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第20回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会議事録(2022年2月24日)
○日時
令和4年2月24日(木)10時00分 ~ 12時00分(目途)
○場所
日比谷国際ビルコンファレンススクエア8D
○出席者
<委員等 敬称略> |
遠藤久夫(座長)、新田秀樹、橋爪幸代、釜萢敏、松本光司 |
吉森俊和、幸野庄司、川村弘、中野透 |
三橋裕之、伊藤宣人、長尾淳彦、田畑興介、塚原康夫 須田俊孝参考人 |
<事務局> |
濵谷保険局長、間審議官、高宮保険医療企画調査室長 |
○議事
○遠藤座長
定刻になりましたので、ただいまより第20回社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会を開催したいと思います。
本日は、新型コロナウイルスの感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
委員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず御参集をいただきまして、ありがとうございます。
初めに、委員の出席状況について御報告をいたします。
本日は、中島委員が御欠席です。
また、本日の議題につきまして、審査支払機関の立場からの御意見をお伺いするため、社会保険診療報酬支払基金の須田俊孝様に参考人としてお越しいただいております。
参考人の御出席につきまして、御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤座長
ありがとうございます。
カメラの頭撮りはここまでとさせてください。
それでは、議題に入らせていただきたいと思います。
本日は、前回の委員会に引き続きまして「柔道整復療養費の適正化について」を議題といたします。
まずは「患者ごとに償還払いに変更できる事例」について議論したいと思います。
事務局より関連する資料が提出されておりますので、説明をお願いしたいと思います。お願いします。
○保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長です。
柔-1の資料を御用意ください。
まず、1ページの目次のところで、1ポツの「患者ごとに償還払いに変更できる事例について」を御説明します。2ポツはまた後ほど御説明をします。
ページをめくっていただいて、最初は3ページになります。8月6日の専門委員会の資料になります。一番下の対応方針で、患者の償還払いについて、不正が「明らか」な患者、不正の「疑い」が強い患者も対象に、償還払いとする範囲、プロセスについて、年末までに検討するとしておりました。
4ページ以降、1月31日の専門委員会の資料になります。事務局で案をお示しして議論をいただきました。その資料が10ページまで続いております。
11ページ、1月31日の専門委員会の主な意見を整理しています。これの四角の矢印の下ですが、事務局において受領委任協定・契約の改正案を作成した上で関係者と調整を行い、次回の専門委員会で議論を行うこととなってございます。
12ページからが新しい資料になります。12ページと13ページで、1月の専門委員会での御意見に対する考え方を整理した資料をつけております。
12ページの一番上、意見として、現在既に柔整審査会、面接確認委員会、指導・監査の仕組みがあると。これらの取組を行えば「患者ごとの償還払いへの変更」を行う必要はないのではないかという御指摘をいただきました。これに対して、考え方としては、その右側にあるとおり、現在の柔整審査会あるいは面接確認委員会などについては、主に個々の支給申請あるいは施術所に着目をして、療養費の不正・不当な請求の是正を図る取組となっています。2つ目のポツですが、今回の「患者ごとの償還払いへの変更」については、まず患者に着目をした取組であること、療養費の適正な支給を図るための事前の取組として、施術の必要性を個々に確認する必要がある患者について、一定の基準で対象となる患者を限定して、一定の手続を行った上で、保険者が患者ごとの償還払いに変更できることとするというものだということです。特に今回の取組については患者に着目したものであるということが特徴というか、これまでと違うということかと考えています。
2つ目の御意見、対象患者を確認できるのは協会けんぽだけで、ほかの保険者は対象患者を確認できないのではないかという御指摘をいただきました。これについては、これも右側で、今回の取組は、保険者が対象となる患者を確認した場合に、一定の手続を行った上で、患者ごとに償還払いに変更できるというものです。ですから、保険者が対象となる患者を確認できない場合は、受領委任の取扱いを継続することになろうかと思います。
3つ目の一番下の意見になります。不正が疑われる段階で患者を償還払いとすることは、不適当ではないかという御指摘もいただきました。これについては右側で、今回は療養費の適正な支給を図るための事前の取組として、施術の必要性を個々に確認する必要がある患者について、一定の基準で対象患者を限定して、手続も注意喚起通知の送付、事実関係の確認、償還払い変更通知の送付など一定の手続を行った上で、患者ごとに償還払いに変更できるというものなので、適切なものと考えています。
13ページ、こちらからは患者の類型ごとの御意見になります。最初が「自家施術を繰り返し受けている患者」について、自家施術の中には、適切に施術が行われ、適切に療養費が請求されているものもあるのではないかという御指摘です。これは右側の2つ目のポツに書いてあるとおり、自家施術でも、適切に施術が行われ、適切に療養費が請求されており、その後の施術の必要性を個々に確認する必要がないと考えられる場合は、償還払いには変更されないということになります。
2つ目、「保険者が繰り返し患者照会を行っても回答しない患者」について、患者照会への回答がないのは、患者照会が適切に行われていないことが問題ではないかという御指摘です。これについて右側で、今回の「保険者が繰り返し患者照会を行っても回答しない患者」については、患者照会を適切な時期に患者に分かりやすい照会内容で繰り返し行っても回答しない患者ということです。また、償還払いへの変更までに償還払い注意喚起通知の送付、電話または面会による事実関係の確認、変更通知の送付だけによらない電話または面会による説明を行うこととして、患者照会の患者の場合には一層丁寧な手続としています。また、2つ目のポツのとおり、平成30年の患者照会に関する事務連絡について、明細書の義務化に併せて改正をして、再度周知するということを行いたいと考えています。
その下の「複数の施術所において同部位の施術を重複して受けている患者」については、施術所からは分からないという指摘もいただいています。これについては、確かに施術所からは分からないものなので、保険者が対象患者を確認した場合に、施術所に対する注意喚起通知の送付、償還払い変更通知の送付も含めた手続を行った上で、患者ごとに償還払いに変更できるとするものです。
一番下、「非常に長期にわたり、かつ、非常に頻度が高い施術を受けている患者」について、患者の症状・経過は様々で、一律の期間や回数で償還払いに変更することは適切ではないという御指摘もいただきました。こちらについて、右側に書いてあるとおりですが、今回は対象にしないで、対象患者の基準については、引き続き検討することとするということで、前回の1月にお示しした案から、この長期かつ頻度が高い施術を受けている患者については、今回、行わないという修正をしたいと考えています。
14ページ、こちらは前回1月の専門委員会で健保連が健保組合、点検事業者に対して患者照会などに関する指導、要請などを行っているというような御発言がございました。それに関してまとめたものになります。健康保険組合連合会において、健保組合を対象とした研修、点検事業者を対象とした研修で、厚生労働省の平成30年の事務連絡の内容を含めて、患者照会などに関する注意を行っているということでございます。
15ページから「柔道整復師の施術に係る療養費について」の通知の改正案になります。基本的には1月の案を通知の形にしたものになりますが、先ほど申した長期かつ頻度の高い施術を受けている患者については落としたというものになっています。15ページの一番上で、受領委任協定に以下を追加する、それから、受領委任契約も同様の改正を行うということです。それから、※のところで、目的などについては改正通知本文に記載をして、細則は別途の通知・事務連絡に記載をするということになります。第9章というものを追加して、46のところで、保険者は、施術の必要性を個々に確認する必要があると合理的に認めた場合には、次に掲げる事項を実施することにより、患者ごとに償還払いに変更することができるという規定です。手続としては(1)であらかじめ被保険者などに周知をすること、(2)で以下に該当すると考えられる患者について、患者と施術所に償還払い注意喚起通知を送付する。ここで①から④まで患者の類型を示していますが、長期かつ頻度の高い施術という5つ目の患者類型は落としているということになります。
1月と変更している点としましては、16ページの50番、償還払いを実施する際に、償還払い変更通知が到着していない施術所において、患者が償還払い変更通知を提示しないという場合の取扱いです。この場合、施術所がその患者が償還払いになっていることが分からないということで、施術所のほうが保険者に療養費の請求を行うことがあり得ます。その場合、保険者は、まずその患者が償還払いに変更になっていることを通知してくださいということ、それから、その通知が到着した月までに行われた施術については、受領委任の取扱いで施術所に療養費の支払いを行ってくださいということにしています。1月の資料ですと、この1回の請求に限り受領委任の取扱いで療養費を支払うとしていましたが、患者が受診をするタイミングによっては、月の最後のほうに施術を受けるという場合には、施設所に対する通知が間に合わないということはあり得ますので、その通知が到着した月までに行われた施術というところを1月の案からは変えています。
主に内容として変えたのは以上の点になります。
17ページ以降、それぞれの標準様式の案を20ページまでおつけをしています。
資料の説明は以上になります。
○遠藤座長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問等があれば承りたいと思います。いかがでございましょう。
三橋委員、お願いいたします。
○三橋委員
この患者に着目をした患者ごとの償還払いへの変更については、前回いろいろ議論がありました。保険者側の委員はほぼ賛同されていたとさっき報告がありましたが、施術者側あるいは患者側からすると、まだまだ議論を尽くしていかなければならないと考えています。
平成28年から、我々の提案で不適正な施術者への面接確認がスタートしております。それによって国保、後期高齢、協会けんぽでは適正化は進んでおり、支給額は実際に減少していることは明らかなわけです。ただし、組合健保は対象となっていません。しかし、先ほども事務局から説明がありました平成30年5月の事務連絡、これを厚労省から出していただいたにもかかわらず、組合健保は内容を全く無視して、委託している調査会社に今までどおり指示して行き過ぎた調査を繰り返しています。前回、健保連委員より調査会社の研修会を年2回実施していると発言されていましたが、これは医療課の苦情窓口にファクスが集まった結果をもとにして、実施しているものではないかと考えています。今、組合健保が委託している調査会社の調査は、文書内容は全く改善していません。最後に1行、「通院を抑制するためや不正請求の疑いがあるために実施しているものではありません」と、ただ、全てこの1行を載せて発送しているということです。ですから、この1行を入れればいいのだということを恐らく研修会で指導しているのではないかと考えています。
このように、我々施術者には何でも押しつけて、保険者側は何も努力していない。この患者ごとに償還払いにする提案についても、もし保険者が手続上で不適正な進め方で患者を償還払いにするような事例が明らかになった際の罰則規定は、ぜひ国民である患者さんのために厚労省につくっていただきたいと考えています。事務局、いかがでしょうか。
○遠藤座長
では、事務局、お願いします。
○保険医療企画調査室長
今回の取組、保険者が患者ごとに償還払いに変更することができることとするようにしてはどうかというものになります。罰則というものがどういうものかということはありますけれども、また、平成30年の事務連絡で患者調査の内容、方法が適切ではないというような場合には、こちらの厚生労働省にその情報をお寄せいただいて、必要な場合には保険者に対して指導するということをやっていますので、今回も同じように、もし仮に適当ではないような方法が行われているということがあれば、こちらにその情報をお寄せいただくということかと考えています。
以上になります。
○遠藤座長
三橋委員、いかがでしょう。
○三橋委員
今日もいろいろな手続様式を挙げていただいていますけれども、このとおり進めていくのであれば、手続きはかなり難しいものになるのだと思うのです。しかし、それを飛び越して、例えば保険者がやるのではなくて患者調査と同じように民間の調査会社にこれを委託して進めていくと、決められた手続きをきちんと行わないで償還払いにするような可能性も十分に考えられるのです。そうなると、患者さん、いわゆる国民のためにもこれはならないと考えています。これについてはもう少し丁寧な形で議論を進めて、罰則ができないのであれば、何らかの形で厚労省が指導できるよう、強い内容の文書を初めから保険者に出していただく形を取っていただかなければ、いけないのではないのかと考えています。
○遠藤座長
よろしいですか。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
伊藤でございます。
まず、患者ごとの償還払いに関して、適正化を図るという観点からは私はいいのかとは思うのですけれども、まず、最初に不正が明らか、そして、不正の疑いがある、不正の疑いというだけで決めつけて償還払いにするというのはいかがなものかと。1番目から5番目にありますように、1番目の自己施術につきましては、これは健康保険法で言われているとおり支給しないというものを通知に入れるべきだと思います。
2番目の家族施術については、医師国保のように厳密に制限をしているところもあれば、他の健康保険組合、協会けんぽなどにつきましては、これを厳しく制限しているものではありません。問題は、医療でいうところの無診察診療ですね。要は、診察していないのに請求をする。柔道整復療養費においても、施術の実態がないのに請求をし続けている、ここが問題であろうかと思います。この中には柔道整復師が家族を請求しているが家族が知らないケースもあるわけです。柔道整復師が勝手に家族の支給申請書を出している。これは、患者側には責任がないのであって、これを繰り返したことによって償還払いにするというのは、少し性急過ぎるのではないかと思っております。
また、3番目の患者照会に対して回答がないということについても、先ほど三橋委員も申し上げたとおり、特定の健保の患者照会では3枚つづりでよく訳が分からない文書で通知されている。こういうところは、きちんと平成30年の事務連絡に沿って分かりやすく患者照会をすることを徹底させる必要があると思うのです。そして、患者さん、被保険者も年齢層もいろいろございます。前期高齢者でも74歳までは被保険者になるわけですので、こういう方たちは受領委任払い制度では保険者が支払う権能を持っているということを十分理解していないことが多いと思います。ですから、この償還に関して回答がなければお支払いできませんということを、保険者がしっかり被保険者に伝えることが必要であると思います。
また、同部位で重複して施術所にかかっている場合については、医療のほうではお願いベースで厚生労働省からは「同じ病気で複数の医療機関を受診することは控えましょう」ということにとどまっております。ただ、これに関して、先ほども言いましたように、施術所では患者が複数の施術所にかかっているかどうか分からない。保険者サイドで見ていきなり、何回もこれを繰り返しているから償還払いにすると、これも私は性急過ぎるのではないかと思っております。
そういうことをもって、私は患者ごとの償還払いは前回も申し上げたのですが、拙速にやるべきではなく、もう少し十分に議論を踏まえた上で決めていただきたいと思います。
最後に、患者さんには常に人間としての尊厳と差別のない安全で最善の医療を受ける権利がありますので、疑いをもってすぐに償還払いにするというのは、少し私は拙速過ぎると思いますので、十分検討をしていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございました。
ほかの方から何かございますか。
塚原委員、お願いいたします。
○塚原委員
ありがとうございます。
事務局に確認したいことがございます。15ページ(2)の③番ですけれども、「患者に対する35の照会」というのは、受領委任の35と判断して話をさせていただいています。受領委任の施術管理者は、保険者から照会について速やかに答えるというのが35だったと思うのですけれども、受領委任の中でそれを患者にも当てはめるという改正にするのかというところの確認と、「回答しない患者」とありますけれども、何をもって回答というのか。患者さんは回答したけれども保険者の納得いかない返事だったから回答なしになるのであれば、分からなかった回答も未回答という事の無いよう、そこら辺り、基準としてはっきりさせていただきたい。
よく回答書をもらうときに、施術者に確認してはならないというような注意書きが多くあるのですけれども、柔整師には施術録というもので記録があるのですが、患者さんは記憶しかございませんので、治れば忘れますから、時期を過ぎて聞かれたような質問に対しては、誤ったというか、間違った回答もあるのではないか。明らかな外傷性というところに対しても、患者さんは痛みの発生原因、日々起こる痛みの発生原因は伝えられますが、柔整師はその負傷の業務範囲を判断して何月何日に何をしたという記録を残しているわけですから、そこの記憶違いを正しい回答ではないと言われてしまい、それで償還払いにするのは違うのではないか。調査の時点でのその傷病の問題であるというのであれば、これを不支給にすればいいだけの話ではないか。これは前回から言っているようなことでございますので、この辺りは区別して改正等々にしていただけたらと思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございました。
では、事務局に御質問がありましたので、お答えください。
○保険医療企画調査室長
15ページの46の(2)の③のところに「35の照会」と書いてあるのですけれども、これは受領委任の協定の中の35番目の規定のことです。保険者が適宜、患者等に施術内容、回数等を照会というようなことが書いてございます。患者照会のことを意味しています。その上で、この患者照会に回答しない患者については、ここの③でも書いてありますとおり「適切な時期に患者に分かりやすい照会内容で繰り返し行っても、回答しない」というような、適切な方法で患者照会をやっていることが前提かと考えています。
以上です。
○遠藤座長
塚原委員、いかがでしょう。よろしいですか。
○塚原委員
ありがとうございました。
○遠藤座長
ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょう。
では、長尾委員、どうぞ。
○長尾委員
事務局にお聞きしたいことがあります。12ページですが、柔整審査会などは「施術所に着目して」とございます。そして、今回のこの償還払いにつきましては「患者に着目して」とございますので、先ほどお答えになりました患者調査の35番というのは、施術者に着目をした項目だと思います。そうしたところの検討も必要かと思います。
もう一点、15ページの「保険者等」という定義を、この専門委員会の中で我々にきちんと知らしめていただきたいと思います。外部委託会社もその「保険者等」に入るのか。調査の中で、保険者に委託された者だから「保険者等」に入ると言う外部委託された調査会社もございますので、そういうところをしっかり定義していただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。これは御要望ということでよろしゅうございますね。
三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
保険者側から何の意見もないのですけれども、例えば償還払いになりましたということについて患者から異議申立てがあった場合、療養費の不支給決定の場合ですと厚生局あるいは厚生労働省に審査請求するわけですが、患者ごとの償還払いに不服がある場合については、患者はどこに話を持っていけばいいのですか。厚生労働省でいいのですか。お願いいたします。
○遠藤座長
では、事務局、お願いします。
○保険医療企画調査室長
先ほど申したとおり、平成30年の事務連絡のような適切な方法でこの償還払いの変更が行われていない事例があったという情報については、平成30年の事務連絡のように、こちらの厚生労働省にお寄せいただければと思っています。その上で、患者照会に変えることについて、変えること自体は保険者の判断で行うことになりますので、保険者にもまた申出を行っていただいて対応いただくことも必要になろうかと考えています。
○遠藤座長
三橋委員、いかがでしょうか。
○三橋委員
今、お答えいただきましたけれども、何かすんなりとした回答ではなくて、最終的には保険者ということでしたけれども、我々もそうですけれども、なかなか保険者に対して再請求してもいきなり不支給にされてしまうということもあるので、患者からすると、不服を申立てできる窓口等をつくっていただいて、保険者との間に例えば厚生労働省に入っていただくとか、そういう形を取ってもらわないと、今の調査会社の案件もそうですけれども、ちゃんとした適正化にならないということもあります。ぜひ事務局にはその辺をお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございました。
お待たせしました。田畑委員、どうぞ。
○田畑委員
ありがとうございます。
事務局にお伺いいたします。18ページに償還払い注意喚起通知の標準様式を示していただいております。これは先ほど来から三橋委員等が御指摘されている調査会社さんで、とんでもない文書を送ってきたり、患者さんが読んでもさっぱり分からないような内容に変更されて患者照会が度々行われております。この様式に関して、もう一言一句変えては駄目だぐらい、厚労省から厳格化というものを発出していただければと思うのですが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長
事務局、何かコメントはありますか。
○保険医療企画調査室長
今回、標準様式の案をお示ししています。ただ、これは実際通知を発出する前にはまた関係者、施術者の団体、保険者といろいろ調整した上でこの標準様式も固めようかと考えています。関係者で調整をした上での標準様式を示すものですので、基本的にはこの標準様式にのっとって手続を進めていただくことになるかと考えています。ただ、一言一句変えてはいけないということよりは、あくまで標準のものということになろうかと考えています。
○遠藤座長
田畑委員、いかがでしょう。
○田畑委員
なるべくの厳格化、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長
ありがとうございます。
ほかにございますか。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
先ほど申し上げましたように、不正の疑いがあるということだけで償還払いにすることについて、その判断を保険者ごとに任せることになれば、判断もまちまちになるのではないでしょうか。私は行われている柔整審査会、面接確認委員会を活用することで不正の疑いがあるものは十分チェックができていると思っております。そういう観点から、これはもし償還払いにするということであれば、地方厚生局、県知事に向けて通知し、柔整審査会、面接確認委員会から厚生局に情報提供し、そのうえで厚生局の判断に委ねるべきであって、個々の保険者がやるべきでないと思っております。
○遠藤座長
御要望として承りました。
ほかにございますか。
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
1点、承服できない点があるのですが、前回いわゆる長期かつ頻回のものについても償還払いに戻すという提案がされて、具体的にエビデンスも出されて、3か月を超える施術、月10回以上の施術を受けている患者については償還払いにしてはどうかという提案がなされたのですけれども、今回これが13ページで「対象患者の基準については、引き続き検討することとする」となったことについては、承服しかねます。厚労省は過去の通知においても長期や頻回あるいは部位転がしが疑われる申請については重点的に審査するということを指導してきた経緯もあり、今回の頻度調査で明確なエビデンスが出てこのような提案がなされたにもかかわらず、なぜ引き続き検討となったのかについて、まず厚労省にその明確な判断を説明いただきたいと思います。
○遠藤座長
事務局、いかがでしょう。
○保険医療企画調査室長
前回1月の専門委員会で、非常に長期にわたりかつ非常に頻度が高い施術を受けている患者については症状・経過が様々だというので、一律期間、回数で償還払いに変更することは適切ではないという御意見をいただいたところです。前回、頻度調査でのデータをお示ししましたけれども、さらに引き続きこのデータの分析、それから、「患者ごとの償還払いへの変更」を今回行う場合には初めて行うことになりますので、その状況なども踏まえて、引き続き対象患者について検討する必要があろうかと考えて、今回については対象とせず、この長期に頻度が高い施術を受けている患者は引き続き検討という案に改めたということでございます。
○遠藤座長
幸野委員、いかがでしょう。
○幸野委員
確かに意見は出ました。患者の症状・経過は様々であるという意見が出たのは、それは分かっていますし、それ自体を否定するものではありません。ただ、実態的には3か月を超えて月10回以上の施術を受けている患者、このような長期・頻回の中に、不正が疑われる者が多いのが事実であります。ですから、これは絶対外せませんし、何もこの3か月を超えて月10回以上の施術を受けている患者を一律に即座に償還払いに移行するというわけではなくて、長期・頻回の施術に当たる場合は、保険者はまず施術者へ照会を行って、今後の治療計画等を確認して、あるいは患者にも状況を確認し、これは個々に保険者が確認していく必要があるだろうという場合に償還払いに戻すということを行うので、必要な施術を排除してしまうという懸念は起こらないと思います。これはぜひ今回から入れていただきたいと思います。再度検討をお願いします。
○遠藤座長
ありがとうございました。御要望として承りました。
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
ありがとうございます。
長期・頻回について、幸野委員と全く同じ意見ですけれども、我々は償還払いに変更する基準として載せる載せない以前に、現状でも長期・頻回については疑義照会をさせていただき、照会状で中身をしっかりとヒアリングさせていただいて、あまりにも疑義が深ければ審査会に諮っていろいろ御議論いただく。その上で、その支給が妥当かどうか判断し支給決定を行っている。今回議論している制度は不支給とするわけではなく償還払いに変更するという制度であり、ここのところを一律にしゃくし定規に運用するという話ではないので、入れてもいいのだろうと思うし、もし今回入らなかったとしても我々の照会はやめるわけではなくて、そこは照会して医療費の適正化並びに健康保険制度の中での療養費としての支給の妥当性をしっかりと検証させていただくという保険者の責務をしっかり果たしていく。仕組みはこういうことで今までしっかりとしてきているわけなので、今後これをさらにきちんとした制度として、なおかつ施術者の皆さん、患者の皆さんにも分かりやすく、なおかつ適正化が担保できるような仕組みにしていく。これはこの後の議題もそうなのでしょうけれども、前進させていく議論をすることが必要だと思います。
以上です。
○遠藤座長
どうもありがとうございました。
三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
吉森委員が幸野委員に賛成をしておられましたけれども、長期・頻回・多部位、これは4課長通知にもありますが、長期・頻回・多部位が悪いわけではないのです。いわゆる長期・頻回・多部位傾向であるのが悪いわけです。全国健康保険協会の審査会では、施術所から提出された全ての書類でその傾向を審査しているわけです。その上で長期・頻回・多部位傾向ということで、審査会から文書を出したりしているわけです。また、面接確認をしたりしているわけです。ただ、組合健保の場合には、施術所から提出されている書類は恐らくその患者については1件だけ、その1枚だけの支給申請書を見て、幸野委員がおっしゃったとおり、長期・頻回・多部位が悪いということを挙げていると思うのです。全国健康保険協会の審査会と健保組合の審査では、根本的に見ている内容が違うことをぜひ御理解をいただきたい。確かに保険者の権能は分かりますけれども、しっかりと施術所ごとの支給申請書の傾向で見ていかないと不正があるとの判断は出来ないと思うのです。1枚を審査して不正の疑いがあるとかいうのはおかしな話で、例えば骨折で初回月であれば頻回になるのは当たり前なのです。それが悪いわけではないのです。ただ、全部の書類がそういう傾向にあれば、確かに悪いかもしれない。
今、審査会で問題になっているのは、全国健康保険協会、国保連合会もそうですけれども、この長期・頻回・多部位と指摘されると、チケット販売をして月に4回だけ療養費の請求をする。このほうが逆におかしいのです。けがをした月なのに、ずっと毎月4回しか上がってこない。それは何かというと、チケット販売をして、いわゆる保険外で取っているわけです。そういうやり方に移行しているのが事実なのです。ですから、保険者さんとして見れば、おっしゃったような回数、あとは金額、それだけを見てよしとするのであれば、これは明らかに少なくても不正につながっているのは間違いないのです。患者さんにしてみればそれが全く明らかにされていない事実があるということなのです。もう一回言いますけれども、長期・頻回・多部位が悪いのではないのです。長期・頻回・多部位傾向、これを継続することが悪いということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございました。
では、幸野委員、お手を挙げておられますか。どうぞ。
○幸野委員
三橋委員の発言はよく分かります。長期・頻回・多部位の施術が即悪いと言っているわけではありません。ですからこのような患者がいる場合には、保険者がきっちりとなぜ長期なのか、頻回なのか、多部位なのかを確認するために償還払いに戻すということを言っているわけです。長期・頻回・多部位の施術を即償還払いに変更するということではなくて、保険者が個々に確認していく必要があると判断した患者について、償還払いに変更していくことを類型として入れていただきたいと言っているのです。この類型を入れてこそ患者ごとに償還払いへ変更していくというのが実効性のある仕組みになると思いますし、逆にこの類型を外せば骨抜きのような形になると思うので、これを解決しなければ健康保険組合はますます償還払いへの移行が強くなると思いますので、ぜひこの類型は入れていただきたいと思います。
今回どうしても入れられないということであれば、これは継続検討としていただきたいと思います。例えば期限を設けて検討していく。様々なデータを分析しながら行っていくという検討手順を継続検討するというのであれば、検討の手順を具体的に次回でも示していただきたいと思います。次の議題になりますが「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」についての方向性が令和4年の6月までに結論を得るという方向で進むのであれば、この案件についても非常に重要ですので、こちらも同様に期限を決めて結論を得るように検討していくよう強く要望します。厚労省の見解を聞きたいと思います。
○遠藤座長
分かりました。
では、事務局、コメントをお願いいたします。
○保険医療企画調査室長
今回の「患者ごとに償還払いに変更できる事例」につきましては、大分前から御議論いただいてきたところだと考えています。その上で、この長期・頻度が高い施術を受けている患者については、かなり患者の症状・経過は様々だという御意見がございますので、今回は対象にせずに引き続き検討にするということかと考えているところでございます。
検討の期限をいつまでにするのかという御指摘をいただいたと思いますけれども、こちらについてはデータの分析、それから、今回の患者ごとに償還払いに変更できるという取組、初めて行うものでございますので、その状況を見ながら、この長期・頻度が高い施術を受けている患者の取扱いについても、対象の患者の基準についても検討していくことだと考えています。
○遠藤座長
幸野委員、よろしいですか。
○幸野委員
ですから、次の議題にありますように方向性を定める、令和4年の6月までに期限を決めてデータを集めながら検討していくということでよろしいですね。
○遠藤座長
事務方、いかがでしょう。
○保険医療企画調査室長
なかなか期限を切ってという検討は難しいと考えています。
○遠藤座長
それでは、先ほど来お手を挙げておられました、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
先程、三橋委員からもご発言がありましたけれども、各保険者の審査の在り方については、例えば審査会では形式審査、内容審査、傾向審査、縦覧審査、こういうパターンがあり、それをしっかりとやって、この中でおっしゃったように傾向審査は同一施術においての傾向、いわゆる多部位・長期・頻回等々を議論していくというそもそもの立てつけがしっかりと遵守されている。そういう前提で疑義を照会していくと理解はしていたのですけれども、それが今、お話を聞くと、1枚でどうこうだとかということがもしあるならば、それは保険者としても襟を正すところでもありますし、そこは施術者の皆さんとしっかりと共通認識を持って、今、ありましたように、次のしっかりとした仕組みにつなげていくためにもここはお互い明確にしておく必要があると思います。
以上です。
○遠藤座長
どうもありがとうございました。
塚原委員、どうぞ。
○塚原委員
ありがとうございます。
今の案件の部分なのですけれども、私は国民、患者さんの権利にペナルティーをかけるという今回のいきなりの償還払いというものに、いかがなものかと考えているところです。現行の不支給対応や傾向審査であれば、面接の結果報告をして、厚生局から個別指導、柔整師に対して5年停止とかといったものもあるわけですから、そういった本来のものをしっかりと確立させていく。駄目なものは駄目というのは施術者側も分かっておりますので、その辺の区別をつけていただいて、患者さんの権利を奪うようなペナルティーは無い様にこれからも検討していただきたいと思うところです。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
今まで発言のありました長期・頻回・多部位に関して、発言された委員がおっしゃったように柔整審査会で審査委員がしっかり見ております。また、それらのことに関連して、平成30年に面接確認委員会を設置し面接確認を行うことになり、今、協会けんぽでも盛んに面接確認を行っているわけでございます。そういう中で長期・多部位・頻回、先ほども三橋委員があったように、これは悪いのではなくて、そういう傾向にあることが問題なのです。それで、そのような傾向にある施術管理者に対して、面接確認で呼んで正しく請求されているのかどうかということを確認し、指導を行っているわけです。そこで不正の疑いがある、あるいは不正が明確になった場合は厚生局が指導する形になっているわけです。長期・多部位・頻回であることをもって、すぐに償還払いにすることは、適正に運用されている国民のための、この受領委任制度自体が崩壊する危険性があると思いますので、私は再三申し上げていますように、柔整審査会、面接確認の結果において問題が出てきたときには、地方厚生局に情報提供しその判断を任せるべきだと思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
積極的な御意見、どうもありがとうございました。
幸野委員、続けて何か御意見がございますか。大分時間がたっておりますので、もしおありになれば簡潔にお願いしたいと思います。どうぞ。
○幸野委員
先ほど室長が期限を決めるのは難しいとおっしゃったのですが、保険者側は強く要望しているわけですから、ぜひ継続的に議論して期限を決めるということを再考していただきたいと思います。
○遠藤座長
御要望として承りました。
長尾委員、どうぞ。
○長尾委員
幸野委員にお聞きしたいのですが、このことが始まって、先ほど吉森委員からは、協会けんぽは我々と一緒にいろいろな調査につきましても議論を重ねながら患者調査をされていることはもう現実にあります。この償還払いについての調査も健保連としては外部委託に出されるのか、それはまだ検討中なのかをお聞かせ願いたいと思います。幸野委員にお願いします。
○遠藤座長
幸野委員、いかがでしょう。
○幸野委員
外部委託の話は別の場でさせていただきたいと思います。この場に外部委託の話を絡めるとややこしくなるので、外部委託の調査の件については、別の場でぜひ検討させていただきたいと思います。
○遠藤座長
長尾委員、そういうことでよろしゅうございますか。
○長尾委員
我々からすると健保連のご都合の部分も読み取れるところもありますが、時間もありますので、これで結構でございます。
○遠藤座長
ありがとうございました。
まだ御意見はあるかと思いますけれども、前回もこの問題はやりましたし、本日もかなり活発な御意見をいただいているということですので、意見交換はこのぐらいにさせていただければと思います。
さて、この患者ごとの償還払いに変更できる事例についての案件、事務局から原案が出されているわけでございます。それに対しまして、施術者を中心に、また保険者のお立場からもそれぞれ御意見、場合によっては反対意見、それから、提案といったものが出されているわけでございます。中にはなかなか短期間に歩み寄れないようなものもあるわけですけれども、全体のスキームに関しましてはおおむね賛同が得られているのではないかとは受け止めました。
これをどう扱うかでございますけれども、随分この議論はしてまいりましたし、結局、柔道整復療養費の適正化を一歩進めるという意味合いにおきましては、本日、事務局が提案されました案を基に、施行につきましては、座長に一任させていただくということが一歩前進につながるのではないかと思いますけれども、そのような対応をしてよろしいでしょうか。特段、反対の方はいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤座長
ありがとうございました。それでは、そのような対応をさせていただきたいと思います。
また、事務局には、いろいろな要望や意見が両側から出ておりますので、適切な対応をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の2番目の案件でございます。「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」、これについて議論をしたいと思います。
まずは中野委員、須田参考人より、審査支払機関のお立場から、現在の状況や御意見などをお伺いできればと思います。
それでは、中野委員、よろしくお願いいたします。
○中野委員
国保中央会の中野です。
それでは、しばらくの間、御説明をさせていただきます。我々の意見書ということでお手元にあるかと思いますが、これについて簡単に説明させていただきます。
我々連合会が行っております業務の特徴でございますが、主にこの3つが大きいと思っております。柔整の療養費につきましては、この支払い業務を我々はやらせていただいていますが、以前から「療養の給付等」に係る審査・支払手続等のシステム、医科、歯科、薬剤を取り扱っております「国保総合システム」、これに実装されております「療養費関係の機能」を使って業務を実施している連合会が多くございます。
一方、医療の分野における療養の給付と受領委任払いの下での柔整では、各種手続等に異なる部分も多々あることから、連合会が保険者と相談しつつ、業務を実施している状況でございます。
このため、多くの連合会では別途システムを自前で構築して、補完しているケースもございます。
このことから、今後療養費の請求・審査・支払いに係る業務とシステムの整備を行う場合は、連合会の業務実態を踏まえた標準的な業務フロー、システムの整備が必要になる。それから、新たな業務フローやシステムに円滑に移行するための支援措置、これは主に財政支援のことを申し上げておりますが、それが必要になるかと思います。
2番目として、オンライン請求の話でございますが、我々としましてオンライン請求はぜひとも進めていくべきということが基本認識でございますが、前提として、以下の論点が整理される必要があるかと思っております。
1番目として、実務的な論点の解決が必要である。申請書の記載項目、添付資料の在り方、被保険者の自署の取扱い、これはあくまで例示でございまして、かなり多くの問題がございます。
2番目として、我々としては、オンライン請求以外の請求方法を残さないこと、これをぜひともお願いしたいと思っています。「紙による申請」を経過的に残した上でオンライン請求に移行する場合は、非常に大きな人的・物的コストがかかることを踏まえまして、完全実施をぜひともお願いしたいと思っているところでございます。
それから、レセプトの一元管理をしております国保総合システムとの円滑な接続について、十分に検討していただきたいということでございまして、支払基金さんと我々は共同開発を今後進めますが、審査・支払システムの内容を十分踏まえた上で、新たに構築する「療養費のシステム」が円滑に連動して機能するよう、様々な調整が必要だと思っております。
2ページ目に移らせていただきまして、3番で費用負担でございます。このシステム構築、これが幾らになるかというのは今の段階ではもちろん試算はできないのですが、それなりの額になることは想像できるところでございます。我々国保は非常に財政基盤が脆弱ということでございまして、初期費用、運用費用ともに保険者さんへの配慮が必要であり、ぜひとも国において責任を持って対応していただきたいと考えているところでございます。
最後に、実施スケジュールでございますが、国保総合システム、これにつきましては、現在更改のために開発作業に入っております。令和6年、2年後に更改が予定されておりまして、既に開発に入っております。
問題は2つございますが、1つ目としましては、療養費のためのシステム構築のためには、47の連合会の業務実態を踏まえた標準的業務フローの整理と、それを踏まえたシステム設計が必要でございまして、47連合会との調整を含めまして、相応の時間が必要であります。
2つ目は、関連する外部的事項としましては、審査支払機能改革における「共同開発」、これは次の次の開発でございますが、共同開発・共同利用が審査支払基金改革で進められておりますが、この関係性も踏まえまして、「スケジュールありき」ではなくて、合理的なスケジュール設定をぜひともお願いしたいということでございます。
以上でございます。
○遠藤座長
どうもありがとうございました。
引き続きまして、須田参考人より御説明をお願いしたいと思います。
○須田参考人
支払基金の須田と申します。本日から議論に参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
柔道整復療養費の関係につきましては、我々、関連業務にこれまで関与してこなかったということもありまして、受領委任払いといった特別な制度、あるいは保険者と支払機関との関係、また審査の基本的な仕組み、実務の実情等々、まだまだ理解不足の状況にございます。本日は我々どもの組織の置かれた実情等をやや幅広に御紹介しながら、議論の参考に供するようなお話をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
資料の1ページ目を御覧いただければと思います。支払基金の概要等をまとめております。御案内のとおりのことかと思いますけれども、我々ども、保険者の皆様方の委託を受けて、医科・歯科・調剤等のレセプトの審査・支払業務を行っている機関でございます。また、後ほど申し上げますけれども、支払基金法の改正を受けまして、最近ではマイナンバー関係業務、データヘルス関係の業務も幅広に行っているという実情にございます。
2ページ目を御覧いただければと思います。オンライン請求の促進につきましては、長い歴史がございまして、平成9年に電子媒体での請求が開始されて以降、平成18年には医科・調剤のオンライン請求が開始され、厚生労働省の請求省令に基づきまして、平成23年にはオンライン、電子媒体による請求が原則義務化され、平成27年には猶予措置も終了したという長い経緯がございます。
3ページ目、御覧いただければと思います。支払基金改革をめぐっては、平成28年に我々ども基金の組織体制の在り方を抜本的に見直すべきだという提言がなされ、令和元年には支払基金法も改正されたという経緯がございます。
4ページ目を御覧いただければと思います。日本地図が出ていますけれども、我々ども、今年10月に審査・支払業務を行っておりました都道府県の支部を全面的に廃止いたしまして、赤いポツで書いてあるものが中核審査事務センターと我々は呼ぶものでございますが、全国6か所にそういった拠点を設けまして、審査業務を集約いたします。黄色が地域審査事務センターということで、中核審査事務センターを補足してそういった業務を行います。さらに、青ポツのものが4か所あります。合計当面14か所に審査業務を集約して、この10月から業務を行うことになっております。
5ページ目、今、申し上げてきましたことをまとめてここの文章で書かせていただいております。電子レセプトが普及し、ほぼ全ての医療機関のレセプトについてコンピュータを活用した審査が可能になったということを前提に、申し上げた日本地図のような業務体制の抜本的な改革をこの10月に実施いたします。
具体的なことを申し上げますと、14か所のブロックごとの審査事務センターに全職員の7割を集中配置いたします。一方、都道府県ごとに審査委員会が残ることになります。この審査委員会の補助をします審査委員会事務局というものを47か所の都道府県に残すのですけれども、※で書いておりますように、その都道府県ごとの事務局は非常に小規模な組織となります。具体的に申し上げますと、職員15人に満たないという組織が47のうち18か所になります。そこにおきまして、紙レセプトの、ほぼほぼ紙レセプトはなくなってきていますけれども、その処理業務も事務局、都道府県ごとに行うということになっております。
職員全体で申し上げますと、4,310人の職員が平成29年度にはおりましたけれども、800人削減して、3,500人程度へ削減を行っている最中でございます。そのために、審査業務を含めた業務の徹底的な合理化、見直しを行いまして、組織のスリム化を図っているという実情にございます。
6ページ目、ブロックごと14か所の審査事務センター、47か所に残します審査委員会事務局の定員の規模につきまして、表にまとめております。先ほど申し上げましたように、15人以下の審査委員会事務局は18か所ということで、島根、山形等は小さな組織に生まれ変わるということになります。
7ページ目は、今年10月に向けました改革の工程表を図示しております。
8ページ目は、昨年末にさらにオンライン請求の促進を規制改革として進めることが決定されましたので、御参考までに上げております。
9ページ目は、AIを活用したレセプトの振り分けの仕組みを図示したものでございます。今年9月からこのような仕組みを導入して、人が目視で審査しなければいけないレセプトの割合を2割、さらには1割へと削減していくといった仕組みを導入したところでございます。後ほど御覧いただければと思います。
参考資料が続きますけれども、10ページ目は、令和3年3月に厚生労働省において審査支払機能の在り方検討会が報告書をまとめ、その方針も踏まえた工程表が、政府において6月、決定されております。この中で、先ほど中央会からもお話がありました国保と支払基金とのシステムの共同利用・共同開発などにつきましても、このようなスケジュールが示されているところでございます。
11ページ目、これも参考資料でございますが、我々ども2年10月に支払基金法の改正を受けて、マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認、データヘルス事業、あるいはそういった基盤を活用した例えば電子処方サービスであるとか、健康スコアリングレポートであるとか、新たな業務を次々と展開している工程表でございます。後ほど御覧いただければと思います。
12ページ目、13ページ目は、これは厚生労働省の医療保険部会の資料でございますけれども、訪問看護レセプトの電子化が進み、また、この審査につきましては、コンピュータチェックで原審査を実施し、人の目を介す審査は原則実施しないと12ページ目の資料にも明記されています。こういった業務につきましては、我々としても取り組んでいきたいと考えているところでございます。
続きまして、14ページ目、15ページ目に進めさせていただきます。支払基金の財政状況などにつきまして説明したものでございます。14ページ目の赤い折れ線グラフは定員の削減、先ほど申し上げましたように800人の定員削減をどんどん進めている状況でございます。一方、青い棒グラフはレセプトの件数を示したものです。レセプトの件数に応じた収入を、委託費を保険者様から頂いている状況ですけれども、最近のコロナの関係もあり、また人口、高齢化等々の関係もあり、レセプト件数については一時的には大きく落ち込み、中長期的にも伸び悩んでいる状況にあります。
15ページ目は、人件費をはじめとしまして、様々な業務・組織の見直しにより、改革効果をこのように発現させることによって、業務・組織のスリム化を進めている参考資料でございます。後ほど御覧いただければと思います。
最後、16ページ目、今、言えることを文字にしてみたものでございます。国の方針に基づく審査支払機関改革により、支払基金では、レセプトの電子化・オンライン化等を進め、そのことを前提として、ブロック単位に審査事務拠点を集約するといった改革をまさに実行しようとしております。
柔道整復療養費に関する審査・支払いについては、我々どもは全くノウハウがない中で、具体的なことが言えなくて恐縮なのですけれども、請求受付あるいは支払業務に関しては、現在、我々どもで医療機関等とオンラインでやり取りしている基盤を将来的に、活用できる余地はあるのではないかと考えるところでございます。一方、審査業務につきましては、支払基金は柔整審査に係るノウハウを一切有していないということ、また、各都道府県の審査委員会事務局は先ほど申し上げましたように極めて小規模な組織へと見直されるということも考えますと、紙を前提とした現行の審査業務を担うことは現実的には極めて困難ではないかと考えるところでございます。
今後、我々どもとして柔道整復療養費について言えることは、今の時点では限られていると思いますけれども、オンラインによる請求が実現されるということであるならば、訪問看護の話に先ほど少し触れましたけれども、原則、コンピュータチェックにより完結できるというようなことにこの柔道整復の関係があるのかどうなのかはよく分かりませんが、ICTを最大限に活用した効率的な仕組みを構築していく余地は十分あるのだろうと考えるところでございます。
また、最後ですけれども、令和3年3月の厚生労働省の在り方検討会におきましては、ここに書きました様々な取組が書かれております。例えば国保連とのシステムの共同利用・共同開発、また、両機関のコンピュータチェックの統一、審査基準の統一に向けた取組、さらに両機関の審査委員の併任といったことも順次やっていくといった提言もされておりますので、こうした取組の進捗を踏まえつつ、柔道整復の関係につきましても、実現可能性に十分配慮した議論をお願いしたいと考えております。
支払基金としては以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤座長
須田参考人、どうもありがとうございました。
それでは、事務局から、本件に関して関連のある資料が提出されております。「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」というところがそこのパートになりますけれども、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長です。
柔-1の資料の21ページ以降を御説明いたします。「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組みについて」ということで、目的・効果と療養費の請求・審査・支払い手続についてになります。
22ページ、8月6日の専門委員会の資料、23ページも同様です。8月の資料が25ページまでついていて、26ページが今度は1月の専門委員会の資料をおつけしています。これの検討スケジュールの赤枠で囲んだところが今回2月の議論をするところというので、審査支払機関からの意見聴取と各論の議論で目的・効果、療養費の請求・審査・支払い手続等ということになります。1月の資料がずっと30ページまで続いています。
31ページに、前回1月の専門委員会の主な意見を整理して、これも矢印の下で、検討スケジュールに沿って引き続き議論を行うこととなったということです。
新しい資料は32ページからになります。32ページが目的・効果の案ということで、療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組みについて、今後各論の検討を進めていくが、その目的・効果は以下のようなものとして検討を進めることとしてはどうかということです。
その下に目的・効果の案というので、1つ目の○が、療養費の施術管理者への確実な支払い、請求代行業者による不正行為の防止と。ポツで、施術管理者が審査支払機関に対して療養費の請求を行い、審査支払機関の柔整審査会において審査をして、保険者が支給決定を行った上で、審査支払機関が施術管理者に対して療養費の支払いを行う。それから、厚生局、都道府県が施術管理者の指導・監査等を行うことにより、請求代行業者による不正を防止、療養費を施術管理者に確実に支払うということです。
2つ目の○、オンライン請求による施術所、保険者の事務の効率化、システム整備・運用の効率化です。1つ目のポツで、審査支払機関の関与により請求・支払いルートを一本化、オンライン請求の導入により、施術所や保険者の請求、支払い等の事務の効率化を図るということ。2つ目のポツで、全国的な請求・審査・支払いシステムを整備し、保険者や施術所の人員・コストを含めた全体としてのシステム整備・運用を効率化するということ。
3つ目の○が、審査の質の向上で、審査支払機関において審査を行い、審査基準の統一化、効率化、審査の質の向上を図るということ。それから、コンピューターチェック、傾向審査、縦覧点検、突合点検等の向上を図るということ。
4つ目の○が、より質が高く効率的な施術の推進ということで、データ分析を通じて、より質が高く効率的な施術の推進を図っていきたいということです。
33ページ、療養費の請求・審査・支払い手続の検討に当たっての基本的な考え方の案になります。先ほど御説明がありましたが、現在、審査支払機関において「審査支払機能に関する改革工程表」に基づいて、社会保険診療報酬支払基金、それから、国民健康保険中央会・国保連全体として効率的かつ整合的な審査・支払いの実現に向けて取り組まれているところです。
今回の療養費の請求・審査・支払い手続の検討に当たっても、審査支払機関改革の方向性も踏まえつつ、効率的・効果的な審査支払体制を構築する方向で検討することとしてはどうか。
3つ目の○で、保険者・施術所・審査支払機関の業務負担の軽減・効率化、手続の迅速化、審査の質の向上等に向けて、手続・業務・システムの全国的な標準化、全ての施術所でのオンライン請求を目指す方向で検討を進めてはどうかということ。
4つ目の○、他方で、関係者の手続・業務・システムの見直しには一定の時間を要することから、これを踏まえ、期限を区切りつつ、段階的な実施も含め、検討・実施スケジュールを検討してはどうかということ。
34ページ、こちらは療養費の請求・審査・支払い手続について、もう少し項目別の方向性の案を示しています。以下のような方向で検討を進めてはどうかということです。(1)施術管理者による療養費の請求先、施術管理者は、オンラインにより審査支払機関に請求する方向で検討してはどうか。※で書いていますが、オンライン請求の在り方、それ以外の請求方法等は、次回以降また別途御議論いただきます。
(2)審査支払機関の位置づけについてです。審査支払機関による請求受付・審査・支払いについて、受領委任協定・契約等に位置づける方向で検討してはどうか。2つ目のポツで、審査支払機関において、システムにより事務点検を実施し、これにより不適切な請求と疑われたものは柔整審査会で重点的に審査、必要な場合は患者照会や面接確認委員会による面接確認を行った上で、審査結果を決定する方向で検討してはどうか。療養費の支払いについては、審査支払機関から施術管理者に行う方向で検討してはどうか。4つ目のポツで、システムあるいは事務点検、柔整審査会での審査等について、国保連合会と支払基金で対応するとする場合は、可能なものは共通化・共同化する方向で検討してはどうか。
(3)保険者による支給決定、過誤調整の取扱いについてです。これについて、療養の給付と同様の業務処理とすることなどについて、関係者の業務負担の軽減・効率化、手続の迅速化などの観点から、これは制度的な整理も必要になるかと思います。制度的な整理も含めて検討することとしてはどうかということ。
35ページ、(4)柔整審査会に審査を委託していない保険者の取扱いです。関係者全体の業務負担の軽減・効率化、手続の迅速化、全体としてのシステム整備・運用の効率化などの観点から、保険者は療養費の請求受付・審査・支払いを審査支払機関に委託することを基本とする方向で検討してはどうかということです。
(5)オンライン請求への完全移行までの経過措置です。オンライン請求以外の請求方法は次回以降にまた別途検討、御議論いただきますが、オンライン請求に完全移行するまでの経過措置期間を設ける場合、経過措置期間中の紙での支給申請、これに対する審査・支払いの在り方、経過措置期間中の請求代行業務の取扱いについて検討することとしてはどうかということです。
(6)厚生局、それから都道府県の指導・監査の取扱い、こちらについては柔整審査会からの情報提供等を踏まえて行うことについて検討してはどうかということです。
36ページ、これは34ページ、35ページの内容について、審査支払機関、保険者、それぞれ業務フローとして位置づけがどうなるかを表にしたものなので、内容としては34ページ、35ページと同じような内容になっています。
37ページ、38ページは、受領委任協定・契約の該当の部分の規定を参考でおつけをしているものになります。
資料の説明は以上になります。
○遠藤座長
どうもありがとうございました。
それでは、審査支払機関のお立場からのお話と事務局の原案を中心とするお話がありましたけれども、これについて御質問、御意見をいただければと思います。いかがでございましょう。
三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
国保中央会、また支払基金からもお話をいただきました。この件について、私が一番危惧をしているのは、「当面の規制改革の実施事項」として規制改革委員会の検討課題に上がっているということを先日も伺ったのですが、これを一番危惧しています。なぜかというと、皆様も御存じのように昨年お話が出ていました電動キックボード、これは規制改革委員会の有識者での話合いの中で全く違う方向に行ってしまった。行政はそれを取り締まろうとしていたのが、いきなり規制改革委員会の回答が出た瞬間に全て規制緩和になってしまったというのもあります。我々がこの中で話していることが、委員会が終わったら全く違う方向に行っていたということも考えられるので、そこはぜひ厚生労働省、気をつけていただきたいと思っています。
また、先ほど国保中央会の中野委員の方から検討すべき課題についてお話がありました。私はオンライン請求になったときの一番の問題は、被保険者の自署の取扱いだと思っています。もう一つは紙、これをどうするのかという議論が最終的に残っていくだろうと思います。そんな中で、例えば自署については、今、オンライン資格確認においてカードリーダーを使って4桁の暗証番号を入れる方向での検討がされています。必ず患者さんがマイナンバーカードを持ってこられて暗証番号を入れるわけですから、それで自署に代えられるのではないのかと考えています。紙については、経過措置は設けないでデータだけという形にしていかないと、いつまでたってもオンライン請求ができない、確立できていかないと考えていますので、そこはしっかりと議論をして詰めていきたいと考えています。
もう一つ、この内容については健保連とも意見が合っているところと思うのですけれども、お話したとおり、審査が十分に出来ていないという思いがあり幸野さんに決断をしていただきたいのは、例えば今、本当に公正な関与が入ったときに、いわゆる審査と調査、これを組合ごとにやっていただいているわけですけれども、組合健保の負担軽減を図る意味で、オンライン請求が始まる前にぜひ国保連合会あるいは協会けんぽの審査会に委託をしていただいて、これがスタートするときにはスムーズにいくという形を取っていただけると非常にいいのではないかと考えています。
もう一つ、我々施術者サイドも、今、日本柔道整復師会、47都道府県で、施術所からFTPで上げていくのができない状況にあるので、日整のモデル事業として首都圏に限定して検討し始めています。施術所から日整のホストコンピューターにどういう形であればFTPで上げていけるかというのを、まだ準備段階でありますが進めているところなのです。これをできるだけ早期に47都道府県においてFTPで全て出せるというかたちを作り上げていきたいと思っています。施術所から日整のホストコンピューターに全てFTPで流していけるというラインを準備して、少しずつ進めているところなのです。オンライン請求の仕組みが出来上がるまでには完成をさせて、そこに乗っていきたいという思いがあります。
そんな中、先ほど健保連に質問したとおり、オンライン請求の仕組みが出来上がる前に国保連合会あるいは協会けんぽの審査会に審査を委託していただければ、恐らくこれがスタートとなったときには我々の思いが実るのではないかと思いますので、ぜひその辺、幸野委員からお答えをいただきたいと思います。
○遠藤座長
幸野委員、いかがでしょうか。後で何か御発言があるときにお答えをいただくことにいたしますか。それとも今、コメントいたしますか。
○三橋委員
後で結構です。
○幸野委員
後でそちらも含めてコメントします。
○遠藤座長
分かりました。
○三橋委員
その前については、厚労省から何か回答いただければと思います。
○遠藤座長
何か事務局、ありますか。
○保険医療企画調査室長
昨年、令和3年12月に規制改革会議の当面の規制改革の実施事項が取りまとまっていて、そこで柔道整復療養費について、公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組みの検討、それから、オンライン請求の導入について検討を行うというまとめがされているところです。この規制改革会議の指摘を受けたときには、特にオンライン請求の導入についてしっかり進めていく必要があるのだというところに主な問題意識を先方も持たれていたかと受け止めていますので、そちらはちゃんと進められるよう、我々としても御議論をまたしていきたいなと考えています。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、先ほど来、お手を挙げておられますので、お願いいたします。
○中野委員
ありがとうございます。
先ほど説明させていただいたのですが、今日の資料につきまして何点か意見を述べさせていただきたいと思っております。我々国保は御存じのとおり、以前から療養費の仕事をやらせていただいておりますが、いろいろと苦労している面もございます。今回の議論やそれを踏まえた見直しによって、今まで我々として苦労してきたものが解決できるのであれば、非常にありがたいことだと思っているということでございます。しかしながら、先ほども述べさせていただきましたように、課題は非常に複雑かつ多岐にわたっておりますので、解決するためには一定の時間と労力が必要であると思っております。
それでは、個別にお話をさせていただきます。まず、33ページの基本的な考え方についてお話をさせていただきます。1つ目の○で改革工程表に言及されておられますが、昨年度に行われました審査支払機能の在り方に関する検討会では、療養費については特に議論はなかったものと我々としては認識しておりまして、我々としましては若干違和感を持っているということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
次に、4つ目の○のスケジュールでございますが、先ほども御説明しましたとおり、療養費の機能は国保総合システムに組み込まれております。国保総合システムの更改は令和6年度に予定されておりますが、既に契約を締結し開発に着手しておりまして、この6年度の更改に療養費の新たなシステムを組み込むことは不可能でございます。その次の更改では、改革工程表におきましては、令和8年度に記載されているところでございますが、この更改では、審査・支払システムにつきまして、我々国保と支払基金さんとの間で共同開発し共同利用する計画となっているところでございます。今後、基金さんと協議を続けながらシステム開発をしていくことになります。ここに療養費の新たなシステムを載せ、オンラインにつないでいくことは、もし時間的に間に合えば理屈の上では考え得る選択肢かもしれません。一方、これから何点か申し上げるように、解決すべき課題も多くあります。
まず、少し専門的なことで恐縮でございますが、システムを構築するに当たりましては、記録条件仕様というものがございます。これは請求時のシステム的な記載様式のものでございますが、それから、チェックマスターというチェックに必要なルールの基礎となるものを整備する必要がございます。これらはシステムを構築、運用していくための基礎、土台でございまして、これをどのようにしていくかが一つの大きな問題かと思っております。
次に、実務上の観点からの問題点でございますが、先ほども療養費の機能は国保総合システムに実装されていると申し上げましたが、事務局の説明資料にもあるとおり、医療費等の療養の給付と柔整の療養費では、保険者決定等のルールが異なっております。このため、療養の給付をベースにつくられております国保総合システムの柔整療養費の給付の実務を行っておる47の連合会では、それぞれの地域の実情を踏まえながら、適宜、個別に構築したシステムで補完している実態がございます。このため、47の連合会が今まで行ってきた事務の手順を合意形成を図りながら標準化していかなければ、システムの開発に着手することはできません。このことにつきましては既に中央会と連合会の間で検討を開始しておりますが、実務的な調整に時間がかかることも事実でございます。
それから、今回のこの専門委員会での検討を通じて、療養費に関する新たな審査・支払いの仕組みの在り方とオンライン請求の在り方について方向性が決まり、その後47の連合会と様々な点を調整しながらシステム化を図るという流れになるかと思いますが、現時点でいつということがなかなか見通せない状況の中では「期限を区切りつつ」という表現が書かれておりますが、これについては恐縮でございますが、やや乱暴な議論ではないかと考えているところでございます。我々としましては、先延ばしにするつもりは毛頭ありません。効率的で機能性の高いシステムをつくるには一定の時間が必要であるし、そのためには時間的余裕を持って実務的な検討を十分に行うこと、47の連合会との合意形成を行う必要があること、これをぜひとも御理解いただきたいと思っております。スケジュールありきの計画策定はぜひとも避けていただきたいと思います。
次に35ページ、オンライン請求への完全移行までの経過措置という項目がございますが、これについて意見を申し上げさせていただきます。今後の業務を考えますと、柔整療養費の重点点検、保険者の給付関係業務、NDBへのデータ格納など、様々な観点から申請書に記載された全ての項目がデータ化されることは、業務の効率化の観点で必要なことと考えております。もしオンライン請求と紙の請求、これが混在いたしますと、その期間内におきましては、連合会では一部の紙データのためにOCR読み取り装置の設備投資をしなければなりませんし、人的な作業を続けざるを得ません。非効率な状況が続くことになります。この状況が長く続けば続くほど、せっかくの電子化のメリットが紙のデメリットで相殺されてしまうことを大きく危惧しております。なお、オンライン請求を導入した場合には、先ほどもありましたが、オンライン資格確認、それから、請求前に記録等の誤りを事前に施術所が確認できる仕組み、こういったことを導入することが可能になります。施術所にとっても早期導入が大きなメリットになると我々としては考えております。厚労省さんには、これまでの経験を踏まえまして、基本的には例外を残さないオンライン化の実施をぜひとも図っていただきたいと思います。
以上、長々と述べさせていただきましたが、市町村等の国保保険者や連合会との調整はこれからでございます。確定的なことは申し上げられませんが、今回の見直しが保険者業務や連合会業務の効率化、給付の適正化につながり、財政基盤の脆弱な国保保険者への十分な配慮の下になされるのであれば、国保関係者の理解は得られやすいのではないかと思っております。再度申し上げて恐縮ですが、十分な時間を取って施行準備を行うこと、例外なきオンライン化を実現することがぜひとも必要であると考えております。今後の議論に当たりましては、以上、申し上げたことに御配慮いただきますよう、委員の皆様にはよろしくお願いいたします。
以上でございます。ありがとうございます。
○遠藤座長
国保中央会のお立場から御発言をされました。どうもありがとうございました。
それでは、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
まず、全体的なことを申し上げれば、非常に危険な方向に議論が進んでいると思っています。もう一度ここで立ち止まって考えなければならないのは、療養費というのはあくまで健康保険法第87条に基づいて行われるものだということを強く認識した上で、審査・支払いをどのような仕組みとしていくかを考えていかなければならないのに、効率性を追求するあまりに療養の給付と同様のような考え方にしていこうというのが文章のところどころに見え隠れしますので、これは非常に危険な考え方だと思います。あくまで健康保険法第87条、療養費は療養の給付の補完と位置づけられて、保険者がやむを得ないと認めるときは、療養の給付等に代えて療養費を支給できるものと規定されているわけです。
医科の場合は、35ページにありますように「保険者は審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に委託することができる」となっているわけです。(4)の文章にもあるのですが「保険者は、療養費の請求受付・審査・支払いを審査支払機関に委託することを基本とする方向で検討してはどうか」ということがあるのですが、医科の場合は結果として全保険者が委託しているわけですけれども、健康保険法第87条が無視されたようなオンライン請求審査がしかれる中で委託されるのであれば、保険者としては、先ほど来の考え方が違ったような構築がされる場合や、今よりも委託費用、費用対効果が悪くなる場合には、新たなものができてもそこには委託しないという選択肢があることをここで明言しておきます。もう一度振り返って療養費の考え方、健康保険法第87条の中で請求・審査・支払いを公的機関に委託するだけということですので、その認識をこの場で共有しておきたいと思います。
例えば34ページの(3)「保険者による支給決定や過誤調整の取扱いに関して、療養の給付と同様の業務処理をすることなどについて」、少し飛ばして「制度的な整理も含めて検討することとしてはどうか」と療養の給付と同じような考え方でつくり上げようとしているのですが、これについては違うということを改めて申し上げたいと思います。あくまで健康保険法第87条の下に審査・支払い業務を公的機関に委託するだけのものと捉えて、制度全般が変わるものでは決してならないということを軸にこれから検討していく必要があると思います。
先ほど三橋委員から、柔整審査会に参加してはどうかと発言がありましたが、現在、健保組合は柔整審査会に2割ぐらいの参加率なのですが、これはあくまで費用対効果を見極めて参加の可否を決定しているわけで、8割の健保組合は現在の柔整審査会については委託するだけの費用対効果の価値が低いと判断しています。ですから、これを先んじて参加することは到底あり得ないと思います。そればかりか、現在、検討している公的機関に委託する仕組みについても健康保険法第87条を無視したようなシステム、今よりも費用対効果が悪くなるようなシステムの方向で出来上がるようなことになれば、たとえできたとしても健保組合はこれには参加しないという決断をしますので、これを改めて言っておきたいと思います。今後、厚労省におかれては、資料のつくり方についても健康保険法第87条をしっかり押さえて考え方を整理していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長
どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
各委員の皆さんがおっしゃっているように、この方向性については当然今までの議論を踏まえてしっかりとやっていくし、国保中央会、支払基金の方々からも現状のあるべき形と今後仮説として考えているところについての課題も出てきているわけなので、検討の進め方についての御提案なのですけれども、このように委員会で何回議論しても多分各論までは至らないので、まずはワーキングか何かをつくってそれぞれの項目についての課題出しをする。法律的な立てつけも含めてそれぞれ課題をまず出して1つずつ順番に整理するのが良いのではないか。オンライン資格確認やマイナンバーカードを活用し、当然ながら支払いが効率的にかつ安価にできるような仕組みを目指すべきであって、さらにはこの柔整の療養費における適正化をきちんと担保できるような仕組みにしていく必要もあり、相当課題が多岐にわたります。まず課題の洗い出しを行い、それをいつまでにどう整理し、オンライン請求を使うということであれば費用面も含めての工程管理をしっかり行っていかないといけないということもありますので、ワーキンググループなどでそれぞれきちんと議論を深めて前に進めていく必要があると考えます。これを進めることについては賛成でございますので、課題についての皆さんの共有認識を持つためにも、きちんとしたワーキングを活用することが大事なのかなと思っています。事務局については、その辺、どういうお考えなのか教えていただければと思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
議論の進め方についての御提案だったわけですけれども、調査室長、どうぞ。
○保険医療企画調査室長
資料の26ページに検討スケジュールというものを前回もお出しをしていまして、まずこの専門委員会で方向性について6月に取りまとめをいただきたいと考えています。その中では吉森委員がおっしゃったような細かく詰めていかなくてはいけないところが恐らくたくさん出てくるだろうと考えていて、そのようなものはその後施行に向けた議論、ワーキンググループなどで実務的に詰めていくということをやっていくのかなと。ただ、いきなりワーキンググループをこの段階でとなっても、大きな方向性がどこに向かっていくのかがまとまっていない段階では、なかなか実務的な詰めということにもなりませんので、まず6月に方向性をまとめて、そこからワーキンググループなどでの実務的な詰めという手順かと考えています。
○遠藤座長
吉森委員、いかがでしょう。
○吉森委員
お話を伺っていると、相当各側で課題があり、全体的には進めることについて、異論はないのですが、その方向性が決め切れるかどうかという辺りに疑問があったので、もう少し項目をまとめて、方向性を議論するために課題出しを行う必要があるのではないかという懸念は持っています。
○遠藤座長
ありがとうございました。御意見として承りました。
それでは、柔整のどなたですか。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
これまでの事務局の説明ありましたが、私どもはこれを進めることには大変賛成をしているところです。先ほどの幸野委員からの御指摘にもあったわけですけれども、我々はこういう専門委員会があるたびに、柔整の適正化ということで領収証の義務化などいろいろなことを要求されてきております。私は紙ベースであることによって起こる不正も幾つかあるかと思います。そういうことを踏まえて、この電子化、電子請求に向けて、療養費を施術管理者に確実に支払うことに取り組んでいかなければならないと思います。
この柔整審査会も含めてそうなのですが、先ほど健康保険組合では、費用対効果のことを考慮すると柔整審査会に参加しているのは20%ぐらいだというお話がありました。ぜひともここは適正化ということで健康保険組合には、協会けんぽ、国保連合会の審査に参加することを前提に考えていただく必要があると思います。
また、87条というお話も出ましたけれども、個々についてみればご指摘のような提案もあるかもしれませんが、全体としては療養費という枠組みの中でこれを進めていこうということになっていますので、私どもはそういう観点から、ぜひともこれまでやってきている柔整審査会あるいは面接確認も含めて健保連にも入っていただかないと、こういう議論は進んでいかないのではないかと思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございました。
釜萢委員、よろしくお願いいたします。
○釜萢委員
電波の状態が悪いのか、画像を消しておりました。また悪くなれば御指摘ください。
この問題は、医科においては、オンラインの請求についてかなり長い時間をかけて苦労して今日に至っております。その経験はぜひ今後この療養費に関して役立てていただければ大変ありがたく存じますが、支払基金や国保連合会における審査のやり方は、オンライン請求が一定程度進みますとかなり状況は変わりますので、その辺りをしっかり予測して対応していく必要があると考えております。
先ほど幸野委員から御指摘があった87条に関する療養費と療養の給付との関係の問題については、これまでもいろいろ議論はされてきているわけですが、今回のこの事務局提案の内容を進めていくために、幸野委員からはどの点が解決されなければ駄目なのか、もちろん費用対効果の問題もありますけれども、本質的な問題としてどの点のクリアが必要だという具体的な建設的な御指摘をぜひお願いをしたいと思います。
医科のほうがこのオンライン請求を始めたときと現状とは大分基盤整備の様子が変わってきていて、決定的に変わりましたのは、オンライン資格確認という基盤が整備されたことです。しかし、これも完璧なものではなくて、オンライン資格確認の基盤を使えば全てセキュリティーなどが十分満足できて安心して使えるというわけでも必ずしもないように私自身は認識をしていまして、まだ問題点はあるだろうと思います。その中で、新たに例えば施術所で対応しなければならない場合の新たな財政的な支援というものは、私はぜひ必要だろうと思いますので、国がこの施策をしっかり進めていこうという方針を強く打ち出されるのであれば、実際に個々の施術所が参加できるような具体的な支援をさらに検討していただきたいと強く思います。
以上です。
○遠藤座長
どうもありがとうございました。
幸野委員に御質問もありましたけれども、またほかの御主張と一緒にお答えになりますか。
○幸野委員
今、答えます。
○遠藤座長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
先ほど私のコメントの中でも申し上げましたように、健康保険法第87条の考え方は死守しなければいけないということです。健康保険法第87条は療養費の支給はあくまで療養の給付の補完として位置づけられており、保険者がやむを得ないと認めるときは、療養の給付等に代えて療養費を支給できる。その大原則の下、受領委任制度の中で運用されているのです。幾らこの請求・審査・支払いを外部に委託することを構築するにしても、この考え方は絶対に変えるような仕組みにしてはならないというところです。答えになっていますでしょうか。
○遠藤座長
ありがとうございます。
釜萢委員、いかがでございましょう。
○釜萢委員
その内容は私もよく承知をしているのですけれども、では、今回の議論において特にどの点についてどういう条件が具備されれば健保連としてさらに積極的に議論に参加できるというような、もう少し原則論をただお示しになるよりも、今回においてはこの点をこのように改善をしてほしいというところがぜひ私としてはお伺いしたいなと思っております。今回は結構ですけれども、今後の議論の中でそういう論点が議論できるといいなと思っております。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
幸野委員、何かコメントはございますか。
○幸野委員
一例を申し上げましたが、例えば34ページに書かれていますように「療養の給付と同様の業務処理とすることなどについて」という言葉が出てくること自体、健康保険法第87条からそれた議論になっているのではないかと、このことを危惧しているというところです。
○遠藤座長
ありがとうございました。
それでは、ほかの方ということで、三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
今、釜萢委員からも御意見をいただいて、我々としては大賛成です。確かに幸野委員がおっしゃるとおり、いろいろな問題点はあると思います。この議論の一番原点にあるのが「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組みについて」ということで我々は検討に入ったわけです。その中で、対応方針案として厚生労働省から合理化の観点から公的な関与の下に請求・審査・支払い、この仕組みを検討したらどうかということが挙げられたわけです。一番の問題になる施術管理者に支払う方法、このオンライン請求等についても、議論がようやく始まりましたが、スケジュール案を見ても7月には施行に向けた議論という形になっています。恐らくそう簡単ではなく、1年、2年ではこれがスタートするというのはなかなか見込みができないだろうと思います。特に、診療報酬のオンライン請求も30年ぐらいかかっているという話も聞いています。そのような中で、この施術管理者にきちんと支払う仕組み、これをどのようにしていくのかをぜひ皆さんに考えていただきたいのです。
今、この療養費の取扱規程に沿った例えば申請書の返戻、支払いについて、きちんとこの取扱規程を遵守するようなことを考えなければならないと思います。以前、保険者も例えば申請書の返戻について、通信費の軽減を図かるため請求団体にまとめて返してしまったとか、支払いについても個々に本来しなければいけないのだけれども手数料の問題からまとめてそれを支払ってしまっていたということ。この辺りから現状どうするかを、まず委員会の中で考えていかなくてはならないと思うのです。またホープ接骨師会のようなところが出てくる可能性もあるわけですから。その先にオンライン請求があるのではないのかと、そう思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございました。
お待たせしました。塚原委員、どうぞ。
○塚原委員
ありがとうございます。
本件を進めるに当たって、施術者に支払う仕組みということでございますので、当然過誤調整による相殺や用紙サイン問題もあるのですが、諸問題の解決には2つあると思いまして、柔整療養費を法制化、療養の給付にする。か、もしくは療養の給付にできなくとも先ほど来出ております87条の「やむを得ないもの」から独立させて、新たな条文として「保険者が被保険者(世帯主)に支給する療養費を直接施術者に支給する法令上の方策」がなければ駄目なのかと。主体が施術者へ向かわなければ、直接支払う仕組みは厳しいのではないかと。そういうルールがない医科や歯科であっても一本化がなかなか厳しい状況であり、二重審査も残っているということですから、いろいろと柔整のオンライン化はハードルが高いのではないかと思うところです。中でも、5万件の開業柔整師の末端まで1件ずつ一元化並びに二重審査を行わない方法を考えるには、我々各団体が、協定であり、契約であり、団体がもっと協議する必要があるのではないかと。その辺りも今後の検討課題に含めていただきますように事務局にお願いしたいところです。
以上です。
○遠藤座長
どうもありがとうございました。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
私は療養費というのは診療報酬と違って、診療報酬は医療機関に支払われますが、療養費は患者さんに支払われるものと思っております。その療養費の原則をおかしくするような取決めはいけないのではないかと思って、幸野委員の御意見に賛成します。
それから、別の話ですが、以前、私はこの第12回の委員会で柔道整復って一体何ですかとお尋ねしたとき、施術側から柔道整復とは外傷に対する施術ですというお答えをいただきました。ところが、私は整形外科をやっておりますが、日常診療していて、接骨院、整骨院に何か月もかかった後、整形外科にいらっしゃる患者さんをよく見ます。そういう方は膝の関節症だったり、腰部脊柱管狭窄症だったり、慢性、疼痛性の疾患であることがほとんどです。これらは全く外傷とは関係ないです。そういう方も接骨院、整骨院に通院している間は健康保険が利いていた、最初に行ったときにサインをしたとおっしゃるのです。柔道整復術とは外傷に対する施術と言いながら、実際は慢性疾患に伴う痛みに対して施術を行って、捻挫、挫傷として保険請求しているケースはかなり多いのではないかと思っておりますが、この実態についてどう捉えておられるのか、施術側と事務局双方にお伺いしたいと思います。
○遠藤座長
それでは、施術側で何かコメントはございますか。
塚原委員、どうぞ。
○塚原委員
ありがとうございます。
オンラインの話とは全く関係のない話なのかなと思うのですが、私、19回からの新参者でございますので、直接言えませんが、国民の健康に関与するというところは同じ意志を持ってやっているのではないのかと感じております。
以上です。
○遠藤座長
事務局、何かありますか。
○保険医療企画調査室長
柔道整復の療養費の支給対象となるものですけれども、外傷性が明らかな骨折、脱臼、打撲、捻挫ということになってございます。仮にこの療養費の支給対象ではないものについて請求が行われるということがありましたら、柔整審査会で審査の対象になる、あるいは不正な請求だということであれば指導・監査の対象になるということだと理解をしています。
以上です。
○遠藤座長
松本委員、よろしいですか。
○松本委員
それでは、施術側にお聞きしたいのですが、実際に被保険者さんが接骨院、整骨院に来られて、それらは全て外傷であり、外傷に対する柔道整復をして保険請求していると考えてよろしいのでしょうか。
○遠藤座長
では、長尾委員、どうぞ。
○長尾委員
松本委員の御意見に関しては、そういう取決めの中で我々はきちんと支給申請書で出しておりますので、今、おっしゃった申請になっていると思っております。
○遠藤座長
ありがとうございます。
○松本委員
全て外傷と考えていいのですね。
○長尾委員
はい。そうでございます。
○松本委員
分かりました。
○遠藤座長
ありがとうございます。
それでは、また話を元に戻しまして、本件の課題について、いかがでしょうか。
では、長尾委員、お願いいたします。
○長尾委員
先ほど三橋委員が発言したように、大きな議題が「療養費を施術管理者に確実に支払う仕組みについて」なので、先ほど松本委員がおっしゃったように、我々は療養費の立てつけからいきますと、もちろん現物給付ではないことは承知しています。療養費は我々が請求した療養費が保険者から支払われるまでは患者さんのものだと認識をしております。それはこの前から申しておりますように、「療養費の支給基準」にもきちんと書いてありますし、これに沿って行うことが我々の業務上の責務だと思っております。そこが、今、確実に支払う仕組みとしては、この療養費の支給基準に沿ったような仕組みではないことが問題だと思っています。それは施術管理者にきちんと支払われているのかという確認をしたときに、先ほど三橋委員が言ったように、請求団体に支払われ、なおかつ返戻もそういうところにされている実態があり、施術管理者が全く返戻された事実も知らないということがあります。このことについては、私は基本的には支払うほうの責任だと思っております。施術管理者に確実に返戻も着金もきちんとすることがこの支給基準に書かれていることです。そうしたことを松本委員も、前回も申し上げましたが、「療養費の支給基準」きちんと書いてありますから、そこを御覧になっていただいて、この専門委員会に出られている以上は、こういう支給基準の取決めについても御理解願う次第であります。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
それでは、田畑委員、お願いします。
○田畑委員
ありがとうございます。
取扱規程には、支給申請書に書かれている金融機関に振り込むことと書いてございます。したがいまして、施術管理者本人に振り込まれても結構ですし、施設管理者本人が運営している法人口座でも結構ですし、施術管理者が委託した「請求代行業者」とこの資料には書いてありますけれども、復委任の団体でも結構ということで、現状、取扱規程には全く抵触していないことをまず確認させていただきたいと思います。
その上で、資料の23ページ、「現状の課題」とございまして、先ほど三橋委員からも現状をどうするのだというお話がございました。そこで、事務局に御提案をさせていただきたいのですけれども、「現状の課題」のポツの1つ目です。請求業者は受領委任規程の当事者でないから、地方厚生(支)局長などによる指導・監査のチェック機能が働きませんと。働かないからほっておくのかというところで御提案させていただきたいのですが、届出か許認可か分かりませんけれども、請求代行業者を地方厚生支局に登録するような業務というのは、事務局、いかがでしょうか。
○遠藤座長
何か事務局、コメントはできますか。
○保険医療企画調査室長
「現状の課題」で書いてあるものですけれども、請求代行業者による不正事例によって療養費が施術管理者に支払われないことがあるというような課題に対応するものとして、8月、1月、本日の専門委員会にまた資料を提出して御議論いただいているところになります。ですから、事務局としましては、この課題に対応するものとしては、議論いただいているような公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組み、保険者から審査支払機関を通じて施術管理者に療養費の支払いを行うという仕組みを検討してはどうかという考えでございます。
○遠藤座長
ありがとうございます。
田畑委員、どうぞ。
○田畑委員
ありがとうございます。
35ページ、厚労省案の②というものがございますけれども、(5)の3行目の終わりです。「経過措置期間中の請求代行業務の取扱いについて検討する」とございます。そう書いてありますので、地方厚生支局に請求代行業者、届出か許認可か分かりませんけれども、登録することから始めてはいかがでしょうかと申し上げております。
以上でございます。
○遠藤座長
御意見として承りました。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
先ほどからの議論にもありましたが、そもそも昭和63年までは協定のみであったのが、昭和63年に協定と契約ということになりました。先ほどご発言があったように契約の場合、振込先について取扱規定に規制がないわけなのです。しかし、振込先がおっしゃるようにどこでもいいのだということではないと思います。令和2年ですか、施術管理者に反社会勢力の排除が加わったと思います。ですから、もしホープのような問題が起こる危険性があるのであれば、今後、振込先についても国はどういう団体なのか、どういう組織なのかを明確に調べる必要があると思います。そういうことをしなければ、こういった第2、第3の問題が、また起こるかもしれません。そして、保険者は療養費を施術管理者に払うことによって、費用が多くなるかもしれませんが、今後、ホープのような問題が起こる危険を回避するためには、施術管理者に直接払うよう協定、契約の改正を考えていただきたいと思っております。
前回も申し上げましたように、私どもが審査会で書類を見ていると、この書類の下の欄にこの会社に返戻をしてくださいと印字している請求団体があります。また、部位数が少ないから部位数を増やせと言うような代行業も中におります。全部ではないかも分かりません。しかし、そういうリスクを避けるためにも、施術管理者に直接療養費を支払うよう仕組みをしっかりと考えていかなくてはいけないことであり、三橋委員が言ったように63年に戻して、整理していくべきだと思います。繰り返しになりますが、保険者にとっては施術管理者個々に支払うことについては非常に費用も膨らむことになるかもしれませんが、ホープのような問題が起こる危険性があるのであれば、施術管理者に直接療養費を支払うよう考えなければならないと思います。また、返戻については、協定書、取扱規定では施術管理者に返戻することになっていますが、それが守られていない状況があります。この二点については、確実に遵守しなければならないようにしっかり明文化していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長
御意見として承りました。
まだ御発言されたい方はいらっしゃるかもしれませんけれども、予定していた時間になりました。この件につきましては今後も継続して議論がされますので、またその折に御発言をいただければと思います。
事務局におかれましては、継続議論ということですので、本日の議論を踏まえまして、次回以降の準備をよろしくお願いしたいと思います。
それでは、本日の委員会はこれで終了したいと思います。
次回の日程につきまして、事務局からお願いいたします。
○保険医療企画調査室長
次回の日程につきましては、また後日連絡させていただきます。
○遠藤座長
それでは、第20回柔道整復療養費検討専門委員会、これにて終了したいと思います。
長時間にわたりまして積極的な御発言をどうもありがとうございました。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会)> 第20回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会議事録(2022年2月24日)