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第61回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省
健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課
日時
令和6年7月18日(木)10:00~12:00
場所
WEB会議にて開催
(厚生労働省 共用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
(厚生労働省 共用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
議題
(1)小児肺炎球菌ワクチンについて
(2)帯状疱疹ワクチンについて
(3)新型インフルエンザ等対策政府行動計画ガイドラインの改定について(報告)
(4)新型コロナワクチンについて(報告)
(5)その他
(2)帯状疱疹ワクチンについて
(3)新型インフルエンザ等対策政府行動計画ガイドラインの改定について(報告)
(4)新型コロナワクチンについて(報告)
(5)その他
議事
- 議事内容
- ○溝口予防接種課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第61回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ、委員におかれましては御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開、頭撮り可となっております。また、前回と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴される方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
次に、本日の出欠状況について御報告を申し上げます。
本日は、鈴木基委員より御欠席の御連絡をいただいております。
現在、委員12名のうち11名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして、本日の会議は成立したことを御報告申し上げます。
また、事務局に人事異動がございましたので、御紹介申し上げます。
7月5日付で、健康・生活衛生局感染症対策部長に鷲見部長が就任しておりますので、部長より御挨拶を申し上げます。
○鷲見感染症対策部長 先生方、おはようございます。本年7月5日に感染症対策部長に着任いたしました鷲見でございます。
委員の皆様におかれましては、平素より予防接種行政の推進に御理解、御協力を賜りまして、誠にありがとうございます。
予防接種施策は国民の関心も高く、公衆衛生の中でも大変重要な施策の一つでございます。
他方で、予防接種施策につきましては、新たに開発されたワクチンの定期接種化の検討や、予防接種事務デジタル化の施行に向けた検討、予防接種基本計画の改定など、多くの課題を抱えております。
今後とも、皆様の御知見をお借りしながら、これらの課題を解決し、予防接種行政を推進してまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議につきましても、それぞれの専門分野の先生方から、忌憚のない御意見を賜り、充実したものになりますようここにお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。
本日もよろしくお願いいたします。
○溝口予防接種課課長補佐 ありがとうございました。
続きまして、本部会の資料につきまして、あらかじめ送付させていただいた電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から番号12の利益相反関係書類までを用意してございます。
資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局までお申し出ください。
なお、申し訳ございませんが、冒頭のカメラの頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力のほどをお願いいたします。
(カメラ退室)
○溝口予防接種課課長補佐 それでは、ここからの進行につきましては脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 それでは、委員の先生方、改めまして、おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。
それではまず、いつもどおり、審議参加に関する遵守事項について事務局から御報告をお願いいたします。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
本日の審議参加の取扱いについて御報告を申し上げます。
本日御出席の委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、薬事承認等の申請書類への関与・ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況について御申告をいただきました。
各委員からの申告内容につきましては、番号12の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日につきましては、薬事承認等の申請書類の作成関与のうち、議題2(1)につきまして、中野委員、宮入委員より、申請書類等の作成関与の申告がございましたので、同参加規程5条に基づきまして、審議又は議決が行われている間は「退室」に該当しますので、取扱いについてお諮りをいたします。
なお、このほかの委員で「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいませんでした。
各委員におかれましては、毎回繰り返しのお願いで大変恐縮ですが、講演料等の受取につきまして、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いを申し上げます。
事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 御報告ありがとうございました。
今、事務局から本日の審議参加についての御報告がありました。この予防接種・ワクチン分科会審議参加規程第5条の規程では、当部会が特に必要と認めた場合には、出席をして意見を述べることができるとなっております。
中野委員、宮入委員におかれましては、本日の議題に関して専門的な内容や知見を伺いたいという趣旨がございますので、この規程に基づきまして、部会で意見を述べ、審議に参加いただくということでいかがでしょうか。委員の先生方にお諮りします。
(委員首肯)
○脇田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から了承が得られたということで、本日はそのように取扱いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ってまいります。議事次第を御覧ください。
今日は主な議題4つございます。帯状疱疹ワクチンから小児に対する肺炎球菌ワクチン、新型インフル行動計画ガイドラインの改定、そして新型コロナワクチンということでございます。
まず最初の議題に入ってまいります。議題1の小児の肺炎球菌ワクチンについてでございます。事務局から資料1が提出されていますので、説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。お願いいたします。
それでは、小児に対する肺炎球菌ワクチンについて、資料1に沿って御説明させていただきます。
4ページをおめくりください。「小児に対する肺炎球菌ワクチンに係るこれまでの経緯」でございます。最近の動向といたしましては、下から2行目でございますけれども、令和6年3月に、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)が日本で小児に対して薬事承認されました。本日の議題はこちらのワクチンでございます。
また、令和6年4月に定期の予防接種に用いるワクチンにPCV15が追加されたところでございます。
5ページでございます。ファイザー社から小委員会に提出された資料の抜粋でございます。製品の概要でございますが、こちらのPCV20については、効能又は効果として、20の血清型の侵襲性感染症の予防が認められているところでございます。また、用法及び用量につきましては、筋肉内注射又は皮下注射が可能であるといった点も含めて、PCV15と同様となっております。
また、下の四角でございますが、プレベナー20、PCV20でありますけれども、の希望小売価格は、プレベナー13、PCV13と同価格を予定しているとのことでございます。
6ページにお進みください。こちら、PCV20に関するワクチン評価小委での議論でございます。PCV20に関する背景又は小委員会における結論でございますが、PCV20は令和6年3月に、小児における肺炎球菌による侵襲性感染症の予防目的に薬事承認されました。PCV20が現行のPCV13及び15と比べて、IPD、侵襲性肺炎球菌感染症ですが、において予防する血清型の割合を向上させることから、PCV20に現行のPCV13及び15を上回る有効性が期待できると考えられております。
PCV20は、13及び15と比較して有効性の向上が期待でき、安全性に差がなく、接種に係る費用が増加しない見込みであることを踏まえ、PCV20を定期接種に用いるワクチンに位置づける方向性で基本方針部会等でさらに検討を進めることと結論されました。
下に、小委における主な意見を記載しております。まず、血清型のカバー率が広いPCV20は、より効果が期待できると考えられるといった意見がございました。また、臨床試験において、PCV15と20を比較した試験がなく、PCV20がより有効性が期待できることについては、理論上の期待であるということに注意が必要でございます。
また、どのワクチンがより好ましいのかということを明示することは、接種を受ける方々にとって分かりやすい情報提供となるという御意見もありました。
さらに、15価から20価への接種するワクチン製剤の変更の可否について、しっかりと注意喚起していくことが望ましいといった御意見がございました。
おめくりいただきまして7ページ以降が定期接種の対象者、接種方法及び用いるワクチン等についてでございます。
8ページが現状の定期接種の対象等についての記載でございます。
9ページにお進みいただきまして、こちらは添付文書におけるPCV20の記載をPCV15と比較したものでございます。薬事承認されたPCV20の接種対象者及び接種方法については、薬事上、PCV15と比較して、接種上の注意において、小児における肺炎球菌による侵襲性肺炎感染症予防として接種できる年齢の上限が、赤字のところでありますが、6歳未満であることのほかは、大きな違いはないところでございます。
10ページにお進みください。こちらは現行の予防接種法施行令と実施規則の規定を記載しております。現行の予防接種実施規則では、接種の対象者と接種方法について、薬事承認の内容を踏まえて、以下のとおりの記載となっております。今般薬事承認されたPCV20の薬事上の承認範囲と特段の齟齬はございません。
11ページにお進みください。PCV20とPCV13及び15との交互接種についてでございます。上のリード文でございますが、定期接種等においては、同一の疾病に対して複数接種のワクチンが利用可能である場合であって、シリーズとして複数回接種するときは、原則として過去に接種歴のあるワクチンと同一のワクチンを用いることとしております。
PCV20においては、薬事審査において、PCV13からPCV20に切り替えて接種した場合の安全性・有効性が認められている。一方で、PCV15からPCV20に切り替えて接種した場合の安全性・有効性は確立していないというのが現状でございます。
12ページでございます。こちらに定期接種の対象者、接種方法及び用いるワクチン等についてのまとめと方向性の案を記載しております。
上のまとめでございますが、PCV20の薬事上の規定について、薬事承認されたPCV20の接種対象者及び接種方法については、薬事上、PCV15と比較して大きな違いはないところでございます。
また、小児肺炎球菌ワクチンの現行の予防接種法上の規定については、予防接種法施行令における接種対象者の規定に係る部分については、PCV13及び15と20に薬事上の差はございません。
さらに、事務運用の詳細は「予防接種実施要領(健康局長通知)」として整理し、その中で標準的な接種時期を示しております。
ワクチン小委員会での議論でございますが、PCV20はPCV13及び15と比較して、有効性の向上が期待でき、安全性に差がないと考えられ、また、接種に係る費用が増加しない見込みであることが企業から示されました。
その他ですが、製造販売業者より、PCV20の発売と同時に、PCV13の供給を停止する意向が示されております。
方向性(案)でございますけれども、現行のPCV20の規定や小委員会での議論を踏まえ、PCV20を定期接種に用いるワクチンに位置づけてはどうかと考えております。その際、薬事上の承認内容に合わせて関係規定を見直してはどうかと考えております。
PCV20は、PCV13及び15と比較して有効性の向上が期待でき、安全性に差がないと考えられます。ただし、現場の運用上、PCV20に速やかに移行できない場合でも、肺炎球菌ワクチンの接種を確実に行う観点から、当面の間はPCV15も使用できることとしてはどうかと考えております。
PCV13については、製造販売業者からPCV20の発売と同時に供給を停止する意向が示されているため、PCV13の供給停止後に定期接種に位置づけるワクチンから除いてはどうかと考えております。
13ページでございます。こちらはほかのワクチンとの接種間隔についての規定です。ほかのワクチンとの関係については、予防接種実施要領において、以下のとおり規定されておりますが、生ワクチン以外のワクチンにおいては接種間隔の定めはなく、同時接種は、医師が特に必要と認めた場合に行うことができることとされております。
方向性のところですけれども、PCV20についても、生ワクチン以外のワクチンに該当することや、また企業の説明において、その他のワクチンと同時に接種した場合の有効性・安全性が認められていることから、ほかのワクチンと同様に、接種間隔の定めは置かず、同時接種についても、医師が特に必要と認めた場合に行うことができるとしてはどうかと考えております。
14ページ以降、その他の規定に関する記載でございますが、15ページと16ページは長期療養特例に関する現行の規定を記載しております。
また、17ページでございますが、こちらはPCV20の定期接種対象者から除かれる方についての記載でございます。現在、PCV20の添付文書における接種不適当者は、現行の予防接種法上の定期接種対象者から除かれる方と一致しております。そのため、定期接種対象者から除かれる方は、PCV20の導入に際しても、現行規定のとおりとしてはどうかと考えております。
定期接種化の開始時期についてです。19ページでございますが、PCV20の製造販売業者によると、令和6年8月から供給することが可能と表明されております。また、その際、小児における全ての対象者がその時点から接種した場合においても、十分量を供給することが可能であると説明されております。
PCV20の定期接種化のタイミングについては、規定の整備や周知に必要な時間も考慮して定めることとしてはどうかと考えております。
21ページがまとめでございます。事務局案としましては、PCV20を定期接種に位置づけることとし、接種の対象者や実施方法等は以下のようにしてはどうかと考えております。
まず、定期接種の対象者の政令の規定につきましては、PCV20の導入に際しても、現行規定のとおり、生後2か月から60か月に至るまでの間と考えております。また、接種間隔や方法についてはPCV15と同様に定めることを考えております。使用するワクチンについては、PCV20を基本とし、ただし、当面の間はPCV15も使用できるようこととします。PCV20の定期接種化に合わせて、PCV13は使用するワクチンから除くこととします。
長期療養特例や、また定期接種対象者から除かれる方及び適当ではない方の記載については現行規定のとおりと考えております。
定期接種化の開始時期については、令和6年10月1日を想定しております。
接種方法に関するその他の事項でございますが、PCV20と13の交互接種については、PCV13で接種を開始した場合でも、PCV20に切り替えて接種が可能なよう必要な規定を設けることと考えております。
PCV20と15の交互接種については、原則としては同一のワクチンで接種を行うこととしつつ、原則によることのできない場合についても、接種が実施可能なよう、必要な規定を設けてはどうかと考えております。
事務局からは以上です。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
それで、委員の先生方から御意見いただく前に、今日、鈴木基委員が御欠席ですけれども、事前に御意見いただいているということですので、事務局から御紹介していただけますでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
それでは、鈴木委員からの御意見について代読させていただきます。
まず、PCV20についてでございます。ワクチン評価小委員会では、PCV20について、先行するPCV13及び15に含まれる血清型に対する免疫原性の非劣性が確認され、新たに追加された血清型についても十分な免疫原性を有していることが確認されたこと、副反応について差がないこと、価格に変更がないことから、定期接種に位置づける方向で議論を進めることに委員の間で異論はありませんでした。本日は基本方針部会の委員として、PCV20を定期接種に用いるワクチンに位置づけることに賛成します。また、PCV13を定期接種から除くことについても、接種の現場で混乱が生じないようであれば異論はありません。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。ただいま、事務局のほうから資料1の御説明をいただき、そして、小委員会のほうで意見を取りまとめていただいている鈴木基先生の御意見を御紹介していただきました。それで、定期接種、小児の肺炎球菌ワクチンを今般、PCV15からPCV20へ切り替えてはどうかという御提案といいますか、内容でございます。小委員会のほうでも、今、御紹介あったとおり、特に異論はなくということでありました。より幅広い血清型にも免疫原性を有する、それから副反応についても差がない、価格にも変更がないということですので、このPCV20を定期接種に位置づける方向性をどう考えるかということですが、いかがでしょうか。
川崎市、坂元委員。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。どうも御説明ありがとうございました。
20価のワクチン、定期接種化にするという案には賛成いたします。それと、今回の20価は13価と費用等が異ならないということで、市町村にとっても特別な補正予算を組む必要がないということが1点と、従来の問診票、それからパンフレット等もそのまま使えるという形で、比較的速やかに移行できるのではないかと考えております。とはいっても、ワクチン供給に関して、それぞれの市町村は供給に関する事務契約の見直し等をしなければいけないので、10月1日の実施ということは適切かと思っております。
そこで1つだけ懸念は、一番最後の21ページの資料にもありますように、交互接種の問題というのは当然出てくるだろうなあと思います。例えば13価のワクチンが8月で終了するということで、仮に13価で最初打ってしまった人は、その後、10月1日までは15価でつながなければならないという事情も生じますし、また、15価を打ってしまった人が何かの必要性が生じて20価をその後打ってしまうという場合もありますので、この交互接種に関しては、市町村からの一つのお願いとしては、間違い接種として扱わないでほしいということです。
やはり市町村の裁量の範囲で、それぞれの接種者と非接種者の事情を勘案して、市町村に任せていただければというのが一つのお願いでございます。これは間違い接種とされると予防接種法の対象とならないという形で、被接種者にとって多大な不利益が生じるということを勘案して、そこはひとつ国としても御配慮いただければと思います。
私からの意見は以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、次にまいります。宮入委員。
○宮入委員 ありがとうございます。
事務局から提示された案に賛成です。私の意見も坂元委員とほぼ同じですが、より広いカバーが想定される20価の肺炎球菌のワクチンについては歓迎するところで、13価との切替えについても異論ありません。接種間隔を定めないことや同時接種が認められることについても賛成です。やはり2種類のワクチンが使えることは安定供給や現場の混乱を避けるためでも非常に重要ですし、15価のワクチンの継続ということについても賛成です。また、その中で、交互接種を仮に行った場合でも誤接種にならないということは重要かと思います。
この交互接種に関連して、肺炎球菌の抗原の価数が増えると若干それぞれの抗原に対する抗体価が下がるということはこれまでも議論が、7価、13価、15価となる中で出てきたことです。ただし、価数が増えることでより広いカバーが可能だということや、抗体価以外のエンドポイントを加味して、20価の肺炎球菌ワクチンについて、総合的な効果については遜色がないと想定されます。海外でも先行して導入されていて、特段問題ないということが確認されておりますので、こちらの医学的な判断についても妥当だと考えております。
ただ、やはり引き続きのモニタリング、通常の感染研を中心としたモニタリングは続けていただきたいと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。次に、伊東亜矢子委員、お願いします。
○伊東委員 ありがとうございます。
私も、御提案の内容は全て賛成でございますが、15価と20価の交互接種のところは、現時点においては安全性・有効性に関するエビデンスはないということではあったかと思いますので、例外的に位置づけていただくことには賛成ですけれども、情報提供としては、そういったエビデンスの状況だということは必要に応じて提供いただくことが望ましいかと思いましたので、こちらの意見とさせていただきます。ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。次に、中野委員。
○中野委員 中野でございます。ありがとうございます。
ワクチン評価に関する小委員会での結論、それを踏まえて本日御提示いただきました事務局の御提案に基本的に全て賛成いたします。
私から幾つかコメントさせていただきたいのですが、1つは、6ページ目でございます。小委員会においてもこちらのPCV20がより有効性が期待できることについては理論上の期待であることに注意が必要というコメントも書いてございますし、先ほど宮入委員からも、蛋白量が増えるとそれらに対する免疫原性が少し落ちるという、このようなワクチンの一般的な、一応注意しておかなければならないことに関するコメントがあったと思います。
私もそこは同感でございますけれども、結局、サーベイランスが今後も重要ということで、リアルワールドでの、打った方々で、例えばこれは15価から20価で5つ増えたということ以外に、13価と15価で2つ増えたということに関しても同じことだと思うのですけれども、これによって、接種歴はあるけれども、そのタイプの血清型に罹患した患者さんがいないのか、ワクチンフェイラーはないのかというのは今後やはり継続してサーベイランスを行っていくべきだと思います。
現状でも、感染研への報告とか、あるいは公的研究班でそのようなサーベイランスが行われていることは承知いたしておりますけれども、これはワクチンの導入とともにぜひ継続して行っていくべき研究であると考えております。
もう一点は、16ページの長期療養特例のことでございます。肺炎球菌感染症、上限年齢が、ただし6歳未満という括弧書きがついておりまして、こちらのほうは、今回、20価のワクチンが6歳未満ということで小児の適応を取っておりますし、もともとこの長期療養特例ができた頃に、薬事承認も肺炎球菌ワクチン、6歳未満という記載がございました。ただ、今、定期に使われている15価のワクチンに関しては6歳未満ということではないのですね。あと、いろんな報道を見ましても、20価の結合型ワクチンが成人も含めた適応を申請しておられるということもニュースとしては流れておりますので、もし薬事承認で年齢幅が解除された場合に、この長期療養特例の6歳という上限年齢を今後検討していってもいいのではないかと考えております。
その理由は、この長期療養特例が必要な何らかの基礎疾患があって、しばらくワクチンを打てなかった方こそ、その後の肺炎球菌感染症のリスク者でもあるので、そういった方々には適切な接種の機会を与えるという上で、今後の検討すべき課題の一つかと思っております。
私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。続きまして笹本委員。
○笹本委員 笹本でございます。ありがとうございます。
事務局案に賛成でございます。PCV20の定期接種化に伴いまして、PCV13はワクチンから外れることになりますが、この場合、PCV13の在庫がありましてもPCV20を使うということになると思いますので、医療機関が在庫を抱えることがないように御配慮をお願いいたしたいと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。次に白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
事務局案について、私も賛成でございますけれども、このワクチンの変更が年度途中ということになりますので、やはり現場としては準備とか周知とか、その辺に配慮を要すると思っておりますので、場合によって問診票も、特に内容は変わらないと思うのですけれども、20価であるということの差し替えもいると思いますし、そのような準備期間ということを御配慮いただきたいなと思っております。
また、ちょっと質問ですけれども、これは13価、15価、20価ということでどんどん血清型に対応するのが増えてくると思うのですが、この先またバージョンアップして、ほかの血清型にも対応するものが出てくるのでしょうかということで、それもかなり忙しくなるのであれば、現場としてはそういうことが何回かあるのかなと考えないといけないと思いました。
また、交互接種についても、いろいろな先生がおっしゃっておりますけれども、原則によらなくても、これは予防接種事故とかそういうことにはならないということですけれども、安全性の確認をということについても、モニタリングとかサーベイランスの中でまた確認していただくということでお願いしたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。次に伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
肺炎球菌は、鼻腔にコロナイズしておりますのでもともと排除できるわけではありませんけれども、子供の肺炎球菌ワクチン接種によって、大人の侵襲性肺炎球菌感染症も減少していますし、必要なワクチンであるということは認識しています。残念ながら、ワクチンがカバーする血清型以外の肺炎球菌感染症も出ておりますし、特定の血清型だけ抑制すればいいというわけではないので、カバーする血清型が多い方がよいと理解しています。逆の言い方をすると、20価が出てくれば15価ワクチンからの置き換えが起こるだろうと思います。
お母さんによっては、20価が出てくるのを待とうという接種控えが起きるのではないかという懸念があります。8月に発売されて10月から接種開始ですと、期ずれはないかもしれないと思いますが、接種控えが起きない工夫は必要ではないかというのが1点と、それから、15価のワクチン供給会社が、もう使われなくなるからと供給を絞ったり、その間に20価の供給が滞ったりすることがないかという点は、懸念としてはありますので、そういったことについての対応状況は確認させていただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。今、手を挙げていただいた委員の先生方からはお話をいただいたというところですが、基本的には、皆さん、今回の小児肺炎球菌ワクチン、定期接種のワクチンにPCV20を加えると、そして、PCV13についてはこれがなくなるというところになる。当面の間、PCV15も続くということの御説明がありました。私もこの案については賛成で、特に先生方からの意見に加えて追加のところはございませんので、今少し御意見とか御質問がありましたので、その点について事務局からレスポンスいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
御質問、御意見等ありがとうございました。可能な範囲でお答え申し上げます。
まず、坂元先生から交互接種に関しての御意見をいただいたかと思います。こちらについては、これまでも異なるワクチンの間で同様の状況というのはあったかと思います。国として情報が得られている範囲で規定するということになろうかと考えておりまして、これまで同様の規定をさせていただければと考えている次第でございます。
また、中野先生からは、御意見として、サーベイランスが重要ということをおっしゃっていただいたかと思いますけれども、サーベイランスは大変重要と思っておりまして、今後も当然、侵襲性肺炎球菌感染症については全数把握でございますので、サーベイランスを続けていきますし、研究班の活動についても連携してまいりたいと考えております。
また、2点目に長期療養特例の御意見があったかと思いますので、こちらにつきましても、状況の変化に応じて引き続き検討してまいりたいと考えております。
それから、笹本先生から在庫の配慮といった御意見もあったかと思います。御意見として承りました。ありがとうございます。
あと白井先生からは、今後同様のワクチンが出てくるのかといった御質問があったかと思いますけれども、厚労省としては、プレスリリース等を拝見する限り、直近、小児に対して申請しているワクチンというのは聞いてはおりませんけれども、今後、こちらの企業の開発動向にもよりますので、引き続き情報収集してまいりたいと考えております。
最後に伊藤澄信委員から接種控えについての御意見もありましたので、こういったことがないようにということ、重要な点と考えております。ありがとうございます。
脇田先生からも、接種控えがないようにといったことを情報提供の際に工夫するようにという御意見かと思いました。
また、伊東委員、宮入委員からも、交互接種についての情報提供について適切にするべきであるといった御意見があったかと思います。こちらについても通知等で留意してまいりたいと考えております。
事務局からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。ごめんなさい。ちょっと聞き逃したかもしれないけれども、伊藤澄信先生から最後に供給の懸念というところで、資料の中で御説明はあったのですけれども、その点は。
○吉原ワクチン情報分析専門官 ありがとうございます。供給については、こちら、企業からの報告ということではあるのですけれども、先ほど御説明したところでございますが、19ページに、安定供給に関しては、ファイザー社からは、小児における全ての対象者が接種した場合においても十分量を供給することが可能であるという旨の表明はされております。引き続き供給について問題がないかということは注視してまいりたいと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございました。今、委員の皆様から御意見をいただき、事務局からもレスポンスを大体いただいたと思いますが、委員の先生方からさらに御質問、御意見、追加等あれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいですかね。
ありがとうございました。そうしますと、委員の先生方からはおおむね賛成するということでありましたので、この沈降20価肺炎球菌ワクチンを小児に対する定期接種に位置づけるということに、この基本方針部会としてはするとしたいと思います。また、接種の対象者、実施方法については事務局案の方向性で大きな異議はないということでありました。委員の先生方からの御意見等については事務局に踏まえていただきまして、本件の定期接種化に向けた手続を進めていただきたいと考えます。
ということで私のまとめにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(委員首肯)
○脇田部会長 ありがとうございました。そうしましたら、この案件は以上としたいと思います。
それでは次にまいります。次は、議題2、帯状疱疹ワクチンについてということであります。資料2になりますが、こちらも事務局から説明をまずお願いしたいと思います。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
資料2のほうを御覧いただければと思います。あらかじめですけれども、参考資料2のほうに、今般議論のベースになりました感染研の先生方におつくりいただいた帯状疱疹ファクトシートをおつけしております。こちら、極めて大部の資料でして、重要な知見も入れていただいたところでございますが、少し専門的な内容になってございますので、経緯等も踏まえまして、資料2の事務局の資料で御説明させていただければと思います。
おめくりいただいて4ページ目にお進みいただけますでしょうか。帯状疱疹ワクチンについて、部会での御議論はかなり時間が開いていると思いますので、一度全体像を御紹介したいと思います。
帯状疱疹ワクチンについてですけれども、現在、我が国におきましては、帯状疱疹の予防を目的として2種類の異なるワクチンが薬事承認されてございます。表に示しているとおり、組換えワクチンと生ワクチンということで薬事承認されているワクチンがございまして、それぞれ薬事上の接種対象者や接種の方法が少し異なっているという状況でございます。具体的な科学的知見については後半で御説明させていただきます。
おめくりいただいて、帯状疱疹の一般的な疾病の情報についてでございます。こちらについては、いわゆる再帰感染によって発症する皮疹や疼痛を特徴とした疾病であるということでございます。帯状疱疹後神経痛の合併症を起こすということもございますし、また、加齢がリスクであるといったような情報もございます。2つのブロックに分けて詳細記載しておりますが、下側にございますように、帯状疱疹後神経痛というものが発症するということが知られておりまして、1ポツにございますとおり、皮疹の消失後3か月以上にわたって疼痛が持続する場合を指すということでございます。
その次のポツにございますけれども、一定の割合でPHN、神経痛というものが報告されるということで、加齢が重要なリスク因子であるとされてございます。
3ポツ目にありますとおり、特異的な治療法はなくて、対症的に薬物療法などが行われる等々とされているということでございます。
また、6ページ目にこれまでの経緯をおまとめしております。帯状疱疹ワクチンにつきましては、ワクチン評価に関する小委員会において議論を重ねてきているところでございますが、直近、今年の6月の小委員会におきまして、ファクトシートに基づいて議論を行った結果、本部会でさらに議論を進めることになったということでございます。
これまでの経緯、下に書いてございますが、一番下の6月のところでこういったまとめをいただいたということでございます。
さらにめくっていただいて7ページ目に、ワクチン評価小委での御議論を簡単におまとめしております。本日、鈴木委員がお休みでございますけれども、鈴木委員に委員長にお務めいただいている小委員会でこういった御議論をいただいたということでございますが、上側に結論を記載させていただいておりまして、帯状疱疹の疾病負荷、ワクチンの知見、そして費用対効果評価の結果を踏まえまして、帯状疱疹ワクチンを定期接種に用いるワクチンとする方向性で小委員会での議論を整理し、本部会で検討を進めるということとされました。
帯状疱疹ワクチンに関する科学的知見等の観点から、以下の方向性が妥当ということで、技術的な観点で御議論いただきましたが、接種の主な目的としては、帯状疱疹やその合併症による重症化予防とすることが妥当ではないか。あるいは、その次のポツですが、帯状疱疹への罹患やPHNの発症等の疾病負荷が70歳頃に増加してくるといったようなデータ、そしてワクチンの有効性の持続期間を考慮しまして、接種の対象年齢については、70歳頃に十分なワクチン効果が発揮できるようにタイミングを設定すべきではないか。
また、費用対効果の結果から、50歳から80歳までのいずれの年齢で接種する場合においても、生、あるいは組換えの少なくともいずれかの一方は費用対効果良好とされたことを踏まえて、両方のワクチンを使うことができることとしてはどうかといった御意見がございました。
また、その他の御意見として、主な目的としては重症化予防が重要であるということは同意をいただいたところですが、発症予防効果も確認されているといったところから、医学的には発症予防も重要であるといったこととか、対象者についてもいろいろと御議論いただきまして、70歳ではやや遅いのではないか、あるいは50歳まで下げてしまうと早過ぎるのではないかといったような御議論もいただいたということで、一つの御意見として、65歳で接種を行うことは考えられるのではないかといった御意見もいただきました。
また、異なる2種類のワクチンを使うということになりますので、誤接種が起きないよう医療従事者等に情報提供するとともに、被接種者、国民の方々に適切に判断できるような情報提供も重要ではないかといった御意見をいただいたところでございます。
こういったものの背景となりました科学的知見を次のページ以降でまとめております。まず、9ページ目でありますが、疾病の疫学の情報でございます。帯状疱疹の罹患者数は、50歳代から増加して、70歳代がピークとなっているということでございます。また、合併症であるPHNの発症率も年齢とともに増加する傾向になりまして、特に70歳代以降で増加するということでございます。
下の表には小豆島のSHEZスタディというものを記載しておりますけれども、赤枠で囲ったとおり、帯状疱疹、あるいはPHNいずれも、70歳超えてくると罹患率が上がってくるといったようなデータがあるというところでございます。
また、10ページ目以降はワクチンの知見になりまして、まず、生ワクチンの安全性に関する知見でございますが、こちら、国内の臨床試験において確認されているところでありまして、薬事承認の際に審査された内容ですけれども、大きな安全性上の問題はないということでございましたが、生ワクチンというモダリティでございますので、免疫不全の方には接種ができないということでございます。
また、めくっていただいて、11ページ目に組換えワクチンの安全性に関する知見でございます。こちらも、薬事の観点で国内臨床試験で確認されたというところで、局所の有害事象等々の割合も出てございますけれども、結果として安全性に大きな問題はないという判断が薬事上されたということでございます。
続いて12ページ目にワクチンの有効性に関する知見をおまとめしております。生ワクチン、組換えワクチン、いずれにおいても、帯状疱疹やPHNに対する有効性が疫学的にも評価されているということでございますが、有効性の持続期間に関しましては、特に生ワクチンでは10年程度で減衰してくるといったようなデータが多く見られているということでございます。それぞれの詳細というか概要を下にまとめておりますが、13ページ目以降に、参考でございますが、具体的な数値も整理させていただいております。
それぞれの知見を表のところで、上側が生ワクチン、下側が組換えワクチンということでお出ししておりますけれども、生ワクチンについては、経時的には効果が下がってくるといった知見があるというところと、組換えワクチンにつきましては、今、企業の臨床試験で10年程度のデータが出ておりますが、その点のVEも数字としては今報告されているということでございます。
14ページ目以降はちょっと詳細になりますので割愛いたしますが、14ページ目と15ページ目が生ワクチンの有効性に関する知見でございまして、16ページ目は組換えワクチンに関する知見で、10年間の効果を見たものとなってございます。
めくっていただいて、17ページ目が費用対効果の結果でございます。こちらは本日も御参加いただいている池田委員の研究班で検討していただいたものでございますけれども、5歳刻みの各年齢での費用対効果の結果ということで、いずれの年代においても、生ワクチン、組換えワクチン、少なくともいずれか一方が費用対効果は良好だったという結果でございます。
この表の見方といたしましては、接種をしなかった場合と各ワクチンを打った場合の費用対効果の評価をしてございまして、費用対効果の良好かどうかという基準となる値としては、500万円を超えるかどうか、あるいは600万円を超えるかどうかというところが一つの区切りとなってございまして、便宜上、今、500万円を超えているところをオレンジに塗っていますけれども、各年代見ますと、おおむね500万円程度は下回っているといったような結果が見て取れると思っております。
細かい設定につきましては、下に注釈を書いてございますので、御参照いただければと思っております。
18ページ目でございますが、こちらは科学的知見というよりはワクチンの供給に関してでございます。この2つのワクチンの各製造販売業者である阪大微研とGSKのそれぞれについて事務局からヒアリングをさせていただいたところによりますと、早ければ来年の4月からの定期接種に向けた供給の意向というものは示しているということでございます。各社の意向については下に書いてあるとおりでございます。
めくっていただいて論点をお諮りしたいと思います。まず、19ページ目に論点1、帯状疱疹の制度上の位置づけについてということでございます。今般、帯状疱疹というのは新しい疾病になりますので、まず制度上の位置づけについてお諮りをしたいと思っております。
1ポツ目ですけれども、帯状疱疹はヒト-ヒト感染を起こしにくいということとか、あるいは重症化によって死亡に至るということは比較的まれであること、また、有効な治療薬が存在することなど、これまで予防接種法に位置づけてきた疾病とは特徴が異なることを踏まえて、帯状疱疹に対する予防接種の公衆衛生上の意義についてどのように考えるかという点で御意見をいただければと思います。
また、以上の状況を踏まえて、帯状疱疹の制度上の位置づけについてどう考えるかということで御意見を賜りたいと思っております。
めくっていただいて20ページ目でありますが、論点2で、接種プログラムに係る各論点についてということで記載しております。論点1及び小委員会での技術的な観点での議論を踏まえて、以下の論点についてどのように考えるかということでございます。
こちら、小委員会にもお出しした論点ではありますが、マル1、接種の目的として、接種の主な目的は、帯状疱疹やその合併症による重症化予防と考えてよいかということでございます。
また、マル2、対象年齢でございますが、こちらも小委員会でお出ししたものと基本的に同じでございますけれども、帯状疱疹への罹患やPHNの発症等の疾病負荷が70歳頃に増加すること、ワクチンの有効性の逓減、被接種者及び実施主体である市町村の利便性等を考慮して、対象年齢については、70歳頃に十分なワクチン効果が発揮できるよう、65歳を対象年齢とすることについて、どのように考えるかということでございます。
マル3、用いるワクチンでございますが、費用対効果評価の結果から、いずれの年齢に接種する場合においても、生ワクチン及び組換えワクチンの少なくともいずれか一方は費用対効果が良好とされたことを踏まえ、用いるワクチンについて、どのように考えるかということでございます。
また、できる限り少ない費用で望ましい効果が得られるようにする観点からどのように考えるかということで、各論点につきまして幅広い御意見をいただければと思っております。
事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
こちらも、議論に入る前に、鈴木基先生から事前の御意見をいただいていますので、それを御紹介いただいてからまた議論を進めたいと思います。それでは、御意見の紹介をお願いいたします。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。
鈴木委員から御意見をいただいておりますので、読み上げをさせていただきます。
まず、論点1のほうを読ませていただきます。
論点1に関しまして、帯状疱疹ワクチンの意義は、高齢者が罹患する帯状疱疹及びそれに伴う神経痛を予防することで、QOLを改善し、医療機関の受診を減らすことにあります。この2つは世界で最も高齢化が進む我が国において重要な公衆衛生政策上のアウトカムであり、公的な枠組みで予防接種を行うことの意義はあると考えます。
ということでございました。論点2は後ほど御紹介させていただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、ただいま資料2の御説明がありました帯状疱疹ワクチンの定期接種化へ向けての議論というところであります。
まずは論点1ですね。公衆衛生上の意義ということで、この帯状疱疹ワクチンを公衆衛生上の意義としてどのように考えるかということで、今、鈴木先生からの意見を御紹介していただきましたけれども、資料の説明にもあったとおりというところで、高齢者が罹患する帯状疱疹と、それからその神経痛を予防するということですね。それによってQOLを改善し、医療の受診を減らすということが考えられるということですね。
皆さんから手挙がっていますので、御意見を伺っていきたいと思います。まず、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。どうも御説明ありがとうございました。
先ほど鈴木基先生からもありましたように、公衆衛生的な意義はあるだろうという形で、この帯状疱疹ワクチンを定期化することには賛成でございます。現実に、現在、市町村のほうは独自補助を始めているところがかなりの数、600近くあると伺っておりますので、それだけニーズが多いワクチンであろうということは十分理解できると思います。
ところが、このワクチンの一つの課題は、生ワクチンと不活化の価格差が余りにも大きいということでございます。現在のいろいろな市町村独自の補助を見ていますと、両方のワクチンに負担差をつけていないとか、いろいろな価格補助を設けてやっていると思います。
しかしながら、傾向を見ると、財政的に豊かな自治体はかなり低価格でやっているという現状があり、これが定期化されたときに、その価格差というものがもろ自治体の財政能力に反映すると思います。つまり、これは同じ日本国民であっても、非常に差別に、差別という言葉はちょっと適切ではないかと思いますが、住んでいるところによって大きく財政負担が異なってくるということは、私は予防接種の本質からちょっと外れるのではないかと考えております。
しかしながら、これがB類とされたときには、御存じのように、国からの地方交付税の補助ですね。これは厚生労働省でなくて総務省ですけれども、非課税世帯等の方が無料になるための3割補助という形で、全体から見ると微々たるという言い方は失礼かもしれないですけれども、非常に少額の補助しか現実には出ていないということを考えると、これは市町村にとっては、費用的な負担は非常に大きいということをひとつ御配慮いただき、厚生労働省からも総務省のほうにワクチンの単価の計算をかなり上乗せしてほしい。市町村のいわゆる財政を助けてほしいということは厚生労働省のほうからもしっかりお願いしていただきたいと思います。
それから、資料を見ると、接種対象を65歳とすると書いてありますが、そうすると、基本的には65歳以上の人はいわゆる定期接種の対象にならないのかという疑問が出てくると思います。この辺は、かつての肺炎球菌ワクチンが一定の経過期間を設けて、全てといったら変ですけれども、希望者の対象にやってしまって、その後、65歳をピンポイントに始めたという経緯がありますので、ここら辺の配慮というものもぜひしていただきたいと思います。
それから、これは明らかに、データを見ると、両方のワクチンは有効性にかなり差があるといっても仕方ないと思いますが、今後、市町村としてはいろいろな自己負担を求めながらやっていくときに、この効果というものをどのように市民の方に説明していくか、そしてどのように費用負担をお願いしていくかというのはかなり大きな課題になると思いますので、その辺の国のお考えもひとつお伺いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。続いて、清元委員、お願いします。
○清元委員 ありがとうございます。
非常に論点を明確にしていただいたので、まず、論点1の制度上の位置づけにつきましては、帯状疱疹は、御指摘のように、重症化によって死亡に至ることは比較的まれな疾患で、子供にかかったときの免疫がもうなくなってくる年齢が何歳になるかというのは非常に難しい。議論もあるかも分かりませんが、65歳という年齢については、労働者が高齢者となって、年金生活に入る前に打つという一つの節目という点で非常に重要かと思っております。
1つ違和感があるのは、これまで内科医として仕事をしているときに、帯状疱疹になった人たちがかなり、50歳ぐらいになってからリスクが高くなりますから、打つのだったらどうぞと言っていたところとのバランス感覚が少し、55歳や60歳の人はどうなのだというところで、制度上、助成をするのは65歳と決めていただければ、それ以外の人も、55歳とか50歳の人はある程度働いていて、例えば、いわゆる企業からの支援があるとかいう形でやってもらえたらうれしいのかなと。
あと、価格差については非常に大きなことで、今、姫路市は帯状疱疹ワクチンの助成を行っておりますが、1人4,000円の助成をしている形ですが、これが高いほうも安いほうも定額の助成にしています。例えば30%の助成とするのか、そういったことをしたときに、どちらかといえば、国産のワクチンの場合は助成するけれども、高いほうは、例えば免疫不全がある人の場合には半額助成できますが、そうでない人は、生ワクチンでどうでしょうかというような考え方もあるのではないかなと思います。有効性のことを考えると高いほうのワクチンを打ちたがる人が多分多いと思いますが、持続可能性の観点から考えると、どうしても、姫路市の財政だとちょっと厳しいかなあと。
ただ、本件に関しましては、例えば三叉神経領域とか眼神経領域の帯状疱疹は失明になる可能性であったり、帯状疱疹後疼痛にかかる医療費、特に、いわゆる薬のお金がものすごい高いということと、それから、多くの帯状疱疹の初発が、疱疹が出るまでの間は、なんか訳の分からない筋肉痛とか、疱疹が出ても帯状疱疹ではなく、乳がん検診から皮膚科とか内科に紹介されてくるようなこともたまにありますので、やはり初期対応が遅くなればなるほど帯状疱疹後疼痛が多いことも考えると、公衆衛生的な意義は非常に高いと思いますので、ぜひ論点1に関してはもうB類としてどんどん推奨していただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。次に笹本委員、お願いします。
○笹本委員 笹本でございます。御指名ありがとうございます。
参考資料2にもありましたけれども、帯状疱疹は三叉神経第1枝に発症が多くあります。その際、見た目に、皮疹だけではなくて、眼瞼や眼球に炎症が波及し、結膜炎、角膜炎の記載がありましたけれども、ぶどう膜炎や緑内障を発症することが多くあります。時に重篤な眼の障害を起こすことがありますので、重症化予防は大切と考えます。また、年齢に関しましては、65歳ということでございましたけれども、それ以上の年齢の方の人口が多いので、経過措置も考慮してもいいのではないかと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。次に白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
このワクチンの公衆衛生上の意義としては、今、全国的に統一した供給の提供体制になっていないということ、全ての国民に同一に提供された接種機会を与えられていないという面では公衆衛生上の意義というのも、定期接種にするということである程度そろうとは思っています。
ただ、重症化予防ということの程度を考えますと、もしA類、B類とかに当てはめるとするとB類かなと思いますし、場合によっては、B類ということよりも、もう一つ違うC類みたいな形で、意味がちょっと今までのワクチンとは違うのではないか。感染症対策かというとそういう意味ではないと思いますので、インフルエンザとかコロナワクチンでも重症化予防とは言いますけれども、やはり感染対策の意味もありますので、帯状疱疹ワクチンについては、感染対策という意味での公衆衛生上の意義は低いような印象を持っています。
また、生ワクチンと組換え型のワクチンですけれども、参考資料を拝見しますと、生ワクチンのほうは発症予防効果ということも評価できるとありますので、できたら、その年齢が、65歳以上がいいのか70歳以上がいいのかというのは、場合によってはその自治体の費用がどこまでというか、支援できるかということもあるかもしれませんけれども、生産年齢の人たちの発症予防を考えてもいいと思います。年金生活以前の人たちについては自己負担があってもいいのではないかという話もありましたけれども、何のためのワクチンであるかということはお示しいただくということが必要と思いました。
本当にこの重症化予防が必要な方というのは医療的にリスクが高い方だと思うのですけれども、その場合には、治療の範囲で、診療報酬を使っての提供もできるような、これは年齢に限らず小さい、若い方も対象に、そういう扱いも必要なのではないかなと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。次に、宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
論点1の公的関与のある接種プログラムに位置づけるべきかどうかということについてですが、やはり発症した後の神経疼痛という観点でも疾病負荷が大きいですし、先ほどもありましたが、顔面に出てきた場合には視力障害、あるいは顔面神経麻痺や聴力障害という重篤な合併症を来しますので、そこは重要ですし、免疫不全状態にある患者さんにおいての発症率はかなり高く、これが病院の中で起こったときには、病院の中での感染予防という観点にも寄与してきますので、非常に重要なワクチンではないかと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。次に伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
白井委員の意見に比較的近いのですが、定期接種のBというのは基本的に個人の疾病予防だと思います。多くのワクチンは生命の危険を回避するために接種を推奨してきた。しかしながら、帯状疱疹は帯状疱疹後神経痛の予防で、生命予後の改善ではないので、論点2のところに様々あるように、解決しなければいけない問題が随分あるのではないか。緊急性がないので、慎重に検討する必要があるのではないかという気がします。
ワクチンは接種から時間がたてば効果が落ちることが予想されるのですけれども、一生に1回の接種を原則として考えるのだとすれば、好発年齢に合わせて接種するのがよいのではないかと思いますし、もう一つは、全ての高齢者に短期間にキャッチアップするという議論は必ず出るだろうと思いますが、財政的な裏付けや体制整備なども十分に考えた上でゴーサインを出さないといけないのではないかと思います。
2つのワクチンについて、価格差、接種回数、それから局所の疼痛。局所の疼痛に関しては、打たれた方が、不活化ワクチンは相当痛いということをおっしゃっておられるので、ワクチン効果とか、生ワクチンが不活化なのか、もしかして、生ワクチンに関しては一定の年数、例えば5年とか10年に1回接種するとかいう話も含めて検討しなければいけないかもしれないので、そういった点について考えながら定期接種化を進めるべきではないかと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。次に、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。ありがとうございます。
帯状疱疹ワクチンの歴史を振り返りますと、今日も御紹介があったように、まず生ワクチンが、日本で開発された株が、Oka株が世界でゾスタバックスとして使われて、そのとき有効率が50%前後という研究が多かったかと思います。そして、その後出てきた不活化ワクチンは有効率もっと高い。でも、先ほど伊藤委員が御指摘されたように、痛みとか、重篤ではないにしても、アジュバントを含んだ組換え蛋白ワクチンということで、それなりに副反応の症状としてはある、そういうワクチン。一方で、生ワクチンは、免疫不全宿主の方にはやはり禁忌ですので、使用するのであればいろんな啓発も非常に大切である。そういう位置づけのワクチンであると思っています。
このような長年のワクチンの歴史があって、諸外国で定期接種化されたこともあって、疾病負担のいろんなデータとか積み重ねられてきていますし、なおかつ、ワクチンの有効性とか安全性のデータ、それと池田委員にも御試算いただいた費用対効果、それらを含めて総合いたしますと、定期接種化ということに関しましては、高齢化人口が増えているという世界的な動向もあるとは思いますが、位置づけることに私は異議はございません。
ただ、一言ちょっと申し上げておきたいことは、恐らく日本の場合、治療は諸外国に比べて非常に満たされているのですね。とてもいいことだと思いますけれども、非常に手厚い。その中で予防の手段ということを考えると、例えば高齢者のRSウイルスワクチンもあれば、さらには海外渡航者への腸チフスワクチンとか、ダニ媒介脳炎のワクチンなんかも最近承認された。予防の手段がこれだけ出そろってきた中で、これまでの定期B類とは、多くの委員の方々が御指摘になったように、ちょっと違うニュアンスがあると思うのですね。
論点2はこれからなのでしょうけれども、一言で重症化予防というお話になりますと、帯状疱疹ウイルスの疾病負担ということで考えると、65歳より若い年齢で帯状疱疹発症しやすい方、例えば水痘の罹患歴の年齢とかいろんなことで、そういう方もいらっしゃいますし、あとは、基礎疾患を持つ方の免疫不全宿主なんかではやはり水痘帯状疱疹ウイルスの疾病負担は非常に大きいですね。これは初感染であっても、再活性化であっても、このウイルスの脅威というのは免疫不全宿主には大きいと思います。ですから、なかなか一言で重症化というのは難しい点もありますので、論点2のことにこれから入ってくるのでしょうけれども、多くの委員が御指摘になられたように、定期接種化という観点からは異論はないのですけれども、いろいろちょっと検討事項はあるなと思っています。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。一応手を挙げていただいた先生方にはお話をいただいたというところですけれども、私のほうからも意見を言います。論点1のところで、論点2にかぶるところも様々御意見いただいたと思いますが、公衆衛生上の意義というところで、日本がこれから高齢化がさらに進んでいくということで、高齢者が増えれば当然帯状疱疹の罹患者というのも増えていくことが考えられる。それと、小児の水痘ワクチンの接種も進んで水痘の患者が減ってくるというところも、いわゆるブースター効果ですね。小児から大人、成人へのブースター効果も減ってくるということが、この帯状疱疹の発症が増えるということも示唆されているようなデータも出てきているというところですので、そういった、今後さらに帯状疱疹の負荷が増えていくというところに対しての定期接種化というところは公衆衛生上の意義があるというところになろうかなと考えます。ですから、医療への負担を減らすというところも考えれば、公衆衛生上の意義はさらにあるだろうと思います。
というところで、論点2のほうに関してはまた後ほどと思いますが、それでは、いろいろ意見ありましたが、論点1に限って、事務局のほうから何かレスポンスといいますか、何かコメントがあればお願いしたいと思いますが。
○和泉予防接種課課長補佐 脇田座長、委員の先生方、ありがとうございました。
伊藤澄信先生からも御指摘いただいたように、少し特徴も異なることから丁寧に議論するということで、今回様々な御意見をいただいたかと思っておりますので、ぜひそれを整理しまして引き続き御議論に供せるようにしたいと感じておりますので、個別の御意見について事務局からコメントは、現状するものはないかなと思っているところであります。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。いろいろと御意見があったので、最後に、論点2が終わった後にでもまたレスポンスいただければと思いますが、今の最初のところは本当に様々御意見ありました。おおむね賛成はするものの、さらに議論を尽くすべきではないかというところがありました。ちょっとメモは取ったのですけれども、なかなかまとめにくいというところですが。
坂元先生、何かあれば。
○坂元委員 1点だけお教えいただきたいのですが、この2種類のワクチンの海外での国の予防接種プログラムとしての採用状況というのが、もしお分かりになればと思います。聞くところによると、生ワクは採用されている国が少ないという話を聞いているのですが、その辺のことも、ぜひ分かる範囲でお教えいただければと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。まさに次の論点2に関わってくるところですので、また委員の先生方からまとめて御意見いただいて、その後、もし事務局から回答いただけるものは回答していただくという形にしたいと思います。それでは、論点1は、公衆衛生上の意義についての御意見というところでありました。発症後、帯状疱疹の疾病負荷を減らしていく。特に合併症を予防していくためには重要ではないかいうところがありました。ただ、定期接種のBというところにはそぐわないというような御意見もあったというところですね。
論点2にまいりたいと思います。接種プログラムに係る論点というところで、接種の目的、そして対象年齢、そして、もう既に様々御意見ありましたけれども、用いるワクチンというところ、年齢とワクチンのところは既に御意見も少しいただいているところですけれども、この目的、年齢、ワクチンといったところの御意見をいただいていきたいと思いますが、こちらも、初めに鈴木基先生からの御意見について御紹介していただければと思います。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。ありがとうございます。
では、論点2に関しまして、鈴木先生からの御意見、代読させていただきます。
論点2ですが、接種の主な目的が帯状疱疹及びその合併症の予防にあるということに異論はありません。接種年齢については、組換えワクチンの効果が10年以上持続することが期待されることから、諸外国同様に50歳から接種の対象とすることも考えられます。しかし、高齢者における疾病負荷を減らすということをアウトカムとして設定するのであれば、他の高齢者を対象とするワクチンと合わせて65歳からとするのが、予防接種プログラムとしては合理的だろうと思います。一方で、免疫不全者には若い世代であっても接種が望ましく、組換えワクチンについては薬事上の適応である18歳以上の免疫不全者を対象とすることはできないでしょうか。2種類のワクチンの使い分けについては、65歳以上については医師と相談して選択、18歳以上の免疫不全者には組換えワクチンを使うのではどうでしょうか。
ということでございます。以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。こちらも小委員会の議論を踏まえてということだろうとは思いますが、鈴木基先生の御意見、御紹介していただきました。
それでは、また委員の先生方から御意見を伺っていきたいと思います。清元委員、どうぞ。
○清元委員 御発言の機会をいただきましてありがとうございます。
姫路市長という立場と、医師、内科医としての立場と2つありますので、医師の立場から言うと、私は本当に、使える選択肢があるほうについては大変うれしいと思います。先ほどの御意見のように、免疫不全の方には組換えワクチンが第一義的に使わざるを得ないと思いますので、もしこれが定期接種プログラムに乗ってくるということであれば、それを使えるという選択肢があるということは、医師側のほうとしてもメリットが高い、患者さんにとってもメリットがあると思います。
一方では、地方自治体の接種プログラムを運用する側でいけば、やはり経費の点というものは非常に大きく、持続可能性のある、これからの少子高齢化社会の中において、医療費、それからこういったワクチンに対する費用の大きさを考えると、やはり費用対効果とかも踏まえて議論するべきかと思います。
今回のコロナのこともそうですけれども、今、1ドル160円に日銀が介入して維持していますが、実質、経済上のことから考えると、1ドル200円ぐらいまでいってしまうかもしれない。今、日本の医薬品の8割、そしてこのワクチンに関してはほぼ外国の力を借りなければ、国内のメーカーとしてワクチン業界がもう成り立っていないということを考えると、今後、これが定期接種化していって、外国産のワクチンの値段が例えばどんどん上がっていったりすると、我が国の安全保障上の観点からすると、もっと国内メーカーをどんどん推奨するべきなのではないかという議論も、本当のこと言って、あると思います。これは本当に生ワクチンだから効果は多少劣るのかも分かりませんが、予防効果についてもう少し、そんなに非劣性であると言えるぐらいのものであるなら、まずは国内のメーカーのものにプライオリティを置くということ。そうでなければ、本当にこれから財政的な持続可能性のある健康維持を我々が担うということも非常に難しいのではないか。これはもちろん厚生労働省が管轄する部分とは違うかも分かりませんが、費用対効果ということについても、論点2についてはやはり考慮するべきかなあと思っております。
仮に姫路市が中長期的に国とか県とかの財政助成がない場合、我々も、少子化対策とか、いろんな部分で財源をいつも探しているわけですけれども、姫路市で助成できるのは、この国内の生ワクチンしかできないということをあえて言わざるを得ないような状況になってしまうというのが大変心苦しいですが、現状ではそういう自治体がたくさん出てくるのではないか。ですから、むしろ国の議論としても第一推奨と第二推奨、要するに、第一推奨ワクチンが使えない場合に第二のオプションがありますという位置づけも1つ、この接種プログラムにあってもいいのかなと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。次に宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
予防接種の定期接種のプログラムとして導入する上で現実的な案というところでは、鈴木委員がおっしゃっていたような重症化予防を目的とした65歳への単回の接種で、さらに免疫不全者には不活化ワクチンを接種するという案が妥当かと思いました。
その一方で、ここではいろいろな意見を出す場だと理解しておりますので、私の個人的な意見を述べさせていただきます。実際に発症してしまって顔面に出た場合には、やはりそこで重症な状態になりますし、特に免疫不全者ではそのリスクが高いということですので、発症予防と重症化予防の差が比較的少ない疾患なのかなと思っております。
これまで、そういった観点で発症率が50歳から上がってくるということをふまえ、これまで医療者として50歳になったら帯状疱疹ワクチンを打つというような分かりやすいメッセージで推奨してきました。可能なのであれば50歳から接種して、追加接種の必要性については実施する中で再度検討いただけないかと思います。新たな科学的な知見に基づいた、2回接種の必要性、薬事承認などの問題もありますが、そういったものが進んだ中で2回目の接種を後に検討する、10年後検討するというようなあり方もあってもいいのかなと思います。
そして、免疫不全者に対する不活化ワクチンというのは、免疫不全者における帯状疱疹の発症率は高齢者よりもむしろ高い状況ですので、ここはぜひ対象に入れていただきたいと思っております。
以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。次に、磯部委員、お願いします。
○磯部委員 磯部です。
まずは、いろいろあるワクチンの中でどれをどういう順番で定期接種化していくのかということの大きなところが余りよく分からないということは、ちょっと事前に、恥ずかしい質問なので、伺って、いろいろほかの委員会で検討しているのですよということを教えていただいたので、それで理解はしたのですけれども、定期接種化していくためのプロセスが全体としてどう動いているのかというのが、少なくとも今回のこの資料だけでは見えにくかったかなという気がちょっとしたというのが感想です。
ただ、いずれにしても、今回だけで決まるものでないということであれば、今、先生方から伺ったお話を聞きながらまた考えたいと思ったのですけれども、A類、B類、C類というのが出ましたけれども、発病、重症化防止のみならず、併せて蔓延予防に資するため、特に予防接種を行う必要があるかというのが法律上の定義であって、その後段のところを満たしているのかどうかというのが、今お話を伺っている限り、素人的にはちょっとよく分からないということをちょっと感じたものですから、各自治体ごとの、でも、現状、補助あるところとないところというのをそのままにしていいのかという、大きな政策的な妥当性も含めてまたちょっと考えさせていただきたいと思いましたという、すみません、コメントだけです。
○脇田部会長 ありがとうございます。次、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
先ほど清元委員からもお話がありましたが、今後いろんなモダリティのワクチンが出てきて、それが海外から非常に高額なものが出てくる。それが市町村の負担にもろかぶってくるということで、今後、そういう予防接種政策を市町村が継続的に維持できるかというのは、私は非常に大きな問題だと思います。
今回のいわゆる不活化と、それから生ワクチンの導入というのは一つの大きな端緒だと思います。コロナワクチンは、幸いにも国のほうが全額買い上げという形でやっていただいて、この24年度は国がかなり高額な補助をつけるという形で、市町村への負担は落としていただいておりますが、これは後の議題になると思いますが、2025年度からは一体幾らになるのだという形で、予防接種の市町村の負担ということを体系的に考えていかなければいけない時期に来ていると思います。本当に少ない交付税でやっていけるのかというところですね。諸外国はほとんど社会保障もしくは医療保険で賄っていると聞いておりますので、その辺の中長期的な見直しも今回を契機にやっていく必要があると思います。
それから、今回はとにかく価格が違うという観点は市町村にとっても初めての経験ということで、実施までにおいて、いろいろな事情のある市町村に十分国としては意見を聞いた上で制度設計をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。次に池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
今回の費用対効果の推計を研究班として担当させていただきました。先ほど資料のほうにございましたように、17枚目でございますが、70歳以降がその疾病負荷として大きいので、それを予防できるという観点から、60歳ないし65歳の者に接種するのが、同じお金をかけて、同じワクチン代をかけて、それで得られる効果、健康改善が大きいという点で、より若い年齢に打つよりも、60歳、65歳という60代に打つことのほうが費用対効果の観点からもよいという結果でございまして、これは直感的にも当てはまる、それともそごがない結果だったかとは思います。
また、今回ちょっと大部になりますのでファクトシートのほうの御紹介ありませんでしたが、ファクトシートのほうには、仮に60歳以上全員とか65歳以上全員といった集団全体に接種した場合の費用対効果も検討してございます。恐らく、今回導入されるとなりますと、それ以上の年齢の方に対しての配慮というのも検討されるかと思いますが、そういった点での費用対効果の推計結果からは、60歳以上とするよりも、65歳以上とするほうが費用対効果はよいという結果が示されているところでございます。
そこで、今後の議論にもよるところでございますが、論点2にございますような対象年齢というのは、原則65歳、あるいはそれ以上というところを対象年齢とすることが、一定の費用でより多くの健康改善が得られる、より多くの方々が救われるという点では望ましいと考えております。
ちょっとその辺りを追加で発言させていただきました。以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
先ほども申し上げたところと重なるのですけれども、論点1のときに、50歳ぐらいの生産年齢についても発症はするということも考えると、多分、費用対効果の中での働いている人の損失ということについては計算していただいているかどうかちょっと分からないのですが、QOLとしては、結構この生産年齢の人の影響というのは大きいのではないかと思いましたので、そういう観点でも費用対効果ということの発想をしていただくと、定期接種としてどのように扱うかということについても、もちろん希望者になるのではないかなあと思いますけれども、仕組みの中で、60歳以上とか65歳以上というか、もちろん働いている方々たくさんいらっしゃいますけれども、生産年齢ということを考えてのQOLということも情報があったらいいなと思いました。
また、子供さんというか、年齢が低い方々にこのワクチンが必要だといったときの制度というのは、今日の議論では定期接種に入らないので、それをどのように負担するかということになると、そういう議論もしておく必要があるのではないかなあとは思いました。
以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
それでは、一応私のほうからも意見としては、重症化予防ということを目的とするということであれば、ほかのワクチンの接種の年齢等も併せて65歳とするということは、私としては妥当かなと思っています。
先ほど池田先生からも御紹介があったとおり、費用対効果というところで見ても、やはり重症化を防止するというところのほうが費用対効果としてはいい。どうしても、50歳で打つと、生ワクチンの場合は、年数がたちますとその有効性が徐々に減ってくるというようなデータも出ていますので、そこのところを勘案すると、65歳というところが適切かなとは考えます。
それから、生ワクチン、組換えワクチン、2種類があって、それで価格差があったり有効性の差があったり、それから接種の回数、それから副反応というところも差がある。副反応といっても疼痛が強いということがあるのですけれども、現在でも、1回で済む、あるいは2回打たなければいけないというところで選択されているという話も聞きますので、そういった選択肢があったほうがいいのではないかとは考えます。
ただ一方で、委員の先生方からもお話があったとおり、そういった価格に大きく差があるような2種類のワクチンをどのように取り扱っていくのかというところの問題点はあろうかと思います。
というところで、さらに追加の御意見がなければ、今、様々御意見いただきましたが、生ワクチン、不活化ワクチン、この2種類をどのように扱うか。それから、目的ですけれども、感染予防も目的とするのか、それとも重症化予防を目的と考えるのかというところでやはり変わっていきますね。ですから、疾病の、発症予防と考えれば、やはり年齢は50歳から打ったほうがよいのではないかというような御意見もあったというところになりますし、重症化予防ということを念頭に置けば65歳以上というところになる。それの対象が、今回は免疫不全者というところは書かれてはいないのですけれども、免疫不全者がもし発症した場合には非常に重症化するリスクが高いというところで、免疫不全者は年齢にかかわらず対象としたほうがよいのではないかといった御意見もあったと思います。
あとは、自治体のほうの財政負担というところも考慮してほしいというところもありましたし、このB類というよりも、定期接種にそもそもそぐわないのではないかといった御意見もあったところだと思います。
費用対効果としては、池田先生から御紹介があったところ、それからあとは、費用対効果で、生産年齢でのQOLというものが考慮されているのかといった白井先生の御意見がありました。池田先生に、まず白井先生の御質問に対して確認をして、その後、事務局のほうに、先ほどの坂元先生から外国の定期接種のプログラムというのの採用状況はどうなのだというところもありましたので、その辺りも含めてコメントいただいていくということで、まず、池田先生、いかがですか。先ほどの白井先生の御意見ですが。
○池田委員 池田でございます。
答え、結論としては、今回、生産性損失などの社会の立場での分析は実施しておりません。ただ、これは実際上やることは可能でございますので。ただし、例えば男女で平均的な収入や就業率違う場合にそこをどう考慮するかとか、いろいろ倫理的な課題もございますので、この辺りも整理した上で分析は試みたいと思います。どうも御指摘ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、事務局のほうから、もしレスポンスあればお願いしたいと思います。
○和泉予防接種課課長補佐 ありがとうございます。今、まず御質問いただいて、部会長から御指示をいただいた諸外国の状況ですけれども、参考2のファクトシートのほうに感染研の先生にまとめていただいたのですが、65ページに諸外国における接種プログラムの状況を書いてございます。表18ですね。一番左のカラムに各国の名前がありまして、その隣に承認ワクチンという形で書いてあるかと思います。不活化、弱毒生ワクチンそれぞれの承認状況というところが記載あるかなと思っております。
留意が必要なのは、恐らく、我が国におけるワクチン価格と海外におけるワクチン価格、かなり異なっていると思いますので、コストの観点も踏まえると、直ちにどうかというところは、解釈に留意が必要だとは思っているところでございます。
それから、引き続き事務局からのレスポンスをさせていただければと思います。論点2のそれぞれに関しまして御意見をいただきましてありがとうございました。まず、前提として、磯部先生からも御指摘があったように、重ねて議論すべきということを御指示いただいておりますので、冒頭申し上げたように、今回でということではなくて、御意見を取りまとめて今後議論できるようにしたいと思ってございますが、現状の接種の目的に関しまして、前半の論点1のときに重症化予防の観点で様々御知見をいただきまして、笹本先生からは、眼科系の合併症のリスクということも御指摘をいただきましたし、論点1の観点で、公衆衛生上の意義の観点でも重症化予防が必要ではないかということは承りたいと思いました。
ただ、感染対策という意義があるのかどうかといった白井先生の御指摘は、一応制度論から申し上げると、定期接種のB類というのは、先ほど磯部先生に条文読んでいただきましたけれども、重症化予防の積み重ねによって公衆衛生上対策必要だということの疾病を対象としているところでございまして、コロナ、インフル、肺炎球菌ワクチンのPPSVが入ってございますけれども、それらも一義的には重症化予防の積み重ねということが目的となっていると思っておりますので、それらも必ずしも感染対策を目的として定期接種としてやっているというところでは現状ないという認識でございますので、そういったところも踏まえて今後議論を整理させていただければと思ってございます。
また、多くの先生から、免疫不全の方への接種ということで、こちらも御指摘をいただいたところでございます。鈴木先生からの代読も含めていただいたところでございます。こちら、コロナのときから、基礎疾患のある方への接種ということも含めて御議論いただいていたところかと思いますけれども、重要なポイントかと思いつつ、公衆衛生として、ポピュレーションに接種するということと少し異なるやり方でありますので検討が必要かなと思っているところと、あとは、接種対象者を特定どうできるかということも、これまでの議論の経験から1つ課題になっているかと思いますので、それらの解決も必要になってくるだろうと思っているところでございます。
あと、年齢に関しては様々な御意見をいただいたところでして、65なのか、それより下なのかというところは少し整理を今後させていただければと思っております。用いるワクチンに関しまして、いろいろと御指摘をいただきありがとうございました。選択肢の確保の観点なのか、あるいは異なるワクチンの情報提供のあり方なのかというところも御指摘いただきましたので、どのようにプログラムに位置づけるかというところは今後整理をさせていただければと思いますが、いずれにしても、情報提供は重要だと思っていますので、今後検討はさせていただく必要があるかなと思っております。
それから、ワクチンを選択する観点で、清元先生から御指摘をいただいた産業の振興という観点、これはワクチンの施策の中でも重要と思っておりまして、伊藤澄信先生に部会長を務めていただいている流通部会のほうでも御議論いただいているところかと思います。
ただ、今回の御議論につきましては、あくまで公衆衛生上の対策として予防接種をするということが一義的な目的とはなると思いますので、そういった観点で今後整理させていただくのかなというイメージを事務局としては持っているところでございます。
それから、コストの観点で、坂元先生であったり清元先生であったり白井先生であったりに御指摘をいただいたと思っておりますが、自治体でどのように助成しているかというのはなかなか国で一律にコメントすることが難しいところではありますけれども、御指摘のように、負担というか、コストがかかるという観点も踏まえて議論が必要なのかなとは感じているところでございます。
全体的にコメントできたか、やや自信がないですが、ほか何か必要があれば、ぜひ部会長、御指摘いただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。取りあえずここまでということにさせていただいて、様々な御意見いただいているところでありますし、それから、今日は結論を出すというよりも、いろいろ意見を委員の先生方からいただいて、事務局に取りまとめていただいて議論を進めるというところでありますので、今日、委員の皆様からいただいた意見を踏まえてさらに論点整理をしていただければと思います。次回の部会でまたさらに議論できるように準備をお願いしたいと思います。
委員の先生方、何か追加で御発言ございますか。
伊藤澄信先生。
○伊藤委員 ありがとうございます。免疫不全の方に関しての予防接種の話ではあるのですけれども、具体的に多発性骨髄腫の治療に関しては、ゾビラックスなどの予防投与が既に医療保険でされているのですが、特殊な、そういう免疫不全で治療上必要な人に関しては、予防接種の枠組みではなくて、医療保険の枠組みで接種するとか、逃げ道をつくる方法を考えていただけないかなと思います。この部会で議論できるかどうかよく分かりませんけれども。必要な人がいることは確かで、そういう人たちに対する治療とか予防の枠組みは、定期接種の枠組みと別にしたほうがいいのではないかと思いましたので発言させていただきました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。これも貴重な御意見だと思いますので、この分科会で議論ということかどうかちょっと分かりませんが、事務局にはノートしていただいてということにしたいと思います。ありがとうございました。
すみません。時間がちょっと押していますが、事務局に御相談ですけれども、議題4、先にいってもいいですか。
○和泉予防接種課課長補佐 結構でございます。議題4でお願いします。
○脇田部会長 すみません。では、先に議題4に進ませていただきます。議題3、4は報告ですので、もし意見があれば後ほどいただくということにさせていただきます。特に3番についてはメール等でも御意見いただければと思いますので、先に新型コロナワクチンのほうに進ませていただきます。
では、新型コロナワクチンについての報告を事務局から、資料4の御説明をお願いします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 お願いいたします。事務局でございます。
それでは、資料4、新型コロナワクチンについて、報告事項をお伝えさせていただきます。
4ページをおめくりいただきまして、まず報告事項1点目につきましては、オミクロンXBB.1.5対応1価ワクチンの有効性についてでございます。我が国の令和5年度秋開始接種で使用したオミクロンXBB.1.5対応1価ワクチンについて、国内外の複数の報告において入院予防効果や重症化予防効果等が示されているところでございます。今回、新たな知見も含めまして、この資料において報告させていただきます。詳細については後ろのページにございますので、後ほど概説いたします。
また、下のところでございますが、上記の報告について、厚生労働省のホームページに掲載し、国民への情報提供を行うとともに、秋からの定期接種に向けた情報提供も行ってまいりたいと考えている次第でございます。
5ページでございます。こちらは国内の知見でありますが、VERSUS Studyと呼ばれている長崎大学を中心とした多施設共同研究でございます。国内における60歳以上の方におけるXBB対応1価ワクチン接種の入院予防効果は、XBB対応1価ワクチンを接種していない方と比較して44.7%だったといった知見がございます。
また、6ページ、こちらは2月の予防接種ワクチン分科会でお示しした知見の再掲でございます。オランダからの報告でありまして、60歳以上の方において、XBB対応1価ワクチンの入院予防効果が70.7%、ICU入室予防効果が73.3%であったという知見でございます。
また、7ページは米国の多施設の共同研究でございまして、18歳以上におけるXBB対応型の1価ワクチンについて、未接種者と比較した新型コロナの入院と救急受診に対する予防効果は、それぞれ62%、58%であったといった報告でございます。
また、8ページにつきましては、こちらも米国のCDCを中心とした研究の枠組みでございますけれども、複数のアウトカムが評価されておりますけれども、一例としましては、65歳以上におけるXBB対応1価ワクチンの未接種者と比較した入院予防効果は、接種後7~59日後では54%、接種後60~119日後では50%であったという報告でございます。
また、救急外来受診の予防効果は、65歳以上において、接種7~59日後は49%、接種60~119日後は37%であったという言及でございます。
9ページでございますが、こういった研究の結果につきましては厚生労働省のホームページにおいて追記しようと考えておりまして、こちらが追記のイメージでございます。具体的なデータも含めて知見をお示ししたいと考えております。
10ページ以降は、令和6年度の定期接種で使用するワクチンについての報告でございます。
11ページでございますが、2月の予防接種・ワクチン分科会において、定期接種で用いるワクチンについては、研究開発及び生産・流通部会において具体的な検討を行うこととされておりました。
12ページでございますが、令和6年5月29日に生産・流通部会の下部に設けました小委員会におきまして、具体的なワクチン株を選定したところでございます。
13ページがその結論でございますが、決定事項のところでございます。2024/25年、シーズンの定期接種において使用するワクチンの抗原構成については、WHOの推奨と同様に「JN.1系統及びその下位系統へのより高い中和抗体を誘導する抗原を含むこととし、その一例としては1価のJN.1系統が考えられる。」と決定したところでございます。
以上、御報告でございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。新型コロナですね。今、感染状況、定点報告数、あるいは各定点からの入院の報告が少し増加しているという報告があるところですけれども、こちら、秋の定期接種に向けての御報告というところで、現在の流行株がJN.1とその下位系統ということですので、小委員会の決定で、JN.1系統の1価のワクチンとするというところでありました。
それでは、こちらについて何か先生方から御意見、御質問等ございますでしょうか。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 説明ありがとうございました。厚生労働省からの説明のとおりでよろしいかと思います。
ただ、毎回企業のお話をして誠に心苦しいのですが、この令和6年度のコロナワクチンの接種に関しては、国のほうの努力により、ワクチン当たり8,000円以上という補助をいただいて、市町村としてもインフルエンザのワクチンとさほど差なく接種ができるという非常にありがたい状況なのですが、市町村が懸念しているのは次の年度ですね。令和7年度からこの補助がどうなるのかということによっては、また財政負担が大きくなるということも含めまして、それぞれ市町村の状況により違うと思いますが、秋口になると市町村もそれぞれ予算を組んでいかなければならないという形で、令和7年度からのコロナワクチン接種についてもできるだけ早く市町村のほうに情報を提供いただければ幸いに思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
特によろしいですか。
それでは、今、御報告いただいたように、令和5年の秋以降に接種を開始したXBBのワクチンの入院及び重症化予防効果というものが国内の研究報告でも確認された。あるいは海外の知見も報告ありましたということであります。その結果、有効性・安全性についてホームページで広く周知をしていただくというようなお話もありました。本部会としても国民の皆様にお知らせというのはお願いをしていきたいと思います。
今、坂元委員からコメントございましたけれども、事務局、それは要望ということで受け止めていただいてよろしいですか。
○和泉予防接種課課長補佐 はい。今後も引き続き自治体の皆さんとコミュニケーションを取りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございます。それで、さらに次の秋冬シーズンの定期接種のワクチンについても小委員会で検討いただいたということも報告いただきましたが、事務局と、それから関係者の皆様におかれましては、今年のシーズンに向けた準備、よろしくお願いしたいと思っております。これは我々部会からのお願いということでございます。
それでは、もし追加の意見がなければ、議題の3のほうに戻らせていただいて、資料3の御説明をお願いしたいと思います。こちら、新型インフルエンザ政府行動計画のガイドラインの改定作業が進みつつあるということで、昨日、感染症部会でも議論したところですけれども、こちらの基本方針部会でも御報告を伺うということであります。
それでは、説明をお願いします。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局でございます。
資料、お戻りいただきまして、資料3を御覧いただければと思います。政府行動計画とその下に位置づけますガイドラインにつきまして、経過を御報告させていただきます。時間も限られておりますので手短に行いたいと思いますが、御容赦ください。
1ページおめくりいただければと思います。政府行動計画ですけれども、この基本方針部会においても、前々回、3月にも経過報告させていただきまして、そうした御意見も踏まえて、去る7月2日に閣議決定しておりますので、こちらにつきましてはセットした内容ということで御報告させていただきたいと思います。
実際の計画自体は、今日は参考資料3-1として御用意させていただいておりますので、お手隙のとき、お時間あるときにお目通しいただければと思います。
2ページは、その行動計画の中でのワクチンの部分を概要としてまとめたものでございますので、こちらも説明は割愛させていただきたいと思います。
続きまして、3ページをお開きいただければと思います。ガイドライン改定の全体像ということで、現在、策定や改定に向けて取り組んでいる途中経過ということで、今後セットされていくものというステータスになってございます。このガイドラインですけれども、行動計画の中身を、具体的な内容や具体例を整理するという位置づけになってございます。
既存のガイドラインも幾つかございますので、これに必要な修正を行うとともに、必要な新しいガイドラインも策定していくということで、3ページ下段にございますように、13項目にわたるガイドラインございますけれども、真ん中辺り、予防接種ワクチンに関するガイドラインは既存のものがございますので、これを改定していきたいということで現在検討しているところでございます。
最後、4ページを御覧いただければと思います。この予防接種ワクチンのガイドラインにつきまして、現在の検討状況を御報告させていただきたいと思います。
1つ目の○にございますとおり、実施主体別の具体的な取組の記載を充実化していきたいということで、具体的には、それ以下の内容を新たに追加なり整備していきたいというものでございます。
準備期におきましては、ワクチンの研究開発関係ですと、SCARDAによる平時からの情報収集・分析や支援を受けたワクチンの研究開発状況も踏まえながら、支援の必要性、方向性、方針を検討するということを明記したいと考えております。
また、市町村等におきましては、平時から訓練等していただきたいと考えておりまして、その訓練すべき事項等を整理したいと考えております。
3点目ですけれども、デジタル化につきましては、この基本方針部会でも3月に御説明させていただきましたが、そうしたデジタル化の取組を進めていくことで、今後の有事のときにも当然使えるようにしていくということで盛り込んでございます。
4点目ですけれども、平時においても、国において情報提供・共有をしっかりやっていくということで、その取組を具体的に書いてございます。
初動期におきましては、今回の新型コロナの取組も参考にしまして、市町村等における大規模接種会場での運営方法や、職域接種も前回行いましたけれども、職域接種を行う場合の方法等についての留意点も明記していきたいと思っております。
また、初動期の2点目のところですけれども、こちらも新型コロナのときにV-SYSというシステムを使いまして、ワクチンの配分希望量をまとめ、国において配分量を決定するといったことでシステムを使って行っていましたが、今後も、有事が起こった際にはそういうことをやっていく必要があると考えておりまして、具体的に記載してございます。
最後、対応期のところですけれども、ワクチンについて、もしくは必要な資材、針、シリンジ等についても、都道府県にも調整役を担っていただくということで、前回の新型コロナのときにもいろいろ御尽力いただきましたけれども、そういったものもしっかりガイドラインに盛り込んでいきたいと考えております。
また、対応期の2点目は、これはデジタル化の先ほどの話と通じるものでして、定期接種のデジタル化をこれから取組進めていきますけれども、臨時接種、有事になった場合には当然それを使っていくということで盛り込んでございます。
また、最後3点目ですけれども、デジタル化が実現すればデータベースを構築できると考えておりますので、そうしたデータベースを使って、有事の際にも有効性・安全性を分析していきたいということで盛り込んでいるものでございます。
駆け足になりましたけれども、ガイドラインについての検討状況は以上でございます。事務局からは以上です。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。こちら、新型インフルエンザ対策政府行動計画が改定されたことに基づいて、ガイドラインについても改定作業が進むというところで、13のガイドラインをつくると。改定されるものもあるし、新規に書き起こされたものもあるというところで、それぞれが大部なのですけれども、参考資料3-2にワクチンの部分のガイドラインがありますので、先生方、こちら、ぜひ読んでいただいて、今、御説明いただきましたけれども、今回の新型コロナの経験を踏まえて、本当に様々なワクチンに関しても苦労があったわけですけれども、それを次のパンデミックに備えて準備していくというところでまとめていただいています。
研究開発、あるいはデジタル化、ワクチンの確保、それから接種の体制、そして情報の提供というところで、感染症部会でもかなりこのワクチンについて、偽情報の対応というところももう少し書き込んでもらうべきではないかというような御意見がありました。時間もないので、参考資料3-2も御覧いただいて、もし御意見あれば事務局のほうにメール等で出していただければと思いますが、ここでどうしてもという御意見は承っておきたいと思います。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元です。
簡単に。政府行動計画は7月7日に閣議決定されたということですが、このガイドラインはいつ頃、どの期間で決定されて、我々自治体のほうに通知されるのか、それが分かればお教えいただきたいと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
よろしいですか。
そうしたら、今の坂元委員の御質問、対応できますか。
○堀予防接種課課長 事務局でございます。
現在、政府行動計画のガイドラインにつきましては、8月めどで取りまとめをできるようにということで準備を進めているところでございます。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございます。昨日、たしか感染症部会では、今後のスケジュールというところも資料として示されていたかなと思いますが、ほか、よろしいですか。
すみません、ちょっと時間が来ましたので、もし先生方からこのガイドラインの案に関する御意見もあれば、事務局のほうにお寄せいただければと思います。事務局には御対応、よろしくお願いしたいと思います。
ということで、議題4つ、以上となります。小児の肺炎球菌ワクチンと帯状疱疹ワクチンについては御審議いただきました。そのほか2つの報告事項があったというところでございます。
それでは、事務局のほうにお返ししたいと思います。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
本日も活発な御意見、御議論いただきまして、誠にありがとうございました。次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
事務局からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そうしましたら、本日の「基本方針部会」、以上となります。今日も活発な御議論どうもありがとうございまし