ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会)> 第13回ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会議事録
2011年10月11日 第13回ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会 議事録
医政局
○日時
平成23年10月11日(火)15:00-17:00
○場所
厚生労働省専用18-20会議室
○議題
1.専門委員会の開催について
2. 平成23年度ヒト幹細胞臨床研究調査業務について
3. ヒト幹細胞を用いた臨床研究の現状と課題について
4. その他
○議事
○谷室長 ただいまより第13回厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会を開催いたします。先生方にはお忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。議事に入ります前に、厚生労働省医政局研究開発振興課長の佐原よりご挨拶申し上げます。
○佐原課長 研究開発振興課長の佐原でございます。委員の先生方には、お忙しいところを本日お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本専門委員会では、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しの検討を行っていただきまして、平成22年11月に全部改正をすることができました。まず御礼を申し上げたいと思います。
今般の検討に当たりまして、いろいろな課題があると承知しております。例えば発症・受症後、短期間での移植が必要な、例えば脊髄損傷の方等への再生医療の応用を考えた場合に、移植可能な幹細胞を事前に保存しておくといった状況も想定する必要があるかと思います。また、公衆衛生学的な観点から、移植を受けた方のみならず、提供者の健康を守ることも必要でありますので、提供者への未知の感染症などの情報提供についても、検討が必要かと思います。その他、いろいろな検討課題があるかと思います。先生方におかれましては、是非この点について、いろいろとご議論いただきたいと思います。
また、いま文部科学省のヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針というものがございます。それから、諸外国の制度とも調整を図りながら、臨床応用のための多能性幹細胞の樹立と分配について、当委員会において、検討を行っていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○谷室長 続きまして、昨年より委員の変更がございました。今回は15名の先生方に委員をお願いしております。本日ご出席いただいている委員の方々を五十音順でご紹介させていただきます。
京都大学大学院法学研究科教授の位田隆一委員です。日本難病・疾病団体協議会代表の伊藤たてお委員です。独立行政法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所所長の高坂新一委員です。国立成育医療研究センター副研究所長の斎藤博久委員です。東京学芸大学教育学部准教授の佐藤雄一郎委員です。医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部第二室室長の佐藤陽治委員です。医薬品医療機器総合機構規格基準部部長の鹿野真弓委員です。慶應義塾大学医学部発生・分化生物学教授の須田年生委員です。名古屋大学大学院医学系血液腫瘍内科学教授の直江知樹委員です。東京大学大学院医学系研究科教授の永井良三委員です。京都大学iPS細胞研究所副所長の中畑龍俊委員です。理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長の西川伸一委員です。
本日は、大阪大学大学院医学系研究科教授の澤芳樹委員、上智大学大学院法学研究科教授の町野朔委員、読売新聞社編集局社会保障部記者の本田麻由美委員については、ご欠席の連絡をいただいております。
本日は15名の委員のうち、現状12名の出席になっていますので、本会議は成立しておりますことをご報告いたします。また、本日は、オブザーバーとして4名の先生方にお願いしておりますが、2名のご出席となっています。東京大学医科学研究所の中内啓光教授です。東京医科歯科大学細胞治療センターの森尾友宏センター長です。オブザーバーとして、東京大学医科学研究所の武藤香織准教授、富山県衛生研究所の佐多徹太郎所長にご出席をお願いしているところですが、本日は多忙のため欠席の連絡が入っております。
また、参考人として、平成22年度、厚生労働科学研究費補助金、厚生労働科学研究特別研究事業の「胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)及び体性幹細胞の樹立及び分配に関する指針策定のための調査研究」の研究代表者であり先端医療振興財団の再生医療研究開発部門の部門長補佐の松山晃文先生にもご参加いただいております。
続いて、事務局のご紹介をさせていただきます。医政局研究開発振興課長の佐原康之です。ヒト幹細胞臨床研究対策専門官の今井浩二郎です。ヒト幹細胞臨床研究対策専門官の岡田潔です。再生医療研究係長の池田有希です。私は司会進行を務めさせていただきます谷伸悦です。よろしくお願いいたします。
さて、昨年に引き続きまして、座長は永井先生にお願いすることとなっております。ここからは座長にお願いいたします。
○永井座長 座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。まず、事務局から本日の資料の説明をお願いいたします。
○谷室長 お手元の資料をご覧ください。議事次第、座席表、委員名簿と続いております。配付資料は1~3の3つと、参考資料がございます。資料1「ヒト胚性幹細胞等のヒト幹細胞の樹立と分配に関する検討について」、資料2「平成23年度ヒト幹細胞臨床研究調査業務」、資料3「平成22年度 厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学研究費特別研究事業 国民意識調査結果」となっています。参考資料は1~14がございます。参考資料は内容が多くなっておりますので、詳細な説明は割愛させていただきます。過不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
○永井座長 議事に入ります。まず、事務局から専門委員会の開催趣旨等についてのご説明をお願いいたします。
○谷室長 資料1です。こちらは平成23年3月7日の厚生科学審議会科学技術部会で了解いただきましたときの資料をお配りしております。今回の議事の趣旨についてですが、1「検討の趣旨」として、ヒト幹細胞を用いた臨床研究の適正な実施を目的として、平成18年7月に「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」を策定し、研究の進展等をうけ、平成22年11月に全部改正を行ったところです。
ヒト幹指針の改正により、採取、調製及び移植又は投与の過程を複数研究機関で実施する場合の規定を設けたところですが、樹立と分配に対する規定は設けていないのが現状です。ヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)の樹立と分配に関しては、文部科学省において「ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針」が作成されているところですが、基礎研究に係る事項のみを定めていることから、臨床研究で必要不可欠となる安全性、品質性については、規定されていないのが現状です。このため、ヒトES細胞を含むヒト幹細胞の樹立と分配に関する検討を本委員会でお願いしたいと思っております。
「検討課題等」については2.です。臨床研究での使用を前提とした、ヒトES細胞を含むヒト幹細胞の樹立と分配に関する倫理性、安全性、品質等の観点から検討を行い、平成23年度中を目途に一定の結論をまとめるとしております。
「検討組織」においては、ヒト幹細胞の改正を目的とした平成20年に設置された本委員会、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に係る指針の見直しに関する専門委員会」において検討を行うこととしております。なお、必要に応じて科学技術部会の会長の指名を得て、構成員の見直しを行うということで、今回のメンバーとなりました。
「その他」として、「ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針」、文部科学省が提出している指針ですが、こちらとの整合性を留意しながら議論をまとめるということになっております。以上です。
○永井座長 幹細胞を用いた臨床研究の現状と課題についての検討を始めます。昨年、厚生労働科学研究費補助 特別研究事業で実施した、ヒト幹細胞臨床研究に係る国民意識調査の結果があります。研究代表をされた松山参考人から、研究の結果についてご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○松山参考人 資料3の後半部分の「平成22年度 厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学研究特別研究事業 国民意識調査に関する研究」の部分をご報告させていただきます。研究分担者としましては、順天堂大学医学部公衆衛生学教室の堀口先生、国立感染症研究所感染症情報センターの重松先生にお願いしました。
「研究要旨」を読み上げます。ES細胞、iPS細胞、体性幹細胞などを用いた再生医療の臨床研究に対する国民の意識を把握するための初回調査を行いました。5,000人を対象に、WEB上で質問調査をデザインし、実施したところです。平均年齢は40.5歳、男性2,683人、女性2,445人、合計5,128人から回答を得たところです。
結果として、積極的な研究への参加意思をお示ししてくださった方々が4分の1、25%ほどであり、全体で8割の方々に参加意向が認められました。通常の臨床研究への参加ですと、2から3割ぐらいの方が参加意向を示されるということですが、昨今再生医療に関する国民の期待、希望が高まっているという現状もあると思うのですが、かなりの方々が細胞を提供する、あるいはこれら研究に参加したいというご意向を示してくださいました。
相互にかかわり合いがあると考えられている提供者や患者の健康に関する情報の提供については、90%が必要と考えておられました。これは、例えば細胞を提供された方が、提供後10年後にパーキンソン病を発症したという場合に、その細胞を使ってパーキンソン病の治療を受けられた患者にその情報を伝えるべきかどうかということを考えたときに、それは患者の立場としては知りたいのではないかというご議論がありました。一方で、この調査対象の方々というのは、健康な方を対象にしておられますので、もう少し詳細な調査が必要になるかもしれないと思います。
一方、「提供者が不明の細胞を利用することをやむを得ない」とした方が46%です。これは例えば、現状の胚性幹細胞を用いて臨床研究等を実施する場合に、どうしてもその方々の情報は得にくい。そういうものを使っても大丈夫ですかということであって、ほぼ46%の方が「やむを得ない」というご回答をしてくださいました。
今後、臨床研究の開始の前に、情報管理と情報共有の仕組みを考え、検討が必要であって、この調査結果には今後の情報提供のあり方、臨床研究の指針の作成に当たり、参考となる知見が含まれるということです。詳細に関しては、後ろに付いているデータを見ていただければありがたいと思います。以上です。
○永井座長 資料2の説明はよろしいですか。
○谷室長 資料2「平成23年度ヒト幹細胞臨床研究調査業務」についてご報告です。毎年この調査を行っているところですが、今年については、入札により三菱化学テクノリサーチが落札しました。調査目的は、海外におけるヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)等の樹立と分配に関する調査を行い、厚生科学審議会科学技術部会「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会」において、平成23年度から開始するヒトES細胞等の樹立と分配に関する検討のために必要な情報を収集することです。
調査としては、海外におけるヒトES細胞等の樹立と分配に関する調査です。対象国はOECDの加盟国、ロシア、中国、台湾、シンガポール、インドで、基本的にはWEBのようなものを対象として調査を行っていくとしております。調査のため調査委員会を設置し、受託業者は、事務局として調査委員会の庶務を行うこととしております。
主な調査項目としては丸4です。「臨床に用いることが可能なヒト幹細胞等の樹立、分配に係るガイドラインの有無」「樹立又は分配のための手続き(国への申請手続き等)」「使用してよい胚の範囲」「インフォームド・コンセント」「同意撤回権」「ガイドライン施行前に樹立されたヒト幹細胞等の扱い」「海外で樹立されたヒト幹細胞等の扱い」「国内で樹立したヒト幹細胞等の輸出」「個人情報の保護」「その他」です。
また、米国、英国、フランス、ドイツ、韓国等において、樹立機関を訪問し、実際に聞き取りを含めた調査を行うこととしております。
調査内容としては、どこまで可能かはわかりませんが、CPCの図面等をご提供いただけるようであればそういったもの、あとはCPCの運用に対する人員、教育・研修制度等、あと樹立及び分配の手続きなどについて調査を行うとしております。
調査の期間については、平成24年3月30日までにこちらに提出ということですので、調査結果について、こちらの委員会にはご報告したいと考えております。以上です。
○永井座長 いまの事務局からの説明、松山参考人の説明に関して、ご質問、ご意見等はいかがでしょうか。
○西川委員 調査を依頼された話ですが、実際にはInternational Stem Cell Forumという、いまは20カ国ぐらいの2年に1回集まる会で、それぞれWEB siteにも、英語に訳したガイドラインなどが日本も含めてアップロードされていものがあるので、あまり苦労しないで済みます。あと、窓口はそこを通じると、最も然るべき人にコネクションできます。せっかく日本もお金を払っているのですから、そういうものもどんどん使われたらいいのではないかと思います。
○永井座長 そのほかにいかがでしょうか。
○位田委員 樹立機関の調査ということですが、西川先生はよくご存じだと思いますが、ライセンスを出す機関が別というか、国の側にあるので、そちらも調査をしないと、樹立機関だけの調査では全部が出てこないかなという気がします。
○西川委員 実際には、ES細胞を使って何かをやろう、あるいは実際に何かをやっているということでいうと、基本的にはアメリカとイギリスですから、そこを中心に。それから、ドイツ、フランスは、少なくとも樹立もしたことはないし、ドイツではもう一度揺り返しがあって、ES細胞に関してはかなり厳しくなってきています。セレクションに関していうと、米国、英国をしっかりと見ていただければいいのではないかと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。
○佐藤(雄)委員 この委員会の検討課題ともかかわるのですが、「ヒトES細胞等」となっているのは、ヒトES細胞がメインで、そのほかの多能性の幹細胞はサブとしての扱いなのか、あるいは、ほかのものを同じぐらいの重みづけをもってやるというところはいかがなのでしょうか。
○谷室長 この場合の「等」については、特に倫理問題を多く含んでいるということで、ヒトES細胞をピックアップして例示としておりますが、iPS細胞に代表されるような、人のゲノムがすべて入っているといったようなものについても、違う観点からの議論が当然必要になってくるということと、作業工程が非常に多くなりますので、その間にコンタミが起こりやすいというリスクもありますので、そこは種類の違った切り口ではありますが、同様の扱いをしておかないと、ESだけが厳格になっていて、iPS等だけがあまり規定がないということになると、そこはのちのちの問題の原因になる可能性があるので、こういった表現をさせていただいた次第です。
○永井座長 よろしいでしょうか。
○須田委員 調査内容についてですが、ここではCPCの図面とか運営と書いてありますが、これは極めて具体的なことで、ここでどのようなことを知りたいのかを明らかにしたほうがいいのではないかと思います。むしろ丸4の主な調査項目にあるのは、全部重要な課題だと思うので、そうした場合、CPCを見学しているよりは、行政を担当される人に直接インタビューしたほうが有益な情報が得られるのではないかと思います。
○永井座長 いかがでしょうか、それはある程度アレンジすることはできるのでしょうか。
○谷室長 すべてについて同程度の調査というよりも、予算的に制約もありますので、訪問国についてもある程度限定が必要になってくると思いますし、調査内容についても、CPCの図面というと公開されない場合、セキュリティ上の問題もありますので、そこについては参考程度として、実際に手続き部分についての調査を拡充することは可能かと思います。
○位田委員 私は去年、IRBの調査に行ったのですが、実地調査を樹立機関に行かれるのと、先ほど申し上げたライセンス機関もしくは国のまとめる機関に行かれるのとでは、質問なり調査項目が全く違うと思うので、少し整理して行かれたほうがいいと思います。
それから、西川委員がおっしゃったように、いろいろなガイドラインはほとんどインターネットで落とせますし、手続きもはっきりとわかりますので、かなりターゲットを絞った質問を持って行かないと、そこから先に話がいかないのではないかと思います。
しばしばあるのは、訪問すると、向こうからインターネットの資料を全部プリントアウトをして持ってきて、このようなものがあるよと見せられるケースが多いので、それだと時間とお金の無駄ですから、CPCだったらCPCであらかじめそのことを依頼して行かないと、無駄足になるところもあるかと思います。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○中畑委員 CPCも樹立するということでは非常に大事で、安全面ということでは大事な点だと思うのですが、そこに含まれる項目を調査しないと、施設を見ただけではあまり意味がないです。実際に人に使うES細胞として、フィーダ細胞を使っているのか使っていないのか、使うとするとどの範囲が許されているのか。アメリカは、血清を使っても仕方がないというのもありますが、血清をもし使うとしたら、そのときの1つの基準ですね、どういった血清であれば使用していいのか。そのほかたくさんあると思うのですが、具体的な内容をしっかり詰めて、そういったことを調査項目に含めていかないと。ただ見てきたというだけでは意味がないと思います。
それと、過去に樹立されたES細胞をクリーンアップして使うことが、実際にあるのかないのか。そこは私もよくわからないのですが、もしそういったことがあるとすると、インフォームド・コンセントの取り直しになるわけですが、インフォームド・コンセントの取り直しということが許されることなのか、それに対してどのような考え方を持っているのかも含めて、調査していただければと思います。
○佐藤(陽)委員 いろいろとガイドラインの有無に関する調査ということなのですが、まず、この委員会が、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する委員会であることに留意していただいて、調査の中でも、例えばES細胞あるいはiPS細胞を使った非臨床試験あるいは創薬へのための応用といったときのバンキングのやり方も、彼らはやっているはずなので、それらとは区別して、最終的なゴールを思考して、そこから見た場合の樹立の指針、ガイドライン、分配のやり方という形で見ていっていただいたほうがよろしいかと思います。
○永井座長 ほかにご意見はございますか。先ほど、アメリカ、イギリス中心がよかろうということでしたが、ドイツ、フランスとの違いをよく調べておく必要はないでしょうか。実態は、進んでいるのはイギリス、アメリカということで、ドイツ、フランスはどのような点が慎重になっているかという点も知りたいように思いますが。
○西川委員 ドイツ自体は、いろいろなガイドラインあるいはいろいろな議論は、iPSではなくESから始まっているわけで、そのESのスタート時点で、ドイツは基本的には完全拒否で、国では樹立させないと。ただ、かなり強い要求が研究者から出て、ボン大学に、最終的には輸入の、しかもアメリカのガイドラインを満たすものとして始まったという経緯があって、そのあとiPSがくるわけです。
ですから、ドイツとしても、基本的にiPS自体はほとんど問題ないということで、いま研究は進んでいますが、取組みとして、どうしても腰が引けるのではないかと私は思います。
この前もISCFに行っているのですが、ドイツの人はそれほどポジティブではないです。例えばいちばん最初にES細胞の申請をしたオリバーブリステルなどは、ケンブリッジはうんと違ったということで、かなり難しいです。フランスはいま結構オープンなのですが、これをやっているポピュレーションが、あまりないです。ですから、基本的にはイギリス、アメリカで、実際に行われよう、あるいは行われていますから、どこでいちばん情報が得られるかとなれば、例えばアメリカであればFDAだし、完全に把握していますから。CPCだって決して隠すものではなくて、レギュレーションのところでしっかりと把握しているわけですから、そことの対話でやっていけば、十分に状況は把握できるのではないかと思います。ドイツ・フランスは、もともと遅れていると思ったらいいのではないでしょうか。
○永井座長 ほかにご意見、ご質問はございませんでしょうか。
○直江委員 この委員会のテーマともかかわるのですが、先ほどの研究調査業務の丸4を見ますと、ほとんどが倫理的側面のことのように思うのです。これは科学的な妥当性、安全性も調査項目に入ってくるのでしょうか。つまり、この委員会全体としては、どのように科学的あるいは倫理的に臨床研究を進めていくのか、そのための全体的な調査業務と考えるのか、それとも今回は倫理的な面に限ってということなのか、その辺はどうなのでしょうか。
○永井座長 これはある程度の科学的妥当性は押さえないといけないわけですが、いかがでしょうか。
○谷室長 科学的妥当性というのは、倫理面については当然ESを含んでいるということもありますが、科学的な部分については、本委員会の目的として、品質、安全性が項目として入ってきていますので、当然、品質、安全性がある程度担保された上で医療に用いられることが必要になってきます。特に臨床研究ですので、人に用いることを前提と考えたときには、当然そういった部分も含まれた状態プラス倫理性という項目になってくるかと思っております。
○直江委員 特に私は素人なものですから、そういうことも我々に教えていただければと思います。ありがとうございました。
○位田委員 倫理問題については、ES細胞のほうはみんなはっきりしていて、ほとんど片がついているので、調査する必要はあまりないのだろうと思います。iPS細胞のほうは、少なくとも樹立のところでは倫理問題がないですし、基本的に多能性で生殖細胞を認めるかどうかという問題はありますが、現実に各国でやられているのは、幹細胞研究もしくは幹細胞を用いた臨床研究という形でやられていて、必ずしも日本みたいに、ESとiPSと、それ以外の体性幹細胞と分けて議論しているわけではないと思います。少なくとも、手続き的にもそのようにはなっていないと私は把握しておりますので、その辺はあまり倫理的な問題よりは、むしろ安全性、有効性の問題に絞ったほうが、この委員会のための調査という点でもいいのではないかと思います。
それから、ドイツは中心機関が、ロベルト・コッホ研究所に委員会があって、そこが国の多能性幹細胞の研究を全部把握しています。フランスはフランスでパリから少し出た所にライセンス機関がありまして、そこへ行けば全部わかりますので、そこの2つに行けば、フランスとドイツのことはわかると思います。むしろフランスなどの話を聞くと、いままでESができなかったこともあって、体性幹細胞が多いです。ドイツはドイツで、ブリュストレさんがいろいろな物議を醸し出しましたが、それ以外にもやっている方は何人かおられる。それも全部中央機関で把握しているので、正面からスパッと行かないと、無駄足を踏むかなという気はします。
○永井座長 そのほかにはいかがでしょうか。
○中畑委員 最終的に、ES細胞を使った臨床が日本で行われるということになるわけです。いま実際に行われているアメリカでの非臨床、前臨床の段階で、どういった項目を要求しているのか。例えば造腫瘍性として免疫不全の動物に移植するわけですが、それがどういったことからマウスを使った、例えば非常に多い例に移植をしてチェックをしているわけですが、その辺の彼らの考え方ですね。実際に日本で臨床を行うときの前提となりますので、1つのデスカッションの材料になりますので。聞いてもよくわかってこないので、正式なルートで聞いて、こういったものを、臨床に移る前の動物実験としてはこういうことで要求しているのだということがしっかりとわかれば、非常にありがたいと思いますので、難しいかもしれませんがよろしくお願いいたします。
○佐藤(陽)委員 追加ですが、(1)の丸4の「主な調査項目」のところで、ガイドラインがある場合というお話があったのですが、海外では日本のように、治験と臨床研究のような、研究と商業的な利用といった枠組みの違いというのはないのです。そうしたときに、彼らがインフォームド・コンセントを受けるときに、最終的な研究目的、基礎研究の目的として取るのか、臨床研究目的として取るのか、あるいは商業利用を目的として取るのかという違いによる国民の意識のハードルの高さの違い、研究に使うのならいいけれども商業利用はどうかといったときの国民の意識、それらに対してどういった規制当局の対応があるのかといったところも、日本としては治験と臨床研究の違いがあって、そこが大きなハードルになるので、そういったところも調べていただくと、日本の薬事あるいは臨床研究の中で情報を活かしていけるのではないかと思います。
○永井座長 そのほかにいかがでしょうか。
○鹿野委員 いまの佐藤先生のご意見の追加ですが、我々、医薬品医療機器総合機構では、いわゆる薬事の申請を扱っています。ですので、臨床研究とは普通は一線を画するような立場なのですが、ESの場合は、一旦樹立されて、いろいろなデータが取られる、それがさらに商品開発に応用されるケースが必ず出てくると思います。そうでないと、新たに樹立し直してデータを取り直すというのは、非常に効率が悪いです。
そうしますと、将来的な、そういう広い範囲での利用が想定されることを前提に、それを視野に入れて情報収集してきていただければと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。関係する議論はこれからもなされると思いますが、これまでのところを総合しまして、ヒト幹細胞を用いた臨床研究の現状と課題について、特にヒトES細胞等の樹立と分配に関連する議論が必要であろうということで、少しご意見をいただきたいと思います。先ほど佐原課長のお話にもありましたが、個人情報との連結性あるいは倫理性の確保について検討が必要であろうということで、委員の皆様からいまの点を中心にご意見を伺えればと思います。大きく見れば、臨床研究の現状と課題、しかしより特化した形では、ヒトES細胞等の樹立と分配、この辺りの議論を深めたいということです。いかがでしょうか。
○佐藤(陽)委員 樹立と分配という形ですが、いま現在文科省のESの指針ですと、明文化はしていないのですが、実質的に連結不可能な匿名化という形になっています。ですが、ES細胞を使った医療、製品の製造といったことを考えていった場合、安全性の確保あるいはリスクマネジメントという視点から考えていきますと、どうしてもトレーサビリティの確保といったところで、連結可能な匿名化が必要になってくるのではないかと思います。
調べたのですが、文科省で平成22年の3月26日に、「ヒトES細胞にかかわる匿名化の考え方について」ということが出ていまして、そこでそういったこともあるのではないか。例えば「提供者にかかわる感染症等の既往歴、その他の医療情報を必要とする場合は、連結可能匿名化が行われることが考えられる」というようなことを述べておりまして、想定されておりますので、ここの会議の場で、どのように人権を保護しながら連結可能匿名化をしていくのかといった方法論を議論していったほうがいいのではないかと考えます。
○斎藤委員 国立成育医療研究センターの斎藤でございます。ご存じかと思いますが、昨年、国立成育医療研究センターでヒトES細胞3株を樹立しました。私自身はそのプロジェクトには参画していませんが、ES細胞の倫理委員会に任命されておりました。倫理委員会が発足したのが2005年で、2007年に文部科学大臣の確認を受け、その後提供機関等を増やして、昨年3株樹立したという経緯がありますが、その時点で連結不可能匿名化に、物理的な処理で行っております。
物理的な処理と言いますのは、受精胚の提供機関から複数の胚の提供を受けて、それぞれ連結不可能匿名化を行うというか、個人情報は一切なしで受け取って、それを関連づけずに培養して樹立した細胞というのがそのうちの一部ですので、これは戻ろうにも戻れないということです。
少し議論が外れてしまうかもしれませんが、先ほど中畑先生からも、諸外国の事情を知りたいということがありましたが、私どもの樹立したヒトES細胞というのは、人のフィーダセルを使っておりまして、動物由来の血清等は一切使っていませんので、そのまま臨床応用に使えるような質は持っているのであろうと考えております。ただし、これまでの倫理審査の過程で、説明書には「人体に使用する」「治療に使用する」というような文言は一切書かれておりません。
したがいまして、もちろん倫理指針に完全に則って、研究補助員を含めて、生命の萌芽の滅失に関しての見識というか、そういうことも審査しましたし、完全に倫理指針に則って行っておりますが、今後もし技術的に治療応用が可能になった場合に、また新たに生命の萌芽を滅失させて、同意を取り直して、ES細胞を樹立するほうが倫理的なのか、あるいはいま樹立しているES細胞をパブリックに情報を公開して、それで使用するほうが倫理的なのかという問題があると思いますので、この委員会で是非ご検討いただければと思っております。以上です。
○佐藤(陽)委員 先ほど連結可能匿名化の話をさせていただいたのですが、平成20年から平成22年度まで、別の厚生労働科学研究費補助金で、近畿大学の早川先生をリーダーとしたヒト幹細胞を用いた細胞組織加工医薬品等の品質・安全性確保に関する研究班というものがありまして、そこで、薬事の面から見た「ヒトES細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針(案)」というものが出ております。研究班の最終案が、再生医療学会の学会誌の8月号に公表されています。そこでは、先ほど斎藤委員がおっしゃったように、すでに樹立されているES細胞の安全性確保についてどうやったらいいのかといった方法論の試案が出ております。
それから、先ほど連結可能匿名化が必要なのではないかと申し上げたのは、新たに樹立していくときにはどうしても必要になってくるのではないかということです。その辺は2つ状況が考えられまして、すでに樹立されたES細胞をどのように扱っていくのかと、これから樹立されていくES細胞をどうやって扱っていくのかを分けて考えていったほうがいいのではないかと思います。追加です。
○永井座長 ほかにございますか。
○高坂委員 いままでのご意見を伺っていて、いちばんこの委員会でやらなければいけないポイントは、いま斎藤委員がおっしゃった点だろうと思います。というのは、前回の平成22年11月1日の全面改正のときに、我々は臨床研究指針の改正と、131号の改正に伴う不都合な点を改正すると。それに合わせて、iPSが使えるかどうかが議論されたはずなのです。
そのときに、安全性の問題については、相当突っ込んだ議論をした記憶がありまして、それにもかかわらずiPSは使用可能な状況になっていると思います。
これは専門の先生はおわかりのように、安全性ということからすると、ES細胞のほうがiPSよりも深刻な状況は生まれづらいところはあるのだろうと思います。それににもかかわらず、前回の改正のときにiPSが許可されて、ESを後回しにしたという理由というのは、斎藤委員がおっしゃったことで、人の萌芽を滅して作ったものを次々と樹立して、それを臨床研究に持っていっていいのかどうかという点に、いちばん引っ掛かりがあったのだろうと思うのです。
ですから、それはこの委員会できっちりと、基礎研究に使われている文科省で、そこで一応許可しているわけですから、それを臨床研究あるいは臨床応用に展開していくことがいいのか悪いのかを、まず基本的なコンセンサスを得て、それからESについては安全性等もやるにせよ、いちばん大切なのは、そのあとはインフォームド・コンセントをいかに取るかという点、それから連結可能匿名化にいかにできるかということがポイントになると思うので、そういったステップでこの委員会では議論を進めていっていただければいいのかなと思います。
あくまでも、前回の委員会のときのような、安全性という非常に突っ込んだ議論をもう一遍繰り返しても、あまり生産性がないと思います。
○永井座長 そのほかにございますか。
○西川委員 今年から再生医療の実現化ハイウェイというものが走って、斎藤先生の研究所からも、すでにES細胞を用いた、しかしかなりよく考えられたチャレンジングな研究課題が提案されて、採択されているのです。高坂先生も、みんな一緒に審査しましたが、そこが解決されれば十分に短い期間で臨床に持っていけるという段階まできているので、ハイウェイをあずかる身としては、是非その点について、早急にいろいろな形で議論をしていただくと。インフォームド・コンセントが取れていないというのが、いまのところのいちばんの問題ですので、せっかくすべての準備が整っているにもかかわらず、ICだけの問題が引っ掛かって、1から待つという形になると思いますから、それではハイウェイとしても、サポートしてくるという意味で、何か梯子を外されたような感じになりますので、是非そこは議論を集中してやっていただきたいという感じがします。
○中畑委員 私だけでなく多くの人が考えてきたことだと思うのですが、いまES細胞は研究に使うというインフォームド・コンセントの下に作られたES細胞であると。そのES細胞を実際に患者に使うというインフォームド・コンセントは取られていないわけで、それを、また提供していただいたご家族に戻って、もう1回インフォームド・コンセントを取り直すということが倫理的に許されることなのかどうか、その辺は倫理の専門の先生に。どのように考えていいかどうかずっとわからなかったのですが、そういったこと自身が許されることなのかどうか。すでに樹立されて、研究に使われている細胞を今度は臨床に用いていいかどうかということを。それは最初にインフォームド・コンセントを取った時点と現在でだいぶ違うわけです。そういう、いろいろとバックグラウンドが違う中で、インフォームド・コンセントを振り返って取り直すということが、倫理的に許されることなのかどうか。それを是非専門の先生に教えていただきたいと思うのです。
○位田委員 中畑先生の疑問はよくわかるのですが、逆に言えば、インフォームド・コンセントも取っていないのに臨床に使っていいのかというのも、その反対側の質問だと思うのです。どちらのほうが、より倫理的であるかというと、私は、何も教えてもらっていないのに勝手に使われるというほうが、倫理上は問題が大きいと思います。
AさんならAさん、もしくはAさんとBさんのカップルにたどり着けるのであれば、インフォームド・コンセントが取れるということになれば、取らないといけないのだろうと思います。それは原則だと私は思っております。いろいろとご意見もあろうかと思いますが、その質問に対しては、私はそのように考えます。そうでなければ、インフォームド・コンセントを一旦取っておいて、研究が進んできて、いろいろなことができるようになったから、もう1回戻ってご本人にインフォームド・コンセントを取らなくても、何にでも使えることになってしまいますから、倫理的にはそちらのほうが問題は大きいだろうと思います。
○中畑委員 患者に、臨床に使うというインフォームド・コンセントなしにES細胞を臨床に使うということは、先生のおっしゃるようにまずいことではないかと思います。当然それらを前提としたことです。
その場合に、これから作るES細胞については、その辺までを十分に含めたインフォームド・コンセントを取って、最初から樹立するということで解決されると思うのですが、すでにあるES細胞を臨床に使うというとき、そのバックにあるいろいろな倫理的な問題ということで、議論を分けて考える必要があると思うのです。
○斎藤委員 いまのご議論というのが、連結可能匿名化で樹立されたヒトES細胞に関する議論になっていると思います。私どもでは連結不化能匿名化を行っておりまして、1対1でインフォームド・コンセントを取ることは完全に不可能であります。ですので、こういう研究に使うという情報を当事者に伝えるといった場合のオプションとしては、提供施設の、不妊治療を受けて、廃棄予定になった胚を提供した方すべてに、1対1対応ではないのですが、このような研究に使いますが、あなたの提供してくださった胚がひょっとしたらそれに入るかもしれない。それに対して同意をいただきたいということになろうかと思いますが、そういうことは現実的には可能だと思います。
○西川委員 斎藤先生、それはわりと前のときに議論しているのです。ですから、全員がイエスの場合は、もう一度ここで議論すればあり得るかもしれません。
位田委員がおっしゃるように、インフォームド・コンセントなしにやってはいけない。現在、すぐにもう一度ES細胞を使いたいと思われる場合は、最初から取り直した部分で、いまのバッチとは全然別に、連結不可能でもいいですから、取れたもの自体に関してプールして、連結不可能にすることが許されるかどうかという議論です。もう一つは、もう一度全員に戻って、全員のagreeが得られるかどうか。それはテクニカルな問題です。最終的に、もう一つ、前も問題提起したのが、例えばアジアであれば韓国やシンガポールでは、インフォームド・コンセントが再生医療で取られていてという細胞がたくさんありますから、そういうものが使われる。この3つぐらいしかないです。
ただ、今後のスムーズな問題を考えるのに、例えば匿名化が本当に必要か、あるいは連結不可能が必要か。斎藤委員がおっしゃるように、いろいろな有害事象がその方そのものに出てくる心配があるということで、そこは普通の議論としてやったらいいということだと思います。
○位田委員 ちょっとこの問題は整理して議論をしないといけないでしょう。全部に対してインフォームド・コンセントある、なしで判断するということではなくて、もともとES細胞の研究をやり始めたときに、まず基礎研究からやりますということが前提だったので、2001年にES細胞の研究指針を作ったときには、臨床に使うという話は、おそらくほとんど出てこなかった。将来的に、例えば10年、20年すればあるかもしれないけれども、そこはちょっとそのあとに考えて、とりあえず基礎研究をやりたいということで始まりましたので、基礎研究であれば連結可能にする必要はない。要するにヒトのES細胞だということがわかればいいから、連結不可能にして、そのときはどなたかから受精卵をいただくのだという非常に大きな倫理問題がありました。だから、できるだけ提供者と切って基礎研究をやっていただこうということで、もともと文部科学省の指針はできたわけです。
そういう意味では、これまで基礎研究に限定して考えてきたのを、今度は臨床研究に使うというときに、同じコンセプトでやっていいのかということが、いちばん問題なのだろうと思うのです。基礎研究であれば、誰かのものであればいいわけで、誰のものということは必要ないのですが、臨床研究にするときには連結可能にしないと、いろいろな問題が発生しますから、当然、臨床研究にするのであれば連結可能匿名化でないと無理だと、私は基本的には思っています。これからいただく受精卵については、そういうことを前提に話をして同意をとる。しかし、基礎研究に使うといっていただいたものについては、やはり基礎研究止まりでしかできないと思うのです。そうでないと自己決定権というのは否定されてしまいますから、それはやはり問題がある。
難しいのは、1つは、臨床と基礎は一応いままで分けていたので、今度は仮に基礎で使うとしても、臨床にも使うのですよという形で、今後はすべてについて連結可能匿名化にしますという方針を立てるのであれば、それはそれで私は一貫したやり方なのだろうと思っているのです。どういう条件を付けるかは、また話は別ですが。
もう1つは、ずっと以前からESはバンクを作って、HLAタイプを合わせてそれを使うという話があったのと、同時にクローン胚からのES細胞を作るという話があったわけですよね。それはいまどのようになっているのかという点を、私はむしろサイエンティストの先生方にお聞きしたい。先ほど委員長が個人情報の保護という観点からとおっしゃったのですが、ES細胞の場合にはどのカップルかというのは必ずしも特定できないと思うのです。要するに2人から精子と卵子が来ているわけですから、Aさん、Bさんというのは特定しようと思っても特定できないのですが、クローン胚からのESというのは、体細胞の提供者の個人情報がそのまま入ってESになりますから、そこの部分については、個人情報の保護は通常の受精卵からのESとは少し違うのだろうと思います。
他方で、iPS細胞は体細胞ですから、Aさんの体細胞を使ってiPS細胞を作る場合には、当然クローン胚からのESと同じように、Aさんの個人情報がそのまま全部入ってしまう。それを使い続ける以上は、それが未来永劫に残ってしまう。そうすると、臨床研究のときにどの幹細胞を使うのかということによって、対応を少し変えていかないと難しいのではないかと、思っています。
先ほどハイウェイとおっしゃったのですが、いったいどこを進めていこうとされているのか、そこの現状というか、文部科学省式の言葉で言えば、第1種樹立のESと第2種樹立のESとiPS細胞と、3つあるわけです。それぞれについて、同じ形のインフォームド・コンセントでいいのか、もしくは個人情報の保護というのでいいのか。それとも、Aさんの個人情報が入っていくのはクローンとiPSでしょうから、それと受精卵からのESとは変えたほうがいいのか。その辺のサイエンティフィックな面について、ちょっとお話をお聞かせいただければと思います。
○西川委員 ハイウェイで特別にそれを条件にしているわけではないですが、基本的にはいまおっしゃったように区別して考えざるを得ない。最終的には、自分のものを自分からバンキングに至るまで、ある程度カバーして考えて審査をしています。ただ、バンキングに関しては、直接いますぐにベッドサイドに持っていくという例ではないので、いまおっしゃったすべてのゲノムの情報が入った、しかも未来永劫それが維持されるものについてのインフォームド・コンセントのあり方は、バンキングという形で別に考えていただこうと思っています。
それよりは、このハイウェイというのは比較的短い期間、すなわち、いままでも再生医学に役に立つ、役に立つという話で、ずっと10年来ているわけですが、レギュレーションの問題で駄目ですという話でうまくいっていなかったものを、ちゃんとレギュレーションと連携し、今日は伊藤委員も来ていただいていますが、しかもその中に患者さんと一緒に話をしながら、本当にできるか、できないかということを短い期間で見極める。そのためのどんな条件が必要かということですから、ES細胞も、初めはES細胞というのはかなりハードルが高いのではないかと思ったのですが、ほとんどの審査委員のアグリーメントを得られるぐらいチャレンジングな、もうこれは発表されていますから、提案が成育のほうから出ています。ですから、こういうものをすべて一つひとつ、いまおっしゃったようにどういうICであるかということも、今日ここに松山先生もおられますが、しっかりと区別して、一つひとつに合わせて決めていってもらって、もちろんここでもどんどん報告しますし、とにかく早くもっていくということがポイントです。おっしゃるように、1つのスタンダードで全部できることは絶対ないということですから、この3つのいろいろな種類に関しては、ここで実際にやりながら、皆さんにこのようにやっているというのが言えることがいちばん正しいやり方かなとは思っています。
○伊藤委員 折角名前を言っていただいたので、分かることと分からないことがありましたので、質問を含めてお話したいと思います。私たちは患者団体ですので、特にこういう学問的なことに詳しいわけでも、法律に詳しいわけでも全くなくて、先生がおっしゃるように、こういう方法があって社会に寄与するということを説明されて、真摯に研究を進められている先生方からお話されれば、ほとんどの患者さんは協力しましょうというのは、全くそのとおりだと思うのです。
ただ、もしも申し添えるとしたら、私たちの体験からなのですが、本当にこの難しい話をわかって同意したかどうかというのはちょっとわからなくて、そこのところの保証というか、担保をもう少し丁寧にする方法はないだろうかという気はいたします。特に用語がわからないのと、いまはわかるけれども、その先というのは、わかる、わからないではなくて、想像できないのです。そこのところをどうされるかということが、先ほど言った次々と代を重ねていくことに、何かのたびにインフォームド・コンセントが必要かという議論の発端なのだろうと思うのです。
それから、私どものちょっとした懸念、あるいは質問なのですが、分配するときに必ず研究されている所はきちんとしたルートで届けられるし、わからないなどということはないのだろうけれども、人間の社会ですから、全く別なルートでどこかそれが漏れることはないのだろうか、漏れて流出することはないのだろうかというのが、ちょっとした懸念なのです。それをちょっとお聞きしたかった。
もう1つはこの樹立といいますか、必ず樹立にしろ分配にしろ、ルールに従わない人たちというのはたぶんいるのだと思うのです。先生方のように真剣に議論されているという方ばかりではなくて、必ず何かそういう方がいるといつも感じているのです。特に患者の立場で最近のいろいろな医学技術のことに接するにつれて、特に先端技術に接するにつれて、そういうことが多いということも見聞きいたします。たぶんこれもクローン胚のESなのだと思いますが、いま臨床で使われているというニュースも聞いているのですが、必ずそれにはどこかのCPCなり研究機関がかかわっているはずなのです。しかし、そこのところまではなかなか探れないということがあります。折角、真摯にこうやって検討し研究しているのに、そういう人も出てくるということについては、これは何かで規制することは可能なのかどうかということも、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○永井委員長 一通り、まず意見を言っていただいてから。高坂委員、よろしいですか。
○高坂委員 私の議論は戻ってしまうので、いまのご質問でやっていただいてよろしいです。
○斎藤委員 伊藤委員がおっしゃられたことは、私も常々痛感しております。まず、国立成育医療研究センターの中では、ES細胞、iPS細胞に対する認識といいますか、モチベーションは高まってはいるのですが、いろいろな患者さん、一般の方々、あるいはマスコミ等の方々と接触すると、かなり温度差を感じております。やはりアウトリーチ活動を積極的に行う。この委員会で議論すべき問題ではないのかもしれませんが、例えばこの委員会でやるとしたら、研究費の1割はアウトリーチ活動、あるいは教育活動に使用することとか、そのような活動をもう少し広めたほうがいいのではないかと常々思っております。例えば生命の萌芽の滅失といっても、説明すれば「ああ、そうなのか、それはいけなそうだな」とはわかってくださいますが、おそらくはローマ法王がそんなことを言っていたかもしれないという、そんな程度だと思うのです。欧米におけるような熱い議論というのは日本ではなく、そして指針で定められて、それを守ると、そういう状態であると考えております。そういうことではなくて、科学的なところを含めて、もう少しアウトリーチ活動、教育活動を行っていかなくてはいけないと考えています。
あと、個人情報が漏れる危険性はないのかということなのですが、個人情報をそれほど知りたいのかといいますと、それよりはゲノム配列すべて、もう解析できる技術が整いつつあるわけですから、そちらの情報のほうが役に立つと思いますので、研究者としてはそれほど知りたいものではないと考えております。
あと、議論が戻りますが、位田先生からのハイウェイのことに関してなのですが、私自身はその研究に携わっているわけではないので、お答えはできないのですが、ちょっと外れてもいいですか。クローン胚のお話が出ましたので、その点に関してです。クローン胚に関しては韓国の教授の問題もありまして、なかなか議論が進んでいないとは思うのですが、生命の萌芽の滅失のES細胞において、分割した胚の一部を取って、それでES細胞を作る技術は開発されているわけなのです。ですから、その場合は生命の萌芽の滅失に当たらないES細胞になるわけです。もし位田先生から私どもが樹立した連結不可能匿名化したES細胞を基礎研究以外に使うのは難しいと、これは了解しました。今後、同意を取る際に、あるいは技術的な面で、いまでも不妊治療で、もう既に廃棄予定になった、そういう受精卵のみを使っておりますが、それをあえてそこから一部また戻して、一部をES細胞にしたほうがいいのかどうかと、そういう技術的なことをすべきなのかどうかです。技術的には可能だと思うのですが、それを指針で盛り込むのかどうか。そういうところです。
○西川委員 あまりそういうテクニカルな問題ではなくて、もう少し大きなところで議論していったほうがよくて、それは結構いろいろな議論はある。伊藤委員について、私は1つだけ是非お願いしたいと思うのですが、例えばアメリカの患者さんの団体のWEBsiteに行かれると、患者さんの団体から、例えばインフォームド・コンセントを呼びかけられたり。ですから、逆に患者さんの団体のほうでどう考えられるのかということを、上からいろいろ教えてもらうという態度ではなくて、逆に患者さんの団体のほうにいくらでも協力して、先生方も一緒に議論に入っていただけると思いますから、伊藤委員の所でのガイドラインなり、インフォームド・コンセントのあり方というものが明確に出てくれば、これから本当に議論がしやすいと思うのです。それを全部受け身的にいままでやってこられたのを是非。私はいろいろな患者さんの団体が大変な状態であるというのはよくわかりますが、その上でもそれぞれの団体で。アメリカなどを見ると、例えばパーキンソンの団体と脊損の団体ではファンがあって、ES細胞が好きな団体もあるし、神経幹細胞が好きな団体もあるわけです。ですから、もっともっとそういう形で、患者さんの団体のほうがダイナミックに議論していただけるとありがたいなと思います。
○伊藤委員 私どもも常々そう思っているのですが、先々週、難病対策の委員会もありまして、私もそちらに参加したのです。そのときに参加された先生から、「もうちょっと患者会も積極的に」というお話をいただきました。ただ、日本の患者会というのは大変貧乏で、まず役員の日当も出ない。ほとんど自己負担でみんな動いているという状態なわけなのです。これは患者団体も参加したいと言って、小さなNPOなどで活動している所もありますが、もっとダイナミックに動くには、それなりに行政も支援して、日本の患者会の育成を図らなければならないのだと思うのです。ヨーロッパ、アメリカの団体は大変大きな活動をしておりますし、専門家も内部で抱えていていろいろな検討をしております。私どもはただ単に偶然患者になって、同じような患者が集まって会を作って、それがたまたま全国組織になったというものですから、極めて社会的な基盤も経済的基盤も弱いので、これはここでお話する話ではないのですが、是非、専門の先生方や厚生労働省も、こういうことも踏まえて、日本の患者会も1つの役割を果たせるというところに育てていく必要があるのではないかと思っています。先生、ご提言ありがとうございました。
ただ、先ほどの分配のルートがという問題は、個人情報の話ではなくて、実際、生の細胞が分配ルートから漏れて、ほかに出ていくことはないかという心配をちょっといたしました。
○永井委員長 いま、いくつか論点があって、でも相互に関係してまいりますので、今日はなるべくフリートークということで課題を挙げていただければと思いますので、ご発言いただければと思います。
○須田委員 もう一度どんなインフォームド・コンセントをとるかという問題に戻りたいのですが、以前、西川先生が委員長をされたヒトESから生殖細胞を作ることの可否ですが、あのときも日本の場合はESを樹立するときに、ガイドラインに従うと言いましたので、そのガイドラインが当時は生殖細胞研究を禁止している。だから、樹立したESは使えないという議論になってきます。それは仕方がないことだと思うのですが、インフォームド・コンセントを基礎に使うか臨床に使うかとか、臨床の何に使うかとか、決めれば決めるほど、また何か不具合が生じて、またESを作り直さなければいけないという状況になるので、患者さんを含めて、あるいは多くの卵を提供してくださる人がそういう研究をするなということはめったにないと思いますので、もう少し包括的にというのですかね、大綱的なインフォームド・コンセントにして、人類の福祉や健康に寄与するということで同意できれば、それはもう臨床応用してもいいという解釈にしていかないと、それがまたビジネスに使われるとは私は思っていなかったとか言われると、また全部最初からやり直しだと思うのです。そういう意味で、あまりインフォームド・コンセントを細かく細かく規定するのは賛成ではないです。
○永井委員長 これまでにいただいたものについては、どうお考えですか。
○須田委員 だから、それはこの前の生殖細胞の研究もそうで、そのように規定があってしまうと、それは使えないですよね。連結不可能になっていますから、いまさらひっくり返すこともできない。だから、あの判断は正しかったと思います。一方、アメリカで樹立されたESに関しては何の規定も付いていない。だから、使っていいということになりました。そこから生殖細胞を研究していい。何も書いてないからすべてOKというのも変な話なのですが、考えてみたら生殖細胞研究をする場合、日本のものはガイドラインに従って使えない、外国のものは規定がないから使えるというのも、何かしっくりこない話だと私は思います。
○高坂委員 須田先生がお話になったとおりで、文部科学省の委員会としては西川先生が主査のときに、そういったことを真剣に議論したことがあります。指針が変わるたびに、もう一遍遡って患者様に同意を得るということが非常に複雑だし、また患者様を逆に傷つけてしまうこともあり得るので、その最初の同意をとるところで指針が変更した場合には、その変わった指針に従って使用させていただいていいでしょうかということを含めた形の同意を、最初からいただいておくということがいいのではないかということが、文部科学省のほうで議論されました。まだ文言としては出ていませんが、それは非常に良いアイディアだなということは皆さんが直感的に感じたことなので、できればこういった委員会でもそこをもう一遍議論していただければ非常にありがたいと思っています。
先ほどの位田委員の発言の中で、連結可能匿名化のところですが、個人を特定できる場合に、iPSとクローンのほうはできるけれども、ESではできないとおっしゃいましたね。それはちょっと違っていて、ESはやろうと思えばできるのです。当然そうですよね。
○位田委員 だから、いろいろな形を組めばできるということはわかっています。
○高坂委員 ですから、わざわざそれができないようにするために、複数の例えば5人なら5人の方の受精卵を使って、余剰胚を使ってやったということなので、いまはたぶん技術的には、先ほどのお話のように、ある特定の方からの余剰胚でできる可能性があるし、もちろんホールゲノムがもうできますので、それは容易に特定できるのです。ですから、それを分けて考える必要はないのかなという気がします。
○位田委員 2つ申し上げたいと思います。1つは、いま高坂委員のおっしゃったことで、当初、指針を作ったときはホールゲノムなどという話はなかった時代です。2001年の時代ですから。ゲノム解析をやれば本人が特定できるという話ではなくて、Aさん、Bさんが不妊治療を受けていて、その人からもらったということがわかることはやめましょうと言っていただけなのです。現在、いろいろな手立てを尽くせばAさんとBさんの遺伝子しかないわけですから、そこは特定できるというのは理解はできます。ただ、直接に、ある意味では1回調べればわかるのがクローンとiPSだし、受精卵からはそれなりの手立てをとらないと、すぐにはわからないということを申し上げただけで、わからないというのは一目見てもわからない、という趣旨の「わからない」ということです。
もう1つ、インフォームド・コンセントの話なのです。須田先生がおっしゃったとおりだと私は思うのですが、いままで何が問題だったかというと、諸外国では基礎研究のガイドラインもしくは基礎研究に関する法律と、クリニカルリサーチもしくはクリニカルトライアルに関するガイドラインと法律というのが分かれていないのです。要するに1本で、いままでほかの国はやっているにもかかわらず、日本は基礎研究はここまで、臨床研究はここから先という話で分かれています。基礎研究にとどまっている以上は、そこは臨床研究はないという前提ですから、そこでとったインフォームド・コンセントを基礎研究をやるようになったから使わせてねというのは、基本的にできないのです。だから、これからは臨床研究ができるようになったので、当然、受精卵をいただくときにも、もしくは体細胞をいただくときにも、仮に基礎研究の段階であっても、臨床研究に使える可能性があるのですということを説明して、それで当然インフォームド・コンセントを受けると。それであれば、指針が変わるとしても、大幅に変わらない限りはいけるのではないかと思いますし、その場合には当然、連結可能匿名化でないと、医療上は使えないのではないかと私は基本的には思っています。
○西川委員 日本でこういうことが可能かどうかなのですが、臨床と基礎を区別しないだけではなくて、例えばスウェーデン、ベルギー、いくつかの国で、拒否項目があって、それ以外だと基本的には何をしてもいいというようなインフォームド・コンセントみたいなものがあります。すなわち、コンセントはネガティブなステートメントであると。そういう形にまで、日本のいままでの感覚でいく可能性はあるのですか。この辺は難しい。
○位田委員 個人的には、可能性はゼロだとは言いませんが、基本的にインフォームド・コンセントとは何かとか、それぞれの国の考え方もしくは制度というのは違うと思うのです。北欧の場合にはかなりドラスティックというか、ヒトの体は研究材料に使っていいのだという基本的なコンセプトを国民の方が持っておられる。そういう教育もされてきたのだと思うのですが、日本の場合にはたぶんまだそこまで行っていないので、いわゆるオプトアウト方式というのは、そう簡単にはできないのではないか。
先ほど伊藤委員がおっしゃったこととも関係するのですが、政府がいろいろこういうことをやっていますということだけではなくて、科学者の先生方も、いま再生医療というのはこんなことをやっているのですよというのを、もっと説明をしていただきたい。ゲノムはかなりいろいろな形で、研究費の中でお金を出しておられて、例えばゲノム広場などもやっておられて、かなり認識は高まっていると思うのです。DNAという言葉がちゃんと理解されているかどうかは別ですが、ホンダのDNAということだけを覚えていても本当はわかっていないので、でもDNAという言葉は聞いたことがあるという話からでないと始まらないわけですよね。ところが、再生医療という言葉、もしくはES細胞という言葉をどのぐらいの人が知っているか。iPS細胞というのはどのぐらいの人が知っているか。しかも、今度はその中身をどのぐらいの人が知っているかというのは、政府がいろいろ教えるということだけではなくて、やはり現場の科学者の先生方がどんどんまさにアウトリーチ活動でやっていただきたいなと、基本的には思っています。
○佐藤(陽)委員 ヒトES細胞のインフォームド・コンセントの話なのですが、最近、改正になったESの使用指針のほうで、ES細胞から分化した細胞に関しては、指針の適用外ということになっているのです。そうした場合に1つ考えられるのは、ES細胞を基礎研究として分化細胞にしたあとに、臨床研究としてその分化細胞を応用することが可能なのかどうかというのが、いまひとつよくわからないのですが、その辺はどのように解釈したらいいのかということをどなたか。
○永井委員長 一度、分化させたあとに入手するということですか。
○佐藤(陽)委員 はい。樹立機関、あるいは別の使用機関において、分化細胞のバンクとしたあとに臨床研究としてバンクの細胞を使うといったことが、実際できるのかどうかというのが常日ごろ疑問なのですけれども。
○西川委員 私はやはり先ほどもちょっと申し上げたのですが、いろいろな形でクリアできる問題というのはテクニカルにしないで、ここではわりと基本的に考えていったほうがいいのではないか。そういう形でプロポーズされてくることは当然あるだろうと思うのです。やはり書いていないではないかという発想だと思うのですが、ハイウェイの少なくともカバーしている人たちに関して、私自身が位田委員に対してのお答えも含めてちょっと考えたのは、やはり一から作り直しとか、そういうことで十分スピードも対応できるのではないかという感覚があったので言っているのです。レギュレーションがどうしようもないほど強いという場合は、確かにそういうテクニカルな問題が出てくる可能性はありますが、いろいろなテクニカルな問題はいっぱいありますので、それなら外国から輸入したほうが早いという話でいってしまうと思いますから、あまり気にしないでやっていかないと、たくさん出てくると。ただ、アウトリーチに関してはちゃんとやっていくということは基本的だと思います。
○高坂委員 いまの点については、西川委員とほとんど意見が一緒です。小手先と言っては申し訳ないですが、それをやるとあまりよろしくないので、本当に大事なところには文章の解釈上こうだということに、運用上やっていけばいい話だろうと思うのです。ただ、我々が以前作成をしたヒト幹の臨床研究指針によりますと、多分化能を持った細胞、体性幹細胞を含めていますが、およびこれに由来する細胞と明確に規定されているのです。したがって、この指針に基づけば分化した細胞の位置に該当すると考えられると思います。
○佐藤(雄)委員 テクニカルなことをちょっと事務局に確認したいのですが、ES細胞から分化させた幹細胞を臨床応用する場合に、文部科学省のESの使用指針との関係というのは、いま佐藤委員が言われたように、ESから分化させているから、これはES指針の対象外だという理解で、よろしいのですか。
○谷室長 それは、ルーツはESであるが分化させてしまった結果、対象外になるかということですね。たぶん指針の中では、細胞のルーツの部分に対して良いか悪いかという規定を書いていますので、今回ES細胞については体性幹細胞とiPS細胞、体性幹細胞ではないのですが体性幹細胞に近い状態のものとESを分けているということを考えると、それは分化させたからといってルーツがESである場合は、ESの範疇に入らざるを得ないだろうということになるかと思います。
○位田委員 本来、文部科学省の方がお答えになるべきだと思うのですが、指針を作ったときはES細胞も分化細胞も、全部ES細胞として扱うということでやっていたのです。何年前でしたか、指針を改正して、分化細胞はES細胞とはみなさないということになりました。したがって、通常の分化細胞として扱っていただいてもいいのですが、ただしES由来の分化細胞であるという注意書きはずっと付けて、分配した先、譲渡した先にそのことをきちんと知らせて、受け取った側もそのことを念頭に置きながら研究をしましょうと、そういう形になっています。文部科学省、そうですよね。
○西川委員 そうです。ただ付け加えると、基本的にいま日本にある、少なくとも日本製のES細胞を使う限りは、それに関して医療研究、臨床研究に使うというICはとれていないので、分化させたあともたぶんいろいろな問題があると。それはICそのものの問題として、やはり残ってくると思います。
○佐藤(雄)委員 実際にそんなことができるかどうかわかりませんけれども、このあとヒト幹の指針のほうでは、ES細胞を直接臨床に使うということもあり得るわけですね。そうすると、文部科学省のESの使用指針のほうでは「基礎研究に限る」と書いてあるのですが、その整理はどのように考えたらいいですか。文部科学省の指針のほうは、例えば見直しの予定があるとか、ここから先は厚生労働省の管轄であるなどということの調整はどうなりますでしょうか。
○西川委員 そこの委員長だったので、いいですか。そこに関しては、スタート時点はなぜそのようにしたかというと、さまざまなES細胞に対して懸念を持っておられる方の1つの懸念として、臨床研究に使われるということがかなり重要な懸念材料であったので、セパレートして、そういうことが起こるという可能性が十分出てきた段階で、厚生労働省とこういう形で一緒に議論をしていきましょうという話で、今後は文部科学省も同じ枠の中で考えていきましょう。それ自身に関しては、いま須田先生に委員長をやっていただいていますが、そういう方向で必要が出てきた段階では別に文部科学省は基礎研究、厚生労働省は臨床研究という形での分け方でなくて、同じものを皆さんが使うという形にしましょうということで、たぶんagreeしているのだと思います。
○永井委員長 いかがでしょうか。ほかの問題でも結構です。
○谷室長 先ほどの補足ですが、参考資料のいちばん最初の頁に、ヒト幹の指針があります。古い指針では、「ヒトES細胞およびこれに由来する細胞を除く」という規定で書かれております。新しい指針については、「ヒトES細胞およびヒトiPS細胞を含む」という規定で、「由来する」という規定はありませんが、前提としての議論の中で「基礎研究における」というものと臨床応用のところは、基本的に感染症の対策であるとか、公衆衛生上の観点が踏まえられなければいけないということを鑑みると、やはりES細胞であるから、分化させたからどうこうではなくて、ルーツの部分でどうなのかという部分も含めての検討が必要でないと、まさに先ほど伊藤先生が言われたように、抜け道を作ってしまうことによって、いろいろな規定を想定していないような研究に応用される可能性があるということが考えられると思うのです。
そうなると、果たしてそこで分化させたからいいかということで、許可を出すことによっての公衆衛生的な被害に対して、どう責任をとるのかというのがこの委員会にはかかってくることになりますので、その部分についてはやはりES細胞分化ということについては、ある程度の議論の上でどうするのかというのが必要になってくるかと思います。
○位田委員 先ほどのに補足させてください。文部科学省の樹立、分配、使用というのは、あくまでも基礎研究という範疇に限るのであって、したがって、文部科学省の使用に関する指針は基礎研究に使用するという意味で、臨床に使用するという意味は全く含んでいないと理解をしています。基礎研究で作ったものを臨床に使うときには、当然ここで議論をして決めていく話ですので、同じ使用という言葉を使っていても誤解のないようにお願いしたいと思います。
○谷室長 あともう1点、先ほどの西川先生のご指摘ですが、まさにその部分について、どのように文部科学省のほうの指針、要するに基礎研究と銘打った指針の部分と、こちらで検討している内容をすり合わせるかというのが、いちばん大きい問題です。まさにES細胞の研究自体がすべて臨床に応用されるというものではないと思います。中には、要するに生命の萌芽というものに対する研究という課題も当然含まれているとなると、その部分を考慮した上ですべてを1つにするほうがいいのか、それとも別々でやるのがいいのか、それともある程度線引きをした上での指針を考えていくことが必要なのかということを、まさにこの委員会のほうで検討していただきたいと思っております。
○西川委員 イメージとしては、文部科学省のイワタさんもおられますが、あのときにいろいろな臨床研究の可能性が出た段階で、いちばん重要なのは、いままで基礎研究に対してのインフォームド・コンセントに関しては、連結不可能匿名化ということを完全に要求していたものを、基礎研究に関しても同じ枠内で、例えば連結可能な匿名化でES細胞を作っていくということは、同じプラットホームでやる。もちろん文部科学省のほうでは基礎研究についての指針ができ、たぶんヒト幹を含めて厚生労働省では実際の臨床研究なのですが、そこを全部同じものに変えられるところはしていって、こちら側は連結可能で、こちら側は不可能でということは決してしないということがアグリーメントだったと思います。
○永井委員長 そのほかご意見はいかがでしょうか。
○直江委員 今回ESの研究を臨床に進めていくという中で、昔はESそのものを扱うことの議論があったろうし、それが基礎研究は認められてきた。それを今度は臨床にどのように応用していくかということを検討している委員会というように理解しているのですが、この場合にESが生命の萌芽であるということを1つ押さえておけば、もう1つはその細胞は患者さんの体内に入って、ずっと永続して生き続けるということもあるのだろうと思うのです。そうしますと、一種の臓器移植のようなイメージもあるのだろうと思うのです。
そうすると、先ほどいろいろな先生が言われたように、その臓器、細胞がどこから来たのかということについては、連結が可能ではないと、あとあと医学の研究、進歩がないのではないか。なぜそうなって悪くなったのか、なぜそううまくいったのか、それは遡って考えないといけないのではないか。そのように私はいま初めて皆さんの意見を聞かせていただいて考えました。
2つ目は常にインフォームド・コンセントの問題ですが、これは使用しないというインフォームド・コンセントであれば、それを遡ってICを再同意をとらずに使うというのは、たぶん多くの人たちはそれができないからいろいろな研究ができないということなのに、これをそこで認めるというのは、これはちょっと抵抗があるのではないかと私は思います。これからどうしていくのかということにフォーカスを当てた議論のほうが建設的ではないかという感じがいたしました。私は今回初めていろいろな意見を聞かせていただいて、わかることも少ないのですが、これが私の現在までの意見です。
○中畑委員 いままでの指針、当指針を議論するときにも、新しい医療技術であるということで、遡及調査をしっかりできるような形でないと新しい医療ができないのではないかということで、遡及調査がしっかりできることを大きな柱として、いままでの指針は存在したわけです。それを前提にしますと、ES細胞をこの指針の中に組み込んで、ES細胞を用いた臨床研究というのは、当然、いままであれだけたくさんの議論をした中から生まれてきた遡及調査が必ずそこではできるような体制、医療である以上、そこを1つの前提にしないと、いままでの指針が何だったのかということにもなりますので、遡及調査ができるということを1つの前提にするとすると、それは当然、連結可能匿名化という形しかあり得ないわけです。連結不可能匿名化で作ったES細胞を使ってしまうということは、いままでの流れからすると、ちょっとあり得ないのではないかということを1つ思います。
もう1つ、先ほど伊藤委員のほうから、折角指針を作っても抜け道を通って、とんでもない医療をやってしまうことがあるのではないかということが言われましたが、新しいこういった治療は当然リスクを負いながらやっていくわけですが、前回のときにも罰則規定を作るかどうかということも非常に大きな議論になって、そういった不正な使用をした場合は、刑事罰に処するというようなところまでやったほうがいいのではないかという意見もあったわけです。医療でこれから健全に進めていくという観点からは、刑事罰というのはちょっとそぐわないのではないかということで、指針という形にすることになったと思うのです。中には実際に研究をしたり、あるいは医療をやっていく人の自浄作用が当然そこにはなければいけないということが1つの前提になると思います。それには先ほどからあったいろいろな教育とか、社会へのアピールとか、いろいろなこともあると思うのですが、実際、再生医療学会の中でも、いままでの幹細胞の指針に通さないでやった医療というのは、学会の中である程度報告はされて、研究者の中でそういったことに対して、それはまずいのではないかというような体制がいままでできてきました。特にES細胞を使った新しい再生医療については、いままで以上に学会としても、あるいはみんなのそういった作用が作用すると思いますので、少なくとも日本の中においてはとんでもない使用をされるということは、罰則規定を作らなくてもおそらく健全な形でいくのではないかと思います。
○高坂委員 先ほどの文部科学省の指針とこの委員会との役割分担といいますか、どのように考えればいいかということなのですが、現状では文部科学省のほうは基礎研究でしっかり作っていただいているので、それはそれでやると。こちらのほうは臨床ですので、先ほど谷室長がおっしゃったように有害事象とかいろいろな問題がありますので、これは樹立のところ、それから分化にもっていく辺りのところまでは、しっかりとした指針を作っていく必要があろうかと思うのです。
ただ、それ以降というのは、先ほどのiPSのときも申し上げましたが、現在のヒト幹指針でしっかりとしたものがだいぶ出来上がってきているので、樹立のところ、あるいは分配のところを、厚生労働省版のESを含めたヒト幹指針の改正という形で、ほかの基本的な考え方などというのは文部科学省のほうで相当しっかりとしたものを作っていますので、それは可能なのかどうか知りませんが、具体的なところは文部科学省の指針のここの部分に従うとか、そういった形で十分協力体制はできると思います。
いま西川委員がおっしゃったように、文部科学省のほうも連結可能匿名化という言葉を入れるとか、そういったことをやると同時並行的にできればいいですが、なかなか進みづらいところもあろうかと思うので、やはりいま言ったような感じで、一部文部科学省のほうの指針を参考にして、「これに従うこと」とかいう文言で協力関係は作れるのではないかと考えています。
○佐藤(陽)委員 連結不可能匿名化のお話、連結可能匿名化のお話という議論がずっとされてきたわけですが、指針に関するお話なので一般論になってしまうのですが、文部科学省の指針とこちらの厚生労働省の指針との違いといったところを考えてみますと、厚生労働省の指針のほうには患者さんというのがいつもいるわけです。例えば臨床研究の対象疾患の場合を考えたときに、対象疾患が非常に重篤で、治療法が全くないような、そして余命が非常に短いといったような疾患を考えたときに、テクニカルな問題と患者さんを治療していこうというチャンスを逸してしまう問題というバランスというのが、文部科学省の指針ではない課題ではないかと思うのです。そうした場合に、匿名化のようなテクニカルな、テクニカルというと何か邪見にしているような言い方なのですが、勿論とても大事なのはわかっているのですが、例えば患者さんを救うためにどうしたらいいかというときに、何か合理的な理由付けを考えていく必要があるのではないかと私は思います。
○高坂委員 その点については、先ほどから申し上げておりますように、現在のヒト幹細胞の指針を作るときに、iPSも含めてかなり議論をして、リスクベネフィットとか、代替がないなどといったことを十分議論した上でこの指針はできているのです。ESの場合にそれをもう一遍議論するのではなくて、いま言ったように樹立のときにどういったことを重視するかという具体的なことを付加して、これを改正していくという方向で私は十分だと思うのですけれども。
○西川委員 私も高坂委員と同じで、実際には基礎研究と言いつつ、あそこでいろいろな形で行われているものは、本当に患者さんの所に持っていけるかという研究が結構多いわけですから、高坂先生がずっとやっていただいている再生医学の実現化というプロジェクトとしてあったわけです。ですから、まるっきり無関係であるということではない。ただ、日本でガイドラインができてきたいろいろな経緯があって、それの問題点を引きずっていることは確かです。
あまり石を投げるような、もう一度問題をこの場で提起していいのかどうか難しいのですが、中畑委員会でヒト幹指針を作っていくときに完全に積み残した問題として、例えば神経幹細胞の問題があります。実際にES細胞などと違って、神経幹細胞はもう既に臨床研究が行われています。日本の場合は、中絶胎児を使うこと自体に対するかなりいろいろな問題があって、ずっとモラトリアムが続いているわけです。同じように、それは神経細胞だけではなくて、最近、慶應に戻ってきたサトウさんは、内胚葉を自由に増やすというテクノロジーを開発していますから、そういうものもできるようになってくると、だんだんこの前積み残してきた問題、幹細胞は決してES細胞やiPSだけではなくて、いろいろな場所からとれる。そこに関して、日本は臨床、いま先生がおっしゃる患者さんというものを見た上で、どういうものを選択していくのかというのは、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、これが発展していってくれればいいなと私自身は思います。
○永井委員長 今日オブザーバーでお出でいただいている中内先生、森尾先生、いまの議論をお聞きになっていて、何かご発言があればどうぞ。
○森尾オブザーバー 再生医療の制度的枠組み検討会のときに、どういう施設で再生医療をしていいか、どういう施設が細胞を作っていいかという議論があったのですが、おそらくES細胞についても、ある程度のこういう施設が作る、こういう要件が必要である、あるいはこういう施設は分配も可能であるというようなルーズなものでもいいのですが、そういうのがあったほうが伊藤委員が持っていらっしゃるような懸念、どういう技術でも作っていいのか、どういう施設でも医療に行っていいのかというところを、ある程度ブロックできるような枠組みになるのではないかという気がいたします。
そういう点で、おそらくこれから臨床応用をするときには、製品標準であるとか、安全基準だとか、品質管理というところもある程度明確にして、そういうところに留意した所がそういうことができるというような、ある程度の縛りがどうしても必要であって、中畑先生がおっしゃるとおりで、いま非常に自浄作用が働いていると思うのですが、どうしてもいろいろな所が参入してくる可能性があるので、ルーズなものでもいいのでそういう枠組みがあったほうがいいのかなと感じました。以上です。
○中内オブザーバー この委員会の目的というのは、ヒトの幹細胞を使った新しい医療をできるだけ安全な形で、速やかに国民に持っていくというところにあると思うのです。いつも言っているのですが、日本の幹細胞を使った臨床研究の流れは世界でいくとちょっと変わっていて、iPSが非常に注目されていて、iPSの臨床が非常に急がれていますが、現実的には世界の主流は体性幹細胞から始まって、そこで十分な治験を積んで、次にES細胞に行って、それからiPS細胞というのがスタンダードだと思います。それは欧米の状況をご覧になればわかると思います。
そういう意味で、日本で例えば死亡胎児から得た細胞を使った幹細胞研究が全くできない、臨床も全くできないというのは、非常に不思議な状況だと思います。欧米の社会では、そういったところで研究だけではなくて、実際にそういった細胞をGMP基準で増やす技術とか設備とか人材を養成して、それを基に今度はES細胞に入っていって、やがてiPS細胞に移行していくと考えられます。そういう意味では、日本でもそういった流れをきちんと作るということは非常に重要ではないかと思いますので、モラトリアムに入っている死亡胎児の問題も、皆さん、できれば避けたいというのはわかるのですが、それは非常に不健全な、国民にとって、日本の国にとってもあまり利益にならないと思いますので、是非真剣にもう一度議論をし直して考えていただきたいと思います。
○永井委員長 参考人でお出でいただいた松山先生、何かご発言はおありですか。
○松山参考人 まず、国民の皆さんのご理解をいかに得ながら進めていくかということです。指針はあくまでも自浄作用ということもありますがガイドラインですので、そういうものをいかに得ていくか。それがいまは疾病でない方々のご理解ということもあるでしょうし、あるいはいま疾病の状態にある患者さんのご理解も非常に重要だろうと思います。そういうのを念頭に置いた上で、患者さんの視点に立った指針をお作りいただければ非常にありがたいと思っています。
加えまして、いま臨床応用で、とにかく研究者の先生方は患者さんに1例でも2例でも入ればいいというスタンスでご議論されているような感じを得るのですが、その先で社会還元されて、遍く日本国内で、同じような病気の患者さんだったら、東京にいても、京都にいても、あるいは鳥取にいても治せるような状況にしてあげないと、これはやはり社会還元でないということを考えると、薬事への連結性を念頭に置いた形での指針というものを、ちょっとご議論いただきたいという感想を持ちました。
最後に、これも指針ですが、あくまでも指針というのは、日本国内にある各種法令などとの整合性との問題もありますので、そこも含めてまた整理をさせていただければと思います。以上です。
○永井委員長 大体時間になりましたが、何かもう一言どうぞ。
○高坂委員 西川委員からの大変重い言葉があって、死亡胎児の問題まで出てきて、この委員会ではそこをやりたくないのが本音なのですが、その問題に限らず、全く関係ない話なのですが、死体ですね。そこからの試料を採取といったような問題、すなわちこれは死体解剖保存法の問題もあるのです。これは内閣府の調査会とか、省庁を跨がった少し上のところで、まずしっかり議論していくべきだと申し上げていたのです。個々のところでやってしまうと、肝心なところが進まなくなってしまうので、是非、内閣府でそういった問題というのは取り上げていただくといいのかなと、個人的には思います。
○西川委員 1つだけ。今度ハイウェイで採択された方の例を挙げますと、角膜内皮を培養して使うというプロジェクトがあります。日本の角膜バンクというのは、そういう方向には使えないのです。ですから、結局、研究自体は外国の角膜バンクから角膜をもらってくる。ですから、いま中内委員がおっしゃったようないろいろな問題点が日本ではあるので、いろいろな形で問題提起といったらおかしいですが、それを実現させていってあげるときに、逆にアウトリーチも含めて、ちゃんと皆さんに報告していこうと思っています。
○永井委員長 大体時間になりましたので、今後も議論は続けてまいりますが、とりあえず今日の意見を取りまとめて整理した上で、方針を立てていきたいと思いますので、また事務方でも作業をよろしくお願いいたします。事務局から連絡事項をお願いいたします。
○谷室長 次回の開催日程ですが、詳細については電子メールでご確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○永井委員長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課再生医療研究推進室
TEL 03-5253-1111
内線2590
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会)> 第13回ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会議事録