第88回 厚生科学審議会感染症部会 議事録

日時

  • 令和6年8月8日(木)10:00~12:00

場所

新橋ビジネスフォーラム(8階)

議題

(1)改正再生医療等安全性確保法におけるワクチンの扱いについて
(2)新型コロナウイルス感染症の罹患後症状について
(3)新型コロナウイルス感染症治療薬開発の振り返り等について

議事

議事内容
○佐野エイズ対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第88回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 私、本日議事進行を務めさせていただきます、感染症対策部感染症対策課の佐野と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の議事は公開となります。
 また、これまでと同様、議事の様子をユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しておりますユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
 本日は、ウェブ会議で開催することとしております。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず、挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、部会長から御指名されてから御発言をお願いいたします。
 なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお願いいたします。
 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。
 御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえ、委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
 五十音順に、今村委員。
○今村委員 今村です。
 よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 越田委員。
○越田委員 越田です。
 よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 坂本委員。
○坂本委員 坂本です。
 よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 笹本委員。
○笹本委員 笹本です。
 よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 四宮委員。
○四宮委員 四宮です。
 よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 谷口委員。
○谷口委員 谷口です。
 よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 土井委員。
○土井委員 土井です。
 よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 戸部委員。
○戸部委員 戸部です。
 よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 中野委員。
○中野委員 中野です。
 よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 成田委員。
○成田委員 成田でございます。
 よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 藤田委員。
○藤田委員 藤田です。
 よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 森川委員。
○森川委員 森川です。
 よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 森田委員。
○森田委員 森田です。
 よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 四柳委員。
○四柳委員 四柳です。
 よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 脇田委員。
○脇田部会長 脇田です。
 よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 あと、大曲委員が遅れての御出席となっております。
 なお、味澤委員、小西委員、白井委員から御欠席の連絡をいただいております。
 また、本日は参考人として、国立感染症研究所より俣野様の御参加をいただいております。
 以上、感染症部会委員19名のうち15名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づき、本日の会議が成立したことを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
(カメラ退室)
○佐野エイズ対策推進室長 それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第及び委員名簿。
 座席図。
 資料1~3。
 参考資料1-1、参考資料1-2になります。
 不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
 よろしいでしょうか。
 なお、事務局に異動がありましたので、御紹介いたします。
 8月1日付で竹下パンデミック対策推進室長の後任として、野田パンデミック対策推進室長が着任しております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ここからの進行は、脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 承知しました。
 皆さん、おはようございます。
 今日も感染症部会をよろしくお願いいたします。
 では、まず、議事に入る前に、事務局から審議参加に関する遵守事項についての報告をお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 本日御出席の委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附などの受け取り状況等について申告いただき、事務局において当該内容を確認いたしました。
 その結果、中野委員、四柳委員に関しまして、厚生科学審議会感染症部会審議参加規程に基づき、議題「(3)新型コロナウイルス感染症治療薬開発の振り返り等について」においては御退席いただくこととなります。
 また、土井委員に関しましても、参加規程に基づき、御意見を述べることはできますが、議決には加わらないこととさせていただきます。
 以上、御報告いたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ってまいりますが、先ほど議事次第を見せていただきましたが、今日は主な議題が3つとなりますので、順番に進めてまいりたいと思います。
 それでは、最初の議題「(1)改正再生医療等安全性確保法におけるワクチンの扱いについて」。
 では、資料1について御説明をお願いいたします。
○杉原再生医療等研究推進室長 医政局研究開発政策課再生医療等研究推進室でございます。
 先々月までお世話になっておりました杉原でございますが、改めてこちらで御説明させていただきます。
 よろしくお願いします。
 資料1を御覧ください。
 こちらは、6月に新たに改正法案が成立いたしました、再生医療等安全性確保法におけるワクチンの取扱いについてということで、こちらは、公衆衛生の観点においても、今回の改正が一定の影響を与え得るということで、今後の方針について御相談させていただきたいということで、本日、御相談させていただく次第でございます。
 まず、簡単に再生医療等安全性確保法について御説明させていただきます。
 2ページ目を御覧ください。
 「再生医療の実用化を促進する制度的枠組み」ということで、再生医療に関しては、自由診療であったり、臨床研究については、再生医療等安全性確保法という法律の下で安全を確保して、細胞加工施設等の規制を行っていて、安全な再生医療等の提供を行うための技術を提供するための仕組みがございます。
 一方で、再生医療を医薬品等として、再生医療等製品として開発する場合においては、薬事法の改正が平成25年に行われまして、薬機法と改正されましたが、このときにこういった「再生医療等製品」という新たなカテゴリーができている状況でございます。
 今回、再生医療等安全性確保法につきましては、施行後の見直しを行うというもともとの見直し規定もございまして、また、新たな技術等の進展もございまして、そういった観点からこれまで見直しを行ってまいりました。
 この見直しの中で、これまでは再生医療等安全性確保法の対象としていたものについては、いわゆる細胞加工物。
 つまり、次のページを御覧いただくと分かりやすいのですが、いわゆるex vivo遺伝子治療といいますが、標的細胞を取り出して、それは自家であったり、他家であったりするのですが、それを培養して、そこにウイルスベクターなどを用いて、遺伝子の導入・改変を行ったものを体に投与する。
 こういったex vivo遺伝子治療は、この法律の中の適用になっていたのですが、in vivo遺伝子治療、いわゆる遺伝子治療と一般的に言われるものですが、ウイルスベクター等を直接体内に投入して、体の中の細胞で遺伝子の導入・改変を行って、治療や予防等の効果を発するもの。こちらに関しては、これまで再生医療等安全性確保法の適用外になっていたところでございます。
 こちらにつきましては、今後、法律が成立してから1年以内となっておりますが、施行される予定で、施行後は、こちらが法律の対象になるということで、安全確保等の義務が課される形になります。
 こちらの物理的な対象となるところですが、次のページを御覧いただきますと、この範囲に関してなのですが、第2条の2項に書いてありますが「『再生医療等技術』とは」というところですが、こちらは「疾病の治療若しくは予防に用いられることが目的とされている医療技術であって」とございまして、この観点で、ワクチンに関しても、特定の外来の遺伝子を細胞内に導入するようなワクチンに関しては、再生医療等安全性確保法の対象になり得ることになります。
 修正部分に関して、核酸等を用いる技術が新たな今回の改正の主眼でございまして、ここの「核酸等として医薬品」は薬機法の対象になるのですが、それ以外の部分の医療技術というところで、こういった技術を用いる場合には対象になり得るということで、例えば次のページを御覧ください。
 どういったワクチンがこういったものの中で関係し得るかといいますと、例えばメッセンジャーRNAワクチンとかウイルスベクターワクチンもそうなのですが、こういったものに関しては、いわゆる体内から投与して、細胞内に入って、たんぱくと合成するような形のものに関しては、対象となり得るということですが、こちらは、これまでも取りまとめの議論の中でも、例えば一般的に使われているような、海外で承認されていて、国内では未承認のトラベラーズワクチンとか、危機管理の目的で使用されるワクチンなどでは遺伝子組換え等が行われたワクチン等もございますが、こういったものは、今回、規制に入ってしまうと、必要なときにすぐに使うことが難しくなってしまうこともありますので、公衆衛生上、必要なものに関しては、再生医療等安全性確保法から個別に除くということで意見が一致しておりまして、このような取扱いをしたいと考えているところでございます。
 具体的な方法についてなのですが、7ページ目を御覧ください。
 考え方になるのですが、具体的に除外することについては、例えば感染症が蔓延する地域に渡航する場合に、必要なワクチンの接種を迅速に受けることで、国内の感染症の蔓延を防止すると。
 あるいは先ほども話しましたが、危機管理の観点で、海外では承認されているけれども、国内で未承認であるワクチンを迅速に使用する必要性がある場合なども想定されますが、こういった場合には、特に医薬品の品質、有効性・安全性を確保する上で、我が国と同等の水準にあると認められる医薬品の製造販売の承認の制度がある国、また、それと同等の制度を有している国、これは「同等水準国」と呼びますが、そこにおいて承認を受けたものに限定するということで、具体的には、ICHに関係する国々ですが、アメリカ、英国、カナダ、ドイツ及びフランスといった国々においては、特例承認制度と同等の水準の範囲の国ということで、こちらに関しても、承認に関する用法・用量により用いられるワクチンに限定するという考え方にしてどうかと考えております。
 具体的には、まず、どのようなワクチンを対象とするかということですが、これは感染症の蔓延の防止の必要性であったり、そういったワクチンの有効性・安全性等の専門的見地からの検証が必要になるということで、選定に当たっては、まず、感染症部会において公衆衛生上の観点から御議論いただきまして、その上で、再生医療等評価部会において検証を行って、その結果を踏まえて除外の検討を行う形にしてはどうかと考えております。
 こちらに関して、基本的な考え方と運用方法に関しては、審議会からの意見を聴取することになりますが、こちらに関しては政令に規定して、具体的なワクチンの名称については、通知等において別途定めていく形にしてはどうかと考えております。
 事務局からの説明は、以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 改正再生医療等安全性確保法の範疇にワクチンとか核酸製剤が入ってくるということなので、ウイルスベクター、あるいは核酸のワクチンといったものが含まれると。
 その対応をどのようにするかということですが、現在承認されている、使われているワクチンは除外ということだと思いますが、トラベラーズワクチン、あるいは新たに承認されるようなワクチンをどのように取り扱うかというところで、感染症部会と再生医療等評価部会によって検証を行うということですね。
 それでは、委員の皆様から御意見、御質問等があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 中野先生、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
 ありがとうございます。
 ワクチンに関しまして、細胞加工物を用いない遺伝子治療として、人体への投与に関して、例としてメッセンジャーRNAワクチンとかウイルスベクターワクチンを挙げていただきました。
 それについて、再生医療等安全性確保法から除外する、すなわち、例えば臨床研究とか自由診療を行うに際して、除外することに関しては、確かに国内と海外で流行している疾患とか承認製剤に大きな違いがあるので、除外することに異論はございません。
 それに関して、確認事項と質問事項がございます。
 まず、確認事項としては、メッセンジャーRNAワクチンとかウイルスベクターワクチンということですと、カルタヘナ法の第一種使用に関しても、人体への投与は関係してくると思いますが、使用に際しては、再生医療等安全性確保法では除外されることになるにしても、カルタヘナ法の基準は満たしている必要があるという理解でいいかということを1点確認申し上げたい。
 あと、御質問に関しては、先ほどメッセンジャーRNAワクチンとウイルスベクターワクチンを例に挙げていただきましたが、組換えの生ワクチンです。
 例として挙げていただいたトラベラーズワクチンの例で言うと、例えばデングのワクチンとか日本脳炎ワクチンも、海外では組換えのワクチンがあると思うのですが、こういったものは、今後議論されることなのかもしれませんが、再生医療等安全性確保法の除外の製剤に該当するのかどうか、もし現状で分かるのであれば、コメントをいただければありがたいです。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 組換えの生ワクチンだけではなくて、普通の生ワクチン、あるいは不活化ワクチン、あるいは核酸のアジュバント等も核酸のデリバリーになるので、それが含まれるかどうか、組換え以外は含まれないのかとか、そこら辺も確認しておく必要があるかと思っております。
 続きまして、四柳先生、お願いします。
○四柳委員 よろしくお願いいたします。
 聞こえておられますでしょうか。
○脇田部会長 大丈夫です。
○四柳委員 どうもありがとうございました。
 今回、再生医療等安全性確保法を見直す動きの中で、こうしたことを確認していただくのは、非常に大事なことだと思っていますので、大事な問題を提起していただいたと思っています。
 お伺いしたいのは、今回、海外で認可されているものを持ち込むときのルールということで話が進んでいると思うのですが、先進国であっても、いろいろなワクチンが入ってくるかと思いますので、その辺の確認をさせていただきたいと思います。
 生体が持っていないものを外から持ち込むようなものは、全てワクチンに当たりますので、例えば感染症だったらば、ノンコーディングRNAのようなものを投与して、感染症を予防することなども含めて、核酸の投与はあり得るだろうと思っていますし、再生医療法自体の関係であっても、エクソソームのようなものを投与する可能性もあるのだろうと思っています。
 ですので、恐らく、どこまでがワクチンで、どこまでが治療かというのも非常に分かりにくい、ファジーなところになるのですが、それはその都度確認して、この部会も含めて議論していくということでよろしいのかどうか、事務局に確認をさせていただきたくて、手を挙げさせていただきました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 感染症の治療あるいは予防に関して、様々なモダリティや、核酸を含む可能性のあるものが使われる可能性があるという御質問でした。
 谷口先生、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
 基本的には、既に承認されているものは対象外であるし、管理的なものも対象外ということで、あと、海外できちんと評価されて、承認されているものは、一定の国において評価されたものは日本でも対象外と理解しました。
 それぞれ具体的な選定方法がスライドの何枚目かにありましたが、あれは、あらかじめやっておくのでしょうか。それとも、いざというときにやるのでしょうか。
 必要なときにやろうとなると、すごく時間がかかったりして、日本でも過去にそういうことがあったわけなので、そこについて、どのようなタイムフレームで、メカニズムなのか。
 今後の検討だと思いますが、基本的にはリスクアセスメント、感染の伝播とがん化とかのリスクアセスメントですので、そんなに急激にできないかもしれませんので、ある程度決めておいていただければと思いました。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 続きまして、藤田先生、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。
 1点、今回、対象外になると判断されたワクチンを打った場合に、健康被害が出たときの補償をどう考えるかということをきちんと整理しておいていただく必要があるのではないかと思いました。
 接種の位置づけによっては、別の法での補償はもちろんあるのでしょうが、基本的に公衆衛生上の必要性から、本来、ある意味安全のための枠に入るものを外すことになるので、そうであれば、一定の被害が出たときの補償を新たに考える必要があるのではないかと思いました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、森田委員、お願いします。
○森田委員 どうもありがとうございます。
 除外規定を設けることに関しては賛成なのですが、その具体的な方法として、我が国と同等の水準にあると認められるところは異論ないのですが、具体的に、例えばアメリカ合衆国、英国、カナダ、ドイツ、フランスという6か国が挙がっておりますが、現実的には、今、通常のワクチンですが、ユニセフ調達のワクチンにしても、インドネシアやインドとかで作られたものが全世界で使われています。
 こういう国々は、今、すごくバイオに傾注していて、いろいろなクオリティー、あるいはモダリティ技術も上がってきているところにあって、今後、選定の方法で本部会及び再生医療等評価部会において検証を行うという作業があるので、必ずしもこの段階で国を5つに絞る必要はないのではないかと思いました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 次に、四宮委員、お願いします。
○四宮委員 1点確認なのですが、これは、大枠は再生医療のことなので、生体内で遺伝子に影響を与えるものが対象になるのかなと思っていたのですが、さっきの脇田先生の説明だと、核酸全般という話にもなったので、遺伝子治療として、in vivoに遺伝子を導入して、そこでde novoにたんぱくを合成する、ないしは遺伝子を改変する、ワクチンは前者になりますが、それだとmRNAワクチン、従来のDNAワクチン、ベクターに組み込んだタイプのワクチン、それから、生ワクチンも入ることになります。一方で、核酸のアナログで、アジュバント効果のあるPoly-ICLCのようなものも使われています。
 TLRレセプターに認識されて、免疫を賦活するということで、核酸アナログが使われるのですが、たんぱく合成を担う遺伝子とは全く関係なくて、単に自然免疫を賦活化するだけの目的なので、そこは再生医療という大枠からすると、遺伝子導入で生体内でたんぱく合成をするようなものは入るけれども、免疫賦活だけのものは入らないような気がするのですが、その点を確認していただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 今、一通り御意見をいただいたところですので、今いただいた御意見、御質問等に事務局からレスポンスいただければと思います。
 お願いします。
○杉原再生医療等研究推進室長 ありがとうございました。
 聞こえますでしょうか。大丈夫ですね。
 今、こちらで機材トラブルがあったのですが、大丈夫そうでしょうか。
 大丈夫ですね。
 まず、中野委員から御質問がございましたカルタヘナ法に関しましては、当然、今回、再生医療等安全性確保法の改正を行ったとしても、適用になるものに関してはなる形になります。
 ただ、一方で、例えばデリーションを行ったようなものに関して、あと、種の壁を超えない場合は、先ほどお話にありましたデングのワクチンに関しても2種類あるかと思うのですが、一つに関して、例えばデングの種の中でキメラを作るようなものですが、そちらの場合は多分、係ってこないのだろうと思いますが、そういう形で少し異なってきますので、それは個別の判断になってくる形になります。
 この場合のカルタヘナ法の審査は、手続は発生しますし、審査も発生し得る形になります。
 先ほどございましたが、組換えの生ワクチンに関しましても同様の理由でして、こちらも対象になり得ると考えております。
 一方で、先ほど脇田先生、四宮先生からございました核酸アナログ、アジュバントに関しては、そもそも今回の再生医療法の中では対象外になっている。いわゆるRNAとか、そういったものを含めて対象外になっている状況でございます。なので、あくまで細胞内に取り込まれて効果を発現するものに限定されるということです。
 あと、四柳委員からもございましたが、様々な新しい技術が入ってくる中で、今後、検討していく課題になってくるかと考えておりまして、先ほどございましたが、例えばエクソソームなどにつきましても、今、新たな技術が生まれておりますが、こちらに関しては、現時点では今度の改正再生法でも適用の範囲外となっています。
 ただ、検討規定として、2年以内に結論を出すということで、こういったものに関しても同等の安全性上の懸念点、例えば感染症の伝播に関してもそうですが、そういったリスクはあり得ますので、この辺に関してどのように考えていくかに関しては、まさに今、研究でも議論を行っているところでございます。
 谷口委員からございました、あらかじめ指定するか、必要時に指定するかということですが、こちらに関しては、なるべくあらかじめしっかりとした議論を行っておいて、指定していけるような形がよいかと考えているところでございますが、当然、緊急時に必要になることもあり得ますので、両者あり得ると思うのですが、可能な限りはそういった平時から指定していけるような形がいいかと考えているところでして、この辺の運用に関しては、今後、またさらに詰めさせていただければと考えております。
 藤田委員から御質問がございました、健康被害者の補償ですが、これまでも輸入ワクチンの接種等においては、公的なスキームがないので、基本、民間の保険を適用させたり、臨床研究であれば、臨床研究法の保険がございますが、そういったものの中でカバーする形になってございます。
 再生法に関しても、再生法の中で治療なり、予防なりが行われたものに関しても、何らかのいわゆる被害時の補償等があるわけではございませんので、ここら辺は、そういった担保はまた別途考える必要があるものと理解しています。
 あと、森田委員からございました、5か国に限定する必要はないのではないかということですが、実際に製造に関しては、確かに様々な国々で行われるようになってきているのですが、審査を行うという観点においては、同等の水準の審査を行う国で行われている、例えばほかの国々で作られたものであっても、例えば欧州とかアメリカで承認申請されることがあるのは当然あり得るものですから、そこで審査がなされているのが一つ重要なハードルになり得るかなと考えているところでございます。
 回答は以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 最後のところで確認なのですが、基本的には米国(FDA)の審査、あるいは欧州(EMA)の審査といったところで、先ほど森田先生から5か国とありましたが、それよりはもうちょっと広い範囲でEUと米国みたいな理解でよろしいですか。
○杉原再生医療等研究推進室長 はい。
 EU、米国、MHRA(イギリス)といったところになってくると思います。
○脇田部会長 ということでございます。
 ですので、ワクチン製造国が広がっていますが、先進国と言ったらあれですが、今、御説明があったとおり、FDA、EMA、イギリスで承認審査をされているものが大事だということですね。
 それでは、いかがでしょうか。さらにございますか。
 今の国のところ以外は、おおむね大きな反対はなく、確認事項、御質問事項だったと理解しましたが、もしさらに御意見があればということですが。
 それでは、特に大きな反対意見もございませんので、事務局からの提案については、感染症部会として了承するということでよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局において取組を進めていただくということで、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に進みます。
 議題「(2)新型コロナウイルス感染症の罹患後症状について」ということで、資料2について御説明をお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 資料2をお手元に御用意ください。
 1ページめくって、今回は、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状について、研究報告、今後の厚生労働省の対応というところで御発表させていただきます。
 2ページ目を御覧ください。
 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状について、現在まとめております。
 定義につきましては、皆様御存じのことと思われますし、主な症状については、こういったものが症状としてあるとされているところでございます。
 令和4年度の研究で得られた結果につきましては、厚生労働省では、令和2年度より罹患後症状に関する厚生科学研究を行っております。
 令和4年度には、複数の自治体の協力を得て、住民調査を行い、以下の結果を得ております。
 1つ目は、何らかの罹患後症状を有したと回答した割合は、成人のほうが小児より2~4倍高かった。
 2つ目として、感染者が罹患後症状を有した割合は、非感染者が何らかの症状を有した割合より2~3倍高かった。
 3つ目といたしまして、罹患後症状を有した割合は、アルファ株・デルタ株流行期に比べ、オミクロン株流行期で低かった。
 4つ目といたしまして、罹患後症状を有した割合は、ワクチン未接種者と比べ、成人・小児とも感染前のワクチン接種者で低かった。
 5つ目といたしまして、感染後症状が個人の主観的な経済状況に及ぼす影響は定かでなかったという結論となっております。
 令和5年度も厚生労働科学研究を行いまして、その目的といたしましては、一番下に書いております2つの目的としておりまして、1つ目といたしましては、COVID-19の罹患後症状の長期的な影響や、罹患後症状が持続するリスク因子について、非感染者との比較や症状の持続の有無別に比較し、実態を明らかにすること。
 2つ目といたしまして、COVID-19罹患後にME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)を発症する可能性を調べることとなっております。
 3ページ目を御覧ください。
 こちらが罹患後症状に関する研究の一覧となっておりまして、今回は、こちらの赤で記載しております令和5年度の実態調査について御報告させていただきます。
 1ページめくっていただければと思います。
 こちらが、当該研究の目的、対象、方法となっております。
 「研究目的」につきましては、先ほど述べましたこととなっておりまして、今回の研究対象者といたしましては、八尾市の成人で、こちらに書いてある方々、2022年度の調査の回答者で、2021年3月から2022年4月のCOVID-19感染者と非感染者で、19~70歳の方が八尾市の対象となっておりまして、アンケート送付としましては7,404人、有効回答率としては4,333人の58.5%となっております。
 八尾市の小児の調査につきましては、2022年度の調査の回答者で、2021年3月から2022年4月のCOVID-19感染者と非感染者、6~18歳の患者となっておりますが、こちらの3,439名の患者さんにアンケートを送付させていただいて、有効回答者が2,089名、有効回答率が60.7%となっております。
 もう一つの自治体、札幌市でも調査を行っておりまして、こちらも成人と小児に分けて調査をしております。
 成人のほうは、2021年度調査の回答者で、2020年1月から2022年2月のCOVID-19感染者と非感染者。こちらは、20~64歳の者を対象としております。及びその後、2022年度の調査の回答者で、2020年1月から2022年9月のCOVID-19感染者と非感染者のうち、当時18~19歳の者という形となっております。
 アンケートの送付は、1万382人にしておりまして、有効回答者は2,731人、有効回答率26.3%となっております。
 札幌のほうの小児につきましては、2022年度調査の回答者で、2020年1月から2022年9月のCOVID-19感染者と非感染者の6~18歳の者が対象となっておりまして、アンケート送付数は2万6944人、有効回答者が7,811人、有効回答率が29.0%となっております。
 「方法」としましては、こちらに書いてある方法になっておりまして、基本的には自記式のアンケート(オンライン)で、6~18歳は保護者が回答している。
 本研究における罹患後症状の定義は、WHOの定義にのっとりまして、また、比較対照群である非感染者の遷延する症状の定義は、回答時点までの間で2か月以上続いた症状としております。
 調査項目は、ISARICのfollow-up protocolの項目を参考としております。
 有効回答者のうち、感染から1年半以上経過した感染者と非感染者を抽出した状況となっております。
 次のスライドを御覧ください。
 こちらは、八尾市のものになっておりますが、より詳しい回答者の背景となっております。
 まとめとしましては、成人は、平均年齢が約45歳で、女性が6割と多かった状況となっております。
 感染者のCOVID-19の重症度は、8割以上が無症状もしくは軽症者であったという状況でございます。
 小児に関しましては、平均年齢が11歳でありまして、COVID-19の重症度は、ほとんどの患者が無症状もしくは軽症であったという状況であります。
 続きまして、札幌市の回答者背景に移ります。
 成人につきましては、平均年齢が約44歳で、女性が6割と多かった状況となっております。
 感染者のCOVID-19の重症度は、約9割が無症状もしくは軽症であったという状況でございます。
 小児は、平均年齢が約10歳でありまして、COVID-19の重症度は、ほとんどの患者が無症状もしくは軽症であったという状況でございます。
 次のスライドを御覧ください。
 「成人における罹患後症状の経時的推移」という形となっております。
 下のほうにまとめさせていただいておりますが、具体の数字を出させていただいておりますが、まとめとしましては上になります。
 1つ目の矢じりといたしまして、何らかの罹患後症状を有したと回答した割合は経時的に低下し、感染から3か月後と18か月後を比較すると、約3分の1~4分の1まで減少している状況でございます。
 感染から18か月時点で罹患後症状を有していた割合は約5%でありまして、頻度が多い症状は「睡眠障害」「集中力低下」「疲労感・倦怠感」「嗅覚障害」「脱毛」であったという状況でございます。
 補足ですが、非感染者において遷延症状を有した割合は、八尾市で6.8%、札幌市で9.7%となっております。
 次のスライドをお願いいたします。
 「小児における罹患後症状の経時的推移」となっております。
 こちらも、具体の数字につきましては、スライドの下のほうに記載しておりますが、まとめといたしましては、上の2つの矢じりとなっておりまして、1つ目の矢じりといたしましては、何らかの罹患後症状を有したと回答した割合は経時的に低下し、感染から3か月後と18か月後を比較すると、小児では約5分の1まで減少している。
 2つ目の矢じりといたしまして、感染から18か月時点で罹患後症状を有していた割合は約1%であり、頻度が多い症状は「疲労感・倦怠感」「咳嗽」「頭痛」「ブレインフォグ」「集中力低下」であったという状況でございます。
 補足といたしまして、非感染者において遷延症状を有した割合は、八尾市で2.0%、札幌市で3.8%でございました。
 次のスライドを御覧ください。
 「罹患後症状が持続するリスク因子」につきまして、こちらも解析の結果を載せさせていただいております。
 こちらの下のほうにも書いておりますが、まとめとしましては、上の2つの矢じりとなっておりまして、成人の罹患後症状が持続するリスク因子としまして、八尾市の調査からは「高齢」「肥満」「感染前のワクチン未接種」が挙げられた一方、札幌市の調査では関連を認めなかった状況となっております。
 2つ目の矢じりといたしましては、小児については、罹患後症状ありと回答した者が少なく、信頼性のある回答ができなかった状況でございます。
 次のスライドを御覧ください。
 こちらは、就業・就学への影響で、まずは成人のデータについてお示しさせていただいております。
 こちらは、また下のほうに細かい数値について記載しておりますが、結論といたしましては、こちらの矢じりにあります、罹患後症状が長期的に持続している患者は、休学や退学した割合に増加は見られなかったものの「直近1年間に仕事を休みがちになった」と回答した割合が高かった状況となっております。
 次のスライドを御覧ください。
 こちらが、就学への影響で、小児の解析となっております。
 先ほどのスライドと同じ構成となっておりますが、結論といたしましては、罹患後症状が長期的に持続している患者は、休学・退学した割合に増加は見られなかったものの、過去1年間で、感染前と比較し「遅刻・早退が増加した」「欠席が増加した」と回答した割合が高かった状況となっております。
 続きまして「経済状況(世帯収入)への影響」となっております。
 こちらも、詳しい数値に関しては記載しておりますが、結論といたしましては、新型コロナウイルスへの感染の有無や、罹患後症状の有無等によって、世帯収入の変化に差はなかった形となっております。
 ただ(留意点)といたしまして、こちらの3つの点がありまして、世帯収入につきましては、就業状況以外に社会的な要因の影響も大きく受けること。
 本質問では、支出の増減については尋ねていないこと。
 「回答したくない」「無回答」が各群とも2~4割程度いるため、解析結果に影響を及ぼしている可能性があること等については留意が必要という形となっております。
 次のスライドをお願いします。
 ここからが「罹患後症状の長期的な影響の主な結果まとめ」となっております。
 まず「罹患後症状の経時的推移」といたしましては、何らかの罹患後症状を有したと回答した割合は経時的に低下し、感染から18か月後には、成人では約5%、小児では1%でありました。頻度が多い症状は、睡眠障害、疲労感・倦怠感、頭痛、集中力低下であったという状況となっております。
 「就業・就学への影響」につきましては、罹患後症状が長期的に持続している患者様に関しましては、休職や退職、休学や退学した割合に変化は見られなかったものの、成人では「直近1年間に仕事を休みがちになった」。
 小児では「過去1年間で中長期間の欠席」や「感染前と比較して遅刻・早退・欠席が増加した」と回答した割合が高かったという状況となっております。
 「経済状況への影響」なのですが、先ほど御説明させていただきましたように、かなりリミテーションはあるものの、新型コロナウイルスへの感染の有無や、罹患後症状の有無等によって、世帯収入の変化に差はなかったという結果となっております。
 「罹患後症状が持続するリスク因子」につきましては、成人では、八尾市の結果では「高齢」「肥満」「感染前のワクチン未接種」が罹患後症状の持続と関連を認めましたが、札幌市の調査では関連性を認めなかった形となっております。両調査の結果の相違の原因は不明ということで、追加での検討が必要と考えられております。
 小児では、罹患後症状が持続したと回答した者が少なくて、解析はなかなか困難であったという状況でございました。
 続きまして、こちらが「罹患後症状の長期的な影響の主な結果まとめ」として、図についてまとめたものとなっております。
 続きまして、15枚目のスライドを御覧ください。
 「新型コロナウイルス感染症とME/CFSとの関連について」となっております。
 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群につきましては「概要」といたしまして、身体診察や臨床検査で客観的な異常が見られない状況で、日常生活を送れないほどの重度の疲労感が長期間続く状態をいいまして、その原因は、身体的なもの、精神的なものを含めて、現状分かっていない状況でございます。
 「原因」としましては、かつては感染症の関与が疑われましたが、その後の研究で免疫機能の異常、自律神経系の異常などの関与も示唆されておりますが、いまだ原因は不明でありまして、疾患概念が確立していない状況でございます。
 「診断・治療」につきましても、国際的に定まった客観的な診断基準とか、エビデンスのある標準的な治療法は定まっていない状況になっております。
 「本研究の背景」ですが、COVID-19の罹患後にME/CFSを発症する可能性について検討するため、令和5年度の罹患後症状に関する実態調査について、ME/CFSに絞った調査項目を加え、罹患後症状とME/CFSの関連について調査いたしました。
 「調査方法」といたしましては、下記についてアンケート調査を行っております。
 DSQ-SFのうち、IOM基準に当てはまる項目。
 ME/CFSの中核症状である労作後の消耗の持続時間。
 IOM基準に合致する回答者を「ME/CFSに類似する症候あり」として定義し、PEMの持続時間と併せて感染者・非感染者、罹患後症状のある者、ない者で比較しております。
 1ページめくっていただければと思います。
 「新型コロナウイルス感染症罹患後のME/CFSを発症する可能性について」の結果のまとめとなっております。
 「ME/CFSに類似する症候を有する者の割合」といたしましては「ME/CFSに類似する症候を有する」者の割合は、感染者と非感染者とも0.5~0.7%で同程度であったという結果となっております。
 あと「ME/CFSに類似する症候を有し」かつ「労作後の消耗が14時間以上続く」者の割合は、感染者で0.31~0.43%と、非感染者の0.08~0.15%に比べ、統計学的な有意差はありませんでしたが、やや高い傾向が見られた状況となっております。
 ただ、両方ともかなりn数が少ないので、解析の結果を解釈することはなかなか困難なのかなと思われます。
 「COVID-19罹患後にME/CFSを発症する可能性についての考察」ですが、こちらの結論といたしましては、COVID-19感染後に「ME/CFSに類似する症候を有する」者の割合は、本研究の結果からは増加していないとなっております。本研究からは、COVID-19罹患後にME/CFSを発症することを強く示唆する結果は認めなかった状況となっております。
 ただし、本研究は、我が国におけるCOVID-19罹患後とME/CFSとの関連性について、これよりも大規模に調査した研究であるところはありますが、アンケート調査であるがゆえのリミテーションもありますので、COVID-19罹患後にME/CFSを発症する可能性につきましては、他の疫学研究との比較とか、本研究で実施困難な質的研究を補完する目的で、国内外のCOVID-19とME/CFSに関する論文等の文献レビューも重要と考える形となっております。
 ここからが「厚生労働省の罹患後症状への対応」となっております。
 「研究」につきましては、引き続き、新型コロナウイルスへの感染から約2~3年後の患者の実態調査を行う形となっております。
 今年度は、特に社会保障制度の利用状況等を明らかにしていく目的で研究を行おうと思っております。
 また、国内外のCOVID-19の罹患後症状に関する論文等の文献レビューを実施する形となっております。
 AMED研究といたしましては、引き続き、病態解明や予防・治療等につながる研究を行っていこうと考えております。
 「医療現場への周知・共有」といたしましては、1つ目の矢じりといたしまして、診療の手引に、今回の研究や国内外の最新の知見等を盛り込んで、本年中に改訂を行いまして、医療機関が適切な医療を提供できるよう、情報共有を行おうと考えております。
 2つ目の矢じりといたしましては、診療の手引に準拠いたしました解説動画を公開する形となっております。
 あと「対象となりうる支援制度等の周知」を行っていきたいと思っています。
 引き続き、以下の既存の支援制度、例えばですが、労災保険とか傷病手当金、障害年金、障害者手帳といったもので、罹患後症状の患者様は、他の疾患と同様に、こういったものの対象となり得るということとか、治療と仕事の両立支援とか、生活に困っている人に対しては、生活困窮者自立支援制度に基づく、全国の相談窓口において、丁寧な相談支援等を行っていきたいと考えております。
 ここから先は、各調査の詳細結果となっておりますので、またお時間があれば御覧ください。
 私からの御説明は、以上でございます。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
 罹患後症状について、今日は磯先生の研究班の調査で長期的な影響、それから、筋痛性脳脊髄炎と慢性疲労症候群への関連ということで、どちらもアンケート調査で、制限はありますがということで御報告をいただいたところであります。
 それでは、ただいまの御報告に関しまして、先生方から御意見、御質問等があれば、お受けしたいと思います。
 森川先生、お願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 先生、すみません。ミュートになっております。
○森川委員 すみません。
 聞こえますか。
○佐野エイズ対策推進室長 はい。聞こえております。
○森川委員 アンケートのオンライン調査なのでというリミテーションがあると何回かお話しになりましたが、参考資料で感染から1年半以上経過した者を感染者として抽出しているのですが、感染者は、恐らく医療機関、あるいは自分で検査キットを使って、感染していることを確認した人だと思うのですが、非感染者は、感染したけれども、症状がないので、自分は非感染者だと思っている人がある程度は含まれると思います。
 そのことを感染者・非感染者の定義のところに加えておいたほうがいいのではないかと考えました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 続きまして、成田委員、お願いします。
○成田委員 御報告ありがとうございます。
 東京都におきましても、医療従事者向けの研修会の実施や、対応医療機関マップの公開など、罹患後症状の対策に積極的に取り組んでいるところでございまして、今年度は、効果的な広報につきましても検討しております。
 国といたしましても、今後、今回御報告いただきましたような研究事業を継続しながら、早めに調査結果を御共有いただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
 これまでにいろいろなところから報告されている内容とコンパチブルだろうと思います。
 先ほどの御意見のように、欧米は、全て抗体があるか、ないかというところで調べていますので、無症候性感染がかなり多い感染症ですので、そこはきちんとリミテーションとして記載していただいたほうがよいというのは同意見です。
 もう一つ、自覚症状は、もちろん、長い間だと消えていくのですが、実際に例えば記憶力のテストをした論文では、12か月後でも、記憶力が抗体陽性者と陰性者では明らかに有意差がある。
 あるいは既にいっぱい出ていますが、1型糖尿病です。そもそも遺伝的なリスクがある方の抗体の出現率が、抗体陰性者と陽性者では有意差を持って高いわけです。
 実際に、脳血管障害で亡くなるリスクも高くなっています。
 こういったアンケート調査だけでは分からない、器質的な障害が既にいろいろなデータとして出ていますので、そこはきちんとコミュニケーションしていただかないと、特に最近は、感染回数が増加するほど、こうしたリスクが増加することが幾つかの国から出ています。そうすると、これは風邪だから、かかってもいいよというのとは全く異なるわけです。そういったところをきちんとコミュニケーションしていただく。
 2点目なのですが、これは厚生労働省、国としての対応として、支援制度や治療法とかは、ほとんど事後の対応なのです。
 何度もかかれば、それだけリスクが高くなるという報告が幾つかある以上は、そういったこともきちんとリスクコミュニケーションとして出していただきたいと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 今、先生が言われたようなデータ、事実もしっかりとコミュニケーションしていく必要があるという御意見でした。
 今村委員、お願いします。
○今村委員 罹患後症状に関するデータをありがとうございます。
 医師の診断がないという制限等はあるものの、大変貴重なデータであると思いました。
 一方で、市民からの視点で見ると、今感染すると罹患後にどのような症状がどれぐらい起こる可能性があるのかということを知りたい人が多いはずです。
 本資料では、一波から六波、あるいは一波から七波を合計して示しているわけですが、御存じのように、オミクロン株となった六波以降は、例えば嗅覚障害、味覚障害などの頻度などが大きく変化しています。
 今後、一般公開するデータについては、このような部分にも配慮した情報提供も検討していただけたらと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、四柳委員、お願いします。
○四柳委員 どうもありがとうございます。
 4点ほど質問とコメントをさせていただきたいと思います。
 1点目は、今の今村先生の御発言とも重なります。特に八尾市は非常に高い回収率であり、信頼度の高い調査だと思いました。
 ただ、八尾市のものと札幌市は、調査時期がぶれているということで、なかなか評価が難しいのではないかとも思ったりもしました。
 したがって、例えば第四波から第六波だと、両方とも重なっていることになりますので、この2自治体の比較がよりはっきりとできるのではないかと思いました。それが第1点目です。
 第2点ですが、新型コロナウイルスに感染した人と、感染していない人との間で罹患後症状に違いがあるかということを今回、磯先生たちは検討していただいていて、非常に大事なことだと思います。
 今回の結果だけだと、全体として、あまり頻度は変わらないのかなと解釈される可能性もあるのではないかと考えられます。例えば見られた後遺症状の内容、特に精神・神経症状に関してはどのような違いがあったのかということをもう少し解析していただけるといいのかなという気がいたしました。それが第2点目です。
 第3点目ですが、事務局から御説明があったように、社会保障制度の利用状況の調査は非常に大事なことです。これはお一人お一人の状況に加えて、欧米では大きな問題になっていますが、労働生産性を評価するという意味でも大事だと思います。
 ただ、いろいろと間接的な影響を受けている可能性が当然あると思いますので罹患した人だけではなくて、対照群をかなりしっかり設定して行わなければいけないのかなという気が実はしておりました。
 また、難しいところもあると思いますが、最後に社会保障制度の周知ということで事務局からお話があった労災に関しては、恐らく今、最初の頃から二十数万件申請が上がっていて、認可されていると理解しています。
 ただその実際はオミクロン以前とオミクロン以後で、ほぼ同時期にワクチン接種が急速に進んだこともあり大分違うような気がするのです。
 ですから、例えばオミクロン以前と以後で、年齢によってどのような労災の申請・認可状況に違いがあるのかということが分かってくると、より社会に与えた影響が分かるような気がします。そういったことが可能かどうかも御検討いただければというのが第3点です。
 第4点は、ME/CFSの話で、事務局からの御説明のとおり今回はアンケート調査ということで、ある程度リミテーションがあるものだと思っています。
 後遺障害に関しては、実はかなりの人が罹患後1年以上たつと、改善もしておられますので、実際に問題になるのは1年以降持続する人だと思います。
 こういった人は後遺障害をきちんと診ていただける限られた医療機関にかかっておられて、そこが多くの患者さんを診ておられて、大変な思いをされている実態と認識しております。
 したがって、そういった方・医療機関をカバーするような調査が行われないと、実際のところは分からないような気がするのです。
 例えば新型コロナウイルス感染症と診断され、後遺障害に関して、漢方薬、精神療法などいろいろな治療が行われるます。発生届のようなものとレセプトデータのようなものを組み合わせると、後遺障害の実態がもう少し分かるかもしれないという気がします。これはなかなか難しいことだということは十分に承知しておりますが、もう少し例えば実際に診ている医療機関が含まれるような調査ができないのかということも御検討いただければと思います。
 以上でございます。
 ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 笹本でございます。
 御指名ありがとうございます。
 新型コロナウイルス罹患後の症状につきまして、今回の実態調査から、成人・小児におきましても、18か月にわたる長期の症状を訴えている方が確認されました。
 医師会としましても、国、地方自治体と協力して、これまで同様、対応していきたいと考えております。
 国におきましても、引き続き、罹患後症状の解明、診療手引の改訂、支援制度の周知などの支援をどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、四宮委員、お願いします。
○四宮委員 詳細な御説明をありがとうございます。
 医学的なことではなくて恐縮なのですが、スライド2の結果の一つに「経済状況に及ぼす影響は定かではなかった」と書かれています。
 「定かではなかった」というのは、差があるのか、ないのか、よく分からなかったという意味だと思うのですが、一方で、スライド12では「世帯収入の変化に差はなかった」と書かれています。
 それから、スライド13でも、世帯収入の変化に差はなかったと書かれています。
 これはどちらの結論が正しいのか、整合性を取ったほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、森田委員、お願いします。
○森田委員 どうもありがとうございます。
 非常に貴重なデータの共有をありがとうございました。
 聞き逃したかもしれないのですが、後遺症とワクチン接種歴との相関は解析されているのですが、抗ウイルス薬の投与と後遺症との関連は解析されたのでしょうか。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 手を挙げていただいた委員の皆様には御発言いただきましたが、そのほかは大丈夫ですか。
 越田委員、お願いします。
○越田委員 多くの方に様々な罹患後の症状があることについての詳細な調査のご報告、ありがとうございました。
 私からは、子供に注目した場合、これらの症状の客観性がどのように評価されているのかということ。
 それから、年齢の幅が6~18歳までとかなり大きいのですが、ここでどのぐらいの差があるのか興味があるところでございます。
 加えまして、学校教育の中で、感染によって学校に行けなくなってしまったとか、学業が続けられなくなった子供が意外と少ないなという気がしたのですが、この辺の解明もぜひとも教えていただければありがたいと思っております。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 よろしいですか。
 様々な御意見、あるいは御質問等をいただきました。
 感染者・非感染者の定義は、制限のところにしっかりと書くべきではないかとか、今までの報告にもあるような罹患後症状の遷延に関して、しっかりとリスコミをしていく必要がある等ありましたので、事務局からレスポンスいただけるところはいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございました。
 例えば記載ぶりのところで、定義に入れたほうがいいとか、そういったところにつきましては、事務局としても少し検討させていただければと思います。
 谷口先生からいただきました、器質的な様々なリスクについてのコミュニケーションは、確かに先生がおっしゃるように、非常に大事だと思います。
 我々としても、そういったことについては、今年度につきまして、海外の文献のレビュー等の研究を引き続き行う予定としておりますので、その結果も踏まえてどのようにしていくかというところを検討させていただければと思います。
 あと、今感染したらどうなるのかとか、データが古いのではないか、結局は八尾市と札幌市の間の期間がぶれているのではないかというところにつきましては、今までアンケート調査で走っていた研究というところもありますので、どうしてもリミテーションが出てくるとは思います。
 その辺りにつきましては、今後どうするのかということも含めて、少し検討させていただけたらと思います。
 あとは、いただいた様々な御議論の中で、こうしたらいいのではないかというところにつきましては、今後の研究の課題とさせていただければと考えているところでございます。
 あと、森田委員からいただきました、抗ウイルス薬との関連はしていない状況です。そちらについても、今後の課題とさせていただければと思います。
 すみません。越田委員からいただきました1つ目の御質問について、私は聞き漏らしてしまいまして、もう一度御説明いただくことは可能でしょうか。
○越田委員 小児の年齢の幅が広くて、6~18歳までとなっております。
 恐らく、この中での後遺症の状況はかなり異なるのではないかと思うので、1歳刻みでなくてもいいのですが、もう少し年齢を区切って解析ができると、いろいろなことが見えてくる気がいたしました。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 その辺りの解析については、まだ実施はしていない状況ですので、今後の検討課題とさせていただければと思います。
 越田委員からいただきました2つ目の課題につきましても、今後、少し我々のほうで議論させていただけたらと思っております。
 以上でございます。
○越田委員 もう一点ですが、最初に申し上げたのは、年齢の小さなお子さんの場合、その症状を客観的に評価する指標が必要ではないかという気がいたしました。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 様々なサブ解析等の御提案があったので、それは厚労省、磯先生とまた相談していただいて、可能なところはまた解析を進めていただければと思いますが、四宮委員から御質問があったところは。
○佐野エイズ対策推進室長 すみません。
 そちらは、我々としては、基本的には私もいろいろと御説明がぶれていた可能性はあるのですが、リミテーションのところでもお話しさせていただきましたように、そもそも有効回答が少なかった状況ですので、現状、なかなか分からないというのがお答えかと考えます。
 スライドに関しましては、確かにおっしゃるように、全体的に記載ぶりとして、有意差があるとか、ないという記載ぶりになっていたり、そのような形で記載されていたところはありますが、全体的なスライド。
 すみません。何枚目でしたか。ちょっとお待ちください。
 12枚目のスライドの留意点を含めての解釈としていただければと思います。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 一方で、12枚目、13枚目の要約のところでも差がないということになっているので、その辺は少し留意したほうがいいと思います。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
○脇田部会長 これは、今日御承認いただくようなものではないので、今回は研究結果の御報告ということでしたので、今日、皆様からいただきました御意見を基に、これも踏まえていただいて、また引き続き取組を進めていただければというところであります。
 よろしいですか。さらに追加の御意見等があれば。
 いいですか。
 ありがとうございました。
 それでは、最後の議題に参ります。
 3番目「新型コロナウイルス感染症治療薬開発の振り返り等について」ということでございます。
 事務局から御説明を。
 ごめんなさい。
 その前に、次の議題が、事務局から冒頭に説明がありました、この部会の審議参加規程に基づきまして、申し訳ないのですが、中野委員、四柳委員には御退席していただくことになりますので、どうぞ御理解をお願いいたします。
 両先生におかれましては、今日の御参加、ありがとうございました。
(中野委員、四柳委員退室)
○脇田部会長 それでは、議題3についての御説明をお願いしたいと思います。
○佐野エイズ対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 事務局でございます。
 資料3をお手元に御用意ください。
 「新型コロナウイルス感染症治療薬開発の振り返り等について」というところで、基本的には、参考資料1と参考資料2にあります、7月に開催されましたMCM小委で議論されました内容のまとめとなっております。
 1ページめくっていただければと思います。
 「新型コロナウイルス感染症対策として開発・実用化された治療薬の振り返り」といたしまして、1つ目として、新型コロナウイルス感染症の発生早期には、SARS-COV-2に対する治療薬は存在せず、国内外で開発の検討がなされました。新型コロナウイルス感染症の治療薬について、開発された薬剤の種類や薬事承認の時期等が対策に影響した形となっております。
 2つ目といたしまして、パンデミック発生時における治療薬の開発については、速やかに有効な治療薬の確保及び治療法の確立を行い、全国的に普及させることが重要であり、平時からそのための体制づくりを行う必要性があるという形となっております。
 3つ目といたしまして、新型コロナウイルス感染症対策の治療薬の開発から現場での使用において、下記の事項を中心に振り返りを行い、今後の感染症危機への教訓としてはどうかというところで御議論いただきました。
 「論点となりうる事項」としましては、こちらの5つの点と案を出させていただいております。
 次のスライドを御覧ください。
 「新型コロナウイルス感染症治療薬の承認の開発の流れ」となっております。
 また、少しビジーなスライドとなっておりますが、またお時間があるときに御覧いただければと思います。
 3ページ目を御覧ください。
 「新型コロナウイルス感染症治療薬の取扱いについて」で「これまでの経緯」をざっと御説明させていただきますと、まず、新型コロナウイルス感染症治療薬につきましては、各薬剤の薬事承認後、国が確保し、希望する医療機関へ配分いたしました。
 このうち、抗ウイルス薬、具体的にはベクルリー、ラゲブリオ、パキロビッド、ゾコーバにつきましては、一般流通が開始されたタイミングで、国による配分を終了しております。
 一方で、中和抗体薬(ロナプリーブ、ゼビュディ、エバシェルド)につきましては、一般流通されていないため、国による配分を継続してきましたが、通常の医療提供体制に完全移行したことを踏まえまして、希望する医療機関に必要量を配布した上で、令和6年5月31日に配分を終了しております。
 現在は、各薬剤について、不測の事態に備えて国で保管している状況となっております。
 「今後の方針(案)」でございますが「一般流通されている新型コロナの抗ウイルス薬の国における保有の取扱いについて」といたしましては、不測の事態に備えた保管を継続し、使用期限が到来したものは順次廃棄していくと考えております。
 2つ目といたしまして、有効性が減弱していると考えられる新型コロナの中和抗体薬の国における保有の取扱いにつきましては、現在の診療の手引でも、抗ウイルス薬の投与優先を検討とされていること、医療機関には希望する必要量を配分したことなどから、国が現在保有する中和抗体薬については廃棄していくと考えております。
 簡単ですが、資料の説明は以上となっております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 新型コロナ治療薬の開発の振り返りということで、御説明をいただきました。
 いろいろとありましたが、今の説明を踏まえまして、先生方から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 最終的には、最後の方針についての御意見もいただければと思いますが。
 それでは、土井委員、お願いします。
○土井委員 御指名ありがとうございます。
 今回、新型コロナウイルス感染症治療薬開発の振り返りという大事なテーマを取り上げていただいて、ありがとうございます。
 ここで主に治療薬、一部予防薬の特性とか流通、あと、参考資料だと思いますが、公費による支援といった、主に運用面を取り上げておられますが、治療薬開発本体の部分、つまり、既存薬の転用を含めたシーズの同定、前臨床試験、臨床試験の実施において、様々なチャレンジを経験してきたかと思います。
 例えば前臨床フェーズですと、実験動物が確保できないとか、GMP施設が確保できないということで、有望なものはあるのだけれども、開発が進まないといった事態があったかと思いますし、臨床試験においては、医療現場で患者さんが増えると、医療が逼迫して登録が進まない、患者さんが減ると、それはそれで登録が進まないといったジレンマもありました。
 また、レギュラトリーサイエンスの面でも、緊急時の医薬品開発にどう対応するのか等、様々な議論があったと記憶しております。
 せっかくの振り返りの機会ということですので、改めてフォーラムが必要かもしれませんが、これらの点についても、次に似たような状況が起こった際に、どういった点が改善できるのか、それに備えて、今のうちに行っておくべきこと、あるいは行っておけることがあるのかといった点についても、ぜひ御検討いただければと存じます。
 私から以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
 非常に重要な課題だと思います。
 「論点となりうる事項」の一つに、なぜ日本では開発が欧米に対して遅れていたのか、その理由をきちんと評価して、次のときにはより早くできるように。
 これは土井先生の御意見に賛成という意味なのですが、そこをやっておかないと、次もまた同じようなことになると思うので、そこをやっていただきたい。つまり「論点となりうる事項」に一つ付け足してほしいというのが1点。
 あと、現在は一般流通になりましたが、御存じのように、今年1月から3月で、全国で1万3000人がコロナで亡くなっていますね。今も重症例はいます。
 治療薬は非常に高いです。
 NCDAのデータを見ると、入院死亡率は、過去のどの流行波よりも高いです。
 つまり、これは恐らく、悪くなってから入院しているということなのです。
 そのように考えると、今のままの薬は、3万円かかります。これでいいのだろうかという気がしています。
 これについては、医療費のことを考えれば、どちらがコストパフォーマンスがいいかということは考えられると思いますので、そこも論点となり得るところで考えていただければと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、成田委員、お願いします。
○成田委員 御説明ありがとうございます。
 私からは、2点申し上げたいと思います。
 今般のコロナ対応を振り返りますと、新型コロナの治療薬につきましては、製薬会社から個別に各自治体への治験協力の依頼がございまして、都でも宿泊療養施設において治験を実施いたしました。
 今後、新興感染症が発生した際は、自治体レベルでの治験の判断は大変難しく、負担も大きいため、治験の窓口をあらかじめ決めておくなど、国が中心となりまして治験の受入れ体制を整備していただき、治療薬の開発にも事前対応型で臨んでいただければと思います。ぜひとも御検討のほど、よろしくお願いいたします。
 また、先日、都からも御要望させていただきましたが、抗ウイルス薬につきましては、先ほど谷口委員からもお話がございましたように、高齢者等重症化リスクのある方が受診控えや治療控えをされることがないよう、抗ウイルス薬の患者負担の軽減を図っていただくなど、方策を講じていただくほか、所得や年齢に応じた医療費負担の上限を定めた高額療養費制度の周知徹底を図っていただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、今村委員、お願いします。
○今村委員 説明をどうもありがとうございました。
 最後に書き込まれている「今後の方針(案)」については、特に異論はありません。
 そこに加えたかった意見は、谷口委員と同様に、次のパンデミックに向けて、より速やかに対応できるように、平時から体制づくりを行うこと。、そのために振り返りが重要な課題であることは間違いないわけです。
 ただ、振り返りを進めるに当たって、時期とか場面、薬剤等によって状況が異なるとは思いますが、具体的にどの薬剤のときに何が妨げとなっていたのか、それを改善するためにはどんな準備が必要かなど、より具体的にまとめていくことで、初めて次のパンデミックの対策につながるのではないかと思っています。
 その振り返りの中には、現状、投与されている薬剤なども含めてということになると思っています。
 こちらからは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 ただいま委員の先生方から御意見をいただきましたが、多くの先生方からは、4ページの今後の方針に大きな異論があるわけではないのだけれども、振り返りはさらに深掘りをしてほしい、していく必要があると。
 今後のパンデミック、何があるかは分かりませんが、それに対して治療薬の開発が遅れないように、日本において何を準備しておく必要があるのかということについて、さらに深掘りをしておく必要があるといった御意見だったと思います。
 もう一つは、現在のコロナの状況において、治療薬の自己負担が非常に高いところが、一つ重症化予防の妨げになるのではないかといった御意見あったところです。
 私からも少し意見を述べたいのですが、土井先生、谷口先生、今村先生と同じではあるのですが、今回、既承認薬、既に承認されている薬をコロナに応用しようという様々なチャレンジがあったと思うのです。
 多くのものがうまくいかなかったということですが、これは実際にin vitroのデータ、非臨床のデータが、既存薬ですから、当然あるわけで、それが今回、有効性が認められて、うまく承認された薬たちと一体どういった差があったのか、そこに差がないとすると、当然、今後もそういったものにチャレンジしていく必要性があるかもしれない。
 つまり、既承認薬でin vitroで有効性が認められれば、臨床研究等でチャレンジしていく必要性があるかもしれないけれども、うまくいった薬とそうでなかったもので差がちゃんと認められる、in vitroの試験、あるいは非臨床、PK/PDのデータは既にあるはずですから、そこから差があったと。この程度の有効性が推定できなければ、臨床の試験に持っていくのはなかなか難しいだろうということが見いだせれば、それは有効な知見になるだろうとも考えるところです。
 ですので、先生方から言われたような振り返りも、ぜひ今後、検討していただきたいと思います。
 それでは、事務局からレスポンスいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 様々な御意見をいただきました。
 今後、パンデミックが起こったときの体制整備につきましては、もちろん、我々のほうで考えることもありますし、他部局にわたって考えなければならないこともあると思いますので、我々の課でできることにつきましては、MCM小委でも議論させていただきたいと思いますが、引き続き、関係各所と連携しながら考えていきたいと思っているところでございます。
 医療費の話につきましては、我々はお答えできる立場にございませんので、こちらではコメントを控えさせていただければと思います。すみません。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 今、事務局からレスポンスがありましたが、感染症部会としては、先ほど先生方から意見が出たことはノートしておくということになりますので、よろしくお願いします。
 そのほかにいかがですか。
 もしよろしければ、最後のページ、事務局からの御提案については了承していただけるということでよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、この取組についても、事務局において進めていただくということです。抗ウイルス薬の保有の取扱いと中和抗体薬の取扱いですね。
 よろしくお願いします。
 それでは、準備した議題は以上になりますので、事務局にお返ししたいと思います。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございました。
 本日の委員の皆様の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
 この後、当方で記者ブリーフィングとして、議事の概要を説明させていただく予定としております。
 また、次回につきましては、事務局より改めて御連絡させていただきます。
 本日は、お忙しい中御出席いただき、ありがとうございました。
○脇田部会長 皆さん、今日もどうもありがとうございました。
 また次回、よろしくお願いいたします。