第1回床上無線運転式天井クレーンの運転に係る資格の在り方に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部安全課

日時

令和6年9月17日(火)10:00~

場所

厚生労働省17階専用第21会議室

議題

  1. (1)床上無線運転式天井クレーンの定義や使用実態について
  2. (2)床上無線運転式天井クレーンに必要な運転資格の在り方について
  3. (3)その他

議事

議事内容
○主任労働災害防止計画推進官 会議の開催に先立ちまして御案内いたします。本日は対面とオンラインのハイブリッド開催とし、10時から12時までの最大2時間程度を予定しております。オンラインで御参加の構成員の方は御発言がある場合、その旨をチャットに書き込んでいただくようお願いいたします。
 次に配布資料の確認をいたします。お手元の資料ですが、初めに議事次第がございまして、その下に資料1「床上無線運転式天井クレーンの運転に係る資格の在り方に関する検討会開催要綱」、続いて資料2「天井クレーンの運転に係る資格等について」、資料3「無線操作が可能な天井クレーンの日本国内における設置状況の調査と安全性の分析」、資料4「検討会の進め方(案)」、以上になります。不足などございましたら、事務局にお伝えいただくようお願いいたします。
 それでは、ただいまから「第1回床上無線運転式天井クレーンの運転に係る資格の在り方に関する検討会」を開催いたします。私は、座長が選任されるまで司会を務めさせていただく、厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課の奥野と申します。よろしくお願いいたします。カメラ撮影などにつきましては、ここまでとしますので、御協力をお願いします。
 初めに、本検討会の開催に当たり、厚生労働省労働基準局安全衛生部長の井内から、御挨拶を申し上げます。
○安全衛生部長 安全衛生部長の井内でございます。本日は、先生方お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、検討会の名前そのものでございますが、床上無線運転式天井クレーンの運転に係る資格の在り方に関する検討会ということで、安全確保は大前提ではございますが、その上で使用実態に応じたリーズナブルな形での在り方ということを御検討いただく会議でございます。先生方には日頃の御知見をいかしていただき、忌憚のない御意見を頂けたらと思っておりますので、よろしくお願いいたします。本日は、よろしくお願いいたします。
○主任労働災害防止計画推進官 ありがとうございました。続いて、本検討会に御参集いただきました構成員の皆様を、資料1の別紙の構成員名簿の順に紹介いたします。JFEスチール株式会社東日本製鉄所設備部京浜熱延設備室長の青木様は、オンラインでの御参加になります。遅れての御参加になりますでしょうか。失礼いたしました。続きまして、追手門学院大学法学部法律学科教授の井村様は遅れての御参加となります。株式会社日立プラントメカニクスクレーンシステム本部クレーン設計部担当部長の大江様。
○大江構成員 大江です。よろしくお願いします。
○主任労働災害防止計画推進官 日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員の鎌田様。
○鎌田構成員 御安全に。鎌田です。よろしくお願いします。
○主任労働災害防止計画推進官 横浜国立大学総合学術高等研究院教授の澁谷様。
○澁谷構成員 横浜国大の澁谷でございます。よろしくお願いいたします。
○主任労働災害防止計画推進官 職業能力開発総合大学校能力開発院能力開発基礎系安全ユニット教授の中村様。
○中村構成員 職業能力開発総合大学校の中村でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○主任労働災害防止計画推進官 株式会社アイ・テック東京支社南関東工場長の堀尾様。
○堀尾構成員 アイ・テックの堀尾です。よろしくお願いします。
○主任労働災害防止計画推進官 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所機械システム安全研究グループ部長代理の山際様。
○山際構成員 安衛研の山際でございます。よろしくお願いいたします。
○主任労働災害防止計画推進官 日本労働組合総連合会労働法制局長の山脇様は、オンラインで御参加です。続きまして、日本製鉄株式会社設備・保全技術センタープラントエンジニアリング部FAエンジニアリング室長の脇坂様。
○脇坂構成員 日本製鉄の脇坂です。よろしくお願いいたします。
○主任労働災害防止計画推進官 なお、株式会社神内電機製作所技術部長の森様は、本日御欠席です。
 続いて事務局を紹介いたします。先ほど御挨拶申し上げました安全衛生部長の井内です。
○安全衛生部長 井内です。よろしくお願いします。
○主任労働災害防止計画推進官 安全課長の安井です。
○安全課長 安井です。よろしくお願いいたします。
○主任労働災害防止計画推進官 副主任中央産業安全専門官の牧です。
○副主任中央産業安全専門官 牧でございます。よろしくお願いいたします。
○主任労働災害防止計画推進官 外国安全衛生機関検査官の鈴木です。
○外国安全衛生機関検査官 鈴木と申します。よろしくお願いします。
○主任労働災害防止計画推進官 次に、座長を選任したいと思います。座長につきましては互選より選出することとしています。どなたか自薦又は推薦はございますでしょうか。そうしましたら、事務局としましては澁谷構成員に座長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○主任労働災害防止計画推進官 ありがとうございます。それでは、澁谷構成員に座長をお願いします。これからの進行は座長にお願いいたします。
○澁谷座長 ただいま座長を仰せつかりました、横浜国立大学の澁谷でございます。私は、機械工学と安全工学を専門にしておりまして、リスクアセスメントであるとかリスクマネジメントに関する教育研究を現在進めているところでございます。このクレーンの安全に関しても、特に機能安全の分野で、クレーン協会等でいろいろなお仕事をさせていただいているところでございます。本日の議題についても、労働安全衛生の観点からも非常に重要な視点がたくさん出てくるかと思いますので、皆様からの御忌憚のない御意見を、是非よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入っていきたいと思いますが、まずは議題1でございます。開催要綱について、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○外国安全衛生機関検査官 事務局から資料1について御説明いたします。資料1、床上無線運転式天井クレーンの運転に係る資格の在り方に関する検討会開催要綱にございます趣旨・目的について申し上げます。天井クレーンのうち、無線操作装置により運転を行うもの、これは本検討会で「床上無線運転式天井クレーン」と申しておりますが、こちらについては、運転者が荷と同じ高さの床の上でクレーンを運転できることなどから、製造業等で広く使われております。一方、この運転には、全ての種類のクレーンを運転できるクレーン運転士ですとか、クレーン・デリック運転士の資格が必要となっております。しかし、こうした床の上で運転するクレーンについては、運転席式と言われる、運転席が荷よりも高い位置にある通常のクレーンよりも運転がしやすい面等がございますので、安全性の確保を前提とした上で、本検討会の場で運転資格の在り方を検討することとしております。検討事項等は御覧のとおりでございます。資料1の説明は以上でございます。
○澁谷座長 御説明ありがとうございます。特段、御意見がないようでしたら、そのまま議題2の本日の最も重要なところの資料の説明に入りたいと思いますが、この段階で確認しておきたいところ等はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、続いて議題2のほうに移りたいと思います。議題2、天井クレーンの運転に係る資格等について、こちらも事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○外国安全衛生機関検査官 資料2、天井クレーンの運転に係る資格等について御説明いたします。まず、2ページが床上無線運転式天井クレーンについての御説明資料でございます。無線により運転される天井クレーンについては、先ほども申し上げたように、一般的に、荷と同じ高さで、運転士が持つ無線操作装置と呼ばれる操作装置から、クレーンに設置されている受信装置を介して運転されます。こちらのクレーンは、荷から離れて操作できる点ですとか、運転者が玉掛け作業を兼ねることができる点等から、幅広い業種で使用されております。この操作装置は、使用される電波等は機器によって異なりますけれども、図にありますように、一般的にはレバーのタイプやスイッチのタイプなどがございます。それから、この無線のタイプですと、ほかの運転装置から改造等をすることが容易とお聞きしております。一方、床上無線運転式天井クレーンの場合は、荷から離れて運転するということがありますので、運転時に玉掛作業者や周辺の作業者と荷との位置関係を視認することが難しくなると言われております。
 こういった点を踏まえまして、3ページを御覧ください。3ページは、現状の5トン以上の天井クレーンの運転資格について整理したものでございます。現行ですと3種類の資格を用意しておりまして、これがそれぞれの種類の天井クレーンと対応しております。
 まず、右上は一般的な天井クレーンでございます。こちらは、荷と運転者の距離が、水平方向も垂直方向も、どちらも離れております。そういった意味で、運転の難易度や労働災害発生のリスクがあるということから、こちらを運転するには、労働安全衛生法上、免許を必要としております。
 左下は床上操作式天井クレーンです。こちらは、「ホイスト」と呼ばれる巻き上げ機から直接ペンダントスイッチという操作用のスイッチが有線で来ておりますので、操作者が荷から離れることができません。こういったことから、周辺の作業者等への労働災害リスクが一定低くなることがあり、こちらの操作には技能講習の修了を要件としております。
 この2つのクレーンの間に、床上運転式天井クレーンというものがあります。こちらは、床上操作式天井クレーンと比べますと、走行方向に関しては、荷とともに移動しますけれども、ペンダントスイッチがガーダから出ている関係上、横行方向、ホイストが左右に移動する方向については、スイッチが移動しないということがあります。ですので、荷からの視認性等が一定低くなることもあり、こちらについては限定の免許を要件としております。
 こういった現状の資格の整理から考えますと、今回議題とするべき床上無線運転式天井クレーンに関しては、運転位置の制約は床の上から無線で運転する都合上ございませんが、一般的な天井クレーンから比べますと、運転の高さが床の上からということで、上下方向の荷の視認性については、一般的な天井クレーンよりもリスクが少ないと言えることがございます。こういった背景を踏まえ、この無線を用いる天井クレーンについて、そもそもこの資格をどう位置付けるかという論点と、資格を位置付ける場合、学科ですとか実技といった、この資格の取得方法をどのようにするかという論点がございます。
 次のページを御覧ください。こうしたクレーンの運転免許を取得する方法について例示したものがこちらでございます。クレーンに関する運転免許は大きく3つございます。クレーン・デリック運転士の免許、クレーン運転士の免許、それから床上運転式クレーンを限定した運転士の免許でございます。こちらの免許取得には、指定試験機関といわれる安全衛生技術試験協会、厚労省が指定した機関ですけれども、こちらで行う学科・実技の試験に合格する、若しくは、実技試験の合格に代えて、登録教習機関で実技講習を修了していただくこと。これが免許取得の要件となっております。
 このうち学科の試験については表中の上のラインにありますけれども、クレーンの運転士、それから床上運転式クレーン限定の運転士の免許については、どちらも同じ学科試験を採用しております。一方、実技試験と実技教習については、この2つの資格で差がございます。まずは実技教習、下のラインでございますけれども、これについては、床上運転式の限定の免許のほうが、基本の運転の時間が2時間短くなっております。背景としては、床上運転式の運転操作には、片手による押しボタン操作などがありますので、一定の簡便性があるですとか、操作のスピードが遅くて行いやすいなどの背景がございます。また、実技試験については一部差がございまして、これについては次のページに解説がございます。
 次のページが、2つの運転試験の実技試験の内容の差を列挙したものでございます。上から順番にいきますと、まず、運転試験に使うクレーンが、運転席式と床上運転式で差がございます。それから、右側の床上運転式は一般的に斜行、斜めに運転する機会が少ないということから、試験のコースで斜めが減っているですとか、障害物の種類が変わっているなどがございます。また、床上運転式については、横行方向に付いていかないということがありますので、操作位置について限定があったりする。こういった細かい違いがございます。
 今、申し上げたような背景を踏まえまして、当省のほうから本検討会の論点案として3つお示しをさせていただきます。ページをめくっていただきまして、まず論点1、こうした新たな資格をどのように位置付けるかということでございます。これについては、事務局としては、取り扱うクレーンの種類と労働災害発生のリスクに応じて、必要な資格を位置付けるということにしてはいかがかと考えております。また、こういった新しい資格を設ける際に、床上運転式限定免許と新たな無線式に関する資格の上下関係をどのように位置付けるかという点についても、整理が必要かと思っております。
 2点目、3点目については、論点1を踏まえた内容でございます。新たな資格を設ける際に、まず学科試験の内容をどのようにするかという点がございます。また、論点3として、実技試験・教習の内容についてどのように考えるか、整理が必要となっております。
 次のページを御覧ください。こういった論点1から3の点を整理するに当たって、国内の床上無線運転式の天井クレーンの使用実態ですとか設置台数等を整理して分析する必要があると、当省としては考えておりますので、今年度、令和6年度の厚生労働科学特別研究事業という事業を使いまして、このクレーンの内容について調査研究を実施するとしております。この研究は、本日も御参集いただいております労働安全衛生総合研究所の山際先生に採択いただきまして、御覧いただいている2つの項目について研究することとしております。
 その他、資料8ページ以降は、現状の分析についての数字でございます。まず8ページは、現行のクレーン運転関係免許の発行件数でございます。クレーン運転士に関しては、年間1万程度の免許が発行されておりますけれども、床上運転式限定の免許については、一番下のほうにございますが、年間30ですとか50程度しか免許の発行がございません。
 9ページは、ここ5年間程度の天井クレーンに起因した労働災害の死亡事例を分析したものでございます。右上の円グラフを御覧いただきますと、死亡事例のうち、おおむね3分の1は実際に操作される方が被災されておりますけれども、それ以上に、半数程度が周辺で作業される方、玉掛け者ですとか、そういった方々が死亡災害に被災される傾向がございます。
 最後に、10ページは、クレーン全体の設置状況を表しているものでございます。天井クレーンに関しては、ほかのクレーンと比べて台数がとても多くなっておりまして、3トン以上のもので約10万台、5トンのものに限定しても8万5千台程度ございます。こうした天井クレーンに関しては、右の表にあるような様々な形状が国内で利用されているということでございます。資料の説明は以上です。
○澁谷座長 ただいま天井クレーンの運転に関する資格の現状及び床上無線運転式天井クレーンの運転に関する課題を御説明いただき、新たな資格の在り方についての論点案を御提示いただきました。本論点案について、御質問、御意見がある方は、挙手又はチャットへの書込みをお願いいたします。この3つの論点について、どの論点から始めても結構ですので、御意見がある方は挙手若しくはチャットで意思を表明していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。山脇構成員、お願いいたします。
○山脇構成員 冒頭の10分程度、音声が聞こえなかった関係で御挨拶もできずに、大変失礼しました。連合で安全衛生関係を担当する局長の山脇と申します。どうぞよろしくお願いします。
 個別の論点に入る前に、労働者の立場として、一言申し上げておきたいと思います。
 1つは、皆様、共通の思いで御参加いただいていると考えますが、今回の検討において優先されるべきは、そこで働く労働者、就業者の安全と健康であると考えます。今回、運転資格の見直しを行ったことによって、労災事故の増加などにつながるようなことはあってはならないと思いますので、労働者、就業者保護の観点を第一に検討を行っていきたいと思います。
 もう一点は、本日幾つか論点が示されており、構成員の皆様にも意見が求められている点についてです。現在、厚生労働省をはじめ各省庁、民間企業でもそうですけれども、EBPMの観点からの議論が求められていると思います。そういう意味で言うと、本来であれば、この後に予定されている実態調査なども踏まえて、第1回の議論が行われたほうが望ましかったのではないかと考えております。そのため、結論化に当たっては、実態調査などをしっかりと踏まえたエビデンスに基づく取りまとめを行っていただくことを要望として申し上げたいと思います。以上です。
○澁谷座長 山脇構成員、ありがとうございます。労働者の安全と健康を最優先にして議論をすべきという御意見と、エビデンスベースで進めるべきということで、本来であれば、先ほど説明のあった山際構成員からの報告をもって審議をすべきところではないかという御意見でした。この点は非常にもっともな御意見かと思いますが、本日でこの論点を確定させるという意図ではなくて、あくまでも、今御指摘いただいた点を前提にして、どういう論点で最終的に落としていくかというところを、本日の検討会でまとめられればよいかというように考えておりますので、構成員の皆様におかれましても、そういう前提で御意見を頂けると、大変有り難いかと考えております。事務局から何か補足はございますか。
○外国安全衛生機関検査官 山脇構成員からの御発言ありがとうございます。2点御指摘いただいたと承知しております。
 まず1点目は、今回の資格に関する議論の上で、新たな資格が創設された場合に、労災事故の増加があってはならないという御指摘でした。事務局としても、目指すべき方向は全く同感でございます。こういった新たな資格が、逆に操作する天井クレーンに関する習熟を高めて、労災の発生が減少する方向に持っていければと我々としても考えております。
 また、2点目として、EBPMの観点から、本来は研究を実施した上で検討会を開催すべきだけれども、研究に基づいて判明した事実を基に議論されたいと御指摘いただきました。こちらも事務局として全く同感ですので、この場で第1回として議論いただいた内容、御指摘を踏まえて、研究を進めて、今後の議論の方向性を決定付けていただきたいと思っております。
○澁谷座長 ほかの構成員の皆様から、御意見、コメントのある方はいらっしゃいますか。大江構成員、お願いします。
○大江構成員 日立プラントメカニクスの大江です。先ほどの御意見と重複するのですが、論点2、論点3を検討する上で、現状分析がすごく重要だと考えています。それを踏まえて、ここの部分を議論していく必要があると思っています。
 山際先生のほうで、検討と分析は進めていただいていると思うのですが、私はクレーンメーカーの者でして、民間の関係者だけでは把握できない部分があります。具体的には、労働災害とかクレーンに関する災害事故というのは、メーカーでは必ずしも把握できているわけではございません。こういった場というのは、民間を離れた場で、広く日本国内で起こっている無線式のクレーンを使った上での事故とか、困り事というのがあると思いますが、そういったことをこの検討会の場で、民間だけではできない部分ということで、広く調査、分析し進めていくことが必要であると考えています。以上です。
○澁谷座長 大江構成員、ありがとうございます。民間では、作ったものが関係する労働災害事故の詳細までは分かり兼ねるということです。一方で、「製造者責任」という言葉もありますので、ある意味、クレーンを作っているメーカーとして、無線に関して論点として現時点で挙げられているものについて、特に問題はないでしょうか。
○大江構成員 御質問の点で言いますと、問題というか、考えなければならない点はあると思っています。それは大きくは次の2点です。
 1つ目は無線操作式のクレーンですと、これまでの吊り荷と一緒に動く床上操作式のクレーンであれば、吊り荷とともに人が動くので、ある程度空間を吊り荷とクレーンとで共有して動けるのですが、無線とすると、吊り荷とクレーンと操作者は相対的な位置関係というのが必ずしも一定ではありません。例えば荷役をする空間の中に設備とか邪魔物があったりすると、視界が状態によっては遮られる状態が発生しますので、特に実技教習の中では、そういった部分を模擬して、その回避動作を正しくできるかということを確認することが必要と考えます。これが1つ目です。
 2つ目は、無線操作特有のこととしては、構造規格では、床上操作式のクレーンは最高走行速度は1.1m/s以下と規定されているのですが、無線操作式のクレーンはこの規定が当てはまりません。ですので、考え方としては、すごく速い無線操作式のクレーンがあっても、何かに抵触するものではないので、床上で操作して速く動くクレーンというものが存在することになります。従いまして、そういったことへの追従性、又はそれを認めるのかといったところで、何か議論できればなと思っています。私は、そこが問題点であると考えています。
○澁谷座長 貴重な御意見をありがとうございます。ほかに御意見はございますか。堀尾構成員、お願いいたします。
○堀尾構成員 私の所は製造業で、実際にクレーンを使わせてもらっています。実地の調査だ何だという話もあるとは思うのですが、取りあえず本日の論点とされている、論点1、論点2、論点3で言わせてもらいますと、私も天井クレーンの免許も持っていて乗ったこともあります。天井と床上では、目線、高さの把握、運転席からの距離というところでいくと、把握は相当難しいので、床上でやるものとは一線を引くべきではないかと思っております。
 床上操作式、床上運転式、操作式と運転式がありますけれども、今、床上操作式のほうが「荷と一緒に」と言いましたが、実際に使う側としては、荷を吊っているセンターの所でしか見えていないわけです。無線だと、長物を運んだときも全体も見たりして、どちらかと言うと使い勝手と安全性というか、全体を見るには真下だけしか見られないよりは。なかなか運転しながら、離れて運転する人というのは、まずいないと思うのです、全体感を見ながらなので。それなので、安全性については、この3つはほぼ同等なのかなとは思っていますが、免許のあれが違うので、床上運転式天井クレーンと同等ぐらいの試験内容と位置付けという形、床上運転式が格上がりになってしまうのかもしれないのですが、そういったレベル感でいいのではないかと思っております。試験の内容とかも、ほぼ床上に特化したクレーンでの知識という形になっていますので、床上運転式とほぼ同等ぐらいで、位置付けと試験はよろしいのではないかと思っております。以上です。
○澁谷座長 堀尾構成員、ありがとうございます。ただいま実際に免許も持たれているという観点での御意見で、運転席からの操作は床上に比べると段違いに難しいので、そこは一線を引くべきであるという御意見かと思います。基本、その方向で論点を進めていくのがよいのではないかということです。
 実際にクレーン免許のときには運転席からの操作しかありませんけれども、スキルを習得することで、無線に関するスキルは基本は問題ないという感覚はお持ちですか。
○堀尾構成員 知識という面では問題はないのですが、その前に床上操作式もやっていましたので。試験内容としては、天井クレーンと実際に下でやるのは、確かに実技としては別だとは思います。ただ、これを持っていて、こちらをやるのに支障は特にはなかったです。
○澁谷座長 分かりました。ほかに御意見、コメントのある方はいらっしゃいますか。鎌田構成員、お願いいたします。
○鎌田構成員 基幹労連の鎌田です。先ほど堀尾さんがおっしゃったように、私もクレーンの資格を持っており、今は労働組合の立場ですけれども、現場で働いているときにはクレーンの操作もやっておりました。免許を取るときには機上で操作をして、実際に現場に出ると、機上に乗ることなく、床上からの操作しかしたことがない人が多いというのが今の実情です。
 やはり機上と床上で感覚は全く違うと思います。一番大きいのは、運転席で操作をする場合は、自分がけがをする、災害に遭うことは非常に少ないと思いますが、床上で操作する場合、特に玉掛けも自分で行う場合については、いろいろな災害が懸念されることになりますので、そういったところも十分に考慮した上で、資格の在り方も考えたほうが良いと思います。いろいろな場所で操作できるため、実際の現場では効率的に作業ができ、非常にいいものにはなるのですが、他者も自分も災害に遭う可能性があるという観点は外さずに、議論していきたいと考えます。以上です。
○澁谷座長 鎌田構成員、ありがとうございます。ほかに御意見、別の視点等からのコメント等のある方はいらっしゃいますか。中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 職業大の中村です。まず最初に、技能講習があって、限定免許があって、免許ということで、3つ資格があるわけです。例えば今回作ろうとしている免許を取った際に、その前の2つの運転との技能的な関係、つまり、体系的に、例えば最初の低リスクの床上操作式天井クレーンの技能がなければ今回の無線式の操作ができないとか、そういった関係を洗い出していただいて、資格の関連付けの検討も必要なのではないかと考えるところです。以上です。
○澁谷座長 中村構成員、ありがとうございます。ただいまの御意見は、現行の求めている技能の要求に対して、上位の技能がきちんと包含されているのかという御指摘でした。脇坂構成員、お願いいたします。
○脇坂構成員 論点についての異存はありません。労働災害発生リスクに応じてといったところで、山際先生の研究の結果を踏まえてという皆さんの御意見にも、全く異論はありません。
 当社で使われている実態として、床上無線式で使っている例も多数あって、玉掛けも行うというケースがあるのですが、荷と接近できてしまうというところで、先ほど鎌田さんの御指摘にもありましたが、操作者の災害としては機上のほうが少ないと思うのですが、床に降りることで、玉掛け者としての災害なのかもしれないのですが、発生リスクとしては上がる面もあるのかなと思います。ですので、山際先生の研究結果も踏まえて、実技試験とか、試験の内容でそれを抑えていくのかとか、そういった議論も必要ではないかと思っております。
 大江さんの御指摘で、床上の無線だと速度制限がないという話もあったのですが、実態として、当社では速度を落している場合も多いと思いますので、そういう安全面を見たときに、そういう制限を掛けるべきかというのも議論になるのかなと考えています。以上です。
○澁谷座長 脇坂構成員、ありがとうございます。最後の御指摘には、無線に関して現行でできる状況を少し規制してもいいのではないかという御意見も含まれていたと思いますが、資格の認定に関しては、その辺りも含めて、論点に入ってくる可能性があると。
○安全課長 コメントありがとうございます。幾つかの御意見の中で、クレーンの運転をしながら玉掛けもするので、玉掛けのリスクはあるというお話がありました。
 1点御説明したいのは、クレーンの免許を持っていても玉掛けはできませんで、玉掛けは玉掛けの資格が要ります。ですから、クレーンの運転と玉掛けは分けて考えていただいと思います。玉掛けをする場合は当然玉掛けの資格が要るわけで、同じ人間が両方持っていることはあり得るのですが、今回の免許はクレーンの運転で、玉掛けをする資格ではございませんので、そこは分けて御議論いただければと思います。
○澁谷座長 今の「議論を分けて」というのは、無線の中で玉掛けのことは関係ないという話ではなくて、無線の資格を持っている人が何をするかということを考えたときに、玉掛けを持っている人は、当然同時の作業をする可能性があるということは前提にして、この論点を進めるのか、そこは含まなくてよいのかという御意見という理解でよろしいですか。
○安全課長 そうです。今回御議論いただいているのは、あくまでクレーンの運転の資格でして、玉掛けの作業の資格ではございませんので、玉掛けをするときは玉掛けのリスクは当然あるのですが、それは運転士であろうがなかろうが同じですので、今回は玉掛けのリスクを例えば資格の学科に入れないといけないとか、そういうことではありませんということで、あくまで運転の資格の議論をしているというところを明確にしていただきたいという趣旨です。
○澁谷座長 論点をはっきりさせたいということで、あくまでも運転に関する資格の議論ということで、この論点をまとめていきたいと思いますので、そういう前提で構成員の皆様の御意見を頂ければと思います。ほかに御意見のある方はいらっしゃいますか。井村構成員、お願いします。
○井村構成員 今の話を蒸し返すような感じになってしまうのですが、資格を持っている方がおられるということでお伺いしたいのですが、実際にクレーンを床上で操作するときに、大体クレーンの担当者が玉掛けをやるという状況は、結構多いのですか。
○堀尾構成員 実際問題、クレーンで近くまで下ろして、1回止めておいて、引っ掛けて、片手でやったりすることもゼロではないです。
 現場のクレーンなどですと、距離もあって、号令、合図もしなければいけないので、玉掛け者とは分かれるのですが、自分たちの工場内となると、安全を考えると、当然玉掛け者とクレーン者は分けたほうがいいとは思うのですが、実情では、それだけの人員を、それ専用という形は難しいもので、手伝ったりとかはありますけれども、両方をやることはあります。ありますけれども、先ほど言われたとおり、玉掛けでの事故は玉掛けの免許の問題ですし、クレーンを吊るときの作業はクレーンを吊るときの作業だと思うので。
○井村構成員 ありがとうございました。そこが一緒くたになってしまうというか、どちらの事故なのか分からないというようなことはないと思っていいのですか。
○堀尾構成員 先ほどおっしゃったとおり、クレーンの免許の話なので、クレーン免許者が玉掛けをやるときということを言うと、玉掛けの免許の問題になってきてしまうと思うので、論点は絞ったほうがいいのかな、分けて考えたほうがいいと思います。
○井村構成員 エビデンスベースということが強調されていたので、そういうエビデンスが本当にあるのであれば、そこも考慮したほうがいいのかなと少し思っただけでした。ありがとうございます。
○中村構成員 もう一点よろしいでしょうか。
○澁谷座長 中村構成員、お願いいたします。
○中村構成員 異なる視点かもしれないのですが、9ページを拝見すると、周囲の作業者への事故が多いという特徴があるようなのです。そうすると、山際先生が行う安全性の分析の中において、恐らくやられると思うのですが、人間の行動というものが結構大きいのかなと。つまり、周囲の作業者という人たちが、被災するに当たって、どういう行動をしたから被災したかも分析していただければよろしいのかなと思います。機械側、人側の両方を確保する必要はあると思うのですが、そういった分析の中で、この周囲の作業者の確認不足とか、そういったものに観点を当てて分析していただければ有り難いかなと思います。ちょっと気が付いただけで発言させていただきます。
○澁谷座長 ありがとうございます。ただいま頂いた御意見は、こちらで受けさせていただいてということで、論点の中に考慮させていただくということで進めていければと思います。
○中村構成員 その結果が、後の教材と教習の内容とか、そういったものに関係すると思いますので、その辺りをやっていただければと、多分やっていただけると思いますので、1つ発言させていただきました。
○澁谷座長 ありがとうございます。ほかに何か御意見はございますか。構成員の皆様から、山際先生の御研究に関するコメントがたくさんあるのですが、山際構成員からコメントはございますか。
○山際構成員 資料3に行ってもよろしいですか。その私の内容の説明が、資料3に記載してあるのですが。
○澁谷座長 それはまた別に。
○山際構成員 あ、別でやりますか。
○澁谷座長 はい。
○山際構成員 そういう意味では、先ほどの井村先生の御発言の中にもあったのですが、私も技能講習と玉掛けと両方を持っていまして、やはり1人で作業することが非常に多いです。そういう点では、自分自身も比較的作業をすることが多いので、その辺の自分自身のそういうことを含めながら、研究を進められればいいかなと思っています。研究所でも、この辺は非常に注目していますので、そういう点でも実態を含めた調査は非常に重要になってくるというのは、本日皆さんの御意見をお聞きして改めて思いましたので、それを含めながら、この後に説明をしていきたいと思っています。
○澁谷座長 ありがとうございます。分析は幅広にしていただいた上で、こちらの論点としては運転に絞って進めていくということで、よろしいでしょうか。オンラインの青木構成員から御意見があれば、コメントを頂きたいと思います。青木構成員、御意見等はございますか。
○青木構成員 資料の説明の部分が聞き取れていませんで、質疑の部分から聞き取れるようになったのですが、JFEスチールの災害等を見ますと、クレーンをオペレートする運転者と玉掛け者とのやり取りのところの災害が多いので、運転者について、どこまでが運転者の免許とかというところを、しっかりと明確にしていただければいいのかなと思っております。以上です。
○澁谷座長 青木構成員、ありがとうございます。運転者の免許の範囲を明確にしてほしいという御意見かと思います。そちらは先ほど幾つか御議論に出ていた意見とも重なるかと思いますので、そちらも論点の中に含めていきたいと考えております。
 構成員の皆様からいろいろな意見を頂いておりますが、ただいまの3つの論点について順番に整理していきたいと思います。まず論点の1番目の新たな資格、床上運転式の無線に関するクレーンですが、こちらについては、上下関係としては、床上運転式限定免許との関係とか、現行のクレーン免許との関係という意味では、本日御提示いただいた関係でおおむね問題ないという御意見かと思います。また、特に運転席からの操作とはかなり違うという御意見を頂いておりますので、そこは一線を画して明確に免許の切り分けをしていくべきという御意見があって、おおむね論点は頂いているかと思いますが、こちらについては何か補足や追加の御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
 また、特に中村先生から御指摘いただいておりますように、現行の資格も含めて、この上下関係の中でしっかり下位の資格が上位の資格を包含しているのかということも含めて御確認いただきたいという御意見もありましたので、そちらも含めて新たな資格を位置付けていくということでよろしいかと思います。構成員の皆様から何か御意見等はございますか。
 それでは、論点2については、論点1を受けた形で学科試験の内容をどう考えるかということです。こちらの意見としては、玉掛けとの関係性なども整理すべきという御意見が幾つか出ていたかと思いますが、あくまで運転に関する免許であるということで、教材の中に玉掛けと一緒にやるときの注意事項みたいなものが入ってくる可能性はあるかもしれませんが、現行としては、運転に関する資格ということで見た場合に、現行のクレーン免許とか床上運転式限定免許の学科試験科目を踏まえて検討するということでよろしいでしょうか。先ほど座学のほうの学科試験については皆様から余り意見は出ていなかったかと思うのですけれども、こちらについて何か追加の御意見等がありましたら頂きたいと思います。何かございますか。山際構成員、お願いします。
○山際構成員 1点だけ、今、確認したいのですけれども、クレーン運転士の資格を取るときに、玉掛けを持っていたら、この時間は省けるといったようなことはなかったですよね。そこだけここで確認しておいたほうがいいかと思います。
○安全課長 こちらのページで申しますと4ページにありますけれども、あくまでも、学科科目の内容が、クレーンに関する知識、原動機及び電気に関する知識、クレーンの運転のために必要な力学に関する知識、関係法令ということになっておりますので、玉掛けは入っていないのですね、もともと。
○山際構成員 入っていないですよね、一切。
○安全課長 はい。
○山際構成員 そうですよね。そこは全く別という認識でいいですか。
○安全課長 全く別の資格と思っていただければ。
○山際構成員 ありがとうございます。
○安全課長 玉掛けは入っていないのですけれども、1番、実技の中に、クレーン運転のための合図というのがありますので、もちろん自分が玉掛けするのではないですけれども、玉掛けの人に対する合図のやり方は、運転の中に入ります。
○澁谷座長 山際構成員、どうもありがとうございました。ほかに何か質問や確認事項及び御意見等はございますか。大江構成員、お願いいたします。
○大江構成員 座学に関することで無線と考えた部分で、どういうことが必要かということについて、今、簡単に思い付くところを申し上げますと、無線操作式なので、今までと違って操作器と受信器の間でやり取りを行います。それに関する知識を問う座学が必要と考えます。具体的には、これは運転士がどうこうというわけではないのですけれども、無線の周波数を管理することとか、これは運転士に直接関係することなのですが、無線操作機によっては、意図せぬクレーンが、操作器とクレーン号機というのは1対1でなければならないのですけれども、そういう知識がないと、No.1号クレーンを動かそうと思ったのに、No.2号クレーンが動いてしまった、ではいけません。そういった基本的なことを問う内容というのは、本当に基本的すぎますが、今までと違うところでありまして必要であると考えます。
○澁谷座長 大江構成員、ありがとうございます。今の御意見について確認ですが、現行でもクレーン運転士の中では無線が運転できるという状況で、今の御意見は、現行のクレーン運転士の資格についても、そういう知識を求めるべきということですか。それとも、無線に関するところだけその知識を求めるべきということですか。どの辺りまで要求する項目になりそうでしょうか。
○大江構成員 運転士でもそういったことが考えられるので、項目としては必要かと思いますけれども、毎回問うべきかは、重要性と、問題の配分割合との兼ね合いもあると思いますので、無線操作式でやる場合は必ず問う項目にするとか、そういったものを織り込んだほうがいいのではないかと思います。
○澁谷座長 ありがとうございます。ただいまの御意見について何かコメント、御意見等はございますか。
○安全課長 今の大江構成員の関係で、無線周波数を管理するとかというのもございますが、運転士がどこまで知っておく必要があるのかという問題もあります。もちろん、メーカーというか、クレーンの管理者というか、点検をする人の仕事とは思うのですけれども、無線の周波数を管理するというところは、言ってみれば、機械によっても違いますよね。それは、ある意味、取扱説明書の世界に入ってくるところもあって、そういう普遍的な免許の中にどこまで入れるのかというのは難しいなと、考えているのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○大江構成員 自分が取り扱う機器、免許を付与される機器の基本的な事項として、知識として知っておくというレベルで、学科を課したほうがいいのではないかなと思います。
○澁谷座長 井村構成員、お願いいたします。
○井村構成員 私は本当に現場の知識が全くないのでお伺いしたいのですけれども、無線というのは共通的な規格としてなっているのですか、どこのメーカーでも。無線式クレーンの無線の規格というのは、各会社がそれぞれの技術で、周波数の使い方とか、そういう制約というのは今のところないのですか。
○澁谷座長 そちらは、事務局から御説明をお願いいたします。
○外国安全衛生機関検査官 事務局から、我々が承知している範囲でお話いたします。まず無線については、総務省が所管している電波法の規制を受けます。こういった床上無線運転式で使われるコントローラーについては、当然、電波法にのっとった機器が使われるとお聞きしておりますけれども、その共通の規格等が存在しているとは聞いておりません。ですので、電波法で許される範囲での何種類かの方法が、各社独自で実施されていると承知しております。
○澁谷座長 ありがとうございました。ほかに何か御質問や御指摘事項等がある方はいらっしゃいますか。こちらの論点2については、クレーン免許及び床上運転式限定免許の学科試験科目を踏まえて決定することになっております。こちらについて、先ほどの無線に関する詳細な知識のところまでは、少し入れるのは難しいかという感触がありますが、合図の訓練とか、そういうところで、無線で気を付けるところとしてはこういうところがありますというぐらいの教材に入る科目は幾つかある可能性があるかとは思います。学科試験の内容としては、ここに書かれているような現行のクレーン免許、限定免許の学科試験を踏まえて決定していくということで、ほかに御意見等がある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 先ほど大江構成員から御指摘があった、無線で速度の速い床上運転式が実現できるという話になったときに、脇坂構成員からは、自主的に低減している部分もありますという御指摘がありました。ここの部分については、学科試験等にどこまで含まれるかというのは分からないところがありますが、論点2の学科試験に入るかどうか分からないところはありますけれども、現行の学科試験では対象にしていないところにもなりますので、そこは少しエビデンスを見た上で議論させていただければと思います。
 論点3は、先ほど幾つか意見が出ていたところとも重なりますが、実技試験・教習の内容をどのように考えるかについてです。こちらも論点1の整理ということで、現行は、先ほど堀尾構成員から御指摘がありましたように、運転席で運転するタイプと床上で運転するタイプでは一線を画すぐらい操作の難易度が違うことから、運転席で要求するような実技試験とは少し異なる形の実技試験でよいのではないかという御意見があったかと思います。一方で、鎌田構成員、大江構成員から御指摘があったと思いますが、障害物があったり等で視覚が失われる、視覚が見えなくなる、実際に私もクレーンの現場に行ったときに、物が積んであって見えないという状況が幾つもありますので、そういうところも含めて実技試験の中に取り入れるべきかどうか。これは恐らく山際構成員の分析結果を待ってからの論点になってくるのだと思いますが、実技試験の中で、何か現在考慮すべき項目等があれば追加で御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。大江構成員、お願いします。
○大江構成員 細かいことになるかもしれないのですけれども、無線操作式ということで、これまでのペンダント式とか運転式と違うのは、例えば、無線操作機はハンディのものもありますが、肩掛け式で操作器を自分に保持させて操作するものもありますので、そういったものの装着姿勢が正しくできているかとか、自動車教習で車に乗り込む前にシート位置を正しく調整するかのような部分の実技というのもあったほうがいいかと思います。ここがちゃんと正しい高さとなっているか、不安定な固定ですと、操作中にガチャッとなって、誤操作させてしまうおそれが考えられるので、そういう安全面でのチェックというか、試験が必要と考えます。
○澁谷座長 安全課長、お願いします。
○安全課長 我々も、ペンダント式かレバー式かというのは、山際構成員の実態調査で調べていただこうと思っているのですけれども、一般論として、ペンダント型というのは直角方向にしか動かない、両方のボタンを押すと斜めにも動くのですけれども、スピードも出ないということで、リスクが低いという整理になっていますが、レバー式というと、操作方法としては運転席式とほぼ同じで、要するに、レバーを前に出すとスピードが出ます。そういう意味で、レバー式とペンダント式で運転上のリスクの違いというのがどのぐらいあるのかという点については、どのように思われますか。
○大江構成員 私はクレーンを操作する資格もないので、実務はしていないのですけれども、明らかに、レバーのほうが操作はできるのですが、難易度は上だと思います。
○澁谷座長 今の御議論は、レバー式のコントローラーそのものの難しさというところだと思うのですけれども、運転席というのは、視覚の関係の難しさと操作の関係の難しさと2種類あって、今の課長からの御指摘は、コントローラーとしての難しさというのはどれぐらいあるのかということです。
○大江構成員 基本的にコントローラーですと、レバー式は2軸操作で、ジョイスティックで、十字溝が設けてあり一方向にしか動かない場合と、その十字がなくて2軸を同時に動かせる場合と、それにノッチがあって、何段階かで力加減で速度を調整できるものがあって、2軸操作と速度の度合いを調整するというのを1つの操作手でやることになるので、速度と操作方向、2軸操作があるということで難しい。逆に、ペンダント型の押しボタン式ですと、基本的に押す1つのボタンで1軸操作になるので、それに低速と高速の2段階の押し切りになっていて、そこで速度を選択するようになっているのですが、1つの1軸操作であり速度は2段階程度なので、その部分で扱う軸数と速度数が大きく異なり、難易度はレバー式のほうが難しいと考えます。
○澁谷座長 ありがとうございます。そのほか何か御意見、補足などございますか。堀尾構成員、お願いいたします。
○堀尾構成員 実技試験のほうなのですけれども、ほかのクレーンだと、床上操作式とかはぶら下がっているので、そこを歩くしかないのですが、無線式だと、例えばこの試験の所を通るにしても、変な話、どこを通ってもいい形になると思うのですよね。そうしたときに、わざと死角を作ったりして、では、その運転手がどこの立ち位置に行って運転するかとか。変な話、ずっと動かないで運転することも可能なのです、試験だったら絶対付いて行くのでしょうけれども。わざと死角を作ったりして、反対側に回ってから操作をするなどというものを追加したらどうかとは思いました。
○澁谷座長 ありがとうございます。無線特有の課題をきちんとクリアできるような要素を追加すべきという御意見かと思いますので、そちらは実技試験の内容を考える上で重要な項目になってくると思います。そのほか何か御意見やコメントがある方はいらっしゃいますか。事務局、よろしくお願いします。
○外国安全衛生機関検査官 本日、神内電機製作所の森構成員が御欠席ですが、その欠席に際して御意見を賜っておりますので、ここで紹介させていただきます。御意見は2点あります。
 天井クレーンの大きなリスクとして、停止時に荷ぶれをするのが労災につながりやすいということがありますので、無線の場合、電波が届かなくなるとか混線するなどで急停止をして事故につながった事例などがあった場合、そういった事例を防止する対策も踏まえて、実態調査、研究をしていただきたいという御意見がありました。2点目としては、本日、各構成員の皆様から御意見を頂いた点にも近いのですけれども、クレーン災害の防止のためには、運転の資格もそうですけれども、安全な玉掛け作業が非常に重要になる、そういう点については訴えていきたいといいますか、クレーン災害防止に玉掛け作業の点も重要になるという点をお伝えいただいております。この2点を意見として共有させていただきます。
○澁谷座長 ありがとうございます。本日御欠席の構成員からのコメントの追加です。ほかに何か実技の観点で御意見やコメントがある方はいらっしゃいますか。脇坂構成員、お願いいたします。
○脇坂構成員 無線操作機の試験のときに何を使うのかということですが、こういう資格が創設された場合、私は技能的に難しいレバー式を使うことになるのかと思っているのですけれども、そういう認識で皆様、いいでしょうか。
○安全課長 まず実態調査を踏まえて、そもそもレバー式とペンダント式がどれぐらいあるかというのも調べようと思っておりました。また、今日、御意見を伺って、レバー式のほうが明らかに難しいというのが、論理的に御説明いただきましたので、そういうことであれば、一般論としては、1つの資格で全ての操作方法を包含するという意味であれば、当然、一番難しいもので試験をする方向になるのではないかと考えております。
○脇坂構成員 ありがとうございます。
○澁谷座長 ありがとうございます。難易度の高いレバー式で試験をすることになるのではないかという御意見ですが、実際、資格を取る立場で考えてみたときに、何か懸念事項とかはございますか。難しすぎるというような御意見があれば、それはそれで考えなければいけないのですけれども。
○山際構成員 研究所にあるのがペンダントなので、私はペンダントを使うことが多いのですが、ペンダントは押し間違えるのですね。上げようと思ったら、下がってきたりとか、下げようと思ったのに、上げてしまったりとか。特に長時間作業をしていて疲れてくると、きちんと見ないで押してしまって、あっ、逆やってた、そのようなことはまれにありますので、そういう点では、コントローラーの違いによるリスクみたいなものは調査の中で考慮して進めていきたいと思います。
 もう1つは、恐らく、クレーンの免許をお持ちの方は、ほとんどが玉掛けを持っていると思います、実態として。クレーンだけ持っていて玉掛けを持っていないという方は。お持ちですよね、やはり。クレーンを持っている方はほとんど玉掛けをお持ちで、クレーンだけ持っていて玉掛けを持っていないという方は、まずいらっしゃらないのではないかと思います。その辺も聞いてみようかと思いますが、そういう点では、無線で行うというときに、ほとんどのケースで玉掛けを御自身で行う、そういったケースが作業の実態としては多いのかなというのが肌感覚としてはあります。
○澁谷座長 ありがとうございます。玉掛けも一緒にやるのだとすると、やはりレバーは余り使わないという感覚でしょうか。使えないと思いますけれども、姿勢が。
○山際構成員 いや、そのときは持っていない。
○澁谷座長 持っていない。
○山際構成員 そもそも手持ちを持っていない。
○澁谷座長 手持ちを持たずに。
○山際構成員 終わってから取りに行くという感覚ですね。私は少なくとも、そうですね。
○堀尾構成員 実際レバー式はどれだけ需要があるのかですよね。多分、圧倒的にペンダントで、こちらは、逆に特殊な、すごく整備された、きれいな工場の所くらいしかやられないのではないかと思います。圧倒的にペンダントの使用で、だから、そこら辺も実態調査をしていただいたほうがよろしいかと。
○澁谷座長 ありがとうございます。実態に合わせるとすると、資格の実技試験はペンダントで、レバー式は難易度が高いのであれば、現行のクレーン運転式のままで縛るとか、そういう御意見ですか。
○堀尾構成員 縛るというのは、ちょっとかわいそうですけれども。
○澁谷座長 なるほど。
○堀尾構成員 また違うというか、難しいですね。
○澁谷座長 その辺りは実態調査のエビデンスも含めて議論をするということで。
○堀尾構成員 でも、実際問題、クレーンをどう安全に扱うかというところの免許だと思うので、取りあえずペンダントでやって、言い方は悪いですけれども、こちらは慣れの問題だと思うので、そういうのをやられる会社は、その会社とかでいいのではないかとは思います。安全とか、クレーンの技術であったり、法規などを学ぶべきところなので、一個一個いろいろな種類が出てきたときの操作方法を全部やる必要はないとは思っています。
○澁谷座長 ありがとうございます。では、論点3については、どういう形で実技試験を行うかということについては、難易度が高いほうでそろえるべきという御意見もありますし、現状に即してやるべきという御意見もありましたので、エビデンスを含めて議論を進めていくという形で方向性を決めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。山際構成員、お願いします。
○山際構成員 1点だけ、法令上のことで確認したいのですけれども、荷物が見えない状態で運転はしていいのでしたか、そもそも。目を閉じて車を運転していいのですかみたいなところを少し感じるのですけれども。そもそも、そういうことは想定して記述していないのか、それとも明らかに禁止しているのか、どういう。
○外国安全衛生機関検査官 法令上の扱いで申し上げると、クレーン運転士の資格で運転できるものとして、天井クレーン以外にジブクレーンとか橋形クレーンがあります。特にジブクレーンですと、例えばクライミングクレーン、建設現場で使われるものですと、原理的に荷の視認が運転席から難しいものもあります。そういった意味では、法令上、視認しないと動かしてはいけないというところまでは規定されていないと解するべきかと思います。反面、当然視認をされているほうが荷の操作自体は安全になりますので、資格上の点からも、荷の視認性が高いものに関しては、別の資格を設けているというように捉えていただくのがいいかと思います。
○澁谷座長 ほかに何か御意見がある方、よろしいでしょうか。それでは、論点3について、今、頂いた意見をベースに考えていくということで進めたいと思います。
 それでは、続いての議題に移りたいと思います。先ほど資料2の事務局資料にもありました天井クレーンに関する研究について、資料3の説明を中心に、山際構成員から御紹介をお願いいたします。
○山際構成員 それでは、資料3について、労働安全衛生総合研究所の山際から御説明したいと思います。研究の内容そのものは資料2のほうに基づきますが、その実態、どういうように行っていくかというところについて少し御説明いたします。
 研究を担当するのは、私、山際と、あと2名、濱島と岡部が担当いたします。先ほどの議論を踏まえますと、濱島のほうが安全管理が専門になっていまして、どちらかと言うと死傷病報告等をベースにした、どういう事例が存在するかと。天井クレーン、ペンダント、無線というキーワードで分析したときに、どういう災害があるかなどという分析を専門にしておりますので、それに基づいた行動とか、そういったところの分析が可能になると考えております。もう一名、岡部のほうは、どちらかと言うとシステム安全が専門になりまして、先ほど通信のことが少し話題になりましたが、そちらのほうをメインに調査していただこうかなと考えております。私は、そういう実態調査と研究統括というところが主な仕事となっております。
 下のほうに移りまして、研究のスケジュールですが、現在のところ、天井クレーンの実態を把握するために、どういった調査項目を持っていけばいいのかというところの策定を行っております。今日の御意見も含めまして、もう少しブラッシュアップした形で考えていく予定でございます。10月から12月の中で、アンケート表みたいなものを作ろうかなと考えていますが、そちらを配布して回収するとか、あと、直接お伺いをしての聞き取り調査、「どのようなことをやられていますか」とか、そういう実際の現場を見ながら行動を見て、それを調査、取りまとめていくというようなことを行います。実態調査の項目としては、10月から12月はそれを考えております。
 一方で、もう1つ項目がございまして、無線操作式天井クレーン固有のリスク及び安全性の分析というところで、10月ぐらいから労働災害の事例の調査と無線等の規格の調査、実際にどういう無線に使われていますかと。先ほど、実際に統一された規格がないというお話がございましたが、では実際にどういう無線とかを装備していますか、ISOとかはどうなっていますかなど、そういったところの調査を行っていく予定でございます。
 1月から3月については、実態調査のほうは、主に結果の取りまとめを行っていく、リスクの分析のほうに関しては、この事例の調査に基づいたリスクと安全性の分析を行っていくというところを考えていて、3月ぐらいに総括をしていくというような流れで考えております。
 それぞれの項目で期待されている効果としましては、天井クレーンの実態調査については、国内で使用されている天井クレーンの種類とか使用方法の実態の把握をすることができるということ、もう1つ、リスク及び安全性の分析に関しては、事例の把握と無線操作式に移っていくがゆえに生じる、先ほどから議論になっていますが、無線操作式であるがゆえに起こり得る固有のリスクや安全性の明確化というところを目指していこうかなと考えております。
 現在のところ、天井クレーンの登録の情報というのがありますので、事業場や吊上げ荷重等のデータがございますので、そちらを基に、情報の整理及び通信調査、アンケート調査を行う先を選定しております。ただ、注意しなければいけない点として考えているのは、保有台数が多いということと、無線可能な天井クレーンの台数が多いという所が実は違いまして、保有台数は多いのだけれども余り無線は使っていないという業者さんもおられますので、実際に無線の台数が多い所に少しフォーカスをして調査をしようかなと考えています。
 さらに、先ほどの御意見でいくと、メーカーさんに直接行くのか、それとも実際のユーザーさんのほうに行くのか、その辺もバランス良く選定していこうかなと考えております。必要であれば無線機のメーカーさんにも、先ほどから話題になっていますが、例えばレバー式とペンダント式とどれぐらいの割合で実際に販売されていますかとか、そういったところも含めて協力を依頼していこうかなと思っています。
 それと、アンケート表の中身にどういったことを記載していこうかというところの項目を検討中でございまして、今日いろいろ御意見を頂きましたので、そちらも踏まえた調査シートというものを作っていって、実際の調査に移っていこうかなと考えております。簡単ですが以上です。
○澁谷座長 御説明、どうもありがとうございました。それでは、ただいまの資料3及び先ほどの資料2の7ページを併せて、御質問や御意見のある方は挙手若しくはチャットで御発言いただきたいと思います。何か御発言等はございますでしょうか。大江構成員、お願いします。
○大江構成員 資料2は過去の災害事例における死亡事故の分析の円グラフの資料なのですが、過去に起きた災害事例に遡って、無線操作式のクレーンだったのか、運転室操作式なのか、ペンダント式の床上操作クレーンだったのかというのは追跡調査をするというようなお考えでしょうか。
○山際構成員 そうですね。復命書を見ることができるので、そこに掲載されていれば、そこは拾うことができるとは考えています。そこに記述がないと、もう少し調査のハードルは上がるかなと思いますが、基本的に、復命書等に記述されていれば、そこは十分拾うことができると考えています。
○大江構成員 分かりました。ありがとうございます。
○澁谷座長 ほかに何か御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。こちらの分析をしていただいた結果を基に、最終的には議論をしていくことになりますので、議論をするときに「ここが足りない」というのが出てくると、後で論点がまとまらないという困ったことになり兼ねませんので、もし御懸念のことがある方がいらっしゃいましたら、この時点で出しておいていただけると、やれる範囲はあると思いますけれども、御検討が行われるかと思いますが、よろしいでしょうか。井村構成員、お願いします。
○井村構成員 事業者への聞き取り調査に関してなのですが、基本的には担当者の方とお話するというのが中心になると思うのですが、実際に運転を担当されている方の話というのもお伺いする予定ではあるのですか。
○山際構成員 そうですね、それはもちろん含める予定です。
○井村構成員 ありがとうございます。
○澁谷座長 ほかはよろしいでしょうか。大丈夫ですか。
 では私から1点、今回、「改造」という言葉がかなり頻繁に出てくるのですけれども、「無線に改造」という言葉が事務局からの説明にもあったのですが、改造したときに、クレーンの中ではリスクアセスメントというのはちゃんと行われるものなのですか。恐らく機械類の変更になるので、リスクアセスメントというのはある程度要求されていると思うのですが、実態調査として、そういうところを調査される予定というのはありますか。
○山際構成員 改造の履歴というのは取れるのですか。
○澁谷座長 いや、改造の履歴というか、改造したときにどういうリスクが発生したのかというのを事業者はちゃんと見ていますかというようなヒアリングは、今回の項目には入っていますか。
○山際構成員 入れます。
○澁谷座長 分かりました。
○安全課長 今の話の関連ですが、改造というのは事業所レベルでできるものなのでしょうか、それとも、やはりメーカーでないとできないものなのでしょうか。
○大江構成員 弊社でも自社のクレーンを改造するという事例はございます。事業部が別なものでして私は余り把握していないので、会社に戻りまして関係者に確認してみたいと思います。事例はよくございます。
○安全課長 そうすると、メーカーが知らないうちに改造されている可能性があるということですね。
○大江構成員 そこは多分私どもも把握できていないと思います。初期に導入していただいて、継続してメンテナンスに携わっているクレーン号機ですと、弊社で把握できるのですが、納めて、それ以降は自社なり他社なり事業者様でメンテナンス、保守をしている場合というのは、実態として私どもは把握できていない状況にございます。
○澁谷座長 よろしいでしょうか。
○山際構成員 すみません、今おっしゃっている改造というのは、もともと運転席しかなかったクレーンに無線を付けて、無線でも運転できるようになったよというものをおっしゃっているのですか。
○澁谷座長 そうです。私の認識はそうですが。
○山際構成員 そこはちょっと認識を共通に。
○澁谷座長 通常は「変更管理」と呼ぶのだと思うのですが、ここであえて「改造」と呼んでいるのはなぜかなというのが一番気になったので。
○山際構成員 そうですね。
○安全課長 有線を無線にするという改造もあると思います。そちらのほうが多いというように聞いています。
○山際構成員 垂れ下がっているペンダントに更に無線の機能を追加しているという状態ですよね。分かりました。ありがとうございます。
○井村構成員 すみません、それは変更検査などの対象にはちゃんとなって対応されているのですよね。
○外国安全衛生機関検査官 お答えすると、3トン以上のクレーンに設置された場合ですとか改造した場合には、変更検査を行うことがあります。変更検査の対象については、主要構造部と言われる部分を改修した際に行います。この無線操作装置を取り付けたといったことのみの場合ですと、通常は主要構造部の変更を伴わないことが多いので、変更検査の対象にならないことが多いという認識でございます。
○井村構成員 そうしますと、実態として、改造して届出はしたけれども、ちゃんと安全性は確認できていないという可能性はあるわけですよね。
○澁谷座長 それは要求はされていませんのでということですね。よろしいでしょうか。それでは、こちらについては粛々と進めていただくということかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議題としては以上でございますが、今後の進め方、また本日の議論の取りまとめを含めて、事務局から議論の取りまとめをお願いします。
○外国安全衛生機関検査官 まずは、本日頂いた御議論について、事務局のほうでざっくりと取りまとめをさせていただきます。まず、資料2に関して様々な御意見を頂きました。例えば、労働災害のリスクとしては当然クレーンの運転だけではなくて玉掛け作業もあるとか、作業者が十分に安全を確保する必要があるという点、数多く御意見を頂きました。また、無線に関するクレーンとペンダント式のクレーンですと、運転の速度が違う場合が多いという御指摘もありましたので、この辺りは、実態も踏まえながら調査をしつつ、今後の方向性をこの場で継続して御議論いただく必要性があるのかなと思っております。
 それから、無線の操作装置に関して澁谷座長にも一定おまとめを頂きましたけれども、操作装置の違いによって必要なスキルも違いますし、操作装置の種類によって操作の方法も大きく異なりますということですので、そもそもまずどのぐらいの事業場でどういったものが使われているか、実態の把握も必要ですし、実際に試験を行う際にどういったものが適切ですかというのは、難易度ですとか使用実態を踏まえて御議論いただく必要があるかと思っております。
 その他、労働災害発生の機序ですとか、実際にクレーンの災害がどうかという分析も踏まえて、その後の議論の経過を見ていく必要があるという御意見を頂いておりますので、死亡災害ですとか労働者死傷病報告ですとか、そういった分析を安衛研の研究のほうでじっくりとやっていただくというようなことかと思っております。こういった点を踏まえて、厚労省としても山際先生と協力して研究のほうを進めていただこうかと思っております。
 最後に、今後の検討会の進め方について、資料4を説明させていただきます。資料4は、検討会の進め方(案)として記載をされたものでございます。まずは第1回の検討会として、本日、9月17日に、記載されておりますとおり、現状の分析と論点の提示を事務局よりさせていただいた上で、論点に関しても広く様々な観点からフリーディスカッションをしていただきました。その後、山際先生に実態調査を今年度一杯していただきまして、今後、この研究の結果報告を踏まえて、本検討会の報告書骨子案等を作っていくということで、第2回と第3回を来年度の4月から6月ぐらいをめどに開催をしていこうかと思っております。資料4は以上でございます。
○澁谷座長 ありがとうございます。こちらで議題としては以上なので、事務局にお返しします。
○主任労働災害防止計画推進官 ありがとうございました。次回の日程につきましては、改めて調整の上、連絡をいたします。
 以上をもちまして、「第1回床上無線運転式天井クレーンの運転に係る資格の在り方に関する検討会」は終了いたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。