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第184回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和6年10月31日(木)9:59~11:35
場所
全国都市会館 大ホール
議題
- 1.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について
- 2.マイナ保険証の利用促進等について
- 3.産科医療特別給付事業等について
議事
- 議事内容
- ○姫野課長 それでは、定刻前ではありますけれども、おそろいになりましたようですので、ただいまより、第184回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、内堀委員、河野委員、前葉委員、横本委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、本日の会議は、傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信を行っております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退席をお願いいたします。
それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理として橘内俊之参考人、前葉委員の代理として木﨑彰参考人、それから、横本委員の代理として井上隆参考人、以上3名の出席につき御承認賜ればと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございました。
なお、井上参考人より、30分ほど遅れて御出席なされる旨の御連絡をいただいているところでございます。
それでは、早速、議事に入ってまいります。
本日は「1.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」「2.マイナ保険証の利用促進等について」「3.産科医療特別給付事業等について」を議題といたします。
では、まず「1.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」を議題といたします。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○唐木課長 国保課長でございます。それでは、お手元の資料1について御説明を申し上げたいと思います。
まず、1ページ目を御覧ください。上の「基礎的事項」に書いてありますとおり、保険料負担を、負担能力に応じた公平なものとする必要がございまして、被保険者の納付意欲に与える影響、円滑な運営を確保する観点から被保険者の保険料負担に一定の限度額を設けております。これが賦課限度額でございます。
※に書いておりますように、令和6年度、今年度の限度額につきましては106万円という水準になっておりまして、これを因数分解いたしますと、医療分と介護分となっております。医療分につきましては、基礎賦課額と後期高齢者支援金賦課額という合計額になっておりまして、これらは政令で規定されていることになっております。
下の【イメージ図】、一番左のグラフを御覧ください。横軸が所得、縦軸が保険料額または税額ですけれども、これを医療費が増大した場合にどのように保険料収入額を確保するかを示したグラフになっております。
真ん中のイメージ図①を御覧ください。単純に保険料率を引き上げることになりますと、5割や2割の保険料軽減の対象世帯も保険料率が上がることになりますので、イメージ図①の場合は中間所得層の被保険者に負担がかかるということでございます。一方で、我々が考えておりますのが右側のイメージ図②で、青いグラフ、限度額を引き上げることによりまして、中間層の負担に配慮した保険料率の設定が可能となりますので、②の方針でこれまでも定期的に改定を行ってまいりました。ただ、引上げに当たっては、様々な御意見がございますので、自治体の御意見等を踏まえ、引上げ幅や時期を判断するといった対応をさせていただいております。
続きまして、2ページ目を御覧ください。これは、これまでの限度額の改定の推移で、左の軸が年度で、一番右に赤囲いをしているところを御覧いただきますと、一部改定をしなかった年度もございますけれども、ほぼ定期的に改定を行わせていただいているものでございます。
3ページ目を御覧ください。1つ目のポツのところ、社会保障改革プログラム法上、国民健康保険の保険料の賦課限度額の上限額の引上げについて検討し、必要な措置を取ることになってございます。その際の考え方が2つ目のポツに3つ記載させていただいております。1つ目は、被用者保険におけるルールである最高等級の標準報酬月額に該当する被保険者の割合が0.5~1.5%の間になるというバランスを考えること。2つ目が、先ほど申し上げた因数分解した場合の医療の後期高齢者支援金分、介護納付金分のばらつきをなるべく少なくする観点。それと、過去20年の間に最大の引上げ幅が4万円であること。こうしたことを考慮しながら、自治体の意見なども踏まえて設定してきてございます。
4ページ目は、今し方説明いたしましたプログラム法やそれに関係する関係法律の規定をつけさせていただいております。
続きまして、最後の5ページ目をお開きください。この5ページ目の上のカラムのところですが、真ん中の右側にあります限度額該当世帯の割合というパーセンテージが書いてある表と対比しながら御覧いただければと思います。
1つ目の○にありますように、令和6年度は限度額の超過世帯割合が1.56%となっておりまして、限度額を据え置いた場合には、基礎賦課分と後期高齢者支援金賦課分の超過世帯割合が上昇して、令和7年度超過世帯割合は1.59%となる見込みでございます。また、後期高齢者支援金等の賦課分については超過世帯割合が、先ほど申し上げました真ん中、右下の表を御覧いただければお分かりになるかと思いますけれども、2%超で、依然高止まりをしている状況にございます。
このため、限度額の超過世帯割合をおおむね1.5%とすることを念頭に置きつつ、後期支援金等分のバランスを整える観点から、医療分の賦課限度額を3万円としまして、その内訳は、基礎賦課分を1万円、後期支援金等分を2万円引き上げることとしてはどうかと考えてございます。
真ん中のグラフを御覧ください。左側のグラフでございます。点線が令和6年度で、令和6年度の点線を追っていただき、平らになるところが給与収入約1140万円の世帯です。ここから限度額が変わってまいります。
御提案しているのが黒の実線部分で、そちらを引き上げることによりまして給与収入額が約1170万円の方が引き上がるということでございます。点線と実線のところを見ていただきますと、令和6年度よりも令和7年度のところが中間所得層については、赤の矢印のとおり、配慮がされ、より高所得の世帯の方に御負担いただきたいという趣旨が示されてございます。
一番下の表が裏づけで、下から2段目、年収400万円の世帯の右側の赤囲いのところを御覧いただければ、令和6年度と同じ保険料率、据置きだった場合には、収入が増えますので、1.0%の保険料増になりますけれども、今回の措置をいたしますと31.9万円で、その伸び率は抑えられます。一方で、限度額該当世帯、高所得層の世帯が下の欄でございますけれども、ここは3万円引き上げられることになります。
私からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
では、いかがでございましょう。
村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。今回の限度額の変更につきましては、負担能力に応じた相互扶助の一環として理解いたします。
その上で、引上げ金額の3万円のうち2万円が後期高齢者支援金分と、高齢者医療の拠出金が増加しているということでございます。やはり高齢者医療制度の在り方については改めて検討いただきたいと考えております。
その際、高齢化の進展に伴う医療費の増加を適切に抑制していくためには、かかりつけ医機能の強化、医療機能の分化・連携など、効率的な医療提供体制に向けた取組をさらに進めることが重要だと考えますので、こちらも強力に進めていただきたいと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、伊奈川委員、よろしくお願いいたします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。賦課限度額については、今回の国保のものを拝見しますと、健康保険法、被用者保険のものも参考に設定しているのだろうと思いますけれども、やはり重要なのは、こういった場合、この資料にもありますように、公平性だと思っています。
それで、公平が何かというのはなかなか難しいところではあるのですけれども、恐らく医療保険で公平と言っているのは負担能力に応じてといった意味合いが強いわけでありますし、また、下限の場合は恐らく受益があるので、所得の低い方も一定の負担をしていただくということなのだと思いますので、この上限について言えば、やはり今の公平の観点から言えば、一定のルールの下にやっていくことが妥当なのではないかと考えています。
今日の資料からは分からないのですけれども、今回試算していただいているのは応益の賦課分と応能分の賦課割合を50対50で計算していると思いますので、その辺りも含めて公平性は考えていく必要があるのだろうと考えております。
以上、コメントであります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がなければ、この方向性につきましてはおおむね御了承いただいたということで取扱いさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。それでは、本議題については、これまでとしたいと存じます。
次に「2.マイナ保険証の利用促進等について」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○山田課長 医療介護連携政策課長でございます。資料2「マイナ保険証の利用促進等について」であります。
1ページ、現時点の利用状況であります。令和6年9月、マイナ保険証の利用率は13.87%となっております。これはオンライン資格確認の利用件数分のマイナ保険証利用件数という割合であります。下の<参考>は人に着目した利用率です。令和6年9月のマイナ保険証利用人数は1384万人でございます。マイナ保険証登録者のうち、医療機関受診者の割合となりますと、34.3%、3人に1人を超えてきたところであります。
めくっていただきまして、本日の目次でございます。本日は、新しい論点を審議いただくというよりは、今までの資料を整理したものをお示しする、または最近の状況を報告するものになります。4点ございます。1点目は、窓口における資格確認方法について。2点目は、周知広報について。3点目は、マイナ保険証を利用した際の資格確認のデータを2つほど紹介したいと思っております。4点目は、利用促進集中取組月間を踏まえた表彰についてであります。
めくっていただきまして、1点目、医療機関等の窓口における資格確認方法についてであります。12月2日まであと約1か月という節目におきまして、今まで医療保険部会などで議論し整理いただいたものを、改めて資料をつくりましてお示ししております。
4ページであります。各種施設類型ごとにおけるマイナンバーカードを用いた資格確認にどのような方法があるのかということでありますが、①、②、③と、3種類ございます。①がいわゆる通常のオンライン資格確認、顔認証つきカードリーダーを用いるものでありますが、これによりまして健康・医療情報を取得・活用できる仕組みであります。②の居宅同意取得型というものがあります。①と何が違うかといいますと、モバイル端末であること。一方、健康・医療情報を取得・活用できることは変わりません。③の資格確認限定型におきましては、こちらもモバイル端末であります。一方、こちらは資格確認のみを行う仕組みでありまして、健康・医療情報を取得・活用できる仕組みとはなってございません。
下段、施設類型ごとに表としております。例えば保険医療機関や薬局であれば、①ですから、顔認証つきカードリーダー。これによって医療情報の取得・活用も可能であります。訪問診療、訪問看護などは、②でありますから、居宅同意型でありまして、スマートフォン、タブレット等を用いて行います。これは医療情報の取得・活用ができるものになります。一方、健診実施機関、義務化対象外施設、また、柔整、あはきなどにつきましては、③ですので、資格確認限定型、モバイル端末等でありますが、医療情報の取得・活用はできないといったことになっております。
めくっていただきまして、資格確認を受ける方法であります。12月2日以降、大きく2つの資格確認の方法に分かれます。①はマイナ保険証、②は資格確認書または健康保険証であります。マイナポータルの画面プラスマイナンバーカード、資格情報のお知らせプラスマイナンバーカードといった受診方法もありますが、これは①のマイナ保険証の資格確認方法のオプションといった位置づけになります。
めくっていただきまして、6ページ、マイナ保険証・資格情報のお知らせ・資格確認書の対比表であります。特に資格情報のお知らせ・資格確認書というものは名前が似ていることもありまして、どう違うのかというお問合せが多々あります。それを一覧にして整理しております。
まず、資格情報のお知らせはマイナ保険証を持っている方に送られます。一方、資格確認書はマイナ保険証がない方に送られます。この大きな違いがございます。
取得方法・受取手段でありますけれども、資格情報のお知らせは保険者が申請によらず交付します。資格確認書は原則は申請交付でありますが、当分の間はマイナ保険証未保有者等に申請によらず交付することとしております。
用途・使用方法については、資格情報のお知らせは単体では受診不可であります。マイナ保険証と合わせて提示することで受診が可能になります。資格確認書はこれ単体で受診ができます。一方、資格確認書では医療機関への自身の医療情報の提供はできないところがマイナ保険証等は変わってまいります。
様式・素材でありますが、資格情報のお知らせはA4の紙、また、カード型に切り取る部分が記載されております。資格確認書は基本はカード型となっております。
発行時期でありますが、資格情報のお知らせは12月2日からです。ただし、被用者保険はこの9月から開始しているところもあります。地域保険は基本的には保険証の期限が切れるタイミングで交付されます。資格確認書も同じく12月2日からの交付となります。現行の保険証の有効期限が切れるタイミングまたは経過措置が終了するタイミングで一斉に職権交付いたします。
有効期限は、マイナ保険証は電子証明書というものがありまして、これが5年間。資格情報のお知らせは負担割合等が変わらない範囲で利用ができます。資格確認書は最大5年で保険者が定める範囲とされています。
7ページ。12月2日以降の窓口での取扱いでありますが、一番左、マイナンバーカードを持っていない方の場合は、来年12月1日までは健康保険証、今年12月2日からは資格確認書で従来どおり受診していただく。マイナ保険証で問題なく受診できた方はそのままでありますが、何らかの事情でオンライン資格確認を行えなかった場合、患者がマイナポータル画面、資格情報のお知らせを提示可能な場合はそちらを示していただきまして受診していただく。これらの提示が難しい場合は、再診の場合は過去の情報を口頭で確認いただき受診いただく、初診の場合は被保険者資格申立書を記載していただくことになります。
めくっていただきまして、マイナンバーカードによって何らかの事情でその場で資格確認を行えないケースのフローであります。「資格(無効)」「資格情報なし」と表示された場合、または2.の機器不良などのトラブルがあった場合であります。
資格確認の方法でありますが、可能であれば、マイナンバーカードとマイナポータルの資格情報画面、マイナンバーカードと資格情報のお知らせ。こういったもので資格確認をお願いいたします。そういったことができない場合には、被保険者の申立書の記入をお願いいたします。窓口では3割などで受領いただきまして、レセプト請求をしていただきます。現在の資格情報が確認できる場合にはその情報で、それが困難な場合には過去の資格情報で、それもいずれも困難である場合には保険者番号や被保険者番号が不詳のまま請求を行っていただくことになります。いずれにしましても、マイナンバーカードを持ってきていただいた方々は10割負担にはならないということであります。
9ページで、電子証明書の有効期限についてであります。電子証明書の有効期限が切れても3か月間は引き続きオンライン資格確認が可能でありまして、それまでに保険者から資格確認書が職権で交付されます。また、電子証明書が失効しましても、マイナンバーカードそのものや資格情報自体は引き続き当然有効であります。
下の表で、電子証明書の有効期限(カード発行から5年後)でありますが、そこを過ぎた場合でも3か月間は引き続き医療機関等で受診が可能です。ただし、この場合、医療情報等の提供は不可となっております。有効期限3か月がたつ前に、資格確認書が職権で交付され、お手元に届きます。有効期限3か月後以降は職権で交付され、お手元に届いた資格確認書で受診していただくこととなります。
電子証明書が切れる前に、J-LISからの封書が御自宅に案内されます。J-LISからの封書案内と併せまして、3か月前からカードリーダーでもアラートが表示されることとなります。もうすぐ有効期限ですということ、また、有効期限が過ぎた後も、カードリーダーで、有効期限が切れています、早く取り替えてくださいというアラートが出ることとなります。
10ページで、資格確認書の切れ目のない交付についてであります。Aの利用登録をしていない方、Bの利用登録を解除した方、Cの電子証明書の更新を失念した方・マイナンバーカードを返納した方、それぞれに資格確認書が交付されます。
Aでありますが、利用登録をしていない方、10月29日から月次でその情報を保険者へ連携することが始まっております。Bで、利用登録を解除した方。これにつきましても、この28日から中間サーバーへの登録が可能となっております。Cで、更新を失念した方・カードを返納した方も月次で保険者へ連携しております。
11ページ、マイナ保険証の利用登録解除であります。
手続としましては、①でありますが、加入者が紐付け解除を申請します。医療保険者が受付をして内容を確認しましたら、その時点で資格確認書を交付していただきます。利用登録解除自体は、N月に行った場合にN月+1月の月末に解除処理が実施されるわけでありますが、加入者本人には申請時に資格確認書が交付されますので、それを用いて受診していただくことになります。
次は、周知広報と要配慮者等に向けた対応であります。マイナ保険証を基本とする仕組みに移ります。そういった意味で、12月2日は一つの節目ではありますが、その日を境に医療現場が大きく変わるものではありません。手元にある保険証は最大1年間使えます、マイナ保険証をお持ちでない方には資格確認書が届きますなどの周知を図ってまいりたいと思います。
めくっていただきまして、13ページ、10月24日から昨日までにほぼ全ての新聞でこの5段広告を掲載いたしました。「まだ、マイナ保険証をお持ちでなくても、これまでどおりの医療を、あなたに」。また、保険証は最大1年間利用できる、必要な方には資格確認書が交付される。こういった広報をしております。
14ページは、高齢者などに向けたリーフレットも新たに作成し、周知を図ってまいります。
15ページであります。目視モードの改善も行いたいと思っております。来年3月をめどに導入予定でありますが、現在、顔認証つきカードリーダーで「顔認証」や「暗証番号」が入力できない場合、目視確認ができます。ただ、これは複数回、少なくとも3往復、職員がカードリーダーと資格確認端末との間を行き来しないといけませんので、それらを改善したいと思っております。
16ページ、福祉施設等におけるマイナンバーカードの取得でありますけれども、市町村職員による出張申請受付というものがあります。市区町村職員が施設等にも出向いて、一括して申請を受け付けますと、カードは郵送されますので、申請者は役所に出向かずに受け取りができます。こういったことを総務省と一緒に改めて推進していきたいと思っております。
3つ目は、マイナ保険証を利用した際の資格確認の結果、2つのデータを紹介したいと思っております。
18ページでありますけれども、マイナ保険証と現行の保険証とでオンライン資格確認を行った場合に、資格確認ができなかった割合や資格無効となった割合を比較しますと、マイナ保険証のほうが小さくなっております。
例えば、レセコンにある情報から保険証によってオンライン資格確認をしますと、資格確認ができなかった割合が1.93%、保険証の情報を手入力してオンライン資格確認をいたしますと11.11%、一方、マイナンバーカードによるオンライン資格確認ですと0.20%で、やはり保険証ですと手入力などの作業が入りますので、マイナンバーカードのほうがしっかりと確認ができるというデータでございます。
19ページもデータの御紹介で、レセプト返戻についてであります。レセプト返戻の理由については、記号・番号の誤りや該当者なしが多く見られる中で、マイナ保険証の利用率が高い施設の方がレセプト返戻があった割合が減少しております。
右の表でありますが、マイナ保険証の利用率が0~3%の施設ですと、24%の施設がレセプト返戻があった施設となりますけれども、例えば15%ぐらいの利用率がありますと、返戻を経験したところが13%ぐらいになります。
4番が表彰であります。
21ページでありますが、5月から7月までを集中取組月間と位置づけて、マイナ保険証の利用促進を実施してまいりました。昨日開催されました日本健康会議の中で表彰を行っております。
表彰対象としましては2類型ございまして、都道府県・医療関係団体におきましては、7月の利用実績、4月から7月までの利用実績の伸び、それぞれにおいて、トップの都道府県、施設類型ごとのトップの医師会、病院協会、歯科医師会・薬剤師会を表彰させていただきました。保険者におきましては、市町村国保、国保組合・被用者保険ごとに、7月の利用実績、4月から7月までの利用実績の伸び、それぞれにおいて、トップの保険者を対象に表彰させていただいております。
22ページが表彰対象でありますが、都道府県・医療関係団体の7月の利用実績で、全体で富山県、医科診療所で福井県、病院で富山県、歯科診療所で宮崎県、薬局で島根県となっております。
下段は保険者でありますが、7月の利用実績で、市町村国保は高千穂町、国保組合は島根県医師国保組合、被用者保険は北國ホールディングス健康保険組合。このようになっております。
以降は参考資料でございますので、説明は省略させていただきますが、1点だけ、34ページであります。一部の報道で、マイナ保険証のシステムトラブルがあって10割負担をすることになったという報道がありますが、今日の資料でも整理しお示しさせていただいておりますとおり、マイナ保険証を持ってきていただいた場合に、仮に何らかのトラブルがあっても10割負担ではないのだ、安心して使っていただきたいということをしっかりと周知徹底してまいりたいと思っております。
私からは以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。
では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。まず、厚労省からは、保険者における利用率の目標設定する際の参考として11月末に50%を基本ということが示されておるのですけれども、先ほどの数字を見ても、直近においてまだまだ遠く及ばない数字でございますので、大変残念に思っております。そういう点を踏まえて、何点かコメントさせていただきます。
1点目は、その伸びていない要因として、国が行っている様々な利用促進の施策が国民にきちんと届いていないためではないかと感じています。例えば今回の資料で申し上げるならば、資料の7ページに記載のある、マイナ保険証があれば、何らかの事情でオンライン資格確認を行えなかった場合においても、患者は適切な自己負担分、通常3割の支払いで済むということや、資料の9ページに記載のある、電子証明書の有効期限が切れても、3か月間は引き続き、オンライン資格確認は可能であることなどについて、不安を持っている国民に対して、マイナ保険証を持っていれば安心だということのPRをもっとより強くやっていくべきではないかと考えます。
一方で、この電子証明書の有効期間については、先ほども御説明がありましたマイナンバーカード自体の有効期間は10年だが電子証明書の有効期間が5年、ということが加入者に理解されていないのではないかという声が健保組合からも出ております。この辺りについても丁寧に説明していただきたいと思います。
2点目に、10ページで資格確認書の交付についてであります。この中のA「マイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていない方」に対して資格確認書を交付となっていますが、この対象者は「マイナンバーカード自体を持っていない方」と、「マイナンバーカードは持っているけれども保険登録をしていない方」の2つに分かれます。
「マイナンバーカード自体を持っていない方」に対しては当然、資格確認書を交付する必要があると思うのですが、「マイナンバーカードを持っているけれども保険登録をしていない方」は、マイナンバーカードを持っていけば登録できるわけですから、資格確認書を安易に発行するのではなくて、マイナンバーカードを診察のときに持っていけば、その場で保険登録ができることを伝えることのほうが当然大事ではないかと考えます。そのため、単純に「マイナンバーカードの健康保険証登録をしていない方」と一くくりにするのではなくて、ちゃんと対象者を分けた形での対応をよりやっていただきたいと思います。これは、ひいては健保組合から見ても、ある面で無駄な資格確認書の発行を避けられることになると思います。
最後に、オンライン資格確認について一点申し上げます。資料の4ページにあるとおり、柔整あはきについても、本年12月からオンライン資格確認が原則義務化になるわけですが、現時点における導入率は極めて低いと聞いております。今後はマイナ保険証が基本になりますので、患者が困らないように、義務化の対象であるにもかかわらず導入していない施術所があれば、地方厚生局を含めて、ぜひ強力に適正な指導をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
2点ばかり申し上げたいと思います。一つは質問なのですが、11ページにマイナ保険証の解除ということがあって、私は今までそういう話を聞いたことがないのでびっくりしたのですが、なぜこういうことが出てきたのかということです。そして、解除すると非常にややこしい手続があること。いずれは全部マイナカードに一本化するのですね。ですから、もしこういうことが伝わってしまうと解除する人がどんどん増えてきてしまって困るのではないか。もし解除したい人が現れた場合に、解除すると将来困ることが起こるということを言い添えたほうがいいのではないか。資格確認書をもらったとしても、これは5年で終わってしまうわけで、マイナ保険証にしなければいけないわけですから。なぜこういうものが出てきたのか。私は知らなかったので、大変びっくりしております。
それから、もう一点はお願いなのですが、先ほど12月2日以降でも保険証を使えますという、これは大変重要なことだと思います。新聞に載せても、今、新聞を取っていない人が非常に多い。いろいろなポスターがあるとごちゃごちゃしてしまうのですが、できれば医療機関などにこういうものを貼って、12月2日以降でも、あるいはマイナ保険証を持っていない人でも大丈夫ですということをちゃんと伝えたほうがいいと思うのです。私の周囲でも使えないと思っている人が結構多いので、これはお願いでございますので、よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点、解除に関して御質問等がございましたので、よろしくお願いします。
○河合室長 保険データ企画室長でございます。
袖井委員の御質問は、10ページでお示ししたマイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除に関することと存じます。マイナ保険証につきましては任意で登録できるものであり、そうであれば、解除もできるというのは自然なことであります。ただ、マイナ保険証が基本であることは変わりがないことでございますので、そういった選択肢をきちんと御用意しつつも、我々としてはマイナ保険証のメリットをきちんとアピールしていきたいと思います。
もう一点、12月2日以降でも現行の健康保険証は最大1年間有効であるということについて、医療機関できちんと周知して欲しいというご指摘であります。これについては、新聞広告も実施しましたが、新聞を取っていない方もいらっしゃいますので、医療機関を利用する方が目にする場所においてもポスターやリーフレットを置かせていただいて、きちんと周知を図っていきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
袖井委員、よろしゅうございますでしょうか。
○袖井委員 はい。ありがとうございます。
○田辺部会長 では、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。幾つか意見を言わさせていただきます。詳しいこと、いろいろなことが分かってきたわけですけれども、まだまだ普及が十分にはなされていない、利活用が進んでないのも一方で分かるわけですから、ぜひみんなで頑張らなければいけないと思っています。
まず1点目ですけれども、今も話題になりましたが、マイナ保険証の登録については、基本は義務化だということを政府で決めたほうがいいと思うのです。これは国会審議も必要かもしれませんし、気になるのは、この間の総選挙で、「いや、健康保険証をやめるのはちょっと待っていい」という意見も一部で、公約的な発言でもあったりしているので、一概に今すぐにイエスとはならないかもしれないですけれども、いずれにしても重要であると思います。デジタルガバナンスをベースとした今後の新しい行政の創造のためにも、新しい時代の人不足の中での公務をしっかりやっていくためにも、また、データベースを基本に、事実を踏まえた行政的対応をしていくためにも、今後はもっと重要になると思います。
典型的な例は、能登半島地震被災地などで、避難所にいらっしゃる方が急患になって、救急車出動対応のコールをかけて、救急車が来て救急対応となります。そのときにマイナンバーカードを持っていれば健康や医療の履歴、お薬の履歴などが分かりますので、速やかな間違いのない適切な医療がすぐ開始されるわけです。また、限度額認定証についても、特に交付申請しなくても、マイナンバーカードで保険証対応をしていれば自動的にできるわけですから、とても便利で助かったという声を聞きます。
そういった幾つものメリットを早く知っていただいていくためにも、啓発はもちろん必要ですけれども、一方ではそろそろ義務化も考えないと、これは進まないのではないのかというおそれを抱いています。
デジタルガバナンスが進んだほかの国では、以前も申し上げましたけれども、出生のときから実はそのことを認識して、医療機関と公的機関が連携して、医療並びに健康に関する給付サービスを同時にスタートできるようになっていますので、将来は多分、日本もそういった方向になるかとも思います。どこかでその義務化のことはタブー視せずに、しっかりとした議論をして、対応していくべきではないかなと感じています。
2点目は、それと関連もし、また、今日もお話があったことと全てと関係するのですけれども、やはりPR、Public Relationsを、関係する部署として、特に厚生労働省や首相官邸でしっかり考えていただく必要があるのかなと思っています。
先ほど来出ている認識も、医療機関でのポスター掲示は大変意味があると思います。もっといいのは、サイネージで出す、あるいは動画です。そこで、数分間でいいから、啓発を行うのです。例えば新型コロナウイルス感染症の予防接種のときに、接種会場に待機しなければいけない時間がありますから、そこでサイネージとか動画で、我々もほかのこともPRしましたが、そういったことも含めて、効果があるのは分かっていますので、ぜひこの啓発をしっかりやるべきだと思っています。
併せて重要なのは、途中で34ページでの事例が示されましたけれども、誤った情報が拡散してしまっては大変困るわけですよ。修正にものすごい時間と労力がかかります。そういった意味では、報道機関、プレスの関係でそういったことが仮に出るならば、迅速に、かつ的確に対応するのが基本だと思うのです。これは一種の危機管理ともいえる訳です。そのことをしっかりやっていくことを一方で対応していただきたいと思います。
そのときに、意見を言うと意見の対立になりがちですので、基本は事実に語らせることが肝要です。「事実はこうなっている」、「こうなっているからいいのだ」ということとか、「実はこうだから間違いありません」とか、「いや、お話しになったことと、事実として出されていることは違います」ということを、事実に語らせれば、事実は変わりませんので、そういった幾つかPublic Relationsに関するプリンシプルがあるわけなので、そういったことを押さえてぜひやっていただきたいと思います。
それらを統括して、やはり利便性とかセキュリティーも非常に高くなっていることを併せてPRしていただく必要があると思っています。
最後に、先ほど冒頭に触れましたけれども、マイナ保険証については、このことで自分の健康・医療データを自身もマイナポータルで確認ができる。医療機関に行ったり、病院を新たなところに行ったときに、過去の履歴や投薬も分かる。それを踏まえて、新しい、また、より適切な医療を給付していただくのが基本だと思うのです。
ぜひこういったことを基本にすべきと思います。ただ今回、総選挙でいろいろな議論がこの分野で出ました。票を取らなければいけないという選挙としての避け難い競争の事情がありますからやむを得ないのですけれども、また一方には世界的なデジタルガバナンスのトレンドの中で重要となるDXもある訳です。だからこそ、ぜひ国会の新しく議員になった方々にも深くこのことを御理解いただいて、より未来によくつなげるような、そういった国会への、啓発と言うと大げさですが、情報提供していただくことが重要と思います。その分、御苦労も多いと思いますけれども、ぜひそういったこともしていただきながら、これが早く加速して、冒頭のグラフに示されている数値が上がっていくこと、曲線がもっと早く上がっていくことをぜひ期待しています。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。遅れての参加になりまして申し訳ございませんでした。
今回のマイナ保険証の件につきましては、今回の資料の中では、12月2日の保険証の新規発行停止を間近に控え、切れ目なく医療が受けられるという周知が重要だという内容ですけれども、もちろん、その不安の払拭は重要な観点だと思います。
一方で、やはりマイナ保険証を原則としていくことを絶対に忘れないで続けていっていただきたいと思いますし、それを進めていかなければならないということでありますので、他の委員から御意見もあったように、今回も保険証活用時の資格確認の正確性などという資料も入っていますが、それに加えて、様々な今後のメリットを周知の上、マイナ保険証の利用が基本であることをぜひ強く打ち出して、その利用促進を図っていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
今回、事務局で資料を整理していただいたということで、ありがとうございます。
今、皆さん方もおっしゃっておられましたけれども、12月2日から現行の健康保険証の新規発行がなくなることになるわけですが、国民や患者さんの中には、皆さんがおっしゃっておられるように、現行の健康保険証が使えなくなると勘違いしておられる方や、また、マイナ保険証の利用登録をされておられない方など、様々な方が医療機関の受診に関してかなり不安に思われていることは間違いないと思います。
しかしながら、この資料の7ページで示していただいているとおり、医療機関などでの受診方法は12月2日以降もほとんど変わることはないという事務方からの御説明でございました。12月2日以降、新たに窓口で提示されるものには、資格確認書が追加されること以外は、医療機関の窓口での受付方法はこれまでと全く変わらないと言えると思いますので、国民や患者さんが安心して医療機関を受診することができるように厚生労働省から、様々な媒体を使って周知広報していただいておりますが、さらに丁寧に周知をお願いしたいと思います。
我々、医療機関も、例えば先ほどの13ページにあるような、この広告媒体等をリーフレットまたはポスターにしていただいたりしたものを掲示したり、さらには患者さんに対して丁寧な御案内をするように努めさせていただきたいとは思いますが、ここは保険者の方が多くおられる、自治体の方もいらっしゃるわけですけれども、保険者の方も、国や医療機関にお願いするだけではなくて、保険者の方こそが被保険者に対してしっかりと、どのような形になるのかを周知広報していただくことも必要であろうと思いますから、そちらも重ねてよろしくお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
先ほどから何名かの委員もおっしゃっていましたけれども、資格確認書についての周知に関しては、私も大変危惧しております。地域の皆さんとか、業界、経済団体のお話を伺いますと、残念ながら、ある一定の方から、やはりマイナ保険証あるいはマイナカード自体に否定的な声が聞かれます。そういう方々は、やはりこれを御覧になって、「これを見ろ」、「資格確認書があるからいいではないか」と主張してくるのですが、資格確認書は必ずしもマイナ保険証の代わりにはならない。機能も限定されている。しかも時限的であることを分かっていらっしゃらないので、ぜひ誤解のないようにお伝えする努力をお願いしたいと思います。
他方で、資料の18ページ、19ページを見ても、やはりマイナ保険証は業務効率化に非常に効果的であるということでございますから、こういうことも知らしめる努力が必要だと思います。それよりも何よりも、やはり緊急時とか災害時の命を救えるカードだということの訴えが非常に効果的だと思っております。人が行動変容を起こすためには、ある程度、現状を否定しないとなかなか動いていただけません。現状の否定は、なかなか言いづらく大変かもしれませんが、ぜひこの辺を強く訴えていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。このマイナ保険証が医療DXの基盤として安定した運用をしていくために、3つほど御提案をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
1点目なのですけれども、このスライド7の部分に資格確認とレセプト請求のフローに関して、想定されているこの場合分けに関してはフローが整理されていると理解しています。ただ、実務上での懸念なのですけれども、この医療機関・薬局が患者側で何らかの事情でオンライン資格が行えなかった場合、その時点で患者さんが資格確認のお知らせを既に持参されている可能性はかなり低いと思います。また、その時点ではマイナンバーカードには保険番号ももちろん記載されていないので、マイナポータルにアクセスして画面を見ていただくことになっても、マイナポータルが皆さん使えない状況です。
ですので、現段階でマイナンバーカードを既に取得されている方に関しては、受療行動を起こされる前にマイナポータルにアクセスして、保険情報が出る画面を画像情報として持っておいていただくことをぜひ啓発していただいたら、マイナポータルの利活用の啓発にもつながっていいのではないかと思います。スライド7で言う真ん中の「マイナポータル画面」と書かれている部分を、もともと画像情報で持っておくことをぜひ啓発されたほうがいいということです。
2点目なのですけれども、スライドの9ページに職権交付に関してあるのですが、電子証明書の有効期限が失効してから3か月経過してしまう前に、この資格確認書の職権交付で交付されるのは有効なことなのですけれども、この有効期限が切れていることを認識されていない方にとっては資格確認書が突然送られてきた状況になるかと思います。
これに関しては、なぜ、今、自分の手元に資格確認書が送られてきたのかを丁寧に説明されて送ったほうがいいのではないかなと思います。またそれをそのまま、先ほど来、委員先生方から出ている懸念のように、更新されずに資格確認書を使っていかれる状況も生じ得ると思います。その場合、重要な保健医療情報も活用できない。また、本人もマイナポータルも使えない状況が続きますので、これは少し丁寧な対応をされたほうがいいのではないかなと思います。
それと、3点目なのですけれども、これは少し将来の検討課題になるのかもしれないですが、先ほど来、委員の先生方からも出ていますが、本年12月3日以降は紙の保険証の発行がなされなくなることは実質上、マイナンバーカードと保険証が一体化されたということかと思いますので、マイナンバーカードを取得された後、健康保険証として使用することを国民が自身で紐付けする作業をする必要性が乏しくなるのではないでしょうか。
もちろん、紐付けられたマイナンバーカード自体を使うか使わないかという選択は各人でできますので、一体的であることを理解した上で使用される部分に関しては、将来的にこの紐付け作業を国民に求めなくても、紐付いたマイナンバーカードを発行することを進めたほうがいいのではないかと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 ありがとうございます。12月2日の紙の保険証の新規発行停止、マイナ保険証切替えということで、あと1か月ちょっとになりました。今日も資料説明で、本当に厚生労働省の皆さん、それから、医療機関や保険者の皆さん、そこに向けての準備を大変、一生懸命やっていただいて、心から敬意を表したいと思いますが、先ほど横尾委員からも話が出ていましたけれども、今回の衆議院選挙の中でマイナ保険証の発行凍結とか、そういった意見が出ていたりしていて、それで発言させていただきます。
私ども、厚生労働省から委託を受けて、市町村の保険者の皆さんが使う事務処理標準システムを開発しております。また、後期高齢者医療制度で言うと、広域連合の皆さん方に同じような標準システムを開発して使っていただいている。12月2日に向けていろいろなシステム改修をしていかなければいけなくて、あるいは資格確認書の発行みたいなものもそうでございます。例えば市町村の事務処理標準システムで言うと、実は今日、こうした改修プログラムを全国の市町村にリリースする予定です。それから、後期高齢者医療制度で言いますと、第1弾が10月中旬に済んでいますし、第2弾が11月となっています。また、恐らく自庁システムを使っている市町村などでは民間ベンダーの皆さんにお願いをして、改修が済んでいるところもたくさんありますし、多分、被用者保険の保険者の皆さんでもそういった準備が進んでいると思います。
ですので、この後、いろいろ国でどんな議論があるのか分かりませんが、私はそういうことはないと信じておりますけれども、基本的な方針、既定方針が大きく変わるようなことがあると、本当にこれはシステム改修が間に合わないこともありますし、何よりも保険者あるいは市町村などの窓口が大混乱することになります。厚生労働省の職員の皆さんにお願いしても、それを言われてもというところはあるかもしれませんが、ぜひ既定方針についてはしっかりと堅持していただいて、もちろん、国民の皆さんに使いやすい保険証という意味で、改善すべきところは、その努力をしていかなければいけないと思いますけれども、ぜひその点を御留意いただきたい。御要望として申し上げさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、大杉委員、よろしくお願いいたします。
○大杉委員 ありがとうございます。歯科の立場として発言させていただきます。
マイナ保険証に関する内容を分かりやすくまとめていただき、ありがとうございます。
まず、いよいよ12月2日まであと1か月となりましたけれども、12月で保険証が使えなくなるわけではない旨の報道等は周知されていた感があるかなと感じております。一方で、マイナカードの保有者のうち、マイナ保険証利用登録者の割合は、参考資料の24ページに示されていますが、81.2%と、この9か月で3.3%、わずかに伸びてきているところであります。マイナ保険証の利用率も、1ページ目に示されておりますけれども、9月時点で13.87%と、少しずつ伸びてきておりますが、同じスピードで伸びていったとしても、12月2日に2割に届いているかどうかという状況も予想されます。医療機関においてもしっかりと声かけをしていきますけれども、何度も繰り返しになりますが、より一層の厚労省からの国民の方々への推進をお願いしたいと思います。
また、6ページと9ページに記載の、マイナ保険証の電子証明書の有効期限の件ですけれども、先ほど佐野委員からもありましたが、その有効期限の周知徹底をしていただきたいことと、5年を経過したときに更新が必要な際に再度、郡市町において手続をしに行った場合に、パスワードや暗証番号を忘れて大変だったという話を耳にします。この辺りもスムーズに更新できるようお願いしたいと思います。
14ページには高齢者向けのリーフレットも作成もしていただいておりますが、情報がうまく伝わらない方も多くおられ、紙媒体からマイナ保険証の移行期は施設類型や患者さんごとに資格確認方法が多様となりますので、6ページの資格確認書と資格情報のお知らせの違い等も分かりにくく、そういうことも含めて、丁寧に12月以降もきめ細かな配慮をお願いしたいと思います。
あと、もう一点ですが、少し所管が違うかもしれませんけれども、今後、マイナ保険証を活用して公費負担医療や地方単独医療助成費などの拡大にも進んでいくと思っております。また便利になっていくことと期待しますが、その都度、医療機関等のシステム改修などの負担ができるだけかからないよう、また、事務処理が増えないように御配慮をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。私からは、先ほど来出ております国民への周知方法について1点お願いでございます。
今ほど皆様が御指摘されている7ページの資料なのですけれども、大変分かりやすくて、これは医療機関や薬局の方向けのフローになっているかと思いますが、こういったものを被保険者・加入者向けにつくっていただくとイメージがつきやすいのではないかと思います。これまでも広報機材については様々、工夫されていると思いますけれども、今後、新たに何かつくる際には、こういったものも参考にしながら、ここに必要な情報を足していけば分かりやすくなっていくかと思いますので、ぜひ工夫をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見がなければ、本議題につきましてはこれまでとしたいと存じます。
次に「3.産科医療特別給付事業等について」を議題といたします。
では、事務局から資料の説明をお願いいたします。
よろしくお願いします。
○松本室長 よろしくお願いいたします。医政局地域医療計画課の医療安全推進・医務指導室長の松本と申します。資料3に基づきまして、産科医療特別給付事業等について御説明いたします。
まず、産科医療補償制度の本体制度、もともとあった制度について少し御説明をしてから特別給付事業の御説明をしたいので、おめくりいただいて恐縮なのですけれども、6ページ、参考資料になりますが、こちらを御覧ください。6ページに産科医療補償制度の御説明がございます。
経緯からおさらいをさせていただきたいのですけれども、こちらは平成21年1月から行っている制度でありまして、趣旨が3つございます。経緯の真ん中に①、②、③とございますが、まず1つ目が、分娩に係る医療事故により障害等が生じた患者さんに対しての救済の観点。それから、上にありますけれども、裁判で争われる傾向があって、産科医不足の理由であったことから、2番目の趣旨として、紛争の早期解決。それから、3番目に、事故原因の分析を通して産科医療の質の向上を図る制度でございます。
下の※にございますけれども、この制度ももともとは平成18年11月に与党において取りまとめられた枠組みを踏まえて行われている制度でございます。
一番下の箱を御覧いただきたいのですけれども、補償対象で、1つ目の○のアンダーラインのところです。補償対象となるのは、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺で、下に身体障害者等級とありますが、1級、2級相当の重症の方であって、先天性等の方は除くということで、申請は児の満5歳の誕生日までにしていただくというものでございます。
おめくりいただいて、参考資料が続きますけれども、7ページですが、まず左上に「保険者等」とありますけれども、こちらから出産育児一時金を頂くときにこの掛金に相当する部分を頂くということでございまして、もともと3万円から始まっておりますが、今は1万2,000円が掛金になります。真ん中に補償金額としては、脳性麻痺になった場合の1件当たりの補償金は3,000万円という形になっております。
一番右に「民間保険」と書いてありますけれども、民間保険の仕組みを活用した仕組みとなっております。
おめくりいただきまして、8ページでございます。8ページの図を御説明したいのですけれども、3個に分かれていて、一番左にカラーのもので青くなっています2009年からということなのですが、この青いところの表を見ていただきたいのですけれども、この補償対象になるには、28週未満の場合はそもそも審査対象外になります。この2009年からあった青色のところの審査基準ですと、28週から33週まで、もしくは2,000gと書いてありますが、これは出生時の体重です。出生時の体重が2,000gより小さいお子さんの場合は、薄いところになっています個別審査といって、審査の方式を若干変えています。
個別審査とは何かというのは、右側の緑のところの下に<参考>という囲みがございますけれども【一般審査】と【個別審査】となっていまして、この個別審査は、体重が軽かったり週数が短いこともあって、必ずしも分娩に関連して発症した脳性麻痺児とは言えない方も含まれてしまうので、個別のデータで判断するとなっています。それが個別審査です。
それで、青のところの下を見ていただくと、少し専門的なので簡単に御説明しますが「低酸素」という言葉が入っておりますので、この低酸素要件があれば、分娩に関連して発症した脳性麻痺なのだろうということが分かりますので、この低酸素要件を見て、個別審査で低酸素要件があれば補償対象、低酸素要件がなければ個別審査で対象外となっていたという過去の経緯です。
それで、2015年に一度、審査基準を見直しておりましたけれども、この体重が1,400g未満になったり、33週が32週になったりということで見直されていますが、個別審査は残りました。しかし、一番右です。2022年1月以降はこの個別審査が廃止になっています。それが今回の経緯になります。
それで、1ページにお戻りいただきまして、特別給付事業の話にここから入らせていただきます。
この1ページの資料の「経緯」の1つ目のポツを御覧いただきたいのですけれども、先ほど申し上げた2022年、令和4年1月にこの個別審査を廃止いたしました。それによりまして、2行目です。個別審査でこれまで補償対象外となってしまっていた脳性麻痺児の保護者の方から、これはやはり、この個別審査がなくなったのだから、その新基準に基づいて救済するべきではないかという声が上がったという経緯でございます。
それで、2つ目のポツになりますけれども、その後、自民党の中で、脳性麻痺児の保護者の方等の声を受けまして、縷々るる御議論、調整をいただいた後、令和5年6月28日に、自民党の政務調査会少子化対策調査会・社会保障制度調査会医療委員会合同会議から「産科医療特別給付事業の枠組みについて」ということで党において枠組みがまとめられて、次の3つ目のポツにございますように、7月5日に厚生労働大臣に対して要請がされたということでございます。
厚生労働省での対応についてですけれども、下を御覧いただきまして、まず①ですけれども、この要請等を踏まえまして、厚労省としては、このもともとの産科医療補償制度をやっていた日本医療機能評価機構に制度設計等を委託いたしまして、詳細を検討していただきまして、改めて検討しまして、この要請等を踏まえて、今回、過去の個別審査で補償対象外となった脳性麻痺の方に関して、損害保険の制度を活用している産科医療補償制度を遡及して適用することはできませんので、産科医療特別給付事業を立ち上げて一定の給付を行うこととしてはどうかということでございます。後ほど詳しく御説明します。
②なのですけれども、今回、産科医療補償制度の補償対象基準の見直しに沿って生じた事象に対する対応でございますが、このような見直しを行う際には、今後は事前に厚生労働大臣に協議をしていただくことを健保法の施行規則に書く。その内容等については、厚生労働省告示で詳しく定めることにしてはどうかと考えております。
今回の補償対象基準の見直しですけれども、当然、医療保険部会でも御審議いただいて今までも決めてきていたわけですが、厚生労働大臣への協議を明確化するということでございます。
詳しく御説明するので、おめくりいただきまして、2ページを御覧いただければと思うのですけれども、これが特別給付事業の概要でございます。基本的に自民党の示した枠組みに沿っております。
まず、給付対象で、下に(給付対象基準)(除外基準)(重症度の基準)とございますが、基本的には先ほど申し上げましたとおり、過去に個別審査で低酸素要件等を審査されて対象外になった方であって、そのほかの要件は産科医療補償制度の要件に当てはまっているお子さんになります。それで、過去に一度審査した方だけではなくて、その方と同じ状態で申請していなかった方も含むと考えています。
給付額は1,200万円であります。申請期間は来年1月から5年間で、財源としましては、この産科医療補償制度ですけれども、平成21年につくりまして、前例のない保険でありましたので、リスク評価等に関してはかなり安全域を取った制度になっておりますので、支払いに使われなかった保険料が積まれています。それが特約に基づいて日本医療機能評価機構に戻されていまして、その財源の範囲内になりますので、その財源を使ってこの特別給付を行いたいと考えております。実施主体としましては、産科医療補償制度の運営組織である公益財団法人日本医療機能評価機構にお願いしたいと考えております。
おめくりいただきまして、対応の②の先ほど申し上げた法令の改正でございます。
趣旨をもう一度申し上げますと、1つ目の○のところを御覧いただきたいのですが、今回の特別給付事業は、先ほど申し上げた特約に基づき返還された保険料を原資として実施するものでございます。この返還保険料は、元は保険料でありまして、これを使用するというところは、産科医療補償制度の安定的な運営を確保するものである必要があると考えておりますので、こういう保険料の適切な運営に関しまして、政府、国が一定の関与を行うことが重要であると考えております。
ですので、2つ目の○にございますように、今、この産科医療補償制度の保険契約の内容等は、政令、健保法施行規則等において規定されておりますので、ここに以下2点の書きぶりを加えていく考え方であります。
まず1つ目のポツですけれども、今後、産科医療補償制度の安定的な運営に重大な影響を及ぼすような事項、例えば保険金の支払基準であったり返還保険料の取扱い等を変更したり廃止する場合には、あらかじめ、この制度の運営組織から厚生労働大臣に協議をすることを求めたいのが1点目。
2点目は、この返還保険料の使途をあらかじめ明確にしておきたいと考えております。この返還保険料は実は運用しておりますので、この運用はもちろんなのですが、今、分娩機関の掛金の軽減で、保険料自体は2万2,000円で運用していますけれども、この返還保険料から1万円を入れるということで、もともとは1万2,000円と1万円で2万2,000円ということで、2万2,000円から1万円負担が軽減されているのですが、そこに使っていますが、その軽減。それから、厚生労働大臣が定めた事業のみに使うものですということを明示的に書くということでございます。
今後、この使途等につきましては、厚生労働大臣が医療関係者の皆様、それから、医療保険者の皆様の意見を聴いた上で、その他の皆様の意見を聴いた上で、この産科医療補償制度の安定的な運営に必要であると認めたものに限るということでございまして、今回の特別給付事業もこの告示に定めたいと考えております。
本日お認めをいただきましたら、パブリックコメント等を行いまして、今年中にこの法令の改正を行いまして、1月1日に施行するということで、特別給付事業も1月から行いたいと考えております。
そのスケジュールが4ページに書いてある形になります。
それで、先ほど申し上げた参考資料の後ろのほう、9ページ以降にこの特別給付事業の設計について詳しいことが載っております。
詳しくは御説明いたしませんけれども、9ページが先ほど申し上げた厚生労働省から日本医療機能評価機構の検討委員会に委託した検討の状況でございます。右側にメンバーが載っておりますが、医療関係者、患者の代表、それから、保険者の皆様、専門家の皆様に入っていただいて検討したものでございます。
10ページに、その全体像、目次が載っております。
11ページに、先ほど申し上げた詳細が載っております。
12ページに、この仕組みについて書いてございますけれども、12ページの7.に給付対象者の推計値が載っておりまして、これは全部で、平均値が1,627人で、95%信頼区間で言うと847人から2,680人程度であろうということでございまして、財源全体で350億円とありますが、これは今、返還保険料の中に収まると考えております。
それから「8.原因分析」ですけれども、今回、平成21年から時間もたっておりますし、体重が軽かったり週数が短いということもありますので、個々の原因分析は非常に困難であることが検討会で御指摘をされまして、全体のデータを統計的に分析していくことで医療の質の向上に資するものにするという制度設計になってございます。
御説明については以上で、昨日、社会保障審議会医療部会でもお諮りしておりまして、医療保険部会と双方で御審議いただいて今後進めていく形で考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。日本商工会議所として、本件は特に反対するものではございません。
しかし、本件のような課題が今後スムーズに解決されるためには、データの蓄積や分析を積み重ね、様々なケースに対応できるように備えていくことが重要ではないかと思います。そのためにも、医療DXを強力に推進し、マイナ保険証の活用、情報共有基盤の整備やデータの標準化といった取組をさらに進めていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。今、詳細説明がございましたけれども、この産科医療補償制度は脳性麻痺のお子様を持つ保護者に対する救済制度で、大変意義のある制度だと考えております。
一方で、本来、国の制度でありながら民間保険の仕組みを使っている特徴がございますし、また、我々、保険者の立場で言いますと、出産育児一時金の一部を保険料に充当しているということでございますので、実質的な保険料負担者になっております。そうした中で、今回の特別給付事業について申し上げるならば、幾つか大きな問題点があると考えております。
まず一つは、過去に遡って給付範囲を変更して適用することであり、これは保険契約の概念を逸脱しているものだと考えます。もう一つは、この制度から生まれた剰余金は本来、将来の妊婦の保険料負担の軽減に充当すべきものであって、これを今回の特別給付事業に活用するのはこの制度の趣旨とは異なるものだと考えます。
この2つのポイントは、この制度の運営において極めて重大な影響を及ぼすものだと思っておりますので、今回、特別給付事業を実施するにしても、極めて例外的かつ限定的なものとして、今回限りの取扱いとしていただきたいと思います。
また、今の御説明において、省令改正等を通じて国による関与の部分を強化する、明確化するということがございましたけれども、さきほども申し上げたように、本制度が脳性麻痺のお子様を持つ保護者の救済を目的とした制度ということをより明確にするためにも、国の直接の制度として運用するなど、さらなる制度の位置づけの見直しを検討いただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
まず、今回の特別給付事業について、その実施に当たりましては、対象となる患者の方、御家族の方にきちんと御案内が行き届くよう、丁寧な周知・対応を行っていただきたいと思います。そもそも、この産科医療補償制度は、原因分析と再発防止の取組を通じて産科医療の質を高めることに意義があると思いますので、その趣旨に沿った運営をぜひ継続いただきたいと考えております。
また、先ほど佐野委員からもありましたけれども、今回、国が一定の関与を行うということで、省令改正ということも御説明がありましたが、本来は国の制度として運営することも含めて、見直しも検討いただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
この産科補償制度は非常に特殊な制度だろうと思っていまして、社会保障制度なのか、はたまた民間保険を使っているので、また違う性格があるのかというところはよく検討しないといけないと思うのですけれども、社会保障の一環とすれば、制度改正があった場合、対象範囲が特に拡大したような場合は、それ自体は不利益処分ではありませんので、遡及して救済することはよくあることだと思っております。今回の場合も、いろいろな基準によって個別審査が設けられた時期に補償対象外とされたということでありますので、2022年以降であれば補償対象であったことからすれば理由はあるのかと考えております。
それで、1点確認なのですけれども、先ほどの御説明では過去に申請をしていなかった方も対象となると聞こえたのですが、それでよろしかったかどうかを教えていただければと思います。また、それとも関係するのですけれども、こういったいろいろな救済制度は、これは申請主義だとすると、なかなか申請が上がってこない、何らかの事情で請求されない方がいらっしゃると思いますので、よくアウトリーチといったことも言うわけですので、その辺り、どのように実際、過去の方から出てくるのか。こちらからアプローチするのかどうか。そういった点も分かれば教えていただければと思います。
○田辺部会長 では、回答をお願いいたします。
○松本室長 まず1点目で、御指摘のように、先ほど御説明したとおり、過去に申請していなくても、今回の条件に当てはまれば対象になってございます。というのは、低酸素要件にこれは当てはまらないだろうということで申請していない方は合理的にいらっしゃると思いますので、そちらの方も対象にすべきであるという考え方でございます。
2点目ですけれども、平成21年からということで、15~16歳になられているような方まで一番大きいお子さんですとあるということで、様々なところにいらっしゃるということで、こちらから情報を届けるのは非常に難しいことを我々も考えておりまして、かなり周知には工夫が必要であろうと考えております。現在、各所で調整中でございますが、医療側、恐らく小児科を継続して受診されているだろうということで、医療側のアプローチであったり、あとは特別支援学級であったり障害児入所施設であったりという、一定、居所が限られることもあろうかと思いますので、関係者と調整して、そちらには直接、周知が届くように各所と今、調整しているところでございますので、期間も5年と限られますので、一人残らず申請いただけるように努力してまいりたいと考えております。
○田辺部会長 伊奈川委員、よろしゅうございますか。
○伊奈川委員 はい。
○田辺部会長 では、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。以前、社会保障審議会医療保険部会、この部会でこの産科医療の特別な対応についても聞いたことがあるのですが、そのときに気になって、その後、改善されていればいいのですけれども、1点、確認を含めて御意見を申し上げたいと思います。なお、この制度について反対とか何かでは全くありません。大変大切なものだと思っています。
さて、その折に私が聞いたのは、この基本となる症状や、基本となる発症の状況について、どのようなデータをお持ちでしょうかと聞いたときに、全国の有志の産科に関わる医師の皆さんがそれぞれデータを集められて提供されて、それをまとめて推計しています、とのことでした。ですから、リアルな全国調査などのほうが、では必ずしもなくて、たしか4つか5つぐらいの県だったと思うのですが、それらの有志の産科の先生方の善意と厚意による情報提供だと思うのです。それから数学的、いろいろな方法で推計されていると思うのですが、それから歳月を経て、現在は、これだけデジタル化が進み、これだけデータが重要だというのが分かって、様々な政策立案にもDatabased Policy Makingは世界的にも常識になってきていますので、ぜひ今後、そういったものにすべきだと思っています。
国として、このような特別な状況に置かれたお子さんあるいは御家族に関して、どのような実態があるのか、そして、どのような対策が本来必要なのかをきちんと踏まえていかなければなりませんので、そういった意味ではオールジャパンで、せっかくほかの委員もおっしゃっているように、マイナンバーカードに基づく健康保険証機能はもちろんですけれども、様々なデータベース、その中に医療とか課題とか、まだ未解決の問題等についても、状況把握をして、それにより適切な対応をどうするかが重要です。これらのことをやはりみんなで衆知を集めてやっていくことがとても大切なので、そのようにしていただきたいと思っています。
その辺は、今はオールジャパンでデータを集めていることになっているのですか。分からなければ後でもいいですけれども、何か手が挙がりそうだから、よろしくお願いします。
○田辺部会長 では、この点、お願いいたします。
○松本室長 ありがとうございます。
まず、この分娩に関する脳性麻痺の方を救済するということでありますけれども、先ほどの参考資料にもございましたが、産科医療補償制度では3,000万円を給付することとともに、原因分析は義務になっておりますので、そもそも、申請時にこの場合、かなり分娩時の詳細な経過を提出しますので、段ボール数箱分のデータを、3,000万円の給付の対象になった場合、全例集めるということで、日本医療機能評価機構の中に専門家が集まった原因分析の委員会がございまして、そちらで分析して、全例で再発防止策を立案している状況で、この分娩に関連した脳性麻痺に関してはかなりのデータがございます。
それで、個別審査で対象外になった方のデータも機構にございますので、それも使いながら、今回、対象患者の推計をしておりますけれども、どうしても申請しなかった方は、ネガティブデータというか、分からないので、そちらに関してどうしても推測が入っていることになりますが、これまで対象になったお子さんのかなり詳細な分析は活用しているところでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 横尾委員、よろしゅうございますでしょうか。
○横尾委員 はい。ぜひオールジャパンでDatabased Policy Makingができるように、こういった分野は難しいところがあると思いますけれども、推進をお願いしたいと思います。
以上です。○田辺部会長 では、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
今、お話があったとおり、この産科医療補償制度の創設当初はデータ的には非常に限られたものであったものですから、対象の範囲や基準に関しては、最初は厳しめの設定であったということで、実際の対象患者さんの数が推計値を大幅に下回ってしまったということもあり、積み重ねたデータの分析を行いながら、何度か基準の見直しが行われてきたと理解してございますので、かなり症例数も集まってきていると聞き及んでございます。
それで、今回のこの特別給付事業に関しては、最新の基準によって、これまで補償対象外とされていた方に対して救済を行うことになりますので、いわゆる脳性麻痺を持つ御本人、さらには保護者の方にとってみれば大変有益なことになろうと思いますし、我々としては賛成したいと思っております。
その財源につきましては、これまで使用されてこなかった保険料を活用するということで、これにはいろいろな御意見もあろうかとは思いますけれども、よろしいのではないかと思ってございます。
今後、この対象基準の見直しが行われるということもさらなるデータの積み重ねによって発生する可能性はあろうと思いますので、制度の安定的な運営という意味において、国の関与を規定することはよろしいのかなと思いますが、まずはそれとは別に、御説明にもありましたけれども、この医療保険部会、その他関係する審議会で、制度の在り方も含めて、しっかりと議論していただいて検討されることをお願いしたいと思います。コメントでございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。こうやって思いもよらぬ脳性麻痺を起こすようなお子さんたちが対象基準外だったところも対象として拡大するという、この内容に関しては非常に賛成でございます。
ただ、佐野委員が言われたように、財源の問題とか運用の問題。これは検討に値するかと思いますが、これだけ出生数がまたどんどん減ってきている中で、こういった子供たちが、実際には一生懸命、産科の先生方が努力してもやはり起こり得る事象でございますので、このことに関してはしっかりとこういう方向性を持って原因の分析とかはしっかりやられて、今はやられていると思いますけれども、この補償制度に関しては、今回のこの拡大の案に関しては賛成でございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、まず、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。本件の方向性、具体的な施策については異論ございません。今、各委員のおっしゃったような考え方に賛同いたしております。
他方で、保険という概念に関しましては、冒頭、佐野委員から出ました御意見と我々は同意見で、この制度自体が、伊奈川委員の御指摘のとおり、社会保障政策と民間の保険制度のハイブリッドで進められたということでございますので、スタート当時は大変画期的なよい取組であったと考えております。
ただ、現在、こういう見直しが起こる際に、佐野委員からも指摘がありましたとおり、保険としてはどうなのかという観点は決してなくなるものではないと考えておりますので、今後の安定的な運用を考える際には、ぜひ、このハイブリッド型であるという点について、いま一度、議論を深めていただきたいなと考えております。その意味でも、本件の取扱いが決して前例となるようなことのないように、そこには御留意いただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、菊池委員、よろしくお願いいたします。
○菊池委員 ありがとうございます。
事前に事務局にお尋ねすべきだったのですが、先ほど思いついてしまったので申し訳ないのですけれども、この新たな特別給付事業は規則改正、告示の新設ということで、今後、補償対象基準見直しと書いていますが、この新たな給付事業の下でなされる特別給付の決定は処分性があるのか、行政処分と構成されるものなのかどうなのかを確認させてほしいです。
それは、産科医療補償制度の大本の制度はどう構成されているのかということ、法的性格をどう考えるのかということとも関わってくるし、その性格が新たな特別給付事業と同じなのか違うのかを考える手がかりにもなると思うので、その辺、現段階で行政解釈というか、公権解釈というか、専門的な質問で申し訳ないのですが、現段階でお答えいただけるものがあればお願いしたいと思います。
○田辺部会長 では、よろしくお願いいたします。
○松本室長 ありがとうございます。
なかなか難しい御質問だと思いますけれども、先ほど佐野委員がおっしゃっている、国の制度でありながら民間の保険を使っている仕組みでございますが、もともとの、先ほど7ページの参考資料の図で、元の制度、この保険者から出産育児一時金を頂くに当たりまして、この頂くところに政令の定めがありまして、お金を頂くということで、分娩機関には基本的にこれには入っていただく義務的な性格がございますが、分娩機関の方も99.9%というか、ほとんどの方に入っていただいていますが、例えばこれに入っていなければ何か処分されるとか、罰則があるものではなくて、任意の保険なのだけれども、入っていただいている性格がもともとの産科医療補償制度で、民生の中で民間保険を使って運用されているものでございます。
今回の特別給付事業に関しましても、基本的には、省令等が今回定めるのはあくまでもこのお金を使わせていただくに当たって、今後、厚生労働省に協議していただく性格のもので、基本的には、運営要綱をこちらで定めたものに従って、日本医療機能評価機構に財源があって、それを活用していただく給付事業でございますので、処分性というか、義務的な性格であったりが発生するものでは基本的にはないと考えております。
○菊池委員 分かりました。
そうすると、要綱に基づく仕組みということであれば、処分というよりは契約構成になじむのかもしれませんが、これは議事録に残るので、後でまた検討していただいて、変更があり得るのであれば次回にでもお話しいただければと思います。ありがとうございます。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
いろいろな御意見をいただいたところではございますけれども、この案に関しましては、その方向性に関しましてはおおむね御了解いただいたと思っております。この方向性に関して了承いただいたということで、先に進めさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございました。では、その方向でよろしくお願いいたします。
ほかに御意見等、全体を通じまして何かございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日はこれまでとしたいと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡申し上げます。
本日は、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございました。
それでは、閉会いたします。