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- 第181回社会保障審議会医療保険部会 議事録
第181回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和6年8月30日(金)14:59~17:00
場所
全国都市会館 大ホール
議題
- 1.マイナ保険証の利用促進等について
- (報告事項)
- 1.後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しの影響について
- 2.医療DXの更なる推進について
議事
- 議事内容
- ○姫野課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第181回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、本日は御多忙の中、また、大雨で足元が厳しい折、御参加いただきましてありがとうございます。
まず、委員の異動がございましたので御紹介いたします。
池端幸彦委員が退任となり、新たに、日本病院会副会長、島弘志委員が就任なさっています。後ほど御挨拶を賜れればと思います。
次に、事務局に人事異動がありましたので、御紹介をしたいと思います。
まず、本日欠席でございますけれども、保険局長として鹿沼が着任してございます。
続きまして、大臣官房審議官(医療保険担当)の榊原でございます。
○榊原審議官 榊原と申します。よろしくお願い申し上げます。
○姫野課長 続いて、大臣官房審議官(医療介護連携、データヘルス改革担当)の神ノ田でございます。
○神ノ田審議官 審議官の神ノ田でございます。
○姫野課長 総務課医療保険制度改革推進官の土岐でございます。
○土岐推進官 土岐と申します。よろしくお願いいたします。
○姫野課長 保険課長の佐藤でございます。
○佐藤課長 よろしくお願いいたします。
○姫野課長 保険課診療報酬改定DX担当企画官の東でございます。
○東企画官 東でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○姫野課長 国民健康保険課長の唐木でございます。
○唐木課長 よろしくお願いいたします。
○姫野課長 医療介護連携政策課長の山田でございます。
○山田課長 よろしくお願いいたします。
○姫野課長 医療介護連携政策課保険データ企画室長の河合でございます。
○河合室長 よろしくお願いいたします。
○姫野課長 あと、本日欠席ですけれども、医療介護連携政策課医療費適正化推進室長として、吉川が着任してございます。
同じく、本日欠席ですが、医療課長として林が着任してございます。
続いて、医療課保険医療企画調査室長の米田でございます。
○米田室長 よろしくお願いします。
○姫野課長 また、本日欠席でございますが、医療課歯科医療管理官の和田が着任してございます。
そして、医療課薬剤管理官の清原でございます。
○清原管理官 よろしくお願いいたします。
○姫野課長 最後になりましたが、私、総務課長の姫野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は内堀委員、河野委員、任委員より御欠席の御連絡をいただいてございます。
また、伊奈川委員より、途中から御出席との連絡をいただいております。
また、村上委員につきましては、少し遅れていらっしゃいますけれども、後ほどお見えになるということでございます。
本日の会議は、傍聴希望者向けにユーチューブにおいてライブ配信を行っておりますので、申し添えたいと思います。
なお、会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思いますので、カメラの方は退席をお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○姫野課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 まず、初めに、先ほど事務局からの御紹介のとおり、新たに委員が就任なさっております。
島委員より一、言御挨拶を賜れればと思います。
では、よろしくお願いいたします。
○島委員 日本病院会の島でございます。
本日から参加させていただくことになりましたので、しっかりいろいろな審議をしながら、この審議会が、もっともっと充実していくように尽力させていただきたいと思います。
田辺先生には、中医協時代に、いろいろと御指導を承っておりまして、今回も、これから、どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
次に、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。
内堀委員の代理として根本和代参考人、それから任委員の代理として木澤晃代参考人、以上2名の出席につき御承認賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 よろしゅうございますか、ありがとうございます。
それでは、早速、議事のほうに入ってまいりたいと存じます。
本日は「マイナ保険証の利用促進等について」を議題といたします。
では、まず、このマイナ保険証の利用促進等について、事務局のほうから資料の説明のほうをお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○山田課長 医療介護連携政策課長の山田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
資料の1「マイナ保険証の利用促進等について」の1ページへおめくりください。
「オンライン資格確認の利用状況」でございます。
左側のグラフがオンライン資格確認の利用件数、真ん中がマイナ保険証の利用件数と利用率になっております。
利用件数は、6年7月で2281万件であります。
利用率は、分母をオンライン資格確認の利用件数、分子をマイナ保険証の利用件数としまして、令和6年7月は11.13%となっております。
1ページの下のほうでありますけれども、参考としまして人に着目した割合というものを推計で出しております。令和6年7月の1か月で、マイナ保険証の利用人数が1182万人でございました。この月に医療機関に受診した人の推計値は6860万人ということでありますので、この1か月に医療機関を受診した人のうち、マイナ保険証を利用した人の割合の推計を算出すると、以下のとおりとなります。
医療機関受診者に占めるマイナ保険証の利用者の割合は17.2%。
その中で、マイナ保険証を登録している人に限ってみますと、医療機関受診者に占めるマイナ保険証利用者の割合は28.9%と、こういう数字になっております。
次のページをお願いいたします。
「マイナ保険証の利用促進集中取組月間における取組について」でございますが、本年5月から7月までをマイナ保険証利用促進集中取組月間と位置づけておりました。
医療機関・薬局、保険者、事業主、行政など、医療に関わる全ての主体の方が一丸となって取り組んでいただきました。ありがとうございます。
その集中取組月間における効果、結果を3点御紹介したいと思っております。
1つ目のポツでありますが、医療機関・薬局における窓口での声かけなどの取組。
2つ目のポツでありますが、集中的な広報。
3つ目、地域の関係団体や保険者に対しまして大臣が表彰をさせていただきました。
これらの3つについて説明をさせていただきたいと思います。
下段でありますが、医療機関・薬局における取組であります。5月から7月までの毎月、オンライン請求を実施している全施設に対しまして、アンケート調査を実施しております。
左側のグラフを見ていただきますと、声かけをしたかどうか、ポスター掲示をしたかどうかなどなどについて、グラフになっておりますが、全て実施がというオレンジのようなグラフであります。2024年5月から7月にわたりまして、5%から39.1%の方々が窓口での声かけ、ポスターの掲示、チラシの配布の全てに取り組んだ施設ということになります。
右側でありますが、特に薬局におきまして、全て未実施という一番右の紫色のところが、16%から3%にまで減少しております。
次のページをお願いいたします。周知広報についてであります。
厚生労働省におきまして、5月と8月に18歳以上のマイナンバー保有者に対してアンケートを実施しております。
左側のグラフでありますが、約5人に2人がマイナ保険証を利用したということであります。
また、真ん中のグラフであります。各種メリットの認知度をアンケートしておりますが、認知度は総じて向上しております。特に高額療養費における限度額認定証が不要となること、救急現場においてメリットがあることについて、他のメリットよりも認知度の向上率が高くなっております。
一方、右側の図でありますけれども、紛失リスク、個人情報の観点、漏えいの観点から不安に感じる方が一定割合程度存在しております。
4ページ。8月の意識調査のうち幾つかの結果を御紹介させていただきたいと思います。
あなたは、マイナンバーカードを持ち歩いていますかという問いに対して、財布などに入れて、いつも持ち歩いていると答えた方が5割。
2つ目でありますが、あなたは、7月に訪れた医療機関または薬局でマイナ保険証を利用しましたかという問いに対しまして、マイナ保険証登録者に限ってでありますけれども、そのうち4割はマイナ保険証を利用したと回答しております。
下でございます。7月に通院機会があったマイナ保険証利用登録者につきまして、さらにマイナ保険証を常に持ち歩いている者に限って調べてみますと、約5割超がマイナ保険証を利用したと回答しております。
5ページでありますが、マイナ保険証を使ってみてどのように感じましたかという質問に対しましては、約9割の人がマイナ保険証を利用して特段不便さを感じていなかったと回答しています。
マイナンバーカードを保険証として利用したいと考えていますかという質問に関しましては、約4人に1人が利用に消極的であります。ただ、その割合は5月が28.8%と、8月が24.5%と微減しております。
一番下でありますが、マイナ保険証を利用したことがあると回答した方のうち、4人に3人が今後も利用したいと考えていると回答しております。
6ページであります。3つ目の大臣表彰についてであります。
大臣表彰の取組としまして、今年4月の利用実績が高い都道府県、関係団体に対して表彰を実施いたしました。
都道府県別のマイナ保険証の4月から7月までの利用実績の伸び率を記載しております。
赤色が、伸び率が一番高かったところで富山県、黄色が上位5県、灰色が下位5県となっております。
大臣が表彰させていただいた県が○で書いてあります、岩手、福島、富山、石川、福井、鳥取、宮崎、鹿児島ということになります。
7ページであります。「マイナ保険証のさらなる利用促進の取組について」というペーパーでありますが、現行の健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する12月2日を見据えて、以下の取組を実施してはどうかというものであります。
2点書かせていただいておりまして、①が「マイナ保険証の利用実績が低い医療機関・薬局に対する個別アプローチ」であります。
マイナ保険証の利用実績が著しく低い医療機関・薬局の中には、患者がマイナ保険証を使う機会を奪っているものも考えられ、その場合には、療養担当規則違反となるおそれがある。
マイナ保険証の利用実績が著しく低い医療機関・薬局に対しては、マイナ保険証の利用促進に当たり困っている場合の支援や、地方厚生局が個別に事情を確認するなどの働きかけを実施する。また、働きかけの対象となることについて、メールなどで個別に医療機関・薬局に対して事前に周知をする。
利用実績が著しく低い医療機関・薬局に対して、マイナ保険証を利用するに当たって困っていることはありませんか、どうして実績が伸びないのですかといったところもお聞きしつつ、そういった場合の困難な点について支援をするとともに、地方厚生局が個別に事情を確認する等の働きかけを実施したいと思っております。
加えて、10月から医療DX推進体制整備加算の最低利用率が適用されることも踏まえまして、利用促進の取組を改めて呼びかけていきます。
2点目でありますが「マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行を見据えた周知広報」であります。
これまでの周知広報におけるキーメッセージ、※の1番でありますけれども、これまでの周知広報におけるキーメッセージをでありますが、下のほうに記載しております、「12月2日で現行の健康保険証の新規発行が終了する」ことですとか、「病院・薬局ですぐに利用登録できる。」「救急の現場など様々なメリットがある。」「まずはマイナ保険証を利用してみて。」このようなキーメッセージをしておりましたが、それに加えて施行を直前に踏まえますこともあり、国民の不安の解消につながるような広報を加えていってはどうかと考えております。「マイナ保険証が使えない場合でも、適切な自己負担で保険診療が受けられる。」
あと、※の2として下のほうに記載しておりますが、「マイナ保険証が使えない、何らかの事情でマイナンバーカードにおけるオンライン資格確認を行うことができない場合であっても、マイナポータルの活用、資格情報のお知らせ、こういったものをマイナンバーカードの組み合わせなどで保険診療が受けられます。」
「マイナンバーカードを取得していない方や健康保険証の利用登録をしていない方などにも対し、資格確認書がプッシュ型で交付されます。」「マイナンバーカードには、プライバシー性の高い情報は入っていないため、安心・安全に御利用ください」というようなメリットを周知したいと思っております。
また、周知広報の対象ごとに実感してもらいやすいと考えられるメリットを訴求していきたいと思います。
例えば、旅行会社の方々とタイアップをしまして、旅行先にマイナンバーカードを持って行ってください。こういったような周知を行いたいと思っております。
以下、参考資料でありますが、簡単に御説明をいたします。
9ページ「マイナ保険証に関する現状」です。
9300万人の方がマイナンバーカードを保有し、うち7450万人がマイナ保険証を登録。
マイナンバーカードを持ち歩いている方々はカード保有者の50%、マイナンバーカード保有者の利用経験は5人に2人となっております。
10ページは「施設類型別のマイナ保険証利用率の推移」となっております。令和6年7月の値を入れております。
11ページは、マイナ保険証の利用割合ごとの施設数の分布であります。令和5年12月の分布が薄色、令和6年7月の分布が濃い色でありますけれども、全体、各施設累計ごとに、右側に移っていくことが読み取れます。
12ページは飛ばしまして、13ページでありますが、顔認証つきカードリーダー増設の支援、8月まででありましたところを、11月まで延長させていただきたいと思います。12月2日の直前まで、カードリーダーの増設の支援を延長したいと思っております。
14ページ、同じくマイナ診察券のほうでありますけれども、デジタル庁の補助金につきましても11月末まで延長することを御報告いたします。
16ページ、17ページは、診療報酬の参考資料でありまして、18ページは、この4月以降周知広報事業でどのようなことを行ったかを取りまとめました。政府広報でしたり、デジタル庁、また、厚生労働関係でも様々な方々に御協力いただいております。
厚労省の中の真ん中辺りに「健保連」と書かせていただいておりますが、特に健保連の方々にも非常に大規模な周知広報をしていただきました。ありがとうございます。
19ページ、都道府県別のマイナ保険証の利用率であります。
20ページ、施設類型別・都道府県別の利用実績が21ページまで続きます。
22ページ、大臣の表彰の仕組みでありまして、23ページがその結果であります。4月の利用率に基づき表彰しましたが、鹿児島、富山、石川、こういったところが高くなっております。
少し飛ばしまして、26ページ「登録済みデータの確認作業の結果」でありますが、検知された御登録数539件、真ん中辺りに記載させていただいております。令和6年7月末現在539件、上記御登録数のうち薬剤情報等が閲覧された件数が16件となっております。
以上、私からの御報告、御説明になります。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明のほう、ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。3点コメントしたいと思います。
まず1点目は、この資料の1ページにもございましたけれども、全体でのマイナ保険証利用率は11%程度ですが、マイナ保険証登録者に占める利用者の割合は約3割に達しているという報告をいただきましたので、一定の成果が上がってきていると受け止めております。現在、多くの健保組合が、11月末時点で5割という目標に向けて鋭意努力をしているところでございますけれども、個々の健保組合が取組の成果を実感できるような数値の提示をお願いできればと思います。
2点目は、資料の中に、マイナ保険証の利用実績が低い医療機関・薬局に対する個別アプローチという記載がございますけれども、マイナ保険証のさらなる利用促進に向けては、非常に重要な取組だと思います。どういった医療機関や患者特性において実績が低いのかについては、厚労省でぜひ分析をいただいた上で、対応策を検討いただければと思っています。
それから、資料にございましたけれども、紛失リスクや個人情報の観点で、不安を感じている人の割合が減っていないとのことなので、この不安払拭のために、保険者または医療機関の働きかけだけではなくて、最終ページに安全性の話がございましたけれども、ぜひこういった点も含めて、国のほうとしての周知広報を強化いただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
では、意見を述べさせていただきたいと思います。
周知広報の資料をいただいて、今も佐野委員がおっしゃったように、暫時改善していることはいいと思うのですが、3ページのように周知広報でアンケート的な調べをしていただいているのはありがたいと思いました。
真ん中ほどに、各種のメリットの認知度というのがあって、限度額認定のこととか、救急時の対応とかが出ていますけれども、その大前提のところで、特定健診のデータとかが分かるということで、一番上に68%とか出ています。
こういったよさを生かしていくというのは物すごく大事なので、これらをより推進して、赤囲みの4番、8番、救急と限度額認定等について、より多くの人にもっともっと知っていただくことが必要だと思いました。
また、右側には不安、懸念のことが書かれていて、これは非常に貴重なデータだと思っています。やはり、まだなかなか進まない理由の1つのことが、ここで分かってくると思うのですが、1つは持ち歩いて紛失のおそれがある。また、個人情報がまとまって管理されることが不安だということが出ていますが、例えば、いただいた参考資料の最後のページを見ますと、マイナンバーカードの安全性というのが、24ページに出ています。ここで非常に分かりやすく表示されていまして、「なりすましはできない」、「プライバシーの高い個人情報は入っていません」、「オンラインでの利用には電子証明書を使いますので、マイナンバーは使えません」、「マイナンバーを見られても個人情報は盗まれません」とあります。
こういった極めて基本的で、骨子になるところ、ベースになるところを再度というか再三でもいいのですけれども、やはり正しく知っていただくことが何より大事だと思いました。
やはり理解していただくには、1、2番で出ている不安に関しては正しい説明を繰り返し行って、正しい情報提供をしっかりしていくことが基本だと思います。
また、一番下のほうには本人の確認の誤りなどが心配だと、これは報道で大きく報じられて不安感が広がったと思うのですけれども、このことについて、やはり政府並びに厚生労働省の広報の中で、しっかりと広報していくことが極めて重要だと思います。
そういった意味では、努力していることを着実にお知らせすることと、今のマイナンバー制度、特にマイナンバーカードの安全性とかも資料が簡単にありましたけれども、やはり「事実に語らせて、事実を伝えていく」というのがいいと思うのです。意見として、こう思うとか、右に考える、ではなくて、事実としてこれだけ改善をしているので、このことをしっかりエビデンスとしても証明されているし、今後やっていけば、より安全ですよという伝え方を基本にやっていくべきだと思っています。
よく広報のことをPRといいますね、パブリック・リレーションズ、これはパブリックだから、より多くの人々に、リレーションズというのは、関係というもともとの意味がありますが、専門の方に聞くと、これは単なる宣伝のことではなくて、双方のコミュニケーションを図る中で、伝えたいほうが伝えていくことの受け手側に立ってよく考えてみたり、受け手の立場をより理解するには、どのように伝え方を工夫したらいいかなどなど、様々なことを工夫していって、お互いの情報の共有、意思の疎通、そして理解、そして納得の上でいろいろなことをお互いに協力できるようにしていくのが、パブリック・リレーションズの基本だと聞いていますので、ぜひそういった観点を重視しながら、今後やっていただきたいなと強く思ったのが1点目です。
もう一つは、これに関連してなのですけれども、これは医療費に関してもリンクしてくると思います。ぜひ今後改善してほしいのは、医療費に関するデータを整理統合、そして、提供できるようにしていただいて、確定申告に間に合うように情報提供されることをぜひ期待したいと思っています。
そのことが進むと、年明け早々の確定申告の作業、個人でも、あるいは法人でも、なかなか煩雑の部分がありますけれども、海外では、こんなものはオンラインで簡単にやっているわけですね。それは期間的に期間を限定してかもしれませんけれども、ちゃんとそこの手続に間に合うようなデータの集積とその確認、そして本人確認の上でちゃんと課税対象として確定申告の処理をするというのが、実際に行われているわけなので、そういった方法をぜひ政府としても調べていただいて、確定申告の時期に間に合わせるということも、ぜひやってほしいと思っています。
そのことによっても、どれだけ多くの事務煩雑さが解消できるか、そして心痛している方々も、もっと負担感が少なくできるか、いろいろな意味でメリットが出てくると思います。そもそも税と社会保障制度に関する番号制度というのは、マイナンバーのそもそもの発端ですけれども、まさにそういった税のことも含めて非常に重要だと思いますので、このことも厚生労働省から、デジタル庁あるいは総理官邸に働きかけていただいて、そういったことの必要性をお伝えいただくことがとても大切だと思っています。
様々な努力が折り重なって、だんだん改善が見られてきていることに、すごくうれしく、頼もしくも思いましたし、できたらもっともっと加速していかなくてはいけないなという思いを強くしましたので、我々もできる範囲でいろいろな努力をしていきたいと改めて感じました。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 それでは、発言させていただきます。
マイナ保険証について、医療機関や薬局で利用促進に向けて、既に様々な御努力をいただいていると理解しております。
こうした努力が実る形で、マイナ保険証の利用率は徐々に伸びておりますが、健康保険証の新規発行停止が目前に迫っているという状況を踏まえますと、利用率は必ずしも十分ではなく、いまだ低いと言わざるを得ないかと認識しております。
既にこの部会でも、これまでの間様々な促進策を議論しており、さらに17ページでは、診療報酬上の評価による対応も予定されております。
12月の健康保険証の新規発行停止以降も混乱を来さずに、マイナ保険証利用が基本となっていくよう、取組と意識醸成に努めていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、渡邊委員、よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
薬局におけるマイナ保険証の利用については、スライド2でお示しいただいているように、声かけやツールの活用等で、現場の取組が促進され、利用率を伸ばしているところです。ただスライドの3から5の部分にあるアンケートについては、ウェブでのアンケートということもあり、ITリテラシーという部分において、一定のバイアスがかかっているかと思います。実際はスライド1の数字とは少し乖離が生じているかと思います。もちろん、現場では今後も利用促進に取り組んで参るところですけれども、国におかれましては、オンライン資格確認をベースにした利用実績というのは、まだ1割程度ですので、現場の実情という部分を御理解いただいて、12月2日に向けた推進、施策の対応をお願いしたいと思っています。
このスライド7に示されている利用促進の取組について、1点質問と1点要望をさせていただきたいと思います。
質問ですけれども、利用実績が著しく低い施設と示されているのですが、具体的にどのような施設を指しているのか、何か基準があれば教えていただきたいと思います。
それと1点要望なのですが、ここのところ、現場でカードリーダーを通された際に、更新期限が近づいているという旨の表示が出る方がおられます。これはどうすればいいのですかという質問を受けるのですけれども、ぜひ電子証明書の更新に関しては、受療されていて、それでカードリーダーを通された方が見て、そういう質問につながっていますが、日常から受療行動がない方にとっては、いざ受診が必要になったときにマイナンバーカードが使えない、認証されないということが起こり得ますので、なるべく早い段階から分かりやすい方法で、国から更新に関する部分での啓発や周知については、お願いしておきたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点御質問がございました。利用実績が著しく低いというのに、基準はどういうものなのかということでございます。回答のほうをお願いいたします。
○山田課長 ありがとうございます。
今回、資料でお示ししました利用実績が著しく低い施設に対する働きかけという意味では、資料のほうにも書いてありますが、療養担当規則違反となるおそれがあるのかどうか、患者がマイナ保険証を使おうとしたときに全く使えないと、こういったような状況になっていないかどうかという観点だと思っております。
実態として、マイナ保険証が使えない状態にある施設ですとか、マイナ保険証を使わせていないような施設に対して、そのような状態になっている事情をお聞きしたいというものでありますが、マイナ保険証を利用していない施設におきましても、実は、利用させていないのではなくて、利用してもらうのに困っている施設もあるのではないかという観点もあります。
資料のほうにもマイナ保険証の利用促進に当たり困っている場合の支援というのも併せて書かせていただきました。利用実績が著しく低い医療機関・薬局に対しては、何かお困りごとはありませんかという支援とともに、こういった働きかけを行っていきたいと思っております。
具体的に対象となる施設の詳細については、今ここで一概にお答えするまで集められておりませんが、また、引き続き検討させていただきたいと思っております。
また、要望のほうでマイナンバーカードの電子証明書の件もいただきました。マイナンバーカードの電子証明書については発行から5年間が有効期限とされています。この更新期限が切れるときは、3か月前からJ-LISより更新手続の案内が送付されます。従って、ふだん受診されていない方もJ-LISのほうから3か月前にお知らせは行くことになります。
それとは別に、受診された場合に医療機関等のカードリーダーで更新のアラートが表示されることになります。
また、本年12月からは有効期限が切れた3か月間は、引き続き資格確認を行える改修をしようと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 渡邊委員、よろしゅうございますでしょうか。
○渡邊委員 はい、分かりました。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
2点ばかり申し上げたいと思うのですが、1つはアンケート調査です。これは、ウェブ調査とのことですが、ウェブ調査はどうしても若い男性に偏るのではないかと思うので、性別、年齢別の構成を知りたいと思うのです。それで、高齢の方がどれだけ入って、特に高齢の女性がどのぐらい入っていたかということを知りたいと思います。
それから、質問で気になったのは、何か特に不便なことはないという聞き方をしていますが、社会調査では、こういう聞き方をするのはよくないのですね。こういう消極的な聞き方はよくない、もっとポジティブに、とてもよかったとか、そういう前向きな質問をしないと、こういうネガティブな形で聞いたものを読み替えるのは、よくないと思っております。
それから広報ですけれども、確かに広報をいろいろやっていらっしゃるのですが、必ずしも正しい情報が伝わっていないということです。多くの、特に高齢の方は、12月2日以降は、紙の保険証が使えなくなると思っている人が多いのですね。そうではなく、使えるということもちゃんと伝えていく必要があると思います。
それから、資格確認書について、前回か前々回ぐらいに、いつまでそれを出すのかとお聞きしたら、5年くらいという回答がありました。それは妥当だと思います。Suicaが普及するのに5年ぐらいかかっていますね。だから、何が何でも無理やり強制的にやるのではないと、ちゃんとゆっくり正しくやっているということも伝える必要があると思います。
マイナ保険証に対する誤解というのが、非常にたくさんあると思うのです。たしか前回の説明のときも、しばらくの間はアナログとデジタルの両方でいくという資料もいただいておりますので、そういうことも正しく国民に伝えて、そして、あまり不安感をあおらないようにしていただきたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点、御質問がございましたので、ウェブ調査の件を。
○河合室長 ありがとうございます。保険データ企画室長でございます。
アンケートについて、御指摘いただきました、年齢別ですとか、性別の構成について、今、手元にデータがないので恐縮ですが、こういったアンケートをさせていただく際は、偏りが出ないようにしております。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますでしょうか。
○袖井委員 はい、ありがとうございます。
○田辺部会長 では、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
私のほうからは、1点要望をさせていただければと思っております。
まず、資料の1ページ目にございますように、マイナンバーカードの保険証の利用実績というものは、少しずつですけれども、毎月上がってきている状況が見て取れるということですが、これは、2ページの集中取組月間において、窓口での声かけ、ポスター掲示、チラシの配布など、積極的に協力をいただいている医療機関等が増えていることも影響していると思っておりますので、今後ともこの取組への働きかけというものを当会としてもしっかりと継続させてまいりたいと考えております。
その上で、7ページのさらなる利用促進の取組についてでございます。これは、先ほどの御質問に対しての課長からの答弁にもあったわけでございますが、特に7ページの①の書きぶりなのですけれども、医療機関から見ますと、やや威圧するような表現にも見えるという形ですので、かえって反発を招くことも考えられるかなと思っております。地域の利用状況とか患者さんが、マイナ保険証をあまり持ってこないということ等、地域によって事情は異なってくることもあろうと思います。
そういった地域的な背景等も勘案しながら、2つ目のポツにありますように、マイナ保険証の利用実績が著しく低い医療機関に対しては、利用率を上げるために個々の医療機関の状況などをより詳細に確認していただいて、そして、国として強制的な対応ということではなくて、さらに丁寧な支援をしていただく、そして、慎重な対応をしていただきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
先ほど、佐野委員と横尾委員から御発言があった点と重なるのですが、アンケートの資料の3ページのウェブアンケートの結果でございますけれども、やはり不安に感じている方、紛失リスクだとか、個人情報が漏えいしてしまうのではないかと感じていらっしゃる方々の割合が、あまり変わっていないというところからすれば、今後の広報においては、その点の不安を払拭するような安全性について、きちんと知らせていくことをお願いしたいと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、大杉委員、よろしくお願いいたします。
○大杉委員 ありがとうございます。
マイナ保険証の利用促進等について、歯科の立場から発言させていただきます。
3ページからオンラインアンケート調査結果が示されておりますけれども、今年の5月、8月の各種メリットの認知度の比較において改善された部分がある一方で、不安、懸念を感じている方の割合では、持ち歩いて紛失が心配という方が微増、個人情報がまとまって管理されることが不安という方が4割弱、本人確認の誤りが心配というのが、まだ23%もあり、複数の委員からの御指摘がありましたように、依然として不安を覚えている方が一定数存在していることが明らかになりました。
12月より現行の保険証の新規発行はされませんけれども、国民への再度の普及啓発について、より一層の取組をお願い申し上げたいと思います。
また、7ページに、マイナ保険証のさらなる利用促進についての記載がありますが、この中で、①にマイナ保険証の利用実績が低い医療機関・薬局に対する個別アプローチに記載されています、患者がマイナ保険証を使う機会を奪っているという表現は、意図してこのような医療機関や薬局が多く存在しているという誤解を生じ、また、療養担当規則違反となるおそれがあるという表現は、現場感覚として、やや威圧的な印象を受けます。
正当な理由により、オンライン資格確認導入の猶予が認められている医療機関や、必死に努力をしているが、様々な事情から利用率の増加につながっていない医療機関もいる中で、マイナ保険証の利用を進めていく趣旨が、先ほど御説明が示されましたように、正しく伝わらなく混乱が生じないよう、丁寧で分かりやすい説明をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
資料の6ページから、能登半島地震の被害を受けた地域は、明らかにマイナ保険証の利用率の伸びや利用実績が高いということが言えるわけですが、これは全くほかの地域も人ごとではありません。本日も台風に起因する大雨ですし、それから先日は、南海トラフ巨大地震の臨時情報というのもございました。いつ、どこで、何が起きても不思議がないという時に、こういう時こそ、マイナ保険証は役に立つのだ、有用性がある、ということを、ぜひPRしていただければと思います。
それから、以前から申し上げているとおり、このカードは、言わば「命のカード」であるということを訴えると非常に効果的だと思います。人に行動変容を促すには、危機感を持ってもらうのが非常に効果的です。いつまでもずっとやる必要はないと思いますが、例えば薬の広告などでも、こうなりたくないだろう、というのは一番効果的です。
ですから、過度に恐れさせる必要はないという御意見はあろうかと思いますが、一度登録しておけばマイナ保険証として使っていただけるわけですから、もちろん、災害に被災された方々の気持ちというのも十分配慮する必要はあるわけですが、実際に登録していないとお困りになるわけですからね。ぜひ、個人の危機管理という観点、それから国民の安全・安心を守るためにも、攻めの広報というのを、ぜひよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。では、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
マイナ保険証の利用促進について、関係各位の皆さん、大変御努力を積み重ねて、こうした手応えが出ているのではないかなと感じております。
協会けんぽでも、この医療保険部会の場で御紹介させていただいていましたとおり、この9月から4000万加入者全員に対して、資格情報のお知らせを配布しますとともに、この中に、利用促進のチラシを同封するなど、4000万人直接アプローチをするという非常に大きな節目を迎えてきていると考えております。
また、それに併せまして、マイナ保険証に関する問い合わせのコールセンターを9月2日から開設いたします。以前御紹介しましたとおり、非常に増加しております外国人労働者の方向けの22か国語対応ということで、きめ細かくサポートをさせていただきたいと考えております。
これから、さらに12月2日を目指して機運も盛り上がってくると考えておりますので、関係者の一員として、引き続き頑張ってまいりたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がないようでございますので、本議題につきましては、これまでとしたいと存じます。
次に、事務局のほうから別途報告事項があるということでございますので、まずは調査課長のほうから報告のほうをお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○鈴木課長 調査課長でございます。
資料の2でございます。「後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しの影響について」という資料につきまして、御説明をさせていただきます。
こちらは、まず、経緯を御説明するために、若干順序が前後しますけれども、一番後ろの3ページ目から御覧いただければと思います。
こちらは、昨年9月に医療保険部会で御説明させていただいた資料でございますけれども、令和4年の10月から、後期高齢者の方のうち一定以上の所得を持つ方につきまして、1割負担から2割負担へと変更をさせていただくという制度改正が行われました。
この負担割合の変更におきまして、実際にこの変更の対象となった方の受診行動、これがどのように変化したかにつきまして、これをデータでしっかりと分析するようにということで、国会のほうからも御指摘を受けまして、それを受けて、保険者の方々の御協力も受けまして、データを別途収集させていただきました。
それで、まず昨年、令和5年ですけれども、厚生労働省の我々のほうで短期的なデータの分析をまず行ったというのが、この3ページ目のグラフという形になっております。
これは、去年御紹介をさせていただきましたので、細かい説明は、今回は割愛させていただきますけれども、結果としましては、1人当たりの日数でいきますと、およそ3.1%影響を受けたという形になってございました。
こちらの分析につきましては、我々厚生労働省の中だけではなくて、きちんと医療経済等の専門的な知見を持った研究者の方々の力を借りて、しっかりと分析をしなければいけないということも言われておりまして、そういう観点から、この分析につきましては、公募型の厚生労働科学研究費、いわゆる科研費を用いまして、学者の先生方にさらなる分析を行っていただいたところであります。今回は、その結果につきまして御紹介をさせていただくというものでございます。
1ページにお戻りいただければと思います。
1つ目の○でございます。先ほど申し上げましたとおり、科研費の枠組みを使いまして、令和4年から5年度にかけまして、今回、早稲田大学の野口先生を代表者とする研究班に分析をしていただいた結果の御紹介ということになります。
2つ目の○ですけれども、どういったものかといいますと、まず使用したデータですけれども、2021年11月から2023年6月、これは、要は制度改正を挟んだ計20か月分ということになります。先ほど御説明した厚生労働省の分析よりも少し長い期間ということになります。
データの分析の対象者は、ここで特定の所得層と書いてありますけれども、※印にも書いてありますけれども、こちらは一言で言いますと、2割負担となる基準となる所得、基準があるわけですけれども、そこを挟んだ辺りの前後の所得層のデータを使うということで、言うなれば、1割負担のままの方の動きと、1割負担から2割負担に変更になった方の動きとを比較するという手法になっております。
また、このデータは単身の方のデータを用いております。これは所得判定においては、世帯員が複数になると、またそれを考慮した所得判定になったりするという関係上、分析のしやすさといった観点から、ここは単身に絞って分析をしているという理由があろうかと思っております。
分析の結果ですけれども、下のグラフのほうを見ていただきます。グラフは3つございます。こちらは左から順番に、一番左が医療サービスの利用の有無、つまり、その月に1回でも医療サービスを利用したかどうか、そして真ん中が、その月の1人当たりの医療費ですね、右がその月の利用日数という形になっております。
こちらは、それぞれについて、令和4年7月、負担割合が上がったのは10月ですけれども、7月を比較の基準として、それと比べて2割負担となった方と、1割負担のままの方の差がどの程度変化するかというものを見ているものになります。
こちらは、マイナスの値になったところが、要は負担割合が上がった後にマイナスの値になっておりますけれども、これがマイナスの値ということは、2割負担になった方がそれだけ、1割負担の方と比べて、利用率なり医療費なりが小さくなったということだと御理解をいただければと思います。
こちらは、割合での数値になりますので、例えばマイナス0.02と表示されているところであれば、2%減となります。2割負担となった方が1割負担の方と比べて2%低かったと御理解をいただければと思います。
ちなみに、今回分析で令和4年7月を基準としていますのは、実際に負担が上がったのは10月ですけれども、令和4年8月に負担率の変更のお知らせ等が送られているということで、こういった中でお知らせがあるだけで少し影響があるかもしれないということも考えて、データの比較の基準というのを7月に設定したということだそうです。
前提の説明が少し長くなりましたけれども、結果を見ていただきますと、まず、いずれのグラフを見ましても、令和4年9月で大きくプラスとなっております。つまり1割負担から2割負担になる直前に、この2割負担になる方々の医療サービスの利用、医療費が増加をしている、これは、いわゆる駆け込み需要の存在というのが、ここでデータ的に示唆されているということでございます。
その後、10月になりますと、比較的大きくマイナスという形になっておりますけれども、その後、少しマイナス幅が小さくなりまして、大体、この直前直後の影響というのが少なくなった、少し動きが落ち着いたところ、令和5年2月以降という状態で見ますと、マイナス幅でいくと、医療サービスの利用割合が大体1%程度、医療費総額でいきますと大体3%程度、医療サービスの利用日数でいくと2%程度の減少という結果になっております。
最初に御紹介した厚生労働省の短期的なデータの分析では、利用日数が約3.1%の減という形になっておりまして、今回の分析で、それに対応するところは、日数、一番右のグラフですけれども、そちらでいきますと、約2%減ということで、今回の分析の結果のほうが、若干影響の幅は小さくなっておりますけれども、こちらは利用データの範囲の違い、期間が今回長くなったと申し上げましたけれども、範囲の違いですとか、分析方法の違いですとか、そういったものがあろうかと思います。
いずれにしても、こちらは、制度改正時には、大体2.6%程度の減少ではないかと想定をしておりましたけれども、いずれにしても、そこまで大きなずれにはなっていないのかなとは考えております。
続きまして、2ページでございます。
今回の研究では、より細かく疾病別でどのような影響があるのか、もしくはないのかというところをさらに分析していただいております。
ここで調べている、若干グラフが細かくて恐縮なのですけれども、45疾病並んでおります。これは、基本的には、中分類の疾病分類を基本としまして、ただ、あまりレアな疾病というのはデータが少ないですので一定程度外来の利用がある疾病というのを抽出した疾病群の45を分析しているという形になっております。
左側のグラフですけれども、それらについて、まず、2割負担となった直後、先ほど大きく下がったところと言いましたけれども、令和4年10月につきまして、各疾病でどの程度影響があったのかというのが、左側の図になっております。横にバーのように広がっておりますけれども、これは、いわゆる信頼区間になっております。
ここで信頼区間を見ても、有意に外来利用率が減少したものというものが、疾病のところに赤い下線が引いてある17疾病で、この赤い下線が引いてある疾病が、2割負担となった直後で有意に利用率が減少したと言える形になっております。
こちらの疾病の並びとしては、推計値のマイナスの幅が大きいものから順番に並んでおりますので、ただ、信頼区間の広さが様々ですので、同じくらいの推計値でも有意なもの、そうでないものというのがあるという形になります。
例えば、一番上でいけば、う蝕というのが、多分一番影響が大きいでありますとか、その上のほうの下線が引いてあるもの、大分類的に言えば、例えば、目とかの疾患であったりとか、筋骨格系の疾患であったりとかといったところに分類される疾患などが、やや多くなっているという形。
その一方で、あまり影響のない疾病もあり、やはり疾病によって少し差があることが分かるところでございます。
次に右側ですけれども、先ほど、10月で負担割合が変わった直後の話でしたけれども、その後、その影響が落ち着いてきた時期、令和5年3月のデータを見て、その直後の影響と比べてどれぐらい違うのかというものになっております。
赤いラインが、令和4年10月の影響として、要は左と同じものが載っております。そして、青いラインが、その後、令和5年3月にどうなったのかというものでございます。
これは、どこの疾病もぱっと見ていただくと、多くの疾病で赤いラインよりも青いラインのほうが右側にずれているというのがお分かりいただけるかと思います。つまり、これは、先ほど全体の説明でも申し上げましたけれども、4年の10月にぐっと下がりまして、その後制度改正直後の急激な影響が少なくなってきて、少し戻ってくるという動きになります。
疾病別で見たときに、その戻りの部分が大きかった疾病、具体的には、その直後における影響よりも20%以上小さくなったものが、この赤いラインが引いてある11疾病。
一方で、直後の状況とその後の状況があまり変わらなかったものというのが、青いラインの2疾病、例えば白内障であったりとか、そういったものは、あまり差がなかったところでございます。
以上、御説明をさせていただきましたけれども、こちらは科研費の報告書、既に公表されておりますけれども、そちらのほうを基に、我々のほうでまとめさせていただいた資料の御説明ということでございます。
御説明は以上です。
○田辺部会長 説明のほう、ありがとうございました。
それでは、こちらは、報告事項ではございますけれども、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
本日説明いただいたこの資料を見ても、やはり窓口負担割合の見直しに伴う影響というのは、想定の範囲内で意外性もないと評価をしております。ただ、やはりこういう検証、分析については、今後ともぜひ継続的にやっていただきたいなと思っています。
その上で、この影響がやはり一定程度限定的であるということを考えれば、これまでも申し上げてきましたが、全世代型社会保障の構築や現役世代の負担軽減に向けて、窓口負担割合の見直しはやはり必要だなと感じております。
その見直しに向けては、言わずもがなですけれども、医療保険制度の財源が、公費、保険料、自己負担、この3種類しかないということも踏まえて、そのバランスをよく検討しながら、窓口負担割合だけでなく、例えば、一定期間見直しをされていないところの高額療養費の自己負担限度額の在り方等も含めて、幅広い視点での議論をお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
見直しの影響ということで重視すべきなのは、2割負担導入によって受診回数が減少したのであれば、その結果として、患者の健康状態・病状が悪化するなどの変化があったのかどうか、ということではないかと思います。
昨年12月に決定された改革工程では、医療保険における高齢者の3割負担への拡大に当たっては、2022年10月の2割負担導入の施行状況に留意する、とあります。国民理解のもとに改革を進めるためにも、受診抑制の行動と病状との関係について、信頼できるデータを収集・分析していただき、その上で議論を行うことが必要と考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、大杉委員、よろしくお願いいたします。
○大杉委員 ありがとうございます。
後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しの影響についての報告ですけれども、2ページでは、外来利用率が最も低くなった疾患は、う蝕ということでした。東日本大震災関連を含め、これまでの報告等でも、一部負担金の影響を歯科は大きく受けることが報告されており、少し懸念しています。
これは、厚労科研での研究結果でありますが、もし歯科における受診抑制等の状況について、御報告いただける内容がありましたら、お願いしたいと思います。
また、1点、細かい質問ですが、高齢者では、入れ歯等の補綴治療も大きく関わり、感覚的には、一定程度の外来利用があると思います。この厚労科研での歯科の補綴治療に関する歯の欠損は、その他の歯及び歯の支持組織の障害に入っているのか、分かりましたら教えていただければと思います。
以上でございます
○田辺部会長 質問がございましたけれども、この場で答えられますか。
○鈴木課長 基本的には、厚労科研の分析の報告書をベースに我々も理解しているのみなので、細かいところは、なかなか答えるのは難しいところがあるのですけれども、まず、今回の報告書の段階では外来ということで、医科と歯科をまとめてデータを分析しているということですので、特に歯科でこういう状況というところまでは、まだ分析は至っていないところでございます。
また、疾病の区分につきましては、レセプト上の主傷病で区切っておりますので、その辺りも、どういったものが、どういった主傷病で分類されているのかといったところは、私ども医療費の分析等でもいつも申し上げておりますけれども、若干限界があるところはありますけれども、そういったところの問題意識というのは、今でもこの先生方と私どもで、いろいろと連携をさせていただいておりますので、問題意識は共有させていただければと思います。
○田辺部会長 よろしゅうございますでしょうか。
○大杉委員 はい。
○田辺部会長 それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
後期高齢者医療広域連合全国協議会の会長もしているので、意見を申し上げたいと思います。
窓口負担が上がることによって、診療を、受診を控えてしまうというのは、あまりよろしくないことなのでございまして、ぜひ健康第一に考えていらっしゃる方がほとんどだと思いますので、御自身の健康をよく見ていただいて、必要であれば必要な医療機関へ、やはり足を運ぶ、受診をするということがとても大切だと思っています。
通常に健康な暮らし、あるいは健康な体の維持に努めていると、現在約100歳まで生きることができると思いますし、私自身も、実は秋に敬老の月間ですけれども、100歳の方をお訪ねします。
健康な方は、やはりたんぱく質もよく取っておられるし、体に必要ないろいろな栄養素をバランスよく取って、そして適度に体を動かすことを、軽い運動や農作業あるいはガーデニングとかをされているのです。
もちろん、これに加えて頭を動かす、例えば趣味で短歌をつくるとか、いろいろなこともされていまして、そういったことの中に後期高齢者の皆さんの暮らしがあるわけです。
ですから、ぜひ、健康に関する意識をよりよく多くの方が持ちたいと思っていらっしゃるので、テレビ等を見ていても、やはり健康に関する番組が増えてきていますし、クイズ番組でも、そういったのを啓発するような目的で情報提供もされていると思っていますから、ぜひそういったことを進めたらいいなと思っています。
あわせて、後期高齢者医療広域連合は全都道府県にあって、広域連合として、全ての自治体が参加して、広域連合としての議会も設け、対策を打っているわけです。一部佐賀県の例を御紹介すると、例えば、佐賀県の後期高齢者医療広域連合では、理事会といって全首長が参加する会議をしています。その理事会のときに、議案等の審議すべきことも、もちろん提供して説明しますが、あわせて資料のところに、県内全ての自治体の、今日出ているような疾病別の罹患率あるいはその町、その市、その村の特徴のある医療費のデータを併せて配付を直接させていただいて、ぜひ首長の皆さん、参考にしてくださいとしています。
これは、現状について具体的に見ることができ、全てのページで、全ての自治体の状況をつまびらかに見ることができますので、自分の所管している自治体が、今、健康的にどんな状況なのか、後期高齢者の皆さん、住民の皆さんが、どのような疾病が多いのか、一目で分かるようにしているわけですね。
こういったことは、恐らく、全国の自治体、特に後期高齢者医療広域連合では、それぞれ事務局が工夫して提供されているわけです。この基本になっているのが、実はNDBデータシステムですね。そういったものを活用していくと、そのような啓発ができるわけです。
これを会議の際に集めて、皆さん、研修を受けてくれませんかとか、もっとこういうのが大事ですよという言い方もいいのですけれども、実は先ほど少し申し上げましたが、「事実によって事実を語らしめる」ということをやると、非常に簡潔で小さいメッセージですけれども、すごくインパクトがありますし、具体的ですし、そして事実の根拠がありますので、見た方も首長をはじめ、納得あるいは理解をしなくてはいけないなとなります。
恐らく、この会議資料を見て、帰られた首長の皆さんは、担当者に、あるいは健康増進等の担当者も含めて、状況を聞かれて、では、我が自治体はどのようなことに対応をすべきかということも当然考えておられると思うのです。そういった地道な努力も一方でしておりますので、ぜひ、今回は2割負担に関する導入の影響についての分析でございますけれども、こういったことを1つ参考にしながら、より多くの皆さんが、全ての方が、健康であるならば、後期高齢者になっていかれますし、そして、より健康であるならば、フレイル等も気をつけていただければ、100歳を目指して頑張れるわけですから、ぜひ、そういった健康に関する啓発も併せて、様々な先ほどのマイナンバーに関する、あるいはマイナンバー保険証に関する啓発の中にも、その下地として、健康がいかに大切か、そして、それが日々の努力でどうやったら叶えられるか、そういった啓発もぜひ政府で意識していただくとありがたいなと思っているところです。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
今回の結果を見ても、やはり患者さんの窓口負担割合というものを変更するということで、患者さんの受診行動、受診頻度が変わるということは明白になっているわけでございますが、医療保険財政の検討をするに当たりましては、確かに窓口負担割合の変更というのは1つの考え方にはなるわけですけれども、従前からお話をしておりますように、医療機関の受診が必要な状態にある患者さんが、こういう制度改正によって必要な受診を控えてしまい、我慢をすることによって病状悪化が発生してしまうということがあるのかどうかということも、可能であれば調査をしていただきながら、この健康維持ということに関して、それが阻害されるようなことがないような形で、今後も、この負担割合の変更に関しては、慎重かつ丁寧な議論を行っていただきたいと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 この研究については、まだ論文として出ていないということもあって、まだ、よく知らなかったのですけれども、大変すばらしい研究で、NDBデータが使われて、こういう意義のある研究がされていることが大変すばらしいと思いました。
それで、受診を控えるということが、必ずしも悪いことではないという部分もあって、どうしてかというと、それは、例えば、抗菌剤の不適切使用などのように、望ましくない医療利用というのもあるわけですから、逆によくない利用の仕方もありますし、それからよくないまでいかなくても、あまり健康改善に寄与しない医療利用というのもあるかと思いますので、こちらでは傷病別に見ていますけれども、乳幼児医療制度の助成において、例えば抗菌剤の使用のようなローバリューケアが増えて、それで、予防接種のようなハイバリューケアがあまり増えていないという指摘がありましたけれども、そのローバリューケアとハイバリューケアにどういう影響があったかということを、厚労科研だと短期間ですので、あまり詳しい解析がやりづらい部分もあるかと思いますけれども、今後、そういう視点からの分析がなされていけばいいなと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
後期高齢者医療の窓口負担増ですが、医療行動への影響は想定内だったということですが、確かにそうかもしれませんが、医療というのは命に関わることなので、やはりどうしてもかからざるを得ないのですね。
だから、この結果を用いて、では、どんどん増やしていいのだ、2割負担の対象者をもっと拡大していいのだとか、あるいは3割負担にしてもいいのだと、何かこの調査データの分析結果から、今後とも安易に値上げをするとならないように、ぜひ気をつけていただきたいという、これはお願いでございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。それでは、伊奈川委員、よろしくお願いいたします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
今回、非常に貴重な資料を紹介していただきまして、ありがとうございました。
やはり、このような形で傷病別にデータが取れるようになったことは、非常にすばらしいことだと思っています。
これまでもマクロ的なものというのは、昨年出たような調査課のデータがあるわけですけれども、傷病別ということで、より細部にわたって分析していくことが、今後必要ではないかと思いました。
その際、今回のデータを見て分かることは、やはり駆け込み需要がある、そして一旦落ちたものがまた戻ってくることのわけですけれども、その辺りの人の行動という面についても、今回の調査で研究されているかどうか、私も承知しておりませんけれども、果たして、こういった行動の背後にどういうことがあるのかということを、さらに見ていく必要があるのではないかと思っています。
つまり、やはり短期的なもの、そして構造的、そして人々の行動に関わるものがありますので、そういったところを、さらに研究を何らかの形で深めていくことが重要ではないかと思いました。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございました。
今回、こちらのデータで窓口負担を2割にしたことによって、受診行動がどのように変化したのかということについて、データを詳細に分析し、御紹介いただきましてありがとうございました。
ただ、そのことによって患者の状況はどうなったのかということについては、恐らくプラスもあればマイナスもあると思うのですけれども、そちらについては、どうなったのかということは、やはり気になる部分はございます。
それを定量的に分析できるのかというと、なかなかすぐには難しい部分があるのではないかと思っているのですけれども、例えば、患者さんの声など、個別のエピソードみたいなものでも把握していることはあるのでしょうか、その点、御質問をさせていただければと思います。
○田辺部会長 では、回答のほうをお願いいたします。
○鈴木課長 まず、受診が減ったことによる健康の影響という御指摘、幾つかございましたけれども、やはり健康の影響については、先ほどおっしゃられたように、長期で見ないといけないという部分もあって、既存の研究等は、我々のほうで見させていただいても、なかなか健康への影響というところまで、はっきりと傾向が見えているものというのは、なかなか既存の研究ではないというところで、なかなか難しいところはあるのかなと思います。
また、患者の行動が、どういうところから来ているのかというところ、例えば、やり方としてはアンケート調査等々ありますけれども、例えば、アンケート調査という意味でいけば、どうしても主観的な評価になります。
それで、こちらの研究は、NDBという形で、レセプトのデータということで、ある意味、かなり100%客観的なデータというところの分析がスタートということになっておりますので、ここから、さらに一歩踏み込んでどういった分析ができるのかというところ、私どもも、今まであまり経験がないことですので、その辺りも含めて、研究されている先生方とも、いろいろと意思疎通をさせていただきながら、どういったことができるかということを考えていきたいと考えております。
○田辺部会長 よろしゅうございますでしょうか。
○村上委員 ありがとうございます。
今後も状況の把握に努めていただければと思います。
○田辺部会長 横尾委員、また、お手が挙がっていますけれども、どうぞ。
○横尾委員 再度で、ありがとうございます。
実は、この調査データは、2022年10月を境に変化があったのではないかということを想定して、分析をされたと思うのですけれども、もう一つ実は変数としてあるのが、コロナがまだ残っている状況であるわけですね。だからコロナの影響も間接的にあるわけですので、単純にこれでもって確定としまって判断をしていくと、先ほどほかの委員もおっしゃったように、少し見誤るところもあると思いますので、ぜひ変数要素の中にコロナの感染状況があって、そのために控えたいとか、発熱して体調はいまいち不調感があるけれども、病院に行くのは少し控えるということがあったかもしれないとも感じられます。もちろん、これも不確定な部分がありますけれども、そういったところも配慮すべきかと思っています。
医療費の問題がいつも話題になりますけれども、少しこれを適正化するとしたら、やはり基本路線としては、健診、健康リテラシーをみんなが高めて、お互いに健診をしながら、健診率も上げて、そして自分の健康を自分で意識しながら家族とも話し合って、適切な医療にアクセスする、早期になるべくアクセスをして、早期発見、早期治療を行うとか、各医師の先生方が基本におっしゃっていることをベースとして、やはり啓発していくのが基本だと思いますので、ぜひそういったことは抜かりなく力を入れて継続していただきたいというお願いでございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
全体的な医療費を考える上では、こういった企画というのは、非常に重要な話だろうと思っておりますが、実際には、地域によって医療施設が消滅してくるという地域がありますので、そうなると、特に後期高齢の方たちが、受療行動が、そこまで行けなくなってくると、今まであったところ、そういったことも含めて研究をしていただくと、非常に理解しやすくなるのではなかろうかと思っております。
よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。
では、回答で、何かコメントがあれば、お願いします。
○鈴木課長 すみません、先ほど横尾委員のほうから御指摘のありました、コロナの影響というところで、1点だけ補足をさせていただければと思います。
こちらの分析については、同じ時期の1割負担のままの方と、2割負担になった方との比較という形になっておりますので、もし、全員が同じコロナの影響を受けていたとしたら、コロナの影響は一定程度除かれていると考えていただければと思います。ただ、もちろん御指摘のとおり、人によってもコロナの影響の受け方は違いますので、完全に除かれているかというと、そこは申し上げにくいのですけれども、一定程度は除かれているとお考えいただければと思います。
すみません、補足でございます。
○田辺部会長 では、横尾委員、何か。
○横尾委員 補足をありがとうございました。
ただ、一方で考えられるのは、あなたは、保険に関する窓口負担が増えたから、医療行動を控えましたかという質問は、されたかどうか分かりませんけれども、されていないとしたら、少しそこら辺は違うのではないのかなと。結局、人は自分の意思と判断で行動します。そのときに、診療を受けるか、受けないか、どの医院に行くか、自分で選択していくと思うのですけれども、そのときに窓口負担が上がったからやめたのかという質問では必ずしもないので、ぜひ、いろいろな意味で細かい詳細な分析も一方では必要かなと感じました。
ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
では、ほかに御意見等なければ、続きまして、医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官のほうから、御報告のほうをお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○田中参事官 医政局参事官でございます。
それでは、資料3「医療DXの更なる推進について」を御説明させていただきます。
医療DXについては、昨年6月、第165回の医療保険部会の中で、政府の工程表の内容について御報告をさせていただいております。今回の部会では、以降の進捗を中心に御報告をさせていただきたいと思います。
次のページ、こちらは、今年の骨太の方針でございます。最後の下線部のところに、医療・介護DXを推進し、医療の効果的・効率的な提供を進めるための必要な法整備を行うということが記載されておりまして、必要な法改正に向けて、秋以降に医療保険部会でも具体的な議論をお願いしたいと思っております。
それ以外には、医療DXの推進に関する工程表に基づいて、着実に進めることや、医療情報の二次利用について、昨年の記載に加えて、新しくより具体的な記載が入っているところでございます。
支払基金の抜本的改組については、前年度にも記載のあったものでございますが、あわせて今年度も記載をされております。
2ページにおめくりいただきまして、こちらは、本日、厚生労働省として推進していく近未来の政策方針をまとめたものの中に、この医療・介護DXの更なる推進という内容が含まれております。近未来健康活躍社会戦略というものの取りまとめをさせていただいておりまして、その抜粋をお示ししたものでございます。
大きな枠にございますが、デジタル化とデータサイエンスを前提とする医療・介護DXの推進、これが国民一人一人の健康・生命を守り、今後の医療等の進歩のための基盤となるものということで、今まで進めてきたものを、さらにしっかりと進めていくということで公表をさせていただき、こちらのほうにも速やかに関係法令の整備を行うということが記載されたところでございます。
3ページへおめくりいただきまして、全国医療情報プラットフォームというもののイメージ像をお示ししています。
保健・医療・介護の情報を様々な関係者が、必要な情報を共有することができる仕組みを目指していくというものでございます。
左の上のほうにブルーで書いてございますが、医療情報基盤については、オンライン資格確認等システムを拡充して、それに様々なサービスを構築し、情報を共有していくものです。
既にレセプトに基づく特定健診の情報や診療情報の閲覧が可能になっておりますが、昨年1月からは電子処方箋管理サービスが開始され、現在、電子カルテ情報共有サービスというカルテの情報の一部を共有できるシステムを開発しているところでございます。
介護の情報を共有可能にする右上にある緑の部分ですが、介護情報基盤については、現在、老健局を中心に構築中でございます。
右下のオレンジの部分、行政、自治体情報基盤、PMHというものは、自治体の公費負担医療の助成や予防接種、母子保健の資格情報などを、医療機関側と共有する基盤でございます。
これら大きな全体をピンク色の点線で囲っておりますが、プラットフォームで共有される情報については、データとして収集をして、研究などの二次利用にも利活用していくということで、全体の矢印が二次利用基盤というところに伸びているというものでございます。
国民には、真ん中のところでマイナポータルを通じて、必要な情報を還元していくという内容のイメージですが、今、取組を進めているところでございます。
4ページ以降は、電子カルテ情報共有サービスの具体的な内容でございます。
5ページにおめくりをいただきまして、電子カルテ情報共有サービスは、全国の医療機関で3文書・6情報の電子的な共有を行うためのサービスでございます。3文書・6情報は、医療機関は、今、電子カルテベンダーがばらばらで、規格がそろっていないということがございまして、医療機関から国際的な標準規格であるHL7 FHIRという規格に準拠した形で、支払基金の電子カルテ情報共有サービスに情報を登録していただくというものです。
紹介状のような文書については、ブルーのラインで、宛先の医療機関に送られるというものでございます。
一方で6情報については、今、既に共有されている特定健診などの情報と同様に、患者の同意のもとで、全国の医療機関で閲覧を可能とし、患者自身はマイナポータルでその内容を閲覧するというものです。
3文書・6情報につきましては、左側の下段に、どういった情報なのかという記載がございます。
そして、6ページが全体のスケジュールでございます。
現在、支払基金においてシステム開発中でございますが、来年1月から全国数か所の地域でモデル事業を開始する予定です。また、本格的な稼働は令和7年度中を目指しているところでございます。
7ページでございますけれども、こちらは、電子カルテ情報共有サービスの運用費用の負担に関して、医療DXの工程表と、自民党のプロジェクトチームの提言書の記載を抜粋したものでございます。
運営費用の負担の在り方については、現在、省内でも検討中でございまして、今後、医療保険部会において議論していただく予定でございます。現状の記載を御紹介させていただいております。
8ページ目からは「電子カルテ情報の標準化等」ということでございますが、9ページを御覧いただきまして、電子カルテは、実は200床未満の小規模な医療機関の約半分にしかまだ導入が、令和2年度時点ではされておりません。
これらの中で、まずは、医科の診療所向けの電子カルテ未導入の診療所向けに、クラウド型のシステムである標準型電子カルテを、今、デジタル庁において開発をしています。
一番左の下のところにありますが、国が、今、開発を進めています医療DXのシステム群は、最初からワンパッケージで入っていますというもの、そして、診療に必要な様々な民間が提供するようなシステムとも、スムーズに連携ができるようなものを開発しております。
次のページが、デジタル庁の開発体制について記載をしておりますが、電子カルテの設計開発をしている会社に加えて、6社の電子カルテベンダーが、プロダクトワーキンググループということで、この開発に当たって様々な助言等を行っているところでございます。
その開発スケジュールが11ページにございますが、来年の3月に向けて、今、α版を構築をしておりまして、3月から数か所の地域の診療所を対象にモデル事業を実施する予定でございます。
その結果を踏まえて、α版に必要な改修を行い、本格版等を診療所に向けて提供していきたいと思っていますが、提供時期については、実際に、まだα版ができ上がっておりませんので、明確にはしておりませんが、できるだけ速やかに提供していきたいと思っております。
12ページは、これらの取組、病院・診療所の電子カルテ情報共有サービス等含めた、電子カルテ情報の標準化のスケジュールでございます。
病院向けについては、政府の医療情報化支援基金、これは令和元年に150億円を措置しておりますが、これを活用して、既に電子カルテが入っている病院については、標準化への対応の改修を行っていただくと、この改修の補助を本年3月から開始をしているところでございます。
病院の電子カルテシステム自体は、5から7年で大規模な更新のタイミングがございますが、そのタイミングを捉えつつ、基金を活用した改修対応を促したいと思っております。
その次の13ページですが、実際には、電子カルテの400床以上の大きな病院の改修というのは、比較的ばらけておりまして、ただ、資料にあるとおり、2028年以降にも一定数の病院で大規模な改修のタイミングが想定されております。
これらの病院については、今、入っている電子カルテを改修することで、より早い段階で電子カルテ情報共有サービスに御参加いただけるよう、そのメリットを丁寧に御説明してまいりたいと思っております。
14ページが、電子カルテの導入に係る現在の支援策でございます。空欄の電子カルテ未導入の病院と診療所については、現在、支援がございません。標準型電子カルテの普及を促していく予定でございますが、その支援の在り方については、今後検討が必要であるという状況でございます。
続きまして、15ページ以降は「医療情報の二次利用」についての資料でございます。
16ページ、医療DXの工程表や規制改革実施計画において、医療情報の利活用について制度・運用の整備及び情報連携基盤の構築等について検討することという記載がされたために、昨年の秋から医療等情報の二次次利用に関するワーキンググループを設置し、5回にわたって議論を進めてまいりました。
その結果、医療・介護のデータベースの利活用の促進イメージということで、17ページにお示しをしているイメージを目指していこうとしています。
EUのEHDS規則案を参考にしつつ、厚労大臣が保有する医療・介護のデータベースについて、匿名化情報のみならず、仮名化情報の提供を可能にすること、利用の申請の一元的な受付、それから、これらを仮名化情報で提供するために、匿名化情報よりは、本人の特定リスク等が上がるということもございまして、クラウドの情報連携基盤、こういったものを活用して、皆様に安心して、医療等情報の二次利用を取り組んでいただけるような情報連携基盤を整備していくことを進めていくという形で、現在、検討を進めております。
また、電子カルテ情報については、電子カルテ情報共有サービス、冒頭にお話しさせていただきましたが、このサービスで集めた情報を個人が特定できない形で加工した上で、二次利用をすべく、新たに電子カルテ情報データベース(仮称)、これも併せて構築をする方向で検討していきたいと思っております。
18ページからは、医療DXの実施主体についてですが、医療DXの実施主体については、工程表において19ページにあるように、医療DXに関する施策を国の意思決定のもとで速やかにかつ強力に推進していくために、社会保険診療報酬支払基金を抜本的に改組し、医療DXに関するシステムの開発・運用主体の母体とすることとなっております。
この改組については、地方関係者の参画も得つつ、国が責任を持ってガバナンスを発揮できる仕組みを確保し、情報技術の進歩に応じた迅速・柔軟な意思決定、DXに精通した専門家が意思決定に参画できる体制の改組を目指しているというものでございます。
具体的な改革の案につきましては、現在検討中でございまして、今後部会の中でも御議論をいただく予定としております。
20ページからは、PMHについてですけれども、これは、自治体と医療機関をつなぐ情報基盤でございます。
国や自治体が実施する医療費助成の資格情報、予防接種、母子保健等に関する情報を医療機関と電子的に共有する仕組みでございます。
紙の受給者証や接種票、予診票のやり取りをなくしてマイナンバーカードを活用して、各サービスの利用がより利用しやすいような環境を整えていくというものでございます。
中段より少し上のほうにございますが、令和5年度からデジタル庁で、自治体を公募して、複数の自治体でモデル的な先行実施をしているところでございます。
22ページからが、診療報酬改定DXになっております。
23ページを御覧いただきまして、2年に1回の診療報酬改定は、病院のシステムの改修という意味では、かなり病院側の負担にもなっているところでございまして、このデジタル技術を最大限活用して、医療機関等における負担の極小化を目指すことをゴールとして取組を進めているところでございます。
23ページの下段にある4つの大きなテーマで、令和6年度から段階的に実現をしています。共通算定モジュール、これは、計算機を想定していただければと思いますが、診療報酬の算定と患者負担金の計算を実施できるモジュールの開発、それから、共通算定マスタ・コード、これは、その計算に必要なマスタやコードを改善して皆様に配付していくこと、標準様式のアプリ化等データ連携、これによって、より入力の負荷軽減等を図るということや、診療報酬改定施行時期の後ろ倒しなどということでございます。
24ページに、スケジュールがございますが、令和6年度、緑の部分については、既に、今、取組を進めておりまして、今後7年度以降、こちらに記載のあるようなスケジュールにのっとって進めさせていただきたいと思っております。
最後、26ページ、27ページでございますが、こちらのほうは、今、お話をさせていただきました医療DXの推進に関して、法整備に向けて検討が必要な事項の全体像の案でございます。
大きく3つ書いてございますが、全国医療情報プラットフォームについては、電子カルテ情報共有サービスの構築、PMHによる公費負担医療の資格情報等の連携、診療報酬改定DXの推進に向けて、それぞれの費用負担の在り方等の検討が必要ということでございます。
また、2のパーツ、医療情報の二次利用の推進については、電子カルテ情報データベース、仮称ですけれども、こちらの構築や、医療・介護等の公的データベースの仮名化情報の利用・提供、情報連携基盤の構築等に向けて検討をしていく予定でございます。
最後、医療DXの実施体制については、支払基金を医療DXの運用主体として抜本的に改組するということ、国のガバナンスを強化し、迅速・柔軟な意思決定が可能となる組織体制となるよう検討を進める予定でございます。
27ページ、今後のスケジュールでございますが、今後は、おおむね月1回程度のペースで、本医療保険部会において各論点について御議論いただく予定でございます。
先ほど、26ページでお示ししました項目の中で、幾つかまとめて御議論をいただくことを想定しているところでございます。
医療DXに関する説明については、以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、これも報告事項ではございますけれども、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、医療DXの推進そのものは、当然ながら安全・安心で、効果的・効率的な医療の実現につながるものでありますので、健保連としても賛成するところでございます。資料に示された事項について、法整備に向けて議論することに異論はございません。医療DXの推進によって、医療の質向上にぜひともつなげていただきたいと考えております。
一方で、このDX関連について申し上げると、これまでもオンライン資格確認や電子処方箋については、国の想定どおりに普及してこなかったという実態があると考えております。例えば、電子処方箋について言いますと、施行後1年半たって、約1割程度ということで、正直申し上げて、目標の達成は困難と認識しております。
今回示された電子カルテ情報共有サービスについては、12ページのスケジュールを見ますと、おおむね全ての医療機関で導入するというのは2030年度末となっております。そこまでに向けていろいろ多くの作業が必要になるということや、先ほど申し上げたこれまでのDX関係の実態を考えますと、やはり2030年度までの間については、モデル事業の実施やシステム開発等を含めた、準備期間、基盤整備の期間に位置づけるべきだと思っております。
そうしたなかで、資料には、運用費用の負担の在り方が論点として挙がっておりますが、本格実施に向けて運営費用をどう負担するかという検討は必要ですが、少なくとも準備期間、基盤整備の期間については、国が責任を持って負担をすべきであると考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。では、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
医療DXのさらなる推進は重要だという認識のもとに、3点申し上げたいと思います。
1点目は、医療情報の二次利用についてでございます。匿名化だけでなく仮名化するということですけれども、そのことによって、ほかの情報と組み合わせることで、個人が識別される可能性が懸念されるのではないかと考えております。
医療情報の連携活用に当たりましては、個人情報の保護や情報漏えいの対策はもとより、ほかの情報と組み合わせることで個人が識別されて不利益を被ることがないように、十分配慮をいただきたいと思います。
今後、具体的な検討をするに当たりましては、匿名化と仮名化というものの違いですとか、あるいは誰にとってどのような便益があるのかといったことについても十分お示しいただいた上で、議論をいただければと思っております。
2点目は、スライド21にありましたけれども、PMHについて、予防接種の記録についても機能を拡充するということでした。予防接種の記録のデジタル化に当たりましては、保存期間の見直しなど具体的な検討が始まっていると伺っておりますので、患者の情報保全の観点から、電子カルテの保存期間延長についても併せて御検討いただければと思います。
3点目は、支払基金の改組についてでございます。支払基金は被用者保険の支払審査という重要な機能を担っており、特別な法律によって設立されている民間法人でございます。
本件に関しましては、この医療保険部会など、運営に関わる関係者の合意形成というものはもちろん必要ですけれども、当該組織の重要なステークホルダーである労使に対して前広に情報共有し、コミュニケーションを図る必要があると考えております。
9月から12月まで、この医療保険部会などでの検討スケジュールというものも示されておりますが、くれぐれも丁寧に合意形成を図っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
佐野委員が先ほどおっしゃった費用負担に関して、開発段階では国でお願いするということに加えて、さらに将来的な費用負担についてでありますが、医療情報プラットフォーム、受益者で幅広く負担していくことになろうかと思います。
ただ、自治体のみならず、様々なステークホルダーへの丁寧な御説明をお願い申し上げるとともに、その理解が得られることを当然のことながら前提として、その上で、それぞれの負担が過度にならないように、ぜひお願いをしたい、十分に御配慮いただきたいと、この段階で申し上げておきたいと思います。
もう一点ですが、PMH、Public Medical Hub、これは、令和6年度174の自治体が選定されており、私ども津市も、この先行実施自治体に入っておりまして、非常に期待しておるところでありますが、これをやってみる中で、やはりそれぞれの地域の医療機関、その他関係機関において御理解いただきながら、そちらでの対応の進捗状況、これが大きく影響すると思っております。
したがいまして、そこは国において環境整備をぜひ行っていただくとともに、こういうことは、私どもも独自に記者発表をしたりしてPRしておりますが、ぜひ情報提供、そして啓発というか、理解を深めることについて、国において丁寧に対応していただきますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
医療DXのさらなる推進という部分については、もちろん賛成するところなのですけれども、協議を進めるに当たって、薬局の情報の取扱いについて質問と要望をさせていただきたいと思います。
調剤後、最終的に患者さんに交付された薬剤の情報であったり、そのときの患者さんの状況であったり、薬局における情報というのは、患者情報として重要な位置づけになってくると考えています。スライド1に本年度の骨太の方針がありますけれども、上から6行目の部分については、調剤録等の薬局情報のDX・標準化の検討を進めるということがあり、また、下から3行目のところには、先ほどもありました電子処方箋の普及拡大を図るということがあります。
ですが、本日の資料等の中で各論等の資料には、一切電子処方箋には触れられていないという状況で、田中参事官のご説明の中でも、医療機関におけるカルテがばらばらで、文書情報のやり取りであったり、その標準化やその基盤であったりという部分が必要との説明があったのですけれども、もちろん薬局においても全く同じ状況でありまして、調剤録等の情報の標準化によるデータの利活用という部分が必要になります。
薬局から医療機関に向けた患者さんのための情報の運用という部分に関しても、記載はありませんので、この辺りは、スライド26ページに全体像がありますが、今、言った部分に関しては、どこで読み込むのかということに関しては、少し御説明をいただければと思います。今後、検討等を進めていくに当たって、現段階で明確にしておく必要があると考えています。
また、参考資料の31のスライドのところで、DXの工程表が1枚で示されておりますけれども、それぞれ横のラインで担当部局がばらばらかと思います。
先ほどの電子カルテの情報共有サービスと電子処方箋に関しては、ばらばらに検討されているように見えます。それでは、電子処方箋の普及は、まず進まないと思いますし、薬局が有する情報の発信や共有ができないという部分に関しては、そのデータが医療全体でのDXの中でのデータ活用には結びつかない。ICTを活用することによるさらなる質の向上という部分には、つながってこないということになります。
ぜひ無駄のない効率的・効果的な連携をするためには、それぞれの所管部署である、医政局、保険局、医薬局とあると思いますが、その3局の連携というのは必須になってくるかと思います。
今回の資料の中でも、医薬系の資料が入っていないかと思いますけれども、その辺りをしっかり省内での連携を進めていただいて、今後の協議を進めていただきたいと思いますので、改めて要望とさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点、御質問がありましたけれども、今言える範囲でお願いいたします。
○田中参事官 ありがとうございます。
今回の資料でございますけれども、今後、制度面でいろいろ主要な法改正を必要とするような内容を中心に、今回お示しをしたということもございまして、電子処方箋とか、既に手当されているものについては、あまり記載が十分ではなかったという点については、大変失礼いたしました。
それ以外、薬局のDXについては、また、先生方ともよく御相談をさせていただいて、進めさせていただきたいと思います。
概念的には、全国医療情報プラットフォームの構築等の中で、しっかりと進めることを我々としても認識しているところでございます。
また、3局連携をしてという御依頼がございましたが、今でもしっかりと連携をしているつもりでございますが、引き続き、しっかり連携をして進めさせていただきたいと思います。
○田辺部会長 渡邊委員、よろしゅうございますか。
○渡邊委員 ありがとうございます。
電子的に処方箋を発行するということの法整備がなされていても、その電子処方箋に基づいた調剤により発生する、ほかの多くの患者情報というものを、どう共有、活用していくかというのは、全体として、今後の法整備等も踏まえた協議を進めていく必要があると思いますので、その辺りもしっかり資料上に反映させていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
○田中参事官 承知いたしました。
○田辺部会長 では、伊奈川委員、よろしくお願いいたします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
今回、こういう形で直近の情報を出していただきまして、とても参考になりました。
今回のいろいろな構想という点から言えば、基になっている情報が、レセプトのような社会保険、医療保険のデータが多くを占めていますので、やはり医療保険部会としてもしっかり議論していく必要があるのではないかと思いました。
その上で、2点ばかり申し上げたいと思っていますのは、今まで、ほかの委員からも指摘ありましたように、医療情報というのは機微情報で、利活用に当たっては、リスクというものも伴いますので、その辺りの兼ね合いをどうするかという点は、常に意識しておく必要があるのではないかと思います。
その関係で2点申し上げますと、1点目は、国民にとってのメリットという点であります。本日、スライドの17でしょうか、EUの現在進んでいる医療データ空間についての紹介がありましたけれども、私が承知している限りでは、こういった二次利用ということもありますけれども、単一市場、人の移動という中で、国境を越えて受診する場合がありますので、その場合の医療情報の共有ということで、現実的な必要性があって、こういう話が進んでいて、その中での二次利用ということだと思いますので、そういった点を常に意識しておく必要があるのではないかということであります。
2点目は、そのこととも関係いたしますけれども、EUの場合は、一般データ保護規則の場合も議論がありましたように、こういった情報をいつまで保存するのかという点が重要なのだろうと思います。
EUの表現を使えば、消去権、あるいはフランスの場合ですと、忘れられる権利といったような形で、一定期間たった場合は、過去の情報を活用することに関しては制限がかかったりすることもあるわけであります。
そういう点で、今回、匿名情報だけではなくて仮名情報といった話がありましたので、個人が特定されることはないのだろうと思いますけれども、やはり、こういった情報をいつまでどのように蓄積していくのかという点が気になっているところであります。
御承知のようにカルテあるいはレセプト等々については、一定の保存期間があるわけですけれども、こういう形で蓄積された情報、私が不勉強だけかもしれませんけれども、今回の構想の場合は、いつまで保存するのか、活用していくのかといった点について、何かあれば教えていただきたいと思います。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
保存期間に関する御質問がございましたけれども。
○田中参事官 現時点で何か決まっているものがあるわけではございませんが、保存年数等の詳細は、他制度も参考にしながら今後の検討と思っております。
○田辺部会長 伊奈川委員、よろしゅうございます。
○伊奈川委員 ありがとうございます。分かりました。
○田辺部会長 では、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 それでは、発言させていただきます。
医療DXに関する取組の進捗状況と今後の展望について御報告いただき、ありがとうございます。
医療DXによるデータの連携や利用の拡大は、効率的で質の高い医療の提供に資する取組であり、非常に重要であると認識しています。
引き続き、「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、使い勝手のよい仕組みとなるよう取組を進めていただき、また、できる限り早期の実現をお願いしたいと思います。
それから、1つ目の議題にも関わるところですけれども、全国医療情報プラットフォームをはじめ、御説明のあった医療DX全般の効果が最大限発揮される上での重要な鍵の1つが、マイナ保険証の利用促進だと考えております。
マイナ保険証の利用を促す際に、この医療DXのメリットを併せて周知することによって、今後のマイナ保険証の利用促進につながることが期待されるのではないかという印象を持っております。
次に26ページ、医療DXの推進に関する法整備に向けて検討が必要な事項の全体像についてですけれども、1には、運用費用の負担の在り方に関する項目がございます。今後、医療部会、医療保険部会で議論ということですけれども、費用負担を検討するに当たっては、まずは大前提として、全国医療情報プラットフォーム自体の運用の効率化を意識することが重要であると考えます。
さらに、費用負担の検討に当たっては、電子化による紙作業の削減など、医療機関の実務において期待される効率化も加味する必要があると考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
貴重な情報をいただいてありがとうございます。医療DXは、大変期待をしています。
いただいた資料で、参考の資料のほうが後半にございますが、30ページに、医療DXの推進に関する工程表全体像というのが書かれていますけれども、ぜひ、こういったスケジュール感で、また、こういった項目等で押さえながら、推進をぜひ図っていただきたいと思っています。
2点目は、全体に関係することなのですけれども、ぜひ戦略的にやってほしいなと思っています。
といいますのが、DXは医療の面でどんどん進んでいくと思いますし、DXのかなめの1つは、データをちゃんと集めて、それを活用していくことがあると思うのですが、1つ目には、やはり国民の皆さんの健康リテラシーをどう高めるかということを意識してやっていくことがとても大切だと思っています。健康リテラシーを高めることによって、自ら自分の健康を意識して、努力をして、健康を保持してということになっていきます。これは、長年の課題でもある医療費の適正化にも効果があると思っています。
そういった意味では、Personal Health Record、PHRとのリンクとかも今後当然必要だと思っています。
そして、関連して2つ目は、疾病の予測ということも以前の会議で申し上げましたけれども、ぜひ射程に入れたらよいのではないかと思っています。
ほかの国では何百万人という健康データから、医療データ等も突合しながら、あなたの今の健診数値の状況では、このような疾病が5年後、3年後、あるいは10年後に考えられますと、注意してくださいということを、必ずしも「注意してください」とは一々言わないで、そのデータを示すことによって御本人に意識してもらうことをされているようです。こういったことは、当然、日本の科学技術を使えば可能だと感じておりますので、疾病予測をして、多くの皆さんへの啓発に活用していく、また、実際の健康改善に利用していく、そういったことも考えてほしいと思っています。
あわせて、当然のことですけれども、3点目に、その活用の先に、多分創薬のことがあると思っていますので、薬局や薬剤関係の会社の方とかは大変興味を持っていらっしゃると思いますし、アメリカの場合ですとオバマ政権の頃から、この創薬についても国家として取り上げられているようでございますから、ぜひ創薬にどう活用していくかということも考えたらいいのではないかと思います。
そして、4点目ですけれども、医療研究に当然このデータやDXのいろいろな取組や、今後活用されていくものと思っています。
そういった意味では、先ほどほかの委員もおっしゃったように、個人が明らかになるような個人情報の扱いは非常によろしくないと考えられますので、セキュリティとプライバシーをしっかり確保しながら、でも一方ではビッグデータとして活用すれば、様々な研究や様々な活用も政策的にも可能になっていくと思いますので、そういったことができるようにお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、根本参考人、よろしくお願いします。
○根本参考人 ありがとうございます。
医療DXの推進につきましては、7月12日に開催されました医療部会において、都道府県の立場から意見を申し上げましたけれども、医療保険部会においても改めて4点発言させていただきます。
1点目でございますが、関係者に対する早期の情報提示と丁寧な説明についてでございます。
現場で混乱が生じないよう、医療機関や都道府県の意見を踏まえながら、必要な技術的・財政的支援を行うとともに、具体的な内容に係る情報を早期に提示することが必要と考えております。
また、制度を導入し普及させていくため、各取組のメリットや安全性について、国民や医療機関等関係者に丁寧に説明することが重要だと考えております。
2点目でございますが、電子カルテシステムの導入や更新への支援についてでございます。
具体的な低コスト化の推進や、医療機関の導入及び更新経費に対する支援策の検討をお願いいたします。
3点目でございますが、セキュリティ対策についてです。医療DXの推進に当たりまして、ハード面におけるセキュリティ対策を徹底するとともに、医療情報等への不正なアクセスを防止するための対策を徹底することが、国民の信頼と理解を得るために重要だと考えております。
4点目です。国民健康保険制度において、都道府県が財政運営の責任主体となっておりますので、その立場から発言させていただきます。
全国医療情報プラットフォームの運営費用につきましては、保険者の負担が生じることとなった場合、国保財政への影響が懸念されます。運営費用の全体額や、どういった方が受益者としてどのくらい負担するのかなど、負担の在り方を早急に示した上で、関係者と丁寧に調整しながら検討を進めるようにお願いいたします。
私からは以上です。ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 医療DXの更なる推進に関しましては、医療の質の向上、また、その効果的・効率的な形に資するということで、我々としても異論はないわけでございますが、今回の26ページの全体像に関して要望と、御質問が1点だけございます。
特に、支払基金に関してですけれども、支払基金は以前も少しお話しましたが、適切な審査と、そして迅速な支払いということが本来業務でございますし、これを何十年も安定的に行ってきていただいているということで、各医療機関との信頼関係も十分にでき上がってきているという現状がございます。
今回、これを抜本改組するというお話でございますが、要するに現在の医療機関との信頼関係というものもしっかりと継続した上での改組をお願いしたいという要望が1点でございます。
もう一点は、資料の19ページにもございますけれども、医療DX推進機構の主な業務として、やはり医療DXに関するシステムの開発、そして運用主体の母体ということであろうと思いますが、今、お話をしたこれまでの支払基金の業務と、かなり異なっている部分も多いと思いますが、この機構全体が将来的に医療全体の中でどういう役割を担っていくのかということ、まだ、これは明確な形としては見えてきておられないのかもしれませんが、現段階において何かお示しいただけることがあれば、御説明いただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
支払基金の形について。
○田中参事官 ありがとうございます。
具体的に全体像みたいなものを、今、お示しする段階にはないので、そこについては、今後、検討の場でしっかりとお示しをさせていただきたいと思っております。
一方で、今、先生から御指摘のございました、医療機関とも信頼関係のある、今の支払基金の業務について、そこに我々が何かしようというものではないということは、明確にお伝えをさせていただきたいと思います。
○田辺部会長 城守委員、よろしゅうございますでしょうか。
○城守委員 ありがとうございます。
もう既に、支払基金においては、人員削減等の改革が実施されているところでございますので、その辺り、新たに機構に必要な人材と、そして、これまでの審査支払業務において必要な人員というもののバランスをしっかり取っていただきながら、改組を前に進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ほかは、いかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
医療提供体制の効率化、データ利活用の促進等、医療DXを推進する必要性については、論をまたないということでございます。我が国の医療DXは、残念ながら海外と比べても遅れているわけでございまして、国民がよりよい医療を受けるためにも、前倒しで進めるくらいの気概を持って取り組んでいただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょうか。
では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
医療DXに関しては、やはり我が国の国民皆保険制度をはじめとする、世界的に見ても大変すばらしい医療制度全体を、さらに維持、拡充していくためにも不可欠な要素であると考えております。
また、私ども保険者としましても、こうした医療DXの進展に合わせて、軌を一にして我々なりのDXについても取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
今日御紹介いただいた資料の中では、やはり、7ページにございますような費用負担の在り方の議論、これに関しまして受益者で幅広く負担するという考え方に基づいて、関係者の役割や受益等を整理して検討を進めていく必要があると考えております。
我々も保険者の1人として意見を述べさせていただきたいと考えておりますし、医療保険部会でしっかりと議論をお願いできればと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がないようでございますので、本日は、これまでとしたいと存じます。
本日の意見も踏まえつつ、今後医療保険部会においても議論を深めていければと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡いたします。
本日は天候の悪い中、また、御多忙の折、御参加いただきありがとうございました。これにて閉会いたします。