ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> アレルギー疾患対策推進協議会(アレルギー疾患対策推進協議会)> 第1回アレルギー疾患対策推進協議会 議事録(2016年2月3日)
2016年2月3日 第1回アレルギー疾患対策推進協議会 議事録
健康局がん・疾病対策課
○日時
平成28年2月3日(水)15:00~17:00
○場所
厚生労働省専用第23会議室(6階)
○議事
○斉藤課長補佐 定刻よりも若干早いですけれども、全員おそろいいただけましたので、ただいまより第1回「アレルギー疾患対策推進協議会」を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課長補佐の斉藤と申します。協議会の会長が決まりますまでの間、本日の議事の進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、会の開会に当たりまして、竹内副大臣から御挨拶をさせていただきます。
○竹内厚生労働副大臣 厚生労働副大臣の竹内でございます。
本日は、アレルギー疾患対策進協議会の発足に当たりまして、一言御挨拶を申し上げさせていただきます。
皆様方におかれましては、日ごろからアレルギー疾患対策の推進のみならず、厚生労働行政全般につきまして、御指導、御支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。また、このたびは御多用のところをアレルギー対策推進協議会の委員をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。
さて、アレルギー疾患は患者数も多く、国民生活に大きな影響を及ぼしております。従来、問題となっておりましたぜんそく死につきましては、減少してきているものの、アレルギー疾患全体としては依然増加傾向にあります。こうした中、アレルギー疾患対策の一層の充実を図るために、アレルギー疾患対策基本法が昨年12月25日に施行されたところでございます。
本協議会は、アレルギー疾患対策基本法に基づきまして、アレルギー疾患を有する方々や、その御家族、医療従事者、学識経験者等によって構成され、厚生労働大臣が策定するアレルギー疾患対策基本指針に関する御意見をいただく審議会でございます。基本指針の策定に向けて、委員の皆様より忌憚のない御意見と活発な御議論をお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
きょうは本当にありがとうございます。
○斉藤課長補佐 それでは、竹内副大臣はほかの公務のため、こちらで退席とさせていただきます。
○竹内厚生労働副大臣 どうぞよろしくお願いします。お世話になります。
(竹内厚生労働副大臣退室)
○斉藤課長補佐 撮影につきましては、以上をもちまして終了し、カメラをおさめていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○斉藤課長補佐 続きまして、委員の皆様方の御紹介をさせていただきます。お手元の委員名簿に沿ってお名前を読み上げさせていただきますので、お名前を呼ばれた委員の方は御起立いただき、一言御挨拶をいただけますよう、よろしくお願いいたします。
昭和大学医学部小児科学講座講師の今井孝成委員でございます。
○今井委員 昭和大学の今井です。小児の食物アレルギーを中心に診療してきております。よろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部長の海老澤元宏委員でございます。
○海老澤委員 海老澤と申します。日本小児アレルギー学会からの推薦で協議会に加わらせていただきました。よろしくお願いします。
○斉藤課長補佐 国立大学法人千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教授の岡本美孝委員でございます。
○岡本委員 岡本でございます。耳鼻咽喉学会から推薦いただきました。アレルギー性鼻炎、花粉症等について研究を続けております。よろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 京都府立医科大学院医学研究科皮膚科学教授の加藤則人委員でございます。
○加藤委員 加藤でございます。アトピー性皮膚炎を専門にしております。よろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 千葉市教育委員会保健体育課指導主事の岸平直子委員でございます。
○岸平委員 千葉市教育委員会の岸平と申します。学校現場の代表ということで参加をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 国立研究開発法人森林総合研究所森林植生研究領域チーム長の倉本惠生委員でございます。
○倉本委員 森林総合研究所の倉本です。花粉症の原因となるスギやヒノキの着花がことしは多いか少ないか、どれぐらいつけるかということを専門に研究しております。この立場からお役に立てればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 NPO法人アレルギー児を支える全国ネット「アラジーポット」代表の栗山真理子委員でございます。
○栗山委員 栗山でございます。この10年間、厚生労働省のなさるアレルギーの検討会の委員もさせていただきました。このたびは法律化していただいたということで、とても嬉しく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 国立研究開発法人国立成育医療研究センター副所長の斎藤博久委員でございます。
○斎藤委員 斎藤でございます。現在、日本アレルギー学会の理事長を務めております。どうぞよろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 川崎市健康福祉局医務監の坂元昇委員でございます。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。私は全国衛生部長会という全国の都道府県、政令指定都市の保健衛生福祉部門の責任者の会の副会長をしております。そこからの代表として出席しております。よろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 NPO法人アレルギーを考える母の会代表の園部まり子委員でございます。
○園部委員 患者の代表として今回参加させていただきます。年間約400人ほどの方から2,000件ほどの相談に乗っている、その患者の悩みを皆さんに知っていただき、対策に生かしていただければと思っております。
また、神奈川県のアレルギー研修もお手伝いしておりますので、研修の現場からの声も生かしていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 アレルギー患者の声を届ける会代表理事の武川篤之委員でございます。
○武川委員 武川でございます。私のほうは、ただいまの園部さんのほうからお話がございましたように患者委員、特に成人領域のぜんそく、アトピー性皮膚炎、あと成人の食物アレルギー、この辺の実態は全然まだ全く闇の中でございますけれども、そういったことについて、ぜひ患者の立場として御意見を申し上げたいと思っております。
以上でございます。
○斉藤課長補佐 国立研究開発法人国立環境研究所環境健康研究センターフェローの新田裕史委員でございます。
○新田委員 国立環境研究所の新田でございます。大気汚染を専門としております。大気汚染の影響ということで、気管支ぜんそくとの関係をこれまで研究しておりました。よろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 読売新聞東京本社編集局社会保障部次長の本田麻由美委員でございます。
○本田委員 本田と申します。私は、10年ほど前から患者の会の皆さんの取材などを通して、アレルギーの問題に接してきたのですけれども、基本的には素人です。つい最近、自分自身も食物アレルギーを発症したということもあって、関心を持って、何かお役に立てればと思っています。よろしくお願いします。
○斉藤課長補佐 公益社団法人日本医師会常任理事の道永麻里委員でございます。
○道永委員 道永と申します。私、ほとんど診療できていませんけれども、一応皮膚科なので、よろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 帝京大学医学部内科学講座教授の山口正雄委員でございます。
○山口委員 帝京大学の内科の山口でございます。専門としては呼吸器、アレルギーを担当しております。どうかよろしくお願いします。
○斉藤課長補佐どうもありがとうございました。
なお、本日、国際医療福祉大学小田原保健医療学部看護学科長の荒木田美香子委員と、早稲田大学理工学術院教授の田辺新一委員からは、御欠席との御連絡をいただいております。
続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。厚生労働省健康局長の福島でございます。
○福島健康局長 福島でございます。よろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 健康局がん・疾病対策課長の佐々木でございます。
○佐々木課長 佐々木でございます。よろしくお願いいたします。
○斉藤課長補佐 同じく、がん・疾病対策課課長補佐の山田でございます。
○山田課長補佐 山田でございます。よろしくお願いします。
○斉藤課長補佐 本日は公務の都合上、福島健康局長は途中で退席させていただきます。
なお、本日は委員17名のうち15名の方に出席いただいており、定員数に達していることを御報告申し上げます。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第にありますとおり、座席表、資料1~7、参考資料1~5となっております。資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
なお、委員の皆様には、厚生労働大臣からの委員の発令を本日付でさせていただいております。略儀ではございますが、辞令を机の上に置かせていただいておりますので、御査収のほど、よろしくお願い申し上げます。
それでは、議事に入らせていただきます。本日は第1回の協議会でございますので、初めにアレルギー疾患対策基本法及びアレルギー疾患対策推進協議会の位置づけ等について、簡単に御説明させていただきます。
お手元の参考資料1と2をごらんください。法律そのものにつきましてはこの後の厚生労働省からの説明の中で御説明させていただきますけれども、アレルギー疾患対策の総合的な推進を図るための法律となっております。
アレルギー疾患対策推進協議会につきましては、アレルギー疾患対策基本法の第21条及び第22条に基づき厚生労働省に設置されたものであります。
協議会の役割としましては、アレルギー疾患対策基本法第11条3項において、厚生労働大臣は、アレルギー疾患対策基本指針を策定しようとするときは、アレルギー疾患対策推進協議会の意見を聞くものとすることとなっております。
アレルギー疾患対策推進協議会の組織及び運営に関して、必要な事項については参考資料2のアレルギー疾患対策推進協議会令で定められております。その第2条第1項において、委員の任期は2年、第3条第1項において、協議会に会長を置き、会長は委員の互選により選任すること。第5条第1項において、委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決することができないことなどが定められております。
次に、議題1「会長選任及び会長代理指名」に移らせていただきたいと思います。先ほど御説明しましたように、本協議会の運営を定めたアレルギー疾患対策推進協議会令第3条において、「協議会に、会長を置き、委員の互選により選任する」こととされており、また、「会長は、会務を総理し、協議会を代表する」「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」と定められております。
本日は、委員の皆様方が新たに選任されて最初の協議会となりますので、本規程に基づきまして、委員の互選により会長を選任させていただきたいと思いますが、どなたか御推薦はございますでしょうか。
道永委員。
○道永委員 アレルギー医療の専門家でいらっしゃって、また日本アレルギー学会の理事長でいらっしゃる斎藤博久先生にお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
(承認の拍手)
○斉藤課長補佐 ただいま、道永委員から斎藤委員を推薦する旨の御発言がありましたが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○斉藤課長補佐 それでは、異議がないようですので、斎藤委員に本協議会の会長をお願いしたいと思います。
それでは、斎藤委員、お手数ですが、真ん中の会長席へお移りいただきまして、今後の議事運営をお願いいたします。
(斎藤委員、議長席へ移動)
○斎藤会長 それでは、マイクの位置の関係上、座って御挨拶をさせていただきます。
身に余る大役を仰せつかりまして、大変恐縮しております。本来この場所に座るべき方は、実は西間三馨先生、アレルギー学会の元理事長でございまして、この法案の作成に尽力された方であります。残念ながら、この協議会の規定には書いていないのですが、国の規定で、年齢の条件に若干合致しないところがございまして、やむを得ず私が代理ということでなっていると承知しております。
西間先生には、アレルギー学会事務局等におきまして、常々この基本法案の精神について御指導いただいているところではございますが、今後、この協議会におきまして、皆様方の御指導をいただきながら、この皆様方の御意見をまとめていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。まず、会長代理の指名をさせていただきたいと思います。協議会令の第3条第3項に「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」という、会長の代理をどなたかにお引き受けいただかなければならないということになっております。
恐れ入りますが、千葉大学で評議員を務められておりまして、鼻科学会の前理事長でもございます岡本委員にお引き受けいただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(承認の拍手)
○斎藤会長 それでは、御異議がございませんので、岡本委員に本協議会の会長代理をお願いしたいと思います。
議題3「アレルギー疾患対策推進協議会運営規程案について」に移りたいと思います。協議会令の第7条におきまして、「議事の手続その他協議会の運営に関し必要な事項は、会長が協議会に諮って定める」とされております。これにつきまして、事務局が運営規程の案を用意しておりますので、審議いたしたいと思います。
まず、事務局から運営規程の案について御説明をお願いいたします。
○斉藤課長補佐 それでは、お手元の資料1をごらんいただきたいと思います。「アレルギー疾患対策推進協議会運営規程(案)」ということで、こちらのほうで事務局案をまとめさせていただいております。
中身のほうですけれども、「アレルギー疾患対策推進協議会令(平成27年政令第401号)第7条の規定に基づき、この規定を制定する」ということで、大きくは会議についての部分と会議の開催についてはここに記載してあるとおりです。それから、議事録についての部分、委員会の設置について、最後に雑則についてということで、このような内容で今まとめさせていただいております。
以上になります。
○斎藤会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの説明について、何か御質問、御意見等はございますでしょうか。
○斉藤課長補佐 それでは、中身についてはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、運営規程については承認されたものとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○斎藤会長 続きまして、冒頭事務局から本協議会の役割として、厚生労働大臣が、アレルギー疾患対策基本指針を作成するに当たって、本協議会の意見を聞くことと定められているとの説明がございました。法律の施行を受けて基本指針を策定するに当たりまして、本協議会において議論していく必要がございます。議事次第に沿って進めてまいりたいと思います。
まず、事務局より、アレルギー疾患の現状等について御説明がございます。2番目といたしまして、アレルギー疾患を有する方及びその家族を代表する委員から提出資料の説明をお願いしたいと思います。3番目といたしまして、川崎市の坂元委員から、自治体におけるアレルギー疾患対策の取り組みについて、順次説明をしていただきたいと存じます。その後で、質疑、意見交換をお願いしたいと考えております。
まず、事務局から、アレルギー疾患の現状等について説明をお願いいたします。その際、今後の流れにつきましてもあわせて説明をお願いいたします。
○斉藤課長補佐 それでは、課長補佐の山田のほうから説明を開始します。前方のスクリーンのほうをごらんください。お手元のほうにもパワーポイントのコピーの資料、同じものがありますので、そちらのほうでも御確認いただけるようになっております。
○山田課長補佐 よろしくお願いします。アレルギー疾患の現状等につきまして、厚生労働省健康局がん・疾病対策課より御説明申し上げます。
(PP)
今回の内容ですが、大きくごらんの3つについて御説明申し上げます。
(PP)
こちらにいる皆さんにとっては釈迦に説法とは存じますが、まずアレルギーの定義についてです。
免疫反応に基づく生体に対する全身的または局所的な障害を指します。
血中抗体による液性免疫反応に基づくアレルギーと、感作リンパ球による細胞性免疫反応に基づくアレルギーに大別されて、ごらんのように1型~4型の反応に分類されて考えられております。
(PP)
発症機序について図示したものを掲載させていただきました。後述しますが、本法律で対象としている疾患は主にこらら、即時型アレルギー反応に含まれるものです。
(PP)
アレルギー疾患の診断にかかわる主な検査です。皮膚反応や誘発反応によって生体の反応を見る検査と、あとは実際に血液を採取して、IgE等を検査室で確認する方法があります。
(PP)
主な治療です。基本はやはり原因の回避、除去になります。ほかに減感作療法、あとは薬物療法等があります。
(PP)
次に、疫学です。まず、平成17年のリウマチ・アレルギー対策委員会報告書では、我が国の全人口の約3人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していることを示しているという結果になっております。
これらが約6年の後、平成23年の報告書では、我が国全人口の約2人に1人が何かのアレルギー疾患に罹患している。かなり急速に増加していることが示されております。
(PP)
こちらは、患者調査をもとに年次推移をお示ししました。こういった定点調査という検査の特性から、患者数はどうしても推計になってしまって、実情とは少し乖離しているところもあるのですが、経時的に見ると、全体的に増加傾向であります。
(PP)
こちらは、平成26年のアレルギー疾患の年齢別患者構成割合を比較したものです。ぜんそく、花粉によるものを含むアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、結膜炎、こちらは非アレルギー性を含む数字しか統計されていないものですが、全体としてやはり若年者に多いという特徴があります。
(PP)
こちらは、人口動態統計をもとに集計したものですが、アレルギー疾患に関連した死亡者数の推移です。ただし、蜂等に起因するアナフィラキシーによる死亡者数は含んでおりません。
ぜんそくによる死亡者数は年々減少しており、平成26年で1,550人。食物アレルギーに起因するアナフィラキシーは、平成11年から、ごらんのように年間10名を超えた年はないのですが、死亡者数ゼロは平成14年のみです。常に年間0~6人で推移しているという結果です。
(PP)
こちらは、都道府県ごとの人口10万人当たりのアレルギー疾患の患者数です。青の県は人口10万当たり1,000人~1,499人で、緑、黄色、オレンジ、赤と、だんだんふえていっているようにお示ししました。
統計学的には、実は余り全国で大きなばらつきはないと結果になっております。
(PP)
こちらは、実際に診療されるであろうアレルギー科の常勤医の数を人口10万人当たりどれくらい偏在しているのかというのをお示しします。こちらのほうは、アレルギー科の標榜を開始されたのが割と近年だということもありまして、全体的に寂しい感じになっています。ばらつきも非常に強いという結果です。
(PP)
次に、小児に関してですが、今回は15歳未満の患者さんを小児として計上しました。小児人口1,000人当たりのアレルギー疾患患児数をお示ししたものです。
緑が小児1,000人当たり患者さん20人~39人の都府県になります。黄色、オレンジ、赤というようにふえているというところです。
(PP)
同様に、小児人口1,000当たり小児科の常勤医の数の偏在をお示ししますが、こちらのほうは意外と従来言われているよりもばらつきはそんなにないという結果になりました。
以上から言えることは、アレルギー疾患受診患者数や小児科常勤医数のばらつきに比べて、アレルギー科常勤医数のばらつきが非常に大きいという結果です。
○斉藤課長補佐 引き続きまして、国の対策のほうを御説明させていただきます。
(PP)
厚生労働省におけるアレルギー疾患等に対する施策に関するこれまでの取り組みについては、かなり古い歴史がありまして、昭和47年の小児ぜんそく治療研究事業を皮切りに、ここにお示ししてあるような取り組みを行っております。
直近のところですと、平成23年の厚生科学審議会のリウマチ・アレルギー対策委員会のほうで報告書を取りまとめて、最終的に「アレルギー疾患対策の方向性等」の見直しを行い、都道府県等関係団体に平成23年8月に通知しております。
そちらの報告書については、お手元の参考資料4のほうに今回も添付をさせていただいております。
(PP)
その報告書の中身について、アレルギーに関する記述の概要がこちらになります。ここにあるような背景のもと、大きくは方向性として3つの方向性を示しております。
1つが医療の提供等、2つ目に情報提供・相談体制、3つ目に研究開発等の推進ということで、ここに記載してあるようなポイントについてまとめられております。
(PP)
今回のこの協議会が立ち上がるきっかけになりましたアレルギー疾患対策推進基本法について、こちらにまとめております。
対象の疾患としては、こちらに記載してある6つの疾患を対象とする法律となります。
基本理念は、こちらに示してあるとおりになるのですが、この後の流れとしましては、国としてアレルギー疾患対策基本指針というものを定めていくことになりますので、今回このアレルギー疾患対策推進協議会が発足しまして、そこでの意見を反映したものを厚生労働大臣が最終的に基本指針として策定していくという内容になっております。
(PP)
こちらは、その法律の中でこの協議会について触れている部分をまとめているものになります。
(PP)
今後の流れについて御説明させていただきます。
冒頭ありましたように、平成27年12月25日に、アレルギー疾患対策基本法が施行されました。今回の発足がアレルギー疾患対策推進協議会第1回ということになりまして、この後は疾患ごとにヒアリングを専門の先生方のほうからお伺いしたいと思っております。その各課題に対する対策等を検討し、基本指針案の検討を進めていきたいと考えております。
目安としましては、ことしの夏ごろにアレルギー疾患対策の基本指針を告示できるようなスケジュールで進めていきまして、基本指針に基づいて、最終的には関係省庁等において必要な施策を実施していくということにつなげていきたいと考えております。
(PP)
なお、今の国の取り組みと並行しながら、それぞれ各都道府県とか自治体ごとにどのような実態にアレルギー対策はなっているのかという調査も必要と考えております。
平成27年度中に、ここに書いてあるように、調査票による実態調査を実施していく予定になっております。対象としては、都道府県、政令指定都市及び中核市を対象に、今回のアレルギー疾患対策に係る具体的な取り組み状況を把握するのを目的とします。
そこで、各市町村や保健所等で具体的な対策としてやられていることですとか、アレルギー対策における課題等について、現状把握をさせていただきたいと考えております。
(PP)
最後におつけしているのが、現在もアレルギーの主なガイドラインとして、主な関係団体、学会等でまとめられているガイドラインの一覧。
(PP)
それから、現在取り組みとして予算事業としてやられているものについて、参考としてつけさせていただいております。
以上、アレルギー疾患の現状と今後の流れ等について御説明をさせていただきました。
また、添付の資料3は、アレルギー疾患に対する取り組みの現状についてということで、関連省庁の予算措置等についてまとめておりますので、個々の説明は、時間の制約上、省略させていただきますが、こちらについても御確認いただければと思います。
説明は以上となります。
○斎藤会長 どうもありがとうございました。
若干予定より進行は早いのですが、後ほどたっぷり時間をとってございますので、審議は後ほどよろしくお願いします。
それでは、次に進ませていただきます。患者会委員から提出資料の説明をお願いいたします。
最初に、栗山委員からよろしくお願いいたします。
○栗山委員 アラジーポットの栗山でございます。
きょうは、このように皆さんとお話しし、なおかつこういうふうに発表を聞いていただける、患者の実情、それから提案を聞いていただけるお時間をいただきまして、まことにありがとうございました。
資料として4を御用意いただきました。これで発表させていただきますが、最後の1枚も資料として参考にしていただければと思います。それから、お手元に本として配っていただいているもの、それからパンフレット2つもまた見ていただきたいと思います。
(PP)
患者会から見たアレルギー疾患の10年と、こうなったらいいなと、その実現に向けてお話をさせていただきます。
私たちは親の会なので、アレルギーのある子供たちの笑顔のために、これから皆様と一緒に考えていけたらいいなと思っております。
(PP)
アラジーポットは2002年12月1日に設立し、しゃべり場、学びの場、発信の場の活動を中心にしております。
(PP)
保育園、幼稚園、学校などの教育機関がアレルギーのあるお子さまが楽しく通うことができ、保護者・御家族が安心して預けられる安全な場となるように、あらゆる機関、あらゆるお立場の方々と、それぞれのお立場を大切にしながら連携して、社会基盤の整備をしたいと思って立ち上げた会です。その社会基盤の整備に向けて、患者みずからが情報収集し、蓄積し、整理して、患者みずからが発信することを大事に考えております。
右の下のほうにあるお花のようなマークは、周りの方々との連携の上にそれを実現したいと思ってつくったものです。
(PP)
安全な社会への基盤整備に向けて、今までいろいろなところがいろいろなことをしてきてくださいました。それが主に赤い字で書いてあります。それに伴い、その中で御一緒にアラジーポットも患者会としてその役割の一つを担わせていただきました。それを黒い字で書かせていただきました。
まず、私どもが設立したときに、当初から「入園入学マニュアル」、皆様のお手元にあります黄色いパンフレットになります。3種類入っておりますが、アトピーと食物アレルギーとぜんそくを、患者の親の立場から学校の先生方に御理解いただきたいと思ってつくらせていただきました。
それから、小児アレルギー学会のガイドラインの作成に患者として初めて参加させていただきました。このたびは正式に小児アレルギー学会のガイドライン作成に患者の立場の方も参加するようになり、取り組みが進んでいると実感しております。
文部科学省では、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」の作成委員になりました。これからもいろいろところで出てくると思いますが、赤い表紙の学校でのガイドラインです。その作成に伴いまして、「入園入学マニュアル」に学校生活管理指導票の小さい版を入れて改訂いたしました。
厚生労働省の2005年のアレルギー対策検討会の委員として、ガイドラインができたのだから、ぜんそくで死ぬ人がいない世の中になることを、患者にも、医療者の方にも、それから社会にも、マスコミの方にも知っていただきたいと思って喘息死ゼロを提案させていただきました。委員会終了後に、厚生科研費によるセルフケアナビを患者会として一緒につくらせていただきました。
エピペンの認可も進みました。
「家族と専門医が一緒に作った小児ぜんそくハンドブック2008」がお手元にあります。今はもう2012までできております。患者目線で書かれており、小児アレルギー学会が監修してつくったものです。発症機序とかそういうものも入っておりますが、メーンに発作を起こしたときにどうすればいいのか、起こさないためにどうすればいいのか、学校生活、社会で生活する上にどんなことに気をつけたらいいのかが入っております。
「入園入学マニュアル」にも入れてありますが、そのような紙芝居を教材として日本学校保健会から発売していただきました。
内閣府の食品表示では、今度新しい法律ができましたが、アレルギー表示の中に、酒類つまりお酒はアレルギー表示の対象になっておりませんでした。まだ、最初の表示ができたころにはいろいろな果物を使ったお酒というのはなかったのですが、そういうものも変わってきておりますので、時代とともに表示の変化のほうもしていただけるように提案させていただきました。
お配りした青い方のパンフレットは、厚生科研のアレルギー疾患対策の均てん化という研究に分担研究者として御一緒させていただき、作成したものです。「今の治療と昔の治療」というもので、昔、ぜんそくは発作を起こしてから病院に行く病気でした。私の子供たちが小さいころはそういうものでした。今でもそう思っていらっしゃる方は大勢いらっしゃる。残念ながら、お医者様の中にもそう思っていらっしゃる方がいらっしゃるので、今はぜんそくの発作を起こさせないためにする治療があるということを患者家族にも社会に知っていただきたいと思ってつくったものです。
(PP)
私たちは、患者は考えてあげるとか何かしてもらう対象者だけではなくて、一緒に考え、一緒に行動する存在である、当事者であると考えております。まさにこの協議会は患者も一緒に考えよう行動しようという姿勢のあらわれたものだと思って喜んでおります。
(PP)
過去のアレルギーの2つの委員会に入れていただいて、5年前のお話のときには、患者だけがせっかく医師が指導してくださったのに言うことを聞かないだけではなくて、医師に十分なガイドラインに基づく知識がないんじゃないかということにも目を向けて見ていただきたいというお願いをガイドラインの充実とともにさせていただきました。
(PP)
アレルギー治療の均てん化の調査研究に厚生科研の分担研究者として参加させていただき、その結果から、ほとんどのアレルギー疾患では、医師からの情報提供や治療がガイドラインにのっとったものであれば、ほぼ全ての患者の願い、不安や心配は解決できるのではないかと思うようになっております。
それは大勢の患者さんの御相談を受ける中で共通して、皆さん、今のガイドラインに基づいたきちんとした治療をしていれば、かなりの部分はもうコントロールできる病気でもありますし、決して死ぬことのない、苦しい思いをするほどのことはない病気であるのにもかかわらず、まだ昔の治療のまま苦しんでいる方がいらっしゃるのはとても悲しいことだと思っている多くの患者さんのご相談から感じています。この協議会をきっかけに、そういう方がいなくなるような施策を一緒に考えていっていただけたらうれしいです。
(PP)
アレルギー科を標榜する医師の質の担保というと、ちょっと過激に聞こえるかもしれませんが、前に申し上げたような話ですね。医師からは、自分は患者の選択だったり、患者の希望を聞いているだけとおっしゃる方もいらっしゃるのですが、もしガイドラインに基づかない治療をするのであったら、十二分な説明をお願いしたいと思います。
先生方は、疾患はアレルギーだけではない、患者の自己管理が悪い、言うとおりにしないで怪しい治療を信じる、医師の言うことよりネット情報を信じるとおっしゃいます。そういう方もいらっしゃることは十分承知しております。
その上で、お医者様は人の命にかかわることをみずから選ばれたプロでいらっしゃるので、もし皆様の手に負えないようなというか、困った患者であったり、重い患者であれば、ぜひ次のプロにつないでください。よくなるチャンスを逃がさないうちに、そういうふうにお願いしたいと思います。これは学会や行政へのお願いでもありますが、患者会も患者会としてその役割を果たしたいと思っております。
(PP)
ガイドラインに基づく治療や情報提供を、アレルギー治療の均てん化、ガイドラインの改訂とその利用と普及、そのためにステークホルダーの連携と協働は必須なことであり、患者の治療や生活環境までの整備をお願いしたいと思います。それがアレルギー治療のガイドラインに基づいた均てん化の中でされるものではないかと思っております。
それから、学校関係の方に向けては、もちろん医療の専門家ではありませんから仕方がない部分はすごく大きいと思います。ただ、昔から言われているアレルギーについての常識ではなく、最新のガイドラインに基づく知識をぜひ持っていただきたい。人の命を守る、子供の命を守れるのは、学校生活においては先生方しかいらっしゃいません。親が安心して子供を預けられると思えるような知識をぜひ持っていただければと思います。
(PP)
これは、2005年5月31日のアレルギー検討会において発表した資料です。今、一番患者の困っていることは、専門医と実地医家の治療格差。ただ、これは専門医の資格をとっていても、情報がリニューアルされていない方もいらっしゃることがわかりました。ガイドラインがあるから混乱するという声が出るほど、実際にされている治療とガイドラインの乖離があるとお話ししたのですが、この間のアンケートで一部それははっきり事実として、患者側だけではなくて、医療者の目から見てもそうであることを確認していただけたものと思っております。医療提供者側の問題にも目を向けてほしいというものが、目を向けていただけたことになりました。
患者が今一番望んでいることは、安全で確実な予防法と根治の一日も早い実現。そして、長期慢性疾患があっても、学校、仕事を休まなくてもよい治療環境を得られるように、お力をお願いいたします。
(PP)
全ての情報がガイドラインをもとにしていただきたいということに、これはアラジーポットがかかわった、ガイドラインを基につくった情報の提供です。いろいろなものがガイドラインに基づいて出されることによって、患者さんは行く先生によって言われることが違うのではなく、自分の治療に迷わず自己管理に邁進できるような社会をつくっていただきたいと思います。
ガイドラインは、コンセンサスガイドラインではなく、そこからのスタートであったとしても、最終的にはEBMガイドラインによってガイドラインがつくられていくことを願っております。
配布されておりますエクセルの表もぜひぜひ見ていただきたいと思います。
きょうはどうもありがとうございました。
○斎藤会長 どうもありがとうございました。
続きまして、園部委員から説明をお願いいたします。
○園部委員 本日は貴重な機会をいただいて、ありがとうございます。「アレルギー疾患患者の現状と提案」ということで、少しお時間をいただきたいと思います。
(PP)
アレルギーを考える母の会は、周囲の理解が得られずに孤立してアレルギーに苦しんでいる患者さんを守るために、相談活動が一番の柱です。当事者の方々と向き合って、問題解決を図るわけですけれども、専門医の先生にお越しいただいて、講演会、学習懇談会、それから行政に建設的で具体的な提案と協力を惜しまずに、今まで17年間活動をしてまいりました。
(PP)
活動の模様は、スライドをたくさんプリントしていただきましたので、ごらんいただきたいと思います。
私のほうからは、きょうは患者さんの現状をぜひ知っていただきたいと思います。
(PP)
このスライドから御説明させていただきます。患者さんにとって今のアレルギー医療は、17年間変わらぬ思いです。くじ引きのようなものだなと思っております。たまたま受診したお医者さんでハッピーな人生になる人、また健康を回復できずに大変な思いをしている方。それから、一番問題なのは、受けている治療が適切なのかどうか、患者さん自身がわからないという医療の課題と、患者さんの問題と、大きく2つ分けることができるかと思っております。これを解決するために活動してまいりました。
(PP)
神奈川県内の子育てのお母様方に御協力をいただいて、14万5000人のアンケート調査を行ったときに、困っている患者さんたちが一番悩んでいるのは、お医者さんに行ってもよくならないので、どこに行けばいいんだろうか、またお薬がたくさん、本当に使っていいのかな、いつまで使うのかな、また困ったときに相談をしたいのだけれども、どこに相談窓口があるのかということは、相変わらず皆さん、どんな相談を受けても今も変わっていない内容だと思っております。
(PP)
特に、平成17年のあたりから、どんどんと国のアレルギー対策が進んでまいりまして、学校や保育所、救急隊、またエピペンに保険が適用されたりということで、施策は進んでまいりましたが、平場ではなかなか普及していない実感がございまして、実効性のある取り組みにこの法律によってしていただきたいと念願しております。
(PP)
具体的に母の会が出会った事例から少しお話をさせてください。
高校生で夜になっても帰ってこなくて、実は次の日の朝、トイレで亡くなっているのが見つかったというお子さんがいます。小さいときにぜんそくでいじめられてしまったために、学校関係者やお友達の誰にもぜんそくであることを伝えていなくて、余りに苦しかったときに命を落としてしまったという事例。
(PP)
また、私のPTAのお友達のお母さんは、長引く発作に、この程度はなれっこだから大丈夫と言って、一生懸命自分の使命を果たそうとして業務をやっていた結果、働き盛りに幼子を残して亡くなってしまうということに出会いました。
また、平塚在住の救急隊の奥様からは、実は御主人が当直の朝、起きてこなくて、同僚が見に行ったらベッドで亡くなっていて、どうしてそんなことになったかと聞いてみると、お医者さんから、余り使うと危険だよと言われて渡された吸入薬は、救急隊員なので体力に自信があるので薬に頼らず我慢して亡くなった。
必ずしもこれらの方々は最重症の患者さんではなかったのに、惜しくも命を落としている。年間1,000人ほどですが、まだ亡くなる方がいるという中に、重症ではないのに亡くなってしまっている方がおられるということを知っておいていただきたい。
(PP)
また、母の会があるサークルに出会いました。大学病院で年間13回から20回入退院を繰り返しているグループでしたけれども、いつでも診てもらえる親切な大学の先生だというお話を聞いて、アレルギーに精通した先生に1度診てもらったらいかがでしょうと、1人がたまたま病院を変えてみたら、もう入院の必要がなくなって、そのグループの全員の方が病院を変えて、入院の必要のない健康な生活を取り戻したというエピソードもございます。
(PP)
今まで対策を専門医の先生方が必死で進めてくださったおかげで、適切な医療のもとでは普通の生活ができる。
(PP)
とても端的だと思うのは、オリンピックのアスリートの方々は、適切な医療で発作ゼロに持ち込むことでアスリートとしてオリンピックで大活躍をしている。国立スポーツ科学センターメディカルセンターによると、オリンピック選手の10人の1人はぜんそくだけれども、コントロールをしてみんな活躍をしている。全国どこでもそういう治療が受けられるといいなと思います。
(PP)
アトピー性皮膚炎のお子さん、いろいろな治療を受けて、よくなったり悪くなったりを繰り返しておりますと、だんだん医療不信、薬不信で、医療と関係ないところに行って重症化してしまうという場合がありますが、こういう患者さんは御相談を受けて標準治療を受けていただきますと、瞬く間に健康を回復をして、その後の患者教育もしっかりやっていただくと、予防的な治療もして、症状が出ない毎日快適な生活を手に入れることができます。
(PP)
重症のアトピーの大人の方であったとしても、感染症を起こして命の危険な状態にさらされた患者さんも、標準治療で3日でぐっすり眠れるようになって、その後、どんどん健康を回復して、社会復帰をして、症状もきちんと自分でコントロールできるようになりましたという御報告もいただいております。
(PP)
食物アレルギーだということで、札幌で出会った患者さんなどは、二十何品目も除去をして、お母さんがガリガリに痩せてノイローゼ寸前の大変な状況にありましたけれども、やはり適切な医療に出会って、まず皮膚をきれいにするところから、適切な、丁寧な問診も含めた検査をしていただいて、皮膚がいい状態の中でどんどん食べられるようになって、小学校を上がるころには全て解除に持ち込むことができたというエピソードです。
(PP)
食物アレルギーで重篤な症状を持っている、大きくなってもまだ重篤な症状が出てしまうお子さんがアレルゲンを間違って食べますと、別人のように全身が腫れ上がって、息もできない大変な状況になりますが、エピペンという自己注射が認可されたおかげで命を救うことができますが、まだお守りがわりに処方されて、タイミングがわからない患者さんもいる実情がございます。
(PP)
学校や保育園からたくさんの相談も寄せられておりまして、例えば食物アレルギーの対応をお願いしたら、特殊学級に行くようにと言われた。または、担任の先生が変わるたびに、対応が振り出しに戻ってしまって、とても理解してもらえないという悩みの声もあります。また、臨任なので研修を受けたことのない先生が対応をすると、そんな危ない注射なんて学校に持ってきちゃだめよと、預かり拒否になってしまったというような事例もあります。
(PP)
また、きついミルクアレルギーのお子さんなどは、授業中に牛乳パック解体をみんなが汁をこぼしながらやっているところで、毎日命の危険にさらされる、つらい思いで通っているお子さんもいます。
例えば、給食でナッツ類、木の実だけ除去していればいいお子さんなのに、多品目除去のお子さんもいたりして、一律にアレルギーのお子さんは全員が多品目除去の給食でいきますという方針になったために、食べられる物も食べさせてもらえない、とても悲しいことになってしまっている患者さんが今も相変わらず現場におります。
また、校長先生と一緒にとか、給食を別のお部屋で食べている方々もまだまだおられる現実がございます。
(PP)
宿泊行事に行くときには、事故があったらいけないので遠慮してくださいと、連れていかれない方針を言われてしまって悩んでしまう御家族もいれば、一人だけ特別扱いはできないと、暗に参加しないように仕向けられたり、または当然のように保護者が忍者のように同行してきて、何かのときはお母さんが自分の責任で子供さんを救うのですよねと言われている現場があるという事実がまだまだございます。
(PP)
また、情操教育の一環で毛のある動物を飼うことで、学校内にぜんそく発作を起こすお子さんがふえて困っているという相談を養護の先生からいただくこともあります。まだまだ一部の養護の先生だけとか、栄養士の先生だけが研修を受けても、こういった問題は解決できないので、教職員の方々皆さんで理解をしていただくことが大事だと思いますし、エピペンを処方された患者さんについての職員の方々の研修も大事ですが、患者さん自身に、お守りがわりなのではなく、きちんと処方したドクターが責任を持って、この患者さんの場合はどういうタイミングで打つということをしっかり保護者、本人、学校や園にも情報提供できるような力をお医者様方にはつけていただきたいと願っております。
(PP)
また、エピペンを持っている、またアナフィラキシーがあるというだけで、保育園に入らなければいけないような経済状況があるのに、断られて困っている患者さんが全国にたくさんおります。
先日出会った患者さんも、20園断られて、21園目にしてやっと入れてもらえることになった。お母さんの心が折れそうになってしまうような事例にも出会いました。
そんな状況で、まだまだサポートする側の体制がなく十分な理解がなくここにも力を入れていく必要があると思っております。
(PP)
そして、正しい情報にネット上ではなかなか出会えません。間違った情報、知識に翻弄された末に、今まで何度も悲しい命をなくしてしまうような事件が起きております。平成25年にも児童虐待で亡くなった多くのお子さんたちのことが紹介されましたけれども、今までの相談に乗ってきた経過から、虐待に遭っていたり、いじめに遭っていたり、また自殺寸前の思いになっているような患者さんたちが少なからずおられるのではないかということで、今も365日24時間体制でアレルギー相談に乗っております。
(PP)
母の会から、お願いがございます。この協議会でぜひ指針に盛り込んでいただきたいこととして、先ほど栗山委員からもお話がありましたが、適切な医療を全国どこでも受けられるように、医療の均てん化をお願いしたい。また、必要な支援を受けられるように、成長の段階に応じて、保健所もそういう知識が必要ですし、または職場でもそれなりの配慮をしていただけるようなことがあれば、患者さんたちは伸び伸びと自分の才能を発揮することができると思います。
また、どこにあっても正しい情報を得ることができるという体制が必要ですし、また困ったときに適切な相談体制を誰でも知ることができて、そこに相談すると何をどう解決すればいいのかがわかる、そんな体制づくりにこの会合で話し合いをしていただければと願っております。
(PP)
ここから先のことは資料を後ほど読んでいただいて、今後の検討の中で十分に協議していただければと願っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○斎藤会長 どうもありがとうございました。
続きまして、武川委員から御説明をお願いいたします。
○武川委員 アレルギー患者の声を届ける会の武川でございます。
今2名の患者委員からいろいろとお話がございました。私のほうは、先ほどお話し申し上げましたように、成人のアトピー性皮膚炎とぜんそくというものを中心にお話をしていきたいと考えております。
(PP)
最終ゴールといたしまして私どもが考えているのは、全てのアレルギー疾患患者へ最新治療の恩恵を届けたいということがゴールでございます。
これは今、お話がございましたように、やはり医師の偏在、また専門医の偏在というのは、アレルギー学会に所属しているいわゆる専門医認定というものに関しましても3,000名、しかも呼吸器アレルギーということになるとさらに少なくなる。しかも、呼吸器学会の認定医というのも5,000名足らずでございます。
そうしますと、こういった専門医不足というものがどのような治療になるのかということがそこで結果として出てまいりますので、そういったような問題をどうするのか。
もう一つは、ぜんそく死という問題が先ほどから出ておりますが、2014年段階で1,547名が死亡しているとお聞きしております。それは、その前のときから比べると二、三百減ってはいるのですけれども、相変わらず1,547名もいます。
しかも、この死亡率は、地域に差があります。九州とかそういうところに死亡率が高いと言われておりまして、私は素人でございますが、どうも専門医がいないところにぜんそく死が多いのではなかろうかという話を聞いたことがございます。この辺も今回の協議会で御検討いただければと思っておりますけれども、目標としてはこういうところでございます。
(PP)
それで、なぜこのスライドを出したかと申し上げますと、先ほど来、副大臣のほうからお話がございましたように、こういったアレルギー疾患を今回の協議会では検討していくということでございますけれども、アレルギー疾患そのものがほかの病気、ほかの疾患とは異を呈するのではなかろうかということを、もちろん委員の先生方はよく御存じでしょうけれども、一般の方、患者、家族、またそれ以外の学校関係の方、いろいろな方がこれを理解しないと、本当の意味での、先ほど言ったような救われる治療にならないのではないか。情報がなかったらどうなったか。
実は、私も気管支ぜんそくを44歳のときに発症しました。最初は近医で風邪だということで診てもらったのですけれども、1ヶ月たっても咳がとまらずに、だんだんひどくなってくるのです。朝方咳が出てくる。それも深い湿った咳が出る。もう私の家内が見ていられなくて、あなた専門医に診てもらったらということで、何とか専門医のほうに行きましたら、ぜんそくだよ、ぜんそくのなりたてだと言われました。そのときに標準治療というものを受けて、ステロイド薬を使ったりいろいろして、まさに治ったかのように良くなってしまったのです。
ただ、ここに問題があります。私の場合はアトピーの体質というものは受け継いでいないということでございますけれども、たまたま息子が私より数年たちましてぜんそくになりまして、調べていただいたら、IgEが高くて、ハウスダストとかそういったところにも感作しているということがわかっております。
何が言いたいかというと、受胎からなんて素人で大変申しわけありませんが、人というのは受胎から赤ちゃんで生まれてきて、それで幼年期、学童期、少年、青年、シニアということになってまいりますけれども、アレルギー疾患に罹患しているアトピック素因を持つ人たち、我々もそうなのですけれども、最初の受胎時から心配している。自分がアレルギー体質だから子供にも出てしまうのではないかと、いろいろ心配します。生まれて1カ月か2カ月後の乳児、そういった段階において、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーというのは昔からです。最近話題になっているからといっても最近ではないのですね。昔からそういった問題が出ています。
その後に、気管支ぜんそくになってまいります。そしてアレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎になるということです。聞くところによりますと、アレルギーマーチということで次から次へと出現してくるということを昔から言われていまして、今もそのとおりかどうかわかりませんけれども、そんな形の理解をしています。
アレルギー疾患というのは、例えば少年期に治った、幼年期に治ったといっても、いつまた再発してくるかわからない。再発してしまうのですね。その際に、ではどうしたらいいのだろうか。今の診療体制ですと、小児科の場合は小児科のほうでアトピー性皮膚炎とか、そういったものを診ていただくところがありますよね。いろいろな意味で、トータルで診ていただけます。ところが、小児科を外れていきますと、今度は耳鼻科へ行ってください、呼吸器科へ行ってください、皮膚科へ行ってくださいと、違うところへ回されてくるわけです。
そうしますと、その後に再発した場合に直ぐに相談できるところが見つかりません。端的な例を申し上げますと、私の一緒にいつも活動しているアレルギーの人がいるのですけれども、ここに来て非常に重要なのは、40代、50代のアトピー性皮膚炎患者に、何十年ぶりかで急にぜんそくが出てくる。そんな方たちが増えているのです。これは、いろいろな団体にも声をかけて聞いてみたところ、実はそうなんですと、不思議がっていました。なぜかそんな問題が出ているのです。もちろん私には理由はわかりませんが、この方たちが診て頂きたい・相談できる医師を探し求めます。
そして、こういった事がずっと一生涯続いてくる。しかも、今度はシニアになりますとどういうことになるかといいますと、御存じのように、合併症、要するにぜんそくなんだけれども、それで薬を使っているのですけれども、ちょっとおかしいなというときになると、最近話題のCOPD、そういったものを合併する。そんなときに治療、しかも標準治療というのが、ありがたいことなのですけれども、お薬も結構出るのですね。そして、また別な疾患でお薬が出る。しかも、違った合併症の中でいろいろ出るわけですね。
特に標準治療というのは、状態によって薬を変えていかなければならない。これがまた厄介な話なのですね。というのは、頭がしっかりしていても、その薬はどれをどう飲めばよかったのか、しかも自分の最適な治療を受けるためには、そのお薬の種類と量も変えられて、きちんと服用するのが難しい。それと治療の中心は吸入ステロイド薬と言われていますけれども、吸入薬も10種類以上あるため、吸入の仕方に混乱をもたらしています。つまり上手く吸入できない問題があるということでございます。
(PP)
改めて申し上げますと、私どもの会というのはこのような認定NPO法人日本アレルギー友の会の創立47年を筆頭に、みな長い歴史を持って活動してまいりました。これらの患者会が創立の経緯、地域、規模の垣根を越えて、また、自分が患者であること、患者ならではの問題、ガイドラインが出て本当によかったのですけれども、まだまだそういった実態が十分伝わっていないというものもございます。それで、みんなで一致して協力してその辺の問題を日本アレルギー学会や日本アレルギー協会等と連携して活動し、解決していかなければいけないよねということで、アライアンスの団体である「アレルギー患者の声を届ける会」というものを設立いたしました。
(PP)
これが私ども組織概念図でございますけれども、私どもはただ単純に患者の思いつきだけで動いているというわけではありません。その裏づけには、先ほど来言っているエビデンス、エビデンスがあるものでないと多くの方々に勧めることはできません。そういったことがぜひ必要だということです。
こちらにきょう御出席の先生方にもお入りいただいているのでございますけれども、専門家集団であります顧問医療団にいつも御相談できる体制を持ちながら、いろいろな患者さん、さらにはいろいろな団体の方に入っていただいて、各種医学会ともいろいろな形の中で教えていただきながら、また私どもの意見を表明しながらやっていけたらいいなということで、最後にこういったような会で発言させていただくような機会があれば、より皆さんに伝わるかなと考えております。
(PP)
それぞれの患者の概要は、これから示しますが、ここをやっていますと長くなってしまいますので、大体のところをお示ししておきます。お手元の資料で御確認いただきたいのですけれども、実際はこのような形のものをやって、あと専門医紹介をしています。なぜ専門医紹介というものを、私どもが思いつきで専門医紹介しているのではなくて、アレルギー学会、アレルギー協会のほうから専門医名簿をいただいて、それに基づき全国区で紹介しています。
ただし、ただ単純に紹介するのではなくて、医師と患者との関係というのは非常に難しい問題があります。患者側からのアクセス、先生方に対する質問、指導を受ける際に相性が悪い方、お話が不十分な方、自分の症状をうまく伝えられないということはよくあるわけですね。そういった方が、そういう問題で先生とうまくいっていないのか、本当にその先生がアレルギーについて詳しくなくて、もう少し詳しい先生に診てもらったほうがこの方はよくなるということを確認してから紹介しています。
(PP)
あと、こちらの団体(エパレク)では、患者自身がもっと勉強しなければよくならないということで、熟練患者認定制度というものをやっております。私も仮で試験を受けて、正式ではないのですけれども、ちょっと受けてみました。随分難しいのですが、患者として大事な問題なので、こんな問題ができるようになったら、これは大変役に立つものになると思いました。
(PP)
次に、「相模原の会」の場合には、患者会の相談事業は、もちろんされていますが、市民向けに食物アレルギーの調理実習とか、講習会実施とか、あとこういう外に出ての活動(出前講座)とか、そういうことも特徴的にやっております。
(PP)
あと、日本喘息患者会連絡会というのは全国的な団体でございまして、こういったところで、特に高齢成人ぜんそく、そういったものに特化しまして、重症者のぜんそくに対してどうしていくべきかということを専門医を交えながらいろいろとやってございます。
(PP)
これが2008年にこれらの団体でまとめたものでございまして、本日は時間の関係で御紹介しませんけれども、患者の切実な問題を捉えております。
右の写真は、それぞれの団体での活動でございます。
(PP)
次に実際に、当会で考えるアレルギー疾患における課題と要望をお示しいたします。
(PP)
成人食物アレルギーというものは、先ほど冒頭申し上げましたように、ここにおけるデータも何もないということが問題ですね。現実、先ほど私がちょっと紹介した課題も、アトピー性皮膚炎でぜんそくになって、しかも食物アレルギーも持っているのです。
食物アレルギーというのがどうもよくわからないのですけれども、食物アレルギーの場合には、例えばイチゴでもキウイでも、キウイは結構多いのですけれども、キウイを少し食べたときは大丈夫なのだけれども、ある量を超えたときにアレルギーが出て、口の回りにぷつぷつ出る。こうなるとか、そういう形なのですね。ですから、二、三聞いてみると共通しているのですけれども、その辺のところが医学的とか、いろいろな意味でどうなんだろうかというところを私どもはさらに研究してほしいと考えております。
あと、疾患ごとに診療が異なるというのは先ほど申し上げました。ここが非常に患者自身がよくなるために問題点になるのです。この辺のところはどうしても解決していただきたいと考えております。
高齢化するアレルギー患者。先ほどちょっと触れましたが、高齢化してきますと自分自身がふだん飲める薬も飲めなくなる。吸入も吸入することができなくなったときにどうしたらいいのか。やはり全然知らない奥さんがいる場合、そのときでも難しいですよね。少し理解していても難しい。
直近の例でございますけれども、その方は、おかげさまでガイドラインどおりにやりまして在宅でぜんそく治療ができるようになったのですけれども、たまたま奥様が腰のぐあいが悪くて手術しなければいけないということで入院された。ただ、ご主人を一人で置いていけないので、その間施設で預かっていただこうとお願いして預かっていただいた、次の日の朝看護師さんが、診回りに行ったら、お静かに亡くなっていましたと言われてしまい、絶句し、どう言っていいのか。その奥様から非常に悩んで電話をいただきました。なぜかというと、自分が手術さえしなかったら、主人は亡くならなかったんじゃないかという思いなのですね。その裏に何があるかは私にはわかりませんけれども、やはりきちっとした専門の、アレルギーの疾病・ぜんそくというものに関する理解があるような方に見ていただいたら、こんな事故は起こらなかったかもしれないという思いがあるのですね。
そんなようなこともありまして、あと、ふだん使っているものが使えなくなるとか、合併症が増えるということで、薬の量が異常なまでに増えてしまう。そういったところの交通整理というのは誰がするのかという問題があります。
あと、患者が実際に抱えている問題、要望を抽出するためのアレルギー領域横断的全国実態調査。これを非常にお願いしたいのは、冒頭も副大臣からお話がありましたように、アレルギー疾患の多様性と、もう一つは複雑的な要因になって云々という言葉がその協議会の言葉に出ておりますけれども、まさにここなのですね。要するに、アレルギー疾患が多様性を持っているということと、何でそうなるのか。
例えば、この間、皮膚科の先生にお話を聞いたのは、たしかノルウェーかどちらかでのお話で、アトピック素因を持っている一卵性双生児であっても必ずしもアレルギーが出てこないというお話を聞きました。それが3割、4割の確率だと。私はびっくりしました。こんないい話、いい話と言ったら失礼なのですけれども、やはり一番心配なのは、自分がアレルギーを持っているからこの子もまたアレルギーになってしまうのではないか、ぜんそくになってしまうのではないかという恐怖感にとりつかれる。それが、そうではなくて、何らかのことをしてあげれば、そんなに心配しなくて安全に産めるよと。ぜんそく患者というのは、薬を使っている副作用で変な子供が生まれるんじゃないかとか、そういう恐怖感をいつも持っているのですけれども、それとまたほかの悩みも持っているということでございます。そういったようなことが少しでも楽になるような研究、そういった対策というものがとれないだろうかなと思います。
全アレルギー疾患患者への横断的調査の実施。そういった複雑多様ですから、患者側からも何らかの協力をしないと、ただ単純に診ていただいて、実際に診療に行って、全然裸にもならずに衣類をしっかり着て、先生しっかり診てくださいと言っても、全然診られないですよね。そこには先生方に自分たちの情報を積極的に開示しなければいけないというものがあるのではないかと考えております。
たまたま、先ほど、アトピック素因の話をしましたけれども、ノルウェーだかそちらのほうでは、双子のそういう人たちは登録するそうです。登録してそこできっちり調べる。余りいろいろなことを言うといろいろな問題が出ますけれども、私は患者が本当によくなりたいと思ったときに、私の仲間もみんなそうですけれども、やはり開示するのです。自分がよくなったら、そのよくなったことを皆さんに伝えたい。どうしたらよくなれるのか。そういうことでございます。
ですから、疫学調査というのは非常に重要だなと。これだけいろいろな要因が出てくる中で、本当にいろいろな意味で調べていただきたいなと思っております。
(PP)
重要課題と要望細目というのは、整理しますと1.2表に示すとおり多岐にわたりますが、検討をお願いします。もちろん全て要望いたしますが、とりわけ私は1番の原因解明と根本的根治療法というものを確立するための研究助成。即ち、引き続き根治療法の研究はお願いしたいということでございます。
時間も過ぎておりますので、あとはお手持ちの資料を読んでご確認いただければと思います。
(PP)
いずれにしましても、最終ゴールは、「全てのアレルギー疾患患者へ最新治療の恩恵を届けたい」です。
我々が進めていきたいのは、私どもだけではなく、医療者の皆様、そしてまた専門職の皆様、それを取り持つ行政職の皆様、そういった方々との協働のもとに、この達成というものがなし得るのだろうと思っておりますので、本日から皆様方と一緒にいろいろと議論を闘わせながらやらせていただいて、少しでもお役に立てるような形になれればいいなと思っております。
以上でございます。
○斎藤会長 武川委員、どうもありがとうございました。
最後に、川崎市医務監、坂元委員から、自治体におけるアレルギー疾患対策の取り組みについて御説明をお願いいたします。15分でお願いいたします。
○坂元委員 どうもありがとうございました。
ただいま3方の発表を聞いていただいて、改めて自治体の責務の重さというのを感じた次第でございます。
資料7をごらんいただければと思います。川崎市のアレルギー対策関連事業を年齢別にまとめたものでございます。
川崎市のほうでは、全国の政令指定都市はどんな事業をやっているかというのを調査しておりますが、それを公開していいという承諾を得ておりませんので、簡単に川崎市のものを紹介することと、若干ほかの政令市でどんなことをやっているかを紹介したいと思います。政令市によってさほど大きな差があるとは思えません。
大きく分けますと、資料7の最初にありますように、自治体の対策としましては、大きく分けて2つ。つまり、一般市民の方、つまり親御さん、子供さん、そういう方を対象としたアレルギーについての啓蒙普及活動というものをやっております。
もう一つ、今度は一番端にありますいわゆる専門家育成というと、先ほど来、標準治療とか標準化治療の普及ということが出ております。つまりその中で、自治体のほうで医師等を対象に、アレルギー専門の先生をお呼びして、現在の標準治療などについて研修・啓蒙普及活動を行っております。そういう大きく分けて2つの事業をやっているということでございます。
この資料の後ろのページをごらんいただければと思います。これが川崎市のやっている事業でございますが、現在、13の事業のうち実に11の事業が環境省の環境再生保全機構からの補助でやっているというのが現状でございます。皆様方御存じのように、自治体のアレルギー対策の源泉というのが公害対策にあるというのが一つのポイントです。それも喘息というのがポイントです。それが現在は大気の環境基準を達成して、アレルギー対策というふうに流れが移ってきたというところです。多くの大都市部の自治体がそういう流れの中でアレルギー政策に転換してきたというところです。自治体によってはおおむね環境基準を達成した今も大気汚染対策の延長という形で色濃く残している自治体もあるかと思います。
それが一つの証拠に、現在どの自治体のほとんどが小児ぜんそく医療費助成制度というのをやっておりますが、恐らくこれもかっての公害対策からの小児喘息対策という形で発展してきたのかと思います。
ただ、このようなにほとんどが喘息のみに偏った医療費助成制度につきましては、市民の方から不公平ではないかという意見もあります。アレルギー疾患対策の総合性という観点から、なぜ喘息だけに医療費助成があるのかという意見が寄せられており、これはやはり自治体としても考えなければならない大きな課題だと思っております。
ちなみに、川崎市単独で、これは川崎市が独自に予算を出しておりますが、大体小児喘息で毎年2億5,000万程度使っております。それから、川崎市は成人喘息の医療費助成もやっておりまして、これも2億程度で、両方で4億程度というかなりな予算を使っております。
環境保全機構というのは、この最後のほうに、環境保全機構のカラー刷りの資料をつけておりますが、もともと公害による健康被害の予防事業ということで、企業からお金を集めて、その一部を旧公害指定地域を持っている自治体に補助事業という形で配分しているということです。旧公害指定地域を持っている自治体というのは40以上ありまして、ほとんどの大都市が含まれているということでございます。ほとんど10分の10の事業ということで、予算的に自治体にとってはありがたい補助事業ということです。実際、これに頼ってアレルギー事業を展開している自治体が多いのではないかということです。一つの問題としてここに旧公害指定地域を抱えている自治体と、そうでない自治体の間にかなり温度差がでるということでございます。
それから、環境再生保全機構のほうも、最近は大気汚染ということを前面に出さずに、アレルギー対策と称した補助事業も等もしていただいているということで、それが多くの自治体のアレルギー対策の予算の根源になっているという背景がございます。
それから、先ほど来、お3方から医療の標準化、医療にばらつきがあるのではないかいう御意見が出されておりますが、これは我々自治体としても、専門家養成講習の際に、正直言いまして、参加されるお医者さんが非常に少ないことです。はっきり言って、これに参加してもインセンティブがあるわけではないし、これに参加しないとアレルギー治療をやってはいけないとか、そういうものがあるわけではないので、標準化治療普及のために医師の参加をどうやって促してゆけばよいかということが多くの自治体が苦慮していることでございます。我々自治体としても、今、お3方のような市民団体と組んで、一般市民へのアレルギーに対する啓蒙活動というのはいろいろ形でいろいろな自治体がやっているのですが、一番のカギが医師に標準化治療をどうやって広めていくかということかと思います。これには自治体も同様に苦慮しているところでございます。
この資料の3枚目の他の都市のアレルギー疾患対策に関する情報ということで、これは全国の政令指定都市のアレルギー対策を調べると、95%の市で教育委員会が食物アレルギーマニュアルをつくっているということで、これはかなり広まっているだろうと思います。特に75%の市で、保育園を対象とした食物アレルギーマニュアルをつくっております。50%の市で、シックハウス環境整備に関する相談を行っており、25%の市で、関係機関との連携会議を設置しております。
ここが一つ、国だけではなく自治体も組織が縦割りでございまして、このアレルギーの事業をやっているところが、多くの自治体で保健衛生部門でやっていますが、中にはこの事業を環境部門が持っていて、そこには保健師等の医療専門職は誰もいないというところもあります。そうすると、医師会とか看護師協会との連携がスムーズにいかないということです。自治体によって保健衛生部門、教育部門、環境部門の連携がスムーズにいっていないところが多く、うまくいっている政令指定都市では20%超ではないかと思います。あとの自治体はそれぞれの部署が個々ばらばらにやっているではと思われます。これは我々自治体も大きな反省点かなと思います。
それから、アレルギーについての法律ができた現段階においても、アレルギーを主務する担当を置いている政令都市が10%しかいないということも、やはり今後アレルギー対策を推進していく上に考えなければならないことだということです。先ほど厚生労働省のほうから、今後各自治体ではどのようなアレルギー対策をやっているかという調査をいただくということで、我々自治体としても、やはり法律の主旨に従って、多くの市民の方、今、お3方の市民団体などとも協力してアレルギー対策を進めてまいりたいと思いますので、協力してゆきたいと思います。
以上でございます。どうもありがとうございました。
○斎藤会長 坂元委員、どうもありがとうございました。予定より早く終わっていただきまして、議論の時間がたっぷりとれると思います。どうもありがとうございます。
それでは、質疑応答に入りたいと思います。最初に事務局からの現状の説明がございましたが、資料2と3に関して御質問を。どうぞ。
○園部委員 ガイドラインの一覧がありましたけれども、24ページの一番下のところ、厚生労働省は保健所におけるアレルギー対応ガイドラインと書いてありましたが、これは保育所ですよね。保健所のガイドラインはないですよね。保育所におけるアレルギー対応ガイドラインです。
○秋月課長補佐 誤字です。大変申しわけございませんでした。
○斎藤会長 ほかにはいかがでしょうか。
あとは、説明はされておりましたが、スライドの10番ですね。統計患者数の年次推移ですけれども、これはあくまでも10月中旬の3日間のうち医療施設を受療したもので調査しております。例えばスギ花粉とは全く外れておりますので、スキ花粉とかの実態はわからないということでございます。
ほかはございますか。どうぞ。
○海老澤委員 先ほどの人口当たりの常勤医数、アレルギー科というところのデータですけれども、これは医療施設調査からのというふうに書いてあるのですけれども、これは病院ベースなのか、それとも開業の先生方も含めてのデータなのか、そこら辺を教えていただけますか。
○山田課長補佐 お答えいたします。
こちらのほうは、医療施設調査というものがベースになっているのですが、こちらの常勤医数は病院ベースであります。
○海老澤委員 では、御開業の先生は含まれていないということですか。
○山田課長補佐 はい。
○斎藤会長 ほかはいかがですか。どうぞ。
○岡本委員 先ほど、疫学についての御報告がございましたけれども、この数字を見ていると非常にばらつきが多くて、疫学調査の課題というのはどんな方を対象にどういう方法で行ったかというので非常に大きな影響を、そのほかにはいつやったかとか、そういうのも影響を受けると思うのですけれども、特に成人ではデータが非常にとりにくいということもあると思うのですけれども、それが日本で不足しているというのは、背景があってこういう数字が出ているのかなと思いました。
○斎藤会長 どうもありがとうございました。
○園部委員 今まで、厚生労働省でやっていただいた対策の説明にしては、もう少し、この委員会で携わった方々がやはり大事だと思っていたポイントなどがあると思いますので、もう一度ここで明確になった課題がその後、23年から今28年、5年たって、法律がもし通らなかったら5年で見直しの時期にも来ていたと思うので、このときのこの審議会の座長だった先生から、そのときの課題、またその疫学調査についてなど、御意見というか、ヒアリングの場を持っていただかないと、今までの経過が委員の私たちみんなにわからないので、かわりに伝えるのではなくて、そこにかかわっていた座長の先生からしっかりお話を聞きたいので、検討していただけたらうれしいです。
○佐々木課長 重要な御指摘と思います。会長と相談して、対応を検討させていただきます。
○斎藤会長 ほかに質問はございますでしょうか。どうぞ。
○新田委員 資料の3に省庁の取り組み状況を整理されておりますが、私は環境省の関係しか把握できていないのですが、先ほど坂元委員のほうから御説明がありましたように、環境再生保全機構は環境省の関係の独立行政法人になっていて、その取り組みがここにかなり重要な役割を果たしてきていた、今もいると思うのですけれども、一方で、環境省の場合にはアレルギー疾患というようなことが直接ではなくて気管支ぜんそくを扱っているということで、アレルギーと言われると含まれないのかなというような解釈でここに出てきていない部分もあろうかと想像しております。
ですから、直接的なものと、若干周辺の間接的に最終的にはアレルギー疾患対策に結びつき得るというところを整理をした上で、今後も対策といったときに考えたほうがいいのではないかなと、この資料3と先ほど坂元委員のお話を伺って感じました。
○斎藤会長 ありがとうございます。事務局からいかがですか。
○佐々木課長 今の御指摘も踏まえて、関係省庁とも相談の上、対応を検討させていただきます。
○斎藤会長 それでは加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 疫学のデータですけれども、大体横断的なデータが多いのですけれども、実際に患者さんが知りたいのは、何らかの治療をした5年後、10年後にはどうなっているのだろうというデータが必要だと思います。でも、10年後は私ももう仕事をやめているかもしれないということで、長く10年、20年と縦断的に疫学的なデータを日本で重ねていけるということがもしありましたら、患者さんにとっても、医療関係者にとっても非常に重要なデータになるかと思います。
○斎藤会長 栗山委員と武川委員。
○栗山委員 今の委員の意見に強く賛同します。研究というのは新しい研究にはお金がつくというか、喜ばれますが、こういう地道な研究の結果から次のものが見えてくる。患者の安心と、ガイドラインでのエビデンスの蓄積にもなると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○斎藤会長 武川委員はこれに関連した質問ですね。
○武川委員 そうです。
今の疫学について、私どもも2つの点からぜひお願いしたいと思うのは、感覚ではなく、例えばぜんそくであると、吸入ステロイド、経口ステロイド、そういったステロイドを30年、40年使っているわけですよね。そういった方々がいつも心配するのは骨粗鬆症の問題なのです。そういった問題に関して、具体的にいつどのような使い方をして、現在どういう形で、骨量にしてもどうなのだということが、それがまた地域性はどうなのだとか、いろいろな問題があるかもしれません。そういったさまざま多様な因子を入れた中での疫学検定をお願いしたい。また、アトピー性皮膚炎もそうなのですけれども、ステロイド外用剤は怖いという思いで、いろいろな情報の中で、どうしても患者はステロイド忌避に行ってしまうということがあります。でも、疫学的にこうなのだからという、きちっとしたエビデンスがあると、やはり説得力がありますし、私どもも安心します。やはり理論だけではなく実際的にどうだったということは非常に大事だと思います。しかも、こういった複雑要因になる中で、そこまで突っ込んでいかなければ、患者も納得できないのではないでしょうか。
もう一つは、最近よく患者から聞くのは、どういうことかというと、余り具体的な名前を言うと問題ですが、ある大学で、実際はあなたのために血液検査しましょうということで、DNAとかそういった遺伝子検査をすることが、ここのところで聞いているだけで、二、三あるようなのですね。それぞれの大学でやられるのは結構なのですけれども、患者は別にその大学にずっと通院するとは限らないですし、ましてや人事異動やら何やらの関係で住居を引っ越すかもしれない。そうしたことを考えた場合に、やはり国として、誰かがやるのではなくて、国として継続的な中でやってこそ、今回この法律ができてサステナビリティーな対策ができるということでございますから、こういった中で、特に疫学的な問題に関しては中心的に取り扱っていただければと思います。
以上です。
○斎藤会長 一般住民を対象とした疾患の調査とともに、患者さんを対象とした疾患コホート研究ですね。それは縦断的な大規模なことが必要であるという御意見です。
どうぞ。それに関連したものですね。
○本田委員 そのようなデータの件で、ちょっと素人の質問なのですけれども、もちろんがん登録みたいにアレルギー疾患の全国的な、国の統一的なデータを蓄積していくということができると、それはすばらしいと思うのですけれども、例えばいろいろな学会で、さまざまな疾患とか、外科系とか、いろいろな形のところで、学会でどういう人たちがいて、どういう治療をしたらどうなっていったとか、そういうものを蓄積していっているとか、そういう先例事例とか、参考になるデータみたいなものはあるのでしょうか。
○斎藤会長 学会自体ですか。
○本田委員 はい。学会とかで。
○斎藤会長 ありません。患者さんの詳細なデータを。
○本田委員 どういう治療をした、例えば手術をしたらどうだったとか、そういうのは例えばがんだったらありますよね。
○斎藤会長 はい。それぞれの小規模なものは、各病院ですとか、例えば小児慢性疾患ですとか、そういう。
○本田委員 アレルギー疾患に関してのそういう参考になるデータみたいなものは、日本には今のところあるのですか。
○斎藤会長 大規模と言われるとなかなか、データベースの整備ですとか、そういうものがありますので、まだ大きなものはない。
○海老澤委員 今、日本専門医機構のほうで新しい専門医制度を2017年から立ち上げることになっていて、そのときに疾患ごとのデータベースというのはつくるべきだという議論はあるのですね。ただ、それの予算についてのバックアップがないものですから、機構のほうもやるとも言い切れず、ただ外科学会なんかですと、手術の全例登録とかそういうのは行われているので、諸外国の動きを見ると、基本的には疾患データベースをしっかりしていくということは、今後の医療全体においてとても重要なことだと思います。
○斎藤会長 どうぞ。
○坂元委員 自治体のほうにもよく市民の方から、アレルギーの専門の先生を紹介してくださいという形で、保健所等にも相談が来ます。今、先生のほうから専門医機構のお話しがありましたが、今後、専門医機構で、19領域の専門医で統一するという中で、アレルギーというのは今後専門医としてどのように整理されていくのでしょうか。自治体として関心があるのは、我々は医師等の研修をやっても、なかなかそれを指導してくれるアレルギー専門の先生が見つからないという状況もあります。今後その辺のアレルギーというものが専門医機構の中でどのように整理されているのか、もしおわかりになればお教えいただければと思います。
○斎藤会長 私が答えてもいいのですが、担当理事であります海老澤委員からお願いします。
○海老澤委員 今、機構のほうは、基本19領域と、あとサブスペシャリティーの29領域、それを2段階制度で考えているのです。2017年から始まるのは、基本領域といって、例えば内科、外科、小児科、耳鼻科、皮膚科、そういうものが対象なのですけれども、2020年から今度はサブスペシャリティー領域といって、そこにアレルギーの専門医が確立されると思います。
先生がおっしゃったアレルギー専門医の役割ということも非常に重要な点だと思うので、学会としてもきちんと、啓発活動も含めて、教育、また患者さんへの情報発信、あとは行政との共同作業とか、いろいろなことについて今後専門医の役割というものを考えていきたいと思っています。
○斎藤会長 ほかはよろしいですか。どうぞ。
○山口委員 資料2で、アレルギーの主なガイドライン一覧をお示しいただきましたが、ここ数年でも、職業性アレルギー疾患診療ガイドライン、および海老澤委員を中心としてアナフィラキシーのガイドラインが作成されていますので、これらもぜひ社会でも有効に活用していただきたいと思います。
○斎藤会長 それでは、患者会の御意見はとても重要だと思うのですが、お3方に発表していただいたわけですが、まず、栗山委員の御発表に対して何か御質問等はございますでしょうか。どうぞ。
○海老澤委員 栗山委員に質問というわけではないのですが、栗山委員の御発表、また、園部委員の御発表を聞いていて、とても重要な点は、アレルギー疾患の診療を誰が担っていくのかということだと思うのです。我々専門医だけでは、到底患者数の多さから言っても不可能なのです。やはり一般医家の先生方で頑張っていらっしゃる先生との共同作業ということが多分とても重要だと思うのです。
ただ、一般医家の先生方のほうの、例えば栗山委員がおっしゃったアレルギー科という標榜の問題を考えたときに、新規の開業をするときにコンサルタントがいるのですけれども、そういうコンサルタントは今どういうアドバイスをするかというと、「患者さんが集まるからアレルギー科と標榜するといいですよ」ということなのですね。ですから、例えばアレルギー科だというものを見て患者さんがたどり着いたときに、求めていたものとのギャップが発生してしまうことなんかもきっとあるのかなと思います。
そういったときに、一番大切なことは、一般医家の先生方と我々専門医との間での病診連携と我々は申しますけれども、そこのところをもっとよりわかりやすい、こういう患者さんについては専門医療施設に御紹介いただいて、また我々のほうとしては、一般医家の先生方にきちんとそういうものをフィードバックしていく、そういう作業がきっと必要なのかなと。
それと、我々は今まで専門医教育にもかかわっているのですけれども、御開業されるときに例えばアレルギー科と標榜されるような先生方に対しても、学会としてもう少し研修の機会というか、そういうものを提供するとか、そういったことも今後考えていってもいいのかなとお話を聞いていて思いました。
以上です。
○斎藤会長 3人の委員の方、言い足りないことがたくさんあったと思いますので、ぜひこれだけはガイドラインに入れてほしいとか、そういうことがございましたら。そのほかでも結構ですが、よろしくお願いします。
○栗山委員 言い足りないことは後ほどにして、今、海老澤先生のおっしゃったことはぜひぜひお願いしたいと思っております。実際に相談のお電話をいただいたときに、「アレルギー科にかかっているんですけど」とおっしゃる方がとても多くて、その中身を聞くと、とてもアレルギーの今の治療ではないということに多く出会います。コンサルタントがそういう活動をしているので、アレルギー学会のほうにもぜひ対応策を何か考えていただけたらありがたいと思います。
○斎藤会長 承知しました。
そのほかに何か。どうぞ。
○坂元委員 誤解があるといけないのですが、行政側にアレルギーの専門の先生を紹介してくださいと問い合わせが来ると、行政機関からの回答だと標榜科目としてアレルギーと名乗っている先生を教えます。ただ学会専門医に関しては広告宣伝が一般には認められていませんので、それは行政機関としては言いにくいものです。ところが、今回、専門医機構で整理される専門医に関しては、聞くところによりますと、今後広告が許されるということです。それでお聞きしたのは、広告が許されるので、そこで改めて、この先生は専門医機構の専門医を持っていますよということが言えるのではないかということです。ただ、標榜科目と専門医が整理されていないと、多分市民の方は混乱が起きるのかなというところです。その辺、今後自治体としては、初期医療の中でどういうふうにそこを整理して市民にアナウンスしていけばいいかということがちょっと悩みの種だということで申し上げたのです。
以上です。
○斎藤会長 どうぞ。
○岸平委員 先ほど、園部委員、それから栗山委員から、学校現場での理解のない、あり得ない対応についてもお話がありましたが、学校現場の現状を申し上げますと、今、問題となっているのが職員の年齢層のいびつさというところがございます。50代の先生が非常に多い。それから、ほとんどベテランと言われる40代がとても少ない。20代、30代、特に20代がとても多いというようないびつな状況になっておりまして、若手教員にアレルギー疾患についての知識を身につけてもらうということは必要なことになってきています。
ただ、研修の中で、学校現場でアレルギー疾患について新規の教員が学ぶという機会がありません。ただ、これでは子供たちの命が守れないというところがあると思います。平成24年12月に調布で食物アレルギーの死亡事故があってから、千葉市では初任者研修に食物アレルギーの緊急対応というのを入れております。ただ、
余り
あまり時間がなくて、その時間も1時間ぐらいしかとれていないのが現状です。ですが、これを機に若手職員も学ぶ機会とか、研修の機会とか、そういった機会を教育委員会としてもふやしていかなければいけないと感じております。
○斎藤会長 ぜひガイドラインに盛り込んでいただきたいと思います。(これは栗山の発
言だったように記憶しております。)
栗山委員。
○栗山委員 千葉市の今後のお取り組み、よろしくお願いしたいと思います。
それと同時に、若い方への初任者研修というのはとても大事だと思うのですが、一番私たちの相談で困っているのが、割と年齢の高い先生方の今まで身につけたアレルギーに関する常識というか知識が、先生としても長年の経験を持っていらっしゃるので、結構頑固だったり、強固だったりして、それを入れかえていただくのは結構大変なので、もう本当に大変なところを恐縮ですが、そちらの先生方への研修もお願いしたいと思います。
それと同時に、これはここでお願いしていいのかどうかわかりませんが、文科省で先生方の教育課程の中にアレルギー疾患というものを、何せ人口の半分はいるわけですから、そちらのほうも学会の専門医の先生方と協力して、3,000人しかいないところを恐縮ですが、必ずしも専門医でなくても、学会のお力添えをいただいて、そういう先生方での講習をお願いしたいと思います。そうでないと、過去の知識の再生産をするようになってしまうので、そこの点を十分に御配慮いただきたいと思います。
もう一つ、学校生活管理指導表の中にアレルギーについて情報提供できる指導表というのがあるのですけれども、そこも古い知識だったり、誤った知識で診るドクター、それからそれを読んで対応する学校の先生というところで、やはりまたガイドラインによらない間違った治療の再生産をすることになるので、そんなところも御配慮いただければなと思いました。
長くなりまして、済みません。
○斎藤会長 どうもありがとうございます。
武川委員、どうぞ。
○武川委員 私のほうは、今、お話がございました食物アレルギーの問題です。学校の中で食物アレルギーの問題の裏にある問題を非常に気にしていただきたいのは、食物アレルギーがあるためにいじめられる、食物アレルギーがあるために仲間外れになる、これの恐怖感が非常に強いというお話を聞いているのです。
というのは、みんなと一緒に食事したいけれども、一緒に食事できない、させてもらえない、そういうところがあったり、例えば食品の問題で、プリンなんかは大体卵が入っているのですけれども、中には卵が入っていないのもあるみたいなのです。そうすると、卵が入っていないプリンだったので、たまたまそのプリンを食べてもアレルギーが起こらなかったときに、食べれるじゃないかみたいなことを言われて、実際は食べられるような内容だったということなのですけれども、そういったことがわからず、友達の中ではそういったちょっとしたことでもいじめが始まるということがあるということでございます。
もう一つは、ぜんそくにしろ、アトピー性皮膚炎にしても、よかったり悪かったりを繰り返すものですから、その辺のところがどうしてもアレルギー疾患に対する理解というものがないと、サボっているとか、楽になっていると思われるのですね。例えばアトピー性皮膚炎なんかでも、汚いとかうつるんじゃないかというような形での苛め、自分自身もどんどん自己嫌悪になってくるということでの引きこもりというものにつながってまいりますので、アトピーニートというような形のものが、私どものところに相談が多いです。その辺も含めてよろしくお願いします。
○斎藤会長 園部委員は何かございますか。
○園部委員 先ほど、事務局の方から説明をいただいたのですけれども、まだ全体が見えていなくて、この法律にかかわるのはたくさんの省庁がかかわるわけで、きょうはこの会場に委員以外にいろいろな省庁、アレルギー対策をやっている省庁、全ての部署から来て話を聞いてくださっているのでしょうか。対策を国として進めていくので、アレルギー対策をする全ての省庁の方が、毎回の会議のときに情報共有をしながら、持ち帰って、その省の中の対策をしていただくというのがとても大切だと思うのです。
○斉藤課長補佐 基本的に、今回、資料3のほうにも関連省庁の予算等をつけさせていただいていますけれども、関係する省庁のところは声をかけさせてもらっていますので、この横の壁際に座っているのが関係省庁になりますので、今回、日程が合わなくて来られなかった部局は、前後のところで資料とか情報は共有して、連携して進めていく体制にはしております。
○園部委員 わかりました。それで、それぞれの省庁でどんな対策をしてくださっているのかというのを、1年かかってやれる委員会ではないので、時間がタイトな分、早くからそれぞれの省庁がやってくださっている対策の資料をいただいて、少しお勉強しながら、全体像に立った中身の濃い、はまった討議がでるようにしていただけるとありがたい。参考資料をいただきたいと思っています。
○佐々木課長 確かに、できるだけご要望も踏まえて、可能な限り資料を準備させていただきたいと思いますが、概要にはなりますが、資料3を現状の施策一覧ということでお示しております。必要な資料を、もう少し具体的にご提案いただければ、関係省庁と協議して、用意できると思います。
○園部委員 私がお伝えしたかったのは、事務局でまとめる必要なく、それぞれの省庁がうちの省がやっているアレルギー対策というのはこれだよというのを出していただけたらいいのではないのかなと。
○佐々木課長 例えば、資料3のこういう点が足りないというように具体的に御指摘をいただいたほうが、準備しやすいということでございます。
○園部委員 これだと、具体的にはわからないですね。
○栗山委員 例えば川崎市だけでもあの量になるので、これだと本当に上のほうだけ、予算のついたのだけ、つかないことはやっていらっしゃらないということなんだと思いますが、ボリュームとしてどうなのかなと、素人は思ったのですけれども。
○園部委員 例えば環境再生保全機構がやっている事業の資料であるとか、または食品表示のアレルギーの方が知りたい食品表示がわかる資料というもの、それぞれ冊子になっているようなものでいいと思います。
○佐々木課長 御指摘を踏まえて関係省庁とも協議をいたしますし、既存のものはある程度、迅速に提供いただけるとは思います。なお、協議会でご議論いただくことではありますが、よろしければ、次回以降も協議会の委員の先生方に各専門分野に関する状況などもお話をいただいたり、先ほど御依頼のありました過去の経緯について、詳しい方にお話をいただいてはいかがかと考えております。
ですので、その中で御指摘の資料が出てくるということもあるとは思いますし、追加に必要な資料があれば、協議会として、御議論いただければと思います。いずれにしましても、御指摘を踏まえて、会長と御相談しながら今後の進め方を検討させていただきたいと思います。
いずれにしましても、重要な御指摘と思っております。
○斎藤会長 どうぞ。
○海老澤委員 例えば文部科学省で学校のアレルギー対策とか、あるいは消費者庁でのアレルギー表示とか、あと、厚労省の保育園対策とか、そういった主だった点に関して、我々専門家のプレゼンテーションの中にも含まれると思いますが、行政が現在どういうことをしているかということを、ヒアリングみたいな機会を設けていただけたらいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○佐々木課長 いずれにしましても、会長と御相談して、検討させていただきます。
○斎藤会長 傍聴席におられる関係省庁の方も、ぜひよろしくお伝えいただければと思います。
ほかはいかがですか。どうぞ。今井委員。
○今井委員 ちょっと話が変わりますけれども、標準的な治療、診療の均てん化というのも非常に大事だと思うのですけれども、あとは、標準でない治療というか、健康被害を誘発しかねないような医療に関して、しっかりと間違いは間違いなんだという姿勢をこれまで以上に出していくというのもすごく重要なのかなと思いますので、御検討いただきたいと思います。
○斎藤会長 岡本委員、どうぞ。
○岡本委員 患者会の方の御意見、お話を聞くのは非常に大事だと思いました。しかし、この10年、15年、いろいろな取り組みは、厚労省のこのような会議で、また、学会でもガイドラインの作成、改訂を通じて標準治療の周知を図ってきた、いろいろなアレルギー疾患の治療法についても改善自体は明らかにあったと思うのです。ぜんそくについても、例えば入院する患者さんは大学病院にはほとんでいませんし、アレルギー性鼻炎についても保存的治療で改善せずに手術するような患者さんが紹介されて受診するといった現状を考えると、全体としてアレルギー疾患の治療は改善しているのではないかと考えていました。もしそうでなければこの会議の議論の出発点を改めて考え直さないといけないと思います。もう少しはっきり確認したいと思います。
また、病診連携を今後強めていくというのはもちろん大事だと思うのですけれども、特定機能病院の外来には限られた患者さんしか受診しないシステムです。しかし、例えばアレルギーセンターが作られアレルギー疾患の患者さんをいろいろな専門の科が集まって、横断的に治療しようといった試みを始めようとしています。一般の病診連携とちょっと違いがあると思っていましたが、きょうのお話を聞くと非常に参考させていただけると思います。ただ、現状としてアレルギー疾患の治療が本当にこの15年どうだったのか。学会としても治療医としても認識しておかなければいけない重要な問題ではないかなと思いますので、御意見をいただければと思います。
○斎藤会長 どうぞ。
○園部委員 そう言いたかったのではなくて、きょうここに来てくださっている先生方のようなところにかかった患者さんは皆さん健康を回復されているのですが、平場の身近な先生方にかかっている患者さんたちが、治療はこんなに進歩しているのに、実践段階の治療を受けていないというところの問題ですね。だから、普及を誰が責任を持って真剣に取り組むのか、そこをアレルギー学会の先生と国や自治体がタッグを組んで進めていただきたいということだと思います。
○斎藤会長 どうぞ。
○栗山委員 今の園部さんの御意見に全く賛成です。ここにいらっしゃる先生方は、ガイドラインで最新の治療をしていらっしゃって、どこに問題があるのだろうときっと思われるだろうなというのも想像がつきます。
今、お手元に持っていただいた、「今の治療と昔の治療」というパンフレットを実はある大学で、その地方で配布させていただきました。似たようなもの、全く同じようなものをその大学の研究費でつくって配布させていただこうとしたときに、この地方では先生方が一生懸命治療しているので、ここの地域の先生方と余りにもかけ離れたパンフレットを配ることはこの地域の先生に対して大変失礼だという意見が出たのですが、そこら辺はどういうふうに考えたらいいでしょうという御質問をいただいたのです。
それで、私は、先生方には大変失礼かもしれないけれども、患者さんはこういう治療が普及することによってのみ救われるので、次から次へと食物除去を指示されて、骸骨のように痩せ細って黒い顏をしたようなお子さまが世の中からいなくなるためには、ガイドラインに基づかない治療を一生懸命してくださっている先生に気を使うよりも、やはりガイドラインに基づく治療をしていっていただきたいとお願い致しました。結果としてはそのように配布していただきました。私たち、患者の立場の者が呼ばれて保健所などでお話をすると、とんでもない治療にあった患者さんの例を嫌というほど聞きます。もし必要であるならば、きっとこの3つの患者会からその例を出させていただくだけでも何かのお役に立つのではないかなと思います。
○斎藤会長 武川委員。
○武川委員 時間の関係で、最初にそのお話をするのを忘れて恐縮でございますが、岡本先生が言われましたように、私どもぜんそく、アトピー性皮膚炎もそうなのですけれども、アトピー性皮膚炎はまだ普及が途中段階ですが、ぜんそくに関しましては、おかげさまであれだけ苦しんだ患者が吸入ステロイドでコントロールできるようになって、非常に感謝しているのでございます。そのことをまとめてきていますので、これを読んだほうが皆さまにわかやすいかなと思いまして、ちょっと読まさせていただきます。
いろいろな問題がありますけれども、近年、ぜんそくは吸入ステロイド薬での標準治療の時代を迎え、治療の目標が再発・悪化を予防し、健康な状態を保ち続けるを目指せるようになりました。アトピー性皮膚炎はステロイド外用剤などによる標準治療が推奨、実施されて、効果も実証されています。アレルギー性鼻炎は、画期的な舌下免疫療法など、進化した治療の時代には、患者、その家族がアレルギー疾患について正しい知識と最新医療情報を持つことにより、抗原回避を初めとする生活環境の確保と、適切な抗炎症薬の使用で、自己管理可能な疾患となったということで、生活の質も落とさずに健康な人と同じ生活ができるものと認識しております。
そして、そういったことを広く社会啓発していきたいと考えているのです。しかし、一方で、御存じのように、マスメディアでもいろいろな医療・健康番組をやっております。また、インターネット上でもいろいろな情報が飛び交っています。そういう環境の中で患者もいろいろと、今まで以上に各自が多様性の悩みを持ってきています。ただ単純ではないのです。例えば、ぐあいが悪い、息が苦しいのだけれども、かかりつけ医のところに行っても、何ともありません、気のせいですと言われてしまう患者。こういった患者はどうかというと、専門医に行くと的確な診断を受けるわけです。そうしますと、やはり専門医に診てもらいたいという問題も出るのです。
それは各論としまして、全体としましては、本当に救われたという思いで、先生方、また行政の方々も、そういった中での努力、また患者の知識を普及することの大切さですね。ですから、こういった点をメディアを含めてもっともっと知っていただければ、もっとよくなる患者が、現段階でも数多くの方が救われると理解しております。
以上です。
○斎藤会長 どうもありがとうございました。
まだまだ議論は尽きないと思いますが、次回以降も議論の時間をたくさん設けてございますので、次回は2月12日の10時を予定しておりますが、専門家の先生方から御意見をいただくわけですが、その際にも患者さんの立場に立って御意見を頂戴できればと思います。
それでは、本日の協議会を終了したいと思います。
坂元委員のディスカッションを余りしていなかったのですけれども、次回以降によろしくお願いいたします。
それでは、本日の協議会を終了したいと思いますが、最後に事務局から連絡事項等があれば、よろしくお願いします。
○斉藤課長補佐 次回の協議会は、今お話がありましたように、2月12日金曜日の10時から、省内の会議室にて開催を予定しておりますので、御予定の確保をお願いいたします。正式な開催通知はまた追ってお送りさせていただきます。
また、次回以降、個別の疾病ごとのより具体的な議論を進めていただければと思いますので、専門の委員の先生方や、今、お話のありましたような、必要に応じて参考人の招聘等、斎藤会長とも相談の上、準備を進めさせていただきます。お忙しい中、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
○斎藤会長 ありがとうございました。委員の皆さん、長時間にわたりお疲れさまでした。
これをもちまして、本日の協議会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
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