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2014年10月9日 児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会(第2回)

雇用均等・児童家庭局総務課虐待防止対策室

○日時

平成26年10月9日(木)10:00~12:00


○場所

経済産業省別館1111号会議室(11階)


○出席者

委員

松原委員長 秋山委員 泉谷委員
岡井委員 笹井委員 佐藤委員
辰田委員 浜田委員 藤平委員

オブザーバー

総務省 法務省 文部科学省 警察庁

厚生労働省

古川総務課長 川鍋虐待防止対策室長 小松虐待防止対策室長補佐

○議題

(1)児童虐待防止対策に関する副大臣等会議(第2回)について
(2)「当面の課題・施策の方向について」課題(1)及び(2)について

○議事

○小松虐待防止対策室室長補佐
 定刻より若干時間がありますが、委員の先生方はお集まりですので、ただいまから「第2回児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」を開催させていただきます。委員の皆様にはお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日も委員9名、オブザーバーの方、4名に御出席していただいております。

 それから、磯谷委員、加藤委員、菅野委員につきましては、本日は御欠席との御連絡を頂いております。

 最初に資料の確認をさせていただきます。まず「座席表」、本日の会議資料の「議事次第」。資料1930日第2回児童虐待防止対策に関する副大臣等会議における有識者の提出資料」、レジュメです。資料2「当面の課題・施策の方向について」課題(1)及び(2)について、資料3「秋山委員提出資料」、資料4「岡井委員提出資料」、資料5「佐藤委員提出資料」、資料6「泉谷委員提出資料」、資料7「藤平委員提出資料」です。藤平委員からは本日、浦安市の広報とチラシも御提供いただきましたので、同じように机の上に置かせていただいております。

 それから、一番下に、A4横の「机上配布資料」を置いておりますので、御確認いただきたいと思います。資料の欠落等がありましたら、事務局までお申し付けください。

 それから、傍聴される皆様におかれましては、事前にお知らせしている傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いします。

 それでは、議事に移りたいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。

○松原委員長
 お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。本日は各委員の方々のプレゼンテーション等もございますので、迅速に議事を進め、ディスカッションの時間をなるべく多く取りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日は、議事として、930日に行われました児童虐待防止対策に関する副大臣会議第2回について、事務局から報告を頂きまして、2番目に本専門委員会で集中的に議論することといたしました当面の課題・施策の方向について、5項目ありましたが、このうち(1)(2)について御議論を頂きます。

 まず議題1について、事務局から資料説明を頂いたあと、3名の委員、秋山委員、岡井委員、佐藤委員から御意見を頂戴し、意見交換をいたしたいと思います。次に課題2に移りまして、事務局からの説明、その後に、2名の委員、泉谷委員、藤平委員から御意見を頂戴し、意見交換を行っていきたいと思います。時間の都合上、各委員からの御説明は10分でお願いをしたいと思います。まだ課題の35が残っておりますが、これにつきましては第3回において御説明、御論議いただきたいと考えております。

 それでは、議事1「児童虐待防止対策に関する副大臣等会議(2)について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○川鍋虐待防止対策室長
 資料1を御覧ください。930日に副大臣等会議の2回目が開かれまして、その際の有識者ヒアリングの資料を用意してあります。最初に横浜市ですが、4ページ、5ページを開きますと、まず横浜市の対策の概要、取組、児童虐待等の仕組みということです。横浜市の資料については、赤字の部分を中心に説明されていますので、特にその部分を御覧いただければと思います。

5ページの横浜市における児童虐待対応の仕組みですが、各行政区である区役所と児童相談所との間で、要保護児童等の一元管理ということで、真ん中にAEのピラミッドの図があります。これについては児童虐待及び不適切養育の共有ランク表が作成されています。この共有ランク表の詳細が6ページに記載されております。

7ページは、区と児童相談所との連携強化指針・実務マニュアルの作成ということで、横浜市においては、平成261月に連携強化の指針が作られています。矢印の下の所で対応方法を業務担当(職種)ごとに具体的に示したということです。

8ページにつきましては、母子保健活動における児童虐待予防と育児困難なハイリスク家庭の早期発見・相談の場ということで、妊娠期から生徒18歳までの時間軸の中での流れの図があります。

9ページは妊娠期からの切れ目のない支援ということで、赤字の部分は妊娠届出時に全数面談を行うため、区役所に看護師が配置されている。91%の妊婦と面接で、残りの9%については電話フォローを行っているとお聞きしています。支援ニーズに対応した相談体制は、下の枠の中に書かれているように、専門職種の方が、対応しているという内容です。

10ページは、妊娠期から切れ目のない支援体制を充実することが重要ということで、これもこの図にありますように、事務職等からの説明から、看護師の一次、二次面接等で組織的判断、継続支援という流れで対応されています。

11ページは臨検・捜索の実施から学んだことということで、横浜市におかれては、ここに書かれているような事例がありました。このときのポイントとして、準備・判断・協力という各々の視点での必要性や重要性が書かれています。

12ページ、13ページについては、横浜市による、居所不明の児童に対する対策ということで、平成264月に新たな取組を開始したということで、検討プロジェクトの経過や仕組みづくり、要対協に基づく調査と進行管理についての記載されています。13ページですが、居所不明児童対策の強化についてのご提案です。

14ページは、今後の課題として、4項目を挙げられています。

 続きまして、15ページですが、NPO法人シンクキッズ代表理事の後藤啓二弁護士の資料です。1は「法改正を目指して」ということで、第1が目的、第2が現状、第3は関係機関の取組みの問題点です。1は、児童相談所、市町村、警察が虐待情報を共有せず、連携して対応しない。2は、所在不明児童を真剣に探さない。3は、危険な状態にある子供を一時保護しない。危険な親に安易に戻してしまう。4は、子育て困難な妊産婦を支援する仕組みが不十分。5は、虐待を受けた子どもに対する精神的な治療・ケアが行われていない。という問題点を説明されました。

 この問題点については、法改正が必要だということで、22ページに5項目に分けてまとめられています。1は、児童相談所、市町村、警察が連携して被虐待児を保護する。2は、市町村、児童相談所と警察が連携して所在不明児童を発見し、保護する。3は、児童相談所が一時保護を子どもの命を最優先として行うようにする。4は、妊娠中・出産直後から子育て支援が必要と思われる妊産婦等を支援する。5は、虐待を受けた子どもが精神的な治療を受けることができるようにする。詳細は各項目ごとに書かれています。23ページは後藤氏の「私の視点」という報道記事です。

 最後になりますが、子どもの虹情報研修センター研修部長の増沢氏から、諸外国の制度について資料を提示され、説明がありました。諸外国は、アメリカ、イギリス、北欧です。最初に29ページのアメリカの児童虐待対応ですが、アメリカの児童虐待の現状が3031ページにあります。CPSというのは、日本で言う児相という説明がありましたが、このような現状にあります。

32ページは、アメリカにおける介入システムと司法の図が書いてあります。3番目についてはCPS(児相)での体制の充実ということで、比較例として横浜市が書かれています。

34ページは、警察との協働の内容。35ページは、司法面接の内容、36ページは、支援はどうなっているのかという内容です。特徴のまとめとして、17番のような内容が掲げられています。特に6番ですが、近年は予防的支援が重視されてきていると説明されています。

38ページは、イギリスの児童虐待対応ということで、子ども虐待対応の考え方が39ページに図として書かれています。

40ページについては、イギリスのソーシャルサービスの対応状況について、41ページにロンドンの例があります。42ページについては、アセスメントに基づく支援の図が示されています。43ページは、人生早期からの支援の充実についての内容です。44ページからは、治療施設について、情緒的な課題や子どもたちが入所して治療する施設等の説明。47ページは、特徴のまとめとして、4つの項目が挙げられています。

 最後は、北欧の児童虐待対応です。49ページは、小さなエリアで展開するソーシャルサービスということで、その配置の例がスウェーテンとデンマークと日本との比較で書かれています。

50ページの2では、小さなエリアで展開する予防的支援の充実ということで、フィンランドのネウボラとスウェーデンのファミリーセンターの内容が書かれています。52ページについては、ファミリーセンターとソーシャルサービスの連携の姿。53ページは、特徴のまとめとして、4つの項目が掲げられています。以上です。

○松原委員長
 詳細は資料を御覧いただくとして、今の御説明あるいは説明を伺っている間に資料をお読みいただいて、御質問があればお受けしたいと思いますが、いががですか。

 よろしいですか。それでは、これにつきましては、また何か討議の中で遡って触れていただいても結構です。

 続きまして、議題2「当面の課題・施策の方向性について」の課題(1)「妊娠期からの切れ目のない支援のあり方について」に移りたいと思います。初めに事務局から説明いただいて、次に秋山委員、岡井委員、佐藤委員より10分ずつ御説明を頂き、その後、意見交換を行いたいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。

○川鍋虐待防止対策室長
 それでは、資料2を御覧ください。表紙をめくり、課題(1)の「妊娠期からの切れ目のない支援のあり方について」の➀の妊婦が相談しやすい体制の整備です。この資料はあくまで事務局として作成したものですので、先生方の議論の素材として御覧いただければと思います。

 まず実態として、これまでの死亡事例の検証報告から明らかになってきたこととして、死亡事例の中で心中を除きますが、0歳児の割合が多く、4割を超えます。望まない妊娠が7割です。それから、実母の妊娠期の問題については、母子健康手帳の未発行、妊婦健康診査の未受診がそれぞれ90%あります。

0日児の死亡事例のうち、妊婦の両親(子どもから見て祖父母)が同居していた事例の割合が8割となっている実態を踏まえて、どういう課題が考えられるのだろうかということで、右側の3つの事項ですが、妊婦が気軽に出産、子育てについて相談できる場所や人などを増やしていくことではないか。もう1つは見守りが必要と思われる妊婦に関する情報を行政機関が把握しやすくする仕組み。3つ目は、特定妊婦の親(子どもから見て祖父母)がその役割を果たすことについて、どのように考えていくのだろうかと思っています。

 ➁の切れ目のない支援体制の構築ですが、実態として、要保護児童対策地域協議会の特定妊婦のケース登録数は全登録ケースの1%ぐらいしかないという実態です。医療機関からの通告が通告全体に占める割合は決して高くはなくて、児相が4%、市町村が2%程度。死亡事例の中での乳幼児健診の未受診率は全国平均に比べると、未受診者の割合が約45倍と高い。養育者の心理的・精神的問題については、育児不安、養育能力の低さ、うつ状態が多い。

 地域との接触状況は、ほとんど無い、乏しいを合わせると約7割という実態を踏まえますと、課題の1つ目は、妊娠期、子育て期に至るまでの継続して相談できる場の拡充。特定妊婦に関する情報について、確実に市区町村に伝達されて必要な支援につなげる仕組み。3つ目は、保育所、幼稚園、小中学校等で見守りが必要な子どもに関する情報が確実に引き継がれていく仕組みが課題ではないかと考えております。

 次のページにありますのは、各自治体の取組事例をまとめたものです。例えばA自治体の事例としては、妊婦の状況をスクリーニングする13項目を妊娠届出書に追加した様式を県内市町村で統一している取組とか、妊婦が医療機関を受診する際に、その場で記入して、妊婦の生活状況を把握することを可能とする仕組み、あるいは妊婦本人から提出された妊娠届出書で把握した妊婦の状況等に応じて、訪問を含め、いろいろな支援を実施する取組です。

 次ページには2つの自治体の事例が書いてありますが、B自治体では「子どもセンター」を作ったり、看護師などのチャイルドパートナーの制度を独自に作って、サポートプランを作る。C自治体では、子育てケアマネジャーという市が独自に認定する仕組みを作って、保健師が中心となって「子育てケアプラン」を作る。妊娠届出から16か月児健診まで、それぞれの節目にケアプランを立てることによって、行政とのつながりが薄くなってしまう期間を埋めていく取組です。以上です。

○松原委員長
 こういう事務局の整理を受けまして、今日お三方から御意見、プレゼンテーションを頂きたいと思います。それでは、秋山委員からお願いします。

○秋山委員
 あきやま子どもクリニックの秋山です。それでは、資料3に沿って、妊娠期から切れ目のない支援について、意見を述べさせていただきます。まず、国民運動である「健やか親子21(2)」も妊娠期からの虐待対応が重点課題となっており、これから10年間取り組む課題です。

 次に、母子健康手帳の交付は、特定妊婦やリスクを把握するため、保健師が問診を行うことが望ましいと言われていますが、人手の確保、市民へのサービスの観点からアンケートを活用して事務職で行われている所もあります。これは三鷹市のデータですが、妊娠11週未満での届出が90%を超えています。気付かなかった、出産するかどうか迷っていたなどで、妊娠22週以降の届出もあります。このようなリスクを持った妊婦にも、妊婦訪問事業や乳児家庭全戸訪問事業、新生児訪問事業を活用して確実に支援することが必要です。

 次に、妊婦健診や出産時に特定妊婦と判定された場合には、保健センターへ連絡されます。出産後には保健センターと小児科の連携が始まりますが、認識のある診療所に偏る傾向があります。全ての医療者が赤の矢印のように業務として関わるように意識すべきです。また、今回の第10次報告でもありましたように、精神疾患を持つ保護者が多く、精神科との連携も業務と考えるべきです。その診療科同士の連携が取りやすい病院に設置される虐待防止委員会のこれまで以上の速やかな設置を望むとともに、院内での周知が必要です。そして、虐待防止委員会に開業医も地域のケースに関して参加できるような仕組みがあれば虐待に対する関心が高まり、また連携がしやすい関係づくりができると思います。

 次に、母子保健法12条と13条で行われている乳幼児健診は34か月健診、16か月健診、3歳児健診の3つであり、ほかの健診は地方自治体によって異なっています。0歳の死亡が多いことを考えますと、乳児健診を増やすべきであり、日本全国どこで生まれても同じサービスが受けられるように地域差をなくしてほしいと思います。また、三鷹市では乳幼児期に転入・転出が多く、0歳から3歳まで、同じ集団とは言えず、移動した場合は分からなくなります。前回磯谷委員が述べられましたように、国で広域的に把握していただくほうがいいと思います。

 次に、育てにくさというのが虐待の要因になることもあり、次期の「健やか親子21」では、育てにくさに寄り添うことも重点課題です。当院で調査をした乳児健診で、育てにくいと訴えた親が乳児期に10%、1歳半には約20%に増加していました。その内容は8番目の表のとおりで、一般的な子育ての悩みです。これらの悩みを、子どもにはよくあることと一蹴するのではなく、悩みが終了するまで丁寧にフォローすることが望まれます。

 乳幼児健診で使用されている健診票が問題の発見と連絡の役割だけではなく、問題解決まで活用できるように工夫できないでしょうか。また、日常生活の中で、身近で親に寄り添うことができる場所、フィンランドのネウボラのような子育て支援拠点が必要で、乳児期早期から関わっている開業小児科医も拠点の候補でもあります。

9番目は、「健やか親子21」より抜粋したものですが、地域に日常生活に関わることができる保健センター、保育所、幼稚園、学校などがあります。地域の人材ソーシャルキャピタルの活用、そのことで地域の横のつながりを持つことができます。三鷹市はコミュニティースクールを基盤とした小中校一貫の学園を展開していますが、学校が問題を抱え込まず、地域に開かれた学校になり、支援すべき親子を紹介でつなぐだけではなく、支援者同士もつながりを持つことが重要と考えます。

10番目の図です。医療からの虐待通告は、特に重要とされていますが、医療からの通告は多くありません。そのために東京都は10年前より一次診療従事者向けの研修会を1年に都内10か所で開いております。その参加者は1回平均27人と増えない現状があります。前述しましたように、病院の虐待防止委員会との連携から虐待が身近に起こるものであることを実感する機会、虐待が重大な疾患であることを認識し、虐待予防の第一線であることを確認できる研修会が望まれます。

11番目の図は三鷹市のネットワークです。地域の中で虐待に関する縦横を結ぶのが要保護児童対策地域協議会ですが、前回の委員会でも申し上げましたが、組織の会員には情報が届かない現状です。しかし、実務者会議やケース会議はよく運営されていると感じています。要対協がもっと身近になるためにはケース会議などに関係者を積極的に関与させることが大切で、開業医の場合には会議の時間帯が合わずに参加できないことが多々あります。極端ではありますが、要対協は開業医の時間に合わせることまでして医療者に参加を呼び掛けた所もありました。そのほか、校医や園医という立場も活用できる仕組みがあるといいと思います。

 これまでの問題から3つの提案です。まずは保健、産婦人科・小児科・精神科の医療システムの構築です。現在の取組の地域差をなくすこと。また途切れのないシステムとして、フインランドのネウボラのようなものを参考にすること。健診の標準化を速やかに実施することなどが必要と考えます。

 次に子育てにおける保護者の義務とその啓発です。保護者は妊娠・出産に関する届出義務と妊婦健診、乳幼児健診を受ける義務、義務教育という流れです。保護者の義務に対して関係機関の義務もあります。実は先ほど紹介したフィンランドは日本と異なり、個人を国に登録するため、追跡が容易であるという背景があり、一方、我が国は独自の戸籍制度を有して、かつ医療においてはフリーアクセスが保障されるという特徴があります。いわゆるマイナンバーの導入については、御承知のとおり、総務省において取り組まれているところですが、我が国においても届出が広域的に活用されるシステムがあれば、所在不明児の対策にもなると思われます。

 日本産婦人科医会を中心に小児科関連学会も参加して、電子母子手帳の研究が進んでいます。私の診療所でも試運転を始めていますが、電子母子手帳が活用できれば、乳幼児健診、予防接種など、広域的な管理に役割が担えるかもしれません。また、虐待通告は国民の義務とうたわれているものの、組織になるとその意義が薄れてしまい、危機レベルが下がり、園や学校でうまく機能していません。組織としても通告の義務を啓発していくべきだと思います。また保健に関して、未受診者の追跡などが義務となり、その保護者に対して電話連絡や訪問する根拠になるかと思います。また医療も医師法の守秘義務よりも虐待通告、要対協への協力の義務があること。切れ目のないシステム構築に従事することが義務になります。

3番目に、「望まない妊娠」から「望まれる妊娠」への取組です。母子の命を守る妊娠、母子環境を豊かにする妊娠には避妊の問題も含めて取り組む必要があり、日本小児科学会における思春期問題の重要な課題の1つになっています。医療保健、福祉、教育の関係機関全体で検討していただきたいです。

 最後に、これは日本医師会で要望しています成育基本法です。今般、子ども・子育て支援法が施行されることになっておりますが、連続性の問題があります。今回の妊娠期から切れ目のない支援に沿った妊娠期から成人になるまで継続することを目的にした立法だと思います。以上です。

○松原委員長
 なかなか刺激的な御提案も頂きました。これを巡っての質疑応答をしていますと、だんだん時間が押してきますので、まずお三方からお話を伺って、それを総合しての議論を行いたいと思います。次に岡井委員からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○岡井委員
 私は日本産婦人科医会から来ておりまして、そういう意味で妊娠期を中心にお話をしたいと思います。ここで問題なのは、先ほどからも出ておりますように、心中を除く虐待死、死亡事例のうちの0歳児が占める割合が40数パーセントあって、そのうちの更に40%は0日であるということ、更にその加害者が残念なことに実母であるということです。その辺の事実に基づいて産婦人科の診療の中から、産婦人科の医師がどのような形でそういう事例の防止に貢献できるかということでまとめてみました。

 前回も話が出ていますが、そういう0歳児に実母が、その子をあやめるという事例は90%が全く医療機関を受診しないで、母子手帳の発行も受けないで、自宅で産んでいることが多いのです。そういう人たちにどういう形で支援をするかというのは、とても難しい問題ですが、それは(2)に書いてあります。

(1)は、今までも言われていることですが、初診時とか、健診に来られたとき、それから産褥の健診のとき等に特定妊婦と言われるリスクのある人を、きちんと抽出して、その人たちの支援については専門の機関と連携を取りながら行っていくということだと思います。

 特に、医療機関を受診して診療を受けて、普通の分娩施設でお産をされたあと、お子さんと心中したというのも多いのですが、心中を含めて虐待には、精神疾患が関連しているケースが相当多いので、そういう特定妊婦に関しては、産婦人科と精神科との連携が大変重要になってくるだろうということです。

 あとのほうの資料にありますが、医会のほうで、各分娩取扱機関に「このような形で特定妊婦の抽出に努めてください」というチェックリストを作って配布しております。それから、そういう事例があったときにどう対応するかということに関しての委員会等を設置してくださいと医会から会員に呼び掛けております。

 そのように受診してくれる人に対しては今の対応を考えておりますが、問題は医療機関を受診しない妊婦さんです。こういう人にどうするかですが、「相談窓口がありますよ」と呼び掛けても、行政が表面に出てきたり、あるいは医療機関であっても、相談することに躊躇するでしょう。要するに、妊娠していること自体を隠しておきたい人とか、もう投げやりになってしまっているような人がほとんどだと思います。ですから、公的な施設等は後ろに隠れていただいて、背後から支援をするのが良いと考えます。表面に出ているのは本当に民間のNPOか、そういう機関であって、「私たちはあなたの味方なのですよ」ということで安心して相談を受けられるという組織ができればいいと思います。

 また、そういう人が出向いてきて相談をするというのは、なかなかやりにくいことなので、電話でもメールでも何でもいいから連絡が取れる。そういう機関があるのだ、そこへ行けばとにかく相談に乗ってくれるみたいな組織を作って、あとはそういう組織があることを知らせるのですが、これもまた難しいことです。

 大阪府立母子医療センターで「にんしんSOS」というのをやっています。病院なので、多分多くの方が相談に来ておられると思いますが、そこにも行きたくない人もいるだろうと思います。みんな来ますか。

○佐藤委員
 来所相談はしていません。

○岡井委員
 光田産婦人科部長とこの間会って話をしたら、望まない妊娠で、その子を将来どうして育てるのだということも、余りきちんと考え付かない、投げやりになってしまっている人に「相談窓口がありますよ」と知らせるのが最も難しいという話になりました。1つは妊娠の検査をする検査薬を薬局に買いに行ったときに、「悩んでいる方の相談を受け付けますよ」みたいな組織があることを知らせるカードを渡す方法もありますが、そういう人は実は検査も受けないのです。自分が妊娠しているかどうか、妊娠しているだろうと思っていても受けない人もあれば、気が付いたときには、もうお腹が大きいとか、いろいろなケースがあると思いますが、結局検査は受けないんです。いろいろ聞いたら、コンビニのトイレに置いておくと、カードが一番よくなくなるという話です。ですから、コンビニとか医療機関と関係のないような所に、そういう情報を与えるような資料を置くというのは1つの手だろうということです。

 もう1つは、これも光田先生に聞いた話ですが、女子校のトイレなどに置いても持っていってくれるらしいのです。ところが、学校に置くことに関しては学校側や教師の抵抗が相当強い。この件に関しては、根本的に私たちが思っているのは、若い頃から、もっと早い時期ですが、そういう行為に及ぶと妊娠するのだということを、きちんと教育しなければいけないということです。日本の場合は性教育がとても遅れています。

 この間、18か国ぐらいの先進国で妊娠に関する知識について統計を取ってみると、日本は何と17位でした。そういうことに関する知識が男性も女性も遅れています。なぜかというと、性教育という言葉自体にアレルギーを感じて、ちゃんとしたことを教えない学校が多いし、文科省なども、性教育に関してはとても後ろ向きです。実はそういう所からきちっと教育をし、啓発していくことで望まない妊娠をもっと減らすことができるのです。もしもそんなことがあったときには、相談に乗ってくれる組織がありますということを、本当に若いうちから教育して、日本はそういう体制をとっているのですよということを実行していくことが大事ではないかと思っています。

 最後に書いてあるのですが、性教育という言葉がどうしても受け入れられないのであれば、言葉を変えようと医会で考えています。例えば、女性の健康教育とか、性という言葉を使うだけで、日本ではセックスということに結び付けて考えるので、「そういうことを中学生に教えるのは何事だ」みたいな、未だにそのように抵抗する人が多いので、日本は遅れているのです。だから望まない妊娠が増えて、その後どうしていいか分からないという方がいる。大きな問題だと思います。

 もう1つ、望まない妊娠でできたお子さんを自宅で産んでしまう人も親族と同居しているのです。だから一方、親族もその子に対して、もっと早く妊娠に気付いてあげなければいけないし、気付くこともあっても、親族もどうしていいか分からないということですので、そういう場合には社会全体で、こんな施設があって、いろいろな形でサポートしてくれるのですよ、ということを知ってもらうことが必要です。そういう社会全体での啓発が大事ではないかと思いました。以上です。

○松原委員長
3番目は、佐藤委員からお願いいたします。

○佐藤委員
 資料5を御覧ください。今までお二方がお話されたことと同じようなことを、切り口を変えて書いているような所もあります。「現状と課題」の所では大きく2つに分けております。1つ目の○は、日本では母子保健法等で充実していて妊娠期から相談できる、あるいは健診できる仕組みがあります。そういうのに乗ってこないような人たちが死亡例で多いということ、今まで皆さんがおっしゃられたことを縷々書いております。特に矢印の3つ目は、妊娠期には医療機関でいろいろな相談に対応していただいていても、長く続く地域での子育て支援のところに、医療機関での支援の内容と、地域の子育て支援機関の具体的な情報の共有がなされなくて、連続性が乏しいところがこれの一番大きい問題ではなかろうか。せっかく今のシステムに乗っている人たちでもということです。システムに乗らない人の問題が大きいのは、今まで皆さん方がおっしゃられたとおりです。

2つ目の○は切り口が違うのですが、支援の効果を判定するということで、虐待発生率の把握が必要なのですけれども、真の虐待対応事例の把握というのが、今の福祉行政報告例では、児童相談所及び市町村が重複事例も恐らく報告しているのではなかろうかというところ。それから、子ども人口1万人あたりで見ると、このように全国でかなりばらつきがあるということです。前回もお話したところなのですが、ここの取組も必要だと思っています。

 下のほうの、「支援等への意見」の所ですが、以上の「現状と課題」から、まず1として妊娠届出を全ての妊婦が行う仕組みが必要であろう。それには何らかのインセンティブが必要ではないか。先ほどからフィンランドの話も出てきていますけれども、妊娠4か月までに健診を受ければ妊娠手当か育児パッケージの支給があるということで、ほとんどが4か月までに健診を受けて、そこから支援がネウボラで開始されています。ネウボラのことについては※で書いていますけれども、かなり細やかに対応できるように、保健師が人口3,000人に1人、これは妊娠期から6歳までのところに対応する保健師です。次のページの我が国の保健師の状況は、高齢者保健等にも、精神保健にも関与している保健師も加えて人口約4,000人に一人ですので、単純にここの数だけでは比較できないと思うのですけれども、フィンランドはこれ以上多くの保健師が設置されているということです。

 妊婦健診もこの人たちは行います。そこに医師の健診も入ってきているのですが、乳幼児健診も行って、6歳まで手厚く支援しています。それ以降は学校とも連携する所もあるそうです。何といってもこの記録は、妊婦健診の記録と医療機関での記録が共有されていて、妊婦の陣痛が始まって駆け込んでも、ネウボラで受けた健診の記録がパッと医療機関でも見られるシステムで、50年間保存されていて、転居先にも転送されます。先ほども出てきましたが、居所不明の人たちはかなり少ないということです。もちろん妊婦健診や出産は無料でというのは、副大臣会議の資料にも出てきたとおりで、生後0日に虐待の死亡はほとんどないということでした。

2番目は、保健と医療が切れ目のない支援を行うためのツールの開発も必要だと思います。先ほど電子母子健康手帳の話も出てきましたが、フィンランドのように、妊産婦健診と乳幼児健診のデータもリンクさせて、それを医療機関も保健機関も見られるということが必要ではなかろうか。全国どこに行っても、あるいは大震災等で母子健康手帳を紛失しても記録が残るような仕組みが必要だと思います。

3番目は、経済的な問題を抱えている方たちが多いということは前回もお話しましたが、飛び込み分娩等の調査、死亡事例等の検証によるものでも明らかです。妊婦健診は助成ですので、持ち出しが出てくるところもあります。1回目に妊娠かどうかで受診したときに、そこで保険が効かないからということで費用を徴収されると、あとは全然妊婦健診は受けないような方たちもいますので、妊婦健診の扱いを、妊娠が確定したときから対象にするとか、何らかの仕組みをちょっと変えることも必要であろうかと思います。

4番目は、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援体制の構築で、「妊娠・出産包括支援モデル事業」が今年度から始まりました。これについても、各地で手探りで始めているわけですけれども、やはり支援の必要な特定妊婦の中でも、かなりリスクの高い人たちを拾い出すアセスメントを徹底して、その人たちにしっかり支援を行う仕組みが必要であろうと思います。参考の所にあげたOldsというアメリカの方が、1986年から多くの報告でエビデンスを出しています。これが世界的に評価されている、妊娠期からの支援プログラムです。ここでは、1人の支援員が25事例未満を担当するということもはっきり打ち出されています。先ほどの保健師の数もそうですけれども、助産師、保健師等の医療職が、これだけのリスクの高い人たちに何人必要かという、そういう試算もして、しっかり支援を行う仕組みが必要だと思います。

5番目は、岡井委員のところでも出てきた「にんしんSOS」です。メール等と電話の相談で、全国からの相談が寄せられてきています。この中で飛び込み分娩や新生児死亡に至りかねない事例を予防できたと私たちが考えているのは9.5%でした。各地で始めていて、24時間の電話相談を打ち出しているところもありますが、私たちはつなぐということが必要だと思っています。民間団体への委託もあろうかとは思うのですが、でも家庭訪問できる職種がいる所は、やはり身体のことは保健師だと思いますので、そこにつなぐような仕組みがちゃんとなされているかどうかという、この質の向上のところが必要ではなかろうかと思っています。

6番目は先ほど申し上げました遠くは関連するのですが、3ページのアメリカの例で、NDACANというNational Data Archive on Child Abuse and Neglectを国がコーネル大学に設置していて、データシステムが幾つかあります。NCANDSというのは、児童相談所から個別データが入力されるシステムです。どんな背景があるか、どういう人たちがまた虐待を起こすかというようなこともしっかり分析されて新たな支援に生かす研究体制があり、それにはデータが必要だと思います。児童相談所、あるいは市町村が関与しているデータを、きっちり付き合わせて分析するということ。それから、National Incidence Studyで、1974年から初めは6年ごとだったのですけれども、最近は10年に1回やっている虐待の発生率調査というのも、この施策の効果を見るには必要ではなかろうかということで例示させていただきました。以上です。

○松原委員長
 それぞれの委員が時間を厳格に守っていただきましたので、ディスカッションの時間が取れます。事務局が説明したものも含め、3人の方々のプレゼンテーションを受けて、3人の方々、他の委員の方々からの御意見、御質問も受けてまいります。お三方共通して、支援策の充実ということで様々なメニューの提案がありました。それから、データを含めてツールの提案もありました。そういう支援を充実していくことと併行して、人材の育成・確保が必要であるという御意見も出ました。それと同時に、施策を「つなげていく」ことも全体の切れ目のないということも共通した論究があったかと思います。

 一方で、そういう支援を拡充していくことが必要であるとともに、いわゆるインボランタリー、施策利用拒否をする、あるいは相談意欲がないといった妊産婦についてどうカバーしていくか、アプローチしていくかについての課題提起もお三方からされました。こういう点、あるいはその他の点についても御意見を伺います。どなたからでも結構です、御発言をお願いいたします。

○辰田委員
 岡井委員もおっしゃったとおり、まず母子手帳の発行をしない、望まない妊娠について、どのようにキャッチして、つなげるかというのは、とても重要だと感じております。様々な薬局、検査薬、コンビニといった目に触れるような形が必要です。メールでも相談されているということなので、そういうことを行政だけではなくて、民間も含めた形での協力も働きかけていかなければならないのかと思っています。

 秋山委員からありました、乳幼児健診のところです。1か月だと、養育で育てにくさで困っている。1か月、3か月、6か月、9か月、16か月、3歳児の健診を義務化して、受けてこない所は保健師が訪問することが必要だと思います。5歳児健診のところも児童相談所ではとても大切だと思っています。3歳児から次に就学までの間がないのです。そこで、保育に預けるか預けないかは親の判断になってしまっています。保育園にも幼稚園にも通わず家庭で養育されている児童だった場合、そこへの介入の仕方という、間接的な現認の仕方にはとても苦慮しています。5歳児健診についても入れて義務化していくのが重要だと思います。

 妊婦健診についても義務化していって、そこで母子手帳発行後、つながってこないところについてもキャッチするのが必要だと感じています。胎児への虐待の考え方なのですが、厚生労働省では、胎児のほうはまだ虐待ではないと。そこについては特定妊婦ということなのでしょうけれども、そこへの介入の仕方、児童相談所の事例の中でもDV、母は産みたいと思っているけれども、父はそう思っていなくて、大きくなったお腹に暴力を振って、お腹の中の生命についても危なくなってくる。その辺で胎児の虐待の定義についても考えていく必要があろうかと思います。

○笹井委員
 今お話を伺っていて、各委員のおっしゃることはそのとおりかと思いました。市町村から見たときに、特定妊婦が1.1%ということで非常に少ないという認識なのかという報告で伺っていました。特定妊婦は、途中で要支援児童だとか、要保護児童に変わっているので、統計の取り方がどうだったかと思います。ただ、この特定妊婦の定義がはっきりできたことで、市町村ではある部分今まで曖昧だったところが、特定妊婦ということで関われるようになって、関われるようになった人についてはかなり効果は上がっているのではないかと思っています。問題は関われない人たちです。関われる人が出てくると、関われない人が見えてきたということで、関われない人たちは、出産後母子手帳を交付したりという、いろいろな方がおられます。この方たちをどうするのかというのが、大きな問題かと思っています。

 特定妊婦については、基本的に市町村が援助していく形になっているわけですけれども、例えば市町村が援助する人というのは、住民登録がその市町村にあるのが1つの前提になってきます。この方たちは、必ずしもそこに住民登録があるわけでもなかったりして、国保だとか妊婦健診の受診券の発行もしてあげたいわけですが、それが全然違う市町村に住民登録が置かれていたりして、いわゆる市町村という単位で扱うときに扱いにくい部分があるのかと思います。今はその辺についても、住民登録のある市町村とは連絡を取りながら対応しているところですけれども、岡井委員からもありましたように、ある部分でそういうのはセンター化みたいな形で、まずそういう所に入って、そこである程度話を聞いてあげたり、援助してあげるような機関は必要なのかと感じました。

 児童相談所との関係で、当初特定妊婦は、なかなか児童相談所に受けていただけないと言ったらおかしいですけれども、子どもではないからというところがありました。ここに来て、特定妊婦でも厄介な人にも関わりますということをおっしゃってくださっています。御指摘のあった、特定妊婦の胎児の問題というのはどのように考えるのかは非常に大事ではないかと思います。

○松原委員長
 従来、母子保健で扱ってきた部分を、児童福祉分野でどうアプローチできるかという課題提起でもあったかと思います。

○藤平委員
 浦安市の藤平です。私から後で御説明させていただきたいと思っていたのですが、切れ目のない支援というところで、今、浦安市が取り組んでいるところがあります。こちらを資料としてお持ちしました、浦安市の広報なのですけれども、今、動きだしているところがありますので、そういうところを参考として御説明させていただきます。

 ➀子育てケアということで、プランについての動きをしております。これは、16か月までは市として切れ目のない支援をしていくということで、妊娠したときには第1回のケアプランを立てる。出産前後のときには、支援ギフトと併せて2回目の子育て支援のケアプランを立てる。それは1歳までと考えているものです。1歳になったら、今度は誕生日に対するギフト等を含め、3回目のプランを立て、16か月まで行政が切れ目のない形で対応できないかということでやっております。基本的に浦安市のスタンスは少子化対策が主でやっているのですが、この支援策によって子どもの見守りができていくということで、虐待防止につながるということで本日お持ちしました。

 特徴的なものとしては、既に相談窓口も作っておりますし、産後ケアでは病院と連携させていただいて、家庭で見守りができない所には総合病院の協力を頂いて、16,000円で、2日以後は3,000円という形で67日、21,000円。所得の低い方に対しては減免制度があるという内容で行っているものがあります。この事業の中で問題がある家庭に対しての支援のあり方であるというものについては担当部署との連携を取っていきたいと思います。

16か月以上に関しては、おおむね3歳まで希望を取って、ケアプランの内容の希望があれば対応するということ。また、その間にもケアプランの中で関係機関との連携も付いてくると思いますので、そういう中で行政としての見守りをやっているということで、一例として御紹介いたしました。

○松原委員長
 事務局で用意していただいた実際の事例の1つに入っているものかと思います。詳しい情報を頂きました。辰田委員から、3歳から5歳までのところがすごく重要ではないかというお話がありましたが、この点はいかがでしょうか。

○秋山委員
 健やか親子21の最終取りまとめでも、年齢が上がるに連れて、保護者の負担感といいますか、育てにくさが出てきたような結果があります。やはり年齢制限はせずに、子どもの状況によって引き続いていけるようなシステムがよろしいかと思います。

 それから、辰田委員がおっしゃいましたように、5歳児健診というのは大事で、小児科でも今は取り組んでいます。やはり3歳から就学までの間は何もないというのは非常に問題かと思います。

○松原委員長
 この課題について何かありますか。

○浜田委員
 皆さんから御指摘いただいているとおりで、同感するところばかりです。佐藤委員から、皆さん同じ課題で、乗ってこないところを、こちらからのアプローチとか、全く届出等もしない方をどうやってつかまえてくるのかというところが大きな課題であろうと思います。そのときに、先生方から御指摘のあった義務化をするというような形の面も大事なのでしょうけれども、それだけで全く乗ってこない人が乗ってくるかというと若干疑問があります。そのときに、佐藤委員から御指摘のありました、妊娠の届出をすると何かのインセンティブがある。一番見えやすい形では、例えば金銭的な支援なのでしょうけれども、これは非常に有効な施策となり得るのではないかと感じます。義務を課すという観点と、それとは逆にこういうメリットがあるのだという観点と、その両面を整えていくことが、より実効性のある施策になっていくのかと感じました。感想程度ですけれども以上です。

○泉谷委員
 私自身が女性相談に関わっていたときに、墜落分娩とか、飛び込み出産の後に行き場がないという妊婦と子どもにたくさん関わらせていただいたところから考えていくと、岡井委員がおっしゃられた、なかなか来ない人たちにどうアプローチしていくのかというところのアウトリーチのところが非常に課題かと思います。関わってきた人たちのことを今振り返りながら思っていたのですが、彼女たちに「相談に行きなさい」と言っても、多分来ないです。

1つあったのは、お腹が大きくなっていて、お子さんがほかにいて、食べる物がないと言うのでお米をあげていたのですと、近所の方がおっしゃって、その方たちが行政につないでくれたケースがあります。岡井委員がおっしゃられたように、家族とか友人の目とか、社会の目というのは非常に大事かと思います。認知症の予防で、オレンジリングという活動があります。認知症の人たちを地域で支えていく活動があります。先日も、お腹が大きかった女性が、お腹が小さくなったのだけれども、赤ちゃんがいる気配がないという報道があって、実は出産後に赤ちゃんは死亡していたという事例が新聞報道等であったかと思います。地域の人たちに向けて、子育てを皆で支援していこうという啓発活動をオレンジリボンの関係などと含めてやっていくことも、子育てを社会全体で支援していく中では必要かと思います。

○岡井委員
 佐藤委員の発表の中の話で、妊娠届出をさせるためにインセンティブが必要だという話と、頂いた資料の1ページの下のほうに出ているのですが、妊娠届けをすればお金をもらえるということも多少はあるのかもしれないのですが、組織としてネウボラというのが非常に小さなコミュニティの中で連絡を取り合っているのが重要だと思います。だから、どこかで妊娠した人がいれば皆が分かって、皆で支えてあげようみたいなことができるのではないでしょうか。大都市で、どこか知らない所で産んでしまったというような場合と、小さな組織で皆が生活実態を見ながら、相互に助け合いながら暮らしているような社会とはちょっと違うと思うのです。

 そういう社会だと、今私たちが問題にしているようなことはそれだけで相当減ると思うのです。東京みたいな、誰がどこに住んでいるか分からないというような所だと、妊娠を届けたらお金をあげますと言っても来るかなという気がします。それは、全然マイナスにはならないでしょうけれども、意見とコメントです。

○佐藤委員
 妊娠届出で、妊婦健診の補助があるのも知らなかったとか、あるいは出産ですごくお金がかかると聞いたのだけれども、出産一時手当金があるのも知らなかったという方たちもいます。飛び込み分娩の大阪の調査の背景でも、3割がお金がないというのが現実に来ています。こういう人たちに、今の制度の良いところもお知らせするとともに、それだけではまだまだ利用しない方たちもいますので、それでフィンランドだと、育児パッケージのほうが価値があるからほとんどの方が受けるのだそうです。国があなたたちのことを支援していますということを伝えるのは非常によいと思って書かせていただきました。

 もう1つはアウトリーチが課題ということで、確かにサービスに乗りにくい人たちは、自らこういう相談窓口には出かけられないことが多いです。でも、匿名のメールとか電話の相談の中で、何回も何回も、あなたの心配も受け止めていますよ、心配していますよ、地域にはこういう方たちがいますからということで、ようやくその細い糸で繋ぐことができて、やはり家庭に行ってその方の生活を見ないと、具体的な支援はしにくいのです。実際におっしゃられることと、家の中を見ることとは生活ぶりがかなり違っていることもあります。それをつなげていくような質の担保ということで、先ほど申し上げたとおりでした。アウトリーチが課題というのは正しくそのとおりだと思います。

3つ目のところで先ほどは言わなかったのですけれども、実は出産の届出をしない方がいます。妊娠届出もそうなのですけれども、出産届出もしない人がいます。本人が届け出るところで、動けない方、あるいはDV、離婚問題、300日問題の壁がある方たちは非常にしにくいところがあります。医療機関が届け出るような制度を持っている国もあります。ですから、子どもが生きているのだという人道上の問題で、出産していることを確実に把握するようなシステムも必要ではないかと思います。

○松原委員長
 藤平委員から浦安の例を紹介していただいた中に、「ギフト」という言葉が入っています。ややインセンティブに近いと思うのですが、このギフトの中身を教えていただけますか。

○藤平委員
 ギフトの中身は金額ということではなくて、例えば誕生のときには、そのときに使う産着みたいなものであるとか、そういうものの提供を今は考えています。それはギフトをするときに、いろいろな組立てをする手法の1つとして対応するものです。出産の後、お誕生日が来たら、そこでもう一度お誕生日に関して、そこで使えるようなものを支援していくということで、ある程度そういうことでのつながりもしていくことを1つの手段として考えています。

○松原委員長
 藤平委員がおっしゃったのは、全般的な少子化対策ということです。そのことと、特定妊婦への行政からのアプローチということとどうつなげていくのか、どう区分していくのかも検討する必要があるのかという感想を持ちました。

 次の課題に移ります。課題(2)「初期対応の迅速化や的確な対応のための関係機関の連携強化」について事務局から説明をしていただき、続いて泉谷委員、藤平委員より御説明いただきます。

○川鍋虐待防止対策室長
 資料25ページ、課題2「初期対応の迅速化や的確な対応のための関係機関の連携強化について」の➀的確なアセスメントや機関連携の仕組みの整備です。現状について、死亡事例報告書において、市区町村と児童相談所それぞれがお互いに相手の仕事ということで、依存し合ったために、結果的にお互いの役割が発揮できずに、重大な事態を招いてしまったという事例が報告されています。また、児童相談所が受けた相談に対して十分なアセスメントができなくて、虐待のリスクというか危機感を持てないままに重大な事態に陥った事例もあります。これも、数字として報告書の中に出ていますけれども、心中以外の虐待死事例で、児童相談所の関与があった事例の内、いわゆる虐待の認識がなかった事例が46.7%ありました。

 こういう現状に対し、課題として考えられることは、まず市区町村と児童相談所との間で、主担当者をはっきりさせて、初動を確実に、しかも迅速に行う仕組み。2つ目は、市区町村と児童相談所が、虐待に係る情報をきちっとスムーズに収集できるような方法・方策。3つ目は、職種や介入時点において、子どもの安全確認や、安全確保の要点をきちっと周知すること。4つ目は、これまで10回の死亡事例の報告書をまとめてきたわけですけれども、いわゆる個別事例のヒアリング調査結果から抽出された留意事項について、周知していくことが必要であると考えております。

6ページは自治体のアセスメント指導についての事例です。例えばD自治体については、区役所と児童相談所において、緊急度を表す「共有ランク表」を作り、連携強化を図る。具体的には6つの緊急度を示したランクに区分しているということです。あと2つの事例としては、児童相談所と市区町村の連絡・調整に関する基本ルールを作ったり、あるいは共通のツールとしての安全確認チェックリストを作っている自治体の例。また、市町村と児童相談所の機関連携の対応方針を作る、ケースのタイプに応じて連携モデルをフロー図で作っている自治体の例です。

○松原委員長
 泉谷委員から御説明をお願いいたします。

○泉谷委員
 資料6に基づいてお話させていただきます。私は、児童福祉の専門の立場からということで本日は、初期対応のところと、関係機関の連携についてお話させていただきます。初期対応のところですが、とにかく今の実際の児童相談所、それから市町村の窓口の皆さんが、本当に御苦労されているのは、通告件数がとにかく増えているにもかかわらず、職員の数が変わらないということで、対応には本当に苦慮されています。

 初期対応のところにはいろいろな課題があるかと思いますけれども、本日は5点挙げさせていただきました。その中でも特に難しいと思うのは、福祉の人間というのは、まずその利用者であったり、クライアントといわれる人たちと信頼関係を築いてから支援に入るということがあります。虐待の通告に関しては、信頼関係どころか対決するところから入っていくという難しさが、日々やられている皆さんがとても難しいと感じられるところにあるのではないかと思います。それから、情報がかなり限られている中で動かなければいけないということ、それから関係している機関が多様にあったりする場合に、その機関と情報の共有をしたり、同じ認識に立って支援ができるかというところを、短時間でやっていかなければいけないというのは非常に難しいところであると思います。

(2)の初期対応の迅速化ですが、初期対応に求められることというのは一体何なのだろうかということを、きちんと整理していく必要はあるのかと思います。通告があったお子さんの状況や家庭の状況の把握、情報を収集して状況の確認をしていく。それから、子どもや保護者にも関わっていかなければいけない。それから、その子どもや保護者に関わっている関係機関とも調整をしていかなければいけないというところは、迅速にやらなければいけないけれども、やることがたくさんありすぎるという状況があります。

 これは、才村純先生の研究でも既に発表されているものですけれども、虐待相談に関わる業務量というのは、心身障害のお子さんに関する相談の12.8倍もかかるということがあります。これは虐待相談一般に関してですので、ここに更に初期対応を含めると、多分12.8倍では終わらないと思います。それを考えていくと、実際に1人の担当者が担当できる件数にはやはり限界があるのではないかと感じます。

 事務局から出ている資料の中に、高い専門性の職員の確保ということがありますけれども、これは専門性が有る無いにかかわらず、やはり業務量の点から限界もあるかと思います。生活保護のほうでは、1人のケースワーカーが担当できる数の制限が設けられていますので、虐待についてもそういう制限を法的にきちっと対応していく必要はあるかと思います。

 下に例として書きましたけれども、児童相談所で虐待に対応する部門の職員は、ケースの重度化から分類した中で、担当できる数を、最重度のケースは何件、次のケースは何件、中程度であれば何件というような形で制限をしていく必要はあるのかと思います。イメージとしては、災害等であったときのトリアージの緑、青、黄色という分類に近いようなものをイメージしていただいてもいいのかと思います。

2点目に、初期対応の期間の設定です。48時間以内に安否の確認をすることが初期対応なのか、その家全体、子どもの状況、家族の状況全体を含めたところまで把握するのが初期対応なのか、それをどれぐらいの期間の中でやるのかというのが、1つ課題としてあるかと思います。なぜかというと、初期対応というのは先ほどお話しましたように、家族と対決することが往々にしてありますので、その期間を長くするのは、その後の支援を考えたときにも適切ではないと思います。

 それから、所在不明児の課題の中でもありましたけれども、所在不明の期間をどれぐらいまで認めるのか。子どもの安否が確認できないのを、1か月、3か月、6か月としてしまうのがいいのか、やはり1か月で確認できなければ、次に法的な手段に訴えることも臨検と考えるのかというような、その時期を設定するのは大事かと思います。

 「ハード・アプローチ」のところですが、児童相談所はもちろんそうですけれども、市町村の皆さんにとっては非常に継続的に長く支援をしていく部分で、ハード・アプローチをしていくところは、関係改善で難しいことがあるかと思います。畠山由佳子さんが、アメリカの事例で出されている研究等もありますので、そういうものも参考としてハード・アプローチをする機関の制限を考えてもいいのかと思います。

3点目は、よく児童相談所の方からお聞きするのは、学校等から、これは通告ではありません、今は介入しないでください。だけど情報提供だけしておきますというお話が来る。そういうケースに対してどう対応するのかが非常に難しいというお話を聞きます。親との対峙とか、対決というのが関わる人間としては非常に不安だとか、心配だということがありますので、そういう点については、法的な部分とか、こういう場合になったら警察の介入も可能だというようなことの助言を司法の方、警察の方から得られるような仕組み作りというのも必要かと思います。

2点目は、関係機関の連携です。今の現状としては、私たち関わる人間の中で、ケースのために何が必要か、そのために支援者がどうつながってケースを支援するのかという視点よりも、自分たちができることは何なのか、自分たちの役割は何なのかというところに着目しすぎているきらいはないかというような反省のところから考えてみたのが、本日お話させていただく内容になります。

 やはり連携というのも言葉としてはよくありますけれども、実は定義としては非常に難しいものがあります。なぜ難しいかの1点目は、関わる機関が多様であって、福祉の機関、医療機関、教育、司法、警察と様々な機関が関わる中で、それぞれの方たちの持つ連携というものに対しての認識や理解に違いがあるのではないか。それぞれの職種や機関についての理解とか、そこをどう活用していくかというところを、短期間でいろいろやっていく中で深まらないところがあるのかと思います。連携の一番難しいのは3つ目の●に挙げました。各機関が役割を明確化すると、そこから生じるのは、他の機関がやってくれるからいいかと思ってしまう。期待だとか、これをやってしまうと他の機関に迷惑がかかるというような遠慮のところから、なかなかうまくいかないことが出てくるのではないかというところが1点あります。

 連携の課題のところでは6点挙げておりますけれども、特に3点目です。今の明確化することで、逆にうまくいかなくなっているところがありますけれども、実際には各機関が提供するサービスの内容は異なっても、支援の部分では重なるというのが多々あるのかと思います。その図を下に書いています。実は、重なる部分を誰がどう対応するのかというのが、要対協で検討はされているかと思うのですけれども、そこを明確にしていなかったことで、虐待が繰り返されてしまった事例が先日も北海道の事例等で報告されていました。そこの重なる部分を、誰がどうイニシアチブを取ってというのを、要対協の中等で、きちっと明確にしておいて、お互いに共有することが大事かと思います。

5つ目の●で、やはり連携をしようとすればするほど業務量が増えます。それで、逆に対応できなくなってしまう悪循環があるかと思いますので、初期対応だけではなくて、継続ケースについても、やはり業務量を考えると、担当するケース数の制限を設けていくことは必要かと思います。以前は、施設入所しているケースも、18歳になるまで施設入所ということで、そんなに手が掛からないと言われていましたけれども、施設入所している児童相談所のケース等も再統合して在宅に戻るということで、そこの支援のところでは非常に業務量が増えているかと思います。そういう点からも、児童相談所の職員等に関しては、ケース制限は必要かと思います。

 それから、児童相談所の方たちの業務が非常に多忙になっている中で、本来であれば児童相談所が関わらなければいけないケースにも関わりきれていない。例えば、母子生活支援施設とか婦人保護所に入所していて、支援者の目があるような所にいるケースについてもそうですし、逆にそうでない地域にいるケースもそうかもしれませんけれども、そういう関わりきれていない、把握できていないケースをどのように、やはりきちっと児童相談所につなげていくかを考えていく必要性はあるかと思います。

 先ほどの1番の課題でも出ていましたし、浦安市の事例でも出ていましたけれども、やはり子どもと家族を支援していくコーディネーターのような役割を設けていくことは必要なのかと思います。児童虐待のケースでも、初期対応では児童相談所が関わって、その後は在宅支援で市町村が関わってという流れはありますけれども、その後は安定しているのでサービスの利用はなくなったというところで、いわゆるサービス利用のところで機関がつながることがなくなるケースというのはあるのかと思います。ただ、子育てという長い期間を考えていった場合に、そういうサービス調整だけではなくて、地域の中で寄り添って、一緒に歩んでくれるような支援をしてくれる専門職の位置付け、それを誰が担っていくのかというところでは、前回、委員長からお話もありましたが、民間の団体の活用等でもいいのかと思いますので、そういう所との検討もしていく必要はあるのかと思います。以上です。

○松原委員長
 泉谷委員の発言で私も改めて気が付いたのですが、7ページのところをどうするか。今追加しますか。

○川鍋虐待防止対策室長
 資料27ページの説明を漏らしてしまいまして申し訳ありませんでした。課題(2)の➁として、市区町村と児童相談所の専門性強化のための取組です。「実態」として、現在の全国の要保護児童対策地域協議会の調整機関の中で、児童福祉司と同様の専門職を配置している自治体の割合は31.9%あります。これに保健師あるいは助産師、看護師などの一定の専門資格を有する方を含めると、全体では69.2%という実態になっています。

2つ目は、市町村、児童相談所ともに、人事異動について、なかなか長くというわけにもいかないこともあって、専門性が定着しないという指摘があります。それから、市町村の職員の研修の機会が少ないとの指摘もあります。これに対して、課題として考えられることは、1つ目は専門性の高い職員を確保するための仕組み、2つ目は職員の専門性を高めるための研修の工夫、3つ目は市町村と児童相談所が情報を共有する仕組みということです。

○松原委員長
 ありがとうございました。それでは、藤平委員お願いします。

○藤平委員
 浦安市の藤平です。私のほうは、浦安市で取り組んでいることと、現場サイドからの視点になりますのでかなり内容が細かくなるかと思います。浦安市の取組としては、先ほど御説明したような切れ目のない支援であるとか、もう1つパンフレットがあるのですが、市としては、浦安市の子どもをみんなで守る条例ということで、啓発をさせていただいています。「2.市町村の対応のあり方や的確なアセスメントの方法」について御説明をさせていただきます。

 ➀発生予防と未然防止、早期発見ということで、前回もお話させていただいたのですが、市町村の義務としては地域と市民との関係を深めるということです。そういった意味では、行政の責務、市民等の責務、保護者の責務、関係機関等の責務ということで、連携を取り、啓発をしながらより虐待防止の早期対応に力を入れております。関係機関との連携も図るということでやっております。➁妊娠期から妊娠・出産・育児の相談体制については御説明がいろいろありましたが、やはり、保健師が乳児訪問等で担っているところはありますが、切れ目のない関係ということで、先ほど御説明をいたしました。行政としての支援が重要であると対応しているところです。

 ➂については裏面に資料1浦安市の虐待対応の図で説明をいたします。一応、全体的には要保護児童対策地域協議会を絡めた形のお話になると思いますので、対応の仕方について流れを見ていただければと思います。通告を受けたときの対応の仕方があり、その対応については、家族関係の予備調査をすることになります。その日のうちに緊急受理をやるという基本姿勢でやっておりますので、リスクアセスメントで緊急度を調べて、まずはその御家庭の安全確認を先行してやる。その後、受理会議を行って、調査報告、それらについて支援方針を決定していくという形でやっております。浦安市ではケース検討会議ということで、毎週火曜日、1週間の内容について、その支援方法の再評価をやっております。この中では、ケースワーカー、児童虐待相談員、母子婦人の関係相談員。あと子どもヘルパーということで看護師がおりますので、そういった中で議論をして対応しております。大体、100件近い件数をやっており、3時間でやるようにしているのですが、実態的にはなかなか複雑な対応もあり、明確な対応ができないものもあります。実務者会議については、毎月1回ということで開催しておりますが、ただ、要保護児童対策地域協議会の課題になっておりますが、実務者会議を1回やるのも対応件数や会議時間など大変な状況があります。ほかの自治体では、月に1回できないところもありますので、実務者会議のあり方を再検討と考えております。そのほかに個別支援という形で対応するのも重要な案件として動いております。

 資料に戻ります。そういった中で特徴的な動きということで説明をいたします。➂➃については、今大きな流れで御説明をいたしました。ただ、実務的な話で言うと、3ページの一番上の黒ポツで説明しますと、通常、市町村が受けたものでの関係で実務者会議を開くことがありますが、私どものほうとしては、児童相談所が受けたものも報告していただいて、浦安市に対する虐待の関係については連携を取っております。浦安市にまた戻ることもありますので、円滑な対応ができるということで共通な認識を持つことで会議に参加していただいております。

 次に、会議資料の関係については、実務者会議の中で個人情報の取扱いがかなりネックになっています。昨年度までは名前もアルファベットで表示、住所もあえて分からないような形で会議では資料を提示しておりましたが、この点については、個人情報法の取扱いを徹底するということで、個人名や住所も表示をすることとし、行政機関の担当には会議資料も基本的にはお渡しをして、持ち帰れるような形にしております。その成果としては、担当課の動きや対応の仕方が良くなり、会議後の情報がよりスムーズになっております。その対応は平成26年度からやっております。

 次の黒ポツでは、実務者会議、医療関係の方の参加が難しいとの話しがあります。代表会議については医師会の方が出ておりますが、実際には実務者会議の中で連携を取るのは難しいので、浦安市の場合には、病院内の虐待対応チームのメンバーに参加していただいております。総合病院の中ではかなり情報の共有ができており、実務者会議でも対応方法等について意見をいただいています。近隣市も医療の関係者をどう実務者会議に交じえるかということで苦労をされているようですが、浦安市のほうでは何とか対応できております。

 「3.児相を含めた関係機関との連携の在り方について」は、基本的には児童相談所には行政権限がありますので、私どもの責務としては、地域でどうやってその家庭を見守っていくかということで、そういった中での連携をしております。様々な家庭の問題については複数の関係機関で対応しております。

 ➁児童相談所と市町村との連携については、児童相談所の行政執行の中での方針や、専門的な知識の方針ということもありますので、私どもと連携は取らせていただいておりますが、そういった中での方針、ルール、例えば、生活問題については仕事に就くとか、子どもをちゃんと学校に行かせるとか、そういったルールを決めながら、行政として地域に密着した形での見守りと指導しております。

 ➂他市町村との連携については、なかなか情報共有ができていないことがあります。そういった形では浦安市が取り組んでいるものよりも、近隣自治体でもかなり取組が先進的な所もあります。例えば、先ほどの実務者会議についても専門部会を作ったり、回数を増やしたり、会議時間を長くしたり、いろいろと対応の仕方もあります。そういったところで共通的な問題について解決を図るということで、他地域との連携が必要になっております。千葉県には連絡協議会という形のものがありますので、そういった中でも、県と市町村との連携を努めたいと思っております。

 ➄個人情報については、本当にこの関係の対応の仕方が難しくなっております。先ほど言った会議の資料もそうですが、そういったところで今後取扱いについてももう少し考えていかなければいけないかと思います。

 最近の傾向としては、個人情報の開示でも虐待関係に対する開示が多くなっております。どういったことかというと、婦人の関係とDVの関係と絡んでいる問題がありますので、これについての対応の仕方というのは専門性が伴うことと、弁護士法という形で情報提供ということもありますので、個人情報の取扱いについては専門性を持っていかなければいけないと思っております。

 次に「4.課題や解決策について」は、要保護児童対策地域協議会の今後のことについては、委員から出ておりますが、特定妊婦、障がい、不登校。DVなど特殊な事例もありますので、そういった場合にはより関係機関との連携、新たな組織の見直しが必要になってくるかと思います。

 次に➁職員体制の対応については、私どもも児童相談所と連絡を取らせていただくときに、担当者の激務を様々なケースでの連携で感じております。連携の1つに、情報共有もありますが、対応の仕方についても担当件数も多く大変な思いをされていると思いますので、やはりその辺の職員配置を十分にしていただくのが大事かと思います。市町村も同様に職員配置については、専門職の職員配置がかなり難しい現状にあります。

 次の黒ポツで市町村については家庭相談員の任用の仕方があります。職員と一緒に虐待相談等をやっていただいていますが、家庭相談員の任用についても、経験の豊かな方ということになりますと、学校の先生が退職されてやっていただいておりましたが、最近はかなり人材確保が難しいということで、近隣市みな同じで、一度お辞めになった方を再雇用するというのは大変厳しい状況がありますので、そういったことでは任用の方法や相談に見合った報酬を見直していかないとなかなか継続はできないかと思います。

 次に➁介入と相談支援の役割の二面性について申し上げますと、どちらかというと、今までは介入については児童相談所が中心となってやっていただいておりましたが、後方支援として、見守りは行政が担っておりましたが、最近の市町村の役割も、その家庭にどんどん介入していって、それと併せて家庭相談ということでの支援を行っていきます。やはり、介入を前面に出してしまうと、その後の支援につなぐところがかなり難しくなっています。ですので、その家庭に連絡を取ろうと思っても拒否されてしまうとか、虐待担当部署のそこだったら行かないということがあるので、そういった意味で、虐待担当課が二面性を受け持っていく困難さが出ております。

 次のスーパーバイザーについては、専門性の職員を配置しても、経験といったことで、判断についてはすごく悩むことがあります。浦安市は保健担当の部署がスーパーバイザーを付けていただいておりますので、幼児、特定妊婦での問題事例での関係についての対処方法での連携は取れております。やはり、判断や対処方法については、市町村職員だけで対応していくのはすごく問題があるということで、児童相談所とも連携しておりますが、定期的な訪問や、配置がある程度決まった所に専門窓口があり、困難事例の対処方法が聞けるといった体制があればと感じております。

 最後に居所不明については、各市町村でかなり混乱したというのが事実です。期間が短かったということと、対応の仕方ということで、各自治体がかなり混乱しております。そういった意味で、今後については、事前説明会や特殊事例についても紹介をし、調査も実施していただきたいと思います。できれば、共通的な指針、マニュアルの作成を要望します。これは実際に問題があって対応しているところは蓄積された調査方法等でできるかと思いますが、逆にゼロと報告しているところがどういう対応をしているのか。また、大変な問題事例が発生したときに、どのようにやっていくかということもありますので、そういった意味で広く困難事例についても対応ができるようなものがあればと思います。

 今回の調査でも、外国人の方の対応が多くなっております。居所不明の関係でも、入国管理局等の手続で、居所不明の内容が分かっているところですので、やはり、この辺についてはもう少し、出国するときに市町村での証明を取ることなどを義務付けて添付するとか、逆に、居所不明者が再度入国したときに市町村との連携が取れるのかという問題もあります。基本的には入管での手続は市町村が引継いで6か月後とか1年後に、確認の手続をすることになっていますが、そういったところも簡素化できるとか、入国管理局との連携が密にできればと思います。以上です。

○松原委員長
 ありがとうございました。それでは、事務局の資料も含めて、お二方のプレゼンテーションを受けていろいろ御意見を伺いたいと思います。

○笹井委員
 今、お二人の委員からの説明でほぼ市町村等のことについては網羅されたのかなと思います。実は平成16年の改正の中で、市町村が児童虐待の通告を受ける形になって、受けたものについては、ほぼ児童相談所と同じようなスキームで片付けていかなければいけなくなっていると。なおかつ、重篤なものについては児童相談所に送致して対応する形になっているわけですが、これで何が起こったかというと、市町村の仕事がやたら増えていると。もともと市町村というのは子どもを支援していく部分のスキームでずっときましたが、通告を受けて、調査や対応をしていく。調査や対応の段階で子どもに会わなければいけないという形になってくると、当然介入めいたこともしなければいけなくなっている部分。その介入の部分と、市町村はもともと援助というスキームでサービスを提供していくところだったはずですが、その辺が非常にできにくくなっているところがある。泉谷委員の資料の最後に、子ども家庭支援コーディネーターの活用とありましたが、これが先ほど藤平委員がおっしゃっていた各市には家庭児童相談室には相談員を置いていて、そこが従来その役割を果たしていたと思うのですが、それがなかなか果たせなくなってきているということで、今度、またそれを外に作らなければいけないような状況になっているように思います。

 これは何から始まっているかというと、やはり通告をどこが受けていくのかということが、非常に大きな要素だと思います。確かに虐待件数が増えて児童相談所だけでは対応し切れなくなっているから、市町村も受けてやりますということもあるかと思います。通告の窓口の整理をする必要があるのではないか。市町村が関係機関等からの学校や保育所からの相談を受けていくことについては、比較的連携の中でやっていけるかと思いますが、いわゆる、一般的な虐待通告という形で、近隣から来る通告を受けてくると、調査から本当にしなければいけなくなってくるという部分もあります。市町村の体制は整っていませんので、48時間はとてもできないところもありますので、中には重たいものを見逃してしまう可能性もあるのではないか。1つは通告をどうするのか。今回、児相緊急ダイヤルの3桁化という形のことをされるわけですが、そうすると、通告は児相に上げる形がより強くなるのか、その辺も含めて、市町村としては実際はサービスなり、支援をしていきたいところですし、そこについては児相と違った形の専門性は市町村は持っていると思います。児相みたいな専門性を市町村が付けて、児相を補完するような形というのは少し違うのではないかと思います。

○辰田委員
 平成16年に市町村が一義的な相談窓口、特に重たいケースについては児童相談所という流れができていて、実際、本当に死亡事件とか、マスコミが児相に通告。また3桁化ということでいうと、ますます今度はそういうところから(ダイレクトに)児童相談所に通告が来るのかと危惧されています。虐待通告は、当然疑いも含めてということですから、本当に泣き声、軽微なものから全部児童相談所が受ける。児童相談所は来たものについては48時間以内に調査をしなければいけないという中で、そこの対応に日々追われてしまっているのです。

 児童相談所は権限はありますが、サービスのメニューは何も持っていない。そういう中で区市町村の役割というのはとても大きいと思います。その辺のすみ分けの部分をきちんとしていかないと、虐待だから全部児童相談所となると本当に回らない。児童相談所は通告の初期対応に追われています。区市町村だけではなく、その後の支援というので、在宅の指導も当然件数が増えているのです。そこをきちんと丁寧にやっていく中で、当然在宅となれば児童相談所だけではなく、市町村とも一緒に協働してやっていく。そこを今の体制、仕組みをきちんと作っていかなければならないかと思います。

 区市町村が受けた相談を児童相談所にというところで、都のほうでもそうですし、区市町村が抱えたリスク、危機感を児童相談所が共有できないというところで、大きな事件になってしまったりとか、また、区市町村のほうでもう少しきちんと調査をしたり、また在宅のサービスのメニューを展開すればまだまだできるだろうと。そういったところについては狭間に落ちない形を、東京は東京ルールとか、今後ガイドラインを作ろうとしていますが、そういったことの手立てはまだまだやっていかなければいけない。バトンタッチではなく、のり代の部分、協働の部分をしっかりやっていく必要があるかと思います。

○松原委員長
 浜田委員は、この件で何かありますか。

○浜田委員
 今のやり取りのことでコメントだけさせていただきます。私が数少ないながらも関わらせていただく児童相談所、また市町村にも関わらせていただくことがあるのですが、大変残念なことだとは思いますが、どちらもがどちらもに何らかの不満といいますか、あそこまでやってほしいとか、もう少しああしてほしいということを、私は両方から聞く立場にあります。そうだねという話になってくるわけですが、正にきれいな役割分担といいますか、臨機応変な役割分担ができるといいなと思いつつ、それぞれが独立した組織であるからこそ、それは難しいところである。

 そうなると、そこはこういう大きな枠組みでもそうですし、個別の自治体、個別の児童相談所の中でも密な連携が必要不可欠と感じながらお聞きしておりました。

 通告窓口ということで申しますと、例えば市民の方が虐待のような事象を見つけたとする。そのときにこれは市町村に言ったほうがいいのですか、それとも児童相談所に言ったほうがいいのですかということを、市民向けの研修などでもうかがいます。どちらでもいいですよと申し上げるわけですが、そうやって市民にいろいろな啓蒙活動を行う中で、実は通告窓口が両方あるというのはメリットでもあり、デメリットにもなっているのかもしれないと感じておりますので、そこは指摘をさせていただきます。

○松原委員長
 統計的には児童相談所が把握する相談件数、プラスほぼ1万件弱ぐらい市町村で虐待相談を受けております。今の関連で言うと、これも自治体によって違いますが、虐待相談の8割から9割は在宅で親子分離をせずに支援をしているということですから、地域ベースでの支援というのは非常に大切だとよく分かるところだと思います。いかがでしょうか。

○佐藤委員
 通告があったときに行ってアセスメントをするチームというのは、それなりの能力をかなり求められるのです。同じ機関の中でも調査チームと支援チームという、ハードとソフトの部分が分けられたほうがいいのではないかと思います。

 副大臣会議の中のアメリカの児童虐待の対応の中でも、CPSのことを書かれているのですが、その中で余り明確には書いてないのですが、やはり専門的なチームが十数人ぐらいいて、アセスメントはきちんとして、こういうことをしますよという手立てのことをきちんと伝えるところは伝えて、ソフトの支援は、ここはここでするという仕組みができているところへ視察に行ったことがあります。今の我が国の状況を考えると、通告は児童相談所と市町村のどちらでもいいですよというところもあったのですが、実際に、支援していくソフトの部分というのは、市町村のほうが多く持っています。そろそろ役割分担をもう少し変えたほうがいいかもしれないと思いました。

○松原委員長
 ありがとうございました。泉谷委員からは、ケース数の上限という提案が出ましたが、辰田さんはどうですか。

○辰田委員
 心理司も含めて、各福祉司は本当にオーバーワークをしています。職員が長く続かないというのも実はそこにあるのです。本当に燃えつきてしまって、バーンアウトしてしまって、もうこれ以上続けられないという形で、そこを力のある職員がどうにか引き止めてやっている形です。ケースに対して数が多過ぎて丁寧な対応ができない。そこに虐待通告が来る。そこでも初期対応、48時間内に出掛ける。その繰り返しなのです。適切なタイミングでの支援、指導というのができていないということで、次回の児童相談所の確実に対応できる体制の強化につながってくるかと思いますが、人員、またその専門性をますます高めないといけないかと思います。

○松原委員長
 ありがとうございます。また次回の議論につなげたいと思います。藤平委員も役割の二面性についてということで発言をされておりますが、何か追加でおありになりますか。

○藤平委員
 市町村としては継続性を持って、その家庭を見守っていくところに、本来、力を入れたいところがあります。そういったところで、児童相談所とどう連携を取っていくかというのが最大の課題かと思っております。以前までの制度のほうがやりやすかったというのは、本音のところはあるのですが、それはソフト部分の重要性も対応の仕方も含めて御議論をいただければと思います。

○松原委員長
 ありがとうございます。個人的には、地域レベル、市町村レベルという発言をしたのは、行政でできる部分、市町村でできる部分というのは、民間の御協力をいただく部分がないと、前半の議論で、余り役所には行かないよという御指摘もありましたので、そういうところも必要になってきています。連携というところでは、民間機関も視野に入れなければいけないのかと感じております。ほかに御意見はいかがですか。

○浜田委員
 今までの流れとは少し違う話と申しますか、藤平委員からあった個人情報保護のところでコメントを申し上げます。4ページ、守秘義務との関係で、また個人情報の開示請求も増えてきて、対応が難しくなっているという御趣旨の御発言があったかと思います。

 これは先回磯谷委員がおっしゃったことにもつながるかもしれませんが、個人情報というのは大変重要なものであることには疑いの余地はないかと思います。ただ、垣間見てみますと、個人情報だと言われると、例えば自治体なり、児童相談所職員の皆さんが必要以上に萎縮してしまっている面もあるのではないかとも言われます。

 児童虐待対応の観点では、逆に情報の共有が非常に重要というのは、各先生方が御指摘のところです。そうなってくると、個人情報保護と情報の共有を、どの辺でどうバランスをとるのが望ましいのか。現行法の枠組みの中で、どの辺まではできるが、どの辺までは厳しいよと。現状の枠内で、こんなやり方でできるということを言って、指針のようなものをお示しできると、それぞれの児童相談所なり、市町村なりのお役に立てるような情報になってくるのではないかと思います。以上です。

○松原委員長
 そろそろ時間が迫っておりますので、全体を通じて、今日の2点のところで御発言漏れがありましたら御意見を伺いたいと思いますが、いかがですか。よろしいですか。2点目については、非常に迅速な対応が必要であるというのは、そのことの厳しさというのも御指摘がありました。

 要対協の持ち方とか、やはり、ここでも人材の確保が大きな課題になったのかなと思います。次回につながるところで言いますと、児童相談所の役割と市町村の役割を改めて課題として提示されたかと思います。

 それでは、大体の議論を終えたいと思います。事務局からもし今日の議論についての補足があればしていただき、今後の日程についても御案内を頂きたいと思います。

○古川総務課長
 貴重な御示唆をいただきまして誠にありがとうございます。正直、非常にハードルが高いものもありますし、運用の工夫などでできるようなこともあります。ただ、方向性としては我々が、目指さなければいけない点について具体的な御提言を頂いたと思っております。

 平成16年改正で、市町村が通告窓口になって拡大されたというお話がありました。私事ながら、当時の改正の担当室長であり、非常に自治体の皆様に御負担をおかけしていると思いました。当時の改正経緯と3桁化の話も併せて少しだけお話をさせていただきます。

 当時の議論は虐待だと児童相談所、子育てだと市町村と言っても、それはなかなか区別がはっきりしにくいため、取りあえず受けていただいて、行政機関のほうでつなぐ。通告していただく側の立場に立てばそういう、当時の議論がありスタートした経緯があります。3桁化についても、御負担を新たにおかけすることになるかと思いますが、これもできる限り相談をする側の立場に立てば、必要なことだろうという考えで進めているわけです。併せて、来年度の予算要求におきましても、深夜・休日対応についての人員体制の補助制度などについても拡充する形で十分ではないかもしれませんが、自治体の皆様、あるいは児童相談所の方々の御負担の軽減に向けての工夫も合わせながら、御理解を得ながら進めていきたいと考えております。

 事務局が質問してしまってはいけないのですが、皆様には御負担、御苦労をいただいている1つの具体的な対応の中で、例えば人員を割増しにする、フィンランドのようにするというのはなかなか現実的にできないという中で、1つの考えとしてはできる限り初期対応することによって、こうした支援が必要な状況に至らない段階でいかに止めるか、ということが大事だろうと思います。そうしたことから、今日も妊娠段階での対応について御示唆、御議論を頂いたわけです。

 その中で健診を義務化するという御提案を頂いたのですが、義務化を仮にしたとしても、罰則はかけようもないと思います。またそもそも手帳を取りに来られない、届出も出されないという方に法律上義務を課したところで、どのように有効に機能するのかという点だけ1点御示唆を頂ければ有り難いです。

○佐藤委員
 私は義務化を言わなかったのですが、ただし、みんなが困っているところは、未受診者の把握のところで、一生懸命家庭訪問しても、「でも、それってどこに何が書いてあるのよ」という感じで言われてしまうところで困っているところです。ですから、義務化というよりは、国民が健康で健やかに生活しているかどうかを確認する私たちは責務があるという、義務の裏返しですが、それを前面に出したほうがよろしいのではないかと私自身は個人的に思っております。

○秋山委員
 速効性はないかもしれませんが、やはり義務なんだという教育をしていくことが大事ではないかと思います。

○岡井委員
 私は虐待を防止するとか、それによって死亡する事例を減らすという意味からすれば、義務付けることは余り効果があるようには思えないです。

 今までいろいろお話が出ていた中で、佐藤委員が出した資料で私が感じたのは、それ以外の外国の資料も見てみたいのですが、効果が上がっているのは、地域で上手にコミュニケーションをとって、小さな生活圏の中でみんなで見守って、サポートする体制が取れるところが、一番虐待死や虐待数が減らせるのではないかということです。国から、義務だからこうしなさいというのは、ほとんど効果がないような気がしてならないのです。これは感想ですが。

○辰田委員
 私としては義務化にしていただくことによって、それを根拠に保健師さんたちが家庭訪問もできますし、児童相談所もそういったことをきちんと果たしてくださいと、介入するきっかけを作っていただけるのです。ですから、それは是非やっていただきたいと思います。

○松原委員長
 ということで、御意見は分かれているのがお答えになります。

○古川総務課長
 はい、分かりました。

○松原委員長
 それでは、次回日程等をお願いします。

○小松虐待防止対策室室長補佐
 次回の専門委員会については、冒頭委員長よりお話がありましたとおり、当面の課題、施策の方向についての課題35について、委員の皆様から御説明を頂く予定です。日程については、決まり次第御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

○松原委員長
 詰めた議論をしていくことになりますので、日程については御協力いただきたいと思います。それでは、本日の専門委員会はこれで閉会といたします。御出席どうもありがとうございました。

 


(了)

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