ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会)> 第7回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2016年8月30日)




2016年8月30日 第7回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録

○日時

平成28年8月30日(火) 11時00分(目途)~12時00分(目途)


○場所

全国都市会館 大ホール(2階)


○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 清水恵一郎 高橋直人
幸野庄司 村岡晃 飯山幸雄 後藤邦正
仲野彌和 杉田久雄 安田和正 竹下義樹
<事務局>
鈴木保険局長 濱谷審議官 城総務課長 矢田貝保険医療企画調査室長 他

○議題

・あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会における議論の整理(案)
・あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の改定について

○議事

10時50分 開会


○遠藤座長

 それでは、予定の時間にまだ10分ほど余裕があるのですけれども、委員の皆さんは全員御着席なので、始めて、できるだけ議論の時間を確保したらよろしいかなと思いますので、ただいまより「第7回社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。

○安田委員

 ちょっとすみません。始める前に、日摩会の安田です。資料のことで1点、よろしいですか。

○遠藤座長

 失礼しました。それでは、資料について。

○安田委員

 施術者の意見を反映する者の中に安田和正とあるのですが、その後に社団法人となっているのです。日摩は4年前から公益社団をとっておりますので、前からちょっと気になっていたのですが、「公益」という文字を入れてもらえれば。1ページです。

○遠藤座長

 失礼いたしました。それでは、申し訳ございませんが、そのように修正してください。

○安田委員

 よろしくお願いします。

○遠藤座長

 申し訳ありませんでした。では、そのようにさせていただきたいと思います。

 それでは、委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御参集いただきまして、どうもありがとうございます。

 まず、本日の委員の出席状況について御報告をいたします。

 本日は、新田委員、原田委員、河野委員、宮澤委員が御欠席です。

 それでは、議事に移らせていただきます。

 本日は、「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会における議論の整理(案)」と「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の改定について」の2つを議題とさせていただきます。

 事務局から資料が出されておりますので、説明をお願いしたいと思います。

○保険医療企画調査室長

 お手元にあ-2の議論の整理(案)と、あ-3、改定についての案、それと参考資料として参考資料集。これまで、この会に示していただいている参考資料集を出させていただいております。そのあ-2、あ-3につきまして御説明をさせていただきます。

 まず、あ-2「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費に関する議論の整理(案)」でございますが、これはこれまでの議論を踏まえまして事務局のほうで案を作成したものでございます。読み上げさせていただきます。

 当専門委員会は、平成28年3月29日以降、中・長期的な視点に立ったあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の在り方について検討を行ってきた。

 平成7年の医療保険審議会柔道整復師等療養費専門委員会におけるあはき療養費に係る意見の取りまとめから20年以上が経過し、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうを取り巻く環境は大きく変化している。あはき療養費の支給額は年々増加し、平成25年度においては国民医療費約40兆円のうち約1千億円を占めている。

 また、在宅医療・在宅介護を推進し、高齢者が住み慣れた地域で継続して生活できるよう地域包括ケアシステムを構築する中で、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師の担う役割は重要である。

 一方で、近年、療養費の悪質な不正請求事案の存在が指摘されている中で、不正請求への対策を講じることは喫緊の課題である。

 こうした視点を踏まえ、当専門委員会においてこの間行った議論について、以下のとおり整理する。

 

1.支給基準の明確化

○ あはき療養費の取扱いや支給対象となる疾病・施術行為等は、「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ・指庄師の施術に係る療養費の支給について」、「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」や質疑解釈によって示されているが、その取扱いや支給の判断に迷う事例が多く、統一的な運用とするために支給基準の更なる明確化を図るべきとの意見があることを踏まえ、厚生労働省に照会のあった事例について、事務連絡(QA)を発出し、周知を図るべきである。また、追加すべき事例があった場合については、随時、事務連絡(QA)を発出し、周知を図るべきである。

 

2.施術所の登録管理・指導監督、受領委任制度の検討

○ 国及び都道府県等が施術所に対して療養費の支払いに関する指導監督権限を有するためには、現行法上、受領委任等の協定・契約を介することが必要であると解される。

○ 保険者の委任を受けた地方厚生局・都道府県が施術者と協定・契約する仕組み(以下「受領委任制度」という。)を導入することについては、施術者側から、患者の利便性や施術所に対する指導監督権限の付与、個別の代理受領契約と比べた場合の制度の安定性の観点から、導入を求める意見があった一方で、保険者側から、そもそも療養費払いが原則であることや、不正請求の発生や地方厚生局による指導監督の実効性に対する懸念、給付費が増えることの懸念、導入に反対する保険者がいる状況の中で個別の代理受領契約ではなく受領委任制度を導入することの必要性の載点から、反対する意見があった。

○ このため、受領委任制度の導入については、引き続き厚生労働省において関係者と調整を行いつつ、具体的な制度の導入に向けた在り方や課題について検討を行い、平成28年度中に結論を得ることとする。

○ また、不正事例が判明した場合において、保険者からその事例と施術者の情報を厚生労働省に対して連絡し、厚生労働省から他の保険者に情報提供する仕組みを設けることについては、一保険者による判断が全体の保険者に及ぶことから、不正の事実認定に関して慎重な手続きと判断が求められるなど課題が多く、必要性の有無も含め、今後の検討課題とする。

 

3.往療料の在り方

○ あん摩マッサージ指圧に係る療養費では、その総額のうち往療斜に係る責用が6割を占めている現状について、段階的に是正すべきである。

○ また、患家の求めがあって、治療上真に必要があると認められる場合に定期的・計画的に行う往療については、往療料の支給対象となることを明確にするべきである。一方、治療上真に必要があると認められない場合や患家の求めによらない場合に定期的・計画的に行う往療については、往療料の支給対象外であることを周知徹底すべきである。

○ 同一建物の複数患者への往療については、公平性や適正化の観点から、保険者による判断や建物の形態によって往療料の算定に差異がある現行の支給基準を改め、「同一建物居住者」(建築基準法第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の者)であるか否かによって判断するよう改めるべきである。

○ 施術所が、集合住宅・施設の事業者等に対して金品を提供し、患者の紹介を受け、その結果なされた施術については、健康保険法の趣旨からみて不適切であり、療養費支給の対象外とすることを制度設計を含めて検討すべきである。

○ 年に1回行っている頻度調査において、患者の疾病を分類する際に、「その他」として分類し、集計しているものについては、その内訳について、次回調査の際にデータが取れるような工夫を行うとともに、往療料との関連について精査すべきである。

 

4.その他

(1)支給申請書様式の統一

○ 支給申請書様式は、留意事項通知において参考としての扱いになっているため、実態として、保険者や施術所によって異なる様式が使用されていることから、留意事項通知の改正を行い、支給申請書様式の統一を図るべきである。

(2)長期患者の施術回数・施術期間の上限、施術に係る包括料金化

○ 初療の日から1年以上経過している患者であって、遇4回以上の頻回な施術を行っている患者については、支給申請書に頻回の施術の必要性を記載させるべきである。

○ また、初療の日から1年以上経過している患者であって、遇4回以上の頻回な施術を行っている患者については、支給申請書にその月の患者の状態の評価と評価日を記載させ、データが取れるようにし、傷病名と合わせてその結果を分析したうえで、施術回数の取扱いについて検討することとする。

○ 一方で、あはき療養費は、慢性的な疾患や症例を支給対象としている性質上、施術期間については上限を設けないことが適当である。また、一定の局所数以上のマッサージの施術に係る包括料金化については、既に局所単位で包括料金化されているため、更なる包括料金化は行わないことが適当である。

(3)医師の再同意書

○ 現在3ヶ月ごとに必要な医師の再同意に関して、支絵申請書への再同意書の添付を義務化することについては、施術者側から、再同意書の添付を義務化することは、患者にとって負担が大きいとの意見があった一方で、保険者側から、適正化の観点から再同意書の添付を義務化すべきとの意見があった。

○ 支給申請書への再同意書の添付を義務化することについては、患者にとって負担増となることや、昭和57年に老人保健法案の審議が行われた際の衆議院・参議院社会労働委員会における付帯決議を受けて、患者に対する負担軽減のための配慮として、医師の再同意の確認を簡素化した経緯があることを踏まえ、当面、現行どおりの取扱いとし、引き続きの検討課題とする。

(4)柔道整復療養費との併給

○ 柔道整復療養費との併給については、保険者の協力を得て、実態把握を行うべきである。

 

 次に、あ-3に基づきまして、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の改定の案について御説明いたします。

 まず、改定率については0.28%としております。平成28年度におけるあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の改定率については、診療報酬のうち医科の改定率等を踏まえ、政府において決定したものでございます。

 2.基本的な考え方でございます。あん摩マッサージ指圧に係る療養費の総額のうち往療料に係る費用が6割を占めている現状を是正するため、往療距離加算の額を引き下げるとともに、基本的な施術料の上乗せを行うというものでございます。

 3の改定の内容でございますが、まず技術料につきまして、この表にありますとおり、あん摩マッサージ指圧のマッサージ、変形徒手矯正術について10円ずつ引き上げ、改定後の285円、575円に改定する案。はり、きゅうにつきましては、施術料1術、2術につきまして、それぞれ30円ないし10円引き上げ、1,300円、1,520円にするものでございます。

 一方、往療について適正化を図るため、距離加算の見直しを行うということで、往療距離加算につきまして、現行の800円から改定案として30円の引き下げを行い、770円とする案でございます。

 施行期日につきましては、平成2810月1日でございます。

 適正化のための運用の見直し等については、制度論の議論と合わせて別途検討するとしております。

 おめくりいただきまして、2ページは、現在のあん摩マッサージ指圧、及び3ページははり・きゅう施術に係る療養費の構造でございます。このうち、下線を引いている部分が、今回、改定するものの案が盛り込まれたものでございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ただいま事務局から議論の整理(案)と改定についてという2つの案が出されましたけれども、どちらでも結構でございますので、御意見、御質問等、あればいただきたいと思います。いかがでございましょう。

 竹下委員、お願いいたします。

○竹下委員

 ありがとうございます。日盲連の竹下です。4点ばかり意見を述べたいと思います。

 結論として、全体のまとめ案には賛成したいと思いますが、それを賛成するに当たって、どうしても御理解いただきたい点があるので、その点を4点申し上げます。

 まず、1点目の施術における基準の明確化のためのQ&Aの作成等には、大いに賛成であります。ただ、これらを作成するに当たっては、保険者や施術者などの関係者の意見を聞いていただくことが必要だろうと思っています。したがって、Q&Aの作成や事務連絡に当たっては、事前に関係者との協議をしていただくことをぜひ実行していただきたいということを希望しておきます。

 2点目に、受領委任払いについては、平成28年度、すなわち来年3月末までに結論を出すということで、やむを得ないと思いますけれども、これについては非常に残念だと思っております。なぜならば、受領委任払いの議論が始まって、既に何年になりますでしょうか。それが今日においても、さらに半年先に結論が先送りされるということは非常に残念だと言わざるを得ません。

 しかも、このまとめでは、受領委任払い制度の具体化に向けて問題点の整理をするとなっているので、それはそれとして十分な議論が尽くされるべきだと思っておりますが、その際には、これまでも議論されてきた問題点を整理するだけではなくて、受領委任払い制度の持つ有用性について、十分に御理解いただいた上で結論を出していくことをお願いしたいと思っております。

 3点目は、4番の2番目で非常に気になる文言があります。頻回という言葉、それから1年を超える方の週4回以上の施術のところでの記載ですけれども、非常に気になるのは3点あります。

 頻回というのは、どういう位置づけなのでしょうか。何をもって頻回とするのか、これが曖昧だと、この言葉がひとり歩きする危険があります。そういう意味では、この頻回という言葉は非常に慎重に使うべきだろうと思っております。

 2点目には、1年を超える方についての取り扱いについては、後段で同意書を前提とし、かつ慢性疾患が対象となっていることは付記されているものの、1年を超えることがあたかも妥当ではないというニュアンスをここに含むとすれば、それも極めて危険性のある表現だと思っております。そうしたものでは決してないということを踏まえた内容として、御理解いただきたいと思っております。

 最後に、料金改定の部分であります。この点については、2点、意見を申し上げたいと思いますが、まず結論として、今回の改定の内容は、ことあん摩マッサージ指圧に関しては、0.28%の増額になっていないということです。内容を見る限りにおいては、往療料の減額と技術料の増額という数字を見れば、実質はゼロ回答、ないしは内容によってはマイナス改定になってしまうわけであります。例えば、往療に行って、1局所ないしは2局所の施術をした場合は、実質はマイナスになります。これで0.28%の増額改定と言えるのでしょうか。これは非常にきつい言葉で悪いですけれども、ごまかしだと言わざるを得ません。

 全体としても、往療料の減額と技術料の増額という内容からしても、プラマイゼロの改定と言わざるを得ないわけであります。この点を、今回の改定は実質的な内容であることを踏まえた上で、私としては消極的に賛成せざるを得ないと思っております。

 最後に、これはできれば消していただきたいと思っているのは、今日の文書の中で、往療料の減額のところで、往療料の適正化を図るとあります。これは、誤っていると思います。現在の往療料が適正ではないということが前提になっているわけであります。決してそうではありません。現在の往療料は、実態からしても安過ぎるはずであります。しかも、保険給付の技術料との比較で6割になっていること自身は、僕は適正だと思っておりません。

 この原因は、これまでも発言してきましたけれども、技術料が安過ぎることがその原因になっていることを指摘してきたはずであります。にもかかわらず、往療料を減額することが、その適正化を図ることになるというのは、表現として誤りだと言わざるを得ません。この点を再検討いただくことも含めてお願いし、私の意見を終わります。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょう。

 仲野委員、どうぞ。

○仲野委員

 日本鍼灸師会の仲野でございます。

 大まかなところで竹下委員から発言、ありましたけれども、私どもは同じように考えておりますけれども、そもそも柔道整復師の受領委任払いに問題があると指摘されていますけれども、はり・きゅう、あるいはマッサージは医師の同意のもとに施術を行っているものでありまして、根本的にそこが違うわけです。一番大きなところだと思います。ですから、多くの部分でこれから先、議論していただくときにしっかりとお考えいただきたいのは、同意書があってやっている行為でありますから、その部分を認識いただきたい。

 そして、私ども、認識の違いがあるかもしれませんので、再度申し上げますけれども、柔道整復師と同じように受領委任払いにしてくれと言っているわけではなくて、わかりやすく言えば、はり・きゅう・マッサージの療養費の適正を運用してできる制度を構築してほしい。これだけのことですから、我々の仲間も不適正な請求があるならば取り締まらなきゃいけない。根拠になるものがない。これじゃいけないということで、何としても大急ぎでやっていただきたい。年度内となったことは遅いなと思っています。年度内、やむを得ないですけれども、何としてもお力を借りて制度づくりをしてしまいたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかに御意見、ございますか。

 それでは、杉田委員、どうぞ。

○杉田委員

 竹下委員も申し上げていましたけれども、往療料が高過ぎるというのではなくて、施術料が安過ぎるということで、今までもそういうふうに言ってまいりました。それで、往療料の改正についての基本的な考え方の中に、「あん摩マッサージ指圧に係る療養費の総額のうち往療料に係る費用が6割を占めている現状を是正するため、往療距離加算の額を引き下げるとともに、基本的な施術料の上乗せを行う」となっています。この基本的な考え方の中で、往療料の加算を引き下げるということではなくて、施術料の上乗せをするという方向で、この全体の中の6割を占めているという往療料の是正を図るべきではないか。

 ですから、今回はやむを得ないと思います。一部負担金に係る制度に注力してしまったために、十分な議論をする時間がなかったということもありまして、今回、やむを得ないと思うのですが、今後については、その辺を基本的な考え方としては改めてもらいたいなと思っております。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 では、安田委員、どうぞ。

○安田委員

 私も同じ意見なのですが、あん摩マッサージ指圧師の技術料金というのが以前からずっと問題になっているのですが、今、杉田会長がおっしゃいましたが、制度づくりが優先した形になっております。あん摩マッサージ指圧師の技術料金というのは、もう少し考えてほしいなと思っております。これは強く要望したいと思いますので、これからの制度改革と並行して考えていってほしいなと思っております。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、支払い側、いかがでしょう。

 高橋委員。

○高橋委員

 2番目の受領委任制度の話ですけれども、これは前からいろいろ話がありました。私ども協会けんぽの場合には、代理受領を認めていますので、実際には患者さんの利便を図っているつもりですけれども、わからないのは、このセッションの前に柔整関係の議論をやっていました。あそこで問題になっているのは、受領委任制度は非常に問題があって、不正が非常に助長されているし、保険者の権限も何もない。これはおかしいのではないかという議論をしているわけです。だから、それを直そうという話をしている。

 何で、ここのセッションになったら、そんなに問題があるものを入れるかどうかという議論になるのですか。おかしいじゃないですか。問題のあるものを導入しましょうという話は、私はあり得ないと思います。まず、きれいに直してから、その上でこっちをどうするかという話になるのではないですか。

 もう一つは、「2」の○の3つ目、最後に「28年度中に結論を得ることとする」。ああ、そうですかと。

 その次の話は、4つ目の○、「今後の検討課題」。

 それから、前から私どもが言っている、長期の施術については、お医者さんのほうにもう一回確認してほしいと言っていますけれども、それについては、4ページの(3)の○の2つ目では、老健法で審議が行われた。これも老健法は34年前ですか。34年前からの話を引き合いに出して、経緯があるから現行どおりに取り扱うという「引き続きの検討課題」。こっちは引き続きで、何で受領委任制度の話は28年度中という話になるのですか。こっちも引き続きの検討課題じゃないのですか。なぜ、これだけ急に28年度中に結論を得るという話になるのですか。これはないと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 御意見でよろしゅうございますね。

○高橋委員

 いや、答えを求めています。

○遠藤座長

 では、事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 今回、特に受領委任制度を平成28年度中に結論を得るということは、事務局からこのようなことで整理してはどうかということで御提案させていただいているものでございますが、その背景といたしましては、先ほど来、施術者側からも御意見がございましたとおり、受領委任制度については、これまでもこの専門委員会でも議論の中心をなしてきた課題でもあり、またその実施について、過去、ずっと議論してきた課題であるということもある中で、一定の期限を区切って、これまでのこの専門委員会の議論では、この制度は是か非かのような議論が中心だったかと思うのです。

 けれども、実際にどういう制度だったら、先ほど出ている不正が防げるような制度がつくれるのか、もしくは、どのようにすればさまざまな課題がクリアできるのかという具体的な案について検討を進めるべきではないか。そうしないと、いつまでたっても、この受領委任の話はすべきだ、すべきでないで平行線のままでずっと行ってしまうのではないか。

 ということで、1つとしては、具体的な制度の中身として何ができるのか、どういう工夫ができるのか、どういうことが考えられるのかということを検討すべきであろうということで、具体的な制度導入に向けたあり方や課題についてという表現をさせていただくとともに、それらについてはこれまでもずっと議論を積み重ねてきているところでもあるので、期限を区切って議論して、今年度中に結論を得ることとしてはどうかという趣旨で御提案させていただいているものでございます。

 もちろん、その他の項目につきましても、今回、結論が得られなかったものについて早急に検討していくべきということ、おっしゃるとおりのところもございますが、こと、この受領委任制度につきましては、これまでの議論の経緯もございますので、事務局として、このような具体的な中身について検討して、今年度中に期限を区切って結論を得てはどうかという案について御提案させていただいているというものでございます。

○遠藤座長

 高橋委員、よろしいですか。どうぞ。

○高橋委員

 ですから、例えば4ページの最後から2つ目の○、再同意の話は、私どもから見れば、受領委任の話よりももっと前から言っていたはずです。その話は棚に上がって引き続きと言われて。私は、あん摩、はり・きゅう、マッサージ関係で受領委任の話は、この場でそんなに一生懸命議論した記憶がないです。5年前からいるけれども、今回初めて聞くような気がする。私は、ここではそんなにものすごい議論をやった記憶がないです。けれども、再同意の話は、健保連と一緒にずっと要望として出している。何でこっちは引き続きで、今回出た話が28年度中と言わなきゃいけないのですか。これ、おかしいですよ。

○遠藤座長

 それでは、幸野委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 私も同じ意見です。要は、委員会で検討された意見ではなく、事務局の意思が入った文案であり、もしこの文案でまとめるのであれば、この場で委員全員が合意しなければならないということでよろしいですね。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 文案につきまして、事務局から御提案させていただいたものであるということは事実でございます。前回の7月7日の委員会の場でも、例えば期限を区切ってとか、そのようなお話があったわけではございませんので、これまでの議論の状況を踏まえまして、先ほど申し上げたような考え方から、このように今後の議論を進めていってはどうかということを、今回の議論の整理をまとめるに当たって、案としてはどうかということで御提案させていただいているものでございます。

 もちろん、議論の整理(案)のまとめをどうするかにつきましては、この専門委員会の場で御議論いただいて決めていくべきものでございます。

○遠藤座長

 ということですので、これについては皆さんの合意がなければ、このように書けないということです。

 幸野委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 それでは、少なくとも高橋委員と私は、この文案については合意できませんということを改めて申し上げます。

 また、4ページの最後から2つ目の○「具体的な制度の導入に向けた在り方や」というところも、議論された記憶が全くなく、これも事務局の意思が入っております。何故報告書の文案に議論された以外が記載されているのか全く理解できません。この部分も含めて反対いたします。

 さらに4ページの一番上の○、「受領委任等の協定・契約を介することが必要であると解される」についても認めた覚えはございません。国が制度や法律を変えるなどの方法もございますので、この記載も削除しないと、報告書自体は成立しないと思います。

 この件に関しては以上です。ほかもよろしいですか。

○遠藤座長

 はい。

○幸野臨時委員

 この整理(案)については、全面的に変えてほしいというのが私の考えでございます。

 理由としては、あはき療養費が療養費支給額の1,000億円を占めているという現状について国がどう考えているのかはっきり示した前文を書いていただきたいということです。この問題への取組姿勢をはっきり示されていない中でプラス改定が行われていることは、非常に残念です。

 また、地域包括ケアシステムの中で役割が重要であるということが書いてあるのですが、これはどこで議論された結論なのか示していただきたい。今までの議論にはない文言であり唐突に感じます。柔道整復師とあん摩、はり・きゅう、マッサージ、多少違うと思いますが、こういった結論がどこで導かれたのか、厚労省の中ではっきりと示していただきたい。

 それから、不正に対する喫緊の課題であると書いてありますが、整理案の中で喫緊の課題に対してどのような対応をするのかはっきり示していただきたい。整理案の中で示せないものについては、いつまでに何をやるのか別途ロードマップを示していただきたい。課題への対処法も無いまま改定率だけ示すというのは到底まかりならなりません。

 それから、事務局は、高橋委員の質問に答えていない部分が1つありますが、指導監督の一つの策として、あはきにも受領委任を入れるというのは最も安易な方法ですが、それで指導監督が解決されるかというと、柔道整復師でさえ、議論している中でその解決策も見出せない現状があるにもかかわらず、これを入れるべきであるという理論がどこから出てくるのか。本当に不可解です。その理由を明確にお答えいただきたいと思います。

 今回の報告書に委員会の議論が素直に反映されていないのは何故なのか。どこかで違う圧力が働いているのではないかという疑念を拭い切れません。はっきりと疑っています。このような状況で、委員会がなぜ開かれているのか、それ自体に疑問を感じます。委員会がなくてもいいのではないかとまで怒りを感じておりますので、この整理(案)について、全面的に反対いたします。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 まず、指導監督権限のところから考え方を御説明させていただきますと、今回、参考資料としてお配りしている資料のスライドの18ページと19ページをごらんいただきたいのですが、これは、過去のこの専門委員会の場で御提出した資料の再度の説明になるのですけれども、ここで指定・登録、指導・監督、調査権、それぞれにつきまして、療養の給付、いわゆる医療とかの根拠規定がどうなっているのか、療養費がどうなっているのかというものを書いてございます。

 指定・登録管理制度につきまして、当然、保険医療機関、保険薬局は指定制度が法律上、ありますが、柔道整復は療養費の受領委任の規定の中で、受領委任をどういうところがやるかということで規定がございますが、現在、あん摩、はり・きゅうについてはない状況。下のほうの指導・監督権限、療養の給付で言えば健康保険法78条に指導・監督権限が法律上、明記されているという状況がございます。柔道整復が療養費の中でどうなっているかというのは、受領委任の取扱規程の38項もしくは39項に、例えば報告徴収のことであったり、指導を行うという規定を、法律ではなくて受領委任制度の中で創設しているという現状がございます。

 この同じスライドの15ページを見ていただきますと、柔道整復療養費につきましては、このように受領委任という仕組み、保険者が協定に係る委任を厚生局と都道府県知事にして、それに対して受領委任契約を都道府県知事・厚生局が団体と結ぶ。この受領委任協定・契約の中で、先ほどの38項、39項のように指導・監督ができるように創設しているというのが現状でございます。現在、あん摩、はり・きゅうにつきましては、この右側の図でございますので、そうした指導・監督の規定が法律上もなければ、協定も結んでいませんので、協定上もないのが現状でございます。

 そうした中で、今回、これまでの議論の整理も踏まえまして、事務局として御提案しているのは、この議論の整理(案)、2つ目にあるとおり、さまざまな導入することの懸念というものもございます。一方で、この受領委任制度を導入することによって、先ほど言った指導・監督の権限を創設すること。もしくは、現在、柔道整復師のほうで議論されている受領委任の取り扱えるところについては、例えば研修するとか実務要件を課すとか、そうした要件も定めるということが受領委任の仕組みの中で検討されています。

 そうした、現在6割から7割の保険者がそれぞれ代理受領という形でやっていただいている中で、これを受領委任制度にすることによって、監督権限であったり、管理者の要件の強化というメリットが得られることが何かあるのではないか。一方で、ここに書いてございます保険者側からの御懸念である、不正請求が発生するのではないか、厚生局の指導監督の実効性に懸念があるのではないか、給付費が増えるのではないか、導入に反対する保険者についてどうするのか。そうしたことについて解決策があるのかどうかという具体的な検討をしていくべきではないか。

 そうした課題についてどうしていくかという検討を具体的にしていって、課題が検討できるのかどうかということを詰めていかないと、この受領委任制度の議論については、ずっと前に進まない、平行線のままになってしまうのではないか。ですので、幸野委員がおっしゃったとおり、この場で具体的な議論をしようという議論が7月7日の時点であったわけではございませんけれども、事務局としてこの問題を今後進めていくに当たって、ここに書いている具体的な導入に向けたあり方、課題についてきちんと検討して、それについてしっかり議論した上で、28年度中に結論を得る。

 その前に書いてございますとおり、それは厚生労働省において関係者と調整を行いつつということも御提案させていただいておりますが、そうしたことを厚生労働省のほうできちんと整理して、関係者の皆様とも協議して議論を進めていくという、今後の受領委任制度の進め方について御提案をさせていただいているものと御理解いただければと思います。

 その他、1,000億円を占めているということ。これは、さきの会でも申し上げましたが、私が説明したのは、必要な給付については給付するし、適正化すべきものは適正化すべきということで、増やすべきということも申し上げてございませんし、減らすべきということではない。それは、必要なものは必要な給付をし、そうでないものについては適正化していくという趣旨でございます。ここには、あはき料金の支給額が年々増加している。今、このぐらいの割合を占めているという客観的事実を書いているものでございます。

 また、地域包括ケアシステムの話でございますが、ここも今後の御議論かと思いますけれども、地域の関係者、資格を持った方から、そうでない高齢者のボランティアの方まで含めて、さまざまな方が地域包括ケアシステムをつくっていく中で、あん摩・マッサージ・指圧、はり師、きゅう師の方々についても、その専門性を生かして一定の役割を果たしていただきたいという趣旨で、このような文を書いているものでございます。ここについては、御議論をいただければと思います。

 さらに、ロードマップを示すべきという御指摘は柔道整復のほうでもいただいておりますが、今後、これらについてどのように進めていくかについては、ロードマップをきちんとつくっていって、またそこをお諮りしながら進めていきたいと思っています。

 長くなりましたが、以上でございます。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 幸野委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 前段部分は、現行の枠の中では、柔道整復師が受領委任というものを使った中で指導監督を行っているから、それと同じような仕組みにしたらいいのではないかというお答えだったと思うのですが、実際、指導監督が機能していないという中で、本当に指導監督ということを強調されるのであれば、抜本的に他の制度をつくればいいと思います。

 柔道整復師、あはきを含めて、受領委任ではなく、国が指導監督するような制度を、例えば法改正をやってもいいと思いますし、その上で柔道整復師の受領委任制度が適正化されたのであれば、あはきにも適用しようという議論がその時点で初めて始まるのと思います。柔道整復師が適正化されておらず、その解決策も見出していないのに、あはきにも適用しようというのは時期尚早だと思います。なぜ28年度の3月までという整理になったのか、全く合理性がありません。

 事務局は、療養費というものの本質をどういうふうに考えているか、お答えいただけますか。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 指導監督権限を法改正して設けるべきではないかということと通じる回答になるかと思うのですけれども、療養費につきましては、法律上、こう書かれております。保険者が療養の給付、つまりいわゆる保険医療のほうですね。療養の給付などを行うことが困難と認めるとき、又は被保険者が保険医療機関以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、つまり、通常の病院に行って医療を受けられなかったとか、ほかのところで受けた場合において、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養の給付に代えて、療養費を支給することができると。

 健保法87条では、通常の医療ができないと保険者がやむを得ないと認めるときに、療養の給付に代えて、療養費を支給することができる。やむを得ないと認めるときに支給することができるという、できる規定になっているものでございます。ですので、法改正をして指定事業者制度を導入して、療養の給付にして監督権限を入れていくということについては、今、療養費でやっていることの根本的な見直しが必要になるということで、それがどうなのかというところの制度そのものからの、根本からの議論が必要になることもあります。

 今回、受領委任制度ということは、今、柔道整復でやっている療養費の仕組みをうまく活用し、またそれを見ながら、指導監督のところを含めて、何か解決策がないのかということを検討してはどうかという提案をさせていただいているということであります。御質問の療養費がどういうものかというのは、保険者がやむを得ないと認めるときに支給することができると規定されているものと承知しております。

○遠藤座長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 平成1516年に国が被告になった2回の裁判を御存じかと思いますが、あはきに対して受領委任払いを認めないのは不当な差別だといったときに、国は、柔道整復師に受領委任を認めている根拠をどのようにお答えされているのですか。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 過去の裁判の中で、あん摩、はり・きゅうについても受領委任制度を導入すべきだという訴えが起こされたときに、国としても答弁し、また判決でも判示されているのは以下のようなものでございます。

 例えば、受領委任払いの方式というのは、特例的なものであるということが1点目。

 2点目として、柔道整復師の施術については緊急措置を要する場合があるので、そういう取り扱いをしているけれども、あん摩、はり・きゅうの場合にはその場合があまりない、必要性は低いという主張も、当時しておりました。

 また、受領委任払いについては、被保険者が確認できないまま施術所から請求されるということで、不正が起きやすいということも主張して、判例でも書かれているというものでございます。

 つまり、特例的な措置であるということを、当時、10年前の裁判で説明してきたという事実はございます。

 一方で、今回御提案をしているというのは、過去、裁判で導入しなければならないという判決ではなかったのですけれども、先ほどの繰り返しになりますが、現在、実質的には3分の2の保険者が代理受領方式をとっている。個々の保険者の判断で、一部負担で受けられるようになっている保険者が多くなっているという中で、先ほど申し上げたとおり、例えば地方厚生局や保険者が一律に監督を行えるような受領委任方式をとったことによるメリットが得られるのではないか。

 また、得られるメリットの一方で、例えば不正が増えるのではないかとか、給付がどうなるのかといったデメリットをどうやれば減らすことができるのかという検討をしていくことはどうかということで、今回、そうした観点から、具体的な制度の導入に向けたあり方、課題について、期限を区切って検討することとしてはどうかという御提案を申し上げているものであります。

 そういう意味で、特例的な措置であるということは変わっていないと思いますけれども、必要性であったり、不正対策をどうするかということを検討することによって、過去の裁判の判例に矛盾しないような形で導入を検討できるのではないかということを検討してはどうかという御提案をしているものでございます。

○遠藤座長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 柔整の受領委任払いは特例的な措置であり、不正の温床となる可能性もあるということで、国はこの2つの裁判で勝訴しているわけです。今回、その考え方を変えるということになるわけですが、それでよろしいのですね。

○遠藤座長

 先ほどの事務局の発言では、後段はその理由についてお話したかと思いますけれども、事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 先ほど御説明したとおり、そこを過去の判例に矛盾しない形で変える方法がないかということを検討していくべきではないかという御提案をさせていただいているということでございます。

○幸野臨時委員

 矛盾しない方法で考え方を変えるとは、どういうことなのですか。ちょっとよくわからないのですが。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 過去の判例でポイントになっているものが2点ございます。1つは、必要性の問題。2つ目は、不正が増えるのではないかという問題でございます。なので、この2つが認められなければ、これは特例的な措置なので広げるべきではないというのが判決の趣旨でございました。

 そこで、必要性があるかどうかということにつきましては、まさにこれを導入するメリットがあるかどうかということで、今、先ほど申し上げた代理受領をやっているところが3分の2を超えている中で、監督制度なり一律の制度を入れることの必要性があるのではないかというところで、クリアできるかどうか。

 デメリットの不正が増えるのではないかということは、まさに保険者も御懸念を示されているところで、我々も懸念するところでございますが、そこについて具体的にどういう方策をとれば、そのデメリットということを解消できるのではないかということを検討することが、過去の判決なり判例で示されているものと矛盾しない形で、この受領委任制度を導入していくことにつながると考えている。そういう検討をする必要があるのではないかということを考えているものでございます。

○遠藤座長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 判決の中にある文書を抜粋したのですが、読ませていただきます。療養費の支給自体は例外的措置である上、療養費の支給を現物給付化することは健康保険法の予定しないもの、また受領委任払いを現物給付化するとともに不正請求や業務範囲を逸脱した施術を見逃す可能性があることから、健康保険上、積極的に容認されているとは言えず、受領委任払いが認められるのは特例的な措置と言わざるを得ないと明確に書いてあって、これは健康保険法の精神を述べているわけでございます。

 どういう考え方を入れれば、これをあはきに適用できるかという仕組みを考えつつということを先ほどから言われていますが、どのようなことをやっても、受領委任制度を拡大していくということは、今の健康保険法の精神や、今まで繰り返し主張してきたことを変えなければいけないということは必須であり、これは療養費の支払いの考え方を根底から覆すものです。したがって、保険者である我々は到底認められるものではございません。本当に見直しの検討に入るということであれば、相当な覚悟をしてください。多分、後世に名が残りますよ。そのぐらいの覚悟をもってやっていただきたいと思います。

 いずれにしても、導入に向けた検討というものは本委員会ではなされてこなかったので、28年度中に導入に向けた検討に入るということであれば、改めて委員会を開いて、入るべきなのかどうかということを議論すべきで、今回の報告書の来年3月までに結論を得るとする今回の整理(案)では、到底認められません。これは修文をぜひお願いします。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ただいまの話であっても結構ですし、違う視点でも結構ですが、御意見、御質問いただきたいと思いますが。

 高橋委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 この場所で、28年度中に結論を得るというのは無理じゃないですか。柔道整復のほうでさっき議論していたのは、実効性がないだろうと私も随分申し上げましたけれども、書かれた内容は、厚生局の体制を強化するという話ですね。行政の手順からいけば、それが予算編成のときに決まるのは年末ですね。実際に人が配置されるのは、来年7月とか10月ぐらいの話ですから、初めてその体制強化が予算編成で決まったとして、実際に動き出すのは来年7月とか10月。実際にどうやって実効性が上がるのか、効果を見るのに1年じゃ短いのではないですか。

 予算の実際の執行自体が始まらない3月までに結論を得ましょうと言ったって、そっちがどうなるのか全然見えないのに、それまでにこっちは結論を出しますというのはちょっと無理だと思います。お書きになっていること自体、無理があるのではないですか。

○遠藤座長

 事務局、何かコメント、ありますか。なければあれですが。

○保険医療企画調査室長

 実際に議論した結果、いつから施行するかとか、その辺も含めて議論していただくことになろうかと思っております。

○高橋専門委員

 プロセスしか報告書に書いていないから、その中身の議論を始めたら、実際、柔整がどうなったかを見なきゃだめでしょう。3月までに全然見えない。体制強化すら執行されていないのだから、いくらなんでも無理じゃないですか。

○遠藤座長

 御意見として承りました。

 清水委員、どうぞ。

○清水専門委員

 公益として発言させていただきます。

 柔道、はり・きゅう、あん摩マッサージは、いずれも私の理解では医業類似行為という範疇に今まで入っていたと思います。ですから、そこに保険というのはなかなかなじまないところがあると思うのですが、前段で私も柔整の議論を聞いておりまして、そういう先行事例があって、療養費払いも含めて、委任払い、いろいろな問題が出ているわけです。システムとしては、十数年、20年、たっているわけですから、制度疲労が来ているわけです。

 柔整を含めて、プラス面、マイナス面をもう一度きちんと評価して解決の方向性を出すためには、現状の問題点を解決した後、この療養費払いを含めて方向性を明確にする目途が平成28年度という表現がいいのかなと思います。28年度に結論を得るというのは、黒か白かということになってしまいます。結論を得るためには、多分時間がかかるので、先行事例としての柔整の内容をよく評価して、さらにそれにあはきの現状を反映させた後、方向性を明確にするのが平成28年度というところが、私、公益としての意見です。

 余り拙速に物事を進めますと、必ず何か問題が起こります。現状としていろいろ問題が起こっておりますので、それを解決する方向性を得て、さらに具体的な成果の上で、結論を得るという筋道があってもよいのだろうという意見です。

 以上です。

○遠藤座長

 ほかにいかがでしょうか。

 村岡委員、どうぞ。

○村岡専門委員

 指導監督権限を強化していくという一つの方策として議論していくことについては、否定するものではございませんが、少し確認ですけれども、参考資料の14ページと15ページで、今回の受領委任制度を仮に導入したときに、15ページの左下の柔道整復で、協定・契約に基づく施術所には指導監督権限が及ぶことになるかと思うのですが、一方で、14ページにありますように、民法上の委任行為によって請求代行業者が代理受領するということで、現状の請求の仕組みがなされているところについては、仮に受領委任制度を導入しなかった場合、この形態がそのまま継続して、そこに対する受領委任制度を設けたときの指導監督権限が及ばないのではないかという疑問もあるのです。

 そのあたりは、厚生労働省・事務局としてはどのようにお考えなのでしょうか。

○遠藤座長

 事務局、お願いします。

○保険医療企画調査室長

 先ほど御説明しましたとおり、19ページの整理と同じになるのですけれども、法律でそうした指導監督の権限を規定するか、または協定の中で、柔道整復で言えば38項、39項にあるような形で、この受領委任の中で指導監督権限を規定していくかということがない場合は、一般的に指導監督の権限というのは及ばないことになりますので、今、14ページの上にあるような形で、請求代行業者が請求しているような状況では、施術所の責任を問うことは難しいと考えているところでございます。その辺を今回、受領委任制度の導入とあわせて、改善というか、検討してはどうかという御提案でございます。

○遠藤座長

 村岡委員、どうぞ。

○村岡専門委員

 受領委任制度を導入した場合に、カバーできない部分が生じてくるという現実があるということであれば、それを本当に解決する。柔整についても同様ですけれども、根本的な解決につながる法的な整備ということも含めて検討すべきではないかと考えますので、この受領委任制度自体を検討することについては否定することではないですけれども、本質的な解決につながる法的整備を含めた検討を、ぜひ厚生労働省にはお願いしたいと思っております。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかに。

 後藤委員、どうぞ。

○後藤専門委員

 議論の整理(案)全般、この中でお話ししてよろしいですか。実は、私ども東京広域では、平成20年度から27年度にかけて、あはきについては、自己負担分も含めた給付額が倍増している実態がございます。一方で、柔道整復については3割増しぐらいという中で、支給額が増えること自体が必ずしもよくないとは理解しておりませんけれども、財政状況を考えると、費用負担を公ないし現役の皆様からいただいている組織としては非常に危惧しているところでございます。

 先ほどのお話にありました、医師の指示のもとに、こういった施術行為がなされていることに鑑みれば、この案の昭和57年に審議が行われた際の経緯を踏まえというところについては、三十四、五年前の話ですので、社会経済状況も異なっておりますし、政治状況も変わっているということを鑑みれば、当面、現行どおりの取り扱いについては異を唱えませんが、当面というのがより短い期間であることをお願いしたいなと考えてございます。

 それから、地域包括ケアシステムが先ほどの柔整も含めて、ここで出てきました。私は、ある自治体で地域包括ケアシステムの構築に携わってきた立場でもありますが、今までいろいろな資料を見る中で、はり・きゅう、あん摩ですとか柔整に関して、私の不勉強もあったのかもしれませんが、残念ながら具体的な資料を見た記憶がございません。

 今後、地域資源を生かしていく中で、地域包括ケアシステムであはきの皆様方のお力をかりるのであれば、生かしていくのであれば、どういった仕組みで、どういった負担があってということを、施術を受ける側だけではなくて、都民・国民、皆様が知った上で、地域包括ケアシステムの中で活用されていくというのが本来の姿だと思われます。

 先ほど、適切という言葉についてのお話がございましたけれども、適切というのは、多くの人が内容を知った上で、少なくとも適切であるか、適切でないか、考えるだけの判断する材料があったときに、初めて議論ができるものと考えてございますので、そのあたりも鑑みていただいて、今後の施策を進めていっていただければということで、国にはお願いしたいなと考えてございます。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 意見は大体よろしゅうございますか。

 それでは、幸野委員、杉田委員。

○幸野臨時委員

 内容的なものは、もう言い尽くしたと思いますが、委員会の報告書であるわけですから、委員会で出た意見を中心にまとめてください。議論されていない内容が突然出てきたり、年度が決定されていたり、第三者に圧力をかけられたのではと疑ってしまいます。委員会で一回も議論していないことが、なぜ報告書として平場で出るのか、本当に疑問を感じます。委員会で結論されたこと、それのみを書くように、今後は徹底的に見ていきますから、よろしくお願いします。

○遠藤座長

 事務局案という意味合いもありますので、たたき台として事務局案が出てくるということでございますが、最終的にはこちらの委員会で承認しなければならないということで、チェックしていただくという形になります。

○幸野臨時委員

 本日、この案は承認されなかったということでよろしいですか。

○遠藤座長

 それは、後でまた皆さんにお諮りしたいと思います。

 杉田委員、どうぞ。

○杉田専門委員

 ただいまの後藤委員の、昭和57年のころから事情が随分変わっているじゃないかというのがありますね。確かにそういうことだと思うのですが、我々は医師の同意書がない限り、療養費というのは扱えないわけです。それに比べると、柔整は療養費を扱うのに骨折・脱臼以外、同意書が必要でないです。全体として、骨折・脱臼の率というのは物すごく少ないわけです。そうすると、事実上は同意書なしと同じです。そういう意味では、柔整とあはきとが同じレベルで議論されるのはどうなのかと思います。それは、柔整が昔からやっているのだからということだけれども、それも同じように随分長い期間がたっているから、見直しということもあり得るのかなと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 大体、よろしゅうございますか。

 では、仲野委員、どうぞ。

○仲野専門委員

 私どもは、どちらかといいますと、制度づくりでお願いしているのは、臨床家ですから、患者を治すというポジションでずっと来ているわけですから、決してこういう話が得意なわけではないです。ただ、今のような医療が日本の中で確立されていますけれども、この医療が本当に正しいと信頼されているのですか。そのことをむしろお聞きしたい。例えば、薬と注射だけで全ての病気が制覇できると思われているのですか。明らかに違う。人間が本来持っている力を引き出すようなことを一生懸命やっている治療法があるわけです。そういうパラダイムをつくってほしいと役所に言ってはいるのですけれども、そういうものもある。それを認めてやらなきゃいけない。

 皆保険の日本の中では、保険が使えないと、医療じゃないところへ放り出されてしまうわけです。それが一番大事なことです。ですから、慣れないことだけれども、仕方なしに私どもは出掛けてきて、制度づくりをしてくださいと申し上げているわけで、何とかその辺を理解する力を持っていただかないと、日本の医療は随分偏ってきますよ。だから、その辺は共通点があるのだなと思いましたけれども、もう少しわかりやすくすれば、制度の中で話をすれば、これは認められないという話じゃなくて、大きな意味で、私ども、こんなものも認めてもいいよという話をしていただければありがたいなと思います。そこが辛いといいますか、臨床家ですから、そんなことを思います。

○遠藤座長

 御意見として承りました。ありがとうございます。

 大体よろしゅうございますか。はい。

 それでは、本日、この2つの案が出ておりますけれども、この内容について御承認いただけるかどうか、いただけない場合、どうするかということをお諮りしなければなりませんので、まずは改定についての案について、実際の配分方法も記載されておりますが、いろいろな御希望、御意見等があったことは承知いたしましたけれども、このあ-3の内容について、報告書といいますか、文案としてはこれでよろしいかどうかということで、よろしゅうございますか。

 特段の御反対がないということであれば、この点につきましては御承認いただいたということにさせていただきたいと思います。御意見は十分あれしております。

 では、幸野委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 大賛成ではございませんが政治判断ですから、意見は挟めないということでよろしいですか。

○遠藤座長

 改定率につきましては、そうですね。

○幸野臨時委員

 私たちは、プラス改定については、あはき療養費1,000億円を適正化していくべきなのにあり得ないと思っていますし、むしろマイナス改定すべきだと思っているのですが、政府が決めたことに、反対できるのですか。反対できるならします。

○遠藤座長

 この改定率については不可能です。

○幸野臨時委員

 プラス改定率についてです。反対できるなら反対します。

○遠藤座長

 御意見としては、よくわかったと思います。よろしゅうございますか。ありがとうございます。

○高橋専門委員

 よろしいですかと聞かれれば、よろしいと言えないです。

○遠藤座長

 厳密なことを申し上げれば、改定率については変更はできませんけれども、中身については、これは算定し直さなきゃいけないので、なかなか難しいことになりますけれども、これについてはここでの議論をできるだけ反映させるということで、明らかに反対が強ければ、どれだけ時間的余裕があるのかわかりませんけれども、変更することはできます。そういう意味では、中医協と同じです。

 そういう制約条件もあるということで、よろしゅうございますかとは聞きませんが、承諾いただいたといたします。ありがとうございます。

 問題は、次の議論の整理のほうであります。これは、明確に修文の御依頼が出ているということでありますが、この場合、修文をどうするかということには2つの方法がございまして、1つは、座長預かりということにいたしまして、これで各委員のお考えをできるだけ反映するような形で一任させていただくやり方。もう一つは、ただいまの議論をベースにしながら、もう一回、この場を開いて議論を続けるというやり方がございます。そこをどうするかということは、これは皆さんにお諮りしなければいけないわけであります。

 私とすれば、両者の間に隔たりがかなり大きいという認識はしておりますし、それぞれの主張されたいことについては、それなりの理解をしているつもりであります。今後のこれの対応の仕方について、何か御意見、ございますか。

 もし特段の御意見がないということであるならば、座長預かりという対応にさせていただいて、その過程において、できるだけ皆様方の御意見を再度伺うこともあるかと思いますので、それを反映しながら座長預かりという対応にさせていただきたいと思いますけれども、そういう対応でよろしゅうございますか。恐らく、これも診療報酬を決める中医協と同じ話でありまして、双方満足が行くような結論というのは絶対出ないわけでありまして、いわゆる不満足の最小化をできるだけ図るような形でいくというのが、従来、中医協などではやっている考え方です。

 では、清水委員、どうぞ。

○清水専門委員

 私、先ほども意見を述べましたように、2ページの2の3番目が非常に問題になっているかと思います。28年度中に結論を得るというのは、イエスかノーかということでなくて、明確な方向性を決めるという文言だと逆にわかりやすいのかな。結論というのは、結論ありきになってしまうので、その手前のシステム、いわゆる議論の過程もなくなってしまう可能性もあります。ですから、現在の問題点をもう一度さらって、さらにその解決策が出た時点で、イエス、ノーがあって当然なのです。結論というよりは、「28年度内に明確な方向性を出す」とか、そのような表現もあるのかなと私、考えておりますので、よろしくお願いします。

○遠藤座長

 御指摘、ありがとうございます。まさに、このところが1つ重要なところでありますので、どういう文言にするかということはいろいろと考えなければいけないところだと思います。

 よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤座長

 そういうことでれば、座長預かりということにさせていただきます。また、その過程において、私のほうからいろいろと各委員に御質問等、することもあるかと思いますので、その際には御協力をお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 それでは、本日の議題は以上でございますが、次回日程について。

 どうぞ、竹下委員。

○竹下専門委員

 審議の内容ではなくて、資料についてお願いしたいのですけれども。御存じのように、今年の4月1日から障害者差別解消法が施行されているわけでございますが、残念ながら、この委員会におきましては、日盲連の代表としての私、全盲の委員に対する配慮として、点字の資料は一切用意されておりません。今日の資料で申しますと、全部の資料の点字化がされることが理想でありますが、せめて参考資料を除いた部分の点字化は、量的にもそう多いものではありません。今のコンピューターに基づく点訳の技術的な解決、あるいは費用的なものを勘案しても困難ではないと思われますので、ぜひ次回からそうした配慮がいただけることをお願いしておきたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 非常に重要な御指摘だと思います。事務局と相談しまして、御対応させていただければと思います。検討させていただきたいと思います。

 それでは、次回の。

○保険医療企画調査室長

 今後の開催時期は未定でございますので、決まり次第、また事務局から御連絡させていただきたいと思います。

○遠藤座長

 ということでございます。

 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。これをもちまして、検討専門委員会を終了したいと思います。


(了)

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