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第21回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)
日時
令和6年12月23日(月) 10:00~12:00
開催方法
WEB開催
議事
議事内容
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第21回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
委員、参考人の皆様におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開となります。また、議事の様子をYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきいただければと存じます。
初めに、発言の仕方を簡単に御説明いたします。
御発言がある際には、「手を挙げる」ボタンをクリックして、委員長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、発言するようお願いいたします。なお、「手を挙げる」ボタンがない場合には、画面に向かって挙手をお願いいたします。画面上の「手を挙げる」ボタンを押していただければ、会場のほうから指名いたしますので、御発言ください。
御発言されない間は、マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、音声等が不安定になった場合は、一旦ビデオをオフにするなどの対応を試みていただくようお願いいたします。
本日は、上野さやか委員、栗原委員、森委員の後任に当たります大柄委員は御欠席、また、松原委員は1時間程度遅刻されるという旨の御連絡をいただいております。
参考人につきましては、時間の関係で紹介を割愛させていただきますので、参考資料2「委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
続いて、資料の確認をお願いいたします。
資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。議事次第、資料1、資料2、参考資料1から2までございますので、御確認ください。
なお、冒頭のカメラ撮りについてはここまででお願いいたします。
では、これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○中釜委員長 中釜です。
委員の先生方、本日もよろしくお願いいたします。
時間も限られていますので、早速本日の議題に入りたいと思います。よろしいでしょうか。
まず議題1「全ゲノム解析等に係る事業実施準備室の検討状況について」、事業実施準備室の青木参考人ほか、各検討チームから出席いただいている参考人より資料1の説明をお願いいたします。
御質問につきましては最後にまとめて行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
では、青木参考人、よろしくお願いいたします。
○青木参考人 準備室の青木です。よろしくお願いいたします。
事業実施準備室の活動について御報告を申し上げます。
次のスライドをお願いいたします。
プロジェクト推進体制について御報告いたします。
次のスライドをお願いいたします。
これは令和6年度の検討体制を示しております。準備室長の下に検討チームが6つあるという点では令和5年度と大きく変わっておりませんが、②としてシステム開発事業者が入っており、厚生労働省と契約をして、システムの構築を実際に進めていただくという形になっております。また、研究班に関しましては、厚生労働科研の研究班が昨年度で終了いたしまして、今年度はAMED研究班のみとの連携です。
次のスライドをお願いいたします。
これは準備室のボードメンバーで、15名の先生方にボードメンバーとして御指導いただいており、適宜御報告しているところでございます。
次のスライドをお願いいたします。
次のスライド5から8にかけましては、準備室のメンバーの構成を示しております。昨年度と大きく変わっておりませんが、若干の入れ替わりなどはございます。
次のページに行っていただきまして、IT・情報基盤・セキュリティチームのチームリーダーは昨年度までは葛西参与でありましたが、IT・情報基盤システムの全体像、各システムの概要、要件などを検討していただき、計画をまとめていただきました。今年度はシステムを実際に開発するという段階になりまして、厚労省内あるいは厚労省と準備室の連携が必要ということもあって、現在は厚労省のイノベ室が担当しているといった状況です。
次のスライドをお願いいたします。
トータル延べ80名の人数となっております。
次のスライドをお願いいたします。
これはコンソーシアム事業実施準備室フェーズの幹事と利活用審査委員会の委員のリストです。
次のスライドをお願いいたします。
プロジェクト全体の達成目標、ロードマップ等をお示しいたします。
次のスライドをお願いいたします。
準備室の達成目標を示しておりまして、令和7年度組織発足に向けまして、今年度は実務的な準備の実施を行っております。
臨床・患者還元支援チームにおきましては、がんの全ゲノム解析の臨床実装に向けた臨床試験等の準備、また医療機関参加に伴う各種支援・手続等の具体化、規程の整備などを行っております。
利活用支援チームとしては、実データ利活用を通じた利活用事業の整備・改善、課金体制の具体化などを目標に活動しております。また、利活用の実施に向けた課題の整理、ポリシーの作成なども行っております。
コンソーシアムは事業実施準備室フェーズでありますが、事業実施組織フェーズに向けた運営体制、利活用推進事業の具体化、それから、アカデミア・産業界からのニーズの取りまとめなどを行っております。
解析・データセンター運営チームは、解析・データセンター運営体制の構築、また、資産や検体の移行の準備を行っております。
IT・情報基盤・セキュリティチームは、システムの開発計画、システムの仕様の策定、システム調達に係る対応、システム開発にのっとった開発プロジェクトの進捗・工程管理などを行っております。
ELSIチームは、社会との信頼関係を構築し、それを基盤とした事業運営ができるようにするために、ELSI上の課題・懸念を洗い出して設計に反映させるようにしています。また、患者・市民の視点を重視して、参加者パネルを中心とする患者・市民参画の取組の準備を進めております。
総務チームにおきましては、主に事業実施組織の形態が決まった後になるところが大きいかと思われますが、事業実施組織の組織体制あるいは事業計画、各種規程の整備などを行います。また、人材確保という点に関しましても、採用に向けた活動を行っていくとともに、専門的な人材の育成の取組を行っていきます。
次のスライドをお願いします。
今の達成目標に向けたロードマップとなっております。各チームの細かなロードマップの詳細は割愛させていただきますが、準備室といたしましては、令和7年度事業実施組織発足に向けてロードマップ策定あるいは予算案、中長期計画の検討などを行っていくという予定になっております。
私からは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして、患者還元支援チームからの報告をお願いいたします。
○土原参考人 チームリーダーの上野に代わりまして、土原から御報告をいたします。
こちらが全体の本年度開始時点に提示いたしましたロードマップとなります。おおむね順調に進んでおります。この後、それぞれの内容について御紹介をしますが、大きく上のほう3段の部分、制度をつくる部分と一番下の段にありますがんの臨床実装検討といったところの2つのサブチームに分けて検討を進めてまいりました。
では、次のページをお願いいたします。
まず臨床への応用に向けた活動ということで、Aサブチームでございますけれども、こちらのほうは、特にがんの領域に関しましては、進捗状況、全ゲノムプロファイリング検査の前向き臨床試験の開始に向けて、解析パイプラインなどを厚労省などと調整中となっておりまして、来年度の開始に向けて準備を進めております。
それから、次に国際的に見ても全ゲノム解析の有用性が非常に高いと考えられますがんの微小残存病変(MRD)・ネオアンチゲン予測といったところについては、AMED研究班の中で実施するということで、関連する企業などの準備も順調に進んでおります。
今後の進め方につきましては、上のほうの段につきましては、希少がん、小児がんを対象とする前向き臨床試験ですけれども、こちらについては実施するための解析パイプラインの決定を年度内に行いまして、実施に向けて準備を引き続き進めます。それから、MRD・ネオアンチゲンに関しましても、AMED研究の中で臨床実装に向けて進めていくということになっております。
こういった先行研究を下敷きにしまして、実際の医療機関における体制整備ということで、こちらはがんと難病いずれもでありますけれども、臨床・患者還元支援体制の構築をBサブチームで行ってまいりました。
まずは、対象とする実際の解析というのは現行のAMED研究班のデータ収集体制を継続する方針で、それを基に体制を検討しております。また、システム開発のため、ITベンダーに対して、今、医療現場からの視点をインプットしているというところが順調に進んでおります。それから、こういった支援部門の業務規程等の文書類のリストについても現在作成しております。
今後の進め方といたしましては、実際にまだこれは研究という形で当分は進むことを想定しておりますが、発足時の医療機関の要件等の具体化というものを1つずつ明らかにしたいと思っております。それから、患者ポータル、医療機関ポータルのMOCKの作成に向けて、こちらもITベンダー、ITチームとの協調をこれからも進めてまいります。それから、文書につきましても引き続き準備を進めていくということになっております。
全体を通して大きな懸案というか、計画が遅くなるような問題というものはこの10か月の間では特にございませんでした。
以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして、利活用支援チームからの報告をお願いいたします。
○吉田参考人 利活用支援チームの開始時点のスケジュールは資料1のp.14のとおりで、大きな項目は左のほうにありますように、データ提供事業の具体化と、検体提供等に関しても検討を行う。それから、利活用支援部門の発足準備ということで、こちらには利活用審査委員会の事務局、コンソーシアムの事務局機能、人材確保、などの項目が含まれております。それぞれほかのチームとの連携であるとか事業実施組織の法人形態が決まった段階で本格化する議論も含まれております。
次のスライドp.15をお願いします。
主な課題に関する進捗状況ですけれども、まず準備室段階では実データを用いてデータシステムの試行、検証を利用者に行っていただき、データシステムに関するニーズ、また、申請・審査のプロセスに関する改善点などをフィードバックしていただくということで始めております。R6年度からR6年度の前半までに承認された課題としてアカデミア3課題、企業2課題について実データを用いた検証を開始していただいておりますけれども、R6年度後半では残る「解析データセンターと複数企業との共同研究」という形での実データを用いた検証の準備を進めています。具体的には、がん領域では東大医科研、難病領域では国立国際医療研究センターのデータセンターとの倫理審査であるとか、あるいはData Transfer Agreementによる企業と解析センターとの契約、これらの準備をそれぞれ進めております。
検体利用に関しては、事業全体の構想を踏まえつつ、今後検討を進めていきますけれども、まずはどのようなニーズがあるのか、ユースケースなどのアンケートをコンソーシアムメンバーに対して実施して整理しているところです。
コンソーシアムに関しましても、8月現在で46名の方が参加されておりますけれども、そこからどのようにニーズを収集するのか、それから、ケーススタディーの作成、産学、医療機関とのマッチング、人材育成、こういったニーズに関してアンケートを取って構想を固めているところです。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
では、続きまして、解析・データセンター運営チームからお願いいたします。
○井元参考人 井元から報告させていただきます。
令和6年度の活動開始時点での案に本日を表す赤いラインが入っているスケジュールになります。一番上の戦略・方針、2番目の組織・人材に関しては、組織形態、組織全体の方針に応じて適時修正・追加する方針になります。昨年度までに議論してきた戦略について、法人形態確定後に修正を行うとなっていましたけれども、本日話がある予定と聞いておりますが、今までペンディングになっている状況です。
3番目の業務につきましては、業務の詳細は、まだ法人形態が決まっていませんのでまだとなりますが、昨年度までに検討してきた業務に関する例えば標準手順書の未決部分の洗い出しと整理を本年度前半で行い、後半でドラフトを作成しました。本年度中に最終化する予定ですが、法人形態の確定に伴い修正する部分が出てくると思っております。
システムにつきましては2つ挙げています。先進医療については、AMED研究から、どのような疾患のどのような患者さんに全ゲノム解析が有用であったのか、治療につながったのか、そのような好事例が見いだされ、先進医療のフォーカスが決まっていくと思っています。そのためにAMED研究班と厚労省で議論されていると認識しています。
また、情報システムの構築に関しましては、ITチームとの連携で進めておりますので、次のITチームからの報告の中で詳しくお話ししたいと思います。
一番下の移行については、データ、検体、資産に分けて議論しています。今年の3月に行われました専門委員会では、資産の部分を説明させていただきました。引き続き、本年度も法人形態の確定を見据えながら、データ、資産についての移行の検討を重ねてきました。
次のスライドをお願いいたします。
進捗状況が左側、今後の進め方が右側に書いてあります。3つのカテゴリーに分けて整理しておりまして、業務文書のドラフト作成については先ほど説明したとおりでございます。法人形態が確定されますと、業務内容が決まっていきますので、業務文書はより細かいところまで要求されるものだと思っております。
精度管理につきましては、内部精度管理、外部精度管理がございますが、特に外部精度管理はやってみないと分からないということが非常に大きくございました。そこで、イギリスのGenQAという会社の外部精度評価のサービスを使いました。現在、AMED C班のパイプラインを用いた解析結果を先方に送りまして、来年にその結果が返ってくる予定になっています。やはりやってみて初めて分かることも多くございましたので、実りあるトライになっています。
内部精度管理については、患者還元チームとも連携しながら整理を進めているところでございます。
移行については先ほど説明したとおりですが、資産として事業実施組織が使う可能性のあるAMED研究班が購入・開発したものを、実施報告書を受領して整理をしているところでございます。
解析・データセンター運営チームは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、引き続きIT・情報基盤・セキュリティチームからの報告をお願いいたします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
ITチームについては医科研の井元先生に中心を担っていただいておりますので、井元先生のほうから御説明いただければと思います。
○井元参考人 私はITチームのメンバーではございませんが、東京大学医科学研究所がシステム開発事業者として活動しており、その責任者としてシステムの開発を進めてまいりました。
スケジュールが少し見にくいかも知れませんが、私のほうから現状を御説明申し上げます。
一番左を見ていただきたいのですが、我々、システムをA、B、CからFまでの6つの領域に分けて、それぞれのシステムの開発を今年度進めてまいりました。それぞれの領域名の右側にそれぞれの領域を構成するシステムを挙げております。
それぞれのシステムの状況につきまして御説明申し上げます。
まず、Aの臨床情報領域になります。DDC開発検証というのは、臨床情報を病院から事業実施組織に収集するシステムになります。DDCとは、Direct Data Captureの略で、自動的に電子カルテもしくは診療科内のシステムから事業実施組織の備える臨床情報データベースに収集するシステムとなります。
このDDC開発検証は、現在2つの方式を試しております。右の方を見ていただくとA方式とB方式という2つが記載されています。
A方式は、電子カルテに備えたテンプレートを使って自動的に収集するものです。既にプロジェクトはスタートしておりまして、12月13日にキックオフを行いました。このシステム開発は、NECが落札され、我々システム開発事業者と準備室と協力しながらプロジェクトを進めております。
次のB方式は、電子カルテからAPIを使って臨床情報を自動的に収集するもので、1月上旬に落札業者が決まる予定になっております。
我々システム開発事業者としましては、落札された企業の方々と密に連携を取りながら、一緒にプロジェクトを進めていくことでシステム開発は行われています。
2番目のデータレイクとは、抽出した臨床情報を集約していくデータベースのことです。プロジェクトは、12月26日にキックオフが予定されておりまして、富士通Japanが落札されました。
Aの臨床情報領域の3番目の参加者検索ツールの開発とは、集まったデータの概要を簡便に知ることができるデータダッシュボード等を備えるシステムのことです。数日中に落札業者が決まる予定となっています。
次にBの管理領域とは、集中管理システムの開発をAMED研究班で行っておりますが、その中でも検体を管理するシステムの開発について今年度進めてまいりました。1月上旬に落札業者が決まる予定でございます。
Cの解析領域の解析クラウド環境と呼ばれるものは、右のほうを見ていただくとハイブリッド・マルチクラウド解析環境の開発と書いてあります。AMED研究班が開発している全ゲノムデータ解析の統一パイプラインは、現在、オンプレミスのシステムで稼働しておりますが、より柔軟にスケールアップできる形態を模索し、これまでクラウドを活用する方法における性能検証を行って来ております。その結果、1つのクラウドサービスに絞ってしまうと、十分な計算リソースの確保が難しい状況があることも分かりました。そこで、マルチクラウドとして複数のクラウドサービスを用い、更にオンプレミスとつないだハイブリッドのシステムによって、計算性能の安定した利用と柔軟なスケールアップ、コスト面でもより有利な体制が取れるような解析環境を構築するものでございます。日立製作所が落札されて、12月17日にキックオフのミーティングを既に行いプロジェクトをともに進めている状況でございます。
Cの次の解析環境共通と書いたものは、オンプレミスのシステムのことでございます。現在、システムを構築中となっております。
このスライドの真ん中あたりにありますDのデータ提供環境について説明します。TREというのは、Trusted Research Environmentの略です。我々は、クラウド上に設置したデータ解析環境にユーザーがログインし、事業実施組織が保有するデータに安全にアクセス・解析できる環境を準備しています。解析の規模によって小規模と大規模と分けておりまして、小規模のほうは、日鉄ソリューションズが落札され、12月20日にキックオフのミーティングを行いプロジェクトは進んでいます。また、TREの大規模については、数日中に落札業者が決まる予定となっております。
Eの患者情報領域は、患者さんが全ゲノム事業に参加されて、例えば御自分の情報を見たり、御自分のデータがどのように活用されているのか等、コミュニケーションツール的な要素も含んだ患者さんが使うポータルサイトを準備しております。10月下旬よりモックアップを作り内容を検討するMOCK検証が既に始まっております。どのような内容が患者ポータルに必要となるのかを患者さんと一緒に話し合いながら整理して、実際にモックアップとして画面を作ってみて意見を伺いながら進めているものになります。検討したモックアップをシステム化していくところが、右側にPOCと書いていますプロトタイプ開発につながっていくところです。
医療機関ポータルは、患者ポータルと対になるもので、医療機関で用いるポータルサイトのことです。同じようにMOCK検証を10月の下旬から要件整理を合わせて行っています。
この2つのMOCK検証については、今月末が報告書の締め切りとなっています。現在報告書をまとめているところになります。
この2つのポータルのMOCK検証については、アクセンチュアが落札してプロジェクトを進めております。POCにつきましては再度入札を実施し、落札会社が決まる予定になっております。
Fのネットワーク・セキュリティ・クラウドの最初のセキュリティ運用監視については、今まで説明したシステムの多くのものはクラウド上に構築します。そのセキュリティは、十分に注意深く、最新の防御機能を備えたものが必要です。セキュリティに関する監視業務およびその運用について、アクセンチュアさんがその業務を落札され、現在キックオフミーティングの日程調整中となっております。各システムからのログを収集しセキュリティアラートの発出等を行うセキュリティオフィスセンター(SOC)の構築、およびその運用まで検討する予定になっています。
最後の3つ、クラウド管理運用、クラウド基盤提供、データセンターについては、厚労省にて調達を進めている状況になります。
少し長くなりましたが、システム開発は、事業実施組織にとってとても大切なことですので、詳しく説明させていただきました。
次のページに進めてもらえますか。
このスライドの進捗状況や今後の進め方よりも、私が今何倍も詳しく説明したと思いますので、このスライドの説明は割愛させていただきます。
ITチームの説明は以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
続きまして、ELSIチームからの報告をお願いいたします。
○加藤参考人 ELSIチームの加藤です。よろしくお願いします。
まず、このスケジュールはELSIとPPIにそれぞれ1枚ずつ、全部で2枚に分けて記載されています。
まずELSIです。このELSIは事業内のELSI対応支援ということで、試料の扱いや同意取得・同意撤回、データ移行ということで、様々な場面でELSIに関するところがあるのですけれども、そういったところの討議に参加したり、支援をしたりしております。
それから、ICFの改定準備を行っているというのがELSI対応のもう一つの部分です。
ELSI部門の発足の準備は他の部門と同じように文書等を作成する準備を進めてきました。
また、部門間連携はまたELSIとして横断的に見ているところですけれども、ホームページの文案を作成されるところに対して様々な観点から意見を申し上げたり、それから、先ほどもITシステムのところで報告がありましたけれども、患者ポータルなどのITシステムの作成に対して、ELSI部門として、また、患者協力者の方々の意見をつなぐ形で支援、連携を行ってきています。
次のスライドをお願いします。
こちらはPPIに関する患者・市民参画に関するスケジュールを書いたものです。中心となるのが参加者パネルという組織でして、それの発足の準備、また、運営の準備を行ってきたのが上の2つです。それで、右側にグレーのところがあるのですけれども、こういった参加者パネルの準備に関しては、事業実施組織が実際に立ち上がるところでより具体的に動き出しますので、グレーになっているのはもう少し検討が続いていくという意味であります。
それから、ちょっと前後しましたけれども、パネルの公募の準備も同じように準備をしてきております。
PPIの部門の発足の準備、そして、社会への情報発信・双方向の活動、こういったことを進めてきております。
次のスライドをお願いします。
主たる課題についてもう一度説明しておりますけれども、事業実施組織発足に向けたELSI対応ということで、AMEDの研究で実際にICFが使用されているのですけれども、これについてがんのモデル文書が反映されているかどうかを確認するということを今年度ずっと進めてまいりました。それから、事業実施組織で用いるICFのドラフト作成ということも継続して行ってきております。
体制・仕組み検討は先ほど述べたことで、最後、参加者プランの構築に向けた検討でいろいろな検討をしておりますけれども、右側の部分、PPIの協力者の方がおられますので、そういった方々と意見交換をしながら必要となる事業に関する意見交換を行ってきております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして、総務チームからの報告をお願いいたします。
○樋山参考人 総務チームの樋山です。
総務チームにつきまして、1枚目が組織体制設計の関係のスケジュールとなっておりまして、2枚目が人材育成の関係のスケジュールとなっておりますが、翌年度活動開始時点案となっておりますので、具体的にはその次の次のページをお願いします。
総務チームの進捗状況はこちらのページで説明をさせていただければと思います。
まず組織設計につきましては、進捗状況といたしまして、規程の作成ということで、総務チームにおける作成が必要と想定された規程、主にコーポレート関連の規程になりますけれども、その作成の進め方を検討してまいりました。また、他チームにて検討する規程の作成スケジュールや取りまとめのタイミングについても検討してまいりました。規程のフォーマットにつきましては、統一的なルールを作成の上、各チームに展開することとしています。今後につきましては、組織形態の決定を踏まえ、作成が必要な規程を確定させた上で、具体的な規程の作成に着手することとしています。
続きまして、人材育成についてです。人材確保に向けた方針・計画の策定の関係の進捗状況について、人材確保の具体的なプロセス、要員の計画に沿った人材要件の再定義でありますとか確保方法案につきまして検討と協議をしてまいりました。今後につきましては、組織形態の決定を踏まえ、要員計画の策定と人材要件再定義、人材確保に向けた処遇条件、確保方法案等について、就業規程の修正方針案を検討していくこととしております。
次に人材育成に向けた方針・計画の策定につきましては、人材育成の課題認識・要件・手法・ロードマップの方針につきまして作成してまいりました。今後につきましては、組織形態、長期的な人材確保方針も踏まえまして、育成計画(具体的な施策、スケジュール)を検討していくこととしております。
総務チームからは以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
以上、昨年度までの準備室における検討と、その成果を踏まえて、今年度、事業実施組織発足に向けた実務的な準備ということで、各チームにおいて例えば規程、業務文書の作成や仕様書作成、企業の決定等を行ってきたわけですが、これまでの資料1の説明につきまして、御質問、御意見がありましたらよろしくお願いいたします。挙手ボタンを押してお願いいたします。
宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 宮野でございます。
3年間のビフォーとアフターでどんなふうに違ってきてきたのだろうかということを拝見させていただきました。
患者還元支援チームに関しては、これまでのことと今後のことが、あまりいい表現ではありませんが、ただだらだらと続けていくのかなという印象を持って、実施組織との強い関連が見えていなかったというのが私の印象です。
それと、ITセキュリティとITシステムのところは十分に準備して苦労されておられるのだなという様子を拝見いたしました。
それと、ELSIについても十分に検討されて課題を抽出されておられるのだと思いましたが、今後のことについては、実施組織がどんなふうに立ち上がっていくのかと。そこが未知数になっているために、ELSIのチームとして今後どう進めていくか方針が立たないのではないかと私はプレゼンから感じました。
それともう一つ、総務から人材育成のことについて言及がございました。これはITのほうからも人材育成についての懸念が示されていたかと思うのですけれども、人材をどうやって確保するか、これからの実施に向けてどうするかということについて、まだこの過去3年において実際にどういうことをやってきたかという具体的なものが何もなく、ITという最も重要な部分についての準備がこの3年間でされておられる。また、今後についても具体的な有効な方法、ただ検討するという言葉で置き換えておりましたが、これでいいのかと思った次第です。
ちょっと厳しめのコメントになりましたが、感想を正直に述べさせていただきました。以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
大きく4点、チームに対する御指摘がありました。まず患者還元支援チームについて、目標の設定と、それに向けての方向性が少しぼやっとしているという印象を受けたという点について、土原先生お願いします。
○土原参考人 宮野先生、どうもありがとうございました。御指摘の点はまさに我々が肝に銘じなければいけない点だと思います。
我々、今活動してまいりまして、実際にどのような形態で解析あるいはデータ収集が行われるのかというところが、正直なところ、3年前に始めたときには明確な形になっていなかったというところが一つ、今、先生の御指摘になった少しぼんやりとしたことに見えてしまう原因だったのだと思います。
その中で、我々といたしましては、特にAサブチームというところでどういったところで実用化に近いのかというところで先行して進めるべき領域を決定したということ、それから、微小残存病変を含めて、今、世界中で全ゲノムが一番有用性を発揮するだろうと思われているということを明確にした上で、そういったところをAMED研究班という形でフィードバックをして、そういったものについての準備を始め、それに付随する形で実施医療機関側のほうの体制を準備したといったところが我々としては一番明確にこの間で仕事をしたことだったかなと思っております。こういったところをきちんと表現できていなかったというところは我々の準備不足だったかと思って、大変反省しているところでございます。
○中釜委員長 続きまして、IT・セキュリティに関してはいろいろ御苦労があったところですが、追加で井元先生から、あるいは厚労省からよろしいですか。
井元先生。
○井元参考人 ITチームにつきましては、人材育成・確保が本当に問題です。IT企業も随分とこの事業に注目をしていただいて、システム構築に対して多くの企業が入札に応じていただいておりますが、技術者が十分に確保できなければシステム開発等はできません。そこの部分で大きな悩み等をよく企業からも聞きます。正直なところ、このプロジェクトを通して企業における人材の育成から我々はコミットしていかないと、将来的にこの全ゲノム事業のITの基盤を確保し、大きく発展させることはできないと思っております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
続きまして、ELSIチームから。
○加藤参考人 加藤でございます。
御指摘ありがとうございます。おっしゃることは確かな部分はないわけではありませんが、まず私たちのチームの2つの側面がありまして、ELSIの側面性ですね。倫理的・法的課題の側面に関しては、引き続き今年度は各チームの活動に対して様々な支援をしてきておりますし、例えばデータ移行に関しても意見を言ったりしておりますし、これに関しては、なかなか表に見えないかもしれないですけれども、いろいろ整理した上で前に進んできていると私たちは考えております。
PPIの部分ですね。こちらが先生が御指摘の部分だと思うのですが、大きく準備を昨年度始めたところが、実施組織の形態がはっきりとしないこともあり、今年公募の情報を出したりができなかったというのは確かだとは思います。ただ、その中で患者の協力者が4名おられまして、がんの側が2名、難病の側が2名おられますので、そういった方々とはつながっておりますので、例えば患者ポータルの部分については御意見をいただくということもやっておりまして、なるべく早くいろいろなことが見えた段階で参加者パネルをつくるということを社会に向けてしっかりと発信できたらなと考えて、準備はできているところでありますので、私たちとしてはしっかりと進めていけると思っております。
これぐらいにしておきます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
最後、総務チームから特に人材育成における準備状況等についてコメントがありましたらお願いいたします。
○樋山参考人 宮野先生、ありがとうございます。
総務チームでは法人形態がどのような形になるのかということも想定しながら様々な形で検討してまいったのですけれども、確かに遅れているというような印象を与えてしまったのだと思います。今後、組織形態が決まりましたら、早急に人材確保と育成について具体的に進めていければと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
人材に関しては、要件の定義であるとか要員計画については十分詰めたところもあるかと思うのですけれども、実際に法人形態、組織形態が決まらない中、各チームが非常に苦労した部分であったと思いますので、そういう状況と御理解いただければと思います。
宮野委員、ほかによろしいでしょうか。
○宮野委員 きちんとした回答をいただいているとは思いませんが、やはりキーは実施組織が具体的に見えない、その規模が見えないということで、先ほど井元先生からも話がありましたが、いろいろな企業が参加するという方向は見えているものの、一体どれぐらいの人員を企業から出せばいいのか、そのプラン、5年間のプラン、10年間のプランというので企業が決断できない状態に今ここの実施組織は置かれているのだということ。それと同時に、人材ということに関しても、どうなるか分からないところに非常に専門性の高い研究者、技術者が移っていくという可能性は極めて薄いのではないかという印象を持ち、そこの部分を検討という言葉で全部ごまかしているように私が感じたのは間違いでなければよいなと思っているところです。
以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
実際に法人形態、組織形態が決定しない状況下では、検討という言葉以上のことがなかなか使いづらい、表現しづらいところがあったかと思うのですけれども、厚労省は特に追加の御発言はよろしいですか。
ありがとうございます。そういう状況であるということだけ御理解いただけたらと思います。
ほかに御意見、御発言はございますか。よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、続きまして、次の議題に移らせていただきます。議題2「全ゲノム解析等に係る事業実施組織について」、厚生労働省医政局研究開発政策課より資料2の説明をお願いいたします。
○長谷川研究開発政策課長 厚生労働省医政局研究開発課長の長谷川でございます。8月より着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
改めまして、委員の皆様方におかれましては、日頃より全ゲノム解析の推進に関し御尽力いただいておりますこと、感謝申し上げます。引き続きの御議論をどうぞよろしくお願いいたします。
お手元の資料2「全ゲノム解析等に係る事業実施組織について」に基づいて説明をさせてだきます。
1ページおめくりいただきまして、2ページをお開きください。
全ゲノム解析の推進に関しましては、本年6月に閣議決定いたしましたいわゆる骨太の方針などにおきまして、全ゲノム解析を行う事業実施組織として2025年度(令和7年度)に設立する旨が記載されております。
3ページでございます。
骨太の方針などを踏まえまして、国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部内に事業実施準備室を設立いたしまして、組織、構成等の検討を進めていただいているところであります。
4ページをお開きください。
こうした準備を引き続き進めるとともに、令和7年度の事業実施組織の設立を見据え、令和7年度概算要求におきましても必要な費用を盛り込んでいるところでございまして、予算が確保された暁には、この後御説明いたします内容に沿いまして取組を進めてまいりたいと考えております。
次の5ページでございます。
本日は、これまで当省や準備室において検討を整理し、来年度設立することとしている事業実施組織の在り方について御説明を申し上げたいと思います。
まず、御覧のページにつきましては、基本的な考え方を整理したものでございます。
1つ目の○のとおり、事業実施組織は国が主体となって発足させるものであります。その役割については、まず国のほうで整理する必要があると考えております。この方針につきましては、これまでの国内における研究成果や海外事例を踏まえ、成果が出るものとする必要があると考えております。
また、2つ目の○のとおり、骨太方針などで定めたとおり、令和7年度中の設立をする必要がございます。国の方針に沿って進めるために必要となる機能や役割、専門性や人員体制等を踏まえて、組織の在り方を決める必要があると考えております。
次の6ページをお開きください。
まずは国として、全ゲノム解析の現状と今後の方向性を整理しております。
1つ目の○はゲノム解析の現状に関してでございます。パネル検査に関しては令和元年に保険適用となり、これまで約8万9000例が実施されております。この検査は、遺伝子変異と疾患との関係が明らかで、かつ検出された遺伝子変異に対する薬剤が有効である場合に有用となる一方で、希少がんや難病では有用でない場合も多いと考えております。
その一方、2つ目の○、全ゲノム解析に関しては、委員の皆様も御案内のとおり、広範囲にDNAを調べることで新しい発見が期待されるものであります。これまでの取組の中では、約2万9000症例の全ゲノム解析を通じ、希少がんの病態解明や難病の治療方針決定に貢献しております。
3つ目の○でございます。こうした点を踏まえると、今後の全ゲノム解析に当たっては、希少がんや難病の全ゲノム解析を活用することが有効なケースに注力することとしてはどうかと考えております。なお、その具体的な対応につきましては、本会で方針を議論いただきまして、それに沿い、事業実施組織の下で検討を進めていくことを想定してございます。
次の7ページをお願いいたします。
今申し上げたような希少がん、難病に重点化するといった方針に沿い、事業実施組織が果たすべき役割として想定しているものを記載してございます。全ゲノム解析の結果の患者還元支援としてその統一的な方法の検討や実施状況のチェックを行うことや、情報基盤を整備してデータを収集し、審査を通じて適切に産業・アカデミア利活用を支援すること、また、患者・市民参画の推進、国民向けの発信やELSI支援や人材育成支援といった取組を進めていく必要があろうと考えております。
8ページをお開きください。
6ページと7ページで御説明した全ゲノム解析の今後の方針と、それに沿って適切に進めていくための組織の役割などを踏まえ、組織形態を整理してございます。
1つ目の○のとおり、希少がん、難病などのケースに重点化して取組を進めることを踏まえ、これまで準備室に参加し、牽引してきた国立がん研究センターに、当面の間、厚生労働省の委託事業として事業実施組織を置きたいと考えております。人材につきましては、同センターのほかからも広く登用すること、また、事業実施組織については厚生労働省の委託事業、厚生労働省の本来業務として責任を持って行う事務を委託するという形で、センターの他の業務とは明確に区分、独立させることとしてはどうかと考えております。
また、2つ目の○に記載しております全ゲノム解析の目的が達成されるようにするため、透明性やガバナンスを確保することは重要だと考えております。このため、仮称でございますが、運営委員会といったガバニングを担い監視を行う体制を組織内に設けまして、組織全体の運営方針を決定するほか、組織の活動を監督していくことを想定してございます。
最後に3つ目の○でございます。事業実施組織発足後においては、令和7年度に発足することが求められていることから、こうした形で発足いたしますが、独自組織を設けるべきとの御意見もございます。こうした点も考慮しまして、3年を目途に、事業運営状況や民間資本導入の可能性も見据えまして、全ゲノム解析を主眼とする独立組織に移行する場合などについて具体的に検討し、結論を得たいと考えております。
次に9ページ、最後のページでございます。
これまで申し上げました事業実施組織の役割や運営委員会の設置、あるいは3年を目途とした検討に関して記載してございます。
繰り返しになりますが、1つ目の○から、患者還元については、全ゲノム解析におけるがん・難病それぞれの患者還元の統一的な方法を検討し、研究班の監視を行うことで横串を通す。
2つ目の○、患者還元、ゲノム医療を広く国民が受けられること、研究と医療実装の好循環実現等の目的が達成されるよう、高い透明性と確固たるガバナンスを確保しつつ、事業を取り巻く状況の変化等にも適時適切に対応することができるようにするための運営委員会を設置。
3つ目の○、厚生労働省の委託事業として事業実施組織を設置し、国立がん研究センターの従来業務から独立した運営の下で推進。3年を目途に全ゲノム解析を主眼とする独自組織に移行する場合を含め、具体的道筋等について検討し、その結果を踏まえ必要な対応を行う。
4つ目の○、ゲノムデータの保管に関しては、国の管理下で厳格に運営する。
下の図にございますとおり、本専門委員会におきまして、本基本方針、事業状況に関する審査を行いまして、厚生労働省に示していただきます。厚生労働省におきまして政策を着実に進めていくとともに、実施組織に関しまして基本方針の提示、事業状況に係る指示、また、定期報告を受ける形といたします。事業実施組織内におきましては、運営委員会を設置し、運営方針の策定・監督を行います。患者への解析結果提供につきましてはAMED研究班と連携、また、データの利活用につきましては企業・アカデミアに使いやすい形で御提供するように進めていきたいと考えております。
なお、参考資料といたしまして、15ページ、16ページにおきまして事業実施組織の運営委員会の体制の資料もおつけしております。こちらも参考として御覧いただきますよう、よろしくお願いいたします。
本専門委員会につきましては、引き続き基本方針や事業状況に関する審議をお願いしたいと考えております。
事務局の説明は以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、今の資料2の説明につきまして、御質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。
それでは、高倉委員、お願いいたします。
○高倉委員 高倉です。
私はITの人間ですので、少しピントがずれたことを言うかもしれませんが、先ほどお見せいただいた9ページのデータの厳格な管理について少しだけコメントさせてください。もちろんデータを厳格に管理されるのは当然のことなのですが、前半のほうでもありましたように、セキュリティの面、それから、システムの面、大体の構想ができたのは分かるのですが、やはり具体的なお話を伺わないと、IT系の人間からすると本当に厳格に管理ができるのかなというのは少し不安になっています。
あと、これも先ほどの御議論にありましたけれども、人材不足、これは単なるITエンジニアだけでも不足しているところに加えて、ゲノムとITが分かるような研究者、エンジニアをそろえようと思うと、正直相当無理があるかなと。相当頑張らないとそんなにそろわないなというのがありますというのが一つ、データを厳格に管理してください、そのための人材を確保してくださいというのがあります。
それから、もう一個なのですが、データの厳格な管理に、我々はよくプロビナンスとかデータの来歴、どこから来たかというのを言っているのですが、やはり今の時代、オープンサイエンスの時代になってきますと、例えば今回扱っている全ゲノムデータが適切に管理されているプラス適切に解析されている。要は、ちょっと言い方はあれですけれども、研究不正が行われていないということを担保できるような仕組みがぜひ必要になるかなと思いました。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
データの管理及びセキュリティの充実等についてはITチーム等で検討しますが、厚労省からお願いいたします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
御指摘本当にありがとうございます。システムの具体的なことについては、引き続きよくITチーム等の先生方とも御相談しながら進めていきたいと考えております。
また、人材についても、御指摘のとおり難しい課題だと考えておりますので、しっかり厚生労働省として取り組みたいと考えております。
3つ目の御指摘につきましても、セキュリティのところとオープンサイエンスという御指摘でございました。その辺りのバランス等もよく考慮しながら、我々としてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。御指摘本当にありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○高倉委員 はい。ありがとうございます。よろしくお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 7ページには事業実施組織の機能・役割がまとめてございます。このとおりでよいのだと思うのですが、これを5ページで述べておりました国として整理して国としてちゃんとしたものにしていくのだというメッセージを出して、これも非常に的確なことだったと思います。
しかし、その次の8ページ目に○が3つございますが、ボールドにしておりますまずは令和7年度にこれまで実施準備室に参加し、これは委員長は中釜先生でございますが、ゲノム医療に関する実績を有する組織、国がんを想定して、がん及び難病に関わる、これは難病もですね。全ゲノム解析を行う体制を備えることを前提とし、厚労省から委託事業として、事業実施組織を当面置くという要は国としてちゃんとやるということを、ここに書いてあることは国としてはちゃんとやらないという別の言い方をしているとしか私には読めません。
さらに、運営委員会がしばらく開かれなかったのですが、その間に国がんに置くという議論は、テンポラリーに置くというような表現になっておりますが、私の記憶が悪いのか、一切残っておりません。突然に湧いてきたもののように思えています。
さらにもう一つ言いますと、ITの重要性というのはこれまで皆さんも御指摘のとおりですが、国立がん研究センターでこのITを担ってマネージしてできる能力はあるとはとても思えません。その大失敗は何かと言いますと、C-CATです。C-CATの資料作成があまりにも曖昧であったために、どれだけ多くのがん患者の方々が苦労され、また、がんのパネルの検査を適用する医療機関が苦労されたか。その苦渋のことを考えますと、これは絶対に受け入れられることではないと私は思っております。
それと、最後3つ目の○のところですが、3年をめどにちゃんと民間資本等の導入可能性を勘案してというふうにして外に出すと書いてありますが、3年間で、過去この実施組織を立ち上げるときに実はこれはやっておかなければならなかったことだと思うことをこれからやりますと言っていることは、私は3年たったらまた振り出しに戻ったのかというふうにしか捉えることができません。また、3年間とかという期間で民間企業、例えばシーケンスをする企業がシーケンサーをうちの企業に今後のことを考えて導入しよう、これだけ整備しようというような決断はできません。民間もIT人材を難病も含めたゲノム医療のほうに持っていこうという決断を、少なくとも企業としては、甚だ企業のトップ、経営のことから考えますと、なかなかできないのではないかと思います。
ですから、5ページで国としてきちんとやるべきこととうたっていることと、この8ページに書かれております事業実施体制の組織形態は乖離があまりにも大きく、特に国立がん研究センターを想定しているということについては、私は全く納得できることではございません。こういう質問がよろしいかどうか分かりませんが、水澤先生や森先生がどんなふうに、私の独りよがりで言っているのではないかとも思いますので、その辺り、御指導いただければと思います。
まずは水澤先生はいかがでしょうか。中釜先生、こんな言い方をしてよろしいでしょうか。
○中釜委員長 まず、最初の御指摘の点について、厚労省から少しコメントをいただいた上で、水澤先生等にお願いしたいと思います。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
御指摘様々ありがとうございます。
人材につきましては8ページに記載させていただきましたとおりでございますけれども、センター以外の人材も積極的に登用いたしまして、その採用は非常に難しいという御指摘もあったかと思いますので、しっかりとここは厚生労働省としてNCCで対応できるような体制を整えてまいりたいと考えてございます。
また、3つ目のポツにございます3年をめどにという記載でございます。我々としてもここはしっかり3年をめどにという形で明記をさせていただいて、しっかりと具体的道筋等について検討させていただきたいと考えてございますし、また、民間がしっかりと協力いただけるような形の今後の方針等についてもしっかりと我々のほうで検討してまいりたいと思ってございます。御指摘本当にありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それから、現行の保険診療下でのパネル診療に関する御指摘もありましたが、これにつきましても事業準備室の段階でよく連携を取りながら、御指摘の点については考慮しながら進めていければと思っております。ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 宮野先生からも御指名されたのですけれども、私はまず実施組織のことが初めて議題に上りまして大分うれしく思います。この間、長い時間がかかったと思いますけれども、関係者の皆さんの御尽力に感謝したいと思います。
私自身が関与したのが2019年の秋で、検討会が数回開かれまして、その後年末に全ゲノム解析等実行計画第1版ができ、それ以来5年たっているわけでありますけれども、ようやくそういう本質的な議論になったと理解しております。
実施組織を考えたときに、今日は実は名前のことは載っていないのですけれども、名称というか、ぱっと見てすぐにそれは何を意味するか分からないといけないと思います。すなわち組織形態というのはそういう一目で分かるものを担保するということがとても大事だろうと理解しております。
今日の資料は、御指摘がありましたし、私も拝読いたしましたけれども、かなり曖昧な用語が多くて、確定的なことがなかなか分かりにくいと思います。例えば想定とか前提とか当面とか、最後に3年間でまた再検討するということで、そこには独自組織も検討するとなっているわけです。したがいまして、非常に不確かでよく分からないということなのですが、一言がんセンターの下につけるということがあるわけでありますが、非常に不確定なことが多いので、本日よく議論をして、今後それはこういう変更をされ得ると理解して少し意見を申し上げたいと思います。
このがんセンターの下という形になってしまいますと、全体を包括するということで議論をしてきた経緯が見えなくなってしまうということで、恐らく難病とかそういうほかの研究者、ゲノムだけではないのですが、がんゲノムの研究者の方々を含む多くのゲノム研究者にとって失望するのではないかなと思います。ぱっと見て分かりませんので、これは日本のゲノムはがんだけやるのですねという形になってしまうと思うのです。
患者さんたちも、難病はもちろんですけれども、がん難病等と「等」があるわけで、それ以外のコモンな病気の患者さんたちもすごく期待していますし、一般国民や企業の方もすごく期待しています。今日は加藤先生もおられますけれども、私はWHOの会にも参加させてもらいましたが、外国の方々からの期待とか視線というのもあるわけですけれども、これはそういう方々にかなり大きな失望と落胆を与えてしまうのではないかと思います。
この実施組織は、がんの患者さんのみならず、難病はもちろんですけれども、ほかの多くの疾患の患者さんのためでもあると思います。また、その先には疾病予防や健康増進などへの発展の期待も大きいわけです。すなわち国民全体のためというわけでありまして、であるからこそ、ほかの多くの先進国では、個別の疾患の研究センターなどではなくて、全体を扱う組織を新たにつくったり、あるいはそういうプロジェクトとして運営しているわけであります。我々が文章にも書き込んで見本としているGenomics Englandもそうですね。これは2012年ですけれども、NIHにはNHGRI、National Human Genome Research Instituteというのがあって、そこでヒューマンゲノムがスタートしたわけですけれども、その後のオバマ大統領の2015年のPrecision Medicine Initiativeに関してもそうだと思います。全体を扱うということで、決して1つの疾患とか領域だけではないわけです。
それがぱっと聞いたときにすごくよく分かるような名称、そして、よく分かるようなあるいはそれが実施できるような体制にしておかないといけないと思います。先ほどちょっと話がありましたけれども、実施組織を運営する上で、すばらしいやる気のある研究者を集める必要があるわけです。あるいは職員を集める必要があるわけですけれども、そういう方々が本当にここに集まるかといったとき、なかなか難しいのではないかなと私は思います。
いろいろたくさん言いたいことというか理由はあるのですけれども、ほかの方もたくさん手を挙げていらっしゃるようですので、ひとまずここまでで置いておきたいと思います。
1つだけ追加しておきたいと思います。私自身も含めまして、私の家族も含めて、がんの方は多いと思いますし、私もがん研究は進んでほしいのですけれども、がんの遺伝子というのはCOSMICのサンガー研究所のデータベースによると、これは間違っていたら補足していただきたいのですし、数え方が難しいらしいですが、290とか330、あるいは727という数字を私は拾うことができました。いわゆる遺伝性疾患の原因遺伝子は、OMIMのデータベースによりますと、10月20日で1万177であります。そのうち解明されている原因遺伝子が6,945ありまして、未解明が3,232ということになります。約2万2000の我々の遺伝子のうち、それぐらいの数のシングルジーンディジィーズの遺伝子があるわけでありまして、そういうことで苦しむ人たちに対しても、希望を失わせることなく、そういう研究者に対しても道を開くという意味で、ぜひ考え方はそういう方向にまた舵を戻してほしいと私は思います。
以上でございます。
○中釜委員長 水澤委員、ありがとうございました。
今の御指摘について、厚労省、よろしくお願いします。
○長谷川研究開発政策課長 研究開発政策課長でございます。
御指摘ありがとうございます。曖昧な表現もあるのではないかという御指摘でございますが、独自組織設立のためには組織形態、在り方等を政府全体で検討、調整する必要があります。政府の予算としては単年度主義の中で、私どもとしましては事務方として可能な限りの踏み込んだ記載をさせていただいているというところでございます。一方で、実施組織は令和7年度中の立ち上げを求められておりますので、まずは既存の組織の参加で立ち上げということで、次のステップに進みたいと考えているところでございます。
また、がん以外の専門に関してですが、まずは運営委員会につきましては、がん以外、特に難病の方々も主体になるように構成することが必要だと考えておりますし、また、実施組織の中の組織に関しましても、がん以外に難病の先生方にきちんと入っていただくということでお声がけをしていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○水澤委員 ちょっとだけ意見を言っていいですか。
今おっしゃったことはずっとこれまでやってきたわけです。この5年間いろいろな形の中で、この委員会もそうですけれども、既にやってきたことだと私は思います。ですので、今後のことに関して、もし明確に例えば新しい組織をつくるのだということであれば、それを明記するか何かしないと、検討だけでは、我々ずっと検討してきたわけですので、なかなかそこは難しいのではないかと思います。
法人組織を、法人かどうかは別として、とにかく事業形態をどうするかということでこれまで議論をしてきてここに至っていると私は理解しますので、これから検討しないといけないのだというのはなかなか国民には許していただけないような感じはします。これは決して厚労省だけではなくて、我々のこの専門委員会の責任だと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
ほかに多くの委員の先生方も手が挙がっていますので、全体の御意見をお伺いした上でまとめて厚労省からの見解等を伺っていきたいと思います。
続きまして、辻井委員、お願いいたします。
○辻井委員 産総研の辻井です。
僕も医療のほうはあまりよく分かっていないのですけれども、情報処理の観点からすると、このPrecision Medicineを代表とするような医学への情報技術の適用というのは、これからどんどん大きくなっていくと思うのです。そういう意味では、IT人材をどれぐらいうまくこの分野に取り込んでいけるかというのが大きな課題になるでしょうと。同時に、人材育成という話になると、単に民間企業が参加して、そこから技術者を教育するというだけではいかなくて、IT技術の先進的な部分をきちんと取り込んでいく体制をつくっていくというのが重要ではないかと思って聞いていました。
そういう意味では、他センターからの人材も積極的に登用するという言葉があったと思うのですけれども、どういう形でIT部門というのがきちんとした体制ができて、優秀な人材がそこで育てられていくのかという体制をうまくつくっていく必要があるでしょうという感じがします。
それはデータ解析の部分なのですけれども、もう一つは、システム設計の部分でも、計算科学全体がこういうセキュリティをどうするかとか、データの保護をどうするかというのが研究課題に大きくなってきているわけですよね。それを民間の技術者だけに任せておいていいのか、あるいはこのセンターの中できちんとした仕様が検討できて、新たな技術が取り込んでいけるのかという体制をうまくつくっていかないと駄目なのではないかと思って聞いていました。
そういう意味では、民間に情報部門をやらせればいいという感じのイメージがちょっと強くて、もう少しアカデミアを含む人材育成まで考えたIT部門の設計というのが必要ではないかと。それがこの今考えておられる新しい組織の中でどう位置づけられていくのかというのがいま一つ見えないなと思って聞いておりました。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
人材に関して、特にIT人材、それから、計算科学全体での計算関係を含めたセキュリティはアカデミアを含めた検討すべきだという御意見ですが、人材の確保に関して総務チームから何か現時点で追加での御発言はございますか。検討はされていると思いますが、よろしいですか。
では、事務局、お願いします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
御指摘本当にありがとうございます。人材、特にIT人材につきましては、委員の御指摘のとおり非常に重要な課題だと考えております。また、民間の委託等も含めた、民間だけではなくて、この事業実施組織の中でしっかりとIT部門に職員を配置いたしまして、また、アカデミア等もクロスアポイント等を活用しながらしっかりと連携をして、内部でもしっかり人材を確保しつつ、また、外部とも連携した形で取り組みたいと考えてございます。人材の確保については非常に難しい課題だと認識しておりますので、しっかりと進めてまいりたいと思います。御指摘本当にありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
では、続きまして中村委員、お願いいたします。
○中村委員 中村です。
いろいろな先生方からコメントがされましたけれども、何年も前から実施組織をどうするのかという議論がされてきて、その中でやはり単年度予算でできること、単年度予算だと絶対できないことがあったと思います。ITの問題にしても、あるいはデータベースをどう維持、運営していくのかということ、それから、新しい技術が出てきたときにそれにどう対応していくのかということも含めて、何年も前からそれを議論した上で、実施組織の形態を決めるという結論だったと思いますけれども、今この時点でこういうことしかと言うと失礼ですけれども、出てこなかったというのはある意味失望しています。
5年前と全ゲノムの状況はどう変わったかというと、皆さん御存じのように、モデルナは2027年までにネオアンチゲンmRNAを日本でも販売するということを公表していますし、ゲノムの有効活用という点では、やはりがん治療の面で大きな変化が起ころうとしています。それから、5年前はまだまだプレマチュアであったロングリードシーケンスが出てきて、いろいろなことが分かってきています。
やはりゲノムというのは非常に大事で、高齢化社会を目の前に迎えて、高齢化社会の医療をどう乗り切るのかという観点でゲノム医療は非常に重要であって、また、ただ単にがんはどうなのか、難病はどうなのかという枠を超えて、医療の質をどう上げていくのかという観点でゲノム医療はとても大事になってきていて、本来専門委員会の中ではそういうことも少し話し合われていましたけれども、今こそ、やはり世界の動きを捉えつつ、日本の医療の質を上げるためにどうするのか。そのためにゲノムをどう活用するのかということを前提にした議論を考えないと、3年後に組織をどうするのかを決めますって、そもそも論として組織形態が決まらないといろいろなことが動かないという話は数年前から出ていた話で、今、仮にこの組織を置く。その中でいろいろなことを議論する。ELSIにしても、PPIにしても、今のままだと長期的な展望を描けないままに何をするのかという議論になってしまいますので、今言ってすぐというのはもちろんできないとは思いますけれども、やはり組織形態をどうするのかということは、今後ゲノム医療が発展していく上での基盤となることですので、やはりそこを念頭に、早急に3年後にはこんな実施組織をつくる。それを基に1年目は何をする、2年目は何をするという形で決めていかないとできないと思いますし、誰がどう考えても単年度予算でやっていくような事業ではないと思いますので、そこは至急検討していただいて、本当にみんなが力を合わせてゲノムを活用してよりよい生活を届けるという大きな根本に立ち返って、至急整えるべきところは整えていただきたいと思います。せっかく案をつくられたのに水を差して悪いとは思いますけれども、やはりそこがない限り、ゲノムの将来というのは見えてこないと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
事務局から何かコメントはございますか。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
御指摘本当にありがとうございます。まさに単年度主義ではできない限界点等も事務局の案で先生方に見えたところで大変恐縮でございます。私どもとしてもしっかりと今後を見据えながら、ここに3年後をめどにと書かせていただきましたが、しっかりと検討してまいりたいと思っております。御指摘本当にありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
お願いいたします。
○中村委員 中村ですけれども、もう一点、単年度主義しか駄目だというところが、やはり長期的なプロジェクトに対してめどが立たない、日本が抱えている大きなテーマになっているのだと思います。ただ、なぜ長期的な展望で考えていく必要があるのかということをやはり理路整然と筋道を立てて、必要なことは必要な形で手当てをしていかないと、今こうなっているからこれしかできないではやはりこの全ゲノムというのは動いていかないと思いますので、なかなか厚労省だけで予算の在り方を考えるのは無理というのは重々承知していますけれども、やはり本来あるべき姿に戻していかない限り、同じような問題がいろいろな分野で起こってくると思いますので、ぜひこれを機会に検討していただきたいと思います。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
それでは、続きまして、葛西参与から手が挙がっていますが、よろしいでしょうか。
○葛西参与 ありがとうございます。
私、昨年は事業準備室のほうにおりましたので参考人だったのですが、今年は事務方の厚労省へのアドバイザーとしてゲノムのことで参加しております。
初めて事業実施組織の在り方について厚労省から示されたものがあると思うのですけれども、私自身も昨年来ずっと長くやってきて、この独自組織、いわゆるGenomics Englandなどを見ると、基本的にはがんのためにあるとか、難病のためにあるとか、そういう個別のことではなくて、いわゆるゲノムという情報を使って、今、Genomics Englandでは例えば新生児をやったり、それから、Cancer 2.0のようなロングリードシーケンスもやっていますし、それぞれどんどん対象疾患というのはアップデートされていくので、やはり独自組織を目指すということは必ず必要だと思っています。それを厚労省がちゃんと描き切るということが3年で大事なのだと。これは後で厚労省はぜひしっかりとその答弁をしないと、多くの方ががんセンターのものなのかなとか誤解をしてしまうから。
少し執行面で言うと、よくあるのですけれども、厚労省の味方をしているわけではないのですが、委託事業という言葉遣いですね。これは誤解される方が多くて、あくまで厚労省が本来やるべきことをがんセンターに仮置きしていますということです。なので、資産等は全て基本的には厚労省の資産であること、これは皆さん結構重要で、ゲノムのデータが一独法のところに置かれるなんていう国の判断をしている国家はないです。やはりゲノムデータというのはコモンデータですから、国が保有するというのは非常に重要なことで、場合によっては研究者であったりいろいろな人によっては、がんセンターのところに来たからがんセンターのものなのかなと。私も独法にいますから、独法の職員側がそういう誤解をするようでは困るなと。そういう意味で言うと、独自性とか独立ということをちゃんと担保することが仮置きするとして必ず必要だと。これもきちんと厚労省側が各種の説明をしないと誤解を招くと思います。
それから、ITに関してなのですけれども、もちろんがんセンターにITの人材がいないのは当たり前ですし、逆に言うと、私がいる情報処理推進機構にがんの専門家がいるわけでもないですから、ゲノムも分かってがんも分かってというのは非常に難しいのだと思うのです。ただ、Genomics Englandを見ると、7割は実はバイオインフォマティシャンであったり、ITの人材です。言わばこれはITの会社なのです。なので、決してこのITのところをすごくおろそかに、私は個人としては準備室の時代もすごく理解されなかったなと感じていました。これでは困るので、今日の資料ですと、まだちょっと煮詰まっていないかなと改めて見ても思ったのですが、例えば参考資料なのでこれが決まりごとではないと思っていますし、これはもちろん批判的に言っているわけではなくて、例えば15ページ目にあるような参加者パネルであるとかELSIといったものが外部委員会としてきちんとガバナンスをつくるのだということは正しいと思うのです。ただ一方、やはり各部門名であったり、民間の方の協力も得なくてはいけないときに、利活用推進部という言葉は何だか分かりませんし、患者還元も全然分かりませんと。
ITですと、例えば今ですと、私個人としては、当然医療DXをやっている面もあって、DX全体を考える基盤ではなくてDXというサービスを担うような部門であるべきですから、デジタルトランスフォーメーションというような言葉が入っていたり、そういう民間の方にちゃんと協力をいただけるような部門構成でなくてはいけないと。これは何十回も言っているのですが、解析とIT基盤というのは別の業務です。なので、どちらも今年の準備室では井元先生にかなり御協力いただいていますし、私も厚労省としても参加しているのですけれども、業務としては違いますから、解析とITの人間が1つなんてことはあり得ないわけです。
それを言うと、例えば解析と臨床還元するところというのがむしろ近くて、今日も準備室の報告で私がちょっと気になったのは、まだ当面研究で始まるみたいな表現が幾つか出てきていましたけれども、当面研究でやるような方はミッションドリブンに合わないと正直思います。もう何年も研究準備ということはやってきていて、今回厚労省の表現は非常に工夫して書いたのだなと私自身も思いますが、厚労省としては3年後に立ち上げる組織の本当の準備をもうやるのだという表現に見えました。なので、そういう意味では、今までの準備では事足りないのは明らかで、そういったことを含めて、なおかつ、例えば今日の資料ですと、令和7年にやる要求額のところもAMED研究は準備室ではなく厚労省と連携するのだということが書かれていて、これはすごくいいなと思います。
そういう意味で、ちゃんと厚労省が司令塔として、こういった独立性を保ち、それから、何らかの調達をするときに、今、普通であれば、皆さんお気づきの方が多いと思うのですが、どんな苦労しているかというと、井元先生から今日説明がありましたとおり、今からシステム調達をしているのです。これは公的調達の宿命で、工事期間が長かったり、中村先生もおっしゃっていましたけれども、単年度主義ということによって今からわずか3か月でシステムができるわけがないのです。そういったことをちゃんと考えないと、一生できないのです。そういったことは独法のオペレーションの中では到底できません。なので、ちゃんとがんセンターの例えば中期計画にこれは独立した決裁維持で行われるものだとか、そういった実務に合わせたことを表現できていないのがよくないのだと思うのです。そういったことをちゃんと確約していかないと、私自身は厚労省の悩みも実は知っているのですけれども、確約しておかないと、普通に一般の方が聞くとこれは厚労省の旗振りがよくないと思われかねませんので、私は厚労省の参与ですから厚労省の味方ですから、ぜひここをきちんと厚労省は答弁していただきたいなと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
厚労省からの意見ということで、お聞きしました。
では、事務局からよろしいですか。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。ありがとうございました。
委託事業については、まさに葛西参与から御説明いただきましたが、もちろん委託のルールがございますので、そのルールの中でしっかりと適切に対応してまいりたいと思っております。また、各部局の名称等あるいは立てつけ等についての御指摘もございました。こちらは括弧で現時点でのたたき台と書かせていただいておりますけれども、現時点での試案でございますので、引き続き準備室の先生方等ともよく御相談をして、体制については考えていきたいと考えております。こちらはあくまで事務局の試案でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
準備室としても厚労省と連携を取りながら、御指摘を踏まえて取り組んでいきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、吉田参考人、お願いいたします。
○吉田参考人 ありがとうございます。
私は参考人ですので、事実関係を明らかにするという点で発言させていただきます。先ほどC-CATが大失敗であったという御認識があったのですけれども、私はC-CATにも併任があり、その概要を把握しておりますが、C-CATとしてはむしろ大成功のほうにあるのではないかと考えております。
その根拠なのですけれども、一つは、C-CATは日本のがんゲノム医療の保険診療における支援として、5年半にわたって9万人の患者さんに対してつつがなく、データのセキュリティ上も含めて大きな問題はなく、保険診療を支えてきたということ。
それから、2つ目には、二次利活用として、こちらは3年前から始めているのですけれども、企業を含む111の研究に対して利活用のデータを提供し、こちらも同じようにデータセキュリティ等の問題は起こしていないこと。かつその利活用の評価も、もちろんリアルワールドデータとしての限界の御指摘もありますけれども、多くの論文等につながり、最近では薬事利用、添付文書にも引用されたことがあるということです。
3つ目は、恐らく宮野先生の御指摘は、臨床情報の収集で非常に現場に負担がかかっているという御指摘ではないかなと思うのですけれども、そもそも臨床情報を保険診療の中で、目の前の患者の診療プラス将来の患者のために集めるというのは、当時の2019年のがんゲノムプロファイリング検査のPMDA承認の要件となっていたのです。このように臨床情報、ゲノム情報を集めることで、がんゲノムプロファイリング検査の臨床的有用性が確立されるということですので、ここを保険診療を担っている臨床の先生方の御負担を確かにお願いして臨床情報を集めている。それは5年前の段階ではどうしてもEDC、Electronic Data Capture法と今回の事業実施準備室でも検討している電子カルテ等テンプレート方式の組合せを使わざるを得なかった。現在、がんゲノム医療中核拠点病院等は273施設になっていますけれども、その約8割以上が、厚労省等からの補助金などは全くないがんゲノム医療連携病院です。このような我が国の診療の現状の中で臨床情報を集める必要があったということで、当時として最適解の形でリアルワールドデータを集める方法でやってきたのではないかと。もちろん我々も医療DX等をはじめ、今後APIなどを使った、あるいはがん登録などとも連携をして、できるだけ臨床情報の収集の臨床現場の負担の軽減、効率化を図りたいと思っておりますけれども、進化を続けていくがんゲノム医療の5年半の歴史の中で、C-CATは実はまれに見る成功例ではないかというのが我々の事実認識です。
以上です。
○中釜委員長 補足の説明ありがとうございました。
それでは、井元参考人、御発言をお願いします。
○井元参考人 井元でございます。
私も参考人ですので、皆様の議論の中で参考になる可能性のあることを少し申し上げたいと思います。
私は、2016年に厚労省から委託を受け、医師の働き方の実態調査を行いました。当時の医師は約33万人、その中から約10万人に対して調査票を配付し、集計しました。その中で1週間のタイムスタディを行いました。。30分毎の粒度であなたは何をしていましたかということを問いました。1万5000人を超える医師からの回答を得ました。タイムスタディーとして1週間にわたって記録することは、とても大変なことです。本当に業務に忙殺されている医師は、回答できなかったかもとも思います。
ただし、そのアンケートの結果から見えてきたのは、本当に自己犠牲的な献身によって支えられている医療現場の実態です。ものすごい業務を医師の方々、医療従事者の方々はされています。その状況の中で、今回の我々の取組というのは、新たに「全ゲノムに基づくゲノム医療をやってください」というものになります。普通に考えるとでき得るわけがございません。ですので、何が必要かというと、医師の働き方、ゲノム情報を用いた診療、薬剤の選択、治療方針の立案、これらをITの力を使って、莫大な論文情報、薬剤の機序の情報を統合して、医師の判断を強力に支援し、そして、患者さんが理解しやすい形で提示する。そういうITの技術がとても大切だと常々思い、この取組みに参加しておりました。
一方、今日提示された案は、NCCに3年程度をめどにいう話です。申し上げたようなITの専門性の高い技術を持っている方が、そのような年限があって果たして全ゲノムのために集まってくれるのか。これは甚だ疑問だと思います。
私は、先ほどITチームの説明をシステム開発事業者として行いましたが、その中で開発されるベンダーとともにシステムを構築していると申し上げました。これは、はっきり申し上げれば、丸投げはしないということです。私は、この事業実施組織自らがITの技術をもってシステムを開発する能力が必要だと思っています。そこに民間の力を借りることは必須でしょう。しかしながら、自分たちがその能力を持っていなければ、継続性はありませんし、発展性もございません。そのような組織にこの案が進んでいくことができるのかということを、厚労省の方々はどのように説明されるのか。先ほど人材のことが非常に問題であるという質問に対して、事務局からNCCで対応されるという発言がございました。8ページに書いてあることと異なります。そういう考えですと、とてもではないけれども、このシステムの発展性は見込めないと思います。令和7年度に事業実施組織が発足されるというのは、昨日今日出てきた話ではございません。4年前、5年前から検討を重ねてきたものでございますので、ぜひその点を考慮されて検討いただければと思います。
私からは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。
それでは、加藤参考人、お願いいたします。
○加藤参考人 加藤でございます。
発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
情報提供1点と、ELSI、PPIの観点から短くコメントさせていただければと思います。
まず情報提供ですけれども、先ほど水澤先生が御発言になったので、そこをちょっと補足したいと思います。WHO、世界保健機関は、実は昨年の秋から本格的に世界にゲノムの技術が使われるようにということでグループを立ち上げておりまして、その流れの中で、今年に入って4月にフィリピンでWestern Pacific Regional Office (WPRO)と言いますが、その主催で、大きな会議を持ったのです。これは我々の検討に関係すると思うのです。そこには何と14ヶ国の人々が集まりまして、びっくりするほど多くの国がジェノミクスに力を入れているということが目の当たりになりました。幸いに、日本からは水澤先生、東北メディカル・メガバンクの山本雅之先生、がんセンターのC-CATの河野隆志先生に来ていただきまして、日本のプレゼンスをそこで非常にきっちりと示すことができたのです。
少し長くなりますけれども、もう少し紹介すると、マレーシアではMyGenomeというプロジェクトが立ち上がりますし、フィリピンも非常に力を入れていますし、シンガポールはPRECISE、これは御存じの方が多いかもしれません。そして、オーストラリアがつい最近、Genomics Australiaというプロジェクトを立ち上げることが公表されました。詳しくは『The Lancet Regional Health - Western Pacific』というジャーナルにレポートが出ていますので、ぜひ見ていただきたいと思います。いかにこのアジアの領域でジェノミクスが国家プロジェクトとして推進されていっているかが分かります。そこではもちろん疾患横断的であります。
それは情報提供なのですが、でもぜひ見ていただきたいということと、ELSI、PPIの観点から、やはり私は国の中で患者の皆さん、人々にこのプロジェクトがどのように見えるかということを全ての観点からもう少し皆さんで力を合わせて考えるべきだと思います。名前の問題も重要ですし、また、どういう患者さんにどういうことを届けようとしているかをもう少しクリアにしてまとめていかないといけないと思います。
その観点において、ELSIに1つのコアができるということは1つの案なのかもしれませんが、それと一緒に他のセンターの方、例えば水澤先生がおられる精神・神経医療研究センターなども一緒にやるというようなことを示したりすることで、もうちょっと見え方が変わるのではないかということをELSI、PPIの立場から申し上げたいと思います。
そして、最後にその同じ立場から、ELSI、PPIの人材育成も重要ですので、今日の仮のあれはたたき台ということは分かっておりますけれども、やはりELSI、PPIの部門というようなものをしっかりと置いて、そして、他の部門も併せてキャリアパスの一つになれるように考えていくことが必要なので、その過程においては、もちろん事業なのですけれども、論文が書けるという組織であることも大事かなと思います。
長くなって申し訳ありません。以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の点について、事務局、お願いいたします。
○長谷川研究開発政策課長 研究開発政策課長でございます。
再度、8ページに基づいても御説明したいと思います。
まず、来年度につきましては委託事業、厚労省が責任を持って行うべき事業として実施するということでございまして、また、がんセンターについては、ここに記載のとおり、当面の間置くという記載とさせていただいております。
また、業務につきましては、がんセンターから独立した形でするとともに、また、人材登用につきましても、同センター以外の人材を積極的に登用することを徹底するということでございます。あわせて、人材育成、特にIT、解析、また、ELSIの人材育成もきちんと図っていくべきという御意見を賜っております。
あとは、その下でございますが、こちらも3年を目途にということで強調して書かせていただいておりますし、ここに民間資本導入の可能性と独自組織ということで、具体的道筋をこの3年間でつけるということで記載させていただいているところでございます。
そういう意味では、確かに一部曖昧な表現等はあろうかと思いますが、私ども事務局としてはきちんと書かせていただいておりまして、取り組んでいきたいと考えているところでございます。御理解を賜ればと思います。よろしくお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございました。
では、森委員、お願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
私は、まずはこのゲノムという領域は、とにかく医学の中で占める割合というのは非常に大きくてということを宮野先生、中村先生、水澤先生等がお話しくださいましたけれども、まさしくそのとおりだと思います。
そして、その中でIT関係とか情報処理関係とかというところをする人材育成をどうするかというところも現実の問題として提起されております。それで、井元先生が長期の人材育成確保と短期の人材育成確保という観点でもお話されましたけれども、特に長期的な視点に立てば、大学等との連携というのは必要不可欠だとも考えます。ですので、このゲノム医療というのを本当に推進するためには、この事業自体は厚労省の提案で厚労省主導で進んでいるのですけれども、やはり文科省を含めて、アカデミアを含めて、本当の意味のオールジャパン体制が将来的には必須だと考えます。その観点から、基本的にはやはり第三者の機関、独立した機関で、みんなの協力がより得られやすい形でのスタートというのが望ましいとも思います。
今回、令和7年度にこういう形で発足することが覆せないということであれば、覆すのは難しいかもしれませんけれども、そうであれば、まずはこういうシステムでこういう考えでスタートしながらも、水澤先生が指摘されたように、3年後には検討するではなくて第三者機関でやるということを明記してスタートしてもらえれば、その中で、厚労省主体ですけれども、文科省やその他の機関にも声がけした上で、本当の意味で行政もオールジャパンでやっていただき、アカデミアもオールジャパンでやっていただくというような仕組みをつくってもらいたいなと思いました。
勝手なことですけれども、以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、よろしいでしょうか。
水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 ありがとうございます。
先ほど申し上げなかったことで2点ほど追加したいと思います。
ゲノム医療が重要、ゲノムサイエンスが重要だということは何人もの方がおっしゃったのですけれども、本当に多くのそれ以外の方々というか、あまり詳しく御存じない方もおられるかもしれませんけれども、我々が言っている遺伝子というのは約30億ぐらいの塩基配列から成るゲノム全体の中の数パーセント、2~3%でしょうか。そういうふうに言われています。残りの9割以上というのがまだ未解明なところで、その中に、単純に病気の原因とかそういうものではなくて、我々の個体の一生を規定しているような生命原理のヒントが得られるのではないかなという部分も非常に大きいわけです。私自身は、そういうこともあって、それぞれの国が国家プロジェクトとしてその部分の研究も進める。もちろんその一番手前には医療という面で患者さんの病気を治すとか予防とかというのはあるわけですけれども、後ろにはもっともっと大きなものが控えていると思います。
AI研究とか脳研究あるいは宇宙開発とか、あるいは深海の開発といったことはそれぞれの国家戦略としていろいろな国で行われていると思いますけれども、まさにそこに入ってくると思います。であるからこそ、このGenomics Englandに関してもキャメロン首相のリーダーシップで始まったと思いますけれども、Precision MedicineあるいはHuman Genomeに関してオバマ大統領とか一国のトップの方が出てきて、それを宣言しているわけです。
同じ頃にキャメロン首相がリーダーシップを取って言ったことが認知症の克服であります。その後、G7等でも議題になりまして、やはり国家の代表がそれを議論するような形になっていると思うのですけれども、日本でも昨年、ほぼ同じ頃に法律ができて、認知症のほうも研究、医療が進んでいると思います。基本計画ができた頃だと思います。我々のほうも基本計画ができつつあると今認識して、喜ばしいことと思っておりますけれども、そういう国家レベルの重要な研究だということを日本でも日本の総理大臣等はどのように理解されているか、あるいは厚労大臣ももちろんよく理解されているとは思うのですけれども、ぜひ厚労省の方々にそれを訴えていただきたい、御理解いただくようにしていただきたい、そして、そういう発言をしていただきたいと私は思います。
1点追加させていただきました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、続きまして葛西参与、お願いいたします。
○葛西参与 ありがとうございます。
技術面で詳しい点を少し補足しておきたいなと思いまして、発言をいたします。
まず、例えば臨床情報の収集であるところとかは、実は医療DXと非常に密接に関係していますし、それから、データのクリーニングとかバリデーションを相当量精緻化しないと、3年後に独立してある程度の自立的な財源を確保するなどはできない状態なのです。なので、そういう意味で、医療DX、テクノロジーという面について皆様非常に発言をいただいて、これが重要だということは理解されていると思うのですが、なかなか厚労省内でそこの部分を理解していない方が結構いらっしゃるので、これは十分注意をしてもらいたいなと。そういう意味で言うと、一元化の質ぐらいで判断するものではないのです。例えば3文書6情報のデータをどう生かすかとか、二次利用基盤の話も密接に連携していますから、そういったことを包含して組織論を書かなくてはいけない。
それから、もう一個、来年の調達です。こういった予算配分についても、単純に解析センターにただつけるというのは絶対あり得ないわけで、ちゃんと業務にエフォートされる組織、そういったところに予算配分がきちんと流れるように、なおかつ透明性があるような形で、専門委員会にどういうふうに実務と予算が配分され、実際の実務体制ができるのかと。多少厚労省の味方をすると、もともとそんなに財源がたくさんあるわけでもないし恐らく定員も自由自在にあるわけではないので、今までのように何となく研究で携わればいいのかなでは駄目で、やはり真剣に患者還元に向けて研究される方、もしくは実務として事務を回す方、それから、システムの開発をされる方という実動員体制に向けてちゃんと透明性があるような予算と人員の在り方を示さないと、多分全く納得されないのではないかなというところです。それを必ず専門委員会に公表して、それで専門委員会が納得いただける形で進めるというふうにしていかないと、これは相当まずい。実は国家的事業でありますし、水澤先生も各先生方からもそういう発言がありましたが、私もそういうふうに思いますので、厚労省自身は重い責任を負っているのだなということをよく理解していただきたいなというところで、答弁をきちんとしてもらいたいということでございます。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、神里委員、お願いいたします。
○神里委員 どうもありがとうございます。
当初、これはGenomic Englandを参考にして実施組織を作るという構想を描いて議論を始めてきたと思います。ですので、今回の御提案を拝見して、随分と縮小されたという印象を持っています。やはりもともとの構想を実現する方向で今後も進めていくべきだと思いますので、8ページの○の3つ目、先ほどから御指摘なども出ていますけれども、3年を目途にその間の事業運営の状況を踏まえて、そして、そこからまた独自組織に移行する場合も含めた具体的道筋について検討するとありますけれども、そこから検討するとなると、また振り出しに戻ってしまう可能性がございますので、検討は継続して、今回は令和7年に設置しなければならないので、小さい形で始めるけれども、3年後には当初の目的どおりの組織を設置できる。そういう道筋で工程を組んでいただきたいと思います。
それで、○の1つ目のところで、先ほども事務局が強調しておられたとおり、実施組織は当面の間はNCCに置くということで当面ということを強調されておりましたので、そうなると、恐らくNCCに新たな場所、箱をつくるということではないのかなと考えています。かなりバーチャルの形で置くということであるならば、かなりの連携をして、NCGM等と連携も考えているのではないかと想像するので、やはりそこら辺の構想についても次回にでも明らかにしていただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の御指摘について、事務局、いかがですか。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 御指摘ありがとうございます。3年を目途にと書かせていただいておりますけれども、その間のまさに令和7年度以降の事業実施組織の活動というものも踏まえながら、しっかりとよく検討してまいりたいと考えております。
また、他の機関との連携ということでございましたが、水澤先生からも御指摘があったかと思いますけれども、ほかの組織との連携も含めてしっかりと考えていきたいと考えてございます。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、内山審議官、お願いします。
○内山医薬産業振興・医療情報審議官 医薬産業振興・医療情報審議官の内山でございます。
本日は様々な御意見をありがとうございました。
まず、事業実施組織の組織形態については、今回初めてお諮りをさせていただいたわけですけれども、これまでこうしたお諮りができなかったこと、時間がかかったことにつきましてはまずおわびをしたいと思ってございます。
一方で、私どもとしましても、省内でも多くの議論をしながら、苦しみながら、ある意味苦しみ抜いて今回の案を提示させていただいていることはぜひ御理解をいただきたいと思います。
また、国としてきちんとやることの表明として受け止めていただいた委員の方もいらっしゃいますけれども、私どもとしましても、この全ゲノム解析の事業につきましては、国として、言葉が適正かどうかは分かりませんけれども、きちんと取組をさせていただきたいと思ってございます。そういう意味では、骨太の方針などに定められているとおり、まずは7年度に実施組織を立ち上げる必要があると思ってございます。そこで、これまでこの全ゲノム解析に関わっていただいた委員の皆様、そして、研究者の皆様には、これまでも全ゲノム解析の取組、実績を重ねてきていただきましたけれども、さらにこの実施組織において取組、実績を積み重ねる必要があると考えてございます。
また、3年後の独自組織の検討について種々御意見をいただきました。この独自組織の検討でございますけれども、一般社団法人などならともかく、独立行政法人や特殊法人の形で設立をするということになりますと、現状では行政改革の観点からスクラップ・アンド・ビルドを行う必要がございます。すなわち、厚生労働省の所管しているほかの独立法人ないし特殊法人を廃止するということにしないと、独自組織ができないということになってございます。そうしたことも踏まえまして、3年間は現在のこの形でお話の出ました自立した事業モデルの構築などを進めさせていただければと思ってございます。具体的には、恐らく何例どの分野でどういうような全ゲノム解析をするのか、あるいは利活用、患者還元の分野で実績なり端緒をどれだけ出せるかといったことも踏まえて、この事業モデルの構築というのを進めていきたいと考えてございます。そうした意味で、7年度には事業実施組織を立ち上げることになってございますので、組織としては、これまで事務局からも御説明をしてきたとおり、NCCに当面置かせていただきたいということでございます。
また、中村委員や葛西参与からもお話をいただきましたように、やはりこの3年間で何をやっていくのか。先ほど言いましたように、どの分野でどのような解析を重点的に進めていくのか。あるいは利活用や患者還元をどのように進め、どのように国民の皆様にその効果を実感していただくのか。そうしたことの言わば工程表のようなものを描く必要があると考えてございます。それにつきましては、またこの専門委員会でも御議論いただければと考えてございます。
また、がんセンター(NCC)に置くことによりまして、難病あるいは新生児の分野といったがん以外の分野に関する懸念の声もいただいたと受け止めてございます。これも今まで課長等からお答えをさせていただきましたが、まず、この業務としては、厚生労働省の委託業務、委託事務としてNCCの他の業務とは独立して運用するということを想定してございます。あわせまして、これも説明をしてまいりましたが、運営委員会でそうしたほかの分野も一体的に進むように運営委員会を立ち上げ、その中で一体的に進むような仕組み、進め方をさせていただければと思ってございます。そういう意味で、難病や新生児の分野でも今後成果を上げられるような体制にするように、私どもとしても留意をさせていただければと思ってございます。
あわせまして、水澤委員からいただいた名称の問題、あるいは中村委員からいただいたそもそも日本の医療の質を上げるための議論をすべきではないかといった御指摘、さらに、加藤参考人からいただいたような患者さん、国民の方に向けて関係者の協力、連携、一体となって進めるべきではないかといった御意見、こうしたことについては、改めてこの委員会でも御議論いただければと思ってございます。
そういう意味で、重ねてのお願いになりますけれども、今回、8ページの御提案は、まず事業実施組織を7年度中に置かなければならないということが決まっている中で、まずは7年度にNCCに当面置かせていただいた上で、3年を目途に独自組織に移行する場合を含めた検討をさせていただきたいというものでございます。
本日いただいた、そのほか人材確保などの御意見につきましても、厚生労働省といたしましても皆様の思いに応えられるように対応していきたいと思ってございますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
これまでの委員、参考人の御意見を踏まえての厚労省からの発言でありました。
ほかに水澤委員から手が挙がっていますが、よろしいですか。
○水澤委員 今の御発言の前に手を挙げていたのですけれども、お話をまとめていただいてありがとうございます。どうしてもこれで行かねばならないのだという感じがいたしましたけれども、建設的なことというか、今後の組織形態ということになリます。私の経験ですが、私は国立精神・神経医療研究センターの理事長をしていた時期がございまして、私の前に存在しておりました自殺関連のセンターがございます。それを私どものNCNPから外しまして外に出すのだという議論があって、当初はそれは絶対にできないと私は聞いておりましたけれども、外に出すということが決まって、それは恐らく厚生労働大臣指定法人というものだったと思うのですけれども、現在活発に活動していらっしゃるように伺っております。そういった形のものは可能なのではないかということが一つです。
それから、現在もいろいろな領域で活動していただいているNCGMはナショナルセンターが6つございますけれども、多くの皆さんはあまり御存じないかもしれませんが、ほとんどのところは私どものところの精神・神経とか、がんとか、循環器とか、臓器別になっておりますけれども、NCGM 国立国際医療研究センターは全ての領域をカバーしていて、そういうことをもって今回国立感染症研究所と統合されたとも思います。したがって、書類上はNCGMは存在しなくなったのだと思うのですけれども、1つナショナルセンターの法人が減っている可能性がありますので、そうすると、新しいゲノムセンターというような形で、例えば全国ゲノム医療研究センターというのは、これは略語をつくるとNCGMになってしまうのですけれども、NCGEMあたりにして、新しい法人ではなくてスクラップ・アンド・ビルドという捉え方もできるかと思いますので、3年という目途になっているかもしれませんけれども、先ほど来話があるように、いろいろな議論はかなりされていますし、できるだけ早くきちんとした組織にしていただいて、世界に日本の実績を発表できるように、日本の国民がそれを享受できるようにしていただければと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それから、先ほど葛西参与だと思いますが、中期目標や中期計画の中にこの事業は反映されるべきとの御指摘がありましたが、この点は佐々木審議官の所管かと思いますので、しかるべき対応をしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○佐々木危機管理・医務技術総括審議官 危機管理・医務技術総括審議官の佐々木です。
今日この厚生科学審議会の全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会で国立がん研究センターに実施組織を置くということをお認めいただけるのであれば、私、もう一つ所管しております国立研究開発法人審議会等やしかるべき関係省庁との手続を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
本日は様々御意見をいただき、ありがとうございました。
そもそもこの事業実施組織は、令和7年度設置予定の事業に関して、患者還元を一義的に行う組織だという発言とともに、その集められる成果・データに関しては、生命原理の解明につながるような研究につなげていく、それから、ITの人材確保に関しても、IT技術の重要性、そのために自らIT技術を持つ必要があるという御指摘もあって、この事業組織が担うべき役割・機能が非常に多様であることも改めて認識したわけであります。今日の議論にもありましたが、2025年度にこの事業実施組織を設置するという時間的なリミットもあるということを踏まえて、厚労省から提案がありました委託事業として事業実施組織を国立がん研究センターに設置し、3年をめどに置くということと、独立した組織としてそれを位置づけるということの御説明がありました。この委員会が組織そのものを決定するものではないという前提があるものの、厚労省として、本日の議論を踏まえて、発足後においても本専門委員会においてその検証や3年を目途とした検討を着実に行うこと、さらには、本日様々な御懸念、課題点を御指摘いただいた点を踏まえて、継続的に専門委員会の御意見を伺っていくことを前提に、準備を進めてもらうようにお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(反対意見なし)
○中釜委員長 それでは、議題3「その他」について事務局よりお願いいたします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
次回の開催につきましては、委員長と御相談の上、追って御連絡いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
本日は、様々な御意見をいただき、誠にありがとうございました。議事についてもスムーズに進行することできました。御協力ありがとうございました。
以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。
委員、参考人の皆様におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開となります。また、議事の様子をYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきいただければと存じます。
初めに、発言の仕方を簡単に御説明いたします。
御発言がある際には、「手を挙げる」ボタンをクリックして、委員長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、発言するようお願いいたします。なお、「手を挙げる」ボタンがない場合には、画面に向かって挙手をお願いいたします。画面上の「手を挙げる」ボタンを押していただければ、会場のほうから指名いたしますので、御発言ください。
御発言されない間は、マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、音声等が不安定になった場合は、一旦ビデオをオフにするなどの対応を試みていただくようお願いいたします。
本日は、上野さやか委員、栗原委員、森委員の後任に当たります大柄委員は御欠席、また、松原委員は1時間程度遅刻されるという旨の御連絡をいただいております。
参考人につきましては、時間の関係で紹介を割愛させていただきますので、参考資料2「委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
続いて、資料の確認をお願いいたします。
資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。議事次第、資料1、資料2、参考資料1から2までございますので、御確認ください。
なお、冒頭のカメラ撮りについてはここまででお願いいたします。
では、これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○中釜委員長 中釜です。
委員の先生方、本日もよろしくお願いいたします。
時間も限られていますので、早速本日の議題に入りたいと思います。よろしいでしょうか。
まず議題1「全ゲノム解析等に係る事業実施準備室の検討状況について」、事業実施準備室の青木参考人ほか、各検討チームから出席いただいている参考人より資料1の説明をお願いいたします。
御質問につきましては最後にまとめて行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
では、青木参考人、よろしくお願いいたします。
○青木参考人 準備室の青木です。よろしくお願いいたします。
事業実施準備室の活動について御報告を申し上げます。
次のスライドをお願いいたします。
プロジェクト推進体制について御報告いたします。
次のスライドをお願いいたします。
これは令和6年度の検討体制を示しております。準備室長の下に検討チームが6つあるという点では令和5年度と大きく変わっておりませんが、②としてシステム開発事業者が入っており、厚生労働省と契約をして、システムの構築を実際に進めていただくという形になっております。また、研究班に関しましては、厚生労働科研の研究班が昨年度で終了いたしまして、今年度はAMED研究班のみとの連携です。
次のスライドをお願いいたします。
これは準備室のボードメンバーで、15名の先生方にボードメンバーとして御指導いただいており、適宜御報告しているところでございます。
次のスライドをお願いいたします。
次のスライド5から8にかけましては、準備室のメンバーの構成を示しております。昨年度と大きく変わっておりませんが、若干の入れ替わりなどはございます。
次のページに行っていただきまして、IT・情報基盤・セキュリティチームのチームリーダーは昨年度までは葛西参与でありましたが、IT・情報基盤システムの全体像、各システムの概要、要件などを検討していただき、計画をまとめていただきました。今年度はシステムを実際に開発するという段階になりまして、厚労省内あるいは厚労省と準備室の連携が必要ということもあって、現在は厚労省のイノベ室が担当しているといった状況です。
次のスライドをお願いいたします。
トータル延べ80名の人数となっております。
次のスライドをお願いいたします。
これはコンソーシアム事業実施準備室フェーズの幹事と利活用審査委員会の委員のリストです。
次のスライドをお願いいたします。
プロジェクト全体の達成目標、ロードマップ等をお示しいたします。
次のスライドをお願いいたします。
準備室の達成目標を示しておりまして、令和7年度組織発足に向けまして、今年度は実務的な準備の実施を行っております。
臨床・患者還元支援チームにおきましては、がんの全ゲノム解析の臨床実装に向けた臨床試験等の準備、また医療機関参加に伴う各種支援・手続等の具体化、規程の整備などを行っております。
利活用支援チームとしては、実データ利活用を通じた利活用事業の整備・改善、課金体制の具体化などを目標に活動しております。また、利活用の実施に向けた課題の整理、ポリシーの作成なども行っております。
コンソーシアムは事業実施準備室フェーズでありますが、事業実施組織フェーズに向けた運営体制、利活用推進事業の具体化、それから、アカデミア・産業界からのニーズの取りまとめなどを行っております。
解析・データセンター運営チームは、解析・データセンター運営体制の構築、また、資産や検体の移行の準備を行っております。
IT・情報基盤・セキュリティチームは、システムの開発計画、システムの仕様の策定、システム調達に係る対応、システム開発にのっとった開発プロジェクトの進捗・工程管理などを行っております。
ELSIチームは、社会との信頼関係を構築し、それを基盤とした事業運営ができるようにするために、ELSI上の課題・懸念を洗い出して設計に反映させるようにしています。また、患者・市民の視点を重視して、参加者パネルを中心とする患者・市民参画の取組の準備を進めております。
総務チームにおきましては、主に事業実施組織の形態が決まった後になるところが大きいかと思われますが、事業実施組織の組織体制あるいは事業計画、各種規程の整備などを行います。また、人材確保という点に関しましても、採用に向けた活動を行っていくとともに、専門的な人材の育成の取組を行っていきます。
次のスライドをお願いします。
今の達成目標に向けたロードマップとなっております。各チームの細かなロードマップの詳細は割愛させていただきますが、準備室といたしましては、令和7年度事業実施組織発足に向けてロードマップ策定あるいは予算案、中長期計画の検討などを行っていくという予定になっております。
私からは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして、患者還元支援チームからの報告をお願いいたします。
○土原参考人 チームリーダーの上野に代わりまして、土原から御報告をいたします。
こちらが全体の本年度開始時点に提示いたしましたロードマップとなります。おおむね順調に進んでおります。この後、それぞれの内容について御紹介をしますが、大きく上のほう3段の部分、制度をつくる部分と一番下の段にありますがんの臨床実装検討といったところの2つのサブチームに分けて検討を進めてまいりました。
では、次のページをお願いいたします。
まず臨床への応用に向けた活動ということで、Aサブチームでございますけれども、こちらのほうは、特にがんの領域に関しましては、進捗状況、全ゲノムプロファイリング検査の前向き臨床試験の開始に向けて、解析パイプラインなどを厚労省などと調整中となっておりまして、来年度の開始に向けて準備を進めております。
それから、次に国際的に見ても全ゲノム解析の有用性が非常に高いと考えられますがんの微小残存病変(MRD)・ネオアンチゲン予測といったところについては、AMED研究班の中で実施するということで、関連する企業などの準備も順調に進んでおります。
今後の進め方につきましては、上のほうの段につきましては、希少がん、小児がんを対象とする前向き臨床試験ですけれども、こちらについては実施するための解析パイプラインの決定を年度内に行いまして、実施に向けて準備を引き続き進めます。それから、MRD・ネオアンチゲンに関しましても、AMED研究の中で臨床実装に向けて進めていくということになっております。
こういった先行研究を下敷きにしまして、実際の医療機関における体制整備ということで、こちらはがんと難病いずれもでありますけれども、臨床・患者還元支援体制の構築をBサブチームで行ってまいりました。
まずは、対象とする実際の解析というのは現行のAMED研究班のデータ収集体制を継続する方針で、それを基に体制を検討しております。また、システム開発のため、ITベンダーに対して、今、医療現場からの視点をインプットしているというところが順調に進んでおります。それから、こういった支援部門の業務規程等の文書類のリストについても現在作成しております。
今後の進め方といたしましては、実際にまだこれは研究という形で当分は進むことを想定しておりますが、発足時の医療機関の要件等の具体化というものを1つずつ明らかにしたいと思っております。それから、患者ポータル、医療機関ポータルのMOCKの作成に向けて、こちらもITベンダー、ITチームとの協調をこれからも進めてまいります。それから、文書につきましても引き続き準備を進めていくということになっております。
全体を通して大きな懸案というか、計画が遅くなるような問題というものはこの10か月の間では特にございませんでした。
以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして、利活用支援チームからの報告をお願いいたします。
○吉田参考人 利活用支援チームの開始時点のスケジュールは資料1のp.14のとおりで、大きな項目は左のほうにありますように、データ提供事業の具体化と、検体提供等に関しても検討を行う。それから、利活用支援部門の発足準備ということで、こちらには利活用審査委員会の事務局、コンソーシアムの事務局機能、人材確保、などの項目が含まれております。それぞれほかのチームとの連携であるとか事業実施組織の法人形態が決まった段階で本格化する議論も含まれております。
次のスライドp.15をお願いします。
主な課題に関する進捗状況ですけれども、まず準備室段階では実データを用いてデータシステムの試行、検証を利用者に行っていただき、データシステムに関するニーズ、また、申請・審査のプロセスに関する改善点などをフィードバックしていただくということで始めております。R6年度からR6年度の前半までに承認された課題としてアカデミア3課題、企業2課題について実データを用いた検証を開始していただいておりますけれども、R6年度後半では残る「解析データセンターと複数企業との共同研究」という形での実データを用いた検証の準備を進めています。具体的には、がん領域では東大医科研、難病領域では国立国際医療研究センターのデータセンターとの倫理審査であるとか、あるいはData Transfer Agreementによる企業と解析センターとの契約、これらの準備をそれぞれ進めております。
検体利用に関しては、事業全体の構想を踏まえつつ、今後検討を進めていきますけれども、まずはどのようなニーズがあるのか、ユースケースなどのアンケートをコンソーシアムメンバーに対して実施して整理しているところです。
コンソーシアムに関しましても、8月現在で46名の方が参加されておりますけれども、そこからどのようにニーズを収集するのか、それから、ケーススタディーの作成、産学、医療機関とのマッチング、人材育成、こういったニーズに関してアンケートを取って構想を固めているところです。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
では、続きまして、解析・データセンター運営チームからお願いいたします。
○井元参考人 井元から報告させていただきます。
令和6年度の活動開始時点での案に本日を表す赤いラインが入っているスケジュールになります。一番上の戦略・方針、2番目の組織・人材に関しては、組織形態、組織全体の方針に応じて適時修正・追加する方針になります。昨年度までに議論してきた戦略について、法人形態確定後に修正を行うとなっていましたけれども、本日話がある予定と聞いておりますが、今までペンディングになっている状況です。
3番目の業務につきましては、業務の詳細は、まだ法人形態が決まっていませんのでまだとなりますが、昨年度までに検討してきた業務に関する例えば標準手順書の未決部分の洗い出しと整理を本年度前半で行い、後半でドラフトを作成しました。本年度中に最終化する予定ですが、法人形態の確定に伴い修正する部分が出てくると思っております。
システムにつきましては2つ挙げています。先進医療については、AMED研究から、どのような疾患のどのような患者さんに全ゲノム解析が有用であったのか、治療につながったのか、そのような好事例が見いだされ、先進医療のフォーカスが決まっていくと思っています。そのためにAMED研究班と厚労省で議論されていると認識しています。
また、情報システムの構築に関しましては、ITチームとの連携で進めておりますので、次のITチームからの報告の中で詳しくお話ししたいと思います。
一番下の移行については、データ、検体、資産に分けて議論しています。今年の3月に行われました専門委員会では、資産の部分を説明させていただきました。引き続き、本年度も法人形態の確定を見据えながら、データ、資産についての移行の検討を重ねてきました。
次のスライドをお願いいたします。
進捗状況が左側、今後の進め方が右側に書いてあります。3つのカテゴリーに分けて整理しておりまして、業務文書のドラフト作成については先ほど説明したとおりでございます。法人形態が確定されますと、業務内容が決まっていきますので、業務文書はより細かいところまで要求されるものだと思っております。
精度管理につきましては、内部精度管理、外部精度管理がございますが、特に外部精度管理はやってみないと分からないということが非常に大きくございました。そこで、イギリスのGenQAという会社の外部精度評価のサービスを使いました。現在、AMED C班のパイプラインを用いた解析結果を先方に送りまして、来年にその結果が返ってくる予定になっています。やはりやってみて初めて分かることも多くございましたので、実りあるトライになっています。
内部精度管理については、患者還元チームとも連携しながら整理を進めているところでございます。
移行については先ほど説明したとおりですが、資産として事業実施組織が使う可能性のあるAMED研究班が購入・開発したものを、実施報告書を受領して整理をしているところでございます。
解析・データセンター運営チームは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、引き続きIT・情報基盤・セキュリティチームからの報告をお願いいたします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
ITチームについては医科研の井元先生に中心を担っていただいておりますので、井元先生のほうから御説明いただければと思います。
○井元参考人 私はITチームのメンバーではございませんが、東京大学医科学研究所がシステム開発事業者として活動しており、その責任者としてシステムの開発を進めてまいりました。
スケジュールが少し見にくいかも知れませんが、私のほうから現状を御説明申し上げます。
一番左を見ていただきたいのですが、我々、システムをA、B、CからFまでの6つの領域に分けて、それぞれのシステムの開発を今年度進めてまいりました。それぞれの領域名の右側にそれぞれの領域を構成するシステムを挙げております。
それぞれのシステムの状況につきまして御説明申し上げます。
まず、Aの臨床情報領域になります。DDC開発検証というのは、臨床情報を病院から事業実施組織に収集するシステムになります。DDCとは、Direct Data Captureの略で、自動的に電子カルテもしくは診療科内のシステムから事業実施組織の備える臨床情報データベースに収集するシステムとなります。
このDDC開発検証は、現在2つの方式を試しております。右の方を見ていただくとA方式とB方式という2つが記載されています。
A方式は、電子カルテに備えたテンプレートを使って自動的に収集するものです。既にプロジェクトはスタートしておりまして、12月13日にキックオフを行いました。このシステム開発は、NECが落札され、我々システム開発事業者と準備室と協力しながらプロジェクトを進めております。
次のB方式は、電子カルテからAPIを使って臨床情報を自動的に収集するもので、1月上旬に落札業者が決まる予定になっております。
我々システム開発事業者としましては、落札された企業の方々と密に連携を取りながら、一緒にプロジェクトを進めていくことでシステム開発は行われています。
2番目のデータレイクとは、抽出した臨床情報を集約していくデータベースのことです。プロジェクトは、12月26日にキックオフが予定されておりまして、富士通Japanが落札されました。
Aの臨床情報領域の3番目の参加者検索ツールの開発とは、集まったデータの概要を簡便に知ることができるデータダッシュボード等を備えるシステムのことです。数日中に落札業者が決まる予定となっています。
次にBの管理領域とは、集中管理システムの開発をAMED研究班で行っておりますが、その中でも検体を管理するシステムの開発について今年度進めてまいりました。1月上旬に落札業者が決まる予定でございます。
Cの解析領域の解析クラウド環境と呼ばれるものは、右のほうを見ていただくとハイブリッド・マルチクラウド解析環境の開発と書いてあります。AMED研究班が開発している全ゲノムデータ解析の統一パイプラインは、現在、オンプレミスのシステムで稼働しておりますが、より柔軟にスケールアップできる形態を模索し、これまでクラウドを活用する方法における性能検証を行って来ております。その結果、1つのクラウドサービスに絞ってしまうと、十分な計算リソースの確保が難しい状況があることも分かりました。そこで、マルチクラウドとして複数のクラウドサービスを用い、更にオンプレミスとつないだハイブリッドのシステムによって、計算性能の安定した利用と柔軟なスケールアップ、コスト面でもより有利な体制が取れるような解析環境を構築するものでございます。日立製作所が落札されて、12月17日にキックオフのミーティングを既に行いプロジェクトをともに進めている状況でございます。
Cの次の解析環境共通と書いたものは、オンプレミスのシステムのことでございます。現在、システムを構築中となっております。
このスライドの真ん中あたりにありますDのデータ提供環境について説明します。TREというのは、Trusted Research Environmentの略です。我々は、クラウド上に設置したデータ解析環境にユーザーがログインし、事業実施組織が保有するデータに安全にアクセス・解析できる環境を準備しています。解析の規模によって小規模と大規模と分けておりまして、小規模のほうは、日鉄ソリューションズが落札され、12月20日にキックオフのミーティングを行いプロジェクトは進んでいます。また、TREの大規模については、数日中に落札業者が決まる予定となっております。
Eの患者情報領域は、患者さんが全ゲノム事業に参加されて、例えば御自分の情報を見たり、御自分のデータがどのように活用されているのか等、コミュニケーションツール的な要素も含んだ患者さんが使うポータルサイトを準備しております。10月下旬よりモックアップを作り内容を検討するMOCK検証が既に始まっております。どのような内容が患者ポータルに必要となるのかを患者さんと一緒に話し合いながら整理して、実際にモックアップとして画面を作ってみて意見を伺いながら進めているものになります。検討したモックアップをシステム化していくところが、右側にPOCと書いていますプロトタイプ開発につながっていくところです。
医療機関ポータルは、患者ポータルと対になるもので、医療機関で用いるポータルサイトのことです。同じようにMOCK検証を10月の下旬から要件整理を合わせて行っています。
この2つのMOCK検証については、今月末が報告書の締め切りとなっています。現在報告書をまとめているところになります。
この2つのポータルのMOCK検証については、アクセンチュアが落札してプロジェクトを進めております。POCにつきましては再度入札を実施し、落札会社が決まる予定になっております。
Fのネットワーク・セキュリティ・クラウドの最初のセキュリティ運用監視については、今まで説明したシステムの多くのものはクラウド上に構築します。そのセキュリティは、十分に注意深く、最新の防御機能を備えたものが必要です。セキュリティに関する監視業務およびその運用について、アクセンチュアさんがその業務を落札され、現在キックオフミーティングの日程調整中となっております。各システムからのログを収集しセキュリティアラートの発出等を行うセキュリティオフィスセンター(SOC)の構築、およびその運用まで検討する予定になっています。
最後の3つ、クラウド管理運用、クラウド基盤提供、データセンターについては、厚労省にて調達を進めている状況になります。
少し長くなりましたが、システム開発は、事業実施組織にとってとても大切なことですので、詳しく説明させていただきました。
次のページに進めてもらえますか。
このスライドの進捗状況や今後の進め方よりも、私が今何倍も詳しく説明したと思いますので、このスライドの説明は割愛させていただきます。
ITチームの説明は以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
続きまして、ELSIチームからの報告をお願いいたします。
○加藤参考人 ELSIチームの加藤です。よろしくお願いします。
まず、このスケジュールはELSIとPPIにそれぞれ1枚ずつ、全部で2枚に分けて記載されています。
まずELSIです。このELSIは事業内のELSI対応支援ということで、試料の扱いや同意取得・同意撤回、データ移行ということで、様々な場面でELSIに関するところがあるのですけれども、そういったところの討議に参加したり、支援をしたりしております。
それから、ICFの改定準備を行っているというのがELSI対応のもう一つの部分です。
ELSI部門の発足の準備は他の部門と同じように文書等を作成する準備を進めてきました。
また、部門間連携はまたELSIとして横断的に見ているところですけれども、ホームページの文案を作成されるところに対して様々な観点から意見を申し上げたり、それから、先ほどもITシステムのところで報告がありましたけれども、患者ポータルなどのITシステムの作成に対して、ELSI部門として、また、患者協力者の方々の意見をつなぐ形で支援、連携を行ってきています。
次のスライドをお願いします。
こちらはPPIに関する患者・市民参画に関するスケジュールを書いたものです。中心となるのが参加者パネルという組織でして、それの発足の準備、また、運営の準備を行ってきたのが上の2つです。それで、右側にグレーのところがあるのですけれども、こういった参加者パネルの準備に関しては、事業実施組織が実際に立ち上がるところでより具体的に動き出しますので、グレーになっているのはもう少し検討が続いていくという意味であります。
それから、ちょっと前後しましたけれども、パネルの公募の準備も同じように準備をしてきております。
PPIの部門の発足の準備、そして、社会への情報発信・双方向の活動、こういったことを進めてきております。
次のスライドをお願いします。
主たる課題についてもう一度説明しておりますけれども、事業実施組織発足に向けたELSI対応ということで、AMEDの研究で実際にICFが使用されているのですけれども、これについてがんのモデル文書が反映されているかどうかを確認するということを今年度ずっと進めてまいりました。それから、事業実施組織で用いるICFのドラフト作成ということも継続して行ってきております。
体制・仕組み検討は先ほど述べたことで、最後、参加者プランの構築に向けた検討でいろいろな検討をしておりますけれども、右側の部分、PPIの協力者の方がおられますので、そういった方々と意見交換をしながら必要となる事業に関する意見交換を行ってきております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして、総務チームからの報告をお願いいたします。
○樋山参考人 総務チームの樋山です。
総務チームにつきまして、1枚目が組織体制設計の関係のスケジュールとなっておりまして、2枚目が人材育成の関係のスケジュールとなっておりますが、翌年度活動開始時点案となっておりますので、具体的にはその次の次のページをお願いします。
総務チームの進捗状況はこちらのページで説明をさせていただければと思います。
まず組織設計につきましては、進捗状況といたしまして、規程の作成ということで、総務チームにおける作成が必要と想定された規程、主にコーポレート関連の規程になりますけれども、その作成の進め方を検討してまいりました。また、他チームにて検討する規程の作成スケジュールや取りまとめのタイミングについても検討してまいりました。規程のフォーマットにつきましては、統一的なルールを作成の上、各チームに展開することとしています。今後につきましては、組織形態の決定を踏まえ、作成が必要な規程を確定させた上で、具体的な規程の作成に着手することとしています。
続きまして、人材育成についてです。人材確保に向けた方針・計画の策定の関係の進捗状況について、人材確保の具体的なプロセス、要員の計画に沿った人材要件の再定義でありますとか確保方法案につきまして検討と協議をしてまいりました。今後につきましては、組織形態の決定を踏まえ、要員計画の策定と人材要件再定義、人材確保に向けた処遇条件、確保方法案等について、就業規程の修正方針案を検討していくこととしております。
次に人材育成に向けた方針・計画の策定につきましては、人材育成の課題認識・要件・手法・ロードマップの方針につきまして作成してまいりました。今後につきましては、組織形態、長期的な人材確保方針も踏まえまして、育成計画(具体的な施策、スケジュール)を検討していくこととしております。
総務チームからは以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
以上、昨年度までの準備室における検討と、その成果を踏まえて、今年度、事業実施組織発足に向けた実務的な準備ということで、各チームにおいて例えば規程、業務文書の作成や仕様書作成、企業の決定等を行ってきたわけですが、これまでの資料1の説明につきまして、御質問、御意見がありましたらよろしくお願いいたします。挙手ボタンを押してお願いいたします。
宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 宮野でございます。
3年間のビフォーとアフターでどんなふうに違ってきてきたのだろうかということを拝見させていただきました。
患者還元支援チームに関しては、これまでのことと今後のことが、あまりいい表現ではありませんが、ただだらだらと続けていくのかなという印象を持って、実施組織との強い関連が見えていなかったというのが私の印象です。
それと、ITセキュリティとITシステムのところは十分に準備して苦労されておられるのだなという様子を拝見いたしました。
それと、ELSIについても十分に検討されて課題を抽出されておられるのだと思いましたが、今後のことについては、実施組織がどんなふうに立ち上がっていくのかと。そこが未知数になっているために、ELSIのチームとして今後どう進めていくか方針が立たないのではないかと私はプレゼンから感じました。
それともう一つ、総務から人材育成のことについて言及がございました。これはITのほうからも人材育成についての懸念が示されていたかと思うのですけれども、人材をどうやって確保するか、これからの実施に向けてどうするかということについて、まだこの過去3年において実際にどういうことをやってきたかという具体的なものが何もなく、ITという最も重要な部分についての準備がこの3年間でされておられる。また、今後についても具体的な有効な方法、ただ検討するという言葉で置き換えておりましたが、これでいいのかと思った次第です。
ちょっと厳しめのコメントになりましたが、感想を正直に述べさせていただきました。以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
大きく4点、チームに対する御指摘がありました。まず患者還元支援チームについて、目標の設定と、それに向けての方向性が少しぼやっとしているという印象を受けたという点について、土原先生お願いします。
○土原参考人 宮野先生、どうもありがとうございました。御指摘の点はまさに我々が肝に銘じなければいけない点だと思います。
我々、今活動してまいりまして、実際にどのような形態で解析あるいはデータ収集が行われるのかというところが、正直なところ、3年前に始めたときには明確な形になっていなかったというところが一つ、今、先生の御指摘になった少しぼんやりとしたことに見えてしまう原因だったのだと思います。
その中で、我々といたしましては、特にAサブチームというところでどういったところで実用化に近いのかというところで先行して進めるべき領域を決定したということ、それから、微小残存病変を含めて、今、世界中で全ゲノムが一番有用性を発揮するだろうと思われているということを明確にした上で、そういったところをAMED研究班という形でフィードバックをして、そういったものについての準備を始め、それに付随する形で実施医療機関側のほうの体制を準備したといったところが我々としては一番明確にこの間で仕事をしたことだったかなと思っております。こういったところをきちんと表現できていなかったというところは我々の準備不足だったかと思って、大変反省しているところでございます。
○中釜委員長 続きまして、IT・セキュリティに関してはいろいろ御苦労があったところですが、追加で井元先生から、あるいは厚労省からよろしいですか。
井元先生。
○井元参考人 ITチームにつきましては、人材育成・確保が本当に問題です。IT企業も随分とこの事業に注目をしていただいて、システム構築に対して多くの企業が入札に応じていただいておりますが、技術者が十分に確保できなければシステム開発等はできません。そこの部分で大きな悩み等をよく企業からも聞きます。正直なところ、このプロジェクトを通して企業における人材の育成から我々はコミットしていかないと、将来的にこの全ゲノム事業のITの基盤を確保し、大きく発展させることはできないと思っております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
続きまして、ELSIチームから。
○加藤参考人 加藤でございます。
御指摘ありがとうございます。おっしゃることは確かな部分はないわけではありませんが、まず私たちのチームの2つの側面がありまして、ELSIの側面性ですね。倫理的・法的課題の側面に関しては、引き続き今年度は各チームの活動に対して様々な支援をしてきておりますし、例えばデータ移行に関しても意見を言ったりしておりますし、これに関しては、なかなか表に見えないかもしれないですけれども、いろいろ整理した上で前に進んできていると私たちは考えております。
PPIの部分ですね。こちらが先生が御指摘の部分だと思うのですが、大きく準備を昨年度始めたところが、実施組織の形態がはっきりとしないこともあり、今年公募の情報を出したりができなかったというのは確かだとは思います。ただ、その中で患者の協力者が4名おられまして、がんの側が2名、難病の側が2名おられますので、そういった方々とはつながっておりますので、例えば患者ポータルの部分については御意見をいただくということもやっておりまして、なるべく早くいろいろなことが見えた段階で参加者パネルをつくるということを社会に向けてしっかりと発信できたらなと考えて、準備はできているところでありますので、私たちとしてはしっかりと進めていけると思っております。
これぐらいにしておきます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
最後、総務チームから特に人材育成における準備状況等についてコメントがありましたらお願いいたします。
○樋山参考人 宮野先生、ありがとうございます。
総務チームでは法人形態がどのような形になるのかということも想定しながら様々な形で検討してまいったのですけれども、確かに遅れているというような印象を与えてしまったのだと思います。今後、組織形態が決まりましたら、早急に人材確保と育成について具体的に進めていければと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
人材に関しては、要件の定義であるとか要員計画については十分詰めたところもあるかと思うのですけれども、実際に法人形態、組織形態が決まらない中、各チームが非常に苦労した部分であったと思いますので、そういう状況と御理解いただければと思います。
宮野委員、ほかによろしいでしょうか。
○宮野委員 きちんとした回答をいただいているとは思いませんが、やはりキーは実施組織が具体的に見えない、その規模が見えないということで、先ほど井元先生からも話がありましたが、いろいろな企業が参加するという方向は見えているものの、一体どれぐらいの人員を企業から出せばいいのか、そのプラン、5年間のプラン、10年間のプランというので企業が決断できない状態に今ここの実施組織は置かれているのだということ。それと同時に、人材ということに関しても、どうなるか分からないところに非常に専門性の高い研究者、技術者が移っていくという可能性は極めて薄いのではないかという印象を持ち、そこの部分を検討という言葉で全部ごまかしているように私が感じたのは間違いでなければよいなと思っているところです。
以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
実際に法人形態、組織形態が決定しない状況下では、検討という言葉以上のことがなかなか使いづらい、表現しづらいところがあったかと思うのですけれども、厚労省は特に追加の御発言はよろしいですか。
ありがとうございます。そういう状況であるということだけ御理解いただけたらと思います。
ほかに御意見、御発言はございますか。よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、続きまして、次の議題に移らせていただきます。議題2「全ゲノム解析等に係る事業実施組織について」、厚生労働省医政局研究開発政策課より資料2の説明をお願いいたします。
○長谷川研究開発政策課長 厚生労働省医政局研究開発課長の長谷川でございます。8月より着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
改めまして、委員の皆様方におかれましては、日頃より全ゲノム解析の推進に関し御尽力いただいておりますこと、感謝申し上げます。引き続きの御議論をどうぞよろしくお願いいたします。
お手元の資料2「全ゲノム解析等に係る事業実施組織について」に基づいて説明をさせてだきます。
1ページおめくりいただきまして、2ページをお開きください。
全ゲノム解析の推進に関しましては、本年6月に閣議決定いたしましたいわゆる骨太の方針などにおきまして、全ゲノム解析を行う事業実施組織として2025年度(令和7年度)に設立する旨が記載されております。
3ページでございます。
骨太の方針などを踏まえまして、国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部内に事業実施準備室を設立いたしまして、組織、構成等の検討を進めていただいているところであります。
4ページをお開きください。
こうした準備を引き続き進めるとともに、令和7年度の事業実施組織の設立を見据え、令和7年度概算要求におきましても必要な費用を盛り込んでいるところでございまして、予算が確保された暁には、この後御説明いたします内容に沿いまして取組を進めてまいりたいと考えております。
次の5ページでございます。
本日は、これまで当省や準備室において検討を整理し、来年度設立することとしている事業実施組織の在り方について御説明を申し上げたいと思います。
まず、御覧のページにつきましては、基本的な考え方を整理したものでございます。
1つ目の○のとおり、事業実施組織は国が主体となって発足させるものであります。その役割については、まず国のほうで整理する必要があると考えております。この方針につきましては、これまでの国内における研究成果や海外事例を踏まえ、成果が出るものとする必要があると考えております。
また、2つ目の○のとおり、骨太方針などで定めたとおり、令和7年度中の設立をする必要がございます。国の方針に沿って進めるために必要となる機能や役割、専門性や人員体制等を踏まえて、組織の在り方を決める必要があると考えております。
次の6ページをお開きください。
まずは国として、全ゲノム解析の現状と今後の方向性を整理しております。
1つ目の○はゲノム解析の現状に関してでございます。パネル検査に関しては令和元年に保険適用となり、これまで約8万9000例が実施されております。この検査は、遺伝子変異と疾患との関係が明らかで、かつ検出された遺伝子変異に対する薬剤が有効である場合に有用となる一方で、希少がんや難病では有用でない場合も多いと考えております。
その一方、2つ目の○、全ゲノム解析に関しては、委員の皆様も御案内のとおり、広範囲にDNAを調べることで新しい発見が期待されるものであります。これまでの取組の中では、約2万9000症例の全ゲノム解析を通じ、希少がんの病態解明や難病の治療方針決定に貢献しております。
3つ目の○でございます。こうした点を踏まえると、今後の全ゲノム解析に当たっては、希少がんや難病の全ゲノム解析を活用することが有効なケースに注力することとしてはどうかと考えております。なお、その具体的な対応につきましては、本会で方針を議論いただきまして、それに沿い、事業実施組織の下で検討を進めていくことを想定してございます。
次の7ページをお願いいたします。
今申し上げたような希少がん、難病に重点化するといった方針に沿い、事業実施組織が果たすべき役割として想定しているものを記載してございます。全ゲノム解析の結果の患者還元支援としてその統一的な方法の検討や実施状況のチェックを行うことや、情報基盤を整備してデータを収集し、審査を通じて適切に産業・アカデミア利活用を支援すること、また、患者・市民参画の推進、国民向けの発信やELSI支援や人材育成支援といった取組を進めていく必要があろうと考えております。
8ページをお開きください。
6ページと7ページで御説明した全ゲノム解析の今後の方針と、それに沿って適切に進めていくための組織の役割などを踏まえ、組織形態を整理してございます。
1つ目の○のとおり、希少がん、難病などのケースに重点化して取組を進めることを踏まえ、これまで準備室に参加し、牽引してきた国立がん研究センターに、当面の間、厚生労働省の委託事業として事業実施組織を置きたいと考えております。人材につきましては、同センターのほかからも広く登用すること、また、事業実施組織については厚生労働省の委託事業、厚生労働省の本来業務として責任を持って行う事務を委託するという形で、センターの他の業務とは明確に区分、独立させることとしてはどうかと考えております。
また、2つ目の○に記載しております全ゲノム解析の目的が達成されるようにするため、透明性やガバナンスを確保することは重要だと考えております。このため、仮称でございますが、運営委員会といったガバニングを担い監視を行う体制を組織内に設けまして、組織全体の運営方針を決定するほか、組織の活動を監督していくことを想定してございます。
最後に3つ目の○でございます。事業実施組織発足後においては、令和7年度に発足することが求められていることから、こうした形で発足いたしますが、独自組織を設けるべきとの御意見もございます。こうした点も考慮しまして、3年を目途に、事業運営状況や民間資本導入の可能性も見据えまして、全ゲノム解析を主眼とする独立組織に移行する場合などについて具体的に検討し、結論を得たいと考えております。
次に9ページ、最後のページでございます。
これまで申し上げました事業実施組織の役割や運営委員会の設置、あるいは3年を目途とした検討に関して記載してございます。
繰り返しになりますが、1つ目の○から、患者還元については、全ゲノム解析におけるがん・難病それぞれの患者還元の統一的な方法を検討し、研究班の監視を行うことで横串を通す。
2つ目の○、患者還元、ゲノム医療を広く国民が受けられること、研究と医療実装の好循環実現等の目的が達成されるよう、高い透明性と確固たるガバナンスを確保しつつ、事業を取り巻く状況の変化等にも適時適切に対応することができるようにするための運営委員会を設置。
3つ目の○、厚生労働省の委託事業として事業実施組織を設置し、国立がん研究センターの従来業務から独立した運営の下で推進。3年を目途に全ゲノム解析を主眼とする独自組織に移行する場合を含め、具体的道筋等について検討し、その結果を踏まえ必要な対応を行う。
4つ目の○、ゲノムデータの保管に関しては、国の管理下で厳格に運営する。
下の図にございますとおり、本専門委員会におきまして、本基本方針、事業状況に関する審査を行いまして、厚生労働省に示していただきます。厚生労働省におきまして政策を着実に進めていくとともに、実施組織に関しまして基本方針の提示、事業状況に係る指示、また、定期報告を受ける形といたします。事業実施組織内におきましては、運営委員会を設置し、運営方針の策定・監督を行います。患者への解析結果提供につきましてはAMED研究班と連携、また、データの利活用につきましては企業・アカデミアに使いやすい形で御提供するように進めていきたいと考えております。
なお、参考資料といたしまして、15ページ、16ページにおきまして事業実施組織の運営委員会の体制の資料もおつけしております。こちらも参考として御覧いただきますよう、よろしくお願いいたします。
本専門委員会につきましては、引き続き基本方針や事業状況に関する審議をお願いしたいと考えております。
事務局の説明は以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、今の資料2の説明につきまして、御質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。
それでは、高倉委員、お願いいたします。
○高倉委員 高倉です。
私はITの人間ですので、少しピントがずれたことを言うかもしれませんが、先ほどお見せいただいた9ページのデータの厳格な管理について少しだけコメントさせてください。もちろんデータを厳格に管理されるのは当然のことなのですが、前半のほうでもありましたように、セキュリティの面、それから、システムの面、大体の構想ができたのは分かるのですが、やはり具体的なお話を伺わないと、IT系の人間からすると本当に厳格に管理ができるのかなというのは少し不安になっています。
あと、これも先ほどの御議論にありましたけれども、人材不足、これは単なるITエンジニアだけでも不足しているところに加えて、ゲノムとITが分かるような研究者、エンジニアをそろえようと思うと、正直相当無理があるかなと。相当頑張らないとそんなにそろわないなというのがありますというのが一つ、データを厳格に管理してください、そのための人材を確保してくださいというのがあります。
それから、もう一個なのですが、データの厳格な管理に、我々はよくプロビナンスとかデータの来歴、どこから来たかというのを言っているのですが、やはり今の時代、オープンサイエンスの時代になってきますと、例えば今回扱っている全ゲノムデータが適切に管理されているプラス適切に解析されている。要は、ちょっと言い方はあれですけれども、研究不正が行われていないということを担保できるような仕組みがぜひ必要になるかなと思いました。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
データの管理及びセキュリティの充実等についてはITチーム等で検討しますが、厚労省からお願いいたします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
御指摘本当にありがとうございます。システムの具体的なことについては、引き続きよくITチーム等の先生方とも御相談しながら進めていきたいと考えております。
また、人材についても、御指摘のとおり難しい課題だと考えておりますので、しっかり厚生労働省として取り組みたいと考えております。
3つ目の御指摘につきましても、セキュリティのところとオープンサイエンスという御指摘でございました。その辺りのバランス等もよく考慮しながら、我々としてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。御指摘本当にありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○高倉委員 はい。ありがとうございます。よろしくお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 7ページには事業実施組織の機能・役割がまとめてございます。このとおりでよいのだと思うのですが、これを5ページで述べておりました国として整理して国としてちゃんとしたものにしていくのだというメッセージを出して、これも非常に的確なことだったと思います。
しかし、その次の8ページ目に○が3つございますが、ボールドにしておりますまずは令和7年度にこれまで実施準備室に参加し、これは委員長は中釜先生でございますが、ゲノム医療に関する実績を有する組織、国がんを想定して、がん及び難病に関わる、これは難病もですね。全ゲノム解析を行う体制を備えることを前提とし、厚労省から委託事業として、事業実施組織を当面置くという要は国としてちゃんとやるということを、ここに書いてあることは国としてはちゃんとやらないという別の言い方をしているとしか私には読めません。
さらに、運営委員会がしばらく開かれなかったのですが、その間に国がんに置くという議論は、テンポラリーに置くというような表現になっておりますが、私の記憶が悪いのか、一切残っておりません。突然に湧いてきたもののように思えています。
さらにもう一つ言いますと、ITの重要性というのはこれまで皆さんも御指摘のとおりですが、国立がん研究センターでこのITを担ってマネージしてできる能力はあるとはとても思えません。その大失敗は何かと言いますと、C-CATです。C-CATの資料作成があまりにも曖昧であったために、どれだけ多くのがん患者の方々が苦労され、また、がんのパネルの検査を適用する医療機関が苦労されたか。その苦渋のことを考えますと、これは絶対に受け入れられることではないと私は思っております。
それと、最後3つ目の○のところですが、3年をめどにちゃんと民間資本等の導入可能性を勘案してというふうにして外に出すと書いてありますが、3年間で、過去この実施組織を立ち上げるときに実はこれはやっておかなければならなかったことだと思うことをこれからやりますと言っていることは、私は3年たったらまた振り出しに戻ったのかというふうにしか捉えることができません。また、3年間とかという期間で民間企業、例えばシーケンスをする企業がシーケンサーをうちの企業に今後のことを考えて導入しよう、これだけ整備しようというような決断はできません。民間もIT人材を難病も含めたゲノム医療のほうに持っていこうという決断を、少なくとも企業としては、甚だ企業のトップ、経営のことから考えますと、なかなかできないのではないかと思います。
ですから、5ページで国としてきちんとやるべきこととうたっていることと、この8ページに書かれております事業実施体制の組織形態は乖離があまりにも大きく、特に国立がん研究センターを想定しているということについては、私は全く納得できることではございません。こういう質問がよろしいかどうか分かりませんが、水澤先生や森先生がどんなふうに、私の独りよがりで言っているのではないかとも思いますので、その辺り、御指導いただければと思います。
まずは水澤先生はいかがでしょうか。中釜先生、こんな言い方をしてよろしいでしょうか。
○中釜委員長 まず、最初の御指摘の点について、厚労省から少しコメントをいただいた上で、水澤先生等にお願いしたいと思います。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
御指摘様々ありがとうございます。
人材につきましては8ページに記載させていただきましたとおりでございますけれども、センター以外の人材も積極的に登用いたしまして、その採用は非常に難しいという御指摘もあったかと思いますので、しっかりとここは厚生労働省としてNCCで対応できるような体制を整えてまいりたいと考えてございます。
また、3つ目のポツにございます3年をめどにという記載でございます。我々としてもここはしっかり3年をめどにという形で明記をさせていただいて、しっかりと具体的道筋等について検討させていただきたいと考えてございますし、また、民間がしっかりと協力いただけるような形の今後の方針等についてもしっかりと我々のほうで検討してまいりたいと思ってございます。御指摘本当にありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それから、現行の保険診療下でのパネル診療に関する御指摘もありましたが、これにつきましても事業準備室の段階でよく連携を取りながら、御指摘の点については考慮しながら進めていければと思っております。ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 宮野先生からも御指名されたのですけれども、私はまず実施組織のことが初めて議題に上りまして大分うれしく思います。この間、長い時間がかかったと思いますけれども、関係者の皆さんの御尽力に感謝したいと思います。
私自身が関与したのが2019年の秋で、検討会が数回開かれまして、その後年末に全ゲノム解析等実行計画第1版ができ、それ以来5年たっているわけでありますけれども、ようやくそういう本質的な議論になったと理解しております。
実施組織を考えたときに、今日は実は名前のことは載っていないのですけれども、名称というか、ぱっと見てすぐにそれは何を意味するか分からないといけないと思います。すなわち組織形態というのはそういう一目で分かるものを担保するということがとても大事だろうと理解しております。
今日の資料は、御指摘がありましたし、私も拝読いたしましたけれども、かなり曖昧な用語が多くて、確定的なことがなかなか分かりにくいと思います。例えば想定とか前提とか当面とか、最後に3年間でまた再検討するということで、そこには独自組織も検討するとなっているわけです。したがいまして、非常に不確かでよく分からないということなのですが、一言がんセンターの下につけるということがあるわけでありますが、非常に不確定なことが多いので、本日よく議論をして、今後それはこういう変更をされ得ると理解して少し意見を申し上げたいと思います。
このがんセンターの下という形になってしまいますと、全体を包括するということで議論をしてきた経緯が見えなくなってしまうということで、恐らく難病とかそういうほかの研究者、ゲノムだけではないのですが、がんゲノムの研究者の方々を含む多くのゲノム研究者にとって失望するのではないかなと思います。ぱっと見て分かりませんので、これは日本のゲノムはがんだけやるのですねという形になってしまうと思うのです。
患者さんたちも、難病はもちろんですけれども、がん難病等と「等」があるわけで、それ以外のコモンな病気の患者さんたちもすごく期待していますし、一般国民や企業の方もすごく期待しています。今日は加藤先生もおられますけれども、私はWHOの会にも参加させてもらいましたが、外国の方々からの期待とか視線というのもあるわけですけれども、これはそういう方々にかなり大きな失望と落胆を与えてしまうのではないかと思います。
この実施組織は、がんの患者さんのみならず、難病はもちろんですけれども、ほかの多くの疾患の患者さんのためでもあると思います。また、その先には疾病予防や健康増進などへの発展の期待も大きいわけです。すなわち国民全体のためというわけでありまして、であるからこそ、ほかの多くの先進国では、個別の疾患の研究センターなどではなくて、全体を扱う組織を新たにつくったり、あるいはそういうプロジェクトとして運営しているわけであります。我々が文章にも書き込んで見本としているGenomics Englandもそうですね。これは2012年ですけれども、NIHにはNHGRI、National Human Genome Research Instituteというのがあって、そこでヒューマンゲノムがスタートしたわけですけれども、その後のオバマ大統領の2015年のPrecision Medicine Initiativeに関してもそうだと思います。全体を扱うということで、決して1つの疾患とか領域だけではないわけです。
それがぱっと聞いたときにすごくよく分かるような名称、そして、よく分かるようなあるいはそれが実施できるような体制にしておかないといけないと思います。先ほどちょっと話がありましたけれども、実施組織を運営する上で、すばらしいやる気のある研究者を集める必要があるわけです。あるいは職員を集める必要があるわけですけれども、そういう方々が本当にここに集まるかといったとき、なかなか難しいのではないかなと私は思います。
いろいろたくさん言いたいことというか理由はあるのですけれども、ほかの方もたくさん手を挙げていらっしゃるようですので、ひとまずここまでで置いておきたいと思います。
1つだけ追加しておきたいと思います。私自身も含めまして、私の家族も含めて、がんの方は多いと思いますし、私もがん研究は進んでほしいのですけれども、がんの遺伝子というのはCOSMICのサンガー研究所のデータベースによると、これは間違っていたら補足していただきたいのですし、数え方が難しいらしいですが、290とか330、あるいは727という数字を私は拾うことができました。いわゆる遺伝性疾患の原因遺伝子は、OMIMのデータベースによりますと、10月20日で1万177であります。そのうち解明されている原因遺伝子が6,945ありまして、未解明が3,232ということになります。約2万2000の我々の遺伝子のうち、それぐらいの数のシングルジーンディジィーズの遺伝子があるわけでありまして、そういうことで苦しむ人たちに対しても、希望を失わせることなく、そういう研究者に対しても道を開くという意味で、ぜひ考え方はそういう方向にまた舵を戻してほしいと私は思います。
以上でございます。
○中釜委員長 水澤委員、ありがとうございました。
今の御指摘について、厚労省、よろしくお願いします。
○長谷川研究開発政策課長 研究開発政策課長でございます。
御指摘ありがとうございます。曖昧な表現もあるのではないかという御指摘でございますが、独自組織設立のためには組織形態、在り方等を政府全体で検討、調整する必要があります。政府の予算としては単年度主義の中で、私どもとしましては事務方として可能な限りの踏み込んだ記載をさせていただいているというところでございます。一方で、実施組織は令和7年度中の立ち上げを求められておりますので、まずは既存の組織の参加で立ち上げということで、次のステップに進みたいと考えているところでございます。
また、がん以外の専門に関してですが、まずは運営委員会につきましては、がん以外、特に難病の方々も主体になるように構成することが必要だと考えておりますし、また、実施組織の中の組織に関しましても、がん以外に難病の先生方にきちんと入っていただくということでお声がけをしていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○水澤委員 ちょっとだけ意見を言っていいですか。
今おっしゃったことはずっとこれまでやってきたわけです。この5年間いろいろな形の中で、この委員会もそうですけれども、既にやってきたことだと私は思います。ですので、今後のことに関して、もし明確に例えば新しい組織をつくるのだということであれば、それを明記するか何かしないと、検討だけでは、我々ずっと検討してきたわけですので、なかなかそこは難しいのではないかと思います。
法人組織を、法人かどうかは別として、とにかく事業形態をどうするかということでこれまで議論をしてきてここに至っていると私は理解しますので、これから検討しないといけないのだというのはなかなか国民には許していただけないような感じはします。これは決して厚労省だけではなくて、我々のこの専門委員会の責任だと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
ほかに多くの委員の先生方も手が挙がっていますので、全体の御意見をお伺いした上でまとめて厚労省からの見解等を伺っていきたいと思います。
続きまして、辻井委員、お願いいたします。
○辻井委員 産総研の辻井です。
僕も医療のほうはあまりよく分かっていないのですけれども、情報処理の観点からすると、このPrecision Medicineを代表とするような医学への情報技術の適用というのは、これからどんどん大きくなっていくと思うのです。そういう意味では、IT人材をどれぐらいうまくこの分野に取り込んでいけるかというのが大きな課題になるでしょうと。同時に、人材育成という話になると、単に民間企業が参加して、そこから技術者を教育するというだけではいかなくて、IT技術の先進的な部分をきちんと取り込んでいく体制をつくっていくというのが重要ではないかと思って聞いていました。
そういう意味では、他センターからの人材も積極的に登用するという言葉があったと思うのですけれども、どういう形でIT部門というのがきちんとした体制ができて、優秀な人材がそこで育てられていくのかという体制をうまくつくっていく必要があるでしょうという感じがします。
それはデータ解析の部分なのですけれども、もう一つは、システム設計の部分でも、計算科学全体がこういうセキュリティをどうするかとか、データの保護をどうするかというのが研究課題に大きくなってきているわけですよね。それを民間の技術者だけに任せておいていいのか、あるいはこのセンターの中できちんとした仕様が検討できて、新たな技術が取り込んでいけるのかという体制をうまくつくっていかないと駄目なのではないかと思って聞いていました。
そういう意味では、民間に情報部門をやらせればいいという感じのイメージがちょっと強くて、もう少しアカデミアを含む人材育成まで考えたIT部門の設計というのが必要ではないかと。それがこの今考えておられる新しい組織の中でどう位置づけられていくのかというのがいま一つ見えないなと思って聞いておりました。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
人材に関して、特にIT人材、それから、計算科学全体での計算関係を含めたセキュリティはアカデミアを含めた検討すべきだという御意見ですが、人材の確保に関して総務チームから何か現時点で追加での御発言はございますか。検討はされていると思いますが、よろしいですか。
では、事務局、お願いします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
御指摘本当にありがとうございます。人材、特にIT人材につきましては、委員の御指摘のとおり非常に重要な課題だと考えております。また、民間の委託等も含めた、民間だけではなくて、この事業実施組織の中でしっかりとIT部門に職員を配置いたしまして、また、アカデミア等もクロスアポイント等を活用しながらしっかりと連携をして、内部でもしっかり人材を確保しつつ、また、外部とも連携した形で取り組みたいと考えてございます。人材の確保については非常に難しい課題だと認識しておりますので、しっかりと進めてまいりたいと思います。御指摘本当にありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
では、続きまして中村委員、お願いいたします。
○中村委員 中村です。
いろいろな先生方からコメントがされましたけれども、何年も前から実施組織をどうするのかという議論がされてきて、その中でやはり単年度予算でできること、単年度予算だと絶対できないことがあったと思います。ITの問題にしても、あるいはデータベースをどう維持、運営していくのかということ、それから、新しい技術が出てきたときにそれにどう対応していくのかということも含めて、何年も前からそれを議論した上で、実施組織の形態を決めるという結論だったと思いますけれども、今この時点でこういうことしかと言うと失礼ですけれども、出てこなかったというのはある意味失望しています。
5年前と全ゲノムの状況はどう変わったかというと、皆さん御存じのように、モデルナは2027年までにネオアンチゲンmRNAを日本でも販売するということを公表していますし、ゲノムの有効活用という点では、やはりがん治療の面で大きな変化が起ころうとしています。それから、5年前はまだまだプレマチュアであったロングリードシーケンスが出てきて、いろいろなことが分かってきています。
やはりゲノムというのは非常に大事で、高齢化社会を目の前に迎えて、高齢化社会の医療をどう乗り切るのかという観点でゲノム医療は非常に重要であって、また、ただ単にがんはどうなのか、難病はどうなのかという枠を超えて、医療の質をどう上げていくのかという観点でゲノム医療はとても大事になってきていて、本来専門委員会の中ではそういうことも少し話し合われていましたけれども、今こそ、やはり世界の動きを捉えつつ、日本の医療の質を上げるためにどうするのか。そのためにゲノムをどう活用するのかということを前提にした議論を考えないと、3年後に組織をどうするのかを決めますって、そもそも論として組織形態が決まらないといろいろなことが動かないという話は数年前から出ていた話で、今、仮にこの組織を置く。その中でいろいろなことを議論する。ELSIにしても、PPIにしても、今のままだと長期的な展望を描けないままに何をするのかという議論になってしまいますので、今言ってすぐというのはもちろんできないとは思いますけれども、やはり組織形態をどうするのかということは、今後ゲノム医療が発展していく上での基盤となることですので、やはりそこを念頭に、早急に3年後にはこんな実施組織をつくる。それを基に1年目は何をする、2年目は何をするという形で決めていかないとできないと思いますし、誰がどう考えても単年度予算でやっていくような事業ではないと思いますので、そこは至急検討していただいて、本当にみんなが力を合わせてゲノムを活用してよりよい生活を届けるという大きな根本に立ち返って、至急整えるべきところは整えていただきたいと思います。せっかく案をつくられたのに水を差して悪いとは思いますけれども、やはりそこがない限り、ゲノムの将来というのは見えてこないと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
事務局から何かコメントはございますか。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
御指摘本当にありがとうございます。まさに単年度主義ではできない限界点等も事務局の案で先生方に見えたところで大変恐縮でございます。私どもとしてもしっかりと今後を見据えながら、ここに3年後をめどにと書かせていただきましたが、しっかりと検討してまいりたいと思っております。御指摘本当にありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
お願いいたします。
○中村委員 中村ですけれども、もう一点、単年度主義しか駄目だというところが、やはり長期的なプロジェクトに対してめどが立たない、日本が抱えている大きなテーマになっているのだと思います。ただ、なぜ長期的な展望で考えていく必要があるのかということをやはり理路整然と筋道を立てて、必要なことは必要な形で手当てをしていかないと、今こうなっているからこれしかできないではやはりこの全ゲノムというのは動いていかないと思いますので、なかなか厚労省だけで予算の在り方を考えるのは無理というのは重々承知していますけれども、やはり本来あるべき姿に戻していかない限り、同じような問題がいろいろな分野で起こってくると思いますので、ぜひこれを機会に検討していただきたいと思います。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
それでは、続きまして、葛西参与から手が挙がっていますが、よろしいでしょうか。
○葛西参与 ありがとうございます。
私、昨年は事業準備室のほうにおりましたので参考人だったのですが、今年は事務方の厚労省へのアドバイザーとしてゲノムのことで参加しております。
初めて事業実施組織の在り方について厚労省から示されたものがあると思うのですけれども、私自身も昨年来ずっと長くやってきて、この独自組織、いわゆるGenomics Englandなどを見ると、基本的にはがんのためにあるとか、難病のためにあるとか、そういう個別のことではなくて、いわゆるゲノムという情報を使って、今、Genomics Englandでは例えば新生児をやったり、それから、Cancer 2.0のようなロングリードシーケンスもやっていますし、それぞれどんどん対象疾患というのはアップデートされていくので、やはり独自組織を目指すということは必ず必要だと思っています。それを厚労省がちゃんと描き切るということが3年で大事なのだと。これは後で厚労省はぜひしっかりとその答弁をしないと、多くの方ががんセンターのものなのかなとか誤解をしてしまうから。
少し執行面で言うと、よくあるのですけれども、厚労省の味方をしているわけではないのですが、委託事業という言葉遣いですね。これは誤解される方が多くて、あくまで厚労省が本来やるべきことをがんセンターに仮置きしていますということです。なので、資産等は全て基本的には厚労省の資産であること、これは皆さん結構重要で、ゲノムのデータが一独法のところに置かれるなんていう国の判断をしている国家はないです。やはりゲノムデータというのはコモンデータですから、国が保有するというのは非常に重要なことで、場合によっては研究者であったりいろいろな人によっては、がんセンターのところに来たからがんセンターのものなのかなと。私も独法にいますから、独法の職員側がそういう誤解をするようでは困るなと。そういう意味で言うと、独自性とか独立ということをちゃんと担保することが仮置きするとして必ず必要だと。これもきちんと厚労省側が各種の説明をしないと誤解を招くと思います。
それから、ITに関してなのですけれども、もちろんがんセンターにITの人材がいないのは当たり前ですし、逆に言うと、私がいる情報処理推進機構にがんの専門家がいるわけでもないですから、ゲノムも分かってがんも分かってというのは非常に難しいのだと思うのです。ただ、Genomics Englandを見ると、7割は実はバイオインフォマティシャンであったり、ITの人材です。言わばこれはITの会社なのです。なので、決してこのITのところをすごくおろそかに、私は個人としては準備室の時代もすごく理解されなかったなと感じていました。これでは困るので、今日の資料ですと、まだちょっと煮詰まっていないかなと改めて見ても思ったのですが、例えば参考資料なのでこれが決まりごとではないと思っていますし、これはもちろん批判的に言っているわけではなくて、例えば15ページ目にあるような参加者パネルであるとかELSIといったものが外部委員会としてきちんとガバナンスをつくるのだということは正しいと思うのです。ただ一方、やはり各部門名であったり、民間の方の協力も得なくてはいけないときに、利活用推進部という言葉は何だか分かりませんし、患者還元も全然分かりませんと。
ITですと、例えば今ですと、私個人としては、当然医療DXをやっている面もあって、DX全体を考える基盤ではなくてDXというサービスを担うような部門であるべきですから、デジタルトランスフォーメーションというような言葉が入っていたり、そういう民間の方にちゃんと協力をいただけるような部門構成でなくてはいけないと。これは何十回も言っているのですが、解析とIT基盤というのは別の業務です。なので、どちらも今年の準備室では井元先生にかなり御協力いただいていますし、私も厚労省としても参加しているのですけれども、業務としては違いますから、解析とITの人間が1つなんてことはあり得ないわけです。
それを言うと、例えば解析と臨床還元するところというのがむしろ近くて、今日も準備室の報告で私がちょっと気になったのは、まだ当面研究で始まるみたいな表現が幾つか出てきていましたけれども、当面研究でやるような方はミッションドリブンに合わないと正直思います。もう何年も研究準備ということはやってきていて、今回厚労省の表現は非常に工夫して書いたのだなと私自身も思いますが、厚労省としては3年後に立ち上げる組織の本当の準備をもうやるのだという表現に見えました。なので、そういう意味では、今までの準備では事足りないのは明らかで、そういったことを含めて、なおかつ、例えば今日の資料ですと、令和7年にやる要求額のところもAMED研究は準備室ではなく厚労省と連携するのだということが書かれていて、これはすごくいいなと思います。
そういう意味で、ちゃんと厚労省が司令塔として、こういった独立性を保ち、それから、何らかの調達をするときに、今、普通であれば、皆さんお気づきの方が多いと思うのですが、どんな苦労しているかというと、井元先生から今日説明がありましたとおり、今からシステム調達をしているのです。これは公的調達の宿命で、工事期間が長かったり、中村先生もおっしゃっていましたけれども、単年度主義ということによって今からわずか3か月でシステムができるわけがないのです。そういったことをちゃんと考えないと、一生できないのです。そういったことは独法のオペレーションの中では到底できません。なので、ちゃんとがんセンターの例えば中期計画にこれは独立した決裁維持で行われるものだとか、そういった実務に合わせたことを表現できていないのがよくないのだと思うのです。そういったことをちゃんと確約していかないと、私自身は厚労省の悩みも実は知っているのですけれども、確約しておかないと、普通に一般の方が聞くとこれは厚労省の旗振りがよくないと思われかねませんので、私は厚労省の参与ですから厚労省の味方ですから、ぜひここをきちんと厚労省は答弁していただきたいなと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
厚労省からの意見ということで、お聞きしました。
では、事務局からよろしいですか。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。ありがとうございました。
委託事業については、まさに葛西参与から御説明いただきましたが、もちろん委託のルールがございますので、そのルールの中でしっかりと適切に対応してまいりたいと思っております。また、各部局の名称等あるいは立てつけ等についての御指摘もございました。こちらは括弧で現時点でのたたき台と書かせていただいておりますけれども、現時点での試案でございますので、引き続き準備室の先生方等ともよく御相談をして、体制については考えていきたいと考えております。こちらはあくまで事務局の試案でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
準備室としても厚労省と連携を取りながら、御指摘を踏まえて取り組んでいきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、吉田参考人、お願いいたします。
○吉田参考人 ありがとうございます。
私は参考人ですので、事実関係を明らかにするという点で発言させていただきます。先ほどC-CATが大失敗であったという御認識があったのですけれども、私はC-CATにも併任があり、その概要を把握しておりますが、C-CATとしてはむしろ大成功のほうにあるのではないかと考えております。
その根拠なのですけれども、一つは、C-CATは日本のがんゲノム医療の保険診療における支援として、5年半にわたって9万人の患者さんに対してつつがなく、データのセキュリティ上も含めて大きな問題はなく、保険診療を支えてきたということ。
それから、2つ目には、二次利活用として、こちらは3年前から始めているのですけれども、企業を含む111の研究に対して利活用のデータを提供し、こちらも同じようにデータセキュリティ等の問題は起こしていないこと。かつその利活用の評価も、もちろんリアルワールドデータとしての限界の御指摘もありますけれども、多くの論文等につながり、最近では薬事利用、添付文書にも引用されたことがあるということです。
3つ目は、恐らく宮野先生の御指摘は、臨床情報の収集で非常に現場に負担がかかっているという御指摘ではないかなと思うのですけれども、そもそも臨床情報を保険診療の中で、目の前の患者の診療プラス将来の患者のために集めるというのは、当時の2019年のがんゲノムプロファイリング検査のPMDA承認の要件となっていたのです。このように臨床情報、ゲノム情報を集めることで、がんゲノムプロファイリング検査の臨床的有用性が確立されるということですので、ここを保険診療を担っている臨床の先生方の御負担を確かにお願いして臨床情報を集めている。それは5年前の段階ではどうしてもEDC、Electronic Data Capture法と今回の事業実施準備室でも検討している電子カルテ等テンプレート方式の組合せを使わざるを得なかった。現在、がんゲノム医療中核拠点病院等は273施設になっていますけれども、その約8割以上が、厚労省等からの補助金などは全くないがんゲノム医療連携病院です。このような我が国の診療の現状の中で臨床情報を集める必要があったということで、当時として最適解の形でリアルワールドデータを集める方法でやってきたのではないかと。もちろん我々も医療DX等をはじめ、今後APIなどを使った、あるいはがん登録などとも連携をして、できるだけ臨床情報の収集の臨床現場の負担の軽減、効率化を図りたいと思っておりますけれども、進化を続けていくがんゲノム医療の5年半の歴史の中で、C-CATは実はまれに見る成功例ではないかというのが我々の事実認識です。
以上です。
○中釜委員長 補足の説明ありがとうございました。
それでは、井元参考人、御発言をお願いします。
○井元参考人 井元でございます。
私も参考人ですので、皆様の議論の中で参考になる可能性のあることを少し申し上げたいと思います。
私は、2016年に厚労省から委託を受け、医師の働き方の実態調査を行いました。当時の医師は約33万人、その中から約10万人に対して調査票を配付し、集計しました。その中で1週間のタイムスタディを行いました。。30分毎の粒度であなたは何をしていましたかということを問いました。1万5000人を超える医師からの回答を得ました。タイムスタディーとして1週間にわたって記録することは、とても大変なことです。本当に業務に忙殺されている医師は、回答できなかったかもとも思います。
ただし、そのアンケートの結果から見えてきたのは、本当に自己犠牲的な献身によって支えられている医療現場の実態です。ものすごい業務を医師の方々、医療従事者の方々はされています。その状況の中で、今回の我々の取組というのは、新たに「全ゲノムに基づくゲノム医療をやってください」というものになります。普通に考えるとでき得るわけがございません。ですので、何が必要かというと、医師の働き方、ゲノム情報を用いた診療、薬剤の選択、治療方針の立案、これらをITの力を使って、莫大な論文情報、薬剤の機序の情報を統合して、医師の判断を強力に支援し、そして、患者さんが理解しやすい形で提示する。そういうITの技術がとても大切だと常々思い、この取組みに参加しておりました。
一方、今日提示された案は、NCCに3年程度をめどにいう話です。申し上げたようなITの専門性の高い技術を持っている方が、そのような年限があって果たして全ゲノムのために集まってくれるのか。これは甚だ疑問だと思います。
私は、先ほどITチームの説明をシステム開発事業者として行いましたが、その中で開発されるベンダーとともにシステムを構築していると申し上げました。これは、はっきり申し上げれば、丸投げはしないということです。私は、この事業実施組織自らがITの技術をもってシステムを開発する能力が必要だと思っています。そこに民間の力を借りることは必須でしょう。しかしながら、自分たちがその能力を持っていなければ、継続性はありませんし、発展性もございません。そのような組織にこの案が進んでいくことができるのかということを、厚労省の方々はどのように説明されるのか。先ほど人材のことが非常に問題であるという質問に対して、事務局からNCCで対応されるという発言がございました。8ページに書いてあることと異なります。そういう考えですと、とてもではないけれども、このシステムの発展性は見込めないと思います。令和7年度に事業実施組織が発足されるというのは、昨日今日出てきた話ではございません。4年前、5年前から検討を重ねてきたものでございますので、ぜひその点を考慮されて検討いただければと思います。
私からは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。
それでは、加藤参考人、お願いいたします。
○加藤参考人 加藤でございます。
発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
情報提供1点と、ELSI、PPIの観点から短くコメントさせていただければと思います。
まず情報提供ですけれども、先ほど水澤先生が御発言になったので、そこをちょっと補足したいと思います。WHO、世界保健機関は、実は昨年の秋から本格的に世界にゲノムの技術が使われるようにということでグループを立ち上げておりまして、その流れの中で、今年に入って4月にフィリピンでWestern Pacific Regional Office (WPRO)と言いますが、その主催で、大きな会議を持ったのです。これは我々の検討に関係すると思うのです。そこには何と14ヶ国の人々が集まりまして、びっくりするほど多くの国がジェノミクスに力を入れているということが目の当たりになりました。幸いに、日本からは水澤先生、東北メディカル・メガバンクの山本雅之先生、がんセンターのC-CATの河野隆志先生に来ていただきまして、日本のプレゼンスをそこで非常にきっちりと示すことができたのです。
少し長くなりますけれども、もう少し紹介すると、マレーシアではMyGenomeというプロジェクトが立ち上がりますし、フィリピンも非常に力を入れていますし、シンガポールはPRECISE、これは御存じの方が多いかもしれません。そして、オーストラリアがつい最近、Genomics Australiaというプロジェクトを立ち上げることが公表されました。詳しくは『The Lancet Regional Health - Western Pacific』というジャーナルにレポートが出ていますので、ぜひ見ていただきたいと思います。いかにこのアジアの領域でジェノミクスが国家プロジェクトとして推進されていっているかが分かります。そこではもちろん疾患横断的であります。
それは情報提供なのですが、でもぜひ見ていただきたいということと、ELSI、PPIの観点から、やはり私は国の中で患者の皆さん、人々にこのプロジェクトがどのように見えるかということを全ての観点からもう少し皆さんで力を合わせて考えるべきだと思います。名前の問題も重要ですし、また、どういう患者さんにどういうことを届けようとしているかをもう少しクリアにしてまとめていかないといけないと思います。
その観点において、ELSIに1つのコアができるということは1つの案なのかもしれませんが、それと一緒に他のセンターの方、例えば水澤先生がおられる精神・神経医療研究センターなども一緒にやるというようなことを示したりすることで、もうちょっと見え方が変わるのではないかということをELSI、PPIの立場から申し上げたいと思います。
そして、最後にその同じ立場から、ELSI、PPIの人材育成も重要ですので、今日の仮のあれはたたき台ということは分かっておりますけれども、やはりELSI、PPIの部門というようなものをしっかりと置いて、そして、他の部門も併せてキャリアパスの一つになれるように考えていくことが必要なので、その過程においては、もちろん事業なのですけれども、論文が書けるという組織であることも大事かなと思います。
長くなって申し訳ありません。以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の点について、事務局、お願いいたします。
○長谷川研究開発政策課長 研究開発政策課長でございます。
再度、8ページに基づいても御説明したいと思います。
まず、来年度につきましては委託事業、厚労省が責任を持って行うべき事業として実施するということでございまして、また、がんセンターについては、ここに記載のとおり、当面の間置くという記載とさせていただいております。
また、業務につきましては、がんセンターから独立した形でするとともに、また、人材登用につきましても、同センター以外の人材を積極的に登用することを徹底するということでございます。あわせて、人材育成、特にIT、解析、また、ELSIの人材育成もきちんと図っていくべきという御意見を賜っております。
あとは、その下でございますが、こちらも3年を目途にということで強調して書かせていただいておりますし、ここに民間資本導入の可能性と独自組織ということで、具体的道筋をこの3年間でつけるということで記載させていただいているところでございます。
そういう意味では、確かに一部曖昧な表現等はあろうかと思いますが、私ども事務局としてはきちんと書かせていただいておりまして、取り組んでいきたいと考えているところでございます。御理解を賜ればと思います。よろしくお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございました。
では、森委員、お願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
私は、まずはこのゲノムという領域は、とにかく医学の中で占める割合というのは非常に大きくてということを宮野先生、中村先生、水澤先生等がお話しくださいましたけれども、まさしくそのとおりだと思います。
そして、その中でIT関係とか情報処理関係とかというところをする人材育成をどうするかというところも現実の問題として提起されております。それで、井元先生が長期の人材育成確保と短期の人材育成確保という観点でもお話されましたけれども、特に長期的な視点に立てば、大学等との連携というのは必要不可欠だとも考えます。ですので、このゲノム医療というのを本当に推進するためには、この事業自体は厚労省の提案で厚労省主導で進んでいるのですけれども、やはり文科省を含めて、アカデミアを含めて、本当の意味のオールジャパン体制が将来的には必須だと考えます。その観点から、基本的にはやはり第三者の機関、独立した機関で、みんなの協力がより得られやすい形でのスタートというのが望ましいとも思います。
今回、令和7年度にこういう形で発足することが覆せないということであれば、覆すのは難しいかもしれませんけれども、そうであれば、まずはこういうシステムでこういう考えでスタートしながらも、水澤先生が指摘されたように、3年後には検討するではなくて第三者機関でやるということを明記してスタートしてもらえれば、その中で、厚労省主体ですけれども、文科省やその他の機関にも声がけした上で、本当の意味で行政もオールジャパンでやっていただき、アカデミアもオールジャパンでやっていただくというような仕組みをつくってもらいたいなと思いました。
勝手なことですけれども、以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、よろしいでしょうか。
水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 ありがとうございます。
先ほど申し上げなかったことで2点ほど追加したいと思います。
ゲノム医療が重要、ゲノムサイエンスが重要だということは何人もの方がおっしゃったのですけれども、本当に多くのそれ以外の方々というか、あまり詳しく御存じない方もおられるかもしれませんけれども、我々が言っている遺伝子というのは約30億ぐらいの塩基配列から成るゲノム全体の中の数パーセント、2~3%でしょうか。そういうふうに言われています。残りの9割以上というのがまだ未解明なところで、その中に、単純に病気の原因とかそういうものではなくて、我々の個体の一生を規定しているような生命原理のヒントが得られるのではないかなという部分も非常に大きいわけです。私自身は、そういうこともあって、それぞれの国が国家プロジェクトとしてその部分の研究も進める。もちろんその一番手前には医療という面で患者さんの病気を治すとか予防とかというのはあるわけですけれども、後ろにはもっともっと大きなものが控えていると思います。
AI研究とか脳研究あるいは宇宙開発とか、あるいは深海の開発といったことはそれぞれの国家戦略としていろいろな国で行われていると思いますけれども、まさにそこに入ってくると思います。であるからこそ、このGenomics Englandに関してもキャメロン首相のリーダーシップで始まったと思いますけれども、Precision MedicineあるいはHuman Genomeに関してオバマ大統領とか一国のトップの方が出てきて、それを宣言しているわけです。
同じ頃にキャメロン首相がリーダーシップを取って言ったことが認知症の克服であります。その後、G7等でも議題になりまして、やはり国家の代表がそれを議論するような形になっていると思うのですけれども、日本でも昨年、ほぼ同じ頃に法律ができて、認知症のほうも研究、医療が進んでいると思います。基本計画ができた頃だと思います。我々のほうも基本計画ができつつあると今認識して、喜ばしいことと思っておりますけれども、そういう国家レベルの重要な研究だということを日本でも日本の総理大臣等はどのように理解されているか、あるいは厚労大臣ももちろんよく理解されているとは思うのですけれども、ぜひ厚労省の方々にそれを訴えていただきたい、御理解いただくようにしていただきたい、そして、そういう発言をしていただきたいと私は思います。
1点追加させていただきました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、続きまして葛西参与、お願いいたします。
○葛西参与 ありがとうございます。
技術面で詳しい点を少し補足しておきたいなと思いまして、発言をいたします。
まず、例えば臨床情報の収集であるところとかは、実は医療DXと非常に密接に関係していますし、それから、データのクリーニングとかバリデーションを相当量精緻化しないと、3年後に独立してある程度の自立的な財源を確保するなどはできない状態なのです。なので、そういう意味で、医療DX、テクノロジーという面について皆様非常に発言をいただいて、これが重要だということは理解されていると思うのですが、なかなか厚労省内でそこの部分を理解していない方が結構いらっしゃるので、これは十分注意をしてもらいたいなと。そういう意味で言うと、一元化の質ぐらいで判断するものではないのです。例えば3文書6情報のデータをどう生かすかとか、二次利用基盤の話も密接に連携していますから、そういったことを包含して組織論を書かなくてはいけない。
それから、もう一個、来年の調達です。こういった予算配分についても、単純に解析センターにただつけるというのは絶対あり得ないわけで、ちゃんと業務にエフォートされる組織、そういったところに予算配分がきちんと流れるように、なおかつ透明性があるような形で、専門委員会にどういうふうに実務と予算が配分され、実際の実務体制ができるのかと。多少厚労省の味方をすると、もともとそんなに財源がたくさんあるわけでもないし恐らく定員も自由自在にあるわけではないので、今までのように何となく研究で携わればいいのかなでは駄目で、やはり真剣に患者還元に向けて研究される方、もしくは実務として事務を回す方、それから、システムの開発をされる方という実動員体制に向けてちゃんと透明性があるような予算と人員の在り方を示さないと、多分全く納得されないのではないかなというところです。それを必ず専門委員会に公表して、それで専門委員会が納得いただける形で進めるというふうにしていかないと、これは相当まずい。実は国家的事業でありますし、水澤先生も各先生方からもそういう発言がありましたが、私もそういうふうに思いますので、厚労省自身は重い責任を負っているのだなということをよく理解していただきたいなというところで、答弁をきちんとしてもらいたいということでございます。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、神里委員、お願いいたします。
○神里委員 どうもありがとうございます。
当初、これはGenomic Englandを参考にして実施組織を作るという構想を描いて議論を始めてきたと思います。ですので、今回の御提案を拝見して、随分と縮小されたという印象を持っています。やはりもともとの構想を実現する方向で今後も進めていくべきだと思いますので、8ページの○の3つ目、先ほどから御指摘なども出ていますけれども、3年を目途にその間の事業運営の状況を踏まえて、そして、そこからまた独自組織に移行する場合も含めた具体的道筋について検討するとありますけれども、そこから検討するとなると、また振り出しに戻ってしまう可能性がございますので、検討は継続して、今回は令和7年に設置しなければならないので、小さい形で始めるけれども、3年後には当初の目的どおりの組織を設置できる。そういう道筋で工程を組んでいただきたいと思います。
それで、○の1つ目のところで、先ほども事務局が強調しておられたとおり、実施組織は当面の間はNCCに置くということで当面ということを強調されておりましたので、そうなると、恐らくNCCに新たな場所、箱をつくるということではないのかなと考えています。かなりバーチャルの形で置くということであるならば、かなりの連携をして、NCGM等と連携も考えているのではないかと想像するので、やはりそこら辺の構想についても次回にでも明らかにしていただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の御指摘について、事務局、いかがですか。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 御指摘ありがとうございます。3年を目途にと書かせていただいておりますけれども、その間のまさに令和7年度以降の事業実施組織の活動というものも踏まえながら、しっかりとよく検討してまいりたいと考えております。
また、他の機関との連携ということでございましたが、水澤先生からも御指摘があったかと思いますけれども、ほかの組織との連携も含めてしっかりと考えていきたいと考えてございます。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、内山審議官、お願いします。
○内山医薬産業振興・医療情報審議官 医薬産業振興・医療情報審議官の内山でございます。
本日は様々な御意見をありがとうございました。
まず、事業実施組織の組織形態については、今回初めてお諮りをさせていただいたわけですけれども、これまでこうしたお諮りができなかったこと、時間がかかったことにつきましてはまずおわびをしたいと思ってございます。
一方で、私どもとしましても、省内でも多くの議論をしながら、苦しみながら、ある意味苦しみ抜いて今回の案を提示させていただいていることはぜひ御理解をいただきたいと思います。
また、国としてきちんとやることの表明として受け止めていただいた委員の方もいらっしゃいますけれども、私どもとしましても、この全ゲノム解析の事業につきましては、国として、言葉が適正かどうかは分かりませんけれども、きちんと取組をさせていただきたいと思ってございます。そういう意味では、骨太の方針などに定められているとおり、まずは7年度に実施組織を立ち上げる必要があると思ってございます。そこで、これまでこの全ゲノム解析に関わっていただいた委員の皆様、そして、研究者の皆様には、これまでも全ゲノム解析の取組、実績を重ねてきていただきましたけれども、さらにこの実施組織において取組、実績を積み重ねる必要があると考えてございます。
また、3年後の独自組織の検討について種々御意見をいただきました。この独自組織の検討でございますけれども、一般社団法人などならともかく、独立行政法人や特殊法人の形で設立をするということになりますと、現状では行政改革の観点からスクラップ・アンド・ビルドを行う必要がございます。すなわち、厚生労働省の所管しているほかの独立法人ないし特殊法人を廃止するということにしないと、独自組織ができないということになってございます。そうしたことも踏まえまして、3年間は現在のこの形でお話の出ました自立した事業モデルの構築などを進めさせていただければと思ってございます。具体的には、恐らく何例どの分野でどういうような全ゲノム解析をするのか、あるいは利活用、患者還元の分野で実績なり端緒をどれだけ出せるかといったことも踏まえて、この事業モデルの構築というのを進めていきたいと考えてございます。そうした意味で、7年度には事業実施組織を立ち上げることになってございますので、組織としては、これまで事務局からも御説明をしてきたとおり、NCCに当面置かせていただきたいということでございます。
また、中村委員や葛西参与からもお話をいただきましたように、やはりこの3年間で何をやっていくのか。先ほど言いましたように、どの分野でどのような解析を重点的に進めていくのか。あるいは利活用や患者還元をどのように進め、どのように国民の皆様にその効果を実感していただくのか。そうしたことの言わば工程表のようなものを描く必要があると考えてございます。それにつきましては、またこの専門委員会でも御議論いただければと考えてございます。
また、がんセンター(NCC)に置くことによりまして、難病あるいは新生児の分野といったがん以外の分野に関する懸念の声もいただいたと受け止めてございます。これも今まで課長等からお答えをさせていただきましたが、まず、この業務としては、厚生労働省の委託業務、委託事務としてNCCの他の業務とは独立して運用するということを想定してございます。あわせまして、これも説明をしてまいりましたが、運営委員会でそうしたほかの分野も一体的に進むように運営委員会を立ち上げ、その中で一体的に進むような仕組み、進め方をさせていただければと思ってございます。そういう意味で、難病や新生児の分野でも今後成果を上げられるような体制にするように、私どもとしても留意をさせていただければと思ってございます。
あわせまして、水澤委員からいただいた名称の問題、あるいは中村委員からいただいたそもそも日本の医療の質を上げるための議論をすべきではないかといった御指摘、さらに、加藤参考人からいただいたような患者さん、国民の方に向けて関係者の協力、連携、一体となって進めるべきではないかといった御意見、こうしたことについては、改めてこの委員会でも御議論いただければと思ってございます。
そういう意味で、重ねてのお願いになりますけれども、今回、8ページの御提案は、まず事業実施組織を7年度中に置かなければならないということが決まっている中で、まずは7年度にNCCに当面置かせていただいた上で、3年を目途に独自組織に移行する場合を含めた検討をさせていただきたいというものでございます。
本日いただいた、そのほか人材確保などの御意見につきましても、厚生労働省といたしましても皆様の思いに応えられるように対応していきたいと思ってございますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
これまでの委員、参考人の御意見を踏まえての厚労省からの発言でありました。
ほかに水澤委員から手が挙がっていますが、よろしいですか。
○水澤委員 今の御発言の前に手を挙げていたのですけれども、お話をまとめていただいてありがとうございます。どうしてもこれで行かねばならないのだという感じがいたしましたけれども、建設的なことというか、今後の組織形態ということになリます。私の経験ですが、私は国立精神・神経医療研究センターの理事長をしていた時期がございまして、私の前に存在しておりました自殺関連のセンターがございます。それを私どものNCNPから外しまして外に出すのだという議論があって、当初はそれは絶対にできないと私は聞いておりましたけれども、外に出すということが決まって、それは恐らく厚生労働大臣指定法人というものだったと思うのですけれども、現在活発に活動していらっしゃるように伺っております。そういった形のものは可能なのではないかということが一つです。
それから、現在もいろいろな領域で活動していただいているNCGMはナショナルセンターが6つございますけれども、多くの皆さんはあまり御存じないかもしれませんが、ほとんどのところは私どものところの精神・神経とか、がんとか、循環器とか、臓器別になっておりますけれども、NCGM 国立国際医療研究センターは全ての領域をカバーしていて、そういうことをもって今回国立感染症研究所と統合されたとも思います。したがって、書類上はNCGMは存在しなくなったのだと思うのですけれども、1つナショナルセンターの法人が減っている可能性がありますので、そうすると、新しいゲノムセンターというような形で、例えば全国ゲノム医療研究センターというのは、これは略語をつくるとNCGMになってしまうのですけれども、NCGEMあたりにして、新しい法人ではなくてスクラップ・アンド・ビルドという捉え方もできるかと思いますので、3年という目途になっているかもしれませんけれども、先ほど来話があるように、いろいろな議論はかなりされていますし、できるだけ早くきちんとした組織にしていただいて、世界に日本の実績を発表できるように、日本の国民がそれを享受できるようにしていただければと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それから、先ほど葛西参与だと思いますが、中期目標や中期計画の中にこの事業は反映されるべきとの御指摘がありましたが、この点は佐々木審議官の所管かと思いますので、しかるべき対応をしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○佐々木危機管理・医務技術総括審議官 危機管理・医務技術総括審議官の佐々木です。
今日この厚生科学審議会の全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会で国立がん研究センターに実施組織を置くということをお認めいただけるのであれば、私、もう一つ所管しております国立研究開発法人審議会等やしかるべき関係省庁との手続を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
本日は様々御意見をいただき、ありがとうございました。
そもそもこの事業実施組織は、令和7年度設置予定の事業に関して、患者還元を一義的に行う組織だという発言とともに、その集められる成果・データに関しては、生命原理の解明につながるような研究につなげていく、それから、ITの人材確保に関しても、IT技術の重要性、そのために自らIT技術を持つ必要があるという御指摘もあって、この事業組織が担うべき役割・機能が非常に多様であることも改めて認識したわけであります。今日の議論にもありましたが、2025年度にこの事業実施組織を設置するという時間的なリミットもあるということを踏まえて、厚労省から提案がありました委託事業として事業実施組織を国立がん研究センターに設置し、3年をめどに置くということと、独立した組織としてそれを位置づけるということの御説明がありました。この委員会が組織そのものを決定するものではないという前提があるものの、厚労省として、本日の議論を踏まえて、発足後においても本専門委員会においてその検証や3年を目途とした検討を着実に行うこと、さらには、本日様々な御懸念、課題点を御指摘いただいた点を踏まえて、継続的に専門委員会の御意見を伺っていくことを前提に、準備を進めてもらうようにお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(反対意見なし)
○中釜委員長 それでは、議題3「その他」について事務局よりお願いいたします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
次回の開催につきましては、委員長と御相談の上、追って御連絡いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
本日は、様々な御意見をいただき、誠にありがとうございました。議事についてもスムーズに進行することできました。御協力ありがとうございました。
以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。