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第19回 厚生科学審議会健康危機管理部会 議事録
日時
令和6年8月20日(火)13:00~15:00
議題
- (1)委員改選の報告
- (2)国際保健規則(IHR2005)に基づく活動について
- (3)世界健康安全保障イニシアティブ(GHSI)
- (4)健康危機管理調整会議の開催状況について
- (5)令和6年能登半島地震における厚生労働省の対応について
議事
- 2024-8-20 第19回厚生科学審議会健康危機管理部会
- ○水野災害等危機管理対策室長 定刻となりましたので、ただいまから、第19回「厚生科学審議会健康危機管理部会」を開催いたします。
私、厚生労働省大臣官房厚生科学課災害等危機管理対策室長の水野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様方には、本日は御多用のところお集まりいただき、御礼を申し上げたいと思います。
本日は、大曲委員、佐藤委員、重村委員、竹内委員及び細川委員から御欠席の御連絡をいただいております。
委員13名のうち、出席委員は過半数を超えているということでございますので、会議が成立しておりますことを御報告いたします。
また、傍聴に関しましては、YouTubeでライブ配信を行っております。説明を行う事務局は、もちろんでございますけれども、委員の皆様、御意見をいただく際、大変恐縮ではございますけれども、できるだけゆっくり御発言をいただきますよう、御協力、御理解のほど、お願いいたします。
なお、資料は随時投影をさせていただきますが、通信環境が悪くなった場合には、通信負荷の軽減の観点から資料の投影を中断する場合がございますので、御了承いただければと思います。
また、今回の第19回健康危機管理部会につきましては、当初年度末の開催を想定しておりました。ただ、1月1日の能登半島地震の発生により、3月末の開催が見送られ、本日、開催するという運びになりました。
このため、基本的には、令和5年度の活動を報告するということにさせていただきまして、令和6年度の報告につきましては、次回第20回の部会において御報告をさせていただきたいと考えております。
では、最初に議題1、委員の改選について、御報告をいたしたいと思います。
このたび、任期満了等により、2名の委員の方々の交代がございましたので、御紹介をさせていただきたいと思います。
それでは、新任の委員の方々を御紹介させていただきます。
石原委員でございます。よろしくお願いいたします。
また、本間委員でございます。よろしくお願いいたします。
議題1については、これまでということになっております。
それでは、これより、議事進行につきまして、部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 承知しました。感染研の脇田です。今日も、どうぞよろしくお願いいたします。
先ほど水野さんのほうからは、大曲先生は欠席というお話でしたが、今日御出席いただいていますので、確認をしていただけますと。
○水野災害等危機管理対策室長 すみません、大変失礼いたしました。
○脇田部会長 それでは、まず、議事次第を御覧ください。
今日は、5つ議題がございます。最初の委員改選のお話は、先ほど御報告がありました。新任の先生、石原先生、本間先生、どうぞよろしくお願いいたします。
議題の2に入ってまいります。
「国際保健規則(IHR)(2005)に基づく活動について」ということになります。
では、この活動について、事務局から説明をしていただきます。よろしくお願いします。
○水野災害等危機管理対策室長 御説明させていただきます。資料2を御覧ください。
次のページをめくっていただきまして、こちらは、国際保健規則における情報の流れを概念図として整理したものであります。
まず、国内及び加盟国の中で事案が発生した場合には、WHOや関係各国に情報の共有を行うことになっております。
では、どういった情報が対象になり得るかと申しますと、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態、いわゆるPHEICというものでございますが、これを構成すると思われるものについては、国内で評価を行った後に、WHOやIHR関係窓口に情報の共有を行うという流れになっております。もちろん、関係各国からも我々に情報が入ってくることになっております。
次のページに行っていただきまして、資料の3枚目でございます。
国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態という資料を御覧いただければと思います。こちらは、そもそも国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態とは、どういうものかというものを概要の部で示しております。
1つ目は、疾病の国際的拡大により、他国に公衆衛生上の危険をもたらすと認められる事案でございます。
もう一つが、緊急に国際的対策の調整が必要な事態というものでございます。これについて、WHOの事務局長が、こういった事態が発生していると、国と協議を行った上で緊急委員会の助言を踏まえまして、PHEICを構成するか否かを認定すると。その後、保健上の措置に関する勧告を行うことになっております。
近年PHEICを行った事例につきましては、左下に記載がございます。直近ではコロナですとか、あとは昨今ニュースでも出ておりますが、エムポックスというものが出ております。この資料上は、令和5年度までということなので、つい先日のものは含まれておりませんが、こういったものが案件として出ているということでございます。
では、どういったものを国が情報提供するかと申し上げますと、この右側の部分でございます。「潜在的PHEICの構成要素」というところでございますが、原因を問わず、国際的な公衆衛生上の緊急事態を構成するおそれがある全ての事象ということで、以下4つございますが、このうち2つの事象に該当した場合には、通報する必要があるということになってございます。
1つ目は、重大な健康被害を起こすリスクのある事象。
2つ目は、予測不可能、または、非典型的な事象。
3つ目は、国際的に拡大するリスクのある事象。
そして、4つ目は、国際的交通や流通を制限するリスクのある事象ということになっております。
次のページを御覧いただきますと、こちらは、今ほど申し上げたようなことをフロー図とすると、こういったことになってくるということでございます。
次の資料を御覧ください。
こちらが厚生労働省に設置をされております、IHRの国家連絡窓口の対応でございます。厚生労働省におきましては、24時間体制でIHRの連絡を行っております。近年では、継続的な新型コロナですとか、エムポックスの症例情報、こういったものの共有事項を対応してございます。
そして、さらに1枚おめくりをいただきまして、こちらは、第77回WHOの総会における国際保健規則の改正内容というものでございます。
こちらは、令和6年の6月、本年6月に採択されたものでございますけれども、前回の本部会においても進捗を御報告させていただいたところでございます。今回は、その結果の報告ということになります。
2022年9月に、WHOに日本を含む16か国から300を超える改正案が提出されて、議論の結果、本年6月の総会で改正案が採択されております。
「主な改正内容」というところを御覧いただきますと、主な内容としまして、パンデミック緊急事態の定義の新たな規定ですとか、IHR実施のための委員会が設置されたこと等々が挙げられているところでございます。
事務局の説明としては以上でございます。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの議題につきまして、委員の皆様からコメントがあれば、お願いをしたいと思いますので、もしあれば、挙手をしていただければと思いますが、いかがでしょうか。
私のほうから1点、最後のところで御説明をいただいた、このIHRの改正案ですね、この改正案は採択されたということで、巷でよく言われているパンデミック条約については、まだコンセンサスが得られていないということでよろしいでしょうか。
○水野災害等危機管理対策室長 ありがとうございます。
まさに、今、座長がおっしゃったとおりで、コンセンサスが取れなかったということでございます。
○脇田部会長 それで、これは継続的に審議をされるということですね。
○水野災害等危機管理対策室長 はい、継続的に審議がされていくものと承知しています。
○脇田部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
それでは、まだ手が挙がっていないので、私のほうから、もう一点、先ほどの御報告の中では、今年度のものはまだ含まれないということですけれども、コンゴ民主共和国におけるエムポックスの流行、特にクレード1のものが流行しているということで、PHEICが宣言されたと思いますけれども、日本の対応として、何かここで御報告いただけるようなことはありますか。
○平田国際健康危機管理調整官 私のほうからお答えさせていただきます。国際健康危機管理調整官の平田と申します。
基本的に日本について、大きく対応が変わっているということはございません。ただ、以前にもお出しさせていただいた対応等々をまとめた通知等を、また再周知として発出させていただいております。今までやってきたことを継続してやっていくというところが現時点での基本的な対応と認識しております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
報道等を見ていると、日本と米国からワクチンの提供を約束しているということがあるのですけれども、それは、今までの約束どおりというところなのですかね。
○平田国際健康危機管理調整官 はい、御指摘のとおりです。今回のPHEICを受けまして、国内での対策というものは、特段大きく変わったものはないのですが、こちらのワクチン供給等々につきましては、報道でも出ておりますとおり、そのような協議を行わせていただいております。これは、PHEIC以前から行わせていただいているものとなっております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか、先生方何かございますか。
特にないようであれば、また、後からでも結構ですので、御意見をいただければと思います。
それでは、次の説明に移らせていただきたいと思います。
次は、議題の3で「世界健康安全保障イニシアティブ(GHSI)について」、こちらの説明をお願いしたいと思います。
○水野災害等危機管理対策室長 事務局でございます。資料3を御覧いただければと思います。
こちらは、世界健康安全保障イニシアティブ(GHSI)でございますけれども、こちらのきっかけとしましては、平成13年の9月11日の同時多発テロを受けまして、米国、カナダ政府の呼びかけによりまして、世界的な健康危機管理の向上やテロリズムに対する準備、対応に関する各国の連携を話し合うことを目的に、各国保健大臣会合として発足をしたわけでございます。
構成としましては、2にございますように、いわゆるG7の各国、それからメキシコ、欧州委員会がメンバーということになっており、WHOはオブザーバーとして参加しております。
大きな構成としては、まず、閣僚級の会合というものがございまして、その下に委員会としまして、局長級の世界健康安全保障行動グループ(GHSAG)というものがございます。GHSAGの事務局については、カナダということになっております。
さらに、これに加えまして、一番下のほうになりますけれども、政策担当者・研究者の会合というものがそれぞれございまして、化学事案の作業部会ですとか、生物作業部会、様々な部会というものがそれぞれ行われているということでございまして、政策担当者・研究者との情報交換が行われているということでございます。
1枚おめくりください。昨年度のGHSIの主な活動を取りまとめております。
まず、閣僚級の会合でございます。昨年は、G7の議長国である日本ということでありまして、G7の長崎保健大臣会合のサイトイベントとして開催がされております。当時の加藤厚生労働大臣が参加をいたしまして、CBRN脅威に対する準備と対応強化の重要性、MCMの備えに関するGHSIのネットワーク内での多国間協力の利点、そういった重要性について議論をされております。
また、その次、下に行っていただきまして、GHSIのリエゾンの調整会合というものが、カナダで開催をされております。
イベント管理対応フレームワーク中の急性の緊急の通信プロトコルの訓練での反省というものが共有されているところであります。
続きまして、GHSAG、いわゆる局長級の会合でございますけれども、令和5年度中の対面会合の開催は特にないということで、オンライン会合を定期的に開催しているということでございます。
その他の作業部会等については、記載のとおりでございます。
事務局からの御説明は以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
GHSIの活動についての御報告になります。
いかがでしょうか、何か委員の先生方から御質問、御意見等ありますでしょうか。この活動内容を見ると、特段、非常に大きな進展があったということではないように思うのですけれども、特に今回、今年度なるのですかね、乳牛における鳥インフルエンザの流行というのがありました。あまり大きなイベントはなかったという理解でよろしいですか。事務局にお伺いします。
○平田国際健康危機管理調整官 はい、御指摘のとおり、H5N1の鳥インフルエンザ、乳牛群における発見及び、そこから人間への感染というところ、このGHSIのリエゾン会合の中でもかなり大きな話題となっております。
こちらについても、毎回情報共有というものをさせていただいておりまして、適時その情報というのを関係各課に情報共有しまして、対応等に役立てているような形となっております。
すみません、文字として書いてしまうと、なかなかそういったようなところ、表れてはないのですが、その時その時、非常にトピックとなっていることを適時、定期的に話し合って、また、必要に応じて定期的以外の情報交換も行っている重要な枠組みと認識しております。
以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。令和6年の3月まで、令和5年度分ということになるので、アップツーデートのものが少し出にくいという感じはあるのですかね。
よろしいですか。特にここでということはないですかね、また後でまとめてでも結構ですので、コメントをいただければと思います。
そうしましたら、次に進んでいこうと思います。
次の議題「健康危機管理調整会議の開催状況について」の御報告をお願いいたします。
○水野災害等危機管理対策室長 改めて事務局でございます。資料4を御覧いただければと思います。
まず、今回の議題としては、健康危機管理調整会議の主な議題ということでございますけれども、本日御説明する前に、この本会議について少し御説明をさせていただきたいと思います。
厚生労働省におきましては、医薬品、食中毒、感染症、飲料水、その他何らかの原因によって生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態に対して、厚生労働省健康危機管理基本指針というものに基づきまして、必要な体制の整備ということでしております。
具体的には、有事の際には緊急の調整会議でありますとか、対策本部の設置というものが取られますが、平時におきましては、部局横断的な組織である、この会議、健康危機管理調整会議という場を通じて、毎月2回情報交換や対応の検討というものを行っております。
なお、本会議はあくまで内部の会議ということになりますが、この議題について、代表的なものを記載させていただいております。その議題につきまして御紹介をさせていただきまして、御議論いただきたいと考えております。
内容につきまして、まず、1つ目でございます。食品関係でございます。3つ並んでおりますけれども、奈良市で発生したサバの塩焼きを原因とする化学物質の食中毒ということで、こちらは、ヒスタミンの関係と聞いております。
次が、青森県の八戸市のお弁当屋さんにおける集団食中毒疑いということと、あと、石川県の流しそうめんによるカンピロバクターの中毒というものを挙げております。
2つ目が感染症の関係ということでありまして、感染症関係の主な議題としては、1つ目が国内外におけるエムポックスの発生、そして、赤道ギニア共和国、タンザニア連合共和国におけるマールブルグ病の発生、そして、麻しんの国内伝播事例、そして、4つ目として、主にマダニに刺されることによって感染する重症熱性血小板減少症候群、いわゆるSFTS、5つ目が新型コロナの発生状況、そして最後に、鳥インフルエンザの発生ということでございます。
続きまして、3つ目ということで、通報のあった健康危険情報ということで、1つ目として、多剤耐性のカンジダ・アウリスの発生、そして、2つ目、こちらも健康危険情報でございます。臨床試験における不適当者への薬品の投与ということでございます。
あと、最後、その他ということで、北海道における硫化水素を含む蒸気噴出と用水からのヒ素検出、あと、こちらはマスコミにも御覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、東北新幹線で発生した乗客の荷物から薬品が漏れる硫酸成分の検出ですとか、大麻類似成分入りグミによる健康被害、そして、WHOが毎年開催するIHR担当者向けの機能的な演習であるIHRのExercise Crystal 2023、そして、人由来成長ホルモン製剤によるアルツハイマー病伝播の疑い、こういったものを議題としております。
冒頭からのところはございますが、なお、本資料で、あくまで令和5年度中ということでございます。いわゆる健康食による健康被害事例として、紅麹関係が掲載はされておりませんけれども、こちらは、現在も続いている案件であるということで、来年の次の報告ということに含ませていただく予定でございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
ということで、令和5年度分の健康危機管理調整会議での主な議題ということで御紹介をいただきました。
何か気になるところ、御質問、御意見等あれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
そうしましたら、私が気になっているのは、この大麻類似成分入りグミというのが一時期すごく話題になりましたけれども、これの対応はどのようになっていたか、少し御紹介いただけますか。
○水野災害等危機管理対策室長 今、座長からお話のありました、大麻成分入りグミでございますけれども、昨年の11月に、危険ドラッグに含まれる成分というものを、新たに指定薬物に指定するということで、指定薬物等を定める省令を公布しているということでございます。
また、こういった事案が出ておりますので、厚生労働省としても、こういうものをしっかりと周知するということで、様々な注意喚起をしているということでございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
これは、類似成分を指定したということで、さらに、また、新しいものが出てくるということではなくて、包括的に指定ができたということになるのですかね。
○平田国際健康危機管理調整官 今回の指定につきましては、1点の指定と認識しているのですが、かなり早く対応をしているということで、状況によるとは思いますが、今回の事例に関しましては、早期に指定をして対応したという評価になるかと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そうですね、最近あまり話題にならないということですね。
○水野災害等危機管理対策室長 そうですね。
○脇田部会長 ありがとうございます。
あと、ごめんなさい、僕が知らない案件で教えてほしいのですけれども、人由来の成長ホルモン製剤によるアルツハイマー病伝播の疑いについてというのは、どのような転帰になったでしょうか。
○平田国際健康危機管理調整官 基本的には、こちらは懸念が出ていたということで、何か明確なものが出ていたというよりは、このような研究結果が出された論文があったということで、情報共有という形で扱わせていただいたものとなっております。
当時の情報としましては、特段、これに従ってPMDAのほうで寄せられた情報というのは、確認していなかったと認識しております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
あとは、カンピロバクターによる食中毒というのが、これは、たまたま流しそうめんなのですけれども、やはり鶏肉の処理のところで、引き続き、多分いろいろと課題があるところというところで、たまたま流しそうめんの場所が、そういうものに汚染されたということだと思いますが、今後も引き続き、ギランバレーとの関連もありますので、話題になってくるかなと思いました。
よろしいでしょうか、何か懸念事項等あればと思いますが、こちらもよろしいですかね。
また、後ほどでも結構ですので、御意見があれば、お知らせをお願いしたいと思います。
それでは、次にまいりましょう。次は議題の5です。「令和6年能登半島地震における厚生労働省の対応について」ということで、こちらも事務局から御説明をお願いいたします。
○水野災害等危機管理対策室長 改めて事務局でございます。
資料5「令和6年能登半島地震における厚生労働省の対応について」を御覧ください。
1枚めくっていただきまして、こちらは、今回の能登半島地震を受ける被害状況でございます。今回は、本当に石川県を中心に、多数の家屋崩壊、土砂災害等によって、死者299名、重軽傷者1,327名ということで、甚大な被害が生じたところでございます。
電気、ガス、上下水道のライフラインへの被害のほか、道路、鉄道等の交通インフラにも甚大な被害が生じたということで、住民生活、中小企業、農林漁業、本当に様々な経済活動に大きな支障が出たということでございます。
そして、火災による被害も非常に多く、輪島市では市街地で大きな火災が発生したということで、この資料の真ん中ほどにも写真がございます。
また、能登半島は被災地が、山がちな半島でございますし、三方を海に囲まれ、地理的にも制約がある中でアクセスがなかなか難しかったと、それで高齢者が多い地域であるということで、地理的、社会的な特徴があったというところが、大きな特徴かなと思います。
1枚おめくりください。ここから能登半島地震における厚労省の対応ということで、御紹介をしたいと思います。
まず、初動対応・応急対応でございます。
被災自治体及び被災地や自宅等で過ごす被災者の方々を支援するためということで、全国からDMATやDHEAT等の支援チームを派遣するということや、保健医療、福祉活動を実施するほか、モバイルファーマシーを活用した医薬品の供給というものを実施しております。
また、被災地域によっては、多くの孤立集落というものが発生したほか、社会福祉施設等においても稼働停止した施設が増加されたということを踏まえて、要配慮者を中心に環境の整った2次避難先ということで、ホテル、旅館等への2次避難というものが実施されました。
その2次避難に当たりましては、医療チームによる移送支援ですとか、2次避難先への環境整備というものが行われております。
そういった2次避難先の調整に当たっては、一時的な待機場所として、1.5次避難所というものが開設をされ、高齢者等の要配慮者の方々が中心に避難をされたということでございます。
この1.5次避難所におきましては、高齢者や障害者など、要配慮者の方々が安心して暮らすことができるよう、診療体制の構築ですとか、介護職員等の派遣、また、生活の相談窓口の開設などが行われております。
そして、避難所における感染症対策といたしましては、後ほど御説明いたしますが、D24HやJ-SPEED等のシステムにより、避難所の衛生状態や健康状態を把握して、この情報を基に国立感染症研究所が、感染症の発生状況の分析・評価を行っていただきました。
加えて、感染症のリスクが高い避難所を中心に、DICT、いわゆる災害時感染制御チームや国立感染症研究所等の感染症の専門家を派遣して、感染症の導線管理であったりとか、衛生環境の改善について助言をする等の取組が行われたところでございます。
1枚おめくりください。次に、復旧・復興期の支援でございます。
生活再建に向けた経済的支援といたしましては、生活福祉資金貸付制度の特例措置というものを行っております。
また、先ほど申し上げたような能登地域の高齢化の状況ですとか、地理的制約に鑑みて、新たな交付金制度を創設しております。この交付金によって、能登地域6市町村を中心に、高齢者等がいる世帯の家財等、住宅再建について、合計最大300万円を目安とする給付を行っているところでございます。
雇用労働対策といたしましては、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主の方々に対して、従業員の雇用維持をするために、休業手当などの一部を助成する雇用調整助成金について、令和6年度能登半島地震、本地震に対する、いわゆる特例の措置ということで、要件の緩和ですとか、助成率の引上げなどを実施しております。
このほか、仮設住宅や自宅等で過ごす被災者の方々の健康を守るため、見守り相談支援を行うということで、具体的には全国から保健師の方々が派遣されて、被災者の方への循環訪問を実施したほか、被災高齢者等把握事業というものを活用して、ケアマネジャーによる住宅の要介護高齢者等の戸別訪問が行われております。
現在は、仮設住宅の建設に伴って、被災者見守り相談支援事業によって、生活支援相談員が仮設住宅の入居者の方々に対して戸別訪問を行うことで、各専門相談機関につなぐという取組を実施しているところでございます。
1枚おめくりをいただきたいと思います。少し先ほど触れさせていただきましたが、能登半島地震で活用した2つのシステムについて御紹介をしたいと思います。
まず、1つ目がD24Hでございます。
こちらは、医療施設や社会福祉施設等の各種災害情報の集約、災害予測分析シミュレーション、情報の可視化、そういった機能を有しておりまして、被災都道府県における迅速かつ効率的な意思決定等を支援するためのシステムでございます。2024年度、本年度の本格稼働の予定をしております。
今回の地震におきましては、発災直後から避難所の状況を把握するということで、機能の一部を開放しております。
具体的には、避難所等で活動するDMATや保健師の方々がラピッドアセスメントシートの項目に沿って、避難所情報を入力し、集約した情報を関係者間で、リアルタイムで共有するということで、避難所環境の改善の取組につなげたということがございます。
最後になりますけれども、J-SPEEDについてでございます。
こちらは、大規模災害の発生時に、災害対策本部と被災地の医療従事者等が、診察の概況の情報をリアルタイムで共有できるシステムでございます。
この運用についてですが、まず、被災地に派遣されたDMAT等の医療チームが、個々の患者の診療結果を災害診療記録に記録するということでありまして、こちらの内容を踏まえて、ロジ担当者がチームの1日の診療内容をまとめて、スマホ等によりJ-SPEEDに入力をして、対策本部等で集計データを活用すると、こういった流れになっております。
今回の地震におきましては、J-SPEEDに入力された情報を基に、国立感染症研究所が感染症の発生状況を分析し、関係機関に情報提供がなされるなど、感染症対策に役立てられたということでございます。
説明としては以上でございます。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
非常に大きな被害があった能登半島地震における厚生労働省の対応ということで御説明をいただきました。
今、御説明があったとおり、D24HあるいはJ-SPEEDの活用によって、急性期の対応というのは比較的スムーズに行われたのかなという印象を持っています。
感染研からもFETPが入って分析等の支援をしたということなのですけれども、やはり現地での活動はかなりスムーズに行われていて、感染研からの支援というのも、そういった分析・評価というところが中心だったということを、毎日のミーティングでも、私も報告を受けていました。
ただ、報道等にもあるように、なかなか復旧・復興が進まないということがありますので、能登半島地震後の復旧・復興が今後の課題であろうということは、皆様、御存じのとおりというところかと思います。
J-SPEEDについては、コロナ流行中にも広島県を中心に活用されて、流行状況の把握等に非常に活用されたということも記憶をしています。
先生方から何か御意見、御質問等ございますでしょうか。今後も様々な災害発生の可能性がありますけれども、また、DMATあるいはDICT、そして感染研といったところ、今後は新機構になりますけれども、支援の流れというものは、かなりスムーズにできるかなと考えています。いかがでしょうか。
それでは、全体を通して、先生方、まだ、御意見をそれほどいただいていないところなので、昨年度、令和5年度の活動の報告ということで、今日は議題の2から4で御説明をいただきましたが、全体を通して何か別途御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
古米先生、お願いいたします。
○古米委員 どうもありがとうございます。
今年の4月に水道関連の事業については国土交通省、水質管理や水質基準については環境省へ移管されました今日の議題4にあった健康危機管理調整会議ですかね。その基本方針の中に飲料水というキーワードが入っております。調整会議は、厚生労働省の枠組みの中で行われていますけれども、水道水質管理が環境省に移った段階で、この会議に水道関連については環境省の方が来られるとか、何か今年度以降の動きはどのように考えておられるのかというのをお聞きしたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
事務局からお願いします。
○水野災害等危機管理対策室長 御指摘どうもありがとうございます。
まさに先ほど古米先生がおっしゃっていただいたとおりでございまして、現状、この4月から水道行政に関しては、国交省と環境省にそれぞれ移管されているということでございますけれども、この健康危機という部分につきましては、やはり水道の部分についても非常に大きく関わってくるところでありますので、この健康危機管理調整会議については、そのメンバーに移管後も引き続き国交省、また、環境省の関係の方々にも御参画いただきながら、適時適切にしっかり情報共有を図っていきたいと考えております。
○古米委員 どうもありがとうございました。
○脇田部会長 では、その点に関しては、引き続き環境省とも連携をしていただきまして、よろしくお願いいたします。
そのほかに、五十君先生、お願いいたします。
○五十君委員 ありがとうございます。
今回、ちょうど資料4が出ていますけれども、石川県の流しそうめんのカンピロバクターの食中毒に関してなのですけれども、カンピロバクターの場合は、原因となるのが鶏肉というイメージが強いのですが、決してそれだけではなくて、内蔵肉からの感染、それから、野生動物もカンピロバクターを保菌しておりますので、山に行ったときの水など水からの感染もかなり主要なルートになることが知られています。
カンピロバクターの今回の流しそうめんは、恐らくこの水を介したルートに相当するかと思います。皆さん、意外とこれを認識していないので、今回、流しそうめんで800人という非常に大きな食中毒になったので、水のルートでもカンピロバクターは感染が起こると認識して欲しいと思います。山に行ったときに非常にきれいな水だと思って喜んで流れている水を飲むというのも、結構リスクがある。野生鳥獣から糞便経由でカンピロバクターが入って、感染の原因になるということも知られております。この点、今回の事例から、皆さん、認識をしていただけるとよろしいと思いましたので、コメントをさせていただきました。
○脇田部会長 五十君委員、ありがとうございました。
事務局にお尋ねしますけれども、この石川県の事例におけるカンピロバクター汚染の原因解明がどのぐらいされたのかということと、それから、今、御指摘のあった山の水の注意喚起といいますか、そういったことがされたかどうか、その辺りも含めて、事務局から何かコメント、レスポンスはありますでしょうか。
○水野災害等危機管理対策室長 御指摘どうもありがとうございます。
今回、石川県で発生した流しそうめんの事案でございますけれども、食中毒の原因につきましては、使用する源水である湧水と、あと患者の検便から検出されたということから、源水である湧水を使用した食事が原因であるということで分析がされているところでございます。
それを踏まえた対応というものが、どこまでされているのかというところは、現時点では、こちらのほうで今すぐ確認できませんでしたので、また確認して共有させていただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
特にございませんでしょうか。
そうしましたら、議題は以上になりますが、今回2023年度、昨年度の御報告となっております。
また、今年度末に、今年度の2024年度の報告をいただくということで、また、部会を再度開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、また、御出席をどうぞよろしくお願いいたします。
そのほか、事務局から何かありますか。
○水野災害等危機管理対策室長 特にございません。本日は、どうもありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
少し早いですけれども、それでは、本日は、これで閉会したいと思います。今日も御参加をいただきまして、ありがとうございました。失礼いたします。