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2014年11月17日 第3回遺伝子治療臨床研究に関する審査委員会議事概要
厚生労働省大臣官房厚生科学課
○日時
平成26年11月17日(月)15:00~18:00
○場所
厚生労働省 専用第20会議室
○出席者
(委員)
山口委員長 |
小野寺委員 神田委員 竹内委員 谷委員 中西委員 |
那須委員 水口委員 三宅委員 村田委員 望月委員 |
○議事
議事概要
(概要は以下のとおり。)
自治医科大学附属病院 より 申請のあった2件の遺伝子治療臨床研究 につい て第1回の審議が行われた。
まず、遺伝子治療臨床研究実施計 画(対象疾患:パーキンソン病 。別紙1参照 )
等について、総括責任者より説明を受けた後、委員間で実施計画の妥当性等について審議が行われた。また、当該臨床研究に係る第一種使用規程承認申請(別紙2 参照)に関する生物多様性影響の評価について、審議が行われた。
その結果、申請のあった実施計画、並びに第一種使用規程及び生物多様性影響評価書について、概ね妥当であるが、 AAV ベクターの投与器具に係る新規性及び安全性、 AAV ベクターに残存するプラスミドの安全性、並びに AAV ベクターの作製工程の変更に伴う活性の差違等 について確認した後、科学技術部会に報告することとされた。
続いて 、遺伝子治療臨床研究実施計画(対象疾 患: AADC 欠損症 。別紙3参照 )等 について、総括責任者より説明を受けた後、委員間で実施計画の妥当性等について審議が行われた。また、当該臨床研究に係る第一種使用規程承認申請(別紙4参照)に関する生物多様性 影響 の評価について、審議が行われた。
その結果、申請のあった実施計画、並びに第一種使用規程及び生物多様性影響評価書について、概ね妥当であるが、被験者の体重等を踏まえた投与量設定の必要性等について確認した後、科学技術部会に報告することとされた。
また、事務局から、再生医療等評価部会の設置及び今後の審査体制について、報告された。
(別紙1)遺伝子治療臨床研究実施計画の内容
研究課題名 |
AADC 発現 AAV ベクター被殻内投与によるパーキンソン病遺伝子治療の第I/II相臨床研究 |
申請等年月日 |
平成26年7月23日 |
実施施設 |
実施施設: 自治医科大学附属病院 |
総括責任者 |
総括責任者:自治医科大学医学部 教授(特命教授) 内科学講座 神経内科学部門 村松 慎一 |
対象疾患 |
パーキンソン病 |
導入遺伝子 |
ヒト芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素( aromatic L-amino acid decarboxylase : AADC )遺伝子 |
ベクター |
アデノ 随伴ウイルス( adeno-associated virus : AAV )ベクター |
実施期間及び 対象症例数 |
最終登録症例にベクターを投与した時点から9ヶ月後まで 6 症例 |
治療研究の概要 |
本臨床研究は、進行したパーキンソン病患者の被殻に、 AADC 遺伝子を組み込んだ AAV ベクター ( AAV -h AADC -2 ) を定位脳手術的に注入し、その安全性を検証するとともに、経口投与する L - dopa によってドパミン産生を促し、パーキンソン病症状を改善することを目的とする。ドパミンの過剰合成に伴って生じうるジスキネジアは L - dopa の投与量を減らすことにより予防する。今回の臨床研究は、新たに作製した国産のベクターを使用し、その安全性を検証することを目的とする。 |
その他(外国 での状況等) |
当施設で診療している多数の進行期パーキンソン病患者は、新しい治療法に大きな期待を寄せている。パーキンソン病モデルサル被殻への AAV -h AADC -2 注入による前臨床研究では、 AADC が長期間被殻内で発現して治療効果が認められ、かつ副作用は見られず安全性が確認されている。さらに当施設で薬物治療では十分な効果が得られなくなった進行したパーキンソン病患者に対して6名の遺伝子治療を施行し、既に安全性と有効性を確認している。また当施設と同様なプロトコルにより Avigen / Genzyme 社から供給された AAV ベクターを使用した臨床試験が UCSF で実施された。米国では、 AAV ベクターを使用して抑制性神経伝達物質の合成酵素( GAD )遺伝子を視床下核に導入する臨床試験と、神経栄養因子 neurturin 遺伝子を被殻に導入する臨床試験も実施された。さらに、台湾で AADC 欠損症の小児に対して AAV ベクターを使用して被殻に AADC 遺伝子を導入する遺伝子治療が実施されている。これまで、 AAV ベクターに関連した副作用は報告されていない。 |
(別紙2)
遺伝子治療臨床研究に係る「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づく第一種使用規程承認申請の内容
申請者 |
自治医科大学附属病院 病院長 安田 是和 |
申請等年月日 |
平成26年7月23日 |
遺伝子組換え生物等の種類の名称 |
ヒト芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素(aromatic L-amino acid decarboxylase:AADC)遺伝子を組み込んだ2型アデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus:AAV)ベクター(AAV-hAADC-2) |
遺伝子組換え生物等の第一種使用等の内容 |
治療施設におけるヒト遺伝子治療を目的とした使用、保管、運搬及び廃棄並びにこれらに付随する行為 |
治療施設の名称 |
自治医科大学附属病院 |
備考
|
遺伝子治療臨床研究実施計画(平成26年7月23日申請)について、並行して審査中。 研究の名称: AADC 発現AAVベクター被殻内投与によるパーキンソン病遺伝子治療の第I/II相臨床研究 |
(別紙3)遺伝子治療臨床研究実施計画の内容
研究課題名 |
AADC 欠損症に対する遺伝子治療の臨床研究 |
申請等年月日 |
平成26年7月23日 |
実施施設 |
実施施設: 自治医科大学附属病院 |
総括責任者 |
総括責任者:自治医科大学医学部小児科学・教授 山形 崇倫 |
対象疾患 |
ヒト芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素( aromatic L-amino acid decarboxylase : AADC ) 欠損症 |
導入遺伝子 |
AADC 遺伝子 |
ベクター |
アデノ 随伴ウイルス( adeno-associated virus : AAV )ベクター |
実施期間及び 対象症例数 |
最終登録症例にベクターを投与した時点から9ヶ月後まで 4 症例 |
治療研究の概要 |
本臨床研究は、 AADC 欠損症患者の線条体(被殻)に、 AADC 遺伝子を組み込んだ2型 AAV ベクターを定位脳手術的に注入し、その安全性を検証するとともに、運動症状を改善することを目的とする。 |
その他(外国 での状況等) |
台湾において、本臨床研究と同じベクターを用いた AADC 欠損症に対する遺伝子治療実施例が4例報告され、効果が得られている。また、重篤な副作用は報告されていない。 当施設で、本臨床研究と同じベクターを用いたパーキンソン病に対する遺伝子治療を6例に対して施行し、既に安全性と有効性を確認している。うち1名に手術後、静脈性脳出血が認められたが、総括責任者はカニューレの挿入に伴う外科的手技が原因と判断し、 AAV ベクターとの関連性は否定された。また世界的に、 AAV ベクターを使用した血友病、囊胞性線維症、その他多くの疾患に対する臨床試験が行われており、これまで2型 AAV ベクターに関連した副作用は報告されていない。 本臨床研究の遂行には、 DNA 技術をはじめとする遺伝子工学、パーキンソン病診療、定位脳手術に精通した専門家の協力が必要である。術後管理に関しても、治療後は状態が安定するまで自治医科大学とちぎ子ども医療センター PICU で管理する。当施設はこの条件を満たし、綿密な協力体制が出来上がっており、遺伝子治療臨床研究の実施が可能である。 |
(別紙4)
遺伝子治療臨床研究に係る「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づく第一種使用規程承認申請の内容
申請者 |
自治医科大学附属病院 病院長 安田 是和 |
申請等年月日 |
平成26年7月23日 |
遺伝子組換え生物等の種類の名称 |
ヒト芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素(aromatic L-amino acid decarboxylase:AADC)遺伝子を組み込んだ2型アデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus:AAV)ベクター(AAV-hAADC-2) |
遺伝子組換え生物等の第一種使用等の内容 |
治療施設におけるヒト遺伝子治療を目的とした使用、保管、運搬及び廃棄並びにこれらに付随する行為 |
治療施設の名称 |
自治医科大学附属病院 自治医科大学とちぎ子ども医療センター |
備考
|
遺伝子治療臨床研究実施計画(平成26年7月23日申請)について、並行して審査中。 研究の名称: AADC 欠損症に対する遺伝子治療の臨床研究 |
遺伝子治療臨床研究に関する審査委員会委員名簿
氏 名 所 属
荒戸 照世 (北海道大学大学院医学研究科教授)
大橋 十也 (東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター長)
小野寺 雅史 (国立成育医療研究センター研究所成育遺伝研究部長)
神田 忠仁 (理化学研究所新興 再興感染症研究ネットワーク推進センター業務展開チーム
チームリーダー)
久米 晃啓 (自治医科大学医学部遺伝子治療臨床研究部准教授)
斎藤
泉 (東京大学医科学研究所遺伝子解析施設教授)
竹内 隆正 (国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター主任研究官)
谷 憲三朗 (九州大学生体防御医学研究所/九州大学病院教授)
中西 真人 (産業技術総合研究所幹細胞工学研究センター副研究センター長)
那須 保友 (岡山大学病院 新医療研究開発研究センター教授)
水口 裕之 (大阪大学大学院 薬学研究科分子生物学分野教授)
三宅 弘一 (日本医科大学医学部准教授)
村田 美穂 (国立精神 神経医療研究センター病院 神経内科診療部長)
望月 秀樹 (大阪大学大学院医学系研究科神経内科学教授)
○山口 照英 (国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部主任研究官)
○委員長 (五十音順 敬称略 平成26年11月17日)
<照会先>
大臣官房厚生科学課
研究企画官 中山 (内線3803)
バイオテクノロジー専門官 藤井 (内線3820)
電話 03(5253)1111(代表)
03(3595)2171(直通)
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