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2011年10月26日 第3回労働政策審議会安全衛生分科会指定・登録制度改革検討専門委員会(議事録)
○日時
平成23年10月26日(水)
○場所
厚生労働省専用第14会議室
○出席者
〈委員:五十音順、敬称略〉
今村肇、小畑明、杉山豊治、瀬戸実、土橋律、内藤恵、三浦武男、和田義博 |
宮野甚一 (安全衛生部長) |
田中正晴 (安全課長) |
亀澤典子 (環境改善室長) |
中山理 (石綿対策室長) |
野澤英児 (主任中央産業安全専門官) |
○議題
1登録機関制度の見直しについて
2登録機関からのヒアリング
(1)社団法人日本ボイラ協会
(2)社団法人日本クレーン協会
(3)公益社団法人ボイラ・クレーン安全協会
(4)株式会社損害保険ジャパン
(5)HSBジャパン株式会社
(6)シマブンエンジニアリング株式会社
(7)公益社団法人産業安全技術協会
(8)社団法人日本作業環境測定協会
3その他
○議事
○土橋座長 定刻になりましたので、ただいまから第3回指定・登録制度改革検討専門委員会を開催いたします。本日は登録制度につきまして、登録機関8機関からヒアリングを実施いたします。まず事務局から進め方等について、説明をお願いします。
○中山石綿対策室長 ご説明申し上げます。まず委員の交代がございましたので、ご紹介いたします。連合の市川委員の後任の杉山雇用法制対策局長でございます。
○杉山委員 杉山です。よろしくお願いします。
○中山石綿対策室長 続いて各登録機関に対するヒアリングを、本日予定しているのですが、登録基準の緩和の部分につきまして、事務局から資料に基づいて全体の概略をご説明申し上げたいと思います。全体の説明の後に資料4の「各登録機関からのヒアリング資料」により、順に説明をお願いしたいと思います。説明は時間の関係上、登録基準に関する評価、要望を中心に、1機関あたり5分でお願いしたいと思います。順番は、次第のとおりでございます。そのあと、各委員から各機関に対してヒアリングをお願いいたします。このヒアリングの時間は30分程度を予定しております。
まず配付資料についてご説明申し上げます。指定・登録制度ですが、第1回の資料をおさらいする形で、アウトラインをご説明申し上げます。お手元に第1回指定・登録制度改革専門委員会(登録制度関係部分抜粋)という資料の資料16をご覧いただきたいと思います。ボイラーやクレーンについては、大規模災害の元にもなりかねないということで、製造時等検査が法律上義務付けられています。この検査を行う機関につきましては、平成15年度に法改正があり、それまでの指定制度から登録制度に移行しています。本日ご議論いただくのは、登録の基準についてです。
本日の参考資料2で、各登録基準の詳細をまとめております。ここでまずボイラー関係につきまして大きく分けて、検査員、それを指揮し業務を管理する者、その他、それから機械器具その他の設備の4つのカテゴリーで基準が設定しています。資料の3頁のいちばん上ですが、機械基準については超音波厚さ計やファイバースコープでやらなければならない形になっております。検査員につきましては学校教育法でいう工学ですね。これを修めて卒業した者を「工学関係大学等卒業者」と称しているのですが、この者が(2)の登録製造時等検査機関が行う学科研修160時間以上であるなど、検査実習10件以上の研修を受けることが要件になっています。
(二)は、高等学校の場合ですが、この者については、研修時間が210時間以上ということで、若干長くなっています。高等学校についても「工学関係高等学校等卒業者」ということで、工学関係に限られています。
検査員の数につきましても、年間の製造時等検査の件数を800で除した数ということで、1人当たり800件以上という形になっています。検査員を指揮する者については、10年以上研究や設計といった業務に従事した経験を有する者、工学系の高等学校卒業者につきましては15年以上の経験を有する者と義務付けております。
その他(第4号)で、第三者制の要件ということを定めていまして、申請者が、その関係の機械を製造し、又は輸入する者に支配されていてはいけないということで、製造者等が親会社ではいけないとか、役員が二分一を超えてはいけないとか、あるいは製造者等の役員又は職員であってはいけないという要件が定められています。
もう1つカテゴリーとして別のものがあるのですが、それは第1回の資料の10頁で、粉じん計の較正という資料17-5をご覧ください。これは粉じんが出る作業であって、作業環境管理の良好な作業場につきましては、粉じん濃度の測定について労働基準監督署長による特例許可を受けた場合には、定期に精度を較正された測定機器による簡易な測定が可能となっていまして、ここの較正を行う機関の登録基準について、本日ヒアリングを行うことになっています。この基準につきましては、本日お配りした参考資料2の20頁に具体的な基準が記載してあります。これを機械器具、実施管理者、較正員という基準が設定されているのですが、これについては第三者性の要件が設定されていません。機械器具についてはそこに列挙されているようなものを使用するということ。それから実施管理者については、第一種作業環境測定士であることが要件とされています。較正員、実際に作業をする方については、作業環境測定士であるほか、学校教育法における理科系統の正規の課程を修めて卒業した者であって、その後2年以上気中粉じん濃度の測定に関する業務に従事した経験を有するものということで、先ほど説明した者よりは理科系ということで範囲が広く、また、民間等におきます関係業務の経験を要件として加味しているという特徴があります。そういった基準が現在設定されています。
今回ヒアリングを行うということで、各機関から事前にヒアリングシートの提出をいただいています。そのヒアリングシートの中の登録基準に関する要望事項の欄を抜粋したものが資料3の5頁以下にあります。全体を把握していただくという意味で、そこをご説明いたします。
日本ボイラ協会様からは特に意見なしということでいただいています。日本クレーン協会様からは現在の登録要件は、中立性、公平性等を担保するために必要であるというご意見。検査員に対する学科研修及び検査実習につきましては、登録性能検査機関が行う形になっていますので、新たに参入しようとする機関のほうでは、検査員を養成することができないという問題があるのではないかというご指摘をいただいています。
6頁、ボイラ・クレーン安全協会様からは、第三者検査・検定機関として、公正かつ厳正にその使命を果たすためには現行の基準は必要であるというご意見をいただいています。損害保険ジャパン様からは、検査員の要件の緩和ということでご要望をいただき、1級ボイラー技士免許を受けた方であって、ボイラーの取扱い等の業務に10年以上従事した経験があり、研修が80時間以上であり、検査実習が80件であるというものも認めてよいのではないかというご意見をいただいています。HSBジャパン様からは、検査員の要件の緩和ということで、これについても実務経験を有する者を認めてよいのではないか等のご意見をいただいています。シマブンエンジニアリング様からは、指揮・業務管理者の要件の緩和ということで、高校卒業者の方については、大学並びで業務に10年以上従事した経験を有することに変更できないかというご意見をいただいています。
8頁、産業安全技術協会様からは、検定機関の複数化に異論はないが、登録要件の緩和、競争原理の導入は、検定の採算性が大きく加味され、検定の品質低下を招くという問題点について、ご指摘をいただいています。日本作業環境測定協会様からは、紛じん計の較正ですが、特に意見なしということでいただいています。
概略、各機関からいただいたご意見をご紹介させていただきました。事務局からの説明は以上といたします。
○土橋座長 ただいまの事務局からの説明に関しまして、何かご質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、ヒアリングに入っていきたいと思います。まず事務局から事前説明を行ったのちに、日本ボイラ協会さんから説明をお願いいたします。
○中山石綿対策室長 私からいま資料の説明をしてしまいましたので、早速ボイラ協会様からご説明をいただければと思います。
○日本ボイラ協会専務理事(寺尾) 資料4の10頁に沿って簡単に説明させていただきます。まず、法人の概要ですが、私どもの協会は設立が昭和21年11月です。設立時は日本汽罐協会と言っておりましたが、昭和24年に日本ボイラ協会と改称いたしました。設立の当初はボイラーの運転等に関わる技能者の養成と調査研究活動を主としてやっていましたが、その後ボイラー等の検査業務を実施するようになりました。
組織体制ですが、資料の図にあるとおりです。協会本部を東京に置きまして、検査の実施に関わる検査事務所を全国に一応配置しています。本部は4部、1センター、1室で構成しています。検査事務所は駐在事務所を含めて40カ所ございます。基本的には都道府県単位で設置している状況です。駐在事務所というのは、平成20年度から設けたものですが、検査員だけが勤務していて事務職員はいないという事務所を、私どもでは駐在事務所と呼んでいまして、現在は検査事務所のうち7カ所を駐在事務所にしています。検査関係の業務に携わっている職員は217名です。
登録事業の種類ですが、登録を受けているのはボイラー圧力容器の製造時等検査、性能検査、個別検定の3種類です。現在は登録機関ですが、平成15年度までは代行機関として、厚生労働大臣の指定を受けて業務を行っていました。ここに書いてある年月日は、その代行機関としての指定を受けた年月日が書いてございます。
製造時等検査ですが、これは製造されたボイラーが構造規格に適合しているか否かの検査ですが、現在は特定廃熱ボイラーのみで、特殊のボイラーだけが検査対象となっています。性能検査ですが、これはボイラー等の使用段階における安全性の定期検査ということで、基本的には1年に1回、車検のような感じの検査です。ボイラーと第一種圧力容器について登録を受けています。それから個別検定というのがあります。これは製造された段階で出荷する前、出荷時検査と言いますが、そういう類のもので第二種圧力容器、小型ボイラー、小型圧力容器について、登録を受けています。先ほど申し上げましたように、平成16年の登録機関の制度化に伴い、代行機関から登録機関に移行しています
製造時等検査は、この実施件数を見ていただいてもお分かりのように、ほとんど毎年1桁という状況です。性能検査については10万件弱実施していますが、毎年減少を続けています。個別検定については、22年度は13万件弱ですが、それ以前に比べて大幅に減少しています。
登録事業の今後の見通しと対応ですが、製造時検査については、検査件数は1桁ということで、もうほとんどやっていないに等しいわけですが、現在、都道府県労働局で行われている製造時検査の対象機械の一部を登録機関で実施するということが、厚生労働省で検討されていると聞いておりまして、登録機関で行うことになれば、これが増加する可能性はあると考えています。
性能検査につきましては、ボイラー等の設置基数が減少していまして、毎年2~3%減少が続いています。16年度と比較して14%減少ということです。個別検定については、リーマンショックを契機とした景気後退の影響が大きくて、平成19年と22年を比較すると、39%大幅な減少になっています。
わが国の産業構造が、ボイラー等が多く使用される重厚長大型の産業から、第三次産業化が進行しているということもございますし、製造業の海外移転、それから性能検査の対象となっている設備から対象とならない設備への転換、それから省エネ技術の進歩によって、消費されるエネルギー全体が少なくなってきているということで、ボイラー等に係わる性能検査、個別検定は、今後とも減少傾向が続くものと考えています。
協会の対応ですが、協会では収入の減少に対応しまして、職員数の削減、検査事務所の再編成、経費の節減等に取り組んでおります。検査件数の増加が見込めないために、今後もこの取組みを継続することとしております。
登録基準の評価、緩和等に関する要望、その他の意見・要望については特にございません。以上でございます。
○土橋座長 ご説明ありがとうございました。8機関さんすべてお話を聞いてから質疑ということにしたいとは思いますが、もしいま聞いておいたほうがいいということがございましたら、お受けしますがよろしいですか。では、続けて日本クレーン協会さんお願いいたします。
○日本クレーン協会専務理事(古川) お手元の資料の12頁に調査票が入っていますので、それに従ってご説明をさせていただきたいと思います。まず法人の概要ですが、私どもの協会は昭和38年9月5日に設立されました公益法人です。業務の実施体制につきましては、本部に総務部、経理部、技術普及部、検査部の4部を置いております。出先機関として、実際に性能検査をやる機関として、都道府県に41の検査事務所を置いています。検査員については非常勤検査員26名を含めて166名の検査員で性能検査を行っています。
登録事業の種類としては、クレーン、移動式クレーン、デリック、エレベーター、ゴンドラの性能検査を行っています。性能検査の指定年月日、あるいは平成22年度の検査台数は下の欄にあるとおりですので、説明は省略いたします。
型式検定としまして、クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置の型式検定機関として登録を受けています。型式検定については本部で行っていまして、その実施状況については、平成22年度は新規が10件、更新は3年ごとに義務づけられていますが、これは46件行っています。
登録事業の今後の見通しと対応ですが、性能検査については、今後、わが国では産業構造の変化なり、あるいは事業場の海外シフトといったものが進行することが見込まれています。さらに建設投資の減少が見込まれるということから、検査台数自体は、全体としては減少していくというように考えています。これに対応するため、私どもとしては検査員の削減なり検査事務所の体制等について見直し、またコストの削減に努めていきたいと考えています。型式検定につきましては、検定件数の変化そのものはあまりないと見込んでいまして、事業規模も非常に小さいものですから、特に対応等は考えておりません。
3番目に登録基準の評価、緩和等に関する要望ということですが、基本的な考え方として、性能検査機関あるいは型式検定機関としての中立性、公平性、あるいは検査・検定能力を担保するための登録要件は必要であり、これは維持されるべきものと考えております。その中で、あえて2点ほど書かせていただきましたが、検査員、それからいわゆる検査長と言いますか、検査員を指揮する立場にある方、こういった方の養成につきましては、新たに登録を受けようとする機関については、いまの要件は1つの足枷になるのではないかというように考えられますので、あえてここで記載をさせていただきました。それは性能検査を行うことができる検査員は安衛法の第53条の3の規定によりまして、学歴とか業務経験により、一定の学科研修、検査実習を修了した者でなければならないとされていまして、具体的には安衛法別表第9に規定をされています。別表第9では、学科研修、検査実習につきましては、登録性能検査機関が行うとされています。したがいまして、新たに参入しようとする機関にあっては、事実上、自ら検査員を養成することができないのではないかというように考えております。
検査長ですが、これは検査員であって、一定の条件に適合する者が検査員を指揮するとともに、性能検査業務を管理するという、指導的な立場にある方を置かなければいけないとなっていますが、この方につきましても、検査員であることが条件とされていますので、先ほどの説明に戻りまして、新たに参入しようとする機関では、この検査長についても、養成することが事実上できないのではないかと考えているところです。その他の意見・要望等はございません。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。続きましてボイラ・クレーン安全協会さんお願いいたします。
○ボイラ・クレーン安全協会専務理事(荒川) 順次ご説明いたします。まず最初に協会の設立は1961年6月7日で、本年で設立50周年を迎えています。協会は本年の4月1日に公益社団法人として登記を行っています。
組織・体制ですが、本部が5部で東京都の江東区にございます。それから全国に18カ所の地方事務所がございます。役員としては理事、監事。あと理事の中から選ばれた会長、ほかの役付理事がおります。職員としては178人です。年度途中の採用、退職がありますが、おおむね180人、そのうち130人余りが検査員、50人近くが事務職員という状況です。
登録事業の種類、沿革等ですが、これは制度の切替えということになりますので、登録機関となったのは平成16年3月31日です。協会は昭和36年に設立されまして、そのとき、当時の労働省から、社団法人の設立許可をいただいたわけですが、それと同時に第二種圧力容器の個別検定の、当時で言う検定代行機関の指定を受けています。あと順次、検査・検定代行機関の指定を受けています。そういう意味ではボイラー・クレーンに関係します検査・個別検定について、すべての登録を受けているということが言えます。なお、特定廃熱ボイラーについては、先ほどもこれは特殊なボイラーであるというお話がございましたが、実績としては平成17年度に2件の検査実績がございます。次に、技能講習、実技教習と書いてありますが、協会の事務所におきましては、現在、検定事業と併せてボイラーやクレーンに関する技能講習、実技教習をそれぞれの都道府県、労働局長の登録を受けて実施しています。
実施状況については、性能検査は、ボイラー関係、クレーン関係を併せまして、4万5,000件余り、個別検定については1万9,000件余り、技能講習・教習につきましては1万6,000人余りという実状です。
次に登録事業の今後の見通しと対応です。これは実態としてボイラーの設置基数が長期的に減少しているということもありまして、これまでの登録事業の実施状況からして、全体として今後需要は拡大する状況ではないと見込んでおります。そういう意味では需要に応じた組織体制ということを考えています。対応としましては、協会は公益社団法人ということになりましたので、協会の公益目的事業として、あるいは厚生労働大臣の登録を受けた第三者検査・検定機関の使命として、関係法令及び協会が定めた業務規定に基づき、公正かつ厳正に実施してまいりたいと考えています。
3番目に登録基準の評価等です。これにつきましては第三者検査、検定機関として、公正かつ厳正に、その使命を果たすためには現行の登録基準は必要なものであると考えております。
その他の意見・要望ですが、これは私から改めて申し上げることではないと思いますが、今後とも検査・検定による安全性の確保が適切に行われるようお願いをしたいと思います。
先ほど要望事項のところにまとめて挙げられていましたが、【参考】に書いてありますように、建築基準法の適用を受けるエレベーターの検査項目の法令上の位置付けに関する資料が付いていますが、今後につきましては、検査基準等については労働安全衛生法に基づく省令等として定めていただきたいということを、お願いしたいと思います。以上でございます。
○土橋座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。続きまして損害保険ジャパンさんお願いします。
○損害ジャパン検査長(安藤) 損害保験ジャパンが検査をやっているというのは、馴染みがないかもしれません。新規参入かなと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、この法人の概要ということで、設立は明治20年で、現在の検査体制はボイラー等の性能検査を、全国の8検査事務所でやっております。登録につきましては、実は明治44年、17頁からの資料に「ボイラー検査100周年」と、いま小冊子を作ろうということで、企画をしていて原案なので、まだ訂正しているところがあります。参考として見ていただければいいと思います。当時、検査は警察関係でやっていて、警視庁から代行の認可を受けたということです。もともとボイラ保険という専門の第一汽罐という保険会社があって、そこから安田火災になって、いま合併して損害保険ジャパンとなっています。ボイラ保険を契約するに当たっては、財物の保険はみんなそうなのですが、保険を付ける物件については検査をする。それによって保険料、料率を変えることがありますので、前提として、そういう事前のアンダーライティングの検査をやっていた。それが性能更新の検査に繋がるなら、それも受けましょうということで代行を受けたのが大元の話なのです。ですから基本的には保険等が、一体の検査をそれ以降もやってきていまして、現在も平成16年の登録機関ということで現在に至っています。
いままでのお話のとおり、ボイラー等の性能検査、検査基数がだいぶ減ってきているということで、およそ私どもはシェアーとしては10%。ただ、このシェアーとしてはあまり変わってはいないのです。検査員数も40名程度ということでこじんまりしていますが、レベルとしては合わせやすいかなと思っております。100周年の資料については参考に見ていただければいいと思います。
私どもは、そんなに検査基数もタイトにしていませんので、ボイラーの検査については21頁にあるような判定シートを極力写真で記録を残し、かつ事業所のほうにも提案等ができるようにということで、教育も含めたシートを作るようにしております。
参考資料3ですが、「ボイラ検査のご案内」が当社の検査のパンフレットなのですが、22頁から付いていまして、それも若干歴史的なことは入れています。見ていただきたいのは29頁に「検査料」が出ていまして、3機関そう変わらない金額ではあるのですが、私どもは保険料と一緒に検査料を徴収することをやっていますので、実は交通費とかいうのが、2基あって、それを一遍にやるのか1基ずつやるのかが、契約時点で全くわからないということで、基本的に交通費は遠隔地だけ費用を取るということです。点線で書いてありますが、そういう遠隔地だけ契約時に割増検査料を取り、それ以外はこの定額の検査料でいっているということです。そういう意味では、保険の代理店が募集しておりますので、効率はいいでしょうということで、10%ながらではありますが、うちの社内では社会貢献的に検査の業務は続けていきましょうということで、やっている状況です。
3番目の登録基準の要望のついては、登録機関になっていますので、登録については特段ありません。前にもありましたが、性能検査員の要件ですが、これを読んでいただくと、1級ボイラー技士でいいのではないかと書いていますが、現在は特級ボイラー技士というのが、同等の知識、経験ということになっていまして、特級ボイラー技士が現在非常に少ない。規制緩和といいますか、特級が要らないボイラーで十分事足りる状況になってきているので、特級ボイラー技士が非常に少ないということで、1級でも認めてもらえないかという提案をさせていただきました。
その他の意見・要望は特にありませんが、こういう登録機関として、文書で書くのも非常に書きづらかったのです。3機関の中で私どもは民間の検査機関なので、実際にいろいろな検査をしてみても、拡大しづらいというところは、やはり行政の方がいらっしゃらないというところが非常に大きいのかなと、新規参入されると、そういうところはやはり障壁になるのかなと、あまり言うと角が立ちますので、そういうところがあるということだけお話して終わりたいと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。基本的に保険を掛ける方が検査の対象ということでよろしいですか。
○損害ジャパン検査長 そうです。保険を掛ける。ただ、現在は最低保険ということで、実はボイラ保険の基本は破裂・爆発を担保するのです。現在は火災保険でボイラーの破裂・爆発も担保するということで、ダブッてしまっているので、ボイラ保険としては、最低保険料で検査だけお願いしたいということでやっているところはあります。
○土橋座長 よろしいでしょうか、続きましてHSBジャパンさんお願いします。
○HSBジャパン(引田) HSBジャパンの概要ですが、弊社は平成15年7月の法改正に伴い、登録個別検定機関として事業をやらせていただいております。まずHSBとはどのような会社なのだろうということですが、弊社は世界中で最も広く採用され、かつ日本のボイラー・圧力容器の技術基準の基礎となっている米国機械学会のボイラー・圧力容器規格、ASMEの構造規格に基づく公認検査機関としてやらせていただいております。設立は、アメリカ法人は1867年に、アメリカのコネチカット州にハートフォード スチームボイラ検査・保険会社として設立されております。日本法人に関しては、事業は1975年からやっていたのですが、平成12年1月に法人として設立し、その後検査事業をやらせていただいております。弊社の事業所は横浜に1カ所あります。
先ほどもお話をしましたが、弊社は1975年からボイラー及び圧力容器の製造事業者に対し、ASMEの工場認定制度に基づく検査をやっております。日本のASME認定工場85%以上の事業者で幅広くやらせていただいております。
ASMEのボイラー・圧力容器規格ですが、先ほどもお話をしましたが、日本のボイラー・圧力容器規格は電気事業法、高圧ガス保安法、労働安全衛生法、消防法がベースになっているものであると思っております。
それ以外には、弊社は保安四法の適用を受ける国内のボイラー・圧力容器事業者の工場において、機器の検査もやらせていただいております。また、電気事業法に関しては、法定事業者検査は使用前自主検査、溶接検査、定期検査とかありますが、これに関する安全管理審査の登録安全管理審査機関としてやらせていただいております。これも経済産業省から認可をいただいております。
それ以外ですと、ISO9001、ISO14000の認証審査も事業の1つとしてやっております。
次に、登録個別検定機関の登録区分ですが、これは労働安全衛生法の第44条に基づいて、2号第二種圧力容器、3号小型ボイラー、4号小型圧力容器等の性能及び構造に関する個別検定を実施しております。平成22年度の実績としては、この表に書いてある容器数をやっております。検定員に関しては、主任検定員が6名で、こじんまりとした所で事業をやらせていただいております。
登録事業の今後の見通しと対応に関しては、弊社は、登録個別検定機関としての資格維持と受註の拡大に努めていこうと思っております。登録基準の評価、緩和等に関する要望ですが、こちらに関しては書いてあるとおりで、安衛法のほかに、製造時等検査の検査員の要件の緩和については、安衛法、電気事業法、高圧ガス保安法の経験を持っている者、例えば設計、品質管理において5年以上の経験を有するといった経験があれば、規制の緩和の対象としていただきたいと考えております。それ以外には、個別検定機関の経験を活用し、その経験を基に要件の緩和を検討していただければと思っております。
4番のその他の意見・要望については、弊社として要望等はございません。以上です。
○土橋座長 よろしいでしょうか。続いて、シマブンエンジニアリングさん、お願いいたします。
○シマブンエンジニアリング(和田) 当初はシマブンエンジニアリングということで、建設機械の溶接構造物の部品を造っているメーカーです。もともと神戸でやっているのですが、その中に新しくクレーン検査事業部というものを設立して、いま現在やっています。
組織ですが、検査事務所としては、兵庫・大阪・関東の3カ所です。それ以外では、事務所にはなりませんが、営業所ということで3カ所設けておりまして、中部・中国・北海道で、それぞれの検査の申込みを受けています。
従業員の規模は、検査員は27名、その他事務処理を含めて、トータル39名でやっております。現在の登録の種類は、基本的には性能検査ということで登録しています。特定機械ということですので、クレーン・移動式クレーン・エレベータ・ゴンドラ・デリックということで、それぞれの機種を対象に、性能検査をやっています。
登録事業の沿革ということでご説明いたしますが、私どもは、最初は、平成12年、平成13年の政府の規制緩和のときに、民間にできるものは民間でということがありまして、そのときに性能検査をやっていくことを決めまして、平成13年の段階では指定でしたが、申請させていただき、平成14年に申請をして、指定機関として認可をいただきました。その後、平成15年には登録制度に変わりましたので、同時に変わりました。
私たちは平成15年に認可を受けたのですが、クレーン、移動式クレーン、エレベータ、ゴンドラ、デリックと、4月と10月に分けて認可を受けたという経緯があります。 平成15年にそれぞれ認可を受け、そのあと代行機関という登録機関に変わりましたので、自動的に登録機関に移っているということです。その後、登録機関の有効期限がきまして、平成22年には更新をいたしました。ここには書いていませんが、現在の検査台数としては、平成22年度に7,727台で、これが現在の受註力です。実態としては、ほとんどクレーンと移動式クレーンを中心にやっています。
登録事業の今後の見通しは、先ほど申し上げたように、我々は関西でスタートしたものですが、だんだん我々の名前が売れ始めまして、その他の地区からも検査の要請がきましたので、できれば中部・四国・九州ということで、検査事務所も設立していきたいと考えて、全国的に要請に対応していきたいと考えております。
登録基準の評価、緩和等に関する要望については、ここに書かせていただいているのは、我々民間でスタートするときに、なかなか検査員がいない、あるいは検査長がいないという中で、何とか検査員を確保しながらやってきましたが、あと正社員養成については、現在我々のほうで教育して養成していますが、検査長となると、条件が、検査員で、かつ10年以上検査をやっていなければいけない、それも大学の工学部卒業でなければいけないという条件があり、検査長を我々のほうで養成するのは難しいというのがありまして、そういった面での条件の緩和をお願いしたいと書いています。以上です。
○土橋座長 よろしいでしょうか。続いて、産業安全技術協会さんからお願いいたします。
○産業安全技術協会(松井) ヒアリングのシートに基づいてご説明させていただきます。34頁です。当協会の設立日は、昭和40年4月です。当初は産業安全研究協会という名前ですが、これは国立の産業安全博物館というものがありまして、そこの管理などを援助する目的で、当初は設立されました。その後、機械類の検定などの業務にだんだんと移ってきました。
組織としては、4部1課3室で、職員数は47名です。組織図は35頁に概略があります。
登録事業の種類は、働く人の安全を確保するためということで、型式検定が必要な機械等がありまして、その中の防爆構造電気機械器具をはじめとして、これが12品目あります。型式検定というのは、いままでのご説明とは少し違っていまして、機械等の型式ごとに行われる検定で、この検定に合格すると、その機種の型式について、数に制限なく製造または輸入することができるというものです。当協会は、この種目、全法律で決められている12品目のうち、クレーンの過負荷防止装置の1品目を除く、大部分の11品目について、登録型式検定機関として、単独で検定を実施しております。このほか、年間10件程度と数は少ないのですが、練りロール機の急停止装置という品目について、個別の検定を実施しております。登録事業の沿革については36頁の別紙2にありますので、あとでご覧いただければと思います。
各登録事業の実施状況については、37頁にあります。概略を申し上げますと、検定の場合、型式ですので新規の検定と、3年ごと、ものによっては5年ごとの更新検定がございます。新規が年間トータルで1,000件ぐらいです。更新が5,000件ぐらいです。2番目の登録事業の今後の見通しと対応については、ほかの品目と同じように、最近の国内産業の空洞化で、国内に設置するいろいろな機械の数が減っているせいで、新規の検定申請件数は大幅に減少しています。当協会におけるすべての検定品目の検定手数料の収入は、年間で合計約3億から4億円程度です。今後の事業拡大もそれほど多くは望めない状況にありまして、このような小さな市場で、いまのところ私どもが単独でやっているのですが、登録要件の緩和により、過当競争ということで、複数機関で競争を強いられますと、検定の信頼性、安全性の低下をきたすことを懸念しております。なにしろ、普通のものを売るのと違いまして、お客さんは合格証を得たいのですが、信頼性の高い合格証を求めているわけではなく、とにかく早く、安く、手間暇をかけずに、合格証をくださいというのが、顧客の要望ですので、過当競争で、どうしても無理をしようとすると、そういう信頼性が損なわれる恐れがあることを危惧します。
それから、どこの協会もそうなのですが、ISO9001などの品質管理、JISの9-17025という試験所認定というのがございまして、そういうものを取得して維持、運用しております。それは、検定や試験の品質の維持向上に努めているわけです。これには当然コストがかかるわけです。それから、今年の4月には公益法人改革に基づく公益社団法人の認定を受けております。全体として、非営利・公益ということに徹しているわけです。このような事業運営上の方針、活動が、新規参入事業者ですと、垣根を低くするということは、競争を促すわけですから、そのようなことは必要のないところと比べますと、どうしてもハンディになるだろうということで、公正な競争原理が働かないのではないかということを危惧するわけです。そういうことで、登録要件の緩和によって、検定対象機械等の安全性の確保が適切に行われないことがないよう、お願いしたいということです。
○土橋座長 よろしいでしょうか。日本作業環境測定協会さんからお願いいたします。
○日本作業環境測定協会(飛鳥) 41頁の資料4-8をご覧ください。法人の概要です。私ども協会は昭和50年に制定された作業環境測定法第36条の規定に基づいて、設立されました。
2番目の法人の目的は作業環境測定士制度の円滑な展開ということで、作業環境測定士という国家資格がありますが、その測定士の品位の保持、測定士を要して事業場の測定の要請に業として応える測定機関というのがありますが、その業務の進歩改善に資するための業務を行うということです。
3番目の主な事業としては、(1)から(6)までは、測定士を対象として、技術研修、情報提供、図書の刊行といったものです。(7)以降は、国の指定や登録に係る事業、国の行政施策への協力です。
4番目の組織ですが、非常に小さな組織です。小さい規模のわりには業務が多岐にわたっておりまして、2部2センター6課ということです。全国的な事業展開のために、支部という存在が効果的ですので、支部が13ありますが、これは会員の事務所等にお願いをして置いてありまして、専属の職員がいるわけではありません。会員数は976会員で、数年前をピークに若干減り気味ですが、作業環境測定機関、測定士、有害化学物質等を取り扱っている事業場が会員です。
6番目は事業の沿革です。もともとは(1)の指定較正機関ですが、労働省労働基準局長により労働大臣の告示に基づく指定較正機関としてスタートしましたが、関係法令の整備により、平成21年10月より、厚生労働大臣の登録較正機関として事業を実施しております。
7番目が、デジタル粉じん計較正台数の最近5年間の実績です。平成21年が2,565台とピークで、平成22年は少し落ちておりますが、今年度の推移等を見ましても、大体2,500台前後で推移しております。8、9番は飛ばします。
登録事業の今後の見通しと対応ですが、作業環境測定機関が主にデジタル粉じん計を有して、較正を申し込んでいると見ております。作業環境測定機関自体がこれからどんどん増えるというものではありませんし、また、デジタル粉じん計自体も、これから急激な伸びは見込めない状況で、大体今後もこういった2,500台前後の小さなマーケットで推移するのではないかと見ております。
登録基準の評価、緩和等に関する要望ですが、冒頭に室長からご説明がありましたが、利害関係者であるデジタル粉じん計のメーカーが2、3ございますが、その登録申請も排除していないということがありますし、設備機器は結構必要なのですが、そのリースも排除していないということで、非常に弾力性に富んだというか、合理的な基準であると考えております。人の配置についても、測定士等が管理者には必要だということもありますので、そういう意味では、現在の登録基準は極めて妥当であると考えておりまして、特に緩和等に関する要望はありません。その他の意見や要望もありません。
○土橋座長 一通りご説明いただきましたので、これから質疑の時間とします。質問等がございましたらお願いいたします。
○小畑委員 それぞれ詳細な説明をいただきまして、ありがとうございました。何点かお聞きしたいのですが、まず損害保険ジャパンですが、ボイラー検査100周年ということで、敬意を表したいと思っております。先ほどのお話の中で、非常に慮った発言があったのですが、新規参入の具体的な障壁について、差し支えない程度で、このようなことがあるのだという部分をお聞かせいただければありがたいと思います。
それと、31頁のHSBジャパンですが、「受註拡大への活動」と記載されているのですが、具体的にどのような取組みをされようとしているのか、差し支えない範囲でお聞かせいただければありがたいと思います。
それから、33頁のシマブンエンジニアリングですが、検査長の資格要件の緩和という部分で、高卒の方の15年から10年への短縮というのがありまして、ここの短縮が、要件緩和が業務上有効なことなのかという部分をお聞かせいただければありがたいと思います。10年でも15年でも、そんなに変わらない気がするのですが、この違いが大きいのだということがあれば、お聞かせいただきたいと思っています。
それと、民間の方、3社の方は共通なのですが、収支の関係で、それ以外の方の部分については、それぞれ資料があったように記憶しているのですが、差し支えない程度で民間の方の収支状況をお聞かせいただければと思います。
○土橋座長 損害保険ジャパンからお願いいたします。
○損害保険ジャパン さらっと流そうと思っていた内容だったのですが、現在の制度がどうのというよりも、簡単に言えば行政の、各労働局のOBが検査事務所にいらっしゃるということに対して、事業場側が気を遣っているところがあるのだと思います。検査機関がどうの、OBがいるからどうのこうのと言っていたり、監督署から、やはり協会でなければ駄目だと言っていることはないと思うのですが、事業場のほうが気にしていると。
私どもの例からいうと、ある会社で死亡事故があって、そのあとに、トップの方針で検査はボイラ協会に移りますという話があったり、ざっくばらんに言ってしまうと、千葉の京葉コンビナートはほとんどボイラ協会だと思いますが、私どもはその地区の工場で、同じ会社の他の工場は当社がほとんど検査をしているのですが、説明に行きましょうかと言ったら、来てもらっても困る、そういう話が出ると困るということで、多分に事業場側が過大に気にしているというところだと思うのですが、具体的に言うとそういうところがあります。
当社の収支について明確にしていないのは、見なしとしてしか出せないのです。出せないというか、事業部門として決算していませんので、厚生労働省に出させていただいている事業報告では、プラスになったりマイナスになったりという、見なしの収支になっております。そんなに儲かってもいないということで、若干赤字の年もあるということで、社長には「社会貢献だから」ということで、事業をやっているという状況です。
○HSBジャパン 最初のご質問の受註活動の拡大の具体的対応ですが、弊社は個別検定に関しては後発組でして、なかなか新規にはマーケットに入っていけないということがあります。そのため、弊社がやっている対応は、弊社のASMEの既存の顧客があるのですが、その既存のお客様と、ISO9001、認証機関がやっておりまして、その関係で第二種圧力容器もしくは小型ボイラーを作っているようなお客様に対して、マーケットの拡大のための営業活動をやっております。
さらには、厚生労働省から指定外国検査機関の認証もいただいておりますので、それに対して指定外国から入ってきたボイラー、圧力容器に対して、個別検定が必要なものに対しては、個別検定を受註していこうということで対応しております。
収支に関しては、弊社は資料に載せているのですが、それほど検査台数に変動はありませんで、大体同じくらいの数をやらせていただいております。そのため、それほど数量が多くはないので、それほど利益は出ていません。しかしながら、マイナスにもなっていません。現状は、プラスマイナスゼロ、もしくは若干プラスに働いているような状況です。
○シマブンエンジニアリング まず検査長の関係ですが、いまの実態を申し上げますと、まず検査員を養成するに当たっては、いまは大学の工学部を卒業した人はなかなかおりませんで、基本的にはクレーンの整備、設計などに携わった人を、要件を合わせて検査員になっていただいています。その検査員の方が10年間検査をやって、はじめて検査長になります。これが大学卒者の場合です。それが高等学校卒業者となると、15年間待たないと検査長になれないということです。
もともとはどうしていたかと言いますと、申し訳ございませんが、他機関で検査員をされていた方を我々が採用させていただいて、それだけの年数を確保した方に検査員になっていただいているのですが、往々にしてほかの機関といっても、そうはいきませんで、自前で検査長は養成していかなければならないとなりますと、私たちは発足して約8年です。その間、教育しているということにはなるのですが、残念ながら、大学を卒業して検査員になっているという人はほとんどおりませんので、結果的には15年間待たないと、高等学校卒業の方の検査長はできないということで、その年数について、検査員になって10年になっているのだから、もう学歴の問題ではなくて、あくまでも経験ということで、10年なら10年の経験があるということにしていただければ、非常にありがたいというのが実情です。
我々の収支については、先ほど言いましたように、我々は発足して数年でして、当初は苦しい状態でしたが、少なくともゼロベースでスタートしております。だんだん台数が増えまして、毎月の収支ということであれば、台数の多いときもあれば少ないときもありまして、黒字になったり赤字になったりしていますが、トータルにしますと、年間では数パーセントの利益を上げております。
○土橋座長 ほかに質問はございませんでしょうか。
○三浦委員 これは厚生労働省も含めてお聞きしたいのですが、先ほどから皆さん方の中で意見が出ている中で、検査員、検定員の要件です。登録機関が行う研修を受ける必要があるが、これにより検査員の確保が困難となり、登録業務参入の障害となっているということであれば、長年の民間における設計、製造または検査の実務経験等によって、研修修了者と同等以上の知識、経験を有すると認められる場合には、研修を免除できないのかどうか。
それともう1つは、検査員、検定員について、先ほどから出ている工学関係の学歴要件がありますが、この辺について、工学関係以外の理科系または文科系の学歴を持った者であっても、民間会社等で必要な知識を習得し、経験を積むことによって、検査員、検定員として十分に職務を行うことは可能なのではないか。
もう1つは、検査長と言われていますが、検査、検定員の指揮、業務管理については、検査、検定員のうちから選任ということになっていますが、この辺の検査、検定員の学歴要件を見直すのであれば、指揮、業務管理者の学歴要件も同様に見直したらどうですか。その辺はどうなのでしょうか。
○田中安全課長 まず、研修の関係です。現在は登録機関の中でという話になっています。これについては、もちろんこれから検討していかなければならないわけですが、民間の例えば設計とか、そういう実務経験を加味するということで、それに代わるということも検討の対象としてあり得るのかなとは思いますが、検討させていただきたいと思っております。
○三浦委員 皆さん方も、要件が弊害になっているようなので、その辺を緩和する改善策を考えていただければと思います。
○田中安全課長 全体としては、製造なり設計なりの部分での民間でのご経験を評価する方向というのは、あってもいいのかなということだと思います。
ただ、検査長ですが、基本的には検査長等の方というのは、検査員を指揮して、登録機関としての検査結果に責任をもって外に出す方であるわけですので、ある程度の業務経験は必要ではなかろうかと思っております。
○土橋座長 ほかにございますか。
○今村委員 ほかの委員から出ないだろうという視点からの質問をさせていただきます。検査員、検査長の労働市場というか、人材の確保の問題が先ほどから議論になっていますが、HSBジャパンの説明で、新規参入して7年で、人材確保が難しいということでした。例えばボイラ協会とか、厚生労働省OBがいらっしゃるところで、給与体系の問題で、例えば検査長を引き抜くことはできないのでしょうか。簡単に言いますと、私の印象は、検査員、検査長というのを、10年、15年かかって養成するということは、どちらかというと、従来の終身雇用を前提として、長い間企業に留まって、その中でやっていくという仕組みが前提になっている感じがするのです。
そうすると、HSBジャパンのように新規参入したときには、その雇用制度が足枷になって、つまり終身雇用で年功賃金だから、既存の企業に留まろうというインセンティブが非常に強いわけです。そこを異動させることができない限り、内部で養成という新規参入の障壁というのは変わらない可能性があるのですが、その辺の検査員、検査長、特に検査長の流動性については、印象としてはいかがなものを持っているでしょうか。
○HSBジャパン いまのご質問に対してですが、基本的には検査員、検査長とも、例えば経験ある方にほかの会社から来ていただいて、その方に対してのお支払いをすることは可能だと思います。その場合であっても、当然ながら金額の大小はあると思うのですが、弊社の提示する条件を満たして、きていただけるのであれば、そういう対応もできるのではないかと考えております。
○シマブンエンジニアリング まず、そういった方を探すことそのものが、まずは大変です。先ほど少し申し上げましたが、私どもがスタートするに当たっては、過去に経験を持った方ということで、そういった方に我々のほうに来ていただいたわけですが、それを出す側の立場ですと、はっきり申し上げれば競合するわけですから、競合するところに塩を送るというわけにはいかないですから、そういう意味では、すんなり「はい」というわけにはいかない部分が、根底にあると思うのです。
したがって我々としては、ほかからというのも、いちばん容易な考えかもしれませんが、なかなかその辺にはわだかまりがありまして、やはり自分たちの中でということでやってきているのです。
先ほど申し上げたように、監督署などの経験者の方もおられますが、そういった方の経験と、我々が実際にやっている性能検査の経験では、どうしてもギャップがありまして、年数的には合うのでしょうけれども、実際の実力の経験という意味では、差を感じております。だから、我々としては、自分たちがずっとやってきたものの中から、これは任せられるという者に検査長としての責任を持たせたいと思うのですが、そのときに、これはかなり優れた人間だといっても、大学の工学部卒でなければ駄目だとなってしまいますと、それは過去の話ですから、そういう面でいうと、それが足枷になっているのではないかと申し上げました。
○今村委員 非常によくわかりました。産業安全技術協会と損保ジャパンにお伺いしたいのですが、産業安全技術協会は先ほどから非営利であることの重要性を強調しておられますが、一方で損保ジャパンのようにCSRでやっているのだと、つまり収益性は前提にしていないという組織があるわけです。一概に、営利だから品質が低下するということは、CSRとか、社会貢献の視点から考えれば、可能性としては一概には言えないと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。非営利でなければいけない、営利企業であると質が低下するという議論について、お伺いしたいと思います。
○産業安全技術協会 もちろん営利であっても構わないのですが、結果として、普通のものを売るときには品質がよくて安いものが売れるのですが、検定の場合は申請される方はものを作る側で、それを使う方はユーザーなものですから、直接の利害を、申請者は信頼性の高い合格証を要求するわけではないです。ですから、安く、早く、手間暇かからないほうがいいということがあります。だから、競争しろということになると、安くせざるを得ません。そうすると、手を抜くというか、安くするとなると手を抜かざるを得ないので、そこは公益というか、そういう意識をもってやることが大事だろうと思うわけですから、一般の競争原理が馴染まないのではないかと考えております。
特に私どもは非常に特殊な型式検定というもので、これは我々だけの分野で、非常に市場が小さいですから、そういうところへ複数で競争しなさい、営利で儲けてもいいと言われても、非常に困るという状況です。答えになったかどうかわかりませんが。
○今村委員 質問の仕方がよくなかったかもしれませんが、損保ジャパンはいかがでしょうか。営利であっても、公益性を担保することは可能でしょうか。お宅の場合は、保険とのセットだから、そこにインセンティブがあるのかと思いますが、いかがでしょうか。
○損害保険ジャパン おっしゃるとおりです。社内的にはその部門の収支を明確にしていないのですが、もともとの事業報告として出すので、見なしの収支を見ると、プラスマイナスゼロに近いところなのですが、実はボイラ保険を考えると、損害率は非常に低いです。保険の仕組みとしては自動車保険もそうなのですが、基本は、損害率は55%で設定します。入ってくるものに対して、55%は保険金で払いますということで、そのほかの部分で代理店の手数料、当社の人件費を掛けると95%で、5%が利益というのが設計なのですが、実はボイラ保険はその半分です。それが何かというと、当然性能検査もやっているということで、やはり事故が少なくなっているというフィードバックは出ている。性能検査の意味は大きいということは、効果としてはっきり出ているので、そういう意味では検査が還元されているということにはなっております。
○瀬戸委員 日本クレーン協会にお伺いします。資料の13頁の3「登録基準の評価、緩和等に関する要望」の3行目から、「検査員は、一定の学科研修及び検査実習を修了した者でなければならないとされているが、学科研修、検査実習とも、登録性能検査機関が行うこととされているため、新たに参入しようとする機関では、検査員を養成することができない」と記されていますが、故に新規参入は難しいとおっしゃっているのでしょうか。
○日本クレーン協会 新規参入の1つの足枷にはなっているのではないかと思っております。
○土橋座長 新しく入ろうとして、まだ登録機関になっていないところでは、こういった養成ができないという意味合いでは、それが障壁と考えられるのではないかということですね。
○瀬戸委員 自ら養成するのがなかなか難しいと。
○日本クレーン協会 機関が先か検査員が先かということですが、これは矛盾しているのではないかと思うのです。
○瀬戸委員 もう1つです。損保ジャパンの16頁の2の真ん中の辺りに、「検査員数は40名程度」とありますが、これは損保ジャパンが雇用されている方ということですか。
○損害保険ジャパン 職員です。検査員としての職員数が全国で40名ということです。
○瀬戸委員 40名で全国の検査をカバーされているということですか。
○損害保険ジャパン そうです。一応、沖縄以外の検査は各県あります。
○瀬戸委員 それと、要望の中で要件緩和、例えば年数の短縮などのご要望があるのですが、これは今回に始まったことではなくて、従来から要望されていることと理解してよろしいのですか。これは素人が考えますと、要件を緩和すると新規参入がしやすくなるのではないかという反面もあるのではないかと思うのですが、そこの辺りはいかがでしょうか。
○損害保険ジャパン 検査員については私どもは前からやっていて、もともとは学卒がほとんどで、経験者は少なかったのです。そういうことで、長期の研修期間で、私どもは当初は2年の間は実習で付いて行ってやっていました。最近は学卒で入ってからは、ボイラーの実習が200基で、これが大きなハードルになっているのです。経験のある方が入れば、これが一挙に10基になるのですが、200基というのが、ボイラー自体が少なくなっているので、いまは厳しくなっていますが、もともとはそういう参入というのではなくて、純粋に厚生省の時代に、検査員はある程度の知識、経験を積んだ人でないと検査員としては難しい、それをやってはいけないのではないかという、技術論で作った制度だと理解しています。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。
○内藤委員 お答えいただくのはどちらの機関の方でも結構なのですが、極めて初歩的なことをお教えいただきたく存じます。いま問題になっておりますのが、登録基準における検査員の要件のことだと思うのですが、現行の制度ですと、「学校教育法における大学または高等専門学校において、工学に関する学科を修めて卒業した者、工学関係大学等卒業者で、次のいずれにも該当する研修であって云々」という規定がございます。まず第1には、この学科研修が次に掲げる科目について行われるものであることという、特別特定機械等の構造云々という、イロハニホといった技術的な知識というものは、必ず必要ですか。つまり緩和するときに必要なことは、単に学科研修の時間が160時間以上かつまた何年という、長い経験を必要とする部分が問題であるというお話なのですか。
つまり、私は文科系の素人で申し訳ないのですが、工学部を出ると、必ずこういう工作及び試験方法云々ということを、果たしてするものなのだろうかと考えたのです。そうしますと、工学系の中でも、ごく特殊な機械工学等をなさった方々でなければ、この要件に合わないものなのか。つまり、要件を緩和してほしいというご要望はよく理解したのですが、それは知識の部分あるいは教育を受けている部分を緩和する必要があるのでしょうか、それとも、1度学卒になったあとの経験の年数とか、その部分を緩和すればよろしいものなのでしょうか。非常に基礎的なことを伺っていて、本当に申し訳ないのですが。
○ボイラ・クレーン安全協会 ボイラ・クレーン安全協会の荒川と申します。私どもは先ほど検査員がおおむね130人余りと申し上げましたが、そのうちの6割、80人ぐらいは、いわゆる大学、短大、高専の機械系学科を卒業した者で、協会では学卒検査員と言っています。後ろにいる人は検査長になっていますが、大学、短大、高専の機械系学科を出ている、工学系というのは前提だと思います。ボイラー、クレーンをつくる材料、構造的な話の知識を持っているということです。
それと、研修ですが、大学のときにはボイラーとクレーンはほとんど見たことはありません。そういう人たちは特級ボイラー技士ですから、部屋全体がボイラーであるような、極めて大きなボイラーを24時間365日運転して、そこの責任者として何年もやっていますから、非常に知識、経験があります。ですから、そういう人は学科の時間、検査実習は短いのですが、私どものところの検査員の6割は、全くボイラー、クレーンを見たことがありませんので、学科の時間もそれぞれ80時間は教えます。それぞれボイラーについて何時間と。第一種圧力容器について何時間と安藤さんからお話がありましたが、ボイラーですと、200基の検査実習がありますので、実際に先輩の検査員が連れていって、ここを見る、こうやって見る、ここはこう判定するということを、ある意味では手取り足取り教えていきます。
ですから、最初は見るだけで、だんだん最後のほうになれば、実際にやらせてみて、ある程度できれば、協会としてもこれなら大丈夫かなとなった時点で、初めて厚生労働省に、学科研修もこれだけやって、検査実習も何基やったということで、登録申請をします。厚生労働省で中身を審査いただいて、OKが出れば検査員になれるわけです。
○損害保険ジャパン ご質問になっているのは2つありまして、まず検査員になる要件のハードルがあります。もう1つは、検査員候補として採用されて、社内の学科なり実技研修があって、この2つなのですね。
○内藤委員 わかります。問題はどちらなのかと。
○損害保険ジャパン いちばんの問題は最初のほうなのです。要するに、大学の工学部、高校の工学系を出ていないと、あとは資格を持っているしかないです。その資格というのが、特級ボイラー技士なのです。大学は商業を出て、ボイラー技士の資格は1級という場合は、どんなに研修をしようともなれないのです。
○内藤委員 いまご両所の話を伺って素人として理解したところでは、ボイラ・クレーン協会の方の話によれば、それだけの知識を少なくとも学校教育の中で得ていなければ、OJTに入っても、それだけのことを満たし得ないというように伺えたのですが、それは違いますか。
○ボイラ・クレーン安全協会 満たし得ないというか、機械系学科以外の学科の者もいますが、そういう知識がなければ、その分プラスアルファで教えなければいけないと思います。法定のカリキュラムは決まっていますが、そういう予備知識がなければ追加で教えないといけないということです。
○内藤委員 それと、今度は損保ジャパンの方にお伺いしたいのですが、いま伺ったかなり高い専門的知識を学卒の段階で必要であるというご意見については、損保ジャパンのほうでもそのようにお考えになられますか。
○損害保険ジャパン 商業出身が駄目だとか、工学でなければ駄目だという話ですよね。
○内藤委員 はい。
○損害保険ジャパン そこは厚生労働省が最終的にはどう判断するかなのでしょうけれども、工学系のほうが望ましいことは間違いないです。いまはそれが検査員の要件ですから、それがなければ特級の資格を持っていなければ検査員にはなれません。実は、メーカーで工作責任者をやっている人も商業出身でもいるので、技術系のことをやれないのかといったら、大学で勉強したことと違うことを会社でやっている人はたくさんいますから、突き詰めてみれば、社内でプラスアルファの研修をすれば、できないことはないと思います。
○内藤委員 ご両所がおっしゃっていることをまとめますと、ある程度の知識を確保するという学歴要件まで全部外すことはできにくいということでしょうか。例えば私は法学部の出身なのですが、法学部の出身で、ボイラーも見たことのない人間がいきなり入らせていただいて、その職場におけるOJTというか、200基のボイラーを見せていただいても、なかなかそのレベルには達し得ないというものなのですね。
○損害保険ジャパン 難しいという意味では難しいです。
○内藤委員 もしも緩和するという必要性があるとしたら、学歴とか、学科教育における要件ではなく、そのあとの企業に入ったあとの年数とか、おそらく種類の違う200基のボイラーを研修して、それについての知見を深めたという、その辺りを少し緩和することが可能かどうかということですか。
○損害保険ジャパン 2つあると思います。
○内藤委員 そうすると、学歴のほうも要件を緩和し得るということですか。
○損害保険ジャパン いや、学歴というよりも、学歴の要件はもう1つあります。それと同等のものとして、いまは特級ボイラー技士というのがありますが、特級ボイラー技士が非常に少ないので、1級ボイラー技士のレベルでもという緩和です。これはなれるかどうかの要件ですね。なおかつ、社内での実習が200基で、これはまた別な要件緩和として、100基でもという話はあります。
○内藤委員 一応理解したかに思います。どうもありがとうございます。
○土橋座長 工学系でなくても、勉強をして経験を積めば、レベル的にはかなり同じところにいきますが、その場合の要件として特級ということで、バランス的に厳しすぎるかなということですかね。
私から1つHSBジャパンに聞きたいのですが、ASMEの公認機関ということですが、いまの検査員の要件としては、ASMEも決めていると思うのですが、それと日本の決まりはどのような関係にあるのでしょうか。
○HSBジャパン ASMEの場合ですが、ASMEの公認検査官、ボイラー検査員、圧力容器の検査員になるには、1つは学歴要件があります。もしくは高卒であったら何年、学卒であったら何年という実務経験があるというのが、まず最低限ございます。
そのあとに知識で、過去に社会に出てから実務経験をやって、そこでボイラー、圧力容器に対する知識、もしくは設計などをやるのであれば、そういったところの知識と経験です。それに基づいて試験を受ける形になります。その試験に合格した後に、公認検査官という資格を授与されまして、それから仕事ができる形になっています。
いま弊社がやらせていただいている個別検定に関しては、個別検定をやった特定機器における、その業界において設計、製造もしくは検査に従事したという条件が付いていますので、プラス学歴で、かつ特定機械の経験というものがありますので、その辺が大きく異なるのかなと思います。
弊社としては、特定機械については、同じボイラー、圧力容器であれば、ほかにも電気事業法、高圧ガス保安法、ASMEの米国機械学会の規格に基づけば、細かいところでは要求事項は若干、変わってくるのですが、大枠ではあまり変わりがないのではないかと考えております。ですので、その辺の違いをご検討いただきまして、特定機械、何年という辺りの緩和について、併せてご検討いただければと思います。
○土橋座長 時間になりました。よろしいでしょうか。それではヒアリングは以上とさせていただきます。ご協力ありがとうございました。
○中山石綿対策室長 各登録機関の方はご退席願います。なお、傍聴は後方の席でできる形になっておりますので、よろしくお願いいたします。
○土橋座長 ヒアリングのほうは終了しましたが、残りの時間で、少しまとめをしておきたいと思います。いくつか問題点が浮かび上がったと思いますが、皆様のご意見をもう1回確認しておきたいと思います。
まず、登録基準のうち、人の要件であります検査員・検定員、あるいは業務管理指揮者の要件というところでございますが、まず検査員・検定員の研修ということについてはいかがでしょうか。ご意見、あるいはご感想でも結構ですが。
○今村委員 1つだけ確認だけ。勉強不足なもので、特級技士というのは、必要条件ですか。まず、特級技士になるために、前提となる必要条件、学歴とかがなければなれないという条件。それから、プラス、その後の条件とかを簡単に教えていただければと思うのですけれども。
○中山石綿対策室長 この参考資料1で4頁を見ていただければと思うのですが、特級ボイラー技士というのは、定規の要件はこの条件なのですけれども、一部同等の知識経験を有する者として、研修等時間が短かくなったりという資格として認められているものと。これは、通達レベルで認められているものです。
○今村委員 4頁というのは、この4頁ですか。参考資料の。
○中山石綿対策室長 参考資料のほうですね。第3回指定・登録制度検討専門委員会の参考資料の4頁です。
○野澤主任 これは、いわゆる国家試験、特級ボイラー技士になるための要件ということであれば国家資格ですので、労働安全性法に基づく試験に合格しなければならないです。例えば、受験資格とかそういうのは、もし細かくであればわかりますか。
○高橋副主任 ボイラー技士制度は2級、1級、特級というように段階が分かれておりまして、そういう意味ではまず2級から取って、1級、特級というふうに受験資格がそのようになっておりまして、そういう意味ではこれを取るためには、長い経験年数が必要ですし、試験の程度も徐々に難しくなってきているということがございまして、結果として特級ボイラー技士の方の人数は、他のものに比べてかなり少ないという状況でございます。
○今村委員 最短で何年ぐらいかかるのですか。先ほど、機械工学部出て標準で、工学部学卒で最短で特級には何年ぐらいかかるのですか。
○損保ジャパン 受からないです。
○高橋副主任 実務経験年数も受験資格でございまして、全部足していくとわかるのですが、おそらく10年程度だったかと思います。
○今村委員 最低、10年で受験資格ができると。
○野澤主任 そういう経験者の中で確か5カ月で数%、10%を割るような合格率ですよね、確か。
○今村委員 わかりました。そうですか。
○土橋座長 確かに試験が難しいとは理解しております。だから、上で見る工学系関係の方は、いろいろな基準の中で入ってきますが、前後に掲げるものと同等以上という5に相当するには、この4頁の下にある表の特級ボイラーを取るしかなくて、それが非常に厳しいということで、工学系であれば何らかの研修を積めばできますけど、そうでない場合には非常に障壁が高いというところに、少しバランスを欠くかなというお話かと思います。研修と、学歴要件というあたりになりますが、この辺、ご意見ございましたらどうぞ、お願いいたします。先ほど三浦委員から、多少提案的なお話がございましたけれども、もう1回お願いできますでしょうか。
○三浦委員 クレーン協会さんと損害保険ジャパンさんとシマブンエンジニアリングさんのこの辺の緩和要求を見ると、ほとんどがその辺の緩和を求めているという概況の中で、それがやはり参入を阻むものと。参入自体が実際の話として、皆様方の話を聞いていて収支が合うのかどうか、本当に新たに参入する余地があるのかなというような感じがするのですけどね。その辺で養成していかなければいけないわけですから、その中である程度条件を緩和する必要があるのではないかと私は思ったのですが。
○土橋座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。続きまして、指揮業務をやる者についての学歴要件についてはいかがでしょうか。
○三浦委員 実際、我々建設業界もそうですけれども、資格を取るにあたって、土木でなければならない、建築でなければならないというようなことはないわけですよね。ただ、ある程度1級の土木施行管理士、建築士等の資格を取るときに、やっぱり理工学系でなければ、ある程度年数がちょっと長目に設定されて、それから受験資格があるという実務経験という形になっているので、本当に工学部でなければならないのかどうかというのは、ちょっと社会に出てからも勉強ですからね。それを考えたらどうなのかなという感じがしますよね。
○土橋座長 初めの学歴要件の件になりますが、工学系を標準として作られているところがあって、そうでないものに非常に厳しくしているあたりは、現実のことを考えるといかがなものかなと思います。全般について結構ですが、ご意見、感想でも結構ですが、お願いいたします。
○今村委員 民間の営利を目的とする損保ジャパンさんのケースではなくて、本当に営利を目的とした検査で、業者が参入する場合の質の低下の問題がありましたけれども、ASMEさんで一応の基準というものを持ってらっしゃるのですけど、仮に学歴要件とか、経験年数とか緩和したときに、それを逆に精査、担保するような、そういうISOの複雑な表がありますけれども、そういうものがあれば、そこで補うことができるのかなという感じがするのですが。
それから、先ほどから聞いていますと、シマブンさんのように実務経験が非常に豊富で、7年とか8年とかやっていて非常に能力的には高いのだけれども、年数基準で満たないということがあると。これは私の印象ですが、そうするともちろん伸びが少ない分野ではありますけれども、技術的にかなり変わっていると。そういうものを、常にフォローアップしながら、フランチャイズ、基準化していくことがもっと別の要件であるのではないかという感じがします。それが何かというのは、我々で議論しなくてはいけないと思います。何か、基準が形式的過ぎるような感じがいたします。
○土橋座長 基本的には検査員に必要な技能や知識というものがあって、それを満たしていればレベルが保てるということなのでしょうけれども、ちょっとそれをやって、実際の条件に書き下した場合に、本当にそれがそのレベルをうまく表しているかということと、あるいはもう少し違った観点から考えるということも必要ではないかと思います。
○内藤委員 1つ、伺いますが、よろしいでしょうか。今日は、皆様方からご意見が出た検査員とか、あるいは業務を管理する者、この方々の要件を何らかの形で緩和したほうがよろしいのではないか、あるいは緩和することが可能ではないかというご意見に私も賛成でございます。ただ、今日は、議論の場に出てこなかったように思うのですが、いただいた資料の5頁を見ますと、2の登録基準のところに2が検査員の要件ということになっておりまして、3が業務管理者の要件ということになっております。1つだけ気になりますのが4で、これはおそらく当該機関の中で、自分で検査をするということを避けて、第三者として客観的に何らかの形で検査、あるいはそういったことに当たれる人をという意味合いなのだろうと思ったのです。そう考えますと、いまお話の2と3は、大いに要件を緩和すべきところかもしれませんが、4に関しまして、客観性とか第三者性というものは保ったほうがよろしいかなという気がいたしました。今日、全く議論に出ておりませんでしたので、昨日資料を拝見して感じたことを申し上げたいと思います。
○土橋座長 第三者性については、確かに議論としては出ておりませんが、ヒアリングの答えとしては、一応そういう部分は適切だということがいくつかあったかと思いますので、あまりそこで議論にはなっておりません。それについては、緩和とか、そういうものとしては難しいのかなというご意見だと伺いました。
○今村委員 もしかしたら、理解が間違っているかもしれません。先ほど私が質問した、営利非営利性の問題で、第三者性を客観的に担保するために、非営利のほうが重要だと。営利を目的として参入してきた場合に、いま内藤先生がおっしゃったような意図を持って、早くて簡単でというような仕組みを誘導するインセンティブがあるかと思うので、やはりそこをどうやって食い止めるかということは、おっしゃるとおり、すごく重要だと思います。そこが、非営利でなければいけないかどうかはわかりません。ご存じのとおり、日本の仕組みというのは、いろいろな形でトップダウン インスティテューショナルというか、政府が明治以来ずっとデザインして、そしてそこで質を担保してきた仕組みというのが大事なことだと思うのですけど、これからは、やはり上からで全部やるというのは不可能ですから、営利も含めて各自の独立した組織がどうやってからんでいくかという仕組みを作っていかなくてはいけないことは、トレンドとして重要なことだと思います。
○土橋座長 ありがとうございます。産業安全技術協会さんのあたりが言っておられましたけれども、そういう検定というもの自体が価格競争みたいなことになじむかということは、確かにあるとは思いますが、その辺は一応検定の質を保つ決まりがあって、それを十分レベルを保っておくという、とりあえずそういうことしかないのかなと思います。ただ、1機関独占ということがよろしいかどうかということは、今日いろいろお話を聞いた中では、例えば保険とセットでやるということで、いろいろ効率化を図るとか、多分、いろいろな運営の仕方で新しい効果的な方法というのもあるのかもしれないので、あまり間口を閉じるというのはよろしくないと思うので、そういう公平に参加できる形は取っておく必要があると思います。ただ、レベルを単に緩和して下げるということには注意が必要と感じました。ほかにいかがでしょうか。
○和田委員 私も全く素人で、的外れなことを申し上げるかもしれませんが、この検査・検定等の登録制度の運用については、民間参入を促進するための登録要件の緩和見直し等を行い、登録補充数の拡大を図るということが1つ大きな問題になっているのだろうと思いますけれども、果たして検査員の要件を学力とか何かについても緩和する、そのことがネックになっていて新たな民間参入が促進されていないのだ。それが緩和されれば、もっと民間が参入するだろうというふうには、どうもお話を伺っていてよく理解ができなかったところなのですけれども、実際に参入されて7年、8年というような工員さんから検査員になって、少し7年、8年経ったけれども、まだ10年という期間に達しないので、検査員の採用に困るとか、あるいはその監督者について困っているというようなことがあったので、そういった検査員の資格等の要件を緩和することによって、民間参入が促進されるのかなと推定はされましたけれども、併せて、もともとそんなのは無駄だったんだよと。この検定とか労働安全衛生法に基づく安全とか何かを担保するために、ある検査機関が登録されているのに、それの安全性について、品質の確保については、もともとそんなのは不要だったのにそんなのがくっついてた。別に工学部じゃなくてもいいんだよと。こうこうこういうことであれば、民間の十分な経験を積んでいれば、それで検査員になって十分なのだということは、はっきりとはわかり切れなかったのですけれども、その辺は大丈夫なのですか。
○土橋座長 今日、8団体さんがいらっしゃいましたが、もともとこれは指定制度だったものが登録制度に変えたと。登録制度に変えてから参入された方は、今回はHSBジャパンさんだけというところからいくと、そんなに新規参入があったわけでもないということで、ただ、そこに関していろいろ問題点が提示されたという意味合では、制度の健全性という意味で考える必要があるかということです。ただ、実際にそういう修正を行って本当に参入が増えるかどうかは、また別の問題としてあるのかなとは考えますが。
○宮野安全衛生部長 いまご議論いただいた点ですけれども、少なくとも、まずこの登録制度自体は、指定制度自体は例えば試験制度のように、さすがにこれがある試験を2箇所、3箇所の機関でやるのはおかしいということで、これを特定の1つの機関に限って指定をしている。一方、登録制度のほうは、必ずしも1つの機関で実施しなければならないということで、複数の機関を登録するということを想定しておりますし、また既に今日ヒアリングに来ていただいたように、この登録制度自体については、公益的な団体も、あるいは民間企業も含めて実証していただける仕組みになっている。そういう意味で言えば、形式的には公益か非公益かについて言えば、この法律の仕組みとしては、もうクリアをしているという考え方だろうと思います。ただ後は、実際になるべくたくさんの団体、企業が参入すべきであるという点について言えば、これは今日もご議論がありましたように、ある意味、非常に狭い市場の中で、特にその中でも非常に特殊なものについて言えば、通常の民間の企業がわざわざ手を挙げて参入するかどうかという点に関して言えば、それは正直言って難しいものも多々あろうと思います。ただ、やはり少なくともご議論いただいて、見直すべきところは見直さなければならないなというのは、具体的に参入するかしないかは別にして、少なくとも客観的に見て、他の団体がどう考えても参入するに当たっての障壁になるようなものというのは、これは、やはり仕組みとしてはおかしいと思いますので、そういったものがあれば、それは見直していくということでご議論をいただくべきだろうと思います。これは、世上のいろいろな形で、例えば私ども国が行うようないろいろな委託事業の中で、どう考えても特定の一部の団体にしか落ちないような要件を作っている。そういうものは怪しからんではないかというようなご議論はいろいろありましたけれども、正にこれも同じような考え方になるかと思うのですが、いま申し上げたような形で、実際上は正直言って難しい部分はあると思いますけれども、少なくとも客観的に見て、参入を阻害するようなものがあれば、そこは見直しをするというようなことで、ご議論いただければと考えております。
○土橋座長 他にご意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ほぼ時間になっておりますので、次回以降、また論点整理ということで、追加のご意見がございましたら、またお願いしてということになるかと思います。
それでは、本日はここまでとしたいと思います。事務局側から、何かございますでしょうか。
○中山石綿対策室長 今日は、貴重なご意見をいただいたと思います。特に、今日の議論の中で、研修のところを、いま機械の構造とかが学科研修の中に入っているのですけれども、工学関係を出た方であればこういう知識があるだろうという想定のもとに作っていますので、そういった部分が例えば民間企業における業務経験等で、おそらく代替できるのではないかというふうなところも考えられますので、いずれにしても民間産業を促進するという中で、きちんと安全性にも配慮してという部分は外せないと思います。そういったバランスを取りながら次回事務局として、今日、具体的にあまり議論が出なかった粉じん系の較正事業のところでありますとか、もう1つ機械設備の要件なのですけれども、ここについても現在の通達ではリースでいいというところを明言していませんで、実はそういったリースでは駄目だというような縛りもつけてないのですけれども、そういったおそらく安全性には影響がないだろうというところも、民間参入を図るうえでは合理化して差し支えないと思いますので、そういった論点も盛り込んだ形で、骨子的なものをご提示させていただければと思っております。そういった準備もさせていただいた上で、次回のほうは、11月8日(火)17:30から、場所は厚生労働省の19階専用第23会議室ということで、お願いしたいと思っております。
本日は遅くまでお疲れさまでございました。
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