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2012年2月15日 第4回 次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 議事録
健康局総務課生活習慣病対策室
○日時
平成24年2月15日(水) 13:00~16:00
○場所
厚生労働省 専用第18~20会議室
○出席者
出席委員(50音順・敬称略)
池田 俊也 (国際医療福祉大学大学院教授) |
岡村 智教 (慶應義塾大学医学部教授) |
尾崎 哲則 (日本大学歯学部教授) |
工藤 翔二 (公益財団法人結核予防会複十字病院長) |
熊坂 義裕 (盛岡大学栄養科学部教授) |
新開 省二 (独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究部長) |
津金 昌一郎 (独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部長) |
辻 一郎 (東北大学大学院医学系研究科教授) |
津下 一代 (あいち健康の森健康科学総合センター長) |
十一 元三 (国立大学法人京都大学大学院医学系研究科教授) |
戸山 芳昭 (慶應義塾大学医学部教授) |
中村 正和 (財団法人大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター健康生活推進部長) |
西 信雄 (独立行政法人国立健康・栄養研究所国際産学連携センター長) |
野田 光彦 (独立行政法人国立国際医療研究センター糖尿病・代謝症候群診療部長) |
羽鳥 裕 (社団法人神奈川県医師会理事) |
樋口 進 (独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター院長) |
堀江 正知 (産業医科大学産業生態科学研究所長) |
三浦 宏子 (国立保健医療科学院統括研究官) |
宮地 元彦 (独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進研究部長) |
村山 伸子 (新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科教授) |
山縣 然太朗 (国立大学法人山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座教授) |
湯澤 直美 (立教大学コミュニティ福祉学部教授) |
横山 徹爾 (国立保健医療科学院生涯健康研究部長) |
吉水 由美子 (伊藤忠ファッションシステム(株)ブランディング第1グループクリエーションビジネスユニットマネージャー) |
事務局
外山 健康局長 |
野田 生活習慣病対策室長 |
河野 栄養・食育指導官 |
三田 生活習慣病対策室長補佐 |
菊地 生活習慣病対策室長補佐 |
○議題
(1)次期国民健康づくり運動プランの素案について
(2)その他
○配布資料
資料1 | 「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」(素案) |
資料2 | 関係団体・学会からの主なご意見 |
資料3 | 次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料 |
参考資料1 | 国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針 |
参考資料2 | 国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針について |
参考資料3 | たばこに関する目標設定の考え方について(平成24年2月1日 がん対策推進協議会配布資料) |
○議事
○菊地室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回「次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会」を開催します。
委員の皆様には御多忙の折、お集まりいただき、厚く御礼申し上げます。
まず、本日の出席者についてでございますが、鈴木委員におかれましては、本日は欠席となっております。また、吉水委員におかれましては若干遅れていらっしゃるようです。したがいまして、現在25名中23名の御出席をいただいております。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
座席表、議事次第のほか、配付資料一覧のとおりでございます。
資料1「『国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針』(素案)」。
資料2「関係団体・学会からの主な御意見」。
資料3「次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料」。
参考資料1「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」の告示。
参考資料2「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針について」の通知。
参考資料3「たばこに関する目標設定の考え方(平成24年2月1日 がん対策推進協議会配布資料)」
以上でございます。
また、配付資料ではございませんが、委員の皆様にはこれまでの委員会で各課題についてそれぞれ御提出いただきました資料を机上に置かせていただいております。更に、未定稿資料ということでございますが、事務局で作成いたしました個別の目標項目に関する補足資料を机上に置かせていただいております。本日の目標に関する御議論の際の参考にしていただければと思います。なお、この資料はあくまで未定稿ということでございまして、本日の会議終了後、事務局で回収させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上でございますが、不足している資料等ございましたら、事務局までお申しつけいただきますようお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、ここから辻委員長に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○辻委員長 よろしくお願いします。
本日は、議題1といたしまして「次期国民健康づくり運動プランの素案について」、議題2として「その他」というものを用意しております。
それでは、議題1「次期国民健康づくり運動プランの素案について」に入りたいと思います。
まず最初に、事務局から御説明お願いします。
○野田生活習慣病対策室長 資料1「『国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針』~健康日本21(第2次)~(素案)」でございます。
順を追って御説明いたします。この基本方針素案につきましては、1月12日の専門委員会で骨子案をお示しいたしました後、1月23日の栄養部会の御審議における御意見を踏まえまして、本日、基本方針素案としてお示しすべく、各専門委員の先生方の御意見、関係部局等からの意見を聴取した上で整理したものでございます。
まず、前文でございますけれども、これまで御説明しているとおりでございますが、少子高齢化や疾病構造の変化が進む中で、生活習慣、社会環境の改善を通じて、すべての国民がともに支え合いながら、希望や生きがいを持って、ライフステージに応じて健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を実現するということが前文になっております。
次に「第一 国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向」ということで「一 健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を掲げまして、その後の二と三によって、健康寿命の延伸を実現するというふうになっております。また、健やかな暮らしを支える良好な社会環境を構築するということで、健康格差の縮小を実現するということを入れております。
二がNCDの予防でございまして、一次予防とともに重症化の予防に重点を置くということを推進するとしております。
「三 社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上」ということで、自立した日常生活を営むことを目指して、すべてのライフステージにおいて心身機能の維持、向上に取り組む。また、子どものころから健康な生活習慣づくりに取り組むとともに、働く世代のストレス対策などによって心の健康づくりに取り組むとしております。
「四 健康を支え、守るための社会環境の整備」でございます。個人の健康は社会環境の影響を受けるということで、健康を支え、守る環境づくりに努めていくことが重要。また、広く国民の健康増進を支援する民間団体などの積極的な参加協力を得るということが必要である。地域や社会のきずな、職場の支援等が機能するといったことにより、時間的、精神的にゆとりのある生活を確保できない方や、健康づくりに関心のない方などを含めて、社会全体が相互に支え合いながら、健康を守る環境を整備するとしております。
「五 多様な関係者による連携のとれた効果的な健康増進の取組の推進」ということで、まず「1 多様な経路による情報提供」ということを掲げております。健康増進については基本的には国民の意識と行動の変容にかかっているとあるわけでございますが、これを支援するためには十分な情報提供が必要である。また、伝達手段や保健事業における健康相談、健康教育等の多様な経路によって情報提供を推進する必要があるとしております。
「2 ライフステージや性差等に応じた健康増進の取組の推進」ということで、対象者単位に着目をいたしまして、特性やニーズ、健康課題等を把握する。それに応じて生活習慣病の発病の危険度の高い集団への働きかけを重点的に行う。また、社会環境が国民の健康に影響を及ぼすことを踏まえて、地域や職場などを通じた国民全体に対する働きかけを行うとしております。また、女性の生涯にわたる健康についても配慮すべきだということとしております。
「3 多様な主体における連携」ということで、各種の保健分野における対策、医療保険の保険者が実施する対策を含めたさまざまな健康増進に関する対策、それのみならず、学校保健ですとか産業保健、ウォーキングロードなどの整備などのまちづくり、森林等の利用促進、生涯スポーツに係る対策、健康関連産業の育成、関係行政分野、関係行政機関が十分に連携をとって健康増進を図っていく必要があるとしております。
それから、国、都道府県、市町村、健康増進事業実施者、医療機関、教育機関その他関係者、主たる実施機関による連携、協力が必要であるということとしております。健康増進関連事業者や健康関連機器事業者、食品関連事業者などは、自主的な取組みに努めるとともに、国は、こうした産業界との連携を一層図ることが必要だとしております。
「第二 国民の健康の増進の目標に関する事項」でございます。
「1 目標の設定主体」ということで、国は全国的な目標を設定する、また、それを周知して継続的に調査分析をする。その結果に関する情報を還元するということをもって、国民一般の意識向上、自主的な取組みを支援するとしております。地方公共団体においては、全国的な目標を参考に目標を設定する。地域、職場、学校等においても、その実情に応じて目標を設定し、計画を策定することが望まれるとしております。
「2 目標の設定方法及び評価」でございますけれども、この取組みを効果的に推進するために、現状と課題について共通の認識を持った上で課題を選択し、科学的根拠に基づいた実態の把握が可能な具体的目標を設定するとしております。目標については、おおむね10年後を達成時期として設定する。目標設定後5年を目途に中間評価を行うとしております。また、10年を目途に最終評価を行うとしております。
次に「二 健康増進を推進するための目標」ということで、全国的な目標は別表に掲げる項目ごとに定める目標値などとするということで、別表をつくっております。
別表が9ページからでございます。別表に関しましては、見出しと項目、現状、目標と整理されているものでございますけれども、大きく分けまして、現行の「健康日本21」などでベースラインがあるものと、そうではないものがございます。その上で、健康因子などの低減に連動して減少率や増加率を考えて設定できるもの、他計画や閣議決定等、目標が既に設定されているようなもの、目標値として定量的な評価ができる知見が十分にないようなものについては、例えば増加傾向とか減少傾向とかいった、数値ではなく傾向のみを示しているものもございます。また、未確定のものについては、その旨を目標、現状両方に付記してございます。
まず「1 健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現に関する目標」でございますけれども「1健康寿命の延伸」につきましては、国民生活基礎調査に基づいて、日常生活に制限がない期間の平均、自分が健康であると自覚している期間の平均ということで、平成19年と35年の比較で、寿命の増加分を上回る健康寿命ということで目標にしています。
「2健康格差の縮小」について、これも1と同様でございますけれども、都道府県格差を縮小するということで、注のところに健康寿命の最も長い都道府県の数値を目標とするということでございます。
次に2でございますが、NCD関係ということでございます。「(1)がん」につきましては、次期がん対策推進基本計画が現在検討中でございますので、これに合わせて目標を設定するということで、75歳未満の年齢調整死亡率の減少、がん検診の受診率の向上ということを目標に掲げております。
次に「(2)循環器疾患」でございます。脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少については、血圧や糖尿病や喫煙に連動させて、その改善に連動させてこの疾患の減少を目標としております。
高血圧の改善でございますが、栄養、運動の目標達成と、降圧剤の使用を勘案しまして、目標をつくっているところでございます。
脂質異常症の減少でございますが、これは現行の運動で50%減少としていたのですが、なかなか達成は困難ということで、おおよそ25%の減少ということで、それは同時に循環器疾患の1%の減少に寄与するという考え方で設定しておりまして、12.3%になっております。
メタボ予備群・メタボ該当者の減少でございますが、第二期医療費適正化計画が平成25年度からということで、この策定時期に合わせて設定するという考え方でございます。
特定健診・特定保健指導の実施率の向上につきましても、同様の取扱いでございます。
「(3)糖尿病」でございます。合併症でございますが、高血圧の改善目標に応じた導入率の減ということで、0.165%でございます。
治療継続者の割合の増加はすべてというのが望ましいということで、100でございます。
糖尿病有病者の増加の抑制でございます。ここに書いてあるとおりでございますが、自然増により見込まれる人数から40万人の減少ということで、一定の算出をしております。
メタボ予備群・メタボ該当者の減少でございますが、これにつきましても、先ほどの1、2と同様の取扱いでございます。
再掲でございますが、特定健診・特定保健指導の実施率の向上でございます。これについても同様の取扱いでございます。
「(4)慢性閉塞性肺疾患(COPD)」でございますが、これについては現状データがございませんが、今後把握を検討するということで、把握予定としておりまして、目標も現状を踏まえて設定するということでございます。
「3 社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標」でございます。
まず「(1) こころの健康」でございますが、自殺者数の減少につきましては、現在、まだ内閣府で自殺総合対策大綱の見直しを検討しているところでございまして、これを踏まえて設定ということでございます。
強いうつや不安を感じている人の割合の減少(気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の減少)ということで、これはK6という方法を使って10%減するというものでございます。
メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合の増加につきましては、22年6月の閣議決定がございまして、新成長戦略でございますが、100%という数字が入っております。
子どもの心の支援環境の充実につきましては、増加傾向へということで、指標としましては、小児科医と児童精神科医師の数ということでございます。
スクールカウンセラーを配置している中学校でございますけれども、84.3から100%ということでございます。まだ文科省とも調整中でございますけれども、必要だということで、100%になっています。
「(2)次世代の健康」でございますけれども、これは健康な生活習慣ということで、三食を食べる子どもの割合を100%に近づける。それから、運動やスポーツをほとんど毎日している子どもの割合ということで、多い方が望ましいのですが、なかなか目標の設定をするのは困難だということで、増加傾向へとなっております。
極低出生体重児・低出生体重児の割合の減少でございますが、これは減少傾向へとなっております。将来の生活習慣病を減らすという観点があるわけでございますけれども、出生体重に関する知見が十分とは言えないということで、減少傾向としております。
「(3)高齢者の健康」でございますけれども、自然増により見込まれる割合が19%ということですが、それから2%減少ということで、25年までに3%減少するという、政府レベルの決定がございまして、これに基づいて、一応2%の減少ということで見込んでおります。
認知機能低下ハイリスク高齢者の発見率の向上でございますけれども、高齢者の割合からかんがみまして、現在0.9%という数字を10%にするということで、要介護状態になるリスクのある方と、その出現率を考えてこのような数字にしているということです。
ロコモティブシンドロームについては、認知度ということで、今後把握予定でございます。
就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合の増加ということで、これも同様の取扱いでございます。
次に、社会環境整備に関する目標の関係でございます。
地域のつながりの強化につきましては、平成23年度に、既に栄養調査で、居住地域でお互いに助け合っていると思う国民の割合ということで、調査項目に入れておりますので、これを踏まえて設定する。
健康づくりを目的とした住民活動の増加につきましては、今後把握予定ということでございます。
健康づくりに関する情報発信に自発的に取り組む企業数の増加ということについても同様の取扱いでございます。
健康づくりに関して身近で気軽に専門的な支援・相談が受けられる民間団体の活動拠点数の増加ということで、これも同様の取扱いでございます。
健康格差対策に取り組む自治体の増加でございますが、これも同様の取扱いでございます。
5番といたしまして、NCDリスクの低減に関する目標でございます。
「(1)栄養・食生活」でございますけれども、適正体重を維持している人の増加ということで、肥満を増加させないということで、10年後も現世代の肥満割合が維持されるということで、数値を設定しております。やせについては、20代の女性の方が20~25%で推移していますが、これは低い方に合わせるということで20%でございます。
適切な量と質の食事をとる人の増加ということで、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の者の割合ということで、10%程度の増加でございます。
食塩摂取量の減少ですが、これは食事摂取基準とWHOの基準、日本型の食事の特徴を勘案しまして、8gとしております。
野菜と果物の摂取量・適切な量を摂取する割合の増加でございますが、現行の「健康日本21」の目標値が350gになっているといったことで、野菜については現状値を50g増やす。果物については、野菜によるカリウムの増加に相当する量と同じ分だけ摂取できるようにということで、50g増加という線を引いております。あとは、それぞれ摂取する者の割合は、野菜が60%、果物が70%ということでございます。
食事を1人で食べる子どもの割合の減少ということで、共食に関するものでございまして、これは減少傾向へということで、定量的な関連が現段階では困難ということで、傾向で示しております。
健康増進を目的として食品中の栄養成分の改善に取り組む食品企業等の増加ということで、これも今後把握予定で、目標の方は現状を踏まえて設定ということでございます。
利用者の身体状況や栄養状況に応じた栄養・食事管理を実施している特定給食施設の割合ということで、これも同様の取扱いでございます。
「(2)身体活動・運動」でございますが、日常生活における歩数の増加につきましては、1,000歩の増加ということでございます。これは5%のNCDの低下に寄与する。
週当たり1時間以上の運動習慣者の割合の増加ということで、これもNCDリスクの低減ということを根拠にしまして、男性60%、女性55%、70歳以上についてもそれぞれの数値を載せております。
安全に歩行可能な高齢者の増加ということでございますけれども、現状の数値から実現可能性を踏まえて、200人と300人ということで、1,000人当たりの数値で表しております。
住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体の数ですが、今後把握予定ということで、現状を踏まえて設定する。
「(3)休養」でございますが、十分な睡眠の確保ということで、14.7%にするという考えでございます。
週労働時間60時間以上の雇用者の割合の減少でございますが、新成長戦略に基づきまして5%でございます。
「(4)喫煙」でございますが、専門委員会の方で御議論いただいた上で、栄養部会の方で目標の設定の考え方を検討していただき、その上で、既にがん対策推進基本計画の素案の中で示されている数字でございますけれども、成人の喫煙率の低下が12.2%、未成年者の喫煙をなくすが0%、その中には含まれていませんが、胎児への影響ということで妊娠中の喫煙をなくすということで、0%を設けております。
受動喫煙につきましては、そこに掲げておりますが、行政機関と医療機関についてはゼロ、職場については新成長戦略に基づいて、「受動喫煙の無い職場の実現」ということで、言葉の目標でございます。家庭と飲食店につきましては、成人喫煙率の低下を前提に半減するということで、各々3%と15%にしております。
「(5)飲酒」につきましては、現段階では、1日男性について40g、女性については20gを考えているわけでございますが、現状についてはデータがございませんので、栄養調査の結果を再解析して、目標を設定するという考えでございます。
未成年者の飲酒については0%、妊娠中の飲酒をなくすというのは、先ほどの喫煙と同様の観点ですが、胎児の発育障害を考えてゼロ。
「(6)歯・口腔の健康」でございますが、いずれも国民健康栄養調査と歯科疾患実態調査に基づいて、詳細に項目を設定しているところでございます。いずれも現状の値を将来に延ばして、回帰分析をして、実現可能性も踏まえて設定した数値になっておりまして、口腔機能低下の軽減につきましては、50代の状態を維持するという考え方で20%としております。
歯の喪失防止については、8020については、2023年に46%になるという想定の下に、50%という数値を設定しております。あとは同様な将来推計に基づいて設定をしているところでございます。
歯周病を有する者の割合の減少につきましては、各年代ごとに同じように将来推計をして、設定しております。
幼児・学齢期のう蝕のある者の減少・地域格差の縮小につきましては、現状を踏まえて、将来の推計と現在の都道府県の状況を勘案しまして、3歳のう蝕有病率が20%未満の都道府県の割合の増加、12歳児の1人平均う歯数が1.0未満である都道府県の割合の増加ということで、それぞれ50%と80%としています。
歯科検診の受信者の増加ということで、65%としております。
最後に、表題のところを「健康日本21(第2次)」ということにしておりまして、基本的には「健康日本21」という名称を使いながら第2回目の方針だという考え方で表題を付けております。
長くなりましたが、説明については以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様方に御議論いただきたいと思いますけれども、順を追って御議論いただきたいと思います。
最初に、資料1の「第一 国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向」について御議論いただきまして、その次に「第二 国民の健康の増進の目標に関する事項」ということで御議論いただきまして、その後、別表につきまして順を追って御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは「第一 国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向」ということで、資料1の1ページ目、2ページ目、3ページの上から5行目まで書いてございますけれども、何かこれにつきまして、委員の方々から御意見ありますでしょうか。
堀江先生、どうぞ。
○堀江委員 2ページ目の下から5行目、五の「3 多様な主体における連携」の中で「産業医」という言葉を出していただいているのは、個人的にはありがたいのですけれども、ここだけ職種が出ているのも少し唐突感があると思いました。
職場における健康づくりに関して非常に重要なのは、就業上の配慮ということではないか。健康づくり活動するための時間の確保と考えますと、例えば「就業上の配慮と保健指導」と書いていただいたらどうかと思っております。
○辻委員長 わかりました。
産業医のというのを削除してということですね。それで、就業上の配慮と保健指導ということですね。
○堀江委員 保健指導はいろいろな方がされる可能性もありますので。
○辻委員長 ほかに。
津下先生、どうぞ。
○津下委員 5番の多様な主体における連携ということなのですけれども、今回、重症化防止ということを書かれている割には、健康増進の、どちらかというと一次予防寄りの記載が多いと思いますので、重症化防止に向けた取組みを推進するということで、医療保険者や検診保健指導機関の役割、医療機関の役割ということを一言付け加えていただけたらどうかと思います。
○辻委員長 わかりました。そのようにしたいと思います。
ほかにどなたかございますか。
中村先生、どうぞ。
○中村委員 次の目標設定の項目立てとの関係なのですけれども、図の方でも示されている生活習慣の改善、社会環境の改善という、NCDリスク低減に関する目標が目標設定の方で掲げられているのですけれども、こちらの第一の基本的な方向では、これらの内容は2番のところとか4番とか1番に関連するので、それぞれの中に包含されているというふうに理解はしておったのですけれども、その相互の関係を見ると、現在の項目立てでいいのかどうかというのがちょっと疑問に思いました。
改善案として、第一のところに生活習慣の改善、社会環境の改善という項を起こしておいた方がよいと感じましたし、また、5番の多様な関係者による連携のとれた効果的な健康増進の取組の推進ということについては、基本的な項目に挙がっているのですけれども、目標設定はされていないのですね。
その辺の相互の整理が必要と思いましたので気づいたことを指摘させていただきました。
○辻委員長 ありがとうございました。
そうですね。確かに先生のおっしゃるとおり、生活習慣の改善、社会環境の改善という記述が第二のところで出てくるのですけれども、基本的な考え方として第一のところでも少し頭出ししておいた方がよろしいですね。わかりました。そのようにしたいと思います。
ほかにありますか。
どうぞ。
○池田委員 済みません、これは専門の先生に教えていただきたいのが、NCD、非感染性疾患ということで書かれているわけですが、例えば胃がんであるとか、子宮がんなどがこの中では含まれるわけで、これを非感染性疾患というくくりでいっておくことがいいのかどうかというのがちょっと気になるのですが。
○辻委員長 津金先生、何かありますか。
○津金委員 おっしゃるとおりだと思います。
○辻委員長 そうですね。
○野田生活習慣病対策室長 済みません、事務局からよろしいでしょうか。
非感染性疾患という概念そのものが、全体として、混乱は生じるかもしれないですけれども、国際的な考え方では、大きくがん、循環器疾患、糖尿病、COPDという考え方でございまして、ある意味厳密に考えれば、感染性のものも含まれている部分というのはあるわけですけれども、大きな概念としてNCDといった場合には、がん全体を見ているということで理解はしております。
○辻委員長 どうぞ。
○池田委員 現状はそれで結構かと思うのですけれども、10年後に通用する概念かどうかということもありますし、我々でランセット等に投稿した論文の中では、一応それらは感染性疾患という形で論文として載っておりますので、そういう理解の仕方もあるのかなと思っております。
○辻委員長 ほかに御意見ありますか。
私から1つあるのですが、1ページの健康格差のところで括弧書きで、個人の生活習慣や社会環境の違いにより生じる云々と書いていますけれども、生活習慣と言ってしまうと、例えば喫煙者と非喫煙者で肺がんの死亡率が違う、これも健康格差かというふうなロジックになってしまいます。それは求めているところとは違いますので、もう少しわかりやすく、例えば地域や社会経済状態などの違いにより生じる集団の健康レベルの差みたいな言い方がわかりやすいというか、趣旨に合っていると思いますので、そのように変えていただきたいと思います。
あと、ほかにどなたかありますか。よろしいですか。
また戻るとして、次の「第二 国民の健康の増進の目標に関する事項」ということで、「一 目標の設定と評価」と「二 健康増進を推進するための目標」で基本的な考え方が述べられておりますけれども、これにつきまして、委員の先生方からありますか。
どうぞ。
○羽鳥委員 3ページの一番最初のところで、目標の設定と評価でありますが、ここでは1番として国の目標というのが書かれておりますが、地方公共団体においてそれぞれの実情に応じてと書かれてしまうと、うちの自治体は目標設定を下げたいといわれてもそれを許していいのか、どの程度まで設定を変更してよいのかの許容範囲を示すべきではと思います。公共施設での受動喫煙防止、喫煙率なども地域によって変えてもいいのだろうかということです。地域特性、平均収入や生活の格差で目標設定が変わることもあるかと思いますが、かえないほうがいいものもあるのではないでしょうか?
○辻委員長 先生、ちょっと理解できなかったのですけれども、どの程度まで許容というのは。
○羽鳥委員 神奈川県の場合でも、「健康日本21」では、県での目標設定はこう決めたけれども、県内の市町村は全然目標に達しない、努力しなかったなどがおきました。今回もそれでも許されてしまいそうなことがあるかと思うので、3ページ目の1番のところで、国の決めた基準で、幾つかの項目については地方においても遵守してほしいとか、そういうことがあってもいいのかなと思うのです。
○辻委員長 大変重要なことだと思うのですけれども、これは先生、むしろその下で「第三 都道府県健康増進計画及び市町村健康増進計画の策定に関する基本的な事項」というのがございますので、そこでもう一度御議論いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
ほかにどなたか。
津金先生。
○津金委員 3ページ目の2番のところで、目標の設定方法及び評価においては、基本的に科学的根拠に基づいた実態の把握が可能な具体的目標を設定するということになっているので、設定された目標が計測可能な指標で代替しているものというものもあるわけで、そういう場合は、本来あるべき指標というものを明確に、場合によっては将来に向けた提言を示すべきかと考えております。
それは、具体的にいえば、例えばがんであれば、本来であれば発症予防という観点からいえば、罹患率の減少にすべきなのに、がん登録のデータ精度が高くない現状なので、死亡率で代替しているわけです。そうすると、罹患率が将来的には必要であるという旨も提言しておく必要があるだろうと。
それから、当然重症化予防においては、進行がんの年齢調整罹患率の減少というふうにすべきであるということです。
2つ目のポイントは、前の議論に出てきたと思うのですけれども、目標がプライマリーな目標と、その目標を達成するためのセカンダリーの目標というのが、基本的には階層化してきちっと示すべきではないかと考えています。例えば、またがんのところで恐縮なのですけれども、がんに関しては、本当は罹患率の減少というのが発症予防においては一番の目標であるわけですけれども、それを達成するために喫煙とかハイリスク飲酒とかいうものがあるということなのですが、それから、がん検診受診率が唐突に2番目に同じように並行で出てくるのですけれども、実は重症化予防というか死亡予防を達成するためには、本当は早期に症状があったらすぐ病院に行って検査してもらうということでも十分重症化予防は達成するわけで、がん検診受診率の向上というのは、そのための1つの手段でしかないわけです。むしろ罹患率の上昇につながる可能性があるわけです。それが、同じように並列して並んでいるというのは、違和感を感じるわけで、まして、年齢調整死亡率とがん検診受診率ということで、発症予防とか重症化予防の目標はここには全然存在していないという状況になっているということです。
同じことは、例えば循環器でもいえるわけで、循環器も本来は死亡率ではなくて発症率。だけれども、現状はないので、死亡率で代替している。あと、2番目以降に出ているのは、そのための手段の目標ですね。血圧を下げるとかそういうのです。そこはもう少し、並列に並べるのではなくて、階層化して示すことによって、ある意味では目標が単純化するという方に行くのではないかと考えました。
○辻委員長 岡村先生、これに関連してご意見ありますか。
○岡村委員 もう全くおっしゃるとおりだと思います。
循環器の場合も罹患率は見たいが情報がないので、代わりに死亡率を見ている。また高血圧などの危険因子の目標値があって、更にその前に生活習慣の目標値があるという、三段重ねになっているので、そこをどう見るかというところはあるのですが、考え方は全く一緒と思います。
○辻委員長 そうですね。全くそのとおりだと思います。そう思うのですが、ただ、現実問題として罹患のデータがないという大きな問題がありまして。
○外山健康局長 この「健康日本21」とまた別に、がん対策推進基本計画が法律に基づいてあるわけですけれども、それぞれ調和することになっておりまして、例えば先に進みますけれども、4ページの「二 計画策定の留意事項」の「2 都道府県健康増進計画の策定に当たっては」のところから五、六行目から7行目ぐらいに書いてありますが、都道府県のがん対策推進計画との調和に配慮するということになっておりまして、今言った罹患率の問題であるとかそういうことは、またがん対策推進基本計画の方につぶさに書いて、都道府県はまたつくることになっておりますので、がんの部分もすべて完璧にここで書くということはよろしいのでしょうけれども、大分ボリュームも増えますから、その辺適宜そういうことも勘案していただきまして、いい指標を選んでいただいたらありがたいと思っております。
○津金委員 ボリュームを増やすつもりは全然なくて、ボリュームは逆に減らすという意図が私にはあるわけです。
もう一つ、がん対策推進基本計画とこの健康づくりという問題はちょっと違って、がん対策という場合は、死亡率減少に向けて、治療によって治すという部分と、早期発見して死亡予防するという部分と、発症、罹患予防という部分、この3本によって進めるわけであって、ただ、健康づくりの部分においては、本来であれば、一次予防重視であれば罹患の予防というところに重点を置くということであるべきであるので、当然、がん対策推進計画の中の調和は保つべきなのですけれども、そこの中で特に健康づくり、発症予防、重症化予防に絡むところをここに再掲するような形にするのがいいのだと思います。
○外山健康局長 がん対策推進基本計画は一次も二次も三次もすべて含んでおりまして、健康づくり日本21は一次予防だけではありませんで、検診も含めております。ただ、比重の置き方ががん対策推進基本計画の方の、例えば緩和ケアとかリハビリも入っているのは当たり前のことですけれども、そういう関係になっていまして、一次予防だけ重視するという考え方ではありません。
○外山健康局長 がん対策推進基本計画は一次も二次も三次もすべて含んでおりまして、健康づくり日本21は一次予防だけではありませんで、検診も含めております。ただ、比重の置き方ががん対策推進基本計画の方の、例えば緩和ケアとかリハビリも入っているのは当たり前のことですけれども、そういう関係になっていまして、一次予防だけ重視するという考え方ではありません。
○辻委員長 よろしいでしょうか。
津金先生のお気持ち、岡村先生のお話も大分よくわかる話でありまして、つまり一次予防である以上は、罹患が最もプライマリーな、最も重要な指標であるということは当然なのですけれども、反面、現実にデータがないという問題もありますので、今は次善の策として年齢調整死亡率でやらざるを得ないけれども、がん登録とか循環器疾患登録を全国的な規模で、精度の高いデータを出していくべきだということは、この中でも少し、どこかで書けたら書きたいと思います。よろしくお願いします。
津下先生、どうぞ。
○津下委員 同じようなことですが、今回目標の項目を選ぶときに、いろいろな制約の中で選んでいるということをしっかり御理解いただけるような記載が必要なのかなというのが1点と、アウトカムとしての健康指標、生活習慣の行動指標、社会環境に関わる環境指標というものを明示するということと、この目標の構造というのが、字に書いてしまうとなかなか構造が見えにくくなってしまうと思いまして、表は付けるにしても、もう少しイメージができるようにする必要があるかなというのが1点です。
もう一つ、前回の「健康日本21」の反省点でもあるのでけれども、目標をつくることが大切なのではなく、大事なのはアクションですので、アクションと連動した目標の設定の仕方というのも非常に大事だと思います。ただ目標設定するのが健康日本21ではないということをしっかりと書き込む必要があるのかなと思います。
それから、さっき羽鳥先生がおっしゃったことですが、地方公共団体においては云々について、ここでファジーな書き方をするよりも、第3条に定めるようにという書き方で、都道府県、公共団体における目標の設定については、そちらをきちんと見てくださいという書き方にする。ここであいまいな表現を残さない方がいいのかなと思いました。
○辻委員長 中村先生、どうぞ。
○中村委員 昨日、大阪府の担当者と来年度の地方計画策定に関する打ち合わせをしたのですけれども、先ほどの発言とちょっと関係するのですけれども、大阪府の担当者が前回の委員会の資料を見てのことなのですけれども、次期計画では基本的な方向の内容でやるのですねと。生活習慣のところはサブ項目みたいな、そういう理解になってしまっていました。
そのような目で見ると、二番の生活習慣の発症予防、重症化予防の徹底のところの、それぞれ疾病別の目標設定には生活習慣は、今の整理の仕方としては必ずしも該当するものは入っていないですね。
前回の「健康日本21」、今、資料を見ましたら、それぞれ疾病に関する生活習慣を取り出して、それぞれ再掲という形で示されているのですけれども、少なくとも、この図の中に入れ込むのは複雑になってわかりにくいかもしれませんが、最終的な目標設定ということでは、関連する生活習慣をNCDの疾病ごとに入れる必要があると思いますし、先ほど発言しましたように、関係者の誤解を招かないためにも、一次予防重視ということであれば、生活習慣の改善、社会環境の改善という項目についても、基本的な方向に入れておいた方がよいと思います。
あと、階層化することについては、津金先生の御指摘は大賛成です。
○辻委員長 熊坂先生。
○熊坂委員 地方公共団体についての書き方なのですが、市長を12年間やったものですから、これを市町村が見たらどのように感じるかという視点で読んできました。そこで二の一のところですが、地方公共団体に対しこういったあいまいなことを言うよりも、三のところでかなり具体的に言及しておりますので、ここは抜いて良いと思います。前回の「健康日本21」の反省点というのは、実施主体となるべき市町村の役割というのがはっきりしなかったことです。それを踏まえて今回は、市町村の役割が前面に出てきて重視されているわけですから、第三のところで強調してはっきりと言えばいいのであって、むしろこういったあいまいな言い方はここでは要らないのではないかと思います。
○辻委員長 ほかにどなたか御意見ありますか。よろしいでしょうか。
それでは、第二の方もこれぐらいにいたしまして、別表をごらんいただきまして、それぞれの目標につきまして、現状と目標数値が掲げられているわけですけれども、これにつきまして御議論いただきたいと思います。
これも順番を経まして、1の健康寿命からいきまして、2の主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防、3として社会生活を営むために必要な機能の維持、4、5というふうに進めていきたいと思います。
まず、最初の「1 健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現に関する目標」ということで御意見いただけますでしょうか。
○池田委員 前回欠席をいたしましたので、もう議論が済んでいたら申し訳ないのですが、健康寿命の延伸のところの目標が、平成19年と35年の比較ということで目標値を定めているということでありますが、現状値が平成22年になっているので、ここが合っていないのはやや普通の人が見ると気になるかなと思うのです。都道府県の方は19年しか値がないのであれば、これはこれでしようがないのですが、ここはどういう形でもいいからそろえた方がいいのではないかと思うのですが、そこはいかがでしょうか。
○河野栄養・食育指導官 その点につきましては、データを入れ替えた関係で、原書のところは平成22年になっておりますので、目標のところについての平成19年は、平成22年が正しい形となります。
○池田委員 あと、先ほどのところだと、おおむね10年のところで評価するということですが、35年となると先の話になりますが、ここはどのように考えているのでしょうか。つまり、10年間の比較を本来しようということだと思うのですが。
○河野栄養・食育指導官 その点につきましては、ここ固有の問題だけではなく、ほかの指標との兼ね合いもございますので、先生方の御意見の中で整理をいただければと思います。
○辻委員長 私から補足なのですが、最初の「健康日本21」は平成24年度で終わりなのです。この次が平成25年度から10年間ということになりますので、そういう意味で、目標年が平成35年になるわけなのです。
そこで、25年から始まるぞというときに、現状値として25年の数字を待っていたのでは始まりませんので、今、検討しているときに最もアベイラブルな直近のデータを使おうということで、1番の健康寿命に関しましては、上の方が平成22年で、下の方は19年、まだあっていませんけれども、これも国民生活基礎調査のデータが22年度に出ていますので、2の健康格差の縮小についても22年度のデータが出るということで、基本は多分、22年か、ほかのものを見ましても大体20年から一番古くても19年なのですけれども、その辺りの22年、21年ぐらいのデータで現状値というふうになると思います。
どうぞ。
○池田委員 25年からスタートですと、丸10年ということですと、終わりは34になるのでしょうか。34年末の数字とか、どの時点を10年先の数字と考えるのか。どうもこうやっていると1年ずつずれていくような気もしないでもないのですが。
○菊地室長補佐 一応、年度で言っていまして、25年度から34年度末までということになりますので、34年度末ということは35年の3月31日ということになります。
○辻委員長 ほかにございませんか。
新開先生。
○新開委員 健康格差の縮小の中で、都道府県格差ということで、都道府県単位でそれを見ていくということになっておりますが、東京の中でも非常に地域格差がございますし、人口の大きい都道府県では、都道府県内のばらつきというものも、自治体にとっては非常に関心が高いことだと思うんです。
今回、都道府県の計画と同時に市町村の計画も重視するということであれば、ローカルな自治体の格差の問題をみんなしっかりつかまえて、そこを認識する、子どもが弱いのか大人が弱いのか、高齢者が弱いのかというところを認識するということでは、もう少し小さい単位の自治体に投げかけてもいいのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○辻委員長 大変貴重な御意見だと思います。ただ、現実問題として、統計的な推定の精度を考えますと、小さい市町村がどれぐらい正確に健康寿命等を推計できるか。
○新開委員 勿論、そういうところがあって、多分、都道府県単位でとなっているのかと思うのですが、私、埼玉県の70ぐらいの市町村の過去5年ぐらいの自治体レベルの健康寿命あるいは65歳の健康余命を見ましたら、割合安定しているということはよくわかるのです。ですので、単年度の数値を一喜一憂するということではなく、過去5年とか10年単位でその辺の課題をしっかり認識するということが、非常に重要なことだと思うのです。
○辻委員長 全くそのとおりだと思います。しかしながら、ここで今すぐすべての市町村のデータを出せるわけではありませんので、むしろ、各都道府県の中で各市町村の健康格差の現状を出して、格差の要因は何かということを、都道府県のそれぞれの頭できっちり議論していただいて、行動計画をつくっていただければと思います。意図するものは先生と同じですけれども、ここでそこまで書ききれないというところで、都道府県レベルでまとめさせていただく。
ただ、先生がおっしゃるとおりで、都道府県レベルだけではなく、各都道府県においては、市町村の格差はどうなのかということを是非御議論いただきたいということは、いろいろな場で伝えていきたいと思います。
○外山健康局長 済みません、一言だけ。
市町村もきちんとやるべきことはやるべきで、私が水差すようなことを言ってはいけないのですけれども、健康増進法上は、御案内のように都道府県は計画をつくる義務、責任がありまして、「定めるものとする」となっておりますけれども、市町村は法律上は努力規定になっております。だからといって手を抜くべきではないということはわかるのですけれども、そんな構図になっています。
もう一つ、15ページで喫煙のところなのですけれども、項目の中で「3妊娠中の喫煙をなくす」と書いておりまして、それは妊娠中の喫煙はなくした方がいいに決まっているというか、あった方がいいのですけれども、私の方のミスで、がん対策推進基本計画の方でも喫煙の数字を今度入れるというのは大事な項目として掲げておりまして、そちらの方の調整では入れていなかったものですから、次回までに精査して、平仄を合わせるような形でやらせていただきたいと思っておりまして、心としてはこういうことは重要だと思っておりますけれども、ここだけ留保させていただきたいと思います。済みません。
○辻委員長 どうぞ。
○村山委員 先ほどの都道府県内、地域内の格差の解消の提言の問題に戻りますが、13ページの、項目「4 健康を支え、守るための社会環境の整備に関する目標」の5に近い目標がありますので、そこで御議論いただければと思います。
○新開委員 よろしいでしょうか。
私もそこも思ったのですけれども、都道府県単位になると、人ごと的なことになってしまうのではないかと思うのです。東京とほかの自治体をアバウトに比較して、どちらが高い低いかという議論というのは余り意味がないのではないかと思うのです。むしろ、都内の地域格差というのは非常に大きいのです。
だから、そういうところの認識がないと、都道府県間の格差を課題にしても、余りどうかなと思うのです。
○辻委員長 これは国の委員会なので、都道府県格差を議論するのは妥当だと思うのですが、東京都の中の市区町村の格差は東京都で議論する方が適切なことで是非ともしていただきたいと思います。ただ、47都道府県のすべての2,000幾つかの市町村の格差をこの委員会で議論するというのは、それだけで相当なボリュームになりますし、ちょっと難しいのではないでしょうか。
○新開委員 議論するのではなくて、ローカルで健康施策を考えるときに、そこの出発点というのが非常に重要だと思うのです。各自治体が。
○辻委員長 その通りだと思います。だから、先生と同じことを言っていると思うのだけれども、ここで出せるのは都道府県のという具体的な数値しか出せないのであって、それを受けて各都道府県におかれては、各県の市町村の格差を是非数字として出して議論してくださいということをお願いしたい。それについては、先ほど局長がおっしゃったみたいに、健康増進法上の義務を都道府県は負っているということで、そこは進めていける話なんです。
ほかにございますか。よろしいですか。
それでは「2 主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防に関する目標」につきまして、御議論いただけますでしょうか。
○津金委員 例えばがんだったら、「75歳未満の」というのが付いていて、年齢調整死亡率、年齢調整という言葉が出ていますね。循環器はそれが付いていなくて、例えば高血圧とか脂質とか、実際高齢化の影響を受けるであろうから、そこら辺を調整しなくていいのかなと。それから、脂質も男女差はいいのかなということとか、糖尿病に関しては3では「自然増により見込まれる」という書き方をしていて、多分高齢化のところの補正をしたという意味なのでしょうけれども、そこら辺ある程度整合させておいた方がいいのではないかと思います。
○辻委員長 熊坂先生。
○熊坂委員 100%、0%という目標値が設定されている項目についてですが、法律で決まっている未成年者の飲酒とかたばこは当然0%で良いと思いますし、栄養の成分の表記なども今後法律で義務付ける前提で100%とすることは良いのですけれども、例えば糖尿病の治療継続者割合の100%というのは、いかがなものでしょうか。目標値を決めるときに、一方で項目によっては100%に近づけるとか、あるいは減少傾向という文言になっていますけれども、私は、100%という目標はいいとは思うのですけれども、この辺の扱いは統一した方がいいと思うのですが。
○辻委員長 津下先生。
○津下委員 重症化防止の点でいきますと、循環器疾患のところの高血圧、コレステロールの具体的な数値が挙がっていますけれども、例えば糖尿病では、特定健診でヘモグロビンA1cが何%以上の人がどれだけいるというのも、データとしてはあるので、例えば7%以上の人をどれだけ減らすとか、コントロールについての具体的な指標を入れてはいかがかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○辻委員長 それは例えば「(3)糖尿病」の「3糖尿病有病者の増加の抑制」という辺りの話ですか。
○津下委員 有病者の増加の抑制は一次予防なのですけれども、二次予防としてコントロール不良者の減少ということなのですが。
○辻委員長 それは2の代わりとしてですか。
○津下委員 そうですね。2もそうですけれども、治療継続していても必ずしもいい結果になっていない人たちが多ければ、当然合併症の予防にはつながらないので、コントロール不良者を減少させるという目標を設定すると、それに向けて何をしなければいけないかという具体的なアクションにつながるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○辻委員長 これはいかがでしょうか。
○岡村委員 済みません、関連で。
○辻委員長 どうぞ。
○岡村委員 今の糖尿病のこともちょっと言いたいことがあるのですが、先の整理で循環器の年齢調整死亡率ですが、ここは40~89歳という概念で考えています。ただ、循環器は40歳未満と90歳以上を除いても、全体の年齢調整死亡率はほとんど動かないので、それで出しているというのが1点です。
またがんと疾病構造が違うのは、がんの場合は75歳以上と未満の死亡というのは、多分1対1ぐらいだと思うのですが、循環器は1対2.3とか2.5とかで圧倒的に75歳以上の死亡が多いのです。ですから、75歳未満だけに対策をしても全く全体の患者数が減らないということが1つと、血圧については臨床試験でもコホート研究でも、80代までは予防効果とリスクの上昇が、総死亡も含めて認められているということで、40~89歳ということで評価をしております。
コレステロールについては、予防効果が臨床試験で認められるのはせいぜい70代までですから、コレステロールについては80歳以上を切った形で目標設定しているということと、男女含めて基準値を総コレステロール240以上で設定して、イベントの起こりやすさは女性の方が当然低いので、それを勘案して目標値に反映させています。
細かいことはここに全部入らないので、一応そういうふうになっておりまして、年齢構成が一定の場合はこうなるので、年齢調整死亡率だったらその率をそのまま乗じるという形で評価可能ということかと思います。
それから、糖尿の方は野田先生の御意見もお伺いしないとわからないのですが、コホート研究でも評価指標が余りにもまちまちで、随時血糖でやっていたり、空腹時血糖でやったりA1cでやったり、自己申告でやったり、研究の評価方法が精度管理されているとは程遠い状態になっているので、なかなか数値をどうするかというのは難しい。コレステロールもあえて総コレステロールにしたのはそういう理由があって、LDLで精度管理上いろいろ問題があるというのがわかっていますので、こういう提示の仕方をしております。
以上です。
○工藤委員 よろしいですか。
先ほどの0%、100%の目標設定の考え方なのですが、いわゆる願望というか、そういう目標なのか、それとも具体的な達成目標を設定するのか、その両方が混在しているようにおもいます。例えば脂質異常症の減少は16.4%から12.3%にするという、物すごく細かいわけですね。COPDを10年後には100%というのは、確かに願望としてはそれでよろしいのですけれども、実際には80%とかそんなふうに多分なるのだろうと思うのです。
この辺の考え方をしっかりさせておかないと、まずいのではないか。具体的な例で申しますと、例えばぜんそく死をゼロにということを掲げて、呼吸器の分野ではやってきて、過去10年間で6,000人死亡が今、2,000人死亡まで低下しています。しかし、ゼロというのはなかなか達成できない。だけれども、ゼロという目標を掲げることによってそこまでいったわけです。目標値が、一方は小数点1けたの数値で、他方は100%という願望に近い数値です。この辺りを少し整理した方がいいのではないか。
○野田生活習慣病対策室長 済みません、1つだけ。
今、脂質異常症の例が出たのですけれども、脂質異常症の方は、もともと50%減らすという現行の目標が「健康日本21」にあって、それを25%減らすという割り切りで掛け算しているので今の数値があるだけで、ある意味50、25という割り切りのいいところでむしろ考えているということを付言しておきたいと思います。
○辻委員長 認知度ということでいいますと、前回の第一次になりましょうか、「健康日本21」のときも、たばこの害についての認知度を100%にするとか、メタボリックの認知度を100%にするとか、COPDとも絡むのですけれども、そういった知っている人の割合、認知度に関しては割と100%というのを出していたので、それは踏襲してもいいのかなと思うのですけれども、それ以外にも100%、0%がありますので、基本は願望でいえば検診の受診率が100%であるべきだし、いろいろ出てくるわけで、少しその辺はまた御議論いただきたいと思います。
野田先生、糖尿病につきまして、いろいろ委員の方々から御意見あったのですが、いかがでしょうか。
○野田委員 これらの目標は、前回までに挙げられた項目について数字を出しているということです。
それから、先ほどの100%、0%の問題についてですけれども、確かに100%に近づけるという目標の書き方もあるかと思いますが、どちらで書いても結局は同じことを言っているということになるような気もします。だから、理念的なものか具体的なものかというところをはっきりさせる必要はあろうかと思います。先ほど来の議論と同じことがここについても言えると思うのです。
それから、特定健診のデータを使ってということですけれども、測定項目のこともありますので、どういうふうに示すか、つまり代表性といいますか、ヘモグロビンA1cだけを指定すればよいのかもしれないけれども、その辺が少し問題かなと。
もう一つはメタボの方で、メタボ該当者の減少というものもありますので、HbA1cに関してはそちらである程度含まれるので、やや重複するのではないかという気がします。
○津下委員 メタボ該当者の予防というのは、糖尿病にならないように予防するというところが重要視されているのですけれども、糖尿病の合併症の防止としては、治療中のコントロールをよくする、または中断者を減らすというのも重要です。そこに対して数値目標が入っていくことで、各地域での具体的なアクションにつながるのではないか、と思います。
具体的には治療中断者の再受診とか、治療中の人については、生活習慣の食事や運動の改善をやらずに薬だけ飲んでいる人も結構見えるので、そういう人たちに対する保健指導の強化とか、さまざまなアクションつながる可能性があると思うのです。
ですから、健康寿命に延伸のためには糖尿病は非常に重要な病気なので、この際、医療関係者も一緒になって取り組みやすい数値目標を掲げるというのも、考えてもいいのではないかと思うわけですが。
特定健診のデータでいきますと、受診率の問題もありますけれども、40~50%の方々が毎年受けて、これからも受診率を上げようという動きもありますし、治療中かどうかの自己申告と、HbA1cの数字が得られる。愛知県のデータでいうと健診受診者のうち、9割以上でHbA1cの測定がなされているので、かなり国民の状態というのはわかるのではないかと思われるのですけれども、いかがでしょうか。
○辻委員長 野田先生、どうぞ。
○野田委員 治療中の方のA1cを国レベルで集めることが可能であれば、それはそれでよいと思うのですが、もう一つの問題はどうしても、先ほどとは別の代表性ということがあって、地域で糖尿病の診療を受けておられる方の代表的な値を特定健診で集められるかどうかというところが、つまり、健診受診者のデータではネガティブなセレクションがかかっているような気もしますけれども、それによるものを実効ある各地方公共団体の指標として掲げられ得るか、現実の現場の医療を特定健診で見ることができるかというのは、私としてはポイントかなと思います。
○辻委員長 熊坂先生。
○熊坂委員 私も糖尿病の専門医なので発言します。私も野田委員がおっしゃっていることが妥当かなと思います。先ほど、岡村委員もお話されましたけれども、全国に糖尿病専門医が4,000人しかいない状況ですので、ヘモグロビンA1cを全面に出して、層化はするのはなかなか難しい問題があるのかなと。私も津下委員がお話したようなことは思ったのですけれども、糖尿病有病者の増加の抑制というところで止めておいた方が無難なのかなということは思いました。
○辻委員長 新開先生。
○新開委員 国民栄養調査の中で、ヘモグロビンA1cの測定は最近重視されていないのでしょうか。
○河野栄養・食育指導官 測定はしておりますが、数値の代表制という観点からサンプル数が限られておりますというところでの整理だと理解しております。
○辻委員長 津下先生。
○津下委員 もし、サンプル数の問題という話であれば、ほかの指標についても国民健康栄養調査に依存している部分については、根本が崩れてしまうわけで、ある程度何かのデータをもってして考えるということが必要ではないかと思います。
例えば国のレベルでどうというのもあるのですけれども、市町村レベルとか県のレベルで立てる目標であれば、具体的に特定健診のデータが手元にあって、それを見ながら目標を立てたり、国全体と比べて比較ができるので、そういう意味では国の目標の中に入っていると、自分の地域の状況を確認することができます。また、今回代表制という点では、ほかの指標についても代表制がとれる項目だけに絞るということであれば、落ちてしまう項目もあるのかなと思われるのですが。
○岡村委員 1点いいですか。
今後、目標値の設定で国民栄養調査とナショナルデータベースとかもあるので、どちらがいいかというのは少し考えてみたのですが、それぞれ一長一短があります。サンプル数というのは、健診データの方がずっと大きいのですけれども、1つ思ったのは、若いところだと大企業の勤務者はほぼ100%受けていて、国保では受診率が3割切っていますね。だから、そこで若い人の評価をやるとほとんど大きな健保のデータで全体が引っ張られてしまうという、数は多いけれども受診者層によるゆがみが乗ってくる可能性というのが、特定健診のデータはあるだろうというのが1つの懸念です。ただ、栄養調査についてもリスポンスレートが最近すごく低いという、それぞれの問題があるので、極端なことを言うと両方で数字をはじこうかなと思ったことがありまして、そこは今後の議論になるのかなと。
単純にサンプルが多いから特定健診の方がいいということには、今の理由で恐らくならないところがあるだろうと思います。
○河野栄養・食育指導官 国民健康栄養調査の件につきまして、ヘモグロビンA1cのサンプルが限られていると説明したのは、国民健康・栄養調査も生活習慣の調査であるとか、さまざまな調査によってサンプル数が違いますので、特に血液検査については実施率が低いというところでの御紹介をさせていただきました。
○羽鳥委員 済みません、よろしいでしょうか。
今の糖尿病の治療中断者をいかに予防するかというお話も含めてだと思いますけれども、今、神奈川県の医師会の方で、いわゆる治療中断者に対してコールリコールをやろうということで、いろいろな仕組みがあるのですけれども、幾つかモデル地区をつくって、ある町では糖尿病の方を登録していただいて、3か月以上受診がなかったら、あるいはA1cが9を超えたら呼ぶということをやっているのですが、例えばここで文言としてうたわれてくると、それに対してかなり強い力になって、行政も動いてくれるだろうなということがあったので、例えば保健所機能とか、そういうところを使って保健師さんたちがそういう仕事に従事してくれたらありがたいということがあったので、もし、ここでそういう言葉をうたっていくことが可能だったら、治療中断者の予防ということをうたっていただければありがたいと思いました。
○辻委員長 よろしいでしょうか。
○池田委員 余り大したあれではないのですが、有効数字とかのところで、例えば糖尿病1合併症のところの透析ですと、現状が0.18%、目標が0.165と、有効数字が細かくなっているのですが、これはそろえた方がいいのかなと思ったりとか、後の方に出てきますが、「.0」が省かれているところ、例えば8と書いてあるものは8.0と書くべきなのか、あるいはそうではなくて四捨五入して8になれば目標達成と読むのか、読む人によって変わってくると思いますので、そこは決めればいい話だとは思うのですが、そこが気になりました。
○辻委員長 はい、津下委員。
○津下委員 がん検診のことなのですけれども、がん検診の受診率ですけれども、国のレベルではがん検診の受診率は、乳がんと子宮がんは隔年なのですけれども、例えば市町村ベースでいきますと、3年間未受診の人とか、そういうような本当の未受診の人を見つけるという方が有効性が高いのではないかと考えられるのです。例えば目標として、国の掲げる目標はこうだけれども、市町村では特に複数年未受診の方については重点的な目標として掲げることが望ましいとか、そんなような記載は難しいでしょうか。
○辻委員長 目標はあくまで大臣告示であって、非常にコンパクトなものになると思うのですが、その紙一枚で事足りるかというと、当然そうではないのでありまして、そのベースになるような考え方を国民向けにわかりやすく提示したり、あるいは都道府県にこういうふうに考えてくれと、そういったことを紙にしたり、あるいは研修会などで口頭で伝えたりする機会はこれからたくさんあると思うんですけれども、そういった中で、今の先生のお話も含めていければと思います。
そういったことも含めて、幾つかいろいろな例示をした中で、各都道府県、あるいは市町村がやれることを創意工夫を持ってやっていくということがこれからのあるべき姿かなと思いますので、先生ご指摘の点は私は非常にすばらしいと思います。ありがとうございます。
あと、今の池田先生のお話のとおりで、本当に有効数字を合わせた方がいいと思います。あと、数になったり、率になったりしているんですね。ですから、その辺も最終的には統一していければと思いますので、御意見をいただきたいと思います。
○工藤委員 COPDについて、よろしいですか。COPDについては、前回の議論を踏まえて、禁煙対策の4番目ではなく、主要な生活習慣病のところに位置づけていただいたのは大変ありがたいと思っていますが、現状に関して、国としてまだ十分数値を把握していないということから、こういう設定でよろしいとは思います。多少付言しますと、後で学会からの意見で出てくると思いますけれども、現在の認知率は30~40%というふうに書いてございますね。ただ、これはちょっと高すぎる数字です。私どもが認識している一番正確な数字は、GOLDいうCOPDに対する国際的な組織の日本委員会がやった調査です。GOLD日本委員会では1万人を対象としたウェブ調査を毎年やっておりますが、17%、17%、そして昨年は25%というふうに増えております。これが多分一番正確だと思います。この数値を改めて国として把握する、これが一つだろうと思います。
もう一つ、検討をお願いしたいのは、「知識の普及」だけではなくて、「早期発見の推進」という文言を入れていただけないかということを前回申し上げましたが、これのアウトカム指標は検診におけるスパイロメーターの導入率になるんだろうと思います。特に肺がん検診と結合することが重要なポイントだろうと思います。肺がん検診のターゲットは40歳以上の喫煙者になりますが、COPDも同じです。もう一つは、COPDになりますと肺がんの発生率はずっと高くなります。
自治体等で行われている肺がん検診にCOPD検診を併せて行った率は把握可能な数字です。このあたりを是非御検討いただければということです。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。これにつきまして、また御検討させていただきたいと思います。
では、時間の関係もございますので、次の3の方に移りたいと思います。「社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標」ということで、こころの健康、次世代の健康、高齢者の健康、健康を支え、守るための社会環境の整備に関する目標ということで御意見をいただけばと思います。
○樋口委員 伺いたいことですけれども、2の「10.4」が「9.4」になっているのですが、これはどうしてこういうふうになっているのかということと、あと、「平成32年」とか、「26年」という数字が出てくるんですけれども、これは調査がこの時期に行われるためにこういうふうな数字になっているのか、そのあたりを教えていただきたいと思います。
○河野栄養・食育指導官 まず、後者の部分につきましては、他計画でもう既に最終年度が決まっているものについてのみ、今回括弧書きで整理をさせていただいております。
前者の部分につきましては、現状値から10%の減少という形で目標設定がされて、現状のところでは9.4%という形の設定になっております。
先生方のお手元の資料ですと、机上配付のみの資料になりますが、補足資料の20ページの2、「強いうつや不安を感じている者の割合の減少」の目標値のところに、今の10%の減少ということが記述されております。
○辻委員長 樋口先生のお考えとしては、この10%減が適切かどうかということで、いかがでしょうか。
○樋口委員 そのあたりが根拠が非常に難しいのではないかと思いまして、今のうつとか自殺のことを考えると、もう少しパーセンテージが高くても、理念的なパーセンテージかもしれませんけれども、いいのかなと。10%減というのは余りにも数字がモデストなのではないかという気がしたものですから、もう少し下げたらいかがかなと思ったものですから、それで根拠をお聞きしたんです。
○辻委員長 この辺の「こころの健康」関係で、目標値はこれでいいとか、悪いとか、何かありますか。山縣先生。
○山縣委員 「子どもの心の支援環境充実」ですが、この2つの指標は重要だと思いますが、文言上、誤解が生じるかなと思うのは、「児童精神科医」と書いてしまうと、学会認定になって、補足の資料のように、こういった問題に取り組んでいる小児科、精神科医の割合ということがわかるような形にしないと、ちょっと誤解があるかなという気がいたしました。
以上です。
○辻委員長 「児童精神科医」と特定するのではなくて、「児童精神医学に取り組んでいる小児科医」ということですね。わかりました。
ほかに何かありますか。十一先生からお願いします。
○十一委員 今と同じ場所で、4の「子どもの心の支援環境の充実」ですけれども、国民健康づくりとして行う案ですけれども、今、現場で何が問題になっておりますかというと、児童精神科医が非常に少ないのは事実ですが、学校に治療の必要な子どもがいても、ほとんど医療機関につながっていないんですね。だから、そこをちゃんとピックアップするというプロセスがないと、なかなか回っていかないと思います。
そういう意味では、子どもの心の異変に気づける大人の割合を増やすとか、特に学校保健安全法が平成20年に成立しましたので、全教職員が健康観察をやるということになっておりますので、そういうのを活用しながら目標を立てるのはどうかと思います。
○辻委員長 戸山先生、どうぞ。
○戸山委員 (3)の「高齢者の健康」のことで少しお話しさせていただければと思います。第3回までのところで、「第2次健康日本21」では、今日本では23%を超える高齢者で、今後もっと増えて、高齢者の健康、健康寿命延伸が非常に重要であるし、この柱になることは多分皆さん一致したところだと思うんですね。これが各項目で高齢者の健康の中に入っていることは、私はすばらしいことだと思うんですけれども、第3回までは「高齢者の健康」の中の一つの柱であり、私は外せないキーワードと思っているのは「骨粗鬆症」です。やはり外せないのではないかなという形で御議論いただいてきたと思います。ただ、多分現状として骨粗鬆症者の割合がどこまで十分把握できているか、ないしはモニタリングがどうかというところで、今回、ここに載せられなかったと理解しているんですけれども、もし可能であれば、もう一度それの再検討をお願いしたいと思います。
特に、「高齢者の健康」の中では、骨粗鬆症が大きな柱であり、女性の健康でも非常に重要な柱ですよね。例えば骨粗鬆症がベースになって、大腿骨頚部骨折は今年間十四、五万人で、いずれ間もなく20万人ぐらいになると言われていますし、脊椎の圧迫骨折もこれからものすごく増えてきて、そのベースになる骨粗鬆症を広く周知、啓発させることは必須ではないかと思うんです。
その中で、例えば地域保健・健康増進で、骨粗鬆症検診が40歳以上の女性で行われているかと思うんですが、私はまだ全部を把握していないんですけれども、その検診率、受診率がなかなか上がっていないということも聞いています。それであれば、女性の健康、高齢者の健康ということで、例えばターゲットを女性で40歳以上の骨粗鬆症受診率、受診者数、ないし検診率を向上ないし高めるというものを、項目として是非御検討いただきたい。是非入れるべきではないかというのが私の意見です。
以上です。
○辻委員長 わかりました。津下先生。
○津下委員 まず、「次世代の健康」のところで、「栄養・食生活」に関するものと「運動」があるのですけれども、子どもたちの睡眠のことをこの中に入れておかなくてもいいのかなと。夜更かしするから朝起きられない、そして朝食が食べられないという悪循環で、睡眠のとり方から悪循環が始まってくるような実態もある中で、子どもたちの睡眠ということにもうちょっと着目してもいいのではないかなと思います。
○辻委員長 ほかにございませんか。新開先生。
○新開委員 「高齢者の健康」のところで一言発言させていただきたいのですが、余り項目を増やすというのは私もどうかなと思っているたのですが、私が提出した「高齢者の健康」ので、私、資料ではとして栄養と運動、とか体力、それから社会参加という3つの点を一次予防的なレベルとして非常に重要だということをで指摘させていただきました。いたのですが、歯の健康ではライフステージごとの課題というのがまとまっていて、これは非常にいいなと思ったんですが、高齢者の健康の切り方が、栄養については全くほかの部分にも全くないのです。のところを見てなくて、高齢期はむしろメタボというよりも低栄養の問題がいろいろなサルコペニアを通じたロコモティブシンドロームとか、あるいは骨粗鬆症の問題とか、認知機能の低下に関係してきますので、項目の1から4の中に高齢者の栄養の問題を一つ取り上げて、「低栄養状態の高齢者の割合の減少」とか、そういう目標を一つ立ち上げていただければと思ったんですが、どうでしょうか。どうでしょうかと言われてもなかなかあれですが、項目が増えることが許されるのであれば、それは是非入れていただきたいなと思います。
○河野栄養・食育指導官 項目の数といいますより、指標としてそれが把握できるかどうかという点について、先生方からの御意見なり、ご議論をいただければと思います。
今の点については、先ほど津下先生からいただいた子どもの睡眠の習慣も同様の問題がございまして、前回のときには項目として挙がっておりましたが、結果として適切な指標が各省との調整をする中でも出てこなかったという経緯がございまして今ここに位置づけておりませんので、こういった指標があったらということとともに、どういった指標、具体的な目標を置くといいのかということについてもご意見をお願いします。
○新開委員 そうですね。高齢者の栄養に関しては、国民健康・栄養調査は高齢者になるほど参加率が少なかったり、血液の採集率が少ないということで、それがかなりのバイアスがかかっていると思うんです。が、かつてアルブミン値をで私が計算しましたら、アルブミンが3.8を下回る高齢者は3%ぐらいと非常に少なくがとして出てきます。くるということで、実際、しかし、介護予防の方で生活機能評価がやられていた時代、昨年までありましたよね、あれのデータではというのが大体25%から3割近く、アルブミン値が3.8ではありませんが、低栄養傾向が見られるというデータはあるのですんですね。ですので、潜在的に低栄養傾向を示す割合というのは非常に高いなと思うんですが、老健局の把握しているそちらの指標を組み合わせれば、目標値というのは出てくるき得るなと思います。
後期高齢者の連合会の検診の中で、アルブミンというのがいろいろなところでも取り入れられておりますので、アルブミンを指標として、目標を3.8、あるいは4.0を下回る高齢者の割合の減少ということを十分挙げられる時期ではないかなと思っております。
○津金委員 栄養に関しては、高齢者も勿論そうですけれども、やはり中高年だって、子どもだって、みんな共通する問題なので、5番の「栄養・食生活」ところである程度カバーするという方が考えやすいのではないかなと考えます。
○辻委員長 今の御提案に賛成です。後でその辺を議論したいと思います。西先生、これに関して何かありますか。
○西委員 先ほどの新開委員からのお話で、国民健康・栄養調査の協力率に関してですけれども、年齢階級別に見ますと、高齢者の方は協力率が高いという状況になっておりますので、その点、御理解をよろしくお願いします。
○辻委員長 そうですか。
○津金委員 これは、上の方は何歳ぐらいまでカバーされているんですか。
○西委員 国民健康・栄養調査は1歳以上で、特に上限はございません。
○辻委員長 それでは、時間の関係もありますので、次に移りたいと思います。
「4 健康を支え、守るための社会環境の整備に関する目標」ということで、御意見ありますでしょうか。
どうぞ。
○樋口委員 よくわからないのが「身体活動・運動」の3番目に「安全に歩行可能な高齢者の増加」と書いてあるのですけれども、現状値の方が高いのは何か特別な理由があるのでしょうか。
○辻委員長 今は「4 健康を支え、守るための社会環境の整備に関する目標」ということで、樋口先生の御質問は5ですので、後でまたお願いいたします。
○樋口委員 わかりました。
○辻委員長 よろしいでしょうか。地域のつながりですとか、住民活動ですとか、そういったことですが、どうぞ。
○津下委員 これは、今回新しい指標を立てていかないといけない部分で、実態を把握できるような調査を国民健康・栄養調査に組み入れていただいて、経時的に追っていくことと。地域格差や性・年代別の志向性とか、そういうことを確認する意味で重要な項目だと思います。
1は本人の主観的なもので、2は周りへの波及、3、4は環境としての企業や民間団体で、5が自治体の社会環境に対する責務ということで、そういう段階を追った指標の構造になっているので、これが是非把握できるような国民健康・栄養調査の項目の設定をお願いしたいと思います。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、次の5の細かい目標に入っていきたいと思いますけれども「(1)栄養・食生活」からお願いしたいと思います。
そこで樋口先生の御質問ですが、これは15ページの一番上「3安全に歩行可能な高齢者の増加(腰痛や手足の関節が痛む者の割合の減少(千人当たり))」ということで、この数値は、実は減少の方なんです。括弧内の方で、腰痛や手足の関節が痛む者を、国民生活基礎調査で抜き出していまして、それの数を減らそうということになっております。
ほかに何か御質問、御意見はありますでしょうか。
どうぞ。
○横山委員 野菜・果物摂取量のところなんですけれども、野菜を350g以上摂取する者の割合という目標があるのですが、ちょっと専門的な話になりますけれども、現在の国民健康・栄養調査は1日の食事調査で、1日だけの調査で、こういった基準値以上の割合を評価すると過大評価あるいは過少評価することが知られているのですが、この目標は、あくまでも1日の調査で350g以上の人の割合というものを考えた目標とするのか。それとも、一般的に考えると350g以上摂取している人の割合は、習慣的にそれだけ摂っている人ですので、習慣的摂取量としてこの目標を考えるのかという辺りについて、いかがでしょうか。
○河野栄養・食育指導官 この点につきましては、1日調査という限界があるにせよ、同一の方法でモニタリングするという観点で、整理いただいております。
また、ここの項目については、平均値で取るのか、今の御指摘のところの低い人の数を減らすという形で取るのか、十分な議論が必要だということで、両方の数値を設定をさせていただいている経緯がありますので、その辺りについても担当の先生も含め、御議論をいただけたらと思います。
○横山委員 そうすると、一応割合のデータとしては、現状で比較できるのは1日で考えているという理解ですね。
ただ、目標として掲げるときに、やはり習慣的な摂取量としてどうなのかという考え方の方が自然な気がするのですけれども、その辺りは、あくまでも1日という考え方でよろしいんでしょうか。栄養関係の先生方、いかがでしょうか。
○辻委員長 どうぞ。
○西委員 今、河野指導官が答えられましたように、あくまで調査の方は1日で行っておりますので、理想としては習慣的な摂取量で考えるべきだと思いますけれども、国民健康・栄養調査の結果としてお示しできるのは1日分ということになると思います。
この平均値の変化と割合の変化の両方をお示ししているところを、少し補足で説明をさせていただきたいのですけれども、平均値の方は野菜・果物いずれも50gの増加ということにしておりまして、割合は、野菜の方は350g以上、果物の方は100g以上ということで、それぞれ摂取者の割合を約30%増加させるように設定しております。
これは、30%増加することによって、結局、平均値の方で50g増加するのと同じぐらいの増加量を平均で見込めるということがございまして、それが循環器の方の目標設定とも関連するのですけれども、カリウムの量の増加も野菜と果物で同等のものが見込めるということで、このように両方をお示ししております。
以上です。
○辻委員長 今、栄養関係の議論をされていますけれども、この辺で何か御意見ございますか。
津金先生、どうぞ。
○津金委員 勿論、習慣的なものが把握できればいいんだろうと思いますけれども、それとはちょっと別なんですけれども、先ほどの高齢者のときの話でもあったんですけれども、やはり適正体重の部分において、20~60の男性とか20の女性となっているんですけれども、もうちょっと全体的な問題として考えた方がいいのではないか。少しマイナーな話なんですけれども。
それから、非常に重要な点なんですけれども、こうやって国が生活習慣に対して目標を決めて介入する以上は、それによってどういう病気が防げるのか、どのぐらいの数の、今の現状の病気を何%ぐらい防げるのか、当然個人としてもそうすることによってどのぐらいリスクが下がるのかということはきちっと明示しないと、人の大事な大事な生活習慣ですから、介入する以上は、その人が本当にそういうことをすることによってメリットがある。それから、国としてもメリットがあるということは、ある程度はっきりと示す必要があります。介入研究をやらない限りは、ある意味で本当の答えは出ないと思うんですけれども、オブザベーション・スタディの中で、ある程度見積もられる部分は、明らかにしておいた方がいいと思います。
○辻委員長 どうぞ。
○宮地委員 今の津金委員の御指摘は、全くそのとおりだと思います。ちなみに身体活動に関しては、例えば歩数で言いますと、平均するとおよそ1,500歩増やしましょう。運動習慣ですと、25~30%ぐらい増やしましょうということなんですけれども、これは双方ともNCDsの発症リスクを5%ほど低減させるというアウトカムを達成するために、これぐらいの目標が必要であるということに基づいて出されております。
ただ、御指摘のとおり、健康な人を対象に発症をエンドポイントとする長期にわたるRCTはありませんので、すべて前向き観察研究の結果に基づいて数字は推定しています。国民に対しこの目標を達成することによって、NCDsの発症が5%ほど減る効果があるので、頑張ってみたらいかがでしょうかという話だと思います。
○辻委員長 その辺は、いずれ体系立てて出した方がよろしいですね。それは結構キャンペーンとしても重要な話になりますので、他省庁との関係でも勿論大事になりますので、それはまたよろしくお願いします。
中村先生、たばこの辺りで、何か御意見ございますか。
○中村委員 たばこについては、前回、議論をしていただいて、2月1日のがん対策基本計画の協議会の方にかかっておりますので、特に私の方からはありません。
先ほど、外山局長さんの方から妊婦の喫煙率の低下については、がん計画との関連があるので留保ということですので、それについてはまた厚労省と相談して検討していきたいと思います。
○辻委員長 どうぞ。
○山縣委員 2点あります。1つは今の喫煙の件で、がん対策にはここは問題かもしれませんが、基本的に大人の犠牲になる子どもや胎児のことを考えると、これはもう必須かなと考えておりまして、ここでの喫煙の問題というのは、とても大切な点だと思います。
その下の家庭内の喫煙10%というのが、恐らくこれまでの調査や国民健康・栄養調査などからのデータだと思うのですけれども、私たちが把握している子どもがいる家庭での喫煙は50%前後あるんですが、これは国民健康・栄養調査だとかほかの調査ではどうなのかということは、西先生、中村先生に教えていただければと思います。
○辻委員長 西先生、どうぞ。
○西委員 国民健康・栄養調査では、受動喫煙に関しまして情報はありますけれども、家族構成としまして、未成年のお子様がおられてという形の分析をしていくと、かなり数が少なくなっていったり、そういった事情で、まだそういった分析はしたことがありませんので、データとしてはわかりません。
○中村委員 今はデータを持ってないんですけれども、国民健康・栄養調査では毎日暴露しているということで、これは必ずしも子どもに限った割合ではないんですけれども、ほかの調査での印象としては、先生がおっしゃるほどまで高いかどうかはわかりませんけれども、少し高いように思います。
ここでは子どもに限定せずに、家庭での受動喫煙という形で聞いておりますので、年齢も子どもに限った年齢ではないということです。
○山縣委員 例えば計画的な目的を、子どもというのはとても重要だと考えたときに、子どものいる家庭の喫煙状況というのが非常に重要な指標になるのではないかと思っていて、先ほどお話したものは、全国の60程度の市町村で、つい最近、乳幼児健診で把握したもので、45~57ぐらいの幅はあるのですが、ちょっと私自身も驚きで、その辺りのところはしっかりと把握していく必要があると思いました。
あと一点、肥満、やせのところなんですが、未成年というか、やはり子どもたちの肥満、やせの指標がここに欲しいと思ったんですが、今ここが外れているというのは、何かありましたでしょうか。
○河野栄養・食育指導官 子どもの部分のデータになりますと、学校保健統計のデータになりまして、肥満傾向、いわゆる痩身傾向というのが、標準体重に対しての20%以上あるいは-20%以下といったような形のデータになりますので、現時点ではここに適するような、指標の提案がないということで、ここには掲載していない状況になっております。
○山縣委員 今後、多分その辺りもBMIというのが、インターナショナルに見るとそれが使われているので、そういう方向でもしも行くのであれば、是非ここに入れていただければと思います。
○辻委員長 三浦先生、どうぞ。
○三浦委員 「(6)歯・口腔の健康」でございますけれども、2点ございまして、1点目は、今般、歯科口腔保健法が制定されましたので、その基本的事項を別の専門委員会で詰めているところですが、そこでも同様の項目が討議されているところもございますので、可能な限り表現を合わせていただきたいというのが要望の1点目です。現場に落としたときに、混乱しないようにということでございます。
2点目は、情報提供の部分でございまして、数値を見ますと平成17年という非常に古い値が入っているのですけれども、これは歯科疾患実態調査が6年に一度行われる統計調査でございまして、最新の統計が平成23年度ということで、今年度実施しております。計画スタートの段階では、平成23年度の値が提供できるかと思いますが、今のところ公表できる歯科医師がしっかりと見た調査としては、これが一番新しいデータということで、ここで記載されていると考えていただければと思います。
○辻委員長 尾崎先生、どうぞ。
○尾崎委員 歯・口腔の4と5でございますけれども、4は逆に言うと3歳児のう蝕につきましては、全市町村で把握できるデータの一つでございます。ですから、ここであえて都道府県に出して、都道府県は各県で、というのは、各県は各市町村で出せますし、それから、もう一つ下の12歳児は学校保健統計が現場でございますので、それこそ市町村別のデータも出せるまで各市町村はやっておりますので、そういう意味では、先ほど市町村格差という話が出ましたけれども、東京都はこのほかにも物すごいいろいろな市町村格差をつくりまして、区市町村の差をみながらいろいろな施策をやっているのですけれども、全国に使えそうなものということで、三浦先生と相談して、3歳児のう蝕と12歳児のう蝕だけ残させていただきました。
実は、歯肉炎等もございますし、工藤先生の言われた摂食嚥下についても各都道府県でやっていますけれども、やってない県もあるので、全国指標として使えるものということで、この2つを残させていただきました。
以上でございます。
○辻委員長 ほかに、樋口先生、どうぞ。
○樋口委員 たばこのところですけれども、妊娠中の喫煙をなくすというのは、これは単独で非常に重要なものだと思いますけれども、家庭の受動喫煙が3%という目標になっていますけれども、妊娠中の場合も受動喫煙というのがございますね。細かい話なんですけれども、もしそうだとすると、やはり妊娠中の受動喫煙はゼロでなければいけないだろうということで、その辺り、もしこれを指標としているのなら、何か考慮をいただけるといいのかなと思います。
○辻委員長 どうぞ。
○中村委員 私も今その指摘をしようと思っていたのですけれども、個人的には妊娠中の喫煙をなくすというのは勿論ですし、あと妊娠中の周りからの受動喫煙で、乳幼児突然死症候群についてもエビデンスがありますから、妊娠中については妊婦本人はもとより、その周囲の、職場も含めて受動喫煙をなくすというのが本来あるべき姿です。
ただ、喫煙妊婦についての実際の出産後の行動を見ますと、妊娠中だけ我慢して、出産後吸うとか、あと授乳後、母乳栄養を短期間にしてしまって吸い始めるということで、妊娠中の喫煙をなくすというのは重要な目標ではあるんですけれども、逆のとらえ方をすると妊娠中だけはやめるという誤ったメッセージにもなるので、実態の把握のためのモニタリング等の関係はありますけれども、メッセージとしては妊娠中は勿論のこと、子育て期間中、家族みんなで禁煙する。妊婦、母親はもとよりですね。そういう目標が、本来あるべき姿だと思いますので、それについてもデータとの関係も含めて検討する必要があると思います。
○辻委員長 どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございました。
あともう一つ、これは確認ですけれども、飲酒のところには飲酒の他者への影響というのがありまして、これは多分、基準値と目標値を設定するのが難しいという、先ほど事務局の方から説明がありましたけれども、それで今回これが消えているのではないかと思ったのですが、その辺りがクリアーされれば、またここに復活するものなのかどうか、その辺りの確認だけさせていただければと思います。
○河野栄養・食育指導官 まずは指標の御提案をいただかないと、こういった場での議論になりませんので、指標を出していただいてからの議論になると思います。
○辻委員長 ということで、よろしくお願いします。
ほかにどなたか。
村山先生、どうぞ。
○村山委員 先ほどから御意見をいただいております高齢者の低栄養の問題については、私たちも体格の指標を用いることを考えました。関係の委員の先生にお伺いしたいのですけれども、BMIを使った場合のカットオフポイントは、どのぐらいに設定すると低栄養が把握できるか。何かエビデンスがありましたら、教えていただければと思います。
○新開委員 日本人でですか。集団によって、対象の高齢者がどこのエリアに住んでいるかによって大分違うのですが、我々の研究所で都市部と地方の高齢者をが合併して1,500人ぐらいをの追跡調査した結果では、総執行に有意に効いてくるのは、BMIが20を下回ってくると有意に死亡率が増加してきます。
ですので、18.5とか6は、高齢者にとってはかなり厳しいので、BMIが20を下回らないようにしておくことが、1つの目安ではないかと思っています。
○辻委員長 戸山先生、どうぞ。
○戸山委員 専門外のことですけれども「(4)喫煙」の1成人の喫煙率の低下で、その後わざわざ喫煙をやめたい人がやめると書かれているので、これは少し違和感を感じるところがあります。何か意味があってのことかと思うんですが、いかがでしょうか。
○辻委員長 中村先生、どうぞ。
○中村委員 これまで、前回の「健康日本21」もそうですし、がんの基本計画においてもそうでしたけれども、なかなか喫煙率については数値目標を掲げることができなかったという経緯があります。
日本で、たばこという製品が合法的に認められている依存性の薬物、また有害物質ですけれども、そういうことを考慮して、まず数値目標を掲げて、更に対策を推進するという観点から、社会全体として理解が得られやすい目標として、やめたい人をまず全員やめていただきましょうと。これだけでも結構大変なことでありまして、実際、たばこ対策が推進されますと、やめたい人も増えてきます。ただ、やめたい人がやめていく中で、残っている喫煙者はやめにくくなりますので、そのことを考慮すると、やめたい人が4割いて、全員が禁煙するとして、喫煙率を4割減とするためには、現実にもいろいろな対策をさらに組み合わせてやった場合に到達ができそうで、今の現状の取組みだけでは恐らく達成されないと思います。そういう意味では比較的いい目標ではないかということで、総合的に考慮して、この割合を入れたと理解しております。
○戸山委員 大体わかるんですけれども、健康と喫煙に関しては、「健康日本21」ですから、それにターゲットを当てると、喫煙が健康にいいというのは一つも、確かに○はないわけなので、その辺はどうかということで発言させていただきました。
○辻委員長 どうぞ。
○外山健康局長 この喫煙の問題というのは、結構厄介というか大変な政策でありまして、前のがん対策推進基本計画の中で、これは平成19年に閣議決定されております。ここの中では、喫煙をやめたい人に対する禁煙支援を行っていくことを目標とするということが閣議決定で計画されておりますので、ここまでは結局関係者が合意している。物の性質ですね。強制的にやめさせるのではないと。そういうことを合意しているものですから、そういった考え方を、今回の計画でももう少し明らかにすると同時に、がん対策推進計画の中でも数値に置き換えていくことによって、現実的な実現を図っていこうということで、こういうものの言い方をしているということでございます。
○辻委員長 どうぞ。
○岡村委員 ちょっと別のところで、今度は肥満のことになるのですが、ここは一応女性の目標値が入っていないのですが、多分死亡とか循環器の方から見たら、別にこれでも問題ないのですが、実際に循環器病センターで診療していたときの印象で言うと、リスクファクターが何も問題なくても膝関節症のようなものが肥満があると最後に出てくるのですが、このような状況を考慮したときに、女性の肥満の方は本当に目標値がなくてもいいのかということが、少し疑問に思ったので、そこはどうなんでしょうか。
○辻委員長 これはあった方がいいのではないでしょうか。今、言ったような関節症の問題もありますし、がんでも女性のがんは肥満と関係しますので、そうしたことを含めて考えますと、基本的にはすべてのライフステージについて男性・女性ごとに肥満、やせは出しておいた方がいいと思いました。
どうぞ。
○宮地委員 今の岡村委員の指摘はもっともで、栄養の観点だけではなく、特に女性で肥満者ほど膝痛や腰痛の発症リスクが高くなるというエビデンスは多くありますし、肥満を改善するような運動や食事の取組みをすることによって、膝痛とか腰痛が改善することもRCTで十分証明されていることなので、やはり肥満に関する目標は、決して循環器疾患だけアウトカムとしないで、定めておいた方がいいと思います。
○村山委員 今の御指摘の点に関しまして、これを落とした理由は、既に女性の場合の肥満者は減少傾向にありましたので、あえて目標に上げなくてもいいのではないかという観点で落としたのですが、今の御指摘を踏まえまして、再検討したいと思います。
○辻委員長 あと数分なので、最後に2つ、3つお聞きしたいのですけれども、津下先生と中村先生、お願いします。
○津下委員 1つは「身体活動・運動」なんですけれども、歩数、それから運動習慣者は男性・女性と70歳以上という分け方なのですが、この男性・女性は20代~70歳未満ということではなく全体なんですね。
御提案なんですけれども、目標を年代別に分けて出していったらどうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。70歳未満の方が歩数は多いはずなので、20代~70歳未満は、運動習慣者は少ないけれども歩数は多い集団なので、歩数の目標値もそれに合わせて出せると思いますので、分けた出し方はどうかというのが1点です。
もう一つは、休養な自殺対策、前回の対策でも、うまく進んでないですねという話で終わっていたと思いますけれども、「(3)休養」のところですが、睡眠と働き盛りの休養ということで週労働時間が出ていますが、もう一つ、介護とか、そういう負担がかなり大きくて休養が取れないという課題もあります。たしか家族の介護の負担度に関する調査は、生活基礎調査か何かにあったのではないかと思いますが、家庭での介護等の負担感の減少というのが入る必要がないだろうかと思っています。
それから「(1)こころの健康」のところには入ってはいないのですけれども、自殺の理由で「健康問題」というのが挙げられていることがあるのですけれども、1の地域のつながりの強化というのは、こころの健康に非常に重要な観点ですので、社会環境の中に入っていますけれども、こころの健康づくりにも、4の1の指標というのは重要な観点であるということを整理しておく必要があると思います。
○辻委員長 ほかの先生方からもいろいろな御意見があったのですが、指標相互の関係、因果関係的な部分も含めて、この指標が変わると、どこが変わって、どういう結果になるということを出していった方がいいという話ですね。これは実際にそういうキャンペーンをやっていくことが非常に重要になりますので、そのようにしたいと思います。ありがとうございます。
中村先生、お願いします。
○中村委員 たばこについて、非常に積極的な御意見をいただいているのですけれども、「次世代の健康」というところに「健康な生活習慣(栄養・食生活、運動)」しか書かれてないのです。それぞれの喫煙と飲酒の方には未成年者の喫煙をなくすということがあるのですけれども、この「次世代の健康」というところにも「健康な生活習慣」ということで盛り込んでいただいた方がいいのではないかと思います。
更にもっと言えば、下位時期からの喫煙の暴露をなくす。つまり、胎児が受動喫煙にさらされないということも、ここに盛り込んでいくべきだと思うんですけれども、その辺り、とりあえず今はそういう重複をできるだけ避けた形で整理がされているかと思うのですけれども、今後、最終的な資料をつくる中で、その辺り階層を構造化することとも関係しますけれども、その辺を御考慮いただいたらありがたいと思います。
○辻委員長 どうぞ。
○池田委員 また専門でないのであれなんですが、最後の17ページでう蝕有病者のところなんですが、ここだけ都道府県の割合ということで、先ほどお話を伺って納得はしたのですが、ただ、全体の指標からいくと、ほかのものも地域格差が問題になるものでもありますし、同様の視点が必要だと思うので、これを本当に都道府県の割合という形の指標にした方がいいのか、あるいは単純に3歳児のう蝕有病率が20%未満としておいて、そのときに勿論地域格差については検討していくわけですが、どういうふうに整合性を取ったらいいのかということが気になるところです。
○尾崎委員 そこの部分ですが、3歳児のう蝕有病者率が20%未満とやってしまうと、全国平均では多分簡単にいってしまうんです。特に小児う蝕は、市町村格差もそうですけれども、都道府県格差が非常にあるので、逆に子どもたちがおいしく食べ、健康に育つために一番大事な3歳児、乳歯例の完成期を支援してあげたい。そこでちゃんと食べて、ちゃんと健康な子どもになってほしいという思いもあって、全国どこでも同じチャンスを提供したいということで、こういう言葉にしました。
全国平均ですと、人口が大きいところが下げてしまうと下がってしまいますので、特にむし歯というのは非常に地域集積性が強烈に出るので、食べ物と一緒で地域格差が非常に大きいところなので、あえて一緒にしてみました。
○辻委員長 今の池田委員の御指摘は非常に重要な指摘だと思います。今回、国民健康・栄養調査の速報が出ましたけれども、あれを見ますと、喫煙率ですとか、肥満ですとか、都道府県別の現状が示されて、地域格差はこんなに大きいのだということがわかったわけですけれども、そういった意味で今回地域格差を減らす、健康格差を減らすことがポイントになっているわけです。その一つが都道府県格差、地域格差でもあるわけですけれども、それについて出せるデータはほかにもあるんですね。国民健康・栄養調査の他にもあるわけです。
ですから、その辺は国全体としての目標と都道府県格差のデータを出したうえで、それを減らしていくという、二つの書きぶりをできるところはしていくように、全体的に少し調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
時間の関係で、次に移らせていただいてよろしいでしょうか。
まず最初に、事務局から第三~第七までの素案について、また昨年末に関係学会、団体への意見聴取の結果につきまして、資料に基づいて併せて御説明をお願いします。
○菊地室長補佐 資料1の3ページ以下、第三から御説明したいと思います。
まず、都道府県あるいは市町村の健康増進計画の策定に関する基本的な事項ですけれども、一として、健康増進計画の策定に当たって、地方公共団体としましては、次の4ページ以降になりますが、地域住民の健康に関する各種指標を活用して、重要な課題を選択し、その到達すべき目標を設定して、定期的に評価あるいは改定を実施すべきであるとしております。
そして、具体的に、以下、都道府県、市町村におきます目標設定についての基本的な考え方についてお示ししております。
続きまして「二 計画策定の留意事項」ですけれども、1としましては、都道府県は健康増進計画の策定及びこれらの関係者の連携の強化について、中心的な役割を果たすということ。このため、地域・職域連携推進協議会などを設置・活用しながら進めていくといった点について触れております。
2、都道府県の健康増進計画の策定に当たりましては、都道府県が策定する医療計画、医療費適正化計画、介護保険事業支援計画、がん対策推進計画などの計画、更には昨年制定、施行されました歯科口腔保健の推進に関する法律に基づきます基本的事項、こういったものとの調和に配慮することとしております。
また、都道府県の役割としましては、市町村健康増進計画の策定支援を行うといった点も明記しております。
3、保健所の役割ですけれども、地域保健の広域的、専門的かつ技術的拠点ということで、今回話題になっております健康格差の縮小を図ることなどを目的とした健康情報、これを収集・分析して提供するといった点などについて盛り込んでおります。
4、市町村ですけれども、都道府県あるいは保健所と連携しながら、医療保険者として実施する保健事業と事業実施者として行う健康増進事業との連携を図っていくなど、市町村が果たすべき点について、ここに盛り込んでおります。
5、都道府県及び市町村につきましては、国が設定する目標を勘案しながら、一定の期間ごとに計画の評価及び改定を行う。そして、評価に当たって留意すべき事項について、以下に記載しているところでございます。
6、都道府県及び市町村につきましては、住民が主体的に参加して、その意見を積極的に反映していくといった評価あるいは目標の設定、こういった過程における点について留意事項として記載してございます。
続きまして、第四の調査その他の研究に関する基本的な事項ということでございますけれども、これにつきましては、一として健康増進計画に関する施策を実施する際の調査の活用ということでございます。さまざま、国、地方公共団体、独立行政法人などにおける調査の結果をもとに、現状分析あるいは健康増進に関する施策の評価を行っていく。
この際、ここに書いてございますとおり、個人情報の保護にしっかり留意していくといった点、あるいは科学的な根拠に基づいた健康増進に関する施策を効率的に実施していくといった点が重要であるとしております。
また、こうした調査で得られた情報につきましては、積極的な公表に努めるといった点。
更には、ICT、情報通信技術を活用しながら、健診結果等の個人情報が活用されるといった点で、今後、いろいろ取り組んでいく仕組みを構築していくように努めていくことが必要だろうと記載しております。
5~6ページにかけまして「健康の増進に関する研究の推進」でございますが、国と地方公共団体においては、国民の社会環境あるいは生活習慣と生活習慣病の関連などについて研究を推進していく。その結果について、きちっと情報提供していくということ。あるいは個人の効果的な健康増進の支援を行っていくことが必要であるとしております。
「第五 健康増進事業実施者間における連携及び協力に関する基本的な事項」でございますけれども、各保健事業者につきましては、それぞれの健診の徹底を図るといった点、更には共同事業の実施など、保健事業者相互の連携の促進を図ることが必要であるとしております。
そして、具体の例としまして、がん検診と特定健診の連携、更には各検診実施事業者の参加によって受診率の向上キャンペーンを図るなど、いろいろ取組を工夫していただければという点について触れております。
「第六 食生活、運動、休養、飲酒、喫煙、歯の健康の保持その他の生活習慣に関する正しい知識の普及に関する事項」ですけれども、生活習慣に関する情報の提供につきましては、マスメディアあるいはICTのほか、健康増進に関するボランティア団体、産業界、学校教育など、多様な経路を活用していくといった点。更に、情報提供の内容につきましては、科学的知見に基づいたものであるとともに、分かりやすく、取組に結び付きやすい魅力的、効果的、かつ、効率的なものと工夫していく必要があるといった点。
なお書きがございまして、生活習慣に関する正しい知識の普及に当たって、社会環境が生活習慣に及ぼす影響の重要性についても認識を高めていくといった点について工夫が必要であろうといった点。
更には、情報提供に当たっては、誤った情報あるいは著しく偏った不適切な情報が提供されることがないよう留意していく必要があるといった点について触れております。
7ページ「二 健康増進普及月間等」ですけれども、現行もありますけれども、次期におきましても9月を健康増進普及月間とし、「健康日本21」の全国大会を引き続き実施するなどの広報、併せて食生活改善普及運動を9月に実施していくことなどについて記載しております。
「第七 その他国民の健康の増進の推進に関する重要事項」ですけれども、推進体制につきましては、市町村保健センター、保健所以下、ここに記載してございます方々から構成される中核的な推進組織が、市町村保健センターあるいは保健所を中心として各健康増進計画に即した形で、計画の目標を達成するための行動計画を設定して、それぞれが補完し合いながら効果的な取組を進めていくといった点について触れております。
「二 多様な主体による自発的取組の推進」ですけれども、企業、NGO、NPOなどの団体におかれましては、国民一人ひとりの健康増進に向けた取組を一層推進させていくための自発的取組を行うということ。そして、その取組について国民に情報発信をしていただくことが必要と考えております。
更に、評価あるいは広報を通じて、いろいろ取組が増加する方向に向けた動機づけを与えることが必要と記載してございます。
「三 健康増進を担う人材」ですけれども、地方公共団体においては、医師以下、ここに掲げます職員の方々が、生活習慣全般についての保健指導及び住民からの相談を担当する。
国及び地方公共団体においては、健康増進に関する施策を推進するための保健師あるいは管理栄養士の確保、資質の向上、健康スポーツ医や健康づくりのための健康運動指導士等の運動指導者との連携、食生活改善推進員、禁煙普及員等のボランティア組織や健康づくりのための自助グループの支援体制の構築等に努める必要があると記載してございます。
以上、駆け足ですけれども、第三~第七までについての御説明としたいと思います。
続きまして、昨年から実施しておりました関係団体、学会からの主な御意見ということで、資料2をごらんいただきたいと思います。関係団体126のうち回答があった18回答と、学会47のうち21回答がございました。これに関して、今回、資料としてまとめてございます。
まず、基本的な方向に関する御意見としましては、健康寿命の延伸あるいは健康格差の縮小に力を入れるべきといった、今、議論されております方向に沿ったような御意見。
喫煙率については、喫煙者を減らしていく戦略、戦術の提示が必要だといった御意見。
身体活動や運動による健康づくりにつきましては、省庁の枠を超えて文科省あるいは自治体の担当部局の方々と連携しながら、生涯スポーツ振興施策との有機的な連携を果たしていくべきだといった御意見。
若年層からの健康教育が大事といった御意見がございます。
1ページの中ほど以降、高齢期の取組み、運動方策に関する取組み、あるいはストレスを感じた場合や、睡眠に関する悩みがある場合の対策として、相談ができる場があることが望ましいといった御意見。
それから、ロコモティブシンドローム等があっても、生活機能が維持できるよう適切な運動を行える環境づくりに取り組んでいく必要があるといった御意見。
飲酒についての普及啓発の重要性についての御意見などがございます。
2ページ目、上から2つ目では、小中学校を中心とした子どもたちを巻き込んで、子どもと大人が一緒になって健康増進運動につなげていく、展開していくといった御意見。
更に3つぐらい下ですけれども、若年層の運動機能向上と食生活習慣改善を図り、若年層がロコモティブシンドロームの予備群にならないように取り組んでいくといった点。
その2つ下辺りには、休養の意味と、その大切さを認識させていく取組みが必要だといった御意見。
一番下にありますけれども、疾病予防にもっと取り組んでいくべきだといった点で、個人の特性に合わせた環境づくりも大切ではないかといった御意見が寄せられております。
次に「目標に関するご意見」ですけれども、個人で達するべき目標と社会環境に関する目標を具体的数値として設定すべきではないかといった御意見。
「身体活動・運動」に関する目標について、スポーツ基本計画との整合性も考慮しつつ目標値を設定すべきではないかといった御意見。
健康づくり支援体制が脆弱な中小企業には、特に留意していく必要があるといった御意見。
ライフステージごとに健康危機があるということで、それに対応した目標となるような計画を構成すべきではないかといった御意見が寄せられております。
3ページ目、こちらでは、国全体としてアルコール飲料の低用量化に留意して、1日平均純アルコールで約20グラムといった御提案があったり、その2つ下、喫煙率の削減目標については、より厳しい値とするのはよいとしても、その具体策を併せて提示すべきではないかといった御意見。
社会環境の整備に関する目標につきましては、栄養・食生活、身体活動、たばこなど分野ごとに、諸外国の有効性が確認されている環境整備を参考にしながら、10年後には日本の科学的根拠が蓄積されることを目指すべきだといった御意見。
COPDの認知度、あるいは運動習慣としての歩数の部分について、より具体的な御意見が寄せられているところでございます。
最後の「その他(自治体の計画策定や調査・連携等)のご意見」の中では、例えば国・都道府県・市区町村それぞれの役割を明示して、国民健康づくり運動が効率的に推進されるよう配慮すべきではないかといった御意見。
4ページ目、特にテレビ放送、ブログ、動画配信などといった周知方法が必要。また、専門職の知識を高めるための研修の充実の御意見。
マスコミなど、メディアの活用といった広報的な部分についての御意見が幾つか寄せられております。
企業の取組みということで、この運動に具体的に関われるような柔軟な仕組みをつくるべきだといった御意見。
国と地方公共団体、自治体同士の縦横の情報共有をより一層図って、無駄のない運動を提唱していくといった御意見。
ワーク・ライフ・バランスの問題で、精神的ストレスの増加、自殺者の問題につきましては、労働環境・条件と密接に関係しているということで、各レベルでの領域横断的な連携も必要であるといった御意見などが寄せられております。
以上、資料の御説明に代えさせていただきます。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、次に本日は吉水委員から資料を御提出いただいております。これは前回の専門委員会の場で吉水委員に対しまして、次期国民健康づくり運動の名称でありますとか運動論、周知、広報の方法等について御提案いただけないかということをお願いしたことを踏まえまして、委員にご作成いただいたものです。短期間の中でつくっていただきまして、本当にありがとうございました。
それでは、今回、御提出いただきました資料3につきまして、吉水委員、お願いいたします。
○吉水委員 今までの先生方の提出資料と趣の違うものができ上がっておりますが、マーケティングの実務家としての経験に基づく視点を御提供できればというスタンスでおりますので、5分ほどお付き合いいただければと思います。
視点は3つございます。
まず第1点目は、前回、宿題として承りました、国民運動のネーミングについてでございます。「健康日本21」という名称は、少なくともこの委員会の皆様の中では定着しておりますし、先ほど事務局からも今後10年間は第2次案だという御説明も伺いました。私としましても、これは継続使用していくべきだと考えております。
ただ、21というのは多分21世紀ということかと思いますが、長いので10年単位で、この社会の変化の状況に応じて、もしかしたら5年または3年単位でニックネームやサブタイトルを更新することを考えました。
そして、そのニックネームやサブタイトルに関しては、主にABCの3つの考え方があると思うのですが、まずAは、ニックネームとして「健康日本21」にプラスし、運動感をアピールする。今のままですと、それが運動なのか何なのかわかりづらいところがありますので、例えばプロジェクトという言葉を足し「カラダ・ミライ・プロジェクト」のような形で訴えていく。あるいは、始まるぞと掛け声的に「ハロー、健康ニッポン」とか、「START! HEALTHY-NIPPON」というふうにしていく。あるいは運動をムーブメントとか、英語ですとナショナルプロモーションというようですけれども「ウェルネス・ムーブメント・ニッポン」という形。また、前へ進むという感覚を打ち出しまして「もっとWELL-BEING JAPAN」、WELL-BEINGというのは、個人的にはすごく気に入っていますが、心身ともに健康な状態。今の時代的にも、この運動が目指す方向的にも合っていると思います。
考え方Bですが、サブタイトルで「健康日本21」を国民一人ひとりに語りかけて、「健康日本21」一人ひとりの元気のために、一人ひとりの健康を考える、一人ひとりのWell-beingを目指して、といったようにつなげていくことを考えました。
考え方Cとしては、新しい重点目標、この10年間、推進する新しい重点目標を具体的に言っていく。例えば健康寿命を延ばそう、ストップザ生活習慣病、ココロとカラダの健康づくりといったように。今、挙げさせていただいたのは、私がたまたま考えた例ですので、これから議論を深めていくのか、あるいはプロのコピーライターの方等に考えていただくのか、その方法論はわかりませんが、こんなような考え方があるのではないかということで、本日は御提示させていただきました。
ネーミングと関連してなのですけれども、今、赤いなみなみのシンボルマークがございますね。何となくこの反応は、皆さんも余り認知されてないのではいう感じを受けますが、私も初めて拝見して、ちょっと古っぽい感じがしたのと、意味がよくわからないので、これは本当に御提案なのですが、ネーミングと併せて意味のわかるロゴマークを是非とも厚労省さんで開発していただいて、まずは名刺ですとかバッチですとか、そういうところからが第一歩ではないかと思いました。
1ページめくっていただきまして「視点2:国民運動の周知&行動喚起のために」とタイトルを付けさせていただきました。この意図というのは、単に知っているだけではなくて、実際に運動として、行動として起こしていただきたいという意味を込めました。ですので、先ほどの資料1のP6とかP7辺りにありました、いろいろなステークホルダーの方がマスメディア、その他のメディアを通じて連携していくという辺りを図解してみたのがこの図になります。
一番上に運動主体としての厚生労働省があります。そして、下に一般国民、生活者、消費者を置いているのですけれども、ここに到達するまでにいろいろなメディアばかりでなく、ステークホルダーがあると思いますので、タッチポイントという言い方の方が適切かもしれません。メディア、TV・新聞・雑誌などの広告、交通広告や屋外広告、あるいはそういったメディアプロモーションだけではなくて、記事、PRというやり方もあるかと思います。
先ほど学会等の御意見というところから出ていましたけれども、やはり今日的な状況をかんがみますと、ネット、ホームページですとか、フェイスブック、ツイッターといったSNSでの情報発信も考えるべきかと思います。
そして、地方自治体、保健所、NPO、各種団体、病院・医院・医療施設、学校、企業というのもタッチポイントとして機能していただきたいと思っております。
現状やっていらっしゃることがP7にもありましたけれども、地方自治体を通じた普及月間の告知ですとか、年1回の全国大会と伺っておりますが、この図で言いますと、一番左の地方公共団体というタッチポイントしか今は機能してないのではないかと思っていまして、いきなりメディアプロモーションをやるのはなかなか予算の確保等で大変かもしれませんが、例えばこういった団体がやるイベントだったり、こういう団体の場所に張られているポスターであったりというところから広げることは考えられるのではないでしょうか。
学校と書いてありますけれども、例えばこれは先生方のいらっしゃる大学からの発信ということもありますし、例えば中学生のようなもっと若い方たちに、がんとか生活習慣病の怖さと予防の必要性を教育し、子どもから親へ、「パパ、たばこやめて」と言ってもらうようなことも考えられるかなと思います。
一番右端に企業というのがありますけれども、こういった多様なステークホルダーをどれだけ巻き込めるかということかと思いますが、企業の巻き込み方に関しては3パターンあるのではないかということで、次ページにまとめてみました。
こちらは、どちらかというと、運動主体としての企業、団体があり、それをサポートする、バックアップする厚生労働省という立場です。最近、知ったのですけれども、例えばスマート・ライフ・プロジェクトの参加企業が現状でも300社、400社あると伺っておりますので、そういったところを通じて職域での健康増進活動、社員、職員の福利厚生に当たるもの、それから、企業のCSRになると思いますけれども、PR、啓蒙、寄附も考えられますし、それが実際、その企業の影響、メーカーさんだったら物が売れる、あるいは販売促進ができるということがあると思います。
最近の事例ですと、タニタの社員食堂が非常にヒットしましたけれども、これはもともとは一番左の話ですね。社員に対する福利厚生である社員食堂のレシピ本が何万部も売れたということで、結果的に営業にもつながり、PRにもつながったと思うんです。例えば、体組成計とか歩数計のメーカーさん、あるいはすごく数多くある健康食品のメーカーさんのプロダクトに、最初のページで申し上げました、この運動のマークが付いていることも一つの認知経路だと思いますし、そういったマークが付いていることが、そのメーカーさんにとってはある種厚労省のお墨付きにもなり、消費者にもその製品を選ぶ上での一つの指針にもなり、双方にベネフィットがあるのではないかと考えております。
「視点3 ターゲットセグメンテーション」というところですが、これは資料1の5ページにある、効率的に国民健康・栄養調査等の企画を行い、実施するということの実施イメージとして簡単に御提示させていただければと思います。私、厚労省さんの委員の経験はこれが初めてなので、実際どんなことをやってらっしゃるかというのがわからないままに言っているところがありますが、たまたま長らく関わってきた農水省の自給率向上に関する調査の方法論を挙げさせていただきました。
ネット調査を行って、食関心・食情報摂取態度の高い・低いで7クラスター分類をしています。そして、一番意識の高いクラスターには、そのまま情報発信してくださいと。それぞれのプロフィールをまとめるとともに、今後どういうライフスタイルを目指すかという提案をしているのですけれども、一番意識の高いクラスターに対しては、もっと情報発信をしてください。最も意識が低いクラスターに対しては、ほとんど啓蒙ということは無理ではないかと思って、彼らが食品を買うコンビニ等々の売っているものが、なるべく食料自給率の高いものになるという、外食ですとか、中食のメーカーさんを巻き込む取組みを考えています。
そして、一番右端の図は、そういったそれぞれのクラスターが、どういうふうに関係して、トータルで食料自給率を上げていくかという概念図を描いております。
最後のページが、それらの広報事例になります。これも一般消費者向けとメーカー・行政向けというものを分けておりまして、一般消費者向けにはクラスター分析云々といっても、なかなか通じにくいところがありますので、ちょっとゲーム的に判定できるYES・NOクエスチョンのような形で、あなたは何々タイプという判定をしています。メーカー・行政向けには、この人たちにアプローチするには、こういうメディアを使って、こういうところを言ったらいかがですかといったような提案をしておりまして、これは参考事例でありますけれども、前回、国民といっても全部が均一ではないというお話をいたしまして、ではどういうふうに違うコミュニケーションをしていけばいいのかという、1つのアウトプットイメージとしてお持ちしておりますので、こちらは御参考までということになります。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
今の吉水委員のお話として、何か楽しみながらできるような、いけている感じが、やはり国民健康づくりですからね。そういったところに持って行こうという話ですね。ありがとうございます。
途中で退席されるということですので、何か御質問とか御意見がありましたら、まず最初にいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○宮地委員 とても参考になりました。セグメンテーションなどのターゲットを絞ったアプローチをするのは、マーケティングの常とう手段というか、必要なことだと思うのですけれども、好ましい身体活動や運動習慣を持つ、あるいは食塩や脂肪を減らして好ましい食生活を送るという、私たちが売ろうとしている商品は、iPadとかiPhoneのような魅力的な製品ではなくて、はっきり言ったらどうしようもない製品というか、国民にとって耳の痛い話というか、やりたくないようなものを売らなければいけないという、普通の商品マーケティングとは違うことをやらなければいけないと思います。
そこで一つ重要なステップが何かということを、考えるのですけれども、好ましい食生活、身体活動、禁煙がいいよということは、多くの人に周知されているし、よく知られているのですけれども、それを行動に移すという敷居を越えられない。その一つの大きな理由として、まだ国民が身体活動や食生活を正しくやることに対する規範形成ができてないのではないかと思います。
例えば喫煙、たばこを吸うことが国民全体、社会にとってよくないことだという規範形成ができたので、かなり喫煙率が減っていい方向に動いてきた。そういったものを形成するために、どういうアプローチをしたらいいのかということを、是非コミュニケーションの専門の皆様に教えてほしいと常々思っているので、アイデアがあったら是非御提案いただければと思います。
○吉水委員 すべてを解決することは難しいと思うのですけれども、1つの切り口として、今、プロダクトマーケティングの世界でも、結局何を言われたから買うか、行動を起こすかということもあるのですけれども、だれから言われたら行動を起こすかということに比重が移ってきていると思うのです。
自分の信頼する人とか、例えば健康とは全然関係ない、すごく音楽が好きな人だったらば、だれかミュージシャンから言われたら、そうなんだと思うかもしれないじゃないですか。
今、本当にものが売れない、売れないと言っていますけれども、やはりだれからこれがよいと、どれぐらいの熱意を持って言われるかということに、非常に消費のポイントが移ってきているんです。という意味では、例えば運動を促進するのはだれとか、食塩を落とすならだれとか、もうちょっと国民運動と言いつつも身近な人、アイコンかもしれないし、例えばフィットネスクラブのトレーナーの方かもしれないし、家族かもしれないし、そういったところにどんどん落とし込んでいくというのは、一つのやり方としてはあるのではないかと思っております。
○辻委員長 中村先生、どうぞ。
○中村委員 マーケティングに関連してなんですけれども、国民一人ひとりに個人に対してマーケティングすることも勿論重要なんですけれども、ただ健康づくりにおいては、そういうことだけでは限界があることが既にわかっていて、やはり今回のポイントは、支援環境をいかに国として整備するか、それは政策にも関わりますから、例えば政治家であったり、メディアであったり、地方の政策担当者であったり、また支援環境として機能する企業や団体であったり、いろいろなそういう支援環境に関わる関係の団体、組織、またキーパーソンに対して、この健康づくりをどうマーケティングして支援環境を整備するかというところが問われていると思います。今までの既存のビジネス・マーケティングとかソーシャル・マーケティング以上の、何か新しい発想の中でのマーケティングをやっていかないといけないと思っていますので、それはマーケティングの会社にとってもチャレンジだと思いますので、今後この健康づくりの計画の実行にむけて、余りビジネス的には利益を生むものではないかもしれませんけれども、社会のために何かお知恵を拝借いただければありがたいと思います。
○辻委員長 工藤先生、どうぞ。
○工藤委員 企業のマーケティングと結合することは、非常に重要な提案だと思うんです。
我々、COPDに関して言えば、これまでやってきたのは、まず専門家を育てて、それが呼吸器の先生方を啓発して、それがまた開業医の先生方を啓発して、上から下へというか中心から周辺に知識を普及してきたわけです。だけれども、それではどうにもならないというところに来ていて、むしろ国民がCOPDを認識していただく。そして開業医の先生のところに訪れたときに、「私、COPDどうですか」と言われたら、医師は対応せざるをえない。そういうことで、むしろ下から吹き上げるようにする必要があるのではないかと思いはじめたわけです。
先ほども言いましたけれども、COPD認知率17%が25%に跳ね上がった間に何があったかというと、テレビで有名なタレントが「COPDって知っていますか」と。あれがテレビに何度も何度も出てきた。これはある製薬メーカーがやったわけですけれども、企業は直接、クスリの宣伝はできませんが、国民にCOPDという病気を伝えていくことはできます。このようなメディアの動き方はあるわけです。例えば「HDLコレステロールって知ってる?」っていう、難しい医学用語を使ったコマーシャルがテレビに出るわけです。だから、そういったような新しいメディアの活用。これはやはり企業の参加がないとできないだろうと思うんです。
それから、これは禁煙のターゲットになる企業かもしれませんが、例えばたばこの箱の横に危険性が書いてありますね。あそこに相変わらずに、たばこは「肺気腫を悪化させる危険性があります」と書いてあります。これは「COPDを引き起こす危険性があります」に変えていただかないとならない。
○辻委員長 まだまだ御意見あろうかと思いますけれども、時間の関係でそろそろにしたいのですけれども、今いろいろ御意見をいただいたので、最後に先生の方から何か一言ありますか。
○吉水委員 今、視点ということで言いっ放しにしている状態ではあるんですけれども、こういう議論というのは今後、どんな感じで進めていくのか、もし事務局の方にお考えがあったらお聞きしたいと思ったんですけれども、コメントではなくて質問になってしまって済みません。
○野田生活習慣病対策室長 今日の御議論を踏まえて、どのように取り扱うか改めて検討したいと思います。当然、非常に重要なことだと思いますので、今後の専門委員会なり審議会の予定も踏まえて検討したいと思います。
○吉水委員 なるべく具体的な方法に結び付くようにしたいというのが、今日の感想レベルでございます。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、資料1の第三、第四、第五、第六、第七、これも運動論の進め方ということで、今の議論と似たような部分があるんですけれども、先ほど事務局から御説明いただいたことにつきまして、何か委員の先生方からありますか。
熊坂先生、どうぞ。
○熊坂委員 まさにここが具体的な進め方の議論になると思います。今、吉水委員がお話されたように、だれに言われたらやるのだろうかいうことですが、恐らく自治体が本気になってやるかどうかにかかってくるのではないかと思います。前回の「健康日本21」運動の反省を踏まえて、自治体あるいは地域が本気になるかどうかというのが一番重要なポイントになると思います。
平成12年3月に出された前回の「健康日本21」と違うのは、前回が保健医療局長通達だったのに対し、今回は大臣告示にするということです。地方分権に関して言えば、平成12年に法律が変わり、国・県・市町村が対等になりました。そういった中での新しい「健康日本21」ということになりますので、市長経験者として文章を読んでいていかがなものかと思ったのは、文言ですね。県や市町村に対して、努める必要がある、行うことは重要である、考えられる、留意すること、実施すべきである、望まれる、あるいは必要があると、語尾がこのような文言で纏められています。確かに地方分権の中では、国はやりなさいということは言えない状況ですので、文言が望まれるとか、実施すべきであるというふうになったのではないかと推察しています。県に対しては結構強い語調ですけれども、市町村に対してはちょっと遠慮があるような感じがしています。今言った背景があり国と県・市町村は対等ですから難しいのですけれども、これを市町村が見たときに、あるいは県が見たときに、もちろん命令口調ではいけませんが、やる気になるような文言の整理も今回は必要だと感じました。大臣告示ということで国の意気込みが前回とは大きく違いますので、敢えて意見を言わせていただきました。
○外山健康局長 確かに平成12年はそうかもしれませんけれども、健康増進法が平成14年にできていて、それで、さっき言った国が基本方針を示す。それを告示する。今回はそれを膨らませて「健康日本21」第2次にしようと、それは都道府県が計画をつくる際の参考にするわけですね。都道府県は、もう既に平成14年の法律で都道府県版の健康増進計画を定めるものとすると。定めなければならないとなっております。一方、市町村は、さっき言ったように努めるものとするとなっているので、おのずと差が出ております。
ですから、平成12年のときとの関係で、何か物が変わっているのではなくて、既に平成14年のこれを踏まえてやっておりますから、そこからは変わってないんです。
ただ、市町村に対して国が上位の関係というわけではありませんから、そういった意味での技術的指針であるということは、それはあらゆる点で注意しなければいけませんけれども、当然告示する際あるいは通知する際の鑑文や言葉遣いは注意しなければいけませんけれども、計画の中の文言を、お願いいたしますとか、何とかでございますというような形にすることは、全く必要ありません。
○熊坂委員 それは理解しています。ですから、第2回目の委員会の時も言いましたが、今回は市町村の役割がとても重要になると思うのです。これを見た時に、市町村がやるぞというような気持ちになるのかどうか。何々すべきであるといったような文言ではなく、もう少し期待を込めた言葉遣いを工夫してもいいのではと思います。
そういった配慮が文言にあってもいいのではないかということを感じました。
○辻委員長 津下委員、どうぞ。
○津下委員 今の熊坂委員の考え方に近い部分があるんですけれども、マーケティングのところで発言しようと思ったんですけれども、やはり市長さんがやる気になるような見せ方や進め方が非常に大事かなと思うので、例えば健康格差の縮小ということを今回目標としていますけれども、都道府県なり国が地域差とか健康課題をしっかり見せることで、市長さんがやっていこうと動く、そうすれば全庁的な体制を取ることにつながる、というような仕掛けが必要だと思うんです。
ですから、都道府県の役割というのは、やはり市町村をやる気にする。具体的なデータでもってやる気にするということが重要だと思います。実際、愛知県の幾つかの市町村で、直接市長さんと話しをしたときに、食生活で塩分はどうという話には余り関心がなくて、介護費とか、医療費とか、そういうことに非常に関心があったり、それから、寿命が短いということにすごく関心があったりされるので、それは市長さんに対するマーケティングだと考えて、どうしたら市町村が本気でやる気になるかという仕掛けをつくる必要がある。そのための役割として、都道府県はそういうデータ出しとか、研修とか、または保健医療職だけではなく事務職さん向けの研修会とかをやっていかなければいけないと思います。ここの第三のところに都道府県の役割と市町村の役割が混在して書かれているのですけれども、もう少し整理をして、役割とすべきことを明確にした方がいいのではないかというのが、私の考えです。
市町村は住民個人のデータを持っていたり、インフラ整備に関する関係者、ステークホルダー等の方々を集められる環境にあるので、市町村向けにより具体的な例示を示して、こんなことがやれるんだということを出した方が動きやすいのかなと思います。
○尾崎委員 実は、昨年から小学校の学習指導要領が変わりまして、歯の健康、生活習慣病、たばこの害、アルコールの害、薬物乱用といった項目が、小学校5・6年生の保健に入ってしまったんです。ところが、私が今年たくさん受けた相談というのは、どうやって教えたらいいのか。要するに、小学校は教えなければいけないけれども、情報提供は受けてない。せっかくのチャンスだから逆にそういうところへも入っていけば、この6番目の生活習慣に関する正しい知識の普及に関する事項などにも使えると思います。
今年は中学校が指導要領を改正、来年は高校の指導要領の改正で、少しずつそういうものが入ってまいりますので、そこら辺も切り口としては、特に市町村が一番望んでいると思います。だから、保健所が支援するなり、市町村の保健センターが支援する形で推進できる一つの糸口だと思っています。
○辻委員長 ほかに、いかがでしょうか。
どうぞ。
○外山健康局長 ちょっと聞いていいですか。この資料の4ページの上から5行目に書いてありますけれども、市町村においては、国や都道府県が策定した目標を勘案しつつやると書いてありまして、これは法律にもそういうふうに市町村の健康増進計画のつくり方は、基本方針と都道府県の増進計画を勘案してつくる形になっています。
つまり何を言いたいかというと、これは国の基本方針になるわけですけれども、都道府県はこれをかなり参考にしながらつくる。したがって、47都道府県というのは、ある程度バリエーションがあったとしても、これに準拠した形には最低限なると。しかしながら、各都道府県の特異性でもう少し幅のある部分も出てくる。市町村に行けば行くほど、その地域の特性を踏まえて、県と一体となった形で、他計画とも調整しながらつくっていくということを言っているわけです。
そのことと、一方で今の御意見というのは、できる限り市町村というのは、例えば具体的にこういうことに特化して市町村はやれという御意見であるように聞こえるのですけれども、そういう市町村に行けば行くほど自由度が高いといいますか、今の構造と国が示す基本方針の中で、県と市町村の関係を飛び越えて、市町村はそういうことに着目して、都道府県を通じて市町村も仰ぎ見るような構造にすべきという御意見があるようなのですけれども、その辺はどういうふうに具体的に整理したらいいのか教えていただきたいと思います。
○津下委員 市町村の担当者も国・県の計画を非常に重視しているのですけれども、前回の例でいきますと、市町村はなかなか目標設定すらうまくいかないところもあった。県のようにはなかなかできないということで、「健康日本21」って何だろうというところで動かなかった自治体もあったかと思うんです。
市町村が動きやすいように、具体的な目標に重点を置いて設定することについて、もう少し具体的な例示等が示されるとよいのではないかと思います。全市町村が、「健康日本21」を立てることはそれほど無理なハードルではないと感じることとか、自分たちの持っているデータでも十分に「健康日本21」がやれるのだと感じ取られるような、方針の示し方が必要ではないか。それは都道府県がそういうふうに市町村を支援すればいいことはいいのですけれども、都道府県は都道府県で国を手本にして計画をつくってきて、これと同じように市町村もつくりなさいとなってしまうと、市町村にとっては難しいし、それから、市町村のよさが出てこない。実際のアクションの主体であります市町村が戦略的な21計画がつくられるように、市町村のレベルにおいてはどういうデータが活用できるのか、そして、どういう事業が活用できるのか、を示していく。例えば今の学校教育とか、文科省のスポーツ基本法とか、いろいろな他の部局の事業でも活用できるものがあるということを、丁寧に書き込んだ方が動きやすい自治体が出るのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○辻委員長 まだ御議論あろうかと思うのですけれども、予定した時間に大分近づいてまいりましたので、私の進行がつたなくて済みません。第三~第七にかけての御議論を十分にいただけないままになってしまいました。申し訳ありませんでした。
これにつきましては、委員の方々から事務局の方にメールなりファックスなりでまた御意見をいただければ、反映していけるようにしたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
そういった意味で、専門委員会としては本日たくさん御意見いただきましたので、それを踏まえて素案の内容を更に詰めていただきたいと思いますので、事務局におかれましては、よろしくお願いいたします。
次に、議題2「その他」でありますけれども、事務局の方で何かありますでしょうか。
○菊地室長補佐 これまで専門委員会で次期国民健康づくり運動プランの方向性や個別目標などについて、多く御議論をいただきました。次回の専門委員会に向けまして、これまでの専門委員会でいただいた御意見、あるいは資料などにつきまして、解説を加えていただくことを考えております。
別途、辻委員長に御相談させていただいた上で、改めて委員の皆様方に御相談させていただきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
○辻委員長 ありがとうございます。
本日の議事はこれで終了になりますけれども、事務局から何か連絡事項はありますでしょうか。
○菊地室長補佐 本日の御議論を踏まえまして、事務局で素案を修正した上で、今月28日に開催予定でございます第33回の厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会に報告しまして、御審議いただきたいと考えております。
また、28日の地域保健健康増進栄養部会でいただいた御意見も踏まえまして、次回、3月の専門委員会で事務局から再度素案を御提示させていただいて、引き続き御検討いただければと考えております。
また、次回の専門委員会につきましては、3月19日、月曜日の1時から4時までを予定しております。場所につきましては、また追って御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○辻委員長 それでは、時間になりましたので、本日は以上で終了いたします。
どうもありがとうございました。
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