ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会)> 第3回社会保障審議会年金部会年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会 議事録(2013年11月6日)
2013年11月6日 第3回社会保障審議会年金部会年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会 議事録
年金局事業管理課
○日時
平成25年11月6日(水)14:00~16:00
○場所
厚生労働省6階 専用第23会議室
○出席者
宮武委員長 | 内田委員 |
菊池委員 | 佐々木委員 |
杤原委員 | 平川委員 |
堀江委員 | 宮里委員 |
望月委員 | 和田委員 |
○議題
(1)年金保険料の徴収体制強化等について(検討課題1)
(2)その他
○議事
○大西事業管理課長 それでは、定刻でございますので、ただいまより、第3回「年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多用の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日の出欠ですけれども、原委員から御欠席という連絡をいただいております。
議事に入ります前に資料の確認をさせていただきたいと思います。本日の資料ですが、資料1「前回の委員会でのご指摘等について」、資料2「専門委員会におけるこれまでの議論1」、参考資料という3種類がございます。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、カメラの方は退席をお願いいたします。
(報道関係者退室)
では、これからの議事運営、委員長お願いいたします。
○宮武委員長 それでは、議事に入ります。
まず、前回の会議で皆様からいただいた御指摘や御質問について事務局より資料が提出されておりますので、それについて説明と議論をしていただきたいと思います。
その後で、第1回の委員会で議論いただいた論点について、皆様よりあった御意見を整理した資料も用意していただいておりますので、これを踏まえてさらに議論を深めたいと思います。
では、最初は事務局から説明をお願いいたします。
○大西事業管理課長 お手元の資料1「前回の委員会でのご指摘等について」という資料について、まず御説明いたしたいと思います。
ページをお開きいただきまして、最初の2枚については、当専門委員会では国年保険料の基本的な考え方を整理することが論点整理の中でも1つの課題と位置づけられていますので、少しその辺を補足する資料として事務局より御提出させていただいております。
「国民年金保険料の考え方の変遷」という1ページ目の資料ですけれども、国民年金は昭和34年制度発足時には、月2,000円程度の給付を確保するために、25年間の拠出が必要だという考え方でした。2,000円という額自体は農村での生活保護の基準額を参考にして設されています。さらに、当時の成人一人当たりの消費支出などを参考にして、40年間全部納めたとしたならば受給できる最高額を3,500円としました。25年なら2,000円、40年なら3,500円というような形で、制度発足時には受給資格期間が25年という形で定められていました。
また、財政方式ですけれども、賦課方式ですと、その時どきの給付費を保険料で賄うということですけれども、当時はまだ国民年金制度が始まったばかりですので、そうすると最初は安くなってしまうということで、将来の被保険者に過度の負担を負わせず、適正な負担を被保険者に求めるという観点から、積立方式という考え方で出発をしている。保険料の額の計算につきましては、先ほどの65歳から月3,500円の支給ということや、障害・遺族年金の給付も含めて計算して月180円という数理保険料を出しています。それを3分の1国庫負担するということと、年齢別に刻みをつけようということで、拠出意欲が高まる35歳以上は額を上げて、34歳以下は100円、35歳以上は月150円という形で設定をされております。
一方、昭和61年の基礎年金導入に伴いまして大きく制度体系が見直されたときの考え方が矢印の下でございます。受給資格期間については、国民年金のときの25年加入すれば年金がもらえるという考え方は維持をしております。次に、年金額の給付水準ですけれども、これは当時の40年加入ですと5万円という額を基準に設定をしているということでございます。もともと国民年金は、発足時には25年で2,000円という考え方から始まっていましたけれども、基礎年金の導入時には40年で5万円ということで、基準がシフトしていると考えられます。それから、財政方式につきましては、基礎年金は賦課方式という考え方で、毎年の給付に要する費用を各制度(国民年金・厚生年金・共済年金)から被保険者数に応じて頭割りで負担する形になっています。財政方式も積立から賦課方式ということで、世代と世代の支え合いという要素がより強くなったということでございます。保険料は6,800円で設定して、毎年300円ずつ引き上げていき、59年度価格で1万3,000円に達したところで均衡するという考え方でございます。
以上のような変遷を踏まえまして、次の2ページ目の「国民年金保険料の納付義務について」ですが、国民年金法第88条の規定自体は制度発足当時から基礎年金導入に至っても基本的に変わってないわけですけれども、現行制度のもとでの考え方としては、1つは自助自立と申しましょうか、老後のために保険料を納めて、自分で老後に給付を受け取るという「老後の自立のための権利という考え方」があります。それから、世代と世代の支え合いという要素、「世代間連帯という考え方」。最後にもう一つは、加入すればいろいろ障害年金・遺族年金、そういう保障が受けられる。国庫負担もついてくる。生活保護と違って自分の権利として受け取る給付が保障されるという面で、国民年金保険料を納めることにはさまざまなメリットがあるということでございまして、こういった要素を総合的に考えて、現時点で国民年金保険料を納めることの意義については整理をしていったほうがいいのではないかということでございます。
こういう考え方のもとで、今回の論点整理の中でも、それをどうやって実際に国民の皆様に保険料を納めていただくかという方策を検討することが課題になっています。次の表ですけれども、納付への理解の促進、広報・PR、教育、こういった効果が広く薄い施策が一番上に記載されていまして、次が納付しやすい環境整備、クレジットカードやコンビニでも納められるとか、部分的な免除制度や猶予制度を設けるとか、そういった形で納付しやすい環境整備を行うといった対策です。さらにもう一歩進みまして、未納者の方への市場化テストの事業者や年金事務所などから文書・電話・戸別訪問による勧奨などがあります。
さらに一番厳しいものとして、強制徴収ということで、財産の差押等を強制的に執行するというものまでありまして、費用について見れば、広く薄くというところから、狭く厚くというような感じになりますし、その効果としても、強制徴収は確実に現金を差し押さえてしまうということですけれども、広報ですと、本人の意識の変化を促して納めていただくというような形で、効果にもそれぞれ濃淡があるということで、これらの方策のベストミックスはどういうところにあるのかということを考えていかなければいけない。こういうことが今回の議論においても1つの課題ではないかと考えております。
次でございますけれども、これは前回の会議で、平川委員から九十六条に厚生労働大臣は市町村に滞納処分を請求することができるという規定がありますが、これをどのように使っているかということで御質問いただいていたかと思います。実際にこの規定を適用した実績はないということでございまして、この規定の趣旨は、遠隔地など年金事務所からかなり遠いようなところで、こういう必要性が生じた場合に市町村にお願いすることができるという趣旨で設けられているものです。これは制度発足時から設けられているのですけれども、実際には使われてないということでございます。
それから、次の資料、これは免除制度について、職権で適用すべきという議論が論点整理の中でも出されておりますが、これにつきましては、平成20年7月、当時の社会保障審議会年金部会で議論された状況を御紹介しようということで御用意したものでございます。
この資料を見ますと、論点としては、現行制度の中での未納・未加入対策の重要性、網羅的な所得審査の仕組みが確実に構築できるか、納付意欲に悪影響を及ばさないでやれるのか、所得がない方でも保険料を納めているという実態をどう評価するかといったような論点が挙げられておりまして、その下に当時の各委員の御意見として、例えば一番上のF委員ですと、免除手続の勧奨をどんどん進めるべきだ。P委員は、広報の徹底が必要。職権で免除するには、国民から政府に対する信頼が必要ではないか。L委員からは、滞納率に注目しすぎではないか。C委員からは、本人に対して免除の勧奨をすれば職権免除まではやらなくていいのではないか等々、各委員からそれぞれ、職権免除について、プラス、マイナス両方の面からいろいろ御議論があったということの御紹介ということでございます。
続きまして、6ページ目「保険料免除の所得基準について」でございます。免除基準の実態をどう考えるか、前回の会議でも御指摘があったかと思います。ここにございますように、「全額免除の基準」につきましては、市町村民税の均等割が非課税となる額を参考として、全く同じではないのですが、次のページに地方税法の規定が抜粋されていまして、35万円+扶養親族21万円、今は+22万円になっていますので、金額がぴったり一致しておりませんけれども、市町村民税の課税状況というのを参考にして設定されているというのが今の全額免除基準ということでございます。
それから、「半額免除基準」についてですが、4人世帯の基本的な消費支出水準を基準にして基礎控除やその他各種控除があることを加味して免除基準を設定している。あとは途中の刻み「4分の3免除」、「4分の1免除」というのは、それぞれ半額免除を基準に-40万円、+40万円、ちょうど中間になるように刻んだというような考え方で設定をされております。
前回、佐々木先生だったと思いますけれども、こういった免除を長い間受けていらっしゃる方に対して、給付面で少し考慮するというようなことも考えられるのではないかという御指摘があったかと思います。今回資料がありませんで恐縮ですけれども、この前の社会保障と税一体改革の中では「年金生活者支援給付金」として、社会保険の外で消費税財源を活用した給付になりますが、低年金の方には給付を行うということがありますので、低年金の方に給付面で配慮するという施策は、生活者支援給付金として実現はしていると考えています。
次に資料の8ページ目、前回の会議で横須賀市のわかりやすい申請書の例を参考として資料で出させていただいたところ、その効果について御質問があったかと思います。横須賀市のような形で独自に工夫をした申請書を使われている市を、ここでは関東の2市を選んで、実際の納付率がどうなっているのかを近隣の境を接している市と比べてどうなっているのかというのを比較してみましたところ、申請書のわかりやすさが納付率に対して直接有意な影響を与えているわけではなさそうだというようなことで見ればいいのではないかと思っております。実際の担当の方のお話などを聞きますと、免除を受ける人がふえるというよりは、免除の手続をされる方のわかりやすさなどの点でメリットがあるとお聞きをしております。
次が9ページ目、「学生納付特例制度について」ですが、制度の趣旨については、平成元年の改正で、学生が障害無年金者の防止等の観点から強制加入になりましたけれども、しかし、学生自身ではなく親が全部保険料を負担するというような実態がございまして、子どもの老後のために親が保険料を支払うというのは世代間扶養の趣旨にそぐわないのではないか等々、ここに書いているような考え方がございまして、学生納付特例という制度が平成12年の改正で創設をされております。
学生納付特例を他の免除より優先することにした理由ですけれども、1つは事務処理上の困難性ということと、もう一つは、負担能力がある方を猶予するというのは制度的には矛盾してしまうということで、学生納付特例が適用される方は一律にそちらへ行っていただくというような形で整理をされたということでございました。
続きまして、学生納付特例の関係で、鹿児島県における「学生納付特例法人の積極的な取組の例」についてです。もう少し詳しく見てみたものが10ページ目の資料です。複数の専門学校を経営しておられまして、2年生、要するに20歳になる頃ということですけれども、4月に一斉に説明会をやって、その説明会で学生さんに申請書を記入をさせて、それを先生が預かってくださる。実際に20歳に達した方の分から学校単位で取りまとめて、法人本部を経由して年金事務所へ御提出していただけるというようなことで、4月にまとめて学生にこういった形でやってくださるところが非常にすぐれた結果につながっているということのようでございます。
次の11ページ目は「若年者納付猶予制度について」ですが、制度の経緯としては、学生の納付特例が創設された後、若い世代の方について、就職困難等のために収入がないにもかかわらず、収入のある親と同居していると保険料の免除が受けられない。そういう若年の方の低年金・無年金防止対策ということで、世帯主の所得にかかわらず本人と配偶者の所得を基準にして猶予を適用するという時限措置が講ぜられたということでございます。
その中で4つ目の「○」のところに書いていますけれども、「当時の社会経済状況を踏まえ」という点がございます。当時の社会経済状況というのはどういうことかというのが、次のページ目以降なのですが、端的に申し上げますと、非正規で働く若い世代の増大ということでございます。12ページ目以降、そういう資料が幾つか続いておりますけれども、特に平成7年から平成17年、西暦でいうと95年から2005年、このあたりで非正規雇用が急速に増加をした。この改正が行われたのはちょうどその時期なのですが、そういうようなことがあります。13ページ目を見ても2012年までの推移として、確かにどの年齢層でも上昇しているといった傾向があります。次の14ページ目では、平成14年当時と24年、10年後を比較いたしますと、下からその他パート、その上が学生、その上がフリーター(15-34歳)、その上が年長フリーター(35-44歳)、その上が中年者(45-54歳)、一番上が高齢者となっていますが、高齢者の非正規雇用の方も増大していますし、年長フリーターとか中年者、40代ぐらいまでの層もかなり非正規労働がふえている。15-34歳は、むしろ横ばいということで、非正規労働が年齢が高い層にも広がってきている状態がうかがえるということでございます。
次の15ページ目でございますが、これはこれまで余り議論がなかった部分で、私ども事務局のほうからの御提案です。年金事務所職員が現金を取り扱えないことをどう考えるかということが論点整理の中の1つの課題になっています。1つ目のところに「現状の課題」とございますけれども、箇条書きのところにありますように、年金事務所に納付の手続などで来所されたお客様から納付の申し出があっても、保険料を収納することができない。あるいは特別催告状など納めてくださいというような手紙を送って、それを受けて年金事務所にお越しいただいたお客様から、納付しましょうと言われても受け取れないというようなことで、お客様にも御不便をおかけしておりますし、不信や不満を招いているという問題がございます。
今回、私ども内部で検討したのが、2.の「対応策(案)」のところですが、お客様が保険料を年金事務所に持参していただいた場合、国民年金資格取得等に関する相談手続、全納申出等に来所されたお客様から保険料の納付の申し出があった場合、あるいは特別催告状等の送付を契機に納付相談に来られた方から納付の申し出があった場合、呼び出し、強制徴収手続に入ったところでお見えになったお客様から納付したいというような話があったとき、年金事務所職員が戸別訪問して、その場で保険料を納めますと言ってくださったお客様がいらっしゃった場合、こういった場合には納付することを可能としてはどうかということでございます。
その場合の「事故防止対策(案)」として、下にございますけれども、機械で管理することによって収納した記録をきちんと管理して、事故が起こらない、紛失等が生じないようにするということですとか、内部での現金の取り扱いに関するルール、事務要領、取扱細則を徹底する。あるいは監査、防犯カメラによる監視、こういったものを導入することによって事故を防ぐということとあわせてやってはいかがかということで考えたものでございます。御議論いただければと思います。
それから、次が16ページ目「市場化テスト事業の改善」というのも論点整理で課題として掲げられております。ここでは大きく2つございまして、1つ目が「成績優秀な受託事業者の確保方策」ということでございます。民間事業者の中で、成績優秀な事業者の方であっても、契約が終了してしまうという点についてなかなかノウハウの蓄積が得られないことへの対応策でございますけれども、優秀な市場化テスト受託事業者については、契約期間の延長を一定の要件のもとで認める。そういうことについて、市場化テスト事業自体は内閣府の管轄でございますので、内閣府と協議をして成案を得ていきたいということで考えてはどうかということでございます。
もう一つ、2.の「効率的・効果的な事業の在り方」ということで、これは実際に平成24年にあった事例ですが、市場化テスト事業者の入札が順調に進まずに不落になったというときに事業の空白期間が生じることがありまして、こういうことが生じないようにするためにどうしたらいいかということでございます。空白期間が生ずると、公共サービス改革法に基づく「国民年金法の特例」の適用を受けることができないということで、例えば納付を拒否した滞納者に対する請求行為や滞納者からの保険料の受領ができなくなるという問題が生ずることになります。
次のページに対応策といたしまして、不落となった場合には、最も有利な申し込みをされた事業者との随意契約を可能にしてはどうか。一定のここにありますような歯どめをかけた上でそういうことを考えてはどうか。さらにそれもできなかった場合には、空白期間を発生させないために、とりあえず新しい事業者が決定するまでの間、現在の受託者と契約の延長を可能にしてはどうか。こういったことについて、先ほどと同様ですけれども、内閣府と調整をしていきたいということで考えおります。
18ページ目は、一度不落になった場合、空白期間が生じて、再度公告をして入札するのには半年近い期間がかかるというような手続の流れを図でお示ししています。
それから、次の19ページ目、20ページ目は、前回、内田委員から御指摘があったかと思いますけれども、平成20年の年金部会における中間的な整理という中で、具体的には20ページ目の一番最後のところ、国民年金保険料を事業主がパート労働者の給与から代行徴収するという論点があったということでございます。
この中間整理の時点では、検討の際の留意点として、事業主に代行徴収の義務を課すのか、それとも任意の制度とするのか。低い賃金から定額の保険料を天引きすることが可能なのか。事業主と社会保険庁との間で納付事務がちゃんとできるのか。あるいは雇用期間の短い方でも、事業主に保険料を徴収させることが果たして現実的なのか。事業主の徴収コストをどうやって負担するのかというような検討課題を指摘した上で慎重に検討していく必要があるというようなことが、この中間整理の中では示されています。次の21ページでは、そのときの参考資料として流れ図がございます。当時は、資料の中では、天引きをしてやるというようなやり方が、21ページ目、22ページ目、フローチャート含めて示されてございましたし、23ページ目は天引きではなく、納付受託というような手法で事業主が被保険者から委託を受けてやる。現在コンビニエンスストアでやっているような納付委託みたいな流れを使って任意でやるというようなこともあわせて検討されていたということでございました。
続きまして、24ページ目「ねんきんネット」の御紹介をしたときに、パソコンを持たない人にも何とかこういう便利なサービスをというお話がございました。「ねんきんネット」につきましては、自宅でインターネットが利用できない場合、ここにありますような形で、市区町村、一部の郵便局の窓といったところでサービスの提供が行われています。後ろのほうに取り扱いをいただいている市区町村一覧、あるいは郵便局一覧を添付しております。地域的に、例えば東京ですと、年金事務所がどこの区にもあるので、手を上げている自治体は少ないとか、そういう地域差はございますけれども、多くの自治体でサービスの提供をいただいているところでございます。
それから「ねんきんネット」まではいきませんけれども、電話による加入記録の照会や「ねんきんダイヤル」というもので、年金見込額の試算をできるようにして、試算結果は後で郵送するというようなサービスも行っているということのご紹介でございます。
続いて、33ページ目まで飛ばさせていただいて、利便性の向上策の議論の中で、標準報酬制に関する労働保険と社会保険の違いについての議論がございました。社会保険のほうで標準報酬制が設けられた制度発足当時の考え方を調べたところ、社会保険におきましては、保険料の徴収においても、保険給付においても被保険者の報酬を基礎にしますけれども、その形態は区々ありますし、毎月変動するということで事務的には煩雑なものとなる。今はコンピュータ・ITが進んでいますので事情が異なる可能性はあるのですけれども、当時としては、そういう面があるということで、多数の被保険者を対象として大量な事務を処理する上で標準報酬制という制度を採用したということでございます。
今の時点で比べてみたのが34ページ、35ページ目「社会保険と労働保険の違い」という資料ですけれども、適用事業所の範囲も違っております。それから、納付回数が厚生年金ですと毎月納付ですけれども、労働保険は年に1回納めていただくというような違いがあります。
次のページになりますが、保険料の算定方法においても、先ほどの標準報酬を用いた社会保険のやり方ですと、年に1回、4月から6月の報酬を基礎に7月に定時決定を行って、9月から8月まで用いていくというような事務の流れになってございますけれども、労働保険のほうは、年に1回、概算で払って、翌年度精算するというようなやり方になっております。給付面におきましても、社会保険の場合は、長期にわたる標準報酬月額の記録を全部社会保険オンラインで保管していまして、それをもとに年金額を決定していくのに対しまして、労働保険のほうでは、給付の算定に当たっては、申請書に労災保険は直近3カ月、雇用保険は直前6カ月というものを使って給付額を算定するという点でも、社会保険と労働保険は違っているというような現状を御紹介させていただきました。
以上が前回の宿題関係の資料になっています。
あと、簡単に補足いたしますと、資料2につきましては、論点整理の各項目ごとに、1回目と2回目の会議の中で、委員の皆様からいただいた御指摘を文責、事務局という形で、各論点ごとに整理をさせていただきました。内容は委員の皆様が御承知のとおりだと思いますので、説明はいたしませんが、そういう趣旨の資料として、後ほどの議論に際してでお使いいただこうと思って用意しております。
それから、参考資料として「年金保険料の徴収体制強化等について(現状と検討事項)」とございますが、これは1回目と2回目に出した資料をそのまま、特に内容を変更せずに念のため、後で議論に使えるようにと思って、参考配付しているものでございます。
資料の説明は以上になります。
○宮武委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明に対して、再度質問もあるかと思いますし、また、違った角度からの質問もあるかと思います。どうそ御自由に御発言ください。
○堀江委員 ありがとうございました。資料1の2ページのところで、コストと効果の比があるのですけれども、先回、たしか強制徴収のときは100円徴収するのに90円コストがかかるというお話だったと思うのですが、ほかのことに関しては、一人当たりのコストは金額でお示しいただくことはできるのでしょうか。
○大西事業管理課長 例えば広報は、今、予算ゼロですけれども、それぞれ事業に関する予算額というものはあるのですが、それを一人当たりに直すのはなかなか難しいと思います。例えば、市場化テストも事業者への委託費というのは金額としてはあるのですが、それを被保険者一人当たりに換算するのはなかなか難しい面がございます。ということで、現時点では手元にそういう資料はございません。
○堀江委員 ありがとうございました。多分このとおりの順番なのだろうなと思うのですが、例えば一番上ですと、一人当たりのコストが出ないというお話なのですが、10円とかそんなものなのでしょうか。難しいですか。
○大西事業管理課長 直感的にはもっと少ないような感じがします。
○堀江委員 正直、強制徴収は重要だとは思うのですけれども、100円の徴収のために90円コストがかかって、さらに将来、給付にまたコストがかかるということを考えたらどうなのかなと思うところがありましたので、質問した次第です。
以上です。
○宮武委員長 どうぞ、御自由にお願いします。
○和田委員 岐阜市の和田です。資料1の32ページ「電話での年金相談窓口」というところで「ねんきんダイヤル」というところがあるのですけれども、こちらの受付時間のほうが、年金機構さんの年金事務所の営業時間というか、開庁時間であると思うのですけれども、できればもっと長い時間あけていただいてというか、受付していただいて、より多くの方から御相談を受ける体制も1つ必要なのではないかと思いますし、あと電子メール等、時間を選ばずに御相談できる体制も必要なのではないかと思います。現実に市町村には電子メールで相談等をよく寄せられますので、そういったこともぜひともPRのほうをお願いしたいと思います。
あと、ちょっと戻りますけれども、資料の8ページで、前回御紹介いただきました独自の免除申請書を使用している市と近隣の都市との納付率の状況を比べていますけれども、端的には納付率には結びついてこないかと思いますけれども、こちらの免除申請の割合はどちらも10%台ということになっていますので、こちらのパーセントが低くなった場合には、当然納付率も落ちてくるのかなと思いますので、かなり貢献はしているのではないかと思います。
あと、こちらのほうに関して、全国の都市で組織している全国都市国民年金協議会のほうでも現状の窓口で免除申請とか学生納付特例の申請をされた際の問題となっている点とか、そういったものを、今、集計のほうというか、意見を寄せていただいていまして、ほぼ上がってきていますけれども、そちらのほうを見ても、標準の様式はお客様からも使いにくいという御指摘を受けていますし、あとはそちらを使っていくことによって事務の効率も落ちているということがあります。また、免除のほうとか学生納付特例のほうをしていただいても、最終的にはその方の納付に結びついていけないところがありますので、それをやっていただいたことによって、どこの部分を免除とか学生納付特例を出されたかというところの意識づけ、そういったこともできないところがあるので、それぞれの都市において、別にチラシをつくったり、そういった工夫もしながら日々窓口のほうで対応しております。
そういったことも標準的にできるような用紙であれば、もっとお客様のほうに寄り添った申請書とか、免除率とか学生納付特例のほうもスムーズに処理ができるのではないかと思っています。
以上です。
○宮武委員長 何かお答えできる点があれば。
○町田日本年金機構国民年金部長 ただいま電話相談の時間延長というのがございましたが、これは私どもお客様の年金相談を受けるに当たりまして、オンラインシステムを使ってやっております。今現在、窓口相談の開いている時間がオンラインシステムが使える最高の時間でございまして、というのは、夜に私ども処理した書類をシステムの中でもう一回やり直す作業がございまして、その作業が夜中動いておりますので、そことの兼ね合いになってくるかと思いますけれども、今の御意見を踏まえまして、どういう報告あるのか、関係部局に伝えてまいりたいと思います。
○宮武委員長 どうぞ。
○望月委員 資料1の16ページの「市場化テスト事業の改善」についての質問がございます。16ページの「現状の課題」というところで「民間事業者の中には、創意工夫やノウハウを活用し目標を達成する事業者がいるが」とありますが、この創意工夫やノウハウというものをマニュアル化するようにできないかということと、そういう契約を結んでいないのかということと、その目標を達成する事業者に研修担当していただくなど、仮に契約が終了した後もノウハウを蓄積し、それを日本年金機構で活かせないかというような取り組みが契約の中に入っているかをお伺いしたいのですが。
○町田日本年金機構国民年金部長 市場化テスト事業につきましてお尋ねいただきましたけれども、市場化テスト事業というのは、あくまでも民間のノウハウを使ってということで、私どもが市場化テスト事業者にこうしてください、ああしてください、また、逆にこういう情報を下さいということは言える仕組みになっておりませんで、民間のノウハウでどれだけ頑張れるのか、そういうところを委託してやっていただいているということでございます。
そういう中で、幾つかの事業者が入っておりますけれども、マニュアルなど全てそれぞれ独自に持っておりまして、私ども本部において年4回ほどヒアリングをしておるのですが、そういう場面でのお話も聞きながら、我々で取り入れられるところは逆に年金事務所のほうにフィードバックをしているというようなことはやっております。しかしながら、全て丸々市場化業者さんがやったマニュアルを使ってというのは今の契約書では難しいと思っています。
また、研修につきましても、今、申し上げた状況でございますので、特に実施要項上、契約の中で研修をお願いするという項目もございませんので、先ほど申し上げましたとおり、我々はいい話を聞いて、事務所のほうにフィードバックをする。また、最近の取り組みといたしましては、年金事務所と市場化テスト事業者の地域の担当者が毎月一回打ち合わせをしながら、そういう中でお互いに連携を図っているというようなことをやっております。
以上でございます。
○佐々木委員 徴収額100円に対する徴収コストが平均で90円くらいということなのですけれども、市場化テストの事業者ごとの違い、また都道府県ごとの違い、格差がどのぐらいあるのか、資料がございましたら教えてください。また、徴収コストを小さくするためのヒントとして、徴収コストの低い事業者、また都道府県の特徴などももしわかるようでしたら伺えればと思います。
○大西事業管理課長 90円というのは、実は内閣官房の論点整理の資料の一番最後のページについている資料です。これは徴収全体ではなくて強制徴収だけのコストでございます。強制徴収に係る予算額と、実際に徴収できた額との比較で費用対効果を計算したらこうなるというものなので、都道府県別とかには分けられません。もともとざっくりとマクロ的に予算額からはじいた粗い数字ということでございます。
○宮武委員長 佐々木委員、よろしゅうございますか。
○佐々木委員 はい。
○宮武委員長 どうぞ。
○宮里委員 2~3お聞きしたいと思います。まず独自申請の8ページの資料ですけれども、単純に言えば10%ということで、独自申請の自治体が近隣市区町村に比べてそれほど高くないということなのですけれども、ただ、独自申請をやった前とやった後の差をとったほうがいいと思うのですね。近隣市区町村の独自申請をやってないところとの推移と独自申請をやったところの前後の推移を比較したほうが良いと思います。いわゆる差の差をとったほうが、効果はよりわかりやすいと思います。
2点目ですが、10ページの学生納付特例の件で、苦労なさって、協力されている学校で納付特例というのが効果を上げているということのようです。私も大学に籍を置いているのですが、最近は授業配布とかというのは全部ウェブ上でされるようになって、年金教育とも関連するのですけれども、ウェブ上で学生納付特例などのお知らせをするのも良いのではと思います。大学のウェブを活用すると費用対効果からもいいのではないかと思いますし、もし可能であれば、例えばそこからリンク先に移って学生納付特例までできるような何か仕組みが仮にウェブ上でできれば、今よりは効果あるのかなという気がします。
あと、もう一点なのですけれども、もちろん皆さんも専門家ですから、皆さんの前で言うのも変ですけれども、未納率が高いのは非正規と失業者だと思います。非正規については、例えば適用範囲を拡大するとか、そういった議論が非常にされていて、いい方向かなと思うのですけれども、失業者に関してもうちょっと議論があっても良いかと思います。前回のハローワークの活用は良い試みかなと思っているのですが、例えば退職する人に、会社が免除適用の話をするとか、第1号の手続というのもありますよとか、そういった会社側からのアプローチみたいなものもあってもいいのかなと思いました。
以上、3点です。
○宮武委員長 これは御参考ということでよろしいですか、御意見として。
○宮里委員 はい。
○宮武委員長 どうぞ、菊池委員。
○菊池委員 資料等、ありがとうございました。2点、感想ですが、職権免除に関して、年金部会の議論の整理を出していただきまして、見る限りは職権免除に関しては慎重論が多い。多分社会保険としての年金という性格から考えると、税の制度ではないということで、職権免除は慎重論が年金部会でもそういう意見が多いことはここで確認できたのではないかと思います。国が個人の意思とは別にパターナリスティックに入れるということには私は慎重に考えるべきではないかと改めて思っております。
それから、学生納付特例にかかわる、あるいは非正規の資料もありがとうございました。まさに資料に出ていますように、今、かなり就職氷河期世代の30代から40代にかかっていると思いますけれども、その辺の方は低所得で非正規でかなりおられると。そちらの対応をどうするかというのも1つ考える必要があるかもしれませんが、御意見の中で、若年者納付猶予の拡大という御意見もありますが、ただ、これはあくまで納付の猶予であって、猶予されても問題は解決されないままになってしまう可能性があるわけでして、基本的には、そういう意味では若年者納付猶予もどう考えるかというのはあるかもしれませんが、少なくともさらにこれを延長するという議論は問題解決にはならない。むしろ免除制度をどう適用していくか。さらに広い意味で、低年金、無年金者対策として、年金制度の中、あるいは外でどのようにそういった方の所得保障を図っていくか、そういう趣旨の議論かなという感想を持ちました。
以上です。
○宮武委員長 どうぞ、平川委員。
○平川委員 最初に納付機会の拡大の関係でございますけれども、前回も国税の例を言わせていただきましたけれども、改めて調べてみますと、青色申告会や法人会などの納税協力団体というのが設置をされておりまして、そことの連携というのも1つ有効だと思いますし、それを例にとってみますと、国民年金の被保険者が多いと思われます職能団体や職域団体、また商工団体や農協、漁協などにもそういう協力団体の設置を要請できるかどうかということがあります。また、国民年金事務組合について、現在は設立のときの個人タクシー1箇所でございますけれども、できればそういうこともそれらの団体にお願いをしていくというのも1つあるのではないかと思っています。
また、口座振替の関係でございますけれども、新規獲得した場合の手数料ですが、調べると市場化テスト事業者は1件2,000円です。一方、市町村は1件100円という、手数料の額の大小で口座振替の新規獲得がふえるどうかはまた別問題ですけれども、もうちょっと市町村の手数料を引き上げてもいいのではないかと思います。要するに市町村でも、国民健康保険の口座振替を推奨していまして、当然いろいろな相談を受ける中で「国民年金も口座振替にすると払いやすいですよ」という話にもなると思いますので、市町村の協力ということで考えていくと手数料をもうちょっと改善してもいいのではないかと思っています。
また、原委員の御提言が前回ございましたけれども、金融機関との連携による口座振替促進というのも、納付機会の拡大という意味では有効な手段ではないかと思っているところであります。
それから、申請主義の関係ですけれども、菊池先生が言われたとおり、私も同感でして、本人の申し出が前提ということがこの制度の根幹でありますので、所得情報だけによる職権免除はなかなか難しいのではないかと思っています。所得のない方も保険料を払っておりますし、もっと言えば、収入や資産を全て把握できているわけでもないということからいっても、所得による職権免除はなかなか難しいかと思います。例えば3号であった方が、配偶者が退職をしたことによって1号に切りかわるのですけれども、その申請を忘れている場合とか、また生活に困窮する外国人が生活保護に準じる制度、あるいは生活保護を受ける場合においては、職権で免除することも考えられますし、もしくは市町村が生活困窮者支援にかかわって、市町村から特別申請があった場合の職権免除といったことについても検討してはどうかと思っているところであります。
そのようなことでありまして、次回もまたいろいろ議論するかと思いますが、とりあえず考えている点を述べさせていただきました。
○宮武委員長 徐々に本題に入ってきておりますので、質問が主でございましたので、それでは議事を進めまして、事務局で今回用意していただきました資料2がございます。「専門委員会におけるこれまでの議論1」ということでございますが、これの各論点ごとに、今、菊池委員、平川委員がおっしゃったような御意見を再度重ねていただきたいと思っております。
最初に、1ページ目に「年金保険料の徴収についての基本的考え方」というのがございます。これは自主納付原則を見直すことも含めて徴収をこれまで以上に強化するという方向で検討すべきなのかどうか。そのことをこれまで幾つかの御意見は聞きましたけれども、改めてこの問題について論じたいと思います。今までおっしゃったことの繰り返しでももちろん結構でございますし、新たな御意見や補強の御意見があれば御自由にお願いします。
○平川委員 すみません、中身に関する意見を先に述べてしまいまして申しわけありません。今、お話をさせていただきましたけれども、納付率向上策ということで、強制徴収対策強化を含めてございます。これも第1回のときに意見として述べさせていただきましたけれども、日本年金機構には有期雇用職員ということで、職場で4種類の職員の方が混在している形になっているかと思います。それだけでも職場のマネジメントを含めて難しい点があるかと思いますし、基本的には無期雇用に切りかえる方向で積極的に検討していくべきではないかと思っているところであります。
それから、徴収コストの関係で、先ほどいろいろ質問等もございました。これは大変難しい問題だと思います。完全に徴収をするというふうになれば、被保険者一人に徴収員一人つくというのが全くの極端な事例でありますけれども、徴収コストをかければ徴収率がいつかの時点では上がりますけれども、途中で絶対頭打ちになりますので、徴収コストと国民年金に対する信頼とのバランスがすごく重要だと思います。その辺の分岐点をどう考えるのかというのが課題ではないかと考えているところであります。
先ほど市町村との連携についてお話させていただきました。これも前回お話させていただきましたけれども、ぜひとも市町村の御理解ということも含めて、日常的な努力が必要ではないかと考えているところであります。
以上です。
○宮武委員長 自主納付原則の考え方を貫くのか、それともそこは大胆に見直していくのか、こういう問いかけなわけですね。考え方をまとめていきたいということでございますので、今までの御発言、重複しても結構でございますので、どうか御発言をお願いします。
○望月委員 強制徴収ということがありましたが、世代で分けるということで、本来は国民皆年金なので、一部だけを集中的に行うというのはちょっとそぐわないかもしれませんが、緊急性の高い、例えば年齢でいうと40歳以上とか、受給権の発生を意識し、将来の年金額が大体確定するぐらいを緊急性の高い世代と位置づけて、そこにコストを集中してかけて、できるだけ納付を促すか、もしくは免除ですとか、そういった手段をお知らせするという緊急予備軍みたいな感じで位置づける。そしてもう一つの世代として、年金教育というお話がありますが、東京都社会保険労務士会の渋谷支部で小学校の年金教室を開催しているというのがありましたので、先日見学してまいりました。小学生で年金給付の三本柱からの説明、昭和36年の当時の保険料は、今の物価と比べてどれぐらいかとか、クイズを取り入れていて、授業後の最後のアンケートを見させていただいたら「20歳になったら絶対年金保険料を払います」と書いてあるのです。
ということで、将来の年金保険料を支払う世代には、第2というような位置づけにして、こちらのほうは年金教育と、そして広く年金制度をPRしていく。コストをどこにかけるかというのを2つぐらい、もしくは3つぐらいの層に分けていくと考えてみてはと思います。
○宮武委員長 どうしても自主納付原則の考え方を論じていると、当然ながら次の論点の「督促の推進」、「強制徴収体制の強化」というところと絡んできますので、別にきちんと分けるわけにいきませんので、そこは踏み込んで御発言いただければと思います。どうぞ。
○杤原委員 年金徴収につきましては、どこの部分が未納であるのかを考える必要があると思っています。厚生年金の納付率は、100%に近い9割の後半ということで、これは事業主に徴収納付の義務がかかっているからです。問題は国民年金のほうであり、未納月数でいくと大体4割ぐらいと伺っています。その中で手続さえすれば免除になる方がおられると伺っていますので、実質的には3割ぐらいではないかと目されていますが、この方々をいかに救済してあげるかというところが大事なのではないかと認識をしています。
冒頭、事務局から低年金者、低所得者の加算措置を今回の一体改革でおとりいただいたという御報告がありましたが、あわせて25年から10年に受給資格期間短縮をして、手続さえしておけば、将来お金がもらえるということになっていますし、仮に保険料を払わなくても手続さえして期間を満たせば国庫負担分の2分の1はいただけることになります。それは消費税を充てて恒久財源にするわけですので、必ずいただけるということで、一体改革の中でそういう措置をしたわけですから、望月先生がおっしゃられているように、きちんと教育、PRもして、そういう手続をとっていただくことが大切なのではないかと思います。
市場化テスト等をして徴収するということにはなっていますが、その督促先が、恐らく国民年金の方は少ないのではないかと察しています。もし、どこに督促をしているのか、国民年金の対象者なのか、厚生年金の対象事業所なのかが分かれば、教えていただきたいと思います。大切なのは国民年金の納付率を上げることではないかと考えています。
○宮武委員長 ここでは国民年金の最初の論点は督促のあり方ですので、第1回目かに配付されました資料を見て、所得ベースで年間400万円以上と滞納の長さによって対象にして、督促をし、強制的に保険料を取り、延滞金も取る、そういうことを意味しているわけでございます。厚生年金のほうは事業主側との問題もございますので、別に論じるという順番になっております。
○菊池委員 以前の繰り返しになりますけれども、1ページの最初の一番上の「・」にありますが、どのレベルで国民皆年金を考えるかということで、ある意味で、国民皆年金というのはさまざまな所得階層の方がいる中で、もともとやや無理がある制度であると。それを日本がやっているのだと、そういう見方ができるわけで、その中で低所得の方も加入されておられる中で、延滞金等も含め厳しく徴収していくというのはやはり無理があるのではないかと思います。そこは免除制度をうまく使いながら、先ほど職権免除は私は消極的だというお話を申し上げましたけれども、免除制度を使いながら、ただ、制度自体の信頼を失わせては困りますので、悪質なものであるとか、そういったものに関しては厳しく徴収していくと、そういう制度も使いながら、しかし基本は自主納付であって、払えばもらえますというインセンティブを与えることで、制度を維持していくというのが基本ではないかと私は考えております。
その関係で、今の1ページ目の一番上の「・」は、4ページの空白になっていますけれども、そこにもかかわるので、そちらに書き込んでいただいてもいいかなと思いました。
以上です。
○宮武委員長 どうぞ、内田委員。
○内田委員 菊池先生のお話、同感なのですけれども、延滞金等の論点の3番目のところが空白なので、あえて地雷に突っ込んでみようかと思います。督促を義務規定にする必要があるとまで私は思いませんが、強制徴収体制を強化して延滞金のあり方も見直すのであれば、私はそこの部分で、先ほど望月委員がおっしゃったように、世代別にターゲットを絞るであるとか、私個人は所得階層別にターゲットを絞るべきだと思う。マンパワーをそこに投入していくわけですから、限られた人的資源をいかに活用するかということで、一定程度ターゲットをセグメント化しという手法をとったほうがいいのではないか。それとあわせて、そのようなやや強制的な手法に切りかえるとすると、初回、第2回の議論でも意見があったように、皆年金に対する不信感というのが逆に増すのではないかという懸念は常にあります。であるならば「職権免除」という言葉をどのように定義するか。厳密な職権免除ということではないのですけれども、職権免除に近いような、今よりもより簡易な形で勧奨をして、ターンアラウンドのような書式で、もうちょっと細かく言いますと、頭の体操のようなものですけれども、例えば6カ月ないしは12カ月納付がないというような方で、ガイドラインを決めて、その方々にはターンアラウンド式の書式を送って、本人の署名ないし印鑑などを押せばいいような書類をお送りして、限りなく職権免除に近い形で勧奨する。勧奨でいちいち個別訪問をしたり、電話での勧奨というのもマンパワーかかりますので、そのような形でのカッコ付きの「職権免除」といいますか、そういったものとあわせてやっていただいたほうがいいのではないか。これは意見です。
たまたま、いただいた資料1の2ページに、費用と効果の矢印がついた表がありますけれども、すみません、説明がこなれなくてあれなのですが、私が申し上げたカッコ付きの「職権免除」と組み合わせた督促の促進というのが4段階あるうちの2番目、3番目。何をもって悪質な滞納者と言うかということなのですけれども、これも一定程度の所得で区切って判断していくしかないのではないかと思うのですけれども、これに相応することを申し上げてみたつもりです。
以上です。
○宮武委員長 どうぞ、御自由に、和田委員。
○和田委員 私も自主納付原則という考え方が今のところは一番いいのではないかと思っています。現実的に年金機構さんの基幹事務が正しく適正に処理されているかというところもありますので、そちらのほうが、免除のほうも通常だと2カ月ぐらいが標準処理期間と聞いておりますけれども、3カ月、4カ月ということでおくれたりとかということもありますし、あと納付書も1カ月半から2カ月かかってしかお手元に届かないという状況にある中で、こういった強制ということを前面に出していくのかはどうかと思います。
また、年金の保険料は、20歳の方も60近い方も1万5,040円という同じ金額ですので、そういった中で強制ということを前面に出すのは酷ではないかと思いますので、もっと社会全体の動きを自主納付に結びつけるようなもっとPRというところに力を入れていくのが、イメージアップというか、そういったところを力を入れていくのがいいのではないかと思っています。
○宮武委員長 ありがとうございました。司会役が話すのはよくないと思うのですが、今までの議論のまとめも兼ねて申し上げますと、国民年金というのは「国民年金保険」とは呼ばないわけで、なぜ保険という言葉を使ってないかというと、発足の当初に保険料の拠出期間が足りなくて年金権を得られない高齢者がおいでになったので、老齢福祉年金が設けられる。同じような理由で障害福祉年金が設けられた。無拠出の制度がサブシステムとしてくっついたわけですので、「保険」という言葉を避けたのだと私は聞いております。本体のほうは、まさに拠出をして、自分が負担をし、貢献をすればそれに見合った形で老齢基礎年金を受け取れるというコントリビューションとベネフィットの関係になるわけですから、まさに社会保険であるのは間違いないと思うのですね。
ただ、社会保険の特徴の1つは、強制加入で保険料も強制徴収であるにもかかわらず、国民年金の場合は徹底的に強制徴収ということをやらなかった、やれなかったと言ったほうがいいかもしれませんね。それはなぜなのかということなのですね。それは、1つは給与から天引きのような形で徴収することがもちろんできなかったということもありますけれども、今、和田さんがおっしゃったように、自営業の所得把握は難しいということで、最初から定額の保険料でスタートせざるを得なかった。そうすると定額の保険料は当然ながら低所得者に対して大変逆進的な負担になってしまう。当初100円、150円ならいいのだけれども、今や1万5,000円にもなってくると、逆進性の矛盾はどんどん拡大をしていっているわけですね。そうするとなかなか強制的に徹底して徴収するということが非常に難しいわけですね。払いにくい人、払えない人が出てくるということなのですね。
そのために日本の場合は、皆保険体制を守るために免除制というのを設けたわけですが、次第に矛盾が拡大してきたので、途中から全額免除と半額免除に加えて、4分の3免除、4分1免除を加えて、言ってみれば、支払能力に応じて払えるような形にちゃんとしたのですけれども、それがなかなか利用されていないというのが現実ですね。
そうしますと、今、どういうことをやっていくべきなのかということなのですが、社会保障制度改革の国民会議でも、社会保険というのを中核にして日本の社会保障制度を維持していくということが再確認をされたわけで、社会保険というのは自助努力の共同化というような言い方をしますけれども、みんなが支払い能力に応じて負担をすることで膨大な資金を集めて、それをみんなが使うという、ともに助け合うという仕組みにしていく。これは守らなければいけないことであって、自助努力、まさに支払い能力に応じてということになると、多段階免除制度をもっとちゃんと活用しなければいけないということと同時に、逆に払えるのに払わない人に対してはもっと強く出てもいいのだろうと個人的には思いますね。現在みたいに所得が400万円以上、滞納期間が長くなった人を基準にして強制的に督促をし、滞納金も取る。場合によっては財産も差押さえるということをやっている。しかし、それは対象者の全部ではなく、ごく一部にしか実は手が回らなくてやっていないというのが現実ですね。
それだったら、もっと誰が見ても払えるにもかかわらずフリーライダーになっている、そういう非常に不心得な人にもっと焦点を絞って、対象の強制徴収の基準をもっと上げて、それらの人々については必ず全員から強制徴収をしていくという方法はあると思うのですね。対象が非常に今幅広過ぎて手が回らないから、ある人のところは強制徴収、ある人のところは手が回らないからそのままにしている。むしろ基準を上げることによって、誰もが納得して、この人は払うべきだという人に対して強制的に全員対象にして、督促をし、強制的に延滞金も取っていく、そういうことは考えられないのかと思いました。
それと同時に、皆さんから意見が出た中で、一方で、払いにくい人とか、払えない人に対しては、繰り返しになりますけれども、免除制度をフルに活用して、市町村であるとか、金融機関で働きかけを強めていただくと。
職権の免除についても疑問点が出たので申しますと、確かに職権の免除にするということは全額免除になるわけですね。要するに4分の1免除とか、4分の3免除などはないわけですから、全部一律に全額免除になるのですね。そうすると半額あるいは4分の1は払える人も全額免除になってしまうということがありますし、それは結局多段階免除という支払能力に応じて設けた制度を完全に否定してしまうようなことにならないか。
もう一点の心配は、全額免除を職権でやった場合は、その方の所得が改善して保険料が払えるようになったとしても、それをずっと追跡調査ができるかというととてもできそうもない。そうすると全額免除を受けたままずっと収入が改善しても、そのまま要するに免除を受けていると、そういうモラルハザードが起きないのかなというようなことを、今までの議論の中で感じました。
済みません、議論の整理のために多弁になって恐縮でございました。
ちょっと話にくくしたのかもしれませんけれども、「督促の推進」という形で、投げかけられているのは、全ての滞納者に強制的に徴収を行ったらどうかという御意見がある。それは別に押しつけになるわけではなく、我々が考えてくださいということで投げられた課題なのですけれども、それについてはいかがでございますか。私は自分なりの意見を申し上げましたけれども。どうぞ。
○内田委員 若干繰り返しになりますけれども、全ての滞納者に督促するのはとてもコスト的にむだなような気がしますので、何らか合理的なというか、社会的に納得のできるラインを、所得なのか、年齢なのか、そこはここでもうちょっと話し合えばいいのでしょうけれども、一定程度絞るべきではないかと思います。
○宮武委員長 どうぞ、全ての滞納者に強制的徴収をという御意見もあるかもしれませんので、ぜひ御自由に御発言ください。
○宮里委員 せっかくなので、社会保険の存在理由にかかわるかもしれないので、ただ、議論は議論として挙げておこうかなと思います。前回の資料で、たしか所得が高いにも関わらず、個人年金に入っていて、例えば個人年金に月々1万幾らか払っていても、国民年金を払ってないという方が結構いらっしゃると。その方々は年金制度をわかっていて払ってないということになろうかと思いますので、そういった方に対して強制徴収するのがどれぐらい効率的なのかというのは私も疑問がありまして、いっそのこと、例えばイギリスとかのようにオプティング・アウトといいますか、適用除外というか、そういったものも含めながら、議論は議論としてあってもいいのかなとは感じました。
○宮武委員長 菊池委員のほうも何か考え方としては、全ての滞納者などに強制徴収などは無理だ。ただ、それにかわる何か方法をお考えでしょうか。
○菊池委員 基本的な考え方としては、委員長がおっしゃられたような、払わなければもらえないということですけれども、そうは言っても、制度に対する信頼、社会保険の土台を維持するという、そういう目的がありますので、そこはターゲットを絞って厳しくやっていくという面は必要だと思います。あとは、先ほど委員長おっしゃいましたように、流れとしては、まさに定額負担の弊害を、実質応能負担化するという意味で多段階免除制度にしていったという流れがあるので、どうしても所得把握が難しいという、そこを解決しない以上は、多段階免除を、これ以上、きめ細かくすることが意味があるかどうかわかりませんけれども、少なくとももう少しきちんと活用していくという、その方向性にも賛成です。
○宮武委員長 ありがとうございます。皆さん御自由に。どうぞ、堀江委員。
○堀江委員 済みません、事実関係がよくわからないのですが、第1回の資料2の17ページの「国民年金未納者に対する対応」というところで、納付期限が過ぎた後に、納付督励、免除勧奨を含むというのがあるのですが、これは電話、戸別訪問、文書ということなのですけれども、納付期限を過ぎた人のどのぐらいの人に対して、文書で未納のお知らせというものをしているのでしょうか。
所得捕捉も難しい中で、高所得者には強制徴収という御意見があるのですけれども、この最初の段階で未納の御連絡というのは全員にしてもいいのではないか。その上で免除制度も、もしかしたら書いてあるのかもしれないのですけれども、全額免除だと所得はこのくらいで、半額、4分の1、4分の3というのもありますよという御連絡に関しては全員にしてもいいのかなと思っています。
それから、厚生労働省さんによりますと、保険料の未納者が多くても年金財政には余り影響がないというような結果なのですが、保険料未納で、高齢期にほかの収入があるとか、資産がある方は年金がなかったり、低年金でも困らないとは思うのですけれども、高齢期に年金以外の所得や資産がない方に関しては、生活保護のほうに流れてくるということで、生活保護受給者の高齢者はふえてはいるのですけれども、将来的なことを考えると、未納そのものが問題だというより、将来の低年金者・無年金者がふえることが問題だと私は考えております。
高所得者の人は強制徴収の対象にしやすいというのがあるのですけれども、恐らくこの人たちは多分年を取ってもそれなりの所得があったり、資産があったりして、年金がなくても困らない人なのかというものもあり、低所得者に対しても免除しやすい、全額だけではなくて、多段階免除に該当するような人に関しては、強制というのは難しいのでしょうけれども、推奨していくような形が重要なのかと思っています。
少し論点がずれるのですけれども、私は非正規雇用がこんなに増えたというところが一番問題だと思っていまして、本来は自営業者の人を対象にした第1号が、本来2号でカバーすべきと想定されていた人が1号に流れ込んできたというところ、ここが本当は問題だと思っていまして、年金の未納の問題を解決するには、そこのところが抜本的に解決されないと難しいというのと、あと最近は景気も少しよくなってきて、新卒の採用も状況が明るくなってきていますので、そういった経済面での変化というところも未納率のほうに影響してくるかなというふうに考えています。
以上です。
○宮武委員長 お答えできるところありますか。
○町田日本年金機構国民年金部長 今、御質問いただきました、どういうところに納付督励をやっているのかというのは、第1回目の資料5の24ページのところに「1.平成24年度行動計画における取組」というのをご覧いただければと思います。この中に、まさにセグメントをしておりまして、下のほう、未納月数1~6、7~12、13~24ということでございまして、これが未納月数でございます。それから、縦軸が所得層ということで、上に行けば行くほど高所得というようなイメージで書いておりますけれども、ここにございますように、1カ月から6カ月、その上の「短期未納者」というのがございますが、この中で、例えば上の短期未納者、「速やかな初期対応及び2次対応を含めた各督励の連携」ということで、1カ月以上未納がある方について、基本的に督励をやっております。その中で、先ほど来、話が出ておりますこの表の中で、右側のほうに行って、13~24を上に見ていただきますと「強制徴収対象者」というのがございます。ここは未納月数が多い、さらに所得が高い方をターゲットにいたしまして、度重なる督励にもかかわらず、お納めいただけない方につきましては、強制徴収をしているところでございます。
その数字がただいまの資料のちょっと前、17ページをごらんいただきたいと思います。17ページにあります強制徴収の実績でございますけれども、最終的に24年度約6万9,000件を対象にしまして、督促が3万4,000件、財産差押が6,200件ということになっているところでございます。
以上が、一般納付督励と強制徴収の状況でございます。
また、ここにありますように、それぞれ督励実績、文書ですとか、電話ですとか、個別訪問、どれくらいをやっているのかというのが一応22年度から24年度ございますけれども、数字としてお示しをしております。
以上でございます。
○宮武委員長 逆に言いますと、最終催告状、督促状を送ったというのは、基準になる所得が400万円以上で、未納月数が何カ月と、そういう方たちの中のどれぐらいなのですか。
○町田日本年金機構国民年金部長 かなり少ない数字だと思っています。というのは、今まで、私どもは記録問題を集中的にやっておりまして、そちらのほうに要員をシフトしております関係もございまして、やるべき対象者はまだ多うございますが、そこまで至っていないというところでございます。
○宮武委員長 目分量で言えば、半分とか、3分の1に達してないとか、もっと少ないのですか。
○町田日本年金機構国民年金部長 もっと少ないと思います。
○宮武委員長 何となく一罰百戒みたいで当たった人はお気の毒という感じで、あとの人はそのまま滞納しているということになってしまいますね。例えばそれを絞って、極めて悪質だなというか、誰が見ても、この人、払えばいいじゃないのという人に絞っていくということは可能なのでしょうか。
○町田日本年金機構国民年金部長 先ほど来、御議論いただいておりますように、まず収入があって未納月数が多い方が1つのセグメントになります。次に私ども督励をやっておりますので、私どもが納めてくださいと何度もお願いをしても納めていただけない方で、さらに先ほど申し上げましたとおり、未納月数が多く収入がある方につきましては、そういう方から順番に強制徴収を実施してきておるところでございます。
○平川委員 質問なのですけれども、所得情報、収入情報というのは、主にどこから得られるのですか。国税情報等を含めた独自による調査も含めてやられているのかどうか。
○町田日本年金機構国民年金部長 これは国民年金法の規定に基づきまして、市町村から所得情報を今いただいておるところでございます。
○平川委員 市町村が情報を全て把握しているわけではないので、資産とかを含めて国税情報も適宜活用してやられたほうがいいような気がしますが、その辺は可能なのかどうなのか、お聞きしたいのですけれども。
○町田日本年金機構国民年金部長 所得情報をいただくときに、国税庁も含めまして、当時の社会保険庁は議論しておるようでございますけれども、その流れの中で、市町村のほうからいただくということで一旦整理がされていると聞いております。そういう中で、私どもといたしましても、さらに実際に強制徴収を実施するときには財産を確認する必要があるものですから、その財産を捕捉していくというようなことで対応させていただいております。
○平川委員 調査をする体制とかを含めて強制徴収の体制がなかなか整ってない中で、さらにまた所得情報とか資産を調査するのはなかなか厳しい状況かと思いますので、あらゆるチャネルを使って情報収集するということも有効ではないかと考えております。何が可能なのか、制度的には今は無理でも制度さえ変えればできることもあるかもしれませんので、それが何かを御検討いただければと思っています。
○宮武委員長 また、職権で免除ということについても、今のところは否定的な御意見が多かったのですが、特にここは踏み込むべきだというような御意見はございますか。免除について、職権でやっていく、そこまで来ているのだという考え方も当然あるかとは思いますけれども、それはいかがでしょうか。
○望月委員 委員長の話とはちょっとずれてしまうのですが。障害基礎年金の1級を受給している方は、法定免除になります。ただ、私が手続した方の中では、もしかしたら障害状態が改善されたときに全額免除だと、国庫負担の2分の1だけの老齢基礎年金ということで、それを非常に心配して、あえて払いたいという御希望の方もいらっしゃるのです。職権でというと、国庫負担の2分の1のみということなので、その方が例えば働ける状態とか収入がアップしたり、障害が改善された場合は、職権免除で、先ほどもどこでその方の収入が改善したかという把握の時期がどこまで負えるかという話がありました。余り強制的に職権で免除して、その免除の期間が、例えば追納もできない前の期間だけれども、本人は自分の意思にかかわらず職権でそうなってしまったので、後で納付したいというような希望があったときはどう対処するのかというのが1つ疑問にあります。
○宮武委員長 全くおっしゃるとおりですね。所得がない方でも、どういう形なのか不明ではありますが、払っておられる方も多い。所得情報だけというのは全額免除になってしまいますね。むしろ低年金者をつくっていくという逆のケースが出てくるところがあります。そうすると何とか多段階免除、払えない人は免除申請をしてください、一定程度払える人は半額でも払ってください、その中間の方は4分の1、4分の3、それをどうやって働きかけていくのかということで、何人もの委員の方が、市町村とか金融機関との連携を高めろとおっしゃっているわけでありますけれども、委員の中ではその辺はお詳しいのは和田委員ですね。かつては市町村が国民年金の徴収もやっていたのですが、今は加入の手続や免除の手続とか、そういうことに限った窓口業務になってきて、現状はそこで加入しなさいとか、国民年金はこんなメリットがありますよ、給付の半分は国庫負担ですよ、障害年金や遺族年金を受ける権利もありますよ。そういうことを説明して、なおかつ免除の細かな手続を助けてあげるという状況にあるのでしょうか。
○和田委員 市町村のほうの窓口に来ていただければ、年金制度、給付も含めて、そういったことをお話しながらということで進めますので、免除ありきという説明方はしません。あと、免除のほうには継続申請という制度があるのですけれども、全額免除と若年者納付猶予制度に限っていますけれども、そちらのほうもなるべくできれば勧めたくない。その方が毎年毎年免除に該当するということは、所得が低い状態で推移していくということなので、それは失礼なというか、状況だと思いますので、なるべくそちらのほうもありますけれども、使わないような形で、来年になって、また所得のほうが厳しい状況だったら申請してくださいということでお願いをしたり、追納という制度もありますよということで、なるべく将来の年金額が多くなるような形で御案内はしています。
免除のほうも、できれば部分免除とか、納付のほうを重点的にということでやっていくべきではないかと思いますので、本来の免除のほうの申請書自体が全額免除からということで審査をされてしまうのですけれども、逆ではないかと個人的には思っているので、まずは部分免除があって、最終的に全額になるのではないかと思うので、納付ありきというところで、できれば将来の年金の額を少しでも多くしていただきたいですし、低所得の方に限っては、たとえ1,000円でも2,000円でも、老後の金額のほうは、今でも少ないと思っているのだから、老後になったら1,000円とか2,000円というのが家計に及ぼす影響というのは大きいのだよということで、すごく重大に思って見えるので、少しでも納めようという方は多いです。そういったところも酌み取りながら、日々窓口のほうはみんな頑張っています。
○宮武委員長 これまでも意見が出て、市町村が強力なパートナーになってくだされば、金融機関がパートナーになってくださればという御意見が出ていますけれども、日本年金機構と各地の年金事務所というのは、自分の管内の市町村に対して、今、どんな相談をやってくださっているのか、どういうふうに年金制度のPRなり、払えない場合には多段階免除を勧めてくださっているのか、把握なさっているのでしょうか。
○町田日本年金機構国民年金部長 市区町村におきましては大変協力をいただいておりまして、私どもは年金事務所のほうが定期的に市町村とも相談をさせていただきながら、どういうことをやっているかということをきっちり共有しているところもございます。ただ、そこはなかなかうまく進んでいないようなところもあるかもしれませんけれども、基本的には市町村とよく連携をとりながらやるということで私ども指示をしております。
あわせて私どもといたしましても、制度改正等があった場合、また、日ごろの市町村での年金相談に応じていただくために情報提供といたしまして、私ども本部のほうから『かけはし』という市町村向けの情報誌をつくっておりまして、そういうものを提供させていただきまして、そういうところを活用していただきながら市町村のほうに連携をお願いしているという状況でございます。
○宮武委員長 その点で、何か追加の御意見ございますか。市町村に対して、もっと働きかけをするなり、協力を求めていくということで。
○和田委員 今、部長から連携をとるようにということで指導はされているということなのですけれども、現実的には、ごめんなさい、全国的には十分とれてない現状です。8月に学生納付特例とか免除申請書のほうの申請書が変わったかと思うのですけれども、そういったのも全国の各市町村には届いていない現状があります。そういったところを含めて、年金機構さんの指揮命令系統というか、そういったところも見直していただきながら、より確実に効率的に情報が伝わるようにお願いしたいと思いますし、あと『かけはし』のほうも隔月なので十分情報も来ていません。ただ『かけはし』のほうはかなり情報がこなれて表記されていますので、非常に読みやすいものになっていますので、そういったものをもっと逐次いただければより効率的に情報が共有できるのではないかと思いますので、ぜひとも今後ともお願いしたいと思います。
○宮武委員長 どうぞ。
○町田日本年金機構国民年金部長 今の御意見をいただきましたので、また、本部に帰りまして、いろいろとどういうことができるのか、少し勉強しながら、よりよい方向に向けて頑張りたいと思います。
○宮武委員長 こんな役目を引き受けたので、私は市町村で国民年金の窓口をかつてやった人とか、今やっている人、複数に聞いてみましたけれども、窓口業務できちんと年金のメリットを説明し、そして無理のない形で払うこともできる。国庫負担が半分、老齢基礎年金はついていますよとか、そういうことを言うと、随分態度が変わってくると。ただし、国民年金の加入の手続のみが市町村が担当するだけになってしまったので、年金制度について詳しい人がどんどんいなくなっていると。今、早く手を打って、ちゃんと年金事務所から詳しい人が来て、ポイントはこういうことですよという説明を受けたり、研修を受けたりするような機会がなければ、このまま滅んでしまいますよ、という言い方をする人もいました。
だから、恐らく各地の年金事務所で、自分の管轄の市町村の窓口にずっと行っておられるなんていうことは今のところやっておられないのだと思います。そんな手がないということもあるでしょうけれども、でもそこのところを逃したら、一番大事なポイントのところに力を入れないと、この問題は先へ進まないと思うものですから、あえて申し上げております。
金融機関についてはもっとないですね、働きかけは。そうすると相手側が一生懸命説明したり、加入を勧めたり、免除の手続をすれば、それに対してちゃんとそのメリットがあるような、手数料が払えるような体制というのがほしいわけですか、日本年金機構としては。
○町田日本年金機構国民年金部長 私どものほうといたしましては、先回1回目でしたか、312年金事務所しかございませんので、お客様がわざわざこちらの事務所まで出向いていただくのは大変難儀であると思っております。そういう中で、先ほど来、話をいただいている市区町村にご協力をいただいてやっていた。または金融機関等で口座をお持ちの方が年金の保険料ということでお納めいただけるというようなことを考えていけば、わざわざ年金事務所まで足を運んでいただかなくても、お客様の利便性に供すると思っておりますので、そういうふうに御協力をいただけるところにつきましては大いに協力をしていただければと。また、我々もそういう環境をつくっていければというふうに考えております。
○宮武委員長 ありがとうございました。ぜひそうしてください。
今のところ、本日は論点の一番最初の「年金保険料の徴収についての基本的考え方の整理」、それとどうしても関連してくる「督促の促進」とか「徴収体制の強化」の御意見を承りました。それと「徴収コストの滞納者負担(延滞金等)のあり方」についても一部御意見をいただいて「免除等における申請主義の見直し」、このあたりまでの論点を御意見を賜ったことになります。
あと、少し時間がございますので、この(4)ぐらいまでの間で、もう少し意見の追加があれば、どうぞ御自由に。
○佐々木委員 徴収コストの滞納者負担のあり方の部分なのですけれども、かなり大きい額になりますので、徴収コストを負担することで、ますます当事者の方が将来の保険料を払いにくくなる可能性が考えられます。ですので、まず納めてもらう、国全体として納付率を高めていくことが重要だと思います。第一段階としては、国全体の納付率向上のための取り組みを高い優先順位に持ってきて、徴収コストを滞納者に課すかどうかは、今の段階ではさらに慎重に検討すべきではないかと思います。
○宮武委員長 どうぞ。
○堀江委員 先ほど市町村の御協力があってというお話がありましたけれども、年金保険料の未納者で市町村へ相談に訪れる人は納付者に変わる可能性もあると思うのですけれども、実は圧倒的に市町村や年金事務所等に足を運ばない未納者が多いと思っていまして、この人たちをどうするかというのが非常に大きな問題だと考えています。
私も余り市町村の窓口に行ったことはないのですけれども、行くとすると、ちょっと時間的に難しいなというのが、会社員なので、平日の9時から5時というのは行くのが難しかったりもするのですけれども、インターネットとかメールで相談ができる体制は非常にありがたいなと思う次第なのですけれども、相談をメールで受け付けるというのは難しいものなのでしょうか。
○町田日本年金機構国民年金部長 よろしいですか。
○宮武委員長 どうぞ。
○町田日本年金機構国民年金部長 インターネットでお客様のほうから御質問等いただいて、それに対してお答えをしているものはございます。
○宮武委員長 よろしいですか。
○堀江委員 はい。
○宮武委員長 市町村の窓口というと、国民健康保険の保険料の徴収と国民年金の窓口は一緒になったりしているところが多いわけですね。そうすると、例えば夫が定年退職でやめて、専業主婦だった人が3号から1号に変わる場合、当然年金は厚生年金の3号被保険者から1号で国民年金を払わなければいけない。医療保険のほうは、被用者保険から国民健康保険に変わらなければいけない。窓口へおいでになるわけですね。両方手続するはずなんですね。だけど、実は国保のほうは入るけれども、国年のほうには入らないというつまみ食いが起きますね。それはなぜなのでしょうか。
○和田委員 市町村によって健康保険と年金と一緒の窓口ばかりではないので、岐阜市の場合は一緒ですけれども、そういったところで加入漏れがないようにということで、複写式の届出書にしたり、いろんな協力、協力というか、申請漏れとかはなくす方向にはあるのですけれども、医療保険のほうだと任意継続があったりとかして、最初は窓口に見えなくて、1年2年たってから加入しに見えたりとかということもありますので、その点で言えば、どちらかというと、3号とか2号を喪失されたということが年金機構さんでわかるので、加入の勧奨、そちらのほうを徹底的に、文書勧奨があるのですけれども、ただ、3号、2号の方の場合だと居所登録で厚生年金のほうとかされていますので、どうしても勧奨の文書か届かないという問題がありますので、そういったところをもっと市町村使ったりとか、住民情報を活用するような形で、必ずお客様のほうに届くような形にすれば、わざわざ窓口へ足を運ばなくても切りかえができますので、そういった工夫も1つ必要なのかなと思います。
○宮武委員長 私なんか、国民年金と国民健康保険は両方とも生活総合保険料で一緒に取ってしまえという乱暴なことを昔から提案をしてきたのですけれども、つまみ食いをしないような方策を窓口で考えて、現実には複写式になっていて、実は書くところあるわけですから、知らなかったとおっしゃっているのはどうもうそではないかと私は思うのですが、和田委員はどう思われますか。
○和田委員 知らないということはないと思います。年金記録問題のときもさんざん過去の広報紙とかいろいろ調べたのですけれども、必ず年に1回以上とか、国民年金に加入してくださいとか、折を見て広報紙のほうにも掲載をしている市町村も多いと思いますので、そういったことを知らないと言い張るのはどうなのかなというふうに思います。
○宮武委員長 ほぼ時間が参りまして、本日のところは、一応論点の(4)ぐらいのところまで御意見を賜ったということで、次回は論点の(5)あたりから御意見をお願いしたいと思います。もちろん次回もさかのぼって、大事な論点が前のほうにございますので、さらに追加の御意見いただいても結構でございます。
そういうことで、本日は司会がしゃべって申しわけありませんでしたけれども、一応予定の時間が参りました。事務局から次回以降の予定等についてお知らせをお願いいたします。
○大西事業管理課長 次回の開催日時でございますけれども、11月14日の15時からを予定しております。場所等につきましては追って御案内をさせていただきたいと思います。
以上です。
○宮武委員長 それでは、本日はありがとうございました。これで審議を終了いたします。御多忙の折、御足労かけて恐縮でございました。
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