ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(医薬品等制度改正検討部会)> 第1回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会(議事録)




2011年3月22日 第1回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会(議事録)

医薬食品局総務課

○日時

平成23年3月22 日(火)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省12階 専用第14会議室


○出席者

委員

片木委員 坂田委員 澤委員 鈴木委員
永井委員(部会長) 長野委員 七海委員 花井委員
原澤委員 藤原委員 堀田委員 望月(正)委員(部会長代理)
望月(眞)委員 山本委員

事務局

平山審議官(医薬担当) 中垣総務課長 成田審査管理課長
俵木安全対策課長 國枝監視指導・麻薬対策課長 三宅血液対策課長
横幕副作用被害対策室長 関野医療機器審査管理室長 佐藤安全使用推進室長

○議題

1.部会長選出及び部会長代理の指名について
2.医薬品行政の現状と課題について
3.今後の検討の進め方について
4.その他

○議事

○中垣総務課長 議事に先立ちまして、一言申し上げたいと思います。今回の「東北地方太平洋沖地震」による被害でお亡くなりになられた方々に対し、哀悼の意を表しますとともに、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々に対し、心よりお見舞申し上げます。これより、お亡くなりになられた方々に対しまして、黙祷を捧げたいと存じます。全員ご起立をお願いいたします。
                 (全員起立・黙祷)

○中垣総務課長 ただいまから「第1回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会」を開催いたします。委員の皆様には、本日足下の悪い中、またご多忙の折、お集まりいただきまして御礼申し上げます。私は厚生労働省医薬食品局総務課長の中垣でございます。部会長選出までの間、議事進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は委員16名のうち、14名のご出席をいただいております。山本委員はまだ出席されておりませんが、既に13名のご出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規程によりまして、定足数に達しており、会議は成立していることをご報告申し上げます。委員の辞令については、お手元に置かせていただいておりますのでご確認いただきたいと思います。
 開会に当たりまして、大塚副大臣よりご挨拶をいただく予定となっておりましたが、本日は予算委員会が開催されておりまして、そちらに出席しております。国会が終わり次第、駆けつけていただくことになっております。副大臣からは冒頭に是非ご挨拶したいということでしたので、大変残念なことでございますが、よろしくお願いいたします。
 本日は第1回の部会ですので、ご出席の委員を五十音順でご紹介させていただきます。資料1にございますが、片木美穂委員です。坂田和江委員です。澤芳樹委員です。鈴木達夫委員です。寺野彰委員ですが、ご欠席です。永井良三委員です。長野明委員です。七海朗委員です。花井十伍委員です。羽生田俊委員はご欠席です。原澤栄志委員です。藤原昭雄委員です。堀田知光委員です。望月正隆委員です。望月眞弓委員です。山本隆司委員です。以上16名の方々に委員をお願いいたしております。厚生労働省側の事務局として、医薬食品局長の間杉は、ただいま国会に出席しております。隣は審議官の平山です。
 次に、資料の確認を行います。お手元には議事次第、座席表に続きまして、資料1は「厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会委員名簿」、資料2は「厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会の設置について」、資料3は「医薬品行政の現状と課題」、資料4は「今後の検討の進め方(案)」。参考資料1が「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」、参考資料2は今の最終提言の第4及び第5の概要、参考資料3は「平成23年度医薬関係予算案の概要」、参考資料4は「厚生科学審議会関係規程」、参考資料5は坂田委員が提出された資料です。資料の漏れ等がありましたら、ご指摘いただければと思います。
 それでは、議事に入ります。議題1は「部会長選出及び部会長代理の指名について」です。厚生科学審議会令第6条にあるとおり、「部会に部会長を置き、委員の互選により選任をする」と規定されておりますので、部会長の選出をお願いいたします。選出の方法については、「委員の互選」となっておりますのでお諮りしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○望月(正)委員 厚生科学審議会の科学技術部会の部会長でいらっしゃいます、永井良三先生が適任かと思いますので推薦いたします。

○中垣総務課長 ただいま望月委員から、永井委員に部会長をお願いしてはというご発言がありましたが、いかがでしょうか。
                 (異議なし)

○中垣総務課長 それでは、永井委員に本部会の部会長をお願いしたいと思います。以降の議事運営につきましては、永井部会長にお願いいたします。

○永井部会長 ただいま部会長を仰せつかりました、東京大学の永井でございます。この部会は社会の根幹に関わる重要な問題を扱うところと存じております。皆様方のご協力をいただきまして、円滑に運営させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。厚生科学審議会令第6条第5項に「部会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」とされております。この部会長代理については、私と同様、厚生科学審議会の委員でもあります望月正隆委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
                 (異議なし)

○永井部会長 ありがとうございます。それでは望月委員にお願いいたします。次に、部会の公開についてですが、厚生科学審議会運営規程第5条により、原則公開ということでございます。ただし、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある場合等は部会は非公開にできるとありますが、この部会に関しては公開としたいと考えております。いかがでしょうか。
                  (了承)

○永井部会長 同じく運営規程第6条におきまして、会議の議事録は公開されますので、委員の皆様方には、あらかじめご承知おきいただきたいと思います。なお、メディアの方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
 次に、議題2に入ります。事務局から「医薬品行政の現状と課題」について説明していただくと同時に、この部会の設置経緯について説明をお願いいたします。

○中垣総務課長 まず、部会の設置経緯等について説明いたします。お手元の資料2「厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会の設置について」をご覧ください。去る2月28日付で、この部会の親審議会である厚生科学審議会において了承されたものです。
 1「設置の趣旨」は、平成22年4月に「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」において取りまとめられた最終提言を踏まえ、医薬品等の承認時及び販売後における安全対策の強化を図るとともに、医療上の必要性の高い医薬品等を速やかに使用できるようにするため、必要な医薬品等の制度改正事項について調査審議するものであるという趣旨でございます。2「部会の検討事項」としては、あくまで例ですが、医薬品関係者の安全対策への取組みの促進や、医療上必要性の高い医薬品等の迅速な承認、医薬品等監視の強化を進めるための見直し、その他となっております。3「部会の構成」は書いてあるとおりです。4「検討スケジュール」は、平成24年の通常国会への改正法案の提出を目指し、必要な制度改正について本部会で最終的な意見を取りまとめるということで了承されたものです。次に、資料3について順次説明いたします。

○成田審査管理課長 資料3「医薬品行政の現状と課題」についてを、目次の順番に説明いたします。まず、「医薬品・医療機器の承認審査」ですが、1頁をご覧ください。医薬品・医療機器は多くの技術、知的財産を結集して開発されます。医薬品の場合、ここにある開発ステージのように、基礎研究から前臨床、治験と進み、この間はいろいろな試験によって品質、有効性・安全性を示すための検討が行われます。そのようにして資料、エビデンスが整備されます。その後、承認申請、承認審査、承認、製造され、医療の場に提供されます。医薬品開発には9~17年、約500億円を要すると言われており、化学合成品の場合、ここに掲げてあるとおり、成功率は3万分の1という極めて小さい実績です。
 2頁は医療機器の場合です。医療機器の基礎研究から市販後までの主なプロセスを示しております。医療機器の場合は医薬品と異なり、その開発の特徴として、不断の改良・改善によってより良い医療機器を生み出すというプロセスが必須です。また、特性に応じた試験の実施が必要である等の特徴があります。
 3頁は承認申請から承認までの流れです。開発企業から承認申請がされると、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が品質、有効性・安全性に関する審査を行い、審査結果が厚生労働省に送られます。その後、承認の可否等について薬事・食品衛生審議会にお諮りし、承認ということになります。厚生労働省が承認するに当たっては、品質、有効性・安全性の評価だけでなく、基準の作成や市販後の安全対策などを含めて対応する必要がありますので、的確かつ迅速に審査し、承認を行うためには、PMDAと厚生労働省の人的交流を含めて密接な連携が不可欠です。
 4頁は承認状況です。左側は新医薬品の実績で、平成21年度のオーファンドラッグなどの優先品目では11.9か月、通常品目では19.2か月でしたが、平成21年度の目標はそれぞれ11か月と19か月でしたので、ほぼクリアしております。平成22年度も残りわずかですが、承認品目の状況から見て、通常品目の承認審査期間の目標である16か月は十分クリアする見込みです。
 右側は新医療機器の実績です。平成21年度は、上段の優先審査品目については13.9か月、下段の通常品目では19.3か月で、それぞれの目標値である16か月、21か月をクリアしております。医療機器の場合は医薬品に遅れてアクションプログラムがスタートしておりますので、今後の推移を注目していく必要があると思っております。
 5頁は「ドラッグ・ラグ、ディバイス・ラグの推移について」です。医薬品のラグ2.5年を平成23年度までに解消することを目標に、平成19年度から取組みを進めております。全体のラグについては平成19年度からですが、41か月、28か月、24か月と減ってきております。申請ラグについては29か月、19か月、18か月であり、審査ラグは12か月、9か月、6か月となっております。先ほども申し上げましたが、平成22年度の承認審査期間は通常品目で16か月以下になることが見込まれるので、アメリカの承認審査期間13か月が変わらないとすれば、その差は3か月以下になる見込みです。ここでの申請ラグ等は、当該年度に申請された品目について、アメリカにおける申請時期との差の中央値を取っております。また、審査ラグについては、当該年度の新医薬品の日本とアメリカでの承認期間の差を取っております。
 一方、医療機器については、平成19年度時点でのラグ19か月を、平成21年度から25年度までの5か年計画で解消しようという目標にしておりまして、現在取組みを進めているところです。年度ごとの実績については、集計対象品目が少ないことからバラつきが大きく、医薬品のように傾向が読み取りがたい状況にありますが、平成21年度の実績としては申請ラグが36か月、審査ラグはほぼ0か月、全体のラグは36か月となっております。このように審査ラグについては解消する方向にありますが、申請ラグについては必ずしも短縮していないことから、全体のラグ解消のためには申請ラグの解消に向けて取組み等の検討が必要です。
 6頁をご覧ください。申請ラグの解消に向けての取組みの検討に当たっては、申請ラグの状況とその原因の把握が必要であることから、現在その調査を実施しているところです。その調査結果を踏まえて、新たな申請ラグ対策、申請ラグの目標設定につなげたいと考えております。
 7頁は「革新的医薬品・医療機器の創出のための5か年戦略の概要」、ラグ解消に向けた全体の取組み像です。関係府省や産学官の連携の下に、研究資金の集中投入から官民対話、イノベーションの評価に至るまで取組みを進めているところです。
 8頁は、平成21年度から開始した「医療機器の審査迅速化アクションプログラム」を示しております。審査員の増員とか相談、審査体制の充実、審査基準の明確化等を進めております。
 9頁は、ドラッグ・ラグ、ディバイス・ラグの解消による革新的医薬品・医療機器の創出への具体的な取組みです。「世界に先駆けた革新的医薬品・医療機器の創出」の観点から、アカデミア・ベンチャー等による優れたシーズを実用化につなげるための薬事戦略相談は、平成23年度から導入予定です。また、「治験のあり方に関する懇談会」では、治験の効率的な実施に向けた意見交換を実施しております。「世界で先行している未承認薬等への対応」に当たっては、欧米では承認されているが日本では承認されていない未承認薬・適応外薬のうち、医療上の必要性の高いものについて製薬企業に開発を要請するなど、早期承認につなげるための取組みを行っているところです。
 医療機器についても、「医療ニーズの高い医薬品等の早期導入に関する検討会」を進めております。また、薬事・食品衛生審議会において公知申請で差し支えないとされたものについては、承認を待たずに保険適用することとしており、現在21件が適用されております。医療機器については開発の特徴として、改良、改善によってより良い医療機器を生み出すというプロセスが必須でして、新医療機器のみならず、改良医療機器、後発医療機器についての取組みも重要です。新医療機器、改良医療機器、後発医療機器の区分ごとに審査チームを設けて、3トラック制を導入し、審査の効率化を図ることとしております。これらによって申請ラグ、審査ラグの短縮につながるものと考えております。
 10頁は、平成23年度から導入する予定の「薬事戦略相談事業」です。アカデミア、ベンチャー等においては、日本初の医薬品・医療機器の優れたシーズをお持ちということですが、必ずしも実用化への道筋にはつながっておりません。実用化につなげるために、開発の早期の段階から審査機関との意見交換、相談の場がほしいとの要望をいただいたところです。薬事戦略相談については、PMDAが現在実施している治験相談よりも早い段階から、アカデミア、ベンチャー等のシーズについて、実用化に向けた課題等の抽出などの相談に応じるものです。この薬事戦略相談により、日本発のシーズが適切な助言により安全性も確保された上で、迅速に治験に入り実用化につながること、成功率のアップにもつながるものと期待しております。薬事戦略相談の実施に当たっては、産学官から成る懇談会で対象とすべき分野など、的確な実施に向けて検討をお願いすることとしております。
 11頁は、「未承認薬・適応外薬解消に向けての検討について」ということです。医療上の必要性や必要な試験の有無・種類などの検討を行っていただいておりまして、学会等からの374件の要望について検討していただいているところです。12頁はその検討状況で、上の表は374件の検討状況です。このうち、昨年5月には第1回目の開発要請として108件、昨年12月には74件の開発要請を行っております。
 13頁はラグ対策のベースとなる取組みで、PMDAの審査人員の増強や審査相談体制の整備等、現在行っている取組みを示したものです。
 14頁は、PMDAの「人員体制の推移」です。医薬品については平成19年度から、医療機器については平成21年度から人員増を進めてきており、審査部門については395名になっております。
 15頁は「治験届出数の推移」です。これについては増加傾向が続いており、平成22年には616件、そのうちの新有効成分等の医薬品が対象となる初回治験届出も増加しており、121件となっております。
 16、17頁は「希少疾病用医薬品・医療用機器の指定制度について」です。医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者さんが少なくて研究開発が進まない医薬品等の開発支援をするというものです。「支援の内容について」にあるように、優先相談、優先審査、再審査期間の延長は審査を担当している医薬食品局あるいはPMDAで担当しておりまして、助成金の交付あるいは税制上の優遇措置については、研究開発の支援部局である医政局で対応しております。昨年11月までに医薬品237、医療機器21が指定されて、医薬品160、医療機器8が承認されております。以上がドラッグ・ラグ、ディバイス・ラグの解消に向けた取組み及び実績です。

○俵木安全対策課長 続きまして、18頁から市販後の安全対策について概略を説明いたします。医薬品・医療機器等の市販後の安全対策は、情報の収集と評価と、現場にフィードバックしていく情報提供によって成り立っております。厚生労働省とともに、医薬品医療機器総合機構で情報を収集し、評価したものを現場に返していくことで、製造販売業者を通じて、または直接医療機関に対して情報を提供していっているところです。
 19頁は情報の収集の制度です。これまでのいろいろな経緯を踏まえ、薬事法の下でさまざまな安全性情報の収集制度が積み重なってきております。日ごろの情報の収集としては、いちばん上の「副作用・感染症等報告制度」があって、製薬メーカーを通じて、または医療機関から直接に厚生労働省、総合機構に情報が入ってくるという制度です。その他、下にあるように、特に新薬については「市販直後調査制度」とか、一定期間後に見直しを行う「再審査制度」「再評価制度」というものがあります。
 20頁は、そのような各種の制度で集めた情報を評価した上で、現場にフィードバックしておりますが、情報提供のルートについてです。上の囲みの中にある「緊急安全性情報」は最も重大な情報について医療現場に情報提供するシステムで、枠の下にある「添付文書の使用上の注意の改訂」は、新しい副作用が検出された場合に、それを使用上の注意へ反映し、医療現場へ提供してきているというものです。ここに実績が書いてありますが、最近では平成21年度で年間250件ぐらいの使用上の注意の改訂を行っております。
 また、添付文書を通じた情報提供のほかに、その下の白枠にあるように、副作用報告の症例概要の公表とか、重篤副作用について早期に発見していただくための対応マニュアル、または患者さん自身に副作用の発見者になっていただこうということから、患者さん向けの医薬品ガイドのようなものも作成を続けてきているところです。添付文書の使用上の注意の改訂、ドクターレター、重篤副作用疾患別対応マニュアル、患者向医薬品ガイドといったものは、すべて総合機構の情報提供ホームページで提供しておりまして、どなたでも見ることができるようにしております。
 21頁は、薬害肝炎を踏まえて行われてきた「薬害肝炎事件の検証と再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」の最終提言の概要です。特に市販後の安全対策については数多くのご提言をいただいているところです。その中のできるところから順次作業を進めてきており、また、この委員会で各種の法改正を待たなければできないようなことも含めてご議論いただくことになっております。
 特に、提言いただいた課題のうち、「医療情報データベース基盤整備事業について」、状況を少し報告させていただきます。23頁をご覧ください。先ほどご覧いただいたように、薬事法に基づき副作用の報告制度が運用されております。副作用の報告制度は、先生方が気付かれた副作用を自発的にご報告いただく、または製薬企業を通じてご報告いただくことで成り立っているわけですが、副作用の発生頻度が把握できない、または類似薬との比較をすることもなかなか困難である、もともとの病気による症状と副作用によって出てきている症状の区別が難しいといったことで、いろいろと得られる情報には限界があると言われております。
 最近は国際的にも、大規模な医療情報データをデータベースとして解析することで、副作用報告制度では得られないような情報を得るために、または情報をより早く収集するために活用する方向にあり、我が国でも全国の大学病院5カ所にデータベースを置いて、1,000万人規模のデータを収集する事業を行う予定であり、平成23年度の予算を要求して審議をいただいているところです。
 24頁をご覧ください。この「医療情報データベース基盤整備事業」は、いま述べたように、データベースを構築する医療機関を公募により全国で5カ所選定し、それぞれの医療機関の持っている既存の電子的な医療情報、つまりレセプトデータや電子カルテの情報、オーダリングデータや検査データなどといった既存の電子データを、病院の中に二次データベースとして匿名化して構築し、5つのデータベースをネットワーク化し、それらの情報を活用して大規模なデータベースとして解析をしていこうというものです。
 先ほど簡単にお話しましたが、25頁にあるように、いま行っている副作用報告制度ではさまざまな限界がある中、例えばこの医療情報データベースを活用することによって、他剤との比較を行うこともできますし、病気自体によって出てくる症状なのか、それとも副作用による症状なのかを評価することもできるのではないか。また、安全対策をとった場合の対策の効果の評価を行うために、対策前と対策後にどのように事象が変化しているかを評価することで、効果が得られていない対策であれば、さらなる対策をとっていくということが迅速にできるようになるのではないか、ということが期待されております。これら医療情報データベースについては、平成23年度から3年計画で5カ所の大学病院等の協力を得て、構築を始めていこうとしているところです。
 少々話が変わりまして、26頁です。「インフルエンザワクチン及び小児肺炎球菌・子宮頸がん予防・ヒブの3ワクチンの副反応報告体制について」ご報告しておきたいと思います。まず、インフルエンザですが、新型インフルエンザの流行に伴い、一昨年から新しい報告制度によって情報を収集しております。27頁をご覧いただくと、右下に厚労省がありますが、左上にある接種の医療機関等で副反応があった場合は、直接厚生労働省に迅速に報告していただくというシステムを作っており、PMDAと連携して詳細な情報を集めながら速やかに評価を行っていく体制としております。
 また、昨年11月の補正予算において、緊急促進臨時特例交付金事業という助成事業が始まっておりまして、28頁の小児肺炎球菌・子宮頸がん予防・ヒブの3ワクチンの副反応報告についても、事業の実施主体は市町村ですが、副反応があった場合は、医療機関から直接厚生労働省にファックスで迅速に情報が入るようになっておりますので、集まってきた情報を基に対応を検討することとしております。この中の小児肺炎球菌とヒブの両ワクチンについては、これらを含めた同時接種後、2月の終わりから3月初めにかけて、死亡症例が重なって報告されたこともあって、いま一時的な見合わせになっておりますが、集まってきた情報を基に専門家会議を開き、早急に対応を検討していきたいと考えております。
 29頁は「PMDAによる医薬品・医療機器情報配信サービスへの登録推進について」です。先ほどご覧いただきましたように、医薬品・医療機器については各種の情報媒体を使い、医療現場の先生方に情報を提供しておりますが、「PMDAメディナビ」と呼ばれるメールでの情報配信サービスが運用されており、これをさらに促進することで、情報を医療現場に逸速く届けていきたいと考えております。最終提言の中でも、このPMDAメディナビの推進について提言をいただいているところです。30頁にあるようなパンフレットも使って、関係団体へも協力をお願いしております。
 31頁にあるように、「メディナビへの登録推進」を図ろうということで、昨年11月に意見交換会を発足させまして、日本医師会、日本薬剤師会をはじめとして、医療関係団体の方々にお集まりいただき、情報源になる日薬連等業界側の代表の方にも参加していただいて、どのようにしていけばPMDAメディナビを推進していくことができるか、ということの議論を重ねていただいております。11月のあと、本年1月26日に第2回を開催し、第3回は今回の大震災で開催が先延びしておりますが、非常に貴重なご意見をいただいております。現在の登録件数は3万件を超えたところですが、この件数をもっと増やしていきたいと考えております。
 32頁は、医療安全の情報についても提供をしているということです。33頁の左上にあるPMDAのところに、「PMDA医療安全情報」とあります。これは医療安全の観点から情報徹底が必要な案件について、報告されてくる医療事故案件、またはヒヤリハット事例を基に作成しており、ホームページ上で提供しております。また、右上にある日本医療機能評価機構で医療事故の情報やヒヤリハットの情報を収集しておりますので、こちらとも連携をして医療安全の情報提供を行っているところです。左下にある「プッシュメディナビ」は、今ご紹介したPMDAメディナビですが、医療安全の情報についても新着情報があれば、即日先生方に配信するような形で情報提供に努めているところです。
 34頁は、「患者さんからの副作用報告」です。本件についても最終提言で提言をいただいておりますが、副作用についての報告を患者さんから直接受けるシステムをスタートさせるために、本日ご出席の望月先生に厚生労働科学研究で調査研究を進めていただいております。これは研究班のホームページですが、今年1月から患者さんからの副作用の報告を受け付けるパイロットスタディを開始していただいております。Web経由での収集にはどのような問題があるか、どのような報告様式がいいのか等について、検討を進めていただいているところです。これらの成果も踏まえて、私どもとしても取り入れていきたいと考えております。安全対策については以上です。

○國枝監視指導・麻薬対策課長 35頁から説明を続けます。3は「医薬品・医療機器のGMP/QMS」
です。医薬品・医療機器が所期の効能効果を発揮するためには、承認どおりに製造、かつ品質が確保されていることが非常に重要です。そのためには原料の受入れから最終製品の包装・出荷に至るまでの製造工程において、適切な製造管理、品質管理が行われることが重要でして、国際的には、医薬品についてはGMP、医療機器についてはQMSという基準に基づいて製造・品質管理がなされているところです。国、都道府県などにおいては、これらの基準の遵守状況について承認時、それから定期的な査察が行われております。また、製造販売業者はGQPに基づいて製造業者を監督する必要があり、その中で製造業者がGMPあるいはQMSを守っているかどうかの確認を行っているところです。
 36頁は、これら「GMP/QMSに関する現状の取組み」です。まず、医薬品の「GMP調査体制の強化及び国際整合化」ですが、昨年8月から「GMP調査体制強化検討会」を設けて、現在GMPの調査はPMDAと各都道府県で行われておりますが、これらの強化に向けた調査員の資質向上のために、各地域ブロックでの協力体制の構築を検討しております。また、GMPに関する国際的な枠組みであるPIC/Sというものがありまして、この加盟に向けて、PIC/Sのガイドラインと我が国のガイドラインなど比較分析し、問題があるようであれば、必要な整備を行う検討を進めており、これらに基づいてPIC/Sへの加盟を進めております。
 また、医療機器の「QMS調査の方法の改善」ということでは、医療機器業界の負担軽減、国際的な調和などの観点を踏まえて、より適切なQMS調査を目指して方法の改善を検討するワーキンググループを立ち上げたところです。この中の成果としては、一般的な名称が同一の品目について、例えば2年以内であれば、一度やればやらなくていいといった形の一括の調査を導入する通知、QMS調査については調査権者が非常にたくさんありますので、調査権者間での調査結果の相互活用を目的とした通知の発出を近々予定しております。また、調査員の資質向上のための研修や要件なども検討しているところです。
 「その他」として、現在新医薬品についてはPMDAがGMPの適合性調査を行っておりますが、初回のGMP適合性調査を行った新医薬品と承認時の適合性調査については、今年の7月にその権限を都道府県に委譲する作業を進めることとしております。
 37頁の4は「薬事監視」ということです。品質、有効性及び安全性に問題のある医薬品・医療機器などが流通することを防止するために、薬事監視が行われております。下に「薬事監視の仕組み」がありますが、国、都道府県、保健所設置市・特別区においては約4,000名の薬事監視員がおりまして、医薬品で問題のあるものについての回収時の指導、あるいは医薬品等の虚偽誇大な広告の指導、無承認無許可医薬品の指導及び取締り、それからGMP/QMSの指導などを行っております。
 38頁は「回収情報の報告制度」です。薬事法においては、医薬品などの製造販売業者が品質等の不良によって回収を行う場合は、その着手において厚生労働大臣に報告しなければならないことになっております。現在、報告された回収情報については、記載のようなスキームで取り扱われており、情報の周知、回収が適切に行われるように都道府県と厚生労働省が指導しております。また、PMDAのホームページでも閲覧できるようになっております。
 下の表は年度ごとの回収件数を示しておりますが、ほぼ横這いで推移しているところです。過去、ジャクソンリースの未回収品で重篤な健康被害が発生したので、未回収製品の存在が判明した場合は、製販業者に対して迅速な注意喚起を行うとともに、回収の徹底を行うことが重要ということで、現在回収に関連する通知の見直しを行っております。
 39頁は「広告監視」です。薬事関係の広告については、記載内容に違反などがないかについて、指導・取締りを行っております。薬事法においては、記載のような広告規制や、医薬品等適正広告基準に基づいて指導を行っております。
 40頁は「無承認無許可医薬品に関する取組み」です。無承認無許可医薬品としては、ご覧のように大きく分けて3つあります。1、医薬品成分を含有する健康食品で、バイアグラの主成分であるシルデナフィルなどの強壮を謳うような健康食品。2、個人輸入できる海外で売られている医薬品では、例えば国内で未承認の抗がん剤や海外製のタミフルなど。3、幻覚あるいは多幸化を得ることを目的として販売されているもので、麻薬、覚せい剤に非常に類似した、いわゆる違法ドラッグと言われているものなどが無承認無許可医薬品の具体的な例です。
 「監視指導スキーム」としては記載のとおりですが、右の3つのカラムにあるように、まず、水際の「輸入段階の監視指導」としては、税関や厚生労働省の厚生局で医薬品等に該当するようなものについて、販売・授与を目的としたものではないかを確認しております。また、国内では「販売段階での監視指導」として、先ほどの薬事監視員が国、自治体におりますので、市場流通品の買上調査をし、仮に医薬品に該当するようなものが見つかったときは、販売停止、回収等を指示しております。さらに、消費者の末端がこういった物を購入することもありますので、「消費者への注意喚起」としてWebサイトでの掲載を行うとともに、パンフ、リーフレットなどで、安易な個人輸入を行うことのないよう注意喚起を行っております。
 41頁は「無承認無許可医薬品に関する買上調査結果、健康被害発生事例」を示しております。買上調査は平成14年から行っておりますが、平成21年度の買上調査については記載のとおりで、過去に健康被害発生事例として報告されてホームページに載せているものが記載のものです。
 42頁は、「無承認無許可医薬品の輸入監視について」です。医薬品等の個人輸入において、無承認無許可医薬品等の不適正な流通を防止するために、通関の段階で、業として国内での販売等を行うことが目的でないか等について確認をしております。個人輸入が認められる場合としては、消費者自身が自身の責任において使用する場合や、医師などが患者の治療に使用する場合で、国内に代替品が存在しないときなどに認められておりまして、記載のようなスキームで認められております。
 左側から、個人で使用することが明らかな場合には税関限りでそのまま通関しますし、真ん中の個人使用が明らかでない数量の場合あるいは医師等が患者に使用する場合については、薬監証明の発給によって税関を通関することになります。右側は業として輸入する場合で、製販業者あるいは製造業者が関わってきますが、地方厚生局で輸入届出項目と承認内容の確認をして、確認されたことを税関に示すことで通関できるような形となっております。
 43頁は「薬物乱用防止対策」で、厚生労働省では、関係府省と連携して行っております。厚生労働省においては、「啓発の充実」と「取締りの徹底」という2つの観点から対策を進めております。啓発の充実ということでは、記載のような正確な情報の提供、あるいは地域を主体にした啓発を進めております。取締りの徹底ということでは、薬物密売に関する捜査の徹底、薬物の不法流通ルートに対する取締りの徹底、新たな乱用薬物(違法ドラッグ)対策の実施などを行っております。
 44頁は「違法ドラッグ対策:3段階規制」ということです。先ほども言いましたように、違法ドラッグが結構出てきたことから、薬事法の中で指定薬物制度を設けて、従来からある麻薬などの規制とともに、3段階で違法ドラッグの規制を行っているというものです。

○中垣総務課長 45頁をご覧ください。前回の薬事法改正については、平成16年から審議会で議論していただきまして、その後平成18年に法律が改正されており、順次施行されております。そのうち、平成21年6月に施行されたものの中で、一般用医薬品の販売制度を医薬品のリスクの高い順に1類、2類、3類と分類して、専門家によるリスクの程度に応じた情報提供を義務づけております。これによって、インターネット等による通信販売についてはリスクが比較的低く、専門家の情報提供が不要な第3類医薬品に限って販売が可能となったところです。現在、2年間の経過措置として、離島居住者、継続使用者に対する第2類医薬品のネット販売が可能となっておりますが、平成23年5月末に経過措置が終了いたします。この取扱いについては、現在実施の利用状況調査の結果等を踏まえて、速やかに検討したいと思っております。
 46頁は具体的な制度改正の内容ですが、リスク分類については、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定しております。新たな知見、使用に係る情報の集積によって見直しを行うこととしております。1類については「特にリスクが高いもの」、2類は「リスクが比較的高いもの」、3類は「リスクが比較的低いもの」といった形で、以下、例に書いてあるようなものとなります。それぞれは質問がなくても行う情報提供、あるいは相談があった場合の応答やそれぞれに対応する専門家の方々、インターネット販売の可否ということで区別しております。
 制度改正の内容としては、「適切な情報提供及び相談対応のための環境整備」ということで、この分類に限らず掲示とか外箱の表示、陳列方法といったものとともに、「その他」に書いてあるように、着衣や名札を区分することとしております。
 これについては、平成21年度に一般用医薬品販売制度定着状況調査というものを行いました。いわゆる覆面調査で、全国で延べ4,000軒の薬局、店舗販売業者を訪問し、調査しております。主な調査項目は、専門家の状況とか情報提供、相談対応の状況、郵便等販売における販売状況といったものです。調査結果をご覧いただくと、「名札をつけていたか」、情報提供のところでは特にリスクの高い「第1類医薬品について購入前に説明があったか」という質問については、「文章を用いて詳細に説明があった」が5割、「説明自体なかった」が約2割でした。また、郵便等販売については、10件中6件において、本来売れないものを売っていたということが出ております。この調査結果については各自治体に情報提供し、薬事監視指導への活用を求めております。また、平成22年度においても、調査を少し拡大して実施しておりますので、結果が取りまとまったところでご報告したいと思います。
 「一般用医薬品のリスク区分の見直し」は、それぞれの配合剤の製剤の副作用報告の状況等も踏まえて、製品リスクに基づく区分の検証を行い、見直すということです。配合パターンが単純であることから、検討が容易な生薬製剤から順次見直すことにしております。漢方製剤、化学薬品の配合剤についても順次着手していこうということです。スケジュールについては、以下のようになっております。
 最後に、50頁は「地方分権改革等」ということで、薬事関係の法律の改正が地域主権戦略大綱を受けて一括法案、各省の法案を取りまとめて一括法案という形で本年の通常国会に提出されます。薬事関係としては、薬局の開設許可、薬局製造販売医薬品の製造販売業等の許可等の事務、これらはいま都道府県にあるわけですが、これを保健所設置市に移譲ということです。都道府県献血推進計画の公表については、義務化されているものを努力義務化にしようということです。また、一部の毒物劇物の業務上取扱者の届出受理、廃棄物の回収命令等の事務を都道府県から保健所設置市に移譲し、分権推進ということでこういった措置をとるということです。以上です。

○永井部会長 ただいまの説明についてご意見、ご質問をいただく前に、坂田委員提出の資料について、坂田委員から説明をお願いいたします。

○坂田委員 最後にありますが、意見書を出させていただきました。本部会の設置の趣旨ですが、提言の実行のために必要な制度の改正、特に薬事法改正事項を明確にすることを目的とした部会であることと捉えております。提言の概要説明を行った上で、改めて確認していただきたいと思います。
 2番目に、今後の検討の進め方についてですが、私ども薬害肝炎原告団と厚生労働省との作業部会、そして、昨年12月に薬害肝炎検証委員会委員全員に送られた資料において、下記の6項目について法改正が必要な項目については、最終提言に盛り込まれた項目を可能な限り反映させることができるよう、法改正のための審議会の部会を平成22年度中に設置予定、というのがこの部会です。それと平成24年度の通常国会に法案を提出する予定ということで、法律に基づかない第三者組織については、平成23年度10月に、大臣直属の私的諮問機関を設置する予定とあります。
 この6項目については、提言の趣旨に基づき、優先順位を定め、その順番に沿って協議していくべきだと思います。ただし、第三者組織については、本年度10月に法改正に先行した形で実施される予定ということですので、部会討議の優先順位もこれを最優先で行っていただきたいと思います。それから、既に提言において研究班や検討会が設置され、検討が行われているもの、今日、望月委員の件が1つ挙げられておりましたが、その検討結果も活かすべきだと考えております。意見書に関しては以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。それでは、これまでの説明に対して、ご意見、ご質問があればお願いいたします。

○片木委員 まず、5頁について3点質問があります。1点目は、医薬品に関しては平成23年度にラグをゼロにする、医療機器に関しても平成25年度にとあるのですが、ドラッグ・ラグは海外で先に承認されたものが日本で承認されるまでの期間ですから、それをゼロにしようと思ったら、申請ラグというのは必ず発生するものですから、審査時間をマイナスにしない限り、ゼロにはならないと思うのです。この「ゼロ」というのはどのような意味でのゼロなのでしょうか。ドラッグ・ラグをゼロにするというのと、ドラック・ラグを極力ゼロに近付けるために申請ラグと審査ラグを減らすというのは意味が違うと思うので、その辺の見解をお聞かせください。
 2点目は、ドラック・ラグとしてこのような数字が出る薬というのは、非常に優秀な薬です。なぜかと言うと、企業がきちんと申請している薬だからです。本当の意味で私ども患者や医療者が困っているのは、さまざまな理由、例えば既にジェネリックが出ている薬が、今ごろになって効果があることがわかった薬とか、さまざまな理由から着手されることがなくて、それを医療現場が保険を何とか通すなどして使っているような薬に対して困っているのです。そのような薬に関しては、実際のラグのデータというのは出てこないと思うのです。つまり、このように数字が出ているというのは氷山の一角と思いますし、このラグの数字というのは優秀な薬のデータであることをお聞かせいただけたらと思います。
 3点目は、ここではドラッグ・ラグ、ディバイス・ラグだけが数字として出されておりますが、ワクチンのラグについては一体どのような数字なのかをお聞かせいただけたらと思います。取りあえず、5頁については以上です。

○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。

○成田審査管理課長 いまご質問、ご指摘いただいたところをご説明したいと思います。まず、5頁のドラッグ・ラグ、ディバイス・ラグのほうですが、当時の2.5年というのは、平成16年当時の世界売上げ上位100品目についての承認審査期間、世界初上市までの期間の差を取っているところで、アメリカは当時約1.5年で、日本が約4年なので、その差が2.5年で、その差を詰めていこうという話でありました。
 その後、検討会の中で、ドラッグ・ラグというのは定義がなかなか難しいのですが、2.5年について、その当時の審査期間の差が約1年あったので、1年を縮めましょうと。そうすると、残りが申請ラグで1.5年、それを目標にいろいろな取組みをしているところです。
 取組みを始めたのが平成19年度からですので、まだ4年目です。いまの状況から申し上げますと、昨年の仕分けの際にもご指摘をいただきましたが、審査ラグについては、かなり解消の方向に向かっております。ただ、申請ラグについては前後しますが、未承認医薬の検討会や薬物療法の検討会などがあって、ご指摘いただいたような掘起こしみたいなところもあって、それをトータルで見たときに、審査期間は短くなっているのですが、申請ラグについてはなかなか短くなっていないというのが現状です。そういうことで申請ラグをさらに何とかしなければいけないのではないかというご指摘をいただきましたので、いまご説明しましたように、調査を行っているところです。
 申請ラグについてはご指摘いただいたように、実際問題としては各企業の調査をもう少ししなければいけないのですが、各国内企業の開発状況などを見ますと、来年度にゼロとなる見込みは、いまのところはなかなか難しいという感じは持っておりますが、そこは取組みを進めたいと思っております。
 2番目の審査期間の問題については、優秀な薬とありましたが、この期間は希少疾病用医薬品等も含めてトータルの審査期間ですので、どれが優秀かどうかはわかりませんが、いまのPMDAでのキャパシティというか、そういうものを反映しているものではないかと思っています。
 ワクチンについては、ワクチンのラグがどういう視点でラグと捉えているのかによるのですが、ワクチンの成分ごとに、特に単味のワクチンだけを考えますと、不足しているワクチンというかまだ承認がないロタウイルスワクチンと髄膜炎ワクチンの2つぐらいではなかろうかと思っています。ロタワクチンについては審査中です。髄膜炎については海外とかなり環境が違うと思っています。
 そういうことで単味のワクチンとして審査の側からしますと、ラグはあまりないのかなという感じは持っています。ただ接種体制という意味では、混合ワクチンのようなものについては接種体制とのリンクですので、そういう意味ではいわゆるラグがあるのかもしれないと思っています。

○永井部会長 ジェネリックになった薬のラグをどう考えるかですね。

○成田審査管理課長 ジェネリックについて、適応外については、こちらではなかなか把握できないのですが、一応、未承認薬・適応外薬の検討会のほうでご要望いただいたものについては、対応しているところです。前回ご要望いただいたのは374と多かったものですから、いまは堀田先生の検討会でいろいろご苦労いただいておりますが、引き続いてご要望等を承って対応することを検討したいと思っております。

○堀田委員 先ほどの片木委員からの件に絡みますが、5頁の資料の2.5年というのは、2006年に製薬協が出しているリサーチペーパーの中のデータだと思います。近年は審査は欧米にだいぶ追いついてきた。治験期間もかなり迫ってきた。何がいちばん問題かというと、日本では治験の着手が遅い。そこがいちばんラグを発生する元になっているのです。日本で治験に早く着手するためにはどうしたらいいかその辺りを詰めないと解決しません。そして、それこそファースト・イン・マンと言われるような新薬を、日本から発していくというところに何か積極的な手を打たないと、基本的なラグはなかなか縮まらない。審査も短ければいいというものでは決してなくて、安全性を確保するためには慎重な審査も必要ですから、その点をこの検討会の中でも詰めていければと思います。

○片木委員 ワクチンの件ですが、先ほどロタウイルスワクチンとか、いくつか名前を出していただきましたが、患者などが要望されているものの中に不活化ポリオもあると思います。そういったものも患者さんからすると「使いたいのに使えない、隣の国では使っているのに」ということでラグだと言う患者さんもいるのですが、そちらに関してのお考えはどうですか。

○成田審査管理課長 先ほどは審査の側からのことをご説明しましたが、ラグ対策全体からしますと、開発側、あるいは保健衛生上の観点からどのようなものを開発要請していくかというところのリンクです。ご指摘いただいた不活化ポリオについては、混合ワクチンで接種に対応しようということで開発が進んでおります。予定どおりに行けば今年の冬ごろに申請が見込まれますので、できるだけ速やかに安全性等を確認し、適切に審査する予定にしております。

○永井部会長 ほかにご意見はいかがですか。

○花井委員 いまつらつら「医薬品行政の現状と課題」をご説明いただいたわけですが、1年間議論して法改正するというスケジュールですよね。そうなるとどこまでがこの検討部会の仕事なのか。全般で議論するのであれば、例えばこの前やっと改正した一般用医薬品の制度自体もいじるのかみたいな話にもなりかねない。いまの説明だとそこに入っているのですが、それはまさに行政刷新会議で、いろいろそれを緩和しなさいみたいな議論が出ていて、そういうところまで個々に説明されていて、この検討部会の仕事だとなると、そこも議論する話になってしまいます。
 私の個人的な理解からすると、肝炎の検証会議を踏まえたいくつかの法整備が必要な論点があって、これについてこの薬事法に載せるための委員会ということであれば、ある程度役割は明確ではないかと。あとは医薬品の早期、迅速認可という2つがここに書いてあるのですが、そういう理解だったらいいのですが、薬事行政全般の問題点ということでここで全部やるということだと、1年ぐらいの議論では到底取りまとまらないし、もしくは3年ぐらいもめるかもしれないみたいなところも、触わることによってあると思います。この検討部会の役割がどの辺までを射程に入れているかを、明確にしていただきたいのです。

○中垣総務課長 ただいまの花井委員のご質問ですが、基本的には資料2に書いてあるような肝炎の委員会の提言とか、いま委員が言われたような医薬品の迅速な承認について、どのような法律でできるかとか、それから監視強化の話もありましたので、そういったものを考えております。
 一般用医薬品については、このような形になっておりますが、この部分は、私どもとしては直ちに法改正を考えている部分ではありません。一般用医薬品の販売制度にかかる規制仕分けについては、実は3月中に閣議決定の予定でしたが、いまは震災の影響もあって遅延することになっており、まだ結論は出ておりません。
 先ほど申し上げたような一般用医薬品の前回の法改正は平成18年で、平成16年から審議しております。平成18年から今までの間はもちろん肝炎の検証委員会でもありましたが、その間いろいろな医薬品行政を取り巻くもの、推移等もありますので、私どもとしては基本的に、こういうことでどうしても論点を限定しなければいけないということはないと思っています。もちろんこの場で委員の皆様方から、いろいろな話題と申しましょうか、論点を提供されれば十分ご議論いただければと思っていますが、基本的にはここの検討事項の例に書いてあるようなものが中心になるのかと思います。
 いまの花井委員のお話にお答えするとすれば、もちろん平成24年に法改正と言っているのは、ここの部会の場で意見が取りまとまったものが法改正事項であれば、それをまとめるということで、仮に意見が十分まとまらないものがあれば、法改正には載ってこないという形で、こういった安全対策等で意見がまとまったものについて、なおかつ法改正しなければいけない事項については、この場で取りまとめていただければと考えております。

○花井委員 私は薬害肝炎の医薬品行政のあり方検討会の委員をやったのですが、そのときにこの中にまとまった中で、行政側がいますぐできるもの、これは現行制度でできるもの、これは法改正が必要なものという整理のペーパーを、委員には終わったあとにどうなっているのかという進捗状況として資料が配られていたと思います。それを行政として、これの提言の中で、薬事法を触わらなければできないという部分はこれですよという行政上の資料がありましたが、それを出していただいたほうがいいと思います。私はそういう理解で、これは法を触わらなければ無理というところについては、そちらで整理していただいたものがあるわけですので、それを出しておいてもらったほうがわかりやすいかと思いますが、いかがですか。

○中垣総務課長 ちょっと先に進んでしまって申し訳ありませんが、これをやったあとに「今後の検討の進め方」ということで資料4で準備しております。これを各委員の間でご了解いただければということですが、次回は安全対策についてご議論いただければと思っておりますので、第2回の資料について、いまの花井委員のご指摘も踏まえて資料を準備できればと思っております。

○花井委員 先走って申し訳ありません。

○坂田委員 確認ですが、今年いっぱいということは、今日を含めて9回ということですか。それと、いわゆる法改正なのに、なぜPMDAの方はここに座られていないのでしょうか。そこをお尋ねしたいと思います。

○中垣総務課長 9回というのは別に決まっていません。大体1か月に1回ぐらいできればと思っておりますが、仮に法改正マターの部分で、十分まとまらないことがあれば、その後、少し回を増やしたりすることもあるかもしれません。回数については特にいま決めておりません。
 PMDAについては、基本的には制度改正をやろうということですので、まず私ども役所で事務局としてやらせていただければと思っています。

○片木委員 でも、医薬品承認であったり、安全の話をするときに、どうしてもPMDA側の意見を聞かなければいけないということがあると思います。また、薬に関しても、先ほど言ったように、保険を何とかして通す。例えば昨年8月ですが、「医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知が認められたものに関しては、早急に保険を付けていただくような取組みというのもありました。そういうこともあれば、それに加えて保険局の同席も必要なのではないかと思います。

○中垣総務課長 ただいまのお二人の委員のご意見はもっともだろうと思いますので、次回からどういう形でか、何とか担当者というか、どなたを入れるかというのがありますが、参加させるようにしたいと思います。

○堀田委員 確認ですが、今回のこの検討会議は医薬食品局の所掌で開催されておりますので、その範囲に絞って議論するのかを確認したいと思います。というのは薬事法関連の制度のところに集約するという話なのか、いま議論があるようにもう少し幅を広げて、例えば保険の問題とか、そういったことも含めて議論するのかというのはいかがなのでしょうね。
 特に最終提言の中には、例えば今回の薬害肝炎の場合は不適切な適応外使用が問題になっているところを見ると、そこにもメスを入れないと、こういう問題は解決しないのではないかという気もいたします。適応外使用は全部やめろとか、何でもいいから認めようという話ではなくて、そこをきちんと交通整理をしておく必要があるかと思います。

○中垣総務課長 基本的には、今回薬事法の改正を目指した議論ですので、制度論としては薬事法の制度論が中心になろうかと思います。ただ、委員の方がおっしゃるように、隣接した部分、密接に関連する部分がありますので、その部分はご意見をいただければ、私どもから省内の他部局へ、こういう議論があったということを伝えて、必要があれば対応をお願いすることもあろうかと思いますので、そこは議論としては出てきても構わないと思います。
 ただ、あくまでも私どもができるのは基本的には薬事法の改正ですので、薬事法の改正の中で法律を変えなければできないことと、運用等でできることがあって、次回お示しできると思いますが、既にやってきていることもありますので、そういった中で、これが何ゆえ法改正事項なのかとか、法改正における論点などを次に出してやっていければと思っています。

○永井部会長 ほかにご意見、ご質問はいかがですか。

○原澤委員 医療機器の立場から参加させていただいております。薬事法ですと、医薬品等の「等」に入るのが医療機器です。今回、薬事法の改正ということでのお話で、いま話がありますように、どこまでが範囲ということですが、医療機器もディバイス・ラグとかさまざまな問題があって、是非いろいろ法改正をお願いしたいと思っております。
 ただ、ご承知のように、医療機器と医薬品というのは、だいぶ内容を異にしており、なかなか一緒に語れないところもあります。そういった意味では法改正においては、医薬品と医療機器の条文を分離するような形でわかりやすくするのと一緒に、次の項目になるかもわかりませんが、医薬品は医薬品で非常に深い議論ができる、医療機器は医療機器で深い議論ができるような体裁にして進めていただけたらとお願いします。

○永井部会長 具体的に条文を挙げていただくことは可能ですか。

○原澤委員 はい。そういった場合には提案させていただきます。

○澤委員 21世紀の医療で非常に重要と言われている再生医療製品については、まだ承認製品が1種類しかなくて、しかも医薬品等の「等」の中の医療機器で、さらに再生医療製品というのは、まだそのカテゴリーすらない。ところが、いまの薬事法で審議するには非常に難しくて、製品も医薬品なのか医療機器なのかという形でしか議論されていないという体制です。これは今年度で終わりました再生医療の検討委員会でも、非常に活発な議論になって、かなり進歩してきたのですが、是非ここでも同じ議論を継続していただいて、より迅速に、安全に、より有効なものを製品化していく方向で進めていただきたいと思います。

○成田審査管理課長 どうもありがとうございます。ご指摘いただきましたように、医薬品といってもいろいろありますし、また医療機器の中でもいろいろな種類があります。医療機器になると、ものすごく幅が広いのです。それから、再生医療の中でも、またいくつかのものがあり、ここではとりあえず薬事法の改正ということでご議論いただくのですが、それぞれの品質、有効性・安全性という意味では共通項もあろうかと思いますので、それも含めて今後ご議論いただければと思っているところです。

○永井部会長 ほかにご意見、ご質問はありますか。

○片木委員 資料の10頁の「新医薬品・医療機器の創出」ということで、いわゆるシーズなどをどうしていくかという話だと思います。昨年10月15日の朝日新聞が報じた東大医科学研究所のがんペプチドワクチンのような、いわゆる未承認のものが治験ではなく、臨床試験として行われているような話があると思います。
 薬害肝炎の最終提言の中にもあったと思いますが、患者のために医療の改善、産業の活性化、研究開発の活性化につなげるために、新薬を日本が、いかに世界で最初に承認して、いかに安全かつ有効に患者がアクセスしやすく使えるようにするかということでは、薬事法による規制のある治験と、法規制のない臨床試験の問題をどう考えるかということが大事だと思います。
 つまり、臨床試験でやったものが薬事法の承認申請にいまは使えないという問題や、試験のやり直しによる時間のロス、コストのロス、被験者のリスクもあると思います。そういったものを押さえて、迅速な治験、承認申請にどうつなげるかということが、薬害肝炎の報告書の48頁に書いてあって、その具体化が大切だと思います。この10頁に書いてある戦略相談事業が臨床試験で未承認のものが行われているのを、できるだけ治験に持っていって創薬につなげるという、ある意味での二重のロスを減らすための取組みなのかどうかを教えていただけたらと思います。

○永井部会長 もう少し広い概念で、治験ではない研究を臨床研究と言っていると思うのですが、その辺の扱いをどうするかですね。

○成田審査管理課長 ここでは臨床研究のような、まずシーズとして、POCまで行かないのですが、着手しているものから始めて、相談・ディスカッションすることによって、できるだけ早く安全で有効なものを実用化に向けようということで、必ずしも治験にすぐ行っていただくという話ではありません。治験に入る前に、当然ながら非臨床試験もありますし、治験に入ったとしても並行で非臨床試験もありますし、そういうところの順番というか、そういうことをディスカッションして、新しいものになればなるほど、早いうちからディスカッションしていこうという意味です。
 それから、先ほど治験外の臨床研究のものが全く資料にならないというお話をいただきましたが、基本的に実際に審査するに当たっては、治験外の報告であっても、それなりに評価をしております。その評価の中身としては、例えば安全性の確保をした試験なのか、つまりインフォームド・コンセントも含めて安全性を確保した試験であるかとか、資料等に出すのであれば、確認に行ったときに検証可能なデータなのか。3番目としては、プロトコールです。その試験がどういう目的でされた試験なのかという観点から、審査の際に見ているという状況ですので、その辺はご理解いただければと思っています。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○片木委員 17頁に関しては2点お話をお聞かせいただきたいと思います。いわゆる希少疾病に対することですが、対象者数に関する資料の具体的な収集方法で、難病に関しては何人ぐらいなのか患者の数がしっかり出ていない病気もたくさんありますが、具体的な収集方法をどのように想定されているかを教えてください。
 2点目は、企業側が開発しにくい超希少難病の治療薬の開発と供給をどのように考えているか教えてください。厚労省が医療上必要性が高いとしながら、開発企業が見つかっていない薬がある中で、既存のオーファンドラッグ制度だけで対応できないものがあるのではないかと思います。特に20人にも満たない希少難病で、このように資料に示されたようなスキームでできるのかということ。
 それとは別に、例えば薬害肝炎の最終提言にも書かれているようなコンパッショネート・ユースの制度に関して、どうお考えなのかということと、コンパッショネート・ユースというのは海外の制度だと思いますが、これが日本の薬事承認の形に馴染むかということを、この検討部会で検討していくのかということをお聞かせいただけたらと思います。

○成田審査管理課長 まず希少疾病用医薬品・医療機器の対象患者数の話ですが、基本的に日本国内で5万人未満の疾患ということになっています。難病ですと、多くの難病は5万人未満ということですので、難病の対象になっているものでも、5万人を超えているものもありますがそれは除いて、大体対象となる。それ以外のものでも、文献とかそういうことで提出していただければ、それを勘案させていただきますが、具体的にどういうというのは疾患によって非常に難しくて一般化はしておりません。ただ実際にニーズがあって開発されたりしてきておりますので、その辺の研究をされている先生方とか、そういう所に情報を集めていただいて5万人未満ということを確認しております。
 希少疾病とか、そういうところについては、私どもは審査部局ですが、開発部局とリンクして、希少疾病用医薬品・医療機器もそうですが、対応させていただいております。ですから、本当に患者が少ないということになりますと、いわゆるPOCに行く前のものですと、言ってみれば研究開発段階ということになりますので、そういうところと、基礎研究は文科省も含めてというところのリンクなのかと思っています。
 コンパッショネート・ユースの問題は、コンパッショネート・ユースという言葉の定義はなかなか難しいところで、アメリカでもヨーロッパでも類似のものはありますが、これがコンパッショネート・ユースというのはなかなかありません。コンパッショネート・ユースは人道的な観点から使用するということで使われているとは思いますが、日本の場合ですと、治験と臨床研究というのがあって、さらに個人輸入も実際にあるという状況の中で、コンパッショネート・ユースをどう位置づけるのかというのは、なかなか議論があるところです。
 いま日本におけるコンパッショネート・ユースについては、治験が始まったあとのコンパッショネート・ユースをどうするかとか、そういうところの検討は今しているところですが、コンパッショネート・ユース全体、人道的な緊急使用みたいなところになるとちょっと範囲が広いと思っています。

○望月(眞)委員 19頁の「医薬品の市販後安全対策の概要」ですが、日本の市販後の安全対策の仕組みはとても良くできていると私は思っていますが、ここで拝見すると、市販後だけが中心に説明が組み立てられていて市販前について触れられていません。いまの議論でも良い薬をできるだけ早く患者さんに届けるという形になっていたときに、どこでその期間を短縮していくかによっては、市販前の安全性評価をきちんと行っておかなければいけないと思います。
 市販前の情報の安全に関する部分をどう発信するのかというところが、いまは添付文書以外にあまり見つからないという状況にあって、FDAなどのREMSに近いものは日本にもあると思っているのですが、それがきちんとした仕組みとしては動いていないようなところもあります。
 例えば「承認条件の付与」というのが承認時にありますが、この承認条件を付与するときには安全の部分でまだ十分な確認がされていないのと、効果の部分で十分な確認がされていないようなときに付与されるわけですが、いままでの承認条件を読みますと、わりとざっくりした記述で、どこに問題があったのかが明確に医療者に伝わるような形にはなっていない。
 FDAなどは、たいていは患者向けの情報提供を充実させなさいみたいな指示出しではありますが、どんな条件がついたかについて誰でもアクセスして見られるように、公表される形になっています。どの薬はどういう指示出しがあって、どういう安全対策を講じなければいけないのかが企業だけでなく医療者にも的確に伝わるような仕組みが、まだ市販前の段階のものがきちんとしていないような気がします。市販後もとても大切ですが、市販前から市販後までを通じた良い仕組みを考えていく必要があるのかと思いました。

○永井部会長 何かコメントをいただけますか。

○佐藤安全使用推進室長 安全対策課です。いま望月委員からご指摘いただいた点は、非常に重要なポイントで、薬害肝炎の検証の報告書の中でも、リスク管理の部分で非常に厚く触れられている部分です。
 要するに、承認をするときにどこの部分に安全性において、より市販後注意すべきかという部分をまず特定していく。それに対して市販後にどういう対応をとっていくか。いま例示としておっしゃられた部分で、患者向けのリーフレットを作るとか、極端な場合にはそれこそ使っている医師、薬剤師に一定の制限を加えるなどというレベルまで、いろいろなレベルのものが考え得るわけですが、そういった部分のリスクの特定と、それに基づく市販後の対応をきちんと考え方として整理をしていくということは、この提言の中でも非常に重要なポイントとされております。また、今回以降の本部会での議論の中でも、そういった点についてご議論をいただく機会があるのではないかと思っているところです。

○永井部会長 それに関して24頁の医療情報データベース基盤整備事業が進んでいるようですが、どういうコンセプトで、どういう仕組みになるかをもう少しご説明いただけますか。

○佐藤安全使用推進室長 医療情報データベース事業が24頁にありますが、基本的にいまの副作用報告制度というのは、先生方に副作用に気が付いていただいて、それを報告いただくという仕組みになっています。この医療情報データベースは、むしろ先生方に報告をいただくというよりは、ある拠点を決めて、例えばそこの電子カルテ上にあるデータを検索をしていき、その中に安全性に関するシグナルがあるかどうかを積極的に調べていくようなものです。そういう意味では、我々が日ごろ受動的に受けている副作用報告を補完して、より薬剤疫学的な分析が可能な形で検証していく仕組みを作っていくというのが、この整備事業のコンセプトです。
 目標的には、1,000万人ぐらいの患者のヘルスレコードを電子的に活用できるようなものにしようということで、予算が通れば平成23年度からこの事業を実施していくということで準備を進めています。

○永井部会長 ほかにご質問、ご意見はございますか。

○坂田委員 薬害肝炎検証委員会の最終提言書に関わった委員は、この部会委員として3人です。寺野委員、花井委員、それと私です。2年にわたる活発な討議の末に最終提言が出来上がりました。今回、この提言が基本なのに、資料ではなくて参考資料としてあること。それと今回、こういった資料に関しても50頁ありましたが、最終提言に関しては2頁しかなかったこと。これを見て私はとても残念に思いました。厚生労働省とのやり取りの中で、いわゆるこの6項目について、法改正が必要な項目として厚生労働省の方から挙げてきておりますので、まずこの6項目について優先順位を付けてやっていくのが、いちばん必要なことではないですかね。おかしいことでしょうか。

○中垣総務課長 いま坂田委員からお話があった項目も含めて、その安全対策は了解が得られれば、次回にこちらでも資料を準備してご議論いただければと思います。それはこの議論が終わったあと、次回以降はどう進めるかということのご了解になろうかと思います。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○片木委員 最終提言の話は私も何度か傍聴させていただいて、とてもいい最終提言ができているとは思います。実際にこれから議論を進めるに当たって、最終提言ではこうなっているが現行はこうなっていますとか、厚労省で今回作っていただいた資料のように、資料ではこうなっているという比較ができないと。最終提言で言われていることと比較しようにも膨大な頁をめくって探さなければいけません。できればわかりやすい資料を次回から挙げていただいて、最終提言でどういうことが言われているのか比較対照できないと、議論のしようがないと思います。その辺をお願いします。

○中垣総務課長 最終提言はもちろん貴重な資料ですので、それを踏まえた資料を作りたいと思います。一方で、最終提言はある程度詳しい方が主に作っているのだろうと思いますが、いろいろ医薬品の議論をしていく中で、この間の一般用医薬品の規制仕分けなどの議論でもいろいろあったのですが、どちらかというと非常に詳しい方の議論の中でやっていることと、ある意味でそうではない別の観点からの議論もあります。いろいろなことがありますので、もちろん検証委員会もありますし、いろいろな所から言われていることもありますので、そういったものをわかるような形で、ご議論していけるような資料を作れればと思っております。

○片木委員 詳しい方がと言っておられますが、坂田さんも普通の主婦ですし、私もただの普通のおばちゃんだと思います。薬を使うのは一般の人だと思います。私たちもその中で、こうやって実際に資料を見てやっているわけですから、本当に詳しい人が作ったのではなくて、坂田さんとか患者さんの努力でできた最終提言だと思うので、その辺はちゃんと丁寧に扱っていただければと思います。

○永井部会長 ほかに意見はありますか。

○片木委員 資料に戻って、39~41頁に関してと45頁について意見させていただきたいと思います。いわゆる広告規制みたいな話になりますが、広告に関して、例えば私たちがよく患者さんから受ける相談の中であるのが、自費診療の下に、いわゆるホメオパシーとか、患者にとってエビデンスレベル的な、相当証明が難しいだろうという高額な免疫療法みたいなものを実施しているクリニックがあると思います。そういう所も新聞などに広告を出していたりしますが、そういうものに対してどう考えておられますか。
 あとは効能・効果の誇大広告だけではなく、最近患者さんが実際に困っている問題の中には、いわゆる医師免許保有者とか薬剤師免許保有者が、Web上で科学的根拠に基づかないでたらめな情報発信、有害的な情報発信をしているとか、場合によっては個人輸入代行みたいなことをして、例えば卵巣がんに適応も取っていなければ、世界中で何の承認もされていない抗がん剤を輸入して処方しているようなものもあるようですが、医師免許保有者が、そういう治療を施しているWebサイトもよく見かけます。そういうものに対して規制はできないのかということです。
 あとはインターネットによる医薬品販売です。こちらは私的個人の考えでは、原則禁止でも構わないとは思いますが、これに関しては原理主義には陥らないほうがいいような気がします。現状2年の経過措置の内容を精査して、例えば原則の例外も必要によっては認めることも大事なのかと思います。例えば、体に触れない妊娠検査薬やバルサンみたいなものも、果たしてインターネット販売禁止でいいのかという話もあると思うので、その辺も詳しく今後の議論のときに挙げてもらえればと思います。ドラッグ・ラグもそうですが、ネット販売に関しても、医薬品にアクセスできない被害もあると思います。そういうものに関しては軽視しない形で、ここで議論していけたらいいのかなと思うので、その辺をお願いします。

○永井部会長 いまの点について、ご意見はありますか。

○國枝監視指導・麻薬対策課長 最初の広告規制の関係ですが、ホメオパシーの話、診療機関による誇大な広告についてお答えします。まずホメオパシーの件は最近メディアで広く報道された件でありましたが、薬事法上ホメオパシーそのものの説明とそれに関連する製品販売が不離一体にされているものについては薬事法上問題があるということで、今日は鈴木委員がご出席ですが、東京都庁の方でしっかり指導がなされております一方、理論の説明と製品の販売とが密接不可分ではない場合に、薬事法に基づく指導は難しい部分があって、そこは非常に難渋しているところですが、もちろん適切ではないものについてはしっかり指導させていただいています。
 医療機関等についても、薬事法上問題があるものについては、私どもも指導しております。実際には自治体において広告等の監視をおこない、指導をしています。また私たちの所に情報提供があった場合には、関係する自治体に連絡を行い、指導をお願いしています。
 それから、個人輸入代行に関する問題については、私どもは非常に難儀しています。いろいろ問題となっているのは、個人輸入代行と称して未承認の医薬品などを販売したりするものです。どういうものが薬事法上認められる個人輸入代行であるか、どういうものがそれを装ったもので問題となるということについて、そのQ&Aを作成して、個人輸入について注意してほしいという啓発を行っているところです。実際に個人輸入代行を装った違法なものは、Web上にはかなりあって、私どもも見つけ次第、警告メールを送付しているのですが、かなりの部分は海外のサイトとなっており、これらにどのように対応していくかというのが大きな課題だと思っています。以上です。

○中垣総務課長 インターネットの話がありましたが、基本的には私どもは教条主義に陥るつもりはありません。1つには、たぶんインターネットは医薬品に限らず固有のネット上の問題があるのだろうということと、先ほどアクセスのことをおっしゃいましたが、離島の方もいらっしゃるし、よく言われるのは外出が困難な方などアクセスが非常に難しい方たちは、医薬品の使用にあっては、ある意味でより慎重に扱わなければいけないということもあります。私どもとしては、こういうものもありますし、あるいはいろいろ専門家の方がどのようにこういったユーザーと接してやっていけるかとか、そういったこともあろうかと思いますので、そういったものも除外せずに検討していければと思っています。

○鈴木委員 東京都で広告規制を担当している者です。いまの広告というのは10年ぐらい前までですと、紙媒体が中心でしたが、現状ではインターネットが中心です。私どもも一生懸命取り締まっておりますが、例えば1つのサイトを潰しても、すぐ別のサイトを立ち上げるということでイタチごっこになっています。脱法ドラッグも非常に研究がされていて、デザイナードラッグとか、そういった新しい規制成分が発見されるという状況です。厚生労働省あるいは都道府県も協力しながら、きちんと取り締まっていきたいと考えております。

○國枝監視指導・麻薬対策課長 ネットの関係で鈴木委員から話がありましたが、ネット対策ということでは、厚生労働省、都道府県の薬務主管課や警察においても取締りを行っています。ネットに関係する4団体と交渉して、ガイドラインの中に無承認無許可医薬品、従来からも違法薬物は入っていたのですが、これに薬事法上の無承認無許可医薬品のようなものも違法の例示として挙げてもらい、そういったものを見つけた場合には私どもからプロバイダの業者などに削除要請するシステムを作りました。
 ネックとなるのは、こういった輸入代行を装っている業者あるいはインターネットでの無承認無許可医薬品の販売を行っている業者は、特定商品取引法でちゃんとルールを守っている場合はその住所が書いてあります。このルールは守っているが、薬事法上問題がある所については、その住所地の都道府県に取締りや指導をお願いできるのですが、守っていない所は住所が不明で、また海外にサイトがある場合も相当あるので、そういう面でイタチごっこになっております。これからはプロバイダや検索の業界の方々などと力を合わせて対策を行うことが重要と思っています。

○永井部会長 あとご質問を全部言ってください。

○片木委員 いまのお話ですが、もちろんインターネットの中には、医師がいろいろな薬の情報をそのように発信して「治療を受けたい人はメールをください」みたいなサイトもあります。そういうものに関しては相当難しいのだろうというのは想像はつくのですが、中には高額な治療を免疫療法と称して行っていたり、きちんと医療機関でホメオパシーを堂々と「がん患者さんにやっています」と書いている所もあって、自費診療の名の下にしたい放題やっている医療機関があると思います。そういう所に関しての広告規制ではありませんが、患者さんはそういうのを見たときに、どうしても「副作用がありませんよ」とか「何千倍に希釈」という言葉に、抗がん剤の副作用で苦しんでいる患者さんは飛びついてしまうところがあるのですが、そういうところについての規制は難しいのでしょうか。

○國枝監視指導・麻薬対策課長 これは2つに分けなければいけないと思います。医師自らがやっている部分については、私どもはもちろん医師自らが販売するという形のものであれば薬事法上問題があるのですが、医師が治療の中で行うものは医療法あるいは医師法の中の整理になってまいりますので、この部分については薬事法の中で整理するのは難しいということになります。薬事法というのは物に着目した形での整理になってきます。そこは逆に言うと、非常にやりにくい部分だと思いますが、少し分けて考えなければいけないのかと思っています。

○堀田委員 実は個人輸入で入ってくるもので、医師が処方して薬監証明を取って、指導書を書いて使う分には一応認められていますが、往々にしてその中で薬害が出ても、気付くのが遅くなってしまうという状況があります。
 実はサリドマイドが多発性骨髄腫に有効だということがわかって、大量の個人輸入が行われ、その中で肺障害やいろいろなことが多発していることがわかったのです。多い年には年間に53万錠個人輸入されていたのです。そういうことから見ますと、薬事法の外だから関係ないということでは駄目ではないか。個人輸入で入ってきたものに対しても、きちんと副作用報告制度を課せないといけないのではないかと私は思います。個人輸入そのものは否定するわけではないのですが、入った以上、それに責任を持って副作用を報告するというシステムは要るのではないかと思った次第です。
 サリドマイドが個人輸入で大量に入ってきたので、それを何とか薬事法の中に入れようとして未承認薬使用問題検討会が組織されて、その中に取り込んで、いまは非常にきちんとした管理の下に使われているので問題ないわけですが、そういう形でやる必要があるだろうと考えます。そのあとも治験の最中に個入輸入が並行して行われたボルテゾミブという薬がありますが、それも個人輸入品で治療した患者の中で肺障害が多発したということがあって、非常に大きな問題になりました。一方では治験で厳格に管理しながら、他方で個人輸入されていて、そちらの管理はほとんどされていなかったという問題は、直接薬事法上の対象ではないにしても、薬事行政としては対応する必要があるだろうと思っています。

○澤委員 再生医療でも同じ問題が起こっていて、医療法という名の下で既に医療事故が起こっています。薬事の限界を超えたというか、日本のシステムとしては、医療法下で個人輸入でやれるのはある意味でいい面もあるのですが、そこには堀田委員がおっしゃったのと私も全く同感で、何らかの形で議論をして、やはり安全に進めていくことが必要だと思いますので、是非再生医療の面からもその件についてはお願いしたいと思います。

○永井部会長 よろしいですか。予定した時間をすぎましたので、次の議題の「今後の検討の進め方」について、事務局から説明をお願いします。

○中垣総務課長 資料4「今後の検討の進め方(案)」です。平成23年4月の第2回に「医薬品関係者の安全対策への取組みの促進について」、第3回は「医療上必要性の高い医薬品等の迅速な承認について、医薬品等監視の強化について」ということで、資料2に提示していた大きな項目について、まず2回自由討議をしていただければと思っております。
 その後、夏ごろに必要に応じて論点整理を行い、おそらくこれ以外の項目が出てくるでしょうから、議論の2巡目等を行い、年内に改正案の取りまとめを目指して進めていければと思っています。以上です。

○永井部会長 ただいまのご説明にご意見はありますか。

○七海委員 最初に言えばよかったかもしれませんが、今後の進め方のプログラムを見ますと、当初、薬害を第三者機関で止めようとか、いろいろな提言があって、肝炎だけではなく、薬害というのはすべてに渡っていままで経験してきたわけです。肝炎に限ったことではありません。それを、単なる第三者機関を設けることによってというのが21頁に書いてあります。それは具体的にどんなイメージなのか。そういうものが今後の検討の進め方の中に入ってくるのかどうか。その辺はいかがなのでしょうか。

○中垣総務課長 それは今後の検討課題の中に当然入ってくる問題です。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○原澤委員 確認ですが、次回、医薬品のところで、ここだけ「等」が抜けているのですが、等はやらないということですか。

○中垣総務課長 失礼いたしました。「等」入りでよろしくお願いします。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

○坂田委員 同じ発言で大変申し訳ないのですが、安全対策の取組みと漠然と言っても、とても幅広いと思うのです。だからこそ、この6項目にわたって優先順位を付けて、それを丁寧にやっていくというやり方を私は提案しているのですが、いかがですか。

○中垣総務課長 安全性という中で、いま6項目とおっしゃいましたが、それ以外のことも出てくるという可能性もありますので、そういった意味で、それも含めて安全性のことについて私どもで考えている論点を次回に出させていただければと思います。

○永井部会長 この6項目は含まれるのですね

○中垣総務課長 それも含まれるという形でやれればと思います。

○永井部会長 確かに再生とか、機器の問題もあるわけですね。そういう意味で少し幅広くなると思いますが。

○中垣総務課長 はい。

○永井部会長 今日いくつか出ましたので、それも。よろしいでしょうか。

○七海委員 先ほどから医薬品と医療機器と分離して論じられているのですが、医療機器の発達もすごいと思います。医療がそれに伴って進化していく。したがって、先ほどの医療機器の安全対策というのは、わりと見逃されているのではないかという気がするのです。例えば、いわゆるPMDAで出てくる回収情報を見ていると、圧倒的に医療機器が多いのです。医療機器の安全もここで検討するということで理解していいのですか。

○俵木安全対策課長 はい、そうです。医療機器も同様です。

○永井部会長 よろしいですか。そのほか事務局から何かありますか。

○中垣総務課長 次回は4月21日(木曜日)16時から、厚生労働省16階専用第17会議室での開催を予定しております。詳細は後ほどご連絡したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○永井部会長 何かご発言はありませんか。それでは、スケジュールをよろしくお願いいたします。本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局総務課

03(5253)1111(内線2713)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(医薬品等制度改正検討部会)> 第1回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会(議事録)

ページの先頭へ戻る