ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会)> 第5回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会議事録(2014年5月19日)
2014年5月19日 第5回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会議事録
大臣官房統計情報部企画課国際分類情報管理室
○日時
平成26年5月19日(月)16:00~18:00
○場所
厚生労働省 省議室(9階)
○出席者
赤川安正委員、五十嵐隆委員、今村聡委員、大江和彦委員、金子あけみ委員、 |
金子隆一委員、栗山真理子委員、郡山一明委員、田嶼尚子委員、永井良三委員、 |
中村耕三委員、西田陽光委員、堀田知光委員、松谷有希雄委員、宮崎元伸委員<五十音順> |
○議題
(1)世界保健機関勧告によるICD-10の一部改正の日本への適用について
(2)ICDの我が国における今後の見直しについて
(3)我が国における今後の傷病の分類等のあり方について
(4)その他
○議事
○永井部会長
では、ただいまから第5回「社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会」を始めさせていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しいところを御出席いただきましてありがとうございます。
最初に、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局
事務局でございます。
配布資料の確認をさせていただきます。
第5回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会の議事次第でございます。
資料1-1「統計法第28条第1項及び附則第3条の規定に基づく疾病、傷害及び死因に関する分類 疾病、傷害及び死因の統計分類 基本分類表・新旧対照表(案)」。
資料1-2「統計法第28条第1項及び附則第3条の規定に基づく疾病、傷害及び死因に関する分類 疾病分類表(大分類、中分類、小分類)・新旧対照表(案)」。
資料1-3「統計法第28条第1項及び附則第3条の規定に基づく疾病、傷害及び死因に関する分類 死因分類表・新旧対照表(案)」
資料2「WHO ICD改正に対する対応の流れ図」。
資料3-1「WHO ICD-10 死亡診断書の国際様式(現行)」。
資料3-2「ICD-9からICD-10への変更による各国の影響」。
資料3-3「人口動態統計のデータに関して」。
資料4「社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会 『我が国における今後の傷病等の分類のあり方について』(発言要旨)」
参考資料1「疾病、傷害及び死因統計分類提要 内容例示・新旧対照表(案)」。
参考資料2-1「疾病、傷害及び死因統計分類提要 総論・新旧対照表(案)」。
参考資料2-2「総論4.1.5 原死因選択のルール 上下の因果関係」。
参考資料3「疾病、傷害及び死因統計分類提要 索引・新旧対照表(案)」。
参考資料4厚生労働省設置法、第6条からのものが1部。
参考資料5第4回の当部会における議事録となっております。
ここまでが傍聴を含めての配布資料でございまして、次に机上配布資料といたしまして、
机上配布資料1「糖尿病(E10-E14)の4桁細分類項目について 補足資料」。
机上配布資料1-2「原死因選択方法の具体例」。
机上配布資料2-1「年次推移を観察するにあたっての留意点」。
机上配布資料2-2「第10回修正死因統計分類と第9回修正死因統計分類の比較」。
机上配布資料3アメリカの「ICD-9とICD-10死因比較可能性予備報告」。
机上配布資料4カナダのICD-9とICD-10の対比表。
机上配布資料5-1フランスのICD-9とICD-10との対比資料。
最後にもう一部、フランスの論文として、机上配布資料5-2もう一部フランスの報告がございます。
残りは席次表と名簿となっております。
以上でございます。過不足等ございましたら、事務局までお申し出いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長
ありがとうございました。
では、委員の出欠状況、あと、会議の成立状況を御説明ください。
○事務局
まず、本日の委員の出席状況を御報告させていただきます。本日は、小池委員、駒村委員、末松委員、辰井委員、樋口委員の5名から欠席の御連絡をいただいております。また、大江委員からは少し遅れての御到着との御連絡をいただいております。
本日の会議につきましては、出席の委員が全体数の3分の1を超えておりますので、成立していることを御報告いたします。
○永井部会長
ありがとうございました。
議事に先立っての注意事項等をお願いいたします。
○事務局
円滑な議事の進行のために、写真撮影等につきましては、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○永井部会長
ありがとうございました。
では、議事の1に入ります。「世界保健機関勧告によるICD-10の一部改正の日本への適用について」であります。
最初に、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局
WHO ICD-10の2013年に基づき、答申案を作成いたしました。事務局が御説明します内容としては、資料1-1、資料1-2、資料1-3及び参考資料1から参考資料3までごらんください。
内容につきましては、詳細なものも含めて連動しておりますので、参考資料をごらんいただいたほうが内容としてはわかりやすいかと思います。
○事務局
事務局から御説明させていただきます。
前回の御説明で足りなかった4つの内容、まず総論の「原死因選択のルール」の表記の方法、同じく総論の「原死因コーディングのための注」における糖尿病の変更箇所に関する御説明、また内容例示のH54の「盲」の表記、それから「4桁細分類項目」の詳細不明について、総論への注記について御説明させていただきます。
まず、参考資料2-2「総論4.1.5 原死因選択のルール 上下の因果関係」と机上配布資料1-2をごらんください。参考資料2-2、机上配布資料1-2に基づいて御説明させていただきます。
総論で、現行は「原死因選択のルール」、2013年版では「起点となる先行原因選択のルール」となっておりますが、アルゴリズムをお示ししましたところ、少しわかりづらいということでございましたので、参考資料2-2の下のほうにございます日本表記案として総論に掲載したいと考えております。
ただ、具体的な疾病名が書かれておりませんので、机上配布資料1-2をもって少し御説明させていただきます。机上配布資料1-2をごらんください。これは「原死因選択方法の具体例」でございます。この記載例につきましては、今回の御説明のために事務局で作成、御用意いたしましたので、実例ではございません。よろしくお願いいたします。
ここに記載されている矢印の説明ですけれども、太くて黒い矢印は原死因選択の因果関係があるもの。そして、その他、因果関係のあるものが実線の矢印。それから、点線は因果関係がないということを意味しております。
左側の事例1-1をごらんください。ア欄に直接死因として多臓器不全が書かれ、その原因として敗血症、連鎖球菌感染、エの欄の左側に破傷風、右側に糖尿病と記載されてございます。これについて因果関係があるかどうかを調べましたところ、多臓器不全に至る因果関係は敗血症、連鎖球菌感染、破傷風。そして、糖尿病からも連鎖球菌感染、敗血症、多臓器不全と因果関係があることが示されております。
WHOの原死因選択ルールでは、複数の因果関係がある場合は、最初に記載された因果関係、この場合の黒塗りの矢印になりますけれども、それを起因として、原死因として選択することにされております。
そうしますと、事例1-1の場合は、破傷風が原死因となります。
また、事例1-2のようにエの欄の記載順が変わりますと、糖尿病も連鎖球菌感染に因果関係がございますので、この場合は糖尿病が原死因になります。
さらに、事例2-1のように、因果関係がふえてまいりました場合でも同様に、それぞれ因果関係がございますので、因果関係の起因となったもの、事例2-2では糖尿病が原死因ということになります。
裏面をごらんください。
この因果関係を検討する際は、1段ずつ検討することとされておりますので、左側の事例3-1から事例3-3で御説明いたしますと、まずア欄の多臓器不全を起こした原因のイ欄に疾患名が2つございます。急性膵炎から多臓器不全を起こす可能性があり、心室細動も多臓器不全を起こす可能性があると考えられます。
この場合、左側に書いてございます急性膵炎を一旦選択します。仮の原死因として一度選びます。
次に、事例3-2になりますけれども、この急性膵炎につながる因果関係を調べます。ウ欄に大動脈弁閉鎖不全と高カルシウム血症と記載してございます。それで、大動脈弁閉鎖不全と急性膵炎は因果関係がございませんので、高カルシウム血症につながるというふうに因果関係を示すことができます。
次に、事例3-3にございますように、エ欄に2つの疾患名、虚血性心疾患と原発性副甲状腺機能亢進症が記載されていた場合、先ほどウ欄で、多臓器不全につながる原因が急性膵炎、そして、高カルシウム血症とつながってきましたので、高カルシウム血症との因果関係を調べます。そうしますと、虚血性心疾患は因果関係がなく、原発性副甲状腺機能亢進症が因果関係があるということがわかりますので、この場合、多臓器不全につながる因果関係の起因といたしましては原発性副甲状腺機能亢進症となります。
また、例えば3’、一番下の例のように、一番下の欄に原発性副甲状腺機能亢進症が書いていない場合、そうしますと、虚血性心疾患と高カルシウム血症は因果関係がなかったので、高カルシウム血症が原死因として選択されることになります。
今回の事例ではI欄に複数の疾患名を記載してございますけれども、原則としては死亡診断書のI欄に記載する傷病名は各欄に1つずつ記載していただきたいというふうになっておりますので、その点はどうぞよろしくお願いいたします。
次に、総論の「原死因コーディングのための注」の糖尿病の変更箇所について御説明させていただきます。参考資料2-1「疾病、傷害及び死因統計分類提要 総論・新旧対照表(案)」の21~23ページと、あわせまして机上配布資料1をごらんください。
前回「原死因コーディングのための注」のところに記載されている、例えばE87.2(アシドーシス)というものは、糖尿病に伴って記載されていれば「4桁細分類項目.1を伴うE10-E14にコードする」とあった4桁細分類項目の詳細が不明であるということで、明記するように御指示がございました。机上配布資料1をごらんいただきますと、糖尿病に記載されている4桁コード「.0」から「.9」までは、ここに記載されている内容になります。
例えば「.0」であれば、昏睡を伴うもの。「.1」であれば、ケトアシドーシスを伴うもの。「.2」であれば、腎合併症を伴うもの。「.3」であれば、眼合併症を伴うものといったように、4桁細分類項目の内容はここに記載してございます。
これらを総論全てに引用いたしますと、1つの項目の長さが大変長くなってしまうことと、糖尿病以外にもこういった参考分類がされておりますので、今回はこの総論の記載のように、このままにさせていただきたいと考えております。
次に、同じく参考資料2-1の2ページをごらんください。ここに「2.4.5 4桁細分類項目」という項目がございますけれども、前回部会におきまして「.9」の「詳細不明」については、「詳細不明」ではなく、「特定不能」であるとか、「部位不明」などに訳しなおしたらどうかとのご意見をいただきましたが、章によってその意味するところが異なりそれらをすべて見直すことが難しいため、総論に注記という形で対応するということを御了解いただきました。具体的な記載内容をここに書いてございます。
「.9」と申しますのは、全く付加的な情報がない3桁分類項目のタイトルと同じ意味を伝えるために使用されるものでございます。※をつけまして「なお、付加的な情報の内容は、部位、性状等、項目により異なるため、項目の特性に基づき判断することが必要である」という注記をつけさせていただきました。
最後に、参考資料1の29ページをご覧下さい。
「H54.0 両眼性盲」についての包含項目「項目3、4、5の視覚障害」、一番右側、WHOの原本では、H54.0の包含のところに「Visual impairment categories ~」が書いてございまして、3と4が見え消しになってございます。
これにつきましては、今までは3と4もH54.0に入る内容であったものが、この改正において3と4を消すことになりますと、これらを入れる項目がないということで、専門家の先生にもお尋ねし、WHOにも問い合わせしておりましたところ、担当官からの返事で、これは記載ミスであったことが判明しました。
日本からの指摘を受けまして、WHOの担当官は今年の一部改正の提案に、この旨を記載してございます。日本といたしましては、内容がわかりましたので、ここに記載してございますように、包含項目として「項目3、4、5の視覚障害」と記載させていただくことにしたいと思います。
説明は以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございました。
ただいまの御説明に対しまして、御質問はいかがでしょうか。
どうぞ。
○今村委員
ありがとうございました。
参考資料2-2の原死因選択のルールで、WHOのICD-10のルールと日本表記案というもので、これだけではちょっとイメージが浮かびにくいということで、机上配布資料1-2ということで具体的な疾病名を入れていただいて、大変イメージができやすくなって、ありがとうございました。
これに関して、大変基本的な質問になるのですけれども、1ページ目にありますように、一番下のエの欄に破傷風と糖尿病が書かれている。それで、太い矢印と細い矢印があって、連鎖球菌感染にどちらがより直接的に関係しているかという判断で矢印が分かれている。
これは多分、先に書かれているほうが非常に関係が強いものが書かれるというルールというわけでは必ずしもなくて、それは裏のページにあるように、例えば3-3のルールで、急性膵炎のところに大動脈弁閉鎖不全が書かれていて、後ろに高カルシウム血症があって、急性膵炎には高カルシウム血症がかかわっている。こういう判断をするということだと思います。
この判断は、各医師が例えば必ず直接的に因果関係の強いものを先に書きなさいというルールではないという前提でありますと、誰がこの原死因がこちらであるという判断をされているのかという、ちょっと基本的なところなのですけれども、書いている医師は原死因は書かないわけですね。こういうことを理解しておく必要はあると思うのですが、最後に原死因はこちらであるという判断はどなたがされているのでしょうか。
○事務局
ICD室長の谷でございます。
まず、この選択のルールにつきましては、基本的に私のほうから答えるべきかどうか、ちょっと迷うところですが、アメリカで使用しているシステムを元に開発したアクセルというシステムを日本の人口動態統計に導入しており、その中に、因果関係テーブルという対応表を持っています。そのシステムの中で、前回、小野からの説明があったように、どれがどれと関連が深いかといったものを自動化してシステムの中で判断させて、処理しているということでございます。
○今村委員
ありがとうございました。
そういうソフトがあって、そのソフトのルールにのっとって自動的に判断がされていくという御説明であったと思うのですけれども、そうしますと、1ページ目にある破傷風と糖尿病というものを、どちらも関係があり得る。つまり、ある場合は破傷風がより連鎖球菌感染に強くて、ある場合は糖尿病のほうが強いといった、こういうものもそのソフトで判断できるという理解でよろしいのですか。
これは医師が、直接、患者さんを診ている方が、この連鎖球菌感染については糖尿病のほうが主にかかわっているのだなという判断で原死因になるのではないのですか。
○事務局
事務局でございます。
基本的にWHOのルールでは、初筆のほうが重要という前提で書くことがルール化されておりますので、それをICDの死亡診断書の手引等にも少し書かせていただいております。どちらも関係がある場合については初筆のほうを選択するというルールで今回は処理をされているかと思います。
○今村委員
まず、基本的と申し上げたのはそういうことで、先に書かれているもののほうがより関係が深いという判断を医師がして、そして、診断書を書くというルールが徹底されているのであれば別にそれはそれで一ついいと思うのですが、裏面にありますように、急性膵炎には高カルシウム血症といって、必ずしも先に書かれているものでない場合もあり得る。そういったときの判断というものはどこがどのようにしているかといいますと、先ほどのような全部ソフトでできるものなのですか。
つまり、この場合には、先ほど御説明いただいたように、一番下の例ですと、虚血性心疾患が書かれていても、虚血性心疾患と高カルシウム血症は因果関係がないですね。したがって、このウ欄の高カルシウム血症が原死因になるというルールですね。そういう判断を全部ソフトでできると。それで、ソフトでできなかった場合があるのかどうかということと、その場合には誰がどう判断しているという理解でよろしいのですか。
○小野人口動態・保健社会統計課長
人口動態における原死因選択の実態でございますけれども、基本的にはソフトの結果を見るのですが、それに疑義がある場合には、省内の医師資格を持つ職員やICD室に聞きましたり、さらにそれで足りなければ、ICD室を通じて関係するところに問い合わせていただくなりをして、原死因を決定しているところでございます。
○今村委員
医師の判断でされているという理解でよろしいですね。
○小野人口動態・保健社会統計課長
はい。典型的なものにつきましては事務官で判断していくのですけれども、そうでないものにつきましては医師の判断を求めております。
○今村委員
ごめんなさい、くどいようですけれども、例えば典型的なものというもののリストはあるのですか。
○小野人口動態・保健社会統計課長
それはまさに、アメリカで作ったACMEのテーブルに載っているようなものは典型的なものと言えるかと思います。
○堀田委員
堀田でございます。
今の点に関連して、実際に死亡診断書を書くときには最も死因と関係したものを書くようにとされています。我々はそういうつもりで書いていて、複数を書くことは余りないのですけれども、実際問題、複数の原因が連ねられている死亡診断書というものは、割合として、どのくらいあるものなのですか。
○小野人口動態・保健社会統計課長
済みません、そのような記載状況ごとの集計については行ったことがございませんので、ちょっとわかりません。
○堀田委員
例えば、原因が1つずつでしたら自動的にそれを選ぶしかないわけですから、選択ルールも何もないですね。ですから、選択ルールを適用しなければいけないというのは、一定割合、そういうものがあるからということなのでしょうけれども、実際問題、臨床の場では死因を、これとこれ以外にある場合に、どちらかに決めがたい場合はあると思うのです。
それと、直接関係ないかもしれませんが、付言すべきものは別に書く欄がありますね。そこを使って書くことになっていると思うのですが、なぜ、こういう選択ルールをいろいろ議論しなければいけない状況があるかということについて、実はこれはおそらく医学教育とか臨床研修の場で周知させなければいけない問題を含んでいると思いますけれども、実態はどの程度のものかというのを知りたいと思いました。
○永井部会長
ほかにいかがでしょうか。
○郡山委員
実は私も今回、会議に参加させていただくに当たり、アクセルをたまたま見つけたのです。これは「厚生の指標」の中にあったのですけれども、その中ではICD-9からICD-10に移っていくときに、このコーディングシステムとしてこういうものを開発しましょうという、非常に日本独自のやり方といいますか、非常にいいものをつくったと書いてございました。
その中で、1つ教えていただきたいことがあります。日本で独自の視点から決定したルールも組み込まれているというふうに書いてあるわけです。その独自のルールを組み込むことは、私は前回の会議のときに、むしろ臨床的に役立つという意味でいいことなのではないのかなと思う旨の発言をしましたらば、ICD-10とはずれてくるのでよくないと。多分、そういう趣旨であったと思うのです。
そもそも、今日の議事録、最後の資料のところを見ていただいてもわかりますけれども、ICD自体が世界の先進国の高齢化が進んだところを対象にしているわけではなくて、世界全体を俯瞰して公衆衛生に役立つようにしましょうというものであって、日本の場合にはそぐわないことがあるのではないのかという発言を私がしたのですが、そうなりますと、ここのところで日本独自のルールをつくったと書いてあることを踏まえますと、少し齟齬が生じているような気がするのです。そういうものは、私はいいことであると思うのですけれども、一方でICDにきちんと合わなければいけないということの整合性やいかにということです。
まず、日本独自のルールというものはどういうものなのですかということと、今、申し上げた2点目のことを少し聞かせていただければいいかなと思います。
○永井部会長
まず、日本独自のルールとはどういうことなのでしょうか。
○小野人口動態・保健社会統計課長
済みません、先生が言及された資料が手元にないので、一般論だけ申し上げます。
日本でルールを定めているということを時々言うのですけれども、それはあくまでWHOが定めたルールを補完するものでございます。WHOで、総論と言っていますが、その中で原死因選択ルールを定めており、それと、内容例示表ですとか索引を使って原死因選択をすることになっているのですが、それで全てのケースが原死因選択できるわけではございません。そういった場合に、日本独自といいますか、WHOのルールを補完する形で、日本独自の判断を加えて原死因選択をしている部分がございます。それは言えます。
1点目については以上でございます。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
○郡山委員
多分、総論のお答えだと思うのですけれども、では、それを踏まえてとなりますと、2点目のことは特に齟齬を生じていないということになりますか。
つまり、ICD-10のところではカバーができないものについては日本で工夫を行っているということですね。
○小野人口動態・保健社会統計課長
はい。さようでございます。
○郡山委員
いいことだと思うので、それであれば、その工夫をもっと、どんどんしたらいいのではないのかなというのが私の率直な意見なのです。
つまり、この間の会議でも、全体の話としては臨床に役立つものをやっていきましょうというのが全体の総意としてはあるのだと思うのです。でも、今日のこの資料も含めて、やはり過去の整合性、歴史の整合性に合わせてやっていこうということに、もしかしたら、そちらのほうに重きが行きつつあるかもしれないなというところを少し心配するわけです。
もちろん、過去との連続性は考えなければいけないということはわかりつつも、どこかで我々は時代に対応して、時代に役立つものをつくっていくということをしなければならないのではないのかなと思うわけなのです。
○永井部会長
要するに、この原死因選択のルールがどうなっているのか。今後、これをどういうふうに記載していくのか。どういうルールで運用するかという問題であると思いますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
ちょうど、今、内閣府で私も参加しているのですが、データベースの問題がありまして、この死亡診断書も重要なデータベースとして位置づけるべきであるという議論がされています。そういうことも踏まえて、これから考えていかないといけないと思いますけれども、どうでしょうか。
○小野人口動態・保健社会統計課長
死亡統計につきましては、WHOが定めた原死因選択ルールにのっとって死因の分類を行い、統計をとることになっております。日本ルールといいますものも、あくまでWHOのルールを補完するものでありますし、WHOが定めたICDの趣旨を日本の実情に合わせて適用しているというものでございますので、基本的に死因統計といたしましてはWHOが定めたICDに従って統計をとっていくことになると思います。
死因統計以外のことにつきましては、私ではお答えしかねます。
○永井部会長
いや、死因統計でいいのですけれども、例えば先ほどの机上配布資料1-2で、高カルシウム血症、急性膵炎、多臓器不全という、これは本当にそうなのか。虚血性心疾患があって、大動脈弁閉鎖不全があって、心室細動で多臓器不全ということも十分考えられるわけです。
どうやって、そのルールを選んでいるのだろうかということですけれども、その辺をやはり国として、あるいは医師会のほうも対応が必要だと思うのです。教育からこういう死亡診断書の作成も体系化をしないといけないだろうと思いますが、必ずしもWHOにそのまま従っているわけではないのではないかという懸念がどうしても拭えないのです。
○堀田委員
済みません、今の問題に関連して、原因が1つずつしか書いていませんけれども、もし因果関係が通常ないと思われるものが原因として書かれたときには、これは除外しているのですか。
例えば今の話で、急性膵炎の下に大動脈弁閉鎖不全しか書いていなくて、高カルシウム血症や原発性副甲状腺機能亢進症が書かれていない場合には、選択ルールとしてはそれを拾ってしまうのですか。
○小野人口動態・保健社会統計課長
医学的因果関係があるかないかということをテーブルで与えておりますので、そのテーブルにより因果関係があるとされたものについては因果関係の連鎖はつながりますけれども、そうでないものにつきましては、そこで連鎖がとまります。
○堀田委員
そこではねるということになっている、それがルールになっているというわけですね。
○小野人口動態・保健社会統計課長
はい。
○堀田委員
わかりました。
これは各国で共通のルールで、そこはやっているということですか。
○小野人口動態・保健社会統計課長
おそらくアメリカがつくったテーブルを基準に、各国で判断しているということだと思います。
○永井部会長
ただ、問題はその連鎖なのです。因果関係というところが本当にこの一本道なのか。これは相当、ベテランの臨床医でないと決められないはずだと思うのです。そのためにもルールをしっかりつくっておく必要があるのだということを申し上げているのですが、因果関係があればよいということではないのです。それがどの程度のウエートがあるかということまで考えないといけないということだと思います。
つまり、高カルシウム血症で、急性膵炎で、多臓器不全で、そういう例もあることはありますけれども、意外と珍しいわけです。それよりも、大動脈弁閉鎖不全で、心室細動で、多臓器不全のほうがよほど症例数としては多いと思います。そういうことをどう総合して考えるかということなのです。そのためにきちんとルールをつくらないといけないでしょうということです。
○田嶼部会長代理
日本独自のルールがあるとすれば、ぜひそれは公表していただいて、ルールに則って、今、一番適切な死因を選択しているということをお示しいただければ、それを大学の医学教育にも反映することができるので大切なことだと思います。医師がきちんと、その基本を踏まえて死因を書いていきませんと、死因分類そのものが科学的な評価を得られない、ひいては使えないという評価につながってしまうと思うのです。その辺をぜひ国としてお示しいただければと思います。いかがでしょうか。
これは公表されてはいないけれども、「厚生の指標」には出ているということなのですか。
○郡山委員
いや、ここに書いてあるのは、私、日本独自の決定したルールに組み込まれているというものと、それが何なのかなと思っても、後ろのところで日本のルール適用の特別治療を行うケースかどうかを判断すると書いてあるだけで、具体的には書いていないのです。
○永井部会長
ですから、来年度からすぐにこうしましょうということではなくて、日本として今後どうするかという提言ぐらいあってもよろしいと思うのですけれども、そういうことをこの部会として取りまとめればよいと思います。
○西田委員
こういった問題というのは、患者側に立つ私にとっては判断ができないのですけれども、このルールを決めるときの判断をするのは、どういう方々がルールを決めるメンバーでおられるのですか。
○永井部会長
今は行政のほうでなさっているわけです。私どもは、それは知らないわけです。
○栗山委員
本当に一例で申しわけないのですが、例えば患者の立場から、お医者様はたくさんの例を持っていらっしゃって、私の立場から言いますと、つい最近、食物アナフィラキシーショックで亡くなったといって、多分、広く皆さん目にしていらっしゃることだと思います。当初は食物アレルギーだけがすごく大きな話題になっておりましたが、食物アナフィラキシーショックでそう短期間に亡くなる方は現実に多くの臨床の先生方は経験がないので、それを原因を突きとめていったところ、もしぜんそくが十分にコントロールされていたら、この死因にはつながらなかったのではないかということが浮かび上がってきたそうなのです。
そうすると、私たちにとっては食物を食べることを気にするだけではなくて、アレルギーのある人はほかにぜんそくのコントロールも非常に重要であるということが患者にとっての大きな情報として持つことができるのです。ですから、その関係とか、その重要性というものをより見える化、あるいは実際の臨床とか、私たちにとっても有用な情報となるようにつくっていっていただきたいなと思いました。
○永井部会長
それは患者さんだけではなくて、臨床医にとっても同じことでして、やはりたくさんの症例を集めて初めてわかってくる法則性というものがあります。そういうことをこの死因分類の中にきちんと、あるいは死因分類が生かせるようにしないといけない。そのためには、やはりルールとか標準化が必要で、すぐに来年度からできるわけではないと思いますが、そういうことが非常に重要であるということは、この部会として提言させていただいてよろしいのではないかと思います。
そういうことで、すぐに来年からこうしてくださいとか、そういうことではないのです。もう少し従来のやり方を改善しつつ、今後、大きな展望のもとに行っていく必要があるということかと思います。それは医学教育とか、まさに医師会の活動にも関係してくると思います。
○今村委員
まさしくそのとおりで、ちょっと確認なのですけれども、原死因の確定のための記載欄と、それ以外の診断書がどうあるべきかということが1枚の紙の中にあるわけですね。この死亡診断書がどうあるべきかという全体は、ここで何か提言することは可能なのですか。
つまり、中のア~エのところはここの議論ですと。でも、それ以外はここでは議論できませんということですか。
○事務局
端的に言いますと、この部会で死亡診断書のI欄、II欄以外のところについては議論の対象外になります。そちらは、所管としては医師法に基づく様式にございます。
○今村委員 皆さんに申し上げては申しわけないのですが、そこがまさしく非常に縦割になっていて、我々、各医師は全体1枚の診断書を時間をかけて書いているわけです。これだけの毎年100万人を超える方たちがこれからどんどん亡くなってくる中で、そのデータをきちんと活用するためには当然、電子化された、きちんとしたデータになっていなければならない。
それで、市町村の窓口では9割ほど、我々が紙ベースで書いたものをわざわざ職員の方が電子化して厚労省に送っているという状態があるのであれば、医療現場からすれば、それが全て電子化されていれば、もっといろいろなことがわかってきますし、活用できる。それから、ソフトのつくり方によっては、私が書いた診断書を先生が書くと、原死因はこれになりますけれども、いいですかという確認をすることもできるようになると思うのです。
しかし、それはこの場では議論できないといいますと、では、どこでそういうことを提言すればよろしいのでしょうか。
○事務局
様式自体について我々が所管をしていないということもございますので議論ができませんが、中身のどれを原死因に選択するかということについてはWHOなりで国際ルールに基づいてやっているということでございますので、そこは提言を出していくことは可能でございます。
ですので、人口動態としてのシステムをどうするかということと、死亡届の横に、右側にある死亡診断書としての様式を出すことは、行為としては異なってきますので、人口動態統計としての原死因選択方法についての提言というものは、要するに人口動態課を含めて、この部会なり統計分科会なりで議論が進められるということでございます。
補足でございますが、もう一点、年間、現状ですと約120万件程度の死者に対して原死因選択を行っているのが現状でございます。そこで大前提としては、やはり原死因に関係があるものについて1つずつ書いてもらうことが、最も先生方が死因として選択できる、これが死因なのだと思ったものについての記載の反映が一番大きいことだと思うのですが、どうしても前回、永井部会長のほうからもコメントがありましたように、複合的な基礎疾患を持った方も出てきていて、実際としては2個書いている方もあるようには聞いています。
ですから、そういったときにこういったシステムの中で処理を行っていくのですが、いかんせん120万という数を、やはり本来であれば、先生方のおっしゃるように1人ずつ、これはどちらが本当であったのかという判断ができればいいのですけれども、もしそれをやろうとすると、多分、報告は出せないという状況が行政としては非常に厳しい状況になってしまいますので、その点を踏まえて、一定のルールに基づいて国際標準、現在、大まかな国も扱っていますので、そういったもので処理をせざるを得ないのが現状かと思います。
○永井部会長
ありがとうございます。
それで、答申案ということなのですが、どれが答申案ですか。
○事務局
答申案でございますが、資料1-1、資料1-2、資料1-3が最終的な答申案になります。
それで、統計法に基づく答申につきましては、項目がリストとして出されているものでございますので、まさに中身の議論のためにお出しさせていただいた参考資料の細かいところは、実は今回の答申には含まれません。今回の答申は資料1-1から資料1-3まででございます。
○永井部会長
これは言葉の修正ということですね。
○事務局
はい。
○永井部会長
それはそれとして、先ほどのような議論をどうするかというのはまた別の話になるわけですね。そこはどうでしょうか。あり方の問題です。
○事務局
あり方の検討につきまして、この後の3つ目の議題の中で、今後のあり方ということで御検討いただくこととなっておりますので、そういった中で今後、意見をまとめていくことが対応になるかなと思っております。
○永井部会長
そうしますと、まずは資料1-1から資料1-3まで御確認いただいたということでよろしいでしょうか。
御異議がなければ、そのように扱わせていただきます。
それでは、また後で先ほどの問題については議論したいと思います。ありがとうございました。
続いて、告示までの期間について、あるいはプロセスについて御説明をお願いいたします。
○事務局
事務局でございます。お手元に資料2と参考資料4を御準備ください。
まず、当部会につきましては統計分科会のもとに設置されたICD部会でございまして、統計分科会のほうにつきましては統計の総合的企画、調査及び研究、統計の改善及び整備並びに統計の知識の普及及び指導に関する事項の調査審議を行うことが社会保障審議会令第5条で定められております。
それに対し、ICD部会につきましては、実は設置法の中で、特定の事案に対する審議機関として社会保障審議会令第6条、社会保障審議会運営規則第7条、分科会に部会を置くことができるという規定でございます。
ちなみに、実際に訳の作業をしていただきました専門委員会につきましては、同様に社会保障審議会運営規則第8条に、分科会の定めるところにより委員会を設置することができるとなっておりますが、実は委員会の使命といたしましては個別具体的内容について調査を行う機関であり、審議機関ではないために審議・議決ができないという内容になっております。
これらの関係機関の役割を反映しつつ、これからの改正・一部改正、改正につきましてはリビジョンを、一部改正についてはメジャーアップデートを想定しておりますが、一部改正についての情報が入り次第、右上のあたりに「➀WHO ICD改正発表内容等」というものがございますが、こちらは事務局から、まず設置母体である統計分科会のほうに御報告させていただきます。
その御報告に基づいて、統計分科会の中で、必要に応じて部会での検討指示ということで、部会に対して審議を落とします。それで、ICD部会の中で今回の改正内容について審議の上、改正が必要なのか、必要でないかということを決めていただいた上で分科会に報告を行い、必要ない場合にはここで終了しますが、必要であるという場合については統計分科会のほうから大臣に対して、こういった改正が必要ではないかという報告を上げる。
その報告に基づいて大臣は、➄のところでございますが、諮問を行い、諮問の案の審議についてICD部会に対して審議を行いなさいという指針を出し、審議の対応について、要するに改正をどのような方針でやっていくかということをICD部会で決めた上で、内容についての訳を専門委員会にお願いする。
その後、専門委員会から結果の報告を受けて、ICD部会が答申案という形で、今回はまさに資料1-1から資料1-3で決めたような答申案を含めて統計分科会に報告をした上で大臣に対する答申となります。
審議といたしましては、ここまでが厚労省内の審議となります。この後、実は統計法の所管につきましては総務省の統計局が主たる所管官庁でございますので、統計局のほうに送致をして、内閣府に設置されております統計委員会のほうで審議を行った上で、具体的には統計法に基づく告示が総務大臣のほうから出されるという流れになっていくかと思います。
ですから、今回はこういったスキームの中で審議をICD部会の中で議論していただいた上で改正について御検討いただくということで、毎回、機械的に改正が行われるものを受けて改正をやるのではなくて、内容の重要性を鑑みて改正についての可否を当部会で御判断いただくということをここでお示しさせていただきました。
以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございます。
何か御質問はございますでしょうか。
前回、たしか今村委員から質問があったと思いますけれども、それについてはどういうことでしょうか。
○事務局
では、あわせて御説明させていただきます。資料3-1をお手元でごらんください。
まず、今村委員からの御質問につきましては、世界各国における死亡診断書の様式についてはどのようになっているものかということで御質問が1点と、あと、ICDの改正に伴って数値的な変化がどこまで起こっているのかということについての報告を事務局はお受けしております。
まず、資料3-1から各国における死亡診断書の様式から御説明させていただきます。
資料3-1でございますが、一番最初に載っております様式がWHOのほうで設定されております死亡診断書の様式でございます。日本で言うところのI欄、II欄に当たります。内容的には(a)~(d)と4項目、(ア)~(エ)、こちらの項目が適用になっております。
1枚おめくりいただきますと、もう御存じかと思いますが、日本の死亡診断書(死体検案書)の様式になっております。こちらの「死亡の原因」と書いてあります部分のIとIIの部分がWHO様式に当たる部分でございます。
次に、アメリカのところが3ページ目にございますが、こちらのほうは上から「32」と左肩に書いてあるところがWHOの死亡診断書の様式に当たります。アメリカとしては、いろいろな人種の方もいらっしゃいますので、人種であるとか、あと、大学の学歴等を書くような項目も中に含まれているところです。
1枚おめくりいただきまして、イギリスでございますが、4ページ目でございます。イギリスのほうは逆にシンプルになっておりまして、太枠で囲まれているところの上の左右の項目がWHOの様式となっております。
次に、5ページ目がフランスでございますが、フランスのほうについては、真ん中あたりの例示というふうに書かれている部分がまさに死亡診断書の様式となっておりまして、WHOの様式を踏襲している。フランスにつきましては、真ん中あたりに斜線がついているところで、半分から下を張りつけて送ることで戸籍のほうと診断、要するに死亡の統計をとるところで情報が混同しないようにということで分けをしております。
次がオーストラリアでございますが、オーストラリアはちょっと変わっておりまして、オーストラリアの連邦政府が提示している様式としてはWHO様式と全く同じもののレベルになっておりますが、次の7ページ目からが、実はオーストラリアのビクトリア州での死亡診断書の様式で、多分、ネット上でそのまま診断になるものと、国民ナンバーに基づいて入力されると思うのですが、10ページ程度のものがビクトリア州では実際に使われております。
実際にWHOの様式につきましては、8ページ目の左側の真ん中あたりの部分が様式になっておりまして、電子的なファイルになっておりますので、I欄に当たるところについてはb)と書いてある、ここの部分になります。ここにどんどんと死亡診断書の様式を追加していく形で情報を集めるということです。
しばらくオーストラリアの様式が続きまして、13ページ目に韓国の様式でございます。比較的日本に近いかなと思いますが、情報量的にはどれぐらいかわかりませんが、真ん中の「11」と書いてあるところがWHO様式となっております。
最後に、WHO様式を十分に準拠していない部分というものも少しありましたので、最後の14ページ目にカンボジアを載せております。カンボジアについては、上の太枠の一番下のところに「Cause of death」という内容で死因が書かれる、この1項目だけという状態になっているのが各国の状況でございます。
電子化につきましては、一応、フランスとオーストラリアが電子化された状態で届け出がされるのですが、フランスは全てが電子化というわけではございませんので、その部分については少しモザイクな状態で運用がされているということでございます。
続きまして「ICD-9からICD-10への変更による各国の影響」について、資料3-2でございます。表紙に各国が、オーストラリアからスタートしてアメリカまでが載っている内容で、ICD-7からICD-10と載っているものでございます。
この一番最初のページにつきましてはOECDが、各国が今、どこからどこまでを、どのバージョンのICDを使って統計をしていたかということのまとめでございます。
ちょっと確認はとれないのですが、最後の一番右側にある枠の「2006-2010」と書いてあるのは、現行、どの年代のICDを使っているかをあらわしているものかなと思うのですが、ここは確認がとれておりません。
1枚おめくりいただきますと、各国の適用の状況に対して数値の変化についてを、大変大ざっぱな内容でございますが、第1章、第2章という、要するに感染症の項目であるとか、新生物の項目というレベルでまとめております。こちらのほうはOECDからとったものでございます。
この内容について、赤いマルがそれぞれのグラフのところに入っております。これがICD-9からICD-10、要するにICD-10を適用した年でございますので、各国、適用については比較的まちまちになっておりまして、日本についてはブルーの、ちょっと長目の破線であらわしております。全体的にはトレンドとして、それほど大きなトレンドというものは変わっておりませんが、韓国が他国とは違った動きを少ししているものでございます。
1ページおめくりいただきますと「第5章 精神及び行動の障害」とか「第6章 神経系の疾患」のところについては、比較的、周りの各国とは違った動きを示しているところが見受けられますので、少し日本の変動がどれぐらいかということは対比しにくいかなと思っております。
あとについては、大きな変化というよりも、各国の状況によって比較的、波はあるのですが、トレンド的にはそれほど大きな差は出ていないというより、前年度から翌年に対しての変更というものはそれほど大きく、章ごとでは見ることが難しいかなというところでございます。
それぞれの出典につきましては、7ページ目に主要な各国におけるICD-10からICD-9の比較情報について、どこが調べているかということを載せております。アメリカから、アメリカはCDCでございます。あと、イギリスについては国家統計局のウエブサイト。あと、カナダ、フランス、日本というものをこのような形で載せさせていただいております。
あと、ブリッジコーディングの資料を9ページに、アメリカが少し細かい内容での対比をしているということでございましたので、アメリカでの対比をICD-9からICD-10のところの変化について載せております。
また、机上配布資料でございますが、机上配布資料2-1からでございます。時間の関係もございますので割愛させていただきますが、こちらが日本のものからスタートさせていただいて、アメリカのものの抄録を載せておりますが、1枚おめくりいただきますと、机上配布資料3では原本がCDCのほうからついております。全文でございます。あと、その次にカナダ、フランスが2題といったような形で報告がされております。
各国は、ICD-9からICD-10はやっているのですが、ICD-10の中でそれぞれのマイナーバージョンアップといいますか、メジャーアップデートをかけたときの影響というものは、現状は把握して、調査をしているものは事務局としては把握できなかったということでございます。どうも、イギリスが細かいアップデートについても調査をしているようでございますが、内容的に非常に細かく、今回はお出しすることができなかったという状況でございます。
まずは宿題について、ICD室からは以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございます。
今村先生、よろしいでしょうか。
○今村委員
大変な資料といいますか、時間をかけて調べていただいて、ありがとうございました。またよく見せていただいて、何かありましたら、また次回にお伺いします。
○事務局
あと、部会長、人口動態課のほうから改めて、前回、説明不十分なところもございましたので、今回お時間をいただいて御説明させていただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
○永井部会長
はい。お願いいたします。
○小野人口動態・保健社会統計課長
人口動態・保健社会統計課の小野でございます。改めてよろしくお願い申し上げます。
前回の部会で御質問がありまして、人口動態統計のデータの保存状況について説明申し上げましたけれども、口頭での説明でわかりづらかったため、また、システムで自動保存されているデータについての説明が足りなかったため、今回は資料を用いて改めて説明申し上げます。
では、資料3-3の「人口動態統計のデータに関して」をごらんください。
まず、統計情報部で保管するデータなどでございますが、人口動態統計のデータの保存状況を示したものでございます。
一番上の○から3番目の○までですが、それぞれ、1番目の○が調査票そのもの、2番目の○が統計を作成するために永年保存している磁気媒体、3番目の○が調査票を複写したもので、保健所で使用される出生小票及び死亡小票であり、いずれも従来より統計法の二次利用に供しているものでございます。
また今般、データの保存状況について整理しましたところ、今、申し上げました3つ以外に、システム内で自動保存されているデータが確認されました。そのデータは、点線で囲まれた4番目と5番目の○のとおりであり、4番目の○は紙で報告された調査票をOCRで読み込んだ際の画像形式のデータ、5番目の○はオンラインにより報告された調査票データでございます。いずれのデータも調査票を受け付けた時点のもので、システム内に自動的に保存されているものでありまして、人口動態調査のデータチェックなどの作業のために利用しており、二次利用に供することを前提には保存しておりませんでした。
そのため、二次利用に供するためにはデータを取り出すためのシステム改修などが必要で、すぐに利用することはできませんが、御意見を伺いながら検討及び準備を行いまして、秋をめどに提供を開始したいと考えております。
では、2ページにお進みください。「人口動態統計の流れ」でございます。
左から右へ、厚生労働省までの人口動態調査票の流れが示されております。前回の部会で説明いたしましたように、調査票の中には死亡診断書から転記された情報も含まれております。また、調査票の作成の基礎となった死亡届や死亡診断書は、下方向の矢印のとおり、法務局に送付されまして、そこで27年間保存されることになっております。
3ページから4ページは、死亡届及び死亡診断書、人口動態調査死亡票の様式でございます。死亡届及び死亡診断書の記載をもとに人口動態調査死亡票が作成されることになっておりますので、御参考になさってくださいませ。
私からは以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
ただいまの御説明に御質問・御意見はございませんでしょうか。
○西田委員
どうもありがとうございました。
この死亡届の分析によってという、横浜市が死亡届を、利用請求を出していろいろ分析して地域医療に活用しているという話を聞いたので、今後こういったデータが地域医療とか、それから、実態に基づいた対策をするというので、非常に役立つのだなという話をたまたま週末に行政の研究会がありまして、そこでお話を聞いていたので、今、こういったデータがちゃんと保存されているということは、秋に向かって二次利用ができるということは非常に好ましいと思って、今、大変感動いたしました。
○今村委員
ありがとうございました。
人口動態統計のデータで、この点線のところは、形式は違うけれども、きちんと電子的に、磁気の媒体に入っていると。それで読み込むためには、例えばPDFみたいなものなのですか。画像でそのまま取り込んでいるものを活用しようと思えばソフトが要るので、それについては時間をかけてできるようにしたいという御説明であったと思います。
以前、この会で検案書の発行枚数は何枚ありますかと伺ったら、それは多分わからないという御回答であったと思うのですが、現状で診断書と検案書、最後の様式第2号を見ても、要するにこれは検案書から書かれたものなのか、診断書から書かれたものかは区別がついていないのだと思うのですけれども、それはできるようになるのでしょうか。
つまり、検案書が何通発行されて、診断書が何通発行されているとか、そういうことはいずれきちんと区別ができるようになるのですか。
○小野人口動態・保健社会統計課長
まず、データのほうから説明申し上げます。
磁気媒体に収録されておりますのは、1つは紙で報告された分と、もう一つはオンラインで報告された分でございます。紙で報告された分につきましては、画像形式で入っているものでございます。オンラインで報告されたものは、もちろん、入力された時点から電子データになっておりますので、そういった形でシステム内に保存されております。
ただし、これらは、いずれも取り出すことを、二次利用に供することを前提につくられておりませんので、二次利用に供するためにはシステム内から取り出すためのシステム改修などが必要になるということを申し上げました。
それから、死亡診断書と死体検案書の件でございますが、資料3-3の一番最後の4ページにありますように、人口動態調査死亡票には検案書か、診断書かの別を記入する部分がございませんので、人口動態調査で把握するとなれば、そういった項目を調査票に設ける必要がございます。
そういうことで、現状、人口動態調査では把握していない事項ということでございますが、もし、何か別のところで政策的な判断があって必要であるということになり、私どもに要請があれば、それはその時点で検討することになろうかと存じます。
○姉崎統計情報部長
ちょっと補足をさせていただきますけれども、今村委員から前回、死因究明等の推進計画検討会の説明がありまして、その報告書を私も読ませていただきましたが、その中で厚生労働省への課題ということでの死亡診断書、死体検案書の項目とか様式のあり方について検討するということになっております。これからおそらく医政局を中心に検討がされるのだと思います。
その中で、死亡診断書による死亡なのか、死体検案書による死亡になるのか。これは分けて、ちゃんと統計をとったほうがいいのではないかという、例えばそういう議論があって、そういうふうにできないかという要請があれば、それは統計情報部として検討しようということでございます。
○永井部会長
ほかにいかがでしょうか。
○金子隆一委員
私も、このデータの保存に関しては非常に高く評価をしたいと思います。
先ほど来、最初のほうの議論でありました、複合的な因果関係の中で死亡が起こるということに関して、原死因を取り出して分析をするというのは、いわば第1次的な分析の方法でありまして、非常にそれはそれなりに意味があると思います。しかし、皆様が御指摘いただいたように、本当の因果関係、あるいは時代の変化に伴う、そういった重要性の変化というものに関しては、やはり複合死因を分析して、逆にその分析結果を原死因のルールに生かしていくことが必要になってくるということなので、こういったものを今回調査していただいて、ゆくゆく二次利用に供していただくのは、そういう流れにとっても非常に大きな一歩ではないかと思います。
○永井部会長
ありがとうございました。
結局、現状をどう理解するかということと、今後どうするか。それも短期的、中長期的な話と、いろいろまざってくると思いますけれども、これは議事の3のほうで議論したいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、議事3で、今後の疾病の分類等のあり方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局
事務局でございます。お手元には資料4と参考資料5、前回の議事録を御準備いただければと思います。
まず、前々回までの議論の要旨のまとめに対して、前回の第4回の議事の内容に合ったものを事務局で少しピックアップさせていただいて、追記させていただいたものが資料4でございます。第4回のコメントとして出てきたものについては、下線を引いたところが意見でございます。
中におきまして個別に御紹介いたしますが、WHO ICDにおける原死因選択等の限界関係につきましては、高齢化することによって、複数の傷病(基礎疾患に含む)に罹患し、その傷病が複雑に関連して死に至ることから、単一の傷病に死因を帰着させることは不可能であるということを部会長からいただいております。
おめくりいただきますと、傷病リストのところで、3ページ目でございます。
3ページ目におきましては、それぞれの委員のほうから、疾病概念は、時間とともに変化することから、その変化に対応できる分類が必要ではないかという点。
医学上、疫学上の活用を前提に分類を作成すべきではないかという点。
傷病リストの作成に当たっては、専門医学会の協力に基づき傷病も収集、構築を行ってはどうか。
WHOのICD-10及び今後発表が予定されているICD-11だけでは、日本の現状を十分把握することは困難であることから、臨床医学系の領域ごとにICDよりも詳細な傷病リストを作成することが必要である。
状況によっては、ICDとは異なる分類構造を領域、分野別に作成することも視野に入れる必要があるのではないか。
傷病リストの議論については、統計分科会の所掌範囲を超える内容も含まれていることから、統計分科会の下部組織ICD部会での検討には限界があるのではないかということです。
あと、分析・活用においては、4ページ目の一番下からでございます。
高齢化や生活習慣病といった、少子高齢化している我が国では、他国と異なった疾病構造となっているため、このような実態を適切に把握できる統計調査を実施する必要があるのではないか。
調査結果が具体的にどのように活用されているのか、関連省庁含めて実態を収集しておくべきではないか。
医療や生活に実際に役立つ統計調査にする必要があるのではないか。
統計調査に限定せず、医療現場や傷病の研究といった幅広い死因情報の活用を行うべきではないか。
統計法の二次利用に係る制限の規制緩和等をあわせて検討する必要があるのではないか。
がん登録、中皮腫等の他の統計調査との連携した統計解析を行う必要があるのではないか。
死因情報はいわゆるビッグデータであることから、多方面での利活用を前提に、解析を行う必要があるのではないか。
死因情報等の二次利用を積極的に進めていく必要があるのではないか。
死因統計の分析に当たっては、WHOの旧基準と新基準を二重で実施、要するに統計処理をしてルールの変化による影響を把握しておく必要があるのではないか。
死因の決定に当たっては、その者が罹患・受傷している全ての傷病の関連の中で判断する必要がある。
あと、死亡統計調査票に転記されていない情報もあわせて解析する必要があるのではないかといったものです。
情報の保存関係では、5ページの下のほうです。
死因情報のデータベースを構築しておくことが必要である。
死亡統計調査票の情報を人口動態統計のみに利用するのではなく、臨床医学会での利用を考慮して整備を行う必要がある。
異なる医学臨床の領域での活用を前提としたデータベースの構築が必要ではないか。
これは先ほどと同じところですが、死因情報はいわゆるビッグデータであることから、多方面での利活用を前提に、解析が可能なデータベースを構築する必要があるのではないか。
世界最長寿国として、死因等を適切に記録・分析していく責任が国際的にもあるのではないか。
将来的に追加解析が可能とするために、死亡票(調査票)や添付情報を可能な限り原本のまま保存しておく必要があるのではないか。
あと、人間の思考で理解できるように死因を単一に限定することは行わず、記載されたことを加工せずに保存したデータベースを構築すべきであるといった内容でした。
死亡診断書記載に係る教育・支援につきましては、1点だけ、時代の変化に即応できる入力方法等の、基準の構築と普及が必要であるとされております。
報告様式の関係でございますが、7ページ目にございますとおり、統計調査をどのように活用するかを基準として、診断書(調査票)の位置づけを考えるべきではないかという意見が出ております。
検討運営関係といたしましては、WHOのルールを超える内容であっても我が国全体に資することであれば積極的に行っていくべきではないか。
短期、中期、長期の今後の統計調査について検討する必要があるのではないか。
将来検討においては、考え方やルールを作成して検討する必要があるのではないか。
死亡情報等の統計情報について、今後の活用に関して行程表を作成して作業を進める必要があるのではないか。
あと、社会保障部門等の制度、政策にも利用可能であるとの問題意識を持つことが必要であるとなっております。
補足でございますが、実はICD-11のケースが出ておりますが、ICD-11については当初、臨床応用について、あと、研究応用についても議論の対象としてICD-11の検討自体はスタートしたところでございます。
現状、2017年の勧告、WHOの承認を目途に、今、作業を進めるということで、今回、田嶼部会長代理のほうが内科タグの部会長としてWHOから4月1日付で承認が行われましたことを報告するとともに、今後、実際にこの中の意見で出てきた一部の部分については、個別の疾患に対しては個別でまた分類構造をつくってはどうかということは、リニアライゼーションという言葉でWHOのほうでは提言がされております。
しかし、実質的には少し各国の医療現場の状況等の調整、国と国との調整において、やはり診療科目の分け方、要するに胸部外科が食道を診るのか、それとも、消化器外科が診るのかというのが各国において伝統的に分類が日本とはやや異なる部分がございます。そういった面の関係から、やはり個別の傷病ベースということには行き着けず、今回はそれぞれの議論の中でICD-10をベースに、今、議論を進めており、詳細なものというふうに頑張っているという段階でございますので、方向的にはICD-11のほうとしては、コンセプトは合っているのですが、実質作業としては国際的にお互いに了解が得られるかという点と、あと、発展途上国と先進国の関係というものを踏まえての調整にやや難航している感がございます。
また一部、ICD-11から漢方の部分をICDの中に取り込むということで、今、議論が進められているのですが、実質的にどう活用するかということまでには至っていないというのが現状かと思います。
○永井部会長
ありがとうございました。
それでは、御質問・御意見をいただきたいと思います。
こうした意見がたくさん出てきて、今日も議題1のところでも議論いたしましたけれども、やはり何か提言のような形で取りまとめるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
もちろん、これは来年度から直ちに実施してほしいということではなくて、あり方を一度じっくり考えるべきであるという提言になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○堀田委員
確認させていただきたいのですが、この調査票は最終的に厚生労働省で保存、紙は1年で廃棄で、電子媒体・電子データは永年保存となっていて、そこ以外では保存していないということですか。保健所・都道府県を介して厚生労働省に最終的に保存されているということですね。
ということは、調査票は原死因の特定のためにのみ使っているということで、こう言っては申しわけないのですが、調査票のデータのごく一部を使っているということで、それ以外のデータについての利用は今のところないといいますか、あるいはそれをやろうと思うと特別な解析手法を開発しなければいけないということですね。そういう理解でよろしいですか。
○小野人口動態・保健社会統計課長
資料3-3で御説明いたしましたように、点線で囲った部分についても二次利用ができるようにいたしますので、それを二次利用で分析することは可能です。また、この点線で囲った部分の中には原死因以外の死因名も書かれております。そういうデータになっておりますので、理論的には先生がおっしゃるような分析は可能でございます。
○堀田委員
それは可能であって、実績はまだないということですね。
○小野人口動態・保健社会統計課長
はい。ございません。
○堀田委員
今後の問題として、中長期的にそういうことができるようなたてつけにしていくかどうかという問題ですね。
せっかく、これだけ重要なデータが毎年120万件蓄積されるわけですから、他方面からの解析ができるようにぜひすべきであると考えます。皆さんの今までの意見と同様であると思います。
○今村委員
永井部会長がおっしゃったことは大変重要なことであると私も思って伺っておりまして、答申は先ほどの御説明のように、資料1-1から資料1-3までを答申すると。したがって、この部会として諮問されたものは、答申はこれですと。これはこれで御承認いただいたことは結構だと思うのですが、部会としてこれだけ、今の資料4にあったようなさまざまな大事な意見がありましたと。これは自由な発言で、みんなお話をしていただきましたということだけで、この部会が役割を終わってしまうのは余りにもったいない。
したがって、答申ではないけれども、この部会の何らかの報告書という形で、短期的なもの、中期的なもの、長期的なもの、いろいろまじっていると思いますが、ここで皆さんの大事な意見が出たものを何らかの形で部会として発信する必要があるのではないかと私は伺っていて思いました。
○赤川委員
全く賛成で、やはりいろいろな議論をしたことをきちんと提言して上のほうへ持っていくというのは大事かと思います。
それで、先ほどのような所掌によって、例えば死亡診断書のところはここで議論してはいけないところであるとあったのですが、しかし、その問題点をきちんと指摘することはすごく大事ではないかなと感じます。
○栗山委員
同じことなのですが、必要なことであると思います。
○永井部会長
大江先生から、前回、たてつけのことも少し触れられて、ICD部会の検討には限界があるのではないかという御意見がありまして、これをもう少し御説明いただけますか。
○大江委員
前回、この部分の発言の趣旨は、統計法に基づく二次利用の範囲を超えたデータ利用を考えるということであれば、この部会で議論するというたてつけではちょっと難しいのではないでしょうかということを申し上げたのですが、実際、そうであるとは思いますので、今後、例えば先ほどの検案書と死亡診断書の区別をデータベース化して処理をしようといったときには、現在の統計法に基づく調査では対象になっていないわけですから、何らかの別の場での議論が必要なのかなと思ったということです。
○永井部会長
田嶼先生、どうぞ。
○田嶼部会長代理
私も大江先生の御意見に賛成でありまして、今までICDは公衆衛生の面から統計データをきちんと出して、それを人口統計に反映させるということが主眼であったと思います。既にICD分類は社会保障の分野でも、例えばDPCなどに使われておりますし、広く臨床と関係のあるところに来ているわけです。
そうなりますと、これを将来施策に広げていくためには、例えば社会保障審議会のようなところで審議するということも考えられるのでしょうか。今までのお話を伺っていますと、統計部のお仕事は膨大であり、マンパワーとしてもいろいろ大変であるということを伺っています。また、長い時間をかけるよりは、このように機運が高まったときに進めていくことが望ましいのではないかと思うのです。その辺のところをお伺いしたい、あるいは提案したいと思います。
○永井部会長
いかがでしょうか。
最初にもお話ししましたけれども、今、内閣府で医療ICTのあり方の検討会が始まっています。今、日本にどういう臨床的なデータベースがあって、今後どういう方向へ行くべきかという地図を描いているところです。普通、データベースといいますと、生存されている方、病気の方のデータベースということになりますが、私はやはり亡くなられた方のデータベースというものが一つの究極のデータベースとしてあるべきではないか。そんな発言をしてきまして、おそらく内閣府の報告書にもそれは書かれると思います。
そういうこともありまして、先ほどから申し上げていますように、すぐにということではないけれども、行政全体の動きを見ながら今回のこの議論が生かされればという提言なり報告書をつくっておいていただければ非常にありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
○松谷委員
今の部会長の御発言と関連するのですけれども、死因統計としてコアの部分、確実な部分をやるということについては、今の議論のとおりだと思うのですが、これをさらに利用する。特に田嶼先生がおっしゃるように、これから臨床に使うというのは一つの大きな視点の方向だろうと思います。ただし、これは非常に時間のかかる長期的な、やるとなると相当に大きなことを考えなければならない。
今、永井先生がおっしゃったように、臨床の世界も余り電子化されていなかったものが、最近ようやくいろいろな意味で疾病の中身というものが電子化されて、統計がとれるようになりつつあるということです。死亡統計のほうは死亡統計のほうでこういう形で、こちらは世界標準、WHOの標準で限られた範囲のものでしかありませんけれども、しかし、かちっとしたものがずっと伝統的にとられて、これも電子化が相当に進んでいる。ただし、これを結びつけるのは、実際に臨床の研究をしようとしますとアウトカムが必要ですので、アウトカムというのは最終的にはどのように亡くなったかというところまで行き着かないと、例えばいろいろな病気のデータをとっても、こういう病気の方がこのくらい出て、こうであるということがわかっても、その治療の結果として最後はどうなったかというと、これはやはり死亡統計と結びつかないと最後の研究にならない。
そういうことからしますと、このデータというものもいずれ、それを結びつけるような方向に行くというのは多くの方が考え、ただ、それは簡単ではありませんし、やり始めたら切りのない、荒野に出ていくような話でもあります。そこら辺は内閣府での議論でもこれからされるのかもしれませんけれども、しかし、方向性としては確実な方向としてあるということですから、そういうことまで長期的な見通しとして当部会で提言するというのは一つの考え方かもしれません。
当面は、この二次利用という形で、今、利用されていなかった磁気媒体で保存されているものが、この資料3-3にあるように、取り出しの仕組みをつくって、今年度内にも利用されるということで、本当にわずかな一歩ですけれども、一歩だと思うのですが、二次利用というものではないレベルのものになると、それはなかなか大きな飛躍が必要な一歩であると思うのですが、それも見据えたような、踏まえたようなことが提言できれば一番すばらしいかなと思います。
がんの統計の中で、今度の法律で若干、それに一歩踏み込んだようなところもあると言われていますけれども、これは日本中の全ての疾病、全ての死亡者の話ですから、これはがんの世界とはまた違う、別の難しさはあるとは思いますが、方向としてはよろしいのではないかと思います。
ちょっと長くなりました。失礼しました。
○永井部会長
おそらく今の予算では、とてもできないわけです。むしろ、行政全体の流れに乗って、あるいは早目に提言して予算を獲得してくる。そうでないとできないと思いますので、そういう時期を失することなく提言する、報告書を出すことが重要ではないかと思います。
田嶼先生、どうぞ。
○田嶼部会長代理
私、ちょっと言葉が足りなかったのですけれども、分科会などで検討するというのは疾病の分類に関してです。臨床面の、疾病などを審議するような分科会があったほうが小回りがきくのではないかなということで、全体という意味ではないことを、訂正・追加させていただきます。
○永井部会長
五十嵐先生、どうぞ。
○五十嵐委員
直接、この部会と関係ないかもしれないのですが、こういうデータを有効に使うためには、データそのものが正確でないといけないと思うのです。そのために、特に小児などは、入院して亡くなっている方の場合はデスレビューはしっかりしていると思うのですが、救急等で亡くなるような患者様も多いわけで、そういう方たちのデスレビュー体制が非常に日本はおくれているということがありますので、もし提言の中にそういうことが、改善が必要であるということをぜひ入れていただくことが、このデータそのものの信頼性を高めるためにはどうしても必要なバックグラウンドといいますか、努力ではないかと思います。
○永井部会長
ほかにいかがでしょうか。
もしよろしければ一度、この資料4、あるいは今日いただいた御発言をもとに、何か部会長として少し取りまとめさせていただいて、事務局とも御相談しながら、次回お示しできればと思いますが、よろしいでしょうか。
○栗山委員
自分がやるのではないのであれですが、ぜひよろしくお願いします。
○永井部会長
ありがとうございます。
それでは、続きまして議事の4に参りますが、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局
議事の4でございますが、次回の開催の日程について少し御報告させていただきます。
次回のICD分科会につきましては、年末を想定しております。委員の皆様には、また追って御連絡しようと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○栗山委員
ごめんなさい、よく聞こえなかったのですけれども、年末ということですか。
○事務局
はい。年末を予定しているところでございます。
○栗山委員
負担がふえるので、そういうことをやるのはどうなのかなと思うのですが、例えばもうちょっと早目に。
○永井部会長
そうですね。やはり夏か秋に開いて。
○栗山委員
御負担がふえるので、こういう提言をしていいのかどうか、わかりません。
○永井部会長
提言をまとめるのに、1~2カ月はかかると思いますので、どうでしょうか。夏か秋、遅くとも9月ぐらいに1回開催したほうがよろしいと思いますが。
○姉崎統計情報部長
また部会長とも御相談させていただいて、報告をなおまとめるのですけれども、少し時間は要りますので、なるべく早く終わらせたいとは思いますが、夏というのはちょっと難しいかなと思いつつも、なるべく早目にできるようにしたいと思います。
○永井部会長
年末は遅過ぎると思います。ぜひ秋口には開催できるようにしたいと思います。
そういうことでよろしいでしょうか。
○栗山委員
これをどういうふうにお話ししていいのか、また私自身、こういうものを読むのが、そんなにちゃんと読めるわけではないので何とも言いようがないのですが、WHOだけではなくて、やはり先ほどから出ていた中に含まれるのかなとも思うのですが、例えば死因だけではなくて、今、国民病と言われているようなアレルギーとかが死因でないためになかなか出てこないところがあるのです。やはり死因につながる部分でもあると思うので、そういうところもどこかで検討するなり、あるいはここではなくても、どこかほかで検討していただいているのかなというのをちょっと教えていただければなと思って質問させていただきます。
○永井部会長
いかがですか。それはこれから提言の中にも多分入ると思いますけれども、単なる原死因だけではないのだということですね。その間にある、あるいは背景にある情報をいかにデータベース化するかということと関係あると思いますが、おそらくそれは今回の報告書に入ってくると思います。
○栗山委員
ありがとうございます。
○郡山委員
これの取りまとめを、最初の答申として返すものの周りのところをもう少し固めて、将来に向かってということを書こうということは非常にすばらしいことであると思います。それを、やはり先生が少しおっしゃってくださったみたいに、一度、専門家でといいますか、我々がまとめるという作業がとても必要であると思うのです。
そのことを一旦、ここで皆さんにお示しした上で、それが最終的にここのところがだめと言う人が多分出てきますから、では、どうしてだめなのですかということをするためには、やはり時間的に一定のスピード感を持ってやらないといけないのだろうなと思います。
私も、協力できることはもちろん協力させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○西田委員
先ほど言いました横浜の医療を考えている皆さんがおっしゃるには、死亡診断書に原因だけではなくて医療機関も書いてくださるとひもづけしやすいとおっしゃっていたのです。まさに今、ビッグデータと言われているのですけれども、そういった意味でも、まず具体的にというよりも、ここでの議論されたことを世に提示することは多くの方々と考え方を、どういう考え方に基づいて行われているかということを共有していくことも大事かなと思うので、ぜひ部会長の、皆さんの協力を得た考え方を世に提示するというのも非常にいいかなと思います。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
それでは、できるだけ早急にまとめて、あるいはその過程で皆様に御意見を伺いながら報告書を作成し、次回、遅くとも秋口には議論したいと思います。
よろしいでしょうか。
事務局から連絡事項は特にございませんでしょうか。
○事務局
そうしましたら、秋口を目途に、ちょっと予算的な開催運営の予定もございますので、その辺と勘案しながら、また御連絡させていただきたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長
それでは、これで本日は終了いたします。
どうもありがとうございました。
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大臣官房統計情報部企画課国際分類情報管理室
疾病傷害死因分類係: 03-5253-1111 内線7493
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