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- 第86回 厚生科学審議会感染症部会 議事録
第86回 厚生科学審議会感染症部会 議事録
日時
- 令和6年7月8日(月)15:00~17:00
場所
航空会館ビジネスフォーラム(5階)
議題
(1)急性呼吸器感染症の今後の取扱いについて
(2)病原体の行政検査の取り扱いについて(報告)
(2)病原体の行政検査の取り扱いについて(報告)
議事
- 議事内容
- ○佐野エイズ対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第86回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき誠にありがとうございます。
私、本日、議事進行を務めさせていただきます、感染症対策部感染症対策課の佐野と申します。よろしくお願い申し上げます。
本日の議事は、公開となります。また、これまでと同様、議事の様子をユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しておりますユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方は、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
本日は、ウェブ会議で開催することとしております。まず、ウェブ会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。御発言される際は、まず挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、部会長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承をお願いいたします。会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。
御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえて、委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
五十音順に、大曲委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 越田委員。
○越田委員 越田でございます。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 坂本委員。
○坂本委員 坂本です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 笹本委員。
○笹本委員 笹本でございます。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 四宮委員。
○四宮委員 四宮です。どうぞよろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 土井委員。
○土井委員 土井です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 戸部委員。
○戸部委員 戸部です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 中野委員。
○中野委員 中野です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 成田委員。
成田委員、聞こえておりますでしょうか。少し音声が届いておりませんようです。
それでは、藤田委員。
○藤田委員 藤田です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 森川委員。
○森川委員 森川です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 森田委員
○森田委員 森田です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 四柳委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 脇田委員。
○脇田部会長 脇田です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
なお、味澤委員、今村委員、小西委員、谷口委員から御欠席の連絡をいただいております。中野委員におかれましては、途中退席の可能性があるとの御連絡を受けております。
また、本日は、オブザーバーとして、全国衛生部長会から家保様、全国保健所長会より木村様、全国知事会より玉川様の御参加をいただいております。
以上、現在、感染症部会委員19名のうち、15名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づき、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○佐野エイズ対策推進室長 なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
議事次第及び委員名簿、座席図、資料1、資料2、参考資料1になります。
不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
事務局に異動がありましたので御紹介いたします。
感染症対策部長の鷲見でございます。
○鷲見感染症対策部長 鷲見でございます。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 企画・検疫課長の笹子でございます。
○笹子企画・検疫課長 笹子と申します。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 感染症対策課総括調整官の橋本でございます。
○橋本総括調整官 橋本です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 また、このたび、感染症対策課エイズ対策推進室長兼結核対策推進室長として、私、佐野圭吾が着任しておりますので、よろしくお願いいたします。
なお、本日不在ですが、審議官として岡本も着任しておりますので、あわせて御承知おきください。
それでは、部長の鷲見より御挨拶申し上げます。
○鷲見感染症対策部長 本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。7月5日付で感染症対策部長に着任いたしました鷲見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、次なる感染症危機に備えて、この感染症部会におきましても、皆様に御議論いただきました新型インフルエンザ等対策政府行動計画が7月2日に閣議決定なされました。貴重な御意見をいただきましたことに改めて感謝を申し上げます。
現在は、内閣感染症危機管理統括庁とも連携して、行動計画を踏まえたガイドラインの改定作業に着手しております。これにつきましては、今後この感染症部会でも皆様に御議論いただく予定としております。
感染症対策部では、来年4月に予定しております国立健康危機管理研究機構(JIHS)の創設など、次なる感染症危機への備えを進めているところでございます。皆様には引き続き感染症全般につきまして、それぞれの専門的見地から御意見を賜れればと思っております。本日もどうぞよろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 それでは、ここから議事を進めてまいりたいと思います。今日も非常に暑い中ですけれども、皆様、引き続きよろしくお願いします。
また、事務局の皆様におかれましては、交代等があったようですので、よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ってまいりたいと思います。
まず、議事次第、議題を御覧ください。今日は2件ございます。1番目が「急性呼吸器感染症の今後の取扱いについて」、そして2番目が「病原体の行政検査の取り扱いについて」、こちらは御報告ということであります。
まずは議題(1)から進めてまいりますが、事務局から既に委員の先生方には事前に資料を送っていただいて、説明をしていただいていると思いますけれども、必要なポイントにつきましては、事務局から改めて簡潔に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。それでは、事務局より御説明させていただきます。
資料1と参考資料1をお手元に御用意ください。
まずは前回の感染症部会について3点御了承いただいたところでございます。1点目としましては、COVID-19を含む急性呼吸器サーベイランス体制を整備すること。2点目といたしまして、現在のインフルエンザに関する特定感染症予防指針を廃止し、COVID-19やその他の呼吸器感染症を含めた包括的な急性呼吸器感染症に関する特定予防指針を策定すること。3つ目といたしまして、重症呼吸器感染症をREBINDの新規対象感染症に追加することというところを御了承いただいたと認識しております。
それでは、表紙をめくっていただきまして、本日の検討事項につきましては、こちらにあります3つのポイントについて御議論いただきたいと思います。まず1.としましては、急性呼吸器感染症を5類感染症に位置づけることについて。2.といたしまして、特定感染症予防指針に含める急性呼吸器感染症の範囲について。3.といたしまして、急性呼吸器感染症サーベイランスについてでございます。
それでは、まずは急性呼吸器感染症発生動向の把握の現状等について、こちらのほうにお示ししております。こちらの資料につきましては、参考資料にもありますが、前回の厚生科学審議会の資料を抜粋したものとなっております。
まず1つ目としましては、感染症法に基づく発生動向調査として、定点または全数報告により、個別の疾患を把握しております。また、現状の把握方法でARIの動向を把握する上での課題については、こちらのほうに挙げさせていただいております。国際的な動向としまして、WHOと米国CDCの動向を挙げさせていただいております。
前回こちらのほうで提示させていただいた中で、新たな急性呼吸器感染症サーベイランスにつきましては、上記のような課題や国際的な動向を踏まえた検討が必要であるというふうに結論づけられております。
1ページめくっていただきまして、3枚目のスライドを御覧ください。こちらが急性呼吸器感染症の感染症法上の位置づけの案となっております。上のほうに現在の感染症法の対象となる感染症の分類と考え方について示させていただいております。まず、5類感染症のところを御覧いただければと思いますが、現在、急性呼吸器感染症は、感染症法上、位置づけがされておりません。
検討事項といたしましては、急性呼吸器感染症を5類感染症に追加してはどうかというところを御検討いただきたいと思っております。
続きまして、4枚目のスライドを御覧ください。こちらが特定感染症予防指針に含める急性呼吸器感染症の範囲の案となっております。特定感染症予防指針の作成の目的といたしましては、感染症の特徴に基づき、当該感染症の発生の予防及び蔓延の防止、良質かつ適切な医療の提供、正しい知識の普及等の観点から新たな取組の方向性を示すこととされております。
前回の感染症部会での決定事項と御意見について挙げておりますが、まず1ポツ目といたしまして、現在の「インフルエンザに関する特定感染症予防指針」を廃止し、COVID-19やその他の呼吸器感染症を含めた包括的な「急性呼吸器感染症に関する特定感染症予防指針」を策定することについて了承が得られたとなっております。1,2.上気道あるいは下気道を呈し、国内で発生が見られる疾患のほか、SARS、MERS、指定感染症や新感染症等が発生した場合を想定し、こちらについても特定感染症予防指針の範囲に含めてはどうかというふうな意見もいただいているところでございます。こちらは下に感染症法上想定され得る呼吸器症状を呈する感染症について列挙させていただいております。
1ページめくっていただきまして、こちらは特定感染症予防指針に含める急性呼吸器感染症の範囲案として提示させていただきます。赤枠で囲ったところを特定感染症予防指針に含める急性呼吸器感染症の範囲として我々としては考えているところでございます。御意見いただきました国内での発生がまれな疾患ですとか、新型インフルエンザですとか、指定感染症、新感染症につきましては、こちらのほうに書いておりますが、やはり発生はまれではありますが、発生時は、当該感染症の感染拡大を防ぐなど公衆衛生対策を講じる必要性があることから範囲に含まない。5番目の新型インフルエンザ等につきましては、今後、どのような疾患が発生するか分からないことや、発生時は、当該感染症の感染拡大を防ぐなど公衆衛生対策を講じる必要があることから範囲に含まないとさせていただいております。
こちらのほうは、結局は日本で現在はやっていないということで、予防よりは、まずはこういった蔓延の防止ですとかそういったところの対策の必要があると考えているという形でございます。
最後、下のほうに検討事項をまとめさせていただいておりますが、特定感染症予防指針に含める急性呼吸器感染症の範囲は、1及び2.上気道あるいは下気道を呈し、国内で既に発生が見られる疾患及び新たに5類感染症に位置づける急性呼吸器感染症としてはどうかということを検討していただければと思います。
続きまして、1ページめくってください。こちらは急性呼吸器感染症の発生動向の把握の目的ということで、まずは前回の感染症部会での決定事項としましては、COVID-19を含む急性呼吸器感染症サーベイランス体制を整備することについて了承を得られております。
急性呼吸器感染症の定義について、こちらのほうに書かせていただいておりまして、急性呼吸器感染症は、急性の上気道炎あるいは下気道炎を示す病原体による症候群の総称であるというふうに定義させていただいております。
急性呼吸器感染症の発生動向の把握の目的としましては、まず1ポツ目といたしまして、急性呼吸器感染症の定義に合致する症例より収集された検体から、各感染症の病原体等の発生数を集計し、国内の急性呼吸器感染症発生のトレンドや程度を把握すること。
インフルエンザ、COVID-19、RS感染症等の感染症のほか、その他の感染症を含む感染症について、流行中の呼吸器感染症を把握するとともに、検出された病原体分離株の解析を行うことで平時より呼吸器感染症の包括的なリスク評価を実施すること。
3ポツ目といたしまして、将来、新型インフルエンザ等感染症等が発生した場合にも、平時から継続的に動向を把握することが可能になるとともに、平時のサーベイランス体制への移行がスムーズになることが期待されております。
把握体制の案につきましては、こちらは以前も御提示させていただいておりますので、説明は割愛させていただきます。
1ページめくっていただきまして、こちらが急性呼吸器感染症の定点/病原体定点における対象疾患の範囲の案とさせていただいております。
検討事項といたしましては、下のほうに書いております急性呼吸器感染症定点における対象疾患の範囲といたしましては、特定感染症予防指針の範囲のうち、定点把握している5類感染症及び新たに5類感染症に位置づける急性呼吸器感染症を範囲としてはどうかということを検討していただければと思います。
急性呼吸器感染症病原体定点における対象疾患の範囲といたしましては、国内における5類感染症の急性呼吸器感染症の病原体の動向を把握するため、特定感染症予防指針の範囲のうち、4類感染症を除いたものを範囲としてはどうかというふうに考えております。この2点について御検討いただければと思います。
続きまして、8ページ目を御覧ください。こちらは感染症法上の急性呼吸器感染症の疾患概念の整理という形となっておりますが、大きな赤枠でかかっているところが特定感染症予防指針の対象とする急性呼吸器感染症の範囲となっております。今回新たに5類感染症に位置づける急性呼吸器感染症としましては、赤枠の中の黄色い斜線で覆った部分、つまり現段階で把握されていないようなものについて、さらに付け加えるというふうに考えていただければと思います。
続きまして、9枚目のスライドでございます。こちらが急性呼吸器感染症のサーベイランスの症例定義となっております。急性呼吸器感染症とはというところで再掲させていただいておりますので、こちらの御説明については割愛させていただきます。
現状なのですが、先生方もよく御存じのことだとは思いますが、それぞれ感染症ごとに症例定義が定められ、当該症例定義に基づき届出がされているという状況です。
考え方といたしましては、もちろん感染症を疑った場合にどのようなものを報告するかというところですが、症例定義の「症状」に、「発熱」を含む定義とするのか、それとも2つ目としまして、症例定義の「症状」に、発熱の有無を問わない定義、発熱が必須ではないという定義にさせていただくのかというところが考え方としてあるかとは思います。
そちらのうち、検討事項のほうを御覧いただければと思いますが、感染症危機を起こす呼吸器感染症につきましては、「発熱しない」頻度が高い場合もあり得ることですとか、これまで定点把握しており、発熱を伴わない頻度が比較的高いRSウイルス感染症等も幅広く含めることができるよう、「発熱の有無を問わない」定義をしてはどうかということで少し検討をしていただければと思います。
10枚目のスライドに本日の検討事項をまとめております。
その後、11枚目、12枚目のスライドに感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則のイメージについて提示しております。
それでは、御議論のほどよろしくお願いいたします。
○脇田部会長 佐野室長、どうも御説明ありがとうございました。今回デビュー戦ということで、熱のこもった御説明をありがとうございました。
それでは、議論に移ってまいりたいと思います。
急性呼吸器感染症、呼びやすいのでARIと言いますけれども、ARIの範囲、上気道炎、下気道炎を起こすような急性感染症ということで非常に幅広いということですが、8ページのように概念を整理していただきました。ぱっと見ちょっと分かりにくいかもしれませんが、よく見るとよく分かるというところであると思います。
それで、論点は10ページにまとめていただきました。最初にまず急性呼吸器感染症(ARI)を5類に位置づけてはどうかということです。従来、多くの急性呼吸器感染症を起こす疾患が5類に分類されていて、そこと類似の疾患が多いということもあり5類と。そこで何を見ていくかというと、サーベイランスとしてARIのトレンドとレベルを把握していくというところ。そして、さらに病原体を解析していって、平時から呼吸器感染症のリスク評価を行っていくことが御提案されたというところだと思います。
それで、特定感染症予防指針に定点の5類と全数の5類も入るのですよね。4類は除くということですね。それから、サーベイランスの症例定義としては「発熱の有無を問わない」というようなところを10ページにまとめていただいておりますので、皆様から御意見いただくのですが、今日は谷口先生が、従来からARIサーベイランスについてはかなり御意見をいただいていたところですけれども、欠席なので御意見をいただいています。事務局からこちらを御紹介いただけますか。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
それでは、国立病院機構三重病院病院長の谷口先生からの御意見につき、事務局から代読させていただきます。
まず1ポツ目、感染症法という、類型における疾患の重複を許さない法律体系の中、急性呼吸器感染症という症候群で全体を把握し、その中でインフルエンザ、COVID-19、RSウイルスのみならず、ライノウイルスやエンテロウイルス、季節性コロナなどを含む個々の呼吸器感染症の分布とリスクを示すことができる機能的なサーベイランスを御提案いただき、事務局に御礼申し上げます。全体の方針としてはグローバルスタンダードにも合致しており全面的に支持します。
2ポツ目、ただし、この感染症法における重複を避けるという点から、既に5類感染症として位置づけられている呼吸器感染症、インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)、RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、クラミジア肺炎(オウム病を除く)、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る)、百日咳、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ肺炎を除くと記載されておりますので、臨床や公衆衛生の現場で感染症法における対象疾病名とサーベイランスの枠組みが混乱しないように、サーベイランスとしての目的と手法を丁寧に御説明いただく必要があると思います。
3ポツ目、また、細かいことになりますが、咽頭結膜熱、ヘルパンギーナは確定した疾患概念であり、それぞれ症例定義があります。急性呼吸器感染症という位置づけからは、これらの疾患概念には属さないものの、それぞれの病原体が検出される呼吸器感染症であり、アデノウイルス感染症、エンテロウイルス感染症という形になりますので、別枠のほうがよいかもしれません。小児感染症学会や臨床ウイルス学会と御相談されるとよいと思います。
4ポツ目、昨今では、RSウイルスは高齢者でのインパクトも課題でありますので、対象医療機関は成人の内科を含み、対象年齢は全年齢にしていただけるものと思っております。
5ポツ目、現在、インフルエンザとCOVID-19の入院例は基幹定点から報告されていますが、今般、グローバルスタンダードに従って、SARIというサーベイランス概念を導入いただきましたので、基幹定点におけるサーベイランスと統合すれば、SARIにおける気炎病原体の分布についても情報が得られると考えられ、昨年、中国で観察されましたような肺炎が多発した際には有用なサーベイランスになると思われます。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、さらに、参考人として全国衛生部長会、全国知事会、全国保健所長会の皆様に御参加いただいていますので、御意見を伺いたいと思います。
まずは家保参考人から御発言をお願いできますでしょうか。
○家保参考人 ありがとうございます。全国衛生部長会長の家保でございます。
提示されました検討事項の順にコメントさせていただきたいと思います。
急性呼吸器感染症に関する国際的なサーベイランスの状況やSARS、MERS、COVID-19など新たな呼吸器感染症により幾度も社会的な混乱が発生したことを踏まえますと、急性呼吸器感染症の発生のトレンドとレベル把握は重要と考えます。急性呼吸器感染症を5類感染症に位置づけ、急性呼吸器感染症に関する特定感染症予防指針を策定し、サーベイランスを構築することには賛成でございます。
特定感染症予防指針の目的が、当該感染症の発生の予防及び蔓延の防止、良質かつ適切な医療の提供、正しい知識の普及等であるならば、ある程度国内で発生している感染症を対象とすべきであり、5ページの事務局案の範囲が適切であると考えます。
ただ、指針のタイトルが急性呼吸器感染症に関する特定感染症予防指針としますと、6.の新たに5類感染症に位置づけられる急性呼吸器感染症と、1つの特定感染症予防指針の中に広義と狭義の急性呼吸器感染症が並列することになります。感染症法施行規則の条文のように括弧書きで除外規定を設ければ法律上は整理されるのでしょうが、一般の医療関係者には非常に分かりにくくなるということで、タイトルとか一定の工夫を考えていただいたほうがいいかなと思います。
それから、今回の議論は91番の感染性胃腸炎の呼吸器感染症版というふうなイメージを私は持っております。サーベイランスに従事する医療関係者に対して、8ページに示しているような疾患概念を分かりやすく提示、説明することが重要と考えます。
また、6ページ下段にまとめられているARIに加えて、SARI、ARI定点/病原体サーベイランス、ARI定点を除く定点把握、SARIサーベイランスなど新たな用語が頻出しております。関与するどの医療機関が、また、どの定点が何を担うのかについては今後十分議論していただいて、協力いただく各種定点の関係者に説明、理解を得られるような準備をしていただきたいと思います。
病院でない小児科定点医療機関は、限られた医師や医療関係者でサーベイランスに協力しており、前回のCOVID-19に係るサーベイランスの導入の際にも負担増を懸念して辞退を考えたところも少なからずあると推測しております。さらに、地方の小児科医療機関が少ない地域では、小児科医の減少に加えまして、1か月児健診や5歳児健診の推進など小児科医の負担が増えてきております。くれぐれもARIサーベイランスの導入がサーベイランスからの脱退につながらないように十分配慮をお願いいたします。
さらに、9ページの発熱の有無につきましては、ARIでなくSARIも想定したような仕組みを考えているのであれば、ARIにおける症例定義における「症状」では、発熱の有無を問わないほうが適切ではないかと考えております。
以上です。ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、全国知事会の玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 福島県の玉川でございます。よろしくお願いいたします。
全国知事会の立場から4点発言をさせていただきます。
まず1点目です。急性呼吸器感染症(ARI)の発生動向の把握につきましては、既存のインフルエンザCOVID-19定点や小児科定点の把握疾患の報告との混乱を来さないよう、ARIサーベイランスの症例定義及びARI定点の選定基準を明確に設定するとともに、報告に関する負担軽減策を講じるなど、可能な限り医療機関等の負担が増大することがないよう、検討をお願いいたします。
2点目です。ARIの定点把握のデータについては、どのように評価をし、どのように利用するのか、地域での判断に資するよう基準等をお示しいただくようお願いいたします。
3点目です。実施に当たっては、周知及び準備期間をしっかりと確保いただくとともに、自治体に対する丁寧な説明をお願いいたします。
最後に4点目です。こちらは関連するものでございますが、新型コロナウイルスについては、季節性インフルエンザ等における警報、注意報と同様の基準がいまだ示されていないところでございます。国におきましては、その点についても併せて御検討をお願いいたします。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、全国保健所長会から木村参考人、お願いいたします。
○木村参考人 お世話になります。意見が重なるところがありますけれども、よろしくお願いいたします。
急性呼吸器感染症を5類感染症に追加することや、特定感染症予防指針のARIの範囲については異論ございません。ただ、サーベイランスに当たって、症例定義における発熱の有無、また、ARIの定点数、要求されている除外診断の診断精度ということに関しては、臨床現場への負担、また全体の費用対効果を慎重に吟味してほしいというような意見が会でございました。具体的には、やはりRSウイルスに関しましては、大事な感染症ではありますけれども、発熱の有無の中で、冬場など臨床現場にかなりの負担がかかるのではないかというような懸念する意見がございました。
また、説明のことでございますけれども、症候群サーベイランスと個別の感染症のサーベイランス、この全体像をよく整理して、報告いただく先生方に混乱のないように配慮をお願いしたいという意見がございました。
以上であります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま参考人の先生方から御意見いただきましたが、次に、委員の皆様から御意見いただきたいと思います。手を挙げていただければ、その順番にこちらから指名させていただきます。
まず、森川委員、白井委員の順でお願いします。
○森川委員 森川です。
御説明のスライドの5ページで、ちょっと修正したほうがいいなと思ったのですけれども、下の検討事項で「1,2.上気道あるいは下気道を呈し」と、これは炎症の炎が抜けているので、上気道炎あるいは下気道炎に修正していただけるといいかなと思いました。
ほかにももう一件あったのですけれども、特定感染症予防指針に含める急性呼吸器感染症(ARI)というのと、5類感染症として新たに位置づける急性呼吸器感染症、同じ言葉が違う意味で使われているので、これが少し、これまでも意見があったように分かりにくい。それで、例えばRS感染症は小児科定点で把握されていますが、大人とか老人で、今度の定点で急性呼吸器感染症としてピックアップしたけれども、RSと診断されたので、RSはRSの定点があるから報告しなくていいのだなというような誤解を招くおそれがありますので、この辺を含めて、特に臨床の現場の先生方が混乱しないような説明をしていただければいいかなと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
ARIの発生動向の把握については、既存の呼吸器感染症ではない疾患の発生を早期に探知する方法の1つと思っておりますけれども、症候群サーベイランスの意味については、やはりちょっと分かりにくいとか、なじみがないという方もいらっしゃると思いますし、現在の疾病のサーベイランスと分けて報告する条件を具体的に示されて、症例定義をきちんとしてということになると思うのですが、報告元である医療機関、定点になると思いますが、迷ったりちゅうちょしないようにすることが必要かなと思っています。
6ページにARIの把握の目的ということを書いていただいていますけれども、この制度開始の際には、何のためかもう少し具体的にというか、定点の先生方が自分ごととして考えてちゃんと出せるような目的の説明をしていただくことをお願いしたいですし、その説明を保健所とかそういう地域でやる際には、それをできるような資料をいただきたいと思っております。
また、対象範囲の報告条件というのは、参考資料の中にも先行研究で21か所の医療機関が参加してということで、発熱の有無については限定せずとも、またアレルギー様症状を除外してもARIの把握可能というような御報告がありましたけれども、この21医療機関はよく分かってやっていただいているのではないかなと思いますので、一般の医療機関に普及されるときには、研究に参加した医療機関と同様な理解ができるよう、平準化を求めたいと思います。
そのためには、やはり発生動向調査とか感染症リスクアセスメントの理解促進のため、来年度から発足する健康危機管理研究機構などをはじめとして、国や専門機関の主導によって、地域単位で行政や医療機関対象の研修を実施して、また継続して理解を深めていくということができたらいいかなと思っていますので、よろしくお願いします。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、成田委員、笹本委員、四柳委員の順でお願いいたします。
○成田委員 東京都の成田でございます。聞こえておりますでしょうか。ありがとうございます。先ほどは大変失礼いたしました。
では、私から、2項目について御意見を申し上げたいと思います。
最初に、資料1の6ページ、ARIの発生動向の把握の目的でございます。先ほど白井委員からも御意見がございましたが、ARI発生の傾向(トレンド)や程度(レベル)を把握するとの目的が挙げられておりますけれども、平時においてARI定点サーベイランスで把握した情報をどのように評価し、どのようなアクションにつなげるのか、具体的に御教示いただけますとありがたいです。
そして、現行の5類感染症定点で把握していたARIに含まれる感染症は、ぜひ引き続き個別に把握できるような体制を維持していただきたいと思います。
2点目は、資料1の9ページ、ARIサーベイランスの症例定義と対象についてでございます。発熱を伴わないRSウイルス感染症等を考慮してとの御説明でございましたが、症例定義に、発熱の有無を問わないことにより、対象範囲が広くなり、例えばARIであっても、患者の臨床診断がついた場合にはインフルエンザとして処理するのかなど、定点医療機関が報告対象とすべきか判断に迷うケースが増えることも想定されるため、現場の先生方の負担をできるだけ考慮し、症例定義の定め方について丁寧に御検討いただきたいと思います。
そして、最後ですけれども、検体搬入数の目安等の方針についても併せてお示しいただけますと、大変ありがたく存じます。
私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
笹本委員、お願いいたします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。御指名ありがとうございます。
ただいまの事務局案に賛成でございます。2点要望と1点質問がございます。
要望の1つ目は、分類の変更に伴い、報告する医療機関の負担が増えないようにしていきたいということでございます。
要望の2つ目は、急性呼吸器感染症というくくりだとコモンディジーズも入る可能性がありますので、医療機関が判断しやすいように、指針やQ&Aなどをお示しいただきたいということでございます。
質問は、今後、報告医療機関の変更を考えているのかどうか、変更の場合、医療機関の選定基準等に変更があるかどうかということでございます。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、四柳委員、お願いします。
○四柳委員 お願いいたします。
先ほどまでの先生方の御指摘とかぶるところがあることをお許しください。症例定義ということに関して一言コメントをさせていただければと思います。恐らくいろいろな医療機関の負担を軽減するということは全く先生方と同じでございます。その一方で、発熱に関しては、今、WHOとCDCがそれぞれARIに関してはILIという形を取っていると思いますけれども、サーベイランスをしていて、ここでは両方とも体温の定義がはっきりとその数字をもって入ってまいります。したがって海外と比較する可能性を考えると、体温の記載は少なくともはっきりとしておいたほうがいいのだろうと思っております。
あとは、症状に関しては上気道、下気道に関してそれぞれ目安があったほうがいいと思います。代表的な症状は上気道に関しては咽頭痛等だと思いますし、下気道に関してはせき等かと思いますので、しっかりと把握していただいたほうがよろしいかなと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
では、次に、中野委員、成田委員の順番でお願いします。
○中野委員 中野でございます。私のほうから2点コメントさせていただきたいと思います。
まず大前提として、呼吸器感染症、呼吸器症状を呈する患者さんというのは感染症対策上非常に大切ですし、これまでもいろいろなパンデミックとか再興感染症がそのような患者さんとして発症してきたことは頻度も高いですから、ARIのサーベイランスを採用することにはもちろん賛成でございます。そして、その一方で、多くの委員の方々、参考人の方々が御指摘いただいたように、現場の負担とか混乱が起きないように、分かりやすく、少しでも単純な制度にはしていただきたいと思っています。
その上で私からお願いを申し上げたい2点というのは、1つは、やはり臨床的な重症度は大切だと思います。臨床医の自分の立場から考えて、原因が分かる、分からない、どの段階であっても、2例以上非常に非典型的な症状を呈したとか、あるいは呼吸器症状でお二方とかお三人の方がお亡くなりになったり人工呼吸管理が必要になったということであれば、ではその原因は何なのだ、治療はどんな治療があるのだ、予防法はないのか、そういうことに当然一刻も早く気づくべきで、重症度というのをしっかりとサーベイランスとともに把握できるようにしておくことが大切だと思っています。そのためには、SARI、Severe ARIのサーベイランスというのが恐らく並行して動くのであろうと予想しておりますので、そういった形で中等症、重症をしっかりと拾えるようにしていただきたいと思います。
もう1点は、ARIですから症候群サーベイランスと理解いたしますので、ラボラトリー、原因診断ですね。実験室診断とのリンクが必須だと思っています。コロナのことでPCRとか複数の病原体を検出することができるようになってきて、私たちもいろいろなことを学びました。例えば1つの呼吸器症状を呈する方からも複数病原体が検出されるケースは往々にしてあって、その中で何が原因かということを考えなければならないケースがあります。また、小児と成人、高齢者では、恐らく排出するウイルスの量が異なるからでしょうけれども、同じ感染症でもその病原体を検出できる感度が異なると思います。きっと定点を選ぶときにしっかり気をつけなければならないのでしょうけれども、患者さんの年齢その他が偏らないように、我が国の状況を反映するような定点から、この症候群サーベイランスで患者さんと病原体の情報がしっかり得られて対策が立てられるような、そのようなサーベイランスにしていただけるといいなと思っております。
私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そうしましたら、越田委員、お願いします。
○越田委員 越田でございます。
私もおおむね事務局案に賛成であります。急性呼吸器感染症を5類疾患に追加することに対しては賛成ですが、ただ、個別のサーベイランスも大事にしていただきたいという気がいたします。
2点目は、前回まではSARSとかMERS、鳥インフルエンザ等々をARIに含めるほうがいいのではないかなと個人的には思っておりました。でも、今回の5ページ目の表を拝見いたしまして納得しましたので、これでいいと思っております。
サーベイランスに関しましても、基幹定点把握の疾患、全数把握の疾患、百日咳等々は4類、あるいは4類感染症の全数把握のオウム病を含めないということに関しては同意でございますが、定点のクリニックの先生方がこの作業によって大変時間を取られるのではないかという懸念がございますので、きちんと症例定義をしていただくことを希望いたします。特にこの8ページ目の図が分かりやすいので、これをもう少し工夫、追記して、提示していただくと、私自身もこのシェーマを拝見して、すとんと落ちましたので、定点医療機関にとっても有益かなと考えております。
急性呼吸器感染症の症例定義に、「発熱」を伴わないという点に関しましても賛成です。ただ熱のない強い呼吸器症状、例えばアレルギー性のものなどが紛れ込まないように病原体診断、および診断定義の提示が必要かと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、次に、土井委員、坂本委員の順番でお願いいたします。
○土井委員 お願いします。
私もこの枠組みについて賛成です。今のディスカッションにちょっと加える形ですけれども、現在既に国内で流行しているもの、ある程度診断がついているものを対象とするという点も非常に理解をした一方で、やはり今回のコロナ禍を踏まえての改定ということになりますと、例えばこちらにありますような新型インフルエンザ等が発生した場合にどのように組み入れられていくのかというところは非常に関心の高いところかと思います。
スライドの6枚目の目的の3つ目の点のところに、確かにその記載はあるのですけれども、ちょっと表現が分かりにくいかなという気もいたしますので、新たに発生してきたものがどのように組み入れられていくのかというところについてもお示しいただけると、さらにその意義というところに理解が深まるのかなと感じました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
坂本委員、お願いします。
○坂本委員 ありがとうございます。ほかの先生方とかぶるのですけれども、申し上げます。全体的な方向性としては賛成でございます。
3点要望がありまして、非常に複雑で、8ページの絵を見ると比較的理解ができるのですけれども、ただ、日常的にあまり使わない用語もたくさん出てきますし、実際にこれに携わるのはクリニックの先生方、開業医の先生方ということで、今の報告制度と今後何が変わるのか、なぜ変わるのかといったところが理解できるような丁寧な説明がやはり必要ではないかなと思いました。
あと、報告制度の定義なのですけれども、発熱を伴わない症状ベースの定義になるということで、季節によっては非常に報告数が多くなるのではないかということを懸念いたします。したがいまして、もちろん意味があっての、そういう定義した意図はよく理解できるのですけれども、現場の負担が最小限となるような配慮、そして分かりやすい定義といったことをなるべく考慮いただければなということがございます。
最後なのですけれども、データを利用する、解釈する際に、今新しく集めようとしているデータが開示されたときに、それが何を意味するのか。特に私は病院の感染対策に関わっておりますけれども、その地域での流行状況というのが病院の中でのリスクに直結してまいりますので、そのデータが何を意味しているのか解釈するに当たって分かりやすい説明、あるいは先ほども御意見がありましたけれども、何らかの注意報、警報といった形での活用も含めて御検討いただければなと思います。
以上です。ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、最後に、四宮委員、お願いします。
○四宮委員 8ページの新たなARIと既存の5類報告とかそれ以外の呼吸器感染症のまとめなのですけれども、私の立場としては、検査のことになるのですが、サーベイランスは急性呼吸器症候群の中からピックアップして詳細な病原体検査をするという枠組みになると思うのですけれども、例えば右の破線で示されている、現在5類の中でインフルエンザとかCOVID-19、RSウイルスは、届出のために病原体検査が必要です。それから、A群溶連菌も必要ですけれども、咽頭結膜熱とヘルパンギーナは臨床症状だけでよくて、届出には病原体検査は必要ありません。
ただ、インフルエンザの場合に病院で行うのは抗原検査なので、定点報告された中で、特に病原体定点のところから、流行期では定点あたり週に1検体、詳細な検査をするわけです。それはシークエンスとか遺伝子型とか、抗原検査だけではなくて今日本で流行しているインフルエンザ株の詳細検査を行うわけですけれども、ARIの場合に、発熱を伴う、伴わないは別にしても、その1つの目的である呼吸器症状を来しているトータルの疾患数を求めるという点では意味があると思うのですけれども、その中でどれぐらいの割合のものを詳細な病原体検査に持っていくのか、そこの数ですね。それから、対象が小児あるいは成人でも変わると思うので、病原体定点としての選び方。それから、現在よく使われているのは、18種類の呼吸器病原体に対して網羅的にリアルタイムPCRができる系があるわけですが、どれぐらいの割合で行うのかということは、今後少し議論していってもらいたいなというのが検査担当の意見であります。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
以上、手が挙がった先生方からはお話しいただきましたが、大体よろしいですか。
そうしましたら、今、参考人の皆様、委員の皆様からいろいろ多くの御意見をいただきました。多くは医療機関の負担が多くならないような取組をお願いしたいと、それから準備期間であったり説明もしっかりしてほしいということがありました。森川先生から言葉の記載のところがありましたので、そこは直していただくこととして、それで、あとは目的をもう少し具体的に書いていただいてはどうかというところで、症候群サーベイランスでありまして、急性呼吸器感染症ということなので、委員の先生方からもありましたけれども、呼吸器感染症というのは、今回のコロナもありましたし、流行を管理するといいますか、把握してコントロールするのは非常に重要だというところ。それでこういった症候群サーベイランスによって非常に感度よく検知をしていくというところが重要だと思います。そういった目的をもう少し具体的に書いていただいて、あと、中野先生からもあったように、臨床上の重症度があるとか、あるいは複数の症例が出るとかいうようなことがあれば、もちろんSARIとの連携といいますか、そちらとの組合せで把握をしていくというようなこともありますので、そこら辺をもう少し説明していただければいいのかなと。
さらに、ラボとのリンクというお話が四宮先生からもありました。PCRなのか、フィルムアレイなのか、そこら辺は分かりませんけれども、ラボとの連携。そして、定点医療機関はどのような選定方法でこれからいくのかというようなところ。データの活用というところでは、多分、これは始まらないと、そのレベル、トレンドというところがなかなか把握できないので、始めて、それでデータを取っていって、評価をしていくことが求められるということですので、もちろん新しい健康危機管理研究機構の役割もあるということだろうなというふうには私も思っているところです。ごめんなさい。私の意見はあまりないのですけれども、皆様の意見をまとめるとそういうことかなと思いました。
それでは、今、御質問あるいは御意見がありましたので、事務局のほうからもしレスポンスいただけるところあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐野エイズ対策推進室長 脇田先生、ありがとうございます。
まず1点目なのですけれども、先生方からたくさん御意見いただきました症例定義につきまして、現場の医師が分かりやすいように工夫をいただきたいという点につきましては、我々といたしましても、分かりやすい内容でこのようなものを定義していきたいと考えております。
例えばなのですが、厚生科学研究で用いた定義では、まず1つ目といたしまして、咳嗽、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、鼻閉のどれか1つの症状を呈し、急性発症であり、かつ医師が感染症を積極的に疑う外来症例のもののいずれも満たす症例としております。こういったようにある程度分かりやすい定義をしていきたいと考えているところでございます。
その他、ARIで採られた検体につきましては、ARIサーベイランスについて抽出された検体について、病原体定点ですとかゲノムサーベイランスとの連携を検討しておりまして、陰性検体につきましてもちゃんと検査ができるような体制は構築してまいりたいと考えております。
また、定点設計につきましては、症例定義とともに、引き続き感染研の先生方と相談して、実際に設計を検討していきたいと考えております。
また、自治体の説明会におきましては、こちらの設定につきまして、丁寧な説明等を行ってまいりたいと考えているところでございます。
あと、病原体定点の設計ですとか、どれぐらいの検体をサーベイランスに活用するのか等につきましては、今後検討させていただけたらと考えております。
事務局からは以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そうしましたら、追加で委員の皆様からもし御意見等あればお願いしたいと思います。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
資料の中で8ページのポンチ絵がすごく分かりやすいという印象はあるのですけれども、ここに一部はどういう把握をしているかというような説明もあるのですが、6ページに把握の体制として下のほうの表にSARIも含めて書いてあるのですが、8ページには、重症例であるSARIのほうは、見た感じどこにあるのかというのが分からないので、そういうものも、あまり入れるとごちゃごちゃするかもしれませんけれども、症例の概念と把握の体制ということを一目で分かるような図があるとありがたいなと思いましたので、ぜひ案をいただきたいなと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
そうですね。もし一目で分かるものをさらに工夫していただければありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
荒木課長、お願いします。
○荒木感染症対策課長 本当に貴重な御意見をいただきありがとうございます。特に急性呼吸器感染症というところで、一般名詞であったり、あるいは、使い方として広義の使い方、狭義の使い方ということで、同じ単語で様々な使い方をしているので若干分かりづらいところがございましたが、今、白井委員から御指摘いただきましたように、8ページのシェーマに例えばSARIとか重症度の部分をどういうふうに入れるかということで、できるだけ分かりやすい説明資料にするとともに、現場の負担がどういう形になるのか。できるだけないようにはしますし、イメージとして、急性呼吸器感染症サーベイランスをスタートしたときにはどのような報告になるのかということが分かるイメージがつくような形で資料も引き続きつくってお示しできればと思っています。貴重な御意見をありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。
最後に私のほうから、今後の進め方で特定感染症予防指針の作成のめどといいますか、それからサーベイランスの開始のめどといいますか、そこら辺で何かスケジュール感があれば教えていただけますか。
○荒木感染症対策課長 本日も御議論いただきまして、大きな方向性については前回も御議論いただきましたし、さらに今回の検討事項についても非常に貴重な御意見をいただきました。具体的に詰めていく部分がまださらにございますので、その辺りについて、今、脇田部会長から御指摘いただいたように、我々としてはできる限り早く、できれば年度内にはしっかりと特定感染症予防指針の見直しもですし、サーベイランスについてもスタートできるように図っていきたいと。その際には当然、都道府県、地衛研も含めて、地域の皆様、あるいは医療機関にも、この目的と、そしてやることがしっかり説明できるような時間も取らないといけないと思っています。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
今日も丁寧に説明をしていってほしいと、それから分かりやすい説明という御要望がありましたので、ぜひよろしくお願いいたします。
皆様、よろしいでしょうか。
それでは、議題(1)はこのぐらいにさせていただきます。今日、参考人の先生方、そして委員の先生方から多くの意見をいただきました。引き続き、事務局のほうで取組を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に入らせていただきます。議題(2)で「病原体の行政検査の取り扱いについて」の御報告ということでございます。
では、御説明をお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、資料2について御説明をさせていただきます。
「病原体の行政検査の取り扱いについて」ということでございまして、1ページめくっていただきまして、現状と課題等について御説明させていただきたいと思います。
行政検査は、感染症の発生予防及び蔓延の防止、公衆衛生の向上及び増進を図る目的で、感染症法に基づき実施されております。COVID-19の下では、病態解明や検査法、治療法のために、これらの行政検体、これは提出された検体、または得られた検体結果及び分離された病原体等も含みますが、こういったものについて研究者や企業等から利活用の要望がありましたが、その所有権が不明瞭であったり、対応に遅れが生じて円滑な利活用ができなかった事例もございました。今後の感染症危機に対応するためには、これらの行政検査の検体の所有権を整理して、円滑に第三者提供を行って、有効活用していただけるような環境整備が重要と考えております。行政検査の一部は国立感染症研究所で実施されておりますが、まずは国立感染症研究所で実施する病原体の行政検査の検体について整理を行い、通知の改訂を行ってはどうかということを考えております。
下のほうに課題に対する今後の対応というものがございます。感染研で実施する病原体の行政検査の検体の所有権の整理というところで記しております。
1ポツ目ですが、行政検査として感染研に提出された検体や検査結果や分離された病原体そのものは、検査を行っている感染研に存在するということになります。感染研での行政検査を依頼する正式な手続は、都道府県等から厚生労働省に依頼の上、厚生労働省から委託を受けた感染研で検査を実施することになっております。これは参考資料のほうで少し記載をしておりますが、実際的には、実務上これだと非常に煩雑になりますので、こういった一部の手続を割愛して、地方衛生研究所や保健所から直接国立感染症研究所のほうに依頼ができるものというような形で記しております。
また、2ポツ目ですが、感染症法上、国が行う行政検査の検体の所有権は、現時点で明確にされていないというふうになります。ただし、国は、検体採取及び検査の主体でありまして、または都道府県知事が必要な協力を求める客体ということになっております。これは一方で、国が行うときということでございまして、通常の行政検査の場合は都道府県のほうで完結することが多くあると思いますので、その場合には、当然、都道府県の所有権はそこの都道府県のままということになると思います。
こういったものについて、行政検査として、感染研に提出された検体、感染研で得られた検査結果及び分離された病原体の所有権は、国(厚生労働省)に帰属するということを改めて記させていただきたいと思います。これにより、これを用いた学術・公衆衛生・利活用等の対応は国が実施できる体制を構築し、国はこれらの検体を、感染症の病態解明、診断、治療等に資する研究を行う者に対して、積極的に提供するということでございまして、こういったことを記すことによって、感染症法第56条の39にございます「感染症及び病原体等に関する調査及び研究並びに医薬品の研究開発の推進」というところにつなげていくような体制をつくっていきたいと考えております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
行政検査の検体、これが感染研に提出をされたものは、所有権について国(厚生労働省)に帰属するということで、ただ、あくまでこれは第三者提供といいますか、有効活用していただけるような環境整備のためにということだと理解しています。ですので、これまで感染研と地方衛生研究所がいろいろな行政検査、あるいは共同研究でやっていたような活動に関しては、これまでと変わらないということだと思います。
それでは、委員の皆様から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
戸部委員、お願いします。
○戸部委員 この所有権のところですけれども、私も確証があるわけではないのですが、採取した血液などは、もともとは本人のものなので、所有権が移るからには本人が同意をするということが必要ではないかという疑問があります。ましてそれを第三者に提供していくということですから、その点については同意書を取るとか、あるいは少なくともこういう提供をしますということ説明して口頭で了承を取るとか、そういった手続が必要ではないかと思います。
実際、例えば国立がん研究センターでは、診療目的で採った血液を研究用に転用する場合には患者から同意を取るということをやっているので、それと同じ理屈かなと思うのですが、いかがでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。
先に委員の皆様から御意見を伺っていきますが、森田委員、白井委員の順番でお願いします。
○森田委員 どうもありがとうございます。
私は大学の研究機関におりますけれども、今回の新型コロナウイルスの流行では、感染研から非常に迅速に検体を供与していただきまして、診断薬や治療薬の開発ということに使わせていただきました。今回のこの改訂は非常にいいことだとは思うのですけれども、やはり有事のときにこの迅速性が損なわれないような配慮といいますか、立てつけにしていただきたい。そこは担保していただきたいというのが希望でございます。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
感染研に提出されたものは、感染研で国が処理するということになると思うのですが、そこからの第三者提供があるということなのでしょうか。というのは、診断治療とか、いろいろこれからワクチンとかいうことになってくると、民間にというような提供もあるのかなということも考えるのですけれども、その辺までのことを、国が処理したらそこで判断することになるのかというのをお聞きしたい。
あと、説明はなかったのですけれども、参考のほうでいただいたポンチ絵で保健所から直接感染研へ依頼するという右側の図があったのですが、そこからの矢印も、依頼者は、「地方衛生研究所等の所長または当該検査を所管する部局の長以上が検査依頼」と書いてあるので、これは保健所から行くのも、地方衛生研究所から行くのも依頼者は一緒だといったときに、ここに保健所長が入るのかなというのがちょっと読み取りにくかったので、その説明をいただきたいなと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
次に、成田委員、お願いします。
○成田委員 それでは、私から何点か御意見申し上げたいと思います。
まず、都道府県における第三者利用の扱いというところでございますけれども、地衛研から感染研に提出された検体の所有権について国に帰属するという整理がされたとのお話でございましたけれども、例えば倫理審査等、国はどのようなプロセスを経て第三者への提供を行うのか、ぜひ都道府県にも情報提供いただけますと大変ありがたく存じます。
また、地衛研にある検体等の所有権は都道府県に帰属するという整理になると思いますけれども、例えば企業等から検体の利活用を都道府県に依頼された場合、国と同様に都道府県においても企業等が活用できるような体制を今後構築する必要が生じてくるのか、その辺について現在のお考えを教えていただけますとありがたいです。
最後に、検体以外の疫学調査情報の取扱いについてでございますけれども、検体自体の所有権の扱いについては理解できましたが、検体に関わる疫学調査情報の取扱いに関して、利用方法や利用する際の注意点について、今後ぜひ整理してお示しいただけますと大変ありがたく存じます。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、四宮委員、お願いします。
○四宮委員 行政検査でウイルスあるいは細菌を分離して保管することが地衛研、感染研であるわけですけれども、それを学術的に利活用する課題というのは以前から懸案だったので、その一歩として整理される方向になっているというのは評価できると思います。
ただ、現状では少し大ざっぱで、感染研に行政検査依頼されたものの所有は感染研という説明でしたが、従来、学術的には、例えば細菌などを分離した場合に、基本的にはその分離した人あるいはそのラボが所有権、これは大学とか地衛研とか感染研に限らないと思いますけれども、そういう整理だったと思います。
それで、地衛研で検査できない、検査が非常に難しい検体を感染研に依頼して感染研で検査するというのがあるのですけれども、それ以外に、例えばEHECとか地衛研で普通に検査できるものを、一定数感染研に提供するということもあります。そういう場合は、分離したものは地衛研の所有になると思うのですけれども、学術的な理由とかナショナルサーベイランスという精神の下で感染研に提供しているわけです。その場合は菌体の譲渡とか、そういう書類の提供も行うのでケース・バイ・ケースの整理が要るかなと思います。
それから、先ほど別の方が言われたのですけれども、ウイルス検体は、細菌ほど分離が簡単ではないので、宿主の遺伝情報を含んでいる場合があります。培養系でウイルスを完全に分離して宿主の情報を全てなくするということもありますが、宿主の情報も入ったものを検体として保管するという場合もありますので、宿主の遺伝情報を含む検体を丸ごと第三者に提供するときには、ピュアな病原体の譲渡とはまた違う手続が必要になるのかなと思います。
全体として、こういう方向性には賛成なのですけれども、その個別の細かい点の整理というのがないと、先々ちょっと混乱するかなと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
坂本委員、お願いします。
○坂本委員 ありがとうございます。
患者さんから採った検体が最終的に第三者機関、それは民間であれ、公的機関であれ利用されていくという方向性に関しては賛成ではあるのですけれども、冒頭に御意見がありましたように、もともとその検体を採った方に対して、その個人情報がどこの時点で匿名化されていくのか。そして、その患者さんから採った材料がこういった形で活用され得る可能性があるといったことを何らかの形で伝えて、オプトアウト方式でもいいと思うのですが、何らかの形で同意を得ておくというのが、遺伝情報なども解明されていくということであれば、なおさら必要になっていくのかなというふうに話を聞いていて感じました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほかはよろしいですか。
木村参考人、お願いします。
○木村参考人 参考人でございますが、申し訳ございません。検体をお預かりする立場で要望を申し上げます。
このポンチ絵の中でもそうなのですけれども、検体を提供してくださる患者さん、また協力医療機関、協力のラボに関して、どのように結果を返していくかということの位置づけを明確にしていただきたいこと。また、特許等の研究成果を含め、広く一般の方々にこのシステムというか、今回の制度の意義を浸透させていただきたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうかね。
いろいろ御意見をいただきました。まず、やはり今、個人情報のお話がありましたけれども、本人の同意が必要か、あるいは不要かというようなこともありますし、匿名化はどこでされるかというようなところ。それから、第三者提供は民間もあり得るか。それから、地方自治体に残っている検体も第三者提供の仕組みの構築が必要ではないかというところ。それから、検体以外のデータ、情報の利活用について等々ございました。それから、四宮先生からは、整理することは賛成なのだけれども、個別具体にいくと、様々細かく具体的に決めていかないと混乱が生じるのではないかというようなところもありました。保健所を含め、協力医療機関の貢献をどう評価するかとか、研究の成果についても、それがどう還元されるかというようなところの問題ですね。ありがとうございました。
それでは、事務局のほうから、もしレスポンスいただければお願いしたいと思います。
○竹下パンデミック対策推進室長 ありがとうございます。
非常に多くの貴重な意見をいただいて、ありがとうございます。まず1つ、所有権のところですけれども、今回の検体、患者さんの同意というところも確かにあるのですが、あくまでも研究のときに取得するような形で受け取っているものではなくて、感染症法として、行政検査として診断等をするという必要性から採るようなものだけを対象としているものでございまして、そもそも研究目的で行うことを指しているものではないというのが前提としてございます。
そういった上で、患者様からは、本人にその検体自体を直接返還することは想定されていないということでございますので、検体の所有権は国に帰属するということで整理をすることを考えたいと思っておりますが、先ほど御指摘のありましたようないわゆる個人情報であったりとか、そういった点は非常に重要だと思いますので、そういったものが第三者提供のところできちんと除外されているとか、第三者提供のスキームを整えていくことも重要だと考えています。
例えば臨床研究のほうで、今、REBINDという事業が先行して走っておりますけれども、こういったところでも、そういった個人情報等の取扱いとか、提供するものをかなり限定していくとか、そういったところは配慮されておりますので、そういったスキームを参考にしながら、患者様自身のそういった先生方の御懸念のあるような情報が分からない段階で渡らないような形の配慮とか、そういったスキームは第三者提供のところできちんと整えていく必要性があると考えております。
また、結果等に関しましては、当然、それは患者さんの診断した結果ですから、保健所を通じて医療機関または患者さんにもきちんと提供されるものと思っております。今回の参考のスキームでは、検査結果のところが保健所までで止まっておりますが、この保健所から先については、当然、医療機関のほうに検査結果が返っていくということを想定したものでございます。
また、白井先生からございました参考資料の保健所からというところでございますが、こちらは保健所長のところも記載をしていくことで、誤解のないような形に修正させていただきたいと考えております。
今日いただいたような御意見を踏まえた上で、第三者提供のときのスキームも、民間等に入るかどうかというのも含めて、例えば審議とかそういうのがきちんとできるような形を整えていくこともある意味重要だと考えておりますので、そういったところを併せて、今後体制を整えていきたいと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
地方から第三者提供というところの御質問もあったのですけれども、それは国のほうで考えることになりますか。それとも地方で考えてもらう。
○竹下パンデミック対策推進室長 今、法律上規定があるのは、国のほうが体制整備ということでございますので、国のほうでこういった形をやって体制を整えていきたいと考えております。もちろん都道府県のほうからそういう相談があったときにどう整理していくかというのは、今後対応していく必要性は、国としても一緒に考えてく必要性があると考えておりますので、引き続き意見交換を進めていきながら検討していきたいと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
そうですね。そういった場合も十分に今後可能性があると思います。
藤田委員、お願いします。
○藤田委員 藤田です。
今のお話を聞いて、行政検査だから基本的には返却を求めないということで、解釈として、そこで所有権は放棄されているという解釈で従前行われてきたことを通知で明確化したという整理になるのかなと思ったのですが、そうであるとして、では、国に帰属するというふうに解釈上ストレートにいくのかというところには疑問を感じますし、所有権の帰属といった問題を通知のレベルで確定してしまえるものなのかということにも疑問を感じるところですので、ちょっとここは御再考いただく必要があるのかなと感じました。
すみません。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
ということなので、そこはしっかりと検討していただくということでしょうかね。
事務局、そこはよろしいですか。
○竹下パンデミック対策推進室長 こちらの所有権のところに関しましては、今日いただいた意見も含めた上で、改めてこちらのほうでも検討させていただいて、通知等においては記載内容を考えたいと思います。
○脇田部会長 それでは、四宮委員、お願いします。
○四宮委員 ちょっと補足なのですけれども、感染症法の発生動向調査事業に基づいて、どういう病気が今週発生したかという疾患の患者数を報告しています。それがまずあって、補足的に病原体の検査もされていましたけれども、病原体の検査というのは、必ずしも法に基づくという根拠がありませんでした。その根拠ができたのは、平成28年4月施行の感染症法の改正で、そこでは、都道府県知事の責務において病原体検査を行うという書き方になっています。それ以降、病原体検査も法に基づく検査になったと。そのときに要綱とかいろいろ作成されたのですけれども、医療機関において感染症が疑われる患者から検体を採る際に同意書が要るのかどうかとか、そこから採った検体を公衆衛生上に利活用するときの問題とか、それも要綱の中に一応書かれています。
研究ではないわけですけれども、感染症法に基づく検査であっても、同意書は取らないけれども、患者の同意の下に検体を主治医が採取するというふうなニュアンスになっています。それから、採られた検体は公衆衛生の向上のために使用されるもので、その以外の目的に用いてはならない、いう書き方になっています。ただ、今回のような、その場合の所有権であるとか、それから、将来、感染研とか地衛研だけではなくて民間とか、大学とか、発生動向調査事業の枠組みから広がってその検体が提供されていくというところの整理は、今回始まったのではないかなというふうに理解しています。
○脇田部会長 四宮先生、ありがとうございます。
事務局、何か御意見ありますか。そういう理解でいいということですかね。
ありがとうございます。
そのほかありますか。よろしいですかね。
これは御報告ということだったのですけれども、今、委員の皆様からは様々な御意見がありましたので、その御意見も踏まえていただいて、行政検体の取扱いについては進めていただければと思います。
それでは、準備をした議題は以上になりますが、そのほか何か委員の先生方からございますか。よろしいですか。
それでは、事務局のほうにお返ししたいと思います。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございました。
本日の委員の皆様の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
この後、当方で記者ブリーフィングとして議事の概要を説明させていただく予定としております。
また、次回については、事務局より改めて御連絡させていただきます。
本日は、お忙しい中御出席いただきありがとうございました。
○脇田部会長 皆様、今日もありがとうございました。また次回、よろしくお願いいたします。