第9回社会保障分野サブワーキンググループ及び医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会の合同開催議事録

政策統括官付情報化担当参事官室

日時

平成24年9月12日

場所

厚生労働省 専用22会議室

出席者

構成員
 石川広己構成員
 稲垣恵正構成員
 岩渕勝好構成員
 宇賀克也構成員
 大道久構成員
 大山永昭構成員
 小田利郎構成員
 小森直之構成員
 金子郁容座長
 後藤省二構成員
 駒村康平構成員
 佐藤慶浩構成員
 鈴木正朝構成員
 高橋紘士構成員
 寺野彰構成員
 冨山雅史構成員
 樋口範雄座長
 福井トシ子構成員
 松本泰構成員
 山本隆一構成員
 
事務局等
 唐澤政策統括官
 鯨井情報政策担当参事官

議題

1.開会
2.議事
(1)「医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書」(案)について
(2)その他
3.閉会

配付資料

資料1 「医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書」(案)
資料2 佐藤構成員提出資料

議事

議事内容
○事務局 それでは、定刻になりましたので「社会保障分野サブワーキンググループ・医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会 合同開催(第9回)」を開会させていただきます。
構成員の皆様には、御多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
まず、資料の確認でございますけれども、資料1でございますが「『医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書』(案)」。
資料2でございますが「佐藤構成員提出資料」でございます。
資料の不備等ございましたら、事務局に御連絡いただければと思います。
なお、本日は、高山構成員、山口構成員から欠席の御連絡をいただいております。
また、9月10日付で人事異動がございまして、政策統括官以下、事務局に交代がありましたので、この場を借りて御紹介いたします。
政策統括官の唐澤でございます。
○唐澤政策統括官 唐澤でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 本日は、所用により欠席しておりますけれども、政策統括官付社会保障担当参事官の福本でございます。
続きまして、政策統括官付情報政策担当参事官の鯨井でございます。
○鯨井情報政策担当参事官 鯨井でございます。よろしくお願いします。3年半前までは、政策企画官としてIT政策にかかわっておりました。きょう御出席の先生方には、大変お世話になりました。
○事務局 所用により欠席しておりますけれども、政策企画官の成松でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、ここからの議事につきましては、樋口座長にお願いいたします。
○樋口座長 おはようございます。きょうは、第9回ということですね。先回の継続ということになりますけれども、これまで8回の会議を重ねてきて、さまざまな論点についてひととおり当たってきたと。それで、先回から、ここにある報告書(案)というものの討議を始めていただいていて、先回の検討というか、いろんな御意見を出していただきましたので、それを事務局の方で、できるだけ取り入れる形で修正したものが、きょう提示されております。
できれば、きょう、この報告書(案)の(案)を取って、報告書という形でまとめることができればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それで、その報告書(案)について、改めて事務局から、説明をしていただきましょう。
○事務局 それでは、資料1について御説明いたします。
第8回の検討会に提出させていただきました報告書(案)につきまして、前回の会議での御発言及びそれ以降にいただいた御意見を追記する形で修正をしております。
また、表現をわかりやすくするという観点からの修正とともに、一部の用語については、注釈を付記するということでページの下の方に記載をしております。
それでは、主な修正点について御説明させていただきます。
まず「はじめに」の1ページ目でございますけれども、3つ目のパラグラフのところでございます。「そもそも」と始まっているところの2つ目の文章でございますが「医療・介護等の分野においては」ということで「国民に直接サービスを提供する数多い、また、多様な機関の間での情報共有を図ることが国民にとってのメリットとなる」というものでありまして、行政機関内部での情報のやりとりが想定されるものとは、基本的に異なるというふうなことを追記しております。
次のパラグラフでございますけれども、2行目の終わりあたりからでございますけれども、医療等分野で取り扱われる情報は、機微性が高い情報が多く、厳格な取扱を確保する必要性が高い分野となっているとともにということで、機微性が高いからといって情報共有を最小限度にすることは、必ずしも国民のメリットとならない。実際、医療現場を例にとれば、ほとんどの患者は、自分の病気等を治す可能性を高めるためには、一定の信頼の範囲内で、他の専門家と共有されることについても歓迎されるであろうということを追記しております。
続きまして、3ページ目でございますけれども、一番上のパラグラフに続いて「なお」というところで書いておりますが、第2章の方で詳述はしているのですけれども、今般の法制で対象とするような情報について、なるべく報告書の頭の部分に記載をするということで御指摘いただきましたので、なお、今回の法制で検討する医療等に関する情報の範囲は、基本的に医療・介護分野における生命・身体・健康に関する個人情報を対象とすべきものと考えられるということで記載をしております。
同じく3ページですけれども、下のところに<1>~<3>まで書いておりますが、<1>のところの書きぶりを国民目線で書くということで、国民が、より質が高く事務的に効率のよいサービスを受けることができるようになることといったことを政策課題として記載をしております。
続きまして、4ページ目でございます。(3)の「医療情報の特性を踏まえた情報連携基盤の必要性」のところの、中ほどですけれども、個益と公益について記載している箇所がございましたけれども、読むときに、なかなかわかりづらいということで、括弧書きで説明を書く等をしておりまして、個益(個人が自分の健康状態を向上させることによって得るメリット)と公益(個々の医療情報が蓄積され分析されることでもたらされる社会全体(自分以外の家族や知人、次世代など)に対するメリット)が密接に関連し、一つのメリットがもう一つのメリットにつながっているという循環関係にあるという特性を踏まえて行われる必要があるということで追記をしております。
続きまして、6ページでございます。「<2>情報化の更なる進展等を踏まえた情報取扱ルールの必要性」というところでございますが、それの最後のところでございまして「なおその際」ということで「個別法について検討する必要がある」と書いてある後ろでございますが、これまでガイドラインが定着してきた経緯等を踏まえ、個人情報保護を図りつつ、さらに情報の共有をスムーズにする等の観点から、現場での運用に配慮した検討が行われる必要があるといったことを追記しております。
続きまして、8ページでございます。ここは、表現をわかりやすくするために追記しておりますけれども、<2>のところでございまして、医療の向上に資するというような形で書いておりましたけれども「医学研究など」の後ろに「個々の患者等の状態を改善させることを可能とする医療の向上に資するため利活用されるべきものであること」ということで、わかりやすく追記しております。
さらに、その下の<6>の下に書いてある「検討会においては」のところの2つ目の文章でございますが「また、理念規定だけでなく、患者等の個人情報開示、訂正・削除・利用停止権等についての権利規定や取扱規定を整備すべきなどの議論があり、今後引き続き検討していくべきである」ということで追記をしております。
続きまして、9ページでございますけれども、ここは、こういった環境整備によって期待される効果の例を書いているところでございますが、<3>のところの「エビデンスに基づく医療や医療政策等の推進により医療等の質の向上を図ること」のところの、下から2つ目の○でございますが「乳幼児の健康管理の充実や居住地以外の出産の実態把握等に資する周産期情報の収集・活用」といったものを例として追加しております。
続いて11ページでございますけれども、ここは情報の利活用に当たっての目的明示、本人同意に関する記載のところでございますが、上から6行目の右側あたりですけれども「また」ということで追記しているところがございまして「また、同意について明示的なアクションを必要とするか否か、いったん同意をした後に不同意に変更できるか否かについても検討すべきとの意見があった。また、医師、歯科医師、薬剤師に加え、切れ目ないサービスのつなぎ役を担う看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の業務負担に配慮した検討がなされるべき、ICTを活用した診療情報連携の先行事例等を参考に情報の利用場面や取扱ルール等を具体的に検討すべき、等の意見があった」ということで追記をしております。
続きまして、12ページでございますけれども、情報の委託時の取扱についてのところでございますが、上から3行目あたりですけれども、検討会においては、業務委託により入手した個人情報を本来目的とは異なる用途で営利目的による再利用をする等の行為の規制の在り方などを検討すべきであり、再委託等の取扱いも含め検討していくべきとの意見があったということで追記をしております。
続きまして、13ページでございますけれども、<3>でございますが「不正な手段によるデータ取得の防止の措置等」のところでございまして、3行目でございますけれども「情報の取扱者に対し安全管理措置としてハッキング等への対応を求めるとともに、不正な手段によりデータを取得する行為についても罰則による抑止を検討する必要がある」ということで一部記載を追記しております。
同じく13ページの一番下の部分でございますけれども、情報漏洩時の対応でございますが、下から3行目右側でございますが、情報漏洩時に、情報の取扱者に対し、その影響によっては、主務大臣や本人への通知義務を課すということも検討すべき等の意見があったということで追記をしております。
14ページの(6)でございますけれども「情報の利活用に萎縮しないための仕組み」ということで、後ろの括弧書きの部分を追記しておりまして「善良な意図による情報連携の可罰性等」というところで、文章のところ「こうしたことを踏まえ」のところでございますが、善良な意図による情報連携に関しては可罰性がないと整理することを含め、引き続き検討するということで、記載を追加しております。
16ページでございますけれども、こちらは匿名化等に関する記載をしているところでございますが、上から3行目「検討会においては」というところで「このとき」から少し記載を追加しておりまして、「このとき、連結不可能匿名化及び連結可能匿名化された情報は、個人情報にあたらないとするために、その必要条件である処理方法に加えて、十分条件となる処理前後の情報の管理要件についてもそれぞれ検討することが、情報の適切な利活用のため有用であるとの意見があった」ということで記載を追加しております。
少し飛びまして、24ページでございます。ここが、前回も御議論いただきまして、いろいろな御意見をいただいた医療IDの取扱いについての記載の場所でございますが、ページ中ほど「検討会では」というところで御発言いただいた御意見について記載をしております。「検討会では、患者等が自らの情報がどこにあり、どのように取り扱われているかを確認できるためのキーとして、医療等ID(仮称)の導入は重要、との意見があった。一方、医療等ID(仮称)をキーとして個人の健康情報が本人の同意なく幅広く閲覧されることのないよう規制や技術的配慮が必要であり、本人がこうしたことをコントロールできるよう、一定の場合に医療等ID(仮称)を変更できるなどの保護措置が必要であるとの意見や、本人確認の仕組み、医療等ID(仮称)取扱者の制約のかけ方、マイ・ポータルを含むマイナンバーのネットワークとの関係、導入等に伴う関係者の作業・事務負担への配慮や仕組みの簡素化などの論点について、今後十分な検討が必要、との意見があった。また、医療等ID(仮称)については、希望に応じ複数交付することにより、閲覧できる情報の範囲を選択できるようにしてはどうかとの意見もあった。また、医療・介護等のサービスの質の向上に寄与できるステークホルダー全般をなるべく取り込み、PHR事業者等については許認可制度を検討してはどうか。また、自費診療と保険診療、治験など、カルテを分けて作成する場合の医療等ID(仮称)の取扱等についても検討が必要であるとの意見があった」ということで追記をしております。
さらに、その下の付番方法についての記載の箇所でございますが「今後検討する」と書いている後ろでございますけれども「なお、検討会においては、医療等ID(仮称)等の管理機関が医療保険者の協力を得て付番する等のやり方が考えられる、との意見があった。また、マイナンバーの付番の仕組みにも配慮する必要があるとの意見があった」ということで記載を追加しております。
続きまして、26ページでございます。「<3>情報保護のための仕組み」のところでございますが、最後のところでございますけれども「情報システムの設計時点における情報保護評価のあり方等を含め検討する」ということで、記載を一部追加しております。
また「<5>カードとマイ・ポータル」の記載ですけれども「検討会では」というふうに書いているところからでございますが「検討会では、マイ・ポータルへ医療等ID(仮称)でアクセスすることになるとセキュリティに関して疑問が残る、また自分が知られたくない医療情報も入れるのは他人でも閲覧できてしまう可能性もあり望ましくない等の指摘があり、慎重な検討が必要、との意見があった」ということで追記をしております。
さらに27ページでございますけれども「(6)その他必要となる取組み」として記載をしているところでございます。○が2つございまして「前者については」と記載しているところの3行目、右側あたりからですけれども「検討会では」というところを追記しておりまして、情報提供者や情報照会者となり得る医療資格者を認証する独立した認証基盤・認証機関を創設し、認証登録や認証カードの所持を法的義務として、国家資格取得時点で義務的に登録する制度にすること、そのため必要となる権利義務関係や法人組織規定について併せて法制化することが必要ではないか、との意見があったということで追記をしております。
最後のページでございますけれども、2つ目のパラグラフでございますが「本検討会においては」と書いているところの上から4行目の最後のところ「また」以降でございますが「医療等の分野における情報の利活用と保護のための環境整備を進めることの重要性や、本検討会における議論等について、国民にわかりやすい説明を行い、理解を得ていくことが重要である」ということで記載をしております。
また、その下のパラグラフでございますけれども、最後の部分でございますが「あわせて費用対効果を見極めて推進する必要がある」といった文言を追加しております。
さらに、その次のパラグラフでございますけれども「今後、新たな法制度の立案に向け、制度の創設・運営に直接関係する関係者等を含めた検討の場において、残された論点についてさらに検討・調整を進める必要がある。それと並行して、この問題は広く国民に関わる問題であり、国民の意見を幅広く聴き、理解を求めるための取組を進めていく必要がある」ということで追記をしております。
主な修正点については、以上でございます。
○樋口座長 先崎さん、どうもありがとうございました。なにしろ、これで28ページに及ぶというので、今の御説明は、むしろ先回の議論で出てきたものを、こういう形で取り組みましたということの説明をいただいたのですが、それもあわせて、この28ページの報告書について、これは、どこからでもということですが、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○石川構成員 どうも御説明ありがとうございました。第7回目のときに、医療等IDという言葉が出てきまして、大変びっくりしたわけでございます。マイナンバーの中で、医療等について番号を付けるのかどうなのかということについては、正直言いまして、私たちははっきりと認識していたわけではなかったので、突如として、そういうことが出てきたということで、大変びっくりしました。
しかし、検討が不十分だということを各所に盛り込んでいただいた今回のこの案については、大変工夫をされて書かれておりまして、私どもも一定支持できる内容だと考えております。
しかし、今後の議論の中において、医療等IDがどういうふうな構成で議論がされるかわかりませんけれども、私たちの時代認識としましては、個人情報の保護の個別法化ということについては、絶対に必要だと。私たちの意見で、今の医療のITの中でいろいろな医療情報の誤った利活用等が出ております。この個別法というのは、必ず必要なものになるということはお示ししたとおりであります。今回個別法の議論が医療等IDを目的としてやるというものではないと私は認識しております。医療等IDにつきましては、さらに議論が必要で、国民にやはり信頼がおけるような医療等IDをやるのか、やらないのかという議論も含めてやっていく必要があると考えております。
次に検討を持ち越した形で、私たちの懸念を各所で取り入れていただきまして、大変ありがとうございました。
以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかの委員、どうぞ、冨山さん。
○冨山構成員 28ページの「IV.今後の検討に向けて」の下から7行目、今後、新たな法制度の立案に向けて、また、別の検討の場で調整を進めていく必要があると書いてあるわけでございますけれども、先ほど石川構成員のおっしゃったとおり、個人情報の保護についての個別法について、どんどん法制度を進めるのはよいですけれども、医療等IDのことも一緒くたにして、これを拙速に進めるというのは、やはり慎重に対応するべきではないかと思っております。
医療等ID、先ほどおっしゃいましたように、第7回からいきなり出てきたという形ですね。やはり、十分に活用の内容を今後検討していく必要があるのではないかと思っております。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。お願いします。
○鈴木構成員 細かい話になりますが、16ページについて、ちょっと意見がございます。
連結不可能匿名化、連結可能匿名化という手法について、一定の法的対応を考えるべきだというのは賛成ですが、ちょっと書き過ぎている面があるというのは「個人情報にあたらないとするために」と書いていますが、これは、かなりまずいだろうと。なぜなら、個人情報保護法一般は、対象情報が個人情報に該当することによって、報告の徴収という行政調査権が発生するわけです。
それから、そういった主務大臣の関与、それから、開示等の求め、苦情処理の対応という本人関与も個人情報に該当するから、そういったものが出てくるわけです。
たかだか匿名化しただけで、行政も患者本人も一切法の適用がないということでアンタッチャブルになるという意味で、方々の意見がかなり間違えているわけですが、何ゆえ個人情報に該当しないようにしてくれとまで言い切ってしまうのか、ここは、全然思慮が足りないわけであります。
連結不可能匿名化という処理をした場合、個人情報であるが、これこれ、こういう形で緩和するなり、こういう措置を認めるなり、そういう法制化をすべきでありまして、この段階で、個人情報に該当しないと誤解されるような結論を先走って書くべきではないのではないかという意見であります。
同様に、16ページの(4)の1行上に、個人情報にあたらないことを明確にすべきであると書いている部分も、やはり同様に若干の表現上の修正が必要ではないかと、そういう意見です。
○樋口座長 これは、個人情報保護法の個人情報の定義から来ているので、御意見として伺うということではないですかね。ちょっと法の解釈問題でもあるので、悪いけれども、宇賀先生、今のはどうですか。結局、今のは個人情報ということの概念問題ですね。
○宇賀構成員 個人情報保護法の個人情報とは違う定義を、この医療等に係る個人情報保護の特別法でやるということを考えておられるのかというところが、私もはっきりしなかったところです。
もし、そういう趣旨であるとすれば、もう少し慎重に書かれた方がいいのかなという気は、確かにいたします。
○樋口座長 どうぞ。
○佐藤構成員 ここに関しては、私の方から考え方を御提案して、表現に関して事務局の方で最終的に調整していただいたかと思うのですけれども、確かに表現が難しいと思うんですね。ですから、個人情報にあたらないというよりは、言いたいことは、個人情報の安全管理策の一部が緩和されるというのが、正確な言い方だと思うのですが、ちょっとこの場は、多分、表現を変えろではなくて、こう変えろというふうなところの御提案がないと、なかなか難しいのかなと思って、そういう意味では、個人情報に対する安全管理措置の一部の緩和ができるようにするためにだったら、例えば、いいのでしょうかね。
例えばなんですが、私の意見は、具体的な代案がないと修正しようがないというところが意見です。
○樋口座長 これは、なかなかとっさにはね、鈴木先生も代案があれば、すぐにこうした方がいいよと言ってくださったと思うので、意外に微妙なんですね。今、佐藤さんがおっしゃったようなことで、では、みんな「はい、はい」と言うかというと、やはり緩和と言われるという話は、一方で出てきそうなので、実際、本当は「個人情報にあたらないとするために」というのを、場合によっては、こういう表現をここで使う必要はないかもしれないですね。その後の必要条件である、つまり、それぞれに分けてちゃんとした規制をする必要があると、その必要条件である、どういうふうにやったらいいのかと、あるいは十分条件というふうにつながっているので、だから、ちょっとこれは、場合によっては後で、私、その他に任せていただいてということになるかもしれませんが、鈴木さん、どうぞ。
○鈴木構成員 要するに、皆さんが主張しているところは、それによって行政処分とか、罰則をかからないようにしてくれということですから、そのために個人情報該当性に踏み込む必要はないだろうと。踏み込むと、医療現場には、実は特別法である医療等個人情報保護法以外の個人情報が多数ありまして、例えば、医療等に従事する人たちの情報は、従来どおり、インハウス情報で、個人情報保護法と、2,000個問題といっていますが、条例を含めて2,000種類の法令群が背後に控えていまして、その適用関係が問題になってまいりますから、個人情報の一般法と寸断した形での法制化をすると、適用場面で、また、非常に混乱しますから、ここの個人情報該当性判断には触れずに、連結不可能匿名化した場合には、こうする。それで、連結可能匿名化については、対応表をつくるわけですから、その管理をどうした場合には、どうするというふうに個別具体的に定めて、諸条件を満たした場合には、行政処分はしないのだと、行政処分しなければ、行政処分前置型の間接罰は適用されませんから、安心して業務を遂行できますよというところにつなげていけばいいのであって、くどいようですが、個人情報に該当しないといった途端に、個人情報保護法制全部が適用されないという誤解というか、結論として、そうならざるを得ないので、やはり、これは、解釈問題というよりも、かなり致命的問題を抱え込んでしまうので、この表現は何とか外していただければと思います。
○樋口座長 先崎さん、どうぞ。
○事務局 済みません、具体的な文言は、また、とりまとめる際に座長との御相談になろうかと思いますけれども、趣旨としましては、全く保護の必要がないということではございませんで、要保護性を踏まえた取り扱いを考えるべきではないかという趣旨でございまして、個人情報にあたらないというふうに、ここではっきり書くのではなくて、連結不可能匿名化及び連結可能匿名化された情報については、要保護性を踏まえた安全管理措置等のあり方を考えるために、どういった必要条件、十分条件を満たすべきかといったことを検討する必要があるといったようなトーンでの修正でいかがかと考えております。
○樋口座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか、どうぞ、御遠慮なく、大山さん。
○大山構成員 違うことでもいいですか。
○樋口座長 もちろん、どうぞ。
○大山構成員 私も、今の話は、そのとおりだというふうに思っているのですけれども、まず、それを申し上げて、私は、別のところの意見を申し上げます。
25ページですが、まず、簡単なところから、<1>の2つ目の○で、国際標準規格であるSAMLやID-WSFと書いてあるのですが、国際標準規格というと、ISOとかIECというような、どうしても国際的なデジュールをつくっているところの規格のように見えてしまうので、事実を誤解がないようにするためには、国際的な業界標準規格とか、違う書き方をした方がいいのではないかと思います。これは、間違いがないようにという意味で申し上げたことです。
それにしてもなんですけれども、前の(4)までのところをずっと見ていると、今後検討なんですが、(5)の<1>のところだけは、どうしてもちょっと奇異に見えるのですね。背景とか、いろんなことを私も知っているので書きたい気持ちはわかるんですけれども、技術をやっている人間から見ると、ここだけ突然細かいんですよ。これは、もう少し書き方として、例えば、今後、この検討は、まだやるんだということを明確にした上で、例示的な書き方をすれば、かなりいいと思うのですけれども、その辺については、もう少し考えていただけないでしょうか。直らなくても、私は意見として言っておかないといけないかなと思ったので、ここだけちょっと奇異に見えるということです。
○樋口座長 ありがとうございました。ほかには、いかがですか。
どうぞ。
○稲垣構成員 健保連の稲垣です。
今回のまとめにおいて、私どもが、この会議で申し上げたいろいろな懸念事項について織り込んでいただいたということで、まず、それはお礼を申し上げたいと思います。
いずれにしましても、私どもが懸念しているのは、やはりこういったものをどう活用していくかであり、活用についての検討をもっと深めていく必要があるだろうと、こういう認識でございます。
マイナンバー法も、法案としては整理されていますが、我々保険者から見たときに、これをどう活用するか、これによってどう効率化が図れるか、あるいは費用対効果とか、そういった問題についての検討が大分遅れているという感じを抱いております。
この件につきましても同様に、法案、それから、具体的なセキュリティーのための情報連携基盤、そういった検討とあわせて、最後のまとめに書いていただいておりますが、ぜひ、具体的にどう活用するか、あるいはその活用をするための課題について、しっかり取り組んでいく体制をつくっていただきたいと考えております。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
後藤さん、お願いします。
○後藤構成員 三鷹市の後藤でございます。
これまで、報告書の案をしっかりとおとりまとめいただきまして、特に先生方、そして、事務局の皆さんの御尽力に、まず、感謝を申し上げたいと思います。
内容については、特に、ここをこういうふうにとお願いをする事項はございません。念のため確認ということで3点申し上げたいと思います。
まず、1点目、報告書のテーマの中で、これは、今までの議論の中でいろいろと言われてきたことですけれども、医療等分野というのが、非常に幅広い概念であり、なおかつ報告書の中では、医療分野であったり、医療・介護であったり、さまざまな使われ方をしているということを、よく精緻に確認をしながら読んでいただく必要があるということを、まず、確認させていただきたいと思いました。
特に、自治体の立場から申し上げますと、福祉とか、保険とかというような、そういうところも担っている部分が多々ございますので、このあたりの関連については、大変関心の高いところです。
今回、追記をしていただいた、例えば、9ページの乳幼児の健康管理の充実ともうたわれておりますが、このあたりが大変関係するところでございます。
2点目、24ページでしょうか、利用可能者というところで整理をしていただいております。24ページでございます。医療等IDの利用可能者ということで、この中でも中程に例示列挙していただいているところの中で、自治体の立場からいいますと、自治体が設置をしている医療機関を持っているところがございます。まず、医療機関を運営する立場が1つございます。
それから、医療保険者という意味でいいますと、国民健康保険の保険者でございます。また、介護保険の保険者でもございます。
また、さらに先ほど申し上げましたように、地方公共団体の括弧書きで、保健福祉担当部局等とございます。まさに、保健福祉のサービスの提供主体でもあるというようなことがございます。
そういうように、自治体の立場としては、幅広に関係をするところでございますので、今後もこの議論については、大変注意深く見ていく必要があろうかと感じているところでございます。
最後に、17ページに戻っていただきまして、これも、これまでの議論の中で、それぞれ御検討いただきました。特に、ルールの中で、自治体の場合には、個人情報の保護条例というものがあって、これに基づいて個人情報の保護をしていると。このあたりについての、自治体ごとの条例のレベルの違い等も議論がございました。
このあたりについて、中ほど<1>のところでは、自治体等の設置主体の違いにかかわらず、同じルールが適用されるべきと考えられるというような書きぶりもしていただいております。このあたりについては、実際の立場からも、ぜひ、こういう考え方で、今後も進めていただきたいと、そういうふうに強く願っております。
以上であります。
○樋口座長 ありがとうございました。今、後藤さんからもおっしゃっていただきましたけれども、この後、制度構築ということが本当にできるようになった場合には、日本も狭いようで広いわけで、たくさんの自治体に分かれていて、実際のところは、結局、石川先生なんかはよく御存じだというお話を聞いていますが、地域での医療連携みたいな話、よって自治体も当然関与して、それに稲垣さんが、ここでは代表していただいているのかもしれませんが、それぞれの保険者との関係というのも当然出てきて、そういう機関とか、そういう方たちが、どういう形で関与してくださるか、あるいはできるかというのは、本当に大きな課題になるだろうと思います。
どうぞ、お願いいたします。
○高橋構成員 今、後藤さんが言っていたのは、私は初めから感じていたことなんですが、この報告書が、これからどういう形で使われるのかということとも、多分、関係してくるのかなと思っております。
1つは、先ほどからずっと言われている、医療に特化した医療等と、あえてここへ医療・介護等ということになるのか、個人情報保護法の特別法の基礎的な資料になるということ、もちろん、これが当初の目的だったわけです。
それと同時に、やはり情報政策という担当参事官が4月からできたわけですが、これから、国民として、医療・介護等、その大前提は、急性期医療で、医療機関の中から医療情報がつくられると同時に、それがさまざまな場面で、情報共有、長期ケアが一般化すればするほど、先ほどおっしゃった福祉まで広げた段階で、医療がつくられた情報が使われるという、医療の中で完結しなくなってしまっているというところが、等という言葉が付けられたゆえんだと思いますが、そうなりますと、そのイメージを基本的に国民というか、これにかかわる人たちに共有していただく必要があるわけですね。そうすると、まだ、これは出発点にすぎない、言わば、考慮すべき、技術的なポイントなり、制度的なポイントなりが指摘されているので、それが具体的にどういう形で、現場で実現されて運用されているかということに関するイメージ、これがなければ、国民の合意という話にならないわけで、そこら辺をつくる作業のための出発点の報告書なのかなと、私は理解しております。
その2つの方向、先ほども石川構成員がおっしゃったとおり、混同しないで、しかし、両方の作業をやはりきちんとやっていただくというのが、この報告書をつくった意味なのかなと、そのときに、改めて医療と医療・介護、いろんな言い回しが、ここに使われているのをもう一度精査していただいて、もう少しきちんとした、その場面、場面に応じた使い方で、なるべく等というのを外していただく使い方にして、等というのは何でも入る大きな袋であったり、実は何も要らないものをごまかすための言葉遣いでもあったりするわけで、そこら辺をやはりはっきりさせないと何だろうという話になりますので、ぜひ、これはお願いでございます。
○樋口座長 ありがとうございました。ほかに、寺野さん、どうぞ。
○寺野構成員 前回出席できなかったので、余り発言する資格はないのかなと思っていますけれども、今、高橋構成員が言われたこととも関係があるのですけれども、全体の問題として、この報告書が出て、これが、このロードマップによれば、2013年、来年、特別法案と個別法になって出るのですね。その法案の具体的な法案として、これが、成り立っていくのは、どういう形になるのか、さっぱりわからないというのが1つと、これは、一般的な話なんですけれども、どういうふうにフィードバックされて、もう一度チェックすることができるかというと、それは、通常はできないですね。だから、一応、こういう法案になるんだろうと想像するしかないんですが、具体的に、13ページの罰則等についての問題点は、非常に重要な問題なんですけれども、この12ページ~13ページにかけての罰則の在り方という、この記載の仕方で、実際に罰則規定ができるのかなというふうに、私はちょっとよくわからないんですが、これは、鈴木先生にも御意見を聞きたいんですけれども、特に<2>のところは、何を言っているのかなと、私は最初に思って、今度直っているのかなと思ったら、そのままだから、これでいいのかどうか、それをちょっとお聞きしたいですね。特に、13ページの<2>のところです。この漏洩防止措置のところなんですけれども、罰則等に関して、このままの形で出して、法案としてこの形で大丈夫なんですか。法制専門家の方から見て。
○樋口座長 名指しされましたけれども、鈴木先生、どうですか。
○寺野構成員 12ページ~13ページ、一般的な話でいいんですけれどもね。やはり、罰則というのは、極めて重要なパートになると思うので、そこの点の検討が、さっきの修正のところでもほとんどなかったので、この間、余り議論がなかったのかなと思って。
○樋口座長 私の印象では、ここの書きぶりがうまくあらわしているかどうかはともかく、この検討会では、もちろん、個人情報保護は大事だからという話が当然あって、だから簡単に罰則を強化すれば、個人情報保護がうまくいくかというと、そう簡単なものではないですよということが何人かの委員の方から出てきて、ただ、それは、13ページのところにも書いてあるんですけれども、やはり、例外的に悪質な人は出てきますね、どんな制度をつくってもね。それは、やはりいかぬのではないかと。そこの切り分けが難しいんだけれども、一方で、情報の利活用を推進していくというのが1つの目的ではあるわけだから、そうすると、後の方で出てきますが、つまり、ちゃんとした利用をしている人は、全然大丈夫ですよということも明らかにしていかないといけない。だから、それをどういう形で明らかにできるかは、それが法案のところですから、法案の書きぶりで、相当に工夫を要するところだと思います。だから、ここは、そういうことを検討するという表現ぶりにしかなっていないと私は理解しておりますけれども、ちょっと大丈夫かなとおっしゃられれば、それは、今後の検討次第ということしか、やはり言えないんではないでしょうか。
鈴木さん、どうですか。
○鈴木構成員 やはり刑事罰を入れる場合には、検察庁からも多分入ってこられると思いますし、法制局もチェックを十分されると思うのですけれども、いずれにせよ、保護法益は何かと、きちんとしなければならないときに、例えば、今回、医療等IDが入るかどうか議論になると思いますけれども、識別子が入ってくるんですが、識別子単体は秘密性を持っていないじゃないですか、単なる番号ですから。みんな危ないと言うけれども、どこがどう危ないのか、そういうことをきちんと分析して主張できなければ、基礎年金番号は、昔は省令マターだったと、法律は要らずに番号を触れたんだと。行政官は、いつもエクセルを使って国民の情報を入れたりするけれども、番号が付いてしまうと、どういう番号になったら、突然法律マターになるんですかという話があるわけです。省令でもできる、事実上もできる、法律がなければできないとあるのですが、その識別子の性質の違いがわかっているのかというところもあいまいもことしたまま、番号を転記したら即刑罰だというような乱暴な議論は、到底刑法の世界では許容できないですね。何を守っているのかというところをシビアに見ていく必要があるということなんだろうと思います。
あと、量刑でも、刑罰の罰則の方でも、単純に懲役刑10年、20年と上げれば、効果があるというものではないというのは、皆さん御存じのとおりで、そこは、全体のバランスの中でおのずと決まるのかなと思っておりますが、いずれにせよ、今後の具体的な法制化の議論の中で精査しながら決めていく、間接罰がいいか、直接罰がいいかを含めてだろうと思います。
○寺野構成員 ついでに教えてほしいのが、14ページに善良な意図による情報連携の可罰性と括弧がついているんですけれども、この刑法的な領域で善良な意図などというのはあるんでしょうか。
○鈴木構成員 私は、刑法専門ではないのでわからないですけれども、故意か過失かが一般なので、その動機にわたってどうかというのは量刑上判断されるけれども、構成要件に該当するかというときに、善良なというのは、主観的な対応として書くというのは、どうですかね、よくわからないんですが、趣旨はわかります。医療関係者は患者を助けようと思ってやっているわけですから、そこに関して、過剰な刑罰規制を入れないように工夫しましょうという提言については、十分意図はわかります。
○寺野構成員 善良な意図です。
○樋口座長 善良な意図と書かれているんですね。この部分は、法制に盛り込むべき事項だから、もっとちゃんとした法律用語というのもあるんですけれども、この段階では、むしろ法律化に向けるというよりは、こういう法律をつくらなければいけないと、我々だと言っていいと思うんですけれども、考えているのですということを、これは、先回、山口さんが出て来られて、特に強調したところなのです。
それから、ちょっと自分の経験で言うと、先週、私は1つシンポジウムに出ました。それは、東京大学で開かれたんですが、参加者が200人くらいだと思いますけれども、その参加者は医療に関する関係者なのですね。
それで、私は少し話をする機会を得ましたので、最初に、実はこういうような検討会というのを実はやっているんですと。もう8回終わって、今、報告書をまとめようという段階になっているんですが、そういうことを知っておられる方というのを、この中にどのくらいおられますか、申しわけないですが、手を挙げてくださいと言ったら、やはり10人くらいなんですね。
だから、きょう最後に、あるいはほかの方も言ってくださるかもしれませんが、繰り返し強調してくださるかもしれませんが、この報告書がまとまった後、いろんな作業、この中の論点について詰めていく作業というのが一方である。
もう一つ、やはりそれを国民的な議論というのをどういう形で理解を得て、それで、さまざまな論点について、まだ決まっているわけではないので、どういうものをつくってもらいたい、つくってほしいのか、やはり、国民的な議論というのをどういう形で起こしていくか。
そのためにも、ここはこういう表現の方がわかりやすいかなという判断なんです。まさに意図がわかっていただければいいんじゃないだろうかということだと思いますけれども、ほかに、この報告書全体に、あるいはこの部分だけでもいいんですけれども、こういうふうに書いておいたほうが誤解がないとか、あるいは、こういうところがちょっとということがあれば、今のうちに御指摘をいただきたいんですが、いかがでしょうか。どなたでも。
○寺野構成員 ないならもう一つ。
18ページで、結局、50条の適用除外に関するもので、<3>の大学その他の学術研究という問題に関しては、この点、大変心配して、文科省の方でも検討会を開いたわけですね。それがどこまで反映されているのかなというのが、ちょっと。だって、ここだけ読むと何もやらなかったのと同じなんではないかという感じがする。私らは、時間をつぶしてやってきたわけだから、その辺をどう生かされるのか、これだけではなくて、今後の問題として、何か文科省としての考え方があれば、ちょっと教えてください。
○事務局 この検討会の場におきましても、研究分野の御専門の方からお話を伺いまして、いろんな御意見をいただいたところでございます。ただ、それについて検討会として明確な結論を得るには至っていないというのが認識でございます。
ですので、報告書におきましては、そこで、さまざまな懸念でありますとか、一方で研究分野について、全く規制の対象から外していいのかという御意見もありましたので、そういったことを併記するような形にしておりまして、今後、当然、法制化の段になりますと、関係省庁、関係者との調整も踏まえて、精緻化していくことが必要になりますので、現段階での案では、両論書いている、さまざまな御意見を付記させていただいているという状況でございます。
○鯨井情報政策担当参事官 たくさんの御指摘ありがとうございました。
確かにおっしゃるとおり、法制の議論というのは、かなり厳密な議論が必要でして、確かに日本の法制の中でどういう位置づけになるのか、現行法制との整合性の問題とか、構成要件の明確性とか、特に罰則適用となると、かなり厳密な議論が必要になります。
ただ、今、必要なのは、ここで議論していただきたかったのは、医療情報の保護と利活用、これは何のためにやっていくのか、それをやった上で、どういう論点があるのかという、まず、論点を明確にして、それに対する考え方を書いていくという作業から始めて、そこから厳密な議論に持っていくということだと思いますので、まだまだ、そういった点では御指摘のとおり、さらに今後、検討が必要だなということは感じています。
○樋口座長 そうですね。
どうぞ。
○駒村構成員 1つ確認したい点がありまして、28ページの下段のところで、今、議論されていました、法制度の立案に向けて、関係者を含めて検討の場で調整していく必要がある、こうなっているわけですから、これがいきなり法律の根拠になるというよりは、さらに残った議論、特に今回は、この検討会としての報告書は、今、お話のあったすべき方向性で、専門家がある種合意できた部分について書いてある部分と、それから、検討する、留意する意見があったと、要するに専門家の中でも評価が分かれている部分があるわけですね。
今後の作業としては、2つの作業が同時にやられていく必要があって、1つは、残った部分が整理されていく、さらに深掘りをしていく、もう一方は、これを法制化するに当たって、さらに広い関係者と国民の意見をまとめていく、2つの作業を同時にやっていくことになると思うんですけれども、法律にはもう幾つかクッションが残っていると思うんですが、後半の方、国民全体に理解を求めていったり、議論をまとめていくに当たって、総ページ数で28でしたか、この手の報告書にしてみれば、多いか、少ないかというところがあると思いますけれども、これは、そういう一般向けとかを意識した要旨みたいなものはつくられるかどうかということを教えてもらいたいです。
○樋口座長 これは大事なことなんですが、事務局としては、どうですか。
○事務局 後ほどまた御案内いたしますけれども、報告書として、本日、取りまとめということになれば、ホームページ等で公表する際には、要旨のようなものもあわせて公表するとともに、御意見を募集するような段取りを考えております。
○駒村構成員 当然だと思いますけれども、その際、要旨が一番重要というか、神経を使わなければいけないのかなと思います。
○樋口座長 お願いいたします。
○唐澤政策統括官 駒村先生の御指摘は、本当にそのとおりだと思います。この厚い報告書を読んですぐに理解できる人はなかなかいないと思いますので。ただ、要旨が、先ほどお話がありましたように、意見の分かれている御専門の先生の部分もありますから、非常に微妙な問題を含んでおりますので、両座長にもよく御相談しながら、取り扱いをさせていただきたいと考えております。
○樋口座長 どうぞ。
○石川構成員 適用除外に対する考え方という、17ページから18ページに書いてあるものでございますけれども、これについて、私たち、まだまだ十分に意見を尽くせたかなという感じがあります。いろいろと研究分野、それから目的外利用だとか、そういったことについての、患者さんの個人情報であると同時に、医療情報というのは、実は、レセプトのナショナル・データベースのところで再三言わせていただいている内容としまして、レセプトは、患者さんの個人情報が確かに中心になっていますが、実は、そこには、医療機関の個人情報あるいは医師を含む医療従事者の個人情報等も含まれていまして、それを再利用する方たちもいないわけではないということなんですね。
レセプトのときには、2年前に、レセプトのナショナル・データベースの利活用のときに、これは、患者の個人情報を匿名化するということはやられているんだけれども、医療機関コードについては匿名化しない、消さないというふうなことが決められていたものを修正していただきました。そういう経緯もあるわけなんですけれども、ぜひ、ここら辺のところで、個人情報の適用除外の問題と、それから、利活用されるときに、どこまでを個人情報として守るべき内容にするのかということの議論もきちんとしていただきたいということと、また、医療にかかわる個人情報の問題で、第三者機関が判定するようなところは必要かどうかということも、ちゃんと検討していただきたいと思います。
○樋口座長 そうですね。第三者機関の存在その他、御指摘は本当にもっともなところだと思いますけれども、これは、そんなに私は慌てているわけでもないんですが、方向性として、まだ時間はありますし、ゆっくり待っていった方がいいですか。座長として、どうしたらいいですか。私には、早目に会議をやめようなんていう考えはないんです。予定されていた時間で、十分時間を費やしたいと思っておりますけれども、言葉が出てこなくなってしまって、金子さんに交代してもらったほうがいいかもしれないですが、余り発言の強制とかなんとかいうのは、教室でもやはり余りしていないわけですね。できるだけみんなで、いろいろ自由闊達に、とにかく意見が出るような雰囲気をつくれるといいなと思って、構成員の方も、あるときは先生と呼んだり、あるときは、さんと呼んだり。先生と呼んでいると親しみを感じていないかというと、そうではないんですけれども、それで、きょう、御発言もいただいていない方も、もし全体の雰囲気として、私が空気を察知していないんだと困りますけれども、全体としては、この報告書(案)で、きょうは一応、この会を閉じることにして、最初の段階、この次の段階の方が本当は大変で、28ページものを、今、事務局の方からも言われたように、なかなか、ちゃんと読んでくだされば理解してくださる方はいると思うんですけれども、しかし、やはりまだ積み残しの問題ばかりいろいろあるんだなと、論点がこんなに多岐にわたって、そう簡単にできるものだろうかとか、そういうような印象があってしかるべき、しかし、そういう難しい課題に取り組んでいるんだということだけは、わかっていただけるんではないかと思うんですけれども、その中で、こういうさまざまな分野を代表する人たちに出てきてもらって、いろんなことを言っていただいた。
それで、最後の機会になるのかどうか、よくわからないんですけれども、この検討会として、もし、きょう閉じるということになれば、この会としては最後ということにもなるので、特に、きょう御発言をしていないというのを別に非難しているわけではないんですが、一言だけ、今後のために、あるいは注意しておいたほうがいいということ、あるいは感想でもよろしいのですが、一言だけいただけると本当はありがたいと思いますけれども、小森さん、手を挙げていただけると、本当にありがたい。
○小森構成員 では、私の個人的なことですけれども、個人情報保護法との関係における医療等情報の個別法について最初に話があったわけですけれども、25ページのところで、先ほど石川先生からもお話がありましたけれども、マイナンバー法における情報提供ネットワークシステムを経由することなく、要するに、全くこれとは別個に、結局は、医療等IDというネットワークシステムをつくりますよと書かれているんですね。
すなわち、これが全く違う新しいこととして今回の話し合いの中に出てきたととっていいんですかね。これは、これとは全く違う基盤システムをつくります、そういう解釈なんですかね。
○樋口座長 事務局、そこはちょっと説明があるんじゃないですか。
○小森構成員 そういう意味ではないと。結局は全く違うシステムとしてつくるわけですね。
○事務局 報告書の中にも、ところどころ書いている箇所がございますが、共有できるインフラは共有するということではございますが、基本的に、医療等分野においては、独自のシステムの必要性ということで検討会でも御議論いただいたと思っていまして、一応、それを書いている趣旨です。
○小森構成員 これは、そういうふうに書いているんですね。
もう一度確認のために。少し混乱するというか、どっちにいくのかなというのがちょっとあって、結局、最終的には、やはり情報を共有しないほうが安全という意味からなのかなというふうにはとっているんですけれども、そういうふうな形をとらざるを得ないと。
○樋口座長 小森さんの御理解のとおりだと思います。そういう表現に読めないんだよということであれば、ちょっと気をつけて。
○小森構成員 非常に難しい、いろいろ読んでいけば読んでいくほど複雑というか、どっちにとっていいのかわからなくなってくるので、私は理解しにくいなととっています。
ID等がこうやってどんどん出てきて、それのシステム、ネットワークのこともいろいろ書き込まれてきて増えているんですけれども、その辺で、今後、かなり検討が必要だと書かれているので安心はしていますけれども、現実に大量の個人情報を扱っている病院、何度も説明しましたけれども、おのおのが電子カルテを大量に扱っているところをどのようにつないで、どのように利用するのかというのは、非常にまだまだ疑問の残るところなので、というのが個人の意見です。
○樋口座長 済みません、そのお隣におられる小田さん、どうですか。
○小田構成員 私もいろいろとお話をお聞きいたしまして、先ほどから石川先生のほうから話があったかもしれませんが、医療等IDのあり方についてということで御議論がずっと続いているんですけれども、私自身も、マイナンバー法案と、いわゆる医療IDのあり方についての議論が、もう少し必要ではないかと感じておるところでございまして、我々の職種もそうでございますけれども、いろんな部分でもう少し議論をして、そして、わかりやすいような形にすべきではないかと私は感じております。よろしくお願いします。
○大道構成員 何度か発言をさせていただいておりますが、私は、今、医療現場であれこれと、個人情報を含めた今日的な問題点を経験しています。当初、御説明いただいたときは、ガイドラインの論議をした数年前、あのときも私は委員だったので、流れはそれなりに承知しているものですから、今回は個別法の立法に向けての検討だという意味で、やるとなると、かなり厄介で大変だなという思いでおりました。今回、回数もかなり重ねて、7回、8回に及んで、最後の段階になって「医療等ID」の導入に関する話が出てきて、この場面で出てくるというのは結局どういうことなのだろうと、個人的には正直そう思いました。
その前振りでいろいろ問題があるのはよくわかりますけれども、マイナンバー法案が提出されて、御案内のような成り行きになったことと、それから、この検討会のある種の勢いというのは若干連動しているのかなという感想を正直持ちました。医療の現場的での最大の関心事は、やはり個別法を立法したときの適用の範囲を一体どうするのかということです。現場で混乱するようならば、立法せずに従来のガイドラインのままのほうが質の担保ができるかもしれないという思いすらあるんです。
しかし、本日の会議で、現場の具体的な問題の検討は今後の課題だということなので、そうであるならば、今後の課題の中で、医療、介護、場合によっては福祉、保健を含めたこの分野の個人情報の扱いについては、もう少し現場の関係者をしっかりお集めいただいて、具体的な問題点をしっかり吸収した上で御対応いただいたほうがいいと思います。いずれにしろ、適用場面を想定した形で御議論いただかないと、とても罰則を含む立法は難しい。
もう一つ、これも今後の課題の中に入っていますけれども、PHRの問題は、EHRとともに、医療の現場への適用という意味では大変重要な流れです。PHRの利点というのは、個人が負担をしてでも、検査結果や病歴に関する情報をみずからの健康に資するような、そういう事業というのは大いにあり得る。一方で、諸外国の事例も含めて、公的立場ないしは、場合によっては行政主導でこういうことを適用しようとする動きもよく知られているわけなので、そういうところがあるとすれば、なおさら個人情報の扱いというのは、非常にしっかりとした議論が必要です。いわんや立法するとなれば、そこら辺をしっかり受けとめた形での議論をしていただかなければいけない、こんな思いで承っていたわけです。これについても、主として民業ベースでの規制的な側面を強調されたような書き込みになっています。公的な性格を持たせるようなPHRの事例もあるだけに、我が国はこれをどのように扱うのか。ここら辺の問題意識も正直ございます。
いずれにしても、最後のページで今後のしっかりとした検討に委ねるという書き込みがございますから、冒頭、石川構成員がおっしゃったように、医療等ID制度の導入と、それから、今、申し上げている現場の話ないしはPHR等を含めたものの検討をぜひ今後場を変えて、しっかりと御議論いただくこと、これをお願いしたいと思います。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。今、大道さんがおっしゃってくださったことも一部反映したんだと思いますが、この報告書でいうと、9ページのところへずっと表をつくって、こういうことができるようにするために情報基盤という話をしているんだと、ここでこういう具体的な例を積み重ねて、それは全部、自分と関係のある話だと、それぞれの国民の立場によっても違うと思いますけれども、そういう話で我々はやっているのでということは、今後とも伝えて、それについてどうお考えになるか、御意見をいただいた上で、つくれるものならつくる、つくる必要があるものと国民が考えてくだされば、それはということになるんだろうと思いますけれども、続けて宇賀さん、お願いします。
○宇賀構成員 この報告書で、現在、個人情報法保護に係る一般法が国でも3つあり、自治体では、それぞれ都道府県、市区町村が独自に個人情報条例をつくっているのに対し、医療・介護に関して統一的なルールをつくろうということが書いてありますけれども、そのときに、本人情報の開示とか訂正とか利用停止の求めの部分についてのルールをどうするかということについての検討が必要だと思います。
個人情報保護法は、これらの求めについて、いわゆる任意代理を認めているわけですね。それに対して、行政機関個人情報法とか、独立行政法人等個人情報法の場合には、本人にかわって開示請求とか訂正請求、利用停止請求ができるものは、未成年者あるいは成年被後見人の法定代理人に限っています。
個人情報保護条例は、多くの場合は行政機関個人情報法とか独立行政法人等個人情報に合わせていますけれども、自治体によって、それだけですと困ってしまう場合があるので、一定の場合に例外を認めるということで広げている例があります。
これは、個人情報保護に係る一般的な問題ですけれども、特に、医療とか介護の分野ですと、例えば、認知症の方が成年後見制度を利用されていないということがかなりあるわけです。そうすると、その方については、成年後見人という法定代理人がおらず、だれも本人にかわって開示請求とかをすることができないという状態が生じてしまって、自治体が対応に苦慮しているということが結構あります。そこで、仕方がないので、情報提供で対応するとか、いろんな工夫をされていますけれども、そこのところをどういうふうなルールで統一するのかということも、今後の検討の課題として取り上げていただければと思います。
○樋口座長 今のは、いわば患者の権利として、だれが行使できるのかという話でもありますが、逆にいろんな形で同意原則が当然情報について残る場合には、本人の同意というのが認知症の場合はとれない、もちろん、成年後見人もいない、どうするのというような話も、その裏面としては当然出てきて、それで、医療、介護、まさにそういう場面はいっぱいあるでしょうということになるんでしょうね。
岩渕さん、どうぞ。
○岩渕構成員 患者の立場から見ますと、個人情報はしっかり守ってほしい、されど、やはり医療情報を利活用したい、この2つの、当然のことながら二律背反というか、矛と盾なので、そこのところは、最後まで立法化する上では、ぎりぎりのせめぎ合いをやっていただきたいというふうに思います。
ただ、個人情報保護法が、多分、大失敗だったと私は思っているんですが、結局のところ、情報が全く利用されていないというケースが多いわけでありますので、少なくとも、今回の医療に関しては、ぜひ利活用できるようなシステムにしてほしいというふうに思います。なかなか難しいところも当然ながらあるわけですが、その意味でも、免罰規定というのは当然あってしかるべき、もちろん悪質なのは別ですが、そう思いますし、それから、さらに言えば、研究機関とか製薬企業も含めて、これをどう考えるかなどというふうになっていますけれども、できるだけ幅広く巻き込んでいくという姿勢がどうしても必要であろうと思っています。
それは、iPS細胞も含めてそうなんですが、日本におけるこれからの戦略産業としての医薬というのもありますので、そういうことからいうと、日本が、いろんな形で規制が厳しすぎて遅れをとっている分野でもありますので、そこのところ、邪魔にならないようにひとつ最大限工夫して、できるだけ利活用できるように頑張っていただきたいというふうに思います。
以上です。
○樋口座長 向こうの方で、山本さん、お願いします。
○山本構成員 まず、この報告書(案)全体は、今までの議論を非常によくまとめていると思います。そういう意味では、事務局、両座長の先生、お疲れさまでございました。医療等IDが第7回で突然出てきて、そういうふうな御意見をたくさんいただいているように思いますけれども、この検討自体が、本来は社会保障と税一体改革から始まって、その一部として番号法案が出てきて、番号法案でカバーできないところをどう検討するかという主題で始まっていますので、私は、個人的には、大道先生がおっしゃいました、これからの医療の中で、例えばPHRみたいなことを考えていくと、本人が御本人の権利を主張するための識別子がないという状態で、多分、世の中そんなにうまくいかないと考えています。
ただし、この検討会で十分議論ができていないことは間違いないので、そういう意味では、さらに検討を重ねるということに関しては、全く異存はございません。ぜひそうしたほうがいいだろうと思います。
唯一、先ほど御指摘のあった、匿名化のところは、16ページですか、後半に匿名化のリスク評価と書いてあって、前半がまるで匿名化と非匿名化の1対0の関係でしかないという若干矛盾を含んだ表現なので、確かに個人情報に当たらないという言い方は少し無理があるかなと思いましたので、ここは、事務局と樋口先生にお任せをして、修正をしていただければと考えています。
いずれにしても、これから先、9ページに書かれているようなことが実現されていく必要が、これから日本の社会保障にとって非常に重要でありますし、これを実現するための個人情報保護法制であり、これを実現するための新たな情報連携基盤であり、情報連携基盤の中で動かすための識別子の議論であったりすると思いますので、今後の議論に大いに期待をしたいと思います。
以上です。
○樋口座長 松本さん、お願いします。
○松本構成員 マイナンバー法自体が今回の国会で成立しなかったということで、マイナンバー法に関しては当初の予定よりも遅れるというか、この検討会が始まったときにも発言しているのですけれども、そもそもマイナンバー法が成立して基盤の整備が始まると、医療等分野が置き去りになるのではないかということを、ある意味では懸念していたわけです。幸か不幸か、マイナンバー法に関しては当初の予定どおりいっていない、逆に医療等分野に関しては、この報告書をまとめることによって、まだ先は長いですけれども、一歩進んだのかなというところを感じます。
ただ、この報告書を出した次のフェーズとしては、この場の議論は医療等分野の話ですけれども、昨年の大綱でのビジョンの見直し、つまり、この報告書にある、色々な課題、問題点が挙げられていますので、それを、昨年の大綱に立ち戻って、医療等分野と、そのほかの行政分野等の全体最適ということも、再度、考えられるべきなのではないかと感じています。
マイナンバー法だけではなくて、医療等分野において、ある意味では、ある程度の閉じた番号であるとか仕組みというのを考える必要があるのかもしれませんけれども、宇賀先生がおっしゃっているように、成年後見人の話であるとか、医療等分野の中だけで解決しない課題もあり、また、逆に個人情報を利活用したいのは、医療等分野だけの話ではない。そういった意味で、例えば、同意の扱いをどうするかとか、そういったことも含めて、特別法だけではなく、個人情報保護法自身が見直されるべきだと思いますし、そういったところが、この報告書を出すことによってアピールできればいいのではないかと思いました。
逆に、医療等分野の私自身の課題認識としては、やはり、医療等分野の識別子、医療等IDは必要で、この問題は、やはり片づけてやる必要がある、そうしないと、医療等IDもどきが勝手に進んでしまい、色々なところでボトムアップな仕組が勝手にできてしまって、こうしたものは、今後の資産とならない可能性が高い。山本先生のご意見はまさにそうだと思うのですけれども、そういったところがありますので、やはり、ここは解決、合意に向けて次に進まなければいけないのではないかと考えております。
以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございます。
福井さん、お願いします。
○福井構成員 医療・介護の現場を担う立場を考えながら報告書を読みましたが、この報告書を前提に医療・介護の情報利活用について今後、どのように展開されていくのかというのは、なかなかイメージしがたいのではと思っております。
また、この報告書の10ページ「情報の取得・活用における目的の明示と本人の同意のあり方」という章については、大道先生がおっしゃっておられたように、現場の状況をまず御理解いただいた上で、きめ細かく議論していただきたいと強く要望いたします。
以上です。
○樋口座長 ちょっと済みません、飛ばして、佐藤さん、お願いできますか。
○佐藤構成員 私の方は、今回、意見書を提出しているのですが、こちらは、過去の発言の議事録に対する補足説明なので、この場での説明は省かせていただきます。それとは別のことで申しわけないんですが、先ほどの発言を訂正させていただきたいと思っています。
先ほど御指摘いただいた16ページの個人情報に当たらない問題なんですけれども、一応、私の表現とは違うものを事務局で御準備いただいて、即座に、私の意見としても否定をしたんですが、申しわけないんですが、私としては、やはりこれを残したいと思っております。
「個人情報にあたらないとするために」という箇所ですが、この文章は、最後は「意見があった」なので、これは、私がこういう意見をしたということは、ここにとめていただいて、必要であれば、この後に続けて、「しかし、大多数の方が否定した」と書いていただいてもいいんですが、一応、これを意見したということをとめていただければと思います。ただし、(4)の直前にあるのは、語尾が「明確にするべきである」となっていますから、ここはもちろん修正していただいて、これは、検討を明確にするべきであるというだけで、どう明確にするのかは、決まらなかったということでいいかと思います。
そのために、1点補足しておきますと、私がなぜそういうふうに思ったかといいますと、例えば、ちょっと例でいいますと、カルテがあって、カルテに個人名が書いてあると、その属性情報としてカルテ全体が個人情報になるわけですね。
これに対して、そのカルテを使って、その後、臨床研究のためにカルテの内容を使おうとしたときに、名前等、個人識別可能な分を全部切り捨てて、さらにこれはこっそり横にとっておくのではなくて、全く廃棄するという状態になって、カルテの中から傷病のところだけが残ったという状態が、基本的には個人情報にはもはや該当しないということをここでは言いたかったということです。それが、日本語の表現として不正確だったかもしれないですが、私が期待したのはそこです。
ただ、それが、やはり個人情報の該当性として論ずるべきではないという御意見があるのであれば、それは御意見としてあってもいいと思うので、私はその意見をしたというところにしたいと思います。
一応、私も伺い聞いている範囲では、例えばドイツが個人情報保護法を施行した直後に、まさに医療のカルテのところが、ひとたび個人情報になったものは、まさに該当性は外さないということで、臨床研究に支障が出た。ですから、研究自体は妨げられないのだけれども、学会に対して報告ができなくなったと。なぜならば本人同意が必要になるので、本人同意をしようとしても、個人情報をもう切り捨ててしまったので、逆に本人が誰かを確認できなくなっていたということで支障が出たというのが、法施行の直後にあったと伺っております。ただ、ドイツでは現在はある程度改善されていると思いますが、また一方で、現在、案の段階ですが、米国の連邦プライバシー法の中では、例えば住所に関して、人口何人以上の地域名を書いているものに関しては、これは識別可能性はないというふうに条文に書けないかということが審議されています。
これは、あくまで審議ですので、やはり否定されるかもしれませんが、この議論はしたほうがいいと思っていまして、この部分は識別可能性の表現ですので、本来、該当性のことではないですが、実際には、例えば人口2万人以上の市町村名だけであれば、これは識別可能性がないとなると、個人情報の識別可能条件から外れますから、結果的には個人情報ではないという形になるという二段論法にはなっているので、基本的には、これらの動きもあるので、現時点で、日本は、ひとたび個人情報になってしまったものは、それはもう情報としては未来永劫個人情報の対象として扱っていくということではないんじゃないかというところを申し述べたかったというところを付け加えさせていただいて、今、私が思った思いがこの日本語に合っているのかわからないんですが、そういう意味で、個人情報に当たらないとするために検討するという意見があったというところを残させていただきたいと思いました。
○樋口座長 わかりました。その前にいろいろほかの方の御意見もあったので、このままの形で残すかどうかはお任せいただいて、佐藤さんの趣旨は私のほうも了解したと考えてください。
○佐藤構成員 はい。
○樋口座長 もう一人だけ、ちょっとあれして、その後ということにしましょう。金子さん、いいですか。
○金子座長 はい。
○樋口座長 そこまでいって、もう少し時間が残っているから、もう少しフリーにというつもりですが、金子先生からも一言いかがですか。
○金子座長 この報告書、多分100%満足している人はいないと思うのですが、しかし、先ほど唐澤統括官からもあったように、論点を洗い出し、考え方を提示し、その上で、いくつの項目については、意見があった、ないしは今後検討するという形で課題を残したということだと思うのですけれども、課題が明らかになると、次の人は楽だろうと思いますので、そういう意味では、私は完全には満足しておりませんが、一定の成果があったと思っております。
それで、2点だけごく簡単に。
第3章の医療等IDのところが突然出てきたというご意見がありました。ちょっとだけ私の方でエクスキューズを申し上げますと、実は、この検討会は2つのこれまであった検討会の合体ということで、この中の半分くらいの方ないしは、重複があるので半分以上の方は、私もそのメンバーであった、ちょっと名前が複雑でよく覚えていないのですけれども、社会保障分野サブワーキンググループというタイトルではなかったかと思いますが、とにかく、そこでは数か月にわたってかなり詳細に議論をして、山本先生なんかもいらっしゃいましたけれども、情報連携基盤とか医療情報中継データベースというようなことは、随分と議論をしました。それは、技術的な面だけではなくて、比較的多くの時間を社会面、医療の面についても議論したと覚えています。
ただ、医療等IDという名前自体については、そのサブワーキングで云々したということではないので、ちょっと新しく加わったものですね。そういう意味では、この合体検討会の母体となっている、少なくとも半数程度のメンバーが議論したサブワーキンググループでは、システム面をかなりしっかり議論をし、それをしたものが比較的そのまま数回前の最初の案になり、その後、本検討会の議論を経て内容は変わっているのですけれども、今に至っているということです。「突然」という面は、多分、そのサブワーキングにおられなかった方にとっては、たしかにそうだということだと思います。それが1つです。
もう一点は、具体的に考えることの必要性です。これは、私が多少関与している、ある地域、自治体の例です。その自治体の市役所、大きな県立病院、県立病院以外の幾つかの大手の病院、医師会、歯科医師会、薬剤師会、薬局、訪問看護ステーション、それから、介護事業者の主なところが、すべてメンバーとなった協議会をつくって、日常扱っている患者さんの医療情報の基本的な部分だけですけれども、共有するネットワークを作るというプランが、まもなく実現することになっています。予算もついて、まさに、これから進めようという話です。
私は、その協議会の顧問としてかかわっているだけで、当事者ではないので、詳細については、ここで申し上げません。しかし、このような自治体の多様な医療関連機関間の情報共有のニーズは非常に高い。この協議会には医師会の方々も市も県立病院も参加している。この病院は二次医療圏の唯一の二次救急病院ですけれども、最終的には重度の患者は全部そこに後で来る。例えば飛び込み産が来ると、ほとんど何も情報がなくて、その場で帝王切開をしなければいけないというようなことが起こる。そういうケースも、日常的に情報を共有していれば患者を送り出す開業医も受入れる県立病院も安心だ。そういうリアルニーズがあって、自治体中の「医療等」の方々が集まって協議会を設立し、これは非常にローカルな話で、ここでは番号制とか、そういう話はないのですが、医療等の情報を共有することについては、高いニーズがあるということ、このことは、本検討会で石川構成員も何度も話していておられるものですが、地域の連携というところから考えると、大変切実なニーズがある。これを全国に広げるときに、この検討会で検討したようなシステム面に留意したな仕組みがないと、どうにもならない。つまり、私が指摘したかったことの1点目は、最終報告書の医療連携システムの部分は、かならずしも「唐突」なものではないということ。もう一つは、医療等情報連携のニーズは、実際の社会で日常的に確かにある、それをどうしたら一番いいか、情報共有しながら情報保護をどうしたらいいか。それについて、われわれ検討会の報告書で「まだたくさんの課題がある」としながら、一定の整理ができた第一歩かなと思っております。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
もし忘れていたらいけないのですが、ひとあたり御意見をいただいたとは思うんですけれども、まだもう少し時間もありますので、どうぞ御自由に補足をしていただければと思います。
○金子座長 無理に話さないでよろしいですよ。(笑)
○樋口座長 そうですね。
冨山さん、どうぞ。
○冨山構成員 28ページの「今後の検討に向けて」の文章の書き方ですけれども、8行目から「残された論点は多く、特に医療等ID(仮称)と医療等中継DB(仮称)については、関係者と調整しつつ、詳細な仕組みや利用場面を、具体的なわかりやすい形で、できるだけ速やかに提示する必要がある」という書き方をしているのですけれども、医療等IDありきの書き方をしているんですね。
確かに、金子先生がおっしゃったように、私も一緒にマイナンバーをいかに医療等で活用するユースケースについては検討してきました。しかし、マイナンバーとは別に、新たなもう一つIDをつくるという話は出ていなかったわけですね。これは、今回で出てきた新しい話ですので、やはりここの部分につきましては、IDありきではなくて、具体的に国民にとってこんなメリットがあるとか、医療現場はこんなふうによくなると、具体的にメリットを費用対効果を含めて出すことによって、もう一つこういうIDが必要であるというような形の流れが普通なのではないかと私は思います。ですから、ここの文章を変えろというわけではないですけれども、できるだけ速やかに提示して、今後、IDの必要性について検討する場を設けるとか、検討会を開くとか、そのような形に、できればしていただければありがたいと思っております。
○樋口座長 わかりました。
寺野さん、どうぞ。
○寺野構成員 あえて言わなくてもいいようなことを言ってもいいんですかね。時間があるからという話なので、今の28ページにも関係しているんですけれども、皆さん、これは非常に今後の検討というものがあったり、こういう課題があるということが出ていたので、今後の委員会か何か知りませんけれども、検討に期待する、とりあえず、きょう、ここの委員会はその第一歩であるというふうなお話ですけれども、2ページのロードマップを見ると、座長は、随分時間があるとおっしゃったけれども、これを見ると、余りないのではないかなという感じです。ただ、マイナンバー法が通らないのでは、また、13年にはきちんと出ないのかもしれないですけれども、そういう意味で時間があるのかもしれないですけれども、これは、この委員会の後に、実際、法案化するまでの過程として、幾つかの委員会というか、検討会というか、そういうものが予定されているのですか。そのロードマップはないので、その辺があったら、わかる範囲で教えてもらえば、これは安心できるんではないか。
○樋口座長 お願いします。
○唐澤政策統括官 行政だけで全部を決定するということはできませんので、これは御専門の先生の御意見やお知恵をおかりする、今、どういう形でとは申し上げられませんけれども、それは必ず実施をさせていただく、そういうことでございます。
○寺野構成員 一つひとつ検討会は恐らく開かれるであろうということですね、ここで問題点をピックアップしたわけだから。
○樋口座長 そうですね。私は、本当はわからないけれども、私が決めることでもないので、ただ、そういう継続的な何らかの会議は開かれ、先ほどいろんな方からも言われましたが、そこで簡単に何か方向性が決まるという話にはなかなかならないだろう。それで、パブリックコメントであれ、いろんな手法があると思いますけれども、やはり、何らかの形で国民的な議論というものを経た上で、もちろん、最後は法案ですから、それは国会に提出するという話になりますから、ただ、そこへ行くまでの間にも丁寧な道筋が必要だということは、事務局を含めて、皆さん、了解しておられるのではないでしょうか。これは、なかなか大変な事業ではあると理解しておりますけれども、ほかに、どうぞ、御遠慮なく。
どうぞ、高橋さん。
○高橋構成員 先ほど宇賀先生が指摘されたことと、ちょっと絡むのですが、やはり情報後見という議論は真面目に考えた方がいいだろうと思ったんです。というのは、成年後見制度はそれを予定していません、医療同意でさえ、あれは後見人の責務ではないというのが通説ですから、ある種の本人合意主義と、今までは家族がそれを代替するという非常に幸せな議論をずっとしてきたわけだけれども、家族同意が利害相反、家族はそもそもいなくなって、本人同意がとれるかというととれない。先ほどの技術的な問題ではなくて、現実の問題。それは、多分、医療現場で物すごく困っておられること。これは、多分、それほどエネルギーを割く必要がない、プライオリティーが低いので、恐らく、これはやめたという話になるのだろうと思うんです。要するに、そんな面倒くさいことはしたくないから。そうすると、情報を保護したって個人の利益滅びるみたいな、これは多分、被災地でそういう話が物すごく起こった。非常時の情報保護とは何かと書いてあるにもかかわらず、平時の論理が通用するというすごいことが起こって、そういうことを含めて、ちょっとこれはどこかで検討は、ここに書く必要はないと思うんですが、問題意識としてぜひ議論しておいていただきたい課題だと思います。
○樋口座長 そうですね。それは、さっき福井さんもおっしゃった、現場の中で、はっきりこういうときはどうすればいいのという話が、やはり何らかの形で法案の中で、あるいは、もう少し法律より下のレベルになるのかもしれませんが、やはり、ちゃんとしたルールで、こういう人がかわりにやれるんだと言ってあげたほうが本当にいいですね。
ほかに、いかがでしょうか。
稲垣さん、お願いします。
○稲垣構成員 先ほど、国民の理解をいかに得るかというお話があったわけですが、そうしたときに、先ほど9ページで期待される効果の例ということで示されていますが、ある意味では、これらを断片的に出すということではなく、今、日本は相当高齢化が進み、医療費も年間1兆円増えるということで、いずれ負担に耐えられなくなるというか、保険者としても相当厳しい状況が想定されます。そういう中で、国として医療をどうしていくかというような観点で、医療政策なり健康政策、そして国民に対しても何を求めるか、例えば、19ページでいえば、<2>で、やはり自らもいろいろ管理いただくというようなことを求める、こういうことも必要なわけです。従ってやはり全体感というか、全体のグランドデザインといいますか、特にIT化という観点であれば、その番号ということだけではなくて、医療・保健分野のIT化をどう進めていくかという、少し広げた形で、その中の1つということで位置づけていただくことも必要ではないかと考えます。
以上です。
○樋口座長 それでは、一応、きょう皆様からも御意見をいただいて、全体の空気としては、空気としてはなんていういいかげんな言い方をしてはいけないですね、感触として、同じことなのかもしれませんが、この報告書(案)について、おおむねの御了解がいただけたかと思っています。
それで、今日いただいた点も含めて、少し字句の修正はしなくてはいけない部分があると思いますが、それは、私がたまたま座長を務めていますので、事務局と相談の上で、それをできるだけ反映するようにするという形で、報告書として確定するということで一任をお願いできますか、よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○樋口座長 それで、駒村さんがおっしゃってくださったように、やはり、28ページをみんな読めよといったって、なかなか大変なことなので、こういう課題、それこそ、それは多分「等」になると思うのですけれども、論点をまた全部やると、何十ページ、28ページを、多分要旨というのは、せいぜい3、4ページくらいのものだと思うので、こういう大きな点も、小さな点も含めて、1つ、2つ、何らかの事例を含めて、こういう点についてはまだまだ論点は残っておりますというような要旨をまとめて、それもできるだけ早く発表する。その要旨の中身についても御一任できればありがたいと思いますけれども、よろしいですか。
それで、今後のこの報告書の取り扱いについて、今、私が言ったものと重複する部分もあると思いますが、事務局のほうから少し補足をしていただければと思います。
○事務局 ありがとうございました。座長からございましたとおり、報告書につきましては、字句の修正を含めて、座長と事務局でいただいた御意見を反映させる形で修正、確定をさせていただきたいと思います。
その後、ホームページに要旨とともに公表するとともに、1か月ほど御意見を募集するというようなことで、今後の検討の参考とさせていただきたいと考えております。
また、この検討会にて課題として挙げられた論点につきましては、引き続き検討を進めていくということになりますので、今後とも御指導をよろしくお願いいたします。これまで、第1回から精力的に御議論いただきまして、ありがとうございました。
○樋口座長 もう少しで終えようかと思っているんですが、もうちょっとだけお待ちください。座長が余りしゃべるのはよくないと注意を受けたことがあるのですが、私も一言だけ。最後までしつこいやつだと思われそうですが、さっき申し上げましたけれども、先週、私、1つシンポジウムに出ました。それで、メインのゲストスピーカーはフランスの、私の理解では厚生省の代表者というか、ずっと何十年もそれをやってきた人がやってきて、フランスの医療情報だけではないですけれども、メインは、そういう関係のことをやってこられた人にフランスの話を聞いたという会だったんですね。それを全部紹介するわけにはいかないんですけれども、まず、のっけから、フランスでは国民が6,000万ということで、6,000万人のデータベースをつくっている。
例えば、それをどういう形で利用しているかというと、薬の承認がありますね。しかし、治験の段階では、どうしても数少ない人について、もちろん慎重にやっているんだけれども、ある試験をやって、それで、ある程度の効果があるといって、承認をしてということですけれども、日本でも、市販後の追跡調査というのをやっているわけです。
それを、結局、6,000万人全部同じ病気になっているわけではないけれども、実際に薬剤を使われて、思ったとおりの効果が上がっているのか、意外に効果は上がっていないのか、効果が上がっていないと、いきなり承認取り消しみたいな話にはすぐにはならなくて、しかし、薬価は下げる。
それから、そうではなくて、意外にこういうところにも効果があるじゃないかということがデータとして出てくると、新たにそれも追加して薬価を上げてあげる。つまり、まさに国民皆保険システムの中のフランス的行政国家の中で、そういう体制をとってずっとやっているんですと。もちろん、それでいろんな問題点はあります。個人情報の保護から始まって、そういう話を伺うことができて、それはそれでよかったという感じがしたんです。とりわけ、フランスというのは、いわゆるEU指令のもとで、個人情報保護について厳しくやれよと言われているところなんですね。本家本元ですから、ドイツであれ、フランスであれ、データ保護のところで、そういうようなことはちゃんとやっているという話を聞けたのは、すごくよかったなと思っておって、それは、フランスだけの問題ではない。我々の問題でもあって、これ以下は、岩渕さんや金子さんや大道先生が言ってくださったことと全く同じことを別の言葉で言っているだけなんですが、いや、同じ言葉なのかもしれないんですが、やはりPHRとかEHRとかいう、その情報化というのが、医療の場面でも、いろんなところで、日本のこれからを、この社会を活性化する、やはり道具になるんではないか、あるいはならぬといかぬのではないかという思いが1つ。
それから、日本では特に、それは現場をよく知っておられる方の方がよくわかると思いますが、私もだんだん年を取ってきたので、私の周りもみんなそうですが、いわゆる高齢社会の中で、一人ひとりをどうやって守っていくかという話、ここではシームレスな地域連携というような話になっているんですけれども、そういうものをこの高齢社会の中でどうやっていくかというときにも、この情報化というものが、やはり1つの大きな手段にはなり得るんではないかとは思っていて、そのためのシステムをどうやってつくるかということは、やはりこの社会の課題なんだろうと思っています。そのための、ささやかな一歩だったのかもしれませんが、皆様の御協力を得て、報告書ができたということは、本当にありがたいことだと思っております。
ということです。また、つまらないことをしゃべりまして、済みません。
最後に、唐澤政策統括官からも一言いただきたいと思います。
○唐澤政策統括官 ほとんどお話しするのが最後で申しわけございません。
この検討会の先生方には、4月12日の第1回の会議以降、お忙しい中、9回にわたって御参集いただきまして、大変ありがとうございました。おかげさまをもちまして、医療等分野における情報の利活用と保護に係る法制面、技術面の幅広い論点について、基本的な論点整理ができたものと考えております。
本報告書でも指摘されておりますように、引き続き検討を行うことが必要な論点も多くございますので、まずは、この問題にかかわる多くの関係者の皆様、それから、さらに幅広く国民の皆様に対しまして、この内容をわかりやすくお示しをして、幅広い御意見をいただきたいと考えております。
私は、いつも申し上げているんですけれども、日本の医療システムの特徴として、フリーアクセスと、それから民間医療機関が非常に多い、病院が多いという特徴があるということを申し上げております。
フリーアクセスというのは、医療情報、介護もそうですけれども、情報が散在しているということになりますので、これを患者さんのために有効に活用していくということが必要だろうと考えております。フリーアクセス自体は、日本の制度の中に深く定着しておりますので、それに対応した我が国の仕組みをどうつくるかということが課題だろうと思います。
他方では、日本の病院というのは、8割が広い意味での民間病院、広い意味でというのは、いつも申し上げておりますけれども、政府からの補填がないという意味でございまして、そういう多数の病院間をつないで、また、それを患者や国民の皆さんのためにどう役立てていくかということが問われておりますので、そういう日本の2つの重要な特徴を踏まえた上で、国民の皆さんに個人情報保護を十分に講じた上で、どういうシステムをつくるかということが重要な課題だと思っております。非常に難しい課題でございますけれども、難しければ難しいほど、やりがいがあると考えております。
今後、法案の策定に向けまして、その取りまとめをもとにさせていただきまして、さらに関係者の皆様の御意見をお伺いしながら進めてまいりたいと思います。
本日、このような形での報告書の取りまとめをいただいたことにつきまして、樋口座長、金子座長を初めといたしまして、構成員の先生方に重ねて感謝を申し上げます。引き続きの御指導と御協力をお願いさせていただきまして、御礼の言葉とさせていただきます。
ありがとうございました。
○樋口座長 どうぞ。
○石川構成員 唐澤統括官には、ぜひお願いしたいことがございます。
冒頭、連携だとかフリーアクセスの話はもっともだと思います。私たちも賛成するところでございます。
ただ、今回、途中から出てきた医療等IDがなければいけないとは、私は思っておりませんので、今、いろいろなソフト的なことで、名寄せだとか、そういったものは十分できるという技術を皆さん持っていますので、そこのところで、ただ、この会の最初のころに事務局の方にも言いましたけれども、個人情報の個別法の問題、それは、やはり早くする必要があるんですね。大変医療の現場では、いろんなIT化で差し迫っている部分もあります。
それから、私が一番怖いのは、遺伝子がどんどん研究されていまして、かなり広範囲に解明できてきているということです。
日本では、恐らく、この遺伝子情報の問題について新しく強力なガイドラインなり、別法をつくらないとだめだと考えます。前の16年のガイドラインだとか、そういうのでは全然だめで、新しい個人情報の個別法の隣で遺伝子情報の取り扱いの問題もやらないと、大変危ないことになっておりますので、ぜひ、そういうことも統括官のお力でやっていただけるようにしていただきたいと思います。
○樋口座長 最後に新たな課題というか、医療情報の中にはあるんですけれども、それでは、皆さんの御協力を得て、これで、一応、この合同開催の検討会を閉じたいと思います。
どうもありがとうございました。
 
(了)

照会先

政策統括官付情報政策担当参事官室

先崎(内線7702)
鈴木(内線2244)