ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会)> 第12回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2017年2月15日)




2017年2月15日 第12回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録

○日時

平成29年2月15日(水)12時30分 ~ 14時00分(目途)


○場所

全国都市会館 大ホール(2階)


○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 河野雅行 清水惠一郎
高橋直人 幸野庄司 村岡晃 宮澤誠也
中村聡 往田和章 小谷田作夫 竹下義樹(代理)
<事務局>
鈴木保険局長 濱谷審議官 城総務課長 矢田貝保険医療企画調査室長 他

○議題

1.療養費検討専門委員会における論点・主な意見・更に議論いただきたいこと
2.不正請求等の該当なしと報告のあった後期高齢者医療広域連合の状況について

○議事

12時30分 開会


○遠藤座長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第12回「社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 初めに、委員の出席状況について御報告をいたします。本日は、新田委員、原田委員、飯山委員、後藤委員、糸数委員が御欠席です。

 また、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りしたいと思います。糸数委員の代理としまして、竹下参考人御出席につきまして、御承認いただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 本日の議題は1「療養費検討専門委員会における論点・主な意見・更に議論いただきたいこと」、2「不正請求等の該当なしと報告のあった後期高齢者医療広域連合の状況についての以上の2つを議題としたいと思います。

 事務局から全体の資料の説明をいただいた後に、御議論をいただきたいと思います。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

○保険医療企画調査室長

 それでは、あ-1の資料をごらんください。

 おめくりいただきまして、1ページ目からでございますが、一番左側に「論点」、2つ目の欄に前々回、前回の専門委員会における主な意見、特に前回の意見につきましては、机上のものは青で書いてあるところでございます。さらに右側に「更に議論いただきたいこと」と整理しております。

 まず、論点の1番目「架空請求・水増し請求」についてでございますが、前々回の意見は省略いたしますが、前回の意見、一番下でございますが、「架空請求・水増し請求の不正請求がこれまであったということであり、国保や後期で療養費に非常に多くの金額を使っているという実態からすれば、柔整に適用できなくても、あはきでも不正対策と言うことは先行してやるべき」との御意見をいただいております。

 右側の「更に議論いただきたいこと」の欄で「架空請求・水増し請求を防ぐため、患者本人による請求内容の確認を徹底することとしてはどうか」と記載してございます。

 2つ目の論点「虚偽理由による保険請求」でございます。これも、次の2ページの一番下をごらんいただきますと、前回の御意見といたしましては、医師の同意書につきましては「現状は単純に施術について必要性を認めるだけの同意になっているが、例えば施術回数であるとか、必要な状況ということを記載するといった仕組みが構築できないか、検討いただきたい」ということで、医師の同意のあり方について検討すべきという御意見をいただいております。

 1ページ目、一番右の欄でございますが、「虚偽理由による保険請求を防ぐため、医師の同意と、再同意のあり方を検討することとしてはどうか」と書いてございます。

 2ページ目、真ん中の欄「長期・頻回の施術」でございます。

 これにつきましては、一番右「更に議論いただきたいこと」でございますが、「1年以上かつ月16回以上」、これは左側にございますとおり、月ベースという御意見を踏まえまして「月16回以上の施術について、支給申請書に施術の必要性を記載させるとともに、患者の状態を記載させ、疾病名と合わせてその結果を分析した上で施術回数の取扱いについて検討することとしてはどうか」と記載してございます。

 2ページの一番下、4「往療について」でございます。

 前回「不正の仕組みとして、1つの施設等に対して往療に行って、いくつかの保険者に分けて往療料を請求していると報じられているが、これは保険者機能をいくら強化しても確認することはできないので、様式の見直しとともに、統一的に何らかのチェックする仕組みが必要。システム化を含めてチェックできるような仕組みづくりを考えるべき」という記載がございます。システム化につきましては、後ろのほうの項目でも記述がございます。

 一番右の欄「往療料の不正を減らすため、支給申請書に同一日同一建物に往療した場合の記載と、施術した場所を記載させる欄を設けることとしてはどうか」と記載してございます。

 3ページ目、論点5「療養費の審査体制」でございます。

 前回「審査基準が曖昧だと、審査会を作ってもなかなか難しい。審査会をつくるには経費がかかる。不正が減って費用対効果がでるとか、抑制効果が働き経済的効果がでるとかは、なかなか見えにくいが、それでも審査会をつくるのであればどうつくるか。その根本となる審査基準をどうするかという議論が必要」。

 「審査についてのシステム化、電子レセプトにして、保険者の審査をしやすくすることも検討すべき」という御意見がございました。

 右の欄ですが「審査体制を強化するため、審査会を設置して審査できることとしてはどうか」。

 「審査のシステム化について、どう考えるか」と記載してございます。

 3ページ、真ん中、6「地方厚生(支)局による指導監督」でございます。

 右の欄に「受領委任制度を導入することにより、地方厚生(支)局による指導監督を行えるようにすることについて、どう考えるか」とございますが、これにつきましては、前回も議論がさまざまございましたので、6ページ以降に整理してございますので、追って御説明させていただきます。

 3ページの一番下、7「施術管理者の登録・要件強化について」でございます。

 前回「研修を重ねて不正及び不適がないような仕組みを受領委任でお願いしたい」「日本鍼灸師会は各県で会員向けに研修を行っており、保険についての認知をさせる努力をしている。ほとんどの市町村では代理受領を認めてもらっている」という御意見がございました。

 右の欄でございますが、「受領委任制度を導入することにより、施術所・施術管理者を登録する仕組みや、施術管理者に研修受講や実務要件を課す仕組みとすることについて、どう考えるか」と記載してございます。

 おめくりいただきまして、4ページ目、8「請求方法・不正の発生」でございます。

 真ん中の欄の2つ目の「代理受領では資格のない請求代行業者も請求できることが問題になっている」。

 3つ目の「代理受領委任は、誰が代理してもいいというのが問題。施術をしている人間が責任を持つ制度にしないと、施術者の不正を取り締まれないのではないか」。

 4つ目、一方で「受領委任を広げたらどういうことが起こるかというと、給付費が増えて不正請求が増えるのみ」。

 「厚生局に情報提供があったもののうち受領委任の取消しに至ったのは3%であり、その3%のために受領委任を入れたら、医療給付費は増大するし、不正請求も増大する。行政が指導すべきは、保険者機能を強化するということ」。

 その下の欄、9「給付費」についてでございますが、前回、真ん中の欄の3つ目でございますが、「広島の事例については、適正化が図れた、支給額が減ったという見方がある一方で、心理的な受療抑制があるととらえることが自然ではないか」という御意見。

 一番下に、一方で「広島の事例では、患者が請求するので保険者が患者と話をしやすく、そこで療養費について患者が知ることになる。療養費については、患者が請求するのが、一番効果的」という御意見がありました。

 さらに次の5ページに、10番の「患者の利便性」についての記述がございますが、これらをまとめまして、4ページの一番右の欄でございますが、「償還払いよりも、代理受領・受領委任の方が、架空請求や水増し請求、給付費が増えるという指摘がある一方、患者の利便性が高いことについて、どう考えるか。代理受領では、施術者以外の者も請求代行できることについて、どう考えるか」と記載してございます。

 5ページ目、真ん中、11「償還払いに戻せる仕組み」でございます。

 真ん中の欄「不正請求というのは詐欺なので、だまそうとする意思を証明するのは非常に難しい。手技は形に残らない。受領委任は便宜供与の制度なので、請求についてある程度の制限を設けて、ある程度の少ない請求だったら認めるけど、非常に過剰と思われるような請求だったら、便宜供与を認めない。そういうふうにすっきりつくった方が、シンプルにやれるはず」という御意見がございました。

 右の欄「受領委任制度を導入した場合、問題がある一部の患者について償還払いに戻す仕組みについて検討することとしてはどうか」と記述してございます。

12番「保険者の裁量」でございます。

 右の欄「いかなる支給方法にするかについては保険者の合理的な裁量に委ねられていること、受領委任制度は保険者が地方厚生(支)局・都道府県知事に委任することが端緒とされていることについて、どう考えるか」と記載してございます。

 6ページが、まず「受領委任制度全体・柔道整復との比較について」という欄でございますが、おめくりいただきまして、7ページに前回の意見を記載してございます。

 7ページの一番上「訪問看護療養費をみると、不正については、現物給付そのものが問題ではなくて、制度建ての問題ではないか」。

 次の「柔道整復をしなければあはきの方ができないということではなくて、両方並行して適正化すべき」という御意見。

 その下「あはきは、患者さんのチェックも月末にあるし、医師の同意書があって、口頭同意も3か月毎に主治医に頂いているということでは、全く違う」という御意見。

 一方で「柔整の問題は指導監督で解決できるものではない。指導監督を入れれば全て問題が解決するということではなく、指導監督を入れても解決しない問題をどうするかから議論を始めるべき」。

 「訪問看護療養費にはがちがちとした施設基準等があるが、療養費は支給決定の判断は保険者に委ねられているもので、全く違う」。

 また、「柔整に適用できなくても、あはきでも不正対策と言うことは先行してやるべき」という御意見がございました。

 ここでは、さらに議論をいただきたいことを、6ページ、右欄「柔道整復療養費と並行して、あはき療養費の不正対策についても検討・強化することについて、どう考えるか」。

 「あはき療養費について、不正を減らし質の高い施術を確保するため、不正対策や指導監督の強化などの見直しを総合的に行うことについて、どう考えるか」と記述してございます。

 7ページの下の段でございますが、新たな前回ございました論点といたしまして「保険者機能の強化と厚生局による指導監督の必要性」の議論がございました。

 真ん中の欄でございますが、1つ目の「保険者によって、療養費について非常に厳しく取り扱われる場合と、包み込むように優しく取り扱われる場合がある。国民の医療という点でみるならば、平均化していくべき。国がその調整をすべき」。

 2つ目「神奈川県では、保険者機能で不正が発覚したが、さらに厚生局に対して受領委任契約を要望している。受領委任を導入すれば全ての問題が解決する訳ではないが、適正化のための一つの方策としてそうした意見を持っている保険者もいる」。

 「保険者も参画した上で、受領委任制度、指導監督をやっていただきたい」。

 「ある保険者は、不正が発覚した際に、保険者としてできることは返金を求めるのみで、施術者を罰することができず、今の制度のままでは非常に悔しいと言っていた。保険者機能の発揮と、厚生労働省による管理・監督が、両方できる制度づくりが必要ではないか」

 おめくりいただきまして、一方「受領委任を入れる前に、保険者機能を発揮すべき。それもできていない訳なので、まずはそこから始めるべき。ある市で広告規制をして効果を上げている例もある。厚生局は自らこういったことを市でやれと指導すべき」。

 「受領委任を入れても、保険者がきちんと調べて、厚生局なりに情報提供をしないと動かない。行政が今やるべきことは、受領委任を検討することではなくて、保険者はもっと働けと言うことを指導していくことに尽きる」。

 3つ目のですが、「保険者機能を強化していくことも必要だが、国保や後期高齢者は非常に被保険者の皆さんがそれぞれの地域に点在しており、保険者機能を強化するといっても、被保険者への確認作業とか非常に苦労も多いという実態もある。特に後期高齢者については、県庁所在地に事務所が1か所あるだけで、県域の施術所を全部チェックできるかというと、なかなか体制的にも難しいというところもある。そういう意味では、保険者によるチェックだけでなく、指導監督権限を厚生局も含めて付与していくことが必要だと思うので、積極的な権限付与ということを是非お願いしたい。療養費といっても税金が使われているので、指導監査のチェックがないということ自体はやはりおかしい」。

 次「保険者機能の発揮は必要だが、75歳を過ぎた者にいろいろ事情を聞くというのは困難が伴う。保険者機能の発揮に伴う人・金・時間も考えながら事業を進めていく必要もある。厚生局の指導監督権限はあればありがたいし、あってしかるべきと思うし、広域連合も要望している。一方、制度の中で曖昧なものをできるだけ排して、外形的にもう少し仕組みをきちんとしたものとする、医師の同意、往療のあり方、支払い請求書の様式について、曖昧とした部分を排する方向で制度を改善して、あはきについてより良いものにしていきたい」。

 「町村の国保について、保険者機能を高めるということもあるが、人員体制からすると、非常に少ない人数でやっているのも実態としてある中で、どのような適正な請求・制度・仕組みにしていくかについて検討すべき」という御意見がございました。

 右欄は、戻っていただきまして7ページ「不正対策について、まずは保険者機能の強化を図るべきという意見と、並行して地方厚生局による指導監督を行うべきという意見について、どう考えるか」と記載してございます。

 最後、8ページ、一番下でございますが「厚生局ではなく保険者による施術所の管理・指導監督」という論点を設けてございます。

 真ん中の欄「代理受領契約の形を変えて、保険者がペナルティをかけるということもできるのではないか」。

 「もしある保険者で不正をやったら他の保険者に連絡すると契約すればいい。保険者間の連絡でそのシステムをつくればいくらでもできるのではないか」という御意見です。

 右側に「地方厚生局ではなく、それぞれの保険者が、施術所を管理・指導監督すればよいという意見について、どう考えるか」と記載してございます。

 次に、参考資料を御説明いたします。

 今のあ-1を踏まえまして、さらに議論に資するような資料を事務局の法で用意したものでございます。

 おめくりいただきまして、1ページ、2ページは、これまでもお示ししていました受領委任、償還払い、代理受領の比較の図でございますが、それぞれ受領委任のところには地方厚生局、都道府県知事が協定・契約を結ぶということで、それに基づきまして、施術所を管理・指導監督しているということを付記しているものでございます。

 3ページ目は、前回お出しいたしましたが、あん摩マッサージ指圧とはり・きゅうの療養費の保険者別のシェアを記載したものでございます。

 4ページ目、保険者別代理受領取扱い状況でございますけれども、これにつきましては、これまでお出ししていたものから1点変更がございまして、後期高齢者広域連合につきまして、これまでいくつかの自治体で代理受領には応じていない、あるいは未回答といったものがあったのですが、今回、改めましてお聞きいたしましたところ、現在は全ての都道府県の後期高齢者広域連合で代理受領には応じていただいているということでございました。

 これにつきましては、現在、市町村国保の状況等につきましても、最新のデータで、これはもともと27年4月時点のデータ等でございましたので、直近の状況について現在調べておりますので、また間に合えば次回にその状況も御報告したいと思いますが、現在、このような状況、健保組合では6割が代理受領に応じていて、4割が応じていないと、協会けんぽと後期高齢者については100%応じていると、国民健康保険では8割近くが応じていて、2割ぐらいが償還払いになっているという状況でございます。

 5ページはその都道府県別の数字でございます。

 6ページは、後期高齢者広域連合におけるあはき療養費の不正請求の状況でございまして、これまで9.5億円の不正があったというものでございますが、おめくりいただきまして7ページ、これが都道府県別の数字でございますが、今回、この「該当なし」だったとある都道府県の広域連合の状況について調べるべきという御意見をいただきまして、それを調べましたので、御報告させていただきたいと思います。

 あ-2の資料をごらんいただければと思います。これが不正請求が「該当なし」と報告があった都道府県広域連合の状況についてでございますが、2ページをごらんいただきますと、11の広域連合でこれまで制度発足以来不正請求等は該当がなかったという御回答をいただいておりますが、調査いたしましたところ、2ページにございますとおり、不正請求などの疑いがあった事案については、全ての11の広域連合においてあったと。ただし、それについて、調査した結果、不正等の事実が認められなかったのが1件。不正ではなくて過失による不当請求として処理したという都道府県が10件であったということで、何もチェックしていないということではなくて、調べた結果、不正請求ではなかったというものでございます。

 参考までに、同じあ-2の3ページに、不正ではなくて不当請求に対する返還についてはどのような状況なのかということをお聞きしてございますけれども、不当請求、つまり、請求誤りや過失による不当請求については返還請求を行っているのが9件、これまで実績がないというのが1件、実績が確認できないところが1件あったということでございます。28年度中の不当請求の対応状況は3ページの一番したのとおり、7広域連合では28年度も実施している。4広域連合では返還請求の実績がないという状況であったというものでございますので、御報告させていただきます。

 参考資料のほうにお戻りいただきまして、お戻りいただきまして、8ページ、ここから新しい資料を幾つか追加してございます。「不正請求があった場合の対応」でございますが、右側の受領委任(柔道整復師)の場合は、保険者が施術者に不正請求があった場合に返還金を請求した後に、厚生局のほうに情報提供いたしまして、厚生局のほうで不正の認定をいたしますと、受領委任の取り扱いの中止と、5年間受領委任をできないというペナルティーがございます。さらに、個人の柔道整復師に対する行政処分といたしまして、27年度では刑事罰になった者については免許の取り消しが1件、受領委任の中止に基づく、つまり、不正請求をしたと厚生局が認定したことに基づく柔道整復師個人の業務停止が13件あったというものでございます。

 一方、左側のあんま、はり・きゅうにつきましては、現状では保険者が返還金を請求するというもので、後のところがございませんで、不正請求を理由としたあはき師個人の処分というものも27年度はなかったというものでございます。

 次に、9ページでございますが、償還払いと、代理受領と、受領委任の関係を整理した図でございます。

 償還払いから代理受領になりますと、まず、請求者が患者様から施術者もしくは請求代行業者にかわるということで、そうした場合に不正がふえるという可能性が指摘されております。また、一回全額払うものから、3割負担なり1割負担で受けられるようになると、窓口での負担が減るということ等々で、給付費がふえる可能性があるということでございます。一方で、窓口負担が減りますので、利便性は向上するという関係にございます。

 代理受領から受領委任に変わった場合には、まず、請求する人が、施術者、請求代行業者であったのが、同じ施術者が請求するということでございますので、そこだけを考えてみれば、不正は、請求するのは変わらないという意味では変わらないということで、そういう意味で記載をしてございます。また、給付費につきましても、今も1割負担なり3割負担、受領委任でも1割負担なり3割負担で窓口の負担が変わるわけではないという意味で、給付費は変わらないと記載してございます。加えまして、受領委任になりますと、施術所との受領委任の協定になりますので、請求代行業者ではなくて、施術管理者が請求するというのが協定契約の中で明文化されるということになります。さらに、厚生局による指導監督が加わるという関係になるというものを整理した図でございます。

10ページでございますが、先ほどの論点の中で、地方厚生局がやっていることを、各保険者でやれるのではないか、やるべきではないかという御意見がございましたので、地方厚生局が行っていることについて整理をいたしました。

 まず、施術所の登録をいたしまして、おおむね1年以内に開業した者に対する集団指導、不正があった場合の個別指導、監査、事実認定、受領委任の取り扱いの中止のような業務をやってございまして、これを保険者からの委任を受けて、施術所と受領委任協定、契約を結ぶ中で、これらの業務を実施しているというものでございます。

 これにつきまして、右に市町村国保なりの保険者数を書いてございますが、これらの業務をそれぞれの保険者で行うことができるか。もしくは、例えば1つの保険者が不正と判断したと。例えば代理受領をそれで取り扱わないとしたときに、他の保険者にその代理受領を認めないことが、他の保険者が認定したからそこのところについてはうちの保険者でも代理受領を認めなということができるかというところが論点になろうかと考えてございます。

11ページは参考で、一回御報告いたしましたが、柔道整復師に対する地方厚生局の指導・監査実施の状況を記載してございます。

 また、12ページには、これは現在議論中のものでございますが、柔道整復師のほうでの指導監督の見直しということで、現在、ここに書いてございますとおり、柔整審査会で審査をし、保険者のほうで患者への調査、もしくは施術所の調査というものを実施いたしまして、そこで不正請求について却下的な証拠があるものや、患者調査の結果、不正の疑いが強いもの、これらの複数あるものについて、優先して厚生局に通報して、厚生局がそれらについては優先して個別指導・監査を行う。証拠がそろっているものは個別指導を省略して監査をするという議論をしていただいてございまして、つまり、保険者は保険者としてきちんと保険者機能といたしまして、患者、施術所の調査等をしていただいた上で、それを厚生局のほうにバトンタッチして、厚生局が動くという仕組みで、11ページの件数について、現在、こういう件数になってございますが、より不正について迅速、的確に対応できるような検討を今、していただいているという状況でございます。

 最後の13ページ、これは受領委任制度を導入するに当たっての裁判の判例を踏まえた留意事項といたしまして、不正請求等への対応であったり、あはき療養費に受領委任を認めるべき必要性、相当正であったり、さらには、保険者との裁量との関係について議論が必要であるということで、再度ここに記載しているものでございます。

 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

遠藤座長

 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問等いただければと思います。いかがでございましょうか。

 高橋専門委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 資料のつくり方だけの話ですが、参考資料の9ページ、10ページですけれども、これは参考資料ではないと思うのだけれども、まず、9ページで受領委任制度と不正・給付費の関係で、代理受領と受領委任を比較したものがありますが、9ページの下のほうの吹き出しで、右側のほうで代理受領から受領委任に変わった場合どうなるか。まず、不正・給付費は変わらないと書いてあるけれども、変わらないという保証はどこにもないですよ。突然変わらないと書いてあるけれども、この前私が申し上げたように、契約の仕方を変えれば話が変わるわけで、今は誰でも結構ですよというような、誰があらわれても代理受領を認めるような契約になっているけれども、例えば施術者しか代理受領を認めないという契約の仕方だってあるわけで、代行業者は認めないと言えばそれだけの話ですから、代理権を認めるかどうかはこちら側の話ですから、契約自由の原則なので、そこをはじけば別に代行業者をはじこうと思えばはじけるはずなのです。

 この前言ったように、契約の仕方によって、今よりもっと制限的に、多数回の請求をするようなものについては代理受領は認めませんと言えば、今度は減る方向に働くわけですから、受領委任にしたからといって不正・給付費は変わらないという言い方はないはずですね。

 この記述はおかしいと思います。

 それから、10ページですが、下のほうに、厚生局がこういうことをやっていてということですが、コメ印の1つ目、「これらの業務を、全ての保険者でそれぞれ行うことが可能か」というのは、実態論を言っているのか、制度論を言っているのか、これは実態論ですね。全てと言っているのだから。うなずいたのでお答えは要りませんけれども、実態として、全ての保険者で行うことが可能かということが、例えば健保組合が、私どもの協会だったらできるけれども、国保さんあるいは広域連合では難しいかもしれない。そういうニュアンスでおっしゃっているわけですか。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 事務局で書いた意図といたしましては、これらのそれぞれの施術所を登録して、不正の認定をして、取り扱いの抽出をするという事務を、特に右側にありますとおり、各県にある広域連合であったり、協会けんぽさんのように1つで各都道府県に支部があるというところではできるのかもしれませんが、1,716あるそれぞれの国保であったり、健保組合の1,409のところで、それぞれでこのようなことを行うことができるのかと。

 制度的にはもちろんそれぞれのところでするということもできると思いますが、例えば医療のほうを見ていただきますと、当然ですが、それぞれの市町村国保であったり、健保組合ではなくて、地方厚生局なりが医療機関の指導監督をしているという現状がございまして、そうした実態論としてこういうことができるかどうかということで、記載しているというところでございます。

○遠藤座長

 高橋専門委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 実態論としてとおっしゃいますが、実態としてとお書きになったほうがいいと思います。逆に、小さいところはだめですねという決めつけを行政としてされるのは、私はどうかなと思いますけれどもね。

 2つ目のコメ印ですけれども、「一つの保険者が不正と判断したことによって、他の保険者も」とありますけれども、これは契約の仕方によるので、ほかで不正をやった場合にはうちも取り扱いをやめていただきますよという契約は当然結べるはずですね。そういう条項は可能なはずですから。ここの書き方は私はおかしいと思います。

 資料の中身のほうの質問ですけれども、いろいろな話がごちゃごちゃになっているのかなと思いますが、8ページの右側の一番下、「不正請求を理由とした業務停止等の処分(H27年度)」で、上のほうの「刑事罰による免許取消」というのは柔道整復師法に基づく免許取消しですね。下のほうの「受領委任の中止に基づく業務停止」というのは協定に違反したことによって協定上の受領委任ができるということをとめたのか、あるいは、根っこにある不正のほうを理由にして、柔道整復師法のほうの業務停止を受けたのか、ここは話がどちらかよくわからないですけれども、そこはどちらでしましょうか。

○遠藤座長

 企画調査室長、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 この行政処分は全て柔道整復師法に基づく、柔道整復師個人に対する行政処分、すなわち免許停止であったり、業務停止をあらわしているものでございまして、その業務停止なり免許取消しの理由として、刑事罰を受けた者からというのが1件と、受領委任を中止になった、つまり、不正請求によって受領委任の中止の取り扱いを受けたという事実に基づいて、ここの柔道整復師についての行政処分をしたというものが13件あるという趣旨でございます。

○遠藤座長

 高橋専門委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 そうすると、最後の「受領委任の中止に基づく業務停止」というのは、柔道整復師法の話で、地方厚生局での受領委任にかかわっての不正請求を調べていたら、そちらのほうの不正があったという認定を柔整師の免許を持っているほうの部局が認定として同時に採用したということなのですね。

保険医療企画調査室長

 そういうことです。

○高橋専門委員

 わかりました。

○遠藤座長

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、往田専門委員、どうぞ。

往田専門委員

 往田です。きょうもよろしくお願いいたします。

 先ほど、請求代行業者さんのお話が出て、これはあはきに特有の問題で、我々も非常に問題ではないかということを考えております。ここの部分、実態のところを少しお話しさせていただければと思います。

 参考資料の2ページを見ていただきながら、お話を聞いていただけるとわかりやすいかと思うのですが、代理受領の右側「あはき療養費」「請求代行業者が代理受領を行っている場合」、この図で示された内容を見ると、あたかも施術所は施術を行って、請求代行業者は患者さんからの委任を受けて請求だけを行っているというようなものが、たてつけ上はそういう形になっているのですが、私どもは現場でいろいろな事例を見ておりますと、もちろんこの図に示されているように、請求代行業者さんが請求だけを委任を受けてやっているケースもあるのですが、かなりのケースにおいては、実態としては請求代行業者さん自体があたかも施術所の名前を名乗って、患者さんを募る。患者さんを募って、既に開設されている施術所であったり、出張専業の届け出でそれぞれ独立して業を行っている施術者に対して、この患者さんに、どこどこの患者さんのところに行って治療してきてくれという指示を出して、請求代行業者さんが施術所ないしは施術者から施術証明のための印鑑を預かって、そこで施術証明をしてしまって、請求をしている。

 患者さんから見ると、なかなかぱっと見、施術者が請求代行業者ではなくて、一般の開設している施術所に対して施術を依頼しているような認識でいらっしゃる場合がほとんどですが、実態としては図に示されている状態であるということです。

 こういった問題は、不正請求等が起きた場合に、施術所に責任があるのか、請求代行業者に責任があるのかという、責任の所在が曖昧で、なかなか露見して指導監督等を入れることができないという問題が一つ。

 あとは、実際に委託を受けている施術者も、療養費そのものに関しての仕組みを理解、ないしは勉強する機会が我々、業をやっていく中でないものですから、知識のない中でうまく利用されてしまう。特に私のほうに相談いただくのは、視覚障害者の方が多くて、言われるがままにこういったところの委託を受けてしまうということがある。

 そういったことからも、ある程度の受領委任契約等々の中で、現に施術を行った施術者、施術所のみが請求を行えるという制度づくりと、指導監督を実施できる枠組みづくり、あとは教育や研修を通じて、療養費の適切な取り扱いに対しても施術者に理解を深めさせることをパッケージとして考えるべきではないかと思っております。これは恐らく医科・歯科・調剤とか柔整ではあり得ない、まさに契約関係がない中での代理受領で行われている特異的な事例だと思いますので、ぜひこの部分は制度の構築の中で解決というか、解消していっていただきたいと思っていることでございます。

 以上です。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 関連してですが、柔整は受領委任を入れているのですが、代行業者によって請求されていますね。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 実態といたしまして、この図で言うと1ページを見ていただきまして、請求自体は誰の名前で請求しているかというと、施術所が保険者に請求しているという法律構成といいますか、当事者関係というのは、まさに受領委任協定の中で施術所が保険者に請求をして、の施術所が一部負担金を患者から受領するということが明示されていますので、その関係は変わらない。

 ただ、これはほかの介護保険とかでもある話でございますが、実際の請求の手続を他の業者に委任してやっている例があるというのは承知しているところでございますが、いずれにしても、その場合、誰が請求者なのかというときに、受領委任の場合にはその責任というのは先ほどの往田さんの話でありますと、施術所が請求の責任を負っているという状況になっているというものでございます。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 仕組みはそうなっているのかもしれないですが、実際に代行業者が請求しているわけですから、実態は何も変わらないということになるのではないですか。

○遠藤座長

 今のは御意見ですか。質問ですか。

○幸野臨時委員

 質問です。

○遠藤座長

 では、コメントをお願いいたします。

○保険医療企画調査室長

 例えば不正があった場合に、説明の責任を誰が負うかというときに、受領委任制度であれば、不正の責任というのは施術者にあるわけでございますので、施術者に対して受領委任の停止という取り扱いが、厚生局が不正を認定した上でということでございますが、そういうことができるというものでございますが、あはき療養費のほうの図で見ていただきますと、個々に、要は誰でも代理で請求できるというもので、そうした仕組みがございませんので、その違いがあるのかなと考えているところでございます。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 先ほど、往田委員が実態を詳細に言われましたが、受領委任にしても請求代行業者が請求を行うのであれば、実態は何も変わらないと思います。したがって、この資料はつくり方が違うと思います。

○遠藤座長

 ただいまのは幸野臨時委員の御意見ということでよろしいですね。

 関連だと思いますので、竹下参考人、お願いいたします。

○竹下参考人

 竹下です。

 今、幸野委員が指摘されていることに関連してですけれども、受領委任払いで柔整なり、あるいは介護保険なりの請求代行と、現に今、はり・きゅうなどで行われている代理受領とは全く構造が違うと思います。実態も違う、法律的にも違うと思うのです。

 まず、実態として言えば、受領委任払いの場合には、受領委任業者は、施術者から請求代行を受けている。介護保険も介護保険事業所から請求代行業者に依頼されて、事務手続がされる。それに対して、代理受領というのはあくまでも患者、すなわち償還払いをすべき患者からの依頼によって請求代行業者が動いているわけで、法律的には全く構造と位置づけが違う。そういうことは実態と法律構造を区別して理解していただくことが必要かと思っています。

○遠藤座長

 ほかに関連でございますか。

 中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 先ほど療養費の代理受領と、受領委任で、代理受領がこれだけの状況があり、代理受領から受領委任に変えた場合に大きな差はないのではないかという意見に対して、そんなことはないのではないのというお話をいただいたわけですけれども、療養費の保険者別カバー率というのを、この3ページを見てみると、後期高齢と市町村国保が非常に多い。

 こう考えますと、このことは資料の中からも、4ページの資料、後期高齢が100%に近い状況があるわけですから、療養費の総額を考えるならば、今、既に代理受領が行われていて、そこを受領委任とし、しっかりと規制をしていくことで、下げることは下げられるわけですけれども、現状の金額が大きく伸びてしまうとか、または下がってしまうということはないのではないかと思っています。

 もう一つ、今、資料のお話で出ていましたものですから、これについてお話をさせていただこうと思っています。

 参考資料を見ていただいて、8ページ、9ページ、この辺を考えますと、今、言うように、あはき療養費の6割以上の保険者が実質的には現物給付化になっているわけですから、協定や契約がないということで、誰も受領委任になれてしまうということが一番の問題で、ここが今、議論されたところかなと思っています。

 患者さんに利便性はあるのですけれども、やはり国や都道府県の指導監督がない中で不正をしたとき、罰則規定もないということは、非常に問題があろうかと思っています。

 では、どういう形で罰則規定をするといいのかということは、今後の議論になると思いますけれども、一つ、罰則規定をつくってから変わらない、変わるという点で少しお話しさせていただきます。

 警察庁の交通局の、飲酒運転事故関連統計というのが出ていまして、ピークというのが平成12年に事故が起こった例というのは2万6,280なのです。平成19年に法改正をやって、罰則を強化しましたところ、件数が6,216に変化して、平成26年に至りますと、4,155まで下がっているのです。ですから、しっかりと一つのシステムをつくり上げて、罰則規定をつくっていき、誰と誰の間でお金のお支払いを、または協定をなのか、そういう支払制度をつくるかをはっきりさせることで、さらにそこに罰則規定を入れることで、今の中での不正請求事件というのは随分減るのではないかと思っているのです。ですから、今、罰則ものが何もない中で、単にお金を被保険者に返す、受領委任に返す、そこに罰則規定もなく、さらに、罰則を起こしても追徴金のない状況が起こっていることは、やはり直していかなくてはならないのではないかと考えています。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 高橋専門委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 今、中村専門委員は8ページの一番右下「不正請求を理由とした業務停止等の処分(H27年度)」これは罰則があるとか、いろいろなペナルティーがあるということで、こういうものは受領委任にはできるから、今、交通違反の事例をお出しになって、ペナルティーがあればこれだけ減るのではないかとお話になりましたが、逆に言えば、今まで刑事罰による免許取消しが27年に1件、受領委任の中止に基づく業務停止が13件。これでも、実際にはすごい請求がいっぱいでてきますよ。ですから、これぐらいのペナルティーは全然効き目がないということです。それは全然おっしゃっている話は違いますよ。実態が全然違う。この程度の受領委任だったら何の抑止力にもならないということです。それだったら同じことを、今、代理受領一般で変だと言われていますけれども、今の代理受領の中の契約の仕方が、はっきり言えばバケツに穴があいているような感じだから、そこをちゃんとやれば別に受領委任をやってこのようになりますよという話は、実際の契約ベースでできる話がほとんどですから、やれば効果としては同じではないのか。

 だから、どっちがどっちという話は私は言いませんけれども、難しいと思いますが、受領委任はこれがやれて、代理受領はできないという言い方は間違いだということは、私ははっきり言いたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 では、竹下参考人、どうぞ。

○竹下参考人

 竹下です。

 今の不利益処分、処罰のことで少し補足ないしは意見を述べさせていただきたいのですけれども、私の誤解でない限りは、今の高橋専門委員の指摘は少し違うのではないかと思うのです。すなわち、受領委任払い制度のもとで、仮に不正請求なり水増し請求があった場合に考えられる処分としては、刑事罰と行政処分があると思うのです。少なくとも代理受領の場合と比較したときに、代理受領においては、そこに詐欺とかの要件がある限りは刑事罰は可能だと思うのです。

 しかし、行政処分として、そこに全くあらわれない施術者に対する行政処分というのは考えにくいわけですね。あり得ないと言っても言い過ぎではないと思うのです。少なくとも形式上は、患者すなわち被保険者と代理受領者との契約形態で請求されているものを、施術者に行政処分を科すということは考えられないわけですね。それに対して、先ほど事務局から説明があったように、受領委任払い制度をとっている限りは、受領委任払い制度の悪用によって、今で言えば柔整師、今後あはきに仮に受領委任払い制度が導入された場合に、まさにその受領委任払い制度を利用した施術者に対して、もちろん、詐欺に該当する要件がある場合は刑事罰も当然ですけれども、そこまでいかない場合であっても、受領委任制度の悪用としての行政処分は可能だというのが、この資料からも見えてくるわけですね。

 すなわち、刑事罰というのは当たり前のことですけれども、要件が厳格ですし、まさに簡単に適用できないわけですけれども、それに対して、行政処分との要件が当然違うわけですから、単純に言えば、行政処分の場合に不正請求といういわば形式犯的な要件がある限りにおいては、少なくとも行政処分が可能であるからこそ、この数字であらわれているように、刑事罰が1件に対して行政処分が13件と出てくるのは、受領委任払い制度であるがゆえの結果だということが言えるのだと思うのです。

 そういう点からしても、受領委任払い制度だからこそ、いわば適正化を求めるための制度がより確立するということが言えるのではないでしょうか。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 高橋専門委員。

○高橋専門委員

 私、昔、担当者をやっていましたけれども、先ほど私、確認しましたけれども、8ページの右下にある「不正請求を理由とした業務停止等の処分(H27年度)」というのは、全部柔道整復師法上の処分なのですね。先ほど事務局がお答えになった。そうすると、不正があったということを知って、最後は柔道整復師法を所管している担当部局が、不正があったことについて、第一が刑事裁判の結果があって、そこで刑事罰を受けた。これは明らかな事実ですから、それに基づいて、免許取消しや業務停止である。これは柔整師法の処分ですけれども、別に代理受領の場合だって保険者が刑事告発すれば、刑事プロセスで動けば、刑事判決で有罪だということが出れば同じことになりますので、別に代理受領も関係ありません。

 受領委任の中止があったから、その次にそういった行政認定があったので、つまり、不正があったと行政認定があったから、今度は行政プロセスとしてその事実に基づいて柔整師法の処分が動き出したということで、業務停止が13件ありますけれども、それはもともとのプロセス、受領委任の中止のもとの不正があったことについては、行政当局は認定しますが、代理受領の場合だって、我々がおかしいと言って、行政当局に柔整師法サイドに持ち込めば、それは柔整師法サイドで調べて不正だと認定すれば同じことをできます。ですから、これは両方とも同じことです。

 これは議論するわけではありません。

○遠藤座長

 では、竹下参考人、どうぞ。

○竹下参考人

 竹下です。

 今の高橋専門委員が言っていることと私が言っていることはそんなに差がないと思うのです。なぜかというと、私が先ほど申し上げたように、刑事罰の場合は施術者だろうが、患者だろうが、代行業者だろうが、刑事罰の、例えば詐欺罪というならば、それにどう加担したかという要件の問題であって、まさに代理受領だろうが、受領委任払いであろうが、あるいはそれ以外の形式だろうが、その全部において要件としての犯行に加担している限りは処罰できるというのは、高橋専門委員の言うとおりだと思うのです。

 それに対して、受領委任払い制度という形式をとっているからこそ、行政処分ができると私は申し上げたはずなのです。すなわち、代理受領の形式の場合、刑事罰の要件として、例えば施術者が犯行に加担している限りは間違いなく共犯の形式として幇助罪になるか、共同正犯になるかは別としましても、それは十分処罰可能だと思うのです。ところが、行政処分の関係で、代理受領の場合に施術者は表に出てこないわけですね。そうすると、行政処分をするための要件は見つからないのではないでしょうかと申し上げているのです。

○遠藤座長

 ほかに何かございますか。

 往田専門委員、どうぞ。

○往田専門委員

 先ほどの委員会でも私は申し上げたのですけれども、我々業界団体は柔道整復と全く同じ受領委任の制度を導入してくれと申し上げているわけではありません。これも先ほどの委員会でも申し上げましたけれども、我々が対象とする患者さんと、柔整の患者さんの層は全く異なっているという点が1点と、柔整師と違って、医師の同意書の存在というものが一つの給付抑制というか、そういった形、適正化に寄与している部分は言うまでもないことでございます。

 ここで、ぜひ地域保険の保険者の方にもお伺いしたいのですが、私、どうしても現場でやっていると、地域保険、後期高齢とか国保の患者さんがほぼ100%を占めておりまして、施術を行っている中でも地域の医師会の開業医の先生と常に連携をとって、毎月のように意見交換とか報告等を行いながら、業を行っています。

 また、地元の活動の中でも、地元、神奈川県の国保や後期高齢、国保連の方々と定期的に情報交換をして、例えば不適切な事例の情報を我々のほうにいただく、また、個別の事例に関して、ここはこういう患者さんなのですよという情報を保険者さんのほうに上げさせていただいて、その中での情報を会員の施術者にフィードバックをしていくという取り組みの中で、適正に運営を図っていこうとやっています。ただ、保険者さんとお話ししていく中でも、そういった枠組みから外れている方が多数いらっしゃっていて、そこの部分をどう適正化に導いていくかということをは、我々も保険者さんのほうもかなり頭を悩ませているところであるわけです。全て解決するとは思いませんが、その一つの解決策として、事務方がおっしゃっているような受領委任契約等々の中で、指導監督を導入するであるとか、研修や教育の機会を義務づけていくということをやっていく中で、患者さんの利便性に寄与していく形は、我々は適正だと思っています。

 今、ほとんど資料の中では、後期高齢や国保は、代理受領は全国的に100%を占めているわけですが、その地域保険の保険者さんの意見としては、これは被用者保険の方がおっしゃっているように、全て代理受領から償還払いに戻すのが大原則だとお考えなのか、それとも、代理受領をやっていく中で適正化を図っていくほうが妥当であると思っているのか、その辺のお話をお聞かせいただければと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 地域保険、名指しで質問が出ましたけれども、村岡専門委員、どうぞ。

○村岡専門委員

 市町村国保の立場から申し上げますと、基本的には、地域保険という形になっていますから、患者さんの利便性という問題も当然必要になってまいりますので、請求については代理受領を認めるという形で、ほとんどのところが患者さんの利便性のために行っているという実態があると考えております。

 一方で、特にこの間の柔整やあはきについての不正という問題が社会問題になってきておりますので、そこに対する指導監督権限というのは、より強化していくべきではないかというのが、保険者の中にもある意見ではないかと思っています。

 基本的には、資料にもありますように、今の社会的な問題からすれば、受領委任制度だけのペナルティーで、例えば受領委任の中止を5年間ということだけで不正が十分なくなるかというと、決してそうではないと思いますから、基本的には受領委任制度ということだけにこだわらずに、法律的にもきちんと指導監督権限を明確にしていく必要性が、柔整についても、あはきについてもあるのではないかと、個人的には考えています。

 そういった背景の中で、各市町村の保険者の中では、私は全国市長会の立場ですけれども、現状の中で指導監督権限は強化していただきたいというのが要望としては強い。その中で、受領委任というのも一つの方法ではないかという意見もあるというのは、現実的な意見でございます。

 しっかりと仕組みを設けて、仮に受領委任を導入する場合にも、柔整と同様ということではなしに、例えばあはきについては新しい形での契約ということになりますから、例えばより処分の内容をきつくするということで、お互いに合意ができるというところが仮にあれば、そういうところも保険者の中では考えているところもあるのではないかと思っております。

 いろいろ地域の中で実態というのは違いますから、基本的には保険者の裁量のもとでということがあろうかと思いますけれども、現場の中にはそういった声もあるというのが現状でございます。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 それでは、宮澤専門委員、どうぞ。

○宮澤専門委員

 市町村国保の保険者の1人として、個人的な意見ではございますが、本町でも、代理受領という形で患者さんが業者さんと契約して、請求を受け、支払いをしているという実態がございます。

 その中で、事実として今、不正請求ということもありますが、それらを幾らかでも改善していく手法については、指導・監督権限を強化する制度を設けていただいて、代理受領ではできない部分を補うような形で、指導・監督、罰則規定ということをあわせていけば、適切な請求につながっていくのかなと考えております。

 以上です。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 ほかに何か。

 高橋専門委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 地域保険サイドに御質問があったので、お答えになったのだけれども、被用者保険の側もちょっと思い起こしていただきたいのですが、私ども協会けんぽの場合で、後期高齢者への拠出金と、国保の加入者に対する前期高齢者への拠出を合わせて、私ども協会の支出の約4割です。健保組合ははたしか5割ぐらいのところがあると思います。

 ですから、この制度についてどうするかいうのは、別に地域保険だけの問題ではなくて、私どもも甚大な影響を受けますので、そういう意味では、私どもしても非常に危惧はしているということです。特に、受領委任はやれば行政監督がふえるかもしれませんけれども、現実の柔整の方を見ていると、この前の厚生局のお話のように、幾ら証拠を積み重ねても、手技がメーンだから基本的に証拠が残らないから不正の摘発が非常に難しいという話ですから、そこはなかなか難しいのだろうと思います。

 特に柔整の場合と違うのは、相手の方はかなり高齢者が多いですから、完全な認知症だったら別ですけれども、ちょっと認知程度が弱いぐらいですと、事実の調査に入っても、相手がちゃんとした答えをできないのです。どうでしたか、おばあちゃんと言っても、さあ、どうだったかなぐらいの話ですから、そんなところで事実を積み重ねて、行政認定をやるのだったら、これははっきり言って絵空事ですよ。

 これは多分業者さんから出た請求を、おばあちゃん、こうですか。そうだよと、多分そう言うのではないですか。患者さんの署名だって、私の母は認知症ですけれども、署名するものは署名しますよ。自分の名前は書けますから。

 そんなところで、請求に間違いがないですと確認しても余り意味がないので、むしろ、事実認定がどうだこうだと言ってもしようがない話ですから、むしろそういう事実がよくわからない世界に入っていくわけですから、だったら、きちっと現金の流れがはっきり見えるような償還を伴ったほうが、むしろ変な話にならないのではないか。ここは相手に認知能力がないということをある程度前提とした上だったら、安い請求ならいいけれども、多額の請求はちょっと、例えば成年後見人の目を通してもらうとか、そうしないと、ここはとんでもない禍根を残しますよ。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 小谷田専門委員、どうぞ。

○小谷田専門委員

 小谷田です。

 私は、地域で療養費の扱いを100%行っているのですが、あらためて今、村岡専門委員と宮澤専門委員におっしゃっていただいたのですけれども、基本的には、不正を徹底的に防止していく必要が当然あると思います。

 その中で、管理・監督をどうするかということは、我々団体も徹底的にするために、我々の会員の中でも不適切な面もあると思うのです。そういったことをしていくのに、これまでの事務局の説明では、管理監督だけ協定で結ぶというのはできないという説明もあったと思うのですけれども、現時点で難しいのであれば、ぜひとも受領委任協定契約によることを受領委任制度でやっていただきたいと、また改めて思うところでございます。

 やはり今の社会が、先ほども現状のお話がありましたように、後期高齢の方たちが本当に困っているのが実態なのです。そういう現状、健康保険法の理念を大事にしていただいて、我々も管理獲得をしながらの当然ですけれども、後期高齢者の地域の方々に利便性を向上させて、よい社会をつくっていきたいと、地域を回っていて切実に思うところです。

 そういったことで、非常に後期高齢の社会の中で、保険者だけの対応では限界がある中では、ぜひとも厚生局等の管理・監督を含めてやっていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 往田専門委員、お待たせしました。

○往田専門委員

 余り議論の主にはなりたくないのですけれども、先ほどの高橋専門委員のお話は看過できない部分がございまして、我々の患者さんは高齢者の方で認知能力に欠けているから、請求の内容に関してきちんと確認できないだろう、なので、我々が代理請求したら不正請求が多いのだみたいな趣旨のお話だったかと思うのですが、これは私が一施術者として申し上げますが、我々は高齢者の方であっても、支給申請書に関してはお一人お一人にきちんと内容を説明して、内容に関して理解できない場合は御家族であるとか、施設に入居されている方に関しては、わざわざ御家族がいらっしゃるところまで支給申請書を郵送して内容を確認していただいて、捺印をしていただく。印鑑を押していただくというのはそんなに簡単な問題ではなくて、きちんとやっている施術者がほとんどであるということは、一言申し上げておきたいところでございます。

 また、仮に内容に関して高齢者の方が確認をきちんとできないということが事実としてあるとすれば、それこそそういった患者さんみずからが直接請求するということのほうが、請求上の間違い、不備等々が多発するようなことにつながるのではないかと感じております。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 すこし議論が近視眼的な考え方で危険な方向に行こうとしているので、あえて言わせてもらいますが、療養費の本質をもう一度ここで共有したいと思います。療養費というのは保険者がやむを得ないと認めた場合に支払うものなので、償還払いが原則です。

 高齢者の利便性とか云々と言われていますが、そういうことで変えるのであれば、法律を変えることまで考えるべきだと思います。

 柔整の受領委任制度は、過去、整形外科が少なかったという経緯等々があり、例外的に入れられているのです。指導監督ができるからと、言われておりますが、柔整においてその指導監督が機能していない実態があるのです。受領委任が不正の温床になっているわけですよ。

 この不正の温床になっている仕組みを制度化しようと議論していること自体おかしくないですか。

 これは社会保障審議会の下にある医療費適正化の検討会です。その中で、不正の温床になっているものを制度化しようと議論していること自体、私はまかりならないと思います。

 それよりもまず、保険者がきちんと審査することを先にすべきです。一部の健保組合は代理受領から法律の原則である償還払いに戻していっています。これが療養費、健康保険法の精神を守ることなのです。これを否定するのであれば、法律を変えることまで考えていくべきです。

 厚労省はなぜか導入する方向に資料をつくろうとしていますが、過去、平成16年に裁判があった中で、判決文の中に、厚労省の答弁が書かれています。内閣は、平成15年7月8日に衆議院議員の質問主意書に対して、閣議決定を経た平成15年9月2日付答弁書において、以下のとおり答弁した。よく聞いていてください。これからが本質です。健康保険法においては、保険医療機関が被保険者に対して療養の給付を行うことが原則とされる一方、第87条1項により、保険者は療養の給付を行うことが困難であると認めるとき、または保険医療機関以外の者から診察、手当て等を受けたことがやむを得ないとき、これに当たるわけですが、その費用の一部を療養として支給できることとされている。柔道整復に係る療養費については、かつて整形外科を担う医師が少なかったこと、柔道整復師は脱臼または骨折に対する応急手当をすることがあり、その場合には柔道整復師法(中略)第17条により医師の同意を要しないこととされていること等を踏まえ、被保険者がその疾病に対する手当を迅速に受療することを可能とする観点から、保険者と柔整師により構成される団体または柔道整復師との関係で契約を締結することにより、例外的に受療委任払いが認められる云々と述べているわけです。

 つまり、閣議決定で例外的に当時の状況により柔整には入れたのだと申しているわけです。今、この例外的な受療委任をあん摩、はり・きゅう、マッサージに入れようとしているのは、閣議決定違反ではないですか。考え方が違うのではないですか。審議官、いかがでしょうか。

○遠藤座長

 いかがでしょう。

谷審議官

 それぞれそのときの状況によって政策は変わり得るものですから、必ずしも閣議決定に反するものとは考えていません。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 では、閣議決定を経なくていいのですか。

谷審議官

 質問の趣旨がよくわかりませんでした。もう一度お願いします。

○幸野臨時委員

 閣議決定で受領委任は例外的に入れられたと言っているのですが、それをあはきに入れるということは、この閣議決定に違反することではないのですか。

谷審議官

 それはまさに例外的にいれるべきかどうかということを今、御議論していただいていることであって、閣議決定違反とは考えておりません。

○遠藤座長

 幸野臨時委員の次に清水専門委員、お願いします。

○幸野臨時委員

 例外的に柔道整復師に入れるということを覆すわけですから、これは閣議決定と異なると思います。

○遠藤座長

 それは御意見として承ります。

 清水専門委員、どうぞ。

○清水専門委員

 私、公益と、さらにふだん地域の現場で診療している医師の立場で発言させていただきます。

 もう高齢社会は本当に進行しておりまして、今まで医療というのはいわゆる診断と治療、疾病を診断して適切な治療をして、患者さんをもとの元気な状態に戻すというのが基本でした。

 ところが、高齢者が増えてくると、治らない疾患をたくさんお持ちになって、それぞれに対して治療というよりは、折り合いをつける医療になるわけです。特に、急性期、亜急性、慢性期、さらに老健施設等を経て、御自宅にお帰りの方もいるわけで、そうすると、医療とか看護のあり方は昔と多少違ってきました。疾病構造が変わってきましたので、我々が訪問診療、往診をしている中で、高齢者を診ていると、その方のQOL、クオリティー・オブ・ライフをどうやって保っていくかということになります。そうなりますと、注射をしたり、投薬をしたりというよりは、ある程度関節と筋肉との緩和をしてもいい方も中にはいらっしゃるのです。ですから、それはそれで対応する必要はかなりあると思います。

 ただ、一つそこで欠けているのは、一般的な医療とは違って、いわゆるプラン・ドゥー・チェック・アクション、PDCAサイクルがうまく回っていないのです。ですから、患者さんを施療するときの評価、さらに、どういうプランを立てるか、どういうことをするかということをしっかりと立てて、ドクターと話をして、適切なときに評価をして、また続けるのか、続けないのかということを現場でやるということが大事で、そうすれば、そこで過剰な施療は多分行われないのだろうと思います。

 ですから、一つ切り分けてほしいのは、柔道整復師で診ている疾患の患者さん、施療の対象の方と、あはきの方は特に違う。はり・きゅう、あん摩マッサージと言っていますが、はり・きゅうとあん摩マッサージもまた違うと、どうもそういう感覚がいたします。一元的にここが悪いから全部悪いという議論ではなくて、新しいシステムをきちっとつくって、契約を含めて、罰則のこと、管理のことを含めて、もう一度システムを見直してやっていかないと、この議論は永遠に続いて、その間、時間がたつ間、困るのは患者さん達です。そこが私としては非常に気になるところで、日ごろ、看取りをしたり、急変をして往診をしている立場からすると、そこに関与をする方々が増えていただけるというのは、多職種共同の中では必要なのかなという気がいたします。ですから、余り制度論で終始しないで、もう少し現場のことを考えていただきたい。

 医師の立場、公益として発言させていただきます。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかに御意見ございますでしょうか。

 中村専門委員、竹下参考人の順番でお願いします

○中村専門委員

 ありがとうございます。

 今、清水専門委員からいいお話をいただいて、私どもは感激をしているところでありますが、超高齢化社会というのは、確かに、柔道整復師の先ほどの特例から考えますと、私どもの今の活動も、超高齢化、これも想像を絶するようで、問題が起こっているわけですので、そういうところに私どもは参加させていただいているわけです。

 ですので、段階的に、私は今、皆様方の御理解を得て、共同作業の中で、保険者機能も発揮しつつ、一つの制度づくりをまずは段階を追ってやるべきだと。次に、法改正も、私どもは一番初めに国に要望を出しましたのは、実は法改正なのでする訪問看護制度のように、または、もう一つ上の段階でのしっかりとした縛りと、どういう人たちが使えるかということをやると、法改正だなということで、やろうとしました。ただ、それをやっていくには余りに時間がない。

 何とか来年から、もしくは再来年からでも、今の不正が起こってしまうところを何らかの形でブロックするためにはどうしたらいいのかということの中で、今回の受領委任制度をやらせていただけないかというお願いをさせていただいています。

 それは何かと言いますと、まさに今、清水専門委員がおっしゃっているとおり、全国のお医者様方と私どもは、手足となって動いて、多くの在宅の方々を支えたいという気持ちがあって行われることですので、この辺はまず理解いただきたいこと。

 償還払いのあり方の原則はよくわかりますが、これは私は視点の違いだと思っているのです。この前もお話ししましたけれども、本来は健康保険法の趣旨に乗っかった中に償還払いがあるので、それは療養の給付の中で補完できなかったことを何とか支える制度であるのが本来だと思います。そうなったときに、保険者として、どうやったら出せるのか。これは幾ら何でも無理だというのを保険者機能として私は考えていただくものなのではないのと、これは視点の違いかもしれませんが、私はそうあるべきだと思いますし、それが今の在宅を支えるためのマンパワーとして私たちを使って、なおかつ、それをなくす、減らす一つの手段が今回の議論になって決まっていくことなのではないかと思っています。

 以上です。

○遠藤座長

 お待たせしました。竹下参考人、お願いいたします。

○竹下参考人

 ありがとうございます。竹下です。

 先ほど、幸野臨時委員の国会答弁における閣議決定の引用であったり、あるいは時々幸野臨時委員が指摘される裁判の判事内容については、指摘どおりだと私は思うのです。ただ、幸野臨時委員が今日おっしゃったことで、2つ少し私と違うのではないかと思っているのは、柔整における受領委任払いが悪の温床みたいに言われたことについては、少し議論が要るのかなと。確かに受領委任払い制度を使って、現実に不正請求があるということ自身は残念なことです。その場合にこそ議論していきたいのは、我々もそう申し上げているつもりですけれども、ゼロにできるかとまでは言いませんけれども、不正を最小限にしていく努力をするための受領委任払い制度のあり方という議論をここでお願いしているのではないかとか思っております。

 したがって、受領委任払いイコール悪の温床ということではなくて、少なくともそういう不正請求を防ぐための仕組みを含んだ受領委任払い制度の議論をぜひお願いしたいということではないかと思っております。

 もう一点ですけれども、例外としているのに云々というところのはり・きゅうにそれを入れるということは、閣議決定違反ではないかという御指摘の部分ですけれども、その部分について少し議論いただきたいと思うのは、少なくとも柔整の場合には、同意書なしで受領委任払いをやっている。その点において、言うならば、まさに幸野臨時委員が指摘しておられる健康保険法における療養の給付の例外としての、あるいはまさに療養の給付に寄り得ない、そうした場合における償還払い制度としての療養費制度というのはまさにそのとおりだと思うのです。であればこそ、同意書に基づく療養費制度の中で我々が患者の利便性を含めた制度をお願いしているわけで、その点において、まさに閣議決定で指摘している療養の給付に寄り得ない、例外的な場面におけるはり・きゅう、マッサージの施術の必要性の場面での適用を、同意書によって枠づけした上で、例外的に行おうとしているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 全く違います。受領委任が不正の温床になっているのです。広島の例でも説明いたしましたが、不正や療養費の増加を抑制するのは本当に87条の原則どおり償還払いを行って、保険者が厳格な審査を行うことです。これが今での委員会の議論で得られた結論だと思います。患者の利便性のみで、国の今までの考え方を変えるのであれば、私は87条を変えるぐらいの覚悟でやるべきだと思います。

 それと、指導監督を入れれば適正化できるとおっしゃいますが、柔整で適正化されておりません。したがって、このような状況であはきに指導監督を入れても適正化されるとは思いません。まず、指導監督を入れる前に、保険者が厳格な審査を行うことです。代理受領をについても、保険者が返還請求や返戻を正確に行えば、不正はある程度なくなり、適正化されていくと思います。本日も事例が出ましたが、1都道府県では不正をチェックできるほどの審査ができていないというのがわかりました。チェック体制を行政が正しく指導して実行させていくというところをまずやるべき。それもなくして不正の温床になっている例外的な受領委任という仕組みを制度化するというのは絶対に委員会の結論としては間違いです。これははっきり申し上げておきます。

○遠藤座長

 ほかに御意見ございますか。

 高橋専門委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 先ほどの清水専門委員のお話、別に意見ではなく、感想というのもあれですけれども、どういうことになるのかなと少し疑問はあるのですが、広く言えば日本の医療は基本的には明治以来、西洋医学をベースにやってきて、今の医事法制の免許制では医者の医療行為を中心にしてまずやっていて、ただ、伝統的な療法、柔道整復とか、あん摩、はり・きゅうは医業類似行為として位置づけられているわけですね。それはずっと明治以来そういう法制でやってきて、今、健康保険法もそれにのっとって、療養の給付というのは基本的には西洋医学をベースにしている。言葉をかえれば、サイエンスとしてかなり根拠のあるもの。伝統的なものはサイエンスが弱いかもしれないけれども、一応経験的にはいいではないかということで分けてきたと思います。今の清水専門委員のお話は、今後の医療を考えると、高齢者について、非常にこれは現在の医療では難しいから、あん摩、はり・きゅう、マッサージは対象者によっては補完的な部分があるのだとおっしゃいましたけれども、そうすると、医療の中で位置づけが変わるのですね。そうすると、療養の給付並みの扱いをしていかないとおかしい。今のように療養費の扱いだと、逆に言うと、保険者としても療養費だからという扱いをするわけで、ルーチンで医療として認めるのだというのであれば、全然位置づけは違いますから、そうすると、医学界としてそれは本当にそうなのですかという議論になるのですね。そこは私は疑問を感じます。医学界としてそれは認めているのかというわけですね。

○遠藤座長

 清水専門委員、どうぞ。

○清水専門委員

 私がお話ししているのは、過渡期、一つの流れとして、人口が減りながらこういう状況になりつつあって、確かに医師も新しい医学部も2つもできて、これからふえるのですが、その方々がきちっとお医者さんになられて、地域に貢献されるのは10年、15年先なのですよ。問題はここの10年です。そういうところをどうやって見ていくかという中で、やはりある程度持っているマンパワー、総力を使わなくてはいけないかなというのを地域で見ています。

 ですから、その部分で、システムで医療に入れるということではなくて、そういう対象者には適切なものがあるだろうと。その適切な評価はある程度制限も入れつつ、ドクターと連携をしながら、だめなものはだめということで、取捨選択しながらやっていくのがいいだろうということで、公に認めるとか、認めないとか、そういう話ではありません。

 ですから、今、この過渡期をどうやって乗り切るかの中で、1年、2年、3年、5年かもしれません。そういう試行的なものをやりつつ評価をしていくということで、絶対に白か黒かではなくて、オール・オア・ノンではなくて、経過措置等を入れながらやる必要もあるだろうと、そういう意見です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 年度末までに結論を出すということですが、参考資料の13ページにありますこの(1)から(4)までを全てクリアにしないと受領委任制度を導入することはできません。これをあと1カ月半で特に(2)とか(3)をクリアにすることは到底できないと思います。あはきについて受領委任を入れても危険性はないという証明を1カ月でできるわけがありません。絶対無理だと思います。1カ月半議論はいたしますが、この13ページが全てクリアにならないと、受領委任をいれることはできないという結論になろうかと思いますので、最後に意見として言わせていただきます。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 非常に活発な御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 予定した時間にそろそろなりますので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 いろいろな御意見も出ましたので、事務局に置かれましては、本日の意見を踏まえまして、今後の議論に資するような資料の作成につとめていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日の議題は以上でございますけれども、次回日程について、事務局から何かありますか。

○保険医療企画調査室長

 次回の日程につきましては、また日程調整の上、後日連絡させていただきたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、第12回「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」をこれにて終了したいと思います。活発な御意見、どうもありがとうございました。


(了)

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