2024年5月24日 薬事審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和6年5月24日(金)14:00~

会場

厚生労働省専用第21会議室

出席者

出席委員(18名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理 



欠席委員(3名)五十音順

行政機関出席者
  •  城克文(医薬局長)
  •  吉田易範(大臣官房審議官)
  •  中井清人(医薬品審査管理課長)
  •  野村由美子(医薬安全対策課)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、「薬事審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただきましてどうもありがとうございます。本会議はペーパーレスでの開催といたしますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点がありましたら、適宜事務局がサポートいたしますので、よろしくお願いします。
 本日の会議における委員の出席についてですが、浦野委員、松下委員、山本俊幸委員より御欠席との御連絡を頂いております。本日は現在のところ、部会委員数21名のうち18名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続いて、薬事審議会規程第11条への適合状況については、全ての委員の皆様より適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。委員の皆様におかれましては、会議の開催の都度、御協力を賜り誠にありがとうございます。
 続いて、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。令和6年4月1日付け薬事審議会確認の「薬事審議会の公開について」に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については、医療用医薬品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いします。
 審議事項議題1は資料No.1を用いますので、お手元に御用意をお願いいたします。それでは、清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 清田でございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、審議事項議題1に入ります。事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題1、生物学的製剤基準の一部改正について御説明をいたします。資料No.1を御覧ください。改正の内容は1ページの2ポツに記載をしておりますが、今回は「標準抗麻しん血清」に係る記載整備をするものです。背景としては、本年3月に生物基の改正をした際に、「一般試験法」の「麻しん抗体価測定法」という方法に、「酵素免疫測定法」という、略称EIA法と呼んでおりますが、そちらの試験法を追加する改正を行いました。当時、当該試験で用いる血清については、既存のものを活用できますので、特段の改正は行っておりませんでしたが、追加した方法で使用できるかどうかが分かりにくい記載となっておりましたので、今回使用できることを明確にする記載整備を行ったものとなっております。具体的な改正の仕方については、2ページ以降を御覧いただければと思います。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、ないようですので、議決に入ります。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席いただきますようお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議等を開始いたします。
──傍聴者 退室──
○清田部会長 準備が整いましたので、医薬品第二部会を再開いたします。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況について、御報告をお願いします。
○事務局 それでは、資料の確認をいたします。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~25を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは資料25に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた薬事審議会審議参加規程第5条、第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは次のとおりです。
 議題2の「コブゴーズ」、退室委員は中野委員、議決に参加しない委員は亀田委員、滝田委員です。
 議題3の「アビガン」、退室委員、議決に参加しない委員ともになしです。
 議題4の「ザビセフタ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、中野委員です。
 議題5の「リブテンシティ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、滝田委員、中野委員です。
 議題6の「タイフィム ブイアイ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員です。
 議題7の「タルグレチン」、退室委員は山口委員、議決に参加しない委員は亀田委員、南委員です。
 議題8の「オムジャラ」、退室委員、議決に参加しない委員ともになしです。
 議題9の「ハイイータン」、退室委員は山本昇委員、議決に参加しない委員はなしです。
 議題10の「レットヴィモ」、退室委員は山本昇委員、議決に参加しない委員は亀田委員、南委員です。
 議題11の「エザルミア」、退室委員は大隈委員、川上委員、山口委員、議決に参加しない委員は亀田委員、滝田委員、中野委員、南委員です。
 議題12の「希少疾病用医薬品の指定の可否」、退室委員は大隈委員、川上委員、亀田委員、安藤委員、山本昇委員、議決に参加しない委員は中野委員、南委員、山口委員です。
 議題13の「先駆的医薬品の指定の可否」、退室委員は南委員、議決に参加しない委員はなしです。
 また、議題14についても、各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事審議会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日の非公開議題は、審議事項13議題、報告事項6議題、その他事項1議題となっております。それでは、審議事項の議題に移ります。中野委員におかれましては、薬事審議会審議参加規程第5条に基づき、議題2の審議の間、会議から御退室して御待機いただくことといたします。中野委員は御退室をお願いいたします。
──中野委員 退室──
○清田部会長 それでは、議題2と議題14は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。議題2及び議題14について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。審議事項2、コブゴーズ筋注の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定及び毒薬又は劇薬の指定の要否について御説明いたします。「コブゴーズ筋注に係る追加検討の結果について」という資料を御覧ください。本品目については、昨年7月31日に開催された医薬品第二部会において継続審議となっておりました。こちらの資料の2ポツ目の前回の医薬品第二部会における議論を整理して記載しております。簡単に御説明申し上げます。
 いわゆる初回免疫における有効性を確認するために、バキスゼブリア筋注に対する中和抗体価GMTの優越性を検証したものの、バキスゼブリア群の中和抗体価が非常に低かったということ、また、追加免疫における有効性を確認するため、コミナティを対象として中和抗体価GMTの非劣性を検証したのですが、こちらについても、コミナティ群の中和抗体価が先行する他の臨床試験成績等から想定される中和抗体価の値よりも低いという結果であったという議論がありました。この原因を検討するために、中和抗体価の測定機関である○○○○○○○○○○○○○及び塩野義製薬に厚生労働省として調査に入りましたが、原因を確認することができなかったといった状況であったことから、承認申請時に提出されたそれらの臨床試験成績のみでは、本剤の有効性を明確に説明するのは困難と判断されました。一方で、申請後に参考資料として提出されたベトナムでの大規模発症予防試験についても評価するべきとされました。このため、当該臨床試験成績について、データの信頼性を確認することとされ、その評価結果をもって、次回以降の医薬品第二部会で改めて承認の可否等について審議することとされております。これが前回の部会での議論になるかと思います。
 こういった議論を踏まえまして、厚生労働省ではベトナム試験に対して調査を実施し、データの信頼性を確認するとともに、ベトナム試験との結果を今一度評価いたしました。まず、ベトナムの臨床試験に関する調査の結果ですが、別添資料2、立入検査等結果報告書の別紙を御覧いただければと思います。治験実施医療機関の一つである○○○○○○○○○の○○○○○○○○○○○○○という医療機関と、治験依頼者である塩野義製薬株式会社に対して、いわゆるGCPの遵守状況とデータの信頼性に関する調査を実施いたしました。その結果、本剤の有効性評価に影響を及ぼす可能性のある幾つかの事情はありましたが、最終的に本剤の有効性評価に大きな影響を与えるものはないという形で判断し、この臨床試験成績をもって本剤の有効性を評価することに支障はないものと判断しております。
 こちらのベトナム試験の結果については、別添資料3にまとめて概略をお示ししております。本剤のプラセボに対する有効率(以下、VEという)は、主要な解析において39.1%、最終解析において34.2%でして、事前に規定した基準である両側95%信頼区間の下限が30%を超えるということで、これについては達成はされなかったものの、別添資料2に示しておりますとおり、本試験はオミクロン株の流行下で実施されたものと考えられ、いわゆる起源株ワクチンである本剤のVEというものは、オミクロン株の流行下では一定程度低下するということは一般的に言われていることです。そういったこともありますので、いわゆる過去にSARS-CoV-2ワクチン接種歴及びSARS-CoV-2感染歴のない、いわゆるナイーブな者に対して本剤を4週間の間隔で2回接種した場合に、SARS-CoV-2による感染症に対し一定の予防効果が得られるということは確認されたものと判断しております。
 以上より、SARS-CoV-2ワクチンの接種歴及びSARS-CoV-2の感染歴のない者に対して本剤を2回接種することで、予防効果は得られるということを判断し、まずはこちらに示しておりますように、初回免疫に用いるワクチンとして用法・用量を整備した上で承認することは可能と判断しております。
 一方で、追加免疫に係る有効性ですが、別添資料4を御覧ください。本剤の、いわゆるオミクロン株XBB.1.5、こちらのワクチンを塩野義製薬で作り、同じくXBB.1.5のコミナティとの非劣性試験が昨年の11月から実施されております。こちらの試験について、速報として塩野義製薬から報告があり、中和抗体価の上昇に関して非劣性を検証することができなかったという結果でした。本剤以外の既承認のコロナワクチンについては、既に用法・用量のシンプル化を行い、いわゆる追加免疫を主とした用法・用量に整備しておりますので、本剤を今後そのようなワクチンとして使用できるようにするためには、更なる臨床試験による評価が必要ではないかと考えております。評価に関しては以上です。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年として、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に対して、委員からの御質問はありますか。
○事務局 すみません、部会長、生物基の説明の方も。
○清田部会長 では、続けてお願いいたします。
○事務局 こちらについては、議題14の生物基に関しても御説明させていただきます。資料No.13を御覧ください。今回の改正の内容を1ページの2ポツの(1)に記載しております。今回、コブゴーズ筋注の審議に際して、組換えウイルスワクチンとしては二つ目の品目になります。そこで、「組換えコロナウイルスワクチン」の基準について、製法の違い等を加味した規定の一部改正を行うほか、「外来性ウイルス等否定試験」については、ワーキング・シードやワーキング・セル・バンクで実施をせずとも、その大元となるマスターウイルスバンクにおいて実施されていれば、品質の担保は可能と考えられることから、ワーキング・シードやワーキング・セル・バンクにおける規定を削除するといった修正をしております。具体的な改正内容は、2ページから3ページの中段を御覧ください。生物学的製剤基準の改正については以上です。
 1点、部会の前に石井先生から質問を頂いておりますので、それについても併せて御説明させていただきます。石井委員より、「新型コロナウイルスワクチンの添付文書における有効成分名及び抗原株の記載に関する考え方を教えてください」という質問が来ております。「現在公開されている添付文書において、有効成分名やそれに対応する株の記載のないものがありますが、本品を含め、情報提供の観点からはいずれも記載することが望ましいと考えます。起源株については記載しないというルールでしたら、他品目等での手当が必要になるかと存じます。そういったことについて御説明を頂きたい」ということです。
 こちらについては、コロナワクチンの有効成分については、いわゆる国際名であるINNに基づきJANを取得して、その名称を記載しておりました。起源株に対するワクチンは、武田、塩野義、アストラゼネカ、ファイザー、モデルナといった初期のワクチンには有効成分名を記載しておりました。一方、当初は起源株に対するワクチンしか存在していなかったことから、明確に起源株ワクチンである旨を記載してはいなかったというものです。その後、オミクロン株へと推移していく中で、分かりやすさの観点から、国際的にもINNによる名称を付けないということ、その代わりに対象となる株名を表記していくという、そういう流れになっていきました。こうした変遷があり、国内においてもJANの取得は任意でいいという形にした代わりに、対象となる株名を記載するという運用に変わっていったものでございます。そういったことで、添付文書の時期によっては、いろいろ記載が混乱させるようなことになっておりますが、今後は株名を記載するという形に運用を整理していくことになっております。
 もう1点ございます。「ワクチンの承認前検査の結果について、以前は第二部会でも報告がありましたが、最近はないようです。承認前検査の実施の状況、現状について、差し支えない範囲でお教えください」という御質問を頂いております。こちらについてですが、承認前検査についてはコブゴーズ及びタイフィム ブイアイのいずれについても、国立感染症研究所において実施がされております。いずれの品目についても特段の問題は確認されておらず、部会資料としては非常に大きなものとなりますので、説明は割愛させていただいております。承認前検査において懸念が確認された場合には、その点も含め、これまでも説明させていただいているという状況です。以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。まず、石井先生、いかがでしょうか。
○石井委員 御説明ありがとうございました。今後はコロナワクチンの添付文書において株を明記していただけることが分かりましたので、よろしくお願いいたします。承認前検査についても問題なかったこと、今後も問題があった場合も御報告があること、承知いたしました。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、前回の審議の宿題は先ほど御説明いただいて、ある程度クリアしているということで、この時点での御質問を頂ければと思いますが、よろしいでしょうか。山口先生、どうぞ。
○山口委員 基本的には当局の御判断に同意です。一応、確認なのですが、最初のベトナムの試験に関して、結果的には事前に規定した基準に基づくプラセボに対する優越性は証明できなかったということで、原因はオミクロン株等の感染が多かったということですので、試験の目的はプライマリーエンドポイントはメットしなかったけれども、一応プラセボというか、ある程度の有効性は認められるということで、信頼区間の下限は30には届かなかったのだけれども、プラセボ等に対して差があるということで、特にナイーブな患者さんに関しては有効性が認められるだろうという、まずそういう御判断であったかと思いますが、それの確認が1点目です。
 それから、2点目が追加の投与、追加免疫に関してです。結果を見させていただくと、逆に非劣性が証明できなかったどころか、有意に負けてしまっているという結果ですので、そこは結果を判断した後、今後どうしていくかということは、当局と申請者と相談していくといったような、追加の臨床試験を行うのか、そこは分かりませんが、そういう評価であったかと思うのです。特に1点目は、最終的には臨床的な判断から、今回試験としてはあまりうまくいかなかったけれども、特にナイーブな患者さんに関しては有効性を認める、類推できるのではないかという御判断であったということで、その2点について私の理解で合っていますでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○事務局 事務局です。先生がおっしゃるとおりの判断でございます。プライマリーのエンドポイントであるプラセボに対する優越性の検証ということで、下限はクリアできなかったという、それは試験の統計的なところはそうですが、プラセボに対する数値としては確実に上回っていて、有効性があるという、ワクチンとしての予防効果は認められるという判断になります。
 もう1点、追加免疫のXBBの試験ですが、おっしゃるとおり成績としては非劣性は検証できなかったということですので、今後いわゆる他のワクチンと同じように、既承認のワクチンと同じように、いわゆる年に1回のワクチンという形で使っていくためには、そういった既存のワクチンと同じ程度の有効性が得られるということを何らかの形で説明する追加の資料、データ等は必要になると思いますが、そこについては塩野義製薬とまた相談、議論をさせていただいて、塩野義製薬の方で検討していただくという形になるかと思います。
○山口委員 承知しました。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問はありますでしょうか。
○宮川委員 宮川でございます。今の山口先生が御指摘になったことは非常に重要で、やはりそこはしっかりと明記して、現場で混乱がないようにしていただきたいということだと思います。資料の別添4を見れば、XBB1.5の差というのは明らかであるというのは分かるので、ワクチンの枠組みの中にどのようにこれを位置付けるかということは明確にしていただかないと、現場が混乱しますし、これが世の中に出てくるということになれば、誤用というような形になってしまうかもしれませんので、しっかりとした枠組みを作っていただいて、明確に臨床現場に分かるようにしていただくことが非常に重要なことと感じております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。貴重な御意見です。事務局、よろしいですか。
○事務局 はい。引き続き検討させていただきます。
○清田部会長 では、そのように検討させていただきます。ほかによろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。議題2について、亀田委員、滝田委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。まず、議題2について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 続けて、議題14について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として、薬事審議会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されています中野委員をお呼びください。
──中野委員 入室──
○清田部会長 続いて、議題6に移ります。議題6と議題14は関連する議題ですので、まとめて御議論いただくようにいたします。まず、議題6について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題6、医薬品タイフィム ブイアイ注シリンジの製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。資料No.5のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。本説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に青色で27分の幾つと記載されたページ数を使用します。
 本剤は、チフス菌から精製されたVi多糖体を有効成分とする腸チフスワクチンです。今般、2歳以上を接種対象とし、「腸チフスの予防」の効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本剤は、2023年9月時点で、米国、欧州を含む海外88の国で製造販売承認されています。本品目の専門委員として、資料No.24に記載の7名の委員を指名しました。
 それでは、本剤の開発経緯について御説明いたします。腸チフスは、ほかの病的症状をほとんど伴わない発熱から、著しい毒血症及びそれに関連する多数の器官への合併症と多様な臨床症状を示し、平均致死率は、治療を受けた場合は1~4%、未治療の場合や不適切な抗菌薬により治療された場合には10~20%と推定されています。腸チフスの流行地域への渡航者は、WHO、CDCそのほかの保健当局等により、腸チフスワクチンの接種を受けることが勧められていますが、現在日本で承認されている腸チフスワクチンはありません。本剤は日本渡航医学会、日本感染症学会及び日本小児感染症学会より、厚生労働省に開発に係る要望書が提出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて、本剤は本邦において医療上の必要性が高いと評価され、当時の厚生労働省医政局研究開発振興課長及び医薬食品局審査管理課長より、本剤の開発要請が当時のサノフィ・アベンティス社に対して発出されました。当該開発要請に基づき実施された国内第III相試験の成績等を踏まえ、本剤の製造販売承認申請が行われました。
 主な審査内容について御説明いたします。審査報告書の12ページ、表11を御覧ください。申請に当たり提出された有効性及び安全性に関する主な臨床試験の概要をお示ししています。有効性は、主に国内第III相試験(Study30)及び海外で実施された3試験(Study14、Study15及びStudy28)に基づき評価しました。審査報告書の13ページ、表12を御覧ください。国内第III相試験(Study30)では、2歳以上の健康小児及び健康成人を対象に、本剤の免疫原性が検討されました。主要評価項目とされた抗体陽転率(Vi抗体価がベースラインから4倍以上上昇した被験者の割合)は92%であり、事前に規定された閾値(75%)を上回りました。
 また、海外で実施された海外第I相試験(Study15)、海外第IIb相試験(Study14)及び海外第III相試験(Study28)においても、国内第III相試験(Study30)と同様の主要評価項目が規定され、いずれの試験においても77.7%以上の抗体陽転率が認められました。なお、1980年代に実施された本剤の有効性を評価した臨床試験において、本剤接種による腸チフスの発症予防効果は75~77%であることが示されており、そのときの抗体陽転率は62.5~100%で、国内第III相試験(Study30)で示された92%と、大きく異なるものではありませんでした。以上を踏まえ、2歳以上の日本人に対して、本剤の有効性は期待できると判断しました。
 次に、安全性について御説明します。審査報告書の18ページの表18及び19ページの表19を御覧ください。有効性を評価した三つの海外試験(Study14、Study15、Study28)及び海外第II相試験(Study29)、以下、4試験をまとめて海外試験と呼びますが、この海外試験と国内第III相試験(Study30)における本剤接種時の有害事象の概況、特定注射部位反応及び特定全身反応の発現割合を比較しています。国内第III相試験(Study30)で認められた特定有害事象及び非特定有害事象のプロファイルは、海外試験の成績と大きな違いは認められませんでした。
 また、国内外の臨床試験において因果関係ありとされた死亡例はなく、Study30において認められた重篤な有害事象として、成人被験者において急性胆嚢炎1例が報告されましたが、転帰は回復であり、本剤接種との因果関係は否定されました。また、海外試験において認められた重篤な有害事象についても、いずれも本剤接種との因果関係は否定されました。海外の製造販売後の安全性情報では、国内臨床試験では検出されなかったアナフィラキシー反応が報告されているものの、その報告頻度は100万回接種分当たり0.88例と非常に低く、最新の定期的ベネフィット・リスク評価報告書において、安全性に関する新たな懸念は認められていません。以上を踏まえ、2歳以上の日本人に対して本剤の安全性は許容可能と判断しました。
 次に、本剤の用法・用量について御説明いたします。審査報告書の22ページの真ん中辺り、「また」から始まる段落を御覧ください。本剤の申請時の用法・用量は「1回、0.5mLを筋肉内へ注射する」と設定されていましたが、臨床試験の成績及び海外での使用実績を検討した結果、皮下接種も可能となる内容に変更されました。国内第III相試験(Study30)では、筋肉内接種のみが検討されたものの、海外で実施された臨床試験では皮下接種も検討され、筋肉内接種と同程度の安全性及び有効性が認められています。また、本剤が承認されている80を超える国・地域のうち、ほとんどの国では接種経路として皮下接種が設定されています。以上を踏まえ、用法・用量を「1回、0.5mLを注射する。通常、筋肉内に接種するが、皮下にも接種することができる」とすることは可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないと判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事審議会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。議題14についてはいかがですか。
○事務局 はい。議題14について事務局から御説明いたします。議題14、生物学的製剤基準の一部改正についてです。資料No.13を御覧ください。改正の内容を1ページの2ポツの(2)に記載しております。今回、タイフィム ブイアイ注シリンジの審議に際して、精製Vi多糖体腸チフスワクチンとしては初めての品目となりますので、生物学的製剤基準に「精製Vi多糖体腸チフスワクチン」の医薬品各条を追加することとしております。具体的な制定内容は3ページの中段以降を御参照ください。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問をお受けいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようでございます。ありがとうございました。
 それでは議決に入ります。川上委員、中野委員におかれましては利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。まず、議題6につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようなので、承認を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。
 続けて、議題14について、改正を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようなので、改正を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題3に移ります。議題3について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料No.22、医薬品アビガン錠200mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.22のフォルダから「アビガン審議対応について」のファイルをお開きください。本剤については、令和6年5月9日の医薬品第二部会において、「第III相試験の主要評価項目である累積致死率が、点推定値の比較において事前の成功基準を満たしていないことから、有効な医薬品として承認することには懸念がある。少なくともヒトにおいて推奨用法・用量投与時に抗ウイルス効果が認められるということを何らかの形で示すべきではないか」といった御指摘があり、「全例調査において臨床的転帰等を調査することに加え、抗ウイルス効果の検討を含む製造販売後臨床試験を実施する方向で申請者と調整する。具体的な検討内容等については実施可能性も踏まえて検討した上で、次回以降の部会で報告する」としていたところです。
 今般、当該御指摘に対して、申請者である富士フイルム富山化学株式会社より、SFTS患者を対象とした製造販売後臨床試験の計画が提出されました。概要について、資料の2及び3ページを御覧ください。本試験では、SFTSの発症件数やウイルス量の測定検体を適切に取り扱える施設が限られていること等も考慮し、目標例数は4年間で50例とされています。また、ウイルスに対する中和抗体の産生がまだ少ないと考えられる発症早期の本剤投与による抗ウイルス効果を確認する観点から、投与開始7日後までのウイルス量や中和抗体価の推移を検討する計画とされています。本試験計画について、本剤投与後の早期段階における経時的なウイルス量変化を観察し得る計画であることが確認できたことから、本部会で報告いたします。
 なお、ウイルス量の測定タイミングについては、SFTS患者での出血リスク等を考慮し、提出された計画では、投与開始後3~5日目と7日目に設定されていますが、実臨床において、患者状態を把握するための採血が連日行われるような場合には、採血のタイミングをそろえることで、データの取りこぼしを防げる可能性があるのではないかとの考えを申請者に伝達し、申請者が医学専門家と協議した結果、必ずしも連日に採血を行うわけではないが、患者状態を考慮しても2日目にウイルス量の測定を追加することは可能との説明を受けております。
 機構としては、連日の採血を行う場合もあるということであれば、現状のスケジュールも許容できるのではないかと考えておりますが、最終的に2日目のウイルス検査を加えるかは、申請者側で本試験開始までに、医学専門家とも協議し決定されることでよいかと考えております。
 また、「in vivo試験におけるRNAウイルス量について、ウイルス接種後本薬投与までの期間が長いと抗ウイルス活性が減弱しているように見える。感染後一定の時間が経過して、効果減弱が想定される患者に対する投与について、添付文書で何らかの注意喚起は不要か」との委員からの御指摘がありました。御意見を踏まえまして、添付文書(案)「7.3 用法及び用量に関連する注意」の項に、「重症熱性血小板減少症候群ウイルス感染症の症状の発現後速やかに投与を開始すること」と記載することとしております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。今、御説明がありましたけれども、前回検討したばかりの案件ですので、御記憶もあるかと思います。御質問を承ります。いかがでしょうか。ある程度の宿題はクリアしていると判断してよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。横幕先生、どうぞ。
○横幕委員 横幕です。前回少し発言させていただいたので、追加で意見だけ述べさせていただきます。製造販売後臨床試験の実施について御検討いただいてありがとうございます。前回の部会で、この種のウイルスのウイルス学的な効果をin vivoで検討することはすごく難しいことはよくよく分かった上で発言しています。このように御対応を頂いて、本当にありがとうございます。それがまず1点です。
 あと、前回の発言の主旨についてです。有効性の評価のところで、少しゴールを動かしているように感じられました。そのため、せめてこういったものも追加で実施してはどうかという意見を申し上げました。本来の目的である死亡率の低下や重症化の阻止というものにこの薬が寄与することが一番大事なところです。もしそれが販売後に認められなかったり効果が不十分という状況になったときに、ウイルス量が落ちているということでこの薬が承認されたまま残るといった材料に使われるといったことは本意ではありません。あくまでもこの薬の有効性、安全性等々を検討するときの補強をするための材料を検討するという意味で、そのような検査をやっていただければと考えて発言させていただきました。そのように御理解いただければと思います。
 製造販売後のウイルス量の評価については、対象症例数が少ないことから難しいと思いますし、なかなか期待されるウイルス量の低下といった結果は出ないかもしれませんけれども、結果が出なかったときにどのように判断するかは、また販売元と検討いただければと思います。
 治療後のウイルス量に関して、まとまって非投与者を対象とした試験ををいろいろ探してみましたが、2021年の中国からの報告ぐらいしかないかと思っています。今回対象となる臨床試験の結果の解釈に、どれくらいこの中国からの報告を今回の申請のときに重視されたのか分からないのですが、ウイルス量が10を超えるかどうかで有意に有効性が違う結果が示されています。また、年齢においても有意に60歳未満で有効性が高いようです。
 さらに、感染早期に投与しなければいけないのではないかという論点も言われています。中国からの報告では、比較的低いウイルス量で60歳未満で感染早期に投与しないと、基本的に有意差をもって効果が出ないと考えられています。ウイルス量の推移も、高ウイルス量と低ウイルス量とで比較検討されています。これらの情報は、今回の承認条件では、特に年齢やウイルス量、感染後の日数などについて余り反映されていません。有効が劣るとある程度類推される、推定される患者群がいる場合、この薬を投与されることによって、逆に薬剤の安全性に対する問題が生じて不利益を被る患者がいてはいけないのではと論文を読み直して思いました。今回の臨床試験の結果の解釈においては、PSなどをマッチさせて検討されており、年齢等の条件も検討されているかと思いますが、今回の承認の条件に年齢やウイルス量といった辺りを特に書き込まなかった根拠というか理由などを最後に聞かせていただければ有り難いと思います。
○清田部会長 これに対してお答えになれますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明させていただきます。今回の臨床試験においては20数例で実施されており、年齢に関しては具体的なところを書いておりません。ただ、これから実施される製造販売後調査においては、患者背景として年齢も取りますし、発症からの日数も取って致死率を見ていくことになるので、その中で検討はできると思っております。
○清田部会長 横幕先生、よろしいでしょうか。
○横幕委員 では、今回実施された臨床試験上の判断であって、既存、既報の情報については重視、加味せず、あくまでも今回の臨床試験の結果に基づいた承認の条件であるという理解でよろしいでしょうか。
○清田部会長 それでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 横幕先生から御説明いただいた中国のデータも確認いたしましたが、製剤や用法・用量が若干違うところもありまして、今回は国内の臨床試験を中心に評価し、判断しております。
○清田部会長 横幕先生、よろしいでしょうか。
○横幕委員 中国の試験の方が我が国の試験よりも投与量が多いことから、承認される使用量で効果はどうかという気もします。国内の用量で日本人の体格で薬物動態等の観点から安全性等についても問題ないという判断というように理解します。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。大曲先生から御意見があるようです。大曲先生、どうぞ。
○大曲委員 まず、追加の御検討を頂きましてありがとうございました。その内容に関しては、私自身も了解といいますか、賛成であります。
 臨床的な観点からは、横幕先生のお話にもあったように、やはりちゃんとデータを取るということ、そもそも患者の予後が改善し得るという観点からも、これは部会の仕事ではないかもしれませんが、早期診断の啓発が必要だと感じました。これは専門の人間として別の場で議論をしたいと思います。
 1点あるのが、今回議論をさせていただいて大変難しいと思いました。難しさを考えていたのですけれども、やはり病気の特殊性というのはあると思います。一つは重篤性が非常に高い、死亡率も高いということです。ただ、相対的に比較的希少であると。こういう病気というのは、薬の開発は非常に難しいというのが実感です。コロナの場合は患者数が指数関数的に一気に増えたというところもあって、そのタイミングで治験ができたので、なんとか結果が出せたという面は正直言ってあると思うのですが、全てのこういう新興感染症、比較的希少だけれども重大な感染症がそうであるとは限らないと思うのです。
 現状での例を考えてみたのですが、同じアジアで見られる病気が日本にも入り得るというと、例えばニパウイルスの感染症がありますけれども、これはどんどん患者が出るわけではないです。でも、入ってくる可能性は想定し得るということを素朴に考えれば、薬の開発は必要だけれども簡単ではないというのは分かります。そのような疾病をターゲットにしたときの薬の評価ということに関しては、やはり少し整理をしてもいいのではないかと、前回も少し申し上げましたが、そう思いました。
 一つ例を挙げれば、天然痘の治療でテコビリマトという薬があります。こちらに関してですが、当然今は病気がないので、人間の有効性のデータは評価ができてないわけなのですが、諸々を加味してFDAは確か承認していると存じ上げています。そういう考え方もあるということ、外国にも実例はありますから、本邦でも事情は一緒ということを踏まえると、そうした枠組みを考えてもいいのではなかろうかというのが私からの意見です。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。貴重な御意見でした。ほかに御質問、御意見はありますか。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 今のお二人の意見は、非常に尊重すべきところがたくさんあると思います。どちらにしても、市販後の調査も含めて、ゴールのポストを動かさないというか、しっかりとした判断の中で進めていくことが必要で、その中でこの薬の有用性というか、非常に困窮している治療の方向性を見ていくことが重要なので、是非ともその線だけは譲らないようにしていただきたいと思います。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。南先生から御質問があるようです。どうぞ。
○南委員 質問というか意見です。非常にまれで重篤な疾患で、薬が必要というのはよく理解できるのですが、あくまでも市販後臨床試験なので、承認した後の試験なのです。では、その承認はどういうデータに基づいて承認するのかということがポイントになると思うのですが、少なくとも審査報告書では有効性が認められなかったと結論されているのに承認することの議論の筋立てをしっかりと記録に残しておいていただければと思います。
 有効性は証明はされなかったけれども、少なくとも示唆された、それはウイルス量などでもいいと思うのですが、示唆されたという論旨であれば、疾患の特殊性を考えれば承認も仕方がないという判断はできると思います。でも、有効性は認められなかった、示唆されなかっただけで終わってしまうと、それでも承認OKというのは、正直言ってこの部会としてはつらいものがあります。審査報告書を今から変えるのは無理だとは思いますが、この議論の繰り返しの記録を、有効性がウイルスの観点あるいはその他の観点から示唆されたぐらいの一言は欲しいと思いますが、可能でしょうか。そうでないと、有効性が示されなくても、疾患が重篤だったら何でも承認しますということになってしまいます。これは避けなければいけないと思うのですが、どうでしょうか。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○新薬審査第四部長 御指摘ありがとうございます。審査報告書の方では、試験としては検証できなかったということを書かせていただきました。ただ、その後のメタアナリシス等の結果を踏まえて見ると、考えられる致死率は試験の設定より少し高かったというのは一応理解できるところですので、そういう意味では、それに対して試験結果の致死率が低かったということは、我々としても理解はできるということで、南先生がおっしゃったような形で一応示唆されているということ、直接の表現ではないのですが、我々としても、推定されたものよりは試験結果の方が致死率は低かったというところは、ある程度理解できると考えております。
○清田部会長 南先生、よろしいでしょうか。
○南委員 分かりました。私の読み方が足りなかったということで、皆さんがそれで同意ということであれば、私はそれ以上言うつもりはありませんが、今後はしっかりと最初からそういう報告書を作っていただければ有り難かったと思います。
○新薬審査第四部長 すみません。南先生。決して御理解がということではなく、記載ぶりが明確でなかった点、お詫び申し上げます。今後、適切な記載ぶりを検討させていただきたいと思います。ご指摘、ありがとうございます。
○南委員 お願いします。
○清田部会長 ほかに御意見はありませんか。
○宮川委員 宮川です。南先生のおっしゃること、私はあえて先ほどゴールという言い方をしたのですが、それは南先生と同じなのです。つまり、致死率のところに言及しなければ承認ということにはなかなかいかない、ウイルス量の話だけではいかないと考えます。だから、致死率というところを曖昧に私はゴールと言ったのです。そのゴールをしっかりと見定めていくという何らかの明記が必要だろうというのは確かだろうと思いますので、そこは御配慮いただければ幸いかと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。よろしいですよね。
○新薬審査第四部長 はい。
○清田部会長 ほかに御意見はありませんか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようなので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 続きまして、議題4に移ります。議題4について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料No.3、ザビセフタ配合点滴静注用の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。資料No.3、審査報告書のファイルを開いてください。以降の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に69分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 グラム陰性菌による感染症に対しては、長年にわたりβ-ラクタム系抗菌薬が使用されてきましたが、近年は耐性菌の出現が課題となっており、特に大腸菌、肺炎桿菌及び緑膿菌ではβ-ラクタマーゼを介した耐性を有する場合が多いとされております。本剤は、既承認のβ-ラクタム系抗菌薬であるセフタジジム水和物に新規のβ-ラクタマーゼ阻害薬であるアビバクタムナトリウムを配合した注射用剤であり、主としてβ-ラクタマーゼ産生菌による感染症に対する使用を念頭に開発が進められました。
 今般、グラム陰性菌を起因菌とする複雑性腹腔内感染症、複雑性尿路感染症、院内肺炎及び敗血症における有効性及び安全性が確認されたことから、本剤の承認申請が行われました。本申請の専門委員として、資料No.24に記載の8名の委員を指名しました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。有効性について、審査報告書38ページ、表36を御覧ください。複雑性腹腔内感染症患者を対象とした海外第III相試験の主要評価項目である治癒判定時の臨床効果の有効率について、メロペネム(MEPM)群に対して、メトロニダゾール(MNZ)と本剤併用群の非劣性が検証されました。審査報告書51ページ、表61を御覧ください。同じく複雑性腹腔内感染症患者を対象とした国内第III相試験(C3591036試験)が実施され、海外臨床試験と遜色のない有効性が認められました。
 少し戻りまして、審査報告書43ページ、表45を御覧ください。複雑性尿路感染症患者を対象とした国際共同第III相試験では、主要評価項目である治癒判定時の微生物学的効果の有効率について、ドリペネム(DRPM)群に対して本剤群の非劣性が検証されました。続いて、審査報告書45ページ、表51を御覧ください。院内肺炎患者を対象とした国際共同第III相試験では、主要評価項目である治癒判定時の臨床効果の有効率についてメロペネム群に対して本剤群の非劣性が検証されました。なお、敗血症については大規模な臨床試験の実施が困難であることを考慮し、審査報告書52ページ、7.R.2.4項に記載のとおり、国内外臨床試験に登録された、敗血症の診断基準を参考に抽出された患者において一定の有効性が確認されたこと、敗血症の主たる原発感染症である肺炎、腹腔内感染症及び尿路感染症に対する本剤の有効性が確認されたことから、有効性は期待できると判断しております。
 次に、安全性について、審査報告書55ページ、表66及び67を御覧ください。国内外臨床試験では、本剤/メトロニダゾール併用群で悪心及び嘔吐の発現割合が高い傾向が認められた点を除き、安全性プロファイルに対照薬との大きな差異はなく、忍容性に大きな問題は認められませんでした。なお、セフタジジム水和物の添付文書で注意喚起されている重大な副作用については、本剤でも同様に注意喚起を行う予定です。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤の有効性は期待でき、安全性は許容可能と判断し、審査報告書66ページに記載のとおり、承認条件を付した上で、効能・効果、用法・用量を整備し、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。
 本品目は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事審議会には報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。なかなかいい薬の組合せだろうかと思います。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入ります。亀田委員、中野委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 続いて議題5に移ります。議題5について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.4、医薬品リブテンシティ錠200mgの製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。資料No.4、審査報告書のファイルをお開きください。以後の審査報告書のページは、審査報告書下段の63分の幾つで示している数字を使用します。
 ヒトサイトメガロウイルス(以下、CMVという)は乳幼児期に感染し、その後生涯にわたり潜伏感染をするウイルスであり、固形臓器移植(以下、SOTという)又は造血幹細胞移植(以下、HSCTという)の施行後は一般に免疫抑制状態にあることから、潜伏感染をしているCMVが再活性化して、CMV感染症を発生しやすくなり、その長期予後は不良とされています。
 本剤は、CMVのウイルスDNA複製、ウイルスカプシドの形成及び放出の過程で必要なセリンプロテインキナーゼpUL97の機能を阻害するマリバビルを有効成分として、既存薬が標的とするウイルスDNAポリメラーゼpUL54に耐性変異を有するCMVに対しても抗ウイルス活性があることが示されております。
 今般、国内外第III相試験の成績等から、臓器移植(造血幹細胞移植を含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のCMV感染症に係る効能・効果について、本剤の承認申請が行われました。本申請の専門委員として、資料No.24に記載の8名を指名いたしました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。
 有効性について、審査報告書50ページ、表50を御覧ください。既存の抗CMV療法に難治性のCMV感染症を有するHSCT又はSOTレシピエントを対象とした海外第III相試験(以下、海外303試験という)において、主要評価項目である試験開始後8週時点でCMV血症が消失した被験者の割合は、本剤群で55.7%及び治験担当医師が選択する他の抗CMV薬(以下、IATという)群で23.9%であり、統計学的な有意差が認められ、本剤の優越性が示されました。また、試験開始後8週時点で達成したCMV血症消失及び感染症状コントロールが試験開始後12~20週時点まで維持できた被験者割合も、本剤群で高い傾向が認められました。
 次に、同ページの表51及びその下から始まる文章を御覧ください。既存の抗CMV療法に難治性のCMV感染症又は無症候性のCMV血症を有するHSCT又はSOTレシピエントを対象とした国内第III相試験(以下、国内3001試験という)において、組み入れられた41例のうち、難治性のCMV感染症を有する被験者は3例であり、試験開始後8週時点でのCMV血症消失割合は33.3%、1/3例でした。日本人難治性のCMV感染症の臓器移植患者が限られており、海外試験との比較には限界があるものの、表51に示した海外303試験の患者背景別の有効性は本剤群で一貫していたこと、また、国内3001試験でCMV血症が消失しなかった被験者においても、CMV感染症に関して一定の改善傾向が認められたことから、日本人でも本剤の有効性は期待できると判断しました。
 次に、安全性について、審査報告書53ページ、表53を御覧ください。こちらには海外303試験及び国内3001試験に加え、難治性のCMV感染症を有する移植患者を対象とした海外第II相試験である202試験における試験成績も示しており、いずれかの本剤群又は本剤投与例での発現割合が10%以上の有害事象を示しております。海外303試験における全有害事象の発現割合は、本剤群及びIAT群でおおむね同程度でした。また、臨床試験では、味覚障害に関する事象が本剤群で高頻度に認められたものの、大部分は軽度であり、本剤投与中又は終了後に回復が認められていたこと、さらに日本人被験者で発現割合が特に高い特有の事象も認められなかったことから、安全性及び忍容性は許容可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は審査報告書60ページの承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。また、国内での治験症例が限定的であったことから、製造販売後には全症例を対象とした使用成績調査を実施する予定です。本品目は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しています。薬事審議会には報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。なかなか有効率がいい薬だなと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、議決に入ります。亀田委員、滝田委員、中野委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
○事務局 事務局です。大変失礼いたしました。先ほど、議題4のザビセフタの議論のときに大曲委員から挙手があったのですが、お伺いできなかったので、今この段階で改めて御発言を頂いてもよろしいでしょうか。
○清田部会長 大曲先生、すみません。
○大曲委員 いえ、手が遅くて申し訳ありません。すみませんでした。まず、審議事項自体は賛成であります。その上で1点だけコメントがあるのは、専門協議で頂いている御意見がすごく大事だと思ったので、私もそれに賛成したいと思います。
 具体的には、本剤は特定のβ-ラクタマーゼ産生菌に対する薬剤であり、非産生菌に対して前に使用されないよう申請者が周知することが重要であるという点です。最近も、β-ラクタム系の新規の抗菌薬が出てきていて、多剤耐性の、主にグラム陰性桿菌に効能があるわけなのですけれども、その中でもこの薬は特別だと思っています。具体的に言うと、日本では本当にまれで、たまに輸入例があるぐらいなのですが、KPCといういわゆるβ-ラクタマーゼ、カルバペネムを溶かす酵素ですけれども、産生菌に対して抗菌力と臨床的な効果を有するというのは非常に大きいと思います。
 実際に欧米では、KPC産生菌の感染症というのは重症例が、非常に予後が悪くて、治療のオプションがなくて大変苦慮されていたのが、この薬が出てきて明らかに治療の成績が改善してきたということがあり、それで、海外では、このKPC産生菌に対する致死性というか、一息付いたところはあります。すごく大事なお薬なのです。ただ、言い方を変えれば、KPC産生菌でなく、ほかの、要は表現型の菌に対しても使えてしまうわけなのですが、このコメントにあるように、本当は必要のない所でもどんどん使うと耐性菌が発生し、効かなくなるということは十分想定し得ます。この薬が使えなくなると相当に大きなダメージだと思いますので、やはり専門協議で示されたようなコメントということは非常に重要で、これは企業の側から責任を持って情報を発信するということが必要だと思います。もちろん我々専門家側からとしても情報提供していくということが必要だと思っています。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。貴重な御意見です。β-ラクタム系の細かい分類、何と言いましょうか、細かい方法がなかなか難しいものですから、表現型だけで勝負しなくてはならないという、そこの注意喚起は本当に重要だと思います。よろしくお願いいたします。それでは、戻ってよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、議題5が終わり、議題7に移ります。山口委員におかれましては、利益相反のお申出に基づき、議題7の審議の間、会議から御退室して御待機いただくことといたします。山口委員は御退室をお願いいたします。
──山口委員 退室──
○清田部会長 議題7について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料番号6、医薬品タルグレチンカプセル75mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について説明します。資料6、審査報告書の28分の3ページを御覧ください。
 本剤の有効成分であるベキサロテンは合成レチノイドであり、レチノイドX受容体に結合し、アポトーシス誘導及び細胞周期停止作用により腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。現在、本剤は皮膚T細胞性リンパ腫の効能・効果で承認されています。
 今般、本剤は「皮膚病変を有する成人T細胞白血病リンパ腫」を効能・効果として承認申請されました。令和6年3月時点において、成人T細胞白血病リンパ腫(以下、ATLという)に係る効能・効果で承認されている国はありません。本品目の専門協議には4人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料24を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国内第II相試験であるB-1801試験が提出されました。有効性について、審査報告書7ページの表5を御覧ください。皮膚病変を有するATL患者を対象としたB-1801試験において、主要評価項目とされた皮膚病変の評価指標であるmSWATスコアに基づく奏効率は、本剤300mg/m投与群で70.6%であり、当該結果には臨床的意義があると考えること等から、当該患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。
 安全性については、審査報告書10ページの「7.R.2 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において、特に注意を要する有害事象は、既承認の効能・効果に対する審査時等に注意が必要と判断された事象に加え、重度の皮膚障害と判断しました。これらの有害事象については、がん化学療法に対して十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の休薬・減量・中止等の適切な対応により忍容可能と判断しました。
 以上のような審査の結果、機構は「皮膚病変を有する成人T細胞白血病リンパ腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、希少疾病用医薬品として指定された効能・効果のみを有する医薬品に対する一般効能の追加に係るものであることから、本申請に係る効能・効果の再審査期間は5年10か月とすることが適当であると判断しました。薬事審議会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されている山口委員をお呼びください。
──山口委員 入室──
○清田部会長 続いて、議題8に移ります。議題8について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料No.7、医薬品オムジャラ錠100mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。資料7、審査報告書の109分の4ページを御覧ください。本剤の有効成分であるモメロチニブ塩酸塩水和物は、JAK1/2及びACVR1に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、JAK1/2及び下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害すること等により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。また、ACVR1のリガンドとの相互作用を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、循環血中の鉄濃度を増加させ、造血を促進すると考えられています。
 今般、本剤は「骨髄線維症」を効能・効果として承認申請されました。令和6年3月時点において、本剤は30の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議には8人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料24を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として海外第III相試験であるMOMENTUM試験及び国際共同第III相試験であるSIMPLIFY-1試験の成績が提出されました。
 有効性については審査報告書47ページの表41を御覧ください。脾腫を有する中間リスク又は高リスクでJAK阻害剤による治療歴のない骨髄線維症(以下、MFという)患者を対象としたSIMPLIFY-1試験において、主要評価項目とされた24週時点の脾臓容積がベースラインと比較して35%以上縮小を達成した患者の割合について、ルキソリチニブ群に対する本剤群の非劣性が検証されたこと等から、当該試験の対象患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。
 次に、審査報告書50ページの表43を御覧ください。脾腫、臨床症候及び貧血を有する中間リスク又は高リスクで、JAK阻害剤による治療歴のあるMF患者を対象としたMOMENTUM試験において、主要評価項目とされた24週時点の総症状スコア(以下、TSSという)がベースラインと比較して50%以上減少した患者の割合について、ダナゾール群に対する本剤群の優越性が検証されたこと等から、当該試験の対象患者に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書59ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象は感染症、骨髄抑制、肝機能障害、静脈血栓塞栓症、心血管系事象、悪性腫瘍及び間質性肺疾患であり、これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理、本剤の休薬、減量等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。
 以上のような審査の結果、機構は、「骨髄線維症」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事審議会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問を承ります。いかがでしょうか。
○亀田委員 すみません、亀田ですが、一つよろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○亀田委員 ありがとうございます。質問なのですけれども、本製剤が紹介されるときに、一番最初の所で、JAK1/2、それからもう一つというように書いてあったのですけれども、その後のキナーゼの阻害活性の所を見ると、特に1/2ということではないように思われたのですが、この辺りはどうなのでしょうか。例えば、審査報告書の8ページの表6の所を見ると、JAK1と3が同じぐらいですし、JAK2とTYK2が同じくらいにこちらだと見えてしまうものですから、「n=1」と書いてありますけれども、この辺りをちょっと教えてください。
○清田部会長 お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 確認ですが、先生の御指摘は、JAK1/2阻害剤という説明に対して、JAK1とJAK2をそれぞれ同じように阻害していないのではないかということでしょうか。
○亀田委員 いいえ、JAKの中では「1/2と書いてあるのですが、先ほどの表の所を見ると、決して1/2阻害薬ではないように見えたものですからということでの質問です。
○医薬品医療機器総合機構 失礼いたしました。JAK1/2阻害剤との説明に対して、JAK1、2だけでなく、JAK3も阻害作用も認められるのではないかという御質問でしょうか。
○亀田委員 そうです。あと、表6では、TYK2はJAK2と同じくらいに見えますので。
○清田部会長 表6ですよね。
○亀田委員 はい。IC50で見ると、JAK2とTYK2の比が4とか5ぐらいで、JAK1/3が20前後ですよね。そうすると、素直に見ればpan-JAKになるわけですけれども。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のように、表6の所でいうと、JAK1/2以外のものに対する阻害作用も認められるというのは御指摘のとおりかと思います。どのような結果をもって特異性があるとするかについて明確に結論付けることは難しいと考えていますが、本剤については、他の非臨床試験の結果からJAK1/2に対する阻害作用があると総合的に判断し、冒頭のところで説明させていただきました。
○亀田委員 そうしますと、ほかへの作用は比較的ほかのデータから弱いということで、例えばTYK2阻害薬のようなこともないし、またJAK3に関連するような有害事象とかその辺も少し少ないということなのでしょうか。これは有効性や安全性あるいはこの薬剤のほかへの適応拡大を考える上で非常に重要ですので御質問しております。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。例えばJAK3に対する阻害作用があることにより具体的にどのような有害事象が出ているかという観点での検討はしていませんが、現時点で得られている成績からは、本剤は既存のJAK阻害剤と比較して新たな安全性上の懸念は認められていないと考えています。
○清田部会長 よろしいですか。
○亀田委員 はい、分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問ございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。御質問がないようですので議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題9に移ります。山本昇委員におかれましては、薬事審議会審議参加規程第5条に基づきまして、議題9及び議題10の審議の間、会議から御退室いただき、御待機いただくことといたします。山本昇委員は御退室をお願いいたします。
──山本昇委員 退室──
○清田部会長 議題9につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料No.8、医薬品ハイイータン錠50mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるグマロンチニブ水和物は、間葉上皮転換因子(以下、METという)のチロシンキナーゼを阻害する低分子化合物であり、METのリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、MET遺伝子エクソン14(以下、METex14という)スキッピング変異を有する非小細胞肺癌に対して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。
 今般、本剤は「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として承認申請されました。令和6年2月時点において、本剤は中国のみで承認されております。本品目の専門協議には8人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料24を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。審査報告書29ページを御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、METex14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第I/II相試験であるGLORY試験の第II相パートが提出されました。
 有効性については、30ページの表27を御覧ください。GLORY試験の第II相パートにおいて、主要評価項目とされた盲検下独立評価委員会判定による奏効率は65.8%であり、95%信頼区間の下限値54.3%は、設定された閾値奏効率である30%を上回りました。当該成績に加えて、METex14スキッピング変異は、癌のドライバーであること等を考慮すると、METex14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、34ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象は、間質性肺疾患、体液貯留、肝機能障害、QT間隔延長及び腎機能障害であり、これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の休薬、減量等の適切な対応により忍容可能と判断しました。ただし、日本人を含む本剤投与例数は限られていることに加え、海外の製造販売後の使用経験及び安全性情報も極めて限られていること等を踏まえ、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。
 本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事審議会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。
○南委員 南ですが、よろしいでしょうか。
○清田部会長 はい、どうぞ。
○南委員 33ページの図1のWaterfall plotを見ますと、かなり縮小しているので、確かに効くことが分かるのですが、このように希少なクラクションに対して単群で評価する場合、Response Rateだけではなくて、奏効期間も重要だということはガイドラインで記載されていると思うのですが、奏効期間はどのくらいだったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 南先生、御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。今、御覧いただいた審査報告書の33ページの1ページ前の32ページの一番下に、なお書きで奏効期間を記載しており、8.3か月でした。
○南委員 分かりました。また、可能であれば効いた人での奏効期間だけではなくて、PRには至らなかったけれども、腫瘍がある程度縮小し維持できていたということも臨床的には重要です。縮小具合と奏効期間との関係を見るためにも、以前にも申し上げたことがあるのですが、是非スパイダープロットも作成し審査報告書への記載が無理であれば、臨床評価の概括報告書などの資料にでも付けていただければと思うのですが、お願いできますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。確かに以前、別の品目にて同様の御指摘いただいたところ、再度ご指摘いただくこととなり申し訳ございません。CTD2.5にスパイダープロットがないようでしたら、今後、別の品目等も含めて、記載をするように指導してまいりたいと思います。ありがとうございました。
○南委員 よろしくお願いします。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか、よろしいでしょうか。
○安藤委員 安藤です。
○清田部会長 はい、どうぞ。
○安藤委員 すみません、審査報告書の中を見逃したのかもしれませんけれど、このMETスキッピング変異に対して既に承認されているテポチニブとカプマチニブと比較して、今回の薬剤は何か非常に優れているようなところがあったというように機構の方では判断されているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 安藤先生、御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。審査報告書の7.R.4.1をご覧ください。
○清田部会長 何ページですか。
○医薬品医療機器総合機構 48ページの一番下の段落に類薬との使い分けに関する申請者の説明を記載しております。類薬と本剤の使い分けについては臨床成績がございませんので現時点で不明であり、各薬剤の臨床薬理学的特徴等を考慮して選択される旨を申請者は説明しております。得られた有効性の結果について、多少点推定値の違いはありますが、明確な差異は認められておりません。この臨床薬理学的特徴について具体的に申し上げますと、例えば併用注意とされている薬剤が異なること、また薬剤の投与タイミング、服用タイミングが異なること等を指しており、当該情報を踏まえて選択されるものと申請者より説明されております。
○清田部会長 よろしいですか。
○安藤委員 ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。ないようですので、議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可として、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題10に移ります。議題10につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題10、資料No.9、医薬品レットヴィモカプセル40mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について説明いたします。資料No.9の審査報告書の43分の5ページを御覧ください。本剤の有効成分であるセルペルカチニブは、RET等のキナーゼを阻害し、RETを介したシグナル伝達を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。現在、本剤は、RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌及び甲状腺癌、RET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様癌に係る効能・効果で承認されており、今般、RET融合遺伝子陽性の固形腫瘍に係る効能・効果及び用法・用量を追加する承認申請が行われました。
 令和6年2月時点において、本剤は非小細胞肺癌及び甲状腺癌を除く固形腫瘍に係る効能・効果に関して、5か国で承認されています。なお、本剤は令和5年8月の当部会における審議を経て、「RET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌(非小細胞肺癌及び甲状腺癌を除く)」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されています。本品目の専門協議には、4人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料No.24を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第I/II相試験である17001試験の成績が提出されました。
 有効性については、審査報告書の8ページの表2を御覧ください。RET融合遺伝子陽性の進行固形腫瘍患者等を対象とした17001試験において、第II相パートの本申請の有効性解析対象における奏効率は、化学療法歴のある患者が対象とされたコホート1で57.6%、化学療法歴のない患者が対象とされたコホート2で0%、腫瘍組織検体以外でRET融合遺伝子陽性が確認された患者等を対象としたコホート5で16.7%でした。10ページの表3を御覧ください。17001試験の対象患者における既存の二次治療の成績も踏まえると、17001試験のコホート1において認められた奏効率には臨床的意義があると判断いたしました。また、12ページの表6を御覧ください。17001試験に組み入れられたがん種ごとの奏効率は記載のとおりであり、複数例登録されたがん種では、おおむね奏効が認められました。
 以上の結果に加え、本剤が腫瘍細胞の増殖の本体であるoncogenic driverであるRET融合遺伝子を標的とした薬剤であること等を踏まえ、化学療法歴の有無に関わらず、RET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形腫瘍に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性については、14ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。RET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形腫瘍に対する本薬投与時に特に注意を要する有害事象は、既承認の効能・効果に対する承認時に注意が必要とされた事象と同様であり、がん化学療法に十分な知識、経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の用量調節等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。ただし、本申請の承認後には、臨床試験において組み入れられていないがん種や、臨床試験における検討例数が限られているがん種の固形腫瘍患者が投与対象となり得ること、小児患者に対する本薬の投与経験は限られており、骨成長に対する長期的な影響は不明であることを踏まえ、固形腫瘍による有効性並びに小児患者における骨端離開及び骨成長の異常を検討することを目的とした製造販売後調査を実施する必要があると判断しています。
 なお、17001試験において、第II相パートの本申請の有効性解析対象のうち、化学療法歴のない患者は5例と限定的であり、奏効例は認められませんでしたが、既承認のRET融合遺伝子の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌及び根治切除不能な甲状腺癌において、本薬の奏効率は化学療法歴のある患者と比較して、化学療法歴のない患者で高い傾向が認められていることも踏まえると、各がん種における標準的な治療の有無、当該治療の安全性プロファイル等を考慮した上で、本薬は化学療法歴のない患者における治療選択肢となる可能性があると考えています。
 以上のような審査の結果、機構は、「RET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形腫瘍」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、「RET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌(非小細胞肺癌及び甲状腺癌を除く)」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果に対する再審査期間は10年とすることが適当と判断いたしました。薬事審議会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がございましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されています山本昇委員をお呼びください。
──山本昇委員 入室──
○清田部会長 続いて、議題11に移ります。大隈委員、川上委員におかれましては、利益相反のお申出に基づき、議題11及び議題12の審議の間、会議から退室して、御待機していただくことといたします。また、山口委員におかれましては、利益相反のお申出及び薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題11の審議の間、会議から御退室して、御待機いただくことといたします。大隈委員、川上委員、山口委員は御退室をお願いいたします。
──大隈委員、川上委員、山口委員 退室──
○清田部会長 それでは、議題11について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題11、資料No.10、医薬品エザルミア錠50mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について説明いたします。資料No.10の審査報告書の29分の4ページを御覧ください。本剤の有効成分であるバレメトスタットトシル酸塩は、EZH1/2に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、EZH1/2のメチル化活性を阻害することでアポトーシス誘導を引き起こすこと等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。現在、本剤は再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫の効能・効果で承認されています。
 今般、本剤は「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果として承認申請されました。令和6年1月時点において、末梢性T細胞リンパ腫(以下、PTCLという)に係る効能・効果で承認されている国はありません。なお、本剤は再発又は難治性のPTCLとして、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されています。本品目の専門協議には、4人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料No.24を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第II相試験であるU202試験が提出されました。
 有効性について、審査報告書の9ページの表5を御覧ください。再発又は難治性のPTCL患者を対象としたU202試験のPTCLコホートにおいて、主要評価項目とされた奏効率は43.7%であり、事前に設定された有効性の判断基準を満たし、かつ臨床的に意義のある結果でした。以上の結果等により、本剤の一定の有効性が示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書の10ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤の使用時において特に注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果に対する審査時に注意が必要と判断された事象と同一であり、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の休薬、減量・中止等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られていること、本剤の本邦での製造販売後の安全性情報も極めて限られていることから、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としています。
 以上のような審査の結果、機構は、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されているものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が6年を超えていること等から、再審査期間は残余期間と設定することが適切と判断いたしました。薬事審議会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御質問を承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、滝田委員、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事審議会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されています山口委員をお呼びください。
──山口委員 入室──
○清田部会長 続いて、議題12に移ります。安藤委員、亀田委員、山本昇委員におかれましては、薬事審議会審議参加規程第5条に基づき、議題12の審議の間、会議から御退室し、御待機いただくことといたします。安藤委員、亀田委員、山本昇委員は御退室をお願いいたします。
──安藤委員、亀田委員、山本昇委員 退室──
○清田部会長 それでは、議題12について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 御説明いたします。資料ですが、順番に御説明いたしますので、資料No.11-2の事前評価報告書をお開きください。1品目目は「ベネトクラクス」ですが、予定される効能・効果は「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫(以下、MCLという)」です。対象者数については、MCLの総患者数は約2,000人と報告されており、再発又は難治性のMCL患者数については更に限定されると考えています。
 医療上の必要性についてですが、本疾患の患者の多くが初回治療後、高齢者で2~3年、若年者で約5年で再発又は再燃すると報告されています。再発又は難治性のMCLに対する治療については、イブルチニブや、ベンダムスチンとリツキシマブとの併用療法(BR療法)等が推奨されていますが、これらの既存治療を行った場合でも予後不良です。本剤とIBRとの併用投与の有効性・安全性をプラセボとIBRの併用投与と比較した海外第III相試験が実施されており、この結果、高い有効性が示されており、医療上の必要性は高いと考えています。開発の可能性については、この海外第III相試験に加えて国内第II相試験が実施され、近日中に申請が計画されています。
 資料No.11-3を御覧ください。「エンコラフェニブ」です。予定される効能・効果は「BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌(以下、CRCという)」です。対象者数については、本邦におけるCRCの総患者数は約48万8,000人ですが、BRAF遺伝子変異陽性の割合は4.7~6.6%と報告されており、本疾患の総患者数としては2万2,936人から3万2,208人と推測しています。
 医療上の必要性については、本疾患に対する一次治療は、BRAF遺伝子変異を有しない患者と同様の治療が行われていますが、既存の一次治療を行った場合でも予後不良となっており、複数の選択肢が臨床的に必要とされています。現在、国際共同第III相試験の成績より、有用性は一定程度期待されると考えています。開発の可能性についても、申請に至るまでに前述の第III相試験等において有効性・安全性を確認する予定となっています。
 資料No.11-4の「カナキヌマブ」を御覧ください。申請者は「ノバルティスファーマ株式会社」で、予定される効能・効果が「既存治療で効果不十分な成人発症スチル病(以下、AOSDという)」です。本疾患は指定難病に指定されており、患者数の要件は満たすと考えています。
 医療上の必要性についてですが、AOSDについては、副腎皮質ステロイドが標準治療として用いられていますが、十分な効果が得られていない患者も存在すること、ステロイドで効果不十分な場合には、治療選択肢が抗IL-6受容体抗体製剤であるトシリズマブのみと限られていることから、新たな治療選択肢が必要とされています。開発の可能性については、国内第III相試験実施中であり、この試験成績に基づいて承認申請をする予定です。
 最後に、資料No.11-5を御覧ください。「デュルバルマブ」です。予定される効能・効果は、「根治的化学放射線療法後に疾患進行が認められない限局型小細胞肺癌(以下、LD-SCLCという)」です。本邦における総患者数は約1万4,760人と推測しています。
 医療上の必要性についてですが、外科治療が適応とならないLD-SCLCに対する初回治療は、白金系抗悪性腫瘍剤及びエトポシドを用いた同時化学放射線療法が推奨されています。また、同時化学放射線療法後の維持療法として使用可能な薬剤はなく、経過観察が行われています。しかしながら、同時化学放射線療法を受けたLD-SCLC患者の75~80%に再発が認められ、予後不良とされています。開発の可能性については、第III相試験が終了して、近日中に承認申請される予定です。
 以上より、これらの品目について、希少疾病用医薬品の指定の要件を満たすと考えています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。ないようですので、議決に入りたいと思います。中野委員、南委員、山口委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、指定を可として薬事審議会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されています大隈委員、川上委員、安藤委員、亀田委員、山本昇委員をお呼びください。
──大隈委員、川上委員、安藤委員、亀田委員、山本昇委員 入室──
○清田部会長 続いて、議題13に移ります。南委員におかれましては、薬事審議会審議参加規程第5条に基づき、議題13の審議の間、会議から御退室して、御待機いただくことといたします。南委員は御退室をお願いいたします。
──南委員 退室──
○清田部会長 それでは、議題13について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 御説明いたします。資料No.12を御覧ください。「キセビナパント」です。申請者は「メルクバイオファーマ株式会社」、予定される効能・効果は「局所進行の頭頸部癌」です。
 指定要件の一つ目、治療薬の画期性についてですが、本剤は、頭頸部扁平上皮癌等で高発現しているXIAP等に結合し、抗アポトーシス作用を阻害することで、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられており、既承認薬と異なる新規作用機序を有する薬剤となります。
 指定要件の二つ目、対象疾患の重篤性についてですが、局所進行の頭頸部癌は予後不良であり、生命に重大な影響がある重篤な疾患と考えています。
 指定要件三つ目の対象疾患に対する極めて高い有効性についてですが、海外第II相試験の結果から、既存の治療法と比べて有効性の大幅な改善が見込まれると考えています。
 最後の指定要件四つ目ですが、本剤は世界に先駆けて又は同時に本邦で承認申請を行う予定と説明されており、指定要件を満たすと考えています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問がございましたら承ります。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、指定を可として薬事審議会に報告させていただきます。それでは、ロビーで待機されています南委員をお呼びください。
──南委員 入室──
○清田部会長 続いて、報告事項及びその他事項に移ります。報告事項議題1~6及びその他事項議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料No.14の一覧表を御覧ください。まず、報告事項の議題1、資料No.15関係です。「ベンリスタ皮下注」ですが、申請者は「グラクソ・スミスクライン株式会社」です。今回の申請の概要は、「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスに係る小児に関する用法・用量の追加」です。
 二つ目は資料No.16の関係です。「セルセプトカプセル及び同懸濁用散」ですが、申請者は「中外製薬株式会社」で、「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に係る効能・効果、用法・用量を追加」するものです。こちらは事前評価済み公知申請のものでして、既にこの部会で御報告したものです。
 議題の三つ目は資料No.17関係です。「アレモ」ですが、「ノボ ノルディスクファーマ株式会社」の申請です。取消し線部削除としていますが、今回「インヒビターを保有しない先天性血友病患者に関する効能・効果を追加」する申請があり、これまでの申請と併せて、「保有する」というものを消して、先天性血友病患者としてまとめさせていただいています。
 四つ目が「パラプラチン」です。「クリニジェン株式会社」の申請で、「子宮体癌に係る効能・効果、用法・用量」を追加するものです。こちらも、公知申請についての事前評価が済んでいるものです。これらの品目について、機構における評価の結果、承認して差し支えないと判断しています。
 続いて、議題5の関係です。承認条件についてです。対象品目は「ベレキシブル錠」です。こちらの記載のとおり、本剤については全例調査に関する承認条件が付与されていましたが、今般、全例調査に関する報告書が提出され、機構における評価の結果、適切に対応されたことを確認しています。
 議題6、再審査の結果についてです。今回御報告する品目が、こちらに記載の「サイラムザ」です。本品目について、製造販売後調査等の結果に基づき、機構において再審査が行われた結果、カテゴリー1、効能・効果、用法・用量のいずれも変更する必要のないものとして判断しています。
 最後に、その他事項として、資料No.21を御覧ください。最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定についてです。こちらに記載の品目、テビムブラ点滴静注100mgについて、本年3月25日に申請されており、本品目について最適使用推進ガイドラインを作成する対象として選定したいと考えています。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問はございますか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項及びその他事項については御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますか。
○事務局 次回の部会は、令和6年8月2日(金)午後2時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。お疲れさまでした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)