ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(人口部会)> 第12回社会保障審議会人口部会議事録




2011年9月26日 第12回社会保障審議会人口部会 議事録

○日時

平成23年9月26日(月)13:00~15:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

委員

阿藤 誠委員 稲葉 寿委員 大林 千一委員
加藤 久和委員 鬼頭 宏委員 白波瀬 佐和子委員
鈴木 隆雄委員 津谷 典子委員 林 徹委員
林 寛子委員 廣松 毅委員 宮城 悦子委員
山田 篤裕委員

事務局等

香取政策統括官(社会保障担当) 武田参事官(社会保障担当)
鈴木社会保障担当参事官室長補佐 小野人口動態・保健統計課長
高橋社人研副所長 金子社人研人口動向研究部長

○議題

1 将来人口推計の方法と検証について
2 その他

○配布資料

資料1平成22年度簡易生命表の概況
資料2将来人口推計の方法と検証 -平成18年度推計の仕組みと評価-

○議事

○津谷部会長
 若干定刻より早うございますけれども、委員の皆様おそろいでございますので、ただいまから、第12回「社会保障審議会人口部会」を開会いたします。
 本日は、佐々木委員が御欠席との連絡をいただいております。
 それでは、まず議事の1に移りたいと思います。先日公表されました平成22年簡易生命表の概況につきまして、統計情報部の小野人口動態・保健統計課長から御説明をいただきたいと思います。小野課長、お願いいたします。

○小野人口動態・保健統計課長
 人口動態・保健統計課長の小野でございます。よろしくお願い申し上げます。
 私の方からは、7月27日に公表いたしました資料1「平成22年簡易生命表の概況」を用いまして、近年の平均余命の動向などについて説明いたします。
 では、資料1をあけていただきまして、1ページをごらんください。1段落目にありますとおり、この平成22年簡易生命表は、平成22年における我が国の死亡状況、具体的には、平成22年の性別、年齢別の死亡率が今後変化しないと仮定して作成した生命表でございます。また、御案内のとおり、平成21年までの各年の生命表も同様に作成されておりまして、ある年の平均寿命や平均余命といいますのは、その年の生命表で示されているものでございます。
 では、2ページにお進みください。まず表2でございます。「平均寿命の年次推移」をごらんいただけますが、平均寿命はほぼ一貫して延びており、例えば平成12年以降、男女とも5年に約1年のスピードで平均寿命が延びております。傾向としては、今申し上げたように延びておりますが、各年で見ますと前年を下回る年も時々ございまして、今回がまさにそのケースであり、平成22年の平均寿命は、男は79.64年、女は86.39年となり、前年と比較して、男は0.05年上回りましたが、女は0.05年下回りました。勿論、下回ったと申しましても、平成22年の女の平均寿命は、過去最高であった平成21年に次いで過去第2位の高い水準となっております。
 なお、平均寿命の男女差につきましては、過去10年、大きな変化はございません。
 次に、表1をごらんください。これは各年齢の平均余命を前年と比べたものですが、男女とも、年齢が高くなるに従って、前年からの減少幅が大きくなる傾向が見られ、平成22年は、21年に比べ、高齢層での死亡状況が厳しかったことがうかがえます。
 続いて図1、「平均寿命の前年との差に対する死因別寄与年数」をごらんください。これは平成21年と22年の平均寿命の差を死因別に分けて見たものですが、男女とも、一番右の3大死因、すなわち、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の合計の死亡率の変化が、例年どおり寿命を延ばす方向で働いています。一方、肺炎、老衰、不慮の事故、その他などの死亡率の変化が平均寿命を短縮させる方向で働いています。
 女では、これらのマイナス要素の方がプラスの要素を上回ったため、0.05年、日数に換算すれば18日ではありますが、前年より平均寿命が短縮しているものでございます。
 では、なぜこのようにいろいろな死因が寿命のマイナス要素となったかですが、生命表の基礎データであります人口動態統計に戻ってみますと、死因別に見ても、月別に見ても、おしなべて死亡数が増加しており、原因はよくわかりませんが、特に夏の死亡数の増加率が大きかったことから、昨年の夏が猛暑であったことの影響もあったのではないかと考えております。
 ちなみに、熱中症の影響はどれぐらいであったかと申しますと、図1の右から4番目にありますとおり、男女とも約0.01年のマイナス要因となっており、猛暑の影響のあらわれの一つと考えております。
 では、3ページにお進みください。「寿命中位数等生命表上の生存状況」でございます。第1段落に説明がありますように、生命表には生存数が示されており、この生存数を用いますと、生まれた人が生命表の死亡率に従って死亡減少していくと仮定したときに、生まれた人のうち何%が何歳まで生き残るかという割合も計算できます。この割合については表3でごらんいただけます。
 例えば表3の一番下の行をごらんいただきますと、平成22年の生命表上、男では40歳まで97.9%が生き残り、65歳までは86.9%、75歳までは72.1%、90歳までは22%が生き残ることになります。
 同様に女の方もごらんいただきますと、各年齢まで生き残る割合は男より大きく、90歳まで生き残る割合は46.1%であり、女性で生まれますと半数近くが90歳まで生き残るということになります。また、更に年齢が上がって95歳になっても23.0%、4分の1弱が生き残ることになります。
 一方、男では同じ程度の割合が生き残っているのは、女より5歳若い90歳の時点でありまして、こういったところにも男女差があらわれています。
この様子を図で示したのが図2でありまして、女の方が男より高い年齢まで生き残る割合が大きいこと、また、男女とも75歳とか90歳とかいう高年齢まで生存する方の割合が増加傾向であることがごらんいただけます。
 なお、表3に戻って、平成21年と22年の数字を見比べていただきますと、男では40歳、65歳、75歳まで生存する割合が前年以上となっておりますが、90歳や95歳まで生存する割合は前年よりも小さくなっております。女でも同様です。
つまり、この表で見ましても、平成22年は、前年に比べ、年齢の低いところでは死亡率が全体的に低下ないしほとんど変化がなかったものの、年齢の高いところで死亡率が上昇していることがわかります。
 続いて、表5の関係です。ここまでは、何歳まで何%が生き残るかという話でしたが、逆に、生まれた人々のうち、ちょうど半数が生き残っているのは何歳の時点かという計算もできまして、それを寿命中位数と言っており、表5に掲げております。一番下の行にありますように、平成22年においては、男82.63年、女89.15年となっており、この年齢の時点でちょうど半分が生き残っているということになります。
 この寿命中位数も、平均寿命と同様に上昇傾向であり、平成12年以降、5年に約1年のスピードで上昇しています。
 ちょっと表の順番が前後しますが、表4、65歳以上生存年数の割合をごらんください。これは、平均的な一生を送った場合、65歳以上の期間がどれぐらいの割合を占めることになるかを見たものでございます。平成22年の生命表を用いて計算しますと、一番下の行にございますように、男の場合、生涯の20.6%が65歳以降の期間となり、女の場合は25.9%が65歳以上の期間となることがわかります。
 では、4ページにお進みください。「平均寿命の国際比較」です。平均寿命の諸外国との比較は、国により作成基礎期間が異なるので厳密な比較は困難ですが、各国が国連に報告している数字など、現在入手できている資料の範囲内で比較すると表6のとおりでございます。
 この範囲内での比較となりますが、日本は、男は4位、女は1位でございまして、トップクラスでございます。この状況は、5ページの平均寿命の年次推移のグラフでもごらんいただけます。
 では、6ページにお進みください。死因別死亡確率です。人はいずれ全員死亡しますので、死亡確率は100%となりますが、それを死因別、つまり、何が原因で死ぬか別の内訳を計算したものです。その結果につきましては、まず図4をごらんください。0歳のところをごらんいただきますと、男女とも、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患のいわゆる3大死因で50%強を占めており、平成22年の死亡状況が今後も続くとすれば、100人生まれたとしますと、うち50人強は3大死因で亡くなることなどがわかります。
 なお、表7は過去5年間の年次推移です。全体的な状況に大きな変化は見られないのですが、脳血管疾患については毎年少しずつ減少しているところです。
 では、7ページにお進みください。特定死因を除去した場合の平均余命の延びでございます。これは、ある死因が克服されて、その死因で死亡することがなくなったと仮定して計算した平均寿命と実際の平均寿命の差であります。
例えば表8で言いますと、行で言いますと悪性新生物の0歳、列で言いますと男の22年のところを見ていただきますと、3.91年となっておりますが、これは平成22年の死亡状況を前提に計算すると、悪性新生物で死ぬことがなくなったと仮定すると、平均寿命は3.91年延びることを示しております。表7の「死因別死亡確率」と同様、過去5年間、全体的な状況に大きな変化は見られないのですが、脳血管疾患については、毎年少しずつ減少しているところでございます。
 この後、8ページから11ページは生命表の本体そのものであり、これまで説明してきたことの基礎資料ですし、12ページ以降は参考資料ですので、説明は省略させていただきます。
 私からの説明は以上でございます。

○津谷部会長
 小野課長、ありがとうございました。
それでは、今の御説明につきまして御質問などございましたら、御自由にお願いいたします。

○阿藤委員
 2ページの表2で男女差というのが出ていますが、近年変化がないということですけれども、どちらかというと平成16年ごろがピークで、何となくそれから停滞から若干縮小ぎみというふうにも見えます。ほかの、いわゆる高寿命国の中では日本の男女差というのは6歳以上で結構大きいという印象を持ちます。スウェーデンなんかだと4歳ぐらいですね。その辺をどのように見るかということです。日本は女性がトップで、男性が低いからという、機械的に言えばそういうことですけれども、別の言い方をすれば、女性は着実に改善しているけれども、男性は何かそれにおくれているというか、女性並みに改善していないのでギャップが開いているとか、いろんな解釈があると思うのですけれども、その辺をどのように見ておられるかということで、どのように解釈しておられるかお聞きしたい。

○小野人口動態・保健統計課長
 申し訳ないのですが、特にそこら辺の分析はしておりませんで、申し上げられることは特にございません。

○津谷部会長
 よろしいでしょうか。
 そのほか御質問ございますでしょうか。
 では、ありがとうございました。
 次に、「将来人口推計の方法と検証-平成18年推計の仕組みと評価-」につきまして、国立社会保障・人口問題研究所の金子人口動向研究部長より御説明をお願いしたいと思います。金子部長、お願いいたします。

○金子人口動向研究部長
 金子でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、「将来人口推計の方法と検証」と題しまして2つのお話をさせていただきます。1つは、将来人口推計の仕組みとしまして推計の方法論について御説明をいたします。もう一つは、将来人口推計の検証ということで、過去の仮定値の変遷と評価などについて御説明をさせていただきます。
 早速ですけれども、最初のテーマ、「将来人口の推計の仕組み」につきまして、前回行われました平成18年推計での方法を中心にいたしまして、資料に沿って御説明させていただきます。
(PP)
 まずスライド3ですが、「基本的枠組み」といたしまして、正規の推計期間は2006年から2055年の50年間、また参考推計期間としまして、その後50年につきまして、男女年齢(各歳)別に、日本に在住する総人口につきまして推計を行ったものでございます。その方法は、枠組みとしましてはコーホート要因法と呼ばれるものでございます。
(PP)
 コーホート要因法とは、人口変動要因の仮定に基づきまして、コーホートごとに将来人口を推計する手法でございます。
 人口変動要因と申しますのは、具体的には、出生、死亡、移動の3要因でございます。
一方、コーホートというのは、ここでは同年に生まれた人の集団を指しておりまして、いわゆる世代という言葉を厳密に言いあらわした用語でございます。
(PP)
 スライド5でございますけれども、コーホート要因法による将来推計では、出発点となります基準人口に対しまして、出生、死亡、人口移動の将来推移の仮定値を与えることによって、将来の人口を算出してまいります。この作業をコーホートごとに行います。その様子は次のスライド6、またはスクリーンの方をごらんいただければと思います。
(PP)
 図には、ある年の人口から翌年の人口を推計する手順を示しておりますが、まずX歳の人口は、翌年にX+1歳になります。これがコーホートの変化でございます。このコーホートがX歳からX+1歳になる間に、死亡によって人口が減少いたします。また、国際人口移動による出入国によっても増減いたします。これらの増減を差し引きしまして、X+1歳の人口が求まります。
 同様にして、1歳以上のすべての翌年の人口が求まることになります。残る0歳の人口につきましては、既に求めました人口から女性の再生産年齢、15歳から49歳でございますが、この延べ人口を抜き出しまして、これに年齢別出生率と出生性比を掛けて、まずは出生数を求めます。
 こうして得ました男女児数につきまして、やはり死亡による減少や人口移動による増減を差し引きいたしまして、翌年の0歳の人口を求めます。このような手順を繰り返すことによりまして、将来のすべての年次の男女年齢別人口が求まることになります。
(PP)
 次のスライド7ですが、以上から明らかなように、コーホート要因法に必要な要素は、次の4つとなります。すなわち、(1)将来推計の出発点となる基準人口、(2)将来の出生率(及び出生性比)の仮定でございます。(3)として、同じく生残率の仮定でございます。(4)としましては、国際人口移動の仮定でございます。これらを得ることが実は将来人口推計の大部分の作業ということになります。順番に御紹介していきたいと思います。
(PP)
 まず、推計の出発点、基準人口につきましては国勢調査の結果が用いられます。前回ですと、平成17年の国勢調査結果について、年齢不詳を都道府県別に案分補正いたしまして、これを合計したものを全国人口の基準人口といたしております。
(PP)
 次のスライドは国勢調査結果による男女年齢別人口の姿を示す人口ピラミッドを描いております。
(PP)
 次に、「出生の仮定」に進みますが、将来の出生率につきましては、コーホート出生率法、すなわち、女性コーホートのライフコースに沿って、出生の発生過程をモデル化して推計する手法を採用してございます。以下の記述につきまして順次御説明をしてまいります。ライフコースに沿った出生の発生過程を出生スケジュールと呼んでおります。
(PP)
 スライド11の左の図には、戦後の3時点の日本女性の出生スケジュールを重ねて描いてございます。横軸は年齢、縦軸が各年齢における出生頻度をあらわす出生率でございます。実は、このカーブの下の面積が各年次の合計特殊出生率をあらわします。
右の図には、合計特殊出生率の戦後の推移がグラフ化してございますけれども、図では、各年次の出生スケジュールと、この出生率との関係を示してございます。
(PP)
 出生スケジュールについて重要なことは、これには2種類のものがあるということでございます。すなわち、先ほどごらんいただきました各年次におけるスケジュールと、これとは別に、各女性のコーホートが、15歳から49歳まで実際に年齢を重ねていく際に記録されるスケジュールというものがございます。こちらはコーホートスケジュールというものでございます。将来推計では、このコーホートの出生仮定のスケジュールを投影する方法を採用しております。これがコーホート出生率法と呼ばれるものでございます。
(PP)
 スライド13をごらんいただきますと、コーホートの出生スケジュールは、出生過程途上の場合には、図のように、実績値が途中までしかございませんから、これに対して数理的なモデルを統計手法によって当てはめることで今後のスケジュールを投影いたします。
(PP)
 しかしながら、次の14のスライドの下段に示しますように、年齢の若いコーホートでは実績値が少ないためにだんだんと統計的な当てはめが難しくなってまいります。そこで、非常に若いコーホートや、まだ実績のないコーホートにつきましては別の方法を用いております。すなわち、特定のコーホートの出生力につきまして、要素に分けまして詳細に検討を行うという方法でございます。
(PP)
 スライド15のグラフをごらんいただきますと、女性の4つの年齢時点での累積出生率につきまして、コーホート変化を示してございます。ドットが実績値でございます。推計では、この図のすべてのコーホートについて、50歳時までの累積出生率を得る必要がございます。前回推計時点では、この一番上のドットで示される例のように、実績値は1955年生まれ世代までしか得られておりませんでした。それ以降のコーホートにつきましては、1970年生まれまでは統計的手法を用いることができるのですが、その先につきましては、1990年生まれ世代を詳細分析の対象といたしまして、特別に分析することといたしました。これは参照コーホートと呼んでおります。
(PP)
 具体的には、スライド16に示しましたように、参照コーホートのコーホート合計特殊出生率を4つないし5つの出生力を構成する要素に分けまして、それぞれの実績値の趨勢を分析することによってこれを求めてまいります。
結婚に関する要素としましては、生涯未婚率と平均初婚年齢、夫婦の出生力につきましては、期待夫婦完結出生児数と結婚出生力変動係数、そして配偶関係の変化につきましては離死別再婚効果係数というものを使っております。
(PP)
 次、スライド17ですけれども、まず結婚につきましては、年齢別初婚ハザードのコーホート時系列変化の投影と一般化対数ガンマモデル、先ほどお示ししました出生スケジュールのモデルでございますけれども、このモデルによる年齢パターンの規則性を組み合わせて使いまして、参照コーホートまでの初婚過程変化を、ごらんのように推計し、参照コーホートの生涯未婚率を23.5%、平均初婚年齢は28.2歳と推定されたわけでございます。
 この初婚過程が決まりますと初婚の年齢が推定できることになりまして、これと安定的な関係にあります結婚後の夫婦の完結出生力が求まってまいります。
(PP)
 このスライド18は、横軸の初婚年齢と縦軸の夫婦完結出生児数が各回調査によって安定的な関係にあることを示しております。これによりますと、晩婚化の進行によりまして、夫婦完結出生児数がどの程度低下するのかということが推定できるわけでございます。
(PP)
 しかし、スライド19をごらんいただきますと、近年、出生過程途上の若いコーホートについて見ますと、従来の初婚年齢と完結出生児数との安定的な関係に変化の兆しが見られております。期待される出生児数を下回る傾向がとらえられてきましたので、これを仮定値に反映するという必要が前回生じてまいりました。
(PP)
 最後に、離死別再婚の効果でございますけれども、スライド20に示しましたような配偶関係の分類に対しまして、相対的な出生力水準を実地調査から実測いたしまして、これを仮定値に反映させております。その結果としまして、前回では、離婚の増加傾向などによりまして、参照コーホートの出生率は、その効果によってわずかに下がるだろうと仮定されております。
(PP)
 以上の要素の組み合わせによりまして、参照コーホートの出生力を算出するわけでございますが、スライド21には、それを式として示してございます。この参照コーホートに対する仮定と出生スケジュールのモデルによりまして、将来の出生率仮定が設定されたわけでございます。
(PP)
 次に、死亡の仮定設定方法について御説明をいたします。死亡の仮定設定に際しましては、国際的にも標準的に用いられておりますリー・カーター・モデルを基本モデルとして採用してございます。このモデルは、スライド22の中ほどに式であらわされますように、年齢別死亡率の対数値を、時間的に一定な死亡の年齢パターンaxと、死亡変化の年齢パターンbx、更には、時間の変化を含みますktの組み合わせによりまして、年齢別死亡率の年次変化を表現するといったモデルでございます。
 ただし、これはかなり当てはまりのよいものですけれども、我が国の場合は特別な事情がございまして、寿命につきましては、先ほど小野課長の方から御紹介がありましたが、世界最先端の寿命を持っておりますので、少々工夫が必要になってまいります。
(PP)
 具体的には、スライド23のグラフに示しましたように、高齢層における寿命改善について、いわば老化過程の遅延といったメカニズムを取り入れてございます。また、前回推計からは統計的な不確実性というものをはっきりと表現するために、死亡仮定につきましても、高位、低位の仮定を加えてございます。
(PP)
 スライド24には、これらの仮定につきまして平均寿命の推計結果と実績を示してございます。
(PP)
 最後に、国際人口移動につきまして見てみたいと思います。日本人と外国人に分けまして別々の方法を用いてございます。スライド25のように、日本人につきましては、近年の男女・年齢別入国超過率が比較的安定していますことから、過去10年間の実績値を平均化いたしまして、同時多発テロであるとか、新型肺炎であるとか、そういった特殊な事情の影響を取り除いた形で仮定として採用いたしております。
(PP)
 一方、外国人につきましては、一定のトレンドがとらえられますことから、スライド26のように、男女別の入国超過数の推移を将来に投影いたしました。その際に、移動者の年齢分布につきましては直近6年間の実績値を平均化して用いております。それが右のグラフでございます。
以上が推計の方法に関する概略でございます。
(PP)
 次に、本日2番目のテーマといたしまして、少々重複する部分もございますが、過去に行われました将来人口推計の検証と評価ということについて御説明をさせていただきます。まず出生からお話をいたします。
(PP)
 スライド29は、過去の出生仮定につきまして、基本的な考え方によって時代分けをいたしたものでございます。個々のものにつきましては、以下の説明の中で触れてまいります。
(PP)
 スライド30のグラフ、これは第1期と名づけておりますが、1950年代の出生率の実績値推移と、それに対する当時の将来推計の仮定値を描いてございます。この時期は、実績出生率が急激な低下傾向をいたしておりましたので、これを反映しまして、将来的に人口置換水準を下回る水準の仮定を設定しておりました。
(PP)
 次のスライド31は第2期でございます。1985年ころまでの実績と当時の仮定値の推移を描いたものでございます。この時期は、70年代前半まで人口置換水準付近で安定した推移をいたしておりました。そういった出生率の動向に基づきまして、将来的には、出生率は人口置換水準を維持するというような仮定が置かれました。
実際には70年代後半以降に出生率は低下を示すわけでございますけれども、これにつきましては、晩婚、晩産の影響、このタイミング効果によるものであると見まして、これをむしろ表現できる新しい方法としてコーホート出生率法をこの時期に初めて導入いたしました。この方法は、以降一貫して用いられることになります。
(PP)
 次の第3期でございますけれども、この時期は、少子化の進展に伴いまして、その原因が、まず晩婚化、次に非婚化、そして夫婦の出生ペースの変化、更には離婚の増加などが絡みまして、少子化の要因が次々と変化して多様化した時期でございます。推計の仮定につきましては、推計期間全体にわたって人口置換水準を下回る低い出生率を仮定した時期でございます。
(PP)
 次のスライド33は、1期から3期までの仮定値と実績の推移の全体を描いたものでございます。
(PP)
 次に、第2期の終わりから出生スケジュールの仮定の変化というものを見てみたいと思います。スライド34の左の図の実線のグラフでございますが、これは、昭和61年推計によりまして、1975年生まれの女性コーホートに対して仮定された出生スケジュールでございます。75年というと、この当時まだ11歳のコーホートでございます。その白抜きのグラフの方は、比較のために、約1世代年上になります1950年生まれのものを描いております。ごらんいただけますように、形は違っておりますけれども、その下の面積というのはそんなに変わっておりません。
 といいますのは、このグラフからわかりますとおり、このときの推計では、女性20代で出生率は低下するものの、それは30代で生み戻されて、最終的なコーホート合計出生率は、以前の世代と変わらずに、2.0前後であるというような仮定がなされています。
右のグラフにコーホート合計出生率の仮定値の推移を示してございます。以下、歴代の推計につきまして、同じコーホートに対する仮定値を比較してまいりたいと思います。
(PP)
 次の平成4年推計では、少子化が進行しまして、著しい晩婚化、晩産化で、最終的なコーホート合計出生率も低下すると、そのような判断から、75年生まれを含めまして、1965年生まれ以降のコーホートにつきまして、人口置換水準を大きく下回る1.80になるというような下方修正されたわけでございます。
(PP)
 その次の平成9年推計では、生涯未婚率の上昇、いわゆる非婚化というものが始まっているというような観察、判断がなされまして、1980年生まれ以降のコーホート合計出生率が1.61に下方修正されました。この時期に75年生まれコーホートはようやく実績値が20歳まで得られるようになってきたわけでございます。
(PP)
 続く平成14年推計では、夫婦の出生行動変化というものが確認されまして、1985年生まれ以降のコーホート合計出生率は1.39に下方修正されました。
(PP)
 次の平成18年推計、これは前回の推計になりますけれども、ここまでの推計では産み戻しというものを取り入れていたわけですけれども、前回の推計では、先送りされた出生の産み戻しは低迷するというような状況、あるいは離婚の増加傾向などから、推計当時、出生回復につながる兆候というのはなかなか確認できませんでしたので、1990年生まれの女性コーホートにつきまして1.26に下方修正されました。
(PP)
 次のスライド39でございますけれども、以上の少子化の進展に伴います要因の変化と、それを将来推計の仮定値に順次導入してまいりました過程を左側のチャートにまとめてございます。
また、右のグラフは、それらの推計における年間の出生数の実績値との違いを示してございます。推計の方は、最後の5年間、オレンジ色の部分を除きまして、過去の推計ほど出生数を過大に見積もっているという結果になっております。
(PP)
 次のスライド40は、以上の状況を人口ピラミッドの違いとして見たものでございます。当初の推計で見込まれました第3次ベビーブームといったもの、これが現実には少子化によってすっかり消失してしまったということが見てとれると思います。少子化によって失われたものがどのようなものであったかをこのような形で見ることができると思います。
(PP)
 スライド41は、人口規模と高齢化率の違い、推計と実績の違いを示したものでございますけれども、仮に86年以降に出生、結婚についてのさまざまな変化がなかったら、2010年現在の総人口及び高齢化率はどのような水準であったかというものが示されております。
以上が出生についてでございますけれども、次に死亡・寿命の仮定の変遷についても手短に見てまいりたいと思います。
(PP)
 スライド43の図は、各回将来人口推計によります平均寿命の仮定値と実績値の推移でございます。
(PP)
 次ですけれども、各回推計の死亡仮定は、その仮定の設定の考え方によって、やはり3期に分けて考えることができます。ただし、出生仮定の3期とは時期が異なっております。これについて順次説明してまいります。
(PP)
 まず、次のスライドですが、戦後しばらくは、我が国の平均寿命は他の先進諸国に比べましてかなり低かったという状況がございました。昭和51年までの推計では、他の先進諸国で記録された最善の死亡状況、死亡率というもので構成いたしました最良生命表と呼ばれるものをつくりまして、これを我が国の将来の死亡の仮定値ということで用いておりました。
 しかし、その後、我が国の平均寿命は、先ほどの生命表の御報告にもありましたとおり、男女合わせれば世界一、世界トップクラスの寿命となります。したがいまして、この時期までの考え方に従った、こうした仮定というのは非常に過小な評価であったと、今となってみるとそういうことになります。
(PP)
 したがいまして、そういったことが明らかになってきた第2期になりますと、別の方法が必要となってきたわけでございます。そうした中で、スライド46に示しますように、1970年ごろより、脳血管疾患による死亡率低下など死因構造に非常に顕著な変化が確認されるようになってきました。これも先ほどの生命表の御報告の中にあったものでございます。
 そこで、昭和61年推計から平成9年推計までは、死因構造の変化を考慮した標準化死因別死亡率補外方式と呼ばれる方式を採用いたしました。
(PP)
 スライド47はこれによる仮定値と実績値のグラフでございます。
(PP)
 この方法は、次のスライド48にございますけれども、死因別の年齢調整死亡率の実績値推移に数学的な曲線を当てはめて補外をするものでございます。これは一時期非常に適合がよかったのですけれども、その後の研究で、次のスライドですが、死因別の将来推計というものは死亡率の改善について過小評価をする傾向があるということがわかってまいりました。これは国際的な研究によってそういったことが指摘されるようになってきたわけでございます。
それはなぜかと申しますと、一つの死因の改善というものは、見かけ上、他の死因による死亡率を高める効果がございます。したがいまして、ある死因が大幅に下がってきたときに、ほかの死因が高まっているように見える場合があるわけですね。これを補外して推計いたしますと、どうしても死亡率が過大になってしまうということになります。
(PP)
 スライド49に例示いたしましたのは、我が国の悪性新生物と脳血管疾患の死亡トレンドと、その推計の比較でございますが、脳血管疾患の方は、推計によってかなりよくトレースされているのですけれども、その推計の時期に高まっているように見えた悪性新生物の方は若干過大な推計になっていると、まさにその指摘どおりのことが起きているわけでございます。
(PP)
 そこで、次に開発されてまいりましたものがリレーショナルモデルというもので、これは先ほど方法論のところで御紹介いたしましたけれども、リー・カーター・モデルというものがございます。これは現在国際的にも標準的に採用される手法となってございます。
(PP)
 スライド51は、平成14年と前回の平成18年の推計の仮定値と実績値をあらわしておりますけれども、この2つの推計におきまして、このリー・カーター・モデルというのはベイシックなモデルとして用いられております。
(PP)
 しかし、寿命におきまして世界をリードします日本の場合には、他国にまだ見られない傾向もいち早く取り入れていく必要がございまして、スライド52は我が国の女性の生存数曲線の歴史的変遷を描いておりますけれども、近年、この曲線が高齢側にシフトするという現象が次第に顕著になっております。いわば死亡の遅延、あるいは老化過程の遅延と呼ぶべき現象が進行していると見ております。
(PP)
 前回の推計では、こうした変化を取り入れるために修正を加えた修正型リー・カーター・モデルというものを開発いたしまして用いているところでございます。これによりまして、近年の我が国の死亡率の改善パターンをよりよく再現できるようになったと考えております。
(PP)
 スライド54でございますけれども、これは歴代の死亡率の仮定値による人口ピラミッドへの影響を示してございます。第1期、第2期の将来生命表は高齢部分での死亡率改善が実績に比べてかなり低かったために、実際の人口はこれに比べて高齢層においてかなり多くなっているということになります。
(PP)
 次のスライドは、2010年の人口規模と高齢化率を各時期の死亡の仮定に従った場合と実際とを比較してございます。特に第1期の仮定では高齢化率がかなり過小となっていたということがわかります。
(PP)
 最後に、国際人口移動の仮定の変遷について御説明をいたします。スライド57にこれまでの国際人口移動の仮定設定の方法につきましてまとめてございます。平成9年推計以前は、国際人口移動として、国籍を区別しない総人口の入国超過率によって、直近5年間の実績値、平均を固定して仮定といたしておりましたけれども、平成14年推計からは、日本人と外国人の移動を別に扱うようにいたしました。
(PP)
 次のスライド58に、結果としての総人口の入国超過数の仮定値と実績値の推移を示してございます。実績値は、90年代以降におきまして変動が非常に大きくなっていることが認められます。これは外国人の出入国の変動に負うところが大きいわけでございますけれども、平成14年推計からは、こういった傾向をとらえて、外国人の入国超過数のトレンドを投影するような方法に変えてございます。
これまで我が国では、国際人口移動というのは、出生、死亡に比べますと人口に対する影響が小さかったのですけれども、このようなトレンドを考慮しますと、今後は影響が次第に大きくなる、無視できない要素になってくると考えております。
 以上、過去の推計の出生、死亡、国際人口移動の仮定設定法について振り返りまして、その人口や高齢化率などへの影響を見てまいりました。実際、今回改めてやった作業が多かったのですけれども、推計を実施する役割であります私どもとしても、非常に学ぶべき点、あるいは反省すべき点は多々あったように感じました。
とりわけ新しい変動要因の発生というものがやはりキーでございまして、いち早く確実にそれをとらえて、それらを適切に仮定に反映していくという努力が最も重要ではなかろうかと実感いたした次第でございます。
(PP)
 最後のスライド59でございますけれども、これは現在、最新の確定値が得られます2009年の人口につきまして、前回の将来推計人口の結果と比較したものでございます。年齢区分別に差が生じた要因、すなわち、出生、死亡、国際人口移動の寄与を示してございます。これは次回以降の会合におきまして最新の人口動向の状況と、それから新推計の仮定設定についての御説明をする際に再度出てまいりますので、今回はこれ以上触れず、その際に詳しくご説明させていただきます。
(PP)
 なお、追加の資料といたしまして、本日お話をいたしました過去の推計の仮定値と、それから推計結果の要約表を付しておりますので、参考にしていただければと存じます。
私の説明は以上でございます。

○津谷部会長
 金子部長、どうもありがとうございました。
 それでは、今の御説明につきまして御質問などございましたら御自由にお願いいたします。
白波瀬委員、どうぞ。

○白波瀬委員
 詳細な説明をありがとうございました。2点ほどあります。
まず第1点ですけれども、金子部長の方からは、反省すべき点という形でかなり謙虚な形でおっしゃったのですけれども、変化の捉え方についてです。変化を時間のスパンからみてみると、一時的な変化とかなり継続する変化の2つが考えられます。今までどうであったかというのは、本日のご説明でも詳細に見せていただきましたし、これまであったことを後ろ向きに捉える変化は比較的とらえやすいのですけれども、プロジェクション、あるいは投影するというように、将来に向かって変化を捉えていくということになりますと、その中身について少なからず不確定要素が存在します。特に今回については外国人移動との関係で、震災で一時的に国外に出られた方、あるいはもう日本に戻ってこない方など、変化の中身がどの程度一時的なものなのかがわかりません。
 ですから、変化の中身をどの時点でどの程度安定的なものととらえるかという点については、なかなか私も難しいところがあるのではないかと考えます。ですから、将来人口を推計するにあたって、予想しなかった震災といった出来事を、変化というくくりでどの程度考慮すべきかを、注意深く検討する必要があるのではないかというのが私の個人的な意見です。
 2点目ですけれども、出生率の低下に関して離婚の上昇が指摘されていましたが、いつの時点で、どれくらいの年齢層のものが離婚したかを考慮すべきと考えます。つまり、母子世帯の上昇等を見ましても、子どもを連れて離婚という場合もあるわけですね。若年で結婚した者が離婚しやすいということもあって、その者らはまた結婚して新しいパートナーと共に子どもをもつといったこともあります。その辺り、離婚率の上昇を出生率の低下にどの程度直接的にリンクさせてもよいものか、確認させてください。
 以上です。

○津谷部会長
 金子部長、どうぞ。

○金子人口動向研究部長
 ありがとうございました。まず1点目でございますけれども、一時的な変化と永続的な変化を区別するということでございますけれども、確かに難しい問題でございます。特に震災につきましては、実際上、今回新しい推計をする時点でどれだけのデータが得られるのかと心配いたしております。実績データが得られない状況では本当にお手上げということになるわけですけれども、私どもとしましては、震災の影響は、一時的な影響として、すなわち短期的にはかなり不確実性が増すと考えておりまして、したがって、推計の方もその部分は不確実性を表現したような形で出せないかと考えております。
 ただ、長期的に見た場合に、基本的な考え方としましては、徐々に震災の復興が進みまして影響が薄らいでくる、本来のトラックに戻っていくというような考え方で見ていきたいと考えております。
 2点目でございますけれども、確かに離婚と出生率の関係というのは簡単ではございませんで、子どもを持ったまま離婚して、再婚して、また子どもを持つという行動パターンもありますから、むしろ出生率を高める効果もございます。そうした中ではどういう形で配偶関係が多様化しているのかというのをまずとらえなくてはいけない。その上で、単に離婚をしたということではなくて、離婚をして、また再婚をしたとか、そういった幾つかのパターンに分けまして見なくてはいけないと考えております。
 それにつきましては、私どもが行っております出生動向基本調査において、サンプル調査なのでそんなに細かい分析、精密な分析は難しいのですけれども、できる限りとらえて反映をさせていきたいと考えております。

○津谷部会長
 よろしいでしょうか。
 では、加藤委員、どうぞ。

○加藤委員
 御説明どうもありがとうございました。非常に勉強になりました。
 3点ほどお伺いしたいのですが、1つは、これほど推計を行うためにさまざまに考慮しなければいけない要因が複雑になってきている現状において、やはりコーホート要因法で行っていくことしか、今後の予測の方法の手だてはないのかどうかということです。
 2点目は、白波瀬委員と同じなのですが、震災だけではなくて、例えば国際人口移動が非常に大きく最近影響しているだろうと。最後の方でも、2009年の確定人口というか、推計人口との比較を見ても、国際人口移動の誤差のコントリビューションがめちゃくちゃ大きくなってきている。
 そういうことを考えますと、リーマン・ショック以降の外国人の出入りやなんか考えたときに、一時的な変化というものをどのようにして識別していくのかということですが、基本的に考えたときに、人口推計というのはこれから50年、60年という数字ですので、余り直近の事象に惑わされないような形でやっていくべきではないだろうかと個人的には思います。
 ですから、過去の推計が今ここでこれだけ違っているということは余り強調する必要はないような気もするのですけれども、一時的な変化というものをどのように識別していくかというのは一つの大きな課題かなと思います。
 最後は、ちょっと話題がずれてしまうのですが、コーホート要因法で一つの要点として、基準人口があって、それからつくっていくということですけれども、これはこれから先の話ではないかと思うのですが、例えば基準人口で徐々に年齢不詳というのが増えてきたり、そういったことが増えてきたときに、基準のところがあいまいになってくる不安というのですか、過去、それほど年齢不詳はなかったのではないかと思うのですが、過去に比べて、前回、前々回の推計でも、不詳の人口が増えてきたとき、その影響というのは特に問題なかったのかという、この3点について教えていただければと思います。

○津谷部会長
 では、金子部長、よろしいでしょうか。

○金子人口動向研究部長
 まず第1点目、要因の複雑化に伴い、そのコーホート要因法というものが適切であり続けるかどうかという点でございますけれども、人口の変化のメカニズムといいますか、実際の変化メカニズムに沿った方法というものを考えたときに、やはりコーホート要因法というのが一番のベースに来るのではなかろうかと思います。それに対していろいろな修正を加えて、出生、死亡、移動、適切な仮定値を用いることによって緻密化をしていく。すなわち、いろいろな要因を勘案していくというのは、そちらの仮定設定の方に反映させていけるのではないかと考えております。
 2点目の国際人口移動につきましては、これは3番目の問題ともちょっと絡むのですけれども、すなわち基準人口であるとか、そういったものの測定誤差、あるいは属性不詳といったものに関係してくるのですが、人口移動の実績と推計の差を比較する場合に、今回お示ししているものもそうですけれども、実を言いますと、出生と死亡の効果というのは非常にはっきりしていますので、それをとらえて、それを全体から差し引いた部分を国際人口移動と見ているのですね。これまではそんなに国際人口移動の誤差が大きな悪さをするということはなかったのでそういった方法でよかったのですけれども、誤差がいろいろなところで入ってきている可能性が出てきていまして、実はそれらが国際人口移動のところに入っている可能性があります。
 実を言うと、国際人口移動については、データがなかなか精密にとれない、一貫した整合性のあるデータがとりにくいという問題もございまして、短期にせよ、長期にせよ、把握が難しいということがございます。ただし、勿論、それらを区別して、できるだけ長期的な傾向というものを反映させていくということはおっしゃるとおりだと思います。
 基準人口につきましては、今、多少申し上げましたけれども、国勢調査抽出集計を見ますと、年齢だけではなくて、国籍や配偶関係、あらゆる属性で不詳が増えてございます。今回の調査方法によるところがあるのかもしれないですけれども、これにつきましては、例えばこの推計の基準になります男女年齢別の基準人口につきましては、その年齢不詳のあん分方法につきまして、現在、総務省統計局と相談をして、勿論、これは私どもは意見を述べる、コメントするというような立場ではございますけれども、いろいろ我々の経験も勘案していただくような形で申し上げておりますので、改善がなされるのではないかと期待いたしております。

○津谷部会長
 ありがとうございました。どうぞ、鬼頭委員。

○鬼頭委員
 簡単な質問なのですが、今の加藤委員の出された問題と関連して1つお伺いします。
 基準人口についてなのですが、基準人口は、やはり昨年の国勢調査の人口というのが基準になるのだろうと思いますが、今回の場合には、3月に大震災がありました。全国的に見れば死亡率そのものはそんなに大きくなってないのかもしれませんが、平均余命の場合だと、必ず震災の影響を除去したものとそうでないものと2通り、これから出してくると思うのですが、将来推計の場合に、このような大規模な災害があったような事柄というのは考慮されるのでしょうか。それとも、やはり通例どおりに国勢人口基準に推計していくということになるのでしょうか。

○金子人口動向研究部長
 ありがとうございます。勿論、この推計は基準人口であります2010年の翌年から推計していきますので、短期的な、震災の影響であるとかそういったものも、本来であればきちんと勘案して反映をしていくものでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、どの程度それが確実な数字として出せるかというのはまだわからないところがございます。
 ただ、先ほど御指摘のありました、震災の影響を除去した生命表でありますとか、そういったものといいますのは、先ほども本来のトラックと申し上げましたけれども、本来の傾向、これをとらえるものということになろうかと思いますので、そういったいろいろな手法によって算出する指標についても、長期的な傾向を見るためには非常に有効であろうと考えております。

○津谷部会長
 よろしいでしょうか。
 では、まず阿藤委員、それから大林委員でお願いいたします。

○阿藤委員
 私は4つほどあって、もう既に御指摘のあった項目もあるのですが、まずは、またまた基準人口の問題です。人口推計関係者、あるいは人口統計関係者にとっては、例えば2005年から2010年の国勢調査の結果の変化というのは一種のサプライズだったと思うのですね。人口減少社会突入というのが2005年の国勢調査で明らかになったと言いながら、結果をあけてみたら、2010年には少し増えていたということで、推計の方から言うと、人口が減っていく予想が結果としては増えていたということになったのですね。これは推計がおかしいのか、基準人口になっている国勢調査の結果がおかしいのか、極端に言えばそういう話になってしまうというぐらいです。先ほどから指摘されている年齢不詳なりその他の項目の不詳というのが特に2000年代に入ってからどんどん増えてきています。特に2005年から2010年の不詳率の上昇というのはちょっと大きいと思います。2005年の国勢調査そのものもある意味では少し検討する必要があるのかなと思っていますが、2010年の国勢調査については特に不詳の問題というのをかなり吟味する必要があるということで、これは是非統計局と社人研の方でよくコンタクトをとられて、一つの納得するような数値を出していただきたいと思います。
 2番目は、同じ基準人口、2010年の国勢調査の中での配偶関係なのですが、年齢別配偶関係のデータを見ますと、女性の35歳以上ですと、今までどおり、未婚率が4~5%ずつとか上がっていくような傾向が変わってないのですが、35歳未満では未婚率がほとんど2005年と変わってないという結果になっています。
そうすると、もしその数字をそのまま信用するとすれば、若い層では、これ以上未婚化が進んでいないと見てしまうのですが、ここでまた不詳の問題がかかわってくる。これには配偶関係不詳もそうですが、年齢不詳の問題もかかわってくる。特に20代、30代というのは不詳が多そうなので、これが未婚率に影響を与える恐れがあります。この点も、特にこれからの出生率を見る際に、初婚の確率がどのように上がっていくかというのは大変重要なポイントなので、その点を是非これまた厳密に議論していただきたいなと思います。
 それから、ちょっと先走りますが、3点目が、これは既に金子部長が論文に書いておられるので釈迦に説法ですけれども、2005年以降、出生率の反騰傾向があると。1.4までは戻っていませんが、全体として上昇傾向にあります。これはやはり今までになかった傾向なので、この辺の要因をどのように分析するか、大変重要なのではないかと思っていますので、この点も是非次回の御準備までに十分な検討をいただければと思っております。
 4点目は、先ほどありました国際人口移動ですが、特に東日本大震災の影響で大量の外国人が母国に帰っているという事実があるのですが、そのことが一体国際人口移動の統計にどのように、推計の時点までに反映されるのかという心配がありますので、なるべく直近のデータを法務省辺りからどのように手に入れるかわかりませんが、そういう御努力もお願いしたいなと思います。
 以上です。

○津谷部会長
 では、金子部長、よろしいでしょうか。お願いいたします。

○金子人口動向研究部長
 ありがとうございました。基準人口の問題につきましては、御指摘のとおり、統計局の方とよく相談をし、情報交換をいたしてまいりたいと思います。
 配偶関係につきましては、確かに御指摘のとおり、前回の国調と今回の国調の未婚率というのはやや傾向がつながらないように見える部分がございます。ただ、将来推計に関しましては、結婚に関しては2通りのデータソースを駆使しておりまして、国勢調査と、一方は人口動態統計でございます。婚姻の統計を過去から積み上げますと、配偶関係の構成などもある程度把握ができますので、それら2つのデータソースを突き合わせながら、整合的なものだけを採用していくというような形でやっていきたいと思っております。
 あとは、確かに2005年、前回の推計のまさに直後から出生率がちょっとずつ回復しておりまして、これをどう見るかというのは本当に長期的な見通しにもつながる大きな問題でございます。特に注目しなくてはいけないのは、欧米で出生率が低かった国々が軒並み反騰いたしまして回復傾向にあるということでございまして、我が国で同様のメカニズムが働いているのか否かというところが焦点になろうかと思います。その結論につきましては、また次回以降の会議でお話をできたらと思っております。
 以上です。

○津谷部会長
 では、大林委員、どうぞお願いいたします。

○大林委員
 どうも御説明ありがとうございました。私の方からは、単純な質問ですけれども、お教え願いたいのですが、例えば31ページのスライドを見ますと、昭和50年頃は、昭和50年と昭和51年ということで、連続して2年次にわたって推計されているというように読み取れたのですけれども、この辺はどういう事情でこう2回にわたって推計されたのかということ、もし御存じでしたらお伺いしたいということでございます。
 と申しますのも、先ほど来の議論にかかわるのですけれども、このたびの震災の影響ということがございますので、場合によって、例えば2011年のデータがある程度そろった時点で今回行われる推計結果の再評価のようなことがなされる余地があるのかどうかということを考えたものですから、教えていただければということでございます。

○津谷部会長
 金子部長、お願いいたします。

○金子人口社会動向研究部長
 実は詳しいことはちょっと存じていないのですけれども、この時期、比較的データの入手や整備に時間がかかっておりまして、国勢調査は本来5年おきですので、5年おきに推計を出すのが整合的であるのですけれども、国勢調査の年に至っているのになかなか準備は整わず、前回の国勢調査の結果を使った推計を出すということがあったように見受けられます。
 それ以外にも、平成4年推計の1年前ですけれども、平成3年に暫定推計というのを出したことがございます。これは昭和61年推計の後、少子化によってかなり出生率の低下が進んだということを受けまして、改訂を少し早目に行ったものでございます。
ですから、今回につきましても、震災の影響その他、大きく推計が異なってくるようなことになりましたらば、その際に、全くそういうことは考えていないということではございませんで、暫定的に改訂をするというようなことはあり得るかと存じます。

○津谷部会長
 では、稲葉委員、どうぞ。

○稲葉委員
 済みません。1つだけ、テクニカルなお話をちょっと伺いたいのですけれども、前回の推計で、参照コーホートのコーホートTFRの算定の方法だと思うのですけれども、ちょっと2つの原理が動いているように僕の理解では思えたのですけれども、1つは、コーホートのTFRは、初婚再生産モデルが基本になって決まっていて、一方、出生率のスケジュールに関しては年齢別出生率のコール・マクニールのモデルになった。
 だから、1つちょっとわからなかったのは、コーホートTFRの水準を決めた後に、それを出生順位別に分解するときにどのようにしているのかと思ったのです。それは過去の実績をただ使うのか、将来のシナリオではそれをどう動かすのかということですね。だから、パリティ拡大率とかバースインターバルのダイナミクスを将来シナリオでは何か変えているのか、あるいはその辺の、つまり、初婚再生産モデルとコール・マクニールと2つはコンシステントに動かないといけないと思うのですけれども、その辺がどのように調整されているのかなと思ったものですから、それをちょっとお伺いしたいと思います。

○津谷部会長
 よろしいでしょうか。金子部長、お願いいたします。

○金子人口動向研究部長
 基本的にこの出生率のモデルについて、コーホート合計出生率を使って御説明をいたしたわけですけれども、これは実際の作業の中ではすべて出生順位別にデータがございますので、出生順位別に同じことをやって、それを足し上げたものが合計出生率になるという形で、その結果をお示ししているような次第でございます。ただ、原理的には全く同じものであるということになります。
 確かに年齢スケジュールの数理モデルと参照コーホートに対する分析というものが二重になっているということでございますけれども、出生スケジュールのモデルというのはあくまでも年齢パターンをいかに生成するかということに使っておりまして、基本的には、先ほどの例えば15のスライドで御説明したところでございますけれども、ある程度出生過程が終わっているコーホートについては統計的に当てはめることが可能なわけです。これは非常に機械的で客観的でということで楽なのですけれども、ただ、若い、実績値のないところにつきましてはそれが全くできなくなりますので、それはそこまでのさまざまなパラメータ、単に出生率ということではなくて、結婚であるとか、夫婦の出生行動であるとか、そういったものに分解して、それらの趨勢を伸ばして、参照コーホートについてそれらを求めて、それをつなぎ合わせるという方法をとっています。
 このスライド15でも、実績値と参照コーホートのところを青いラインでつなぎ合わせている様子がうかがえるかと思いますが、この図で言いますと、Aコーホート、Bコーホートというのが下の軸のところに書いてございまして、Aコーホートというのは実績があるコーホート、Bコーホートというのは統計的に推定ができるコーホート、Cコーホート、Dコーホートにつきましては、実績が少ないか、あるいは全くないというコーホートでございます。ですから、問題は、このCコーホート、Dコーホートのところにつなげていくことになります。
 ただし、ごらんのように、Cコーホートであっても、例えば25歳まで、あるいは30歳までの実績がございますので、明らかに出生率が下がっていっている、あるいは個々のパラメータ、結婚が低調になっている、夫婦の出生ペースが落ちているというのは、このような形で見ていきますので、これらの焦点を結んだところが参照コーホートとお考えいただければと思います。

○津谷部会長
 稲葉委員、よろしいでしょうか。

○稲葉委員
 もう一つ、だから、そうすると、Bコーホートまでは統計的に推定されて、参照コーホートまでいくと、例えばバースインターバルとかはもうフィックスされているわけですか。出生順位別のパターンは固定されてしまうことになるわけですかね。そのとき、もしそうだとすると、全体のコーホートTFRの水準をあるパラメータで離死別係数とかで調整したときに、ある意味ではもっと自由度が本当はあるのを、全体を上下させて調整しているようなところがあるのではないかと思って、その辺は実際の実態の人間の、結婚して、出生してという、順序別にそれを再構成して見たときに、まあまあ妥当な形になっていると判断できると、そういうことでいいのかどうか。

○津谷部会長
 金子部長、どうぞ。

○金子人口動向研究部長
 そうですね。これは仮定値というよりも結果になるのですけれども、推計をした結果につきまして、例えば女性のコーホートが生涯を通してどういう結婚、出生過程を持ったことになるのかという、いわゆるライフコースの再構成を行って、チェックを行っています。、実際に公表もしておりまして、そういった形で、むしろ将来の女性のライフコース、家族形成に関するライフコースがこのようになりますよという形での提示を目指しまして出生過程をつくっているということです。先ほどのご質問の出生順位別につきましては、勿論、参照コーホート以降については、出生率自体がもうほとんど変わりませんので、その中の構成もほとんどフィックスになることは間違いないのですけれども、そこまでの仮定というのは現実の構成の変化というのを反映していると考えています。

○津谷部会長
 よろしいでしょうか。
 その他御質問ございませんでしょうか。
 では、鈴木委員、それから廣松委員でお願いいたします。

○鈴木委員
 私は高齢者の疾病とか健康が専門なので、その視点からちょっと1つだけ伺っておきたいと思います。例えばスライド46、「わが国の死因別死亡率の変化」という、これはどこでも目にするグラフですけれども、確かに、見ると脳卒中の死亡というのが劇的に改善しているというようにも見えるのですけれども、この中で高齢者、特に本当に年をとってくると、脳卒中そのものの死亡とかよりも、例えば事故であるとか、不慮の事故とか、それから肺炎。肺炎の中にも誤飲性、誤嚥性の肺炎、こういったものが増えてまいりますが、この背景にあるのが実は脳卒中の可能性が大きいパートを占めていると思います。
 例えば転倒、転落というのは高齢期によく頻発しますし、それによる死亡というのは3大不慮の事故のうちの一つになります。でも、これの大きな背景要因としては、脳卒中による麻痺が存在しているのですね。もちろんパーキンとか他の原因もありますけれども。それから肺炎も、結局、誤飲性、誤嚥性の肺炎というのは、結局、脳卒中麻痺の後遺症となって発生してくる。それから脳血管障害の基づく認知症、こういったものによる死というのも、やはり脳卒中と何らかの関与をもっている。
 それから脳卒中というのは、御存じのように、死亡率はこのように劇的に改善しているのですけれども、しかし、発症率は全く実は今の日本でも変わってないのですね。秋田県は非常に脳卒中の多発する地域ですけれども、あそこは全県挙げて、今、発症登録をやってみていますけれども、データを見ると発症率がほとんど変わってない。新規の発症率に至っては増えているのですね。だから、卒中は起こしたけれども死に至らない、あるいは麻痺を残したまま、後遺症を残したまま頑張って生存していくということになっていきます。
 そうすると、こういった高齢期の死亡原因に基づく統計のときに、脳卒中というのを一体どのように取り扱っておられるのか。恐らく脳卒中が背景となっているその他の疾病によるものを入れると、こういうグラフを見ると、国民は、脳卒中ってどんどん減っているのだという、一面でいい希望を持つかもしれませんけれども、しかし、現実には非常に重要な情報が漏れているのではないかという気がするのですけれども、その辺はいかがお考えになられるのでしょうか。

○津谷部会長
 金子部長、お願いいたします。

○金子人口動向研究部長
 まず、この死因別の将来推計というものでございますが、先ほどお話ししました中で、第2期においてこれを採用したということでございました。鈴木先生には、非常に参考になる細かな事例について御指摘をいただきまして本当にありがたいのですが、そういったことも含めて、やはり死因別の死亡率の将来推計というのは、特に高齢層ですが、過小評価になってしまう。寿命はもっと延びるのだということになるのですけれども、ある意味、それを捨象するためにリレーショナルモデルという手法が近年標準的に用いられてきているということです。ご指摘のような細かい問題点をやはり死因別というのは含んでおりますので、このような手法の発展の仕方をしているのではないかなと思います。
 ただ、勿論、死因については何も見なくていいということではありませんで、今、御指摘のありましたような死因の間の関係ですね、これは注目していく必要があると認識しております。

○津谷部会長
 よろしいでしょうか。
 では、廣松委員、お願いいたします。

○廣松委員
 大変詳細な説明ありがとうございました。これは質問というよりもコメントですが、まず将来人口推計のこれまでの経緯、1回目の昭和30年から前回までのものをずうっと通して見せていただき、大変貴重な資料で、私も大変学ばせていただきました。
その上で、前2回の推計の経験も踏まえて、1点目として、手法としてはある程度もう成熟したというか、勿論、これからは実際のデータを見ながらいろいろマイナーな点に関しては検討する必要があろうかと思いますが、大きな考え方、方法としてはある程度確立したかなという印象を受けました。
 ただ、その前提として、これは過去2回の推計のときにそうだったのですが、将来人口推計を行うときに、人口の変動と、それから社会経済全体の変動との関係をどう考えるかということについて問題提起があり、かなり議論した記憶があります。その意味で、今回の推計を行うときにも、やはりその点に関して一度議論をしておくべきであると思います。今日御説明いただいたような推計方法そのものに関しては特に大きな異論があるわけではありませんが、人口の動きと、それから社会経済全体の動きの関係をどう整理するかという点をもう一遍確認すべきだという主旨です。
 次に、先ほど何人かの委員の方から具体的に御指摘があったまさに大震災にかかわることですが、やはり大変大きな事象だと思いますので、それによる直接的な影響を把握すると同時に、長期的な人口の動きへの影響を見るということも必要である。ただし、それらを一回の推計で両立させることは難しい面もあろうかと思いますから、この点、先ほど確かめたかったのですけれども、金子部長の方から、将来的に、今回出した推計以外に、再推計というか、いろんな状況がわかった段階で改めて計算し直すこともやぶさかではないというコメントがあったことに関して、私は大変評価をしたいと思います。
 これは必ずしも将来人口推計の話だけではなくて、現在の政府統計、あるいは公的統計全体にかかわることでもありまして、当面は3府県、あるいは震災で大変大きな被害を受けた地域に関しては省いて公表、したがって、例えば44の都道府県で出さざるを得ない。ただ、その後、何らかの形で推計が可能になった場合に、47都道府県にまで拡大するかどうかというのは、いろいろな要素を考慮して決断をしなければいけないと思います。それと同じように、今回の推計は粛々と行っていただいた上で、将来の方向性として、再推計というのもあり得るということを是非お願いしたいと思います。
 それから、これは細かいことで恐縮ですが、先ほど稲葉委員がおっしゃっていた参照コーホートの出生力の算定のところですが、例えばスライドでいくと21枚目です。たしか前回、これを議論しましたときに、そこに出ていますコーホートTFRのところで、K(カッパ)というパラメータを入れました。それによって、そこにございますとおり、実績値の推移が投影されるような形になっています。それが理論的に出てきた値と実績値との差を、最終的に修正をしている項目だと、たしか前回、整理をしたように記憶しております。
 それから、これは最終的にこの部会としてなすべきことだと思いますが、前回から出生率、それから死亡率を3ケースに分けて、9通り、公表することになったわけです。そのこと自体は大変いいことだとは思うのですが、ただ、一般的に見たときに、9通りのうちどれを見ればいいのかというのはやはりなかなか難しいところがあって、将来人口推計の推計値をどういう形で公表するかということに関しても、やはり部会で議論をした方がいいのではないかと思いました。
以上です。

○津谷部会長
 何か、金子部長の方からお考え、コメントございましたらお願いいたします。

○金子人口動向研究部長
 どうもありがとうございました。どれも非常に重要な点と受けとめました。社会経済の変化と人口変化の推計での取り扱いということにつきましては、いま一度御議論いただきたいと存じます。
それから結果の出し方ですが、9通りあり、確かに余り使われていないものを出しますと、どれを使っていいのかという混乱にもつながりますので、少しメリハリをつけるような形で、その辺、一般の方が使いやすい形を考えていきたいと思います。この辺につきまして、またいろいろ御意見等いただければと思います。

○津谷部会長
 その他、御質問ございますでしょうか。
どうぞ、林委員。

○林(寛)委員
 人口問題に初めてかかわるものですから、基本的な言葉の点でちょっと教えていただきたいのですけれども、国際人口の移動のところでちょっと疑問に思ったことですが、以前は国際人口移動で日本人と外国人と別々に推計していて、そして、総人口と書いてあって、(日本人、外国人)となっております。簡易生命表の方で見ますと、日本人人口というふうに言葉が使ってありまして、平均寿命ということになってくると、この日本人人口から計算しているのかなと思うのですけれども、その日本人の人口と言ったときに、どういう定義になっているのか、あるいは総人口というとどうなっているのかということ。あるいは何か変化があって、途中から、国際人口移動が日本人と外国人と一緒に数字を出しているということになったのか、ちょっと教えていただきたいのですが。

○津谷部会長
 私が答えるのも何でございますので、もしよろしければ、金子部長、どうぞ。

○金子人口動向研究部長
 私の方から申し上げられるのは、国勢調査も同じですけれども、この推計で扱う日本人人口というのは、日本に在住する日本国籍を有する人でございます。総人口と言った場合には、これに外国籍を有する人が含まれてくるということでございます。あくまでも日本国内に常住するということになります。

○津谷部会長
 よろしいでしょうか。人口の将来推計は、国勢調査もそうですけれども、現在我が国に在住している人口を基本的に対象にしております。さらに、我が国に居住している人口を、日本国籍を有しているか否かによって、日本人人口と外国人人口を分けているということです。
 ただ、これは人口の静態に関することで、人口の動態としての移動についても考慮に入れなくてはなりません。人は移動して入ってくるだけではなく、人にもよりますけれども、日本に来た後亡くなったり、結婚をされて子どもさんが生まれたりということもありますし、また、その後本国に帰ってしまう人もいます。人間は生きている限りいろいろな人口行動をとります。そして、これが人口の動態というものにかかわってきます。日本人と外国人ではやはり、例えば子どもの生み方も違ってくるということがあります。このように将来人口推計のモデルもだんだん精緻化されてきていると私は理解をしておりますが、よろしいでしょうか。

○林(寛)委員
 つまり、日本の人口と言うと、日本に在住している人という。

○津谷部会長
 日本に在住して日本国籍を持つ人です。実はここに書いてありますが。

○林(寛)委員
 日本の総人口と言うと、足したものということで。将来人口推計と言うときのこの人口は総人口?

○津谷部会長
 はい、総人口でございます。

○林(寛)委員
 大体わかったような気がいたします。

○津谷部会長
 その他何かコメント、御質問ございますでしょうか。

○鬼頭委員
 先ほどの廣松委員のコメントに更に上乗せさせていただいてうかがいます。1975年、76年の推計ですが、75年と76年の推計は、その間に74年、75年の大きな出生数の低下がありましたね。ですから、多分、75年の推計というのは、国勢調査、その前のですから、70年の国勢調査に基づいて計算されたものだと思いますが、その後、73年以後の大きな落ち込みを今度含めて予測しなければいけないのではないかということでやられたものだろうと思うのですね。
 それともう一つは、沖縄返還がその間にあります。72年ですか、それは余り大きな問題でないかもしれませんけれども、大きな人口動態の変化が生じたときに、特に出生率は後々まで影響を残しますので再集計したと私は理解しているのです。ですから、今度も、一度粛々と昨年の国勢調査に基づいた推計をやった上で、また何らかの必要があれば出してみるということが必要かなと思います。
 国レベルのものではもう私は余り大きな影響はないのかなあと思っていますけれども、いずれ、この数年後には都道府県別の推計を出さなければいけなくなると思いますので、やはり何らかの試算はあってもいいのかなと思っております。
 以上です。

○津谷部会長
 ありがとうございます。私は前々回から委員として人口部会に参加させていただいておりますが、戦後第1回の将来人口推計からの歴史をここで教えていただいて、大変勉強になりました。いかに推計のモデルが精緻化、複雑化、多様化され、そして、できる限りフレキシブルなモデルの構築を目指してやってきたかということがよくわかって、大変ありがたかったと思っております。
 ただ、先ほどからちょっと宿題をいただきまして、将来人口推計は将来人口推計なのだけれども、人口推計と社会経済変動との関係について、やはりここで話し合うべきであろうということです。大震災については、将来人口推計のみにかかわらず、すべての政府統計、もっと言うとすべての社会調査に影響のあることでして、ここで解決、回答ができるかどうかということは別にしまして、やはり話し合う必要は必ずあるであろうと思います。
 あともう一つは、国際人口移動です。出生や死亡もそうですけれども、国際人口移動は景気やその他の市場要因で非常に大きく変動します。経済はグローバル化しておりますので、これにより大きな影響を受けます。人口は入ってくるだけではなく、出ていくこともあります。先ほど金子部長のお話にありましたように、2時点間の人口の差と死亡と出生、これらは比較的明示化しやすく、したがって推計モデル化しやすいものであり、人口移動はその残り、つまりresidual、残余として通常扱ってきていたものを、これからはもう少し考えていかなくてはならないのではないかというご説明がありました。国際人口移動は社会経済変動の影響を非常に強く、しかも短期的に受けてしまう傾向があります。震災後一時日本を退去していた人が帰ってくるのか、そうではなくて、中長期的に国際人口移動の傾向が変わってくるのかということも含めてお話し合いをする必要があるのかなと思いました。
 あともう一つは、将来人口推計の公表の方法についてです。今回の将来人口推計をどうしていくかという御説明を次回の部会で聞くという段階で、今公表の方法について話し合うのはどうかということもあるのですが、将来推計自体は国立社会保障・人口問題研究所にやっていただきますが、その設定、仮定、そしてその意味を考えると同時に、やはり広報の一翼を担うことがやはりこの委員会の使命であろうと思います。将来人口推計の意味をよりよくわかって、よりよく使っていただくためにお役に立つということがこの委員会の一つの役割であろうと考えておりますので、やはりこれについても考えていく必要があるのではないかと思っております。
 先ほど、将来推計を9通り行うというお話が廣松委員から出たのですが、オーストラリアでは、3×9、つまり27通りの将来人口推計結果を出しております。わが国がオーストラリアのようになるということではありませんが、これから恐らく、推計結果のいろいろな組み合わせが、増えていくことこそすれ減っていくことはないわけでして、そういう意味でも、私たちが考え、ここでお話し合いをしていく必要があるであろうと思っております。
 さらに基準人口について一言申しますと、国勢調査では、だんだん不詳データ、特に年齢不詳が増加しています。年齢は人口の基本的な属性であると同時に、すべての人口行動は年齢の関数ですので、この情報の不確実性が増してくるということの問題は大変大きいと思います。国勢調査では、回答率を上げるために、密封で提出をするということを許していまして、このため回答率は上がるのですが、英語で言うusable questionnaire、つまり、信頼性のある統計として精度の高い情報を得るということはむしろ犠牲になるという傾向が最近強くなってきているのではないかと心配しています。つまり、密封して国勢調査の調査票を提出してしまいますので、どうしても回答に不詳情報が多くなってきています。我が国の形を示す最も第一義的な人口静態統計としての国勢調査データのこれからを考えていく上でも、次回の国勢調査の検討会、これは既に始まっておりますけれども、それと連携をしていただいているということですので、重要な意味をもつと思います。そういう意味での基準人口についても、また次回お話をいただくとともに、ここで更に議論を重ねていきたいと思っております。
 まだ若干時間がございますけれども、何かコメントその他ございましたら。
 どうぞ、阿藤委員。

○阿藤委員
 今の社会経済的な変数と推計の関係なのですが、我々もいろいろ議論した末に、社会経済的変数から人口の要因を予測するとか、そういうことはほとんど不可能だろうと。人口の変数の方が社会経済変数よりも余程安定性があるという状況から、そのように暫定的な結論というか、考え方を持っています。しかし、一般論として、さまざまな社会科学的な研究というのは、ある従属変数に対してどういう要因が絡んでくるのかとか、あるいは政策効果はどうかとか、そういう研究が非常に多いわけです。
 特に出生率は少子化問題に絡んでそういう研究がいろいろあります。それから、恐らく死亡についても、これはいわゆる社会保障の医療給付が国際的にも多いか少ないかというのは、特に先進国で大きくその死亡率の問題にかかわってくるのではないかとか、そういう議論もあり得るわけですね。
 国際人口移動になると、これはほとんど予測不可能というか、政策変数が大きいし、とても無理だと思いますが、特に出生と死亡については、そういう研究も恐らくいろいろあるのでしょうから、どこかで一度整理して、もしここに出していただければ少し実証ベースに乗っかった議論はできるのではないかと。何かそういうものをもし準備するお時間があるようでしたら整理していただけたらという希望です。

○津谷部会長
 そのほか、コメント、御質問ございますか。
 では、加藤委員、どうぞ。

○加藤委員
 個人的には、社会経済要因と人口のことを考えたときに、定量的に物事を検証するのは非常にリスキーなものだと考えております。阿藤委員がおっしゃったように、やはり社会経済要因の不安定性、将来の見通しの難しさと人口を直接絡ませるということに関しては、僕が言うのも変ですが、非常に難しい問題があると思います。
 そこで、ある意味で、基本的に定性的な視点で整理しておくということでいいのかなあと。定量的にこういったことが、例えばGDPが上昇したらどうなるということではなくて、このような社会の場合にはこういった人口状況が考えられるという定性的な側面だけでいいのではないかなともちょっと考えます。
 以上です。

○津谷部会長
 どうぞ、廣松委員。

○廣松委員
 その点は私が言い出したものですから補足ですが、私が申し上げたかったのは、今、加藤委員がおっしゃったとおり、人口変動と社会経済全体の変動との間の定量的に確固たる関係を求めるということではありません。それは不可能だと思います。ですから、この部会の中で、委員の間で両者の関係をどう整理するかということについて合意ができれば、その合意のもとで推計が行われたということが公表できれば、私はそれでいいと考えます。

○津谷部会長
 ひとこと言わせていただくと、社会経済変動と社会経済的な属性は、関連があるわけですけれども、区別して考える必要があるのではないでしょうか。例えば高学歴化、これは社会経済変動のひとつだろうと思うのですが、一方教育水準は人口の社会経済的属性であり、特に過去2回の将来人口推計では、そういう社会経済的な属性の変化を、コーホート要因法を使ったモデルの中で、パラメータの推計に使ってきたと私は理解しております。
 ただ、社会経済変動の例として、震災とかリーマン・ショックというお話が先ほど少し出ましたけれども、このような経済的なストレスは当然大きくフラクチュエイトしますので、その中長期的影響を、これから人口投影していくときにどのように見ていくのかということは非常に難しい問題です。人口の動態の中で、死亡と出生、そして人口移動、さらに出生を司る結婚などのパラメータがあるわけですが、これらについても精査をする必要がある程度はあるのではないかと思います。
 ただ、これは皆さんもおわかりのことかと思いますが、社会経済変動の影響を定量的に推計していくということはほぼ不可能であろうと思っております。ただ、推計結果を公表する際に、それについての説明をする必要があり、パラメータによりますけれども、これについてはきちんとこの委員会で話し合って、それなりの理解とコンセンサスを得た上で公表するということで、将来推計の結果をよりよく使っていただけると思います。それに役に立つように努めていきたいと私は思っておりますが、皆様、どうぞいろいろな御助言、アドバイス、御意見をいただきたいと思います。
 どうぞ、林委員。

○林(寛)委員
 ちょっとしつこいようで申し訳ないのですけれども、先ほど、最後に、会長さんにもう一回、将来人口推計と言ったときの人口というのは日本人ですねと申し上げたら、そうですとおっしゃった。違います?

○津谷部会長
 いいえ、日本に在住している総人口です。

○林(寛)委員
 総人口ということですね。では、私の聞き違いです。将来人口推計と言ったときの人口と言ったときは、イコール総人口ということで、外国人が含まれるということですね。

○津谷部会長
 そうでございます。日本に在住していらっしゃる、日本国籍を持つ人口が日本人人口、日本国籍を持たない、日本に在住していらっしゃる人口を外国人人口、それを足したものが総人口で、将来人口推計は総人口を対象にしたものです。少なくとも公表されるものについてはそうであると理解しております。

○林(寛)委員
 わかりました。

○津谷部会長
 阿藤委員、どうぞ。

○阿藤委員
 わかりませんけれども、林委員が多分ちょっと混乱されているのは、国際人口移動の説明になった途端に外国人と日本人が出てくる。では出生や死亡については、その国籍の問題はどうなっているのか。その点をちょっと御説明いただいた方がよろしいのではないでしょうか。

○林(寛)委員
 そうですね。出生については、先ほどここでスライドで、ただし書きで、外国人についての計算方法、多少コメントがついていましたが、死亡については何も触れてなかったということもちょっとあります。大きな影響を与える数字ではないと書いてあるので、ここでそれほど問題にすることもないかなとは思ったのですけれども、多少疑問が残っていることと、途中から外国人の数え方を変えているということですね。途中までは国際人口移動の数を日本人と外国人で別々に計算していて、その後、今は外国人プラス日本人、違いますか。

○津谷部会長
 では、金子部長、御説明お願い致します。

○金子人口動向研究部長
 国際人口移動につきましては、以前、総人口ベースで、日本人も外国人も一緒に、日本に来る人から去る人を引いた入国超過を、男女・年齢別ですけれども、それを見ておりました。そうしたところが、外国人と日本人の国際人口移動の傾向が、90年代以降、非常に顕著に変わってまいりましたので、それを分けて推計するようになったということでございます。
 出生、死亡につきましては、実を言うと、前回の推計から、出生については完全に外国人と日本人を別々に出生率を与えるという方法にいたしました。ただし、将来の変化につきましては、日本人の変化というものを仮定いたしまして、それに連動するような形で、外国人の出生スケジュールの特徴を保ったまま、増加したり減少したりというものになっております。日本人に沿って変化していくというような、そこはちょっと単純化した考え方をいたしました。
 死亡に関しましては、考え方としては、日本人も外国人も、日本に来たら同じ死亡率ということで、日本人で得られた生命表死亡率を外国人にも適用しております。ここは、勿論、更に精密化する余地のある部分でございます。

○津谷部会長
 林委員、よろしいでしょうか。国際人口移動と出生については、日本人人口と外国人人口を分けて推計しているということです。ただ、死亡率については、年齢別の死亡確率を、同じにしているということですね。
 どうぞ、宮城委員。

○宮城委員
 産婦人科医師として非常に興味あったのが39のスライドのデータなのですけれども、私、前回も出席させていただいて、出生数と実測値の違いをこのようにファクターで分けたというところが非常に興味深く更にここのファクターとして挙がっているところというのが、先ほどから話題になっている経済ですとか、それこそ震災ですとか、いろいろな社会的な要因を受けやすい部分のものだと思うのですが、この比率が非常に多くなってきているということで、次回以降でいいのですけれども、どうやってこれをこのような比率で分けることができたのかというか、その手法とか考え方について教えていただければなあと思いました。非常に興味深いデータです。

○津谷部会長
 申し訳ございません。39ページの図で、右側の棒グラフのことでございましょうか。

○宮城委員
 はい。一番最近の2006-10年の推計のずれたところの要因というのが5個挙がっていますね。

○津谷部会長
 これは1961年の推計だとすればこれだけということで、推計の仮定を変えて定量化したということですね。

○宮城委員
 その仮定がこのようにグラフであらわせるということがどういうところから、いろいろ複雑なデータを持ってこられているのだと思いますが、特に私はオレンジの30代以上の生み戻しも非常に興味のあるところなのですけれども、教えていただきたいと思います。

○津谷部会長
 ここで金子部長お答えになりますか。それとも、次回にどのように推計したということをご説明された方がよろしいでしょうか。

○金子人口動向研究部長
 簡単に答えられることは、基本的にこのグラフは将来人口推計の過去の結果と現実との差を見ております。過去の将来推計というのが仮定値が異なっており、どちらかというと要因を足していくような形で行っています。少子化自体がそういう形で進行していると見ており、最初は晩婚化だけであったものが、やがて非婚化も加わり、その後に夫婦の出生行動も変化しという形で仮定が変遷しておりますので、その違いを要因の違いとみなすことができるわけです。ある意味では、これは将来人口推計の真骨頂と言えます。要するに晩婚化とかそういうものが人口にどう影響するのかというのを翻訳するのが人口推計ですので、そういう意味ではこれは非常に翻訳がわかりやすくできている部分であろうかなと思います。

○津谷部会長
 よろしいでしょうか。次回、御説明を更にいただいた方がよろしいでしょうか。

○宮城委員
 大体の雰囲気はわかりました。過去のことをこのように、その割合を算出しているというところが非常に興味深かったので質問しました。

○津谷部会長
 将来人口推計は、今回は2010年の人口静態、つまり同年の性・年齢(各歳)別人口を標準人口として、出生、死亡、そして国際人口移動という人口の3大動態をコーホートで仮定を設けて推計し、今後50年間の人口の静態、つまり、性、年齢別の数を推計していくものです。今後の人口静態がアウトプットになってまいりますので、そのための人口動態の設定によりどのようにこれからの人口静態、つまり性、年齢別の人口数が変わってくるのかということをここで教えていただくのだと思っております。
 ただ、宮城委員からの先ほどの式のお話があったかなと思うのですけれども、前回の推計で使われた出生確率のモデル、これは13ページですけれども、この数式に使われているいろいろなギリシャ文字、これをパラメータと申しまして、これらが未知数です。モデルの未知数の数がだんだん増えて、この数式自身が複雑化してきております。これは出生についてですけれども、このように、推計モデルの中のパラメータがいろいろと導入されてきており、1961年の推計から始まって、前回の2006年の推計まで、モデルによって推計される出生率の要因別内訳を算出されたということだと思います。前回の推計モデルはここでご説明されましたけれども、前々回、さらにその前というふうに遡って、ここでそれらのモデルを使って出生率とその内訳を計算されて、この数値を出されたと解釈いたしました。もし更なる説明が必要なようでしたら、それをお願いをするということもできるかと思います。よろしいでしょうか。
 その他、御質問、コメント、そろそろ時間が来ておりますが。
 それでは、時間もまいりましたので、質疑はこれまでに今回はさせていただきたいと思います。
 なお、次回の開催日程、日時につきましては、改めて事務局の方より委員の方々に日程を調整させていただきまして、皆様に御連絡することにさせていただきたいと思います。
 本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(人口部会)> 第12回社会保障審議会人口部会議事録

ページの先頭へ戻る