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2011年10月21日 中央社会保険医療協議会と介護給付費分科会との打ち合わせ会議事録

○日時

平成23年10月21日(金)12:00~14:00


○場所

グランドアーク半蔵門 富士東の間(4階)


○出席者

<中央社会保険医療協議会>
森田朗会長 白川修二委員 伊藤文郎委員
安達秀樹委員 西澤寛俊委員
<介護給付費分科会>
大森彌分科会長 池田省三委員
田中滋委員 村川浩一委員
<事務局>
外口保険局長 宮島老健局長
鈴木医療課長 宇都宮老人保健課長他

○議題

○ 医療と介護の同時改定に向けて
○ その他

○議事

○森田会長
 皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより「中央社会保険医療協議会と介護給付費分科会との打ち合わせ会」を開催いたします。
 中央社会保険医療協議会で会長をしております森田朗でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進行につきましては、医療側からこの合同の打ち合わせ会を持ちかけたという経緯もございまして、大森介護給付費分科会長と私とで相談し、その結果、私の方で進行役をやらせていただきます。よろしくお願いします。
 さて、この打ち合わせ会は、24年度の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて、まず、医療・介護施設の機能分化の推進及び地域における連携体制の構築、第2といたしまして、在宅医療・介護の充実というような視点から、双方の審議会の委員が忌憚のない意見を交わし、もって、医療と介護の役割分担と連携の強化を図ることを目的としております。
 まず、御参加いただく委員の御紹介の前に、大森介護給付費分科会長よりごあいさつを一言お願いいたします。
○大森分科会長
 最初に今回の会合につきましては、森田会長始め、中医協の皆さん方のお呼びかけがございまして実現いたしました。私からも感謝申し上げたいと思います。
 私自身は、現在、社会保障審議会の会長と同時に介護給付費分科会の会長を仰せつかっておりまして、事務方からすると17年からこの会長をしているのだそうです。ちょっと長いかなと思っているのですけれども、そういうはめに陥っている人間でございます。
 御案内のことでございますけれども、医療と介護は国民の安心・安全の要でございますと同時に、当然ながら社会保障制度の不可欠な要素になっていまして、したがいまして、私どもがいろんなことを考えるときに、社会保障体制全体の中で特段に必要な財源を安定的にどうやって確保するか。そのためには医療と介護の現場がいかに充実したものに変えていかれるか。その観点で考えられる問題ではないかと思っています。
 介護保険の方を担当している私といたしましては、介護保険の目的は、要支援、要介護の方々が尊厳を維持し、その人の持っている能力をできるだけ発揮する、そういう意味での自立ということを前提にして、いかにしてその自立が可能になるようなサービスを適切に提供できるかということが目的になっています。
 その際、私どもの方の分科会は全体といたしましては、できるだけ在宅でそのことが可能になるような方向を目指したいということになっていまして、大きな枠組みは地域包括ケアシステムの構築ということになっています。そして、その充実に向かって検討すればするほど、医療と介護が密接不可分に結び付いていまして、双方共通認識の下で、いかにしていいものに変えていかれるかということになっていますので、今日はその絶好の機会ではないかと私は感じています。
 委員の皆さん方も、今日は委員がばらけて入っていまして、別に両部会が対決するわけではございませんので、込みに入っていますので、私を含めまして忌憚のない自由な交換をさせていただければと思っています。重ねて中医協の皆さん方に感謝申し上げます。ありがとうございました。
○森田会長
 ありがとうございました。続いて参加委員の御紹介をさせていただきます。今も申し上げましたけれども、中医協側、介護給付費分科会側と分かれているわけではなく、「あいうえお」順の座席になっておりますので、その順で御紹介をさせていただきます。
 安達秀樹 中央社会保険医療協議会委員でございます。
 池田省三 介護給付費分科会委員でございます。
 伊藤文郎 中央社会保険医療協議会委員でございます。
 白川修二 中央社会保険医療協議会委員でございます。
 田中滋 介護給付費分科会委員でございます。
 西澤寛俊 中央社会保険医療協議会委員でございます。
 村川浩一 介護給付費分科会委員でございます。
 なお、こちらの方に外口保険局長も席が設けられておりますけれども、少し遅れて出席されるということでございます。
 それでは、早速ですが、議事に移りたいと思います。事務局より資料が提出されておりますが、資料の説明をしていただく前に、本日の議論の進め方について御説明いたします。
 まずは事務局から資料の説明を受けた後に、委員による意見交換を行います。意見交換を通じて、両審議会の委員により同時改定に向けた方向性が共有されるとともに、具体的な連携・役割分担等のアイデアが生まれることを期待しております。
 また、本日の意見交換会は、具体的な項目を審議して決定する場ではございませんので、本日の議論は、それぞれ中医協・介護給付費分科会に持ち帰り、それぞれの審議会における今後の議論に反映することにいたします。
 それでは、資料の説明を事務局よりお願いいたします。
 どうぞ。
○鈴木医療課長
 保険局医療課長でございます。私の方と老健局老人保健課長で分担して説明させていただきたいと思います。
 まず、資料の概略でございますが、資料1が本資料、資料1に参考資料が付いてございます。
 資料2は横紙でございますけれども、これは中医協における医療と介護の連携に関する主な議論。
 資料3が介護給付費分科会における主な議論。
 資料4は中医協の方の二号側の御意見として、「医療と介護の連携の議論に必要な視点について」という資料をいただいております。事務局からは3まででございます。
 それでは、まず資料1でございます。同時改定に向けてということで、下にスライド番号が書いてございますが、スライド番号3をごらんいただきますと、将来の人口推計です。高齢者の人口自体が増えるというよりは、若い方が減って高齢人口の割合が増えるということになるわけです。
 スライド4、特に左側ですけれども、これは要介護度3以上でお一人でお暮らしの方の数が非常に増えてくるということでございます。
 スライド5は亡くなる方の数とどこで亡くなっているかということを示しております。緑が医療機関、黄色いところが自宅、間のところが介護施設というところでございます。これから40万人ぐらい亡くなる方が増えますけれども、そういう方がどういうところで最期を迎えられるかというところが課題になってくるかと思います。
 スライド6は社会保障と税の一体改革に関するポイントということで、連携等に関しましては下線で引いておりますけれども、医療の側から申し上げると、さまざまな分化と連携、在宅医療の充実、平均在院日数の減少等々が記載されているところでございます。
 更にその関連でございますが、スライド7、これは特に入院、入所系の施設、現在の姿よりは2025年を目指して、より盛り上げた形で高度急性期のところをより人員を張り付けた上で平均在院日数も短くしていただくというような形で、病床をいわば病気のフェーズによって、急性期なり亜急性期なり、療養型、介護施設ということで分けてはいかがかということでございます。
 スライド8は、地域包括ケアということで、小・中学校区レベル、市町村レベル、人口20~30万レベル、都道府県レベルというところで変えていってはということでございます。
 スライド9は、先ほどの社会保障と税の一体改革の関連の資料でございますけれども、特に病床のところ、介護系の施設の収容人口の見込みというところですが、先ほど申し上げたフェーズごとに分けるということと、特にシナリオの右側をごらんいただきますと、地域一般病床ということで、地域によっては非常に病床数が限られているので、急性期から慢性期の方が混在する場合があるだろうということで、シナリオの2番目はそんな形になっております。
 飛んでいただきまして、それぞれの概要を11ページ目以降に書いてございます。現在のところ、公費の負担とか労災、自費等を除いた医療費というのが大体33兆ぐらいで、介護保険が7.2兆ぐらいですけれども、介護保険の中にも医療系のサービスというのが一部ございます。
 スライド13にあるように、特に医療と介護の連携という観点から、かかられる患者さんなり住民の方の視点からしますと、退院時の問題、地域の生活の問題、状態の変化が起こった場合、入院される場合、こういう場合にそれぞれどのようなサービスがどうやって連携して提供されていくかということが課題になると思います。
 もう少し具体的に言いますと、スライド14、左側は介護側のさまざまな施設で、医療的色合いが濃いものが右側、薄いものが左側ということですけれども、介護報酬に包括されているものが黄色、医療から給付されるものが青色ということで、これは給付調整という形でそれぞれどの施設であればどういうことが給付されるかということが決まっているという状況でございます。
 右側は、在宅におられる場合に介護と医療を同時にサービスが提供できる場合どうするかということですけれども、これは一部を除きまして基本的には介護優先ということになっているという現象でございます。
 最後の論点のところでございますけれども、6点ほど考えております。施設系のものが3点、在宅系のものが3点ございます。
 施設系の(1)の1としては、特に入・退院時における医療と介護の連携、スムーズな移行というのをどのように支えていったらいいのかという問題。
 2は老健部局で御議論されるということだと思いますけれども、介護療養病床から介護療養型老人保健施設への転換の問題。
 3は介護施設内における医療提供の在り方ということでございます。
 スライド17の(2)在宅の問題です。先ほど介護優先というのを在宅における原則として申し上げましたけれども、一部医療で給付するという場合もございますし、訪問看護・リハビリ等、一定の場合について医療でも提供する場合があるのではないかという課題意識がございます。
 その他、看取りの問題、認知症への対応、診断をきちっとする、その後のサービスをする、周辺症状の対応をどうするか、さまざまな施設をどうするかという問題であろうかと思います。
 併せまして参考資料、特に私の方からは医療系を中心にざっと御紹介したいと思います。
 スライド4は退院後の支援について、介護報酬なり診療報酬なり、色で丸診と書いてあるのが診療報酬、丸介と書いてあるのが介護報酬でございます。さまざまな手立てをしておりますし、スライド5は大腿骨頸部骨折・脳卒中については、地域連携パスというものができておりますので、これも同じく丸診というのは診療報酬、丸介というのは介護報酬でございますけれども、それぞれさまざまな支援をしております。ただし、これは在宅におけるさまざまなサービスの普及具合等によりまして、報酬のみではなかなか100%満足した結果にならない場合もあろうかと思います。
 スライド6は退院調整に係る関与のイメージですけれども、将来に向けては、退院直前に関わるだけではなくて、もう少し入院早期から関わった方がいいのではないか。また、退院後に関わられる方がより深く関わっていただいた方がいいというのがスライド6でございます。
 ちょっと飛んでいただきまして、スライド18以降、19、20をごらんいただきたいと思います。スライド20で訪問看護の問題でございます。訪問看護は医療からも介護からもそれぞれ給付の状況があるわけですけれども、利用者から見ると、28万人強と8万人強ということで介護の方が多いという状況になっております。
 全体の訪問看護の現状を利用状況で見ますと、スライド24でございます。平成19年ぐらいまで少し伸び悩んでおりましたけれども、その後、一定程度伸びてはいるというところでございます。右側のグラフをごらんいただきますと、訪問看護ステーションの方の訪問看護は伸びているということでございますけれども、実施している医療機関の数というのは減っているという現状です。
 先ほど申し上げましたように、スライド25、在宅におられて介護保険からも医療保険からも訪問看護を受けられるという場合に、原則的には介護優先ということで介護から受けられますが、特別訪問看護指示書を出す場合は、右に囲っておりますけれども、気管カニューレをしているとか非常に深い褥瘡、床ずれがあるというような場合には、月2回、それぞれ2週間に限って訪問看護医療から提供できるというシステムになっております。
 特にスライド28と26をごらんいただきますと、在宅への移行の準備期間というのは、やはり退院後2週間程度、非常にかかるということでございますので、この間、介護からの訪問看護は実施できないような場合には、やはり医療から実施するということも1つの検討課題かなと思っております。
 少し飛んでいただきまして、スライド30でございます。これは在宅の歯科の問題でございます。要介護者約370名程度を拝見して、何らかの歯科治療が必要という方が74%ぐらいおられましたけれども、実際に受けられている方が27%ということでございます。
 スライド31、32をごらんいただきますと、訪問歯科診療を実施しておられる歯科医療機関というのは、施設に行っておられる方は増えているんですけれども、在宅の方はむしろ減っているという状況です。
 歯科の医療系、もしくは介護系との連携具合を見ますと、医療とは6割程度連携できているけれども、介護とは2割程度の連携というのがスライド32でございます。
 また、スライド33に薬剤管理というのがございますけれども、これは介護でも医療でもございますが、高齢者の場合、特にたくさん薬が出ている場合が多くて、その場合にのみ残し、コンプライアンスの問題というのがございます。
 リハビリテーションについては34にありますように、基本的には冒頭の急性期なり回復期は医療でその後介護へという流れでございまして、それはスライド35に書いてあるとおりでございます。
 医療の方は外来と入院のリハビリテーションがありまして、それは36に記載されております。月当たりの点数ということを見ましたのがスライド38でございます。先ほど申し上げましたけれども、急性期、回復期は医療で、生活期もしくは維持期は介護でということで、平成18年から進めておりますけれども、なかなか回復期になっても介護の方に移行ができないケースがあるということで、今、移行して1か月ぐらい介護の方が点数が高いという状況になりますけれども、これをよりスムーズにするためにはどうするかという課題があろうかと思います。
 更にスライド40、41、42ですけれども、これは実際に在宅で例えば介護を受けられておられる方でリハを受けられている方が一時ちょっと悪くなられるという方がおられます。こういう方に短期集中、2週間程度が多いようですけれども、リハを提供するとスライド42にあるように、起き上がりとか歩くとか排泄とか、そういうところが改善するということがわかっておりますので、一瞬急に悪くなったような場合、介護保険で対応するか、それとも通常は介護保険優先ということになっているけれども、医療で一定程度手当をするかということが課題になるかと思います。
 次に、看取りのところは先ほど申し上げたスライド44でございまして、スライド45の黄色いところでございますけれども、ケア付き高齢者住宅のようなものが日本では海外に比べて少ないということになっております。
 医療からしますとスライド49をごらんいただきますと、平成18年に在宅療養支援診療所という制度をつくりました。今、約1万2,000強ございますけれども、在宅で1名以上看取りをしておられる機関というのは約半数しかないという状況でございます。
 実際に在宅療養支援診療所その他の診療所の点数の差というのがスライドの51に書いてございます。
 スライド53ですけれども、看取りをしている在宅療養支援診療所としていないところでございます。各県における在宅における看取りとの関連を見ますと、明らかに看取りをしている機関の箇所数と相関があるということでございます。
 ただし、スライド54にありますように、これは各県における在宅死の数でございますけれども、青いところが在宅療養支援診療所が絡んでいるものです。現在、半分ぐらいしか看取りをしていないということですけれども、これを倍にしたとしても各県の在宅の看取りはすべては対応できないということでございますので、より広い取組みが必要だということだと思います。
 スライド56、57にあるように、これは緑のところがしっかりと在宅で看取りをしている、青のところがしていないというところですけれども、きちっとカンファレンスをやっていたり、地域医療に連携する職員を配置していたりというところが在宅の看取りをしっかりしているということでございますので、こういうところをしっかり評価していく必要があろうと思います。
 我々としては58にありますような、現在のところは1つの医療機関がお一人の方をということで在宅療養支援を考えておりますけれども、もう少し病院も一部絡んだ形で、ネットワークで看取りをきっちり地域で見ていくということもやはり必要かなと。先ほど申し上げたように、訪問診療にかなり特化したところだけではなくて、むしろ午前中外来、午後に訪問診療というところも含めてネットワークを組まないといけないのではないかということです。
 最後に認知症の課題でございますけれども、67、68をごらんいただきます。67が早期鑑別の重要性ということで、熊本大学にお医者様、開業医の方から認知症ではないかということで確定診断を依頼されたケースのうちで実際に認知症といわれた方が何割ぐらいかということです。見にくいかもしれませんが、認知症と明らかに付いているのが約7割ということでございます。残りの3割には、例えばうつであるとか、正常圧水頭症であるとかパーキンソン病であるとかてんかんであるとか、いわば治療できる状態も入っておりますので、こういうものを最初からしっかり判断をした上で、治療すべきものは治療する、認知症として対応するものは対応するということが必要だと思います。
 68、認知症の場合にはもともと中核症状である見当識が低くなるということもそうですけれども、それ以上に、例えば徘徊でありますとか暴力でありますとか、BPSD(行動・心理症状)と介護負担度が非常に連関しているということでございますので、こういうところで特にケアで対応できる部分が相当あると思いますけれども、医療で対応せざるを得ない部分というのはどういう部分であって、そこにどう対応するかということが課題であろうかと思います。
 医療課からは以上でございます。
○森田会長
 それでは、続いて老人保健課長、お願いいたします。
○鈴木医療課長
 1点失礼。資料2の中医協における主な意見をざっとだけ御紹介いたします。横長でございます。
 いくつか代表的なものだけ申し上げますけれども、総論でいいますと、2番目のところでいっておりますようなシームレスな連携、整合性を取るべきだということがございます。
 次の在宅医療・訪問看護で言いますと、最初のポツの真ん中以降、病院と在宅の両方の選択肢を考えていく、どちらかだけが必要だというわけではないということです。
 最後のところ、これは訪問看護や訪問診療、いずれについても言えると思いますが、やはりそれぞれの職種でのキャリアシステムというのをしっかりつくっていくべきで、急性期も慢性期も見られるということが大事だということです。
 裏をめくっていただきまして2のところですが、冒頭で書いてありますが、在宅療養支援病院が支援診療所を支援するという、先ほどのネットワークの関係が重要だと。
 歯科のところでは、口腔ケア、食べること。薬剤のところでは残薬、飲み残しの問題が主に言われているということでございます。
 失礼いたしました。
○森田会長
 それでは、お願いいたします。
○老人保健課長
 老人保健課長でございます。よろしくお願いいたします。残りの部分について御説明いたします。資料1の参考資料をごらんいただきたいと思います。
 まず7ページ、介護療養病床から介護療養型老健施設等への転換の促進というのがございます。8ページにありますように、実態調査結果として転換意向未定の施設が多いということがございますが、平成17年当時と比べまして、介護療養病床と医療療養病床の機能分化が進んでいるという状況がわかると思います。
 転換支援策としては9ページに書いてございます。こちらの資料には書いてございませんけれども、先般の法改正によりまして、この介護療養病床については、転換終了、つまり廃止の期間を6年間延長、一方、新規は認めないことが決まったということでございます。
 11枚目のスライドですけれども、介護施設の主な人員配置基準等というのが書いてございます。この中で表の左の縦軸の方にありますけれども、医師、看護職員あるいはリハビリテーション専門職、こういったものの配置の状況によりまして、それぞれの施設における医療提供体制の濃淡というものが出ているということでございます。
 12ページ、特別養護老人ホームの配置医師の状況ということで、ほとんどが非常勤の嘱託医というような状況がございます。
 13ページ、配置医・施設の医師による定期的な診療回数というものがこちらに示されておりますが、1ヶ月に3回未満である割合が特養で6割、老健で約5割という状況がございます。
 続いて、医療保険と介護の給付調整の非常にばくっとしたイメージですけれども、青い塗りつぶしのところが医療保険で給付する部分、薄緑のところが介護保険で給付する部分ということでございます。
 15枚目、介護施設における医療処置の状況ということで、それぞれの施設における提供する医療の状況がございますが、下2つの喀痰吸引、経鼻経管・胃瘻につきましては、先般の法改正によりまして、来年度からトレーニングを受けた介護職もできるようになるというような状況があるところでございます。
 16枚目、介護保険施設における入・退所者の状況ということで、赤で囲っておりますように一番上の介護老人福祉施設、特別養護老人ホームにおいて、退所後医療機関に行くというのが31.5%ということでありますが、実は死亡の内訳をごらんいただきますと、入院先での死亡というのが37%ということで、実態としては68.5%が医療機関の方に行っているということでございまして、その下の老健施設、介護療養についても同様の数字が出ております。
 右上の入所者の服用割合ということでございますが、特養あるいは老健について1種類以上の服薬を行っている方は9割いらっしゃいますが、特に医師配置義務のない有料老人ホームにおいては7種類以上の服薬を行っている入所者が36.8%いるということであります。
 先ほど訪問看護は御説明がありましたので、37枚目に飛んでいただきたいと思います。リハビリテーションの介護保険におけるリハということで、こちらに非常に簡略に示しているということでございます。
 47ページ目に飛んでいただきたいと思いますけれども、看取りの関連のところに入っておりますが、自分自身が介護を受けたい場所ということで、現在の住まいで介護を受けたいという方が37.3%、特養や老健施設などの介護保険施設に入所して介護を受けたいという方は26.3%、その中間的な介護付きの老人ホームなどが18.9%、病院に入院してというのが12.9%、こういう状況が示されております。
 59枚目のスライドに飛んでいただきたいと思います。看取りに係る介護報酬上の評価ということで書いてありますけれども、60ページにありますように、それぞれの施設あるいは訪問看護でサービスごとに異なるという状況が現状としてございます。
 61ページ目でございますけれども、介護報酬上の評価。この看取りにつきまして介護保険と医療保険で払う算定可能なところについてこのような条件があるということでございます。介護老人福祉施設につきましては、基本的には介護保険ということなんですけれども、末期悪性腫瘍の患者さんについては医療保険というような整理が付いているということであります。
 71ページ、認知症に関しての介護側の施策です。71ページ目はいわゆるグループホームの概要ということでございます。
 73ページの方が小規模多機能型居宅介護。
 以後が参考として認知症に関わる現行の加算というものが示されているということでございます。
 資料3をごらんいただきたいと思いますが、こちらは介護給付費分科会でこれまでに出されました主な意見というものを拾ってございます。ただ、これは実際の御意見は結構長い言葉などもありますので縮めさせていただいたりしているものがございますので、必ずしも議事録と全く同じ表現ではございませんので、あらかじめお断りしておきます。
 総論といたしまして、やはり医療と介護の連携についての御意見などがいろいろと出されているということです。
 2つ目、医療・介護施設の機能分化の推進及び地域における連携体制の構築ということで、やはり退院時における医療保険から介護保険への移行の話、その下は訪問看護の関係で幾つか意見が出されているということでございます。
 一番下のポツの方から、特養における医療提供の在り方について意見が出されているところでありまして、続いて老健施設については特に救急搬送の話なども出されています。特養についても出されております。
 薬剤管理のことに関する意見、最後に在宅医療・介護の充実ということにつきまして、地域の医療サービスと介護サービスの連携などの意見。
 3ページですが、ターミナルケアについての御意見、その他としまして、認知症あるいは口腔ケアあるいはたんの吸引、経管栄養、こういったことに関する意見が出されているということでございます。
 説明は以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。それでは、質疑に入りたいと思いますけれども、ほかに中医協の二号側委員の方からの御提案もあるようですので、西澤委員からお願いいたします。
○西澤委員
 中医協の二号側委員から資料の提出をしておりますので説明させていただきます。資料4を御参照ください。「医療と介護の連携の議論に必要な視点について」ということで出しました。実は、この資料は今年の2月に議論を始めまして、2月の後半には原案が出ておりました。もっと早く中医協に出す予定だったのですが、大震災等々のことがありまして出せなかったということです。
 中を読んでいただくと、なぜ今ごろというような感じがあると思いますが、そういう時期のずれがあるということを頭に置いていただきたいと思います。また、今回このような会を提案したのは私たち二号側でございます。これを読んでいただくと、どうして介護給付費分科会とこのような合同の集まりというのを提案したかも御理解いただけるかと思っております。
 多少長いので全文を読むと時間がかかりますので、要点だけを読ませていただきます。
 1ページ目、この提案した理由を書いてありまして、最初に医療と介護の連携の在り方ということで、中医協では昨年12月15日ですが、社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」という報告を受けております。それを基にしていろいろ各論の議論を行ってきたわけなんですが、途中、しかし、こういう各論の議論だけでは、「介護等が必要な人の尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにする」という介護保険の理念に沿って、医療と介護の連携を進めていくために必要な視点が十分に浮かび上がってこないのではないか、このような認識を私たち二号側は持ちました。それで私たちはその当時の議論で抜け落ちている視点の1つとして、地域における医療と介護の包括的なネットワークのシステム化とネットワークにおける拠点構築の必要性というものを取り上げまして、今後、中医協あるいは介護給付費分科会で、従来の議論にとどまらず、そのような視点から議論を行っていただきたいという提案でございます。
 *下は現状が書いてありまして、高齢者の状態、複数疾患を持っているとか、その特性を書いておりまして、またそれに関してどのようなサービスが行われているか等々の現状が述べられています。時間はございませんので省略させていただきます。
 2ページ目、このような現状の中で、では、どうしたらいいかということで私たちが考えたものが太線で書いてありますのでそこを説明させていただきます。要するに、医療と介護の連携を真に意味あるものにするためということで、最初の線ですが、地域の医療や介護に関わる数多くの職種が協力して患者・利用者の情報を共有して、患者・利用者及びその家族と同じ目線で支え合うというネットワーク型の連携システムが必要だということを私たちはまず考えました。
 そこで、そのためには、地域全体の医療と介護のコーディネーター役を担う、地域連携拠点(ハブ)を一定の圏域ごとに設置するということでございます。今、いろいろ医療連携あるいは介護等の連携がありますが、それを超えて、医療と介護全体のこういうシステムが必要だということになりました。それを実現するためには、医療と介護に関わる人、モノ、組織、情報を包括的にコーディネートする役割が重要だということでございます。
 3ページ、また具体論等々を書いてございます。真ん中辺りでございますが、重要なことは施設間単位での単線型の機能連携から地域単位でのネットワーク型の機能連携への転換を実現するために、地域特性を踏まえた形で、多職種・多施設間での連携を地域の中でシステム化することが大事だということでございます。今までの施設完結から地域完結という形の提案でございます。
 こういうシステムが実現できることによって、初めて患者・利用者が安心して、本来自らの生活に可能な限りそれを維持、持続できることになるという結論でございます。このような課題について、問題意識で各地地域での医療提供者とか介護提供者が実質的な取組みはしておりましたが、しかしながら、現行の診療報酬体系では基本的に個々の医療行為に点数を設定しているため、このような連携拠点を核とした地域における包括的なネットワーク構築の取組みが明確に評価される構造になっていないと考えております。しかも、制度的かつ財政的な手当は行われないと考えました。
 それで次期改定に向けては、医療と介護の連携に関する議論においても、このようなことを利用者の生活の自立を支える医療・介護包括的なネットワークシステムという視点から議論が欠けているので、そのような視点で今後議論していただきたいという提案でございます。
 私たちがこれを提出したのは、中医協でのこういう共通認識のみならず、介護給付費分科会を含めてこのような共通認識の下でお互いに議論していただく。また、ところどころでは意見の交換をしていただいて、そのような望ましい将来の医療・介護の提供体制、そういうものをお互いに頭に置きながら進めていきたいという提案でございます。
 以上です。
○森田会長
 ありがとうございました。資料1の最後の方にございますけれども、論点は6つほど、大きく2くくりにされておりますけれども、それぞれ密接に関連していると思いますので、個別に議論するというよりは、御発言いただいてその中から少しずつ論点を整理していきたいと思いますが、いかがでしょうか。今の中医協側の御提案もございましたけれども、どなたでも結構です。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員
 給付費分科会側は一号二号と分かれていませんので、一個人としての発言です。今の資料4の中身についてはほとんど全面的に同感いたします。私も名前を連ねたいぐらいです。
 介護の側では地域包括ケアシステム構築を言ってきました。これは地域包括ケアの推進ではなくて地域包括ケアシステムの構築でなくてはなりません。今、この資料4で言われた地域のネットワーク、圏域ごとのハブのシステムをつくろう、ネットワークをつくろうというのは問題意識として同一です。システムをつくっていく努力は、報酬よりはある種プロフェッショナルとしての当然の社会的貢献だという側面もあります。そこは両方が協力しながらしていく必要があります。
 しかし、ひとたびシステムができて、そこに何らかの組織ができた場合には、そこを運営していくため、またそのシステムがその組織がマネジメントをする費用は社会的に見ていかないと組織は続きません。つくり上げるプロセスは一種の熱意でできるかもしれませんが、永続性のためには両方からの報酬が必要だろうという意味でここに書いてあることに私はほとんど賛成いたします。今の発言に対する賛意でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 池田委員、どうぞ。
○池田委員
 資料4の御主張に関しては、私も支持できるものと思います。ただし、ハブをつくるとして、そのハブの運営の責任の所在みたいなものを基礎自治体に置くのか、それとも関係団体の連携といいますか、連合的なものでやるのか、その辺をはっきりしないとうやむやになってしまうのではないか。これをどうするかというのは、1つ課題として残るのではないかと思います。
 もう一つは、実際にコーディネートする人はだれなんだということなんです。これは医師がコーディネートするというイメージは結びにくいんです。そうしますと、ここの中に書かれていますように、MSWとかケアマネジャーという人材が存在しているわけで、これをどうやって活用するかということが恐らくは現実の問題として浮上してくると思うわけです。
 実は給付費分科会の中で私個人としては何度も問題提起をしているんですけれども、ケアマネジャーというのは本来全体のコーディネートをする、オーケストラでは指揮者ではなくて、自分の仕事もするわけですから、これはコンサートマスターです。それがうまくいっていないし、地域包括支援センターに主任ケアマネジャーを置いたのだけれども、これもうまくいっていない。うまくいっていない理由は幾つもあるのでしょうけれども、1つはサービスが充足していない、1つは医療との連携がうまくいっていない。これは医療側にも責任はあると思います。
 それをどう立て直しとかという責任の所在と人材をどこに求めるかということを絞り込むことによってというのはある意味で報酬にもはね返ってくるということだと思うんですけれども、そこを明らかにすると具体的に動き始めるのではないかなという感を受けました。
 以上です。
○森田会長
 ありがとうございます。
 白川委員、どうぞ。
○白川委員
 今の件の議論の続きでございますが、確かに西澤先生等の御発言は理想形としてはそのとおりで、異論は挟む余地はないと考えておりますけれども、今、池田委員がおっしゃったように、現実とのギャップをどう埋めていくかということが大きな課題と私も認識しております。と申しますのは、その前に、では医療の連携はできているのか、介護の連携はできているのかというところが、医療についても医療計画等で連携体制を少し時間をかけて、少しずつ築いてきているとは認識しておりますが、では、十分かと言われると、まだまだ不十分という面もあります。
 介護の方は私は専門家ではないので勿論よくわかりませんけれども、個々の施設がケアマネージャーを中心に個々に動いているというのが現実ではないかなと思っておりまして、まず両部門、別に対立するわけではないんですけれども、理想を描きながら両方の連携づくりから始めて、ステップを踏んで理想形に近づけていくという具体的な作業工程表をつくることが大事だと考えております。それも、1回で済む話ではないと思いますので、それに向けて2つの保険でインセンティブが働くような仕掛けをしてくという、少し長期の計画をつくるべきだと考えております。
 
○森田会長
 では、安達委員、どうぞ。
○安達委員
 個別の議論に入ります前に、この資料4に関連するところで多分ここでは御報告のような性格のお話になると思いますが、ハブをどこにするか、これはいろんな考え方があると思います。一番可能性が高いのは、多分地方自治体そのもの、行政自治体そのものであろうと私ども京都府医師会は考えました。知事も京都は大変こういうことに理解があるということも事実でございますが、強力な働きかけをしながら、ハブ化を実質上京都府との連携の中で私ども立ち上げております。
 在宅をやる場合の不安の大きな原因の1つ、それは担当する特に医師やほかの皆さんですが、方法、ベッドの問題もございます。そういうところも私病協、府病協に働きかけをして、ほとんど全員参加のような形で登録をされることに対しては京都府が補助金を出す。あとは登録をしていただいておいて、どこでも受け入れてください、そうすれば空床があるないということではなくて数が多いですから必ず入れるところがある、そういうような形をつくるというところから今その活動をスタートいたしました。
 御指摘のあったコーディネーターについても、現在のケアマネージャーの性格がそれに該当できるかどうかということは現場では実は多々議論がございました。ケアマネージャーの皆さん方のグループとも意見の交換を多々させていただく中で、まずは府職員が真ん中に入ってスタートさせて、個々の事例について具体的な稼働をする中でどういう人材を育成すればいいのか、これは机上の計算ではなくて、現場で動かしながらその問題点を解決しようという努力をスタートいたしましたということを申し上げておきたいと思います。私ども京都としては二号側の勉強会にはこの資料もお出ししてあります。ただ、膨大でありますので今日はここにはお出ししておりません。
 これはやはりハブ化できる可能性があるというのはそんなにたくさんの可能性はないので、基本的には地方自治体が核になるということが一番望ましいのではないかなと、我々京都の現場ではそういうふうに考えたということでございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 それでは、西澤委員、どうぞ。
○西澤委員
 私たちの提案に対していろんな御意見をいただきましてありがとうございました。皆さん方の意見はすべてもっともだと考えております。私たちがこれを出したのも、このような議論を是非したいということで、まず1つの目的は達したのだなと考えております。
 白川委員おっしゃったように、本当にいろいろ連携をちゃんとやっているのかと言えばまだまだです。当然、介護の連携もまだまだです。でも、医療の連携をつくって、あるいは介護の連携をつくって、それから両方の構築ではなくて、私たち医療と連携をしようと思ったときに、特に最近は高齢者が多くなっていますので、必ず介護が絡んできます。ですから、医療の連携を考えたときに介護抜きでは語れない。また、恐らく介護の方も同じたと思うんです。ということで、同時に議論することもすごく大事ではないかなという思いでございます。勿論、個々の議論をしないといけないと思います。
 今日言ったようないろんな意見をいろんなところで出していただいて、今、安達先生から京都ではこうやっているよという提案がございました。今、全国各地でいろいろな取組みができたというのは知っております。そういうことで非常に期待しております。そういう症例をたくさん集めることによって本当にいいものができるわけです。私たちは中医協あるいは介護給付費分科会でやるときにも、報酬というのはシステムづくりをかなり後押しするものですから、同時改定のときにきちっとやることによって医療の連携もうまく進むし、介護も進むし、場合によってはそれ2つがかみ合うということが起きるのかなと非常に期待しておりますので、できれば今日このような意見をいただけたこともうれしく思いますし、更にこれから実りある議論になるとも思っておりますし、できればこういう場所が今後もできることもまた期待したいと思っております。
 以上です。
○森田会長
 それでは、伊藤委員、続いて村川委員、お願いします。
○伊藤委員
 私は地方自治体の長でもありますので、介護にも医療にも関わっております。これは患者の立場からいたしますと、制度として医療制度、医療法、介護保険はあるということは十分わかっておりますが、しかし、患者のニーズとしては一体であるということが利用する側にしても余りよくわからない。この辺りのところがまさにシームレスで行われていればいいわけでありますけれども、評価としては、できれば連携のところ、シームレスは確かに1枚の布のようにつながるのが一番いいのかもしれませんが、ひょっとしたら縫い代があって、そのところを連携というならば、この辺りの評価をしっかりしながら進めていく、更に皆さんに活用しやすいような連携をより進めていくべきだろうなということを思っております。
 これはどこがハブになっていくのか、今、安達先生の方から地方自治体がということをおっしゃられまして、当然地方自治体も逃げるわけではありませんので、いろんな形で皆さん方と協力をしながらやっていくというつもりでおります。できればこうした中で議論がより患者にとって利用しやすいもの、そして本当に気軽に健康を保っていけるような制度になっていくことを本当に切に希望しております。
 以上であります。
○森田会長
 では、村川委員、どうぞ。
○村川委員
 西澤先生からの問題提起といいますか課題提起、深く同感でございますが、また同時に地域における連携ネットワークのシステムづくりという事柄に関しまして、やはり地方公共団体の役割、伊藤委員、安達委員からもそれぞれ御指摘があったところでございまして、やはり介護のサイドから見ますと、2015年に向かっての地域包括ケアシステムの構築ということからいたしますと、今日、地域主権改革あるいは新しい公共、いろんな概念が飛び出しておりますが、やはり市町村といったような基礎自治体を中心としたところにこのハブシステムというか、あるいはまたコア的な機能というものが確立をされていくことを議論し、方向づけていくということが1つ大事なことではないかという気がしております。勿論、これは自治体が包括的に全部取り上げてしまうという意味ではなくて、やはりネットワーク連携、言わば舞台回しといいましょうか、あるいは社会資源の点在するところをネットワークさせていくためにも非常に意味のあるところではないかと思っております。
 僭越ですが、これは抽象的に論じてもだめなのであって、やはり各論的に認知症への対応あるいは看取り等の問題、退院される方のその後の地域のケアということで、特に私が注目すべきと思いましたのは、先ほど医療課長さんからも御紹介がありましたけれども、参考資料1の67ページの認知症の早期鑑別の重要性ということでございまして、今後に向かって認知症の方々、人数的にも増えるわけでありますけれども、早期における医療面での明確なる早期の鑑別診断と連携の取れたケアサービスの成り立ちというところを是非とも医療・介護両面から明らかにし、構築していくということは大事ではないか。
 あえて申しますと、もう1点は、退院患者等について、るる資料説明がございました。やはり率直に言って、入院し、治療し、また退院される方々の地域ケアという点で、私は医療保険・介護保険療法に横たわっておりますリハビリテーションのサービスと訪問看護と看護サービス、この2つをより明確に今回の改定で方向づけるということは大事なことではないかと思っております。
 以上です。
○森田会長
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員
 今、村川委員が最後に言われたことですが、改定で両方で連携する問題の1つは、両方から給付されている訪問看護ステーションとリハビリテーションだと思います。ここは利用者から見ると、先ほど伊藤委員が言われた患者から見るとわかりにくいというのは、1番はここだと思うんです。入退院時の調整というのは調整の話であって、別に両方から給付されているわけではない。急性期医療で入院していれば医療保険とはっきりしていますが、訪問看護とリハビリテーションは両方からの給付があります。
 落ち着いた段階では比較的はっきりしているかもしれませんが、先ほど説明があったような退院直後の訪問看護とか、在宅生活の途中で一時的に急にADLが低下した場合のリハのようなところはどちらが使いやすいかというと、多分マネジメントの面倒くささを抜く分、医療保険の方が使いやすいと思うんです。これは別に今日決める話ではないんですけれども、使いやすさをうまくして、訪問看護とリハビリテーションを利用者から見てわかりやすく使いやすくして、ひいてはトータルな資源の効率化につなげることができるというのは議論すべきだと思います。
○森田会長
 ありがとうございました。
 池田委員、どうぞ。
○池田委員
 西澤先生の提案に追加していただけるとありがたいと思うのですが 、介護保険は市町村ごとに保険者が分立しているという形になります。医療保険の方は健保組合、協会健保、共済というふうに職域ごとに分立し、その他は国民健康保険という地域保険が市町村ごとに分立しています。
 この場合、例えばハブを置くとするならば地域にしか置けませんから、当然基礎自治体、したがって介護保険者と重なるのですが、医療保険の方の保険者とうまく重ならないのです。医療保険の保険者の役割みたいなものは、地域と職域の違いが大きい。そこを整理して医療保険の役割みたいなものもきちっとはめ込んでいくということをしないと、お金を出す側でございますので、これは大きな力と意味を持っているので、そこのところも非常に工程表というわかりやすい言葉を使われたわけですけれども、その工程表の中に組み込んでいく必要があるのでないかという気がいたします。
○森田会長
 論点が新しく加わってかなり大きな話になってきたかと思いますけれども、保険者の在り方について白川委員、いかがでしょうか。
○白川委員
 資料4に関しまして、医療保険、介護保険、地域と職域とかいろいろな複雑な問題があると思いますが、ただ、医療保険者としては制度的な枠組みが政府の機関で決定されれば、それに従って保険給付をしていくということについては今までどおりでございます。ただ、違う意味で保険者としての機能をいろいろな形で発揮していく。その1つとして加入者の方々の健康を維持したり増進していくという機能もあるわけですけれども、確かにケアのネットワークとどう絡ませるかというのは問題かと思います。それは多分いろいろな形で克服できる課題ではないかとは思っております。
 指名をされましたので別の観点でよろしゅうございますか。医療と介護のシームレスなサービス提供というのは私もそのとおりだと思いますし、患者側の身になってみれば当然そうあるべきだとは信じているところでございますけれども、一方、我々保険者としては、費用対効果と言ったら言葉はよろしくないんですけれども、いかに効率よいサービスを提供できるかといった観点も、これは財政面からは避けて通れない道だと強く訴えたいと思っております。保険財政の問題だけではなく、国の財政、患者さんの自己負担まで含めて相当な伸びが予測されるということは皆さん否定されないと思いますので、連携をやるからには勿論サービスの向上という視点も必要ですけれども、効率化という視点も抜かさないで議論していくべきだと申し上げておきたいと思います。

○森田会長
 ありがとうございました。では、効率化の観点も加えていかがでしょうか。
 では、西澤委員、どうぞ。
○西澤委員
 余り1人で話すのはと思って控えておりましたが、まず池田委員からのことで保険者の問題が出ました。正直言いまして、私たちの協会でも保険者の今の在り方については余りにも多いかなと思っております。これはいろんなところで保険者の再編等々については議論されていると思いますので、私の意見を述べるのは控えさせていただこうと思っています。
 白川委員が言ったことは当然だと思います。私たちが言っているのは、やはり国民が望ましい医療・介護の在り方、そして本当に国民がそれを支持していただけるものと思っております。そういう質の高いものを提供する。質の高いものをいかに効率的に、それは当然私たちの頭の中にあります。この連携というのは、連携をしっかりすることによって私はかなり効率化が図れるのではないかなと考えております。連携というのは、質の向上と効率化、両方に寄与するものと考えております。
○森田会長
 ありがとうございます。今の御発言も含めてよろしいでしょうか。
 池田委員、どうぞ。
○池田委員
 効率化あるいは効果を上げるということはセットで行わなければならないことは医療・介護、共通している課題だと思います。ただ、ヒポクラテスから2500年と特養から50年という歴史の違いは大変大きなものがありまして、医療の場合は、かなりできているということが言える。一方、介護の方は標準化が決定的に遅れておりますので、ある面から見れば到底社会保険の保険給付とは思えないというようなサービスもあるわけです。つまり、そこで私は効果、効率という問題を考えたときに、社会保険の役割は何なのかということと、それを補完する福祉行政とは何なのかというこの2つをわかりやすく区分して、必要な人にはサービスが到達するように、そして無用なサービスが乱用されるということを避ける、そういう構造が必要なのではないか。特にこれは介護保険部門においては言えることです。
 医療保険の場合、軽い風邪で病院に行くとか、あるいはかつてのように待合室がサロン化するとかという問題もありましたけれども、それはかなり解決しているようであって、一体どこを効率するかということは簡単ではない。具体的な案を大胆に提起してみてそれをたたき合うという作業が必要なのではないかという気がいたしました。
 以上です。
○森田会長
 ありがとうございます。
 安達委員、どうぞ。
○安達委員
 私、最初に自己紹介で申し上げませんでしたが、今、中医協の中でも診療所をやっているのは私だけでございますが、現場の具体的な感覚として今の池田委員の御趣旨にはかなり賛同するところがたくさんあります。抽象的に高邁に池田委員はおっしゃっていたんですけれども、我々が現場で感じるのは何かというと、例えば高齢であるけれども、お元気な高血圧の患者さんがいらっしゃる。突然ある日、介護保険の意思意見書を書いていただきたいけれども、いいですかと、いずれケアセンターからその書類が来ます。びっくりするわけです。この普通に歩けていて普通に動いておられる方が何で介護保険が要るんだというのが実感です。具体的に申し上げました。
 それは何なのかというと、今のいろんな介護施設の介護グループの中には、そういう独居の元気な方たちも含めて、それに介護保険の適用を進めて、つまりある意味で悪く言えばサクランボ狩りです。これは誤解を生むといけませんがそういうものも実際に行われて、言われた患者さんもびっくりしておられるんですけれども、勧めてくれるのだから書いてくれますかと。それは書きますけれども、認定委員会であなたが認められるかどうか私はわかりませんよと言いながら書くわけです。つまり、今の要支援になっている支援1のグループの辺りのところには、いわゆる介護保険の基本理念ではなくて、行政の福祉サービス政策であったものというものがかなり入っているのではないかということを現場の実体験を通して私ども感じるとことが多いということでありますので、今の池田委員の御指摘はそのとおりだろうと思って聞かせていただきました。
 そこら辺の区分け、線引きというのはやはり一度する必要は確かにあるのではないかなと思いましたということを申し上げます。
○森田会長
 村川委員、どうぞ。
○村川委員
 先ほど白川委員からの効率化という事柄について、やはり介護等も含めて真剣に考えていくべき課題であるとは思っております。ただ、介護・医療あるいは看護を含む医療も対人サービスという特質から考えますと、人財に対して切り込んでしまうようなことはいかがなものか。むしろ人口減少社会の中での専門職の確保等々を考えますと、そこのところは押さえつつも、私も越権したような発言はしてはいけないのですが、恐らく中医協におかれましても薬剤等いろいろ御検討もあると思いますし、介護のサイドでも福祉用具の外れ値の問題、その他いろいろ効率化すべき課題があると思いますので、そうしたことを整理しながら、それぞれの課題に立ち向かっていくということはあると思うんですけれども、やはり効率化の最大の事柄、私は決して病院や施設を否定する立場の人間でもありませんし、施設解体論者でもないわけでありますけれども、病院の役割、入所施設の役割というものを位置づけつつも、コスト負担から言えば中長期に考えた場合には、ある程度バランスの取れた形で考えていかざるを得ない。
 そういう点では、先ほど事務局からの御説明もありましたが、資料1の参考資料の45ページ辺りにあります、高齢者住宅など住まいの環境を整えていくというような、新しい発想に立った基盤を確認しつつ、在宅医療あるいは在宅の介護サービス、そうした事柄の連携というのをこの際立ち上げていくような、介護のサイドでも24時間の訪問介護、看護というような新しい種類のサービスという事柄の準備ということが始まろうとしておりますけれども、そうしたことを含めて、在宅で成り立ち得る仕組みをつくっていく上でも、この医療の介護の連携ということは極めて重要でありますし、また同時に施設等が大幅に増えるという環境にないのであるとすれば、やはりこの居住環境、住宅施策に対するもう一つの側のアプローチということも含めた環境づくりということが大事ではないかと思っております。
○森田会長
 ありがとうございました。これまでの御議論を伺っておりますと、かなり大きな制度の問題が、保険制度も含めて提議されていると思いますけれども、今回、この打ち合わせ会の目的といいましょうか、今、この時点でこういう会を開催するねらいといいますのは、今度の診療報酬と介護給付の改定が同時に行われるということで、その限りにおいては、報酬の制度をどのようにするのが今お話がありましたようなシームレスなネットワークをつくる上で有効なのかということだと思います。
 それにつきましては、先ほどの資料1の16ページ以下で論点が出ておりまして、大きく分けまして、1つは医療・介護施設の機能分化と連携の在り方、もう一つは既にある程度出ておりますけれども、在宅医療の在り方、その中での看取りであるとか認知症であるとか、また住宅の問題も今出ましたけれども、具体的な論点が挙げられているわけでございまして、少しそちらの方に絞ってこれから御議論いただければと思います。
 最初に医療・介護施設の方ではいかがでしょう。こちらの分化と連携の問題につきましては、そこに更に具体的な論点が上がっております。
 池田委員、どうぞ。
○池田委員
 川上、川下問題と言われている問題があります。川上から流れてきたものを川下でどううまく受け止めるかということを考えますと、具体的な問題として、多分3つあるだろう。1つは、今、退院時から在宅へ移る間の訪問看護とリハの問題で、これがうまくいかなくて逆に悪くなっているというケースがかなりありますから、これは共通した問題意識としてこの提案、説明の中にも入っています。だから、そこは省略します。
 もう少し具体的に突っ込むと、介護保険側の面から見ると、これは何とかしてほしいなと思うのは、1つは胃瘻の問題なんです。胃瘻はつくったらちゃんと責任を持って解決してほしいという率直な思いがございます。勿論、必要な胃瘻を私は否定するつもりはないんですけれども、単なる延命効果だけの胃瘻を超えて、本来、経口摂取ができる人にもそれをつくってしまうという、その結果、それを介護が受け取ることによって大変な負担を持ってしまう。これはコスト的にも非常にまずいわけです。これを診療報酬、介護報酬、同時改定の中で何かうまく誘導できるものがあれば大変期待したいと思うのが1つでございます。
 もう一つ、川下の側から言ってしまうと、認知症の鑑別診断なんです。これは特別養護老人ホームの連合体である老施協の調査にもありましたけれども、実は特養に入っていらっしゃる認知症の方の事前の診断の状況を見ると、4割の方が認知症と診断されているんです。認知症などという病気はありません。これは症状のことを言っているわけです。だから、ちゃんとした鑑別診断が行われていなくてそのまま持って来られると、これはケアする側の基本方針が立たないんです。前頭側頭葉障害とアルツハイマーは違うわけです。レビー小体も違うわけです。
 もう一つ恐るべきことに、アルツハイマーと診断された方の一部をもう一回見てみますと、正常圧水頭症が一部含まれているんです。これは治るんです。非常に問題です。ではお医者さんに全部それをやってくれと言ったらできるかというとできないんです。精神病院でちょっと問題があるところは、それを簡単に引き受けてしまって、その結果、今5万人以上の認知症の方が精神病院に入院している。これは2か月問題というのが別にありまして、それは横に置いておいて、そういう意味で川上でどう改革をしてそれをどう川下が受け取るか。これはセットものですから、私としては胃瘻問題と認知症の鑑別診断、これはお医者さんをつくるということになると思うんですけれども、その2つは目を離すことはできないのではないかという気がいたします。
 以上です。
○森田会長
 川上側から。では、西澤委員、どうぞ。
○西澤委員
 病気の経過で言うと川上、川下でもいいんですけれども、医療と介護において余りそういう言葉を使いたくないです。同じ立場で問題なのは、川上がどうこう、川下がどうこうではなくて、お互いの情報が共有されていないと、そこに壁があるということが一番の問題だと思っています。今、池田委員が言ったのは、全く胃瘻のことは私たち問題視しておりますし、認知症もきちっとした診断のできる医療機関でもって、最初初期診断をするのは当たり前だと思っております。
 そういうことは、逆に介護の方で特養に行ったから何もしないではなくて、やはり介護側の方からも必要だという声を上げていただいて、お互いにこういう場でやればいいだけの話で、情報の共有化がないがためにこういうことが起きたのだなということを今改めて思いました。そういうことで今、大事なのは、お互いの情報の共有化と意見交換の場をつくるということではないかなと思っております。
 もう一つ、この件に関して課題は変わりますが、退院支援計画ですが、参考資料の4枚目のパワーポイントなんですが、介護サービス等を見越した退院後支援の取組みの評価の例ということで、これは右側の赤い方の字を見ればわかりますけれども、診療報酬上の評価は非常にしているんです。実は22年度にもかなりこういうことで評価したのです。ところが、診療側にはいろんな評価をしていますし、例えば共同指導などでケアマネ等々と合同でやるということで点数を付けているんですが、なかなか伸びない。なぜかというと、介護の方では全く評価されていないからなんです。というのは、2年前は介護報酬の改定がないからできなかったのではないかなと思います。
 そういうことでは、今回同時改定のいいところは、例えばこういうところに介護の方の評価も付けていただいて、きちっと評価することによってこういうふうな退院後支援がうまくいくのではないかなと思っております。
 ただ、点数を付けるだけではだめだということでもう少し考えてもらいたいのは、例えばケアマネージャーに来てくれといっても、ケアマネージャーは本当に忙しいです。病院の方に呼んでもなかなか物理的に無理です。だとしたら、こういうことをするためにはもっと方法がないのかなと。常に一堂に会わなければならないのか、場合によっては来られないのであれば、何らかの方法で情報を出したり、また違う形で会うとか、そういうことでこういうふうな取組みをしやすくするようなシステム、それに付ける報酬、同時で考えたい。それは同時改定で、それぞれがお互いにどういう議論をしているかを見ながらしていけば非常にいいものができるかなと、一例でございますが、そういうことで今回の同時改定でもって1つの医療・介護の連携というものを模索できるのではないかと思っております。
 以上です。
○森田会長
 池田委員、どうぞ。
○池田委員
 川上、上下問題は西澤委員のおっしゃるとおりだと思います。私もこういう言葉は本当は使うべきではないと思います。ただ、現実として、医療と介護の関係というのは傾斜関係にあります。つまり、対等な関係とは言えない構造があるので、どうしてもこういう言葉ができてしまうということ、そこが実は問題なわけです。
 実際、ではケアマネジャーが医療との連携、医師との協議というチームプレーができていない。忙しいからできていないというのではない。しないからできていないんです。実際にこれはデータを見ますと、ケアマネジャーというのは今1人当たり27件平均的にケースを持っておりまして、実際に1人当たりどういう仕事をしているかというのを見ると、最近非常に多いのはその他なんです。
 つまり、ケアカンファレンスであるとか、面接であるとか、そういったものは一定程度は行われている。ケアカンファレンスは短いという問題もありますが、その他が増えているということは何をしているかというと、恐らく訪問介護とかそういう仕事と兼務してそちらに取られているということなんです。これは大変な人材の無駄使いになっているということがあって、そこをどういうふうにしていくかということが実は西澤先生の最初のハブのところに行きつくと思うんです。そこが機能すればそれは動き出すんです。
 そういった意味では、冒頭に西澤先生の方からこの提案を出されて、その中のハブをどこに置くかということは物すごい重要であって、多分そこを使わないとこの問題というのはうまくいかない。だけれども、介護報酬、診療報酬の方で一定の政策誘導はできるはずですから、それは少し先を見ながらも措置することによってアナウンス効果もあるわけです。そういうことを私は申し上げたかったということで、意見の違いはないと思いますので、よろしくどうぞ。
○森田会長
 田中委員、どうぞ。
○田中委員
 別な点でもいいですか。大学の授業の関係で退席を先にしなければならないので別の点を申し上げます。
 論点整理の1と2がありまして、2の方は在宅生活者に訪問看護、リハビリ、看取りサービス、認知症に対する正しい診断等を提供しましょうという話です。ここはこのとおりだと思いますが、1のタイトルが今まで議論を伺っていて、医療と介護施設の機能分化ではなくて、医療と介護の連携の話をしていますね。1の退院時調整は別に介護施設との調整ではなくて、在宅生活者だって調整が必要なので、(1)の話は医療と介護の機能分化です。
 特に参考資料の45ページに介護施設と高齢者住宅の状況が出ています。これを見てもおわかりのように、どこまでが介護施設でどこが自宅との定義は国際的にははっきりしません。北欧では完全にスウェーデンの絵を見てもおわかりのようにグラデーションなんです。医療機関は医療サービスを集中的に行うところです。介護の中には勿論介護サービスを集中的に行う施設、リハを集中的に行う施設があり得るけれども、多くはケアが組み合された住宅です。介護施設という法律用語を使ってしまうとそれ以外の部分が消えてしまうので、(1)の論点は医療は施設でいいのかもしれませんが、機能分化と連携と表し施設という言葉はない方がいいと思いました。
 もう一つついでに言っておくと、2の療養病床転換問題は極めて実務的な話で、1、3は理念に関わる話なのに比べるとジャンルの違うものが間に入っている違和感を覚えました。
 以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。今の点は、論点の立て方の問題にもなりますけれども、事務局の方で何かコメントはありますか。よろしいですか。
○大森分科会長
 一言おっしゃればいい。
○森田会長
 では、白川委員、先にどうぞ。
○白川委員
 田中委員が(1)の2は理念の問題ではないなという御指摘があって、実はこの点で質問をしようかなと思って出鼻をくじかれたので困っているんですけれども、介護療養病床等の転換という話について、厚労省としては実態を見てかなり計画が遅れているので療養病床廃止は難しいということで6年間廃止を延期ということを聞きましたけれども、参考資料1のスライドの8に出ておりまして、多分ここの論点にも(2)の方にも書いておりますけれども、看取りの問題、特に介護の方々は療養病床にいると、長期化するという問題もあって、できれば御本人たちも最後は自宅でという希望の方が多いという調査結果を見たことがあります施設あるいは病院から在宅へ進めるためのいろいろいろな仕掛け、退院の計画を立てたときに加算しましょうとか、あるいはネットワークをつくりましょうとか、在宅を支援する、病院、診療所には手当を付けましょうと診療報酬ではいろんな仕掛けをしているんですけれども、残念ながら、結果で見ると余り進んでいないというのが現実だと思っております。次回の改定のときは介護保険とも連携しながら、それが少しでも進むような施策を打とうと、これが論点整理であるところで全面的に賛成であります。
 ただ、現実問題、やはり療養病床の数が減らないという現実を具体的にどうしていくかということは、介護療養もありますし医療の療養もありますから、これも連携して少し取り組んでいかないといけないのかなと思っております。我々中医協の一号側委員は、例えば療養病床の入院基本料包括化、慢性病床についても包括化、ADLとか医療の必要度によってかなり格差を付けたりということで政策誘導すべきだという意見をずっと言ってきているわけです。
 質問は、介護の方の療養病床の転換、廃止がどういう理由で進まないのかというのはよく承知していないものですから、今日、老人保健課長がいらっしゃいますので、是非ともなぜ進まないか、あるいは進めるために我々は支援金まで徴収されたと言ったら怒られますけれども、拠出をさせていただいているのですけれども、それが使われないでそのまま無利息で返ってきそうな気もしているものですから、その状況をお聞かせいただきたいとお願いいたします。
○森田会長
 具体的な論点になってまいりましたけれども、少しここで整理させていただきますと、最初、理念の話をして、それについてはそれほど御異論なかったと思いますけれども、問題はその理念を実現するための制度にまだまだ問題があるということで、この今の診療報酬と介護報酬の同時改定のときの問題というのは、制度を変えるために、言うなれば、この診療報酬のそれぞれの点数をどのような形でどのような方向で考えていくのが問題を解決するために有効かという形で議論を少し整理させていただきたいと思います。
 そのような観点から、老人保健課長、お願いします。
○老人保健課長
 今、手元に細かい資料がないので具体的な正確な数値はお答えできませんが、この未定というのが8ページの中で61%いらっしゃいますけれども、この未定の理由について聞いている問いがございまして、その答えとして一番多いのが今回の同時改定でした。診療報酬、介護報酬の同時改定を見てから考えたいといった、比較的様子見的な回答が一番多かったということがございます。
 あと、その調査が今年度の法改正よりも前でしたので、延期についても何年延長するのかとか、そういうことについてまだはっきりしない時期だったのでございます。それが今回は6年延長で、しかも新規を認めないということで、ある程度方向性というものははっきりしてきておりますし、また今度来年4月に同時改定ということがございますので、そこで方向性が出てくれば、その辺のところは大分変わってくるのかなと思っております。勿論、その他にも転換後の経営の不安の話とかそういうもの等々さまざまございますけれども、一番多かったのは同時改定の様子をみたいというような声等が多かったということでございます。
○森田会長
 白川委員、どうぞ。
○白川委員
 しつこくて大変申し訳ございません。病床転換の支援金の準備をして、これを使っても財政的にはその後の経営を考えると不安だという御意見ですね。もう一つは、患者さんと言いますか、そこの行き場の問題といいますか、転換に伴って、では自分はどうなるんだという患者側の負担といいますか、心理的な不安といいますか、そういったものもあるのではないかと思うんです。
 要は、介護報酬の中でどういう位置づけをするか。これは介護給付費分科会でやられると思いますけれども、これを促進するような報酬のたて方といいますか、是非介護給付費分科会の方で検討いただきたいなと。せっかく3年前にああいう大方針を立てて、それに向かって我々保険者としては協力をしていきたいということでたてた政策でございますので、何か工夫をしていただいて是非とも前に進めていただくように、この場を借りてお願いいたします。

○森田会長
 安達委員、どうぞ。
○安達委員
 中医協二号側として、西澤先生が言われるのが一番いいのでしょうけれども、病院の皆さん当事者だから言いにくいだろうなと思って私は聞いておりまして、あえて私が申し上げますが、私病協の皆さん等とも常に協議をする中で、この転換が進まない理由は大筋で言えばたった1つです。行政府の政策を信用していないということです。かつて療養病床を拡大と言って1ベッド当たり6.4平米の拡大政策をやられた。10年も経たないうちに廃止政策に転換だと、その先、老健にいって、例えば包括評価の中で高額な薬等は出せるのか、出せないのか、出さなければやっていけないけれども、出した場合には赤字になるかもしれない、こういう包括的な政策の流れを政府として明確にされない限り、病院としては死活問題ですから、それが見えない間は態度は未定だと、一言で言えばそのことであって、かつての拡大政策6.4平米を始めとする、それから10年も経たないうちに削減政策へ転換したことのトラウマが今日に至るまで、各論においてもすべてを支配している。それが実際のところだということを、病院の先生方はおっしゃりにくいかもしれませんが、私は現場で見ていて、実態としてそうだということを申し上げねばならないと思いますので、同時改定を機にして、基本的に先ほどからお話がありますように、長期的な見通しの立つ方策を是非具体的な形で出していくべきだろうということを申し上げておきます。
○森田会長
 池田委員、どうぞ。
○池田委員
 介護給付費分科会の意見ということではなくて、私個人の意見として聞いていただくということを前提にしたいと思いますが、介護給付費の6%を療養病床が占める。大体年間4,000億円に近いお金が持っていかれるわけでございまして、これがなくなると、4%介護報酬を上げられることができるんです。だから、私個人としては、さっさと医療保険の方に変えていただきたいというのが率直な思いです。
 もう一つ、なぜ進まないのかという理由の1つは、実は地域格差が大変大きいということではないかという気がするんです。私、後期高齢者医療のデータと介護保険のデータを組み合わせて、高齢者が入院している度合いと施設に入所している度合いの散布グラフをつくってみたんです。入院が多いところは施設が少なくて、入院が少ないところは施設が多いという相関関係が普通は想定されるんですけれども、全く逆でした。入院が多いところは施設入所者も多いんです。つまり、ベッド数によって規定されるんです。
 療養病床は大変な地域格差がありまして、例えば後期高齢者の入院状況を見ると、高知、沖縄、福岡、北海道、この辺がベスト4というのでしょうか、ワースト4というのでしょうか、よくわかりませんけれども、それに対して首都圏はきわめて少ないわけです。首都圏で転換などはほとんど問題にならない。もともと足りないのだから。ところが、高知、沖縄、福岡、北海道、この辺は高齢者病院そのものがかなり過剰にあるものだから簡単に減らせないんです。そういった意味では、転換の手法というのは地域に着目した計画、これは前、老健局が立てられたことがあると思うんですが、余り進んでいないみたいなので、それをきちんとやらないとなかなか進まないという感じがいたします。
 そういった意味では、地域的な不均衡、アンバランスみたいなものをどうやって均衡化していくか、これはイギリスのナショナルヘルスサービスだったら簡単にできるのでしょうが、日本のようなところではなかなか簡単にはできないんでしょう。いずれにしても、介護保険の側から言えば、申し訳ございませんが、療養病床は医療の方にちゃんと移って医療に仕事をしていただきたいと思っております。
○森田会長
 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員
 今回の論点、課題にこれが入ってびっくりしてここは黙っていようと思ったんですが、安達先生が言ってくださったのは一利だと思います。やはり国の政策がころころ変わるということに対して、医療提供側は不信感を持っているというのは事実だと思っています。
 転換ということで、あくまでも老人保健施設ですね。この介護療養型老人保健施設と既存の老人保健施設とでは入っている方も違う、機能も全然違うんです。そこら辺もなぜ老人保健施設に行かなければならないんだというアレルギーもあると思っております。そういうことで、介護3施設の在り方というものも、これは介護給付費分科会ではないと思うんですが、どこかできちっとした議論をしないとなかなか難しいなと。6年間今後の猶予はあるといってもあっという間に来てしまいますから、そこら辺はきちっと議論した中で、やはり介護施設としての機能は何かということで、ふさわしい形はどうか、その数はどうかという議論の中で1回きちっと考えていただいた方が、これは提供側という視点ではなくて、利用者の視点からもそちらの方がいいのではないかなと考えております。
○森田会長
 この問題はどうも根本的な理念から制度の問題があって、次回の報酬改定に結び付くような御提言とか御発言がないような気もいたしますけれども、その辺はいかがでしょうか。あるいは一度行政サイドの方でコメントをいただけますか。
 では、医療課長の方からお願いします。
○鈴木医療課長
 療養病床の話は老健課長にお伺いした方がよろしいかと思いますけれども、先ほど田中委員がおっしゃったように、1のところで確かに介護3施設に限定しているわけではなくて、もう少し広く介護と医療施設の間での機能分化と連携を考えた方がいいとおっしゃるのはそのとおりだと思います。
 あと今日の御議論も含めて我々として是非検討していかなければいけないと思っていますのは、特に医療と介護の点で2つの点だと思いますけれども、1つの点は、医療と介護の相互の関係です。これは伊藤委員が先ほどおっしゃいましたけれども、シームレスにするのか、それとも一定程度の縫い目があったときにその縫い目をきちっと縫い合わせるのかということもございますし、漏れや重なり、細かい話ですけれども、訪問看護で同じサービスをしても用語が違うとかさまざまな問題がありますので、そういうところの相互関係を少しよく見て、同時でなければできないことをしっかりした方がいいだろうということが1点あります。
 もう一つは、医療と介護がともに一定の方向に進んでいくということが大事だと思っています。これは2つあると思うんですが、1つは先ほども御説明した、将来に向けて病床数も大幅に増えるわけでもないし、自宅での看取りというのもお一人暮らしが増えるということになるとなかなかそう爆発的には増えないということになると、どうしても多様な住まいというのがクローズアップされてくることになりますけれども、そういうところにどのように医療や介護のサービスが、これは片側だけでは困ると思いますので、医療や介護のサービスがどのように両方がきちっと入るのか。きちっとと申し上げたのは、一定程度きちっと入らなければいけませんけれども、ある意味でいうとモラルハザードも生じかねませんので、そこのところをどうするかというのはあると思います。
 もう一つの点は、先ほどもちょっと御議論いただきましたけれども、在宅において急変するような場合に、実際に例えば介護で更新申請をして要介護度を変えてケアプランをつくり直してということになると、どうしても一定の期間かかりますけれども、高齢者の場合、一定の期間サービスが変わらないと症状が固定化してしまうということがございます。その場合に、訪問看護なりリハのサービスをどのように医療側から提供することが是か非かというところが論点になろうかと思います。
 以上です。
○老人保健課長
 先ほどおっしゃったように、まさに給付費分科会とかそういう報酬の過程だけで今後の介護3施設の在り方が議論できるかという話は当然ございます。
 最初の説明のときに御説明させていただいた参考資料の方の11ページに、この3施設に限らず介護のサービスを提供する施設の一覧を並べさせていただいて、その人員配置ということで御説明させていただきました。この人員配置というのは、それぞれの施設においてどの程度の医療を提供するのか、あるいは介護を提供するのか、そういった目的に沿ってこのような分類というか配置基準というものができているんですけれども、だんだん高齢化が進んで医療の必要な方に対応する必要が出てきた。あるいは施設的な介護よりはより在宅に近いものを求めるようなニーズが高まってきているということを踏まえて、こういう変化に対してどのように配置の問題あるいは医療の提供というものをどういうふうに行っていくのかということについては、当然今後考えなければいけないと思いますけれども、今回の同時改定の中で、もし何かある程度方向性というかそういうものが見出せるのであれば、そういうものを1つこういうところで場合によっては試行的にかもしれませんけれども、やってみるということはあるのではないかなと思います。
○森田会長
 ありがとうございました。今の行政側の意見については特にコメントはございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、もうあと30分を切っておりますけれども、まだ看取りの問題とか認知症の問題とか、個別的な論点も残っておりますけれども、こちらについても何か発言をしておきたいという方。
 今、2の方について申し上げたんですけれども、1の方でおありになるならば、西澤委員、どうぞ。
○西澤委員
 1の方ですが、委員の方あるいは厚労省の方からもありましたとおり、本当に訪問看護とリハビリというのは連携の上で一番大きな役割を果たすのではないかなということでは、この2つをより使いやすくするということでは、医療保険、介護保険、両方でもう少し評価していただくべきだと思いますし、上手にそこら辺の役割分担等々もと思っております。
 もう一つ、介護施設における医療提供の在り方ということで、介護施設3施設が実は医療が包括の施設と外付けの施設があるということでは、制度的にどうしても矛盾が起きているんだろうなと、そういう辺りは保健施設ということではある程度ルールの一体化というのも考えられるのではないかなと、そういう議論もどこかでしていただければと思っております。
 以上です。
○森田会長
 ありがとうございます。
 それでは、池田委員、どうぞ。
○池田委員
 2つ目の論点の方に移ってよろしいでしょうか。1つ具体的にかなり緊急性を要するのは、認知症の問題だと思っております。これは先ほど鑑別診断の話をいたしましたけれども、それ以外に医療の役割と介護の役割というものがなかなかうまく整理されていない。それをきちんと整理する必要があるだろう。率直に申しまして、医療が出てくる出番はそれほど多くはないと思うんです。医療が出てくる場合というのは、1つは認知症の方々への往診ができる体制をつくっていただきたい。病院で待っているという意味ではそれほど期待しておりません。
 ですから、形としては認知症がちゃんとわかっているお医者さんが往診で活躍できるような診療報酬をつくっていただいてそちらの方に誘導していただくということが一番期待していることであります。
 もう一つ、医療ができることは、BPSDの問題なんですけれども、BPSDというのは必ずしも医療の力を借りなくても、きちんとしたケアあるいは地域の理解というものがあると2~3週間でおさまるケースはざらにございます。どうも認知症というのはBPSDとごっちゃになって、認知症はみんなBPSDを持っているみたいなイメージをつくられると非常にまずいことだと思うんですが、そういった意味で、BPSDについて医療が登場するのはかなり強烈な症状が出た場合と、普通のケアで2~3週間ではなかなか消滅しないというところというのは、投薬はかなり大きな力を発揮する。この投薬もめちゃめちゃな投薬を結構やっていますので、そこのところをきちんとできるお医者さんをつくらなければいけない。この2つを差し当たってきちんとできる仕組みが何とかつくれないだろうかということが1つの議題であります。
 もう一つは看護師の問題です。訪問看護師のデータが先ほどの資料の中に出ております。若干微増と読めますね。でも、実はこれは減少なんです。なぜかというと、高齢者は増えているわけでして、第一号被保険者の伸びの率をかけますと、訪問看護は間違いなく介護保険で下がっております。かなり危機的な状況なんです。そこで変な言い方ですけれども、病院と訪問看護の取り合いみたいなことになっている。訪問看護は負けるということがあるので、これはどうするかということを真面目に考えなければいけない。医療保険の方と介護保険の方の看護師の配分、配分と言うと看護協会に怒られそうな感じがしますけれども、それはまじめに考えた上で調整しないとまずいのではないか。消えてしまいます。
 もう一つは、訪問看護と介護の連携がうまくできていない。これは介護給付費分科会の問題だから中医協は知らないよと言われたらそれまでなんですけれども、実は訪問看護は滞在型なんです。1時間未満の滞在型が非常に多いんです。これを30分未満あるいは20分未満にしますと、机上の計算ではありますが、訪問回数は2倍に増えます。そこを何とかしなければいけないというのは介護報酬の方では何度かお願いしているんですけれども、受ける方の利用者の方の意識も、高額ヘルパーとして訪問看護師を考えている人が結構多いんです。看護師の方もそれに対してそれが望ましいと思ってらっしゃる方も少なくありません。政府も1人看護師問題の規制緩和、仕分けで私が出てびっくりしたんですけれども、副大臣クラスが訪問介護と訪問看護の区別がついていないんです。政治家の多くがお粗末だということはだれでも知っていますからそれは別にいいんですけれども、そういった意味で訪問介護と訪問看護の役割の区分と連携の仕方、その連携に対してどういうふうに報酬を付けていくか。こういう問題意識も必要なのではないか。具体的にはその2つが差し当たって今度の同時改定で動くと望ましいなと思っております。
○森田会長
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員
 今言いましたように、私も訪問看護というのは非常に大事で、もっと数が増えてしかるべきだと思っています。それには結構訪問看護は大変なんです。だから希望者も少ないということはあると思います。そういうことでもっと働きやすい環境、それは単に報酬とか何かだけではない、例えば労働環境の中では訪問看護に専従ではなくて、ほかと行き来できるとか、そういう形もあるのかなと思っております。これはこちら側で考えることかなと思っています。
 訪問看護と訪問介護は確かにそこはうまくいっていないのはあります。だからといって、事業所を一緒にしてしまって、訪問看護と訪問介護の区別がそれこそ付かなくなる、利用者も付かなくなっては元も子もないということで、やはり訪問看護と訪問介護の違いというものは明らかにした上で連携しなければならないと思っています。
 そういう意味では、私は訪問看護というのは非常に重要視しておりまして、こういう場で言っていいのかどうかわかりませんが、介護保険ができるときに、ケアプランをつくるときにはすべての利用者の方に訪問看護は月1回でいいから義務づけるべきだということは申し上げたことがあるんですが、それぐらい訪問看護は月1回でも入るとかなりいろんな面で変わる。なぜかというと、医療と介護を結び付けて両方わかっているのはここなんです。非常に重要だと思います。そういうことで池田委員が言ったのにはかなりの面で賛成いたしますし、いろんな面で訪問看護の方をこれらは医療保険・介護保険、両方またがっておりますので、更に使いやすくと思っております。
○森田会長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 村川委員、どうぞ。
○村川委員
 論点、課題とされる(2)在宅医療・介護の充実に関連しまして2点発言をさせていただきます。
 まず1つは、今も御意見ございましたような訪問看護とリハビリということで、既に参考資料1のスライド6などでも出ておりますが、退院支援に関わる入院医療と在宅医療、更には介護との関係ということにおきまして、これは二重給付ということではありませんが、利用者の視点に立った上で、退院の段階における、医療保険における看護、リハビリ、介護保険の認定等の手続が取られた上での給付サービスというそこのところがなめらかに進むような形で、言葉でシームレスと言うのは簡単ですが、現実には制度がそこのところの欠落を回避するようなカバーの仕方、いろいろな監査、点検によりまして二重給付は絶対単純に許してはいけませんけれども、制度として退院前後の1か月ぐらいをカバーできる柔軟な制度運用、報酬体系づくりということはあってよいのかなと。
 白川委員も御心配なように、確かに私も効率化という観点からはそこのところの長期にわたる無駄遣いがあってはならないと思いますので、3年間なり数年間フォローをした上で効率化するところはまた効率化するということで、一旦これは今回の同時改定のメリットということを生かす上でも、歩み寄るという言葉は変ですが、両面において給付と言いますか、サービス利用可能性が高まるような制度的な工夫ということを是非進めるべきタイミングではないかと思います。
 もう一つは、既に出ております認知症の関係でありますけれども、認知症のできるだけ早期の段階から医療面、介護面、両面の対応ができることが望ましいことは極めて明らかでありますので、そういう意味でのしっかりとした鑑別診断が成り立ち得る仕組みというものを、地域の医療機関ということはございますけれども、大学病院あるいは国立病院、専門病院等も含めてネットワーク化を図っていく。その中では、制度としてあります認知症疾患センターというものがいま一つ地域の中で機能していくように、行政の方でも2次医療圏などを考慮されているわけでありますけれども、人口構造その他いろいろ考えまして、是非仕組み、成り立ちということを追求していただき、かつそうした機関が介護サイドの地域包括支援センターなどとも連携できる、そういう現実的な展開を確保していくということが大事ではないかと思います。
 また、課題のペーパーの最後に、認知症に関連しまして、いわゆるグループホームや小規模多機能ケアのことが書かれております。こういった点については、介護サイドの努力ということの中で既に認知症のグループホームは全国で1万1,000か所を超えるに至っておりますし、また、小規模多機能ケアも伸びる環境にあるわけでございますけれども、是非これは地域医療の担い手といいますか、地域医療の関係者あるいは地域のメンタルヘルスの関係者と是非連携できる、介護のサイドでは今回複合型サービスというようなことが準備されてはおりますけれども、更に企業の側と具体的に連携できる、そうした成り立ちというものを追求すべきではないかと思います。
 以上です。
○森田会長
 ありがとうございました。もう時間があと10分ほどになりましたけれども、最後にというわけではございませんけれども、言い残したことをどうぞ。
 安達委員、どうぞ。
○安達委員
 まだ議論されていないので、(2)の2を申し上げます。これは看取りが象徴的なんですが、例えば参考資料の54、在宅で各都道府県亡くなっておられる方のうちの4分の1か5分の1ぐらいしか在支診で看取っていないということは、だれが看取っているのかということになると、かかりつけ医が看取っているんだということになると思います。
 看取りも在宅医療もそうなんですが、例えば京都府で我々先ほどのような活動の中で、会員アンケートもどんどんやっているわけですが、内科系を標榜する医療機関の4分の3ぐらいは実は誤診を全部やっているわけです。その延長上に看取りがあります。しかし、在支診の届出はというと3分の1ぐらいしかありません。これは何ですかということを皆さんにお伺いすると、要するに24時間365日ということに自信がないんです。つまり、在支診であろうとなかろうと、1人医師でやるということに限界を感じているということの意見が多々あって、その1つの結果が54の結果でもある。在支診であってすら看取りは20%ぐらいしかやれていないということになるということですから、やはり在宅医療を看取りも含めて進めるということであれば、今日的な意味で言えばどういう形がいいかはいろんな議論があると思いますが、グループ型の診療、それに対する診療報酬を配付するというような考え方が今日的にはどうしても必要なんだろうということを1つ申し上げることと、看取りだけで申し上げますと、これだけ在宅死の中で診療所が実際看取っているならば、それにしてはこの点数格差は現実には物すごく大きいねという実態をどうするのかということも併せて議論が必要なのではないかなと思っています。
○森田会長
 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。伊藤委員、白川委員、よろしいでしょうか。
 それでは、大森分科会長、まだ御発言がございませんが、お願いします。
○大森分科会長
 会長はなるべく物を言わないということがとりまとめていく上でいいと思っているんですけれども、今日お話を伺っていて、私どもの方では介護保険法の改正がございまして、24時間定期巡回、随時サービスが行きわたるような新しいサービスの形をつくりましたものですから、それは介護と看護が本当に連携しないとできない、ほぼ一体化しないとできない。機能的には違うことですけれども、それをどうやって実現するか。小規模多機能と訪問介護のようなことも接続させるようなサービスになっていますので、致命的に重要なのは看護師さんだと思うんです。お医者さんはもとより大事な方々ですけれども、今日、西澤先生から多職種間の共同という概念ということが出まして、かねがねこの議論は前から行われている議論なんですけれども、失礼かもしれませんが、実は従来の発想で言うと、それは直ってきていると思うんですけれども、やはりお医者さんが一番えらいんです。看護師さんがいて準看護師さんがいて、介護の現場のスタッフはその下にいるという、何となくそういう固定観念があるのではないかと思っています。
 先生含めまして現場の先生にお伺いすると、現場の看護師さんの判断とか知恵を借りない限り、お医者さんの判断はヤブになるんだとおっしゃっているんです。そうだと思うんです。ということは、上下ではなくてそれぞれの機能をきちっとお互いに認め合いながらどうやって協力体制ができるかということだと思うんです。
 今回は、介護の現場の方でも胃瘻等についての処置はできると変わっているんですけれども、これも従来だったらなかなか行かなかったことについて御理解が進んで今回そういう措置がありますので、広い意味で言うと、機能それ自身の価値を認め合ってくれないとなかなか動きにくいです。
 共同とおっしゃっている概念がもともとある種の対等者間の協力体制になっていまして、決して上下の関係ではないんですけれども、一番難しいのは、事の運び方としては、だれか一番えらい人がいてえいやと指示して動くのが多分動きやすいんです。でも、介護保険の方のカンファレンスという概念は、できるだけそれぞれの職種の皆さんがその任務を達成しつつ、どうやったら総合的に介護のサービスがよくなるかですから、一種対等者間協力になっています。これは言うほど簡単ではなくて、だから、マネジメントの問題が出るんですけれども、実際にはそこで人々の信頼があって、その方のさまざまな言動によって全体がまとまるのが現実だと思う。それがたまたまお医者さんの場合もあるし看護師さんの場合もあるし、もう少し言えば作業療法士の方々のこともあるんですけれども、その望ましい方向に向かってどういう仕組みをつくっていくかということについて言うと、どこかで従来の観念を克服していただきたいと思います。
 特に私はお医者さんに偏見があるんですが、やはりお医者さんはいつも自分がえらいと思っている人が多いので、これが多職種間の共同を少し阻害しているのではないかと。今日お集まりの先生方は非常に御理解のある先生方ではないかと思っています。
 もう一つ出た議論ですけれども、介護保険の方の最大の弱点は、やはり認知症の高齢者に対するサービス。全く標準化していませんし、入口で鑑別も明確ではありませんので、介護保険の将来を考えると、最初の第1点と2番目の認知症サービスをどうやっていいものに変えられるか。これは本当に医療と介護の方の緊密な連携なしには成り立たない世界でございますので、この2つを目指して、でき得ればいろんなことについて情報交換しながら同時改定に向かっていきたいと思います。
 私は最後に嫌みですけれども、本来ならばこれは厚労省の各局と各担当課長さんの間で十分練っていけば可能になる話ではないかと。どうして我々を呼び出すのかという話でして、ただ、そんなことを言っても、今日やってみて先生方がいろいろ診療報酬の方々はどういうふうに物を考えているか。私どもはこのことについてどう考えているかということについて共通の基本認識みたいなものが進みましたので、これはこれとして是といたしますけれども、できるだけ行政の方でできることはやり抜いた上でいろんなことをやってもらいたいなという最後に個人的な私の希望でございます。今日は大変有意義な会合であったのではないかと思っております。ありがとうございました。
○森田会長
 ありがとうございました。もう時間が参りましたけれども、私も一言だけ言わせていただきますと、数年介護状態だった親を最近亡くしまして、そのときの経験で言いますと、やはり利用者の観点から見ると、医療・介護どちらでもいいとは言いませんけれども、とにかく今の状態を何とかよくしてほしいと、助けてほしいという気持ちがあるときに、これは医療ですから、これは介護ですからというような形で区分されますと、なかなか本当の意味での高齢者のためにならないのではないかと感じたところです。
 ただ、現実にはそれぞれ機能が違いますし、制度が違いますし、担当する方も違います。特にその中でも施設が違っているわけでして、施設をあちらに行け、こちらに行けと言われて大変困ってらっしゃる方がいると思いますし、そこは最初にお話がございましたように、まさにシームレスなネットワークに是非していっていただきたいと思います。
 今度の報酬改定に関して言いますと、そうした長期的な理想に向けて、一歩をどうやって進めていくかということだと思っております。勿論、シームレスに境目をなくすために、診療報酬なりその点数を上げていくということが容易にできるならば問題は簡単だと思いますけれども、現状は白川委員が御指摘になりましたようにかなり厳しい状態にあるわけでして、その場合に感じますのは、それぞれ保険制度は違いますけれども、それぞれのところでの最適化ばかりを気にしておりますと、国全体としての最適化にはならない可能性もあるのではないかという気がいたしました。
 そうした観点から、やはり少しお互いにほかのところにも目を向けて考えていく必要があるのではないかというのが今日感じたところでございます。具体的にどうするかということにつきましては、まさに大森分科会長がおっしゃいましたように、これは事務局の方で具体的にすり合わせていただきたいと思っておりますし、そもそもお役所の所管の問題というのがもう少しそここそシームレスになってほしいという気がするところでございます。最後はそうした形でまとめさせていただきました。
 それでは、本日は時間も参りましたので、特に御発言なければこの辺りにさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○安達委員
 あえて申し上げますが、大森分科会長、医師である私や西澤委員はそうではなさそうだと認めていただきましたけれども、我々、今、医療界で決して特殊な存在ではございませんで、平均的な医師でございます。
 医師がえらすぎるという御見解は少し昔はあったのかもしれないけれども、今、現場は違いますよということはあえて申し上げたいということと、医師がある意味でそこで前面に出なければならないというのは、結局は在宅医療も含めて最終的な結果責任というものが最も大きいということに準拠する部分が多々あるのであって、現在の日本の医師が他の介護その他看護師さんも含めて皆さんと共同で仕事をする上で、我々の方がえらいという認識を持っている医師はほとんどいないだろうということだけは断言をさせていただいて、そういう御理解でお願い申し上げたいと思います。
○大森分科会長
 それで安心できます。
○森田会長
 こういう意見交換ができたのが本日の最大の意義ではないかと思っております。
 それでは、本日の意見交換、さまざまな御意見が出ましたけれども、これは結論を出すというものではございませんので、意見交換の内容はそれぞれ中医協、介護給付費分科会に持ち帰りまして、それぞれの審議会における今後の審議に反映させていくということにしていただきたいと思います。
 今日は時間もちょうど参りましたので、今日はこれぐらいにさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
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代表: 03-5253-1111(内線3288)

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