2024年5月31日 薬事審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
令和6年5月31日(金)14:00~
場所
厚生労働省専用第22~24会議室
出席者
- 出席委員(17名)五十音順
-
- 赤羽悟美
- 阿古潤哉
- 大谷壽一
- 川上純一
- 佐藤直樹
- 佐藤雄一郎
- ○佐藤陽治
- 柴田大朗
- 髙橋悟
- 中西浩一
- 長谷川俊史
- 堀恵
- 前田愼
- 松野智宣
- 宮川政昭
- ◎森保道
- 矢野育子
他、参考人1名出席
- 欠席委員(4名)五十音順
-
- 石川欽也
- 大森哲郎
- 田﨑嘉一
- 根岸一乃
- 行政機関出席者
-
- 城克文(医薬局長)
- 吉田易範(大臣官房審議官)
- 中井清人(医薬品審査管理課長)
- 野村由美子(医薬安全対策課長)
- 鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査センター長) 他
議事
○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、「薬事審議会医薬品第一部会」を開催いたします。本日、お忙しい中、どうもありがとうございます。本会議はペーパーレスの開催といたしますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点がありましたら、事務局がサポートいたしますので、よろしくお願いします。
まず、本日の会議における委員の出席についてですが、石川委員、大森委員、田﨑委員、根岸委員より御欠席の御連絡を頂いております。それから、川上委員、佐藤直樹委員もまだ会議に参加されておりませんが、される予定でございます。本日、現在のところ当部会委員数21名のうち、15名の委員がこの会議に御出席を頂いていますので、定足数に達していることを報告申し上げます。
なお、本日は審議事項議題4に関して、公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院理事長の稲垣暢也先生を参考人としてお呼びしております。
続きまして、薬事審議会規程第11条の適合状況については、全ての委員の皆様に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。委員の先生におかれましては、会議の開催の都度、御協力を賜り誠にありがとうございます。
それでは森部会長、以後の進行をお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申し出状況につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日の会議に係る資料の確認をいたします。本日はあらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~17を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは資料17に記載のとおりです。これらに関する委員からの申し出状況等を踏まえた薬事審議会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員からの審議参加に係る取扱いは次のとおりです。
議題1「ネキシウム」、退室委員なし、議決に参加しない委員は阿古委員、佐藤直樹委員です。
議題2「ファビハルタ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は佐藤直樹委員です。
議題3「ブイタマー」、退室委員は佐藤直樹委員、議決に参加しない委員は阿古委員です。
議題4「アウィクリ」、退室委員は森委員、議決に参加しない委員は阿古委員、川上委員、中西委員、前田委員です。
議題5「ブリィビアクト」、退室委員なし、議決に参加しない委員は中西委員です。
議題6「希少疾病用医薬品の指定の可否」、退室委員は川上委員、議決に参加しない委員は阿古委員です。
議題7「再審査期間延長の可否」、退室委員なし、議決に参加しない委員は中西委員です。
議題8「先駆的医薬品の指定の可否」、退室委員、議決に参加しない委員ともになしです。以上です。
○森部会長 今の御説明について、特段の御意見等ございますでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。なお、議題4につきましては、私、森が退室となっております。部会長代理の佐藤陽治委員に進行をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものとさせていただきます。本日は審議事項8議題、報告事項4議題、その他の事項1議題となっています。
それでは、審議事項の議題に移ります。はじめに、参考人をお呼びしています議題4から先に御審議いただきたいと思います。それでは、薬事審議会の審議参加規程第5条に基づき、私、森は議題4につきまして退室いたします。佐藤陽治委員、よろしくお願いいたします。
まず、本日の会議における委員の出席についてですが、石川委員、大森委員、田﨑委員、根岸委員より御欠席の御連絡を頂いております。それから、川上委員、佐藤直樹委員もまだ会議に参加されておりませんが、される予定でございます。本日、現在のところ当部会委員数21名のうち、15名の委員がこの会議に御出席を頂いていますので、定足数に達していることを報告申し上げます。
なお、本日は審議事項議題4に関して、公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院理事長の稲垣暢也先生を参考人としてお呼びしております。
続きまして、薬事審議会規程第11条の適合状況については、全ての委員の皆様に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。委員の先生におかれましては、会議の開催の都度、御協力を賜り誠にありがとうございます。
それでは森部会長、以後の進行をお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申し出状況につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日の会議に係る資料の確認をいたします。本日はあらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~17を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは資料17に記載のとおりです。これらに関する委員からの申し出状況等を踏まえた薬事審議会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員からの審議参加に係る取扱いは次のとおりです。
議題1「ネキシウム」、退室委員なし、議決に参加しない委員は阿古委員、佐藤直樹委員です。
議題2「ファビハルタ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は佐藤直樹委員です。
議題3「ブイタマー」、退室委員は佐藤直樹委員、議決に参加しない委員は阿古委員です。
議題4「アウィクリ」、退室委員は森委員、議決に参加しない委員は阿古委員、川上委員、中西委員、前田委員です。
議題5「ブリィビアクト」、退室委員なし、議決に参加しない委員は中西委員です。
議題6「希少疾病用医薬品の指定の可否」、退室委員は川上委員、議決に参加しない委員は阿古委員です。
議題7「再審査期間延長の可否」、退室委員なし、議決に参加しない委員は中西委員です。
議題8「先駆的医薬品の指定の可否」、退室委員、議決に参加しない委員ともになしです。以上です。
○森部会長 今の御説明について、特段の御意見等ございますでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。なお、議題4につきましては、私、森が退室となっております。部会長代理の佐藤陽治委員に進行をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものとさせていただきます。本日は審議事項8議題、報告事項4議題、その他の事項1議題となっています。
それでは、審議事項の議題に移ります。はじめに、参考人をお呼びしています議題4から先に御審議いただきたいと思います。それでは、薬事審議会の審議参加規程第5条に基づき、私、森は議題4につきまして退室いたします。佐藤陽治委員、よろしくお願いいたします。
──森委員退室──
○佐藤(陽)部会長代理 本議題につきましては、私、佐藤の方で進行を務めさせていただきます。では、議題4につきまして、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いいたします。それでは議題4、資料No.4、医薬品アウィクリ注フレックスタッチ総量300単位他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
本剤はインスリンイコデク(遺伝子組換え)を有効成分とするBasalインスリン製剤です。本剤は、ヒトインスリンの一部のアミノ酸配列を置換し、また脂肪酸を含む側鎖を結合させた構造を有します。これらの構造改変により、血漿中アルブミンとの結合力を強め、インスリン受容体に対する親和性を低下させることで半減期を延長させ、週1回の投与を可能とした製剤となります。
これまでのBasalインスリン製剤の用法は、1日1回又は2回の投与であり、連日の注射を要することによる投与の実施率の低下等が、血糖管理の課題の一つとなっています。したがって週1回投与である本剤は、インスリン治療における新たな治療選択肢となり得ると考えられます。
なお本剤は、2024年3月にスイス及びカナダで承認されています。また、2024年3月には欧州EMAのヒト用医薬品委員会(CHMP)で、製造販売承認に対して肯定的意見が採択されています。2024年5月現在、米国では承認審査中です。本品目の専門協議では、資料No.16に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
それでは、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。まず有効性について、四つの国際共同第III相試験の結果を基に検討いたしました。それでは審査報告書の36ページの表30を御覧ください。インスリン治療歴のない2型糖尿病患者を対象とした無作為化非盲検並行群間比較試験において、主要評価項目であるベースラインから投与52週時までのHbA1c変化量に関して、対照薬であるインスリングラルギンの1日1回投与に対する、本剤週1回投与の非劣性が示されました。
次に審査報告書の42ページ、表40を御覧ください。こちらはBasalインスリン製剤で治療中の2型糖尿病患者を対象とした臨床試験結果であり、ベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量に関して、対照薬であるインスリンデグルデクの1日1回投与に対する本剤週1回投与の非劣性が示されました。
続いて審査報告書46ページ、表47を御覧ください。Basal-Bolus療法を実施中の2型糖尿病患者を対象とした臨床試験において、主要評価項目であるベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量に関して、対照薬であるインスリングラルギンの1日1回投与に対する本剤週1回投与の非劣性が示されました。
最後に、審査報告書の49ページ、表55を御覧ください。Basal-Bolus療法を実施中の1型糖尿病患者を対象とした臨床試験においても、主要評価項目であるベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量に関して、対照薬であるインスリンデグルデクの1日1回投与に対する本剤週1回投与の非劣性が示されました。以上の結果等から、インスリン療法が適応となる糖尿病に対する本剤の有効性が示されていると判断しました。
続いて安全性について、審査報告書の62~63ページ、表72~74を御覧ください。2型糖尿病患者を対象とした三つの臨床試験において、本剤群と対照群とで低血糖も含め有害事象の発現状況に大きな違いは認められませんでした。一方、1型糖尿病患者を対象とした臨床試験の結果については、審査報告書65ページの表78を御覧ください。対照群と比較して本剤群では、レベル2又は3の低血糖の発現が多く認められました。ただし当該試験において、低血糖の発現件数以外は、本剤群と対照群とで有害事象の発現状況に大きな差異はありませんでした。また、日本人集団における試験成績について、2型糖尿病患者を対象とした三つの試験では、全体集団と比較して臨床的に意義のある差は認められませんでした。
一方、1型糖尿病患者を対象とした試験における有効性について、審査報告書51ページの図4を御覧ください。本剤の対照薬に対する非劣性は示されたものの、本剤群ではHbA1cの変化量は小さい傾向が認められ、日本人被験者において、その傾向はより大きいものでした。しかしながら当該結果は、本剤により良好な血糖コントロールが得られない背景を有する患者の偏りの影響である可能性が示唆されています。
以上の有効性及び安全性の結果を考慮すると、1型糖尿病患者に対しては、既存の連日投与のBasalインスリン製剤による治療も検討した上で、本剤の適用を慎重に考慮する旨を、本剤の適用に当たっては、本剤の作用特性と患者の状態に留意し、患者の状態が本剤の製剤学的特徴に適する場合に投与する旨を注意喚起することが適切と考えました。
以上のとおり、機構での審査の結果、既存のインスリン製剤と同様に、インスリン療法が適応となる糖尿病を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間を8年、原体及び製剤、いずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事審議会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○佐藤(陽)部会長代理 ありがとうございました。それでは委員の先生方から、御質問等ありましたらお願いします。いかがでしょう。あ、失礼しました。まず先に、稲垣先生から御発言の方、お願いいたします。
○稲垣参考人 医学研究所北野病院の稲垣です。よろしくお願いいたします。聞こえますでしょうか。大丈夫でしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 はい、聞こえております。よろしくお願いいたします。
○稲垣参考人 このアウィクリですが、これは先ほども御説明ございましたが、週1回注射のインスリン製剤です。先ほど御説明がありましたように、インスリン治療歴なし、Basalインスリンにより治療中、及びBasal-Bolus療法を実施中の2型糖尿病患者を対象とした三つの国際共同第III相試験を、それぞれ4477、4478、4480試験、並びにBasal-Bolus療法を実施中の1型糖尿病患者を対象とした国際共同第III相試験、これは4625試験ですが、そのいずれにおきましても主要評価項目であるベースラインからのHbA1c変化量について、前者の2型糖尿病では1日1回注射の持効型インスリンであるグラルギン、あるいはデグルデクに対する本剤の非劣性が、後者の1型糖尿病では同じくデグルデクに対する本剤の非劣性が示されています。
また、日本人の部分集団と全体集団で一貫した成績が得られていることから、機構が考えるように、日本人の2型糖尿病、1型糖尿病のいずれにおきましても、本剤の有効性は基本的に示されていると考えてよいと思います。糖尿病患者は、2型糖尿病においては特に高齢者など、インスリン治療以外の治療薬で良好な血糖コントロールが得られず、インスリンが必要であるにもかかわらず、連日の注射が困難である場合が少なからず認められ、我々も日常診療の中で苦労しているところです。
また1型糖尿病患者においても、近年では患者の高齢化が進んでおり、インスリン注射の自己管理が困難な患者が今後は増加するということが見込まれています。そのような患者さんにとって本剤は大変有用で、大きな福音になると考えております。
ただ一方で、1型糖尿病を対象とした4625試験では、レベル2又は3の低血糖及び夜間低血糖の単位当たりの発現件数は、対照群と比較して本剤群で明らかに多い結果が示されています。また、2型糖尿病を対象とした試験の一部、すなわち4477試験、4478試験でも、レベル3、すなわち重篤な低血糖では、対照群と比べて大きな差は認められなかった一方で、レベル2又は3の低血糖の単位時間当たりの発現件数は、対照群と比べてやや多い結果が、また、4480試験においても、レベル3の低血糖の発現割合、及び単位時間当たりの発現件数が、本剤でやや多いという結果が得られています。
1週間におけるレベル2又は3の低血糖の発現状況を見れば、本剤投与後の2日~4日目に低血糖の発現が対照と比べて明らかに多く、この結果は本剤の血糖低下作用のピークが投与後2日~4日目にあるということと、よく合致した結果であると言えます。
このように1週間の間でインスリンの作用に山と谷があるにもかかわらず、HbA1cの変化量が対照と比べて変わらないということは、すなわち特に投与後2日~4日目に低血糖を起こすリスクはあるとともに、その投与後の1日目、あるいは5日~6日後に、むしろ血糖値が高くなるという可能性を示唆しています。
とはいえ、先ほど申し上げましたように、注射回数の減少による治療負担の軽減が期待されている状況を踏まえますと、週1回投与の本剤は、インスリン療法の適応となる糖尿病患者に対する新たな治療選択肢になり得るというように考えています。
ただ、これまでとは異なり、初めての週1回投与のインスリン製剤ですので、本剤の特徴を踏まえた上で、打ち間違いの防止、他のインスリンからの切替えの方法、シックデイのときの対応の仕方など、十分な注意が必要であり、資材を用いたガイダンスが用意されるとのことですが、一方で低血糖が起こらないようにどのようにして投与量を調節するか、低血糖が起きたときの対処法は従来どおりで良いのか、食事ができないようなシックデイのときにどのように対処するのか、本剤から1日1回の従来型の特効型インスリンに切り替えるときにどのようにするのかなど、これまでの治験の結果だけでは不明な点も多く、今後実施される予定の一般使用成績において検討していただくということも重要であると考えています。私からは以上です。
○佐藤(陽)部会長代理 どうもありがとうございました。音声が途切れてしまいまして、大変失礼いたしました。では、委員の先生方の方から、御質問等ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
○宮川委員 宮川ですけれども、今、稲垣先生がおっしゃったように、シックデイに対する取扱いというのは、非常に重要なところだろうというように考えています。日常診療において、シックデイに対しては非常にデリケートに捉えなければいけないという部分がありますので、資材等でどのように取り扱っていくのでしょうか。今、稲垣先生がおっしゃったように、ピークが2日~4日ということで、その反対に高血糖の方が1日、あるいは5日6日というところが出てくるというところで、血糖スパイクの問題が結構出てくるはずなので、24時間の血糖コントロールの中で、スパイクに対する考え方というものを、しっかりとその中に導入しなくてはいけないという形になると、資材等を含めて、今後の検討というのはどのようにされていくのでしょうか。薬事承認をするということに対しては、決して否定的ではないわけですけれども、その後どのように日常臨床の中で安心してこれを導入して、事故なく、それから齟齬のないような使い方をしていくのか、また、それを早期に確立していくためには、どのような方法論が必要なのかということを、しっかりと検討していかなくてはいけないのですが、それに対しての立て付けというものは、どのように考えられているのかということが、やはり実地臨床家としては心配なので、お聞かせ願いたいと思います。
○佐藤(陽)部会長代理 機構の方からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。御質問ありがとうございます。御指摘いただいたとおり、本剤は週1回投与であり、新規性が高い製剤と考えておりますので、製造販売後においても情報収集することに加え、適正使用に関する方策については非常に重要だと認識しています。
まず、適正使用に関する方策については、RMPにひも付く資材として、医療従事者向け資材に加えて、患者向けにも資材を作成する予定です。その内容につきましては、主に低血糖に関しては、ただいま稲垣先生からも御指摘いただきましたが、特に投与後2日~4日後に多く起こるであろうという点等について、情報提供をする予定です。
また、シックデイに関して、臨床試験では、週1回投与とすることに伴い、特定の方策は必要であったというような傾向は認められていませんでしたので、今のところ既存のインスリン製剤とほぼ同様の記載をする予定ですが、低血糖も含めて製造販売後において使用成績調査を実施いたしますので、その中で情報を収集し、必要な点があれば注意喚起をしていくということを考えています。
○宮川委員 ありがとうございます。今、シックデイに対してのその考え方、既存製剤と同様では全くないと思います。つまり、1日1回ないし1日2回の製剤は、次の日がシックデイであれば、その投与量を変化させればいいわけですけれど、1週間という形になりますと、投与量を変化させることはできないですよね。糖の負荷等を掛けなければいけないなど、全く逆のことを考えていかなければいけないのを、シックデイということは、それを体内に入れることができないのに、どうやって入れるのか、何を入れればいいのか。つまり糖だけではなく、ほかのアミノ酸も含めてですけれど、どういうものを入れたらいいのかということに対して、全く検討されていないわけですよね。それに対してどうなのでしょうか。新規性が高い製剤というのであれば、新たな対応策が必要です。お聞かせ願いたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。シックデイに関して、臨床試験での対応としては、これまでの対応で大きな問題はなかったことを先ほどご説明させていただきました。
しかしながら、宮川先生から御指摘いただいたとおり、本剤は週1回投与が可能となるプロファイルということで、既存の製剤とは大きく異なるプロファイルとなります。したがって、実際に本剤が医療現場に提供された場合に、どういう対応が必要なのかというのは、これから実際の現場の中で情報を収集していただきながら、検討していかざるを得ないと考えています。現状、臨床試験の管理から考えますと、例えば脱水を防ぐような指示ですとか、これまでどおり、シックデイの対応として原則として考えられている点を資材の中で、十分なスペースをとって注意喚起する方向性で今考えています。
現状として、週1回投与という新たなプロファイルを有する本剤に対する対応という意味では、具体的な対応までアナウンスできる状況にはないところもありますので、製造販売後調査の中で低血糖の発現状況や、低血糖がどのぐらい遷延するのか、実施された対応も情報収集し、シックデイについてもどのような発現であったのかや、どのような状態に至っているのか等も情報収集していきながら、今後の対応を検討していきたいと思っております。以上です。
○宮川委員 ありがとうございます。そうすると、そういう対策ができるような所でなければこれを導入できないという形になれば、施設対応とか医師対応とかを含めて、そういう要件が必要になってくるのでしょうか。
それからまたもう一つ、シックデイだけではなくて、今、実際の臨床現場では、24時間の血糖測定のCGMを装着し始めた人はそういう対応が日常的に専門医では行われているので、この薬に対しての対応というものをしっかりと考えられているのかどうか、その立て付けについても教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。専門医、若しくは施設の要件を限定する必要はないかという御質問と思いますが、特に2型糖尿病患者さんですと、それについては既存の1日1回投与のBasalインスリン製剤のプロファイルと比較して、集団で見るとそれほど大きな差は認められていないと考えております。そのような結果を考えると、行政として施設要件を課すまでには至らないと考えています。
一方で、先生御指摘のとおり、この製剤について、特にプロファイルとして新規性が高いこともありますし、御指摘いただきましたようなシックデイ、それから低血糖に関する課題も考えられますので、なるべく専門性の高い先生方に使っていただきたいとも考えています。したがって、例えば納入先について十分検討するよう、申請者には伝達したいと考えています。
○宮川委員 ありがとうございます。慎重にそのように対応していかないと、導入のときにいろいろな齟齬が起こってくるということは、容易に想定されるところなので、そういう意味では、機構並びに厚生労働省を含めて、対応については慎重に取り計らっていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○稲垣参考人 稲垣からよろしいでしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 よろしくお願いします。
○稲垣参考人 おっしゃるとおりで、週1回製剤はリアルワールドでないと分からない部分がこれから出てくると思います。そういう意味では、やはり慎重にこの発売後、フォローアップしていくということは、極めて重要であるということと、やはりこの薬剤、そもそも1日1回製剤を上回る、優越性があるというわけでは決してなくて、どうしても1日1回の注射を打てないような患者さんにとっては非常に福音になると。そういうところのコンセンサスというのも、しっかりしておく必要があるかなというように思います。ありがとうございます。
○佐藤(陽)部会長代理 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。宮川委員。
○宮川委員 宮川ですが、今、稲垣先生がおっしゃったように、これが1日1回製剤よりはるかに有効性、有用性が高いということではなく、1日1回製剤というものが使いにくい患者さん、それから、そのようなことが臨床上なかなか困難であるという患者さん、そのようなコンプライアンスの悪い患者さん、そういう方々に対して使うことで、何とか血糖も含めて糖尿病の病態の悪化、腎症も含めてですが、発症をいかに将来的に防ぐか、大きな視野に立っていかなければいけません。そのような意味での考え方で、決して有用性が高いという一辺倒で物事を語る製剤ではないということを臨床家たちがしっかり理解できるような中で進めていくことが必要ではないかと思います。稲垣先生の御指摘のとおりですし、それを進めていかないと日常診療の中で必ず齟齬が起こってくることが想定されるので、是非、そのような立て付けを厚労省も含めて行っていただきたいと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答え申し上げます。ただいま御説明いただいたとおり、本剤が1日1回投与のインスリン製剤に置き換わるといった製剤ではないと考えており、この製剤の特徴に合う方や、有用性が見込まれる方に本剤を投与していただくことが非常に重要であると考えております。
したがって、添付文書においても、そういった本剤の製剤学的特徴を十分に考慮すること、患者さんによっては連日投与のBasalインスリンについても投与を検討することを注意喚起しております。また、同様の注意喚起については、情報提供資材においても情報提供する予定ですので、その点については引き続き、申請者と調整していきたいと考えております。
○佐藤(陽)部会長代理 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。私から一つ、関係して、添付文書の7の用法及び用量に関する注意の7.7、7.8、7.9で、投与の曜日の変更の対応、それから、投与を忘れたときの対応、そして緊急時の対応について書かれているのですが、先ほどから御議論があったように、既存の製剤とは違う特性を持っていますので、患者さん用の資材において、これはかなり強調して注意喚起をしておく必要があるのだろうと思うのですが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。患者用資材については、基本的には添付文書、その他の情報から作成しているところですが、御指摘いただいた点は重要な点だと思いますので、確認の上、不足があれば追記するよう申請者側と調整したいと思います。
○佐藤(陽)部会長代理 よろしくお願いします。そのほか、いかがでしょうか。
○大谷委員 大谷ですが、一つよろしいでしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 大谷委員、よろしくお願いします。
○大谷委員 先ほどの宮川先生の件に関してですが、今の添付文書を見ますと、基本的には毎日投与するのが原則であって、それが使えない場合に仕方がないからこの製剤を使うのだというところが、どうしても見えてこないような書きぶりになっていると思うのです。重要な基本的注意等に、基本的には毎日投与できるのであれば、毎日投与するのが原則であるということを、この添付文書に書く必要はないのでしょうか。御検討いただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。ご指摘頂いた点について、認められたプロファイルからどのように添付文書を記載していくかは機構内でも検討しましたが、2型糖尿病患者での有効性及び安全性のプロファイルを確認する限り、基本的には連日投与のBasalインスリン製剤と類似していると判断しております。1型糖尿病患者については、連日投与の製剤の方が適している患者も中にはいらっしゃるだろうと考えているところです。したがって、添付文書においては、用法・用量に関連する注意の項で、特に1型糖尿病患者に対しては留意が必要であるという意図で、連日投与の製剤についても使用を検討することを注意喚起していくことを考えております。
○大谷委員 ありがとうございます。これを見たときに、せっかく週1回の製剤が出たのだから、特に何も考えずに週1回の製剤にポンと切り替えてしまおうと読めないかなという、それが気になったものですから、そこのところをもう少し書きぶりがないのかなと思った次第です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。頂いた点は非常に重要な点と考えており、この点については情報提供資材を用いて医療現場に情報提供いただくことを考えております。
○大谷委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○佐藤(陽)部会長代理 そのほか、委員から御質問、御意見、御発言。
○赤羽委員 赤羽ですが、よろしいでしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 よろしくお願いします。
○赤羽委員 今、大谷委員が御指摘されたところ、正に私も同じところを懸念しているのですが、添付文書の効能・効果にインスリン療法が適応となる糖尿病としか記載されていないので、もう一言何かそこに踏み込んだ言葉を添える必要はないかなと思っていたところです。ですので、資材でしっかりとお伝えいただくということですが、本当に添付文書はこれで十分かというところは今一度御検討いただけると有り難いなと思ったのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。効能・効果としては、本剤の有効性・安全性が示された患者集団を基に規定しています。有効性については、既存のインスリン製剤と非劣性が示されていること、安全性についても1型糖尿病患者に対しては低血糖に関する課題は示されているところはあるのですが、基本的には類似したプロファイルであることが示されていますので、効能・効果の記載としては既存のインスリン製剤と同様に、インスリン療法が適応となる糖尿病と付すことが適切と考えています。
添付文書で何か記載を追加した方がいいのではないかという御指摘だったかと思いますが、2型糖尿病患者を対象とした試験として今回3試験が実施されており、そちらから得られた結果からすると、連日投与のインスリン製剤を必ず先行させなければならないといった成績までは得られてはいないだろうと考えています。
一方で、1型糖尿病患者さんについては、本剤の適用が必ずしも適していない患者さんもいらっしゃるかと思いますので、そういった患者さんについては、特に注意が必要ということで、添付文書で連日投与のインスリン製剤を検討することを注意喚起することが適切ではないかと考えています。
○赤羽委員 ありがとうございます。実際に承認されて発売されると、やはり新しいお薬はどうしても使われますので、なるべく適正に使用されるような形で御配慮いただけると有り難いと思いました。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。頂いた点については、申請者側とも調整したいと思います。
○佐藤(陽)部会長代理 そのほか、いかがでしょうか。矢野委員から御発言をどうぞ。
○矢野委員 私も添付文書を見せていただいている中で、7.1の「適用にあたっては、本剤の作用特性と患者の状態に留意し、患者の状態が」うんぬんと書いてあるのですが、やはり、これだけがすごく分かりづらいなと思います。括弧で16.1.1とか16.1.2と書いてあるのですが、その中を見ても、一般にはすぐには分からない内容かなと思うので、もう少し具体的に書いていただくのがいいのかなと思いました。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。こちらでお示ししたかった本剤の作用特性については、先ほど稲垣先生からも御指摘があったところですが、まず、投与してから週の中頃の2~4日後に本剤の効力が強くなる、裏返すと、低血糖の発現のリスクが高くなることを主に意図しています。
この点については、添付文書に加え、実際に使っていただく先生方や患者さんに広く情報を提供することが重要と考えていることから、情報提供資材でこの薬物動態、薬力学的な特性について図なども用いながら情報提供したいと考えています。
○矢野委員 ありがとうございます。なので具体的に、先ほど議論がありましたように、1日1回製剤を使える患者さんにはそちらを優先することみたいな、そのようなことは記載する御予定等はないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。先ほど来ご説明しているところですが、週1回投与を可能とする新規の製剤ということで、やはり導入は慎重にすべきというところはある一方で、特に今回議論になっているのは1型糖尿病患者における臨床試験成績であり、有効性に関してはHbA1cについて連日投与のインスリン製剤に対する非劣性が示されているところはありますが、一方で1型糖尿病患者では厳格な血糖コントロールが必要とされていることもあり、安全性について、低血糖の発現割合が少し高い結果が出てしまったというところです。
2型糖尿病患者における成績に関しては、もちろん週1回投与のプロファイルの剤を導入するという課題はあったとしても、試験成績そのものは決して大きな問題があるわけではありませんでした。そういったことも考えて添付文書における5.2項や、7.2項等に、特に1型糖尿病患者さんにおいて配慮が必要な点を記載し、その中では連日投与のBasalインスリン製剤の使用というのも考慮してほしいということは書かせていただいておりますので、添付文書に記載できるメッセージとしては、我々としては十分と考えていたところです。
ただ、先ほどから先生方から御指摘を頂いているように、やはり新しいプロファイルの剤ということで、いずれにしても導入は慎重にというところもあるかと思います。この製剤的な特徴等、そういったものは図表等も用いて説明していくことが有用かと思いますので、RMPの追加のリスク最小化活動にもひも付ける形で、明確な資材を作成するよう対応を進めていきたいと考えているところです。申請者に対しても、新規のプロファイルによる懸念もあるため連日投与のインスリン製剤の使用を考慮することも記載する等、資材の方は何らかの検討はできると思っておりますので、今後検討していきたいと思います。以上です。
○矢野委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○佐藤(陽)部会長代理 ほか、いかがでしょうか。宮川委員。
○宮川委員 しつこいようですが、機構も臨床試験のデータを日常臨床の中に落し込む作業というのがすごく大事なのです。だから、臨床試験で様々に意見交換を行って検討を行うことはとても重要なことですが、実際に承認ということになると、先ほどから各委員が懸念をされているのは、日常診療の中にこの薬を導入していくといったときに、どのようなことが想定されるのか、その想定されることをある程度予見しながら、このような添付文書、資材を作っていくことが大事なのだということを是非とも機構はしっかりと認識していただきたい。
臨床試験がこうだから、このようになっていますよということではなく、なるべく、これが薬として有用に世に出ていくよう育薬をしなければいけません。私は医薬品等の様々な審議に関わっていますが、今まで育薬に失敗して、なかなか認められないという薬も私は今までたくさん見てまいりました。
ですから、これを世に出すときに、育薬されて、そして、それが素晴らしいものとして多くの患者さんの利益になるように、実地の中で利益となるような、そういう道すがらを立てていくことが、機構としての重要な仕事の一つかなと思っていますので、是非ともそのような考え方の中で、この薬をうまく育てていく、そして、資材も含めていろいろな書き込みをしていく。企業の方にしっかり教育していくことが、私は機構の重要なお仕事の一つであろうと思います。ざっくばらんな言い方をしますと、そんなに頑なにならず、有用なものを一緒になって作っていくことを考えていただき、各委員が懸念されていることは、皆さん、実地の臨床の中の方が言っているのだということを謙虚に受け止めていただいて、是非とも良いものを作っていただきたいと私は思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○新薬審査第一部長 機構の新薬一部の部長の中村と申します。宮川先生、ありがとうございました。我々も決してそうではないつもりではいるのですが、堅いと言われる部分については、いろいろ反省する部分もありますので、細かい文言については引き続き検討させていただきます。今後の審査にもいかさせていただきます。ありがとうございました。
○宮川委員 よろしくお願いいたします。
○佐藤(陽)部会長代理 ほかにいかがでしょうか。堀委員。
○堀委員 患者の立場から今までのお話を聞いて思ったことをお話させていただきます。赤羽委員やほかの先生方が懸念していたように、4の効能又は効果のインスリン療法が適応となる糖尿病との記載だけですとこの薬は1週間に1回の皮下注射で、患者にとってはクオリティオブライフが高くなるような大変有り難い薬としてのみ理解されてしまう恐れがあります
そのため患者のなかには、新しい薬ができたのだったら、連日投与の薬からこれに移行してほしいという希望も出てくるのではないかと思います。この効能・効果だけを見ると、1型、2型関係なく、インスリンを投与している患者は簡単にこのお薬に切り替えができると理解する患者が増えてしまうことが、今までのお話を聞いていてとても心配です。
ですので、先ほどおっしゃったように、確かに5.1以降、1型、2型に関して異なる注意が書かれてますが、私たち医療の知識のない一般の患者にとってみますと、まず添付文書ではこの効能又は効果を私たちは見ますので、先ほど先生方がおっしゃったような内容を、そこに追記をしていただけることを私は切に望みます。以上です。
○新薬審査第一部長 先生、ありがとうございます。効能・効果の付け方は、一般論からいうと、優劣を付けるべきほどの差があれば付けるのですが、では、この薬を明らかに患者集団を分けて使わなければいけないような、そこまでのプロファイルかというと、そうではなかろうというのが我々の判断です。
この点については、恐らく、今まで出てきたインスリン製剤、昔のもの、速効型のものから始まって、今まで出てきたものが多数ある中で、それぞれいろいろな差がないわけではなく承認されてきたのですが、本剤についてもその範囲内であろうから、効能・効果で差を付けて、世の中の人に「これはちょっと違うお薬ですよ」という、差別しなければいけないほどの差はないと考えております。
添付文書においては、その点が大前提にあって、そうはいっても何を注意しなければいけないかを書いていきます。先生がおっしゃったように、患者さんがこれを見たときに期待するのはわかるのですが、これを実際に処方する先生方、当然、患者さんと主治医の先生のディスカッションがそこで起こるのですが、医療側がこれを正しく認識していただいていれば、目の前の患者さんに使うべきなのかどうなのかというのは判断されると、その判断に対して我々は誤った判断がなされないように資材や書き方でやっていくべきなのかなと考えておりますので、一般論とインスリンの話を混ぜてお話してしまいましたが、そのような姿勢で考えさせていただきました。
○堀委員 丁寧に御説明いただき、ありがとうございます。それだからこそ、やはり、先ほど宮川先生がおっしゃったように、本当に日常の診療を担当なさる先生方が納得ができるよう、つまり、医療者向けの分かりやすい資材を作成していただくこと。そして、先ほどおっしゃったように、私たち患者は、効能又は効果を含め、私たちが見られるのは患者向け資材です。その患者向け資材をより分かりやすく、低血糖のことやこのような副作用もあり得るということ、そしてそのようなときには中止することなどをやはり見やすく記載していただけると、大変有り難いと思いました。以上です。
○新薬審査第一部長 ありがとうございます。もちろん、引き続き、まだまだ世に出るまでもう少し時間がありますので、メーカーとも調整の上、専門医の先生方とも必要に応じてディスカッションしつつ、考えさせていただきたいと思います。
○佐藤(陽)部会長代理 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 何度も繰り返し申し訳ないのですが、つまり、どういうことなのかというと、1週間に1回というこのような用法用量の薬を、例えばある専門医、専門病院というかある程度の基幹病院でもいいのですが、投与されて、その患者さんが少し遠方から受診されていると、シックデイのときには、近くの開業の先生ないし、そのような所におかかりになることがあると思います。
そのときに、この製剤を使っていて、その特性をきちんと理解して、くまなくシックデイのことも分かりながら、普通の日常診療の中で一般の医師がどれぐらいまでそのような対応ができるのかというところを私も非常に心配していたので、日常診療に落とし込むときには、このような製剤というのはなかなか厳しいものがあるのだという、そのような認識を持っていただくことが非常に重要で、投与する医師、治療する医師と、いろいろなシックデイ等、トラブルがあったときに対応する医師が同一でない場合、どのようにそのような情報提供をしていくのでしょうか。
そのようなことをくまなく分かりやすく説明をしていくというか、浸透させていかなければいけないということを是非御理解いただき、その立て付けを作っていただくことが私は非常に必要なのではないかと思ったので、先ほどから何度も申し上げ、丁寧な添付文書ないし資材を作り上げていくことが大事なことではないかなと思った次第です。そのようなことに関しても、専門医の稲垣先生にもう一度御意見を伺いたいなと、私としては思う次第です。
○稲垣参考人 稲垣です。よろしいでしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 お願いします。
○稲垣参考人 私はこの薬剤に関していうと、パラダイムシフトというか、今までのインスリンと同じ考え方ではいけないと思っています。つまり、どういうことかというと、今回は比較試験で1日1回の持効型のインスリンと比較しているわけです。非劣性になるところまで血糖値を下げて比較すると、やはり、こちらの週1回製剤の方が低血糖が多くなると。
つまり、有効性だけを見ようとすると、そのようになるわけです。ですが、逆に血糖の低下効果をもう少し緩めてもいいのだと、そうすると本来の週1回製剤の良さが出てくるわけで、ただ単にHbA1cが下がるかどうか、それだけで測ること自体がもう難しくなっているのではないかと思うのです。
この薬剤の本当の価値は、やはり、1日1回打つことがなかなか難しい患者さんに使えることが一番のメリットです。それをただ単にA1cが同じレベルに下がるからというところで比較すると、そのような差が出てしまうということなので、申し上げにくいですが、もう少し緩く使ったら、本当はもっとこの薬剤はうまく使えるのにというところだと思います。それをどう表現するかだと思います。
○宮川委員 宮川です。稲垣先生、ありがとうございます。つまり、HbA1cを下げるということは、1か月の平均値が下がったという、ただそれだけの事象なのだということを皆さんが理解しなければいけないので、それは糖尿病のコントロールが良くなったということではありません。24時間の血糖コントロールでCGMが出てきて、今、いろいろな検討がされています。HbA1cの数値だけをみてきたことの反省の時期に、この薬が出てきてパラダイムシフトになっているのだということを機構にもよく理解していただいて、このような薬というのは、慎重に扱わなければいけないのだという考え方の中で、臨床試験をきちんと見ながら日常診療の中にどう落し込むかということが大事だということを稲垣先生はずっとおっしゃっているので、その辺のところを私たちも理解しながら審議に当たっていくということで、ある程度、ほかの委員の先生方も懸念されていたことが、そこに言葉として出ているのだと思います。そのような考え方の中でパラダイムシフトが起こっている。そして、HbA1cの値だけを追求してきた今までの治療に対して反省が起こっている中で、臨床試験の中でHbA1cが、そのような意味では非劣性を起こして同等であると言っているだけの薬であるということを私たちはよく理解し、対応していかなければいけないことも御理解いただきたいと思います。
○新薬審査第一部長 先生、ありがとうございます。御心配の点はよく理解できました。先生が先ほどおっしゃっていた、実際に診る先生と処方する先生が違うこともありますので、メーカーとも相談して、地域での情報提供、勉強会みたいなものを含めて、基幹病院の周辺に面で情報提供することをお願いしていこうと思います。場合によっては、患者さんがカードを持つとか、いろいろな方策が考えられますので、良いところを見つけていきたいと思います。
○佐藤(陽)部会長代理 関連するステークホルダーと認識を共有する努力ができると良いとは思うので、是非、お考えいただきたいと思います。よろしくお願いします。ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、議決に入りたいと存じます。なお、阿古委員、川上委員、中西委員、前田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づき、議決への御参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようです。それでは、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。稲垣参考人、どうもありがとうございました。
○稲垣参考人 ありがとうございました。
○佐藤(陽)部会長代理 音声が途切れてしまい、本当に申し訳ございません。では、御退室いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いいたします。それでは議題4、資料No.4、医薬品アウィクリ注フレックスタッチ総量300単位他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
本剤はインスリンイコデク(遺伝子組換え)を有効成分とするBasalインスリン製剤です。本剤は、ヒトインスリンの一部のアミノ酸配列を置換し、また脂肪酸を含む側鎖を結合させた構造を有します。これらの構造改変により、血漿中アルブミンとの結合力を強め、インスリン受容体に対する親和性を低下させることで半減期を延長させ、週1回の投与を可能とした製剤となります。
これまでのBasalインスリン製剤の用法は、1日1回又は2回の投与であり、連日の注射を要することによる投与の実施率の低下等が、血糖管理の課題の一つとなっています。したがって週1回投与である本剤は、インスリン治療における新たな治療選択肢となり得ると考えられます。
なお本剤は、2024年3月にスイス及びカナダで承認されています。また、2024年3月には欧州EMAのヒト用医薬品委員会(CHMP)で、製造販売承認に対して肯定的意見が採択されています。2024年5月現在、米国では承認審査中です。本品目の専門協議では、資料No.16に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
それでは、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。まず有効性について、四つの国際共同第III相試験の結果を基に検討いたしました。それでは審査報告書の36ページの表30を御覧ください。インスリン治療歴のない2型糖尿病患者を対象とした無作為化非盲検並行群間比較試験において、主要評価項目であるベースラインから投与52週時までのHbA1c変化量に関して、対照薬であるインスリングラルギンの1日1回投与に対する、本剤週1回投与の非劣性が示されました。
次に審査報告書の42ページ、表40を御覧ください。こちらはBasalインスリン製剤で治療中の2型糖尿病患者を対象とした臨床試験結果であり、ベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量に関して、対照薬であるインスリンデグルデクの1日1回投与に対する本剤週1回投与の非劣性が示されました。
続いて審査報告書46ページ、表47を御覧ください。Basal-Bolus療法を実施中の2型糖尿病患者を対象とした臨床試験において、主要評価項目であるベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量に関して、対照薬であるインスリングラルギンの1日1回投与に対する本剤週1回投与の非劣性が示されました。
最後に、審査報告書の49ページ、表55を御覧ください。Basal-Bolus療法を実施中の1型糖尿病患者を対象とした臨床試験においても、主要評価項目であるベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量に関して、対照薬であるインスリンデグルデクの1日1回投与に対する本剤週1回投与の非劣性が示されました。以上の結果等から、インスリン療法が適応となる糖尿病に対する本剤の有効性が示されていると判断しました。
続いて安全性について、審査報告書の62~63ページ、表72~74を御覧ください。2型糖尿病患者を対象とした三つの臨床試験において、本剤群と対照群とで低血糖も含め有害事象の発現状況に大きな違いは認められませんでした。一方、1型糖尿病患者を対象とした臨床試験の結果については、審査報告書65ページの表78を御覧ください。対照群と比較して本剤群では、レベル2又は3の低血糖の発現が多く認められました。ただし当該試験において、低血糖の発現件数以外は、本剤群と対照群とで有害事象の発現状況に大きな差異はありませんでした。また、日本人集団における試験成績について、2型糖尿病患者を対象とした三つの試験では、全体集団と比較して臨床的に意義のある差は認められませんでした。
一方、1型糖尿病患者を対象とした試験における有効性について、審査報告書51ページの図4を御覧ください。本剤の対照薬に対する非劣性は示されたものの、本剤群ではHbA1cの変化量は小さい傾向が認められ、日本人被験者において、その傾向はより大きいものでした。しかしながら当該結果は、本剤により良好な血糖コントロールが得られない背景を有する患者の偏りの影響である可能性が示唆されています。
以上の有効性及び安全性の結果を考慮すると、1型糖尿病患者に対しては、既存の連日投与のBasalインスリン製剤による治療も検討した上で、本剤の適用を慎重に考慮する旨を、本剤の適用に当たっては、本剤の作用特性と患者の状態に留意し、患者の状態が本剤の製剤学的特徴に適する場合に投与する旨を注意喚起することが適切と考えました。
以上のとおり、機構での審査の結果、既存のインスリン製剤と同様に、インスリン療法が適応となる糖尿病を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間を8年、原体及び製剤、いずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事審議会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○佐藤(陽)部会長代理 ありがとうございました。それでは委員の先生方から、御質問等ありましたらお願いします。いかがでしょう。あ、失礼しました。まず先に、稲垣先生から御発言の方、お願いいたします。
○稲垣参考人 医学研究所北野病院の稲垣です。よろしくお願いいたします。聞こえますでしょうか。大丈夫でしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 はい、聞こえております。よろしくお願いいたします。
○稲垣参考人 このアウィクリですが、これは先ほども御説明ございましたが、週1回注射のインスリン製剤です。先ほど御説明がありましたように、インスリン治療歴なし、Basalインスリンにより治療中、及びBasal-Bolus療法を実施中の2型糖尿病患者を対象とした三つの国際共同第III相試験を、それぞれ4477、4478、4480試験、並びにBasal-Bolus療法を実施中の1型糖尿病患者を対象とした国際共同第III相試験、これは4625試験ですが、そのいずれにおきましても主要評価項目であるベースラインからのHbA1c変化量について、前者の2型糖尿病では1日1回注射の持効型インスリンであるグラルギン、あるいはデグルデクに対する本剤の非劣性が、後者の1型糖尿病では同じくデグルデクに対する本剤の非劣性が示されています。
また、日本人の部分集団と全体集団で一貫した成績が得られていることから、機構が考えるように、日本人の2型糖尿病、1型糖尿病のいずれにおきましても、本剤の有効性は基本的に示されていると考えてよいと思います。糖尿病患者は、2型糖尿病においては特に高齢者など、インスリン治療以外の治療薬で良好な血糖コントロールが得られず、インスリンが必要であるにもかかわらず、連日の注射が困難である場合が少なからず認められ、我々も日常診療の中で苦労しているところです。
また1型糖尿病患者においても、近年では患者の高齢化が進んでおり、インスリン注射の自己管理が困難な患者が今後は増加するということが見込まれています。そのような患者さんにとって本剤は大変有用で、大きな福音になると考えております。
ただ一方で、1型糖尿病を対象とした4625試験では、レベル2又は3の低血糖及び夜間低血糖の単位当たりの発現件数は、対照群と比較して本剤群で明らかに多い結果が示されています。また、2型糖尿病を対象とした試験の一部、すなわち4477試験、4478試験でも、レベル3、すなわち重篤な低血糖では、対照群と比べて大きな差は認められなかった一方で、レベル2又は3の低血糖の単位時間当たりの発現件数は、対照群と比べてやや多い結果が、また、4480試験においても、レベル3の低血糖の発現割合、及び単位時間当たりの発現件数が、本剤でやや多いという結果が得られています。
1週間におけるレベル2又は3の低血糖の発現状況を見れば、本剤投与後の2日~4日目に低血糖の発現が対照と比べて明らかに多く、この結果は本剤の血糖低下作用のピークが投与後2日~4日目にあるということと、よく合致した結果であると言えます。
このように1週間の間でインスリンの作用に山と谷があるにもかかわらず、HbA1cの変化量が対照と比べて変わらないということは、すなわち特に投与後2日~4日目に低血糖を起こすリスクはあるとともに、その投与後の1日目、あるいは5日~6日後に、むしろ血糖値が高くなるという可能性を示唆しています。
とはいえ、先ほど申し上げましたように、注射回数の減少による治療負担の軽減が期待されている状況を踏まえますと、週1回投与の本剤は、インスリン療法の適応となる糖尿病患者に対する新たな治療選択肢になり得るというように考えています。
ただ、これまでとは異なり、初めての週1回投与のインスリン製剤ですので、本剤の特徴を踏まえた上で、打ち間違いの防止、他のインスリンからの切替えの方法、シックデイのときの対応の仕方など、十分な注意が必要であり、資材を用いたガイダンスが用意されるとのことですが、一方で低血糖が起こらないようにどのようにして投与量を調節するか、低血糖が起きたときの対処法は従来どおりで良いのか、食事ができないようなシックデイのときにどのように対処するのか、本剤から1日1回の従来型の特効型インスリンに切り替えるときにどのようにするのかなど、これまでの治験の結果だけでは不明な点も多く、今後実施される予定の一般使用成績において検討していただくということも重要であると考えています。私からは以上です。
○佐藤(陽)部会長代理 どうもありがとうございました。音声が途切れてしまいまして、大変失礼いたしました。では、委員の先生方の方から、御質問等ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
○宮川委員 宮川ですけれども、今、稲垣先生がおっしゃったように、シックデイに対する取扱いというのは、非常に重要なところだろうというように考えています。日常診療において、シックデイに対しては非常にデリケートに捉えなければいけないという部分がありますので、資材等でどのように取り扱っていくのでしょうか。今、稲垣先生がおっしゃったように、ピークが2日~4日ということで、その反対に高血糖の方が1日、あるいは5日6日というところが出てくるというところで、血糖スパイクの問題が結構出てくるはずなので、24時間の血糖コントロールの中で、スパイクに対する考え方というものを、しっかりとその中に導入しなくてはいけないという形になると、資材等を含めて、今後の検討というのはどのようにされていくのでしょうか。薬事承認をするということに対しては、決して否定的ではないわけですけれども、その後どのように日常臨床の中で安心してこれを導入して、事故なく、それから齟齬のないような使い方をしていくのか、また、それを早期に確立していくためには、どのような方法論が必要なのかということを、しっかりと検討していかなくてはいけないのですが、それに対しての立て付けというものは、どのように考えられているのかということが、やはり実地臨床家としては心配なので、お聞かせ願いたいと思います。
○佐藤(陽)部会長代理 機構の方からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。御質問ありがとうございます。御指摘いただいたとおり、本剤は週1回投与であり、新規性が高い製剤と考えておりますので、製造販売後においても情報収集することに加え、適正使用に関する方策については非常に重要だと認識しています。
まず、適正使用に関する方策については、RMPにひも付く資材として、医療従事者向け資材に加えて、患者向けにも資材を作成する予定です。その内容につきましては、主に低血糖に関しては、ただいま稲垣先生からも御指摘いただきましたが、特に投与後2日~4日後に多く起こるであろうという点等について、情報提供をする予定です。
また、シックデイに関して、臨床試験では、週1回投与とすることに伴い、特定の方策は必要であったというような傾向は認められていませんでしたので、今のところ既存のインスリン製剤とほぼ同様の記載をする予定ですが、低血糖も含めて製造販売後において使用成績調査を実施いたしますので、その中で情報を収集し、必要な点があれば注意喚起をしていくということを考えています。
○宮川委員 ありがとうございます。今、シックデイに対してのその考え方、既存製剤と同様では全くないと思います。つまり、1日1回ないし1日2回の製剤は、次の日がシックデイであれば、その投与量を変化させればいいわけですけれど、1週間という形になりますと、投与量を変化させることはできないですよね。糖の負荷等を掛けなければいけないなど、全く逆のことを考えていかなければいけないのを、シックデイということは、それを体内に入れることができないのに、どうやって入れるのか、何を入れればいいのか。つまり糖だけではなく、ほかのアミノ酸も含めてですけれど、どういうものを入れたらいいのかということに対して、全く検討されていないわけですよね。それに対してどうなのでしょうか。新規性が高い製剤というのであれば、新たな対応策が必要です。お聞かせ願いたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。シックデイに関して、臨床試験での対応としては、これまでの対応で大きな問題はなかったことを先ほどご説明させていただきました。
しかしながら、宮川先生から御指摘いただいたとおり、本剤は週1回投与が可能となるプロファイルということで、既存の製剤とは大きく異なるプロファイルとなります。したがって、実際に本剤が医療現場に提供された場合に、どういう対応が必要なのかというのは、これから実際の現場の中で情報を収集していただきながら、検討していかざるを得ないと考えています。現状、臨床試験の管理から考えますと、例えば脱水を防ぐような指示ですとか、これまでどおり、シックデイの対応として原則として考えられている点を資材の中で、十分なスペースをとって注意喚起する方向性で今考えています。
現状として、週1回投与という新たなプロファイルを有する本剤に対する対応という意味では、具体的な対応までアナウンスできる状況にはないところもありますので、製造販売後調査の中で低血糖の発現状況や、低血糖がどのぐらい遷延するのか、実施された対応も情報収集し、シックデイについてもどのような発現であったのかや、どのような状態に至っているのか等も情報収集していきながら、今後の対応を検討していきたいと思っております。以上です。
○宮川委員 ありがとうございます。そうすると、そういう対策ができるような所でなければこれを導入できないという形になれば、施設対応とか医師対応とかを含めて、そういう要件が必要になってくるのでしょうか。
それからまたもう一つ、シックデイだけではなくて、今、実際の臨床現場では、24時間の血糖測定のCGMを装着し始めた人はそういう対応が日常的に専門医では行われているので、この薬に対しての対応というものをしっかりと考えられているのかどうか、その立て付けについても教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。専門医、若しくは施設の要件を限定する必要はないかという御質問と思いますが、特に2型糖尿病患者さんですと、それについては既存の1日1回投与のBasalインスリン製剤のプロファイルと比較して、集団で見るとそれほど大きな差は認められていないと考えております。そのような結果を考えると、行政として施設要件を課すまでには至らないと考えています。
一方で、先生御指摘のとおり、この製剤について、特にプロファイルとして新規性が高いこともありますし、御指摘いただきましたようなシックデイ、それから低血糖に関する課題も考えられますので、なるべく専門性の高い先生方に使っていただきたいとも考えています。したがって、例えば納入先について十分検討するよう、申請者には伝達したいと考えています。
○宮川委員 ありがとうございます。慎重にそのように対応していかないと、導入のときにいろいろな齟齬が起こってくるということは、容易に想定されるところなので、そういう意味では、機構並びに厚生労働省を含めて、対応については慎重に取り計らっていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○稲垣参考人 稲垣からよろしいでしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 よろしくお願いします。
○稲垣参考人 おっしゃるとおりで、週1回製剤はリアルワールドでないと分からない部分がこれから出てくると思います。そういう意味では、やはり慎重にこの発売後、フォローアップしていくということは、極めて重要であるということと、やはりこの薬剤、そもそも1日1回製剤を上回る、優越性があるというわけでは決してなくて、どうしても1日1回の注射を打てないような患者さんにとっては非常に福音になると。そういうところのコンセンサスというのも、しっかりしておく必要があるかなというように思います。ありがとうございます。
○佐藤(陽)部会長代理 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。宮川委員。
○宮川委員 宮川ですが、今、稲垣先生がおっしゃったように、これが1日1回製剤よりはるかに有効性、有用性が高いということではなく、1日1回製剤というものが使いにくい患者さん、それから、そのようなことが臨床上なかなか困難であるという患者さん、そのようなコンプライアンスの悪い患者さん、そういう方々に対して使うことで、何とか血糖も含めて糖尿病の病態の悪化、腎症も含めてですが、発症をいかに将来的に防ぐか、大きな視野に立っていかなければいけません。そのような意味での考え方で、決して有用性が高いという一辺倒で物事を語る製剤ではないということを臨床家たちがしっかり理解できるような中で進めていくことが必要ではないかと思います。稲垣先生の御指摘のとおりですし、それを進めていかないと日常診療の中で必ず齟齬が起こってくることが想定されるので、是非、そのような立て付けを厚労省も含めて行っていただきたいと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答え申し上げます。ただいま御説明いただいたとおり、本剤が1日1回投与のインスリン製剤に置き換わるといった製剤ではないと考えており、この製剤の特徴に合う方や、有用性が見込まれる方に本剤を投与していただくことが非常に重要であると考えております。
したがって、添付文書においても、そういった本剤の製剤学的特徴を十分に考慮すること、患者さんによっては連日投与のBasalインスリンについても投与を検討することを注意喚起しております。また、同様の注意喚起については、情報提供資材においても情報提供する予定ですので、その点については引き続き、申請者と調整していきたいと考えております。
○佐藤(陽)部会長代理 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。私から一つ、関係して、添付文書の7の用法及び用量に関する注意の7.7、7.8、7.9で、投与の曜日の変更の対応、それから、投与を忘れたときの対応、そして緊急時の対応について書かれているのですが、先ほどから御議論があったように、既存の製剤とは違う特性を持っていますので、患者さん用の資材において、これはかなり強調して注意喚起をしておく必要があるのだろうと思うのですが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。患者用資材については、基本的には添付文書、その他の情報から作成しているところですが、御指摘いただいた点は重要な点だと思いますので、確認の上、不足があれば追記するよう申請者側と調整したいと思います。
○佐藤(陽)部会長代理 よろしくお願いします。そのほか、いかがでしょうか。
○大谷委員 大谷ですが、一つよろしいでしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 大谷委員、よろしくお願いします。
○大谷委員 先ほどの宮川先生の件に関してですが、今の添付文書を見ますと、基本的には毎日投与するのが原則であって、それが使えない場合に仕方がないからこの製剤を使うのだというところが、どうしても見えてこないような書きぶりになっていると思うのです。重要な基本的注意等に、基本的には毎日投与できるのであれば、毎日投与するのが原則であるということを、この添付文書に書く必要はないのでしょうか。御検討いただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。ご指摘頂いた点について、認められたプロファイルからどのように添付文書を記載していくかは機構内でも検討しましたが、2型糖尿病患者での有効性及び安全性のプロファイルを確認する限り、基本的には連日投与のBasalインスリン製剤と類似していると判断しております。1型糖尿病患者については、連日投与の製剤の方が適している患者も中にはいらっしゃるだろうと考えているところです。したがって、添付文書においては、用法・用量に関連する注意の項で、特に1型糖尿病患者に対しては留意が必要であるという意図で、連日投与の製剤についても使用を検討することを注意喚起していくことを考えております。
○大谷委員 ありがとうございます。これを見たときに、せっかく週1回の製剤が出たのだから、特に何も考えずに週1回の製剤にポンと切り替えてしまおうと読めないかなという、それが気になったものですから、そこのところをもう少し書きぶりがないのかなと思った次第です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。頂いた点は非常に重要な点と考えており、この点については情報提供資材を用いて医療現場に情報提供いただくことを考えております。
○大谷委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○佐藤(陽)部会長代理 そのほか、委員から御質問、御意見、御発言。
○赤羽委員 赤羽ですが、よろしいでしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 よろしくお願いします。
○赤羽委員 今、大谷委員が御指摘されたところ、正に私も同じところを懸念しているのですが、添付文書の効能・効果にインスリン療法が適応となる糖尿病としか記載されていないので、もう一言何かそこに踏み込んだ言葉を添える必要はないかなと思っていたところです。ですので、資材でしっかりとお伝えいただくということですが、本当に添付文書はこれで十分かというところは今一度御検討いただけると有り難いなと思ったのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。効能・効果としては、本剤の有効性・安全性が示された患者集団を基に規定しています。有効性については、既存のインスリン製剤と非劣性が示されていること、安全性についても1型糖尿病患者に対しては低血糖に関する課題は示されているところはあるのですが、基本的には類似したプロファイルであることが示されていますので、効能・効果の記載としては既存のインスリン製剤と同様に、インスリン療法が適応となる糖尿病と付すことが適切と考えています。
添付文書で何か記載を追加した方がいいのではないかという御指摘だったかと思いますが、2型糖尿病患者を対象とした試験として今回3試験が実施されており、そちらから得られた結果からすると、連日投与のインスリン製剤を必ず先行させなければならないといった成績までは得られてはいないだろうと考えています。
一方で、1型糖尿病患者さんについては、本剤の適用が必ずしも適していない患者さんもいらっしゃるかと思いますので、そういった患者さんについては、特に注意が必要ということで、添付文書で連日投与のインスリン製剤を検討することを注意喚起することが適切ではないかと考えています。
○赤羽委員 ありがとうございます。実際に承認されて発売されると、やはり新しいお薬はどうしても使われますので、なるべく適正に使用されるような形で御配慮いただけると有り難いと思いました。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。頂いた点については、申請者側とも調整したいと思います。
○佐藤(陽)部会長代理 そのほか、いかがでしょうか。矢野委員から御発言をどうぞ。
○矢野委員 私も添付文書を見せていただいている中で、7.1の「適用にあたっては、本剤の作用特性と患者の状態に留意し、患者の状態が」うんぬんと書いてあるのですが、やはり、これだけがすごく分かりづらいなと思います。括弧で16.1.1とか16.1.2と書いてあるのですが、その中を見ても、一般にはすぐには分からない内容かなと思うので、もう少し具体的に書いていただくのがいいのかなと思いました。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。こちらでお示ししたかった本剤の作用特性については、先ほど稲垣先生からも御指摘があったところですが、まず、投与してから週の中頃の2~4日後に本剤の効力が強くなる、裏返すと、低血糖の発現のリスクが高くなることを主に意図しています。
この点については、添付文書に加え、実際に使っていただく先生方や患者さんに広く情報を提供することが重要と考えていることから、情報提供資材でこの薬物動態、薬力学的な特性について図なども用いながら情報提供したいと考えています。
○矢野委員 ありがとうございます。なので具体的に、先ほど議論がありましたように、1日1回製剤を使える患者さんにはそちらを優先することみたいな、そのようなことは記載する御予定等はないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。先ほど来ご説明しているところですが、週1回投与を可能とする新規の製剤ということで、やはり導入は慎重にすべきというところはある一方で、特に今回議論になっているのは1型糖尿病患者における臨床試験成績であり、有効性に関してはHbA1cについて連日投与のインスリン製剤に対する非劣性が示されているところはありますが、一方で1型糖尿病患者では厳格な血糖コントロールが必要とされていることもあり、安全性について、低血糖の発現割合が少し高い結果が出てしまったというところです。
2型糖尿病患者における成績に関しては、もちろん週1回投与のプロファイルの剤を導入するという課題はあったとしても、試験成績そのものは決して大きな問題があるわけではありませんでした。そういったことも考えて添付文書における5.2項や、7.2項等に、特に1型糖尿病患者さんにおいて配慮が必要な点を記載し、その中では連日投与のBasalインスリン製剤の使用というのも考慮してほしいということは書かせていただいておりますので、添付文書に記載できるメッセージとしては、我々としては十分と考えていたところです。
ただ、先ほどから先生方から御指摘を頂いているように、やはり新しいプロファイルの剤ということで、いずれにしても導入は慎重にというところもあるかと思います。この製剤的な特徴等、そういったものは図表等も用いて説明していくことが有用かと思いますので、RMPの追加のリスク最小化活動にもひも付ける形で、明確な資材を作成するよう対応を進めていきたいと考えているところです。申請者に対しても、新規のプロファイルによる懸念もあるため連日投与のインスリン製剤の使用を考慮することも記載する等、資材の方は何らかの検討はできると思っておりますので、今後検討していきたいと思います。以上です。
○矢野委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○佐藤(陽)部会長代理 ほか、いかがでしょうか。宮川委員。
○宮川委員 しつこいようですが、機構も臨床試験のデータを日常臨床の中に落し込む作業というのがすごく大事なのです。だから、臨床試験で様々に意見交換を行って検討を行うことはとても重要なことですが、実際に承認ということになると、先ほどから各委員が懸念をされているのは、日常診療の中にこの薬を導入していくといったときに、どのようなことが想定されるのか、その想定されることをある程度予見しながら、このような添付文書、資材を作っていくことが大事なのだということを是非とも機構はしっかりと認識していただきたい。
臨床試験がこうだから、このようになっていますよということではなく、なるべく、これが薬として有用に世に出ていくよう育薬をしなければいけません。私は医薬品等の様々な審議に関わっていますが、今まで育薬に失敗して、なかなか認められないという薬も私は今までたくさん見てまいりました。
ですから、これを世に出すときに、育薬されて、そして、それが素晴らしいものとして多くの患者さんの利益になるように、実地の中で利益となるような、そういう道すがらを立てていくことが、機構としての重要な仕事の一つかなと思っていますので、是非ともそのような考え方の中で、この薬をうまく育てていく、そして、資材も含めていろいろな書き込みをしていく。企業の方にしっかり教育していくことが、私は機構の重要なお仕事の一つであろうと思います。ざっくばらんな言い方をしますと、そんなに頑なにならず、有用なものを一緒になって作っていくことを考えていただき、各委員が懸念されていることは、皆さん、実地の臨床の中の方が言っているのだということを謙虚に受け止めていただいて、是非とも良いものを作っていただきたいと私は思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○新薬審査第一部長 機構の新薬一部の部長の中村と申します。宮川先生、ありがとうございました。我々も決してそうではないつもりではいるのですが、堅いと言われる部分については、いろいろ反省する部分もありますので、細かい文言については引き続き検討させていただきます。今後の審査にもいかさせていただきます。ありがとうございました。
○宮川委員 よろしくお願いいたします。
○佐藤(陽)部会長代理 ほかにいかがでしょうか。堀委員。
○堀委員 患者の立場から今までのお話を聞いて思ったことをお話させていただきます。赤羽委員やほかの先生方が懸念していたように、4の効能又は効果のインスリン療法が適応となる糖尿病との記載だけですとこの薬は1週間に1回の皮下注射で、患者にとってはクオリティオブライフが高くなるような大変有り難い薬としてのみ理解されてしまう恐れがあります
そのため患者のなかには、新しい薬ができたのだったら、連日投与の薬からこれに移行してほしいという希望も出てくるのではないかと思います。この効能・効果だけを見ると、1型、2型関係なく、インスリンを投与している患者は簡単にこのお薬に切り替えができると理解する患者が増えてしまうことが、今までのお話を聞いていてとても心配です。
ですので、先ほどおっしゃったように、確かに5.1以降、1型、2型に関して異なる注意が書かれてますが、私たち医療の知識のない一般の患者にとってみますと、まず添付文書ではこの効能又は効果を私たちは見ますので、先ほど先生方がおっしゃったような内容を、そこに追記をしていただけることを私は切に望みます。以上です。
○新薬審査第一部長 先生、ありがとうございます。効能・効果の付け方は、一般論からいうと、優劣を付けるべきほどの差があれば付けるのですが、では、この薬を明らかに患者集団を分けて使わなければいけないような、そこまでのプロファイルかというと、そうではなかろうというのが我々の判断です。
この点については、恐らく、今まで出てきたインスリン製剤、昔のもの、速効型のものから始まって、今まで出てきたものが多数ある中で、それぞれいろいろな差がないわけではなく承認されてきたのですが、本剤についてもその範囲内であろうから、効能・効果で差を付けて、世の中の人に「これはちょっと違うお薬ですよ」という、差別しなければいけないほどの差はないと考えております。
添付文書においては、その点が大前提にあって、そうはいっても何を注意しなければいけないかを書いていきます。先生がおっしゃったように、患者さんがこれを見たときに期待するのはわかるのですが、これを実際に処方する先生方、当然、患者さんと主治医の先生のディスカッションがそこで起こるのですが、医療側がこれを正しく認識していただいていれば、目の前の患者さんに使うべきなのかどうなのかというのは判断されると、その判断に対して我々は誤った判断がなされないように資材や書き方でやっていくべきなのかなと考えておりますので、一般論とインスリンの話を混ぜてお話してしまいましたが、そのような姿勢で考えさせていただきました。
○堀委員 丁寧に御説明いただき、ありがとうございます。それだからこそ、やはり、先ほど宮川先生がおっしゃったように、本当に日常の診療を担当なさる先生方が納得ができるよう、つまり、医療者向けの分かりやすい資材を作成していただくこと。そして、先ほどおっしゃったように、私たち患者は、効能又は効果を含め、私たちが見られるのは患者向け資材です。その患者向け資材をより分かりやすく、低血糖のことやこのような副作用もあり得るということ、そしてそのようなときには中止することなどをやはり見やすく記載していただけると、大変有り難いと思いました。以上です。
○新薬審査第一部長 ありがとうございます。もちろん、引き続き、まだまだ世に出るまでもう少し時間がありますので、メーカーとも調整の上、専門医の先生方とも必要に応じてディスカッションしつつ、考えさせていただきたいと思います。
○佐藤(陽)部会長代理 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 何度も繰り返し申し訳ないのですが、つまり、どういうことなのかというと、1週間に1回というこのような用法用量の薬を、例えばある専門医、専門病院というかある程度の基幹病院でもいいのですが、投与されて、その患者さんが少し遠方から受診されていると、シックデイのときには、近くの開業の先生ないし、そのような所におかかりになることがあると思います。
そのときに、この製剤を使っていて、その特性をきちんと理解して、くまなくシックデイのことも分かりながら、普通の日常診療の中で一般の医師がどれぐらいまでそのような対応ができるのかというところを私も非常に心配していたので、日常診療に落とし込むときには、このような製剤というのはなかなか厳しいものがあるのだという、そのような認識を持っていただくことが非常に重要で、投与する医師、治療する医師と、いろいろなシックデイ等、トラブルがあったときに対応する医師が同一でない場合、どのようにそのような情報提供をしていくのでしょうか。
そのようなことをくまなく分かりやすく説明をしていくというか、浸透させていかなければいけないということを是非御理解いただき、その立て付けを作っていただくことが私は非常に必要なのではないかと思ったので、先ほどから何度も申し上げ、丁寧な添付文書ないし資材を作り上げていくことが大事なことではないかなと思った次第です。そのようなことに関しても、専門医の稲垣先生にもう一度御意見を伺いたいなと、私としては思う次第です。
○稲垣参考人 稲垣です。よろしいでしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 お願いします。
○稲垣参考人 私はこの薬剤に関していうと、パラダイムシフトというか、今までのインスリンと同じ考え方ではいけないと思っています。つまり、どういうことかというと、今回は比較試験で1日1回の持効型のインスリンと比較しているわけです。非劣性になるところまで血糖値を下げて比較すると、やはり、こちらの週1回製剤の方が低血糖が多くなると。
つまり、有効性だけを見ようとすると、そのようになるわけです。ですが、逆に血糖の低下効果をもう少し緩めてもいいのだと、そうすると本来の週1回製剤の良さが出てくるわけで、ただ単にHbA1cが下がるかどうか、それだけで測ること自体がもう難しくなっているのではないかと思うのです。
この薬剤の本当の価値は、やはり、1日1回打つことがなかなか難しい患者さんに使えることが一番のメリットです。それをただ単にA1cが同じレベルに下がるからというところで比較すると、そのような差が出てしまうということなので、申し上げにくいですが、もう少し緩く使ったら、本当はもっとこの薬剤はうまく使えるのにというところだと思います。それをどう表現するかだと思います。
○宮川委員 宮川です。稲垣先生、ありがとうございます。つまり、HbA1cを下げるということは、1か月の平均値が下がったという、ただそれだけの事象なのだということを皆さんが理解しなければいけないので、それは糖尿病のコントロールが良くなったということではありません。24時間の血糖コントロールでCGMが出てきて、今、いろいろな検討がされています。HbA1cの数値だけをみてきたことの反省の時期に、この薬が出てきてパラダイムシフトになっているのだということを機構にもよく理解していただいて、このような薬というのは、慎重に扱わなければいけないのだという考え方の中で、臨床試験をきちんと見ながら日常診療の中にどう落し込むかということが大事だということを稲垣先生はずっとおっしゃっているので、その辺のところを私たちも理解しながら審議に当たっていくということで、ある程度、ほかの委員の先生方も懸念されていたことが、そこに言葉として出ているのだと思います。そのような考え方の中でパラダイムシフトが起こっている。そして、HbA1cの値だけを追求してきた今までの治療に対して反省が起こっている中で、臨床試験の中でHbA1cが、そのような意味では非劣性を起こして同等であると言っているだけの薬であるということを私たちはよく理解し、対応していかなければいけないことも御理解いただきたいと思います。
○新薬審査第一部長 先生、ありがとうございます。御心配の点はよく理解できました。先生が先ほどおっしゃっていた、実際に診る先生と処方する先生が違うこともありますので、メーカーとも相談して、地域での情報提供、勉強会みたいなものを含めて、基幹病院の周辺に面で情報提供することをお願いしていこうと思います。場合によっては、患者さんがカードを持つとか、いろいろな方策が考えられますので、良いところを見つけていきたいと思います。
○佐藤(陽)部会長代理 関連するステークホルダーと認識を共有する努力ができると良いとは思うので、是非、お考えいただきたいと思います。よろしくお願いします。ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、議決に入りたいと存じます。なお、阿古委員、川上委員、中西委員、前田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づき、議決への御参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようです。それでは、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。稲垣参考人、どうもありがとうございました。
○稲垣参考人 ありがとうございました。
○佐藤(陽)部会長代理 音声が途切れてしまい、本当に申し訳ございません。では、御退室いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
──稲垣参考人退室──
○佐藤(陽)部会長代理 それでは、別室で御待機されている森部会長をお呼びいただけますか。お待たせしました。
──森部会長入室──
○森部会長 続いて、議題1について機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品ネキシウムカプセル10mg、同カプセル20mg、同懸濁用顆粒分包10mg、同懸濁用顆粒分包20mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料については、資料No.1、ネキシウムカプセル10mg他の審査報告書を御覧ください。
エソメプラゾールマグネシウム水和物(以下「本薬」)はプロトンポンプ阻害剤であり、本邦において2011年7月に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などの、主に消化性潰瘍に関連した効能・効果で承認されています。また小児については、2018年1月に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群、逆流性食道炎及び非びらん性胃食道逆流症の効能・効果に係る用法・用量が承認されました。今般、小児においても長期投与が必要とされる逆流性食道炎の維持療法が必要な患者さん、及び胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を有し、非ステロイド性抗炎症薬又は低用量アスピリン投与が必要な小児患者を対象とした国内第III相試験の成績に基づき、小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。
なお、海外では2024年3月現在、本薬は米国及び欧州を含む107以上の国又は地域で承認されており、逆流性食道炎の治療に係る小児の用法・用量については、米国及び欧州を含む58の国又は地域で承認されていますが、逆流性食道炎の維持療法、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、及び低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制に係る小児の用法・用量が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議では、本日の配布資料No.16に示します専門委員を指名しております。
本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。逆流性食道炎の維持療法における有効性に関しては、審査報告書通し番号13ページ、表5を御覧ください。小児の逆流性食道炎患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である8~32週の複合エンドポイント評価による逆流性食道炎再発割合は、体重10kg以上20kg未満のグループ1で0%、体重20kg以上のグループ2で5.3%であり、成人の逆流性食道炎患者を対象に本薬の維持療法を検討した第III相試験における再発割合7.4%と同様の結果が認められました。
次に、非ステロイド性抗炎症薬又は低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制における有効性に関しては、審査報告書通し番号13ページ、表6を御覧ください。胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を有し、非ステロイド性抗炎症薬又は低用量アスピリン投与が必要な小児患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である0~32週の複合エンドポイントの評価による胃潰瘍又は十二指腸潰瘍再発割合は、体重10kg以上20kg未満のグループ3で11.1%、体重20kg以上のグループ4で0%であり、成人の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を有する患者を対象とした非ステロイド性抗炎症薬投与下における本薬の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍再発抑制を検討した第III相試験における再発割合3.5%、及び低用量アスピリン投与下における本薬の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍再発抑制を検討した第III相試験における再発割合1.1%と同様の結果が認められました。
以上の試験結果から本薬に、小児における逆流性食道炎の維持療法、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、及び低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制に関する臨床的に意義のある有効性は期待できると判断いたしました。
安全性に関しては、審査報告書通し番号18~22ページに記載しております。臨床試験において認められた事象は、いずれも本邦における本薬の現行の添付文書で注意喚起されている既知の事象であり、特定の投与時期に有害事象の発現割合が高くなる傾向は認められなかったことなどから、成人と同様の注意喚起を行うことで安全性は管理可能と判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、小児における逆流性食道炎の維持療法、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、及び低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制に関して、本薬による意義のある有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
なお、本薬は新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年と設定することが適切と判断いたしました。薬事審議会では報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議、どうぞよろしくお願いします。
○森部会長 では、委員の先生方から御質問、御意見はいかがでしょうか。柴田委員から御質問があります。お願いいたします。
○柴田委員 幾つかお伺いしたいことがあります。まず審査報告書13ページで、エンドポイントに関する御説明を頂きましたが、ここで治験中止を要する症状増悪と、20mg/日へ増量を要する症状増悪とありますが、これは臨床的にはどのぐらい違うものなのでしょうか。どのように違うものであると解釈すればよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 治験中止を要する症状増悪又は20mg/日へ増量を要する症状増悪は治験担当医師により判断されました。本薬を増量することで症状の抑制が期待できるかどうかで判断されたと考えます。
○柴田委員 つまり、複合エンドポイントで再発が1件出ていたとしても、治験中止を要する臨床増悪はもうリカバーできず、20mg/日増量すればリカバーできるというような増悪と解釈できるのでしょうか。それとも、この後に増悪しても、もう無理だということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今回20mg/日への増量を要する症状増悪が認められた患者さんに関しては、治験担当医師に20mg/日へ増量が必要と判断されて、増量後に症状が軽快又は消失しております。
○柴田委員 つまり、確認させていただいたとおり、統計的には同じ1件のイベントであっても、臨床的な対応が異なるイベントであるということは間違いないですね。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。
○柴田委員 ありがとうございます。その上で、添付文書の17.1.7節の結果の表について、お伺いいたします。こちらは二つ指摘したいことがあります。まず、ここのグループ2やグループ3の再発例数1例と書いてあるのですが、このグループ2の方は10mgで投与していたけれども、20mgに増量することで対応できた症例なのか、この人はもう対応ができなかった、つまり最初の用量設定が間違っていて、患者さんにとってリカバリーする手段がなかった1例なのか、どちらなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。グループ2の20mg/日へ増量を要する症状増悪が認められた患者さんは20mg/日へ増量し症状が軽快又は消失しております。
○柴田委員 そうですよね。二つ目ですが、再発割合と書いてあるのですが、これはどのぐらいの期間における再発割合でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 グループ1及びグループ2は、24週間における再発を評価しており、グループ3及びグループ4は32週間における再発を評価しております。
○柴田委員 ありがとうございます。以上の2点については、添付文書に書いていただく必要があると思います。つまり、この見た目の数字は、前者については同じ1例、あるいはイベント1件であっても、臨床的に解釈の異なる、あるいは対策が異なる。特に今回の場合は、用量設定が妥当かどうかということがかなり重大な論点であるにもかかわらず、それに対する解釈が困難であるようなデータのプレゼンテーションは、やはり不十分ではないかと思う次第です。
もう一つ、再発割合については、今回の申請パッケージの構成が成人でのデータとの比較に基づいて議論されているわけですから、成人のデータと再発の状況を比べるのであれば、実際どのぐらいの期間における再発割合なのか。それが3か月なのか、6か月なのか、1年なのかということが特定されていなければ、この数字の解釈の余地がないと思いますので、やはりそこは書いていただく必要があると思います。それについて、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。御指摘いただいた再発の内訳と再発を評価した期間は、添付文書の方にも情報提供したいと思います。
○柴田委員 ありがとうございます。あと2点あるのですが、審査報告書の17ページの表9についてお伺いしたいのですが。維持療法期間32~52週であるとか、グループ2の方がそこで、例えば20mg/日増量を要する症状増悪という方が3例出ていますが、こういう臨床試験の範囲を超えた長期投与時の状況というのは、情報提供は不要なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず添付文書に関しては、主要評価項目として評価したものを記載しております。そのため、添付文書では8~32週の結果のみの記載しました。
○柴田委員 細かい所は置いておいて、分かりました。添付文書には記載しないけれども、例えば情報提供資材等では記載されるということですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。インタビューフォームなどで、今回の主要評価以降の期間の再発の状況に関して、情報提供できないか、申請者とも相談して対応を検討させていただきます。
○柴田委員 ありがとうございます。最後の質問ですが、今回解析に当たって、事前の仮説検証等に関する設定はしていなかったということが書いてあります。それは、今回の対象の患者さんの数や、小児であること、あるいは成人と小児の病態が余り変わらないと思われることなどという背景情報を踏まえると、そんなにいびつな設定ではないと思います。
それについて、一方で今お話しましたが、例えば再発割合という言葉だけが独り歩きしていて、具体的にどの期間での再発を比較するのかとか、エンドポイントの内訳が今回検査の仕方が少し違っていますが、そういうものが違っていても同じような再発だと、その内訳に関して議論しなくても、同じような再発だと議論できるのかなどという論点は、きちんと詰められるべきだと思います。そういう観点で、この治験の計画の段階で、仮説検定はしないとか、仮説検定に使うような閾値を設定しないというのはいいのですが、成人との比較をする上でどのようなエンドポイントでどのような観点での比較をして類似性を議論するなどということは、事前に検討されていたのでしょうか。あるいは、治験相談の段階で機構が何らかの指示をしていた、あるいは指示をしていなかった、いずれなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。今回の申請に関する試験に関しては、先ほど御説明いただいたとおり、やはり実施可能性の観点から、仮説検定が困難であった状況や、今回小児ということで、全例内視鏡の検査をすることが難しかったといった状況などもありましたので、成人と全く同じ評価で試験を行うことは困難でした。
ですので、厳密な評価は困難でしたが、治験相談の段階からも得られた結果をできる範囲で柔軟に評価することで、今回の疾患の有効性評価をするという形で、治験計画全体に合意はしております。
○柴田委員 ありがとうございます。コメントですが、厳格な仮説検定ができないというのは全くそのとおりで、それを設定しないということは妥当ですし、出てきた結果を柔軟に判断するということをきちんと治験相談の段階で言明されているということはすばらしいことなので、それは今後も続けていただきたいと思うところです。
一方で、検定しないのだったら何も決めないというのは極端で、検定しないし定型的なゼロイチで判断するような判断基準を設けられないというのは前提だとしても、こういう観点で類似性を議論するなどということは事前に議論できる余地があって、なおかつそれに伴って内視鏡の検査が必須かどうかということも外してよいかどうかの議論が発生するわけで、そこはやはり詰めていただく必要はあるのかと思います。実際に詰められていないので、添付文書に再発率などを書くときに、期間が特定されていないなどということが起こるのではないかと考える次第です。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。十分その点は留意した上で、以降の相談や審査などを行っていきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 そのほか、御意見はありますか。今の柴田委員からの御発言も含めて、消化器内科の御専門領域でいらっしゃいます前田先生、何か追加の御発言はありますか。
○前田委員 いえ、特に発言はありません。今回、小児に関して、なかなか治験が難しかったというのは、審査報告書を見て分かりました。正直なところ、今までも現場ではある程度使われていたということもあり、小児への適用というのはすばらしいことだと思います。なかなか難しいところはありますが、特にこのままきちんと通していただければと思います。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。やはり、臨床試験で得られているデータをくまなく現場に提供いただくということも、大変重要かと思います。今回のことについては、インタビューフォーム等も是非御活用いただき、小児での成績のみならず、比較対象となった成人での成績についても、観察期間も含めたデータを含めて御提示いただくということで、それをレファレンスにしながら小児の評価をしたということが分かるような形の表現を御要望いただいたと思っていますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 申請者と、インタビューフォームでその情報をうまく伝えられるかなどは、検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 資材も同様ですので、併せてお願いいたします。そのほか、御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。なお、阿古委員、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。
続いて、議題2に移ります。機構から、議題2について概要説明の準備をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題2、資料No.2、医薬品ファビハルタカプセル200mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料については、資料No.2、ファビハルタカプセル200mgの審査報告書を御覧ください。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(以下「PNH」)は、赤血球表面上の終末補体制御因子CD55及びCD59が欠損し、補体第二経路が活性化されて生じる慢性の血管内溶血を主徴とする疾患です。標準治療薬は、血管内溶血を防ぐ補体C5阻害剤ですが、補体C5阻害剤投与中の一部の患者では、補体C3フラグメントのPNH型赤血球への蓄積による血管外溶血が認められることが問題となっています。本薬は補体B因子の活性部位に結合し、C3転換酵素を阻害することにより、補体第二経路の活性化を阻害し、血管内溶血を抑制するとともに、補体C5阻害剤で問題となっているC3フラグメントのPNH型赤血球への蓄積を阻害して、血管外溶血も抑制することが期待されます。PNH患者を対象とした国際共同試験の成績から、本薬の有効性及び安全性が確認できたとして、今般、医薬品製造販売承認申請がなされました。海外では、本薬は米国で2023年12月に、また欧州で審査報告書作成以降の2024年5月に承認されております。本品目の専門協議では、本日の配布資料No.16に示します専門委員を指名しております。
それでは、本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性に関しては、審査報告書通し番号40ページ、表37を御覧ください。補体C5阻害剤で効果不十分なPNH患者を対象とした国際共同第III相試験(C12302試験)では、主要評価項目である「無輸血でDay126~168にヘモグロビン値のベースラインから2g/dL以上の増加」と「無輸血でDay126~168にヘモグロビン値12g/dL以上」のいずれにおいても、本薬の補体C5阻害剤に対する優越性が示されました。
日本人集団については、審査報告書通し番号45ページ、表42を御覧ください。症例数が限られており、結果の解釈には限界があるものの、いずれの主要評価項目においても、全体集団と比較して、日本人集団で異なる傾向は認められませんでした。以上より、補体C5阻害剤で効果不十分なPNH患者における本薬の有効性は示され、日本人集団においても意義のある有効性は期待できると考えました。
なお、補体阻害剤未治療のPNH患者を対象とした国際共同第III相試験(C12301試験)も実施され、有効性は示唆されましたが、この試験は非盲検非対照試験であり、日本人患者の組入れ数は結果的に0例でした。そのため、現時点で得られている臨床試験の結果のみからでは、日本人の補体阻害剤未治療のPNH患者への本薬の投与を積極的に推奨することまではできないと考えました。
次に安全性に関しては、審査報告書通し番号50ページ、表46を御覧ください。C12302試験における有害事象の発現状況は表のとおりであり、有害事象の発現割合は、本薬群と補体C5阻害剤群で同程度でした。副作用については、補体C5阻害剤群と比較して、本薬群で発現割合が高かったものの、重篤な副作用は本薬群の血中クレアチンホスホキナーゼ1例であり、併用薬の関与も推察されています。また、日本人集団では副作用は認められませんでした。以上より、補体C5阻害剤との比較において、本薬で安全性上問題となるような傾向は認められていないと考えました。
次に、審査報告書通し番号51ページ、「7.R.2.3.1 莢膜形成細菌感染症」の項を御覧ください。本薬は補体B因子を阻害し、膜侵襲複合体形成及びC3bオプソニン化の両方を抑制することから、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌を含む莢膜形成細菌による感染リスクが懸念されます。PNH患者を対象とした臨床試験では、これらの細菌に対するワクチンの接種が規定されており、その結果、PNH患者を対象とした臨床試験の併合解析において、莢膜形成細菌感染症は8.2%に認められ、重篤な有害事象は2.9%に認められましたが、いずれも副作用とは判断されず、転帰は回復でした。このように、臨床試験において、莢膜形成細菌感染症の発現状況に、臨床的に大きな問題となるような傾向は認められていないものの、本薬の作用機序を踏まえると、本薬投与時には莢膜形成細菌に十分注意し、適切な対応等を取る必要があると考えました。特に髄膜炎菌感染症は急激に重症化し、死亡に至るおそれもあるため、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師と連携して使用されることが適切と判断いたしました。したがって、本薬はPNHの診断、治療に精通し、本薬のリスク等についても十分に管理できる医師、医療機関の下で使用すること、並びに本薬投与開始前に髄膜炎菌ワクチン、肺炎球菌ワクチン及びインフルエンザ菌に対するワクチンの接種歴を確認し、未接種の場合又は追加接種が必要な場合はワクチンを接種することを、添付文書や医療従事者向け及び患者向け資材等において、注意喚起を徹底する必要があると判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、PNHに対する本薬の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えられたことから、審査報告書通し番号2ページに記載した承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。
なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事審議会では報告を予定しています。
また、審査報告書に誤記がありましたので、訂正させていただきます。修正表の作成が間に合わなかったため、口頭での説明のみになってしまいますが、審査報告書通し番号6ページを御覧いただければと思います。6ページの「2.2.3 製剤の管理」の項の3行目の「溶出性(HPLC)」につきまして、「溶出性(UV/VIS)」、こちらは紫外可視吸収スペクトルの略ですが、こちらの誤記でしたので、修正させていただきます。これは溶出性を確認する際の試験方法の誤記修正であり、この修正による審査結果の変更はありません。審査報告書修正の手続は、本部会終了後、速やかに執り行います。機構からの説明は以上になります。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、委員の先生方から御質問、御意見いかがでございましょうか。
○堀委員 御説明ありがとうございます。堀です。私からはまず剤形の飲みやすさ、そしてもう一つ服薬のタイミングについてお尋ねしたいと思います。まず、製剤の写真を送っていただきありがとうございます。拝見いたしました。そういたしますと、この剤形が長径、横が21.7mmで短径が7.6mmということで私にとってみますとかなり大きな剤形ではないかと思います。特に高齢者の服用に関してのことは何も添付文書には書かれていないので、高齢者も多分、服用は可能だと私は理解したのですが、高齢者において飲みやすさというのはいかがなものかというのを教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。高齢者のみを対象とした試験等を実施しておらず、高齢者における飲みやすさに関するデータはないので、現時点では分からないとしか答えられない状況です。
○堀委員 ありがとうございます。そういたしますと、自宅で飲む場合においては、これを粉砕してしまう方もいらっしゃると思うのですが、粉砕することは可能なお薬なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。こちらは硬カプセル剤ですので、粉砕して用いることは、現時点では推奨はできないというように考えております。
○堀委員 続けてよろしいですか。
○森部会長 どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。そういたしますと、患者向け資材において、やはりこの飲みにくさというようなことが、私だけではなく、そう思う方もいらっしゃった場合に、自宅で粉砕してしまう可能性もあると思いますので、その部分に関しては是非明記していただきたいということは思っているのですが、その明記の御予定はございますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今のところ資材等でそのような記載をする予定はございませんが、頂いた御意見を踏まえて、企業と記載するかどうか相談させていただきたいと思います。
○堀委員 続けてよろしいですか。ありがとうございます。あともう1点、服薬のタイミングです。用法・用量を拝見いたしますと、1回200mgを1日2回経口投与と書いてあります。添付文書の16の2.1を拝見しましたところ、食事の影響は受けないということですので、患者は、この1日2回投与ということだけだと服用の時間に関して非常に迷うところです。といいますのは、1回目の服用のあと、どれくらい間隔を空けて飲んだらいいかということはいつも迷うところなので、教えていただけたら有り難いです。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。治験の中で、特に服薬時間等は設定されていなかったので、明確に答えることはできませんが、基本的には1日2回の場合は、朝と夜に服薬いただくことで良いかと考えております。
○堀委員 ありがとうございます。この1日2回服用を、ネットとかで検索しますと、6時間空ければいい、5時間空ければいい、12時間空ければいいなど、各お薬によって異なると思うのですけれども、いろいろな検索結果が出てきます。そのため、患者によっては2回目の服用をどれくらいの時間を空けたらいいのかを、疑問に思う方もいらっしゃると思います。。もし今御説明いただいた朝と晩ということであるならば、、例えば朝と晩に服用することを推奨しますというようなことを、記載していただくと非常に有り難いのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。患者向け資材には朝晩の飲むように記載しておりますので、御心配の点は大丈夫かと思います。
○堀委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 一応、朝8時と夜20時を飲む時間の例という形で、絶対にその時間に服用するというものではございませんが、例示として患者向け資材に記載しているので、ある程度の目安は患者さんにも分かる形にはなっていると思います。
○堀委員 分かりました。どうもありがとうございます。以上です。
○森部会長 ありがとうございます。関連した質問ですが、今の服用の時間は、臨床試験のときの服用の時間の目安と大体合致していますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。具体的に臨床試験でそこまで厳密な時間まで規定されていたかは今お答えできないため、確認させていただきます。例示された時間については、そこまで大きく間違いではないと思いますが、再度確認させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 もう1点は、前半の質問ですが、脱カプセルをして服用していいかということの確認だったと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。脱カプセルしたときの薬物動態などは検討されておりませんので、やはり推奨できないというように考えております。
○森部会長 分かりました。ありがとうございました。そのほか先生方から御質問、御意見いかがでございましょうか。
では私から1点。審査報告書の7.R.2.3.5の項目に、脂質異常に関する記載を頂いていますし、添付文書の8の2項につきましても、脂質異常に関する記載がございますが、実際に上昇したデータを確認いたしますと、LDLコレステロールの値が20~30程度上昇しているケースや、LDLコレステロールの基準値162mg/dLを超えた例も散見されているといったことがありまして、具体的な上昇した数値について、添付文書には今記載がない状態ですが、記載整備に関してはどういった御意向でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。脂質異常に関しては、ほかの薬剤で注意喚起されている事例もありますが、基本的には添付文書の中で、どの程度の臨床検査値の異常が認められたかまでは記載していないと理解しておりますので、本剤に関して、更に通常以上の対応が必要とまでは考えておりません。添付文書に関しては現在の記載のままとさせていただければと思います。一方で、御指摘いただいたように、どのぐらいの臨床検査値の異常が認められていたのか等については、重要な情報だと思いますので、医療従事者向け資材等の中で、情報提供することを申請者と再度検討していきたいと考えております。
○森部会長 循環器内科の先生もいらっしゃると思いますが、LDLコレステロールの数値につきましては、特に本剤は長期服用するという可能性も十分にございますので、長期的な影響を鑑みた場合に、具体的な情報提供を必要としないか、若しくは資材ですと提供の持続性という問題もありますので、持続的に提供できる資材等での提供が必要かどうか、御意見を頂ければ助かります。いかがでしょうか。もしよろしければ阿古委員、御発言いかがでございましょうか。
○佐藤(直)委員 聞こえますか。
○森部会長 佐藤先生どうぞ。お願いします。
○佐藤(直)委員 すみません。では佐藤から。聞こえますか。
○森部会長 聞こえてます。どうぞお願いします。
○佐藤(直)委員 LDLコレステロール高値については情報提供は必要だと思いますので、お願いしたいと思います。
○森部会長 ありがとうございました。佐藤先生、もしよろしければ次、阿古委員からの御発言に移ってもよろしいですか。
○佐藤(直)委員 はい、どうぞ、お願いします。
○森部会長 では、阿古委員、御発言よろしいでしょうか。
○阿古委員 ありがとうございます。私も佐藤先生と同じで、すごく高くなるようでしたら、一言必要ではないかと思います。
○森部会長 米国の添付文書を見ましても、具体的な上昇の数値についての記載が一部言及されていますので、できましたら添付文書でも臨床成績等への追記を御検討いただき、かつ添付文書の8の2項について、臨床成績を引用する形の表記を付けていただきますと、実臨床上大変有効ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。頂いた御意見も踏まえて、改めて今回の成績で得られている上昇の程度と、ほかの薬剤での注意喚起等も含めて検討させていただいて、添付文書への記載や資材での情報提供も含めて、どういう形で注意喚起をするのか、改めて検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 そのほか先生方の方から御質問、御意見いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。なお、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決の参加を御遠慮いただくこととなっております。それでは、本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議ないようですので、承認を可として薬事審議会に報告させていただきます。
続きまして、議題3に移らせていただきます。機構から、議題3の御説明の準備をお願いします。なお、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反のお申し出に基づきまして、議題3の審議の間、会議から御退室して、御待機いただくことになっております。佐藤直樹委員につきましては、御退室の方をお願いしてよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品ネキシウムカプセル10mg、同カプセル20mg、同懸濁用顆粒分包10mg、同懸濁用顆粒分包20mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料については、資料No.1、ネキシウムカプセル10mg他の審査報告書を御覧ください。
エソメプラゾールマグネシウム水和物(以下「本薬」)はプロトンポンプ阻害剤であり、本邦において2011年7月に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などの、主に消化性潰瘍に関連した効能・効果で承認されています。また小児については、2018年1月に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群、逆流性食道炎及び非びらん性胃食道逆流症の効能・効果に係る用法・用量が承認されました。今般、小児においても長期投与が必要とされる逆流性食道炎の維持療法が必要な患者さん、及び胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を有し、非ステロイド性抗炎症薬又は低用量アスピリン投与が必要な小児患者を対象とした国内第III相試験の成績に基づき、小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。
なお、海外では2024年3月現在、本薬は米国及び欧州を含む107以上の国又は地域で承認されており、逆流性食道炎の治療に係る小児の用法・用量については、米国及び欧州を含む58の国又は地域で承認されていますが、逆流性食道炎の維持療法、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、及び低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制に係る小児の用法・用量が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議では、本日の配布資料No.16に示します専門委員を指名しております。
本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。逆流性食道炎の維持療法における有効性に関しては、審査報告書通し番号13ページ、表5を御覧ください。小児の逆流性食道炎患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である8~32週の複合エンドポイント評価による逆流性食道炎再発割合は、体重10kg以上20kg未満のグループ1で0%、体重20kg以上のグループ2で5.3%であり、成人の逆流性食道炎患者を対象に本薬の維持療法を検討した第III相試験における再発割合7.4%と同様の結果が認められました。
次に、非ステロイド性抗炎症薬又は低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制における有効性に関しては、審査報告書通し番号13ページ、表6を御覧ください。胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を有し、非ステロイド性抗炎症薬又は低用量アスピリン投与が必要な小児患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である0~32週の複合エンドポイントの評価による胃潰瘍又は十二指腸潰瘍再発割合は、体重10kg以上20kg未満のグループ3で11.1%、体重20kg以上のグループ4で0%であり、成人の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を有する患者を対象とした非ステロイド性抗炎症薬投与下における本薬の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍再発抑制を検討した第III相試験における再発割合3.5%、及び低用量アスピリン投与下における本薬の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍再発抑制を検討した第III相試験における再発割合1.1%と同様の結果が認められました。
以上の試験結果から本薬に、小児における逆流性食道炎の維持療法、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、及び低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制に関する臨床的に意義のある有効性は期待できると判断いたしました。
安全性に関しては、審査報告書通し番号18~22ページに記載しております。臨床試験において認められた事象は、いずれも本邦における本薬の現行の添付文書で注意喚起されている既知の事象であり、特定の投与時期に有害事象の発現割合が高くなる傾向は認められなかったことなどから、成人と同様の注意喚起を行うことで安全性は管理可能と判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、小児における逆流性食道炎の維持療法、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、及び低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制に関して、本薬による意義のある有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
なお、本薬は新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年と設定することが適切と判断いたしました。薬事審議会では報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議、どうぞよろしくお願いします。
○森部会長 では、委員の先生方から御質問、御意見はいかがでしょうか。柴田委員から御質問があります。お願いいたします。
○柴田委員 幾つかお伺いしたいことがあります。まず審査報告書13ページで、エンドポイントに関する御説明を頂きましたが、ここで治験中止を要する症状増悪と、20mg/日へ増量を要する症状増悪とありますが、これは臨床的にはどのぐらい違うものなのでしょうか。どのように違うものであると解釈すればよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 治験中止を要する症状増悪又は20mg/日へ増量を要する症状増悪は治験担当医師により判断されました。本薬を増量することで症状の抑制が期待できるかどうかで判断されたと考えます。
○柴田委員 つまり、複合エンドポイントで再発が1件出ていたとしても、治験中止を要する臨床増悪はもうリカバーできず、20mg/日増量すればリカバーできるというような増悪と解釈できるのでしょうか。それとも、この後に増悪しても、もう無理だということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今回20mg/日への増量を要する症状増悪が認められた患者さんに関しては、治験担当医師に20mg/日へ増量が必要と判断されて、増量後に症状が軽快又は消失しております。
○柴田委員 つまり、確認させていただいたとおり、統計的には同じ1件のイベントであっても、臨床的な対応が異なるイベントであるということは間違いないですね。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。
○柴田委員 ありがとうございます。その上で、添付文書の17.1.7節の結果の表について、お伺いいたします。こちらは二つ指摘したいことがあります。まず、ここのグループ2やグループ3の再発例数1例と書いてあるのですが、このグループ2の方は10mgで投与していたけれども、20mgに増量することで対応できた症例なのか、この人はもう対応ができなかった、つまり最初の用量設定が間違っていて、患者さんにとってリカバリーする手段がなかった1例なのか、どちらなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。グループ2の20mg/日へ増量を要する症状増悪が認められた患者さんは20mg/日へ増量し症状が軽快又は消失しております。
○柴田委員 そうですよね。二つ目ですが、再発割合と書いてあるのですが、これはどのぐらいの期間における再発割合でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 グループ1及びグループ2は、24週間における再発を評価しており、グループ3及びグループ4は32週間における再発を評価しております。
○柴田委員 ありがとうございます。以上の2点については、添付文書に書いていただく必要があると思います。つまり、この見た目の数字は、前者については同じ1例、あるいはイベント1件であっても、臨床的に解釈の異なる、あるいは対策が異なる。特に今回の場合は、用量設定が妥当かどうかということがかなり重大な論点であるにもかかわらず、それに対する解釈が困難であるようなデータのプレゼンテーションは、やはり不十分ではないかと思う次第です。
もう一つ、再発割合については、今回の申請パッケージの構成が成人でのデータとの比較に基づいて議論されているわけですから、成人のデータと再発の状況を比べるのであれば、実際どのぐらいの期間における再発割合なのか。それが3か月なのか、6か月なのか、1年なのかということが特定されていなければ、この数字の解釈の余地がないと思いますので、やはりそこは書いていただく必要があると思います。それについて、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。御指摘いただいた再発の内訳と再発を評価した期間は、添付文書の方にも情報提供したいと思います。
○柴田委員 ありがとうございます。あと2点あるのですが、審査報告書の17ページの表9についてお伺いしたいのですが。維持療法期間32~52週であるとか、グループ2の方がそこで、例えば20mg/日増量を要する症状増悪という方が3例出ていますが、こういう臨床試験の範囲を超えた長期投与時の状況というのは、情報提供は不要なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず添付文書に関しては、主要評価項目として評価したものを記載しております。そのため、添付文書では8~32週の結果のみの記載しました。
○柴田委員 細かい所は置いておいて、分かりました。添付文書には記載しないけれども、例えば情報提供資材等では記載されるということですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。インタビューフォームなどで、今回の主要評価以降の期間の再発の状況に関して、情報提供できないか、申請者とも相談して対応を検討させていただきます。
○柴田委員 ありがとうございます。最後の質問ですが、今回解析に当たって、事前の仮説検証等に関する設定はしていなかったということが書いてあります。それは、今回の対象の患者さんの数や、小児であること、あるいは成人と小児の病態が余り変わらないと思われることなどという背景情報を踏まえると、そんなにいびつな設定ではないと思います。
それについて、一方で今お話しましたが、例えば再発割合という言葉だけが独り歩きしていて、具体的にどの期間での再発を比較するのかとか、エンドポイントの内訳が今回検査の仕方が少し違っていますが、そういうものが違っていても同じような再発だと、その内訳に関して議論しなくても、同じような再発だと議論できるのかなどという論点は、きちんと詰められるべきだと思います。そういう観点で、この治験の計画の段階で、仮説検定はしないとか、仮説検定に使うような閾値を設定しないというのはいいのですが、成人との比較をする上でどのようなエンドポイントでどのような観点での比較をして類似性を議論するなどということは、事前に検討されていたのでしょうか。あるいは、治験相談の段階で機構が何らかの指示をしていた、あるいは指示をしていなかった、いずれなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。今回の申請に関する試験に関しては、先ほど御説明いただいたとおり、やはり実施可能性の観点から、仮説検定が困難であった状況や、今回小児ということで、全例内視鏡の検査をすることが難しかったといった状況などもありましたので、成人と全く同じ評価で試験を行うことは困難でした。
ですので、厳密な評価は困難でしたが、治験相談の段階からも得られた結果をできる範囲で柔軟に評価することで、今回の疾患の有効性評価をするという形で、治験計画全体に合意はしております。
○柴田委員 ありがとうございます。コメントですが、厳格な仮説検定ができないというのは全くそのとおりで、それを設定しないということは妥当ですし、出てきた結果を柔軟に判断するということをきちんと治験相談の段階で言明されているということはすばらしいことなので、それは今後も続けていただきたいと思うところです。
一方で、検定しないのだったら何も決めないというのは極端で、検定しないし定型的なゼロイチで判断するような判断基準を設けられないというのは前提だとしても、こういう観点で類似性を議論するなどということは事前に議論できる余地があって、なおかつそれに伴って内視鏡の検査が必須かどうかということも外してよいかどうかの議論が発生するわけで、そこはやはり詰めていただく必要はあるのかと思います。実際に詰められていないので、添付文書に再発率などを書くときに、期間が特定されていないなどということが起こるのではないかと考える次第です。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。十分その点は留意した上で、以降の相談や審査などを行っていきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 そのほか、御意見はありますか。今の柴田委員からの御発言も含めて、消化器内科の御専門領域でいらっしゃいます前田先生、何か追加の御発言はありますか。
○前田委員 いえ、特に発言はありません。今回、小児に関して、なかなか治験が難しかったというのは、審査報告書を見て分かりました。正直なところ、今までも現場ではある程度使われていたということもあり、小児への適用というのはすばらしいことだと思います。なかなか難しいところはありますが、特にこのままきちんと通していただければと思います。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。やはり、臨床試験で得られているデータをくまなく現場に提供いただくということも、大変重要かと思います。今回のことについては、インタビューフォーム等も是非御活用いただき、小児での成績のみならず、比較対象となった成人での成績についても、観察期間も含めたデータを含めて御提示いただくということで、それをレファレンスにしながら小児の評価をしたということが分かるような形の表現を御要望いただいたと思っていますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 申請者と、インタビューフォームでその情報をうまく伝えられるかなどは、検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 資材も同様ですので、併せてお願いいたします。そのほか、御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。なお、阿古委員、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。
続いて、議題2に移ります。機構から、議題2について概要説明の準備をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題2、資料No.2、医薬品ファビハルタカプセル200mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料については、資料No.2、ファビハルタカプセル200mgの審査報告書を御覧ください。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(以下「PNH」)は、赤血球表面上の終末補体制御因子CD55及びCD59が欠損し、補体第二経路が活性化されて生じる慢性の血管内溶血を主徴とする疾患です。標準治療薬は、血管内溶血を防ぐ補体C5阻害剤ですが、補体C5阻害剤投与中の一部の患者では、補体C3フラグメントのPNH型赤血球への蓄積による血管外溶血が認められることが問題となっています。本薬は補体B因子の活性部位に結合し、C3転換酵素を阻害することにより、補体第二経路の活性化を阻害し、血管内溶血を抑制するとともに、補体C5阻害剤で問題となっているC3フラグメントのPNH型赤血球への蓄積を阻害して、血管外溶血も抑制することが期待されます。PNH患者を対象とした国際共同試験の成績から、本薬の有効性及び安全性が確認できたとして、今般、医薬品製造販売承認申請がなされました。海外では、本薬は米国で2023年12月に、また欧州で審査報告書作成以降の2024年5月に承認されております。本品目の専門協議では、本日の配布資料No.16に示します専門委員を指名しております。
それでは、本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性に関しては、審査報告書通し番号40ページ、表37を御覧ください。補体C5阻害剤で効果不十分なPNH患者を対象とした国際共同第III相試験(C12302試験)では、主要評価項目である「無輸血でDay126~168にヘモグロビン値のベースラインから2g/dL以上の増加」と「無輸血でDay126~168にヘモグロビン値12g/dL以上」のいずれにおいても、本薬の補体C5阻害剤に対する優越性が示されました。
日本人集団については、審査報告書通し番号45ページ、表42を御覧ください。症例数が限られており、結果の解釈には限界があるものの、いずれの主要評価項目においても、全体集団と比較して、日本人集団で異なる傾向は認められませんでした。以上より、補体C5阻害剤で効果不十分なPNH患者における本薬の有効性は示され、日本人集団においても意義のある有効性は期待できると考えました。
なお、補体阻害剤未治療のPNH患者を対象とした国際共同第III相試験(C12301試験)も実施され、有効性は示唆されましたが、この試験は非盲検非対照試験であり、日本人患者の組入れ数は結果的に0例でした。そのため、現時点で得られている臨床試験の結果のみからでは、日本人の補体阻害剤未治療のPNH患者への本薬の投与を積極的に推奨することまではできないと考えました。
次に安全性に関しては、審査報告書通し番号50ページ、表46を御覧ください。C12302試験における有害事象の発現状況は表のとおりであり、有害事象の発現割合は、本薬群と補体C5阻害剤群で同程度でした。副作用については、補体C5阻害剤群と比較して、本薬群で発現割合が高かったものの、重篤な副作用は本薬群の血中クレアチンホスホキナーゼ1例であり、併用薬の関与も推察されています。また、日本人集団では副作用は認められませんでした。以上より、補体C5阻害剤との比較において、本薬で安全性上問題となるような傾向は認められていないと考えました。
次に、審査報告書通し番号51ページ、「7.R.2.3.1 莢膜形成細菌感染症」の項を御覧ください。本薬は補体B因子を阻害し、膜侵襲複合体形成及びC3bオプソニン化の両方を抑制することから、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌を含む莢膜形成細菌による感染リスクが懸念されます。PNH患者を対象とした臨床試験では、これらの細菌に対するワクチンの接種が規定されており、その結果、PNH患者を対象とした臨床試験の併合解析において、莢膜形成細菌感染症は8.2%に認められ、重篤な有害事象は2.9%に認められましたが、いずれも副作用とは判断されず、転帰は回復でした。このように、臨床試験において、莢膜形成細菌感染症の発現状況に、臨床的に大きな問題となるような傾向は認められていないものの、本薬の作用機序を踏まえると、本薬投与時には莢膜形成細菌に十分注意し、適切な対応等を取る必要があると考えました。特に髄膜炎菌感染症は急激に重症化し、死亡に至るおそれもあるため、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師と連携して使用されることが適切と判断いたしました。したがって、本薬はPNHの診断、治療に精通し、本薬のリスク等についても十分に管理できる医師、医療機関の下で使用すること、並びに本薬投与開始前に髄膜炎菌ワクチン、肺炎球菌ワクチン及びインフルエンザ菌に対するワクチンの接種歴を確認し、未接種の場合又は追加接種が必要な場合はワクチンを接種することを、添付文書や医療従事者向け及び患者向け資材等において、注意喚起を徹底する必要があると判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、PNHに対する本薬の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えられたことから、審査報告書通し番号2ページに記載した承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。
なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事審議会では報告を予定しています。
また、審査報告書に誤記がありましたので、訂正させていただきます。修正表の作成が間に合わなかったため、口頭での説明のみになってしまいますが、審査報告書通し番号6ページを御覧いただければと思います。6ページの「2.2.3 製剤の管理」の項の3行目の「溶出性(HPLC)」につきまして、「溶出性(UV/VIS)」、こちらは紫外可視吸収スペクトルの略ですが、こちらの誤記でしたので、修正させていただきます。これは溶出性を確認する際の試験方法の誤記修正であり、この修正による審査結果の変更はありません。審査報告書修正の手続は、本部会終了後、速やかに執り行います。機構からの説明は以上になります。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、委員の先生方から御質問、御意見いかがでございましょうか。
○堀委員 御説明ありがとうございます。堀です。私からはまず剤形の飲みやすさ、そしてもう一つ服薬のタイミングについてお尋ねしたいと思います。まず、製剤の写真を送っていただきありがとうございます。拝見いたしました。そういたしますと、この剤形が長径、横が21.7mmで短径が7.6mmということで私にとってみますとかなり大きな剤形ではないかと思います。特に高齢者の服用に関してのことは何も添付文書には書かれていないので、高齢者も多分、服用は可能だと私は理解したのですが、高齢者において飲みやすさというのはいかがなものかというのを教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。高齢者のみを対象とした試験等を実施しておらず、高齢者における飲みやすさに関するデータはないので、現時点では分からないとしか答えられない状況です。
○堀委員 ありがとうございます。そういたしますと、自宅で飲む場合においては、これを粉砕してしまう方もいらっしゃると思うのですが、粉砕することは可能なお薬なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。こちらは硬カプセル剤ですので、粉砕して用いることは、現時点では推奨はできないというように考えております。
○堀委員 続けてよろしいですか。
○森部会長 どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。そういたしますと、患者向け資材において、やはりこの飲みにくさというようなことが、私だけではなく、そう思う方もいらっしゃった場合に、自宅で粉砕してしまう可能性もあると思いますので、その部分に関しては是非明記していただきたいということは思っているのですが、その明記の御予定はございますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今のところ資材等でそのような記載をする予定はございませんが、頂いた御意見を踏まえて、企業と記載するかどうか相談させていただきたいと思います。
○堀委員 続けてよろしいですか。ありがとうございます。あともう1点、服薬のタイミングです。用法・用量を拝見いたしますと、1回200mgを1日2回経口投与と書いてあります。添付文書の16の2.1を拝見しましたところ、食事の影響は受けないということですので、患者は、この1日2回投与ということだけだと服用の時間に関して非常に迷うところです。といいますのは、1回目の服用のあと、どれくらい間隔を空けて飲んだらいいかということはいつも迷うところなので、教えていただけたら有り難いです。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。治験の中で、特に服薬時間等は設定されていなかったので、明確に答えることはできませんが、基本的には1日2回の場合は、朝と夜に服薬いただくことで良いかと考えております。
○堀委員 ありがとうございます。この1日2回服用を、ネットとかで検索しますと、6時間空ければいい、5時間空ければいい、12時間空ければいいなど、各お薬によって異なると思うのですけれども、いろいろな検索結果が出てきます。そのため、患者によっては2回目の服用をどれくらいの時間を空けたらいいのかを、疑問に思う方もいらっしゃると思います。。もし今御説明いただいた朝と晩ということであるならば、、例えば朝と晩に服用することを推奨しますというようなことを、記載していただくと非常に有り難いのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。患者向け資材には朝晩の飲むように記載しておりますので、御心配の点は大丈夫かと思います。
○堀委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 一応、朝8時と夜20時を飲む時間の例という形で、絶対にその時間に服用するというものではございませんが、例示として患者向け資材に記載しているので、ある程度の目安は患者さんにも分かる形にはなっていると思います。
○堀委員 分かりました。どうもありがとうございます。以上です。
○森部会長 ありがとうございます。関連した質問ですが、今の服用の時間は、臨床試験のときの服用の時間の目安と大体合致していますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。具体的に臨床試験でそこまで厳密な時間まで規定されていたかは今お答えできないため、確認させていただきます。例示された時間については、そこまで大きく間違いではないと思いますが、再度確認させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 もう1点は、前半の質問ですが、脱カプセルをして服用していいかということの確認だったと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。脱カプセルしたときの薬物動態などは検討されておりませんので、やはり推奨できないというように考えております。
○森部会長 分かりました。ありがとうございました。そのほか先生方から御質問、御意見いかがでございましょうか。
では私から1点。審査報告書の7.R.2.3.5の項目に、脂質異常に関する記載を頂いていますし、添付文書の8の2項につきましても、脂質異常に関する記載がございますが、実際に上昇したデータを確認いたしますと、LDLコレステロールの値が20~30程度上昇しているケースや、LDLコレステロールの基準値162mg/dLを超えた例も散見されているといったことがありまして、具体的な上昇した数値について、添付文書には今記載がない状態ですが、記載整備に関してはどういった御意向でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。脂質異常に関しては、ほかの薬剤で注意喚起されている事例もありますが、基本的には添付文書の中で、どの程度の臨床検査値の異常が認められたかまでは記載していないと理解しておりますので、本剤に関して、更に通常以上の対応が必要とまでは考えておりません。添付文書に関しては現在の記載のままとさせていただければと思います。一方で、御指摘いただいたように、どのぐらいの臨床検査値の異常が認められていたのか等については、重要な情報だと思いますので、医療従事者向け資材等の中で、情報提供することを申請者と再度検討していきたいと考えております。
○森部会長 循環器内科の先生もいらっしゃると思いますが、LDLコレステロールの数値につきましては、特に本剤は長期服用するという可能性も十分にございますので、長期的な影響を鑑みた場合に、具体的な情報提供を必要としないか、若しくは資材ですと提供の持続性という問題もありますので、持続的に提供できる資材等での提供が必要かどうか、御意見を頂ければ助かります。いかがでしょうか。もしよろしければ阿古委員、御発言いかがでございましょうか。
○佐藤(直)委員 聞こえますか。
○森部会長 佐藤先生どうぞ。お願いします。
○佐藤(直)委員 すみません。では佐藤から。聞こえますか。
○森部会長 聞こえてます。どうぞお願いします。
○佐藤(直)委員 LDLコレステロール高値については情報提供は必要だと思いますので、お願いしたいと思います。
○森部会長 ありがとうございました。佐藤先生、もしよろしければ次、阿古委員からの御発言に移ってもよろしいですか。
○佐藤(直)委員 はい、どうぞ、お願いします。
○森部会長 では、阿古委員、御発言よろしいでしょうか。
○阿古委員 ありがとうございます。私も佐藤先生と同じで、すごく高くなるようでしたら、一言必要ではないかと思います。
○森部会長 米国の添付文書を見ましても、具体的な上昇の数値についての記載が一部言及されていますので、できましたら添付文書でも臨床成績等への追記を御検討いただき、かつ添付文書の8の2項について、臨床成績を引用する形の表記を付けていただきますと、実臨床上大変有効ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。頂いた御意見も踏まえて、改めて今回の成績で得られている上昇の程度と、ほかの薬剤での注意喚起等も含めて検討させていただいて、添付文書への記載や資材での情報提供も含めて、どういう形で注意喚起をするのか、改めて検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 そのほか先生方の方から御質問、御意見いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。なお、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決の参加を御遠慮いただくこととなっております。それでは、本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議ないようですので、承認を可として薬事審議会に報告させていただきます。
続きまして、議題3に移らせていただきます。機構から、議題3の御説明の準備をお願いします。なお、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反のお申し出に基づきまして、議題3の審議の間、会議から御退室して、御待機いただくことになっております。佐藤直樹委員につきましては、御退室の方をお願いしてよろしいでしょうか。
──佐藤直樹委員退室──
○森部会長 それでは、議題3につきまして、機構から説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題3、資料No.3、医薬品ブイタマークリーム1%の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料につきましては、資料No.3、ブイタマークリーム1%の審査報告書を御覧ください。
本薬の治療対象は、尋常性乾癬とアトピー性皮膚炎の二つの疾患です。尋常性乾癬は、銀色の鱗屑で覆われた境界明瞭な紅斑を主な所見とする慢性の皮膚疾患であり、治療には副腎皮質ステロイドや、ビタミンD3の外用剤が用いられ、治療効果、重症度等に応じて更に光線療法やPDE4阻害剤、レチノイド製剤、免疫抑制剤、生物学的製剤等による全身療法が実施されています。また、アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う慢性、再発性の炎症性皮膚疾患であり、治療の主体は外用剤で、副腎皮質ステロイドのほか、タクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏、ジファミラスト軟膏が用いられています。本薬は、Welichem Biotech社により開発された芳香族炭化水素受容体の調節薬であり、芳香族炭化水素受容体の活性化を介した炎症性サイトカイン産生の抑制作用及び抗酸化作用により、尋常性乾癬及びアトピー性皮膚炎に対して、治療効果を発揮することが期待されます。尋常性乾癬患者及びアトピー性皮膚炎患者のそれぞれを対象とした各臨床試験の成績から、本薬の有効性及び安全性が確認できたとして今般、医薬品製造販売承認申請がなされました。海外では、本薬は米国において尋常性乾癬に係る効能・効果で2022年5月に承認されておりますが、アトピー性皮膚炎に係る効能・効果で承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議では、本日の配布資料No.16に示す専門委員を指名しております。
本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、有効性に関しては審査報告書通し番号36ページ、表38を御覧ください。尋常性乾癬患者を対象とした国内第III相試験では、主要評価項目として全般的な疾患重症度を評価するPGAスコアが0又は1、かつベースラインから2段階以上改善した被験者の割合であるPGA反応率が用いられ、Week12のPGA反応率はプラセボ群で2.5%、本薬群で20.1%、群間差は18.1%、95%信頼区間は8.3~27.9%であり、本薬のプラセボに対する優越性が検証されました。
次に、審査報告書通し番号38ページ、表43を御覧ください。アトピー性皮膚炎患者を対象とした国内第III相試験では、主要評価項目として全般的な疾患重症度を評価するIGAスコアが0又は1、かつベースラインから2段階以上改善した被験者の割合であるIGA反応率が用いられ、Week8のIGA反応率は、プラセボ群で2.2%、本薬群で20.2%、群間差は18.0%、95%信頼区間は10.0~25.9%であり、本薬のプラセボに対する優越性が検証されました。
安全性に関しては、審査報告書通し番号48ページ、表60を御覧ください。尋常性乾癬及びアトピー性皮膚炎の国内第III相試験の検証的パートである第1部における有害事象の発現状況の概要は表に記載したとおりであり、いずれの試験においてもプラセボ群と比較して本薬群では有害事象及び副作用の発現割合が高いものの、重篤な有害事象及び重症度が高度の有害事象は認められず、本薬の安全性に大きな問題は認められませんでした。ただし、適用部位の有害事象が比較的多く認められており、投与中止に至った症例も認められたことから、適用部位の皮膚の状態に注意する必要があり、医療従事者及び患者に対し資材等で十分に情報提供することが適切と考えております。
以上、機構での審査の結果、尋常性乾癬及びアトピー性皮膚炎に対する本薬の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。薬事審議会では報告を予定しています。機構からの説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、先生方の方から御質問、御意見いかがでございましょうか。どうぞ、堀委員、お願いします。
○堀委員 御説明ありがとうございます。私からは2点質問させていただきます。まずは、部位についてなのですが、特に目の周りに関して使用は不可ということは、添付文書では私は読み取れなかったのです。ただし万一、目に入った場合は直ちに水で洗い流すことという記載はあったのですが、目の周りに使ってもよろしいということなのでしょうか。教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。こちらは、顔面にも使用可能ですので、目の周囲にも一応、使えることは使える状態ですが、やはり御指摘いただいた点は重要な点と考えておりますので、患者向けの資材には、「目の周囲に使用する場合には、目に入らないよう注意し」という形で、きちんと目の周囲に使う際には注意するようにというところは注意喚起はさせていただいております。
○堀委員 そうですか。ありがとうございます。あともう1点お願いしたいのですが、今回、用法及び用量を拝見しますと、アトピー性皮膚炎の場合は、成人及び12歳以上の小児に可能。そして、先ほどおっしゃっていた尋常性乾癬の場合は成人と書かれています。そういたしますと、これを患者がもらったときに、年齢の使い分けが非常に混乱するところかと思います。それに関しては、患者向けの資材を作成していただくということだったのですが、明確に、尋常性乾癬に関しては、成人を対象ということは記載はあるのか教えていただければ有り難いです。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。患者向けの資材に関しては、尋常性乾癬の患者様向けの資材と、アトピー性皮膚炎の患者様向けの資材で別々の記載になっていることから、尋常性乾癬の患者様への資材に年齢については明確には記載されておりませんが、別々にしておりますので、特に大きな混乱はないのではないかと考えております。
○堀委員 御説明いただき、ありがとうございました。別であると聞いて、安心しました。どうもありがとうございます。以上です。
○森部会長 1点確認で、今、資材はどんな状況でいらっしゃいますか。準備中でいらっしゃいますか。
○医薬品医療機器総合機構 資材に関しては、大まかな内容に関しては、我々の方でも確認している状況です。
○森部会長 先ほど伺った、特に塗布部位の皮膚の刺激性に関するところで、毛包炎とか接触皮膚炎に関する注意喚起の具体的な記載は一部もう確認ができますか。
○医薬品医療機器総合機構 現在の案になりますが、薬を塗った所が赤くなったり、赤又は白の小さな吹き出物やニキビが現れたりすることがあるので、気になる症状が現れた場合には、医師又は薬剤師に相談してくださいということを記載しております。
○森部会長 もう1点は、塗布部位に関する注意事項もそちらに追記はございますか。
○医薬品医療機器総合機構 塗布部位に関しては、目の周囲に関しては先ほど申し上げたとおりで、そのほかに関しては、ただれた部位や粘膜、皮膚の傷の部分には塗らないでくださいということであったり、皮膚感染症と診断された部位は避けて塗ってくださいということを記載しております。
○森部会長 ありがとうございました。アトピー性皮膚炎や乾癬それぞれの疾患に応じて生じやすい部位がございまして、特に乾癬ですが、頭皮の生え際などに出やすい特徴がありますので、注意して御使用いただくために、資材について念入りに準備をお願いしたいと思っています。ありがとうございました。
そのほか先生方から御質問、御意見ございますでしょうか。今回製剤写真を拝見しておりますが、製剤のチューブは通常のチューブで、スクリューキャップを外して使用するタイプのものと理解していいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりになります。
○森部会長 特にお子様などが誤って使ったりといったような懸念は、今のところ想定されていませんでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。アトピー性皮膚炎の方は、12歳以上のお子様も使えるということですので、ある程度の使用上の、通常の軟膏、クリーム剤の容器の形にはなっていると思います。
○森部会長 分かりました。資材の方でも実際、お子様等の手の届かないようにというところの配慮は是非、記載を求めたいと思っていますので、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 はい、具体的に保管方法の所にも、小さなお子様の手の届かない所にという形では既に注意喚起はさせていただいております。
○森部会長 そのほか、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。なお、阿古委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決の参加を御遠慮いただくことになっております。では、本議題につきましては、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ないようですので、本議題は承認を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。
それでは、ロビーでお待ちになっておられます佐藤直樹委員をお呼びください。お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題3、資料No.3、医薬品ブイタマークリーム1%の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料につきましては、資料No.3、ブイタマークリーム1%の審査報告書を御覧ください。
本薬の治療対象は、尋常性乾癬とアトピー性皮膚炎の二つの疾患です。尋常性乾癬は、銀色の鱗屑で覆われた境界明瞭な紅斑を主な所見とする慢性の皮膚疾患であり、治療には副腎皮質ステロイドや、ビタミンD3の外用剤が用いられ、治療効果、重症度等に応じて更に光線療法やPDE4阻害剤、レチノイド製剤、免疫抑制剤、生物学的製剤等による全身療法が実施されています。また、アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う慢性、再発性の炎症性皮膚疾患であり、治療の主体は外用剤で、副腎皮質ステロイドのほか、タクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏、ジファミラスト軟膏が用いられています。本薬は、Welichem Biotech社により開発された芳香族炭化水素受容体の調節薬であり、芳香族炭化水素受容体の活性化を介した炎症性サイトカイン産生の抑制作用及び抗酸化作用により、尋常性乾癬及びアトピー性皮膚炎に対して、治療効果を発揮することが期待されます。尋常性乾癬患者及びアトピー性皮膚炎患者のそれぞれを対象とした各臨床試験の成績から、本薬の有効性及び安全性が確認できたとして今般、医薬品製造販売承認申請がなされました。海外では、本薬は米国において尋常性乾癬に係る効能・効果で2022年5月に承認されておりますが、アトピー性皮膚炎に係る効能・効果で承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議では、本日の配布資料No.16に示す専門委員を指名しております。
本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、有効性に関しては審査報告書通し番号36ページ、表38を御覧ください。尋常性乾癬患者を対象とした国内第III相試験では、主要評価項目として全般的な疾患重症度を評価するPGAスコアが0又は1、かつベースラインから2段階以上改善した被験者の割合であるPGA反応率が用いられ、Week12のPGA反応率はプラセボ群で2.5%、本薬群で20.1%、群間差は18.1%、95%信頼区間は8.3~27.9%であり、本薬のプラセボに対する優越性が検証されました。
次に、審査報告書通し番号38ページ、表43を御覧ください。アトピー性皮膚炎患者を対象とした国内第III相試験では、主要評価項目として全般的な疾患重症度を評価するIGAスコアが0又は1、かつベースラインから2段階以上改善した被験者の割合であるIGA反応率が用いられ、Week8のIGA反応率は、プラセボ群で2.2%、本薬群で20.2%、群間差は18.0%、95%信頼区間は10.0~25.9%であり、本薬のプラセボに対する優越性が検証されました。
安全性に関しては、審査報告書通し番号48ページ、表60を御覧ください。尋常性乾癬及びアトピー性皮膚炎の国内第III相試験の検証的パートである第1部における有害事象の発現状況の概要は表に記載したとおりであり、いずれの試験においてもプラセボ群と比較して本薬群では有害事象及び副作用の発現割合が高いものの、重篤な有害事象及び重症度が高度の有害事象は認められず、本薬の安全性に大きな問題は認められませんでした。ただし、適用部位の有害事象が比較的多く認められており、投与中止に至った症例も認められたことから、適用部位の皮膚の状態に注意する必要があり、医療従事者及び患者に対し資材等で十分に情報提供することが適切と考えております。
以上、機構での審査の結果、尋常性乾癬及びアトピー性皮膚炎に対する本薬の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。薬事審議会では報告を予定しています。機構からの説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、先生方の方から御質問、御意見いかがでございましょうか。どうぞ、堀委員、お願いします。
○堀委員 御説明ありがとうございます。私からは2点質問させていただきます。まずは、部位についてなのですが、特に目の周りに関して使用は不可ということは、添付文書では私は読み取れなかったのです。ただし万一、目に入った場合は直ちに水で洗い流すことという記載はあったのですが、目の周りに使ってもよろしいということなのでしょうか。教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。こちらは、顔面にも使用可能ですので、目の周囲にも一応、使えることは使える状態ですが、やはり御指摘いただいた点は重要な点と考えておりますので、患者向けの資材には、「目の周囲に使用する場合には、目に入らないよう注意し」という形で、きちんと目の周囲に使う際には注意するようにというところは注意喚起はさせていただいております。
○堀委員 そうですか。ありがとうございます。あともう1点お願いしたいのですが、今回、用法及び用量を拝見しますと、アトピー性皮膚炎の場合は、成人及び12歳以上の小児に可能。そして、先ほどおっしゃっていた尋常性乾癬の場合は成人と書かれています。そういたしますと、これを患者がもらったときに、年齢の使い分けが非常に混乱するところかと思います。それに関しては、患者向けの資材を作成していただくということだったのですが、明確に、尋常性乾癬に関しては、成人を対象ということは記載はあるのか教えていただければ有り難いです。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。患者向けの資材に関しては、尋常性乾癬の患者様向けの資材と、アトピー性皮膚炎の患者様向けの資材で別々の記載になっていることから、尋常性乾癬の患者様への資材に年齢については明確には記載されておりませんが、別々にしておりますので、特に大きな混乱はないのではないかと考えております。
○堀委員 御説明いただき、ありがとうございました。別であると聞いて、安心しました。どうもありがとうございます。以上です。
○森部会長 1点確認で、今、資材はどんな状況でいらっしゃいますか。準備中でいらっしゃいますか。
○医薬品医療機器総合機構 資材に関しては、大まかな内容に関しては、我々の方でも確認している状況です。
○森部会長 先ほど伺った、特に塗布部位の皮膚の刺激性に関するところで、毛包炎とか接触皮膚炎に関する注意喚起の具体的な記載は一部もう確認ができますか。
○医薬品医療機器総合機構 現在の案になりますが、薬を塗った所が赤くなったり、赤又は白の小さな吹き出物やニキビが現れたりすることがあるので、気になる症状が現れた場合には、医師又は薬剤師に相談してくださいということを記載しております。
○森部会長 もう1点は、塗布部位に関する注意事項もそちらに追記はございますか。
○医薬品医療機器総合機構 塗布部位に関しては、目の周囲に関しては先ほど申し上げたとおりで、そのほかに関しては、ただれた部位や粘膜、皮膚の傷の部分には塗らないでくださいということであったり、皮膚感染症と診断された部位は避けて塗ってくださいということを記載しております。
○森部会長 ありがとうございました。アトピー性皮膚炎や乾癬それぞれの疾患に応じて生じやすい部位がございまして、特に乾癬ですが、頭皮の生え際などに出やすい特徴がありますので、注意して御使用いただくために、資材について念入りに準備をお願いしたいと思っています。ありがとうございました。
そのほか先生方から御質問、御意見ございますでしょうか。今回製剤写真を拝見しておりますが、製剤のチューブは通常のチューブで、スクリューキャップを外して使用するタイプのものと理解していいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりになります。
○森部会長 特にお子様などが誤って使ったりといったような懸念は、今のところ想定されていませんでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。アトピー性皮膚炎の方は、12歳以上のお子様も使えるということですので、ある程度の使用上の、通常の軟膏、クリーム剤の容器の形にはなっていると思います。
○森部会長 分かりました。資材の方でも実際、お子様等の手の届かないようにというところの配慮は是非、記載を求めたいと思っていますので、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 はい、具体的に保管方法の所にも、小さなお子様の手の届かない所にという形では既に注意喚起はさせていただいております。
○森部会長 そのほか、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。なお、阿古委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決の参加を御遠慮いただくことになっております。では、本議題につきましては、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ないようですので、本議題は承認を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。
それでは、ロビーでお待ちになっておられます佐藤直樹委員をお呼びください。お願いいたします。
──佐藤直樹委員入室──
○森部会長 それでは、議題5と議題7につきましては、関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、議題5につきまして、機構から概要説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、医薬品ブリィビアクト錠25mg他の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。資料No.5の審査報告書を御覧ください。
審査報告書の一番下、全78ページの通し番号で5ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。てんかんは難治性の神経疾患の一つであり、本邦における患者数は約42万人と推定されております。本薬は、主としててんかんとの関連性が示唆されている脳内のシナプス小胞タンパクであるSV2Aと結合することにより、てんかん発作を抑制することが期待されております。今般、国際共同第III相試験成績等に基づき、本薬を有効成分とする錠剤及び静注製剤の医薬品製造販売承認申請がそれぞれ行われました。なお、海外では2016年1月に欧州において承認されて以降、2024年2月現在で欧米を含む51の国又は地域で承認されております。本申請の専門委員として、資料No.16に記載されております7名の委員を指名しております。
審査の内容につきまして、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。まず、本薬錠剤の有効性につきまして、審査報告書の通し番号で47ページの表52を御覧ください。部分発作を有するてんかん患者を対象に、本薬錠剤の国際共同第III相試験としてプラセボ対照二重盲検比較試験(以下「EP0083試験」)が実施されました。EP0083試験の主要評価項目である、治療期における28日当たりの部分発作回数のプラセボ群に対する減少率は、本薬錠剤のいずれの用量群でもプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められ、プラセボに対する本薬の優越性が検証されました。また、審査報告書の通し番号で55ページの表59のとおり、日本人集団においても全体集団と一貫した結果が認められました。
続いて、本薬静注製剤の有効性につきまして、審査報告書の通し番号で52ページの表58を御覧ください。本薬静注製剤の国内第III相試験において、本薬を経口投与から静脈内投与、及び静脈内投与から経口投与へ切替え前後における1日当たりの部分発作回数を確認した結果、大きな変化は認められませんでした。
次に、本薬の安全性につきまして、審査報告書の通し番号で58ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。提出されました試験成績等を検討した結果、本薬投与による傾眠や浮動性めまい等の中枢神経系への影響、攻撃性等については注意を要するものの、これらの事象について適切な注意喚起の下で使用されることで、部分発作を有する日本人てんかん患者における本薬の安全性は許容可能と判断いたしました。
最後に、効能・効果について、審査報告書の通し番号で72~73ページの「1.2 効能・効果について」の項を御覧ください。先に述べましたとおり、EP0083試験成績等において、本薬の併用療法における有効性及び安全性が確認されました。その上で、本薬の作用機序や、単剤療法と併用療法で本薬の用量の変更が必要となるほどの本薬の曝露量の差異は認められていないことなどを踏まえますと、本薬の効能・効果を併用療法に限定せずに申請効能・効果のとおりとすることは妥当と判断し、専門委員からも支持されております。以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事審議会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では続いて、議題7につきまして、事務局から説明の方をお願いいたします。
○事務局 資料7を御覧いただけますでしょうか。本剤の再審査期間の延長について御説明させていただきます。医薬品の再審査期間につきましては、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で必要があると認められる場合には、個別に部会に諮った上で、再審査期間を延長することとしております。
今回、御審議いただくブリィビアクトにつきましては、申請者からの要望に基づき、部分発作を有する小児患者を対象とした治験が実施中であることから、再審査期間を10年間とすることが適切と判断しております。併せて御審議いただきますよう、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方の方から御質問、御意見ございましたらお願いいたします。堀委員どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。私からは添付文書の16の7.4の経口避妊薬の所について、質問をさせていただきたいと思います。薬物相互作用で経口避妊薬との作用があるということが、ここの項目に記載されております。あくまでも外国人データということですが、ここで緊急避妊薬、経口避妊薬を反復経口投与したときに影響が出ると記載されております。今、緊急避妊薬のレボノルゲストレルがOTC化ということで一部試験的に薬局で処方箋なしで購入できるようになっていることや、妊娠の可能性がある女性も患者に該当するということも考えた上で、例えば単回投与をした場合におけるこの影響の何かデータとかはございますでしょうか。よろしければ教えていただけたらと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 データに関しましては審査報告書の通し番号で38ページの表44を御覧いただけますでしょうか。表44の一番下が、経口避妊薬との相互作用の試験の結果になります。このデータを踏まえまして、これらの薬剤併用時に、特段の対応は不要と判断をしておりまして、特段、添付文書の相互作用の項でも注意喚起はしていない状況でございます。
○堀委員 ありがとうございました。そういたしますと、緊急避妊薬を単回投与しても、特にこのお薬においては支障はないと判断してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりでございます。
○堀委員 ありがとうございます。あくまでも緊急のお薬で、早急に72時間以内に飲まないといけないので、そこは確認が必要かなと思いまして、質問させていただきました。ありがとうございます。以上です。
○森部会長 そのほか御意見、御質問、いかがでございますでしょうか。事前に本日欠席の石川委員から御意見を頂いておりましたけれども、御紹介いただいてよろしいでしょうか。
○事務局 御紹介いたします。少しだけお待ちいただけますでしょうか、申し訳ございません。本日御欠席の石川委員から、本剤につきまして御意見を頂いています。読み上げます。「併用薬剤がある場合、例えばカルバマゼピンでの血中濃度が低下する可能性があることなど、単剤での投与に比べて注意が必要であること。また、単剤投与であっても患者に攻撃性の現れる場合があることなどが適切に考察されていたと思います。また、添付文書にもその記載があり、処方する医師などへの注意喚起も図られており、妥当な内容と考えます」とのことでした。以上でございます。
○森部会長 御紹介どうもありがとうございました。では、そのほか先生方の方から御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。では、議決に入らせていただきます。なお、中西委員におかれましては利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。では、まず議題5につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ないようでございますので、承認を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。続きまして、議題の7につきまして、延長を可としてよろしいでしょうか。こちらも御異議ないようでございますので、延長を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。
では続きまして、議題6に移らせていただきます。機構から御準備いただく間に、川上委員におかれましては利益相反のお申し出に基づきまして、議題6の審議の間、会議から一旦、御退室を頂き、御待機いただくことになっております。川上委員は御退室をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、医薬品ブリィビアクト錠25mg他の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。資料No.5の審査報告書を御覧ください。
審査報告書の一番下、全78ページの通し番号で5ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。てんかんは難治性の神経疾患の一つであり、本邦における患者数は約42万人と推定されております。本薬は、主としててんかんとの関連性が示唆されている脳内のシナプス小胞タンパクであるSV2Aと結合することにより、てんかん発作を抑制することが期待されております。今般、国際共同第III相試験成績等に基づき、本薬を有効成分とする錠剤及び静注製剤の医薬品製造販売承認申請がそれぞれ行われました。なお、海外では2016年1月に欧州において承認されて以降、2024年2月現在で欧米を含む51の国又は地域で承認されております。本申請の専門委員として、資料No.16に記載されております7名の委員を指名しております。
審査の内容につきまして、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。まず、本薬錠剤の有効性につきまして、審査報告書の通し番号で47ページの表52を御覧ください。部分発作を有するてんかん患者を対象に、本薬錠剤の国際共同第III相試験としてプラセボ対照二重盲検比較試験(以下「EP0083試験」)が実施されました。EP0083試験の主要評価項目である、治療期における28日当たりの部分発作回数のプラセボ群に対する減少率は、本薬錠剤のいずれの用量群でもプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められ、プラセボに対する本薬の優越性が検証されました。また、審査報告書の通し番号で55ページの表59のとおり、日本人集団においても全体集団と一貫した結果が認められました。
続いて、本薬静注製剤の有効性につきまして、審査報告書の通し番号で52ページの表58を御覧ください。本薬静注製剤の国内第III相試験において、本薬を経口投与から静脈内投与、及び静脈内投与から経口投与へ切替え前後における1日当たりの部分発作回数を確認した結果、大きな変化は認められませんでした。
次に、本薬の安全性につきまして、審査報告書の通し番号で58ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。提出されました試験成績等を検討した結果、本薬投与による傾眠や浮動性めまい等の中枢神経系への影響、攻撃性等については注意を要するものの、これらの事象について適切な注意喚起の下で使用されることで、部分発作を有する日本人てんかん患者における本薬の安全性は許容可能と判断いたしました。
最後に、効能・効果について、審査報告書の通し番号で72~73ページの「1.2 効能・効果について」の項を御覧ください。先に述べましたとおり、EP0083試験成績等において、本薬の併用療法における有効性及び安全性が確認されました。その上で、本薬の作用機序や、単剤療法と併用療法で本薬の用量の変更が必要となるほどの本薬の曝露量の差異は認められていないことなどを踏まえますと、本薬の効能・効果を併用療法に限定せずに申請効能・効果のとおりとすることは妥当と判断し、専門委員からも支持されております。以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事審議会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では続いて、議題7につきまして、事務局から説明の方をお願いいたします。
○事務局 資料7を御覧いただけますでしょうか。本剤の再審査期間の延長について御説明させていただきます。医薬品の再審査期間につきましては、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で必要があると認められる場合には、個別に部会に諮った上で、再審査期間を延長することとしております。
今回、御審議いただくブリィビアクトにつきましては、申請者からの要望に基づき、部分発作を有する小児患者を対象とした治験が実施中であることから、再審査期間を10年間とすることが適切と判断しております。併せて御審議いただきますよう、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方の方から御質問、御意見ございましたらお願いいたします。堀委員どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。私からは添付文書の16の7.4の経口避妊薬の所について、質問をさせていただきたいと思います。薬物相互作用で経口避妊薬との作用があるということが、ここの項目に記載されております。あくまでも外国人データということですが、ここで緊急避妊薬、経口避妊薬を反復経口投与したときに影響が出ると記載されております。今、緊急避妊薬のレボノルゲストレルがOTC化ということで一部試験的に薬局で処方箋なしで購入できるようになっていることや、妊娠の可能性がある女性も患者に該当するということも考えた上で、例えば単回投与をした場合におけるこの影響の何かデータとかはございますでしょうか。よろしければ教えていただけたらと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 データに関しましては審査報告書の通し番号で38ページの表44を御覧いただけますでしょうか。表44の一番下が、経口避妊薬との相互作用の試験の結果になります。このデータを踏まえまして、これらの薬剤併用時に、特段の対応は不要と判断をしておりまして、特段、添付文書の相互作用の項でも注意喚起はしていない状況でございます。
○堀委員 ありがとうございました。そういたしますと、緊急避妊薬を単回投与しても、特にこのお薬においては支障はないと判断してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりでございます。
○堀委員 ありがとうございます。あくまでも緊急のお薬で、早急に72時間以内に飲まないといけないので、そこは確認が必要かなと思いまして、質問させていただきました。ありがとうございます。以上です。
○森部会長 そのほか御意見、御質問、いかがでございますでしょうか。事前に本日欠席の石川委員から御意見を頂いておりましたけれども、御紹介いただいてよろしいでしょうか。
○事務局 御紹介いたします。少しだけお待ちいただけますでしょうか、申し訳ございません。本日御欠席の石川委員から、本剤につきまして御意見を頂いています。読み上げます。「併用薬剤がある場合、例えばカルバマゼピンでの血中濃度が低下する可能性があることなど、単剤での投与に比べて注意が必要であること。また、単剤投与であっても患者に攻撃性の現れる場合があることなどが適切に考察されていたと思います。また、添付文書にもその記載があり、処方する医師などへの注意喚起も図られており、妥当な内容と考えます」とのことでした。以上でございます。
○森部会長 御紹介どうもありがとうございました。では、そのほか先生方の方から御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。では、議決に入らせていただきます。なお、中西委員におかれましては利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。では、まず議題5につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ないようでございますので、承認を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。続きまして、議題の7につきまして、延長を可としてよろしいでしょうか。こちらも御異議ないようでございますので、延長を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。
では続きまして、議題6に移らせていただきます。機構から御準備いただく間に、川上委員におかれましては利益相反のお申し出に基づきまして、議題6の審議の間、会議から一旦、御退室を頂き、御待機いただくことになっております。川上委員は御退室をお願いいたします。
──川上委員退室──
○森部会長 それでは、議題6につきまして事務局から概要説明の方、お願いいたします。
○事務局 それでは、希少疾病用医薬品の指定の可否について御説明いたします。まず、資料No.6-2を御覧ください。1品目目、「sepiapterin」です。申請者は「PTCセラピューティクス株式会社」、予定される効能・効果は「フェニルケトン尿症」です。本疾患は指定難病に指定されております。医療上の必要性につきましては、本邦では本疾患、PKUに用いる薬剤として、サプロプテリン塩酸塩及びペグバリアーゼが承認されております。本剤はBH4の前駆体であり、サプロプテリン塩酸塩と同様に、一定程度のPAHの残存活性を有する患者に対して投与される薬剤ですが、BH4自体の投与に比較して、本剤はBH4の体内濃度をより上昇させることが非臨床で示されていることなどから、サプロプテリン塩酸塩と比べてより高い有効性が期待されていると言えます。また、ペグバリアーゼで認められているアナフィラキシー等の安全性の懸念は認められておりません。本剤は既承認薬と比較して高い有効性・安全性が期待されると考えております。開発の可能性に関しましては、現在、日本人及び外国人のPKU患者を対象に国際共同第III相試験を実施中で、当該試験等で有効性・安全性を確認の上、製造販売承認申請される予定となっております。
続きまして、次の品目、資料No.6-3を御覧ください。「SJP-0008」、申請者は「千寿製薬株式会社」、予定される効能・効果は「網膜中心動脈閉塞症による視力低下の改善」で、本邦における患者数は約7,400人と推定されております。医療上の必要性につきましては、網膜中心動脈閉塞症は、急激かつ不可逆的な視力低下や失明の原因となる疾患であり、本邦において承認されている薬剤はありません。本剤は網膜神経節細胞死に関与すると考えられているカルパインを阻害することにより、視力低下の改善に期待される薬剤です。開発の可能性に関しましては、国内第III相試験が実施中であり、この試験成績に基づいて承認申請される予定です。以上より、これらの品目につきまして、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。では、先生方から御質問、御意見ありますでしょうか。特段ありませんか。では、議決に入らせていただきます。なお、阿古委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。それでは、本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議はないようです。指定を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。では、ロビーで御待機されております川上委員をお呼びいただきたいと思います。
○事務局 それでは、希少疾病用医薬品の指定の可否について御説明いたします。まず、資料No.6-2を御覧ください。1品目目、「sepiapterin」です。申請者は「PTCセラピューティクス株式会社」、予定される効能・効果は「フェニルケトン尿症」です。本疾患は指定難病に指定されております。医療上の必要性につきましては、本邦では本疾患、PKUに用いる薬剤として、サプロプテリン塩酸塩及びペグバリアーゼが承認されております。本剤はBH4の前駆体であり、サプロプテリン塩酸塩と同様に、一定程度のPAHの残存活性を有する患者に対して投与される薬剤ですが、BH4自体の投与に比較して、本剤はBH4の体内濃度をより上昇させることが非臨床で示されていることなどから、サプロプテリン塩酸塩と比べてより高い有効性が期待されていると言えます。また、ペグバリアーゼで認められているアナフィラキシー等の安全性の懸念は認められておりません。本剤は既承認薬と比較して高い有効性・安全性が期待されると考えております。開発の可能性に関しましては、現在、日本人及び外国人のPKU患者を対象に国際共同第III相試験を実施中で、当該試験等で有効性・安全性を確認の上、製造販売承認申請される予定となっております。
続きまして、次の品目、資料No.6-3を御覧ください。「SJP-0008」、申請者は「千寿製薬株式会社」、予定される効能・効果は「網膜中心動脈閉塞症による視力低下の改善」で、本邦における患者数は約7,400人と推定されております。医療上の必要性につきましては、網膜中心動脈閉塞症は、急激かつ不可逆的な視力低下や失明の原因となる疾患であり、本邦において承認されている薬剤はありません。本剤は網膜神経節細胞死に関与すると考えられているカルパインを阻害することにより、視力低下の改善に期待される薬剤です。開発の可能性に関しましては、国内第III相試験が実施中であり、この試験成績に基づいて承認申請される予定です。以上より、これらの品目につきまして、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。では、先生方から御質問、御意見ありますでしょうか。特段ありませんか。では、議決に入らせていただきます。なお、阿古委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。それでは、本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議はないようです。指定を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。では、ロビーで御待機されております川上委員をお呼びいただきたいと思います。
──川上委員入室──
○森部会長 続きまして、議題8に移ります。議題8についても事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料8の事前評価報告書を御覧ください。先駆的医薬品の指定についてでございます。対象品目は「tinlarebant」です。申請者は「Belite Bio社」、予定される効能・効果は「スタルガルト病」です。指定要件の一つ目、治療薬の画期性についてですが、本邦ではスタルガルト病の効能・効果で承認された薬剤は存在せず、本薬はレチノールとレチノール結合タンパク質4との結合を阻害することで、眼内ビスレチノイドの蓄積を抑制することが期待される新作用機序の薬剤であり、指定要件1を満たすと考えております。指定要件2の対象疾患の重篤性につきましては、スタルガルト病は両眼性かつ進行性の不可逆な視力低下により失明に至る場合もあり、根治療法はなく、症状が継続する疾患として、社会生活が困難な状態が継続する疾患として、指定要件2を満たすと考えております。また、三つ目、対象疾患に対する極めて高い有効性につきましては前述のとおり、スタルガルト病の効能・効果で承認されている薬剤が存在せず、海外第I/II相試験において本薬の有効性が示唆されていることから、要件3を満たすと考えております。最後に、要件4につきましては、本薬は世界と同時に本邦で承認申請を行う予定とされているため、要件を満たすと考えております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 どうもありがとうございました。では、御質問いかがでしょうか。本件、本日御欠席の根岸委員から特に何か御意見、御質問ありましたか。
○事務局 事前には特に頂いておりません。
○森部会長 分かりました。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、議決に入らせていただきます。本剤につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議ないようですので、指定を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。
続きまして、報告事項議題及びその他事項議題に移ります。それでは、報告事項議題1~4及びその他事項1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料9を御覧ください。まず、製造販売承認及び製造販売承認事項一部変更承認についてです。報告事項議題1、資料No.10関係は「トルリシティ」です。申請者は「日本イーライリリー株式会社」で、2型糖尿病に係る用法・用量を追加するものと剤形を追加するものです。議題2、資料No.11関係ですが、ボトックスです。こちらは上肢及び下肢の痙縮に関する小児用量の追加をするものです。議題3、資料No.12関係は「スキリージ」ですが、こちらは「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法、維持療法」について、効能・効果、用法・用量を追加するもの、必要な剤形を追加するものです。これらの申請につきまして、機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断しております。
続いて、次のページを御覧ください。医療用医薬品の再審査の結果についてでございます。本日御報告するのはこちらの5品目、上から順に、「ピコプレップ」、「ノルディトロピン」、「コレアジン錠」、「イノベロン錠」、「ハイゼントラ」です。これらの品目につきまして、製造販売後調査等の結果に基づいて、機構における再審査の結果、いずれもカテゴリー1、すなわち効能・効果、用法・用量のいずれの変更も必要のないものとして判断しております。
続きまして、その他事項でございます。資料No.14を御覧ください。最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定についてです。こちらに記載の品目、「ゼップバウンド」ですが、令和6年2月9日に承認申請されたものでして、本品目について、最適使用推進ガイドラインの対象としたいと考えております。また、本品目の承認の可否の審議を頂く際に、最適使用推進ガイドラインについても御確認を頂ければと思います。以上でございます。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。では、一部変更承認の3品目につきまして、特に追加の御意見、御発言はありますか。前田委員、スキリージに関して特に御発言なかったですか。
○前田委員 特にありません。結構でございます。ありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございます。それから、再審査に関して、5品目あります。特に御意見、御発言はありませんか。その他の事項についても御発言はよろしかったでしょうか。それでは、委員の先生方に御確認いただいたものとさせていただきます。本日の議題は以上です。事務局から御報告はありますか。
○事務局 次回の部会は令和6年8月1日(木)午後4時から開催する予定です。よろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日は終了です。御審議どうもありがとうございました。御礼申し上げます。
○事務局 それでは、資料8の事前評価報告書を御覧ください。先駆的医薬品の指定についてでございます。対象品目は「tinlarebant」です。申請者は「Belite Bio社」、予定される効能・効果は「スタルガルト病」です。指定要件の一つ目、治療薬の画期性についてですが、本邦ではスタルガルト病の効能・効果で承認された薬剤は存在せず、本薬はレチノールとレチノール結合タンパク質4との結合を阻害することで、眼内ビスレチノイドの蓄積を抑制することが期待される新作用機序の薬剤であり、指定要件1を満たすと考えております。指定要件2の対象疾患の重篤性につきましては、スタルガルト病は両眼性かつ進行性の不可逆な視力低下により失明に至る場合もあり、根治療法はなく、症状が継続する疾患として、社会生活が困難な状態が継続する疾患として、指定要件2を満たすと考えております。また、三つ目、対象疾患に対する極めて高い有効性につきましては前述のとおり、スタルガルト病の効能・効果で承認されている薬剤が存在せず、海外第I/II相試験において本薬の有効性が示唆されていることから、要件3を満たすと考えております。最後に、要件4につきましては、本薬は世界と同時に本邦で承認申請を行う予定とされているため、要件を満たすと考えております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 どうもありがとうございました。では、御質問いかがでしょうか。本件、本日御欠席の根岸委員から特に何か御意見、御質問ありましたか。
○事務局 事前には特に頂いておりません。
○森部会長 分かりました。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、議決に入らせていただきます。本剤につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議ないようですので、指定を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。
続きまして、報告事項議題及びその他事項議題に移ります。それでは、報告事項議題1~4及びその他事項1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料9を御覧ください。まず、製造販売承認及び製造販売承認事項一部変更承認についてです。報告事項議題1、資料No.10関係は「トルリシティ」です。申請者は「日本イーライリリー株式会社」で、2型糖尿病に係る用法・用量を追加するものと剤形を追加するものです。議題2、資料No.11関係ですが、ボトックスです。こちらは上肢及び下肢の痙縮に関する小児用量の追加をするものです。議題3、資料No.12関係は「スキリージ」ですが、こちらは「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法、維持療法」について、効能・効果、用法・用量を追加するもの、必要な剤形を追加するものです。これらの申請につきまして、機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断しております。
続いて、次のページを御覧ください。医療用医薬品の再審査の結果についてでございます。本日御報告するのはこちらの5品目、上から順に、「ピコプレップ」、「ノルディトロピン」、「コレアジン錠」、「イノベロン錠」、「ハイゼントラ」です。これらの品目につきまして、製造販売後調査等の結果に基づいて、機構における再審査の結果、いずれもカテゴリー1、すなわち効能・効果、用法・用量のいずれの変更も必要のないものとして判断しております。
続きまして、その他事項でございます。資料No.14を御覧ください。最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定についてです。こちらに記載の品目、「ゼップバウンド」ですが、令和6年2月9日に承認申請されたものでして、本品目について、最適使用推進ガイドラインの対象としたいと考えております。また、本品目の承認の可否の審議を頂く際に、最適使用推進ガイドラインについても御確認を頂ければと思います。以上でございます。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。では、一部変更承認の3品目につきまして、特に追加の御意見、御発言はありますか。前田委員、スキリージに関して特に御発言なかったですか。
○前田委員 特にありません。結構でございます。ありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございます。それから、再審査に関して、5品目あります。特に御意見、御発言はありませんか。その他の事項についても御発言はよろしかったでしょうか。それでは、委員の先生方に御確認いただいたものとさせていただきます。本日の議題は以上です。事務局から御報告はありますか。
○事務局 次回の部会は令和6年8月1日(木)午後4時から開催する予定です。よろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日は終了です。御審議どうもありがとうございました。御礼申し上げます。
( 了 )
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬局
医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)