第2回社会保障分野サブワーキンググループ及び医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会の合同開催議事録

政策統括官付情報化担当参事官室

日時

平成24年4月26日10:00~12:00

場所

厚生労働省 専用15・16会議室

出席者

構成員
 石川広己構成員
 稲垣恵正構成員
 岩渕勝好構成員
 宇賀克也構成員
 大道久構成員
 大山永昭構成員
 小田利郎構成員
 小森直之構成員
 金子郁容座長
 後藤省二構成員
 佐藤慶浩構成員
 鈴木正朝構成員
 高橋紘士構成員
 寺野彰構成員
 冨山雅史構成員
 樋口範雄座長
 松本泰構成員
 山口育子構成員
 山本隆一構成員
 
事務局等
 西村情報政策担当参事官
 須田政策企画官

議題

1.開会
 挨拶
2.議事
(1)論点についての議論
(2)その他
3.閉会

配付資料

資料1 医療等情報個別法の検討にあたっての論点案(イメージ)
資料2 論点2(個別法の法的枠組みについてどのように考えるか)について
資料3 山口構成員提出資料
参考資料1 「医療における個人情報保護」(樋口範雄著)
参考資料2 「医療基本法」の制定に向けた具体的提言(日本医師会)
参考資料3 都立病院の患者権利章典(東京都衛生局)
参考資料4 米国がん協会 患者の権利章典(事務局仮訳)
参考資料5 米国病院協会 患者の権利章典(事務局仮訳)
参考資料6 米国医師会 医師倫理規定(事務局仮訳)

議事

議事内容
○事務局 それでは、定刻になりましたので、「社会保障分野サブワーキンググループ」及び「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」の合同開催、第2回目を開会させていただきます。
構成員の皆様におかれましては、御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
まず、先に配布資料の御確認をさせていただきます。
一番上から議事次第でございます。
資料1「医療等情報個別法の検討にあたっての論点案(イメージ)」
資料2「論点2(個別法の法的枠組みについてどのように考えるか)について」
資料3「山口構成員からの提出資料」
参考資料1「医療における個人情報保護」ということで、こちらは樋口座長の論文の方をお配りさせていただいております。
参考資料2「『医療基本法』の制定に向けた具体的提言」日本医師会作成のものでございます。
参考資料3「都立病院の患者権利章典」
参考資料4「米国がん協会 患者の権利章典」
参考資料5「米国病院協会 患者の権利章典」
参考資料6「米国医師会 医師倫理規定」ということで、参考資料の4から6につきましては事務局の仮訳でございます。
以上でございますが、資料の未配布など不備がございましたら、事務局までお伝えいただきますようよろしくお願いいたします。
なお、本日は、駒村構成員、高山構成員、福井構成員から欠席の御連絡をいただいております。
それでは、ここからの議事につきましては、樋口座長にお願いをいたします。
○樋口座長 おはようございます。
それでは、第2回ということで、先回第1回は一種フリートーキングということで、それを済ませて、今日から実質的には論点を当たっていきたいということであります。
議事次第には、ここで議事「(1)論点についての議論」、これだと何でもということですね。しかし、先回のを何度も繰り返していっても集約はできないということなので、この後、すぐに事務局の方で説明していただきますけれども、一体この検討会ではどこまでが期待されているのかということを、もっとはっきり今日は言っていただけると思います。
それで、その期待に我々が答えられるかとか、いやいや、もっとやろうよ、いやいや、それはちょっと違うんだと、そういう話は後であっていいと思いますけれども、可能であれば事務局が用意した論点のうち、その1と2というような話のところを中心に、それで3以降のことの方がむしろ重要だという話は絶対あるのですけれども、それは次回の楽しみにみんな取っておこうというような事をまず確認しておきたいと思います。
そのためにまず2つですが、この「論点についての議論」というので、どういう論点があるかということをまず事務局の方で考えたことということなので、別に拘束はされませんが、一応それをまず、たたき台というのでしょうか。何か人をたたくようでいかぬけれども、草案として提示していただく、簡単に説明していただく。
その後、座長で余りこうやっていっぱいしゃべるのはいかぬと言いながらですが、もう歳を取ってやめられないわけだから、後ではっきり言いますけれども、これは何のためにやるのかというと、パブリックヘルスのためだと思っているんです。みんなの健康、患者の健康、国民の健康のための情報法というのを我々がつくろうじゃないか。我々がつくるというとちょっとおこがましいか、そのお手伝いをしようではないかと。
そうすると、やはり医療を中心としていますから、勿論、介護のことも忘れてはいかぬと高橋先生からも常に言われていますから、介護の場合は患者と言わないで利用者かもしれないけれども、患者や利用者の視点というのがやはり大事なので、それを代表しているのはこの会議の中で、本当はある意味でみんなが代表しているのですが一番率直にすぐ語ってくれるのは山口さんということなので、山口さんの話からまずスタートして、その上で、この論点の整理の仕方で今日1と2をやることについてどうでしょうか、という話をしたいと思います。
では、事務局からお願いいたします。
○事務局 それでは、事務局提出資料について御説明いたします。
まず資料1「医療等情報個別法の検討にあたっての論点案(イメージ)」ということで、こちらは第1回の会議に出させていただいた論点案について、その論点の関係でございますとか、その全体像についてイメージ図で表したものでございます。
「【論点1】医療等情報個別法の必要性についてどのように考えるか」でございます。
この点につきましては、第1回の会議で基本的には御議論いただきまして、現在、政府で検討している社会保障・税番号制度、そして、国会に提出されていますマイナンバー法案におきましては、医療機関間の連携でございますとか、医学研究等というのが対象になっていないところでございますけれども、そういった医療等の分野での情報の利活用を進めるといった上で、当然その取り扱う情報のプライバシー性の高さにも配慮したような特段措置も必要だということで、これらを踏まえるとその医療等の分野での情報の利活用と保護のための法制が必要であるということにつきましては、おおむね前回の会議で一致した御見解が得られたのではないかと考えているところでございます。
それを踏まえまして、【論点2】以降、本日以降の検討会で御議論いただきたいと考えておりますが、今回は「【論点2】医療等情報個別法の法的枠組みについてどのように考えるか」について御議論いただきたいと考えております。
イメージ図の左側に「医療等サービスを受ける側(患者等)」、そして右側に「医療等のサービス提供側(医療機関等)」ということでそれぞれ箱を置いております。
左側の「医療等サービスを受ける側(患者等)」の下に、「患者等の権利と責務(医療等情報を考えるにあたり必要となるものを中心に)」ということで書いておりますけれども、その医療等の分野で、その情報がどのように取り扱われるべきかいうことについて御議論いただく出発点としまして、まずそのサービスを受ける患者等がどのようなことを期待しているのか、期待できるのか、そして一方でどのような責務があるのかという事を踏まえまして、医療等の情報がどのように取り扱われるべきかという個別法の基本理念となるようなものについて、本日は御議論いただきたいと考えておりまして、それを踏まえて、具体的にそういった期待に応えるために医療機関なりのそのサービス提供側にどういった義務を課していくのかということについては、次回以降、具体的に御議論いただきたいと考えております。
また、その「患者等の権利と責務」の下に「患者等の自己の情報を保護(秘匿)される権利、自己の情報に関して開示・訂正・削除を請求する権利の確保」ということで書いておりますが、特にその現下のIT化、ネットワーク化、情報化でございますとか、現在の番号制度の検討ということを踏まえまして、そういった患者等のその情報に関する権利ということを確保するために、一体どういうような環境整備が必要となるのかということについても本日御議論いただきたいと考えております。
次回以降の論点にはなりますけれども、右側ですが、そういった基本理念を踏まえた具体的な仕組みとしまして、「情報の取得と利活用」ということで【論点3】でございますけれども、医療等の分野における効率的で安全に情報を取得し利活用することを可能にする法的な仕組み、または技術的仕組みといったものはどのようなものか。
そして、その下でございますけれども、【論点4】としまして、プライバシー性の高い情報を取り扱う医療等の分野における罰則の在り方、そして一方で、そのサービスの提供側が情報の利活用に委縮しないための仕組みというのはどのようなものかということについて、【論点4】として御議論いただきたいと考えております。
ページの左下ですけれども、【論点5】でございますが、そういった御議論も踏まえた上で、個別法の位置づけということで、個人情報保護法制の全体の中での位置づけでございますとか、マイナンバー法案との関係、適用範囲でございますけれども、右側に書いているような義務をかけるような対処の範囲でございます。そして、その履行確保について、どのような仕組みを設けることが必要かということについて御議論いただきたいと考えておりまして、これが事務局で考える論点のその全体のイメージでございます。
本日はその論点についてということでございますけれども、資料2「論点2(個別法の法的枠組みについてどのように考えるか)について」ということで、「1 医療等情報の利活用と保護のあり方を考える上での基本理念」ということでございます。
検討事項としまして、患者等の権利、サービス提供側が負うべき義務、患者等が権利を主張する上で負うべき責務はどのようなものか、医療等の情報の検討に必要なものを中心にということで書いておりますけれども、ここでは何が権利で何が責務かを決めるというよりは、そういった議論も踏まえた上で医療等の情報がどのような取り扱われるべきかという個別法の基本理念となるようなものを御議論いただければと考えております。
「2 基本的な考え方」でございます。医療等の情報の利活用と保護に関する法制を目指すこととしておりますけれども、その具体的な規定の在り方について議論するに当たっては、その法制で目指すべき基本理念を明らかにすることが必要であると考えております。
その際、その医療等のサービスというのは、患者側とサービス提供側の信頼関係に基づいて、その患者等のために行われるものでございますので、まずはその患者等がどういったことを期待しているのか、どういったことを権利として確保されるべきなのかを検討することが必要であろうと考えておりまして、そういった観点から、医療等の情報の検討に必要なものを中心に御議論いただければと考えております。
そういった医療等の情報がどのように取り扱われるべきかという基本理念を明らかにした上で、次回以降、サービス提供側が負うべき具体的な義務を定める。そういった法的枠組みにしてはどうかというふうに考えております。
「3 患者等の権利と果たすべき責務」でございます。患者等がどのようなことを期待しているのか、どのような責務を負っていると考えられるのかということにつきましては、これまでもさまざまな団体等から御提言がなされているところでございます。
今回は日本医師会、都立病院、そして米国の幾つかの例を中心に、主な内容というのを大別してみました。
「患者等の権利」でございます。まず「1 医療等の提供に関するもの」でございます。例えば、だれでも、どのような病気にかかった場合でも、良質な医療を公平に受ける権利でございますとか、質の高い医療を提供する医療提供者を選ぶ権利などがこれに当たるとして挙げられているところでございます。
2ページ目「2 差別や不当な取扱いの防止に関するもの」でございます。具体的には、配慮ある治療を受け、差別を受けない権利でございますとか、苦情の申し立てをする権利などが挙げられております。
「3 医療等の情報、プライバシー保護に関するもの」でございます。病気、検査、治療などについて、理解しやすい言葉や方法で、十分な説明と情報を受ける権利。また、十分な説明と情報提供を受けた上で、治療方法などを自らの意思で決定する権利。そして、診療の過程で得られた個人情報の秘密が守られ、病院内での私的な生活を可能な限り乱されない、他人にさらされず乱されない権利、自分の診療記録の開示を求める権利。その記録が正しくない場合、完全でない場合にその修正を求める権利などが指摘されているところでございます。
一方「患者等の責務」に関しましては、「1 医療等の提供に関するもの」としまして、治療計画に協力し、合意された約束を守る責務でありますとか、自分の健康を改善しやすいライフスタイルをとる責務でありますとか、すべての患者が適切な医療を受けられるようにするために、他の患者や職員に対して配慮をするという責務などが挙げられているところでございます。
「2 費用に関するもの」でございまして、医療費を支払う責務。
「3 情報に関するもの」でございますが、医師を始めとする提供側に対して、自らの健康に関する情報をできるだけ正確に伝えるという責務。そして、納得できる医療を受けるというために、患者側も医療に関する説明を受けてもわからなかった部分については、質問をするというような責務などがこれまで提言されてきたところでございます。
「4 個別法の基本理念に関する考え方」でございます。以上のような御紹介をしているのは、患者等が期待できるようなものとして挙げられて権利でございますとか、一方で果たすべきと考えられる責務を踏まえますと、今回の法律は情報に関する法律でございますので、その医療等の情報がどのように取り扱われるべきかという法の基本理念としまして、例えば以下のような事項について、どのように考えるかということで御議論いただければと考えております。
まず「1 医療等に関する情報の利活用は、良質な医療の提供やアクセスの公平性など、医療等のその質の向上というものに資するものでならなければならない」ということでございます。
「2 患者等に対する十分な説明・情報提供や、自己の情報の秘匿、開示、訂正、削除等を求めることなど、医療等情報にまつわる患者等の期待の保護が十分に図られるべきこと」。
「3 医療等情報に基づき、差別や不当な取扱いがなされてはならないこと」。
4と5は患者等のその責務ということでございますけれども、「4 患者等は医療等のサービスを受けるにあたり、自らの健康に関する情報をできるだけ正確に提供するよう努めること」、「5 患者等は医療等の内容について十分理解するよう努めること等」、こういったことを法の理念として定めるということを含めまして、御議論いただいてはどうかということでございます。
3ページ目からは、必ずしも情報に関する規定ではないのですけれども、関係する規定について抜粋をさせていただいております。簡単に紹介をさせていただきます。
1の医療の向上に資するものでなければならないということでございます。健康保険法におきましては第2条におきまして、一番最後の行ですけれども、国民が受ける医療の質の向上が言及されております。また、医療法におきましては、第1条の2におきまして、その医療というものが医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づく。そして、その内容は良質かつ適切なものでなければならないということで触れられております。
第2項におきましては、その国民側について、自らの健康の保持増進のための努力ということが指摘されております。また、同じく第2項ですけれども、医療を受ける者の意向を十分に尊重するということについても触れられております。
第1条の4の第2項でございますけれども、その医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならないということについても規定がされているところでございます。
おめくりいただきまして、介護保険法でございます。介護保険法につきましては第2条におきまして、保険給付について要介護状態または要支援状態の軽減または悪化の防止に資するというようなことが指摘されておりまして、第3項におきましては、そういった給付については被保険者の心身の状況、またはその置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき提供されるべきものであるということが規定されております。
2の患者等に関する十分な情報提供、説明でありますとか、その情報にまつわる患者の期待の保護に関するものとしましては、同じく先ほど御説明いたしましたけれども、医療法におきまして、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならないということ。また、個人情報の保護に関する法律におきましても、個人情報の取扱いについて、その人格尊重の理念の下、適正な取り扱いが図らなければならないということで規定をされております。
「3 医療等の情報に基づき、差別や不当な取り扱いがなられてはならないこと」につきましては、障害者基本法でございますけれども、そういった差別することその他の権利侵害について禁止するということで規定が置かれております。
4、5でごさいますけれども、患者側として自らの健康に関する情報を正確に提供する、その医療等の内容について十分理解するよう努めるということにつきましては、既に御説明しました医療法の中で、国民自らの健康の保持増進のための努力ということが規定されております。
5ページ目、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律におきましても、国民は精神的健康の保持及び増進に努めるということで規定をされております。以降、高齢者の医療の確保に関する法律、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、介護保険法、健康増進法におきましても、そういった健康に関する理解でありますとか、健康の増進に努めるというようなことで、国民側の責務というものが規定されているところでございまして、こういった総論的なことも踏まえた上で、情報という面から情報の取り扱いについて、どういったことを基本理念に定めるかということで御議論いただければと考えております。併せて、参考資料についても簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
まず、参考資料1「医療における個人情報保護」ということで、樋口座長の論文の方を抜粋させてお配りさせていただいております。
そのうちの3の「医療情報保護の今日的意義とアメリカ法との比較」というところでございますが、具体的にその権利などに関する御議論としましては、223ページでございますけれども、「(4)患者の権利」ということで、1つ目は開示請求にかかるもの、2つ目は訂正請求にかかるもの、3つ目は利用状況の報告説明を受けるといったものが御議論されているところでございます。
簡単な説明で恐縮でございますけれども、参考資料2でございます。こちらは日本医師会の方で作成された「『医療基本法』の制定に向けた具体的な提言」でございます。17ページでございますが、「第4章 患者等の権利と責務」ということで、自己決定の権利、診療情報の提供を受ける権利、秘密及びプライバシーの保護、診療に協力する義務、秩序ある受療をする一方で、その秩序ある受療をする責務について記載がされております。
参考資料3「都立病院の患者権利章典」でございます。7ページ以降、こちらにつきましても患者の権利と責務ということで、患者の権利としまして「1 良質な医療を公平に受ける権利」「2 人格を尊重され、医療提供者との相互の協力関係の下で医療を受ける権利」、「3 診療に関して十分な説明・情報を受け権利」、「4 治療方法などを自分の意思で選択する権利」、「5 自己の診療記録の開示を求める権利」、「6 診療過程で得られた個人情報の秘密が守られ、私的な生活を乱されない権利」、「7 研究途上にある医療に関して、十分な情報提供を受けその諾否を決定するする権利及び何らの不利益を受けることなしにいつでも拒否する権利」ということで規定されております。
10ページにおきましては、責務としまして、「8 医療提供者に対し、患者自身の健康に関する情報を提供すること」、「9 医療上、理解できないことについて質問すること」、「10 他の患者の治療や病院職員の医療提供に支障を来さないように留意すること」などが言及されております。
参考資料4から6につきましては、事務局仮訳ということで御提示させていただいております。こちらも詳細の説明は省略させていただきますが、米国がん協会のものは参考資料4でございますけれども、患者のための情報ということで、正確で容易に理解可能な情報を得る権利ということがまず規定されておりまして、その後、質の高い医療を提供する医療提供者を選ぶ権利でございますとか、救急サービスを受けて回復する権利でございますとか、自らの医療に関する決定に参加する権利でございますとか、差別を受けることなく、思いやりと敬意のある医療を受ける権利、プライバシーに関するものとしまして、自分の医療情報を保護してもらう権利、また公正かつ迅速で客観的な審査を得る権利などが規定されております。
また一方で、その消費者の義務ということで、仮訳でございますけれども、現在と過去の医療上の問題または外科的な問題について、すべて医療提供者に知らせなければならないといったことでございますとか、自分の健康を改善しやすいライフスタイルをとる義務があるということでございますとか、敬意を持って医療従事者やほかの患者に接することなどが義務として掲げられております。
参考資料5、参考資料6につきましては、それぞれ米国病院協会、米国医師会の規定でございますけれども、同様に権利という面と責務という面から規定がされているところでございます。これが「1 医療等情報の利活用と保護のあり方を考える上での基本理念」に関するものでございます。
続きまして、説明が長くなりまして恐縮でございますが、資料2の6ページ以降について御説明をいたします。
2は、基本理念として御議論いただきたいもののうち、特に情報に関する患者の権利に関わるものでございます。
「1 検討事項」として記載しておりますけれども、現下の情報化が進んだ状態でありますとか、現在行われている番号制度の検討状況などを踏まえまして、こういった自己の情報を秘匿される権利でございますとか、開示、訂正、削除などを請求する権利といったものを確保するために、どういったような環境整備が必要かという点でございます。
この点につきまして、「2 個人情報保護法による措置」でございます。現行の個人情報保護法におきましては、自己の情報が秘匿されることに加えまして、開示、訂正または削除等の要求ができることとされております。今般、御議論いただく医療等に関するプライバシー性が高い情報につきましても、現下の情報化の状況でありますとか、番号制度の検討等を踏まえた上で、患者等がその同様の要求ができるような環境整備についても御議論されることが望ましいのではないかと考えております。
こういった点に関しまして「3 マイナンバー法案における措置」でございます。現在提出されているマイナンバー法案におきましては、法が定める範囲において、行政機関等の間で個人情報を本人の同意を得ることなくやり取りするということを可能にしているわけでございます。
一方で、国民が自己の情報に関与することを可能とする仕組みとしまして、国民が自らの情報の提供等の記録を確認できるようにするというために、マイ・ポータルという仕組みを導入するとか、行政機関等の間の情報提供の記録を保持する仕組みとして、情報提供ネットワークシステムというものを構築するとか、不適切な情報の提供がなされた場合に、そういったものを監査し監督する第三者機関として、個人番号情報保護委員会、こういった仕組みを導入することによりまして、こういった環境整備を通じて、本人の情報に関する権利の保護といったもの図っているところでございます。
4で、今般、医療等の分野における情報化などのこういった議論を踏まえた検討でございます。
「(1)IT化・ネットワーク化を踏まえた検討」としまして、医療等の分野におきましても、現在、医療機関などを中心に情報化が進展しております。その質の向上という観点からは、電子的な情報のやり取りが進むことが期待される一方で、そういった一層の活用をするという場合には、電子的な情報の授受がどのようになされているかということでございますとか、蓄積された情報がどのように活用されているのかということなどについて、患者等に明らかにされるということが望まれるのではないか。また、今後、本人が医療等に関する情報にネットワーク経由でアクセスするということも考えられることでございまして、そういった場合に、成り済ましを防ぐような確実な本人認証ができるような基盤も必要になってくるのではないかということで考えております。
次に「2)番号制度を踏まえた検討」でございます。既に御説明しましたとおり、マイナンバー法案では、医療等の分野における地域連携でございますとか、医学研究などに必要な連携は対象となっておりませんけれども、こういった医療等分野における情報のやり取り、特に本人の同意を必要とするかどうかということも含めて御議論いただくものにつきましては、患者等が自己の情報がどのように扱われたかということをチェックするような仕組みが環境整備として求められるのではないかということでございます。
なお書きで書いておりますけれども、その具体的な本人同意の在り方については、次回以降、各論として御議論をいただくものと考えております。
「(3)一元管理に対する不安」ということで、情報化が進展する中で国家により一元管理がされるのではないかという不信感があるというのも事実でございますので、こういった不信感も踏まえた上で、国等の責務としてどういったものを法の中で明らかにしていく必要があるのかということも御議論をいただいてはどうかと考えております。
以上を踏まえますと、「5 必要となる環境整備」ということで、その医療等の情報に関する患者等の権利を確保するというために、以下のような環境整備が必要ではないかということで、あくまで例示でございますが、医療等サービス提供側から本人へ情報提供する仕組みでございますとか、特に本人同意を得ないような第三者提供といったものを法律の中で仕組みとして設けていく場合には、事後的に履歴をチェックできる仕組みでございますとか、不適切な情報の提供がなされた場合には、当然、監査・検証する仕組みでございますとか、本人との関わりでいいますと、ネットワーク経由で御本人が確実に御自身の記録に対してアクセスできる仕組みでございますとか、そういった環境整備についても御議論いただく必要があるのではなかろうかと考えております。
最後でございますけれども、一元管理に関する懸念に答えるものとしまして、国等の責務として、当然ですけれども、不必要に情報を蓄積してはならないということを御議論いただくことでいかがかと考えているところでございます。
以上、説明が長くなりまして恐縮でございますが、まずは情報の活用でありますとか、保護といった御議論を進めていただく出発点といたしまして、その情報はどういったふうに取り扱われるべきなのかという基本理念を、個別法の基本理念となるものについて御議論いただければと考えているところでございます。
以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
続けて、資料3を使って山口さんにお話を伺いたいと思います。
○山口構成員 COMLの山口でございます。
事務局の方から、患者の権利と責務について、これまでにまとめた資料はありませんかというお話をいただきました。患者の権利と責務については、さまざまなところで発表しておりますので、この機会に改めてまとめてみました。そのポイントを簡単に御説明したいと思います。特に患者の権利と責務の中でも、医療情報ということにポイントを当てて発表できればと思っております。
まず、表紙をめくっていただいた1枚目は、私たちCOMLが1990年から活動してくる中で、患者の権利がどういうものかということをまとめました。患者の権利というのは細かく言いますと、とても幅広い分野になってしまうと思いますので、特にポイントだけ6項目にまとめてございます。
まず、当たり前ですけれども、誰でも公平に質のよい医療が受けられるということ。一人ひとりの患者の考え方・価値観が尊重される。病名・病状など、一時期こういうものが正しく患者に伝えられなかった時代がございますけれども、そういうものが患者の求めに応じて正確に詳しく伝えられる、そういう情報が得られる権利。医療によって得られた自らの情報は患者自身にすべて開示される。治療を受けないことも含めて、患者が決めた自己決定した内容が尊重される。個人情報が守られプライバシーも侵害されない。こういうものが患者の権利としての骨格かと思っております。その中でアンダーラインを引きました部分が、医療情報に関する内容なのかなと考えました。
特に患者の権利ということで、次のページにまいります。私たちが22年間、5万件を超える電話相談をお聴きする中で、患者・家族の意識が非常に変わってまいりました。
特に1990年にインフォームド・コンセントが日本医師会の発表によって新聞で初めて紹介され、私たち国民が知ることとなったのですけれども、そのころからの変化が非常に大きいかなと思っております。そのインフォームド・コンセントが発表されたのと同時期に私たちCOMLも活動をスタートし、患者の受け身やお任せの姿勢を見直そうと呼びかけてきました。
90年代は、情報を得たくてもなかなか得られなかった時代から、急激にマイナスの情報も患者は受け止めなければならないという意識に変わってまいりました。例えば、がんを例にしましても、「がんでも病名は伝えるべきだ」に始まり、病状、進行期、そして余命を含めてすべて伝える時代に急激に変化してきたのが、この90年代の10年間だったと思っております。
その中で、今まではなかなか国民の前に公表されてこなかったようなミスであるとか、事件・事故、そういったものが報道されるようになって、もう密室ではなく、いろいろなものを公表する時代へと変化してまいりました。COMLにも97年ごろから医療費というお金にまつわる御相談が増え始めて、今では1割を超えるほどに患者のコスト意識も高まってきました。それが90年代かなと思っております。
ところが次のページにまいりまして、1999年、この年は医療安全元年とも呼ばれているようですが、横浜市立大学医学部附属病院の患者取り違え事件、東京都立広尾病院の点滴の中に消毒液を誤注入するという代表的な2つの事故をきっかけにいたしまして、医療事故・ミスの報道が急増しました。私は電話相談を受けていて、この年を機に医療事故・ミスが増えたというよりも、報道が過熱化したのではないかという印象を抱いていました。
そういう医療事故・ミスの報道の過熱化によって、COMLに届く相談も医療不信一色になりまして、その後5年間ほどピークが続いたという経過がございます。本来、患者の権利とは、自分のマイナスの情報であっても、きちんと受けとめる自立した患者という方向に向かいたかった。ところが権利という解釈が少し変わってきて、納得がいかない結果になれば、すべてミスではないか、事故ではないかと訴える方であるとか、過度な要求も患者の権利だとおっしゃる方が出てきて、非常に深い不信感と過度な要求が一人の方の中に同居しているような、そういう印象受けたのがこのピーク時だったように感じております。
その中でちょっと行き過ぎてしまった感があるのが、患者の暴言や暴力です。それらに悩まされる医療現場の方々からの困ったという声までが、私たちCOMLに届くようになってきたのがちょうど2000年くらいからでした。そして、2007年ごろに、医師不足・救急医療の危機に代表される医療崩壊という言葉が報道されるようになって、「訴えたい」「弁護士を紹介してほしい」という訴訟を望む電話相談が激減しました。このように、メディアの報道が非常に大きく国民の意識を左右していると、電話相談を受ける中で感じてまいりました。
次のページは、その中で医療情報をめぐる患者の意識はどのように変化してきたのかです。まず、1990年ごろは、患者側は情報や知識がほとんど得られないために、「自己決定ができない」「病気のさまざまなことがわからない」ということで、情報を求める声が高まってまいりました。
ところが90年代半ばくらいになってくると情報が増え始めて、情報が増えるということは、とてもつらいことを受け止めないといけないということに気づきました。情報を求めるということは、権利だけではなく、厳しさも受け止め選ばないといけないという責任や義務も伴うんだということがようやく見えてきたころだと思っております。
次のページにまいりまして、今やもう情報過多の時代というか、情報があふれるようになりました。その中で届く御相談を聞いていますと、「たくさんある情報の中で一体どれを選べばいいかわからない」と訴える声が増えました。医療というのは答えは一つとは限らないと思うのですが、情報化の時代だからこそ正しい情報があるのではないかと漠然と思われている方が増えてきているように思います。そして、どのように選んでいけばいいのかもわからない。あるいはインフォームド・コンセントは既に定着したかのような感がございますけれども、医療現場の中で、「説明をすること」の必要性だけが広がってまいりました。今ではこのインフォームド・コンセントをICと訳して、ムンテラという言葉が減ったと思いましたら、「ICをとる」という言い方をする医療者が出てきています。本来、インフォームド・コンセントとは患者の権利だったはずなのに、そこから逸脱した解釈に象徴されるように、とても詳細な専門的な内容を口頭、あるいは文書で説明して、ともかく同意を得るようになってまいりました。そのため、あふれるほどの情報を説明され、それを理解し、記憶することが困難な患者が戸惑っているというのが今の状況でございます。
もう一つには、インターネットが普及したことによって、インターネットの情報をうのみにして混乱している方も増えていることに私は危惧を抱いております。
次のページにまいりまして、その中で私たちCOMLが考えるということで、まず、患者の個人情報を守るために、医療側の責務としてどういうものがあるのかを挙げました。
まず、当たり前のようですけれども、患者の個人情報を正しく取得していただく。当たり前のようですが、実はかなり間違って情報を取得されていることがございます。問診の際、病状や病歴などを説明しても、カルテに記載されている内容がときおり誤っていることに出会うことがございます。やはり正しく取得をすることがまずは大事なことだと思います。
次に、患者への適切な情報提供ということで、勿論、患者が理解できるようなわかりやすい説明ということは最も大切ですけれども、これからは自分の情報を誰に説明をして欲しいのか、患者自身に希望を確認するというようなことも、個人情報を守っていく上では大事になってきていると思うのです。“家族”といっても、関係性や形態がなかなか一律ではなくなってきている中で、患者がこの人に情報提供してほしいという人に対して説明がなされることが混乱を防ぐためにも必要ではないかなと感じております。
更に、情報の漏えいに関しては、プライバシー保護や守秘義務ということで、情報をどういうふうに破棄するかということは整ってきておりますが、まだまだ一般的な診療の中でプライバシーが守られるとか、ナースステーションで交わされている言葉が廊下に漏れ聞こえることも含めて、医療情報がしっかり保護されていないのが現状ではないかと思いますので、その辺りをもう少ししっかりとしていく必要があるかと思っております。
更に次のページは、患者が自分の情報を正しく扱われるため、あるいは有効に利用するためということで、情報にまつわる患者の責務をまとめてみました。勿論、当たり前ですけれども、症状や病歴、自分の情報を正確に伝えるという努力、それは私たちに求められていることだと思います。
更には、説明を理解する努力ということで、COMLではインフォームド・コンセントの半分の責務は患者側にあると考えています。医療者側の責務が「説明と同意」ならば、説明を理解して選択することが患者側の責務だとずっと伝えてきました。そして、自分の受けたい医療を、これは厳しいことではありますが、やはり自己決定すること。選択肢も多様化している中で自己決定していく。これは責務として必要ではないか思います。
そして、これは余り一般的に知られていないことですけれども、個人情報保護法ができたことによりまして、患者の個人情報の利用目的が各医療機関で公表されています。それに対して、これは公表してほしくないという内容は、あらかじめ拒否しておかなければ黙示による同意をしたことになると定められています。ところが、そういうことは一般の人たちになかなか知られておらず、一体自分の受けている医療機関でどんな利用目的があるのかすら知りません。利用目的の中でどの範囲を認めるのかも自己責任においてきちんと伝えていくことも、これからの患者には求められている責務ではないかと思っております。
最後の1枚ですけれども、さまざまな電話相談をお聴きする中で、医療情報をめぐる問題点を大きくまとめてみました。ただ、“医療情報に対する患者”と一くくりで今お話をしましたけれども、これが患者ですという代表的な患者を一つお示しするということは不可能だと思っております。
まず、そもそもとても個人差が大きいのが、情報に対する意識です。特にアクセス能力の個人差が拡がっています。情報への関心やどれぐらい敏感に反応するのか。情報を理解する能力。プライバシーに対する意識。これはもう患者と一くくりにできない個人差が大きい問題だと思います。
その中で、患者の権利としての定義の解釈をどこまで認めていくのかが問われると思います。例えば患者が主張したこと、要求したことイコール権利ではないと私は思っているのですけれども、その辺りを国民全体としてどう理解していくのか。どこまでが認められることなのか。それから、今日の論点の中にもございましたが、自己の情報を保護・秘匿される権利。これは勿論必要だと思いますけれども、自己の情報に関して、開示・訂正・削除を請求する権利というのがございます。明らかな誤りに対して、削除を求める、訂正を求めるということは勿論当たり前、大事なことだと思いますが、電話相談を伺っていますと、自分の思っている内容と違うから書き変えろと主張してこられる方というのが結構一定数ございます。
そうすると、主張したら正しいと認めてしまうと非常に混乱を招くのではないかと思うのです。専門家と患者側との理解のギャップであるとか、情報の共有ということが非対称性があって図れない中で、すべてを認めてしまうということになると、専門性が維持できなくなるのではないか。ということは、主張する人の言い分が患者の個人情報を保護することとイコールではないはずではないか。その辺りを慎重に図っていかなければ、主張したことは訂正されるんですよということになってしまっては混乱を招くのではないかと危惧しております。簡単ですけれども、まとめとさせていただきます。
○樋口座長 ありがとうございました。
これまで、事務局からの説明と山口さんからの説明について、いろいろお感じになったことがあると思いますが、これをうまく整理はできないのですけれども、ちょっとやってみましょう。
まず、今の山口さんのお話は、山口さんの1枚目のスライドをもう一回見ていただくと、これは人の報告に対して訂正でも何でもなくて、下線部のところが情報ですよとおっしゃったわけですね。それは本当にそうなんですけれども、実際に誰でも公平に良質な医療が受けられるためには十分な情報がないと意味がない、考え方や価値観が尊重されるためにも私はこういう価値観なんですという情報伝達がないといけないのだし、自己決定した内容だって、それは伝わらない限りは意味がないわけなので、だから本当は全部そうなんです。そういう意味で考えると、今日の論点の資料1へきれいな図を書いてくださったので、今日は論点の1と2のところをやってみたいということを先ほど申し上げましたが、「【論点1】医療等情報個別法の必要性についてどのように考えるか」でまず共通理解を得たいわけです。私は、本当は事務局の言ったことと同じだと思っているのですけれども、その後は資料2の最初のところをずっと使いながら、議論をしていきたいと思っていますが、少し私の感じていることを申し上げます。
つまり、何のために医療情報等個別法をつくるのか。本当はつくることはどうも上で決まっているのではないかなと思っているのだけれども、そんなこと言ったら意味ないから、上はどうなるかわかりませんし、とにかく上がどう考えようが、医療情報等個別法は、私は必要だと思っているのです。
私は医事法というのを大学で教え始めているのです。もう何年にもなりますけれども、私一人ではしようがないので、お医者さんの資格もある弁護士である児玉さんと一緒にやっているのですけれども、その1時間目に必ず学生に聞くんです。医事法は何のためにあるのだろう。医事法の授業に出てきたのですから、何だと思うと。目的をはっきりさせようよということなんです。
アメリカのロー・スクールではもうはっきりしているのです。それはパブリックヘルスのためなんです。それを日本では公衆衛生と訳してしまっているのですけれども、パブリックヘルスはパブリックの健康なので、みんなの健康なんです。それを国民と訳してもいいし、みんなと訳してもいいし、勿論患者を含めて、あなたを含めてということです。そのためにどういう法をつくったらいいか、どういう制度をつくったらいいか。
そうすると3つあって、やはり一定の質。物すごく高い質をみんなが望んでも本当はどうしようもないような、つまり今の技術でもかなわないような話をやられても困るから、適切なクオリティーの質の話と、適切なアクセス。これはアメリカでは非常に重要なのはわかりますね。しかし、幸いにして日本では国民皆保険システムがあるから、アクセスは大丈夫ですよという話に一般的にはなっている。しかし、アクセスがない人だって本当はいますよね。これだって重要です。適切な医療を施されているところに行けなければ意味がないわけですから。
それで最後はコストです。コストという話が山口さんの話にも出てきたけれども、どんなお金をかけてもという話はない。その社会で支えられるだけのという話にはなるでしょうという話なんです。
こういうもので、結局パブリックヘルス、みんなの健康のためっていうのは、今の状態を維持し、かつよりよい治療。医療だけでないという場合、よりよい医療と介護が行われるために、この21世紀の情報化社会でその情報をどう使うかという話で、それを法律の形で書いておいたほうがいいのではないかという判断だと思うんです。
先回、利活用と保護というので利活用を先にしていることには随分意味がありますよと言って、それはもしかしたら誤解を与えたかもしれないです。実は利活用と保護が対立するものだなんて考えてはいけないので、とにかく、よりよい治療・介護のために情報をどう使い守るか。そいうそういう法律をつくりたい。
なぜそういうものが必要かというと、これははっきり言いますけれども、やはり個人情報保護法では全然足りないし、個人情報保護法では多分いいこともあったかもしれない。でも、医療の場面でどれだけいいことがあったのかというのを私に教えてください。多分あったはずです。それは幾つもあったはずですけれども、どうも私の周りでは、何だかという感じのことが多いんです。
それで先回も言ったことですけれども、例えば東京電力が電力供給を止めてしまった。止めるとどうなるかというと、御老人などは凍死するおそれだって勿論あるし、実際に死んでそれが話になって、何で福祉事務所等に連絡してくれないのですか、個人情報保護法がありますからというのが新聞に載っても、きっとそういうことを言うのだろう。
それで私に教えてくれる人がいて、2001年に厚生労働省は通知を出しているそうです。電力会社とかガス会社とか水道とか止めた場合には、それはライフラインだから、やはりそれはおかしい状態になっているわけですから、止めたままでは済まないでしょうと。あなたたちは公共企業でしょうと。だから、福祉事務所のところにはつなげてくださいねという通知を出しているそうです。
しかし、その後、個人情報保護法ができたわけです。厚生労働省の通知など、個人情報保護法にかなうわけがないと普通の人はみんな考えるんです。通知は全部なし、個人情報保護法がありますからというのがまことしやかに通るような話になっている。
2つ目は、昨日がJR西日本の7年目だったのでしょうか。個人情報保護法がすぐ施行されて、起きてどうなったかというと、勿論JR西日本にも問題はあっただろう。しかし、それぞれ運ばれた西日本の病院で、とにかくいろいろな問い合わせが来たときに、そういう患者さんが来ているかどうかは一切答えられませんというような話は、JR西日本対して被害者の会たちは物すごく怒っていますが、個人情報保護法をつくった人たちに怒ったっていいわけです。あれは誤解なのですけれども、その誤解を解くために、寺野さんや宇賀さんと一緒になって厚生労働省でガイドラインをつくったのですけれども、誰も読んでくれないわけですよ。だから、個人情報保護法という話になって。これを医療のところでは改める必要がある。
3つ目は、これ以上はやめますけれども、先週の土曜日に認知症の医療者たちの会というのに出てきました。前に日本医師会の理事を務めた人が報告をされて、かかりつけ医と専門医で連携するようなシステムの仕組みをつくっておかないと、認知症の人はなかなか大変なんです。まさに医療の現場。今、山口さんから患者の現場からの話を聞けて、患者の権利だけではなくて責務も当然あるんだよという話を伺いましたけれども、そういう連携が必要だし、それから、筑波大学の先生が何と言ったかというと、そもそも認知症がどれだけ増えて、しかも認知症と言っても、いろいろタイプがあるそうですね。アルツハイマーもあれば脳血管性のもある。それについての日本のデータは、20世紀の研究はあるのですが、21世紀になったらもうないのです。それで今、認知症がこれだけ大きな問題になっているから、厚生労働省の研究班でようやく始めたところだと。
これだって個人情報保護法が悪影響で、認知症を知られたくないって言えば知られたくない。しかし、そういうデータがなくて、国が政策を取れるわけがないではないですか。個人情報保護法などという一般法ではなくて、医療情報に特化した個別法を、英語を使ってみるとベターケア、よりよい医療のために、それをパブリックヘルス、国民の健康のためとも言っていいけれども、そういうもののためにつくりたい。少なくとも助けになるような会議にしたい。
しかし、何回かしかできないわけですから、これで全部はできないわけです。その基本理念というか基本原則のところだけ、ここで共通理解が得られると、その次へ行けるのではないのだろうか。今、言った樋口さんの意見はそのとおりだよと言ってくれれば、もう次へ行けるわけです。資料2の6ページ目のところの方が、もっと具体的な話になりますよね。こういうところの方が本当はいろいろ重要なのですけれども、一番初めの今言った基本理念のとことで共通理解がないと、結局細かな議論だけで終わってしまう。
資料1のところで書いてあるのは、論点2の最初の部分があって、結局、医療等情報個別法は、これからの日本のためには本当に必要なのです。そのためには患者等の権利と責務。これはほかの法律や何かでもいろいろ書いてあるようなことでもあるのだけれども、それをまとめた形ではっきりさせ、それに対して医療のサービス提供の側でも、こういうようなある種権利義務もあるという話。その権利義務を対立させるのではなくて、これが情報活用のためには基本原則ですよということをはっきり明文で、個人情報保護法にも書いてあるのだけれども、それを医療のところでもはっきりさせて、その次に、実際に利活用と保護はどうするのですかという話のところへ、次回ではなくて今回の後半以降だと思うのですけれども、行きたい。
うまく説明できたかどうかわからないのだけれども、私は別に自分で変なこと言っていると思わないのだけれども、樋口さん変だよと言われることはたびたびあるので、そんなことを抽象的なことを言ったって、個別のところではいろいろな異論があって、それはしかるべきなんです。でも、大きな話のところでは一緒の船に乗ってくださいって言いたいんです。いかがですか。それで次へ行きたい。患者の権利などという言葉に抵抗感を示される人だって中にはいるのかもしれないのですが、ここに書いてあるのはごく普通のことだし、医師会であれ、東京都医師会であれ、病院協会でしたか、都立病院でしたか。もっと細かくいろいろなことが書いてあるわけなので、とにかく患者にも安心してもらい、医療者にも安心してもらうようなことをまず初めにちゃんと書きますということにしたいということのようなのです。
私は賛成なのですが、座長がこれだけリーダーシップをとってよいのかどうかよくわからないけれども、皆さんの御意見をとにかくまず伺いたい。
石川さん、どうぞ。
○石川構成員 すごくよくわかりました。利活用と保護ということについて、私は前回の会議の時から、座長の先生が冒頭発言されたことの中で、利活用ありきで保護は後からくっ付いてくる、あるいは利活用するための保護ということを非常に強く感じておりました。
今日もこれを余りやっていると、先生の講義を聞きに来ているみたいなので、次から止めていただきたいのですけれども、今日は最後の方でよくわかったのは、同じ方向を向いてやろうというのは、私はすごく賛成なのです。私もITを専門にやっていますので、この問題を前に進めないとITの利用ができないのです。だから、それをやりたい。
しかし、我々の立場からすると、山口さんが歴史的に追いかけてきたような患者の権利だとか、物を我々はそばにいて、いつも感じて実行してきましたので、患者さんの権利の保護だとか、そこら辺を中心に、ここできちんと国に提言するためのものをつくっていきたいと思っているのです。
目指す方向は同じかもしれないけれども、私は例えば今日の朝、亀岡市の問題がありましたが、要するに勝手にああいう公務員一人が個人情報を漏らしてしまう。これはもう大変なことであって、私らは医療機関というのはもっと機密性が高いですから、取り返しがつかないということもあのニュースでわかりますね。1回流してしまったら、もう取り返しがつかない。こういうことが簡単に起こってしまう状況をしてはいけないということです。
そういう点では、この保護の観点を厳重に話して、これをあと2回でも3回でも、やってもなかなか難しいと思って、どちらかと言うと、議論はやはりきっちりと長く、国民にきちんと知らせながらやりたいと思っているのですけれども、そういう立場でいけば、先生のおっしゃっていることは、今日はすごく理解できましたが、保護をもっと前面に出して利活用するということを考えていきたい。
それと、山口さんの御発言も先生の御発言も、あるいはいろいろな紹介にある、私のところは基本法ですけれども、権利の章典にしても、まず個人の保護を、例えば我々医療が個人のために情報をほかに開示するということでやっていますね。ところが、利活用と言うと、もう少し公衆衛生的にいろいろ使うというものと、個人の利益だけではなくて、本当に公衆の利益もその個人の情報を使うことによって律することができるというようなことは、議論としては少し違うのではないかと思うのです。
最初に山口さんがおっしゃったことというのは、個人のために我々がほかの医療従事者と情報を連携するのは、これはだれも反対しないと思います。ところが、最初に先生が1回目のときにお話しした、例えば薬の実験のときに、これは結果を出せば公衆衛生的にすごく役に立つと。本人は嫌だと言ったときに、これは問題ではないか。そのとおりです。問題ですよ。説明不足ですよ。要するに同意の問題です。公衆衛生的な資料にするときの同意の問題というのをここできっちりしなければいけないので、私は確かに6ページ目以降が大事かなと思っております。
いずれにしましても、今日の朝のものを大変特徴的に思いましたので、読んでいない方がいたらと思って配りますけれども、これは資料だけですから、そういう感想も含めて持っているということで、保護を中心に頑張っていきたいということでございます。
○樋口座長 ありがとうございます。
他の委員の方、どうぞ。
○佐藤構成員 この構成とか範囲の再確認なのですけれども、資料2の検討事項のところにも○が2つあるのですが、今回の医療等情報の利活用といっているのは、この医療等の情報を使った研究分野において、医療等情報を使うときのことも範疇なのか。それは除外で、どちらかというとまさにここに書いてある患者さんとの間の話だけなのかということを確認したいと思っています。
どちらかというと私はそれは入れた方がいいと思っていまして、なぜかというと、現在の日本の個人情報保護法は、前回も申し上げましたけれども、利活用というのは精神としては入れているわけですけれども、条文の中には第1条の目的の中に「有用性に配慮し」、という文言だけで終わりですね。それ以降の条文には一切、利活用は登場しなくて、保護のみです。
参考までに、米国が今、連邦プライバシー法の法案を審議していますけれども、その中では個人情報はどういうふうなことをしたら匿名となるかとか、統計情報になるにはどういう要件を満たせば統計化されるのか。例えば住所に関しては、どこまで丸めるとそれは地域になって、どこまでが個人を特定できるのかということは、法律の条文にもはっきり書こうとしているわけです。匿名化に関しても、どういう形にすれば匿名になるか。これはまさに利活用に資するような条文になると思うんですが、これが現状は個人情報保護法にはありません。
このとき、医療に振り返った場合に、やはりこういうことは研究のところに影響してくると思うのです。ですから、ここのところが射程にあるのか。それは今回の範囲外だということであれば、また別の場でそういう議論ができればと思っていますが、その範囲に関して確認をしたいと思います。
○樋口座長 お願いします。
○西村情報政策担当参事官 利活用のイメージ、どういった分野にというようなことについては、次回の議論の対象にさせていただこうと思っておりましたが、前回の第1回の時に、ちょっと手元にないかもしれませんが、論点1から論点5まで一とおりの全部の論点案のイメージを出させていただきました。そのうちの論点1として、医療等分野の個別法の必要性についてどう考えるかと資料の中に、個別法により推進されることのイメージとして、1から4までというのが示されておりました。
1というのが医療機関等の役割分担と連携を通じた切れ目ないサービス提供ということで、これはある一人の患者さんの情報を地域の医療機関などで共用するようなイメージのもの。
2が公衆衛生や医療水準の向上に資する医学研究等の一層の推進ということで、主に匿名的にデータとして処理して活用するというイメージのもの。勿論、医学研究といった場合に、どこまで研究そのものを対象にするかどうかという議論はあろうかと思いますけれども、そういうようなマスのデータとしての価値。
3が医療保険者機能の強化ということで、地域の医療費分析や保健指導などに医療保険者が使うようなイメージ。
4が保険資格の取得や喪失事務など、医療情報と密接にひもづいてしまっているけれども、医療保険の基本的には事務処理のために使うようなもの。この4つのものをイメージとして、とりあえずお示しさせていただいところでございます。
○佐藤構成員 ということなので、いわゆる医療等情報が取り扱われる場面は制限していなくて、医療等情報が使われる場合すべてを含むということを射程にするということでよろしいですね。
○樋口座長 どうぞ。
○事務局 医療機関で取得された情報がその人の診療に使われる場合、このことを例えば石川先生の御質問にお答えさせていただきたいのですが、法人が違う他の病院の医師と共同して、一つの診療行為を形成する。この場合に第三者提供に当たるかというと、そこに法的な要件がかたいと非常に連携しにくいわけです。
つまり、そこでは患者さん側から情報を得るわけですが、これは信託と受益がないといけないわけです。ですので、情報をお預かりしますが、これは大事に使いますよと、医者同士ですから連携させてくださいねと、専門性を持ってあなたのために一番いい医療を提供しますよと、これは信託と受益ですね。
医学研究にその後、それが資料として例えば残っていて、使っていいかどうかというと、よくなかったケースもあります。これは診療のために取得したものを診療に使うのは一時利用ですから、これを研究に使うとか、後で経営のための統計に使うとか、これは患者から見れば二次利用ですね。よき二次利用と、恐らく悪しき二次利用があると思われるのです。
医学研究に使って公益に資するよと言えば、これはいいことに聞こえますが、誰の目から見ていいことかということの基準が今のところはあいまいです。恐らくこれがデータを売買して、この人が個人的な利益を得てしまえば、これはきっと罰せられるべきことです。ですから、罰せられるべき人間がきちんと罰せられるから、患者さんも安心してデータをお預けできますよと、こういう状態をつくっていきたいわけです。ですので、医学研究そのものがこの射程から外れることで、医学研究者たちが安心してデータがいじれないという状況も今のところあるので、この支配下には入っていただきたいと思うんです。
しかし、一方でインフォームド・コンセントというよりは、この辺は山本先生の方が詳しいのですけれども、フューチャー・コンセントという側面があります。お預かりされたデータが、この研究のため単一ですよという説明と同意が得られていても、同じような系列の違う病気が見つかった時に、果たしてこれの反応はどうだったのかともう一回ひもといてみたら、これは約束事項にないコンセントですね。
ですから、研究の倫理というのと、これは学問の自由とも関係しますから、どこまで手続論が衝突するかということについては、先生のおっしゃるとおり、少し時間を取って議論するべきことで、ここで外すとか載せるとかという二面的な単眼的手段の議論はしたくないと事務局としては考えています。
一応は、この法律のまな板の上で、医学研究というのも医学教育というのも、果たして結果が公益になるかどうかも、まだ保障の限りではないものについてもどう取り扱うべきかということは、議論の訴状には載せておきたいというのが正しい言い方だと思っています。
○佐藤構成員 利活用については次回の論点3でやるという理解ですね。ありがとうございます。
○樋口座長 冨山さん、お願いします。
○冨山構成員 座長からお話があった、基本理念のところにつきましては、私も十分理解いたしました。医療の質のために、医療の質の向上のために使うという目的でやるわけです。このITを活用してデータベースを集約して、それを利活用するということですが、そのIT活用のプラスの部分だけではなくて、今まで医療情報というのは、医療機関において患者と医療従事者との個々の話で、医療従事者の倫理観の下で管理していたわけです。
これがITを通じてネット化されてしまうと、いきなり、いわゆるサイバー空間にも情報がすべて飛んでしまいます。そこの部分は患者と医療従事者との個々とのインフォームド・コンセントのレベルではなく、当然この資料1の真ん中にも、IT化、ネットワーク化に特有のプライバシー上の問題について考えると書いてありますが、医療においてもIT化をどんどん活用するという流れのなか、ここは一番重要な部分であって、今までとはこの医療情報の扱いが根本的に違います。ここをやはりここできちんと議論をしていただきたいというのが、我々の考えです。
○樋口座長 ありがとうございます。
お待たせして、済みません。金子さん、どうぞ。
○金子座長 大学の講義にならないように気を付けてお話したいと思います。冗談です。
最初に、石川さんと樋口さんの話は全面的に賛成で、同じことを言っているように私には聞こえます。
それで個人情報保護をしてはいけないとか、保護をするのはよくないと言う人は一人もいないので、どう保護するかということだと思います。それは前提条件だと思います。ただ、どう保護するかということに関して、お題目だけを言ってたり、権利、権利と言っているけど守れていないということが実際あるので、現実的に進めなければいけないと思っています。
幾つか簡単な例をお話します。私は物すごく歯が悪いので、アメリカに十何年いましたけれども、全部ルートカナルをしているのですけれども、それで抜くときもあります。そうすると、お医者は4つの方法があるよと言うわけです。一番安いのは抜くものです。こうこうこうと4つあるけれども、どれにしますかと。これはインフォームド・コンセントでも何でもないのですね。これは高いけど効かないよと。これは安いけれども、私の経験だと結構いいよと言ってくれればいいのですけれども、結局自分の経済、お金が払える中で一番高いのを選ぶしかないのですね。これはもう10本やりましたからよくわかっています。これではインフォームド・コンセントは個人の保護には、全然じゃないですけれども多少しかなってないなと思います。
それから、最近、総務省と厚労省の事業で、除細動器を埋め込んだり、ペースメーカー埋め込んだりした人たちの在宅でのホルター心電計の波形をリアルタイムで専門医に送って、それでなるべく病院に来ていただかない、負担を減らすようなものという実験をしました。このときに遠隔でやるのでHPKIをちゃんと使ったんです。
そのときに患者20名いまして、それで10名に聞いて、この主治医だけにしか見えないようにやっていますよと言ったら、とんでもないと言うのですね。私の情報はもっとほかの人に見てほしいと。これはパブリックヘルスという意味ではなくて、関係者いろいろなお医者さんいるでしょうと。それから、介護している人にも見せてもらいたいと。これは勿論お医者とのある種の基本的な信頼の下で売ったり買ったりするということではない。この辺をどうやってとらえるかということを考えないと、サイバー空間にいったら全部悪用されるというのもおかしいし、コンピュータのネットワークの技術さえあれば、絶対安心だなんてこともあり得ないと思うのですね。
この心電計をやったときに、医師と患者が同じ画面の波形を見るのですね。その中で除細動が起こったりすることがあるんです。パルスが飛んだりすると、患者がああっとか言うわけですよ。するとお医者さんが、これはたまに起こるのは問題ないのですよということによって、そこで情報の共有がリアルタイムで同じものを見ていると。勿論セキュアなネットなのですけれども、こういうある程度の技術の担保があるうち、やはり基本的には信頼する人と情報を共有するということがわかるということだと思うのですね。サイバー空間にいって一番おかしいのは、だれが見ているかわからないということだと思いますから、そういったこと。
最後になりますけれども、奥多摩町で今5年になりますが、集会所でもってテレビ電話などで、これは医療相談をやっています。最初は個室を用意しようと思ったのですが、みんなが集まって聞いているのですね。それで、おまえちょっと太ったねとか、中性脂肪多いんじゃないの、みたいなことを言う中で、みんながそこで運動したりなどをして非常に成果が上がっているのです。
言いたいことは、保護することは当たり前です。どうやって担保するかということに対する安心感。1つはお医者と患者ないしは病院、自治体等との信頼感があると思います。これは余り盲信してはいけないと思います。技術もある程度使います。匿名化とか、なるべく分散しようよとか、多重化しようよと。どこか一か所置いておけばいいなどということあり得ないと思います。技術などいつでも破られる可能性があるということを知りつつ、どうやったら被害が最小になるかということ。
それから、最終的には、自由経済史上のノーベル賞をとったケネス・アローが、経済取引は信用だと言って物すごくたたかれたことがあります。最終的には個人間の信頼と信用をどうやって広げて担保するのかという話になると思いますので、お二人が言ったことを私は大賛成で、冨山さんが言ったこともそうなんですけれども、どうやって担保するかということに関して。
もう一つ最後に言うと、これは個益と公益の両方につながっている密接のものだということです。保護と公開ですね。自分の情報がほかの人のためだけに使われているといえば嫌ですけれども、自分のためだけに使っていいと思っている人というのはかなりいないと思うんです。
ですから、そこの個益と公益がうまく連動しているということを患者がわかれば、安心をして、そういうことも使っていくと。それがないと勝手なことに使われてしまうのではないかとなると思います。勿論、私はソリューションは言っていません。けれども、いろいろな議論で無駄な議論がすごく多いなと感じているので、幾つかそういう例をお話しさせていただきました。
○樋口座長 ほかのお方どうぞ。どうぞ、鈴木さん。
○鈴木構成員 基本的に前回のお話で、利活用をある程度認めていかなければならないという樋口先生の思いは、もう多分確認されているのであろうと思いました。
ただ、今、金子先生もおっしゃいましたけれども、個人情報の保護も当然だと言うのですが、基本なぜ今、混乱しているかということをよく考えていくと、個人情報保護法はかなり過剰反応が出ました。その原因は、改正が必要かという御下問があっていろいろ議論されたようですけれども、結果的にはその原因を突き止めなかったのでしょうね。なぜ過剰反応したのか。国民の法の不知とか誤解があるとか、いろいろ言いましたが、審議会の先生たちは的確な問診ができなかったですね。過剰反応のまま放置していました。
これがそのまま医療現場に今なだれ込んでいるわけですから、一般法自身の欠陥はかなりあると、これはみんな直観的にわかっていると思います。基本、何が混乱の原因か一つ言うと、個人情報の保護は当然だと言いますが、本当でしょうかと。特定個人の識別情報という定義ですから、名刺も氏名一個も個人情報になりますが、それは保護に値するのですか。そこはおかしいでしょう。特定個人が識別されれば、すべて網羅的に保護対象になるのです。対象情報の性質だけでルールが確定していいのですか。お医者さんが使うか、だれがという主体の要件もっと吟味しなくていいですか。どういう状況で使うかということの要素を義務の中に入れなくていいですか。
今は、今、扱っている個人情報が、特定個人が識別できれば名刺も医療カルテも同じなんです。これで過剰反応が出ない方がおかしいでしょう。住基ネットをつくりたくて半年でつくれって言われたので、即席立法だったのですね。後でちゃんと手直しするということでつくったのですけれども、二度と手直しがなされていない。どこが悪いか、だれもわからないからと。
ですから、個人情報の保護は当然だと言うけれども、そこに今回いろいろと資料の中にプライバシーという言葉が出てきますが、プライバシーとプライバシーの権利と個人情報は定義が異なりますから、これは日常生活だと無自覚的に使いますが、法律論だと、ここを厳格に分けなければだめだろうと。
それから、自己決定という言葉も出てきますが、ドイツ流の概念をそのまま日本法に持ち込めるのだろうかと。プライバシーの権利も樋口先生の前で言うのも何ですけれども、人格権のないアメリカでできたものを、人格権のある日本法に突然持ち込んで50年議論していますが、アバウトなままです。
こういった状況で、何のために保護するの、どう保護するのという基本の一般法がぐたついているので、医療では絶対使えないです。ですから、特別法をつくらざるを得ない。特に、患者の権利とかいろいろ言いますけれども、例えば25条1項に、開示できるよという権利が確かに書かれています。訂正も削除請求もできるんだということになっていますが、これは訴訟になりましたね。開示請求訴訟25条1項で開示請求訴訟できるのかという論点が出てきたときに、私も訴訟に関係していたのですが、私はできないと思ったんです。こんな条文で手続規定が全く欠落しているところで、開示請求訴訟をやったら全部判例マターになっちゃうと。全部司法権に手続規定をつくってもらわなければだめだと。
これは一旦否定して、立法の方に回さなければだめだという思いで、とりあえず鑑定意見書では、これで開示請求など認められないというお話をしました。宇賀先生はまた別な意見もあって、両論併記なのです。今、下級審の裁判例1個しかできた状況ではないのですが、これに対して役所の方は行政の第一的判断を出せないのです。25条1項で訴訟できるのですかという非常にシンプルな質問をしても、両論併記なんです。これでは医療現場は怖いです。
これは一般の会社に当てはめれば、パナソニックとか何十万人の社員がいますけれども、保有個人データに該当するのは、全社員が持っているパソコンのエクセルデータがほとんど一網打尽で開示対象になる。携帯電話のアドレス帳も全部開示対象になってしまう。しかも、先ほど言ったように、重要か重要でないか関係なく、特定個人の識別性があるものを中心に、問答無用で開示対象になってしまうと、大混乱になると思いますね。
ということになりますと、医療個人情報なるものをこれから考えていくわけですが、対象情報をどこで切るのかというところも、どういう要因をとらまえて規律していくのか。果たしてプライバシー権を入れるのか。自己情報コントロール権という概念を入れるのか入れないのかという理論的基礎のところをしっかりしないと、非常に空疎な、利活用と保護のバランスみたいな言葉で終わってしまう議論になるのではないかなというのを気にしています。
最後に、やはり既に御指摘されていますが、患者要介護者の権利利益の話と、介護などを支えるのは家族ですから、周りの人の家族の権利利益に関わることと、それから中西さんから出ましたが、疫学的な研究とかの研究者の学問の自由と関わる権利利益と、更に人類公衆に関わる権利利益とが混在して議論がなされているなと思います。
例えばITが進むとデータがいっぱい残ります。患者さんがお亡くなりになるとしたら、そのデータを消してくれと言えるのですかというとことで、システムの実装でも変わってきます。各論だと、消去ボタンを設計しなければだめですかという話になるのですよね。
患者の権利だったら、私の治療が終わったのならデータ消してくれというのが残らなければだめですけれども、それやったら疫学研究できなくなってしまいますし、インフォームド・コンセントの有無でやったら、統計の確からしさも狂ってまいりますから、一定の場合には社会的コンセンサスを得て、法律の根拠を得て、場合によっては第三者機関、番号情報保護委員会が多分できるということを前提にすれば、その事前のPIA、事後の監査を入れて、本人の意思に関わりなく一網打尽で一定の範囲で使っていいという領域をつくるのだろうとしたら、それはまさに法律事項になるのだろうと。そこをコンセンサスを得るためのたたき台を出すというところが、多分ミッションの一つになるのではないかと思いました。
以上です。
○樋口座長 小森さん、お願いします。
○小森構成員 ちょっと現場の方で確認したいのですが、この今回の論点2の中に、患者の情報に関しての削除というところがあるのですけれども、現場の電子カルテというのは削除ができない。基本的に改ざん防止のために書き直した場合は、その原文が残っているというのが現状です。それはひとつ御報告しておきたいと思います。
それと、削除云々という言葉で現場で問題になるのは、自治体等に出す文書が患者さんの希望、もしくは民間保険に出すものに関して、患者の希望でこういうことは書かないでくれということが多々あります。それは医師と患者との間の話し合いの中で、おおむね医師が問題がない部分は削除して書く部分が多いですけれども、大切なところを削除するわけにはならないわけですね。その辺のことというのは、どこまでが権利であってということは、今後決めていっていただきたい。特にその削除に関しては、削除し切れない部分をどういう形で削除したことにするのかということも、少しは決めていただきたいなとそう思っております。
もう一つは、先ほどの山口さんのお話の中であった、患者個人が、その本人の希望した方に自分の情報を教えていただきたいというケースが多々ありますけれども、その逆もありまして、家族の方が来られて、身内なのになぜ教えていただけないのかということでよく現場がトラブるわけですね。それに物すごく労力を失うわけです。そういうことも、どういう意味か、こういう規定があったときにきっちりと公表していただいて、国民みんなが理解できるようにしていただければ、医療の現場の混乱は少し収まると思います。
以上です。
○樋口座長 高橋さん、どうぞ。
○高橋構成員 何か同じことばかり言っているような気がして、気がとがめられるのですが、やはり言わなくてはいけないなと思っているのは、患者という言葉は何を意味するのかが、私ははっきり言ってわからないのです。通念としては、お医者さんへ行って診断を受けた者と考えているのでしょうが、多分これは法律用語ではなくて、法律用語だったら多分医療を受ける者と書いてあるわけです。
そうなりますと、先ほど冒頭に座長がおっしゃったことが非常に重要で、先回、佐藤構成員もそれに関係することを触れたのですが、社会保険診療の場合は、被保険者という概念と給付を受ける者という概念がある。ところが医療現場になると、医師と患者、医療提供者とそれを利用する者。そこでは要するに費用を負担する、厳密言ってみれば、原則7割は社会的に負担されるわけですから、これは実は当事者なのです。要するに幾つかの医療選択された、これはこの人にとって余りにも高コストで、それを7割も我々が負担するのかと言う権利を持っているわけで、これはパブリックというか抽象的な存在。それは多分、政策当事者がそれを代弁しているというのが現状。実は市場経済で提供されているものが割と話は単純で、先ほどの金子座長がおっしゃったとおり支払い能力が全部済むんだけど、社会保険という社会サービスになるとそういう当事者ではなくて、第三者としての負担者がいて、それがパブリックという言葉。
もう一つは、それが抽象的なパブリックではなくて、保険者が、例えば国民健康保険になれば市町村と保険者がいるわけで、それはコミュニティーというか、中間的な形態の関与者がいる。そういう意味では、少し言葉遣いを是非わかりやすくて、患者と医療を受ける者と、被保険者と給付を受ける者。
もう一つ気になるのは、代理人の問題。決定的に医療同意を今までは家族を前提としましたが、それが利益相関も含めて成り立たなくなっているわけですから、そういうコントロールの主体はだれかというのは、割と自明ではどうもなくなり始めている。そういうことを含めて法律にする上で、あいまいのまま、それから医療提供者側だって、主治医かかりつけ医という概念と、先ほど連携の対象としての医師とコメディカル、さまざまなレベル。
そして、これが介護になると守秘義務を持たない一般住民まで入って、在宅医療の場合全く同じですが、そういうことを含めて関わり合うステークホルダーなり、関係の概念を少し整理した何か。これは大作業ではあると思いますが、そこをやっておかないと、先ほどの利活用の話も進まないですよね。多分、公益的・抽象的な医化学という学問の発展のためという話のレベルから、コミュニティーにおける適切な負担と給付を実現するためのレベルから、そういう幾つかのレベルがありますので、是非そこら辺の頭の整理をする。患者と言った途端に、そこでそれぞれある種の互換のある言葉ですから、病院における医療提供場面ということで多分議論がずっと進んでいくのだと思うのですが、現実は必ずしもそうはなってないわけですから、そこら辺の整理を是非どこかでしておいていただかないと、と思います。
○稲垣構成員 健保連の稲垣でございます。
今の先生のお話に関連しますが、今回の枠組みの中で、例えば私ども保険者がどういう位置づけになるかということで一つ疑問を持っております。両方に等等と入っていますから、どこに入っているのかもしれませんが、保険者として、私どもは患者と言うよりも被保険者・被扶養者に対して、医療情報あるいは医療機関情報を提供したり、最近ですと、疾病予防として特定健診を実施しています。そのようなことで、健診なり保健指導を通じて加入者に対して、サービスを提供し、かつ健診データを保有しているところでございます。
そういう意味で、今後どういう形で医療等のデータの利活用が進むかということでございますが、私どもも今、健保組合に対しては個人情報の適正な取扱いについてのガイドラインが設けられていまして、それに基づいて運営しているわけでございますので、今回の整理の中で、どう位置づけるかについては検討する必要があるのではないかと認識しております。
○樋口座長 では、寺野さん、どうぞ。
○寺野構成員 時間が余りなくて、せっかく来たので一言は言っておかないと、ということで、2点です。
1つは今、樋口先生が言われた基本的な方向はいいと思います。ですから、その方向で進んでいくということに関しては、基本的には、私個人は賛成します。
ただ、最初、厚労省の方から説明があったときには、申し訳ないけれども、何の話なのかなと正直思ったのですね。余りに範囲が広過ぎて、何を一体この委員会はやるのかというのがますますわからなくなったのですけれども、最終的には6ページのところに最終的には行くのでしょうけれども、これをやると、とても時間がないですが、ここが実はポイントなわけです。
ですから、そこの辺をどういうふうに持っていくのかということです。今、樋口先生が言われたように、この個別法たるものは個人情報保護法あるいはマイナンバー法とは違うと。基本的に医療の立場でやるんだということになりますと、これは大事です。前回も言ったのですけれども、本当に夏ぐらいまでできるのですかという話になってくるわけなので、これを本当にどこまでやるのかという法的枠組みというのがあるわけで、それをやはりはっきりさせる必要があるということを樋口先生はおっしゃりたいのだと思います。ですから、そこのポイントを早く絞りたいということですね。そこの辺にみんな協力していく必要があるのかなと思うのが一つです。
もう一つは、山口さんのお話は非常にいいお話で、これは非常に客観的で、山口さんのような立場の人が発言されると、患者サイド、患者サイドですべて話が進んでしまっていくのですけれども、非常に客観的な話だったと思います。ということは、前につくった個人情報保護法に基づいたガイドラインについての総括はどうなっているんだと。総括と言うと大げさだけど、その結果、現在の医療の状況、情報をめぐった状況がどう改善し、どこに問題があるのかということの総括が、これは次回までに整理しておいてもらいたいと思います。これがないと、今やっていてもむなしい感じがするのです。
我々医療者としては、第一線で物すごく苦労しているのです。私は内視鏡医ですから、内視鏡をやること自身に対しても問題あるし、学会の発表、論文を出すときなども問題あるし、いっぱい問題あるのです。そこに物すごく苦労して、むしろ委縮しながらやってきたわけなので、そういうところが、大まかにどういうところが問題点かをやはり出してもらいたいなという感じはしています。
ですから、長く話す気はありませんが、ここでどこを、いつまでに、どういう形でまとめるかということをはっきりしておいて議論していく。そして、できるだけ早くたたき台を出してもらう。それが出ないと議論にならないですよ。いつもそうです。
それで終わりの最後の2~3回になって、たたき台が出てきて、これでいいですねと出てくるのです。少なくても私が関与する委員会はすべてそうです。それではだめなので、もっと早くからたたき台を出して、それに基づいた議論ができるように、そして我々にもそれを修正する権限というか、そういう力を与えていただきたいなと思います。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
時間の関係もあるので、資料1の今日の論点の1から2にかけて、やはり医療等ですね。情報個別法、特別法について必要性はどこかのところで決めたからっていうのではなくて、我々の間でも、それはあるねと考えておられると思ってよろしいですね。そこはちょっと分かれるかもしれないけれども、やはり個人情報保護法というものでは余りにも大なたなので、個別のメスを使ってするような手術を対象とする。また、医療だけを対象とすると高橋さんに言われそうですけれども、そういうように非常に不向きなのです。それは原因について、ちゃんと究明していないではないかとか、今、寺野さんがおっしゃったようにガイドラインがあるのに、あれがどうなったのか、それを総括しろと言われて事務局でも困るのではないかと思って、簡単に言うとガイドラインは負けたんですね。
例えばガイドラインの中で一つだけ例を挙げますけれども、地域がん登録などはちゃんと公衆衛生上のあれがありますから、同意などなくたって、勿論、樋口ががんになっているということをわざわざ知らせることは、とりあえずはなくて、がん登録の場合は何人こういうがんが出ましたと。しかし、連結可能にしておかないと、その後にがんがどうなったかと追跡していきますから、そういう形なんだけれども、遅ればせながらという形で、東京都が地域がん登録を始めるんですよ。その委員会に私は出ていたんですけれども、4回も5回も個人情報保護法の関係では大丈夫でしょうかとか、ほかの県はみんなやっているではないか、あなたのところは40番目くらいなんですよ。
それでもそういう議論があって、ガイドラインに地域がん登録はちゃんと例外ですと書いてあるんだけれども、見てくださいよと言っても、寺野さんも樋口も宇賀先生も信用できない、法律でという、これはどうしたらいいのか。つまり、そういう誤解をする人がいつまでもいるのだったら、ちゃんと法律には法律を、しかも特別法ですから、それでもっとはっきり医療のためになるような法律を、我々はつくるということにしたらいいということだと思います。
そういう話で一致ができましたと。その中に患者の権利とか責務という話も入れ込んでというところまで了解されたと思ってよろしいですか。後は具体的に寺野さんが言うように、やはり報告書の案文をできるだけ早く、この一番初めの部分についても、基本理念で共有しているようだけれども、実は呉越同舟だと意味がないわけです。でも、一致ができると思うので、そういう文章になって出てきたと。
そうすると、その方針で次はもっと細かく、あるいは今日この後もやるつもりですが、いよいよ6ページ目のところからですね。こういう話で詰められる範囲のことはここで詰められるけれども、多分数も少ないので、それらについての基本原則を確認するということかと思っています。しかし、ここにはいろいろの専門家がいるんだから、いろいろなことを言っておいてもらうのは、後のために非常に役に立つのではないかと思っております。
そういうようなまとめで、後は今日の集約したものをできるだけ早く、次回とはいかなかもしれませんけれども、文章化して、報告書のきちんとした案文が出たたたき台などということを言わなくていいわけですね。初めのこの部分についてはこういう形でどうでしょうかと。議事録と同じですから、そういう形で文章化してもらったもの。それだけにずっとかかっていると後の方ができないから、それはそれとして置いておいて、いろいろな意見をして、案文もちゃんと訂正するという話にして、6ページ目のところへ行きたいと思っています。
残りの時間だけすごく短くなりましたけれども、これで6ページ、7ページで少し具体化されていますね。マイナンバー法案による措置、IT化・ネットワーク化を踏まえた番号制度その他、一元管理に対する不安、必要な環境整備、こういうような話ですが、この文章を読んで、それぞれの専門家がどうお感じになるか。こういうことだけでは足りないということなのか。これは考えたのはみんな当たり前のことだよということなのか、御意見を伺えると助かるんですけれども、いかがでしょうか。
○鈴木構成員 先ほどお話を既に差し上げたんですが、ここに患者等の自己の情報を保護される権利とありますが、先ほど申し上げたとおり、なぜ混乱するかというと、理論的基礎がないんです。なぜ保護するのか。権利はなぜどういうところから発生するのか。プライバシーの権利から発生するのか。条文にあるからではだめです。
その条文は何に基づいて、どういう趣旨でできたのかということを言ってもらわないと、保護と利活用は対立しますので、調整法理が出てこないですね。原理的なところで、こういう要求がこういう考え方から出るのだという対立する原理があって、そこにどう調整していくかということを考えていかないと、法律論にならないです。利活用が重要だと言ってもしようがない。
そうすると、患者の自己の情報を保護される権利というのは、プライバシーの権利から出てくるという理解ですかと。個人情報保護法では採用していない考え方ですが、今回の特別法ではプライバシーの権利という言葉を使いますかと。そうすると、中間的概念というか、プライバシーの権利というのも非常にポピュラーですけれども、プライバシーの権利は何なんですかという次の議論になってしまうのですが、そこもちゃんと立方的な解決に踏み込むかというところが多分大きな論点になると思います。
プライバシーの権利の中身を確定するとしても、そういった憲法的な基礎を持つ権利だということにしますと、この開示請求については当然訴訟できるようにつくり込みましょうよということになると、先ほど高橋先生からお話が出たとおり、ステークホルダーが多様ですねと。患者と我々素人は一義的に決まっていると思い込んでいたけれども、具体的に開示請求権という権利を確定する場合に、ステークホルダーがいろいろいるとなったら、だれが請求できるんですかというところを確定するために、やはりステークホルダーを全部書き出していただかないとだめだと。
現行法は個人情報取扱事業者という概念を使っていますが、今回は医師とかも出てくるのではないですかと。民事的な効果を出すのだったら、行政取締法規だけの条文にならないですよと。開示請求訴訟ができるとなったら、民事規定ですから、訴訟ができるだけの手続規定を用意しなければだめですねという話になってきます。
更にマイナンバー法案による措置とここに出ていますが、今回の特別法ではマイナンバーを使うんですかということも議論になると思います。マイナンバーではなく、医療番号なる別なマイナンバーを創設して、別の連携基盤をぶら下げるというのも前提にするのかしないのかが多分論点になってくると、その番号というのも個人情報、プライバシー情報になるのですかということも議論になってくると思います。そういうところを詰める必要があるのではないかと思います。
○樋口座長 大山さん、どうぞ。
○大山構成員 樋口座長が非常に苦労なさって進めるのを大変だなと思いながら見せていただいているにもかかわらず、まただめ押しをするような話をしてしまうかもしれないのですが、まず今回のお話の中で、先ほどから聞いていて、言い方は悪いかもしれませんけれども、例えで言うと二兎を追いかけるつもりかなと。すなわち1頭目は従来のかつてできたものが、それこそ先ほど、不評な個人情報保護法ができたための云々という流れを言われているお話。これは改善するお話というのは、当然本来の目的から見て、合理性があれば改善しようというお話だと思います。
もう一個、その次の話があって、それは例えば先ほどの話ですと、病病連携、病診連携の話も一例として出て、信託の話も出ていましたが、そういう中でさらなる新しいサービスを医療の質向上のためにも何とかしようという話があるのかなと。勿論その中に患者さんという言葉を使うのは、なかなか難しくなってくるみたいですけれども、ここでは患者の自己の情報の保護を含めた話が出ているので、あえてそれを言わせていただくと、今のような話も追加されてくる。そういう意味で、二兎を追いかけているのかなという感じがする。それはそれでいいのですが、まずその二兎を追いかけるんですねという確認。
もう一つは、2頭目の方です。新しいものの話ですが、これは法令等で明文化されたことをやろうとしているのか、そうでない話をしようとしているのかで考え方が随分違うと思います。なぜそう言うかというと、御存じのとおりマイナンバー法は別表2にやっていい法律に規定が書かれていて、既存の法律の中でこれは連携をやっていいですよと書いてあるわけです。医療の中で同じように新しくやろうというときに、根拠規定を持っておやりになるのか。
あるいはそうでなく、勿論、物によってはわかっていますから、全部ができないのは当然だと思っているんですけれども、あえてここでお聞きすると、逆に言えば根拠規定をつくってでもやろうというお話か、それともそうでないフリーハンドのところをある程度残して進めようとしているのかで、またここも違うのではないかという気がします。その意味で、今のところはどちらなのかというのが1点目の私の質問です。
2点目ですけれども、これも個別に簡単にお聞きしたいと思いますが、6ページ目の2の2つ目の○で、2行目真ん中辺りから「患者等に同様の要求ができるよう」と書いてあって、これは一生懸命この文章を読んでいるのですが、主語がよくわからなくて、患者等に同様の要求ができるというのは、だれができるというふうに私は取ってしまうのですが、この解釈を確認させてください。
3つ目、これはさっきの番号法との関係です。先ほど来いろいろと出ているのですが、医療機関でマイナンバーを使うということについて、今の法案で書かれている内容は明確に出ていますけれども、例えば診療情報は扱わないと書いてあるわけで、それはいいのですが、そうは言っても健康保険組合さんを始め、医療機関も例えば健康保険の資格確認や何らかの支払いの方、すなわち大綱の前くらいでしたか。A、B1、B2、Cと書いてありましたが、B1の範囲を考えると、同じ医療等関連機関の中でもマイナンバーを持つセクションと使わない減量の世界。医療だとわかりやすいのですけれども、診療行為とかしているところという言い方になるのですが、こういうときに使ってはいけないと法律では書いてあるんだけれども、同じ機関の中に持っているところがあるから、要するにマイナンバー法がもしできると、マイナンバーを広く使われて、当然そのことが法律上はだめだと書いてあっても、実質的には影響してしまうことがある。だから、そこに対して今回の法律は手を打とうとしているのか。この辺の考え方を一回整理すれば、議論がかみ合うのではないかという気がいたします。
○樋口座長 これは事務局に幾つか答えていただくことになるかもしれませんけれども、2の「患者等に同様の要求」は上の話なので、開示、訂正または削除等の要求ができるよう、それは個人情報保護法でできることは決まっているではないかと言われると、そうなんだけれども、この医療のところのIT化、ネットワーク化の進展、番号制度などという話も出てきた中で、もう一回確認しましょうと。そういう環境整備という、ほかの方からも出ていましたが、実際にできるんですかというようなことを確認しましょうという意味ですね。
ほかのマイナンバー法案その他は答えられる範囲で、事務局からどうぞ。
○西村情報政策担当参事官 進め方の話がいろいろと出ているかと思いますけれども、今回ずっと言わば本件はマイナンバーのころから、あるいは個人情報保護法から関わっていらっしゃる先生と、そうでなくて途中から加わった先生方といらっしゃって、先生方によってかなり出発点が違うところがあるのだろうと思います。恐らくずっとやっておられる先生方は一回リセットされて、繰り返しその話をしなければいけないというような思いが多分おありで、とにかく早く具体案をつくろうよというようなところはあろうかと思います。
一方、かなり理念的なことについて、まだ十分その了解が得られていないのではないかと感じられている先生もいらっしゃるのだろうと思います。私どもは今回の論点を前回挙げさせていただいた順番としては、大きな話から小さな話へといいますか、その理念的なところ、保護と利活用というものの関係でありますとか、そういった理念的なところをきちんと押さえた後、テクニカルな話も含めてやっていくというような順番で、余り性急にテクニカルな話に入るということはするべきではないので、若干この総論が長く行われているような印象があるのではなかろうかと思います。
次回以降、一遍にはなかなか出せませんが、これまで先生方から御指摘のあった、例えば現行のガイドラインの総括の問題でありますとか、あるいは利活用の実態の問題とか、そういったものについては資料を出しつつ、一回一回なるたけここまでは合意ができましたという形で確認をしていただくように進めていただければと思っております。一とおり議論が一旦できたところで、何が合意できたのかを先ほどございましたように、文章なりの形で合意を確認していくという形にできればと思っております。
今、幾つか進め方の話がございましたけれども、例えばプライバシーの権利という問題をどう考えるかという理論的な整理が必要だとか、あるいはマイナンバー法との関係をどういうふうに整理するかということが大事だとか、先生方によって重点と考えられる事項について御指摘をいただきました。
私どもとしては、一応前回にお示しした論点1~5の中に、一とおり全部それは入っていると思っています。ただ、それは論点5のところでやろうと思っていたとか、論点3のところでやろうと思っていたというのが結構あるものですから、一とおり論点をさらうところまではもう一回やっていただければと思っております。勿論、毎回毎回それなりに押さえていくところはあろうかと思っております。
したがいまして、今回について言えば、この権利と義務というところで、先ほど座長に言っていただきましたように、基本的な保険と義務ということで考えていくということについては、皆さんは御異論がないという感じだったかと思いますので、後は自己の情報を請求する権利について、どういった点が重要であるか。あるいは、ここは違うのではないかということで御議論をいただいて、これを先にやるべきではないかという御意見はあろうかと思いますが、それについては御指摘をいただいた上で、次回、次々回、そのときにその話題を用意しておりますので、こうすべきだという形で御指摘をいただければと思っているところでございます。
○事務局 事務局の説明ばかりで検討会の時間を空費してもしようがないんです。お問い合わせいただいたものは宿題を受け取るべきものと、この場で御検討いただくべきでない事柄が若干含まれておろうかとも思うんです。鈴木先生には申し訳ありませんが、プライバシー権の定義をここですべきではないと思います。つまり、大山先生の御発言にも関連しますが、ここに書かれているようなことの権利というのは、どこかの法律にすべてほとんどのことが書かれてあるんです。しかし、それが委縮があったり、手続が面倒だったり、そういう権利があることが知らしめていなかったりということで、効果が発言していなかろうということが考えられる。
元来これはお持ちの権利について、ここで明らかにして、そういうことを開示なりを請求する権利は勿論、国民だから皆さんはあるんです。親族であれ、近所の人に委任してお願いしようが、開示を請求する権利はあるわけです。しかし、その請求手続が余りに明らかになっていないのと、こんなことをやっていいのだろうかということを明らかにしておこうかと。権利ということについても、権利の実体をここで何とかしようとしているわけではないんです。規制法のような条文が書かれますから、この法律をつくった保護すべき法益は何だったかということを振り返れるように一度議論をしておきませんかということがアジェンダーであって、我が国の条文に権利を書き込むというのは、なかなかに困難なものですから、恐らくここで幾ら議論を積み重ねていって、こういう法案を出したいんだというときに、保護すべき法益としてそれはあっても条文にはならないことが考えられます。
ですので、共通理解として、こういう権利がこちら側にもあちら側にもあるのではなかろうか。それを請求するためには、こういう責務が裏打ちとしてなければならないのではなかろうかという共通の合意の上で情報を保護していくためにどうするのかということを議論するというアジェンダーでお出ししているもので、ついでに申し上げますと、開示に関しては恐らく語感からしても、25条の法理からしても、対立的構造から生み出されるものですので、民事のこともおとらえになるのかと鈴木先生がお尋ねになったと思いますが、個人情報保護法を通則法とする個別法で民罰は恐らく問えません。
ですので、刑罰規定をつくっておき、それが例えば医師であれば、医師の非行為であるということになれば、これは医道審という行政罰をかける場は別にあるわけで、ここに余り司法が刑罰規定を持って臨むべきではないでしょうし、公務員の非行為であれば、これは国公法88条によるけん責を受けるわけです。資格法とかに基づく行政罰というのは別の観点から議論されるべきものであるし、個人情報が保護されていない、これをプライバシー的な情報が保護されていない状況を刑罰によって律しようかという法律であって、不愉快だから訴えるとか、不愉快でないから私は訴えませんとかいうのは主観的な問題で、こういうことの救済は民事やっていただければと思います。
余り複雑にするつもりはないですし、ここで例えば事故情報コントロール権とかプライバシー権という権利そのものを定義しようというものでは一切ありませんので、こういう感じですね、保護すベきはここですねというところを基点に御議論さえ進めていただければと考えておりますけれども、鈴木先生、よろしいでしょうか。
○鈴木構成員 大体趣旨は理解しますが、私はプライバシーの権利を決めるべきだという趣旨ではなくて、そこがわからないところに混乱の原因があると申し上げたつもりで、今回は行政の取締り規定でいくのかどうかということだったのですが、現行法は個人の尊重の理念がありまして、そこを手がかりに進めるんだろうと。法文上のつくりはともかくとして、今の話は学説として各学者が自由に論じるべきところでしょうが、そこの空気といいますか、踏み込まずと言わずもがなのところが多分出てくるだろうとは思っています。
ただ、開示請求権は、私は25条1項の部分では否定説だったのですが、果たして医療の現場で開示請求訴訟ができる性質のものにしなくていいのかは、引き続き議論が必要かなとは思っています。
○樋口座長 時間がほぼ尽きたので、終わらないといけないと思っていますけれども、これは私の個人の提案で、先回もそうですけれども、これだけの先生方がいて、一人ずつ、しかも私までしゃべるのはいかがかなと思っていますが、議論の回数が少ないことだけは事実なので、それこそ同意原則ですが、今日例えば発言していただけなかったことを中心に、発言をした人はもう黙ってくださいという意味ではないのですが、メーリングリストを事務局に頼んでつくってもらって、この間こういうことを本当は言いたかったんだということを出してもらえないか。
しかし、メーリングリストはクローズドになりますから、一方で公開性にすごく反するわけです。そこで裏で決めて、はいはいというわけにはいかない。メーリングリストで話された内容は、次の会にはちゃんと資料として出る。自分はそういうのが嫌だというなら、削除の権利というのがあるという話ですから、それはそれでいいので、こういう意見もあるよということだけは言っておきたいというのなら、それはそれでという意味で、基本的には開示していって、勿論ここでの議論が一番主なので、それを補足するという役割のメーリングリストをつくらせてもらえないだろうか。
それで傍聴の方を含めて、勝手にこういう人たちだけで決めるんだというような印象を与えるのは本当に本意ではないので、そんなことは絶対にしませんということをみんなに誓約書で血判状をつくって、とにかくそれは資料の形で必ず公開する。時間がないので言えなかった人たちが、こういう意見も出していますというのを出したいと思っていますが、そういうことをやってよろしいですか。
こういう会議体としては、一人でも反対があれば、これはできないのではないかと思っています。一人でも反対があれば、それはそれで仕方がないと思っています。さっき言ったような公開原則も維持していくということでよろしいですか。
では、事務局に御面倒をかけますが、それぞれのメールなどをわかっているんでしょうね。それでメーリングリストを一つつくって、あるいはメールを使わない人がもしこの中にいれば、それがIT化について話しているのも、私も対してIT化などと言えないような人間だけれども、とにかくメール以外の方法も使ってということでもいいですね。
事務局、それはいいでしょうか。
○事務局 特に問題になるとすれば、つまり、そこで議論が終わったので、次回の会議はそのことは省略してと進んでいくと、見えないところで議論が進んだかのようになってしまうので、これは公開しようということですね。
もう一つは、会議の設置と同様のことを役所がメーリングリストをつくっていいのかどうかということになるので、事務局と確認をされてしまうと厚生労働省がということですね。私個人として承りましたというのとは返事の性質が違うんですけれども、委員の中でどなたかつくっていただけないですか。
○樋口座長 金子さん、どうですか。
○金子座長 賛成で、メーリングリストをやったものの要約なり何なりを公開すれば、全然問題ないと思いますので、ここで厚労省が堂々とやっても全然構わないと思いますし、もし何か差し障りがあるのだったら、我々がやってもいいです。
○事務局 2点目については、うちにサーバー資源がないので、厚かましいですけれども、例えばどこかでつくってもらえませんかというお願いです。
○金子座長 セキュリティーがあるような大学とかでやれば、全然問題ないのではないかと思います。
○西村情報政策担当参事官 先生、確認させていただきますが、先生の御趣旨はあれでしょうか。今日、時間がなくて発言できなかった分に対して、後で事務局に提出していただいて、それを全員にお配りして、かつ次回にちゃんとお配りするという形ではなくて、メーリングリストでやり取りをするということを想定されておられるのでしょうか。
○樋口座長 本当は同じことなんだけれども、やり取りがなかったら議論にならないので、それはメーリングリストの方が早いかなと思っただけです。
○西村情報政策担当参事官 やり取りはこの場でやっていただきたいと思います。しかたがいまして、もし今日御発言ができなかったとか、あるいはこういったところを言いたいということがございましたら、それは事務局の方にいただければ、皆様にも配付しますし、次回の会議でオープンにしたいと思います。それとは別に委員の間でメールでのやり取りをしたいということについては、勿論やっていただいて構わないと思いますが、それはこの検討会のオフィシャルなものとは違う形になるのではないかと思います。
○樋口座長 勿論当たり前です。西村さんのおっしゃるとおり、別にオフィシャルなことを陰でやろうなどという話は本当にないので、そういう意図はないんだけれども、そういうふうに取られると困って、誤解する人がいっぱいいる。私が言っていることは大丈夫ですか。それは皆さんも大丈夫ですか。
○金子座長 これくらいのことを決められなかったら、我々は存在する意義がないと思いますので、事務局はそれが問題だと言うのだったら、全員が入るということについて同意を取った方がいいと思います。
○事務局 事務局が問題にしているのは、そこで済んだ議論はもう次に表に出てきませんということが問題なので、そういうことだけないようにしてくださいというのがまず1点です。電子化の時代ですから、置くのはどこにサーバーを置いてもいいわけです。ただ、自由に使えるサーバー資源がないので、東京大学は割と自由に使えましたかね、ということをお尋ねしたのですが、別にどこのドメインでもよろしくて、議論について、例えばそこでもう決着したから検討会に出てこないみたいなことがあったら、私どもからも言いますよと。オープンでないところで議論が済んだかのように扱われていますが、これはちゃんと表でやってくださいよということを私が言ってよろしければ言いますよ、座長から言っていただけますよということさえ担保されていれば、これは別にどこでやっていただいても、たしかそういう先例が内閣府の会議などでもありましたね。
○樋口座長 こういう意見が出たというのを事務局へ返して、資料に添付するというところまで山本さんにお願いするような話にもなりますけれども、山本さんのメールアドレスを公開してもらって、公開してありますか。
○金子座長 1つだけ、私は昔、総理がいつも出た「新しい公共」という内閣府ので、それはすべての発言を全部資料にしないといけないと。そこでやったものは必ず、そこで議論しなかったことは次に議論をしなければいけないという非常に厳格なもので、全部インターネット中継をして、録画が無修正でもって首相官邸のページに出るということもやりました。
やはり議論はなかなか深まらないので、そこでやって要約をちゃんと出して、みんながそれについて次に意見を言い、議論をしてやるということをしました。それは内閣府が自分でつくっていましたので、厚労省はリソースがないという決定的な不足が今、明らかになったので、冗談ですけれども、それならば山本先生にやっていただく。
ただ、やるとしたら全員がOKと言っていただいて、3人だけでやるということはないようにした方がいい。その代わりに次にちゃんと言って出すみたいなことをすればいいのではないでしょうか。
○西村情報政策担当参事官 恐縮でございますが、非公式なやり取りの話なのか、公式のやり取りの話なのか、わからないところがありますので、改めてこの話は相談をさせていただければと思います。
○金子座長 どのような場で相談をするのでしょうか。
○西村情報政策担当参事官 要するに非公式のやり取りをどこかでやりましょうということであれば、それはそれで一向に構わないですし、それはこの場で今、議事録を取っている中でやらなければいけない話ではないですし、公式なやり取りをメーリングリストにして、そのやり取りについては次回に全部公表するようにするということであれば、ここで決めるということになると思いますが、そういうことを意図されているのでしょうか。
余りそういう例は今までないと思いますけれども、それは要するにメールでの会議みたいな形になるわけですが、そういうことをおっしゃっているのでしょうか。よくわからないです。
○寺野構成員 私の経験上から言うと、別に厚労省委員会と同じですが、例えば今日26日だから、少なくとも連休明けとか何日までということで、事務局のメールアドレスとファックスの番号を与えておいて、それまでに出すと。それを次の委員会で出してもらうということだけでいいのではないかと思います。そこくらいは事務局を信用していいのではないかと思います。
○樋口座長 それはさっきから西村さんも言っているように、今日発言する機会がなかった人を事務局の方へ連絡していただいて、次回にそれを資料として提示するということですね。それならやれるし、公式で出回るということです。そういうことであれば、それは仕方がないことですね。
大山さん、どうぞ。
○大山構成員 追加でよけいなことかもしれないですけれども、本人の希望によっては、皆さんに意見として出したものを配ってくださいというのがあっても別におかしくないと思います。
○樋口座長 それはできます。
○大山構成員 そういうことであれば、その後にまたレスポンスが行けば、結構同じなので、事務局には完全に通るということだと思います。すべての情報は事務局が集約して持っているというのがいいのではないかと思います。
○樋口座長 それを次回の紙でやろうということですね。仕方がないです。
○金子座長 西村参事官に質問ですけれども、インフォーマルでやる分には仕方がないというか、勝手にという言い方はしないと思いますが、やってくださいということで、それがオフィシャルになるとすると、ちゃんと手続を取らなければいけないという話でよろしいですか。
そうでしたら、我々の中でそれはインフォーマルにやるんだけれども、その中のものはちゃんと開示をして、そこで物事は完結しないと。そこで議論をしたことは、必ず次の会に何らかの形で発言をしてということで、皆さんも時間がない、時間がないとおっしゃっているわけですから、あくまでも補足ですね。ただ、紙だけ出してみんなに配ってくれというだけだと寂しいなという気がするので、大山さんがおっしゃったように、だれかが紙を出した、それに対して私も紙を出しますよと。では、メーリングリストにでも載せてくれということだったら、例えば山本先生のところで管理をしていただいて、その場合は自主的にちゃんと内容についてはどこかに開示をして、みんなが見られるようにするということでないと、紙だけ出して勝手に見てくれというのだとすると、余りやる意味はないかと思ってしまいます。
ですから、事務局として問題がないなら、そういう形でやらせていただく方がよろしいのかなと。これがオフィシャルになってしまうと、どこまで議事録を取るかみたいな話になってしまいますけれども。
○西村情報政策担当参事官 わかりました。そんな方法で考えまして、確認をさせていただきます。
○樋口座長 しかし、とりあえず事務局は考える時間が欲しいと言うので。
○金子座長 ここで決めろというのは無理かもしれませんね。
○樋口座長 そうですね。済みません、10分以上超過してしまいましたけれども、とりあえず今日は私の理解では、資料2の6ページの1、2くらいまでは大体来たかなと。マイナンバー法案との関係とか、その後の話は資料1の3の実際に情報を取得し、どういう位で活用保護していくという話とまさに連携するので、次回の主題になると考えておりますので、また次回ということでよろしくお願いします。
どうも長時間にわたって、ありがとうございました。
 
(了)

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