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2010年7月22日 独立行政法人評価委員会医療・福祉部会(第49回)議事録

○日時

平成22年7月22日(木)9:00~12:00


○場所

経済産業省別館825会議室


○出席者

   上野谷部会長、大島部会長代理、平井委員、真野委員、五十嵐委員、浅野委員、宗林委員、松原委員


○議事

(以下、議事録)
 
○上野谷部会長
 定刻になりましたので、ただいまから、「第49回独立行政法人評価委員会医療・福祉部会」を開催いたします。
 委員の皆様方、関係者の皆様方におかれましては、本当に朝早く、そしてまた猛暑の中お集まりいただきましたことを、心より御礼申し上げたいと思います。本日は關委員がご欠席と伺っております。追っ付け、大島部会長代理もいらっしゃると思いますので、始めさせていただきます。
 本日、お手元の次第のとおり、個別評価第3回目に当たりますが、医薬品医療機器総合機構の平成21年度業務実績に関する個別評価を行います。
 それでは、早速、医薬品医療機器総合機構の個別評価に入らせていただきます。最初に、近藤理事長様よりご挨拶と平成21年度の業務実績、概略のご説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 皆様、おはようございます。委員の皆様方におかれましては、ご多忙の中、また猛暑の中お集りいただきましたこと、感謝申し上げるところでございます。日頃からPMDAの業務に関しましては、ご指導、ご協力いただいておりますことを改めて感謝申し上げるところでございます。
 本日は、平成21年度の業務実績についてご評価いただくということでございますが、その詳細については後ほど担当理事から説明させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 PMDAは、平成21年度から第2期中期計画という新たな目標に向かって、役職員が一丸となり日々取り組んでおるところでございます。まず、救済業務については、請求事案の処理のさらなる迅速化、そして、健康被害救済制度の認知度向上のための積極的な広報活動、これらを進めるとともに、新たに精神面などに関する相談事業を開始したところでございます。
 次に、新医薬品については、まず、治験相談の段階から、有効性、安全性に関する評価を行うという「事前評価相談制度」、それから、治験段階から市販後までの安全性を一貫して管理するという「リスクマネージャー制度」を試行的に導入しております。また、これら様々な取組を進めており、総審査期間も短縮されつつあります。
 次に、新医療機器についても、審査員の増員や研修内容の充実などにより、平成21年度は総審査期間を大きく短縮することはできましたが、審査の迅速化に向けて、引き続き努力していく所存でございます。
 市販後安全対策でございますが、これは審査部門と安全部門の連携によるリスクマネジメントの強化、並びに情報の収集、分析評価の充実、副作用の発生の未然防止、これらに向けて様々な取組をしているところでございますが、今後はさらに、海外規制当局との連携を強化し、米国のUSP、ヨーロッパのEMAに派遣している職員を通じまして、積極的に情報収集や意見交換を行ってまいりたいと考えております。
 また、この4月に薬害肝炎事件の検証、並びに再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会において取りまとめられましたところの「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて」の最終提言においては、国民の生命と健康を守るという使命の下、医療機関、関係企業、行政、これら医薬品医療機器に関わるすべての関係者が、協力して取り組んでいくべき課題が示されたところでございます。PMDAといたしましては、これらの指摘を踏まえまして、医薬品行政を担う組織として、組織一丸となって、今後さらに発展していけるよう努力していく所存でございます。
 最後に、PMDAは、改めて、より有効でより安全な医薬品・医療機器を逸速く国民に届けるため、目標に向かって最善の努力を重ねてまいりたいと考えておりますので、今後とも委員の皆様方におかれましては、ご指導、ご鞭撻をよろしくお願いしたいと思うところでございます。
 簡単でございますが、ご挨拶とさせていただきます。どうも、ありがとうございました。

○上野谷部会長
 ありがとうございました。それでは続きまして、評価の参考に資するために、4月22日に行われました省内事業仕分けと、27日に行われました行政刷新会議事業仕分けでの当機構に関する審議の概要と結果について、事務局から説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 それでは、説明させていただきます。参考資料1をご覧ください。医薬品医療機器総合機構においては、審査関連業務として、医薬品と医療機器の部分、安全対策業務、健康被害救済事業、組織・運営体制の5項目で仕分けが行われております。
 1頁の左側にありますけれども、医薬品の審査関連業務については、「改革案では不十分」が4人、「改革案が妥当」が2人。不十分とした方はいずれも「法人で事業を継続するが、更なる見直しが必要」ということでした。それから、右側にいきまして、医療機器の審査関連業務ですが、こちらは「改革案では不十分」が4人、「改革案が妥当」が2人。不十分とした方はいずれも「法人で事業継続するが、更なる見直しが必要」ということでした。
 2頁、左側、安全対策業務です。こちらは、「改革案では不十分」が2人、「改革案が妥当」が4人。不十分とされた方はいずれも「法人で事業継続するが、更なる見直しが必要」ということでした。右側で、健康被害救済事業ですけれども、こちらも「改革案で不十分」が1人、「改革案が妥当」が5人で、不十分とされた方は、「事業の効率性を高めた上で、国へ事業を移管し実施」という意見です。
 3頁。組織・運営体制については、「改革案では不十分」が4人、「改革案が妥当」が2人。不十分とされた方は、いずれも「更なる見直しが必要」ということでした。
 参考資料2をご覧ください。こちらは行政刷新会議の資料ですけれども、ワーキンググループBのほうで議論が行われまして、審査関連業務、先ほどと同じ医薬品・医療機器について、それから安全対策業務について仕分けが行われました。
 次頁左側に「WGの評価結果」がございます。審査関連業務については、「当該法人が実施し、事業規模は拡充。出向の在り方の問題を含め、ガバナンスの抜本的改革・強化」という評価結果となっております。安全対策業務の結論としては、「当該法人が実施し、事業規模は拡充。ガバナンスの抜本的改革・強化」ということでした。
 参考資料3をご覧ください。こちらは、昨年の政・独委の2次意見の内容となっております。2次意見では、全独立行政法人への横断的なものとして、契約の適正化、諸手当及び法定外福利費の適切性確保について指摘がありました。医薬品医療機器総合機構については、法人個別の意見として、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグに関して意見がなされていますので、当該意見を参考資料として付けております。以上です。

○上野谷部会長
 ありがとうございました。今日の審議の中でも評価の中でもご参考にしていただければと思います。
 それでは、これからの進め方ですが、委員も変わっていませんし、いままでのやり方、評価シートの個別項目を見ていきますけれども、4つのグループに分けて、グループごとに評価をしていただくという方法を取らせていただきます。説明をしていただいて、後に質疑応答をしていただく中で、評価を平行してしていただくということでお願いいたします。
 それではまず、グループ1「法人全体の関係」の項目についての評価に入ります。法人から大体20分ぐらいいただき、その後委員の評定と質疑20分弱で、合計40分ということです。ご協力をお願いいたします。それでは、お願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 それでは、理事の川尻でございます。評価をいただく資料としては、資料1、資料2がありまして、資料2が詳しいわけですけれども、時間の関係で資料1のパネルに従ってご説明をさせていただきます。
 1頁は目次です。2頁、3頁が昨年度と違いまして、事業体系図をお示しするようにと評価官室から指摘をいただきまして、これが本日評価をいただく全体像になります。2頁の上のほうに4分野を入れております。健康被害救済業務、Part2になるのですが、これが4項目。審査関連業務が4項目ありますが、これがPart3。安全対策業務が3項目ありますが、これがPart4。そしてちょっと順番が変わりますが、法人全体ということで適切な業務運営のための組織・予算が7項目ありまして、これがPart1という形になっております。まずPart1ということで、いちばん右側の項目の関係で7項目を説明させていただきます。
 8頁からPart1の資料です。8頁は目次ですので、9頁からが具体的な内容ということです。資料の作り方は、ほかの法人も一緒だと思いますけれども、資料の冒頭に項目を書いています。その上に評価シートの頁数、資料2の詳しい方の頁数が入っております。それから業務報告は白表紙で厚い事業報告書を出しておりますが、その頁数ということですので、適宜ご参照いただきたいと思います。
 それでは、1.-(1)「目的管理による業務運営、トップマネジメント」です。評価の視点としましては、各部門ごとに業務計画表が作成されているか、また、その進捗状況が管理されているか、改善が図られているかというようなこと、あるいは戦略の立案、リスク管理などについて、理事長の経営判断が迅速に業務運営に反映されているかというようなことが視点という形になっております。
 平成21年度の私どもの評価ですが、自己評定については冒頭のいちばん上の箱のところで、自己評定はAとしています。理由は、目標管理制度に基づく事業の遂行というのは、きちっと計画を立ててやっている。理事長以下全幹部が集まり、毎週幹部会を開催しているということで、かなり細かな事項についても理事長のトップマネジメントを発揮しているということです。詳しくは後で見ていただきます。
 それから、平成21年度から新しく取り入れたものとしては、PMDAがかなり大きな組織になってきております。正職員だけで600人おります。従来から、職員の意見を聞く会を法人全体でやっていたのです。25の部とか室がありますが、理事長がお昼の時間に各部を回って、そして新人も含めていろいろな意見を聞くという会も開催しております。それがランチ・ミーティングです。その他業務改善への提案がありましたら、その都度受け付けるということで、「業務改善目安箱」を設置するというような工夫をしております。それがここでの全体像ということです。
 10頁はいま申し上げたことの細目ということです。「目標管理による業務運営」の関係については、業務計画表をそれぞれ組織ごとに作成して、その進捗管理も行っている。それから、業務管理体制の関係では、11頁をご覧ください。どういう会を開いているかというのを一覧表にしております。いまご紹介いたしました、毎週開催しております幹部会の他に、審査の業務進行などを見て、必要に応じて調整をするという審査等業務進行管理委員会を3ヶ月に1回。それから、リスク管理委員会ということで、様々な書類の管理などで、大きな問題にはならないのですが、リスク事案が発生したりいたしますので、そういうリスク管理の委員会は毎月開催しております。
 それから、財務管理委員会ということで、後で説明する機会があるかもしれませんが、特に私どものPMDAの中で、収入の関係で不安定なところが審査部門、要するに承認申請、あるいは相談の関係で、申請次第で収入が落ちていく、あるいは逆に増えるときもあるわけですが、そういうこともあるので、特に審査部門の財政については、どういう状況になっているかというのを見ていく財務管理委員会を毎月開催しております。その他情報システム関係についても、情報システムの関係の本部、あるいは投資決定会議を開いています。
 12頁。1.-(2)「審議機関の設置等による透明性の確保」です。評価の視点は、幅広い分野の方が参加された審議機関が設置されて、そして、そこでの提言などが業務の効率化、公正化、透明化に役立てられているか、あるいはそれ以外の外部評価の仕組み、あるいはグループ制などが構築されて、有効に機能しているかということです。
 平成21年度の自己評価については、同じくAとしております。その理由としては、審査を中心にグループ制のほうはかなり定着をしてきているということ。それから、標準業務手順書(SOP)を、各部門ごとに、主な業務については作成をし終えておりますし、その他細かな分野についても順次作成をしているということ。後で少しご説明をしますけれども、運営評議会という形で、幅広いステークホルダーに参加をしていただいた外部評価委員会、そういう審議機関の下でのいろいろな評価をしていただいているということが理由です。その他できるだけ文書情報をデータベース化することによって、さらに検索機能を高めて、そして業務を効率化していく。あるいは、システムの関係についても、3つの主な業務がありまして、それぞれ別々のシステムからスタートしている、サーバーについても別々だというような歴史をまだ持っておりますけれども、そういうものの最適化を順次進めています。
 13頁。外部の方に入っていただいている審議機関、運営評議会ということです。真ん中の左のほうに説明をしておりますけれども、学識経験者の他に、医療関係者、あるいは医薬品、医療機器の関係業界の方、あるいは消費者の代表、そして薬害被害者の代表の方も複数名参加して、20名の方による運営評議会というものを開催しておりますし、その下に、救済の関係の業務委員会と、審査・安全の関係の業務委員会という、2つの委員会でもって、さらに細かいところを見ていただく、こういう体制にしております。
 平成21年度については、運営評議会が3回、それから各業務委員会については各2回ずつ開催をして、いろいろなご意見をいただき、それを日々の業務に反映させています。
 14頁。効率的な業務運営体制への取組です。PMDAの中だけでいろいろな専門性が確保できるといいわけですけれども、アメリカのFDAに比べましたら、PMDAは人数が増えたとはいえ、10分の1ぐらいの組織です。そういう意味で、外部の専門家、各大学の教授の先生方はじめ、専門委員を委嘱して、それぞれの疾病に関するご意見等々をいただくことにしております。審査安全の関係では、1,000名を超える専門委員を委嘱して、それぞれ申請されてきた薬などによりまして、いちばんご専門の意見を聞くということをやっているわけです。救済の関係も、同じく78名の専門委員にそういうことをお願いしているということです。
 15頁、2.-(1)「各種経費節減」関係です。評価の視点はいろいろありますけれども、主なものとしましては、中期計画に掲げられた節減目標の目標値の達成に向けて、そういう取組が進展しているかということです。
 16頁で、数字を見ていただきますと、まず、一般管理費、事業費の関係については、各独立行政法人共通ですが、一般管理費は5年間で15%、すなわち各年3%の減、それから事業費については5年間で5%の減、各年度1%の減ということですが、当然PMDAにおいても、平成21年度の予算を組むときに、こういう3%、1%の減というものは、もともと予算の中に組み込んで設定をしておりますが、そこからさらに節減が図られているということです。
 真ん中の箱にありますように、一般管理費については、これは効率化対象額といいますか、一般管理費の節減対象額が18億円ほどあるわけです。このうち、後でも少しご説明いたしますが、もともと審査安全の関係で、増員を図るというところに未達成のところがございます。そうすると、未達成のところは、それは法人が努力したというより、努力していない部分ですので、そういう意味で、そういう人件費などの不用額を除いても、さらに3.88億円、4億円近くを削減したということで、20.9%の節減を達成しているということです。事業費の関係についても、同じくそこに書いてありますように、対象経費が103億円のところは、7億円ほど不用額を除いても削減をしておりまして、そして6.8%の節減割合になっています。
 人件費については、PMDAについては増員を図っておりますので、1人当たりの人件費がどの程度節減できているかで見ていくと、平成17年度という基準年をベースにいたしますと、1人当たりの人件費は7%の削減ができているということです。
 よく問題になります随意契約の関係については、これは各省共通ですが、「契約監視委員会」を各独法に置くという形になり、「契約監視委員会」ですべての契約締結案件のところを見ていただいて、そしてこれはもう随意契約で仕方がないというものは認めていただいています。例えば、PMDAの事務所の賃貸は、それは入札というわけにはいきませんので、そういうものは随意契約で残っておりますが、基本的には、それ以外のものは、可能なものはすべて競争的な入札に移行していくことで、そのチェックをいただいているということです。
 17頁、2.-(2)「拠出金の徴収及び管理」です。こちらの関係は、はっきり言いますと、中期計画の数値目標で3つの拠出金、副作用、感染、安全対策の関係ですが、この収納率を99%、あるいはそれ以上にもっていくということです。これも自己評価をAにしておりますが、次頁をご覧ください。
 18頁は下のほうに、拠出金の対象者、あるいは納付者の割合という形になっておりますが、それぞれ副作用の拠出金、感染の拠出金、安全対策等の拠出金というのは、若干数字が違っております。これは、安全の関係が医療機器のほうも拠出金を出していただくということで、いちばん対象の事業者数は多いわけですが、それぞれ見ていただきますと、副作用の拠出金が99.6%、感染の拠出金が100%、安全関係の拠出金が99.0%という数字になっているということで、自己評定をAにしております。
 19頁、「相談体制の整備、業務内容の公表等」です。評価の視点については、「PMDAの広報戦略」は既に策定しておりますが、そういうものに続いた取組がなされているか。あるいはホームページにおける各種の情報提供というのが、国民にわかりやすいものになっているかということです。それについては、20頁をご覧ください。
 例えば広報戦略に関する取組としては、厚生労働関係の記者の皆様を招いた形での勉強会、実際にPMDAのオフィスも見ていただいて、その中でいろいろ意見交換もさせていただくという記者勉強会も開催しております。それから、内定者向けのメールマガジンを毎月出しておりますけれども、そういうものを内向けというだけではなくて、外向けにも見ていただけるような形で、ホームページに掲載をするとか新しい取組をしているところです。また、国民の皆様からの意見を受け付けるということで、一般相談窓口というものをやっております。これは、FAXでもメールでもいいわけですが、そういう形でいろいろな紹介とか相談、あるいは苦情が2,000件余り寄せられています。それから、下のほうは外部監査、あるいは内部監査等々を着実に実施して、それを公表しているということです。
 21頁、「予算」関係です。評価の視点については、予算、収支計画、あるいは資金計画がきちんと実施されているか、あるいは計画と実績との間に差異がある場合には、その理由が明らかにされているかということです。これについては、確かに予算とか計画とは差異があるわけでして、支出がかなり削減されているということですが、自己評定はここもAとなっておりますが、21頁の下のほうで書いておりますのは、経費の削減の関係では、どういうことが効いているかということ。1つは、PMDAが入っています新霞ヶ関ビルの事務所借料を、平成21年度半ばから削減をするということで、家主さんと交渉して、削減をさせていただいた。そういう意味では予算と実際の支出額にはかなり差が出ているということです。
 もう1つは、先ほどから申し上げておりますけれども、随意契約の見直しを着実に実施しておりまして、入札による削減効果が4.8億円ほど上がっているということです。あるいは、審査セグメントの損益の関係で申しますと、もともとPMDAがスタートしたときには、いまのような審査手数料ではなくて、もう少し安い手数料で申請を受け付けたものがだいぶたまっておりまして、そういう意味では累積欠損がだいぶあったわけですけれども、平成21年度についてはかなりいろいろな形で利益が上がったものですから、そういう意味では審査セグメントの繰越欠損というのがだいぶ小さくなった。19.4億円から8.2億円に縮減することができたということを書いております。
 22頁は前に申し上げたことと経費の節減は重複いたしますので省略いたします。それから損益の計算書を別に白表紙に財務諸表等を付けております。見ていただきますと、例えば法人全体で経常的な費用の欄、左側の欄を見ますと、全体で334億円になっていますが、そのうちの1つ上を見ますと、当期総利益が31億800万で、今年度は不用もありますが、いろいろな形での利益が出ています。
 23頁、5.「人事に関する事項及びセキュリティの確保」です。評価の視点としては、まさに増員計画を進めていますが、そういうものの中で職員の資質、能力の向上がきちんと図られているか、あるいは情報セキュリティの確保が図られているかということです。
 24頁、研修の関係については、特に平成21年度新しくしたということではありません。新任者の研修というのは、大体採用後4月から5月にかけて行っております。それ以外に専門体系コースということで、ケーススタディやメディカルライティングを入れたような専門研修というものをやっておりますし、それから、実際に医療や製造現場に行くという実地研修も進めています。平成21年度から始めたものとしては、一般体系コースの中ですが、これからPMDAのいわゆるプロパー職員を中心にキャリアアップすることが大事でございます。そういう意味で中堅職員の研修とか管理職研修ということで、単に専門性だけではなくて、上に立っていろいろな指導管理をしてもらうことの研修も入れていっているという中身でございます。
 25頁、Part1の最後ですけれども、「公募による人材の確保」です。おかげさまで、公募いたしましたところ、技術系の職員については、延べ人数で1,000人を超える応募者がありました。平成21年度4月時点では新人をだいぶ採用できまして、605名という体制になっております。真ん中の表は、PMDAがスタートして、平成16年から平成21年4月までの6年間に256名から605名という形で正規職員が増えている。そのうちの主なものは、審査部門、安全部門であるということで、内訳を書いております。少し分野は違いますけれども、セキュリティの確保については、私ども、企業の機密情報を非常にたくさん預かっておりますし、あるいは個人からの申請書も預かっておりますので、情報の管理は適切にやっていきたいと思っております。そういう意味で、IDカードを使った入退出管理を家主さんの協力を得ながら、徐々に強化をしているということです。
 長くなりましたが、Part1は以上です。

○上野谷部会長
 どうもありがとうございました。委員の皆様方、先ほど申し上げましたように、ご意見、ご質問をしていただき、評価シートに記入していただきます。

○松原委員
 最初の目標管理による業務運営、トップマネジメントについてなのですけれども、いまご説明してくださったことによって、効率的、かつ業務運営について十分な成果をあげたということなのですけれども、何か具体的にこういう成果があがったということがありましたら教えていただけるとありがたいです。

○医薬品医療機器総合機構理事
 これは人事評価と連結をしていますので、各職員すべてが人事評価の目標を定めますし、部全体の目標を定めていくということでありますけれども、当然、いままでの実績を見ながら、こういうことを改善していきたいというのを積み上げてやっています。具体的にと言われますと、まさに中期目標とか事業計画に最終的に反映させていただいて、審査の迅速化でしたら、それを達成できるように、こういうことで取り組んでいこうという形になりますので、申し訳ありませんが、どちらかというと業務計画表を作ること、あるいは各人事評価の目標を定めることによって、新しい取組が出てくるというよりは、PMDAは毎年毎年かなり高い目標が出てきていますので、そういうものを達成するための各組織、各人がどういうふうに努力していくかということでやっている。あるいは、それが実際に進んでいるかどうかというのは、年度の最後に見るということではなくて、年度の途中で、理事長以下全幹部がヒアリングをして、本当にそれが進んでいるかをチェックしています。
 どちらかと言うと、法人に与えられた使命をきちんと遂行できているかという進捗管理に使っているとご理解いただければと思います。

○松原委員
 プロセスとして、そういう組織体制をなさったのはよくわかったのですけれども、いろいろ目標があって、目標管理を最終チェックだけではなくて、中間にチェックをなさっていて、最終的に小さいところ、大きいところを含めて、いろいろな組織全体の達成が効率的にできたということを理事としてお考えになっているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 大体、そういうことです。

○上野谷部会長
 トピックスでもいいですけれども、具体的に、何か目に見えるものがありましたら言っていただきたいということですね。

○松原委員
 プロセスはわかったのですけれども、成果は、何か具体的なことを言っていただけると評価がしやすいです。

○上野谷部会長
 AからSにでもしたいところなのですけれども。

○医薬品医療機器総合機構理事
 ありがとうございます。業務計画表の作成により、具体的な成果があがったかということになると、これから具体的な各3つの分野の事業について出てくるわけです。例えば、あとでご説明しますが、救済の関係でしたら、いままで救済の関係の支給、不支給の決定の情報は1年遅れに近い状況で情報をホームページに提供していました。非常にたくさん整理を要する業務がたまっていたのですが、そこを集中的に組織として取り組もうということで決めた結果、いまは前の月、例えば今月は7月ですけれども、7月でしたら、6月に決定されたものは既にホームページに公表するという形で、情報提供については、大臣のお考えもありますけれども、各人がいろいろなことを考え、組織としていろいろなことを考えて、一時期に集中して取り組めば、あとは大体、淡々とこなしていけるということで、工夫して情報提供の迅速化はやっているということです。例としていいかどうかよくわかりませんが。

○真野委員
 3つほどあるのですが、1つは透明性の話です。審議機関を置かれているということで、これは前からだったと思うのでそのときに聞いてもよかったのですが、運営評議会と下に2つの委員会がある。これはよくわかるのですが、この運営評議会の位置づけなのですけれども、意見交換の場であるということなのです。審議機関というふうに表現されているのですが、意見交換の場というふうにも一方で表現されていますし、評議会というのは、評議員的な意味で言われているのか、何を言いたいのかよくわからないものですから、この評議会の位置づけを教えていただければというのが1つ。
 2つ目は、次の14頁にあるのですけれども、専門委員が1,099名、これも以前から多かったし、たぶん質問も出ていたような感じがするのですが、要するに、非常に多くの方を管理されていると思うのですけれども、もちろん必要で置かれているのだと思います。当然、いま医薬品の分野はかなり多岐にわたっていますので、必要だと思うのです。どういう観点でどういう感じにしているか、あるいは、例えば循環器のように非常に専門家が多い部分においては、どういう基準で先生たちを選んでいるのか、そういう部分を教えていただければと思います。
 3つ目は、人事のところなのですけれども、新しく採用されている方が多いことはわかったのですが、離職の数もお教えいただいて、ターンオーバーがどんなふうになっているか教えていただければ。この3点です。

○医薬品医療機器総合機構理事
 運営評議会については、事業年度業務報告書の236頁に規程等を置いていますが、私ども運営評議会を置くというのは、この機構法ができるときの国会審議の関係で、要するに薬害被害者の方も含めて、幅広い関係者の方々から常に意見を聞いて業務運営に反映するようにということでありました。実際に運営でやらせていただいていますのは、例えば翌年度の予算、あるいは事業計画を決める、最終決定をする前に運営評議会を開催しまして、そこで、ご意見をいただいて、必要に応じて、そういうものを変えた上で、翌年度の事業に入ることにしています。
 各業務委員会もそうですけれども、年度途中で上半期の実績も各業務委員会で報告をして、それがきちんと進んでいるかどうか、あるいは、こういうところはもっと改善したほうがいいのではないかというご意見もいただいて、それを年度の後半の業務に反映させる形にしています。確かに審議機関という言い方が適切かどうかわかりません。法律に基づくものではないのだけれども、国会でのご議論を踏まえた形で重要なもととして扱っていますし、事実上は事前にいろいろなご審議をいただく機関として位置づけています。
 専門委員の関係は、あとで別の者がお答えしますけれども、人事の関係では、例えば離職率の関係については、平成20年度、平成21年度に採用した者が、それぞれ新人ですが、98名、118名います。そういう者が今年の6月1日までに何人退職しているかということですが、平成20年度採用者98名中2名、平成21年度は118名中4名です。具体的な理由はいま手元にないのですけれども、PMDAは、別に男性、女性は問いませんけれども、女性の割合も高いものですから、どうしても東京を離れざるを得ない事情が出てきたときに退職をされるとか、いろいろな形で退職をされることもありますが、比較的、いま申し上げたように離職率は低いのではないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 あと、専門委員の委嘱の関係ですが、これは諸外国も同じですけれども、ある程度私ども内部で審査、安全の評価はできるようになっていますけれども、世界最高水準の最終的な判断を求めるということで、審査、安全対策業務、場合によりましては救済業務でも専門委員を委嘱しているということです。これは、言い方が適当かどうかわかりませんけれども、専門委員の先生方をプールという形にしていまして、それぞれの品目なり案件によって、その分野にふさわしい専門委員にその議題のときにお出でいただいて、最終的な判断をする際の参考のご意見を伺う形になっています。したがいまして、先生がおっしゃいました循環器のような分野ですと、いま手元にないのですが、おそらく何十人というレベルでの委嘱をお願いしていると思います。以上、そういう状況です。

○真野委員
 ありがとうございました。いまの専門委員で、まず確認させていただければと思うのが、例えば循環器の方が何十名か見えるというと、具体的にどういう基準でその中の方に何か特定の案件をお願いするのですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 例えば、高血圧、高圧薬の場合ですとかコレステロール低下薬の場合、内科系のものの場合もありますし、医療機器のように、ステントと言いまして、冠動脈を広げるような機器の場合、いろいろなケースがあるようでありますし、それに伴う副作用の評価になりますと、循環器だけではなくて、例えば脳外科の先生の話を聞かなくてはいけないといったこともありまして、その案件、案件によりまして、場合によっては診療科を超える形で集めることがあります。もちろん、薬の品質とか、毒性についての評価が必要な場合には、そういう基礎分野の専門家にも集まっていただいてご意見を聞くこともあります。

○真野委員
 そうなのですが、例えば別に循環器に限らなくてもいいのですけれども、学会等々でご意見が分かれるケースがありますよね。ある方は、こういう治療法なり、薬を非常にいいと思っているけれども、ある先生はそうではないというような場合も想定されると思うのです。そういうバランスはどういうふうに考えられているのですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 審査担当理事からお答え申し上げます。いまの専門委員については、最も大事なところは、それぞれの先生方がいろいろな形で新薬の開発にかかわっておられますので、利益相反ということで、その趣旨に抵触しない形を最優先させて選ばせていただきます。実際に医療現場で診療行為に当たっておられる、最前線の治療にかかわっておられる、そういう形で選ばせていただいていますので、いま、専門委員個人個人のことについてはいまのご指摘のとおりでして、そのほか学会等でご意見をいただくときには、学会のほうにご意見を交信してお答えをいただく。それぞれのケースで分けさせていただいています。

○真野委員
 学会全体にご意見を聞くようなケースもあるわけですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 あります。

○真野委員
 なるほど。そうすると、そういう意味ではバランスが取れる部分もあるということですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 ただ、いまご指摘がありましたように、学会にもいろいろな学会がありますので、そこも十分配慮しながら進めているところです。

○真野委員
 わかりました。いちばん最初の話で、もう一度審議機関云々の確認ですけれども、そうすると、いまの評議会というのは特に拘束力があるわけではなくて、あくまでご意見をお聞きして、別にこれを守らないといけないという話ではなく、もちろん重視はされるでしょうけれども、特に拘束力があるわけではないのですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 説明が悪かったかもしれません。法的な意味での拘束力はありませんけれども、私どもは非常に大事な機関ということで、少なくとも本法人の関係ではいちばん最優先の機関と思っていますので、そこで出てきたご意見、もちろん事情を申し上げてご理解いただく場合もありますけれども、どうしても変えるべきということであれば、それは変える形で、可能な限りそのご意見に従って計画とか予算も変えるということで臨んでいます。

○真野委員
 実際にそういうふうに変えられたこともあるということですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 計画につきましてはあります。

○真野委員
 わかりました。ありがとうございました。

○平井委員
 私たち、現場にいる人間としては、なるべく具体的なものがあるほうがわかりやすいので、例えばいまの真野委員のご意見にしても、具体的にこういうことが変わったとか、こういうふうにやったというようなことが、限られた紙面ですけれども、お書きいただくと非常にわかりやすいのではないか。松原委員のご意見もたぶん、そういうことだと思うのです。だから、こういう文章の書き方に私たちがなじんでいないのもありますので、そういう書き方をしていただけると非常にありがたいと思いました。
 私がお尋ねしたいのは、経費の削減ということなのですけれども、我々の感覚からすると、ちょっと削減すると億単位で削減されるというのは、逆に言うと、それだけ前年度は余裕のある生活をされていたのかと思ってしまうので、具体的に家賃をカットするとか、あるいは競争入札という話がありましたけれども、実際、具体的にどういうふうにしたらそんなに節減ができるのかということをお教えいただけると非常にありがたいです。

○医薬品医療機器総合機構理事
 各事業の具体的な話はおって出てきますけれども、いまの経費の削減の関係については、あまり具体的に言うと大家さんにしかられるのですが、実際に私どもがいま借りています新霞ヶ関ビルですけれども、そこについては、ビルもかなり競争が厳しくなってきているものですから、3割近い家賃の削減をしていただいている。そうでなければ、別のビルへ出ていきますということで、実は第2期の計画全体ではそういう移転のことも考えていたのですけれども、おかげさまで削減をしていただいたということで、年間10億以上の家賃を払っていますので、そこがかなり大きいということですし、それ以外でもいろいろな調達関係、あるいは人材の、例えば派遣の関係についても競争が激しくなってきているものですから、質はよく見ないといけませんけれども、同じように入札をかけても、金額が、それなりに下がるというのが、これがずっと続くのかどうかがよくわかりませんが、平成21年度の実態ということでした。

○平井委員
 いろいろ多方面にわたって努力をされている、その集積がこれぐらいの額になるというふうに理解してよろしいわけですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 随契から入札に変えた年ですので、毎年毎年このような数字が出てくるかというと無理だと思いますが、事務所の関係が大きかったということと、入札化したことによる削減額がかなり大きく出ているというのは事実だと思います。

○平井委員
 ありがとうございました。

○上野谷部会長
 かなり強い交渉をされたと聞いておりますが。

○宗林委員
 3点あります。1つは、何年か前に比べますと人数が巨大化した組織になったわけですけれども、それに伴ってトップマネジメントというお話がありました。組織全体として、内部統制が、委員会の設置とか、何かそういったものがないのかどうかということです。もう1点、同じ観点なのですけれども、情報のセキュリティという観点で、入室のところで何かをするというお話がありましたけれども、1つひとつの情報そのものを、例えば、フラッシュメモリーであるとか、いろいろなものの管理をどのぐらい厳しくされているのか、持ち出しの関係とかそういったものを。具体的なお話は結構ですけれども、それがすごく気になります。たくさんの人間が新しくかかわるということに関して、内部統制とセキュリティの問題は非常に気になるので、いまお答えになるか、あるいは今後の運営のためにということでお聞きしたいと思います。
 2点目は、ほかの先生と同じなのですが、外部委員は、私たちの委員会もそうでしょうし、運営評議会もそうなのですが、具体的に何の意見が出て、それに対して何が反映されたのかということが毎年ないのですよね。ですから、厚生労働省と非常に関係の強い法人であるということで、厚労省との関係はあるのでしょうけれども、第三者、例えば国民であるとか、第三者との関係において、社会の中でどう意見が反映されていくのかということが非常に見えにくいということで、今後はその資料を是非盛り込んでいただきたいと思います。
 3点目は、お金の関係なのですが、自己収入の割合が非常に高くなっていますよね。だから、私は業務の内容から言えば、民営化しろとは思いませんけれども、是非とも安全対策のところはメーカーの審査手数料ということではなくて、国費というかきちんとしたお金をそこに当てていただいてということをお願いしたいということです。ちょっと質問と意見とグチャグチャですけれども3点です。

○上野谷部会長
 お答えになる前にご質問のある方、少し併せて答えていただきます。

○五十嵐委員
 関連はないのですけれども、予算、収支計画、資金計画のところで、審査セグメントの損益のところを特に強調して説明されているのですが、これはセグメントですから審査等勘定の中の一部分ですよね。そうしますと、当期利益は、この公表されている財務諸表の中で、セグメント情報で出ていますが、繰越欠損金がどう動いたというのは、公表された決算書の中で説明されているのでしょうか。

○上野谷部会長
 まず、そのあと質問があるかもしれませんので、これについて先にお答えください。質問を続けていいですか。浅野委員、関連しますか。

○浅野委員
 関連はないです。

○上野谷部会長
 ちょっと、事実だけ。

○医薬品医療機器総合機構理事
 すみません。いま、該当箇所を捜しています。それ以外のことをお答えしながら、五十嵐先生の質問に答えるということでよろしいでしょうか。

○上野谷部会長
 簡潔にお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 まず、宗林先生のお話にありましたトップマネジメントの関係は、先ほど申し上げましたけれども、確かに大きくなってきています。平成21年度から始めたわけではありませんが、部長以上の幹部が毎週集まって、別に自分の部のことだけではなくて、ほかの部がどういう仕事をしているかということもわかるようにという形で、幹部会を毎週火曜日に定例で開催をしているということですし、これから変えなくてはいけないところがあるのかもしれませんが、重要な事項はそれぞれ担当役員まで決裁を取る形になっています。そういう意味では比較的いろいろな意見交換ができているのではないかと思います。ちょっと意味が違うかもしれませんが。

○宗林委員
 昔からトップマネジメントをよくやられていると思うのですが、その下がすごく増えたことによって、全体的なことがきちんとされているのかどうか、給付金も含めてですけれども、大変心配なのです。

○医薬品医療機器総合機構理事
 幹部会の関係で言いますと、幹部会の資料は、できるだけPMDAの職員全員が知ってもいいような形で、あまりむちゃくちゃ機密性の高いものは扱わないようにしていますので、幹部会の情報は、各部のやり方にもよりますけれども、その直後にこのような話があったということで部員を集めて話をする形にしている部長が多いと思います。そういう意味では、法人全体の動きを各職員にはできるだけ伝えるように工夫をしています。
 情報セキュリティの関係につきましては、PMDAに来ていただきますと、従来は、エレベーターが自由に止まったのですが、審査とか、救済関係でいろいろ機密情報、個人情報を扱っているところは、やはりエレベーターも止まるのは危ないだろうということがありまして、エレベーターについても、外部の人はカードによって止まらないようにという形の管理を始めています。
 記憶媒体については、確かに私どもが出張をしたりするときに、USBメモリーを使ったりすることが多いです。これについては、きちんと管理をすることになっていますが、どうしてもそれをコピーしてしまって、それに残してくるとまずいということもあります。まだ全部実現はできていませんが、コピー禁止、きちんとUSBからどこかのパソコンにコピーができないようにする形でのUSBメモリーをPMDAで購入して、そういうものを使って情報が流れないようにするとか、いろいろな工夫はしていますが、まだまだ民間の企業に比べると不十分なところがあるかもしれません。そこら辺はリスク管理委員会で、いろいろな議論をしながら進めています。
 自己収入の関係についてご指摘がありました。これは平成21年度の予算の関係でも話があったかと思いますけれども、安全部門については、従来は安全関係の拠出金という形で、医薬品あるいは医療機器の製造販売業者の方々から、それぞれ売上に応じて拠出金を取っているということで、ほとんど国からはお金が入っていない状況でしたが、平成21年度から安全対策要員を100人増員するときには、ほぼ半分は国費を入れるということです。正確に言いますと、分野に応じますが、100人中47人分は国費でもって、安全対策要員を増員する形で付けていただいています。そういう意味でいうと、救済、審査、安全の3分野の中では、安全部門に国費がいちばんたくさん入っている状況にはなっていますが、FDAに比べますとまだまだ少ないではないかと言われれば、そのとおりかもしれません。

○上野谷部会長
 浅野委員どうぞ。

○浅野委員
 Part1のいちばん最初に、「機動的な業務運営」というのがあったと思います。新型インフルエンザのワクチンの緊急輸入のときにあったと思いますが、あのような危機的な状況がありますよね。従来はPMDAは、こういったような状況にあまり関係ないのかなと思っていたのですが、実際の定常業務である審査業務に変わって、こういうような危機的な状況で、緊急に何かものを輸入しなければいけない。あるいは、思いもよらないような不測の天災等で何らかの医薬品が必要になるけれども、これは国内で作れずに、海外で承認のない所の工場から入れなければいけない。いろいろなものがたぶん今後想定されてくると思いますが、そのような危機的な状況での危機管理計画みたいなものについて、何らかの対応について取組があれば、ご意見をいただきたいなと思っています。

○上野谷部会長
 ありがとうございました。質問等は、このぐらいでいいですか。では、残っておりますお金のことと、いまの件をどうぞ。

○医薬品医療機器総合機構理事
 まず累積欠損の関係ですが、結論から申し上げますと、その数字を書いた資料はありません。大変申し訳ないですが、財務諸表の関係の134頁の各年度ごとのセグメントにも分けた形での事業損益の推移は入れていますが、これも平成17年度からスタートしています。134頁の上のほうの表で、例えば審査セグメント、平成17年度であれば10億の損ということで、これを足していくと出てくる数字ですが、今回の表には入れていませんが、ホームページ上では公表しています。今日の配付資料の中には確かに入っていないことはお詫びを申し上げます。

○五十嵐委員
 この資料は、もともとセグメント情報の中でここまでの話をするのはちょっと無理ではないのかなというのが正直なところなので、財務諸表の中で表現されている勘定ベースのところで、この辺の説明をされれば、何もセグメントのところまで絞って無理にこれだけの成果をあげましたという説明をするまでもないのではないかなと。あくまでも、財務諸表の範囲内の中の数字でどうなっているかという説明をされないと、あとで、どうしてこれを評価したのかと言われてしまうと思うので、その辺の対応をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 わかりました。以後気をつけます。

○医薬品医療機器総合機構理事
 先ほどの外部委員のことについてお答え申し上げます。私は4月からこの審査担当理事になりましたが、ご指摘の外部専門委員をどのようにということは非常に重要なことだと認識しています。まず、大きな前提ですが、これはあくまでも審査においての専門性ということを重視して選んでいますので、国民の目線から立ったときにも、これは審査する上での専門性ということで、それぞれの国民の方々の別の立場のことについては、ほかの形でご参画いただいている。その中で専門委員について公表も含めてご指摘がありましたが、いちばん大きな問題として利害関係があるか、ないかとか、その方々に審査を的確にやっていただく、そういう専門的なことをやっていただけるかが非常に重要ですので、これについては審査安全業務委員会で、的確な人選を行えるかどうかを私どもで調べて、ご報告を申し上げています。公表については、その方々の中立性等々を保つということで、現在行っていません。

○医薬品医療機器総合機構理事
 危機管理の関係です。ご意見をどうもありがとうございました。機構全体としては、最初のいろいろな運営評議会等々のところで申し上げましたように、リスク管理委員会というのをPMDAの中に作っていまして、いろいろな危機管理については一応対応する形になっています。ただ、浅野委員ご指摘のように、確かにインフルエンザのワクチンで、緊急の例外承認といったようなものが必要になりまして、欧米の承認が先行しているところで、そこから輸入をしてくるとか、これは最終的には厚生労働大臣ですので、厚生労働本省と連携を取って、私どもも安全性や有効性の評価の部分で協力をする対応を取ったということですが、ここはまさしく全体としましては、国家の危機管理の中で、私どもも厚労省に協力をして対応したということです。このワクチンの問題については、ワクチンを接種後のいろいろな副作用のフォローの問題等もありまして、これも後ほど個別のPartでご報告をしますが、そういう意味では本当に何年に一遍来るかどうかというような危機管理の事例が平成21年度は来てしまったということで、そこの部分はかなり手探り的にやった部分はあると思いますが、それなりに、一応厚生労働本省に協力して対応することができたのではないかと考えています。ご意見は真摯に捉えて、今後、全体的にどうするかということは、少し検討してまいりたいと思います。どうもありがとうございました。

○浅野委員
 危機の問題ですので、将来のことなので、今後こういうことが起こるというのもなかなか言い難いところはありますが、いろいろな生産や製品に関するものは非常にグローバル化が進んできていますので、餃子事件ではないですが、医薬品も全く無関係ではない状況ではありませんし、そういうものにPMDAが何らかの形で関わって、行政に協力していくこともあり得ると思うので、そういうときは組織的には、従来想定外のものだと思います。そういうときに、どういうように人的配置をして、どういうふうにマニュアルで解決していくかを機動的な運営の中に万一のことではありますが、是非お考えいただければなということを付け加えたいと思います。ありがとうございました。

○上野谷部会長
 ご意見として、お聞きいただきたいと思います。時間が超過しておりますので、これで評価をよろしくお願いします。グループ2に入ります。よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 Part2の説明をします。26頁は目次です。27頁の救済の関係の最初の項目は、「救済制度の情報提供、相談体制の充実」です。評価の視点は、ホームページにおいて各種の救済事例や業務統計をきちんと公表しているか、救済制度自体を幅広く国民に周知しているかです。数値目標は、平成25年度という中期計画全体を通じた目標ですが、一般国民の確実認知度、あとで申し上げますが、これを10%以上にするということです。自己評定はAにしています。細かな話は28頁をご覧ください。
 平成21年度に行いました一般国民、医療関係者、それぞれに分けた健康被害救済制度、これは、医薬品の副作用と生物由来製品関係の救済制度の2つがありますが、副作用関係の認知度について言いますと、一般国民が「知っている」という確実認知が5.3%。中身はよくわからないけれども、「名前は聞いたことがある」方が33.8%で、全体が39.1%で、まだ5割に達していません。医療関係者にも同じような質問をしていますが、トータルで80%になっています。ここをそれぞれ上げていきたいということで、今年の2月を中心に、この調査結果を受けてどういう広報活動がいいかを外部の意見も聞きながらやりました。例えば交通機関、地下鉄などの扉にステッカーを貼る工夫や、病院に行って待ち時間のときに見てもらうということで、院内ビジョンで救済制度のビデオを流すという新しい取組をしました。救済制度の相談窓口についても、専任の職員を昼休みも含めて常時配置をしているということで対応しています。
 その関係の実績ですが、実際に電話で相談をいただいた件数は、平成20年度が1万7,000件余りのところを、平成21年度は3万4,000件と倍増しています。救済制度に関するホームページへのアクセスについても、6万7,000件から8万7,000件と、3割ほど増えていることが平成21年度の実績です。?Aの積極的な広報活動の実施は、特に医療関係者に知っていただく形になりますと、各種学会にできるだけ出掛けて行って、少しでもお話をさせていただくことも必要なのかなということで、救済部の関係の幹部を含めた職員が、いろいろな所に出掛けて行ってお話をしています。
 29頁。救済関係の2.「業務の迅速な処理及び体制整備」です。こちらは、いろいろなデータベースの整備を進めるとともに、最終的には救済関係の事案についてできるだけ早く処理をしていくということです。中期計画上の数値目標、平成25年度までの目標となりますと、6ヶ月以内に処理できるものを60%以上にしようということですが、平成21年度は1年目ですので、どういうふうにするかというと、目標的には70%以上を8ヶ月以内に処理して、最終的な目標期間である6ヶ月以内で処理できる件数の増加を図るということです。これもデータをご覧ください。30頁です。
 時間の関係で、上のほうの副作用被害救済の表だけご覧いただきますと、こちらについては年々請求件数が増えています。平成21年度は、請求件数が1,000件を超えました。決定件数も990件で、前年度に比べると処理件数自体がかなり増えています。そういう中で下から2番目の達成率、これは8ヶ月以内で処理したものの割合ですが74%でもともと目標としていた70%以上という数字をかなり上回っています。29頁のいちばん下の、6ヶ月以内で処理した件数も、平成20年度が355件だったところが360件ということで、全体で相当の件数を処理しながら、6ヶ月以内の処理件数も増やしています。
 31頁。3.「部門間の連携及び保健福祉事業の実施」です。部門間の連携というのは、特に救済と安全の関係の連携が重要になりますし、評価の視点ということでは、個人情報に配慮しつつ安全対策業務に適切に各種の救済情報が提供されているか。それから、保健福祉事業というのは、基本的には副作用被害に遭われた方々に対する各種の給付以外の事業ということですが、そういうものが着実に実施されているかということです。これについても、32頁に具体的に書いてあります。
 まず、情報伝達の関係については、支給・不支給などの情報について、個人情報を処理した上で、それぞれ安全対策部門に迅速に提供することを進めています。保健福祉事業の関係については、1つ目に書いてありますように、重篤かつ希少な健康被害に遭われた方に対するQOL向上のための調査研究というものを引き続き実施をし、ホームページで公表する。特に新しい事業としては、薬害被害者の方々からもいろいろご要望のありました健康被害救済制度の受給者、あるいはそのご家族に対する精神面の相談ということで、PSWなどの専門家を置きまして、精神面での相談や各種介護サービスなどの福祉サービスを利用するときのいろいろな手続あるいは窓口をご紹介する形で、1件1件丁寧に対応するような相談事業を今年の1月から開始しています。
 33頁。4.「スモン患者血液及び製剤によるHIV感染者等に対する受託支払業務等の実施」です。これは、医薬品副作用被害救済制度や感染の救済制度ができる前に、いろいろと薬害等があったということですが、そういう方々に対する事業ということで実施をしています。具体的には34頁をご覧ください。3つの事業があります。受託支払業務は、裁判上の和解が成立したスモン患者に対する健康管理手当あるいは介護費用の支払ですが、受給者2,075名にトータルで14億円強の支払いをしました。次の業務は、HIVの感染者あるいはまだ発症されていない方、いろいろなケースがあるわけですが、財団法人友愛福祉財団からの委託事業によって、調査協力費を支払いながら調査研究事業を続けています。こちらについては、受給者700人弱のところ、5億円強の支給をしています。最後は特定救済業務で、いわゆる特定フィブリノゲン製剤などによるC型肝炎の被害者に対する一時金給付です。こちらは平成21年度で3年度目になりますが、実際には、661名に137億円余りの給付金を支払いました。
 駆け足になったかもしれませんが、以上です。

○上野谷部会長
 それでは、ご質問、ご意見をどうぞ。

○宗林委員
 簡単な質問です。副作用救済制度の認知度ですが、パッケージに書くようになってから非常に上がったようなイメージがあります。今年度は39.1%で、その前の年、過去はわかりますか。どのぐらい上がったのですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 私どもが調査をしたのは平成21年度が初めてです。今年度はまたやることにしていますが、過去に同じような調査はありません。ただ、おっしゃるように、一般薬の関係の外箱に表示をしていただいたので、少なくとも、先ほど見ていただいた電話による照会件数は非常な勢いで増えているということで、おそらく認知度は上がっているだろうとは思っています。

○宗林委員
 この認知度は、販売制度が変わってから、パッケージに書かれたあとの数値ですよね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 そういうことです。

○五十嵐委員
 29、30頁の処理件数で、数字の関係がよく理解できないのですが、達成率74%というのは、どれとどれの比率ですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 例えば平成21年度で処理しました990件中、8ヶ月以内に処理した割合が74%ということです。

○五十嵐委員
 このうちの74%ということですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 はい。

○五十嵐委員
 先ほどの6ヶ月以内の360件のパーセントを出すには、360件を990件で割ればいいということですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 おっしゃるとおりです。30数パーセントになると思いますので、まだまだ・・・。

○五十嵐委員
 6ヶ月以内に処理できるようにすることに向かっての今年度の実績が、36%という理解でよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 おっしゃるとおりです。

○五十嵐委員
 了解しました。ありがとうございます。

○浅野委員
 副作用の救済情報の感染救済ではないほうのことですが、請求件数が1,000件ぐらいあって990件が決定件数で、支給決定が861件ですが、これだけを見ても、具体的にどのような薬剤で、どんな被害があったかというのが見えないのです。個人情報を配慮して、安全対策部門にはそういうものを提供しているということなので、1つは安全対策部門で、監視とか、注意をしていかなければいけないという、具体的に対策を取られているようなケースがあるのかどうか。あるいは、もう一歩進んで、これをホームページ上で公表してしまう。そうすると、確かに消費者に誤解を招く点もあるかもしれませんが、こういうものに対してはこういう副作用が起きることがあるのだと、医療関係者や一般の方もそう認識していれば、実際に起きている症状はこういうのに関係があるのではないかということで、もっと啓蒙になるのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 まず公表の関係については、先ほど舌足らずだったかもしれませんが、すべて決定した支給・不支給のケースについては、個人情報は入りませんが翌月に公表しますので、どういう薬剤でどういう副作用が起きたかというのは、ホームページで見られるような状況にしています。それから、どういう分野で健康被害がたくさん発生しているかについては、この厚い業務報告の後ろに入れていたり、いろいろな形で公表もしています。例えば器官別でいうと、皮膚や皮下組織の関係、神経系あるいは肝機能系が多いという情報や、薬効群的にいいますと、中枢神経系のお薬や抗生物質というものが多いという情報提供はしています。しかし、こういう件数というのは使用量にもよりますので、必ずしも発生頻度ではないので、そこら辺はまたこれからの検討課題だと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 それから、救済の事例を安全対策に活かすべきではないかというご趣旨のご指摘かと思います。その点については、運営評議会等でもご意見をいただいていまして、この救済制度自体は基本的には適正に使用されたにもかかわらず、避けられなかった副作用ということで救済するわけですが、ここに出てくる検討事例の中には、医療機関側で検査をきちんとしなかったために副作用を起こしてしまったのではないか、という事例もありますので、そういったものについては安全対策のほうで引き受けまして、より注意喚起を行う対応を行っています。

○浅野委員
 わかりました。

○宗林委員
 同じくいまのところですが、副作用が起きている救済という意味ではユーザー側の情報になるわけです。副作用情報を入れていく意味では、医療関係者や企業からということになるだろうと思いますが、企業側によって副作用報告を上げる、上げない、上げなくてはいけないのですが、そこに多少の温度差があるケースもあるように感じる場合があります。使った側からの副作用救済でかなりの件数が上がっているのに、副作用情報として上がってこない。それは実は違反になるわけですが、そういった温度差があるものについても是非注視していただきたいので、ここの情報のリンクというか一致性、傾向をしっかり見ていただきたいなと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 ありがとうございます。副作用の関係で、患者からの副作用の収集なども将来的に考えるべきということかと思いますが、先ほど冒頭で理事長から説明のありました検討委員会でも指摘をいただいていますので、そちらの実現に向けて、いま内部的には鋭意検討中です。それから、一応、企業にとりましては副作用の報告の義務は、かなり厳格には定められておりますので、そちらについてもきちんと指導してまいりたいと思っています。

○平井委員
 相談事業の件数がかなり増えたということで、非常に結構だと思いますが、この相談をされた方々の満足度についてお調べになったのか、そういう計画をお持ちなのか。それと、スモンやC型肝炎、HIVなどがありますが、その受給者への支払額が34頁に出ています。受給者というのは、対象者は100%受給されているということになっているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 確かに相談件数は増えていますが、実は説明を省きましたが、一般薬の外箱にPMDAの電話番号が書いてあるので、「このお薬はどういうお薬ですか」とかのご相談が多くて、本当に救済関係について相談したい人からは、電話が塞がってつながらないという苦情もいただいていたので、9月の終わりぐらいから、最初に「救済制度に関するご相談については、このままお待ちください」というテープを流して待っていただいて、一般的なそれこそメーカーに聞いていただきたいときには、そちらで対応する工夫もしています。そういう意味では、相談件数がここまで増えると、かえって弊害もあるということですが、いずれにしても満足度については、認知度のような調査をいまの段階で検討しているわけではありません。
 各種の受託事業の関係は、基本的に申請いただけば大体受けていただけるということですが、それぞれどういう状況にあるかということで、感染の事実がないといけませんし、発症されているかどうかで金額が違ってまいりますので、それぞれ申告を出していただいて、対象が外れたり金額が下がったりすることはありますが、基本的には手を挙げて対象者であることが確認できれば、健康管理手当などのお支払いはできるということです。それから、特にスモンの関係は、あまり新しい方は出てこないということだと思います。

○上野谷部会長
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、いまの段階で評価をお願いします。先に進みます。Part3をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 Part3についてご説明いたします。資料1の35頁です。審査業務については1.-(1)医薬品、(2)医療機器、(3)各種調査、2.「審査等業務及び安全業務の信頼性の向上」についてご説明いたします。
 36頁。医薬品の審査等についてです。これについては、自己評定Aを付けました。評価の視点については、そこに2つ○がありますように、中期計画に掲げられた各種取組が着実に実施されているか。新しい審査方式の導入等の取組が着実に進展しているかということです。その下の数値目標については、以降具体的なところを挙げながら、ご説明いたします。
 37頁。評価理由及び特記事項も、これから数値を挙げてご説明する中に重複しますので、その中でご説明いたします。
 38頁からです。?@的確かつ迅速な審査の実施が行えるようになったかです。最初に、平成21年4月に、抗がん剤の分野を専門に担当する新薬審査第五部を新たに設置しました。そして、新薬審査部門全体の体制をさらに強化しました。また、この医薬品の審査と、いちばん最初のPartで具体的な改善策ということがありましたが、新薬の審査全体がどのように進んでいるかというプロジェクトマネジメント制度が非常に充実しています。そして業務の進捗状況については、審査等業務進行管理委員会あるいはセグメント会議を毎月開催しています。続きまして、審査等についての審査者との共有あるいは電子化等について対応しています。
 具体的なことですが、39頁の?Aをご覧ください。新しい審査方式の導入としては、「事前評価相談制度」を平成21年度から試行的に導入しました。そして平成21年度においては7品目について事前評価相談を行い、遅く申請があったところはいま進行中ですが、5品目については既に終わっています。また、治験段階から市販後までの医薬品の安全性を一貫して管理する仕組みとして、「リスクマネージャー制度」を試行しています。
 40頁。ドラッグ・ラグ解消に向けた審査期間の短縮です。新医薬品の審査期間については、中央値、全体の50%の目標は平成21年度においては、優先品目に関して11ヶ月、通常品目に関して19ヶ月です。それに対する実績ですが、次の2つの表にありますように、上の表は優先品目の実績、下の表は通常品目です。この中で、2つの点を強調したいと思います。総審査期間は11ヶ月の目標に対して11.9ヶ月、通常品目は19ヶ月のところ19.2ヶ月と、若干ですがオーバーしています。通常品目のいちばん下は審査が終わった件数ですが、平成17年度から平成20年度を比べますと、平成21年度は92件と大幅に増加しました。その総審査期間が19.2ヶ月だったということです。
 41頁です。国際調和、国際共同治験については、欧米アジア諸国、諸国際機関との連携強化で、種々行っています。2ポツですが、私どもの幹部職員がliaison officerとしてEMAあるいはUSPに常在して、そこから情報を入手し、なおかつここには書いてありませんが、最も新しい情報をホームページにも公表しています。そのほか、欧米アジア当局と会議を行ったり、日中間のWGを行う、その他国際調和のICH等々を行っています。
 42頁。国際共同治験の推進です。平成21年度治験計画届総数560件のうち国際共同治験関係は113件でした。これがどのように推移しているかといいますと、平成19年度は7.5%でしたが、平成21年度は20.2%と大幅に増加しています。治験相談についても、そこに書いてあるとおりです。
 43頁。治験相談等の円滑な実施です。ここでまず強調したいことは、最初の矢印にありますように、申込みがありましたすべての治験相談に対応し、370件対応を実施しました。具体的な数字は、真ん中の表にあるとおりです。?E新技術の評価等の推進ということで、新しく医薬品の開発に関わるものとして「ファーマコゲノミクス・バイオマーカーの相談制度」を新設しました。このうち1件が平成21年度において実際に相談があり、実施しました。また、「先端医療開発特区(スーパー特区)」についても、厚生労働省が実施する薬事相談会に協力する。あるいは、カルタヘナ法についても行っているとおりです。以上が新医薬品についてです。
 44頁。一般医薬品及び後発医薬品です。2つの表があります。上の表は、それぞれ目標値です。後発医薬品については10ヶ月、一般医薬品については8ヶ月、医薬部外品については5.5ヶ月の行政側の審査期間の目標を掲げました。それについて、実績がその下の表にありますが、それぞれ7.5ヶ月、4.6ヶ月、4.8ヶ月というように、すべての医薬品について目標を達成しました。
 45頁からは、医療機器についてご説明いたします。1.-(2)「医療機器の業務の迅速な処理及び体制の整備」です。これについては、自己評定Aを付けました。評価の視点として、主なものを2つ掲げました。医療機器について、的確かつ迅速な審査を実施していくために、中期計画に掲げられている各種取組が着実に実施されているか、新医療機器について、中期目標で掲げられている新しい審査方針の導入等に関する取組が、着実に進展しているかです。これについては、平成20年度にアクションプログラムを定め行っています。数値目標はそこに挙がっていますが、46頁から具体的にご説明いたします。
 46頁に「評価理由及び特記事項」があります。最初の行にありますように、厚生労働省において「医療機器の審査迅速化アクションプログラム」を定め、これに基づいて平成20年度から私どもの機構でいろいろな体制を整えています。また、それぞれについての総審査期間等を設置し、行っています。これについて、47頁から具体的にご説明いたします。
 47頁。?@的確かつ迅速な審査の実施ということで、新たに医療機器審査部を2部制にしました。すなわち第1部、第2部を設けまして、審査が迅速に行えるように体制を強化しました。また、新医療機器あるいは後発改良等の3トラック審査制を順次実施するための制度をいま試行的に導入し、実施しています。その他、資料概要の作成等々、あるいは先ほど新医薬品のところで申し上げましたが、医療機器に関しても審査等業務進行管理委員会あるいはセグメント会議を設け、審査センター長の下でそれぞれがどのように進行しているかについて随時把握し、問題点の改善に努めています。?Aにありますように、この医療機器においても治験相談を実施しています。具体的な数値について、48頁からご説明いたします。
 48頁は、デバイス・ラグ解消に向けた審査期間の短縮です。新医療機器の審査期間(中央値)はそこにある目標値として、新医療機器(優先品目)については総審査期間を16ヶ月、通常品目は21ヶ月、そして行政側期間あるいは申請者側については、それぞれそこに掲げているとおりです。実績ですが、優先品目については、平成21年度の総審査期間は13.9ヶ月、件数は3件。通常品目においても、平成21年度については、11ヶ月、件数は33件で、それぞれ総審査期間をクリアした後、件数も大幅に増やしたという状況です。
 49頁。改良医療機器・後発医療機器の審査期間です。目標は上段にありますように、16ヶ月、11ヶ月、8ヶ月です。実績はそれぞれ17.2ヶ月、13.2ヶ月、12.9ヶ月と、このように若干オーバーしています。しかしながら、件数は、医療機器は古いものがありますので、そういうものは随時審査を行っています。平成20年度において993件の処理をしましたが、平成23年度は1,305件と、3割増の大幅な件数を審査しました。
 50頁。国際調和及び国際共同治験については、先ほどの医薬品に加えまして、下から4行目にありますように、欧州を中心としたGHTFの運営委員会・専門家議等に積極的に参加するとともに、FDAと中心になってやっていますHBD活動についても、運営委員会・作業部会等に参加し、国際調和活動を行っています。
 51頁。医療機器に関する治験相談等についても、細かな数字は省略しますが、実績としては111件の相談を実施しました。
 52頁。1.-(3)「業務の迅速な処理及び体制の整備(各種調査)」です。自己評定Aを付けました。評価の視点(主なもの)として、新医薬品の信頼性適合性調査について、企業訪問型書面調査を導入し、着実に実施しているか。GMP/QMS調査の円滑な実施にあたり、中期計画に掲げられている各種の取組が迅速に行われているか。それから数値目標等々です。
 53頁。信頼性適合性調査については、企業を訪問して実施する方式(企業訪問型書面調査)を導入し、52件(61%)をこの方式で実施しています。また、再審査適合性調査についても検討会を設置しました。それから、医薬品のGMP、医療機器のQMSについて書面調査を3,144件行いました。また、実地検査も366件。この中には、海外の製造所に対する実地調査も含まれていまして、欧米その他の所に実際に私ども機構の人間が参りまして、GMPあるいはQMSの調査を行っています。
 54頁。実際の処理件数が書いてあります。申請件数について、医薬品は2,228件、体外診断用医薬品は115件、医薬部外品は3件、医療機器は1,201件ありました。それぞれについて、その隣の段に、処理済み、あるいは取下げ、調査中とありますが、多くのものを既に処理し、調査を行いました。
 55頁。それぞれの適合性調査についても、同じように着実に実施しています。
 56頁。審査業務についてはそれぞれの研修プログラムを実施し、それぞれ行っています。下の3番目の○に、GCP研修会を東京、大阪で実施し、これらについて着実に行っています。その他の審査等の業務の透明化に資するために、審査報告書についてもホームページに公表をしています。
 57頁。研修の充実、外部研究者との交流、ゲノム薬等についても、現在着実に行っています。特に連携大学院においては、既に2つの大学等は実施していますし、新しい大学ともいま連携大学院の協定の打合せに至っています。
 以上で説明を終わります。ありがとうございました。

○上野谷部会長
 各委員からのご質問をお願いします。

○真野委員
 3つほどあります。最初は政・独委からの参考資料3です。我々にも厳しい意見のようにも見えるのですが、特に真ん中の辺りに「ドラッグ・ラグ2.5年を平成23年度に解消する」とありますが、解消というのはゼロという意味だと思うのですが、こんな話はどこからあったのでしょうか。
 あと、いまのご発表に戻りますと、40頁で、目標ですと総審査期間というのは、行政側期間と申請者側期間とを足したものなのです。例えば6と5を足して11、12と7を足して19です。実績ですと、行政側期間は目標を下回っています。申請側は若干上回ってはいますが、両方を足すと11.9で、6.4と3.6を足したものとは違う数字になっているのです、全部そうなのですが、これはどのような解釈だったのでしょうか。
 あと、いままでEMAとかFDAと交流されていたという話はよく出ていたのですが、今回USP、PDGあるいは機器のほうでもGHTF、HBDなど、いままでにない取組があるように思います。これは用語などの統一という話にも見えるのですが、こういう部分はなぜ今回出てきたのでしょうか。出てきたのはもちろんいいのですが、このような部分に関して、日本でイニシアティブを取れるようなシチュエーションがあるのかどうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 3つのご質問でした。最初のご質問は、ドラッグ・ラグ2.5年についてです。この2.5年については、まず2.5年の試算を行ったのはPMDAではありませんで、日本製薬工業協会で2.5年という数字を試算しました。
 その数字について、私どもでも別途調査し、申請ラグあるいは審査ラグがそれぞれ何年あるかを見積もってきました。平成18年度においては、申請ラグとして1.2年、審査ラグとして1.2年で、合計2.4年ということで、日本製薬工業協会が出した2.5年と、私どもが試算した2.4年というのは近いので、試算の仕方については妥当であろうと考えております。
 そして、その方法に従って、経年変化を追ってきました。その結果、平成19年度においては3.4年、平成20年度においては2.2年が総ドラッグ・ラグと見積もられました。この中で申請ラグについては、各企業の中での問題で実際に相手に当たらなくてはいけませんので、まだ平成21年度については、私たちは行っていません。
 審査ラグは私どもが把握できる期間ですが、平成18年度では1.2年であったものが、平成19年度で1.0年、平成20年度で0.7年と推移しています。
 それと関係があるのが、先ほどご指摘のあった40頁の中央値です。中央値については、ご指摘のポイントは、例えば40頁で、行政側期間と、申請者側期間と、総審査期間が、どのようなものかということになるかと思います。その1例を上の真ん中の表でご説明します。
 私どもで申請書を預り、承認を出すまでの期間、その他に要した期間が3.6カ月でした。それに対して、私どもが企業に照会をし、企業がそれに対して回答までに要する期間が6.4カ月でした。それをトータルすると、10カ月ではないかというご指摘だと思います。
 ところが、これは中央値ですから、例えば15件のうちの8件目が、どれだけの期間かということで、全部トータルしたときの8件目が11.9カ月だったということになります。したがいまして、これはそれぞれの足し算などにはならないのは、そのような理由です。
 最後のご指摘は、新しい取組でいろいろということでした。とりわけ50頁の医療機器のところで、GHTFあるいはHBDというご指摘があり、これが国際上あるいは国際的なリーダーシップとの関係であろうかと存じます。
 医療機器からお話し申し上げたほうがいいと思いますので、これを1つの例としてお話をします。医療機器については、日本と、EUと、アメリカでは、それぞれの審査あるいはシステムが違います。ヨーロッパでは認証制度を取っていまして、審査は行っていません。それに対してFDAでは、すべて審査を行う形です。我が国はその中間で、健康に大きな影響を与えるような、きちんとした審査をしなければいけないものと、認証で済むものと、2つに分けています。
 ヨーロッパが中心になって行っている運営委員会がGHTFで、ここにはFDAも入っていますが、いまのような制度の違いも含めて、どのように行っていくかを協議している会です。
 HBDのほうは、FDAと日本とでやっている会です。医療機器についての審査をどのようにするかということで、ICHに近いようなものです。そういう中で私ども日本としましても、大きな制度の違いを見据えながら、どのような形で国際調和を取っていくかということで、委員会あるいはテレビ会議を通じて、やっているところです。

○真野委員
 ありがとうございました。確認ですが、参考資料3を読むと、「2.5年を23年度に解消するとの目標に向け、より実効的な」云々とあるわけですが、そうすると、より実効的な目標に関しては、そこそこ達成できているわけですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 はい。

○真野委員
 この平成23年度に解消するというのは、ゼロにするという話なのですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 新薬新プランでは、そのようなことを目標にして行っていますが、そのときに問題は、私どもPMDAだけの問題ではないところが多々ございます。例えば申請者側の問題、先ほどの中央値においても、申請者側の要する時間等があります。そういうものの解消に向けて、事前評価、相談も含め、対応しているところです。これについて、これからさらに有効な方法を取るということで、日々行っています。

○真野委員
 そうすると理解としては、この目標があることは事実だけれども、PMDAだけの問題とは必ずしも言えないということですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 これからも申請者側の皆さん方にも、逐次ご協力を得ながら、国民が、有効な医薬品を安全な形で手にすることが最終目標ですので、そこに向けて、制度あるいは相談をしているところです。

○真野委員
 あと、先ほどの中央値の話ですが、確かにそう言われてみればそうなのですが、そうは言っても、総審査期間、行政期間、申請者期間を足すのは変だという議論はあるにしても、なぜ中央値にしたのでしょうか。平均値であれば、そんなに大きなずれはないわけですよね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 この点については、どのようにものを見るかということです。今日のこの表には入っていませんが、PMDAが独法になる前から、まだ審査が終了していないものもあります。私どもが照会をかけても相手方から返事がありません。そのような状態のもの、例外的に非常に長いものがありますので、そのような非常に長いものを加えた形の平均値がいいのか、全体的に中央値を見て進行していくのか。これはアメリカでも採用しているのですが、そこの問題であろうかと思います。
 私自身も、これが適当であろうと思っています。
 もう一方で、私どもはそのように長い時間かかっているものについても、適切に審査を行っていくということが必要になります。このようなことでご理解いただければと思います。

○真野委員
 よくわかりました。統計の専門の先生方に言うのも変ですが、そのように極端なものとか、前からやっているものについては、別個に扱ったほうがいいような気もしないでもないのですが、その辺りはどうなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 ありがとうございます。ただ、個別の品目について、ここで皆さん方に申し上げることは、それぞれの会社の利益というか、経営にもかかわりますので、品目名は申し上げることができませんので、それについてはまたこれから逐次進めております。

○真野委員
 いずれにしても数値が一人歩きして、責められているような感じもしますので。

○医薬品医療機器総合機構理事
 少し補足させていただきます。先ほどドラッグ・ラグ2.5年という中で、特にアメリカと日本の審査期間の差が1年ということです。
 アメリカFDAとの比較は、どうするのがいいのかということなのですが、FDAでも中央値を使って、代表的な審査期間が何年と言っています。最終的には平成23年度に、通常品目であれば12カ月まで持っていけば、中央値ベースでアメリカと同じ審査期間になります。
 そのような形で、この2期計画が始まる前からすでにアクションプログラムがスタートしていました。そのようなことなので、このPMDAの中期計画上も、それを前提に、中央値でいままで目標を立てさせていただいて、その実現に向かって努力しているというのが現状です。中期計画中に全然別の数字の採り方をするというと、なかなか苦しいところがありますが、ご指摘は理解しました。

○真野委員
 いずれにしても、わかりやすいほうがいいということです。そういう意味でいくと、参考資料3は別として、かなり目標値をクリアしているという理解でいいのですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 はい。

○真野委員
 これはエールでもあるのですが、少し成長戦略のような話もありますので、是非国際的なイニシアティブを取れるといいなと思っています。

○医薬品医療機器総合機構理事
 ありがとうございます。

○宗林委員
 いまの中央値で1点伺います。これは最初から中央値で目標設定されていましたよね。PMDAさんのほうがというより、もともと中央値ということで見ていたということですね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 はい。

○宗林委員
 それはそれで結構です。ただ、例外的な滞貨処理のようなものはともかくとして、中央値でいくと、いつも早い医療分野のものが一定量あるから、中央値がここにくるという傾向がないのかが、大変気になっています。いつも長くかかる分野があって、そこは申請者側の問題も、個々の申請者のトラブルとか、特別な事情によるものは致し仕方がないとしても、特に審査側として、この分野が比較的長くかかってしまうというところで、解決しなくてはいけないものがあるのかなというのがわからないのです。
 ですから、この中央値というのが、真ん中で最初から設定されているのであれば、それはそれでいいと思いますが、早いものはいつも同じグループということなのか、長いものについての処理というか、そこを縮めていくことは、ドラッグ・ラグの解消になると思うので、そこを教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 わかりました。目標値についてご説明申し上げましたが、それぞれの申請年度、例えば平成16年度に申請した件数、17年度に申請した件数等が、いつの段階で何件処理しているかについてご報告申し上げます。
 そういう中で、先ほどは平成16年以前の極端な例を申し上げましたが、平成16年、平成17年、平成18年あるいは平成19年の辺りものについては、ほとんど審査が終わりました。現在は平成20年度について行っています。
 1つの例を申し上げますと、平成19年度に申請されたもので、平成20年度末にまだ審査中であったものが57件ありました。それが平成21年度の時点では11件という形で、46件行っています。
 業務報告書の52頁をご覧ください。表が3つありまして、真ん中の「新医薬品の申請年度別の審査状況」という表です。この中で、いちばん右の欄の△を見ていただきますと、それぞれのものが、何件「審査中」が減ったかということです。そうしますと、先ほど言いましたように、平成19年度申請分は、平成21年度においては、46件が審査を行い、現在残っているのが11件です。この平成19年度においても、4月の段階から3月までの期間があるので、このような中で進んでいます。その上の審査中の件数も、平成18年においては3件、平成17年は1件ということです。先ほど滞貨というご指摘がありましたが、滞貨という表現を使わせていただきますと、すでに滞貨は特別な例外を除いて終わっており、現在は平成20年度、平成21年度の審査に移っており、それが着実になされているところです。件数についても、平成21年度の審査件数は105件でしたが、審査を行ったトータルは142件ということで、申請件数よりも多い審査をやっているところです。

○宗林委員
 そうしますと、特別な事情のあるものを除けば、審査期間は普通に分布していて、中央値も、特別なものを除けば平均値に近い、普通の分布であるという理解でよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 一般的には、そのようにご理解いただいて結構です。ただ、会社その他の状況で、どうしても途中でかかるものはありますので、その点はご理解していただければと思います。

○宗林委員
 PMDAさんの事情で、解決しなくてはいけないことがなければ結構です。

○医薬品医療機器総合機構理事
 それはございません。

○平井委員
 ドラッグ・ラグの解消ということを常に言われるのですが、あまり急ぎすぎるというのはいろいろと問題があると思います。私どもも治験をやっておりますが、予期せぬ死亡事故なども出たりします。それは諸外国、例えばヨーケイジアン(ヨーロッパ系民族)であれば大丈夫かもしれないけれども、アジア人だったら非常に重篤な副作用が出るということもありますので、真野委員がおっしゃっていたように、数値が一人歩きすることはできるだけ避けていただくようにお願いしたいと思います。それは広報の仕方とか、中央の議員とか、そういうものに対する話の持っていきようもあると思いますので、有効性ももちろんですが、安全性も十分に担保してということをお考えいただけたらと思います。
 それから、私自身の個人的な興味なのですが、レギュラトリーサイエンスの推進普及ということで、連携大学院は、すでに筑波と横浜市大でやっておられますが、どちらも医学部だと思いますが、例えば薬科大学、薬学部等との連携大学院ということに関しても、お考えがあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 まず初めのほうのことですが、まさに審査にかかわることですので、私からご説明させていただきます。いまのご指摘は非常に大事なところでして、治験前の調査等も含めて、私自身も審査センター長として、最も気を使っているところです。
 これは医薬品だけではなくて、医療機器も同じことです。私どもが患者あるいは国民の目線に立ったときには、それがなしでは務まりませんので、そこについては最大の注意を払っていると申し上げさせていただきます。そのあと安全と救済、いわゆるセーフティトライアングルという形でPMDAは進めさせていただいています。
 あと、連携大学院については、薬学部も協議は進んでいますが、これについては理事長の強力なリーダーシップの下で行われています。

○医薬品医療機器総合機構理事
 いまのところ、医学関係ということでの連携大学院を2つ締結したということなのですが、私どもの職員の中には、バックグラウンドとしていちばん多いのは薬学で、6割以上が薬学です。その者たちに連携大学院のそういう機会を提供するのも、非常に大切だということで、理事長からの指示も受けて内部的には鋭意検討中ですので、近い将来そのような形も取っていきたいと考えています。

○宗林委員
 いま安全性の話が出たのですが、治験段階においての有害事象についての審査は、審査資料の中にかなりいろいろと書き込まれていると思うのです。私も一部の状況しかわからないのですが、海外での疫学的な死亡事例であるとか、そういったものについて若干疑念を持つことがありまして、最終的に薬事分科会等で最後に承認できなかったようなものもあるので、そういったものについても具体的な名前を挙げるわけにはいかないのですが、治験の中で起こったことだけではなく、FDAのボードなどにも事例として副作用事例がかなり入っているものなんかも。企業から出てくるものだけではなく、周辺としてもう少し見ていただきたいと思いますので、そういった点もお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 その点はまさに大事なところで、守秘義務の取決めをしまして、逐次FDAあるいはEMAから情報が入っていますし、そういう点で対応を図っています。

○真野委員
 平井先生の最初の質問に関係して、コメントと質問の両方です。間違っていたら訂正いただきたいのですが、最近FDAで認可されなかったもので、日本とかEMAで承認されたものがあるという話を聞いたのですが、もしそうだとすると、そういう場合はいままでの常識とは逆のような気もするのですが、どのような根拠でそんなことになったのかもお知らせいただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 FDAは認可に至らなかったけれども、日本が承認している事例もございます。そのほかにも、アメリカとヨーロッパで結論が違うという事例もかなりあります。そのようなこともありまして、日米欧でICHのような枠組を作って、認可に係る基準などを決めているのですが、それでも非常に微妙なケースの場合に判断が割れることがあります。
 おそらく先生がおっしゃっていますのは、日本では昨年承認したもので、間質性肺炎という非常に重篤な肺の病気があるのですが、これについての判断が、FDAでも専門の委員に意見を聞いたのですが、ここで意見が分かれて、最終的には認可に至らず、FDAは追加の試験を要求しました。しかし、日本は日本で行われていたようなデータなどが十分にあって、それで評価できるであろうということがありました。それと、間質性肺炎についての薬剤が全くないといった状況もあり、日本での最終的な判断は認可ということです。出てきた結果だけを見ると、かなり違うように見えるのですが、その辺については十分なデータ、議論の結果を踏まえた上での判断の違いかと思っています。
 それから、アメリカにおいても、もう少し有効性のデータがあったほうがいいという結論でして、特に安全性上の問題があって認めなかったというわけではありません。いまのところそれについての特段の公開質問のようなものはないのですが、仮にそのような説明を求められても、私どもとしてはきちんと説明できるのではないかと考えています。

○真野委員
 もちろんそうだと思います。それは両面あって、安全性に配慮しなければいけないという面と、逆に、ドラッグ・ラグの視点からいけばむしろ逆かもしれませんので、日本は早く認可したわけですね。その辺はうまくアピールされるといいと思います。

○宗林委員
 先ほどの件なのですが、もう少し具体的に言いますと、部会の時点では死亡事例やFDAの情報が付いてこなくて、そのまま分科会まで上がって、その時点で差戻しということになるとなかなか大変なのでということです。

○浅野委員
 2点あります。1点は副作用に関する事例のことです。これは治験だけの範囲では解決できない問題とか、予期できないような副作用が、ある意味では治験で何もなくても起きているという事例もあるし、それがどんどんたくさん使用されているという事例があると、できればそのマイニングとか、そういった技術がいま研究されていると思うのですが、とにかく市販後に至って、できるだけ鋭敏に、迅速にキャッチするような方法を。いまIT技術を使ってデジタル化が進んでいると思います。ここのPMDAさんは行政機関としては、いち速く申請も電子化されてきているし、職員の中のいろいろな業務をペーパーレスしていると考えると、そういうものがすべてリンクをすれば、理想を言えば、デジタルエージェンシーというか、そのような電子化されたものをうまく活用して、最大限に効果を発揮することが将来的な課題としてあるような気がするので、私はそのようなところをできるだけ早く作っていただければと思います。特に市販後調査で、いろいろな副作用を検知できるようなシステムが必要かなと思っています。
 2点目は、非常にマクロ的な質問なのですが、私が評価するに当たっていま非常に悩んでいます。この組織は、いま600人いて、勤務3年以内あるいは4年から3年の人が300人で、そういう意味では若手の組織になっています。審査員になるのにどれくらいの経験年数が必要かはわかりませんが、例えば3年とすれば半分以上の方は副審査員的な機能をして、これから審査員になろうと努力をしている状況にあるわけです。
 そのような組織の前提が、ある意味で組織がどんどん拡大して動いていて、職員の方が経験を積んできているという状況があります。そうなると、通常の固定した組織で、目標達成である審査期間を短くしろという状況と違うので、このことをどのように加味しなければいけないかと思っているわけです。要するに、組織を育てながら、いま目標をほぼ達成してきているわけですが、そのときに組織を育てないという前提があったとしたら、もっと迅速に、あるいは速やかにいけたのではないかということで、組織を育てながら目標期間を設定することで、どのくらい大変な努力をしているかは、この書面からはわからないのです。
 私自身がその組織の中にいて、審査を担当して、若い人を育てようと思ったら、これはすごく大変で、ほとんど目標達成はできないかなと思っているのです。その辺を、この評価に対してどう加味しなければいけないかということで、もうわからないので、PMDAさんから主張があれば、この主張を率直にいただきたいと思います。それで評価に加味したいと思っています。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 素晴らしいご指摘をありがとうございます。というのは、私はここに着任して、人をどんどん増やしていかなければならない状況と、業務が非常に複雑である状況を考えていくと、ここは業務をやっているのだけれども、同時に教育もしなければならない、研究もしなければならない。要するに、大学とほとんど同じような仕事をしながらやっているわけです。ですから、どのようにモチベーションを高めていくかということが、まず課題だったのです。
 この中でいちばん重要なのは、レギュラトリーサイエンスです。これは世界的に重要な問題であると認識されているわけですから、私たちがその中心になってやっていかなければならない。これはレギュラトリーサイエンスというのは、あくまでも科学ですから、これは研究になるわけです。どうしたら、最も理想的な、適正化された診断技術をつくっていくか。これを各部門に全部投げ掛けながら、仕事をする。だから、日進月歩だと思うのです。それをやりながら、同時に教育もしていかなければならない。ある学校があって、そこで教えて、それで仕事を付けていくより、3つの仕事を同時進行しながらやっているわけです。
 連携大学院の話、ICH、国際会議への参加など、それをみんな同時に進行させていく。そうしていって、職員が常に3つの仕事をしていることを自覚させて、初めてこれができるのだろうと思います。
 ですから、今後は研究部を作っていかなければならないだろう、研究所を作っていかなければならないのかなと思うし、最終的には学校みたいなものも作っていかなければならないのかなと。そういったものを有機的に統合させるにはどうしたらいいのか、毎日みんなで話し合っています。
 国際運営への参加、これは世界でイニシアティブを取っていくことになるのだろうと思うのですが、レギュラトリーサイエンスという言葉自体、アメリカのFDAが非常に賛同してくれまして、日本はすごいと言ってくれるくらいの状況になっているのです。本当だったら形のしっかりしたものがあればいいのですが、同時進行ですべてやらざるを得ない。同時進行でもできるのではないかという思いもあるのですが、浅野委員にはよく見ていただきながら、折々変化させていきますので、もう少し経つと形のあるものとして表現できるようになるのかなと思っています。

○医薬品医療機器総合機構理事
 数字の関係で補足させていただきます。ドラッグ・ラグの解消については、当初は平成19年度から増員をスタートさせまして、平成21年度までに人を増やし、そのパフォーマンスが最終的に出てくるのは平成23年度で、平成23年度にドラッグ・ラグの解消ということで、新人の教育に2年ぐらいはかかるだろうという発想で、アクションプログラムは作られているということです。
 いま理事長が申し上げたように、新人を大量採用して、教育をしながら、なおかつ審査もやって短縮をしなければいけないということで、中堅クラスというか、その前から入っていた職員などに非常にしわ寄せがきていて、本来であれば、国際的なものも含めて学会などに行ってもらわなければいけないのですが、教育と日々の業務で手いっぱいで、学会対応、国際化対応がもうちょっとできていない状況ですが、2年ぐらい経って新人が育ってきたので、そういう対応もできていくのではないかということです。
 そういうことでは、各年度の審査期間の目標というのは、ある程度教育・養成して、パフォーマンスがどういうように出ていくかも考えながら、各年度の目標が設定されているということです。

○平井委員
 新人が増えると中堅クラスが疲弊するというのはどこも同じだと思います。中堅クラスの方々のメンタルケアとか、疲弊を防ぐための方策をお考えであれば教えてください。これからそのようにされるのだったら、そのようにしていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
 1つだけご紹介させていただきますと、薬害肝炎の検証・検討委員会で、PMDA、厚生労働省の医薬食品局もそうなのですが、職員全員アンケートというものがありまして、そこでいろいろな意見が出てきました。やり甲斐は相当あるけれども、仕事が結構きついという意見も出ました。
 理事長の発案で、そのような意見をどのように汲み取り、どのように対応するかについて、むしろ幹部が入らずに、若手クラスで議論してもらって提案をしてもらうということで、中堅クラス以下の検討組織を作って、若手同士だけで検討していただいています。まだ報告は上がってきていませんが、そのような取組をしているところです。

○上野谷部会長
 この委員会では、業務の迅速な処理及び体制整備の辺りは、Sでいいのではないかという意見が出てみたり、私は先週事前レクチャーを受けたのですが、この書面だけでは評価しにくいということで、いま理事長からも話がありました。そこも踏まえて、評価していただきたいと思います。
 本当は給与を減らすこと自体が、士気が下がるので、もう少し出していく方向でないと、これだけの仕事をやっていただくのは困るのですが、数値目標があるものですから、評価委員としては適正な評価を国民に代わってするという状況です。それにしても、謙虚な自己評価をなさっておられますので、よろしくお願いをします。
 最後のパートに移ります。お願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
 Part4を説明します。資料は58頁からです。市販後を中心とした「安全対策業務の強化・充実」です。3つのサブパートに分かれています。59頁の2.-(3)「副作用・不具合情報収集の強化並びに整理及び評価分析の体系化」です。先ほど浅野先生からもご指摘がありましたが、市販後に、いかに副作用や不具合の情報を収集し、それを整理、分析、評価するかが重要ということで、それに向けたいろいろな取組をやっているということです。自己評定はAを付けています。
 評価の視点としては、中期計画に掲げる収集の強化のための施策を適切に実施しているか。審査と安全が切れ目なく連携して対応していくということで、審査のチーム編成は12チームありますが、これに対応した形で、市販後のフォローアップを行うチームも作るということで、そのような方向を目指しています。
 それから、これもデジタル・エージェンシーを目指すべきということで、先ほど激励をいただきましたが、IT技術を活用する方策等も行うということで、国内の医薬品副作用・感染症報告全体を精査しているかというのが、評価の視点です。
 Aという評価を付けさせていただいた理由、特記事項ですが、実際にどこまでデジタル・エージェンシーのような部分を実現しているかというと、そちらを向いて一生懸命努力しているという状況ですが、ご説明します。
 1つは、副作用の評価の高度化に対応した分野ごとのチーム編成です。最終的には12チームを目指すわけですが、平成21年度は5チームからスタートすることができました。これは先ほど来、承認審査のほうの人員を増加ということで出ていますが、安全対策についても、平成21年度には100人ということで、人を増やすという枠をいただきました。これが承認審査の人員のリクルートと安全対策と重なってしまったために、どちらも1年で達成することができなかったわけですが、いずれにしても安全分野も人を増やすことができて、平成21年度は5チームが、このように対応したチーム編成に移行することができました。
 副作用評価分析体制の強化、安全対策措置の立案です。これは本省と連携しますが、このプロセスの透明化も図っています。それから、先ほど出たデータマイニング手法です。これについても、平成21年度に実際に装備の形にはなりましたが、まだ高度化の余地などについてはある状況ですが、海外等の協力も得まして、導入には漕ぎ付けたということです。
 それから、これは現在本省も含めて議論中ですが、診療報酬のレセプトのデータベースが構築されることになりますと、それらを利用した安全対策等の実施ができないかということの予備的な検討も行っています。それから、埋込み型の補助人工心臓は今後急速に実用化されてくると思いますが、そういったものについて、装着している患者さんのフォローアップが必要になってくるので、そういったものについてのシステム構築のためのパイロットスタディを通して、そういったものを着実に推進しています。
 3つ目の○も、先に話が出ましたが、平成21年度の冬の新型インフルエンザの流行期においては、ワクチンも緊急輸入が行われたわけですが、世界で同時に日本も使っていくという中で、世界との情報交換も含めて、副反応報告に対する詳細な情報の収集、評価を行い、海外との連携も行い、適切に対応し、国家的な危機管理ということだったわけですが、厚生労働省における新型インフルエンザ対策にPMDAとしても貢献することができたということです。
 60頁に具体的に、安全対策の基本的方向ということで、審査と安全の連携、3チームに審査と安全の連携業務を担うリスクマネージャーも配置したということを書いています。
 それから、「予測予防型」の安全対策ということで、先ほど来ご指摘があるように、ITを使って、できるだけ早く副作用のシグナルを発見するということで、データマイニング手法等を実装し、これを業務の中で現在活用しつつあります。それから、開発段階から市販後まで安全性情報を一貫して管理するリスクマネジメントの導入ということで、これも徐々にできつつあるということです。電子診療情報の活用というのは、先ほど言ったレセプトの関係等の話です。
 そのほか、情報提供の充実強化という点においては、添付文書情報等をホームページに掲載しています。それから、使用上の注意等の重要な安全性情報が発生したら、プッシュメールによる配信というサービスも行っています。
 61頁。「副作用・不具合情報収集の強化」です。現在は大多数のもの、特に医薬品については、ほとんどが電子的に報告が上がってくる形になっていまして、私どものデータベースに入ってきます。それを私どもでいろいろと解析をしています。そのほか、先ほど宗林先生からもご指摘がありましたが、患者からの副作用の報告について、安全対策に活かせないかということで、これも本省と連携して検討しているところです。
 62頁。安全対策の高度化です。先ほど激励いただいたデジタル・エージェンシーなどの関係です。そちらを向いて努力はしておりますが、今後の課題となっている部分もかなり多いかと思いますが、ここに挙げております。レセプトデータ、病院情報のデータベース等の活用ということで、このような検討会を設置して検討を開始しています。これは審査のほうにも出てきましたが、ある一定の遺伝的な素因を持った方が、市販後の安全対策で、ある一定の副作用が非常に出やすいといったいろいろな研究が進んできているので、そういったものを市販後の安全対策にも利用できないかという検討も、実際に始めています。トラッキング医療機器の収集。冠動脈ステントの調査も継続しています。
 63頁からが情報提供の関係です。3.-(2)「企業、医療関係者への安全性情報の提供とフォローアップ」ということで、自己評定はAとしています。これについては、ホームページの充実を図っています。副作用については、ラインリストということで、副作用報告から公表まで4カ月で処理をしていまして、迅速化を図ってきています。
 中期計画上の数値目標も、ここに記載のようになっていまして、それに向けて対応を図っています。
 数値目標の関係では、63頁のいちばん下にありますが、ホームページのアクセス数を平成20年度比で25%増を目指すことになっています。
 64頁。評価の理由、特記事項です。副作用報告から公表までの期間を、現時点で6カ月から5カ月に短縮ができました。ホームページの情報に対するニーズを踏まえ、使いやすさに配慮したインターフェイスの改修など、順次改善を行いました。広報の強化によりアクセス数が伸びたことから、このような評価にしています。
 先ほどは、医療関係者、企業への情報提供でしたが、「患者、一般消費者への安全性情報提供」についても、自己評定はAとしています。これについても、一般消費者からの相談業務を着実に実施、患者向けの医薬品ガイドのカラー版ガイドを充実しました。それから、PMDAのトップページにおいて、いろいろな医薬品情報に関する検索窓の追加をしまして、一般の患者さんの使いやすさに配慮した改善といった修正を加えています。
 65頁は具体的な数字の関係です。企業等による相談の関係では、医薬品619件を含めて、全体として1,000件くらいの相談に応じています。副作用・不具合等の報告については、副作用は累積で14万件という件数をラインリストとして公表しています。添付文書等の改訂があったときには、直ちにホームページ等に掲載しています。重篤な副作用になったときに、症状等で副作用かどうかがある程度わかることを目的とし、重篤副作用疾患マニュアルというものができています。このようなマニュアルについても、掲載し、提供しています。
 66頁です。「患者向医薬品ガイド」については、現在2,000品目近くができまして、ホームページに掲載しています。これについても、全医薬品からすると、まだ作らなければいけないのではないかという指摘もあるので、これも検討していきます。アクセス数については、平成21年度は実際には17%増でした。医薬品医療機器の情報配信サービスのほうは、プッシュメールの登録数は2万7,000件ということで、対前年度32%増ですが、平成23年度中に6万件ということを考えますと、もう少し広報を強化しなければいけないと考えています。
 67頁です。実際に薬剤師等の専門の方が医薬品の相談・医療機器の相談に電話で応じる相談の関係です。この関係も年々増加の傾向にありまして、平成21年度は1万人前後実施したということです。以上です。

○真野委員
 病院情報システムデータの話ですが、事業仕分けなどでも、本省との役割をどうするのだというような話はあったと思うのですが、我々は外部で見ているとよくわからないのですが、レセプトデータを何万人だか何千人か、最近プレスが出たと思うのですが、あるいは電子カルテから情報を取るとか。それは、基本的にPMDAが中心になってされるということなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 いいえ。レセプトデータの関係は、基本的には本省です。しかも、私どもの所管の医薬食品局が中心というよりは、保険局が中心の話です。ただ、そういうレセプトデータのベースができれば、医薬品とか医療の安全等に役立てられるのではないかという、識者の方々からのいろいろなご指摘などがあるものですから、私どものほうとしても、そういうレセプトデータベースが構築されることを前提に、医薬食品局とで連携しながら、いろいろと準備を進めている状況です。
 今日の夕方くらいに、本省でそのような検討会があると聞いていますが、そういう中での議論を踏まえつつということにはなるかと思います。

○真野委員
 その夕方の検討会は、電子診療情報の安全対策の検討会のことですか。それとは別の検討会ですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 いえ、ここの年5回というのは、私どもの内部で行っている会議でして。

○真野委員
 これはPMDA。何か名前が似ていますね。

○医薬品医療機器総合機構理事
 PMDAが、レセプトデータベースみたいなものが構築された場合に、そのような情報をどのように医薬品の安全対策等に活用していくか、検討を開始しているということです。

○真野委員
 永井先生がやっているのは。

○医薬品医療機器総合機構理事
 あれは本省のほうでございまして。

○真野委員
 わかりました。

○医薬品医療機器総合機構理事
 あと、これはちなみにということですが、レセプトデータベースについては、一部健保組合等で数十万人レベルのデータベースを持っているところがあります。私どもで、そのようなデータベースを活用させていただいて、パイロットスタディ的なことは内々に安全部門でやっている状況にはあります。

○真野委員
 基本の切り分けとしては、データベース構築は、安全性においても本省であると。そこから安全性にかかわりそうな部分をいただくなりして、PMDAでやられる予定であるということですか。まだわからないですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
 いまの時点では、ちょっと何とも。

○真野委員
 まだわからないのですね。いい話なので是非進めてほしいのです。せっかく作ったけれども、組織が違うから利用できないとか、ややこしいことになってしまうと困るので、うまく進めていただければと思います。

○上野谷部会長
 ご意見としてお伺いします。

○宗林委員
 これも本省とどのような分担なのかということかもしれません。例えばいま話題になったインフルエンザのワクチンの承認がされましたが、実際には海外から入ってきたものは使わずに終わったので、事なきを得たのですが、添付文書が筋注だったり、そうでなかったり、混ぜなければいけなかったり、そうではなかったりと、バラバラだったわけで、個々の承認については、個々のものについて安全性と有効性が認められれば、そこで個々に承認していくわけですが、それを使う上での添付文書の共通したものを作るとか、運用上の日本のワクチンとの中で、それを揃えて使っていく上での安全性の担保をするための添付文書の揃え方とか、例えばヒトパピローマもそうなのですが、子宮頸癌についても、一応の有効性があるから承認はしますということになるわけですが、それから先はどう運用していくのかのアナウンスをするとか、そういったことはどちらの役割になるのでしょうか。
 そのときも、薬事分科会などは、とりあえずは安全性と有効性があればそこは承認するという役割しか担っていないので、そこから先はどう使われていくのか、あるいは添付文書などの共通性をどこが整えるのかがわからないままで、結果は使わずに終わってしまったのですが、そこを教えてください。

○医薬品医療機器総合機構理事
 これも本省との関係で、難しい面もあります。先ほどのワクチンの関係ですと、ワクチンを使用して、いかに感染の拡大を防いでいくかという話になります。この場合は、健康局と医薬食品局、それに私どもPMDAも協力していく形だろうと思います。具体的には、添付文書の関係ですか。

○宗林委員
 例えば普通の医療機関に入ったときに、バラバラの書き方の添付文書のままで、国産のものと海外の2つのものが一緒に流れていくというのは、非常に誤使用を招くような形の状態だったと思います。そういったものを使いやすく、その3つをちゃんと認識し、間違いないようにということを、一緒の場面で使っていくようなものでしたので、大変気になったのですが、そういったものはどちらで整理をされるのかなと思ったわけです。
 簡単に言えば添付文書がバラバラなのです。片方は直前で混ぜなければいけないとか、量も違えば、筋注であったりということで、注意も違うということがいろいろあったわけですが、それが揃えられないままだったのか、そういうことはどこがやるのかなと思ったままで流れてしまったので。

○医薬品医療機器総合機構理事
 現場にもう少し親切に、例えばワクチンの調製なり、投与法なりがわかるようにと。製品に添付文書は付いてはいますが、それ以上に混乱を招かないようなことをすべきだったのではないかというご指摘でございましょうか。

○宗林委員
 そうです。時間がないのであれなのですが、例えば国産と輸入A、Bとあったときに、それを選択して、予約して、医療機関は使えるようになった時期があったわけです。そのときに、どれを使うかによって、全然使い方が違うので、個々のメーカーについて、添付文書を細かく読むには、あまりにもいろいろなものが違いすぎる。それをちゃんと一目でわかって、選択して、誤使用にならないように使えるという注意が十分必要だという議論があったわけですが、結局個々のメーカーの添付文書のままだったのか、きちんと揃えてわかるようにということだったと思うのですが、それがなされないままだったので、それはどちらの所掌かと思ったわけです。
 ヒトパピローマのときもそうなのですが、原理原則のところは、安全性、有効性は検討しまして、承認はしましたが、そこから先はどのように運用されていくのかについてのきちんとしたアナウンスが、どこからもされていないことについて、どちらの所掌かということで、その中に入ると今日の議論ではないと思いますので。

○医薬品医療機器総合機構理事
 現場での適正な使用の助けにするために、例えばパンフレット的なものを補足する意味で、新たに作って、もう少しきちんとした情報提供をしたほうがいいということであれば、厚生労働省と私どもで協力して、企業にも協力してもらって、そういったものを作ってもらって、現場で混乱が起きないように。うちの製品であれば、この1枚を見ると、投与する前にアジュバントを混ぜて、溶液を調製して、筋肉に注射するということがわかるような補足の説明資料を作るように、私どものほうで考えるべきだったかもしれません。

○上野谷部会長
 ご意見として、今回の新型インフルエンザの投薬に関する利用者側から見たときの、安全、安心をしていただくための工夫をどこがするのかというのは、本委員会ではありませんが、関連していますので、また次回何かがあった場合の国家的危機対応として、原課と一緒に詰めていただければ幸いです。

○平井委員
 このPartに関しては、我々病院は非常にお世話になっておりますので、どうもありがとうございます。
 先ほどのご意見にも関連するのですが、PMDAさんに言うのは御門違いかもしれないのですが、病院情報システムの全国統一化について検討されているということを聞いたのですが、PMDAさんからもプッシュして、是非そのようなことを進めていただきたいと思います。
 それから、市販後の調査についてですが、この頃市販後の調査が非常に高度化していまして、これは治験でやっていただいたほうがいいのではないかと。例えばゲノム薬理に関連するようなものも、調査の中に入れていることがあるのです。そういうことに関して、企業に対するご指導もいただけたらと思います。

○上野谷部会長
 ご意見として伺います。

○大島部会長代理
 私も意見です。先ほど「国民が」という話がありましたが、安全、健康というところでは、大変注目されるところですが、このままでいくと、ベストを目指しながらこれだけのことをすれば、来年の予算、次の予算とすれば、倍々になってくると思うのです。どこがスリム化できて、どこにいちばん重点を置かなくてはいけないか、どこが民間委託ができて、そして連携でそれが解消されるのかが示されないと、目標は達成されたことはいいことではあるのですが、様々な外部の経済状態を考えれば、それでいいのだろうかという疑問がずっとありまして、どう評価していいかわからないという点があります。その点は、次の予算のとき、あるいは次の目標を立てるときに、倍々に増えないような重点的な項目で、独法が行ういちばんの任務を果たしていただきたいと思いました。

○上野谷部会長
 毎年当法人に関してはご質問は多うございますし、意見も多うございます。それだけ関心が高いということです。原課は特にありませんね。いまの段階を踏まえて評価をお願いします。すべての項目が終わりましたので、事務局からこのあとの取扱いについてお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りしている資料の送付を希望される場合は、部会終了後に事務局にお申し付けいただければと思います。
 評価の記入の終わっていない委員につきましては、本部会が終了したあと、この場でお残りになって記入いただいても構いません。評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになって記入いただくことも可能ですので、その場合には事務局にお申し付けください。お持ち帰りになる場合には、27日(火)までに、事務局に記入用紙を送っていただければと思います。以上です。

○上野谷部会長
 ご協力ありがとうございました。本日の議事はこれで終了します。次回の開催についてお願いします。

○政策評価官室長補佐
 次回は8月17日(火)の13時30分からです。場所は厚生労働省17階の専用21会議室です。議題は、医薬品医療機器総合機構、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園、福祉医療機構の総合評価です。これらの開催案内について、お手元の細長い封筒に入れておりますので、ご出欠について○を付けていただいて、机に置いていただくか、お持ち帰りになる場合は、7月30日(金)までに事務局宛てにお送りいただければと思います。よろしくお願いします。

○上野谷部会長
 8月17日(火)ということです。今度は厚生労働省ですので、よろしくお願いします。本日はご審議ありがとうございました。



(了)
<照会先>

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