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2011年6月30日 第7回がん研究専門委員会議事録
健康局総務課がん対策推進室
○日時
平成23年6月30日(木)14:00~17:00
○場所
三田共用会議所3階 C・D・E会議室(東京都港区三田2-1-8)
○議題
1 医療機器(診断機器、治療機器等)開発の論点整理
2 公衆衛生・政策研究分野における論点整理
3 日本のがん研究に関するその他の動き
4 その他のがん研究の計画に必要な事項
○議事
出席委員:野田委員長、大津委員、中西委員、平岡委員、松原委員
○がん対策推進室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第7回がん対策推進協議会がん研究専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。事務局のがん対策推進室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
本日の委員の出欠状況でございますが、がん研究専門委員会の定数8名に対しまして、本日は5名の委員に御出席をいただいております。
なお、平岡委員につきましては30分ほど遅れるということを聞いております。
それでは、以後の進行につきまして野田委員長にお願いします。
○野田委員長 ありがとうございます。
議事を進める前に、私は昨日、体調を崩しまして協議会の本会の方を欠席いたしまして、この委員会の報告を怠って鈴木室長にお願いをするということになりましたが、報告に対して何か議論等はありましたでしょうか。まずそれを伺ってからと思います。
○がん対策推進室長 昨日の協議会におきまして、協議会長の方から各専門委員会のこれまでの進捗等につきまして御報告するという指示がございました。
それで、がん研究専門委員会につきましては、野田委員長は御欠席でございましたので、私の方から日付といわゆる議事の議題を御紹介させていただきました。その際に、協議会から幾つか指摘またはコメントがございましたので、お知らせさせていただきます。
まず第1ですが、議題を見ると今後のがん研究を左右する重要な話なので、具体的な進捗状況を共有してもらいたいというお話がありました。
2点目といたしまして、特に臨床研究は患者さんの理解が必要である。その取組みは論議されているのかという御指摘でございます。
3点目といたしまして、患者が望む研究、患者目線にもっと配慮した検討が必要ではないかという御指摘がございました。
それから、4点目でございます。これは概要の中身というよりは今後の取扱いになりますが、挙がってきた提案、いわゆる専門委員会の提案書もしくは提言書につきましては、協議会の中でもしっかりと議論すべきだというような御意見でございました。これは、もともとそういう形でなっているということを協議会の方で回答させていただいております。
5点目といたしまして、臨床研究はインフラが本当に整っていないので、どういった議論になっているのか報告をしてほしいということで、これは最初に申しましたようなことのもう少し具体例としてお話がありました。
それから最後でございますが、大きな問題に取り組んでいるようだ。こうしてがん計画に書かれた事項は厚労だけではなく文科、経産も含め、予算措置等も含めて配慮されるのかというような御指摘がございました。これにつきましては当局長の方から、今回のいわゆるがん治の基本計画につきましては閣議決定を経て全省庁が取り組むものということになりますので、当然のことながら文科、経産、厚労、それぞれもこのがん研究の報告、もしくはそれによりまして計画が立てられたあかつきにはそれに従って行っていきますということを回答させていただいております。
以上でございます。
○野田委員長 ありがとうございます。今6つぐらい挙げていただいてあるので、ここで少し話というか、議論をしておいた方がいい部分も幾つかあると思うので再チェックさせていただきます。
1番目の、大事な話だから具体的な進捗状況を報告しなさいというのは、これは私が体調を崩したのがすべて悪いわけで、これは報告をするとなるとちょっとお伺いしたいのですが、次回のこの委員会と協議会とのタイムスケジュールはどうなっていますか。
○がん対策推進室長 当専門委員会の次回は、7月11日を予定しております。それで、協議会につきましては7月27日が次の協議会の日程になっております。
○野田委員長 わかりました。ということで、後でもう一回この委員会の予定というか、流れをもう少しお話をしますが、少なくとも11日までにまとまった部分は27日にお話をする。
また後の方で言いますけれども、誤解の部分もあると思うので、ここで決まって協議会にも報告しないで何かそのまま固まってしまうのではないかというふうに向こうで心配される委員もいらっしゃったせいでこういう質問がきていると思うんですが、実際には協議会に出すためのものだと考えております。
それで、2番目の特に臨床研究は患者さんの理解が必要、その取組みは議論されているのか。3番目、患者が望む研究あるいは患者の目線にもっと配慮をという、この2つの部分です。これはスタートする段階で当然のあれですが、その中にこれをスタートするときに1つ大きいこれに関するポイントがあって、患者さん委員を入れた方がいいんじゃないかという指摘が協議会でありました。
ただ、今回のこういうシフトとディスカッションは、やはり専門、専門の領域で今、本当に必要なものを洗い出していくので、あるとき患者さんに参加してもらう方がいい場面もあるかもしれないけれども、全般的にはやはり難しいんじゃないかということで、患者さん委員は入らなくていいのではないかとなったことが1つあります。
2つ目で、それでは患者さんが必要なときというのは、実際にはこれは協議会に上がるわけで、上がった協議会には患者さんの委員が何人もいらっしゃってそこでたたかれるので、たたくというのは私がたたかれるのではなくて上がった文案がたたかれるわけです。それを誤解されると困りますので言っておきますけれども、そこでたたかれるのでそれでいいんじゃないかというふうにも思いましたが、どうですか。これから取りまとめをして絞り込んでいきますので、そこでもう少し、例えば患者さんの意見も取り込んだ方がというようなことがあればまた対応もできますが、特に臨床研究はというと、この辺の取りまとめは大津先生が中心になって私とこれからやっていきますが、あくまでも専門家から見た患者目線というのはなるべく取り込むことは可能ですけれども、そこまで患者さんは入らずにやるということの再確認だけはちょっとしておきたいのですが、どのようにお考えになるか。
大津先生、どうですか。協議会には患者さんたちがいるからこういう意見が出ているんだし、当然だと思いますが、どう対応したらいいか。
○大津委員 私自身もその考えでやっておりますので、提言を今つくっていますけれども、それを見ていただいて手直しを入れていただいて、それを取り入れていっていただければいいのではないかと考えています。
○野田委員長 そうすると、平岡先生、松原先生、あるいは祖父江先生のものもこれから取りまとめに載ってきますけれども、一応そのまままとめの段階である程度私たちから見た患者さん目線を意識したようなところをちょっと注意していただいていこうということでよろしいですか。
それでは、大津先生の方もすみませんが、もう一回患者さん目線を意識して見直してみていただければと思います。
○事務局 事務局から1点だけよろしいでしょうか。
協議会委員の患者会の方から、後に臨床研究は患者さんの理解が必要で取組みを議論されているのかということの真意といいますか、具体例として私どもの方でお聞きした内容をお伝えしますと、例えば患者さんの立場でという意味合いは、要するに自分がいる、患者さんが住んでいらっしゃる地域に臨床研究に参加できるところがなかったりすると、参加できるところに行きたいという場合に、どこでどういった臨床研究をやっていて、自分たちがそれに合うのかどうかもわからない。要するに、見える化ができていないのではないかというような指摘が1点ありました。
もう一点は、臨床研究というけれども、安全性がどれだけ担保されているのかがよくわからないというような指摘は私の耳に届いておりましたので、参考までにお伝えしておきます。
○野田委員長 わかりました。今2つ挙げられた部分ですが、前半の部分はこれから私が対応すべき部分だと思うんです。これは全体のがん研究の市民、患者さんとの共同、あるいは透明性の高さ、そして広報的な動きというものを最後に話しますので、その中に必ず出てくるのは今、言った普通の市民という場合と患者さんという場合の広報や、そういうものの意味が違ってきて、患者さんという場合には今、言った一番大事なことは、臨床試験も含めて自分が参加できるものがどう走っているのか。あるいは、そういうものの試験の結果はどういうふうに発表されているのかというようなところだと思うんです。そういう方向では、そこは対応できると思います。
それで、2番目の安全性の部分の方は専ら大津先生が対応する部分だと思うんです。臨床研究の議論のところをそういう頭でさっと見直していただいて、いわゆる安全性の担保とそのポリシーの徹底というようなものはどのぐらいそこに書き込まれているかということをもう一回見ていただくということで対応できるのではないかと思いますが、どうですか。
○大津委員 了解いたしました。基本的にはそのように見直しをします。
1点は、ICJCPを取り入れるということで、この間のディスカッションでそのようになっておりますけれども、それを取り入れるということが安全性の担保というのはかなり必要だとストリクトに決められているものですので、基本的にはそれの導入ということが安全性の担保にもつながっていくものと考えております。
○野田委員長 では、そこを強調するということですね。
○大津委員 では、そこの部分を取り入れるようにいたします。
○野田委員長 それから言ってしまうと、それの前のところにあったリサーチャーINDなのか、INDなのか、そういう制度をもっと徹底させて、患者さんにそういう情報が届くようにするというのも入ってくると思いますので、それは先ほどの前半の私が対応する部分に対応するのかなと思います。
では、どうぞ。
○平岡委員 途中で議論に入ってピント外れの話になるかもしれないんですけれども、患者さんの対応といった場合、それはがんにかかって今、闘病しているという方もおられると思うんですが、がんにかかった人がこういう目に遭わないようにというふうな視点で、そういうふうな活動も必要じゃないかと思うんです。
それで、それはかなり目的が違っているんじゃないかと思うんです。がんにかかっている人にとっては、何とか新しい薬が出てそれの治験に参加できないかというふうな思いがすごく強いと思いますし、あるいは緩和医療など全人的なサポートに対するニーズがすごく高いと思うんです。
その一方で、がんにかかった患者さんが自分たちのようにならないようにというふうな視点で見ると、予防とか検診とか、あるいは革新的ながん治療法の開発とかが大事になってくると思うんです。
両方大事じゃないかと思うんですけれども、その辺りのことがどういうふうに議論されていくかということをお聞きしたいんですが。
○野田委員長 先ほどのところにまた戻ると思うんですけれども、私はその対象、つまり広報の重要性とか透明性の重要性といったときに今それを申し上げていて、対象が市民だと言ったのは後者のことを言っているんです。
つまり、これからがんになるかもしれないし、がんになったけれども、これからの人たちががんで苦しまないようにどうあるべきかということの研究はどういうことが行われているのか。研究はどういうふうにそれに貢献するのかというようなことを、もっと見やすく打ち出す場所があっていいだろうというのが市民相手の方で、今、平岡先生がおっしゃった方は市民相手の方だと思います。
それと同時に、その中には常に今は研究という形だけれども、治療に役に立ってくれるかもしれないものの情報を強く求めていらっしゃる患者さんがいるので、それはその中でも特に明確にすべきで、それがINDや何かにつながるのではないか。そういう区別がいいんじゃないかと思っています。それは最後のところで、まとめる横糸のところに1つ入れるつもりでおります。
(健康局長入室)
○野田委員長 局長、ありがとうございます。協議会では私が行かない間にいろいろ御指摘とおしかりをいただいた、それを今お伝えていだたいて、それに対する対応を皆で話し合っています。
上がってきた提言書は協議会でもしっかりと議論すべきというのは、勿論そうしてもらうために作っているんだということでいいと思うんです。
それから、ちょっと心配なのは、臨床研究はインフラが本当に整っていないのでどういった議論にと、また臨床研究に戻るんですけれども、先ほどのことで対応し切れない、何か臨床研究で足りないところがあるような感じの質問でしたか。
○事務局 お答えいたします。内容に関して、事務局の方で特段説明を加えて協議会で御報告をしたわけではございませんので、議題をお話させていただいた際に、臨床研究の在り方であるとか、そういった程度ですから、そういう場合はインフラの整備が必要だろうということを念頭に置かれて、そういった整備が整っていない。そういうことについてもちゃんと議論しているのかというようなニュアンスでの質問だと思います。
○野田委員長 わかりました。
○大津委員 それは患者会の委員の方からでしょうか。それとも、医師の委員の方からでしょうか。
○事務局 医師の委員からです。
○大津委員 わかりました。
○野田委員長 では、最後にこれは局長にお答えいただいたみたいで、それですべてですけれども、いろいろな大きな問題も取り組んでいるが、厚労省だけの枠にとどまらないような部分はここで話し合って大丈夫なのかというような議論をいただいたけれども、それは今、厚労にお世話をいただいてここで話し合う場を提供していただいているが、こうやってできてくるものは当然閣議決定を経ていくものであって、それの実施執行に当たっては3省庁協力していただくというのが前提になっているので、そういうものについてもきちんとしたディスカッションをしていいのだということを局長にお答えいただいたと伺っております。
そういうことですので、よろしいですか。これからまたまとめ上げたら協議会にきちんと提出し、報告をするということでいきたいと思います。よろしいでしょうか。
では、議題に移ります。今日は、まず前回あるいは前々回のものを取りまとめていくということですが、再確認いたしますが、項目をある程度分けて、その領域に関して問題点を取り上げて皆で提起して、それに対する対応すべき策あるいは直すべきポイントというものを話し合ってきました。
ですから、課題対応型の議事録パターンに最初はなっていて、そしてこの間、申し上げたようにその結果をある程度御理解いただけるような一つの項目をA4で2、3枚のまとめにしようと思っている。それを基に計画として書き込まれるものを、そこから抽出したものを更に協議会に御提出したいということになっています。
ただ、議事録の意味もあって、今日例えば平岡先生に御議論いただく、こういう課題、問題点と対応策という、これは議論の結果として残していきたいと思いますので、追い追い大津先生などの方にも今までの基礎研究TRとか、あるいは臨床研究といったところもこういう形のものを残していくということで、祖父江先生のものが1つ、一番参考になると思うんですけれども、よろしくお願いをいたします。
それでは、まずこれを1回目のたたきなのでこれできちんといくかどうかはあれですが、平岡先生から御説明をお願いいたします。資料2をごらんください。
○平岡委員 これは、前回少し網羅的過ぎて、もう少しポイントをつかんだ、わかりやすいといいますか、焦点を絞った書き方にしなさいという指示があったので、大きく3つのポイントに絞らせていただきました。
課題・問題点としては、日本の医療機器産業の国際競争力は低下傾向にあり、日本発の医療機器は少ない。特に治療機器は輸入超過になっているというふうなことです。
対応策としては、日本の強みを生かして、しかも国民のニーズの高い医療機器開発に重点化する。具体的には、分子イメージングがキーワードというお話だったので、「分子イメージング技術を活用した診断システムの開発と治療への展開」ということ。2番目は、低侵襲治療システム、その中では放射線治療、内視鏡治療・手術、ロボット手術等という3つを挙げさせていただきました。その次世代化ということと、革新的なイノベーションを起こすということです。
そして、2番目の問題としては医療機器に関して環境整備、特に臨床研究と薬事審査に関する問題があるということで、そこを強調して書いております。その中では、医療機器と医薬品は違うので、医療機器に合った対応策が必要ではないかということです。
だから、問題点としては「医療機器は医薬品の審査に準じた位置付け」になってしまっている。
「多種多様な医療機器に対する対応」ですが、医療機器の法整備とかガイドライン等がありますけれども、不十分である。
そして、「革新的及び改良改善医療機器の開発に不可欠な臨床研究が推進できていない」ということが具体的な課題の3つ目に挙げられると思います。
その対応策といたしまして、「医薬品と異なる医療機器独自の法規制、審査・承認体制の確立」が必要ではないか。
2番目にはオープンイノベーション、これはアカデミア、あるいは病院、更には産官が相互乗入れして、共同の作業ができるようなオープンイノベーションとしてのプラットフォームをつくり、その中で医療機器開発、臨床研究を支援する体制が必要ではないかということです。
そして、そういう場を活用することによって、更に医療機器開発のための探索的な臨床研究、あるいはPOC取得のための臨床試験の効率的な推進が可能になるのではないかということです。
3番目は、人材育成の問題と医療機器に対する社会のコンセンサスということです。これは一緒にしております。人材に関しては医療機器開発の場合には医学と工学を兼ね備えたような医工学、放射線治療関係では医学物理という領域があるんですけれども、そういうふうな学際的な医工、あるいは医物理の専門家、あるいはレギュレートリーサイエンスの中でも医療機器に精通した専門家が不足しているという問題がある。
それに対して、大きな話としては欧米では広く設置されているる学際融合的な医工学あるいは医学物理の大学院コース等を設置するとか、個々の研究者が連携できるような産学連携・学際融合の教育プログラムを拡充するというふうなことが対応になるのではないかと思います。
「医療機器に関するリスクとベネフィットに関する国民、マスコミの理解が不十分」と書いていますが、期待感が大きいんだけれども、何かあったときにすぐリスクのことが前面に出てしまうということで、なかなか開発のモチベーションが上がらないというふうなことがあるかと思います。そういう意味で、医療機器についてはリスクもあるけれども、成功すればそのベネフィットも非常に大きいんだというふうなことに関する国民への教育活動であるとか、こういう先端医療機器開発に関する適切な情報発信を行うことが必要ではないかということであります。以上です。
○野田委員長 ありがとうございました。
一応、1枚紙になったのでずっと読み通していただきましたけれども、それぞれの部分でいかがでしょうか。イメージとしては非常に重要なところがピックアップされていたようですけれども、ちょっとやせ過ぎてしまったかなというところもあります。すみません。私が言うのも何ですが、そういうところがあるので、基本的な考え方としてはこれが幹で、ここはやはりこれがと思うものがあれば入れていただきたいと思うし、例えば松原先生、手術というのがここに一言だけになりましたが、手術関係とかはどこにどういうふうに。
○松原委員 内視鏡手術とロボット手術ということで、その2段目の「機器開発のための探索的臨床研究、POC取得のための臨床試験の効率的な推進」というところに手術手技の改良とか、そういうものも入れるといいのかもしれないかと思います。この間もお話をしましたけれども、集学的治療の術前、術後の補助療法の臨床試験とか、そういうところも入れていただけるといいかと思います。
あとは、この間、私はすっかり忘れていたんですけれども、医療機器の中に大きく含まれるかもしれないんですが、医療材料ですね。そこも一言どこかに入れておいた方が、大きく見れば含まれると思うんですけれども、そういうところも大事かと思いました。
○中西委員 ここの部分のときに私は中座して中身を十分把握できなくて申し訳なかったんですけれども、医療機器の中で日本が今、結構いろいろなところで力を入れているのが、情報型の医療機器というものがあると思うんです。つまり、物としてというだけではなくていろいろな生体情報をリアルタイムに取り入れながら、人間の目が届かない、手が届かないところもやっていく。それで、恐らくそこのところも非常にイノベーションの中では重要かなという気がして、ロボットに入るのかもしれませんが。
○野田委員長 そうしたら、今の部分は1番目の対応策のここのところに一つのあれをつくって。
○中西委員 ここに情報型医療機器というものが入るのはいかがかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○平岡委員 情報型といった場合ですが、分子イメージングというのはそういう画像、更には生体情報も習得した画像をベースにした情報であり、これも情報型医療機器に入ると思います。先生の言われた情報というのは例えばそれ以外のゲノムとか、そういう情報ですか。
○中西委員 もっとクルードというか、マクロのもので、ロボットがそれに当たるものかもしれませんけれども、例えば見えないところを可視化して手を届かせる、あるいは手術をするとかということもありますし、あるいは医療機器の中には生体の例えば血圧だとか、脈拍だとか、酸素化の状態を見ながら、それに応じて術者にフィードバックをしたり、あるいは機械そのものが自ら自立的に止めるとかということ、そういう機械が今いろいろなところで開発されていると思います。
松原先生はお詳しいと思うんですけれども。
○松原委員 ナビゲーション・サージェリーと言えばいいと思うんですけれども、例えばある危険地域を画像で設定して、そこに近づいていくと警報が鳴るとか、あとは時間ですね。普通の決まったパターン、ここまでのステップと書いておくと、このステップが余りに長過ぎるとか、そういうものは何かあるんじゃないかとか、そういうことでナビゲーション、そこにいない人がそういうものを感知できるとか、それは後から教育システムに入れるとか、大きく言うとナビゲーション・サージェリーということで、すべてロボット手術に関係しちゃうんですけれども、ただ、ロボット手術と言うと逆にアレルギーがある人がいるので、違う言い方をした方がいいのかもしれないです。
○平岡委員 私も、同じ意味で分子イメージングに入れたんですけれども、放射線治療にしてもそういう動きなど、いろいろな生体情報を加味した治療に、多分すべての治療機器は進化していると思うんです。その代表という意味で、分子イメージングと言ったんですけれども、それならば分子イメージング等にすべきでしょうか。
○野田委員長 そこはちょっと考えもので、対応策が出たときに、これが別にすごくきっちりと仕分けされていなくてもいいと思うんです。項目、項目での強調点というのは割と残るので、私は当然分子イメージングはそこに入るけれども、今、中西先生が言われた情報型医療機器というのは分けて書いたら、イメージングは情報型医療機器にもものすごく大きく貢献するけれども、もっと先のところもあるような感じがするので、どうでしょうか。イメージングは非常に強い場所なので。
○平岡委員 ただ、一般用語として情報型医療機器というものが医療機器の人のカテゴリーとして私は余り聞こえてこないんですけれども、○松原委員 コンピュータ外科の世界では、結構そういうナビゲーション・サージェリーという言葉はありますけれども。
○平岡委員 ナビゲーションとか、ガイディト・セラピーとか、それはあるんですけれども。
○中西委員 インテリジェント・メディカル・デバイスとかという領域での研究は結構進んでいると思いますけれども。
○平岡委員 そうなんです。この低侵襲治療システムそのものがまさにインテリジェント・デバイス化しています。治療を中心に書いていますけれども、国民のニーズから見たときには多分治療機器の開発がすごく大きいので、その治療機器を前面に出して、それを支援するシステムとして分子イメージングという形にした。そうすると、大体コンセプトとしては包括できるというふうに考えたわけです。
野田先生がおっしゃるようにその項目を増やすことはいいんですけれども、各種の生体情報を画像も含めてデジタル化して、それをうまく見せる技術と、それを活用して治療に応用する技術というふうに私は2つに分けられるんじゃないかと思っています。それよりも、オーバーラップはするけれども、むしろわかりやすいという意味でいろいろなカテゴリーのものを幾つか入れた方がいいのか。その辺りはどうなんでしょうか。
○野田委員長 今の平岡先生のお考えはよくわかりますけれども、必ずしも入らないと思うんです。
というのは、イメージングはやはり情報のマジョリティだけれども、今、言っている情報はイメージングだけではないですね。もっといわゆる3次元、4次元の情報を言っているから、それは全部含まれないし、2番目の低侵襲も情報、インテリジェント・アシステッド・デバイスの目的の出口は必ずしも低侵襲だけではなくて、やはり高機能化だったり、治療効果をもっと上げることだったりというのも入ってくるから、オーバーラップのときに何となく機器の日本の強みというイメージでは私はいいのかなと思っていたんです。
○平岡委員 具体的な機器を考えるときに、例えばナビゲーションの治療機器と言ったときには手術ロボットがでてきますが、最近は放射線治療も入っています。さらには内視鏡治療まで入って来たというようにつながっていくんです。
要するに最初のコンセプトのところが違っても最終的な出口は、それぞれの機器で近いものがあります。○野田委員長 ただ、どうでしょうか。ロボット手術を低侵襲から切り離して、今のいわゆるインテリジェント・アシステッド・メディカル・デバイスみたいなところの例として入れて1項目つくることは可能じゃないですか。
○平岡委員 内視鏡もまさにそのものずばりですが、放射線治療も本当にインテリジェントです。
○野田委員長 でも、そのインテリジェントはそういう意味ではなくて、単にインテリジェント・アシステッドですから、情報を付与することによってなので、ダブっているんだからいいんです。
だけど、出口は低侵襲となれば低侵襲の出口を求める治療システムになるでしょうと、ただ言っているだけです。
○松原委員 確かに平岡先生の言っていることは当然なんですけれども、いろいろなものが重なり合うので。ただ、切り口としては違って出した方ががん研究のテーマとしてはわかりやすいというか、そのテーマが出てきやすい。
○野田委員長 もう一つ考えなければいけないのは、何度も言うように、これが文章になって、文章になった後にこの中でこれからスター印を付けてもらいますけれども、最後の計画に残さなければいけないものは何なんだという話をしたときに、例えば3つあるけれども、どれが一番大事なのかという話をするのと、領域で分ければ西と東の右と左しかありませんという話では、やはりディスカッションが違ってくるんです。
そうなったときに、日本の強みをと言ったら、日本の強みはイメージングが大事なのか、低侵襲機器をつくることが大事なのか、それとも情報でアシストされた機器を開発していくのが日本の強みなのかという議論になった方が私はいいということで、3つあった方がいいということを言っているんです。
○松原委員 確かにそうで、低侵襲だけだと、要するに今の治療レベルが、より患者さんに対して侵襲が少ないものをつくるということですが、そうではなくて今の治療レベル、例えば5年生存率が何十%なのを、更に精密な手術手技あるいは放射線でもいいんですけれども、それによって更にレベルアップするという視点からの切り口は多分すごく大事だと思います。
○野田委員長 そういう感じです。だから、3つにした方がいいだろうということです。
○平岡委員 項目が多いと。
○野田委員長 項目が多いと言っていないです。オーバーラップしていても、そのピークに当たるものが明示されるような項目があった方がいいと。
○平岡委員 そのキーワードは、低侵襲というのは少し時代がかった気も私はしていたんですけれども、そういうインテリジェントというか。
○野田委員長 低侵襲は、一つの流れは流れですよね。
○平岡委員 低侵襲治療の中での次世代化というのはそういうことですね。いろいろな情報を加味して、それを基に適切な治療をやる。そうすると、必然的に。
○野田委員長 平岡先生、お言葉ですけれども、次世代化という言葉は違います。次世代化という言葉は、それは次世代化の具体的なここでの中身をおっしゃっているので、次世代化という言葉が入れば、これは機器にとってすごく大事なポイントで、全く革新的な機器を開発することと、それから今ある機器が次の何を得たら全く違う新たな機器になるかということが次世代化なので。
○平岡委員 コンパクトにするということでこうなった面もありまして、内視鏡治療・手術といったコアなテクノロジーというのは強調すべきと思うんです。松原先生の言われた手術も重要ですし、放射線治療についてもそうです。
それらの3つの治療技術を3つの柱として切り出すとき、具体的にここはどういう言葉になるんですか。インテリジェント手術になるとするならば、内視鏡治療がインテリジェントではないか、放射線治療がインテリジェントではないかというふうなことにならないかなというのが。
○野田委員長 それは違うでしょう。
○松原委員 精度向上を目指したとか。
○平岡委員 だから、低侵襲がよくないのか、それを変えたらいいのか。そうじゃなくて、2つでなくてさっき先生は3つにした方がいいという話もありましたね。言葉が悪いのか、もう少し例えば手術にしても内視鏡治療にしても放射線治療にしても、一つのコア治療技術ですよね。それを一つずつ分けて出した方がいいのか。その辺りはどうでしょうか。
○松原委員 少なくとも外科の世界では低侵襲はあくまでも低侵襲で、その低侵襲によって成績が向上するかというのは全然レベルが違うところでして、やはりそれとは別に治療の精密化というところで成績向上というところは、低侵襲化は先ほども患者さんの目線でいろいろ考えないといけない。それはすごく大事な部分ですけれども、逆に言うと医者サイドから言うと、同じものであって成績が同じであれば結果的には同じで、低侵襲化という部分は患者さんにはメリットはあるんですけれども、がんの治療成績から見ると変わらないわけです。
そうじゃなくて、がんの治療成績を上げるための精度向上を目指したものというのは、またそこはちょっと違う視点での方向性だと思います。
○平岡委員 多分、先生とは同じことを言っているんです。放射線治療を例に出しますと何が一番ポイントかというと、動くものに対してビームをいかに出すかということなんです。まさにそれはインテリジェント技術の究極の姿なんです。
ただ、言葉としては低侵襲というのが非常にわかりやすいので使っただけなので。
○野田委員長 低侵襲はいいんです。低侵襲とは別の部分があるということで、分かれてあるからそこの部分のところも記載するということで今、言っているだけで、特に2番目の次世代化というのは別にこれはある基軸に沿って次のステップへ進むということだから、ここではこの基軸が低侵襲化になっているでしょう。それはそれでいいんです。
○平岡委員 インテリジェント化ということと……。
○野田委員長 それからもう一つは、むしろ強みという部分を割と明瞭に示した、いわゆる情報の付与によるという、情報を取るところからそういうものを付与するところまでが日本は強いじゃないですかというところだと思うんです。
例えば、イメージングでなくても私たちなどが卒業した時代と違うのは、一々動脈に刺さなくても酸素飽和濃度はわかるようになって、びっくりするほど指に何を付けているんだろうと思うけれども、あれも日本の特許でしょう。日本光電か何かの特許なんですよ。あれは、世界じゅうで皆、指に付けていますよ。やはりそういう情報付与ということだと思うんです。あとは、イメージングが基礎から強いんだったら、やはりここに入れておいたらいいと思うしということです。
○平岡委員 それでは、松原先生と少し相談して。
○野田委員長 今の段階でも当然ですけれども、ある程度それはダブるわけです。例えば、分子イメージングを生かして低侵襲化が起こることだってあるわけだから、それはダブっているじゃないですか。
○平岡委員 私は全然これにこだわっていないんです。
ただ、例えば1番の部分の生体情報を取るというところがありますね。そこではイメージング以外の情報も重要だというのは認識しているんですけれども、具体的にそれをどういう言葉で包括できるのかが私は十分理解できないので質問しているんです。
2番目についても、低侵襲というのはずっと10年来の流れです。その中にインテリジェント化ということで、ロボットを使うとか、あるいは生体情報をシミュレーションしてそれを使うとかというふうに、これはすべての治療機器がそう進化しているんです。そこをひとくくりできるインパクトのある言葉が。
○野田委員長 ただ、恐らくこれ1つがワンフレーズに、フレーズというのは長くていいんですが、最終的にはそういうセンテンスになると思うんです。そのときに、これは非常によく見ると、「日本の強みを生かした、国民ニーズの高い」と書いてあるでしょう。そうすると、今ここでちょうど対応させると、「日本の強みを生かした」は1番になっているし、「国民ニーズの高い」というのは2番になっているんです。
そうすると、これがワンフレーズになっているときには、日本の強みを生かした国民ニーズの高い医療機器開発に重点化すべきだと言ったときに、もうちょっと具体性をと言ってこの言葉はそのフレーズに付いてくるので、文をまとめるときにはそういうふうになってまとめられていくと思うんです。
○平岡委員 この間の議論のときには少し総花的過ぎるということで、分子イメージングという重要なキーワードを全面面に出したということがあるんです。
強みと国民的なニーズというのは両方兼ね備えないと、幾ら日本に強みがあってもニーズがなければ意味はないし、ニーズがあっても今更やってもしようがないというのはだめなので、私はこれはアンドだと思うんです。
○野田委員長 でも、それを言うんだったら、中西先生の言葉がいいか、悪いかは知らないけれども、中西先生の指している情報アシステッドな医療機器というのは強みがあってニーズがある場所じゃありませんか。だったら、項目として入れるべきじゃないですかということです。
○平岡委員 情報型医療機器と言った場合、具体的なものとしては、手術ロボットであったり、四次元放射線治療システムになってしまうんじゃないかと。出口的にはですね。
○野田委員長 恐らく代表的なもので焦点が当たるのはそういうものになるかもしれないけれども、でももっと広い、あらゆると言うと大げさだけれども、かなりの医療機器にそれは入ってくるんじゃないんですか。
○松原委員 それがひとつ固まったものがロボットなんですけれども、ああいうものが本当にすべての施設で必要かというと多分そうじゃなくて、そのばらけた部分ですね。ばらかした部分で、各施設にもう少しある部分に特化したところを使っていくということは、多分これからどんどん進んでいくはずなので、ロボットと言うと、この間ダビンチの写真を出しましたけれども、ああいうものをイメージしちゃうんですが、そうじゃなくて例えば内視鏡の鏡視下手術のときにいろいろなデバイスを使うというところで、そこでコンピュータを後ろにくっ付けて、それできちんと管理していくということとか、今も既にさっき言ったナビゲーション・サージェリーでは、それは脳外科の世界ですけれども、MRIを撮りながら危険地域をさっき言ったように……。
○平岡委員 それは一番に入る技術だと思います。
革新的な医療機器の一つを例に挙げれば創薬と結び付くマイクロマシンみたいなものがあります。中にマシン機能が入って、それが勝手にいくんじゃなくて、それが自ら検出して患部のところにいってスイッチオンするようなもので、アメリカなどはそういうものを戦略にしているわけです。ここで残りの5年間でどういうふうに具体的なものを提示するのが大事じゃないかということではないでしょうか。
情報型の医療機器を書ことは良いと思うんです。それは何だというのを具体的に明示しないと、伝わらないんじゃないかということを気にしているんです。
○中西委員 本来、国の根幹の方針は大きな目で見るとこういう方向ですよということを提言することだと思うんです。私自身、やはり日本の強みだとか、日本がこれから技術革新をやっていくときに、もう少しいろいろな企業がアクセスできて、世界をリードできる機械、機器ということになると、その言葉そのものは専門の方にとっては自明のことかもしれないけれども、政策決定だとか、そこに大きな競争資金を入れるときに、そのキーワードがあるということが非常に国民にもわかりやすいし、なるほど日本はそうだというふうな理解につながるような気がするんです。
もう一つは、確かに先生がおっしゃるようにある程度ターゲットを絞った方が開発をしていくアクセルになると思いますけれども、一方で余り予想しないような技術がいろいろなところでもしかしたらだんだんと出てきている可能性はあるかもしれないと思っていますし、余り提言の中に具体的な個別の言葉を入れ込むよりも、大きな方向としてあったらどうかと思いまして、その情報があったということを申し上げたんですけれども。
○平岡委員 一つの書き方はそういうことですね。今後の機器開発のキーワードを入れて広く書くのと、より具体的に絞り込んで書くのと、どちらがいいかということですね。
○野田委員長 絞り込んだように変な話だけれども、重要なものに重点を入れてという書き方は言葉としていいですね。だけど、ここに絞り込むべきだという書き方をするというのはやはりまずいんだとは思います。
ただ、基礎の分野から開発の分野まで広いところにいろいろな強みがあるとすると、その基礎の分野からの強みのところを分子イメージング技術で代表させてここで言っているじゃないですか。それは、私はいいと思うんです。全然おかしくない。つまり、これはやはり広いから。
それで、次に出口の方も、これは機器とすればこういうところ、これに関しては中西先生と私でちょっと意見が違うかもしれないけれども、私はこの程度に絞り込むのは機器として全然おかしくないと思います。それを低侵襲化としてまとめるかどうかは別として。
ただ、次世代化というのは非常にいいと思います。つまり、新たに何十年もかけてつくる話のことじゃなくて、今のものを本当にステップアップさせるのは日本で、そのどれをねらうかというのはニーズの高いものをやるべきだということじゃないですか。
ただ、だからどこかというとむしろ1に当たるところなんです。日本の強み、基礎じゃないけれども、いわゆる開発における日本の強みというところで、さっきからずっと情報型というものが出てきていると思うんですけれども、そういう部分を入れるか、入れないかだと思います。
○平岡委員 だから、情報型医療機器、括弧をして分子イメージング等……。
でも、分子イメージングは残した方がいいんでしょう。
○野田委員長 分子イメージングは絶対残った方がいいですね。
○平岡委員 それならば、情報型医療機器というのを別個にするのか。でも、情報というのは生体情報ということですよね。そうすると、その中の一つに分子イメージングが入るので、その前に置いてもいいような気がするんです。
○野田委員長 では、そこを一緒にしてもいいですよ。一緒にして、1番がそういうふうに少し立体的になるようにしておく。
○平岡委員 それでいいですか。中西先生、このキーワードに情報型の医療機器、そして2については低侵襲というのはちょっと陳腐なので、インテリジェントとか、何か松原先生と相談してもう少し格好いい名前に。
○松原委員 低侵襲は陳腐じゃなくて、これはさっきも言ったように患者さんには非常に重要なポイントで、これは絶対入れるべきだと思います。
○平岡委員 それならば、低侵襲かつインテリジェントですか。
○松原委員 それは別にした方が、我々外科医の立場からするとそれはちょっと別の項目なんです。
○野田委員長 割とよく使うのは、低侵襲化と高機能化と分けて、別に低侵襲化するのも高機能なんだけれども、でも外科は治すのが何ぼだという感じで、もっと治るようにならない限り高機能ではないというイメージがあって、高機能化とあれと分けることはありますね。ただ、松原先生が今、言っていたのはそのことです。
ただ、低侵襲を頭に出すのはどうですか。余り分けない方がいい。そんなに分けてもしようがないので。
○平岡委員 大津先生、内視鏡はどういうふうなキーワードなのですか。
○野田委員長 内視鏡は大きいですものね。
○平岡委員 これは、日本の得意技術そのものですから。
○大津委員 多分、今と同じ議論で特に違和感はないと思います。ですから、低侵襲というのは一つの方向性としてありますし、松原先生が言われたようにインテリジェントなちょっと今までとは違う視点の話というのは、診断であれ、治療であれ出てきているので、それは多分、外科の松原先生の今のお話とほぼ同じでくくれるんじゃないかと思います。
○平岡委員 松原先生のお話は手術を3に置いた方がいいんじゃないかという意見ではないんですか。
○松原委員 3に立てていただければ、それはそれでいいんですけれども、分子イメージングというのは私はすごく大事なので、ただ、分子イメージングと頭に浮かんでしまうと、平岡先生は当然いろいろなことを知っているから別なんですが、どうしても印象として診断的画像の方が強調されてしまって、治療との関係がずれていってしまう可能性があるので、その部分をちょっと切り分けて書いた方がいいかなという感じはしました。
○平岡委員 だから、2番目の低侵襲治療システムの中からロボット手術を切り出して3番目に一つの項目とすると、そのときに内視鏡はどうしましょうか。
○松原委員 3番の中に入れるということですか。
○野田委員長 2番目と3番目はどういう論理で切り分けようかというのをまず明確にしないと。
○平岡委員 そうですね。私自身は、2はそのままにして低侵襲かつインテリジェントでどうかと思ったのですけれども。
○野田委員長 それで、3で高機能化を入れるんですか。それとも、手術を分ける。
○平岡委員 私自身はそれでいいかなと思ったんですが、手術の場合は確かに低侵襲も大事だけれども、侵襲は同じで、より治療成績を上げる方向に向かいたいというお話だと思うんです。そういうのを少し前面に出して書けるんじゃないかと思うんです。
○野田委員長 それはそれでいいんじゃないですか。
○大津委員 低侵襲と言うとほとんど治療が主体になってしまいますので、その話と、先ほど中西先生が言われたいろいろな情報、工学を覆い込んだような、それは診断の話の方もつながると思いますので。
○野田委員長 そこにも内視鏡を入れた方がいいんじゃないですか。
○平岡委員 分子イメージングの後に治療への展開というのはそういう意味なんです。各種治療に技術というのは展開できるということで書いたんです。
○大津委員 分子イメージングというのは勿論大事ですし、そこの開発はかなり進んでいると思うんですが、それとはまた別な視点の話も出てきていると思うので、それはいろいろな分野がありますけれども、多分インテリジェント、先ほどのメディカル・デバイスですね。そういう形にくくれば、ある程度何でも入れやすいというところはあります。
○平岡委員 どこまでやるかですね。がん対策などでは粒子線なども前面に出ているんですね。放射線でも四次元とか、粒子線とか、画像誘導とか、いろいろなキーワードがあるんですけれども、そういうものは一切入れなくてシンプルに放射線治療にしたんです。
日本が得意で、しかもがんの治療に直結するような治療法それぞれ切り出してもいいんじゃないかとは思うんです。鏡視下手術を含めると、内視鏡もすごく今は進歩しています。低侵襲ではちょっと弱いので、それに1つ言葉を加えて、放射線治療、内視鏡、ロボット手術を前面に出してしまおうということなんですけれど。
○野田委員長 その絞り込むというのと、また重点という話になってしまうけれども、ここから更に計画にまとめることばかり考えているんですが、そのときに日本の強みを生かした国民ニーズの高い医療機器開発、これがアンドか、オアかというのはあって、完全にアンドでなくてもいいんじゃないかと私は思っているけれども、この2つの山があった機器開発というものがやはり一番の今回の私たちのポリシーであると言うのはまずいですね。そうしたときに、具体例として挙がるのはという感じで挙げていくわけですね。そうだと思うんです。
結局、そういうふうにカップルしていないと、最後にまとめるときにそうやった結果、出てきた機器だけぽんぽんと羅列すると、またすごい誤解を与えるじゃないですか。例えば、これとこれだけでいいのかみたいなことですね。そういうところの流れがわかるように分類なり、その前の前書きが付いていると非常にありがたいというだけです。
だから、分子イメージングなどは例えば分子イメージング技術を活用したと出てくるから、これは日本の強みを生かしたんだなとわかるじゃないですか。
それからもう一つだけ、これは私もわからないからあれなんだけれども、日本の強みと言ったときに情報の問題ともう一つだけ、マテリオロジーがあると思うんです。素材の問題ですね。機器のときに、そこは本当にいいのか。そこだけです。何かないんでしょうか。よくわからないんだけれども、いわゆる液晶とか、あの辺の話で聞いていると、ものすごい日本はマテリアルそのものの開発が強いんですね。
○平岡委員 そうですね。材料科学は得意ですけれども、がん治療で出てくると言ったらDDSなどくらいでしょうか。多いのはカテーテルとか、ああいう人工骨とか、人工皮膚とか、がんとは関係しないと思うんです。
○野田委員長 でも、また手術へ戻ってしまうけれども、手術の費用でもこちらからぽんぽんお金が出ていってしまうのは材料なんですね。あれがほとんど外国製なんです。だから、そこのところもちょっとあるので、手術のポイントを松原先生に、当然この平岡先生がつくってくれた基軸でいいんですけれども、もう少しうまく加えておいていただけるといいかなと。
○平岡委員 個人的には、がんの治療法の3本柱が手術であり、放射線治療であり、最近内視鏡が出てきているので、それぞれについて詳しく書いてもおかしくないんじゃないか。そのくらいの重みがあるんじゃないかと。
○野田委員長 ですから、日本の強みを生かした国民ニーズの高いという、その線に沿った項目として出てくる分には、それは項目が増えても構わないです。
ただ、さっき言ったように、その先はそういうふうにまとめ込まれていくわけですけれども。
○平岡委員 そうですね。例えば粒子線治療の開発に関しては日本が一番進んでいます。さっき言った4次元治療化ということについても日本が圧倒的にリードしています。放射線治療一つを切り出せばそういう書き方はできると思うんです。同じような形で手術を書く。それで、内視鏡は非常に書きやすいですね。そういう形でいけるんだったら、それは可能だと思います。
○野田委員長 書き方の問題ではなくて、やはりこの段階でこの整理案の段階で粒子線を抜くのはまずいですよね。
○平岡委員 それならば、放射線治療と1行つくらないと無理だと思います。
○野田委員長 放射線治療で低侵襲だと言って粒子線をそのまま思い浮かべる人はそんなに多くないですね。
○平岡委員 それならば、そうしますか。情報型の医療機器というのはむしろ個別なものの一つ上に置いて、そういうふうなところを入れて、その下に分子イメージング技術を活用した診断システムとか、そして手術ですね。それから内視鏡、放射線治療と、4つということでいいですか。
○野田委員長 そうですね。情報型は一番上に入っちゃってもおかしくないです。一番上のポリシーのところに入っても、イメージングであろうが、下のすべてある意味で情報型だから、それはおかしくはないと思います。
中西先生、いいですね。その方向でお願いします。
○平岡委員 それで、内視鏡は大津先生に、手術は松原先生にお願いするということで。
○野田委員長 あとは内視鏡のところを、さっき言った低侵襲化と高機能化というものをちゃんと書き込むかということですね。鼻から入れるのは低侵襲だし、大津先生のところがやっているみたいに変わった光を当てるともっと見えるとかというのは高機能化である。深くまで削った方がいいのはこれで見るとか、そういう話ですね。いいですか。
○平岡委員 ただ、材料という意味では分子プローブはありますけれども、それはもういいですか。
○野田委員長 分子プローブと言うと、イメージが機器での材料とちょっと違ってきちゃうかもしれない。
2番目ですけれども、この2番目の箱は平岡先生がさっき言われて、問題点のところは大きく2つのことを言っていてというふうにおっしゃって、1つは臨床試験の環境が整備されていないということをおっしゃって、それからもう一つは審査体制のことをおっしゃいましたね。
それは蒸し返すようだけれども、この間は別に審査体制はそろっていないわけではないと盛んに大津先生は言ったわけですが、それはいいとして、私はこの中ではやはり最後まで残っていくすごい強い部分は、この改良改善型のいわゆる次世代化というものが機器の進展の中心になるので、そういうものを可能にする臨床研究の場をちゃんと整備してほしいというふうに平岡先生はおっしゃった。あそこが割と機器特有の部分であってというふうな気がするんです。
そうだとすると、ここを2つに分けられたら分けて、審査体制の方と臨床研究の環境整備の方は2つ、箱にしちゃうわけにはいかないですか。その方が明確かと思いますが、大津先生はどう思われますか。
○大津委員 審査体制と臨床研究を分けるということは構わないと思います。
○野田委員長 この2つが一緒になっているでしょう。
○大津委員 多分、審査体制の方は当然医薬品とは全然違いますので、もともと異なっている話だと思います。
ただ、審査体制に関しても恐らく薬の方と同じように大体、国際世界の統一基準みたいな形のものができてきているのではないかと思います。
○野田委員長 そういうふうにおっしゃったでしょう。だから、何か出口から言ってしまって悪いけれども、この対応策が3つあるとすれば、例えば一番上の対応策を下に下げて下の箱、つまりいわゆる審査体制の方の答え、そしてさっき言った臨床研究を始めとする機器開発特有の環境づくりというものはこのオープンイノベーションと、それから探索的臨床研究のところだと思うんですけれども。
○平岡委員 ただ、大津先生が言われたように、この薬事のことも臨床研究も医療機器の開発に合ったという面があって、そういう意味でなぜ一緒にしたかというと、医療機器の開発に合った環境整備ですね。環境整備の中に臨床研究の体制とレギュラトリー・サイエンスとの問題があるというふうにしたので一緒にしたんです。
○野田委員長 その環境整備が一緒なのはわかるんですが、きっと私たちは話し合っているからわかるけれども、今、言った審査体制も環境で、広いTR拠点で行われている臨床研究のいわゆる支援体制とか、そういうものも環境だというのはわかるけれども、何となく環境対策が広くなってしまうような気がして、だから分けた方がわかりやすいんじゃないかという感じがします。
○平岡委員 わかりました。分けてみます。
○野田委員長 それで、先生のきちんとおっしゃっている改善改良型のものを可能にする。オープンイノベーションもまさにそうですね。
○平岡委員 その改良改善機器がいかに重要であるかということは少し解説した方がいいかもしれません。
○野田委員長 それは、上の次世代化という言葉と非常にカップルしてくると思うんです。
それからもう一つお願いしたいのは、右側の「オープンイノベーション等の持続的な開発プラットフォーム」はいいんですけれども、次の「支援体制の整備」というものの支援体制が、これは言葉としてはプラットフォームと並んでいるんです。プラットフォームを支援するんですか。ここは、ちょっと言葉としてわかりにくいです。
○平岡委員 ただ、よくあるのは、プラットフォームはできるんだけれども、その後、それを継続して支援できないから機能していないということです。
○野田委員長 そのランニングや何かですね。
○平岡委員 しかも、それを活用するような仕組みですね。ネットワークとか、そういうことです。
○野田委員長 そうしたら、開発プラットフォームの構築とその持続的支援体制の整備というふうに分けた方がいいかもしれないです。でも、ここは非常にわかりやすくまとめていらっしゃってそれはすばらしいので、今2つに分けることで、より見えやすくなって、最後の人材ですけれども、これはどうですか。ここは「人材育成と社会の合意」というのが一緒になっているというか、一緒にしたのは項目だから確かにわかるんだけれども、でもこれも何となく2つがね。
それから、そもそも質問なんですけれども、最近レギュラトリー・サイエンスの日本語訳は規制科学だということでいいんですか。レギュラトリー・サイエンスに力を入れようとしているPMDAなどは余りこの日本語を喜ばないと思うんだけれども、これは正式にレギュラトリー・サイエンスが規制科学でいいんですか。政府で決まっている何かがあるんですか。
○大津委員 大体、適当な日本語がないので、そのまま片仮名で書いています。
○事務局 私の承知している範囲では片仮名で使われていると思いますが、もし何か不適切なものであればまた後に修正させていただければと思います。
○野田委員長 それでは、やはりこれはレギュラトリー・サイエンスにしておきましょう。規制科学と言うと、ちょっとどきっとするから。
それで、最後のところですけれども、これはこの間もちらっと出ていた、そこをもうちょっと何か有識者の人に聞いていただきたいんですけれども、薬と違う機器の方の割とやりやすいはずなのにかえってやりにくいのはPL法のことだというのがありましたよね。そこのところは全然無視というか、そこのところにつながるのが、この「医療機器のリスクとベネフィットに対する国民、マスコミの理解が不十分」というのが、それの根底にあるところですよね。
○平岡委員 もう一つは、そういうふうなレギュラトリー・サイエンスの当局に対するそこの審査をした人に責任が負わされるでしょう。FDAは、多分そういうことはないはずです。そこのところも、結構大きいですね。企業並びにそういう規制官庁に対する。
○野田委員長 わかりました。少なくとも人材育成というのはここも2つに分けた方がいいような気がします。それで、最後のところはちょっとあれしましょう。そういうことで、どうですか。よろしいでしょうか。
そうすると、5項目になって、ただ、最初が非常に明らかで、日本の強みを生かした国民のニーズの高い医療機器開発に重点化して進めるべきであるというところでいいんじゃないかと思います。それでは、よろしいでしょうか。
次ですが、祖父江先生にまとめていただいた公衆衛生研究及び政策的研究の論点整理についてです。祖父江先生は海外出張なので、ちょうどこれはぶつかってしまったので、簡単にこれは要するに今回の平岡先生に当たるような議論を前の祖父江先生提出の現状と課題と、それに対する施策と目標というところにして、その結果を取り込んでいただいたものなので、私がやるということでよろしいですか。あるいは、事務局にやっていただければあれですが、こちらでやるということでよろしいですか。
○事務局 結構です。1点、補足だけさせていただきますと、祖父江委員の方から出していただいた資料3の2ページ目を見ていただいたら結構なのですが、2ページ目の下のところ、波線が振ってありますが、祖父江委員の方からお言葉をいただいたのは、ここの部分を書き足しましたということでしたので、それをお伝えくださいというふうにお聞きしております。
○野田委員長 わかりました。どうもありがとうございます。
それでは、これはちょっと項目は長いので項目ごとにいきたいと思います。片括弧ごとにいきたいと思うんですけれども、まず公衆衛生研究を予防観察、予防介入、それから評価というので私は言ったんですけれども、検診のところだということで、この3つに絞る。3つに明確化する。これはよろしいですね。
そういう公衆衛生研究で、それを1)で「法制度・指針」の問題、それから2)が「施設・基盤整備」の問題、そして3)が「研究費・研究費配分」の問題というふうに3つに分けてやりました。これは、この間、OKということでよろしいですね。
それでは、まず1)の「法制度・指針」ということでやりたいと思います。それで、特に祖父江先生が非常に明確に主張されたのが?です。「公的統計・行政資料の研究利用促進」で、「個人情報保護を理由として、研究において公的統計や行政資料が円滑に活用できない。
・公衆衛生研究では、個人情報を用いた個人単位のリンケージの必要度が高い。
・公的統計・行政資料を個人単位のリンケージにより使用することで、多額に研究費を要することなく、質の高い研究の実施が可能となる。」
これに対して、これから5年の間で何を変えていくべきか。これから5年間の実施に当たっては何をすべきかということで、「?公的統計・行政資料の研究利用促進」は、「個人情報保護と適正なバランスを保ちつつ、公的統計や行政資料を、個人情報を用いた個人単位のリンケージに使用するための法的な枠組みを整備する」。要するに、個人情報保護がきちんと守られる形でこういうことができるような法的な枠組みが必要だと言っています。
それから、「・人口動態統計については、全国規模のデータベース構築を検討する。」ということで、これは日本版National Death Indexということで出ています。
それから、3番目として「・個人情報を用いた個人単位のリンケージを担う第三者機関を設立し、研究者が個人情報を直接扱わない仕組みを構築し、運営を研究費で賄う」。これは後で日本語を直しますけれども、要するに「設立し」と言うとまたここでアディッショナルにいろいろな公的お金がどんどん使われていくようなイメージがあるので、研究費によって運営されるこういう第三者機関というふうにこれは直します。この間もしつこく私が言ったところですけれども、こういう機関としてやる。
それから、最後に「・情報利用者としての研究者に、一定の資格・条件を課す」。この2番目とあれは同じことの裏表だと思いますけれども、そういうことでどうでしょうか。特にここの中のポイントは、National Death Indexの検討という言葉にとどめているというところですけれども、よろしいでしょうか。
それでは2番目、「研究倫理指針の共通化」で、「研究倫理指針が、ゲノム研究・疫学研究・臨床研究などばらばらに存在するため、境界領域での適用範囲に混乱があり、細部における整合性が保たれていない」。
2番目は、加えて「・ゲノム研究指針における同意レベルや、多施設共同研究の場合の匿名化プロセスなどが他の指針よりも厳しい。」ということです。これは、ちょっと後でやりますが、これはまるでゲノム研究に文句を言っているように聞こえるので、そうじゃなくて、これの影響によって疫学研究がというところで書き方を変えてもらいます。
それで、そうなったときに右側で、「研究倫理指針を統合し、共通部分と個別部分に分けて記述することにより整合性を高める」。これは非常に重要なポイントだと思うんですけれども、いかがでしょうか。記述はここにするかどうかは後で考えますが、共通研究基盤のところで書く可能性はありますけれども、この倫理指針の共通化と個別化の透明性を高めるというか、やはりこれは共通化を試みないと個別化もできないということだと思いますが、これはいいですね。
それから、「施設倫理委員会における判断の平準化」です。「倫理審査委員会の判断が保守的な方向に偏る傾向があり、同意取得に要する必要研究費の増大、同意取得者のみのデータによる研究の質の低下、などの影響がある」。これは、いいですね。
それで、右側です。「中核的な組織における倫理審査委員会の判断事例をデータベース化し、他の組織で参照できるように公開する」。これもよろしいですね。中央何とかよりは、これが一番有効だろうということで、ここまではよろしいですね。
最後のところで、「疫学研究倫理指針は、他の指針に比べて研究者からの同意を必ずしも必要としない場合が多い」。これは、さっきのと一緒のところに入ってきます。共通をつくるところに入ってきます。
次です。「施設・基盤整備」というところですけれども、「研究支援専門機関の育成」です。機関の育成というのも、ちょっと言葉なので後で直します。「大規模公衆衛生(特に、予防介入、検診評価)研究の研究マネジメント機能を請負う研究支援専門機関が不足している。
・予防介入・検診評価研究は、通常研究対象者数が数万人規模となるため、研究者自身のみでは研究のマネジメントができない。」
これは人材育成とも関わってきますけれども、右側で、「研究マネジメントに関する専門性を有する人材を確保した研究支援専門機関を育成する。
・大学修士レベルの専門家集団が必要となる。」
これは、人材育成と一緒になっているけれども、ここで大事なのは基本的に機関がないと研究が走らない。支援機関の必要性ということでよろしいですか。
それから、次が「研究者の不足・FA機能の強化」です。Needs-drivenの研究分野(QOL、policy research、放射線生物学など)において、質の高い研究者が不足している。
・Curiosity drivenとNeeds-drivenの混在した分野も存在する。」
このときに、「研究費配分のみではなく、Workshop開催、Network構築による人材育成の仕組みをFA」、ファインディング・エージェンシーがサポートすべきであるということです。これも、後でちょっと御相談しますが、人材育成として一つまとめるのか。あるいは、こういう公衆衛生の特徴としてここに残すのかということだと思います。ちょっとわかりにくいですけれども、どうですか。このままでいいですか。
○松原委員 前々から気がついていたんですけれども、ここに放射線生物学が何ゆえに入ってきて、入れるべきなのかというところが平岡先生にもちょっと御意見を聞きたいなと思っていました。時期が時期だけに、ここは。
○野田委員長 ここは前のように共通のところの人材育成として書き込みましょうねと言っていたので、横に広がってはみ出してしまっているので、ここに残るとしたら放射線生物学は当然ここには残らないと思いますけれども、全体のときに今度は放射線生物学というのは当然のように入って、時期が時期だけにいいような気がしますが、いいでしょうか。
それで、「研究費・研究費配分」です。ここで書いてあるのが「他分野との優先順位づけ」で、「公衆衛生研究への研究費配分について、大きな枠組みでの他分野との調整が明確化されていない。
・予防観察研究には、国際レベルの研究費が配分されている。
・予防介入研究・検診評価研究への研究費配分が、欧米先進国に比べて少ない。」
次に右側ですが、これが入ったお陰でちょっと誤解を与えるようになったんだけれども、他分野というのはもともと公衆衛生研究と、例えば基礎分子生物学だったり、公衆衛生研究と例えば検診技術の開発の研究とかを全く調整がないということなんだと思います。つまり、独特の分野で同じカテゴリーで予算のいろいろなことを考えるんじゃなくてということなんだと思います。
次は、この下にあるものは同じ公衆衛生研究の中でも観察研究には非常についているけれども、こういう中でのアンバランスもあるというので、説明をするときにちょっとここに言葉を少し付けようと思います。他との調整がされていないし、中でも非常にアンバランスが見られるということでいこうと思います。
それで、右側です。「データに基づく研究費配分の仕組みを構築する。
・今後のがんの動向を踏まえた介入効果の大きさを重視する。
・海外とわが国における研究進捗状況のバランスを考慮する。」
最後ですが、「・予防介入研究・検診評価研究の中で生体試料を収集することで、バイオバンクと同様の機能を効率的に果たすことができる。」
どうでしょうか。これは結構センシティブなんですけれども。
○大津委員 基礎研究のところでバイオバンクが出ていまして、ちょっとダブってしまうところは。
○野田委員長 基礎研究の方は、バイオバンクの必要性をうたいましたよね。
○大津委員 うたいました。また、それぞれのグループでつくってそれをサポートするというような形式だったと思うので、矛盾はしないと思います。
○野田委員長 そのときのイメージに、それでは基礎研究のところで書いたバイオバンクのイメージから、例えばこの介入疫学の方もそういうものの一つですねというような形ならばいいと。
○大津委員 そうですね。多分、矛盾はしないと思います。
○野田委員長 そういうところでうまくコーディネートしないと、これさえやっていればバイオバンクは要らないよというふうに聞こえてしまうと、ちょっと今はセンシティブな状態です。では、基礎の方の書き方とうまくコーディネートしてやりましょう。
それから、「長期の研究費」です。これはずっと最初から問題になっていて、普通の例えば今の研究費の枠組みがそれに対応できていないというので、評価と配分をカップルした少し長い研究に対するシステムが必要であろうというのでここに書いてある。これはよろしいですね。
次は最後ですけれども、今度は「政策研究」です。「政策研究」の方は、1)が「法制度・指針」、2)が「施設・基盤整備」、そして3)が「研究費・研究費配分」ということで、これは前のところと非常にオーバーラップしているんですよね。それであれなんですけれども、特にその中で問題になるのが?、?、?、これは上にもあったことなのでそのままです。
それで、ちょっと書き方は後で検討しますけれども、これはいわゆる事項チェックなのでダブっていてもここに残します。それで、施設基盤整備のところも?、?という上のものが残っていて、そしてその中で1つ入ってくるのが?です。
?のところで右側ですけれども、データに基づいた課題設定の仕組みをFAに構築すべきではないか。FAに課題設定のための専任研究者を置くべきではないか。そして、Peer reviewの立場を保つべきではないかということで、結局これは課題設定がすべてである。すべてであるとは言いませんが、課題設定が大きく物を決めていくので、そのところの仕組みをファンディング・エージェンシーの方でより高度化させてほしいということだと思うんですけれども、ここのところはいかがですか。
これはいろいろな意味ではねられたり何かもあると思うんですけれども、でも政策研究あるいは政策研究に近い、例えば検診の評価であったり何だりという公衆衛生研究は、やはり課題設定がすべてで、課題設定の中に重要度があって、その重要度はデータに基づいて示されるべきでというようなことをここで言っているわけです。
それで、変な話が、この2番目のところ、3番目のところは現状ぐちゃぐちゃになって混じり合っているところを言っているんだと思いますけれども、この2番目、3番目を一緒に言ってもいいんですが、要するに課題設定する人とやる人が交互、交互になっているみたいなところがあるわけですね。そういうのは、やはり避けるべきじゃないかということです。これは、私は非常に正しい意見だと思うんですけれども、NIHタイプにきちんとするということで、確かに人とお金さえあれば分けられるという話にもなるけれども、これは重要だと思いますが、いいですか。
それで、「がん検診の質の向上」、がん検診の質が低下しているのではないかということで、これは「がん検診認定制度に対する公的補助によって検診施設の質の向上を図る。がん検診の精度管理方法について、標準的な方法を確立する」。これは割と大事なポイントですが、いかがでしょうか。それぞれの県のそれぞれの検診の中にまでそれほど手を突っ込めなくなったときに、やはり精度管理のところからきちんとするというのは大事なことのように思いますが。
○松原委員 非常に重要でいいんですけれども、「低下している」と言い切ってしまっていいんですか。
○野田委員長 ここは、低下しているという何とかがあるにします。それでデータを示せという話になりますから、データがないからデータを取るためのあれをするんだという、ニワトリと卵になっちゃいますから、それはそうします。
○平岡委員 下の「たばこ対策」とか「診療の質」は臨床でという、これは今まで余り議論されていなかったものですけれども。
○野田委員長 「診療の質」は臨床研究のところで。
○平岡委員 私が申し上げたのは、例えばがん拠点病院で一応名前としては例えば腫瘍内科とか、緩和とかになっているけれども、実際にそれが本当に患者の目線で見たときにそういうレベルに達しているのかどうか。そこの医療の質を評価することが必要じゃないかという御提案です。
○野田委員長 ちょっと微妙ですけれども、そういうところもありますけれども、むしろ政策研究としての対象であればここでやる。
でも、評価、変な話ががん対策推進計画によって定められた、例えば拠点病院のあれを評価するのはこの評価の仕方でいいのかとかというのは、ここの対象ではないという切り分けがあると思うんです。
なので、例えば平岡先生に今、提起してもらったところなどだと、何となくこちらではないような気もするけれども。
○平岡委員 ただ、我々の領域ではパターンゾクケアスタディというのは厚労省のがん助成金の政策研究でずっとやったんです。それでも明らかに、放射線治療の品質管理とか評価は10年間で非常にできました。だから、そういうのはひとつ政策研究として使えるのではないかということです。
○野田委員長 わかりました。では、ここの2つの項目は追加で、どういうふうに祖父江先生とあのとき落ち着いたんだか再確認して、もう一回メールで送ります。
最後は「ガイドライン」ですけれども、ここはまたガイドラインでもめていたところです。「診療ガイドライン作成に対する公的支援が不十分である」。ただし、そのときに資金的支援のニーズはさまざまでありというか、要するに公的資金が注入されるべきかどうかの是非はさまざまでありということでしたよね。
それから、「・Mindsが公表の場として確保されている」。これは、あのとき随分サポートしている方が多かったですね。
それから、「・エビデンスの存在しない領域のガイドラインをどうするか。
・ガイドラインと診療実態との差を検討することも必要である」。こういうものが出たときに、松原先生の方向性はこうなんだと思うんだけれども、要するに診療ガイドラインを作成している学会、研究会への支援はやはり強化すべきだということで打ち出していいのかということが1つですね。つまり、これは支援強化するということはやはり厚労省としてはそういうものをあずけるべき場所だとこういうところを考えるということに支援としてはなっていくので、そこは少し話し合わないといけないか。
○松原委員 私の個人的な意見から言うと、学会・研究会を支援するというのは余りよろしくない。
○野田委員長 そうですね。何かちょっとおかしいですね。
○松原委員 ガイドライン作成を支援するという、その行為を支援するということが大事なんじゃないかと考えています。
○大津委員 今、具体的にがん治のところで、あれは何か公的研究費で全体をがん治が仕切って全部の各学会のまとめる動きはしていますよね。そういうことをサポートする図式というのは今もある形ですね。
○松原委員 ただ、資金がなくなっちゃったんですね。だから、そういうものを継続してもらいたいということです。
○野田委員長 では、再確認します。後でここに少し前書きが出てくるんです。在り方についてのコンセンサスとか、いろいろなものがあるんだけれども、こういうものはちゃんと付けるにしても、学会がそういう民間だけれども、恐らく正しいエビデンスはすべてとは言わないけれども、一番持っている場所がそういうガイドラインをつくるという行為、あるいはそのガイドライン作成を公的資金でサポートすべきだというのはここで打ち出していいんですね。松原先生がいいというのはわかるんですが、大津先生はどうですか。
○大津委員 基本的には学会にゆだねる話かと思うんです。サポートすると、余り国がそこのガイドラインをどうこうとかけるべきではなく、学会のそれぞれに任せることでいいと思うんですけれども、サポートするとなるとどういう形になるのか、そのシステムが非常に難しいとは思います。
○野田委員長 私もちょっとそこは微妙だなと思うんです。でも、基本的につくるお金がなくなっちゃったら、それではどこからお金を取ればいいんだということですね。
○大津委員 例えば、がん治みたいな大きいところが全部統一してやるというのならばいいんですけれども、今の流れ的にそれぞれの個別の食道学会、胃がん学会、大腸、全部が出してきますよね。そうすると、そのひな形もばらばらで、非常に見ている方としてはわかりにくいのはわかりにくいという問題があるんです。
だから、個人的な意見としてはがん治みたいな全部をカバーしているところで、ひと通り統一したフォーマットでばっとつくってしまった方が非常に一般人あるいは我々医者の立場からしてもわかりやすいんじゃないかとは思うんです。個別の学会でそれぞれのフォーマットで皆やっているので、非常に難しくなっています。
○平岡委員 いろいろながん治に関係していますが、すごく学会によってレベルが違うんです。あるところは患者さん向けと、それこそ医師向けと、きっちり分けてつくっているところもありますし、あるところは自分たちのコミュニティの中でつくっている。一種の勉強型でやっているというようなことを公言するような学会すらあるんです。
そういう意味では、ある程度の質の保証というのは必要だと思いますし、患者さんが見るとどこかに行けば全体のガイドラインが見られるというふうな仕組みはやはりあった方がいいんじゃないかと思います。
○野田委員長 そうすると、今もう一回この細かいところに入ると、ガイドラインの在り方に対するコンセンサス形成というのは今そこへ集まってくるんだろうけれども、やはり今やらないといけないということですね。
それで、その次に入ってくるのが、ここにいろいろ作成方法や何かが書いてあるけれども、作成方法以前にまず出口として出てくるガイドラインの質の保証、その質はいわゆる高さの質もあるけれども、皆が見やすいというようなところまで含めた質の保証をどうするかということを考えて、そういうことをここに書いてもらうということでよろしいですね。
それで、最後にまた同じ質問で申し訳ないけれども、そうやった上でこの学会がつくるものはいいんじゃないかということが決められたら、公的支援はこちら側はいい側、それでも公的支援は必要ないんじゃないかというのが大津先生の側だと思うんだけれども、どうですか。
○平岡委員 一たんそういうガイドラインができると、ほとんどの学会は自分のところで改定できると思います。だから、それは大丈夫だと思います。
○野田委員長 では、別にそこで強くは言わない。支援強化はちょっとクエスチョンなのでここでは言わないと。
では、どうぞ。
○中西委員 支援をしていただくということに関しては、それは恐らく学会によっては非常にありがたいとおっしゃるところもあると思うんです。
問題は、ガイドラインをつくる責任はどこにあるのか。つまり、スポンサーシップを取ったからそれについて国が何かある一定のレギュレーションをかけるということについては、学会によってはかなり反発が多いのではないかという気がいたします。
実際に、例えばアメリカで言うと、肺炎のガイドラインというのは3つの学会がそれぞれインディペンデントは全く違うものを出しているんです。全くオーバーラップしているところもありますけれども、随分言い方が違う。それはそれでちゃんと機能はしているんです。なぜかというと、そのガイドラインはだれを対象にするものかということでつくり込まれているので、一定の住み分けができている。
○野田委員長 それは当然、国の支援は受けていないんでしょう。
○中西委員 国の支援はありません。
もう一つは、今の時点でガイドラインをある程度国の支援でやっていこうとしたときに今、学会も苦しんでいるのですが、COYの問題がかなり厳しくレギュレートが出てくるので、それについてもどうやっていいか、今、私は何となくイメージがわきにくい部分があるんです。
ですから、もしやるとすれば、まず国ができることというのはやはりいろいろなガイドラインが出てきているものについての一定の評価を与えるとか、一定の方向性についての指針を与えるとか、そういう大枠のところでのガイドラインはかくあるべきじゃないでしょうかということであるとしても、その先に関してはある程度自立的に学会に任せておいた方が問題ないんじゃないか。
別の言い方をしますと、ガイドラインというのはしばしば訴訟のための資料に使われたりすることもありますので、非常に繊細なんです。もう一つは、領域によっては非常に短期間にエビデンスがどんどん変わってくるものがあって、そのバージョンアップについて学会がものすごく敏感になって、早くバージョンアップしないと、そのままのものがいくと既に世界の趨勢と違うというので、どんなバッシングが出てくるかもわからない。
非常にそういう意味で繊細な部分がありますので、私自身はガイドラインを支援するとしても、もう少し大枠のところの骨組み、あるいはこのくらいのところはミニマムリクワイアメントとして達成しましょうというくらいのところにとどめておく方が、現時点ではいいのではないかという気がいたします。
○松原委員 私もそういうことで、例えば数年前まで癌治療学会を中心に厚労科研をもらってガイドラインの評価みたいなものでお金をもらってやっていたんです。でも、それは2、3年前になくなってしまっているはずなんです。今はないはずです。平田班と言って札幌医大の平田教授が委員長だったんですけれども、先ほどのミニマムリクワイアメントとか、クオリティコントロールとか、そういうところにお金を出していただいて、それをどこの学会がやるかというのはまた別な話ですけれども、そういうところをやってもらうというか、お金を出してもらう。
ガイドラインの発行そのものにお金を出すというのではなくて、そういうシステムですね。そこのところが重要かと思います。
○野田委員長 では、ここの言葉はこうしましょう。支援に関しては、少なくともここのガイドライン作成を支援するものではない。それで、さっき言ったようにガイドラインの在り方に対するコンセンサス形成を行ったり、更にそのミニマムリクワイアメント、あるいはクオリティコントロールのあるべき姿というのを行うべきであって、それがどこで行うかはともかく、そういうものは公的資金の下で行われるべきであるという書き方ですね。
だから、先ほどのまた変な話だけれども、がん治療学会がその対象として認められるならば、そうやってお金が出てでもいいし、あるいは完全に厚労科研費の何とか班で、そこにいろいろな関係学会が入って、それでやるのでもいいし、まずそこの支援ということで今回はとどめたらどうかということでよろしいですか。
○大津委員 図式として、特定のがん治という名前を出すとあれですけれども、全体の学会が本当にミニマムリクワイアメント、余り難しい細かいことを書かずに本当のエッセンスのところだけをつくって、あとはそれぞれの各臓器別の学会等が細かいところはつくっていくようなシステムにした方が、非常に見やすいと思うんです。
○野田委員長 でも、恐らく今の話は別に大津先生の言っていることを否定しているわけではなくて、そこのところもまず今のところで決めたらどうか。ここで決めないでということだと思うんです。この協議会のガイドラインのつくられ方はこうあるべきだというところにはまず口を出さずにということだと思います。
だから、このガイドラインの在り方に対するコンセンサス形成や、そのときにおける大事なポイントや何かをつくっていくという操作を公的資金の支援の下で進めるという中で、今の大津先生のものが一つの流れとして見えてくるということだと思うんだけれども、よろしいですか。
○大津委員 はい。
○事務局 事務局からでございます。診療ガイドラインの件について、昨日の協議会でも議論が行われました。そのときの協議会委員の御発言を御紹介したいと思います。
まず1点、診療ガイドラインに関してコメントとしてあったのは、おおむね日本においては3年に1度の改定が行われているが、欧米においては毎年行われているような対象臓器も実際には存在する。ですので、ガイドラインの策定に関してはどれぐらいのガイドラインが策定できたのかということを見るだけではなく、ガイドラインの策定のそういった進捗管理、評価ですね。そういったものも見ていくべきではないかといったような御指摘がございました。
○野田委員長 見ていくというのは、どこが見ていくんですか。
○事務局 実際に、現在のがん計画の中で医療の質の部分でガイドラインとか、そういった部分の均てん化を……。
○がん対策推進室長 多分、ガイドラインの関係につきましては今の計画の中のがん医療の中にガイドライン作成というものがあって、どれだけ作成されているかということを一応指標として出しているということでございます。
ですので、その数だけの増加ではなくて、更新もその評価を見た方がいいんじゃないかということが出てきたということです。
○野田委員長 そうすると、やはり今回はそちらとのオーバーラップが余りいかないように、いわゆる研究で、特にこれは学会が見合っているというところでこちら側に入っていて、こちら側からも意見があっておかしくないので、学会がこういうものを担って進めていく立場として必要なのはこういうコンセンサスですということは、こちら側から書いてもいいわけですね。それでどうですか。
○大津委員 そもそもがん研究としての話というよりも、やはりがん医療の質とか、そちらの方で上げてもらった方が適切なのではないか。がん研究として入れ込む必要があるのでしょうか。
○野田委員長 学会や何かの担っているものということで、研究活動の一つになっているというだけのことです。だから、書き込まれるべきところがどこかというのは、書き込まれるべきところがそちら側だったら、この委員会の方からこういう意見があるということで向こうへ投げればいいんです。
○大津委員 全体像として、がん研究の部分はこちらでまとめて、その医療の質というところに関しては上の協議会のところで入れていくという話ですね。だから、こういう意見も出ましたという参考意見で。
○野田委員長 当然、まとめるときに祖父江君がそれでいいですよと言えばということです。
そうすると、ここに残ってくるのは予防・検診ガイドラインの方だと思うんですけれども、「予防・検診ガイドラインを作成している組織への支援を強化する。
・常設の公的機関がガイドラインを作成する」。ここは私はよくわからないんだけれども、どうも現実のところがあれなので、これは割と祖父江先生が強調したところですが、最後のところはいかがでしょうか。
○中西委員 肺がん学会でガイドラインをつくっていて、実は肺がん学会は最低毎年改定する方針になっていてアクティブにやっているんですが、やはりいわゆる診療ガイドラインと予防・検診ガイドラインでは全然違うんです。エビデンスもそんなにあるわけではない。
それともう一つは、いわゆる疾患を取り扱っているのが学会ですが、検診・予防になりますと相手が健常者の方々で、しかも検診をするところが学会のメンバーではないということがあるので、非常につくり込みにくい。なおかつ、社会的な影響も非常に大きいものがあって、学会としても非常に今、困っているのが現実なんです。
ですから、この部分は学会の活動とやはり切り分けられた方が私もいいと思いますし、社会的な影響の大きさも考えますと、これについては祖父江先生の御意見も理解できると私は思っております。
○野田委員長 これが研究のところに入ってきている理由は、この一番左のところに書いてあるように、これは今まで研究班がつくっているということなんですね。つまり、研究費でつくられている。研究費でつくられてきていて、こうやっているけれども、それでいいのかということなので、まずもう一回そもそも論に移ってしまうけれども、これはここで扱っていいですね。
先ほどの問題と違って、これはここで書き込まれるべきことで、そしてそういう研究班を担ってきている祖父江先生の意見なので、やはり常設で今のエビデンスの収集などもそうだと思うんですけれども、より本当にエビデンスが出にくいところなので、やはりきちんとフォローしてそういうものをやって責任を取る機関と言ったら変だし、研究班が責任を取らないというわけではないですが、そういう部分を祖父江先生は言っているんだと思うんですけれども、いかがですか。
中西先生からもこれでいいんじゃないかということなので、いいですね。では、そういうことでここは祖父江先生に。
ここのところで出たことは祖父江先生にも、事務局の方からさっきの協議会で出たところは言ってください。そういうことでよろしいでしょうか。
そうしたら、ここで一回5分休んで最後の一般的なところに入りたいと思います。
(午後3時45分休憩)
(午後3時53分再開)
○野田委員長 それでは、よろしいでしょうか。今から30分くらいで終わると思いますけれども、2つのポイントがあります。
1つは、ここまではまず最初にいろいろなヒアリングを全般的ながん研究に関する問題点を見るためにして、それから各領域を設定してその領域で話し合いを行ってきました。その領域のときに、実は現在もそういう各領域におけるいろいろながん研究、がん対策の推進施策というのが行われていて、現在のものとの整合性というのは余り考えずに、現状の問題点ということをピックアップして、その現状は実はいろいろな施策にのっとって推進された上での問題点なんですけれども、それを今から検討しても始まらないので話さなかったわけですが、これから書き上げるときに少し理解をしておいていただきたいポイントがあって、結局それをそのまま書くと、では何年も前と全く変わっていないじゃないかという話になるところもあるので、まず1つだけ、第3次対がん10か年総合戦略についてだけ簡単に御説明をします。
ここにダウンロードされたものがありますが、参考資料1の健康局のページから持ってきたものですけれども、大事なポイントが最初のページにありますので読ませていただきます。
がん対策については「対がん10カ年総合戦略」、これは59年度から平成5年度、及び「がん克服新10か年戦略」平成6年度から15年度、そしてこの段階で「がんは遺伝子の異常によって起こる病気である」という概念が確立して、遺伝子レベルで病態の理解が進む等、がんの本態解明の進展とともに、各種がんの早期発見法の確立、標準的な治療法の確立等診断・治療技術も目覚しい進歩を遂げたということです。
2番目ですが、「この間、胃がん、子宮がん等による死亡率は減少し、胃がん等の生存率は向上したが、一方で、大腸がん等の欧米型のがんは増加を続けており、がんは昭和56年以降、依然として日本人の死亡原因の第一位を占め、現在では、その約3割を占めるに至っている。また、より有効な対策がとられない限り、がん死亡者数は大幅に増加するとの試算もある。」
3番目として、「文部科学大臣及び厚生労働大臣は、平成15年3月31日の「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」報告書を踏まえ、平成16年度からの新たな10か年の戦略について、がんの罹患率と死亡率の激減を目指して、別紙の通り「第3次対がん10か年総合戦略」を定め、がんについて、研究、予防及び医療の総合的な推進に全力で取り組んでいくことを確認した。」と書いてあります。
それで、この下のところだけ読みますが、この総合戦略の戦略目標は「(1)進展が目覚しい生命科学の分野との連携を一層強力に進め、がんのより深い本態解明に迫る。
(2)基礎研究の成果を幅広く予防、診断、治療に応用する。
(3)革新的ながんの予防、診断、治療法を開発する。
(4)がん予防の推進により、国民の生涯がん罹患率を低減させる。
(5)全国どこでも、質の高いがん医療を受けることができるよう「均てん化」を図る。」
このように書いてあります。ここで1つ大きいポイントは、昭和59年に中曽根対がんというのがスタートしたわけですけれども、中曽根対がんから第2次対がん、第3次対がんというふうに受け継がれてきました。それで、一番大きいポイントは当初の2回の対がんは戦略の中心が研究であったということであります。ただし、第3次対がんからここにありますように、研究に加えて更にまず1つ大きいポイントが予防ですし、それからがん対策というものが入ってきているということがここにあります。
これが10か年ですから、実際にはあとこれが5年で終わるから25年で、今年は23年ですから今年も入れて3年間、来年になると2年間はこの戦略が生きていて、戦略の下で推進されるということになります。ですから、実際にはこれは2年間なので、これとの整合性がどうだとか何だとかということは今更言わずにやってきました。
ただ、いいところは取り込まなければいけませんし、今これから5年間のがん研究のあるべき姿というものを打ち出すときに、これはある程度がん研究の部分が強調されて書いてありますので、その部分も見直して取り込んでいく必要もあるのではないかというのが一つの意見です。
それで、研究がこれをリードしてきたので、第3次対がん10か年の基本戦略というのはここに書いてありますが、丸の3つ目のところにある「今後のがん研究のあり方に関する有識者会」議報告書というものなんです。これが、次にあるような細かいことをいろいろ決めています。
それで、基本としてはここのところで胃がん、子宮がんのことなどが書いてありますけれども、がんは一向に低下しない。日本は高齢化へドライブしますから、がんの発症率は低下しませんし、加えて死亡率に至っては、このときよりもはるかに高くなって、今年は恐らく35万くらいになるでしょうか。そういうことですから、あと15年もすると50%を超えることになるんじゃないかというくらいの形でがん死というのは伸びているので、この基本理念というのは一緒であるということをまずここで理解を、これが必要だったときと基本理念は変わらないということの一応共通理解をしておきたいということで、これをちょっと出しました。
次の2ページに入ると、その中で「がん研究の推進」、「がん予防の推進」、それから「がん医療の向上とそれを支える社会環境の整備」、この辺のところが今、走っているわけで、この3つに関して、当然「がん研究の推進」のところは今回ずっと話し合ってきましたし、この2、それから3の部分でがん研究がやれることが今回の提言にきちんと書き込まれているかどうかということのチェックを我々の方でやらせていただいて、先ほどの患者さん目線と同じことですけれども、再確認するということをしたいと思います。
そして、更に次ですけれども、4ページからいろいろ書いてあって、5ページになると重点的研究課題というものがこういうふうに並んできます。それで、この1ページでこうなっていますが、ここに関してはこういう重点的研究課題で進められてきて、皆さんに一応再確認したいのですけれども、ここの部分を更にもう一回今回話し合ったわけですから、一応こことの適合性は見ますが、ここに関しては今回の項目ごとに話し合ってきたことがこれからの重点的課題として挙がってくるということでいきたいと思いますが、その辺はよろしいでしょうか。
結局、今はこれで動いているわけですね。あるいは、今まで7年間動いてきたわけです。7年間動いてきた今を見て、研究が果たすべき役割、あるいは当初計画したものに比べて今、行われていない、あるいは今はもっと必要性が高まっているというところを項目ごとに話し合って今回のあれにしたと思いますので、よろしいでしょうか。
つまり、我々のがん研究委員会としてはこれを上書きする形になるんだ。それをなるべくがん対策推進計画に生かしてもらうように書き込んでいくんだという理解で進めるということでよろしいでしょうか。何かその辺はありますか。
実は、この対がん10か年の話が出たのは2度目なんです。最初は、がん研究の推進の施策というのはどういうふうに決められてきているのか。それは研究費の支出の問題も含めてどういうふうになっているんだという話が出たときに、7年前にこれが決められていて、更にその後、がん対策基本法ができて、その基本法の中には基本計画を定めることというのが規定され、その基本計画の中にはがん研究という項目があって、そこで書かれている部分もある。形としては上書きだけれども、そのがん研究の部分にはこの間、最初にチェックしていただいたように、それほど細かいことは書き込まれていなかった。
今回、そんなに全部を網羅する必要はないけれども、課題とやるべきことというのは一応網羅してピックアップした上で、そこで是非これからの5年間に必要なものは書き込もうという話になったわけですから、一応これを上書きする形で、その中から更に重要なものをピックアップして提言をする形になるということで理解をしてよろしいでしょうかということであります。
一応それを委員の方たちは理解をして協議会には提案して、協議会はがん対策基本計画の原案をつくっていくのに責任がありますから、そこに我々の意見を出す。そこでたたいてもらうことになるということで出しました。まず、それは1つよろしいでしょうか。
次なんですけれども、最後のところで、これから文章をまとめて最後のところをつくっていきますけれども、項目で分けたことによって欠けてくる面というのがあったら挙げていただきたい。つまり、この大事な領域、この大事な領域というものをやってきたけれども、そういう領域という意味では課題設定になじまないが、実際にはそれだけではがん研究の問題点、あるいはがん研究の推進が足りないんじゃないかと思うようなところを挙げていただければと思うんですけれども、例えばそういう領域設定となじまないが、今回抽出されてきたものに、いわゆる基盤整備の問題だったり、あるいは人材育成の問題だったり、今まで出してきた領域を横につなぐ横糸の部分というものに関しての必要性は一応御指摘いただきましたので、それはまとめてちゃんとしようと思っています。
それ以外にというところですけれども、そういうことで最後のところでちょっとあれさせていただきたいんですが、私は1つは先ほど話が出てしまったんですけれども、参考資料2というものを読んでいただきたいと思います。
これは、日本がん学会の大阪宣言ということで、昨年度の日本がん学会総会で学会の人間だけではなくて、学会と言ってもがん関連学会すべての代表の人に来ていただきました。すみません。肺がん学会にはどういうふうにいっているかわからないんですけれども。
それから、大学の方もがん研究者の育成者などがいるところということで随分代表の方に来ていただいた上に、患者会もいろいろな代表の人に来ていただき、製薬企業も3社くらいから代表が来てくれた。
行政、立法で、行政は鈴木室長にも来ていただきましたし、関連3省庁から来ていただいて、立法の方も議員の人が3人来ていただきました。
それから、マスメディアという形で、がん対策におけるがん研究というようなものを話し合いました。
その宣言がここにありますけれども、これはあくまでもがん学会の宣言なのであれですが、3つポイントがある。
1つは、これは私の発表がそのままになったんですけれども、皆に学会は金がない、金がないと卑しいことを言うなとたたかれながら最後にここを残したんですが、「研究資金」というところで、基本的に外国と比べることだけが能ではないけれども、本当にやるべきことを支えるだけの研究資金は要求していくべきである。
ただし、そこの3行目くらいですね。国家的な戦略性を持ってやるために、関係省庁が一体となって対応できる体制の構築をお願いしたいというのが今回の関連の人たちのアイデアの一つです。
つまり、今回は本当に局長の御努力でここに委員会をつくっていただきまして、全体を俯瞰していろいろなことを言ってもらっていいということで議論ができましたけれども、今までこういう場所というのは本当になかったんです。そういう場所がないから問題点も、あるいは問題点ではないことばかり文句を言っている団体も日本がん学会のようにあったんだという指摘ですね。
ですから、そういう場所をやはりコンスタントに持つべきではないか。つまり、こういうサーチをする。そして執行し、評価も行うようなものを一括して見られるような場所が必要ではないかというような提言がありました。
2つ目はやはり「人材育成」で、大学などの人たちに対してのことで出たんですけれども、やはり日本の人材育成、キャリアパスの形成というのはどうしても古い大学の体制や何かに縛られていて、研究とか、いわゆる産業開発とか、新たな変換にどうしても人材育成の体制が追いついていかない。それをやはり積極的にやらないとだめなんじゃないか。これは、今回すごく出ましたね。どのエリアにおいても、人材のアンバランスが非常にあるということで出ました。
それから、最後が「国民との協働」というところです。この国民との協働が先ほど平岡先生にも御説明しましたけれども、国民というものが基本的にはいわゆる市民全体と、それからその中で一部、非常に利害が強い患者さんたちという、この2つの集団とやはり協働しないと研究の指向性もやはり出ないし、逆に上にあるようなことも主張できないんじゃないかというようなことがありました。それで、例えば最近あれになっているようなイレッサの問題とか、そのまま研究はまた別の世界ですからとは言っていられないようなところになっていて、常にこういうものを考えなければいけないだろうということがあります。
そういうことから、ここにある3つのポイントというのは割と俯瞰的だったり、あるいは横切りだったり、今まで話し合ってきたことから比べるとするところなんです。こういうところもある程度、今回のものに少し書き込んでいきたいと思うんですけれども、その辺に関する御意見を少しちょうだいできればと思います。
それで、最後にそれに伴うものでもう一回最初のところに戻りますけれども、研究はお金がなくてはできませんし、人もお金がなくては育てられないわけですが、参考資料の3にありますように、23年度のがん対策予算をこれだけ出していただいていて、厚労省からも非常に大きなお金のサポートをいただいていますが、こういう関連3省庁がここの一番下のところでがん対策の一番下のところにがん研究を下支えするという形であるけれども、あくまでも予算が別にあって、対策も研究は別に立てられているというところがあります。
そういうところからも、先ほどのようにやはり関係省庁が一体となって対応できる。つまり、今で言えばこの委員会だったり、委員会の上のがん対策協議会というようなものが、やはりがん研究をきちんと見続けてくれるという姿勢が必要なのではないかとは思います。制度的にも基本的にはそこしかないと思いますが、松原先生、何かそこでありますか。
○松原委員 非常に重要なポイントで、是非続けていただけるように確立して、ばらばらだとやはりロスがかなり大きいのも事実なので、その有効活用も是非していただきたいというところで、是非推進していただきたいと思います。
○野田委員長 松原先生は学術調査官として文科省にもいらっしゃってがん関連のところも担当されたりしたので、やはりこういうところが統一できないところのもどかしさとか、あるいは一緒になれば力になるのにというようなところもあったと思いますので。
○松原委員 そうですね。文科省の場合はやはり研究に完全にシフトしてしまっていて、ちょっと臨床に入るとそれはこちらの分野ではないでしょうという感じになってきちゃう。そこがやはり前から言っているように分離していては絶対いけないので、流れないといけない。そこを継続的にやるには、きちんとそこを融合してやるということは非常に重要なことだと思います。
○野田委員長 平岡先生はいかがですか。
○平岡委員 私自身は、人材育成がすごく大事だと思うんです。それで、それは医学教育のところからスタートしていると思うんです。結局、診療科についてはほとんど臓器別ですよね。それで、実はそちらの基礎の方もそうですね。パソロジーとか、フィジオロジーとか、モリキュラバイオロジーとか、どこにもオンコロジーがないんです。
だから、そういうふうな仕組みでずっと教育を受けていると、卒業する時点でがんの専門医になろうという選択肢がまずないんです。それが、なかなか人材が出てこない仕組みになって、その大本が私は一番大きいんじゃないかと思います。その人材が出てくれば当然そこで切磋琢磨して、いろいろな人材が出てきて、そういう人たちで研究資金も取っていくし、日本のがん医療をリードしていくと思うので、そこの大本が何とかならないかなと、まさに大学の縦割りの仕組みというんでしょうか。
ただ、逆に放射線治療については診断と分離という流れできたんですけれども、例えばメディカルオンコロジーが単にできればいいという問題ではないと思うんです。30年前だったらそれでできたと思うんですけれども、今はがんというものが余りにも大きくなり過ぎて、一つの診療科が全部をできる段階ではない。
だから、それは欧米模倣型ではなくて日本独自のやり方があると思うんですけれども、少なくともこれだけ大きな国民的課題になっている疾患に対して、学部教育ですね。卒前、卒後教育をどうするかというふうなところまでいかないと、なかなかがん対策というのは抜本的に対応できないんじゃないかという気すら私はしています。
○野田委員長 わかりました。今まで主に話題になってきた人材の不足というのは、広くメディカルオンコロジストから、パラメディカルの方から、更に研究をコーディネートする人まで非常に広かったんだけれども、中でも特に今日平岡先生がおっしゃったのは、そもそも医師あるいは医学研究者の育成の段階で。
○平岡委員 そうですね。だから、もっと言えば、欧米のそういうふうな大きな大学にはすべてがんセンターがありますね。そのがんセンターというのは単に診療するだけではなくて、コンプリヘンシブながんセンターで、基礎の研究からそういう臨床の診療ですね。更には、そういう社会疫学的なところまでカバーするようながんセンターがあって、そこで医学部の教育も行うし、卒後教育もやるし、そこで興味のある人はそこのがんセンターの中でそういう専門医になるというふうな仕組みができていますね。
日本はそれがうまく機能していないというか、実際はそういうような高度ながん専門病院もあるわけですけれども、それとうまく連携できていないんじゃないかと思うんです。だから、その辺りでむしろ例えばがん研病院などはすごい病院なので、それがうまく大学と連携できて、新しくつくる必要はないと思うんですけれども、うまくそういうふうなところをするのがすごく大事じゃないかと私は思います。
○野田委員長 それは当然、今がんプロを中心としてできてきている大学のがんセンターの中の幾つかを更に強化するということにもつながるということですね。
○平岡委員 要するに、名前だけというんでしょうか。今よくあるのは、とにかく形だけつくって、それで済ませてしまうというので、やはり韓国などでは4つがんセンターをぼんとつくって、それがどうだというばかりで、だれが来ても恥ずかしくないようながんセンターで、多分がんプロができたらがんセンターというのはどこも恥ずかしくて来てほしくないというようなところが多いと思います。それがやはり1つ、その辺りの日本のだらしないところだと思います。
○野田委員長 拠点強化ですが、その拠点はどこに選ぶかという話になると、私が言うとまたちょっとあれですけれども、私の具体的なことはどけておいて、そうでなくてどこがという以前にやはりもっと拠点としての強化をしないと、世界的にはアメリカなどだったらマルチな拠点があって、そしてプログラムグラントを出すとなれば当然その間が競って取るという形になっていますから、そういう拠点強化というのもひとつ、拠点強化とカップルした人材育成というところですね。
大津先生、いかがでしょうか。大津先生のところが拠点なのは間違いないけれども。
○大津委員 1番目の研究資金のところで、戦略性を持って組み立てるという場所が臨床研究のときも問題になりまして、やはりそこを統括するような。
○野田委員長 統括という言葉はちょっとあれだと思いますね。
○大津委員 言葉はよくないでしょうけれども、やはりそこの全体像をつくる人と部署がないとなかなか難しいのではないかと思っています。
それから、我々の人材育成ということで言えば、やはりがんの医療自体が非常に高度化していますので、内科の領域で言うとメディカルオンコロジーというものがどうしても必要になってきています。それは、以前は私自身も別にそれを積極的に推すものではなく、もともと消化器内科から入っていますので、それは内視鏡もやりながらというところで、今の状況でいくと要するに今までは標準化、均てん化のお話だったので、標準的な治療をやる分には多分できるんです。
だけど、新しい研究開発という話になると、やはりそういう人がやっていかないと、今までの全体像のがん対策基本法の流れを見ていると、基本的には標準化、均てん化がまず第一だったので、決して今までのことは間違いではなく、まずそこから入ったというのは正解だと思いますし、また今度は開発的な話に持っていこうとすると、やはりそこの施設の役割分担とか切り分け、そして拠点病院もある程度集約化していかないと、多分本当の高度な今のがん医療に対応できる話……。
○野田委員長 拠点病院の集約化というのはちょっと誤解を与えるから、今のことはわかります。つまり、開発に関してはある程度専門性を持たせることも必要な拠点が必要だし、それはわかるけれども、それと拠点病院のところはどういうふうになりますか。拠点病院の集約化というのはよくわからなかったんだけれども。
○大津委員 開発的な研究をやる施設というものの切り分けが必要になってくると思うんです。
○野田委員長 つまり、拠点病院からも切り分けてそういう機能を付与するなり、担保するなりということですか。
○大津委員 そうですね。同じ拠点の中でも、地域の拠点で標準的な治療をやるところもあるし、更にその中で開発的な話の高度な拠点、高度な治療開発あるいは診断法の開発等をやる研究拠点という分け方が必要になってくるのではないか。
○野田委員長 開発計画に向けてはということですね。わかりました。
今、言った統括モデルは大学病院もあり、それから研究費が経産省からも出ていてというところから、全く新しくつくれないとすれば、やはりこのがん対策協議会なりが見る。決めるというのは難しいけれども、見るという機能を続けていくべきだというのはいいわけですね。
○大津委員 それは完全にアグリーです。
○野田委員長 中西先生、どうでしょうか。
○中西委員 まず、研究資金についてはここに書かれているとおりで、シームレスに出ないとすべてが縦割りで終わったらすべて消滅みたいなことでは非常に無駄だという気がいたします。
そういう意味で、基礎研究というのはどちらかというとたくさんの方々の中から光るものを見つけてくるような性格もあると思いますし、また一方で大きなシステムの中にたくさんの方が集まって、そこでいわゆる小さな研究プロジェクトでできないものを集約的にやるやり方もあると思うんですけれども、常に開発戦略の中でどうするんだというような形の研究資金の分配、配分は必要だろうという気はするんです。
したがって、基礎研究、そしてその中から生き残るものがTR、そして臨床研究、そして産業化、そのある時期、時期に応じて出口戦略も必要になりますし、知財の戦略も必要になりますし、あるいは産学連携も必要になると思うんですけれども、それをしっかり連続的に審査しながら、本当に市場化できるものが最終的に生き残るような、そういう資金の出し方、あるいはそういう審査の仕方が必要ではないかと思っています。簡単ではないと思いますけれども、少なくともそういう意識の下で審査体系をつくるということが、国の資金を有効に使う意味では重要ではないかと思います。
それから、人材に関しましては、先ほど平岡先生ががんプロのことですとかがんセンターのことをおっしゃいましたけれども、これはただ単に入り口の中で始まったところだろうと思っています。
ただ、それでも例えば少なくとも大学に関しましては拠点病院の話であるとか、あるいはがんプロの話を入り口にして、ようやく診療科横断的に話ができるようになってきた。キャンサーボードとキャンサーカンファレンスが始められるようになりましたし、あるいは横断的なチーム、緩和ケアチームとか、あるいは化学療法を中心としたチームと科を越えた話ができるようになってきた。
だから、私自身はそれが何だったかというのではなくて、それを生かして次のステップに生かすべきだという気がするんです。その中では、やはりある意味での集約というわけではありませんけれども、特徴を生かした形で、金太郎アメみたいに同じ機能を持ったところができるというよりも、それぞれの地域、あるいはそれぞれの施設等の特徴を生かした形での発展を目指した支援は必要ではないかと思います。
そういう意味で、例えば今のがん対策基本法などには不足している領域の医師をつくるべきだという話があって、その中の一つが腫瘍内科医ということだったと思うんですけれども、実は今でも腫瘍内科医と各診療科の診療チームの先生が連携しているかというと、そうでないところもあるようで、実際にアメリカ辺りのものを見てみると、臓器別、臓器別のところには必ずその臓器の専門の臓器のスペシャリストとしてのオンコロジストがいて、そこに腫瘍内科が一緒に入っていてチーム医療を横断的にやるという形ができ上がっているようなんです。
そういう意味で、数を増やすということだけではなくて、むしろ各医療機関におけるがん医療の在り方をもう少し次のステップとして進化させることは必要ではないかという気がしています。そういう意味で、腫瘍内科医の役割というものをもう一回改めて考え直す必要があるんじゃないという気がしています。
それで、私自身はがんの臨床試験のところに対応している中でしばしば苦慮するのが国民との協働ということで、これは決して学会とか、医療をする側の者にとっては得意な分野ではないんです。よかれと思ってやっていることがしばしば誤解を招いたり、あるいは批判を受けたりすることがあります。それについて、なかなか私たち自身が十分なエネルギーを注ぐことはできない。
それは、やはりきちんとした対話の場を何らかの形で継続的に、できればそれぞれの研究者に任せられるよりも、国民世論をそういう意味できちんとコンセンサスといいますか、理解と、ある意味、それに対する支援みたいなものを受けるために、そういうものをきちんとつくっていくのは大事だと思っていますし、私は何よりも患者目線でやっていないというよりも情報の共有が十分ではない。誤解があるだけだという気がしていますので、それに関しましてはできれば少し公的なところからの御支援、あるいはそういう取組みがあった方がいいんじゃないかという気がしています。
○野田委員長 学会じゃだめですか。
○中西委員 学会では、少なくとも内輪の話ですけれども、日本肺がん学会は薬害関係のところで非常に苦境に立たされておりまして、メッセージを出そうとすることそのものにその適正性を疑われるようなところがありまして、勿論やっております。やっておりますけれども、やはり学会だけでは十分ではないような気がするのが率直なところです。
○野田委員長 わかりました。今のことは3つですね。
最初のところはよろしいですね。今、皆さんが言っていたように、ありとあらゆる観点で、そして特に支援の観点で領域ごとの縦割りがあるので、流れのある研究ができていない。だから、これはいわゆる研究領域的にも、あるいは支援している省庁的にも、そういうものをまたいで俯瞰できる組織が必要だし、審査や評価がそういう形で行われるように積極的に働きかけるべきである。それはよろしいですね。
2つ目は非常に難しいところですけれども、特にメディカルオンコロジーというものが縦割り、横糸のそういうところにちょうどはまっているので、医療の高度化とともに難しいんだと思いますが、拠点の少し専門性を高めて高度化をする必要があるのではないか。そこには地域の色合いも必要なのではないかという話です。
それで、一番大事なのは3番目ですけれども、これは最初から考えていただいている見える可、あるいは情報の共有という点において国民と協働する。特に、臨床研究の部分を最もスタートとして、しかし研究全体は何が行われ、何のためにやられているのかということを見えるようにすべきである。
その最後のところで、見えるようにすべきなのはだれがするんだという話になったところで、ちょっと公的なサポートがあれじゃないかという話です。公的なサポートは必要だと思うんですけれども、公的な機関でやるのがいいかどうかというのは、またちょっと微妙なところだと思います。
○中西委員 そうですね。そのために何かつくるというのも、余り実現可能性が高いものではないと思いますけれども、例えば1学会単位でやるというのは決して簡単ではないですが、学会連合体みたいなものがやるとか、あるいは横断的な学会がほかの学会と一緒に協調してやるみたいな構図は、さほど実現可能性は低くないという意見であります。
○野田委員長 そうですね。そうでないと、例えばこれを持っていくとするとまた協議会になって、協議会でこれをやろうとなるとまた鈴木室長の仕事が増えるという繰り返しにどんどんなると思うんです。
そこで、例えば今おっしゃったように学会がそういうものを積極的にやって、そしてホームページやそういうものの維持は、例えばがん室でやってもらう。がん室というのは例ですよ。でも、そういうものに対しての情報などのことはこちら側が積極的にやっていくというような形で、研究の見える化、そしてその核に臨床試験があったら一番すばらしいと思います。
よろしいですか。そういうものを少しまとめて、全体のところを俯瞰しての問題点という部分でまとめていきたいと思いますので、また皆さんとのやり取りでということでよろしいでしょうか。一応30分前になったのですが、今日はこの辺で一応まとめたいと思います。
鈴木室長、よろしいでしょうか。
○がん対策推進室長 それでは、次回、第8回につきましては先ほどお示ししましたが、7月11日を予定しておりますのでよろしくお願いいたします。
○野田委員長 それでは、そういうことで、どうも今日は皆さん御出席ありがとうございました。だんだん最終的な成果に近づいてきましたので、やり取りがあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
<照会先>
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