2024年3月4日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和6年3月4日(月)18:00~

会場

厚生労働省専用第21会議室

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理 

欠席委員(2名)五十音順
行政機関出席者
  •  城克文(医薬局長)
  •  吉田易範(大臣官房審議官)
  •  中井清人(医薬品審査管理課長)
  •  野村由美子(医薬安全対策課)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。今回はペーパーレスでの開催といたしますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点がありましたら、適宜、事務局がサポートいたしますので、よろしくお願いします。
 本日の会議における委員の出席についてですが、大曲委員より、御欠席の連絡を頂いております。ただ、もしかしたら後ほど参加されるということを伺っております。もしかしたら御参加いただくかもしれません。このほか、亀田委員、松下委員から遅れて御参加との御連絡を頂いております。現在、滝田委員がまだ出席されていませんが、後ほど参加されると思っております。本日、現在のところ、当部会委員数は21名のうち17名の委員がこの会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続いて、薬事分科会規程第11条への適合状況については、全ての委員の皆様より適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、御協力を賜り、誠にありがとうございます。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。それでは清田部会長、以下の進行をお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日の議題に入ります。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況について、御報告をお願いします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち資料No.1~24を用いますので、お手元に御用意ください。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは、資料24に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた、薬事分科会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりです。
 議題1「ベイフォータス」は、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員です。
 議題2「ゾコーバ」は、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、中野委員、南委員、横幕委員です。
 議題3「タイコバック」は、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員です。
 議題4「プレベナー20」は、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員です。
 議題5「ミチーガ」は、退室委員は亀田委員、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員です。
 議題6「サルグマリン」は、退室委員、議決に参加しない委員、ともになしです。
 議題7「トルカプ」は、退室委員は山本昇委員、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、南委員、山本俊幸委員です。
 議題8「ビロイ」は、退室委員は山口委員、議決に参加しない委員は中野委員、南委員です。
 議題9「エルレフィオ」は、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、山本俊幸委員です。
 議題10「再審査期間延長の可否」は、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、中野委員、南委員、横幕委員です。
 また、議題11についても、各委員より寄付金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はありますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものとします。本日は、審議事項11議題、報告事項7議題、その他事項1議題です。
 それでは、審議事項の議題に移ります。議題1について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、ベイフォータス筋注50mgシリンジ他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.1、審査報告書のファイルをお開きください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書下段に「63分の幾つ」で記している数字を使用いたします。
 Respiratory Syncytialウイルス(以下「RSV」と略します)は、2歳以下の乳幼児が細気管支炎又は肺炎に罹患した場合の主要な原因ウイルスの一つであり、生後2歳までの流行期に、ほとんど全ての児が感染すると言われています。早産児や先天性心疾患又は慢性肺疾患を有する児などでは重症化しやすいとされ、死に至る場合もあるとされております。
 本剤は、RSVのFタンパク質に対するヒトIgG1モノクローナル抗体であるニルセビマブ(遺伝子組換え)を有効成分として、宿主細胞へのRSVの感染性を中和し、RSVによる下気道疾患の発症を抑制します。標的分子が同じRSVによる下気道疾患の発症抑制に使用されている既承認のパリビズマブ(遺伝子組換え)に比べ、血中消失半減期が延長しており、1流行期当たり1回投与する薬剤となっております。今般、重篤なRSV感染症のリスクを有する児に対するRSVによる下気道疾患の発症抑制に係る効能・効果に加え、健康な正期産児を含む全ての新生児、乳児におけるRSVによる下気道疾患の予防に係る効能・効果について、本剤の承認申請が行われました。本申請の専門委員として、資料No.23に記載の10名の委員を指名しました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。有効性について、審査報告書33ページの表34を御覧ください。生後初回のRSV流行期の健康な正期産児及び後期早産児を対象とした国際共同第III相試験では、主要評価項目であるITT集団における本剤投与後151日目までの医療機関への受診を要したRSVによる下気道感染症(以下「MA RSV LRTI」と略します)、この発現の相対リスクについて、統計学的に有意な減少が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。
 日本人集団については、全体集団とは異なる傾向が示されていますが、検討された例数が少なく、評価には限界があること、また、ITT集団の後に登録された安全性解析集団を対象に加えた147例からなる併合コホートでは、MA RSV LRTI発現割合は、プラセボ群の4.3%、2/47例に対して、本剤群で3.0%、3/100例と低値の傾向であったこと等も踏まえ、日本人集団での有効性は否定する結果ではないと考えております。
 続いて、在胎期間35週未満の早産児における有効性については、審査報告書46ページの表49及び2ポツ目を御覧ください。表49では、海外第II相試験において、プラセボ群に対して本剤群のイベント発生割合が低かったことを示しております。また、中段の2ポツ目、「ITT集団における」から始まる文章のとおり、国際共同第II/III相試験において、本剤群とパリビズマブ群とのイベント発生割合は同程度でした。さらに、基礎疾患を伴う児における有効性は、審査報告書47ページ、2ポツ目に記載のとおり、国際共同第II/III相試験において、本剤群とパリビズマブ群のイベント発生割合は同程度でした。
 次に、有効性に関連した注意喚起について、審査報告書61ページ、効能・効果関連注意の4.を御覧ください。基礎疾患を伴う児のうちダウン症候群の児及び免疫不全を伴う児の約3割で、血清中薬物濃度の低値傾向が確認され、特に免疫不全を伴う児の一部では、血中タンパク質喪失を伴う病態と血清中薬物濃度の低値傾向が関連している可能性があることから、これらの患者集団への投与については、他剤の使用も含め、本剤の投与可否を慎重に判断するよう注意喚起を行う予定です。
 続いて、安全性について、審査報告書49ページの表52を御覧ください。プラセボ対照試験で申請用法・用量に従い治験薬が投与された集団における有害事象及び副作用の発現状況について、プラセボ群と本剤群で大きな差異は認めておりませんが、細気管支炎、気管支炎、下気道感染等のRSVに関連する事象は、本剤群で発現割合が低い傾向が示唆されました。ただし、体重1.6kg未満の児に対する投与経験がないこと、本剤でも既存薬パリビズマブと同様に重篤な過敏症及び血小板減少症を引き起こす可能性が否定されないことから、これらの事象について注意喚起を行う予定です。
 以上の審査を踏まえ、機構は、本剤の有効性は期待でき、安全性は許容可能と判断し、審査報告書60ページに記載の効能・効果、用法・用量に加え、添付文書上での効能・効果関連注意の1.として、臨床試験で検討された重篤なRSV感染症のリスクを有する児の具体的な集団を提示した上で、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。大丈夫ですか。ないようですので、早速、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員においては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題2に移ります。議題2と議題10は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、議題2について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、医薬品ゾコーバ錠125mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.2、審査報告書のファイルをお開きください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に「36分の幾つ」で記載しております数字を使用いたします。
 本剤は、SARS-CoV-2の3CLプロテアーゼ阻害剤であり、医薬品医療機器等法第14条の2の2第1項に基づき、SARS-CoV-2による感染症を効能・効果として、令和4年11月22日に緊急承認され、当該緊急承認の期限は1年が適当とされました。今般、国際共同第II/III相試験(T1221試験)の第III相パートの試験成績等に基づき、SARS-CoV-2による感染症に対する有効性及び安全性が確認されたとして、当該緊急承認の期限内に医薬品医療機器等法第14条に基づき、改めて本剤の製造販売承認申請が行われたことから、機構は緊急承認時以降に提出又は更新された申請資料の内容について審査を行いました。本申請の専門委員として、資料No.23に記載の6名の委員を指名しております。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。まず有効性について、審査報告書15ページの表14、及び16ページの図1を御覧ください。国際共同第II/III相試験(T1221試験)の第III相パートの主要評価項目の結果は、緊急承認時に提出された速報値から変更はなく、主要評価項目であるSARS-CoV-2による感染症の5症状、具体的には倦怠感又は疲労感、熱っぽさ又は発熱、鼻水又は鼻づまり、喉の痛み及び咳の5症状が回復するまでの時間について、ITT集団のうち、症状発現が無作為化前72時間未満の被験者において、申請用法・用量である本薬375/125mg群とプラセボ群との比較で、統計学的に有意な差が認められました。
 続いて、審査報告書20ページの表17、及び図2を御覧ください。主要評価項目の結果について、日本人部分集団では、外国人部分集団と比較して、本薬375/125mg群とプラセボ群との群間差が小さい傾向が認められました。この要因について、事前に情報収集を規定した被験者背景のうち、両部分集団間で差異が認められ、かつ全体集団において本薬375/125mg群とプラセボ群との群間差に影響を与えている可能性のある背景因子について検討しましたが、部分集団間で群間差の一貫性が乏しい点等があり、外国人部分集団と比べ、日本人部分集団で群間差が小さくなった要因を特定するには至りませんでした。
 しかしながら、日本人部分集団においても、本薬375/125mg群でプラセボ群よりも改善する傾向は認められており、全体集団における有効性が示されていることから、これらの結果は日本人における本剤の有効性を否定するものではないと判断いたしました。以上の考察等を踏まえ、本剤のSARS-CoV-2による感染症に対する有効性は示されたと判断いたしました。
 次に、審査報告書30ページの「1.1 本剤の投与対象患者に係る注意喚起について」の項を御覧ください。本剤の有効性は、症状発現から投与開始までが72時間未満の患者において確認された点を踏まえ、審査報告書31ページの冒頭のとおり、添付文書の「用法・用量に関連する注意」の項において、本剤は症状発現から72時間以内に投与を開始する旨を記載することが適切と判断いたしました。
 安全性について、報告書のページを少し戻りますが、審査報告書24ページの表22、及び25ページの表23を御覧ください。国際共同第II/III相試験の第III相パートの安全性プロファイルは、緊急承認時から変更はなく、SARS-CoV-2による感染症の患者における本薬の安全性に大きな懸念は認められていません。また、同ページの「7.R.2.2 製造販売後における安全性について」の項を御覧ください。緊急承認以降に得られた安全性情報に基づき、令和5年7月にアナフィラキシーが本剤の重要な特定されたリスクに設定されるとともに、添付文書の「重大な副作用」の項において注意喚起されましたが、アナフィラキシー以外に新たな安全性の懸念は認められていないと考えます。
 なお、本剤の製造販売後に妊婦等に対する本剤の投与例が認められておりますが、申請者は患者向け及び医療従事者向けの資材の追加等により、医療現場における注意喚起の強化を行っており、現時点で追加の安全対策を要しないものの、引き続き適正使用の推進を図ることが必要と考えます。
 最後に、本品目の緊急承認に係る部会・分科会での審議において、罹患後症状への効果についてデータを取得し検討を行っていく必要があるとの御指摘がありましたので、現時点で得られているデータと検討内容を御説明いたします。国際共同第II/III相試験の第III相パートに組み入れられた被験者に対して追跡調査として、同意が得られた一部の被験者に対してアンケートが実施されております。参考資料として提出された公表文献によりますと、6か月時点の中間解析の結果、SARS-CoV-2による感染症の14症状が持続して認められた割合、並びに神経症状として集中力・思考力の低下、課題解決力の低下、物忘れ及び不眠の4症状が新たに認められた割合について、プラセボ群より本薬375/125mg群で低かったとされております。当該追跡調査の最終解析結果は、公表する予定とのことです。
 また、現在実施中の海外第III相試験(SCORPIO-HR試験)においても、罹患後症状の発現割合が副次評価項目として評価されることが計画されており、先ほどの追跡調査と同様、得られた結果については公表するよう申請者に指示し、申請者も対応すると返答しております。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議を頂くことが適切と判断いたしました。本品目は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とすることが適切と判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ただいまの御説明について、御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。
○宮川委員 宮川ですが、質問させてください。緊急承認時と比べて特に大きく変わった点はない。つまり、緊急承認のときは、有効性が推定されるとして緊急承認されたわけですが、今回の通常申請では、日本人集団においても、そういう傾向、改善が見られたというだけで、緊急承認時とどこが変わったのでしょうか。それを教えていただければと思います。
○新薬審査第四部長 御質問ありがとうございます。緊急承認時にも御説明をいたしましたが、プライマリー解析については、当時得られていた速報値に基づいて行った解析で、今回と同じ結果が得られておりました。今回、速報値からQC、QA等を行った後でも結果は変わらなかったということは確認いたしました。部分集団解析になりますが、日本人部分集団で少し差が小さいということがありましたので、その要因について、様々な角度からの検討を今後させていただくことになりますと、当時お話をさせていただきました。今回、様々な角度からの検討を行いましたが、はっきりとした要因はつかめず、結果として部分集団として群間差は小さいままであるというところに変わりはありませんでした。ただ、一応快復に至るまでの時間が短い状態ではありますので、これまで全体集団での評価結果を考えますと、過日の緊急承認時の判断を変更するまでの必要はないであろうということが、至った結論になります。
○宮川委員 私も判断そのものは、そういう傾向であるということは分かるのですが、15、16、19、20のグラフは、これは前と同じですか。
○新薬審査第四部長 前回の緊急承認時の部会・分科会の合同会議で示させていただいたグラフと変わっておりません。
○宮川委員 変わっていないですよね。なぜ変わっていないのですか。今回、本承認をある程度にらんだ形で今まで一年間の緊急承認期限があったのですが、緊急承認時と同じような結果のグラフしか出ていないのは、なぜなのでしょうか。
○新薬審査第四部長 緊急承認時の部会・分科会の際にも御説明いたしましたが、あの時点で既にエントリーは全て終了しており、先ほども申し上げたように速報値として全てのデータを含めた解析がなされた結果として示されておりましたので、グラフとしては変わっていないという形になります。
○宮川委員 つまり、速報値と変わっていないと。あのときはデータが半分ぐらいしか出ていない等あったのですが、今回は通常承認申請ですが、緊急承認時データと同じデータしか出ていないと理解してよろしいのですか。速報値ではなくて、十分検討した値として、同じ値、同じグラフしか出せていないということでよろしいですか。別に、承認しないということを言っているわけではなくて、これだけ時間が掛かっているのに同じであるということの意味合いに対して、御説明いただければと思います。
○新薬審査第四部長 御指摘ありがとうございます。私の説明が至っていなかったのかと思いますが、過日の緊急承認時の段階で既に全てのエントリーは終了しており、ベトナムでの組入れも含めて組み入れられた症例全ての速報値が提出されておりました。したがいまして、今回のグラフや表について、あの時点で組み入れられていなかった症例はなく、データの追加はございません。
○宮川委員 はい、ありがとうございました。それから、long COVIDの件ですが、あくまでもアンケート調査という形での段階の御説明ということで、理解してよろしいのですよね。
○新薬審査第四部長 今回御提示した試験の中で行うものではなくて、その試験の被験者の方に対して調査、アンケートを開発者サイドでお願いして、返答のあったものをまとめられたという形で、公表文献が出されております。当該文献の最後に、取りまとめたアンケート結果は6か月時点の回答結果を集計したもので、今後、その後の回答結果などもまとめた最終結果を報告する予定だということが、結びとして書かれておりました。
○宮川委員 169日の期間で出ている中間のアンケート調査が出てきたと理解してよろしいですか。
○新薬審査第四部長 はい、そのように御理解いただいて結構です。
○宮川委員 それは、今回の承認とは関係ない話ですか。それとも、関係すると、それを出したことによって承認の中身が少し変わってくるのか、変わってこないのかということで、機構は出されたのかどうか、それだけ確認させてください。
○新薬審査第四部長 あくまで効能・効果としては、症状の改善ということで評価しております。Long COVIDの部分に関しては、追跡調査というか、追加的に検討されているというものでありますが、先日の部会において、参考人等から少し言及もありましたので、その後の進捗ということで御紹介をさせていただきました。
○宮川委員 あくまで、参考資料という認識でよろしいですね。
○新薬審査第四部長 私どもとしては、そう考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。
○清田部会長 山口委員から手が挙がっております。山口先生、どうぞ。
○山口委員 手短に。私も機構の判断に反対するものではないのですが、1点だけ確認です。結局、72時間投与後のサブグループなので、72時間以内であればということに関しては、今後臨床試験なりリアルワールドデータなり、何かしら検証するような結果を求めるとか、確認をするようなことが計画されているのかどうかだけ教えていただいてもよろしいですか。
○新薬審査第四部長 御指摘ありがとうございます。今回、発症後120時間までの被験者全体を組み入れてはおりますが、感染してから、症状が出てから早めの段階の方が、この薬剤の効果を踏まえると効果があるだろうということもあり、ITT集団のうち、症状発現が無作為化前72時間未満の被験者を対象に解析がなされました。確かに、72時間未満の被験者集団であれば、効果がでているという結論になっていますので、これ以上新たな、調査等を求めることは計画はしておりません。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○山口委員 分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御意見はありますか。
○宮川委員 宮川ですが、確認させてください。この結果としては、8日が7日に5症状が短くなったという認識でよろしいですよね。
○新薬審査第四部長 結論としては、そのような結果と捉えております。
○宮川委員 8日が7日になったと。今の臨床現場では発症後5日間が療養期間となっていますが、緊急承認のときは、そうではなかったので、これは仕方ないと思いますが。今の実臨床の中では、多少合わない部分がありますが、薬としての有効性は機構が考えるとおりで、症状が8日が7日、約24.3時間短くなったということが今回示されたということで、再確認させていただきました。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございました。ほかに御意見はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。議題10の説明ですね。どうぞ。
○事務局 事務局です。議題10、資料No.10についても、ゾコーバに関連することですので、御説明いたします。再審査期間の延長についてです。医薬品の小児の開発をされる際には、小児の用法・用量設定等のために臨床試験を計画する場合、必要があると認められる場合には、再審査期間を延長するといった措置を取っているところです。今般、申請者からこのゾコーバ錠について、再審査期間を初回承認より2年間延長して10年間とする希望が提出されました。現時点で、6歳以上12歳未満の小児のSARS-CoV-2感染者に対する本剤の有効性・安全性は検討されておらず、この度、当該患者を対象とした臨床試験の治験計画届が提出されていることから、再審査期間を10年間に延長することが適切と判断いたしました。以上です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 この点について、何か御質問はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議決に入ります。議題2及び議題10について、亀田委員、川上委員、中野委員、南委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。議題2について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。続いて、議題10について、延長を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、延長を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題3に移ります。議題3と議題11は関連する議題ですので、まとめて御議論いただくことといたします。まず議題3について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、タイコバック水性懸濁筋注0.5mL及び、同小児用水性懸濁筋注0.25mLの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.3のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。本説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に青色で記載の「58分の数字」で記載している数字を使用いたします。
 本剤は、ホルムアルデヒドで不活化したダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEウイルス)を有効成分とするダニ媒介性脳炎ワクチン(TBEワクチン)になります。今般、1歳以上を接種対象とし、「ダニ媒介性脳炎の予防」の効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本剤は、2022年8月時点で、米国、欧州を含む海外36の国又は地域で製造販売承認されています。
 本品目の専門委員として、資料No.23に記載の6名の委員を指名しました。まず、本剤の開発経緯について御説明いたします。ダニ媒介性脳炎(TBE)は、マダニによって媒介されるフラビウイルスであるTBEウイルスによって引き起こされる急性ウイルス性疾患であり、発症した場合は有効な治療法がなく、ワクチンによる予防が対策として最も重要な疾患ですが、現在、日本で承認されているTBEワクチンはありません。本剤は、組成の異なる旧製剤を含めて40年以上使用され、現在の組成の製剤が欧州で入手可能となって以来約20年間、市販後の広汎な接種実績があるワクチンです。以上を背景として、日本渡航医学会より、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に開発要望が提出され、当該会議での議論を経て、本剤の開発要請が申請者に対して発出され、今般、国内第III相試験等の成績から、日本人における本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、承認申請されました。
 主な審査内容について御説明いたします。審査報告書15ページの表8を御覧ください。申請に当たり提出された有効性及び安全性に関する主な臨床試験の概要をお示ししています。本剤は、初回免疫及び追加免疫の用法が申請されており、初回免疫については通常接種スケジュール又は迅速接種スケジュールの2種類があり、迅速接種はTBE流行地域への渡航までの時間が限られている者等、短期間での免疫確保が必要な場合の接種法になります。海外の臨床試験では、成人及び小児を対象に初回免疫、追加免疫並びに免疫原性の持続性が検討されました。有効性は、主に通常接種スケジュールで行われた国内第III相試験(B9371039試験)に基づき評価しました。
 審査報告書16ページの表9を御覧ください。B9371039試験では、1歳以上の健康小児及び健康成人を対象に、本剤の免疫原性が検討されました。B9371039試験において、主要評価項目とされた年齢層別における3回目接種4週間後の抗体陽性率は、成人で98%、小児で100%であり、成人及び小児とも95%信頼区間下限が事前に規定された閾値である90%を上回りました。なお、本剤の発症予防効果を指標とした臨床試験は実施されていないものの、TBEの流行国であるオーストリアにおいて、TBEワクチンの有効性を評価した調査が実施されており、TBEワクチンによる予防率は99%と報告されています。
 次に、安全性についてです。審査報告書39~41ページの表26~28に、年齢層ごとに国内臨床試験及び海外臨床試験における本剤接種時の有害事象の発現割合を比較しています。日本人における本剤接種時の有害事象について、軽度・中等度の局所反応の発現割合は、海外臨床試験と比較して高い傾向が認められるものの、全身反応の発現割合に違いは認められず、また、そのほかの有害事象及び重篤な有害事象の発現割合についても、海外臨床試験との違いは認められませんでした。
 次に、迅速接種スケジュールで行われた臨床試験成績について御説明いたします。審査報告書48ページ、7.R.6.1.1を御覧ください。迅速接種スケジュールにおける抗体陽性率は、2回目接種21日後で100%、審査報告書の49ページに示すとおり、3回目接種21日後においては16~49歳で100%、51歳以上で99.3%と通常接種スケジュールと同等の免疫原性が確認されました。また、安全性について、審査報告書49ページの表29を御覧ください。両接種スケジュールで安全性に違いは認められませんでした。
 以上より、本剤の国内外臨床試験の成績から、本剤接種時の安全性に重大な懸念は認められず、また、これまでに長期にわたり得られている海外製造販売後の安全性情報においても、本剤のベネフィット・リスクバランスに影響を及ぼし得る安全性情報は確認されていないことから、本剤接種時の安全性は忍容可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会では、報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 続いて、議題11について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 事務局より、生物学的製剤基準の一部を改正する件に関して、御説明申し上げます。今回のタイコバックの承認に際し、生物学的製剤基準の各条として、組織培養不活化ダニ媒介性脳炎ワクチンの基準を新設することを予定しております。資料No.11の2ページ以降に、新旧対照表として記載しているとおり新設することになりますので、こちらも併せて御審議をお願いいたします。
○清田部会長 御質問はありますか。よろしいでしょうか。私から確認なのですが、これはどういう希望者に打つものなのですか。
○医薬品医療機器総合機構 ダニ媒介性脳炎自体は、ヨーロッパやロシア等で発症が確認されているものになります。この脳炎の流行地域に行き滞在したりするとき、ダニ自体が森林や草むら等にいますので、そういう所で作業などをするときに、渡航用のワクチンとして接種いただくというのが一つあります。
 もう一つは、今、北海道の方で、2016年の段階で5例のヒトでの発症報告があります。日本国内においては、発症例自体は北海道でしかありませんが、TBEウイルスに対する抗体を保有する動物については、栃木、島根等で確認されています。2023年12月に新しく発表された論文においては、脊髄炎や髄膜炎などを起こしている患者の方の血清を確認したところ、TBEウイルスに対する抗体が見つかっているという報告もあり、日本国内でも感染リスクがあるとされています。その場合、報告されている所については、森林等で作業をされる方はマダニに吸血されるリスク等がありますので、そういう人たちが接種する対象者になると考えております。
○清田部会長 海外では、皆さんはかなりの頻度でこのワクチンを打っているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 年間の発症率としては、大体世界で1万例から1万5,000例いると言われており、発症国になりますと、ロシア等ではすごく流行しているときですと、年間で6万例ぐらい出ているときもあります。流行国においては、大体年間数百例出ております。ワクチン接種については、国ごとによって接種状況が違いますが、オーストリアなどではナショナルイミュナイゼーションプログラムとして打たれている国等もあります。
○清田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、御質問がないようですので、議決に入ります。なお、議題3については、亀田委員、川上委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。では、まず議題3について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。続いて議題11について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題4に移ります。議題4と議題11は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず議題4について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料No.4、プレベナー20水性懸濁注の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本説明中のページ数は、各ページの下段に青色で記載の「52分の幾つ」の数字を使用いたします。
 本剤は、肺炎球菌の20種類の血清型の莢膜ポリサッカライドに無毒性変異ジフテリアトキシンをキャリアタンパクとして結合させたものを有効成分とする20価肺炎球菌結合型ワクチンで、本邦で既承認のプレベナー13水性懸濁注に含まれる13種類の血清型の莢膜ポリサッカライドと、追加で7種類の血清型の莢膜ポリサッカライドを含みます。今般、「小児における肺炎球菌による侵襲性感染症の予防」に係る効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本剤は2023年10月時点で、米国を含む3か国で承認されており、欧州では申請中です。本品目の専門委員として、資料No.4に記載の5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について御説明いたします。有効性について審査報告書20ページを御覧ください。表12に国内第III相試験の結果をお示ししました。主要評価項目である3回目接種1か月後の各血清型特異的IgG抗体保有率は、13共通血清型のうち11の血清型で、7追加血清型のうち五つの血清型で、本剤SC群のPCV13SC群に対する非劣性基準を満たしました。なお、本剤を追加免疫として4回目接種をしたときの免疫原性については、審査報告書29ページの表24を御覧ください。本剤4回目接種後の血清型特異的IgG抗体保有率は、いずれの血清型でも上昇が認められました。主要評価項目において、一部の血清型では事前に規定された非劣性基準を満たさなかったものの、肺炎球菌ワクチンにおける免疫学的エンドポイントは代替指標であり、血清型特異的IgG抗体保有率が臨床的な予防効果を直接的に示すものではありません。
 そのため、機構は、副次的評価項目も含めて、本剤の有効性を検討しました。その結果、本剤接種後にIgGGMCの一定の上昇が認められ、初回免疫及び追加接種により大部分の被験者で事前に規定したIgG抗体濃度に達していること、またOPA抗体保有率及びGMFRについて、一定の上昇が認められた結果から、本剤の有効性は期待できるものと判断いたしました。なお、国内第III相試験では、筋肉内接種の検討もされており、本剤を皮下接種したときと類似した免疫応答が認められました。
 続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書37ページを御覧ください。国内第III相試験における安全性の概要は表30のとおりであり、次のページの表31に、各接種後7日間の局所反応及び全身反応の発現状況をお示ししております。局所反応及び全身反応の発現割合は、本剤SC群とPCV13SC群で同程度であり、ほとんどが軽度又は中等度でした。また、本剤IM群の局所反応は、本剤SC群及びPCV13SC群と比較して発現割合が低く、全身反応の発現割合や発現状況は同程度でした。
 また、審査報告書39ページの表33及び34のとおり、海外3試験の併合解析においても、本剤IM群とPCV13IM群における各接種後7日間の局所反応及び全身反応の発現状況は同程度でした。なお、国内第III相試験において、本剤筋肉内接種後に溺水を原因とする1例の死亡例が認められたものの、本剤との因果関係は否定され、臨床試験成績及び現時点で得られている海外製造販売後の安全性情報から、本剤の安全性プロファイルはPCV13と類似していることから、本剤のベネフィット・リスクに影響を及ぼす重大な懸念ではないと判断いたしました。これらの臨床試験の結果から、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。続きまして議題11につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。こちらのワクチンにつきましても、新規に承認されるものになりますので、新生物学的製剤基準の各条において、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)という各条を新設することになります。資料No.11の6ページ以降に、実際の各条の内容を記しておりますが、こちらについても併せて御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。
○宮川委員 よろしいでしょうか。宮川ですけれども、教えていただきたいのですが、今回、海外はほとんど筋注という形で、国内の場合には筋注又は皮下注で、PCV13の場合には皮下注という形で、この場合の有効性・安全性にどのような違いがありますか。それから、例えばこれが実臨床の中へ入っていくと、皮下注だとか筋注だとかいう場合に、本人、その親御さんも含めて、いろいろな注意をしていかなければいけないのですが、それの場合の資料等はどのように取り扱っていくのでしょうか。副反応部会等含めて、そこにいろいろ上がってくるのでしょうけれども、どのように区別したらいいのか、その辺のところを教えてください。ほかのワクチンでも皮下注又は筋注という投与経路でこれから承認されてくるのでしょうけれども、立て付けとしてどのように考えていくかも含めてです。これは機構だけではなくて、厚生労働省も含めてですけれども、今後の方針というか、今これはCOVID-19へのワクチンで筋注がある程度、国民も医療者も慣れてきたところで、これを皮下に対して承認していくことに関して、どのように考えたらいいのかということを教えていただきたいのですが。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず、皮下注と筋注との違いに関してですが、国内試験の中で皮下注と筋注について、本剤の有効性及び安全性が比較されており、免疫原性に関しては同等の結果が得られております。また、安全性に関して、局所反応は、筋注の方が皮下注よりも発現割合が低く、有害事象や副反応は、両投与経路で特に大きな違いは認められておりません。そのような結果を踏まえ、本邦において、皮下注又は筋注どちらを使うかに関しては、医療者や保護者の判断に委ねられると思います。こちらの使い分けに関しては、申請者としてはPCV13の置換えを考えておりまして、学会等の要望もあり、今回筋注が追加されるわけですが、資材等で適切に情報提供することで、適切に使っていただくことを考えております。また、製造販売後調査も予定されており、皮下注と筋注の違いについて、調査していくことを考えております。
○宮川委員 ありがとうございました。
○清田部会長 第二部会では今まで多くのワクチンを検討してまいりました。それらは外国ではみんな筋注でおこなわれています。なぜ日本だけ皮下注なのかという議論がありました。結局それが日本のマナーなのでマナーに従うと、何か筋注はやりにくいというように私は理解してきました。ですから、免疫原性は、むしろ筋注の方がいいのではないかという、海外の主張なんです。したがって、徐々に筋注に移行するのでよろしいのではないかと考えています。中野先生、ご意見いただけますか。
○中野委員 中野でございます。宮川先生や清田部会長に御指摘いただいたとおりかと思います。一番は小児への筋肉注射ということが、かつて1970年代、これはワクチンではなかったわけですけれども、いろいろな薬剤が出て、不必要にという言い方はちょっと適切ではないかもしれませんが、解熱鎮痛薬とか抗菌薬の筋肉注射を小児にされた時代があったと思います。その頃、大腿四頭筋短縮症という、子供たちに不幸な将来を送らなければならないようなことを、医療行為である程度起こしてしまったものも一定数あることは間違いなかったわけで、小児には不適切な筋肉注射を避けようということで、海外では標準である筋肉注射も、皮下注として審査を行っていただいて、それで運用してきた。小児科学会としても小児に対する不必要な筋注は避けようというメッセージも出しておりましたので、そういうこともあったと思います。
 しかし、歴史を見ても、海外の状況を見ても、ワクチン製剤というのは、通常はそのような筋拘縮症とかは起こさないというのが共通の理解かと思います。では、これから現場でどうしていくのかという、宮川先生からの御指摘で、私たちは小児を扱っておりますと、例えば固定するのは腕の方が楽なときもあるんですね。あと、年長児とかは、なかなか太腿を出すというのが難しいところもあるのですね。それと、世界共通の理解としては、上腕の三角筋が十分に発育するのは、おおむね3歳以上かなと言われています。このように接種部位とかいろんなところもありますが、世界の共通理解としては、生ワクチンは皮下注射、不活化ワクチンは筋肉内注射というのが、その免疫原性と安全性を最大限発揮できる投与経路だということが共通の理解だと思います。順次、そちらに移行していくのでしょうけれども、これは薬事承認を頂いた上で、その後、学会とか行政当局の御協力も、もちろん医師会も全面的に、気持ちを一つにして、どのような接種を子供にしていくのが一番子供にとって健康かというのが大切な視点かと思いますが、これから我が国で築き上げていくべき予防接種手技の一つと理解しております。以上です。
○清田部会長 どうもありがとうございました。知識の整理ができました。皆さんそれでよろしいかと思います。
○宮川委員 宮川ですが、そういう意味では、大腿四頭筋の短縮症を含めて、ワクチン以外で起こってきたという歴史的な背景があります。今後、日本医師会としても、関係学会や厚生労働省と協議しながら、ワクチンの接種体制を、接種部位含めて確立していくのかの検討が必要です。機構にはそういう意味で、この審議品目に対しての有効性・安全性が問題ないのであるということの確認のためにお尋ねしました。今後はそういう大きな考え方の中で、厚生労働省を含めていろいろなワクチンの接種の部位・体制をしっかりと組んでいき、ワクチンスケジュール等の様々なことがありますので、そういう中でしっかりとした体制を作っていただきたいという思いから、少し御質問させていただきました。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、よろしいでしょうか。議決に入りたいと思います。なお、議題4につきまして、亀田委員、川上委員におかれましては、利益相反に基づく申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。議題4につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。続きまして議題11について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題5に移りたいと思います。亀田委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、議題5の審議の間、会議から御退室して御待機していただくことになります。亀田委員は御退室をお願いいたします。
(亀田委員退室)
○清田部会長 それでは、審議事項議題5とその他事項議題1は関連する議題でありますので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、審議事項議題5につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、ミチーガ皮下注用30mgバイアルの製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に記載しています「43分の幾つ」の数字を使用します。
 本剤の有効成分であるネモリズマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン-31受容体Aに対するモノクローナル抗体であり、60mgシリンジ製剤が2022年に13歳以上を対象として「アトピー性皮膚炎に伴うそう痒(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の効能・効果で承認されています。今般、30mgバイアル製剤が6歳以上13歳未満のアトピー性皮膚炎に伴うそう痒及び13歳以上の結節性痒疹に係る効能・効果で、製造販売承認申請されました。
 本申請の専門委員として、資料No.23に記載されています5名の委員を指名しました。
主な審査内容について、効能ごとに臨床試験成績を中心に簡潔に御説明します。なお、有効性の評価方法の詳細は、審査報告書36ページの「10.その他」にお示ししていますので、適宜御参照ください。
 まず、既存治療で効果不十分な6歳以上13歳未満のアトピー性皮膚炎に伴うそう痒について御説明します。なお、アトピー性皮膚炎は、以降「AD」と略します。有効性につきまして、審査報告書12ページの表7を御覧ください。実施された臨床試験では、かゆみの程度を0~4の5段階で評価したスコアであるかゆみスコアを用いて、「投与16週時におけるかゆみスコアのベースラインからの変化量」が主要評価項目とされ、プラセボ群と本剤群との対比較の結果、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。以上より機構は、6歳以上13歳未満の小児AD患者におけるADに伴うそう痒に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
 安全性につきまして、審査報告書17ページの「7.1.R.3 安全性の概要」の項を御覧ください。現時点で既承認の13歳以上のAD患者における安全性プロファイルと比較して、6歳以上13歳未満の小児AD患者に特有の新たな安全性上の懸念は示唆されておらず、13歳以上のAD患者に対する安全対策と同様の対策を講じることが適切と判断しました。
 次に、既存治療で効果不十分な13歳以上の結節性痒疹について御説明します。なお、結節性痒疹は、以降「PN」と略します。有効性につきまして、審査報告書24ページの表20を御覧ください。実施された臨床試験では、そう痒の程度を0~10の11段階で評価したスコアであるPP-NRSを用いて、「投与16週時におけるPP-NRS週平均のベースラインからの変化率」が主要評価項目とされ、プラセボ群と本剤30mg群又は本剤60mg群それぞれとの対比較の結果、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。以上より、機構は本剤のPNに対する有効性は示されたと判断しました。
 安全性につきまして、審査報告書30ページの「7.2.R.3 安全性の概要」の項を御覧ください。現時点で本剤30mg群及び60mg群ともに、13歳以上のAD患者における安全性プロファイルと比較して、PN患者に特有の新たな安全性上の懸念は示唆されていないことから、PN患者に対しても13歳以上のAD患者に対する安全対策と同様の対策を講じることが適切と判断しました。用法・用量は本剤30mg群と60mg群の有効性及び安全性はおおむね同程度であったことから、本剤30mg群の用法・用量である初回に60mg、以降30mgを4週間の間隔で皮下投与と設定することは可能と判断しました。以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断しました。
 本申請は、新効能・新用量医薬品に加え、剤形追加に係る医薬品としても申請されているものの、60mgシリンジ製剤で付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は、60mgシリンジ製剤で付与されている再審査期間の残余期間である令和12年3月27日までとすることが適切と判断しました。
 本剤は生物由来製品に該当し、製剤は劇薬に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 はい、ありがとうございます。それでは、その他事項議題1につきまして、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 本剤は最適使用推進ガイドラインを作成していますので、その改訂について御説明します。資料20を御覧ください。既にアトピー性皮膚炎に伴うそう痒について、最適使用推進ガイドラインが本剤は作られていますが、今回の追加に伴いまして一部再整備を行っています。まず14ページを御覧いただきますと、施設についてということで、実施要件について大きく違いはないですが、一部の記載整備をしています。それから、16ページに対象となる患者に関する記載をしていますが、これは本剤の投与対象となる患者に関する内容の追記を行っています。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。この二つに関しまして、御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。疾患によって年齢の刻みが3歳から6歳、6歳から13歳と何か分かりづらいですね。なぜこうなったのか。開発試験がこうだったからだけの話なのですか。
○医薬品医療機器総合機構 小児に対しましては、段階的に開発が行われています。まず、既承認用法・用量は13歳以上ですが、これは成人と免疫機能等が同様と考えられる13歳以上の患者を対象に開発されました。今回は、被験者自身によるかゆみの評価が可能であると考えられた6歳から13歳に対して開発されて、申請されました。より低年齢層の患者につきましても現在開発中です。
○清田部会長 今後また出てくるわけですね。ありがとうございます。よろしいでしょうか。御質問ありますでしょうか。御質問はないようです。それでは議決に入りたいと思います。川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにします。それでは議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。また、その他議題1につきましても、御承認・御確認いただいたものとします。それでは、ロビーで待機されています亀田委員をお呼びください。
(亀田委員入室)
○清田部会長 続きまして、議題6に移ります。議題6につきまして、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料No.6、サルグマリン吸入用250μgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は審査報告書の下段に青字で記載している「38分の幾つ」の数字を使用します。
 本剤の有効成分であるサルグラモスチム(遺伝子組換え)は、遺伝子組換えヒト顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子、以下「GM-CSF」であり、今般、自己免疫性肺胞蛋白症の効能・効果で製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は令和2年9月に開催されました当部会で御審議いただき、希少疾病用医薬品に指定されています。
 自己免疫性肺胞蛋白症、以下「aPAP」と略しますが、aPAPはGM-CSFに対する自己抗体の過剰産生により、肺胞マクロファージの機能が障害された結果、肺サーファクタントの分解が低下し、異常貯留することで、呼吸不全が引き起こされる疾患です。
 本剤はネブライザーにより吸入投与され、過剰産生されている抗GM-CSF自己抗体の中和及び肺胞マクロファージの分化促進による肺サーファクタントの分解促進を目的として開発されました。なお現時点では、遺伝子組換えヒトGM-CSFの吸入療法に用いる医薬品は、いずれの国又は地域でも承認されていません。
 本申請の専門委員として、資料23に記載されています10名の委員を指名しました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明します。なお、有効性の評価方法の詳細は、審査報告書32ページの「10.その他」に示していますので、適宜御参照ください。
 有効性につきまして、aPAP患者を対象に本剤の有効性及び安全性を検討した医師主導試験であるPAGE試験の成績に基づき御説明します。審査報告書19ページの表10を御覧ください。本試験の主要評価項目は、投与24週時におけるA-aDOで示した、肺胞気動脈血酸素分圧較差のベースラインからの変化量とされ、本剤群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されています。以上より、aPAP患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。
 安全性につきまして、審査報告書27ページの表16、PAGE試験における安全性の概要を御覧ください。検討された例数は限られるものの、aPAP患者に対する本剤の安全性上の重大な懸念は示されておらず、本剤の安全性は許容可能であり、認められた有害事象は適切な安全対策の実施により管理可能であると判断しました。
 なお、臨床試験における本剤のaPAP患者に対する使用経験は非常に限定的であることから、実臨床における本剤の安全性等に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じるため、本剤投与症例全例を対象とした製造販売後の調査の実施を承認条件とすることが適切と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品に該当し原体及び製剤は劇薬及び毒薬のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。以上、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。
○南委員 南ですけれども、確認させてください。臨床試験の選択基準を見ますと、血清中に抗GM-CSF抗体が陽性であることが確認されたことを条件としているのですが、添付文書ではそのことは触れられていないようなのですが、これは考慮してもらうよう促さなくてもいいのでしょうか。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問にお答えします。今回の申請効能である自己免疫性肺胞蛋白症は難病指定されており、診断基準として抗GM-CSF自己抗体が陽性であることと明確に設定されておりますので、あえてこの旨を添付文書に記載する必要はないと判断しております。
○南委員 了解しました。ガイドラインでも測定することが推奨されていますので、それが診断基準に含まれているのであればいいと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。大変な病気だと思います。吉報だろうと思います。それでは議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。ありがとうございます。
 続きまして、議題7に移ります。議題7、山本昇委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題7の審議の間、会議から御退室し、御待機いただくこととします。山本昇委員は御退室をお願いします。
(山本昇委員退室)
○清田部会長 審議事項議題7と報告事項議題2は、関連する議題ですので、まとめて御議論いただくものとします。審議事項議題7及び報告事項議題2につきまして、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 まず、審議事項、議題7、資料番号7、医薬品トルカプ錠160mg他の製造販売承認の可否等について、説明いたします。本剤の有効成分であるカピバセルチブはAKTに対する阻害作用を有する低分子化合物であり、AKTを介したシグナル伝達を阻害すること等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として承認申請されました。令和5年11月時点において、本剤は米国において承認されています。本品目の専門協議には8人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料23を御覧ください。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明します。
 審査報告書の41ページを御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、アロマターゼ阻害剤を含む内分泌療法による治療歴があるエストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者を対象とした、国際共同第III相試験であるCAPItello-291試験の成績が提出されました。
 有効性については、45ページの表29と図1、次のページの表30と図2を御覧ください。CAPItello-291試験において主要評価項目とされたITT集団及びPIK3CAAKT1又はPTEN遺伝子変異陽性集団での無増悪生存期間について、フルベストラント併用下で、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。しかしながら、PIK3CAAKT1及びPTEN遺伝子変異陰性の集団における有効性について確認した結果、53ページの表37、54ページの図9のとおりであり、変異陽性集団と類似した結果であるとは判断できませんでした。以上より、CAPItello-291試験の対象患者のうち、PIK3CAAKT1又はPTEN遺伝子変異を有する患者に対する本剤及びフルベストラントの併用投与の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、56ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤及びフルベストラントの併用投与時に特に注意すべき有害事象は、下痢、高血糖、皮膚障害、腎障害、及びQT間隔延長であり、これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後調査の実施が必要であると判断しています。
 以上のような審査の結果、機構は、内分泌療法後に増悪したPIK3CAAKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。なお、報告事項の議題2、資料番号14、本剤と併用するフルベストラントを有効成分とするフェソロデックス筋注250mgについて、アストラゼネカ株式会社から、用法・用量を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、当該品目についても承認して差し支えないと判断しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方から、御質問を受け付けたいと思います。いかがでしょうか。
○南委員 変異陰性例を除外して承認するのですが、論旨の展開として、全体集団で有効性が示されて、変異陰性例でもハザード比0.79としっかりと有効性が示唆されていると思うのです。しかし、審査報告書の流れとして、一貫して変異陰性例では有効性は示唆されないと読め、それは少し問題があるように感じますが、どうでしょうか。陰性例でも有効性は示唆されていると思います。しかし、有効性の大きさは陽性例と比べれば小さい。有効性は示唆されるけれども、副作用を考慮すると、有用性の点で問題がある。したがって、変異陽性例で承認する、という論旨が正しいのではないでしょうか。そうしないと、今までいろいろな薬を承認してきたわけですが、論旨が一貫しないと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構の考えは、南委員ご指摘の内容と相違ないと考えています。機構は、有効性について、変異陰性集団における有効性の結果が、変異陽性集団と同様の傾向であるとは判断できなかったと、評価しています。その上で、安全性について、重篤な有害事象やグレード3以上の有害事象を含めて有害事象がプラセボ群よりも高い傾向がございますので、リスク・ベネフィットの観点から、投与対象を限定する必要があると判断しました。
○南委員 その無増悪生存期間改善の傾向は示されているのではないでしょうか。同様の傾向は示されていると判断した方がいいのではないでしょうか。そうしないと、今まで承認してきた薬と姿勢が一致しないと思います。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の53及び54ページに、変異陰性集団の結果をお示ししていますが、治験責任医師判定のPFSについては、ハザード比0.79の結果が得られていますが、表37の下の行に示しているBICR判定の結果については、0.85と陽性集団よりもPFSの効果の大きさは小さくなる傾向が認められています。本剤群では、有害事象が比較的高い頻度で認められており、一部の患者において本剤群に割付けられたことが推測可能な状況であったと考えることから、治験責任医師判定のPFSのみならず、BICR判定のPFSの結果も踏まえて評価を行いました。
○南委員 そのBICR判定ですが、この試験のプライマリーエンドポイントは主治医判定だった訳ですから、このBICRの判定を持ち出すのはいかがなものかと思います。この承認は陽性例に限って承認することに私は同意します。ただし、論旨の展開として、やはり副作用の観点から、有用性に基づいて陰性例は除外するということを、明確に前面に出すべきだと思います。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の7.R.2.2、48ページからPFSの評価について記載していますが、本剤の有害事象の発現状況からは、投与群の割付をある程度推則できた可能性もあると考えています。そのような観点から、治験責任医師判定によるPFSのみならず、BICRの結果も重要と考えています。しかしながら、先ほど申し上げましたように、投与対象を変異陽性集団に限定する必要があると判断した主な理由は、機構としてもリスク・ベネフィットの観点と考えており、その点について南委員のご見解と相違ないと考えています。
○南委員 今から審査報告書を変えるというのは大変だと思いますけれども、今後、結論を出すときの審査報告書の書きぶりについては、一貫して、サイエンスに基づいた議論でまとめた方がいいと思いますので、その点だけは意見しておきます。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○清田部会長 基本的には、南先生の御意見が通ったということでよろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。基本的な考え方については、南委員の御指摘のとおりと考えています。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、南委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に基づく申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。また、報告事項議題2につきましても、御確認いただいたものといたします。ありがとうございます。それでは、ロビーで待機されている山本昇委員をお呼びください。
(山本昇委員入室)
○清田部会長 続きまして、議題8に移ります。山口委員におかれましては、利益相反の申出に基づいて、議題8の審議の間は会議から御退室して御待機いただくものといたします。山口委員は御退室をお願いいたします。
(山口委員退室)
○清田部会長 議題8について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料番号8、医薬品ビロイ点滴静注用100mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるゾルベツキシマブ(遺伝子組換え)は、マウス抗ヒトCLDN18.2抗体の可変領域と、ヒトIgG1の定常領域から構成されるキメラ型モノクローナル抗体であり、胃癌細胞などの細胞膜上に発現するCLDN18.2に結合し、CLDN18.2を発現する腫瘍細胞に対して、ADCC活性及びCDC活性を誘導することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。今般、本剤は「CLDN18.2陽性の局所進行性切除不能又は転移性の胃癌」を効能・効果として承認申請されました。令和6年2月時点において、本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議には、9人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料23を御覧ください。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明します。
 審査報告書の25ページを御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として化学療法歴のないCLDN18.2陽性、かつHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者を対象とした国際共同第III相試験であるSPOTLIGHT試験及びGLOW試験が提出されました。
 有効性については、28ページの表25及び図2を御覧ください。SPOTLIGHT試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間(PFS)について、FOLFOX併用下でプラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。また、階層的手順に従って検定が行われた、副次評価項目である全生存期間(OS)の中間解析の結果は、29ページの表26及び図3のとおりであり、プラセボ群に対する本剤群の統計学的に有意なOSの延長が認められました。CAPOX併用下で実施されたGLOW試験においても、同様の結果が得られました。
 以上より、化学療法歴のないCLDN18.2陽性、かつHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者に対する本剤と化学療法との併用投与の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、40ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤と化学療法との併用投与時に特に注意すべき有害事象は、悪心・嘔吐、infusion reaction及び過敏症であり、これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による、有害事象の観察や管理、本剤の休薬等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見がございましたら、どうぞ。
○南委員 この薬は、初回は800 mg/m2、2回目以後は600 mg/m2とローディングドーズを用いていますが、AUCの値を見る限り直線的にに増加しているように見えます。これはローディングドーズを用いる必要はあるのでしょうか。ローディングドーズ用いることにした根拠は何なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の76ページを御覧ください。「7.R.5.1 本薬の用法・用量について」の項の5ポツで、用法・用量の設定根拠についてお示ししております。そのうちの3ポツ目がローディングドーズの設定根拠ですが、開発初期のデータから、ローディングドーズを設定することにより、理論上、効果が期待できる血清中本薬濃度となると想定し、申請者が設定したものです。
○南委員 根拠が薄いような気がします。本当に必要なのか疑問に感じます。用量が異なると、臨床現場は神経を使い、誤投与にもつながりえます。本来であれば、最初から600 mg/m2でもいいような気がします。今となっては仕方ないと思いますが、開発者には、これからは適切な開発をお願いしていただければと思います。
 もう1点ですが、この薬は明らかに催吐作用が強くて、MEC(Moderate Emetogenic)に当たると思います。ランダム化試験でも、化学療法への上乗せで3割以上多く吐いていますので、しっかりと制吐療法をしないといけないはずなのに、臨床試験でステロイドを控えさせていたというのは、開発方針としていかがなものかと思います。添付文書でも、補液をしろとは書いてありますが、制吐剤をしっかり使えとは書いてありません。ステロイドを使っても有効性が落ちることは示唆されなかったと、わざわざ審査報告書に書いてあるぐらいですから、制吐剤をしっかり使ってもらうような添付文書にしておいた方がいいと思います。今の段階では、化学療法と併用するので、しかも臨床試験の成績に基づけばオキサリプラチンと併用するので、制吐剤は当然入ると思います。しかし、今後どういう併用が行われるか分かりません。本剤だけでMECに相当しますので、ステロイドを含めた制吐剤はしっかりと使っていくというのが、倫理的にも求められると思います。その点について、今から添付文書を変えるのは無理でも、資材等で情報提供してもらわないと、これは患者さんが不幸な目に遭うと思います。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 南委員、コメントありがとうございます。機構としても本剤の使用に際して悪心・嘔吐の管理は極めて重要と考えております。今般のSPOTLIGHT試験及びGLOW試験では様々な種類の制吐剤が用いられており、制吐剤の種類別の悪心・嘔吐の発現率等について7.R.3.4で検討させていただきました。また、種類だけでなく、制吐剤を使用するタイミングや、本剤の2回目、3回目の投与の際にも必要かなど、慎重に検討した結果、様々な情報が得られました。当該情報については詳細なデータも含めて資材にまとめる予定ですので、資材を御覧いただいた上で、先生方に使っていただければと考えております。
○南委員 本来であれば、臨床試験のデザインが間違っていたと言っていいぐらいだと思います。
○清田部会長 厳しい御意見をありがとうございます。結構きつそうな薬ですよね。
○南委員 安直に使われると大変なことになると思いますので、しっかり制吐剤を併用することは徹底しないといけないと思います。
○清田部会長 制吐剤も余り効きそうもないような感じでしたね。
○医薬品医療機器総合機構 今回得られたデータからは、制吐剤の使用により明確に悪心・嘔吐の発現率が低下するという結果は得られませんでした。ただ、南委員のご指摘はご尤もですので、製造販売後調査において、適切な制吐剤の種類や使用タイミングについて慎重に検討するよう申請者に申し伝えます。
○南委員 半減期が長い薬ですので、催吐作用の期間も長いと思います。難しいとは思いますが、是非うまい方法を考えるように伝えてください。
○清田部会長 十分な御説明をお願いしたいと思います。ほかに御意見はございますか。ありがとうございました。議決に入りたいと思います。中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくものといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。ロビーで待機されている山口委員をお呼びください。
(山口委員入室)
○清田部会長 続きまして、議題9に移ります。機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料番号9、医薬品エルレフィオ皮下注44mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。資料9、審査報告書の78分の7ページを御覧ください。本剤の有効成分であるエルラナタマブ(遺伝子組換え)は、ヒトCD3及びBCMAに対する抗原結合部位を有する二重特異性抗体です。本剤は、T細胞表面のCD3と、骨髄腫細胞表面のBCMAの両者に結合することにより、BCMAを発現する腫瘍細胞に対して、T細胞依存性の細胞障害活性を誘導し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。今般、本剤は再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として承認申請されました。以下、多発性骨髄腫を「MM」と略しますが、令和5年12月時点において、再発又は難治性のMMに係る効能・効果で、34の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議には、9人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料23を御覧ください。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。
 審査報告書の30ページを御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、再発又は難治性のMM患者を対象とした国際共同第II相試験である03試験の成績が提出されました。
 有効性については、審査報告書の31ページの表25を御覧ください。免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38抗体医薬品による前治療歴を有する再発又は難治性のMM患者を対象とした03試験のコホートAにおいて、主要評価項目の奏効率61%であり、事前に設定された有効性の達成基準を満たしました。以上の結果等より、本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書の36ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において、特に注意を要する有害事象として、サイトカイン放出症候群(CRS)、神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)、感染症、血球減少、低γ-グロブリン血症及び間質性肺疾患が認められています。特にCRSについては、重篤化や死亡に至る可能性がある事象であり、また、本剤の投与初期に特に認められます。このため、投与初期の入院管理下でのモニタリングや発現時の処置も含め、適切な対応がなされる体制下で本剤が投与される必要があり、適正使用に当たって必要な措置を講じることを承認条件とすることが適切と判断しました。このようなCRS等の本剤の副作用管理について、適切に対応可能であることを前提として、本剤は忍容可能と判断しました。なお、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断しました。
 以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方から、御質問等がございましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、報告事項の議題に移ります。報告事項議題1及び3~7について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 では、報告事項について御説明します。資料は、資料12に報告事項をまとめておりますので、こちらを御覧ください。まず、議題1~5関係として、製造販売承認及び製造販売承認事項一部変更承認についてです。
 まず、資料13関係です。販売名は「アブリスボ筋注用」、申請者は「ファイザー株式会社」です。申請の概要ですが、60歳以上の者におけるRSウイルスによる感染症の予防に係る効能・効果及び用法・用量の追加に関する申請があったものです。
 議題2、資料14関係です。販売名は「フェソロデックス筋注」、「アストラゼネカ株式会社」が申請者。申請の概要は、乳癌に係る用法・用量の変更をするものです。こちらは、既に審議事項の中で御説明させていただいたものです。
 議題3、資料15関係です。販売名が「キイトルーダ点滴静注」で、申請者は「MSD株式会社」。申請の概要は、治癒切除不能な進行・再発の胃癌に係る効能・効果、用法・用量の追加を行うものです。
 議題4、資料16関係です。「5-FU注」ということで、「協和キリン株式会社」の申請です。こちらはキイトルーダと併用して使用するものです。治癒切除不能な進行・再発の胃癌に係る効能・効果、用法・用量の追加をするものです。
 最後、議題5、資料17関係です。「シナジス筋注用」、申請者は「アストラゼネカ株式会社」です。申請の概要としては、こちらに記載のとおり、投与可能なリスク因子を追加する形での効能・効果の追加です。これらの品目につきまして、機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断しております。
 続いて、次ページ、医療用医薬品の承認条件についてです。まず資料18-1関係、1品目目です。「アイクルシグ錠」です。「大塚製薬株式会社」が承認取得者であり、こちらに記載の効能・効果について、全例調査に係る承認条件が付与されておりまして、今般、全例調査の報告書が提出されて、機構における評価の結果、承認条件が対応されたものと判断しております。
 資料18-2、「ビラフトビカプセル」ですが、こちらにつきましても、同様に全例調査の承認条件が付与されており、報告書が提出されておりますので、機構における評価の結果、承認条件が対応されたものと判断しております。資料18-3も同様です。
 資料18-4です。こちらは「献血ヴェノグロブリン、献血グロベニン及び献血ベニロン」です。申請者、承認取得者は記載のとおりで、対象となる効能・効果は「川崎病の急性期」となっております。こちらにつきましては、承認条件として、市販後調査を実施して、副作用発現、臨床効果等に関するデータを収集する承認条件が付与されておりましたが、今般、この報告書が提出されまして、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 次ページから、「コミナティ」と「スパイクバックス」です。まず、資料18-5関係、「コミナティ」ですが、RTU筋注1人用と、6か月から4歳用のもの、いずれにつきましても、長期安定性に係る情報が承認時に限られていたことから、これを引き続き情報収集し報告するという承認条件が付与されておりました。今般、「ファイザー株式会社」から製剤の長期保存試験結果が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 最後に、資料18-6、「スパイクバックス」です。こちらにつきましては、承認時において品質に係る情報が限られていたことから、引き続き情報収集して報告するという承認条件が付与されておりました。こちらにつきましても、製剤の品質に係る資料が提出されて、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 それから、これらの品目に関連しまして、資料21において、新型コロナワクチンの用法・用量に係る記載整備について併せて御説明させていただきます。
○事務局 事務局から、資料21に関して御説明いたします。こちらに関しては、報告事項の議題6において、コミナティ及びスパイクバックスの承認条件の解除を御説明したところですが、これらのワクチンは来年度以降、他の新型コロナワクチンも含めて、パンデミック対応ではなく、通常のワクチンとして、定期接種、あるいは任意接種に用いられることが想定されております。そこで、この度、資料21にお示ししておりますように、新型コロナワクチンの用法・用量の記載整備、シンプル化を行おうと考えております。新型コロナワクチンの用法・用量につきましては、現在は、一部の品目を除いて、いわゆる新型コロナウイルスに対してナイーブな者に接種することを想定した初回免疫として、まず2回の接種。その次に、初回免疫が終わった者に対する追加免疫として1回の接種、追加免疫として1回、これは何回かやっていきますが、そういった形での用法・用量が規定されております。
 一方、米国や欧州、諸外国では、新型コロナワクチンの接種率や新型コロナウイルスへの感染歴、こういったものを踏まえ、既に多くの国で、大半の国民が新型コロナウイルスに対する何らかの免疫を有している状況にあることから、新生児、乳幼児、こういったところを除いて、通常1回接種するというシンプルな用法・用量に変更されている状況にあります。
 我が国につきましても、官邸のホームページ等にも記載されておりますが、現在までに国内で新型コロナワクチンの初回免疫を完了した者は、もう50歳以上で90%以上、20歳以上でも80%以上。学童、12~19歳、あるいは5~11歳になりますと、一定程度、まだ初回免疫を完了していない、初回免疫としてのワクチン接種を打っていないという方々もいらっしゃいますが、一方で、ここ最近の新型コロナウイルスの抗体保有率の全国調査が行われておりまして、そちらの結果を見ますと、既に5歳以上の全年代で抗S抗体の保有率が85%を超えているという状況。抗N抗体、こちらに関してはワクチンではなくもう感染したということですが、抗N抗体についても、5~29歳では約70%が陽性といった状況になっております。これらを考えますと、我が国においても、5歳以上の年齢層では、新型コロナウイルスの感染歴、あるいは接種歴を考慮して、諸外国と同様に新型コロナウイルスに対して完全にナイーブな者はほとんどいない社会環境になっていると、こちらとしては考えております。
 したがいまして、今後は、いわゆる事実上、初回免疫に該当するような者はほとんど想定されないという環境にある。そこで、対応方針にお示ししておりますように、来年度以降、今後も使用が想定される各社の新型コロナワクチンの用法・用量につきましては、こういった社会環境の変化に合わせて、追加免疫を行う場合の用法・用量を主とした記載に整備することを進めております。ただ、使用上の注意としては、過去に接種歴、ワクチンを全く接種したことがない方に関しては、2回目接種を行うことができることを注意喚起しまして、いわゆる初回免疫的な使い方もできるようにはしてまいりますが、基本的には、毎年1回追加免疫を行うという形の用法・用量に記載を整備することを考えております。何かお気付きの点等ございましたら、委員の先生方から御意見を頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。
○事務局 すみません、最後にもう1点だけ、再審査だけ御報告させてください。
○清田部会長 はい。
○事務局 恐縮ですが、元の資料12に戻っていただきまして、再審査の結果について御報告いたします。資料の最後から2ページです。本日御報告する再審査の品目につきましては、こちらに記載の4品目です。上から順に、「プレペナー13」、「ヴェムリーD錠」、「ヴォトリエント錠」、「キイトルーダ点滴静注」です。対象等の適応は記載のとおりですが、いずれの品目につきましても、機構における審査の結果、用法・用量、効能・効果の変更の必要のないカテゴリー1と判断しております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今までの御説明で御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、この報告事項につきましては御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告がございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は令和6年5月9日(木)午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それから、本日の部会をもちまして、島田委員と渡辺委員が御退任になります。今まで本当にありがとうございました。お疲れ様でした。まずは、島田委員、今日来ていただいておりますので、御挨拶をお願いできればと思います。
○島田委員 鳥取大学医学部附属病院の島田と申します。2年間、この委員を拝命いたしまして、新型コロナウイルスの国内での治療薬、それからワクチンの承認に関わらせていただきました。私が最初に出席した部会での審議はゾコーバであり、また、本日最後の審議会もゾコーバの再承認ということで私の中で印象に残っております。薬物代謝を専門とする者としてこのような化合物が医薬品として上市されることに疑問を抱き、ゾコーバの最初の審議の時は、かなりいろいろな意見を言わせていただきました。お役に立てることが少なかったかと思いますが、医療現場にいる者として本委員を務めさせていただき、改めていろいろな勉強をさせていただいたと思います。2年間、どうも大変お世話になりました。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございました。本当にお疲れ様でした。それから、続けて渡辺委員、御挨拶をお願いできればと思います。
○渡辺委員 私もかなり勉強させていただきました。取り分け印象に残るのは、厚労省の方々、それから機構の方々がものすごい仕事をきちっとやられて、非常にインパクトの強いデータを出してきてくれて、非常に勉強になりました。また機会があれば参加したいと思いますが、なかなか、もう二度とやりたくないなと思う気持ちもありますので、どうもお世話になりました。
○清田部会長 渡辺先生、本当にありがとうございました。皆さん拍手をお願いいたします。
(拍手)
○清田部会長 どうもありがとうございました。私自身も渡辺先生にいろいろ御指導を頂きました。感謝を申し上げます。それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。本当にお疲れ様でした。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)