ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会)> 児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会(第7回)(2015年4月6日)
2015年4月6日 児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会(第7回)
雇用均等・児童家庭局総務課虐待防止対策室
○日時
平成27年4月6日(月)18:00~20:00
○場所
厚生労働省 専用第23会議室(6階)
○出席者
委員
松原委員長 | 秋山委員 | 泉谷委員 | 磯谷委員 |
岡井委員 | 木ノ内委員 | 草間委員 | 作本委員 |
笹井委員 | 菅野委員 | 辰田委員 | 中板委員 |
浜田委員 | 平井委員 | 平田委員 | 藤川委員 |
藤平委員 | 卜蔵委員 | 武藤委員 |
厚生労働省
安藤雇用均等・児童家庭局長 | 古川総務課長 |
大隈家庭福祉課長 | 田村虐待防止対策室長 |
寺澤家庭福祉課長補佐 |
○議題
(1)課題・検討の方向について
(2)意見交換
(3)その他
○議事
○寺澤家庭福祉課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第7回「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。
本日の出欠状況でございます。
加藤委員、佐藤委員、中板委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、秋山委員におかれましては、所用により遅れて御出席になるとの御連絡をいただいております。
まず初めに、前回御欠席で、今回御出席いただきました委員の御紹介をいたします。
福岡県志免町健康課課長の作本和美委員でございます。
沼津市市民福祉部こども家庭課の笹井康治委員でございます。
浦安市こども家庭支援センター所長の藤平達三委員でございます。
続きまして、4月1日付で事務局に人事異動がございましたので紹介いたします。
虐待防止対策室長の田村でございます。
申しおくれましたが、私、家庭福祉課の課長補佐の寺澤でございます。
よろしくお願いします。
本日は、前回の専門委員会におきまして、自立に向けた支援のあり方に関して、事務局から提示させていただいた4つの課題のうち、課題(1)及び課題(2)について、委員の皆様からプレゼンテーションをしていただき、意見交換を行うこととしております。
本日は、菅野委員、辰田委員、平田委員、武藤委員、平井委員からプレゼンテーションを予定しております。
まず、資料の確認をさせていただきます。
配付資料でございますが、お手元にございますので御確認いただきたいと思います。
本日の座席表、議事次第、委員名簿、資料1といたしまして、自立に向けた支援のあり方に関する現状・課題について。
資料2といたしまして、菅野委員提出資料。
資料3といたしまして、辰田委員提出資料。
資料4といたしまして、平田委員提出資料。
資料5といたしまして、武藤委員提出資料。
資料6といたしまして、平井委員提出資料となっております。
資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。
最後でございますが、議事に入ります前に、委員会の運営に当たりまして、委員の皆様へお願いでございます。
視覚・聴覚障害をお持ちの方など、情報保障の観点から、まず、発言を希望される方は挙手をお願いしたいと思います。そして挙手をした方に対して、委員長が指名をさせていただきます。指名を受けた方は、お名前を名乗っていただいてから発言をお願いしたいと思います。
以上、御協力をお願いいたします。
また、本専門委員会は公開で開催します。資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。
それでは、以降の進行を松原委員長にお願いいたします。
○松原委員長 お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。
第7回の「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」を始めさせていただきます。
議事に沿いまして、中身に入ってまいりたいと思います。
本日は、事務局から説明がありましたように、課題(1)(2)について、各委員からプレゼンテーションをいただくことにしております。御担当いただいた各委員の方に、まず、お礼を申し上げたいと思います。
後ほど、御説明のほうをよろしくお願いいたします。
それでは、最初に、課題(1)について、事務局より説明をお願いいたします。
○大隈家庭福祉課長 事務局の家庭福祉課長の大隈でございます。
まず、資料1に基づきまして、課題1について簡単に御説明させていただきます。
資料1の表紙をおめくりいただきまして、右下に2ページと書いてあるものでございます。
これは前回もお示ししたとおり、課題(1)につきましては「児童の安全確保を最優先にした一時保護の実施について」ということで、「迅速、確実な一時保護の実施と一時保護中の支援のあり方」でございます。
この2ページの表の左側は、前回、第6回の委員会資料と同じものでございまして、現状を記載したものでございます。
若干繰り返しになりますけれども、25年度の実績として、所内の一時保護は2万1,000件ほど、一時保護委託が1万2,000件ほど、所内一時保護の平均保護日数が29.0日というのが平成25年度福祉行政報告例のデータでございます。
年間平均入所率が100%を超える一時保護所が6カ所、81~100%の一時保護所が24カ所となっております。
一時保護の判断基準としては、子ども虐待対応の手引きでは「一時保護決定に向けてのアセスメントシート」を示しているところでございます。
また、一時保護解除の判断基準といたしましては、同じく子ども虐待対応の手引きでは「家庭復帰の適否を判断するためのチェックリスト」を示しているところでございます。
児童虐待を主訴として一時保護した件数のうち、施設入所または里親等委託件数は28.1%、一時保護所から帰宅等の件数は67.3%、これも25年度の報告例からの数字でございます。
これにつきまして「課題」ということで右側の欄でございます。
事務局としてこんな課題が考えられるのではないかと記載したものでございます。
まず、1つ目、子どもの安全に迷いがある場合は、積極的に一時保護を実施するという方向性についてどう考えるか。
次に2つ目ですが、迅速、確実な一時保護の実施のために有効な方策についてどう考えるかということで、論点としては、年齢や課題、期間等、さまざまな児童を保護するに当たり、望ましい環境を得るための工夫等を挙げております。
それから、その後の親子関係再構築を念頭に、いかに親の理解を得るかの工夫などとさせていただいております。
次に3つ目ですが、一時保護所の運営を、児童福祉施設等を運営する社会福祉法人等に委託することについてどう考えるかということで、これは事務局としての考えられる課題を記載したものでございますけれども、この後のプレゼンにおきましては、各委員それぞれこれに限らず、御発言・御提言いただければと思います。
説明は以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
事務局の説明に対する御質問も、各委員のプレゼンテーションの後にまとめて時間をとりたいと思っております。
ただ、今、確認しておきたいということがあれば、お受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいですか。
それでは、課題(1)につきまして、資料では菅野委員、辰田委員の順になっておりますが、先ほど発言を辰田委員、菅野委員の順番でされるということと、お1人6分の持ち時間でお願いをしたいのですが、お2人合わせて12分ということで配分をされたいという御希望を受けましたので、そのようにお願いをしたいと思います。
それでは、辰田委員のほうからお願いします。
○辰田委員 資料3のほうでお願いいたします。
まず、「児童の安全確保を優先した一時保護の実施について」です。
まず、この統計の資料を見ながら説明させてください。
「一時保護所及び一時保護委託の状況」についてです。
東京都における26年度の虐待の受理の件数は、過去最高の25年度5,414件でありましたが、26年度は約1.4倍超になる7,950件になる見込みです。
児童虐待の相談件数の増加に伴い、比例して一時保護件数も増加するとともに、保護者対応に時間を要する場合も多く、保護日数も増加している傾向です。
2歳未満の子どもについては、現在、原則、乳児院に一時保護委託をしていますが、近年は一時保護委託の児童数や一時保護の委託期間も1カ月以上超える割合も増えている状況です。
こうした児童虐待に対して、重篤な虐待事件の報道があると、一気に通告件数が上がると同時に、児童相談所の権限の強化や確認事項などが増えてきます。
東京都を初めとする都道府県、政令指定都市などは、児童福祉司、児童心理司の増員、その他警察OBや保健師の配置など、さまざまな手立てを講じておりますが、しかし、警察からの子どもの面前DV等による虐待通告の増がとどまることがないことや、また、先日発表されました27年7月から全児相の共通ダイヤルの3桁化により、さらなる相談や虐待通告の増が予想されます。
また、先日ありました川崎市の中学男児の事件を受けて、学校、警察等との連携強化などなど、毎年人員措置を講じておりますが、事件などにより、新たな対応策を講じる必要性が生じるため、現場としてはその対応等に追いまくられている状況です。
一時保護において、的確なアセスメントを行う上でも、地方交付税措置による児童福祉司の配置の算定においては、引き続き厚労省、総務省に御尽力をお願いしたいと思っております。あと、一時保護に当たって、都市部の児童相談所の状況についても説明をさせてください。
表4のほうを見ていただくとわかりますが、24年度、25年度とも全国の児童虐待相談数、25年度においては約7万3,000件の半数以上の3万8,000件の割合が11都道府県、政令指定都市に集中しております。
24年度から25年度の、全国の虐待相談件数の増、約7,000件が伸びているわけですが、その7割の4,700件がこの上位11都道府県、政令指定都市に集中している状況です。
こういった首都圏において、大都市圏では、オートロックマンションの林立による家庭訪問の難しさ、大型マンションが増えて居住者も多く、ケースの家庭が特定できない場合も増えております。
その場合、それらしい児童がいる家庭をしらみつぶしに訪問し、児童を特定していかなければならず、住環境の変化や、住民同士の関係の希薄さが虐待の増加に加え、都市部の児相対応の難しさに拍車をかけている状況でございます。
その辺を一律に考えるというのがなかなか難しいかなと思っております。
それでは、一時保護に当たって「市区町村との役割分担」です。
逼迫した一時保護需要に対し、的確に対応するために、やはり児童相談所と市区町村の役割分担を明確化にする必要があると思います。
児相については、被虐待、非行、そういった育成を中心とした保護を行う、市区町村においては、養育困難、そういった児童に対して、ショートステイ事業、今、乳幼児をやっていないところだとか、また中高齢児になると、そこは対象にならない、また、期間も1週間だとか、または事前に登録していないと利用ができない、こういったことを、きっちりまず区市町村のほうで対応していただき、在宅支援を展開していくことが必要かと思っています。
4つ目に「3桁化に伴う夜間の相談体制」です。
全国の児童相談所が、今後どうしていくのかということに悩んでいるところです。
現在、児童福祉司の3交代制による調査・現認を行うことは、警察組織と違い、今の児童相談所の数、福祉司の数だけでは厳しく、迅速性に欠けて、昼間帯の相談体制も手薄になる等の課題があります。
現に虐待するおそれがある場合、緊急な対応について引き続き警察との連携というものが不可欠だと思っております。
あと「迅速な一時保護の遂行する上での協力体制」です。
まだまだ実は幼稚園、学校からの一時保護とか、園・校内での子どもの面接について、非協力的な状況も散見されます。保護者から離れた場所とそれで子どもの本意を聞ける場面であり、安全な一時保護を遂行する上で重ねて協力をお願いしたいと思っております。
またその一時保護を決行するに当たり、子どもの健康状況などが不明なまま受け入れなければならないリスクを抱えております。
緊急で一時保護する場合に、特にアレルギー疾患等にかかわる情報を不足しております。そういったときに、医療機関等、児童相談所の求めに応じて情報提供を迅速にしていただければと思っております。
続きまして、こうした一時保護を的確に行う。そのためには、正確な情報が必要です。児童の安全確保を初め、その児童虐待防止に関する業務を円滑に実施するために必要な情報を迅速に入手できるよう、虐防法の規定の中で、これらの児童相談所の照会に対して、報告を求めることができるという明文化を引き続き検討していただきたいと思っております。
7つ目に「精神科病院への一時保護委託」です。
重篤な虐待の中で、精神、医療的なケアをしている子どもが年々増えてきております。そうした場合、迅速かつ適切な支援を行う必要性がありますので、入院等、または医療機関への一時保護委託を検討したいのですが、なかなか親の同意がないとできないという現状がまだまだあります。その点、児童相談所長、また施設長の同意による医療保護入院及び円滑な一時保護委託が可能となるよう、引き続き精神保健福祉法の整合性を図る必要があると思っています。
あと、受け入れる一時保護所の機能です。
24時間、子どもの心理的、肉体的状況を早期に発見しなければなりません。
一時保護に際して、適切な運営ができるよう、職員配置について、現行の児童養護施設準拠を改め、また学習機会の保障を含めた一時保護所独自の最低基準を示すとともに、施設整備や事業に要する経費、また一時保護委託費の改善が求められると思っております。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
それでは、菅野委員お願いいたします。
○菅野委員 そうしましたら、資料に基づいて説明をさせていただきます。
辰田委員のほうから、課題というか、情報の整理はしていただくと打ち合わせをしていて、一時保護について、基本的に考えているところについて私のほうから話させていただきます。
資料の一番上のところにあります一時保護所の役割のところです。虐待の問題が起きたとき、一時保護というのが一番最初に話題に上がってくるわけですが、一時保護所が対応していくのは、緊急の保護であったり、行動観察であったり、短期入所の指導というところがあります。
(1)に書かせていただきましたように、現実の児童相談所で緊急一時保護をしているのは、虐待での介入による保護もあるのですが、保護者の逮捕とか入院とか、子ども自身が生活できないという保護であったり、それから虞犯で子どもを家に帰せないとか、帰れないというところで身柄つき通告でやってきたりします。さまざまな年齢のさまざまな子どもたちに対応していくということになります。
先ほど、都市部の話があったのですが、滋賀県の片田舎というか、ブランチの児童相談所の状況で、とりあえず統計をまとめてという形でまとめてきました。
ちなみに、この一時保護所なのですが、平成11年にオープンしていますので、ちょうどそのころ不登校対策をやっていたのです。ですから、上で言うと(3)の「短期入所指導」というところを焦点化した形で企画されているものです。
管内人口が55万程度で、5市6町あります。定員が12名、6室なのですね。ここはうちの構造上の問題だとは思うのですけれども、調理室や食堂は隣接に母子生活支援施設があるのですね。そちらのほうをお借りしているということとか、学習室があるのですけれども、児相のほうの本館にその部屋があるとか、いわゆる虐待対応で安全を確保するという形で設計されていない。
うちの場合、建物自体が虐待や非行の重大事案に対応できるような形にはなっていないのです。全国的にはそういうところもまだまだあるのではないかと思います。
ちなみに、一時保護したのはこれぐらいです。うちは70%ぐらいになるので、ブラックイレブンと言われているようですけれども、そこには入っていません。
ただ、うちのほうも一時保護委託が多くなります。定員が12名になりますので、兄弟4人という形で保護が入ってしまうと、本当に定員いっぱいで、非行の子と一緒にするわけにいかないとか、いろいろなことがあったりして、非常に苦労しているところです。
次に「迅速・確実な判断をするために」ということで、判断するために、一体何を見なければいけないのかということをここではちょっと哲学的になりますけれども、説明してあります。
要するに、子どもの安全というのは、どんなところの安全なのかということ。それからリスクの要因として、親の養育能力と家庭環境。これらの情報がアセスメントしていく上では必要だということになります。
それから、一番下のところですが「一時保護は、目的ではなく手段」であると児童相談所は考えています。そこは通過点なのですね。一時保護を利用して、その後の子どもの安全をどうつくり出していくのだということが一番ポイントになります。
ですから、情報の精度というものが必要になってきますし、やみくもに一時保護するということに関して、やはり抵抗感があります。親の権限であるとか、子どもの権利を制限することになります。
先ほど辰田委員のほうからもありましたように、調査に協力をしてもらえたり、迅速に動ける体制みたいなものが必要なのではないかと考えています。
次のページです。
ここら辺は、ちょっと近々に解決できると思っていないのですが、一時保護と考えたときに、一体何が必要なのだということですね。一番上のところで必要なものということで、やはり、これから先の安全というところがもちろん大事ですし、今まで受けてきた影響というもの、そういうものを緩和していくような働きかけが必要になりますから、どこかに安全に部屋に置いておいてあげたらいいのではなくて、やはり、介入、分離の初期から心理的なサポートとか、個別に対応できるようなかかわりというものが必要になってきます。
それと、今の児童相談所というのは、チャイルド・ガイダンス・センターというアメリカのものをモデルにしてスタートしたらしいです。アメリカでは、本当に幾つかの機関に分かれて、それぞれがそれぞれで独立していって機能しているということです。
それから、その下のほうに関しては、すぐに何かができるというわけではありませんが、もっといろいろな機関がかかわって、いろいろなチェック機能、そういうものの働くシステムを時間はかかるとは思いますが、そういうものを構築していただきたいなという意味で挙げさせていただきました。
児相長をやっていて、権限の強さや重さ、大きさ、これは本当に大変なものだなと思って、心して仕事をしているわけですが、果たして、全国208人の児相長にこれだけの権限を与えていいのかというところは思うところがあるのです。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、平田委員からお願いいたします。
○平田委員 乳児院では一時保護委託でお預かりすることが多いので、その状況を御説明したいと思います。
資料の1番に「乳児院での一時保護」と書かせていただいています。
これは、厚生労働省のホームページにもアップされております「乳児院運営ハンドブック」の中に書かれている一時保護の部分です。ほかの種別と違って、乳児院へ一時保護を委託することは通例となっています。直接子どもをお預かりするということは、一連の手立てが行われないまま、乳児院の生活が始まることを意味しており、それは、一時保護期間に行うべき本来の手立てを、乳児院は児童相談所と協働して行う必要があると書かれているのですが、実際はそううまくはいかないという現実があります。
次に「社会的養護の課題と将来像」でも、4つ目の丸に、乳児院は乳児の一時保護を行うという機能を与えられておりますし、次のページに「乳児院の将来ビジョンフロー」を出しておりますが、課題と将来像が出された後に、乳児院の今後の役割というものを全国乳児福祉協議会のほうで検討した図になります。お預かりする入口から出口まで、またアフターケアまでのアセスメントをきちんと行った上で支援を行うというつくりになっています。
次のページを開いていただいて、乳児院で平成25年度に一時保護委託を受けた子どもの数が2,259名おりました。乳児院が25年度に措置としてお預かりした新規の子どもは2,159名です。措置児以上の数を一時保護委託としてお受けしているという現状があります。その中で一時保護委託日数が2カ月以上に及んだのが16%あります。保護の解除後の行き先としては、家庭が50%、施設が約40%、そのうち乳児院39%でその90%はそのまま乳児院に措置が継続されています。
この現状で考えたときに、乳児院で子どもの安全を守るには、早期の適切な介入が必要であり、これが乳児院が一時保護委託をお受けしている大きな理由だろうと思います。けれども、この中には、2日間出張があってお預かりするような非常に軽易なものから、重度の緊急一時保護、たとえば警察等からの緊急保護など混在しているということです。
子どものさまざまな事情を有するのは乳児院、保護者は児童相談所ですが、双方のアセスメントを照らし合わせる機会が非常に少ないことと、難しいです。本来のアセスメントの共有を行うには、児童相談所の人手は、もう限界にきているという気がいたします。
加えて、市町村と児童相談所の連携もそううまくいっているとは感じませんので、その御家庭のいろいろな事情が反映された支援につながるということが非常に難しいのが今の現状ではないかと思います。
それと、児童相談所は、非常に都道府県格差があるということも存じ上げておりますので、私の話していることがそこそこで少々違いがあるということは重々承知の上で話をさせていただきます。
2番目に書いておりますのは、とにかく乳児は自分で「虐待された」とか「痛い」とか「家に帰りたくない」とか「お母さんと一緒にいたい」とか、いろいろなことを言いませんので、ある意味で保護者の申請理由が中心となる中で、子どもを中心としたアセスメントをどう行っていくかが1つ課題です。児童相談所の先ほどのお話もありましたが、実際、一時保護のときに、子どもの情報や御家族の情報をオンタイムで入れていただくことが非常に難しい現在、何もないままにお預かりをして、施設のほうでアセスメントをやりますが、今、非常に状態の悪いお子さんがたくさんいて、気管支ぜんそくを持っておられたりですとか、やはり乳児ですと、乳幼児突然死症候群の危険、B型肝炎の母子感染、エイズ等の危険などをはらんだままお預かりをしています。安全を守る手立てがもう一つの課題です。入所前の健康診断など医療機関との連携がもう少し入るといいのではないかと思っています。
最後にこの乳児院に通例化されている一時保護機能をどう考えていくのかという点においては、夜間の緊急入所の一時保護というときに、待機等の問題があります。児童相談所や警察から依頼があれば、乳児院では待機をします。それが無事解決すればキャンセルとなることも多くあります。また、一時保護委託中にお子さんが入院等になり、そこに人手をとられていくという人の問題です。さらに、施設は暫定問題を抱えているのですが、一時保護委託用の空きの確保、キャンセル、感染症等々による空きの問題と暫定問題も施設が抱えているところです。
それにもう一つ、今、とりあえず一時保護にしておいてくださいという依頼が非常に多くあります。とりあえず一時保護し、それから関係者会議を行う予定が、忙しいままに申請理由が片づいたので解除になることがあります。たとえば、申請理由が親族の入院で入院期間の1週間が済んだのでアセスメントなしで家に帰しましょうということになります。しかし、子どもの状態から見ると、とても帰せる状況にないような事例でも、顕在化している状況ではないのでとりあえず今回は帰してくださいとなることが現場では多く起きています。
医療機関との連携、市町村との連携、関係機関が最初から一緒に動けるようなネットワークができると非常にいいなというのを常日ごろ感じています。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
では引き続き、武藤委員、お願いいたします。
○武藤委員 それでは、私の提出資料に基づいて報告をさせていただきます。
この間、御承知のとおり、児童養護施設には、虐待を受けて入所する子どもたちの比率が非常に多くなってきています。
入所児童を引き受けて、児童養護施設で感じることなのですけれども、もっと早く介入をすべきなのではないかというケースが非常に多いということで、もう児童養護施設にたどり着いて、これからいろいろな心の回復だとかをして、非常に遅いというか、そういうような印象を非常に持っております。
そんな実態からすると、ここに書かせていただいたように、一時保護はもっと積極的に行う必要があるのではないかと思っています。いわゆる虐待のおそれがある段階、それから虐待の疑いがある段階から、職権で行うということも、もうそろそろ必要なのではないかと思っています。
ですので、子どもの安全等々を確保するという意味だとか、それから、子どものこれまでの成育歴だとか、親のかかわりだとか、そういう部分を把握するためには、一時保護をもっと積極的に行うということが必要なのではないかということで、基本的な方向ということで、ぜひその方向で検討できないかという問題提起をさせていただきたいと思っております。
しかし、先ほど、児相のほうから出されたように、児相が、今、虐待などに対応すべき課題が非常に多いということなので、この一時保護を積極的にやるということであれば、今の少ない人員だとか、そんな状況ではまず不可能だろうなと思っているのですね。
したがって、積極的に行うという意味から含めて、もっと児童相談所等の職員配置だとか、そういうことをもっと抜本的に見直すということをこの機にやるべきなのではないかということを、ぜひ現場からの提案ということでさせていただきたいと思っております。
それから、一時保護の目的等に関してということでは、児童福祉法上の規定で、必要と認める場合は、子どもを一時保護しということになっているのですけれども、この必要と認めるということに関して、積極的にやるということであれば、3年ほど前に、民法改正だとか、児童福祉法の改正もしたということになりますが、この間、虐待防止法の改正も含めて、全く虐待が減っていないという実態に基づいて、基本的な法律改正みたいなところもあわせて検討すべきなのではないかと思います。いわゆる司法の介入だとか、それから一時保護を強化するような文言だとかも含めて、そういう法律改正もあわせて検討すべき時期に来ているのではないかということを提案させていただきたいと思っています。
それから、市区町村レベルでの利用型一時保護機能の創設をということも検討するべきで、これは今の児童相談所の一時保護を利用という点からすると、非常にハードルが高いということもあって、もっと区市町村段階で一時保護ができるというようなことも考えていいのではないかということで提案をさせていただきたいと思っています。
これは当二葉学園などでも、各区市町村と契約を結んで、ショートステイという形で要保護、要支援家庭、それから虐待しそうな家庭、そういう家庭において一時こういう施設を利用してみませんかということで、短期的に入所して心の癒しをするというのですか、その間の親の状況を観察するとか、そういうことを、今、実施しているのですけれども、これを児童相談所の一時保護所の機能とあわせて、区市町村レベルでの一時保護機能という部分をどうにか拡充できないかと思います。いわゆる利用型の一時保護ですね。親御さんがちょっと大変なので一時利用するというようなことも含めた一時保護機能という部分を創設したらどうかと思っています。
実態的には、もう取り組んでいるということになりますので、国を挙げでこういうような方向性みたいなものも提案し推進してもいいのではないかと思っています。
それから、一時保護所の充実ということで、先ほど来あったように100%以上に満床になっているという状況では、一時保護のまず機能を果たしていないといえます。
ここに書いてあるとおり、90%以上、100%以上になっているということは、一時保護の機能を果たしていないということになりますので、そういうところに関しては、やはり改善計画をしっかり出していただいて、少なくともここに書いているように、60%、70%というのが理想なのではないかと思っています。いつでも利用できる、一時保護できるというものがないと、一時保護所の機能を果たしていないということになりますので、そういうことのチェックもやはり国全体でもやるべきだし、都道府県へさまざまな提案をしていくべきなのではないかと思っています。
それから、一時保護所の質的拡充ということについて指摘させていただいております。
それから、あと、一時保護機能の充実というところで、平田委員からも話があったように、もっと児童養護施設や乳児院の一時保護委託という部分を促進してもいいのではないかと思っていますので、幾つか今回の提案書に書いておりますので、こういうことを参考にしながら、施設で一時保護委託機能を充実させるような方向を今後、日本でも考えていくべきなのではないかと思っています。
以上であります。
○松原委員長 ありがとうございました。
それでは、事務局から説明と提案がございました。
それから、今、各委員からのプレゼンテーションがございました。
質疑応答を始めたいと思います。
どうぞ御自由に御発言をお願いいたします。
磯谷委員、お願いします。
○磯谷委員 磯谷です。
特に、児童相談所の方にお尋ねしたいのですけれども、従来から一時保護に関して言われている論点として、1つは教育を受ける権利が事実上損なわれているのではないかという問題があります。
それからもう一つは、いわゆる混合収容といって、非行のお子さんも、虐待を受けたお子さんも一緒に収容しているというところも以前から指摘されているところです。
先ほどのお話を伺う限り、特段その点については触れられていなかったようですけれども、何かその点については御意見なり、御提案などはありますでしょうか。
○松原委員長 お二方、いかがでしょう。
○辰田委員 児童相談所の辰田です。
お手元のほうに配った資料3の私のページの3枚目の後ろ、ちょっと時間がなかったので触れなかったのですが、一時保護をしている子どもの学習の機会の保障というところです。
一時保護児童の平均所在日数は増加傾向で通学ができない期間が長期化していると。こういう行動の学習のおくれ自体は子どもの将来にやはり大きな影響を及ぼすというところです。
都の場合、その中で、教員の免許、資格を持っている方を配置はしてるのですが、やはり、年齢の幅の広い中で、その子に合った教育の保障ができているかというと、なかなか不十分です。
公教育の導入というまでは難しいかもしれませんけれども、教育委員会から、教員を派遣していただくだとか、そういったことも考えなければならないのかなと思っています。
ただ、実際、通学という話になってしまうと、虐待を受けた子どもたちもいますし、その子を保護所から通える学校に在籍している学校があるかというと、そこはなかなか難しいですので、せめて教員免許の方、実際に教育現場に立たれている方にやっていただく。それでその教員の人がまた学校に戻ると、一時保護所のことも理解をしていただけるので、メリットも多分にあると考えております。
あと、混合処遇のところです。確かに虐待を受けた子ども、また非行の子どもたちと中で生活にはなかなか厳しい部分はあります。では、そこを非行だけの子ども、虐待だけの子どもと分けて、では、その保護所ごとの定数がまた生じてしまう。そうなると、迅速な受け入れが難しくなるので、どういった方法がいいのかということの悩みはあります。
○菅野委員 滋賀県の菅野です。
教育を受ける権利のことは、ずっとやはり議論になっていて、うちの場合、12名というわずか小さい一時保護所ですけれども、一応、午前中、学校に行っている子どもたちに関しては、学習室で教員免許を持っている嘱託の人が勉強を見てくれています。学校のほうからプリントとか、今、どんなことをやっているのかという情報をもらって、とりあえずそこで勉強する。ただ、いわゆる教育を受ける権利を保障するというところではなくて、やはり少し勉強するという時間を持つという感じになります。
混合処遇に関しては、本当にこれは悩ましいです。うちの場合、2人部屋なのですね。6室しかありません。身柄付きで非行の子どもを警察からあずかった場合、ほかの子と一緒にできないので、そこで1室とってしまうみたいなことになります。それこそ兄弟4人で来ているから、ごめんということで、寝るときだけ、これはだめなことなのかもしれませんけれども、4人一部屋で寝てもらうようなやりくりをやっています。先ほど、施設からもお話がありましたように、一時保護委託でしのぐことになります。うちの場合、里親さんに委託するとか、ファミリーホームさんに委託するみたいなところまで現実問題として起きています。
だから、なるべく混合で問題にならないようにとは頑張るのですけれども、やはりちょっと限界があるというのは実情です。
○松原委員長 磯谷委員、お願いします。
○磯谷委員 ありがとうございます。
今、少しお話が出たように、1つの解決策としては、一時保護委託ということになるのかと思っていますが、一方で、一時保護をしている間というのは、やはり、調査、特にお子さんの行動観察であるとか、さまざまな調査をするわけですね。現実に児童相談所からご覧になって、例えば児童を乳児院であるとか、里親さんなどに、一時保護委託をした場合の調査と、児童相談所の一時保護所に保護している場合の調査と、やはり差があるものなのか、それとも実際は例えば乳児院にお願いしても、それなりにきちんと調査できており、特に支障を感じておられないのか、このあたりの実態はどうなのでしょうか。
○辰田委員 特に、虐待を受けた子どもたちの調査という話になるかと思いますが、まず、子どもの安全安心は、やはり児童相談所の一時保護所の管理のもとで、行動診断を的確に行うということが必要だと思っております。
例えば、これが施設ですと、その施設も入所している子どもと一時保護をしているところを分けているわけではないのです。やはり生活の日課の中で一緒にいますので、目が行き届かない、きっちり行動診断というのはなかなか厳しいかと思っております。
○菅野委員 菅野です。
例えば、乳児院さんなどですと、赤ちゃんの様子をよく見てどんなケアを受けてきたのか、どんなかかわりがあったのかというのは、子どもの様子から、専門的なところで見立ててもらえるかなということもあります。
養護施設さんのほうに一時保護委託すると確かに出会える機会も少なくなります。子どもから話を聞かなければいけないというところで、ある一定期間、一時保護をして、少し生活が落ち着いたところで、一時保護所は次の子を受け入れなければいけないので、一時保護委託に切りかえていくみたいな感じですね。
だから、ケースケースの見立てに応じて、できるだけ調査がスムーズに進むようにという形では考えます。そのとおりなかなかうまいこといきませんけれども、一応、頭の中にはそういうことを置いて対応しています。
○松原委員長 よろしいですか。
関連して、里親への委託充実ということで、よく里親さんへの一時保護委託ということが話題に出るのですが、御意見ありますか。
どうぞ。
○木ノ内委員 全国里親会の木ノ内です。
今も里親のお話が何件が出ましたけれども、平成21年からですかね。里親手当が一時保護の場合でも日割計算で出るようになったし、いろいろな場面で一時保護を里親が受けているケースが最近では見られます。
そういう意味では、里親を一時保護の資源として見ていただくというようなことは、随分考えられるのだろうと思うのですが、例えば、最近、大阪市ですか、一時保護を里親だけではなくて、一般家庭にお願いしたということがあります。
そういうことからすると、一般家庭で一時保護の子どもを受けて、その後、里親になっていくというようなこともあったりしまして、おもしろいケースだなと見ておりますけれども、それともう一つ、校区里親、制度にはなっていないのですけれども、小学校であるとか、中学校の校区単位で里親を開拓して、そこでしたら、学校に行けますから、もちろん虐待と身の危険が及ぶようであれば、そういった一時保護はできませんので、一時保護をする子どものうち重篤でないケース、可能なケースであれば、その地域にそのままいていただいて、学校へ通えると、そういう校区里親というものを、今後、しっかりやっていきたいなと思っているのですけれども、そういうことと、それから一時保護の可能な里親の開拓ですね。余り長期に預かるということになると負担が大きいということもありますので、非常に短期で一時保護に絞ったような、そういった資源開拓というものをしてはどうかと思いました。
○松原委員長 ありがとうございます。
このことに関して、児童相談所側は何かコメントございますか。
○辰田委員 八王子児童相談所の辰田です。
里親側の一時保護委託につきましては、養育困難だとかをよく一時保護委託しています。そういう中で、学校にも通えるような形でやっています。
ただ、虐待での職権での一時保護ということになりますと、やはり子どももどういった特徴をお持ちなのかもわからない。またそこで里親さんに一時保護委託をかけて、その後、例えば在宅ケースになった場合、当然その子どもが実はこの家庭にいたよという話になってしまうと、そこの里親さんの家庭の安全というものも保障できない場合もありますので、どうしてもそこは慎重にならざるを得ない。なかなか児童相談所として一時保護委託先に選ぶことはできないという状況はあります。
○木ノ内委員 そういう意味で言うと、一時保護の子どものケースを見て、これはそういうことから言えば、一時保護所が満杯だということですけれども、問題のある虐待だとかというケースに絞って、問題のない一時保護というのは言えませんけれども、そういった一般家庭を活用するとか、より地域に開かれた一時保護という可能性を探っていただければと思いますね。
○辰田委員 本当にそこは十分にうちの管内の里親でもやっていただいています。
また、短期をやることによって、また自信をつけて、長期の委託につながっていくという御家庭もあります。
○松原委員長 ありがとうございました。
もう一点、今までのお話の中で、この児童福祉施設側での一時保護ということで、平田委員がおっしゃっていたのですけれども、乳児院の定員との関係で、一時保護委託のことを補足していただいて、同様に武藤委員も児童養護施設の定員との関係で、一時保護委託をどう考えるかをお話しいただきたいと思います。
○平田委員 児童福祉施設は、乖差10%の暫定定員が設けられています。計算式は幾つかあるのですが、乳児は乳児院でないと一時保護ができないということで、児童相談所は、乳児院が満床になることを避けたい、1名枠は残しておきたい旨の要望は受けます。暫定と入所定員の兼ね合いが難しいことが現場には起きていると思います。現場では、私も「緊急は受ける」を大前提で仕事をしていますので、一時保護委託の枠は課題ですが、今回の共通ダイヤル3桁が出たときに、この夜間緊急保護や一時保護等がふえるのではないかとちょっと心配していたりはします。
○松原委員長 武藤委員、お願いします。
○武藤委員 児童養護施設は都市部と地方では定員に対する充足率は結構違っているという状況になっています。
都市部などでは、もうほぼ100%近く入っているということなので、その上、一時保護というのはなかなか難しいということになります。
今、平田委員から話があったように、児童養護施設は、今、90%が乖差というか、暫定定員が引かれているのですけれども、これは地方からの要望としては、それから東京などもそうなのですけれども、もう少し定員に対する暫定定員について弾力的な運用をしていいのではないかと思います。
一時保護というのは、先ほど私が話したように、いつ入所してくるかわからないし、いつでも来てもいいよという状況をつくっておく必要があると思います。
したがって、常に定員オーバーではなくて、理想からすると80%ぐらいでやれるという状態をつくっておかなければいけないと思うのですね。そういった定員の設定の仕方ということをもう少し現場も工夫しなければいけないし、行政とそこのところは協働しながら進めていくということが必要なのではないかと思っています。
○松原委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。
どうぞ、平井委員。
○平井委員 平井でございます。
自立援助ホームと児童家庭支援センターの立場で参加させていただいておりますので、まず、自立援助ホームの件で、自立援助ホーム、何回も私は言っているのですけれども、自立援助ホームは平成21年の改正で、措置制度になって、それで、今、18を超えて20歳未満まで、一応措置が可能になりました。
もちろん、ですから、今まで18歳、児相が18歳で一応一時保護ができますよね。もちろん自立援助ホームも一時保護委託ということで、18歳までは可能なのですが、18歳をちょっとでも超えていると、一時保護委託はもちろんできない、一時保護もできない、やはり女の子でも、18歳を超えて性虐待とかいろいろあるわけなのですね。一時的にやはり一時保護をしていただいて、やはり調査とか、家庭状況もちゃんと確認してアセスメントを立ててやるというのがやはり必要かと思っております。
ですから、できるだけその年齢、あと済みません。児童相談所の運営指針の中にも、18歳を超えて自立援助ホームを出される対象者は、児相がケースを起こしてかかわるということもなっておりますので、その辺も含めて考えていただければいいのかと思っております。
あと児童家庭支援センターにつきましては、武藤委員の資料の中にもありましたように、ショートステイとか一時保護は可能なのですね。ただし、本体施設があれば可能なのですが、本体施設を離れているとか、やはり単独で児家センをやっているところなどは、やはり人と設備がないとだめなのですね。でも可能なのですよ。児家センの機能からいくと。
ですから、その辺をもうちょっと考えていただければと思っております。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、お願いします。
○ト蔵委員 ト蔵です。
ファミリーホームの立場から少し現状についてお話ししたいと思います。
ファミリーホームは、5人、6人ということで、定員があるわけなのですけれども、ファミリーホームの一時保護委託についても、地域によってかなり差があるのが現状です。
一部の、多分、一時保護所が満床に近いところでは、ファミリーホームについて、一時保護のために空きをつくっておくと。いつでも困ったときにそこに入れられるようにということでやっている、そういった形で利用されているファミリーホームは、非常に少ないのですけれどもあります。
地域によっては、6人を超えて一時保護をしているようなところもありますし、ただ原則的に定員5、6人ということで、恐らく児童相談所としては、一時保護にファミリーホームを利用したいと思っても、定員のいっぱいのところには委託できないというような判断をしているところが多いのではないかと思います。
ただ、実際には、力のある方たちが多いので、本当に短期に限っては、その定員を超えても、一時的に一時保護として利用できるような形もしていくということも必要なのかと考えています。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
事務局のほうからは、資料の1で一時保護所の運営を、児童福祉施設等を運営する社会福祉法人等に委託することについてどうかということですが、このことに関して御意見がおありになれば。
どうぞ、草間委員。
○草間委員 一時保護所の運営を、児童福祉施設等を運営する社会福祉法人等に委託することは、一つの社会資源としては使えるだろうと思っています。
ただし、サービスの品質をどう担保していくのかというのは、大きな課題がありますけれども、いずれにしても、大都市部に相談件数が集中していると先ほどの報告にございました。つまり、一時保護所のニーズが高いところは大都市部に集中している。
その一方で、一時保護所はいつ起こるかわからないという、いわゆる不確実性があるという現状があるわけです。
これをどう面的にカバーしていくかというと、やはり広げていかなければいけないと思います。そのときに、公がやる場合には、先ほどあったように、地方交付税措置、算定基準に入れてもらうという仕掛けがないと、行政側にインセンティブが働かないと思います。一方、民間で今度お願いする場合には、措置費対応か何かでやっていかないと、これもまたインセンティブが働かないというものがあるだろうと思います。
この中で、例えば一時保護が30日を超えても短期なわけですね。高齢者介護でやっている登録ヘルパー制度は児童にも応用が利くのではないかと思います。人材をプールしておいて委託を受けて一時保護事業を実施する。公の場ではちょっと難しいかもしれませんが、民間がやった場合に、資格を持った方を登録し一時保護して頂く。ヘルプ、かかった分だけ費用弁償を行政でしていくやり方は検討に値するのではないかと思います。
つまり、ニーズに対する需給調整が登録ヘルパーであれば可能となります。事業開始当初はおそらく、なり手がいないことが予想されます。しかし、ニーズが高い都市部ということであれば、潜在的な雇用の範囲は広がると考えられます。常勤ではなく、登録型パートでやることによって、一時保護の量的な拡大を図っていくという制度設計はできないかと思います。
あともう一つ申し上げます。私は茨城県の児相のあり方委員会の委員をしたことがありますが、施設整備をPFI方式で実施したらどうかと提案したことがあります。何でも公金で施設整備するのではなくて、民間資金を上手く活用してやっていくことも考えられます。PFIに参画する民間は、リース料で建築費を回収していきます。PFI方式による施設整備という手法もあるのではないかと思っています。
もう一つ付け加えます。最近、地方創生と言われていますが、地方や過疎化地域では空き教室が出てきています。つまり、廃校あるいは使われない公の施設、これをどう使うかというストックマネジメントの考えからいくと、極端に言うと都市部になくてもいいわけです。例えば、都内ですと、三多摩地域とか、あるいは町田とか、いわゆる団地が開発されて民間や公の施設が余り未使用となっている施設を一時保護所の場所に活用するということもできるのではないかと思います。
つまり、ストック(アセット)マネジメントの感覚でやっていくというのが対応できるのではないかと。ちょっとまとまりませんけれども、そんなふうに感じます。
○松原委員長 ありがとうございます。
菅野委員、お願いします。
○菅野委員 済みません。菅野です。
今、これもぶっちゃけた話になりますけれども、現実的に言うと、私が管理をしている枠の中にあるので、例えば、今、いっぱいだとしても、ここで2人保護しなければいけないとなったときに、ではうち、本館の職員にも居させるし、遊戯室でとりあえず今晩一晩しのぐという対応ができるのですね。1つの組織の中だから。それを委託したときに、果たしてそこまで緊急なところで無理が言えるかというところ、現実的には、形的にはきれいな形になるかもしれませんが、現実、本当にどろどろしたケースワークをしていく上では、ごめんと言って無理が言える機構というのも実はありがたいなというのが現実です。
○松原委員長 ほかにはいかがでしょう。
泉谷委員、お願いします。
○泉谷委員 泉谷でございます。
私はちょっと上の立場というか、女性の一時保護の事業にずっとかかわってきた点から、一時保護というのは、実は児童相談所の方々がおっしゃっていましたけれども、本当は目的でなくて手段、それも本来は最後の手段であるべきことというぐらい、子どもにとっても親にとっても危機的な状況にあるというところだと思うのですね。非常に一時保護とか、緊急対応をするというのは、児童相談所の職員さんにも力量が求められる非常に本来は一番難しい、最初の入り口をどう整理するかというところがきちんとできていて、最初の初期対応が本当にきちんとできていれば、その後の対応がとてもスムーズになっていく。変わっていくということを考えると、そこには本来、一番お金をかけて対応しなければいけないところなのかなと思います。
そういったときに、確かに一時保護の件数が上がっているのは、都市部が非常に多いと思いますし、都市部では本当に児童施設、福祉施設の方たちでも先駆的にいろいろ取り組みをされていらっしゃる方がいらっしゃるかと思いますので、そういったところが公的な機関と一緒になってどういう形でやっていくのかというのを検討するのが1つの手段かもしれませんけれども、やはりその一番初めのところを誰が責任を持ってやるのかということは、多分、児童相談所の方は絶対外せない部分で、公的な責任をどこに置いていくかということは、外せないことなのかなと思うので、そこを含めて、やはり委託ということを考えていったり、また委託をするのであれば、委託だけではなくて、一時保護所もそうだと思いますけれども、もっとそこに人をかけていかないと、本来、一時保護所だけではないですね。児童相談所の職員さんも本来はもっと人が必要なくらいだと思いますので、そこをどう解決していくかということを考えずに委託だけを考えていくというのは、ちょっと危険かなと思います。
以上です。
○松原委員長 草間委員、手短にお願いします。
○草間委員 多分、おっしゃるとおりなのです。その中で、例えば緊急性の高いとか、DV等の場合には、これは児相で対応した方がいいと思います。
その一方で、家庭養育が期待できなく施設養護と判断される場合には、これは施設とかが対応できますので、そういう仕分けみたいなものも検討する余地があると思います。
○松原委員長 ありがとうございます。
少し先に進みたいと思いますので、課題の(2)につきまして、まず、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○大隈家庭福祉課長 事務局の家庭福祉課長の大隈です。
資料1に戻っていただきまして、3ページでございます。
課題(2)は「親子関係再構築支援のための取組」ということで、「児童相談所と施設、児童家庭支援センターの役割と機能」についてでございます。
これもこの資料左側の現状は、前回、第6回委員会資料と同じでございますけれども、現在、児童相談所、施設、児家センにおいて、親子関係再構築の支援を行っております。
施設におきましては、ファミリーソーシャルワーカー配置の義務化、それから心理療法担当職員の配置を行っております。
また、平成24年3月に施設種別ごとの運営指針、里親養育指針を定めて、その中で家族への支援について規定をしております。
また、25年3月に施設種別ごとの親子関係再構築支援事例集を作成し、26年3月にはガイドラインを策定するなど、親子再構築支援の充実を図っているところでございます。
また、児童家庭支援センターにおいても、親子関係再構築支援を行うことが可能となっております。
児童相談所と施設が連携して、親子関係の調整を行う必要があるところでございますけれども、児童相談所においては、虐待の初期対応等に時間がとられるため、十分な対応ができていない場合がございます。
それから、入所児童は、必ずしも家庭復帰できる児童だけではないというような状況がございます。
また、児童家庭支援センターは、設置していない自治体が69自治体のうち22自治体あるというのが現状でございます。
右側でございますが、事務局として考えた課題でございます。
1つ目は、親子関係再構築を効果的に実施するための技術や手法の向上についてどのように進めていくか。
2つ目は、親子関係再構築支援について、児童相談所の役割、児童養護施設等施設の役割、児童家庭支援センターの役割をどう考えるか。
3つ目として、親子関係再構築支援を行ったが、家庭復帰の見込みが立たない、または長期間家庭復帰できない児童に対する支援をどう考えるか。
例えば、原則里親委託またはファミリーホームへの委託とすることについて、どのように考えるか。
4つ目として、里親やファミリーホームに委託されている児童に係る親子関係再構築をどう考えるかということで、事務局として掲げさせていただいております。
課題(1)と同様に、この後、プレゼンテーションをいただく中では、これに限らず、幅広く御提言いただければと思います。
○松原委員長 ありがとうございました。
同じように、事務局の説明に対する御意見は後ほど伺うとして、今、この時点で確認しておきたいことはございますか。
よろしいですか。
それでは、各委員からまたプレゼンテーションをいただきたいと思いますが、今回は菅野委員からスタートでよろしいですね。お願いいたします。
○菅野委員 菅野です。
課題(2)のところで資料をご覧ください。
私自身は、今、説明がありました親子関係再構築支援ガイドラインの策定のところで、一緒に研究に参加させてもらいました。
その関係で、資料として表を幾つかつけています。本当はA3にしなければいけないのがA4で見にくくなっているのですが、いろいろと複雑に対応していく必要がある。児童相談所と施設がどうかかわっているのか、児童相談所がどんな仕事をしているのかもそこに入れました。
大まかに見ていただくと、これだけのことをやっていかなければいけないのだというところを御理解いただけたらと思います。
それから、最後のところにフロー図という形で、施設に入った子どもたちに関して、こんなことを気にしながらやっていかなければいけないのだとしてこのようなガイドラインの中に載せられているものです。
基本的に、親子関係をどうしていくのかというところは、単に分離された親子だけではなくて、在宅の親子にも関係するということで、資料の1ページ目の真ん中あたりに、どんな種類があるのかというのを挙げさせていただきました。ちなみに、うちのような小さい児童相談所でも、15~20ケース程度、家庭復帰の支援をしています。
フローチャートになっているこの大きいものですね、カラー刷りのものを見てもらいますとわかりますように、本当にいろいろなことをしていかなければなりません。
ただ、全国児童相談所はまちまちでして、虐待対応の専管組織を持っているのが半分ぐらいですね。それから、こういう再統合とか、家族支援というところを専門に持っているというのは、2割ぐらいです。私自身も再統合をやっていましたが、1人で、担当のケースワーカー、担当の心理と一緒に親面接をしたりとか、コーディネートをするという形で、とても専管組織という形ではなかなか対応できていなかったのが現実です。
どんなことをしていくのかというのが、次のページの「親子関係再構築のプロセス」というところに書かせていただきました。
基本的に、治療的なかかわりということになります、子ども自身の成長の支援と親御さんたちの習性、パーソナリティー、養育力とか、いろいろなところにアプローチをしていかなければならないのです。中身が複雑ですし、量的にも多く、専門性も必要です。そのためのソーシャルワーク技法であるとか、プログラムであるとか、いろいろなものを挙げさせていただきました。これを使いこなしていく、習熟していくことが必要になります。
これらのものというのは、実際、使うためにトレーナーとして養成講座を受ける、それの受講料も必要になりますし、もちろん数をこなしていかないと使いこなせないということがあります。現実問題として「支援と管理のバランス」というところに書かせていただきました。
家族が抱える問題・課題を解決しないことには、虐待の再発の可能性があり、家庭復帰はできないとする管理的な立場。理想的にはこうなります。ただ、現実的に、現場的に言いますと、リスクが子どもの発達上のニーズに極端に妨げないようなプラン、要するに保護者にできなかったら、支援者がニーズ保障をするというプランをつくって支援をしつつ、モニタリングしていって、子どもの発達保障をしていくのがまず一番で、家族問題の解決とか、保護者の成長というのは、その次になるという、実際、現実的に対応していくとこうなります。
社会が最後まで責任を持てないと書いたのは、結局、18歳まで、今、里親さんとか、ファミリーホームさんとか、施設さんのところで、自立支援というところがやはり大きなテーマにはなっています。
最後まで、いわゆる社会制度で面倒を見れないですね。20歳以降、30歳とか、社会で安定できる状況になるまで、やはり支え切れないというところでもあると思います。虐待対応はダーティーソリューションだと言われます。そんなクリーンな解決というのはなかなかない状況で対応しているというところです。
ちなみに、社会的養護の状況で、一番最初のところに戻っていただきますと、滋賀県の状況です。
先ほどからファミリーホームさんとか、里親さんという話をしましたが、滋賀県は残念ながら児童養護施設の数も少ないです。乳児院も1園しかありません。空きがないです。
必然的に里親さんとか、ファミリーホームさんに頼るということがあります。
ですから、里親委託率は高いです。これは、分母が小さいということの結果であるというところで、在宅でかなり困難なケースを支援してもらっているという現実もあります。
統計とか数字に見えないものというのもあるというところをちょっとお知らせしたくて、こういう数字を挙げさせていただきました。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
では、引き続き、辰田委員、お願いいたします。
○辰田委員 お手元のほうの資料をご覧になっていただければと思います。
まず、都における「児童福祉施設の状況」です。児童養護施設の入所状況は、都においてこの10年間、各年度末には95%を超える高い数値で推移しております。
入所する子どもは、その虐待により心に深い傷を受け、情緒的な課題を抱えるなど、支援の難しい子どもが増加しており、個別的なケアを必要とする子どもは平成18年度の約5割から、平成25年度には7割に増加しております。
また、乳児院におきましても、入所状況は同水準を推移しており、入所率はおおむね9割を超えております。入所理由は虐待によるものが約40%、家族の疾病・疾患が32%を占めており、近年は虐待を理由とする入所の増加傾向にあります。
当然、子どもたちを児童福祉施設に入所させて終わりということではなく、いかにまた家庭復帰、家族再統合を支援していくかということが問われております。
家族再統合を考えるに当たって、1つ施設などから保護者などの家庭に戻る家庭復帰支援、2つ目に、家庭に戻れない子どもを家庭的養護に受け入れる支援、3つ目にその際に家族との分離から現在に至るまでのプロセスを子ども自身が心の中で整理と理解ができるようにする支援という3つの視点で捉えていく必要があろうかと思っています。
家庭復帰に当たっては、保護者に対する支援が課題であり、虐待した保護者が自己の振り返りを行う児童相談所による保護者支援のプログラムの一層の活用や関係機関との連携、保護者支援を行うための児童相談所の体制強化が求められています。
具体的には、まずは子どもが入所している施設で行う親子宿泊による支援、そういったことで、親子関係の課題を整理し、それに基づく支援を施設とともに協働で行っていく。
2つ目に児童自立支援計画の策定において、子どもの年齢等に応じて、子どもの意見、または保護者の意向を聞き、その意見を反映させながら、家庭復帰計画を作成していく。その中で、生い立ちや施設入所の理由の整理、現在の自分の状況について理解をさせていくような支援が必要かと思っています。
3つ目に、その家庭復帰後の虐待の再発を防止するために、市区町村の子育て支援サービスを活用していくことが重要だと思っています。
ただ、取り組み状況は市区町村ごとに異なっており、活用すべき資源の整備状況が不十分な市区町村もあります。そこをどのようにまたそこを抜本的にまた支援・指導していくかということが必要かと思っています。
ただ、こういったコーディネートをしていかなければいけない福祉司なのですが、先ほどからのお話にあるとおり、虐待の初期対応、またはその在宅ケースの対応で、なかなか施設に入っている子どもにまだまだ手が回っていないという状況があります。
そういうためには、やはり人員の体制というのが課題と思っております。
3つ目に「児童心理司の業務内容と配置基準」です。児童心理司さんはさまざまなケースのアセスメント、ケア、コンサルテーションの部分で重要な役目を担っております。
保護者対応、関係者会議にも心理司の子どもや保護者の心理的な面の所見を説明することによって、ケースワークもより専門的かつスムーズに運ぶことができます。
今やその児童心理司の業務は従来担ってきた育成相談や療育手帳の判定だけではなく、増加する虐待への対応や、虐待をした保護者へのカウンセリング、家族再統合などなどの要となっています。
児童心理司の配置基準を児童福祉司と同様に、児童福祉法の施行令においても、明確に定めていくことが必要かと思っています。
そして4つ目に「PCIT、CAREの有効性」です。
最近、児童相談所におきましても、他の治療的介入に抵抗する養育者でも、そのトランシーバーを介した助言を受け入れやすく、PCITの効果が顕著にあらわれてきております。
児童相談所にこれをどのように広げていくのか、その人手や時間、またその場所を要する治療法であるため、なかなか課題を抱えておりますが、さらに取り組みを進めていく、または場合によっては、民間の活用も含めた取り組みを考えていかなければならないと思っております。
最後に「保護者指導への司法等の関与」です。全ての保護者が虐待した保護者が児童相談所で指導に乗っているとは正直言えていません。児童相談所が強制的に介入し、実施した場合には、将来の家族再統合に向けた援助活動に支障を来しております。保護者指導に保護者が応じない場合、裁判所から保護者への勧告等がなされ、保護者指導の動機づけや実効性を高める仕組みの検討が必要だと思っております。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、平田委員のほうからお願いいたします。
○平田委員 一時保護と同様、まず「乳児院運営ハンドブック」の中に書かれている親子再構築支援の部分です。このハンドブックには、実際、全国の乳児院から事例を集めて掲載していますので、現状をおわかりいただけるかと思ってこれを出しました。
乳児院は、本来、家庭復帰率の高い施設で、この親子関係の再構築という支援については、長い歴史を持っていると思います。
加えて、1999年に家庭支援専門相談員を配置していただいて、この親子支援を専門に行える職員ができたことで、実際はもっとたくさんこの職員がいてくれるとありがたいと思うのですが、より児童相談所との連携等で動けるようになったかなと思います。社会的養護の課題と将来像でも、早期家庭復帰を視野に入れた保護者支援、アフターケア機能がついています。
それでは、最後のページを開いていただいて、この乳児院の家庭復帰率、平成元年のころは70%から80%という数値を示しておりました。25年度の調査では復帰率が50%と落ちています。1つは里親への委託率が増えている傾向があることも確かですし、後でその点には少し紹介をさせていただきます。
早期の家庭復帰が、「社会的養護の課題と将来像」で示されたのは、乳児院の在所期間が、1カ月未満で13%、6カ月未満を含めたら34%。大体1年未満で50%というような在所期間の数値になっているからです。
それに、入所理由が新規の入所児童の2,159人中、虐待が35%、顕著に増えており、次に精神疾患を持つ保護者の入所の増加です。里親委託への動きが高まったこともあり、よりこの精神疾患を抱えた御家族の入所を受けることが多くなったように感じております。
それに加えて、子どもさんの心身の状況が非常に重たくなってきました。以前、平成の初めのころは、健全が80%ぐらいで元気なお子さんをお預かりしておりましたが、今は何らかの病気、障害をお持ちのお子さんをお預かりするようになりました。
それで、この家庭再構築支援という部分での現状と課題ということを考えたときに、入所前にきちんとアセスメントと説明をし、その道筋を立てた上で家族支援に取り組むということでなければ、なかなかうまくいかないなと感じています。一時保護のところでも申しましたように、保護者の意向、子どもの状態を含めた児童相談所との協議というのが必要なのですが、とりあえず一時保護をやった後に措置変更となったり、援助指針においても入所期間未定というケースが非常に多くあります。それは、保護者の方の不確かな状況もあるのですが、入所後どのような形で親御さんとの関係をつくるのか、子どもとの関係支援をしていくのかが曖昧なままになっていくという現状があります。
家庭復帰率の低下については、先ほど言いました保護者の状況、子どもの育てにくさによるところも多くあると思います。
乳児院は面会の多く保護者との接点も非常に多いところなので、方向性がきちんとついた上での支援は可能だと思います。頻回な面会において、保護者の気分障害等にも相談員がつき合います。私の施設の事例では、おうちはごみ屋敷的な環境のお母さんに、子どもに出会うときにどういうことが必要なのかをお話しして、面会前にお風呂に入っていただき、着替えていただいた後に子どもに面会し、育児の練習をしていただくというようなことも結構あります。
それに、子どものアセスメントの結果、保護者とのいい関係ができたお子さんであれば、それを継続してお母さんたちとの関係をつないでいきます。全くそれができていない場合は、養育者との間に関係をつくり保護者につなぐという、全く別のプログラムになりますので、この入口のアセスメントというか方向性がとても必要だと思います。
また、家庭引取後に保護者は、24時間365日の単体家族での養育になるというところに非常に不安をお持ちになることが多いのです。このアフターケアというのが非常に大事だなと思いますし、行政とかあらゆる支援を申請できること。困ったときに、誰かに助けを求められるというところまでを設定した家庭復帰のプログラムが必要だと思います。そのためにも地域等さまざまな機関との連携を入口と出口ではきちんと行えることがとても重要だと感じております。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、武藤委員、お願いいたします。
○武藤委員 では、提出資料を見ながらお聞きください。
先ほど、一時保護のところでもお話ししたように、この家庭関係の調整というのですか、親子関係の調整の制度的位置づけそのものが弱いと思っております。
児童福祉法上もそうですし、今回、施設最低基準が施設及び運営の基準という形で、都道府県の条例化をした中においても、保護者との連絡というような位置づけをされているだけで、児童養護施設は児童福祉法41条にその目的が位置付けられていますが家庭の支援だとか、親子関係調整をするというような目的が入っていないのです。
いずれにせよ、今すぐ法律改正をするということにはなかなか難しいかもしれないのですけれども、次の法律改正をするときに改正をするべきだと思います。各社会的養護の分野において、保護者のいない児童というのは、本当にごく少数ということになってきておりますので、ほとんどの入所児童には親が存在します。それを調整するのが児童養護施設等の主な機能ですよということを、法律等々にしっかり盛り込むということが必要なのではないかということを提案させていただきたいと思っております。
それから、親子関係調整を主務とする家庭支援専門相談員についてですが、これは以前、配置されていなかったのですけれども、配置をされて、平成23年度からは、最低基準の中に盛り込まれました。施設で親子関係調整を主務とするという役割を位置づけたのですけれども、これも施設や地域によって、その役割や実践において格差や不徹底が生じている可能性があると思っております。
本来、勤務のローテーションに入らずに、家庭支援専門を専門的にやらなければいけないのですけれども、場合によっては保育士、指導員と同じような業務になってしまっているという可能性があるものですから、保育士、指導員の配置が必要であれば今回の職員の配置基準の改正をしたように、保育士、指導員をしっかり配置していくという方向で進め、家庭支援専門相談員が、この親子関係を施設で専門的にやるということを、もっと徹底したほうがいいのではないかと思っております。
これについては、多分、施設側からも、いや、それは困るという意見は出てくるかもしれません。でも、あえて、今回、言わせていただいているのは、本当に児童養護施設等で親子関係を調整するということであれば、この家庭支援専門相談員の役割をもっと明確にして、積極的に推進できるような施策を展開するべきだと思います。ここにも書かせていただきましたが、資質の向上だとか、研修の充実だとか、そういうこともしながら、徹底して家庭支援専門相談員が、家庭支援をできるシステムをやはりつくっていくべきなのではないかと思っています。
次のページにも書いていますけれども、それであれば、例えば150名定員の施設でも1人しか家庭支援専門相談員が配置されていません。30名定員の施設でも1人ということで、必要とする家庭支援のニーズにマッチしていないということになりますので、先ほど児童相談所の福祉司の配置基準ではありませんけれども、やはり児童数だとか、家庭数に応じた家庭支援専門相談員の配置という部分が絶対的に必要だと思います。
これは予算がないとなかなか難しいということになるのですけれども、以前は家庭支援を児童相談所が中心的にやっていたのですが、今は児童相談所と施設が協力しながらやっているのですけれども、これからは施設が積極的に親の支援をした方が効果的だと思われるので、そういう方向に持っていくということは必要なのではないかということで、今回、提案をさせていただいています。
それから児童家庭支援センターなのですけれども、これも将来的には児童養護施設や乳児院に標準装備をするということで、全ての施設に配置するような方向を出したのですけれども、まだその進捗状況が非常に遅れているということであります。
ですので、具体的に言いますと、国のほうで児童家庭支援センター促進のワーキングチーム等々をつくって、なぜ設置が遅れているのかと。どうすれば、設置が進むのかということについて、もう少し具体的な対策を打たないと、このまま目標立てしても、目標倒れに終わってしまうということになってくると思いますので、そういう具体的な推進策をぜひ国としても検討していただきたいと思っております。
そのほか、児童相談所と施設との連携強化の問題についてですが、これは今まで確認をされてきたことを書いておりますので、ぜひ見ていただきたい。
最後のページに入れていますけれども「要保護児童対策地域協議会」、いわゆる「要対協」の活発化というのですか、これももっと具体的にやっていかないと、各区市町村ごとに積極的に進んでいるところとそうでないところの格差が生じていると思いますので、そこへの手立てというのですか、それをやっていく必要があるのではないかなと思っております。
あとは、全部話していると時間がないので、目を通していただければと思います。
以上であります。
○松原委員長 ありがとうございました。
それでは、平井委員からお願いいたします。
○平井委員 平井でございます。
児童家庭支援センターのほうから、児童家庭支援センターの役割とそこから見た親子支援ということで、簡単な資料をつけさせていただきました。
「児童家庭支援センターの位置付け」と最初に書いてありますが、法的にはそこに書いてあるとおりで、一応、児童家庭支援センターも創設されてから18年が経過しております。
平成21年から一部内容というか、目的が一部ちょっと変わったというのが、専門的な知識及び技術を必要とするものに応じるということと、市町村の求めに応じ、技術的助言その他必要な助言を行うということ。
この26条第1項とか、そのあたりは児相からの指導委託ということで、あらゆる関係している機関と連携調整を行って、総合的な支援、援助を行うということが一応目的となっているわけです。
当初は、児童相談所の補完的役割の拠点として一応制度化されたということで進んでまいりましたが、現在は本当に子ども・子育て関係から、もちろん家庭支援、世帯支援というような幅広い支援を行えるという、本当に変わった言い方で言いますと、何でも屋というような感じで動ける拠点となって、それぞれ全国で活動している状況でございます。
一応、児童家庭支援センターの実施要綱による、そこに書いてある「事業内容(役割)」という5本の柱があるのですが、これは一応標準的な事業内容でございます。
まず、1が「地域・家庭からの相談に応ずる事業」。2番目が「市町村からの求めに応ずる事業」。3番目が「都道府県または児童相談所からの受託による指導」これはいわゆる先ほど申しました指導委託です。4番目が「里親・ファミリーホームへの支援」これも加わってきました。5番目が「関係機関等との連携連絡調整」ということ。これは5本の柱が一応標準的な業務となっております。
それと、下に※印で書いております児童養護施設等施設入所には至らない段階で、家庭に対する専門性の高い支援ということ。それと、施設退所後の家族再統合への支援や見守り、このあたりも一応親子支援ということにかかわってくると思います。
あと、アフターケアとか、施設にかわって行う必要がある場合は、継続的な支援が必要な児童と家庭について、委託を受けて支援を行うというようなことも書かれております。
現在、児童家庭支援センター、全国でまだ105カ所なのですね。それでなかなかちょっと伸び悩んでいると先ほど武藤委員からもありましたが、一応、基本的には在宅の子どもは保護者の虐待等に関する相談支援体制を強化するために設置促進はされているわけなのですけれども、それで、一応、地域での要というような感じで、虐待予防等にもかかわっているわけです。
後からも話をしますが、なかなか国の補助基準がわずか年間920万円と、これだけの経費でなかなかこれだけのまず5本の柱もなかなかやれないと。それに加えて、やはりそういう虐待の予防の要である以上は、児童家庭支援センターの職員、本当にボランティア的な業務を行っているということになるわけです。
あと、太字で書いています「児童家庭支援センターとして行える親子支援・親子調整」ということで、できる限り少人数でできる限りのことを行っているわけですが、児童家庭支援センターとしてできることは、もちろんそこに書いてある総合的な子育て支援を行っていますので、これが親子支援につながる、イコール虐待予防につながっているというのが一番大きなところでございます。
それと、一時保護とか施設入所に至る以前のケースへのかかわり、それと世帯支援ということで、児童家庭支援センターの場合は、電話相談とか、訪問相談、来所相談といろいろあるわけですが、その相談からその支援にかかわっていく、そこで保護とか施設入所に至る以前の段階で一応、家庭調整や親子調整というものが何らかの形でできると。それと施設を退所後の見守りと親子関係調整、継続的な親子支援という部分では、子どもが施設を退所して、家庭復帰した。でも、やや、やはり不安な部分がある。そういったところについて、児童家庭支援センターの職員が見守りと継続的な支援を行えるという利点がございます。
それとあとは要対協ですね。要対協における家庭訪問とそういったことでの支援ができる。ただ、要対協の場合は、なかなかこの辺の理解が厳しいというか、難しいというか、児家センとしても中には入っていくわけなのですけれども、要対協としては、代表者会議には呼んでいただけるのですが、実務者レベルとか、ケース会議にはなかなか呼んでいただけない。そういったちょっと厳しいところがございます。
この辺も何とか、全国を挙げて改善の余地があるのではなかろうかと思っています。
あと、児童相談所からの在宅指導委託、これらも児相と連携をとりながら、在宅のケースで必要があれば指導委託ということでかかわるわけですが、これもなかなか後でアンケート調査にも出てきますけれども、児相となかなかうまくいっていない。ですから、児童家庭支援センターは指導委託はできるのですけれども、なかなか件数が伸びてこないというのが現状でございます。
我々からしたら、この指導委託というのは、公的な委託ですので、一時保護委託と同様に、指導委託費をつけていただけないかということも要望しているところでございます。
あとは関係機関等からの調整以来に応じた親子支援ということで、これは医療機関とか保健所、福祉事務所、生活保護関係のところの部分、そういったところからの調整依頼に応じて、親子支援を行っているという、今、児童家庭支援センター、全国で動いている状況です。
最後になりましたが、ちょっと職員のアンケートということで、少し載せさせていただきました。
「強み」「弱み」ということでアンケートをとったのですが、強みのほうは児相とは違った柔軟な対応ができると。ですから、そういった必要な家庭をつなぐ、つなげる、つながるというようなことで、これを児童家庭支援センターとしては1つの柱としております。
地域における地域に合った対応ができる。これは本当に地域性ですね。そこの地域に合った対応が可能であると。あとは気軽に電話対応が可能と。それで、心理職員も一応非常勤ながらも置いていますので、さまざまなケースに多種多様な対応ができるということです。
あと情報の共有がなされやすい。
あと、厳しいながらも24時間の対応も可能ですと。
弱みの部分ですが、これは先ほど言ったように、いろいろな支援を行っているのですけれども、人も経費も足りないと。あとは数字だけ示しても認知度が上がってこないと。ある意味公的な業務を行っているのですけれども、位置づけの理解がしにくいと。児相と連携が余りうまくいかないと。
最後ですが、費用もなく、雇用形態が難しいため、設置が進まない、認知度がないというようなところが、これが児童家庭支援センターの職員からのアンケート調査を載せさせていただきました。
以上でございます。
長くなりました。済みません。
○松原委員長 ありがとうございます。
ただいまの各委員のプレゼン、それから事務局からの説明について、先ほどと同様に御意見・御質問を受けたいと思います。どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。
泉谷委員、お願いします。
○泉谷委員 泉谷でございます。
今、家族再統合とか、家庭復帰ということを念頭に置いて、児童相談所と児童家庭支援センター、それから施設がどうということのお話は出てきているかと思うのですけれども、もし、子どもが親元に帰って、地域に帰るのであれば、そこにやはり市町村も巻き込んでいかないと意味がないかと思います。
横浜市のほうは、18区市内にありますけれども、各区に1カ所児童家庭支援センターを、今、設置していく方向で多分動いていると思います。
よくいろいろお話を聞かせていただいているセンターさんのほうですと、児童相談所とももちろんですけれども、かなり区役所の子ども家庭支援のところといろいろネットワークを組んでやっているというようなお話も聞かせていただいていますので、やはりここの役割と機能のところに市町村も入れていくということは考えていらっしゃるのか、ちょっと厚労省のほうのお話を聞ければと思います。
○松原委員長 事務局のほう、いかがですか。
区市町村の基礎自治体の位置づけということです。
○大隈家庭福祉課長 地域に帰っていくということですので、今、資料などでは施設と児相と家族ということを中心で書かせていただいていますけれども、地域に戻っていくということであれば、当然、区市との連携調整も必要になってくると考えます。
○松原委員長 ありがとうございます。
前回のまとめをつくったときにも、要対協の機能強化が入っていて、それはイコール区市町村の対応力の向上ということにもつながるのではないのかと考えております。
ほかにいかがでしょうか。
お願いいたします。
○作本委員 作本です。
今、出た要対協の部分に関しては、市町村はやはり力を入れております。
当町も、子育て課と健康課が、行政として自治体がどうしていくかというところを、必ず要対協に協議の内容として出しております。
それともう一つ、妊娠、出産、育児、これを切れ目ない包括的なものにしていこうというところで、当町においても、必要なところにはヘルパーなどの配置をして保護していこうと。そして当町は小さい町ですので、母子手帳交付は保健師がしております。そこで、母子関係の構築を図ろうということで、これは子育て支援策にもつながっていると思いますが、母子関係のあり方というものをお母さんたちに伝えていくという予定にしております。
○松原委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。
どうぞ。菅野委員。
○菅野委員 菅野です。
もちろん、家庭復帰というときには、計画を立てる段階から、要対協のほうにも話を持って行きますし、受け入れの準備にあたって、家族の支援をしてもらわなければいけないですしね。先ほど言いましたように、家族問題が全て解決して、子どもたちが帰ってくるという状況ではありません。
ですから、子どもがいない状況から地域でサポートしてもらいながら、応援をしてもらいながら、子どもが帰ってきたときにも応援してもらえるような体制ということが基本になります。
ですから、その調整を再統合の担当のところでするのか、地域を担当するワーカーがするのか、児童相談所の仕事になるのか、施設の仕事になるのか、方向性はいろいろあると思います。基本は、地域での支援を受けつつ、だんだんその支援が減っていって、全く支援がなくなるというのがゴールという感じだと思います。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。
木ノ内委員、お願いします。
○木ノ内委員 木ノ内です。
幾つか言いたいことがあるのですけれども、一昨年、アメリカに行きまして、やはりアメリカの場合に、実親の課題改善、もちろんいろいろプログラムがあるわけですけれども、それができなければ何週間でしたか、養子縁組のほうに回っていく、アメリカの場合にはパーマネンシー、長期安定の養育ということを最善に考えているので実親のもとで暮らせなければ養子縁組だということなのですね。
実は里親もぐるぐる回るのはよくないということで、もう養子縁組に入っているので、そういったこれは実親に対する脅迫みたいになるのかもしれませんけれども、それぐらい厳しい態度というのが必要かと。それからもう一つは、親子分離と再統合と一つの児相でやっているという中で、私ども里親をやっていると、児相は嫌いという実親から里親に接見があったりということがあって、やはり司法の管理ということの提案がありましたけれども、やはり何かもっと公的にきちんと判断をして、何だということを言っていかないと難しいのかなと。
力のある里親ですと、実親の支援などもやったり、それから専門里親の役割の中には、家族調整に協力することとも入っているわけですけれども、その辺のところはほかの話には出てきていませんでしたけれども、2つのことを分離と統合ということをやっているのをもう少し合理的に説明できるようにしておくのが必要ではないのかなと思っています。
それから、里親から再統合で家族のもとへ帰る。それで、それがだめな場合もあるわけですね。そのときに、施設に措置される。子どもの養育の一貫性ということで言えば、里親から実親に行ったら、また里親に戻るべきではないかと思うのですけれども、なかなかそういうようなところがうまくいっていないかと思っています。
それから、再統合するということが前提で子どもを預かっているわけですけれども、なかなかそれが進まないと、里親としての養育計画がなかなか真剣に考えられないまま続いてしまうということで、この辺のところも非常に問題かなと思っております。
以上です。
○松原委員長 草間委員、お願いします。
○草間委員 草間です。
私のほうで2点お話ししたいと思っています。
1点目は、前回と同じになるのですけれども、要対協の活性化というのは、武藤委員のほうからありました。こちらについては二本立てで厚労省のほうでやられたらどうかと思います。1つは通知を出す。通知者は課長になるのか、局長になるのかわかりませんが。
もう一つは、それに基づいて、各都道府県で、市町村に対して説明会を持ってもらうことです。つまり、要対協をつくっていく働きかけをしていく。通知プラス各都道府県で説明会を開催していただくということです。
そうすることによって、周知が非常に図れるということになると思います。
2つ目が平田先生のところでありましたように家庭復帰率、復帰率の捉え方の有効性がちょっと変質しているという印象を受けました。家庭型復帰率というものもあっていいのではないかと思います。つまり、刑に服しているとか、精神疾患で長期のロングタームになってしまった場合に、その受け皿として家庭に近い形で養子とか里親があります。これを家庭型復帰率と捉えていいのではないかと思います。だから、家庭復帰率と家庭型復帰率という2つの捉え方で、家庭に近い形でケアを受けている捉え方をしていったほうが、今の実態に即しているのではないかという印象を持ちました。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
磯谷委員、お願いします。
○磯谷委員 3点ほどございます。
1つは、先ほど木ノ内委員のお話にも出たのだと理解していますけれども、また私も以前も申し上げましたが、児童相談所の介入機能と支援機能の分離という問題ですね。要するに、今、児童相談所はふたつの機能を併せ持っているのだけれども、以前も御説明したように、まさに親子関係の再構築の段階で介入をする人と支援をする人とが一緒になっていることでひずみが出てきて、客観的な判断ができない、引きずられるということが現に私も見てきましたし、ここはやはり極めて重要な部分だということをもう一回ここでお話をさせていただきます。
それから、2つ目は、辰田委員が最後のところで触れられた保護者指導への司法関与のところですけれども、これについては平成23年の民法改正のときにも、松原委員長も参加いただいて、随分議論をいたしました。端的に言って、裁判所が直接親に指導したところで、結局本当に聞いてもらえるのかというと何の保障もないという点が指摘され、その点は結局解決できなかったのですね。ですから、その点を解決しないまままた保護者指導への司法関与を主張しても、まず通らないだろうと思います。
むしろ、恐らく重要なのは、現在も例えば28条で子どもを入れている場合に、結局、2年後にはもう一回司法審査があるわけで、指導に従わなければ親としては結局子どもは戻ってこないという形になっていけば、恐らく同じような効果、つまり児童相談所の指導にきちんと乗らなかったら、結局、2年後も子どもは帰ってきませんよという、場合によってはいわゆるパーマネンシーになりますよという形がはっきりすれば、かなりお考えのところは達成できるのかと。
ただ、難しいのは要件の立て方ですね。指導に従わなかったこと自体を要件にしているわけではないので、そのあたりとの兼ね合いなのだろうと思います。
裁判所がそのあたりをかなり考慮してくれて要件の認定をしてくれれば非常にありがたいのですけれども、いずれにしても、ここは要件を少し何らかいじるのか、もうちょっと司法のほうの運用に期待をするのかというところかと思っています。
3つ目は、ちょっと厚労省のほうに質問です。先ほどからちらちらと養子縁組について出てきていますが、以前もちょっとお尋ねしたような気もするのですけれども、現段階で、養子縁組について、この活用について何か動きがおありなのかどうかというところをちょっとお聞かせいただければと思います。
○松原委員長 3点目は事務局のほう、いかがですか。
○大隈家庭福祉課長 養子縁組につきましては、やはり実親が養育できないというようなことがはっきりしていて、親の同意もしっかりとれているというような場合であれば、まさに子どものパーマネンシーを実現する方法として有用であるというような考え方ではございますけれども、実際にきちんと実親の同意を確認する方法とか、なかなか難しいところがございますので、今、厚生労働科学研究ということで、平成26年度から27年度の2年間かけて学識経験者や実務家の方を入れた研究を進めておりますので、その中でいろいろ問題点を洗い出したりしながら、どういう養子縁組とか養子縁組あっせんについて、適切な手法があるのかという研究を、今、進めているという段階でございます。
○磯谷委員 ありがとうございます。
その研究の結果をぜひまた期待したいと思います。
実際に、児童相談所の現場で考えられるとすると、まず、特別養子縁組という話になってきて、特別養子縁組については、御承知のとおり、実親子関係が切れるということから、要件が非常に厳しくなっているわけなのですね。果たしてそれが使いやすかったのかという、つまり、実親子関係を完全に切ってしまうというために、あれだけハードルを高くしているのが、果たして子どもの児童福祉のツールとしてよかったのかどうかというところをやはり考えなければいけないのだろうと思うのですね。
一方で、普通養子縁組は特別養子縁組とは全然違う構造になっているわけですね。あれはいわゆる結婚と基本的には同じような当事者間での合意ということになって、それもまた恐らく使いにくい、その中間といいますか、より児童福祉の現場で使える養子縁組というのを考えていく必要があるのではないかということはちょっとできればどこかで少し議論をしたり、研究していただけるといいかと思います。
○松原委員長 ありがとうございます。
ぼちぼち時間が来ておりますが、事務局が用意をしてくださった課題のところ、4点ございます。
それぞれの今の御議論の中で出てきた部分もありますが、特に地域で支援をしていくということは前提としても、対象のところにかかわるような判断のところで、児童相談所の判断、児童福祉施設の判断、ちょっと違うことがあるよというようなお話が平田委員のほうからもありましたし、私も東京都で死亡事例検証をやっていると、どうも施設が弱くて懸念をしたのだけれども、言い切れなくてというようなことも経験しているのですが、児童相談所の方は何かコメントありますか。
○菅野委員 菅野です。
確かに、そのリスクをどう見立てるのか、それから逆に言うと離れて暮らしていること自体、子どもが持っている生活リズムと、親の生活リズムが異なる。そのことだけでも実はリスクなのですね。慎重には対応していきますが、ぶっちゃけた話を言うと、実際に一緒に暮らし始めて、でも再度やはり介入して分離するケースというものも実際ないことはないのですね。
ぎりぎりのところでやっています。帰っていくときに、どれだけ公的な支援とプライベートな支援、家族をプライベートに支援してくれるネットワークみたいなものがどれだけ組めるかというのがポイントになります。リスクをマネジメントしつつ、支援の効果のほうの評価をかなり慎重にやっていかなければいけないのかというのが再統合の仕事をしていて思うところです。
リスクは全くないですという状況には持って行けないですし、そうなると、もう帰せないケースが多くなってしまって、ケースが動いていかないということにも実際なります。
ですから、御指摘の点はありますし、心配なのだという御意見をいただいたときに、ではその心配を安心に変えるために何があればいいのかということでケースワークを進めていくようにとは職員には言っていますけれども、なかなかそこがやり切れていないのも現実です。
○松原委員長 ありがとうございました。
ほかにはよろしいですか。
どうぞ。
○平田委員 済みません。今のところで、乳児院としていつも考えるのは、ちょうど子どもの育つ時期の問題です。人見知り前後のやはり引取りやすく、今、引き取るのはちょっと大変になるということがありますが、時期の判断がちょうど年度替わりの3月、4月にかかるときに、児相ともめるのは、ケースというよりは立場というか、上の判断で戦うことも多くあります。だからこそ、入口のところの子どもの育ちのアセスメントと家族の背景を児相と一緒にやれるといいし、もし、帰すのであれば、地域の見守りと困ったときの支援の手立てを準備するというのをいつも思っています。いい話を出してくださったので、そのあたりをぜひよろしくお願いします。
○松原委員長 ありがとうございました。
大体それでは閉じたいと思いますが、よろしいですかね。
それでは、きょうの議論(1)(2)を含めまして以上とさせていただきます。
全体を通じても何か御発言があれば1、2分はあるかと思います。
秋山委員、どうぞ。
○秋山委員 済みません。一時保護の調査のところでちょっとお尋ねしたいのですけれども、やはり、一時保護のときの調査は迅速性を求められているというところで、日々かかわっている母子保健とか学校保健のほうで、もう少し何かお手伝いとか、協力できるようなことがあれば教えていただきたいと思います。
○松原委員長 この点について児童相談所は何かありますか。
○辰田委員 公的なところについては、比較的すぐ協力はしていただけるのですが、やはり民間となると、なかなか厳しくて、民間での健診施設か、通院の状況だとか、お母さんの精神的な状況、またその出産のときの情報というのが、やはりすぐ教えてもらえない、やはり時間を要してしまう中で、判断の材料として悩んでしまうところがあります。
ただ、やはり小さい子なので、やはりそこは疑いの中で判断していくというところはあります。
○菅野委員 菅野です。
情報というときに、例えばストレスがかかったときとか、友達関係でどういう表現の仕方をするのか、どういう特徴を持った子どもなのかというように、具体的な聞き方をしなければいけないのですが、何か子どもの情報はないですかとか、何か問題はないですかと聞かれると、普通にやっていたから問題ないですと返ってきます。細かく聞いていくと、なるほど、そのやはりストレスがかかったときの表現の仕方に課題があるみたいなことになるので、多分、こちら側の質問の仕方とか、どういうことを聞かれるかとか、どんな情報が大事なのかというリストとか、そういうものをこれから整備していく必要があるのかと思います。
○辰田委員 もう一点だけ済みません。
一時保護を必要と判断したとき、家庭児をどのように確実に安全に保護するか。保育園、幼稚園ですとかは、そこで保護ができるのですが、通院の場所だとかを狙わざるを得ないのです。ただその民間だったりだと、本当にそこのお医者さんにも迷惑をかけてしまうのですが、そこをやはり子どもを優先に、我々も例えば警察の協力を求めてやりますが、ぜひお願いしたいと思っています。
○松原委員長 それでは、きょうの議事につきましては、以上にしたいと思います。
次回の日程について、事務局から御説明をお願いいたします。
○寺澤家庭福祉課課長補佐 本日はありがとうございました。
次回の専門委員会の日程につきましては、4月20日月曜日の18時から20時、17階の専用第21会議室にて開催を予定しております。
次回は、本日に引き続きまして、課題(3)、課題(4)につきまして、御担当される委員の方からプレゼンテーションをしていただき、意見交換を行うこととしております。
後日、正式な開催通知をお送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○松原委員長 それでは、次回もよろしくお願いいたします。
本日の専門委員会はこれにて閉会といたします。
御出席の委員の皆様、どうもありがとうございました。
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