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2016年8月3日 第6回厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会
医政局医療経営支援課
○日時
平成28年8月3日(水)15:00~18:00
○場所
厚生労働省省議室(9階)
○出席者
委員
永井部会長 内山部会長代理 大西委員 斎藤委員 祖父江委員 花井委員 深見委員 福井委員 藤川委員 |
○議題
(1)国立研究開発法人国立循環器病研究センターの平成27年度業務実績評価について
(2)国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターの平成27年度業務実績評価について
(3)その他
○配布資料
【国立循環器病研究センター】 | |
資料1-1 | 平成27年度業務実績評価書(案) |
資料1-2 | 平成27年度業務実績評価説明資料 |
資料1-3 | 平成27年度監査報告書 |
【国立精神・神経医療研究センター】 | |
資料2-1 | 平成27年度業務実績評価書(案) |
資料2-2 | 平成27年度業務実績評価説明資料 |
資料2-3 | 平成27年度監査報告書 |
(参考資料) | |
1-1 | 独立行政法人の評価に関するスキーム |
1-2 | 平成26年度における独立行政法人の業務の実績及び平成26年度に中期目標期間を終了した独立行政法人の中期目標の期間における業務の実績に関する評価の結果についての点検結果(平成27年11月17日独立行政法人評価制度委員会) |
2 | 国立循環器病研究センター平成27年度財務諸表 |
3 | 国立精神・神経医療研究センター平成27年度財務諸表 |
○議事
○医政局医療経営支援課長補佐
定刻となりましたので、ただいまから第6回厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会を開催いたします。
委員の皆様には大変お忙しい中をお集まりいただき、誠に有り難うございます。
初めに、当審議会の委員に追加がございましたので、御報告いたします。
明治大学国際総合研究所の大西昭郎客員研究員に新たに御就任いただきました。
それでは、本部会の開催に当たりまして、医政局医療経営支援課長の佐藤より御挨拶を申し上げます。
○医政局医療経営支援課長
医療経営支援課長の佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、御多用の中、また、本日はお暑い中、御参集いただきまして誠に有り難うございます。
昨年、本部会を立ち上げまして、国立高度専門医療研究センター6法人の平成26年度と第1期中期目標期間の業務実績の評価を行うに当たりまして、皆様方より貴重な御意見をいただきました。本年は27年4月から始まりました第2期の中期目標期間における1年目の業務実績評価に係る御意見を聴取するものでございます。各委員の皆様におかれましては、御専門の立場から御意見、御助言をいただきますことをお願い申し上げまして、簡単ではございますが、挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○医政局医療経営支援課長補佐
では、本日の会議資料の確認をお願いします。
会議資料は議事次第と1枚紙の座席表、本日初めに御議論いただきます循環器病研究センターの資料が資料1-1から資料1-3。続きまして、精神・神経医療研究センターの資料が資料2-1から資料2-3。参考資料としまして評価に関するスキームの参考資料1-1、独法評価制度委員会の参考資料1-2、循環器病研究センターと精神・神経医療研究センターの財務諸表等が本日の資料となっております。
資料の不足、乱丁等ございましたらお申し出ください。
それから、具体的な議事に入る前に、総務省に設置されました独立行政法人評価制度委員会による平成26年度の独立行政法人の業務実績に関する評価の結果についての点検結果の概要を、玉川政策評価官から説明いたします。
○政策統括官政策評価官
政策評価官でございます。
私ども政策評価官室では、独立行政法人の評価も含め、厚生労働省全体の政策評価の取りまとめを担当しております。
初めに参考資料1-1をごらんください。1ページ目、独立行政法人の評価に関するスキームでございますけれども、独立行政法人通則法が改正されまして、昨年度から評価の決定が、各府省に置かれた評価委員会から主務大臣にかわることになりました。下の段に評価のスキームという図がございますが、主務大臣が評価を実施するのに先立ちまして、国立研究開発法人にあっては、研究開発に関する審議会の意見を聴取することとされておりまして、厚生労働省の場合、本審議会がこれに該当いたします。
この資料の2ページ目をごらんください。評価主体、評価の体制等の見直しとあわせまして、評価の基準についても昨年度から大きな変更があったところです。一昨年度までは各府省の独立行政法人評価委員会が評定、評価基準、評価様式等をそれぞれ定めて評価を実施しておりましたけれども、新たなスキームのもとでは総務大臣が定める独立行政法人の評価に関する指針、つまりは統一ルールに基づきまして各省とも評価を実施することとなりました。
具体的な評価基準でございますが、この資料の3ページをごらんください。真ん中の欄でございますけれども、項目別評定のところでございますが、中期目標の達成状況、中期計画の実施状況等を考慮し、評価項目ごとに5段階、SからDまでの評定をつけることになっておりまして、定量的指標を設定している項目、定量的指標の設定が困難な項目、いずれもがBを標準とすることとなっております。定量的指標を設定している項目の場合には、目標値の100%以上、120%未満の場合はB評定となりまして、目標値の120%以上の場合にA評定、それに加えて質的に顕著な成果があった場合に初めてSということとなってございます。
それでは、昨年度こうした新たな評価スキームに基づいた評価の結果がどのような状況であったかということでございますけれども、参考資料1-2に総務省の独立行政法人評価制度委員会が取りまとめた点検結果というものがございます。
1ページおめくりいただきまして表1-1というものがついておりますけれども、全体の状況でございますが、それまでの評定でございました25年度の場合でございますと、A以上の割合が93.5%あったのですけれども、昨年度評定を終えてみてA以上の割合は20.9%となった。それまではA以上をつけるというのがほとんどだったというところから、かなりのものについてB中心となるという形で実施をされたところでございます。
問題は、これを府省別に見た場合でございまして、3ページに府省別の傾向、年度評価というものが出ております。各省が所管しております独立行政法人99法人の評定項目、1,876項目を府省別とSからDまでの評定別にまとめているのですけれども、真ん中のところは厚生労働省でございますけれども、中期目標管理法人、国立研究開発法人、合わせまして19法人ございまして、278の項目があったのですが、A評定以上がSが17、Aが116あったということで47.8%という数字になっております。この47.8%という数字は経済産業省の10法人による56.1%に続く高い割合でございまして、府省全体の20.9%を大きく上回っているところでございます。実はA以上の割合が高いとして、2ページで具体的に指摘をされております経済産業省、厚生労働省、外務省の3省を除きますと、各省の平均は実は13.8%まで低下するということで、かなりここのところには乖離が見られる状況となっているところでございます。
この点検結果には6ページ以降に評価の手法や評定の根拠、理由等のより一層の明確化の必要がある事例というのも具体的に取り上げられております。例えば(1)の定性的業務実績等に基づいてA評定以上としている根拠、理由等が明確化する必要があるというところでございますと、例えば7ページの表でございますけれども、国立循環器病研究センターの財務内容の改善に関する事項とか、その他業務に関する重要事項が掲げられているところでございます。これらについてはできる限り定量的目標を設定し、定性的業務実績等に基づきA評定以上を付す場合には根拠、理由等を明確化することが求められております。
また、その次には複数の数値目標を設定して評価する項目について、120%以上となっている目標がない、あるいは少ないにもかかわらず、全体がAとなっているような法人もあるという指摘も出ております。当省関係では具体的な記載はございませんでしたが、こういうものについては達成度が120%以上となる指標が少ないにもかかわらず、そういうものをつける場合には合理的な理由を記載することが求められています。
さらに(4)というのが9ページ以下にございますけれども、目標水準についての検証等ということでございまして、例えば目標期間のほぼ毎年度120%以上達成となるようなものについては、その目標の水準が実績及び達成すべき水準を踏まえたものとなっていないのではないかということで、これらについては目標水準自体が実績とか達成すべき水準であるかを検証して、変更の必要があればその旨を記載することが求められているということで、具体的な法人の例といたしましては、10ページのところで国立精神・神経医療研究センターのその他医療政策の一環として、センターで実施すべき医療の提供等が掲げられているところでございます。
最初に申し上げましたけれども、政策評価官室といたしましては独立行政法人の業務実績の評価につきましては、総務大臣が定める独立行政法人の評価の指針、統一のルールに基づいて的確に実施していくことが重要と考えております。本部会の委員の皆様におかれましても、先ほどお伝えいたしました点検結果も踏まえ、国立研究開発法人の厳正な評価の実施に向け、それぞれ御専門の見地から御知見を賜りたいと存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。
○医政局医療経営支援課長補佐
ありがとうございます。
それでは、ここからの議事進行につきまして、永井部会長よろしくお願いいたします。
○永井部会長
では、国立循環器病研究センターの平成27年度業務実績評価について御議論をお願いいたします。最初に研究開発の成果の最大化に関する事項の評価項目1-1と1-2に係る業務実績と自己評価について御議論をお願いします。法人から御説明をいただきまして、その後に質疑応答という流れで進めてまいります。ポイントを絞っての御説明をよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター理事長
国立循環器病研究センター理事長の小川でございます。本日はお忙しい中、我々のセンターの評価のためにお時間をとっていただきまして、ありがとうございます。
私は本年2月から国立循環器病研究センター理事長を拝命いたしました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
以下、着席させていただきまして少し述べさせていただきます。
昨年の評価におきましては、第1期中期目標期間の業績につきまして、先生方から高い評価をいただきました。これは先生方が我々の業績内容について御理解くださり、評価をいただいたものであると感謝いたしております。これらの評価は我々にとって大変励みとなりまして、研究や先進的な医療の提供をさらに推進していくためのモチベーションの向上につながっていると感じております。
この後、個別の評価項目につきまして各担当から御説明を申し上げますが、積極的に研究開発などの業務に取り組んできた一方で、財務状況につきましては資料の14ページ、15ページにございますように非常に厳しい結果でございました。皆様御承知のとおり、私ども国立循環器病研究センターは北大阪健康都市、健都でイノベーション創出の中心的役割を果たすべく、平成31年7月をめどに移転する予定であり、今年度から移転、建替整備が本格化いたします。今後財政状況を立て直していかなければ、その後の円滑な運営に支障を来しますので、先月末に職員を招集いたしまして、私から財政緊急事態宣言を発したところでございます。
具体的には経営の柱であります病院事業のさらなる収支向上のため、病院、診療所とのさらなる連携の強化、診療材料などの調達価格の抑制、審査支払機関による査定減の抑制などに現在取り組んでおります。また、運営費交付金を財源とするインハウス研究費の規模が縮小する中、外部資金、競争的研究費用をさらに獲得できるように、各部門に目標を設定するなどして積極的に取り組むように指導しております。
そのほか、センター内のガバナンス強化や事務費などのコスト削減についても推し進めるとともに、これらの取り組みについて定期的にフォローアップをしていくこととしております。
毎年、運営費交付金が削減され、昨年度は独法移行初年度、平成22年と比べ約20億円削減されており、非常に厳しい運営が強いられる中で最大の使命である移転、建替を成功裏に導くことができるよう、先ほど申し上げたことを重点的に取り組み、改善していく所存でございます。
評価に先だって私の決意として述べさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
それでは、資料1-2をご覧いただきたいと思います。まず評価項目1-1といたしまして5ページを見ていただきたいと思います。担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進の中で、特に顕著な成果が上がった医療機器の2つについて説明をさせていただきたいと思います。
左上に書かれてありますけれども、多孔化カバードステント(NCVC-CS1)の開発というところであります。これは脳動脈の閉鎖のためにステントの外部に1層の樹脂の膜を施して、それにレーザー加工することで小さな穴をあけたステントで、これを脳動脈瘤の開口部に設置することで、脳動脈瘤が閉鎖されていくということ。さらにはその近くを流れる枝の動脈ですけれども、それはそのまま温存できるという画期的なデバイスであります。これは循環器病研究センターの研究所の工学研究者と病院の脳神経外科の外科医が一緒になって開発を始めたもので、ベンチャー企業等と当初は一緒に始めたものですけれども、その後、医療機器メーカー等も参加して製品に向かっていったということであります。開発当初からPMDAの薬事戦略相談等をしっかり受けて、どのような非臨床試験をやったらいいかとか、安全性・有効性をどう確かめたらいいかということもしっかり薬事戦略的にやって、その試験を後でまた説明いたしますけれども、実験の信頼性保証システムに乗せてしっかりしたデータをとって、平成27年度末にPMDAに治験計画書を出したというところです。治験は今年度からということで、計画書を出したというところまでが一応の成果であります。
もう一つ、世界最小径人工血管の開発と書かれていますけれども、これも循環器病研究センター発の技術で、ステンレスの鋳型といいますか、円柱なのですけれども、そこにシリコンコーティングを施したものを生体の体内に埋める。そうするとそこのところに線維芽細胞とかコラーゲン等がついて、生体内で人工血管が形成されるという技術であります。すなわち自己の組織で自己の血管をつくるということになるわけで、従来までは5ミリぐらいの血管を開通させることが非常に難しい、5ミリ程度以下は難しいということだったのですけれども、直径0.6ミリのものが動物実験で6週間、8週間にわたって十分に開存するということがあって、今後脳外科とか心臓外科のバス術に応用していけるということがあるのではないかと考えています。
以上、医療機器の画期的なところだけをお話させていただきました。
○国立循環器病研究センター理事(寒川)
続きまして、寒川から新規治療法の研究開発、それから、革新的な治療の研究開発等における主要な研究成果を紹介させていただきます。
1つは不安定プラーク(動脈硬化巣)を検出する心臓MRI検査法の臨床への応用ということで、MRIを用いて不安定プラークを同定できること、さらに抗動脈硬化作用の期待できる薬剤の判定効果、これにMRIを用いた評価法が有用であるということを世界で初めて証明したということでありまして、臨床へ応用するということ。これにつきましては論文でも発表しております。
2つ目としましては、超軟質の精密心臓レプリカです。これは以前にも紹介しましたけれども、これを手術のシミュレーションに使いまして実際に先天性の成人期の疾患、心疾患、修正大血管転位症における末期の心不全例に対する国内初の心臓移植を成功させた。それに向けまして複雑なところをレプリカを使いましてシミュレーションを行って、初めて成功できたということであります。
それから、革新的な治療の研究開発でありますけれども、ANPを用いた全国規模の多施設共同無作為比較試験です。これは以前にも研究段階のところは紹介しましたが、昨年9月から国家戦略特区における保険外併用療法の特例を活用した全国初の案件としましてANPの血管保護作用によるがんの転移・術後再発抑制効果を肺がん手術において応用するということで、現在までに目標症例500例に対しまして150症例が既に登録されております。
4番目ですけれども、COMCID studyといいまして、これは軽度の認知症障害患者に対するシロスタゾールという既に市販されている薬でありますが、これを用いて臨床効果及び安全性に対する医師主導の治験を昨年開始しております。これはシロスタゾールを軽度認知障害から認知症への進行を防ぐ有効な手段となるかどうかということで、その確認のための医師主導治験であります。
次の国際展開を踏まえた多施設共同研究の実施と施設のネットワーク化ということですけれども、これにおきましても大きな成果を上げておりまして、NIH助成国際共同試験を推進しておりまして、脳出血の超急性期の降圧目標確立のための国際共同試験でありますけれども、センターが国内の調整施設を務めまして、全世界で1,000例の登録でありますが、そのうち国内から288例でありますけれども、当センターから79例ということで施設としては世界で最多であったわけです。
それから、心臓サルコイドーシスに関する全国多施設共同研究の実施でありますけれども、これは数値目標に入っておりますが、昨年度、全国57施設、757名の実態調査を行っております。目標値は35施設300名となっておりますが、非常に大きく上回っております。
そのほか予防に着目しました研究としましては、虫歯菌と微小脳出血との関連を明らかにして、それを脳卒中の新たな予防法の開発へとつなげるという研究も行っております。
かるしおレシピにつきましては、これは何度も紹介しておりますけれども、昨年10月に第5弾の国循のかるしお手帳というものを出版しまして、シリーズの累計発行部数が37万部以上となっておるということであります。
主要な成果について説明しましたけれども、数値目標としまして循環器疾患の解明と医療推進に大きく貢献する成果、これは各年2件としておりますが、先ほど紹介しましたように今回4件ありまして、達成率は200%ということであります。
それから、英文の原著論文数ですけれども、これは335件ありまして、計画値は年250件以上に対して、達成率は134%となっております。
大きく貢献する成果というのは、昨年までは主要な論文とかインパクトファクターの高い論文などを挙げておりましたけれども、今回から数値目標も変わっております。ちなみにインパクトファクター15以上の雑誌掲載は10件ありました。
数値目標のもう一つ、サルコイドーシスの全国多施設登録研究ですけれども、これは先ほど紹介しましたように目標値、全国35施設300名に対しまして、結果として57施設757名ということで非常に大きく上回っております。そういうことで評価項目1につきましては予想以上の非常に大きな成果が得られたということで、自己評価としましてはSをつけております。
以上です。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
続きまして評価項目1-2を説明させていただきます。7ページをご覧ください。実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備というところであります。左の欄を見ていただきますと、基礎から臨床への橋渡し、トランスレーショナル研究の推進というところで、今の評価項目1-1でお話いただきました多孔化カバートステント、JANP study、COMCID studyを開始したということで実績が上がっております。
それから、産学官等との連携強化ということで、これは医療機器の品質マネジメントシステムで普通は企業が持っている規格なのですけれども、国際規格ISO13485、医療機器の品質マネジメントですが、これに関して言うと循環器病研究センターはそれを製造するわけではありませんので、研究と開発のところ、評価のところ、そこのところだけを取得したわけであります。これは平成27年8月に認証取得し、これはアカデミアとしては国内初ということで、従来は循環器病研究センターは研究開発法人でありますので、基礎研究、新しい現象の解明であったりとか、新しい機器の発明であったりとか、そういうところがポイントになったわけですけれども、それだけではなくて企業の製品化のプロセスにも適合するような体制をしっかりつくるということで、これを取得させていただきました。
これに関連することですけれども、知的財産の活用という右の欄の中段あたりにある信頼性保証システムの運用というところで、平成23年8月までにいろいろ体制を整えてきたわけでありますが、カバートステントの研究等、25試験においてセンターとして信頼性を保証できる。要するに基データまでたどれるとか、その保管をしっかりするとか、そういうことも含めて医療機器薬事申請に添付可能なデータとするということが非常に重要なことで、これを組み合わせることでISO13485なども取得できたということであります。
臨床研究の基盤整備ということで左の下ですが、NeCST(Network for Clinical Stroke Trials)の構築、これも評価項目1-1でお話いただきましたけれども、まずNIHがスポンサーになってやった国際共同治験がバックボーンとしてありまして、その後、ネットワークが日本で脳卒中関係のネットワークが築けたので、それをしっかり運用していこうということで、AMEDの助成を受けてネットワークの中央施設として基盤を整備して、独自の臨床情報登録システムを作成しております。これもネットワークをつくっただけではなくて、実際に運用して臨床研究多施設共同研究が行われているということで、これはもし必要でしたら病院長が中心になってやっておりますので、説明します。
右の欄に行きまして循環器疾患情報の収集・登録体制の整備ということで、循環器疾患レジストリーシステムを構築した。これは循環器病統合情報センターというものを新たにつくったわけですけれども、その中で先天性心疾患、脳卒中及び胎児不整脈に対する患者レジストリーシステムを整備して、データベースを構築する体制を整えたということ。それから、難治性・希少性疾患の原因究明や創薬に資する治験・臨床研究ということで、創薬オミックス解析センターを稼働いたしました。また、研究倫理体制の整備・強化ということで、下にも書かれていますように外部公開型の研究倫理研修セミナーを開催したり、コンサルテーションを積極的に実施したり、倫理研修会を開催したりということをやっております。
数値目標に関しましては8ページ目に書かれております。右下から見ていただきますと、年間の治験実施数、目標設定30に対し43症例ということで、達成率143.3%、臨床研究実施件数が達成率110%、ガイドラインへの採用件数というのが非常に大きくて達成率300%となっております。左側の3つのグラフ、グラフ1~3ですが、これは中期計画、この5年間での計画であります。グラフ1に関して言いますと、ファースト・イン・ヒューマンの実施件数はまだございませんけれども、先ほどお話したカバードステントなんかはファースト・イン・ヒューマン・テストに当たるわけで、28年度にはここに1例加わることになると思います。
医師主導治験、グラフ2でありますけれども、COMCID studyが今、走っておりますけれども、これもカバードステントが治験届を出すと始まりますので、これももう一件加わることになります。
先進医療の承認件数は残念ながら今、ゼロ件ということでありますけれども、これに関しても今後獲得していきたいと考えております。
以上、実用化を目指した研究開発の推進及び基盤整備ということで、基盤を整備しながらそれを運用した実績がかなり上がってきているということと、数値目標、特に年度計画に関してはかなりのところが達成率が非常に高かったということで、自己評価としてはAとさせていただきました。
以上です。
○永井部会長
ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○福井委員
最初の多孔化カバードステントも、世界最小径人工血管もそうですけれども、これらはどれくらいの患者さんに用いられ、今まででしたら障害が残ったような場合の治療がうまくいって、クオリティーもよくなるといったシミュレーションといいますか、救われる患者さんの数や、世界の医療に与えるインパクトといったシミュレーションなりデータなりはあるのでしょうか。
○国立循環器病研究センター病院長
カバードステントに関しましては、一応この研究は外科的治療法が全くない症例をターゲットにしていますので数は少ないです。多分、全部合わせて数百例単位、そのうちの一部を治験としてやるわけですが、アイデアそのものはありとあらゆる動脈瘤に適応できるものです。今後、安全性とか有効性が確認されていけば、適応を広げて、今クリッピングとかそういったものをやっている全てのものにも適応できる可能性があります。これは段階を追っていかないとだめなので、難しいと思います。
細い動脈に関しては、今までそういった径で0.6ミリクラスの血管のバイパスは全然誰も考えていなかったので、これはどういう展開になるかわかりませんが、恐らく微小な血管の吻合とか、そういったものに今後使われてくるのだろうと思います。これは先が見通せないというか、逆に言えば大化けする可能性があると私は思っています。
○祖父江委員
非常によく頑張っておられるなという感じは毎回抱いておりますが、特にいわゆるレジストリーシステムというか、コホート研究が私はナショナルセンターでしかなかなか全国規模で悉皆性を持ってやるというのはできないと思っているのですけれども、今お話いただいた中で、しかも今後、特にリアルワールドからいろいろなエビデンスを出していくというコンセプトもどんどん今、出てきておりますので、非常に重要だと思うのですが、実際にどれぐらいの数のレジストレーションがあって、どれぐらいの例えば治験なんかへの、ここから治験に応用できたという事例がどれぐらいあるのかとか、そういうことをちょっとお聞きしたいということと、前に山口先生でしたか、がんのように悉皆性をもって全国規模でやろうとすると、いわゆる法制化といいますか、そういうバックグラウンドがあると非常にぐっと進むというお話をお聞きしていたのですが、その辺の状況はどうなっていますか。
○国立循環器病研究センター理事長
それは私から答えさせていただきます。
レジストリーは御指摘のように全国的なレジストリーが非常に必要なのですけれども、これは循環器病研究センターだけでも無理でございましたので、日本循環器学会、ちょうど永井先生が理事長のときからなのですけれども、学会が主導で一応データを収集するようなシステムをつくる。そのデータを学会では解析できませんので、統合情報センターに持っていきまして、そしてデータを入れていくという作業をしております。現在、非常に多くの症例、例えば心筋梗塞ですと全国で7万例の症例、それから、心不全が非常に今後増えていくのですけれども、23万例の症例が入っています。
そして御指摘の点ですけれども、治験に持っていくというのはまだある程度その数から、これはかなり症例数だけオープンにしているのですが、そのオープンした症例数から治験の症例数というのははじき出せると思うのですけれども、そういうものに役に立っていただけたらということで今、考えておりますが、まだ具体的にはなっておりません。
後半の御指摘は非常に大事な点でございまして、今、DPCのデータがございますので、循環器専門施設が全国で1,300あるのです。1,300の病院のいわゆる症例数は100%そろっているのです。この100%といいますのは、これに登録しないと循環器専門施設になれないものですから、皆さん出してくださる。1,300のデータが全部そろっているのですけれども、その中でDPCのデータを使うためには各病院での許可が要りますので、1,300の病院で80%ぐらいはDPCを使っていますので、その中の病院に全部お手紙を書いて、そしてそれを使っていいというところだけ登録しています。それでも現在、60%はオーケーしていただきまして、これもデータとして症例数で70万例のデータがそろっております。これが先生御指摘のように法制化されますと、データは全部あるのですけれども、使えないというのは非常にもどかしい状態なのです。ですからこれが法制化されて、みんな法律的に全部出さないといけないとなると100%そろう。そうしますと恐らく100万例以上のデータがありますので、その法整備を今、待っているところでございます。
○国立循環器病研究センター病院長
簡単に言いますけれども、先ほど先生が言われたのは脳卒中のデータバンクのことだと思いますが、これはかなり詳しいデータを、個票を集めてやっているのですが、さすがに悉皆性は非常に問題があって手挙げ方式で出してくれるところだけ理事会を通して集めていますが、これは10万例ぐらいのデータがあります。これを解析して、例えばTPAの導入のときにはこれをコントロールのデータに置きかえて添付したこともありますけれども、法律ができればそこら辺がもっとシステマチックにやれるだろうということで取り組んでいます。
○祖父江委員
フォローアップも相当やっておられるのですか。
○国立循環器病研究センター病院長
フォローアップもしようと思えばできるのですけれども、これは物すごく手間暇のかかることなので、特に循環器学会のものは施設のデータなのでフォローアップができないということです。多分がん対策基本法なんかを見るとフォローアップをして初めての価値があることになると思いますので、これはそういった法制化と連動しながら、ただ、そのときの受け皿として循環器病研究センターを位置づけると考えています。
○永井部会長
今の点は非常に重要で、悉皆性を求めると簡単なデータとなり、かつ断面的になってしまうのです。今、求められているのは、長期予後を含めた慢性疾患の時系列データです。そうすると悉皆性でなくても限られた症例をきちんと長期フォローする。そういうシステムの中心として循環器病研究センターが活躍していただければと思います。これはこの前も議論をした電子カルテからいかにデータを集めるかということと関係があるわけです。
○国立循環器病研究センター理事長
これは永井先生から御指摘されまして、今、電子カルテからデータを取り出すようなシステムを今つくっておりまして、自治医大とか東大とか九州大学、循環器病研究センターでも今、最後のところまで行っておりまして、そのデータが取り出せれば予後もある程度電子カルテを使って追えるのではないかと考えております。循環器病研究センターについては東大、自治医大、九大は乗っているのですけれども、循環器病研究センターに関しては最後のアクセスのところを今、システムをつくっているところでございます。
○永井部会長
2つ面があるということです。大きなデータで断面的に集めるか、限られた症例数だが長期的にみていくか。今、脳卒中・循環器病の診療のあり方検討会が始まっています。この検討会でも議論することになると思います。
○内山部会長代理
先ほどの福井委員の質問とも関連しますが、多孔化カバードステントの開発あるいは世界最小径人工血管の開発はいずれも現場のニーズから生まれたオリジナリティーの高い研究開発だと思います。そこでお聞きしたいのですが、現場のニーズやアイデアをこのように開発の実現まで結びつけるには、研究開発基盤センターなどが関与しているのでしょうか。それともほかの体制の成果でしょうか。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
これに関して言いますと、早期探索的臨床研究拠点整備事業というものがありました。去年、27年度までで終わったのですけれども、5年間御支援いただいて、7施設選ばれたのですが、そのうち循環器病研究センターは医療機器をやれということでただ1つ選ばれて、そこによる体制整備とか人員配置をもとにして信頼性保証システムなんかもやったということで、非常に論理的にスピードアップしながら研究開発が進んでいったということになります。もともとのアイデアは臨床の先生方のニーズとエンジニアのアイデアというか、そこが一緒になったものですけれども、それを単なる探索的な研究だけではなくて、実用化に持っていくというところが探索的拠点整備事業の成果だったと思いますし、循環器病研究センターの非常に強みになったと思っております。
○内山部会長代理
ありがとうございます。
○大西委員
大変すばらしい成果を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
とりわけ今のお話にも関係するのですが、ISO13485というものを取得されて、これはアカデミアで初めてということでございましたが、これも信頼性保証につながるいろいろな施策を円滑に進めていただくという意味では、非常に有効だろうと思いますが、これは治験なんかのデータについてもそういうことを応用していくことはお考えになられているというか、視野に入れておられるのでしょうか。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長 将来的には考えておりますけれども、現在のところは設計と開発の段階のところだけをISO13485についてはやるわけですが、治験に関して言うと今後我々も取得を目指している臨床研究中核拠点というものに向けて整備していくことで、こういうもののいろいろな治験が円滑に進んでいくのではないかと考えております。
○大西委員
企業の経験があるものですから、私どもも思い返しますとISOというのは維持をして、継続をして続けていくというのがだんだん重くなっていくということがありますので、ぜひ努力を続けていただければと思います。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
言われるとおりで、昨年取って、今年は査察に来ていただいて意見をいろいろいただいたのですけれども、やはり人的なものが限られているとか、その辺のところはものすごく重いところがあって、その人を雇うためにいかにこのことに価値があって、そこにお金を払ってくれる企業が出てくるかというところをどう稼ぐかというところがなかなかすごく大きな問題で、そこはぜひ戦略的に考えていかないと維持することの大変さはよく我々も思って、特に企業ではない我々はそう思っていて、そこのところが非常に意識しておるところであります。
○永井部会長
よろしいでしょうか。それでは、またもし御発言があれば後ほどお願いしたいと思います。
続いて医療の提供とその他の業務の質の向上に関する事項の評価項目1-3から1-5について御議論をお願いいたします。法人から御説明をお願いいたします。
○国立循環器病研究センター病院長
病院長の峰松から説明をさせていただきます。
資料1-2の9ページから13ページまでの内容になります。順番に説明させていただきます。
9ページですが、これはセンターで実施すべき高度かつ専門的な医療、標準化に資する医療の提供ということですが、高度・専門的な医療の提供としては、ここに挙げています5つが代表的なものかと思います。
丸1は僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療、これは開心術でも非常に難しい症例を対象に、図1に書いておりますけれども、右心系からカテーテルを入れて、まさにクリップなのですが、僧帽弁をクリップで閉じることによって治療をするということです。これが治験が昨年始まりまして、日本全国6施設、30症例を集めるという治験だったのですが、センターが第1例目を登録したのと、全体で10例国循が登録したということで、全体の3分の1を登録して、あっという間に終わってしまって現在、承認申請に持っていってもらっているという状況です。
丸2に関しては、これは僧帽弁の弁置換をした後、弁周囲に逆流が発生する場合があります。これを治すのは従来ですと改めてまた開心術をやるとか、非常に操作性の悪い右心系からのカテーテルを使って治療する。時間もかかるしリスクも高いという状況だったのですが、このたび心尖部アプローチ、これは図2に書いてありますが、心尖部からポンプを使わずに、開心術をせずにカテーテルを入れて非常に短時間でこの閉鎖を行うことに成功しております。これは従来ですと4時間以上かかるのを2時間以内で終わったということですが、これは現在、研究としてさらにあと3例ほどやる予定になって進行しております。
脳梗塞の治療に関しては、従来からセンターは非常に中心的にやっていたのですが、昨年度はTPA治療が年間107件、血管内治療が69件、これは両方とも国内第1位の実績を上げることができました。
丸4ですが、経カテーテル大動脈弁植え込み術、ここ数年非常に爆発的に増えていますが、昨年、高齢者の非リウマチ性弁膜症に対し、国循では70例を実施しております。国内では大阪大学と並んでトップクラスの実績を上げたということです。
5番目に、これは非常にユニークな症例だと思いますが、薬物抵抗性の心不全患者で腎動脈閉塞症を合併していた患者さんです。腎動脈病変は3分の1ぐらいに合併していると言われていますが、これに対してステント治療を行ったところ急激に利尿がついて非常に早くよくなって、3日目ぐらいに退院できたという症例を経験して論文発表しています。これは新しい治療展開になるのではないかということで期待しております。
少し省略しまして、臓器移植のことに関してですが、平成27年度は9例の心臓移植を国循で実施しております。大体最近は年間40例ぐらい国内でされていますが、センターが大体4分の1ぐらいをやっていることになります。累積症例数は78例というところに対して、これはナンバーワンの成績であります。
昨年、最も注目すべきなのは小児の補助人工心臓が使えるようになりまして、早速、国循では2例に使いましたけれども、1例が国内で、もう1例は米国で心臓移植に成功しています。従来ですと恐らく亡くなっていた子供たちだと思いますが、救命することができたということです。
最近は植え込み型の補助人工心臓を使うことが非常に多くなりまして、右肩の上の丸2に書いておりますが、昨年の補助人工心臓の治療実績が28例ございましたけれども、うち19例が植え込み型ということで全体の7割を占めております。グラフ2に補助人工心臓外来管理患者数ということで書いていますが、植え込み型を使うことによって在宅管理できる方が非常に増えまして、うち3分の1は職場復帰、学校復帰できているということで、相当重症の人たちのクオリティー・オブ・ライフがよくなっているというところで、グラフにあらわした患者数も予定よりも相当増えて、達成率142%と、計画に対して相当症例数が増えているという状況です。
冷凍保存同種組織を用いた治療。これは、東は東京大学病院、西は国循が組織移植センターとして機能していたのですが、ここ数年前までは症例数が少なかったのが、昨年、一昨年に提供が年間10例以上、うちでキープした組織を払い出しして年間20例近くの実績を上げたというところです。これは近々保険収載される可能性があるということで、強化するために西日本の組織コーディネーター、心臓移植の人たちに研修をやっております。今年の4月1日に保険収載されて、これは恐らくこれからどんどん増えてくるのではないかと思います。
グラフ1は説明できていませんが、いろいろな指標のうちの1つとして心房細動根治治療件数、目標230件としていたのですが、322件ということで非常によくこれだけできたなというぐらいに件数を増やしてくれています。
10ページ目、これは続きですが、患者の自己決定への支援ということで、先ほど言いましたように小児の移植、補助人工心臓を植え込む症例が増えて長期的なケアが必要になるということで、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、臨床心理士を採用して管理に当たってもらっています。非常に意義があることではないかと思います。チャイルド・ライフ・スペシャリストは国内でまだ40人ぐらいしかいらっしゃらないということと、センターには米国で資格を得た人に入ってもらっています。それから、患者等の参加型の医療。これは従来からやっていましたけれども、イベントを外来で開催したり、一次救命措置の教室を定期的に月1回開く。生活習慣病教室も外来のコーナーで開く。月2回ぐらいのペースですが、ということで非常に多くの患者さん、あるいは家族の方に参加していただいております。
チーム医療に関しては、ICTの強化によって抗菌薬の使用頻度がどんどん下がってくるという効果が得られております。
下のほうで循環器終末期医療モデルの確立、これは2年半前から開始していますが、国内初の循環器領域の緩和ケアチームをつくって、コンサルトを受けております。グラフ2にコンサルトの経過を書いていますが、大体年間60例以上のコンサルテーションを受けているというところです。また、これは人材を育てるというところにメインがありますが、恐らく増えてくると終末期だけではなくて、循環器疾患の最初から関与するという形になってくるのではないかと思います。
右のほうの四角ですが、重症回診及び事例検討会。国循では以前から危篤状態にある病院内の全ての患者さんを多職種で回診したり、検討するということをやっていまして、それが昨年度は136件、問題があるインシデント・アクシデント例に関しては別個に多職種で事例検討会を開いておりますが、これは、昨年度は11件ということです。死亡例も含む重症例、あるいは問題があるものは全症例捕捉しているという形になります。
医療倫理等に基づく質の高い医療の推進ということで、医学倫理研究室にスタッフ、人員を配置して、昨年は通常診療18件、未承認・適応外治療に関するコンサルテーションを担当していただいています。最終的には臨床倫理委員会をつくらないといけないということで、そちらの準備もしていただいておりまして、4月1日付で新たに発足し、既に運用が始まっております。最後のところにいろいろな指標のデータを出していますが、大体116%、120%弱のデータということです。グラフ1はそのうちの1つの連携登録医の機関数ということで、これも110%程度の達成率になっています。ということで、全体を通してこの項目はA評価と自己評価しております。
引き続き11ページです。人材の育成や研修・講習、医療技術の研修という項目です。これはこのページだけですが、リーダーの育成実績ということで、昨年は研究所のスタッフから4名、大学教授が輩出されております。それから、ここ数年間力を入れておりました連携大学院制度の強化。これは現在17大学と連携大学院の協定を結んで、実際に昨年2人ほど出ていましたけれども、平成27年度は3名の博士号が取得されております。慶應義塾大学との連携大学院ではテレビ会議システムを積極的に導入するということで、従来非常に困難であった遠隔地の大学との連携もできるようになっています。これは非常に期待しております。ほかにも大阪大学の移植医療システムの連携大学院、薬剤師レジデントを対象にした薬学部との連携大学院等々をつくっております。レジデント・専門修練医の学会発表や論文に対してかなり積極的に支援して、実際のデータとして学会発表はその前の年の30.3%増し、論文発表は71件ということで10%弱の増加を認めております。ほかにもここに書いてありますように、他機関との交流も積極的に行っています。このうちの丸4PMDAとの人材交流、丸5小児移植の強化のためにコロンビア大学の小児病院に派遣したということがあります。
臨床倫理、研究倫理に関するものとしては、若手研究者2名を雇用して育成しております。丸2のところに書いておりますが、ノルウェー政府の奨学金を得ることができまして、ベルゲン大学、これは倫理研究拠点の1つと言われておりますが、そこに留学していただいています。
ほかにも研究、研修の受け入れ、外部における講習の実施、最先端の医療技術の研修ということで、先ほどお示ししましたTAVIあるいはマイトラクリップといったものの見学、研修も積極的に受け入れたということであります。
最後、12ページと13ページは国への政策提言、均てん化、情報の収集、発信、公衆衛生上の重大な危害への対応というところで、先ほどの議論にも少し関係しますが、まず国の政策提言に関する事項として、日本国内の脳神経血管内治療に関する登録研究を行っております。これは関連学会としては日本脳神経血管内治療学会というものがありますが、そことタイアップして、先ほどは循環器学会とのタイアップでしたけれども、そこの会員たちからデータを集めて、2010年から2014年に国内で実施された脳血管内の治療症例の約4万例の登録をいただいております。これは現在、分析が進んでいると聞いています。
これは最初NCDでやろうという予定だったのですが、どうも内容が少し合わないということで、むしろこういった特化したものでやることになったようです。ネットワークに関しては先ほどお示ししたNeCSTの話があります。これは13ページの資料1のところにイメージ図が書いておりますが、恒常的に常設の軍団といいますか、臨床研究をやるチームをつくっておいて、いつでもどこでも対応できる。しかもそれを国際的に共同研究もやれる形でやるということで整備が進んでおります。
それから、データベースの研究として、循環器病救急疾患予後改善のための研究も今、進行中です。これは救急隊の持っているデータとDPCデータを突合させて、非常に意味のあるデータを得ようという研究であります。それから、成人先天性心疾患に関するネットワーク、それから、ガイドラインではこれはうちの部長が委員長になりまして、世界で初めてと言われています小児の家族性高コレステロール血症の診療指針を関連学会、動脈硬化学会や小児科学会との合同で発表しております。ほかにも循環器関係あるいは脳卒中関係のたくさんのガイドラインの策定の委員長や委員、先ほども少し話が出ましたけれども、そこに国循から出た論文が引用されるという形になっています。
情報の収集等に関しては、認知症の予後に関する啓発活動、それから、3年間続けていました市民を対象にした国循フェスタも開催しております。かるしおに関しては先ほども話が出ましたけれども、最終的にはかるしお認定制度、昨年ちょっと紹介しましたが、これは大分展開しまして、ここに書いていますように14社39商品が昨年度末までに認定されております。資料2、13ページの下のほうに出ていますが、具体的な商品名がここに出ております。今、認定された商品の販売額が年間約10億円というところで、そのごく一部ですけれども、センターにも入金されております。それから、S-1gグランプリの第3回目を平成27年度中には行えませんでしたが、その準備をしたということで、これは今年度になって大々的に開催できました。
最後に国際貢献ですが、明美ちゃん基金を使いましてミャンマーの小児心臓外科手術を育成しようということで、うちの部長、臨床工学士が実際にミャンマーへ行きまして、5日間で11例の開心術を行っています。それから、ミャンマーのスタッフも日本に招いて研修をしていただいている。それから丸2ですが、うちの医学倫理研究室の室長が世界医師会の作成するデータベース、バイオバンクに関する倫理的配慮の宣言の草案作成に関するパネリストとして招へいされて関与しております。
最後のところですが、地震に対する対応は東日本大震災を受けていろいろ研究等をやりました。これに関しては今年度になって熊本地震のときに非常にいい成果を出しました。これは来年の報告に回させていただきます。
以上です。これもAと評価させていただきます。
○永井部会長
ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
先ほどの脳神経血管内治療もフォローアップは難しいのですか。
○国立循環器病研究センター病院長
これは今のところフォローアップはまだできていませんが、ただ、施設に戻すと連結できますので、やろうと思えばできないことはない。ただ、データ的には切れていますので、もらったデータですることはできませんが、それをさらに施設に戻すことができればフォローアップは可能だと思います。
○祖父江委員
今の関連で先ほどの話に戻ってしまうのですが、フォローアップも含めてレジストリーを10年ぐらいやっていかないと、利用価値がなかなか出てこないと思うのですけれども、それはどうメンテ、費用の面ときちんとやろうと思うと恐らくかなりお金がかかると思うのです。その辺はどうされているかお聞きできたらと思います。
○国立循環器病研究センター理事長
一番の問題は、個人情報保護で縛られるというのが非常に問題なのですけれども、費用の面よりも、むしろそちらのほうの問題が大きいと思います。それさえ解決すればフォローはできるのではないかと思っております。
○永井部会長
これはむしろ積極的に提言されたらどうでしょうか。ちょうど今、個人情報保護法で登録研究をどうするかという議論がされていますので、要望書を検討会へ持っていったほうがよいと思います。
○国立循環器病研究センター理事長
ぜひそうしたいと思います。
○福井委員
9ページに書いてありますいろいろな高度専門的な医療の提供、例えばTAVIとか急性期脳梗塞患者での再開通療法などの治療の成績、アウトカムはほかの施設と比べていかがでしょうか。
○国立循環器病研究センター病院長
それも全部、再開発療法に関しては予後良好というか、自宅回復できる症例が50%以上というところで、そのデータは国循のホームページに毎年のデータとして出させていただいています。TAVIに関しても、もともと手術のできないような非常に重篤な症例なのですが、余り大きな問題も起こらずに死亡例もたしか出ていなかったと思いますけれども、かなりいいと思います。
ただ、これは海外との比較もやらないといけないのですが、日本のデータは普通、大体いいですね。海外で言われているものよりは成績はさらにいいということで、これはいろいろな事情があるのだろうと思いますが、それもTAVIはまだ始まったばかりなのであれですけれども、今後ホームページ等にデータも一緒につけて出すという形になろうと思います。
○国立循環器病研究センター理事長
補足ですけれども、私は全国のTAVIの管理をしているものですから、日本の成績は非常にいいです。1%ちょっとぐらいです。欧米に比べても抜群にいいです。循環器センターは急性期の死亡はほとんどというか、まずないです。成績は非常にいいと思います。
○永井部会長
昨年は論文数が増えたのはよいのですけれども、法人化後、一時減りましたね。その原因はわかりますか。そのあたりどう分析されたか。
○国立循環器病研究センター理事(寒川)
センター全体とした場合には病院のスタッフ、若い人が結構論文を全体に占める割合が多いのですけれども、法人化になる前に一時若い人の確保が難しくて、それが恐らく原因だと思います。
○永井部会長
特に中堅どころが減ってしまったということですか。
○国立循環器病研究センター理事(寒川)
そうです。ですからまた今度、専門医制度が始まるとどういう形で人材を集めるかというのが極めて重要。財政的なもの以上にやはりそこのところは我々のところの努力だけではできないです。システム的な問題になってくるので、そこらあたりが今後どのようになっていくかというのが、なかなか予測がつかない。例えば2年半後、当センターが新しい施設に移転するというときにそういった影響が非常に出てきて、新しい施設でこれからというときに、そういった若い人をどのように確保できるかということが極めて重要な、今後の問題ですけれども。
○永井部会長
既に影響が出ているということでしょうか。
○国立循環器病研究センター病院長
実はもう既に第1期の試験をやったのですが、例年の半分しか応募がなかったです。ただ、これはまだどうなるかわからない状態だったので、秋の2回目には増えるのではないかと思うのですが、いずれにしても多分、本当に開始になったときには激減する可能性があります。これは循環器病研究センターも含めてナショナルセンターが全て全国から人を集めてやっているシステムなので、実は今の地域ごとに研修を回すというシステムとはうまく合っていないのではないかということで、これは先々週、ナショナルセンターの病院長会議をやったのですけれども、ナショナルセンターごとに事情がいろいろ違うのですが、問題、共通点としてはそこがある。全国から人を集めるのが難しくなるだろうということで対策をとらなければならないと考えています。
○永井部会長
余り考えないままに進めてきたというのはよくわかりました。要望書や、どういう問題があるのかということを指摘したほうがよいと思います。
○国立循環器病研究センター病院長
昨年、実は理事長名で出してあるのです。問題点、それから、厚生労働省とも協議をした経緯がありますが、その後、機構の動きが延長になる可能性もあるということで、そのままじっとしていたのですが、また具体的な話になってきたので必要な対応はとらなければいけないなと思っています。
○永井部会長
執行部が変わりましたから、ぜひ動きをとられたほうがよろしいと思います。また学会への働きかけですね。よろしくお願いします。
○祖父江委員
今の件は、この循環器病研究センターは確かに全国から人を集めているということで、前もいろいろ議論が出たのですけれども、どういう形で、特に内科が非常に重要。外科ももちろん重要なのですが、内容についてはここで議論するつもりは全然ないのですけれども、ぜひいろいろ今の話で意見を言っていただいて、内科もかなりフレキシブルになりつつありますので、先生方は多様なところの1つだと思うのです。ですからそれをやはりどんどん声を出していただくことがこの1年、場合によってはもう少し延びるという話もありますけれども、非常に重要ではないかと思います。
○国立循環器病研究センター理事長
提言、それから学会というか専門医機構への要望は何回も出したのですけれども、少し誠意ある回答を得られなくて非常に困った状況でございました。今度執行部が変わったので、またもう一回出すようにいたします。
○深見委員
非常に先進的な高度医療の提供をたくさんされて、大変すぐれた成果だと思います。新しいことをやって、そういう中でも大きな死亡事故もないということでとても安心もしているのですが、こういった体制というものはどういった人たちが主導していくのか。それを若手のほうからこういうことをしたいというボトムアップ型でいくのか、それとも学会等を中心にしたようなところからトップダウン型でいろいろ入ってくるのか。人材集めということが今なかなか難しいということでもありますけれども、若い人にこういった高度医療を行うことが魅力になっているのかも含めてボトムアップ型でいっているのか、割とこういうことをしたいという上からの、そこら辺はどのように考えたらよろしいでしょうか。
○国立循環器病研究センター病院長
答えが難しくなると思いますのが、これは両方の要素があると思います。それから、もちろん我々が独自の治療法を開発するということも大事なのですが、ここに書いたものの多くは海外で始まって、それがまだ日本に入っていないとか、海外と一緒にやろうというところで、これは国際的なアンテナを張っておいて、それは先ほどのNeCSTとかああいった海外とのネットワークをつくっておくというのにつながると思うのですが、それでどうもよさそうだというのはやはり若い連中が自分たち、これを一刻も早く使いたいということで我々に要請してくることも多いと思います。どちらかというと上から幾ら言ってもなかなか口ばかりで動いてくれないので、国際的なアンテナと、若い人たちがそれに反応するような環境をつくってあげているというのが1つの大きな理由ではないかと思います。
○国立循環器病研究センター理事長
追加ですけれども、成績がいい理由は、こういう初期の症例に関しては非常に慎重過ぎるぐらい慎重にやっているといいますか、僧帽弁の閉鎖不全症の治療なんていうのは非常に手術できない症例、しかも逆流のある、どこで逆流があるかとか、そういうものを物すごく、2,000例ぐらいを調べて10例ぐらいやるような、そのくらい物すごく慎重にやっていますので、それで事故がないというのが理由になっていると思います。移植に関しても非常に慎重にやっていますので、10年で死亡している人なんかほとんどいないぐらいの成績なのです。だから初めのほうは慎重にやっているというのがその理由ではないかと思います。
僧帽弁の閉鎖不全の治療に関しては、ある程度下の人が言ってきたのを上がトップダウンでこれは一応やろうということでやりました。非常に成績もよくて、従来問題だった透視なんかも全然せずに、エコー下で治療ができる。ですから被曝もほとんどなくて、しかも安全性が非常に高い。大動脈弁の場合は少し初期に死亡事故も日本であったのですけれども、今も少しあるのですが、この僧帽弁に関しては恐らく日本でも死亡事故はほとんどないのではないかというぐらい安全な治療。そのために初期にきちんとしたリードをしていかないといけないと思っています。
○花井委員
9ページにいろいろ左上から丸1、丸2とあって、一応治験中だということで、丸2は手技の話、デバイスなので医薬品と違うのでどこからどこまでが治験という形でやって、どこからどこまでは手技の問題だとかそういうものがあると思うのですが、保険療養に乗っかって、普通に要するに丸2なんかより安全性が高くなる。患者にとってのリスクが下がって短時間で消えるということなので、利益が高いのですけれども、費用負担の問題とか保険療養で普通にこれだったらカバーできるとか、そういうものはどういう形なのですか。丸2の場合なんかは。治験みたいな感じになるのですか。
○国立循環器病研究センター病院長
一番最初のものは治験です。30例の治験で、これは保険収載を目的に申請しているので、多分早く承認されると思います。これは非常に効果があるので、そういうものは多分、厚生労働省もわかった上で治験を認めてくれているのだろうと思います。
2番目に関しては、臨床研究として研究費をちゃんと使ってやるようなことで、これは数例単位のもので、成果がよければ技術として特に新しい治療デバイスを使うわけではないので、心尖部から入れるという技術として保険のことも余り問題にならずにいけるのではないか。今は研究としてやっています。
ほかは最初治験でやって承認されて、初期の臨床実績をどんどん積み上げているというのがTAVIであると考えていいと思います。余りそこら辺の制度上の問題点は、ここに挙げているものはほとんどないと考えています。
○国立循環器病研究センター理事長
保険は通じないので研究としてやっています。特に循環器センターの救急でやることも多いですので、病院の全体の研究の倫理委員会以外にも、緊急での病院での倫理委員会というものを今年から立ち上げまして、研究としてやるというふうにしています。器具の応用といいますか、例えば心筋梗塞で心臓の中隔が破れた場合に緊急手術になるのですけれども、緊急手術もできないような症例に対して器具を使ってやるということも今、病院の倫理委員会を通して、それは研究としてやるというふうにしています。
○花井委員
何を議論したかったかというと、直接この評価ではないのですけれども、ナショナルセンターだから助かる医療というか、いい医療があるとして、それが別に保険療養とは余り関係ないところで持ち出しでやって、患者の評判は高くなるということがあります。。だけれども、やればナショナルセンターの負担が大きくなると、ナショナルセンターは役割を果たして要るにもかかわらず、損をするという話になって、研究では研究費が出たりとか、治験でやればそれは評価療養に乗っかっていって普通のあまねく広くになるのだけれども、その辺がどこまでが、だからある程度、運営費交付金を積み増ししてもらわないとこんな治療やめたみたいな話になる場合もあろうかと思うので、ですから研究というのと医療の提供というのはもちろんかぶっているのですけれども、ナショナルセンターならではの医療の質というところは、何らかの手当があるからできるんだということは主張していただいたほうがいいかなと思いました。
○国立循環器病研究センター理事長
これに関してはおっしゃるとおりで、研究でしかできないので全部持ち出しになるのです。ごく最近も今、これは非常に考えているところなのですけれども、こういう器具なんかだとまだ100万円以内でできるのですが、例えば人工心臓なんかどうしても使わなければいけない、使えば助かる、使わなければ助からないというときに、人工心臓持ち出しになると1,000万円単位になりますので、そういうものが非常に悩むところであります。最近も少しそういうもので倫理委員会は通ったのですけれども、財源の問題で非常に悩んでいる場合も結構あります。おっしゃるとおりです。
○藤川委員
1-1から1-3までに関しては、それなりに素人でもこれはAより高い評価をしても、その材料があるかなという印象を持ったのですけれども、1-4と1-5なのですが、数値の目標を120は超えて、特に1-4は超えていないですし、1-5は超えていますけれども、こちらのレジュメには書いていないという点で、センターからするとさほどアピールをされていないようなところも伺えるわけでして、そのような中でAをつけることに関してのもう少し質的な説明といったものがないと、なかなかAはつけにくいなという実感を持っているのですが、そのあたりはどうなのか教えていただきたいと思います。
それから、1-5なのですが、かるしおに関して毎年いろいろ情報が出てくるものの、これを今後も説明していただくのであれば、毎年の例えば14社39商品というように書いてありますが、これがどのように増加してきているのかとか、金額規模もこのように増えているというようなところが、何か突出するものがあれば今年はAでもいいというようなところの補強になるのかもしれませんが、そうでもないなということであると、その点では余り主張できないのかなという印象を持つのですが、そのあたりいかがでしょうか。
○国立循環器病研究センター病院長
御指摘のとおりかなという点があります。ただ、具体的な数値としてもともと目標に挙げていないところ、特に1-4なんかはなかなか挙げられていなかったというところがありますので、そこが弱点かなと思いますが、一応、内部で相対的なものでありますけれども、議論をした上でBではなくてAでいいのではないかということでやらせていただきました。これも皆様の評価にお任せするしかないと思います。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
かるしおのことなのですけれども、何社増えたかという実態は今、正確な数字はないのですが、着実に数は増えてきております。1年ごとにブランド化することでその価値を認める会社が増えてくるということで、どちらかというと右肩上がりでどんどん数は増えています。
認定商品の販売額は約10億円と書かれています。これも正確な数字ではないのですけれども、この2年でハナマルキの味噌、うどんのところでカップ麺、ここが非常に売り上げの高いところが入ってきて、正確な数字ではないですけれども、5億円ぐらいのものが1年間ぐらいで10億円に増えたというぐらいの感じがあります。去年3商品だったのが39商品に増えているということで、かなりの数が増えてきているということになります。
内部でも認可を与えるための委員会などもちゃんと整備されていて、外部委員も入ってやっていただいていて、商業的に成り立つのかというようなところも評価させていただいているところで、そういう意味では右肩上がりでこの事業は進んでいっていると考えております。
○福井委員
昨年も申し上げましたが、もし減塩プロジェクトを続けられるようでしたら、どこかの時点でアウトカムの評価をお願いしたいと思います。実際に食塩摂取量が減ったとか、血圧が下がったとか、アウトカムの評価を。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
研究的な要素を入れていこうとしていて、企業との間で確実に減塩食を食べてもらわないといけないという必要がスタディーとして出てくるので、そういう連携を今やろうとはしております。
○永井部会長
ありがとうございます。
それでは、続いて業務運営の効率化、財務内容の改善、その他、業務運営に関する事項。評価項目では2-1から4-1について御説明をお願いいたします。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
企画戦略局長の西辻でございます。
最初に15ページの27年度の経営状況から簡単に御説明をさせていただきます。
冒頭、理事長からお話申し上げましたように、27年度、左側の上の収支の表ですけれども、経常収支で6億4,200万円の赤字。昨年度が3億1,200万円でしたので、赤字額が約倍になっているということでございます。
収益のほうでいきますと医療、研究収益、これはAMEDの研究費を簿内処理したことに伴って増えていますが、いずれも増えていますけれども、運営費交付金が7億1,000万円減少しているということが大きく響いています。費用のほうですが、給与費は退職者が多かったので退職手当が伸びたこと、人勧を実施したこと、あるいは医師等の採用を若干増やしたことが効いております。減価償却費は昨年度に比べまして2億7,000万円ほど減っております。
右側が医業収支、病院経営ですが、見ていただきますと7億6,100万円の黒字ですが、26年度と比べますと7,600万円ほど黒字額が減っている状況でございます。内訳ですけれども、入院、外来とも収益は増加しておりますが、目立ったものとしましては保険等の査定減、支払基金ですとか国保連に対して請求したものの、査定減が前年度と比べまして9,000万円ほど増えておりまして、トータルで年間3億6,000万円、診療収益の1.6%程度になっております。
費用の増のうち、給与費8億1,000万円の増ですが、これは一番下の※にございますが、運営費交付金が減らされた分の中に教育研修費用というものを位置づけており、レジデントも病院収益に貢献するだろうということでレジデント・専門修練医の給与の6割を病院の医業収支に移しました。これが大体6億8,000万円ぐらいで給与費の増加につながっているということでございます。
以上が簡単な収支の状況でございますが、続きまして次の16ページをご覧いただければと思います。評価項目2-1、効率的な業務運営、電子化の推進でございます。まず年度計画の数値目標といたしましては、左側の中ほど、ちょっと下に書いてございますが、ジェネリックの使用促進、数量シェアで70%以上としておりましたが、78.8%ということで112.6%の達成率ということでございます。もう一つ、経常収支率100%以上という目標もございましたが、先ほど御説明申し上げましたように97.9%でしたので、これは目標に届いておりません。それ以外の実績ですけれども、左側の一番上の人事交流の推進ですが、従来から行っておりましたPMDAへの出向のほかに、新たに27年度からはAMEDに3名を出向させております。それから、厚生労働省、従来、私どもは大阪にあるということもあって厚労省には出向はなかったのですが、医師2名を派遣するということが、この4月から実現しており、27年度の実績としては、その調整を行ったということであります。
その下の効率的な業務運営体制ですけれども、創薬オミックス解析センター、これは26年度末に設置したのですが、これについて27年度からは2つの部の業務統合を行うことによってヒト・モノの再配置を行って、より多くの種類の解析の効率的な実施を可能とするような取り組みを行いました。
右側に移っていただきまして情報セキュリティー対策の推進でございますが、患者レジストリーの基盤整備のほかに、災害時のビジネス・コンティニューのための環境整備の一環といたしまして、電カルのデータを遠隔地のデータセンターへバックアップするシステムを導入したほか、セキュリティー講習会の実施等を行っております。
以上、2-1につきましては、新たな取り組みもございますが、経常収支率等の数値を踏まえまして自己評価はBとしております。
右下の評価項目3-1、自己収入の増加、資産及び負債の管理のところでありますが、自己収入の増加等に関しましてはAMED、厚労科研費、文科科研費の獲得が伸びたことにより、間接経費が対前年度比で20.1%増の3億4,000万円でございました。他方、寄附金、特許による収入はいずれも前年度を下回っておりまして、ここにつきましても自己評価はBとしております。
続きまして評価項目4-1、法令遵守等内部統制の適切な構築、その他でございます。ガバナンス、コンプライアンスの関係ですが、まず内部統制の取り組みといたしまして、27年度に業務方法書の改正を行い、9月に内部統制規程、リスク管理規程を定めました。その後、内部統制委員会、リスク管理委員会を設置いたしまして、内部統制に係る評価を実施いたしますとともに、厚労大臣から示された中長期目標の達成に向けて、今の業務の中でどういうリスクがあるのかという洗い出しを行いました。
次が第三者委員会の提言を受けた取り組みですけれども、一昨年、当センターにおける情報システムの保守・運用に関する官製談合防止法違反等によって職員、元情報統括部長が逮捕、起訴されたわけですけれども、それを受けて設置された第三者委員会の報告書が昨年11月に取りまとめられております。事案の発生を受けて報告書の取りまとめ以前に既に私ども独自の対策を講じておりまして、それについてはおおむね評価をいただいておりましたが、さらなる課題として幾つか指摘をされております。指摘されたものについては最終的にはすべて実施するという方針で臨んでおりますが、27年度、当面まず実施できるものといたしまして、丸1~丸5にありますとおり、コンプライアンス体制の強化等の措置を実施いたしております。
右側のその他の事項でございますが、平成31年の7月を目途として移転・建替を予定しておりますが、これに関して幾つかございます。
まず、当センターの中にイノベーションの拠点となるオープンイノベーションセンターの設置を計画しておりますが、その具体化について議論を進めております。そうした議論を踏まえて、この医療クラスターのエリアが昨年11月に関西イノベーション国際戦略総合特区に認定をされました。
それから、このクラスタの名称を北大阪健康医療都市、愛称「健都」と決めていただき、自治体をはじめ関西の経済界、アカデミア等の関係者から成る医療クラスターの形成会議を開催いたしますとともに、その下で具体の内容について詰めていく推進協議会等を設置、開催し、イノベーション創出のためのイノベーションパークの誘致条件等の検討を行ったところでございます。具体的な医療クラスター全体のゾーニングは次のページに図があるとおりでございます。
以上、この部分につきましての自己評価はBとさせていただきました。
説明は以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございます。
それでは、御質問をお願いいたします。
○斎藤委員
大変厳しい環境であるということはよくわかります。その中でもいろいろその他の収入を得ようとして努力なさっているという姿勢が大変高く評価できるのではないかと思います。
かるしおは新たな収益源として有望であろうと思っていたのですが、商品としては十何億売り上げがあるけれども、国循には一千何百万しか入らないということを伺ったのでちょっとがっかりしました。これは要望ですが、かるしおの認定ができるのは国循だけですので、そのあたりもう少し交渉を強気でやっていただければと思います。この数字がもう少し高ければ評価がAになるのではないかという気がしております。
質問を1つお願いいたします。辞める方が多かった。それで退職者の人件費が上がったということですけれども、この辞める方が多かった原因は何なのでしょうか。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
2点、御質問をいただきました。
まず1点目のかるしおなのですけれども、確かに10億円売れているのですが、先ほど基盤センター長から御報告しましたように、実は昨年度まで3商品のものが27年度に大きく増えましたが、27年度の売り上げに伴う当センターへの収益は実は28年度に入ってきます。大体一千数百万円だろうと思っております。現在、既に我々のほうに入っておりますのは、かるしお関係の書籍の売り上げ等によるものが中心で、これはせいぜい数百万円程度と考えております。これからは39の商品を増やす、ないしは今、斎藤委員からお話をいただきましたように、もう少し我々に入ってくるロイヤリティーの割合を高めるということも含めて、検討していきたいと考えております。
2つ目にいただいた御質問、退職者が多かったということなのですけれども、もともと平成22年に独立行政法人になった段階の職員、その人数をベースに退職者の退職金相当額を国から運営費交付金としていただいているのですが、27年度はたまたま年齢構成的に60歳、65歳を迎える方が多くて、定年退職者が多かったということがございますし、定年を前にして他大学の教授等に転出される方も若干おられたという状況が原因と考えております。
○祖父江委員
医療収入とか人件費比率なんかは、循環器病研究センターは比較的健全かなと思っていたのですけれども、全体としては赤字、トータルとしては赤字になっている。ただ、医療収入は黒となっています。
私の印象、これは前からの話で同じような議論をさせていただいたのですが、オープンイノベーションセンター構想、医療クラスター形成というものが特区に指定されたということなのですが、新しいナショナルセンターの形として先ほど来、話が出ている医療と研究を収入型でやれるかどうかというところが非常に気になるところなのですが、これは何かそういうシミュレーションはどの程度やられているのかということと、これをやることによって、これはやればやるほど赤字になっておったのでは意味がないのですけれども、その辺はどうなのですか。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
岸辺駅前に移転して、ここでイノベーションを行うための共同研究等の収益のシミュレーションはまだできておりません。と申しますのは、ここでイノベーションを行う拠点は2つあって、1つは私どものセンターの中につくるオープンイノベーションセンター、もう一つが地元の吹田市と摂津市が誘致を行うイノベーションパークです。オープンイノベーションセンターに関しましては、幾つか企業と話をし、あるいは現在、共同研究をやっている企業に声をかける等で入ってくれそうなところを検討しておりますが、一方、イノベーションパークは4.5ヘクタールの敷地面積ですが、まだ募集も始まっていなくて、私どもと連携できるような企業の誘致をお願いしたいという話をしているのですけれども、顔が見えてこないと具体的にどのようなタイアップができるのかというところが想定できません。
ただ、いずれにしても地元の経済界、医療会等も非常に健都のイノベーションに期待をしておられて、特に関西は医療機器や医薬品のメーカーが多いですから、ぜひその期待に応えられるような我々のリソースを使った共同研究を進めていきたいと思っております。
○深見委員
財政的に厳しいということは非常によく理解しています。
先ほどどこかに出てきたと思うのですけれども、保険外の医療、保険外併用療法、医療特区ですかね、国家戦略特区と書いてありますかね。この保険外併用療法というものが今後どのような位置づけになるのか。それが財政的な面でどのような形に変化していくのかということをお話していただけますか。
○国立循環器病研究センター理事(寒川)
これは先ほど私の説明の中で、ANPのがん転移における研究でして、いわゆる先進医療Bということで保険外でないとできないということで、現在は外部からの研究費でやっています。
○深見委員
そうすると財政的にメリットになるということはないという理解でよろしいですか。
○国立循環器病研究センター理事(寒川)
そうですね。ですから共同研究として資金を入れてもらって、それに回すということで、組織としてメリットがあるのは、それに関連する間接経費ぐらいです。
○永井部会長
財務のことで教えていただきたいのですが、よく法人は目的積立金を積み上げていきますね。それはどの数字が当たるのですか。何億円、積み立てているのでしょうか。これから移転して再開発するときの資金のあては、自己資金がどのくらいで、借入金がどのくらいになるかということなのですが。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
目的積立金という形では積んでいないのですけれども、毎年の収支等を基にしたキャッシュが現段階で約100億円弱ございます。今後新しいセンターの建設費の多くは長期の借り入れで賄うことになると思いますので、今あるキャッシュをベースにしつつ、移転後の毎年の収益、現在の我々の土地、これは6.5ヘクタールありますので、大体100億から120億円ぐらいと言われておりますが、この売却益等を含めて、長期にわたって返済を行っていくことになるだろうと思っています。
○大西委員
医療収益はプラスで厳しい中、運営されているのにすばらしいと思うのですが、一方で保険の査定額が1億円近くも増加しているというのがお話にありましたし、全体を見渡しても1.数%の規模になっている。内容的に不可避なものなのか、可能であれば減少することが期待できるのかというあたりはいかがでしょうか。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
不可避なものではないと思っています。もちろんこれをゼロにすることはできませんが、民間の病院ですと収益の1%いくところはまずないと思います。やはり0.数%だと思います。
もともと国の組織から独法になった当初は、もう少し低くてぎりぎり1%ぐらいという感じだったのですが、それが近年増えております。幾つか原因があって、現場でこのあたりが査定ラインかなというところが徹底されていないというのがまず1つだと思います。もう一つは、本来であれば請求できるものが、記載漏れとかそういったことできちんと請求できていない。とれるものがとれていないというものもおそらくあるのだろうと思います。いろいろな要素があり、それは私どもが直接雇用している職員の問題もあれば、医療事務の請求を委託している会社の問題もあり、センター内の事務サイドと医師との連携の問題も含め、いろいろなものがあると思います。これは対応をとれば今よりは減らせると思っていまして、今このあたりは病院長を中心にプロジェクトをつくってやっていただいております。
○国立循環器病研究センター理事長
一応、努力は最大限にしているのですけれども、私たちの立場から言わせていただきますと、どこの病院もとれない患者さんが夜中に、特に大動脈解離とか、そういうものにかなり査定減の多くを、血液製剤に多くを割いていますので、努力はいたしますけれども、努力は足りないかもしれないのですが、そういう事情もお含みいただければと。周辺の病院が全くとらない患者さんをたくさんとっていますので、それは御配慮いただきたい。
○国立循環器病研究センター病院長
そういうしようがないところはあるのですが、やはりちょっと再検討したら節約できるのではないかというところを全部洗い直して、私は4月から病院長になっているのですが、ほとんどそればかりやっていまして、申請漏れ、査定減対策を徹底的にやらせていただいています。相当効果が期待できるのではないかと思っています。というか、これは来年の報告にさせていただきたいと思います。
○花井委員
本当に査定は大変だと思うのですけれども、一応ピアレビューになっているので欄外にしつこいぐらいにたくさん書く。よく民間より大学病院のほうが査定が多いです。診療所は少ないです。それは今ここでは述べませんけれども、やはり最後は同じ医師が見ているので、医師を説得するのを書き込むととるというので、空欄のまま出して返ってくるというのが結構多いので、そこはぜひ。
○国立循環器病研究センター病院長
国循はそこが甘いというふうに外の審査員から言われています。今、個別に指導とかやらせていただいています。
○国立循環器病研究センター理事(寒川)
少しつけ加えますと、財政的には独法になった平成22年度は交付金が約59億円あったわけです。それが約38億円になって20億円減っている。ですから当初から財政的には3分の2しか交付金が来ていない。その中でそのときと同じようにやれと言ってできるのであれば、もともとそんなに金は要らなかったのではないかと言われるわけです。ですからそこのところはとにかく、そういうことです。そうでしょう。だから本当はやれませんと言わざるを得ないのではないかというところまで来ているのではないかと思っています。3分の2と考えると、その3分の1は何に使ったということになるのです。そういうことです。
○藤川委員
4-1ですが、昨年、第三者委員会の件でまだ調査中ですというお話があったかと思います。平成27年11月に元部長が起訴を受けたということで、起訴を受けるというのは非常に重い話だと思います。その中でこれをBとして評価してよいのか。Cということもあり得るのではないかという議論が恐らくあったのではないかと思うのですが、そのあたりどのような議論があって、結論としてどのような理由でBでもいいということに落ち着いたのか教えていただきたいと思います。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
確かに逮捕、起訴されたのは事実です。公判は今年4月から始まっております。逮捕された元職員は、公判においても無罪を主張しているということであります。したがって、裁判の結果がどうなるかはわかりません。
ただ、この事例を私ども第三者委員会にお願いして、本人の供述というか説明は当然、とれなかったのですけれども、周辺の方々から聞くことによって大体概要を把握したところ、法的に問題なものがあるかどうかというところは、正直言って第三者委員会でも明確なジャッジはされておりませんが、ただ、不適切な運用があったということは指摘されております。これを踏まえて私ども独自の対策もとっておりましたし、今回、追加的にこういうこともやってはどうかという御指摘もいただいて、それを一応全部やりますということで、問題は起きていたかもしれないけれども、それに対する改善策をやったということで、これはCではなくてBと評価いただけるのではないかと考えたところでございます。
○藤川委員
そうすると、不適切な内容だったというところは、さほど重いものではなかった。もちろん対応するのは当然なのですけれども、体制の不備があったかどうかは非常に重要なことかなと思うのですが。
○国立循環器病研究センター監事(竹山)
監事の立場から申し上げたいのですが、前も申し上げたと思うのですけれども、この案件は基本的にはセンターにとって、いわゆるITの非常に独占になりやすい、随契になりやすいもので、結果としていろいろな知識が本人になかったのかもしれませんけれども、あるいはセンター側にやや不備があったのかもしれませんが、センターにとってプラスの結果を得た案件なのです。それが何か全体の事件に1つその方も絡んでいたことで発展した事件であって、あくまで監事の立場で考えますと、これは個人的な問題で、今、センターの組織がどうであったということは一切、私もヒアリングを受けましたけれども、そのことについての問題ではなくて、むしろ個人の問題という面が大きいかと思います。
したがって、今、御指摘のように、それでも真摯にセンターは、そうとは言ってもきちんと第三者委員会をつくられて、そして、それに対する再発防止策、いわゆる本人に対して犠牲者にならない、全部センターの業務職員をきちんと守ってあげるという前向きな意味において、第三者委員会の委員の声を全部聞いて前向きに対処されているということなので、その辺を御理解いただきたいと重います。
○藤川委員
ということは組織としての問題は、見直す過程では少しはあったから、それは善処したけれども、この逮捕に関してセンターに大きな問題があったから、それが起きたということではないということですね。第三者委員会でもそのような結論だったということですか。
○国立循環器病研究センター監事(竹山)
そうです。
○藤川委員
わかりました。
○永井部会長
それでは、最後に法人の監事から、業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明をいただき、監査等を踏まえて現在の法人の業務運営の状況、今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いいたします。
○国立循環器病研究センター監事(竹山)
今、センター自体は3年先に移転をするということで、それに関してやはり新しいところに行って、すばらしい医療とか研究ができるように職員、役員の方に内部統制を中心とした自己啓発について、ちょうど業務報告書で去年4月から変わっていますから、それを今、重点的に行っています。監査報告書はお手元にあると思いますが、本件につきましては6NC全体の監事が集まりまして基本的にいろいろな討議をした結果、基本的にこの形がいいということで書いております。
以上です。
○永井部会長
ありがとうございます。
続いて、法人の理事長より日々のマネジメントを踏まえて現在の業務運営の状況、今後の課題改善方針等についてコメントをお願いします。
○国立循環器病研究センター理事長
本日は限られた時間の中で委員の先生方、熱心に評価をいただきまして、ありがとうございました。時間もございませんのでポイントだけ申しますと、冒頭に申し上げましたとおり、目下の最大の使命は移転、建替が成功裏に収められるように、安定した財務体制の転換が緊急の課題であると思っています。それに向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。本日はどうもありがとうございました。
○永井部会長
よろしければ、国立研究開発法人国立循環器病研究センターの平成27年度業務実績評価に係る意見については終了いたします。どうもありがとうございました。
ここで5分、休憩をとります。
(休 憩)
○永井部会長
それでは、国立精神・神経医療研究センターの平成27年度業務実績評価について御議論をお願いいたします。
初めに、研究開発の成果の最大化に関する事項の評価項目1-1と1-2に係る業務実績と自己評価について、御議論をお願いいたします。
法人から御説明いただいた後に質疑応答を進めたいと思います。それでは、まず法人から御説明をお願いいたします。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
国立精神・神経医療研究センターの理事長の水澤でございます。
これから御説明をさせていただきますので、御評価のほどよろしくお願い申し上げます。
まず私から簡単に我々の法人の特徴を説明させていただきまして、2~3分いただきます。その後、それぞれの担当から、より詳しい説明をさせていただきます。
資料2-2の横長の資料をごらんいただきたいと思います。1枚めくっていただきまして1ページ目の上のほうに、最も大事だと思われる特徴が書いてございます。世界中に精神疾患あるいは神経疾患等の研究所は幾つもございますけれども、精神と神経、そして研究と診療を一体的に行っている施設は、日本国内はもちろんですけれども、国際的にも非常にユニークな存在で、我々だけであろうと思っています。したがいまして、そういう意味では国内的にはもちろん、国際的にも非常に大きな期待あるいは役割を担っていると思っています。
その使命といたしましては、下のほうに書いてございますけれども、精神疾患、神経疾患の克服であります。しかもそれは成人のみならず、小児、成人、老人に至るまで幅広く存在する精神・神経疾患につきまして、その克服を目指した研究、開発、医療の全国への普及を担っております。
右下にその内容が書いてございますけれども、全部読みませんが、例えば心身障害者あるいは薬物依存、摂食障害、司法精神医療といった、なかなかほかでは担えない部分も数多く担当して成果を上げてきております。そういうところを御理解いただければと思っております。
また、人材育成につきましては丸4に一言触れてありますけれども、医師等の教育のみならず、メディカルスタッフの研修、教育にも大きな力を割いて業績を上げているところでございます。
我々の施設の特徴でありますけれども、左側に主な組織というものがございます。今、申し上げましたように研究所、これは神経と精神保健の2つございます。それと病院。その間をつなぐものとして特徴的な組織としてトランスレーショナル・メディカルセンター、メディカル・ゲノムセンター、脳病態統合イメージングセンター、認知行動療法センターという4つのセンター内センターを置きまして、先ほど申し上げました連携というものを担保するような形を担っております。
下を見ていただきますと、総収益、総収支率がございます。残念ながら少し100%に欠けておりますけれども、1日平均の入院患者数を見ていただきますと稼働率、上の病床数460床余りのところに対しまして115.4ということで、90%に近い稼働率を達成しているところでございます。お金の話でありますが、一番下の外部資金等を見ていただきますと28.2億ということでございまして、センターの規模を考えますとがん研究センターは別格でございますけれども、国立研究開発法人の中でも獲得率の高い数字だろうと思っております。
2ページ目を見ていただきますと、沿革といたしまして1940年からの長い歴史を持っております。そして、それは精神疾患の療養所として始まったわけでありますけれども、昭和53年にできた研究部門が現在の神経研究所の前身でありますけれども、これは神経疾患の研究でございます。さきに申し上げました精神と神経の一体化ということを最初のころから意識してでき上がってきているセンターでございます。
右下をごらんいただきますと、少し詳しく病棟のことが書いてございます。上のほうの2あるいは3階と書いたものが4つございます。これは一般の病床でありまして、右端を見ていただきますと運営病床は50床ございます。その下の4階、5階というところを見ていただきますと、これは精神科の病棟でございまして、全て個室の35床で運営しております。我々に任せられたミッションを達成する意味で、このようなある意味では進んだ形をとっているところでございます。経営的には少し厳しくなってくる可能性があります。また、入院基本料のところを見ていただきますと、精神科で救急を担う等、財政的な工夫もかなり努力しているところでございます。また、その下を見ていただきますと、重症心身障害児の病棟、あるいは医療観察法の病棟等が書いてございまして、先ほど申し上げたことのある意味では裏づけにはなっているかと思います。
このような特徴を持ったセンターでございますので、そこを念頭に置いていただきまして、これから各担当の話を聞いていただければと思います。
最初は研究所からです。お願いします。
○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長
それでは、理事長に引き続きまして評価項目1-1と1-2につきまして、神経研究所長から説明をさせていただきます。
評価項目1-1、担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進でございますが、まず数値目標を見ていただきたいと思います。3ページ目の左下でございますが、論文、総説等につきまして26年度に比べて1%以上の増加を約束させていただきましたが、27年度は両項目とも3%増加にこぎつけることができました。
また、その右に行っていただきましてインパクトファクターが付与された学術論文、収録論文数の推移でございますが、そこに見ていただきますように、27年は275ということで、26年より増加という結果を得ることができました。
さらに、それらの論文がどのように引用されてきたかということが極めて重要と思いますけれども、幸いにも27年は順調に論文の引用が進んでおりまして、特に平成25年に出版された論文につきましては、27年は1,073という引用をいただいております。これは私どもが出してまいりました原著論文の内容がよく評価されているものと考えられます。
それらを踏まえまして、「1.医療推進に大きく貢献する研究成果」を見ていただきたいと思いますが、中長期目標期間中に合計12件そういった研究成果を上げることを約束しておりますが、27年度、4つの成果を上げることができました。これは後ほど簡単に御紹介させていただきたいと思います。
また、「2.既存の治療技術の有効性を検証した研究、均てん化に着目した研究」といたしまして、そこにございますように薬物依存症に対する認知行動療法プログラム、それから、PTSDに対する持続エクスポージャー療法につきまして、診療報酬改定において保険収載が認められたということがございます。これについては後ほど精神保健研究所長から御説明があるものと理解しております。
それでは、1ポツの研究成果について、具体的に御説明させていただきたいと思います。
4ページ目、最初が筋ジストロフィーに対するエクソン53スキップ治療薬の開発でございますが、これは何度か御紹介をしておりますけれども、幸いに早期探索試験、ファースト・イン・ヒューマン試験を医師主導治験として行うことができまして、その安全性と有効性を予想したとおりに実証することができました。その結果といたしまして昨年10月、厚労省より先駆け審査指定制度初の対象品目6つの中に1つ入れていただくことができました。
もう一つは、そのすぐれた結果を受けまして、この2月からは国内で、この3月からは米国において、それぞれ2相臨床試験を開始することができました。この課題についてはポイントが2つあると考えておりまして、1つはこういった成果に至りました1つの大きな背景に、患者さんのレジストリー及び診療機関のネットワークをつくったということがございます。これは主にトランスレーショナル・メディカルセンターの努力でございます。また、2つ目は今、申しましたけれども、医師主導治験として開始したものを企業、日本新薬に導出することができたことが大きいと考えております。
5ページ、2つ目の成果でございますが、これはトリサルファイドという少し耳なじみのない言葉かと思います。左上を見ていただきますと、硫化水素を皆さんお聞きになったことがあると思います。温泉等で出てまいります。実は硫化水素はガスですが、これが脳内に非常に微量にございまして、それがどういった合成経路をたどるのか研究してきた研究者が私たちのところにおりました。その後、ほかの合成経路があるとか、あるいは血圧や神経変性疾患と関係があることを出してきたわけですけれども、2013年に至りましてH2Sn、トリサルファイドというものがあることを発見いたしました。これはガスではなくて硫化水素に関連した物質でございます。その物質につきまして2015年になりまして、それがH2S3 というSが3つついた形のものであるということを発見いたしました。
また、その合成経路を見いだしまして、それは現在、疼痛、不安、がん、血圧等の制御に関係すると言われております。また、最近になりましてどうやら統合失調症にも関係するのではないかと言われて研究が進んでいるところでございます。これは非常にユニークな研究でございました。皆さん御存じのようにガスというのはCOであるとか、あるいは一酸化窒素NOというような研究が進んでまいりまして、NO等はノーベル賞をとっているわけですけれども、このH2Sの研究が進んできて、先月でございますが、トムソン・ロイターが4年ぶりに発表いたしました「リサーチフロントアワード」の1つとして選択されているところでございます。
次を見ていただきたいと思います。6ページ目でございまして、これがアルツハイマー認知症における成果でございます。認知症といいますと、これは長寿の領域でございますが、私どもNCNPでも特に神経疾患にかかわる認知症あるいはほかとは重ならない研究を進めさせていただいているところでございます。
それで認知症ではβアミロイドとタウという2つの要素が極めて大事ですが、これはβアミロイドにかかわる業績です。βアミロイドはもともとAPPという前駆体が酵素で切れてアミロイドβ(Aβ)というものができて、それが脳に蓄積してきて認知症に至るわけですけれども、この酵素につきまして、左下を見ていただきますと培養の神経細胞にAβというものを加えておきますと、前駆体を切る酵素の発現がふえるということがわかってまいりました。どういう意味があるかといいますと、右下を見ていただきますと、このようにAβがちょっとあると酵素の活性が高まりますと、もっと前駆体が切れて、さらにAβがたまるということになります。すなわち悪性の循環が進むということになります。そうすると現在この酵素はBACE1といいますが、これを対象にした阻害剤による治験が世界で幾つか行われておりますけれども、その根拠を与えたことになります。また、この研究では我が国では私たちの研究所だけで行っているユニークな研究でございまして、それを科学新聞に評価されて掲載を見たところでございます。
4つ目ですけれども、7ページ目を見ていただきたいと思います。これは難病でございます多発性硬化症にかかわる研究でございますが、多発性硬化症は国内で約1万人の患者さんがいらっしゃいます。そのうち慢性進行性というタイプがあるわけですけれども、27年度の業績として、それをモデル動物を用いて再現することができまして、その慢性進行性にかかわる病原性T細胞を同定することができました。その病原性T細胞ではEomesというものが発現しておりますので、それをターゲットにした治療ができるのではないかという展開でございます。このところずっと多発性硬化症に対しましてOCHという新しい新薬のことをお話してまいりましたけれども、それに引き続いてこういった業績を上げることができたと考えております。
そうすると少し戻っていただきまして3ページ目の冒頭ですが、数字的にクリアをしておりまして、内容的にもすぐれた業績を上げさせていただいたということで、自己評価として1-1についてSとさせていただいてございます。
引き続き1-2について、8ページ目から御説明をさせていただきます。今回は実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤の整備でございますが、まず数値目標を見ていただきますと、1ポツのところでもともと早期探索試験、医師主導治験、先進医療を中長期目標期間中に6件お約束していたところでございます。そのうち27年度には2件を実施することができました。1つは早期探索的臨床試験でございまして、これはこれまでと異なるエクソンスキップ、ジストロフィーに対する治療でございます。
もう一つは、先進医療というところを見ていただきますとPET、これは私たちのセンターの誇るファシリティーですが、それを使いましたアルツハイマー病診断についての先進医療についてお認めいただいているところでございます。すなわち6件中既に27年度で2件を実施してきたところでございます。
2ポツ目は、これも重要な要素として診療ガイドラインに採用されるようなエビデンスを6年間の中で4件以上に出すというお約束でございます。それにつきましてポツを見ていただきますと、パーキンソン病治療ガイドラインについて、これは病院長が努力していますゾニサミドについてのエビデンスが採用される見込みとなっております。また、ジストニアの治療ガイドラインについて、これも神経難病でございますけれども、当院の行った後方視的な研究がエビデンスとして採択される見込みとなっております。すなわち2件については、そういった方向で努力できたということでございます。
3ポツ目は、これまで進めてまいりましたバイオリソースを出発点として、それを臨床ゲノムに発展させるために27年4月にメディカル・ゲノムセンターを開設させていただいたところでございます。また、そういったことを受けまして4ポツ目、臨床研究・治験の実施状況を見ていただきますと、平成27年度は臨床研究477件、企業治験65件、医師主導治験4件、合計546件実施させていただいたところでございます。
それでは、どういった内容か、バイオリソースの内訳を少し見ていただきますと、下段にございます筋疾患の凍結筋が1万6,000以上、培養細胞は3,000以上、精神疾患の脳脊髄液は1,200以上、神経疾患の脳脊髄液700以上、こういった蓄積がございます。それらを背景に3ポツに記載しておりますが、バイオバンク試料を用いた研究について、平成27年度は40件実施させていただいたところでございます。
9ページ、ただ、このようにバイオバンクを充実させ、リソースを蓄積したとしても大事なことが2つございます。
1つは、バイオバンクでバイオリソースをとったものは、必ず利活用しなければこれは意味がないところでございまして、それについてはNCNPは非常に努力をさせていただいているところでございます。
もう一つは、今度は臨床ゲノムに対する展開でございます。これまでやってまいりましたバイオリソースの経験を生かして臨床ゲノム解析実施の体制の確立を目指しておりまして、これは後ほど御案内がございますIRUDとの深い関係がございます。私たちは特に重点的な領域として臨床ゲノムの解析を進める必要があり、それがこの27年4月に開設されたメディカル・ゲノムセンターの役割と考えております。
最後でございます。10ページ目を見ていただきますと、このバイオリソースに関しましても、あるいは臨床ゲノムについても、IRUDについても、実は出発となりますのはデータベース及び患者さんの登録情報、レジストリーでございます。それにつきまして私たちが努力してきたことが1つの出発点となりまして、昨年度クリニカル・イノベーション・ネットワークという事業がスタートいたしました。これは一言で言いますと患者さんの登録情報をスタートとして、新しい医薬品を開発する方法でございます。
それには2つの要素がございます。この10ページ目左下をごらんいただきますと、私たちは特に筋ジストロフィーに対して患者さんの登録を進め、例えば新しいお薬が出てきますと、登録している患者さんに、こういう新しい治験がありますよということを御紹介いたします。そうすると患者さんは今度は主治医の先生と御相談をされまして、その下にございます医療機関を結んでいるネットワーク、これをMDCTNと呼びますけれども、このネットワークに連絡します。そういう過程をとることによって非常に新しい薬の臨床試験のリクルートが早く進みまして、先ほど申し上げた53スキップもできたということがございます。
もう一つの要素は、ではこういったレジストリー等は本当に筋ジストロフィーだけでよいのか。もちろんこのRemudyと呼ばれていますネットワーク、レジストリーを使いましてGNEミオパチー等の医師主導治験も進んでおります。ただ、大事なことは、ほかの疾患にそれを反映させることでございまして、27年度、新規に精神科レジストリーRoMCo、これは精神科の第2相治験ネットワークでございます。また、理事長が努力をされています運動失調症患者登録システムJ-CAT、先日プレスリリースをさせていただきましたIROOP、これは認知症予防研究のためのインターネットを用いたレジストリーでございます。こういった登録制度の整備を進めさせていただきました。
また、従前からスタートしておりました脳病態統合イメージングサポートシステム、これは画像の集積でございます。それから、パーキンソン病発症予防のためのJPPMI、さらにはプリオン病の患者登録システムJACOPについても進展が見られるところでございます。すなわち、確かに筋ジストロフィーにスタートしましたけれども、患者さんの登録情報からスタートして新しい医薬品を開発するという方法は、国の政策として取り上げられ、私どももこのように努力をしてきたということでございます。そうすると少し戻っていただきまして、評価項目1-2については、このような数値目標の状況があり、さらに具体的に大きな進歩がありましたことから、自己評価としてAとさせていただいているところでございます。
私の分は以上でございます。
○永井部会長
それでは、ただいまの件で御説明に対して御質問をお願いいたします。
○内山部会長代理
外部から見てわかりやすいセンター化を行い、それに伴ってすばらしい成果を上げていると思います。人的な資源あるいは予算等の面で制約がある中でよくやっていると思うのですが、神経研究所、トランスレーショナル・メディカルセンター、メディカル・ゲノムセンター等、相互の連携をどのようにとっておられるのか、あるいは兼任や兼務があるのかどうか、教えていただけますか。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
兼任、兼務はたくさんございます。きょう後で話が出るかもしれませんけれども、研究所の職員と病院の職員が一緒になって疾患研究をするという意味で、専門疾病センターというものを現在7つスタートしておりまして、そのほかにも準備中のものがございます。例えば先ほどの多発性硬化症は多発性硬化症センターというものがございまして、そのセンター長は研究所の方でございますけれども、当然ですが、病院の医師が協力をしないとできませんので、一体となって協力してやっているという現実がございます。
追加がありましたらお願いします。
○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長
簡単に追加させていただきますと、やはり2軸あると思いまして、1つは病院と研究所の間にトランスレーショナル・メディカルセンターとかメディカル・ゲノムセンターがございます。もう一つは、この病院と研究所が組んで専門疾病センターをやっています。この2つを両輪としましてやってきたわけですけれども、例えばトランスレーショナル・メディカルセンターについては、それ自体の定員は極めて少なくて、ほとんどの方が病院あるいは研究所からのほとんどの方が併任でございます。それで例えば筋ジストロフィーに対するエクソン53スキップは主に研究所、病院の先生方でこれは早期探索試験をやっていただいたということがございます。それから、理事長から御紹介がございましたように、多発性硬化症に関しましては神経研究所と病院の先生が本当にタッグを組んでやったということでございます。
○祖父江委員
いつも大体同じ、非常に高いレベルのお話をお聞きしているのですが、特に今、武田先生がお触れになったレジストリー、リアルワールドというところから治験が始まったというのは、非常に高い評価ができるのではないかと思いまして、これは武田先生もおっしゃったのですけれども、クリニカル・イノベーション・ネットワークのまさにそのことではないかという監事がしますので、これはぜひ発信していただきたい。もっとほかの5センターにも波及するような形に持っていっていただくといいなと思っております。
1つ質問なのですけれども、これはこういうものを例えばジストロフィーはどちらかというと武田先生がおられてやられている感じも外から見るとするのです。それから、先ほどの脊髄小脳変性症は水澤先生が来られて立ち上がったという感じもしますし、そういう継続性を今後どう担保していくか。お金の面もあるでしょうし、人の面もあるでしょうし、そういうシステム化をどう担保していくのかということもあるでしょうけれども、その辺は今後の多分これ10年、20年のものだと思うのです。それをどうお考えになっているのかお聞きできたらと思います。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
ありがとうございました。
おっしゃるとおりでありまして、スタートはよろしいのですけれども、それがどこまで続けられるかというのはとても大事だと思います。
今、例を挙げていただきました例えば運動失調症等につきましても、これはたまたま私が異動してからのことでありまして、もとの施設で始めたわけではなくて、こちら(当センター)で始めたのですけれども、ナショナルセンターはそういうものを担保するような役割があるのではないかと思います。先ほどのクリニカル・イノベーション・ネットワークという大きな構想の一部分だと思いますが、そういう意味でここにたくさん書いてありまして、すごくいっぱいやっているように見えますけれども、これが我々の1つの役割ではないかと考えておりますので、今後もぜひ御支援をいただいて、続けていきたいと思いますし、このクリニカル・イノベーション・ネットワークの重要な点は、やはりそこに産業界からのコントリビューションも得ていただくということだと理解しておりますので、そのような努力をしていく必要があろうかと思っております。
○祖父江委員
これこそがナショナルセンターの非常に重要なミッションだと思うのですけれども、ではそれをどうやって継続、どうやって今後発展させるのかという土台ですね。また後でお金の話が出てくると思いますが、ぜひよろしくお願いします。
○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長
ごく簡単に追加させていただきますと、理事長がおっしゃったとおりでございまして、CINというのは非常に大きなプロジェクトだと思いますが、その一部になっております。それでやはり2つ考えておりまして、できれば確かに筋ジストロフィーにスタートしておりますけれども、それをプロトタイプとしてナショナルセンターを中心に多くの皆さんに理解をしていただいて、他の疾患領域でもこういったレジストリーをつくっていただきたい。
もう一つは、お金の使い方としましては私ども筋ジスでやった場合も、最初運営費交付金の中の研究開発費というものを使わせていただきました。それが形になってくると、かつては厚労科研費として、今ではAMED研究費としてとらせていただいた。ただ、最後に事業化すると研究費がとれなくなるのです。そうすると全部それがNCNPの負担になってしまうので、そのところを企業からお金を入れたり、運転できるような形にしていきたいと考えている次第でございます。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
追加ですけれども、今の筋疾患についてもそうですし、IROOPは認知症ということで疾患が随分違いますが、そういったところに関しましては既に産業界からの問い合わせ等もありまして、実際に対価をどのように計算するかとかいうことを検討しておりますので、これからの努力でその方向性は十分に出していけるのではないかと期待はしております。
○永井部会長
エクソン53スキップはいかがですか。1例でも、発現がみられて臨床症状の改善した症例はありますか。
○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長
先生、御質問ありがとうございました。これは早期探索試験の結果でございまして、12週間の比較的少用量の投与でございます。最初から臨床評価にたえ得るような投与期間ではございません。
ただ、4ページ目の下段左のほうを見ていただきますと、全例で血中濃度をはかりましたところ、投与してから大体1時間ぐらいでピークになるのですが、最高血中濃度がRTPCRで見たスキップの効率と非常に高く相関すること。2番目に下段に示しておりますが、体表面積当たりの投与量を見ますと、その体表面積当たりの投与量が一番多い例で非常に高いスキップ効率。実は47.5%というのは類薬でも世界でも例がないと言われたのですけれども、非常に高い効率でエクソン53スキップができました。そうすると先生おっしゃったように、目標は臨床的にどうなのかということで、それを後期相で問うという計画になっております。
○深見委員
エクソン53スキップのお話も昨年も伺ったかもしれないのですけれども、核酸医薬として使われ、臨床治験になってきたということはとても楽しみだなということで聞かせていただきました。
それから、レジストリーからのいろいろなネットワークづくりというところも、すごく進んできているような印象を持ちます。質問はバイオリソースの利用というところのアウトプットがまだ見えないのですが、こういったリソースを使ってビッグデータをどうやって扱っていくかというのは非常に重要なところでもあります。どのようなアウトプットが出つつあるのか。このあたりを少し御説明いただけるとありがたいかと思います。
○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長
御質問ありがとうございます。
まず最初に8ページ目を見ていただきますと、メディカル・ゲノムセンターの開設のところにバイオバンク試料を用いた研究について27年度は40件実施したと書いております。これは基本的に検体をお出しした研究の数を書いております。
特に特筆されますのは、27年度にAMEDによりましていわゆるマッチングファンドというものが初めてできまして、企業とアカデミアからペアを組んで出しまして、AMEDから研究費をいただくのですけれども、それと同額の研究費を企業の方から出していただく。そうするとこれは6NCで持っているバイオリソースを用いて医薬品の開発のための研究をやるという新しい図式だと思います。それに加えていただくことができました。
それが1つのきっかけでございまして、これまでドクターや研究者はバイオリソースを自分の誇りとして持っているわけですけれども、国費としてバイオリソースを蓄積してきた以上は国民、患者さんに返すべきものであるということを強く思っておりまして、利活用先にはそれなりの対価をお願いしなければいけませんけれども、それをお渡しすることで利活用の仕組みをつくりまして、現在、始めているところでございます。特に鬱病等に関しましては、既に幾つかの業績を上げていると御説明することができます。
○深見委員
そうしますとバイオリソースを出していく、そして連携をしていくことで今後も発展に貢献していくという理解でよろしいですか。
○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長
その御理解で正しいと思います。私たちのバイオリソースを企業やほかのアカデミアと一緒に使う、あるいはそれを差し上げて使っていただくことによって、新たな成果を生み出していこうというのが私どもの考え方でございます。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
それでは、続いて医療の提供とその他の業務の質の向上に関する事項の御説明、1-3から1-5までお願いいたします。
○国立精神・神経医療研究センター理事・病院長
1-3の医療の提供に関する事項についてお話させていただきます。さまざまな医療の提供をしておりますが、ここでは(1)医療政策の一環として、センターで実施すべき高度かつ専門的な医療と、(2)の患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供ということでまとめさせていただきました。
その中でまず1つ目の高度かつ専門的な医療といたしましては、当院の最も大きな特徴は希少難病患者への高度・専門的な医療の提供ということで、希少疾病の患者さんを大変高い集積性で集めて診療しているということであると思います。
右の図を見ていただきますと、先ほど新しいT細胞を見いだしたことが言われまして、多発性硬化症は我が国の5%以上の患者さんを当院で診ておりまして、そういう患者さんの中から特徴的なことを見いだすということをしているわけです。さらにパーキンソン病はもともとが多いですから0.8%ですが、1,300名という多分日本で1番目か2番目ぐらいに多い数を診ておりまして、その中から新たな治療法の開発を進めております。また、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど、筋ジストロフィーに関しましては10%程度、下のほうにありますGNEミオパチーという病気は、もともと当センターで疾患概念が確立し、病態を解明して治療法を開発してきたものでございます。そして先ほど武田先生からも少し説明のありましたRemudyの中でGNEミオパチーの登録も始めました。当院では20%以上の患者さんを診ておりまして、その中で年1回の評価ですとか、治療方針の決定などをしながら自然歴を評価する。そして、臨床評価指標をどのようにしたらいいかということを提案して、ことしから始まりました医師主導治験につなげてきたわけでございます。
また、左のほうを見ていただきますとてんかんのことも書いてございますが、てんかんはてんかんとしてはかなり多い疾病でございますけれども、特に難治例というのは小児慢性特定疾患のかなりのものは難治のてんかんを呈することがよく知られております。その難治のてんかんの場合には薬では十分コントロールできないから難治なのですが、手術療法をされることが結構ありまして、我が国では600件ぐらいされているのですが、そのうち8分の1ぐらいは当院で行っております。さらに、より難易度が高いと言われております5歳以下の患者さん、70件ぐらいなのですが、そのうちの4分の1は当院で行っているというような状況です。
そのように比較的希少な疾病を集めて見ているということで、大学病院などからも診断のつかない患者さんの紹介をいただいておりまして、私ども例えば神経内科の1年の初診患者1,700名弱のうち、15~16%は当院にて診断名の変更あるいは新たに診断名がついたという、いわゆる未診断の患者さんの診断をつけるということをしてまいりましたので、このような実績を国内でシステム化して進めるというために、AMEDの研究費をいただきまして未診断疾患イニシアチブ、IRUDを当センターが中心になって始めております。成人に関しては当センターが中央事務局になっております。
12ページを見ていただきますとIRUDの説明が出ておりますが、これはその診断が未確定である方に関して、かかりつけの医院から地区の拠点病院にコンサルティングシートが来まして、その中で診断委員会で話し合い、多臓器疾患である、あるいは遺伝性が疑われるものに関してエクソーム解析に進めるものはそこで進める。あるいはこの診断委員会の中である程度方針がついて、既にわかっている遺伝子診断ができるようなものは、それはそれで御紹介するというような形になっております。当センターはこの中央事務局をするのと同時に、東京地区の拠点病院としてこの診断委員会を動かすということをいたします。
中央事務局ですので、拠点のところから来て解析をして、解析をした解析結果と臨床情報、我が国の中の全ての情報が集まってまいります。それはもちろん患者さんにまたお渡しするわけですが、それとともに全国から集まってくるということで、それを集めて再解析することで、さらに次の方々の役に立たせるということを考えて、公的なデータベースに進めて、国内外への情報提供をするということが当センターの仕事であると考えています。
13ページ、患者の視点にたった良質かつ安心な医療ということで、先ほどのように希少疾患などでかなりいろいろ難しいことはしながら、かつ、良質、安心な医療が必要なわけで、医療安全体制の充実はもちろん、e-ラーニングなどを使って100%の受講率になるようにしております。
また、例えば精神科医療につきましては下のほうを見ていただきますと、我が国の精神病床平均在院日数は281日ということなのですが、当院では上にありますように38.3日です。かなり重症な患者さんが集まっておりますが、それでこれだけ短い期間で退院していただくためには、やはり退院後できるだけ早く御自宅で普通の生活をしていただきたいということで短い入院にしているわけですが、それを進めるためには在宅医療をいかに進めるか。訪問看護ステーションを病院から独立した訪問看護ステーションといたしまして、精神科のリハビリのデイケアスタッフあるいは訪問看護のナースが一緒に働く訪問看護ステーションを設置いたしました。これによって作業療法士や精神保健福祉士も含むような多職種チームがかなり手厚い支援をすることによりまして、この短い入院期間を保っているということになっております。訪問看護件数は26年度3,800件が27年度は5,200件弱となっています。
もう一つ、退院された後におうちで何となく過ごしていてはやはりよくないわけです。できるだけ就労していただきたいということで、ここは就労支援とだけ書いてありますが、リワークというもともとお勤めしていたところに戻るリワークというものと、就労支援と二本立てで行っております。これも就労支援専門員をつけるということと、患者さんであるピアスタッフを入れることによって、よりよい就労支援ができております。就労率10%というのは数字だけ見ると少なく見えますが、かなり重症の精神症状、幻覚・妄想などがまだ残っている慢性期の患者さんの就労率としては、非常に高いものであると言われております。
神経疾患のほうに関しましても、同じようにできるだけ短いということで一般病床も14.1日という日数ですので、これはやはり御自宅に帰られてからの生活を十分ケアする必要がありまして、入院の申し込みの時点から在宅でどのようなことになっているかということを確認して、入院中にいろいろな手順を整え、退院する前のケア会議をかなりの回数、ここで見ますと26年度155件が27年度344件と大幅にふやしておりますが、そのような対応をしております。
以上のことをしまして、病床利用率、平均在院日数なども年度計画を十分に上回った数字になっております。もちろん病床利用率88.5%ですので、これを5%以上ふやすというのは無理でして88.8%になっておりますが、さきに述べましたようなかなり専門的な医療をし、かつ、これだけの病床利用率及び平均在院日数を満たせたということから、自己評価としてはAとさせていただきました。
以上です。
○国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長
引き続きまして、評価項目1-4の御説明をさせていただきます。精神保健研究所長の中込と申します。
評価項目1-4は人材育成に関する事項でございます。こちらに関しましては、まず1ポツに専門家の養成という項目を挙げさせていただいております。こちらは特に臨床研究にかかわる方々の指導、育成にかなり力を入れてまいりました。その中でもなかなか困難だと言われております生物統計学講座の開催を、東京大学の協力を得まして中長期計画で年5回以上であったものを、平成27年度は10回開催させていただきました。延べ内外の研究者231名の参加者を得ております。
それから、トランスレーショナル・メディカルセンターでは、毎年臨床研究研修制度として2日間のワークショップ形式の研修を行っておりますが、これも引き続き年2回開催しておりまして、61名の参加者を得ております。
そのほか当センターにおきましては、さまざまなモデル医療に関する研修、講習を盛んにやっておりまして、ここには2つ挙げさせていただいておりますけれども、お手元の分厚い資料をごらんいただければわかりますが、およそ22の研修を病院、研究所で行っております。その中にはパーキンソン病治療にかかわるもの、あるいは摂食障害、自殺、そういったかなり社会的ニーズの高いものの研修を盛んに行って、情報発信をしているところであります。
こちらに挙げましたのは、薬物依存症に対するグループ療法に関するものとPTSD、いわゆるストレスによる精神障害に対する持続エクスポージャー療法という、これは認知行動療法をベースにしたものなのですけれども、こうした先進的な心理社会的療法といったものは薬物とは違って研修をして、その治療ができるようにそれを広めていく必要がありますものですから、それに取り組んだ内容について記載をさせていただいております。この2つは特に研修を行いまして、平成28年度診療報酬改定にそれぞれ依存症、集団療法、PTSDに対する持続エクスポージャー療法というものはそういった保険収載につながっているということで、この2つを特に挙げさせていただいております。
我々としては、人材育成におきまして目標を達成している点と、研修、講習に関しましてはかなり積極的に行ってきたという自己評価を行っておりまして、そこで1-4に関しましてAをつけさせていただいております。
1枚めくっていただきまして、引き続きまして評価項目1-5に移らせていただきます。こちらは医療政策の推進等に関する事項ということで、まず最初に国への政策提言に関しまして御説明したいと思います。先ほど申し上げました薬物依存症に対する認知行動療法プログラム、それから、1つ飛ばしまして持続エクスポージャー療法に関しましては先ほど説明したとおりでございまして、こちらのほうの両治療法は、当センターにおいてその治療効果に関する研究から効果検証、そして、その研修と一貫して取り組んでまいりまして、それを国のほうに研究報告書として報告した。その結果がこうした保険収載につながったものと考えております。
この2つ以外にも、当センターの研究者が主任を務めました研究におきまして、2番目の項目でございますけれども、救急を受診された精神疾患を伴う自殺未遂社の患者さんのフォローアップの介入を行ったところ、その再発が非常に低下することができたという結果を得まして、平成28年度診療報酬改定におきまして、こちらのほうも救急患者精神科継続支援料という形で保険収載につながっております。
そのほか特に近年、社会的な話題にもなっております危険ドラッグにつきましても、当センターの研究者が依存性・細胞毒性に関する評価、そしてその結果を還元するということで、国策としての薬物使用の禁止、制限についての提案を行っています。当研究所では平成27年度827種類の薬物を新たに包括指定しておりまして、そのうち4種類の薬物が麻薬指定しているということで、こういった部分におきまして依存性・細胞毒性の評価とともに、こういった医療政策の推進に貢献していると考えております。
先ほど議論に出ましたクリニカル・イノベーション・ネットワークの構築ですけれども、こちらは御存じのように6ナショナルセンターがもともとRemudyをベースにした希少疾患の患者レジストリーを構築し、それを臨床研究中核病院や、あるいはPMDA、AMEDと臨床開発の連携を行うという非常に大きなプロジェクトでございますけれども、こちらのほうに関しまして武田所長が平成28年3月に、武田所長がこちらのプロジェクトのリーダーとして自由民主党日本経済再生本部経済好循環実現委員会に講師として呼ばれて、その開発についてレクチャーしたということがございます。このクリニカル・イノベーション・ネットワークの構築の推進については、6月2日の閣議決定におきましても日本再興戦略の中で具体的な施策として位置づけられております。
最後に医療の均てん化及び情報の収集・発信についてでありますけれども、先ほど村田院長から説明がありましたIRUDは、国内外に情報発信していく非常に重要な業務だと思っております。そのほか精神・神経領域を取材するジャーナリストに対してメディア塾を開催しまして、こうした非常になじみの少ない領域に関する基礎知識を学ぶ場として、メディア塾を通じてジャーナリストの方々に情報発信をしていく。こういったことにも取り組んでおるところであります。
こうした特に保険収載につながったさまざまな政策提言ができたものと私どもは考えまして、この1-5に関しましても自己評価でAをつけさせていただいております。
以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございます。それでは、御質問をお願いいたします。
○斎藤委員
人件費が貴センターは他と比べてかなり高いのです。ただ、それでも22年度から比べて27年度は5ポイント下げているということで努力をしていらっしゃると思います。人件費が高いというのは当センターの特徴から来るものであろうと思うのですが、そのあたりをもう少し詳しくお話いただけますでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター総務部長
総務部長の柳澤でございます。
私ども当センターは、性格的に精神疾患を約半分ぐらい持っています。病床の470床規模に対して200ぐらいは精神疾患になっています。精神疾患についてはほかの疾患に比べて、1日当たりの診療点数が非常に低い状況になっています。いわゆる人件費率は診療収益に占めて人件費がどのぐらいかということなのですけれども、構造的に診療単価が低いものですから人件費の占める割合が高い。あるいは循環器病研究センターみたいに材料をたくさん使うわけではありませんので、むしろ人件費が主に歳出に占める割合が高いということが言われています。
○祖父江委員
医療の提供に関する事項なのですが、これは特に高度専門的な医療の提供のところの御説明はまさにこのとおりで、全国区で患者さんがたくさん集まってきているという感じがするのですが、いわゆる神経内科的なものがほとんどここにデスクライブされていて、実は政策提言のところに出てくるのが今、精神科のところがざっと出てきているので、ぜひ高度専門的な医療の提供のところにも、精神科の今の例えば認知行動療法プログラムをつくってやっているとか、自殺未遂ケア体制とか、エクスポージャー療法とか、そういうものを書いていただいたほうが、我々評価はしやすいなと思ったのです。
○国立精神・神経医療研究センター理事・病院長
こちらに書いたほうは書かないほうがいいのかなと思ってしまいました。申しわけございません。実際には司法病棟の医療ですとか、新たな持続エクスポージャー療法とか、精神科としての新たな療法を開発しております。また、一緒にやるという意味で例えばパーキンソン病に対する認知行動療法のプログラムをつくっていただくとか、まさに一緒にやっているところです。
○大西委員
今の医療の提供のところについて大変すばらしい活動をされているということで感銘を受けたのでございますけれども、一方で一般の精神病棟の場合には280日の入院期間が、そのほぼ10分の1に近い30日相当というところですばらしいと思うのですが、こういう治療実施をされていること、それから、入院が終了した後の訪問看護ですとかデイケアを継続的にフォローされていくというのもすばらしいと思うのですが、こういったやり方そのものがより広範囲に、先ほど均てん化のところですとか、ほかの病院にも広がっていくということが今後どうお考えになられているかということと、もう一つの特徴として希少疾病にフォーカスをされた治療を行っておられるということですから、もともと患者さんがここに集約されているものですから、ほかの病院にはそういうことをやる可能性が逆に低いのかなと思ったりするのですが、そのあたりについてコメントをいただければと思います。
○国立精神・神経医療研究センター理事・病院長
精神疾患に関しましては、かなり当院から情報発信をしておりますので、広がってきていると考えております。また、希少疾病に関しましては、医者は経験しているかどうかというのがかなり大きな問題なのです。ですのでまず集めて十分な経験を私たちが受けて、それを皆さんに伝えていく。つまり例えばGNEの方67名というのは、当然ふだん通えるような場所に住んでおられる方ばかりではないのです。1年に1回きちんと評価をして、この方はこの1年こういうことに気をつけてください。こういうことのためにある薬を例えば先に入れておきましょうというようなことをつけて、お近くの先生にお返しするというようなことをしております。そうさせていただきますと、向こうの先生も多分、神経内科医でもほとんど診たことがない病気なので、神経内科専門医であってもそれがついているとその1年、今後1年安心して見られる。また何かあればお問い合わせが来るというような形にしております。
○深見委員
ジャーナリストを対象にしたメディア塾というのはおもしろいなと思う反面、何でジャーナリスト対象なのだろうか。関心としてはメディアだけではなくて一般の人もたくさんある分野だと思いますので、アウトリーチ活動というところに対してなぜジャーナリストなのか、そこの趣旨を教えていただけますか。
○国立精神・神経医療研究センター企画戦略室長
お答えします。
ジャーナリストに対するメディア塾というのは、他のナショナルセンターではやっていないのが現状です。一般の方々に対する研修というのは、結構多くのところでやられているのが現状です。特に神経とか精神の分野については、マスコミの方も正確かつ詳細な情報を知ることが難しい。内容をきちんと書いていただけるかどうかということもいろいろな大きなメディア社を回りますと、きちんと内容が書けているかどうかということの判断に迷うと伺うこともあり、今、問題となっている例えば危険ドラッグの問題、あるいは認知症の問題、そのような問題をきちんと理解していただいた上で国民の方に広く知っていただくという観点で、このメディア塾というのはもともとの我々から直接ではなくて、国民に対して広くしていただく方にやっていくということで、非常に好評でありまして、これできちんと認識が得られたという評判が非常に高いと考えております。
○国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長
追加でよろしいですか。今、申し上げたとおりなのですけれども、市民公開講座、一般の方々に対する公開講座も年に恐らく3~4回はやっていると思います。
○国立精神・神経医療研究センター理事・病院長
それも相当な内容で、患者さん向け、あるいは家族向け、コ・メディカル向け、医師向けはもちろんですが、一般公開講座をやっております。それで、実は私、メディア塾をどうしてもしてほしいと言った者なのですが、その上でさらにもっと国民全体に精神とか神経疾患というのは、まだまだ偏見が多いと思うのです。きちんとこれらの病気を意識して理解していただくためには、メディアの方にまずわかっていただかないと彼らの力は非常に大きいので、そこで正確な情報を新聞なりで流してほしいということで、あえてこれをしてございます。
○深見委員
今回相模原で起こった事件がありましたが、このメディア塾をしたおかげでメディアが今までの対応とはこういうところが違ったとか、短絡的な質問でもあるのですが、何か少しこういうことが変わってきたなと思われるようなところはありますか。
○国立精神・神経医療研究センター企画戦略室長
メディア塾で変わってきたところは、今、大きな新聞社の中で医療とか福祉に関しての単独の部というものが今まで御存じのようになかったのですけれども、例えば医療福祉部局のような組織がだんだんできていると伺っており、医療に対しての注目度が非常に高まってきた。メディアの方々もそちらのほうに専属で配置されますので、このようなことをやってほしいというものは非常に多い。それから、そういう部局が設置されますと、当然コラムの欄が大きくなりますので、そのコラム欄に書く内容についても充実したものを書いていただけるということで、非常に好評いただいていると考えております。
○斎藤委員
今のメディア塾に関して、私は大変ユニークないい試みだと高く評価しておりますので一言申し上げたいと思います。メディアの取り上げ方によって一般国民の受ける印象は全く違ってきます。メディアというのはどうしてもセンセーショナル、いわゆるジャーナリスティックな扱いをしたがる人たち。その人たちに対して正しい情報を与えることは、とても大きな意義があると思います。一言応援演説です。
○藤川委員
私も先ほど病院長がおっしゃったように、特に領域として正確な理解をメディアにしてもらう必要があるということを強く思っております。たしか去年の説明のときに、メディア塾というものを始めたよということを聞いたような気がするのですけれども、ここに27年度よりと書いてあるのですが、前の年度からやっていませんでしたか。
○国立精神・神経医療研究センター企画戦略室長
今回3回目で、先生おっしゃるとおりです。
○藤川委員
そうすると、別の大きい紙に平成27年度よりセンター内で研修を行うこととしと書いてあるのですが、これは記載の仕方がちょっと違う。
○国立精神・神経医療研究センター理事・病院長
場所がセンターの中になったのが27年度で、その前は別の場所でやっていました。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
それでは、次の業務運営の効率化、業務内容の改善、その他、業務運営に関する事項2-1から4-1までお願いいたします。
○国立精神・神経医療研究センター企画戦略室長
それでは、簡単に説明させていただきます。業務の運営の効率化でございます。業務運営の効率化でございます。16ページの評価項目2-1です。非常に多いので後のほうで詳しく出てきますので、簡単にこのページは説明させていただきます。
まず経常収支率が97.6%、平成26年度は97.2%で、26年度より0.4%、7,600万改善しております。マイナス3億7,300万、26年度はマイナス4億4,800万ということでございます。このために昨年度も言われておりますけれども、経営改善本部を設置しまして超過勤務手当等の削減等の取り組みを行っているところでございます。
また、給与制度につきましては2つ目のポツの真ん中に書いてありますけれども、平成27年度の人事院勧告を完全実施いたしませんでした。したがって、人件費につきましても手をつけざるを得ない状況になっているという状況でございます。具体的には部長相当職等の増額の据え置きということでございます。
3ポツ目以降は共同調達、後発医薬品、一般管理費でございますが、これは後ほど説明させていただきます。
次の評価項目3-1、財務内容の改善に関する事項でございますけれども、繰越欠損金については記載のとおりでございまして、この解消に向けた繰越欠損金解消計画を定めて公表しております。
それから、いわゆるAMED、日本医療研究開発機構からの獲得額が24億2,600万ということで、3億4,000万増加しているということでございます。
その他の事項は研究不正防止規程の設定、調達等の合理化でございます。これは後ほどまた説明させていただきたいと思っております。説明させていただいてから自己評価のところは説明させていただきたいと思います。
17ページは経常収支の状況です。損益計算書でごらんいただきますと、まず経常収支が医業収益、真ん中のところで平成27年度の決算が書いてございます。経常収益が152億、そのうち医業収益が81億でございます。医業収益につきましては対前年度で2億2,000万、対計画については2,000万のプラス、研究収益については平成27年度の決算が24億ですので、対前年度で9,100万、対計画では8億5,000万程度のプラスとなっております。これに対して運営費交付金については平成28年度38億、対前年度4億1,000万、対計画は4億4,100万となってございます。
一方、経常費用のところでございますけれども、経常費用は155億でありまして、その内訳が給与費81億で、対前年度約8,900万のマイナスということと、材料費については20億で、対前年度8,300万、対計画について4億1,000万ございます。
経常収支のところをごらんいただきますと、平成27年度の決算では3億7,300万でありまして、これは対前年度につきましては先ほど申し上げましたように7,600万のプラスでございますが、対計画に対しては8,400万のマイナスが立っております。経常収支については対計画に達しないのではないかということで御指摘があるかと思いますが、この点、先ほど申し上げましたように、下の緑のところの上から6つぐらいに給与費の増加と書いてございます。ここに人事院勧告による増というものが書いてございまして、これが約8,200万。ですので、これと相殺すると基本的には経常収支についてはプラスマイナスゼロと考えており、さらに後ほど申し上げますけれども、先ほども申し上げましたが、人件費についても手を入れざるを得ないというような点、それから、収益を今、見ていただきましたように上げている点に鑑み、先ほど自己評価のところをBといたしまして、計画には若干足りておりせんが、このような諸要因を考えまして自己評価をBとさせていただいております。
18ページでは、これは1日の平均入院患者数は平成22年度からずっと増加しておりまして415人。今もうほぼ9割に来ておりますので、かなり上限に来ているという状況になっております。それから、患者1人当たり、1日当たりの入院単価は4万4,000円ということで、これも22年度から上げているということで、医業収益については81億3,300万ということで、先ほど申し上げたとおりであります。後発品については目標よりも高くなってございます。
19ページでございますが、給与制度の適正化でございます。これはそこに書いてございますように、目標9,384万に対し8,379万で、対26年度に対して20.9%の削減であります。一番上のところに書いてございますが、国家公務員の給与等を勘案して人事院勧告に基づく給与改定については、これは0.39%平均のベースになるものがあって、これは月例給は実施しますけれども、その他の手当、例えば賞与の業績手当というものが0.1カ月分ありましたが、これは部長以上については業績手当の支給の見合わせ。それから、地域手当については13%から15%にするようにということで人事院勧告がございました。これについてはほかのナショナルセンター、それから、国立病院機構等ではこれを遵守してやっていただいているようでございますが、当センターにおいては地域手当については13%のまま据え置きということでございまして、給与についても手を入れざるを得ない状況になってきております。
一般管理費についてはそこに見ていただくとおり、消耗品費、備品、旅費等の改善を行っているということで、経営努力をしているところでございます。
20ページ目の外部資金の確保の取り組みであります。これはいわゆるAMED等からの競争的研究資金の確保に取り組んでいるところでございまして、下のところを見ていただきますと平成27年、右下のところで28億2,122万ということで、昨年度よりも3億増。そのうちの、その1つ上のカラムについては24億2,500万ということで、対前年よりも3億4,000万ということで、研究を中心に外部資金の取り組みについては相当程度取り組んでいるところでございます。
その次の21ページの構造的リスクでございます。これは先ほど総務部長から御説明がありましたように、まず病床のうち30%を占める精神病床ですけれども、これは下のグラフを見ていただきますと赤で書いてございますように、精神科は入院の診療収入が少ないということでございますので、収入の限界が1つある。
それから、丸2の上のところの○の2つ目の2行目ですけれども、精神科病棟は通常は1看護単位当たり50床程度でやるというのが普通でございますが、当センターの場合には臨床研究などを最初構想しまして35床で整備しているので、その点の高額の収入が期待できない。つまり人件費は同じですけれども、それに見合った収入が伸びていけない構造になっているということでございます。
3つ目の○は、精神病床の利用率は90%以上になっている。先ほど病院長からも話がありましたけれども、これ以上伸ばすことについてはかなり難しい状況になってございます。
22ページ目の構造的リスクでは、裁量的経費で運営費交付金が10%カットの対象となってきておりまして、対象事業については3行目で5億6,000万が今、不足している状況であります。
2つ目の○は、運営費交付金の削減額を上回る外部資金の獲得というのは、なかなか難しいものがありますということであります。
3つ目は治験の収入ですけれども、治験の収入はいわゆる当センターでは希少性難病ゆえの少数の症例で行われる治験が多いということで、多額の治験の収入を得ることはなかなか難しいということを書いてございます。
もう一つは、事務部門のうち、これはどこのナショナルセンターも同じですけれども、※で一番下に書いてありますが、国立大学法人では事務の方の人件費についても交付金で見られているところですけれども、ナショナルセンターについてはそういうことは見られていないということであります。
最後の23ページ目ですが、構造的リスクについて丸3で、これは医療観察法病棟について書いております。いわゆる犯罪を犯しましたけれども、責任能力が問えないということで医療観察病棟に来る方の数ですが、平成26年度までは折れ線が上がっていました。ですので対象者数はふえてきましたけれども、平成27年から減少に転じております。この点については関東信越厚生局のほうでこういう振り分けをしておりますので、そちらに働きかけを行っているところですが、減少に転じるということで、1床当たり2,000万の収益を生む空床が発生すると、なかなか難しい問題があるということでございます。この空床補填についての財政援助がないということでございますので、この点についても難しいということであります。
以上で説明を終わらせていただきます。
○永井部会長
ありがとうございました。いろいろ厳しい状況がありますが、いかがでしょうか。
○祖父江委員
どうもありがとうございました。非常に厳しい状況でありながら、研究とか先端医療というところでは非常に華々しい成果を上げておられるということで、いつもそういう感覚を持って聞かせていただいているのですけれども、前のときも5年間、最初は組織とかシステムを変えたので、プラスになるのはもう少しお待ちくださいという話でずっと聞いていたのですが、いつまでたってもマイナスでずっと来ているのですけれども、ただ、逆に言うと今回も97とぎりぎりのところです。だから設ける必要はないのですけれども、ぎりぎりですれすれで何とかやっているのは、今のように給与も削ってやっておるということと理解していいですか。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
結論から言うとおっしゃるとおりだろうと思います。ですのでこれを見ていただきますと、医業のところだけ見ていただきますとプラスに転じております。研究は多額の研究費を獲得できておりまして、研究成果も上がっています。それを管理運営する事務部門と申しましょうか、そういうところの手当はもともと考えられていないというか、つくられていないような仕組みだと私は理解しておりますけれども、それを例えばどこで埋めていくか、担保していくかということが問題になってくると思います。
そういうものをいろいろ計算してみましたけれども、今回、資料をつけさせていただきましたが、例えばもしこの4~5億程度を毎年入院患者をふやすことで達成しようとしますと、440名近い不可能な数字を入院させないと難しくなってくるといった状況がございますので、やはり構造的な部分があると思っています。これは我々だけでないところもあるかと思いますけれども、我々の特徴的な精神・神経疾患というものの影響もあるのだろうと思っておりますので、そこを含めて検討をいただいて、ぜひ御支援いただければと思っております。
○祖父江委員
大学法人の話がちょっと出ましたけれども、大学法人の場合は医業収入と外部資金、これは恐らくどこも同じようなことだと思うのですが、医業収入が名古屋大学の場合で言うと法人化のときには183億ぐらいだったのが、今は300億を超えてきているのです。だからこういう形でやれればいいのですが、今、先生がおっしゃったように構造的な限界があって、そういう離れ業というか、そういうことをなかなかやれない構造になっています。だけれども、ミッション性のある業務あるいはミッション性のある研究をやるということになると、これはこの構造自体が今後どうするのかという問題になってしまうのですが、その辺は何かお考えはあるのですか。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
なかなか名案がないところがありますけれども、もちろんそれはお願いするだけではなくて、我々自身の努力も現在もしておりますが、1つには例えば病床の内容を少し変えるということで、現在あります精神科の病床を一般のほうに変更して、しかもそれで我々のミッションを果たせるような、例えば精神症状の強い認知症の方を診るような形にするとか、そういった工夫ができないかということを今、考えております。しかし、それには御存じのように地域、東京都とか厚労省との話し合いでベッドの数にも規制がございますので、そういった難しい点がかなりございますけれども、いろいろな可能性を検討しています。先ほどの精神科の救急を例えばふやせないかとか、さまざまなシミュレーションをしてふやす努力をしております。
また、精神科の診療報酬は安いのですけれども、先ほど3点ほど我々のセンターからの答申で診療報酬の加算が認められたというものを御報告しましたが、そういう地道な努力をして診療報酬をできるだけ上げる努力もしております。
○祖父江委員
医療収入が低くて人件費率が高いのが先生のところと長寿は特に2つ、成育もそうなのですけれども、ですからこれは例えばがんとか循環器は人件費率が非常に低いというか、だからきょうびっくりしたのは循環器病研究センターでも赤字になっているということで驚いたのですが、今の医業収入で何とかせよということではなかなか追いつかない部分が、構造的にナショナルセンターの中には幾つかあるということですか。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
御質問ありがとうございました。お答えしたいと思いますのは、繰り返しになるのですけれども、比率なのです。総額というわけではなくて、人件費を後で見ていただければわかりますけれども、ふやしてはおりません。むしろ減らしたぐらいのところが多いと思います。
我々は機械とかお金がかかるものというか、人件費以外の部分の率が少ないので、全体がふえてくるとどうしてもそこの部分がふえてしまう。比率がふえているという状況を御理解いただければと思います。もう少しデバイスとかいろいろな検査がすごく多いということがありますと、診療報酬的にはよろしいわけですけれども、御存じのように例えば画像検査にしても厳しい規制がありますので、月に1回しかできませんとか、そういった縛りがございまして、法律にのっとってやりますとなかなか診療報酬をふやせるわけではないということでございます。
○深見委員
ここの研究センターだったか記憶が曖昧なのですけれども、ずっと継続的に赤字だったけれども、今年は大きな寄附があって黒字になりましたというようなことを一度聞いたことがあるのですが、実際にメディア塾というものがある中で、日本は寄附文化が余り醸成されていないのですけれども、将来的にそういった制度の可能性はどのようなものなのか。どのぐらいの寄附か、どこかにあったような気もするのですが。
○国立精神・神経医療研究センター総務部長
20ページです。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
今、深見委員がおっしゃったように、決してこれがどんどんふえてきているというわけではございませんので、ぜひこの寄附金をふやしていくようにしたいと思っております。これは多くの国民、企業の皆様に精神・神経疾患の医療あるいは研究というものに対する御理解を深めていただきまして、我々に対する寄附をふやしていきたいと考えて、努力をしつつあるところでございます。具体的にはどんどんふえている状況ではないので、これから頑張ってやっていきたいと思います。ぜひ日本の文化の中にも寄附文化を盛り上げていきたいと思っているところでございます。
○藤川委員
評価項目2-1、3-1に関して言えば、どちらも大変努力は一所懸命したけれども、数字においては厳しい部分がある。しかしながら、そういういろいろな構造的な問題等を考え、また、努力ではどうにもならないものを除いたりすれば、その結果としてある程度認めてほしいということでBという御結論ですね。それはどう皆さんがお考えになるのかなというところかなと思いますし、前半のところに関しては今までいろいろな仕組みをつくってきたものが、割と中期の1年目であるけれども、花を開き始めたなというところもあるので、そういったところの努力は私自身はすごく頑張っておられるなという気はいたしました。
他方1点、最後の4-1のところで競争入札を行った結果、1者応札の応募件数の割合が61.6から45.7とあるのですけれども、そういった契約に関しても相当努力する結果、経費削減しようというようなことをお考えなのだろうと思いますが、そもそも61.6は結構高いなという感想がありますし、45.7でも割と高いのではないかと思いますが、かなり減っていますけれども、中身としては例えば複数年契約が今回多かったからとか、そのような特殊要因があったということではなく、実際問題として何か大きな努力があったからここが減ったということなのか、そのあたりを説明していただけますか。
○国立精神・神経医療研究センター財務経理部長
財務経理部長の中澤です。
実際に減ってきたのは、入札の公告期間など基準の日数は全部ございますが、公告期間を少しでも長くするため、早目に入札公告を行ったり、ホームページにも早めに載せたりといったことなどで多くの業者さんに知っていただき公募の件数を増やすような形にしております。
○藤川委員
現実にいろいろな独法の契約監視委員会等に参加することがあるのですけれども、そういった努力というのは既に数年前から皆さんしていらっしゃるので、むしろその辺はすごくおくれていたということなのか、期間を延ばす程度のことでそんなにふえるということであれば、取り組みが足りなかったのではないかという気もするのですけれども、そこはどうですか。
○国立精神・神経医療研究センター財務経理部長
決して公告期間が今まで短過ぎたわけではございませんが、ホームページにももちろん入札公告は掲載しており、期間も規定どおりに行っていたのですが、それ以上に早くお知らせをするために公告期間を延ばしたり関連業者に知らせるなどで実際こういった結果が出てきたと思われます。
○国立精神・神経医療研究センター総務部長
私のほうから補足ですけれども、先ほど御説明しましたように、私どものセンターというのは医療機器を大幅にたくさん買ったりとか、材料を買うわけではありません。ほとんどが先ほど御説明しましたように委託だとか、人件費の部分が多いのです。人件費率が高いということですので、ですから限られているものしか、私も4月から来ていますけれども、変わっていない。ですからそれなりの効果は短期間で出てこないのではないかと思います。
○祖父江委員
ナショナルセンターというのは、国民というか社会が期待するミッションをやっていくというところが一番上にあると思うので、今どうも見るとぎりぎりで何とか持ちこたえているという感じがするので、例えばこういうことをやっていこうとすると、これだけのものがこういう形で不足しているというような提案の仕方もあるのかなと思いますし、先ほど来も少し話が出ていますけれども、企業とか給付の話もありましたが、少し違う切り口も、今後はミッション性を全面に出すとついてくる部分があるのではないかと思います。そこもちょっとやっていただけるといいかなと思います。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
どうもありがとうございます。ぜひそういう方向で努力をしたいと思っております。なかなか厳しいところがありまして、やはり希少性疾患だと治療法がなかなかないとか、循環器病研究センターなり、あるいは国際医療研究センターのような総合病院や、全身のがんを対象とし治療法も多いがん研究センターなどに比べますとシビアな部分でございますけれども、委員のおっしゃるような方向で努力したいと思っています。
○永井部会長
運営費交付金が4億1,000万、10%減っていますね。これは10年後にはゼロになるということなのですか。
○医政局医療経営支援課長
これは御存じのとおり毎年シーリング枠というものが示されていて、裁量的経費については10%削る。それは最終的には省で削ることになっております。
27年度のときはおっしゃるとおり1割という形になっていましたが、一応昨年、28年度の予算は、もともと財務省と算定ルールというものを決めていて、項目別に1%を削減するということで、最終的には99.5%ぐらい対前年の予算からすれば一応、要求をさせていただく。最終結果で申し上げますと、対前年度より推進枠という、これはまた特別枠みたいな形ですが、若干超えているという姿に現在なっております。ただ、これはセンターによって異なっていますので、全部のセンターが超えているわけではないので、そこはナショナルセンター全体の予算として昨年28年度は超えている。
私どもも裁量的経費だとは言われて、部会長おっしゃられたとおり、毎年1割ずつ切られると10年後にゼロになる。そんなことをやるわけにはいきませんので、極力理由をつけて、もともとナショナルセンターのミッションとかそういうものを説明しながら予算を要求して獲得していくという考えで今、やっております。
○永井部会長
ずっと冬が続くわけではないという御説明ですので、何とか持ちこたえて、改善する日を待っていただきたいということかと思います。よろしいでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター神経研究所長
一言、研究所からもお願いがございまして、実は私ども研究成果をお話いたしましたけれども、やはりインフラストラクチャーとして実験動物等に関する経費が非常に高くなっております。しかし、光熱、空調を含めて実験動物施設を維持運営していかなければ、これらの成果を生み出すことはできませんので、そういった意味でも運営費交付金に期待するところが大でございまして、御配慮をお願いしたいと思っております。
また、先ほどメディア塾のことで御質問がございましたけれども、実は私の担当領域に市民に向けてどれだけやっているかということは、評価書の12/125ページに書いておりまして、市民向け講座を10件、医療従事者向けについては病院を中心に112件実施しております。
メディア塾をやって何か本当に変わったかという御質問を1点いただきました。これは27年度ではございませんでしたので先ほど申し上げませんでしたけれども、てんかんに対するメディアの態度は、このメディア塾を機に変わったと言われております。すなわち、てんかんというのは非常に怖いもので、車の事故等がございます。しかし、メディア塾をやって以降それを直視する姿勢が出てきたと私たちは伺っています。
最後、私ども研究所側からしますと、祖父江委員からも企業からの資金を入れるように努力せよと御指摘がございました。特に今日AMEDのマッチングファンドのお話をさせていただいて1年間1企業4,000万、これは研究費の形で入ります。運営費交付金が減額なのをこういった形で私どもの基盤経費にさせていただいて、その基盤の上に立って病院とともに研究を推進させていただきたい。それが私どもの訴えでございます。
○内山部会長代理
本当に御苦労されているのがよくわかります。最後にメディア塾の話が出たのですが、せっかくメディアの方に集まっていただくのでしたら、改めて高い志のミッションと日々の活発な研究や診療活動について、国民に知ってもらう味方になってもらったらいかがでしょうか。
○永井部会長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。時間が大分超過して申しわけございませんでした。
では、法人の監事から、業務の監査結果等を取りまとめた監査報告についてお願いします。
○国立精神・神経医療研究センター監事(林)
監事の林でございます。
監査報告に関しましては、資料2-3に記させていただいております。特別、補足する点はございません。以上です。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
それでは、理事長から一言お願いいたします。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
本日は長い時間、いろいろ御指導いただきまして大変ありがとうございました。最後のところではたくさんの激励の言葉をいただきました。冬の後には春が来るという期待いたしたくなるお言葉もありましたので、ぜひ評価のほうに御反映いただきまして、引き続きよろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
○永井部会長
どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。もし追加発言等なければ、国立研究開発法人精神・神経医療研究センターの平成27年度業務実績評価に係る意見は以上といたします。どうもありがとうございました。
議事は以上です。事務局から連絡事項等をお願いします。
○医政局医療経営支援課長補佐
今後の流れについて御連絡いたします。
本日御議論いただきました平成27年度業務実績評価につきましては、この後、当部会における御意見や法人の監事及び理事長のコメント等も踏まえまして、厚生労働大臣による評価を行い、その評価結果について法人に通知するとともに、公表いたします。決定した内容につきましては、後日、委員の皆様にもお送りいたします。
最後に、本日配付した資料の送付を御希望される場合は事務局より送付いたしますので、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。
事務局からは以上です。
○永井部会長
どうもありがとうございました。
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