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2017年10月24日 第12回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録
社会・援護局総務課
日時
平成29年10月24日(火)10:00~12:00
場所
航空会館 501+502号室
(東京都港区新橋1-18-1)
(東京都港区新橋1-18-1)
出席者
田中 滋 (委員長)
石本 淳也 (委員)
井之上 芳雄 (委員)
上野谷 加代子 (委員)
内田 芳明 (委員)
川井 太加子 (委員)
(代理:川名勝義参考人)
高橋 福太郎 (委員)
武居 敏 (委員)
西島 善久 (委員)
平川 則男 (委員)
堀田 聰子 (委員)
議題
社会福祉士に求められる役割等について
その他
その他
配布資料
議事
- ○田中委員長 皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第12回「福祉人材確保専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様方にはおかれましては、お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
初めに、事務局より本日の委員の出席状況について報告をお願いします。
○片桐福祉人材確保対策室長補佐 それでは、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、黒岩委員、森脇委員より御欠席の御連絡をいただいております。
平川委員はおくれて出席されるとの御連絡がありました。
黒岩委員の代理として、神奈川県保健福祉局福祉部長、川名勝義参考人に出席をいただいております。
なお、八神審議官、藤原総務課長は、公務のため欠席となっております。
以上です。
○田中委員長 ありがとうございました。
ただいま御紹介がありました欠席委員の代理として出席されている参考人について、皆様の御承認をいただく必要があります。いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田中委員長 ありがとうございます。
どうぞ御参加ください。
カメラの方はここで御退室をお願いします。
続いて、資料の確認を事務局からお願いします。
○片桐福祉人材確保対策室長補佐 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。本日は、配付資料といたしまして、資料「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」。参考資料1「社会福祉士の養成カリキュラム等について」。参考資料2「地域力強化検討会におけるとりまとめ(中間・最終)の概要」。参考資料3「福祉人材確保専門委員会における主な意見」。それを配付しております。また、上野谷委員、西島委員から提出された資料を配付させていただいております。御確認をお願いいたします。
○田中委員長 ありがとうございました。
では、ここから議事に入ります。本日は、社会福祉士に求められる役割等について、引き続き議論を進めてまいります。事務局から論点が2つ示されています。それぞれの論点ごとに皆様の意見を頂戴いたします。
まずは資料の論点1について、事務局から説明をお願いします。
○柴田福祉人材確保対策室長 資料に基づき御説明させていただきます。お手元の「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」という資料をごらんください。
1枚おめくりいただきまして、1ページ目です。今後、ますます求められるソーシャルワークの機能ということで、こちらは29年2月7日の第9回福祉人材確保専門委員会にお出しした資料でございます。こちらは、「ソーシャルワークにはさまざまな機能があり、地域共生社会の実現に資する『包括的な相談支援体制の構築』や『住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みる体制づくり』を推進するに当たっては、こうした機能の発揮がますます期待される」として、真ん中の上、地域共生社会の実現に必要な体制の構築ということで、左側の黄緑色の「包括的な相談支援体制の構築」と右側の薄紫色の「住民主体の地域課題解決体制」という2つの柱がございます。3月28日の第10回におきまして左側の包括的な相談支援体制の構築について御議論いただきました。今回は右側の住民主体の地域課題解決体制について御議論いただきたいと思っています。当然左側のものの議論というのも含めてしていただければと思います。
2ページ目をごらんください。前回、1ページ目の左側の包括的な相談支援体制の構築のところで御議論された論点と主な意見というものを振り返りとして載せさせていただいております。
論点としましては、「包括的な相談支援体制」を構築・維持するためのソーシャルワーク機能を社会福祉士が発揮するために、具体的にどのような実践能力が必要となるか。
いただいた主な意見としまして以下載せております。
1つ目の○です。社会福祉士が個人及び地域アセスメント、ネットワーキング、チームアプローチ等の知識・技術を活用し、地域住民が発見したニーズを専門機関につなげることにより、地域住民を巻き込んで世帯を支えていくという体制を構築することができるのではないか。
2つ目の○として、包括的な相談支援体制を構築・維持するための条件として、個人レベルの実践としては、個人や世帯並びに取り巻く状況を包括的にアセスメントする力が求められるのではないか。
3つ目の○、組織や社会といった各レベルにおいて、ソーシャルワーカーが力を発揮できる枠組みをつくることが重要ではないか。
4つ目の○、連携やネットワークの形成に当たり、社会福祉士がコーディネーターやマネジメントの役割を担うことが重要であり、そうしたことを制度的に意義づけることによって現場での登用につながるのではないか。
5つ目の○、ソーシャルワークを展開するための基盤強化として、地域における福祉文化の醸成や多職種連携による包括的支援に関する教育内容の強化、教育体制の強化が必要ではないか。
6つ目の○として、現場で起こる問題と対峙しながら、その解決のための知識や手法について継続的に学んでいくことは重要。例えば実務経験の実績や研修受講をベースとし、更新制の導入を検討してもよいのではないか。
最後の○、社会福祉士がソーシャルワークを深め、高め、広げていくとともに、ソーシャルワークの基礎的な部分をケアの専門職等に分散していくことも大切ではないかという主な意見を載せさせていただいています。
以上が振り返りでございます。
3ページ目をお開きください。今回のソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる実践能力についてといたしまして、論点を2つ挙げております。
論点マル1として、「住民主体の地域課題解決体制」を構築・維持するためのソーシャルワーク機能を社会福祉士が発揮するために、具体的にどのような実践能力が必要となるか。
以下、論点に対する考え方を書かせていただいております。
1つ目の○です。地域住民が主体的に地域の福祉課題の解決に取り組むことができる体制を構築し、課題に直面している個人を支援する取り組みを進めるためには、「地域住民のエンパワメント」及び「地域住民の活動支援や関係者との連絡調整」等の機能を発揮し、職務を遂行するための価値・知識・技術が必要である。
地域住民には、その地域に住んでいる人だけでなく、地元に根づいた商店や企業等も含むという注を入れております。
2つ目の○です。社会福祉士の養成カリキュラムでは、「地域福祉の理論と方法」として、地域福祉の主体と対象、地域福祉に係る組織や団体及び専門職の役割と実際、地域福祉の推進方法(ネットワーキング、社会資源の活用・調整・開発、福祉ニーズの把握方法等)。
「相談援助の理論と方法」として、人と環境の交互作用に関する理論、相談援助の対象とさまざまな実践モデル、相談援助の過程とそれに係る知識と技術(ケースマネジメント、アウトリーチ、ネットワーキング、スーパービジョン、集団を活用した相談援助等)。
「福祉サービスの組織と経営」として、福祉サービスに係る組織や団体、福祉サービスの組織と経営に係る基礎理論、福祉サービスの経営と管理運営などに関する知識及び技術を理解・修得するものとなっている。
4ページをお開きいただきます。今般、平成29年9月12日にまとめられた地域力強化検討会の最終まとめにおきましては、1つ目「自分や家族が暮らしたい地域を考える」という主体的、積極的な姿勢と福祉以外の分野との連携・協働によるまちづくりに広がる地域づくり。2つ目として「地域で困っている課題を解決したい」という気持ちで、さまざまな取り組みを行う地域住民や福祉関係者によるネットワークにより共生の文化が広がる地域づくり。3つ目として「一人の課題から」、地域住民と関係機関が一緒になって解決するプロセスを繰り返して気づきと学びが促されることで、一人一人を支えることができる地域づくりという3つの地域づくりの取り組みの方向性が示されており、これらの方向性は互いに影響を及ぼし合うものということができ、「我が事」の意識は、その相乗効果で高まっていくとも考えられるとされております。
こうしたことを踏まえると、社会福祉士には、養成課程において修得したソーシャルワークに関する価値・知識・技術を統合して実践することによって、住民主体の地域課題解決体制の構築及び維持に必要なソーシャルワーク機能を発揮するための役割を担うことが期待される。
次のページをお開きいただきます。
1つ目の○です。住民主体の地域課題解決体制の構築及び維持に向け、今後、特に社会福祉士が担う必要のある具体的な役割とそのために必要となる知識及び技術を整理すると、大きく分けて「地域住民のエンパワメント」及び「地域住民の活動支援と関係者との連絡調整」の2つであると考えられる。
1、地域住民のエンパワメント。
地域住民のエンパワメントにおいては、「問題意識の醸成」及び「地域住民の強みの発見と活動機会の創出」が重要であり、具体的には以下のような実践が求められる。
マル1としまして、福祉課題に対する関心や問題意識の醸成、理解の促進、普遍化。
住民主体による地域の福祉課題の解決に向けた活動を促すためには、地域住民みずからが福祉課題の存在に気づき、何とかしたいという意識を醸成しつつ、個人の課題として捉えるのではなく、地域の課題として捉えていくような働きかけが必要である。
2つ目の○、そのため、社会福祉士には、地域住民と一緒に「考える、学ぶ、体験する、理解する」という過程を共有するため、地域の福祉課題に関心を持つ人を増やし、住民の何とかしたいという動機を引き出すとともに、地域全体で住民が主体となって課題を解決しようという意識を醸成し、行動変容を促していく役割を果たすことが求められる。
3つ目の○、こうした役割を果たすため、社会福祉士には、他の専門職や関係者と協働し、地域の福祉課題を把握し、地域住民の理解を促すための働きかけを行い、住民が主体となって地域の関係者と協力しつつ福祉課題の解決に向けて取り組んでいけるようにするための知識と技術を統合し、実践する能力が必要となるのではないか。
6ページをごらんください。続いて、地域住民のエンパワメントのポイントの2つ目です。マル2として、地域住民の強みの発見と活動機会の創出。
1つ目の○、地域の課題の解決に向けて、当事者を含めた地域住民のエンパワメントを推進していくには、全ての人がストレングス、すなわち強み(例えば、性格、技能・才能、関心、環境、経験、趣味、人間関係等)を有しているという考え方を認識し、自分にもできることがあるということに気づき、その強みを活かすことが重要である。
2つ目の○、また、地域においては、「支える側」の人が「支えられる側」となることもあり、「支えられる側」の人が「支える側」になることもある。例えば障害がある人がみずからの経験や苦労、工夫や達成したことなどを学校や企業等で講演を行ったり、当事者団体やグループを立ち上げて支援する立場になったりするなど、「支えられる側」であった当事者から地域住民や団体等が学ぶような事例は多く、そのような機会を創出していくことは重要な取り組みである。
このため、社会福祉士には、他の専門職や関係者と協働し、地域住民のアセスメントを行い、地域住民が自分の強みに気づくことができるように働きかけるとともに、強みを発揮する場面や活動の機会を発見・創出する役割を果たすことが求められる。また、地域住民が強みを発揮する分野は保健・医療・福祉にとどまるものではないため、雇用・就労、住まい、司法、教育、環境、農業、産業などの多分野での活動も視野に入れた連絡・調整など、触媒としての役割を果たすことが求められる。
7ページをごらんください。1つ目の○です。こうした役割を果たすため、社会福祉士には、他の専門職や関係者と協働し、地域住民が自分の強みに気づき、前向きな気持ちややる気を引き出すための働きかけを行うことによって、実際の活動につなげ、成功体験を積み重ねていくことができるようにするための知識と技術を統合し、実践する能力が必要となるのではないか。
また、地域住民の役割は固定されるものではなく、状況や時間の経過とともに役割は入れかわったり循環したりするということを理解した上で、地域住民が活動する場面や機会を発見・創出するとともに、さまざまな分野とのネットワーキングを図るための知識と技術を統合し、実践する能力が必要となるのではないか。
8ページ目をごらんください。2の地域住民の活動支援と関係者との連絡調整でございます。
地域住民の活動支援や関係者との連絡調整においては、「グループや組織等の立ち上げ及び立ち上げ後の支援」「拠点となる場づくり」「ネットワーキング」が重要であり、具体的には以下のような実践が求められる。
1つ目の○、地域住民が地域課題の解決に向けて新たにグループや組織等を立ち上げる場合には、住民の身近な圏域に、誰もがいつでも気軽に立ち寄ることができるような活動拠点をつくることや、組織の経営や管理運営について助言や支援を行うとともに、必要に応じて地域住民の要望に合致した社会資源につなぐこと(雇用・就労、住まい、司法、教育、環境、農業、産業等の多分野とのネットワーキング)が重要である。
2つ目の○として、このため、社会福祉士には、立ち上げ時において、活動に必要な人材や財源の確保の方法、広報や情報提供の方法、他機関との協働などに関する要望や悩み等のニーズを的確に把握して助言を行うとともに、立ち上げ後においても、会議運営の支援、財源の確保への助言、所属団体の間の関係調整、地域課題の情報提供、市町村圏域の包括的な相談支援体制への連絡調整などの役割を果たすことが求められる。
こうした役割を果たすため、社会福祉士には、他の専門職や関係者と協働し、住民主体の考え方に基づき、個人の問題意識を地域住民や組織等による活動に展開するためのグループワークを実施し、立ち上げ前後において、組織の経営や管理運営、経過観察、バックアップなどの助言や支援を行うための知識と技術を統合し、実践する能力が必要となるのではないか。
ということが論点1の資料の説明です。
以上でございます。
○田中委員長 ありがとうございました。
事前に打ち合わせたときに、3ページの1つ目の○の下に、地域住民は、住んでいる人だけではない、企業や商店も含むと入れていただいたのは大変結構だと感じます。住民票を持っている住民だけが地域住民ではないですね。住民票を持っている人は、住宅地では特に昼間はいません。昼間いるのは、お年寄りや幼児、小学生を別にすると、住民票がない人たちかもしれない。場合によっては、通ってくる高校生や大学生だって昼間はその地域の存在であります。地元に根づいた商店に通ってくる人も、昼間は広い意味の地域住民なので、ここで広く捉えよと入れていただくよう事務局にお願いして、1行だけ加えてもらいました。ありがとうございます。
では、ただいま事務局から説明のあった内容について、御質問、御意見があれば頂戴いたします。お願いします。どなたでも結構です。上野谷委員、どうぞ。
○上野谷委員 日本ソーシャルワーク教育学校連盟副会長、上野谷でございます。
本日は今までのまとめを的確に表現いただき、そして、今、委員長からございましたように、地域住民のところをこのように広く今日的な課題に沿った形で修正いただいたというのは、本当に的確な御指摘だと思います。
私どもが3月に提出させていただきました内容の資料も参考資料としてつけてくださっておりますということにも御礼を申し上げたいと思います。
論点1に関しまして気になるところ、些細なところではございますけれども、コメントをさせていただきたいと思います。
今、委員長もおっしゃいました3ページでございますが、地域住民に高等教育機関とか社会福祉法人施設も入れていただけましたら、ありがたい。少し蛇足になりますが、私は今、民生委員、児童委員のいろいろなお仕事をさせていただいておりますけれども、委員不足の事柄で、地元に住民票はないのだけれども、地域に根差した社会福祉法人施設の関係者など、委員になっていただいたらどうかなという議論なども別の委員会で検討しておりまして、そういう意味からもこちらのほうで先導していただければありがたい。これが1つでございます。
2つ目は、5ページの1、地域住民のエンパワメントのところです。「地域住民の強みの発見と活動機会の創出が重要」、本当にそのとおりでございます。前回の議論で既に記載されているのでありますが、この部分は、地域住民のみならず、その地域の文化や伝統、生活様式なども地域の強みと思っておりますので、その点も含めて今後御検討いただけましたらありがたいと思います。やはり文化、伝統、生活様式、非常に強みとして地域の財産でございます。
次に、6ページの「地域住民の強みの発見と活動機会の創出」の1つ目の○の2行目に括弧がございまして、「全ての人がストレングスすなわち強み(例えば、性格、技能・才能)」と書いてございますが、「性格」という言葉が少し気になります。学術的とか国語学的にどうこうというのではありませんが、何々らしい性格ということですね。他の単語とは少し性格がそれこそ異なると思っておりまして、今、LGBTなどのマイノリティーの方々、あるいは外国人の方々など、それぞれの多様性がストレングスということが言われている中で、「性格」というのが、時代とともに関係者の中で強みも弱みも決まってくる。ですから、ちょっと別の表現があればいいのかなということで、表記の工夫をしていただければありがたいということでございます。大きな問題ではございません。
ここの部分は以上でございます。
○田中委員長 3点御指摘がありましたが、事務局、お答えになりますか。
○柴田福祉人材確保対策室長 御指摘ありがとうございます。
1点目の地域住民の中にそこの地域に存在している高等教育機関ですとか、あるいは社会福祉法人も入れていただきたいということについては、当然入ると思っていますので、今後検討してまいりたいと思っています。
2点目の強みのところの話の中で、地域の文化、伝統、あるいは生活様式というのは、それぞれに根差した地域の強みということ、大きな一つになると思いますので、こちらについても検討させていただきたいと思います。
3つ目の「性格」という言葉についても、表現方法について工夫ができるかどうか考えていきたいと思います。
以上です。
○田中委員長 検討をお願いしましょう。
○上野谷委員 ありがとうございます。
○田中委員長 堀田委員、お願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
論点1のところは大変充実しておまとめくださっているなと思ったのですが、幾つか気づいたところです。まず、今、上野谷委員が御指摘くださった3ページの※印ですが、社会福祉法人だけではなくて、医療法人とかビジネスセクター、教育と幅広くカバーしていただければと思います。ソーシャルワーカーの方々の中には、いろいろな法人主体ごとの仕組み、あるいはその特徴みたいなことを十分に学んでこられていない方々もいらっしゃると思いますので、そこをぜひ強めていただきたい。及び社会福祉法人だけではなくて、医療法人などの中にもこういったことを進めていこうとされているところがあるので、医療についても入れていただければなと思います。
8ページ、地域住民の活動支援と関係者との連絡調整というところで、まず拠点となる場づくりということが挙げられていまして、これは地域力強化検討会においても、あるいは地域包括ケアにかかわる議論のときにも、場の構築ということ、居場所をどうつくるかとか、活動の拠点ということがよく挙がってきて、そのことは社会福祉の方々にもより力を発揮していただきたいと思うことなのですが、拠点となる場をつくるというときに、ハードのデザインの力ということ、場のマネジメント、ファシリテーションみたいなことも含めてなのですが、もう少し住民たちが心が動く、行きたくなるという場をつくっていこうということで、デザインの視点を入れていく、あるいはファシリテーションを既に学んでおられると承知していますが、それがより心が動く、行きたくなるというところにつながるような力をもう少しつけていただける機会があるといいのではないかなと思いました。
もう一つ、8ページの一番下の○、ネットワーキングのところにもかかわるでしょうし、あるいは戻りまして6ページの一番下の○のところで、強みを発揮する場面や活動の機会を発見・創出。それに当たって、保健・医療・福祉だけではなくて、多様な領域での活動も視野に入れてというときに、これも恐らく学んでこられているのだと思うのですが、福祉的な視点で強みをどう発揮するかということはもちろん進めていただきたいのですけれども、結果として相手方の別の領域のさまざまなビジネスセクターだったり、いろんな領域にとってもウィン・ウィンな関係をどうつくっていくかというときに、地域の中でのお金の回り方というか、一番最初のいろいろな組織形態の特徴というところにも関係してくるのですが、ビジネスセクターの中でのお金の回り方、さらに一緒にコラボレーションして地域の課題を解決していけるようなコミュニティービジネスみたいなものまで一緒につくっていこうということを考えたときには、社会的起業のインキュベーションみたいなこともあり得ていいのではないかなと思います。
ですから、単にネットワーキングあるいは多分野での活動ということを書いてくださっているだけではなくて、さらに相手にとってもウィンな関係を生んでいけるためのベースになるようなこと。新たに学習するというよりも、勉強の段階でコラボレーションしながら相手の考え方を学ぶということなのかもしれないのですが、地域の中でどのようにお金が回っていくのか。活動とお金、思いが循環するようなこと、アクションを起こしていくことができるのかという視点での学びが強化されてもいいのではないかなと思います。
以上です。
○田中委員長 地域創生や地域経済の活性化の主役になるかどうかは別として、それも理解していなくてはいけないと。
○堀田委員 はい。
○田中委員長 ありがとうございました。
3点ございましたが、事務局、いかがですか。
○柴田福祉人材確保対策室長 3点いただきました。
先ほど舌足らず済みません。1つ目、地域の中の活躍する方については、当然医療法人を含め、幅広く読めるように検討したいと思います。
2つ目の場づくりの中で心が動くような、行きたくなるような力をもう少しということなので、どういったことを学んでいけるかということについても検討していきたいと思います。
3つ目の地域のお金の回り方というのは非常に重要な視点だと思いますので、そういった力をどうつけていくか、あるいは学びの中で、あるいは相手の土俵で学びながらやっていくというお知恵をいただいたところですけれども、こちらについても検討してまいりたいと思います。
以上です。
○田中委員長 追加ですか。どうぞ。
○堀田委員 今の拠点となる場づくりのところは、デザインを学ぶとか場のファシリテーションとかもそうなのですが、先ほど申し忘れたのですけれども、特に新しい住宅セーフティネット制度なども出てきていますし、地域の中での空き家、空きスペース、空き地を発見して、もしかすると不動産の取引をやらなければいけないとか、そういうこともこれからますます。もう既に空き家などを活用しながらの場づくりも行われていると承知していますが、よりそのようなことに向けた、スーパーな人たちだけができるということではないような、では、それを発見して実際活用していくということにはどんな手続が必要なのだろうかというようなベースも学んでおいていただけるといいのではないかなと思います。
ありがとうございます。
○田中委員長 どうぞ。
○柴田福祉人材確保対策室長 今、御指摘いただいた点も含めて検討してまいりたいと思います。
○田中委員長 内田委員、お願いします。
○内田委員 全国老施協の内田と申します。
実は私のところでも1年以上前から地域の場づくりというところで、古民家を活用して地域の方々にたくさん集まっていただいております。1年しますとだんだん定着してまいったところですが、ただ、それらを実際にやってみますと、いろいろな諸問題が出てまいります。まず、拠点づくりに関しましては、収入がないものですから、お金の根拠も必要になってまいりますが、その中で地域の拠点づくりということで、新聞社が取材に来まして、報道されました。とても喜んでいたら、消防が来られて、カーテンを防炎にしなさいとか、ここは改修してと。見たら、無機質な改修を指示されたり、それらをされると、今、堀田委員が言われたまた来たくなるような本当に魅力ある場づくりというのがなかなかできにくい。その辺のところもひとつ御検討いただけたらと思っております。
よろしくお願いいたします。
○田中委員長 社会福祉士だけでなくて、もっと別分野からの規制の話ですね。ありがとうございます。
○内田委員 はい。
○柴田福祉人材確保対策室長 私も自治体の勤務の経験がありますので、何か建物を建てるとき、いろんな規制が複合的にかかってくるというのも実体験として承知していますので、そういったトータル的見方ができるような力をつけるという御指摘だと思いますので、そこら辺についても検討させていただきたいと思います。
○内田委員 よろしくお願いします。
○田中委員長 どうぞ。
○堀田委員 済みません。期待が大きくて、触発されてどんどん湧き上がってくるのですけれども。
今、内田委員のお話を伺っていて、ああ、そうなのだよなと思わされたのですが、結局、地域の一人一人の方々、あるいはさまざまな組織のそれぞれの強みを生かして循環させていこうということを考えると、既存の制度とか規制がとても邪魔するということがあって、ネゴシエーション能力をちゃんと発揮できるかどうかということが、割と形にできているかどうかの上で大きいなと思うのです。
それはもう学んでいらっしゃるのかもしれないのですけれども、勉強するということでもなさそうなのですが、ここに書かれているようなことを本当に実現させるためには、知識だけでなくて、先ほどビジネスセクターの話もしましたが、行政の側の事情も酌み取りながらうまくネゴシエーションする力が必要で、それも含まれていてほしいなと思います。
以上です。
○田中委員長 その際、多職種の力を使う力も含めてですね。自分ひとりでネゴシエートするのは大変ですから。
○堀田委員 はい。
○田中委員長 川名参考人、お願いいたします。
○川名参考人 今、場づくりという話とかその地域での力の発揮、この議論の次に、では、現場でどうやって活躍していくのかというところの話になったので、ちょっと手を挙げさせていただきました。今、我々自治体といたしましても、例えば子供の貧困対策だったりすると、先ほどの制度とかはわかるのですが、どのような場が地域に必要なのか、利用したくなるような場をどうやってつくっていったらいいのか、これは行政だけだと我々はちょっと不足している部分があるのかなと思っているところです。そういう知識をここでつけていただいて、一緒に地域を考えていっていただくということが実現できると、今の行政課題、地域共生社会の構築に非常に有益なのかなと思いました。
今の古民家の話とかも、確かに各地でいろいろ進めていただいてはいるのですけれども、いろんな規制の中で使いにくかったり、本当にそこに来てもらえるのかなというような課題も我々はお聞きいたしますので、なかなか難しい検討ではあると思うのですが、これからの教育・研修の中でどのような形でそういう知識、現場での実践能力、そういうところが修得できるのかというのは、今後の課題として御検討いただければ大変ありがたいと思います。
以上でございます。
○田中委員長 御指摘ありがとうございます。
どうぞ。
○柴田福祉人材確保対策室長 今までの御指摘についてですけれども、先ほどの補足にもなるのですが、社会福祉士が学ぶべきものということと、あと、座長がおっしゃったように、多分野との触媒という意味で力を発揮するという役割がございますので、うまく多分野と連携しながら、そして社会福祉士としての触媒、あるいはコーディネーターとしてやる力をつけていくという過程でうまくできるような形で検討してまいりたいと思います。
○田中委員長 平川委員、お願いします。
○平川委員 おくれてきて申しわけありません。
6ページの3つ目の○の「他の専門職や関係者と協働し」というところで、保健・医療・福祉にとどまるものではないというところに「雇用」というのを入れていただいておりますが、これは大変重要なポイントかと思います。働く場、雇用ということについてはしっかりと連携、さらに言えば雇用条件とか労働法制とか、そこまで知識を持つというのはなかなか厳しいかもしれませんが、ある程度のそういう状況についてもしっかりと押さえていければよりいいのかなと思っています。
そのほかにも、住まいでは空き家の問題であるとか、司法では成年後見の問題であるとか、教育では学校にスクールソーシャルワーカーが配置されておりますが、そういうところとのつなぎや、農業については農福連携ということを含めて、それらがしっかりここで入っているということで言えば、文章としてはしっかりと押さえられているのではないかと思います。そういった社会資源をどうやって発見をしていくのかということと、連携やネゴシエーション能力をつけていくのかというのが大きな課題と思っています。
ただ、これらの能力については実践能力、学校を卒業して、もしくは資格を得てから、あしたからすぐ発揮できればいいのですけれども、実際はなかなか難しい面もあるかと思います。それはいろんな経験を踏まえて徐々につけていき、さらにスキルアップしていくものだと思いますので、徐々に能力をつけていく、スキルアップしていくという時間軸をどうやって確保して環境を整えていくのかというのも大きな課題なのではないかなと思っておりますので、その辺も考えていただければと思います。OJTなどいろんなやり方があるかと思いますが、その辺も引き続き検討すべきではないかと思います。
以上です。
○田中委員長 ありがとうございます。
学校課程だけではなくて、卒業後の教育もむしろこういう能力をつける上で重要であると。大事な御指摘です。ありがとうございます。
今の点について、事務局、答えますか。
○柴田福祉人材確保対策室長 重要な視点だと思いますので、我々としても御指摘を踏まえて検討していきたいと思います。
○田中委員長 石本委員、どうぞ。
○石本委員 介護福祉士会の石本でございます。
全体を通して何か異論があるわけではございませんで、先般介護福祉士のほうが先にまとめられた経緯がある中で、地域の暮らしを支えるという福祉専門職の役割、ここに書いてある文章を見ますと、日ごろの支え方をどうするのかという視点での文章でまとまっているかと思います。介護福祉士のほうも追加されたのですけれども、日常でなくて非日常として、いわゆる災害やそういったものがトータル的に含まれていると解釈してもいいのかもしれませんが、介護福祉士の場合、そこを少し目出ししていただいたという経緯がある中において、日ごろ地域を支えているソーシャルワーカーが非日常の中でも一定の役割を果たすのだということは、非常に重要なポイントだろうと思いますので、そういった方向性で検討していただけると、これからの時代を支えるあり方というところに少し触れることができるかなという印象を持ちました。
以上です。
○田中委員長 どうぞ。
○柴田福祉人材確保対策室長 御指摘ありがとうございます。
災害時の専門職の役割というのは非常に重要だと思っていまして、災害の観点は、次の論点の資料の中で大規模災害等を例示してございますので、御指摘を踏まえて検討してまいりたいと思います。
○石本委員 ありがとうございます。
○田中委員長 西島委員、お願いします。
○西島委員 日本社会福祉士会の西島です。
今、災害のお話もありましたが、これはまた今度ということですが、社会福祉士は、個別の支援もそうですが、現場で地域力を高めるということで頑張っております。また、今日資料も用意させていただいていますので、そこでお話もさせていただけたらと思いますが、地域でいろいろ活動する中で個人情報の話も以前は出ておりましたが、それ以外に、お一人の生活、世帯と見たときに、複数の課題が複合化し、色々な担当課とかかわっていく、つないでいくということをやっていくのですが、この実践の中で、実践ができている、できていないという背景には、環境が整っているのか、いないのかということもあったりすると思うのです。
例えば地域力強化の中でも、地域として、もともと自分たちの地域は自分たちでつくっていくのだというような力とか、お祭りやそういうこともそうですけれども、もともとある地域力をうまくつなぎながら。そうすると、自分たちは自分たちでと。専門職もうまく使っていただきながら、そういうふうに持っていくのもソーシャルワークの大事な部分だと思うのですが、いろんなことをやっていくときに、先ほど消防の話もありましたが、行政の縦割りが障壁になることがあります。
これから進んでいくことをぜひ期待しているのですが、それこそ私たちの思いの中では地域共生社会実現課ではございませんが、そのようなところが一括にまとめていただいて、していただかないと、非常に体力を浪費してしまうような部分もございます。
私どもも専門性を高める努力は当然しなくてはならないですけれども、そのときに同じ視点でやっていけるような環境というものもぜひお願いしたいかなと思っております。
○田中委員長 どうぞ。
○柴田福祉人材確保対策室長 貴重な御指摘、ありがとうございます。
補足させていただきますと、今般9月12日にまとめられました地域力強化検討会の最終とりまとめにおきましても、行政的な側面という観点から申し上げると、地域福祉計画というものを努力義務化して、きちんと計画に地域共生を目指して行政として取り組むということを位置づけるとともに、市町村と都道府県と国では、例えば市町村ですと、先ほど申し上げた包括的な支援体制の整備について責任を持って進めていくということですとか、あるいは地域福祉計画と関係者と合意して計画的に推進していくということの方向性が打ち出されていますので、今、西島委員から御指摘いただいたように、これから進めていくことでありますし、今も進んでいる自治体もありますので、そういったものを参考にどんどん進めていくということであると思っています。
○田中委員長 論点1については、ほかにございませんか。
一わたり御意見を伺ったと考えます。
では、次の論点に移ってよろしゅうございますか。
○西島委員 資料を説明させていただいてよろしいでしょうか。
○田中委員長 はい。
○西島委員 申しわけないです。日本社会福祉士会の西島です。引き続きよろしくお願いいたします。
今回、私どもが提出させていただきました「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」という資料に基づいて説明させていただきます。
先ほどからいろんな御意見もございましたし、また、事務局から説明があったとおり、地域共生社会の実現に向け、今日的な福祉課題を乗り越えていく人材として社会福祉士への期待がある一方、課題も挙げられているというのが実情でございます。制度の対象とならない狭間にある生活課題への対応であったり、複合的な課題を抱える世帯への対応等、多様化・複雑化するニーズへの対応や、全ての住民が住みなれた地域で安心して暮らせる地域共生社会の実現に向けて、住民一人一人の権利を擁護、守り、ソーシャルワークの機能を発揮できるソーシャルワーク専門職が必要であると考えております。本日の委員会で社会福祉士の活用に向けてこれから議論が展開されることを期待しております。
今日の1番目の論点について、資料に基づきまして実践者の立場から意見を申し上げさせていただきます。
表紙をめくっていただきますと1枚目が出てまいります。これは現場の実践から見えてくる住民主体の地域課題解決体制の構築・維持における排除という課題と、求められる実践能力について説明をさせていただきたいと思います。
事例概要についてはスライド1左側に記載しています。70歳代女性Aさんと地域住民の間で対立関係が生じていました。きっかけは、Aさんが近所の花壇から花を摘み、資材置き場から木材を持ち去り、まきにしているところを地域住民に目撃されます。警察からの注意でも変化が見られず、地域包括支援センターへ相談が入ります。
この事例に対する社会福祉士の働きかけといたしましては、スライドの中央部に記載しておりますが、Aさんの言動について、地域住民はなかなか理解ができませんでした。そのことが原因で生じる差別や偏見によって地域から排除されそうになります。そこで、社会福祉士は、Aさんの権利擁護を進めるために、ソーシャルワークの価値を基盤にいたしまして、対立関係を改善するために、お互いが対話を通して知らなかった事実を感じ取っていただき、不安を和らげ、関係を築いていく修復的会話などによる働きかけを行います。アセスメントを行い、問題が発生している理由と背景を明らかにし、地域住民の否定的な感情も含め、受容と共感を行い、それぞれの思いを代弁します。
対立関係を修復するために地域ケア会議を開催し、地域住民の強みの発見と機会の創出や、地域住民の活動支援と関係者との連絡調整を行っていきます。
その働きかけによる変化であるとか結果、もしくは社会福祉士に求められる実践能力については、スライドの右側に記載しております。社会福祉士は、対立関係から地域住民の主体的な見守りや声かけ活動に変化していく過程をしっかりと支えさせていただき、双方の関係の再構築を促していきます。
ここでの実践能力といたしましては、本日の論点である地域住民のエンパワメント、地域住民の活動支援と関係者との連絡調整に加えて、意見の衝突や対立の解決を通してよりよい関係を構築していくというコンフリクトマネジメント等があります。
また、他の実践事例も少し紹介させていただきたいのですが、社会福祉士が地域に認知症高齢者への理解、支援に関する働きかけを行っていきました。その結果、地域自治会が自ら自分たちで自分たちの地域を守ろうということで、福祉対策委員会が立ち上がり、見守り支援体制が確立されました。また、地域内にサロンが開設され、独居の高齢者や障害者も参加され、地域のつながりが強まった。そういう事例もございます。
中には自宅内が片づけられず、いわゆるごみ屋敷に陥った状況を地域住民とともに改善した事例であったり、子供たちに認知症キッズサポーターを受講してもらいます。その結果、それを受けた中学生が道に迷っていた高齢者を交番まで案内していただいて、帰宅できた。そんな事例があります。
これらの事例から見えてくるものは、地域課題を解決するために、ソーシャルワーク機能を用いて持続可能な仕組みづくりに取り組んでいるということです。
それでは、次のページ、2枚目になります。今、お話ししたとおり、地域には対立している状況が潜在化していたり、何かのきっかけで地域の問題として表面化することもあり、包摂と排除というものは表裏一体の関係にあると思われます。住民主体の地域課題解決体制の構築・維持における課題といたしましては、所属組織のサポート体制の必要性とソーシャルワーク専門性の必要性があります。住民主体の地域課題解決体制を推進するためには、社会福祉士一人では対応が困難な場面や、長期的な実践を可能とする人員体制等の充実も含め、所属組織のサポート体制が必要です。
例えば社会福祉法人が生活困窮者支援に積極的に取り組み、地域共生社会の実現に向けて意思決定ができていると、組織の理解や支援が求められます。また、当事者の権利擁護など、ソーシャルワークの価値に基づいた知識・技術の統合的実践を初め、地域住民だけでは解決が難しい地域課題への対応から、地域住民を支えていくソーシャルワークの専門職によるサポート体制が必要と考えています。
3枚目のスライドです。住民主体の地域課題解決体制の構築・維持のための必要条件といたしまして、個人レベル、組織レベル、社会レベルの3つのレベルに整理しています。
左側に個人レベルとして5点。対立関係も含めてアセスメントできる力量。排除に対して毅然として対応できる価値や倫理に基づいて実践できる力量等です。
中央下側に組織レベルを3点示しています。組織としてのサポートを初め、スーパービジョンを含めた組織体制が必要です。
右側には社会レベルとして3点示しています。地域住民と協働していく社会福祉士の役割の明確化や、社会全体で社会的孤立や社会的排除をなくしていくための意識の醸成が必要です。
それでは、もう一枚めくっていただきまして、4枚目はまとめになります。ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる実践能力の修得には、本日の論点に加えまして、強化すべき点とさらに議論が必要な点について意見を述べさせていただきます。
1点目は、ソーシャルワークの価値・知識・技術の統合的実践能力の強化です。養成カリキュラムの見直しに当たっては、ソーシャルワークの価値・知識・技術を統合的に修得できる機会として実践現場で学べるカリキュラムの充実が必要ではないでしょうか。また、外国人労働者やLGBTなどに関してもカリキュラムの充実が必要ではないでしょうか。
2点目といたしまして、社会福祉士の専門性向上のあり方の検討です。さまざまな職場でソーシャルワーク機能を発揮できるよう、社会福祉士資格取得後、自らの専門性と実践能力を高めるために、養成から国家資格取得後の現任研修まで一体的、連続的な専門性向上のための仕組みを議論すべきではないでしょうか。
3点目として、所属組織のサポート体制の充実です。本資料の11ページ目に上野谷委員提出資料にあります地域包括支援実習の導入というものがございますが、本会としても協力しているところであります。当該実習の受け入れを初め、国家資格取得後の現任研修の強化等を含め、所属組織によるサポート体制の充実についても議論すべきではないでしょうか。
ソーシャルワーク専門職である社会福祉士が包括的な相談支援体制、住民主体の地域課題解決体制を構築・維持するためのソーシャルワーク機能を発揮するためには、職場の職務に加え、社会福祉士が地域にかかわることへの職場の理解が必要と考えています。
4点目といたしまして、市町村における社会福祉士の役割等の実態把握です。社会福祉法が改正され、第6条、第106条の3に地域共生社会の実現に向け、市町村による地域住民や行政等との協働による包括的支援体制の推進が求められています。持続可能な仕組みをつくるためには役割を発揮できる人材を配置する必要があり、社会福祉士の実践事例を踏まえ、自治体において社会福祉士が果たしている役割等の実態把握を行うべきではないでしょうか。
5点目として、社会福祉士の定義の見直しです。地域共生社会の実現に向け、社会福祉士は、ソーシャルワークの機能を発揮し、求められる役割を担い、国民の期待に応えていかなければならないと考えております。
現在の定義では、社会資源の開発や地域共生社会における横断的な多分野連携等については触れられていません。社会福祉士の定義の見直しや関係各法、高齢、障害、児童等、各分野での活用、あり方、位置づけ等についても検討すべきではないでしょうか。
最後になりますが、私たちは、地域共生社会の実現に向けて、関係団体、地域と協働しながらソーシャルワーク専門職としてさらに実践力を高め、包括的な相談支援体制や住民主体の地域課題解決体制の推進を図る必要があります。
地域力強化検討会の最終とりまとめには、ソーシャルワークが魅力的なものになる可能性を持っていると記載されています。これからの若者たちがソーシャルワークに関する仕事をやってみたいと思えるよう、私たちも取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上です。
進行の具合がよくわからずに資料説明が最後になりまして、申しわけありません。よろしくお願いいたします。
○田中委員長 提出資料の説明、ありがとうございました。
何か御質問があればいかがですか。お願いします。
○石本委員 介護福祉士会の石本です。
質問ではないのですが、今、西島委員がおっしゃった4ページ目のマル2とマル3というのはすごく重要な項目だろうと私どもも思っております。資格を取った後に学び続けることが専門職としての責務でありますし、それが結果としては質の高い福祉サービスを地域に還元することにつながると確信しております。
そういった意味では、社会福祉士も認定制度というのが早くから動いて、研修されておりますし、私どものほうでも認定介護福祉士制度というのが昨年から動いておりますが、これはより高度な専門職を地域にというところで、学ぶということを取り組んでいるわけでございますが、御承知のとおり、これは政府の附帯決議に基づいて、職能団体が中心となりながら制度化していった経緯がございますので、職場の理解を得ながらそういった学ぶ環境が整っていくというのは大変重要なことでございますので、この研修制度に対しては、国としても今以上に力強くバックアップしていただければという要望をあわせて申し上げさせていただきたいと思います。
以上です。
○田中委員長 関連しての発言でした。
武居委員、どうぞ。
○武居委員 今、介護福祉士会からのお話もございましたが、福祉関係、医療関係の専門職の中にはいろんなスーパービジョンの仕方があると思うのです。特に介護福祉士のような場合にはOJTの強化、つまり、現場でのある種のスーパーバイザーによる教育というのが大変充実してきているのだろうと思います。そのもとには各職場の専門職の人数の問題が大きく影響しているのだろうと思います。
そういう意味では、社会福祉士は、福祉や医療の専門職の中では割に特殊な例で、専門職が各職場に少ないという実情があります。その点では、先ほど平川委員がおっしゃったような現場でのOJTの強化は非常に難しい。その点を例えば専門職団体であるとか卒後教育の仕方についてより工夫する必要があるのだろうと思います。もちろん、現場の各施設や社会福祉法人にとってもその認識は非常に重要だと思いますし、我々自身も社会福祉法の改正後、地域における公益的な取組の重要性、責務というのが言われておりますので、各社会福祉法人についても、そのような視点の必要性というのは感じております。
私どもの全国経営協で出しております「社会福祉法人アクションプラン2020」の中にも、人材育成については、特に新しい地域包括支援体制の問題であるとか、福祉分野横断的な研修の実施などを社会福祉法人としても積極的にバックアップすべきだと考えておりますが、このあたりをもう少し強化するような方法を考えていかないと、今、お話があったさまざまな実践能力の必要性は感じながら、それをどうやって修得していくのかというところになかなかつながりにくくなるのだろうと思います。その辺の視点が非常に重要ではないかと思います。
以上です。
○田中委員長 ありがとうございます。
病院でしたら、看護師はたくさんいますから、当然院内でオン・ザ・ジョブ・トレーニングができますが、組織の中に1人とか2人ですとOJTは難しいから、法人として地域単位とかで頑張る。大変いい提案でした。ありがとうございます。
平川委員、どうぞ。
○平川委員 私も今の発言に賛成でありまして、ほかの職能団体、特に看護協会を見ていますと、相当さまざまな研修を用意し、職能団体として全体の看護の能力をどうやって向上させていくかという役割を担っていると思っておりますので、そういった意味で、専門性の向上に向けたあり方の検討については、その方向というのは重要であると考えております。
また、マル4の市町村における社会福祉士の役割等の実態把握もしっかりとしていく必要があります。地方自治体においては、社会福祉士という資格に対する理解はまだまだこれからではないのかなと思っております。ソーシャルワークを行う能力を十分発揮できる外形的な基準として社会福祉士の資格があるという意味で言うと、活躍の場というのがもっと市町村などにおいて位置づけられていくべきではないのかと思っています。
地方自治体において地域包括支援センターは当然でありますが、例えば生活困窮の支援においてや、児童相談所や福祉事務所においてもソーシャルワーカーの能力というのが極めて重要だと思っておりますので、地方自治体の中においてその辺をしっかりと理解をし、さらには地方自治体において配置された後もしっかりと活躍できるような人事労務管理も必要だと考えているところであります。
もう一つ、活躍の場ということで言うと、これは以前発言しておりますが、例えば病院における社会福祉士の配置についても、例えば診療報酬や介護報酬上評価をされる、もしくは配置を報酬上、要件にしていくということについても一定程度検討していくということが重要と考えているところであります。
以上、発言にかえさせていただきます。
○田中委員長 ありがとうございました。
では、論点2に移ってよろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○田中委員長 9ページからの論点2について、事務局より説明をお願いします。
○柴田福祉人材確保対策室長 それでは、資料の9ページをお開きいただきたいと思います。論点2といたしまして、地域共生社会の実現を推進していくソーシャルワークの専門職として、社会福祉士がその機能を発揮し、必要な役割を担っていけるような実践能力を修得するためには、現行のカリキュラムをどのような観点で充実させていく必要があるかということを提示させていただいております。
以下、論点に対する考え方をお示ししております。
1つ目の○です。社会福祉士の養成は、平成19年に見直されたカリキュラムに基づいて、各養成施設において教育が行われている。
次の○です。その一方で、平成19年度以降、さまざまな分野で制度改正が行われており、介護分野では、重度な要介護状態となっても住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制である「地域包括ケアシステム」の実現に向けたサービス等の充実。
障害分野では、基本理念として、日常生活、社会生活の支援が、共生社会を実現するため、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の除去に資するよう、総合的かつ計画的に行われることが新たに規定されたほか、障害者がみずから望む地域生活を営むことができるよう、「生活」と「就労」に対する支援の一層の充実。
子ども・子育て分野では、子ども・子育て関連3法が成立し、地域の実情に応じた子ども・子育て支援(利用者支援、地域子育て支援拠点、放課後児童クラブなどの「地域子ども・子育て支援事業」)の充実などが図られてきている。
次の10ページをお開きください。このように既存の制度を充実させていく一方で、新しい制度として平成27年4月から生活困窮者自立支援制度が施行されており、「生活困窮者支援を通じた地域づくり」を理念の一つとして掲げ、支援を積み重ねてきている中で、地域の行事や商店街、企業等を開拓し、住まいや暮らしを互助で支える取り組みを進めるとともに、農林水産業、観光業、商工業、地場産業等とつながりながら就労の場を発見するなど、地域において生活困窮者の早期発見や見守りのためのネットワークを構築し、包括的な支援の輪を地域の中に拡充してきている。
また、地域共生社会(制度が対象としない生活課題への対応や複合的な課題を抱える世帯への対応等、多様化・複雑化するニーズへの対応や、全ての地域住民が地域、暮らし、生きがいを共につくり、高め合うことができる社会)の実現に向けて、包括的な相談支援体制や住民主体の地域課題解決体制の構築が必要となってきている。
さらに、自殺、ダブルケア、大規模災害、ギャンブル依存症、犯罪被害などに関する課題にも対応が求められてきており、社会福祉士は、高齢者福祉や障害者福祉などの福祉の現場だけでなく、学校(スクールソーシャルワーク)、弁護士事務所、検察庁、刑務所などの多様な領域で活用され、社会福祉ニーズの多様化・複雑化に伴ってサービスや支援を提供する社会資源も多様化してきていることから、多分野・多職種との連携がより一層求められている。
こうしたことを踏まえて、今後、社会福祉士の養成力カリキュラムを見直すに当たっては、どのような点を充実させる必要があるのか検討する必要がある。
この点について、地域を基盤としたソーシャルワーク機能を遂行する人材養成として、実習の場を地域にするための養成制度の見直しや実践的な教育内容にするための見直しなどの意見が出されているが、カリキュラムの見直しに当たって、他にどのような視点が考えられるか。
ということで、11ページに第10回の福祉人材確保専門委員会で上野谷委員から御提出いただいた資料を御参考につけております。
論点2の説明は以上でございます。
○田中委員長 ありがとうございました。
ただいまの説明の内容について御質問、御意見があれば、お願いいたします。上野谷委員、どうぞ。
○上野谷委員 論点1のところでもかなり踏み込んだ意見が各委員から出されておりました。養成側を代表しまして申し上げますと、これは悩ましい問題でございます。といいますのは、一般養成施設の総時間数1,200時間の中で、各委員がおっしゃられましたような、本来大学院でも匹敵するような社会課題に対して、1,200時間という現行でございますので、その中で力をつけていく。こういう使命を養成側としては担っているわけでございます。
大学は4年間ございますが、私どもの立場は、1年制の養成施設から短期大学、そして四年制大学に至るまでの会員校を、今、各委員がおっしゃったような能力をつけるためにどう養成していくか。もちろん、養成校だけではできません。おっしゃっているように卒業後の教育を一緒にやっていくという状況でございます。
今、お手元に「コソ研」というチラシを出させていただいているのですけれども、第10回の専門委員会で提出させていただきました資料をもとに、私どもはそれ以降2つの社会実験をさせていただいております。コミュニティーに強いソーシャルワーカーを養成する研修、通称「コソ研」と言っておりますが、社会福祉協議会、福祉関係諸団体、学識経験者で企画委員会を立ち上げまして、京都会場が終わりましたけれども、今年度は東京、愛知の3会場。来年度は北海道、九州、中四国という形で、現場の方々と御一緒にカリキュラムをつくり、実践していくと。本当のところ今日的課題に対応できる人を養成するできる力が教員の私どもにあるのかということは、非常に反省もしているところであります。学術研究者としてはそれぞれ大学の教員はすばらしい資質を持っておりますが、今のこの時代に対応できるソーシャルワーカーを養成する力を私どもはリフレクションせねばなりませんので、そのあたりで共同実践をさせていただいております。
今年度は、社会福祉士、精神保健福祉士として実務5~6年ぐらいの方を想定したプログラムでございます。裏にカリキュラムが少し書いてございますが、病院の方、自治体職員の方、社会福祉協議会の方、施設にお勤めの方、いろんな方に参加していただいています。定員100名でやらせていただいております。東京などは100名で締め切りましてからも20、30名の順番待ちという状況になってございます。
そういう研修を通しまして共通認識、共通言語をつくっていくということで、今回カリキュラム改正があると思いますので、それに向けて乗せていきたいと考えており、研修の教材づくり、プログラムも含めて社会実験をさせていただいております。
もう一つ、これは厚生労働省からの補助金を受けて、「実践的社会福祉士養成教育のあり方と地域を基盤にしたソーシャルワーク実習の基盤構築に向けた開発的研究」を並行して進めております。これは、先ほど堀田委員からも貴重な御意見をいただきましたけれども、地域共生ですね。地域、とりわけ中山間地、離島といったところは非常に教育のしにくい状況にあるかと思いますが、そういうところで医療関係者を含めて、多職種連携を想定した包括型の実習、養成教育モデルを施行させていただいております。養成教育に必要でありましょう基礎データを収集いたしまして、今回申し上げるほどのものはまだ出ておりませんけれども、次回の委員会には成果を御報告し、今後のカリキュラム改定に向けて、どういう材料があるかということをお示しできるという確信を持っております。
私どもは地方創生ということに貢献せねばならない職種でございますので、そういった意味で、今回8月、9月、愛媛県今治市とか広島県江田島市の離島、山梨県西桂町、山間部において実習をさせていただいている大学とともに、社会福祉協議会、社会福祉士会とともにモニターをさせていただいているという現状を御報告させていただいた上で、私も資料をお示ししております。座長、ちょっと長くなりますが続けさせていただいていいですか。
○田中委員長 どうぞ。
○上野谷委員 お手元の上野谷資料というのをごらんいただきまして、第10回にお示しいただきました5つの人材養成のための項目がございます。ごらんいただきまして、そのうちの2、3、4、赤く囲っておりますところを中心にお話をさせていただきたいと思います。
これは、今、申し上げましたように、実習の場を地域にするための養成制度見直しでございます。もちろん、今までの社会福祉法人施設をはじめ、さまざまな実習で御尽力いただき、力を上げてきたところではございますが、今後施設単位から地域における多様な機関、団体が実習を行うためには、実習指定施設の要件の緩和、それから養成校から遠方の地域で実習することは教員にとって非常に厳しいといいますか、今、巡回指導を週1回やらねばなりませんので、都会の大学は特に、東京から外へ出すということは難しいのです。ですから、どうしても遠方には出しにくいという状況がございます。そういう要件緩和、ICT活用。今や時代はICTを活用することによって実習指導が十分できると考えておりますので、今日的状況に対応した教育の見直しが必要だと考えております。
1つ目の○でございます。実習の場は、今、申し上げましたように入所型施設に偏っておりますので、私どもは、地域共生社会の実現に向けて、包括的な相談支援体制、及び住民主体の地域課題解決体制を構築するための実践能力を修得するためには、地域のアセスメント、地域課題・ニーズの把握、不足する社会資源の創出、ネゴシエーションのお話が出ましたが、そういった交渉能力を学ぶことができるように、地域においての実習のあり方について検討するべきであろうと。
2つ目の○でございます。また、多様な機関・団体などで実習を行えるようにすべきだと思っております。例えば養成課程において相談援助実習が免除される相談援助業務を規定する通知「指定施設における業務の範囲等及び介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲等について」という通知は、もちろん存じ上げておりますが、学校に配置されるスクールソーシャルワーカー、あるいは公共職業安定所に配置される精神障害者雇用トータルサポーター、地方更生保護委員会及び保護観察所に配置される保護観察官などが規定されていますけれども、実習指定施設とはなっておりません。したがって、現在課題になっております方々を支援するためには、これらの業務を行っている施設・機関等において相談援助実習が可能となるように御検討を至急していただきたいと思っております。
また、多分野・他業種との連携が求められている中で、既存の法制度やサービスでは解決が難しい多様化・複雑化するニーズに対応している、NPO法人もいろいろ御活躍されておりますので、NPO法人、あるいはその他の団体・組織においても、できればこの時代、国内外を問わず相談援助実習が可能となるような御検討をいただきたく。例えば私どもの大学はハワイ大学と協定を結び、あちらの専門的なソーシャルワークの実習を国外の実習としてやらせていただき、ギャンブル依存ということに関しても非常に高い教育を受けて帰ってきておりますが、現在の実習では認められないということでございます。幾つかの大学からも御要望が出ておりまして、ゆくゆく国際化に対応できるような実習ができるように検討する準備に入っていただきたいと思っております。
さらに、中山間地域や離島という養成校から遠方の地域での実習を可能とするための実習指導の方法、内容等の基準の見直しを検討すべきだと思っております。
マル3、養成校の養成教育体制の強化、実習方法の開発が不可欠ということでございます。私どももタコつぼ化しているとのご指摘がありますことから、教員自身が今、要望がありますような教員になるための研修の強化、そして教員要件の設定、教育向けの研修教材の開発が求められていると思っております。
これまで社会福祉士実習演習担当教員講習会が開催されておりますが、地域共生社会の実現に寄与し、分野横断的な福祉に関する基礎知識を持つ社会福祉士を養成するための教育体制や教員のあり方等について検討する必要があると思います。
例えば、相談援助の基盤と専門職、相談援助の理論と方法の科目を担当します教員については、相談援助演習、相談援助実習指導、相談援助実習には今、要件がございますが、それと同じように要件化する必要があるだろう。
さらに、地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術を担当する専任教員の配置。これは専任教員でなく、嘱託あるいは非常勤としてお勤めの場合がありますが、地域に強い、今、求められている教育内容を担保するためには、専任教員の配置を促していただきたい。
そして、社会福祉士養成教育に携わる教員の研修内容の見直しや要件化。
教員向け研修教材の開発などについて、私どもも検討いたしますが、応援をしていただく必要がございます。
マル4、実践的な教育内容にするための見直しが必要ということに関してでございます。地域共生社会において求められる実践能力を修得し、多職種連携を推進することが求められている中で、医療・看護等の教育におけるコアカリキュラムと同様に、社会福祉士養成教育においてもコアカリキュラムの作成を検討すべき。これは、先ほど申しましたように、1,200時間の問題がございますので、二重構造のような形で四年制大学を応援するという仕組みを少し導入してもいいのではないかということでございます。
さらに、社会福祉士の養成課程の各段階や実習前後における学習の達成度を確認するための教育評価のあり方、科目履修要件等について検討すべきだと思います。4年間の体系的な教育の規定、保障でございます。
そして、先ほどからお話が出ておりますような新たな社会福祉ニーズや分野に対応できる実践能力を修得するための教育内容の見直しでございます。LGBT、無国籍の児童、人身取引被害者、外国人労働者・技能実習生、非正規雇用、ブラックバイト、過重な労働、いろいろございます。また、学校教育分野、一般企業分野、地方自治体における行政職、災害支援等に従事する公務員及び家族等への支援、非常に大きな役割を果たしていらっしゃる方への支援ができるような教育内容の見直しが必要だと考えております。
実践能力を向上するために、実習教育時間を大幅にふやすとともに、複数の施設・機関等での実習の実施を検討する必要があると思います。
加えて、現場で学習するさまざまな機会の提供のあり方を検討する必要があると思っております。
最後でございます。今、申し上げてまいりましたように、実践的な教育内容にするためには、講義科目を統合するとか、そういう努力も必要だと思っておりますし、あわせて、国家試験のあり方。今日のような20%台の合格率では、入り口、要するに、社会福祉士養成校に入学しない。出口は出口でさまざまな課題がございますので、入り口と出口で悩んでおります大学で国家試験養成を取りやめる大学がぼちぼち出てきております中で、これは今、ずっと御議論いただいておりますように、たくさんの今日的課題を抱える人に対応する人を養成せねばならないことから、全国的に考えるべきと思いますので、ぜひ国家試験のあり方についても検討していただきたいと要望いたしまして、終わらせていただきます。
ちょっと長くなりまして済みません。
○田中委員長 総合的な問題分析と提言、ありがとうございました。本委員会だけでは解決しない問題も含まれていましたが、理解が深まりました。ありがとうございます。
これについて、現時点ではお答えなしでよろしいのですね。
○柴田福祉人材確保対策室長 はい。
○田中委員長 では、ただいまの上野谷委員への質問でも結構ですし、論点2に関する御意見でも結構ですので、お願いいたします。井之上委員、どうぞ。
○井之上委員 私は、もともと介養協、介護福祉士養成施設協会に属する者ですが、私個人としましてはYMCAというところにおりまして、公益財団法人やNPO法人を運営している団体なのですが、きょう、この専門職の役割をずっと見て、これを身につけていたら、すぐにでも雇いたいなと思う能力、専門性を備えたものだなと改めて思いました。先ほど上野谷委員のお話の中にもNPO法人が出てきましたので、ぜひNPO法人も使っていただきたいと思います。
社会福祉士がどこで活躍しているのかというのは、世間は余り知らないのではないかと思うのです。ただ、この専門性を見たときに、活躍する場というのはこの世の中にはいっぱいあるなと思いました。ましてや、今、社会貢献が問われる一般企業においても、こういう人材だったらすぐに採るのではないかなと思った次第です。
ですので、専門性の理解というか、それをもっと広報すべきだなということも思いましたし、ただ、先ほどの8ページにもありました、あるいはコソ研のプログラムの中にもありました、活動に必要な人材や財源の確保の方法、あるいは広報や情報提供、他機関との協働とか、かなり経験が問われる能力かなと思うのです。学校を卒業してすぐできるものではありませんし、卒業後、かなりのそういう経験をつけないといけない。ですけれども、これが本当に身についておれば、すぐにでも雇いたいなというのが実感であります。もっともっと資格の格上げが必要だなと思いましたし、外へのアピール、国がもっと強くこの資格をアピールしてほしいなという思いは大変いたしました。
意見、感想です。
○田中委員長 ありがとうございます。
堀田委員、どうぞ。
○堀田委員 今、上野谷委員の御提出くださった資料もあわせながら、幾つか意見とコメントです。
小さなところから行きますと、1つは、上野谷委員の御提出資料、そして事務局が以前お出しくださった分と同じですが、2ページ、第10回にも御提出くださっていた資料を見ながら、どちらかというと論点1にも関係するのですが、一番下のマル5のところ、前提として、マル1の論点のところで、より身につけていただける能力、発揮していただける役割の期待として、私も含めていろいろな御意見が出たと思うのですが、それを身につけていく上で、座学をふやすというよりも、その力がより身につけられるような実習を中心にしていかれる。それも地域を基盤として機能が遂行できるという方向性には全面的に賛成です。
その前提で、それをやっていっていただく上でも、マル5のところに「その地域の変化を確認する相応の時間が必要となるため」と書いてくださっていて、これは実は非常に重要な視点で、相応の時間をとるということも重要なのですが、社会福祉士の方々に地域の変化をどのように見るか。社会的インパクト評価の考え方や、それに基づいて仲間やお金の循環をより潤沢にしていくということについても、地域共生社会を実現していく上でも活用できないかという話をされていますが、どうしても人と地域の暮らしがどう変わっていったのかということのアウトカムを定量的に、定性的にどのように見ていくことができるのかというのは、まだ世界的にスタンダードがあるわけではないので、地域の変化を確認するという視点自体をしっかりと実習を中心としてやっていかれるとしても、そもそも社会的なインパクトというものをどのように見るのかという考え方はぜひ身につけていっていただきたいし、それに基づいたような実習の組み立てというのもやっていただけるといいなというのが1点目です。
もう一つですが、それはこの会議の中で引き取られるべきものかどうかわからないのですが、同じく上野谷委員の資料の5ページの「『マル4実践的な教育内容にするための見直しが必要』について」というところの一番上の○です。これもとても重要な方向性だと思っておりまして、事務局が出してくださった論点マル2、どんな観点で充実させていく必要があるかと書いてくださっているのですが、期待を詰め込むとどんどん中身がふえていくということになりまして、他方で、現在社会福祉士の資格を持ちながら地域で活躍しておられる方々とお話をしておりますと、勉強した中身そのもの、知識をふやすということが必要なのか、教育の方法を見直すということが重要なのか。これは介護福祉士においても議論になっていましたが、それはちょっと整理する必要があるのではないかなと。
知識を勉強で詰め込んでおいても、それが展開できる力になっていないかもしれないので、いろいろと要素が挙がってきましたが、コソ研とかもそうですが、教育方法の中で展開し得るものもあるのではないかということもありましたので、それも踏まえつつ、1つ目の○の「医療や看護等の教育におけるコア・カリキュラムと同様に」という方向性は、とても真面目に検討していくべきことだと思っています。
どうしても医師とか看護師、あるいは歯科医もそうですが、コンピテンシーベースでモデル・コアカリがあって、科目を積み上げていかないとなれないということでなくて、教育方法は割と柔軟性があって、でも、そのコンピテンシーを読み込むということができるような、そういった転換がないと、このまま行くと社会福祉士のぎゅーっと、大変詰め込みということになってしまいかねないので、より地域を基盤として、本来期待する役割が果たせるような能力を本当に効果的に発揮されるベースとして、教育方法が柔軟に展開していかれるためにも、今の科目を積み上げていかないといけませんというところから、コアカリも、特にコンピテンシーに基づいてコアカリキュラムを編成し、そのコアコンピテンシーの中身もですけれども、先ほどの議論と同じように、どこからどこまでのレベルは社会福祉士になるまでのところで身につけておいていただくべきなのか、そしてこれ以上のところのレベルについては仕事をしながら身につけていくべきところというところが、コンピテンシーベースで整理をされていくと、今までの1、2を通じた議論が少し見通しが立っていくのではないかなと思います。
ですので、ここでできることは限られていそうな気もしますが、5ページのマル4の1つ目の○は極めて重要な論点だと思っております。
以上です。
○田中委員長 正論ですね。ありがとうございます。
西島委員、どうぞ。
○西島委員 社会福祉士会の西島です。
今、いろいろお話があるのですが、先ほど説明を申し上げましたとおり、私自身がソーシャルワークの統合的な実践能力を高めていかなくてはならないと考えていく中で、今後カリキュラムが見直される中で、実践的な現場でのカリキュラムというもの。繰り返しになりますが、先ほどのところにございました地域の変化をしっかり見られる。そういう意味では、長期間で、経過的に時間軸で見ていくというところもとても大事だと思うのですが、実践的なカリキュラムという意味では、例えば演習などを通して現場実践モデルをしっかりと身につけていく。学ぶ、まねるところもございますが、そこから始まっていくという、生のものというのがとても大事だと思いますので、そんなことを御検討いただきたいということ。
あと、職能団体、組織率とかいろんな課題がございますが、私たち自身も生涯研修制度ということで学びを深めていくこととか、一定そのレベルをきちっと評価・測定した上での認定というものも考えております。自分たちは日々しっかり学び続けなければならないなと思っていますので、資格を取得するまでのところと、それからは私たちもそうですし、業界のほうで育てていただきたい、もしくは地域でということもあるとは思うのですが、ぜひよろしくお願いしたいと思っているところでございます。
○田中委員長 ありがとうございます。
川井委員、お願いします。
○川井委員 先ほどもお話に出ましたけれども、上野谷委員御提出の5ページのコアカリキュラム、ここは1,200時間の中で何を教えられるのかといったときに、今の生活課題の多様化とか複合化、そういうものに対応し得る。先ほどから1の論点でたくさん出てきましたが、こういうことを実践できる人を1,200時間の中でどう教育できるのだろうかということを考えたときに、今、教育に当たっている者としましてはいろんな思いがあります。
ただ、非常に重要なのは、コアカリキュラムをきちんとして、ベースにあります価値、倫理、支援、技術、その教育の中身をもう一度見直しながら、1,200時間を積み上げていくということが重要になってくるのかなと思います。そこにコアカリキュラム、何を中心にというところが出てくるのだろうと思います。
それから、実習時間をふやしていく、NPOとかいろんなお話が出てまいりましたが、私も実習というのは非常に重要だとは思いますが、そこには教育の現場と実習の現場できちんと連携し合って、教育の評価ができるような指導ができるということは、1,200の中でやるならばとても重要だと思います。
1960年、70年ごろ、看護の教育の中でも半年間の実習、現場に入ってしまって実践を積むという教育がありましたが、それが70年を過ぎてからなくなったのですね。それは現場の中で手として使うと。ちょっと表現は悪いのですけれども、不足している人材のプラスアルファの部分での人であって、教育の実習時間という中での半年間の実習教育になっていなかったのだと思うのです。
そういう先例もありますので、そういうものも検討しながら、新たな実習教育を考えていけたらと思います。
以上です。
○田中委員長 そのとおりですね。
上野谷委員、どうぞ。
○上野谷委員 現行制度では1,200時間ということでございます。
○田中委員長 ここまでの議論に対して、事務局から何かコメントがありますか。今のところ特にありませんか。
○柴田福祉人材確保対策室長 はい。
○田中委員長 川井委員、どうぞ。
○川井委員 今のお話に追加させていただきますと、実習で先ほど1の論点等で出てきましたものを教育していくというのは非常に難しいと思っています。ですから、卒業後教育、職能団体とどう連携しながら、教育の中でやっておくことと、卒業して実践の中で積み上げていくものを今回の中で整理していくということが一つあるのかと思います。
以上です。
○田中委員長 高橋委員、お願いします。
○高橋委員 きのうから泊まりがけで東京へ来ているものですから、一言もしゃべらないで帰るわけにはいかないなと。ただし、発言すると、せっかくいい会議に水を差すのではないかと思うものだから、どうしようか悩んでいるのですが、この社会福祉士というのは、1,200時間も勉強するのですか。
○上野谷委員 はい。
○高橋委員 青森県には大体1,000人ほどいるそうです。社会福祉士会に登録している人数は600人ほどいると聞いてきました。うちの学校法人には幼稚園と高校と専門学校で140人の教職員がいますけれども、その中で、私、履歴書を見ていて、社会福祉士の資格を持っている教員が3人います。
この社会福祉士というのは、1,200時間も勉強して、そしてこんなにもすばらしい教育内容を学んでいるはずなのだけれども、今ひとつ力を発揮できていないという感じを受けているのが本音ですよ。私、経営者として。
それから、上野谷委員、私の聞き違いでなければ、先ほど合格率が20%と言いませんでしたか。社会福祉士というのはそんなに難しいのですか。20%程度ですか。
○上野谷委員 20%台です。
○高橋委員 そんな難関を突破して合格しているけれども、大したことがない。
だから、目指しているものは、困っている人の相談に乗ったり、助けたりするということの意味において、とてもとうとい仕事だと思うのです。本当に必要な人から見たら、ここに述べられているような内容を持った人が社会福祉士として地域で働いてもらえれば、みんなが幸せになれるのかなと思うのですけれども、どうなのですか。水を差すようなことを言うのですが、大丈夫ですか。日本の社会、一から百まで何でもやってくれ、何でもやってくれといったような感じを私は受けるのですが。自分で何かをやるということがない国ではないのかなと。意味がわかるでしょうか。人にやってもらうことだけを国に求めるとか、自分で国のために、地域のためにやってやるということが足りないような気を私は強く受けています。
最後、どうでもいいようなことを言って申しわけないのですが、私は天涯孤独で、小学校に入る前に両親がいなかったですから、よそのうちで育てられたのです。中学校を卒業して高校に行きたくても、お金がなくて行けなかったのですけれども、それでも中学校時代の勉強で大検は通りましたから、一応四流大学を卒業して今日に至っておりますが、16から17、1年6カ月23日、生活保護と医療扶助を受けて命をつなぐことができたのです。今は75歳になりますが、税金もいっぱい払っているし、保険もいっぱい負担しておりますし、年金はもらっていません。ということは、そのとき受けた御恩を今、国なり県に返そうということで、一生懸命働いて税金を納めるというあれなのですが、何でもかんでも国にやってくれ、やってくれというのもどうかなと。本当に水を差すような言葉で申しわけないですが。
せっかく青森から来たので、一言しゃべって帰ろうと思ってとんでもないことを言いました。
○田中委員長 ありがとうございます。
社会のあり方のほうは別として、社会福祉士に対する厳しい評価がありましたが、いかがですか。川井委員、どうぞ。
○川井委員 今の高橋委員の話を聞いていまして、教育をしても、その教育を受けた人が力を発揮する現場になっていないのかなというのを非常に感じたのです。
看護教育も1995年ぐらいからだんだん大学教育がふえていき、今では全体の半分は大学教育になっていると思うのです。その中で現場も育ってきたと思いますので、教育を受けた人が現場に入ることが先なのか、現場が育つことが先なのかというのはありますけれども、両方をきちんと育てていかないといけないのではないかと思いますので、今回のカリキュラム改正は非常に重要ではないかと思っています。
以上です。
○田中委員長 上野谷委員、どうぞ。
○上野谷委員 今おっしゃっていただきましたように、カリキュラム改正をしていただき、大学の場合は人材が輩出されるまで4年間かかりますので、今、早急に着手していただいたとしても7年後ということになります。その間さまざまな課題を解決していくためには、社会福祉士会、養成側、社会福祉法人経営者協議会、さまざまな団体と御一緒に、今の現場でお働きになっていらっしゃる方を支援し、学び直しをしていただかないといけないということになりますので、今回のカリキュラム改革は早く着手をしていただき、今、御意見いただいているようなものを実現すべく、期待をしたいと。次の委員会にぜひ期待をしたいと思っておりますので、田中先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○田中委員長 局長に言ってください。
○田中委員長 西島委員、どうぞ。
○西島委員 高橋委員からも現実のというか、身近で感じておられるお話を聞かせていただきました。私どもとしましては、今、倫理であるとか行動規範、それぞれきちっと掲げて、それを守っていこうということでやっております。私たちも基本は人の権利を守る、それぞれ幸せになれるように自分たちが少しでも支援、関わっていこうという気持ちでやっているわけですが、そういうことを感じさせてしまっているのは残念なところがあるのですが、これは真摯に受けとめさせていただきまして、私たち職能としてできること、それから先ほど上野谷先生からも御発言がございましたが、養成の段階、また事業者での実務を通して学ぶ段階。そもそも基本的にしっかりと備えておかなくてはならない内部というか、倫理や価値の問題もあると思います。そういうことが非常に大事な職種だと思いますので、努力してまいりたいと思っております。
以上です。
○田中委員長 決意表明ですね。
平川委員、どうぞ。
○平川委員 カリキュラムの見直しのところで地域における実践という方向に行くというのは大賛成であります。医療の状況を見てみますと、地域に居住先がない、もしくは家族が反対しているから、医療的には退院できるけれども精神病院に入っているという方が、調査によると3割ぐらいまだいらっしゃる。もしくは療養病床でも地域に住むところがない、居場所がないということから長期入院を余儀なくされているという方についてはかなり多くいるということからすると、地域移行の関係に資する教育を重点化するというのは大きな意義があるのではないかなと思っています。
MSWの世界で言うと、各病院の医療相談の窓口にいらっしゃいまして、そこには社会福祉士の方がかなりいらっしゃるかと思います。相当高い比率ではないかなと思います。そういった中で、退院支援ということで言うと、中心的な役割を担っていき、院内でも病棟看護師からさまざまな職種も地域移行や、それに対して目を向けるようになってきているということを考えれば、社会福祉士の配置による評価というのは相当高く評価されてもいいのではないかなと思っています。それをソーシャルワークとかそういう実践の場でさらに拡大をしていくことが重要ではないかなと思いましたので、感想として言わせていただきます。
ありがとうございました。
○田中委員長 ありがとうございます。
内田委員、お願いします。
○内田委員 全国老施協の内田です。
御存じのように、社会福祉法人の制度改革の中で地域貢献ということが今、非常に大きなテーマになっております。これがいずれ義務化されるということで、私どもはわくわくしながらそれを待っております。ただし、それに伴いまして、先ほどから議論されています社会福祉士の役割が非常に大きなものになってまいります。ですから、今後ますます多様化し、また複雑化する社会の中で社会福祉士の資質、先ほど高橋委員が言われましたような資質的な向上も含めて、カリキュラムを変える必要性、見直しも必要かと思います。
ただし、今後、福祉というのは人間にとってまさにライフラインですから、それらをつなぐ一つの役割としての社会福祉士のあり方は、一つは、先ほど平川委員もちょっとおっしゃいましたが、加算とか法定人員の中に入れ込むという評価も伴わないと、なかなか社会的地位も上がらないと思います。それらもまた御検討いただければと思っております。
○田中委員長 期待を込めて言っていただきました。ありがとうございます。
では、一わたりよろしゅうございますか。
カリキュラムの部分もあるし、社会福祉士全体の活躍の話もあるし、さらに地域の話、いろんな御意見が出ました。
事務局のまとめは特になしでよろしいですか。
○柴田福祉人材確保対策室長 はい。
○田中委員長 私も感想を一言言うと、私も大学院レベルですが、ずっと実践教育、知識の塊の人間をつくるのではなくて、実践能力を発揮できる人をつくる教育に携わってきました。そういう教育の場における研修は、現場の労働力補助ではだめで、川井委員が言われたように、現場に出て実習をしているときにそれを客観的に眺める何らかの理論的背景とか考える力があって初めて実習の意味があるので、何でもいいから現場に行って補助労働力で働いてこいでは成果の上がる実習ではないですね。それは私も痛感しております。一言だけです。
では、10分ほど残っていますが、本日の審議はここで終了いたします。
次回の開催については、追って事務局より連絡するようお願いします。
本日は、御多忙のところ、お集まりいただき、多様な御意見を聞かせていただきました。どうもありがとうございます。
(了)