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2014年7月17日 独立行政法人評価委員会医療・福祉部会(第67回) 議事録
政策統括官付政策評価官室
○日時
平成26年7月17日(木) 9:54~11:43
○場所
厚生労働省省議室(9階)
○出席者
真野部会長、平井部会長代理、五十嵐委員、石渡委員、名里委員、橋田委員、松原委員 |
○議事
(以下、議事録)
○真野部会長
皆さん、おはようございます。ただいまより「第67回厚生労働省独立行政法人評価委員会医療・福祉部会」を開催いたします。今回は三田委員が御欠席ということです。本日の議事について事務局から説明をお願いいたします。
○政策評価官室長補佐
本日の議事について御説明いたします。本日の議事ですが、お手元に配布しております議事次第のとおり2つございます。1つ目が、福祉医療機構の平成25年度業務実績に係る個別評価。2つ目が、福祉医療機構の長期借入金及び債券発行の実績報告です。
なお、個別評価につきましては前回同様、委員の皆様方には評定記入用紙に「S」から「D」の評定と、その評定理由を記入しながら議事を進めていただくことになります。会議時間内に記入が終わらない場合につきましては、資料をお持ち帰りいただいて御記入いただくか、あるいは本日、評定記入用紙の電子媒体をメールにて送付させていただきますので、電子媒体にて御記入の上、御提出いただければと思います。その場合には、大変恐縮ですが7月22日までに事務局宛てに御提出いただきますよう、よろしくお願いします。事務局からは以上です。
○真野部会長
ありがとうございました。それでは、福祉医療機構の平成25年度業務実績に係る個別評価を行います。まず、理事長から、平成25年度における実績のポイントを御説明いただけますか。
○福祉医療機構理事長
おはようございます、理事長の長野です。本日は私どもの第3期中期目標期間の開始年度に当たります平成25年度の業務実績につきまして、個別評価を頂くことになっております。本日も、どうか先生方には忌憚のない御意見や御指摘を賜りますようお願い申し上げます。
資料1-1、平成25年度業務実績の概要に沿って手短に御説明申し上げます。1ページは「福祉医療機構の概要」です。2ページでは、今回の16の評価項目の全てを事業体系別にまとめております。私どもとしては、平成25年度においても第2期中期目標期間に引き続き非常に充実した実績を上げたものと考えており、自己評価は16項目中6つの項目で「S」といたしました。
まず、3ページの「効率的かつ効果的な業務運営体制の整備・業務管理の充実」についてです。ガバナンスの更なる高度化や金融庁検査の導入に向け、ガバナンス態勢を再構築いたしました。すなわち、金融検査マニュアルに適合したリスクカテゴリー別のリスク管理を行うための統括管理責任部署や、リスク管理上のモニタリング等を行うガバナンス委員会の設置・整備を行いました。当態勢につきましては平成26年度から運用を開始し、毎月1回ガバナンス委員会を開催しているところです。
次に4ページの「福祉医療貸付事業」です。介護基盤の緊急整備や子育て支援のための保育所整備、病院の耐震化整備など大幅に増加しております資金需要に対応しまして、国の施策を円滑に支援することができました。また民業補完の観点から、民間金融機関へのノウハウの提供や併せ貸しの一層の普及を積極的に推進いたしました。
5ページ、「福祉医療貸付事業に係る債権管理」につきましては、貸付債権の適正な管理に努めました結果、リスク管理債権比率は2.40%と前年度を大幅に下回り、着実に改善を図ったところです。
6ページの「退職手当共済事業」につきましては、退職手当金支給に係る事務処理期間の短縮や電子届出システムの改善を行い、利用者サービスの向上を図ることができました。以上、これら6つの項目につきまして、計画を大幅に上回る実績を上げたものと考え、自己評価を「S」とさせていただきました。
続きまして、平成25年度決算のポイントについて説明いたします。7ページに「平成25年度財政状況」として貸借対照表を、8ページに「平成25年度経営状況」として損益計算書を記載しております。機構全体では8ページのとおり、432億円の当期総利益を計上しております。一般勘定において8億円の赤字を計上していますが、これは東日本大震災の復旧資金等に係る優遇措置等に伴い、貸倒損失が発生したことなどによるものでして、当該損失につきましては平成23年度補正予算の政府出資金142億円を充てております。以上が業務実績の概要です。
私ども、福祉医療機構では常にお客様の声に耳を傾け、質の高い商品・サービスを提供することでお客様から選ばれる組織、国民の皆様から信頼されかつ求められる機構でありたいと、役職員一同強く望んでいるところであります。最後になりますが、委員の先生方におかれましては私どもの業務運営につきまして、引き続き御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。以上です。
○真野部会長
ありがとうございました。それでは、いつもどおりですが4つのグループに分けて個別評価を行っていきたいと思います。まず最初にグループ1、評価項目1から4について評価いたします。所要時間は法人の説明が20分、質疑と記入に15分で合計35分です。よろしくお願いします。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
福祉医療機構総務企画部企画室長の佐藤と申します。本日はよろしくお願いいたします。
まず、資料の確認をさせていただきます。資料1-2「平成25年度業務実績評価シート説明用資料」です。本日、この資料により御説明いたします。
資料1-3「平成25年度業務実績評価シート」が、本体の資料になります。次に、資料1-4「事業実績経年資料」、こちらは数値目標など、これまでの推移を年度ごとに記載したものですので、評価の参考にしていただければと存じます。資料1-5が「評定記入用紙」となっております。また、資料1-6「長期借入金等の実績報告」がございます。こちらは後ほど改めて御説明させていただきます。
それでは資料1-2、パワーポイントの資料、説明用資料をお願いいたします。まず目次ですが、私どもの評価項目は全部で16項目ありまして、この16項目についてそれぞれ4項目ごとの4つのPartに分けております。Partごとに御説明をさせていただきます。
まず、1ページをお願いいたします。Part1、「法人全体の業務運営の改善に関する事項」並びに「業務運営の効率化に関する事項」としてそれぞれ2項目ずつ、4つの内容について御説明させていただきます。
2ページを御覧ください。「法人全体の業務運営の改善に関する事項」として、「効率的かつ効果的な業務運営体制の整備」になりますが、自己評定を「S」としております。私どもでは役員会以外に経営企画会議などの会議体を設け、組織内での情報共有化や問題意識の統一を徹底しているところです。また、業務運営体制の整備につきましては常に見直しを行い、最善の組織として運営できるよう取り組んでおります。更に業務間の連携を強化することにより利用者サービスの最大化を図っていることなどから、計画を大幅に上回る実績を上げることができたと考え、「S」評価としているところです。
具体的には4ページ、「業務運営体制の継続的見直し」ですが、私どもでは組織について不断の見直しを行っております。例えば、平成26年度から社会福祉法人の経営高度化等に向けた経営支援強化のため、経営サポートセンターという部署を設置し、より深掘りした経営支援を行うための体制を整備したところです。
また、ガバナンス態勢の充実ということで、特に金融庁検査等の導入を見据えた対応として貸付債権の適正管理やリスク管理債権の未然防止を図るため、債権管理部門にモニタリングを専門に行う部署を新設いたしました。
助成事業部につきましては、独法改革等の見直しの基本方針を踏まえ、助成先であるNPO法人等のガバナンス強化に対応した組織見直しを行っております。その他にも、広報機能を強化するため広報課を設置するなど、常に組織の見直しを行い、より効果的な運営体制を構築しているところです。
次に5ページ。トップマネジメント機能のツールとして、私どもでは経営企画会議を月2回開催しております。平成25年度におきましては、25年度の経営方針に基づき理事長示達を行ったり、全役員による各担当業務に関する年度の重点目標の指示、また翌年度の年度計画の策定や前年度の業務実績評価の検証などを行っております。常にQMSに基づき定期的に業務の進捗状況やプロセスの監視を実施するとともに、併せまして、理事長の経営姿勢や考え方をイントラネットで公開することにより役職員に周知徹底を図っているところです。
また、役員連絡会を週に1回定例で開催しております。こちらは、その時々の課題や進捗状況を報告する体制を敷いております。このように理事長の意向が即座に業務運営に反映されるよう、モニタリング等を通じまして組織全体で問題意識を共有できる体制を敷いているところです。
次に6ページです。私どもWAMでは福祉医療に関する様々な事業をワンストップで提供しているがゆえに、各部門が連携することでより幅広くサービスを提供できると考えております。そのため、業務間の連携強化というものに取り組んでいるところです。例えば、「業務間連携強化プロジェクトチーム」を立ち上げ、地銀協との意見交換を踏まえた民業補完の在り方など、時宜に応じた内容について検討しているところです。
また、債権管理部門・経営支援部門・貸付部門が連携して、リスク管理債権化の要因分析結果を貸付部門へフィードバックし、審査の段階からその原因を排除するとともに、個々の事案については経営支援部門により経営改善計画などの提案を行い、連携を図っているところです。
更に東日本大震災への対応としては、東北応援企画として復興セミナーを開催するなど、常にお客様の目線に立ったサービスの提供を念頭に取り組んでいるところです。
そのほかにも、各部統括課長を構成メンバーとするガバナンス高度化推進室を立ち上げ、機構のガバナンスの仕組みの再構築などに取り組んだところです。
以上、年度計画を大きく上回る業務実績を上げたものと考えており「S」評価としているところです。
7ページ、「業務管理(リスク管理)の充実」です。こちらも自己評定を「S」とさせていただいております。こちらにつきましては、平成25年度に最も精力的に取り組んだ課題の1つで、金融検査マニュアルに基づき、各業務に係るリスクと統制レベルのマトリックスによるリスク対応計画の全面的な見直し並びに規程の整備、併せてリスクベース・アプローチに基づく内部監査を試行的に実施するとともに、リスク管理上のモニタリング等を行うガバナンス委員会を設置するなど、ガバナンス高度化への態勢を整備いたしました。また、情報セキュリティ対策の強化や品質マネジメントシステムの運用などにより業務改善の推進に努めたことから、こちらも年度計画を大幅に上回る実績を上げることができたと考えております。
具体的には9ページを御覧ください。私ども、各部の統括課長等により構成するガバナンス高度化推進室を平成25年度に立ち上げています。その中で事業ごとにリスクアセスメントを実施、リスクカテゴリーごとのギャップ分析を行い、全事業においてリスク対応計画の全面的見直しを行っております。それに基づき規程等も整備し、内部統制基本方針、各リスクに係るリスク管理方針、並びにマニュアル等を新たに制定及び改正したところです。
従来からコンプライアンス委員会など、これまでもリスク管理は行っておりましたが、今回は金融検査マニュアルをベンチマークとしたガバナンス態勢を構築するということで、今までの委員会の機能を集約する形でガバナンス委員会を設置いたしました。金融検査マニュアルの要求事項に応じた態勢整備を図ったところです。また、リスクごとに統括管理責任部署を設置し、各リスクの管理状況を常に把握する態勢を整備したところです。
実際の態勢図が10ページになります。ガバナンス委員会につきましては月1回の開催とし、その中で各事業とリスクカテゴリーごとに整理した、例えば統合的リスク、信用リスクなど、これらのリスクごとに横串で業務を見直して、リスクごとの統括管理責任部署が各部署のリスクを吸い上げ、ガバナンス委員会で審議、協議事項として付議いたします。それを機構に存在するリスクということで、委員会がモニタリングするという仕組みを構築したところでして、平成26年から本格的に運用を開始したところです。
11ページをお開きください。このほかにも「ALMシステムの活用」としては、マチュリティラダー、デュレーションギャップ等のALM分析を実施し、金利リスクを検証しているところです。また、「情報セキュリティ対策の推進」として、電子メール送信時の事故発生未然防止策として、例えば添付ファイルを自動で暗号化する仕組みの導入や全職員を対象にした情報セキュリティ研修の実施、更には標的型攻撃メール対処訓練を抜き打ちで実施して、全職員に対して不要なメールをみだりに開けないような訓練を行うなど、情報セキュリティの強化に努めているところでございます。
12ページ、「業務改善活動の活性化」です。平成25年度は、例えば理事長が幹部職員全員と個別に面談を行い、意見交換を実施しております。更には意見提案箱というものを設置し、職員からの意見を常時募集して意見を吸い上げることに努めるとともに、次世代認定マーク「くるみん」を取得し、仕事と子育ての両立を図るための取組など、業務改善活動の活性化を図っているところです。こちらにつきましても、非常に実績を上げたということで「S」評価とさせていただいております。
次に13ページ、「業務・システムの効率化と情報化の推進」です。こちらは自己評定を「A」とさせていただいています。具体的には14ページ、「業務・システム最適化計画」に基づき経費節減・契約見直し等を実施しております。CIO補佐官からの助言を基に、例えば各事業に係るシステムへの入力作業の委託に際して調達仕様書を作成していますが、その仕様書については、より具体的、より詳細に作成することで安かろう悪かろうという要素を排除しているところです。さらに実施計画書点検リストを作成し、外部委託業務の適正な管理を行っております。
15ページ、「第3期中期計画期間における情報化推進計画」を、平成25年4月に策定しております。記載しておりますシステム等について、当該計画に基づき不断の改善によるサービス向上に努めているところです。
16ページ、「情報化推進体制の強化等」です。私どもの方針として、人材の育成が重要であるとの考えから、情報管理担当部署の職員に対して外部研修の受講を励行しております。また、キャリアパスの一環としてシステム部門に専門職コースを新設するなど、スペシャリストの育成に取り組んでいるところです。そのほかにも、全役職員を対象とするCIO補佐官による研修、OA研修などを実施し、情報化の進展に対応できる知識習得のための体制を整備しているところです。
17ページは「経費の節減」です。こちらも自己評定を「A」としております。具体的にはまず18ページ、「業務方法の改善等による経費の節減」です。私どもでは、長年経費の節減に取り組んでいることから、職員のコスト意識も大分根付いてきており、各事業部門において常に見直しを行っているところです。例えば平成25年度は、退職手当共済事業に係る退職金振込手数料を、金融機関との折衝を重ねて引下げを実現しているところです。また、電話交換機の更新時期に合わせ、今回から電話回線に光ファイバーを導入したり、さらには定期健康診断の契約についても、複数年の一般競争入札に切り換えることで経費の節減を図っているところです。以前に比べますと金額で大きなものが少なくなっておりますが、日々節減に取り組んでいるところです。
19ページをお願いいたします。随意契約等の見直し計画を、平成22年4月に策定しておりますが、その計画に基づき、平成25年度は業務システムの運用・保守契約並びに財務諸表等の官報掲載など、真に止むを得ず随意契約となったものを除き、調達の見直しを行っております。平成25年度におきましては4件、2,000万円と見直し計画を大幅に上回る実績となっています。
その結果が20ページの「一般管理費等の節減」になります。一般管理費につきましては目標に対してマイナス11.5%の成果、業務経費についても目標に対しマイナス43.9%と、大幅な節減を図ることができたと考えております。
最後に21ページをお開きください。給与水準の検証につきましては、ラスパイレス指数について、年齢・地域・学歴勘案で平成24年度は100.4ポイントでしたが、平成25年度は101.0ポイントとなっております。平成24年度から0.6ポイント増加しておりますが、こちらは宿舎全廃に伴い、退居した職員の住居手当が増加したためにポイントが増えたものであり、おおむね100ポイントを達成しているところです。私どもでは、例えば55歳超の職員について国を上回る本俸の引下げを行ったり、特別都市手当について据置き抑制を継続するなど、機構独自の取組により適正な水準を維持しているところです。Part1の説明は以上です。
○真野部会長
ありがとうございました。委員の先生方は、評定記入用紙の評価項目1から4に結果及び理由の記入をお願いいたします。並行して御質問や御意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
○松原委員
平成26年度の業務運営体制に係る組織見直し状況で、経営サポートセンターの設置をなさったということで、大変重要な取組だと思います。社援局でも社福の在り方、経営の在り方などの委員会をしている中で、こちらでは具体的にどういった社福法人の経営高度化支援をなさっているのか、具体例を教えていただけるとありがたいです。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
経営サポートセンター内にリサーチグループとコンサルティンググループという2つのグループを設け、私どもが貸付先から入手している財務データなどを分析し、この分析結果に基づいて一般論としてのレポートを発信します。これを踏まえ、個々の経営診断につきましても、これまでの施設ごとの比較のみではなく、法人全体としてとらまえた、その法人がどのポジションにいるかなどのような、これまでと違った経営診断を行うこととしております。
社会福祉法人の場合、合併や法人同士の協働化に資するということが言われております。そういう見通しの中である程度収入アップ、コストダウンの可能性を探ったり、法人全体としての取組、可能性を見出す一助となるコンサルティング業務に特化したいと考えております。
○松原委員
もうちょっと具体的にお願いできますか。例えば法人全体の取組というのは、どのようなコンサルティングをなさっているのでしょうか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
今までは、例えば特別養護老人ホームであれば、診断対象施設が特養の指標の中でどの辺に位置付けているかをお示しする診断を中心に行ってきたわけです。ただ、やはり社会福祉法人の業務も多様化しておりますので、法人全体としてはどのような経営状況にあるかということをデータにより峻別した上で、優良事業体と比べるとどのぐらいのポジショニングにありますとか、この地域ではどのぐらいのポジショニングを取っています、あなたの法人はこういうことをしたらもう少し収益が上がるのではないか、費用が落ちるのではないかということを、具体的にお示ししようと今考えております。
○松原委員
今年からですか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
はい、今年からです。昨年度にいろいろ検討しており、そういうことを行うということで、今回の資料に記載しております。
○真野部会長
ありがとうございました、ほかの委員はどうでしょうか。
○五十嵐委員
業務経費の削減のところなのですが、中期計画上の目標が5%で、初年度では1%ということになっていると思います。それに対して実績は43.9%という大幅な削減がなされていますが、普通ここまでの数字が出るというのは何か特別なことがないと、と思うのですが、この具体的な中身について少し御説明いただきたいのですが。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
やはり、業務経費の中で一番費用がかかっているのはシステム関係の費用です。今回、WAM NET自体のシステムを大幅に見直しております。具体的にはサーバー方式からクラウド方式に変え、これによりWAM NETに係る費用だけで年間約3億円ほど節減を図ることができました。さらに、実は平成24年度には旧システムとクラウドにした新システムが並行稼動している時期がありましたが、25年度より旧システムにかかる年間維持費がかからなくなったので、今回は43.9%という大幅な削減になりました。
○五十嵐委員
そうすると、中期目標の基準年度の数字自体がむしろ過大だったという話になってしまうのですが、それでよろしいでしょうか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
旧システムの並行稼動の分が実は1億6,000万円くらいありましたので、そういう意味でいくとその部分は若干多かったのかなというところはあります。しかし、そのほかの3億円というのは、新システムの見直しを行うに当たって方式をいろいろ検討した結果、クラウド方式にしたことで節減を図ったということになっております。
○真野部会長
私が委員になってもう8年目くらいでしょうか。この話は割と当初から話題になっていた話で、結果的に時間はかかりましたけれどもうまく削減できたのではないか。そのような感じでしょうか。ほかにはどうでしょうか。
○石渡委員
削減できたのであるとしたら自己評定が「A」、昨年度まで「S」ですが、変わっている違いというのは何をもって判断されたのかを教えていただきたいです。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
実を申しますと、事務費関係は運営費交付金ということで、毎年度シーリングかかって、予算額が最初に決まってしまい、その予算の範囲内で業務を運営しなければならないということがあります。ある意味、予算がないのでお金がかけられない、どちらかというとそういった事情によって節減をせざるを得ないという部分があります。そこは日々努力なのだろうとは思うのですが、ある程度予算に縛られてしまうということで「A」評価とさせていただきました。
○真野部会長
私も個人的にはもう少し上の評価でもいいのではないかと思って、そのようなことを書いたところです。法人の自己評価としてはそういう判断ということですが、委員はまた別の考え方があるかもしれません。
○橋田委員
ガバナンスの高度化に取り組んでおられるということで、非常に大事なことだと思います。そのために平成25年度、26年度とガバナンス高度化推進室を設置され、更にガバナンス委員会を作られたということでした。この両方の関係と申しますか、どういう形でトータルで機能しているかということ、それからコンプライアンスとリスク管理と個人情報ということで、扱っておられる内容は、これまで個別に委員会をしておられたものを集約されたということのようですが、何かこういう形で組織変更されたことで高度化に向けてより機能的になったとか、そういうことがありましたら御説明いただきたいと思います。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
まず、ガバナンス高度化推進室は、ガバナンス委員会ができるまでの組織です。平成26年度からは、そのガバナンス高度化推進室での検討を踏まえてガバナンス委員会を設置したということです。ガバナンス高度化推進室は、このガバナンス態勢を整えるために、いろいろな分析や評価、検討を行う機関として設置した、ある意味時限的な組織です。それを今回、機能集約する形でガバナンス委員会というものに昇化させたということです。
これまでは、個別に委員会を開催していたわけですが、例えばコンプライアンス委員会であれば法令遵守だけ、個人情報管理委員会であれば顧客情報関係だけを取り扱うことに特化し、と別々に開催しておりました。現在はそれを機能集約して、ガバナンス委員会において一括してモニタリングするという制度に変えましたので、ある意味、会議を開催する時間も含めて全部集約したという形になっております。会議自体は効率化が図られたと思います。
○福祉医療機構理事長
若干、私から補足させていただきます。このガバナンス委員会ですが、先ほど御説明したように今年4月から開催しており、月に1回開いております。今、企画室長からもお話しましたが、リスク別の対応、リスク管理の状況把握が部分的に行われていたものが、毎月1回それぞれのリスクごとの報告がまとめてあることによって、私あるいは経営陣としても今どういう状況を抱えているのかが集約的に把握でき、そして情報を共有化して次の判断に持っていける。あるいは、個別のリスクにも対応できるということでは、非常に良い組織を作ったなというように感じているところです。
○松原委員
全幹部職員との意見交換をされているということですが、ちなみに、その幹部職員数は何名ぐらいいらっしゃるのでしょうか。
○福祉医療機構理事長
昨年夏に今後WAMの進むべき方向、あるいは新規事業についてということで、部長それから室長、14名と個別に面談をして、例えば、その中から1つ生み出されたのが経営サポートセンターです。面談を通じて、そこでの部長や室長の考えを統合して、こういったことが必要だなと認識できる機会になっております。
○真野部会長
よろしいですか、ありがとうございました。そうしましたらグループ1は終了、続いてグループ2、評価項目5から8について評価させていただきます。所要時間は法人説明20分、こちらの時間が15分、合計35分ということになります。よろしくお願いします。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
Part2、22ページをお願いいたします。Part2については、福祉医療貸付事業に関する4項目についてです。24ページをお願いいたします。福祉医療貸付事業のうちの「福祉貸付事業」についてです。こちらは自己評定を「S」とさせていただいております。福祉貸付事業については、政策融資の果たすべき役割を踏まえまして、国の推進する介護施設や保育所整備等について優遇融資を実施した結果、審査額等において過去最高額を更新するなど、国の目指す福祉、介護サービスの基盤整備を支援することができたと考えております。
また、貸付条件を適宜改善いたしまして、お客様目線に立った利用しやすい融資環境を整備するとともに、東日本大震災において被災された社会福祉施設等に対し、平成25年度も引き続き審査・資金交付を最優先で実施したほか、被災地での融資相談会などを積極的に行うなど、復旧・復興に努めてまいったところです。これらのことから年度計画を大幅に上回る実績を上げることができたと考え、「S」評価としています。
具体的には25ページをお願いいたします。福祉貸付事業については、介護基盤の緊急整備、また、待機児童解消加速化プラン等の需要が旺盛なことに対し、確実に対応できたと考えております。例えば、貸付契約状況ですが、第2期初年度の平成20年度に比べますと2.5倍、2,538億円の契約となっております。また、資金交付状況においても同様に平成20年度の2倍、2,315億円といずれも過去最高額を更新しています。
27ページを御覧ください。「社会福祉法人の特徴」といたしまして、介護報酬や措置費といった公定価格により経営しなければならないということがあります。また、公益性の非常に高い業態であるため、低収益構造であり、民間からの資金調達もしづらい環境にあります。そのため、政策融資の果たすべき役割といたしまして、機構が融資をさせていただいています。
その結果として28ページですが、介護基盤の緊急整備については2,317億円、東日本大震災への対応としましては172億円、さらには保育所等の整備377億円などの「融資条件の優遇措置」を講じまして、地域における社会福祉施設の基盤整備を支援させていただいています。
29ページは、周辺環境の変化に応じまして、私どもでは利用者のニーズに即した融資制度を創設しています。例えば都市部における施設整備が進まない状況を改善するため、保育所や障害者支援施設などを含めまして、償還期間の優遇などを行うとともに、借地による整備の場合も、政令市、中核市に対象範囲を拡大するなどの対応を図っています。
30ページは、地域包括ケアの実現により、住み慣れた地域で暮らすための支援といたしまして、私どもでは、サービス付き高齢者向け住宅を含めまして特定有料老人ホームとして整備を支援する制度についても相手方を拡充するなど、支援に努めています。
31ページは、地域密着型サービスに対しましても積極的に融資を行うとともに、補助金採択事業を中心といたしまして、地域の整備計画上必要な事業につきましても補助金の有無にかかわらず支援させていただいています。
32ページ、東日本大震災への対応といたしましては、現地相談会であるとか、個別訪問相談、並びに地方自治体や関係団体との意見交換など、積極的に取り組んでおりまして、迅速かつきめ細かな対応による支援を行っています。
33ページです。私ども第3期中期計画の柱の1つであります民業補完の推進といたしまして、民間金融機関へのノウハウ等の提供について行っています。受託金融機関が開催いたします業務研修会やセミナーにおいて、データ等の提供を行い、ノウハウの普及に努めています。
34ページは、併せ貸しの一層の普及を図るため、私どもでは協調融資制度の拡大方策として、福祉関係団体等との意見交換、受託金融機関業務研修会議などにおいて、制度説明をいたしました結果、覚書締結金融機関数についても、平成26年3月末で319機関まで増加いたしまして、目標達成に向けて取り組んでいます。
35ページです。事務処理期間の短縮ということで、福祉貸付事業の審査処理日数については、件数が大幅に増加する中、平成24年度と比べまして、若干、日数は増えております。27.5日から28.2日となっていますが、こちらも当初計画内の数値となっておりまして、平成25年度の年度当初計画を上回る実績を上げることができたと考え、「S」評価としています。
37ページ、「医療貸付事業」についてです。こちらも自己評定を「S」とさせていただいております。医療貸付事業についても、福祉貸付事業と同様に、政策融資の果たすべき役割を踏まえ、国の推進する耐震化整備など、国の医療政策に即して病院などの基盤整備に資する政策融資を実施しております。また、東日本大震災において被災された医療施設等に対して、平成25年度も引き続き災害復旧資金に対する資金需要に迅速かつ的確に対応するとともに、融資相談会などを積極的に行うなど、利用者サービスの向上に努めることで年度計画を大幅に上回る実績を上げることができたと考え、「S」評価としています。
具体的には38ページをお願いいたします。医療貸付事業についても、病院の耐震化整備や地域医療再生計画に基づく事業などの需要に対して的確に対応できたと考えております。貸付契約状況においては、第2期中期計画の初年度であります平成20年度に比べて約3倍、1,735億円、資金交付状況においても平成20年度に比べ約2倍、1,444億円と地域における医療基盤の整備を支援することができたと考えております。
39ページをお願いいたします。私どもといたしましては、医療の機能分化に貢献するため「特定病院」というカテゴリーを自ら設け、積極的に融資をさせていただいております。また、病院の未耐震建物が4割近く残っているという調査結果もありますが、耐震化整備事業や200床未満の中小規模の病院に対する融資についても、積極的に対応しております。
さらに、40ページですが、医療貸付事業についても、福祉貸付事業と同様、政策融資の果たすべき役割を踏まえまして優遇措置などを設け、地域医療の維持、存続の支援に努めています。
その結果ですが、41ページです。融資条件の優遇措置を講じて、「地域医療計画に基づく整備」については22億円、「東日本大震災への対応」といたしまして194億円、さらに「耐震化整備」事業といたしまして1,261億円の融資を行い、地域における医療施設の基盤整備を支援させていただいています。
42ページです。東日本大震災への対応ですが、医療貸付事業においても、現地相談会、個別訪問相談、並びに地方自治体や地元医師会との意見交換を頻繁に積極的に行った結果、きめ細かな対応により復旧を支援できたと考えています。
43ページです。医療貸付事業についても民間金融機関へのノウハウ等の提供ということで、全国地方銀行協会との意見交換を実施し、また、受託金融機関業務研修会議によりまして、ノウハウの普及に努めています。
44ページです。審査処理期間についても着実に実施しておりまして、福祉貸付事業と同様、当初計画を大幅に上回る実績を上げたものと考えております。
45ページ、「債権管理」についてです。こちらも自己評定を「S」とさせていただいております。債権管理についても政策融資の果たすべき役割を踏まえ、地域の福祉施設並びに医療施設の維持・存続を図ることが機構の役割であることを認識し、既往貸付金の貸出条件緩和等の支援を積極的に講じています。また、リスク管理債権に係る情報の分析、並びに貸付関係部との共有化など、適切な債権管理に努めた結果、リスク管理債権比率は大幅な改善が図られています。これらのことから年度計画を大きく上回る実績を上げたものと考え、「S」評価としています。
具体的には46ページをお願いいたします。適正な管理を行うためには、リスク管理債権の傾向分析が欠かせないと考えておりまして、平成25年度においては、まず経営状況を把握するため経営支援部門と連携し、貸付先の決算情報の分析などを行いました。また、医療法人全体の決算分析や債権群の分析、リスク管理債権と正常債権との相違点などを検証いたしますとともに、短期延滞を繰り返す先についての傾向分析など、様々な分析を行っております。
特に力を入れておりますのが、3番目の「債権悪化の未然防止」でして、具体的には47ページをお願いします。私どもでは未然防止策といたしまして、法人全体の決算分析等に着手しています。それらをイエローゾーン債権ということで、試行的な抽出を実施しております。
また、大口貸付先に対しまして今後の経営方針等を把握するため、代表者等のヒアリングを実施し、償還の確実性などを検証することとしております。また、短期延滞先の傾向分析及びフォローアップによりまして、対象貸付先の約6割が延滞解消しました。さらに、金融庁検査等の導入を見据えまして、モニタリングを専門に行う部署を創設し、また自己査定基準をより精緻化したものに変更するなど、リスク管理の充実・強化に努めています。
それらの分析やモニタリングの結果ですが、要管理先以下の貸付先とそれ以外の貸付先においては、いろいろな係数において乖離が見られることが分かりまして、危険シグナルとして注視する指標に利用することとしております。特に現預金回転期間であるとか、左から5つ目にあります債務償還年数が、危険シグナルを察知する指標として適しているだろうと判明いたしましたので、イエローゾーン先抽出基準として、分析結果を今後の債権管理にも反映することといたしまして、今年度からですが本格実施に移すこととしているものです。
48ページです。リスク管理債権の要因、例えば人材確保の問題や利用者の低迷、事前の需要調査の必要性など、貸付債権の分析結果については貸付部門へいち早くフィードバックすることで、融資相談・審査の段階で問題点を明らかにし、解決を促すよう努めています。
49ページです。これらの取組を実施した結果、リスク管理債権額、比率ともに大幅な改善が見られました。リスク管理債権比率は、2.86%から平成26年3月末で2.40%と0.46ポイントの減少、リスク管理債権額も、926億円から805億円と121億円減少しています。また、これ以外にフォローアップ調査の結果といたしまして、貸出条件の緩和が必要であると判断した場合には、時限切れとなっております中小企業金融円滑化法の趣旨にのっとりまして、積極的に貸出条件緩和債権検討会を開催し、条件緩和を行っています。これはある意味、私どもWAMにとって重要な政策的使命と考えています。
また、東日本大震災への対応ということで、現在、50貸付先71資金について、6か月の返済猶予を行っております。これら全件についてフォローアップ調査を実施し、それぞれの状況に応じた対応に努めています。以上のように計画を大幅に上回る取組から、「S」評価ということで考えています。
52ページ、「福祉医療経営指導事業」です。こちらは自己評定を「A」としております。集団経営指導ということで、私どもではセミナーを年間14か所で開催しております。1セミナー当たりの受講者数は平均で238名と、計画を上回る実績を上げています。また、有用度のアンケートを行っていますが、その内の98%の参加者の方より「役に立った」との評価を受けています。
54ページです。セミナーにおける情報提供等の内容の充実です。こちらは民主党時代の事務・事業の見直しの閣議決定により取り組んでいるものですが、「貸付事業と密接に関連している機構の独自性を発揮したセミナーを開催」することといたしております。内容も、施設整備計画策定に対するアドバイスや病院の機能強化に資すること、社会福祉法人のガバナンス強化など、民間と競合することのないよう内容の重点化に努めています。また、民間金融機関等への経営指導のノウハウの普及として、貸付部門と連携し、民間金融機関に対する研修会等を開催したり、外部講演等へ講師を派遣することなどによりまして、ノウハウの普及を図っています。
55ページをお願いいたします。個別経営診断について、診断メニューの多様化ということで、私どもでは法人が簡易的に施設の経営状況をチェックできる自己チェックシートを開発いたしまして、年間約1,500件ほどの利用実績を上げています。個別経営診断件数についても、364件と計画を上回る実績を上げており、また個別経営診断に係る有用度のアンケート調査においても、97.3%の受験者から役に立ったとの評価を受けています。
56ページ、経営指導事業における収支相償です。集団経営指導の場合、セミナー受講料によりまして400万円程度、個別経営診断においても500万円程度の収支差を確保しています。Part2の説明は以上です。
○真野部会長
委員の皆様は、5から8の項目に評定の記入及び御質問ということでお願いします。いかがですか。私から、記憶違いかもしれませんが、40ページの支援で中小規模病院への融資がありますが、ここは以前も重点のところでこういう表に挙げられていましたか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
はい、ここはガイドラインを策定しており、中小規模の病院を支援しようということで、以前から融資させていただいています。
○真野部会長
以前からの方針ですか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
はい。
○真野部会長
なるほど。そうすると、それはそれで終わりといいますか1つの話ですが、今後、地域医療ビジョンとか、基金のような話もあって、地域医療の充実という話があるわけですが、そういう話はどちらかというと機能分化の推進に入っているのですかね。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
はい、地域医療ビジョンについては、平成27年度に都道府県が策定することになっておりますので、これに合わせて実はこれから取り組もうということにはなっておりまして、少なくとも5疾病5事業については重点的に支援をしていくということで、従前より融資しております。
○真野部会長
分かりました。それはどちらかというと機能分化とか、そちらのほうに入っている項目ということですか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
はい。
○平井部会長代理
教えていただきたいのですが、41ページに「地域医療計画に基づく整備」があるのですが、この具体的な内容はどういうものですか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
こちらは、平成21年度補正予算で地域医療再生基金が創設され、地域医療再生計画を各都道府県が策定し、この計画に基づいて基金から一部補助金が交付される地域で必要な病院に対して、融資を行うものです。
○平井部会長代理
実績は「3件」と書いてあるのですが、地域的には全国的にということですか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
移転新築とかになりますと、耐震化の融資条件のほうが有利であることから、どちらかというと耐震化整備事業ということで扱わせていただいており、この耐震化に当たらないもので地域再生計画に合致する案件が3件だったということです。どうしても耐震化整備事業での取扱いのほうがウエイトが高くなってしまいます。
○平井部会長代理
ありがとうございました。
○橋田委員
東日本大震災の復興への取組ということで、非常に大事なことをしていただいていると思っているのですが、これは政策の話かもしれませんが、現在、地域の医療、あるいは介護の体制がどう改善されているのかという話と、今後、この問題についてはどういう展望をお考えになっているかを教えていただけたらと思います。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
各市町村が策定している復興計画では、特に介護施設、病院の場合ですと、とにかく高台に移転しなければならないということで、今やっと代替地が決まって、移転という状況になりつつあると考えています。したがって、今までのように運転資金を融資するというよりは、もっと大きな土地取得資金も含めた設備資金に我々の役割が重点化していくものと考えられます。もちろん、運転資金にも対応させていただいております。
また、集中復興期間が5年間ということで設けられておりますので、その間はとにかく重点的に支援を行い、さらに、復興が進んでいるか進んでいないかの状況把握については、私どもでは、地方厚生局とか、県庁などと常に意見交換をしておりますので、そこはケース・バイ・ケースになるかと思いますが、各地域の被災状況に応じて新たな支援体制が必要であれば、そこに支援していくことになろうかと思っております。
○松原委員
リスク管理債権比率について教えてください。ここは最近ずっと改善なさっていますが、その改善理由は、何が大きな理由だと思っていらっしゃるか、感想で結構ですので教えていただければ有り難いです。診療報洲の改善が原因か、又は、機構さんの経営指導が大きいのか、貸出条件緩和が大きいのか、貸し剥しがあったのか、教えていただければ有り難いです。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
リスク管理債権比率が下がっている要因ですが、例えば償還方法については従来ですと3か月償還であるとか、年賦償還など、貸付先とのつながりが薄かったところがありましたが、数年前から月賦償還に切り替えるなど、要は貸付先とのつながりを濃くしたことが1点あるかと思います。それから、先ほどもお話をいたしておりますように、リスク管理債権になる前の段階で、どのような注意を払えばリスク管理債権化しないかという未然防止策に現在取り組んでおりまして、様々な指標を用いてそれを未然に防止しようというのが、ここ数年の取組です。ですので、診療報酬は実質マイナス改定になっておりますが、そういう意味でいうと、それらとは関係なく我々のモニタリングする体制であるとか、貸付先との日々のつながりで、ある意味リスク管理債権は少なくなっているのかと考えております。
○名里委員
漠然とした質問になると思うのですが、地域のニーズに合わせた事業に融資という仕事が非常に重要なところだと思うのですが、一方で、決して経営が楽ではない法人の運営の中でリスク管理も非常にしっかりされている中で、具体的に法人へのフォローはいろいろ相談等もされているという御説明はありましたが、なかなか苦しい中でという、かなり現実的な具体的な相談とか、フォローみたいなこともされていらっしゃるのでしょうか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
私どもは貸付先から、毎年、事業報告書という決算書データを頂いております。その中で、先ほども申しました現預金回転期間とか債務償還年数というものが、だんだん数値的に悪くなっていく、劣化していっている貸付先を、今、見極めようとしております。そういう面では、そこについて、例えば先ほども申し上げました経営サポートセンターによりまして、こうやったらこの地域ではもう少し収益が上がるのではないかとか、費用が下げられるのではないかということを、助言できる体制づくりをしています。
○名里委員
現実的にそれで改善されて、いい方向にいっている例は多いということですか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
いや、実を言うと私どもはまだそこのデータが一切取れていない部分なので、今後フォローアップを通じてデータを増やしていかないといけないというのが、私どもの課題だと思っております。
○真野部会長
ほかはよろしいですか。それでは、グループ2を終了して、グループ3。評価項目は9から12についてやっていきたいと思います。法人の説明は15分、こちらの時間が10分ということであります。よろしくお願いします。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
57ページの、Part3。貸付事業以外の事業についてです。60ページをお願いします。「社会福祉振興助成事業」ということで、自己評定を「A」とさせていただいています。具体的には61ページの募集要領等の策定・公表については、国として行うべきものに重点化をしたテーマ設定を行い、助成事業を選定しており、25年度は孤立防止や児童虐待防止、貧困・格差対策、東日本大震災被災者支援などの4つの項目を重点支援分野に位置付けて、募集要領を見直し、公表しているところです。
62ページです。私どもでは、福祉問題や児童関係などの高い見識をもつ外部有識者にお願いしました「審査・評価委員会」により選定方針を策定し、併せて審査や採択を行っていただいているところです。平成25年度はNPO等が行う活動の立上げ支援や複数の団体が連携やネットワーク化によって行う事業への重点的な助成などを行うこととし、例えば事業継続計画を整備している場合や、人材を育成する事業の場合は、加点するなどの重点化を図っています。その結果、25年度は286件、15億2,700万円採択をすることができました。
63ページです。その中で、高齢者孤立防止、児童虐待防止、貧困・格差対策などの重点支援分野の採択については、219件、11億5,000万円で、全体の4分の3となっています。これまでの助成事業の効果事例を記載させていただいていますが、例えば、児童養護施設の退所年齢となりました18、19歳の子の緊急の受け皿としての「子どもシェルター」を実施する事業について積極的に助成する、並びにシンポジウムを通じて広く紹介することで、こちらが児童相談所や弁護士会の運動につながり、自立援助ホームとして制度化された事例や、高齢、単身の低所得者並びに精神疾患などの患者さんなど一般就労が困難な方に、中間的就労とかユニバーサル就労を行う事業について積極的に助成するとともに、事例紹介などにより各地で取組が広まり、モデル事業化され、最終的には「生活困窮者自立支援法」の中の、一時生活支援事業や就労準備支援事業として位置付けられたというような事例があります。
なかなかこのように全ての活動が認められることは難しいのですが、私どもでは、財務基盤は脆弱だが草の根の活動を行い、地域社会へ貢献するアイディア豊富なNPO法人等の事業の立上げに対する助成を通じ、その活動が認知され、法人自身も独り立ちするという効果が上がれば理想的と考えているところです。
そのような意味で、64ページの、行政ではなかなか目の届かない狭間にある事業というのは、小回りの効くNPO法人の目配せにより顕在化することが多いということで、私どもはNPO法人などの立上げ支援を積極的に支援しているところです。25年度においては81.8%の助成先が、特定非営利活動法人並びに非営利任意団体となっている状況です。また、事後評価についても力を入れており、事業完了後のフォローアップ調査を含め、積極的に実施しているところです。また、こちらの結果について、国へ提言などを行うことで募集要領や選定方針等に反映する仕組みにより、テーマ見直しなど、PDCAを回しまして、常に助成事業の中身について継続的な改善を実施しています。
66ページですが、「助成事業による新たな連携の強化」です。WAM助成を通じて96.1%の事業が新たに他団体・関係機関との連携等の効果があったという回答を得ています。また、助成事業を対象とした利用者のうち、95.5%の利用者から満足したとの、いずれも高い評価を受けることができました。
次に67ページです。私どもでは評価結果をPRし、その活動が全国に普及してもらえればということで、助成事業報告会やシンポジウムを開催しまして、団体同士の意見交換会や優良事例のPRなどにより、今後の活動の参考となるような取組を実施していただくNPO法人等に対する支援ができたと考えているところです。
次に69ページの「退職手当共済事業」です。自己評定を「S」としています。平成25年度においては、請求書の受付から給付までの平均処理期間を大幅に短縮し、併せて問合せ対応体制を改善しまして、共済契約者の手続面での負担を軽減するとともに、機構における事務の効率化を推進するなど、年度計画を大幅に上回る実績を上げることができたと考えています。
具体的には70ページです。この事業は施設職員の退職金ということですので、可能な限り早く支給するよう心懸けておりまして、一昨年までも様々な取組を実施したところです。例えば給付回数を月4回へ増化させる取組や、都道府県補助金の早期入金を働きかけるなどの取組を行っていましたが、平成25年度においては更にこれまで文書でやり取りをしていたような事項について、不備照会を一部電話照会に切り替えたこと、また不備照会文書自動作成機能というものを作り、自動的に照会文書を作成する仕組みを構築したことにより、事務処理の簡素化を図っています。その結果、給付人員は昨年同様70,000人を超える中、平均処理期間は34.3日、24年が36.9日でしたので、3日程度縮減することができました。
71ページです。また、処理日数の短縮に大きく貢献します電子届出システムがありまして、こちらについてもシステム改善、並びに操作マニュアルや提出書類をWAM NET上で入手できるよう改善を図った結果、システムの利用状況は85%にまで増加しています。また、新規加入法人のうち5割以上に利用していただき、計画を達成することができたと考えています。
さらに72ページです。共済事業の制度周知と事務処理を円滑に運用することが利用者サービスにつながると考えていますが、利用者へ制度内容を周知するため、機構職員が実務研修会に参加したり、制度マニュアルを配布して、周知に努めているところです。さらに、業務委託先、これは社会福祉協議会などですが、こちらへの業務指導として、事務打合せ会議の開催により、制度の理解を深めていただいています。また、事務が集中する時期がありますが、こちらの問合せ対応体制の改善策ということで、平成25年度は24時間の無人応答サービスを実施したり、ヘルプデスクの受付時間を1時間延長したり、更にはFAQを整備するなどの取組により、利用者の利便性の向上と負担の軽減を実現することができたと考えています。
次に74ページです。「心身障害者扶養保険事業」です。こちらは自己評定を「A」とさせていただいています。具体的には75ページ。私どもでは毎年度、外部有識者からなります財務状況検討会において、財務状況の将来予測を実施しています。これら財務状況を検証するとともに、それらの情報を関係者に広く周知を図っているところです。
76ページです。25年度も基本ポートフォリオに基づき、パッシブ運用を行っています。その結果が77ページです。25年度国内外の株式が好調だったということを受け、資産全体では6%の収益を確保することができました。その結果、78ページの右側のとおり、24年度繰越欠損金が99億円ありましたが、25年度は72億円まで減少しまして、繰越欠損金を削減することができました。
80ページです。扶養保険制度が円滑に実施されるためには、制度の運営主体である地方公共団体の担当者の制度への理解が欠かせないものと考えています。そのことから、地方公共団体との連携強化に力を入れているところです。25年度においても、扶養保険事業運営上の課題を把握するため事務担当者会議を開催したり、意見交換会・情報交換会を実施したり、更には事務処理指導を実施し、加入者である心身障害者やその保護者の方々に対するサービス向上に努めているところです。
続いて82ページの「福祉保健医療情報サービス事業(WAM NET事業)」です。自己評定を「A」とさせていただいています。具体的には83ページです。私ども民主党時代の閣議決定「事務・事業の見直しの基本方針」に基づいて、提供情報の重点化を図っているところです。例えば、平成23年度は国と重複する情報、民間と競合する情報は廃止しましたが、一方、平成25年度においては新たなコンテンツを開発し、ヒット件数を増やす努力をしているところです。例えば、国から通知された介護保険に関する最新情報の掲載や、福祉に関する仕事の内容や資格の取得ルート等を紹介した「福祉のしごとガイド(資格・職種編)」の掲載を開始するなど、WAMに相応しい情報発信により重点化に対応しているところです。また、東日本大震災への対応として、平成25年度においても引き続き「被災地支援団体用掲示板」を運営し、継続的に復興支援の取組を行っています。
その結果、84ページですが、ヒット件数は7,500万件を超える計画を達成していますし、満足度においても90%を超えており、計画を達成することができたと考えています。
最後に、85ページです。私ども機構業務をより効率的に実施するために、様々な業務においてWAM NET基盤を活用しているところです。「退職手当共済電子届出システム」や「事業報告書等の電子報告システム」、更には「社会福祉振興助成事業のメールマガジン」など、有効に活用することができたと考えています。Part3の説明は以上です。
○真野部会長
ありがとうございました。委員の皆様から質問等はありますでしょうか。
○松原委員
社福の財務諸表をWAM NETで公表する方向でいらっしゃるのでしょうか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
在り方検討会の報告書は、取りまとめは出ておりますけれども、その中でWAM NETを利用するという話にはなっていません。まだこれからのお話なので、今はどうなるか分からないという状況です。
○石渡委員
61ページの社会福祉振興助成事業の重点支援の4分野は、昨年辺りからとても関心を持っていたのですが、この事業で例えば、NPO等の立上げを助成して、その活動についての評価とかその後のフォローなどもしっかりやっていらっしゃるというのは、とても今後が期待されるなと思うのですが、こういう4分野のニーズはまだまだあると思いますけれども、広報の仕方などについて新しい方法を考えるとか、やはりもっと周知徹底するような、何か新しい方策のようなことをお考えでしたらば、ちょっとお聞かせいただきたいのですが。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
先ほども申しましたWAM NET基盤を活用して、そこに動画サイトを新たに設けるとか、フェイスブックやツイッター等の利用により我々の助成事業を広くPRするとか、様々なツールを用いたPR活動は実施しているところです。
○真野部会長
よろしいですか。
○石渡委員
はい。
○真野部会長
私も1つ、77ページの扶養保険事業の運用状況の所ですが、ベンチマークに対しての実績が書いてあるのですが、これは比率はどうなっているのですか。最近何かこういうので株式がうんぬんなどという話もありますが、国内債券、国内株式等々のポートフォリオの比率といいますか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
それは76ページの、資産構成状況のことでしょうか。
○真野部会長
そうですね。これは多少変更があるということですか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
いずれもパッシブ運用をしていますので、このポートフォリオに若干の許容乖離幅をもっていますけれども、大体このような資産構成で運用をしています。
○真野部会長
私はこの分野には全く素人なのですが、割合に関しては変更というのは割と自由にできるものなのですか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
いえ、これは、外部有識者で構成される資金運用委員会において、これは適当だろうというとき以外は勝手には構成割合は変えておりません。
○真野部会長
すると多少変化があるのは、そういうのをお聞きになった上で、こちらのほうが利益といいますか、運用がいいだろうということでやられているということですか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
そこはある意味、余りリスクを取らないで年金資産を守ろうという目的がありますので、逆に昨今のアベノミクスで株式が好調だからといってすぐに株式寄りに資産構成割合を変更することはしておりません。
○真野部会長
分かりました。ありがとうございます。
○名里委員
62ページの所で、私もこの助成事業が非常に重要な大切な事業だと思うのですが、要望に対して3分の1ぐらいですか、採択されているのが。この件数とか、金額の上限とかそういうものを設けていらっしゃるのか。ごめんなさい、資料の中にあるのかもしれないのですが、今後の見通しも含めて、計画等があれば教えてください。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
61ページ左側に福祉活動支援事業とか、地域連携活動支援事業といったように助成対象事業が記載されていますが、この助成対象事業ごとに上限は設定させていただいています。
それから、全体の助成額ということで、3割の採択の件ですが、希望額を全部集めて、審査・評価委員会において審査し、基準を満たしている事業を採択した結果が3割程度だったということです。
○福祉医療機構理事長
若干補足いたしますと、この助成事業についても、予算が毎年見直された結果、削減されていくという、そういう流れがあります。それからあと、先刻は厚生労働省の中での行政事業レビューの対象となって、事業の抜本的見直しを要請されたところです。私自身も国の制度の谷間を担うNPO法人を支援していく上で、この助成事業は非常に有効な制度だなというように判断しているのですが、予算面でなかなか厳しい状況にあるというところを御理解いただきたいと思います。
○名里委員
67ページの、助成事業報告会とかシンポジウムの開催とかも非常にいいことだなと思いまして、こういうことでたくさんPRというか、そういうのもしていただいて、予算が減らないようにと願います。
○福祉医療機構理事長
どうもありがとうございました。
○真野部会長
貴重な御意見だと思います。ほかはよろしいですか。
グループ3は終わりということで、最後になりますが、グループ4の評価項目13から16です。所要時間としては、法人のほうは10分、こちらのほうは5分と、ちょっと短いですけれども、よろしくお願いします。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
それでは88ページです。「年金担保貸付事業及び労災年金担保貸付事業」についてです。自己評定は「A」としております。具体的には89ページです。利率設定方式の見直しですが、貸付金利を適宜見直し、業務運営コストに適切に反映した利率設定とすることとなっております。中期計画期間中に損益が均衡するよう金利検証をしているところで、平成25年度においては年金担保貸付事業については1.6%、労災年金担保貸付事業については0.9%としているところです。
90ページです。「国において立案される計画への適切な対応等」ということで、この事業につきましては、先般の閣議決定により「十分な代替措置を用意したうえで廃止する」とされております。その結果を受け、年金担保貸付事業廃止計画において「事業規模縮小等の措置を段階的に進め、平成28年度に具体的な廃止時期を国が判断」することとなっております。そのため私どもでは、平成25年度においては事業規模の縮減効果に係る分析データについて国に対して毎月提供するとともに、段階的な事業縮減を図るべく更なる制度変更について現在検討しているところです。平成26年12月に再度、制度見直しを実施する予定となっています。
91ページです。年担、労担とも今申しましたように、貸付規模を縮小してきており、融資実績については、平成25年度は年金担保貸付事業で1,157億円、労災年金担保貸付事業につきましても27億円と、平成20年度に比べますと両者とも6割程度の貸付規模となっております。またその結果、残高ベースにおきましても縮小しており、国の施策に応じた対応を図っています。
92ページです。年担、労担貸付事業につきましては制度変更を実施する必要があるため、受託金融機関及び関係団体等へのリーフレット配布、機構ホームページにおける広報など、制度周知に努めているところです。また、多重債務者等への注意喚起などを明記して情報提供を実施し、きめ細かな対応を図っています。あわせて、受託金融機関事務打合せ会議など全国7か所8回開催して制度周知に努めているところです。
94ページです。「承継年金住宅融資等債権管理回収業務」です。こちらも自己評定を「A」としております。93ページのグラフを御覧いただきたいのですが、この業務につきましては平成18年4月より年金資金運用基金から業務を承継し、専ら回収業務だけを行っている勘定です。既に2兆6,000億円の回収を済ませており、承継時の約7割の残高、現在は1兆円ほどとなっています。
95ページです。この勘定では回収だけを行っていますので、いかに適切に債権管理を行い、回収を着実に行っていくかが重要となります。したがって、貸付先の中でも「転貸法人」や「住宅生活協同組合等」に対して決算書の提出を求め、財務状況の分析を実施し、また保証機関や保証人につきましても財務状況の分析を行い、保証履行能力の評価を実施するとともに、必要に応じ保証人の追加等を指示するなどの適切な回収に努めています。
96ページです。リスク管理債権化している貸付先について、常にモニタリングを実施しており、余剰金の一部繰上償還により回収を実施したり、返済条件の変更措置を講じるとともに、長期延滞債権への対応としては「物件処分推進チーム」を立ち上げ、機構による直接競売の実施や受託金融機関に対する保証人調査等の指示を行い、より早期の債権回収を促進しているところです。
97ページです。「財務内容の改善に関する事項」で、自己評定は「A」としています。具体的には98ページです。「法人全体の損益状況」ですが、平成25年度は一般勘定におきまして当期損失を計上しましたが、その他の勘定については当期利益を確保しています。法人全体では432億円の当期利益となっています。
99ページです。一般勘定の当期損失金は、先ほど理事長からも御説明がありましたが、東日本大震災への対応として政府出資金によりあらかじめ損失が発生する仕組み上のものです。事業が立ちゆかなくなったための赤字ではなく、全く問題がないものと考えています。
100ページです。運営費交付金以外の収入につきましては、「経営指導事業収入」として3,900万円、また「福祉保健医療情報サービス事業収入」により800万円、計4,700万円を確保したところです。
101ページです。「福祉医療貸付事業」及び「年金担保貸付事業」におきましては、債券の発行等により貸付原資の一部を資金調達しております。平成25年度は10年債を150億円、3年債を380億円発行しておりますが、投資家向け広報活動などを積極的に実施したことなどにより対国債のスプレッドも非常に低い利率で発行することができたと考えております。
また102ページ、「保有資産の見直し」につきましては、事務・事業の見直しの基本方針に基づき、72戸の宿舎を国庫返納することとなっております。平成25年度におきましては入居者の退去について9月に完了したところです。現在は国庫納付に必要な現況の詳細確認などを実施しており、今後、適宜国庫に返納することとしております。
最後に「人事に関する事項」、103ページです。自己評定は「A」としております。具体的には104ページですが、第1期中期計画から導入しております人事評価制度について、第3期中期計画期間となり確実に人事評価制度が定着してきております。全体としてラスパイレス指数との関係から給与が落ちている状況の中、個人の昇給や賞与へ反映させる仕組みとして個人目標の明確化、それに伴う職員の意識改革などが導入の効果として実現できたと考えているところです。また、数値目標となっております「人員に係る指標」として常勤職員数ですが、計画数299名に対して259名と期初の100%以内を達成している状況です。
最後に105ページです。人材の育成はWAMの業務に欠かせない重要な事項であると考えており、研修の充実を図っています。福祉・医療分野におきます専門家をお招きして、若手職員を中心に年間12回の研修を開催しています。また、研修メニューなどにつきましても常時見直しを行い研修機能の充実を図っているところで、担当業務に必要な知識・技術の習得等を目的とした各種研修を実施することができたと考えています。説明は以上です。
○真野部会長
ありがとうございました。委員のほうから御意見はいかがでしょうか。
○五十嵐委員
財務ヒアリングの結果に関する補足をさせていただきたいのですが、資料の98、99ページです。法人全体で当期純利益がたくさん出ています。先ほど一般勘定の当期損失は、もともと構造の中でマイナスになるようにセットされていますということですが、これはそのとおりで、そういう意味で、この損失については基準点がゼロで悪くなって損失になったわけではない。逆に承継債権管理回収勘定は多額の利益が出ていますが、これは逆に仕組みとしてたくさん利益が出るように最初からセットされているということで、当期純利益の水準を見たときに、その2つを考慮して評価していただきたいということで、よろしくお願いしたいと思います。
○真野部会長
ありがとうございました。これはよろしいですね。ほかの委員の方からは御意見はどうでしょうか。
私から1つ、101ページでIRを積極的に実施したということで、これは素晴らしいことだと思うのですが、債券の、要するに福祉医療機構債券の魅力を多分アピールしたということだと思うのですが、具体的にどのような魅力をアピールされたのでしょうか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
基本やはり財務諸表が中心となりますけれども、その前に事業の概要ということで、私どもは福祉・医療に関する各事業をワンストップで行っているので、そのシナジー効果が大いに期待されるというアピールは常にさせていただいております。そういう意味では福祉医療機構であるからということでお買いいただいたのかなと考えております。
○真野部会長
そうすると、福祉医療機構の社会性や意義を理解してもらって、それが効果があった、そういう意味合いでしょうか。
○福祉医療機構総務企画部企画室長
それだけが効果というかどうか分かりませんが、基本的にIRのときは事業の概要を全般的に説明したうえで財務諸表の中身も説明し、その2つの両輪で説明しているということなので、その評価という意味では、買われた方なりの評価がどちらに向いているかというのは分かりかねるのですが、両方とも説明しているという意味です。
○真野部会長
分かりました。最近社会的投資ですか、そんな話もあると思うので。
○福祉医療機構理事長
若干補足させていただきますと、私どもの本部では年に2回、春と秋、IR活動を行っています。その席では私自身も出席して現況を述べているということで、そこは1時間ぐらいですが、福祉医療機構について直近の動きを投資家の皆様に御理解いただくということです。それは東京で開催しているわけですが、地方にも出かけて行って、個別の地銀等々にも我々の魅力を説明するという地道な活動をしておりますので、地方からの購入もかなり多いということが現状です。
○真野部会長
ありがとうございました。ほかの委員はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○松原委員
10年近くWAMを担当し、本日これが最後の評価ですので、感想を述べさせていただければ有り難いです。簡単に述べさせていただきます。当初、私、こちらに就任させていただいたときには、WAMというと役所以上に役所らしいという評判をよく聞きましたし、私もそれを非常に実感したところがありました。当時は、WAMさんはリスク管理債権比率がどの政府系金融機関よりも低いということを、非常に高く自己評価なさっていました。リスク管理債権比率がすごく高いのは非常に問題ですけれども、どこよりも低いということが果たしてWAMの役割を果たしていることになるのかなと問題提起しました。
その数値が過去6年ぐらいですか、急速に悪化しましたが、ここ数年また改善してきている。その改善してきているのが悪いところには貸さないとか貸し剥しではなくて、正に先ほど御説明いただきましたように、法人との結びつきを強化し経営指導を強化しつつも、悪いところは法人の経営目標を達成しましょうねと明示しながら貸出条件も緩和して、経営の立て直しを行ってと。そのようになさっている点は大いに評価されねばならない点だと思います。
また、震災直後はWAMの職員の方が被災地に土日もかかわらず赴いて、緊急の貸出しや特例措置を行ったことなど、正に民間のスピード力や柔軟性、WAMの社会性、公益性をフルに発揮した取組だと敬意を表します。この10年間の進化、変化というのは素晴らしいものがあると思います。
また、一方、職員の方々と業務上接することがございますが、その方々が真摯に日本の福祉、医療をどうすべきかということを考え、非常に前向きに真剣にお取組なさっている姿を拝見しまして、WAMというのは福祉、医療事業の専門家、人材育成機関でもあるなということを日々実感しております。
このように非常に10年間大きく進化したわけですけれども、もしかしたらその理由は10年前が余りにもひどいところがあったから、こんなにいろいろ改善したのではないのかという懸念はゼロではないのですけれども、それでも、今なさっていることは本当にどこにも負けない、正に民間の良さと、また政府系金融機関の良さと、それをミックスした素晴らしさがあると思います。10年間、担当させていただき、私自身いろいろ学ばせていただきました。ありがとうございました。
○一同
ありがとうございました。
○真野部会長
ありがとうございました。エンディングにふさわしいコメントを頂いたかと思います。
では次に福祉医療機構の長期借入金、債券発行の実績に移りたいと思います。本部会では既に了承しております長期借入金及び債券発行計画に基づく実績の報告になりますが、報告をよろしくお願いいたします。
○福祉医療機構経理部長
経理部長の尾形です。一番最後の資料ですが、1-6をお開きください。平成25年度第4・四半期の長期借入金についての報告です。上段ですが、平成25年度の年度計画額、一般勘定で財政融資資金4,205億円、年金担保貸付勘定で民間借入金165億円となっております。これに対して第4・四半期に認可いただいた額、下の欄ですが、一般勘定で2,419億円、年金担保貸付勘定で234億円です。
これに対する実績である「参考」と書いてある下の欄です。一般勘定の実績ですが、償還期間30年以内851億円、償還期間20年以内681億円、償還期間5年以内5億円、合計1,537億円です。それから年金担保貸付勘定ですが、民間借入金約132億円の借入れを行っております。第4・四半期の長期借入金につきましては、それぞれ部会長より了承の旨を頂き、厚生労働大臣の認可を頂きましたことを報告いたします。
次に平成26年度の第1・四半期の長期借入金についての報告です。平成26年度の年度計画額は一般勘定で財政融資資金3,986億円、年金担保貸付勘定で民間借入金459億円です。これに対して第1・四半期認可いただいた額、下段ですが、一般勘定で1,181億円です。これに対する実績である「参考」の下の表です。償還期間30年以内524億円、償還期間20年以内403億円、合計927億円の借入れを行っております。これにつきましても第1・四半期長期借入金につきましては、部会長より了承の旨を頂き、厚生労働大臣の認可を頂きましたことを報告いたします。
最後に平成26年度の上期の福祉医療機構債券の発行実績です。平成26年度全体の計画ですが、下の「平成26年度計画」の欄を御覧ください。一般勘定で自己資金の所に括弧書きがありますが、福祉医療機構債券200億円、年金担保貸付勘定で福祉医療機構債券450億円、これが年間の予定トータル額です。
これらのうち上期の実績、上の表です。第38回債として年金担保貸付勘定で230億円、これは3年債です。それから39回債として一般勘定で100億円、これは10年債です。それぞれ平成26年6月18日に発行しています。なお残りの発行額320億円につきましては、今後の資金需要等々を考慮しながら発行時期、金額を決定していく予定です。第38回債、第39回債の債券発行に関しても、それぞれ部会長から了承の旨を頂き、厚生労働大臣の認可を頂いています。説明は以上です。
○真野部会長
ありがとうございます。これは報告ですので、報告を承ったということでこの議題は終了させていただきます。
若干早いのですが、本日の議事は以上となります。委員の先生方、何かよろしいですか。それでは事務局から今後の流れと次回の開催等、連絡をお願いいたします。
○政策評価官室長補佐
それでは今後の流れについて説明します。評定記入用紙の全ての評定項目について記入が終わっている場合には、評定記入用紙を部会終了後に回収しますので、机上にそのままにしていただくようお願いいたします。また記入が終わっていない場合につきましては、冒頭でも申し上げましたとおり、評定記入用紙をお持ち帰りいただいて記入いただくか、あるいは本日評定記入用紙の電子媒体をメールで送付しますので、電子媒体にご記入の上、7月22日(火)までに事務局宛てに御提出いただきますようお願いいたします。
次に次回の開催予定ですが、次回は7月31日(木)10時から、場所は労働委員会会館7階の講堂です。議題につきましては、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の平成25年度業務実績に係る個別評価を予定しております。
最後に、本日配布した資料の送付を御希望される場合は、事務局より送付しますので、机上にそのままにして本日は御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。
○真野部会長
それではこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
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