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第5回農業機械の安全対策に関する検討会議事録
労働基準局安全衛生部安全課
日時
令和6年8月6日(火)14:00~
場所
労働委員会会館2階205会議室
議題
- (1)(一社)日本農業機械化協会・(一社)日本農業機械工業会の取組について(情報共有)
- (2)今後の検討の進め方等について
- (3)その他
議事
- 議事内容
- ○中野室長 それでは、定刻となりましたので、第5回「農業機械の安全対策に関する検討会」を開会いたします。
報道関係者の皆様、傍聴の皆様、この会議の撮影は冒頭のみとしております。改めて御案内いたしますけれども、それ以降の撮影は御遠慮いただきますようお願いいたします。
初めに、事務局に変更がございましたので、御連絡いたします。7月5日付で安全課長の小沼に代わりまして安井が着任いたしております。
○安井課長 安井と申します。よろしくお願いいたします。
○中野室長 建設安全対策室長の土井に代わりまして、私、中野が着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、出席者の確認をさせていただきます。本日は、全ての委員の皆様に御出席いただいております。髙橋委員はオンラインでの出席となります。
本日は、一般社団法人日本農業機械化協会と一般社団法人日本農業機械工業会の取組について情報共有をしていただいた後、本検討会の今後の検討の進め方等について、事務局より御説明させていただき、御意見をお伺いできればと考えております。
続いて、資料の確認をいたします。議事次第のほか、資料1として、一般社団法人日本農業機械化協会及び一般社団法人農業機械工業会の取組の資料、1枚紙でございます。資料2として、これまでのヒアリング結果の概要。資料3として、今後の検討の進め方等についての資料。このほか、参考資料1から3まで御用意いたしております。なお、資料2につきましては、これまで実施したヒアリング概要の資料でございまして、直近のヒアリングの概要を事務局において追記したものでございます。
以上となりますが、過不足等ございましたら、事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。
それでは、報道関係の皆様、傍聴の皆様、これより先の撮影については御遠慮いただきますようお願いいたします。
(カメラ退室)
○中野室長 それでは、以降の議事進行につきましては、梅崎座長、よろしくお願いいたします。
○梅崎座長 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
まず最初に、今、お話がありましたように、議事(1)の一般社団法人日本農業機械化協会様と一般社団法人日本農業機械工業会様の取組につきまして、皆様と情報共有させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、氣多委員から、続いて川口委員から御説明をお願いできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○氣多参集者 日本農業機械化協会の氣多でございます。今日は、貴重なお時間を頂戴しまして、私どもの資料を御参考にしていただける、ということで、大変どうもありがとうございます。私どもの団体の名前、「日本農業機械化」、機械化を進めるという協会でございますけれども、最近の仕事は農作業安全が主体でございまして、半分を超えて3分の2ぐらいは安全の仕事かなと思っております。
それで、いろいろなことをやっているのですけれども、特に座長から御示唆があったものですから、動画を御覧いただくということで、3本ほど用意しておりますけれども、全部は時間の関係から不可能かと思います。いずれも昨年あるいは一昨年に作った最近のもので、過去からの動画の蓄積、結構あるのですけれども、それぞれ農作業安全の研修で上映されることを主な目的にして作成してございます。
それで、今回、対象の5機種の一番基本というのでしょうか、一番ベースとなるようなトラクターについて、全体、15分ほどですけれども、御覧いただきまして、そのほか2本ほどはさわりを御覧いただこうと考えております。繰り返しになるかもしれませんけれども、特別教育が実施されるとしたら、こんなものが教材になるのかなというふうに想像はしているところでございます。
それでは、1番のトラクター安全作業の基本ということで、トラクター全般について安全のビデオとして作成したものでございます。
(動画視聴)
○氣多参集者 ありがとうございました。
次は、シートベルトのビデオを御覧いただきます。今の動画にも出てきましたけれども、農林水産省さんがここのところシートベルト装着のキャンペーンをやっておりまして、しているとしていないで死亡率が全く違うということで、短時間ですが、最初のところだけお願いします。
(動画視聴)
○氣多参集者
それから、3つ目ですけれども、農作業事故を経験された農業者の方、5人ほど御出演いただきまして、それぞれ御自身の御経験を語っていただいた。こういうのはちょっと珍しいというか、日本でも初めての取組だったかなと思いますけれども、それぞれ大事故を経験された方が多くて、5人のうち3人は片腕をなくされた方なのです。今回の5機種の一つであるコンバインの事故を御経験された秋田の大潟村の方で、農協の理事までされた方なのですけれども、その部分を御覧いただきますので、お願いいたします。
(動画視聴)
○氣多参集者 ありがとうございました。以上の動画は、私どものホームページでどなたでも御自由に御覧になれますので、もし御覧になりたい方があれば、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
それと、今日、分厚い冊子を2冊、配付させていただいております。ウェブの方は必ずしもないとしたら恐縮ですけれども、この分厚い2冊の資料も、どちらもPDFで私どものホームページからダウンロードできる形になっていますので、必要に応じて御参照いただければと思います。
若干御説明させていただきますけれども、2つのうち、さらに厚いほう、「SAFETY MANUAL」と書いてある本ですけれども、これは令和3年に、農林水産省さんが農作業安全の指導者の育成事業というのに取り組まれまして、これは今でもやっておりまして、既に5000人を超える方がこの研修を受けて指導者になっておられますけれども、初年度に3300人の育成をいたしました。これはそのテキストとして作られたもので、編集委員長は隣に座っておられる志藤さんなので、志藤さんに御紹介いただいたほうがいいのかもしれませんけれども、事務局としてさらっと説明させていただきます。
14ページをお開きいただくと、第2章ですけれども、労働安全の基本とありまして、このテキストの一つの特徴は、まさに今日のこの検討会も関係するのかもしれませんけれども、労働安全衛生対策、厚生労働省で取り組まれている労働者の安全対策が、一般の農業よりは進んでいるので、そういう進んだ考え方を取り入れていこうということで、労働安全関係の記述がかなり多くなっております。例えば29ページに行きますと、直接的な労働安全衛生法令に関するようなことも、かなりのページを割いて記述しております。
それから、ちょっと飛びまして、76ページをお開きいただきたいのですけれども、ここから先、この本のもう一つの特徴は、具体的な事故例を基に、それの分析を加えているということです。そうすると、もちろん具体的な例は事例ですから、あくまで事例で、そんなにたくさん載せられるものではないのですけれども、77ページにはホームページの画面みたいなものが載せてあり、これは農研機構農業機械研究部門の農作業安全センターというホームページがありまして、そこに数百という事故事例が載っていて、赤で囲んだように、数ページにわたって1つの事例について分析されているというような、かなりの蓄積があるということでございます。
それから、78ページはトラクターが転倒・転落した。キャビンがついていても結構なけがをしたという例です。
それから、80ページはコンバインがバックして段差から落ちて、これも大きなけがをしたという例です。
それから、84ページはスピードスプレーヤーですけれども、この写真にあるように、まさに枝にぶつかったのだと思いますけれども、後ろを向いていたのでしたか、頭がぶつかって大けがをしたという例でございます。
それから、86ページは農用運搬車の死亡事例ですけれども、お一人で亡くなっているので、本当に厳密な原因はよく分からないのですけれども、乗用・歩行兼用の農用運搬車で、それを歩行で使おうとして急発進してひかれたという例だということでございます。
それから、もう一冊、若干薄めの資料は、これも最近、まとめ直したものなのですけれども、「リスクカルテ」という耳慣れない名前がついています。これは一言で言うと、現場で農作業安全の研修をやっていただく指導者の方たちが使う材料集というつもりで作ったものでございます。カラー刷りの絵がいっぱい載っておりまして、後ろにCDをつけているのですけれども、これはあえてパワーポイントでこれらの資料をつけていまして、どうぞ自由に加工してください、ホームページでも公表しているのですけれども、それぞれ自分の目的に合った研修用の資料にどうぞ加工してくださいということで作ったものでございます。
私からの御説明は以上です。ありがとうございました。
○梅崎座長 氣多様、どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、川口さんのほうからお願いします。
○川口参集者 日本農業機械工業会でございます。
私どものほうは、資料1にございますように、スピードスプレーヤーの安全作業のポイントというビデオを昨年度、作成いたしました。このきっかけは、農林水産省さんが実施しておいでの農作業事故調査があるのですけれども、近年、スピードスプレーヤーの事故がちょっと多くなっているというようなことから、私どもの会員企業の中のスピードスプレーヤーのメーカー、3社あるのですが、自発的にこれはメーカーとしても何とか事故を減らすための取組をしていく必要があるのではないかというような判断をいたしました。
個々の会社で取り組むということは非常に難しいところもありますので、スピードスプレーヤーのメーカー3社、それから私ども日本農業機械工業会が一緒になりまして、企画段階から現場のいわゆるロケハン、撮影、編集まで、全て私どもと会員が関わって、安全に使っていただくためのポイントについて啓発用のビデオを作ったということでございます。
こちらには持ってきておりませんけれども、ビデオのほかに1枚紙のチラシも作って、これは全国各地の展示会等々の場で配布しております。そのチラシの中にもポイントを簡単に書くとともに、QRコードでこのビデオが掲載されておりますホームページに飛べるようにして、見ていただけるような形で作ったものでございます。このビデオの動画につきましては、私ども工業会のホームページのほか、スピードスプレーヤー3社、それぞれが自らのホームページに掲載して顧客の方々に見ていただけるようになっているものでございます。
それでは、全部で7分少々でございますけれども、御覧いただきたいと思います。よろしくお願いします。
(動画視聴)
○川口参集者 ありがとうございました。このような形で、メーカー側の自主的な取組ということで安全啓発を行っているということでございます。
○梅崎座長 それでは、氣多様、川口様、大変貴重な資料の説明ありがとうございました。大変よく分かりました。
それでは、せっかく貴重な資料の御説明をいただきましたので、これにつきまして御質問がございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。皆様、農業の専門家ということで、よくお分かりのこともあるかと思うのですが、今回の検討会の検討項目も含めまして、御質問とか資料に関連してございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
齋藤様辺り、何かないでしょうか。お願いいたします。
○齋藤参集者 質問というより感想なのですけれども、安全研究所の齋藤です。
見させていただいて、確かに農機、特に車両系の機械を運転、操作、扱うに当たって、作業者、オペレータ、運転者が注意しなければいけないポイント、気をつけなければいけないポイントというのは、普通の何も情報を持っていないというか、ただ機械を購入し、手使う、仮に農家でお父さん、お母さんが使っているのを見て育ったにしても非常に難しい。これはきちんと体系立てて情報を提供する、知らせることが重要かなと、見させていただいて大変分かって、一件一件、非常に重要なアクションだなと思いました。
また、これは機械化協会さんのほうで作られた冊子のほうを見せていただいて、労働安全のほうでもこういった災害事例とか、特に機械安全に関してこういったリーフレットが幾つか公表されていますが、これは質問じゃなく、感心したポイントなのですけれども、検査、基準を通っている機械を使用しましょう、あるいはこういったものでカバーがついているのはこういう理由があって、そこを改造してはなりませんというような踏み込み。一昔前は、座長もよく御存じだと思いますが、いつも気をつけよう、確認しようだけで、体制をつくりましょう、管理者を置きましょうだけで終わってやるところを、機械のほうにも目を向けて。また、先ほどのフレームのある機械に買い換えましょうというようなことも入っていました。
農機メーカーさんのほうも協力の上で、同様の内容を理解した上でやられていることだと思いますけれども、こういったものを作成するにあたって、メーカーさんの協力についてもう少し御説明いただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○氣多参集者 動画あるいは資料、どちらももちろんそれなりに御協力いただいていますし、場合によっては撮影させていただくのも一部御提供いただいたこともありますけれども、そもそも2つの団体が今、動画を紹介させていただきまして、名前も似ているので、どう違うのだと言われることがあるのですけれども、日本農業機械工業会は製造業、メーカーの団体。私どもは、メーカーさんも会員になっていただいておりますけれども、流通とか農業者団体とか農業機械全体に関する団体で、そういったメーカーさん以外からも御意見を頂戴しながら事業をやっているのです。
一方では、こういった資料を作るときに一番直接的に御協力いただけるのはメーカーが多いかなと思っております。日常的にといいますか。ただ、横手さん、いらっしゃいますけれども、全農さんも流通の立場で作成にも大変御協力いただいております。お答えになっているかどうか分かりませんが。
○川口参集者 日本農業機械工業会でございます。
私どもの立場から若干補足させていただきますと、今日、機械化協会さんが説明されました指導マニュアルですけれども、これは言ってみれば実際に現場段階で研修を行う講師の方を育成するための研修、指導者研修というのですか、そのために作ったマニュアル、教材でございまして、このマニュアルに基づく指導者養成研修を受講している方がどんな方かというと、そこにはメーカーというよりは、実際にはディーラーになるのですけれども、農業機械の製造・販売を担当しているところの方が農家の方と接する機会が非常に多いので、そのような方を受講生として研修を受けていただき、その研修を受けていただいたことを踏まえて農家の方々への御指導といいますか、そういうものを行わせていただいているという形になっております。
○梅崎座長 どうもありがとうございました。かなり突っ込んだ資料で、今お話いただいたように、いろいろな形で活用できる教材として使えればと思います。
すみません、教育という観点で、鈴木さんのほうからあればで結構でございますが、もし何か質問等ございましたらいかがでしょうか。特段なければないでいいです。
○鈴木参集者 特にはないですが、先ほど氣多様からマニュアルの御紹介があって、そこでもちょっと触れられていましたけれども、我々コンサルタント会も少しお手伝いさせていただいたかと思っています。
その中で、個人農業者の場合、労働安全衛生法が適用されないため、危険・有害な作業や機械に対して、ほかの業種では大体どんな方法で、あるいはそれに関係してどんな教育等を受けているかという辺りを御紹介しました。この分厚い指導マニュアルの29ページ辺りに、農業者でも危険・有害な作業あるいは機械を使うのに、こんな特別教育などが必要だというのを知らない方が多いかと思うので、ほかの業種ではこんな活動をしていますという辺りを紹介させていただきました。
○梅崎座長 ありがとうございます。そういう視点を教えていただければ。ありがとうございます。
ほかに御質問ございますでしょうか。
では、お願いいたします。
○安井課長 安全課長の安井と申します。
ビデオなどで説明いただきまして、ありがとうございました。非常にビジュアルで、よく理解できたと思います。また、様々な取組をされているということで、大変感銘して聞いていたところでございます。
私、安全衛生行政に従事して長いのですけれども、今日の資料に出てきます、農業従事者の死亡災害が年間250人もおられるというのを初めて知りました。御案内かどうか分かりませんが、全産業の労働災害がもう700人後半まで下がっていまして、それの3分の1に達する方が農家で亡くなっているというのは、正直、今まで知りませんで、私の不明を恥じているところでございます。
頂いた「SAFTY MANUAL」も非常に分厚いもので、ぱらぱら見させていただきましたが、印象は非常に多能工と言いますか、作業内容が非常に多様でございます。先ほどのビデオにもありましたけれども、トラクターを現場に持っていくために公道も運転しなければいけないし、当然、それを使った作業も必要ですし、それが終わった後、整備もしないといけない。これは通常の産業ですと分担しているのですね。例えば、車両系建設機械を運ぶのは運送事業者で、作業するのはもちろん作業員さんですけれども、整備は別の人がやったりするのです。そういう意味で、ある意味分業していて、それぞれで専門性を高めながら仕事をしているところを、お一人で非常に様々なお仕事をするという特徴があるのかなとお見受けいたしました。
そういったことになってくると、教育というのはもちろん大事なのですけれども、あれもこれも、こういうことに注意しなさいと言っても、これだけの分厚い本になってしまって、なかなか頭に入らないというところになろうかなという気もいたします。
引用されているリスクアセスメントですけれども、リスクアセスメントの対策の考え方というのは優先順位がございまして、一番いいのは、そもそも危険な作業をしないということなのですけれども、どうしても危険な作業をする場合においては、まず工学的対策ということなので、使う機械を安全にするというのが一番初めに来て、それができない場合、あるいはそれに作業管理とか作業環境管理を重ねていくという形になりますので、これだけ多能工ということになってくると、こういうことに注意しなさい、こういうことに注意しなさいと言ってもなかなか厳しい。
そういう意味で、農業機械自体をいかに安全にするか。要するに、人間が失敗しても事故にならない。いわゆるフールプルーフとか、そういったものをいかに機械の中に入れていくのかというのが非常に課題なのかなという印象を受けたところでございます。
以上です。
○梅崎座長 どうもありがとうございました。
安井課長と全く同じ視点を私も持っておりまして、そういう意味で、ぜひこの農業機械の検討会も、まず設備の側できちんと安全確認する。ただ、どうしても設備だけでできるものというのも、なかなか限られたものがあるでしょうから、そのときには人についてどういうふうにやっていくかという戦略的なアプローチというのが重要だと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
では、氣多様、お願いします。
○氣多参集者 今のお話ですけれども、入り口に帰るような話を申し上げて恐縮で、皆さん、御存じのことを再度申し上げるのですけれども、ハードの安全に関しては、第2回で志藤部長から説明がありまして、農研機構で検査制度があるのですけれども、これは強制ではない。別に合格しないと販売してはいけないという仕組みではない。一方では、今回、もし労働安全衛生規則で措置されるとしたら、労働者に使わせる場合は法律上の強制措置があるが、一方では、相手は労働者だけという。何が言いたいかよく分からないかもしれませんが、そういうところを組み合わせてとにかくできるだけ作業を安全にしていくことができればと、この取組もそういうことでできればというふうに考えております。
○梅崎座長 ありがとうございます。氣多様の御意向はよく分かりますので。農研機構さんがきちんとその辺のストーリーを作っていただいているというのもよく分かりますので、その辺のところをうまく活用した上で、この検討会に生かしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
よろしいでしょうか。それでは、議題(1)は以上にして、続いて議題(2)の今後の進め方等ということで、こちらにつきましては事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○繁野審査官 建設安全対策室の繁野と申します。よろしくお願いします。
私から、まず資料2について説明させていただきます。「これまでのヒアリング結果の概要」ということで、事務局において集約したものということでまとめさせていただきました。
最初に室長からもありましたけれども、こちらの結果ですが、前回のヒアリングを踏まえ、前回の資料に追加したものとなっております。
また、1枚目のところでございますけれども、ヒアリング概要ということでまとめさせていただきました。農業機械の安全対策を検討するに当たり、ユーザー側、メーカー側等に対し、農業機械の安全確保の観点から現状や実態についてヒアリングを実施したということでございます。
ヒアリング対象者としまして、農業従事者2名、農業法人経営者4者、農業機械メーカー10社に対してヒアリングを行いました。
また、第1回でヒアリング項目を御議論させていただきましたけれども、その内容についても記載させていただいております。
めくっていただきまして、Ⅱ 農業従事者・農業法人経営者へのヒアリング結果の概要ということでございまして、それぞれヒアリングできた内容について、大きな項目でまとめさせていただきました。
車両系農業機械の災害の特徴としまして、機械の操作誤り、修理時等の動力の遮断不備、アタッチメント交換時の確認不足、逸走防止措置の不備、運転席から離れる場合のインターロック機能の欠如等が見られるということで、四角の枠の中にまとめて記載させていただいております。
また、他にも、ヒアリングで確認できた内容については、枠の下に書かせていただく形でまとめさせていただいております。
2つ目、車両系農業機械の安全教育、安全装備及び点検等に関することでございまして、安全教育につきましては、それぞれまちまちの状況が見られるという形ですけれども、しっかりやっているところであれば、例えば都道府県主催の講習会に参加したり、自社で実機を活用した教育を行ったり、そういった状況が見られました。
安全ルールの策定状況でございますけれども、こちらも進んだところでは、危険箇所の把握・情報共有・改善、明るい時間帯の作業体制の確保など、そういった状況も見られました。
安全装備に関しましては、常態としてシートベルトを着用していないケースがある一方、しっかりとシートベルトやヘルメットを着用しているものも見られております。
続いて、点検の関係でありますけれども、点検につきましては、メーカーによる年次の整備・保守点検の実施のほか、自社において作業開始前の点検、日常的な点検が行われているというお話もありました。点検頻度とか内容等については様々な状況が見られたところでございます。
次のページの3 車両系農業機械に求める安全対策等に関することということで、ユーザー側からの要望でございます。トラクター、コンバイン、SS(スピードスプレーヤー)等の車両系農業機械全般について、運転席を離れた際の停止装置の設置に関する要望ですとか、スピードスプレーヤーの安全フレームの設置、防除用ヘルメットの作業性の向上等に関する要望がございました。その他、作業効率にも配慮して安全対策を考えてほしいという要望がございました。
続きまして、5ページ目、車両系農業機械メーカーへのヒアリング結果の概要でございます。車両系農業機械の安全措置の状況を、ヒアリングしたメーカーから確認できた内容をまとめさせていただきました。
転倒時保護構造、シートベルトにつきましては、トラクターは、現在販売されている製品全てに転倒時保護構造及びシートベルトが標準装備されている。一方で、その他の車両系農業機械では販売中のものであっても、転倒時保護構造が装備されていないものがほとんどというような状況も確認できました。
コンバイン、スピードスプレーヤー及びほとんどの農用運搬車では、使用用途と作業性等の観点から、転倒時保護構造及びシートベルトが装備されていないとか、シートベルトリマインダー及び運転者が運転席から離れる場合に動力を遮断する機能につきまして、トラクターにおいて、令和7年度に予定する農研機構さんが実施する安全性検査基準の追加に向けた対応を実施しているということが確認されております。
前照灯、尾灯、方向指示器、警報装置につきましては、道路運送車両法の関係で保安基準へ適合させるために、公道走行が可能な型式には装備されている。また、公道走行要件として、後部反射器が求められているという状況です。
農用運搬車は、小型特殊自動車に該当するものでございまして、公道走行が可能な型式にはこういった装置が装備されているということでございますが、公道走行しないものにつきましては装備されていないものもあるという状況でございます。
安全フレームにつきましては、トラクター、スピードスプレーヤー、農用運搬車でキャビン付のものが販売されているという状況が確認されております。
また、農用高所作業機の一部には墜落防止用の柵が装備されている。ほかの車両系農業機械にはこういったものは装備されていない。
最大使用荷重の表示につきましては、農用運搬車、高所作業機には最大使用荷重を表示しているということでございました。
次、2つ目、主たる用途以外の使用実態ということで、トラクター、農用運搬車、農用高所作業機、その他でまとめております。
トラクターでは、メーカーが装着可としていないアタッチメントが使用される。
農用運搬車、農用高所作業機では、主たる用途以外の使用実態がある。
その他、機械の電子制御によりエンジンの出力を上げる不適切な改造がなされる実態もあるというような状況が確認できました。
3つ目、農業機械使用者に求める安全対策ということで、定期的及び使用前の点検・検査、主たる用途以外の使用の禁止、取説に沿った使用方法、圃場及び圃場までの経路の整備、危険な改造の禁止、運転者の教育等を求めるといった要望がございました。
資料2については、以上で事務局の説明とさせていただきます。
○梅崎座長 どうもありがとうございました。
今の事務局からの説明は、皆様からヒアリングした結果の内容でございますので、もし事実とちょっと違うとか、そういう簡単な質問がありましたら質疑応答を受けたいと思うのですが、いかがでしょうか。特段ございませんでしたら次へ行こうと思っているのですが、もし事実関係とか、ちょっと違うのではないかという御質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
お願いいたします。
○安井課長 一番最後のページの事故情報のフィードバックを受けることができないといったお話は、その他ということで、どなたがおっしゃったかよく分からないのですけれど、事故情報のフィードバックというか、事故そのものの報告制度がないと伺ってはいるのですけれども、メーカーとしても事故情報を集めるような仕組みは何かございますか。
○川口参集者 日本農業機械工業会でございます。
フィードバックを受けることがないという書き方なので、ちょっと誤解を与えるのかもしれないですけれども、ヒアリングのときにも各社、ほぼ共通していたのは、事故の情報について、直接、売った側に対して報告する義務はもともとないということもあるのですけれども、事故があったというようなことを、例えば警察からの報告とか第三者から入ってくるとか、そういうことがあって、詳細にできるだけ把握はしたいのだけれども、肝心の事故を受けた方、事故を起こした方が、農業の場合ですと、こういう事故があってこうだったのだということをあまり話したがらないというような実態があって、私どものほうのメーカーなりディーラーなりから詳しい情報を収集するのが、実際にはなかなか難しい状況であるという話はヒアリングのときにございました。
○梅崎座長 では、氣多さん、お願いいたします。
○氣多参集者 今のことに関する若干の補足でございますけれども、私が今まで参加して、メーカーさんの御説明で、まさにこういうことをおっしゃられたメーカーさんがあるのですけれども、主として、高所作業機なり農用運搬車のメーカーの方がこういうことをおっしゃっているのが多かったかなと思っております。
というのは、現場の農家への販売は主にトラクターメーカーの4社の系列でされているわけです。そうしますと、それは当然、今言ったような、製造はしているけれども販売は大手の系列が担っているものについては、機械の欠陥であれば、当然情報は行くけれども、使い方の問題から事故を起こしたようなものは、そもそもディーラーにさえ情報が行くという仕組みが別にあるわけではないし、お付き合いのよくあるお客さんであれば、それを掌握することはあるのでしょうけれども、それが必ずしもメーカーにフィードバックするような習慣というか、仕組みがないということが言われたのが、このまとめになっているというふうに理解しております。
○梅崎座長 氣多さん、ありがとうございました。
そういう形で、ユーザーさんのほうからも、お客さんのほうからも、この点についてはいろいろ御意見があったというのが実情でございます。
○泉参集者 逆に聞いてみたいのですけれども、私は労働側の立場で来ていますが、職場はメーカーで設計者でありますので、先の参集者の発言はそのとおりと思います。機械に起因する事故であれば、修理等のスキームで情報が入ってくるのですが、実際、使用方法に起因する事故の状況は個人情報でもあることから、通常はメーカー側に情報が入ってくるものではないと思います。例えば、建設機械とか自動車などの業界では、使用方法に起因する事故の情報がメーカーに入るような仕組みは存在するのでしょうか。
○安井課長 自動車のことはちょっと分かりかねるのですけれども、建設機械とかの場合は、現実問題として車両系機械、建設現場で事故がありまして、そこで事故が起きると死傷病報告というのを監督署に出さないといけないことになって、当然、大きな災害であれば現場に監督指導が入りますので、その過程で、ある意味非公式だと思うのですけれども、かなりの程度メーカーに情報が行くという形になっていると聞いています。公的に何かこういう仕組み、例えば厚生労働省がメーカーにその情報を渡すとか、そういう仕組みがあるわけではないですが、公の機関が動くという中で、現実的には伝わっていくということです。
○泉参集者 ありがとうございます。
○梅崎座長 ちなみに余談ですけれども、職場の安全サイトという、この前説明した中で事故情報を一部見ることは可能だと。そういう状況の中で、いろいろ御意見があったということしか、私としてはそのぐらいになってしまうのですけれども、そういうことがあったということがございましたので、事務局としてはこういうまとめ方をされたのかなと理解しています。
お願いします。
○藤井参集者 その点について、私、実は前職は建設機械の品質保証の仕事をしておりましたので。もし機械に何らかの問題があった場合は、当然入ってきます。そして、建設機械の場合は、私が勤めたところは、人身事故に絡むものは必ず報告することというのが決まっていまして、それはディーラーを通じて品証部門のほうに入ってくるという仕組みができていました。
○梅崎座長 藤井委員のところだと、そこまでしっかりしているのではないかなと思います。
すみません、ちょっと時間になってしまったのですが、よろしいでしょうか。ここは事実確認の場でディスカッションの場ではありませんので、可能であれば、若干関連することも含めて、次のところで議論という形になりますので、資料3のほうを事務局のほうから説明していただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
○繁野審査官 続きまして、資料3「今後の検討の進め方等について」について説明させていただきます。
農業の事故の状況ということでございます。こちらのスライドですけれども、労働者以外の方も含まれたものになっております。年間約240人の死亡者が発生しているということでございまして、その右側の円グラフ、要因別ですが、うち約7割が農業機械作業に関するものになります。
左下のグラフでございますけれども、就業者10万人当たりの死亡事故者数でございまして、農業は上のオレンジの折れ線でございますが、建設業の青の折れ線を上回っておりまして、増加傾向にあるところでございます。
次のスライドです。農業の労働災害による死亡者数ということでございまして、年間約10人で推移しております。右側の円グラフでございます。死亡災害の約3割がトラクター等の車両系農業機械によるものということでございます。こちら、我々、死亡災害を監督署で把握したものの合計として取りまとめておりまして、その情報から確認してデータを出させていただいたものでございます。
車両系農業機械の内訳ですけれども、中には乗用型トラクターが9人と一番多くなっておりまして、そのほか各種ハーベスターと記載させていただいておりますが、内訳としては、サトウキビハーベスターとかネギ収穫機といったもので発生しているということが確認されております。
次、労働災害、休業4日以上の死傷者数でございます。こちら、統計の都合上、造園業も含んだものとなっております。年間約1500人でございまして、近年は増加傾向にあります。千人率、労働者1000人当たりの発生件数でございますけれども、赤の折れ線グラフが農業、ピンクが建設業、青が全産業でございまして、全産業と比較すると農業が2.5倍くらいになっているという状況でございます。
次のスライドです。こちら、起因物別で分類したものでございます。
まず、動力機械と動力機械以外ということで集計しますと、動力機械が約3割を占めている。動力機械以外が7割くらいになっているという状況です。労働災害全般に言えることですけれども、作業行動に起因するような災害ということで、転倒とか脚立などからの墜落・転落といった事故も多く発生しているということでございます。
動力機械の内訳を見ていきますと、その他が6割ぐらいで、車両系農業機械が4分の1を占めております。その他のほうには、自動車の交通事故とかトラックからの墜落といったものも含まれているということです。
車両系農業機械が230ありまして、その内訳が右上の表になっております。その詳細が次の次のスライドになっております。7ページでございます。車両系農業機械を機械種類別に分類しますと、一番多いのが乗用型トラクター、続いて農用運搬機、コンバイン、高所作業機、動力防除機となっております。ここの動力防除機でございますが、スピードスプレーヤー以外の防除機も含まれた数字でございます。
右側の棒グラフでございますが、上から多い5つの機種につきまして、事故の型別で分類したものでございます。はさまれ、巻き込まれ、墜落、転落が多くなっています。高所作業機を除きまして、トラクター、コンバイン、農用運搬機、動力防除機では、はさまれ、巻き込まれが最多。続いて、墜落、転落となっております。高所作業機では、墜落、転落が一番多い。この2つの事故の型で、どの機種でも6割から7割ぐらいを占めているという状況になっております。
次、5つの機械種類ごとに災害の種類別で集計したものでございます。こちら、どの機種でも、上の2つが機械とともに転倒した事例で、多くなっているということです。農業機械の回転部分にはさまれた、可動部分にはさまれた、これも農用高所作業機を除いて、4つの機種では多くなっているという状況でございます。
その他、例えばトラクターであれば、アタッチメント取替え作業中の事故。コンバインですと、回転する刃に触れて切れた。農用運搬機であれば、荷台からの墜落、転落の事故。動力防除機は修理中の事故。農用高所作業機は、作業床等から墜落した事故。ということで、それぞれの機械ごとに使われる作業に応じた事故が見られる状況になっております。
次のスライドでございます。こちらは5つの機種をまとめて、主に災害の種類別に左側の列で分類させていただいております。
機械の転倒・転落。機械の回転部分、可動部分にはさまれ・巻き込まれ。逸走等による事故。機体からの転落等による事故。機体と物体とのはさまれによる事故。作業機着脱時の事故ということで、6つに分けて5つの機械の災害例を入れさせていただきまして、右側に考えられる主な原因という形でまとめております。この右側の考えられる主な原因につきましては、それぞれの災害例を精緻に分析した原因ではなく、事故の主な種類ごとに可能性として推定されるものを網羅的に原因として記載させていただいたところでございます。下線を引かせていただいたものが機械の構造に関係するものということでまとめさせいただいております。
上から説明します。機体の転倒・転落の事故につきましては、5つ事例を挙げさせていただきました。傾斜面を斜めに走行して横転して下敷きとなったもの。事例2が、先ほどの動画でもありましたが、片ブレーキの状態となって急旋回し、走行路から転落したもの。事例3が、機体の後退中に走行路から転落したもの。事例4が、雑草が生い茂っていることにより路肩が分からず走行路から転落したもの。事例5が、荷台の積載物の確認のために座席から立ち上がったときに、誤って操作レバーに触れてしまって急発進し、前方に滑落して放り出されたというものでございます。
右側、考えられる主な原因のところですが、機体の安定度が不足していた。安定度を超える場所を走行した。2.転倒時保護構造を有した機体でなかった。3.シートベルトがなかった、又は使用していなかった。4.走行装置等が不意に作動することを防止する構造でなかった。5.後写鏡など、後方を視認できる設備がなかった、又は後方の確認が不十分であった。6.機体の構造上定められた安定度を超えた際の警報装置が備えられていなかった。7.運転方法を誤った。8.圃場及び圃場までの経路の整備、地形・地質の状態等の確認が行われていなかったということです。
続きまして、機械の回転部分、可動部分にはさまれ・巻き込まれによる事故のところです。回転部分と可動部分に分けておりまして、回転部分が上の4つでございます。
事例1が、手こぎ作業中に稲が脱穀部に入らなかったということで、押し込んだところ、脱穀部に巻き込まれ、負傷したというものになります。事例2が、機体の動力を遮断せずに回転部分の覆いなどを外して機体の清掃作業を行っていたところ、回転部に軍手がからまり右腕が巻き込まれたというものでございます。事例3が、作業機の調整をしようとトラクター後方で作業しているときに、回転中のユニバーサルジョイントに巻き込まれたもの。事例4が、機体の動力を遮断せずに回転部分の覆いなどを外し機体の清掃作業を行っていたときに、回転部に軍手がからまり右腕が巻き込まれたというものでございます。
可動部分でございます。トラクターの作業機を持ち上げて清掃中、不意に作業機が落下し足がはさまれたというもの。トラクターの作業機や農用運搬車や農用高所作業機の昇降部を持ち上げて点検整備していたところ、下降していることに気づかずにはさまれたというものでございます。
右側の主な原因です。刃や回転部に覆い等がなくむき出しの状態となっていたこと、又は覆い等を外した際のインターロック機能がなかったこと。緊急停止装置がなかったこと又は使用されなかったこと。運転位置を離れた際に、自動で作業装置を停止させる機構が備わっていなかったこと。作業装置の動力を遮断せずに点検・整備・清掃等の作業を行ったこと。
作業機等の急激な降下を防止する油圧制御弁を備えていなかった、又は油圧制御弁の締め付けが不十分だった。作業装置の運転位置を離れた際に作業装置を停止させる機構が備わっていなかった。作業機等が落下することによる危険を防止するための架台や固定ジャッキを使用していなかったこと。使用開始前の点検・補修がされていなかったことでございます。
続いて、逸走による事故でございます。傾斜した場所に機体を停車させた後、降車して別の作業をしていた際、動いた機体にひかれた事例。事例2が、エンジンをかけたまま、機体の下に潜って整備していたところ、機体が動いてひかれたもの。事例3が、ギアが入ったままの状態で運搬機のエンジンをかけた途端に機体が走り出してひかれたというものでございます。
右側の主な原因のところです。運転位置から離れた際に、停止の状態を保持する機構が備わっていなかった、又は使用しなかったということです。走行装置等が不意に作動することを防止する構造でなかったというものです。エンジンを切らず、ブレーキ、輪止め等による逸走防止措置が不十分なまま運転席を離れたということ。経年劣化等、ブレーキのかかりが甘い状況が考えられる。又は故障していたことも考えられるということでございます。
続いて、機体からの転落等による事故でございます。運転者席から降車する際、先ほどの動画にもありましたが、前向きに降り、滑り止めの減ったステップで足を滑らせ転倒し、地面に手をついて手首を骨折したというもの。農用運搬車で積み込み作業中に荷台から降りる際に滑り落ちたもの。高所作業機で作業中、作業者がバランスを崩して作業床から墜落したもの。高所作業機の作業床に乗った状態で機体を走行させ、急停止したところ、その反動で墜落したもの。高所作業機から降りる際、作業床が下がり切っていない状態で降りてしまって転落したもの。高所作業機で作業中、傾斜した場所でブームを伸ばして作業しようとしたところ、バランスを崩して転倒したというものでございます。
考えられる主な原因のところでございます。運転者が安全に乗降できる設備を備えていなかった、又は使用しなかった。運転者席に手すり等を備えていなかった、又は使用しなかった。後ろ向き姿勢で降車しなかった、又は乗降部のスペースが狭く、後ろ向き姿勢で降車しにくかったということでございます。農用運搬車において、荷台への乗降時に使用する昇降設備が設置されていなかったこと又は当該設備を使用していなかったこと。高所作業機において、作業床の周囲への手すり、中さんの設置、墜落制止用器具の取付設備等、墜落を防止するための設備が設けられていなかったこと。高所作業機において、作業床を平衡な状態に保持する平衡装置を備えていなかったこと。高所作業機において、作業床に乗車して、走行する際に安全に停止できる装置が備えられていなかったこと。高所作業機において、作業床が下がり切った状態でないと手すりが開かない機構とするなど、安全に昇降できる構造となっていなかったこと。
使用の関係で4つ挙げております。要求性能墜落制止用器具を使用していなかった。圃場・圃場までの経路の整備、地形・地質の状態等の確認が行われていなかった。使用開始前の点検と補修がされていなかった。滑りやすい靴を着用していたということでございます。
続きまして、機体と物体とのはさまれによる事故でございます。動力防除機、先ほどの動画でもありましたスピードスプレーヤーでございますけれども、動力防除機によるリンゴ畑での農薬散布中に張り出した枝と座席背もたれの間に胸部をはさまれたというものでございます。
右側、考えられる主な原因です。キャビンの設置など、運転者に危害が及ばない構造となっていなかったこと。使用の関係で、低い枝などの障害物の除去又は目印をつけていなかったこと。脇見運転をしていたこと。圃場・圃場までの経路の整備、地形・地質の状態の確認が行われていなかったことということでまとめさせていただきました。
続いて、トラクターに特有の事故として、作業機着脱時の事故でございます。こちらも事例を2つ出させていただきました。トラクターからロータリーを外すときに、3点リンクを外してからユニバーサルジョイントを外そうとしたところ、地面の傾斜により、ロータリーがトラクター方向にずれ動き、左手の指をはさんだというものでございます。事例2、トラクターから作業機を外す際、ユニバーサルジョイントが外れて落下し、クロスジョイント部に指がはさまったものでございます。
考えられる主な原因です。機械に対応しないアタッチメントを装着しようとしたという可能性が考えられます。また、作業機等の急激な降下を防止する油圧制御弁を備えていなかった、又は油圧制御弁の締め付けが不十分だったこと。トラクターの運転位置を離れた際に、自動で作業装置を停止させる機構が備わっていなかったこと。使用の関係で、作業手順を定めていなかった、又は定められた手順に従わずに作業を行ったこと(動力を切らずに接近した、安全靴の非着用等)が考えられます。5つ目、不意に作業機等が動くことを防止するための架台や固定ジャッキを使用していなかったことで、それぞれ事故の主な種類ごとに災害例と考えられる主な原因をまとめさせていただきました。
次のスライドでございます。今後の検討の進め方ということでございまして、資料2でヒアリング結果を御紹介させていただきました。このヒアリング結果とか主な機械別の災害の例を踏まえて、主に乗用型トラクター、コンバイン、農用運搬車、動力防除機、農用高所作業機等を対象にしまして、以下3つの大きな論点について議論していくということでどうかと考えております。機械の構造に関する規制、機械使用時に関する規制、講習・教育に関する規制ということで、3つ挙げております。それぞれ構造の関係として考えられるものとか、使用に関するものとか、教育に関係するものとして考えられるものを抜粋して記載させていただきました。
次のスライド以降に、安衛法令で規定する車両系機械の規制を一覧表記して出させていただいております。
まず、スライド13ですけれども、機械の構造に関する規制でございまして、安衛法の42条に譲渡等の制限というものがございます。ここで構造規格が定められたものについては、譲渡等の制限がかかる形になりますが、この構造規格が定められているものを○、定められていないものは○がない形になっております。構内運搬車、貨物自動車、車両系木材伐出機械以外でこの制限があるという状況でございます。
その下、前照灯からその他のところですけれども、ここは労働安全衛生規則の中で構造に関係する規制として挙げられているものを抜粋しております。例えば、前照灯につきましては、前照灯がなければ使用してはならない。ただし、明るい場所ではこの限りではないといったような規制になっておりまして、使用時に構造に関係する要件を満たしていなければ、使用してはならないという形で規制がされています。
続きまして、次のスライドでございます。次のスライドは、構造規格の内容をまとめたものでございます。強度等、安定度、制動装置、走行装置等の操作部分などありまして、該当するところに○をつけております。その他の欄につきましては、それぞれの機械ごとに必要な構造の規制を入れたような形の内容になっております。
次のスライドが機械の使用に関する規制ということで、こちらも省令に規定されたものでございますけれども、共通してあるものを一番上に書いてあります。作業計画から修理のところでございますが、これらについてはそれぞれ規制が書かれているということでございます。
大きなところとして、定期自主検査、特定自主検査につきましては、農業機械でどう位置付けるのかというところも、本検討会の論点であります。こちらの規制につきましては、構内運搬車、貨物自動車以外では何らかの規制がなされているという状況でございます。
次のスライドが、使用の規制に関して、それぞれの機械種類ごとに使用する用途に応じて必要な作業の規制が定められております。例えば、車両系建設機械のアタッチメントの装着に関する規制というのがございます。こういったものは、例えばトラクターのアタッチメントの規制などにも参考にできる内容になっていると思います。また、高所作業車については、農業高所作業も参考になるかなということで記載させていただいております。
あと、定期自主検査・特定自主検査別の規制ということで、実施機関、検査者、検査の証明、検査頻度ということで、こういった定期自主検査と特定自主検査については規制の違いがございます。
次のスライドが技能講習・特別教育に関する主な規制ということでございまして、技能講習と特別教育、機械の能力で分かれております。例えば、フォークリフトでは、1トン以上だと技能講習、1トン未満だと特別教育ということでございます。
次が、技能講習・特別教育別の規制ということで、技能講習・特別教育で実施機関、受講資格、講師要件、受講の証明、修了試験の有無というのをまとめさせていただいております。技能講習については、教習機関が行うとか、受講資格は実務経験がないと駄目とか、講師要件についても厳格に定められております。受講の証明というのもありますし、修了試験もあるということでございます。
今、御説明させていただきました規制、既存の安衛法令で規定されている車両系機械の規制とか、資料2で御紹介したヒアリングの内容、また災害の事例といったものを参考にしつつ、これらを踏まえて、スライド12に論点を書かせていただいておりますけれども、これをより詳細に書き下していって、次回の検討会では委員の皆様にフリーディスカッションという形で御議論いただこうと考えております。
資料3について、以上でございます。
○梅崎座長 どうもありがとうございました。
そうしますと、事務局としては、結局、この資料の中でも特に12ページ、今後の進め方の辺りを中心に委員の皆様方の御意向を伺うといった流れでよろしいですね。その資料として、11ページ以前の事実関係があるし、13ページ以降、参考とはなっておりますけれども、規制内容の話があるという形で議論を進めていきたいと思います。今後、こういう形で何回か議論を進めていくことになりますので、まずは12ページの方向性としていいかどうかについて、皆さんに御意見をお伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
では、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木参集者 鈴木です。
私の勘違いの部分があるかもしれないのですけれども、12ページ目にあるように、今後の検討の対象をどうしようかという5つの機械と、最後に「等」というのがあるからその他いろいろなことを含んでいると解釈しますので、次回の検討課題なのかなと思いますが、今、御説明していただいた中で、5ページ目のグラフ。これはいろいろあるデータの中の一部ということで、これで全てがどうこうとは言えないと思うのですが、右側のほうの機械の中でハーベスターというのが合計で災害の件数が多いのですね。今、太字であるような5機種を中心にということだと思うのですが、以前の検討会の中で、例えば田植機は件数が少ないから、この辺は対象から外してもよいのではというような御意見があったかと思います。
それと逆なのですが、ハーベスターというといろいろなタイプ、作業機械があるのでしょうから、1つにまとめられない部分もあるのかと思いますが、最近の議論の中で、ハーベスターについて災害被害がどうだとか、そういう話題はなかったかと思うので、もう少しこの辺は議論すべきところなのかなと思っているところでございます。
○梅崎座長 これは事務局のほうで何かお考えがあると思いますので、御説明お願いします。
○繁野審査官 論点の中で、それぞれ構造、使用、教育という形で分けて記載させていただいております。おっしゃるように、このハーベスター、いろいろな収穫用機械があるので、スライド5の※書きのところに書かせていただきましたが、ニンジン収穫機、タマネギ収穫機、ポテトハーベスター、大根収穫機、ロールベーラーとか、いろいろなものが使用されているところでございます。このそれぞれの機械について、例えば構造の規制についてどうするのか、使用の関係についてどうするのか、教育の関係についてどうするのかというところを、それぞれフラットな状態で御議論していただこうと考えております。
○梅崎座長 そうしますと、この「等」の中には、ここで言う収穫機もそうですけれども、5ページ目にあるハーベスター類が入るという理解ですか。
○繁野審査官 ハーベスターも、ほかにもいろいろな機械があると思いますので、そういったものも含めて検討していこうと考えております。ただ、それぞれ御事情もあると思いますので、そういった農業機械の御事情なども踏まえた上で議論していくということで考えております。
○梅崎座長 鈴木委員、いかがでしょうか。
○鈴木参集者 結構です。
○梅崎座長 どうぞ。
○泉参集者 鈴木参集者の御意見と関連になると思うのですが、資料2ページに記載があるように、歩行型トラクターについても事故が多く発生しています。以前、私から発言させていただきましたが、トラクターとコンバインを使用する作業者は、基本的には田植機も使用する作業者であると考えます。全ての機械に対して規制を入れるというのは難しいかもしれないですが、今日提示されている資料や講習の中身の座学には、田植機について追加したとしても、そこまで支障はないのではないかと思っています。そういう点を踏まえて、今後の議論を進めて頂きたいと思います。
○梅崎座長 分かりました。今、泉委員のほうから指摘がございましたが、事務局としてはそういう理解でよろしゅうございますか。
○繁野審査官 教育の関係で言えば、使う機種は同じでも、いろいろなパターンがある。そういったものも、事情も踏まえて教育についてどういう内容にするかというのもあると思いますし、構造の関係も、使用の関係もございますので、それらの規制についてどうするかということも今後、御議論いただければと思っております。
○梅崎座長 そうしますと、いずれにしても、今後の進め方の2行目の「等」の議論は、今後の検討会の中で、今、お話しがあったようなことを踏まえるという理解でよろしいですね。泉委員、そんな形でいかがでしょうか。
○泉参集者 分かりました。
○梅崎座長 ありがとうございます。
ほかにもいろいろ御意見あると思いますけれども、いかがでしょうか。
お願いします。
○安井課長 機械の関係ですが、例えば建設機械と比較して、どちらかというと作業に重きを置いている感じがします。建設機械は、ブルドーザーだったり、何かを削ったり運んだりするものなのですけれども、こちらはハーベスターもそうですけれども、あるいはスピードスプレーヤーも田植機もそうですが、作業するのがメインになっているので、建設機械と比べて回転部分がすごく多いイメージがあります。どんな農業機械でも必ず回転部分があるというイメージがあります。走行の関係は、転ぶということですけれども、作業に伴って巻き込まれるという点について、走行と作業を分けて機械の構造の議論をしたほうがいいのではないかなと思うのですけれども、その辺、御意見をいただければと思います。
○梅崎座長 走行と作業に分けて、大きな視点として走行のところ。あるいは、個別には回転部分に巻き込まれる作業が多いので、その辺の視点も踏まえた上で、主に構造に関する議論、あるいは機械の使用に関する議論を検討してはどうかという課長からの御意見、そういう理解でよろしいですか。皆様、その辺の御意向を聞きたいということですが、いかがでしょうか。
では、氣多様。
○氣多参集者 志藤部長が一番の専門家ですから、お話いただいたほうがいいのですが、その前座をちょっとやらせていただきますと、そもそも農業機械の世界ではハーベスターという機械はない。ここにいっぱい書いてありますけれども、かなり違う機械がずらりと並んでいまして、まとめれば51という数字になったということかもしれませんけれども。そんなことで、この参考資料3の最初の論点のところで、この5機種を対象に議論を始めるということになったという理解をしております。もちろん、田植機も含めて、今後議論してはいけないということじゃないし、むしろ議論すべきだろうと思いますけれども、一方では、農業機械の仕事をしてきた者として、ハーベスターというのは生まれて初めて聞いたような括りですから、かなりの違和感があります。
それから、構造云々も、課長おっしゃったように、特に農業機械は走行もあるけれども、農作業でいろいろなことをする。それはおっしゃるとおりでして、いろいろ検討すべきだと思いますけれども、これは先ほどちょっと申し上げたように、農研機構の検査制度があって、今回、対象の5機種に対してSSはそこまでではないかもしれませんけれども、かなりの部分、トラクター、コンバインに関しては、ほぼ100%、検査に合格したものが世の中に出回っております。長年、構造のチェックは十分検討の上、既にされてきているかなという気がいたしております。すみません、ちょっと前座をやらせていただきました。
○梅崎座長 その前に、今の話がありましたので、まさにそのとおりだと思います。座長としての意見なのですが、これは必ずしも乗用型トラクター、コンバイン、運搬機、防除機、作業機械等の分類を突き崩すということでは全然ございません。あくまでも基本はこの5機種ということ中心の議論ということになるのかなと思います。その理由は農研機構さんのところで規格等と安全性検査の整備をされていますし、そこが中心になる。ただ、こういう形で漏れる機械ということで、これまでの議論がございますので、そこについても若干検討が必要になってくるだろうということからの御意見であると思います。鈴木さんのほうの御意見もそういう観点かと思うのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○鈴木参集者 そうです。この後、今回示された資料などをもとにして、災害件数の多いハーベスタはなぜ対象から外したのかなどの質問があったときに答えられるような答えを準備する必要があるため、この点を今一度明確にしておくべきだろうということ意味です。
○梅崎座長 だから、すみません、大前提を崩すということではございませんので、そこはまず御理解いただければなと思います。事務局としましても、そういう形でよろしいですか。
それと、今、氣多さんのほうからお話のありました機械の構造の基本は、農研機構さんの安全性検査でも十分カバーできると思いますので、という観点から志藤委員のほうから御意見いただければと思います。お願いいたします。
○志藤参集者 今の経緯で私も一安心したところですけれども、ハーベスター、要するにコンバインも収穫機なのです。コンバインハーベスターというのが正式名称ですから。ハーベスター類の中で最も多数派を占めるのがコンバインでございます。ハーベスター類の代表格としてコンバインが今回の対象とされているとの認識でいましたので、ハーベスターについても議論を拡大しようというわけではないと伺いましたので、安心しました。
私どものほうの検査ということで、いろいろな農業機械・施設に求められる安全要件、その基準等、国際安全規格にも整合性を取った基準で検査を行っているわけでございまして、当然、それ以外にも我々の方で農作業事故の調査・分析を行っておりますので、そこの結果も基準の見直し、検討に反映させているという取組はずっと続けてきております。ですので、今後、機械の構造に関する検討をするときになってくると、かなり我々の基準のほうとかぶる部分が出てくるのではないかなと思っております。前回も私、申し上げたところでございますけれども、ダブルスタンダードになってしまうことはくれぐれも避けたいと考えているわけでございます。
と言いますのは、我々のほうも農業が置かれる環境といったものも年々変化してございます。生産者の年齢層とか、あるいは農業経験のない方の新規就農とか法人経営も増えてくるとか、いろいろな変化がございます。機械が使われる場面も変わってくるというところも柔軟に対応しなければいけないという中で、私ども、安全性検査を運営する中で推進委員会というもの、学識経験者と専門の先生を集めて検討する、審議する場がございます。そういったところで必要に応じて基準そのものの見直しを諮るという形を毎年やっております。
ですので、こちらのほうの基準と同じような内容になってしまいますと、我々の基準のほうが先に改正してしまいますと、今回検討している方は法令ですから、早々簡単に改正することができなくなってしまうのではないかと懸念されます。そういうことになりますと、ユーザーももちろんですし、メーカーさんのほうもいろいろ混乱が生じることになるのではないかなというところも危惧してございます。なので、その辺の観点を踏まえて、今後、議論を進めていかなければならないと考えているところございます。
○梅崎座長 どうぞ、川口さん、お願いいたします。
○川口参集者 私のほうも、今、氣多さん、志藤さんがお話しされたことと基本的には同じ認識でございます。安全性検査制度というものが今、所与のものとしてあって、全ての機種とは申しませんけれども、かなりの機種についてはほぼそちらのほうを重点にして、合格したものが市場に出回っているという状況でございます。現在、農林水産省のほうの検討委員会の中でも、この安全性検査につきましては、新しい基準をつくっていこうということで、私どもメーカーのほうもその検討作業の中には一緒に関与させていただいて、非常に詳細かつ緻密な基準を今、検討されているところでございます。
それから、ここに出ている対象の俎上に上っている機械で言えば、農用運搬車、高所作業機については、現在、安全性検査の対象というものから直接は外れているのですけれども、今後、検査の対象に入れていくという方向性の下に、農林水産省の事業で農研機構さんが中心になってアセスメント事業というものをやっていただいております。これは私どもメーカーの側も、この事業の中には一緒に入って検討させていただいているものでございまして、将来的にはこれが検査に結びついていくような方向であるということで聞いております。したがって、非常に専門的な知見を持っている方々が今、検討されておりますので、できましたらそちらのほうを尊重するようにしていただければなということが1つでございます。
それと、あくまでもこれは参考ということではあるのですけれども、事故の概要と問題点といいますか、どういう原因なのかというような資料をつけていただいておりますけれども、可能性として推定されるものということが注書きに書いてございます。この事故の調査についても、農林水産省さん、農研機構さんが過去何十年にもわたって非常に詳細な調査をして分析してきたという蓄積がございます。特に今後の対策を考える上では、どういう要因で事故が起きているのかという分析の上に立って対策を考えていくということが、ある意味必然であろうと考えておりますので、できましたらこういう分析については、公的な機関であり、なおかつ知見を持っておいでの農研機構さんなり農水省さんなり、そちらのほうから情報を得ていただいた上で、今後の進め方を考えていただければというようなことでございます。
○梅崎座長 ありがとうございました。
これは私の個人的な意見になってしまいますけれども、今までの議論の中で、どういう形で、どういう基準を対象としているか。あるいは、それぞれの選んだ機種に対して、どういう観点から、構造の問題、使用の問題、教育とかの問題を考えていくかというのは、もう既にこの委員会で議論をかなりこれまで進めてきていまして、そういう中で農研機構さんの安全性検査をベースにするということは今までの検討会の中でも意見のあった・900ものでございますので、それを否定するという話では全然ないと思います。そこは間違いのないことだと思います。
ただ、その中で機械の構造についてどういう形でこれを規制していくか。それは農研機構さんの中で考えた上で安全性検査というものをきちんと組み上げてきておりますので、それをベースにした上で今回の議論を進めていくという形になるのかな。それをこれからの検討会の中で一つ一つ話を進めていくという理解になるかと思うのですが、事務局としてもそんなイメージでよろしいですね。
○繁野審査官 次回の資料を作成するときにも、そういった精緻な事例とか原因の分析の資料について、ぜひ農研機構さんにも御協力いただきながら作成できればと思いますので、また御相談させていただければと存じます。
○梅崎座長 安井課長、いかがですか。
○安井課長 いろいろコメントいただきまして、ありがとうございます。
お聞きして思いましたのは、機種の名前にはあまりこだわらないほうがいいのではないかなという気がしております。機種の名前で事故が起きるわけではありませんので。今回分類しているのは、事故の型別にしています。ですから、機体の転倒とか、機械の回転部分に巻き込まれているとか逸走、機体の転落とか、そういう形になっております。機器によって、こういう事故が起きやすいものもあるでしょうし、そうじゃない機器もあると思うのですが。
トラクターについてはこうだ、コンバインについてはこうだというアプローチよりは、そもそも転ばないようにどういう考え方を取っていくのか、あるいは機械にそもそも巻き込まれないためにはどういう考え方を取っていくのか、そういったところをまず横串で議論させていただいて、それに具体的な機械にそれぞれどう当てはまるのかというのは次の議論かなと思います。
もう一つですが、ハーベスターの話もちょっとございましたが、同じような話は建設機械とか林業機械にもございます。例えば、建設機械はブルドーザーとかシャベルローダーとか、たくさんあるのですけれども、そういう名前で法令では規制していないのですね。整地運搬掘削型とか、そういうばっくりした規制にしております。それから、13ページにもございますけれども、林業機械も伐木等機械とか走行集材機械とか架線集材機械みたいに、ある程度グルーピングというか、機能別に分けておりますので、そういう意味では、ハーベスターというものはないというお話はあるのかもしれませんが、あるいは収穫用の機械とか、そういった形で括るようなこともできます。
ですので、既に農水省さんのほうで積み上げてきた個別の機械別の基準というのがあるのは承知しておりますので、もちろんそういうものと矛盾しないようにするのは当然だと思いますけれども、逆に言うと、先ほどのハーベスターのように、お名前がついていない、基準がない機械でも災害は起きますので、そういったものもどうやってカバーするかということも含めながら考えていくのかなと考えております。
○梅崎座長 ありがとうございます。
確かにA規格、B規格レベルでの検討というのも当然必要になってくると思います。その議論を踏まえた上で、最後は個別の機械ということになっていて、多分、農研機構さんでもそういう考えで今まで検討されてきていると思いますので、そういう点も踏まえた上で、今後、議論を進めていただく形になるとと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
泉委員、そんな形でよろしいでしょうか。
○泉参集者 はい。
確認ですが、機械の種類により、講習・教育に関する規制を分類していくものと考えるが、その度合いというのはこれから検討を進めていくという考え方でよろしいですか。
○繁野審査官 おっしゃるとおりでございます。それぞれ構造、使用、教育がありますので、それぞれ必要なところはどこまでかというところを議論させていただければと思っております。
○泉参集者 分かりました。
○梅崎座長 志藤委員、お願いいたします。
○志藤参集者 ちょっと補足だけさせていただきたい。今、座長が基準のない機種への対応ということをおっしゃられたと思うのですけれども、今年度までの検査は農業機械全てが対象になってございます。なので、どのような機械でも対応できるような体制になってございます。来年度からは機種別という形に整理が変わるのですけれども、対象外に一時的になってしまう機種についても、また検査とは別の枠組みがございまして、そちらのほうで合否判定まではしないのですけれども、基準への適合の有無を認証する制度(一般性能試験)が残ります。
ですので、それ以外のいわゆるハーベスター類と言われるようなものも、その制度(一般性能試験)を受検していただければ、今年度までの基準に照らした安全性を確認できますし、基準に適合するためにこういう部分をこのように直してくださいというコンサルタントも、この制度の中で引き続き行います。
○梅崎座長 お願いいたします。ぜひ、そういう成果も生かしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。ちなみに、期間限定にしているのと、個別の機械と、両方から追求されているということも既に伺っておりますので、そういう観点からぜひお知恵をいただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
泉委員、お願いいたします。
○泉参集者 今回、対象の範囲も議論の範疇に入っているかと思いますが、現在、安全衛生分科会において、個人事業者の範囲についての議論がされていると聞いています。その中で農業に従事する個人事業者の話も議事録等々に出てきていると聞いております。農業に従事する者においては、個人事業者も多いことから、本検討会においても内容となるよう検討していくべきと考えます。また、今回論点に上がっている講習や教育については、農業従事者全体が広く受講できるよう仕組みとしていただきたいと思います。
聞き取りの中でも、実際に作業者全員が理事・経営側として登録されているような農業法人のケースがあったかと思いますので、そういう方々も含めて補完できるような制度設計としていただくようにお願いしたいと思っています。
以上です。
○安井課長 ありがとうございます。
個人事業主に関する対応につきましては、御指摘のとおり、安全衛生分科会のほうで議論させていただいておりまして、今後、労働安全衛生関係法令の改正に向けて建議とか諮問・答申というのを続けていく状態にはなっております。そういった意味で、そういったところの結論が出ないと、この場でそれを議論するのはちょっと難しいということでございまして、時系列的な問題で申し上げますと、安全衛生分科会のほうで、あるいは法案のほうで一旦整理ができた後に具体的な農業における教育とかの当てはめについては議論させていただきたい。そういう順番でやらせていただきたいということです。
○梅崎座長 ということで、課長が言われたとおりなのですけれども、個人事業主の件があって、この検討会も若干踏まえてすべきかなという感じもするのですが、そういう形で一つ一つ詰めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ほかに、特に今後の進め方につきまして、いかがでしょうか。よろしいですか。
元広委員、お願いいたします。
○元広参集者 農業者としてはダブルスタンダードの制度になるのが一番困るので、本当に分かりやすくシンプルな制度にしていただきたい。これはこういう場では言いにくいんですけれども、リスク軽減が一番重要ですが、ユーザーとしてはコストも考えないといけない。どこまでのリスクをコントロールするための構造にするかというところにはコストの視点も入れざるを得ないと思っていますのでお願いしたいと思います。
そういう意味では、12ページの進め方ですけれども、構造の規制を固めてから使用時の規制、教育という順番で検討していくのか。3つのバランスでリスクアプローチしていくと思うのですけれども、3つの規制の関係性をどう考えるのか。
○繁野審査官 次回の資料では、それぞれを書き出していって、同時に議論することを考えております。ただ、順番として、構造を議論するとか、そういうことはあると思うのですけれども、資料としては全体が分かるような形にして、皆さんからは併せて御議論していただければと思っております。
○梅崎座長 多分、そういう同時並行的な視点が、今、元広委員が言われたコストということを理解するにも一番最適かなと思いますので、ぜひその中でまたいろいろな御意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
ほかに御意見ございますでしょうか。まだこれから議論を出していただければといいのですけれども、今後の進め方、特に12ページの内容につきまして御質問がありましたら、どうぞお願いしたいのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。
では、一応、これで議題(2)としては終了いたします。
本日の議事は以上でございますけれども、事務局から何かありましたらお願いいたします。
○中野室長 ありがとうございます。
特に事務局からはございませんけれども、次回の検討会以降は、先ほど御説明さしあげた論点に関しまして、本日の御意見も踏まえながら資料としてまとめた上で御議論いただくことを予定しております。
○梅崎座長 それでは、本日の議事はこれで全て終了いたしましたので、進行を事務局のほうにお返しいたします。
○中野室長 本日は、活発な御議論をいただきまして大変ありがとうございました。
本日の議事録につきましては、後日、皆様にお諮りいたしますので、改めて御確認をお願いいたします。
それから、次回の検討会につきましては、9月3日火曜日、14時から16時で開催する予定でございます。会場は、また厚生労働省の庁舎のほうになります。12階の専用第15会議室を予定しております。
以上でございます。本日は、どうもありがとうございました。