ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会有期雇用特別部会)> 第7回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録(2014年12月18日)
2014年12月18日 第7回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録
労働基準局労働条件政策課
○日時
平成26年12月18日(木)17:00~19:00
○場所
専用第23会議室
○出席者
【公益委員】
阿部委員、岩村委員 |
【労働者代表委員】
新谷委員、冨田委員、八野委員、芳野委員 |
【使用者代表委員】
市瀬委員、遠藤委員、小林委員、鈴木委員 |
【事務局】
(労働基準局) 岡崎労働基準局長、大西審議官、村山労働条件政策課長、武田労働条件政策推進官 |
(職業安定局) 広畑雇用開発部長、福士高齢者雇用対策課長 |
○議題
1 「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案要綱」について
2 その他
○議事
○岩村部会長 定刻より少し早いのですが、冒頭から御出席予定の委員の方がおそろいでございますので、始めたいと思います。
ただいまから第7回「労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会」及び第6回「労働政策審議会職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会」の合同会議を開催させていただきます。
本日は、公益委員の山川隆一委員、猪熊律子委員のお二人が、御都合がつかずに御欠席でございます。
また、労側の芳野委員におかれましては、少し遅れて御出席と伺っております。
議事に入ります前に、事務局から定足数についての報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○武田労働条件政策推進官 定足数について御報告いたします。
労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○岩村部会長 ありがとうございました。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。お手元の議事次第にありますように、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」の関係が今日の議題となっております。これは以前、この特別部会で御検討いただき、かつ建議をいただきました「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」の制定に係る案件ですので、これについて、最初に事務局から説明をいただきたいと思います。その上で、施行に向けた論点、具体的には、政省令や大臣告示への委任事項について議論を行いたいと考えております。
それでは、事務局から御用意いただいている資料の説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○武田労働条件政策推進官 まず、お手元の資料ですが、最初に議事次第、次に、資料1として当特別部会の委員名簿となっております。
資料2は、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の制定について」です。当特別部会は、前回の開催が今年2月であり、かなり時間も経過しておりますし、その後、国会審議等もありましたので、制定に至る経緯、国会審議の動向等も含めて、この資料により説明いたします。
1ページが、有期雇用特措法に関する経緯です。時系列で並べており、去年10月18日に「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針」において、大きな枠組みが定められました。
また、同年12月7日には、これを受けて成立した国家戦略特別区域法において検討方針が示されました。この中に、労働政策審議会で審議をするということが記載されておりましたので、昨年12月以降、計6回にわたって審議いただき、2月14日に建議、2月20日に法律案要綱の諮問・答申をいただいております。
その後、通常国会において、法案について閣議決定され、国会提出し、衆議院厚生労働委員会で2回審議を行い、衆議院本会議で採決、可決しましたが、参議院本会議で継続審査の議決がなされました。
また、秋の臨時国会においては、10月に参議院厚生労働委員会で2回の質疑、参考人質疑を経て、10月29日に参議院本会議で採決、可決しました。
さらに、質疑はありませんでしたが衆議院厚生労働委員会でもう一度採決、可決し、11月21日の衆議院本会議で採決、可決され、成立に至っております。
2ページは、そもそもの「無期転換ルール」を規定した前回の労働契約法の改正に係る建議です。
4ページの2番「有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応」ですが、「有期契約労働者の雇用の安定や有期労働契約の濫用的利用の抑制のため、有期労働契約が、同一の労働者と使用者との間で5年間を超えて反復更新された場合には、労働者の申出により、期間の定めのない労働契約に転換される仕組み、いわゆる「無期転換ルール」を導入することが適当である」との建議をいただき、労働契約法の改正に至っております。
6ページに「改正労働契約法のポイント」を挙げておりますが、「無期労働契約への転換」、「『雇止め法理』の法定化」、「不合理な労働条件の禁止」について、平成24年8月10日に公布、平成25年4月1日に本格的に施行されております。
7ページは、「無期転換ルール」それを図解したものです。
8ページの「高年齢者雇用制度の概要」です。平成24年の高年齢者雇用安定法の改正により、2の「65歳までの継続雇用制度の導入」措置について、経過措置はありますが、「労使協定により基準を定めた場合は、希望者全員を対象としない制度も可」という内容が平成25年4月から廃止されております。
9ページ以降が、有期雇用特措法に係る経緯です。
昨年9月20日の国家戦略特区ワーキンググループで、八田座長から規制改革についての提案がありました。具体的には「(1)有期雇用」で、「契約締結時に、労働者側から、5年を超えた際の無期転換の権利を放棄することを認める。これにより、使用者側が、無期転換の可能性を気にせず、有期雇用を行えるようにする」ことを、特区内の外国人比率が30%以上の事業場に対して実施してはどうかとの提案がありました。
10ページもほぼ同様の内容ですが、その後、政府内で調整を行い、11ページのとおり、日本経済再生本部において、(2)のように、「企業等の中で重要かつ時限的な事業に従事している有期労働者であって、『高度な専門的知識等を有している者』で『比較的高収入を得ている者』などを対象に、無期転換申込権発生までの期間の在り方、その際に労働契約が適切に行われるための必要な措置等について、全国規模の規制改革として労働政策審議会において早急に検討を行い、その結果を踏まえ、平成26年通常国会に所要の法案を提出する」と決定されました。
12ページの「国家戦略特別区域法」の附則第2条は、これと同様の規定ぶりとなっております。
このような経緯を踏まえ、13ページ以降ですが、14ページの「労働政策審議会労働条件分科会運営規程」の附則の第2項のとおり、労働条件分科会の下に有期雇用特別部会を、18ページのとおり、職業安定分科会の下に高年齢者有期雇用特別部会を設置し、計6回にわたって去年12月から今年2月まで御議論をいただきました。
そして、19ページのとおり、2月14日に建議をいただいております。
建議の内容は20ページ以降で、1 の「(1)特例の枠組」は、「雇用の安定性が損なわれるおそれが少ない」有期契約労働者として、国家戦略特区において方針決定された「1一定の期間内に完了する業務に従事する高収入かつ高度な専門的知識、技術又は経験を有する有期契約労働者」と、労働政策審議会の議論において検討対象とされた「2定年後引き続いて雇用される有期契約労働者」について、「それぞれの特性に応じた適切な雇用管理を実施するとともに、無期転換申込権が発生するまでの期間の特例を設けることが適当である」という内容です。
21ページの「(2)特例の対象となる労働者の具体的要件」について、1のいわゆる高度専門職については、イのとおり、「年収及び高度の専門的知識等の要件については、1回の労働契約期間の特例の要件として大臣告示『労働基準法第14条第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準』に定められている内容、具体的には一定の国家資格等を有する者や、一定期間の実務経験を有する年収1,075万円以上の技術者等を参考に定めることが適当である。具体的には、法案成立後改めて労働政策審議会において検討の上、厚生労働省令等で定めることが適当である」とされております。
また、「国家戦略特別区域法において年収が常時雇用される一般の労働者と比較して高い水準となることが見込まれる者に限るとされていることに留意する」ともされております。
2の高齢者については、「定年に達した後に、同一の事業主又は当該事業主と一体となって高齢者の雇用機会を確保する特殊関係事業主に、引き続いて雇用される高齢者については、特例の対象とすることが適当である」とされております。
また、「(3)特例の対象となる事業主の具体的要件」について、「特例の対象労働者が、その能力を有効に発揮するためには、事業主による適切な雇用管理の実施が求められる。このため、厚生労働大臣は、対象労働者に応じた適切な雇用管理の実施に関する基本的な指針を策定することとした上で、当該指針に沿った対応が取られると認定した事業主に雇用される対象労働者については、無期転換ルールの特例の対象とする仕組みとすることが適当である」とされ、基本指針の策定と計画の認定という仕組みが求められております。
また、認定の手続については、「簡素で効率的な仕組みとする必要がある」、基本指針については、「法案成立後、労働政策審議会においてその具体的な内容を検討の上、策定することが適当である」とされております。
雇用管理措置について、1の高度専門職については、「労働者が自ら能力の維持向上を図る機会の付与」、2の高齢者については、「高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえた高年齢者の配置、職務等に関する配慮等」が例示されております。
また、(3)の最後ですが、「労働者側委員からは、民事法上のルールである無期転換ルールの特例の適用に当たっては、行政庁の関与は最小限とすることが適当である」との意見がありました。
次に、「(4)特例の具体的内容」について、1の高度専門職については、「プロジェクトの完了までの期間は無期転換申込権が発生しないこととするが、その期間は10年を限度とする」とされております。
2の高齢者については、「当該事業主に継続して雇用される期間は、通算契約期間に算入しない」とされております。
次に、「(5)労働契約が適切に行われるために必要な具体的措置」について、23ページの「このため」以下に、「事業主は、労働契約の締結・更新時に、1特例の対象となる労働者に対して無期転換申込権発生までの期間を書面で明示するとともに、2高収入かつ高度の専門的知識等を有する等の有期契約労働者に対しては、特例の対象となる業務の具体的な範囲も書面で明示する仕組みとするため必要な省令改正を行うことが適当である。また、その際には、モデル労働条件通知書についても必要な見直しを行う」とされております。
最後に「2 改正労働契約法に基づく無期転換ルールの円滑な施行について」ですが、「無期転換ルールについて、直前の雇止めについての懸念があること」を踏まえ、積極的な取組を進めることが適当とされており、24ページに具体的取組を示しております。平成26年度は、働くルールのセミナーや、事例の収集と事業主に対する周知を行っております。
また、平成27年度の取組として、働くルールのセミナーの拡充に加え、労働基準監督署やハローワークにおける周知、新聞広告等の広報、アンケート調査による実態の把握、個別企業への助言・援助等の支援を予定しており、引き続き、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
この建議を踏まえ、25ページ以降に有期雇用特措法の内容を示しております。
25ページは有期雇用特措法の概要です。
26ページは、有期雇用特措法による「無期転換ルールの特例の仕組み」で、厚生労働大臣が必要な雇用管理に関する事項などを定めた基本指針を策定すること。また、事業主は計画を策定して申請し、認定を受け、労働者と有期労働契約を締結しますが、その際に、書面で必要な内容を明示することとなっております。
27ページから31ページは、有期雇用特措法の条文です。
第2条が定義で、第3項第1号に、高度専門職は、省令で定める額以上の年収が必要で、5年を超える一定期間内に完了する特定業務に就く者と定められております。
第3条が基本指針についてで、第2項第2号に雇用管理に関する措置内容を基本指針で定めること。第3項に厚生労働大臣は基本指針を定めて労働政策審議会の意見を聴くことが定められております。
第4条が第一種計画です。第一種計画は高度専門職についてで、計画を事業主が策定し、厚生労働大臣に提出して認定を受けることが定められています。
第6条が第二種計画です。
29ページの第8条が労働契約法の特例で、高度専門職である第一種と高齢者である第二種の特例の内容です。
30ページの第10条に指導及び助言、附則の第1条に平成27年4月1日から施行する旨が規定されております。
以上が法律の概要です。
32ページ以降は、国会における審議の会議録ですが、説明は割愛させていただき、75ページの、国会審議を踏まえて附された参議院厚生労働委員会の附帯決議について説明いたします。
まず、第1として、「特例の対象となる専門的知識等を有する有期雇用労働者の具体的な要件については無期転換ルールによる労働者保護の趣旨が損なわれることのないよう、慎重に検討を行うとともに、労使のコンセンサスを得た上で決定すること。その際、特に年収要件については、一般の労働者の賃金水準と比較して相当程度を超える額に設定すること」とされております。
また、第2に「処遇及び雇用管理等については、一般の労働者との均衡を考慮したものとなるよう、事業主に対し周知徹底を行うこと」、第3に「特定有期業務の期間中の雇用の安定や、労働契約法第19条の趣旨も踏まえて、合理的な理由のない雇止めを回避することが望ましい旨、認定事業主に対し周知徹底すること」、第4に「計画の認定手続については、事業主に過大な負担が生じないよう簡素な仕組みとするとともに、労働者の意見がその計画に適切に反映される仕組みについて十分な検討を行うこと」、第5に「基本指針の策定に当たっては、有期雇用労働者の育児休業取得率がいまだ低い状況にあることに鑑み、特例の対象となる女性有期雇用労働者の産前産後休業等の取得が促進できる環境整備を図ることを明確に示すよう検討すること。あわせて、妊娠、出産、育児休業取得等を理由とする雇止めの実態について、十分な調査を行い、その結果に基づき適切な対応策を遅滞なく講じること」とされております。
そして、第6に「無期転換ルールの本格的な適用開始に向けて、周知、相談体制の整備等に万全を期すとともに、無期転換申込権発生を回避するための雇止めを防止するため、実効性ある対応策を講じること。特に、高齢者雇用安定法における高年齢者雇用確保措置の対象外となる労働者については、引き続き無期転換ルールにより雇用の安定が図られることが重要であることに十分留意すること」とされております。
さらに、第7に「原則65歳までは契約更新がされるものであるとの高年齢者雇用安定法の趣旨に沿った適切な雇用管理がなされる必要がある旨の周知徹底を強化するとともに、違反事業主に対する指導等を通じて制度の適正な運用確保に努めること。その上で、本法の特例の対象となる有期雇用労働者の雇用管理については、65歳以降においてもその雇用が継続できる環境が整備されるよう、認定事業主に対して必要な指導等を行うこと」とされております。
最後に第8として、「雇用労働政策の決定等に当たっては、ILOの三者構成原則の趣旨を十分に踏まえ、労働政策審議会において十分な時間を掛けた議論を積み重ねるという原則を変更しないこと」とされております。
77ページ以降は、有期雇用特措法の成立を受け、発出した通達ですが、ほぼ法律の内容と同じですので、説明は割愛させていただきます。
以上が、資料2のこれまでの経緯の説明です。
資料3は、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の施行について」で、今回、当特別部会において議論をいただきたい必要な政省令、告示等の論点です。
まず、1ページの1番「専門的知識等に関する基準及び年収要件」について、省令及び告示を制定する必要がありますが、「本年2月の建議において、『労働基準法第14条第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準』に定められている内容を参考に定めることが適当とされていることを踏まえ、どのような内容とするか」としております。
具体的には、3ページに当該告示を示しておりますが、博士の学位を有する者や、公認会計士等の国家資格者、システムアナリスト等の試験に合格している者、大学卒等で5年、短大等卒で6年、高卒で7年以上の実務経験を有する年収1,075万円以上の技術者等。それから、システムエンジニア等の年収1,075万円以上の一定の実務経験を持った者等が定められており、これを参考に定めることが適当とされております。
なお、年収要件について、当該告示では一部の職種のみにかけられておりますが、有期雇用特措法については高度専門職全体にかけられることが、法律上にも規定されております。
また、システムアナリストについては、注にありますが、システムアナリスト試験と上級システムアドミニストレータ試験が統合され、平成21年からITストラテジスト試験が新設されておりますので、形式的ですが、当該告示も含めて改正の必要があると考えております。
また、1ページに戻り、2つ目に、「事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置」について、省令、基本指針たる告示を定める必要があります。
先ほど説明した建議においても、「雇用管理に関する措置について、高度専門職については、『労働者が自ら能力の維持向上を図る機会の付与』が、高齢者については、『高齢者雇用安定法の趣旨を踏まえた高年齢者の配置、職務等に関する配慮』がそれぞれ例示されていることを踏まえ、どのような内容とするか」としております。
6ページに、「職業能力開発促進法」の関係条文、第8条以下を掲載しておりますが、多様な能力開発機会の確保や自発的な能力開発のために事業主が講ずべき措置について列挙されており、これらも参考に御議論いただければと考えております。
8ページから9ページは、「高年齢者等職業安定対策基本方針」、さらに10ページは、「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」の抜粋で、「職業能力開発及び向上」や「作業施設の改善」、「高年齢者の職域の拡大」、「高年齢者の知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進」等があり、これらも参考に御議論いただければと考えております。
それから、1ページにまた戻り、2の2つ目の○ですが、「事業主の認定の手続きに関して、建議において、労働者の能力を十分有効に発揮できるようにするという特例の趣旨を踏まえた上で、簡素で効率的な仕組みとすることが必要、民事法上のルールである無期転換ルールの特例の適用に当たっては、行政庁の関与は最小限とすることが適当であるとの意見があったとされていることを踏まえ、どのような内容とするか」としております。
2ページの「3 労働契約締結時における労働条件の書面明示事項の追加」については、労働基準法施行規則の改正が必要となっておりますが、建議において、労働契約の締結時等に無期転換申込権発生までの期間の書面での明示、また、高度専門職に対しては業務の具体的な範囲も書面で明示するということが適当とされておりまして、これを踏まえた内容とする必要があるものです。
また、「4 その他施行に際し措置すべき事項」について、労働政策審議会令に有期雇用特措法に関する事項の処理を追加する必要があります。
さらに、関係省令へ、計画認定事務等に係る権限の都道府県労働局長への委任や、社会保険労務士による事務代理の範囲への有期雇用特措法に関する事項の追加が必要ですので、これらについても御議論いただければと考えております。
なお、4ページはJILPTに要請して緊急に行った特例措置についてのアンケート調査の結果で、下のほうにあるとおり、有効回答企業数が48社と少ないですが、特例措置を活用したい又は活用する可能性があるという前向きな回答が25%強あったという内容です。
5ページは、特例の具体的な活用ニーズについてのヒアリング結果の内容です。
最後に、12ページ以降に高齢者雇用安定法のQ&Aを参考に添付しております。
説明は以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から資料2及び資料3についての説明をいただき、この特別部会で議論すべき論点として、資料3で幾つかの事項を提示いただいたところでございますので、これにつきまして御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。
では、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 まず初めに、総括的なことを申し上げたいと思います。有期雇用特措法は、ただいま事務局からの御紹介がございましたとおり、企業が適切な雇用管理を行うということを条件として、高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者、定年後の継続雇用者を対象に無期転換ルールの特例措置を設ける、そのことによって我が国の産業競争力の強化や、グローバルな経済活動拠点の形成支援、さらには雇用機会の拡充ということに寄与することが期待されます。その意味で、労働者、使用者ともにメリットのある内容だと思っております。
この法律案が、さきの臨時国会で可決・成立いたしましたことは大変意義深いものであり、法律成立に尽力をされました関係者の皆様に、この場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げたいと思います。
無期転換ルールは、若者を中心に不本意な形で非正規労働の形で就労されている場合に、より安定的な雇用機会を提供するために創設されたものでございます。高齢者の場合には、例えば、60歳以降の雇用者の約7割は非正規の職員・従業員です。高齢者は、加齢により健康面あるいは職業能力の遂行能力などの個人差が大きいため、働き方を都度確認しながら1年ごとに有期契約を更新していくということが就労実態に照らして合理的であることがその背景にあろうかと思っております。
また、高収入かつ高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者の場合には、自らの判断で有期のプロジェクトの中でキャリアを積むことを望む場合が少なくないと思っております。すなわち、第一種、第二種、その特定有期雇用労働者に対して無期転換ルールの特例措置を設けるということは、不本意な形で有期労働を続けるような方に対して、より安定的な雇用機会を提供しようとする労働契約法第18条、無期転換ルールの立法趣旨と何ら矛盾するところはなく、両立するものだと思っております。
労働契約法の改正の趣旨を逸脱しないということは、これまでの本特別部会においても確認をされてきたところでございますが、これは議論の大前提でございますので、引き続きこれをベースに議論させていただきたいと思っております。他方、特例措置は労使ともにメリットのある制度ですので、より多くの企業で利用されることが重要ではないかと思っています。そのため、例えば、認定基準は明確、具体的なものであること。また、手続は極力簡素なものにするということ。さらには、雇用管理に関する措置を企業実務に即した内容とすることが不可欠ではないかと思っております。
私からは以上でございます。
○岩村部会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。新谷委員どうぞ。
○新谷委員 今、鈴木委員から御発言があった部分は、私どもとしても理解するところはありますが、そうではない部分もありますので、意見を申し上げたいと思います。
そもそもこの有期雇用特措法は、労働契約法第18条の例外措置として設けられたものでありまして、労働契約法第18条は「有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図ること」をその趣旨としておりました。そうした中、今回、例外措置として認められた高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者と定年後の継続雇用者という2つの労働者の類型については、有期労働契約の濫用的利用のおそれが少ないものという整理になっております。しかし、特別措置法の省令委任事項等について議論するにあたっては、参議院の附帯決議にも明記されておりますように、一つには、有期雇用特措法で示された2つの労働者の類型に限って特例的に無期転換ルールの例外が認められたものであるということ、もう一つとしては、労働契約法第18条の「無期転換ルールにより労働者を保護する」という趣旨がこの特例によって損なわれることがあってはならないという2点については、今後の検討を行っていくにあたって十分念頭に置いておかなければいけないところと思っております。
そういった意味で、本日示されました資料3の論点の最初のページに、「1 専門的知識等を有する労働者の基準及び年収要件」が、また、「2 事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置」がそれぞれ出ておりますけれども、これらの論点を検討するに当たっては、今申し上げた基本的な考え方を踏まえたものするということが大事な視点となるのではないか、と思っております。
それゆえ、今回の特例にかかる専門的知識や年収に関する要件について、今回の法の建てつけとしては、対象となる職種の全てに対して年収要件をかける形となっておりますけれども、現在の大臣告示で示されております一定の国家資格あるいは1,075万円という、これも建議の中に書き込まれた具体的な数字ですが、こういった要件が緩和される内容となってはならないと考えております。すなわち、1,075万円を下回るような年収要件は設定すべきではありませんし、職種については大臣告示に示されております国家資格等に限定されるべきであると考えているところです。
それと、今日お示しいただいた資料3の5ページにJILPTが行った企業アンケートの結果が示されており、特例の具体的な活用ニーズの有り様について書かれております。これは企業ヒアリングなので単なる参考資料の位置づけだと思いますけれども、この一番下の欄に、議論の当初に使用者側が主張されていたことと同様に「東京オリンピック・パラリンピックでの活躍を期待して雇入れるスポーツ選手についても、特例に該当するだろうか」というような投げかけが記載されています。この調査結果がどういう経緯で書かれ、企業からの問いかけにどのように判断・回答していくのかというのは別の問題でありますけれども、本特例はあくまでも例外的な制度でありますので、こういった企業ニーズだけを理由として安易に対象職種とするようなことは許されません。当然、このような職種は今後の具体的な論議の俎上にものらないものと思いますが、重ねて申し上げておきたいと思います。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでございましょうか。鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 ただいま新谷委員から、第一種特定有期雇用労働者の年収要件、業務の中身、対象範囲についての御発言がありましたので、その関係で発言させていただきたいと思います。
まず、年収要件でございますけれども、1,075万円を参考に議論し決定するということは、この当特別部会の建議とりまとめの内容でございますので、使用者側の考え方が何ら変わるところはございませんが、2点だけ今後の検討する際の視点を申し述べさせていただきたいと思います。
第1は、先ほど事務局からも少しあったかもしれませんけれども、労働基準法第14条の対象基準の一つに使われております1,075万円がどのようにして決まったのかという経緯を踏まえて議論するという視点が重要ではないかと思っております。
第2に、労働基準法第14条の対象業務との関係でございますが、先ほど御案内のとおり労働基準法第14条に係る告示対象の業務ということについては、年収要件がかかっているものと、かかっていないものがあるわけでございます。新谷委員からも御指摘のとおり、有期雇用特措法の対象業務というのは、全てに年収要件がかかるということでございますので、この点も十分踏まえながら議論をしていくことが必要ではないかと思っております。
続きまして、対象業務についてです。労側委員からも御指摘がございますように、無期転換ルールの特例である以上、安易に対象を広げるべきではないということは使用者側も十分認識しております。
ただし、新規の事業の立ち上げですとか、大型プロジェクトの受注、プロジェクト型の研究開発、さらには国内外の市場開拓に携わる社員というのは、製品あるいはサービスの付加価値を高めるキーパーソンであり、企業にとって将来の成長を左右する大変重要な方々です。先ほども申し上げましたとおり、社員にとりましても有期プロジェクトを通じて自らのキャリアを築いていくというようなニーズもあろうかと思っておりますので、これを最大限尊重するということが必要と考えております。
労働基準法第14条の告示にある業務は国家資格中心ですが、例えば、特定の国・地域の専門家のニーズが高い中、国家資格を持つ専門家だけに限られません。また、各分野の先端では新しい専門業務も生まれておりますので、幅広い事業ニーズに対応できるような仕組みとすることが必要ではないかと考えております。具体的には、国内外の市場調査担当ですとか、大型資源プロジェクトを受注した場合のプロジェクトマネジャー、M&Aの専門家、ファンドマネジャー、世界規模の大型イベントのプロジェクトマネジャーなどは、少なくとも対象とすることが適当ではないかと考えております。
私からは以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでございましょうか。では、新谷委員どうぞ。
○新谷委員 今、鈴木委員から御発言のあった最後の部分は、要するに「労働基準法第14条の告示に示されている国家資格等以外のところについても、幅広い企業ニーズに応じて範囲を拡大していくべき」という御意見でしたけれども、先ほども私が危惧の念を持っている旨申し上げたスポーツ選手と同じことでありまして、一体どこまでその範囲を広げるのかという危惧を非常に感じるわけであります。冒頭申し上げたように、有期雇用特措法は年収要件がかかっているとはいうものの、労働契約法第18条が規定する無期転換ルール、まさしく民事の基本ルールとも言える規定に対する例外として創設された法律ですので、その業務についても労働基準法第14条の告示に示されている範囲に限定するべきである、と考えております。要するに、あくまで例外であることを踏まえ、限定的な運用がなされるべきと思っておりますので、今、鈴木委員がおっしゃったことについては、非常に慎重な検討が必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。では、八野委員どうぞ。
○八野委員 事業主が行う雇用管理措置についてでもよろしいでしょうか。事業主が行う雇用管理措置の内容については、高度専門労働者と高齢者のそれぞれの特性に合致したものが他の関連法令との関係においても過不足のない形で規定されることが、まずもって必要ではないかと考えます。今回、資料3の6ページに職業能力開発促進法、8ページに高年齢者等職業安定対策基本方針といった関連法令の規定も掲載されております。今後は、それらを参考に、今回の特例を受けるために最低限求められるべき雇用管理措置の内容というものをまずは詰めた上で、その後、その他にも有期雇用特措法の趣旨にかなう措置として追加し得るものはないかといった観点からさらに知恵を絞ることにしてはどうか、と考えています。今後、事務局にて起案を行う際には、そうした視点で準備をいただければと思っております。
もう一点は、先ほどの事例でオリンピックの選手、パラリンピックの選手というのが出ていましたけれども、国際労働運動の組織の中では、そうした方たちの雇用労働条件がどうであるのかをかなりしっかりとチェックしていこうという動きが出てきておりますし、また、ロシアでの今度のサッカーのワールドカップにおいては、オリンピックで働く者の労働条件であったり、またはそこで使う製品であったり、または、スポーツ選手にとっての環境というようなことについて、労働者保護の視点からNGOもチェックするべく動いてきております。したがいまして、対象業務についてはこうした国際的な視野を踏まえた観点からも慎重に検討していく必要があるのではないか、と思っております。これは意見として言わせていただきたいと思います。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
先ほどから、どちらかというと第一種の方が中心的に話題になっているところがあるのですけれども、第二種の方はいかがでしょうか。遠藤委員どうぞ。
○遠藤委員 それでは、第二種にかかわるところで意見と質問を1つずつさせていただければと思います。
定年後の継続雇用者につきましては、これまでも資料の中で説明がございましたように、2004年改正、2012年改正ということで高齢法の改正効果があって、今日の就業率の向上に結びついていることは疑いのないことだと思っております。今後、改正高齢法の趣旨を踏まえた基本指針を策定していくことについては、何ら異論があるところではございません。
繰り返しになるようで恐縮でございますが、高齢者の就業率の向上が今日このような形で実現したことの最大のポイントは、やはり事業主に対しまして一律的な対応を求めるということではなくて、3つの選択肢の中のいずれか1つ、柔軟な対応を許容する形での法的な枠組みが維持されたことだと考えております。
現状、高齢者の働きぶりを見てまいりますと、例えば、就労意欲の維持、また、職域の拡大といった労務管理上の課題は現在もございます。そういった中で、就労の実態はさまざまです。したがいまして、今後の有り様を考えてまいりますと、高齢者の働き方はまさに多様な働き方であり、勤労日あるいは就業時間帯、就業場所、職務の内容といった諸々の労働条件については、やはり選択肢を提供しながら労使のニーズにかなうような形で雇用を確保していくことが、とりもなおさず求められているのではないかと思っております。基本指針の策定に当たりましては、事業主の柔軟な対応を可能とする中身にしていただきたいということを意見として申し上げたいと思っております。
次に、質問です。資料2の29ページに有期雇用特措法の中身が掲げられておりますが、そこに第二種計画の変更等ということで、第7条の規定があります。具体的に第二種計画の変更が認められる状況というのは、どういった事象を想定されていらっしゃるのかということをお尋ねさせていただければと思います。
○岩村部会長 ありがとうございます。
では、御質問ですので、事務局でお答えをいただければと思います。
○福士高齢者雇用対策課長 まことに申しわけないですが、まだそこまで想定しておらず、今後検討していきたいと思っております。
○岩村部会長 では、遠藤委員どうぞ。
○遠藤委員 そういうことで申し上げますと、いろいろな場面が考えられるかと思っております。例えば、先ほど申し上げました3つの選択肢ということで、60歳定年のまま継続雇用制度を導入していた企業が、62歳まで定年年齢を引き上げるけれども、その後は継続雇用で対応するといった、制度改正が行われたような場合、それは計画の変更の対象になり得るのではないかと考えております。
さらには、制度自体の変更はないですが、高齢者の活用に当たっての考え方を経営環境等を考えた上で変えていくことも今後あり得るかと思っておりますので、そういった場合についても、計画の変更の対象になり得るのではないかと思っています。これはあくまで参考ですので、今後の議論の中で確認できればと思っているところです。
○岩村部会長 ありがとうございました。
では、新谷委員どうぞ。
○新谷委員 今の遠藤委員の御発言に関連して確認をさせていただきます。おそらく遠藤委員の本意ではないと思いますけれども、今の御発言の中で、「基本指針の策定については、ぜひ事業主の柔軟な対応を可能とする中身にしていただきたい」とか、「制度設計の改正や経営状況の変化も『第二種計画を変更しようとするとき』に該当すると考えるので、この点も柔軟に対応してほしい」というような御発言があったと思います。しかし、今日お配りいただいております資料3の10ページに、高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針が掲載されております。そのうち高年齢者雇用確保措置については、(4)の継続雇用制度を入れているケースが最も多く、しかも、一番多いのが1年単位で有期の契約で反復更新している、まさしく有期雇用特措法の対象になる方が一番多いわけですけれども、指針では、「高齢者雇用確保措置が65歳まで雇用確保を義務付ける制度であることに鑑み、65歳前に契約期間が終了する契約とする場合には、65歳までは契約更新ができる旨を周知すること」とされています。よって、建議にもあるとおり、特例対象者のうち高年齢者については、原則65歳までは契約更新がなされるものであるとの高年齢者雇用安定法の趣旨に沿った適切な雇用管理がなされることが必要であり、制度がどのように柔軟なものであったとしても、高齢法の趣旨を踏まえ、当然65歳までは少なくとも雇用を維持するということについては貫き通す方針として持っておくべきだと考えます。有期雇用特措法は定年後引き続いて雇用されている期間中は対象労働者について無期転換申込権は発生しないとするものですので、無期転換ルールの特例対象となった場合であっても、原則として65歳までの雇用は確実に保障されなければならないと考えております。
以上です。
○岩村部会長 では、遠藤委員どうぞ。
○遠藤委員 ただ今の新谷委員の意見に対してはお答えしなければいけないと思っております。
まず、高齢法の考え方ですが、3つの選択肢の中、継続雇用制度の場合については原則65歳まで雇用が確保される制度であり、その制度自体を導入することでございまして、個々の労働者に対して65歳までの雇用義務が事業主に課せられるものでもなく、雇用保障があるものでもないということです。現にQ&Aを見ますと、更新基準については、年齢以外のものについて置くことができるという内容もありますし、さらには今般12年間にわたりまして経過措置が講じられている状況をかんがみれば、状況によっては更新されない場合もあり得ます。ただし、それは原則65歳までの雇用確保措置という法趣旨をたがえることなく運用していく、これは鉄則だと考えています。
私が先ほど柔軟な対応と申し上げたのは、高齢法の趣旨をたがえるということではなくて、高齢者を積極的に活用するけれども、その考え方自体が変わっていくことも状況によってはあり得るのであり、経営環境の変化等々によって取組みが変わってくることを認めていただくような形で、その場合には計画変更届が必要となるのではないかという趣旨でございます。
繰り返しになりますが、労働契約法、高齢法の趣旨そのものをたがえるという意味で申し上げたつもりは一切ございません。
○岩村部会長 今のやりとりの中では高齢法の解釈の問題も出てきましたが、ここでの問題は遠藤委員が最初に口火を切られたように、今回の有期雇用特措法第7条の変更というのがどういう場合に認められるかとのかかわりだと理解したいと思います。単純に法律を読めば、第6条第2項で、第二種計画には次に掲げる事項を掲載しなければならないということがあり、1号、2号となっています。したがって、恐らくこの1号、2号のところで何か変更、とりわけ認定したこととかかわるような形での変更があったときには、もう一度認定を受けてくださいねというのが、この第7条の趣旨だと思いますので、この点は先ほど事務局からも、より詰めて検討しますというお答えもございましたので、具体的にどういう場合が該当するのか等については、また改めて検討の上、部会の場ででもお示しいただければと思います。
ほかにはいかがでございましょうか。では、冨田委員どうぞ。
○冨田委員 私からは計画の認定申請を行う際の手続のあり方につきまして、1点意見を申し上げたいと思います。
事業主の認定手続きについては、建議をとりまとめる際にも労働側の委員から申し上げさせていただいておりましたが、事業主は基本的な民事ルールに関する特例を享受すべく認定申請を行うというものである以上、申請に当たっては集団的労使関係への配慮が行われてしかるべきではないかと考えてございます。具体的には、事業主が計画の認定申請を行う際には、それに先だって「過半数労働組合等への意見聴取」を行わなければならないといった手続が、規定として設けられるべきと考えております。
この点につきましては、建議のとりまとめの際に「法成立後の労政審での議論に委ねる」との整理になっていたと記憶しておりますし、先ほど御説明いただきました参議院の附帯決議におきましても、「計画の認定手続については、事業主に過大な負担が生じないよう簡素な仕組みとするとともに、労働者の意見がその計画に適切に反映される仕組みについて十分な検討を行うこと」ともされております。つきましては、今回の論議の対象となるべき厚生労働省令としては、有期雇用特措法第4条第1項、第6条第1項に、それぞれ計画に関する認定の手続については「厚生労働省令で定めるところ」という箇所がありますので、この省令の中で「過半数労働組合への事前の意見聴取」をぜひとも規定していただきたいということを意見として申し上げたいと思います。
○岩村部会長 ありがとうございます。
では、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 ただいまの冨田委員からの御意見に対して、使用者側の意見を述べさせていただきたいと思います。
私どもも労働者の意見が、何らかの形で労務管理上反映されることが大切であるという気持は同じでございます。ただ、特例措置に関しましては、既に適切な雇用管理を行うということを行政機関の認定というスキームの中で担保しているものでございます。労働者の保護については相当程度このスキームによって担保されていると思っております。それ以上に手続を厳格化するということになりますと、せっかく幅広い企業あるいは労働者の方に使っていただきたい制度が使われなくなるのではないかという懸念を持っているところでございますので、過半数労働組合等への意見聴取を義務付けることに対しては極めて慎重な議論が必要だと思っております。
○岩村部会長 では、新谷委員どうぞ。
○新谷委員 今の鈴木委員の御発言をお聞きして思ったのですけれども、同じ労働政策審議会にある労働条件分科会において労働時間法制の検討をしているわけですが、そこでは鈴木委員から「労働時間法制のあり方については、労使での話し合いが大事ではないか」という御発言があったように思います。一方の場ではそうしたご発言をされながら、今回の有期雇用特措法の議論の場においては「事業主の認定の手続きに関して労使での話し合いは必要ないだろう」と言われるのはなぜでしょうか。私どもとしては、労使の話し合いというのは重要であると思っています。ただ、労働時間法制については、労使の話し合いに加えて法規制が大事だと思っているのでその点も併せて主張しているところではありますが、とにかく、使用者側はこれまで「労使の話し合いがベースなのではないか」といったことを御発言されている中で、この有期雇用特措法については、なぜ労使の話し合いをベースにされようとしないのか、その点を非常に疑問に思うところです。ご発言が、どうもその場その場で違うように思うのですけれども、もし、お考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
○岩村部会長 鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 まず、1点スキームについて確認させていただきたいと思うのですけれども、資料2の26ページ、無期転換ルールの特例の仕組みについてのポンチ図を御用意いただいたところでございますけれども、1~4までは手順としては、この順番どおりにすることが想定されているという理解でよろしいのか、確認したいと思います。
○岩村部会長 では、村山課長お願いします。
○村山労働条件政策課長 お答えします。おっしゃるとおりです。
○岩村部会長 鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。
たとえば第一種の特例有期雇用労働者の場合には、実際に誰の意見を聞くのかという問題があると思います。多くの場合、自社にはいない専門家に来てもらうわけでありますので、意見を聞く対象というのは、第一種特例有期雇用労働者本人になろうかと思います。ただし、ここにございますように、第一種有期雇用労働者を採用する場合には、まず、1の計画の策定、それから計画の申請・認定を受けた後でないといけないというのが、有期雇用特措法のスキームでございます。そのために、特定のプロジェクトを立ち上げる場合には、まずは計画の認定を受けた後、募集し、採用するということになると思っています。
そういたしますと、労働者本人から雇用管理のあり方について意見を確認するタイミングというのが募集段階ということになりますけれども、実務上なかなか難しい面がある。もちろん、募集する第一種の特定有期雇用労働者の方に類似の方が会社の中にいらっしゃる、そういった方の意見を過半数労働組合等が把握をされているという場合は特別ですけれども、それ以外の通常の場合には、リジットに意見聴取する手続を行うというのは、実務上、大変難しい面があるということを御理解いただきたいと思います。
○岩村部会長 では、新谷委員どうぞ。
○新谷委員 今、第一種計画の話があったのですけれども、第二種計画は計画的に運用できる話でありますし、多くの労働者が対象になってきます。「高齢者の活用が大事だ」と先ほど遠藤委員もおっしゃっていましたので、事業主がどのような計画を作成するかという点は従業員にとっても大きな関心事であると思います。それなのに、このような従業員の関心事を集団的な労使関係の関与のもとに置く必要はないとの御主張については、私は全く理解できません。我々としては、無期転換ルールという労働者の大事な権利について特例を設けるにあたって、その手続きの第一段階である計画の作成という局面において集団的な話し合いの場を設けるべきだということは、常々使用者側もおっしゃっている話に沿うのではないかと思っております。ついては、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○岩村部会長 ほかにはいかがでございましょうか。
では、新谷委員どうぞ。
○新谷委員 手続の関係で2点申し上げたいと思います。
資料3の2ページの一番下の○として、事業主の認定の手続について書かれています。労働者側委員からの意見として、「民事法上のルールである無期転換ルールの特例の適用に当たっては、行政庁の関与を最小限とすることが適当である」という意見についても載せていただいております。我々としては随分申し上げているように、やはり基本的な民事ルールに対して行政庁が関与するという仕組みについては違和感が残る部分でありますので、事業主が作った「計画」を基本指針に照らして認定するのか否かという判定に当たっては、行政庁の主観的な判断に委ねる余地を極力少なくして、可能なかぎり客観的で機械的な判断によって判断・認定される仕組みをつくるべきだと思っております。そういった意味では、この基本方針(告示)において客観的な判断基準を明記するべきではないかと思っております。
そうしなければ、計画の認定がされるのか否か、また無期転換ルールで誰が対象になるかということが事前に分からず、事前の予測可能性の点でも問題がありますし、行政のさじ加減で認定が左右されること自体あってはならないと思いますので、そういった面も含めての検討をお願いしたいと思います。
もう一点は、事業主の認定申請と認定後の監督体制の関係です。計画の認定申請は、第一種計画、第二種計画ともに事業主、法人単位で行われるということになろうかと思います。もともと労働契約法の範疇の話ですので、「使用者」という概念で考え、企業全体を一つの法人として労働契約を結ぶという体系の中で、事業主単位で計画申請を行うということになろうかと思います。そうしますと、例えば全国展開をしているような大企業で事業所が各所にあるようなところについては、有期雇用特措法第11条の「計画の実施状況に関する報告聴取」といった認定後の監督行政は、それぞれの事業場を単位として、それを所管する都道府県労働局長に権限が与えられ、実際にはその下にある各労働基準監督署が行うこととされています。例えば、本社が東京にあって全国に事業所が何十箇所もある場合には、計画の申請は東京にある本社で行われるけれども、具体的な事後の報告聴取等の場面においては監督行政との関与の接点が本社一本でいいのかというと、そうではないということであろうと思います。そういった意味では、事業所単位でのチェックなり助言指導というのができるように、申請された計画がどの事業場を対象にしているのかといった事項についても行政サイドでしっかりと把握できる仕組みとすることが必要だと思います。申請を行った本社を相手に、一々ここの事業所はどこであるかを確認するのは、おそらく行政的に非常にロスが出ることだと思います。このように、認定後の監督体制の仕組みをつくり込むということも大事な視点だと思いますので、検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
では、遠藤委員どうぞ。
○遠藤委員 認定に際しての判断基準というのは、冒頭、鈴木委員が申しましたように、明確化すべきだというのは使側の立場でございます。いろいろな指標が今後出てくると想定されるわけですけれども、必ずしも客観性を十分に持ち得た形の指標になっているかというと、それはなかなか難しい場面もあるのではないか。例えば、高齢者の配置や活用につきまして数値化していくというのは、実際の現場を見ても、そういう形での目標の立て方をしている状況はなかなか見ることができません。むしろ個々の職場の就労実態を反映することができるような形での基準づくりに私どもが視点を置いて、今後議論してまいりたいと考えているところです。
○岩村部会長 ほかにいかがでございましょうか。大体よろしいでしょうか。
さまざまな角度から御意見をお出しいただきました。これによりまして、今日の特別部会におきましては、有期雇用特措法の施行に係る今後の検討課題ということについての議論を深めることができたように思います。基本指針や年収要件、さらに第一種、第二種、特に第二種についての雇用管理のあり方等について、労使双方からいろいろな御意見もいただいたところでございますので、次回の特別部会におきまして、さらに引き続いて議論を行っていきたいと考えております。
今後の進め方ですけれども、事務局で本日、労使各側から出た御意見も踏まえて、次回に向けて施行に際して必要な省令等のたたき台を準備していただきたいと思います。次回以降、そのたたき台をベースにしながら、さらに労使双方から御意見を伺いつつ議論を深めてまいりたいと考えるところでございます。
それでは、次回の日程につきましては、事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○武田労働条件政策推進官 次回の特別部会については、年明け1月28日水曜日、17時から19時に開催の予定です。開催場所については、追って御連絡いたします。
○岩村部会長 ありがとうございました。
それでは、第7回有期雇用特別部会及び第6回高年齢者有期雇用特別部会は、これで終了とさせていただきたいと思います。
最後に、議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては新谷委員に、使用者代表につきましては小林委員に、それぞれお願いしたいと思います。
本日は、遅くまでお忙しい中どうもありがとうございました。これで閉会といたします。
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