残留農薬

よくある質問

Q1.農薬の残留基準はどのように決められている?

食品中の残留農薬により健康を損なうおそれがないよう、次のような方法で、農薬の残留基準を設定しています。
 
 食品中の農薬の残留基準値は、農薬を定められた使用方法で使用した際の残留濃度等に基づき設定しています。コーデックス委員会(※)が定める国際基準があるものについては、国際基準も参照します。
 
 こうして設定した残留基準値については、農薬が残留する食品を長期間にわたり摂取した場合や、農薬が高濃度に残留する食品を短期間に大量に摂取した場合であっても、人の健康を損なうおそれがないことを確認しています。

 具体的には、我が国における各食品の摂取量を勘案して、食品を通じた農薬の摂取量が、

・毎日一生涯にわたって摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量 (ADI:許容一日摂取量)
・24時間又はそれより短時間の間に摂取しても健康への悪影響がないと推定される量(ARfD:急性参照用量)
 
 をそれぞれ超えないことを確認しています。
 
 なお、このADI及びARfDは、動物を用いた毒性試験結果等の科学的根拠に基づき、リスク評価機関である食品安全委員会が食品健康影響評価(リスク評価)を行い、設定しています。これを受けて、厚生労働省において、上記の考え方に基づき、薬事・食品衛生審議会での審議を経て、残留基準値を設定しています。
 
(※)FAO(国際連合食糧農業機関)及びWHO(世界保健機関)により設置されている政府間機関

 

Q2.食品中の残留農薬等はどのように検査されている?

国内に流通する食品や、輸入食品について、自治体や国が、残留農薬等の検査を行っています。

 国内に流通する食品については、自治体が市場等に流通している食品を収去するなどして、検査を行っています。検査は、自治体の監視指導計画において検査予定数を決めて行っています。
 輸入食品については、輸入の際に検疫所への届出が必要ですので、届出された輸入食品の中から、輸入食品監視指導計画に基づいて、モニタリング検査を行っています。違反が確認されると、検査の頻度を高めたり、違反の可能性の高い食品に対しては、輸入の都度、検査を行うことになります。
 また、違反が確認された場合には、その食品を廃棄させたり、原因究明や再発防止を指導するなどの措置を講じます。

Q3.ポストハーベストの規制はどうなっている?

収穫後に使用される防かび剤は食品添加物に該当するため、食品添加物として指定を受けたものしか使用することができません。
 
 食品衛生法において、食品添加物は、「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物」と規定されているため、収穫後の農作物に防かびを目的として使用される、いわゆるポストハーベストは、食品添加物に該当します。食品衛生法第12条の規定により、指定されていない食品添加物(ポストハーベストを含む)を使用する食品について輸入、使用、販売等が禁止されます。
   →詳しくは こちらへ(食品添加物のページへ)
 
ポストハーベストであっても、残留濃度により規制されています。
 
 収穫前に農薬として使われた場合であっても、収穫後にポストハーベスト(食品添加物に該当)として使われた場合であっても、残留濃度が基準値以下である必要があります。農薬としての基準値も、食品添加物としての基準値も、同じ物質を同じ作物に使用する場合には原則として同じであり、残留濃度が基準値を下回る必要があります。

Q4.日本と海外の農薬の残留基準値が異なるのはなぜですか?

 食品中の農薬の残留基準値は、農薬を定められた使用方法で使用した際の残留濃度等に基づき設定しており、これは国際的にも共通の考え方です。
 各国において、農薬の使用の可否や使用方法が、その国の気候、病害虫の発生状況や栽培実態を踏まえてそれぞれで定められていることから、それを基に定められる残留基準値も異なります。
 また、同じ食品であっても、日本と海外で検査部位が異なる(例:玄米と精米)ことにより、残留基準値が異なる場合もあります。
 そのため、日本と海外の基準値のどちらが緩いか厳しいかを一概に言うことはできません。
 いずれにしても、食品を通じた農薬の摂取量が、
  ・毎日一生涯にわたって摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量 (ADI:許容一日摂取量)
  ・24時間又はそれより短時間の間に摂取しても健康への悪影響がないと推定される量(ARfD:急性参照用量)
 をそれぞれ超えないことを確認し、人の健康を損なうおそれがないよう設定しています。

Q5.ポジティブリスト制度導入後の残留基準の設定はどのくらい進んでいる?

現在、760品目の農薬等について基準値設定を行っています。
 
 ポジティブリスト制度導入後に新規に残留基準を設定した農薬等(100品目)も含めると、残留基準が設定されている農薬等は合計で760品目あります。
 ポジティブリスト制度導入時に暫定的に残留基準が設定された農薬等については、平成18年以降計画的に食品健康影響評価を内閣府食品安全委員会に依頼し、その結果を踏まえ、順次、薬事・食品衛生審議会の審議を経て残留基準の見直しを進めています。
 令和2年12月現在、累計で699品目の農薬等に係る食品健康影響評価を依頼しており、その結果を踏まえて残留基準を改正した農薬等は491品目です。

Q6.牛や豚に使用される肥育促進剤(肥育ホルモン剤、ラクトパミン)について

牛や豚に使用される肥育促進剤(肥育ホルモン剤、ラクトパミン)について(Q&A)[61KB]