ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会有期雇用特別部会)> 第9回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録(2015年2月9日)
2015年2月9日 第9回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録
労働基準局労働条件政策課
○日時
平成27年2月9日(月)18:00~20:00
○場所
専用第12会議室
○出席者
【公益委員】
猪熊委員、岩村委員、山川委員 |
【労働者代表委員】
新谷委員、冨田委員、八野委員、芳野委員 |
【使用者代表委員】
市瀬委員、遠藤委員、小林委員、鈴木委員 |
【事務局】
(労働基準局) 岡崎労働基準局長、大西審議官、村山労働条件政策課長、武田労働条件政策推進官 |
(職業安定局) 広畑雇用開発部長、福士高齢者雇用対策課長 |
○議題
「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則案要綱」、「特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令案要綱」等について(諮問)
○議事
○岩村部会長 定刻より少し早いのですが、冒頭から御出席予定の方が全ておそろいでございますので、これより、第9回「労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会」及び第8回「労働政策審議会職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会」の合同会議を始めさせていただきたいと思います。
本日は、公益代表の阿部正浩委員が、御都合により御欠席ということでございます。
また、同じく公益代表の猪熊委員も、少し遅れて来られるということでございます。
議事に入ります前に、事務局から定足数についての報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○武田労働条件政策推進官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席又は公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○岩村部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。
前回までの特別部会の合同会議での御議論を踏まえまして、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則案要綱」、「特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令案要綱」等について、厚生労働大臣からの諮問をいただいております。そこで本日は最初に、その諮問の内容につきまして事務局から説明をいただきたいと思います。その際、前回の要綱のたたき台からの修正点や、諮問の対象外ではございますけれども、前回、御意見をいただきました第二種計画認定・変更申請書案及びモデル労働条件通知書改正案の修正点の説明をいただきたいと思っております。
また、前回モデル労働条件通知書改正案に関する議論で、改めて確認的な質疑応答がございました、有期雇用特措法における特例の効果につきましても、あわせて事務局から説明をいただきたいと思っております。
それでは、事務局から資料の説明をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○武田労働条件政策推進官 資料について説明いたします。
資料No.1が今回の諮問の内容です。
まず、諮問文、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てで、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則案要綱」、「特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令案要綱」、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法第二条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準案要綱」、「労働基準法第十四条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部を改正する告示案要綱」、「事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針案」の以上5点について、貴会の意見を求めるものです。
次のページが、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則案要綱」です。こちらは、前回のたたき台から形式的なものを除き修正はありません。
第一として、「法第二条第三項第一号の厚生労働省令で定める額」については、「1,075万円とすること」、第二の「第一種計画に係る認定の申請」について、「第一種計画に係る認定を受けようとする事業主は、申請書1通及びその写し1通を、その主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならないものとすること」としております。
二として、「一の申請書及びその写しには、就業規則その他の書類であって、第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置を実施することを明らかにするものを添付しなければならないものとすること」としております。
第三が「第一種計画の変更に係る認定の申請」で、一として、「第一種計画の変更に係る認定を受けようとする同項に規定する第一種認定事業主は、申請書1通及びその写し1通を、その主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならないものとすること」、二として、「第二の二の規定は、一の申請書及びその写しについて準用するものとすること」としております。
第四は「第二種計画に係る認定の申請」です。
一として、「第二種計画に係る認定を受けようする事業主は、申請書1通及びその写し1通を、その主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならないものとすること」、二として、「一の申請書及びその写しには、次に掲げる書類を添付しなければならないものとすること」として、「(一)就業規則その他の書類であって、第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置を実施することを明らかにするもの」、「(二)就業規則その他の書類であって、高年齢者雇用確保措置を現に講じていることを明らかにするもの」としております。
さらに、第五は「第二種計画の変更に係る認定の申請」で、一として、「変更に係る認定を受けようとする第二種認定事業主は、申請書1通及びその写し1通を、その主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならないものとすること」、二として、「第四の二の規定は、一の申請書及びその写しについて準用するものとすること」としております。
第六は「権限の委任」で、「法第四条第三項等に規定する厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長に委任するものとすること」としております。
第七は「附則」で、一の「施行期日」は、「この省令は、平成27年4月1日から施行するものとすること」としております。
二として、「社会保険労務士法施行規則の一部改正」として、「法に係る申請等のうち、法第十一条の報告以外のものについて、社会保険労務士による事務代理ができるものとすること」としております。
以上が、省令案要綱です。
続いて、別紙2の「特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令案要綱」で、労働条件明示に関する省令です。
これについては、後ほど詳しく説明いたしますが、前回のたたき台から公聴会で指摘があった点を修正しております。
まず、第一の「計画対象第一種特定有期雇用労働者に係る労働条件の明示の特例」について、「労働基準法第十五条第一項前段の規定により、有期雇用特措法第五条第一項に規定する第一種認定事業主が有期特措法第四条第二項第一号に規定する計画対象第一種特定有期雇用労働者に対して明示しなければならない労働条件は、労働基準法施行規則第五条第一項に規定するのものほか、次に掲げるものとすること」として、(一)として、「労働契約法第十八条第一項の規定の特例の内容に関する事項」、(二)として、「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(労働基準法施行規則第五条第一項第一号の三に掲げる事項を除き、(一)の特例に係る特定有期業務の範囲に関する事項に限る。)」としております。
さらに、二、三が前回のたたき台から追加されたもので、労働条件の明示を書面での交付によって行うことを明らかにするもので、二として、「労働基準法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、労働基準法施行規則第五条第二項に規定するもののほか、一に掲げる事項とする」、三として、「労働基準法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、二に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする」としております。
第二が「計画対象第二種特定有期雇用労働者に係る労働条件の明示の特例」で、「計画対象第二種特定有期雇用労働者に対して明示しなければならない労働条件は、労働基準法施行規則第五条第一項に規定するもののほか、第一の一の(一)に掲げるものとすること」としております。これは、労働契約法第18条第1項の特例の内容のことです。
二、三は、第一の二、三と同じく、公聴会での指摘を踏まえて追加した部分で、一の内容について、三で書面を交付することを明確化しているものです。
第三は「附則」で、「この省令は、平成27年4月1日から施行するものとすること」としております。
続いて、別紙3は、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法第二条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準案要綱」で、専門的知識等の範囲を定める基準の案です。これは前回のたたき台と同じものです。
内容は、(一)が「博士の学位を有する者」、(二)が「イ 公認会計士」から「ヲ 弁理士」、(三)が「ITストラテジスト試験に合格した者若しくはシステムアナリスト試験に合格した者又はアクチュアリーに関する資格試験に合格した者」、(四)が「特許発明の発明者、登録意匠を創作した者又は登録品種を育成した者」、(五)が「農林水産業若しくは鉱工業の科学技術若しくは機械、電気、土木若しくは建築に関する科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、設計、分析、試験若しくは評価の業務に就こうとする者、情報処理システムの分析若しくは設計の業務に就こうとする者又は衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務に就こうとする者であって、次のいずれかに該当するもの」ということで、大学卒の方は5年以上従事、短大・高等専門学校卒の方は6年以上従事、高等学校卒の方は7年以上従事した経験を有するものとしております。
(六)は、「事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務に就こうとする者であって、システムエンジニアの業務に5年以上従事した経験を有するもの」、(七)は、「国、地方公共団体、一般社団法人又は一般財団法人その他これらに準ずるものによりその有する知識、技術又は経験が優れたものであると認定されている者((一)から(六)までに掲げる者に準ずる者として厚生労働省労働基準局長が認める者に限る。)」としております。
二として、「この告示は、平成27年4月1日から適用するものとすること」としております。
続いて、別紙4は「労働基準法第十四条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部を改正する告示案要綱」で、前回お示ししたものと同じです。
一として「、労働基準法第十四条第一項第一号に規定する専門的知識等であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者として、ITストラテジスト試験に合格した者を加えるものとすること」としております。
二は、「所要の規定の整備を行うものとすること」、三は、「平成27年4月1日から適用するものとすること」としております。
最後に別紙5は、「事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針案」です。
こちらは一部修正があり、後ほど詳しく説明いたします。
「はじめに」は趣旨を述べておりますが、前回からの修正はありません。
2ページの「第1 特定有期雇用労働者の雇用の動向に関する事項」も前回お示ししたものと同じですので、説明は省略いたします。
7ページからが「第2 事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容に関する事項」で、こちらも変更点はありませんが、要点を説明いたします。
まず、「(1)第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置」について、「事業主は、計画対象第一種特定有期雇用労働者に対し、次に掲げる計画対象第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置のうち、事業主が置かれている実情に照らして適切なものを行うことが必要である」としており、「ア 教育訓練に係る休暇の付与」、「イ 教育訓練に係る時間の確保のための措置」、「ウ 教育訓練に係る費用の助成」、「エ 業務の遂行の過程外における教育訓練の実施」、「オ 職業能力検定を受ける機会の確保」、「カ 情報の提供、相談の機会の確保等の援助」としております。
また、「(2)第一種特定有期雇用労働者の雇用管理に関する留意事項」は、「ア 一般の労働者との労働条件の均衡」、「イ 合理的な理由のない雇止めの回避」、「ウ 産前産後休業又は育児休業の取得促進のための環境整備」としております。
2が「第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置」で、こちらも前回お示ししたたたき台からの変更はありません。
内容は、「ア 高年齢者雇用安定法第11条の規定による高年齢者雇用推進者の選任」、「イ 計画対象第二種特定有期雇用労働者に対する配置、職務、職場環境等に関する配慮」として、「(ア)職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等」、「(イ)作業施設・方法の改善」、「(ウ)健康管理、安全衛生の配慮」、「(エ)職域の拡大」、「(オ)知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進」、「(カ)賃金体系の見直し」、「(キ)勤務時間制度の弾力化」としております。
(2)が「第二種特定有期雇用労働者の雇用管理に関する留意事項」で、「定年後に有期労働契約によって引き続き雇用する際は、原則65歳までは契約更新がなされるものであるとの高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえ、適切な措置を行うことが望ましい」としております。
3が「その他の雇用管理等に関する留意事項」で、「(1)個別労働関係紛争の未然防止」は前回お示ししたものと同じです。
前段が、先ほど御説明した、省令による労働条件明示を労働契約の締結更新時に行うこと。また、「その際には、モデル労働条件通知書の活用を図ることが望ましい」としております。
また、「第一種計画又は第二種計画が認定されたことにより無機転換申込権発生までの期間が変更となる場合や、特定有期業務の完了の日が変更となることにより無期転換申込権発生までの期間が変更となる場合には、速やかに特例の対象となる労働者にその旨を明示することが適当である」としております。
最後に、「(2)関係労働者の理解と協力」として、前回は就業規則の変更の際の手続に係る労働基準法と労働契約法の条項を並べておりましたが、よりわかりやすく内容を記載しております。
その内容は、事業主が特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置を行うに当たっては、関係労働者の理解と協力が重要であり、当該雇用管理の内容について関係労働者に対し意見聴取を行う、周知する等、関係労働者の理解と協力を得るよう努めることが求められる。なお、就業規則の変更を行う場合には、就業規則の作成及び届出に関する事項を規定する労働基準法第89条等の規定に留意することが必要であるとしております。
以上が、諮問の内容です。
続いて、資料No.2以降で、諮問事項以外も含め、前回の資料からの変更点について説明いたします。
資料No.2が、「第二種計画認定・変更申請書(案)」で、これは諮問事項以外の修正点です。「3 その他」の最後のチェックボックスについて、新谷委員から「労使協定による」よりも「労使協定により」の方が、日本語の通りがいいとの御指摘を踏まえ修正したものです。
続いて、資料No.3の「モデル労働条件通知書の改正案」についてです。
これは、「契約期間」欄のローマ数字の部分に、特定有期業務の開始から完了までの期間を記載することになっておりますが、1年目や2年目からなど特定有期業務の始めから入らない場合には、その期間が短くなることを明確にすべきではないかとの阿部委員からの御指摘を踏まえ、その下の「有期雇用特別措置法による特例の対象者(高度専門)の場合」の特定有期業務の内容を書く欄に、その開始日と完了日を記載し、特定有期業務が完了したら無期転換ルールの特例が終了することが明確になるように修正しているものです。
次のページの「その他」の欄の下3行は、その規定内容が明確になるように、「この『5年』という期間は」を加えたものです。
次のページの「記載要領」は、今御説明したとおり「特定有期業務の開始日及び完了日も併せて記載すること。なお、特定有期業務の開始日及び完了日は、「契約期間」の欄に記載する有期労働契約の開始日及び終了日とは必ずしも一致しないものであること」と明確にしております。
参考資料No.1は、先ほど御説明した労働条件明示の特例省令の前回からの修正点です。
前回は、第一及び第二の二と三がありませんでしたが、第一の新たに労働条件明示が必要となる内容が書面交付の対象となることを明確化すべきと、公聴会での公益代表の東京大学の荒木教授からの御指摘を踏まえ、加えたものです。
参考資料No.2は、基本指針の修正案で、右側が前回お示しした修正前のもの、左側が今回お示しした修正後のものです。これは、労働基準第89条、第90条、労働契約法第9条、第10条について、条文が並べただけでは内容がわからないという御指摘を踏まえ、それを明確化するために修正しております。
さらに、参考資料No.3は、前回のモデル労働条件通知書の改正案に関する議論の中で、阿部委員から、カウントの仕方で不明確な点があるとの御指摘があったこと等を踏まえ、今後、施行に当たって事業主や労働者の方々へ説明することも念頭に置き、共通認識を形成するための資料を作成いたしましたので、説明いたします。参考資料No.3「有期特措法による特例の効果について」です。
最初に、「通常の無期転換ルール」について記載しております。
続いて、「計画対象第一種特定有期雇用労働者に関する特例」ということで、有期特措法第8条の規定による労働契約法第18条の読み替えについての説明です。太字の最初の部分「同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間」は、上の図の雇入れから反復更新を繰り返している期間で、いわゆる通算契約期間です。通常の無期転換ルールは、通算契約期間が5年を超えた場合に無期転換申込権が発生するものです。有期雇用特措法では、この「5年」が右側に置き替えられ、「特定有期業務の開始の日から完了の日までの期間(当該期間が10年を超える場合にあっては、10年)」となります。
この期間というのは、下の「したがって」の部分ですが、時間の概念であり、「6年を要する特定有期業務に従事している間は6年」、「7年を要する特定有期業務に従事している間は7年」の間は、無期転換申込権は発生しないことを明記しております。
この考え方のもとに、いろいろなケースを想定しているのが2ページから3ページです。
まず、ケース丸1は最も典型的な例で、「特定有期業務の開始当初から完了まで従事させた場合」です。特定有期業務は7年としております。通常の無期転換ルールであれば、5年で無期転換申込権が発生しますが、7年の特定有期業務に従事している間は、5年が7年に置き替わり、7年間は無期転換申込権が発生しないということです。
ケース丸2は、「従前雇用している者を、新たに特定有期業務に従事させる場合」です。3年間ほかの業務に就かせ、4年目から7年の特定有期業務に就かせる場合、5年が7年に置き替わって、無期転換申込権が発生しない期間は7年となります。これは、もともと他の業務に従事していた期間を含めて7年ですので、特定有期業務に従事している間であっても、もともとの雇入れから7年を超えた場合に無期転換申込権が発生することになります。
ケース丸3は、「特定有期業務の完了後、引き続いて別の特定有期業務に従事させる場合」です。例えば、特定有期業務Aの6年が経過した後、特定有期業務Bに従事する場合です。特定有期業務Aの終了後、特定有期業務Bが認定され、特定有期業務Bに従事した場合には、特定有期業務Aでは当初6年間は無期転換申込権が発生しなかったものが、特定有期業務Bになると、それが7年に置き替わります。この7年は雇入れからの期間ですので、特定有期業務Bに有期雇用として従事できるのは残り1年となり、最初の雇入れから7年を超えると無期転換申込権が発生するというものです。
ケース丸4は、効果としてはケース丸3と同じですが、特定有期業務Aの途中から特定有期業務Bに移った場合です。この場合は、特定有期業務Bの期間が7年ですので、当初の雇入れから7年を超えると無期転換申込権が発生することとなります。
ケース丸5は、「特定有期業務の途中から雇用して従事させ、完了後も引き続き雇用する場合」です。この場合、概念的には無期転換申込権が発生しない期間は、特定有期業務の7年ですが、このケースでは、雇入れから4年目で特定有期業務が終わりますので、その後別の業務に就くと、通常の無期転換ルールが適用され、5年を超えると無期転換申込権が発生することになります。つまり、あくまで特定有期業務に就いている期間が、特例の対象となるというものです。
その次が計画対象第二種、つまり高齢者の方に関する特例です。第一種は期間のカウントの特例でしたが、第二種は、定年後引き続いて雇用されている期間は通算契約期間に算入しないこととなっており、下の図のとおりです。
4ページと5ページが、「特例と施行日の関係」です。4ページのケース丸1-1が、有期雇用特措法の施行後に特定有期業務が始まり、雇入れられるケースです。またケース丸1-2のように特定有期業務が施行日の前から始まっているケースも認定の対象になりますので、施行日前から特定有期業務に従事している方も特例の対象になります。
ただし、ケース丸1-3のとおり、通算契約期間は、改正労働契約法が施行された平成25年4月1日以降についてカウントするというものです。
ケース丸2は、「従前雇用している者を、新たに特定有期業務に従事させる場合」で、これも施行日前から有期雇用されている方が、その後、特定有期業務に就く場合には、特定有期業務に就く前から通算契約期間がカウントされます。ただし、改正労働契約法の施行期日以降のカウントとなります。
最後が、「第二種特定有期雇用労働者関係」です。これについては、施行日前に定年を迎えた方でも、施行日後に第二種の認定を受けた場合には、定年後の期間が通算契約期間にカウントしなくなるというものです。
資料の説明は以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。
それでは、今、御説明いただきました内容につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。
鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 細かい点で大変恐縮でございますが、最後に事務局から御説明いただきました参考資料No.3について確認をさせていただきたいと思います。
図表を用いた説明でよく理解できましたが、1ページの真ん中辺りに「5年」とあって、矢印で言い換えが書いてあるところでございます。ゴシック体で「特定有期業務の開始の日から完了の日までの期間」と書いてあり、後ろの記述を読めば、これは通算契約期間だなとわかるのですが、これだけ見るとわかりにくい。例えば2ページのケース丸2ですと、雇入れの日から起算ということはわかるのですが、この書きぶりだけですと雇入れから4年目から完了の日が、プラス4年の雇入れ後11年目と勘違いされると思います。1ページ目の期間というのは通算契約期間だと思いますので、年数だということがわかるようにした方が、多少誤解が減らせるのかなと思っていますので、御検討いただければと思います。
○岩村部会長 ありがとうございます。
では、村山課長、お願いします。
○村山労働条件政策課長 この法律においては、そもそも労働契約法第18条で基本となる通算契約期間が、重要な概念になります。当特別部会においても、それを前提に御議論いただきましたが、一方で、法律を読み替えた文章を白地で見ると、鈴木委員から御指摘のような懸念も生まれると思います。どのような補注をつけるか、労使とも御相談しながら、誤解のないようにしてまいりたいと考えております。
以上です。
○岩村部会長 よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。では、新谷委員どうぞ。
○新谷委員 諮問の範囲ではなく、今出ていた参考資料No.3についてです。今回わかりやすい資料をつくっていただいたのですが、それでもわかりにくい点があると思います。この中身については、細かな点で幾つか追記・修正いただきたい箇所がありますので、それは今日の審議会とは別途また申し上げたいと思います。
その上で、これまで通算9回の有期雇用特別部会と8回の高年齢者有期雇用特別部会で議論を重ね、本日が有期雇用特措法の関連省令等についての議論を取りまとめる場ということですので、労働側として総括意見を申し上げたいと思っております。
労政審における公労使三者の真摯な議論を通じ、有期雇用特措法の関連省令等について資料No.1で示していただいた内容のとおり、一通りのまとめに至ったということです。しかし、この法律の施行日は4月1日ということですので、時間的に残された期間は一月ちょっとしかないという状況です。先ほど示していただいたパンフレット等でこれから周知徹底を図るということですけれども、残された期間は限られている中で、有期雇用特措法の内容が正しく労使関係者に周知徹底されるよう、万全の対策を講じていただきたいと思います。まずもって、厚生労働省に対しては、法の内容の周知徹底など、施行に向けた取り組みをしっかりと行うようぜひお願いしたいということを、申し上げておきます。
また、今回の省令案には、労働側が求めてきた「計画申請にあたっての過半数労働組合への意見聴取の義務づけ」が盛り込まれなかったことについては残念です。この点は、より一層集団的労使関係に配慮した制度運用を行っていくため、引き続き検討のテーマとして位置付けていただければと思っております。
その上で、これもそもそも論にまた戻ってしまってしまうのですが、もともと有期雇用特措法ができるに至った経緯を振り返りますと、政府の中に労働者の代表がいない中で国家戦略特区ワーキンググループがつくられた中で論議・検討された上、最終的には国家戦略特別区域法の中に盛り込まれた条文によって有期雇用特措法が成立するに至ったということです。
この論議を始めた際から、有期労働契約の抱える課題、特に「有期労働契約を濫用的に利用することによって、有期雇用労働者の雇用の安定が損なわれないにしなければならない」ということは再三申し上げてきました。2013年4月に施行された無期転換ルールは、このような課題に対応し、「有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、有期雇用労働者の雇用を安定させる」ことを目的として施行されたわけですが、現時点では当該ルールの見直しが必要となるような何らの立法事実も存在していない状況であるにもかかわらず、今回、有期雇用特措法の論議をしてきたわけです。したがって、このような経緯からしますと、有期雇用特措法の施行に当たっては、そうした無期転換ルールの本来持っている趣旨を後退させるような運用がなされてはなりませんし、仮に趣旨を後退させるようなことがあれば法施行後の特例の適用状況を厳格に検証する必要があると考えておりますので、改めてこの点を強調申し上げておきたいと思います。万一、労働者保護の趣旨に背くような事態が生じているようであれば、本法の廃止も含めて制度の見直しの論議が必要だと思います。
最後に、2018年4月から5年超による無期転換申込みが発生するということになります。これは従前より労働側から申し上げておりましたように、5年到達前の雇止めの抑制策をどのようにするのかということについての具体的な結論はこの部会では得られなかったわけですので、5年到達前の雇止めの抑制策についても引き続き厚生労働省として検討を進めていただきたいということをお願い申し上げておきます。
いずれにしましても、この有期雇用特措法が目的として掲げているように、対象労働者の能力の有効発揮とそれを通じた活力ある社会の実現等がなされることを切に願って、労働側としての総括見解とさせていただきたいと思います。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見はいかがでしょうか。鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 まず、第一種の特定有期雇用労働者の年収要件と対象業務についてですが、これは昨年の本特別部会におきまして報告書のとりまとめをした際、参考扱いでありました労働基準法第14条の大臣告示のとおりとなったわけでございます。この点は諸般の事情があったとはいえ、使用者側としては十分な議論ができなかったという思いがあるということは申し述べたいと思います。
労働政策に係るこういった報告書とりまとめにおきまして、「参考」という文言が使われる場合には、本来はその取扱いを確定するという趣旨ではないと私は理解しておりますが、そうした理解でよろしいのか、厚生労働省事務局に確認をさせていただきたいと思います。
○岩村部会長 では、村山課長、お願いいたします。
○村山労働条件政策課長 鈴木委員から御質問のありました「参考にする」の意味ですが、日本語で「参考とする」という意味であると思っております。何かをするときにほかの事例を引き合わせてみて、それを決定する上での手がかりとしていくという意味で「参考とする」という言葉を用いているということです。このことに公労使各側委員から特段の御異論がなければ、普通の日本語としての「参考とする」と異なる意味ではないと理解しております。
以上です。
○岩村部会長 では、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。その上で、総括的なコメントをさせていただきたいと思います。これまで雇用管理措置の内容や第一種有期雇用労働者の対象業務等について議論を行うに当たりまして、使用者側としては、先ほど新谷委員からも少しお話がございましたとおり、労働者の保護が後退しないようにすること、それから、この制度そのものが労使双方にとってニーズのあるものであり、それを活用してもらうようにすることの2点のバランスがとれる形で議論をしてまいりました。
このたび示された省令案要綱は、そうしたバランスがとれたものとなっており、また、多様な働き方に対応して設けられた有期雇用特措法の趣旨にかなうものということから、使用者側として結論として諮問された案を了承したいと思います。
なお、無期転換ルールに基づき、無期転換申込権を行使できるのは2018年4月以降になろうかと思いますが、今の時点で特定有期雇用労働者の対象となるような方がいらっしゃれば、2018年の直前になって計画の申請をするのではなく、前もって計画を申請して、なるべく早い対応を求めるということが望まれると思っているところでございます。とりわけ第二種の計画を策定する企業は少なくないと思いますので、4月1日の施行に向けまして、周知及びその体制について万全を期していただければと思っているところでございます。
最後でございますけれども、原則的なルールであります労働契約法第18条の無期転換ルールは、再三申し上げておりますように、不本意な形で有期雇用に就労される方をより安定的な雇用機会を提供する大変重要なルールだと私ども思っているところでございます。この労働契約法第18条が円滑に定着されるよう、経済界としても引き続き周知活動を行ってまいりたいと思いますけれども、政府におかれましても有期雇用特措法の周知とあわせて、無期転換ルールの周知、企業への支援を引き続きお願いできればと思っております。
以上でございます。
○岩村部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、当特別部会といたしましては、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則案要綱」、「特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令案要綱」等については、妥当と認めることとしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○岩村部会長 ありがとうございます。
さて、労働条件分科会及び職業安定分科会の2つの分科会のもとに、それぞれ特別部会を設置しまして、今日まで合同で議論を行ってきたところでございます。労働政策審議会令第7条第9項及びそれぞれの特別部会の運営規程によりますと、特別部会が議決をしたときは、当該議決をもって分科会の議決とすることとなっております。
また、労働政策審議会令第6条第9項及び労働政策審議会運営規程第9条の規程によりまして、分科会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができると規程されているところでございます。
こうした専決規定を踏まえまして、事務局に答申案を準備してもらっております。事務局は各委員に答申案を配付していただき、その後で読み上げをお願いしたいと思います。
(答申案配付)
○武田労働条件政策推進官 それでは、答申案について読み上げます。
1枚目が、労働政策審議会長から厚生労働大臣宛ての答申文で、2枚目が、労働条件分科会、職業安定分科会の各分科会長から労働政策審議会長宛て、3枚目が当特別部会長から各分科会長宛てですので、こちらを読み上げいたします。
「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則案要綱」、「特
定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令案要綱」等につ
いて
平成27年2月9日付け厚生労働省発基0209第4号をもって労働政策審議会に諮問の
あった標記については、労働条件分科会有期雇用特別部会及び職業安定分科会高年齢者
有期雇用特別部会は、下記のとおり報告する。
記
厚生労働省案は、妥当と考える。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。
ただいまの内容で、両特別部会長から両分科会長、そして、両分科会長から労働政策審議会長宛てに連名で報告をしまして、この報告のとおり厚生労働大臣に答申を行うことにしたいと考えておりますが、それでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○岩村部会長 ありがとうございます。
それでは、そのように取り計らうことにしたいと思います。
また、本日修正案を説明いただきました「第二種計画認定・変更申請書案」と、「モデル労働条件通知書改正案」の修正内容や、前回資料として提示がありました「第一種計画認定・変更申請書案」につきましても、これらの案のとおりで施行に向けての準備を進めていただきたいと考えておりますけれども、それでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○岩村部会長 ありがとうございます。
それでは、ここで労働基準局長から挨拶の申し出がございましたので、よろしくお願いいたします。
○岡崎労働基準局長 省令案・告示案につきまして、妥当であるという御答申をいただきました。ありがとうございました。この法律の施行に向けまして、成立が臨時国会になったこともありまして、準備のための時間がやや短くなってきております。労使それぞれの最後の総括意見の中でも、しっかり周知するようにというお話がございました。私どもは、これはしっかりやっていかなければいけないと思っております。この法律だけではなくて、そもそもの労働契約法の周知を含めてしっかりやっていく必要があると思っておりますので、これは心して対応していきたいと思っております。なお、労使それぞれの団体の皆様方のお力も借りながら、法の趣旨にのっとった円滑な施行に努めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
○岩村部会長 どうもありがとうございました。
事務局には、今日の答申を踏まえまして、省令・告示案などの作成につきまして作業を進めていただきたいと思います。
委員の皆様におかれましては、非常に時間が限られている中で御議論をいただくことになってしまいましたけれども、これまで多大なる御協力を頂戴しましたことにつきまして、部会長といたしまして、この場をお借りして改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
それでは、第9回「労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会」及び第8回「労働政策審議会職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会」は、これで終了とさせていただきたいと思います。
最後に、議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては冨田珠代委員に、使用者代表につきましては市瀬優子委員にそれぞれお願いをいたします。
本日は、遅くまでお忙しい中、大変ありがとうございました。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会有期雇用特別部会)> 第9回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録(2015年2月9日)