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2018年7月31日 第2回労働政策審議会職業安定分科会地方連携部会議事録
職業安定局総務課公共職業安定所運営企画室
○日時
平成30年7月31日(火)15:00~16:00
○場所
厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)
○議題
・雇用に関する国と地方の連携状況等について
○議事
○阿部部会長 それでは、御出席の委員の皆様おそろいですので、ただいまから「第2回地方連携部会」を開会いたします。お忙しいところ皆様には御参集いただき、誠にありがとうございます。
議事に移ります前に、4月27日及び6月27日に委員の交代がありましたので、交代された委員について御紹介したいと思います。まず、労働者代表委員として日本労働組合総連合会雇用対策局長の漆原肇委員です。使用者代表委員として日本経済団体連合会労働政策本部主幹の原田豪委員です。委員交代の紹介は以上です。本日の出欠状況は、全委員が御出席となっております。
次に、事務局に異動がありましたので御紹介したいと思います。7月31日付けで職業安定局長に土屋喜久さんが着任されております。また、大臣官房審議官職業安定担当に田端一雄さんが着任されております。職業安定局総務課総務課長に岸本武史さんが着任されております。職業安定局総務課公共職業安定所運営企画室室長に飯田剛さんが着任されております。また、4月2日付けで職業安定局総務課公共職業安定所運営企画室室長補佐に杉原慶さんが着任されております。
それでは議題に入ります前に、土屋局長から御挨拶がありますのでよろしくお願いいたします。
○土屋職業安定局長 改めまして、本日付けで職業安定局長を拝命いたしました土屋と申します。皆様方には様々御指導いただくことになりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。この地方連携部会は今回で2回目ですが、御案内のとおり、改正されました雇用対策法に基づいて、地方公共団体の長が厚生労働大臣に対し、働く方の職業安定に関し必要な措置の要請を行うことができるようになりました。この要請を行った場合に、学識経験者の方などから措置の要否について御意見を承る場として、また、それにかかわらず雇用に関する国と地方公共団体との連携の在り方を専門的な見知から御検討いただく場として昨年から設置しております。今回も第1回に引き続き、現状について事務局より御説明し、御議論いただきたいと思いますが、私どもとしても、国と地方の雇用対策をより強固なものにしていきたいと思っておりますので、皆様方のお知恵を拝借し、忌憚のない御意見も頂ければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、議題に入ります。本日の議題は「雇用に関する国と地方公共団体との連携状況等について」です。それでは、事務局より資料に沿って御説明いただき、その後質疑に入りたいと思います。ではよろしくお願いします。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 運営企画室長の飯田です。私から、雇用に関する国と地方公共団体との連携状況等について御説明いたします。お手元の資料2を御覧ください。
1ページ目に一体的実施事業の実績等という表紙があります。まず簡単に、一体的実施事業の内容について御説明いたしますので、8ページを御覧ください。一体的実施事業については、一番上にありますように、希望する地方公共団体において、国が行う無料職業紹介等と地方公共団体が行う相談等業務を一体的に実施するものということでして、平成23年6月から実施しております。
実際に一体的実施事業がどのような特色を持ってやっているかについてです。11ページです。一体的実施事業については、県庁や市町村など、いろいろな自治体と組んでやっております。下にある地方公共団体の業務という欄ですが、地方公共団体の業務で一番多いのは、昨年度から引き続き変わらず福祉業務が一番多くなっております。その次に若者・女性・中高年齢者向けの就労支援、それ以下、事業所支援等々が続いている状況です。また、この中で都道府県では、どちらかというと地域の課題に応じてターゲットとする対象者を特定して就労支援を実施するのが多くなっています。下にある2(本来は丸付き)の若者・女性・中高年齢者向けの就労支援などは県庁などで多くやっている状況です。一方、市区町村においては、生活相談などの福祉業務を実施する自治体が多く、福祉業務などでは基礎自治体と我々ハローワークでよく連携している状況です。
また、こういった特色に基づいて、12ページですが、実際にその一体的実施事業で、支援を受けている対象者を見ても、一番初めに生活保護受給者等という形で、この中には生活困窮者等の方も入っておりますが、そういった福祉の方が主な支援対象となっております。その他、障害者や子育て中の方などが続いている状況です。
2ページに戻り、一体的実施事業の実施状況です。昨年度についてですが、まず1(本来は丸付き)、実施地方公共団体数は着実に増加しております。昨年度は173地方公共団体、331の拠点で実施しており、いずれも前年度より増加となっております。就職者数は、昨年度は約8万8,000人の方が就職しており、前年度は約7万3,000人でしたので大きく増加しております。生活保護受給者の方についても2万人の方が就職している状況です。
一体的実施事業を実施するに当たり、国と地方公共団体は運営協議会で目標を決定してやっておりまして、その目標達成状況ですが、昨年度に一体的実施事業を実施した173地方公共団体のうち149の地方公共団体、86.1%が目標達成をしている状況です。また、利用者の取組の評価ですが、利用者の方からも高い評価を頂いており、全体で95.5%の利用者の方から「満足」「やや満足」を含め、「満足」といった回答を頂いている状況です。
続いて3ページは、一体的実施事業の実績の推移です。下の棒グラフの左側は実施地方公共団体数の推移で、ずっと増加傾向にあります。また、一体的実施事業の実績は、平成28年度と比べると就職件数、職業相談件数も増加しております。就職率も昨年度と比べると若干落ちておりますが、一方でハローワーク全体の就職率は昨年度31.5%でして、やはり連携の効果が発揮され、高いパフォーマンスができているのではないかと考えております。
続いて、一体的実施事業の実施事例を2つほど御紹介いたします。まず5ページ、ハローワーク前橋と前橋市のジョブセンターまえばしが連携した一体的実施です。こちらの事業については、ジョブセンターまえばしで若者や求職中の女性を対象としてキャリアカウンセリングやセミナーといった入口の部分をやっていただき、その後、ハローワーク前橋で職業紹介のマッチングをすると。その後、職業紹介した後の定着支援又はカウンセリング等はジョブセンターまえばしで行っていただいているという形で、連携して進めている事業です。
6ページは、東京都豊島区の生活困窮者の自立支援事業ということで、自立相談支援機関を設けて、そちらの機関とハローワークが同じフロアの中に入り一体的支援を行っています。まず豊島区の自立相談支援機関で相談等し、そういった中で就労支援が必要だと判断された方については、ハローワーク池袋できめ細やかな就職支援を行っております。左側に取組内容という形で青枠がありますが、こちらの就労支援に当たり、対象者の情報などをきめ細やかにハローワークと自立相談支援機関で共有しながら就職支援を進めている状況です。一体的実施事業については以上です。
いずれにしても一体的実施事業は、国と地方公共団体の連携を強化するための取組ということで、平成23年6月から着実に成果を上げております。また改正雇用対策法でも、一体的実施事業ということが盛り込まれたわけでもありますので、引き続き私どもとしても、一体的実施事業でしっかりと成果を上げられるように、地方公共団体と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
続いて、その他の連携状況です。14ページ、国と地方公共団体の雇用対策協定の締結状況の推移を示しております。こちらも平成21年度から徐々に増えてまいり、昨年の段階では、まだ都道府県庁の中で4つほど締結されていない所もあったのですが、今年までに全て締結し、164の地方公共団体と国で雇用対策協定を結んでいる状況です。
17ページ以降は、国と地方公共団体との連携による雇用対策の実施事例について4つほど御紹介いたします。まず1つ目は、埼玉県志木市と埼玉労働局のハローワークが中心になりつつ、ハローワーク池袋などと連携しているのですが、志木市をはじめとした埼玉県朝霞市、志木市、和光市、新座市は、朝霞4市といって地域的に非常に結び付きが強く、豊島区、板橋区、練馬区とも隣接しており、そういった中で、県をまたいで朝霞4市とハローワーク朝霞、池袋、あと朝霞地区の雇用対策協議会という経営者団体の方の団体と連携し役割分担しながら、シニア向けの就職面接会をしたということです。正にこの地域は、65歳を超えても働きたいという高齢者がある程度いる一方で、管内の企業の人手不足が強くなっています。こういった形で連携し、就職面接会をして就職につながってきているということです。効果を見ますと、約30名の方が採用されたということで成果が出ている状況です。
18ページは、岐阜県郡上市とハローワーク岐阜の岐阜八幡の事例です。どちらかというと若い方、高校卒業後、大体8割ぐらいの方が郡上市から外へ出てしまうという状況を踏まえ、早い段階から郡上市の企業のことを知ってもらおうということで、小学生を対象に市内の産業紹介のDVDを作成、配布したり、あるいは中学生や高校生にも企業見学会などを行い、その後そういった形で意識付けをした後、ハローワークで管内の企業の紹介をするといった取組をしております。下に効果とありますが、こういった意識付けを継続的に実施した結果、管内の就職率が増加したということで、平成20年では39.8%だったのが平成29年では57.8%まで数値が上がってきているといった成果が見られております。
19ページ、3つ目の事例です。最初の志木市や朝霞市の事例は県をまたいだ事例でしたが、こちらは京都府の中で、京都府と宇治市、城陽市、久御山町、宇治田原町といった府の中で、基礎自治体と一緒にコラボレーションしたということです。今、御紹介した2市2町と京都府、ハローワーク宇治、商工会議所等で役割分担をしながら、ものづくり企業の説明会をし、下の効果にもありますが、62人の求職者が参加したということです。こういった形で、県内だけの「オール地元」で会社説明会を共同開催したという取組の事例です。
20ページは、沖縄県浦添市と沖縄労働局ハローワーク那覇の取組です。浦添市でも保育士不足により、児童定員割れが起きている状況で、保育士確保は喫緊の課題という中で、大きく3点やって保育士確保に努めているという事業です。
まず、1番目に保育士でなくてもできる仕事を切り出す、例えば、遊具の洗浄や行事の下準備などについて、シニアの無資格者の方でも仕事ができることを整理し、その補助事業に必要な技能を、私どもの高齢者スキルアップ事業という形で、講習でまず身に付けていただいて面接会に送り込みます。
2つ目は、浦添市内の保育園園長会と公立保育所所長の所長会で、保育士の働き方改革宣言を行い、右に写真がありますが、この保育所1つ1つで働き方改革宣言、自分たちはこうするという宣言をしていただいたという状況です。
3番目は、潜在的な保育士とこういった保育所をマッチングするための「見える化」の面接会を開催し、各保育所でこういった働き方改革をしているということを「見える化」すると同時に、その保育園で働いている保育士の方が常駐して、求職者の方がいた場合に、いろいろ御説明、御相談、質問に対応できるような形をしたということです。下に効果とありますが、保育の補助者の方は15人参加し6人採用、また保育士面接会についても85人参加し16人採用といった成果が出てきているという状況です。
23ページは、平成28年5月の第6次地方分権一括法に伴い、地方版ハローワークが創設されたわけです。地方版ハローワークの設置事業所数について、23ページの下に設置状況及び実績等と書いてありますが、設置事業所数が734所で、こちらも着実に増加してきております。また地方版ハローワークの主な実施目的ですが、例えば特定分野への職業紹介、特定の対象者の職業紹介、県内企業の人材確保支援、近隣にハローワークがない住民の方へのサービスといったこととなっております。
24ページ、地方版ハローワークの実施例という形で2つほど御紹介いたします。大阪府豊中市や鳥取県北栄町はいずれも、生活困窮者自立支援事業とリンクする形でやっているものです。まず大阪府は、2つ目の○ですが、生活困窮者自立支援事業の中でも、就労準備支援事業による就労体験を民間事業者の協力を得て実施しているそうです。こちらの民間事業所においては、自社で働けるかの視点で支援を行い、就労の可否を素早く判断し、可能であれば地方版ハローワークを活用し一般就労につなげていき、一般就労に馴染みそうな方は早期につなげていくという一方で、3つ目の○ですが、まだ少し一般就労や一般の求人条件では難しい就職困難者の方に関しては、労働条件を柔軟に緩和した上でマッチングを実施しているという事例です。
鳥取県北栄町は、まず地域づくりとして農作業や農業を振興したいという思いと、一方で生活困窮者の支援も進めていきたいといった思いがあり、2つ目の○ですが、県と連携し生活困窮者自立支援事業の就労訓練事業を通じて実施する地域づくりに対する補助事業をまず実施し、その補助事業の対象となった農作業をメインとした事業所が認定就労訓練事業となり、こちらの事業所に対し、地方版ハローワークが生活困窮者の方に雇用型の訓練を斡旋するということで、こういった農作業の場で雇用型の訓練の場と地域づくりが一体となってできているといった事例です。
最後に、ハローワークの求人求職情報の提供の状況について御説明したいと思います。25ページのハローワークの求人情報のオンライン提供についてです。労働市場全体としての求人求職のマッチング機能を強化するために、ハローワークが保有する求人情報をオンラインで平成26年9月1日から提供しています。こちらも平成30年6月1日時点で1,449の団体が利用されており、前年が1,330ですので増加傾向にあるということです。また、こちらのオンライン求人情報を使った採用決定数が6,821件となっております。こちらも前年度は約6,000ですので、順調に増加してきているところです。
次に、ハローワークの求職情報の提供サービスについてです。ハローワークの求職情報の提供は、希望する求職者に対し、ハローワークシステムに登録された求職情報について、個人情報等を除いた上で求職情報提供サイトに掲載するという形でやっております。26ページ、利用状況ですが、対象団体数が433となっており、前年は420ですので、こういった団体数も増えてきている状況です。少し駆け足となりましたが、雇用に関する国と地方公共団体との連携状況については以上です。
○阿部部会長 それでは、ただいまの説明に関して、御意見、御質問をお願いいたします。
○中澤委員 2ページです。2(本来は丸付き)に平成29年度は約8.8万人が就職されたと書いてあり、その下に※で、一体的実施事業では地方公共団体と国で構成する運営協議会で年度ごとに事業目標を設定と書いてあります。この年度目標は、例えば法律なり何なりでどのようなことを書かなければいけないというような制約はあるのでしょうか。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 基本的には、実施する自治体と国で話し合って決めるものです。先ほど例でも紹介しましたが、例えば5ページですが、セミナーの回数、セミナーの人数や目標、あるいは6ページでは、支援対象者数や就職率となっています。大体、セミナーの回数、利用者の数、就職率ということを決めることが多いと承知しております。ただ、いずれにしても、国からこのようにしなさいということはありません。
○中澤委員 そのレベルというのでしょうか、例えば参加者の何パーセントを就職に結び付けるとか、数値的なものも特段求められてはないのですね。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 国からはありません。ただ逆に、地方公共団体からやりたいという形でやっておりますので、そういう思いを酌みながらやっているという状況です。
○中澤委員 一体的実施事業と、その後に御説明いただいた連携協定に基づく取組はどちらもメニュー的にバラエティに富んでいます。お話をお聴きしていていると、区別が付けられないものであると受け止められてしまうのですが、これが一体的実施事業であり、こちらが連携協定に基づく取組であるという、何か区分の尺度があるようであれば教えていただけないでしょうか。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 一体的実施事業を行う場合は、雇用対策の協定とは別に、一体的実施をやるために国と自治体で協定を結んでおりまして、少し形式的なのですが、そこが差になるのかと思います。一方、それ以外に、国と地方公共団体の雇用対策協定では、もう少し広くいろいろな部分で連携していこうということもあります。
一体的実施事業は、先ほども説明しましたが、どちらかというと福祉等を中心に、ここの中できちんと連携するということが多いのです。一方、雇用対策協定は、例えば地域の実情に応じて、うちはU・I・Jターンも重要だし高齢者の就業促進も必要だとなると、そういうことが協定に書かれていますので、そういうことが協定になりましたら、きちんと国と地方自治体で連携してやっていくという形だと思います。
○中澤委員 そこは、協定の中にどのように書くかによって。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 そうです。
○中澤委員 なるわけですよね。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 はい。やはり、雇用対策協定の中身次第かと思います。
○阿部部会長 よろしいでしょうか。
○中澤委員 はい。
○三島委員 連合愛知の三島です。愛知の実情なども含めて、要望と質問をいたします。まず、1つ目は、一体的実施事業については非常に良い取組事例もあるものですから、これを水平展開と言いますか、各地域も含めて落としていただけると非常に参考になると思いますので、是非そのことを要望申し上げたいということです。
2つ目、一体的就労実施は愛知県でも8自治体が行っておりますが、行政がその気になってやらないとなかなか拡大されないということがあります。ただ一方で、愛知県の場合は生活保護の方が多いのですが、就職者数の点ではどうしても頭打ちという実情があります。加えて、65歳以上の方が増えているという実情の中で、愛知県も生活保護受給者と一般求職者への対応に特化しており、全国で下から2番目となる障害者雇用率の低さや、若者、子育て女性などを含めて、一部の他府県の自治体ではそうした方々への支援もなされているようです。
愛知県もそちらのほうになかなかシフトできないのですが、是非今の課題や雇用情勢の中で、特に障害者や若者、女性などの事業に何とかシフトできるような誘導をお願いしたいところです。当然、愛知県でもできないかという働き掛けはしているのですが、12ページでいうと、2、3、4番、愛知では1、5番しかやっていないものですから、できれば、そちらに誘導できるような御指導と、さらに市町村へのアプローチ、特に市町村でいうと、どうしても福祉中心の所が実情です。現状として、本当に就職させてあげたい皆さんに何とかできないかという悩ましい課題を持っていますので、是非、そのことをお願いしたいということです。
加えて、少し細かくなるのですが、10ページの下線部分の地方公共団体は、運営協議会に労使の代表が参加している所ですが、圧倒的に地方労働審議会への説明が多い状況にあります。私も愛知県の地方労働審議会委員なのですが、現実は、行政の運営方針が中心でなかなか説明されていないということと同時に、愛知県では運営協議会があり、当該の地域における私どもの地域協議会が参加しています。そうなると、極めて運営協議会が大事ですし、地域の労使が参加してPDCAを回しているという実情を考えると、できるだけ一体的事業で運営協議会が設置されるような御指導と、できるだけ労使の代表が入って地域でPDCAを回せるような要請をお願い申し上げたいと思っています。全国的には余り運営協議会ができていないということを知りましたが、うちも少しできていない所があるものですから、その運営協議会への御指導もお願い申し上げたいというところです。
また、最近の雇用情勢などを踏まえると、どうしても支援者数が変動しているという実情があります。バーとしては300人で1人というようなバーがあったりするのですが、変動の中で予算確保が極めてシビアだという声も聞こえてくるものですから、是非、予算はきちんと担保していただくように、変動に応じて指導員が減る減らないという課題があるという話も少し聞こえてくるものですから、是非、予算の裏打ちをお願い申し上げたいと思います。
最後に、協定の話について、47県が全てできたということは非常に良い話であり、市町村も拡大しつつあります。愛知県では瀬戸市しかありませんが地域ではこの協定がなくてもいろいろな施策をハローワークと一体的にやっており、実際にこの協定が必要なのかという話もあります。今後は更に市町村も含めて拡大していく方向なのか、また、国としてどのように指導していくのか、市町村にお任せするというスタンスなのか。私どもとしても地域でこの宣伝をすると同時に、市町村でもこうした協定を結ぶという運動をするのかどうかという認識が欲しいものですから、教えていただければと思います。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 まず、頂いた御意見を受け止めて、こなせる部分はしっかりこなしていきたいと思います。いずれにしても、こちらの事業については、まず地方公共団体から働き掛けでやっているという面も大きいものですから、今、事業をシフトしていこうという話、あるいは、運営協議会を持って労使を絡めていったほうがいいという話があります。正に地元、地元で労使や関係者が顔を見る形を作り、その中でこのように話合いを進めながら、徐々に進んでいくものなのかと考えています。私どもとしても、こういう御意見があったことはきちんと伝えてまいりたいと考えております。
協定の関係です。国と地方公共団体が連携して効果的な雇用対策を進めていきたいと考えております。国としては、可能な限りやっていきたいということで、ウェルカムという形で考えております。予算の関係は、厳しい財政状況ですが、可能な限り予算をしっかり取って、一体的事業では、基本的にニーズを踏まえてできるような形で対応していきたいと考えております。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。その他いかがでしょうか。
○青木委員 1点、要望という形でお願いできればと思います。一体的事業について、好事例という形で様々に御紹介いただきました。このハローワークと地方自治体の連携ということでは、利用者の方のニーズに合ったサービスを展開するということで、就職数の押し上げにもつながっているという印象を受けました。
ただ一方で、今後一体的事業を行う自治体が増えていったとき、好事例ということであればだんだん増えていくことも予想されるところだと思います。一方で、ハローワークのスタッフは限られた人数で対応しており、本来の調整業務なども行いながらという形でいくと、ハローワークごとの規模や一体的事業の展開状況などを踏まえながら、必要に応じた体制整備も必要なのではないかと思います。状況を見ながらだと思いますが、そうした配慮もお願いしたいと思います。
○阿部部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○漆原委員 26ページのハローワークの求職情報提供サービスの利用状況の2つ目の○の数字を、どのように見るのかというところをお聞きしたいと思います。1.2%ということで、その内訳が書いてある下に※で提供不可が43万人で、分類不能が2.1万人となっており、提供した人数より多い状況にあります。ここの提供不可というのは、個人情報の関係でなかなか難しいのか、何かほかの理由があるのか、分類不能というのはどういうものがあるのかお聞きできればと思います。
○阿部部会長 では、お願いします。
○小野寺首席職業指導官 まず、提供不可としている部分についてですが、当然、求職情報については個人を特定できる情報は排除しており、個人が特定できない情報として、自治体や民間人材ビジネスに提供することの可否を聞いております。個人情報であるかないかではなくて、そもそも、このサービスを通じて情報提供することを可としていないということです。
分類不能についてですが、求職申込みをした段階で、このサービス利用について可否をお聞きしているのですが、恐らくそのタイミングで把握できないかったケースかと。細かくは分からないのですが、その段階で確認が取れなかったケースなのかと思います。
○阿部部会長 よろしいでしょうか。
○漆原委員 はい。
○阿部部会長 ほかはいかがでしょうか。
○和合委員 先ほど御説明いただいた中で、一体的実施事業は、国から地方というよりは地方自治体が中心になって行うと理解すればよろしいでしょうか。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 一体的実施事業は、まず国が無料職業紹介をやった後、それ以外の地方公共団体特有の状況に応じた業務を組み合わせて一緒にやることで、効果的な就職支援をしようということです。
○和合委員 それは、地方からある程度、発信する必要があると思います。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 やはり、地方からのお話ですね。
○和合委員 私たちも福島の中で様々な活動を行っていますが、やはり自治体・企業・ハローワークがなかなか一体的に機能していない、または機能できないという現状があると思います。私たちも商工会議所を中心としながら企業や学校と連携をし、ハローワークや県にも参加していただいて事例や就職活動の方法等に関して議論をしていますが、それ以上の発展になっていない課題があります。
私たちは地方公共団体や県に対しても話をするのですが、こうした連携を強化する環境整備があれば良いと考えます。同時に、今ここに御紹介されているような案件を、どんどん地方公共団体にも周知いただければ有り難いと思いますので、お願いいたします。
○阿部部会長 ありがとうございます。では、小山委員、お願いいたします。
○小山委員 連絡会における地方側の意見を取りまとめてまいりましたので、その報告を申し上げます。大きく3点あります。
1点目は、先ほども出ておりましたが、求人情報のオンライン提供と求職情報の提供サービスについての意見です。平成31年度にハローワークシステムの更新が行われるとお聞きしております。求人情報の地方への提供範囲の拡大について、地方からの意見を踏まえて、平成28年12月に検討会の報告書が出されました。それに基づいて、システム更新の詳細が決められていると思いますが、地方が求めてきた事項、例えば、求人情報の地方自治体への提供割合をできる限り100%とすることなどについて、どのような改善となっているか、システムを実際に使う地方自治体に対しても、今後随時説明していただきたいと思います。また、求職情報の提供サービスについても、地方版ハローワークには求職者の情報を原則提供いただけるシステムとなるよう、見直しを図っていただきたいと考えております。
2点目は、企業人材確保の支援とU・I・Jターン支援についてです。地方自治体が、地方版ハローワークや一体的実施において、今、力を入れているのは、まず企業の人材確保の支援です。昨今の雇用情勢を受けて、企業側に積極的にアプローチし、どのようにすれば企業が人材を確保できるか支援しております。また、若者の大学就学をきっかけとした都市部への流出が課題となっており、U・I・Jターン支援にも力を入れているところです。
国においても、求人企業側への支援やU・I・Jターン支援で地方と連携を強化する具体策、例えば、U・I・Jターン支援を目的とした企業情報の提供のために行う県外大学訪問について、地元ハローワークの職員が同行できるようにするなど考えていただけないかと思います。また、ハローワークシステムの更新においても、U・I・Jターン希望者を抽出できるように、マッチングしやすい設計となるよう工夫いただきたいと考えております。
3点目は、人的財政的支援についてです、地方版ハローワークが始まり間もなく2年となり、市町村でも新たに60以上の事業所が開設されるなど取組が広がっております。人材育成のために研修を受けさせようとすると、地方から大都市に出張させることが必要です。これだけ裾野が広がれば、国と地方の連携策の一環として、スキルアップ研修を都道府県単位で開催できるように協力していただきたいと考えております。
最後に、厚生労働省においては、引き続き特別交付税措置の確保、拡充を働き掛けていただき、現在、地方版ハローワークでの活用事例もある地域活性化雇用創造プロジェクトについても、事業実施期間が最大で3年間とされていることから、その後も継続できますように財政支援措置について御尽力いただきたいと考えております。以上、3点です。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部部会長 ありがとうございました。
○小野寺首席職業指導官 それでは、1、2点目の主に求人情報オンライン提供と求職情報の提供について、お答えいたします。
御指摘のように、平成32年1月を予定している次期ハローワークシステムにおいて、平成28年に頂いた報告書を踏まえ、改善の検討を行ってきております。頂いた要望の中で、求人票に記載されていない情報も含めて詳細情報が欲しいという御意見もあります。この辺りは、次期システムにおいて求人票自体が非常に充実され、今の倍くらいの分量で様々な情報提供ができるようになりますので、その辺りで十分に対応できるかと思っております。また併せて、利用の拡大については、求人受理時のみならず更新の際にもお声掛けをするということで利用の促進に、これは既に措置済みですが、対応しております。
それから、特に求人情報提供については、利用の状況も7、8割と上がってきておりますので、次期システムにおいては、提供先の選定に当たって、提供したくない所にチェックを入れるというネガチェック方式に変え、より一層、利用の活用に促進してまいりたいと思っております。その際に、地方公共団体だけではなくて、地方版ハローワークも併記することを考えております。
一方、求職情報については、先ほども少しお話がありましたように、まだ活用が1%強ということで、まず、ここの部分の利用促進を図っていくことが先決かと思っております。いずれにしても、求職申込みに際して窓口で「利用しますか」という確認を取るのではなくて、申込時点に御本人が利用規約等をじっくり確認して、時間を掛けて検討できるような形の入力方法に改めてまいりたいと思っております。これも併せて、利用の促進につながるかと思っております。頂いた御要望について、次期システムでどのような形で改善措置を図るかということについては、改めて情報共有を図らせていただきたいと思います。
2点目のU・I・Jターンの求職者の検索についてです。これは、今でもU・I・Jターンの希望者ということで検索の機能が付いております。一方、就業希望地は、都道府県等について自由記載になっておりまして、ここが確実にその情報を取れないという状況が生じている部分かと思います。次期システムにおいて、就業希望地については、プルダウン方式で正確に情報を入力するような形を取っておりますので、その辺りでU・I・Jターン希望者の検索が確実にできるようになるかと思っております。私からは以上です。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 今、担当が回答申し上げましたが、それ以外のものについては担当課にも伝え、今後検討してできることは対応してまいりたいと思います。
なお、現時点でのお答えですが、U・I・Jターンの支援の関係で、県外の大学に行かれるときに、多分ハローワークの職員が付いていけないかという御要望かと思います。こちらも担当課と相談して、何ができるか検討していきたいと思います。労働局やハローワークに相談されればできる可能性もありますので、同時並行で労働局、ハローワークにも御相談いただけるとよろしいかと思います。
また、地方版ハローワークの関係で研修の講師をという話もありました。既に局から研修の講師等を派遣しているところなので、こちらも労働局等と御相談いただければと考えております。
最後に、従前から御要望いただいている財政措置の関係です。地域活性化雇用創造プロジェクトにおける再応募の可否について、今後検討してまいりたいと考えております。その前身の戦略産業雇用創造プロジェクトと同様に、一定の要件を課すことで再応募を認めるということが想定されますので、まず現時点の地域活性化雇用創造プロジェクトをしっかり取り組んでいただくことが重要ではないかと考えております。なお、こちらのプロジェクトの実施に当たり、労働局の支援が必要な場合には、当然随時対応してまいりたいと考えております。
地方公共団体で行われる地方版ハローワークの無料職業紹介については、地域の実情に応じた創意工夫による無料職業紹介を積極的に行えるように、無料職業紹介等に要する経費について、特別の地方交付税措置が昨年度から講じられていると思います。私どもから総務省にお願いしており、今年度についても交付予定と聞いておりますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○阿部部会長 ほかにいかがでしょうか。
○原田委員 ご意見を申し上げます。最近、地方の企業や経済団体からは、人材の確保に苦慮しているとよく伺います。この点については、就職支援と雇用対策が重要になると思います。資料の17ページに、複数のハローワーク、複数の自治体が連携する事例がありました。このように広域で連携する中で、ハローワークと自治体のそれぞれが持つ強みを発揮することで、きめ細かな対応が可能になりますし、それによって就職につなげられると思います。こうした好事例を、より全国で共有する形で進めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部部会長 ほかにいかがでしょうか。
○漆原委員 今、U・I・Jターンのお話がありました。実は、連合はふるさと回帰支援センターというNPO団体と協力関係があり、ハローワークもそうですが、地方自治体の皆さんの御協力を得て、U・I・Jターンの拠点を東京や大阪に設けて推進しているところです。そこでもハローワークの情報を活用させていただいており、もちろん、その場に地方公共団体の皆さんも参画し支援を行っています。
最近はU・I・Jにプラスして、孫ターンというおじいさんやおばあさんの元に帰るということもあり、そういうことも積極的に進めております。さはさりながら、都道府県間の求人が分断されずにユニバーサルサービスとしてハローワークがあるという意義も含めて、そういう活動をやっていると感じております。東京で出される求人の4割が東京外の求職であったり、あるいは東京のハローワークで受理した求人の3割は勤務地が東京外だという状況にあります。そこの地域で、例えば地方版ハローワークで近隣にハローワークがない住民にサービスするのはとても重要で、正に欠かすことのできないことだと思います。やはり、国としてのユニバーサルサービスは、そのまま維持していただければと思うところです。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○中澤委員 9ページに一体的実施事業の進捗状況ということで、都道府県33、市区町村140、トータル173というものがあります。一方、14ページに、国と地方公共団体の雇用対策協定締結の状況があり、都道府県47、市町村117ということで、この2つの状況を併せて見たときに、いわゆる一体的実施事業をやっていない都道府県は47-33=14、それから一体的実施事業をやっているけれど、雇用対策協定を結んでいな市区町村は140-117=23ということで差があります。この辺りは、厚労省としてどのような要因が存在するとお考えでしょうか。
それぞれの内容が違っているのはよく分かっているのですが、基本的に地方と国の連携という観点から、この2つのものが合わせ持って動いているのであれば、本来ならば一体的に動いているのが望ましいのであろうという前提で、この格差というか乖離にどのような要因があるのか、何か御存じであればお聞かせいただければと思います。
○杉原公共職業安定所運営企画室長補佐 一体的実施事業と雇用対策協定の乖離については、例えば、一体的実施事業をやっていて、その中でうまくいっているので雇用対策協定は結ばずというところや雇用対策協定を結んで、かつ、一体的実施事業もやろうというところなど自治体によって様々なので、一概にお答えできない状況です。
○中澤委員 そこのところに、今後2つの柱に基づく取組みを拡大していく上での隘路みたいなものがあれば、お調べいただき、それを取り除く御努力をされることが必要なのではないかと思います。
○阿部部会長 ありがとうございました。私の理解では、雇用対策協定というのは地方公共団体と国とがそれぞれの役割を果たして雇用対策に取り組むわけです。一体的事業は、本当に事業そのものを1つでやっていくので、少しその差はあると思います。今、御説明があったように、一体的事業をやるから雇用対策協定はその中に収まっていると考えている自治体、特に市町村が多いと思うのですが、そういう所はそこで間に合っていると理解していいのではないのでしょうか。
○中澤委員 そういう感覚を持っておられるのかもしれないですよね。
○阿部部会長 ただ、都道府県になると圏域が広がりますので、その中でやっていくときには、一体的事業をやりつつ全体としての対策協定を結ぶという理解でいいのかと思っています。ただ、実際その辺りについて、どのようになっているのかヒアリングできれば、また情報を出していただければと思います。
その他いかがでしょうか。今、地方の雇用が非常に弱っているというのでしょうか、求人がありながら求職者がいない、人手不足感も都市部よりは地方部のほうが大きく、U・I・Jターンの問題もあると思います。今、一体的事業及び地域との雇用対策協定は、非常に重要な雇用政策として考えていいと思います。これは年に2回やるのでしょうか、1回でしょうか。
○飯田公共職業安定所運営企画室長 1回です。
○阿部部会長 また来年になると思うのですが、どのような好事例が出てくるのかということは非常に興味がありますので、引き続き、皆様から御意見を頂き、地方での雇用がもっと良い方向にいくように政策を打っていただければと思います。もし、これ以上御質問がなければ、本日はこれで終了させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
これで本日の議事は終了いたします。本日の署名委員ですが、労働者代表の青木委員と使用者代表の中澤委員にお願いしたいと思います。非常にお忙しい中お集まりいただき、また、御活発な御意見を頂戴いたしましてありがとうございました。第2回労働政策審議会職業安定分科会地方連携部会を終了いたします。
厚生労働省職業安定局総務課公共職業安定所運営企画室企画係
TEL:03-5253-1111(内線:5683)
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