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第165回先進医療技術審査部会 議事録
日時
令和6年9月12日(木)16:00~18:00
場所
日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8D」(オンライン)
出席者
竹内座長、天野構成員、一家構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、北川座長代理、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山構成員、山本構成員、黒瀨構成員
- (事務局)
-
- 医政局研究開発政策課長
- 医政局研究開発政策課 治験推進室長
- 医政局研究開発政策課 課長補佐
- 医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
- 保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
- 医薬局医薬品審査管理課 審査調整官
議題
- 試験実施計画の変更について
- 協力医療機関の追加について
- 申請医療機関からの報告について
- その他
議事
- 議事内容
○竹内座長
定刻となりましたので、「第165回先進医療技術審査部会」を始めます。御多用の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。
初めに、本年8月をもちまして御退任されました渡辺構成員に代わりまして、今回から黒瀨厳先生に新たに構成員に加わっていただくことになりました。それでは、黒瀨先生、一言、御挨拶をよろしくお願いいたします。
○黒瀨構成員
竹内先生、ありがとうございます。日本医師会の黒瀨でございます。これから皆様方と一緒にお仕事をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○竹内座長
よろしくお願いいたします。ありがとうございました。続きまして、本日の構成員の出欠状況です。一家綱邦構成員、上村尚人構成員、後藤弘子構成員より御欠席の連絡を頂戴しています。本日、15名お集まりいただく予定ですが、山本先生がまだお入りになっていらっしゃいませんが、14名出席されていますので定足数に達していますので本会議が成立することを申し添えたいと思います。
次に、事務局に異動がありましたので事務局より御紹介をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局です。8月1日付けで事務局の異動がございましたので御紹介いたします。長谷川学医政局研究開発政策課長でございます。
○医政局研究開発政策課長
長谷川でございます。よろしくお願いいたします。
○竹内座長
ありがとうございました。よろしくお願いいたします。それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
配布資料について確認させていただきます。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、「試験実施計画の変更について」は資料1~資料2、「協力医療機関の追加について」は資料3-1~資料3-2、「申請医療機関からの報告について」は資料4-1~資料5-2、「総括保護報告書の評価結果について」は資料6、会議資料の最終ページは33ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせください。
続きまして、利益相反の確認ですが、本日の会議では御評価を頂く議題がございませんので事務局から事前に確認は行っておりません。もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。
それでは、該当なしということで承知いたしました。
また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かります。
本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。それでは、早速、議事に入りたいと思います。まず、「試験実施計画の変更」につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
御説明いたします。資料1の1ページを御覧ください。順天堂大学医学部附属順天堂医院からの申請で、告示番号46「アモキシシリン、ホスホマイシン及びメトロニダゾール経口投与並びに同種糞便微生物叢移植の併用療法」です。適応症は潰瘍性大腸炎です。
御審議いただく主な変更内容につきまして、3ページを御覧ください。主な変更内容として、被験者登録期間及び研究実施期間の延長となっています。
変更申請する理由としましては、本研究の被験者登録期間及び研究実施期間は、順天堂医院でこれまでに実施した腸内細菌叢移植の臨床研究実績から設定しました。一方で、本研究を先進医療として実施するに当たり、以下の点が影響し、当初の想定よりも被験者登録開始時期が遅延しました。
先進医療告示から研究開始に至るまでの準備に時間を要したこと。ヒストリカルコントロールとして設定した対照試験に合わせた多岐に渡る患者適格性基準により適格率が低下したこと。ドナースクリーニング検査の厳格化により腸内細菌叢溶液の在庫確保に時間を要したこと。
2024年8月28日時点で、予定症例数37例の94.6%に当たる35例が本研究に登録されています。順調に症例集積しているものの、月ごとの登録は0~5例でばらつきがあり、当初計画していた被験者登録期間「2024年9月末まで」の登録完了が困難な可能性が高い状況です。本変更では、確実な臨床研究完遂を目的に被験者登録期間及び研究実施期間を延長します。
以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。本変更内容につきまして御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。登録期間の延長、試験期間の延長ですが、特段の御意見等がないようですので、それでは、告示番号46番の変更につきまして、お認めすることといたします。
続きまして、次の「試験実施計画の変更」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
御説明いたします。5ページ、資料2を御覧ください。東海大学医学部付属病院からの申請で、告示番号47、集束超音波治療器を用いた前立腺がん局所焼灼・凝固療法です。適応症は前立腺がんです。
御審議いただく主な変更内容につきまして、6ページを御覧ください。主な変更内容としまして、先進医療実施届出書様式第9号の医療機関の要件の変更となっており、病床数、看護配置、当直体制、他の医療機関との連携体制が変更となります。
変更申請する理由としましては、現在までのところ、患者登録が遅れている。今後、協力医療機関の追加を検討しているが、現行の医療機関の要件では参加できる医療機関に制限がある。これまでの実施状況から安全性に大きな問題はなく、変更後の要件ならば要件を満たす医療機関を確保できるため、様式第9号の変更を希望する。変更後の要件は別の先進医療「経皮的前立腺がんマイクロ波焼灼・凝固療法」のものを参考にしたとあります。以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。こちらは、予定症例数が310に対して現在の登録状況が35症例と、かなり厳しい状況の中で、先ほどの様式9のかなりの部分の変更をお願いするというものでございます。何か御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。御意見がないようでございます。それでは、告示番号47番の変更につきましては、お認めすることといたします。
続きまして、「先進医療Bの協力医療機関の追加」について、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
御説明いたします。7ページ、資料3-1を御覧ください。告示番号38について1施設及び告示番号54について1施設の協力医療機関の追加申請がありました。資料3-2、9ページ以降を御覧ください。事務局において先進医療実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続を進めさせいただきます。以上です。
○竹内座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、事務局で手続を進めていただきますようお願いいたします。
続きまして、「申請医療機関からの報告」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
御説明いたします。13ページ、資料4-1を御覧ください。慶応義塾大学病院から告示番号21、イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法に関する御報告です。資料に沿って御説明させていただきます。
経緯の概要として、2024年8月21日に慶応義塾大学病院にて、使用期限切れの試験薬(ペムブロリズマブ)が誤って被験者に投与される事案が発生しました。現時点で被験者には関連する有害事象等は生じておらず、効果安全性評価委員会の審議結果に基づき当該施設では新規患者登録を停止しています。
医療機関からの報告もございまして、15ページ、資料4-2を御覧ください。冒頭の辺りから読ませていただきます。期限切れ試験薬の誤調製・投与という重大な不適合を発生させたということで、当院は本件を臨床研究実施体制の根幹に関わる重大事案として受け止めており、研究対象者の経過確認など安全確保に万全を期すとともに、不適合の発生を防げなかった体制その他の不備について、根本的要因の究明と対策の検討を既に開始しており、今後、速やかに結論を得て改めて御報告の上、適切な再発予防措置を実行する方針です。以下、現時点で把握している情報を基に、当該医療機関における確認の状況及び今後の対応方針等について御報告申し上げます。
2.本件重大な不適合の概要の所から読ませていただきます。
(1)慶応義塾大学病院皮膚科を2024年7月24日に初診で来院した悪性黒色腫の患者より、7月27日に本研究への参加にする同意を取得し、スクリーニング検査を経て8月7日に研究対象者として登録、投与予定日を8月21日として試験薬投与の院内オーダーを行った。
(2)試験薬管理部門では、8月8日に試験薬保管業者へ試験薬ペムブロリズマブの搬入依頼をし、8月20日に同部門へ搬入された。
(3)8月21日、研究対象者が来院し、診察にて投与可能であることを確認した後、試験治療の実施場所である当院腫瘍センターの調剤部門で投与用の試験薬が調整され、15時42分より同センター治療室において約30分間で投与された。
(4)同日16時30分頃、試験薬管理部門担当者が帳簿記録との照合を行った際、治験薬管理室内に保管されている8月20日搬入の試験薬が投与済みとなっていることを発見、その後の確認により、腫瘍センターサテライトファーマシーに保管されていた期限切れの試験薬(有効期限2023年11月)が誤って当該研究対象者に投与されたことが判明した。
3.重大な不適合の発生に関わる問題点として、以下のものが挙げられています。
(1)投与前日(8月20日)に治験薬管理室に搬入された投与用の試験薬が、本研究における試験薬管理手順に規定された本来の保管場所であるサテライトファーマシーに保管されず、治験薬管理室に保管された。
(2)上記(1)の試験薬保管場所に関する手順変更が、投与当日(8月21日)の投与用試験薬の調剤開始までに、治験薬管理室とサテライトファーマシーの間で共有されなかった。
(3)サテライトファーマシーにおいて、本来、2023年11月の保管期限終了後に遅滞なく廃棄されるべきであった過去に搬入された未使用試験薬が、その後も本件発生(8月21日)まで廃棄されずに保管されていた。
(4)投与当日(8月21日)の投与用試験薬の調剤時に、上記(3)の期限切れ試験薬が、保管期限の確認なく調剤され、当該研究対象者に投与された。
4.問題点の発生要因と考えられる事項について、以下のものが挙げられています。
(1)試験薬管理部門において、試験薬管理手順が遵守されなかった。
(2)試験薬管理部門において、試験薬管理手順の変更に関する調剤部門との情報共有がなされなかった。
(3)調剤部門において、保管期限を大きく超過した試験薬が未廃棄のまま保管されていた。
(4)調剤部門において、投与用試験薬の調剤時に使用期限が確認されなかった。
5.今後の予定としまして、
(1)当該研究対象者の経過確認など安全確保に万全を期す。
(2)問題点の発生要因の背景となる事情等について、試験薬管理を担当する当院薬剤部のほか、部外の当院関係者を加えた検討チームを組織し、本件発生の根本的原因を究明するとともに、以後の改善を確実なものとするため、実質的かつ有効な再発予防措置を立案し実行する。
(3)再発予防措置の実行状況について、当院として継続的に確認を行い、その実効性を担保する。
以上、これらについてが現時点における慶応義塾大学病院の対応状況となっております。
19ページ、資料4-3は本先進医療の研究責任医師からの報告となっています。こちらは医療機関の報告と重複する部分もございますので、21ページ中段の「臨床研究の対象者への影響」から読ませていただきます。当該研究対象者へは、2024年8月21日17時半頃に経緯の説明と謝罪をしており、その時点では有害事象の発生はなかった。
しかし、8月24日頃より38~39℃の発熱と咳、倦怠感がみられるようになり、カロナール(解熱鎮痛薬)を内服しつつ、8月27日にかかりつけ医を受診し、コロナとインフルエンザの検査は陰性で、血液検査で炎症反応(CRP)の上昇がみられたこと及び症状から薬剤副反応ではなく「上気道感染」としてカロナール継続となった。8月28日に当院を受診し、血液検査では炎症反応は低下傾向であった。8月30日には37.2℃前後まで解熱し、症状も軽快傾向となっている。
投与した期限切れ試験薬の有効性については、臨床試験の初回治療から1週間程度であることから、現時点では不明である。
当該研究対象者は試験継続を希望されており、イマチニブの内服は継続中であり、9月11日に2回目のペムブロリズマブ投与を予定している。
なお、当院では現在、投与継続中の対象者は今回の研究対象者以外にはおらず、九州がんセンター、東北大学病院、静岡がんセンター、名古屋大学医学部附属病院で投与継続中の研究対象者がいる状態である。
また、今回研究対象者に投与された使用期限を約9か月超過した試験薬の品質及び安全性・有効性への影響について、試験薬提供者には見解を確認中である。
次に、臨床研究における対応としては、8月21日20時に、慶應義塾臨床研究審査委員会に重大な不適合事案第1報として報告し、質疑応答を経て8月22日に受理された。同日、病院長へ報告されている。本事案は、8月26日の委員会審査にて承認された。その際の審査結果通知書付記事項に対して、8月30日に重大な不適合の続報(第2報)を提出した。
また、当院での新規登録の停止を当該研究対象者の試験継続等について、8月30日に効果安全性評価委員会に審議依頼した。この審議結果に基づき、再発防止策の策定と慶應義塾臨床研究審査委員会で再発防止策の審議・承認が得られるまでは、当院での新規組み入れは停止することとした(8月27日に登録システムを停止済み)。当該研究対象者については、安全性に注意しながら試験を継続する方針である。
その他、当院の分担医師、各施設研究責任医師、薬剤提供元であるMSD株式会社、大原薬品工業株式会社、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)に報告を行った。
これらのことについては、学術研究支援課を通じて病院長ととも共有しながら対応を進めていると記載されています。
また、13ページ目に戻っていただき、4.今後の対応についてですが、先ほどの医療機関からの報告書は、当部会で報告を行うための第1報として作成されたものであるため、更なる詳細な報告や最終的な再発防止策などについては、医療機関からの続報を待つ方針とさせていただこうと考えています。本件について現時点で御意見がございましたら御発言いただきますと幸いです。以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。少し複雑な経緯ですが、何か御意見、コメント等はございますでしょうか。経時的に言いますと、資料4-3のほうが、9月4日に研究責任医師から第1報が報告され、その後、病院、臨床研究推進センター長、臨床研究管理センター長のお名前で、第2報として資料4-2が9月10日に発出されているという状況でございます。新規組み入れは停止して、ただし、患者さんのメリット等を考えて、この使用期限切れの薬剤を投与した患者さんは、引き続きペムブロリズマブの静脈内投与を希望しているということもあって、これを続けるということでございますが、いかがでしょうか。これは今後、さらに再発予防措置については検討委員会の結果も含めて御報告いただくということで、よろしいですかね。
それから、今回の事案が発生したことが、この先進医療のこの薬剤だけの問題なのか、何かもう少し構造的にと言いますか、組織的に何か問題があったのかということは少し掘り下げて検討して報告いただくということで、よろしいでしょうか。
○医政局研究開発政策課長補佐
はい、そのようにさせていただこうと思います。
○竹内座長
何か御意見等はございますか。この先進医療の新規組み入れを中止していただいて、よく調査をした上で、再発防止策を、部外者も含めた検討チームで検討するとの報告を頂くといった内容です。何か追加で、ここはこういうふうに調査したらいいのではないかとか、この再発防止策で参考になることはないかといった御意見はございますか。この治験管理室の帳簿の仕組みというのは文書管理でしょうか、デジタル管理でしょうか。
○医政局研究開発政策課長補佐
紙管理と伺っています。
○竹内座長
ありがとうございます。組織的にこの事案を重く受け止めていただいて反省していただいているということですので、再発防止策も含めて続報を待ちたいと思います。ありがとうございました。
続きまして、「申請医療機関からの報告」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
御説明いたします。23ページ、資料5-1を御覧ください。国立循環器病研究センターから、告示番号34、テネクテプラーゼ静脈内投与療法に関する御報告です。それでは、資料に沿って御説明させていただきます。
2.経緯の概要としまして、2024年8月20日に協力医療機関である神戸市立医療センター中央市民病院にて、16.25mgのテネクテプラーゼ(TNK)を投与するべきところ、誤って35mgの過量投与を被験者に行う事案が発生しました。
当該施設では患者登録を一時停止しており、現時点で被験者には関連する有害事象は生じていないということです。
研究責任医師からの報告としまして、25ページ、別紙5-2を御覧ください。「不適合の内容」の詳細から読ませていただきます。
臨床研究対象者は、2024年8月20日20時30分頃に倒れた際の物音に気付かれ、神戸市立医療センター中央市民病院へ救急搬送された。頭部精査で左中大脳動脈閉塞(M2部)と診断し、再灌流療法(血栓溶解+血栓回収)の方針となった。本研究への参加を家人からの代諾者同意を取得し、8月20日22時02分に登録・割付を行い、TNK群の割付結果を確認後に救急外来に保管しているTNKを取り出して、薬剤調整を2名の脳卒中チームの医師で行った。本来投与すべきTNKの用量は、体重65kgに対して0.25mg/kgに当たる16.25mg(3.3mL)であったが、誤って35mg(7.0mL)の過量投与を行った。翌8月21日朝、カルテ記録を確認したCRCより投与量が多いことを指摘され、関係者へ聴取し過量投与であることを確認した。
「不適合が発生した理由」として、試験薬テネクテプラーゼは海外で急性心筋梗塞に対して用いられているものを、国内での脳梗塞試験用に輸入して用いている。TNK薬剤梱包箱内には英語添付文書が入っており、文書内に心筋梗塞患者用の薬剤用量が書かれている。そのため中央薬局ではビニール袋内に薬剤梱包箱と日本語の薬剤換算表を一緒にして入れた状態で試験薬を各施設に送付し、中央事務局が各施設に日本語の換算表に基づいた用量設定を対面/WEB会議などで複数回、指導してきた。今回の事例以前に、170例が試験に登録し、その約半数がTNKに割り振られたが、これまでに投与量の誤りは生じていない。
今回、試験薬投与を行った医師は、薬剤調整時にTNK薬剤梱包箱とともにビニール袋内に同封された投与換算表を確認せず、薬剤梱包箱内の英語添付文書からの体重65kgに対し70mLの投与量であると誤認した。また、もともと神戸市立医療センター中央市民病院では、過量投与防止のための50mLシリンジでTNKの最終投与量を吸い上げるようにしているが、今回は10mLシリンジを用いていた。
臨床研究の対象者への影響としては、経過で施行している頭部CT、MRIや診察所見からは、安全性評価項目の「投与開始後24~36時間以内の症候性頭蓋内出血」は発現せず、9月6日正午の時点で頭蓋内出血や他の出血イベント、有害事象はいずれも起こっていない。
患者家族への説明としては、8月21日に奥様、娘さん、御本人の妹さんに対し、投与量が多くなった経緯を御説明した上で謝罪した。対象者は改善傾向にはあるものの、失語症状のため、複雑な内容の理解が未だ困難な状態であるが、改善された時点で詳細な説明を行う予定である。
臨床研究における対応としては、厚労省の先進医療係(8/29)、京都大学の臨床研究審査委員会(8/30)、本試験の独立安全性委員会(8/26)に報告し、8月27日に全研究参加施設に緊急報告書を送って本事象を共有し、適切な投与量や調整・投与方法を確認した。また、研究責任医師の判断により、各委員会から再発防止策の妥当性が確認され、再開承認が得られるまで当該医療機関での登録は一時停止する措置をとっています。
再発防止策としては、中央薬局で薬剤梱包箱の開け口に、『注意喚起! 日本語で書かれた換算表を用いて、投与してください』と書いたラベルを貼ることで、投与量の確認を徹底することとした。具体的には、(1)換算表を用いて調整する注意書きをビニール袋表面だけでなく内部の薬剤箱にも貼付する。(2)体重と投与量を複数医師で確認するチェック表を薬剤箱に貼付する。(3)従来ビニール袋内に同封されるのみであった換算表は、5mLシリンジとともに薬剤箱に輪ゴムを用いて一体化させる。(4)従来、研究の一連を把握するために使用していた院内プロトコールをチェックリストとして運用し記録保管することとする。また、神戸市立医療センター中央市民病院にて開催予定の特定臨床研究管理委員会にて、研究の再開の可否について検討されるとあります。
追記にもありますとおり、現在、京都大学の臨床研究審査委員会では審議中ですが、9月2日に行われた神戸市立医療センター中央市民病院の特定臨床研究管理委員会の審査結果については結果が出ていますので、タブレット資料の1ページに委員会からの通知書を入れています。
23ページ、資料5-1にお戻りください。4.今後の対応についてですが、先ほどの研究責任医師からの報告書は、当部会で報告を行うための第1報として作成されたものであるため、更なる詳細な報告や最終的な再発防止策などについては、医療機関からの続報を待つ方針とさせていただこうと考えています。本件についても、現時点で御意見がございましたら御発言いただけますと幸いです。以上です。
○竹内座長
こちらも重大な不適合事案ということで、第1報がございました。この段階で何かコメント、御意見等がございますでしょうか。倫理委員会で試験の継続を審議中ということで、それも今は待っている段階だということでございます。いかがでしょうか。本来は、急性心筋梗塞に対する薬剤を輸入して脳梗塞に使う先進医療だったと。その急性心筋梗塞の添付文書が英語で書かれていて、それが残っているというところでございます。英語の添付文書を抜いてしまえばいいのではないか、ということも考えられるかと思います。それも含めて、再発防止策をきちっと考えていただいて、また報告いただくということでお待ちしたいと思いますが、ここのところずっと、こういう不適合事案が幾つかの医療施設から報告されていますけれども、中には、いろいろな要因があって1つに集約できないところがあり、きちっと第1報を挙げていただいて、この委員会で御審議いただいているという状況でございます。何か御意見等はございますか。よろしいですか。
それでは、報告を少し待って、この再発防止策も含めて、また原因究明も含めて、進めていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、御報告のとおり進めていただくということでお願いしたいと思います。
残りの議題は「その他」となっています。事務局からございますでしょうか。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局から御報告がございます。27ページ、資料6を御覧ください。こちらは本年7月の当部会で評価が行われた大阪刀根山医療センターのTRPV2阻害薬経口投与療法の総括報告書の評価表の差し替え版となります。30ページから31ページに係る部分の上村尚人構成員の安全性の御評価に関することで、総括報告書において重篤な有害事象が発生したと記載がございましたが、7月の部会の時点で有害事象と治療との因果関係が議論されていたかどうかを確認できる文書がございませんでした。そのため、部会後に事務局から研究者に問合せをいたしました。その結果、治療と有害事象との因果関係について、過去にSAE委員会で議論が行われた議事記録を研究者から提出いただきました。その文書の内容をもって、上村構成員のコメントが修正されましたので、こちらの御覧いただいている評価表に差し替えさせていただきます。修正後のコメントを読ませていただきます。
「死亡例も含む複数の重篤な有害事象が発生している。その因果関係については、SAE委員会、あるいは効果安全性評価委員会で議論がされたようだが、議事録など文書による記録が確認できなかった。(その後、先進医療技術審査部会での議論を経て、SAE委員会での議事記録が提出され、個々の重篤な有害事象については、適切に審議されていることを確認した。)疾患の特異性から、一定の割合で原疾患や合併症の悪化が見込まれるのは理解できるが、現時点では問題がある可能性も否定できないので、Cとした」とあります。以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。これは総括報告書が提出されました。そのときの上村構成員のコメント欄で、先ほどの31ページのコメント欄の3行目ですが、「議事録など文書による記録が確認できなかった」と記載されておりました。事務局のほうで、その後、問い合わせていただいたら、このSAE委員会での議事記録というのがあった。これが改めて提出されたので、この括弧内の3行部分が追加されて、これを総括報告書にしたいということです。実際に記録がありましたのでということを、ここに明記したということでございます。よろしいでしょうか。こちらのほうが正しい記載になるということで上村先生にも御了解いただいております。ありがとうございました。
それでは、こういう形で進めさせていただきたいと思います。本日の議題は以上でございますが、構成員の皆様、全体を通して何か追加の御意見、御質問、コメント等はございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。幾つかの案件がございますので、引き続き、きちっと報告をしていただいて御議論いただくようにしたいと思います。
最後に、今回をもって退任となる構成員が2名いらっしゃいます。事務局にて進行をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局です。今回の会議をもちまして、上村尚人構成員、北川雄光座長代理が御退任されることとなります。今回で御退任される構成員の皆様におかれましては、長きにわたり、医療技術の審査等、多大なる御指導・御協力を賜り、心より感謝申し上げます。誠に恐縮ではございますが、御退任にあたり、御挨拶を頂ければ幸いに存じます。北川座長代理、よろしくお願いいたします。
○北川座長代理
ありがとうございます。今回をもって任期満了ということで退任させていただきます慶應の北川でございます。この技術部会では本当にいろいろな観点からの御指摘を受けて私も勉強になりました。私ども自身が先進医療を行う立場として大変勉強させていただきましたことを、竹内座長をはじめ、皆様に感謝申し上げます。
一方、本日、当医院におきます非常に重大な不適合事案が発生いたしましたことを本当に申し訳なく思っております。この件につきましては、いわゆる実施体制、施設としての問題と受け止めて、原因の究明と再発防止策の策定に努めております。今回で退任ということで大変心苦しい限りでございますが、引き続き、皆様には先進医療の適切な実施に向けて御尽力を賜りたいということをお願い申し上げます。本当にありがとうございました。
○医政局研究開発政策課長補佐
北川先生、ありがとうございました。なお、本日は御欠席となりますが、上村尚人構成員におかれましても、今回で御退任となります。御退任される2名の構成員の皆様、先進医療技術審査部会構成員として長きにわたり御尽力を賜り、誠にありがとうございました。それでは、座長に進行をお戻しいたします。
○竹内座長
北川先生、上村先生、本当に長い間、御尽力を賜りまして誠にありがとうございました。引き続き、陰ながら支えていただければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、次回の日程を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
次回は、令和6年10月10日(木)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細につきましては、別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○竹内座長
ありがとうございました。それでは、これをもちまして第165回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。御参加、ありがとうございました。(了)