2017年11月2日 平成29年度 第2回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

平成29年11月2日(木)10:00~11:46

場所

労働委員会会館講堂(7階)

議事

 
○平川化学物質評価室長補佐 本日は、大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより、「平成29年度第2回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」を開催いたします。委員の出席状況でございますが、大前委員から御欠席との御連絡を頂いております。また、特別参集者として、櫻井委員、圓藤委員、清水委員に御出席いただいております。さらに、本日は参考人として、前半のヒアリングには、日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合の皆様、後半のヒアリングには、一般社団法人日本塗料工業会の皆様に、順次、席に加わっていただく予定でございます。以下の議事進行につきましては、小野座長にお願いいたします。
○小野座長 よろしくお願いいたします。それでは議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料の説明をいたします。委員配布資料につきましては、ステープル留めのものが1部、それから紙ファイルを用意しております。傍聴者用資料につきましては、ステープル留めの資料を用意しております。まず、ステープル留めの資料の表紙にありますのが、本日の議事次第です。本日は、第1回に引き続き、酸化チタンに係る健康障害防止措置に係る団体ヒアリングを行います。まず、日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合にヒアリングを行い、次に、一般社団法人日本塗料工業会にヒアリングを行います。続きまして、配布資料一覧です。資料と参考資料に分かれており、資料から説明をいたします。
資料1-1、日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合提出資料です。この後、スクリーンに投影する予定のもので、1~8ページとなっております。資料1-2、当方から指定した様式に基づき、日本工業塗装協同組合連合会から提出された調査票で、9~13ページです。資料1-3、同じく当方から指定した様式に基づき、日本パウダーコーティング協同組合から提出された調査票で、15~19ページです。
資料2、一般社団法人日本塗料工業会提出資料です。この後、スクリーンに投影する予定のもので、21~40ページです。さらに、当方から指定した様式に基づき提出された調査票が、41~47ページとなっております。
最後に、皆様方に1枚紙で配布しておりますものが資料3で、今後の予定です。
次に、参考資料の説明をいたします。まず参考資料1、化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会開催要綱、参考資料2、健康障害防止対策の検討手順、参考資料3-1、リスク評価書(酸化チタン(ナノ粒子))、参考資料3-2、ばく露実態調査結果(酸化チタン(ナノ粒子))、参考資料4-1、リスク評価書(酸化チタン(ナノ粒子を除く))です。参考資料4-2、ばく露実態調査結果(酸化チタン(ローマ数字の4)(ナノ粒子を除く))、参考資料5、特定化学物質障害予防規則・粉じん障害防止規則(抜粋)、参考資料6、措置検討会の調査フローシート、検討シートを付けております。傍聴者の方につきましては、資料と参考資料を一緒にとじており、参考資料3-1の抜粋が49~58ページ、参考資料4-1の抜粋が59~67ページ、参考資料6が69~77ページとなっております。今、申し上げました資料に不備がございましたら、事務局にお申し付けくださいますようお願いいたします。
○小野座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、本日の議題に移ります。酸化チタンに係る健康障害防止措置の検討についての議論を進めるに当たりまして、前回に引き続き、各団体からのヒアリングを行うことといたします。本日の検討会では、前半は日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合、後半では、一般社団法人日本塗料工業会の順でヒアリングを実施することといたします。
それではまず、日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合の皆様、よろしくお願いいたします。


(「日本工業塗装協同組合連合会」・「日本パウダーコーティング協同組合」)
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 ただいま御紹介いただきました、日本工業塗装協同組合の高橋と申します。今日は、このような発言の場を設けさせていただきまして、誠にありがとうございます。お手元にも資料がございますが、スクリーンのほうに同じ内容のものを映しておりますので、それを見ながら御説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、粉体塗装とはということで、塗装についての御説明をさせていただきます。有機溶剤や水などの溶媒を用いずに、100%固形分の粉末状の粉体塗料を用いて、主に静電気を用いた静電粉体塗装法によって行う工業塗装法を粉体塗装と言います。用いられる主な粉体塗料の樹脂なのですが、エポキシ系、そしてエポキシとポリエステルを混ぜた、我々はエポキシ/ポリエステルと言っておりますが、そのものと、ポリエステル樹脂、そしてアクリル、あとはフッ素樹脂系というように大きく5つの樹脂を使っております。そして、粉体塗料の配合の例なのですが、主に酸化チタンは白に使われますので、白色の塗料で、樹脂はここにはポリエステル樹脂のものを表示しますが、二酸化チタンが30%、樹脂が55%、硬化剤が10%、添加剤が5%という構成で塗料ができております。
酸化チタンに関しての、我々粉体塗装を行う業者の立場からの見解といたしましては、塗料メーカーにおいて、この後の説明でもあるかと思いますが、シリケート等に包まれた二酸化チタンを利用し、シリケートに包まれる酸化チタンを更に樹脂でコーティングした粉体塗料を供給していただいて塗装をしております。この下の酸化チタン単独では私どもでは塗装はしておりません。
そして、今まで、粉体塗装に関わる粉じん等に関する法律、規格等はございませんでした。しかしながら、粉体塗装の作業を行う場合に粉じんを自ら吸引したいという人はおりませんので、塗装作業場におきましては、局所排気装置ですとかマスク等の保護具を用いて塗装を行っているのが現状です。そして、粉体ブース内の集塵機への吸引制御、ブースの改善、塗装方法の変更等により、環境は改善できるものであると考えられます。また、特化則については、私どもといたしましては、物質にかけられるものであって、塗装方法、いわゆるプロセスに向けられるものではないのではないのかと感じております。皆さんは塗装の作業を御覧になったことはないと思いますので、粉体塗装を行っている作業の風景のビデオを準備しましたので、1分半、2分弱のものなのですが、ちょっと御覧いただきたいと思います。
今、作業者が、塗装機を持ってグリーン色の塗料を品物に吹き付けております。作業者は、マスク、これは防塵マスクです、を用いまして、自分のほうに塗料が返ってくることもありますので、帽子とか頭巾を被り、また、つなぎを着て作業を行う形になっております。これは比較的大きな品物を塗装する場合なのですが、奥側に局所排気装置がありまして、そちらに向かって品物を置いて、その後ろ側から塗装するというのが基本の形になっております。これは自動で行う塗装風景です。上下動をしている塗装の先端に塗装機が付いておりまして、そこから、やはり排気装置に向かって塗料を吹き出すという形で塗装をしております。このように、防塵マスクと頭巾で体を覆い塗装を行うという形で、一般的に作業をしております。
次に、日本における粉体塗料の生産量は約3万5,000トンで、販売量は4万7,000トンとなっております。販売量と生産量の差ですが、現在は海外で、主に中国から輸入をしてきているのが多くあり、販売量は約1.8倍増加しております。世界の粉体塗料の生産量なのですが、圧倒的に中国が生産拠点になっております。その次がヨーロッパ、北米、その他アジア、中東。日本につきましては、ここにありますように、全体とすると1.5%ぐらい、これしか日本国内では生産がされていない状況になっております。
粉体塗料と全塗料の生産量の比率です。ここ数年極端には変化はしておりません。全塗料の生産量の推移からすると2.2%という生産量になっております。このような形で、世界から見て、日本の粉体塗料の生産量は少し少ないわけなのですが、VOCの削減は国の施策の大きな位置付けになっており、粉体塗装は環境に優しいということでこれまで順調に伸びてまいりまして、工業用の焼付塗装においては確固たる地位を築いてきております。
前述のように、世界の粉体塗料の生産量の半分は中国が占めており、日本は1.5%にすぎないという状況にあります。それゆえ、日本が先駆けて規制に走るのはどうしてなのだろうという疑問もございます。また、中国をはじめ欧米等についても、健康被害の事例は今まで見られず、日本国内でも、50年にわたり利用されておりますが、粉体塗料が原因とされた健康被害は今まで聞いておりません。
先ほども述べましたとおり、VOCの削減で、国の方針として、水溶性、若しくは粉体塗料の利用を進めていこうと取り組んでおり、諸外国と比べて、まだまだ粉体塗装の普及する余地、幅があるのかと思っております。また、世界に先駆けて規制を受けるということは、国際競争力の低下といいますか、国内の塗料産業へのダメージが避けられないのではないのかと考えております。粉体塗料による健康被害があるということで、設備投資や労働環境改善のためのコストアップ等により収益が低下して、塗装業者の減少、川下産業への影響が出てしまうのではないかと考えております。また、粉体塗料は健康障害があるという風評被害が出てしまいますと、今まで環境に良いということで進められてきたものと逆行してしまうのかと考えております。
中国並びに欧米では、粉体塗料がかなり広く普及しておりますので、これから先、増加というのはなかなか難しいところがあるのかもしれませんが、インド並びに東南アジア等で、これからも引き続き粉体塗装が増えていくものと考えております。特にインドにつきましては、中国と同じような生産量になるのではないか、使用量になるのではないかと考えております。
粉体塗装につきましては、これまでの溶剤型塗料、並びに水性塗料に比べて、設備投資の面でかなり優位性があり、並びに塗装作業が簡単であるということから、余り外観、塗装の仕上がり面についてのこだわりの少ない海外では、広く普及されてきております。更にこれから粉体塗料、粉体塗装が伸びると思っております。なるべく慎重に御検討を頂ければと考えております。
また、冒頭でも申し上げましたとおり、粉体塗料は幾重にもコーティングされておりまして、直接、酸化チタンに接触するリスクは極めて低いと考えられます。聞いた話によりますと、海外で行った実験をして発がん性というか、がんを発症したということですが、本当にそうなのかということを改めて実験、評価をしていただいた上で判断していただくのがよろしいのかと考えております。
ここも、また繰り返しになりますが、塗料業界、塗装業界において、これまで約50年以上粉体塗装、粉体塗料が作られております。そこでの作業者に健康被害が出たという報告はこれまで聞いておりません。また、膨大な量を使っております中国ですとか欧米においても、同じように健康被害が出たという報告は聞いておりません。粉体塗装での健康障害の実例調査をして、先ほども申しました、より客観的な事実に基づいたものの上で御検討をしていただいても遅くはないのではないかと考えております。これもまた繰り返しになってしまいますが、環境に優しいという粉体塗料、粉体塗装のイメージに対して、ネット等でもかなり今、いろいろな風評被害といいますかが出ております。二酸化チタンそのものも多くの産業で利用されておりますので、慎重審議をお願いしたい。また、粉体塗装に関わる作業環境の改善につきましては、私ども日本工業塗装協同組合連合会といたしましても、中長期方針に記載し、また、パウダー協とともに、ホームページやセミナーを通じて、これからも作業者への負担改善を鋭意進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。以上で、私たちの発表を終わりにします。
○小野座長 ありがとうございました。ただいまの御説明、御意見に対しまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
○保利委員 コーティングされた粒子ということなのですが、もともとの酸化チタンの粒径と、コーティングされた状態の粉体の粒径はどのくらいなのでしょうか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 二酸化チタンの粒径、粒子径とあと、塗料の粒の状態の粒子径ということですよね。
○保利委員 はい。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 それはこの後、日本塗料工業のほうから細かく、拡大した写真等で説明がございますので、そちらで確認していただければと思います。
○小野座長 唐沢委員、お願いいたします。
○唐沢委員 御説明ありがとうございました。資料の6ページと、7ページに、なぜ日本が先駆けて規制に走るかという御表現がございましたので、私、自分なりに使用各国の二酸化チタンの規制状況を調べてみたのです。ちょっとそれを御紹介させていただきたいと思いますが、まず、EU加盟国28か国全体をカバーするEUの理事会指令、あるいは委員会指令というものがございます。それは職場での有害物質のマクロ限界値を明示している指令でございまして、今までに4つ出されておりますが、それを全部調べてみましたが、現時点ではTiO2 はこれには収載されておりません。
ただし、英国においては、これも御承知かもしれませんが、有名な有害物管理規則というのがございまして、これは略称COSHHといっておりますが、その中に、このCOSHHというのは、有害物一般については雇用者に対してはリスクアセスメントを必ず実施しなければならないという包括的な義務規定がありますが、特にTiO2 については、職場のWorkplace Exposure Limitというのが出されていまして、それはTotal inhalable、つまり吸入性粉じん全体としては10mg/m3 のばく露限界値を示しております。それからrespirable、これは肺のガス交換機能の所まで到達するような細かい粉じんについては、4mg/m3 というばく露限界値を示しております。これはもう既に規制されているということです。
次にドイツですが、これも御承知かもしれませんが、ドイツでは有害物からの保護規則というのがあり、これも非常に包括的な規則で、有害物については幅広くカバーしておりまして、制限列挙方式は採っておりませんので、これも同じように事業者に対してリスクアセスメントを行って、その結果に基づく適切な措置を講じなければならないということになっています。ドイツでTiO2 についてドイツ連邦政府の規制基準があるかどうか調べてみたのですが、これは御案内のとおり、Mak2017年版でもTiO2 は3Aに区分されていますが、ばく露限界値は示されていないということもあるのでしょうか、私が調べた限りでは、ドイツ連邦政府はまだ具体的な規制基準値は定めていないようです。
それからアメリカ合衆国は、労働安全衛生局というのは有害な化学物質の職場における取扱い等について規制している行政官庁ですが、そこの基準を調べましたところ、一応二酸化チタンについてはStandard number 19101000というのがありまして、その中にチタニウムデイオキサイドということで明記されていますので、有害物であるという認識はあるようです。ただ、ばく露限界値はまだ示されておりません。
最後に中国です。中国のお話も出てまいりましたが、これは御案内のように中国では危険有害物管理規則というのがございまして、これは危険化学品目録に収載されている物質について、中国は規制対象にしているということだと思いますが、2015年版の危険化学品目録を調べてみました。これは現在でも有効だと思います。この中にはTiO2 は含まれておりませんでした。
したがって、現在私どもが検討しているTiO2 については、日本が世界に先駆けて初めて規制するというものではないということは、一応言えるのかと思っております。以上です。
○小野座長 ありがとうございました。お願いいたします。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 今の先生のお話は、酸化チタンに関するお話でございますね。
○唐沢委員 はい。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 粉体塗料ではない。
○唐沢委員 そうではございません。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 粉体塗料は酸化チタン、先ほどの説明で、白で約30%、周りは樹脂です。粉体塗料そのものは多くは樹脂です。粉体塗料そのもので何かの規制が掛かった事例があるかどうかというのは、その辺はいかがなのでしょうか。
○唐沢委員 このようにコーティングした状態まで規制対象にしているかどうか、ちょっとまだ確認をする必要がありますが、TiO2 としてばく露される場合については、先ほど申し上げましたような規則等の適用があるというように理解しています。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 是非とも御検討の中では、一般の酸化チタンあるいは粉体塗料というのは、ちょっと別に分けて考えていただいたほうがよろしいのではないかという気がいたしますが。
○小野座長 はい、御意見として承っておきます。ありがとうございます。圓藤先生どうぞ。
○圓藤委員 作業環境中の粉じん量というのはどのぐらいでしょうか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 ばく露量ですか。
○圓藤委員 はい。作業環境中の粉じん量というのは測定されておられますでしょうか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 各工場によってばく露量、設備によって全然違うと思いますが、多分、過去のデータでもばく露量のデータが出ているのではなかったでしたか。
○圓藤委員 各工場違うとするならば、各工場で粉じん量を測定するべきであろうと思っています。そして、粉じんに対しては法律の中で決められておりますし、それに該当するのか否かはやはり検討をされるべきであろうと思います。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 粉体塗料は粉じん法に規制されていないと思いますが。
○圓藤委員 規制されていてもされていなくても、粉じん量として測定はすべきであろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 相当な作業の負担にはなりますよね、各工場の。
○圓藤委員 労働者にとって粉じんばく露というのは重大な問題でありますので、やはり測定して健康被害を未然に防ぐということをされるのが適当であろうと思いますが。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 ばく露の問題と、酸化チタンそのもの、粉体塗料そのものの毒性、発がん性とか、そういうものは別問題ではないのですか。
○圓藤委員 粉じんの問題として今質問しているのですが。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 粉じんの問題としておっしゃっていると。
○圓藤委員 無機粉じんとしての。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 だから、粉じんは余り吸わないほうがいいよというような。
○圓藤委員 はい、無機粉じんないし有機粉じんばく露に対しての対策というのはなされていますでしょうかと聞いているのです。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 マスクはしています。
○圓藤委員 作業環境は測っておられますかと聞いているのです。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 今まで規制はございませんので、測定自体はしている会社もあるかと思いますが、スタンダードにはなっていないかと思います。
○圓藤委員 皆様方は、健康被害はないから規制をすべきでないという主張をされている。ところがここでは規制がないから測定しないという立場に変わっている。混乱していると思います。これは私の意見です。
次に酸化チタンの話に移らせていただきますが、樹脂でコーティングした形のものを粉体として使っておられると。これは世界中そのようなものでしょうか。中国においてもそうだと言えるのでしょうか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 そうですね。そういう製造方法ですから。
○圓藤委員 それはやはり確認しておかないと、中国で作られても日本で使っておりますので、考えていく必要があろうかと思います。
○小野座長 すみません。今のお話をちょっと整理させていただきたいと思います。まず、今回のテーマはもちろん酸化チタンです。酸化チタンのことでお話をしているのですが、今の圓藤先生からの御質問は、いわゆる粉じんとしても考えるべきではないですかという御提案ですので、今、ここで要するに粉体塗料で粉体塗装をするものに対して、粉じんとしての規制をするかどうか。現在規制があるかどうかということについては、議論はペンディングといいますか、厚生労働省がどうお考えになるかということもあるのですが、今の本題ではございません。ただし、粉じん職場と考える場合に、粉じんとしての規制、先ほど唐沢委員のほうから10mg/m3 という、総粉じんではそういう評価になりますという情報提供はございました。ですから、もし粉じん職場として環境測定をするのであれば、その濃度を目指して管理をするということになりますが、今、ここではその議論は控えたいと思います。
酸化チタンについて、表面コーティングはどこの国でもされていますかということでしたが、粉体塗装自体が樹脂を焼き付けて塗装をするという形になると思いますので、コーティングの表面についているものを、ただ乾かすだけではなくて、樹脂に熱をかけて、表面に固定をしていくという形での使用になりますでしょうか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 そうです。
○小野座長 そうですよね。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 はい。
○小野座長 だとすれば、酸化チタンのみでの粉体塗料はないという理解でよろしいわけですよね。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 はい。
○小野座長 はい、分かりました。ありがとうございます。では藤間先生。
○藤間委員 先ほどの圓藤先生の御質問とも関係するのですが、2つの団体が出されたシートの中で、作業環境の測定とか、あるいは発散抑制装置について出されております。まずその前提として、この2つの工業会の切り分けはどういう切り分けになっているのでしょうか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 切り分けというのは。
○藤間委員 業種としてこの2つの団体の違いをちょっと説明していただけたらと思います。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 パウダーと工塗連の違いということですね。
○藤間委員 はい。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 もともと日本工業塗装協同組合連合会というのは、溶剤型の焼付塗装を行っている会社が組合を作って、業界を強くしていこうという思いで立ち上げた組織でございます。パウダーコーティング協同組合については粉体塗装を扱う塗装業者が集まって作っている団体です。ということでよろしいですか。
○藤間委員 はい。という意味では、両方とも現場として塗装の現場はお持ちであって、工場などの形態もほとんど変わらないということになりますかね。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 形態的にはほぼ一緒ですね。
○藤間委員 ほぼ一緒ですね。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 私どもは粉体塗料といいますか、塗装を扱うということで販売会社も含まれた形で成り立っております。あと賛助会員としては塗料会社とか、塗装機会社もございますが、メインは粉体塗装を行っているというものと、あと販売をしているという所の2つが関連しております。
○藤間委員 そうしますと、この御提出いただいた資料の中には、販売だけの所というのも入っているということですか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 販売は入っていないです。
○藤間委員 販売は入っていないですね。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 はい。
○藤間委員 そうしますと、実際の現場ということでよろしいのですね。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 塗装部門だけです、はい。
○藤間委員 発散抑制装置が入れられているという所は、パウダーコーティング協同組合のほうですと、例えば10分の4とか、局排で9分の4とか、そういう数値になっていますが、局排が大体半分ぐらいということで、分母が10社、11社、これらを対象にということになりますかね。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 はい。アンケートをもらってきて、アンケート結果を頂いた所からまとめたものです。
○藤間委員 そういう意味では局排は例えば9分の4であったり、プッシュプルは10分の2であったり、そういう数値で、実際には先ほどの動画のような塗装をされているということになりますか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 塗装もいろいろな形がありますので、自動機を使ったり、先ほどありましたが手吹きであったり、吹き捨ての水洗ブースで吹き捨てでやる場合もありますし、いろいろな形式がございますので、そういう形になっております。
○藤間委員 あとは作業環境の測定なのですが、工業塗装協同組合連合会でいきますと、6分の3、パウダーコーティング協同組合でいきますと11分の8ということになっていますが、これは自主的に測定している所ということになりますよね。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 はい。特にブースの中ということではなくて、その周りの環境ですね、その吹いている所以外の環境にいろいろな粉が散っていないかとか、そういう環境調査といいますか、はされているという所は、その数です。
○藤間委員 例えば粉じん則の測定に準じたような形で行っていると認識してよろしいですか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 はい。
○藤間委員 ありがとうございました。
○小野座長 ほかに御質問、御意見等はございませんでしょうか。
○圓藤委員 この本体の粒径はどのくらいでしょうか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 その点につきましては、後ほど日本塗料工業のほうから形状、形、全て説明がありますので、そちらのほうで御確認いただきたいと思います。
○小野座長 ほかにはよろしいでしょうか。では、今日はどうもありがとうございました。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 よろしくお願いいたします。粉体塗料の現物でございます。
○小野座長 はい。では、回しましょうか。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 回しましょうか。
○小野座長 では、粉体のほうは委員の方に御覧いただきながら、すみませんが、議論のほうは以上ということで、もし質問がございましたら、また別途、文書等でお送りするかもしれませんが、どうもありがとうございました。
○日本工業塗装協同組合連合会・日本パウダーコーティング協同組合 はい、ありがとうございました。
○小野座長 では、続きまして、一般社団法人日本塗料工業会からのヒアリングを行います。すみませんが、入れ替わりのほうをお願いいたします。


(「一般社団法人日本塗料工業会」)
○小野座長 では、続いて、説明をお願いします。
○一般社団法人日本塗料工業会 本日は、大変、貴重なお時間の中、このような意見の発表の場をお設けいただき誠にありがとうございます。検討会の各委員、事務局に感謝させていただきたいと思います。こちらから、紹介させていただきます。専務理事の中村です。常務理事の須貝です。私が事務局の渡辺です。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、中村専務、説明をお願いします。
○一般社団法人日本塗料工業会 まず、日本塗料工業会の概要を簡単に紹介します。私どもは昭和23年に発足し、来年の3月でちょうど70周年を迎えるところです。目的と事業については、御覧のような内容です。団体が4つ含まれておりますが、正会員数は99社です。日本の塗料の生産量の約95%を私どもの正会員で占めているという組織です。
塗料の需要量です。これは、塗料の出荷量別にまとめたものです。先ほど、日本パウダーコーティング協同組合・日本工業塗装協同組合連合会から御説明がありましたのは販売量で、こちらは出荷量ベースで記載していますので少し数字が違います。塗料の出荷量としては、年間約155万トン程度です。リーマンショック前は約200万トンあったのですが、その後、量が落ちて今のところこういう数字で近年は推移しております。その中で粉体塗料、出荷量ベースでは、2014年のデータですが約3万6,000トンで、多岐にわたる分野で粉体塗料は使用されております。
少し見にくいですが、塗料に用いている酸化チタンは、ルチル型の酸化チタンを用いており、酸化チタンの粒径は1次粒子で200~400nmである0.2~0.4μm程度です。先ほど、御質問がありました内容の酸化チタンの1次粒子はこういう大きさです。これは、後ほど、また説明いたしますが、粉体塗料の粒子径は、20~50μm程度なので約100倍の大きさです。
酸化チタンは、いずれも表面処理したルチル型の酸化チタンを用いており、どういうものが表面処理されているかというと、シリカ、アルミ等です。このように酸化チタンの表面にシリカ、アルミを処理しております。用いている酸化チタンは、ナノ粒子用と表面処理した顔料サイズ用があり、ナノ粒子用は主に自動車の新車用のトップコートなどに使う酸化チタンです。こちらは1次粒子も0.01~0.05μmと非常に細かいです。一般的に塗料に使っているのは、先ほど申し上げたように、0.2~0.4μm程度のもので、両方ともシリカ、アルミ、ジルコン等で表面処理されています。
そして、酸化チタンとしての濃度ですが、それぞれ85~95%で、残りの5~15%は表面処理量と考えていただいていいかと思います。塗料中にどれぐらい酸化チタンを含有させているのかというと、こちらのナノ粒子は自動車用ですが1~10%程度で、一般的に使う塗料は10~30%の酸化チタンを含有させております。当然、製造時には局所排気設備、保護具等を用いて製造を実施しております。
こちらは、酸化チタン(ローマ数字の4)のリスク評価についてということで、リスク評価検討会で出された見解です。有害性評価、ばく露評価です。まず、有害性評価ですが、IARCの結論を用いて、今回、発がん性Group3から2Bに変更になっております。ヒトに対する発がん性の可能性があるという評価がされております。
ばく露評価については、粉体塗装時、又はナノチタンの充填時に個人ばく露濃度が2次評価値を超えるようなことが発生してきています。後ほど、また説明いたしますが、そういう報告がされ、「酸化チタンは健康障害防止措置の検討を行うべきである」ということで、本会になったと考えています。
まず、有害性評価です。IARCでは動物で発がん性があるということで、従来のgroup3から2Bに再分類されている、その主な根拠が3つであると承知しております。まず、1つ目は、K.P.Leeらによる実験、いわゆる、その文献を用いた結論かと思いますが、ラットを用いた吸入試験で、高濃度(250mg/m3)のグループにおいて雌雄の個体における肺腫瘍の増加が見られたという結論になっているかと思います。
K.P.Leeらの文献による見解を読みます。「扁平上皮がんと扁平上皮の角質化性とを識別するのは困難であったとしている。また、酸化チタンの過剰な負荷及び肺クリアランスの著しい低下に基づく結果であり、ほか、発生したがんの特徴がユニークであり、ラットに実験的に発生した腫瘍であり、この結果をヒトにおける肺腫瘍発生への生物学的関連結びつけるのは疑問が残る」というように原著文献ではコメントとして記載されております。
あと、2つ目、3つ目として、雌のラットを用いたナノサイズの酸化チタンの吸入試験で肺腫瘍の増加が見られた。また、雌ラットを用いた気管内投与試験で、ナノサイズを含む2つのタイプの酸化チタンにおいて、良性と悪性の肺腫瘍の増加が見られたということになっております。
K.P.Leeらの試験で使われている酸化チタンは、2次粒子径で1.5~1.7μmの二酸化チタンで、1次粒子径に直すとオーダーが1つ下がるかと思いますが、そういった酸化チタンが用いられていて、酸化チタンの含有量は99%で、いわゆる表面処理されていない酸化チタンで評価されております。また、ナノサイズの酸化チタンは1次粒子径が15~40nmで、酸化チタンの含有量は99%です。いずれも未処理の酸化チタンで評価されております。塗料に使う酸化チタンは、ルチル型の表面処理した酸化チタンであり、IARCで評価された酸化チタンとは異なると私どもは考えております。
これは、K.P.Leeらの実験結果を示したものです。10、50、250mg/m3 という濃度で評価して、250mg/m3 で77、74の原体のうち12、13の原体から腫瘍が認められたという結果を示したものです。今回の実験についてK.P.Leeらも少し述べておりますが、非常に高い環境濃度で実施されています。実際にこのような濃度で粉体塗装をすることはないのですが、試験は非常に高い濃度で実施されています。また、用いられた酸化チタンは未処理の酸化チタンであります。先ほど申し上げたように、K.P.Leeらのヒトに用いるのは疑問が残るという結論と、IARCの結論は、私どもとしては異っているのではないかと考えております。
こちらはイメージです。これは粉体塗装しているわけではありません。250~500mg/m3 というと、これはサンドブラストなのですが、非常にモウモウとした中です。10mg/m3 程度というのは、この程度の量です。
次に、ばく露評価結果です。すみません、正面のスライドが非常に見えにくいので、お手持ちの資料を御覧いただきたいと思います。2次評価値の1mgがこのラインで、そこをオーバーしているものを含めて上位7つまでが全て粉体塗装の事業場での結果です。これは、種類別に分けているのですが、粉体塗装の事業場の最大は一番右端の部分で3.1です。
チタンメーカーの場合は、製造時の最大は0.29です。塗料メーカーは、35測定、9事業場35か所で測定をしていただき最大で0.34という状況です。先ほど作業環境測定のお話が出ておりましたが、塗料メーカー12事業場での平均値は0.039です。第1管理区分が1mgなので、はるかに低い所で実際の製造作業が実施されていることが分かるかと思います。
次に、ばく露評価です。これは塗料製造メーカーでの結果です。ここに作業者がb3、b5と入っていますが、中災防で測定されたデータをそのまま引用したものです。いずれのケースにおいても、酸化チタンの計量や投入という釜への仕込み、そういう所で、0.01等のオーダーでの個人ばく露量です。
また、粉じん測定についても実施しております。これは、粉体塗料を製造している6社のメーカーのデータをまとめたものです。一般塗料、粉体塗料、それぞれの仕込みや充填で、A測定、B測定それぞれにおいて、大きい所では0.04というレベルの所で、いわゆる第1管理区分の基準値である1mgをはるかに下回る所で、実際に製造をしております。
次に、今回、問題となっている2次評価値を超えるばく露量でデータが出ているのは全て粉体塗装の現場なので、粉体塗装に焦点を絞ってお話したいと思います。
粉体塗装と書いてありますが、まず最初は、粉体塗料とはということです。この辺りについては、先ほど、高橋会長からお話いただいたとおりで、粉体塗料は液状塗料のような溶剤や水を配合しません。いわゆる、小さい粉から少し大きな粉が混ざった材料です。こちらが、粉体塗料の配合ですが、樹脂、硬化剤、顔料、添加剤ということで、顔料としては、クリアーな粉体塗料もありますので0からと入れており0~30%ぐらい、樹脂としては50~70%程度、あと、添加剤というところです。一般的な溶剤型の塗料は、右のような配合量です。
粉体塗料の粒子径です。このように小さいものから大きいものまでと言うと少し語弊があるのですが、約20~50μm程度の不定形の粒子です。酸化チタンの1次粒子径は0.02μmなどということですので、100倍程度の大きさになっています。粉体塗料の特徴については、先ほど、高橋会長から御説明いただいたとおりで、VOCが0%で環境に非常に優しい、また、1回の塗装で液体塗料に比べて大きな膜厚を付けることができ、シックハウスのような原因物質を含んでおらず、回収粉が再利用できるということで経済的であるという特徴を持っております。
粉体塗料の使い分けです。先ほども説明がありましたが、樹脂系としてはポリエステル系が多く、屋外向けになるとアクリルも入ってきます。
では、粉体塗料の製造方法について簡単に説明します。上は液体用の一般塗料で、下が粉体塗料です。粉体塗料のそれぞれの工程については、後ほど細かく説明いたします。まず、一般塗料ですが、原料としては樹脂、溶剤、顔料、添加剤です、添加剤、樹脂は液体塗料でも当然使いますが、樹脂等は主に液状のものです。対して粉体塗料は、いわゆるビーズ状と言いますか、粉状のものです。液体塗料は、これを混合装置で混ぜて、その後、凝集した顔料を分散機でほぐして、顔料の周りに樹脂がコーティングされています。粉だけでは凝集するので、その周りに樹脂をコーティングして再凝集しないような形で分散しております。その後、ここで追加の溶剤、添加剤、樹脂を入れてろ過して充填します。
粉体塗料は粉の混合機、ヘンシェルミキサーという名前で呼ばれているものもありますが、原材料をここで十分に混ぜ合わせます。エクストルーダーという機械、1軸であったり、2軸であったりする機械なのですが、この中でその粉、原材料を溶融して先端から絞り出します。溶融するときに顔料の周りに樹脂をしっかりコーティングする、こういう工程がここに含まれます。
ですから、凝集した顔料をほぐして、その周りに樹脂をコーティングしますが、当然、溶融させた状態で行います。それをメタルのベルトコンベア上に絞り出して薄く伸ばし、パリパリのような状態にして、ここで軽く粗粉砕を行い、その後、ここでもう少し細かく粉砕を行います。ただし、ここで言っている粉砕は、顔料の1次粒子を細かくするのではありません。煎餅のようになった樹脂でコーティングしたシートを、ここで割るというイメージです。その後、分級して充填します。
まず、混合の部分です。原材料は主に粉状のものを用いて、タンクで粉を均一にかき混ぜます。次に、かき混ぜた粉、ここに前混合品とありますが、それを、先ほどエクストルーダーと申し上げましたけれど、1軸若しくは2軸の機械の中に入れて、これは粉体塗料を製造する上で最もミソになるところで、溶液と言うと言いすぎなのですが、ここで粉状のものをドロッとしたような液体に変えて、その中で顔料の周りに樹脂がコーティングされます。これが先端から出てきた状態で、ドローと水あめのような状態で出てきます。そして、それを先ほどのメタルのコンベアの上にこのように押し広げます。これをコンベアの最後の所で軽く粉砕する。軽く粉砕すると言っても、このコンベアの幅は60~70cm程度あるのでそこそこの大きさがあるのですが、1~3cmぐらいの大きさのペレットに割るというのが粗粉砕の状態です。その状態では先ほど申し上げたような20、30μmにはなりませんので、次にそれを20、30μmになるように粉砕機で粉砕します。粉砕と言っても、顔料を粉砕するのではなくて、先ほどのペレットをもう少し細かくするというイメージです。出来上がった製品が、先ほどからお回しされている内容のものです。
まず、サイクロンを通して細かい粒子を取り除きます。その次に、分級機を掛けて主に粗いものを取り除き、当然、この中にはビニールの袋が入っているのですが、ビニールの袋に充填して、こういうダンボールのケースでお客様の所へ届けるということがほとんどです。
次に、塗装です。粉体塗装は先ほど工塗連からも御説明がありましたように、主に静電塗装で塗装するケースがほとんどです。これは先ほどの動画のほうが非常に分かりやすかったと思うのですが、自動ライン、手動のハンドガン、それぞれあります。工程は、被塗物が流れてきて前処理して粉体塗装し、焼き付けて冷却し製品が出来上がっております。
次に、ここは主に自動のブースのイメージ図です。トロリーで被塗物が流れてきて、それぞれ自動機で塗装する。当然、集じん機も備え付けられております。
硬化のプロセスです。被塗物に静電付着させて加熱して融着させて塗膜にしているというところです。液体塗料の場合は、当然、塗装した後に溶剤が揮発して、加熱して硬化成膜になっており、そう大きく変わるものではありません。ただし、こちらは溶剤の揮発がありませんので、非常に環境に優しい塗料です。
簡単なまとめです。塗料で使われている酸化チタンについては、未処理の酸化チタンは使用しておりません。全て表面処理した酸化チタンを使用しております。表面処理酸化チタンは容易に露出いたしません。粉体塗料は樹脂コーティングされた酸化チタンのため、表面の露出・離脱はないと考えております。粉体塗料の粒径は20~50μmで、細かい粒子もほぼない状態です。塗料製造工程の作業環境は非常に管理された状態で製造を実施しております。
表面処理の酸化チタンが容易に露出しないということについてですが、もし、酸化チタンの表面処理が脱落していると、塗料製造時において分散性が極めて悪くなります。例えば、通常、1時間で分散できたものが何時間も掛かって、これは、明らかにそういうものを使用すると工程の異常が発生します。これは、工業的に言いましても、我々では採算が合わないようなレベルになるかと思います。あとは、出来上がった塗料の耐候性も表面処理されていないものは極めて悪いです。
これは、実験室的にはテストをしたことがあります。いわゆる、表面処理をしない酸化チタンで、当然、これは買うときには安いので、それを使って塗料化を試みましたが、分散で非常に多大な時間が掛かって、使用に耐えるような内容ではなかったです。また、表面処理が離脱したような状態で使っていると製造工程において異常が発生するので、そういう状態ではないということはしっかりお話できるかと思います。塗料で使われる酸化チタン、これはほぼ繰り返しになりますが、一般塗料、粉体塗料の0.2、0.3μmの粒径の酸化チタンを用いております。このようにアルミ、シリカ等で表面処理をしており、御評価いただいている酸化チタンとは異なるのかと考えております。
次に、粉体塗料の粒径です。評価いただいている酸化チタンの2次粒径は1.5μmという報告がされておりますが、粉体塗料の粒径は10μmを少し切るものから100μmぐらいのものまであります。粒度分布を測定すると、平均的には20~50μm程度の非常に大きいもので、酸化チタンの場合は、これの100分の1ぐらいの1次粒径なので、大きさからいっても全く違うものであると考えております。
これはSEMで、いわゆる電顕写真を撮ったもので両方とも500倍です。これが酸化チタンの1次粒子に近いところが少し凝集したところかと。これは粉体塗料ですが、全然、御覧いただいたように大きさが異なります。こちらは酸化チタンの電顕写真です。一つ一つが酸化チタンの1粒子かと思いますが、それが凝集したものです。これは粉体塗料、これが1つの粒子の大きさです。これは全く異なるものだと御認識いただければいいかと思います。
これは、それぞれの粒度分布です。先ほど申し上げたように、20~50μm程度の粒径のものです。これは電子顕微鏡の写真です。粉体塗料を拡大するとこのようになります。これをEDXで分析すると、粉体塗料そのものの中も分析するので、当然、チタンは検出されてきます。これはSEMの電顕写真の加速電圧を少し変えて見ているものです。非常に見えにくいのですが、これが両方とも1kv、こちらは3kvで、ここに丸で囲った所、お手元の資料のほうが見やすいかと思いますが、いわゆる酸化チタンは、粉体塗料の表面にはなくて、塗膜中に存在しているということが写真からも分かるかと思います。これは、あくまでも写真です。
そこで、粉体塗料の表面に酸化チタンが露出していないのかどうかについて、粉体塗料の表面分析を行いました。お渡ししている資料にはSEM/EDXと書いてありますが、XPS(ESCA)の間違いです。いわゆるX線光電子分光法で表面分析をしたものです。4つのサンプルを用いました。1つが粉体塗料Aで酸化チタンを15%含有させたもの、Bは25%含有させたもの、サンプル3は粉体塗料Cで30%含有させたもの、4つ目は、それぞれに用いた酸化チタン原料そのものです。
4つをXPSで、X線光電子分光法で表面分析を実施いたしました。この分析は、おおむね表層の2、3nm、もうほとんど表層の部分をごく浅い範囲について分析したものです。こちらが、結果です。お手持の資料のほうが分かりいいかと思うのですが、サンプル1、サンプル2、サンプル3が15%、25%、35%、こちらの資料に実質的なチタン含有率が1.35%と書いていますが、これは1桁間違っており前の資料と同じで13.5%です。15%投入して9割が酸化チタンということで13.5%と書いております。
それぞれのサンプルの表面分析を実施すると、サンプル1については、酸化チタンは全く検出されなかった。2つ目、3つ目の例で、それぞれ含有量は下のほうが高いのですが、0.02At%という結果になっています。ほとんど酸化チタンは粉体塗料の表面には露出していないということが、これで分かるかと思います。
もう1つ、下は酸化チタンそのものを分析いたしました。当然、酸化チタンの表面はアルミ、シリカでコーティングされておりますので、ほとんど覆われているのですが、その部分を分析しても1.64At%ということで、こちらもほとんど酸化チタンは表面には出ていないということが分かるかと思います。こちらは、それぞれのサンプルの写真です。こういう範囲を測定しましたというところです。
粉体塗料の表面分析の結果です。SEMの画像でも粉体塗料、酸化チタンの粒径や形状が大きく異なることが確認できたかと思います。XPSによる分析においては、粉体塗料の表面に酸化チタンがほぼ検出できない状態、又は、微量程度でした。原料の酸化チタンにおいても、微量程度の1.64At%という量しか検出できず、酸化チタンそのものも表面処理されたもので覆われています。また、粉体塗料についても、ほぼ樹脂でコーティングされて酸化チタンが表面に出ていないということが、この結果からよく分かるかと思います。
まとめです。未処理の酸化チタンは、塗料業界においては使用しておらず、全て表面処理した酸化チタンを用いております。結果からも分かるように、表面処理した酸化チタンは容易には露出しません。粉体塗料は、樹脂でコーティングされた酸化チタンであるため、更に表面の露出・離脱はない。この粉体塗料で、2次評価値を超えるものが幾つも出ていたわけなのですが、対象となっているもの、酸化チタンについては表面にほとんど出ていないという結果です。粉体塗料の粒径は酸化チタンの100倍ぐらいの30~50μmです。塗料製造工程の作業環境については、先ほども説明したように非常に管理された状態です。
今回の結果から言うと、評価されているのは、いわゆる表面を処理されていない酸化チタンなので、我々が用いている酸化チタン、若しくは、粉体塗料について、是非とも再評価をお願いしたいところです。以上で説明を終わります。
○小野座長 ありがとうございました。では、ただいまの御説明、御意見につきまして、委員の皆様からの御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。
○名古屋委員 ちょっと2点聞かせてほしいのですが、1点目は顔料のところというのは、顔料そのもの自体はもうコーティングされている顔料を使っていますということでいいのですよね。
○一般社団法人日本塗料工業会 はい、そうです。
○名古屋委員 ということは、剥き出しではないということですね。要するに酸化チタンではなくて、ちゃんとコーティングされているものを使っているということだから、あくまでも、この工程に入ってくるときには、酸化チタンは裸ではなくて、コーティングされたものを使って作業が流れていくということですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 おっしゃるとおりです。
○名古屋委員 あと1つは、最後の所に出ていたのですけれども、一番最後の結論の中で、一番最初に粉体塗装の粒径はと書いてありますね。
○一般社団法人日本塗料工業会 はい。
○名古屋委員 「細かい粒子はほとんど」と。これは粉体塗装の粒径は確かにこうなのですけれども、リスク評価を行っている現場というのは、粉体塗装を行っている所のリスク評価なので、リスク評価の対象になる粒子は、空気中に浮いている粒子なのです。そのため健康影響を考慮して吸入性粉じんを測っているので、その現場の粒度分布を私たちも測ったのですが、かなり細かいものが飛んでいるのです。
ですから、ここの書き方ですが、粉体塗装等の原材料としての粒径は大きいのだけれども、それを扱っている現場に浮遊している粉体塗装の原材料は、かなり粒子が細かいので、だからこそ吸入性粉じんを取ったとき、あれだけばく露は高いのだよと、そこを書かないと、これだけだと、ちょっと、適正な表現ではないのかなと思います。
原材料は確かに大きいのだけれど、私たちが扱っているのはリスク評価なのだから、それは空気中に浮いたときの粒子の粒度分布がどのぐらいですかというのが欲しいわけです。私たちは実際に測っているのだけれど、かなり細かい粒子が飛んでいるから、そこで働いている作業者がばく露する粒子として、吸入性粉じんを測ると、やはり2次評価値を超える現場があるということも書かないと、片手落ちになってしまうのかなと思います。
ただ、それはコーティングされているどうこうの話ではなくて、粒径の話だけです。要するに生体影響どうのこうのではなくて、粒径の話を考えると、かなり細かい粒子が飛んでいるのが現状ですということは、認識されたほうがよろしいかと思います。
○一般社団法人日本塗料工業会 すみません、どれぐらいの粒子径でしたか。
○名古屋委員 ですから、吸入性粉じんが4μm、50%ですから、要するに4μm前後の粒子は間違いなく飛んでいますということです。
○一般社団法人日本塗料工業会 いわゆる酸化チタンよりは、当然、大きいわけですよね、
○名古屋委員 それはコーティングされているから。
○一般社団法人日本塗料工業会 そういうことですね。
○名古屋委員 ただ、要するに、もともと原材料としては大きいものが、現場でクラッシングされたりすることで、細かく粉砕されていて、圧倒的な原材料の量に比べると、多分吸入性粉じんは小さいだろうけれども、でも、そういう小さいサイズだとしても、やはり生体影響から考えたときに、リスク評価の値を超えている現場がありますということです。
○一般社団法人日本塗料工業会 粉体塗料の粒子径は制御はしておるのですが、やはり細かいところは若干は入っているかと思います。
○保利委員 29番のスライドですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 これで見てもらうとですね。
○保利委員 そうですね、10μm以下のところが。
○一般社団法人日本塗料工業会 10μm以下のところも若干はあるかと思います。
○保利委員 多分、浮遊している粒子の大部分は、これだと思います。
○一般社団法人日本塗料工業会 ですから、浮遊するのも、そういったものは浮遊しやすいかと思います。ただ、主たるところは、この粒径であることは、御理解願いたいと思います。
○名古屋委員 我々の欲しいのは、やはりリスク評価で、作業員がどの作業で吸いますかということですから、やはり浮遊している粒子の粒度分布が欲しかったということを言いたかっただけです。
○一般社団法人日本塗料工業会 非常に難しいですね。
○名古屋委員 いや、普通のアンダーセンサンプラーを使えば、結構、簡単に取れますよ。
○一般社団法人日本塗料工業会 そうですか。
○保利委員 多分、40~50μmあるようなものは、舞い上がってもすぐ沈降すると思うのですよね、ですから、舞わないと思いますけれども、舞っているのはその残りですよね。ですから、どのぐらいの割合で、これで見ると確かに非常に少ないと思いますけれども、そこが問題になっているところかと思います。
あとは、例えばコーティングされたものというのは、一旦、呼吸器に入った後、表面のコーティングが溶けるということはないのですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 いわゆるそれは、塗膜になるものですので、通常の塗膜が体の中に入りまして、よほど強い酸でもない限り、アルカリとかを持っていない限り、溶けるということは、極めて考えにくいと思います。
○保利委員 するとコーティングされたままの状態で吸入され、排出されるということですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 そうですね、こういった類の樹脂を溶かすとなりますと、分析で用いる場合でも、御存じだと思いますが、THF等の非常に強い溶剤でないと、こういった塗膜、樹脂というのは、簡単には溶けませんので、体の中で溶けることは、極めて考えにくいかと思います。
○小野座長 今の保利委員からの御質問に関連してですけれども、前回の御説明を頂いた酸化チタン工業会から、粉体塗料になる前のコーティング酸化チタンにつきましては、別途、溶解ですとか、簡単な生化学指標を測るということで、実験をなさっているということで、次々回など、ある程度結果が出そろったところで、データを、また開示していただけるということになっております。
○櫻井委員 粉体塗装で2次評価値1mg/m3 を超えている所が出ていますが、この数値は、1~3mg/m3 ですけれども、これは粉体そのものではなくて、その中に含まれている酸化チタンとしての数値ですよね。
○中央労働災害防止協会 はい、そうです。
○櫻井委員 そうですよね、溶かして測定しているわけですよね。そうすると、その周りを覆っているものを含めると、量としては何倍ぐらいになるのですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 粒径でいきますと、酸化チタンの粒径が、0.2μmか0.3μm、その程度で、粉体塗料の粒径はその100倍ぐらいになりますから、量でいきますと。
○櫻井委員 質量で100倍ぐらいですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 質量でいきますと、もっと大きいのかなと思います。計算はしておりません。
○櫻井委員 なるほど、そうすると、要するに吸入性粉じんとして1mg/m3 から3mg/m3 ぐらい出ているということは、それの100倍を超える量が、そこに舞っているということになるのですけれども、100mg/m3 とか。
○一般社団法人日本塗料工業会 すみません、その辺りの知見はありません。
○小野座長 すみません、今の櫻井先生からの御質問ですけれども、恐らく粉体塗料の中の酸化チタンの量は、重量ベースで10~30%ぐらいというお話でしたよね。
○一般社団法人日本塗料工業会 はい。
○小野座長 ですから、計算としては3倍から10倍ぐらい、酸化チタンの量に対して3倍から10倍ぐらいになるのではないかと。
○櫻井委員 それを聞きたかったのです。3から10倍ぐらいですね。
○小野座長 そうですね、10~30%程度というのは、何枚目かのスライドに粉体塗料の中の酸化チタンの重さというスライドがありましたので、そういうことになるかと思います。よろしいでしょうか。
○一般社団法人日本塗料工業会 はい、ありがとうございます。補足いただきまして、ありがとうございます。
○櫻井委員 分かりました。
○小野座長 ほかに御質問は。
○田中委員 粉体塗装した後、精度を上げると言いますか、製品の塗装のレベルを上げるということで、グラインダー等々で、研磨するなど何かの加工をするということはないのでしょうか。
○一般社団法人日本塗料工業会 ありません。
○田中委員 やらないのですね。
○藤間委員 まず1つ、塗料製造のところの話ですけれども、その工程は、御提出資料の中などでも、粉じん則に準じて、いろいろなことをやっておられると、例えば作業環境測定とか、書いておられるのですが、この作業自体は粉じん則適用になるかならないかという御判断は、どうなのでしょうか。ならないとお考えですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 それは粉体塗装。
○藤間委員 ではなくて、塗料を製造する工程において、日塗工の工場での話なのですけれども、鉱物と考えるのかどうかというところなのですが、そこはどのようにお考えでしょうか。
○一般社団法人日本塗料工業会 通常、粉じん則の場合は、今、先生がおっしゃったように、シリカ系の鉱物を中心に考えているのが通常だと思います。ただ、酸化チタンだから鉱物ではないと言い切れないので、それで準じてということで、各社塗料メーカーでは粉じん則をしていただいているというのが現状だと思います。
○藤間委員 粉じん則に準じてなのか、それとも実際に、粉じん則に従ってなのかというところですが。
○一般社団法人日本塗料工業会 結局、測定するのは作業資格がある方にやっていただいていますので、ですから我々は酸化チタンが粉じん則に入るかという意味では、そこまで考えておりませんので、そういうことで準じて、同じように測っていただいているというような表現をさせていただいております。
○藤間委員 2点目なのですが、これは粉体塗料の話なのですが、分級する工程がいろいろあったかと思うのですが、品種によって、粒径の分布がいろいろ違うものというのはあるのでしょうか。
○一般社団法人日本塗料工業会 ありますね。先ほど、粉体塗料で粒径が20μmから50μm程度というお話をいたしましたが、その中で粒径を20μmぐらいに少し寄せて、粒度分布をシャープにして、それを特徴としているというような塗料は、当然、やはりあります。これは各社のノウハウになるようなところです。先ほどは大分ブロードな粒度分布でしたが、それを20μmぐらいにギュッと集中させて、粒径を合わせたような粉体塗料にして、売っているようなメーカーもあります。
○藤間委員 ありがとうございます。最後に3点目ですが、たまたま先週に、粉状の物質の通達が出まして、多分、粉体塗料などは、そこに引っ掛かってくる対象なのかなと思うのです。今までSDSの中で粉体塗料に対してどのようなことを、実際の粉体塗装の現場で、ユーザーに注意書きとか、こうしてほしいとか、そういうサプライチェーンを通じて、リスクをどう伝えてきたかというところ、そこの取組とか、その辺りをちょっとお聞かせいただけたらと思います。
○一般社団法人日本塗料工業会 SDSの通知物質に関しましては、例えばその顔料、そういう通知物質、又は危険性があると思われる化学物質に関しまして、必ずSDSのほうへ記載させていただいております。また、640プラス30の物質になっておれば、ラベルのほうにも反映させていただいております。粉体塗料なので、一応1つは原料のほうからくるものを混合物として考えておりますので、一つ一つの混合物プラス危険性があるものを、全てSDSのほうに記載させていただいているというのが現状です。
○藤間委員 そうしますと、この前の10月24日の通知の内容は、もう既に実施されていると。
○一般社団法人日本塗料工業会 はい、原料のほうから、そう考えております。それから、その粉体全体を混合物といいますか、それをどう考えているかというのは、今後の議論の余地はあると思うのですけれども、我々としては原料のほうから有害性情報を伝えておりますので、それプラスアルファで何か注意事項があれば、SDSのほうに記載させていただいていると考えております。もし足りないものがあれば、また今後、我々は検討していきたいと考えております。
○小野座長 まだ時間もありますけれども、いかがでしょうか。
○藤間委員 先ほどの粒径分布の話なのですが、粒径がいろいろ違うものの中で、ESCAの分析結果がいろいろありましたけれども、これは例えば粒径が低いものなどのESCAの結果と違いがあるとか、そういう情報は何かありますか。
○一般社団法人日本塗料工業会 実際にその比較をしたわけではないですが、今までの知見から言いますと、違いはないと考えております。
○藤間委員 はい、分かりました。
○小野座長 菅野委員、お願いします。
○菅野委員 静電塗装というものですけれども、実際にはスプレーをして塗装されるものに動くわけですよね。つまり機械的な力で。実質的に静電力が働くのは、どのぐらいの距離からなのでしょうか。
○一般社団法人日本塗料工業会 すみません、ちょっと専門家がおりませんので。
○小野座長 はい、お願いいたします。
○日本工業塗装協同組合連合会 代わりにお答えさせていただきます。静電気の力は距離が近ければ近いほど電界が強くなりますので、本当に1cmとかいう距離が一番電界が強くなるのですけれども、そうすると今度はスパークしてしまいますので、安全距離というものがあります。通常粉体塗装の場合には、15cm以上離して塗装してくださいというように。
○菅野委員 お尋ねしましたのは、スプレーをする機械と塗装される物体との距離ではなくて、スプレーですから初速を与えて粉を出しているのだと思うのですけれども、その初速に打ち勝つぐらいの力が働くのは、どのぐらいの距離ですかということです。
○日本工業塗装協同組合連合会 ちょっと質問の意味が、よく理解できていないのですが。
○菅野委員 つまり、何も力を与えないで、ただ単に静電で送るだけで、スプレーガンから塗装面まで動くわけではないですよね。ですから、最初にどのぐらいのスピードか知りませんけれども、毎秒30cmとかで打ち出したとすると、その速度と同じぐらい、静電力が効果を表すのは、どのぐらいの距離ですかということなのですが。
○日本工業塗装協同組合連合会 そのように検討したことがありません。通常、塗料のホースが約11mmの内径のホースで、空気の搬送量がおおむね0.3MPaぐらいで噴出させると、付くのですけれども、それを例えば0.5MPaにすると、静電気が効かなくなってしまって、吹き抜けていってしまうというような現象はあります。そのスピードで測ったことはないので、あれなのですが、通常は0.2とか0.3MPaぐらいの圧力で、塗料を噴出させるというような形で塗装しております。よろしいでしょうか。
○菅野委員 ありがとうございます。あともう1つ、粒度分布が10μmから100μmまでと、粒度分布が広いように思ったのですが、帯電された帯電量というのは、大きさによってどのぐらい違うものなのですか。つまり、先ほどの質問と絡むのですが、細かいほうが早く到達するとか、そういうことがあると、うまく塗装できないような気もするのですけれども、そういうものではないのでしょうか。
○一般社団法人日本塗料工業会 実際上、それを測定したことはないのですけれども、細かいから付着しにくい、大き過ぎるので、極端に大きい場合は別ですが、付着しにくいということはありません、先ほどのような数十μmの範囲ですと、同じように塗着いたします。
○菅野委員 どうもありがとうございます。
○一般社団法人日本塗料工業会 すみません、お答えになるか分からないのですが、帯電量は、やはり粒子の表面積に依存すると思います。ですから、細かい粒子が多ければ多いほど表面積は大きくなってしまいますので、1粒子当たりの帯電量というのは減ってまいります。ただし、その逆に大きいものは、今度は物理的に飛んでいくかどうかという問題がありますので、それは途中で落ちてしまうものも増えてまいりますので、そこの一義的な関数では申し上げにくいかなと。現状の付きやすさ、付きにくさというところは、少し複合的な要因があるかと思います。
○菅野委員 ありがとうございます。
○清水委員 基本的な質問なのですが、かなりの粉じんばく露作業だと思うのですが、大体1日どれぐらいの時間、作業をしていて、1週間でどれぐらいで、一番長い人は何年ぐらいやっていらっしゃるのですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 それは例えば、顔料の仕込みということですか。
○清水委員 それぞれの場所で作業時間は違うわけですよね。
○一般社団法人日本塗料工業会 そうですね。
○清水委員 そうしますと、ばく露の長い人というのは、どのぐらいになるのですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 極めて難しいのですけれども、顔料の仕込み作業といいましても、塗料に使う酸化チタン、これは紙袋に入っているもの、また、フレコンサイズの1トンサイズに入っているもの、また、空気輸送で使われるもの、いろいろあります。顔料を袋からスコップですくって、まともに被るような状態で仕込み作業をするというのは、極めて少ないです。大量のものはほとんどがフレコン、いわゆる1トンぐらいの大きなバッグでシューターを使ってタンクの中に入れる。当然また顔料の袋を切って入れるケースもありますが、これのほうが量的には少なくなるかと思います。
そういったものを含めますと、例えば顔料の仕込み作業を、1人の作業者が1日に実施するというのは、1~2時間程度かなと思います、いわゆる機械なども使って入れている作業。ですから、ばく露している時間がどうかというのは、これは量にもよりますので、極めて難しいかと思います。それから、1人の作業者が同じ作業をずっと、塗料製造だと同じ作業者がやりますので、これはやはり長い人ですと、20年ぐらい実施しているケースもあります。
○清水委員 原料となる酸化チタン、コーティングしない前の酸化チタンだけをばく露するということもあるのですか。そういう場所もあるのですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 ありません。
○清水委員 ないのですか。
○一般社団法人日本塗料工業会 これはないです。塗料メーカーで使っている酸化チタンは、全てコーティングされた酸化チタンです。先ほど少し申し上げましたように、コーティングしない酸化チタンで顔料分散をしますと、極めて分散性が悪くて、製造時間がものすごく延びますので、これはもう商業ベースにも乗らなくなります。ですから、そんなものが間違って入ってきたりとか、いわゆる表面処理が取れた酸化チタンを使っていると、製造工程で異常をきたしますので、これはすぐさま分かります。
○小野座長 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。では、若干、時間は早いのですけれども、議論を尽したようですので、御説明どうもありがとうございました。
○一般社団法人日本塗料工業会 どうもありがとうございました。
○小野座長 これで終了といたします。
○一般社団法人日本塗料工業会 よろしくお願いいたします。
○小野座長 どうもありがとうございました。それではヒアリングは終了いたしまして、今後の予定について、事務局から説明をお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 それでは事務局より、今後の予定につきまして説明させていただきます。資料3に、既に確定しております予定を示しております。第4回以降のヒアリングにつきましては、日程調整させていただく予定です。資料3のとおり、今後の予定ですが、直近の「第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」は、11月13日月曜日、13時30分~16時30分、同じ建物の6階、612会議室での開催予定です。
議事は引き続きまして、関係事業者・団体等に対してのヒアリング、一部非公開ということです。第3回で予定しておりますのは順番に、日本化粧品工業連合会。一般社団法人日本溶接協会、これは非公開で実施いたします。3番目が一般社団法人ビジネス機械情報システム産業協会、これも非公開での実施を予定しております。今後の予定に関しては以上です。
○小野座長 ほかに連絡事項等ありませんようでしたら、よろしいでしょうか。では、以上で、第2回健康障害防止措置検討会を閉会いたします。どうもありがとうございました。
 
(了)