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2012年2月6日 第18回社会保障審議会統計分科会議事録

大臣官房統計情報部企画課統計企画調整室

○日時

平成24年2月6日(月)15:04~16:30


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省19階 専用第23会議室(1908)



○出席者

委員

西郷分科会長
白波瀬分科会長代理
齋藤委員
石川委員
大久保委員
小杉委員
佐藤委員
土屋委員
樋田委員
永瀬委員

事務局

伊澤統計情報部長
藤井企画課長
早川統計企画調整室長
中島審査解析室長
勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長

○議題

1.社会保障給付費の基幹統計化について
2.その他

○議事

○藤井企画課長 本日御出席予定の委員でまだお見えになってない方もおられますが、定刻になりましたので、ただいまから、第18回「社会保障審議会統計分科会」を開催させていただきたいと思います。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
私は、統計情報部の企画課長の藤井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、統計分科会委員の任命後初めて御出席いただきました委員の方を御紹介させていただきたいと思いますので、簡単に一言ずつごあいさつを賜ればと思います。
 最初に、社団法人日本医師会常任理事、石川広己委員でいらっしゃいます。よろしくお願いします。

○石川委員 石川でございます。よろしくお願いします。

○藤井企画課長 次に、筑波大学大学院人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学専攻保健医療政策学分野教授、大久保一郎委員でいらっしゃいます。よろしくお願いします。

○大久保委員 よろしくお願いします。

○藤井企画課長 その次、群馬大学社会情報学部情報社会科学科准教授、樋田勉委員でいらっしゃいます。よろしくお願いします。

○樋田委員 樋田と申します。よろしくお願いいたします。

○藤井企画課長 次に、本日の出席状況でございますが、津谷委員が御欠席でございます。
 なお、出席委員が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、以後の進行につきましては、西郷分科会長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

○西郷分科会長 皆様、お忙しい中、また、雨の降る中御出席いただきまして、どうもありがとうございます。
 それでは、早速議事の方に入りたいと思います。今日は議題が、議事次第を御覧いただきますと2つございまして、「社会保障給付費の基幹統計化について」と「その他」となってございます。
まず、最初の「社会保障給付費の基幹統計化について」、事務局の方から御説明をよろしくお願いいたします。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 国立社会保障・人口問題研究所の情報調査分析部長をやっております勝又と申します。よろしくお願いいたします。座って御説明させていただきます。
 お手元の資料は、資料1-1、1-2、そして別紙1、参考資料1、2ということで御説明させていただきます。
 まず資料1-1でございますが、冒頭にございますように、平成21年3月13日に閣議決定された公的統計の整備に関する基本的な計画、基本計画と以下申し上げますが、社会保障給付費について、各種国際基準との整合性など必要な検討を加えた上で、できるだけ早期に基幹統計として整備することと、計画の中でされました。
 この計画に従いまして、これまで総務省との間で基幹統計としての総務大臣の指定を受けるために必要な手続等を行ってまいりました。その一環としまして、現在は、統計委員会へ諮問を行うための必要な資料の作成、整理を総務省の担当部局と行っております。厚生労働省といたしましては、今回、社会保障給付費の前に、去年、簡易生命表が加工統計として基幹統計されております。
 そちらの下のところに(参考)として、基本計画の中でどのようにこの社会保障給付費について言われていたか、抜粋で記してございます。
また、統計法の抜粋を下の方に、第2条、統計法の中で基幹統計というのは一体どういう位置づけになっているかということを簡単に示してございます。
 まず、基幹統計というのは新しい統計法になりまして出てきた名称でございまして、この第2条のところにございますように、国勢調査、国民経済計算は基幹統計として既に指定されております。そのほかについては、三のところにございますように、「行政機関が作成し、又は作成すべき統計であって、次のいずれかに該当するものとして、総務大臣が指定するもの」ということで、統計法の中においては、3つ、該当するものというのが示されておりまして、その一つは、イとして「全国的な政策を企画立案し、又はこれを実施する上において特に重要な統計」、ロとしましては、「民間における意思決定又は研究活動のために広く利用されると見込まれる統計」、ハといたしましては、「国際条約又は国際機関が作成する計画において作成が求められている統計その他国際比較を行う上において特に重要な統計」となっております。
 今般、社会保障給付費の基幹統計化につきまして、まず、社会保障給付費というのはどういう統計であるのかということについて御説明させていただきます。
 お手元にあります別紙1を御覧ください。また、お手元にこの小冊子をお届けしてございますが、実際に毎年発表して報告書として出しているものはこれでございます。「社会保障給付費」の集計・公表等についてということで概略を御説明いたしますが、社会保障給付費は、ILOが定めた基準に基づき、社会保障給付やその財源を集計して公表するものであり、わが国における社会保障の全体規模や推移、国際比較を示すものとして広く活用されてまいりました。
 ILO基準というのは、1949年以来、この社会保障給付費というのをつくっておりまして、そもそもは、ILOは国際労働機関と申しますが、その使命の中で、各種勧告や条約を各国で結んでおりますが、その条約が国際社会でしっかり守られているか、また、勧告がちゃんと守られているか、モニタリングするという必要から生まれております。
そして、日本の場合は1951年度の集計からやっておりまして、戦後、御案内のように、日本が国連復帰いたしましたのは1956年ですので、復帰直後から集計を開始しております。初めは旧労働省が所管しておりまして、その後、旧厚生省政策課調査室が所管いたしまして、その後、旧厚生省の委託を受けまして、特殊法人社会保障研究所が担当しておりましたが、1995年度分からは、国立社会保障・人口問題研究所が所管するようになりました。
 去年の平成21年度社会保障給付費でございますけれども、これで15回を国立社会保障・人口問題研究所では公表しております。
 また別紙1に戻っていただきまして、この集計の方法でございますが、基本的には、社会保障の各制度を担当する関係部署から決算データ等を集めて集計を行っておりまして、その結果を秋ごろに出しているということでございます。
 去年は10月28日にこれを公表させていただきました。囲みの中に概要ということでお示ししてございますが、詳しくはそこを御覧いただきまして、去年の場合、総額が99兆8,507億円になったものですから、その次の年、つまり、平成22年度は100兆になるのかという質問も出るような形で、毎年、社会保障給付費の総額は更新されております。そして、さまざまなところで利用されておりますけれども、特に最近は財源についての議論というのが活発になってまいりまして、この社会保障給付費の公表のときにはいろいろな議論がその後出ております。
 囲みの中で1つ誤植がありまして、大変申し訳ないですけれども、ちょっと訂正させていただきます。(4)の平成21年度の社会保障財源は総額121兆8,507億円となっておりますが、これは上の総額のところが間違いでございまして、8,326億円となり、前年度との比較では20.0%増となっております。こちらの21年度の方(参考資料)を御覧いただきますとその数字になっておりますので、申し訳ありませんが、訂正をお願いいたします。
 下の※印のところでございますが、ILO基準に基づく諸外国のデータが1996年以降更新されていないため、毎年度の公表資料では、この日本のILO基準に基づく社会保障給付費のほかに、付録といたしまして、「OECD社会支出による国際比較」を掲載しております。
OECDの基準に基づく社会支出は、ILO基準に基づく集計に比べてその範囲が広く、施設整備費などの直接個人に移転されない費用も計上されております。
「平成21年度社会保障給付費」の付録、こちらの後ろの方になりますけれども、37ページから、OECD Social Expenditure Database 2010ed.から2007年度データで、わが国の社会支出や諸外国との比較を整理しております。OECDのデータにつきましては、後ほどまた詳しく御説明いたします。
この社会保障給付費というのは、現在はILO基準で報告しているわけですけれども、基本計画の中にありまして、御指摘いただいたことを踏まえて、これから基幹統計としてふさわしい統計として充実しながらこの統計を展開していきたいと考えております。資料1-2、先ほど見ていただいた裏側になりますけれども、「公的統計の整備に関する基本的な計画」における指摘への対応についてということで、今回、社会保障給付費そのものを基幹統計化するのではなく、基本的にはいろいろな向上をして、それを基幹統計化しなさいということでございまして、この基本計画の中で御指摘いただいたことが幾つかございます。
そこに示しましたように、1つには、先ほど御説明しましたように、ILO基準が現在、諸外国での更新を行っていないために、国際比較が十分に行えていないということを御指摘いただいています。
それから2つ目には、基幹統計としての整備に際して、諸外国の統計との国際比較を十分に行えるようにすべきであり、内閣府の協力も得つつ、各種の国際基準(SNA、ESSPROS、SOCX、SHAなど)に基づく統計との整合性について検討する必要がある、としていただいています。
各種の国際基準というのは、そちらに載せてございますが、SNAは国民経済計算でございますが、ESSPROSは、EUROSTAT、EUの統計局が出しております社会保護支出統計と申します。それから、SOCXということでソックスと呼んでおりますが、これはOECDが作成しております社会支出統計でございます。また、SHAはOECDが作成しております保健医療支出統計というものがございます。こういうさまざま、現在よく使われている国際比較の統計の基準とどのような関係があるのかということをはっきりしなさいという課題をいただいております。
2番目の「社会保障給付費の現状と課題」というところで、私ども、社会保障給付費の推計をしておりますけれども、ILO基準については、確かに国際比較はできないということがありまして、それで、先ほど御紹介いたしましたOECDを国際比較として採用して、後ろの方に付録として載せさせていただいております。
OECDの加盟国の間で国際比較が可能でありますけれども、必ずしもOECDの社会保障支出というものだけでは、この基本計画で言われております国際比較ということでは十分ではないと考えておりまして、研究所で、先ほど参考資料2というところでお手元にございますように、研究会を開催いたしまして、そこで、この社会保障給付費の基幹統計化の方向性について御議論いただきました。
それにつきましては、別紙2、先ほどの別紙1の裏側になりますけれども、そちらで概略を説明させていただいております。この研究会は、そこにございますように、研究所内と、それから研究所外の先生方を構成員といたしまして、去年1月から6月にかけて4回開催いたしまして、その中で、今後、基幹統計として準拠すべき国際基準の在り方、それからSNAとの整合性の確保などについて検討をしていただきました。そして、その結果をこの報告書としてまとめさせていただいております。
下に2つお示ししてありますが、「公的統計の整備に関する基本的な計画」への対応ということでは、「国際比較性の向上」という観点から、「社会保障に特化した国際基準」であるESSPROSやSOCXについて比較検討した結果、SOCXの社会支出集計を通じた社会保障費用統計の充実を図ることが現実的ではないかという結論をいただきました。
もう一つ、政策等への活用「幅広いニーズ」への対応としましては、給付集計の継続性を考えまして、また財源データの整備ということで、SOCXには財源データがございませんので、ILOの場合には財源データと給付費支出のデータが両方ございまして、そういう違いがございますので、その2つについて、OECDで国際比較の向上を図るのだけれども、政策への活用については、今のILO基準についても非常に重要であるということで結論をいただいております。
下になりますけれども、これからの方向性といたしましては、国際比較を向上させる観点からは、多くの国のデータと比較が可能で、SHAとも整合的な「SOCX基準」に準拠した社会支出集計を通じて、わが国の社会保障費用統計の集計の充実を図る。
このSHAというのは、OECDが出している医療に特化した支出統計ですが、OECDのSOCXの中には、保健医療というところにこのSHAのデータを使っております。ですから、SOCXの方が大きな概念でございまして、その中にSHAが入っているということですので、その部分においてはSHAと整合性がとれるということでございます。
それから、政策等への活用を初めとする幅広いニーズに的確に対応するためには、やはりILOの基準に準拠した財源データの集計を継続させ、それと整合的な方法で「個人に帰着する給付部分」の集計も継続して公表するのがよろしいのではないかということです。この個人に帰着する給付部分という考え方ですが、OECDは必ずしも個人に帰着しなくても、例えば建設費とか施設整備費とか、そういうものも社会支出として集計しておりますけれども、ILOの場合には給付費と給付費以外というものを分けて集計するような形になっておりまして、通常私どもが、99兆円、平成21年度で社会保障給付費になりましたというときには、この給付費の総計を指しております。
それから3番目に、わが国の経済の全体像を体系的に記録するSNAとの関係については、単に数値をそろえることを目指すのではなく、両者の相違や考え方を明確に整理して、わかりやすい解説を提示していくということでございます。これは、基本計画を検討したワーキングのところでいろいろSNAとの整合性というお話があったのですけれども、実際のところ、SNAとの整合性というのは、議論してみますと、SNAと全く同じにするということではなくて、SNAの類似の統計との関係を明らかにする、そしてユーザーにわかりやすいように説明していくということで、その関係性をはっきりさせるということで対応していったらいいのではないかと御意見をいただきました。
特に、詳しくはこの研究会報告書の4ページ、5ページ目辺りに、「SNAとの整合性の確保について」ということで、幾つかのSNAとの間で見られる相違点について現状が書かれております。
また、研究会の中では、ESSPROSというEUのデータベースについてもいろいろ御意見をいただきまして、これにつきましては、この研究報告書の19ページを御覧いただきますと、資料4でございますが、ESSPROSとOECDのSOCXの間の比較というのも、メリット、デメリットということで検討していただきました。
ESSPROSの場合は、まず対象国が欧州諸国、EU諸国のみということになっておりまして、日本が参加しているOECD加盟国の中で、日本とかアジアとかオセアニアとか、それからアメリカとか北米とか、そういう国についてのデータがないということで、1つ違いがございます。
また、SOCXには財源データというのがないのですけれども、ESSPROSの方には財源データがあるということがございます。
あと、SHA、先ほどのOECDの医療支出の統計につきましては、OECDが開発しているものですので、SOCXと整合しますけれども、ESSPROS、EUのところとは一致しないというような問題もございます。
ただ、両方とも、SNAとの整合性ということについては、定義の上でも、それからデータをつくる上においても考慮されておりまして、どちらの統計もSNAに整合性を持ったものでつくっていくとうたわれております。
いろいろな検討をした結果、国際比較といったときに、日本を含めた諸外国のデータを比較していくというニーズがございますので、OECDの社会支出というものを国際比較ということでは選択していくのだけれども、引き続きESSPROSの財源集計の在り方を研究して、もう少し財源と支出が一体となった形で国際比較できるような統計に改善していく必要があるのではないかという御意見もいただきまして、今後、課題として、研究所としては、そのESSPROSも研究ベースで検討していきたいと考えております。
このようなことで、今回、社会保障給付費の基幹統計化につきましては、具体的には2つの表を基幹統計指定としてお願いしたいと考えております。1つは、まず国際比較という観点から、OECDの支出統計の統計表でございます。それからもう一つは、先ほどから御案内しておりますILOの財源構造を持った、今までの継続性のある社会保障給付費のILO基準の表ということで、2つの表を基幹統計指定として指定していただきたいということで提案してまいりたいと思っております。
時間が少しオーバーしましたけれども、以上でございます。ありがとうございました。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、今の御説明に対して質疑応答の時間に入りたいと思います。どなたからでも、何かございましたらよろしくお願いします。

○齋藤委員 今みたいにアディショナルに集計をやっていくときは、結局、仕事がすごく増えるような気がするのですけれども、こういう統計の場合はそんなに仕事量としては増えないのですか。両方とっていくということは仕事量が増えるということなのですか。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 お答えします。集計に用いる基礎のデータとしては同じでございまして、ただし、ILOよりもOECDの方が広いわけですので、ILOだけでとっていた部分ではまだ足りないという部分がありまして、プラスアルファとっていく必要があるのですけれども、2つ全く違うものを二重にとっていくという必要はございません。
ですので、今回、ILOのデータとOECDのデータを出していくということでは共通する部分が非常に大きくて、あと、共通しない部分についてはまた新たにとっていくという作業が発生いたしますけれども、そういう意味では、2倍にはならないと。

○西郷分科会長 よろしいですか、今の御説明で。
 ほかに何かございませんか。

○大久保委員 この統計、非常に重要な統計で、いろんな課題をクリアーして継続的に進めていく必要があるかと思いますが、そもそも基本的な質問で、基幹統計になるとどういうメリットがあるのか。例えば予算が確保できるのかとか、今でも十分統計としては意義のある統計を出されているので、ここであえて基幹統計にすることによって、更に、この統計を利用する側、もしくは国側でどういうメリットがあるのかを教えていただければと思います。

○西郷分科会長 だれがお答えすればいいのか。では、実施部局の方から。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 今でも、勿論、公的な統計として位置づけられておりまして、基幹統計になると何が違うかと申しますと、予算については、そういうことがあれば非常にありがたいのですが、そういうことはございません。予算ということではなくて、統計法に基づいた手続を踏むという必要が出てまいります。
 具体的に申しますと、統計法では、26条で、この統計の作成について統計委員会に説明したり、またはやり方が変更になった場合に説明をして、承認や意見をいただくというような形で、統計法にのっとった形で進めていきなさいよということになります。
 また、最近では、どの公的統計も、いつごろ発表するのかとか、そういう予定を出すようになっておりますけれども、そういう意味では、いつごろ公表になるのかというような見通しについても、そこで御報告して、おくれることなくデータを出していくというような形になります。
 あと、基幹統計になりますと、この統計の重要性ということで、それに対して総務大臣が、それに必要な統計について各省庁なりの関係統計データを持っているところに、必要とあらば協力要請をすることができるということがあると思います。

○大久保委員 3つ、今、御指摘いただきましたけれども、一番最後のは大変なメリットだと思うのですが、最初の2つは、むしろがんじがらめにさせられて、何か変更するときにいろいろ大きな手続で時間がかかったりする。また、いろいろ議論がある中、余り無理して固めて、基本統計にして、公表時期はいつだとか、統計の公表データの中身を変えるとか変えないとか、むしろデメリットの方が大きくなってしまうのかなあとちょっと心配したのですが、そういうことがなければいいです。

○西郷分科会長 どうしますか。お答えになりますか。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 基本計画の中で御議論いただいているときに、重要な統計であり、これをユーザーのためにもわかりやすく発展させていくということは非常に重要であると言っていただいて、そのために必要な手続についてはやはりやっていくべきではないかと思っております。また、先生もおっしゃっていただきましたように、3番目の、今後、関係省庁に対する協力を公式に求めていくことができるということは非常にメリットでもございますので、基本計画において言っていただいたことについては前向きにとらえております。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。日本の統計体系の中で、基幹統計というのはほかの統計とは大分格が違うという形になりますので、確かに統計委員会の方で報告をしなければいけないとか、そういった負担というのは増えるわけですけれども、それは、国の統計の中で非常に大切な統計だということが認知されたことのコインの裏返しという形になりますので、あとはもう一つありましたけれども、やはり大事な統計だと認められると、データもそれだけ強い力でとれるようになるというのはかなり大きなメリットだと思いますので、御説明のとおりでよろしいのではないかと思います。
ほかに何かございますか。

○白波瀬分科会長代理 御説明ありがとうございました。本統計が非常に重要なものであるということはだれも疑いがないと思うのです。ただ、そもそものところで、幾つか基本的な質問があります。どうしてSNAとの整合性がここで問題になるのでしょうか。つまり、SNAとこの社会保障給付費との間の関係について、両者の位置づけがそもそもかなり違いますので、どうしてこういう意見が出てきて、それに対して対応しなくてはいけないのかというのが若干私としては疑問に感じました。
 2点目は確認の意味でもあるのですが、ここではOECDとILOの統計表を基幹統計化するということですか。つまり、今の御説明ですと、国際比較ということが全面的に出て強調されていますが、ILO基準についてはデータ更新がもうされていないわけですね。少しそこの辺りが、私としては少し混乱していて、十分理解できていません。御説明願いますでしょうか。

○西郷分科会長 お願いします。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 2点目からですけれども、ILOは1996年以降やっていないというよりは、1996年以降、横断的なデータを公表していないということで、ILOも引き続き整備はやっています。整備はやっているわけですけれども、ILOの場合は加盟国が非常に広いので、発展途上国とかそういうところを中心に今はまだ整備をしている状況で、特にOECDとかEUに関しては、それぞれの国がEUROSTATであったりOECDをもう使っているので、あまりILOというものに積極的に関与していないということも、1つにはILOの全体の整備が進んでいないという理由になっていると思います。
 それで、国際比較というものについて、やはり重要であるということでやっているわけですけれども、先ほど御説明しました基幹統計とすべき統計の中で、「全国的な政策を企画立案し、又はこれを実施する上において特に重要な統計」となっておりまして、これについては、基本計画の中では国際比較ということを中心に言われたわけですけれども、検討するに当たって、国際比較だけではなく、国内的な政策立案にも重要な役割を果たしているのだから、そちらの役割も継続していくべきであると御意見をいただきました。
 基幹統計化というときに、統計全部を基幹統計するのではなく、指定というのは表ごとになっているということでございまして、ここで提案していくのは、一番もととなっている表を基幹統計指定として表にしていきたいという考えでございます。
 具体的には、ILOの場合には、こちらの調査紙の中で第9表というのがございまして、ページにいたしますと22ページからでございますが、これは何ページにもわたっている表なのですが、これが基本になっております。
表側には、社会保険、家族手当、公務員制度、公衆保健サービス、公的扶助及び社会福祉、戦争犠牲者という大きな枠組みがありまして、それぞれの国々で該当する制度を入れていくという形になっております。
 表頭の方には、収入といたしまして、拠出、被保険者拠出、事業主拠出から、社会保障特別税、国庫負担、他の公費負担。他の公費負担というのは、地方負担と読みかえていただいて結構ですが、資産収入、その他という形になっておりまして、24ページの方から支出のデータになっております。
 この緑の資料の方の24ページの表頭の方で御説明しておりますが、支出の中に給付があるという考えですので、その給付の中を疾病、出産、医療、現金、業務災害の中の医療、医療以外の現物。医療以外の現物というのは、基本的に医療以外のサービスということでございます。それから年金、年金以外の現金、失業・雇用対策、家族手当などに分かれている。この表について、ILOについては、こういう表を基幹統計指定していただこうということでございます。
そして、ここには直接的には書いてないのですけれども、37ページからOECDの社会支出の集計がございますが、OECDの場合は政策分野別の分割をしておりまして、高齢、遺族、障害、業務災害、傷病、保険、家族、積極的労働政策、失業、住宅、生活保護、その他となっておりますが、こういう形での集計、もっと中身が詳しくなっているわけですけれども、一番大きな形ではこういう形の集計表を指定していただこうということにしております。

○西郷分科会長 あとよろしいですか。SNAとの関係というのは。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 SNAとの関係については、実は私どもも非常に整合性という言葉に振り回された部分がございまして、違うものを一緒にするという御意見なのか、それとも、関係性が不明であるのでそれをはっきりしてほしいという意味なのかということで、いろいろ御議論いただきました。
 SNAについては、特に社会保障基金とか社会保障負担という名前で発表されるものがございまして、具体的に申しますと、こちらの研究報告書の21ページのところに示してございますが、SNAの方では付表9というところで、資料6となっておりますが、右側のところにSNAでどのように社会保障給付という言い方で表をつくっているかということがありますけれども、同じ言葉であるにもかかわらず数字が違うということについて、非常にわかりにくいという御意見があったのだと思います。
 また、財源につきましても、負担というところで、社会保障給付費の負担の部分、つまり財源の部分と、それからSNAの付表10のところもまたちょっと違う形になっておりまして、言葉と定義において類似するけれども数字が違うというところに、非常に使い勝手が悪いといいますか、説明が足りないということで御指摘いただいたことが、結果的に「整合性を検討すること」という言葉の中に入っていたと理解しております。

○西郷分科会長 どうもありがとうございました。今の御説明でよろしいですか。

○白波瀬分科会長代理 はい。

○西郷分科会長 統計法の中で国勢調査とSNAというのはちょっと別格扱いなのですね。先ほど見ていただいた第2条の4のところに書いてあるわけですけれども、国勢調査、国民経済計算というだけで基幹統計ですとうたってしまっているので、それとある程度齟齬がないように公的統計を整備してくださいというのは、統計法の観点からは自然な考え方なのかもしれません。
ほかに何かございますか。

○佐藤委員 国際比較の整備を進めると、今まで蓄積してきた時系列のところで、項目何かで齟齬が生じる危険というのがあるかと思うのですが、今回の場合は、従来どおりの項目を積み重ねるというか、そういう形で、OECD基準とILO基準と2つの統計表を作成するという感じかと思うのですが、その辺の時系列での齟齬の発生の可能性みたいなところはいかがでしょうか。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 新しい統計を発表していくことになりますので、これを機会に、単に今までの継続だけではなくて、例えばOECD基準につきましては、今まで付録のところで扱っておりましたが、実際のところは、ILOのデータをつくるために集めた元データ、基礎データをもとに組みかえるというような形でOECDをつくっていた部分がございます。
それは、ILOで集めていたものがOECDのデータをつくるにおいて十分であったかというところになるのですけれども、OECDのデータ自体は非常に広い概念を持っておりまして、必ずしも今までのILOで集めてきたデータでは十分ではないのではないかと思っておりまして、そういう意味では、全く同じものというよりは、今後改善していくということで考えております。
また、今、佐藤委員御指摘のように、新しく、例えばデータを集めるというときに、過去に向かって整備していくということは非常にユーザーにとっても重要なことだと思います。研究所としては、でき得る限りそこは遡及していきたいと思っておりますが、そこも業務統計の限界というのがございます。SNAのように、定期的に、例えばこれから新しい基準に変わっていったときには、過去にさかのぼって遡及していくということは重要なことだと思いますので、今回におきましては、今のところ、少なくとも1年は必ず遡及するということはできると思うわけですが、どのくらいまで遡及していくことができるかというのは、データを提供してもらうその対象者の協力いかんというところもございます。

○佐藤委員 変わることはいたし方ないことだと思いますし、遡及に限界があることもよくわかるのですけれども、そのときに、例えばより広いOECD概念でデータをとった場合に、つまり、調査の仕方が変わったから社会保障費が大きくなったということが起こると思うのですけれども、そうすると、例えば社会保障給付の移り変わりみたいな、よく見るグラフみたいなのがありますね。あれが、現状として拡大したのか、それとも調査の仕方によって拡大したのか混じってしまうことがあると思うのですけれども、そこのところを、データとして、勿論、いたし方ないところはあるのだけれども、実際の変化のところをどのように扱うかということもある程度は考えておく必要があるのではないかと思うのですが。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 おっしゃるとおりだと思います。今度新しく基幹統計指定されて1年目のときには、やはりそこら辺の説明を丁寧にしていくということで、十分な検討が必要だと思っております。また、業務統計の中において限界はあるにしても、そこら辺は、この基幹統計を指定されたときに、その重要性を考えたときには、大きな影響を与えているところはとにかく力を入れて遡及する、なるべく、遡及できていない部分については説明を加えていくということでやっていきたいと思っております。

○西郷分科会長 よろしいですか。

○佐藤委員 ありがとうございました。

○西郷分科会長 ほかに何かございますか。
永瀬委員、報告書をまとめられた立場でもあるのでということで発言を控えておられるのではないかと思いますが、最後に、まとめ的な御発言でも結構ですが、何かございましたら、よろしくお願いします。

○永瀬委員 これからますます、非常に重要な統計としてしっかりとこの統計が実施されること、そして、先ほどの委員からもありましたけれども、規模の変化などについては、可能な限り遡及した上で、できない部分については注などでよく理解できるようにすることは重要なのではないかと考えております。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。ほかにございますか。

○土屋委員 確かに、資料1-1で、国際基準との整合性など必要な検討を加えた上で、できるだけ早期に基幹統計としてということなのですが、今までの御質問と議論を拝見していると、早期に整備するというところにこだわり過ぎて、前段の整合性の必要な検討というのが、どう考えても十分されてないのではないかと。
というのは、確かに、これは表は出ていて、この表を見せていただくと、ILOと両方やれば何とかなるだろうと。しかし、わが国としては、今後、政策立案していくときに、どういうものが必要だというところに掘り返さないと、ただILO準拠だ、こっちへ準拠だと、ヨーロッパのはどうもあまりうまくないというような評論家的なことだけで進んでしまうと、結局またやり直さないとならないということで、もうちょっとこれは検討を加えて、今後しばらくはいじらないで済むというところに落ちつかないと、国際比較も大事ですけれども、先ほどから佐藤委員が言われているように、やはりわが国の中で特に莫大なお金の社会保障はどう解釈していくかというところが、今の段階で急速に変わるというのがあると大変困るのではないか。
 むしろそこのところを見定める前段のところの検討が十分行われて、しかも、今、一体改革だと叫んでいるわけですから、そこを見据えた上で、これはもう基幹統計として当分いけるのだというところにいかないと、ちょっと危ういかなという気がするのです。

○西郷分科会長 今の御指摘に関してはいかがですか。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 御意見ありがとうございました。整合性というか、比較について検討が足りないのではないかという御指摘、ありがとうございました。私どもは、今、例えば税と社会保障の一体改革の中で必要とされているデータを、このILO基準なりそういうものが担っていけるかどうかということについても並行して検討していきたいと考えております。
 また、実際のところ、厚生労働省では、先般、社会保障給付費の統計等の整理の方向性というのを、検討会を開いて検討しております。ここでILO基準についてもいろいろ御意見をいただいておりまして、ILO基準の範囲、それから、今後、地方単独事業を含めた集計の充実というものについて検討していくという形になっておりますので、それを進めていくためにも基幹統計指定にしてやっていくという方法がよろしいのだと思っております。

○土屋委員 いや、私、ちょっと考え方が逆ではないかと。そこの整備をいついつまでにしろと。その検討会の結論をいつまでに出せということで、それが出たところで基幹統計として整備するというのが順番ではないかと。基幹統計として指定されたから整備するというと、また同じように、いつまでにという期限がつかなくなって、いつまでもだらだらやって、ともかく、この国は結論がいつまでたっても出ないというのが常ですので、やはり基幹統計にするに当たっては、ここまできちっとやれというようなことが出てこないとおかしいのではないかと思いますが。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 そういう御意見もあるかと思います。現実の問題として、今まで社会保障給付費が基幹統計でも何でもなくて、今までこれだけ長年にわたって集計されてきているわけですけれども、その中で、今回の議論は、整備に当たっても非常にいい機会だと考えております。勿論、整備をしてから基幹統計指定ということにするという考え方もあると思いますけれども、基本計画の中では、基幹統計指定をするときに、これを機会にさまざまなところでの議論をしながらやっていくようにという御指示をいただいておりますので、それを急ぎ過ぎという委員の御感想あると思いますけれども、私どもとしては、そういう形で示されたものについて最善を尽くしていきたいと考えております。

○土屋委員 しつこいようですけれども、いわゆる最善を尽くしていくというのは極めて行政的な返事で、いついつまでに整備するというのがやはりそこにないと、これは信用できないわけです。大変失礼な言い方かもしれないけれども。これは努力目標ではなくて、行政としてやっていく以上は、いついつまでにするという断定がないと、これはよろしくないのではないかと。これは国民の血税を使ってやるわけですから、それは是非必要だと思います。

○西郷分科会長 こちらの参考資料2に「社会保障費統計に関する研究会報告書」というのが出ているわけで、その研究会で、そういった齟齬であるとかそういったものの検討が行われたと私は理解していたのですけれども、土屋委員の見立てですと、ちょっとこれでは不十分だという整理だということになるのでしょうか。
先にOECDやILOとの統計との整合性というのがメインの主題として設定されておりますので、それとの齟齬があるかないかという検討に終始しているというか、それが中心になっているというのは確かにそうだとは思うのですけれども、御懸念は、多分、わが国の社会保障を考えるに当たって、社会給付費統計というのがどうあるべきかという検討がまずあって、あるべき姿というのがまずあって、それと、例えばほかのSNAであるとかOECDであるとか、あるいはILOであるとか、そういうものとのどこがすり合わせが可能であって、どこがすり合わせが可能でないか、そういう検討が必要だ、それを期限つきでやるべきだというのが土屋委員の御意見だと理解してよろしいですか。
 それに近いことは行われていたというのが私のこちらの報告書の位置づけなのではないかと思っていたのですけれども、こちらの検討会の方では、日本の社会保障費統計と書いてあるから、多分、上位概念としての統計の議論というのも行われたのだと私は理解しているのですけれども、その点に関してはいかがでしょうか。何か御説明いただけることがあれば。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 「社会保障費統計」とタイトルに書いてありますとおり、日本においてどういう統計が必要とされているのかということ、それから、今現在どういうものが発表されているのか、それについてどういう御意見があるのかということについて検討させていただきました。
具体的にこの中に示されているものは、統計委員会の基本計画において検討するようにと言われたものになっておりますけれども、社会保障費用の統計というものを整備していくことが重要であるというそもそもの基本計画における御意見を踏まえた場合に、現実的に今できることというのを5年以内に整備することというその計画の中でいただいておりますので、その中でやっていくということで御議論いただいたということでございます。

○白波瀬分科会長代理 土屋委員がおっしゃったことは、ある意味ではとても原則論的な意味があり、共感するところもあります。そういう意味では、おそらく、説明の仕方というか、強調すべき点をもう少し考えてみてもよいのではないかと思いました。ただ、ここでの目的は社会保障給付費を基幹統計化するということがございますので、それに対してどのような資料を準備し、どのような形で基幹統計とすべき必然性を提示していくかということがありますので、本音と建前というところが実はあると思うのです。ただ、その説明のときに、あまりOECD基準、ILO基準ということばかりが前面に出ると、この社会保障給付費自体の本当の意味がわかりにくいのではないかという危惧を持ちました。つまり、社会保障給付費がわが国における社会保障を考えるにあたっての基本データであることを、もう少し強調すべきであり、それが基幹統計とすべき重要な理由になっていくのではないかと考えます。
ただ、今、勝又部長の方から出た御説明というのは、多分、統計委員会の方から提示された課題について、真摯に何回か研究会をもって議論された結果だと解釈いたしました。以上です。

○西郷分科会長 ありがとうございます。どうまとめるかという感じですけれども、もともと基本計画の方に、なるべく早期に社会保障給付費について基幹統計化すべきと。それについての宿題のようなものが出ていて、今回はそれに限られた時間の中でお答えをいただいたということだと思います。恐らくだれも、社会保障給付費が非常に大切な統計であって、基幹統計化されるべきだという点について反対は、臨機応変性というのが失われるのではないかという御懸念はありましたけれども、この統計自体が非常に重要な統計であるという認識は皆さん共有なさっていると解釈しております。
 ただ、どのようにその中身を決めていくべきなのかということについて、勿論、この場で話し合うということもできるとは思うのですけれども、統計委員会もそういう場としては機能しているわけですので、勝又部長がおっしゃった、まずは基幹統計化というのがそんなに悪いアイデアではないというか、統計委員会も、そこが最終到達目標というのではなくて、そこでまた統計の中身が話し合われるということがあると思いますので、わが国の社会保障給付費の統計として、中身がどうかという議論は統計委員会の方でもまた行われるということで、今回御提案いただいた社会給付費統計の基幹統計化ということを次の統計委員会で御提案というのはいいのではないかというのが私の分科会長としてのまとめということになりますけれども、何かそれについていかがでしょうか。特に土屋委員、いかがでしょうか。

○土屋委員 すみません。私、いちゃもんつける気はないのですが、今、座長がおっしゃったように、いずれは基幹統計になって、これがないと、社会保障について次の考えるすべがないというのは勿論わかっているつもりですが、この研究会の報告書の中でそれぞれいろんなことが指摘されているわけですね。財源全体が把握できないとか。それを受けて、7ページ目の「今後の方向性及び検討課題」、この研究会の報告書の段階で既に、「整合性の確保などについて集中的な検討を行ってきたが、最後に今後の方向性や検討課題として、あらためて以下の内容を整理しておきたい」とあって、「これらの内容を十分に踏まえた上で、新たな社会保障統計の在り方が取りまとめられるとともに、必要な検討や手続を経て」と。この研究会の報告書の後に、更に必要な検討、手続を経た上で基幹統計として整備が速やかにというようなことが書いてあるわけですね。ですから、そこを私、指摘したいので、ですから、勿論、この研究会のメンバーを責めているわけではなくて、これを受けて、日本の政府と言うと大きいかもしれませんけれども、社会保障を考える方がどう考えて、この基幹統計として持っていくのか、これを大事にして使っていくのかと。それが、先に基幹統計として認められてから更に整備するというのであれば、一体いつまでにその整備をやるのかということをやはり宣言してやらないといかんのではないかということを言いたいわけです。

○佐藤委員 資料1-1に統計法の抜粋を挙げてくださっていますけれども、この基幹統計の三号のイからハまで3つあるのですけれども、これ全部やろうとしていると思うのですね。基幹統計であるということで。このイとロは両立し得ますし、それからロとハは両立し得るのですけれども、イとハは、先ほども申しましたように、時系列の、わが国でずっと蓄積してきた統計と、それから国際比較をするときに齟齬が生じるというみたいに、イとハは必ずしも両立できるとは限らないと思うのですね。
この社会保障給付費に関する統計というもの、どちらにより重点を置くかなのですね。つまり、イの方なのか、それとも国際比較のハの方なのかという。基幹統計としてはどちらもありだと思うのですけれども、国際比較から初めに御説明いただいてしまうと、ハなのかなという。国際比較に重点を置いた基幹統計で、そこのところにより広く、今までの時系列も生かしてということだとなかなか両立が難しいところになり得るので、どちらに軸足を置いた基幹統計化なのかということを少し議論していただくと話はわかりやすいかなあと。感想です。

○永瀬委員 この研究会に参加しておりました者として、ここでの議論を、私の理解している限りで申し上げますと、もともと統計委員会からの要請が、国際比較のどの基準に準拠すべきかということと、それからあと大きな問題として取り上げられたのが、SNAを見た場合と、それから社会保障給付費と見た場合と、この参考資料2の4ページにございますけれども、社会保障給付費は91.4兆円、SNAの確報では93.6兆円と、約2.2兆というかなり大きな数字の差があるので、それがどういった理由なのかというのを明確にすることがもう一つの統計委員会からいただいた要請だったと思います。
 それで、内閣府の方にも入っていただいた上で、どういうところでこの差が生じているのかということを明らかにしまして、それが妥当な理由であって、ただ、それがわかりにくいので、今後はもっときちんとした説明を入れましょうということがこの報告書には書いてございます。
 また、国際比較としては、幾つかの統計の基準がありますが、しかし、ILOの方はもう十分データが集まっていないので、そうなりますとOECD基準がよりふさわしいであろうということだったと思います。
 そのことは、わが国でずっととってきた長期時系列とを変えるということではなくて、私の理解では、長期時系列データはそのまま続けるということで、加えて国際比較としてとれるようなデータとしてはどの基準がよろしいでしょうかといったときに、OECD基準がよりふさわしいのではないでしょうかという。ESSPROSはEUだけでしかとれませんので、そしてILOは、今、データが集まってきておりませんので、OECDがよろしいでしょうという、そういう議論だったのではないかと私は理解しております。ですので、今まで国内でずうっと長期時系列でとれてきたデータがここで急に変わるというわけでは勿論ないと理解しております。

○西郷分科会長 それでは、どういたしましょうか。社会保障費統計がどうあるべきかというような検討ということになるかとは思うのですけれども、今回いただいた参考資料2の後継の研究会のようなものを開くような形になるのか、それとも。

○土屋委員 大上段に構えるのは内閣府でもやっていただければいいと思うのですが、例えば7ページのところの最初の○の最後の段に、先ほどからの速報値云々も含めて、「一定の推計を行うことにより、翌年度に速報値を公表することを含めて、少しでも統計としての適時性を高める努力が必要ではないかとの指摘がある」というのがこの報告書なのですね。これを受けて、一体この担当部署はどう今日出すまでにしたのかですね。
そうしないと、これは必要な検討手続を経て基幹統計の整備をこの分科会として認めてやるというような手続にならないわけですね。この研究会の御指摘はもっともだと思うのです。もっともだと思うのですけれども、これを受けた当局というか、一体この間にどうしたのかと。これをただ必要ではないかという指摘を受けただけではなくて、するのかしないのかですね。そういうことの検討はされているのかということが一番問題だと思うのですね。
 今のはたまたま1個だけですけれども、ですから、この報告書というのはどなたがどなたに出したのか、明確にないですけれども、依頼を受けたのであれば、これを受けたものに対してどういう反応をしたのかと、一体どなたが答えているのかということです。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 これは、私ども研究機関でございますので、こういう課題について研究所として研究の一環としてやったということで、どこかに出した報告書とかいうことではございません。また、今、御指摘ありましたように、ここに指摘されたことについてやっていくということについては、ここで計画みたいなものは出しておりませんが、まずはこういう形で研究会として報告書を出して、これは既にウェブでも公開しておりまして、私どもの研究所としてこういうことについては認識を持って進めていくというふうに宣言しているとお考えいただければといいと思います。
 また、私たちが、やりたいと、やるべきだと言われても、実際のところ、さまざまな手続の中で、それをやるべきだというデータ提供元の御理解もいただかなくては進まないことでございまして、それを今進めたいと考えていると。考えていると言うと、やるかやらないかわからないではないかと思われるかもしれませんが、これを報告書として出したということは、やっていくという形で出しているものと御理解いただければと思います。

○齋藤委員 今までの御議論を伺っていますと、そんなに意見がお互いに違うとは思わないのです。先ほどちょっと、資料1-1でイとハの話が出ましたけれども、社会保障給付費の場合にはやはり両方必要なわけであって、国内の政策を継続性を持ってやるためにも必要ですし、国際比較が必要なのは、社会保障給付費のように、社会とか国民の理解といいますか、同じくらいの経済レベルの国、OECDの中でどこまで使ってもいいのかというコンセンサスには、やはり国際的な比較が必要である。ですから、そういう国際比較も、今みたいに方針を変えなければいけない時期なので、非常に重要だと思います。
 したがって、今までの議論というのは、両者とも重要なことを言われていると思うのですけれども、二者択一でないと思うのですね。

○西郷分科会長 ありがとうございます。ちょっと私の力不足で、まとめるというのがなかなか難しいような形になってきているのですけれども、まずは、統計法に出す基幹統計というのは表のイメージなのですね。ですから、それがどういう形式を整えるべきなのかということは、統計委員会の方に出す段階でちゃんと決めておかなければいけないと。その一方で、必要な統計をとるということになりますと、それは統計のデータベースや何か、あるいはどういうところからどういう統計をとってくるのかというのをきちんと整理しておいて、こういう項目が必要だと言ったときにそれが出せるような体制を整えておくということだと思うのですね。
 それに関しては、恐らくそういう体制を整えるような方向で、今回この報告書で指摘された事項を踏まえてそういう体制を整えていきますというのが、実施部局と言うべきなのでしょうか、社人研の方で御検討いただくことと理解しております。
 一方で、基幹統計化するべき表というのがどうあるべきなのかというのは、今回御提示していただいたものが、統計委員会の方に上げるものとしては一種妥当なのではないかと思いますけれども、その点に関してはいかがですか。
 よろしいですか。
 あとは、データベースというか、どういう統計項目が必要であって、それをつくるためにどういう体制が必要なのかということは検討していく。それで、期限を切らなければなかなか進まないぞという意見もございましたけれども、その点に関してはどうでしょうかね。実施部局の方から何か。

○勝又国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長 今までも毎年発表しておりまして、それは今までのベースで去年は10月の末に発表したわけですけれども、今後も定期的にちゃんと出していくということは公的統計としては当然のことだと思いますけれども、今回、基幹統計化されますと、そのプロセスについていろいろ御説明していく必要がございますので、今回の課題を含めて、例えば基幹統計化されたときの次の発表では、ここまで進めると、ここまで実現しますよというような形で具体的に説明していかないとやはり統計委員会の御理解を得られないと思いますので、より具体的な進み方ができると思っております。

○西郷分科会長 ありがとうございます。今のをまとめという形にしたいのですけれども、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○西郷分科会長 ありがとうございます。
それでは、その次の議事ということで、「その他」となっております。「その他」で幾つかございますので、事務局の方から御説明をよろしくお願いします。

○早川統計企画調整室長 続いて、「その他」の事項についてでございます。こちらについては、御紹介と報告といった内容になってございます。まず、参考資料3を御覧ください。これは前回10月に開いたときにもついていた資料でございますけれども、今日初めて出席されている委員の先生もいらっしゃいますので、参考につけさせていただいております。
当統計分科会の位置づけということで、これは社会保障審議会の中の分科会ということで、所掌事務は、「統計の総合的企画、調査及び研究、統計の改善及び整備並びに統計の知識の普及及び指導に関する事項を調査審議すること」となっております。
 この参考資料3の1枚目の裏を見ていただきたいのですが、「当面の審議事項」ということで、「社会保障審議会の分科会として、社会保障及び人口問題と関連が深い統計について基本的な問題を中心に審議する」ということで、当面は、統計の新規企画や既存統計の変更のうち、重要なもの(基幹統計)について統計のあり方や改善の観点から審議していただくということになってございます。
 社会保障審議会の社会保障と人口問題に関連が深い統計で基幹統計といったものにはどんなものがあるかということが次の参考資料4に載ってございます。これが厚生統計関係の基幹統計でございます。今日御審議いただきましたけれども、社会保障費統計が基幹統計になればこの中にラインナップとして加わってくるということでございます。これは  復習の意味を込めまして御紹介です。
 続きまして、参考資料5をごらんいただきたいと思います。「政府統計の統一ロゴタイプ」というものの御紹介でございます。こちらは、平成23年10月18日に総務大臣により決定されたものでございます。調査票を重ねて日本列島をイメージしたようなマークになってございますけれども、まず、なぜこんなものがつくられたかということを簡単に御説明したいと思います。
 御案内のとおり、最近、個人情報保護意識とか企業の情報管理意識の高まりによりまして、なかなか統計調査がしにくい状況になってきているということでございます。これに加えまして、最近はかたり調査とかいうような問題も起きておりまして、調査員が訪問しても、本当に国の調査なのですかというような意識が国民とか事業所の側にも芽生えているということで、統計委員会で審議されております公的統計の整備に関する基本的な計画、いわゆる基本計画の中でも、こうした統計に対する国民の理解の促進を図るために具体的な方策を検討・実施せよと書かれておりまして、この基本計画の推進のために、統計調査に対する国民の理解・増進のための行動指針というものが各府省の統計主管部局長会議の申し合わせで決定されておりまして、この中で、国の実施する統計調査であることを国民が容易に判別できるようにするために、総務省において統一ロゴタイプを決定し、浸透・定着のために取組みを行うということになりました。
 このデザインに関しましては、昨年の2月から一般公募、募集いたしまして、応募が約1,100件あったそうです。その中から一番いいものをということで選ばれたのがこちらのデザインということでございます。10月18日に総務大臣が決定いたしまして、昨年の11月16日の全国統計大会で、作成された方、緒方勇人さんだそうですけれども、表彰を受けているということでございます。
 こちらのロゴタイプに関しましては商標登録もしているということで、勝手に使うと罰則があるという状況になっておりまして、国の政府統計だけが使うマークということで、基幹統計と、あと一般統計で調査票などに使っていくという形になっております。こういったものをつけることによりまして、国がやっているということを明示するということで、安心して答えていただける雰囲気ができていって、回収率の向上に寄与するのではないかと期待されているということでございます。
 それから、もう一点御報告がありまして、参考資料6でございます。こちらの方に関しましては、各府省の情報化統括責任者連絡会議というものがございまして、この中で統計調査等業務の業務・システム最適化計画というのがございます。これはいろんな最適化計画の細かい話が書いてございますけれども、裏の方をちょっと見ていただきますと、「各府省の統計に係るホームページにおけるコンテンツの構成、用語の共通化」というものが書かれております。どの各府省に行っても大体同じような内容のものが閲覧できるといったような最適化計画になっております。
この後に別紙5というのがついておりますけれども、これが最適化計画に書かれております統計に係るホームページの共通メニュー及び共通掲載項目というものでございます。統計調査と統計調査以外の統計について、こういった共通メニューをつくっていこうというものがこの最適化計画になっておりまして、これを踏まえまして、更に横紙になっているものがございます。厚生労働省の統計調査の公表につきましては、これは参考資料6-2と6-3がございまして、片方が調査統計で、もう片方が業務統計と分けてございますけれども、こういった形式で、今後、ホームページの方に掲載していくということで、共通化を図っていくということを御紹介するものです。
 「その他」案件につきましては以上でございます。

○西郷分科会長 ありがとうございます。何か今の御報告に関して質問等ございますか。
 ないようでしたら、2番目の議題の「その他」というのもこれでおしまいということにいたします。
 以上で2つの議題終わりましたので、あとは事務連絡ということで、事務局の方によろしくお願いいたします。

○藤井企画課長 本日は、長時間にわたり御審議いただき、ありがとうございました。
私の方から次回の開催についてでございますけれども、次回の開催につきましては、別途また日程調整をさせていただきまして改めて御案内させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれをもちまして統計分科会は終了させていただきたいと思います。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

大臣官房統計情報部企画課
統計企画調整室

統計企画係: 03-5253-1111(内線7373)

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