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- 第136回先進医療会議 議事録
第136回先進医療会議 議事録
日時
令和6年10月3日(木)16:00~
場所
オンライン開催
出席者
【構成員等】
新井座長 竹内座長代理 北脇構成員 黒瀨構成員 近藤(晴)構成員 近藤(正)構成員 滝田構成員
手良向構成員 長瀬構成員 比企構成員
【事務局】
審議官 医療技術評価推進室長 先進・再生医療迅速評価専門官 医療課長補佐 研究開発政策課長補佐
治験推進室長補佐 他
議題
- 1 新規技術(10 月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)
(先-1)(別紙1)(別紙2)
2 先進医療Bの総括報告書に関する評価について- (先-2)(別紙3)(告示番号旧 27/jRCTs031180038)
- 3 先進医療の保険導入等の検討について
- (先-3)(別紙4)
- 4 先進医療実施医療機関からの報告について
- (先-4)(別紙5)(別紙6)
- 5 その他
議事
- 16:00開会
○新井座長
それでは、時間となりましたので、ただいまより「先進医療会議」を開催いたします。
まず初めに、構成員の先生方の出欠状況ですけれども、本日は佐藤構成員、松山構成員、山本構成員が御欠席となっております。欠席されます構成員の先生方からは委任状の提出がございまして、議事決定につきましては座長に一任となっております。
続きまして、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
頭撮りについてはここまでにさせていただきます。
まず、資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿に続きまして「新規技術(10月受理分)の先進医療A又は先進医療Bの振り分けについて(案)」として先-1の資料がございます。こちらには別紙1及び別紙2がついてございます。
続きまして「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」として先-2、別紙3の資料がございます。
次に「先進医療の保険導入等の検討について」として先-3がございます。こちらには別紙4がついてございます。
最後に「先進医療実施医療機関からの報告について」として先-4、こちらには別紙5及び別紙6がついてございます。
資料につきましては以上でございます。
また、今回の先進医療会議におきまして、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等については送付させていただいた資料を閲覧していただきます。発言者は会議資料のページ、またはタブレット資料のページをあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○新井座長
ありがとうございました。
資料等についてはよろしいでしょうか。確認させていただきました。
それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしておりますが、その結果について事務局から御報告をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
長瀬構成員より「新規技術(10月受理分)の先進医療A又は先進医療Bの振り分けについて」における受理番号169の技術について報告がございました。長瀬構成員におかれましては、検討対象技術に含まれる医薬品、または医療機器等の製造販売業者等からの受療額が500万円以下でありましたので、同規定に基づき当該技術に関する検討に加わることはできますが、議事の取りまとめ及び事前評価に加わることはできません。
事務局からの報告は以上でございます。
○新井座長
ありがとうございました。
そのほかの出席されている構成員におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○新井座長
確認させていただきました。ありがとうございます。
それでは「新規技術(10月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて」は2件の資料が提出されておりますので、まず、1件目から事務局より御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
それでは、資料について御説明させていただきます。
今回、先進医療の新規届出技術について振り分け審議をいただく技術が2件ございますので、まず1件目の技術について先-1の資料に基づき御説明をさせていただきます。
1件目の技術は、受理番号169番、技術名は「上部消化管がん術後のアナモレリン塩酸塩経口投与」でございます。適応症につきましては上部消化管がん術後の体重減少でございます。
今回、大阪大学医学部附属病院から申請がございました。かかる費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
続きまして、技術の概要につきまして御説明をさせていただきます。別紙1にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
まず初めに、先進性につきましては記載のとおりでございまして、内容の概要につきまして御説明をさせていただきます。
本研究は、胃がんに対する胃全摘術、あるいは食道がんに対する食道亜全摘胃管再建術を行う18歳以上の胃がん・食道がん患者を対象として、根治切除後経口摂取再開後に、アナモレリン投与を行うことによる体重増加効果を検討することを目的とするとされております。
無作為化比較試験として実施し、試験治療群にはがん悪液質を対象とした用量であるアナモレリン100mg/bodyを1日1回投与し、対照群には投与を行わない。
そして、有効性の評価項目としては、主要評価項目として術後3か月の除脂肪体重変化率、副次評価項目として除脂肪体重変化量、経口摂取カロリー、体重、体組成変化、食欲、QOL、血中成長ホルモン値、握力、術後機能障害、血液検査項目、有害事象を設定する。
2ページ目、今回我々は胃がん・食道がんに対する胃全摘後、食道亜全摘術後、患者を無作為割付けし、アナモレリン投与によるグレリン代替補充療法を行うことによってアナモレリンの有効性を探索する。また、術前BMIを層別因子とすることによりその効果を比較し、アナモレリン投与の効果予測についても検討するということでございます。
そして、効果の部分でございますけれども、アナモレリン内服により、胃がん、食道がん術後患者において、食欲の増進、体重、筋肉量の減少抑制、術後のQOLの改善が期待されるとされております。
3~4ページ目、まず、②にございますとおり、本薬剤は適応外使用に該当することとなってございます。
先-1にお戻りいただきまして、本技術は、資料先-1の下方の備考の3、未承認等の医薬品、医療機器、もしくは再生医療等製品の使用、または医薬品、医療機器、もしくは再生医療等製品の適応外使用を伴う医療技術に該当すると考えられましたため、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただいております。
1件目の御説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○新井座長
ありがとうございます。
ただいまの御説明について何か質問・御意見等はございますでしょうか。
よろしくお願いします。
○比企構成員
先進医療Bの振り分けに関しては問題ないと思うのですけれども、試験概要として筋肉量、除脂肪量の増加というのはアナモレリンの悪液質の患者さんに投与するという適応を取ったときのデータで除脂肪量の増加というのは認められるので期待できる内容かと思うのですけれども、セカンダリーエンドポイントのいわゆる機能に関して、例えば握力とかといったところが入っているのです。握力とかには悪液質のときは差が出なかったのですけれども、今回、差が出ないとある程度予測されるものをセカンダリーに持っていった理由というのはどうなのかなと、プレゼンテーションを聞いて資料を拝見して思いました。筋肉の量は改善すると思うのですけれども、質に関しては期待できないのではないかと思います。
本当にそれで質が改善しないものにQOLを求めるとすると、どの辺りをQOLに求めるのかというのを計画を拝聴して、もしくは拝見して思ったことでございます。一応コメントとして記載をよろしくお願いします。
○新井座長
事務局、いかがでしょうか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
今後、先進医療技術審査部会のほうでも審議がされますので、そちらに向けて研究者のほうには、こちらの先生からの御質問をお伝えさせていただいた上で御検討いただくことになると思います。ありがとうございました。
○比企構成員
ありがとうございます。
○新井座長
ありがとうございました。
ほかよろしいでしょうか。
それでは、議事の取りまとめに入る前に、先ほど御説明いたしましたとおり、長瀬構成員は当該技術に関する議事の取りまとめには加わらないことになっておりますので、大変恐縮でございますけれども、御退席のほどよろしくお願い申し上げます。
(長瀬構成員退室)
○新井座長
それでは、ただいま御説明のあった受理番号169の技術については、先進医療Bとして振り分けたいと存じます。よろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○新井座長
ありがとうございます。
それでは、長瀬構成員にはお戻りいただきますよう、よろしくお願いいたします。
(長瀬構成員入室)
○新井座長
それでは「新規技術(10月受理分)の先進医療A又は先進医療Bの振り分けについて」の2件目でございます。
事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
2件目の技術は受理番号170番、技術名は「脊髄髄膜瘤胎児手術」でございます。先-1の資料を御確認ください。適応症につきましては脊髄髄膜流でございます。今回、大阪大学医学部附属病院から申請がございました。かかる費用につきましては表にお示ししているとおりでございます。
続きまして、技術の概要につきまして御説明をさせていただきます。別紙2にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
まず初めに、先進性につきましては記載のとおりでございまして、内容の概要について御説明をさせていただきます。こちらは記載上、先進性の中に記載がございますけれども、本研究は脊髄髄膜流胎児手術でございまして、その手術とは従来新生児期に行っていた髄膜両閉鎖術を胎児中期に母体腹壁切開、子宮切開の後、胎児に対して行い、その後、胎児を子宮内に戻す方法である、ということでございます。
概要の部分ですが、具体的なスケジュールは以下のとおりであるとされておりまして、入院前に胎児治療チームによる複数回の診断精査・カウンセリングとインフォームドコンセントを行う。
手術前日に入院し、超音波検査による診察を行うとともに、最終的な意思確認を行う。手術当日は朝から絶飲食とし、脊髄膜流胎児手術手順に従って手術を行う。手術中、胎児心拍の異常や胎盤剥離等を認めた場合には胎児蘇生を行い、必要あれば速やかに児を娩出し、子宮外で蘇生を行う。急変時は胎児・母体療法の全身管理・蘇生を行うが、困難な場合は母体の生命・安全を優先する。
術直後、子宮収縮抑制などのコントロールを行う。超音波検査などによる胎児モニターを行う。術後5~7日で退院する。2週間ごとに外来にて母体及び胎児評価を行う。出生後、児の状況に応じた新生児管理を行うプロトコール調査に従って児の評価を行うとされております。
また、効果の部分でございますけれども、MOMS試験では脊髄髄膜瘤新生児手術に比べて脊髄髄膜瘤胎児手術では水頭症の改善に伴う脳室腹腔シャントの必要率が少ないこと、キアリⅡ型奇形に伴う小脳扁桃下垂の頻度が少ないこと、下肢運動機能や独立歩行率が高いことなど、胎児に対する有効性が報告されている。
3~4ページ目のところでございますが、本技術は未承認や適応外の医療機器等の使用を伴わない医療技術となっております。
一方で、先-1にお戻りいただきまして備考の4、本技術は医療技術の安全性・有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるものということに該当すると考えられましたため、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
2件目の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○新井座長
ありがとうございました。
この内容について何か御質問・御意見はございますでしょうか。
座長から1点、この効果はシャントが少ないとか、キアリ奇形が少ないとか、歩行可能な率が高いことと挙げられています。これらが本先進医療の効果判定の基準になるという理解でよろしいのですか。といわれているということなのですけれども。
○先進・再生医療迅速評価専門官
そのように理解しております。
○新井座長
分かりました。
その辺、評価の基準をよく審議をいただければと思います。
ほかに何か御意見はございますでしょうか。
この振り分けについては先進医療Bでよろしいかと思いますので、特に御意見がなければ、そのような形にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
続きまして「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」の資料が提出されております。事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
それでは、先-2に基づいて御説明をさせていただきます。
今回、旧告示番号27番として実施されておりました「TRPV2阻害薬経口投与療法」につきまして、大阪刀根山医療センターから総括報告書の提出がございました。なお、本議題につきましては既に先進医療技術審査部会で取り上げられたものでございます。
まず、技術の概要でございますけれども、こちらは心不全(13歳以上の患者に係るものであって筋ジストロフィーによるものに限る)が適応症となってございました。
医療技術の概要ですけれども、筋ジストロフィーは人口10万人当たり20名程度の希少疾病である。その多くで運動機能障害に加えて呼吸筋障害等による呼吸不全、心筋障害による心不全・不整脈を合併し、生命予後を規定する大きな問題となる。
本研究では、筋ジストロフィー患者で標準的心筋保護治療を受けているにもかかわらず、BNP100pg/mL以上を示す心不全患者に対し、トラニラスト併用することでBNP低下や心機能改善、心イベント減少などの効果が見られるか、安全性に問題がないか、非盲検単群試験で評価するとなっており、主要評価項目、副次評価項目は、それぞれ記載のとおりとなってございました。
2ページ目に有効性・安全性に関する評価結果の詳細がございますが、こちらは説明を割愛させていただきまして、2ページ目の下方の結論のところでございます。
本試験では、プライマリーエンドポイントにおいて、carvedilol多施設共同研究対照群データと比べると、log(BNP)の変化率はFASで有意差を認めなかったものの、PPSでは有意を認めた。長期投与期間においても144週のBNP以外は有意差を認めず、それ以外の心機能指標も安定的に推移した。さらに試験期間中に3例が死亡したが心不全死亡はなく、生存率は80.7%だった。明らかな心機能改善は認めなかったものの、本試験の対象者は進行性の筋ジストロフィー患者であることから、これらの結果はトラニラストが心不全進行や心不全死亡を抑制していることを示唆したものと考えるとのことでございます。
次に、2の先進医療技術審査部会における審議概要及び検討結果の(2)議事概要及び検討結果のところでございます。
少なくともバイオマーカーの変化で判断する有効性についてはロバストな効果としては確認できていない。本試験での有効性についてはその可能性を肯定も否定もできない、安全性も同様で、オープンラベル単群での試験であり、明確な結論をつけるのは困難である。ただし、少なくとも管理された状況下において研究を継続することは許容されると思う。当該技術の総括報告書を了承し、先進医療会議に報告することとしたとのことでございます。
続きまして、御担当者の評価について御説明のほうをさせていただきます。
別紙3-1の4ページ目を御確認いただければと思います。
主担当の上村構成員からの御評価でございますけれども、有効性についてはE、その他となってございます。
コメントを読み上げさせていただきます。
試験の計画段階において、化合物の特性、特に高い蛋白結合率から提案されている臨床用量ではin vivoでの薬効に必要な暴露量には到達しないリスクが懸念されていたが、本試験では末梢血単核球表面TRPV2発現量が低下していた。そのことから、少なくとも期待している薬効、薬理学的、またメカニズムを介した標的の補足はあったと思われる。すなわち本試験では少なくともトラニラストがTRPVを介して薬効を示す可能性の高い容量で実行されたと考えられた。このことは臨床上の意思決定にとって極めて重要なポイントであろう。
有効性についてはBNPの変化量を用いて評価されたが、主たる解析では直前に設定した基準を満たすことができず、バイオマーカーを基に有効性を確認できなかった。パープロトコール解析では有意差があったが、パープロトコール解析の結果をもっても有効性があったとする解釈には大きな限界があると思う。少なくとも現時点でトラニラストがBNPを改善するというエビデンスは得られなかった。もともと設定されていた閾値はBNPの自然経過での変化率の点推定である。もしも自然経過との間の有意差というものであれば、その信頼区間の下限との間でp値を計算すべきであって、本試験はゆるめの基準でデザインされた探索的臨床試験であったと理解している。仮にBNPで効果があったとしても、その効果のサイズは限定的なものであり、先行研究でいわれているBNPの変化と比較しても著名な差ではないだろう。
評価についてだが、従来の医療技術との比較という視点では本試験ではトラニラストの有効性は主たる解析では明らかにはならなかった。しかしながら、試験自体が非盲検単群のデザインであること、また、あくまでバイオマーカーでの評価であり、試験そのものに大きな限界があることから有効性の評価はその他としたということでございます。
安全性につきましてはC、問題ありとなっております。
コメント欄ですが、死亡例も含む複数の重篤な有害事象が発生している。その因果関係についてはSAE委員会、あるいは効果安全性評価委員会で議論されたようだが、議事録などの文書による記録が確認できなかった。その後、先進医療技術専門部会での議論を経て、SAE委員会での議事録が提出され、ここの重篤な有害事象については適切に審議されていることを確認した。疾患の特異性から一定の割合で現疾患や合併症の悪化が見込まれるのは理解できるが、現時点では問題がある可能性も否定できないのでCとした。
続きまして、技術的成熟度でございますが、こちらはA、当該分野を専門とし、経験を積んだ医師、または医師の指導の下であれば実施できるとされております。
総合的なコメントなのですけれども、少なくともバイオマーカーの変化で判断する有効性についてはロバストな効果として確認できていない。本試験での有効性については、その可能性を肯定も否定もできない。安全性も同様で、オープンラベル単群での試験であり、明確な結論をつけるのは困難である。ただし、少なくとも管理された状況下において研究を継続することは許容であると考えておりますというコメントをいただいております。
続きまして、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言欄でございますけれども、本試験の結果を踏まえて、フェーズ2試験などの次試験が正当化されるか否かは別の審査に委ねるが、一定の精度でBNPが変化するか否かを推定できたことはプログラムにとっては大きな一歩であろうというコメントをいただいております。
続きまして、副担当の飛田構成員の御評価でございます。
まず、有効性についてはこちらもその他とされております。
コメント欄を読み上げさせていただきます。
トラニラストの薬理作用としては、評価された末梢血単核球表面TRPV2発現に関しては投与前に比べ低下傾向が認められていますが、長期投与によりBNPの変化率はベースラインより改善傾向を示しているもののばらつきが大きく、左室内径短縮率、hANP、cTnT、筋力、QOLの評価については顕著な変化が認められていません。進行性疾患にもかかわらず心機能が維持され、投与中の患者で心不全死亡がなかったなど、心機能維持・心イベント抑制効果が示唆されたと考察されていますが、本試験ではコントロールが設定されておらず、この解釈が適当かを判断することにも限界があると考えます。
また、本試験結果は次相試験として上肢機能・呼吸機能・心機能が一定の速度で低下する、より早期の段階の患者を対象とした機能維持効果として上肢機能・呼吸機能・心機能を主要評価項目としたプラセボ対照試験の計画立案・実施に活用されたという点については有益な情報が得られると考えるということでございます。
安全性に関しましては問題ありとなっておりまして、進行性の疾患であるものの、24週までの評価において、下痢・脱水による中止例が1例認められ、因果関係は否定されているものの、長期投与期間中に死亡例や心イベントなどの重篤な有害事象が認められていることからCと判断していますということです。
最後に、技術的成熟度につきましてはA、当該分野を専門として経験を積んだ医師、または医師の指導の下であれば実施できるという評価をいただいております。
事務局の説明は以上でございます。
○新井座長
ありがとうございました。
ただいまの説明について何か御質問等はございますでしょうか。
特にないようでございます。
それでは、ありがとうございました。次に進みたいと思います。
事務局から「先進医療の保険導入等の検討について」の資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
資料先-3を御覧ください。こちらは「先進医療の保険導入に係る検討における指摘事項及びそれに対する対応について」でございます。
まず、1つ目の○でございますが、先進医療の位置づけとしまして、先進医療は評価療養として将来的な保険導入のための評価を行うものと位置づけられており、診療報酬改定に合わせてすべき評価技術について保険導入に係る検討を行うこととされている。
2つ目の○、令和5年12月7日開催の第127回「先進医療会議」において、1名以上の評価担当の構成員等から先進医療から取り消すことが適当と評価された技術、または保険導入に係る検討に必要なエビデンスを集積する観点から特別に指摘のあった技術については、次回の診療報酬改定までに各技術に応じた指摘事項の対応を求めることとされた。
3つ目の○、令和6年7月4日開催の第133回「先進医療会議」において、指摘内容とその課題について議論した際に、課題に対する現時点での対応案の提出を医療機関及び学会に求めることとしてはどうかという指摘があった。
4つ目の○、この指摘を踏まえ、医療機関が学会に指摘事項について照会を行い、今般その対応案が提出されたため御確認いただきたいというものでございます。
次に、別紙の4-1を御確認ください。今回大きく2技術ございます。陽子線と重粒子線を分けて考えますと3技術でございます。技術名は「陽子線治療 重粒子線治療」、それから「家族性アルツハイマー病の遺伝子診断」となってございます。
2ページ目、まずは家族性アルツハイマー病の遺伝子診断に関しまして、順天堂大学認知症疾患医療センターからの回答がございます。
1段落目にはこれまでの実績などが記載されており、現在2施設で実施しているということ、陽性例が病的意義不明の変異を有する例が1例のみだということ。陰性例が多い理由として60代以上の高齢患者が多く登録されており、家族性アルツハイマー病の有病率が低い集団となっていたと考えられるとされております。
その上で、中ほどの記載でございますが、将来的には遺伝子変異陽性例50名程度を集積し、病原性が確定されている変異を有する割合や変異部位等の詳細な情報を確認し、早期の診断治療につながることが期待されます。今後、症例登録促進のため、関連学会等にも相談しながら参加施設を増やしていく方針であると述べられております。
また、2段落目でございますが、昨年、抗アミロイド抗体治療が保険適用となり、抗アミロイド抗体治療が広く普及し、一般病院でも使用可能となったことにより、本先進医療技術の意義は大きく増したと考えており、アミロイドPETや髄液検査のアミロイド蓄積の有無を確かめることが治療前に必要ではありますが、遺伝子検査陽性例には早期の段階で検査や治療が確実に行えると述べております。
続きまして、4ページ目には日本放射線腫瘍学会からの回答がございます。
回答の2段落目と3段落目を読み上げますと、2016年から開始した粒子線治療全例登録は、前向き観察研究として次のページのような研究体制を維持しております。先進医療Aにおける治療の適否は規定されたキャンサーボードを経て検討され、粒子線治療は学会が定めた統一治療方針、統一説明文書に準拠しております。患者データは前向きに登録され、研究事務局の臨床試験及び統計学の専門家が配置され、モニタリング等の品質保証を実施したものとなっております。2026年の保険導入の可否判断に資するエビデンスを構築するため、引き続き学会内に臓器別ワーキングを置き、標準治療であるエックス線による放射線治療との比較を患者背景等を踏まえて解析し、提出する予定です。
構成員から御指摘のあったとおり、有効性だけではなく有害事象の低減等についても可能な限り解析結果を提示したいと考えております。特に食道がんと局所進行肺がんについては安全性を評価項目として別途前向きに研究を実施します。
また、以前より報告しておりますように、脳腫瘍、縦隔腫瘍など、希少疾患及び有害事象の低減が期待できる局所進行肺がん、食道がんに関してはモデルベースドアプローチを用いて研究を進めており、その結果をお示しする予定です。これは欧州で実際に粒子線治療の適用判断に用いられている手法であり、個々の患者でエックス線並びに粒子線の線量分布から有害事象等の確率を予測することで、患者個別に有用性の比較を可能とする方法です。具体的には、実際に治療に用いられた陽子線治療の線量分布を評価し、胸部、各臓器の照射線量を算出するとともに、比較対象として同一症例において同じ標的体積を用いたエックス線治療による線量分布を作成します。評価項目は毒性、2次発がんのリスクとし、それぞれ数学的モデルを用いてリスクを比較、評価いたしますとのことでございます。
特に5ページ目に記載していただいておりますけれども、2段落目の部分を御確認ください。こちらは食道がんについてでございますけれども、先進医療会議から御指摘の単群の前向き試験について学会内で検討を行いました。食道がんに対する粒子線治療は昨年の報告書にも記載しましたとおり、海外のランダム化比較試験並びに質の高いシステマティックレビューで有意な安全性の向上が示されています。米国放射線腫瘍学会のモデルポリシーでは骨軟部腫瘍や小児腫瘍などと同様に、食道がんの粒子線治療は医学的に必要な病態とされております。
このような海外の高いエビデンスが認められるものの、先進医療の中で日本でのエビデンスが必要であるとの構成員の御意見であると認識しました。御指摘に対応するため、先進医療Aの付随研究として安全性をエンドポイントとして症例選択基準除外項目、検査項目とその評価時期等を規定し、別途データの収集を開始いたします。
食道がんの毒性評価については2年程度の経過観察期間が必要と考えられるため、2027年秋に短期の治療関連毒性を、2029年の秋に最終報告を実施しますとのことでございます。
また、2の肺縦隔腫瘍の1)局所進行肺がんについても食道がんと同様に先進医療Aの付随研究として安全性をエンドポイントとし、別途データを収集し、2027年秋に短期の治療関連毒性を、2029年の秋に最終報告を実施します。また、前術のモデルベースドアプローチを用いた研究結果については、2025年秋に報告する予定ですと述べております。
6~7ページ目には、それぞれの疾患ごとのデータの集積法などが記載されております。
以上、2つの技術につきまして回答案をいただいたところでございますので、これらを踏まえ、医療機関、学会のほうには次期改定に向けて取組を進めていただくと同時に、先生方におかれましては、また追加で御指摘事項などがある場合には、この場で御審議いただきまして、その指摘事項につきまして医療機関のほうにお伝えさせていただければと考えております。
御説明は以上になります。
○新井座長
ありがとうございました。
ただいまの御説明、何か追加の指摘事項等がございましたらよろしくお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、次に移りたいと思います。
事務局から「先進医療実施医療機関からの報告について」の資料が提出されております。御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
それでは、資料先-4に基づいて御説明させていただきます。
まず、これまでの経緯の概要でございますけれども、既に以前の会議で報告されていることもありまして、資料の4ポツ目から御説明をさせていただきます。こちらは先進医療実施医療機関からの報告についてでございます。
4ポツ目、9月5日の第135回「先進医療会議」では、前回会議での指摘事項を踏まえ、2回目の報告があった。また、当該医療機関が調査を進める中で、当該医療機関で行っているほかの先進医療についても全件調査を行った結果、告示番号7「ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)」及び告示番号6「細菌または真菌に起因する難治性のがん感染疾患に対する迅速診断(PCR法)」においても同意取得に関する不適切事案が判明したため、当日報告がなされ審議された。
5ポツ目、このたび同病院から先進医療会議からの指摘事項を踏まえ、3回目の報告があった。ということで、報告の内容が別紙5と6に記載されております。これらの再発防止策が適切かどうか、今後の対応を御審議いただきたいという内容になります。
続いて別紙5を御覧ください。こちらは病院長の藤井先生からの御報告でございます。
先進医療Aに関し、同意手続不備等における不適切な事案が発生していたことが判明いたしました。ここに謹んで深くおわびを申し上げますとともに、下記のとおり「調査委員会による調査内容及び再発防止策」と「今後の対応方針」について御報告申し上げますということでございます。
まず「1.調査委員会による調査内容及び再発防止策」ということでございます。別紙6を御確認ください。こちらは令和6年9月20日付けの調査報告書となっております。
2ページ目、初めに、当院の医師が行った先進医療Aにおいて文書同意取得等に関する不適切な対応があったことが判明した。このため、事実確認と原因究明、そして、再発防止策の提案を行うため、病院長の命を受け外部の有識者を含めた先進医療調査委員会を設置し、調査及び検討を行い、ここに報告するものである。
「2.当委員会の開催審議経過」でございます。こちらは8月から9月にかけて3回の会議を開催していただいているということでございます。項目としましては、第1回、調査委員会設置についてと不適切事案の経緯の説明、第2回、先進医療実施医師への事実確認の概要説明、そして、当院で実施中の先進医療Aにおける実施状況の報告、そして、第3回で再発防止策の検討、病院長への提言、調査報告書の取りまとめをしていただいたということでございます。
「3.調査の対象とした技術の概要」及び「4.当院における先進医療Aの取扱いについて」、それから「5.先進医療実施医師等のヒアリング及び関係書類の確認状況」につきましては、資料のほうを御確認いただければと思います。詳細が載ってございます。
続きまして、7ページ目の「6.当委員会の調査結果」でございますが、本年3月に厚生労働省から発出された先進医療に関する通知を受けて、当院における先進医療Aにおける実施の在り方を検討していたところ、同意取得に関する疑義が生じた。これに加え、国への実施すべき報告のための準備を進めるうちに、さらに複数の技術において同意取得に関する疑義が生じた。これらのことから、病院長の命を受け、調査委員会を立ち上げて当院における実施中の先進医療Aの全件調査を実施した。その結果、当院における実施中の先進医療Aについて、全ての技術において複数の同意取得不備があったことが分かった。この結果を受け、当院における先進医療Bについても全件調査を行ったところ、全ての試験において手続や同意手続について適切に行っていることが確認されたとされております。
8ページ目からは「7.不適切な事案が発生した背景と原因について」でございます。こちらは資料を読み上げさせていただきます。
①先進医療実施医師及び病院職員全体の知識不足、今回の不適切な事案の一番の要因は、調査結果からも先進医療に携わる医師・病院職員の先進医療に対する知識不足であることが明白である。そのため、先進医療の開始時から同意説明文書の内容について不備があったことも気づくことができず、長年にわたりそのまま経過されていたものと考える。これは倫理委員会の委員や事前説明を行っているとされる生命倫理研究センター職員においても同様であるといえる。
②当院における統一した運用方針がない。先進医療Bにおいては必ず研究として実施していることにより、臨床研究法、あるいは倫理審査に則った実施となるため、今回の全件調査においても不備がなかったことが確認されている。
一方で、当院における先進医療Aへの実施については、研究として実施するか、診療として実施するかの判断は実施責任医師に委ねられていることから、実施責任医師も自信がないまま進めているのではないかと推察される。
また、先進医療Aに関しては、診療として実施する場合には研究を審査する認定臨床研究審査委員会や倫理委員会とは別のインフォームドコンセント委員会、あるいは診療録等審査管理委員会が存在しており、この点においても混乱を招く要因となっているものと考える。
③先進医療の実施における院内の支援体制不足、当院においては既存の院内に設置されている臨床研究監視委員会における役割の一つに、先進医療の適正な実施を把握することが挙げられている。しかし、実際の運用としては、院内の先進医療の実施に関する把握は希薄な状況となっている。特に先進医療Aに関しての現状において、先進医療に関する知識が不足している実施責任者の判断によって実施手順が異なってくることにより、どこかのタイミングでフィルターがかかる仕組みが必要と考える。しかし、倫理委員会の委員も事前確認を行う生命倫理研究センター職員においても、現状はその機能を果たしていないように思われる。
病院全体として、先進医療の適切な実施に向けて制度を理解した上で、先進医療に関する手続等を全般的に支援する体制が急務であると考える。
「8.当委員会の提言、再発防止策について」でございます。
(1)先進医療実施責任医師、先進医療実施グループ、各診療科へ求めること。
先進医療等の理解を深め、その制度を厳格に遵守し、実施すること。
適格基準に関して事前に先進医療に適合しているか、計画書等を確認した上で症例登録すること。
全ての先進医療A及びBは倫理委員会である認定臨床研究審査委員会の審査を経て、機関の長の実施許可を受けること。
これらの手続をもって初めて医療支援課に先進医療の実施手続に進むこと。
(2)病院組織へ求めること。
全ての病院職員に対して先進医療の教育を行い、医師のみならず事務職員も意識向上を図ること。
倫理委員会及び認定臨床研究審査委員会の委員においても先進医療に関する教育を行うこと。
既存の臨床研究監視委員会の下に先進医療等に特化した監視体制と専任チームを設置し、先進医療の開始時における手続不備等の有無の確認や実施状況の定期モニタリング体制等を構築すること。
倫理委員会においては先進医療の制度を熟知されている有識者に意見を聞くこと。
また、認定臨床研究審査委員会においては、先進医療の審査をする際には技術専門委員として先進医療の制度に精通する者から意見書の提出を依頼すること。
当該専任チームに先進医療の届出資料が提出された場合には、緊急スキームに乗っていることを確認することとし、研究計画書、同意説明文書等審査資料一式及び審査結果と通知書の提出を求めること。
となっております。
「9.結び」としまして、先進医療とは国民の安全性を確保し、患者負担の増大を防止するといった観点も踏まえつつ国民の選択肢を広げ、利便性を向上するという観点から保険診療との併用が認められているものである。当院で実施されている先進医療Aのいずれの技術においても、必要な患者には非常に有用な検査法等であり、いずれも重要な医療である。よって、病院長には当該技術を必要とする患者のためにも上述に記載した再発防止策の対応を早急に対応していただき、これらの先進医療技術を再開されたいということでございます。
これを受けて、別紙5にお戻りいただきます。「2.今後の対応方針」として病院長から出されたものでございます。
(1)職員の教育・研修について、本年8月26日に全大学職員に向けに開催された研修では先進医療に関する講義を行い、特に病院職員、医師、コメディカル事務職員等については受講を必須とした。研修当日に参加できなかった者向けにウェブ受講も可能となるよう対応し、受講管理も行っている。
※の部分でございます。全病院職員2,364名のうち2,220名の受講を確認済み(93.9%)。引き続き未受講職員についても10月中に受講済みとなるように対応するということでございます。
2つ目の○、本年9月19日には当院における臨床研究審査委員会、倫理審査委員会等の委員向け研修として先進医療に関する講義を行った。全委員38名のうち29名の受講を確認済み(76.3%)。引き続き未受講委員についても個別に声がけをし、10月11日に再度開催する研修には受講されるよう対応しているところ。
3つ目の○、なお、大学職員向けの研修は例年複数回開催しており、その中でも先進医療に関する講義については今後も病院職員及び倫理審査委員会等の委員は受講必須のものと位置づけ、新規職員や新規委員等の実行管理も行っていくということでございます。
最後に(2)病院全体としての先進医療実施に対する運用方針でございます。
9月20日の臨床研究監視委員会へ報告し、当該調査報告書について承認された。
2つ目の○、当院における今後の先進医療Aについては、必ず研究として実施するものとする。
3つ目の○、当院の認定臨床研究審査委員会においては、先進医療の審査をする際には技術専門委員として先進医療の制度に精通する者からの意見書の提出を依頼することとした(運用規程は既に整備済み)。また、医学系/歯学系倫理審査委員会においても先進医療の制度を熟知されている有識者に意見を聞くこととし、当該有識者の選定手続を進めているところ。
4つ目の○、院内の医療支援課に9月20日付けで医師以外の医療従事者、事務職員から成る先進医療監視チームを設置した。当該チームにおいては先進医療の適正な実施状況を定期的に確認し、適宜臨床研究監視委員会へ報告を行う役割を担うものとするということでございます。
資料の説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○新井座長
ありがとうございました。
ただいまの説明について何か御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、今御説明のあった内容について、検討結果の取りまとめを行いたいと存じます。それでは、このたび提出された医療機関の再発防止策について、本会議としてはこれを了承し、当該先進医療の再開を認めてもよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○新井座長
皆様に御同意いただきました。
それでは、そのようにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
本日の議題の残りは「その他」となっておりまして、事務局から何かございますでしょうか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
特にございません。
○新井座長
それでは、構成員の先生方から何かございますでしょうか。
特にないようです。それでは、本日の議論は以上としたいと思います。
次回の開催について事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
次回の開催については、令和6年11月7日の木曜日16時からを予定しております。場所については別途御連絡させていただきます。
○新井座長
ありがとうございました。
それでは、第136回の「先進医療会議」はこれをもって終了といたします。
皆さんの御参加に感謝を申し上げます。ありがとうございました。