第90回 厚生科学審議会感染症部会 議事録

日時

  • 令和6年10月9日(水)10:00~12:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム(5階)

議題

  1. (1)感染症対策上の必要性の高い医薬品の承認申請について
  2. (2)急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスに係る具体的な方針について(報告)

議事

議事内容
○佐野エイズ対策推進室長 それでは、ただいまから、第90回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 私、本日議事進行を務めさせていただきます感染症対策部感染症対策課の佐野と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の議事は公開となります。また、これまでと同様、議事の様子をYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しておりますYouTube撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
 本日は、ウェブ会議で開催することとしております。まず、ウェブ会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず、挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、部会長から御指名されてから発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 次に、委員の出欠状況について御報告いたします。
 御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえて、委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
 五十音順に、味澤委員。
○味澤委員 味澤です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 今村委員。
○今村委員 今村です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 大曲委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 越田委員。
○越田委員 越田です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 坂本委員。
○坂本委員 坂本です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 笹本委員。
○笹本委員 笹本です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 四宮委員。
○四宮委員 四宮です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 谷口委員。
○谷口委員 谷口です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 戸部委員。
○戸部委員 戸部です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 成田委員。
○成田委員 成田です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 森川委員。
○森川委員 森川です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 森田委員。
○森田委員 森田です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 四柳委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 脇田委員。
○脇田部会長 脇田です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 なお、小西委員、白井委員、土井委員、藤田委員から御欠席の連絡を、中野委員は遅れて入られるとのことです。中野委員、四柳委員からは途中退席する可能性があると伺っております。
 以上、現在感染症、部会委員19名のうち15名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づき、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので御留意ください。
 それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。議事次第及び委員名簿、座席図、資料1から2、参考資料1から参考資料2-5になります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 皆さん、おはようございます。今日も感染症部会、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、議事次第を御覧ください。今日は議題が2件ございます。
 最初は「感染症対策上必要性の高い医薬品の承認申請について」ということでございます。まず、議題1について事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 よろしくお願いいたします。資料1をお手元に御用意ください。こちらは「感染対策上必要の高い医薬品の新承認申請について」という形になります。先日のMCM小委員会のほうでも御議論いただいた議題になっております。まず、資料の御説明をさせていただきます。
 まず、背景につきましては1ポツ目として、重点感染症に対して危機対応医薬品を確保することは重要であります。
 2ポツ目、一方で、発生は稀だが一定の頻度がある輸入感染症、その他、希少感染症等の重点感染症に対しては感染様式や疾病伝播の傾向から、直ちに特例承認制度等を適用する必要性はない医薬品であっても、感染対策上の必要性や公衆衛生危機管理の観点から早期の承認につなげるための手順を整備する必要性があるという形となっております。
 下の図を御覧いただければと思いますが、まず、左のほうにつきましては、通常の承認のスキームとしましては企業等から申請が上がってきまして、PMDAのほうで医薬品の審査がされ、最終的には厚生労働省で承認されるという流れとなっております。
 次の感染対策上の必要性の高い医薬品の場合(通常承認)になりますが、どのように考えておるかといいますと、この赤いボックスの中のIとしまして、厚生労働省(感染症対策部)において、感染症対策上必要性の高い医薬品について検討し、厚生科学審議会感染症部会危機対応薬品等に関する小委員会にて審議を行い、厚生科学審議会において了承が得られた場合は、厚生労働省の医薬品審査管理課に対し早期承認の要望を行う。そして、厚生労働省の医薬品審査管理課にてその要望の受理を決定し、PMDAに対して通知するという形で、下の図のような形でこういった感染症の必要性の高い医薬品については審査のスキームというか、我々のほうから要望を出させていただきたいと考えているところでございます。
 後ろの参考のところを御覧ください。こちらは感染対策上必要性の高い医薬品に該当する医薬品の条件と、医薬品の承認申請、審査及び調査において留意される点というところについて記載しております。
 まず、該当する医薬品としましては、いずれの条件も満たす品目といたしまして、この1~4の条件をこちらに記載しております。順に読み上げさせていただきます。
 1ポツ目、重点感染症に対する医薬品その他の感染対策上の必要性の高い医薬品であること。
 2ポツ目、国内で発生が極めて少なく稀、または発生していない等の理由で、国内の医療環境下における患者を対象とした有効性に関する比較対照試験の実施が困難であること。
 3ポツ目、その用途に関し、外国(ただし、本邦と同等の水準にあると認められる承認の制度、またはこれに相当する制度を有している国)において販売し、授与し、または販売、もしくは授与の目的で貯蔵し、もしくは陳列することが認められている医薬品であること。
 4ポツ目、申請者が外国の承認申請において提出した資料を提出することが可能であること。
 次に、医薬品の承認申請、審査及び調査において留意される点としましては、以下の3点のところがございます。順に読み上げさせていただきます。
 1ポツ目、審査及び調査の実施に当たり、外国の承認申請において提出された資料に基づき、当該申請仕様に係る説明内容を踏まえて審査及び調査を行うこと。
 2ポツ目、審査及び調査の実施に当たり、一部の試験結果については提出を求めない、または承認後の提出をすることで差し支えないこと。例えば外国において患者を対象とした有効性及び安全性に係るデータ提出を求められず、動物試験の成績のみで承認され、その後も新たなデータが得られていない場合、患者を対象とした試験成績を提出する必要性がないこと。
 3ポツ目、申請者は外国承認後から本邦における承認申請までの間に、海外で得られた使用成績や公表文献に関して十分に情報収集を行い、日本における有効性及び安全性の評価に必要な説明とともに適切に申請資料に反映すること。なお、CTDの構成は通常の医療用医薬品の構成に準拠し、第1部及び第2部は日本語にて作成することとなっております。
 なお、こちらの御審議内容につきましては、先日の危機対応医薬品等に関する小委員会において審議され、御了承いただいている内容となっております。
 私からの説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
 今、事務局から説明がありまして、委員の先生方から御意見をいただきますが、その前に、今日欠席の白井委員と土井委員から意見をいただいていますので、事務局から代読していただけますか。
○佐野エイズ対策推進室長 まず、白井委員の意見について御代読させていただきます。
 感染対策上の必要性の高い医薬品の承認申請について、感染対策上必要性のある医薬品の承認を早急に可能とすることについて、感染症対策部が関与することで、今後部会の意見も反映される形になるのかもしれませんが、ワクチンを含め、海外の知見が先行する医薬品になると思いますので、安全性の確認が十分ではない段階も考えられます。健康被害に関するモニタリングを並行して行えるよう、PMDAや企業とのコミュニケーションを十分丁寧に行い、それらの情報を一般住民へのリスクコミュニケーションにも活用することをお願いいたします。
 続きまして、土井委員の御意見について御代読させていただきます。
 感染対策上の必要性の高い医薬品の承認申請について、国内発生が稀なものの、感染対策上の必要性の高い医薬品の承認申請について早期の承認を可能とする新たな枠組みの条件、留意点については異論ございません。
 との意見を伺っております。
 白井委員の御意見につきましては非常に重要な点だと思われます。ただ、こちらにつきましては医薬局のほうとも我々は十分にコミュニケーションを取りながら注意して進めていきたいと考えております。
 御欠席の委員の先生方の意見の御代読及びそちらについてのお答えは以上となります。
 脇田先生、よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 私のほうから1点確認です。MCM小委員会のほうで審議をされて、その結果、感染症対策部から医薬局に要望を出していくということになりますけれども、その際、こちらの親会議の感染症部会への報告というのは、どの段階でされるということになりますか。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 基本的にはMCM小委員会での審議が終わった後に、こちらのほうに御報告になると思います。ただ、そちらのほうについて医薬品審査管理課のほうに要望を出させていただくというのは、あくまでこちらのほうの部会での報告が終わった後という形になるかと思います。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 ですので、このスキームの中に部会の親会議とかが入っていないですけれども、審議が終わって、こちらの部会のほうに報告があり、そして、医薬局のほうに要望がされるということと思います。
 それでは、委員の先生方から御意見をいただきたいと思いますが、御意見・御質問等があればお願いしたいと思います。事務局と相談して、今までまとめて御意見をいただいていましたけれども、丁寧に回答したいということで、お一人ずつ御意見をいただいて事務局にお答えいただくという形で進めたいと思います。
 それでは、谷口委員、お願いします。
○谷口委員 谷口です。極めて重要なメカニズムだと思いますので、基本的にこれは大賛成でございます。
 ただ、この中でとても重要なのは、科学的なアセスメントというところだろうと思います。例えばアメリカなどでは、PHEMCE、ASPR、BARDAという段階的な科学的なアセスメントをきちんと行われるような組織体系ができておりますけれども、もちろんMCM小委員会の先生方はすばらしい先生方ばかりだと思うのですが、新たな感染症、日本でない感染症の場合には、そんなに皆さん御経験があるわけではないと思うのです。そうすると、これを詳細に文献レビュー、あるいは実験レビュー、実際に検討を実験室で行った上で評価することが必要になってくるだろうと思います。そういったものがこのメカニズムに書かれていないのですけれども、そこは感染研なり次のJIHSなりが深くそこで関わっていただくということが一つ、お願い事項でございます。
 2つ目、日本は、新しいものについては非常に神経質なところがありまして、今も科学的にどう考えても間違っているような風評がいっぱい出てきておりまして、それがまた、皆さんが信用してしまうという状況にあります。今後もこういった新しい日本にない新たに出た感染症の場合には十分考えられる反応ですので、この中に透明性のある議論をきちんと国民に公開して、科学的な見地からコミュニケーションを行うということも入れていただきたい。
 この2つを前提に大賛成でございます。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 事務局、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 谷口先生、非常に重要な点について御意見をありがとうございました。
 まず、1つ目のところにつきましては、新たな感染症について、必要な場合はもちろん参考人の先生方とかにも加わっていただいて、MCM小委のほうでは御議論させていただくものと思っておりますし、その中ではもちろんJIHSの先生方も関わっていかれるものと思います。
 2つ目の点につきましては、もちろん非常に重要な点だと思います。あくまで我々は今回要望を出させていただくという立場になりますので、審査の過程につきましては十分に医薬局のほうとも相談しながら、透明性があるような議論が担保されるようにして、我々としても進めていきたいと考えております。
 私からの回答は以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、大曲委員、お願いします。
○大曲委員 大曲です。まず、御提案の内容に関しては賛成であります。
 コメントですけれども、なぜこういうものが必要になったかといいますと、最近もニパですとか、マールブルグですとか、重大性の高い感染症の各地域での流行が出ています。このように重大性が高いけれども、世界的に見れば希少だったり、そういった理由でなかなかに治験が進められない、特に有効性の評価がしにくいような薬というものがあります。これらに対してどうするか手を打っておかないと、要は事が生じて大きくなってしまってから改めて対応ということになりますと、それではどうしても出遅れるということになります。そういうことを考えると、このような制度というものは必要だろうと思います。
 これが必要だと思ったのは、先日もSFTSに関して新しいお薬が承認されましたけれども、その議論の過程をずっと聞いていて、非常に難しい議論であったので、制度として整理しておく必要があるのではないかと思っておりましたし、そこでこういった話が出てきましたので賛成です。
 一つ確認というよりはお願いなのかもしれませんが、日本と同程度のいわゆる審査と承認の制度を持ってらっしゃる国で使えるようなお薬、それを日本における承認審査に関してはこのトラックに乗せる。議論の上でこのトラックに乗せるということでありますけれども、ものによっては、海外で要はレギュラトリ―の審査を通して承認されていないものもあるのだろうと思います。日本でも承認されていないものもあるのだろうと思います。データセットはある程度準備できる。でも、ほかの薬ほどには十分にはそろわないものもあります。でも、現実にはそうしたものも日本だけではなくてほかの国々での必要性も考えると、ちゃんと通していくということも必要だと思いますので、そうした海外でも未承認であるというお薬に関しても、やがてはスコープに入れていただければと思いました。
 もちろん審査の過程を厳密に科学的にやることと、安全性のデータを得るために特に事後の全例調査ですとかをやっていくということは必須であると思います。
 以上です。
○脇田部会長 大曲先生、御意見ありがとうございました。
 事務局、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 貴重な御意見をありがとうございました。
 特に2つ目の点につきましては、まさに今後の検討事項という形になってくると思いますし、我々としても医薬局様のほうと慎重に相談しながら、今後のスキームについては考えさせていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 なので、この今回のスコープに関しては、あくまで日本と同等の審査制度を持つ国において承認されたものについて検討するということなので、今、大曲先生が御提案された点に関しては、今後のというお話がありましたけれども、実際にそういうものが出てきたときにいろいろあるかもしれませんけれども、今後の検討事項ということになろうかということでございます。
 次に、味澤委員、お願いします。
○味澤委員 緊急性はないのですけれども、感染症対策上必要な薬というのは多分あると思うのです。例えば私が思ったのは、今、エボラ出血熱は治療薬がありませんけれども、そういったものがアメリカとかで開発された場合に、それをあらかじめ日本で承認できるようなこういったシステムというのは必要だと思います。実際に外国だけの承認で日本でも認可しているという薬も最近では結構ありますけれども、安全性に気をつけながらやっていただければ非常によろしいと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 事務局、いかがですか。
○佐野エイズ対策推進室長 味澤先生、ありがとうございました。
 先生の御意見はまさに重要な点だと思っております。特に安全性に気をつけながら実施していくということは非常に重要だと思いますので、こちらはメインは我々というよりか医薬局の担当になってしまうのですけれども、十分にコミュニケーションを取りながら慎重に進めさせていただけたらと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 よろしくお願いします。
 続きまして、森田委員、お願いします。
○森田委員 まず、この提案につきましては賛成です。
 一つ、谷口先生も触れられましたけれども、社会的にはいろいろな根拠もなく新しい医薬品対して攻撃といいますか、批判をする人たちもいて、現在、レプリコンワクチンが話題に上っていますけれども、こういうときに厚生労働省とか大学にもいろいろな質問がメディアも含めて、あるいは個人も含めてくるのですけれども、このシステムができたときには、そういうことに関して厚生労働省の中で法的にしっかりとした根拠を示してリスクコミュニケーションをするという、既にそういうシステムが感染症課の中にあるということかもしれませんけれども、今般のレプリコンワクチンのいろいろな報道とかをネットで見ていても、十分な対応がされているように見えないところもありますので、そこのところはしっかりと体制を整備していただきたいと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 リスクコミュニケーション等の体制をしっかりとつくってほしいということでありますが、事務局、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 森田先生、御意見ありがとうございます。
 我々としても先生の御指摘の点につきましては本当に重要なことだと思っております。実際、我々としてもできること、できないことにも限界があるものの、最大限、リスクコミュニケーションについては注意を払いながら、こういった制度については十分に配慮した上で慎重に進めていきたいと思っております。
 事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。まず、御提示いただいたシステムに関しては賛成です。そういう準備をしっかりするということが今後求められているのだと思っています。
 これまでの先生方と重なる部分もありますけれども、まず1点、リスコミの件です。中身のことも大切なのですけれども、どのような過程で発信内容を決めていくのか、それを誰が伝えていくのか、その辺のところを明確にしておくことは大切なのかもしれないと思いました。今回のCOVID-19のときにも誰が発言するのかなどということは課題となっていましたが、対応の道筋をある程度決められたほうがいいかなと思いました。
 もう1点は、まだ承認されていない、あるいは海外でも承認に向かっている途中のような薬剤ですけれども、特に僕は一類感染症を扱っている病院にいますので、目の前の命を救うための選択がそれしかないというような場合、使わざるを得ないという場面が考えられると思うのです。そのときに、どのように承認を取って、個人のどのように承認とか同意を取るかなどは、現場では判断がなかなか難しい部分でありますので、ぜひ検討課題としていただければと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 1つ目はリスコミのシステム、2つ目は先ほど大曲先生からもありましたけれども、今回のスキームからは少し外れるかもしれませんけれども、未承認のお薬を使わざるを得ないような場合にどうするのかということも検討してほしいということです。
 事務局からお答えをお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 今村委員、ありがとうございます。
 1つ目の点につきまして、まさに重要な点だと思っておりますので、先ほどの森田委員へのお答えとも重複してしまいますが、我々としても十分その辺りを注意しながら情報発信をしていきたいと思っております。
 2つ目の点につきましては非常に重要な点でありますが、安全性ですとか、有効性ですとか、そういったところの議論がありますので、先ほどの大曲委員の御指摘とも重なりますけれども、本当に今後の検討課題だと思っておりますので、引き続き検討させていただければと思います。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 その点についても十分に、さらなる検討をお願いしたいと思います。
 森川委員、お願いします。
○森川委員 私も賛成ですけれども、例えばエムポックスのように国内での患者発生が少なかったような新興・再興感染症が出た場合、大曲先生のところなどが中心になって初期対応されますけれども、例えばそこでテコビリマットとかワクシニア入りのグロブリンに関しては、そういう早期承認というか、この枠組みとは別に臨床研究という形で患者さんとかハイリスクの方に投与されていたと思うのですけれども、そことのつながりとか住み分けというのはどのように考えられているのでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 その点もクリアにしておいていただければと思いますが、事務局、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 森川委員、御質問ありがとうございました。
 こちらはなかなか実臨床の中では御理解いただくのが難しい住み分けになってくると思いますが、研究はあくまで研究ですので、今回は薬事承認ということですので、そこの辺りは明確に法体系が変わってきていますし、レギュレーションも変わってきているという形で御理解いただければと思います。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 なので、そういった臨床研究も今後も活用はされるという理解でよろしいですね。
○佐野エイズ対策推進室長 御理解のとおりだと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 次に、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。私も賛成でございます。
 繰り返しになりますが、リスクコミュニケーションを含めた情報発信についてお願いがございます。専門的な内容につきましては文献、あるいはPMDAの報告書等で理解することができますが、一般の医療機関におきまして容易に理解できるような内容ではないと考えております。また、国民向けには厚生労働省のほうでQ&Aで発信されていますが、これも一般の皆様が果たしてどれだけ見ているかという問題点もありますので、それぞれの段階において必要な情報をできるだけ、わかりやすく提供していただきたいとお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 リスコミに関して、これも何人かの先生から出ていますけれども、科学的な知見だけでなくて、医薬品の必要性であったり、承認のプロセスだったり、そういったことに関してもかなり理解を得ていただく必要があるという話だと思いました。
 事務局から御説明をお願いできますか。
○佐野エイズ対策推進室長 非常に手厳しい御意見をありがとうございました。
 まさに笹本委員のおっしゃられるように、我々としてもQ&Aを公開したり、様々なところで情報発信をしております。薬事につきましても審査報告書の公開を含めて様々させていただいているところではあるのですけれども、実際、なかなか分かりづらいという御意見は本当によく分かりますので、情報発信の仕方についても考えていく必要性はあるのかなと思いながらも、具体的にどうしていったらいいのかというところについては、引き続き実際にいろいろなことを試しながら、我々としても先生方と御議論しながら前に進めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 よろしくお願いいたします。
 そのほかはいかがでしょうか。
 私のほうから1点確認です。参考資料の該当する医薬品というところの1ポツ目で、文章の切れ目が分かりにくいです。重点感染症に対する医薬品、その他の感染症対策上の必要性の高い医薬品ということなので、重点感染症に対する医薬品というのは分かりやすいのですけれども、その他の感染症対策上、必要性の高い医薬品というのは、重点感染症には係っていないという理解でよろしいですか。
○佐野エイズ対策推進室長 御理解のとおりです。
 ただ、そこについてもMCM小委のほうではあまり何でもかんでもというわけにもいきませんので、十分に注意しながら進めていきたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 確認したかったのは重点感染症に限るということではないという理解でいいかということなので、今の御説明で理解をしたところであります。
 次に、越田委員、お願いします。
○越田委員 地下鉄サリン事件からちょうど30年たったこともあって、最近報道で振り返りのニュースで流れています。この事件は多くの教訓を残しましたが、生物学的兵器によるテロ対策ということも視野に入れて考える必要があるのではないかと思っております。スピーディーに、なおかつ大量の治療薬で対応するということも文章として盛り込まないにしても、我々の気持ちとして必要ではないかという気がいたします。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 難しいのですけれども、事務局のほうにお答えいただきたいと思います。
○佐野エイズ対策推進室長 越田委員、御意見ありがとうございました。
 実は読み上げておりませんでしたが、資料1の一番上の背景のところの2つポツ目を御覧いただければと思います。こちらのほうに、その他希少感染症の両括弧の中に、自然発生する生物テロ関連病原体、こちらは毒素によるものも含むと書いておりますので、越田委員の御指摘につきましては、ある程度こちらで包含されているのかなと思います。
 ただ、今の段階で未知のものにつきましては、事前の対応というのはなかなか厳しいかもしれませんが、我々としてもできる限り最新の情報は拾いながら、なるべく漏れはないような形で拾っていきたいと思っているところです。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 坂本委員、お願いします。
○坂本委員 全体的に賛成でございますけれども、2点だけ申し上げます。
 他の先生方と重なりますが、リスクコミュニケーションに関する御意見を何人もの先生方がおっしゃっていましたけれども、リスクコミュニケーションというものはそもそも平時から行うもので、危機が起きたらクライシスコミュニケーションに移行します。リスコミというからには、平時から、感染対策のための医薬品の緊急承認システムができるということと、それがどういうスキームで行われるのかということを、この処方を行うことになる、あるいはそれを投与することになる医療従事者に対して、理解できるように説明をお願いしたい。医療従事者は必ずしもこうした仕組みについて詳しいわけではないですし、理解するのにも時間がかかると思います。また、その投与を受ける患者さんには、より一層丁寧に時間をかけた説明が必要かと思います。
 実際にその薬が承認される、特定の感染症に対してこういう薬を緊急処理しますということが決まってから始めるというよりは、事前にこういう制度があって、このようにして緊急時には薬を承認するのだという丁寧な分かりやすい説明を、ぜひ時間をかけてしていただきたいと思います。
 もう一つは、今回の議論の範疇から外れるかもしれないのですけれども、感染症によっては特定の医療機関のみでその薬を使うということが想定されるかもしれません。ただ、感染症によっては、例えば先ほど越田先生がおっしゃったような、非常に大規模な災害が起きていろいろな医療機関でその薬を使わねばならないといったときなど、あるいは非常に伝播性が強くて多くの医療機関で患者さんが突然来るというような事態が発生した場合に、処方の手続が非常に煩雑になりますと、多くの書類を提出せねばならない、その薬を持っている薬局を探さねばならないということで、病院の負担というのが非常に大きくなってまいります。ですので、どこか適切な場所で、緊急承認した医薬品の処方のスキームについても、感染症に合わせて柔軟に変えていけるような何らかの仕組みがあると、医療現場としては大変ありがたいところです。
 以上です。ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 まずはリスコミの問題ですけれども、一般の方々のみならず、これを使うことになる医療従事者へも平時から十分に周知をお願いしたいというところ。
 それから、後段のところは処方といいますか流通のところとか、その辺りのスキームをシミュレーションといいますか、今回のコロナの抗ウイルス薬も一般流通が最初はなかったというところですけれども、検討してほしいということです。
 事務局、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 坂本委員、御意見ありがとうございました。
 1つ目につきましては繰り返しにはなりますが、我々としても十分にスキームについて丁寧に先生方を含め、一般にも分かるように情報発信をさせていただければと思います。
 2つ目の点につきましては非常に重要な点だと思います。ただ、なかなか我々の所管を超えている多くところもございますので、関係部署と我々としてもコミュニケーションを取りながら、できる限り先生方の臨床行為の負担ですとか障害にならないような形で何とか展開できればと思っております。
 事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 今、所管を超えるという話がありましたけれども、特に所管を超えるからこそ、そういった事例が起きたときにどのような対応が可能なのかということは、事前に必ず検討しておいていただきたいといった御意見だったと思います。
 よろしいでしょうか。そのほかはどうですか。
 それでは、このスキームに関してはおおむね賛成だという意見が多かったわけですけれども、先生方からの懸念事項は特にリスコミについてというところ、あと、様々な御意見がありましたので、その点も十分に考慮していただいて、事務局においては今後対応を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に入ってまいりたいと思います。
 議題2は「急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスに係る具体的な方針について」の御報告ということでございます。資料2の御説明をよろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 事務局でございます。資料2をお手元に御用意ください。こちらは「急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスに係る具体的な報告について」ということで、報告事項として挙げさせていただいております。
 1ページ、こちらの資料につきまして、まず、1つ目としまして、これまでの議論を踏まえました急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスに係る具体的な方法、2ポツ目としまして、今後の予定についてまとめさせていただいております。
 こちらですが、ARIサーベイランスの目的、特定感染症予防指針の範囲及び症例定義としてまとめさせていただいております。
 まず、1つ目の■を御覧ください。ARIサーベイランスの目的といたしまして、こちらは第85回、第86回厚生科学審議会感染症部会のほうで御議論いただいたものとなります。矢尻のほうに進めさせていただきますが、ARIの定義に合致する症例数及び収集された検体、または病原体から各感染症の感染者数や病原体等の発生数を集計し、国内のARIの発生のトレンドや水準を踏まえた流行中の呼吸器感染症を把握することを目的としているという形となっております。
 次に、2つ目の■に進みまして、ARIに関する特定感染症予防指針とその範囲という形で、こちらも第85回及び第86回の厚生科学審議会感染症部会のほうで御議論いただいたものとなっております。次の矢尻に進みまして、現在のインフルエンザに関する特性感染症予防指針を廃止し、急性呼吸器感染症に関する特定感染症予防指針を作成するとともに、上気道、あるいは下気道炎を呈し、国内で発生が見られる疾病及び新たに五類感染症に位置づける急性呼吸器感染症を範囲とすることとされております。
 こちらは第86回厚生科学審議会感染症部会の資料1の一部を改変しているものとなりますが、対象範囲と疾病の種類等としましては、まず、対象範囲としまして上気道炎及び下気道炎を呈し、国内で発生が見られる疾患、こちらが疾病の種類として中段のところに書かせていただいております。考え方としては、国内での発生が見られている疾患であり、総合的に予防のための施策を推進するため、策定することが重要であることから範囲とする。新たに五類感染症に位置づける急性呼吸器感染症としましては同左となりまして、考え方としましては、上段の疾病と一体に総合的に施策を推進するため、策定することが重要であることから範囲とするとなっております。
 3つ目の■としましてARIの症例定義、こちらも第85回、第86回の厚生科学審議会感染症部会のほうで御議論いただいたものとなっております。咳嗽、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、鼻閉のどれか一つの症状を呈し、発症から10日以内の急性な症状であり、かつ医師が感染症を疑う外来症例という形で定義をさせていただいております。
 ただ、こちらは※がついておりますが、感染症危機を起こす呼吸器感染症が発熱しない頻度が高い場合があり得る、つまり、感染症によっては発熱しない頻度が高い場合があるということですとか、あとはこれまで定点把握しており、発熱を伴わない頻度が比較的高いRSウイルス感染症等も幅広く含めることができるよう、発熱の有無を問わない定義とする形となっております。
 次のページはARI定点の対象疾患の範囲及び設計という形になります。
 1つ目の■といたしまして、ARI定点の対象疾患の範囲としましては、こちらは第86回の厚生科学審議会感染症部会で御議論いただいているものとなりまして、下の矢尻のほうに移りますが、特定感染症予防指針の範囲のうち、定点把握している五類感染症及び新たに五類感染症に位置づける急性呼吸器感染症を範囲とすること。具体的には、インフルエンザ、COVID-19、RSウイルス、咽頭結膜熱、ヘルパンギーナ、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、新たに五類感染症に位置づける呼吸器感染症を対象疾患とすること。
 2つ目の■といたしまして、ARI定点の設計、こちらは前回の第89回の感染症部会のほうで御議論いただきましたが、下の矢尻に進みまして、現状や諸外国の現状及び研究結果等を踏まえ、保健所所管内人口の単位を変更し、約5,000か所を3,000か所程度とすること、なお、これまで小児科定点及びインフルエンザ/COVID-19定点において把握してきた疾患もあることから、原則、現在の小児科定点及びインフルエンザ/COVID-19定点を活用するとともに、保健所所管内において定点の設定が困難な場合は、隣接する複数の保健所を合わせて定点を設定することも可能とすることという形として提示させていただきました。
 下の図に移りますが、現行としまして左側の青で書かれている表となっておりまして、定点数としましては4,653の規定となっております。以下の設計に基づき機械的に算出されておりまして、まず、小児科経験としましては合計が2,918、内科定点としまして合計1,735、合わせて4,653定点が設定されているという形となっております。
 ただ、下の※のほうに移っていただければと思いますが、2024年1月から3月の実際の報告に基づく定点数は約4,900定点からの報告が確認できております。
 さらに※2といたしまして、こちらはあくまで国が示している基準となっております。定点の医療機関、指定医療機関の指定というのは都道府県の判断にて実施されているものでありまして、基準以上にしておくようなものではないというところがあります。そういうこともありまして、実際、我々がお願いしている定点数としては4,653となっているものの、実際の定点数が4,900となっているというのは、こういった状況からなっていると推察されます。
 変更後が右の赤い表となっております。定点数としましては、まず、保険所管区内の人口の幅を広くしまして設定したところ、我々の試算といたしましては小児科定点として合計1,687、内科定点といたしまして1,289となりまして、定点数としては2,976の約3,000定点という形になると考えております。
 次のページは、ARI病原体定点の対象疾患の範囲及び設計及び報告様式です。
 まず、1つ目の■を御覧いただければと思いますが、ARI病原体定点の対象疾患の範囲というところで、こちらも第86回の感染症部会で御議論いただいているものになります。
 内容としましては、下の矢尻のところになりますが、特定感染症予防指針の範囲のうち四類感染症除いたもの、結局五類感染症に限定するというところを範囲とすることとなっておりまして、具体的にはインフルエンザ、COVID-19、RSウイルス、咽頭結膜熱、ヘルパンギーナ、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、百日咳、クラミジア肺炎、マイコプラズマ肺炎、新たに感染症に位置づける急性呼吸器感染症を対象疾患とすること。
 2つ目の■といたしまして、ARI病原体定点の設計としまして、こちらは第89回の厚生科学審議会感染症部会で御議論いただいた内容となりますが、内容としましては下の矢尻に移りまして、ARI定点の約10%を選定することとし、ARI定点から収集された検体、または病原体を活用し、ゲノムサーベイランスを実施することを想定して、病原体提出の実績がある小児科定点及びインフルエンザ/COVID-19定点を優先的にARI定点及び病原体定点として指定することという形となっております。
 3つ目の■といたしまして、ARI定点における報告様式につきましては、こちらも前回の感染症部会で御議論した内容については下の矢尻に進みまして、ARIサーベイランスの趣旨を踏まえ、その他の項目も踏まえ、ARIのうち発生している感染症の把握できるような様式にすることとしております。
 4つ目の■といたしましては、ARI定点/病原体定点からの報告時期といたしまして、下の矢尻に進みまして、都道府県への説明を丁寧に行い、ARIサーベイランスの取組を進めることとしております。
 最後、その他としましては、今般の新たなサーベイランス導入後のフォローアップを行うとともに、中長期的な課題として高齢者における感染症の発生動向をどのように把握していくか等について検討することという形となっております。
 次のページ、こちらは私が先ほど言葉で説明しまして、なかなか御理解いただけないところとなりますが、この赤で囲っているところが特定感染症予防指針の対象とする急性呼吸器感染症の範囲とはなりますが、既に法律で規定されているものもありますので、こういったものを省いていくという形となっております。
 次のページも前回御提示させていただいたものになりますが、ARI定点における報告様式のイメージとなっております。
 今後の予定ですが、第89回の感染症部会における先生方の御意見を踏まえまして、以下の予定にて準備を進めることを想定しております。まず、令和6年10月中に自治体説明会を行いまして、令和7年7月21日締め切り、これは予定でありますが、ARI定点/病原体定点指定の状況を確認、そして、令和7年4月7日、これも見込みではございますが、ARI定点/病原体による報告を開始させていただきたいと思っております。
 なお、令和6年10月末から令和7年3月末を自治体におけるARI定点/病原体定点の指定期間とし、サーベイランス体制の移行を我々のほうで支援させていただきたいと思っております。まず、1つ目としましては、定点指定に関する相談受付、2つ目としましては、定点指定後の発生動向把握の再現性の確認を我々のほうで支援させていただきたいと思っております。
 事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
 ARIサーベイランスに関する具体的な方針の御説明でありました。今の説明を踏まえて御意見をいただきたいと思いますけれども、先ほどと同様に、今日御欠席の白井委員と土井委員から御意見をいただいていますので、事務局から代読していただけますか。
○佐野エイズ対策推進室長 脇田先生、ありがとうございます。
 まず、先ほどと同じように白井委員からの御意見について御代読させていただきます。
 ARIサーベイランスに係る具体的な方針について、ARIサーベイランスについて現在の定点数や対象疾患を見直すこと等についてはパンデミックを起こし得るARIについて察知し、平時からパンデミックへの体制を円滑にするとか、海外との比較であるとか、検体収集から病原体の把握方法など、現行の課題解決の方法論の一つであると理解して賛同します。
 変更に際しては、前回の部会の多数の意見なども考慮していただき、移行までに準備期間をもって自治体や医療機関への理解を促すことで、現場の戸惑いや不安を払拭することを望みます。そして、この方法論が持続可能であるよう施行までの制度設計において十分に検討され、改善による利点と注意点等を現場の担当者には十分説明していただきますようお願いいたします。
 続きまして、土井委員の御意見について御代読させていただきます。
 ARIサーベイランスに係る具体的な方針について、ARI定点については段階的な移行ではなく、新年度に一斉に移行できる見通しとなった点はよかったと思います。ARI定点の新たな定点数については、これまでの議論の過程で自治体の特性やニーズに応じ調整が可能である旨が説明されたと理解しております。特にこれまで実績があり、引き続き御協力いただく御意思がある定点が数値目標のために除外されてしまうことのないよう、この点を改めて御確認いただけますと幸いですと御意見をいただいております。
 まず、白井委員からの御意見につきましては、我々の方針については賛同いただいているというところで、移行期間までの準備期間につきましても、先ほど御提示させていただきましたように、十分な時間を取って自治体様のほうへも我々からも十分な説明をした上で、かつ定点の指定についても支援させていただくような形で進めさせていただければと思います。
 土井委員からの意見につきましても、先ほどの白井委員への御回答と重なってしまいますが、こういったARI定点の移行につきましては定点医療機関の指定も踏まえて、我々も最大限の支援をしながら進めていけたらと思っているところでございます。
 事務局からは以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、皆様から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 谷口委員、お願いします。
○谷口委員 詳細な御説明をいただきましてありがとうございます。これまで部会で議論されてきたことを包含していただきまして、ぜひともこれで進めていただきたいと思っています。
 1点だけ、先ほどからのお話にもありますが、今後、現場でどうやっていくかというのは極めて重要なことだと思います。海外ではパンデミックポテンシャルのある呼吸器系ウイルスのサーベイランスという呼び方をされています。そうすると、病原体のサーベイランスが極めて重要なところになってきますので、そういったところも地方自治体の先生方に御理解いただいて、いかに運用して、いかにその情報を使っていくかというのが大切だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 事務局、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 谷口委員、御意見ありがとうございました。
 まさに先生がおっしゃられることが、恐らくARI定点でモニタリングしていく一番重要な点だと思います。我々としても病原体の提出については十分周知ですとか、そういったこともしながら提出していただけるような医療機関を何とか都道府県様とも連携しながら十分に指定できるような形、どうしても定点医療機関の指定自体は都道府県様の判断になってしまいますので、我々ができること、できないことにも限界がありますが、十分連携を取りながら、相談しつつ進めていけたらと思います。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、四宮委員、お願いします。
○四宮委員 基本的にはARIサーベイランスには賛成なのですが、現場から見ると少し分かりにくいところがあって、例えば2ページ目の特定感染症予防指針ではARIの対象疾患が11疾患になっています。これは予防指針なのでいいかと思いますが、3ページ目のARI定点は6疾患になっていて、これはいわゆる患者定点だと思います。このときに実際に医療機関、保健所、あるいは衛研等で報告数を上げるときに、今までインフルエンザとか、COVID-19とか、RSとか、それぞれの感染症で上げていたわけですが、この6疾患を患者定点の対象疾患と上げる場合には、急性呼吸器感染症名で上げて、そのサブタイトルとしてインフルエンザとか、RSウイルスとか、そういう届け出になるのでしょうかというところが1点。
 それから、4ページ目の病原体定点では、6疾患ではなくて、そこに百日咳とクラミジア、マイコプラズマが入って9疾患になっているわけですが、先ほど来言われている病原体サーベイが重要だという観点からすると、現在はインフルエンザとかCOVIDは病原体定点として検体が衛研に来て詳細検査を行っているわけですが、この9疾患の中のどの疾患に対して病原体サーベイランスが行われるのかということ。
 最後に、先ほど谷口先生も言われましたけれども、病原体定点は現在、インフルエンザ、COVIDに関しては患者定点5,000のうちの10%の500になるわけですが、実際検体が出ているところは250ということで、今度3,000になるので、250を残すとしても、地域的に偏りがあるような場合は平準化する必要があるので、普通に算術的に考えれば3000にすれば150くらいになる可能性もあります。
 医療機関の先生はもちろん患者さんの診断・治療というのが本務なので、公衆衛生学的な病原体サーベイランスの出発点になっているというところは、なかなかお忙しいのだと思うのですが、保健所とか、我々は現場にいると、病原体サーベイランスの検体確保というのは非常に苦労しているところになるので、急性呼吸器感染症サーベイが出発する時点で、改めて検体確保の国のサーベイランスにおける重要性について意識の共有ということが厚労省等からなされれば、現場としては非常に助かると思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局のほうにレスポンスをお願いしたいと思います。
○佐野エイズ対策推進室長 四宮委員、御意見ありがとうございます。
 疾患の在り方につきましては、確かに先生がおっしゃられますように、ARI定点として上がってくるものの、最後の表のところを御覧いただければと思いますが、内訳についてはきっちりと分かるような形で、我々としては上げていただくような形になるかと思います。もちろんこれはあくまで案ですので様式は変わり得るものだと御理解いただければと思いますが、それぞれの内訳についてある程度分かるような形でさせていただきたいと思います。分かりにくいというところは5ページ目を御覧いただければと思いますが、既に実は五類感染症で基幹定点で把握しているものですとか、全数で把握しているもの、また、ARIの定義に入るのですが四類で把握しているようなものもございますので、法体系上、均一化することがなかなか難しかったためにこのような形になってしまっているというところを御理解いただければと思います。
 最後、病原体定点のことにつきましては、4ページ目のところを御覧いただければと思います。新たに五類感染症に位置づける急性呼吸器感染症を対象とするということで、ある程度は包括的に見られているのかなと思います。
 3つ目につきましては、病原体サーベイランスの病原体確保につきましては、先ほどの谷口委員からの意見とも重複しますが、我々としても十分な病原体が提出されるような形で病原体定点が選ばれるよう、都道府県と連携しながらその指定については十分に考えていきたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 四宮先生、よろしいですか。
○四宮委員 病原体サーベイのところで、9疾患のうち、どれを行うのかが分かっていれば、教えていただきたいと思います。それから、ゲノムサーベイランスについても、現在はSARS-CoV-2のみが行われているわけですが、ARIサーベイの中でゲノムサーベイを継続していくと聞いていますので、もし、その対象疾患も分かっていれば教えていただきたいと思います。
 以上の2点です。
○脇田部会長 それでは、事務局、お願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 こちらの9疾患がメインになってくると思いますが、詳しい運用については、今後、感染研等もちゃんとコミュニケーションを取りながら検討させていただければと思います。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 というところですので、今後の検討ということです。
 それでは、今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。御説明どうもありがとうございます。
 まず、提示いただいた今後のARIサーベイランスにおける方針については、全面的に賛同いたします。
 また、4ページの「その他」のところに、これまでの議論の中で話題になっていた内容もしっかり含めていただいたことに感謝いたします。これを書き込むことによって今後の課題が議論として残るということで重要かと思います。
 その前半のところのサーベイランス導入後のフォローアップについてですが、これまでのデータの継続がしっかりできるかどうかということに関しては、前回の会議でも計算式などを出していただいて、これまでどおり維持できるという報告があったと思います。ただ、実際に運用してみると、順調にいくのかどうか、そこの部分に関しては改めて評価が必要となると思いますので、ある程度期間を置いてから分析評価をやるのがいいと思っております。
 後半に示されている中長期的な課題としての高齢者の部分ですけれども、これから高齢化社会にどんどん向かっていく中で、例えばRSウイルスにしてもマイコプラズマにしても高齢者がかなり感染を起こしますので、そういうところのサーベイランスをいかにやっていくかということも、今後は必要になってくると思います。これに関しては、これまでのサーベイランスの継続性という問題とはまた違って、新たなスキームを考えていく形になるかと思いますので、引き続き検討する機会をいただければと思います。
 以上です。よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局からレスポンスをお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 今村委員、御意見をありがとうございました。
 1つ目の点のフォローアップについては非常に重要な点だと思っておりますので、事務局としてもできる限り対応させていただければと思います。
 2つ目の点につきましても、本当に人口動態が変わっていく中でサーベイランスをするべき疾患というものは変わり得るというのは、我々としても理解させていただいているところでございます。ただ、どういったウイルスを今後高齢化社会に向かっていく中でやっていくのかですとか、本当にそれを実施する意味があるのかですとか、そういった総合的なところについては、まだ結論が出ていないと我々としては認識しておりますので、今後、研究なり何なりで検討させていただければと考えているところでございます。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 1点目のところ、一定期間後の制度の見直しといいますか、検討はぜひよろしくお願いします。
 次に、成田委員、お願いします。
○成田委員 御説明ありがとうございます。
 ARIサーベイランスを開始することについて異論はございません。また、開始時期につきましても御配慮いただきまして感謝を申し上げます。
 これまでの御説明では、定点医療機関を確保・維持することが難しい地域があって、定点医療機関の確保とサーベイランスの精度維持との両立を図るために、今回の改正が必要であるということについて理解いたしました。
 ただ、実情を申し上げますと、都はこれまで国が示す基準の定点医療機関数を確保するため、都医師会や地域の医療機関の御協力の下、小児科、内科合わせて419の定点医療機関を指定し、ほぼ全ての定点医療機関から報告を受けております。人口や医療機関が集中いたします東京都におきましては、いち早く感染症の発生動向を察知するなど、より高い感度でサーベイランスを実施するため、これまで整備してきた定点医療機関を今後も維持する必要があると考えております。国におきましてもそれぞれの地域の特性に御配慮いただけますと幸いです。
 また、先ほど今村委員からございましたとおり、高齢者の感染動向を把握していくことは極めて重要と考えております。現在、都内でもマイコプラズマ肺炎が流行しておりますけれども、こうした疾患を幅広く現状把握できるような仕組みについても御検討いただければと思っております。
 以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 事務局、願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 成田委員、御意見ありがとうございました。
 1つ目につきましては、先ほども御説明させていただきましたが、あくまで我々が示している下限の値となっておりますので、一義的には定点医療機関の設定につきましては都道府県様の判断と考えております。ですので、それ以上のものについて指定することを決して止めるものではないと考えております。
 高齢者の動向につきましては、まさに我々としても今後の検討課題だと思っておりますので、先ほどの今村委員の御質問のお答えとも重なってしまいますが、今後の検討事項として検討させていただければと思います。御意見をありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、越田委員、お願いします。
○越田委員 この制度設計そのものには大きな異論はございません。それから、今後のスケジュールにつきましても御配慮いただきまして、これだけの準備期間があれば、何とか自治体でも対応できるのではないかなと思います。ありがとうございました。
 そのことを踏まえて3点お話をさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、これまでも複数の委員の先生からお話がございましたけれども、非常に分かりにくいというか、特定感染症指針、症例定義では11疾患、定点報告は6疾患である、それから、病原体サーベイランスの対象は9疾患であるという、この仕組みがなかなか御理解できないかなという感じがいたしました。確かにご提示の図は工夫されていて、黄色の網掛けの部分は見逃さないでしっかりとすくい上げるという意図もよく分かるのですけれども、この仕組みをきちんと医療機関側にも、それから、行政側にも御説明いただく、私自身も理解にかなり苦しみましたので、必要があるかと思っております。それが1点です。
 2点目は、これもたびたび先生方から御意見が出ておりますが、高齢者の拾い上げが難しくなっているということです。石川県の現状を申し上げますと、病原体定点は5つ保健所があって、その所管の中で定点を指定しています。そうすると、5つのうち3つ、病院体定点は地域の基幹病院と小児科です。能登方面では開業医さんがなかなかいないということもありまして、結局総合病院が病原体定点になっている。そうなると、ちょっと風邪を引いた、ちょっと具合が悪いと、かかりつけ医の先生にかかるような高齢者の方々をどうしても拾いきれないという現状があるのではないかなと思っておりまして、ここがネックかなという気がいたしました。何らかのシステムの構築が必要ではないかなという気がいたします。
 3点目、我々定点を指定する側といたしますと、新規御開業、あるいは若い先生方がなかなかこういった定点に対しての御理解が難しくなってきていることもありまして、定点医療機関の先生方に、金銭面だけではなくて何らかのインセンティブがあると、もう少し前向きにお引き受けいただけるのではないかなという気がいたします。御年配の開業の先生がお引き受け続けていただいている、本当にボランティアのような形で引き受けてくださっているのが現状ですので、何らかのインセンティブを考えていただけますと、私どももお願いしやすいということになります。実際には、開業医さんの場合は、事務の方や、看護師さんがきちんと報告をしてくださっていますので、こういった方々に感謝の気持ちを伝えなくてはいけないと思っています。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 3点御意見がありましたけれども、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 越田委員、御意見ありがとうございました。
 1つ目につきましては、先ほども御説明させていただきましたが、法の立てつけ上、でこぼこしてしまっているというところがあります。そこについてかなり理解が苦しいというところも十分御理解させていただくところではありますので、自治体ですとか、様々な医療機関様への情報発信については我々としても注意しながら実施していきたいと思っております。
 2つ目の点につきましては、特に過疎地においてはかかりつけ医のサーベイランスを拾うことがなかなか難しいという御意見だと承りました。日本の人口動態が大きく変わってきている昨今、確かに特に地方におきましてはこういった状況も発生しているのだと認識しています。そういったところも踏まえて、何かしら手が打てるものはないかというところで、定点の設置が厳しいような保健所については隣接するような保健所の中で定点を設置することも考えてはどうかというところで、御意見出しをさせていただいていると御認識していただければと思います。
 3点目、金銭やインセンティブについてあればお願いしやすいというところでございます。我々としても実はまだ検討しておりませんで、できること、できないこともありますので、本当にできるか、できないかを含めて、少し考えさせていただくことにはなると思っておりますが、実際、なかなか厳しい可能性があるところだけは御理解いただければと思います。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、中野委員、お願いします。
○中野委員 急性呼吸器感染症、インフルエンザとか、コロナでもよく分かるように、パンデミックの病原体として非常に重点感染症として大切だと思いますので、このように症候群サーベイランスによって、これまで病原体名で割とサーベイランスしていた疾患を幅広く患者さんの数を集計して、かつ病原体を精査してトレンド等を知る。とても大切なテーマだと思いますし、このデータが我が国におけるナショナルデータにもつながると思いますので、今回の改定案に全く異論はございません。
 また、各自治体等の委員の方々からも御意見が出ておりますように、実施時期とか定点数に関しても大きな御反対はないと理解しておりますので、私も異論ございません。
 全般的に、臨床的な面から1点だけコメントをさせていただきます。多くの委員の方が指摘しておられるように、きっとARIサーベイランスで1項目増えたのですが、1つの病名が増えたというよりも、より幅広くなったというのが現実だと思うのです。そこのところが法の立てつけと合わせて現場でどのように運用するかというのが、混乱のないようにというのはもちろん大切なことなのですけれども、きっとこれはARIのサーベイランスだけではなく、ほかの例で言えば、例えば急性弛緩性麻痺のサーベイランスと二類感染症のポリオに関しましても、片や症候群サーベイランス、片や病原体ということで、とても大切な病原体なのですけれども、まずは症状でスクリーニングして、そこで病原体を精査するという基本的なところに法の中でどう持っていくかというのが難しいところだと思うのです。
 また、小児科定点で報告する急性胃腸炎と基幹定点で報告されるロタウイルス感染症、では、ノロウイルス感染症はどこに行ったのだというと、まだまだ消化管疾患でも不十分な点はもちろんあると思うのです。ですから、今回そういったことも見据えて、そういったことを変えようと思うと法全体の立てつけが必要になってくると思いますので、将来的にはその辺りの検討がさらに必要かなと思っています。
 もう1点追加しておきたいことは、例えばマイコプラズマを病原体定点で病原体を取るのであれば、薬剤感受性とかのデータが幅広く国内のデータが採取されることにより、抗菌薬の適正使用につながったり、また、我が国で劇症型溶連菌感染症が増えているということで、その菌の特性が以前と比べて変わっていないかということ、変わっているのか、変わっていないかを明らかにするのも大切なことだと思いますし、そういったことにつなげていただければ、非常に有用な制度になると思っています。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 立てつけが分かりにくいという御意見、様々ございますけれども、これは急性呼吸器感染症サーベイランスだけではなくて、ほかの疾患サーベイランス、そして、症候群サーベイランスというものを全体的にどこかで整理することが必要になってくるのではないかといった御意見だったと思います。
 事務局、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 中野先生、御意見ありがとうございます。
 1点目につきましては、かなり大きな話になってきますので、我々としては先生の御意見を承りましたという形にはなってくると思いますが、もちろん我々としては問題点を認識しておりますので、できる限り分かりやすいような運用ができるような形で、何とか今の立てつけの中でできていけたらと思っております。
 2つ目につきましては、正直今のサーベイランスの中で薬剤感受性までどこまで調べられるのかというところの問題点があると思います。AMRの問題点につきましては、別途AMRの対策のほうでしていることもございますので、そちらのほうでやっていることも踏まえて、我々としては十分なこういったAMRの対策のほうででも十分できるような形で、今後実施していきたいと思っております。
 私からの御回答としては以上とさせていただきたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 大曲委員、お願いします。
○大曲委員 まず、全体の内容に関しては了解いたしました。賛成であります。
 実施という観点で幾つかコメントがあります。
 具体的には病原体定点における検体の提出率が低いという課題をどうするかというところであります。既に御意見があるとおりで、検体を出すという行為は患者さんと医療スタッフに相当に負担がかかります。検体の扱い等も人手がない中で、経営も厳しい中でなかなか人が割けない現実があります。ですので、負担をなるだけ減らせるような具体的な手順をお考えいただければと思います。負担が増えるとなると、まずうまくいかないだろうと思います。そういう意味では、先ほど越田先生がおっしゃったようにいわゆるインセンティブが大事で、現場の観点でいろいろな先生の話を伺うと、結局情報を返してもらえれば非常にありがたいというのが一番先に来ます。つまり、どういう結果が出たのか、トレンド、レベルはどうなのかといったところを丁寧に一つ一つのところに返すということがあると全然違う。つまりそれは前向きに取り組むことになると思います。
 もう1点は、そもそも病原体診断をするための状況が悪くなっているといいますか、検査がやりにくくなっている状況が特に外来ではあるというので、これをそもそも変える必要があると思います。学会で調査をしたことがありますが、迅速キットの保有状況を外来で聞くと、インフルとコロナは高いのです。でも、それ以外のものは非常に低い、軒並み50%を切っています。理由を聞くと、たまにしかやらない検査のためにキットを箱で購入できません、コストがかかるのでと言われて、何も言えなかったことがありました。そうしたコストはどうするかという話もあります。
 あとは小児科の先生に伺ったのですが、診療報酬の体系、あと、加算の関連で検体検査をして病原体診断をすると足が出るというので、なかなか検査がやりにくいのですということをおっしゃっていて、驚いたことがありました。そういう状況もあるので検体が出しにくいというのもあります。そういう意味では、医療現場でこういう細々としたいろいろな課題があるので、ぜひ聞きながらつくっていただければと思います。
 最後に、高齢者の点ですけれども、目的という観点からは、今回のコロナの流行、最近の流行でも問題になりました、要は医療への負担がどれぐらいかかっているかというのは非常に分かりにくい状況になっています。そう意味では、東京都では今回流行のときに夏にG-MISを通して入院患者数の報告ということをやってくださって、その結果をフィードバックしてくださって、医療にどれぐらい負荷がかかっているかよく分かりました。これがインフルエンザ、ほかの感染症、RSといったところで分かれば、実際、いろいろな国々でこういうサーベイランス、入院患者さんのサーベイランスをやっているのは結局医療の負荷を見るためにやっていますので、そういう目的で既にある仕組みを使って簡単に行っていただけるだけでも、現場としては大変参考になる情報となりまして、ありがたいと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 大曲先生、御意見をいただきありがとうございました。
 1点目の病原体定点の提出率の低さにつきましては、高い定点を残していきたいというところで、まずはカバーしようと思っておりますが、現場の負担というところにつきましては重要な御指摘かと思います。実際、我々としても現場の手順の中で減らせるもの、減らせないものというのが十分あると思いますので、まだその辺りが明確にはなっていないと思いますので、まず、そういったところを把握していく中で何かできる方策があるのであれば、させていただければと思います。
 あと、情報の話です。実際、我々はトレンドについては感染研様ですとか、我々のほうでも情報発信させていただいているのですけれども、なかなかそれを医療機関の皆様に見ていただけていないという認識なのかなと思いますので、その辺りの情報発信については十分考えていきたいと思っております。
 3つ目のコストの話につきましては、こういった問題点があるということについては関係部局とも相談しながら、何か解決策がないかというところについては、我々のほうでも検討させていただければと思います。なかなか難しい話題になってくるのかなと思っておりますので、その点だけ御容赦いただければと思います。
 4つ目、データの出し方につきましては、都道府県単位様で細かくしていただけるレベルの話もあると思いますし、我々のほうで実際にできること、できないことがあると思いますので、その辺りについても今後先生の御意見を承った上で、実施可能性を踏まえて検討させていただければと思います。御意見をありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、谷口委員、お願いします。
○谷口委員 何度も申し訳ありません。先ほどから分かりにくい、分かりにくいと言われるものですから、ちょっとサポートをさせていただきたいと思います。
 感染症法というのは疾患ベースなので、そこに症候群ベースが入ると混乱するというのはよく分かるのですけれども、先ほど中野先生がいみじくもおっしゃいましたように、症候群アプローチというのは一定の疾患を探知するための枠組みなのです。だから、そもそも同列に扱うことがおかしな話なのですけれども、ただ、法律の中に収めねばならないので、厚生労働省の方々におかれましてはとても御苦労されたと思っております。これは非常に感謝しております。いかにして法律の中に収めるかです。
 逆に、それを臨床の先生方にこういう目的でやっていますというのを御理解いただくと、そうなのねと、つまり呼吸器感染症の中でインフルエンザがどのぐらいあるのか、逆にインフルエンザでもない、RSでもない、COVIDでもない、そういったものが増えてきたら、これは何なのか、これを見るためだよということちゃんとお話しさせていただくと、割と御協力いただけます。三重県では3年間もこれでやっています。今のところ、インフルエンザ定点から少し欠けましたけれども、そのまま続いていますので、御理解を得られれば何とか続けられるものかなと思っています。
 あと、検体は、最近、厚生労働省さんの別の部門だと思うのですが、SpotFireとかFilmArrayの補助が出ているようで、周りの医療機関でもその補助を使って導入されている先生方が見えるのです。そうすると、SpotFireもFilmArrayも、あれはVTM、Viral Transport Mediaで500マイクロ取るものですから、検査には100マイクロしか使いませんので、400マイクロは絶対残るのです。それは捨ていないでとずっと言っています。あれをすると、患者さんは1回で済みますし、病院もそれを保存しておけばサーベイランス検体として提出できるので、できれば、その補助を使って地域でSpotFireやFilmArrayをやっていただけるところが増えると、より楽になるかなと思っています。
 病原体サーベイランスは、結局はいずれにも属さないような、インフルでもない、RSでもない、COVIDでもない、そういうのが増えてきたら、これはきちんと見なくてはいけない。それがもともと世界で始まったパンデミックに対する目的ですので、病原体サーベイランスの対象はと言われると、未知のものを含めて全てなのだろうと、ただ、それは常にやるものではなくて、疫学状況を見ながら、そういうのが増えてきたら、これはおかしいから、これは何だろうとやるものという形でいいのではないかなと思っています。
 以上でございます。ちょっとサポートしただけですので特に御対応は必要ありません。
○脇田部会長 谷口先生、ありがとうございます。
 せっかくなので事務局にレスポンスいただければと思いますが、どうですか。
○佐野エイズ対策推進室長 谷口先生、御意見ありがとうございました。
 まさに谷口先生がおっしゃられることが我々のしたいことでもありますし、我々が悩んでいることだと思いますので、サポートいただいて本当にありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、森川委員、お願いします。
○森川委員 特に今の谷口先生のコメントで非常に皆様分かりやすくなったと思います。
 報告書の様式で6疾患プラスその他だけになっているのですけれども、その他のところに※か何かで分かりにくいところの説明を少し、表の外にでも入れていただけると、現場の先生方はより分かるのではないかなと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 事務局、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 森川先生、御意見ありがとうございました。
 先生の意見を踏まえまして、我々としても分かりやすい報告書のつくりについて検討していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そのほかはいかがでしょうか。大丈夫そうですか。
 様々な御意見をいただきましたが、皆様おおむねこのARIサーベイの導入に関する具体的な方針ということに賛同をいただきました。
 ただし、様々な御意見がございました。制度が分かりにくいというようなところもあり、谷口先生から御説明をいただいたということもありました。それから、高齢者の拾い上げに関する御意見も幾つかありました。さらに病原体のサーベイランスを進めるための方策、インセンティブ、あるいは金銭的なものでなくても情報の還元といったことを分かりやすくやっていくことが必要ではないか等々ございましたので、そういった御意見も踏まえて、このARIサーベイの具体化に向けて、来年4月に開始できるように取組を進めていただければと思います。
 それでは、今日の全体を通して、さらに御意見等があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 坂本委員、お願いします。
○坂本委員 細かいことで恐縮ですが、資料の中に様々略語が出てくるのですが、何回か同じテーマで委員会を開催していると大体分かるのですけれども、もし、可能であれば、スペルアウトと日本語の略を初出のときにでもつけていただけると大変ありがたいです。全てである必要ないのですけれども、ARI、CTE等、スペルアウトされているもの、されていないもの、日本語の対応表記があるもの、ないものが混在しておりまして、ここに参加されていない方が見たときに、少し分かりやすくなるかなと思いましたので、御負担のない範囲でお願いできればと思います。ありがとうございます。
○脇田部会長 坂本委員、御指摘ありがとうございました。
 事務局のほうには資料作成の際、略語等には注意をしていただいて、できるだけスペルアウトしていただけるようにお願いしたいと思います。日本語の翻訳というか、そういうものもあればより分かりやすいというところですので、よろしくお願いします。
 そのほかはいかがでしょうか。よろしければ、それでは、本日の議題は以上になりますので、議事を事務局にお返ししたいと思います。
○佐野エイズ対策推進室長 脇田先生、ありがとうございました。
 本日は活発な御議論をいただき大変ありがとうございました。
 また、最後に、坂本委員から資料についての御提案をいただきありがとうございます。今後気をつけたいと思っております。
 委員の皆様方の御意見を踏まえまして進めさせていただきたいと思います。
 この後、当方で記者ブリーフィングとして議事の概要を説明させていただく予定としております。
 また、次回については事務局より改めて御連絡させていただきます。
 本日は、お忙しい中御出席いただき、ありがとうございました。
○脇田部会長 皆様、ありがとうございました。これで失礼いたします。