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2012年4月13日 第6回 次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 議事録
健康局がん対策・健康増進課
○日時
平成24年4月13日(金)14:00~17:00
○場所
財団法人都道府県会館 101大会議室
○出席者
出席委員(50音順・敬称略)
池田 俊也 (国際医療福祉大学大学院教授) |
岡村 智教 (慶應義塾大学医学部教授) |
尾崎 哲則 (日本大学歯学部教授) |
工藤 翔二 (公益財団法人結核予防会複十字病院長) |
鈴木 隆雄 (独立行政法人国立長寿医療研究センター研究所長) |
津金 昌一郎 (独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部長) |
辻 一郎 (東北大学大学院医学系研究科教授) |
津下 一代 (あいち健康の森健康科学総合センター長) |
戸山 芳昭 (慶應義塾大学医学部教授) |
中村 正和 (財団法人大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター健康生活推進部長) |
西 信雄 (独立行政法人国立健康・栄養研究所国際産学連携センター長) |
野田 光彦 (独立行政法人国立国際医療研究センター糖尿病・代謝症候群診療部長) |
羽鳥 裕 (社団法人神奈川県医師会理事) |
樋口 進 (独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター院長) |
堀江 正知 (産業医科大学産業生態科学研究所長) |
三浦 宏子 (国立保健医療科学院統括研究官) |
宮地 元彦 (独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進研究部長) |
村山 伸子 (新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科教授) |
山縣 然太朗 (国立大学法人山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座教授) |
湯澤 直美 (立教大学コミュニティ福祉学部教授) |
横山 徹爾 (国立保健医療科学院生涯健康研究部長) |
吉水 由美子 (伊藤忠ファッションシステム(株)ブランディング第1グループクリエーションビジネスユニットマネージャー) |
事務局
外山 健康局長 |
木村 がん対策・健康増進課長 |
河野 栄養・食育指導官 |
鷲見 がん対策推進官 |
菊地 課長補佐 |
岡田 課長補佐 |
佐藤 課長補佐 |
○議題
(1)次期国民健康づくり運動プランの素案について
(2)次期国民健康づくり運動プラン報告書たたき台について
○配布資料
資料1 | 「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」(素案) |
資料2 | 次期国民健康づくり運動プランの推進に係る論点(案) |
資料3 | 次期国民健康づくり運動プラン報告書たたき台 |
○議事
第6回次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会
日時 平成24年4月13日(金)
14:00~
場所 都道府県会館101大会議室
○木村がん対策・健康増進課長 定刻になりましたので、ただいまから第6回次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会を開催させていただきます。委員の皆さま方には、非常にご多忙の中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
まず、本日の出欠状況についてです。新開委員、熊坂委員、十一委員におかれましてはご欠席とのご報告をいただいています。また、山縣委員は1時間程度の遅れと聞いています。そして、津金委員、湯澤委員も、いま来られていませんけれども、今後ご出席される予定と聞いています。
次に、昨年度まで本委員会の事務局は健康局総務課生活習慣病対策室で行っておりましたけれど、この4月1日に、がん対策・健康増進課が新たに創設されました。これに伴い人事異動がありました。事務局の構成員が代わっておりますのでご紹介させていただきます。河野がん対策・健康増進課の栄養・食育指導官、鷲見がん対策推進官、菊地課長補佐、岡田課長補佐、佐藤課長補佐です。最後に私、がん対策・健康増進課長の木村です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
次に、配付資料の確認をいたします。まず、お手元に座席表、それから議事次第。その他に資料1としまして、「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(素案)」、資料2として、「次期国民運動づくり運動プランの推進に係る論点(案)」、資料3としまして、「次期国民健康づくり運動プラン報告書たたき台」をそれぞれお手元に配付しておりますのでご確認ください。
なお、資料2は、今回初めて提出する資料ですが、今後、次期国民健康づくり運動プランを推進していくにあたりまして、これまでの議論などを踏まえ、特に本日論点とさせていただきたい項目につきまして、ご意見を賜りたいものを準備させていただいた次第です。
また、資料3は、専門委員会の先生方にご執筆いただいた資料を基に、事務局におきまして全体のバランスを考慮し、また、目標の根拠となります部分を中心に抽出して編集させていただいたものでして、報告書のたたき台として出させていただいているものです。
それから、いつものように先生方のお手元、机上に赤色のファイルを置かせていただいています。これらには、前回の委員会の際にも置かせていただいた、「健康日本21」の最終評価の概要と報告書、それから基本的な方針についての平成15年の告示、そして健康局長通知に加えまして、これまでの専門委員会における委員の方々からの提出資料がファイルとして綴じてあります。
どうかご確認いただきまして、万一不足等ありましたら、事務局に申し出いただければと思います。ございませんでしょうか。
それでは以後、審議に移りたいと思いますので、今後の議事の進行は、辻座長、よろしくお願いします。
○辻委員長 それでは、次期国民健康づくり運動プランの審議に入ります。今回、事務局から提出された3つの資料は、それぞれ密接に関連しておりますので、まずは事務局から一括して資料の説明をお願いします。
○木村がん対策・健康増進課長 まず資料1は、前回まで委員の方々にご議論を承りました基本的な方針「健康日本21(第二次)」の素案です。この中身につきましては、事務局のほうでてにをはのようなところも修正した部分と、前回、委員の方々からご意見を賜って、それを考慮して修正したものとがあります。本日は、全体の中で委員の方々からのご指摘事項を中心にご説明させていただきたいと思います。
まず全体としては、本文のところですが、特にNCDの内容についていまひとつわからないということで、この注書きで、生活習慣病との違いを特に出したらどうかとのご指摘もありました。そこで1頁目にありますように、第一の二の中で(注)として、このような形で生活習慣病との違いを記載させていただきました。
あと、ご意見は大半が、16頁以降の別表に集中していますので、そちらに話を移らさせていただきたいと思います。この別表の中の全般的な事項として、個別目標で今後把握というようなものが前回記載されておりましたが、できる限りその部分については、近い値を入れる方針でさせていただいています。
あと、個別ですが、有効数字について、現状と目標との有効字を合わせるべきではないかとのご意見もありましたが、あくまで目標は、その周期の年度のところでの目標という意味であるということ、そしてまた、国民には一般的でわかりやすい数字ということで、現在のように大ぐくりな数値にさせていただいています。
あと、個別ですが、12頁のがんの関連ですが、本文に「がん対策推進基本計画との連携を図る観点から」との文言とか、あるいは、がん予防の知識の普及といったものを記載したらどうかとのご意見でした。これにつきましては、この中でというよりも、あとからご説明申し上げます「報告書たたき台」、この「報告書たたき台」の位置付けとしましては、今後、この指針が大臣告示で出たあとの解説書的な位置付けになろうかと思いますが、そういうものの中で、詳しくこのような文言を入れていたということで、32頁辺りにその文言を入れさせていただいた形にしています。
次に循環器関係ですが、これにつきましては本文に、喫煙、糖尿病を活用して推計していることがわかるような記載ですとか、あるいは総コレステロールだけではなくLDLコレステロールも併記ということです。この推計の根拠については、「報告書たたき台」が性格に馴染みますので、こちらの36頁辺りに入れてあります。また、総コレステロールだけではなくLDLもということにつきましては、この指針の13頁の3の両括弧に、このような形で記載しました。
その次に、糖尿病関係ですが、これにつきましては、合併症の減少は、「減少傾向へ」だけではなく、具体的な数字にできないかというようなこと。それから有病者の減少について、「増加率7%減少」といった書き方にすべきといったこと。それからHbA1cについてJDSとNGSPと併記すべきといったようなご意見がありました。まず、「合併症の減少傾向へ」といったことにつきましては、13頁に数値を入れて対応しています。それから有病者の減少については、細かな話ですので、むしろこのたたき台の48・49頁に、またあとで中身をご説明申し上げますが、記載させていただいています。HbA1cについて2つの併記ということにつきましては、14頁の3のような形で併記させていただきました。
次に次世代についてですが、これについては疾病と生活習慣病の相関について報告書で示すということでしたので、相関につきましてはたたき台の64頁に、その内容について書いています。
高齢者関係ですが、ロコモティブシンドロームの認知度について、目標を80%にすることにつきましては、指針の16頁に80%の表記を入れています。もう1つ、低栄養の高齢者について、介護予防の基準と異なっていることから老健局と調整の上、基準の変更、または削除を検討するとして、これは老健局とも調整した結果、この4にありますように血清アルブミンのところをとって、BMIだけで表記する形で対応させていただきました。
次に栄養ですが、「果物摂取量100g未満の者の割合の減少」は、「果物摂取量100g以上の割合の増加」に修正ということでしたが、この意図するところは、糖分を摂り過ぎてもいけないということもあり、適切な中での対応ということですので、敢えて「100g未満の者の割合の減少」という表現をとらせていただきました。
次に、食事を1人で食べる子どもの割合ですが、これは「次世代の健康」の欄に入れるべきというご指摘でした。これはそのようにさせていただきたいと思いますが、これを「共食の増加」という表現で、従来の「食事を1人で食べる子どもの割合の減少」を括弧書きで入れる方向で対応したいと思います。
それから適正体重に関する目標ですが、年齢を細かくわけていることから、根拠等がわかるように記載するということで、まさしくこれは「報告書たたき台」に馴染むかと思いますので、これにつきましては、たたき台の92頁にその点を記載しています。
運動ですが、歩数について、それから運動習慣者の割合について、そしてまた住民が運動しやすいまちづくり・環境整備についての3点について、ご指摘がありました。これにつきましては18頁の「身体活動」のところですが、高齢者が目標を達成するのが困難なので目指すべき方向がわかるように記載してほしいとのことです。これにつきましては、「報告書たたき台」で、やはり65歳以上とそれ未満で一定の活動量、職場で働いている働いていないといったことが大きく関係してくるという研究報告を基に、わける必要があるからということで、明らかにわける理由を、「報告書たたき台」に記載させていただきました。
以上、そのような形で、所要の見直しをさせていただきました。そういったわけで、大半の中身はこういった形になっています。
次に資料2です。これは私ども事務局側で、特に指針の全体の流れを見ながら、これは全般的な話でして、たたき台にも関係することですが、以下の5点について、もう少し委員の方々にご議論していただき、ご意見を賜ったものを、できる限り「報告書たたき台」に盛り込んでいきたいと考えておりまして、ご提出するものです。
1点目が健康格差の縮小が謳われておりますが、その具体的な取組方策といったら、どういうものが具体的にあるのかということ。
それから「ライフステージに応じた健康づくり対策の今後の具体的な方策について」ということで、次世代、特に子どもにおける教育との連携方策はどのようにあるべきか、あるいは20~40代の、いわゆる壮年期の世代に対する取組の推進方策、また、企業などに勤められている方々もおられますので、そういうところとの取組の推進方策はどのようなものがあるのか、あるいは、どうあるべきといったようなこと、それから高齢者における認知症対策も急務になってきていますが、この辺りの具体的な対策はどのようなものがあるのか、あるべきかといったことです。
3点目として、疾病予防における行政と医療機関との具体的な連携方策はどうしていったらいいのかということ。
4点目としまして、国・自治体における計画の評価、いわゆるPDCAサイクルに関する具体的な方策はどうあるべきか。
最後に、今後の健康づくり運動の推進に関して必要な研究の推進とその知見の活用方策について、具体的にご議論いただければと思います。
資料1と2については以上です。
○河野栄養・食育指導官 続きまして資料3、「報告書たたき台」について説明します。先生方におかれましては、内容の作成あるいは確認に当たっていただき、ありがとうございました。ただ、事務局のほうで全体をとりまとめるにあたって、文章や図表について一部割愛している所がありまして、その関係で、文献番号等が一致していない所があることをお詫びさせていただきます。
本日は全体の構成と主な内容についてご説明いたします。まず、1枚めくっていただいて、目次があります。目次につきましては、第1章「現状」で、これまで資料として提案してきたものを踏まえた記述となっております。第2章につきましては、「次期国民健康づくり運動に向けた課題」ということで、「健康日本21」の最終評価の記述をしております。第3章としては「健康日本21(第2次)の基本的な方向」で、10年後を見据えた目指す姿について、これまで専門委員会で議論いただいたところのご意見をまとめたものです。第4章につきましては、いまご説明のあった「目標の設定」について、各分野の根拠になる部分の整備をしているものです。第5章につきましては、「次期国民健康づくり運動の推進に向けて」ということで、自治体における取組や周知・広報戦略といった重要なものについて記述をしている内容の構成となっております。
4頁の第1章「現状」では、「これまでの健康増進対策の沿革」ということで、5頁の所に参考の表を出しているとおり、第1次から第3次の国民健康づくり対策の概要を示しております。
続きまして、5頁以降については、「我が国の健康水準」ということで、特に6頁、平均寿命の推移、死因で見た死亡率の推移とか、世界各国における成人の肥満の増加に関する図表について盛り込んでいます。
また、7頁については、議論の中で、2050年に向けた人口構造の変化を十分に見据えるべきといったご意見がありましたので、そういった図表であるとか、また、そのグラフの下になりますが、超高齢社会は日本だけではなく、世界各国でかつてない速さで進んでいるということで、8頁については、図5、図6ということで、主要国における65歳以上の人口の対総人口比の推移とか、国際的な高齢化の動向の図を組み込ませております。
第2章につきまして、9~12頁は「健康日本21」の最終評価でご議論いただいた内容となっております。
続きまして、第3章「健康日本21(第2次)の基本的な方向」につきましては、専門委員会の第1回目で、10年後を見据えた「目指す姿」についてご議論いただいて、今回のプランの枠組みを作った経過がありますので、13、14頁、特に14頁の所においては、先生方のほうから出たご意見をまとめています。四角の上から2つ目の「背景」の所が、健康づくりの変化だけではなくて、社会経済的な状況の変化を見据えるべきということで、主なものを図表等で解説をして見ていただいた後に、下のほうのオレンジ色の部分になりますが、「10年後に目指す姿」ということで、「すべての国民が共に支え合い、健康で幸せに暮らせる社会」ということで、いくつかの大きな要素を示すご意見について整理しております。
それを踏まえて、15頁につきましては、「基本的な方向について」ということで、概念図を示していますが、1の、健康寿命の延伸・健康格差の縮小に向けて、2に示している、生活習慣病の発症予防・重症化予防、3に示している、社会生活機能の問題、あるいは4に示している、健康のための資源の確保の関係、さらに、5に示している、生活習慣の改善、社会環境の改善、といった大きな枠組みで議論してきた結果、16、17頁にお示しします、今回の5つの基本的な方向性が整理されてきたということで、(1)から(5)に整理しております。また、NCDについては、生活習慣病との関連も含め、十分な記述をすべきではないかということで、16~17頁にかけてはその辺りについての記述も行っております。
続きまして、19頁に移ります。第4章「目標の設定」で、目標の設定、並びに、20頁においては、「目標の評価」ということで、これまで議論いただいた具体的内容について記述を行っております。
22頁以降が具体的な目標の設定の記述になります。まず22頁ですが、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」で、具体的には、23頁に健康寿命の延伸、さらに24頁に健康格差の縮小ということで、目標値等の整理を行っております。健康格差の縮小については、いま現在、現状値が平成19年となっていますが、26頁の所に※で、平成22年の国民生活基礎調査における都道府県ごとの健康寿命の表が告示までに完成しましたらば、ここに作成後、挿入するという形での整理にしています。
続きまして、27頁は「主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防」になります。28頁以降に、1として「がん」の部分があります。これまで津金委員のほうから、罹患数の実態とか罹患リスクの実態についてご意見をいただいた部分については、28頁をはじめとして31頁まで、図も組み込む形で整理しております。
「循環器疾患」については35~46頁になります。循環器疾患につきましては、目標設定の基本的な考え方として、「脳血管疾患・虚血性心疾患の死亡率の減少」、35頁の(?)になりますが「高血圧の改善」、さらに、36頁の「脂質異常症患者の減少」等が主な項目として盛り込まれています。これらの関連については、36頁の下の図にありますとおり、生活習慣等の改善として、栄養・食生活から4つの改善を達成した場合、危険因子の低減として、高血圧を含む4つの危険因子の目標を達成した場合、循環器疾患の予防として、それぞれの死亡率の減少が見込まれるというシミュレーションした結果を、今回の目標として整理していただいていまして、その内容については37~41頁に詳細な記述があります。
続きまして、48~53頁が「糖尿病」になります。糖尿病については前回の議論で、1,000万人という有病者の目標値がどういった形で作成されているのかということで、その部分については49頁、「目標値」の所になりますが、1,000万人については、性・年齢階級別の有病率の悪化傾向が続くとした場合、1,410万人と想定されて、その410万人を抑制した1,000万人が今回の目標値になります。したがって、現状値よりも目標値が多くなっているように見えますが、その部分については、こういったシミュレーションの結果、抑制した結果の値として1,000万人という数値が出てきたという根拠を記述しております。
続きまして、「COPD」に移ります。COPDについては54~57頁になりまして、目標値に関しては56頁になります。前回のときには、COPDの認知度の向上ということで、ここに数値が入っていなかったのですが、参考値25%でGOLD、日本委員会調査の結果を置いております。なお、大変申し訳ないのですが、素案のほうの該当の項目については、平成22年度の値は17%となっていますが、そのあたりについては更新が遅れていまして、56頁の25%と訂正することになりますのでご了承願います。
続きまして、58頁に移ります。こちらは、「社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標」になります。59頁から、「こころの健康」になります。60頁に「自殺者数の減少」という所がありますが、その後の3行目、「22,000万人以下となることを目指していたが」という所に「万」という漢字が入っていて、ここはタイプミスですので、「万」を消していただいて、「22,000人以下となることを目指していたが」が正しい記述です。この他に、職場でのメンタルヘルスに関する措置であるとか、子どもに対する支援ということで、小児科医・児童精神科医の割合の増加といった目標が掲げられております。
続きまして、「次世代の健康」に移ります。64頁の所に、次世代の健康の目標設定の考え方が整備されております。妊娠から子ども、さらに、成人、高齢者を見据えた土台づくりということで、次世代の健康づくりとしては、「子どもの健やかな発育」、「子どもの健やかな生活習慣」という所で、青色の枠の中が具体的な項目となっております。この中に、目標で1点追加がありまして、頁でいうと67頁、「適正体重の子どもの増加」ということで66頁に、前回のご議論のときには、「出生数中の低出生体重児の割合の減少」ということのみでしたが、67頁の2に、今回、「肥満傾向にある子どもの割合の減少」ということで、文科省さんのほうとも調整して、具体的には68頁、学校保健統計調査のデータをデータソースとしまして、目標が「肥満傾向にある子どもの割合」で、特に問題がある中等度・高度肥満傾向児の割合について、目標値「減少傾向へ」というのが前回からの変更点として加わっております。
続きまして、「高齢者の健康」について。先ほどご議論のありました、「低栄養傾向の高齢者の割合の増加」については71頁に記述があります。「低栄養傾向の高齢者の割合の増加」の2段落目になりますが、「『低栄養傾向にある高齢者』の割合を減少させることを重視する」ということで、今回はBMI20以下が有用と考えられ、アルブミンのほうは削除して、「BMI20以下」という指標を採用しております。具体的な内容については74頁になりまして、現状値「BMI20以下の者の割合17.4%」に対して「BMI20以下の者の割合20%」となっているのですが、これについては記述ミスがありまして、自然増加、人口構造の変化に応じて増えていくと見込まれる数が平成35年で22.2%に達すると推計されることから、この割合を2%減少するということで、0.98を掛けた22%が今回の目標となります。この考え方については、73頁の(?)「要介護状態の高齢者の割合の減少」の目標値の設定の方法と同じ形で、現状値から人口の増を加味した目標値に対する、その割合の約2%の減少で統一した整理となっております。
続きまして、「社会環境の整備」ということで、79頁に移ります。こちらについては前回の委員会のときに、数値が今後把握予定となっていた指標について、1項目を除きすべて、数値目標を参考値ということで対応していますので、ご説明します。
まず80頁ですが、「地域のつながりの強化」という所については、内閣府の「少子化対策と家族・地域のきずなに関する意識調査」をデータソースとして、「自分と地域の人たちとのつながりが強い方だと思う国民の割合の増加」を目標とし、現状値40.7%、また、性・年齢階級別で見たところ、最も高い70歳以上の男女合わせた約65%を目標値とする内容になっております。
続きまして、80~81頁にかけては、「健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民の割合の増加」ということで、これも参考値ですが、「社会生活基本調査」をデータソースとして、「健康や医療サービスに関係したボランティア活動をしている割合の増加」、現状値は3.0%で、目標値については、この3.0%が保健・医療に関わる健康づくりを目的とした値になりまして、これ以外にも、高齢者や子どもを対象とした活動とか、まちづくりのための活動、さらに、安全な生活のための活動といった、さまざまな活動の行動者率が、同じ調査で24.3%という実態があることから、多様な活動を取り込んでいくということで、目標値については25%となっております。
続きまして、(?)の「国民の健康意識の向上や行動変容をサポートする情報発信の活動主体の増加」については、目標としては、「健康づくりに関する活動に自発的に取り組む企業数の増加」ということで、いま現在、事業として進めている、Smart Life Projectの参画企業数が現状値420社ありますので、これまでの2年間の取組で500社があったことを基盤として、この10年間で2,500社が登録いただけるという推定のものと、その両者を合わせた3,000社を目標とすることとしております。
続きまして、81~82頁にかけて、健康づくりに関して身近で気軽に専門的な支援・相談が受けられる民間団体の活動拠点数の増加につきましては、各民間団体からの報告ということで、具体的には81頁の下になりますが、栄養ケア・ステーション(社団法人日本栄養士会)、あるいは、地域の健康課題に応じた取組をしている薬局(公益社団法人日本薬剤師会)等の拠点の数について、団体から数を上げていただいて、その数を現状値、それを踏まえた目標値を検討の上で設定という形になっております。
また、(?)の「健康格差対策に取り組む自治体の増加」については、今後調査をかける形になりますが、「特に」という所に書いてあるとおり、「都道府県においては、市町村の健康に関する指標や生活習慣の状況の格差の実態を把握し、その縮小に向けた対策を実施することが重要であることから、これを指標とし、自治体の状況の把握を行い、現状値及び目標値を設定することとする」となっていますので、この内容についても、これから調査をかけていく形になりますので、今日ご審議いただければと思います。
続きまして、85頁、(5)の「生活習慣及び社会環境の改善に関する目標」に移ります。86、87頁については、「栄養・食生活」に関する部分でして、ここにつきまして、図1に「栄養・食生活の目標設定の考え方」ということで、栄養・食生活に関する目標、さらに、高齢者や子どものところに関する目標も含めた整理をしていただいております。この部分についての数値目標の変化はありません。
続きまして、100頁、「身体活動・運動」に移ります。103頁の「現状と目標」の所で、「歩数の増加」につきましても、「20~64歳」と「65歳以上」という区分によって整理する形に合わせて、104頁の(?)の「運動習慣者の割合の増加」についても同様に、「20~64歳」、「65歳以上」という区分で整理する形になっております。また、大変申し訳ないのですが、105頁の所に、「運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体の増加」ということで、表が抜けていますのは、これも先ほどの「健康格差対策に取り組む自治体の増加」ということで、同じ形で調査をかけていくことになりますので、この内容についても後ほど併せてご確認いただければと思います。
続きまして、飲酒に移ります。飲酒につきましては、根拠のほうの整理を行っていただいたのが122頁になります。「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」という所について、現行の「健康日本21」の「多量飲酒」から変更する形になっていますので、この部分に、122頁、1から3ということで、引用文献も用いながら根拠について記述を行っていただいております。また、123頁の(?)「飲酒による他者への影響と社会的問題の低減」についても、具体的にどういう内容かについては、この辺りに記述しております。
この他、今回の報告書で、前回の議論を受けて新たに整理されている部分として140~143頁の所があります。前回の議論で、定期的にモニタリングを行う目標としては、国、地方自治体が共通でできる部分があったらいいのではないか、あるいは、地方自治体が活用可能な指標を例として具体的に示すことはできないかというご意見がありましたので、140頁には、「定期的にモニタリングを行う目標」、さらに141~143頁にかけては、「地方自治体が活用可能な統計例」ということで、津下委員から現行案をいただいたものについて整理をしております。また、先生方のほうからも、各分野の今後の対策の所で、こういったデータがあるのではないかということについてご意見をいただいていた部分は、ここに集約する形でということで考えていますので、その点についてご意見があった場合には、後ほどお願いしたいと思います。
また、144頁から最終の150頁までは、「次期国民健康づくり運動の推進に向けて」ということで、1として「地方自治体における健康増進に向けた取組の推進」。これは素案の部分で、記述の部分を整理したものです。また、147頁につきましては、「多様な分野における連携(推進体制)」、さらに、149頁につきましては、「周知・広報戦略」について少し具体的に記述したほうがいいのではないかということで、149頁の所に、「社会環境が生活習慣に及ぼす影響の重要性の周知に関する広報」とか、「今後十分な周知が必要な課題に関する広報」、さらに150頁に、(3)として、「調査・分析に基づくターゲットを明確にした広報戦略」、あるいは(4)として、「グット・プラクティスを活用した広報戦略」といったものについても、ご意見をいただいたものについて、最終的には報告書として、こういった形で整理しております。以上でございます。
○辻委員長 いまの事務局からの説明を踏まえまして、委員の方々からご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。その際、議論の前半と後半の2つに分けて進めたいと思います。まず、前半は、資料1の素案のうち、本文の記載部分と資料2につきましてご議論いただきます。その後、後半で、資料1の別表にある個別目標と資料3の報告書についてご議論いただきたいと思います。
まず前半としまして、資料1の素案の本文の部分と資料2に関する論点につきましてご意見をいただきたいと思います。
○工藤委員 前回、欠席しまして、COPDの部分の説明をしていませんでしたので、いまのご説明に加えて、少し私から申し上げたいと思います。
資料1の14頁に「COPDの認知度の向上」とあります。現状が17%と書いてありますが、いまお話がありましたように、平成23年度の調査に基づいて25%に差し替えます。目標設定は80%です。現状の参考値25%がどこから出たかに関しては、資料3の56頁にあるとおり、データソースはGOLD日本委員会の調査です。これについて少し解説をさせていただきます。GOLDについては前にもお話申し上げましたが、The Global Initiative for Chronic Obstructive Lung DiseaseというCOPDに対する世界組織です。1998年に設立されまして、2001年に最初のガイドラインが出ました。その後、何回も改訂され、2006年、2011年に大きな改訂を行って、いまこのガイドラインは日本呼吸器学会はもちろんでありますが、アメリカの胸部学会、あるいはヨーロッパ呼吸器学会等の世界的なガイドラインの土台になっているものです。
GOLDの日本委員会は、GOLDガイドラインの日本における普及を主な目的として2007年に立ち上げられたものです。具体的には、毎年秋に行っています世界COPD Dayというのがありまして、これの実施、そして、今回ここに挙げられたCOPDの認知率の調査を推進しています。これは2009年7月に最初の調査が行われまして、2009年12月、2010年12月、2011年12月と過去4回やってきています。これはインターネットの調査でありまして、対象は20歳以上の1万人を10歳ごとの年齢区分、男女に分け、合計10区分で各グループ1,000名についての調査です。調査方法はかなり厳密で、毎回、それまでの調査に参加した人は全部外し、新しいメンバーに対して行っています。直近のものは昨年12月に行われたもので、「よく知っている」が7.1%、「聞いたことがある」が18.1%。「初めて」が25.2%と20%台になったのですが、それまでの3回はいずれも17%台でした。特に昨年1年間は、大幅に伸びたわけです。どこからCOPDという名前を知ったかという調査も同時に行われていますが、断トツに「テレビ」で、ちょうどこの時期はテレビのコマーシャルといいますか、薬を宣伝しているわけではないのでコマーシャルというのは当たらないかもしれませんが、「COPDを知っていますか」という、メディアを通じた宣伝がなされた時期です。そういうことで、初めて25.2%という20%台に乗ったわけです。ただ、75%はまだ全く知らないということなので、これを10年後には80%に持っていこうという目標数値ができました。現状についてのこの数値は、参考値でありますけれども、十分に信頼のできるデータと考えています。
○戸山委員 今回の目標値では、認知度その他に関して、結構、80%というのが多いのです。6項目ぐらいあります。できればもっと上に上げたいという意志は、この裏には絶対あると思うのです。前回のメタボでは、20歳以上,80%以上という設定でした。今回は「以上」という文言を全部除いていますから、もう一度お考えいただけるといいのではないかと思います。気持としてはより高く上げたいという形で「以上」を入れるか、クリアに「80%」と置くかで、少し捉えるニュアンスは違うかなという感じがします。
○辻委員長 これにつきまして、事務局から何かお答えはありますか。
○外山健康局長 これは先生方に作ってもらう報告書ですから、どうぞご判断していただきたいと思います。
○辻委員長 わかりました。基本的に目標値というのは「以上」ではなくて、その数値だと思います。前回のときもすべてそうしていました。目標として80%というのがあって、そこを達成したらそれ以上行ってはいけないという話ではないので。やはり目指すはそこで、それ以上行けばもちろんそれに越したことはないということです。普通、目標値としては「以上」とか「以下」にしないで、その数字を出すものではないかと理解しています。
○戸山委員 確かに、クリアカットでよろしいかと思います。それでオーケーであれば、私もそれに賛成します。ただ、メタボのほうは「80%以上」と、たしか前回出ているのです。それで92.7%になって、より高くという気持がそこには含まれているのかなということでお話しました。
○津下委員 いまの件については、今回も、達成と判定することができますので、1つの基準でよろしいのではないかと考えています。
別件です。資料1の16、17頁の「社会環境の整備に関する目標」、特に5の「健康格差対策に取り組む自治体の増加」ということで、これは資料2の1にも関係あることなのですが、健康格差の対策につきましては、まず市町村ごとの健康状態や生活習慣に差があることを認知する段階があります。それに対して、どうしてそういう原因になっているかということを現地に行って確認するとか、関係者と協議をする段階があります。それに対して、予算化したり、何か事業を興す。そして、それを評価して健康格差が縮まったかどうかを確認する。そういったさまざまな段階があると感じています。現在でも、市町村で平均寿命とか有病率がどれだけ違うかは把握しているのですけれども、それを見ていることと、それが事業として実施できていることに違いがあると思います。5の、これから行われる調査につきましては、その辺の格差を縮める対策について、どこの段階まで実施しているのかを把握していただくのが大切かと思います。
○辻委員長 私の進め方が弱かったようなのでもう一度申し上げます。まず前半の、資料1の素案の部分の11頁まで、目標値とは別に全体の総論的な部分についてのご意見と、資料2の論点、例えば健康格差の縮少に向けて取り組むべき具体的な方策や、あるいはライフステージに応じた健康づくり対策の今後の具体的な方策について、以前から委員の方々からアクション・プランという話を言われていましたが、そういったことについて、具体化する上で必要な方策を思い付くがままに言っていただけると、今後の運動の展開という点で進めやすくなりますので、このようなことからご議論いただきたいと思います。数値の議論はまた後半でするとして、資料1の前半部分についてこういう感じでよいか、かなりご意見をいただきましたので、これでいいかとは思っていますが、まだ直す所があればご意見をいただきたいのです。それから、資料2については、1から5までのそれぞれにつきまして、せっかくの機会なので委員の皆様から具体的に、これから10年間こういったことをしたらよいのではないかというようなご意見をいただきたいと思います。
○羽鳥委員 7頁の「計画策定の留意事項」と、資料2の「疾病予防における行政と医療機関との具体的な連携」です。例えば、4疾病5事業が平成20年4月からの医療法改正で始まったわけですけれども、そのときに、脳卒中、糖尿病、心疾患、5大がんについては、日本医師会あるいは厚労省から通達もあり、都道府県でも作業部会設置や対策推進会議等を持つことがされてきました。例えば神奈川県の事例では、6年前までは糖尿病に関しては市町村、郡市医師会でばらばらに行われてきたものを、神奈川県糖尿病対策推進会議を医師会主導で立ち上げ、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、県にも加わっていただいて活発に活動が始まりました。がん、脳卒中においても同様です。
COPDは中央で対策推進会議始まりつつあると思いますが、今回新たに取り上げられLOCOMOなども、中央発信で対策推進会議を作るという動きがあると、都道府県レベルでも動きが早まるのではないかと思います。例えば7頁の二の1に都道府県における地域・職域連携推進協議会等を活用せよとの説明がありますが、現状のこの会議は、前年度の統計報告で終始し新たな提案がなされたことはありません。ほかの地域でも同じではないでしょうか? 動力義務でなく、義務として行えという強制的なことが書かれていないと実行は難しいという感じがあるので、具体的な目標達成、協議会の設置などを書いていただきたいと思います。例えば、先ほどありました21頁の別表の後に、都道府県あるいは地域の医療機関あるいは医師会に対して、このような目標達成のための数値を掲げ、作業部会の設置、推進協議会、対策推進会議など具体的に、都道府県・市町村にお示しいただきたいのでその辺をまたご検討いただきたいと思います。
○鈴木委員 資料2の論点についてです。資料2の2「ライフステージに応じた健康づくり」の中で、高齢者における認知症対策を取り上げていただいています。これは今後ますます重要になるだろうということで大変ありがたいと思っています。これは、高齢者における認知症対策というよりも、認知症予防対策なのだろうと思います。まだ日本では、予防対策といわれるものが確立していない状況です。やはり今後5年、10年かけて予防対策をどのようにシステマティックにやっていくかが非常に重要になるだろうと思います。まず、一体誰をターゲットにするのか。例えばポピュレーション・アプローチだとかハイリスク・アプローチといった手法が考えられます。また、いまの段階では非常にまだ難しいですけれども、バイオマーカーのようなものが開発されれば、それはそれで大変ありがたいと思います。
それから、予防対策の具体的な手法として、どういった対策が本当に認知症の予防あるいは認知機能の低下を予防できるのかについてのエビデンスは、まだ日本も世界もそうですけれども、必ずしも十分ではありません。ようやく日本でも、有酸素運動を含む、あるいは脳の活動を伴うような運動が、認知機能の低下を明らかに抑制するところまでのエビデンスは出ていますけれども、一般に言われるような、栄養や音楽療法などのさまざまなことについては全くエビデンスのない状況です。今後、高齢者における認知症予防対策、あるいは認知機能の低下を抑制するような対策の仕組みをしっかりと作っていかなければならないと考えています。
○戸山委員 私も鈴木委員と全く同感です。(2)のライフステージの項の、高齢者における認知症対策は、これからますます重要だと思うのです。データが少し違うかもしれませんが、2010年か2011年で一人暮しの世帯がたしか4百数十万世帯ぐらいあると。認知症がそれに付加された場合には非常に大変だと思うのです。ただ、その基礎研究もそれほどまだわからない、予防医学、チェックシステムもないとすると、(5)に「必要な研究の推進」とありますが、例えば5年とか重点的に、「長寿科学その他において、指定研究等」として、「第2次健康日本21」に合わせて重点課題として取り上げることも1つではないかと思います。
もう1つ、(5)の「必要な研究」についてです。今回、委員の中からいろいろな健康づくりのための項目が出たと思うのです。その中で、本当は必要だと思っているけれども、まだまだエビデンスが足りないものがたくさんあったと思うのです。そういうものは、今後10年を考えると、やはりデータとして出しておかなければいけないと思うのです。そういう研究の推進も必要ではないかと思います。
○堀江委員 資料2です。1つ上の行で、「20~40代の世代に対する企業等の取組」ということで、40という数字になっているのですけれども、どうもいまの企業を見ると、60代ぐらいまで一生懸命働いています。これは40代のほうがいいのでしょうか。
○辻委員長 いや、60でも結構です。何かご提案がありますか。
○堀江委員 一般的な統計でいうと、60代後半、67歳ぐらいまでは就業化率が50%ですので。しかも、これからは高年齢者にも働きなさいという方向の政策が出ておりますので、企業の取組としては、60代ぐらいまでの健康の維持というのが入ってくるのではないかと思いました。特別な理由があれば40代でもわかるのですけれども。
○外山健康局長 どういう意味かと申しますと、日本が超高齢化社会になって、2040年代を視野に入れたときに、そのときの高齢者になるのが、今の20代、40代です。そういう文脈と、逆にいうと、20代、40代はいちばん施策が抜けているところでもあります。この10年間の計画という切り口とはちょっと違うのですけれども、今の20代、40代が、日本がいちばん高齢化社会のときの高齢者になるのだとすれば、今の段階からそういう年代にターゲットを当てた戦略的な取組が切り口としてあるのではないかという問題意識です。
○辻委員長 わかりました。
○津下委員 いまの観点は非常に重要な点だと思っています。その世代の後には支える世代が激減する中で高齢者が増えていくというのがこの世代の課題かと思います。健診についても、40代からは血液検査が入りますし、特定健診・保健指導も入ってきますけれども、20代、30代はそのような体制がなく、健保の調査ではこの期間に体重が増加しっ放し、大体この期間に7、8?、増加して、検査データが悪くなってから減量しているということがあります。それから、20代のBMIが40代以降の医療費に直接関係しているというデータもありますので、この世代については、太らないようにするとか、タバコなど20代で始まってしまう生活習慣について是正するような取組が非常に重要だろうと思います。
一方、企業もそうなのですけれども、女性の20代につきまして、以前は母子保健の関係で20代の女性の健康管理が始まっていたと思いますが、晩婚化や出産年齢の高年齢化の影響で、その辺りも手付かず状態になっていると思います。その辺りの政策、取組の充実が非常に重要だろうと思います。
それから、先ほどの認知症の対策だけでなく、すべてのことについてそうですが、研究で出た成果をできるだけ早く現場に活かしていくという方策が非常に重要だと思っています。成果が出てから始めていては間に合わないものもたくさんあると思っています。いまのところ、認知症についても運動の重要性についてはほぼ認められていますので、閉じこもりを防止しできるだけ外に出てきてもらうような取組は、もうフライング気味でもどんどん始めていく。認知症になっても早期であれば安心して街に出られる社会をつくって、それが認知症悪化の予防に繋がっていくのだというような取り組みを推進していくのが大切かと思います。後追いになるかもしれませんが基本チェックリストのデータで追跡するなど、実際のデータを使いながら検証していく。そのような取組や実践的な研究も必要ではないかと感じています。
○岡村委員 1番と5番とも絡んでくることです。先ほどの話から、認知度を上げるとか、市民の啓発というのがキーになってくると思うのですけれど、意外とその部分が体系化されていないのです。個人的には未受診対策の研究班や早期受診の研究班をやりましたが、意外と市町村が市民に情報を流すルートは大してなくて、結局、ビラを撒くか広報を出すかぐらいしか方法がないので、どうしたら市民に情報を伝えるかがかなり難しい。別途、テレビなどを使った研究もしているのですけれど、電波をどの分野が独占するかとか、また別の問題が発生してくる、というのが1つです。
それから、啓発というとすぐITのほうに行ってしまうのですが、ITがまた、いいような悪いようなところがあり、見たい人しか見ないメディアという特徴があるのです。興味のある人はどんどん入っていって知識が深くなるのですけれども、決して皆がブロードに見ていないところがあるのです。この辺の啓発をどうしていくかについては、体系的に考えていくべき時期なのではないかということが今後の課題かと思います。
○堀江委員 先ほどの議論の続きです。20~40代というのはよくわかりました。そうしますと、大きな2番のライフステージで、子どもがあって、20~40代があって、次が高齢者ですので、やはり50代、60代が抜けてしまっているというか、少し寂しいように思います。職場で、実はいちばん手がかかっているのが、40代、50代、60代なのです。例えば、健康リスクや病気を持ちながら健康を維持して働けるような人たちに対する方策を、これからは考えていくべきだと思います。先ほどの文脈と同じですけれども、ある程度の持病はあるのだけれども働ける、という環境づくりをしていくことが、この世代に重要なのではないかと思っています。
○辻委員長 何かそれで具体的なご提案などはありますか。
○堀江委員 すぐに思いつくのは、職場では健康診断はかなり徹底的にやっているのですけれど、有所見率が大体50%はある。そこは、病気なのだということで済ますのではなく、50%の所見があるのだけれど、どのようにしたら働けるかというのは専門職が相談に乗ることになっているのです。健康診断の事後措置といっていますが、こういったことをやっている事業所の率は把握できますので、健康診断実施後の医師あるいは保健師の相談の率などを指標にして、それを上げていく取組をすればいいのではないかと思います。
○津金委員 5番目に関連してです。今回、発症予防が目的であるのにもかかわらず死亡で指標を代替せざるを得ないという状況が明らかになっているわけですので、研究だけではなくて、調査と研究の推進とその活用ということで、もう少し統計を整備することを論点として特出しする必要はあるのではないかと思います。
○尾?委員 前にもお話したのですが、実は、次世代の中の子どもの教育で、もう少し積極的に市町村が学校と連携を取っていく必要が絶対にあります。例えば禁煙・防煙教育は小学校3年生ぐらいにやりますが、小学校でやってわかったことはがあります。そのときに必ず、「お家の人と一緒に見ましょう」というパンフを配るのです。どうするかというと、子どもは真面目ですから、家に帰ってそのまま親に見せるわけです。そういう形でパンフをその時期に撒いて後で調査すると、住民の知識は上がっていますし、実際に学区そのものが変わっていくと地域が変わるチャンスがあります。まだ学校は地域の中の大事なポイントですから、そこを使わない手はないと思います。
前回申し上げましたように、いまはほとんど小学校の6年生で生活習慣病、それからタバコの害、アルコールの害についてやっています。学級担任がやることになっていますので、ほとんど全部のクラスでやっています。ただ、いつもお聞きすると、指導手引きなどに書いてあるそのデータだけでは授業ができませんので、誰か専門の人に付き合っていただきたいというのです。そのときにいつも、市町村の保健センターと保健所でご相談申し上げたらと言うと、「そういう所があるのですか」と逆に言われるぐらいです。そういう意味では、学校の教育の中へもっと衛生行政の人が入っていってもいいのではないかと感じます。
○吉水委員 いまのご意見に賛成です。それと関連することです。学校はもちろんなのですが、家庭内の教育も重要なのではないかと思いました。例えば朝食を一緒に食べるとか、夕ご飯を共食するとか、そういうことも非常に重要だと思いますので、教育と一言ではなくて、学校教育、家庭内教育というようにブレークダウンしてもいいのではないかと感じました。
○野田委員 また世代の話に戻りますが、糖尿病に関していえば、受診中断が多いのは若年層、特に20代、30代です。ですので、そういう若年層の方々が気軽に受診できる、若年層の受診中断を減らすことができるような社会の仕組みの整備も重要なのではないかと思います。
○戸山委員 先ほどどなたかがお話した、啓発の戦略はものすごく大事になってくると思うのです。前回の第1次のときも当然おやりになっていたと思いますけれども、自治体から全国民の1人ひとりがどれだけこれを認識して、それに目を向けてやるところに落とせるかだと思うのです。そうすると、やはりマスコミやテレビなど、広報活動はものすごく大事になってきて、その戦略をどうするかだと思います。
具体的な例を出すといけないのかもしれませんが、以前ここでお話したように、例えばNHKの『今日の健康』などで1年とか2年シリーズで第2次健康日本21を流してもらって、各委員がそこに出てアピールするとか、そういうものも1つかもしれません。また、省庁間で当然おやりになっていると思いますけれども、文科省とか経産とか財務とかいろいろな省が関係してくるので、是非そのような省と密に関係を取る。もう1つは、人事院だと思います。私は人事院の健康専門委員を3月までやっていたのですが、第1次のときは意外とそんなにではなかったのです。国家公務員の健康をやっているはずの人事院の健康と密にキャッチボールをすること、その辺も是非おやりいただきたいと思います。
○津下委員 啓発という点では、首長さんが真剣になる施策が必要だと思います。自治体で活用できるデータというものもありますが、介護のデータ、医療費のデータ、そういうものをしっかりと見ていただいて、健康づくりはその先行投資であるという考え方をしっかり持っていただくことがいいのではないかと思っています。課を跨いでディスカッションしている所ほど、健康づくりに一生懸命であることが実感としてあります。例えば、要介護3以上には脳卒中が多い、要介護3以上になると1人当たり200万円以上かかっている、というような具体的な数字も非常にインパクトがあります。それから、特定保健指導においても、積極的支援に該当した人に保健指導しなかった場合の2年後の服薬率が15%、積極的支援で1回でも保健指導を受けた人はそれが10%程度に減っているというデータも、追跡したら見えてきたわけです。そのように、健康づくりが、いわゆるきれいごとではなく、経済的にも非常にメリットがあるという示し方も必要であろうと考えています。多くの事務職サイドの方々も一緒になって取り組める「健康日本21」にするといいのではないかと考えています。
○三浦委員 「次世代(子ども)における教育との連携」の所と関係してくる点ですが、データとして学校保健統計調査をもっと活用したらいいのではないかと強く感じています。健康格差を調べる上においても客体数が非常に多いというメリットがあります。そして、毎年きっちりとデータが上がってくるということで、文科省とも連携して、そういったデータをうまく使いこなすことによって、定期的なモニタリングも自治体のご負担なくできるのではないかと考えます。ここのところは非常に重要だと思います。
それから、文科省がやっている、学校教育の中での保健指導との整合性を図ったアプローチをしていくことが、学校保健で受け入れられる大きなポイントかなとも思いますので、そういったところを十分にやっていくと、次世代の情報伝達はかなりうまくいくのではないかと考えています。
○湯澤委員 「次世代における教育との連携方策」の点に関してです。教育との連携の重要性とともに、やはり乳幼児期にどのように連携方策が取れるかも重要だと思いますので、その辺りへの目配りもしていただきたいと思います。とりわけ、子どもの貧困対策では、諸外国ではとにかく早期からの介入が必要だということで乳幼児期にターゲットを当てています。例えば、日本で全戸訪問事業が開始されていますし、そのようなアウトリーチ型のアプローチをしている所について、積極的な活用を図っていくことが有効ではないかと思います。全戸訪問事業の中で、とりわけ社会・経済的なリスクが高いと把握された家庭に対して、逆に社会資源の情報をうまく届けていく形で解決していけることがあると思いますので、その辺りも少し検討できればと思います。
○横山委員 4番の「国・自治体における計画の評価(PDCAサイクル)」についてです。PDCAサイクルは概念的には非常にわかりやすいのですが、実際にやろうとすると、相当高い技術を持っていないとできないという問題があるかと思います。ですので、実際に自治体において上手にPDCAサイクルを回している所はそれほど多くはないと思います。PDCAサイクルを回してやりましょうというだけでなくて、その具体的な事例を国として集めて、それを整理して、その方法の情報提供をするという取組を、国の責任としてやる必要があるのではないかと思います。
それから、PDCAサイクルを回す周期についてです。5年目、10年目という節目のときに中間評価と最終評価とありますけれども、5年、10年ばかりを強調してしまうと、その間は何もしなくていいのかと。やはり、年度ごとのPDCAもあるはずなのです。アウトカムの数値指標については、5年、10年経たないと変化しないと思いますが、毎年のプロセスやストラクチャーの評価など、その辺りの取組も必要だということはもう少し強調したほうがいいように思います。
○村山委員 モニタリング、PDCAサイクルについての追加です。モニタリングを実際にやろうとすると、データベースの作成、分析が必要ですので、自治体単独でやるのは難しい面もあると思います。その場合には、都道府県の研究機関がある所は研究機関、無い所は大学との連携を組んで、継続した研究機関と自治体との体制を作ることも必要かと思います。現在は、調査後の分析を大学で委託としては受けるのですが、単発の契約であり、継続的な自治体との連携が組める体制ではありませんので、その辺りは考える余地があると思いました。
次に、5点目の「必要な研究」という点です。先ほど来、疾病あるいは身体機能と生活習慣に関するエビデンスが少ないというお話がありました。栄養分野でもそうですし、生活習慣と疾病との関連のエビデンスは今後も必要だと思いますが、一方で、ある程度、栄養でいうと食塩など健康との関係が明らかになっているものもあります。そのようなものにつきましては、今後は対策のエビデンスも必要で、どのような取り組みをしたら、どのような効果がどれだけあるのかという研究も必要かと感じています。
○辻委員長 いま、横山委員と村山委員からPDCAサイクルの関係でモリタリングのお話をいただきました。資料3の140頁、これは今回新しく付けていただいたものです。いま横山委員がおっしゃったように、中間評価や最終評価はそのためにきっちり調査して、お金をかけてもいいのですけれども、その間は、行政的に日頃から入るようなデータを使って、手間暇かけずにモニタリングしていけるようなスキームを作るべきではないかというのが、皆さんの共通認識であると思います。そういった意味で、参考1の中のこういったデータについては定期的にモニタリングができるのではないだろうかと思います。
次の142頁をご覧ください。これは地方自治体、市町村という立場で、どういった統計を活用できるかというものです。例えば、特定健診のデータをうまく活用するというようなことがありますので、これにつきましても、もっと項目があるのではないかとか、そういったいろいろなやり方について、また後半でご議論いただきたいと思います。
○羽鳥委員 将来を見据えた調査研究ですが、健康作りの10年、20年先を考えていくとしたら、統計的手法に基づく母数の大きなかつ息の長い研究が必要だろうと思います。そういうことを踏まえると、この策定委員会の関係する学術団体、モデルとなる地方公共団体、医師会に投げかけてみてはいかがでしょうか? 日本医師会とか、日本臨床内科医会など、実地医家の先生に対して、このような調査項目で観察研究、介入研究を10年の長いスパンでデータを取ってもらえないかという呼びかけもあってもいいのではないでしょうか?特に地域の医師はひとりの患者を小児期から高齢になるまでみることがありますから、観察研究、後ろ向き研究であっても意味があります。
例を挙げると神奈川県の内科医学会では、認知症に関して、DT-Naviシステムを使ってADASJcogによる認知症の進行程度のスケーリングを客観的に算出し、NCDとしての血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などの相関を出そうという研究をやろうと思っていますが、ある程度の患者数がないと有意な結果は出にくいと思いますが、国からの呼びかけがあれば、きっと参加する医師は多いと思います。
また、健康管理に関して、会社規模のよって、所属する組織によって未受診者がまだ多いという問題がありますが、地域を比べても特定健診の受診率が高い、保健指導率の高いところがあります。人口規模によって難しい場合もあるでしょうが、福井県、神奈川県の藤沢市などは受診の有無を台帳管理していたり、呼びかけをするシステムなどによって身のある成績を上げています。いろいろな仕組みを作っていけば、健診を受けないとか、特定健診の指導を受けないなどということもなくなるのではないかと思います。別のたとえになりますが、国のはしか予防接種強化期間が3月にありましたが、麻疹・風疹の接種率が2、3,4期は神奈川県が最下位あたりをうろうろしています。接種率のトップになった県はどういうことをやっているかというと、先ほどのような台帳を作って誰が未接種かをよく把握しているところが多いですから、いま総務省でマイナンバー制度が議論されていますが、医療における好ましい応用例としては活用してほしいと思います。
それから、がん研究のためには息の長い調査が必要です。津金先生がやっておられるがん登録の事業でいえば、地域のがん登録、病院内のがん登録も含めて、がん患者の予後調査に住基ネットが活用されています。ITだけでは啓発にはならないというお話もありましたが、これからはITも活用してやっていただきたいと思います。
○津下委員 いまの先生のご意見に賛同します。疾病の予防を会議だけやっていても、会議に集まる先生には協力していただけるのですが、そうでないとなかなかそこまでは広がらないということで、仕組みを作っていくことが非常に大事だろうと思います。特定健診のデータ、レセプトのデータもあり、本来治療が必要な人で未治療の人がどうなっているとか、または先生方で治療しているのだが、もう1つ食事や運動をやらなければいけないけど、では地域のどんな所で指導が受けられるのだろうかということについて、こういう教室がやっていて、ここが空いているとか、通年で支援ができる体制があり、その情報が医師会の先生方に常にオープンになっているという仕組みづくりを進めていくことで脱落を防ぐ。年に1回や2回の会議ではない継続的なつながりがすごく大事になってくるかと思っています。この10年間で、その辺りの情報の壁が少し外れてくると、かなりのことがやりやすくなるのかなと思います。
もう少し違う観点でいくと、民間の、例えばいろいろなコンビニとか、薬局などが持っている社会情報もすごい情報があって、そういうのも逆に行政として活用させていただくことも可能であれば、地域格差を見ることにもつながるのだろうなと思います。情報の有効な利活用という観点も、この10年間で是非進めていただきたいと考えています。
○中村委員 資料2に関連して、3の「疾病予防における行政と医療機関との具体的な連携方策」です。第1次の「健康日本21」については、きちんとした調査があるのかどうかわかりませんが、私の周りの臨床医に「健康日本21」というのを問うても、名前すらわかっていないという状況です。第1次予防を中心に目指したということで、少し距離感があったのかもわかりませんが、それでも臨床医も含めて、果たす役割はいろいろ予防においてはあると思います。今回は重症化予防ということも謳っており、医療機関や医師会組織とどう連携していくかは非常に重要なテーマですし、さらに言えば、制度的な後押しを含めてどうしていくかということも、今後の日本の医療を考える上で考えていかなければいけないと思います。
具体的に例えば、今回の第2次計画において、臨床医も含めて医療機関、医師会のコミットメントを高めるということでいえば、医師会の役割、各医療機関の医師や医療スタッフとしての役割、何ができるかということを具体的に示すことだと思います。例えばタバコであれば、資料にありますが、日常診療の場でタバコを吸っている人に声かけをみんながやるというのは、たばこ規制枠組条約のガイドラインでも示されていることなので、そういうことも説明して協力していただくということですし、大阪では特定健診というのは、市町村国保の場合、8割は医師会が受託してやっています。市町村国保分については医師会の先生の所で特定健診の大半が行われており、医師会の先生方が健診の場面でも、タバコを吸っている人に声かけをしていくことの協力を依頼することが必要です。また、受動喫煙防止ということでも、医療機関の禁煙化はもとより、学校医・産業医として関わっているわけですので、学校とか小さな企業の禁煙化に向けて、嘱託の産業医、学校医としての役割もありますし、医師会組織として、その関係の所に働きかけていくこともできるので、そういったことを具体的に明記して、協力をお願いしていく必要があるのではないかと考えております。
○樋口委員 これは健康づくり運動ということなので、どこまで対策について突っ込んでいくのかは、必ずしも明確ではない部分もあります。全体的に現状を把握して、10年後の目標値を決めてということですが、しかし、それを達成していくには何らかのアクションを起こさなければそこまで行かないだろうと思います。しかし、対策というのはすごく大変なことだと思いますので、「健康日本21(第2次)」の中で、どこまでそこに踏み込むかを、ある程度明確にしておかなければいけないと思います。
1つの考え方として、例えば飲酒などを例にとった場合に、いままでのエビデンスだと学校の教育というのはほとんど効果が見られない。各分野の中で、いままでのエビデンスから、有効な対策とあまり有効ではないものとがかなり明確になっているのではないかと思うので、そのようなもので有効な対策のリストのようなものをここに入れて、各自治体とか市町村で、これならうちはできるということがわかるような資料がもしあるとすると、それはとても大事かなという感じがします。
○山縣委員 遅くなったので、キャッチアップできていないかもしれませんが、2番目の「ライフステージに応じた健康づくり対策」で、教育との連携は本当に重要ですが、連携は具体的に何をするのかということがすごく大切で、そのうちの1つとしてはデータを共有するというか、乳幼児健診と学校保健とのデータがずっとつながっていって、学校での健康管理に乳幼児期のものをちゃんと使っていける仕組み、いままではそこでプツンと切れてしまっていたのですが、それを学校と行政との関係でちゃんとできるようにすることもすごく大切だと思います。
○津金委員 対策という意味において、結局目標値もいっぱい出てしまって、階層化もしていないという状況の中で、実際に対策をするときに優先順位というか、どこに本当にプライオリティをおいて、限られた資源、限られたお金の中で、どこを優先的に取り組めば、本当に国民の健康に結び付くのかということは、ちょっとわかりにくくなってきていて、例えば自治体などがそれぞれ取り組むというときに、これだけ目標があると困ると思います。今後は実現という上においては、もう少し階層化とか重点化などもある程度行い、その辺の目安みたいなものを付けていかないと、実行という面においては効果が期待できない部分もあるのではないかと思います。
○辻委員長 中村先生、いかがですか。
○中村委員 資料2に関連して、ライフステージの20~40代に対するアプローチですが、どうしても大企業を中心としたイメージが先行しているように思います。実際に働いている人たちがたくさんいるのは中小・零細で、そこにどう切り込んでいくかが、健康格差の縮小のためには必要です。それについての具体的な施策を考えていかなければいけないと思います。今回、着目点としてはいいのですが、具体的に何をやるかが必ずしも明確になっていなくて、今日の資料2という形で示されていると思います。
中小・零細であれば、経営者の意識改革をしていくことが、まず重要ではないかと思いますし、それでも働きかけが難しい所はたくさんあると思いますので、そういう意味では1番とも関係しますが、生活習慣の改善につながる社会環境の改善が、すべての人に働きかけができるので、そこを強化していくことが、1番の解決のためにも、また20~40代の若い世代のすべての人に働きかけるということでは重要ではないかと思います。
タバコについては、はっきりやるべきことがわかっていて、その中でも健康格差を縮めるということでいえば、つまり、喫煙率の格差を広げないということであれば、なかなか実現は難しいですが、タバコの大幅引上げがあります。
そういった意味で食事については、食品中の塩分を減らすという国際的に行われているような運動を、次期「健康日本21」の食生活分野の目玉の事業としてやっていただけるのかと思っていました。ここに書いてないだけでやられるのかもわかりませんが、今日の分野別資料の最後の「今後の必要な取組」ということで、あまり明確に書かれていなかったのがちょっと残念です。すべての人が影響を受けるような対策を今後やっていかないと、健康格差はなかなか縮まらないのではないかと思います。
○西委員 いま中村委員からご指摘のあった食品中の食塩含有量のことですが、資料1の5頁に、社会環境の整備ということで、栄養・食生活では、「食品中の食塩含有量等の低減、特定給食施設での栄養・食事管理について設定する」と挙げています。資料2の「健康格差の縮小に向け、取り組むべき具体的な方策について」に関連しますが、社会環境の整備がポピュレーション・アプローチになると思いますが、食品中の食塩含有量を具体的にどのぐらい減らせばいいのかについては、15%とか20%といった目標を示して、それをモニタリングする仕組みが必要だと思います。減塩になった食品の価格が高いようでは健康格差を広げることになりかねませんので、一律に企業が減塩に取り組めるようにという観点でもモニタリングしていく仕組みが必要ではないかと考えます。
○吉水委員 私の立場としては、国民運動としての認知の向上と意識改革、行動変容の促進といった言葉をどこかに入れていただきたいと思っていて、折角5つのポイントにまとまっているので、それを6番目に追加するまでは無理でも、例えば「ライフステージに応じた」という辺りで、それぞれの課題について意識改革、行動変容といった文言を具体的に入れられないか、ご検討いただければと思います。
○湯澤委員 「必要な研究の推進」という点ですが、低所得世帯の暮らしと、その疾病の状況をどう捉えるかというところにおいて、大量調査の中で所得階層で捉えていくということが1つだと思いますが、なかなかリアルな実態がわからないということがあるかと思います。
生活保護世帯の基礎的な統計は各自治体にあります。私がある自治体で少し状況を見させていただいたときに、生活保護受給世帯の方で、死亡で廃止している方々がおられます。死亡廃止というと高齢者世帯というイメージが強いのですが、稼働年齢世帯の死亡も結構多いです。そして死亡年齢も壮年期とか、その地域の平均寿命よりも若干若い年齢で死亡していることもあります。ですので、例えば各自治体が死亡廃止で廃止になった世帯の年齢を調べるだけでも、どういう状況で健康が阻害されてきたかということもわかるかと思います。また、生活保護世帯の中の子どもの疾病や障害も一定の率がありますので、そのようなところから基礎的なデータを積んでいくことも必要かと思います。
○津下委員 普及と対策と効果が一応見えてきたということで言えば、肥満対策があります。世界各国で肥満が著しく増加し、とくに糖尿病等の有病者が増えて困っています。アジア、パシフィックでも肥満による糖尿病や脳卒中が非常に増えている、高血圧も肥満が原因で起こっている人たちが増えている中で、日本では「健康日本21」の中間評価で肥満者が増えている現状を踏まえて対策をおこない、メタボという言葉を国民のほとんど全員が知るようにまでなった。国としての対策でも、特定保健指導制度を導入したこともあって、男性の肥満者についても歯止めがかかった。本制度には賛否両論はありますが、そういう実績もありますので、国民運動としてのインパクトを出していくためには、テーマを絞ってやっていくことが大事だと思います。
肥満が今回頭打ちになったので、何となく安心感があるようには思いますが、国際的に見ると、全然安心できる状況ではないので、次期計画ではこのトーンで大丈夫かなというのは、少し心配するところです。日本人の意識や社会環境がメタボを回避する方向へ向かっているので、今後しっかりと観察しなければいけないかと思います。
○辻委員長 それでは、まだご意見があろうかと思いますが、一応前半は終わり、資料1の別表の個別目標部分と、それに対応する資料3の「次期国民健康づくり運動プラン報告書たたき台」について、ご審議いただきたいと思います。これについては、各目標ごとに順次行ったほうが早いかと思いますので、そのようにしたいと思います。まず資料1の12頁をご覧ください。別表第一「健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現に関する目標」があり、それに対応するのが資料3の22頁になりますが、これについて何かご意見、ご質問はありますか。
○池田委員 先ほど数値の訂正などは口頭でされたので、私が聞き逃していたら申し訳ございません。資料3の23頁の「健康寿命の延伸」の目標値が、「平均寿命の増加分を上回る健康寿命であること(平成35年)」となっていますが、別表のほうですと、「平成34年度」となっています。これはどの時点の数値を将来的な目標値とするのか、確認です。
○河野栄養・食育指導官 目標のところについては、報告書のほうが古い書きぶりになっており、平成34年度ということになります。また、目標値をどこに置くかというのは、この計画の最終年となりますが、どこのデータをもって評価をするかはデータソースの周期性もありますので、国民生活基礎調査だと3年ごとの周期で評価していくということになりますから、平成35年の段階でのいちばん直近の生活基礎調査のデータを使った評価になります。ですから、ここで括弧書きになっているのは、計画の最終年を書いているとご理解いただけたらと思います。
○辻委員長 よろしいですか。ほかにどなたかいかがですか。
○堀江委員 先ほど中村委員から健康格差ということで、小規模・零細事業場ということをご指摘いただいたのですが、産業保健の分野で健康格差と言いますと、ほとんどの専門家が同じように小規模事業場と非正規労働者の2つを想定すると思います。しかしながら、資料3の23頁の上に「健康格差」という項目が出てくるのですが、ここに小規模事業場とか非正規労働者という言葉がありませんので、可能であれば、そういう言葉を出して、そこに対策を講じる必要があるということを書いていただきたいのです。
そうすると、今度はおそらく目標が必要になるのだろうと思います。ここの部分は健康寿命の延伸に少し引っ張られているというか、健康格差は寿命に出るもの以外にもたくさんあると思いますが、ここは24頁の指標が健康格差の結果は健康寿命ということで、日常生活に制限のない期間の平均という計算ですので、結論が遠いというか、もう少し手前に健康格差を生じている指標があると思いますが、そこに何か提案できればいいなと思っています。産業保健の分野でいえば、小規模事業場の規模ごとに、例えば健診をやっているかとか、専門家がいるかとか、たくさん指標がありますので、そういったものの1つでも使っていただけるとありがたいと思います。
○辻委員長 大変貴重なご意見だと思います。その上で、なぜこのようにしたかということですが、1つは、健康格差というのはいろいろな形があります。いちばん大きなところは平均寿命、健康寿命があって、あとはさまざまな健康レベルとか、生活習慣も出てくると思います。そういったさまざまな指標がある中で、今回これだけを使ったのは、大きな具体的な目標としてそこを挙げたということで、それ以外を排除するものでは全然ありません。
その一例としては、今回のこの検討のプロセスの中で公表されましたが、国民健康栄養調査でBMIとか歩数などの生活習慣の都道府県格差が出たりしました。この中にも健康格差というのは生活習慣等の格差についても各都道府県、市町村できっちり出して議論すべきであると書いていますので、その中でお考えいただきたいと思います。
もう1つは、23頁の最初のほうに書いてありますが、健康格差というのは地域格差の部分と社会経済的な格差と両方あり、社会経済上の違いによる格差の中に事業場間の格差があると思いますし、医療保険者間の格差も多々あるわけです。これについては、いまきっちりとしたデータが揃っていないこともあり、自治体間格差についてはたくさんのデータがありますから、まずそこをきっちりやっていこうということです。これから5年、10年かけて、いま先生がおっしゃったような社会経済状況の違いの格差、あるいは事業場による格差、医療保険による格差も出していきたいと考えておりますので、その中でこれからやっていきたいと思っています。
○堀江委員 労働基準局でやっている調査で、労働者健康状況調査や安全衛生基本調査は規模別に出ており、「健康づくり活動をしていますか」という質問で調査されているものもあります。ですから、これはまさに労働基準局の分野でやっている健康づくり活動の調査だと思いますが、データはありますので、それを出していただければ十分表現できるのではないかと思います。
○辻委員長 わかりました。そういったこともこれからまた少し考えて、実際の運動を展開していく中でも、そういったところもたくさん出していければと思います。どうもありがとうございます。ほかにいかがですか。
○外山健康局長 事業者間とか労働のも重要で、別に否定することではないのですが、この法律に基づく健康増進事業実施者は多数あり、労働安全衛生法の規定による健康増進事業を行う事業者も、この健康増進事業を行う事業者に位置づけられて責任を負っているわけです。いまの先生のご意見はどのようにやるかは検討しますが、申し上げたいのは、健康寿命の延伸と健康格差の縮小は代表の目標として掲げてあって、今回は都道府県ということを前面に出したのは、法律で、国と同じように必ず義務として都道府県の健康増進計画を作らなければいけないことになっていますので、ここに並列に企業のことを書くのではなくて、委員長がおっしゃったような形で、その中の細部を構成するものとして検討させてもらいたいと思います。
○鈴木委員 いまの健康寿命の延伸ですが、これは国民生活基礎調査の基礎データを用いてサリバン法で計算するということで、それはそれで大変結構です。一方で、例えば高齢期の健康の場合に要介護状態の高齢者の割合減少を目標に掲げています。それは自然増加分を見込んだ上で、そこから2%の減少を目標とするということですが、両者の整合性というか、あるいは、現実には要介護認定がありますから、それを用いた健康寿命の算出方法もあると思います。確認ですが、その辺は特段整合性を持たなくてもよろしいのでしょうか。
○辻委員長 これについては、かなり初期のころに議論したかと思いますが、介護保険認定をイベントにした健康寿命ももちろんありますが、それだけだと高齢者だけに特化したすごく狭いものになってしまいますので、むしろそれより若い方々でも、日常生活に支障のある方もおられるということで、国民全体のライフステージに応じた広がりということを考えると、そちらへ持っていったほうがいいだろうということです。
もう1つは、主観的な健康度についても聞いており、若い人でもかなり「よくない」と答える方もおられます。ですから、その辺で国民的な広がりの中で、こちらにしようという話になったかなという気がします。
次に、別表第二の「主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防に関する目標」ということで、がん、循環器疾患、糖尿病がありますが、これについてはいかがですか。
○鈴木委員 循環器疾患でいちばん重要な「脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少」を目標とするというのは、大変結構だと思います。がんでは「75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少」となります。例えば脳血管疾患で、極端に言ってしまうと、100歳で脳卒中になっても死亡にカウントされてしまうことになります。人間何らかの原因で死んでしまいますので、その場合に循環器疾患も、いまさらですが、ある特定年齢までというか、そういった制限は考えなくてよろしいのかなという疑問です。
○岡村委員 ここには特に示していませんが、推計の範囲は当然区切っていて、脳血管疾患は40~89歳、虚血性心疾患は40~79歳で推計しています。実際はその範囲で死亡率を出せばいいのですが、40歳未満と90歳以上の影響はあまりないので、そういうことで推計はその範囲でやっており、数値は全体のほうで弾いて出しています。報告書には書いていると思います。
○辻委員長 津金先生、がんで何かありませんか。
○津金委員 がんのほうは、がん対策推進基本計画をそのまま横滑りにしているのでということです。
○辻委員長 まず津下先生からどうぞ。
○津下委員 循環器疾患の記述は死亡率で書かれていて、がんのほうは本来なら罹患率のほうがいいという記載がありますが、脳卒中についても、脳卒中は罹患がかなりソーシャルな問題もあるわけですので、出せないにしても「罹患率をきちんと把握することが望ましい」という記述を入れていただいたほうがいいかと思います。
○岡村委員 おっしゃるとおりです。実は報告書の原案のほうは、全国の発症数を地域登録から推計した数を載せていました。しかしさらに分量が1章分ぐらい増えそうだったので、今回は割愛されたのだろうと思います。発症率の減少が望ましいのは当然だろうと思っています。
○戸山委員 循環器と糖尿病で「メタボ予備群・メタボ該当者の減少」と書かれていますが、10年後は完全に今のメタボの診断基準でいくかどうかは、まだちょっと不安定なところがあるのではないかと思います。もし、そういう事例が出た場合にはそれに合わせるのか、あくまで現状値をもって10年後もそれでいくのかというのは、どんな形になるのですか。適宜考える形になるかもしれませんが、いかがでしょうか。
○岡村委員 ありがとうございます。メタボのところと特定健診のところは、循環器と糖尿病分野で重なっていて、今回の推計では私のほうでは触わっておりません。というのは、保険局で決める目標との整合性があるので、こちらで勝手に数値を弾けないということがあります。以前の特定健診等の目標のところとの整合性があり、この場だけでは判断できないかなと思います。
それから、循環器疾患の死亡率の減少については、実際に入っている高血圧、脂質異常症、喫煙を全部考慮すると、それらの影響を全部除いたあとのメタボは、死亡率への影響力はほとんどないことがデータ上わかっていますので、一応それは別枠にしているということです。要するにメタボの目標値は制度開始当初のままになっていて、今回のために推計し直したものではないということです。どうするかは、逆に行政的な判断が必要な部分かなと考えています。
○辻委員長 戸山先生、よろしいですか。
○戸山委員 あまりわからなかったのですが、でも、あり得ることで、前もあったかもしれませんし、今後、全体を通じても完全に10年後まで診断基準がこれで行くかどうかというのも、いくつか不安定もあると思います。それはそのときどきで判断しても結構だと思いますし、あくまで現状値をもって10年はそこの評価基準で押し通していくのかとか、いろいろあろうかと思います。
○辻委員長 それはたぶんケース・バイ・ケースでまた考えていかなければいけないと思います。
○工藤委員 先ほど年齢調整死亡の話が出たのですが、そのことでお伺いしたほうがいいかと思ったのです。COPDに関しては、1995年をピークに年齢調整死亡という形で出されているのは少し下がっています。これは中身をもう少し吟味しないと軽々な判断はできないと私自身は思っています。ただ、人口動態調査で出されてくる疾病ごとの年齢調整死亡は5年に1回です。もう少し小まめに出ないものだろうかと。5年に1回ですと、10年の間に2回しかないので、2ポイントとか何とかではわからないところがあって、そのトレンドをきちんと見るにはもう少し細かくできないだろうか。これはここで議論できるような話ではないのだろうと思いますが。
○辻委員長 ほかにご意見はありますか。
○池田委員 がんもそうですが、脳血管疾患、虚血性心疾患の死亡ではなくて、罹患のデータもあったほうが望ましいのではないかということで、ないからしょうがないということで話を伺っていました。例えばDPCのデータとかレセプトのデータなど、これは初回入院かどうかとか、病名の正確性などの問題があるかもしれませんが、入院症例に関しては一定の数は拾えるので、これは罹患の一定程度の代替的な変数として活用可能ではないかと個人的には思っています。罹患のデータはないと言い切るのか、そういったものを少し活用していこうという方向で考えていっていいのか、それとも保健局のデータはここでは使えないという前提なのか、その辺りを教えていただきたいと思います。そうすると、罹患の情報が多少把握できるかなと思います。
○津下委員 国のレベルでできるのかどうかというのはわかりませんが、142、143頁にあるように、例えば医療保険者単位とか都道府県単位という形ですと、国保連合会が持っているデータを分析することによって、初めて病名が挙がった人を把握するとか、そういうことはできます。
あとは介護認定で、初回の認定のときの原因疾患を拾うということで、どの年代にどういう病気が多いなどということは、自治体ベースでは把握可能ですが、国のレベルでやるのは、なかなか難しいかと思います。自治体レベルでは、そういうデータをきちんと見ながら対策を進めていくことが非常に大事で、罹患のデータをできるだけ拾っていけるようにすべきではないかと感じています。
○池田委員 特にDPCでは、患者の住所地が入っていると思いますので、こういったものに活用可能ではないかと思いますから、その方向でも今後検討いただければと思います。
もう1点、ちょっと細かいのですが、先ほどもしかしたら口頭でご説明いただていたのを私が聞き逃していたのかもしれません。資料3の40頁の脂質異常症の現状値・目標値があって、別表では13頁の(2)の循環器疾患の3がそうですが、先ほどのご説明では目標値に関しては、基本的には丸めて、「、」「0」は付けない、国民にわかりやすいからということで、そこは理解しましたが、40頁の脂質異常症の現状値が16%ということで、これも丸められているのか、あるいはこれが正しい数値なのかはわからないのですが、別表とやや違っていますので、ここはご説明いただいていたかどうかと思いまして。
○河野栄養・食育指導官 40頁が現状値は16ではなくて、16.4%です。資料1のほうが正しい形で、報告書のほうが記載ミスということになります。申し訳ございませんでした。
○池田委員 そうしますと、整合性を考えると、別表のほうはLDLコレステロールの値も。総コレステロールがないときにLDLを使うのでしたか。ということで両方の数値が別表にはあります。資料3のほうは本文上を読むと、そういう記載はあるのですが、目標のところは必ずしもそういった表には示されておらず、27頁の目標項目は、ますます記載が違っているので、揃えておかないと、いろいろ混乱があるのではないかと懸念しました。
○河野栄養・食育指導官 ご指摘ありがとうございました。おそらくこの点以外にも、細かい点は報告書のほうがまだ十分な確認作業を終わっておりませんので、基本的に今日お示しした資料1の表現が正しい形で、それにあわせて報告書のほうは整理されていくことになります。
○辻委員長 先ほどの池田先生のご意見は非常にいいご意見で、がんとか循環器疾患の罹患がどのぐらいわかるかということで、住民登録をきっちり全国的にやって、精度の高いがん登録あるいは循環器疾患登録で、罹患数・罹患率をきっちり測ることはもちろん理想ですが、それに到達できない現状において、代替資料としてDPCを使うとか、さまざまな健診データを使うとか、介護保険のデータを使うという形でやっていくべきだと思います。そういったことをもう少しデータを使いやすくする、あるいはちょっと工夫をして、そういう代替資料を作っていくことも、資料2の今後の調査研究の推進の中で必要かと思いますので、あとでそれを付け加えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。ほかにご意見はありますか。
○津金委員 やはり罹患の把握は将来的な問題で、DPCとかレセプトデータなどで罹患を把握するにはそれなりのきちんとしたことをやらなければいけませんので、例えばいまは利用できたとしても、年次推移を見られるかという意味においては、いまは時期尚早で、今後の課題だろうと思います。特にがんなどは罹患データとして、それなりのデータはありますが、年次推移として見る場合は、まだちょっと使えないということがあります。
それから、資料3の28頁の最後から3行目ですが、「がんで死亡する」ではなくて、「がんに罹患する」の誤りです。私のもともとの原稿がそうなっていたかどうかはわかりませんが、すみません。
○横山委員 資料1の14頁の4と5で、糖尿病の有病者の増加の抑制とメタボ該当者の減少と2つありますが、糖尿病有病者のほうは890万人から増加抑制をして10%増加ぐらいでとどめるというものです。一方5は、糖尿病とメタボはかなり重複しているところがあると思いますが、こちらは1,400万を25%減らすということで、片や10%増で、片や25%減らすということで、ちょっと乖離しているような気がしますが、ここのところはいかがですか。
○野田委員 先ほど岡村先生からご説明がありましたように、4と5は、循環器疾患及び糖尿病とはインディペンデントに目標が定められておりますので、その点をご勘案くださればと思います。
○堀江委員 循環器疾患ということで、特定健診の実施率という目標値が出ています。先ほどの小規模事業場の話と絡むのですが、労働安全衛生法では、一般健康診断というものが、かなり循環器疾患の予防をアウトカムに見据えながら項目が設定されており、実際にはここにある血圧、脂質代謝、腹囲まで、全部一般健診に入っている項目です。
小規模事業場が若干実施していない所があって、10~29人ぐらいの事業場ですと、実施率が8割台ですが、100人以上の事業場は100%になっています。ですから、トータルで毎年データはあると思いますが、データとして、かなり100に近づけるという目標を設定すれば、実質的には健康格差の縮小という方向に持っていける。目的としては循環器疾患の予防ということで、5に特定健診が入っていますが、労働基準局のやっている一般健康診断は、1人でも労働者がいればやらなければならないという義務が付いている健診ですが、実際には8割ぐらいしかやっていないという小規模事業場を引き上げるために全体の数値を上げて、目標設定も可能ではないかと思いました。
○辻委員長 わかりました。これについてはあとで検討させていただいて、まとめたいと思います。ほかにありますか。別表三の「社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標」ということで、こころの健康、次世代の健康、高齢者の健康とありますが、これについて、ご意見はありますか。
○池田委員 これも、もしかしたら先ほど口頭でご説明いただいたのを私が聞き逃しているのかもしれませんが、資料1の15頁の(3)の「高齢者の健康」の1の「要介護状態の高齢者の割合の減少」に関しては、平成32年の値を目標値として設定されるということで間違いないでしょうか。
○木村がん対策・健康増進課長 社会保障と税の一体改革で、政府の目標値として、目標が平成32年で1.9%というのが出されていますので、そちらに整合性を合わせるという観点から、ここは全体の流れではなく、より良い形で算出されています。
○池田委員 では、資料3の数値は全然関係ないということでよろしいですか。
○木村がん対策・健康増進課長 そうですね。資料3のほうは資料1に合わせていくという形で変えていきたいと思っています。
○津下委員 61頁に「K6合計得点」という記述があるのですが、具体的な項目と配点といいますか、それを載せておいていただけると広く使われやすいのではないかと思いますので、よろしくお願いします。
○辻委員長 そうですね。何か資料として、あとでくっつければいいですね。わかりました。別表三、こころの健康、次世代の健康、高齢者の健康といった辺りですけれども、ほかにどなたかありますか。
それでは別表四ですが、「健康を支え、守るための社会環境の整備に関する目標」ということで、地域のつながりの強化、健康づくりを目的とした活動に取り組んでいる国民の割合、企業数、健康づくりに関して身近で気軽に専門的な支援・相談を受けられる民間団体、健康格差対策に取り組む自治体の増加、そういった5項目になっていますが、これについて何かご意見はありますでしょうか。
○吉水委員 3の「健康づくりに関する活動の取組」なのですが、こちらは資料3の81頁と連動しているかと思うのです。「Smart Life Projectの参画企業数」ということで、これはもちろん増やすことは重要なのですが、ただ、参画した企業がそこに存在しているというだけでは意味がなくて、その参画した企業が従業員に対して、あるいは自社の製品とかサービスを通じて、これに参画している意味合いを社会に発信できなければ意味がないと思うのです。そういうことは資料3の147頁、「企業等多様な主体による自発的取組や連携の推進」のところで明文化されていますので、逆に言えば、Smart Life Project自体の認知が上がらないと、企業の側としてこれに参加する意味合いといいますか、モチベーションみたいなものがないのではないかと思うのです。そこは厚生労働省が主体となって、もっともっと認知を広げていって、このSmart Life Projectに参加しているという状態が、ある種お墨付きをもらって、企業の製品により自信が持てるとか、生活者のほうもより安心して使えるといった状況が重要ではないかと考えております。
○辻委員長 まさにそういうことですね。そういった形で、もう少しこのキャンペーンを広げていき、そしてまた参加している会社の関わりをもう少し明らかにしていくというわけですね。ほかにご意見はありますか。
○辻委員長 まさにそういうことですね。そういった形で、もう少しこのキャンペーンを広げていき、そしてまた参加している会社の関わりをもう少し明らかにしていくというわけですね。ほかにご意見はありますか。
○堀江委員 いまのところですが、私は全く不勉強で、このプロジェクトをよく理解しておりませんでした。現状420社ということなのですが、企業の数は何百万社もあるのですが、分母として何社のうちの何社ぐらいで、パーセントにすると何パーセントというイメージになるのでしょうか。
○辻委員長 それでは、Smart Life Projectは何かということも含めて、事務局から簡単にご説明いただけますか。
○菊地課長補佐 Smart Life Projectというのは、平成23年2月に事業を立ち上げたのですが、これまで「健やか国民運動」とか、その中で、よりターゲットを絞ってやりましょうと。なおかつ、企業との連携を今後進めていきましょうということで、ある意味、企業の自発的な取組にターゲットを当てて進めてきたプロジェクトです。これは実際にそういった健康づくり運動に取り組んでいきましょうという我々サイドから提示した趣旨に賛同する企業が、要は一定のフォーマットがありまして、そこに登録することになるのですが、そういった中で、1つは自社の製品を通じた健康づくり対策を進めるといった部分、あるいは自社の社員向けに福利厚生的なものも含めた健康づくりを進めると。この両面を、要は企業としていろいろな形で取り組んでいただく、あるいは対外的に情報発信していただくということで、ひいては国民の健康づくり運動につなげていこうというプロジェクトで進めています。
これは実際、立ち上がったのがそういったことで、1年ちょっとしか経っていないといった状況もありまして、いろいろ事業を進める中で約420社、500弱ぐらいの企業の登録をいただいています。実際の企業活動において、Smart Life Projectのロゴマークみたいなものがあるのですが、それを商品に掲示したり、特定のポスターなり、イベント的なものも開催したりといったことで、各地でそういったプロジェクトも進めながら取り組んできたという経緯があります。企業の数について、どのぐらい登録するのかということでは、立ち上がって間もないということもありまして、そういった中で一定の大手のカゴメさんとかいろいろな企業が取り組んでいるのが、だんだん世に出てきているという状況もありまして、これからどんどんそういった取組を強めて進めていきたいと考えております。
○辻委員長 よろしくお願いいたします。ほかにどなたかありますか。
○堀江委員 繰り返しになりますが、そうしますとこれは電力だろうが、鉄鋼だろうが、交通機関だろうが、どこでもこのプロジェクトは参加できるということですか。
○菊地課長補佐 はい、そのとおりです。
○堀江委員 関連して、(?)「国民の健康意識の向上や行動変容をサポートする情報発信の活動主体の増加」ということで、企業の参加、企業による健康づくりがどのぐらい進むかという指標になっているかと思うのです。実際にはこれは、労働基準局の労働者健康づくり調査の「健康づくりに取り組んでいますか」という質問で、調査が5年ごとに行われているものがありますので、そちらのほうが全国的に網が掛かっていて、既に経年的データもあるのです。ちなみに、手元にある平成19年のデータは45.2%になっていますが、この健康状況調査の数値をここに上げるのも1つの案ではないかと思いました。
○河野栄養・食育指導官 もともとのここの項目の趣旨が、自発的に取り組む企業の数を把握していくということになりますので、何か調査をかけて、母数に対しての率を上げていくということを目的としているものではなく、自発的にその企業が参画をする、そのことに対して登録を行い、その数を上げていくということで目標設定がされている経過がありますので、ご指摘の調査の把握とは、また目的が違ったものになるのではないかとも考えるのですが。
○堀江委員 いえ、こちらの調査も、職場外のスポーツクラブを利用している企業の率とか、職場体操を実施している企業の率とか、体力づくり等の研修を行っている企業の率といったものが把握できていますが、自主的な活動だと思います。
○尾?委員 たぶんこの項目の起こし方が違っていて、いま堀江先生がおっしゃるのは、企業の従業員主体型ですよね。これはおそらく考え方から見ると、社会貢献型の活動まで含めたものを考えているので、社会に向かって当該企業がどういう貢献ができて、エンドユーザーに対して、あるいは途中も含めて、広く社会に貢献していこうという発想で、たぶん作られているのです。ですから、要するに企業内の従業員に対する健康づくり運動とは少し意図が違うので、こういうまどろっこしい変な表現になっているのです。事務局、いかがでしょうか。
○辻委員長 ほかにどなたかいかがですか。
○津下委員 3点です。まず、(?)の「健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民」の中で、「社会生活基本調査」を使うということで、前回までは「国民健康栄養調査」に新たな項目を起こしてという話だったかと思っています。この社会生活基本調査で、健康や医療サービスに関連したボランティアというと、健診への協力とか、比較的、保健行政に直接関与しているような内容を限定して聞いていたのではないかと思いまして、今回の狙いの健康づくりという、地域で一緒にウォーキングをする会を運営したり、さまざまな活動を考えたときに、やや今回の参考値として挙げられているものは、限定的なニュアンスを含んでいるのではないかと思いますので、一度ご確認をいただければと思います。
○河野栄養・食育指導官 その点については、80頁に説明があります。今回、参考値としたものは、参考値で取り続けるという意味ではなく、現時点で参考値として載せていまして、それに対しては80頁の下から3行目から、「今後は」ということで、いま先生のご指摘のような趣旨で、「国民健康栄養調査」等で取り直して把握していくということについては、前回の考え方と変更はありません。
○津下委員 了解しました。次に(?)ですが、健康づくりに関して身近で相談ができる拠点づくりということで、栄養ケア・ステーションと薬局が例示であるのですが、例えば健康運動指導士が配置されている健康増進施設等も、身近に健康づくりを応援していただける施設だと思っていますので、そういうのも含んでいただいたらどうだろうと考えます。
(?)の健康格差に取り組む自治体については、冒頭に申し上げましたが、単にそれを調査として知っているだけではなくて、それに対して取組をどの段階まで行っているかという踏み込んだ聞き方をしていただいて、実際に健康格差是正のために具体的な現場に出向いての関わりや予算化した事業などの展開ということで、重点的な施策に取り組んでいるところを把握していただきたいと思います。もしこのまま出せば、「はい」と言って、全員○を付けてしまうような気がしています。
○辻委員長 これは非常に重要な話で、具体的に何をどうやるのかということを、良い事例のある県もあると聞いておりますし、そういったことを少しまとめて、どのようにすればいいのかという情報提供というのは、また別途考えていきたいと思いますので、その節はまたよろしくお願いします。ほかにありますか。
○堀江委員 どうも誤解ばかりしているようなのですが、どうしても健康格差というと小規模事業場のことが頭にありまして、別表四に社会環境の整備が入っていますが、ここで論じるのが正しいのであれば、基本的な考え方の所に小規模事業場とか非正規労働者という話を入れていただいて、いまその中の5「健康格差対策に取り組む自治体の増加」になっていますが、企業はどうしたらいいのだというところが何か受け止める項目があると、その気になるのではないかと思います。
○辻委員長 そうですね。少しその辺を書き込むように膨らませたいと思います。ほかにご意見はありますか。
別表五「栄養・食生活、身体活動・運動、休養、喫煙、飲酒及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標」ということで、資料1の17頁からになります。これについて、ご意見はありますでしょうか。
○池田委員 「栄養・食生活」の2のウの「野菜と果物の摂取量の増加」で、たぶん前回私が、果物摂取量100g未満を減らすというのは、タイトルに「果物の摂取量の増加」と書いてあるのに、少ない人を減らすという表現は、タイトルと合わないのではないだろうかと指摘をさせていただいたと思うのです。ここは要するに食べすぎもいけないからということかもしれませんが、そうするとタイトルも変えなくてはいけないような気もするので、タイトルがこのままだったら「100g以上食べる人を増やす」でいいような気もするのです。そこはこのままのほうがよろしいかどうか、ちょっとご検討いただければと思います。
○村山委員 果物の件ですが、考え方としては先生がご理解いただいているとおりです。ただ、目標の表記を、野菜は摂取量を増やすけれども果物は摂取量が少ない人を減らすとなると、複雑になるということがあり、「野菜と果物の増加」というほうが、わかりやすさという点を考慮するとよいのではないかと考えています。
○辻委員長 ほかにどなたか、ご質問、ご意見はありますでしょうか。
○山縣委員 喫煙のところですが、前にもちょっと発言して、なかなか指標が難しいということでこうなったのかもしれませんが、受動喫煙の家庭で、国民健康栄養調査の全体として、現状でいま10.7%で、それを3%にということなのですが、資料3の117頁の「今後必要となる対策」の第2パラグラフのいちばん最後にも、「さらに、小児等への受動喫煙防止対策の観点から、家庭での受動喫煙防止を普及啓発する必要がある」という、ここがもしもポイントであるならば、やはり未成年の子どもがいる家庭の喫煙率というか、そういうものを上げるほうがいいのではないかと思います。現状では、例えば3歳児の子どもをもつ家庭で喫煙している家庭の割合は、50%を超えている所がほとんどで、かなりこの数字がかけ離れているところが気になるところです。
○辻委員長 そうすると、データとして乳健のデータなどを使うと出せるかという話なのですか。
○山縣委員 はい。
○辻委員長 もう少しその辺をお願いします。
○山縣委員 乳幼児健診で喫煙の状況を調べさえすれば、ここでわかるということではあるのです。一方で、国民健康栄養調査の場合も、子どもがいる家庭というところに絞って、客体の数が少ないので、どのぐらい安定した数字が出るか、ちょっと分かりませんが、それでも数百世帯はあるのではないかと思うので、それではいけないのかと、そういうことでもあります。
○辻委員長 客体としてはかなり少ないかと思います。ただ、基本的には未成年の子どもがいようがいまいが、家庭での受動喫煙はなしにしたほうがいいので、それに向けて頑張っていきたいと思うのです。ほかに何かないでしょうか。
○津下委員 前回もご指摘させていただきましたが、難しいのかもしれませんが、教育機関、特に大学の敷地内禁煙とか、少なくとも医療系や教育系の学生が在職する大学については、特に教育機関の禁煙の目標値が掲げていなくてもいいのだろうかと思うのです。難しいのでしょうか。
○辻委員長 私は全くそうだと思うのです。ただ、現実にそういうデータがあまりないかと思うのですが、いかがですかね。先生、そういうのをご存じでいらっしゃいますか。
○津下委員 ちょっと調査をされたというのはどうかわかりません。禁煙の取組を熱心にやっている大学はあるのですが、現状値の把握ができていないこと自体も、ちょっと課題かと思ったりはするのですけれども。
○尾?委員 医科・歯科系の大学は、全数調査をやった人がいるのです。医学部、歯学部とその附属病院の喫煙状況を全部調査した人がいまして、そのおかげで逆に一気に喫煙が進んでしまったという例があります。ただ、建物内はやっている、敷地内だとか病院は駄目だけど別のキャンパスはいいとか、いろいろ複雑なデータがあるのですが、そういうデータは一応取った方がいらっしゃいます。
○辻委員長 とはいっても、これはあくまで調査研究でありまして、すべての大学を網羅しているわけではないわけですね。ですから、私は全く津下先生と同感なのですが、これもまた今後の課題として、省庁的にはたぶん文部科学省のマターになってくると思いますので、それも含めて今後やっていければと思います。戸山先生、どうぞ。
○戸山委員 喫煙と飲酒のところで、やはり未成年者がこれだけのパーセントいて、当然、目標ゼロで、やってはいけないことになっているわけですから、「健康日本21」で取り上げるものも必要かとは思いますが、別ルートで何か国としてもう1回アプローチするのもどうかという感じがいたします。ですから、それはちょっと検討いただけるといいかと私は思います。別ルートというのは、やはり未成年者の喫煙・飲酒はノーとなっているわけですから、この「健康日本21」でこれは下げますよ、ゼロですよというもの以外に、行政側で違うルートで何か策がないか。より強化というか、ちょっと言葉はきついかもしれませんが、それがどうなのかという感じはいつもいたします。
○辻委員長 例えばどういうことでしょう。現実にいま未成年喫煙防止法という法律があり、飲酒についても同様の法律があって、これはかなり厳しいかと思うのですが、それ以上のものということですか。
○戸山委員 海外に真似ろとは言いませんが、何かあってもいいかなという感じは、私は個人的に思っています。
○辻委員長 具体的にどういうものがあるのですか。
○戸山委員 どこまで罰するのかということになってくるかと思います。
○中村委員 未成年者の喫煙で言えば、研究班のデータですが、最近は中学生、高校生の喫煙率は、いずれも年々下がってきているわけです。その背景として、大人がタバコをやめているというトレンドが1つあるのと、身近な環境としての学校での敷地内禁煙が全国的に進んでいるということが関係していると思います。さらに、タバコの値段が日本はまだ安いですが、以前に比べては値段が上がってきたことも未成年者の喫煙の防止に役立っているわけで、法律をいくら強化しても、それだけでは効果があまり期待できないのではないかと思います。未成年者喫煙禁止法は、タバコを吸った本人というよりは、親権者や販売した人が罰せられるという法律ですので、法律でどんどん規制するというよりは、むしろ未成年者の喫煙防止に役に立つとわかっている政策を進めるほうが望ましいのではないかと思います。
○樋口委員 いま未成年者の飲酒の話が出ましたが、確かに喫煙と同じように経時的に行われている横断面の調査だと減ってきているということは確からしいですが、必ずしも理由が明確ではないということはあります。いまの話ですが、例えば未成年者の飲酒禁止法というのがありますが、飲んでいる人の割合からすると、未成年者はおそらく数万人とか数十万人という数で飲んでいると思うのですが、実際に1年間にそれで補導される人の数は本当に限られていて、高々3桁だと思うのです。ですから、法律はあっても、施行状況が必ずしも良くはないかもしれない。そのようなことも踏まえて、「健康日本21」の中に、例えば他省庁の協力を依頼するようなものがあってもいいのではないかと思います。
○辻委員長 樋口先生、私から1つ質問があるのですが、先生が作られた目標の中で、「他者の飲酒が原因で困った経験のない人の割合の増加」というのがありますが、これから全体的な修文もしていくわけなのですが、基本的に体に良いという生活習慣を実践している人、あるいはそれについては増やす、体に悪いとされているものはわりと減らす、という形のほうがクリアかと思うのです。これは例えば「困った経験のある人を減らす」というのでは駄目なのですか。
○樋口委員 いや、それでもよろしいと思います。それのほうがわかりやすいと思います。
○辻委員長 ほかにどなたかありますか。
○津下委員 禁煙対策では、タバコのコマーシャルはなくなりました。アルコールについては、女性のビールの宣伝とか、まだまだ多いかなと。最近タバコが減った分、アルコールのコマーシャルが増えたような気がするのですが、この辺りについて、WHOのほうでは一定の制限をかけているとは言われていると思いますが、日本ではますます増えているような気がするのです。それについて、何か書いておく必要はないのでしょうか。
○樋口委員 タバコの枠組み条約とは異なって、WHOの世界戦略の中にもマーケティングに関する政策のオプションというのがたくさん並んでいますが、それは国の実情に応じて適切にやっていくというような中身になっています。ですから、強制ではないのですが、津下先生がご指摘されたように、特に若い人をターゲットにしたような宣伝、女性などをターゲットにした宣伝もよく目にします。その辺りについてどのように書いていくのかというのはなかなか難しいのですが、中に入れておくことは必要なのかもしれないと思います。いまのところ日本の中で私が知る限り、宣伝に関して何か公的な所で規制というのは実は1つもなくて、メーカーの自主基準というのがあるのですが、それは必ずしも効果的でないということは世界的にも指摘されていますので、その辺りについても何か記載しておく必要があるかもしれないと思います。
○辻委員長 最後に歯と口腔の辺りは何かありますか。
○池田委員 都道府県の数の増加という目標になっているところが、4のアとイだと思うのですが、これはやはりパーセント表示のほうがわかりやすいのでしょうか。資料3でも、特にどの都道府県が悪い県だ、あるいはどこが良い県だというのは記載がないので、どこが頑張ればいいのかというのも、たぶんわからないと思うのです。パーセント表示のほうがいいのかどうかということと、資料に都道府県はどこが頑張らなくてはいけないのかということがあったほうがいいのかどうかということです。
それと関連して、前のところで申し訳ないのですが、16頁、別表三の5は「足腰に痛みのある高齢者の割合の減少」。これはパーセントでなくて1,000人当たり何人という記載になっていて、最後まで見てみると、多くのものはパーセントで統一されていますが、ここはそういう記載になっているので、ここは何か意味があるのかと、ちょっと思ったのです。歯に関しては都道府県の数なり、どこが問題だということが示されていなくていいのかどうかというのをちょっと思ったのです。
○尾?委員 実はもう当該都道府県は知っております。歯については、地域別で言うと、南九州、西九州、それから裏日本が概ね良くないのはわかっていまして、3歳児でも12歳児でも。予防管理などで介入すると変わるのですが、そのまま放っておくといつまでもブービー賞、あるいはブービーメーカーになります。それがわかっていますし、当事者もわかっていますので、いままで何もしてこなかったわけではないでしょうけれども、こういうことになれば、「うち悪いから手伝って」と、「ごめんなさい」を言えてしまうのではないかという思いもあります。
もう1つは、47しか都道府県はありませんので、先生がおっしゃるように数でもいいのではないかと思ったのですが、パーセントを全部揃えるために、こういうちょっとまどろっこしい表現にさせていただきました。あとは三浦先生、追加をお願いします。
○三浦委員 都道府県実数で出すことも考えたのですが、これは歯のほかの目標が全部パーセントになっていますので、整合性を図るためにパーセントにしたという理由ですので、実数で出すことも可能です。基本的には将来推計値から求めており、結果としては全く同じことになるので、この辺は書きぶりの統一性のところとの関連性になろうかと考えているところです。
○辻委員長 131頁を見ていただくと、図1で「12歳児の一人平均う歯数」があって、これが資料1の21頁のイに対応するものだと思うのです。これを見ると一目瞭然なのです。1を切っている所、左側がいいわけですね。ですから、わかるかと思うのです。私の希望としては、このようなグラフをほかにも出していただくと、都道府県としてはインパクトがあるのでいいのではないかということです。都道府県なので、47しかないので数字のほうがわかりやすいのかな。例えば47都道府県で12.8%と書かれると、いくつだろうと一瞬悩んでしまうのです。たぶん8か7だと思うのですが、ぽんと言ってくださったほうがインパクトがあるかと。それを50%ですから23だとすると、このぐらい増やすのだなと、すごくわかりやすいかと思うのですが、いかがでしょうか。
○鈴木委員 高齢者の中で、口腔機能は非常に重要度が認識されてきていると思うのです。「口腔機能の維持・向上」というのは、ここでは「60歳代における咀嚼良好者の増加」ということで、これはこれで全く異存はないのですが、たたき台を見ると、70代になると一気に50%台に落ちていくということもありますし、実際に70代で確かに口腔・咀嚼・嚥下の機能が衰えていく人というのは、私どもの高齢者の健診から見ても急速に増えているのです。ご存じのように、これが誤嚥性の肺炎につながっていくわけですので、折角データとして出ていますので、例えば60代だけではなくて、70代も置いたほうがよろしいのではないか。現在59%ですが、これを70%以上にするとか、ここの間に大きな格差があるように見えるのですが、いかがでしょうか。
○三浦委員 ご意見、どうもありがとうございます。実は目標値を策定するときに、70歳以上のところにも目標値を策定しようかというアイディアはありました。ただ、70代以上になって大きく下がる主な理由は、歯を喪失してしまうということがありますが、歯の喪失防止の目標で80歳をフォローしております。あと、全体の枠の中で、あまり項目数も増やせないという制約もあり、60歳ですとまだまだ何か対策として入れて、改善が期待できる機能においてもポジティブに働きかけることができるのではないかということで、国民健康づくり運動プランの趣旨には60歳代のほうが合っているのかと考え、ここでは60歳代をとったということです。○羽鳥委員 前回の委員会でも話しましたが、この委員会の中に耳鼻科、眼科の先生がいらっしゃらないのでテーマに出てこないのでは? と思うのですが、歯・口腔の健康に高齢者の嚥下機能低下の様々な問題提起があってもいいかと思うのです。COPDとか肺炎の話もあるのですが、高齢者や脳血管障害後の麻痺のある人の嚥下機能低下による誤嚥性肺炎による寝たきりや身体機能低下の要件だと思いますので、健康寿命の延伸のためにも入れてほしいキーワードではないでしょうか?
○三浦委員 ご意見、ありがとうございます。以前の会議でも工藤先生から同様のご意見をいただいたところで、スペースが許すならばそちらの項目も是非入れたいところではありますが、残念ながら使えるデータソースがまだきれいに揃っていないというところがいちばん大きい理由です。しかし、誤嚥性肺炎に対するアプローチは介護予防においても非常に重要なファクターですので、この報告書の最後の「今後必要となる対策」の項で、摂食・嚥下と誤嚥性肺炎のアプローチについて加筆をしたいと考えています。目標値としてはいろいろな制約もありますので掲げることはできないのですが、書きぶりとして追加をさせていただきたいと思います。
○羽鳥委員 つぎに、専門的な支援についてです。81頁、先ほどの「地域のつながりの強化」の(?)です。「健康づくりに関して身近で気軽に専門的な支援・相談」ということで、ここで医療機関が全然出ていないのがちょっと寂しいと思います。もちろん栄養ケア・ステーションも薬局も大事だと思いますが、医療機関も当然やっているわけです。例えば糖尿病教室などを糖尿病家族の人、疾病のない健康な人たちに市民公開講座や公民館、自分の診療所、病院で定期的に開催している先生もいらっしゃるわけですが、地域に向かって疾病予防を発信しているので、「専門的な支援」という言葉が入ってくる以上は、歯科の先生たちもそうだと思いますが、口腔ケアの話もそうだと思いますが、医療機関を入れてほしいと思います。医療機関の中には当然、健診機関、それから保健所も入ってくると思いますので、例えば健診機関ですと、栄養士もいらっしゃるし、運動士もいらして、一生懸命やっているわけです。医療機関ですと、禁煙外来ですが、無料で禁煙の支援をしている所もあるので、そういう意味で、もし「専門的な支援」という言葉が入ってくるのだったら「医療機関」も支援を行っていますので考慮してほしいと思います。
○河野栄養・食育指導官 いまの点に関して、薬局のほうもすべての薬局をここでカウントするということではなくて、日本薬剤師会のほうで地域の健康課題に応じた取組をしているということで、いくつかの要件を設定されて、そこでカウントした薬局の数が、今回データソースのところで民間団体からの報告となっておりますので、医療機関についても、いま先生がおっしゃっていただいたような医療機関を、別途関係団体のほうでカウントをするということの仕組みをもって、ここに登録をということであれば、それは可能かと思います。
○羽鳥委員 わかりました。医師会やそれぞれの学会などに伺ってみますが、可能であれば載せてほしいと思います。
○堀江委員 いまのところで、先ほど言おうかどうか迷ったのですが、産業保健ですと、自分の会社の労働者向けの対策はここには書かないのだということだったのですが、例えば小規模事業場について、日本医師会は地域産業保健センターを国の助成金を得て設置して、地域の小規模事業場向けの相談事業をやっています。こういったものも、ここに何か入れられるのであれば入れていただくと、やる気が出るのではないかと思いました。
○辻委員長 わかりました。少しその辺の記述を工夫したいと思います。
○西委員 「身体活動・運動」のところで教えていただきたいのです。国民健康・栄養調査のデータを基にしているのですが、今回、歩数と運動習慣者の割合が、20~64歳と65歳以上に分けて示されています。歩数は20~64歳のほうが数字が大きくて、運動習慣者の割合は65歳以上のほうが数字が大きいということで、歩数と運動習慣者の割合で、年齢別の数字の大小関係が逆になっています。手軽にできる運動は歩数の増加ではないかと思うのですが、65歳以上について運動習慣者の割合の目標が男性58%と女性48%だとすると、歩数の目標は男性7,000歩と女性6,000歩ではなく、もう少し高めに設定して、歩数を増加させることによって運動習慣者の割合を増加させるという考え方はできないのかと思うのですが。
○宮地委員 ただいまのご指摘に関してですが、資料3の101頁に2つの図が載っています。歩数に関しては、これは10歳区分ですので、65歳からというデータはここには載っておりませんが、見ていただくとわかりますように、歩数に関しては70歳代から急速に減っている。運動習慣を見ていただくと、60代、70代が若者よりも多いということで、その実情に応じて65歳で分けた目標を定めております。
歩くということは高齢者にとっても非常に良い健康づくりの方法なので、西先生のおっしゃるとおり、高齢者でもっと積極的に歩数を増やすことは必要です。もう少し言えば、高齢者にとっては余暇時間に、例えば介護の世話にならないようにという目的を持って歩くということは、そのことが運動でもありますので、歩くという運動に取り組めば歩数の増加にもつながるわけです。
基本的には、例えば家から出ないけれども、家でテレビを見ながら軽い体操をするとか、あまり歩かないけれども、庭でお花を植えたりするとか、そういった余暇活動を増やすということでも高齢者はいいわけです。なので、それぞれの今の実情に応じて目標の設定をしておりますので、もし運動習慣が増えれば、高齢者の歩数が増えるということに結び付きますから、現状でお示しているような目標設定にしているという理解をしていただければありがたいと思います。
○辻委員長 次に資料3の140頁です。参考1として、「定期的にモニタリングを行う目標」ということが書いてあります。また、141頁で参考2として、「地方自治体が活用可能な指標」ということで、次の頁、142頁、143頁で例として掲げてあります。これをざっとご覧になって、このようなものでよろしいかどうか。
○宮地委員 142頁、143頁の一覧表ですが、「身体活動・運動」の項目が挙がっておりません。身体活動・運動に関しては、特定健診・保健指導の標準的な質問票で、3つの身体活動・運動の項目を挙げております。ただし、その項目は特定健診において必須項目でなく、保険者が任意で身体活動や食事の状況を把握しなさいということで設定されているものですから、すべての特定健診の場で行われるものでないことは重々承知をしております。とはいえ、国保などはほぼ全数やっておりますので、もし差し支えないようでしたら市町村が利用可能な指標ということで、身体活動に関しては「1日1時間程度の歩行、もしくはそれと同等の活動をやっている」、「はい、いいえ」。運動習慣に関しては、「週1時間程度の運動を行っている」、「はい、いいえ」。この質問を使っていただければ、ほぼ歩数の増加、あるいは運動習慣者の増加を把握することができますので、是非ご考慮いただければと思います。
○辻委員長 基本的には、特定健診については必須項目だけを掲げてみたのです。そうすると、ここに書いていないからしなくていいのだという誤解をされるおそれもありますので、可能なところではやっていただきたいみたいなことを注釈で付けるような形でいきたいと思います。ほかにありますか。
○津下委員 同じなのですが、睡眠が十分にとれている人の割合とか、飲酒の頻度・量も、標準問診の中には入っています。この実施率を高めて、より活用しやすくするという目的も含めて、これらの項目を入れていただければと思います。
○宮地委員 いまの追加でもあるわけですが、標準的な質問票をより多くの所に、必須ではないけれどもやっていただくというプロモーションをかけるという意味でも、より多くの項目を挙げていただければありがたいと思います。
○尾?委員 3歳時のう蝕データしか入っていませんが、12歳児のう蝕データは必ず全市町村が持っています。学校保健統計で必ず報告することになっていますので、それは絶対とれます。それから、健康増進法に基づく歯周疾患検診をやっていますと、歯の本数と歯周病の進行状況をとっておりますので、やっている市町村は現在50%ぐらいありますので、それも書かれたほうがほとんどのデータをモニタリングできると思います。
○岡村委員 高血圧と脂質異常症のところですが、わざわざ「服薬中+140/90?Hg」となっているのですが、服薬は考慮する場合としない場合の両方があっていいので、これだと服薬を開始したらもう高血圧が増えたという状況になってしまいます。むしろ必要なときに服薬しないほうがよほど怖いので、「服薬中」というのは取って、例えば高血圧だと140/90以上、もしLDLだと160以上にして、服薬は入れる集計と入れない集計の両方があっていいだろうと思います。
○辻委員長 ということでお願いします。ほかにありますか。次の第5章の辺りで何かありますか。既に十分議論してきた部分もありますが、これも含めて全体を通して何かご意見をいただければと思います。
○中村委員 先ほど樋口先生からご意見があったのですが、アクションプランに関係してのコメントです。今回それぞれ分野の各論の中で、最後の所に「今後必要となる対策」ということで、大きな方向性は書かれているのですが、果たしてこれを都道府県に下ろした場合に、実効性のある計画が立てられるのか心配でコメントさせていただきます。都道府県ではそれぞれの府県の実態に合わせて目標設定を立てて、その目標達成のために何をするか。それがアクションプランなわけですが、アクションプランについても計画の中に盛り込んで、その進捗をモニタリングをしていくということになるかと思います。
都道府県によって、何か重点化して取り組むところもあれば、今回の国の示されたものに大体項目すべてにわたっての計画を立てていくという都道府県もあるかと思います。
今回モニタリングの方法として、国として立てた目標については、府県、自治体で、こういう項目についてはこういうデータを使えば、データがすぐ得られますということを示したのは、前回よりは少し親切になったかと思うのです。さらにアクションプランについても、それぞれの分野で特にお勧めの対策は何なのか。分野によっては、エビデンスがないものもまだいろいろあるので、その場合はエビデンスレベルとしては専門家の意見という形で、こういう対策がいいのではないかということを示すのがよいのではないかと考えます。その作業をこの委員会のタイトなスケジュールの中ではできなかったので、それについてはどうするのか。辻先生のご意見をお聞かせいただいて、検討できればいいかと。私としては、担当したタバコの分野で自治体の計画・実践を支援するようなものを示していきたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
○辻委員長 私も全く同感ですね。ただ、それがこの委員会のミッションになるかどうかはまた別の話だと思うのですが、この委員会としては目標値を作って、この成果物だったわけですが、具体的に地方にどうやって推進していくか、あるいは具体的な推進方策をどうするかということについては、この委員会としてはこれで終わると思うのですが、私個人としては、そういったことを改めてやっていただきたいということを、厚生労働省にはお願いしたいという気持です。おそらく皆さんもそうだと思うのですけれども。
○外山健康局長 最後のまとめのときに、資料1と資料3の性格について言おうと思っていたのですが、資料1については、最終的に部会のほうから答申を受けて、厚生労働大臣が告示します。その際には関係省庁というか、全省庁だと思いますが、協議を行って、厚生労働大臣として告示する。それを、各都道府県の計画を作る際に基本的方針として見るので、それは単なる国民運動としてだけではなくて、総合的な施策として言ってもいいものですから、もしそこに何かこういうようにやったほうがいいということを書けるものなら、当然書いてもらってもいいのですが、一方で健康増進法の世界では、都道府県がそういった施策を行う際には、国は計画を支援するために必要な予算措置をしなければいけない。こういう構図がありまして、一方でそれを実現するのは、厚生労働省であれば全部局を挙げてやるという話になっておりますので、単にタバコであるとか特定の分野だけではなくて、全体の施策を通じて実現すると。理論的には雇・児局とか老健局であるとかいう話になるものですから、観念的には良い施策を全部出すというのはあり得ても、今回の告示の中で全施策を記載することはなかなか実質的には難しいのではないかと思っているのです。
一方、資料3なのですが、これについてはまた親の部会長と相談しなければいけないのですが、これは答申という形ではなくて、これが例えば専門委員会から親の部会に提言されたときに、部会のほうに諮って決めるのは、ちょっと断定できませんが、厚生労働省に対する意見具申みたいな形になるのか、それとも部会及び専門委員会のクレジットだけで世に出して、我々は結構こっちのほうが良いことが書いてある場合もあるものですから、有用に使えるようにという形で、都道府県とか町村、世間に流布するという形だけれども、いまのところ行政の責任の文書でないという形になろうかと思っています。
そういったことで、いまいろいろ意見を平等にいただいているのですが、そうではなくて、資料1のほうはこれを踏襲できれば、できるだけそれを尊重しながら、しかし最後出ていくのはクレジットは厚生労働大臣という形で出ていきますし、もうちょっといろいろなことで確定していなくても、アドバイスいただけるものはおそらく資料3だと思います。ですから、これについては書けるものだったら、書いていただいても結構ですし、ただそれが、例えばライフステージごとのすべての政策について、ここが責任を負って、良い施策はこれだという形まで、最初からこのミッションで求めているものではないのです。それはちょっと不可能だと思います。
○辻委員長 そういうこともありますが、だいぶ時間になりましたので。
○野田委員 戻りますが、142頁の別表の糖尿病のところなのですが、治療継続者の割合については、目標のほうでは、国民健康・栄養調査で「医療機関や健診で糖尿病と言われたことがある」人なのですが、統計例では「HbA1c6.1%以上の者のうち治療中と回答した者」になっているのは、これは特定健診だからということなのでしょうか、1つはそれを確認させていただきたいということと、細かいことですが、一応JDSというのが必要だろうという、この2点です。
○津下委員 先生がおっしゃったのは、地域で活用できるものということで、これを例で挙げたのは、提案させていただいたのですが、一定の基準でどうやって見ていくのかという目安になるような指標を例示として挙げたほうがわかりやすいのかということで。だから、ベースが特定健診になってしまうということはあるのですが、未治療者でデータが悪い人。これは6.1にするのか7.0にするのかと、いろいろな考え方はあると思いますが、何かの一定の基準で他の市町村と比較ができるようなものはどうでしょうということで、例示でご提案させていただいたものです。ですから、JDS6.1でNGSP6.5なのですけれども。
○野田委員 わかりました。特定健診での例ということで、了解しました。ありがとうございます。
○辻委員長 時間になりましたので、まとめさせていただきたいと思います。次期国民健康づくり運動プランの素案については、今回の検討委員会でたくさん修正意見をいただきましたので、それを踏まえて一部修文させていただき、専門委員会としての議論はこれで終了して、部会に諮らせていただきたいと思います。文言の修正については、委員長たる私にご一任いただきたいということで、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○辻委員長 ありがとうございます。資料3の報告書についても、本日多くのご意見をいただきましたので、これも必要な箇所については事務局において修正の上、部会に諮らせていただきたいと思います。本日欠席の方もいらっしゃいますし、まだご意見を出し切っていないという方もいらっしゃると思いますので、個別に修正すべき点がありましたら、4月20日(金)までに事務局にご連絡いただきたいと思います。それを含めて、最終的な文言の修正については、委員長たる私にご一任いただくという形で、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○辻委員長 ありがとうございます。この策定専門委員会も今回で最後となりますので、局長から一言いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○外山健康局長 昨年の11月の第1回の専門委員会から今日に至るまで、5カ月間、先生方におかれましてはご多忙中のところ、第4次の国民健康づくり運動プランの策定に向けた歴史的な議論にご尽力いただきまして、誠にありがとうございました。各方面で第一線で研究されている先生方の専門的なご意見、知見、ご指導によりまして、「健康寿命の延伸」のみならず、初めて、「健康格差の縮小」といった新しい施策目標の設定など、新たな国民運動の道筋が今後10年間、あるいはさらには超高齢化社会を視野に入れながら明らかになったということで、ありがとうございました。
先ほど申し上げましたように、今回は、前回の局長通知ではなくて、大臣告示にして、さらに全省庁挙げて協議して、ちゃんと形のあるものにしていきたいと思っております。さらに、先ほど好きなことを申し上げましたが、資料3というのは非常に意味のある報告書だと思っており、こういったことについても今回の特徴ではないかと思っておりまして、これが良いようになるように、また、いろいろ勉強させてもらいたいと思っております。
これは、国民運動だというわけですが、運動は一面でありまして、先ほど申し上げましたように各都道府県、市町村、それから全部局挙げて、施策という形で、さらには今後、予算編成に向けて、きちんと金も付けながら、できる限りやっていきたいと思っております。一方で、また運動だということでありまして、いろいろなメディア戦略もいただきましたので、全部応えられるかどうかわかりませんが、いただいた意見については全部逐次チェックして、1つでも実現したいと思っております。本当にありがとうございました。
○辻委員長 今後のスケジュールについて、事務局からご説明をお願いします。
○木村がん対策・健康増進課長 本日いただきましたご意見を踏まえて、次期国民健康づくり運動プランの素案及び報告書案を修正して、委員長におまとめいただき、専門委員会としてまとめたものについては、5月末から6月上旬ごろに開始予定である地域保健健康増進栄養部会でご審議させていただきたいと考えているところです。また、次期国民健康づくり運動プランの素案については、速やかにパブリックコメントに付しまして、広く国民の方々に意見を聞くとともに、関係省庁とも調整を開始させていただきたいと考えているところです。事務局からは以上です。
○辻委員長 専門委員会として次期国民健康づくり運動プランの内容についてご議論いただくのは、今回で最後になります。皆さん、お忙しいところ貴重なご意見をいただきまして、本当にどうもありがとうございました。もう1つ、委員の皆様におかれましては、先ほど局長からも、この報告書は素晴らしいというお言葉をいただきましたが、この報告書の完成版につきまして、引き続きご指導いただきたいと思います。以上です。
本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。
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