第187回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和6年11月28日(木)9:58~11:53

場所

全国都市会館 第1会議室

議題

  1. 1.医師偏在是正対策について
  2. 2.医療保険制度改革について

議事

議事内容
○姫野課長 それでは、定刻前ではございますけれども、皆様おそろいですので、ただいまより第187回「社会保障審議会医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、内堀委員、河野委員、村上委員、横本委員より、御欠席の御連絡をいただいております。また、前葉委員より途中から御出席なさるとの御連絡、菊池委員より途中で退席されるとの御連絡をそれぞれいただいております。
 また、本日の会議は傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信を行っております。
 会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方は御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○姫野課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理といたしまして根本和代参考人、村上委員の代理といたしまして小林司参考人、横本委員の代理といたしまして間利子晃一参考人、以上3名の出席につきまして御承認賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、早速議事のほうに入ってまいりたいと思います。
 本日は「医師偏在是正対策について」、2番目といたしまして「医療保険制度改革について」、この2点を議題といたします。
 では、まず「医師偏在是正対策について」を議題としたいと存じます。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○高宮参事官 医政局の医療提供体制改革担当参事官です。
 資料1を用いまして、医師偏在是正対策について説明をいたします。
 医師偏在是正対策につきましては、9月19日の医療保険部会で総合的な対策パッケージの骨子案を報告して、御意見をいただいたところです。その後、医政局の検討会などで、いただいた御意見も踏まえて検討を進めてきました。少し具体化をした案を検討会で検討しているところですので、本日はその検討会の資料を用いまして、現在の検討状況について報告をさせていただき、御意見をいただきたいと考えています。また、本日いただいた御意見を踏まえて、引き続き、検討、調整を進めていきたいと考えています。
 資料が多くなっていますので、ポイントを絞って説明をいたします。
 資料を1枚めくっていただいて、本年6月の骨太の方針2024です。医師偏在対策について、総合的な対策のパッケージを2024年末までに策定をするということとされています。
 その次の2ページ、厚生労働省のほうで8月末に公表しました総合的な対策パッケージの骨子案になります。こちらの項目について、今、検討を進めているということです。
 その次の4ページ、医療部会、それから医療保険部会に骨子案を報告した後、各種の検討会でこのようなスケジュールで今、検討しているところです。
 その検討会の中で、5ページのような医師偏在是正に向けた基本的な考え方というようなものも議論をしているところです。
 最初の一番上のポツで、これまで医師の配置は基本的に職業選択の自由・営業の自由に基づき医師が自由に選択することができるという考え方の下、僻地対策とともに医師養成課程での取組を中心にして進めてきています。
 しかしながら、今後、人口構造が急激に変化していく中で、医師配置の不均衡が拡大しかねない状況にあるということです。
 3つ目のポツで、このような中、従来の僻地対策を超えた新たな総合的な対策を講じていく必要があるのではないか。その際、これまでの若手医師を対象とした医師養成課程中心の対策から、全ての世代の医師へのアプローチが求められるということです。
 一番下のポツです。さらに、人口減少が進む中で、「保険あってサービスなし」という事態に陥る可能性があり、将来にわたって国民皆保険を維持し、こうした地域を守るため、国、地方自治体、医療関係者、保険者など全ての関係者が協働して医師偏在対策に取り組むことが重要としています。
 その次の6ページ以降は各項目ごとの案になります。
 最初が8ページ、医師偏在是正プラン・重点医師偏在対策支援区域の案になります。
 上のほうが重点医師偏在対策支援区域です。想定しているのは、1行目に書いてあるような、今後も一定の定住人口が見込まれるものの、必要な医師が確保できず、人口減少よりも医療機関の減少のスピードが速い地域など、僻地でなくても人口規模、地理的条件などから、医療機関の維持が困難な地域を想定しています。
 具体的には、その下のポツで書いてあるように選定をするということを考えています。重点医師偏在対策支援区域の設定に当たっては、都道府県において、厚生労働省が提示した候補区域を参考としつつ、地域の実情に応じて、地域医療対策協議会、保険者協議会で協議をして、重点医師偏在対策支援区域を選定することとしてはどうか。
 ※印で書いてあるように、地域の実情に応じて、二次医療圏単位、市区町村単位、地区単位などで柔軟に設定ができるようにしてはどうかと考えています。
 その下の医師偏在是正プランは、都道府県において、医師確保計画、より実効性のある取組を進める観点から、医師偏在是正プランを策定することとしてはどうかと考えています。
 定める内容はその下のポツです。重点医師偏在対策支援区域、それから支援対象医療機関、具体的な取組などを定める。策定に当たっては、こちらも、地域医療対策協議会、保険者協議会で協議することとしてはどうかとしています。
 スケジュールはその下のポツです。国の定めるガイドラインを踏まえ、まず緊急的な取組を要する事項から先行して策定していき、令和8年度にその全体を策定することとしてはどうかと考えています。
 次の項目は24ページです。医師少数区域などでの勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の拡大です。
 具体的には1つ目の○のその下のポツになります。対象医療機関について、医療法第31条において医師の確保に関する事項の実施に協力する、そのような義務が定められている公的医療機関、それから厚生労働省関係の国立病院機構・地域医療機能推進機構などの病院を追加してはどうかと考えています。
 医療部会あるいは検討会においても、管理者に求められる能力、経験は幅広いというような御指摘などもいただいています。そのため、その下の「他方」と書いてあるようなもの、それから3つ目のポツの「また」というようなもので、運用上の対応をしてはどうかと考えています。
 その下の2つ目で、勤務経験期間の延長は、現行の6か月以上から1年以上に延長してはどうかということで検討しています。
 その次の項目が31ページ、32ページになります。外来医師多数区域における新規開業希望者への地域で必要な医療機能の養成等の仕組みの実効性の確保になります。
 現行は、厚生労働省のガイドラインに基づく取組を行っていますが、医療法に規定をするということを考えています。
 具体的には1つ目のポツになります。都道府県において、外来医師偏在指標が一定の数値を超える地域における新規開業希望者に対して、開業の一定期間前に、提供する予定の医療機能などの届出を求める、その内容などを踏まえて、地域の外来医療の協議の場への出席を求めることができるようにする。また、地域で不足している医療機能の提供、医師不足地域での医療提供を要請することができることを医療法に規定することとしてはどうか。
 32ページで、その要請の実効性を確保するための仕組みとして、その下の矢印の1つ目で、医療法で、要請に従わない開業者に対して、勧告を行うことができる。勧告に従わない場合は、公表を行うことができることとしてはどうか。
 2つ目の矢印は健康保険法になります。要請・勧告を行った場合、保険医療機関の指定期間を6年ではなく3年とするなど、保険医療機関の指定権限に関する取扱いについてどのように考えるかということです。
 参照条文の下に3つ目の矢印が書いてあります。このような取組の在り方については、医療保険サイドでも議論を行ってはどうかということで検討しています。
 その下の保険医療機関の管理者要件については、3行目、保険医療機関に運営管理の責任者として管理者を設け、一定期間の保険診療に従事することを要件としてはどうかということです。
 次の項目が42ページ、経済的インセンティブになります。
 2つ目の○で、都道府県の医師偏在是正プラン全体の策定に合わせて、令和8年度から経済的インセンティブの本格実施とするよう検討すべきではないか。
 具体的な内容は、その下に3つ記載をしています。
 診療所医師が高齢化し、人口規模が小さい二次医療圏などで診療所数が減少傾向にある中で、重点医師偏在対策支援区域で承継・開業する診療所に対する支援を行うこととしてはどうか。こちらの支援については緊急的に先行して取り組むということで、国の経済対策のほうにも盛り込んでいるところです。
 2つ目のポツで、重点医師偏在対策支援区域内の一定の医療機関に対して、そこに派遣される医師、それからそこで従事している医師への手当の増額の支援を行ってはどうか。また、土日の代替医師確保など、そこの医師の勤務・生活環境改善の支援を行うこととしてはどうか。
 3つ目のポツです。重点医師偏在対策支援区域に医師を派遣する派遣元医療機関に対する支援を行うこととしてはどうか。
 その下の○で、その際、国において、事業費の総額を設定した上で、その範囲内で都道府県ごとに予算額の上限を設定する。その範囲内で支援を行うこととしてはどうか。
 その下の○、地域の医療提供体制の確保は、国と都道府県が連携して取り組んできたが、医師少数地域における適正な給付の維持・確保は保険者にも一定程度の役割、責任が求められる。重点医師偏在対策支援区域における支援のうち、本来診療報酬により賄われているが、特定の地域に対して診療報酬で対応した場合、その地域の患者負担の過度の増加を招くおそれがあるものについて、保険者からの拠出を求めることとしてはどうか。
 最後の○です。こうした支援の検討に当たっては、給付費全体の中でバランスを取る観点から、医師偏在是正のための診療報酬での対応を図ることが考えられるのではないか。
 そのほか、51ページ、中堅・シニア世代などの医師を対象とした取組も検討しています。全国的なマッチング機能の支援として、中堅・シニア世代等の医師を対象とした医師不足地域の医療機関との、マッチング定着支援など、それからその下の右側のリカレント教育、こちらも中堅・シニア世代などの医師に対する総合的な診療能力などのリカレント教育の推進の支援、一番下については、都道府県と大学病院などの連携パートナーシップ協定、医師派遣の調整機能などの強化を図るための連携協定を推進してはどうかという検討をしています。
 61ページ以降、医師養成課程の取組、こちらはまだあまり具体的な案にはなっていない、議論していないところですが、引き続き検討会で検討を進めています。
 項目としては、61ページからの臨床研修の広域連携型プログラムの検討、65ページ以降、総合的な診療能力を有する医師の育成・リカレント教育の検討、それから、69ページ以降、医学部の臨時定員についての検討、84ページ以降は、診療科間の偏在について検討を進めているということです。86ページにあるように、診療科間の偏在の対応について、下のほうの今後の方向性、診療科間の偏在への対策に資するための今後の医療提供体制の在り方の検討や専門研修制度の研修体制の在り方などについても、専門医機構、学会などとの関係者とも必要な議論、一番下の外科医師が比較的長時間の労働に従事しているなど業務負担への配慮・支援等の観点から、必要な議論を行うということで、検討を進めているところです。
 資料の説明は以上になります。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。
 オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
 では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 いろいろな検討会の場でも既に申し上げておりまして、若干繰り返しになる部分がございますが、御容赦いただければと思います。
 まず、本件はあくまでも「医師偏在是正対策」ですので、当然ながら多数対策と少数対策をセットで実施する必要がございます。これまでの医師不足対策で十分な成果が得られなかったことを踏まえますと、多数地域での過剰な開業を抑制することが不可欠でございます。診療科偏在や病院における医師不足も念頭に入れ、強力な規制を導入すべきです。
 具体的には、「少数区域での勤務を管理者要件とする医療機関の拡大」と「多数区域における開業制限」の2つがポイントになります。いずれも真の実効性を確保することが大変重要でございます。
 資料で申し上げますと24ページに出ています、医師少数区域における勤務経験を要件とする管理者の範囲については、可能な限り幅広い医療機関を対象とするべきです。
 また、資料の31~32ページの医師多数区域については、一定の基準を設定して、「過多区域」を選定する際に、対象となる区域が少なければ、少数区域へのシフトや病診偏在を是正する効果が限定的になることをしっかり認識していただく必要がございます。
 また、32ページに記載がございますが、都道府県の要請に応じず、かつ、勧告にも従わないという場合の対応については、ガイドラインで勧告等の基準を明確にした上で、地方における社会保険医療協議会の権限を強化し、保険医療機関の指定を行わないことを含め、開業時だけでなく更新の際にも厳しく判断をすべきです。
 最後、42ページの経済的インセンティブについて、今までも申し上げていますが、医療機関や医師個人の努力だけでは必要な医療を維持できない場合に、何らかの下支えをすることは理解できます。ただし、「医師少数地域における適正な給付の維持・確保は保険者にも一定程度の責任が求められる」と記載がございますが、一義的には、各保険者がそれぞれの加入者に対して負う責任でございまして、さらに現状、保険者間で財政調整をする仕組みもございます。保険料を保険給付以外の目的で使用することは、保険料を負担する被保険者、また事業主に対して説明がつかないと考えております。
 したがいまして、仮に保険者が責任を負うとしても、一定の範囲にとどめ、まずは行政の責任で対応することが前提であり、今まで以上に現役世代の負担増につながる拠出は到底受け入れられるものではございません。
 また、支援策の検討に対して、給付費全体でバランスを取ることは当然でございます。診療報酬で対応するとしても、税や補助金と明確に役割分担し、最低限、財政中立でディスインセンティブも含めてメリハリを利かせることで、医療界全体で財源を賄うべきだと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
 日本病院会として、今日、意見を述べさせていただきます。
 まず、医師少数地域で働くための要件とインセンティブについてですが、医師全ての年代を通して、医師少数地域で働くことについて、医師として、それから人としても、楽しいこと、いいことがあると感じられるような方策を考えることが大切ではないかと思います。これまでの制度の中で、改善策を考えるのは非常に難しいと感じておりますが、発想を変えて、医師少数地域で働く医師に対して税制優遇を行うなどの対策が必要ではないかということで、本日示されました医師偏在是正プランなどでの具体的な話が出てきておりますが、それに伴っての経済的インセンティブが示されたことに関しては、賛同いたします。
 それから、いわゆるメスを置いた医師などのベテラン医師が、キャリアチェンジに伴い、ふるさとUターンのような形で円滑に医師少数地域において働けるような仕組みがあるとよいのではないかと思います。その場合、働き方も多様に設定し、1週間働くこともできれば長期に働くこともできる。また、勤務時間も、フルタイムもあればパートタイム的な働き方もあるといったような選択ができるような仕組みを構築するとともに、複数の医師で対応できるように工夫し、マッチングする協議体等、地対協とかがもう少し内容を拡充してといったことで、そういうことができればいいのではなかろうかと思います。
 それから、医師少数地域で働くことが地域医療支援病院の管理者要件になっておりますが、その対象病院の範囲拡大の案が今、うたわれておりますけれども、管理者要件よりもむしろ専門医資格の更新におけるインセンティブにしたほうがいいのではないかと考えております。特に若者はワーク・ライフ・バランスを重要視するため、そこにインセンティブを付与する対策が必要ではないか。日本臨床外科学会による2020年度に実施しております若手外科医へのアンケート調査結果によれば、多くは家族のための時間を確保したいと考えており、具体的には1週間程度の連続休暇とか、子供の入学式・卒業式、出産の立会いなど、こうした具体的なことに職場の雰囲気から申請できないといったことのないように、普通に対応できるようにするべきではないかと考えます。その際は、不在となった医師の業務を相互補完できる対策も同時に行う必要があると考えます。
 2番目に、開業医などの規制、営利・非営利の問題についてですが、多くの若手医師が美容外科に流れ、病院の医師不足の要因になっていることが大きな問題でございます。営利主体の自由診療を規制すべきではないかと考えております。
 美容外科については、2年間の臨床研修修了後に、そのまま自由診療の美容医療の分野に進む、いわゆる直美と呼ばれているものが増えております。医師養成には国費が投資されており、国民の医療を守ることが前提となっていることを踏まえれば、一定期間、保険診療に従事させることなど、何らかの規制、対策は必要だろうと思います。
 医師法第7条第7項では、病院、診療所及び助産所について、提供する医療の非営利性を求めておりますけれども、営利を求めていると思われる美容外科は医療法に抵触しないのかということが考えられます。医療・介護における営利・非営利の問題について、具体的な法改正を含めた見直しが必要ではないかと考えます。
 次に、教育についてですが、いわゆるメスを置いた医師などのベテラン医師が、キャリアチェンジに伴い、医師少数地域で最も求められる総合診療能力、技術を得られるリカレント教育の体制整備が必要だと思います。そうした医師が、かかりつけ医機能の一翼を担えるようにすることが重要ではないかと。総合診療に関する専門医、基本領域での専門医を育成することは、現状、必ずしも順調に進んでいるとは言えないことを踏まえると、専門医育成とは異なる方法にも目を向けるべきであり、その観点から、医師のキャリアアップの一環として育成していくことが肝要ではないかと考えます。
 リカレント教育について、中堅以降医師の推進が示されておりますが、中堅医師というのは一番忙しい先生たちなので、中堅を含まない、もう少しベテランになった医師を対象とするほうがいいのではないかと思います。
 医師少数地域で働くことの意義をきちんと理解して、そういう意識を涵養するためには、養成課程に入る前の教育も必要だろうと思います。
 データについてですが、対策を検討するためには、地域別、診療科別の必要医師数を示す必要があるのではないかと思います。現在の医師偏在指標は、対象地域に勤務する医師の肌感覚とは乖離があると思います。よって、多い少ないについての考え方とか、多数区域と少数区域を把握する範囲及び算定方法の見直しが必要ではないかと思っております。
 インフラとしての医師についてですが、風潮として、国は医師を重要なインフラとして考えていないのではないか。前提として、医師を国の資産、人財として捉えた上で検討を開始しないと、本質的な改善につながらないのではないかと思います。
 診療報酬についてですが、医師少数地域で最も求められる総合医による診療を主軸に病院の運営を行ったとしても、診療報酬で適切な収入が得られない仕組みになっています。診療報酬と望まれる体制が結びついていないため、その是正が必要ではないかと考えます。
 関係機関の連携についてですが、厚生労働省の資料によると、医師少数地域等で勤務する理由の上位に、大学医局の人事異動、大学からあそこの地域に行ってこいというようなことで行かされるというのがありますが、それと同時に、都道府県が主体的に行う奨学金貸与について、一定期間、地域で勤務することを条件とした奨学金貸与の義務履行とされています。これが上位を占めている。そのことから、大学と都道府県が連携できれば、医師少数地域で働く医師が増えるのではないかと考えます。
 最後に、全体を通じて、医師を強制的に医師少数地域で働かせる方策を講じるよりも、これは日本医師会の考え方も同じでございますが、複数の対策を組み合わせて対応しなければ効果が上がらないのではないかと思います。地域医療を守る病院の体制を築くためには、医師に限らず看護師、薬剤師等の流出等も併せて対策を講ずる必要があるのではないかと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 医師の偏在問題は、将来的な課題だけでなく、既に顕在化してきており、国民が安心して医療制度にアクセスできるよう、取り組んでいく必要があると考えます。
 また、医療サービスは、公的な側面が非常に大きく、必ずしも市場原理だけによらないものであると考えます。
 こうした考えに基づき、偏在の是正に当たっては、規制的手法と経済的手法を組み合わせた実効性のある施策をお願いしたいと思います。
 なお、資料42ページの下段に、「全ての被保険者に広く負担いただくよう保険者からの拠出を求めることとしてはどうか。」との記載がございますが、保険給付と関連性の乏しい使途に保険料を充当することは妥当性を欠き、国民の理解を得ることが難しいと考えられますので、慎重にお考えいただきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
 医師の偏在につきましては、診療所や医師本人に対するいろいろな支援策が講じられていますが、もう少し家族への配慮ということも入れていただきたい。診療所の医師の年齢構成、43ページを見ると、高齢者が多いのですが、結構中年の方もいらっしゃいます。今、共働きが非常に増えていますので、医師本人だけを考えるのはちょっとまずいのではないか。ですから、配偶者の仕事にも配慮する。例えば両方とも医療職だった場合はかなり容易ですが、そうではない場合をどうするかということです。先ほどの御意見でも、家族との時間を楽しみたいというニーズもあるようですから、やはり家族への配慮が必要だと思います。
 どうしても一緒に異動できない場合は、単身赴任ということになるかと思うのですが、単身赴任になった場合には、特別の手当とか、交通費に対する配慮とか、そういうことをぜひ考えていただきたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、間利子参考人、よろしくお願いします。
○間利子参考人 ありがとうございます。
 医師偏在の是正に当たりましては、まずは実効性のある規制的手法を中心に対応すべきと考えております。あくまでもその前提の下に経済的インセンティブについて検討するということであれば、それは理解ができると思っております。
 ただ、42ページ、経済的インセンティブに関して記載がございますが、先ほども佐野委員から言及のありました保険者の責任といった記載については、やはり医師偏在は医療提供体制上の課題であって、基本的には国や自治体が責任を負うべきものだと我々も考えております。
 その上で、拠出の話も出ております。保険料は基本的に保険給付費に充てるために徴収しているものであって、医師偏在の是正のための拠出といった形で、保険料を保険給付以外の目的で使用することは、保険料負担者としても納得感が薄いと考えております。
 最後に、42ページの一番下の診療報酬に関する言及ですけれども、地域間・診療間、それから病診間の偏在是正に向けては、もし仮に診療報酬上の対応を講じるのであれば、過剰と過少の間でメリハリをつける形で対応することが基本であると考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
 医師偏在対策に関して、同じテーマが本日午後から医療部会でも行われると聞き及んでおりますので、ここは医療保険部会ということで、医療保険に関連のあることに集中してお話をしたいと思いますが、1点だけ全般的なお話をさせていただきたいと思います。
 医師偏在に関しては、現実的に今後の人口減少、また医療機関の形態の変化ということも踏まえながら、しっかりとした対応を各都道府県でもしていただくという意味において、医師偏在是正プランを策定していただくことは、非常に重要なことであろうと思います。
 その中で、24ページに1点だけコメントさせていただくとすれば、医師少数区域での勤務経験の考え方、取り扱い方に関して、現在も卒業年数によって6か月の連続勤務の必要性が規定されているわけですが、これから臨床研修、また専攻医のプログラムの内容、形によっても、その影響を受けると思いますけれども、ここは弾力的に断続性を持って、積算として6か月という形にしていただくことが、より機動的にそれぞれのドクターも対応できるかなと思いますので、ここは検討していただきたいということだけコメントさせていただきたいと思います。
 以降は医療保険に関連したことになろうと思いますけれども、まず32ページの上から2つ目の矢羽根ですが、指定期間に関して、何々することができることとするなど、保険医療機関の指定権限に関する取扱いについてどのように考えるかとあるわけですけれども、指定権限の取扱いに関しましては、指定取消しまでの対応ということが「など」の中に入っているという意味であろうと思いますけれども、これは従来から、ここにもアスタリスクで記載がありますとおり、憲法上の職業選択の自由と営業の自由、営業権との関係に抵触する可能性もありますし、指定におけるこれまでの長年の経緯もありますので、そういう意味においては、取消しまでの権限を与えることは強く反対をさせていただきたいと思います。
 かつ、規制をかける、特に開業規制をかけている先例として、ドイツ等諸外国の例もありますが、必ずしも規制をかければそのとおりに人が動くかというと、そのようにはなっていないというのはドイツ等においても見てとれるという報告もございます。ですので、必ずしも行った政策がその目的どおりにいくのかどうかということに関しては、より慎重に検討、議論していただきたいなと思います。
 次に、32ページの一番下の保険医療機関の管理者要件に関して、保険医療機関の責任者として、一定期間の保険診療に従事することを要件とすることに関しては、先ほど島先生もおっしゃっておられたと思いますけれども、そもそも保険医や保険医療機関として保険診療、保険請求を行うには、健康保険法などの各種関係法令に基づいて、しっかりと責任を果たす必要がございます。そういう意味においては、管理者として一定期間の保険診療の経験というものは、将来の地域医療を担う礎となるものと理解しておりますし、その保険診療には様々な要件も付してございますので、それらが医療の質を担保するものであるということによって、医療の質の担保もできるということも踏まえて、これはよろしいのではないかなと思います。
 続きまして、41ページ、42ページです。地域間・診療科間の医師偏在是正の観点から、診療報酬においてどのような対応が考えられるかということですけれども、当会として常々申していますが、我が国の公的医療保険制度は、いつでもどこでも誰でも平等に医療を受けられるという観点、そして患者負担も公平性がうたわれているわけですから、診療報酬は全国一律の公定価格と厚生労働大臣により規定をされているというのは、ここにおられる皆さんは周知の事実であろうと思いますし、そういう意味においては、報酬で対応するということはあり得ないだろうと思います。
 また、診療科間の偏在に関しても、今後、かかりつけ医機能報告制度が来年から始まりますし、それぞれのドクターも診療の幅を広げるということで、いわゆる地域を面で支えていきながら、質の高い医療を担保するということが取り組まれるようになろうと思います。そういうこともございますので、診療科間の偏在は、ただ診療科のドクターの数字だけを見てそのものを決めることは、なかなか今後現実にそぐわない状態になるということもしっかり理解をしていただいて議論していただきたいと思います。さらに言えば、診療報酬に関しての議論は、もちろん中医協での議論が主戦場になるということも申し添えたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、根本参考人、よろしくお願いいたします。
○根本参考人 ありがとうございます。
 医師の偏在是正につきましては、全国知事会としても極めて重要な課題と捉えており、11月19日に、福岡厚生労働大臣に対し、47都道府県の総意としての「医師偏在是正に向けた総合的な対策に関する緊急提言」について、社会保障常任委員会委員長の福島県知事より要請をさせていただきました。これを踏まえ、都道府県の立場より3点意見を申し上げます。
 まず1点目でございます。医師の専門分化や高齢化等、必要医師数の前提が変化している状況の中で実効ある対策を進めていく上では、どのような課題がどのような背景から生じているか、地域の実情を踏まえた課題の整理、可視化は必要と考えます。これは「総合的対策」を国民に示す上でも重要な視点だと思いますので、改めて体系的な整理をお願いいたします。
 2点目でございます。県全体として医師不足が深刻化している県への取組は不可欠であるとともに、中山間地域や離島などの医師不足、地域で必要とされる診療科医師の不足等、全国各地域で共通する課題が深刻化していることから、対策のさらなる検討をお願いいたします。
 3点目でございます。今般、医師の偏在是正、確保対策は地方創生を進める上でも極めて重要であり、国における直接的な対策に加え、地方においても実効性のある対策を講じる必要があることから、地域医療介護総合確保基金の拡充など、地方負担軽減への支援をお願いいたします。
 最後でございますが、国民健康保険の財政運営の責任主体としての発言となります。42ページでございますけれども、経済的インセンティブ(案)において、保険者からの拠出を求めることや診療報酬での対応が記載されております。検討内容は速やかに保険者に情報提供いただくとともに、あらかじめ丁寧に説明を行い、保険者の納得を得た上で検討を進めていただくようお願いいたします。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、中村委員、よろしくお願いします。
○中村委員 ありがとうございます。
 地域や診療科の医師偏在への対策としては、私はやはり外来医師多数区域における新規開業希望者への地域で必要な医療機能の養成等として提案されているいろいろな対策であったり、経済的インセンティブ、それから僻地や外科等の医師の労働環境の改善が必要だと思います。
 こういった避けられがちな地域や診療科で頑張ってくださっている医師の皆さんに感謝や尊敬の念をお伝えしたり、こういった仕事の重要性を医学教育の中で強調したりすることはもちろん大切だと思うので、ぜひ重視してやっていくべきだと思いますけれども、それだけでは偏在は解決しないのではないかと思います。
 それから、給与とか労働条件を改善せずに、医師として非常に重要な仕事だから、見返りなどなくても献身的にやってもらえますよねと言ってしまうと、かえってやりがい搾取として、言われた人が愚弄されたように感じてしまう、不信感を持ってしまうこともあるのではないでしょうか。それから、医師を目指す方の心にも響かないのではないかと思います。給与や労働条件というのは、そういった仕事を社会がどのように評価しているかというシグナルとしても機能していると思いますので、重要だと思います。
 ただ、そうしますと医師偏在の改善にはそれなりにコストがかかることが避けられなくなってしまいます。人口減少の中では、地域コミュニティーの数はどうしても減らさざるを得なくなって、もし既存のコミュニティーを全部維持しようということになると、僻地の数が非常に多くなるわけです。医師の地域的偏在を解消しようとしますと、そして解消できてしまうと、僻地、人口減少が著しい地域にとどまろうとする住民の方が増えてしまう可能性があって、人口減少が進む中でさらに僻地が増えてしまうということにもつながってしまうと思います。そうしますと、どこまで公的支出によって医師の地域的偏在を減らすのかということは、国民的議論が今後非常に必要になるのではないでしょうか。
 それから、資料の最後のほうで、外科医療の症例の集約化について、手術件数が多い医療機関や医師ほど治療成績がよくなるということが書かれていたのですけれども、外科における手術件数と治療成績に非常に強い相関があることはよく知られています。ただ、この相関が何によって生じているかというと、2つの相反する説明があります。
 一つは、practice makes perfectと言うのですけれども、件数が多いと熟練していって、手術が上手になって、治療成績がよくなるということです。
 もう一つの別のメカニズムとしては、患者は病院とか医師を選ぶことがある程度できますから、治療成績のよい病院に患者が集まることで、手術件数と治療の質、手術の成績のよさの強い相関が生まれるという話もあるのです。
 相関と因果関係の区別が非常に重要で、実証的にはいまだに国際的にもなかなか決着がついていない問題だと思います。なので、日本のデータでも因果関係の評価をきちんと行うことが重要だと思うのですけれども、そうしますとレセプトデータで医師とか医療機関が特定できるようなデータを研究者が使えることが必要になると思います。そうした形で外科医療の症例の集約化がどういう効果をもたらすかを予測できるような研究が行われていくことが重要だと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
 いろいろな論点がありますけれども、時間の関係がありますので、少し絞ってお話ししたいと思います。
 7ページからの医師偏在是正プランと重点医師偏在対策支援区域については、これを行政計画的な手法として捉えるとすれば、その実効性が重要なのではないかと考えています。今回の資料を拝見しますと、診療報酬による誘導的な手法だけではなくて、医師の過少地域、逆に多数地域の両方からアプローチする規制的手法が特徴ではないかと思っております。
 その点で2点コメントしたいと思っておりまして、1点はほかの委員からも指摘がありました24ページの管理者要件の関係なのですけれども、管理者というのは一定の法的責任が帰属するわけでありますので、例えば医療の安全体制の確保などが典型だと思います。そこに医師少数区域での勤務経験を課すことがどのような意味を持っているのかという点からいいますと、保険診療など地域の医療を適正に実施していくといったようなことでありますので、そういった一定のミッションとの関係では、公的医療機関などを追加するというのは理由があるのかなと私は考えております。
 2点目は、29ページからになりますけれども、外来医師多数区域における新規開業の関係であります。保険医療機関や保険医については、一定の保険料財源、税財源が投入されているわけですから、何らかの義務を負うというのは合理性があると思っております。今回の提案の場合、恐らく医療法のこれまでの病床規制と健康保険法の過剰病床の指定拒否制度、あるいは介護保険の総量規制と似たような面があるわけですけれども、過剰病床あるいは介護の過剰定員の場合は、給付費の増大といったようなことが前面に出ていると私は考えておりまして、先ほどもが御説明ありましたけれども、今回はむしろ「保険あってサービスなし」といった点からの需給調整というような色彩が強いのかなと思っております。そういう点では、介護保険の場合ですと公募指定制度をどう理解するかはありますけれども、規制というよりはいい事業者を選ぶといったようなプラス思考の側面もあるのだろうと思います。
 そうしますと、今回、規制規制というどちらかというと北風政策的な色彩が強く出ておりまして、むしろ不足している機能を充実させるという医療機関を優先していくといったような捉え方のほうがいいのかと思っています。
 そういいましても、どうしても職業選択あるいは営業の自由の問題がありまして、これもかつて薬局の距離制限の違憲判決はあったわけですけれども、最近、最高裁のほうから出ていますあん摩マッサージ指圧師の関係での視覚障害者への配慮、そういったところではむしろ合憲判決といったことであったと思いますので、そういった判例も検討しながら、立法事実に照らしながら、指定制度の関係でどの程度規制が可能なのか。例えば他事考慮にならないとか、あるいはデュー・プロセス的な視点、そして、やはり医師の偏在というところの基準が明確でないといかんともし難いわけでありますので、合理的な基準設定、その辺りを今後詰めていただければと思います。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、小林参考人、よろしくお願いします。
○小林参考人 ありがとうございます。
 まず、資料5ページ目に記載もあり、御説明・言及もございましたが、「保険あってサービスなし」という事態に陥ることなく、地域間、診療科間、病診間、それぞれにおける医師の偏在を是正することが重要です。そのため、医師の少数区域だけでなく多数区域も併せて、規制的手法を中心に、より強力な対応を進めていただきたいと考えます。
 資料の39ページ目には、ドイツにおける需要計画における医師偏在対策が紹介されています。先ほど、この課題について御指摘もありましたが、資料には、医師の均等配置などに資することが期待されているとの記載がありますので、今後、より詳しく資料をお示しいただくことを要望いたします。こうした対策などを参考に、実効性のある規制的手法を導入いただきたいと思います。
 また、資料の42ページに書かれています経済的インセンティブ(案)についてですが、4つ目の○、「医師少数区域における適正な給付の維持・確保は保険者にも一定程度の責任が求められる」とありますが、これまでの医療提供体制の構築に、保険者の声がどれだけ尊重され、反映されてきたのでしょうか。また、これまでも医師確保の経済的支援として、へき地保健医療対策や地域医療介護総合確保基金の一部で対応が取られてきたと承知しておりますが、こうした対策にどのような効果があったのかということも明確ではありません。
 基本的に、地域に必要な医療提供体制は都道府県が主体となって整備して、国が都道府県の取組を支援して、責任を果たすべきものと考えます。補助金との役割分担も明確でない中、保険給付と関連性の乏しい新たな経済的インセンティブをつくって、その負担を被保険者、患者に求めるという提案は、納得するのは難しいということを申し述べておきます。
 以上です。
○田辺部会長 では、原委員、よろしくお願いします。
○原委員 ありがとうございます。
 昭和23年に国保の運営が市町村公営原則に移行し、昭和36年の国民皆保険体制確立に向けて、関係者の方が国保の適用拡大に大変苦労したということを聞いておりますけれども、当時、関係者が最も気にかけたことは、住民から強制的に保険料を徴収する以上は、病気になったときに医療が受けられないという事態だけは絶対避けなければいけない、住民の理解は得られないのではないかということであったと聞いております。したがって、今日の資料にも出ていますけれども、「保険あってサービスなし」という事態は何としてでも避けなければならないと考えます。
 残念ながら、離島を含む僻地や過疎地域においては、医療機関は整備されず、医師をはじめ、医療・介護関係者が不足する状態が今日も続いております。このような事態をできるだけ解消するために、市町村国保においては、国保法に基づき、直営の診療施設をつくって医療の確保に努めてきました。また、国においても、離島振興法や過疎地域対策法など、いろいろな特別立法をして僻地医療対策に努めてきたところでございますけれども、こうした「保険あってサービスなし」の状態が、今日の本格的な少子高齢化と人口減少の進行によって、僻地、離島以外の地方の市町村においても現実になりつつあるという現状だと思います。
 最近では、オンライン診療の推進みたいなことがあって、これはこれで有効だと思いますけれども、やはり医療は対面診療が原則だと私は思いますので、限界があるのではないかと思います。
 それで医師の地域・診療科偏在の問題は、個人的なことなのですが、私が厚生労働省にいるときに、担当課長として取り組みました平成18年の第5次医療法改正のずっと前からこの問題はありまして、第5次医療法改正においてもいろいろ議論をして、それなりの対応はしてまいりましたけれども、力不足ということで、結局多くの課題が残ったまま来ています。
 もちろんその後は、大学の医学関係者、都道府県や国において、あるいは医療関係者において、いろいろな対策を講じてきていただいていますので、改善の方向には来ていると思いますけれども、残念ながら根本的というか、対策という意味ではまだ不足していると、このように考えております。
 自由開業医制を建前としている我が国の医療制度においては、今までのような医師の偏在対策には限界があると言わざるを得ないと考えます。規制的手法は、医療関係者から見ると抵抗のあるやり方かもしれませんけれども、医療保険制度の持続可能性を高めるために、医師の総数をある程度コントロールしようとする以上は、経済的なインセンティブや医師の養成課程における様々な対策と併せて、医療法のみならず、医療保険制度における対応も含めて、一定の規制的な手法も一部取り入れていく状況にあるのではないかと考えます。そのような意味で、今回の総合的な対策のパッケージの提案は時宜を得たものであり、細部については次回以降また詰めるとしても、早急に取り組むべきであると考えます。
 その際、こうした総合的な対策を講じるために必要な財源をどうするのかが大きな問題になってきておりますし、皆さんからもいろいろ意見が出ております。私ども国保も財政運営に苦労しておりますので、保険料財源の投入には手放しで賛成できるものではございません。しかしながら、保険料財源を医師偏在対策に投入する理屈は、「保険あってサービスなし」の解消、国民皆保険体制の堅持という基本的な考え方に立てば、十分根拠があると考えます。あとは具体的な対策の性格や内容に応じて、僻地対策関係各法において一定の責任を有する国等による公費負担との適切な組合せの問題ではないかと、このように考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 皆さんからも御意見がたくさん出ていますし、今日の説明にもありましたけれども、全国的に医師不足への不安、そして危機感が強くあると思います。特に医師確保の問題を抱えている自治体においては、首長ほか、本当に最重要課題の一つだと思っています。定住をするにしても、子育てをするにしても、医師の存在は極めて重要です。
 そしてまた、そのことを認識して、都道府県と言うべきよりも、県のほうが多いと思うのですけれども、この危機感がありまして、計画を持ち、対策に関していろいろな検討をされているところです。例えば、奨学金を設けるとかいろいろなことをされていますが、まだまだ効果が十分ではないという認識も各県にあると思っています。そういったことを踏まえて、今回の基本的な認識のところでは、関係者が全て協働して対策に当たるべきだというのも当然のことだと思っていますので、ぜひそうしていただきたいと思っています。
 なお、少し詳しく述べますが、二次医療圏ごとのデータが資料にも出ています。分析表記、しかも図示もされています。その中でも実際の経験として感じていることを申し上げますと、この二次医療圏の地図を見ている中の医療機関を見ていきますと、必ずしも満遍なくそこに満たされている、まあまあ大丈夫ということではなくて、中心部にはたくさん医療機関があるけれども、周辺部ではない、少ないというところも当然あるのが現実だと思っていますので、それに加えて医療アクセスの問題もありますから、交通機関も含めて、こういった格差もあるという現実をぜひ踏まえながら、今後の対策を検討いただきたいと思います。
 より細かな分析や対策が必要ということでございまして、例えば隣の二次医療圏に行ったほうが実は便利だというところもありますし、より高度な医療を期待する場合には、隣の県に行ったほうがより高度な医療機関が近くにあるということがありますので、単純に二次医療圏で全て賄うという発想ではなくて、人のモビリティーを考えたことも必要だと思っています。ですから、数値や区域の明示による単純な評価分析ではなくて、人々の移動、そしてニーズなども踏まえた対応をぜひ丁寧にお願いしたいと思っているところです。また、これらを踏まえて重点医師偏在対策支援区域を今後検討いただきますけれども、ぜひそういった意味で考えていただきたいと思っています。
 14ページからは、カラーマーキングを付された地図が全国の各ブロックごとに表示されています。これを見ていきますと、診療所の医師に関する今後の見通し、16年後までということで表示されています。この公表がなされるならば、恐らく一般の方はこの地図を見て、自分の地域は医師が今後足りなくなるのだという危機感を持たれる方も多いのではないかと思われます。
 ところが、一方には、大型病院や中型病院、あるいは大学附属病院という大規模・中規模の病院もあるわけですから、そこの説明もちゃんと加えていかないと、場合によってはデータが独り歩きして、不安感ばかり高まっていくこともありうるという課題があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 こうなっていきますと、医療体制の集約化は当然必要になりますので、これまでもこの数年間、医療供給の集約化が図られてきたと思っています。病院の統合に関しても、公立病院等について厚生労働省から発信もされ、我々も自治体として努力をしているところです。こういったことに関しましても、ニュース報道でぜひ正確に伝えていただいて、それぞれ改善の努力をしていることもお伝えいただければありがたいなと思います。
 42ページには経済的インセンティブのことが書かれています。「保険者にも一定の責任を求められる」という記述がございますけれども、先ほどから複数の委員の方から意見が出ていますように、この辺は慎重な対応が必要かなと思っています。この記述はどういった意味なのかなと思われる方も多いと思いますので、もし可能ならば補足をいただくと今後有効ではないかなと思います。
 その下のほうには、「地域間・診療科間の医師の偏在是正のために、診療報酬での対応を図ることを考えるべき」ではないかという記述がございますけれども、これも一つの有効な方法ですので、慎重かつ有効な策を模索するということで、ぜひ検討に踏み出すべきだろうと思います。
 先ほど来、出されている若手医師の育成を含め、今後の医師の確保について考えますと、46ページ目には若手医師が勤務先を選択する場合の事項について分析があります。大変厳しいなと、偏在で医師が少ないと思うと思います。例えばこう書いてあります。「収入が多いこと、勤務地が過疎地・僻地・離島でないこと、休日が多いこと、当直回数が少ないこと、同科の同僚の数が多いことなどが重視されている」という分析があるのです。これを見ていくと、今、医師不足で苦しいところは本当に厳しい状況だということを改めて認識されると思います。一方では、そこに進んでいく若手医師を育てる育成課程、養成課程でも、ぜひそのプロセスの中に、とても大切な、パブリックなミッションを担うという志を養成するようなこともぜひ考えていただけないかなと思っています。これは厚生労働省というよりは文部科学省の所管かもしれませんけれども、とても大切だと思っています。
 例えば、江戸期に大変活躍をされた緒方洪庵先生の適塾がありました。私も何遍も現地に行っています。適塾には、ドイツ人医師のフーフェラントの著書を緒方洪庵先生が、蘭訳書をもとに日本語に翻訳されて、『扶氏経験遺訓』というものが残されています。30巻もあります。その中に医師の倫理として『扶氏医戒之略』という12項目が記述をされているのです。恐らくこういったことに学んで、道徳律、倫理的なものをしっかり吸収しながら、医師として社会を担っていく、社会に貢献するということを育成されたと思います。その第1条には、「人のために生活して、おのれのために生活せざるを医師の本体とする」とありまして、やはり高い志の下に人々のために頑張っていこうということだと思うのです。こういったこともぜひ各医科大学、大学医学部等の養成過程の中に加味していただくと、とても大切な若手人材にパブリックなミッションを感じていただけるのではないかなと期待をしているところです。
 また、定住して働いていただくためには、いろいろなことで仄聞もしています。すなわち、医師の方のみならず、先ほども出ていましたその家族への対応、特にその中でもお子さんたちへの教育環境の整備も不可欠だと思います。あるいは、子育てに関しましてもケアが必要だと思っています。「そこの地域に行ってもちゃんと子育てケアはないわよ」とか、「お子さんの教育が心配で進学が心配だ」となると、ためらいも出ると思うのです。そういった意味では、各県ごとになるかもしれませんけれども、お子さんたちの将来進路をしっかり確保できるような教育も受けることができることも各県ごとに切磋琢磨して、よりよく高めていくことをしていかないと、なかなか医師の確保と定着、家族としての定着も厳しさは消えないと思いますので、こういったことも必要だと思います。
 あわせて、サポートする意味では、単に給与だけではなくて、例えば研修の学びの機会とか、研究のサポートとか、いろいろな必要事項もあると思うのです。そういったことも可能にしていくようなサポートも一方では考えていくべきではないかなと思っています。
 最後になりますけれども、地方の医療現場で奉職いただくことが、医師としての実力の向上や具体的な将来へのキャリアアップになるという体制、価値観の醸成も含むかもしれませんが、若手医師あるいは医学生の皆さんへの啓発の体制もぜひ充実していただいて、よりよい医療が今後とも確保できますことを心からお願いしたいと思っています。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
 医師偏在につきまして、地域医療の確保が非常に必要な課題であるということは、それは当然のこととして理解をしており、また、偏在の是正に向けて様々な取組を進めていく必要性は、自治体の長として十分に認識をいたしております。
 そう申し上げた上で、資料の42ページ、経済的インセンティブのことはいろいろと各委員から議論が出ておるところでございます。保険者からの拠出を求めることとしてはどうかという点でありますが、我が国の医療保険制度は、国民の疾病・けがに対する保険給付を目的としたものでございまして、医療提供体制の確保にまで責任を負うことについては、将来の医療保険制度の在り方を考えるに当たって非常に過度の負担となることは、十分に検討を重ねなければいけないと思います。
 仮に医師少数地域の医療提供体制の確保のための支援をやろうとした、言わば頭を一旦そういうふうにセットしてみて、それを全ての被保険者が広く負担し、拠出をしていくとなると、被保険者も含めた関係者が広く理解をする必要がありますが、その理解を得るのはなかなか容易ではないなと思われまして、この点、慎重な検討をお願いしたいなと思っております。
 医師偏在対策を医師少数地域だけではなくて、当該地域以外の方々にも広く財政負担を求めていくのであれば、医療保険制度に組み入れるというのはいささか無理があると思います。国策として対応をしていただくのが筋ではないかと考えております。
 今後につきまして、拙速に議論を進めるということではなくて、医療保険部会をはじめ、関係者の皆さんの御理解、御納得を得ることを前提として、丁寧に検討を行っていただきますよう、お願いを申し上げるところでございます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 私から1点だけ、偏在の問題は薬剤師にも同様にあります。先ほど島先生からもあったのですけれども、医師を取り巻く職種という部分にも十分考慮していただいて、タスクシェアによって医師の負担軽減に資していくということも併せて視野に入れて対策を取っていく必要があると思っていることだけコメントしておきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 医師偏在是正対策については、ある一定の取りまとめを行うということは伺っており、様々な要件の提示がされています。医師に関わることだと承知をしておりますけれども、歯科におきましても、令和4年10月末日で無歯科医師地区が全国で784地区もあります。増加する傾向にあり、「保険あってサービスなし」とならないように、医科・歯科問わず早急な議論が必要であると考えておりますので、歯科医師の地域偏在に関しても、議論の場は替わりますけれども、医政局の担当課において速やかに議論を進めていただければと思います。
 また、32ページの一番下段の○には、保険医療機関の管理者要件も記載されています。医療・介護の複数ニーズを抱えた高齢者の増加が見込まれる部分は、歯科医療も同様でありますが、管理者に関する要件など歯科医療機関にも関わってくることで幾つか懸念がありますので、歯科診療についても実態に即した丁寧な御対応をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、任委員、よろしくお願いします。
○任委員 ありがとうございます。
 持続可能な医療提供体制の構築に向けて、地域や診療科間での医師偏在の是正推進に向けて取り組むことは、非常に重要であると認識しております。
 一方で、医療提供体制の確保のためには、医師のみならず、看護職を含めた医療関係職種の確保が不可欠です。看護職におきましても、領域・地域別偏在が指摘されており、各地域で持続可能な医療提供体制を確保するためには、医療関係職種全体の確保についても、医師と同様に併せて検討していく必要があると考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかいかがでございましょうか。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 少子高齢化が進む中で、日本全国どこにいても必要な医療が受けられるよう、持続可能な医療提供体制確保に向けて、医師偏在是正は重要な案件だと考えております。
 一方、医師偏在是正を含む医療提供体制の整備につきましては、国の方針の下、都道府県が実施主体となって取り組んできているものだと認識しております。そのため、42ページに記載の「適切な給付を行うことは医療保険制度において保険者に求められる」、また、「医師少数地域における適正な給付の維持・確保は保険者にも一定程度の責任が求められる」、ことから、医療提供体制整備について保険者に拠出を求めるという説明については、論理的に飛躍を感じます。保険料を支払う事業主や被保険者にとって十分な説明になっていないのではないかと考えております。
 また、そうした保険者にも責任があるため拠出を求めるという説明では、今後、医療提供体制整備に関する事業であれば、際限なく保険料拠出を求められる根拠となり得てしまうのではないかという懸念もございます。そもそも大きな医療制度の中で、医療提供体制というサプライサイドと、患者として、被保険者として、医療を受けるというディマンドサイドを大きく分けて、この制度全体の均衡を図るというのが枠組みとして前提になっているのではないかと考えますので、この辺りについてよく議論をいただければと考えております。
 これまで医師偏在是正対策は、地域医療介護総合確保基金を活用して様々な取組を行ってきております。国の方針の下、都道府県が実施する以上、今回新たに講じる支援策についても、国と都道府県とが負担する総合確保基金の使途を精査していただき、総合確保基金による支援を拡充していけばよいのではないかとの考え方もございます。総合確保基金による施策と、今回の保険者に拠出を求めて行うという施策とが、どのように違うのか。なぜそういう整理となっているのか、この辺りについても御説明いただきたいと考えております。
 最後に、外来医師多数区域における取組として、保険医療機関の指定権限や管理者要件が論点とされておりますが、これも含めて、規制的手法によって医師偏在の是正につながる真に実効性のある踏み込んだ対応を行っていくべきではないかと考えているところであります。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 実に様々な御意見をいただきましたけれども、ほかに御意見がなければ、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
 事務局におかれましては、本日いただいた意見を踏まえまして、引き続き議論を深めていかれますよう、お願いするところでございます。
 次に「医療保険制度改革について」を議題としたいと存じます。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
 タブレット、資料2「医療保険制度改革について」をお開きください。
 右下のページ1~4ページ目までが、前回の医療保険部会、先週開催して御議論いただきましたけれども、先週の医療保険部会における御意見ということで、事務局のほうで各委員からの御意見の要点をまとめさせていただいたものでございます。
 全体としては、高額薬剤等が登場する中において、全体の医療費が高額化している中で、高額療養費の見直し、一定程度の引上げについてはやむを得ないのではないか、必要ではないかという意見が多かったかなとは承知しておりますけれども、他方で、受診控えにならないようにとか、あるいはセーフティネットとしての役割がしっかり果たされるようにとか、あるいはデータはどういうものがあるのか、その辺りも整理をいただきたいといった御意見もいただきました。また、負担能力に応じた負担という全世代型社会保障の観点から、所得区分の細分化もやっていく必要があるという御意見が中心であったかなと思っております。
 そういう中におきまして、1週間ばかりの間でありますので、データの準備等についてはなかなか限られる部分もありますので、その点については御容赦をいただければと思いますけれども、御用意できるデータを御用意したというのが今回の資料でございます。
 5ページ目は、前回の医療保険部会にお出しした資料でございますので、説明は割愛させていただきます。
 右下6ページ目でございます。高額療養費の支給実績、令和3年度ということで若干古いデータではございますけれども、2021年度の高額療養費の支給実績でございます。
 左側に協会、組合健保、共済組合、市町村国保とございまして、それぞれ合計に各保険者ごとの件数、金額、また1件当たりの金額を整理してございます。
 また、右側はうち多数回該当分でございまして、高額療養費につきましては、4か月以上に該当する場合には多数回該当という形で、負担上限額が軽減されるという仕組みがございますけれども、それぞれ保険者別に数字を整理しております。
 ただ、注に、小さい字になっておりまして恐縮でございますけれども、高額療養費には現物給付と現金給付がございますけれども、協会と組合健保は、うち現金給付分のみの数字となっております。また、共済組合と後期高齢者につきましては、多数回該当分の数字は把握できておりませんので、そういう点につきましては数字に若干凸凹がございますけれども、その点はデータの捕捉の限界ということで、御理解をいただければと思っております。
 右下7ページ目につきましては、高額療養費の推移です。先ほどは令和3年度(2021年度)のワンショットの数字でございましたけれども、こちらは平成24年度(2012年度)からの約10年間近くの数字を時系列で並べているものでございます。保険者別の数字、また、こちらにつきましてはマクロの数字でございますので、現物・現金とそれぞれ支給件数、支給金額、1件当たりの金額を整理しているものでございます。
 右下8ページ目は、健保組合における1000万円以上の高額レセプトの件数の推移でございまして、前回、先週の医療保険部会でも、健保組合の1000万円以上の高額レセプトのお話がございましたので、それについて私どものほうで公表データを基に高額レセプトの件数の推移を整理したものでございます。平成22年度は174件であったものが、令和5年度につきましては2,156件と、件数が10倍以上に増加しているというものでございます。
 右下9ページ目、外来の受診動向でございます。医療給付費の実態調査を基に、レセプトを合計した上で特別集計したデータでございます。
 9ページ目の左側に、年間で外来受診した患者の割合と書いてございます。こちらにつきましては、保険者別に年に1回でも外来を受診した方について「受診あり」というところにカテゴライズをしてございますので、大体どの保険者につきましても8割以上、後期高齢者については95%の方が少なくとも年に1回は外来の受診ありとなっております。
 「受診あり」の方だけを抽出した上で、「受診あり」の方が1年間の間にどれくらいの月数受診をされたのかを整理したのが9ページ目の右側の棒グラフになってございます。例えば後期高齢者医療の方であれば、外来受診者のうち約4割の方が12か月のところが40.6%となってございますけれども、毎月診療を受けておられて、11か月受診されておられる方が11%ですので、11か月以上受診されておられる方が全体の約半数となってございます。
 他方で、組合健保や協会につきましては、どちらかというと年に1か月とか2か月とか外来を受診されておられる方が全体の3割ぐらいでございまして、11か月とか12か月の方は比較的割合としては少ないというデータでございます。
 続きまして、10ページ目は外来特例に該当する患者の割合でございまして、高額療養費の中の外来特例に該当する患者の割合だけを抽出しているものでございますので、70歳以上の方が対象となります。外来の特例につきましては、外来の月額上限と外来の年間上限がございますけれども、まず10ページ目の上側、外来の月額上限に該当する患者の割合でございます。外来の月額上限につきましては、非課税世帯の方が月8,000円、75歳以上の場合には、一般の窓口1割の方、窓口2割の方とございますけれども、こちらの方については1万8000円となってございます。
 まず10ページ目の外来の月額上限の左側、70~74歳の方々については、そもそも医療費が自己負担割合2割でございますけれども、低I、低II、月額上限8,000円と書いている非課税世帯の方については、年間に1回でも外来特例に該当する患者の割合は約半数を占めておられるということでございます。
 他方で、一定の所得がある一般という区分の方については、約2割弱の方が少なくとも1年間に1回以上は外来特例に該当しているということでございます。
 他方で、75歳以上の方につきましては、月額上限8,000円の方、それから月額上限1万8000円の窓口1割の方については、自己負担割合が1割でございますけれども、月額上限8,000円の方については約3分の1が該当あり、他方で、一般の窓口1割の方については8.2%の該当ありとなってございます。
 他方で、窓口2割負担の方、現役時代ある程度収入があった方となるかと思いますけれども、そういう方々については、月額上限自体が1万8000円となりますが、該当ありの方は約27.8%となっております。
 他方で、10ページ目の下側、外来の年間上限というところでございますけれども、外来の月額上限、例えば8か月分ぐらいに該当すれば14.4倍になるわけでございますが、この年間上限に該当する患者さんの割合は70~74歳または75歳以上につきましても、比較的割合としては少ない数字となってございます。
 続きまして、右下11ページ目は、後期高齢者医療制度における受診率、1人当たり診療費の推移でございます。受診行動の分析ということで、どこまで取れるのかということで、今あるデータを今日お出ししているものでございますけれども、約10年前、平成27年に実質的には今の高額療養費の仕組みになったわけでございますが、特に高齢者につきましては、70~74歳については2割負担が始まったということもあったものですから、高齢者の高額療養費の自己負担の上限額、また外来の上限額につきましては、平成29年と平成30年から2段階で施行させるという形にしております。ですので、平成29年、平成30年をブルーでハイライトしているところでございますけれども、受診率、1人当たり診療費を見ましても、令和元年までは横ばいあるいは若干凸凹はございますけれども全体としてはやや上昇傾向で推移をしている。他方、令和2年、コロナの関係で受診率自体はかなり落ちているというデータとなっております。
 右下12ページ目は、年齢による医療費と負担額の違いでございまして、横軸が年齢となっております。もちろん当然でありますけれども、年齢が高くなるにつれて、青い棒グラフの部分、全体の医療費が高くなるわけでございますが、他方で、下の自己負担であったり保険料の負担額については、年齢が高い方よりは現役の方のほうが高くなるというグラフでございます。
 以下、参考資料でございますので、説明は割愛をさせていただきます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願い申し上げます。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 今回、事務局のほうで様々な角度から分析データを提示いただいたことに、まず感謝を申し上げます。
 その上で、高額療養費の見直しについては、本制度の大きな目的である「セーフティネット機能の発揮」と「保険料負担者の納得感」をいかに両立させるか、言い換えますと、「給付を受ける側」と「負担する側」のバランスをどう取るかということに尽きるのだろうと考えております。その上で、今回の資料について何点かコメントをしたいと思います。
 まず、「セーフティネット機能」について申し上げますと、資料の6ページにありますように、協会けんぽや健保組合の高額療養費は1件当たり10万円を超えており、突発的に発生する高額な医療費リスクをカバーする、セーフティネットとしての役割を十分果たしていると考えております。
 一方で、高額療養費の内容の変化も顕著に出ております。全体の金額もここ数年大きく伸びておりますが、8ページのグラフにあるように、1000万円以上の高額レセプトの件数がさらに大きく伸びております。平成26年は300件であったものが、令和5年には2,156件以上ということで、7倍以上になっております。資料の補足をいたしますと、高額レセプトの上位100位の内訳は、平成26年度は心臓手術や人工心臓を必要とする等の循環器系の疾患が5割を占めておりましたが、直近の令和5年度はキムリアをはじめとした高額薬剤を使用する疾患が約75%を占めています。大幅な件数の伸びは、近年の高額薬剤の登場・普及が大きな要因であり、医療保険財政の圧迫にもつながっていると思います。
 また、資料の10ページでお示しいただいた外来特例については、月額上限と年間上限の2つのセーフティネットを設けておりますが、月額上限に該当する患者の割合は相当程度高い一方で、2つ目のセーフティネットである年間上限に該当するケースは決して多くはない状況を見ると、この特例の在り方については見直しの検討が必要ではないかと考えております。
 もう一つの観点の「保険料負担者の納得感」について申し上げますと、「現役世代の負担軽減」は極めて重要なテーマであると思っております。これまでもお示しいただいております12ページの年代別の医療費と負担額のデータを見ますと、「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心」が如実に出ていて、医療費と保険料負担のアンバランスは相変わらず顕著であると申し上げざるを得ないと思います。
 もちろん高額療養費のセーフティネットとしての機能は十分理解をしますが、高齢者医療の拠出金と併せて過重な負担を強いられている「現役世代の負担軽減」も喫緊の課題でございますので、手取りを増やすというためにも、高額療養費の見直しは必要であると考えております。
 最後に、先ほどの説明でもございましたが、6ページのデータで、支給実績について多数回該当分の把握状況が保険者ごとにまちまちになっている部分がありますので、データが分析できるような統一的な形をぜひお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 今回、新たなデータをお示しいただき、ありがとうございました。本件についての検討がより深められていくことを期待いたします。
 今後、医療費が継続して増大していくことが見込まれる中、我が国が世界に誇る医療保険制度を持続するためには、高額療養費についても一定の歯止めが必要と考えられます。医療保険財政への負担を軽減させるためには、まず、自助の徹底が重要だと思われます。
そもそも、保険というのは、いざというときのリスクに備えるものであります。平素から、国民のヘルスリテラシーを高めてセルフメディケーションを推進し、生活習慣病のような予防できる病気にならないようにする。また、軽微な疾病の場合にはOTC医薬品を活用するなど、なるべく医療制度に頼らないようにする。その上で対応できないような、治療重要度の高い疾病について高額療養費で対応する。こういった考え方が重要ではないかと考えます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、間利子参考人、よろしくお願いします。
○間利子参考人 ありがとうございます。
 この論点ですけれども、前回、参考人で出席をさせていただいた井上からも申し上げているとおり、現役世代の負担軽減に向けて、改革工程表に基づいて、早期から着実に記載事項については取組を進めるべきであると考えております。その観点からも、高額療養費の見直しについて、提示されているような案の方向でぜひ進めていくべきだと考えております。
 とりわけ、本日、9ページ、10ページでデータ等の説明がありました外来特例については、経団連としては従来から主張しておりますが、廃止の方向で検討すべきと考えております。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 今、保険者の方々からお話がございましたとおり、近年、高額薬剤の登場や医療技術の進歩に応じて、高額な診療が増えていることは事実でございますし、それに伴って医療保険財政が非常に逼迫をしていることも十分承知はしてございます。
 一方、これもお話がございましたとおり、前回もお話ししましたが、この制度は基本的にはセーフティネットとしての重要な役割も果たしておりますし、特に収入の低い高齢者の方々の経済的な支えになっているということは、本日の様々なデータからも理解できるところだと思います。
 第181回医療保険部会において、後期高齢者医療の窓口負担割合、本日の資料にも少しございましたが、この見直しの影響については、負担割合を変更することによって、患者さんの受診・受療行動に大きな影響を与えることは明らかになってございます。今回、高額療養費の上限を引き上げるといった場合には、患者の窓口負担割合の見直しと同じような影響が最初は出るであろうということは十分に想定されるものと考えております。
 例えば事務局の説明にもございましたけれども、9ページに外来受診動向のデータが示されておりますけれども、外来受診ありの後期高齢者のうち、ほぼ月に1回以上ということになろうと思いますが、年間11か月以上の外来受診を行っている後期高齢者は50%を超えているということにもなってございます。
 こういった方々は様々な複数の疾患を抱えておられることが想定されておりまして、このような方々が毎月一定の医療機関への定期的な受診によって医学的な管理を受けておられて、疾患の悪化を防いでいるという状態であろうと思います。ですので、今回の見直しに関しましては、このような方々の受療行動の変化によって、状況の悪化、状態の悪化を招かないよう、丁寧な議論を重ねてお願いしたいと思います。
 私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
 前回発言しまして、いろいろなデータを見てということで、今回出していただきまして、ありがとうございました。
 今回拝見して、やはり特徴的なのは9ページとか10ページ辺りの高齢者の関係かなと思っています。高額療養費の利き方というのは、恐らく医療費と一部負担割合と受診頻度と期間といったところの相互関係で決まってくるとしますと、恐らく高齢者の方の場合は1件当たりの金額が低かったとしても、受診頻度であるとか、それが長期間続くというところが年間上限の関係で影響してくるのだろうと想像していたところであります。今回、10ページを拝見すると、年間上限の「該当あり」というところは思っていたよりも比較的少ないというのが分かりました。
 そうなりますと、今回どのように見直すかというときに、前回からも出ていますけれども、医療費に併せてといったところの基準の利き方によって、年間上限の利き方も変わってくるだろうと思いますので、若い方の場合は恐らくいざというときの医療保険ということで、リスク分散的な意味合いが強いわけですけれども、高齢者の方の場合は所得再分配といいましょうか、低所得者への配慮という要素が入っていますので、その辺りの影響を見極めながら考えたらいいのではないかと思いました。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、中村委員、よろしくお願いします。
○中村委員 ありがとうございます。
 非常に様々な資料をお示しいただいて、いろいろ分かったことがあるのですけれども、ただ、やはり分からないのは、例えば高額な医療費の自己負担額とか、自己負担額の上限の額が家計にどう影響しているかということなのです。前回も申し上げましたとおり、レセプトデータ分析の際に、自己負担額の上限は所得によって変わるので、データではよく分からないことが多いので、それを改善したデータで分析をしていくことが大事だと思います。
 それから、家計の所得と医療支出と世帯員の健康状態が全部把握できるデータは、国民生活基礎調査である程度把握できるかもしれませんけれども、正確な金額であったり、それから客観的な健康状態を国民全体に対してきちんと把握できるものはまだ日本ではないと思うのです。なので、この点について分析可能なデータを研究者が使えるようにしていただいて、どのように医療保険によってリスクから守られているのか、それから守られていないとしたら、どういう人たちに対してどういう状況でそれが起きているのかということを明確にすることが大事だと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 今回の医療制度改革についてということで、主に高額療養費等についてのことが述べられているところです。また、先ほど佐野委員からも具体的な報告がありましたけれども、医療費が拡大していて、75%が高額薬剤ということで、改めて認識をしたところです。実際、国保でもそういう傾向がございますし、一般的にもそういった傾向かなと思っています。
 これをどう解決するかということを考えると、予防ということをもっともっと力を入れてやるべきではないかなと改めて感じております。日本健康会議でも、これらのことに着目して、目標を数値化して立てて、そのゴールを目指してみんなで達成しましょうという努力をしているところでもあり、さらに加えて健康企業というコンセプトや実践もございます。こういったことは大変有効だと思います。さらに本質的にもっとより重要なのは、各個人が本気になって自分の健康を見て、やっていくことだと思います。
 私どもの自治体、多久市でも、保健師が血液検査の結果等で、血圧とか血糖値とかいろいろな健康分析の結果に基づき、いわゆるイエローカード該当の方々をお訪ねして、再検査へ行ってください、精密検査してください、改善努力をしてくださいという啓発を行います。そしてその当事者がいつから本気になるかというと、以前にもお話ししたかもしれませんが、「このまま放っておくとあなたはこんなふうになって、もっとひどくなって、最後は大変なことになりますよ」ということを具体的にお話しして初めて、それまでは自分事とはなかなかとらえず、どちらかというと傍観者風に見ておられていた数値を、「そんな意味があるのか、それは大変だ」ということになって、行動変容につながるということを多々聞いております。そういったことも一つの方法ですし、さらに教育、啓発、情報発信をぜひしていただきたいと思っています。
 また、20ページには高額療養費の在り方についての案が示されています。今年の11月21日に示された案でございますが、言わばこれは当面の対策だと思います。ここに書かれている幾つかの項目は必要なことだと私自身も思います。この当面の対策に加えて、もう一つ本質的に重要なのは、冒頭にも言いました「予防」だと思います。その意味では、ヘルスリテラシーについて、子供たちが学びの過程の中でもっと学ぶとか、あるいは一般的にも啓発をして、健診をもっと受けていただくことの大切さを言っていかなければいけないと思うのです。
 例えが少し変かもしれませんが、車は車検を受けないと道路を走ることはできません。でも、人は仮に血液検査等の数値が良好でなくても、自覚症状がない限り病院に行かなかったりしますし、そのまま生活習慣もあまり変えませんのでこれまでのように過ごしがちです。
 でも病状は、静かに静かに自覚症状がないままに状況が悪化しているということがあるようです。これらのことは報道等でも多くの方が聞かれたりしていますし、そういう内容の学術書を読んだこともあります。そういうことから類推すると、我々は日常において、医療的あるいは健康的な面で見ると、結構無理して動いていることもあるわけです。車検がないと車は走れない、という法規制ほど厳しくはできないかもしれませんが、それは未然の事故防止でもあるのですから、個人が自分の健康を考えた場合はこれらと同じように、そうならないためにやっているのが健診だと思うのです。
 この健診をより徹底していくことと、そこでいわゆるイエローカードや要注意を受けたら必ず専門機関や医療機関に行って、より高度で具体的なアドバイスをもらえる、あるいは改善の取組につながる。そこまでやっていかないと行動も結果も変わらないと思うのです。そして、先ほど言いました高額薬剤を使わなくてもいいように、事前に自分の健康管理をしていくことがいかに大事なことかを、政府の広報やその他でもぜひもっと広く啓発をやっていただきたいと思います。
 あわせて、海外の取り組みを専門医から聞いたのですが、例えば予防可能な対策は全部やってしまうというぐらいの取り組みをしている国があるようです。そのようにワクチンはもっと普及させ、活用していくとか、健診をより徹底して異常があったら対応するとかいうことをして、早期発見・早期治療に具体的につなげなければいけないと思います。国によっては、子宮頸がんワクチン等が本当に広く普及して、あと数年間でその国ではもうそういった疾病はなくなるのではないかということもあると、専門家に聞いたことがあります。そこまで徹底してやるのかということを感じました
 繰り返しになりますけれども、予防ということにもっと力を入れた医療関係の改善をしていかないと、単に財政だけ見て、多い、少ない、足りないものはどうするかということだけは本質的な解決になかなかなりませんので、当面の対策と本質的な対策をぜひやっていただきたいと期待をしています。
 よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、菊池委員、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長代理 本日もオンライン参加で失礼しております。
 高額療養費の見直しについては、15日の全世代型社会保障構築会議でも、清家座長から見直しの方向性で検討してくださいという趣旨のお話があり、私も基本的には見直しもやむなしとは思っているのですが、1点気になることがありまして、もう大分前になりますけれども、70歳未満の特に低所得の方の負担限度額が高いのではないかということが議論になって、いわゆるワンコイン、500円、患者さんに上乗せをするという案が出て、これは結局実現しなかったわけですけれども、当時の認識としては、特に低所得の方、適用区分でいえばエとかオになるのかと思いますけれども、負担が重いのではないかという当時の認識があったと思います。
 とりわけ、いろいろな薬剤、いい薬が出てきていますので、ずっと飲み続けることで社会生活を送れるという状況になってきているということ。ただ、多数該当があったとしても、ずっと飲み続けなければいけないということで、例えば適用区分エですと年間50万円になるわけで、これはめり張りをどうつけるかということにも関わるのですが、今日のデータでは、10ページで70歳以上の方のデータは詳しく出されていたのですが、70歳未満の方、9ページにはあるのですけれども、12月か月受診ありという方も一定程度いるということは分かりますが、多数該当でも12か月、年間ずっとこれに当たり続けておられる方がどのくらいいるのかなと。そういったところも可能ならばお調べいただけると参考になるのではないかと思いますので、発言させていただきました。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、小林参考人、よろしくお願いします。
○小林参考人 ありがとうございます。
 高額療養費の支給状況など、短い期間の中でデータと資料を出していただきましたが、議論を深めるにはまだ不十分なように思います。
 資料6ページ目に書かれた協会、組合健保や後期高齢者医療制度の1件当たり支給実績を見てみますと、年齢にかかわらず、高額療養費制度によって経済的な負担を軽減できているという重要な制度であることが改めて分かりますが、先ほども言及がございましたとおり、一方では、どういった年収の人がどれくらい支給を受けているのかについては、まだ分かりません。前回も委員の村上から申し上げたことですが、見直しの議論に当たっては丁寧かつ慎重な検討が必要だと思いますので、年代や年収別など、さらに詳細に示していただきたいと思います。
 その上で、現状と比較して急激な負担増とならないよう、十分留意する必要があると思いますし、長期的な治療が必要な方、世帯構成への配慮も重要だと思っております。
 なお、負担能力をどう見るかという点については、前回、他の委員の方から発言がありましたとおり、金融資産などの把握という点も含めて、きちんと考えていくことも必要であろうと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
 ほかの委員から、予防とかヘルスリテラシーとかいろいろ出ていますが、老年学の長期的な調査研究によりますと、社会参加が多いほど健康長寿ということがはっきりデータとして出ているのです。後期高齢者について見ますと、頻繁に外来に行っている方が多い。もちろん病気を持っていて外来に行っている人もいるのですが、暇潰しとか、医者に話を聞いてもらいたいとか、そういうのも結構あるのです。私も、近所の診療所に行ったとき、私の前にいた女性が、家族のことまで延々と相談していて、とても親切なお医者さんで、全部答えておりました。そういうことを考えると、これは医療保険部会の課題ではないのですけれども、社会参加あるいは高齢者の地域活動とか、そういうものをもっと増やすことによって、特に後期高齢者の医療費は減らせるのではないか、外来に行く頻度を減らせるのではないかと考えておりますので、御参考までに申し上げました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
 資料2の9ページの後期高齢者の受診月数なのですが、例えば私の場合、40代でアレルギーもあって、現役時代から毎月医療機関を利用しているわけですけれども、高齢者が高齢期になって罹るものもあれば、現役時代、毎月あるいは隔月などで医療機関を利用して働き続け、退職後も受診は継続している場合も多いのではないかということで、そのような理解をしてもらう必要があるということを感じました。
 また、資料の7ページですけれども、支給件数で見ますと、後期高齢者と市町村国保が高い。それから、支給金額でも、市町村国保と後期高齢者が高い。ただ、1件当たりの金額でいきますと、現役世代の方が大変高額で、市町村国保はその1/2、後期高齢者は1/3という形で、高齢者一人ひとりで見れば診療科目が増えても重症化する前の低い療養費で健康維持、社会参加に努めているようにとれますので、私としては、この制度を現状よりも厳しくするというのが果たしていい結果を招くのかどうか疑問があり、発言させていただきました。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
 短い期間で丁寧に資料を作っていただきまして、ありがとうございました。
 本件につきましては、前回申し上げましたとおりでございまして、セーフティネットとしての役割に留意しつつ、全世代型社会保障の実現に向けて、また、被保険者の保険料負担の軽減を図る観点から、社会経済情勢の変化を踏まえた負担能力に応じた負担となるよう見直していくべきというのが基本的な考え方であると思っております。
 なお、今後見直しという具体的な結論に至る場合には、実務面から保険者がシステム改修等に必要な期間もございますので、そうした点にも御配慮いただければと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 前回も歯科の立場で発言をさせていただきましたけれども、広くカバーされる国民皆保険によって日本は世界に誇れる医療制度を堅持しており、その恩恵を受けられる方がある一方で、先ほど佐野委員からもありましたように、薬剤を含む高額な医療費の増加の流れは今後も続いていくものと思います。どのような負担を誰がしていくかということは非常に難しい問題があると考えております。世代間格差や取り残される方ができるだけ少なくなるよう、また、負担増による患者の受診控え等を惹起することがないような制度設計等について、引き続き議論をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御意見がなければ、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
 事務局におかれましては、本日いただいた意見を踏まえて、引き続き議論を深めていただきますよう、お願い申し上げる次第でございます。
 ほかに御意見等よろしゅうございますか。
 では、本日はこれまでとしたいと存じます。
 次回の開催日については、追って事務局より御連絡申し上げます。
 本日は、御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、閉会いたします。