもあり得ると思いますが、現時点では、まずは誘導策をしっかりとっていくというような状況だと理解しております。
○山縣委員長
ほかは何かありますでしょうか。
橋本委員お願いします。
○橋本委員
ありがとうございます。橋本です。
本年度より、指導委託費が大幅に増額されました。「地域在宅支援を充実しましょう」ということで、この専門委員会でいろいろ議論してきましたけれども、児家センとしても、地域支援、在宅支援の重要性をずっと訴えてきた立場として、この予算獲得については御尽力いただいた方々に感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
ただ問題は、この制度を都道府県や政令市、児相がうまく活用できるかどうかという点です。全国の児家センからいろいろ実情を聞いてみると、金額が値切られたり、非常に少額を上積みして、指導委託は何件受けてくれというようなことを要望されたりと、せっかく国がつくった制度とその制度趣旨が、それぞれの都道府県の考え方に的確に落とし込まれていないのではないかと疑問に思うケースが散見されるのです。今、都道府県の社会的養育推進計画策定作業の真只中ですから、ここで国は再度各都道府県に対して、指導委託費を増額した意図を再説明するとともに積極活用を促していただければと思うところです。
あわせて、この指導委託費を児童心理治療施設とか児童自立支援施設の通所部設置のような制度を参照し、義務的経費化していくということについても、ぜひ、前向きに御検討をいただければと思います。この点についてもよろしくお願いします。
私のほうから以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
井上委員。
○井上委員
井上です。
今言ってくださったのでよかったと思うのですが、多機能と高機能化を進めていきましょうという格好でやっていっているのですけれども、実際、幾つかの自治体に関わっていますと、本年度になって急に手挙げが来て、そこから改革をもう一度見直しになったりとか、そのときに実際に出てくる金額のところが、自分たちの理解していたものとちょっと違っているとか、そういった具体的な問題が結構あちこちで出てきています。
もう一つは、少し大きい市町村でやっていくときに、児童相談所の機能を持っていくところが、今度は支援拠点のところの機能に関しては、児童相談所の中に組み込んでしまうので、そこはかなり大きい自治体ですが、別に設けないで児童相談所だけでやっていこうとしようとしているところとか実際に出てくるのですね。ですので、住民に近いところで見たら、その地区で分けて、それぞれの大きさは違いますけれども、3つとか5つとか、支援拠点を別個に設けていただかないとできませんよというところなどの具体的な指導というか考え方をお伝えしていただけると、やはり全然違ってくるのではないかなと思っておりますので、そのへんのこともどうぞよろしくお願いいたします。
○山縣委員長
ありがとうございました。
安部委員、それから、宮島委員。
○安部委員
安部です。
3ページ目に子どもの数の調査ということですけれども、一番皆さん方が関心あるのがその6番目に上がっていない里親委託率がどの程度各都道府県が見越しているかという数字なのではないかなと、それぞれ都道府県、横を見ながらやっている気がするのですけれども、これは調査されたのでしょうか。調査されたら、大体どんな感じなのかとか、もしくは、国のほうとしては、もうちょっと頑張って委託率を上げましょうよという声かけをするのかどうかみたいなことをちょっと教えていただければと思います。
○成松家庭福祉課長
今回、5月にやった調査は、どういう検討体制で、どういうスケジュールでやりますか、あるいは、調査についてもどういうスケジュールでやっていきますかという、どちらかというとスケジューリングとか体制とかの調査でございます。ですので、子どもの数の調査というのも、いつやりますかということを聞いている状態です。
恐らく、これを見ていると、各自治体はそろそろ進んできているのかなと思いますし、具体的に代替養育の需要量がどれぐらい各都道府県で見込んでいるかとか、あるいは、里親確保の見込みがどれぐらい進んでいるか、あるいは、その裏返しとして、委託率を将来どれぐらい見込んでいるかというところにつきましては、先ほど申し上げたように、夏ごろに調査票を発出して、秋ぐらいにまとまれば、また、把握した上でとりまとめたいと考えています。ですので、どこの県が里親委託率何%にするとか、あるいは、全国でどうなっているという数値自体の把握は、我々は今後するということになってございます。
○宮島委員
都道府県計画が責任ある具体的なもので策定されることを強く望みますが、その上で、要望を申し上げたいと思います。
1月の専門委員会でも、宿直体制あるいは夜勤体制が今のままではまだ回らないと、きょう御欠席の奥山委員もお話しされていましたし、私も申し上げました。実際に、都道府県の計画づくりに私も参加させていただいていますけれども、やはり宿直体制・夜勤体制が今のままではやはり回らないと思います。先ほど、玉岡委員が一時保護所の体制は独自に基準を設けるべきだと要望されましたけれども、次年度の予算要求においては、実際に理想とするところが回るような体制をぜひとも構築していっていただきたいと願います。まだ、概算要求とか、そのあたりのものは公表できない段階だとは思いますけれども、これが成るか成らないかによって、実際、自治体が実現できるかどうかが左右されると思いますので、引き続き、厚労省におかれましては、予算の獲得について努めていただきたいと要望します。
2つ目は、フォスタリング機関に、一体的・包括的・連続的に業務を担っていただく必要があると私個人としては思っておりますけれども、自治体のいろいろな方に聞くと、一遍に全部任せるのはかなり難しいとお話しされます。実績あるNPO法人があったり、今後、施設がそれを担っていくということへの期待を持つし、それはぜひとも進めるべきだけれども、そのためにも3年間ぐらいは時間をかけて担えるような機関を育成するというようなことをしないと実現は難しいという声もお聞きします。技術的にどういうふうになるのか詳細はわからないのですけれども、ぜひとも、包括的・連続的なフォスタリング機関への委託とするために、何年間かかけて、段階的に移行するといった仕組みづくりを御検討いただきたいと要望します。
以上です。
○山縣委員長
要望ということですね。
藤林委員。これで最後にしたいと思います。
○藤林委員
残り時間少ないので手短に質問をしたいと思うのですけれども、課題と将来像のときには、たしかホームページに、平成41年度末の各都道府県推進計画における本体施設入所児童、グループホーム入所児童、里親委託児童の割合が一覧で出ていたわけですけれども、これは、今回のこの社会的養育推進計画の中で同じように各都道府県ごとの先ほど安部委員が言われたような、里親委託率の一覧、グラフというか、できれば、年齢区分ごとのものがあると、全体状況がよくわかっていいのではないかなと思うのですけれども、そういう予定はあるのでしょうか。
○成松家庭福祉課長
先ほど申し上げた、夏に調査をして、秋に把握をして、公表をするというところには、委員おっしゃるような数値も当然見せていかなければならないと思っていますし、それはあくまでも中間値ですので、それを踏まえて、また、各都道府県でも御議論・御検討いただいた上で、完成した計画の数値を、もう一回、恐らく来年の春以降に、また、把握をさせていただいて、公表をするという流れになると考えています。
○藤林委員
ビジョンでは、3歳未満、就学以前、国としての目標を掲げておりますので、それが都道府県ごとにどういうふうになっているのかというのを示していただくと、それぞれ励みになるのではないかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○山縣委員長
ありがとうございました。今の数値目標に限らず、ほかのところも含めて、データ収集できるものは収集いただいて、公表をよろしくお願いしたいと思います。
○松本委員長代理
そのときに、数値目標もそうですけれども、今、山縣座長がおっしゃいましたが、今回の都道府県計画のときに、数値目標だけでなくて、在宅支援のところをどういうふうに強化していくかというのも、社会的養育推進計画に入れましょうということと。
もう一つは、自立支援のところもその中に入れましょうということが、枠組みの大きな変更かと思いますので、そこがどういうふうな形になっているかということも含めて、何かきちんと公表をしていくと。特に、自立支援のところでいくと、厚労省で始められた予算事業の社会的養育推進計画の実施のところがどんな形で具体的にされているかということも含めて、全体の状況を把握していただけると、今後の施策の推進により有効ではないかと考えます。そこの枠組みの変更ということを余り理解されないで、数値目標のところだけで何か議論をされている自治体も案外あるのではないかという気もいたしますので、そこはぜひよろしくお願いいたします。これは確認です。
○山縣委員長
ということで、広くデータを収集いただきたいと思います。
井上委員。
○井上委員
井上です。
子ども子育て会議は、今年10月の分で、市町村はかなりきっちり子どもさんの状態を把握していっています。恐らく御存知だと思いますけれども、そこで出してきている部分の中から、本当に在宅支援のところで必要な方たちの数字の予測がかなり立つと思いますので、それを一緒に使っていただいたらなと思っています。どうぞよろしくお願いします。
○山縣委員長
ありがとうございました。
では、きょうの会議はこれで終わらせていただきたいと思います。
事務局に、今後の予定等をよろしくお願いします。
○成松家庭福祉課長
今後の予定につきましては、先ほど設置いただいたワーキングの議論も踏まえながら、追って、連絡をしたいと思います。
また、ワーキンググループにつきましては、この委員の方々にも多く入っていただいていますけれども、別途、連絡がいっていると思いますけれども、事務的に調整させていただいて、正式に御連絡したいと思います。
以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
では、第26回の委員会を終了します。御協力ありがとうございました。
(了)
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養育専門委員会)> 第26回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録(2019年8月7日)