ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(統計分科会)> 第3回社会保障審議会統計分科会 議事録(2002年1月28日)
2002年1月28日 第3回社会保障審議会統計分科会 議事録
大臣官房統計情報部企画課統計企画調整室
○日時
平成14年1月28日(月)14:00~16:00
○場所
厚生労働省専用第24会議室(中央合同庁舎第5号館19階)
○出席者
委員
廣松分科会長 |
阿藤委員 |
今田委員 |
大江委員 |
大竹委員 |
西島委員 |
松尾委員 |
吉村委員 |
事務局
渡辺統計情報部長 |
菅原企画課長 |
大橋企画課統計企画調整室長 |
中林人口動態・保健統計課保健統計室長 |
○議題
1.医療施設静態調査について
2.患者調査について
3.その他
○議事
(1)開会
○統計企画調整室長
(資料確認)
出席予定の委員でまだお見えになっていらっしゃらない方もおられますけれども、定刻になりましたので、ただいまから第3回社会保障審議会統計分科会を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
○統計企画調整室長 本日は、柏女委員、京極委員、津谷委員が御都合で御欠席でございます。御出席いただいております委員が3分の1を超えておりますので、社会保障審議会令の規定によりまして本日の会議は成立しておりますことを御報告いたします。
それでは、以後の進行を廣松分科会長にお願いいたします。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○廣松分科会長 早速、議事に入りたいと思いますが、本日の議事は、お手元の議事次第にございますとおり3つございます。最初が医療施設静態調査について、2番目が患者調査について、3番目がその他でございます。議事の1と2につきましては、平成 14 年は医療施設静態調査と患者調査の定例周期年になっておりまして、それぞれ内容を一部変更してございますので、その点に関して御審議をいただきたいと存じます。
まず、医療施設静態調査について保健統計室長から御説明をお願いいたします。
(2)「1 医療施設静態調査について」
○保健統計室長 それでは、資料1-1に「平成 14 年医療施設静態調査の概要(案)」という紙がございます。これに基づきまして、簡単にこの調査の概要を御説明申し上げます。
調査の目的を1に書いてございます。医療施設の分布及び整備の実態を明らかにするとともに、診療機能を把握し、それを医療行政の基礎資料として活用していくということが、この調査の目的になってございます。この調査は昭和 20 年代から始まっておりますけれども、昭和 50 年から3年周期で行うようになっております。
2として、調査の対象及び客体を書いてございます。平成 14 年調査におきましては平成 14 年 10 月1日午前零時現在におきまして、医療法に基づき許可または届出の受理を行っているすべての病院及び診療所。ただし、保健所を除いてございます。少なくとも保健所を除くそのほかの医療施設につきまして、悉皆という形の調査になってございます。
調査期日は、3に書いてあるとおりでございます。
調査事項につきましては、後ほど詳しく説明申し上げますけれども、基本的な医療施設の情報に加えまして、さまざまな医療機能につきまして調査をするということでございます。
調査の方法につきましては、医療施設の管理者が調査票に記入する自計方式、調査系統につきましては、医療施設から保健所、都道府県を通じまして厚生労働省の方に送られてくるということでございます。
集計及び結果の公表は、7に書いてあるとおりでございます。
それでは、平成 14 年調査の現段階で考えております企画につきまして御説明申し上げます。資料1-2「平成 14 年医療施設静態調査の主な改正事項(案)」がございます。基本的にこれに基づきまして説明を行いたいと考えております。併せまして資料の1-4新旧対照表(案)をごらんになっていただければというふうに考えております。それでは、順次御説明を申し上げます。
平成 14 年の主な改正事項を4つの大きな区分に分けてございます。としては「重要施策の推進に関連する改正事項」。2ページ目になりますが「 法律等の改正に伴う改正事項」、3ページ目に「 記入者負担の軽減のための改正事項」、更に「 その他の改正事項」でございます。
まず「重要施策の推進に関連する改正事項」でございますが、1として、救急医療体制の整備に関することを挙げてございます。これにつきましては、委員の皆様方もご存じのことと存じますが、報道等によりましても近年特に救急医療体制の確保についての議論が盛んになってきてございます。そうした状況を踏まえまして、この調査票に新設項目を設けたわけでございます。
まず、この改正事項でございますけれども、資料1-4 (1) の病院票に基づきまして説明申し上げます。病院票の3ページになります。平成 11 年が左側、平成 14 年が右側に書いてございます。この救急に関する改正の現段階の考え方でございますけれども、平成 14 年(案)の下の方に「9月中の診療時間外受診者延数」というものを掲げてございます。平成 11 年におきましては、こうした項目はございませんでした。この診療時間外の受診者数をとらえ、更には、その中で緊急入院の患者、要するに、診療時間外に受診して自宅に帰ることなく直ちに入院したという患者さん、更には、乳幼児の延べ数、こうした患者数につきましてここに書いていただくということを考えてございます。
また、この調査事項につきましては、一番上の欄に「患者数」という欄がございます。平成 11 年は外来患者延べ数、9月 24 日から9月 30 日ということでございましたが、平成 14 年は、9月中の外来患者ということで、1週間から1か月間という形に延ばしてございます。これは、医療機関側のいろいろな状況をお聞かせいただく中で、1週間の数字はむしろ医療施設ではつかまえにくく、1か月間であればレセプトが1ヶ月毎になっておりまして事務的に非常にわかりやすいということもあり、9月中の1か月間に改めてございます。
更には、一番下の欄にございますけれども、従前の新外来患者数、これも平成11年調査では1週間でございましたが、同様の考え方から1か月間に改めるということでございます。
そして、この救急の関係でございますけれども、もう1点ございまして、病院票を中心に説明いたしますが、5ページをお開きになっていただきたいと存じます。 (12) 「救急医療体制」がございます。平成 11 年では、救急告知の有無と救急医療体制の2点だけ聞いてございました。平成 14 年におきましては、この救急医療体制のところにまず「初期」を加えたということ。御案内のとおり、病院におきましても、風邪等さまざまなプライマリーケアといいますか、一次救急的な患者さんがたくさんいらっしゃっています。その対応について、ここにチェックを入れていただくということでございます。それから、その下になりますけれども、平成 14 年調査として新たに設けた欄でございます。「夜間(深夜も含む)救急対応の可否」ということで、内科、整形外科、小児科から始まりまして、消化器外科、多発外傷への対応と、さまざまな区分ごとにどの程度の頻度で対応が可能かということを聞くというものでございます。一口に救急に対応していると言っても、例えば、眼科はできないとか小児科ができないといった医療機関も多数ございます。そうした点につきまして、こうした調査をすることによりまして、更にきめ細かく把握していきたいというものでございます。
それから、重要施策の推進に関する改正事項の2点目、医療安全体制の整備に関することでございます。具体的に申しますと、病院票の6ページをごらんになっていただきたいと存じます。平成 11 年では (13) として「各種委員会の設置状況」というものがございますけれども、平成 14 年におきましては、この委員会の設置状況の一番上に「医療事故防止に関する委員会」というものを新たに設けたわけでございます。
更に、 (14) 「医療安全体制」といたしまして、全く新たな調査項目でございますけれども、その医療施設の中におけるリスクマネージメント体制の点につきまして、ここで質問として加えてございます。リスクマネージメントマニュアルの策定。リスクマネージャー、 更には、施設内のインシデント事例報告体制、更に、医療事故対策適合品の導入、こうしたことにつきまして有・無という情報をここに書いていただくということでございます。
次に、医療情報の活用・情報公開に関することでございます。病院票で説明申しますと、 14 ページになります。近年のIT化の進展等に伴いまして、医療施設におきましても、例えば電子カルテであるとかそうした電子化が進んできているという状況になりつつあります。そこで、 (25) といたしまして「電子カルテの導入状況」。1の「している」から、2「具体的な導入予定がある」、3「検討中又は今後検討の予定」、4「予定なし」、こうした区分に応じまして、その医療機関の平成 14 年 10 月時点での現状をつかまえてみたいというものでございます。
その下に「ホームページの開設」を質問として加えてございます。ホームページを開設している医療施設が増えてきてございます。ただ、そうは申しましても、具体的にどういう医療機関でどの程度ホームページの開設がなされているのかという状況につきましては、正直申しまして余りはっきりわかっていないという実態もございます。そうしたことも踏まえまして、新たに医療施設静態調査におきましてホームページの開設の有無につきまして質問として取り上げたわけでございます。
それから、レセプト処理用コンピューターの使用状況ということでございます。病院票にはこの質問は設けてございません。診療所票でございますけれども、資料1-4 (2) の9ページになります。一番上の欄に「レセプト処理用コンピューター」、使用している・していないという調査項目を設けてございます。これは、将来予想されますレセプトの電子化ということを踏まえまして、こうした調査項目を設けているわけでございます。一般診療所と歯科診療所に設けてございますけれども、病院におきましては、非常に多くのところが既にこうした体制に入っているということもございまして、病院票ではこの質問項目につきましては割愛させていただいてございます。
次に、その他の施策の企画・立案の基礎資料として重要な事項ということで、何点か挙げてございます。
まず1 ) 医師免許取得後2年以内の医師についてということで、これは病院票では 18 ページになります。平成 14 年の新規の項目になってございます。 (30) 「医師免許取得後2年以内の医師(常勤のみ)」という形で質問をつくらせていただいてございます。これは、その理由のところに書いてございますけれども、平成 16 年度から医師の臨床研修が義務化されるということになってございまして、それの円滑な実施に向けてさまざまな基礎資料を得るというのが、この目的になってございます。2年以内の上記の医師がいる、いない、1年目が何人、 2 年目が何人というような質問になってございます。
それから、4の2 ) 従事者の計上方法でございます。これは診療所票をごらんになっていただきたいと思います。一般診療所票の5ページになります。平成 11 年と見比べていただければよろしいかと思いますが、平成 11 年におきましては、医師、歯科医師につきまして常勤と非常勤、非常勤は常勤換算になっております。それ以外の職種につきましては、単なる頭数と申しますか、実人員で取ってございました。それを平成 14 年におきましては、基本的には常勤換算の人数をつかまえていくべきだという考え方から調査票を改めてございます。その理由といたしまして、実態として、診療所におきまして必ずしも常勤で採用しているのではなくて、パート的に看護婦さん等を雇っているということも多々ございます。そうしたことを考えた場合に、今後、医療施設に張り付けられているマンパワーの厚さといいますか、実質的なマンパワーの厚さを見ようとした場合に、単なる頭数では、近頃よく言われるようにパート化が進んだ場合には、どんどん頭数ばかり増えていくけれども、実際のマンパワーの量としては増えていないということもございます。そうしたことも踏まえまして、基本的には常勤換算の数字をつかまえていくというような形で考えているわけでございます。
そうは申しましても、例えば、保健師、助産師、看護師、准看護師、こうした職につきましては、国の方におきまして需給計画というものを定めてございます。こうしたマンパワーの需給計画の基になっている数字として、これまで実人員、単なる頭数の人数でとらえていたという部分もございますので、そうした計画との整合性を考えまして、平成 14 年におきましては、この実人員につきましてもこうした看護系の職種についてのみ、併せて質問として取らせていただくということでございます。それから、これは病院票の方にはございませんけれども、病院におきましては、病院報告によりまして従事者の状況につきまして質問を従来からつくってございます。その病院報告におきましても、基本的に同じような対応をして行こうと考えてございます。
それから、4の3 ) の併設施設の状況についてでございます。これは、病院票におきまして説明させていただきます。病院票の4ページになります。平成 14 年の案におきましては、併設施設の種類が増えてございます。大きく分けて2つ理由がございます。第1としては、平成 11 年の欄を見ていただいたらよろしいかと思いますけれども、例えば、老人保健施設であるとか特別養護老人ホームというような名称が並んでございます。こうした施設につきましては、介護保険導入後その名称も変わってございますし、その仕組みも変わってきているということもございまして、そうした介護保険関係の施設等におきましては、右側の「併設施設の状況」に書いてございますように、介護老人保健施設、介護老人福祉施設、更にはさまざまな介護サービスを行うさまざまな事業がございまして、そうし たものにつきまして、まず、文言上の整理と必要な追加を行ったということが1点。
2点目といたしましては、併設施設の状況の平成 14 年の 10 から 12 、検診センター、医療関係者の養成施設、更には、健康増進施設というものを新たに加えてございます。こうしたものにつきましては、従来は、狭義の医療を中心とする医療機関が多かったわけですけれども、むしろ医療施設の機能というものが広がっているということも踏まえまして、例えば、検診センターであるとか健康増進施設であるとか、あるいは医療関係者の養成施設というものにつきましては、医療法におきましても、医療法人が行うことのできる業務に含まれてございますので、こうした医療周辺の事業あるいは医療関連の施設につきましても、その状況を新たに把握し、医療施設全体の機能につきましても把握していきたいという趣旨でございます。
次に、この主な改正事項という3枚のペーパーの2ページになりますけれども、開設者についてでございます。病院票で申しますと、ほかのもそうですけれども、1ページ目をお開きになっていただきたいと思います。平成 11 年との変更点でございますが、平成 11 年におきましては「開設者」の欄で 22 として「その他の法人」という区分がございました。この「その他の法人」は、その多くが社会福祉法人あるいは医療生協という法律上も区分されている開設者で、しかも、その数も決して少なくないということもございまして、新たに「その他の法人」から社会福祉法人と医療生協と分けました。それでも残る幾つかのものがございます。それを「その他の法人」というふうに新たにくくったものでございます。
引き続きまして、表示診療時間の状況でございます。主な改正事項の紙の2ページ目に説明を移らせていただいております。病院票で言いますと7ページになります。平成 11 年は土曜日の診療状況を聞いていたわけでございますけれども、平成 14 年では「表示診療時間の状況」といたしまして、これまで診療所で聞いておりました形式と同じ形にそろえるということを考えてございます。月曜日から土曜日、更に日曜日、休日につきまして、午前、午後、 18 時以降につきまして診療を行っているところについて○をつけていただくというような形で考えているわけでございます。
病院におきましても、診療時間には相当違いがあるようでございまして、例えば木曜日の午後はやっているとか、やっていないとか、そうした状況につきまして詳しく把握したいということでございます。
次に病棟における看護職員の勤務体制でございます。これは病院票の 16 ページになります。平成 11 年と平成 14 年で若干ここの記入方法が変わってございます。平成 11 年におきましては、 10 月1日の勤務者数として、例えば、それぞれの病棟の三交替勤務では準夜に何人、深夜に何人という形で、具体的なその病院全体の人数を聞いていたということ でございました。この項目につきましては、1人夜勤体制なのか2人夜勤体制なのか、あるいは3人体制で夜やっているのか、そうした状況につきましてどうなっているかということについて調べるというのがそもそもの目的でございますので、そうであるのならば、平成 14 年の調査票に書いてございますように、例えば三交替制の一般病棟では夜勤帯の2人夜勤あるいは3人以上夜勤の病棟が幾つあるのか。要するに、すべての病棟が2人体制になっているのか、あるいは1人体制の病棟も幾らかあるのか、そうした状況つきまして病棟の数という形で聞くということを考えてございます。この方が、直接的にその数字を施策に反映しやすいということ、更に、記入者負担ということを考えましても、この方がはるかに書きやすいということもございまして、このように改めたいというふうに考えているわけでございます。
次に、「法律等の改正に伴う改正事項」でございます。まず、病院票の2ページをごらんになっていただきたいと思います。病床区分につきましては、御案内のとおり、医療法が改正されまして、今まで「その他の病床」と呼ばれていたものが「療養病床」と「一般病床」に明確に区分される扱いになりました。そうした医療法上の扱いを踏まえて、このような病床の書き方にしているということでございます。ただし、経過措置がございまして、従来の「その他の病床」というのがしばらく残るということでございますので、この平成 14 年の時点では従来の書き方をする部分も残ってくるということでございます。これにつきましては、一般診療所票につきましても同等の改正を行ってございます。
次に、介護保険の施行に伴う改正事項。特に、これは在宅医療サービスのところでございます。病院票の8ページになります。平成 11 年「在宅医療サービスの実施状況」をさまざま聞いていたわけでございますけれども、平成 12 年度からの介護保険制度の導入に伴いまして、そうした区分が変わってまいりました。簡単に申し上げますと、医療保険によって行われるサービスと介護保険によって行われるサービスの2つに分かれてございます。そうした制度の変更に伴いまして、ここの在宅サービスの実施状況につきましても、その区分を設けたというものでございます。
3といたしまして、保健婦助産婦看護婦法の改正に伴う改正事項。これは、まさに字句上の修正だけでございまして、保健婦が保健師、助産婦が助産師等この文言を変えているということでございます。
4といたしまして、診療報酬改正に伴う改正事項として挙げてございます。病棟の看護基準について、これは病院票の 17 ページになります。平成 11 年は非常にごちゃごちゃし ている感じがいたしますけれども、平成 14 年におきましては、診療報酬上の扱いが非常に簡略化されているというか整理されたということもございまして、看護の実施状況につきまして新たな案にあるような書き方で把握できるようになったわけでございます。
それから、説明資料1-2の3ページ目になります。「記入者負担の軽減のための改正事項」。1として、外来患者、検査等の実施件数把握期間の改正。これは、先ほど若干触れましたけれども、レセプトの処理に合わせまして1週間単位で求めていた数字につきまして、1か月単位に変更するというものでございます。
2といたしまして、削除または簡素化した事項が幾つかございます。まず、保健事業等についてでございます。病院票の9ページでございます。平成 11 年の調査におきまして「保健事業等」で、人間ドック、外来・入院から始まりまして、医療社会事業まで並んでございます。これらにつきましては、記入者負担軽減の観点から削除してございます。
それぞれの定義の問題、更には、検診などでは季節性などもございますので、そうした状況を総合的に勘案した場合には、記入者負担の軽減という観点から、これについては削除してもいいのではないかというふうに考えた次第でございます。
2 ) として診療情報管理の状況でございます。病院票の 13 ページになります。平成 11 年の下の方、 (26) 「診療情報管理の状況」ということで、オーダリングシステムから始まりまして診療情報の把握、傷病分類化、ICDコードというのが並んでございましたけれども、この中で診療情報の把握、すなわち平均在院日数であるとか傷病別患者数といったもの、更には、傷病分類化を何の目的でやっているのか、こうした事項につきましては、簡素化の観点から今回は割愛するということを考えたわけでございます。
更には、病院票の 15 ページになりますが「他の医療機関への患者の紹介・転送状況」の欄でございます。これらにつきましても、幾つか簡素化を図ってございます。まず、平成 11 年におきましては、情報の提供といたしまして紹介状、診療録の写し、検査結果の写し、X線フィルムがございますけれども、これらにつきましては、当然ながら必要があればこうしたものをつけますというようなことが実態でございますので、あえてこの調査でそれぞれについてやっているか、やっていないかと聞くことは余り必要ではないのではないかということ。
それから、情報通信機器の利用のところでは、FAXから始まりまして「していない」までございますけれども、これも実態を勘案した結果、右側の (27) にあるように、画像転送から光磁気ディスク、IC・光カード、この辺りでいいのではないかということ。
更には、平成 11 年の一番下にございます他の医療機関等への診療情報提供状況、これは実際の9月中の提供件数をそれぞれ細かく聞いていったわけでございますけれども、これの記入につきましては、実際にカルテを1つ1つ探し出す必要があり、それはなかなか大変であるということ、更に、ここまで細かく調査しても、なかなかそれをこと細かく施策に反映させるには難しい部分もあるのではないかというような指摘もございまして、これにつきましては割愛するということを考えているわけでございます。
それから、病院票で申しますと 18 ページになります、 (30) 「看護婦等の週休状況」。週休の状況につきまして平成 11 年度におきましては調査してございましたけれども、これにつきましても、記入者負担の軽減の観点から削除してもいいのではないかというふうに考えているわけでございます。
更に、医薬品情報提供の専門室の有無、これは病院票の 19 ページにございますけれども、いわゆるDI室でございますが、これは単に部屋があるかないかというような形でこの質問を聞いているわけでございますけれども、こうした情報につきましては、必ずしも有効に活用できるような状況ではないのではないかという議論もございまして、これも削除していきたいというふうに考えております。
「その他の改正事項」でございます。まず、施設の面積等につきまして、病院票で申しますと2ページ目になります。 (6) 「施設の面積等」というものがございまして、ここで平成 11 年におきましては下の方にございますけれども、3~4人部屋という形で取ってございました。それをほか調査との比較も合わせて考えた場合に、3人部屋と4人部屋と分けるべきだという観点から、3人と4人に分けたということ。
更には、この病院票の5ページになります。 (11 「承認等の状況」で幾つか加えているものがございます。平成 14 年におきましては、4番といたしまして「災害拠点病院」というものを新たに設けてございます。これにつきましては、従来取っていなかったわけでございますけれども、災害拠点病院がどのような医療機能を持っているか、どの程度の患者さんに対応できるのかということを把握するためにも、こうしたものを承認等の状況で入れるということ。
更に、6といたしまして「特定承認保険医療機関」というものを設けてございます。これは、高度先進医療を行うことができる医療機関ということでございます。
逆に、平成 11 年で、6として「介護力強化病院」というものがございましたけれども、 これにつきましては、医療法の改正もございましてこの病院につきましてはいずれなくなると。少なくとも、この調査の公表時点ではなくなっているというふうなこともございまして、今回は削除するということで考えているわけでございます。
次に、特殊診療設備についてでございます。これにつきましては、いろいろ入り組りがございましてややこしいのですが、病院票でいいますと 11 ページになります。平成 11 年と平成 14 年の違いでございますけれども、基本的な考え方といたしまして、ここは記入者が書きやすいような明確な基準を持っているようなものを挙げてもらうことにしてございます。例えば、平成 11 年ではICUとCCUを別々に聞いてございましたけれども、診療報酬ではICUとCCUは一緒になったような形の基準になってございます。したがいまして、医療機関にとっては「特定集中治療室」という形の方がはるかにわかりやすく迷いにくいということでございます。
それから、平成 11 年の一番下にございました「老人デイ・ケア室」は、介護保険に完全に移行してございますので、ここからは落としてございます。代わりに、平成 14 年におきましては「重度痴呆患者デイ・ケア室」というものを新たに入れたというものでございます。
それから、歯科設備でございますけれども、病院票の 12 ページになります。歯科設備につきましては、既にごく一般的になっているものにつきましては省き、逆に、今後どんどん重要性が高まってくるものにつきまして新たに入れてございます。例えば、平成 14 年の調査で申しますと、6の吸入麻酔装置であるとか、 10 の高周波電気メス、こうしたものについて新たに入れるという形で整理を行ったものでございます。
続きまして、麻酔、手術、検査等でございますけれども、これにつきましては、病院票の一番後ろに参考としてつけてございます。 (19) 「麻酔及び手術の状況」というものが平成 11 年のところにございます。平成 11 年と平成 14 年につきましては、麻酔及び手術の状況と診療機器の保有状況につきまして、若干の整理を行ってございます。基本的に、平成 14 年におきましては、「麻酔及び手術の状況」に平成 11 年の「診療機器の保有状況」の中で、特に直接の治療行為のようなものにつきましては「麻酔及び手術の状況」の方に入れたということでございます。例えば、 IABP 、ハイパーサーミアとかあるいはリニアック、こうしたものにつきましては、上の方の「麻酔及び手術等の状況」の方に整理したということでございます。
それとともに、若干、手術、麻酔の種類、更に、機器等につきましても、新たなものを加えていることと、更には「診療機器の保有状況」のところで、基本的な考え方といたしまして何台あるのかというのを今まで聞いていたわけでありますけれども、ものによりましては、例えば内視鏡検査、左にファイバースコープと書いてありますが、こうしたものにつきましては、古いものがそのまま備品台帳上は残っているけれども実際は使っていないとか、そうした実際の台数を聞いても実態を必ずしも反映しないのではないかという意見もございまして、むしろ、これは実施した件数を取るというのを基本としております。ただ、非常に大型機器につきましては、例えばCTであるとかポジトロンCTであるとか、そうしたものにつきましては、これまでどおり台数も取っていくこととしてございます。これは国際比較を行う場合にも必要になるというような数字で、これにつきましては残したものでございます。
それから、「その他の改正事項」の6でございます。委託の状況につきまして、若干付け加えてございます。病院票で 13 ページになります。平成 11 年に比べまして平成 14 年におきましては、「院内検体検査」というものを「委託の状況」の中に新たに加えてございます。一般的にこうした検体検査につきましては、院内で行うか外注に出してしまうか多かったわけですけれども、最近は院内の施設を使って外の業者に委託をして、人に来てもらってそこでやっていただくというような形態もございまして、これを院内ラボと申してございますけれども、そうした状況につきましても把握したいということでございます。
以上、この平成 14 年の静態調査につきまして私の方から御説明申し上げました。
以上でございます。
○廣松分科会長 かなり大きな修正が予定されておりますが、今の御説明に関しまして御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
○大竹委員 2点あります。1点は、9月中の外来患者延数ですが、検査等の実施件数についても患者数についても、以前が9月の最終週の1週間だったのを1か月間にした。今までずっと最後の1週間だったから、それを新たに変更したときに、どう質が変わるのかというもののチェックがほしい。例えば一部のサンプルで両方聞くものがあると、比較するときに今までの4倍にしたらいいとか。恐らく難病とか少ない患者数のところが平均的に精度が上がって出てくると思います。余り来ない人のサンプルが増えてきますから。そういう統計の処理の特性がどう変わるかというチェックができれば、こういう長い間連続した統計の調査の仕方が大きく変わるときにはありがたいと思います。それが第1点。
第2点は、ホームページの開設についてですが、これの規制はどうなっているのか。何か規制がある下でこういう質問をされても、どういうふうに答えるのか。これから規制をつくっていく上での調査だと思うのですけれども、今の状況がどうなっているかについて、これを病院の方が受け取って正直に書くのか書かないのかというところも含めて、もう少し説明していただけたらと思います。その2点です。
○保健統計室長 まず、患者数等の1週間から1か月間への変更の点でございます。これまで1か月単位の患者数は病院報告で基本的にございました。ですから、診療科ごとの細かい数字はわかりませんけれども、トレンドとしてこの1週間から1か月間ということが、その全体の患者数について影響を与えるかどうかということの検証はできると思います。
それから、診療科ごとですけれども、9月の最終の1週間と1か月間と来ている患者さんが違う可能性があるということは御指摘のとおりでございます。その辺りにつきましては、何かそのようなことについて調査ができるものかどうか、あるいは検証できるものかどうか、その辺りについて、これから工夫できるものに対してはしていきたいというふうに考えてございます。
2番目のホームページの関係でございますけれども、基本的に、ホームページにつきましては医療法で禁止されている広告というような扱いではございません、国全体としては。しかしながら、ホームページの中で実はいろいろな情報が流れているではないかいという議論も一方ではございます。そうした状況を踏まえまして、現在、厚生労働省の中では広告規制の在り方を議論していく中で、このホームページについてどう考えるかという議論は当然出てまいりますので、その辺りは今後検討されていくと考えております。実態はどうなっているかということにつきましては、はっきりわからないというのが正直なところだと私は思ってございます。
以上でございます。
○大江委員 1つは、電子カルテの導入状況に関する設問ですが、現在、御存じのように、ごく一部の医療機関が導入していて、少しずつ増えつつあるというような時期に差し掛かっていますので、この答えの選択肢として「している」というのと「具体的な導入予定がある」というだけではなくて、一部の科で試行中であるというような過渡期のところがどれくらいあるかというようなことを入れていただく方がいいのではないかと感じました。
それから、同じように、これを一般診療所の方にも設問を今のうちからしておかれた方が、今後の伸びを考える上でいい資料になるのではないかと思います。それが1点。
もう一つは、 (30) 医師免許取得後2年以内の医師(常勤のみ)が何人いるかという設問ですが、答える方がよくわかっておられればこれでいいのかもしれませんけれども、例えば、国立大学病院ですと2年以内の研修医はすべて非常勤医員ということになっておりまして、契約上は常勤ではありませんので、設問の仕方として、例えば常勤に相当する時間勤務している者とかそういうような趣旨のことを入れていかれた方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○保健統計室長 2点御指摘がございました。まず、第1点目の電子カルテのお話でございますけれども、確かにおっしゃるとおり医療機関によってはすべての診療科という形で病院の体制として全体でやっていくんだというところと、まずどこか比較的熱心な科がございまして、そこがやっているというような状況と、確かにあろうかと思います。そうしたところにつきましては、この調査票の中で工夫できないかどうか検討してみたいと思います。
それから、診療所の関係でございますけれども、現時点では余り多くないのではないかと思いまして、あえて診療所の方に入れなかったわけでございますが、御指摘のとおり、今後のトレンドを見ていくという意味では、出発点のデータとして、非常に重要なものになるという考え方も確かにございますので検討してみたいと思います。
それから、常勤の話でございますけれども、これは御指摘のように、特に国立などでは、事務的な見方からすれば常勤か非常勤かというのは非常に明確に分かれてございまして、その勤務時間というよりはむしろそうした形式的なもので書かれる可能性が高いという御指摘は、まさにおっしゃるとおりかと存じます。この辺りの常勤のみという書き方につきまして、どのような書き方をしたら適切に書いていただけるかということにつきまして、検討してみたいと存じます。
以上でございます。
○吉村委員 この新設の項目に関しては、各用語の定義がかなり明瞭でないと、多分書く方が苦労すると思うのです。例えば、電子カルテとかレセプト処理用コンピューターなどというのは、非常に自明なことなのか、それとも最近コンピューターなどはだれでも使っているわけですけれども、それをどの程度使ったものを言うのかというような、言わば新設項目に関しては何を定義とするかというのをかなりはっきりしないといけないのではないかと思うのです。
それから、先ほど治験委員会が設けられているかといったときに、大抵の調査では、まず、そもそも治験をやるような施設かということを聞いてから、もし、やるとしたならば治験委員会があるのかという聞き方をすることが多いのですが、ここではいきなり治験委員会が設けられているかという質問になるわけです。そうすると、うちの病院はおよそそんな治験なんてやるような病院ではないというところが、そんなものは設けていませんと言ったときは、それは当たり前なわけですよね、必要ないわけですから。だから、そこのところを考えなくていいのかどうかということ。
○保健統計室長 まず、新設項目の定義についてでございます。定義は、この中でも幾つか類型化がされまして、例えば、1つは、診療報酬など明確化されているもの、これは医療機関においては非常に書きやすいというものがございます。それから、2つ目として、例えば、医療法など根拠に法があるものにつきましてもわかりやすい。
ただ、ものによりましてはなかなか定義自体が難しいというものがございます。その代表例が電子カルテの話かというふうに私どもも考えてございます。当初、電子カルテをここに入れるべきかどうかというのは部内でも実は相当議論いたしまして、結果としては、やはりこれは入れるべきだということになったわけです。その定義のつけ方は、これを担当する部署の方に医療施設であれば容易にわかるような定義をきちんとつけてくれというようなお願いもしてございまして、大体それにつきましてはコンセンサスを得られつつありますし、医療施設の中でもそう混乱は起きないのではないかと。ただ、ごくまれになかなかその辺の趣旨について十分理解いただけないところが出てくる可能性はあります。それにつきましては、この調査は基本的に医療施設から保健所、県を通じてこちらに上がってまいりますが、そうした段階で、例えば保健所あるいは都道府県ではどの病院がどういう機能を持っているか大体把握しているわけでございますので、その辺りのチェックをしていただくということもございますし、あるいはこちらが説明を行う場合にも、なるべくその辺につきましてはわかりやすく説明させていただく、あるいはそうした紙を一緒につけるといった工夫で対応したいというふうに考えてございます。
治験の話でございますけれども、従来からこのような形でやっていたので、同じような聞き方をしてございますけれども、実態としてはおっしゃるような部分もございます。ただ、調査票の中でそういう観点から二段階にしていくということであれば、いろいろな部分でそうした話が出てくるのかなというのもございまして、実際に出てきた数字と別の資料の数字も比べながら、その数字の解釈をしていくということは必要になるのではないかというふうに考えているわけでございます。
以上でございます。
○吉村委員 今おっしゃったように、集計して整理の段階でいろいろな情報を公表するときに、いいコメントをつければいいと思うのです。それは、今度いろいろ変えられた各項目においても言えるわけで、先ほどその他の法人などというのが実は定義が変わっているんです。しかし、多分、集計項目をそのまま追い掛けると、その他の法人がある日突然ぱっと数が少なくなったという形になると思うので、したがって、集計の際に、そういうふうに新設項目とか明らかに分類が変わった項目に関しては、きちんとコメントをつけて継続性に関して誤解が生じないようにしていただきたいと思います。
○阿藤委員 質問票そのものについてではなく、精度の問題みたいなことでもよろしいですか。個人的に、いわゆる国民の個人調査みたいなものにかかわった経験はあるのですが、こういう施設調査みたいな経験が余りないものですから。そもそも論的にお伺いしたいのですが、この調査がそもそも標本でなくて悉皆でなければならない理由。それは同時に、こういう調査はどれくらい回答率があるのかということともかかわってきて、更に言えば、それがどういう目的で使われるかということともかかわると思うのです。先ほど病院報告というようなお話が出ましたけれども、それは恐らく法律的に義務付けられたか何か、そういう病院、医療機関というのは当局に業務報告しなければならんということだと思うのです。そうすると、むしろそういうところで、把握するということはできないのか。そうすれば、むしろ義務として全数を把握できるということになるのではないかと思うのですが、わざわざこれを業務報告とは別に3年に1回調査をして、分けてやる理由というのはどういうところにあるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのですが。
○保健統計室長 まず、この悉皆の理由でございます。大きく分けて2つございます。第1点目の理由といたしましては、医療施設につきましては、私どもの方で医療機関の基本台帳というものをつくっておりまして、この3年ごとの調査でそれを軌道修正する必要があります。これはなぜかと申しますと、医療施設調査には動態調査というものと静態調査と両方ございます。この動態調査は、医療施設の開廃であるとか病床の変更であるとか、そうした異動があったものにつきまして、その変化だけを挙げてきてもらうというものでございます。本来でございましたら静態調査に動態を積み重ねていけば、3年後にはぴたっと合うという話でございますけれども、なかなかその辺りにつきましては届出が遅れているとかさまざまな状況がございまして、そうはまいりません。そのためきちんとした台帳をつくるためには、3年に一度、悉皆調査として静態調査を行う必要がございます。そして、この医療施設の基本台帳がさまざまな調査の客体の抽出を行うための基本的な母体になっているところでございます。例えば、患者調査にしてもそうでございますし、そのほかさまざまございますけれども、そのためのきちんとしたデータをつかまえるというのが、悉皆の1つの大きな理由になってございます。
それから、もう一点といたしまして、先ほど医療施設の機能を見ていくという話がございました。実は、以前と違いまして、国全体だけである施策を進めていくということではなくて、むしろ、地方分権の時代におきましては、各地域地域でどういう医療需要があって、それに対してどの程度対応できているのかということを正確に把握していくということが非常に大事になってきてございます。そうしたことを考えた場合には、非常に大きな地域もあれば小さな地域もある。そうしたところで、総体として例えばこうした手術についてはどれくらい、どの医療機関ができている、どの部分について足りないなどという議論を精密に詰めていくためには、やはりこうした形で非常に詳しくはなりますけれども調査を行っていく必要がございます。それにつきまして、先ほど先生から御指摘のように、例えば病院報告というのがあるのならそちらの方でできないかという議論がございますけれども、病院報告は、入院患者が月末現在何人いたとか、あるいは延べの入院患者が何人いたとか、あるいは新入院・退院患者が幾らいたとか、そうした全体的な情報しか取れてございません。その中で、例えば手術であるとか、いろいろな検査であるとか、私どもとしてはそれらの情報があれば非常にありがたいのですけれども、それを医療機関に義務という形で書いていただくということには余りにも記入者負担が大きくなるということも踏まえまして、ごく基本的な部分については病院報告で取っていくけれども、3年に1回だけは詳しく医療機能について把握するという目的で、こうした調査ができているということでございます。
それから、回答率についてでございますが、基本的に医療施設調査は非常によく回答していただいてございます。その中で、表立った調査拒否というよりも、むしろ調査項目として一部十分書けていない場合があった様に思います。例えば、ある項目につきましてはブランクが散見されるというような医療施設はございますけれども、基本的には非常によく書いていただいているというふうに考えてございます。
○廣松分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。時間が取れれば、後でまたもう少しごらんいただいた上でお気付きの点がございますれば御発言いただく時間を取りたいと思いますので、とりあえず最初の議題の医療施設静態調査に関しましては、ここまでにさせていただきたいと思います。
続きまして、平成 14 年患者調査について、事務局から御説明をお願いいたします。
(3)「2 患者調査について」
○保健統計室長 それでは、引き続きまして、平成 14 年の患者調査につきまして御説明申し上げます。
この患者調査は、昭和 20 年代に指定統計となった調査で、昭和 59 年からは周期調査という形で、3年に1回行われております。資料2-1「平成 14 年患者調査の概要」の「調査の目的」のとおり、本調査は病院、診療所を利用する患者さんにつきまして、その傷病状況等を明らかにし、医療行政の基礎資料を得ることを目的としており、先ほどの医療施設調査がその医療施設の機能をとらえようとするのに対しまして、この患者調査は医療施設を受診している患者さんの特性を把握することを目的としております。
患者調査の結果からは多様な情報が得られます。例えば、様々な疾患の推計患者がどれ位日本にいるか、更には、各都道府県が医療法に基づきまして医療計画を策定する際に本結果を活用しています。具体的には、二次医療圏というものをそれぞれの都道府県が設けまして、基本的な医療を行う単位として幾つかのブロックにその県内を分けております。全国で 360 余り今ございますけれども、それぞれの医療圏でどのような患者さんが多いのか、圏域内を移動する患者さん、Aという地域からBという地域に移動している患者さんがどれ位いるかを捉え、その医療圏域内で医療施設が多いのか少ないのか、標準に比べて非常に少なければ圏域外へどんどん患者が出ていくということにもなりますので、正確な数字を把握した上で医療計画を策定し、利用しております。
2の調査の対象及び客体でございます。病院の入院につきましては先ほど言いました約 360 の二次医療圏別、病院の外来、診療所は、都道府県別にそれぞれ無作為抽出した医療施設を利用した患者を調査の客体としております。具体的に病院では約 7,000 、一般診療所が約 6,000 、歯科診療所が約 1,000 となってございます。
3の調査の期日は、入院・外来患者さんは平成 14 年 10 月8日から 10 日、火曜日から木曜日の3日間のうちに医療施設ごとに指定した1日の調査、ワンデイ・サーベイになってございます。退院患者さんは9月中1か月間と、2種類に分かれております。
4の調査票の種類も大きく2つに分かれており、入院・外来患者が病院と一般診療所、歯科診療所、病院については、更に入院の奇数票、外来の奇数票、偶数票の3種類に分かれてございます。これを具体的に申しますと、資料2-3の3枚目にある複数連記の様式が病院の偶数票です。病院の患者さんは、非常に数が多いため、出生日の末尾が偶数の患者さん全てについては、この偶数票に男女別、生年月日だけを書いていただき、出生日の末尾が奇数の患者さんだけ資料2-1,2の病院の入院奇数票、外来奇数票を1人1枚用いて傷病名等の詳しい情報を書いていただくという二段構成になっております。
一般診療所、歯科診療所には、1日の患者さんがすべて対象になるため、偶数、奇数の指定はございません。
次の退院患者票は病院と一般診療所に分かれた構成で、その内容は、2枚後の別紙につけてございます。
調査の方法は、これも、先ほどの医療施設静態調査と同様に医療施設の管理者が記入する方式になってございます。
調査系統も基本的に同様で、医療施設から保健所、都道府県を通じて国に提出されます。
8の標本設計について、本調査は医療施設基本ファイルを抽出枠とした抽出調査として実施し、抽出方法は層化無作為抽出です。
客体数は、病院の入院は二次医療圏まで、病院の外来、一般診療所、歯科診療所については、都道府県までの推計が可能な数としております。
先ほど若干説明申し上げましたが、医療施設側の記入者負担の軽減を図るために、病院につきましては二段抽出を併用し、当該病院の入院・外来患者のうち出生日が奇数の患者は全項目の調査を実施、偶数の患者は、偶数票「入院・外来の別」「性別」「出生年月日」のみを書いていただく形式でございます。
次に、患者調査の主な改正事項について、資料2-2を基に簡単に説明申し上げます。
平成 14 年調査で大きな改正事項が2つございます。1つ目が、調査票の構成を変えること。これまで病院の奇数票は、入院と外来が一緒でしたが、一緒だと見にくい、間違いやすいということもあり、明確に入院と外来と別の調査票に分ける形で、調査票の構成区分が増えたということです。
具体的には後ほど説明させていただきますが、調査項目の変更は幾つかありまして、「受療状況」の副傷病名、「診療科名」は、それぞれの調査票すべてにおいて削除、「診療費等支払方法」は、介護保険制度が平成 12 年から新たに施行されているので、それに伴う改正です。歯科診療所だけですが、「紹介の有無」も削除しております。新たに「救急の状況」を病院の入院・外来、一般診療所に追加しています。「病床の種別」は、医療法改正に伴う変更、「心身の状況」は簡略化。退院患者票においては、入退院の「紹介の有無」を削除しております。
改正事項を具体的に説明申し上げます。資料2-4「平成 14 年患者調査新旧対応図(案)」というA3版で、左側が従前で、右側が変更案でございます。
まず、1枚目「病院入院(奇数)票」でございます。変更点を中心に説明申し上げます。
まず、左側の (4) 「入院・外来の種別」、これは入院と外来を分けたので、入院と外来の種別が変わり、「入院年月日」に変更されます。左側の従前のレイアウトでは入院の場合は「新入院」か「繰越入院」のいずれかに○をつける形式でしたが、それぞれ医療施設ごとに調査日が決まっており、更には、入院の年月日という項目がございますので、この両方を合わせれば、新たにその調査日に入院した患者さんか、それ以前に入院していた患者さんか分かるので、削除いたしました。
(5) 「受療の状況」では、「副傷病名」を削除しました。この副傷病名は、昭和 59 年に追加したもので、そもそもの発想は、特に慢性疾患が増えていく中で、1つだけ病名を書いてもらっても他はわからないのではないかということで、例えば高血圧で治療している患者さんは日本に幾らいるかという質問が出た場合に、主傷病しか分からないので、結局それを主傷病として治療している患者さんの数は出るけれど、実は胃がんあるいは脳卒中で入院しているが高血圧もある患者さんで、実は高血圧の治療もしている人は患者数として上がってこないではないかという議論もあり、副傷病を1つ加えたということでした。しかしながら、さまざまな先生方の意見等を聞いてみると、例えば、高血圧にしても糖尿病にしてもそうでしょうが、仮に主傷病名を第1病、それから、副を第2病名とした場合に、第3病名、第4病名、第5病名に例えば高血圧等が上がってくるのではないかと。まさにそのとおりで、結局、主と副と両方 OR 条件で患者数を出しても、結局その病気で日本ではこれだけの患者さんが治療しているということの答えにはつながらないという指摘もございます。
もう一点、慢性疾患が多くなる中で、実際に治療している病名は非常にたくさんあり、第1は主傷病として書いても、副傷病名を1つだけという場合、医療施設で第2から第8位まで傷病名が並んでいる場合どれを1つだけ選ぶのか苦慮するという意見等もあり、副傷病については全体の状況も把握できていることもあり、記入者負担軽減の観点からも削除したいと考えてございます。
いずれ、電子カルテあるいはレセプト請求の電子媒体化が現実的に行われるようになった場合には、この傷病の取り方につきましても考える必要があるのではないかと考えております。
(6) の「診療科名」については、実際、診療科名ごとの患者さんは評価が難しいという点があります。また、例えば小児科で入院あるいはかかっている患者が何人かといった場合には、先ほど医療施設静態調査があり、そちらは悉皆調査なので正確な数がわかるという点もあります。以前、この診療科名を患者調査の推計で用いていたことがありましたが、抽出率も高くなっているということも踏まえ、現在は推計に使っておりません。それらも考えて、この診療科名も、削除してもそう問題にはならないという判断により、削除するものでございます。
次の「診療費等支払方法」は、介護保険が導入されて支払いのパターンが変わり、自費、医療保険等、公費負担医療、更に介護保険が入り、これらについて複数選択する構成に変えてございます。
(8) 「紹介の有無」については、従前は例えば「老人保健施設」であったものが、「介護老人保健施設」と名称を変更し、従前の「その他から」の類型には、従来の「特別養護老人ホーム」、現行の「介護老人福祉施設」があり、それらは明確に区分できるため新たに加えました。
新規事項として、「救急の状況」を入れてございます。救急である場合、「救急車により搬送される」あるいは「救急外来を受診する」、「診療時間外の受診」のいずれかに該当するものを救急という判断で書いていただきます。夜、救急車で救急外来を受診すれば、すべてに○がつくことになります。
(9) 「病床の種別」は医療法の改正により病床区分が変わったため、それを反映させたものでございます。
(10) 「入院の状況」は変更はございません。
(11) 「心身の状況」は、さまざまな介護あるいはADLの関係について、質問していましたが、これは簡略化したいと考えてございます。平成 11 年調査では、介護保険導入を目前にして非常に細かく聞いてございましたが、平成 14 年調査では、介護保険も導入され全体の様子も分かってきておりますので、この心身の状況については、主要なものだけ把握し、ほかのものは削除しようと考えたわけでございます。
例えば、平成 11 年では、排便の後始末の後に排尿があったわけですが、これはデータで見るとほとんどパラレルに動いていることから排便に整理したものでございます。
更には、従前は入院している患者さん全部について聞いていたのですが対象を変えました。これは 1,000 床を超えている病院などでは数百人分書かなくてはならないので、できるだけ簡略化いたしました。特に、慢性期の病床、療養病床等については、その中で介護保険との関係について把握するという必要性から、今までどおり取りたいと考えております。急性期病棟については、なかなかこれを取っても活用できないのではないかという話もございます。と申しますのも、介護保険などでは比較的一定の幅を持って、その患者さんがどういう状況にあるかを判断しますが、患者調査では、基本的にある1日についての状況を聞くので、たまたまそのときが手術日に当たっていたら全介護になるわけで、そうした短期的なものが急性期病棟では多く含まれてくることも考えた場合、介護との比較をする上でも余り有用ではなく、むしろミスリーディングになる可能性があるということも踏まえ、ここについては、療養病床等に入院している患者さんについてのみ聞くという形で整理したものでございます。
次に、病院の外来でございます。基本的に、今、説明した部分は割愛させていただき、病院外来だけのものを説明申し上げます。
(3) 「患者の住所」は、従前、入院も同じ調査票でしたので市町村まで書いていただいておりましたが、外来は都道府県表章しか行っていないこと、抽出も都道府県で行っているので、ここは、「県内」か「県外」、どの県という情報があれば十分事足りるので、記入者負担軽減を図ろうと考えたわけでございます。
次の「入院・外来種別」は、当然ながら外来だけになったので、それを踏まえた変更になっております。
その他は、先ほど入院で説明した項目と同様でございます。
次の偶数票につきましても変更はございません。
一般診療所につきましても、基本的に病院で説明申し上げたのと同様です。「病床の種別」は、当然ながら、病院の病床と区分が異なり、診療所では療養病床とその他の病床という2種類になっているということでございます。
その他は、病院と同様になってございます。
歯科診療所票につきましても、基本的に今まで申し上げたような変更になってございますが、一番下の「紹介の有無」を削除しております。これは、病院、診療所にもあるのですが、歯科診療所の「紹介の有無」については、平成 11 年の結果で、紹介を受けている患者さんの9割が「その他から」になっており、それを類型化した上の調査票にすべきですが、情報として余り有用に活用できないと考え、削除しようと考えております。
病院退院票も基本的に共通する事項が多くなってございます。従前の (9) 「病床(病棟)の種別」欄の下の療養型病床群の「他の病床から転床の有無」、「直近の転床年月日」の削除を予定しております。その理由として、まず介護保険が導入されたこと、療養型病床群はまだ増えてございますが、当時と比べると安定してきていることもあり、同じ病院の中での病床の移動について療養型病床群だけ取り上げて細かく聞く必要性は乏しくなったことから、削除いたします。
新しい項目番号の (9) 「入院前の場所」と (10) 「 退院後の行き先」に「紹介の有無」がございましたが、これについても削除を予定しております。「紹介の有無」につきましては定義の問題等もございまして、なかなか数字の評価が難しいということと、実際にこの紹介の有無を確認するには、カルテを全部見ないとわからないという記入者負担軽減の観点も含めて、削除することで整理いたしました。
一般診療所の退院票についても、基本的に同じ考え方でございます。
以上で説明を終わらせていただきます。
○廣松分科会長 ありがとうございました。
患者調査について御意見、御質問をいただきたいと思います。
○今田委員 患者調査は、サンプリング調査で、抽出率が病院と一般診療所で違っていますが、最終的にはウェイトを掛けて全体としてこれだけの患者がいるというサンプリング・デザインだということは分かりますが、病院はかなり多く取っていて、一般診療所はその割に少ないのは、どういう意図でしょうか。そのようなサンプリング設計で元に戻して、全体数は分けて算出した病院と一般診療所のデータを一緒にするときに、いろいろ問題があるのではないかと思うのですが、その点に関してどう考えておられますか。
○保健統計室長 そもそもこのサンプリングを考えるときに、どの程度の表章が求められるのかということでございます。基本的に入院は二次医療圏単位で表章したい。二次医療圏単位ごとの入院患者が医療法に基づく基準病床を定めるときの基礎になるので、当然必要になってまいりますし、そのためには、当然、性、年齢別階級別の数字も必要となります。病院の入院についてはそうした医療法上の要請もありますので、非常に細かく取らざるを得ないということです。
逆に、外来については、都道府県別の表章でよいと整理してございますので、当然ながら抽出率は低くなります。病院の入院で二次医療圏別に必要な理由は、医療法の中の病床規制、基準病床を定めるためであります。ある医療圏で、一般病床が何床必要であるか。例えば 1000 床必要だと計算をし、それを基準病床として、それを超えるような申請があった場合には、その都道府県は知事の権限で認めないという仕組みができてございます。そのときの、 1,000 床を算出する根拠として、具体的な患者調査の病院の患者数が使われます。その根拠を求める計算の仕方はその地域に他の地域から何人入ってきて、その地域に住んでいる人が他の地域の病院にどれだけ行っているという差引き計算をして、その標準的な数字を算出しているため、それぞれの医療圏における正確な入院患者数、流入、流出患者数が求められることから、病院については抽出率が高くなっているわけでございます。
一方、外来につきましては、当然ながら都道府県はそれぞれの二次医療圏の計画を作ります。地域保健医療計画と申しまして、例えば、東京の何とか医療圏については、こういう計画で保健医療を進めて行こうと。その中には、例えば、糖尿病が多いからこうした対策が必要だとかいろいろな議論が出てくるわけですが、患者調査では外来についてはそこまでフォローし切れていないというのが現状でございます。
○廣松分科会長 具体的に病院、一般診療所、歯科診療所の抽出率はどれ位ですか。
○保健統計室長 病院が 10 分の7、一般診療所が 7.5 %、歯科診療所が2%程度でございます。ただ、病院の外来につきましては、入院の約半分で 10 分の 3.3 でございます。
○廣松分科会長 先ほど今田委員の御質問との関連で、抽出率が違うものを合わせて公表するという点に関してはいかがですか。患者数の総数としては結局、病院と診療所との、抽出率が違うものに抽出率の逆数を掛けて加え合わせていると思いますが、その辺の精度はどうお考えですか。
○保健統計室長 当然ながら、病院と診療所は抽出率が違うので、精度は変わってまいります。どの範囲内で、どの単位でその精度を担保すべきかに合わせてございます。例えば、病院の外来は診療所の外来より精度はより高いものになっていると考えます。最低限ここまで維持することで考えてこのような抽出としております。
○大江委員 2つ質問があり、1つ目は、今のことにも少し関連しますが、最近は特に大きくない病院で、特定の疾患だけを集中して取り扱っている専門性の非常に高い病院が、多くはないが結構出てきていると思います。すると、病院の抽出率が 70 %強ということから漏れている中に、そのような非常に専門性の高い施設が入っている可能性もあると思うわけです。そうしますと、そのような専門性の高い施設の患者さんは二次医療圏を越えて隣の医療圏からもその医療機関にかかっているので、その施設が抽出から漏れることは、特定の疾患の患者さんの移動の実態等が正確に把握できない危険性も少しあるのではないかと思います。ただ、これは病院を全数にすると、また調査対象が非常に増えるので、その辺りはどうするかという問題は考えないといけないわけですし、今年度それを行うには少し難しいかもしれませんが、将来に向けてそういう検討をすることも必要ではないかと思います。
2番目は、これは病院の方に限られた話、あるいは比較的大規模な病院だけの話かもしれませんが、入院の奇数票だけでも数百枚を作成しなければならず、外来で多いところですと 1,000 人以上を処理しないといけない。これもまた将来的なことになるかもしれませんが、例えば偶数票ですと、中規模以上の病院ではコンピュータから出力した方がはるかに早いということもあると思いますので、紙による調査以外に、希望する施設にはあらかじめ決められたフォーマットのエクセルのファイルでも出せるとか、そのようなひな型をお配りいただくことがもし可能であれば、していただけるとよいのではないかと思います。
○保健統計室長 まず、 10 分の7の抽出ではあるけれども、専門性の高い病院等が漏れることの問題点はないだろうかという御指摘については、私どももそうした認識は持ってございます。実際に医療施設静態調査の中で、例えば、非常に専門的な治療を行っている医療機能として、そうした施設というのは幾つか浮かび上がってまいります。例えば、脳外科中心、あるいは非常に心臓の関係の手術をたくさん行っている。実は、それが非常に大きな病院であればいいんですけれども、比較的中小規模の病院でもそうした専門的な病院が相当増えているという印象がございます。今の抽出の方法によりますと、そうしたものが当然、抽出から漏れるという可能性も出てまいるわけで、私が以前ある県にいたときの経験で、医療計画をつくっている中で、大きくはないけれど、そうした意味の中心的な幾つかの医療機関が患者調査の客体から落ちていまして、それに基づきまして、それぞれの地域の入院の傷病別の患者数の推計を出したら、どうもおかしい。よくよく調べてみたら、ある脳外科を中心にやっている病院が落ちていまして、そうした部分も数字が少なくなっていた。あるいは医療圏同士の移動というものが非常にこの医療計画をつくる上で大きな問題になります。その数字がちょっと変われば、ある地域で病床が増やせたり、増やせなくなったり、そうした問題が出てまいります。実は、そうした病床の計算においても、これは別の病院でしたが、それが入っていないことで非常に苦慮した実際の経験もございます。そうしたことも考え合わせ、現在 70 %の抽出率、医療圏で非常に少なからぬ医療圏において 100 %抽出という事態になっており、そうした状況も十分勘案しながら、先生の御指摘も踏まえ、来年度の研究会の中で実際のデータも検証しながら、どのような抽出が考えられるのかを詰めてみたいと考えてございます。
2番目の御指摘については、確かに、医療機関によっては非常に調査票の枚数が多くなるところも現実にございます。それについて、何とか医療機関として調査票が提出しやすい、調査を受ける方にとって書きやすい調査、作り易い調査についての工夫が必要であるという認識は私どもも持ってございます。従来から、例えば、フロッピーディスク等磁気媒体については、固定長のファイルで出していただく形で実施しておりましたが、先生の御指摘のとおり、例えばエクセルや一般的にどこの医療機関でも比較的簡単に対応できる電子媒体でのデータの提出方法について工夫できないかどうか、できるものだったら早期にでも取り入れる方向で考えてみたいと考えております。
以上でございます。
○松尾委員 1つ質問で、1つコメントです。まず、患者調査の行われる期日が、9月から 10 月というのは、今までずっとこの期間に定められてきたかどうかです。
コメントは、小児科の患者さんの調査をするには、この期間が一番不適当な期間に当たります。恐らく急性患者が最も少ない時期ですので、特に小児の救急の実態はどうなっているかという資料を得るためには、余り適当ではない。慢性疾患についても、今の親御さんは子どもの学校を休ませるのを非常に嫌われるので、入院患者さんは夏休みや春休み等に殺到しまして、9月1日になると潮が引いたように患者さんがいなくなってしまうので、これは小児の調査としてはどこかで考え直す必要があるのではないかと思います。是非、将来の検討課題にしていただければと思います。
○保健統計室長 調査時期は昭和 58 年までは7月でございました。その後昭和 59 年から 10 月となっております。いつの時期がいいかは、確かにおっしゃるとおりで、特に小児科などは季節性もあり、ワンデイ・サーベイという形でどの季節というのもあります。その日が非常に荒れた天気では、患者層が違うということもあり得る話ですので、いろいろな意味の限界があると考えてございます。これにつきましては、では、何月がいいかということは、それぞれの診療科で恐らく考え方が当然ながら違ってくると思います。例えば、脳卒中が多いのは冬であるとか、あるいは1月2月になるとやたらインフルエンザが多くなるかもしれない。あるいは、小児科領域でも喘息も非常に季節性がありますし、やはりワンデイ・サーベイということで一番適切な時期を定めるのは難しいと考えております。将来的な課題といたしましては、先ほど傷病名の話で1個あるいは2個でもなかなか全体像が把握できないという議論をしたときに、例えば、電子カルテや磁気媒体でのレセプト請求の活用とか、それらも視野に入れながら検討していく時期が来るのではないかと考えております。理想的に言えば、そうした電子化された情報をそのまま集計できるような体制になるのであれば、それは1日でなくても結構ですし、1年通してでもあるいは毎月でも把握することも可能になってくると思いますので、その辺りまではなかなかワンデイ・サーベイについての抜本的な見直しは難しい気がいたします。何かいい方法があれば、また御提言いただければと考えております。
○廣松分科会長 患者調査についてほかに御意見がなければ、先ほど御審議いただいた医療施設静態調査も併せて、平成 14 年に予定されております両調査に関して、御意見ございますでしょうか。医療施設調査の方に関しましては悉皆調査であり、先ほど事務局の方から御説明がございましたとおり、医療機関の名簿整備の役目も果たしているということのようでございますので、その点は大変重要な役目ではないかと思います。それゆえにこそ、先ほどの御意見の中でもありましたように、当然のことながら記入の手引というか何かそういう説明を別途つけていただくことになると思いますが、その説明をなるべく丁寧に、記入者の方に誤解がないような形でつくっていただきたいということと、そしてもう一つ、公表に際して今回幾つか調査項目に関して修正をしておりますので、過去との継続性に関して誤解がないようにコメントをつけていただくということが必要だと思います。
患者調査に関しては、特に標本設計でいろいろ御意見がございましたが、事務局でもある程度将来の課題として研究会等を立ち上げて御検討いただくということですので、平成 14 年調査には間に合わないかもしれませんが、是非その点御検討いただければと存じます。
さて、この2つの調査は指定統計という位置付けですので、統計審議会の審議を経ることが必要となります。事務局の方でその御準備もしていただいていると思いますが、今日この分科会で出た御意見をなるべく反映する形で、是非、努力いただければと存じます。統計審議会の審議を終えた後の最終的な調査票等に関しては、それが確定した段階で、またこの分科会においても御紹介、御報告いただけると存じますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、一応、議題の1番目、2番目を終わりまして、その他の方に移りたいと思います。本日は資料を準備していただいておりますので、平成 14 年の予算案について、まず、事務局の方から御説明をお願いいたします。
(4)「3 その他」
○企画課長 平成 14 年度の統計情報部の主な事業の裏付けとなります平成 14 年度予算案概要につきまして、簡単に御説明させていただきます。
お手元に用意してございます資料3によりまして御説明させていただきます。
1は厚生労働省全体の予算でございます。全体で 18 兆 6,000 億円余でございます。
2でございますが、統計情報部の予算でございます。全体で約 92 億 8,600 万円でございまして、前年度と比べまして 2.3 %、額で2億 1,000 万円ほどの減でございます。
それと、この統計情報部の予算につきまして大きく分けてみますと、1つは統計調査を実施するための経費。もう一つは、情報化関係の経費として、今、新聞等でも出ています、例えば電子政府の構築、届出、申請などについてインターネットを介して国に直接できるようにする、そうしたシステム開発のための経費、あるいはLANシステム、行政の情報化関連の経費がございます。
統計調査関係の経費については 50 億円ほどでございまして、これにつきましては前年に比べまして約 8,000 万円ほどの減額でございます。
具体的な調査としてどういったものがあるかということを掲げたものが2枚目でございます。予算規模で申しますと 5,000 万円を超える調査につきまして並べさせていただきました。厚生統計関係あるいは労働統計関係について掲げてございます。前年度と比べまして増額したものを見てまいりますと、先ほど説明いたしました患者調査の経費がございます。これについては、3年周期で増加しております。
なお、患者調査の附帯調査といたしまして受療行動調査がございます。これは、治療を受けた人に聞くという統計でございます。施設調査と患者調査と受療行動調査と三者一体となって実施する形になるわけでございます。
あと、前回の当分科会で議論いただきました 20 ~ 30 歳代男女縦断調査につきましては、国民生活基礎調査の中に含まれております。なお、前回、御報告しましたとおり、当初、客対数約 20 万人で予算要求等を進めてまいりましたが、結果として4万 3,000 に縮小して実施することとなりました。
全体として見ますと、統計調査関係経費で減額となっているわけでございますけれど、この主たる原因といたしますと国民生活基礎調査が、平成 13 年度が大規模調査の実施年だったということがございます。全体としますと、統計調査を進めていく上で必要な予算は確保していると考えております。
あと、参考資料として、お手元に「平成 13 年1月以降公表の統計調査概要」を掲げさせていただいております。昨年の1月6日に厚生労働省統計情報部ができてこの1年、統計情報部が担当しております調査について、公表してきたものを並べたリストでございます。ごらんいただければと思いますが、掲げております項目として 31 項目ございます。年に1回公表のものもございますし、同時に、毎月公表しているものもございます。なお毎月公表しているのは1項目として掲げさせていただいております。何か御参考になれば幸いでございます。
○廣松分科会長 統計予算、特に統計調査の方に関しましては、周期がございますので、ほぼそれに合うような形で予算が波を打つということは致し方のないことでございますが、平成 14 年度の予算案に関して何か御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。もし、お気付きの点あるいは御不明の点がございますれば、後ほどにでも事務局の方にお問い合わせをいただければと思います。
それから、公表いただきました統計調査の概要に関しましては、参考資料ということですので後ほどごらんいただければと思います。
さて、一応、以上で予定をしておりました議事は終了いたしましたが、全体を通じまして何か御意見、御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(5)閉会
<照会先>
大臣官房統計情報部 企画課
統計企画調整室 統計企画係
電話: | 03-5253-1111(内線7373) |
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